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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成14ワ23329特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
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平成20ワ8049損害賠償請求事件 判例 特許
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事件 平成 19年 (ワ) 28506号 不当利得返還請求事件
京都市<以下略>
原告ケ イコン株式会社
同訴訟代理人弁護士中島敏
同訴訟代理人弁理士一色健輔 群馬県前橋市<以下略>
被告末 広産業株式会社
同訴訟代理人弁護士足立進
同訴訟代理人弁理士羽鳥亘
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2009/02/18
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1被告は,原告に対し,金1億1024万2800円並びに内金9600万円に対する平成19年11月9日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員及び内金1424万2800円に対する平成20年7月24日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用は,これを3分し,その2を原告の負担とし,その余は被告の負担とする。
4この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
第1請求被告は,原告に対し,金3億6747万6000円並びに内金3億2000万円に対する平成19年11月9日から支払済みに至るまで年5分の割合によ2る金員及び内金4747万6000円に対する平成20年7月24日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件はコンクリート構造物の機械施工方法及び装置 に関する特許権を有 ,「 」する原告が,被告の実施する方法及び使用する装置により上記特許権が侵害されたとして,被告に対し,実施料相当額の不当利得金3億6747万6000円の返還並びに内金3億2000万円に対する訴状送達の日の翌日である平成19年11月9日から支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払及び内金4747万6000円に対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成20年7月24日から支払済みに至るまで同年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1前提となる事実等(争いがない事実以外は証拠等を末尾に記載する )。
(1)当事者ア原告は,セメント製品製造販売,土木建築請負業,不動産売買業,コンクリート製品及び製造設備の賃貸業,それらに附帯する一切の業務を目的とする株式会社である。
, ,,, イ被告は 建設機械及び油圧機械の製造及び修理 建設機械の販売 土木鉄工及び建築工事一式,核シェルターのコンサルタント業,核シェルターの施工業務並びにシェルター用部品類の製造及び販売,自動車,自動二輪車,原動機付自転車及び中古建設機械の売買,建設機械,木材,住宅用建材及び家具の輸出入業務,自動車,自動二輪車及び原動機付自転車の点検整備及び修理,ベッドの開発及び製造,それらに附帯関連する一切の業務を目的とする株式会社である。
(2)原告の特許権ア原告は 次の特許 以下 本件特許 というにつき 特許権 以下 本 ,(「」。),(「件特許権 というを有している 以下 本件特許に係る別紙特許公報を 」。)(,3「本件公報 ,その明細書を「本件明細書 ,その図面を「本件図面」とい 」 」い,本件図面を示すときは,その番号を末尾に付して「本件図1」などと表記する。。)発明の名称コンクリート構造物の機械施工方法及び装置特 許 番 号特許第3055054号出 願 番 号特願平8-31257号出願日平成8年1月26日特許登録日平成12年4月14日(「」。) イ本件特許に係る特許請求の範囲 以下 本件特許請求の範囲 というにおける請求項4(以下「本件請求項4」という )について 。
(ア)本件請求項4の記載は,次のとおりである(以下,本件請求項4記載の発明を「本件方法特許発明」という。。)「先導モールドとホッパー部と成形モールドからなるモールドをコンクリート構造物が施工される経路に沿って移動させ,その移動経路に沿って予め鉄筋を組み立てて置き,前記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールドに前記鉄筋を順次導入して成形モールドによってコンクリート構造物を自動的に機械施工する方法において,前記鉄筋を浮動設置し,前記モールドの移動と共に前記鉄筋を先導モールドに導入させ,前記鉄筋の内形を前記先導モールドの内部に設けられた接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止してなることを特徴とするコンクリート構造物の機械施工方法 」。
(),, 。 イ 本件方法特許発明は 次のとおり 構成要件に分説することができる方法A先導モールドとホッパー部と成形モールドからなるモールドをコンクリート構造物が施工される経路に沿って移動させ,方法Bその移動経路に沿って予め鉄筋を組み立てて置き,4方法C上記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールドに上記鉄筋を順次導入して成形モールドによってコンクリート構造物を自動的に機械施工する方法において,方法D上記鉄筋を浮動設置し,方法E上記モールドの移動と共に上記鉄筋を先導モールドに導入させ,方法F上記鉄筋の内形を上記先導モールドの内部に設けられた接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止してなることを特徴とする方法Gコンクリート構造物の機械施工方法。
(「」。) ウ本件特許請求の範囲における請求項8 以下 本件請求項8 というについて(ア)本件請求項8の記載は,次のとおりである(以下,請求項8記載の発明を「本件装置特許発明」といい,本件方法特許発明及び本件装置特許発明を総称して「本件特許発明」という。。)「先導モールドとホッパー部と成形モールドからなるモールドをコンクリート構造物が施工される経路に沿って移動させ,その移動経路に沿って予め鉄筋を組み立てて置き,前記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールドに前記鉄筋を順次導入して成形モールドによってコンクリート構造物を自動的に機械施工する装置において,前記鉄筋を浮動設置された鉄筋であり,前記鉄筋の内形と接触する接触部材を前記先導モールドの内部に設けてなることを特徴とするコンクリート構造物の機械施工装置 」。
(),, 。 イ 本件装置特許発明は 次のとおり 構成要件に分説することができる装置A先導モールドとホッパー部と成形モールドからなるモールドをコンクリート構造物が施工される経路に沿って移動させ,5装置Bその移動経路に沿って予め鉄筋を組み立てて置き,装置C上記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールドに上記鉄筋を順次導入して成形モールドによってコンクリート構造物を自動的に機械施工する装置において,装置D上記鉄筋を浮動設置された鉄筋であり,装置E上記鉄筋の内形と接触する接触部材を上記先導モールドの内部に設けてなることを特徴とする装置Fコンクリート構造物の機械施工装置。
(3)被告の事業内容被告は,公共の道路工事の下請業者として,専用の成形機を使い,同一断面のコンクリートを連続的に打設及び構築(成形)する技術であるスリップ, , フォーム工法を用いて 鉄筋コンクリート製の円形水路の施工を行っておりその施工においては ベースコンクリートを地面に打設しない場合 以下 基 , (「礎無し工事というとそれを打設する場合以下基礎有り工事とい 」。),(「」う )とがある(乙26,28,弁論の全趣旨 。 。 )2争点(1)被告の実施した方法及び被告の使用した装置は,それぞれ,本件方法特許発明及び本件装置特許発明構成要件を充足するか(争点1)(2)被告による不当利得の有無及びその額(争点2)3争点についての当事者の主張(1)争点1(被告の実施した方法及び被告の使用した装置は,それぞれ,本件方法特許発明及び本件装置特許発明構成要件を充足するか)について(原告の主張)ア被告の行為被告は,平成12年ころから,業として,別紙物件目録記載の方法(以下「被告方法」という)を実施し,また,その際,別紙物件目録記載の装6置(以下「被告装置」という)を使用している。
イ構成の対比(ア)被告方法の構成被告方法の構成を分説すると,次のとおりである。
方法aモールドは,先導モールド部とホッパー部と成型モールド部とからなり,このモールドは車輌に取り付けられ,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動される。
方法bモールドの移動経路に沿って,予め鉄筋を組み立ててなる鉄筋籠が地面に置かれている。
方法c上記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールド部に上記鉄筋籠を順次導入して,成形モールド部によってコンクリート構造物を自動的に機械施工する方法である。
方法d上記鉄筋籠は,地面に固定されることなく,直接又はベースコンクリートを介して,地面に置かれている。
方法e上記モールドの移動と共に,上記鉄筋籠は一対の支持ロッドに懸垂された状態で先導モールド内に導入される。
