関連審決 |
異議1998-71497 |
---|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
平成13ワ1105特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成13ワ15719特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成11ワ11856損害賠償請求事件 | 判例 | 特許 |
平成14ワ5107特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成12ワ17298損害賠償等請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 新規性 / 29条1項3号 / 頒布された刊行物 / 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 技術的範囲 / 権利の濫用(権利濫用) / 存続期間 / 実施 / 加工 / 構成要件 / 業として / 差止請求(差止) / 侵害 / 損害額 / 実施料 / 実施権 / 専用実施権 / 通常実施権 / 設定登録 / 拒絶理由通知 / 請求の範囲 / 異議申立 / |
---|
元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
---|---|
元本PDF | 裁判所収録の別紙1PDFを見る |
事件 |
平成
12年
(ワ)
14328号
特許権侵害差止等請求事件
|
---|---|
原告 有限会社ジャパンパテントマネジメント 訴訟代理人弁護士 花岡康博 同 村松靖夫 補佐人弁理士 山口朔生 被告 瀬戸内金網商工株式会社 訴訟代理人弁護士 渡邊敏 補佐人弁理士 林宏 |
|
裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2002/07/19 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
---|---|
請求
1 被告は,別紙物件目録1記載の布団篭を製造し,販売してはならない。 2 被告は,その占有する前項記載の物件を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,金550万円及びこれに対する平成13年11月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
|
事案の概要
本件は,後掲特許権につき専用実施権を有する原告が,被告に対し,被告の製造,販売する別紙物件目録1記載のセトロン多段式カゴマットと称する2種類の布団篭(以下「被告製品」という。)は原告の専用実施権を侵害するものであるとして,その製造,販売の差止め及び廃棄を求めるとともに,損害賠償を請求している事案である。 1 争いのない事実等 (1) 小岩金網株式会社(以下「小岩金網」という。)は,次の特許権(以下「本件特許権」という。特許請求の範囲請求項1の発明を「本件発明1」と,請求項2の発明を「本件発明2」といい,両者を併せて「本件発明」という。)を有している。 ア 発明の名称 布団篭 イ 特許番号 第2657900号 ウ 出願日 平成5年12月27日 エ 登録日 平成9年6月6日 オ 特許請求の範囲 請求項1 底網と複数の側網で構成する布団篭において,1枚の側網の上辺に補助蓋を回動自在に取り付けて構成することを特徴とする,布団篭 請求項2 底網と複数の側網で構成する布団篭において,1枚の側網の下辺に補助蓋を回動自在に取り付けて構成することを特徴とする,布団篭 (2) 平成10年3月30日,本件特許権に対し,興国鋼線索株式会社外2名より特許異議の申立てがされ(平成10年異議第71497号。以下「本件特許異議の申立て」という。),特許庁審判官は,同年7月10日,特許権者である小岩金網に対し,取消理由通知を発した。そこで,小岩金網は,同年9月25日,訂正請求をしたが,同年10月20日,これに対する訂正拒絶理由通知がされたため,同日,さらに,訂正前明細書記載の特許請求の範囲請求項1ないし3,6及び7を削除し,請求項4及び5をそれぞれ請求項1,2とすること等を内容とする補正をした。同年11月6日,小岩金網の訂正請求は認められ,請求項1及び2(上記(1)オ)にかかる特許が維持された(甲1ないし3)。 (3) 本件発明の構成要件を分説すると,次のとおりである。 ア 本件発明1について A 底網と複数の側網で構成する布団篭において B 一枚の側網の上辺に補助蓋を回動自在に取り付けて構成した C 布団篭 イ 本件発明2について A 底網と複数の側網で構成する布団篭において B 一枚の側網の下辺に補助蓋を回動自在に取り付けて構成した C 布団篭 (4) 原告は,平成11年3月31日,小岩金網から,本件特許権につき,次の内容の専用実施権の設定を受け,同年5月18日,その設定登録をした(以下「本件専用実施権」という。