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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10151審決取消請求事件 判例 特許
平成19行ケ10300審決取消請求事件 判例 特許
平成17ワ2649特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成22行ケ10221審決取消請求事件 判例 特許
平成15行ケ39審決取消請求参加事件 判例 特許
関連ワード 創作性(創作) /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  発明の詳細な説明 /  優先権 /  実質的に同一 /  登録実用新案 /  均等 /  容易に想到(容易想到性) /  特許発明 /  実施 /  加工 /  設定登録 /  訂正審判 /  誤記の訂正 /  訂正の目的 /  請求の範囲 /  減縮 /  拡張 /  変更 /  釈明 /  独立特許要件 /  訂正明細書 /  審決確定(審決が確定) /  取消決定 /  異議申立 / 
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事件 平成 13年 (行ケ) 331号 特許取消決定取消請求事件
原告 株式会社ワコール
訴訟代理人弁理士 池内寛幸、佐藤公博、中山光子
被告 特許庁長官及川耕造
指定代理人 吉國信雄、山崎豊、林栄二、鈴木美知子、山口由木
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/04/02
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が異議2000−72282号事件について平成13年6月14日にした決定を取り消す。
訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
主文第1項同旨の判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 原告は、発明の名称を「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」とする特許第3023354号発明(平成10年4月22日の特許出願(平成10年特許願第112174号)に記載された発明に基づく優先権を主張して平成10年12月9日に特許出願(平成10年特許願第350490号)。平成12年1月14日設定登録。本件発明)の特許権者である。
その後、特許異議の申立てがあり、原告は平成13年3月8日付けで訂正請求をしたところ、平成13年6月14日、「訂正を認める。特許第3023354号の請求項1ないし20に係る特許を取り消す。」との決定(特許取消決定)があり、
その謄本は平成13年6月30日に原告に送達された。
2 後記訂正前(特許査定謄本送達時)の本件発明の要旨【請求項1】 ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなる経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側にあらわれる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地からなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項2】 ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として弾性糸を用いた経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側にあらわれる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地からなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項3】 緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させてなる請求項1または2のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項4】 ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる請求項1〜3のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項5】 ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる請求項1〜4のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項6】 ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、サテン調トリコット組織とメッシュ調トリコット組織との組合わせからなる請求項1又は3のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項7】 ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調トリコット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調トリコット組織からなる請求項1、3又は6のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項8】 比較的緊迫力の強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、2本そろえて挿入及び/又は編み込まれている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、1本づつの弾性糸である請求項1〜7のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項9】 ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である請求項1〜5又は8のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項10】 ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、3針以上の振りが入った割合の大きいサテン調トリコット組織である請求項1、3、6〜8のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項11】 帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、比較的緊迫力の強い部分である請求項1〜10のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項12】 ジャカード編からなる地編が20〜80デニールのナイロン糸からなる請求項1〜11のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項13】 挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、40〜560デニールのポリウレタン繊維糸である請求項1〜12のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項14】 衣類がガードル、ショーツ、ボディスーツ、水着、レオタード、ブラジャー、スパッツ、スポーツ用タイツから選ばれた衣類である請求項1〜13のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項15】 更に編み組織による小柄の模様が形成されている請求項1〜14のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項16】 衣類がヒップ部を有する衣類であって、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つ衣類の左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項17】 衣類がガードルであって、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つガードルの左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項18】 衣類がガードルであって、更にガードルの腹部のほぼ中央部分が、
比較的緊迫力の強い部分で構成されている請求項17に記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項19】 衣類がブラジャーであって、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つブラジャーの乳房カップのカップ下辺部から脇にかけての部分である請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
【請求項20】 衣類がブラジャーであって、更にブラジャーのバック布の人体脇部に当接する部分が、比較的緊迫力の強い部分で構成されている請求項19に記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。
3 後記訂正後の本件発明の要旨 別紙2(訂正審決の理由)中の「2.請求の要旨」の【訂正事項】及び「3.当審の判断」のイ.(1)参照。
4 決定の理由 別紙1(特許取消決定の理由)に記載のとおり。
5 訂正審決の確定 原告は、本訴係属中の平成13年10月2日、本件特許につき、特許請求の範囲減縮等を目的として、特許明細書及び図面(以下「本件明細書等」という。)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載並びに図面の訂正(本件訂正)をする訂正審判を請求したところ(訂正2001-39177号)、平成14年1月22日、別紙2(訂正審決の理由)により本件訂正を認める旨の審決があり、その謄本は同年2月2日原告に送達され、確定した。
原告主張の決定取消事由
決定は、訂正前の請求項に基づき本件発明の要旨を認定し、これに基づき引用文献記載の発明との対比において本件発明の進歩性を否定しているが、特許請求の範囲減縮等を目的とする訂正を認める審決が確定したことにより、結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり、違法となったものである。
当裁判所の判断
原告主張の事由により決定は取り消されるべきものであり、本訴請求は理由がある。よって、訴訟費用の負担につき行訴法7条、民訴法62条を適用して、主文のとおり判決する。
(平成14年3月19日口頭弁論終結)
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別紙1(特許取消決定の理由)1.手続の経緯本件特許第3023354号は、平成10年12月9日の出願に係り、平成12年1月14日に設定登録がなされ、平成12年3月21日にその特許掲載公報が発行され、その後、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年3月8日に特許異議意見書の提出とともに訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断(1)訂正の内容特許権者が求めている訂正の内容は以下の通りのものと認める。
(a)特許請求の範囲の請求項1乃至18の各文末の「衣類」の記載を、「ヒップを有する衣類」と訂正する。
(b)特許請求の範囲の請求項1及び2の「前記地編の表側にあらわれる編組織を」の記載を、「表側にあらわれる前記地編の編組織を」と訂正する。
(c)特許請求の範囲の請求項1及び2の「経編地からなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有する」の記載を、「2つ以上の経編地を縫合することにより形成してなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有する」と訂正する。
(d)特許請求の範囲の請求項14の「ブラジャー」の記載を削除する。
(e)特許請求の範囲の請求項16の「衣類がヒップ部を有する衣類であって」の記載を削除する。
(f)特許請求の範囲の請求項19の「衣類がブラジャーであって」の記載を、
「ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなる経編地からなり、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地からなる体型補整機能を有する衣類であって、当該衣類がブラジャーであり、」と訂正し、「請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」の記載を、「ブラジャー。」と訂正する。
(g)特許請求の範囲の請求項20の「衣類がブラジャーであって、」の記載を削除し、「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」の記載を、「ブラジャー。」と訂正する。
(h)上記(a)乃至(g)の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とが整合するように、明細書段落番号【0001】、【0013】〜【0032】、【0035】、【166】及び【167】の記載を、訂正明細書に記載のとおりに訂正する。
(2)訂正の目的の適否・新規事項の有無・特許請求の範囲の実質的拡張あるいは変更の有無訂正(a)は、訂正前の請求項1乃至18に係る各発明における「衣類」を、
「ヒップ部を有する衣類」に限定しようとするものであるので、特許請求の範囲減縮を目的としており、「ヒップ部を有する衣類」は、訂正前の請求項16等に記載された事項であるので、この訂正は願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(b)は、訂正前の「前記地編の表側にあらわれる編組織」という記載が、