方法f鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側が,先導モールドの内部に取り付けられた一対の支持ロッドに接触して懸垂されながら,ホッパー部に移動する。鉄筋籠は上方左右コーナーの内側が支持ロッドに接触・懸垂されており,かつ,最初に鉄筋籠のモールドに近い部分を一対の支持ロッドによって地面から浮上するように懸垂するときも,鉄筋籠は約50mと長く支持ロッドに挿入された部分より後方の鉄筋籠の部分が地面に接しているので,鉄筋籠は,上下左右に揺れることがなくホッ7パー部へ移動される。また,鉄筋籠が順次ホッパー部に導入されて,コンクリートが打設されると,成形モールド部において。, 円形水路が形成されて地面に設置されることになる このとき鉄筋籠は,成型コンクリート内に埋設され所定の形状を維持している先行の鉄筋籠と連続しているから,一対の支持ロッドにより懸垂されて先導モールド部及びホッパー部にある後続の鉄筋籠も,上下左右に揺れることがない。
方法g上記方法aないし方法fの構成からなるコンクリート構造物の機械施工方法である。
(イ)被告装置の構成被告装置の構成を分説すると,次のとおりである。
装置aモールドは,先導モールド部とホッパー部と成型モールド部とからなり,このモールドは車輌に取り付けられ,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動される。
装置bその移動経路に沿って,予め鉄筋を組み立ててなる鉄筋籠が地面に置かれている。
装置c上記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールド部に上記鉄筋籠を順次導入して成形モールド部においてコンクリート構造物を自動的に機械施工する装置である。
装置d上記鉄筋籠は (直接又はベースコンクリートを介して )地 , ,面に固定されることなく置かれている鉄筋である。
装置e上記先導モールド部の内部には支持ロッドが設けられ,この支持ロッドは鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側に接触して鉄筋籠を懸垂し,鉄筋籠をホッパー部に移動する。
装置f上記装置aないし装置eの構成からなるコンクリート構造物8の機械施工装置である。
(ウ)本件方法特許発明と被告方法の構成の対比a方法aにおいて,モールドは,先導モールドとホッパー部と成形モールドからなり,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動するから,方法aは,構成要件方法Aを充足する。
b方法bにおいて,鉄筋籠は,予め鉄筋を組み立てたものであって,地面に置かれているから,方法bは,構成要件方法Bを充足する。
c方法cにおいて,先導モールド部に鉄筋籠を順次導入し,ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給し,成形モールド部においてコンクリート構造物を自動的に機械施工するから,方法cは,構成要件方法Cを充足する。
d方法dにおいて,鉄筋籠は,地面に固定されることなく,地面に置かれているから,方法dは,構成要件方法Dを充足する。
e方法eにおいて,鉄筋籠は,一対の支持ロッドに懸垂された状態で先導モールド内に導入されるから,方法eは,構成要件方法Eを充足する。
f方法fにおいて,鉄筋籠の上方左右コーナーの内側が,先導モールドの内部に取り付けられた一対の支持ロッドに接触・懸垂されながらホッパー部に移動し,鉄筋籠が上下左右に揺れることがないから,方法fは,構成要件方法Fを充足する。
g方法gは,コンクリート構造物の機械施工方法であるから,構成要件方法Gを充足する。
(エ)本件装置特許発明と被告装置の構成の対比a装置aにおいて,モールドは,先導モールドとホッパー部と成形モールドからなり,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動するから,装置aは,構成要件装置Aを充足する。
9b装置bにおいて,鉄筋籠は,予め鉄筋を組み立てたものであって,モールドの移動経路に沿って置かれているから,装置bは,構成要件装置Bを充足する。
c装置cにおいて,鉄筋籠を先導モールドに順次導入し,ホッパー部でこれに生コンクリートを連続的に供給し,成形モールド部においてコンクリート構造物を自動的に機械施工するから,装置cは,構成要件装置Cを充足する。
d装置dにおいて,鉄筋籠は,地面に固定されることなく置かれているから,装置dは,構成要件装置Dを充足する。
e装置eにおいて,支持ロッドは,先導モールドの内部に設けられ,鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側に接触して鉄筋籠を懸垂し,鉄筋籠をホッパー部へ移動するから,装置eは,構成要件装置Eを充足する。
f装置fは,コンクリート構造の機械施工装置であるから,構成要件装置Fを充足する。
ウ効果の対比(ア)本件特許発明の効果本件特許発明は,本件公報の【発明が解決しようとする課題】記載のとおり,従来のスリップフォーム工法が,機械施工方法であるにもかかわらず,手作業が占める割合が高く,コスト高となり,また,鉄筋にかぶり不足が生ずるおそれがあったところ,手作業の割合を減少させ,工期短縮,コストダウン及び品質の改良を図って,それらの問題点を解決(【】【】)。 するものである 段落 00090010 ・5欄13ないし28行(イ)被告方法及び被告装置の効果被告方法及び被告装置は,鉄筋を地面に固定して設置する必要がないので,従来のようなアンカー筋を設置する必要がなく,従来のようにア10ンカー筋と鉄筋とを固定する作業も不要となる。したがって,工期の短縮が可能となり,コストも低減する。
そして,被告方法及び被告装置は,コンクリート構造物を地面上に直接設置することができるものとなり,必要に応じてベースコンクリートの施工を省略できるものとなる。したがって,この面においても工期の短縮が可能となり,コストも低減する。
さらに,被告方法及び被告装置を使用することにより,モールド内で鉄筋籠が上下左右に揺れることがないから,成形されたコンクリート構造物は,鉄筋を覆うコンクリートが不足して不良品になることもない。
(ウ)本件特許発明と被告方法及び被告装置の効果の対比以上によれば,被告方法及び被告装置によって得られる効果は,本件特許発明によって得られる効果と同じである。
エ結論したがって,被告方法及び被告装置の構成及び効果は,本件特許発明のそれらと同一であるので,被告方法及び被告装置は,本件特許発明技術的範囲に属し,被告の行為は,本件特許権に対する侵害行為を構成する。
オ被告の主張に対する反論(ア)基礎有り工事について被告は,基礎有り工事が,本件特許発明技術的範囲に属しない旨主張する。
確かに 本件特許発明は鉄筋を浮動設置 することを構成要件とす ,,「」るものであるため,鉄筋を,アンカー鉄筋,差し筋等により,ベースコンクリートに固定しないものであり,これは,本件明細書に記載された従来技術 段落 0004 及び 0005 ・4欄16ないし33行及 (【】【】び段落【0008 ・5欄5ないし12行)と区別される点である。 】しかしながら,ベースコンクリートを地面に打設するか否かは,本件11特許発明構成要件ではない 本件明細書にも本発明はベースコンク 。,「リートの構成を除外するものではなく,ベースコンクリートを施設するものも含むものである ことが明記されている 段落 0022 ・7欄 」(【】37ないし39行 。)また,被告は,鉄筋を地面に対して固定する場合に限ってベースコンクリートを打設している旨主張するが,そのような内容の施工を行った場合,鉄筋の固定がすべて手作業で行われるため,コストが大幅に上昇し,競争に耐えられるものではなく,被告が同施工を採用することはあり得ない。
(イ 「接触」及び「接触部材」の限定解釈について ),「」「」, a被告は 本件特許発明における 接触 及び 接触部材 の意義を鉄筋を強制的に拘束するものに限ると限定解釈した上,被告方法及び被告装置においては,鉄筋籠が,左右一対の指示軸で懸垂(吊支)されるものの,それに「接触」するものではない旨主張する。
, ,, bしかしながら 接触部材との接触に関しては 本件明細書において「コンクリート構造物を自動的に機械施工する方法において,前記鉄筋を浮動設置し,前記モールドの移動と共に前記鉄筋を先導モールドに導入させ,前記鉄筋を前記先導モールドの内面あるいは接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止してなることを特徴とするコンクリート構造物の機械施工方法段落 0012 ・5欄39ないし45行 である 。」(【】)ことが記載されているのみであり,鉄筋との「接触」には鉄筋を吊支することを含まないとか,吊支以上の別の要素を必要とするとかの記載は一切なく,これを示唆するものもない。本件特許発明が,鉄筋を先導モールド内面あるいは接触部材と接触させながら,ホッパー部の所定位置に確実に効率よく移動させる発明であることは明らかであ12る。本件特許発明における接触,接触部材は,上記の移動を安定して行うことができる鉄筋と先導モールドとの接触及びその部材であれば足りるのであって本発明は鉄筋が先導モールドの内部で上下左右に ,「振れないものであれば良い (段落【0023 ・7欄43ないし44 」】行)とされているのである。
したがって,被告の主張のような「吊支以上の要素」とか「強制的に拘束」することを必須とする記載は本件明細書に存在せず,そのように無理に限定解釈すべき根拠も存在しないというべきである。
c本件図1及び本件明細書の【発明の詳細な説明】の記載(段落【0020 ・7欄10ないし25行 によれば ガイド板18によってす 】),くい上げられた鉄筋16は,先導モールドの底面によって保持され,上下に振れることがないとともに,先導モールドの内面(に設けられた接触部材)に接触することによって左右への振れも防ぐことができて,ホッパー部の所定位置へ鉄筋16を導くことができる。
そして,鉄筋と接触部材の接触は,鉄筋が左右に振れずにホッパー部へ移動するためのものであり,その振れ防止がコンクリートのかぶり不足を生じない程度のものであれば足りることは,本件明細書の全記載から明らかというべきである。
これに反して,鉄筋を接触部材で強制的に拘束したならば,施工用車輌の側面に設置された先導モールドのスムーズな移動が妨げられ,かえって工事の進行を阻害する結果となるのは,被告の指摘を待つまでもなく明白であり,本件特許発明は,そのようなものではない。
