関連審決 | 無効2000-35685 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成13ワ1105特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成13ワ15719特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成11ワ11856損害賠償請求事件 | 判例 | 特許 |
平成14ワ5107特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成12ワ17298損害賠償等請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 新規性 / 29条1項3号 / 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 周知技術 / 技術的範囲 / 発明の詳細な説明 / 権利の濫用(権利濫用) / 特許発明 / 実施 / 構成要件 / 差止請求(差止) / 侵害 / 請求の範囲 / 変更 / 訂正明細書 / 訂正要件 / |
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事件 |
平成
12年
(ワ)
14191号
特許権侵害差止等請求事件
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原告 有限会社京和機工 訴訟代理人弁護士 堀井昌弘 同 岡本成史 補佐人弁理士 野間明 被告 有限会社金山化成 被告 有限会社勇技商 被告ら訴訟代理人弁護士 中村成人 同 溝上哲也 被告ら補佐人弁理士 兼子直久 |
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裁判所 | 大阪地方裁判所 |
判決言渡日 | 2002/09/03 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
1 被告らは、別紙イ号ないしハ号物件目録記載の製品を製造、販売してはならない。 2 被告らは、前項記載の製品を廃棄せよ。 3 被告らは、原告に対し、連帯して金1900万円及びこれに対する平成12年12月31日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 |
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事案の概要
本件は、「植物栽培用容器への用土充填装置」の特許発明の特許権者である原告が、被告らに対し、被告らの製造、販売する用土充填装置(ポッティングマシン)は同特許発明の技術的範囲に属すると主張して、その製造等の差止めと損害賠償を請求した事案である。 1 争いのない事実等 (1) 原告は、次の特許権を有している(以下「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)。 ア 発明の名称 植物栽培用容器への用土充填装置 イ 登録番号 第2848897号 ウ 出 願 日 平成2年1月31日(特願平2-23412号) エ 公 開 日 平成3年10月9日(特開平3-228624号) オ 登 録 日 平成10年11月6日 カ 特許請求の範囲は、別紙特許公報(甲2。以下「本件公報」という。)該当欄記載のとおりである。 (2) 本件発明の特許請求の範囲は、次のとおり分説するのが相当である。 A@ 所望植物栽培条件に調整された用土を貯溜する貯溜槽と、 A 植物栽培用の容器を水平方向に搬送する容器搬送手段と、 B 用土供給手段を介してその一側端部に前記貯溜槽の用土が供給され、 この用土を他側端へ搬送するとともに他側端の供給部から落下させ前記容器搬送手段により搬送されてくる容器に供給する用土供給用ベルトコンベヤ とを備えてなる植物栽培用容器への用土充填装置において、 B@ 用土供給用ベルトコンベヤがカバーで囲まれており、 A 該カバーは、その下端を用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接させるように設けられ、 B 一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備えると共に、 C 他側端側に容器に用土を供給するための用土排出口を有し、 D 前記貯留部より搬送方向後方に、上下方向に移動して、用土供給用ベルトコンベヤ上を搬送される用土の高さを規制して用土排出口から排出される用土量を調整する仕切りを備えており、 C 前記貯留部に、該貯留部内の用土の量を検知して、貯留される用土が所定量以上の時に用土供給手段から貯留部への用土の供給を停止する貯留量調整手段が設けられている D ことを特徴とする植物栽培用容器への用土充填装置。 (3) 原告は、本件特許権に係る無効審判請求事件(無効2000-35685号)において、平成13年9月19日、特許請求の範囲の構成要件BDの部分を次のように訂正することを含む訂正請求をした(甲7の1・2、乙20の4。以下「本件訂正」といい、その全文訂正明細書(別紙参照)を「本件訂正明細書」という。)。 BD' 前記貯留部より搬送方向後方に、上下方向に移動して、用土供給用ベルトコンベヤ上を搬送される用土の高さを規制して用土排出口から排出される用土量を調整する仕切りおよび用土の幅方向の広がりを矯正するウイングを備えており、(下線部は訂正部分を示す。) (4) 被告らは、別紙イ号物件目録記載の用土充填装置(製品名:ポッティングマシンSP-T2000型。以下「イ号物件」という。)、別紙ロ号物件目録記載の用土充填装置(製品名:ポッティングマシンSP-T2000型。以下「ロ号物件」という。)、別紙ハ号物件目録記載の用土充填装置(製品名:ポッティングマシンSP-T200S型。以下「ハ号物件」という。)を製造、販売している(以下、イ号、ロ号及びハ号物件を合わせて「被告物件」という。)。 被告らは、イ号物件のカバー(51)の出口側端部(別紙イ号物件目録添付の図2に示されたカバー(51)の右端の位置)は、第2ベルトコンベヤ(5)のローラー部分に位置しているから、同別紙添付の図2に示されたカバー(51)の出口側端部の位置は誤りであると主張している。 なお、平成14年6月17日の本件弁論準備手続期日において、当事者双方が合意した目録においては、符号「21」が「第2ベルトコンベヤ(栽培用土供給手段)」、符号「5」が「第3ベルトコンベヤ(栽培用土供給用ベルトコンベヤ)」と記載されていたが、本件公報の部材番号及び部材名と整合させるため、イ号ないしハ号物件目録記載のとおり、符号「21」を「第3ベルトコンベヤ(栽培用土供給手段)」、符号「5」を「第2ベルトコンベヤ(栽培用土供給用ベルトコンベヤ)」と呼称することとする。 (5) 被告物件は、構成要件A@、A、C及びDを充足する。また、イ号物件及びロ号物件は、構成要件AB及びBBも充足する。 2 争点 (1) 被告物件の構成 (2) 被告物件は、本件発明の技術的範囲に属するか。 ア 用土供給用ベルトコンベヤがカバーで囲まれているか(構成要件B@・イ号〜ハ号物件に共通)。 イ カバーの下端が、用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接させるように設けられているか(構成要件BA・イ号〜ハ号物件に共通)。 ウ 用土供給手段を介してその一側端部に貯溜槽の用土が供給されるか(構成要件AB)、一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備えているか(構成要件BB・ハ号物件のみ)。 エ カバーの他側端側に用土排出口を有するか(構成要件BC・イ号〜ハ号物件に共通)。 オ 被告物件は、用土の幅方向の広がりを矯正するウイングを備えているか(本件訂正後の構成要件BD'・イ号〜ハ号物件に共通)。 (3) 権利濫用(明白な無効理由) (4) 損害の発生及び額 |
