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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20ワ14169損害賠償請求事件 判例 特許
平成21ワ1652損害賠償請求事件 判例 特許
平成21ワ18950特許権侵害差止請求事件 判例 特許
平成20ワ30272損害賠償請求事件 判例 特許
平成12ワ17298損害賠償等請求事件 判例 特許
関連ワード 外国の特許 /  製造方法 /  使用方法 /  新規性 /  アクセス /  進歩性(29条2項) /  下位概念 /  技術的範囲 /  出願公開 /  同一の発明 /  試行錯誤 /  技術常識 /  発明の詳細な説明 /  遡及 /  実質的に同一 /  警告 /  時効 /  ライセンス /  抵触 /  援用権(援用) /  存続期間 /  参酌 /  数値限定 /  同一の作用効果 /  特許発明 /  実施 /  加工 /  交換 /  構成要件 /  構成要件充足性 /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  過失推定(過失の推定) /  損害額 /  損害額推定(損害額の推定) /  販売数量(販売数) /  販売利益 /  不法行為(民法709条) /  実施権 /  専用実施権 /  通常実施権 /  実施許諾(実施の許諾) /  設定登録 /  クロスライセンス /  訂正審判 /  誤訳の訂正 /  請求の範囲 /  減縮 /  変更 /  釈明 /  訂正明細書 /  訂正要件 /  審決確定(審決が確定) /  取消決定 /  費用の額 / 
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事件 平成 19年 (ワ) 2076号 損害賠償請求事件
原告株式会社イシダ
訴訟代理人弁護士伊原友己 加古尊温 岩坪哲 速見禎祥
補佐人弁理 士吉村雅人藤岡宏樹
被告大 和製衡株式会社
訴訟代理人弁護士三山峻司 井上周一 金尾基樹
補佐人弁理 士角田嘉宏古川安航 佃誠玄
裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 2010/01/28
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1被告は,原告に対し,14億9847万9183円及びこれに対する平成19年1月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3訴訟費用は,これを2分し,それぞれを各自の負担とする。
- 2 -4この判決の第1項は仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
第1請求被告は,原告に対し,30億円及びこれに対する平成19年1月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件は,発明の名称を「組合せ計量装置」とする後記特許権を有していた原告が,被告による組合せ計量装置の製造販売が同特許権を侵害するとして,被告に対し,特許権侵害不法行為(民法709条)に基づき,損害賠償金30億円及びこれに対する不法行為の日の後である平成19年1月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1前提事実(末尾の証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない )。
( )原告の特許権1ア原告は,次の特許(以下「本件特許」という )に係る特許権(以下, 。
「本件特許権」という。また,本件特許の特許請求の範囲に記載の発明〔後記本件訂正後のもの〕を「本件特許発明」といい,本件特許に係る明細書[後記本件訂正後のもの]を「本件明細書」という。なお,特許請求の範囲の下線部は本件訂正による訂正個所である )を有していた(本件 。
特許権は,平成18年11月15日存続期間満了により消滅した。。)登録番号特許第2681104号発明の名称組合せ計量装置出願日昭和61年11月15日公開日昭和63年5月31日登録日平成9年8月8日特許請求の範囲「被計量物品を貯蔵し排出する複数種類のホッパと,各ホッパの排出口にそれぞれ設けられたゲートと,各ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組合せ計量装置であって,前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモータであり,前記ステップモータによりゲートを開閉駆動する,指定されたホッパについて,当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,組合せ演算の結果選択されたホッパについて設定されたゲートの動作変化に基づいて前記ステップモータを制御する制御手段とを設け,前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,被計量物の種類や供給量に応じて,前記指定されたホッパについての前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする組合せ計量装置 」。
イ本件特許発明は次の構成要件に分説するのが相当である。
A被計量物品を貯蔵し排出する複数種類のホッパと,B各ホッパの排出口にそれぞれ設けられたゲートと,C各ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組合せ計量装置であって,D前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモータであり,E前記ステップモータによりゲートを開閉駆動する,指定されたホッパについて,当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,F組合せ演算の結果選択されたホッパについて設定されたゲートの動作変化に基づいて前記ステップモータを制御する制御手段とを設け,G前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,H被計量物の種類や供給量に応じて,前記指定されたホッパについての前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする組合せ計量装置。
( )本件訂正に至る経緯2ア本件特許権の登録時の特許請求の範囲の記載は次のとおりであった(甲2 。)「被計量物品を貯蔵し排出するホッパと,該ホッパの排出口に設けられたゲートと,該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって,前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け,被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置 」。
イ原告は,平成19年2月13日,特許庁に対し,特許請求の範囲減縮を目的とする訂正審判を請求し,これを認める内容の訂正審決がなされ,同審決は同年3月20日に確定した(以下,同訂正を「第次訂正」とい1う。第1次訂正後の特許請求の範囲の記載は次のとおりであった(下 。)線部は訂正個所である(乙96の2)。)。
「被計量物品を貯蔵し排出するホッパと,該ホッパの排出口に設けられたゲートと,該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって,前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け,前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置 」。
ウ被告は,平成19年7月13日,本件特許について無効審判を請求したところ,特許庁は,平成20年6月18日,本件特許は特許法29条2項に違反してされたものであるから同法123条1項2号によりこれを無効とする審決をした(乙154 。)エ原告は,平成20年7月2日,知的財産高等裁判所に対し,上記ウの審決に対する取消訴訟を提起するとともに,同月28日,特許庁に対し,特許請求の範囲減縮等を目的とする訂正審判を請求した(甲49の1,甲50の1・2 。)知的財産高等裁判所は,原告による上記訂正審判請求を受け,同年9月29日,特許法181条2項により,事件を審判官に差し戻すため,上記無効審決を取り消す旨の決定をした(甲53 。)オ原告は,同年10月14日,上記取消決定後の無効審判において,上記エと同じ内容の訂正請求(以下「本件訂正請求」という )をした。これ。
により,上記エの訂正審判請求は取り下げられたものとみなされた(特許法134条の3第4項参照 。)カ特許庁は,平成20年12月15日,本件訂正請求に基づく訂正を認めた上,被告の無効審判請求は成り立たない旨の審決をした(甲60 。)被告は,知的財産高等裁判所に対し,同審決に対する取消訴訟を提起したが,同裁判所は,平成21年10月8日,被告の請求を棄却する判決をし,同判決は確定した(以下,同判決の確定による本件訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。本件訂正により,特許請求の範囲の記載は 。)上記( )ア掲記のとおりとなった(本件明細書の内容は原告作成に係る平1成20年10月14日付け訂正請求書に添付された全文訂正明細書[甲57の2]に記載のとおりである。以下,本件明細書の記載個所を摘示する場合は同全文訂正明細書の頁数等を摘示する。。)( )原告による本件特許発明実施3原告は,遅くとも平成7年から平成16年までの間,本件特許発明実施品である組合せ計量装置「CCW-RZ」シリーズを製造販売し,遅くとも平成16年から現在に至るまで本件特許発明実施品である組合せ計量装置「CCW-R」シリーズを製造販売している(弁論の全趣旨 。)( )被告の行為4被告は,本件特許権の存続期間中,別紙被告物件説明書の「1商品名」欄に記載の各計量装置(以下,同欄記載の各計量装置を上から順に「SIGMA「ALPHA「SIGMAPLUS「SIGMACOMP 」,」, 」,ACT「ALPHAPLUS「SIGMAF1「SDW「S 」, 」,」,」,NX」といい,併せて「被告物件」という。なお 「SIGMAF1」及 ,び「SDW」の販売の有無については後記のとおり争いがあるので,これらの計量装置を除くその余の被告物件を「被告物件」ということもある 。)2争点( )被告による「SIGMAF1」及び「SDW」の販売の有無(争点1)1( )被告物件は本件特許発明技術的範囲に属するか(争点2) 2( )本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか-本件特許には昭 3和62年法律第27号による改正前の特許法36条3項(以下「旧特許法36条3項」という )及び同条4項(以下「旧特許法36条4項」とい 。
う )違反の無効理由があるか-(争点3) 。
( )本件特許権侵害についての被告の過失の有無(争点4)4( )消滅時効の成否(争点5)5( )原告の損害(争点6)6ア日本国内で製造され日本国外向けに販売された被告物件が損害賠償の対象に含まれるか(争点6- )1イ原告の損害の額(争点6-2)第3争点に関する当事者の主張1争点1(被告による「SIGMAF1」及び「SDW」の販売の有無)について【原告の主張】平成17年10月2日発行の「2006日本包装機械便覧 (甲18 ,平」)成18年10月2日発行の「2007日本包装機械便覧 (甲19)及び同」日発行の「2007包装関連機器カタログ集 (甲20)には 「SIGMA 」,F1」が紹介されており,被告が「SIGMAF1」の販売の申出をしていたことは明らかであるから,この販売の申出に基づき,本件特許権の存続期間満了日の平成18年11月15日までに受注していた事実も十分にうかがい知れる。
また 「SDW」についても,主要諸元や微細な寸法まで記載されたカタ ,ログ(甲9)が頒布されていることからして,被告が「SDW」を販売していたことは明らかである。
【被告の主張】被告は,平成16年12月ころから「SIGMAF1」の開発を企画し,平成17年4月のドイツでの展示会に出展する際にカタログ(甲8)を作成して頒布した。しかし,その後,新シリーズが開発されたため,平成18年1月ころには 「SIGMAF1」の開発は中止となり販売されることはなかっ ,た。
また,被告は,平成16年8月ころから 「SDW」の開発を企画し,平成 ,18年1月の米国での展示会に出展する際にカタログ(甲9)を作成して頒布したが 「SDW」についても,販売することなく現在に至っている。 ,2争点2(被告物件は本件特許発明技術的範囲に属するか)について【原告の主張】( )被告物件の構成1被告物件の構成は,別紙被告物件説明書に記載のとおりであり,これを本件特許発明構成要件に対応させて分説すると次のとおりとなる。
aフィードホッパ,計量ホッパ,メモリホッパ,集合ホッパ等の複数種類のホッパを有する。
b各ホッパの排出口にはそれぞれゲートが設けられている。
c各ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組合せ計量装置である。
dゲートを開閉駆動するモータは,ホッパ毎に設けられたステップモータである。
e各ゲートが開き始めてから閉じるまでの間の該ゲートを開閉駆動するステッピングモータの動作変化を,時々刻々に刻まれたステップ毎に,送出パルス数,パルス速度及び回転方向という情報として表したテーブルを有し,該テーブル上に前記情報を任意に設定可能なパターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウを備えており,該パターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウによる設定は,タッチパネルにおいて指定された,ステッピングモータによりゲートを開閉駆動するフィードホッパ,計量ホッパ,集合ホッパ,及び/又はメモリホッパについて行われる。