「前記地編のうちの、表側にあらわれる地編組織」という本来の意味の他に、「前記地編の表側にあらわれる地編以外の他の編組織」をも意味するという誤解を避けるための訂正であり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、訂正前の記載の本来の意味が、上記「前記地編のうちの、表側にあらわれる地編組織」であることは、訂正前の明細書の記載から明らかであるので、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(c)は、訂正前の請求項1及び2に記載された「衣類」が、2つ以上の経編地を縫合することによって形成された衣類からなるものに限定しようとするものであり、特許請求の範囲減縮を目的としている。そして、「2つ以上の経編地を縫合することによって形成された衣類」は、訂正前の明細書及び図面に記載されているので、この訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正である。また、「衣類」を、所望の形状に裁断された複数の生地を縫合して形成することは、従来普通に行われている事項でもあり、訂正前の「衣類」には、当然従来周知の「2つ以上の経編地を縫合することによって形成された衣類」も含まれていたとみるべきであるので、この訂正は、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(d)は、訂正(a)によって、請求項14に係る発明に含まれないものとなった「ブラジャー」の記載を削除するものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(e)は、訂正(a)によって、重複することになった記載を削除するものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(f)は、訂正(a)により、請求項1乃至18に係る発明の「衣類」が「ヒップ部を有する衣類」に限定されたことに伴って、ブラジャーに関する発明に係る請求項19の記載を、訂正前の請求項1乃至15のいずれかに従属する形式から、独立の形式の記載とし、文脈を整理するとともに、訂正(b)と同じ内容の訂正をしようとするものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(g)は、訂正(f)により訂正された請求項19に従属する形式で記載された請求項20の記載を請求項19の記載に整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
訂正(h)は、訂正(a)乃至(g)による特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合をとるための訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも、実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものではない。
(3)訂正の適否についての結論したがって、上記の訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。
3.特許異議の申立てについての判断(1)本件発明上記の訂正が認められたので、本件請求項1乃至20に係る発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至20に記載された以下の事項により特定されるものである。
「【請求項1】ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなる経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである2つ以上の経編地を縫合することにより形成してなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項2】ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として弾性糸を用いた経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである2つ以上の経編地を縫合することにより形成してなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項3】緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させてなる請求項1または2のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項4】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、
サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる請求項1〜3のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項5】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる請求項1〜4のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項6】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、
サテン調トリコット組織とメッシュ調トリコット組織との組合わせからなる請求項1又は3のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項7】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調トリコット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調トリコット組織からなる請求項1、3又は6のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項8】比較的緊迫力の強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、2本そろえて挿入及び/又は編み込まれている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、1本づつの弾性糸である請求項1〜7のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項9】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である請求項1〜5又は8のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項10】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、3針以上の振りが入った割合の大きいサテン調トリコット組織である請求項1、3、6〜8のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項11】帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、比較的緊迫力の強い部分である請求項1〜10のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項12】ジャカード編からなる地編が20〜80デニールのナイロン糸からなる請求項1〜11のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項13】挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、40〜560デニールのポリウレタン繊維糸である請求項1〜12のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項14】衣類がガードル、ショーツ、ボディスーツ、水着、レオタード、スパッツ、スポーツ用タイツから選ばれた衣類である請求項1〜13のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項15】更に編み組織による小柄の模様が形成されている請求項1〜14のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項16】帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つ衣類の左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項17】衣類がガードルであって、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つガードルの左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である請求項1〜15のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項18】衣類がガードルであって、更にガードルの腹部のほぼ中央部分が比較的緊迫力の強い部分で構成されている請求項17に記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。
【請求項19】ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、更に弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなる経編地からなり、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地からなる体型補整機能を有する衣類であって、当該衣類がブラジャーであり、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つブラジャーの乳房カップのカップ下辺部から脇にかけての部分であるブラジャー。
【請求項20】更にブラジャーのバック布の人体脇部に当接する部分が、比較的緊迫力の強い部分で構成されている請求項19に記載のブラジャー。
(2)引用刊行物当審が平成12年12月26日付で通知した取消しの理由において引用した刊行物である引用文献1乃至7は以下の通りである。
引用文献1:登録実用新案第3008737号公報(異議申立人の提出した甲第1号証)引用文献2:発明協会公開技報公技番号98-980(発行日1998.2.16、異議申立人の提出した甲第2号証)引用文献3:発明協会公開技報公技番号96-3784(発行日1996.3.15、異議申立人の提出した甲第3号証)引用文献4:発明協会公開技報公技番号96-6716(発行日1996.5.15、異議申立人の提出した甲第4号証)引用文献5:特開昭63-85146号公報(異議申立人の提出した甲第5号証)引用文献6:「TATEAMIJOUNAL」(平成9年10月1日発行、異議申立人の提出した甲第6号証)引用文献7:特開平8-311703号公報(異議申立人の提出した甲第7号証)(3)当審の判断(ア)本件請求項1に係る発明について本件請求項1に係る発明は、「(1)本件発明」で示すとおりのものである。
これに対して、引用文献1には、以下の事項が記載されている。
[1-1]「経編機の少なくとも1枚の地筬に通糸された弾性糸によるか、またはその弾性糸と他の少なくとも1枚の地筬に通糸された非弾性糸とで編成された地組織に、適宜部位に応じて編組織の変更により伸縮度の異なる部分を混在させるとともに柄模様などの装飾性を付与して成るジャカード制御された編糸が編み込まれて構成されたファウンデーションなどのための一体成形用編地。」(【実用新案登録請求の範囲】【請求項1】)[1-2]「本考案は、ブラジャー、ガードルなどのファウンデーションなどを製造するための一体成形用編地に関する。」(【0001】【産業上の利用分野】)[1-3]「上記手法により完成されたガードル用などの一体成形用編地は、全域に亘って伸縮性に優れ、なおかつ必要に応じて各部位毎に伸縮性が変化されてなるとともに柄模様をもった装飾性が付与されて特にファウンデーションなどの一体成形用編地として最適なものとなっている。」(【0009】【作用】)[1-4]「図1は本考案のファウンデーションなどのための一体成形用編地(以下一体成形用編地と称す)を編成するための一機種であるカールマイヤー社製トリコット機KSJ3/1-32Eの編成要部の側面図である。」(【0010】【実施例】)[1-5]「L1,L2は地筬、L3はジャカード筬であり、本実施例においてジャカード筬L3にはポリエステル糸40デニール、地筬L2にはポリミド糸30デニール、地筬L1にはポリウレタン糸40デニールを各々総詰めに通糸しており、地筬L1,L2の編組織及びジャカード筬L3の基本編組織は図2に示されている通り、L1:1-0/1-2//,L2:1-2/1-0//,L3:0-1/3-2//としている。」(【0011】)[1-6]「図4は、図2の地筬L1,L2の編組織で地組織を形成し、その上に図3のジャカード筬L3の編組織a,b,cのバリエーションで柄出しして編みたてられた裁断前の一体成形用編地であり、前身頃中央部Wを除く部分の内、最も伸縮性を必要とする臀部X(図中白部)には薄地c,最も安定性を必要とする側腰部Y(図中格子状部)には厚地b、中程度の伸縮性を有する他の部分Z(図中横線状部)には中厚地aが使用されている。」(【0014】)[1-7]「ジャカードガイド1は個別に制御されるので、求められる伸縮度や柄効果に応じてa,b,cの各バリエーションを適度に組み合わせて使用すれば良い。」(【0015】)[1-8]「前身頃中央部Wのレース調の花柄もまた、それらのバリエーションを柄の各部位の効果に応じて、例えば花弁や葉を厚地bと中厚地a、その他の部分を薄地cという風に使い分けることで現出され、編みあがった一体成形用編地は最終的に図中一点鎖線Vの枠内で示された脚部用穴部を取り除く等の裁断が行なわれた後、縫製されて例えば図5に描かれているようなガードルに仕上げられる。」(【0016】)[1-9]「地筬L1,L2の編組織及びジャカード筬L3の基本編組織は、ここに紹介されているものに限定される訳ではないので、図6にジャカード筬についてその他の編み組織のいくつかの例を示しておく。」(【0017】)[1-10]「本考案の一体成形用編地はファウンデーションの他にアウターウエアや水着にも適用することが可能である。」(【0023】)そして、図4には、最も安定性を必要とする部分Yとして帯状であり且つカーブした連続パターンが描かれた編地が、図5には、ガードルが、また図3及び図6には、経編の組織図が示されている。