甲2)。 ア 地 域 日本国内 イ 存続期間 本件特許権の存続期間満了まで ウ 内 容 全部 (5) 被告は,業として,被告製品を製造,販売している。 (6) 被告は,平成11年7月13日,小岩金網を被請求人として,特許庁長官に対し,被告製品が,本件発明2の技術的範囲に属しないとの判定(以下「本件判定請求」という。)を求めたが,特許庁審判官は,同年12月22日,本件発明2の技術的範囲に属するとの判定をした(甲4,5,乙2の2の6)。 (7) 被告は,平成12年8月14日,小岩金網を被請求人として,特許庁長官に対し,本件特許について無効審判請求をしたが,特許庁審判官は,平成13年4月17日,本件審判の請求は成り立たない旨の審決をした(甲12,乙1の1)。 (8) そこで,被告は,東京高等裁判所に対し,上記審決の取消しを求めて審決取消請求訴訟(東京高等裁判所平成13年(行ケ)第244号)を提起したところ,同裁判所は,平成14年3月14日,上記審決を取り消す旨の判決をした(乙6)。 |
|
争点及びこれに関する当事者の主張
1 本件の争点 (1) 被告製品の構成 (2) 被告製品の本件発明1及び2における構成要件Bの充足性 (3) 権利の濫用(本件発明に明らかな無効事由があるか否か) (4) 損害の有無及びその額 2 争点に関する当事者の主張 (1) 争点(1)(被告製品の構成)について (原告の主張) 被告製品の構成は,別紙物件目録1記載のとおりである(以下,別紙の表記に合わせて「イ号物件」及び「ロ号物件」という。)。 イ号物件及びロ号物件は,それ自体完成した商品というべきである。仮に,これが部品であるとしても,発明は必ずしも完成品についてのみされなければならないものではなく,部品についての発明もあるから,その部品についての発明に対応する部品が存在する場合には,特許権の侵害となる。 (被告の主張) 被告製品の構成は,別紙物件目録2記載のとおりである(以下,別紙の表記に合わせて「イ’号物件」及び「ロ’号物件」という。)。 別紙物件目録2記載のとおり,被告製品はいずれも製造段階ではあくまでも半製品であり,現場で組み立ててはじめて製品としての価値が出るものである。 また,現場で組み立てる製品は多段式カゴマットであり,原告が主張するような単体でのカゴマットではない。単体のカゴマットは,あくまでも多段式カゴマットの部品にすぎない。したがって,単体のカゴマットを取り出して特許権侵害を論ずることはできないから,本件発明の構成要件と対比するまでもなく,被告製品は本件発明の技術的範囲に属しない。 (2) 争点(2)(構成要件Bの充足性)について (原告の主張) 別紙物件目録1記載の被告製品の内容からすると,イ号物件及びロ号物件の構成は次のとおりとなる。 イ号物件 a 底網と複数の側網で構成する布団篭であって b 一枚の側網の上辺に補助網を回動自在に取り付けて構成した c 布団篭 ロ号物件 a 底網と複数の側網で構成する布団篭であって b 一枚の側網の下辺に補助網を回動自在に取り付けて構成した c 布団篭 したがって,イ号物件及びロ号物件の各構成は本件発明1及び2の各構成要件のすべてを充足する。 仮に,被告が主張するように被告製品の構成が別紙物件目録2記載のとおりであるとしても,その構成はそれぞれ次のとおりとなる。 イ’号物件 a 底網2と側網3と,底網のその前後に取り付けた前網4及び後網5とで構成するカゴマット1において, b 前網4の上端辺に補助網6がワイヤコイル8により回動自在に連結されている c カゴマット1 ロ’号物件 a 底網2と側網3と,底網のその前後に取り付けた前網4及び後網5とで構成するカゴマット1において, b 底網2と前網4の連結部に補助網7がワイヤコイル8により回動自在に連結されている c カゴマット1 以上のとおり,被告が主張する別紙物件目録2の記載によっても,イ’号物件及びロ’号物件の各構成は,本件発明1及び2の各構成要件のすべてを充足する。 (被告の主張) 被告製品であるイ’号物件及びロ’号物件は,以下のとおり,本件発明1及び2の各構成要件Bを充足しない。 すなわち,本件発明1の構成要件Bの「一枚の側網の上辺に補助蓋を回動自在に取り付けた」の回動自在とは,布団篭が現場に設置された後も補助蓋が回動自在に構成されていることを必須の構成とするものである。その理由は,まず,第1に,本件特許の出願当初,本件特許請求の範囲は「底網と複数の側網で構成する布団篭において,一枚の側網の上辺又は下辺の一方に補助蓋を取り付けたことを特徴とする布団篭」と記載されていたが,その後,本件特許異議申立事件の審理の過程で最終的に本件構成要件に訂正されたという一連の経過からすると,当初の特許請求の範囲では「回動自在な補助蓋」と「回動不能な補助蓋」の双方を含んでいたものを,訂正により「回動自在な補助蓋」に限定したものと解することができること,第2に,本件特許異議申立事件の審理の過程において,小岩金網は,平成10年9月25日付け特許異議意見書において,「布団篭への中込材の充填に過不足がある場合や,長年の雨や流水により充填した中込材が締まり,その表面が沈下した場合に,回動自在な補助蓋を開けて,中込材の追加や引き出しができ,強固な布団篭として修正することができる。」