f組合せ演算の結果選択されたホッパについて,設定されたテーブル上の情報に基づいてステッピングモータを制御する制御部を有する。
g前記パターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウはタッチパネルに含まれている。
h前記タッチパネルに表示されたパターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウによって数値を任意に設定することにより,被計量物の種類あるいは供給量に応じて,指定されたホッパについてのゲートの開閉動作を任意に制御可能である組合せ計量装置である。
( )構成要件AないしDの充足2被告物件の上記構成aないしdによれば,被告物件が本件特許発明構成要件AないしDを充足することは明らかである。
( )構成要件Eの充足性3ア被告物件の構成eによれば,被告物件が本件特許発明構成要件Eを充足することは明らかである。
イ被告の主張に対する反論(ア)「指定されたホッパ」について被告は,構成要件Eの「指定されたホッパ」に関して 「複数存在す,る同一種類のホッパのうちの1個1個のホッパ毎に指定を行う」という意味であるとして,1個1個のホッパ毎にモータの動特性データをテーブルに設定する入力手段を有しない被告物件は構成要件Eを充足しないと主張する。
しかしながら,本件明細書の「ホッパゲートの開度指定やスピード変更は,全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば 」,(7頁3行〜4行)との記載からすれば,供給ホッパあるいは計量ホッパという種類毎の「全てのホッパを対象にして一括して設定する」態様を含むものと考えられる。また,被告が上記主張を根拠付けるものとして指摘する本件明細書の第4図(b)及び特開昭58-223718号公報の記載は,あくまで実施例に関する記載であるし,同公報においても「計量セクション12Aは補正充填用,計量セクション12Bは荒充填用の例」とされており(3頁左下欄4行〜5行 ,セクション12A)とセクション12Bとは異なる機能が付与された異種のホッパセクションと位置づけられているのであるから,構成要件Eの「指定されたホッパ」が「1個1個のホッパ」であることの根拠となるものではない。さらに,組合せ演算の結果選択されるかどうか予測のつかない1個1個のホッパ毎に予め開度指定,開閉周期指定を行うことは技術的に意味をなさない。
そうすると,構成要件Eの「指定されたホッパ」とは,字義どおり,複数のホッパを有する組合せ計量装置における該複数のホッパ中の指定されたホッパの意味と捉えるべきである。
フィードホッパ,計量ホッパ,メモリホッパ,集合ホッパ毎にゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を設定する被告物件は構成要件Eの「指定されたホッパ」との要件を充足することは明らかである。
(イ)「刻々の動作変化を…設定」について被告は,被告物件ではテーブルの各行に設定されるのは「初期速度」にすぎないから,構成要件Eの「刻々の動作変化を・・・設定」との要件を充足しないと主張するが 「刻々の動作変化」が所定期間毎の「初期 ,速度」を排除しているとする理由を見いだすことはできない。
(ウ)「テーブル」についてa被告は,本件特許発明にいう「テーブル」に関して,?本件特許発明にいう「テーブル」とは,コンピュータのメモリ上に記憶されるデータテーブルのことを指すから,被告物件の入力画面上のテーブルはこれに該当しない,?本件特許発明にいう「テーブル」とは,パルス毎に動特性データ(パルス数,パルス周期,回転方向等)を入力するものであることが必須である,?被告物件において,パルス周期と回転方向というモータの動特性データが格納される二次テーブルは,モータ設定画面において入力されるパルス数と速度のテーブルである一次テーブルの値に基づいてコンピュータにより自動的に生成されるものであるから,本件特許発明にいう「テーブル」には該当しないとして,被告物件には本件特許発明にいう「テーブル」がないと主張する。
b被告の主張?について「テーブル」の普通の用語としての意味は広辞苑第5版(甲13)によれば「表・一覧」であり,コンピュータ分野における技術用語としての意味は,nifty辞書(甲14)によれば「表計算ソフトで,『列』と『行』でデータ配置される表のこと。・・・またデータベースソフトで表形式で配置されたデータや表形式のデータ,データ入力画面もテーブルという。また,一覧表形式のデータベースソフトを一般。 , にテーブルソフトと呼ぶこともある 」とされていることからすればデータ入力画面上に表された列も行もテーブルにほかならない。
そして,被告物件は,入力画面上において,オペレータがパターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウを操作して,メモリに任意に時間刻み(ステップ毎)のモータの動特性を設定入力するものであるから,被告物件のパターン設定ボタンないし数値設定ウインドウは「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」に該当する。
なお,被告物件のモータ設定画面上の時々刻々に刻まれたテーブル(被告のいう一次テーブル)がメモリ内部においても同様の列と行をもって格納されていることは自明であるから,テーブルとはメモリ内のデータであるとの被告の主張を前提としても,被告物件は本件特許発明にいう「テーブル」を備えていることになる。
c被告の主張?について本件明細書には,ステッピングモータの動特性データとして「パルス周期,パルス数,回転方向等」を設定しておくことが記されているところ(3頁9行〜11行「1パルス毎」に「送出するパルス ),数」を「設定」するなどという文章は日本語として全く意味をなさない。ホッパーゲートの刻々の動作変化を駆動制御するステップモータの動作サイクルを示す本件明細書の実施例(第1表)においても,ステップ「i」という所定の期間毎に,パルス周期(Ti ,当該ステップで送出するパルス数(Pi ,回転方向(F ) )i)を設定入力することが開示されているのであって 「パルス,毎」に「動特性」を設定入力するなどという構成は開示されていない。本件特許発明は,ゲートが開き始めてから閉じるまでの刻々の動作変化をモータの動特性データとしてテーブルに設定することを要旨とするものであり 「パルス毎に」という被告の主張?は,特許 ,請求の範囲の記載はもとより発明の詳細な説明からも導き出すことのできないものである。
d被告の主張?について被告の主張?を前提としても,当該二次テーブルを直接の駆動信号源とするモータの駆動は,オペレータが一次テーブルに設定入力するモータの動特性データに基づくモータの駆動制御にほかならず,当該二次テーブルの存在は,被告物件が本件特許発明構成要件を充足するか否かを判断するに当たっては意味をなさないものである。
e以上のとおり,被告の上記主張はいずれも失当であり,被告物件が本件特許発明にいう「テーブル」を備えていることは明らかである。
(エ)「任意に設定する」についてa被告は,構成要件Eの「任意に設定する」に関して,?被告物件ではゲートの開度(角度)とパルス数とが比例しているような関係は存在せず,両者の関係は非常に複雑であって,ユーザが意図したゲートの刻々の動作変化を実現できるようにモータのパラメータを入力することは実質的に不可能であるから,被告物件はゲートの刻々の動作変化を任意に設定するものではない,?「入力手段」によって「ゲートの動作変化を任意に設定する」といえるためには,少なくとも,目標とするゲートの動作変化がまず決定され,決定したゲートの動作変化に対応してモータの動特性データを決定し,決定したモータの動特性データを入力することができなければならないとして,このような構成・機能を有さない被告物件は構成要件Eを充足しないと主張する。
b被告の主張?について被告物件の据付要領書(乙59,60)に「パルス数は,ステッピングモータの回転速度,すなわちホッパの開閉度を示します 」と明。
記されているのであるから,被告物件においてモータの回転角とゲートとの開度が1対1の対応関係にあることは明白である。また,本件特許発明は,モータの回転角度とホッパゲートの角度とが比例関係にあることを必須の構成要件とする発明でもない。
そして,被告物件は,設定パターンボタンあるいは該設定パターンボタンによって表示される定数をさらに変更させる設定数値ウインドウを備えており,ゲートの動作変化を任意に設定する入力手段を備えている事実は自明である。
c被告の主張?について本件特許発明は,当業者が,被計量物の性質や量あるいはゲートの開閉リングの磨耗等の進行度などを勘案してゲートの動作変化のパターンを適宜設定するものである。
被告の主張?は,本件明細書の記載に基づかない独自のものであり失当である。
d以上のとおり,被告の上記主張はいずれも失当であり,被告物件が構成要件Eの「任意に設定する」との要件を充足することを否定することはできない。
構成要件FないしH上記のとおり,被告物件は,本件特許発明構成要件Eを充足するものであるから,構成要件FないしHを充足することも明らかである。
( )まとめ4以上のとおり,被告物件は,構成要件AないしHをいずれも充足するから,本件特許発明技術的範囲に属する。
【被告の主張】( )被告物件の構成1原告が主張する被告物件の構成aないしd及びgは認めるが,構成e,f及びhについては否認する。
( )構成要件AないしDについて2被告物件が本件特許発明構成要件AないしDを充足することは認める。
( )構成要件Eについて3ア「指定されたホッパについて」(ア)原告は,本件明細書の「ホッパゲートの開度指定やスピード変更は,全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば,個々のホッパ毎に個別に指定することもできる(7頁3行〜4行)との記載 。」を根拠に,特許請求の範囲に「指定されたホッパについて」との要件を追加する本件訂正請求をしたものである。本件明細書の上記記載を通常の日本語の意味に即して解釈すると 「指定」は「ホッパ毎」に行われ ,ることであり 「ホッパ毎」とは「1個1個のホッパ毎」を意味するこ ,とは明らかである。
(イ)また,本件明細書には「個々のホッパ毎に個別に指定することもできる」場合の例として,第4図(b)が挙げられているところ,同図には「計量機○○番目,ホッパゲート開度○○%,開閉周期○○%」というメッセージ画面の図が記載されており,ホッパーゲート動作の設定が計量機単位で行われることを示している。本件明細書の上記引用部分に続く個所で言及されている特開昭58-223718号公報(乙142)を見れば,本件明細書の第4図(b)の「計量機○○番目」とは1個1個の計量ホッパを意味することがわかる。そうすると,同図は1個1個の計量ホッパを単位として設定が行われることを示すものにほかならない。
(ウ)そして,本件明細書には「 3)各ホッパ毎に任意に開閉スピード (を変えることができるので,親子計量のような特殊な計量方式のものにも使用でき,又,各ホッパの開閉スピードを異ならせることにより特開昭58-41324号公報のような時間差排出を行なわせることもできる。さらには,上部分散供給部をパーティションで複数に分割して,各々に種類の異なる被計量物を供給して所謂ミックス計量(特開昭58-19516号公報)する場合にも有効となる(8頁20行〜25 。」行)とも記載されているところ,特開昭58-41324号公報(乙143)には複数存在する同一種類のホッパである計量ホッパを対象として,個々のホッパ毎に排出タイミングを異ならせる計量装置が記載されており,特開昭58-19516号公報(乙144)にも,品物の種類に対応して計量機ないし計量ホッパのグループを設け,複数存在する同一種類のホッパたる計量機ないし計量ホッパを対象に,個々の計量機ないし計量ホッパをグループ毎に独立して動作させる計量装置が記載されている。
(エ)さらに,本件特許発明において 「入力手段」によって「刻々の動 ,作変化が設定」されるのは「指定されたホッパについて」であるところ(構成要件E ,かかる設定は「制御手段」によって「組合せ演算の結 )果選択されたホッパについて,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記ステップモータを制御する (構成要件F)ことを目的として行わ 」れるものであるから,ホッパの指定は組合せ演算の結果選択されるホッパについて行われるものでなければならない。そして,供給ホッパ及びタイミングホッパは原理的に「組合せ演算の結果選択されたホッパ」とはなり得ないから 「組合せ演算の結果選択されたホッパ」とは計量ホ ,ッパを意味すると理解すべきである。このことからも「指定されたホッパ」とは計量ホッパのうち1個1個のホッパについて指定されたものを指すことになる。
(オ)以上によれば,構成要件Eの「指定されたホッパ」とは「個々のホッパ毎に個別に指定されたホッパ」を意味し 「ホッパ毎」とは「複数 ,存在する同一種類のホッパのうち1個1個のホッパ毎」を意味するというべきであるから 「種類の指定されたホッパ」と解する余地はない。 ,ところが,被告物件は,モータパターンの設定をホッパの種類を特定して行うものであり,1個1個のホッパ毎に個別に指定してモータパターンを設定するものではないから,構成要件Eの「指定されたホッパ」との要件を充足しない。
イ「刻々の動作変化を・・・設定する」について構成要件Eの「刻々の動作変化を・・・設定」とは,所定の期間毎の動作変化を設定するものであるが,本件明細書に即していえば,第1表のようにテーブルの1行1行によって規定される区間iを単位として,その期間における開閉速度,加速度,開度を設定することを意味する。
ところが,被告物件では,テーブルの各行に設定されるのは「初期速度」にすぎず,テーブルの1行1行を単位として規定された期間について,その期間における「開閉速度,加速度,開度」を設定することはできず,テーブルの同じ1行の中でも開度,速度,加速度は徐々に変化している。
したがって,被告物件が構成要件Eの「刻々の動作変化を・・・設定する」との要件を充足しないことは明らかである。