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争点に関する当事者の主張
1 争点(1)(被告物件の構成)について 〔原告の主張〕 イ号ないしハ号物件の構成は、別紙「被告物件の構成(当事者の主張)」の「原告主張」欄記載のとおりである。 〔被告らの主張〕 イ号ないしハ号物件の構成は、別紙「被告物件の構成(当事者の主張)」の「被告主張」欄記載のとおりである。 2 争点(2)(被告物件は、本件発明の技術的範囲に属するか)について (1) 争点(2)ア(構成要件B@の充足性)について 〔原告の主張〕 ア 本件発明の目的、構成、効果から考えると、「用土供給用ベルトコンベヤをカバーで囲む」理由は、以下の3点であり、この点を充足していれば、「用土供給用ベルトコンベヤをカバーで囲む」(構成要件B@)との構成を備えていると評価されるべきである。 @ 用土を蓄えることのできる貯留部を作ること A 用土供給用ベルトコンベヤから用土がこぼれ落ちることを防止すること B 外気に触れることをできるだけ抑制して、用土の乾燥を防ぐこと イ 被告物件は、以下のとおり、上記@ないしBの要件を充足しているから、「用土供給用ベルトコンベヤをカバーで囲む」(構成要件B@)との構成を備えているといえる。 @ 被告物件は、カバーで構成された貯留部(59)が存在する。 A イ号物件は第2ベルトコンベヤ(5)の両側に設けられているカバー(51)、ロ号物件は第1カバー(51-1)及び第3カバー(51-3)、ハ号物件は断面ロの字で囲むカバー(51)があり、各カバーの下端が第2ベルトコンベヤ(5)に摺接することによって、「用土供給用ベルトコンベヤ」に当たる第2ベルトコンベヤ(5)から用土がこぼれ落ちることを防止している。 B 被告物件は、外気に触れることをできるだけ抑制して用土の乾燥を防ぐ効果を、実用上十分な程度に有している。 ウ なお、被告らは乙2カタログ(後記3の〔被告らの主張〕(1)ア参照)に記載された製品の構成について「用土供給用ベルトコンベヤをカバーで囲む」との構成を備えていると主張しているのであるから、同主張を前提とすれば、被告物件が、同構成を備えていることは明らかである。 〔被告らの主張〕 ア 「用土供給用ベルトコンベヤがカバーで囲まれており」(構成要件B@)との構成は、カバーが用土供給用ベルトコンベヤを囲繞することと解すべきである。このことは、本件特許の出願当時の明細書において「第2ベルトコンベヤ5は、その側周面がカバー51で囲繞されていて」(出願当初の明細書(乙3)7頁2〜3行)と記載されていることからも明らかである。 イ イ号物件は三方にカバー(51)が、ロ号物件では第1カバー(51-1)、第2カバー(51-2)が設けられているだけであり、第2ベルトコンベヤ(栽培用土供給用ベルトコンベヤ)(5)がカバーで囲われていないから、「用土供給用ベルトコンベヤがカバーで囲まれており」(構成要件B@)との構成を備えていない。 ウ ハ号物件は四方に囲むカバー(51)が設けられているが、カバー(51)は、 第2ベルトコンベヤ(5)のゴム板を隔てた上方に位置しているから、第2ベルトコンベヤ(5)はカバー(51)で囲まれていない。 (2) 争点(2)イ(構成要件BAの充足性)について 〔原告の主張〕 被告物件は、カバー(51)(ロ号物件における「カバー(51)」との表記は、 第1カバー(51-1)、第2カバー(51-2)及び第3カバー(51-3)を合わせた構成を意味する。)の下端をゴム板で構成し、そのカバー下端を第2ベルトコンベヤ(栽培用土供給用ベルトコンベヤ)(5)のベルト上面に摺接させるように設けられているから、構成要件BAを充足する。 〔被告らの主張〕 被告物件では、カバー(51)下端に取り付けられたゴム板の下端が第2ベルトコンベヤ(5)の上面に摺接する。ゴム板は、カバー(51)の一部とはいえず、カバー(51)下端が第2ベルトコンベヤ(5)のベルト上面に摺接しているとはいえないから、構成要件BAを充足しない。 (3) 争点(2)ウ(構成要件AB及びBBの充足性(ハ号物件のみ))について 〔原告の主張〕 ロ字状のカバー(51)の下流側壁から見れば、貯留槽(2)から第3ベルトコンベヤ(栽培用土供給手段)(21)を介して栽培用土(6)が供給されるのは、カバー(51)の上流側の一側端側ともいえる。 したがって、ハ号物件は、「用土供給手段を介してその一側端部に貯溜槽の用土が供給される」(構成要件AB)との構成及び「(カバー)の一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備える」(構成要件BB)との構成を備えている。 〔被告らの主張〕 ハ号物件は、栽培用土(6)は第3ベルトコンベヤ(21)からカバー(51)内の全体に供給されるから、「用土供給手段を介してその一側端部に前記貯溜槽の用土が供給される」(構成要件AB)及び「(カバー)の一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備える」(構成要件BB)との構成を備えていない。 (4) 争点(2)エ(構成要件BCの充足性)について 〔原告の主張〕 「用土排出口」は、容器へ用土を供給するための最終的な出口をいうのであり、被告物件のカバー(51)の他側端側に設けられた仕切り(53)の下の開口部(52)が「用土排出口」に当たる。 「用土排出口」がなければ、イ号物件では、三方に設けられたカバー(51)内に、ロ号物件では第1カバー(51-1)及び第2カバー(51-2)内に、ハ号物件ではロ字型のカバー(51)内に、それぞれ栽培用土が貯留していくだけであるから、用土排出口は必ず残り一方に存在するというべきである。 よって、被告物件は、「(カバーの)他側端側に容器に用土を供給するための用土排出口」(構成要件BC)との構成を備えている。 〔被告らの主張〕 ア イ号物件について イ号物件のカバー(51)の搬送方向下手側には、仕切り(53)の下の開口部(52)があるものの、その開口部よりさらに下流の容器に用土を供給する部分では、栽培用土を受ける板とその両端に固定された第2のウイング(61)があるだけである。したがって、イ号物件は、「(カバーの)他側端側に容器に用土を供給するための用土排出口を有し」(構成要件BC)との構成を備えていない。 イ ロ号物件、ハ号物件について ロ号物件及びハ号物件のカバー(51)の搬送方向下手側には、仕切り(53)の下の開口部(52)があるものの、その開口部よりさらに下流の容器に用土を供給する部分では、栽培用土が第2ベルトコンベヤ(5)の端部から植物栽培容器(4)に落下するようになっているだけである。したがって、ロ号物件及びハ号物件は、「(カバーの)他側端側に容器に用土を供給するための用土排出口を有し」(構成要件BC)との構成を備えていない。 (5) 争点(2)オ(構成要件BD'の充足性)について 〔原告の主張〕 ア イ号物件は第1のウイング(56)、ロ号物件は第2カバー(51-2)、ハ号物件はウイング(56)がそれぞれ排出される栽培用土(6)の幅方向の広がりを矯正する機能を有しているから、いずれも「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')との構成を備えている。 