そこでまず、引用文献1に記載された一体成形用編地について検討すると、該一体成形用編地は、地筬に弾性糸(実施例ではポリウレタン糸)及び非弾性糸(実施例ではポリアミド糸)を、ジャカード筬に非弾性糸(実施例ではポリエステル糸)を通糸して、地筬による地組織(非弾性糸と弾性糸から成る)の上にジャカード筬による編組織(非弾性糸)の変化により、伸縮性を変化させ、ファンデーションなどを製造する際に、所定部分をその部分が必要とする伸縮力の程度になるようにした編地である。すなわち、この一体成形用編地は、地筬及びジャカード筬を用いて編成される経編地であり、この編地を構成し、その変化により編地の伸縮性を変化させている非弾性糸のジャカード編組織は、編地の表面にあらわれる部分であるということができる。
そして、引用文献1に記載された一体成形用編地の用途であるガードルは、体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類であり、編地の伸縮力の弱い部分(安定性を必要とする部分に適用)は、身体に対する緊迫力の強い部分に、伸縮性を必要とする部分は、身体に対する緊迫力の弱い部分にそれぞれ対応することは明らかであり、また、引用文献1には伸縮力の変化する部分が柄模様(パターン)を構成していることが示されている(図4)。
したがって、引用文献1には、本件発明1の記載にならって表現すると、「ジャカード編からなる非弾性糸の編組織を含み、弾性糸が編み込まれてなる経編地からなる衣類に於いて、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記経編地の非弾性糸の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地により形成してなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。」が記載されているということができ、この点で、本件発明と引用文献1に記載された発明とは一致しており、以下の点で相違している。
相違点1.本件請求項1に係る発明において、弾性糸が編み込まれる「地編」がジャカード編からなり、非弾性糸で編まれるとされているのに対し、引用文献1の記載において「地編」なる用語は用いられておらず、ジャカード筬による非弾性糸の編組織は地筬による弾性糸を編み込んだ地組織の上に編み立てられるとされている点。
相違点2.本件請求項1に係る発明においては、2つ以上の経編地を縫合することによって衣類を形成するのに対し、引用文献1に記載された一体成形用編み地は、
「脚部用穴部を取り除く等の裁断が行なわれた後、縫製され」るとされてはいるが、「2つ以上」の編地を縫製することは明記されていない点。
そこで、まず相違点1について検討すると、本件請求項1に係る発明において、
「地編」は、衣類を形成するための経編地の主要部をなす部分と解されるところ、
引用文献1に記載された編地は、地筬による弾性糸を編み込んだ地組織とジャカード筬による編組織との双方の存在によって、全域に亘って伸縮性に優れ、なおかつ必要に応じて各部位毎に伸縮性が変化されるという所定の作用をなし得るものであるので、上記地組織と編組織とで衣類を形成するための経編地の主要部を構成しているものと認められる。してみると、相違点1は、引用文献1に記載された経編地の主要部が、地筬とジャカード筬とによって形成される経編地であるのに対し、本件請求項1に係る発明においては、経編地の主要部である「地編」が、ジャカード編からなるとされているのみで、地筬を用いた組織について記載されていないということにつきる。そこでさらに検討すると、本件発明1の経編地を形成するのに用いる経編機として例示されたようなジャカード制御装置を有する経編機は、例えば、引用文献6にも記載されているように通常は地筬を備えており、引用文献1に記載されたような、地筬により形成される編組織とジャカード筬によりジャカード制御されて形成される編組織とを含む柄付きの経編地を形成するのが普通であり、
本件発明1においてこのような経編機によって形成された編地は、地筬による組織をも含むものと解するのが妥当であり、これを「ジャカード編みからなる地編」というのであれば、これに弾性糸を編み込んだ場合には引用文献1に記載された経編地の主要部分と実質的に何ら変わるところはないものと認められる。
次に、相違点2について検討すると、前記「2.訂正の適否(2)訂正の目的の適否・新規事項の有無・特許請求の範囲の実質的拡張あるいは変更の有無」の項で述べたように、衣類を、所望の形状に裁断された複数の生地を縫合して形成することは、従来普通に行われている事項であり、また、上記引用文献3には、部分的に伸縮度の異なる編地を裁断縫製して、所望の部位に伸縮度の強い部分を有するショーツやトランクスのようなヒップ部を有する衣類を形成することが示されており、
引用文献1に記載されたような、伸縮性(緊迫力)の変化するパターンが帯状且つカーブした連続パターンである経編地からヒップ部を有する衣類を形成する際、2以上の生地を縫合するようにすることは、当業者が適宜なし得る程度の事項と認められる。
特許権者は、引用文献1には、全く1枚の「一体成形用編地」からガードルを形成することが示されているのみで、その場合は、人体の立体的な体型に合いにくい部分がかなり生じる旨主張しているが、立体的な体型に合わせるべく衣類を構成する生地を複数の部分とすることは被服構成上の常識であり、引用文献1に記載された実施例の記載が、「一体整形用編地」を、従来周知のような衣類を構成する複数の部分として用いることを排除するものということはできない。
以上のとおりであるので、本件請求項1に係る発明は、周知事項を勘案し、引用文献1、3及び6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(イ)本件請求項2に係る発明について上記の「(ア)請求項1に係る発明について」で述べた事項をふまえて、本件請求項2に記載された発明と引用文献1に記載された発明を対比すると、両者は「(ア)請求項1に係る発明について」で示した相違点1及び2に加えて、本件請求項2に係る発明において弾性糸が挿入糸として用いられているのに対し、引用文献1に記載された経編地においては弾性糸は編み込まれている点で相違し、他の点で一致している。
そこで検討すると、引用文献4には、ジャカード機構付きラッシェル機による編成方法として、非弾性糸を用いたジャカード編地に弾性糸を挿入すること及び弾性糸を地筬に通糸して非弾性糸とともに編み込むことの何れもが記載されているように、弾性経編地を編成する際、非弾性糸からなる編地に弾性糸を編み込むこと及び挿入することは何れも本件出願前周知の事項であり、引用文献1に記載された経編地において編み込まれた弾性糸に代えて、挿入された弾性糸とすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項と認められる。
したがって、本件請求項2に係る発明は、周知事項を勘案し、引用文献1、3、
4及び6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(ウ)本件請求項3に係る発明について本件請求項3に係る発明は、本件請求項1又は2に係る発明において、挿入する弾性糸及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させるという構成をさらに具備するものである。
上記構成について検討すると、引用文献5には、水着、レオタードなどの体型補整効果を必要とする衣服に適する伸縮性編地として、非伸縮性繊維糸と伸縮力の異なる2種以上の伸縮繊維糸を交編した編地について、伸縮性糸としてポリウレタン弾性糸がよいこと(第2頁右上欄第14〜15行)、伸縮力の異なる伸縮性繊維糸は何れの方法によって得られてもよいが、糸の太さを変化させて伸縮力に差をつけるのが好ましいこと(第2頁右上欄第19行〜同頁左下欄第1行)が記載され、さらに実施例には、水着の臀部あるいは腹部のように必要とされる伸縮力(緊迫力)の異なる部位に対応して、高伸縮糸と低伸縮糸の使用本数を変化することが示されている。すなわち引用文献5には、水着、レオタードのような体型補整効果を必要とし、ヒップ部を有する衣類において、緊迫力の強弱の要求に応じて、非伸縮糸(非弾性糸)に編み込む伸縮糸(弾性糸)の太さや本数を変化させることが記載されているのであり、引用文献1に記載された経編地に、編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させることは当業者が容易になし得る事項であり、上記本件請求項1及び2に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項3に係る発明は、周知事項を勘案し、引用文献1、3乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(エ)本件請求項4乃至7に係る発明について本件請求項4及び6に係る発明は、本件請求項1乃至3に係る発明における地編組織をサテン調ネット組織とメッシュ状ネット組織からなるもの及びサテン状トリコット組織とメッシュ状トリコット組織からなるものと特定し、本件請求項5及び7に係る発明は、本件請求項1乃至3に係る発明において、比較的緊迫力の強い部分が、サテン状ネット組織及びサテン状トリコット組織からなり、また、比較的緊迫力の弱い部分が、メッシュ状ネット組織及びメッシュ状トリコット組織からなるとするものである。しかし、「ネット組織」「トリコット組織」の用語が当該分野において特定の編組織を示すものとは認められず、また、明細書の記載からも編組織を特定できるものでもないので、これらの用語は従来周知の一般的な経編組織を表現するものと解釈するのが妥当と認める。そして、一般に、サテン調の組織はメッシュ調の組織に比べて、伸縮性が小さくなり緊迫力が大きくなることは当該技術分野における周知の技術的事項である。これについては、例えば、前記引用文献3及び4には、各種の周知の編組織が示され、引用文献2に「上記実施例においては地筬で鎖編編成を行なう例のみを示したが、地筬でデンビやプレーンコード等の地組織を編成してもよく、又、地筬で編成された鎖編のウエールの横方向の連結を、
ジャカード筬による地糸で数コース毎に行なうことでメッシュ部を形成でき、そのメッシュ目の大小の違いによっても締め付け力を異ならせることが可能である。」(第2頁左欄第5〜12行)と、メッシュの大小の程度で緊迫力を変化することが示され、さらに、引用文献1の記載[1-6]の「厚地b」及び「薄地c」も、それぞれサテン調組織及びメッシュ調組織に相当するものということができる。
したがって、本件請求項1乃至3に係る発明における地編組織を本件請求項4及び6に記載されたもののようにし、比較的緊迫力の強い部分を、サテン調の組織から、また、比較的緊迫力の弱い部分を、メッシュ調の組織からなるとすることは、
周知事項に基づいて当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎないものと認められ、
本件請求項1乃至3に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項4乃至7に係る発明は、何れも、引用文献2乃至4及び6に記載された事項及び周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(オ)本件請求項8に係る発明について本件請求項8に係る発明は、本件請求項1乃至7に係る発明において、比較的緊迫力の強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸を2本そろえたものとし、比較的緊迫力の弱い部分のそれを1本づつのものと限定するものであるが、弾性糸を挿入又は編み込むことに弾性編み地を形成するに強い弾性力を得るために2本以上の弾性糸をそろえて使用することは、当業者が従来普通に行っている常套手段であり、該常套手段に係る技術的事項を本件請求項1乃至7に係る発明に適用することは当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないものと認められる。
したがって、本件請求項1乃至7に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項8に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(カ)本件請求項9及び10に係る発明について本件請求項9及び10に係る発明は、本件請求項4乃至7に係る発明で特定されたサテン調ネット組織及びサテン調トリコット組織について、2針以上の振りの入った割合の大きいサテン調ネット組織あるいは3針以上の振りの入った割合の大きいサテン調トリコット組織を、より緊迫力の強い部分として、ヒップ部を有する衣類を構成するとするものであるが、経編地を構成する糸に2針以上の振りを入れることでサテン調の編組織を得ることは周知の事項であり、その振りの入った割合が大きいほど経編地は伸びにくくなることは当業者にとって自明の事項であるので、
本件請求項1乃至8に係る発明において、ヒップ部を有する衣類の強い緊迫力を必要とする部位を振りの入った割合の大きいサテン調の編組織とすることも当業者が適宜なし得る設計的事項である。
したがって、本件請求項1乃至8に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項9及び10に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(キ)本件請求項11に係る発明について本件請求項11に係る発明の特徴点である「帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分」である点は、引用文献1に、図4の帯状であり且つ連続したパターンで示される部分Yが「最も安定性を必要とする側腰部Y(図中格子状部)には厚地b」([1-6])と記載されているように引用文献1に記載されているので、本件請求項1乃至8に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項11に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(ク)本件請求項12及び13に係る発明について本件請求項12に係る発明は本件請求項1乃至11に係る発明におけるジャカード編からなる地編を構成する非弾性糸を「20-80デニールのナイロン糸」と限定し、本件請求項13に係る発明は本件請求項1乃至12に係る発明における弾性糸を「40-560デニールのポリウレタン繊維糸」と限定するものであるが、引用文献1には、非弾性糸として30デニールのポリアミド糸が、弾性糸として40デニールのポリウレタン糸が記載されているので([1-5])、本件請求項1乃至11に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項12及び13に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