d本件特許請求の範囲に記載された「接触」の位置や形式は,本件明細書に記載された実施例を示す図面に限定されるものではなく,鉄筋の底部,側面,上部等いずれでもよく,また,吊支であってもよい。
特に,本件特許発明がパイオニア発明であることを考慮すれば,この13点は,一層明らかである。
したがって,被告が実施する吊支手段により吊支することも,本件特許発明において,コンクリートかぶり不足を防止する程度に鉄筋の振れを防止する方策の一つとして,当業者が採用できる「接触」の一態様であり,被告の行為は,本件特許権の侵害に該当する。
e被告は 被告装置に関し摺動可能な可動軸を備えた一対の支持軸 ,,「ないし支持装置 ブラケットであると主張するが 別紙物件目録の ()」,写真5,6及び8によれば,各支持ロッド9は1本の丸棒状ロッドであり,複数本のL字型支持アームに固着されているから,可動ではない。
また,それらが「可動」だったと仮定しても,施工条件に応じて支持ロッドの長さを可変とすることは,技術分野を問わず適宜行われる慣用技術にすぎないから,本件特許発明の「接触部材」と被告装置の支持ロッドとが異なるという理由となるものではない。
(ウ 「振れを防止」することについて )a被告は,被告方法及び被告装置においては,鉄筋の自重によって鉄筋籠を揺れにくくするが,揺れを禁止するのではない旨主張する。
bしかしながら 本件方法特許発明構成要件方法Fには鉄筋の振 , ,「れを防止する ことが規定されているものの揺れを禁止する との 」 ,「」要件は規定されてない。
また,構成要件方法Fにおいて「鉄筋の振れを防止する」のは,ホッパー部の所定位置に迅速かつ確実に鉄筋を導入するためのものであることは,本件特許発明の全趣旨から明らかなことである。
この 振れを防止する ことの意義は 本件特許発明の技術分野 土 「」,(木工学)と目的に基づいて解釈されなければならないのであり,精密工学のような技術分野と同視して,揺れを全く生じないように「禁止14する」と限定解釈されるべきものではない。
cまた,被告方法においては,鉄筋籠が50メートル等と長く,支持ロッドが挿入された部分より後方(支持ロッドの進行方向前方)の鉄筋籠の部分が地面に接しているので,鉄筋籠はその自重もあいまって上下左右に揺れることがなく,支持ロッドに吊支されながら支持ロッド上を滑動して迅速かつ確実にホッパー部へ導入されるのであるから 「鉄筋の振れ」が防止されている。 ,(エ)吊支領域についてa被告は,被告方法及び被告装置における吊支の領域は,先導部に止まらず,ホッパー部を超えて成形部との境界域にまで達し,かつ,可動軸での調整を行う点で,本件特許発明とは異なる旨主張する。
bホッパー部では,上方から連続的に生コンクリートが投入されることによる衝撃波と下方への押圧が働き,さらには,振動装置をホッパー部に設ける構造とすることも多い(本件明細書の【発明の詳細な説明】における段落【0006 ,4欄37ないし39行 。 】)したがって,ホッパー部に導入された鉄筋籠が何らの支持を受けることもなく振動の中に放置されたならば,ホッパー部における鉄筋籠の位置が定まらないこととなり,その結果として鉄筋籠の沈下,かぶり不足,出来上がった水路等構造物が波打つ等の問題が発生し,実用に供しえないことは,自明であるといえる。
,「 ,, c本件特許発明はスリップフォーム工法において 工期を短縮しコストダウンを得るための改良された機械打設方法及び装置を提供する (本件明細書の【発明の詳細な説明】における段落【0010 , 」 】5欄26ないし28行 ために前記鉄筋を前記先導モールドの内面 ),「あるいは接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止してなることを特徴とす15る (同段落【0012 ,5欄42ないし45行)発明であるがゆえ 」】に,ホッパー部における鉄筋の振れについては特別の記載はない。
しかしながら,ホッパー部に衝撃や下方圧力があることは,上記bのとおり周知のことであり,かぶり不足を防止すべきことを繰り返し強調していること同段落000800090019及 (【】,【】,【】び 0021からも明らかなように 本件特許発明が ホッパー部 【】),,における揺れ防止がなされることを前提として,上記ホッパー部の所定位置に適切かつ迅速に鉄筋を導入するために先導モールド内での鉄筋籠の振れを防止した発明であることは,明らかである。
すなわち,ホッパー部における鉄筋位置の維持方法について具体的な記載がないのは,本件特許発明が上記のようなものであったからであり,このことは,本件特許発明においてホッパー部で鉄筋の振れが生じるとか,沈下することを意味するものではない。むしろ,ホッパー部において,これを防止できる適切な手段を具備することを前提として,先導モールド内の鉄筋の振れを防止し,適切かつ効率的に成形部に鉄筋を導入して,これによりコンクリートのかぶり不足防止を実現したものにほかならない。
したがって,本件特許発明には被告方法及び被告装置におけるホッパー部の構成が記載されていないから,被告方法及び被告装置が本件特許発明と異なるとする被告の主張は,失当である。
(被告の主張)ア被告方法及び被告装置の構成について(ア)被告方法の構成についてa方法aないし方法e及び方法gについて原告の主張を認める。
ただし,方法dに関しては,被告は,鉄筋を地面に対して固定する16場合に限り,ベースコンクリートを打設し,基礎有り工事を行っている。
b方法fについて(a)鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側が,先導モールドの内部に取り付けられた一対の支持ロッドに接触して懸垂されながら,ホッパー部に移動するとの点について概ね認める ただし一対の支持ロッド というのは正確ではな 。,「」い。すなわち,被告方法は,被告の有する特許第3378802号の特許乙1に係る発明以下被告発明というに基づくも ()(「」。)のであるが,被告方法の特徴は,モールドの成形部に鉄筋を導入する際,摺動可能な可動軸を備えた一対の支持軸ないしは支持装置ブラケット と呼ばれるもの が鉄筋の上部両側を吊支する点 乙 (「」) (1図3またその吊支の領域が先導部に止まらずホッパー ,),,,,部を超え成形部との境界域にまで達し,なおかつ,コンクリート成形に悪影響が出ないよう可動軸での調整を行う点(乙1の段落【0012】及び【0014 )にある。】(b)鉄筋籠の上方左右コーナーの内側が支持ロッドに接触・懸垂されているとの点について鉄筋籠が 左右一対の支持軸で 懸垂吊支 されている点は認 ,「」()めるが接触 とする点は否認する 被告の技術は 吊支された鉄 ,「」。,筋の揺れを許容しながら,鉄筋の自重でその位置決めが自然に行われるようにしたものであり,モールド内の何かに接触させて鉄筋の揺れを防止するものではない。
(c)鉄筋籠は約50メートルと長いとの点について正確ではない。鉄筋籠は,被告発明では,必ずしも溶接を要するものではないが,現時点では溶接して使用している。その場合,運17, , 搬効率の点から 長さ5メートル程度の鉄筋籠を基本ユニットにし工事に応じた数を用意して使用するが,その長さが50メートルに限られるわけではない。
(d)鉄筋籠は上下左右に揺れることなくホッパー部へ移動されるとの点について否認する。原告は,?@鉄筋籠の上方左右コーナーの内側が支持ロッドに接触・懸垂され,?A支持ロッドに挿入された部分より後方の鉄筋籠の部分が地面に接しているので,鉄筋籠は上下左右に揺れる。,, ことはないとするもののようである しかしながら 被告の技術は鉄筋籠を揺れにくくするが,モールド内の何かに接触させて揺れを禁止するものではない。
(e)鉄筋籠は,成形コンクリート内に埋設され,所定の形状を維持している先行の鉄筋籠と連続しているから,一対の支持ロッドにより懸垂されて先導モールド部及びホッパー部にある後続の鉄筋籠も,上下左右に揺れることがないとの点について否認する。被告の施工方法は,鉄筋籠の揺れを許容するものである。
(イ)被告装置の構成についてa装置aないし装置d及び装置fについて原告の主張を認める。
ただし,装置dに関しては,被告は,鉄筋を地面に対して固定する場合に限り,ベースコンクリートを打設し,基礎有り工事を行っている。
b装置eについて原告の主張を否認する。原告のいう支持ロッドは,上記のとおり,ブラケットのことであるが その支持軸による鉄筋の吊支を鉄筋籠 , ,「18の上方左右コーナー部の内側に接触して鉄筋籠を懸垂し」とするのは不合理である。すなわち,被告装置は,吊支された鉄筋の揺れを許容しながら,鉄筋の自重でその位置決めが自然に行われるようにしたものであり,モールド内の何かに接触させて鉄筋の揺れを防止するものではない。鉄筋籠をブラケットの支持軸で吊支すれば,その鉄筋の内側と支持軸が触れるのは当然であり,この態様での接触は,元々,吊()。,, 支 懸垂 の概念に含まれている したがって 原告のいう接触とはそれ以上の要素との接触を指すものでなければならないが,被告装置にそうした要素は存在しない。
イ基礎有り工事が本件特許発明技術的範囲に属しないことについて(ア)本件明細書の【発明が解決しようとした課題 (段落【0009 ・5 】】欄13ないし24行)を見れば明らかなように,ベースコンクリートを伴う施工に本件特許発明を用いれば,同【発明の効果】に記載された,(【】 鉄筋を地面に固定して設置する必要がないという効果 段落 0028・8欄21ないし27行)及びベースコンクリートを省略できるという効果(段落【0029 ・8欄28ないし32行)を得られなくなる。 】確かに 本件明細書の 発明の実施の形態 においてはベースコン ,【】,「」(【】 クリートを施設するものも含む と記載されているが 段落 0022), ,, ・7欄39行本件特許発明の上記技術的効果からすれば 同記載は余事記載にとどまるものといえる。
(イ)原告は,被告の基礎有り工事の施工についても,ベースコンクリートを打った上に,本件特許発明実施したものである旨主張する。
しかしながら,ベースコンクリート付きのスリップフォーム円形水路は,日本道路公団では採用されなくなったものの,国土交通省や地方自治体では,いまだに多数が施工されている。例えば,平成20年度末に施工が予定される基礎付きの円形水路についても,従来の手型枠にて発19注されているものが存在する 乙38の1 2被告は このような手 (, )。,型枠による施工をする場合,被告自身が有する特許第1975970号の特許乙3に係る発明以下旧被告特許発明というを実施し ()(「」。)ているもので,本件特許発明実施してはいない。