イ ロ号物件は、第2カバー(51-2)が「ウイング」を兼用することになるが、このことは、以下に述べるように、構成要件BD'の充足性に影響するものではない。 (ア) 本件公報及びその第2図に記載されたウイングは、ヒンジによって回動することを前提としているが、ウイングによって用土の幅を狭くしない場合には、ウイングがカバーと接するように平行にする必要があり、この場合はウイングがカバーを兼用することになるから、本件発明はウイングがカバーを兼用する場合も含むものといえる。 (イ) また、ロ号物件には、第2カバー(51-2)に加えて第3カバー(51-3)が設置されており、この第2カバー(51-2)と第3カバー(51-3)の構成は、本件公報第2図において、ウイング(ロ号物件の第2カバー(51-2)に相当)を長手方向に長く形成するとともに、そのウイングがある外側のカバーを低くした構成(ロ号物件の第3カバー(51-3)に相当)と、基本的に何ら変わらない。 ウ ハ号物件のウイング(56)の高さが低くなっているが、これは、搬送される栽培用土の高さが仕切り(53)によって低くなることを想定しているからである。 〔被告らの主張〕 ア イ号物件について 原告は、イ号物件の第1のウイング(56)が「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」に該当すると主張するが、第1のウイング(56)は排出される用土の幅を調整する機能を有していない。排出される用土の幅は仕切り(53)のさらに下流に設けられた第2のウイング(固定板)(61)により調整されている。 したがって、イ号物件は、「用土の幅方向に広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')との構成を備えていない。 イ ロ号物件について 原告は、ロ号物件の第2カバー(51-2)が「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」に該当すると主張するが、第2のカバー(51-2)は、カバーの一部であって、排出される用土の量を調整できていない。 したがって、ロ号物件は、「用土の幅方向に広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')との構成を備えていない。 ウ ハ号物件について ハ号物件では、仕切り(53)及びウイング(56)がカバー(51)の外に接して貯留部の外に設置されているので、仮に仕切り(53)の下の開口部(52)が「用土排出口」に当たるとしても、仕切り(53)及びウイング(56)は、そこから排出される用土量を調整することは、位置関係からしてそもそも不可能である。 したがって、ハ号物件は、「前記貯留部より搬送方向後方に、上下方向に移動して、用土供給用ベルトコンベヤ上を搬送される用土の高さを規制して用土排出口から排出される用土量を調整する仕切りおよび用土の幅方向の広がりを矯正するウイングを備えており」(構成要件BD')との構成を備えていない。 3 争点(3)(権利濫用(明白な無効理由))について 〔被告らの主張〕 本件訂正前及び本件訂正後の発明は、以下のとおり、いずれも明白な無効理由を有するから、本件特許権に基づく権利行使は権利の濫用に当たり許されない。 (1) 本件訂正前の特許請求の範囲に係る特許発明について ア 本件特許出願前に頒布されたマッコンキー社(J.M.McConkey & CO. INC.)の「Grower Supplies, Equipment, Greenhouses & Components, 1983 Catalog」と題する昭和58年(1983年)版のカタログ(乙2、19の1〜8。 以下「乙2カタログ」という。)に記載された「Flat Filler」は、その参考図1〜3(別紙参照)と「土は(通常、貯留槽から)用土充填装置に送られ、調整仕切り(アジャスタブルゲート)とコンベヤベルトによって所望の量が容器に供給されます。」、「“用土高さ制御スイッチ モデルFFSL-20”この光電スイッチは、用土充填装置の中で、メータリングベルトへの用土の供給量を自動的に制御し、用土量を適切に維持します。用土充填装置のご注文時に配線組付けされます。」との記載からすると、乙2カタログの貯留槽2、容器搬送ベルトコンベヤ3、用土供給用ベルトコンベヤ5、カバー51、仕切り54、制御スイッチ24及びその反射板25がそれぞれ本件発明の貯留槽2、第1ベルトコンベヤ(容器搬送手段)3、第2ベルトコンベヤ(用土供給用ベルトコンベヤ)5、カバー51、仕切り54、リミットスイッチ24及びピン25(貯留量調整手段)に相当し、本件発明のすべての構成が記載され、本件発明のすべての効果を奏する。 イ したがって、新規性を欠き、少なくとも進歩性を欠く。 (2) 本件訂正後の特許請求の範囲に係る特許発明について ア 本件訂正は、以下の理由から不適法なものである。 (ア) 本件訂正前の明細書によれば、「ウイング」の効果は、排出される用土の幅方向の広がりを矯正するものであるが(本件公報5欄8〜10行)、「仕切り」の効果は、排出される用土量を調整するものであり、両者の効果は異なるものであった。「ウイング」では、容器の大きさに合わせて用土の幅方向の広がりを矯正できるとしても、それ以上に供給量の多少に応じて排出される用土量を調整することはできないからである。 (イ) これに対し、本件訂正明細書の「発明の効果」欄には、「仕切りの高さおよびウイングの幅を調整することにより、用土供給用ベルトコンベヤから容器への用土の供給量を調整」とあり(本件訂正明細書7頁)、「ウイング」では奏し得ない効果が記載されている。 (ウ) しかし、本件訂正により特許請求の範囲に追加された「ウイング」の効果が、排出される用土の量を調整するものであるならば、本件訂正後の発明は、訂正前の発明と異なる効果を奏する構成を追加するものであり、実質上、特許請求の範囲を変更するものであり、本件訂正は、特許法134条5項、平成6年法律第116号による改正前の特許法126条2項(なお、本件特許は平成2年の出願であるところ、平成6年法律第116号附則6条1項によれば、同法の施行前にした特許出願に係る特許の願書に添付した明細書又は図面についての訂正については、なお従前の例によるとされているから、現行特許法の126条3項ではなく、 平成6年法律第116号による改正前の126条2項が適用されるべきである。)に違反し、不適法なものというべきである。 イ 本件訂正後の発明が明白な無効理由を有することについて (ア) 新規性の欠如 乙2カタログ及びその拡大写真(乙12の9の3及び5)によれば、 カバー51の下端部に当接して、用土供給用ベルトコンベヤ5の幅方向に該カバー51の下端部を移動させるレバー51aが写し出されており、カバー51の側板自体がいわゆる可動式の「ウイング」となって、排出される用土の幅方向の広がりを矯正する構成を有していることが示されている。カバー51が可動式であることは、乙12の9の3と乙12の9の5に示されたレバー51aの突出量が異なることからも理解できる。 したがって、本件訂正により追加された「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')との構成は、乙2カタログに開示されているので、仮に本件訂正が訂正要件を備えたものであったとしても、新規性を欠くことが明らかである。 (イ) 進歩性の欠如 また、本件訂正により追加された「ウイング」と同様に、ベルトコンベヤの両端にウイングを配置して、搬送物の幅方向に広がりを矯正する技術は、いずれも本件発明の出願前に公知であった特開昭59-36019号公開特許公報(乙13)、実願昭53-54184号(実開昭54-157178号)のマイクロフィルム(乙14)、実願昭53-52327号(実開昭54-155291号)のマイクロフィルム(乙15)、実願昭56-15721号(実開昭57-131518号)のマイクロフィルム(乙16)、実願昭61-134649号(実開昭63-41019号)のマイクロフィルム(乙17)、米国特許第4734957号明細書(乙18)に開示されている。 したがって、本件訂正後の発明も、乙2カタログと上記周知技術とを組み合わせれば、当業者が容易に発明できたものであり、進歩性を欠くことが明らかである。 (3) 原告は、乙2カタログが刊行物(特許法29条1項3号)とは認められないと主張する。 しかし、マッコンキー社の社員が、乙2カタログが実際に頒布されていたことを証明している。また、1983年版の乙2カタログのほか、1981年版カタログ(乙12の5の3)、1982年版カタログ(乙12の8の3)、1985〜1986年版カタログ(乙12の8の4)があり、いずれのカタログにも本件発明の構成を備えている用土充填装置「FF10」が掲載されているから、乙2カタログは、1983年のうちに、少なくとも1985〜1986年版カタログが発行される1985年以前に頒布されていたことは明らかである したがって、乙2カタログが刊行物(特許法29条1項3号)とは認められないとの原告の主張は理由がない。 〔原告の主張〕 (1) 乙2カタログは、その発行日及び頒布の事実が客観的に明らかであるとはいえないから、刊行物(特許法29条1項3号)とは認められない。 (2) 本件訂正前の特許請求の範囲に係る特許発明が明白に無効であるとの主張について 乙2カタログには、次のとおり本件発明のすべての構成要件が開示されているとはいえない。 ア 乙2カタログの写真は、どこまでがベルトコンベヤでどこからがカバーの下端なのか明らかでないから、「カバーは、その下端を用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接させるように設けられ」(構成要件BA)との構成が開示されているとはいえない。 イ 乙2カタログからは、上下動させる仕切りとハンドルとの関係を示す記載はなく、ゴードン・グリーソンのレター(乙12の7の3)の記載を合わせ考慮しても、「用土の高さを規制して用土排出口から排出される用土量を調整する仕切り」(構成要件BD)との構成が開示されているとはいえない。 ウ 本件発明における用土レベル制御スイッチと乙2カタログの参考図2(別紙参照)に示された用土レベル制御スイッチ24とは、別種類のスイッチであると思われる。 また、貯留部が一杯になったことを検知するためには、貯留部となるホッパーの上流側にレベルスイッチを配置した方が誤差が少ないが、乙2カタログの参考図2(別紙参照)に示された用土レベル制御スイッチ24は、「adjustable gate」の直ぐ上流側位置にある。このような位置にレベルスイッチを設けた場合、「adjustable gate」直前の用土量の変動によって用土レベル制御スイッチ24はオンオフを繰り返すと思われるから、乙2カタログに記載された機械においては、本件発明と別の制御が行われていることを予想させるものである。 したがって、乙2カタログには「貯留部に、該貯留部内の用土の量を検知して、貯留される用土が所定量以上の時に用土供給手段から貯留部への用土の供給を停止する貯留量調整手段が設けられている」(構成要件C)との構成が開示されているとはいえない。 (3) 本件訂正後の特許請求の範囲に係る特許発明が明白に無効であるとの主張について ア 本件訂正が実質上特許請求の範囲を変更するとの主張について 本件訂正前の明細書に記載されるように、「仕切り」のみでも「供給量を調整する」機能があり、「必要なだけの用土を容器に供給できるので、容器外へ用土が溢れる量をなるべく少なくできる」(本件公報8欄6〜8行)のである。 仮に、「ウイング」が容器への用土の供給量を調整する機能がないとしても、「ウイング」によって用土の幅の調整が可能であり、その結果「仕切りおよびウイング」を設けた構成は、「仕切り」だけの構成に比べて、「必要なだけの用土を容器に供給できるので、容器外へ用土が溢れる量を少なくすることができる」という特有の効果をさらに一層、高めることができるのであるから、何ら新しい効果を追加するものではない。 したがって、本件訂正が、実質上、特許請求の範囲を変更するものであり、特許法134条5項、平成6年法律第116号による改正前の特許法126条2項に反し不適法であるとの被告らの主張は理由がない。 イ 本件訂正後の発明が明白な無効理由を有するとの主張について (ア) 新規性の欠如について 被告らは、乙2カタログ及びその拡大写真(乙12の9の3及び5)に用土の幅方向の広がりを矯正する可動式のカバー51が開示されていると主張するが、同証拠に掲載された写真は、どのような構造のカバーであるかの判別も疑わしいものである。仮に乙12の9の3と乙12の9の5に示されたレバー51aの突出量が異なるとしても、そのことが、カバー51自体がウイングのように動くことの証明にはなるものではない。さらに、乙2カタログには、カバー51が可動式で容器の幅に合わせることができる旨の記載はないし、傾斜した側板(カバー51)を回動させるヒンジ機構を設置するのは容易ではないと思われるにもかかわらず、カバー51を回動可能にするために必要な特別のヒンジ機構も見当たらない。 したがって、乙2カタログ及びその拡大写真(乙12の9の3及び5)に用土の幅方向の広がりを矯正する可動式のカバー51が開示されているとの被告らの主張は理由がない。 (イ) 進歩性の欠如について 乙13〜18に開示された技術は、搬送物供給用コンベヤと容器搬送用コンベヤを設け、容器搬送コンベヤ上を移動する容器に搬送物供給用コンベヤから容器に合った量の搬送物を入れるという前提となる構成を欠くものである。 また、乙2カタログに記載された機械は、前記(2)イ記載のとおり、上下に移動する仕切りによって用土の供給量を調整できない構成であるので、乙13〜18に開示された技術と組み合わせることはできない。また、乙2カタログには、用土供給用ベルトコンベヤから供給される容器において、多種多様な容器、特に容器の幅の違いに着目して、幅の違いによる容器から溢れる用土を少なくしようとする課題さえ記載されていない。 したがって、本件訂正後の発明は明らかに進歩性を欠くとの被告らの主張は理由がない。 4 争点(4)(損害の発生及び額)について 〔原告の主張〕 被告らは、イ号、ロ号物件を「ポッティングマシンSP-T2000型」の名称、ハ号物件を「ポッティングマシンSP-T200S型」の名称の下で、本件特許権の登録日である平成10年11月6日から、少なくとも10台以上を製造、 販売している。 原告は、本件発明の実施品を年間40ないし50台製造することができるが、現在の年間の製造、販売量は20ないし30台であり、原告の実施品の販売による利益額は、1台当たり190万円である。 そうすると、原告が被告らの被告物件の製造、販売により被った損害は、1900万円と推定される(特許法102条1項)。 〔被告らの主張〕 原告の主張事実は争う。 |
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争点に対する判断