という特有の作用効果があることを主張し,それがそのとおり認定されていることからすると,本件発明においては布団篭を現場に設置した後も補助蓋が回動自在に構成されていることがその特有の作用効果であること,第3に,本件特許の明細書にも,その実施例3において,「図5で示すように,補助蓋14をどちらか一つの側網の上辺に回動自在に連結して布団篭10を構成することも可能である。本実施例の場合,下位の布団篭10の補助蓋14を上位の布団篭10の底網11(長側網12b)の端部に接合する」と記載されており,補助蓋14は側網の上辺に回動自在に連結し上位の布団篭の底網の端部に接合するのであり,布団篭を現場に設置した後も,回動自在となるように構成されているからである。 そして,以上の点は,本件発明2においても同様であり,全く同様の理由で,本件発明2の構成要件Bの「一枚の側網の下辺に補助蓋を回動自在に取り付けた」の回動自在とは,布団篭が現場設置後も補助蓋が回動自在に構成されていることを必須の構成とするものである。 ところが,被告製品であるイ’号物件及びロ’号物件の各構成bを別紙物件目録2の記載に沿って説明すると,次のとおりとなる。 イ’号物件 b 前網の上端辺に補助網6がワイヤコイル8により連結しており,該補助網6の先端辺の枠線と上段のカゴマット12の前網4の下端辺の枠線及び底網2の前端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結して,補助網を回動不能に固定した ロ’号物件 b 底網2と前網4の連結部に補助網7がワイヤコイル8により連結し,該補助網7の先端辺の枠線と下段のカゴマット11の前網4の上端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結して,補助網7を回動不能に固定した したがって,これらの各構成を本件発明1及び2の各構成要件Bと対比すると,前者においては補助網が回動不能であるのに対し,後者においては補助蓋が回動自在であるから,結局,イ’号物件及びロ’号物件の各構成bは本件発明1及び2の各構成要件Bをそれぞれ充足しない。 (原告の反論) 被告が主張するイ’号物件の構成bにおける「該補助網6の先端辺の枠線と上段のカゴマット12の前網4の下端辺の枠線及び底網2の前端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結して」の部分及びロ’号物件の構成bにおける「該補助網7の先端辺の枠線と下段のカゴマット11の前網4の上端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結して」の部分は,いずれも補助網と他のカゴマットとの連結方法についての記載であって,単体であるカゴマットに関するものではないところ,本件発明は単体である布団篭に関するものであるから,それを他の布団篭とどのように結合するかは本件発明とは別個の問題であり,そのことが,構成要件該当性を左右することはない。 (3) 争点(3)(権利濫用)について (被告の主張) 本件発明は,次のとおり,いずれも新規性又は進歩性がない。 すなわち,本件発明2は,本件特許出願前にフランス共和国において頒布された刊行物である別紙刊行物目録記載の刊行物(以下「本件刊行物1」という。)に記載された発明であり,また,本件発明1は,本件刊行物1に記載された発明,又は本件特許出願前に日本国において頒布された乙第1号証の4の3の刊行物(実公昭36-31524号実用新案公報。以下「本件刊行物3」という。)若しくは乙第1号証の4の4の刊行物(実願昭49-149548号(実開昭51-74324号)のマイクロフィルム。以下「本件刊行物4」という。)に記載された発明であるから,特許法29条1項3号の規定に該当し,また,本件発明2は,乙第1号証の4の2の刊行物(1955年の英国特許第726859号明細書。以下「本件刊行物2」という。)に記載された発明に基づいて,又は本件刊行物1及び2に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであり,本件発明1は,本件刊行物2に記載された発明に基づいて,又は本件刊行物1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定に該当する。 したがって,本件特許が無効であることは明らかであるから,原告の本件請求は権利濫用である。 (原告の主張) 本件特許には無効理由は存しない。仮に,本件特許につき無効理由があるとしても,特許侵害訴訟において無効の主張が認められるためには,無効理由の存在が明らかであることが要件であるところ,本件特許には,次のとおり,無効とされる蓋然性がきわめて低いと判断されるべき事由がある。 