(ウ)したがって,被告方法及び被告装置のうち基礎有り工事に用いられるものは,本件特許発明技術的範囲に属さず,被告による基礎有り工事は,本件特許権を侵害するものではない。
ウ被告方法fが構成要件方法Fを充足せず,被告装置eが構成要件装置Eを充足しないことについて(ア)本件方法特許発明及び本件装置特許発明における「鉄筋の内形」が意味するもの構成要件方法Fは鉄筋の内形を先導モールドの内部に設けられた接 ,「触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止」することを主要要件とし,また,構成要件装置Eも鉄筋の内形と接触する接触部材を前記先導モールドの内部 ,「に設け」ることを主要要件とするが,この「鉄筋の内形」の具体的な意味については,その文言のみで明らかにすることはできない。
そこで,上記「鉄筋の内形」の意味を理解するために,本件明細書の【発明の詳細な説明】における「該接触部材19Dが鉄筋16の内形と接触することにより該鉄筋16の振れを防止している」との記載(段落0027 ・8欄17ないし19行及び本件図4Dの底板上に 【】)() 「おかれた接触部材19Dが鉄筋16の内形中央から下部にかけて嵌まり」,「」, 込むように接触配置されている図面 を参照すると鉄筋の内形 とは鉄筋の内部形状を示すものと解することができる。
(イ)本件特許発明における「接触部材」及び「接触」が意味するもの構成要件方法F及び構成要件装置Eにおいては鉄筋の内形 が 接 ,「」 「20触部材」と「接触」するものとされるが,この「接触部材」とは,本件図4(D)から,鉄筋の内部形状に合致して鉄筋の振れを防止するように,その内部に嵌まり込むものと解することができる。すなわち,本件特許発明は,鉄筋の内部形状に合致する「接触部材」により「鉄筋を強制的に拘束してその上下左右の振れを防止する」技術や方法,手段をいい,かつ,これに限定されるものである。
これにより,本件特許発明にいう「接触」も単なる物理的な接触をいうのではないことは明らかである。すなわち,その接触は,先導モールド内での鉄筋の揺れを「接触部材」によって強制的に防止する機能を確保する態様のものを指すと解すべきだからである。
原告は 被告方法及び被告装置を接触・懸垂されながら鉄筋籠 , ,「」,「」, の上方左右コーナー部の内側に接触して鉄筋籠を懸垂し などと表現し懸垂(吊支)は,本件特許発明の「接触」に内包されるかのような主張を行うが,そもそも吊支と接触は,社会通念上異なる概念であるし,被告方法及び被告装置における吊支は,本件特許発明における「接触」機能を全く有していない。
(ウ)したがって,被告方法fは,構成要件方法Fを充足せず,被告装置eは,構成要件装置Eを充足しない。
エ被告方法及び被告装置は,被告が有する特許第3378802号の特許権乙1に係る発明以下被告特許発明というを実施するもので ()(「」。)あることについて(ア)本件特許発明の特徴と問題点a本件特許発明においては,先導モールド(先導部)内での鉄筋の振れを防止するため,接触部材19D(別紙特許公報の図面に記載された符号である 以下同じが先導モールド 先導部 内に設けられて 。。)()おり,さらに,この先導モールド(先導部)に設けた「接触部材」を21鉄筋の内形に押し付ける構造となっているため,鉄筋の組み立て精度が悪ければ,鉄筋は先導モールド(先導部)へ飲み込まれず,また,組み立て精度が良く飲み込まれた後でも,接触部材に引っかかって引きずられるおそれが極めて高いものである。
特に,接触部材19Dをホッパー部まで延長すれば,鉄筋内に生コンクリートが殆ど流入しなくなるため,その配置位置は先導モールド(先導部)内に限られる構造となっている。
したがって,本件特許発明では,鉄筋の安定性が最も必要とされるホッパー部から後方脱型部の区間内において,鉄筋が自重によってたわんだままふらつき,その状態で,鉄筋がホッパー部に投入される生コンクリートの衝撃波及び生コンクリートのヘッド圧を受けて,下方へ押圧されることになる。また,ホッパー部ではバイブレータによる振動で生コンクリートの流動化が促進され,生コンクリートがいまだ不定形の流動状態にあるので,鉄筋は生コンクリート中に沈下しながら埋設されることになる。
特に,この現象は,鉄筋の生コンクリートかぶり量が多いほど顕著に発現され,また,施工物の要求強度によって鉄筋径を太く,かつ,配置ピッチを細かくした単位長さ重量の大きい鉄筋において,より顕著に発現するものである。
b本件特許発明の「鉄筋を先導モールドの内面あるいは接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させる」技術は,本件明細書の【図面の簡単な説明】における【図4】で「鉄筋の外形と接触する接触部材を設けた場合」と「鉄筋の内形と接触する接触部材を設けた場合」との2つに分けてその具体例が図示,説明されているとおり,鉄筋の形状に応じてモールド内部を工作するか,接触部材を鉄筋の外部又は内部に配し,それらの工作や部材でモールド内に進んだ鉄筋を抱きか22かえ又は挟み込むように固定し,その揺れを防止しようとするものである。そして,モールド内の工作や接触部材は,鉄筋の形状に依拠して造られる必要があるから,本件特許発明において鉄筋の形状は極めて重要な意味を持つ。
そして,使用される鉄筋の形状に依拠する本件特許発明は,それが大きな欠点にもなる。すなわち,鉄筋の組立精度が悪く,鉄筋の形状が一定しなければ,モールド内の加工とミスマッチが生じ,鉄筋は先導モールド内へ飲み込まれないし,また,飲み込まれた後でも,接触部材等に容易に引っかかって引きずられるおそれが極めて高くなる。
(イ)被告特許発明の特徴と利点a被告方法及び被告装置においては,施工の都度変化する生コンクリートの軟らかさの度合い(コンシステンシー)その他の各変動要因に応じて,生コンクリートが十分に締め固められるまでブラケットが鉄筋を保持し,これを生コンクリートが凝固化する直前に解き放し,その埋設位置を確定できるようにしたものである。
すなわち,被告装置においては,モールドの長手方向へ摺動可能にした可動軸をもつ一対の並列状を成すブラケットにより,鉄筋の上部両側を吊支しながら,可動軸の末端位置をホッパー部より後方の成形部の区間内に位置付けられるようにしてある。
これにより,被告方法及び被告装置においては,各種変動要因に応じて可動軸の末端位置を,ホッパー部と成形部の区間内において自在に変化させ,生コンクリートが十分に締め固められるまで鉄筋を吊支してその沈下を防ぎ,埋設位置を正規位置に確定することができる。
b確かに,被告特許発明も,本件特許発明と同様,先導モールド内において鉄筋の内側部分に接触する部材を有しているが,その部材は,鉄筋を「吊支」するものであり,先導モールド内での「鉄筋の振れを23防止する」ものではない。
したがって,本件特許発明においては,先導モールド内において鉄筋が振れないように接触部材を接触させる必要があり,そのため,鉄筋の横断面の形状(内形や外形)が技術の要点となるのに対し,被告,,,, 特許発明は 鉄筋を吊支すればよく そこには 媒介物等で固定して鉄筋の振れを意図的に防止する契機は存在せず,鉄筋の横断面の形状(内形や外形)に依拠する必要もないのである。
cさらに,被告方法及び被告装置においては,鉄筋の正規位置への埋設完了後,可動軸を前方へ延ばし,モールドの遥か前方で鉄筋の吊支を行ってモールド内での鉄筋の変形による干渉を完全に防止できるとともに,後方脱型部から出たコンクリート構造物と可動軸との間において,鉄筋を正規位置に水平状態に保つことができる。
(ウ)原告の主張に対する反論原告は,吊支の領域について,請求項にホッパー部の構成が記載されていなくても,ホッパー部に導入された鉄筋籠が何らかの支持を受けることなく,振動の中に放置されたならば,ホッパー部における鉄筋籠の位置が定まらないことは自明であり,本件特許発明は,ホッパー部において鉄筋籠の沈下を防止できる適切な手段を具備することを前提とする旨主張する。
しかしながら 本件特許発明の意図するところは鉄筋を前記先導モ , ,「ールドの内面あるいは接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止」することにあり本件明細書における 発明の詳細な説明 の段落 0012 ・5欄4 (【】【】2ないし44行ホッパー部での鉄筋の揺れを防止するためにホッパー ),。, 部内に格別の手段を講じることを想定していないのは明白である また実際,原告の当初の成形機には,ホッパー部に鉄筋の保持装置は設置さ24れておらず,そのため,工事が失敗し,その後,原告の成形機にも被告()。, 特許発明と同様にロッドが設置されるに至った 乙26この事実は本件特許発明の限界を自白するに等しいものであり,被告特許発明有用性,独自性を端的に証明するものといえる。
(エ)以上のとおり,被告方法及び被告装置は,被告が独自に開発した被告特許発明によるものであって,本件特許発明とは全く相違するものであるから,本件特許権を侵害するものではない。
(2)争点2(被告による不当利得の有無及びその額)について(原告の主張)ア被告方法又は被告装置による施工の距離(ア)被告は,平成12年4月から平成19年3月までの間,被告方法又は被告装置を用いて,次のとおり,合計320,004メートルにわたる円形水路の施工を行った。
平成12年度77,240メートル平成13年度25,876メートル平成14年度11,540メートル平成15年度77,615メートル平成16年度43,656メートル平成17年度37,240メートル平成18年度46,837メートル合計320,004メートル(イ)被告は,平成19年4月から平成20年3月までの間,被告方法又は被告装置を用いて,47,476メートルにわたる円形水路の施工を行った。
イ本件特許発明実施料相当額(ア)本件特許発明実施料については,発注者である日本道路公団の積算25, (, 資料において 施工1メートル当たり1000円で計上され 甲6の12日本道路公団と元請業者との実際の契約においても 同様に算定さ ), ,れており(甲7 ,西日本高速道路株式会社も 「土木工事等単価ファイ ) ,ル」に「特許料」単価が1メートル当たり1000円であることを記載している(甲13 。)また 国土交通省を発注者とする国道工事においても工事数量総括 , ,「表に特許料を含むと記載され甲9ないし11その金額も上 」 「」(),,記日本道路公団の場合と同等である。