1 争点(1)(被告物件の構成)について 被告物件の構成に関する当事者の主張は別紙「被告物件の構成(当事者の主張)」の「原告主張」欄及び「被告主張」欄に各記載のとおりである。当事者間に争いのない部分及び証拠(甲8〜12)によれば、被告物件は、少なくとも次の構成を備えていることが認められる。 (1) イ号物件の構成 a 栽培用土を貯留する貯留槽(2)と、植物栽培容器(4)を水平に搬送する第1ベルトコンベヤ(3)と、前記貯留槽(2)から第3ベルトコンベヤ(21)を介して一端部に供給された栽培用土(6)を他端側に搬送し、他端側から前記第1ベルトコンベヤ(3)で搬送されている植物栽培容器(4)に栽培用土(6)を落下させるようにした第2ベルトコンベヤ(5)とを備えている植物栽培容器への栽培用土充填装置である。 b 第2ベルトコンベヤ(5)の上方には、栽培用土の搬送方向下流側を除く三方にカバー(51)が設けられ、該カバー(51)はそのカバー下端をゴム板で構成し、そのゴム板を第2ベルトコンベヤ(5)の上面に摺接する状態に位置している。 c カバー(51)内の一側端側に第3ベルトコンベヤ(21)から供給される栽培用土が貯留される貯留部(59)が形成されるとともに、前記貯留部(59)よりも搬送方向下手側に、ヒンジを介して回動可能に設けられた第1のウイング(56)と、上下方向に移動して第2ベルトコンベヤ(5)上を搬送される栽培用土の高さを規制して前記カバーの残りの一方に形成された仕切り(53)の下の開口部(52)から植物栽培容器(4)に供給する栽培用土量を調節する仕切り(53)が設けてある。 なお、カバー(51)の他側端は、第2ベルトコンベヤ(5)のローラー部分よりも若干下流側に出ている。 d 前記第2ベルトコンベヤ(5)の搬送方向下手側の下部に、栽培用土を受ける板が設置され、その板上に固定された第2のウイング(61)とを備えている。 e 前記貯留部(59)に、該貯留部内の栽培用土(6)の量を検知して貯留される栽培用土(6)が所定量以上の時に第3ベルトコンベヤ(21)から貯留部(59)への栽培用土(6)の供給を停止する貯留量調整手段(24)(25)が設けてある。 (2) ロ号物件の構成について a 栽培用土を貯留する貯留槽(2)と、植物栽培容器(4)を水平に搬送する第1ベルトコンベヤ(3)と、前記貯留槽(2)から第3ベルトコンベヤ(21)を介して一端部に供給された栽培用土(6)を他端側に搬送し、他端側から前記第1ベルトコンベヤ(3)で搬送されている容器(4)に栽培用土(6)を落下させるようにした第2ベルトコンベヤ(5)とを備えている植物栽培容器への栽培用土充填装置である。 b 第2ベルトコンベヤ(5)の上流側には、栽培用土の搬送方向下流側を除く三方に第1カバー(51-1)が設けられ、該第1カバー(51-1)よりも搬送方向下手側に大型2枚の側板からなる第2カバー(51-2)が設けられ、第2ベルトコンベヤ(5)の両側(第1カバー(51-1)及び第2カバー(51-2)の外側)には傾いた低い側壁からなる第3カバー(51-3)が設けてあり、第1カバー(51-1)、第2カバー(51-1)及び第3カバー(51-3)は、それぞれそれら下端をゴム板で構成し、それらゴム板が第2ベルトコンベヤ(5)の上面に摺接する状態に位置している。 c 第1カバー(51-1)内の一側端側に第3ベルトコンベヤ(21)から供給される栽培用土が貯留される貯留部(59)が形成されるとともに、第2カバー(51-2)の下流側出口から出た栽培用土が植物栽培容器(4)に供給されるようになっている。 d 前記貯留部(59)よりも搬送方向下手側で、第2カバー(51-2)の下流側出口よりも上手側に、上下方向に移動して第2ベルトコンベヤ(5)上を搬送される栽培用土の高さを規制して植物栽培容器(4)に供給する栽培用土量を調整する仕切り(53)が設けてあり、回動軸により回動可能に設けられた2枚の第2カバー(51-2)は、搬送方向下手側に行くにしたがって両者の間の幅が狭くなっており、回動することによりその幅を変えることができる。 e 前記貯留部(59)に、該貯留部内の栽培用土(6)の量を検知して貯留される栽培用土(6)が所定量以上の時に第3ベルトコンベヤ(21)から貯留部(59)への栽培用土(6)の供給を停止する貯留量調整手段(24)(25)が設けてある。 (3) ハ号物件の構成について a 栽培用土を貯留する貯留槽(2)と、植物栽培容器(4)を水平に搬送する第1ベルトコンベヤ(3)と、前記貯留槽(2)から第3ベルトコンベヤ(21)を介して栽培用土(6)をカバー(51)内に供給し、一端側から前記第1ベルトコンベヤ(3)で搬送されている容器(4)に栽培用土(6)を落下させるようにした第2ベルトコンベヤ(5)とを備えている植物栽培容器への栽培用土充填装置である。 b 第2ベルトコンベヤ(5)の上方には、下流側を含め四方を断面ロの字で囲むカバー(51)が設けられ、該カバー(51)はそのカバー下端をゴム板で構成し、そのゴム板が第2ベルトコンベヤ(5)の上面に摺接する状態に位置している。 c カバー(51)内に栽培用土供給手段(21)から供給される栽培用土が貯留される貯留部(59)が形成され、カバー(51)の下流側壁に貯留部(59)内の用土を排出する貯留部開口が設けてあり、さらに下流の第2ベルトコンベヤ(5)の端部から栽培用土が植物栽培容器(4)に落下するようになっている。 d 前記貯留部(59)を構成するカバー(51)の下流側壁に、上下方向にスライド移動可能で、第2ベルトコンベヤ(5)上を搬送される栽培用土の高さを規制して植物栽培容器(4)に供給される栽培用土量を調節する仕切り(53)が設けられており、また、その搬送方向下手側に貯留部の一端から排出される栽培用土の幅を矯正するウイング(56)が設けられている。 e 前記貯留部(59)に、該貯留部内の栽培用土(6)の量を検知して貯留される栽培用土(6)が所定量以上の時に第3ベルトコンベヤ(21)から貯留部(59)への栽培用土(6)の供給を停止する貯留量調整手段(24)(25)が設けてある。 2 原告は、本件特許権について、本件訂正を請求している。そして、未だ本件訂正は確定していないものの、もし、被告らが主張するように、乙2カタログ(なお、被告らはこの乙2カタログを理由として無効審判請求を申し立てている。乙1)の存在により本件特許権が明白な無効理由を有することになるとするならば、 本件訂正後の明細書に基づいて、被告物件がその技術的範囲に属するか否かを論ずべきことになるので、まず、この点について判断する。 (1) 原告は、乙2カタログは刊行物(特許法29条1項3号)に当たるとはいえないと主張する。 しかし、乙2カタログは、用土充填装置及びそのオプション品の機能説明や価格を紹介するもので、末尾には支払条件、最低注文額、出荷及び返品に関する事項等の販売条件が記載されており、ユーザーに対し頒布することを予定した内容になっている。さらに、乙2カタログの表紙には「1983」と明記され、「このカタログに記載の値段は1983年1月1日付けで有効です。」(カタログ92頁)と記載されているから、1983年ころに作成、頒布されたものと推認できる。 したがって、乙2カタログは、本件特許の出願日(平成2年(1990年)1月31日)以前に頒布されたものであって、特許法29条1項3号の「刊行物」に当たるというべきでる。 (2) 乙2カタログによれば、次の技術が開示されているものと認められる。 ア 「花壇用植物栽培者、温室作業者、苗木業者、林業者の皆さん……木製、プラスチック、メタル、どんな種類のフラット容器でも、またフラット容器にインサートや植木鉢が入っていても、簡単に用土を充填することが出来ます。