ウ「テーブル」について(ア)原告は,被告物件のモータ設定画面においてモニタに表示される表が本件特許発明にいう「テーブル」に該当すると主張する。
しかし,コンピュータを用いた制御の業界においては,一般にテーブルとはメモリ上に保存されたデータ列という意味であり,本件明細書においても,テーブルがコントロールパネルなどの画面上に表示されるなどという記載は全くないから,本件特許発明にいう「テーブル」とは,画面上に表示される表ではなく,コンピュータのメモリ上に記憶されるデータテーブルのことを指すというべきである。
(イ)本件特許発明は,操作者がゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定するものであるから,本件明細書3頁10行目ないし11行目に例示されている「パルス周期「パルス数「回転方向」などのモータの 」,」,駆動に直接使用できるデータをパルス毎にテーブルに任意に設定できる必要がある。
被告物件においては,モータ設定画面において入力されるパルス数と速度のテーブルである一次テーブルと,パルス周期と回転方向というモータの動特性データが格納される二次テーブルがあるところ,この二次テーブルは,一次テーブルの値に基づいてコンピュータにより自動的に生成されるものであって,ユーザが入力するものではないから,本件特許発明にいう「テーブル」に該当しない。
また,被告物件は,パルス数とスピードをモニター上に表されるデータ表(一次テーブルに照応するもの)に入力する態様となっているが,入力されるのはあくまでモータの動作を複数の区間に分けたときの各区間の初期スピード(あるいは最終スピード)及び各区間のパルス数であって,パルス周期は含まれておらず,個々のパルス間隔や回転方向を直接規定するように格納されたものでもないから,一次テーブルも本件特許発明にいう「テーブル」に該当しない。
(ウ)したがって,被告物件には,本件特許発明にいう「テーブル」に該当するものはない。
エ「任意に設定する」について(ア)本件明細書の3頁25行目ないし4頁17行目の記載並びに第1表及び第2図を参酌すれば,本件特許発明においては,モータのパルス数(あるいはモータの回転速度)とゲートの開度(あるいはゲートの開閉速度)が比例関係にある構成(モータのパラメータがゲートのパラメータと実質的に同一視できること)が前提とされているから,構成要件Eの「任意に設定する」といえるためにはモータのパルス数(あるいはモータの回転速度)とゲートの開度(あるいはゲートの開閉速度)が比例関係にあることが必要である。
被告物件においては,ユーザーが一次テーブルにモータのパラメータを入力することができるが,ゲートのパラメータとモータのパラメータとが実質的に同一視できるような関係,すなわち,ゲートの開度(角度)とパルス数とが比例しているような関係はなく,両者の関係は非常に複雑であるから,ユーザが意図したゲートの刻々の動作変化を実現できるように一次テーブルにモータのパラメータを入力することは実質的に不可能である。
(イ)また 「入力手段」によって「ゲートの動作変化を任意に設定す ,る」といえるためには,少なくとも,?目標とするゲートの動作変化がまず決定され,?決定したゲートの動作変化に対応してモータの動特性データを決定し,?決定したモータの動特性データを入力することができなければならないが,被告物件では,?及び?のステップを実行するための機能を有しない。
(ウ)したがって,被告物件は構成要件Eにいう「任意に設定する」との要件も充足しない。
( )構成要件Fについて4被告物件は,モータパターンの設定をホッパの種類を特定して行うものであり,1個1個のホッパ毎に個別に指定してモータパターンを設定するものではないから,構成要件Fの「制御部」を備えるものではない。
( )構成要件Hについて5被告物件は,構成要件Eの「指定されたホッパ」との要件を充足しないから,構成要件Hの「前記指定されたホッパ」との要件を充足しない。
( )以上のとおり,被告物件は,本件特許発明構成要件を充足しないから,6その技術的範囲に属さない。
3争点3(本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか)について【被告の主張】本件特許発明の「ホッパ毎「指定されたホッパ「刻々「動作変化 , 」,」,」,」「刻々の動作変化」という特許請求の範囲の文言が技術的に意味する権利範囲が明確でなく,本件明細書等の記載から特許請求の範囲に記載された発明が実施可能なものとしてサポートされているか明らかでないから,旧特許法36条3項,4項違反の無効理由がある。
【原告の主張】争う。
4争点4(本件特許権侵害についての被告の過失の有無)について【被告の主張】本件特許権は,平成9年8月8日に設定登録されているところ,その特許請求の範囲は,本件特許権の存続期間満了後になされた第1次訂正,本件訂正によりそれぞれ訂正されたものであるが,特許法128条により,設定登録時から本件訂正後の特許請求の範囲の記載に基づく特許権が成立されていたとされる。
しかし,本件訂正後の特許請求の範囲の記載に基づく本件特許権は全く公示されていない。また,訂正制度は,無効原因を回避するための制度であるから,本件のように訂正がされた事実が存在すれば,それだけで訂正前の特許請求の範囲の記載に基づく特許に無効理由が存在することが強くうかがわれる。実際,特許庁から第1次訂正後の本件特許について無効理由がある旨の通知がなされている(乙84)ことからしても,設定登録時の特許請求の範囲の記載に基づく特許にも無効理由があることは明らかである。
したがって,設定登録時の特許請求の範囲の記載に基づく本件特許に無効原因の存在が強く疑われる以上,本件訂正前の被告の行為について,特許法103条過失推定規定は適用されず,原則に戻って,原告において,被告の過失の存在を主張立証すべきである。
【原告の主張】侵害品が特許法128条によって遡及された訂正後の特許発明技術的範囲に属する場合に,特許法103条に基づく過失推定を排除する制度は存在しない。
被告は,訂正前の特許請求の範囲の記載に基づく特許に無効原因の存在がうかがわれる場合には,特許法103条過失推定規定は適用されないと主張するが,行為時(訂正前)の特許請求の範囲の記載に基づく発明が刊行物等により新規性ないし進歩性が否定される可能性がある場合でも,これを回避するように訂正が行われる可能性は当業者であれば予測可能であるから,本件特許権侵害についての過失の存在を否定することはできない。
5争点5(消滅時効の成否)について【被告の主張】( )原告は,本件訴訟を提起した当初,被告による本件特許権侵害を立証する1ための証拠として被告物件のカタログのみを提出し,このカタログの記載を引用して本件特許発明構成要件と被告物件の構成を対比していることからすれば,原告が被告物件のカタログの記載内容を知った時点をもって,原告が被告による本件特許権侵害の事実を知った時と推認するのが相当である。
そして,原告は,平成6年1月には 「SIGMA」のカタログを入手し ,た上,実際に「SIGMA」の中古機を購入してその構造を分析し,同月28日付けの「ISHIDATRAININGSESSION (乙17」4)を作成している。
また,原告は,平成9年7月には 「ALPHA」のカタログを入手した ,上,株式会社マツヤに納入されていた「ALPHA」の実機を見学し,同年8月18日付けの「大和製衡の計量装置の実機評価レポート (乙192)」を作成している。
原告は,上記のような被告物件の調査を行い,その構成を把握した上で,平成8年12月24日付け手続補正書を提出して特許請求の範囲の記載を設定登録時のものに補正した上で,平成9年8月8日に本件特許権の設定登録がなされたのである。
したがって,原告は,本件特許権の設定登録がなされた平成9年8月8日の時点で,被告物件が本件特許権を侵害することの認識を有していたといえる。
( )原告と被告は,計量装置のシェアを2分する企業であり,これまで世界中2で競争を展開しており,展示会でカタログを入手するなどして,常にお互いの製品や技術について情報収集を行っている。被告は,被告物件を多数の展示会に出展し,そのカタログも配布しており,遅くとも展示会「JAPANPACK2003」の最終日である平成15年10月25日までには,原告が被告物件のカタログを入手していることは明らかである。したがって,原告は,遅くとも平成15年10月25日には,被告による被告物件の製造販売行為が本件特許権を侵害することを知っていたというべきである。
( )以上により,本件訴訟提起時である平成19年2月26日から3年以上前3に発生している原告の損害賠償請求権は,時効により消滅した。被告は,この消滅時効援用する。
【原告の主張】( )原告と被告とは,東京地方裁判所昭和59年(ヨ)第2527号仮処分事件1でした和解(以下「本件和解」という )の後は,本件和解で実施許諾の対 。
象とならなかった相手方の特許権,実用新案権等につき,自社製品との抵触のおそれがある場合には,予め相手方に対し実施許諾を申し入れ,交渉してクロスライセンス若しくは有償無償の実施許諾契約を締結する(あるいは,ライセンスを拒否された場合には設計変更によって抵触状態を解消する)運用をしていた。原告としては,自己が誠実に運用ルールを履践している以上,被告も同様の対応をするものと信頼しており,本件和解の対象とはなっていない本件特許発明を被告が無断で実施することはないと信じていた。
ところが,原告は,平成16年に至り,豪州TNA社が計量装置と包装機を一体化させた包装一体型システムを開発して販売を開始したことを知り,その広告から同システムが本件特許権を侵害するような機能が備わっていることが判明し,原告において調査をしたところ,同システムに被告物件が用いられていることが判明したので,被告による本件特許権侵害の事実を認識することになった。
そこで,原告としては,平成17年3月18日付けの警告書(乙138)を被告に送付し,これと前後して被告製品のカタログを収集したのである。
( )被告は,原告が被告物件のカタログを入手した時期が被告による本件特許2権侵害を知った時期であるという趣旨の主張をしているが,被告物件のカタログ(甲4)には「計量物の性質に合わせてホッパーゲートの開閉速度を細かく調整することができる」という記載はあるものの,この記載は,被告物件が「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータの動特性データとして任意に設定する入力手段」を有することを認識させる根拠となるものではなく,被告の主張は失当である。
また,原告が被告物件のシグマシリーズの中古機を購入してその構造を分析したとの被告主張については,確かに,イシダ・ヨーロッパが平成7年ころに被告物件のシグマシリーズの中古機を1台購入して原告製品との比較を試みたことはあるが,パスワードを入手していなかったため,パスワードで保護されているシステム設定定義レベルにおいて,ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化が任意に設定可能か否かを確認することはできなかった。
さらに,原告が被告物件の「ALPHA」シリーズの見学をしたという点についても,その見学時の状況を記載した「大和製衡の計量装置の実機評価レポート (乙192)には,ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動 」作変化をステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する機能の有無についての記述は全く存在せず,原告が被告による本件特許権侵害事実を知っていたならば当然に記載されていなければならない事項が記載されていない。このことは,原告が被告による本件特許権の侵害の事実を認識していなかったことの証左である。
( )以上のとおりであるから,被告の消滅時効の主張は理由がない。
36争点6-(外国に販売された被告物件が損害賠償の対象に含まれるか)に 1ついて【原告の主張】( )原告が日本国内で製造し国内外向けに販売する本件特許発明実施品であ1る計量装置の市場と被告が国内で製造し国内外向けに販売する被告物件の市場とは完全に重なる上,外国に販売した利益も原告(日本法人)の利益として計上されるのであるから,被告が被告物件を外国に販売することによって得た利益についても,被告が本件特許権を侵害したことによって得た利益にほかならない。
( )被告は,本件和解により本件特許権と実質的に同一の技術を対象とする米2国第4705125号特許権(以下 「米国125特許権」といい,その特 ,許を「米国125特許 ,その発明を「米国125特許発明」という )に 」 。
ついて実施許諾を受けたことを理由に,被告が米国に輸出する目的で日本国内で被告物件を製造することは本件和解により許諾されていることになる旨主張する。
しかし,原告による米国125特許権の実施許諾により許されるのは米国内における製造,使用,販売,米国への輸入であり,日本国内での譲渡(輸出)行為が米国125特許権の許諾によって適法になるなどという理論は成立しない。
本件和解は,原被告間の特許紛争を米国,英国,豪州を含めて解決するという和解であるものの,和解条項中に当事者が有するこれらの国の特許・実用新案を個別具体的に特定して相互に実施許諾したという事情にかんがみれば,和解対象に含まれない特許権等については,細心の注意を払って,実施を希望する側が権利者の許諾を得るよう努めるべきである。被告において,このような許諾の申入れを行わずに本件特許発明実施するという当事者間の信頼を裏切る違反行為をしたものである以上,その侵害の責を免れることはできない。
【被告の主張】( )特許法102条各項の損害額の推定規定は,いずれも民法709条を前提1として,対象となる特許権を侵害したことにより権利者に生じた損害について填補賠償すべき損害額を推定する規定であって,損害の発生が擬制されるわけではない。そして,被告による被告物件の製造販売行為が本件特許権の侵害行為になるとしても,被告が利益を受けるのは製造行為ではなく販売行為によってであるが,原告が本件特許権により独占的な利益を得ることができるのは日本国内の市場においてのみであり,本件特許権により外国の市場を独占することはできない。