すなわち,本件特許異議申立ての際,特許異議申立人らは,本件刊行物2を含む6通の刊行物を提出し,本件発明がいずれも特許出願前に頒布された上記刊行物に記載されたものであること及び上記刊行物の記載に基づいて当業者が容易に発明することができたものであることを主張したが,特許庁審判官は,本件発明1及び2がともに上記刊行物記載の発明であるということはできず,また,それらの発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものでもない旨判断した。また,被告は,本件判定請求に際し,参考資料として再度本件刊行物2を提出し,被告製品が本件発明2の技術的範囲に属しないと主張したが,特許庁審判官は,被告の上記主張を独自の見解として退けた。このように,被告の本件刊行物2に基づく主張は2度にわたって特許庁において実質的に本件特許の無効をもたらす文献ではない旨の結論を得ているのであり,この点において本件特許が無効とされる蓋然性はきわめて低いというべきである。 また,本件刊行物1に関していえば,その明細書の記載と図面によっても,本件刊行物1に記載されたフランジは回動自在に取付られたものとは認められないというべきである。なぜなら,別紙刊行物目録記載の明細書記載事項の抜粋(以下単に「抜粋」という。)(3)及び(6)に記載された説明文はいずれも本件刊行物1の図1や図7のような広げられた金網部品の折り畳みに関するものであって,フランジに関するものではなく,本件刊行物1中には他にフランジが回動自在であることを示す文章や図は何ら存しないからである。したがって,本件刊行物1に記載された発明は本件発明2とその点において同一ではない。 さらに,本件刊行物1,3及び4には,確かに1枚の側網の上辺に回動自在に取り付けられた蓋についての記載があるが,たとえ上記各刊行物に記載された蓋が回動自在であるとしても,それらの蓋はいずれも上面をほぼ全体的に覆っているものである。そうである以上,それらを積み重ねた場合,上位の布団篭の底網と下位の布団篭の上蓋との重複は避けられない。それに対して,本件発明1は,このような重複による資材の大量消費による無駄を解決するために上段の底網と重ならない部分のみを覆う補助蓋を付したものである。したがって,上記各刊行物における蓋と本件発明1における蓋とは根本的に異なるものであるから,本件刊行物1,3及び4に記載された各発明と本件発明1とは同一ではない。 以上により,本件特許に無効理由があることが明らかとはいえない。 (4) 争点(4)(損害の有無及びその額)について (原告の主張) ア 被告の平成12年4月から平成13年3月までの1年間の売上げは合計4925万8420円である。 イ 原告は本件特許について通常実施権を許諾する場合に,次の実施料を徴収している。 (ア) 契約金 300万円(ただし,平成12年に改訂) (イ) 実施料 販売価格の1.5パーセント。ただし,半年で50万円に満たない場合には半年50万円(すなわち,年間100万円) そこで,上記被告の売上げに上記(イ)の実施料率を乗じると,次のとおり,73万8876円となるが,この金額は年間100円に満たないから,結局,上記ただし書きにより,年間実施料は100万円となる。 49,258,420 × 0.015 = 738,876(円) ウ ところで,原告が本件専用実施権を登録したのは平成11年5月18日であるところ,被告は同登録日以前より現在に至るまでイ号物件及びロ号物件を製造,販売しており,その1年間の売上高は上記売上高とほぼ同額であると思料される。 エ 以上によると,原告は,被告の侵害行為により,次のとおり,契約金相当額金300万円及び本件専用実施権の登録の日の翌日である平成11年5月19日から口頭弁論終結前の平成13年11月18日までの2年6か月間の実施料相当損害金250万円の合計550万円の損害を被った。 3,000,000 + 1,000,000 × (2 + 6 ÷ 12) = 5,500,000 (円) オ 上記イ(イ)記載の1.5パーセントの実施料率は上記イ(ア)記載の契約金が支払われることを前提として低額に定められているものであるから,本件において,仮に上記契約金相当額が請求できないとした場合の実施料率は年5パーセントが相当である。したがって,この場合の原告の損害額は,次のとおり,615万6250円となる。 49,258,420 × 0.05 × (2 + 6 ÷ 12) = 6,156,250(円) カ よって,原告は,被告に対し,550万円及びこれに対する平成13年11月19日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (被告の主張) 原告主張の損害の発生及び額については否認ないし争う。 |
|
争点に対する判断