……速度は、毎分10〜42フィートの間で調節可能です。……土は(通常、貯留槽から)用土充填装置に送られ、調整仕切り(アジャスタブルゲート)とコンベヤベルトによって所望の量が容器に計量供給されます。」(カタログ40頁左下欄) この記載から、乙2装置は、植物を栽培する容器に用土を充填する装置であること、また、植物を栽培する用土であるから、充填する用土は栽培条件に調整されたものであることが開示されているといえる。 イ 「用土高さ制御スイッチ(Soil Level Control) モデルFFSL-20 この光電スイッチは、用土充填装置の中で、メータリングベルトへの用土の供給量を自動的に制御し、用土量を適切に維持します。」(カタログ42頁右欄) この記載から、乙2装置の「Soil Level Control」(「Soil Level Switch」ともいう。)は、用土の量を検知して、「Metering Belt」への用土の供給量を自動調節していることが開示されている。 ウ 「光電制御(Electric Eye Control) モデルEEC-20-A 容器への充填が妨げられた場合、いつでも用土充填装置を止め、容器がない状態で作業が進むのを防ぎ、用土戻しへの用土の積み過ぎを防ぎます。容器が光電部の前に押し出されると用土充填装置は自動的に再開します。」(カタログ42頁左下) この記載から、乙2装置の「Electric Eye Control」は、容器が押し出されたことを検出するから、「Main Conveyor」上に並ぶ4つの長方形は容器と認められ、また、矢印は進行方向(右から左方向)を示し、容器は水平方向に搬送されることが開示されている。 エ 乙2カタログ42頁の下図(別紙参考図3)には、下方より、「Main Conveyor」(主コンベヤ)、「Metering Belt」、「Feed Bin」(供給箱)の3つの部材が記載されており、「Feed Bin」の底部は「Main Conveyor」、「Metering Belt」と同様の構造である。 また、「Feed Bin」の上方には、「Adjustable Feed Bin Gate」が、「Metering Belt」の上方には「Soil Level Switch」と「Adjustable Metering Gate」が、その右方には「Adjustable Funnels」が、「Main Conveyor」の上方には、「Electric Eye Control」が記載されている。さらに「Main Conveyor」の上側には左方向の矢印が、「Metering Belt」と「Feed Bin」の上側には右方向の矢印が記載されている。 オ 「Adjustable Metering Gate」は、前記ア記載のとおり(「調整仕切り」に該当する。)「容器に供給する用土の量を調整する機能」を有しており、乙2カタログ40頁上の写真(別紙参考図1)、同42頁右中の写真(別紙参考図2)によれば、その下方を用土が通過していることから、「Adjustable Metering Gate」は上下に移動可能であると推認できる。 カ さらに、同42頁右中の写真(別紙参考図2)によれば、用土は壁状の部材で囲まれており、用土が壁状の部材の下部から漏れていないことから、壁状の部材はベルトコンベヤとの間に用土が漏れる隙間がないように摺接しているものと認められる。 (3) 以上をもとに、本件発明の構成要件に従って乙2カタログに記載の技術を記載すると、次のとおりとなる。 A@ 所望植物栽培条件に調整された用土を貯留する「Feed Bin」(貯留槽)と、 A 植物栽培用の容器を水平方向に搬送する「Main Conveyor」(容器搬送手段)と、 B 「Feed Bin」の底部の構成(用土供給手段)を介してその一側端部に前記「Feed Bin」(貯留槽)の用土が供給され、この用土を他側端へ搬送するとともに他側端の供給部から落下させ前記「Main Conveyor」(容器搬送手段)により搬送されてくる容器に供給する「Metering Belt」(用土供給用ベルトコンベヤ) とを備えてなる植物栽培用容器への用土充填装置において、 B@ 「Metering Belt」(用土供給用ベルトコンベヤ)が壁状の部材(カバー)で囲まれており、 A 該壁状の部材(カバー)は、その下端を「Metering Belt」(用土供給用ベルトコンベヤ)のベルト上面に摺接させるように設けられ、 B 一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備えると共に、 C 他側端側に容器に用土を供給するための「Adjustable Funnels」(用土排出口)を有し、 D 前記貯留部より搬送方向後方に、上下方向に移動して、「Metering Belt」(用土供給用ベルトコンベヤ)上を搬送される用土の高さを規制して「Adjustable Funnels」(用土排出口)から排出される用土量を調整する「Adjustable Metering Gate」(仕切り)を備えており、 C 前記貯留部に、該貯留部内の用土の量を検知して、貯留される用土が所定量以上の時に「Feed Bin」の底部の構成(用土供給手段)から貯留部への用土の供給を制御する「Soil Level Switch」(貯留量調整手段)が設けられている D ことを特徴をする植物栽培用容器への用土充填装置。 (4) そうすると、乙2カタログに記載の技術と本件訂正前の発明は、次の3点で相違し、その他格別の相違点は認められない。 @ 貯留量調整手段を設ける位置が、本件訂正前の発明では、貯留部の位置であるのに対し、乙2カタログの技術における「Soil Level Switch」では、「Feed Bin」(貯留槽)より下流であって、かつ「Adjustable Metering Gate」(仕切り)の上流位置である点 A 貯留量調整手段が用土の量を調整する制御として、本件訂正前の発明では用土の供給を停止しているのに対し、乙2カタログの技術における「Soil Level Switch」(貯留量調整手段)に関しては、その具体的記載がない点 B 用土供給用ベルトコンベヤに用土が供給される位置が、本件訂正前の発明では、その一側端部であるのに対し、乙2カタログ記載の技術(乙2カタログ42頁下図。別紙参考図3参照)では、そのほぼ中央である点 (5) しかしながら、上記@の相違点についてみると、乙2カタログの技術の貯留量調整手段は、用土供給用ベルトコンベヤ上の用土の量が所定量以上とならないように制御している点で、本件訂正前の発明の貯留量調整手段と同一の機能を有しており、貯留量調整手段を設ける位置として貯留部とするか、あるいは、該貯留部より下流であって、かつ、仕切りの上流位置にするかに作用効果上の格別の差異は認められないので、貯留量調整手段を貯留部位置に設けて本件訂正前の発明のように構成することは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないものと認められる。 上記Aの相違点についてみると、一般に供給量を制御する際に、供給と供給停止とを切り換えて制御する制御方法は、周知慣用の制御方法であり、用土の量の調整制御に適用することに格別の困難性は認められない。 また、上記Bの相違点についてみると、乙2カタログには「土壌戻し装置(Soil Return)」付きの植物栽培用容器への用土充填装置の写真(乙2カタログ40頁右上、43頁右中)が掲載されており、これら装置では、カバーの一側端部であって、かつ、用土供給用ベルトコンベヤの一側端部に用土が戻されている。