したがって,被告が外国向けに製造販売した被告物件については,被告の販売行為により原告に損害が生じたとはいえず,特許法102条2項を適用する前提を欠くから,外国向けの被告物件は損害賠償の対象から除外すべきである。
( )米国向け被告物件について2原告と被告は,本件和解が成立した時点ではいずれも専ら日本国内で計量装置の製造販売を行っていたものであり,外国には生産設備がなかった。原告と被告は,それらをお互いに認識しており,その上で,世界的な紛争を解決するため,外国の特許権を含めた包括的クロスライセンス契約を締結するために本件和解をしたのである。このように,本件和解においては,外国市場で営業(販売を含む)をすることを前提としてお互いに外国特許権をクロスライセンスの対象としたのであるから,その許諾の範囲は,許諾された外国特許権に係る発明の実施(販売)のために日本国内で当該発明の実施に当たる製造販売を行うことも含むと解するのが,両当事者の意思に沿うものであり,また合理的である。
そして,本件和解により被告に通常実施権が許諾された米国125特許発明は,本件特許発明実質的に同一の技術を対象とするものであるから,被告物件が本件特許発明技術的範囲に属するとすれば,被告物件は米国125特許発明実施品ということになる。
したがって,被告が米国に輸出する目的で日本国内で被告物件を製造することは本件和解により許諾されていることになるから,米国向けの被告物件は損害賠償の対象に含まれない。
( )欧州向け被告物件について3欧州向け被告物件については,原告と原告の関連会社が,EP268346号特許権に基づき,被告の取引先に対し,欧州において損害賠償請求訴訟を提起している。原告が,同一の被告物件について,欧州と日本とで二重に損害の賠償を受けることは著しく損害賠償制度の趣旨を逸脱するものであるから,欧州向け被告物件についても損害賠償の対象から除外すべきである。
7争点6-2(原告の損害の額)について【原告の主張】( )被告物件の販売により被告が得た利益1ア70億5135万4000円(主位的主張)本件特許権の存続期間中に被告が被告物件を販売して得た粗利益の額の合計は70億5135万4000円である。
そして,被告は,販売費・一般管理費のうちの変動経費の額が算出不能であるとしており,粗利益の額から控除すべき費用の主張をしていない以上,被告が本件特許権侵害によって得た利益の額は70億5135万4000円とすべきである。
イ●●●●●●●●●●●●円(予備的主張)(ア)粗利益被告物件の販売により被告が得た粗利益の額の合計は上記のとおり70億5135万4000円である。
(イ)粗利益の額から控除すべき経費被告は,販売費に一般管理費を含めた営業費を開示するものの,変動経費の額を算出することが不可能であると主張しているのであるから,特許法105条の3の趣旨に基づき相当な損害額を認定すべきであり,その際には被告に対する完全競合メーカーである原告自身の利益率(限界利益率)を参考にするのが相当である。
そして,原告の第52期から59期(平成10年4月度から平成18年3月度まで)における外国産機部門の販管費のうち直接部門費(運賃,倉庫料,支払手数料等の変動経費と直接部門の人件費の合計)が占める割合は●●●●%であるから,被告が開示する外国向け被告物件の営業費48億2903万1000円のうち原告の直接部門費に相当する額は●●●●●●●●●●●●円(計算:48億2903万1000円×●●●●=●●●●●●●●●●円)を上回らないものと推測される。
また,上記期間の原告の国内産機部門の販管費のうち直接部門費が占める割合は●●●●%であるから,被告が開示する国内向け営業費4億5575万9000円のうち原告の直接部門費に相当する額は●●●●●●●●●●●円(計算:4億5575万9000円×●●●●=●●●●●●●●●●●●円)を上回らないものと推測される。
したがって,被告が被告物件の販売に係る粗利益の額から控除すべき経費の額は上記の合計額である●●●●●●●●●●●●円とするのが合理的である。
(ウ)限界利益以上によれば,被告が本件特許権侵害によって得た利益(限界利益)の額は●●●●●●●●●●●●円(計算:70億5135万4000円-●●●●●●●●●●●●円=●●●●●●●●●●●●円)を下らないことは明らかであり,これが特許法102条2項により原告が受けた損害の額と推定される。
( )寄与率2本件特許発明は組合せ計量装置のホッパーゲート開閉パターンの設定に関する基本技術であり,だからこそ被告が販売する組合せ計量装置中の高級機種である全自動式組合せ計量装置においては例外なく本件特許発明実施され,その結果,被告物件の重要な機能としてカタログ中の売り文句にもなっている。本件特許発明が被告の売上げ・利益獲得に対して寄与した割合は100%である。
この点,被告は,本件和解により許諾の対象となった出願番号62-91819の特許出願中の権利に係る発明(以下「819発明」という )が本。
特許発明の技術内容を完全に包含しており,本件特許発明は819発明に対して意味のある技術的貢献をしていないとして,被告物件における本件特許発明の寄与度が小さいという趣旨の主張をするが,819発明は本件特許発明の特徴的要素である「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」を備えていないから,819発明の実施許諾を受けているからといって,被告物件における本件特許発明の寄与度はいささかも減殺されることはない。
( )株式会社アンリツについて3被告は,被告が被告物件を販売しなければ株式会社アンリツ(以下「アンリツ」という )に需要が向かったから,被告物件の販売により被告の受け 。
た利益と同額の損害を被ったとの推定は覆滅されるという趣旨の主張をするが,アンリツは,平成9年に本件特許に関する出願公告がなされた後にステッピングモータの採用を止め,組合せ計量装置の分野から撤退しているから,アンリツの存在は特許法102条2項により推定される原告の受けた損害の額を覆滅させる事情となるものではない。
( )一部請求4以上によれば,被告の本件特許権侵害により原告が受けた損害の額は70億5135万4000円(あるいは●●●●●●●●●●●●円)となるから,原告は,本件訴訟において,被告に対し,その一部請求として30億円の賠償を求める。
【被告の主張】( )被告物件の販売数,販売額,粗利,営業費1ア販売数被告は,本件特許権の存続期間である平成9年9月1日から平成18年11月15日までの間,被告物件(周辺機器・付属備品を控除した組合せ秤本体)を国内向けに236台販売し,外国向けに4562台販売した。
イ販売額,粗利益の額被告物件の上記販売に係る国内売上額は9億1559万8000円,そのうち粗利益の額は8593万8000円であり,外国売上額は255億3785万9000円,そのうち粗利益の額は69億6541万6000円であった。
ウ営業費被告物件の上記販売に係る営業費(販売費と一般管理費の合計)は,国内分が4億5575万9000円であり,外国分が48億2903万1000円である。上記営業費のうち被告物件の販売等に直接要した費用とそうでない費用との内訳については厳密に区別することができない。
( )寄与度2ア本件特許発明の技術的な寄与組合せ計量装置は,?組合せはかりへの供給装置,?振動機による搬送技術,?被計量物を貯蔵するホッパの技術,?組合せ演算の技術(シングルシフト,ダブルシフト,トリプルシフト ,?組合せ演算された計量物 )を包装機に投入する技術(メモリホッパ,集合シュート ,?組合せはか)りと包装機間の通信・インターロック技術,?操作設定表示装置の情報端末としての技術(LAN,通信)から成り立っている。
そして,?被計量物を貯蔵するホッパの技術についてみると,?-1ホッパの機械的構造の技術,?-2ホッパゲートを駆動する技術に分かれる。
さらに,?-2ホッパゲートを駆動する技術は,?-2-1ホッパゲートをソレノイド(電磁石)で駆動する技術,?-2-2ホッパゲートをエアシリンダで駆動する技術,?-2-3ホッパゲートをインダクションモータで駆動する技術,?-2-4ホッパゲートをステッピングモータで駆動する技術に分かれる。
なお,以上のような組合せ計量装置の基本技術は,原告により昭和47年に特許出願され(乙113 ,その基本構造についても原告により昭和 )49年に特許出願がなされたものであるが(乙114 ,原告は,これら)の発明についても,本件和解により被告に実施許諾している。
本件特許発明は,上記の?-2-4に関するホッパゲートの開閉に関する技術にすぎず,組合せ計量装置に不可欠な技術でも重要な技術でもないから,被告物件に対する技術的な寄与はほとんどない。
イ本件和解により許諾された発明等との関係本件和解により,出願中のものを含めて原告から274件の日本の特許・実用新案権,被告から110件の日本の特許・実用新案権がクロスライセンスの対象とされたが,このうち被告物件では原告の発明等が38件,被告の発明等が31件実施されている。このように被告物件には本件特許発明以外にも実施されている発明等が69件もあり,実施の有無で見た場合には本件特許発明はそのうちの1件にすぎない。
とりわけ,本件和解により被告に実施が許諾された819発明は,本件特許発明の技術内容を完全に包含しており,本件特許発明は819発明に対して意味のある技術的貢献をしていない。
ウ米国125特許発明実施許諾上記のとおり,原告は,本件和解において,被告に本件特許発明に対応する米国125発明の実施を許諾しており,この点は米国向けの被告物件の販売利益に対する本件特許発明の寄与度を評価するに当たって考慮すべきである。
エ本件特許発明の技術的な問題点を補う技術の採用本件特許発明は,ステッピングモータを用いてゲートの開閉制御を行う計量装置に関するものであるところ,ステッピングモータを用いた制御を行う場合,その欠点である脱調を防止することが重要な課題となるが,本件明細書には脱調の防止については何ら記載がされていない。
被告物件では,脱調を防止するために,モータの速度を徐々に変化させて加速度が一定となるように,モータの速度を調整している。具体的には,特定の時点でのモータ速度を一次テーブルで設定し,その間の速度は装置内部で一次テーブルに基づいて二次テーブルが計算される仕組みになっている。これにより,被告物件では,ゲート開閉に必要なトルクを低めてステッピングモータの脱調を防止しながら,ゲートの開閉速度の向上を実現している。
オ本件特許発明の技術とは関係のない被告物件の特徴被告物件には,本件特許発明とは関係のない次の特徴があり,これらの特徴が販売へ貢献するところが大きい。
(ア)「ALPHA」及び「ALPHAPLUS」は,小型化,低価格化,納期の短縮に大きな特徴がある。
(イ)「SIGMA」は,LAN技術によるモジュール化,サニテーションの向上,高耐久性,保守容易性に特徴がある。
(ウ)「SIGMAPLUS」は,LAN技術によるモジュール化,周辺機器のネットワーク化,サニテーションの向上,高耐久性,保守容易性,ロードセル技術により計量重量を幅広くカバーすることに特徴がある。
(エ)「SIGMACOMPACT」は,小型化,LAN技術によるモジュール化,周辺機器のネットワーク化に特徴がある。
(オ)「SIGMAF1」は,高速計量,高精度に特徴がある。
カ代替技術の存在本件特許発明の作用効果は,?ゲートの開閉を自由に,かつ細かに制御すること,?ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整すること,?計量スピードを任意に変えることにあるが,テーブルデータではなく本件明細書の第2図に示されるようなゲートの時間変化を関数やグラフ図形として入力するという方法でも本件特許発明と全く同様の作用効果を奏することができる。本件特許発明は,同一の作用効果を実現することが可能な多数の具体的方法の一つにすぎないのであるから,その技術的価値は相応に低いものにならざるを得ない。
キ原告による被告物件の評価原告は,自社製品のRZ/DZシリーズと被告物件の「SIGMA」の構成や性能を比較した平成6年1月28日付けの「ISHIDATRAININGSESSION」と題する文書(乙174)を作成していた。
その中では,原告製品のうち全56項目をその特徴として取り上げ,そのうち22項目について「SIGMA」との比較を行っているが,22項目のうち本件特許発明が直接関係する項目は1項目にすぎず,間接的に関係する項目を含めても3項目にすぎない。このことからしても,被告物件における本件特許発明の重要性は低かったといえる。
ク以上に指摘した点などを考慮すれば,被告物件の販売に対する本件特許発明の寄与度は極めて低いというべきである。
( )特許法102条2項による損害額の推定の覆滅3本件特許権の存続期間中,原告被告以外の製造業者として,アンリツがあり,アンリツは被告と同程度の販売台数を販売していたのであるから,被告物件の販売数のすべてを原告が販売することができたという関係にない。
第4当裁判所の判断1争点1(被告による「SIGMAF1」及び「SDW」の販売の有無)について被告は,被告物件のうち「SIGMAF1」及び「SDW」は,展示会に展示するに際しカタログを作成しこれを頒布したが,いずれも販売されないまま現在に至った旨主張する。そこで検討するに,証拠(甲8,9,18ないし20)によれば 「SIGMAF1」については,被告が「SIGMAF ,1」のカタログを作成しこれを頒布していたこと,同カタログには 「SIG,MAF1」の写真や具体的な仕様,寸法,性能等のほか,平成17年から「発売開始」との記載があること,平成17年10月2日発行の「2006日本包装機械便覧 ,平成18年10月2日発行の「2007日本包装機械便 」覧」及び同日発行の「2007包装関連機器カタログ集」には 「SIGMA,F1」が紹介されていること,また 「SDW」については,被告が「SD ,W」のカタログを作成しこれを頒布していたこと,同カタログには「SDW」の写真や具体的な仕様,寸法,性能等が記載されていたことが認められる。このように,被告は 「SIGMAF1」及び「SDW」の写真や具体的な仕 ,様,寸法,性能等が記載され 「SIGMAF1」については平成17年か ,ら「発売開始」とまで記載されたカタログを作成し頒布していたのであり,このことからすると,少なくとも被告が上記各物件の販売の申出等の販売活動をしていたことが認められる(とりわけ 「SIGMAF1」については,2 ,006年版と2007年版の「日本包装機械便覧」で紹介されており,相当長期間にわたって販売活動がされていたことがうかがえる。しかし,被告が。)上記各物件を実際に受注しこれを販売する(売買契約の締結及び納品)に至ったことについての具体的な証拠は提出されていない。上記のとおり 「SIG,MAF1」のカタログ(甲8)には,同物件が平成17年から「発売開始」と記載されているが,同記載は,そのころ被告が同物件の販売の申出等の販売活動を開始したことを示すものとは認められるが,この記載だけでは同物件を実際に受注して販売するに至ったことを認めるに足りない。