なお、体型補整機能を有し、ヒップ部を有する衣類に用いられる糸として、20〜80デニールのナイロン糸及び40〜560デニールのポリウレタン糸の周知例として、例えば引用文献2には30〜210デニールのナイロン糸と、40〜420デニールのカバーリング糸が記載され、カバーリング糸に代えて比較的細番手のポリウレタン糸を使用してもよい旨記載され、引用文献4には、ジャカード糸として30〜100デニールのナイロン等の合成繊維糸、地糸として30-50デニールのナイロン等の合成繊維糸及び40〜280デニールのスパンデックス等の弾性糸が、また、引用文献5には、30〜70デニールのナイロン糸と20〜40デニール及び50〜140デニールのポリウレタン系弾性糸が示されている。
(ケ)本件請求項14に係る発明について本件請求項14に係る発明は本件請求項1乃至13に係る発明の衣類を選択的に特定するものであるが、引用例1には、編地を適用する衣類として、本件請求項14に、選択肢として示される「ガードル」が記載され、さらに、「水着」や他のアウターウエアにも適用できる旨も記載されているので、本件請求項1乃至13に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項14に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に係る発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(コ)本件請求項15に係る発明について引用文献1には、編み組織による小柄の模様を形成することも記載([1-8]及び図4)されているので、本件請求項1乃至14に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項15に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至6に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(サ)本件請求項16および17に係る発明について引用文献1に、「帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分」であることが記載されていることは、上記「(キ)本件請求項11に係る発明について」で述べたとおりである。そして、ガードル等の体型補整機能を有する衣類において左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分に強い緊迫力を必要とされることは、例えば引用文献7にも示されるように当業者にとって周知の事項であり、引用文献1の図4に示されるガードルにおいても、「最も安定性を必要とする側腰部Y(図中格子状部)」は、左右の臀部Xの下方から脇にかけて配置されているものと認められるので、本件請求項1乃至15に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項16および17に係る発明は、周知事項を勘案し、引用文献1乃至7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(シ)本件請求項18に係る発明について腹部のほぼ中央部を緊迫力の比較的強い部分とすることは、例えば引用文献2にも記載されているように、ガードルにおいては通常行われている慣用の手段であり、引用文献1の図4及び図5に示されるガードルの前身頃中央部Wも厚地bや中厚地aを使って([1-8])おり、比較的緊迫力の強い部分であると認められるので、本件請求項17に係る発明について検討した事項をふまえれば、本件請求項18に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1乃至7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(ス)本件請求項19に係る発明について上記の「(ア)本件請求項1に係る発明について」の項で摘示した引用文献1に記載された事項及び、引用文献1に記載された一体成形用編地についての検討事項を参照して、本件請求項19に係る発明と引用文献1に記載された発明を対比すると、引用文献1には、一体成形用編地がブラジャーを製造するためのものであることも記載されており([1-2])、ブラジャーは、体型補整機能を有する衣類であることは明らかであり、また、引用文献1には、比較的緊迫力の強い部分が「帯状であり且つカーブした連続パターン」状であることが記載されていることは、上記「(キ)本件請求項11に係る発明について」で述べたとおりであるので、両者は、「ジャカード編からなる非弾性糸の編組織を含み、弾性糸が編み込まれてなる経編地からなり、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記経編地の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、
帯状であり且つカーブした連続パターンであり、該カーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分である経編地からなる体型補整機能を有するブラジャー」である点で一致しており、上記の本件請求項1に係る発明と引用文献1に記載された発明との相違点として挙げた相違点1に加えて、本件請求項19に係る発明において「帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つブラジャーの乳房カップの下辺部から脇にかけての部分である」のに対し、引用文献1には、一体成形用経編地でブラジャーを製造する場合に緊迫力の大きい部分をどこに配するのか記載されていない点で相違している。
そして、相違点1についての判断は、上記の「(ア)本件請求項1に係る発明について」の項で述べたとおりであるので、さらなる相違点について検討する。
ブラジャーで体型の補整をする場合、カップの下辺から脇にかけての部分の緊迫力を大きくしていわゆるバストアップを図ることは、ガードルにおいて臀部の左右の膨らみの下方から脇にかけての部分の緊迫力を大きくしていわゆるヒップアップを図ることと同様に、従来周知の事項であり、引用文献1に記載された経編地をブラジャーの形成に用いる際に、カップの下辺から脇にかけての緊迫力が比較的強いことが要求される部分に、上記「(サ)本件請求項16および17に係る発明について」で述べたように、ガードルにおいて緊迫力の比較的強いことが要求される部分に用いられる、カーブした連続パターン部分を配することは、当業者が容易に想到しうる事項と認められる。
したがって、本件請求項1、11、16及び17に係る発明についての検討事項をふまえれば、本件請求項19に係る発明は、周知事項を勘案し、引用文献1、6及び7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(セ)本件請求項20に係る発明について本件請求項20に係る発明は、本件請求項19に係る発明のブラジャーにおいて、さらにバック布の人体脇部に当接する部分が比較的緊迫力の強い部分で構成されているとするものであるが、ブラジャーのバック布の人体脇部に当接する部分の緊迫力を大きくすることは、従来普通に行われている慣用手段であり、これを本件請求項19に係る発明のブラジャーに適用することは、当業者の適宜なし得る設計的事項であるので、本件請求項19に係る発明についての検討事項をふまえれば、
本件請求項20に係る発明も、周知事項を勘案し、引用文献1、6及び7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(4)むすび以上のとおりであるから、本件請求項1乃至20に係る発明は、何れも、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件請求項1乃至20に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別紙2(訂正審決の理由)1.手続の経緯本件は、平成13年10月2日に訂正審判請求がなされ、その後、訂正審判の訂正の対象になる基準明細書を異議2000-72282号の審理手続きにおいて提出した平成13年3月18日付けの訂正請求書に添付した全文訂正明細書としていたのを、特許査定謄本送達時の明細書とするために平成13年12月10日付けで手続補正書が提出されたものである。
なお、平成13年12月10日付けで提出された手続補正書において、上記した基準明細書を変更することによる補正の他に、平成13年10月2日付けで提出した全文訂正明細書の段落【0012】において、「体型補整機能をまたは筋肉サポート機能」と記載された部分を「体型補整機能」と補正し、また、甲第8号証第5頁の3項の(1)、(2)、(3)及び同第6頁の(4)の各「ネット」をそれぞれ「トリコット」とする補正が追加されたが、前者の補正は、訂正後の請求項の記載との整合を図るための補正であり、後者の補正は、明確な誤記の訂正であるので、何れの補正も特許法第132条第2項の規定に違反するものではないから、上記手続補正は適法に補正されたものである。
2.請求の要旨本件審判の請求の要旨は、特許第3023354号(平成10年12月9日出願、平成12年1月14日設定登録。)の明細書及び図面を本件訂正請求書(平成13年12月10日付け手続補正書で補正されたもの)に添付した訂正明細書及び訂正図面のとおり、すなわち、下記の訂正事項(アa)〜(ルb)のとおりに訂正することを求めるものである。
【訂正事項】(アa)特許明細書の発明の名称を「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「体型補整機能を有する衣類」と訂正する。
(イa)特許明細書の特許請求の範囲の請求項1,3,6,7,10,11,13,14,19,20を削除する。
(ウa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項2】において、「【請求項2】」を「【請求項1】」と訂正し、
「挿入糸として弾性糸を用いた」を「挿入糸として100-560デニールの弾性糸を用いた」と訂正し、
「前記地編の表側にあらわれる編組織」を「表側にあらわれる前記地編の編組織」と訂正し、
「パターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地からなる」を「パターン状に設け、前記地編の編組織の変化により形成したパターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンであって、当該連続パターンの部分が、比較的緊迫力の強い部分であり、且つ緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化させて、前記地編組織の変化による緊迫力の強弱の態様と挿入する弾性糸の本数及び/または太さを挿入する部分に応じて変えることの組み合わせにより、種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成し、且つ編方向が衣類のほぼ横方向又は斜め方向となるように2つ以上の前記経編地を縫合することにより形成してなる」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「体型補整機能を有するガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(エa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項4】において、「【請求項4】」を「【請求項2】」と訂正し、
「請求項1〜3のいずれかに記載の」を「請求項1に記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(オa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項5】において、「【請求項5】」を「【請求項3】」と訂正し、
「請求項1〜4のいずれかに記載の」を「請求項1〜2のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(カa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項8】において、「【請求項8】」を「【請求項4】」と訂正し、
「強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸」を「強い部分に挿入されている弾性糸」と訂正し、
「2本そろえて挿入及び/又は編み込まれている弾性糸」を「2本そろえて挿入されている弾性糸」と訂正し、
「弱い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸」を「弱い部分に挿入されている弾性糸」と訂正し、
「請求項1〜7のいずれかに記載の」を「請求項1〜3のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(キa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項9】において、「【請求項9】」を「【請求項5】」と訂正し、
「請求項1〜5又は8のいずれかに記載の」を「請求項1〜4のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(クa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項12】において、「【請求項12】」を「【請求項6】」と訂正し、
「請求項1〜11のいずれかに記載の」を「請求項1〜5のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(ケa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項15】において、「【請求項15】」を「【請求項7】」と訂正し、
「請求項1〜14のいずれかに記載の」を「請求項1〜6のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(コa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項16】において、「【請求項16】」を「【請求項8】」と訂正し、
「衣類がヒップ部を有する衣類であって、」を削除し、
「帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つ衣類の」を「比較的緊迫力の強い部分からなる帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、衣類の」と訂正し、