1 争点(3)(権利濫用)について (1) まず,本件特許には明らかな無効理由があって,本件特許権に基づく権利行使が権利濫用といえるか否かについて検討する。 本件発明は,多段的に積み上げることにより擁壁を構築する布団篭にかかる発明であるところ,証拠(乙1の4の1)及び弁論の全趣旨によると,このような擁壁を構築する布団篭に関する発明として,本件特許の出願前に頒布された本件刊行物1に記載された発明が存する。 本件刊行物1には,別紙刊行物目録記載のとおりの記載がある。 (2) 本件発明2について 最初に,本件発明2と本件刊行物1に記載された発明とを対比する。まず,本件刊行物1に記載された発明においては,図5に示されたフランジtを有する蛇篭Eは,抜粋(5)の記載からすると,底網を有し,上蓋は有していない。また,蛇篭Eは,蛇篭として当然に複数の側網を有している。したがって,この蛇篭Eは,「底網と複数の側網で構成」されているということができる。また,図5の蛇篭Eにおいて,各フランジtは,図5に示されているように蛇篭本体の底網の延長方向に蛇篭本体から突出しているので,「側網の下辺に取付け」られた構成になっているし,また,「一緒に第1層の蛇篭に対する蓋として役立つ底面とフランジtとを有し,これらには蓋は無い。」(抜粋(5))と記載されているように,蛇篭本体の底網と一緒になって,その下に存在する蓋を有しない別の蛇篭Dの蓋の役目をしていることが認められる。一方,本件発明2について,本件特許の明細書には「【0017】【実施例2】図4に示されているように,底網11の端部に形成する補助蓋14を長側網12bの下辺に回動自在に連結して布団篭10を構成しても良い。本実施例の場合,補助蓋14の端を下位の布団篭10の長側網12bの上縁と接続し,底網11と補助蓋14とにより下位の布団篭10の上口を閉塞することになる。」と記載されているように(上記図4については,別紙本件特許公報の図面参照),本件発明2における「補助蓋」は,底網とともに下位の布団篭10の上口を閉塞するものである。これらの記載からすると,フランジtは,本件発明2における「一枚の側網の下辺に取り付けて構成した補助蓋」に相当すると認められる。そして,本件刊行物1に記載された発明における「蛇篭」は本件発明2における「布団篭」に相当すると認められるから,本件発明2と本件刊行物1に記載された発明とは,「底網と複数の側網で構成する布団篭において,一枚の側網の下辺に補助蓋を取り付けて構成する布団篭」である点で一致している。 そこで,本件刊行物1に記載された発明におけるフランジが,本件発明2における「補助蓋」のように一枚の側網の下辺に「回動自在に」取り付けられているか否かが問題となるが,本件刊行物1には,抜粋(1)及び(4)の記載とともに,抜粋(3)及び(6)の記載があり,これらの記載及び図1,図2が図示するところによると,金網部品のb,c,d,eの各部分は,金網部品の底面に対して回動自在であることは明らかであり,それらを回動自在とするためのヒンジ式継手も周知の機械要素であると認められるから,蛇篭を形成する金網部品の一部を回動自在とすることはこの技術の分野における周知の技術に属するものであったと認められる。そうすると,フランジの部分についても,例えば,周知のヒンジ式継手を適用することにより,回動自在とすることは,当業者であれば当然に予想可能な技術的事項であったということができるから,当業者が本件刊行物1を見たとき,そこに記載された発明におけるフランジを回動自在とすることは自明であったというべきである。 したがって,本件発明2は,実質的に本件刊行物1に記載された発明であると認められる。 (3) 本件発明1について 次に,本件発明1と本件刊行物1に記載された発明とを対比する。まず,本件刊行物1に記載された発明においては,図6の蛇篭I及び図8の蛇篭では,一枚の側網の上辺に回動自在に蛇篭の上面全体を覆う蓋が取り付けられて構成されている。そして,図6の蛇篭I及び図8の蛇篭は,底網を有し,複数の側網を有している。さらに,本件刊行物1に記載された発明における「蛇篭」が本件発明1における「布団篭」に相当することは上記(2)における認定と同様である。そうすると,本件発明1と本件刊行物1に記載された発明とは,「底網と複数の側網で構成する布団篭において,一枚の側網の上辺に回動自在に蓋を取り付けて構成する布団篭」である点で同一である。 本件刊行物1に記載された発明においては,図6の蛇篭I及び図8の蛇篭では,蓋が蛇篭の上面をほぼ全体的に覆うような大きさで図示されているが,本件発明1は,蓋につき「補助蓋」と規定しているだけであって,その大きさに関しては特許請求の範囲で規定するところではないから,本件刊行物1が開示する蛇篭の上面のほぼ全体を覆うような大きさの蓋も,本件発明1の「補助蓋」に相当するというべきである。 したがって,本件発明1は,本件刊行物1に記載された発明であると認められる。 (4) 以上によると,本件発明1及び2はいずれも本件刊行物1に記載された発明であると認められ,本件特許は特許法29条1項3号の規定に違反し無効理由を有することが明らかであるから,同特許に基づく本件請求は権利濫用として許されないというべきである。 したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告の本件請求は理由がない。 2 よって,主文のとおり判決する。 |