他方,被告従業員(海外自動機器営業部主席部員)のP1作成の陳述書(乙76)には 「SIGMAF1」について,平成17年4月に試作モデルの ,開発が終了し,そのころカタログの初版を作成して国内外の展示会で配布したが,その後「SIGMAF2」という「SIGMAF1」の後継機種となる新シリーズの開発が決定されたので 「SIGMAF1」は1台も販売さ ,れることなく販売が中止された旨 「SDW」についても,平成16年8月に ,外国向け半自動データウェイとして開発が始まり,平成17年7月にはカタログの初版を作成して同年9月ころには外国の展示会で配布したが,その後,「SDW」は1台も販売されることがないまま事実上開発が中止された旨が記載されており 「SIGMAF1」及び「SDW」のカタログが作成されて ,頒布されたにもかかわらず,これらが実際に販売されなかった事情について一応の説明がなされているところ,この記載内容がそれ自体不自然であって信用できないものとまでいうことはできず,他にその信用性を左右するに足りる証拠はない。
したがって,本件においては,被告が「SIGMAF1」及び「SDW」を実際に販売(売買契約の締結及び納品)していたとまで認めることはできない。
なお,原告自身,当初は「SIGMF1」及び「SDW」を含めた被告物件を損害賠償の対象としていたが,最終的には被告が開示した「SIGMAF1」及び「SDW」を除くその余の被告物件の販売数,販売額等の資料(乙86,乙181)に基づいて損害額を算出している。
そこで,以下 「SIGMAF1」及び「SDW」を除くその余の被告物 ,件について,本件特許発明技術的範囲の属否等,原告の本件請求を判断するために必要な検討を加えることとする(以下,別紙被告物件説明書の「商品名1」に記載の各計量装置のうち「SIGMAF1」及び「SDW」を除くその余の各計量装置を「被告物件」という。。)2争点2(被告物件が本件特許発明技術的範囲に属するか)について( )被告物件の構成1ア被告物件が「aフィードホッパ,計量ホッパ,メモリホッパ,集合ホッパ等の複数種類のホッパを有する「b各ホッパの排出口にはそれ 。」,ぞれゲートが設けられている「c各ゲートをリンク機構を介して開 。」,閉駆動するモータとを備えた組合せ計量装置である「dゲートを開。」,閉駆動するモータは,ホッパ毎に設けられたステップモータである 」及。
び「g前記パターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウはタッチパネルに含まれている 」との各構成を有することは当事者間に争いがな 。
いが,その余の構成(e,f,h)について争いがある。したがって,まず,被告物件の構成について検討する。
イ「SIGMA」について(ア)「SIGMA」のカタログ(甲3)には次の記載がある。
a同カタログ4頁ないし5頁には「ステッピングモーターで,ホッパーの開口時,閉口時における駆動,制御を行っています「ホッパ。」,ーのゲートは,任意のスピードと開閉角度で,制御可能です「シ。」ールドされた駆動ユニット内には,ロードセル・ステッピングモーター,A/D変換器,カスタムメードチップを使ったプリント基板など,。。 ほとんどのインテリジェンスが集約されています 」との記載があるb同カタログ6頁ないし7頁には「操作部にプリンターを標準装備した防水型スーパーコマンドコンソール(SCC)を開発しました 」。
「光学式タッチスクリーン方式の大型EL表示器(640×400ドット 」との記載があり,タッチスクリーン方式の表示器であるスー )パーコマンドコンソール(SCC)の写真が掲載されている。
(イ)「SIGMA」の据付要領書(乙59)には次の記載がある。
a17頁(a)「3.4.2モータ設定」の個所に「データウェイ・コンフィグ画面の[モータ設定]パッドにタッチすると,モータ設定画面が呼び出されます」との記載があり,当該記載の下にはモータ設定画面が表示されている。
(b)モータ設定画面には,画面左側に1から20のステップに分類されたパルス数と速度が記載された表( 1パルス0,速度60 「0 「2パルス20,速度800」などの記載がある,画面中 」 。)央より右側にかけて4つの三角形のグラフィック,画面右側にパターン1ないしパターン5のモータ駆動のパターンパッドなどがある。
そして,モータ設定画面の説明として 「モータ設定画面で,各ア ,クチュエータのモータ駆動パターンを設定します。画面左側の表には1サイクルにおけるパルス数と速度が各ステップに刻んで表示されています。画面右側にはヘッドのグラフィックとモータ駆動のパターンパッドが表示されます。三角形のグラフィックは上から順にフィードホッパ,計量ホッパ,メモリホッパ,集合ホッパを示し,・・・選択するときは,いづれかのグラフィックにタッチします,。」「ステッピングモータの代表的な駆動パターンは,あらかじめ5種類が準備されています。それぞれのアクチュエータの駆動パターンを選択するときは,右側のパターンパッドの一つを選びます。右側のパターンパッドにタッチすると,左側に詳細なパルス数および速度(PPS)のデータが表示されます。表中の値は,数値入力画面で変更することができます。・・・上記画面では,モータ駆動パターンは10ステップ刻みで表示されていますが,このステップの刻み。。 は20ステップまで設定することができます 」と記載されているb18頁(a)「3.4.2.1モータパターンの読み方」の個所に「パルス数はステッピングモータの回転角度即ちホッパの開閉度を示します「速度はモータの回転速度をPPS単位(パルス/ 」,秒)で示します」との記載がある。
(b)17頁に記載されていたモータ設定画面左側の表の読み方の説明として 「第1ステップではパルス数0における速度が600 ,です。モータは600で回転を開始し,その速度でホッパpps ppsが開きます「第2ステップではモータがパルス数20の間に, 。」,最終速度が800になるように回転します「第3ステップpps 。」,ではパルス数95の間に,モータ速度が800から700ppsまで減少します「第4ステップではパルス数50の間に pps 。」,モータ速度が500まで減速されます「第5ステップでのpps 。」,速度は0です。上記の[注意]の通りパルス数の数値はms単位で表示され,モータ(ホッパのドア)は全開位置で40ms間停止します「第6ステップではパルス数0における速度が-50 。」,0となっています。速度のマイナス値はモータの逆回転を意pps味します。即ちモータは500で逆回転をはじめホッパが pps閉じ始めます「第7〜9ステップでは前述の第1〜4ステッ 。」,プと逆方向にモータが回転します「第10ステップではパル 。」,ス数と速度がともに0です。モータが原点に戻って停止することを表します。これでホッパの1サイクル動作が完了します「第2。」,0ステップの欄に数字6が表示されています。これは一サイクルした時点でモータがさらに6パルス回転することを意味します。
この数字は総てのパターンにおいて同じように設定します 」との。
記載がある。
c19頁「3.4.2.2モータパターン設定方法」の個所に「下記手順はフィードホッパのモータの動作パターン「パターン1」を変更するときの一例です「( )右側画面の秤グラフィックの「FB」 。」,1にタッチするとそのグラフィックが反転します「( )「パタ。」, 2ーン1」パッドにタッチするとパッドが反転し,画面左側の表にはパターン1のデータが表示されます「( )そのパターンをグラ 。」,3フにてチェックするには「グラフ」パッドにタッチします。右図のようにパターン1のグラフが表示されます。モータ設定画面に戻るには「リターン」パッドにタッチします「( )パターンの一部を変 。」,4更するときは第1ステップのパルス数あるいは速度の表の修正したい部分にタッチします。タッチした部分が反転しそのデータを上部に表示した数値入力画面が呼び出されます「( )そのデ。」,5ータを希望する数値に修正し「ENT」パッドにタッチすると,表に新規数値が表示されます。続いて次のステップの値がデータ入力画面上部に表示されます。変更を必要としないステップは数値を入力せずに「ENT」パッドにタッチしてください。次のステップへスキップします「( )すべてのステップにわたり上記( )の手順を 。」,6 5繰り返します。グラフィックパターンが同時に変更されます 」との。
記載がある。
(ウ)「SIGMA」のカタログ及び据付要領書の上記記載内容並びに争, , いのない被告物件の構成によれは 「SIGMA」は,フィードホッパ計量ホッパなど複数種類のホッパを有し,その各ホッパの排出口に設けられたゲートをステッピングモータにより開閉駆動するものであり,設定されたモータパターンにより各ホッパのゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まるものであること,モータパターンは,パルス数,速度()及び回転方向を指示するステップが複数回繰りPPS返されるデータの集合体であり,外形上はモータ設定画面左側に表として表示され,ホッパの種類毎に設定されるものであること,モータパターンは,あらかじめ5種類が準備されており,モータ設定画面右側のパターンパッドによりこれらを選択することができるほか,上記表のパルス数あるいは速度の数値を数値入力画面から修正することにより,モータパターンを随意に変更設定できることが認められる。
また 「SIGMA」は,組合せ計量装置であり,設定されたモータ ,パターンによりホッパの開閉動作を行うものであるから,駆動ユニットは,設定されたモータパターンに基づいてステッピングモータを制御する機能を有するものと認められる。
そして 「SIGMA」の「ステッピングモータ「スーパーコマン , 」,ドコンソール(SCC「パターンパッド「数値入力画面」及び )」,」,「駆動ユニット」という用語は,それぞれ原告が主張する「ステップモータ「タッチパネル「パターン設定ボタン「数値設定ウインド 」,」,」,ウ」及び「制御部」と読み替えることが可能である。
そうすると 「SIGMA」は,当事者間に争いのない構成aないし ,d及びgの各構成に加え 「eステップモータの所定期間毎(ステッ ,プ毎)のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備える。ステップモータによりホッパのゲートを開閉駆動する,指定された種類のホッパについて,モータパターンが設定され,設定されたモータパターンによりゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まる「f組合せ演。」,算の結果選択されたホッパについて,設定されたモータパターンに基づいてステップモータを制御する制御部を有する「h指定された種 。」,類のホッパについてのゲートの動作は,随意に設定されるモータパターンにより制御可能である,組合せ計量装置である 」との各構成を有す。
るものと認められる。
ウ「ALPHA」について(ア)カタログの記載内容「ALPHA」のカタログ(甲4)には次の記載がある。
a同カタログ2枚目には「安定した10ヘッド構成でコンピュータ制御により多彩な組み合わせから最適組み合わせを瞬時に選び出します 」との記載があり 「計量駆動ユニット」の写真とともに「ステ 。,ッピングモータによる駆動方式を採用している為,静かな運転音で,長寿命の安定した動きを約束します「計量物の性質に合わせてホ 。」,ッパゲートの開閉速度を細かく調整することができ,こわれ,欠けを防ぎます 」との記載がある。。
b同カタログ2枚目には「ハンディタイプのコントローラは,煩わしい操作を無くしました。シンプルな中にも必要機能がぎっしり詰まり,オペレータは手元で操作が出来ます 」との記載があり,0ないし9 。
の数字 「C「E ,矢印などが表示されたシートキー及び表示画 ,」,」面を有するハンディタイプのコントローラの写真が掲載されている。
(イ)マニュアルの記載内容「ALPHA」のセットアップ・マニュアル(乙61)には次の記載がある。
a5頁「1.2モータ・パターンの設定」の個所に 「( )モータ・,1パターンの設定メニュー…システム定義のメイン・メニューにおいて,“2”を入力して“E”キーを押すと,モータ・パターン設定のメニューが表示されます。モーター・パターン設定のメニュー画面には,「1.フィードホッパ2.ケイリョウホッパ3.シュウゴウホッパ」のメッセージが移動表示されています。それぞれのホッパの番号を入力すると,そのホッパのモータ・パターン設定画面が表示されます「( )モータ・パターン画面…2)モータ・パターン 。」,3番号モータ電流画面にて,矢印キーを押すと,モータ・パターン番号画面が表示されます。この画面では「パターンバンゴウ」のメッセージが現れ,重量表示ラインに現在内容が表示されているパターンの番号(例えば,1)が示されます。パターン番号の変更は,ここで行うことができます 」との記載がある。。
b6頁(a)同頁左側には縦3列に数字が並んでいる表が表示された画面の図が上から順に3つ記載されている(各画面の図は,例えば,左上の画面の図の上段には左側から「0 「600 「20」の数字が 」」記載され,2段目には左側から「800 「95 「700」の数 」」字が記載されている。。)(b)同頁右側には 「3)モータ・パターンの詳細…モータ・パタ ,ーンは,20ステップに分けて,パルスとスピードが示されます。
パルス数はステッピング・モータの回転角度,すなわち,ホッパの開閉度を表します。スピードはモータの回転速度を単位(パppsルス/秒)で示します (-)符号のついたスピードは回転が逆 。