「請求項1〜15のいずれかに記載の」を「請求項1〜7のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(サa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項17】において、「【請求項17】」を「【請求項9】」と訂正し、
「帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つガードルの」を「比較的緊迫力の強い部分からなる帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、ガードルの」と訂正し、
「請求項1〜15のいずれかに記載の」を「請求項1〜7のいずれかに記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(シa)特許明細書の特許請求の範囲の【請求項18】において、「【請求項18】」を「【請求項10】」と訂正し、
「請求項17に記載の」を「請求項9に記載の」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「ヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(スa)特許明細書の段落番号【0013】、【0015】、【0018】、
【0019】、【0022】、【0023】、【0025】、【0026】、【0031】、【0032】、【0056】〜【0076】、【0078】、【0092】〜【0098】、【0112】〜【0114】、【0135】〜【0153】における明細書の記載を、段落番号も含めて削除する。
(セa)特許明細書の段落番号【0001】における最初に出てくる「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」と文末の「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」をそれぞれ「体型補整機能を有するガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(ソa)特許明細書の段落番号【0002】における「水着、レオタード、ブラジャー、スパッツ、スポーツ用タイツ」を削除し、
「または筋肉サポート機能」を削除する。
(タa)特許明細書の段落番号【0003】及び【0004】における「図29」を「図18」と訂正し、「図30」を「図19」と訂正する。
(チa)特許明細書の段落番号【0007】における「、水着、レオタード、ブラジャー、スパッツ、スポーツ用タイツ」を削除し、
「または筋肉サポート機能」を削除し、
「近年スポーツにおいては、いわゆるテーピングを施して、筋肉疲労を軽減、予防し、その結果、筋肉疲労の蓄積に伴う障害などの発生を未然に防いだり、痛めた筋肉を保護するためにテーピングを施すことが行われているが、テーピングを施すのは、専門家でないとできないと言う問題がある。そのため、近年スポーツ用タイツなどにおいては、所定の筋肉、例えば外側広筋、大腿直筋、内側広筋からなる大腿部前面側の筋肉群や腓腹筋やヒラメ筋などの下肢部の筋肉の両側部の一部(筋腹を避けてこれらの筋肉または筋肉群の筋繊維方向に沿った方向の両側)に緊迫力の大きい部分を設けたり、ハムストリングスと言われ大腿部の後側の筋肉群(大腿二頭筋、半腱様筋及び半膜様筋からなる)の片側または両側に緊迫力の大きな部分を設けることにより、筋肉の運動能力を妨げず、筋肉疲労軽減したり予防したり、筋肉障害などの発生を未然に予防する機能を持たせたスポーツ用タイツが注目されている。この様な目的で設けられる緊迫力の大きい部分を有するスポーツ用衣類を、
以後、筋肉サポート機能を付与した衣類と略称する。かかる筋肉サポート機能を付与した衣類においても、緊迫力の大きい部分は、上記ガードルで説明したと同様の手法で設けられている。」を削除する。
(ツa)特許明細書の段落番号【0011】における3箇所に記載されている「または筋肉サポート機能」をいずれも削除し、
2箇所に記載されている「付与した衣類」をいずれも「付与したガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類」と訂正し、
文末の「有する衣類」を「有するガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類」と訂正する。
(テa)特許明細書の段落番号【0012】における「または筋肉サポート機能」を削除する。
(トa)特許明細書の段落番号【0014】における「【0014】」を「【0013】」と訂正し、
「(2)ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として弾性糸を用いた経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて前記地編の表側にあらわれる編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記パターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである経編地からなる体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(1)ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として100〜560デニールの弾性糸を用いた経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記地編の編組織の変化により形成したパターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンであって、当該連続パターンの部分が、比較的緊迫力の強い部分であり、且つ緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化させて、前記地編組織の変化による緊迫力の強弱の態様と挿入する弾性糸の本数及び/または太さを挿入する部分に応じて変えることの組み合わせにより、種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成し、且つ編方向が衣類のほぼ横方向又は斜め方向となるように2つ以上の前記経編地を縫合することにより形成してなる体型補整機能を有するガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ナa)特許明細書の段落番号【0016】における「【0016】」を「【0014】」と訂正し、
「(4)ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる前記(1)〜(3)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有するヒップ部を有する衣類。」を「(2)ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる前記(1)項に記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ニa)特許明細書の段落番号【0017】における「【0017】」を「【0015】」と訂正し、
「(5)ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、
比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる前記(1)〜(4)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(3)ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる前記(1)〜(2)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ヌa)特許明細書の段落番号【0020】における「【0020】」を「【0016】」と訂正し、
「(8)比較的緊迫力の強い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、
2本そろえて挿入及び/又は編み込まれている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入及び/又は編み込まれている弾性糸が、1本づつの弾性糸である前記(1)〜(7)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(4)比較的緊迫力の強い部分に挿入されている弾性糸が、2本そろえて挿入されている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入されている弾性糸が、1本づつの弾性糸である前記(1)〜(3)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ネa)特許明細書の段落番号【0021】における「【0021】」を「【0017】」と訂正し、
「(9)ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、
比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である前記(1)〜(5)又は(8)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(5)ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である前記(1)〜(4)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ノa)特許明細書の段落番号【0024】における「【0024】」を「【0018】」と訂正し、
「(12)ジャカード編からなる地編が20-80デニールのナイロン糸からなる前記(1)〜(11)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(6)ジャカード編からなる地編が20-80デニールのナイロン糸からなる前記(1)〜(5)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ハa)特許明細書の段落番号【0027】における「【0027】」を「【0019】と訂正し、
「(15)更に編み組織による小柄な模様が形成されている前記(1)〜(14)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(7)更に編み組織による小柄な模様が形成されている前記(1)〜(6)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ヒa)特許明細書の段落番号【0028】における「【0028】」を「【0020】」と訂正し、
「(16)衣類がヒップ部を有する衣類であって、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つ衣類の左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である前記(1)〜(15)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(8)比較的緊迫力の強い部分からなる帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、衣類の左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である前記(1)-(7)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(フa)特許明細書の段落番号【0029】における「【0029】」を「【0021】」と訂正し、
「(17)衣類がガードルであって、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が比較的緊迫力の強い部分であり、且つガードルの左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である前記(1)〜(15)項のいずれかに記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(9)衣類がガードルであって、比較的緊迫力の強い部分からなる帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、ガードルの左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である前記(1)〜(7)項のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ヘa)特許明細書の段落番号【0030】における「【0030】」を「【0022】」と訂正し、
「(18)衣類がガードルであって、更にガードルの腹部のほぼ中央部分が、比較的緊迫力の強い部分で構成されている前記(17)項に記載の体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類。」を「(10)衣類がガードルであって、更にガードルの腹部のほぼ中央部分が、比較的緊迫力の強い部分で構成されている前記(9)項に記載のヒップ部を有する衣類。」と訂正する。
(ホa)特許明細書の段落番号【0033】における「【0033】」を「【0023】」と訂正し、
「弾性糸が挿入されるか及び/又は弾性糸が編み込まれてなる」を「弾性糸が挿入されてなる」と訂正し、
「特に限定するものではないが、一般的には、」を削除する。
(マa)特許明細書の段落番号【0034】における「【0034】」を「【0024】」と訂正し、
「挿入糸用及び/又は編み込み用の弾性糸」を「挿入糸用の弾性糸」と訂正する。
(ミa)特許明細書の段落番号【0035】における「【0035】」を「【0025】」と訂正し、
「地編の表側にあらわれる編組織」を「表側にあらわれる地編の編組織」と訂正する。
(ムa)特許明細書の段落番号【0036】から【0055】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0026】から【0045】までの段落番号に訂正する。
(メa)特許明細書の段落番号【0077】の段落番号のみを、【0046】の段落番号に訂正する。
(モa)特許明細書の段落番号【0079】における「【0079】」を「【0047】」と訂正し、
「以上、地編について説明したが、本発明で用いる生地は、かかる地編が非弾性糸で編まれ、更に生地のウエール方向に挿入糸として弾性糸が挿入されているか、