また、 用土を供給する位置として、用土供給用ベルトコンベヤの一側端部とするか、あるいは、一側端部より中央側の位置とするかについて作用効果上の格別の差異を有するものとは認められない。そうすると、用土供給用ベルトコンベヤ上に用土を供給する位置をその一側端部とするか中央部とするかは、当業者が適宜なし得る設計的事項と認められ、本件訂正前の発明のようにその一側端部に供給するように構成することに格別の困難性は認められない。 (6) したがって、本件訂正前の発明は、本件特許出願前に当業者が乙2カタログに記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであることは明白であるから、本件訂正前の発明に基づいて権利行使することは権利の濫用に当たり許されないというべきである。 (7) なお、被告らは、本件訂正により特許請求の範囲に追加された「ウイング」の効果が、排出される用土の量を調整するものであるならば、本件訂正後の発明は、訂正前の発明と異なる効果を奏する構成を追加するものであり、実質上、特許請求の範囲を変更するものであって、特許法134条5項、平成6年法律第116号による改正前の特許法126条2項に違反すると主張するので検討する。 ア 本件訂正は、特許請求の範囲の構成要件BDの部分を、「前記貯留部より搬送方向後方に、上下方向に移動して、用土供給用ベルトコンベヤ上を搬送される用土の高さを規制して用土排出口から排出される用土量を調整する仕切りおよび用土の幅方向の広がりを矯正するウイング を備えており、」(下線部は訂正部分を示す。)と訂正するものであり、用土の幅方向に広がりを矯正するウイングを備えた用土充填装置に限定するものである。 イ そして、本件公報の【発明の詳細な説明】の【実施例】の項に、「第1仕切り53と第2仕切り54の間のカバー51内壁面には、ヒンジ55を介して回動自在な一対のウイング(図では片方しかあらわれていない)56が設けられて、 両ウイング56の先端を内側に回動させてその幅を狭めることによって用土6の幅方向の広がりも矯正できるようになっている。」(5欄5〜10行)と記載されている。 また、第2図(本件発明に係る用土充填装置の第2ベルトコンベヤ部分の一部切欠側面図)には、カバー51の内壁面にヒンジ55を介して回動自在なウイング56が設けられている状況が示されている。 ウ 本件公報に記載されているように、ウイングが用土の幅方向の広がりを矯正できるのであれば、流動性を有する用土の排出量も調整できるものと解されるから、本件訂正後の発明が「ウイング」が排出される用土の量を調整する機能を有するとしても、それは、訂正前の発明に開示されていたものといえる。 エ よって、本件訂正が実質上、特許請求の範囲を変更するものであって、 特許法134条5項、平成6年法律第116号による改正前の特許法126条2項に違反するとの被告らの主張は理由がない。 (8) 以上のとおり本件訂正は訂正要件を備えた適法なものと解されるので、以下、本件訂正後の発明を前提として、被告物件がその技術的範囲の技術に属するか否かを検討する。 3 争点(2)(被告物件は本件訂正後の発明の技術的範囲に属するか否か)について (1) 被告物件は本件訂正後の発明の「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')との構成を備えているか(争点(2)オ)について検討する。 ア まず、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」の解釈について検討する。 (ア) 「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」は、前記のとおり本件訂正により特許請求の範囲に付加された構成である。 訂正請求は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内でしなければならない(平成6年法律第116号による改正前の特許法134条2項ただし書)ところ、仮に、本件訂正後の発明が、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲を超えるものであれば、訂正要件を欠く違法な訂正となる。 (イ) そこで、本件訂正前の明細書及び図面の記載について検討する。 a ウイングに関する本件公報中の記載は、前記2(7)イ記載のとおりであり、そのほかに、ウイングの設置状況を示す記載はない。 b そして、ウイングが設置されるカバーに関しては、特許請求の範囲によれば、用土供給用ベルトコンベヤがカバーで囲まれること(構成要件B@)、 カバーはその下端を用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接させるように設けられていること(構成要件BA)、カバーの一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備えること(構成要件BB)、カバーの他側端側に容器に用土を供給するための用土排出口を有すること(構成要件BC)との構成が記載されている。 したがって、カバーは、用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接するように設けられ、用土が貯留される貯留部と、用土を排出する用土排出口を形成するものとされ、用土排出口から排出される用土の量や幅を調整するのは、 上下方向に移動して用土供給用ベルトコンベヤ上を搬送される用土の高さを規制する仕切り(構成要件BD)や、上記a記載の「ウイング」であって、本件公報において、カバー自体が、排出される用土の量や幅を調整する機能を有する旨の記載はない。 c そうすると、本件訂正前の明細書及び図面においては、カバーの構成は、用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接するように設けられ、用土が貯留される貯留部と、用土を排出する用土排出口を形成するものとされており、一方、ウイングの構成は、カバーとは別体に形成されて、用土の幅を矯正するものとされているのであるから、ウイングがカバーを兼ねる構成については、何ら記載がないといわざるを得ない。 したがって、本件訂正後の構成要件BD'における「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」とは、カバーの内壁面にヒンジを介して回動自在に設けられたカバーとは別部材のウイングであって、用土の幅方向の広がりを矯正する作用を有するものと解すべきである。そのように解さなければ、換言すれば、構成要件BD'の「ウイング」が上記構成以外のものを含むとするならば、本件訂正前の明細書及び図面に記載した事項の範囲を超える訂正となって、平成6年法律第116号による改正前の特許法134条2項ただし書に違反する違法なものになってしまうことになる。 イ イ号物件について (ア) 構成要件BD'によれば、同ウイングは、「用土供給用ベルトコンベヤ上を搬送され……用土排出口から排出される用土」について、その「幅方向の広がりを矯正する」機能を有するものでなければならない。 (イ) 原告は、イ号物件の第1のウイング(56)が、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」に該当すると主張する。 