であることを示します。20ステップ目は,モータ原点位置に復帰後の回転角度を設定します「パターンのデータは,上段左から, 。」,パルス(1 ,スピード(1 ,パルス(2 ,スピード(2 ,パ ))))ルス(3)の順に表示します。第一画面を溢れたデータは,次の画面に表示され,矢印キーを順次押して,第一画面の最後「スピード(20 」にくると 「サイシュウステップ」のメッセージが現 ),れます「( )モータ・パターンの変更…矢印を移動して「パル 。」,4ス(1 」のメッセージが現れると,パルス(1)の値“0”が点 )滅し,重量表示ラインには,同じ数値”0“が表示されます。矢印キーを押して,変更したい「パルス」或いは「スピード」に点滅カーソルを移動すると,上記同様その数値が重量表示ラインに表示されます。ここで希望の数値を入力し “E”キーを押すと,パ ,ターンの変更ができます。スピードに(-)を設定するときは “,C”キーを押して数値を“0”とした後 “9”を入力します 」 ,。
との記載がある。
c7頁6頁の図に表示されているモータ・パターンの説明として 「第1,ステップでは,パルス数0におけるスピードが600です。モーppsタは600で回転を開始し,そのスピードでホッパが開きま ppsす「第2ステップでは,モータがパルス数20の間に,最終モー 。」,タ・スピードが800になるように回転します「第3ステッpps 。」,プでは,パルス数95の間に,モータ・スピードが800から7pps00まで減速します「第4ステップでは,パルス数50の間pps 。」,に,モータ・スピードが500まで減速させられます「第5pps 。」,ステップでは,スピードが0です。上述のようにパルス数の数値はms単位で表示され,ホッパの扉は全開位置で40ms間停止します「第6ステップでは,パルス数0におけるスピードが-5 。」,00となっています。スピードのマイナス値は,モータの逆転をpps意味します。すなわち,モータは500で逆回転をはじめ,ホッ ppsパが閉じはじめます「第7ステップでは,第2ステップと逆方向 。」,に,モータが回転します「第8ステップでは,第3ステップと逆 。」,方向に,モータが回転します「第9ステップでは,第4ステップ 」,と逆方向に,モータが回転します「第10ステップから第19ス 。」,テップまでは,すべて“0”です「第20ステップでは,モータ 。」,が原点に戻って停止することを表します。スピード6の数は,1サイクル完了後,モータがさらに6パルス回転することを意味します 」との記載がある。。
(ウ)「ALPHA」のカタログ及びセットアップ・マニュアルの上記記載内容並びに争いのない被告物件の構成によれは 「ALPHA」は,,フィードホッパ,計量ホッパなど複数種類のホッパを有し,その各ホッパの排出口に設けられたゲートをステッピングモータにより開閉駆動するものであり,設定されたモータパターンにより各ホッパのゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まるものであること,モータパターンは,パルス数,速度()及び回転方向を指示するスPPSテップが複数回繰り返されるデータの集合体であり,外形上はコントローラーの画面に表として表示され,ホッパの種類毎に設定されるものであること,モータパターンは,あらかじめ複数のパターンが登録されており,ハンディタイプのコントローラのシートキーを操作することにより,登録されたモータパターンを選択することができるほか,上記表のパルス数あるいは速度の数値を修正することにより,モータパターンを随意に変更設定できることが認められる。
また 「ALPHA」は,組合せ計量装置であり,設定されたモータ ,パターンによりホッパの開閉動作を行うものであるから,計量駆動ユニットは,設定されたモータパターンに基づいてステッピングモータを制御する機能を有するものと認められる。
そして 「ALPHA」の「ステッピングモータ「シートキー , , 」,」「計量駆動ユニット」という用語は,それぞれ原告が主張する「ステップモータ「パターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウ」及 」,び「制御部」と読み替えることが可能である。
さらに 「ALPHA」の「ハンディタイプのコントローラ」は,シ ,ートキー及び表示画面を有するものであるから,その機能からして,原告が主張する「タッチパネル」に相当するものと認められる。
そうすると 「ALPHA」は,当事者間に争いのない構成aないし ,d及びgの各構成に加え 「eステップモータの所定期間毎(ステッ ,プ毎)のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備える。ステップモータによりホッパのゲートを開閉駆動する,指定された種類のホッパについて,モータパターンが設定され,設定されたモータパターンによりゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まる「f組合せ演。」,算の結果選択されたホッパについて,設定されたモータパターンに基づいてステップモータを制御する制御部を有する「h指定された種 。」,類のホッパについてのゲートの動作は,随意に設定されるモータパターンにより制御可能である,組合せ計量装置である 」との各構成を有す。
るものと認められる。
エ「SIGMAPLUS」について(ア)「SIGMAPLUS」のカタログ(甲5)には次の記載がある。
a同カタログ5頁には「先進技術…調整可能なドア開閉角度」との記載,駆動ユニットの写真の記載がある。
b同カタログ6頁には「最先端のソフトウェア…きめ細かい運転条件の変更も可能」との記載,AICCセカンドエディションという名称のカラータッチスクリーンの写真の記載がある。
(イ)「SIGMAPLUS」の据付要領書(乙60)には次の記載がある。
a24頁(a)「3.6.2モータ設定」の個所に「 モータ設定”パッド “にタッチすると,モータ設定画面が呼び出されます」との記載があり,当該記載の下にモータ設定画面の記載がある。
(b)上記モータ設定画面左側には1から20のステップに分類されたパルス数とスピード()が記載された表( 1パルス0,スpps 「ピード800「2パルス20,スピード1400」などの記 」,載がある )が記載されており,画面中央より右側にかけて秤のグ 。
ラフィック,画面右側にはパターン1ないしパターン5のモータ駆動のパターンパッドなどが記載されている。このモータ設定画面の説明として 「モータ設定画面では,各アクチュエータのモータ駆 ,動パターンを設定します。画面左側の表は1サイクルにおけるパルス数と10ステップ刻み(最大20ステップ刻みまで)の速度を表示しています。画面右側は秤のグラフィックとモータ駆動のパターンパッドを表示しています。グラフィックは上から順に供給ホッパ,計量ホッパ,メモリホッパ,そして集合ホッパそれぞれのホッパアクチュエータ(ステッピングモータ)を表しています。・・・選択する時は,いずれかのグラフィックにタッチします。画面右のパターンパッドは選択したアクチュエータに対応する駆動パターンを設定するのに使用します「ステッピングモータの代表的な駆動パタ 。」,ーンは,あらかじめ5種類が準備されています。右側の“パターン”パッドにタッチして,その駆動パターンを呼び出すと,左側に詳細なパルス数および速度データが表示されます。選んだパターン番号のグラフを表示するには,画面下側にある“グラフ”パッドにタッチします。必要であれば,数値入力画面よりパルスおよび速度を変更することにより,パターンの変更はできます。…上記画面図では,モータの駆動パターンは10ステップ刻みで表示されていますが,より詳細な設定が必要とされる場合は,20ステップまで刻むことができます 」との記載がある。。
b25頁「3.6.2.1モータパターンの読み方」の個所に「パルス数は,ステッピングモータの回転角度,即ちホッパの開閉度を表しています。速度はモータの回転速度をPPS(パルス/秒)単位で表しています 」と記載がある。。
c25頁ないし26頁24頁記載のモータ設定画面左側の表の読み方の説明として 「第,1ステップでは,パルス数0における速度が800です。モータppsは800で回転を開始し,その速度でホッパが開きます「第 pps 。」,2ステップでは,モータがパルス数20の間に最終速度が1400になるように回転します「第3ステップでは,パルス数10pps 。」,0の間に,モータ速度が1400から900まで減少しまppsppsす「第4ステップでは,パルス数50の間にモータ速度が600 。」,まで減少します「第5ステップでは,速度は0です。上述のpps 。」,注のようにパルス数の数値の単位はms単位で表示されます。そして,モータ(ホッパの扉)は全開位置で20ms間停止します「第6。」,ステップでは,パルス数0における速度が-600です。速度のppsマイナス(-)値はモータの逆回転を意味します。即ちモータは600で逆回転を始め,ホッパが閉じ始めます「第7から9までpps 。」,のステップでは,前述のステップと逆方向にモータが回転します,。」「第10ステップでは,パルス数と速度はともに0です。これは,モータが原点に戻って停止することを意味します。これでホッパの1サイクル動作が完了します「第20ステップでは,スピードの欄に 。」,数字の6が表示されています。これは,モータがさらに6パルス回転することを意味します。この数字は全てのパターンにおいて同じように設定します 」との記載がある。。
d26頁ないし27頁「3.6.2.2モータパターンの設定方法」の個所に「下記の手順は,供給ホッパのモータの駆動パターン“パターン1”を変更するときの1例です「( )画面右側の秤グラフィックから“FB” 。」,1パッドをタッチすると “FB”パッドが反転します「( )“パタ , 。」, 2ーン”パッドの1にタッチすると,そのパッドが反転し,画面左側の表にパターン1のパルスと速度データが表示されます「( )モータ」,4パターンを変更する必要がある場合は,第1ステップのパルスあるいはスピードパッドにタッチします。そのパッドが反転し,数値入力画面が呼び出されます「( )そのデータに希望する数値を入力し “ 。」, ,5ENT”パッドにタッチします。表に新しい数値が表示され,続いて次のステップの数値が数値入力画面の上部に表示されます。もし変更を必要としない場合は“ENT”パッドにタッチして下さい。次のステップへスキップします「( )全ステップに対して( )から( )の 。」,645手順を繰り返します。グラフィックパターンが同時に変更されます「( )データの数値入力画面から出るには,数値キーパッド内 。」,7の“(ピリオド)パッドにタッチします 」との記載がある。 .” 。
(ウ)「SIGMAPLUS」のカタログ及び据付要領書の上記記載内容並びに争いのない被告物件の構成によれは 「SIGMAPLU ,S」は,フィードホッパ,計量ホッパなど複数種類のホッパを有し,その各ホッパの排出口に設けられたゲートをステッピングモータにより開閉駆動するものであり,設定されたモータパターンにより各ホッパのゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まるものであること,モータパターンは,パルス数,速度()及び回転方向を指PPS示するステップが複数回繰り返されるデータの集合体であり,外形上はモータ設定画面左側に表として表示され,ホッパの種類毎に設定されるものであること,モータパターンは,あらかじめ5種類が準備されており,モータ設定画面の右側のパターンパッドによりこれらを選択することができるほか,上記表のパルス数あるいは速度の数値を数値入力画面から修正することにより,モータパターンを随意に変更設定できることが認められる。
また 「SIGMAPLUS」は,組合せ計量装置であり,設定さ ,れたモータパターンによりホッパの開閉動作を行うものであるから,駆動ユニットは,設定されたモータパターンに基づいてステッピングモータを制御する機能を有するものと認められる。
そして 「SIGMAPLUS」の「ステッピングモータ「カラ , 」,ータッチスクリーン「パターンパッド「数値入力画面」及び「駆 」,」,動ユニット」という用語は,それぞれ原告が主張する「ステップモータ「タッチパネル「パターン設定ボタン「数値設定ウインド 」,」,」,ウ」及び「制御部」と読み替えることが可能である。
そうすると 「SIGMAPLUS」は,当事者間に争いのない構 ,成aないしd及びgの各構成に加え 「eステップモータの所定期間 ,毎(ステップ毎)のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターン(ステップ毎)のパルスを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備える。ステップモータによりホッパのゲートを開閉駆動する,指定された種類のホッパについて,モータパターンが設定され,設定されたモータパターンによりゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まる「f組合せ演算の結果選択されたホッパについて, 。」,設定されたモータパターンに基づいてステップモータを制御する制御部を有する「h指定された種類のホッパについてのゲートの動作は, 。」,随意に設定されるモータパターンにより制御可能である,組合せ計量装置である 」との各構成を有するものと認められる。 。
オ「SIGMACOMPACT」及び「SNX」について証拠(乙170)及び弁論の全趣旨によれば 「SIGMACOMP ,ACT」及び「SNX」は,モータパターンの設定方法が「SIGMAPLUS」と同じであり,被告においては 「SIGMACOMPAC ,T」及び「SNX」専用の据付要領書は作成しておらず 「SIGMA,PLUS」の据付要領書(乙60,66)を兼用で使用していることが認められる。
したがって 「SIGMACOMPACT」及び「SNX」は,上記 ,エで認定した「SIGMAPLUS」と同じ構成を有するものと認めるのが相当である。
カ「ALPHAPLUS」について(ア)「ALPHAPLUS」のカタログ(甲7)には次の記載がある。
aカタログ2枚目には液晶表示部を有するタッチスクリーンの写真が掲載されている。