そして,工事積算のための市販のコンピューターソフトウェアであるメビウス以下メビウスというにおいても円型水路スリ 「」(「」。),「(ップフォームの 特許料 が1メートル当たり1000円であること )」 「」が明記されている(甲12の1ないし3 。)このような実施料は,本件特許発明実施することによって,従来工法に比し,大幅にコストを低減することができ(1メートル当たり2000円程度のコストが削減される,工期も大幅に短縮できることを考 。)慮して,積算されたものであり,発注者にとっても「特許料」を支払う十分な意義を有しているのである。
イ 発注者と元請業者との契約 元請業者と下請業者の契約においては特 () , ,「許料が他の工事代金例えば円形水路の工事代金の中に包含さ 」(,「」)(,, )。, れる場合がある 乙29のB-1頁 番号2 3その場合であっても工事代金総額として,積算価格に対し,100ないし90パーセントの割合の価格で契約されることが従来の常識であり その金額の中に特,,「許料」についても,上記積算価格に対して100ないし90パーセント相当分の価格が含まれていることは,明らかである。
本件においても,名目のいかんを問わず,施工1メートル当たり約1000円の本件特許発明実施料が含まれており,被告は,当該金額を26不当利得したというべきである。
(ウ)以上により,本件特許発明実施料は,施工1メートル当たり1000円が相当である。
ウしたがって,被告は,原告に対し,上記ア(ア)の施工に関して約3億2000万円を,上記ア(イ)の施工に関して4747万6000円を,本件特許発明実施料として支払うべきであったにもかかわらず,それらの支払を免れたというべきである。
エ被告の主張に対する反論被告は,原告が施工1メートル当たり1771円の値引きをしていることから(乙36の1ないし3「特許料」が有名無実化している旨主張す ),る。
しかしながら,原告は,本件特許の特許権者であるが,被告は,本件特許の特許権者ではなく,本件訴訟における原告と被告の立場は,根本的に異なる。
すなわち,原告は,本件特許の特許権者であるから,本件特許発明を実「」 , 施した工事の施工代金に 特許料 を上乗せして請求することもできるしまた特許料 を請求しないことによって 他者よりも低廉な価格で受注 ,「」 ,し,競争上優位な立場に立つこともできる。
他方,被告は,本件特許発明実施するに当たって,その特許権者である原告に対し,実施料を支払わなければならず,そのための原資として,発注者から「特許料」の支給を受ける立場にある。
また,発注者としても,従来工法で施工した場合に比して,全体のコストを低減化することができるので,上記「特許料」を支払うことに十分な理由がある。
以上のとおり,原告による値引きを可能としているのは,原告が優位な立場にあることによるものである。
27(被告の主張)ア基礎無し工事による施工の距離について被告が,被告方法により,又は,被告装置を用いて行った円形水路の施工のうち,基礎無し工事による施工の距離の合計は,251,382メートルである(甲5 。)イ本件特許発明実施料相当額について(ア)円形水路に関するスリップフォーム工法は,公共の道路工事でしか用いられず,しかも,受注者は,大手の舗装企業に限定され,原告や被告は,その下請先となる。
,「」,「」 そして発注者作成に係る土木工事積算基準には特許料1式との記載はあるものの 単価は全く定まっておらず 甲3の1 2同 , (, ),作成に係る実際の工事の単価表においても特許料 は 個別の費用費 ,「」 ,目に含まれていない 乙29これは 元請企業との契約においても同 ()。,様である。
() , イ 発注者の元請企業に対する発注額や元請企業からの受注額においても,(,)。 特許発明実施料は 全く考慮されていない 乙28 30ないし32, , そもそも 原告や被告のような下請企業がこうした工事を請けるには発注者による「歩切り」や元請企業による「値下げ」を前提とせざるを得ず,厳しく制限された受注環境の中で工事代金を入札するのであるか, 。 ら 原告のように特許発明実施料を主張するようなことは皆無である被告と原告は,同業の下請業者であり,共に日本道路公団や国土交通省等が発注する道路工事を下請受注しているが 被告は特許料 の支 ,,「」払を受けていない。同じ立場にありながら,原告には「特許料」が支払われ,被告には支払われないという事態はあり得ない。
ウ 原告は特許料 が他の工事代金に包含される場合がある旨主張する (),「」が 原告が最近施工したトンネル工事において特許料 は請求されて , ,「」28おらず,他の工事代金に包含されるどころか,原告主張の「特許料」を大幅に上回る値引きがされているのである(乙36の1ないし3 。)(エ)したがって,原告の主張する施工1メートル当たり1000円という本件特許発明実施料は,不当に高額であり,工事実態に照らせば,その価値はないに等しく,有名無実化しているというべきである。
ウ被告が実施する被告特許発明と本件特許発明の重なり合いの程度について被告が実施している被告特許発明の先導部における技術が,仮に,何らかの意味で本件特許発明と重なる部分があったとしても,その程度は些少というべきである。
すなわち,先導部で鉄筋を保持し,その揺れを防止するという本件特許発明の技術は,世界的にも国内的にも酷似した実施例が存在し(乙11ないし25 ,その価値は高いものではない。 )また,被告特許発明の独創性は,ホッパー部や成形部でもブラケットによる鉄筋の吊支を行い,それにより,ホッパー部では鉄筋の位置や形状を安定させ,さらに,ブラケットを可動にすることで,成形部での調整を可能にした点にあるが,こうした工夫は,先導部の技術以上に,コンクリートの安定成形に資するものである。
エ結論以上によれば,被告は,浮動設置の円形水路工事を行ってはいるが,原告が主張するような不当利得は存在しないというべきである。
仮に,先導部に関する技術において,被告特許発明と本件特許発明とで重なる部分が存在するとしても,それは,被告特許発明の本質的な部分とはいえず,その程度はわずかであり,これらを総体的にみれば,被告において,本件特許発明実施を原因とする不当利得は発生していないといわざるを得ない。
29第3争点に対する判断1争点1(被告方法及び被告装置は,それぞれ,本件方法特許発明及び本件装置特許発明構成要件を充足するか)(1)基礎有り工事に関する被告の主張についてア基礎有り工事が本件特許発明技術的範囲に属するかについて(ア)被告は,スリップフォーム工法による円形水路の施工に際し,ベースコンクリートを打設する場合,すなわち,基礎有り工事を行う場合は,本件特許発明の効果を得られなくなるなどとして,被告方法及び被告装置のうち基礎有り工事に用いられるものは,本件特許発明技術的範囲に属しない旨主張する。
(イ)本件特許発明に関して,本件明細書には,次のような記載がある(甲2 。)a【発明が解決しようとした課題】「上述の従来公知のスリップフォーム工法には以下のような問題点があった。すなわち,従来工法では,予めベースコンクリート7を打設して置き,該ベースコンクリート7にアンカー鉄筋9,差し筋9Aあるいはアンカー金具9Bを埋設し,更に加えて該アンカー鉄筋9,差し筋9Aあるいはアンカー金具9Bに鉄筋8を固定して置く必要がある。これらの作業工程は,全て作業員の手作業によるものであり,これが工事コストのアップをもたらし,工期が長期間となる原因となっている。また,鉄筋8の組立て精度如何によっては,かぶりが生じてしまう(段落【0009 ・5欄14ないし24行) 。」】,【】「」,「」 なお 上記段落 0009 中の かぶり の記載はかぶり不足(鉄筋を覆うコンクリート量が不足し,又は,鉄筋がコンクリート構造物の外に露出してしまい,不良品となること)の誤記であると認められる(弁論の全趣旨 。)30b【課題を解決するための手段】「まず,本発明の特徴とする構成は以下のとおりである。先導モールドとホッパー部と成形モールドからなるモールドをコンクリート構造物が施工される経路に沿って移動させ,その移動経路に沿って予め鉄筋を組み立てて置き,前記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら先導モールドに前記鉄筋を順次導入して成形モールドによってコンクリート構造物を自動的に機械施工する方法において,前記鉄筋を浮動設置し,前記モールドの移動と共に前記鉄筋を先導モールドに導入させ,前記鉄筋を前記先導モールドの内面あるいは接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止してなることを特徴とするコンクリート構造物の機械施工方法(段落【0012 ・5欄33ないし45行) 。」】c【発明の実施の形態】「・・・本発明の図示の実施例では,鉄筋16及び先導モールド12の構造が従来のスリップフォーム工法とは異なるものとなっている。すなわち,鉄筋16は地面Gに対して固定されることなく,浮動設置されている。先導モールド12は,その大きさが鉄筋16の大きさと略同一の大きさとなっており,先導モールド12の内面と接触して案内されながらホッパー部13に導入される段落 0016 ・ 。」(【】6欄26ないし33行)「以下に,本発明の上記実施例になるコンクリート構造物17の機械施工について説明する。本発明によると,従来のように地面Gにベースコンクリートを打設する必要がない。そして,地面Gに対して固定することなく,浮動状態に鉄筋16を設置する。そして,モールド11を移動させて浮動している鉄筋16を先導モールド12の中に順次導入していく(段落【0018 ・6欄38ないし44行) 。」】31「・・・図2の(B)においては,鉄筋16Aが地面G上に浮動設置されており,そのままの状態で先導モールド12Aの内部へ導入さ。」(【】) れるものとなっている段落 0020 ・7欄18ないし21行「上述の説明において,本発明ではベースコンクリートが不要の構成として説明しているが,本発明はベースコンクリートの構成を除外するものではなく,ベースコンクリートを施設するものも含むものである(段落【0022 ・7欄36ないし39行) 。」】d【発明の効果】「以上説明した本発明の機械施工方法及び装置によると,次のような効果を奏する1 まず 鉄筋を地面に固定して設置する必要がな 。(),いので,従来のようなアンカー筋を設置する必要がない。また,従来のようにアンカー筋と鉄筋とを固定する作業も不要となる。従って,工期の短縮が可能となり,コストも低減する(段落【0028 ) 。」】2 また コンクリート構造物を地面上に直接設置することがで 「(),きるものとなり,必要に応じてベースコンクリートの施工を省略できるものとなる。従って,この面においても工期の短縮が可能となり,コストも低減する(段落【0029 ) 。」】(ウ)上記(イ)の各記載を総合すれば,本件特許発明による従来技術の課題の解決に関し,次のようにいうことができる。