|
追加 | |
物件目録1(イ号物件)1製品名セトロン多段式カゴマットBタイプ2説明(別紙図面1参照)ア矩形状の底網2と,その底網2の一端に取り付けられた側網(仕切網)3と,底網2の前後に取り付けた前網(前直網)4及び後網5とを備える布団篭であってイ前網(前直網)4の上端に補助網(前平網)7を回動自在に連結している。 (ロ号物件)1製品名セトロン多段式カゴマットAタイプ2説明(別紙図面2参照)ア矩形状の底網2と,その底網2の一端に取り付けられた側網(仕切網)3と,底網2の前後に取り付けた前網(前直網)4及び後網5とを備える布団篭であってイ前網(前直網)4の下端に補助網(前平網)7を回動自在に連結している。 図面1図面2物件目録2(イ’号物件)1名称セトロン多段式カゴマット2説明(別紙第1図参照)(1)図面の説明第1図は,セトロン多段式カゴマットの出荷時の状態を立体的に描いた斜視図であるが,実際の出荷では,二次元的に折り畳んで出荷する。すなわち,側網3,前網4,後網5及び補助網6を底網2上に折り畳む。出荷品は半製品である。 第2図は,第1図のものを施工現場で組み立てて二段まで完成した状態の部分破断斜視図である。 (2)構成の説明ア第1図記載のように,出荷時のカゴマット1は,矩形状の底網2と,その底網2の一端に取り付けられた側網3と,底網2の前後に取り付けた前網4及び後網5とを備え,これらの各網は,四角形状に接合した枠線内に菱形金網を張設してなる。 底網2と側網3及び底網2と前網4及び後網5とは,ワイヤコイル8で連結されている。 また,前網の上端辺には,補助網6がワイヤコイル8により連結している。 なお,第1図の2aは底網2の枠線,3aは側網3の枠線,4aは前網4の枠線,5aは後網5の枠線,6aは補助網6の枠線であり,2bは底網2の補強枠線,4bは前網4の補強枠線,5bは後網5の補強枠線,6bは補助網6の補強枠線である。 そして,出荷時には,補助網6の先端辺の枠線と1つ上段のカゴマット1の前網4の下端辺の枠線及び底網2の前端辺の枠線を連結する連結コイル9F,後網5の上端辺の枠線と1つ上段のカゴマットの底網2の底面と連結する連結コイル9B,下段のカゴマットの側網3の上端辺の枠線と下段カゴマットの補助網6の左短辺の枠線と,上段カゴマットの側網3の下端辺前部の枠線及び底網2の側端辺前部の枠線を連結する連結コイル9S,並びに側網3の前短辺の枠線と前網4の左短辺の枠線及び隣接カゴマットの前網4の右短辺の枠線,側網3の後短辺の枠線と後網5の左短辺の枠線及び隣接カゴマットの後網5の右短辺の枠線を連結する連結コイル9Hが同梱されている。 そして,カゴマット1は組み立て時,上網の一部面及び他端の側網3が開口する直方体状に形成される。 イ組み立て施工時,カゴマット1は下段から順次上段方向に施工され,各段は短手方向の連結を行う。 (ア)まず最下段は,前記の側網3と前網4及び後網5の各隣接辺を連結する連結コイル9Hにより,側網3と前網4及び後網5を連結して立設する。この際,隣接するカゴマット11の他側端の開口部を接合するため,隣接するカゴマット11の前網4及び後網5は同時に連結コイル9Hにより連結する。最後に連結した布団篭における側網3のない開放部分は,別途用意した側網3と同じ端網によって閉鎖する。その後,まず一段目の箱の中に石等の中込材を充填する。 (イ)2段目は,まず前記の側網3と前網4及び後網5の各隣接辺を連結する連結コイル9Hにより,側網3と前網4及び後網5を連結して立設する。この際,隣接するカゴマット12の他側端の開口部を接合するため,隣接するカゴマット12の前網4及び後網5は,連結コイル9Hにより同時に連結するのは一段目と同様である。そして,その際,下段のカゴマット11よりもその位置を補助網6の幅だけ後退させて設置し,下段のカゴマット11の上面開口を下段のカゴマット11の補助網6及び上段カゴマット12の底網2の一部によって覆う。その際,下段のカゴマットの側網3の上端辺の枠線と下段カゴマットの補助網6の左短辺の枠線と,上段カゴマットの側網3の下端辺前部の枠線及び底網2の側端辺前部の枠線を連結する連結コイル9Sにより連結する。同様に,下段のカゴマット11の補助網6の先端辺の枠線と1つ上段のカゴマット12の前網4の下端辺の枠線及び底網2の前端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結する。さらに,下段のカゴマット11の後網5の上端辺の枠線と上段カゴマット12の底面を連結コイル9Bにより連結する。その結果,上下のカゴマット11,12が一体化される。 そして,この上段のカゴマット12内に石等の中込材を充填する。 (ウ)3段目以降は2段目の操作を繰り返して,カゴマット1を階段状に積む。なお,最上段の布団篭の上面の一部開口は,別途準備した上面網により閉鎖する。 ウ以上のように,カゴマット1を設置して中込材を充填した後は,各下段のカゴマットの側網3の上端辺の枠線と各下段のカゴマットの補助網6の左短辺の枠線と,上段カゴマットの側網3の下端辺前部の枠線及び底網2の側端辺前部の枠線とが連結コイル9Sで連結され,同様に各下段の補助網6の先端辺の枠線と1つ上段のカゴマット1の前網4の下端辺の枠線及び底網2の前端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結するので,工事施工後はその連結コイルが中込材によって押さえられていてそれを取り外すことができず,各連結コイルを破断しなければ補助網6を開くことができないので,一部のカゴマット内の中込材の表面が沈下したり,隆起しても,中込材を充填又は除去できない。 第1図第2図(ロ’号物件)1名称セトロン多段式カゴマット2説明(別紙第1図参照)(1)図面の説明第1図は,セトロン多段式カゴマットの出荷時の状態を立体的に描いた斜視図であるが,実際の出荷では,二次元的に折り畳んで出荷する。すなわち,側網3,前網4,後網5及び補助網7を底網2上に折り畳む。出荷品は半製品である。 第2図は,第1図のものを施工現場で組み立てて二段まで完成した状態の部分破断斜視図である。 (2)構成の説明ア第1図記載のように,出荷時のカゴマット1は,矩形状の底網2と,その底網2の一端に取り付けられた側網3と,底網2の前後に取り付けた前網4及び後網5とを備え,これらの各網は,四角形状に接合した枠線内に菱形金網を張設してなる。 底網2と側網3及び底網2と前網4及び後網5とは,ワイヤコイル8で連結されている。 また,底網2と前網4の連結部には,さらに,前網4が現場での立設時に前方に横設できるように補助網7が前記のワイヤコイル8により同時に連結してある(ただし,最下段については補助網7はない。)。 なお,第1図の2aは底網2の枠線,3aは側網3の枠線,4aは前網4の枠線,5aは後網5の枠線,7aは補助網7の枠線であり,2bは底網2の補強枠線,4bは前網4の補強枠線,5bは後網5の補強枠線,7bは補助網7の補強枠線である。 そして,出荷時には,補助網7の先端辺の枠線と1つ下段のカゴマット1の前網4の上端辺の枠線を連結する連結コイル9F,後網5の上端辺の枠線と1つ上段のカゴマットの底網2の底面と連結する連結コイル9B,下段のカゴマットの側網3の上端辺の枠線と上段カゴマットの補助網7の左短辺の枠線と,側網3の下端辺前部の枠線及び底網2の側端辺前部の枠線を連結する連結コイル9S,並びに側網3の前短辺の枠線と前網4の左短辺の枠線及び隣接カゴマットの前網4の右短辺の枠線,側網3の後短辺の枠線と後網5の左短辺の枠線及び隣接カゴマットの後網5の右短辺の枠線を連結する連結コイル9Hが同梱されている。 そして,カゴマット1は組み立て時,上網及び他端の側網3が開口する直方体状に形成される。 イ組み立て施工時,カゴマット1は下段から順次上段方向に施工され,各段は短手方向の連結を行う。 (ア)まず最下段は,前記の側網3と前網4及び後網5の各隣接辺を連結する連結コイル9Hにより,側網3と前網4及び後網5を連結して立設する。この際,隣接するカゴマット11の他側端の開口部を接合するため,隣接するカゴマット11の前網4及び後網5は同時に連結コイル9Hにより連結する。最後に連結した布団篭における側網3のない開放部分は,別途用意した側網3と同じ端網によって閉鎖する。その後,まず一段目の箱の中に石等の中込材を充填する。 (イ)2段目は,まず前記の側網3と前網4及び後網5の各隣接辺を連結する連結コイル9Hにより,側網3と前網4及び後網5を連結して立設する。この際,隣接するカゴマット12の他側端の開口部を接合するため,隣接するカゴマット12の前網4及び後網5は,連結コイル9Hにより同時に連結するのは一段目と同様である。そして,その際,下段のカゴマット11よりもその位置を補助網7の幅だけ後退させて設置し,下段のカゴマット11の上面開口を上段のカゴマット12の補助網7及び底網2の一部によって覆う。その際,下段のカゴマットの側網3の上端辺の枠線と上段カゴマットの補助網7の左短辺の枠線,側網3の下端辺前部の枠線及び底網2の側端辺前部の枠線を前記の連結する連結コイル9Sにより連結する。同様に,上段のカゴマット12の補助網7の先端辺の枠線と1つ下段のカゴマット11の前網4の上端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結する。さらに,下段のカゴマット11の後網5の上端辺の枠線と上段カゴマット12の底面を連結コイル9Bにより連結する。その結果,上下のカゴマット11,12が一体化される。 そして,この上段のカゴマット12内に石等の中込材を充填する。 (ウ)3段目以降は2段目の操作を繰り返して,カゴマット1を階段状に積む。