及び/又は弾性糸が編み込まれている(ルーピングされている)。挿入される弾性糸及び/又は編み込まれる弾性糸は、均等に挿入及び/又は編み込まれていてもよいが、緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入及び/又は編み込む弾性糸の本数及び/または太さを変化させてもよい。」を「以上、地編について説明したが、本発明で用いる生地は、かかる地編が非弾性糸で編まれ、更に生地のウエール方向に挿入糸として弾性糸が挿入されている。挿入される弾性糸は、緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化させる。」と訂正する。
(ヤa)特許明細書の段落番号【0080】における「【0080】」を「【0048】」と訂正し、
文頭及びその後に記載されている「図11〜図13」をそれぞれ「図7〜図9」と訂正する。
(ユa)特許明細書の段落番号【0081】における「【0081】」を「【0049】」と訂正し、
「図11〜図13においては、いずれも図3で示したサテン調ネット組織を例にとって、この組織に挿入糸が挿入されている状態を示した。尚、図3で示したサテン調ネット組織は、表側の組織のみを示したが、図11〜図13においては、いずれもサテン調ネット組織の裏側の組織も重ねて示してある。そして、図11〜図13においては、いずれも図11(b)、図12(b)、図13(b)が、前記サテン調ネット組織に弾性糸からなる挿入糸が挿入されている状態を示した組織図であり、図11(a)、図12(a)、図13(a)が、それらを構成するそれぞれの糸1本づつを取り上げて別々に組織図に記載したものである。」を「図7〜図9においては、いずれも図3で示したサテン調ネット組織を例にとって、この組織に挿入糸が挿入されている状態を示した。尚、図3で示したサテン調ネット組織は、表側の組織のみを示したが、図7〜図9においては、いずれもサテン調ネット組織の裏側の組織も重ねて示してある。そして、図7〜図9においては、いずれも図7(b)、図8(b)、図9(b)が、前記サテン調ネット組織に弾性糸からなる挿入糸が挿入されている状態を示した組織図であり、図7(a)、図8(a)、図9(a)が、それらを構成するそれぞれの糸1本づつを取り上げて別々に組織図に記載したものである。」と訂正する。
(ヨa)特許明細書の段落番号【0082】の段落番号のみを、【0050】の段落番号に訂正する。
(ラa)特許明細書の段落番号【0083】における「【0083】」を「【0051】」と訂正し、
「図11」を「図7」と訂正する。
(リa)特許明細書の段落番号【0084】における「【0084】」を「【0052】」と訂正し、
文頭及びその後に記載されている「図11」をそれぞれ「図7」と訂正する。
(ルa)特許明細書の段落番号【0085】における「【0085】」を「【0053】」と訂正し、
「図12」を「図8」と訂正する。
(レa)特許明細書の段落番号【0086】における「【0086】」を「【0054】」と訂正し、
文頭及びその後に記載されている「図12」をそれぞれ「図8」と訂正する。
(ロa)特許明細書の段落番号【0087】における「【0087】」を「【0055】」と訂正し、
「図13」を「図9」と訂正する。
(ワa)特許明細書の段落番号【0088】における「【0088】」を「【0056】」と訂正し、
文頭及びその後に記載されている「図13」をそれぞれ「図9」と訂正する。
(アb)特許明細書の段落番号【0089】の段落番号のみを、【0057】の段落番号に訂正する。
(イb)特許明細書の段落番号【0090】における「【0090】」を「【0058】」と訂正し、
「図11〜図13」を「図7〜図9」と訂正する。
(ウb)特許明細書の段落番号【0091】における「【0091】」を「【0059】」と訂正し、
「図11〜図13」を「図7〜図9」と訂正する。
(エb)特許明細書の段落番号【0099】における「【0099】」を「【0060】」と訂正し、
「挿入糸に用いる弾性糸または編み込まれる弾性糸」を「挿入糸に用いる弾性糸」と訂正する。
(オb)特許明細書の段落番号【0100】における「【0100】」を「【0061】」と訂正し、
「弾性糸の太さは、用いる衣類の種類、地編組織の種類、同じ衣類でもどの部位に用いるかによって、それぞれ適宜の太さのものを用いればよい。特に、緊迫力の変化を弾性糸の太さを変えて実現する場合には、比較的細い糸から比較的太い糸まで用いることになる。通常は、弾性糸としては、40〜560デニールの範囲から、それぞれの製品の種類や弾性糸の使用目的に応じて好適な範囲のものを用いればよい。」を「弾性糸の太さは、用いる衣類の種類、地編組織の種類、同じ衣類でもどの部位に用いるかによって、それぞれ適宜の太さのものを用いればよく、100〜560デニールの範囲から、それぞれの製品の種類や弾性糸の使用目的に応じて好適な範囲のものを用いればよい。」と訂正する。
(カb)特許明細書の段落番号【0101】の段落番号のみを、【0062】の段落番号に訂正する。
(キb)明細書の段落番号【0102】における「【0102】」を「【0063】」と訂正し、
「図15に本発明の衣類であるロングタイプのガードルの前側から見た斜視図、
図16にその後側から見た斜視図を示した。また、図17には、前記図15、図16に示したガードルの主として後ろから前脇ならびに脚部に用いられる生地の裁断前の平面図、図18には、前記図15、図16に示したガードルの前側腹部に用いられる腹部布用の生地の裁断前の平面図を示した。図15〜図18に於て矢印Sの方向の意味は、図1〜図6及び図11〜図13に於ける矢印Sの方向と同じ方向を意味する。」を「図10に本発明の衣類であるロングタイプのガードルの前側から見た斜視図、図11にその後側から見た斜視図を示した。また、図12には、前記図10、図11に示したガードルの主として後ろから前脇ならびに脚部に用いられる生地の裁断前の平面図、図13には、前記図10、図11に示したガードルの前側腹部に用いられる腹部布用の生地の裁断前の平面図を示した。図10〜図13に於て矢印Sの方向の意味は、図1〜図6及び図7〜図9に於ける矢印Sの方向と同じ方向を意味する。」と訂正する。
(クb)特許明細書の段落番号【0103】における「【0103】」を「【0064】」と訂正し、
「例えば図17」を「例えば図12」と訂正し、
「尚、図15、図16」を「尚、図10、図11」と訂正し、
「尚、図17」を「尚、図12」と訂正する。
(ケb)特許明細書の段落番号【0104】から【0105】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0065】から【0066】までの段落番号に訂正する。
(コb)特許明細書の段落番号【0106】における「【0106】」を「【0067】」と訂正し、
文頭とその後に記載された「図17」をそれぞれ「図12」と訂正し、
文中の2カ所に記載された「図18」をそれぞれ「図13」と訂正し、
「図15-図16」を「図10-図11」と訂正する。
(サb)特許明細書の段落番号【0107】から【0111】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0068】から【0072】までの段落番号に訂正する。
(シb)特許明細書の段落番号【0115】における「【0115】」を「【0073】」と訂正し、
「図20」を「図14」と訂正し、
「図21」を「図15」と訂正する。
(スb)特許明細書の段落番号【0116】から【0117】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0074】から【0075】までの段落番号に訂正する。
(セb)特許明細書の段落番号【0118】における「【0118】」を「【0076】」と訂正し、
「図21」を「図15」と訂正する。
(ソb)特許明細書の段落番号【0119】から【0122】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0077】から【0080】までの段落番号に訂正する。
(タb)特許明細書の段落番号【0123】における「【0123】」を「【0081】」と訂正し、
「図20と図21」を「図14と図15」と訂正する。
(チb)特許明細書の段落番号【0124】から【0127】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0082】から【0085】までの段落番号に訂正する。
(ツb)特許明細書の段落番号【0128】における「【0128】」を「【0086】」と訂正し、
「次に図22に本発明の衣類であるボディスーツの前側から見た斜視図、図23にその後側から見た斜視図を示した。図22においては下側の後ろ裾部分の図示を省略している。この部分は図23を参照すれば理解される。また図23においては、ストラップの間に見えるはずの右側の乳房カップ近傍と右脇近傍部分の図示を省略している。これらを図23に記載すると図が複雑になり理解しにくくなるとともに、図22で十分理解できるからである。」を「次に図16に本発明の衣類であるボディスーツの前側から見た斜視図、図17にその後側から見た斜視図を示した。図16においては下側の後ろ裾部分の図示を省略している。この部分は図17を参照すれば理解される。また図17においては、ストラップの間に見えるはずの右側の乳房カップ近傍と右脇近傍部分の図示を省略している。これらを図17に記載すると図が複雑になり理解しにくくなるとともに、図16で十分理解できるからである。」と訂正する。
(テa)特許明細書の段落番号【0129】における「【0129】」を「【0087】」と訂正し、
「先に図19を用いて説明したブラジャーのカップ部と実質的に同一であり、」を削除する。
(トb)特許明細書の段落番号【0130】から【0134】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0088】から【0092】までの段落番号に訂正する。
(ナb)特許明細書の段落番号【0154】から【0156】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0093】から【0095】までの段落番号に訂正する。
(ニb)特許明細書の段落番号【0157】における「【0157】」を「【0096】」と訂正し、
「すでに説明した例においても明らかな様に、図26、図27に示したスポーツ用タイツは、図24、図25に示したスポーツ用タイツに比べて、全体的にやや緊迫力を弱めたタイプにしていることからも明らかである。すなわち、図26、図27に示したスポーツ用タイツの各部位の緊迫力を、図24、図25に示したスポーツ用タイツに比べて、全体的にやや緊迫力を強めたタイプにしたり、ほぼ同等の緊迫力を有するタイプにすることもできる。」を削除する。
(ヌb)特許明細書の段落番号【0158】から【0162】までの段落番号のみを、それぞれ順次【0097】から【0101】までの段落番号に訂正する。
(ネb)特許明細書の段落番号【0163】における「【0163】」を「【0102】」と訂正し、
「図15〜図17」を「図10〜図12」と訂正する。
(ノb)特許明細書の段落番号【0164】の段落番号のみを、【0103】の段落番号に訂正する。
(ハb)特許明細書の段落番号【0165】の段落番号のみを削除する。
(ヒb)特許明細書の段落番号【0165】において5カ所に記載されている「図17」をそれぞれ「図12」と訂正する。
(フb)特許明細書の段落番号【0166】における「【0166】」を「【0104】」と訂正し、
「地編の表側にあらわれる編組織」を「表側にあらわれる地編の編組織」に訂正する。
(へb)特許明細書の段落番号【0167】における「【0167】」を「【0105】」と訂正し、
「かつ必要な体型補整機能または筋肉サポート機能を付与した衣類」を「かつ必要な体型補整機能を付与したガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類」と訂正し、
「肌触りの低下もない体型補整機能または筋肉サポート機能を付与した衣類」を「肌触りの低下もない体型補整機能を付与した上記衣類」と訂正し、
「体型補整機能または筋肉サポート機能を有する衣類」を「体型補整機能を有する上記衣類」と訂正する。
(ホb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、
【図7】-【図10】の図面番号とその記載内容をすべて削除し、
【図11】から【図13】までの図面番号のみを、それぞれ順次【図7】から【図9】までの図面番号に訂正する。
(マb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、【図14】の図面番号とその記載内容をすべて削除する。
(ミb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、
「【図15】本発明の衣類であるロングタイプのガードルの前側から見た斜視図。
【図16】図15に示したロングタイプのガードルの後側から見た斜視図。
【図17】図15、図16に示したガードルの主として後ろから前脇ならびに脚部に用いられる生地の裁断前の平面図。
【図18】図15、図16に示したガードルの前側腹部に用いられる腹部布用の生地の裁断前の平面図。」を「【図10】本発明の衣類であるロングタイプのガードルの前側から見た斜視図。
【図11】図10に示したロングタイプのガードルの後側から見た斜視図。」【図12】図10、図11に示したガードルの主として後るから前脇ならびに脚部に用いられる生地の裁断前の平面図。
【図13】図10、図11に示したガードルの前側腹部に用いられる腹部布用の生地の裁断前の平面図。」と訂正する。
(ムb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、【図19】の図面番号とその記載内容をすべて削除する。
(メb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、
「【図20】本発明の衣類であるショーツの前側から見た斜視図。
【図21】図20に示したショーツの後側から見た斜視図。
【図22】本発明の衣類であるボディスーツの前側から見た斜視図。
【図23】図22に示したボディスーツの後側から見た斜視図。」を「【図14】本発明の衣類であるショーツの前側から見た斜視図。
【図15】図14に示したショーツの後側から見た斜視図。
【図16】本発明の衣類であるボディスーツの前側から見た斜視図。
【図17】図16に示したボディスーツの後側から見た斜視図。」と訂正する。
(モb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、【図24】〜【図28】の図面番号とその記載内容をすべて削除する。