すなわち,従来工法においては,予めベースコンクリートを打設し,そこにアンカー鉄筋,差し筋又はアンカー金具を埋設して,これらに鉄筋を固定しておく必要があり,かつ,それをすべて作業員の手作業によらねばならなかったため,工事コストのアップ,工期の長期化,コンク,, リートのかぶり不足といった問題が生じていたところ 本件特許発明はそのような問題を解決するため,モールドの移動経路に沿って,予め鉄筋を組み立てて浮動設置し,当該鉄筋を,モールドの移動と共に先導モ32ールドに導入させ,先導モールドの内面あるいは接触部材と接触させることにより,その振れを防止しつつコンクリートが供給されるホッパー部まで移動させるという仕組みを採用したものである。
そうすると,本件特許発明においては,鉄筋を固定不要にして接触部材等と接触させながらホッパー部まで移動させるということが,上記の問題解決に直結する,必要不可欠な要素であるといえ,鉄筋を固定するためのベースコンクリートの打設を省略できることは,本件特許発明の招来する副次的な効果にすぎないと解すべきであり,ベースコンクリートの打設の省略が,上記問題解決のための必須の構成となるものではないことは,明らかといえる。
このような理解は 上記各記載において本発明はベースコンクリー ,,「トの構成を除外するものではなく,ベースコンクリートを施設するものも含む とされ また必要に応じてベースコンクリートの施工を省略 」,,「できる」とされていることとも整合するものである。
(エ)その他,本件明細書及び本件図面上,本件特許発明技術的範囲を基礎無し工事に係るものに限定解釈すべき記載を見出すことはできず,ま, , た そのような限定解釈をすべき事情を認めるに足りる証拠もないから被告の上記主張を採用することはできない。
イ基礎有り工事の構成についてまた,被告は,鉄筋を地面に対して固定する場合に限って,ベースコンクリートを打設している旨主張する。
しかしながら,被告は,スリップフォーム工法による円形水路の施工に際し,ベースコンクリートを打設する場合,すなわち,基礎有り工事の場合には,旧被告特許発明実施している旨主張するところ,旧被告特許発明に係る特許権の特許公報 乙3 上 従来技術においてはコンクリー () ,,「トを打設してなるベースの上に 型枠を連続状に組み付け固定する段落 , 」(330002 ・3欄5ないし7行 とされていたのに対し 当該特許発明に 【】),, 「」「」 おいては ベースコンクリートに相当する スペーサ 上に鉄筋を 載置する,すなわち,載せた状態とする方法が明示されている(段落【0011 ・4欄22行 。そうすると,被告による基礎有り工事においては,鉄 】)筋が地面に固定されていないものと認められる。
したがって,被告の上記主張を採用することはできず,被告方法及び被告装置の構成から基礎有り工事を除外して考えることはできない。
ウ小括,, ,, 以上によれば 被告方法は 基礎有り工事を実施する場合を含み また被告装置は,基礎有り工事に用いられるものも含むと認められ,弁論の全趣旨によれば,被告方法及び被告装置の各構成は,次のとおりであると認められる。
(ア)被告方法の構成方法aモールドは,先導モールド部とホッパー部と成型モールド部とからなり,このモールドは,車輌に取り付けられて,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動される。
方法bモールドの移動経路に沿って,予め鉄筋を組み立ててなる鉄筋籠が地面に置かれている。
方法c上記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら,先導モールド部に上記鉄筋籠を順次導入して,成形モールド部によってコンクリート構造物を自動的に機械施工する方法である。
方法d上記鉄筋籠は,地面に固定されることなく,直接又はベースコンクリートを介して,地面に置かれている。
方法e上記鉄筋籠は,上記モールドの移動と共に,一対のブラケッ34トによって懸垂された状態で,先導モールド内に導入される。
方法f鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側が,先導モールドの内部に取り付けられた一対のブラケットによって懸垂されながら,ホッパー部に移動することによって,鉄筋の自重により,先導モールド部及びホッパー部において,鉄筋籠が揺れにくくなり,その位置決めが行われる。
方法g上記方法aないし方法fの構成からなるコンクリート構造物の機械施工方法である。
(イ)被告装置の構成装置aモールドは,先導モールド部とホッパー部と成型モールド部とからなり,このモールドは,車輌に取り付けられ,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動される。
装置bその移動経路に沿って,予め鉄筋を組み立ててなる鉄筋籠が地面に置かれている。
装置c上記ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら,先導モールド部に上記鉄筋籠を順次導入して,成形モールド部においてコンクリート構造物を自動的に機械施工する装置である。
装置d上記鉄筋籠は,地面に固定されることなく,直接又はベースコンクリートを介して,地面に置かれている。
装置e上記先導モールド部の内部にはブラケットが設けられ,このブラケットは,鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側で鉄筋籠を懸垂し,鉄筋籠をホッパー部に移動する。
装置f上記装置aないし装置eの構成からなるコンクリート構造物の機械施工装置である。
35そして,被告方法が基礎有り工事で実施される場合及び被告装置のうち基礎有り工事に用いられるものについて,基礎有り工事であることを理由として,直ちに本件特許発明技術的範囲に属さないということはできない。
(2)構成要件方法F及び構成要件装置Eの解釈に関する被告の主張について, 「」, ア被告は 構成要件方法F及び構成要件装置Eにおける 接触部材 とは鉄筋の内形すなわち 鉄筋の内部形状に合致して 鉄筋を強制的に拘 「」,, ,, ,,, 束し その上下左右の振れを防止するものであり かつ これに限定され同「接触」も,単なる物理的な接触ではなく,先導モールド内での鉄筋の揺れを強制的に防止する機能を確保する態様のものを指す旨主張する。
,,()。 イ本件特許発明に関して 本件明細書には 次のような記載がある 甲2(ア 【従来技術】)「従来のスリップフォーム工法では,鉄筋8をベースコンクリート7上に予め固定し,その固定された鉄筋をモールド1の先導モールド2に。, , 導入させるようにしている このように 鉄筋8を固定して置かないと先導モールド2内で鉄筋が上下左右に振れてしまい,鉄筋にかぶり(鉄筋の位置がコンクリート構造物6の外側に剥き出しとなって出てしまう等 を生じてしまうからである段落 0008 ・5欄5ないし12 ) 。」(【】行)(イ 【課題を解決するための手段】 )本発明の特徴とする構成は以下のとおりである ・・・前記鉄筋を浮 「 。
動設置し,前記モールドの移動と共に前記鉄筋を先導モールドに導入させ,前記鉄筋を前記先導モールドの内面あるいは接触部材と接触させながらホッパー部まで移動させることにより先導モールド内での鉄筋の振れを防止してなることを特徴とする・・・段落 0012 ・5欄3 。」(【】3ないし45行)36(ウ 【発明の実施の形態】 )「本発明は鉄筋が先導モールドの内部で上下左右に振れないものであれば良いので,以下のような実施例とすることもできる(段落【00。」23 ・7欄43ないし45) 】「次に,図4の(D)に示す実施例は,先導モールド12に底板21が設けられており,該底板に接触部材19Dを設けたものである。そして,該接触部材19Dが鉄筋16の内形と接触することにより該鉄筋1。」(【】) 6の振れを防止している段落 0027 ・8欄15ないし19行ウ本件明細書における上記イの各記載によれば,本件特許発明において,「鉄筋の内形を先導モールドの内部に設けられた接触部材と接触させなが」(),, らホッパー部まで移動させる こと 構成要件方法F とされ あるいは「鉄筋の内形と接触する接触部材を前記先導モールドの内部に設け」ること(構成要件装置E)とされているのは,いずれも,先導モールド内に案内された鉄筋が,上下左右に振れて位置を変えることにより,先導モールド後方のホッパー部及び成形モールド内に導入されて生コンクリートによる成形がされる際に,所定の位置からずれてしまい,コンクリート構造物の表面に露出してしまうという事態を防止するためであると解される。
しかも,上記イ(ウ)の記載中に本件方法特許発明及び本件装置特許発明実施例として言及された本件図4(D)においては,先導モールドの底板の上の鉄筋の内側部分に鉄筋の高さの約3分の2の高さを有する台形, , 状の接触部材が設けられ 当該接触部材の外側と鉄筋の内形とが接触して鉄筋の振れを防止する態様が記載されているところ,この実施例は,鉄筋の内形を接触部材で支持することにより,鉄筋自体の自重でその振れを防止し,特に上方向への移動を抑えるものであり,強制的に上下方向等への移動を拘束するものではないと認められる(甲2 。)そうすると,本件特許発明における「接触部材」とは,鉄筋の内形に接37触し,鉄筋がホッパー部及び成形モールドに移動した時点で所定の位置からずれない程度に,先導モールド内において鉄筋の振れを防止し得るものであれば足り,同「接触」も,そのような機能を果たす程度のもので足りると解すべきであって,鉄筋を強制的に拘束して,その上下左右の振れを防止するものに限定されず,かつ,振れの防止に鉄筋の自重を利用する場合も包含するものというべきである。