しかしながら、甲8(イ号物件の外観写真)の写真6、乙23(イ号物件の動作状態を示す写真)及び乙24(ビデオテープ)によれば、第2ベルトコンベヤ(5)によって搬送される栽培用土(6)は、第1のウイング(56)でいったんは用土幅が矯正されるものの、再度カバー(51)の幅方向いっぱいに広がり、その状態で仕切り(53)の下の開口部(52)を通過し、第2ベルトコンベヤの端から滑り落ちる際、固定して設けられた第2のウイング(61)の間を通過して、植物栽培容器(4)に供給されることが認められる。 (ウ) そうすると、イ号物件においては、仕切り(53)の下の開口部(52)が「用土排出口」に該当するところ、上記のとおり、栽培用土(6)が仕切り(53)の下の開口部(52)を通過する時点では、栽培用土(6)はカバー(51)の幅方向いっぱいに広がっているから、第1のウイング(56)は「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」に該当しないというべきである。 なお、上記のとおり、第2のウイング(61)は、植物栽培容器(4)に供給される際に、用土の幅方向を狭める機能を有している。しかし、上記ア記載のとおり、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」とは、カバーの内壁面にヒンジを介して回動自在に設けられたカバーとは別部材のウイングと解すべきであるところ、第2のウイング(61)は、固定式であって回動自在のものではないから、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')には当たらないというべきである。 その他、イ号物件が上記構成要件BD'の構成を備えていることを認めるに足りる証拠はない。 ウ ロ号物件について (ア) 原告は、第2カバー(51-2)が、第1カバー(51-1)及び第3カバー(51-3)とともに「カバー」を構成するとともに、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」にも該当すると主張する。 (イ) しかし、前記ア記載のとおり、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」とは、カバーの内壁面にヒンジを介して回動自在に設けられたカバーとは別部材のウイングであって、用土の幅方向の広がりを矯正する作用を有するものと解すべきであるところ、第2カバー(51-2)は「カバー」とは別部材のものではないから、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')には当たらないというべきである。 (ウ) なお、ロ号物件は、第2ベルトコンベヤ(5)の両側(第1カバー(51-1)及び第2カバー(51-2)の外側)には傾いた低い側壁からなる第3カバー(51-3)が設けてあり、第3カバー(51-3)はその下端をゴム板で構成し、そのゴム板が第2ベルトコンベヤ(5)の上面に摺接する状態に位置している。 原告は、第3カバー(51-3)も、第1カバー(51-1)及び第2カバー(51-2)とともに、本件発明の「カバー」に当たることを前提として、この第2カバー(51-2)と第3カバー(51-3)の構成は、本件明細書第2図において、ウイング(ロ号物件の第2カバー(51-2)に相当)を長手方向に長く形成するとともに、そのウイングがある外側のカバーを低くした構成(ロ号物件の第3カバー(51-3)に相当)と、基本的に何ら変わらないと主張する。 しかし、カバーは、「用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部」を形成するもの(構成要件BB)であるが、ロ号物件において第3ベルトコンベヤ(栽培用土供給手段)(21)は第1カバー(51-1)及び第2カバー(51-2)の内部に用土を供給し、第1カバー(51-1)及び第2カバー(51-2)が貯留部を形成するのであって、第3カバー(51-3)は、貯留部を形成する機能を果たしていないから、本件発明の「カバー」には当たらないというべきである。したがって、第3カバー(51-3)が本件発明の「カバー」に当たることを前提とする原告の主張は理由がない。 (エ) その他、ロ号物件が上記構成要件BD'の構成を備えていることを認めるに足りる証拠はない。 エ ハ号物件について 原告は、ウイング(56)が「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」に該当すると主張する。 しかし、前記ア記載のとおり、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」とは、カバーの内壁面にヒンジを介して回動自在に設けられたカバーとは別部材のウイングであって、用土の幅方向の広がりを矯正する作用を有するものと解すべきであるところ、ウイング(56)は、甲12(ハ号物件の外観写真)の写真7、 8によれば用土の幅方向の広がりを矯正する機能を有していることが認められるものの、カバー(51)の外側に設けられたものであって、カバー(51)の内壁面に設けられたものではないから、「用土の幅方向の広がりを矯正するウイング」(構成要件BD')には当たらないというべきである。 その他、ハ号物件が上記構成要件BD'の構成を備えていることを認めるに足りる証拠はない。 (2) ハ号物件は、「用土供給手段を介してその一側端部に貯溜槽の用土が供給される」(構成要件AB)との構成及び「一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備える」(構成要件BB)との構成を備えているか(争点(2)ウ)について検討する。 構成要件AB及びBBの前後を含む構成要件をみると、「用土供給手段を介してその一側端部に前記貯溜槽の用土が供給され、この用土を他側端へ搬送するとともに他側端の供給部から落下させ……用土供給用ベルトコンベヤ」(構成要件A)、「該カバーは、その下端を用土供給用ベルトコンベヤのベルト上面に摺接させるように設けられ、」(構成要件BA)、「一側端側に……貯留される貯留部を備えると共に」(構成要件BB)、「他側端側に……用土排出口を有し、」(構成要件BC)と記載されているから、貯留部が備えられる「一側端側」とは、「カバーの用土排出口と反対側の一側端側」であり、用土供給手段を介して貯溜槽の用土が供給される「一側端部」とは「用土供給用ベルトコンベヤの用土排出口と反対側の一側端部」をいうと解すべきである。 甲12(ハ号物件の外観写真)の写真9によれば、カバー(51)で囲まれる全体が、第3ベルトコンベヤ(栽培用土供給手段)(21)から供給される用土が貯留される貯留部(59)を構成していること、また、第3ベルトコンベヤ(栽培用土供給手段)(21)による用土の供給位置は、カバー(51)の仕切り(53)側及びその他側端側との間のほぼ中央であることが認められる。 したがって、ハ号物件は、「(用土供給用ベルトコンベヤの用土排出口と反対側の)一側端部に貯溜槽の用土が供給される」(構成要件AB)及び「(カバーの用土排出口と反対側の)一側端側に用土供給手段から供給される用土が貯留される貯留部を備える」(構成要件BB)との構成を備えていない。 4 以上によれば、イ号及びロ号物件は、本件訂正後の発明の構成要件BD'を、 ハ号物件は、同構成要件BD'のほか同構成要件AB及びBBを、それぞれ備えておらず、本件訂正後の発明の技術的範囲に属するものとはいえない。 よって、原告の請求は、その余の争点について判断するまでもなく、いずれも理由がない。 |
裁判長裁判官 | 小松一雄 |
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裁判官 | 阿多麻子 |
裁判官 | 前田郁勝 |