(ヤb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、【図29】の図面番号のみを、【図18】の図面番号に訂正する。
(ユb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄において、
「【図30】図29のロングタイプのガードルの後側から見た斜視図。」を「【図19】図18のロングタイプのガードルの後側から見た斜視図。」と訂正する。
(ヨb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄の【符号の説明】の項の「10サテン調トリコット組織の表側に現れる非弾性糸11サテン調トリコット組織の裏側に現れる非弾性糸12編み込まれた弾性糸」を削除する。
(ラb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄の【符号の説明】の項の「31ブラジャーのカップ31aカップ31の上方部分31bカップ下辺部から脇にかけての部分32土台布33バック布33a、33b、33c、33dバック布の人体脇部に当接する部分34ストラップ」を削除する。
(リb)特許明細書の【図面の簡単な説明】の欄の【符号の説明】の項の「81大腿部前面側の筋肉群の筋腹部分をカバーする部位82、84、87大転子またはその近傍や外側広筋などからなる大腿部側面側の筋肉群と左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分ならびに腓腹筋のサイド部分をカバーする部位83大腿部前面側の筋肉群の筋腹部分をカバーする部位85膝をカバーする部位86すねをカバーする部位88すねをカバーする部位89ヒップの主要部をカバーする部位90ヒップの主要部をカバーする部位91大腿部の後側の筋肉群の筋腹部分をカバーする部位92腓腹筋の筋腹部分をカバーする部位131ブラジャーのカップ131aカップ131の上方部分131bカップ下辺部から脇にかけての部分132土台布133バック布133a、133b、133c、133dバック布の人体脇部に当接する部分134ストラップ」を削除する。
(ルb)原図面の図7-図10、図14、図19、図24-図28を削除し、
原図面の【図11】から【図13】までの図面番号のみを、それぞれ順次【図7】から【図9】までの図面番号に訂正し、
原図面の【図15】から【図18】までの図面番号のみを、それぞれ順次【図10】から【図13】までの図面番号に訂正し、
原図面の【図20】から【図23】までの図面番号のみを、それぞれ順次【図14】から【図17】までの図面番号に訂正し、
原図面の【図29】から【図30】までの図面番号のみを、それぞれ順次【図18】から【図19】までの図面番号に訂正する。
3.当審の判断ア.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否上記訂正事項(アa)〜(ルb)について検討する。
訂正事項(アa)は、発明の名称を減縮された特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正であって、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。
訂正事項(イa)は、請求項を削除する訂正であり、特許請求の範囲減縮を目的とした訂正である。
訂正事項(ウa)は、訂正事項(イa)での請求項1の削除に伴い、請求項2を請求項1として繰り上げるとともに、訂正前の請求項11,13,14及び16の記載、並びに特許明細書の段落【0033】、【0036】、【0039】、【0040】、【0089】、【0090】、【0102】、【0125】の記載に基づいて、特許明細書に記載された事項の範囲内において構成を限定するものであるから、明りょうでない記載の釈明と特許請求の範囲減縮を目的とした訂正である。
訂正事項(エa)〜(シa)は、請求項の削除に伴って請求項の順番を順次繰り上げるとともに、特許明細書に記載された事項の範囲内において構成を限定するものであるから、明りょうでない記載の釈明と特許請求の範囲減縮を目的とした訂正である。
訂正事項(スa)〜(ヘb)は、訂正した請求項の記載及び削除した図面と整合させるために発明の詳細な説明の記載を削除又は補正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。
訂正事項(ホb)〜(ルb)は、訂正した請求項の記載と整合させるために図面を削除するとともに、図面の簡単な説明の記載を整合させるための訂正であるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正である。
そして、上記訂正事項(アa)〜(ルb)は、特許明細書に記載された事項の範囲内の訂正であって、新規事項を追加するものではなく、実質的に特許請求の範囲拡張し又は変更するものでもない。
イ.独立特許要件について本件特許第3023354号の請求項1〜20に係る発明は、別途、本件に係る異議2000-72282号の平成13年6月14日付け異議決定により取消決定がなされたので、上記異議事件において異議申立人が提出した証拠をふまえて、上記訂正請求した請求項1〜10に係る特許発明(以後、「本件訂正発明1」〜「本件訂正発明10」という。)について独立特許要件の有無を検討する。
(1)本件訂正発明1〜10本件訂正発明1〜10は、平成13年12月10日付けで補正された訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜請求項10に記載された事項により特定される下記のとおりのものである。
「【請求項1】ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として100〜560デニールの弾性糸を用いた経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、前記地編の編組織の変化により形成したパターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンであって、当該連続パターンの部分が、比較的緊迫力の強い部分であり、且つ緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化させて、前記地編組織の変化による緊迫力の強弱の態様と挿入する弾性糸の本数及び/または太さを挿入する部分に応じて変えることの組み合わせにより、種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成し、且つ編方向が衣類のほぼ横方向又は斜め方向となるように2つ以上の前記経編地を縫合することにより形成してなる体型補整機能を有するガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類。
【請求項2】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織が、サテン調ネット組織とメッシュ調ネット組織との組合わせからなる請求項1に記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項3】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分がサテン調ネット組織からなり、比較的緊迫力の弱い部分がメッシュ調ネット組織からなる請求項1〜2のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項4】比較的緊迫力の強い部分に挿入されている弾性糸が、2本そろえて挿入されている弾性糸であり、比較的緊迫力の弱い部分に挿入されている弾性糸が、1本づつの弾性糸である請求項1〜3のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項5】ジャカード編からなる地編組織の表側にあらわれる地編組織において、比較的緊迫力の強い部分の内、より一層緊迫力の強い部分が、2針以上の振りが入った割合の大きいサテン調ネット組織である請求項1〜4のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項6】ジャカード編からなる地編が20〜80デニールのナイロン糸からなる請求項1〜5のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項7】更に編み組織による小柄の模様が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項8】比較的緊迫力の強い部分からなる帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、衣類の左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である請求項1〜7のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項9】衣類がガードルであって、比較的緊迫力の強い部分からなる帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、ガードルの左右のヒップ部の膨らみの下から脇にかけての部分である請求項1〜7のいずれかに記載のヒップ部を有する衣類。
【請求項10】衣類がガードルであって、更にガードルの腹部のほぼ中央部分が、比較的緊迫力の強い部分で構成されている請求項9に記載のヒップ部を有する衣類。」(2)引用刊行物当審が、異議2000-72282号の異議の決定で引用した刊行物1(登録実用新案第3008737号公報)には、ファウンデーションなどを製造するための一体成形用編地に関して、下記の事項A〜Dが図面とともに記載されている。
A;「【請求項1】経編機の少なくとも1枚の地筬に通糸された弾性糸によるか、またはその弾性糸と他の少なくとも1枚の地筬に通糸された非弾性糸とで編成された地組織に、適宜部位に応じて編組織の変更により伸縮度の異なる部分を混在させるとともに柄模様などの装飾性を付与して成るジャカード制御された編糸が編み込まれて構成されたファウンデーションなどのための一体成形用編地。
【請求項2】少なくとも1枚の地筬に通糸された非弾性糸とジャカード筬に通糸された非弾性糸の各々に異染色糸を用いて構成された請求項1に記載のファウンデーションなどのための一体成形用編地。
【請求項3】少なくとも1枚の地筬に通糸された非弾性糸および/またはジャカード筬に通糸された非弾性糸に吸湿性糸を用いて構成された請求項1に記載のファウンデーションなどのための一体成形用編地。
【請求項4】経編機の少なくとも1枚の地筬に通糸された非弾性糸で編成された地組織に、適宜部位に応じて編組織の変更により伸縮性を変化させるとともに柄模様などの装飾性を付与してなるジャカード制御された弾性糸が編み込まれて構成されたファウンデーションなどのための一体成形用編地。」(実用新案登録請求の範囲)B;「【作用】上記手法により完成されたガードル用などの一体成形用編地は、全域に亘って伸縮性に優れ、なおかつ必要に応じて各部位毎に伸縮性が変化されてなるとともに柄模様をもった装飾性が付与されて特にファウンデーションなどの一体成形用編地として最適なものとなっている。
実施例】以下、本考案を図面に基づいて説明する。図1は本考案のファウンデーションなどのための一体成形用編地(以下一体成形用編地と称す)を編成するための一機種であるカールマイヤー社製トリコット機KSJ3/1-32Eの編成要部の側面図である。
L1,L2は地筬、L3はジャカード筬であり、本実施例においてジャカード筬L3にはポリエステル糸40デニール、地筬L2にはポリアミド糸30デニール、
地筬L1にはポリウレタン糸40デニールを各々総詰めに通糸しており、地筬L1,L2の編組織及びジャカード筬L3の基本編組織は図2に示されている通り、
L1:1-0/1-2//,L2:1-2/1-0//,L3:0-1/3-2//としている。」(段落【0009】-【0011】)C;「図4は、図2の地筬L1,L2の編組織で地組織を形成し、その上に図3のジャカード筬L3の編組織a,b,cのバリエーションで柄出しして編みたてられた裁断前の一体成形用編地であり、前見頃中央部Wを除く部分の内、最も伸縮性を必要とする臀部X(図中白部)には薄地c,最も安定性を必要とする側腰部Y(図中格子状部)には厚地b、中程度の伸縮性を有する他の部分Z(図中横線状部)には中厚地aが使用されている。
但し、ジャカードガイド1は個別に制御されるので、求められる伸縮度や柄効果に応じてa,b,cの各バリエーションを適度に組み合わせて使用すれば良い。例えば臀部における伸縮度を減じて強度を持たせる場合には一律にcとaを混合して配し、その際に配し方を幾何学的にすれば地柄効果が現出する。
前身頃中央部Wのレース調の花柄もまた、それらのバリエーションを柄の各部位の効果に応じて、例えば花弁や葉を厚地bと中厚地a、その他の部分を薄地cという風に使い分けることで現出され、編みあがった一体成形用編地は最終的に図中一点鎖線Vの枠内で示された脚部用穴部を取り除く等の裁断が行なわれた後、縫製されて例えば図5に描かれているようなガードルに仕上げられる。
尚、当然の事ながら地筬L1,L2の編組織及びジャカード筬L3の基本編組織は、ここに紹介されているものに限定される訳ではないので、図6にジャカード筬についてその他の編組織のいくつかの例を示しておく。この内、Bの編組織を用いれば全般的に伸縮性が増し、編地も薄手のものとなる。」(段落【0014】-【0017】)D;「本考案の一体成形用編地はファウンデーションの他にアウターウエアや水着にも適用することが可能である。」(段落【0023】)同じく引用した刊行物2(発明協会公開技報公技番号98-980〈発行日1998年2月16日〉)には、補整下着に関して、下記の事項Eが図面とともに記載されている。
E;「筬配列は編機前方より、例えばナイロン糸等を通糸する地筬L1,各々弾性糸を芯糸とするカバーリング糸等を通糸するジャカード筬L2,L3ナイロン糸等を通糸する地筬L4の順となっている。
・・・中略・・・補整下着1はヒップアップ等の良好な補整効果を得るために、
身体に適度にフィットさせるための締め付け力を有する区域2,区域2よりもやや弱い締め付け力を有する区域3,最も弱い締め付け力を有する区域4,区域2よりも強い締め付け力を有する区域5,ジャカード制御により柄出しされた区域6とで構成されており、これらの各区域は、ジャカード筬L3,L4のジャガードガイドに通糸するカバーリング糸を個別制御して各々の糸の編組織を適宜変化させることにより編成するものなので、補整下着1は無縫製で形成されることになる。