エその他,本件明細書及び本件図面上,構成要件方法F及び構成要件装置Eを,被告が主張するように限定解釈すべき記載を見出すことはできず,, , また そのような限定解釈をすべき事情を認めるに足りる証拠もないから被告の上記主張を採用することはできない。
(3)その他の被告の主張について被告は,被告方法及び被告装置が,被告特許発明実施するものであり,本件特許発明と全く相違するものであるから,本件特許権を侵害するものではないとして,被告特許発明と本件特許発明の相違点等について主張する。
しかしながら,仮に,被告方法及び被告装置が被告特許発明実施するものであったとしても,そのことが直ちに本件特許発明実施していないことにはつながらないというべきである。そもそも,特許発明技術的範囲は,特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないのであるから(特許法70条1項当該特許発明の特許請求の範囲に記載された個々の具体的な ),構成要件の充足の検討を離れ,他の特許発明実施していることを理由として,当該特許発明技術的範囲に属しないとする主張は,失当であるといわざるを得ない。
したがって,被告の上記主張を採用することはできず,その他,被告方法及び被告装置を用いた施工が本件特許発明実施するものではないとして縷々主張するところは,いずれも採用することができない。
(4)小括38以上によれば,被告方法及び被告装置の構成要件充足性について,次のようにいうことができる。
ア被告方法について(ア)方法aにおいては,先導モールド,ホッパー部及び成形モールドからなるモールドが,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動させられるという構成が示されているのであるから,方法aは,構成要件方法Aを充足するというべきである。
(イ)方法bにおいては,予め鉄筋を組み立てて作られた鉄筋籠が,モールドの移動経路に沿って,地面に置かれているという構成が示されている,, 。 のであるから 方法bは 構成要件方法Bを充足するというべきである(ウ)方法cにおいては,ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら,先導モールド部に鉄筋籠を順次導入し,成形モールド部においてコンクリート構造物に自動的に機械施工するという構成が示されているのであるから,方法cは,構成要件方法Cを充足する。
(エ)方法dにおいては,鉄筋籠が,地面に固定されることなく,直接又はベースコンクリートを介して地面に置かれているという構成が示されており,これが「浮動設置」に該当することは明らかであるから,方法dは,構成要件方法Dを充足する。
(オ)方法eにおいては,鉄筋籠が,モールドの移動とともに先導モールド内に導入されるという構成が示されているのであるから,方法eは,構成要件方法Eを充足するというべきである。
(), , カ 方法fにおいては 鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側が先導モールドの内部に取り付けられた一対のブラケットによって懸垂されながら,ホッパー部に移動することによって,鉄筋の自重により,先導モールド部及びホッパー部において,鉄筋籠が揺れにくくなり,その位置決めが行われるという構成が示されている。
39そして,上記ブラケットは,鉄筋籠をその上方左右コーナー部内側で懸垂するものであるから,鉄筋の内形に接触しているものといえる。また,鉄筋籠の自重により,上下左右の振れが制約されること,特に,鉄筋籠が上記ブラケットに接触し懸垂されている部分は,その上方左右コーナー部であり,左右の振れが制約されることから,被告方法は,鉄筋籠が,ホッパー部及び成形モールドに移動した時点で所定の位置からずれない程度に,先導モールド内における振れを防止し得るものであるということができる。
,, 。 したがって 方法fは 構成要件方法Fを充足するというべきである(キ)方法gにおいては,コンクリート構造物の機械施工方法が示されているのであるから,方法gは,構成要件方法Gを充足するというべきである。
したがって,被告方法の構成は,本件方法特許発明構成要件をすべて充足する。
イ被告装置について(ア)装置aにおいては,先導モールド,ホッパー部及び成形モールドからなるモールドが,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動させられるという構成が示されているのであるから,装置aは,構成要件装置Aを充足するというべきである。
(イ)装置bにおいては,予め鉄筋を組み立てて作られた鉄筋籠が,モールドの移動経路に沿って,地面に置かれているという構成が示されている,, 。 のであるから 装置bは 構成要件装置Bを充足するというべきである(ウ)装置cにおいては,ホッパー部に生コンクリートを連続的に供給しながら,先導モールド部に鉄筋籠を順次導入し,成形モールド部においてコンクリート構造物に自動的に機械施工する装置であるという構成が示されているのであるから,装置cは,構成要件装置Cを充足する。
40(エ)装置dにおいては,鉄筋籠が,地面に固定されることなく,直接又はベースコンクリートを介して地面に置かれているという構成が示されており,これが「浮動設置」に該当することは明らかであるから,装置dは,構成要件装置Dを充足する。
(), , オ 装置eにおいては 先導モールド部の内部に設けられたブラケットが鉄筋籠のループ筋の上方左右コーナー部の内側で鉄筋籠を懸垂し,鉄筋籠をホッパー部に移動するという構成が示されているところ,同ブラケットは,上記ア の場合と同様に,鉄筋の内形に接触する接触部材ということができるのであるから,装置eは,構成要件装置Eを充足するというべきである。
(カ)装置fにおいては,コンクリート構造の機械施工装置であるという構成が示されているから,装置fは,構成要件装置Fを充足するというべきである。
ウ以上によれば,被告方法は,本件方法特許発明技術的範囲に属し,被告装置は,本件装置特許発明の技術範囲に属するものといえ,被告方法を実施する被告の行為及び被告装置を用いて施工を行う被告の行為は,いずれも本件特許権を侵害するものであると認められる。
2争点2(被告による不当利得の有無及びその額)について(1)被告方法又は被告装置を用いた施工の距離についてア証拠(甲4,5,9ないし11)及び弁論の全趣旨によれば,被告が被告方法又は被告装置を用いて行った円形水路の施工の距離は,?@平成12年4月から平成19年3月までの合計が320,040メートルであり,?A同年4月から平成20年3月までの合計が47,476メートルであると認められる。
ただし,?@については,原告において,320,000メートルである旨主張することから,その限度において認めることとする。
41イ本件特許発明実施料相当額について()(,,,,,, ア 証拠甲3の1ないし10 甲4 6の12 甲7 9ないし13乙37)及び弁論の全趣旨によれば,日本道路公団が,平成14年6月ころに作成した工事代金の積算資料において特許料 の単価を1メー ,「」トル当たり1000円としており,実際にも,元請業者との間で,平成12年3月24日から平成14年8月10日までのスリップフォーム工法によるトンネル内円形水路の施工に関し特許料 として施工1メー ,「」トル当たり1000円を支払うという内容を含む請負契約を締結したこと,西日本高速道路株式会社が,その作成に係る平成17年度の「土木工事等単価ファイル と題する資料において円形スリップフォーム工 」,「法特許料」の単価を1メートル当たり1000円としていたこと,原告が,国土交通省の各地方事務所等から依頼を受け,平成16年度ないし平成19年度について,円形水路の施工における工事積算の参考に供することを目的とした単価の見積書を作成したところ,それらにおいて,本件特許についての「特許料」の単価を1メートル当たり1000円としていたこと,工事積算のための市販のコンピューターソフトウェアで,「()」 「」 あるメビウスにおいては円型水路 スリップフォームの 特許料が1メートル当たり1000円であるとされていることが認められるほか,単価については示されていないものの,日本道路公団並び東日本高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社が,平成14年度以降,その監修に係る「日本道路公団土木工事積算基準において円形水路施工歩掛スリップフォームに関し特許 」,「()」,「料」の項目を記載していること,被告において,平成17年9月,同年10月及び平成18年1月に被告方法又は被告装置を用いて円形水路を,,,「」 施工したところ それらの工事に関し 国土交通省が工事数量総括表に「特許料含む」との記載をしていたことが認められ,上記認定を覆す42に足りる的確な証拠はない。
他方,証拠(乙27,29ないし32,36の1ないし3)及び弁論, , の全趣旨によれば 被告方法及び被告装置が用いられる円形水路工事はすべて公共工事であり,日本道路公団及びその後継の東日本高速株式会社等,国土交通省及び地方自治体のみが発注して大手の元請業者が受注し,そこから原告及び被告が請け負うという構造になっていること,上記工事に関する発注者と元請業者との契約においては,特許に関係する費用が計上されない事例も存在したこと,原告が平成20年4月に施工したスリップフォーム工法による円形水路工事(以下「原告工事」とい。),「」 ,, うの見積書においては特許料 の項目が記載されておらず かつその施工の単価が1メートル当たり7380円とされていたこと,原告工事において特許料 を1000円として メビウスにより積算すれ ,「」,ば,施工の単価は1メートル当たり9151円となることが認められ,上記認定を覆すに足りる的確な証拠はない。
(イ)上記(ア)の認定事実によれば,円形水路工事の発注者は,下請業者が本件特許発明実施することを考慮に入れ,元請業者との契約において特許料 という名称の項目を立て あるいは その他の経費に包含 ,「」 ,,させる形で,特許発明実施料に相当する額を経費として加算しているといえる。