なお,最上段の布団篭の上面開口は,別途準備した底網と同様の上面網により閉鎖する。 ウ以上のように,カゴマット1を設置して中込材を充填した後は,各下段のカゴマットの側網3の上端辺の枠線と各上段のカゴマットの補助網7の左短辺の枠線,側網3の下端辺前部の枠線及び底網2の側端辺前部の枠線とが連結コイル9Sで連結し,同様に各上段のカゴマットの補助網7の先端辺の枠線と1つ下段のカゴマット1の前網4の上端辺の枠線を連結コイル9Fにより連結するので,工事施工後はその連結コイルが中込材によって押さえられていてそれを取り外すことができず,各連結コイルを破断しなければ補助網7を開くことができないので,一部のカゴマット内の中込材の表面が沈下したり,隆起しても,中込材を充填又は除去できない。 第1図第2図刊行物目録乙第1号証の4の1(1914年のフランス共和国工業所有権局発明特許第466832号明細書)明細書記載事項の抜粋(1)「本発明の主要な目的をなしているこれらの蛇篭は,任意のシステムの網目を伴う金網部品で構成されており,これらの部品は,それらを単に折り畳むことによって蛇篭すなわち蓋つき又は蓋無し,底面付き又は底面無し又は単数又は複数の側壁が欠如し,かつフランジが備わった又は備わっていない箱を形成することができるような形で調製され輪郭づけされている。ケース及びニーズに応じて,これらの蛇篭は工場内であらかじめ調製され完成されていてもよいし,又は都合よく輪郭付けされた金網部品を現場に送り,蛇篭の形に折り畳むことによりその場で加工することも可能である。」(和文1頁18〜25行)(2)「蛇篭を互いに並べたり上下に重ねて,それらが形成すべき構築物の骨組みとなるように保護対象の岸に沿って配置し,これらの蛇篭に防護に適した岩石質又はセメント質の材料で満たす。場合に応じて,蓋又は底面又はいくつかの側壁の欠如した箱の形の蛇篭あるいは又フランジ等の備わった箱の形の蛇篭と組み合わせて蓋の欠如した箱の形の蛇篭を利用して,例えば,上部蛇篭の底面が下部蛇篭の蓋を形成するか,又はその壁の1つが隣の蛇篭の壁も形成するようにするか,又は,1つの蛇篭の蓋がもう1つの蛇篭の蓋又は壁を形成するようにする。当然のことながら,これらの組合せのうちのうち複数のものを同時に用いることもできる」(和文1頁26〜2頁5行)(3)「調製され輪郭付けされた金網には同様に,折畳み線に沿って,折畳みがより容易に行えるようにヒンジ式継手が備わっていてよく,この場合,調製済みの金網は,唯一の部品ではなく互いに連結された複数の部品で形成されることになる。」(和文2頁12〜14行)(4)「図面の図1は,図2に表されているような箱形の蛇篭を形成するための金網部品を示す。金網部品の部分b,c,d,eを単に持ち上げることによってこの蛇篭が容易に形成されることは明白である。」(和文2頁28〜3頁1行)(5)「垂直中間面内でも壁が二重になるのを節約したい場合には,蓋のみならず対応する壁も欠如した蛇篭を折り畳みによって得るような形で金網部品を構築するが,例えば,各々にフランジが備わった図4に示された形の蛇篭A及びBを構築することなどによって,その他の要領でも同じ目的を達成することが可能である。2つのフランジが相対する側にくるような形で2つの蛇篭を配置することにより,図4に示されているように,第3の中間蛇篭Cが得られる。 蛇篭は,その他の要領に従って無限に配置することができる。 図5は,一例として,3層の蛇篭を伴う護岸材を示す。第1層の蛇篭Dは,図2に示されているような蛇篭であるが,土壌が許す場合には,底面無しであってもよい。第2層の蛇篭Eは,一緒に第1層の蛇篭に対する蓋として役立つ底面とフランジtを有し,これらには蓋は無い。第3層の蛇篭Fは,底面と2つのフランジuとuをもち,これらは一緒に第2層の蛇篭に対する蓋として役立ち,これらには同様に蓋も備わっている。 図6は,この護岸材のもう1つの例を示す。この図は,互いの間に岩石質材料を充てんできる空間が残るような形で配置された2連の基礎蛇篭Gで構成された護岸材を表す。これらの基礎蛇篭の上には,それ自体第3の蛇篭層を支持するその他の蛇篭Hが横方向に配置されている。蛇篭H及びIにはフランジv,z,x,y等々が備わり,これらのフランジは各々独自の要領で,隣接する蛇篭の構造を補完するのに役立つ。」(和文3頁9〜27行)(6)「要約本発明は,蓋,又は底面又はいずれかの側壁又はこれらの要素のうちの複数のものが欠如し,いずれにせよ突出するフランジが備わっているか又は備わっておらず,又都合よく調製され輪郭付けされた1つの金網部品又は互いにヒンジ又はその他の類似のあらゆる方法で連結された都合よく調製され輪郭付けされた複数の金網部品を折り畳むことによって仕上げ加工された任意の幾何形状を持つ箱の形で構成された護岸工事用の金網蛇篭に関する。」(和文4頁8〜14行)図面(別紙)本件特許公報の図面 |
裁判長裁判官 | 森義之 |
---|---|
裁判官 | 東海林保 |
裁判官 | 瀬戸さやか |