実施例の糸使いとしては、前記ナイロン糸として30デニール〜210デニールのもの(テクスチャード加工糸含む)が望ましく、前記カバーリング糸としてはショーツ用には40デニール〜210デニールのもの、ガードル用には140デニール〜420デニールのものが望ましい。」(第1頁左欄下から2行-第2頁左欄4行)同じく引用した刊行物3(発明協会公開技報公技番号96-3784〈発行日1996年3月15日〉)には、部分的に伸縮度の異なる伸縮性編地の一体編成方法に関して、下記の事項Fが図面とともに記載されている。
F;「第1図の組織がカール・マイヤー社製トリコット機KS3で編成された場合、フロント地筬L3の組織は3-4/1-0//,ミドル地筬L2の組織は0-0/1-1/0-0/3-3/2-2/3-3//,バック地筬L1の組織は1-0/1-2//であり、フロント地筬L3には非弾性糸が、バック地筬L1には弾性糸が各々総詰めで、ミドル地筬L2には例えば21in50outのように部分的に弾性糸が通糸されている。第2図において(A)には第1図の組織で編成された経編地1が示されており斜線部a1,a2はミドル地筬L2の弾性糸が挿入組織で編み込まれた伸縮度の強い部分である。」(第1頁左欄下から5行〜右欄10行)同じく引用した刊行物4(発明協会公開技報公技番号96-6716〈発行日1996年5月15日〉)には、ジャガード機付きラッシェル機による編成方法に関して、下記の事項Gが図面とともに記載されている。
G;「第1図の編組織例(A)に関して、ジャカード糸の基本編組織(1a)は2-0/2-4//の編組織の3リピート分であり、該基本編組織(1a)1,5及び6コース目においてジャカード筬(L1)のジャカードガイドの作用を矢印方向に1針間分行なうことにより得られる、ジャカード筬(L1)に総詰めで通糸されたジャカード糸の穴地編組織(1a3)のチェーン番号は、4-2/2-4/2-0/2-4/4-2/4-6//であり、該穴地編組織(1a3)で編成された非弾性のジャカード糸の編目列、及び地糸(L2)に総詰めで通糸された非弾性の補助用の地糸により上記穴地編組織(1a3)と同じ編組織(2a)で、編成された編目列に地筬L3に総詰めで通糸された弾性の地糸が2-2/0-0//の挿入編(3l)で、また地筬L4に総詰めで通糸された弾性の地糸が2-2/0-0/6-6/4-4/6-6/0-0//の挿入編(4m)で各々編み込まれることにより、トリスキンの編組織でジャカード柄入り弾性経編地の基布が編成される。」(第2頁左欄5行〜24行)H;「28EのRSJ4/1で行なわれる本案の編成方法において、使用される糸の好適な太さの範囲は、ジャカード糸がテクスチャード加工糸を含むナイロン等の合成繊維の場合30デニール〜100デニール,芯糸に弾性糸を使用したカバーリング糸の場合50デニール〜120デニールであり、地糸がテクスチャード加工糸を含むナイロン等の合成繊維の場合30デニール〜50デニール、スパンデックス等の弾性糸の場合40デニール〜280デニール、綿糸等の場合、綿番手で40番手〜100番手である。」(第3頁右欄下から6行〜第4頁左欄6行)同じく引用した刊行物5(特開昭63-85146号公報)には、伸縮性編地関して、下記の事項I、Jが図面とともにきさいされている。
I;「非伸縮性繊維糸と、伸縮力の異なる2種以上の伸縮性繊維糸により交編されて、伸縮力の異なる編地部分がそれぞれ段階状に形成されており、該編地部分の伸縮力の異なる境界部分において伸縮力の異なる部分が混在して編成されており、
且つ、切り替え部を有することなく連続して編成されていることを特徴とする伸縮性編地。」(特許請求の範囲の欄)J;「伸縮力の異なる伸縮性繊維糸は、いずれの方法によって得られてもよいが、糸の太さを変化させて伸縮力に差をつけるのが好ましい。低伸縮力糸の場合、
20〜40デニールが好ましい。20デニール未満の場合、糸の300%伸長時の伸縮力が10g以下となり生地での応力も弱くなりすぎ、フィット感に劣るのでよくない。また、40デニールを超えると、伸縮力は300%伸長時20g以上となり生地での応力も充分となるが、高伸縮糸との差が付けにくくなるため好ましくない。また、高伸縮力糸の場合、50〜140デニールが好ましい。」(第2頁右上欄19行〜左下欄10行)さらに、実施例には、水着の臀部あるいは腹部のように必要とされる伸縮力(緊迫力に相当)の異なる部位に対応して、高伸縮糸と低伸縮糸の使用本数を変化させることが記載されている。
同じく引用した刊行物6(「TATEAMIJOURNAL」〈平成9年10月1日発行〉)には、コンピュータ制御ピエゾジャカードラッシェル機RSJ4/1-130”-28Eの紹介記事として下記の事項Kが記載されている。
K;「それぞれのジャカードガイドが独立して制御されるので全く自由に柄を創作することが可能である。この種の生地は従来、トリコトロニックタイプのKSJ,3/1で生産され、アンダーウエアやファンデーション、スポーツウエア、水着分野に展開されてきた。新しい技術と組合せる事によって同モデルが開発され、
迅速にトラブルのない殆ど無制限な柄域が可能になった。」(紹介記事の左欄7行〜中央欄1行)同じく引用した刊行物7(特開平8-311703号公報)には、美麗なる補整機能性と着用性とを同時に満たすガードルに関して、下記の事項Lが図面とともに記載されている。
L;「【請求項1】前身頃及び後身頃とからなり、前記後身頃には臀溝部より腰部に至って帯状の充当部材が縫合されてなるガードルであって、この充当部片上に補助片が充当部片の外形線上に合わせて縫着されると共に、この補助片の下方部においては上縁部の長さがその充当部片の長さと略同一で、下縁部の長さがその充当部片の長さより縮減されると共に、表面積がその充当部片の表面積より縮減されてなることを特徴とするガードル。」(特許請求の範囲の欄)(3)対比・判断【本件訂正発明1について】刊行物1に記載された上記記載事項A〜Dからみて、刊行物1に記載された一体成形用編地もジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれ、アンダーウエア(ガードル、ショーツ、ボディスーツ等のヒップ部を有する衣類も含まれる)に使用されるものであり、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる地編の編組織を切替え、弾性糸と非弾性糸を使用して編組織の変更により伸縮度の異なる部分を混在させる(帯状であり且つカーブした連続パターン状のものも含む)とともに柄模様などを付与するように経編機をジャカード制御することにより編み込まれるものであり、編成された一体成形用編地は、その伸縮度の異なる部分により体型補整機能を有することは明らかであるから、本件訂正発明1の用語を使用して本件訂正発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、両者は、「ジャカード編からなる地編が非弾性糸で編まれた経編地からなる衣類に於て、緊迫力の強弱の要求に応じて表側にあらわれる前記地編の編組織を切り替えて、組織の変化により、所定部分に所定の比較的緊迫力の強い部分と比較的緊迫力の弱い部分をパターン状に設け、
前記地編の編組織の変化により形成したパターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンである体型補整機能を有するガードル、ショーツ、ボディスーツから選ばれたヒップ部を有する衣類。」で一致しており、下記の点で相違している。
相違点1;本件訂正発明1では、地編が非弾性糸で編まれ、挿入糸として100〜560デニールの弾性糸を用いた経編地からなる衣類であるのに対して、刊行物1に記載された発明では、地編に非弾性糸と弾性糸を使用するものであり、挿入糸として100〜560デニールの弾性糸を用いることについては記載されていない点。
相違点2;本件訂正発明1では、地編の編組織の変化により形成したパターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分が、比較的緊迫力の強い部分であり、且つ緊迫力の強弱の要求に応じて、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化させて、前記地編組織の変化による緊迫力の強弱の態様と挿入する弾性糸の本数及び/または太さを挿入する部分に応じて変えることの組み合わせにより、種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成し、且つ編方向が衣類のほぼ横方向又は斜め方向となるように2つ以上の前記経編地を縫合するものであるのに対して、刊行物1に記載された発明では、編組織の変更により伸縮度の異なる部分(帯状であり且つカーブした連続パターン状の部分に相当)を編成するものであって、本件訂正発明1のように、緊迫力の強弱の要求に応じて、地編組織を変化させると共に、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化させて、前記地編組織の変化による緊迫力の強弱の態様と挿入する弾性糸の本数及び/または太さを挿入する部分に応じて変えることの組み合わせにより、種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成するものではなく、
また、経編地も一体成形用編地であって、本件訂正発明1のように編方向が衣類のほぼ横方向又は斜め方向となるように2つ以上の経編地を縫合するものではない点。
上記相違点について検討するに、
刊行物2(上記記載事項E参照)には、ダブルニードルバージャカードラッシェル機により補整下着を編成する点、及び、40デニール〜420デニールのカバーリング糸(弾性糸に相当)を使用することが望ましいことが理解できるにとどまるものである。
刊行物3(上記記載事項F参照)には、伸縮度の強い部分(緊迫力の強い部分に相当)に弾性糸を挿入組織で編み込むことが記載されているにとどまるものである。
刊行物4(上記記載事項G、H参照)には、ジャカード機構付きラッシェル機による、穴地編組織に弾性の地糸を挿入編で編み込むことにより、トリスキンの編組織でジャカード柄入り弾性経編地の基布の編成方法と、弾性糸として40デニール〜280デニールの太さの糸を使用することが理解できるにとどまるものである。
刊行物5(上記記載事項I、J参照)には、伸縮性編地に使用する弾性糸に50〜140デニールの太さの糸を使用する点、及び、水着の臀部あるいは腹部のように必要とされる伸縮力(緊迫力に相当)の異なる部位に対応して、高伸縮糸と低伸縮糸の使用本数を変化させることが理解できるにとどまるものである。
刊行物6(上記記載事項K参照)には、コンピュータ制御ピエゾジャカードラッシェル機RSJ4/1-130”-28Eの紹介記事が記載されているにすぎないものであって、具体的な衣類の編地の構成については、何ら記載されていないものである。
刊行物7(上記記載事項L参照)には、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分を緊迫力の強い編地を使用する点、及び、2つ以上の編地を縫合してガードルを縫製する点が理解できるにとどまるものである。
そして、編成された経編地で衣類を縫製する際、編方向を横方向とすることは、
経編生地の伸縮性を考慮するならば当然に採用することができる程度の技術事項と認められるが、緊迫力の強弱の要求に応じて、地編組織の変化と、挿入する弾性糸の本数及び/または太さを変化の組合せにより、種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成することは、本件出願前当業者に知られた技術事項であるとは認めることができない。
そうすると、各刊行物2〜7に記載された技術事項並びに本件出願前当業者に周知の技術事項を総合勘案したとしても、本件訂正発明1の相違点1に係る構成(挿入糸として100〜560デニールの弾性糸を用いる点)及び本件訂正発明1の上記相違点2の係る構成のうち、地編の編組織の変化により形成したパターンの少なくとも1つが、帯状であり且つカーブした連続パターンの部分とし、編方向が衣類のほぼ横方向又は斜め方向となるように2つ以上の経編地を縫合して体型補整機能を有するガードル等のヒップ部を有する衣類を縫製することまでは、当業者であれば容易に想到することができる程度の事項であるとは認められるが、上記したとおり、刊行物1〜4に記載された事項からは、緊迫力の強い部分と弱い部分を編組織の変化により編成することが、又、甲第5号証からは、弾性糸の太さや本数(密度)変化させることで緊迫力の強い部分を編成することが理解できるにとどまるものであり、甲第6号証及び甲第7号証にも上記摘記した事項が記載されているにすぎないものであるから、本件訂正発明1のように地編組織の変化による緊迫力の強弱の変化と挿入する弾性糸の本数及び/または太さをを挿入する部分に応じて変えることの組合せにより種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成することまで当業者が容易に想到することができるものとは認めることができない。
そして、本件訂正発明1は、地編組織の変化による緊迫力の強弱の変化と挿入する弾性糸の本数及び/または太さをを挿入する部分に応じて変えることの組合せにより種々のグレードの緊迫力を有する部分を1つの経編生地の上に形成することによって、特許明細書中に記載(全文訂正明細書の段落【0104】、【0105】参照)された格別な効果を奏するものと認める。
したがって、本件訂正発明1は、本件出願前周知の事項を考慮したとしても、刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認めることができない。
【本件訂正発明2〜10について】本件訂正発明2〜10は、本件訂正発明1の技術事項を引用するとともに、それぞれ技術事項(「(1)本件訂正発明1〜10」の項を参照すること。)を限定したものである。
そして、本件訂正発明1が刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認めることができないものであることは、上記【本件訂正発明1について】の項で対比・判断したとおりである。
したがって、本件訂正発明2〜10も、本件出願前周知の事項を考慮したとしても、刊行物1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとは認めることができない。
(4)まとめまた、他に本件訂正発明1〜10について、独立特許要件がないとする証拠も発見しない。
よって、本件訂正発明1〜10が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明とすることはできない。
4.むすび以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号〜第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項〜第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 橋本英史