ただし,原告工事において,施工費全体に関し,1メートル当たり1771円の値引きがされていることに照らして,発注者と元請業者との間で下請業者が支払うべき実施料相当額が見積もられた場合には,その額について,少なくとも施工費全体における値引きの割合に比例した値引き(約2割)がされ得ると解するのが相当である。
この点,原告は,原告工事における上記の値引きが,本件特許権を有していること等の優位な立場にあることによるものである旨を主張する43ところ,仮にそうであれば,本件特許発明実施した円形水路工事においては,原告のみがその実施料を支払わなくてよい分に相当する値引きを受け得るということになるが,本件全証拠によっても,そのような主張を根拠付ける事実を認めることはできず,原告の同主張を採用することはできない。
さらに,上記西日本高速道路株式会社作成の「土木工事等単価ファイル」及びメビウスのいずれもが,スリップフォーム工法において一般的「」 , , に 特許料 を計上していることからみて 同工法の施行に当たっては本件特許発明以外の特許も実施されるものと推測される。そして,本件に表れているだけでも,我が国におけるスリップフォーム工法に関する特許発明としては,本件特許発明以外に,被告特許発明及び旧被告特許発明が存在すると認められ,そのことも上記推測を裏付けるものといえる。
(ウ)以上の諸事情を総合考慮すれば,本件特許発明実施料相当額が1メートル当たり1000円であると認めるには,いまだ疑問が残るといわざるを得ず,他にその事実を認めるに足りる的確な証拠もないので,この点に係る原告の主張は理由がない。
ウ相当な損失額の認定これまで認定したところによれば,本件においては,被告方法を実施する被告の行為及び被告装置を用いて施工を行う被告の行為により,原告に損失が生じ,他方,被告に利得が生じていることは,明らかであるが,上記イのとおり,本件特許発明実施料相当額は立証されていない。
しかしながら,本件に表れた諸事情を考慮すれば,原告の損失額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるということができるから,特許法105条の3の類推適用により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,原告の損失額を認定するこ44とが相当である。
,, , 本件においては 上記のとおり 本件特許発明実施料相当額について少なくとも2割程度の値引きがされ得ること,スリップフォーム工法に関する特許発明が少なくとも3つは存在すること等の事情が認められることから,これらの事情を踏まえ,本件の一切の事情も総合考慮すれば,被告が本件特許権を侵害したことにより支払うべきであった実施料相当額について,施工1メートル当たり300円と認めるのが相当である。
エ小括したがって,被告は,本件特許権を侵害したことにより,原告に対し,上記ア?@の施工に関して9600万円を,上記ア?Aの施工に関して1424万2800円を,本件特許発明実施料相当額として支払うべきであったにもかかわらず,それらの支払を免れ,その結果,原告に同額の損失が生じ,被告に同額の利得が生じたものというべきである。
第4結論以上の次第で,原告の被告に対する本件請求は,被告による平成12年4月から平成19年3月までの不当利得金9600万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である同年11月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払並びに同年4月から平成20年3月までの不当利得金1424万2800円及びこれに対する訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年7月24日から支払済みに至るまで同様の割合による遅延損害金の支払をそれぞれ認める限度で理由があるから,これを認容することとし,その余は理由がないから,棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
45裁判長裁判官清水節裁判官佐野信裁判官國分隆文46物件目録第1被告方法の説明被告方法は,本目録記載の被告装置,すなわち,先導モールド部5とホッパー部6と成形モールド部7とからなり,車輌3に取り付けられ,コンクリート構造物からなる円形水路が施工される経路に沿って移動されるモールド2を使用する鉄筋コンクリート製円形水路1の施工方法である。
モールドの移動経路に沿って予め鉄筋を組み立ててなる鉄筋籠10が,直接,,。又はベースコンクリートを介して地面に固定されることなく置かれている鉄筋籠10は,底面および両側部に所定間隔を置いてモールドの移動方向に配置された水平筋10aと,これらの水平筋を所定の間隔に保持するよう,これを囲むように配置されたループ筋10bとからなり,ループ筋上方の左右コーナー部10cは円弧状に折り曲げられ,その先の自由端部10dは更にく字状に湾曲形成されている。この鉄筋籠10のモールドの移動方向は約50mの長さとなっている(写真7,11,12。)上記のように組み立てた鉄筋籠10をモールド2の移動経路に沿って整地した地面上に載置しておく写真71112車輌3の移動に伴いモールド(,,)。
2が鉄筋籠10に近付いてきたときに,最初は作業者が鉄筋籠の端部を持ち上げ,先導モールド部5に取り付けられた一対の支持ロッド9の前方部9aが鉄筋籠10のループ筋10b上方の左右コーナー部10cの内側に挿入されるようにすると,鉄筋籠のモールドに近い部分は載置されていた地面から浮上して支持ロッド9に保持される。このとき,鉄筋籠のモールドから離れた部分は地面に接した状態のままにある。その後モールドが車輌と共に進行すると,支持ロッド9が鉄筋籠の中に順次挿入されてゆき,これにより鉄筋籠は支持ロッドによって順次地面から浮上され,懸垂された状態でモールド内に取り込まれてゆく。
鉄筋籠10が最初にモールド2内に取り込まれてホッパー部6の下方に来た47時にホッパー部の上方から生コンクリートが投入される。この生コンクリート(,は車輌3に伴走するコンクリートミキサー車からベルトコンベア4写真1011)を経てホッパー部6内に順次投入される。投入されたコンクリートはホッパー部において撹拌されバイブレーターによって締め固められ,成形モールド部7に入る。成形モールド7内において,コンクリートは鉄筋籠をおおった,()。状態で締め固められ鉄筋コンクリート製円形水路1写真1に形成される最初に懸垂するときも鉄筋籠は約50mと長く写真71112支,(,,),持ロッドに挿入された部分より後方の鉄筋籠の部分が地面に接しており(写真71112また鉄筋籠が順次ホッパー部に導入されてコンクリートが,,),,打設されるときは,鉄筋籠は成型コンクリート内に埋設され所定の形状を維持して鉄筋籠と連続しているから,一対の支持ロッド9により懸垂されて先導モールド部5及びホッパー部6内にある後続の鉄筋籠10も上下左右に揺れることがない。
その結果鉄筋コンクリート製円形水路1は地面の上に連続的に成型され写,(真9,所定時間の経過により固化する。)第2被告装置の説明この装置は道路に沿って排水用の鉄筋コンクリート製円形水路1(写真1)をモールド2(写真2)の移動によって機械的に連続して施工する装置であって,モールド2は車輌3に取り付けられ,先導モールド部5とホッパー部6と成形モールド部7とからなる。モールド2は,側部に取り付けられ車輌3と共に移動する。
モールド2は,天面2aと天面両側から垂下する両側壁2b,2bと,天面中央部の垂直懸垂壁2cによって支持されモールドの進行方向に延伸する円柱部2dとを有している(写真3,5。)先導モールド部5では円柱部2dの左右両側には略L字型の1対の支持アーム8が間隔を置いて形成され,これらの支持アーム8の上端にはモールドの進48行方向に丸棒状の支持ロッド9が固着されている。この支持ロッドの前方部9aと先端部9bは先導モールド部5の前面より突出し写真68その後端(,),部はホッパー部と成型モールド部の界面近傍まで延伸している。
モールド2の移動経路に沿って,予め鉄筋を組み立ててなる鉄筋籠10が,直接又はベースコンクリートを介して,地面に固定されることなく置かれている(写真11,12。)上記支持ロッド9は,鉄筋籠のループ筋上方の左右コーナー部10cの内側(,),,に接触して鉄筋籠10を懸垂し写真68鉄筋籠をホッパー部6に移動しホッパー部で生コンクリートを連続的に供給し,成形モールド部7において鉄筋コンクリート構造物を自動的に機械施工する,鉄筋コンクリート製円形水路1の機械施工装置である。
最初に懸垂するときも鉄筋籠は約50mと長く写真71112支,(,,),持ロッドに挿入された部分より後方の鉄筋籠の部分が地面に接しており(写真71112また鉄筋籠が順次ホッパー部に導入されてコンクリートが,,),,打設されるときは,鉄筋籠は成型コンクリート内に埋設され所定の形状を維持して鉄筋籠と連続しているから,一対の支持ロッド4により懸垂されて先導モールド部5及びホッパー部6内にある後続の鉄筋籠10も上下左右に揺れることがない。
第3符号の説明1鉄筋コンクリート製円形水路2モールド2aモールドの天面2bモールドの側壁2cモールドの垂直懸垂壁2dモールドの円柱部3車輌494ベルトコンベア5先導モールド部6ホッパー部7成型モールド部8支持アーム9支持ロッド9a支持ロッドの前方部9b支持ロッドの先端部10鉄筋籠10a水平筋10bループ筋10cループ筋上方の左右コーナー部10dループ筋の自由端第4写真の説明写真1施工された鉄筋コンクリート製円形水路を示す写真写真2モールドに鉄筋籠を取り込んだ状態を示す,モールドの進行方向前方上からの写真写真3モールドの進行方向後方からの写真写真4モールドの側面を示す,モールドの進行方向後からの写真写真5モールドの進行方向前方からの写真写真6モールドに鉄筋籠を取り込んだ状態を示す写真写真7鉄筋籠をがモールドの進行方向前方の地面に固定することなく置かれている写真写真8モールドに鉄筋籠を取り込んだ状態を拡大して示す写真写真9施工された水路を示す写真写真10モールドのホッパー部に生コンクリートを供給するベルトコンベ50アを示す写真写真11施工時におけるモールド,鉄筋籠,車輌,ベルトコンベアの関係を示す一例写真12施工時におけるモールドと鉄筋籠の関係を示す一例
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