bカタログ3枚目には「アルファシリーズは,ホッパードアの開閉用駆動源にステッピングモータを使用していますので,商品に合わせてホッパドア開閉のパターンを細かく調整し,登録することができます。
これにより高速運転が可能です「・・・駆動ユニットにはステッピ 。」,ングモータと共にYamatoの高性能ロードセルが内蔵されています 」との記載がある。。
(イ)「ALPHAPLUS」のユーザーズ・マニュアル(乙62)には次の記載がある。
a70頁(a)同頁左上にモータ設定画面が記載されている。同画面の左側約3分の2の領域に1ないし20のステップに分類されたパルス数と速度が記載された表( 1パルス+0速度+1000 「2 「 」パルス+10速度+1500」などの記載がある )が,画面右。
側にはバケット及びパターンのボタンが表示されている。
(b)「( )モーターパターン」の個所には「 モータ設定”ボタン7 “をタッチします。モータ設定の画面が表示されます。モータ設定画面はそれぞれのモータ駆動パターンを設定します。左側のリストはモータ駆動1サイクルのパルスの数と,スピードを示しています。
右側のボタンはホッパ選択と,モータパターン番号の選択ボタンです。ホッパ名はボタンにタッチする度に,FB↑WB↑CB↑FB↑と変化します。モータパターン番号もボタンにタッチする度に,1↑2↑3↑4↑5↑1と変わります「重要:それぞれの機種 。」,の標準的なモータパターンがすでに設定されています。通常はこれらのパターンを変更しないでください。変更するとデータウェイのパフォーマンスに影響します 」との記載がある。。
(c)「モータパターン設定の例」の個所には 「このテーブルは同,じ方向に1回転させるモータパターンの例です「 ステップ。」, [1 [パルス+0 [速度+1000 [説明:モータは1000 ]]]で回り始めます「 ステップ2 [パルス+10 [速度+pps 。]」,[]]1500 [説明:10パルスの間にモータの速度は1000から ]1500に増加します「 ステップ3 [パルス+150]pps 。]」,[][速度+1600 [説明:150パルスの間にモータの速度は1 ]500から1600に増加します「 ステップ4 [パルスpps 。]」,[]+80 [速度+1200 [説明:80パルスの間にモータのス ]]ピードは1600から1200に減少します「 ステップpps 。]」,[5 [パルス+150 [速度+1200 [説明:150パルスの ]]]間1200の速度を保ちます「 ステップ6 [パルス+1pps ]」,[]0 [速度+1000 [説明:10パルスの間モータの速度は1 ]]200から1000に減少します「 ステップ7・19]pps 。]」,[[パルス+0 [速度+0 [説明:モータ停止。既にホッパは閉 ]]じていますので,ここではモータは動作していません「 ステ。]」,[ップ20 [パルス0 [速度+6 [モータが原点を検出したあと, ]]]6パルスだけ余分に回ります ]との記載がある。。
b76頁「モータパターンの設定方法」の個所に 「バケットボタンをタッ ,チし,モーターパターンを設定するバケット名を表示させます。パターンボタンをタッチし,設定するパターン番号を表示させます “変。
更”ボタンをタッチするとキーボードが表示されます「ステップ。」,1のパルス数を入力し“ENT”をタッチします。ステップ1の速度を入力し“ENT”をタッチします。ステップ2のパルス数を入力し“ENT”をタッチします。・・・入力をやめるときは“(ピリオ.”ド)ボタンをタッチしてください 」との記載がある。。
(ウ)「ALPHAPLUS」のカタログ及びユーザーズ・マニュアルの上記記載内容並びに争いのない被告物件の構成によれは 「ALPH,APLUS」は,フィードホッパ,計量ホッパなど複数種類のホッパを有し,そのゲートをステッピングモータにより開閉駆動するものであり,設定されたモータパターンにより各ホッパのゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まるものであること,モータパターンは,パルス数,速度()及び回転方向を指示するステップが複PPS数回繰り返されるデータの集合体であり,外形上はモータ設定画面左側に表として表示され,ホッパの種類毎に設定されるものであること,モータパターンは,あらかじめ5種類が準備されており,モータ設定画面右側のパターンボタンによりこれらを選択することができるほか,上記表のパルス数あるいは速度の数値をキーボード画面から修正することにより,モータパターンを随意に変更設定できることが認められる。
また 「ALPHAPLUS」は,組合せ計量装置であり,設定さ ,れたモータパターンによりホッパの開閉動作を行うものであるから,駆動ユニットは,設定されたモータパターンに基づいてステッピングモータを制御する機能を有するものと認められる。
そして 「ALPHAPLUS」の「ステッピングモータ「タッ , 」,チスクリーン「パターンボタン「キーボード画面」及び「駆動ユ 」,」,ニット」という用語は,それぞれ原告が主張する「ステップモータ ,」「タッチパネル「パターン設定ボタン「数値設定ウインドウ」及 」,」,び「制御部」と読み替えることが可能である。
そうすると 「ALPHAPLUS」は,当事者間に争いのない構 ,成aないしd及びgの各構成に加え 「eステップモータの所定期間 ,毎(ステップ毎)のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備える。ステップモータによりホッパのゲートを開閉駆動する指定された種類のホッパについて,モータパターンが設定され,設定されたモータパターンによりゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まる「f。」,組合せ演算の結果選択されたホッパについて,設定されたモータパターンに基づいてステップモータを制御する制御部を有する「h指定。」,された種類のホッパについてのゲートの動作は,随意に設定されるモータパターンにより制御可能である,組合せ計量装置である 」との各構。
成を有するものと認められる。
キ以上によれば,いずれの被告物件も 「aフィードホッパ,計量ホッ ,パ,メモリホッパ,集合ホッパ等の複数種類のホッパを有する「b。」,各ホッパの排出口にはそれぞれゲートが設けられている「c各ゲー。」,トをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組合せ計量装置である「dゲートを開閉駆動するモータは,ホッパ毎に設けられたス 。」,テップモータである「eステップモータの所定期間毎(ステップ 。」,毎)のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備える。ステップモータによりホッパのゲートを開閉駆動する,指定された種類のホッパについて,モータパターンが設定され,設定されたモータパターンによりゲートが1回開いて閉じる間の時間的な開閉状態の変化が決まる「f組合せ演算の結果選択さ 。」,れたホッパについて,設定されたモータパターンに基づいてステップモータを制御する制御部を有する「g前記パターン設定ボタン及び/又 。」,は数値設定ウインドウはタッチパネルに含まれている 」及び「h指定。
された種類のホッパについてのゲートの動作は,随意に設定されるモータパターンにより制御可能である,組合せ計量装置である 」との各構成を。
有するものと認められる。以下,これを前提として被告物件が本件特許発明技術的範囲に属するか否かについて検討する。
( )構成要件AないしDについて2本件特許発明構成要件AないしDは,順に「被計量物品を貯蔵し排出する複数種類のホッパと「各ホッパの排出口にそれぞれ設けられたゲート ,」,と「各ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組合 ,」,せ計量装置であって「前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモ ,」,ータであり 」というものである。 ,被告物件は 「aフィードホッパ,計量ホッパ,集合ホッパ等の複数種 ,類のホッパを有する「b各ホッパの排出口にはそれぞれゲートが設け 。」,られている「c各ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータと 。」,を備えた組合せ計量装置である「dゲートを開閉駆動するモータは, 。」,ホッパ毎に設けられたステップモータである 」との各構成を有するから, 。
構成要件AないしDをいずれも充足することは明らかである(被告は,被告物件がいずれも本件特許発明構成要件AないしDを充足することを認めている。。)( )構成要件Eについて3ア特許請求の範囲の記載上記のとおり,本件明細書の特許請求の範囲構成要件Eに係る記載は「前記ステップモータによりゲートを開閉駆動する,指定されたホッパについて,当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と」というものである。
イ本件明細書の発明の詳細な説明の記載等本件明細書の発明の詳細な説明の個所には次の記載がある。
(ア)(産業上の利用分野)「本発明は,ホッパゲートの開閉をモータにより自由に制御できるようにした計量装置に関する(1頁16行〜18行) 。」(イ)(従来の技術)「計量装置には種々のホッパが用いられているが,第9図(判決注:右下図)には組合せ計量装置Aの概略構成が示されている。図において,被計量物品は,分散テーブルa,供給トラフb,プールホッパdを介して計量ホッパeに供給され,ロードセル等の重量検出器により重量が計量される。ハウジングcは,分散テーブルa,供給トラフbを支持している。計量ホッパで計量された被計量物品は,外側シュートf,または内側シュートgよりタイミングホッパ, に供給され,下側シュートiまたhjはkより排出される。このような計量装置のホッパゲートを開閉するアクチュエータとしては,特開昭59-74092号公報に開示されたエアシリンダによるものや,実開昭58-37520号公報,実開昭58-169532号公報等に開示されたモータによるもの等が知られている(1頁。」19行〜2頁4行)(ウ)(発明が解決しようとする問題点)「ところが,これら従来のアクチュエータは,ゲートの開閉を自由に,かつ細かに制御することができないので,種々の問題が生じていた。即ち (1)ホッパに供給される毎回の供給量が第10図(判決注:下 ,図)のように僅かな場合は,ゲートを半開にするだけで直ちに排出されるにもかかわらず,従来のアクチュエータでは,ゲートを必ず全開にしなければならなかったので,ゲートの開閉周期の短縮による計量速度の向上は望めなかった (2)ゲートの開。
閉リンクの摩耗等によってクリアランスが拡大するとゲート開閉時の騒音が大きくなるが,従来のアクチュエータでは,このクリアランスを補正するような動作特性の変更,例えばゲートが閉じる直前のスピードをより遅くするような変更ができなかった (3)エアシリンダを使用す 。
るものでは,各ホッパのゲート開閉スピードを個別に変えることは容易であるが,逆に全てのスピードを同じに調節することは難かしいので,計量スピードは,ゲート開閉のスピードが最も遅いものに合さなければならないという難点があった。又,エアシリンダを使用するものでは,特性の経時変化が大きいので,メンテナンスを欠かすことはできず,整備のための時間とコストが多くかかるという問題があった。そこで,本発明はこのような従来技術の問題点の解消を目的とした計量装置を提供するものである(2頁5行〜23行) 。」(エ)(問題点を解決するための手段)「本発明の計量装置は,被計量物品を貯蔵し排出する複数種類のホッパと,各ホッパの排出口にそれぞれ設けられたゲートと,各ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組合せ計量装置であって,前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモータであり,前記ステップモータによりゲートを開閉駆動する,指定されたホッパについて,当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と,組合せ演算の結果選択されたホッパについて,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記ステップモータを制御する制御手段とを設け,前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,被計量物の種類や供給量に応じて,前記指定されたホッパについての前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである(2頁24行〜3頁7行) 。」(オ)(作用)「本発明の計量装置は,ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを,被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに,パルス周期,パルス数,回転方向等に関して設定しておき,該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので,ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき,計量スピードも任意に変えることができる。また,前記モータの動特性データを外部記憶装置に複数記憶し,必要に応じて切り替えられるので,複数の被計量物のデータを記憶しておき被計量物が変わったときに迅速にデータの変更ができる(3頁8。」行〜15行)(カ)(実施例)a「以下,図により本発明の実施例について説明する。第1図(判決注:右図)は,本発明の概略構成を示すブロック図である。図において,1はコンピュータでタイマ2と接続され,また,入力装置や表示装置を含むコントロールパネル3と通信ラインで接続される。コンピュータの出力指令は,ドライバ4を介してステップモータ5に送出され,ステップモータは図示しないリンク機構を介してホッパのゲートと連結されてホッパ6のゲートを開閉制御する。コンピュータとコントロールパネルを接続する通信ラインには,他のメモリから後述するテーブルデータをロードする(3頁17行〜24行) 。」b「第2図(判決注:右図)は,ステップモータの動作サイクル図であり,例えば,ステップモータを100パルスドライブするとホッパゲートが半開となり,200パルスドライブしたときにホッパゲートが全開となるように設定されているとする。このようなステップモータを例えば,第2図のように,期間は等速期間は漸次減速期間は停止t1t2t3期間は逆方向に漸次増速期間は逆方向に等速期間は逆方向に t4 t5t6漸次減速となるように動作させる場合,第2図に対応させた第3図(判決注:右図)から第1表(判決注:次頁記載の第1表)のテーブルを作ることができる。但し,このテーブルは,ホッパゲートの半開を基準に作成している。
」(3頁25行〜5頁下から19行の前まで)c「ここで,第1表のようなテーブルを基に,各パラメータ()の定数を,入力装置を用いて,予めコンピュータに登録しTi,Pi,Fiておき,ホッパゲートの開度設定に際しては,例えば,第4図(a)(判決注:右下図)に示すようなメッセージを表示装置に表示させて,開度,周期を指定する。そして,例えば開度が100%,周期も100%に指定された時は,パルス周期()の各定数をTiそれぞれに,パルス数( )の各定数をそれぞれ2倍にした新た 1/2Piなテーブルをコンピュータ内部で作成して記憶する。これにより,変更後のテーブル情報は,第2図の点線で示す全開の動作曲線に対応したものとなる。同様に,開度が75%であれば,の各定数はに,Ti3/4の各定数は倍にそれぞれ変更され,又,周期が200%に指定 Pi4/3された時は,パルス周期( )の各定数はそれぞれ2倍に変更される。 Ti但し,以上の例は,半開の場合を基準にしたものであって,全開のテーブル情報を予めコンピュータに登録した場合は,開度指定に伴う各パラメータ()の倍率は異なって来る。即ち,開度100%と指Ti,Pi定された時は,各パラメータの定数はそのままで良いが,開度が50%に指定された時は,パルス周期( )の各定数は2倍に,パルス数Ti( )の各定数は,それぞれに変更される(5頁下から19行 Pi 1/2 。」〜同頁下から3行)d「こうして,ステップすなわち,ゲートの開閉スピード,加速度,開度を計量物品の種類や貯蔵量に応じたそれぞれのモータの動作特性値が作成され記憶されると,コンピュータは,この情報に基づいてステップモータを駆動する(5頁下から2行〜6頁1行) 。」e「次に,テーブル情報を基にした制御動作の一例を第5図(判決注右下図)フローチャートにより説明する (1)コンピュータは,イ 。
ニシャル処理を実行した後,テーブルから最初のパルス周期=0.6T17をリードして,タイマ(外部タイマ或は内部のソフトタイマ)にセットす る ( ス テ ッ プ〜S1( 2 ) 0 . 6 7 S3 )。
経過でタイマがタイmsecムアップになると,ステップモータを正方向(+)に1ステップ回転させるパルスを作ってドライバに出力し,次に出力した回数,即ちパルス数( )を1カウンPiトして,その値がに達したか否かをチェックする(ステップ〜 89 S4(3)未達成であれば,が89になるまで,上記(1)↑ S8 Pi)。
(2)の処理を繰り返して,0.67毎にステップモータを1msecステップ正方向(+)に回転させて行く。こうして,が89にな Piると (4)次にコンピュータは,パルス周期=1.2をリ , T2msecードして,前述同様に(1(2)に対応する処理を繰り返して行 ),く(ステップ〜(5)ステップにおいて,回転方向がS9,S2S8S5 )。
正方向(+)でない場合には,パラメータが0でないことを確認Fiして,ステップモータを負方向(-)に1ステップ回転させるパルスを形成する(ステップ。以後,こうした手順を順次繰り返しS10,S11 )て第2図に示すような動作特性を描かせる所定の制御を実行して行く(6頁2行〜20行) 。」, , f「以上の説明のように,本発明によれば (1)ステップモータはドライバ用のテーブルを作ることによって任意に制御できるので,ホッパゲートをできるだけ速く開放させて,排出スピードを速めたり,或は,ゲートの急激な開閉運動による衝撃音を和らげるために,運動の始めと終わりを指数関数的に立ち上げ,或は収束させるようにして,騒音を押えることができる (2)又,粘着性のある被計量物を計量 。
する場合は,ホッパ内面やゲートへの被計量物の付着が問題となるがこのような場合は第7図のようにゲートが開ききった時に,ステップモータを微小期間,微小ステップ幅だけ正転,逆転させてゲートに微振動を与え,これによって,被計量物の付着を防止することもできる。
(3)ホッパゲートの開度指定やスピード変更は,全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば,個々のホッパ毎に個別に指定することもできる。例えば,第4図(b (判決注:下図)に示 )すようなメッセージを表示させて,ホッパ毎に個別に指定しても良い。このように個別に指定できるようにすると,例えば,特開昭58-223718号公報に開示されているような,所謂親子計量において有効となる。即ち,親機と子機とでは,それぞれ動作スピードが異なるし,又,ホッパへの供給量も異なるので,それぞれに適したスピードとゲート開度を指定することによって最適制御を行わせることができる(6頁21行〜7頁。」10行)g「ところで,計量ホッパは,計量中においてはアクチュエータに連結されたレバーと分離されていなければならないので,ゲートが閉じた状態では,レバーとゲート開閉リンクのローラとの間には第9図Bの部分を示した第8図(判決注:右図)のように所定のクリアランスが設けてある。このためゲートを開放させる指令を受けてもレバーがローラに当接してゲートが開き始めるまでには,若干の遅れ(50程度)が発生する。これが計量スピードを遅らせる1つの原因msecとなっていたが,この発明では,この応答遅れをなくすことができる(7頁11行〜18行) 。」h「次に,このような本発明の制御について,第6図(判決注:下図)のフローチャートにより説明する。計量中は他の処理例えば,入出 力 装 置か ら の 信号 を チ ェッ ク し ,そ の 信 号に 基 づ いた処理を行ない(ステップ,レバーをローラから退避させて,ロP2 )ーラとの間に所定のクリアランスを設けておくが,計量が終ると,直ちにステップモータを微小ステップ数だけドライブして,レバーをローラに軽く接触させておく(ステップ。この場合,ゲートのP1,P3 )開閉リンクには若干の遊びがあるので,ゲートは閉じたままである。
そして,組合せ演算の結果,選択されて排出指令を受けると,ステップモータを直ちにドライブして,レバーにより,応答遅れなくローラをプッシュしてゲートを開放させる(ステップ〜。そして,P4P6 )ゲートの閉鎖サイクルでは,レバーとローラとの間に所定のクリアランスが生じる初期位置まで,ステップモータの逆回転でレバーを引き戻す(ステップ。また,組合せ選択されなかった計量ホッパに対 P7 )しても,次の計量に備えて,レバーを初期位置まで引き戻しておく。
こうした制御は,ステップモータをどのようにドライブするかの動作曲線を前述のように描き,これに基づいてデータを設定してテーブルを登録しておくことにより,容易に実現できる(7頁19行〜8。」頁7行)i「以上,発明の主旨をその特定された実施例について説明したが,既に述べたところに基づく本発明についての変形あるいは修正は,種々に可能であることが明らかである(8頁8行〜10行) 。」(キ)(発明の効果)「以上説明したように,本発明によれば次のような効果が得られる。
(1)ホッパの供給量に応じてゲート開度を任意に調整することができるので,供給量に応じて計量スピードを変えることができる (2)ゲ。
ート開閉の動作特性を入力装置で簡単に変えることができるので,設計の自由度が増し,あらゆる被計量物の性状に応じたゲート開閉制御を行なうことができる。特に粘着性のある被計量物に対しては,ゲートを開放した姿勢でゲートに微振動を与えることができるので,付着による計量誤差をなくすことができる (3)各ホッパ毎に任意に開閉スピード 。
を変えることができるので,親子計量のような特殊な計量方式のものにも使用でき,又,各ホッパの開閉スピードを異ならせることにより特開昭-号公報のような時間差排出を行なわせることもできる。
5841324さらには,上部分散供給部をパーティションで複数に分割して,各々に種類の異なる被計量物を供給して所謂ミックス計量(特開昭58-19516号公報)する場合にも有効となる (4)ゲートをどのように開 。
閉させるかは,データとして登録しておくことができるので,実開昭59-27425号公報に示すように,被計量物の性状に応じた最適なゲート開閉データを被計量物毎にメモリに登録しておき,被計量物を指定すれば,登録された所定のデータが呼び出されて最適なゲート開閉を行なわせることができる。又,目標重量値の大小に応じても同様にできる。
(5)ゲート開閉リンクの摩耗によってゲート開閉時の騒音が大きくなっても,ゲート開閉特性をデータの変更によって調整することにより簡単に騒音を押えることができる(8頁11行〜9頁5行) 。」ウ「指定されたホッパ」について(ア)被告の主張被告は,構成要件Eの「指定されたホッパ」に関して 「指定」は,「ホッパ毎」に行われることであり 「ホッパ毎」とは「1個1個のホ ,ッパ毎」を意味するとして,モータパターンの設定をホッパの種類を特定して行う被告物件は「指定されたホッパ」の要件を充足しないと主張する。
(イ)特許請求の範囲の記載特許請求の範囲の「指定されたホッパ」との記載は,日本語の通常の意味からは「複数あるホッパのうちの指定されたもの」と理解するのが素直であり,指定が1個1個のホッパ毎にされる必要があるとまで読みとることはできない。この点は,構成要件Dの「ホッパ毎に設けられたステップモータ」が日本語の通常の意味からして「1個1個のホッパ毎に設けられたステップモータ」と理解するのが日本語として素直である(後記3( )参照)のとは異なるというべきである。
2(ウ)本件明細書の発明の詳細な説明の記載等a(a)本件明細書の(実施例)の個所には「以上の説明のように…(3)ホッパゲートの開度指定やスピード変更は,全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば,個々のホッパ毎に個別に指定することもできる。例えば,第4図(b)に示すようなメッセージを表示させて,ホッパ毎に個別に指定しても良い。このように個別に指定できるようにすると,例えば,特開昭58-223718号公報に開示されているような,所謂親子計量において有効となる(上記イ(カ)f)と記載されている。この記載にいう「個 。」々のホッパ毎に個別に指定する」とは第4図(b)のように「計量機○○番目」という単位で「ホッパゲート開度」や「開閉周期」を指定することを指すものと理解されるところ,本件明細書で引用されている特開昭58-223718号公報(乙142)には「計量ホッパ,計量ホッパゲート,重量検出器に組み立てられた装置部分を計量機という(3頁右上欄17行〜19行)と記載されてい 。」るから,第4図(b)の「計量機」とは「1個のホッパ」を指すものと解される。そうすると,本件明細書には,ホッパゲートの開度指定やスピード変更を1個1個のホッパ毎に設定する態様のものが開示されているといえる。
(b)また,本件明細書の(発明の効果)の個所には「以上説明したように,本発明によれば次のような効果が得られる。…(3)各ホッパ毎に任意に開閉スピードを変えることができるので,親子計量のような特殊な計量方式のものにも使用でき,又,各ホッパの開閉スピードを異ならせることにより特開昭58-41324号公報のような時間差排出を行なわせることもできる。さらには,上部分散供給部をパーティションで複数に分割して,各々に種類の異なる被計量物を供給して所謂ミックス計量(特開昭58-19516号公報)する場合にも有効となる(上記イ(キ))との記載があるとこ 。」ろ,これは親子計量に言及した上記(a)の実施例に関する記載を受けたものであることは明らかであるから 「各ホッパ毎に任意に開 ,閉スピードを変えることができる」とは「1個1個のホッパ毎に任。 意に開閉スピードを変えることができる」の意味であると解される(c)以上のとおり,本件明細書の発明の詳細な説明等には,本件特許発明実施例として,1個1個のホッパ毎にモータパターンの設定を行う態様のものが記載されているものと認められる。
bしかしながら,本件明細書の発明の詳細な説明等の上記記載は,あくまで本件特許発明の1実施態様として,ホッパゲートの開度指定やスピード変更を1個1個のホッパ毎に個別に指定できるようにして親子計量などに用いた場合の作用効果を記載したものと理解するのが相当であり,本件特許発明が必ず奏さなければならない効果を記載したものとまで解することはできない。すなわち,本件明細書には上記a(a)の「ホッパゲートの開度指定やスピード変更は,全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば,個々のホッパ毎に個別に指定することもできる「ホッパ毎に個別に指定しても良い, 。」, 。」「このように個別に指定できるようにすると」などの記載があり,これらの表現からは,本件特許発明において1個1個のホッパ毎にモータパターンの設定を行うことが必須とされていると理解することは困難である。
, そして,上記a(a)の「ホッパゲートの開度指定やスピード変更は全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば」との記載から明らかなように,本件明細書の発明の詳細な説明においては,1個1個のホッパ毎にゲートの動作変化を設定する態様のものだけなく,ステップモータが個々のホッパ毎に設けられていることを前提とするものの,全てのホッパを対象にして一括して設定する態様のものについても明示的に言及されている。もっとも,組合せ計量装置の複数種類の計量ホッパには,プールホッパ,計量ホッパ,タイミングホッパ等があるが(上記イ(イ)参照 ,これらのホッパはステップモー )タの回転をゲートに伝えるリンク機構の構成が大きく異なるから,本件明細書の発明の詳細な説明の「全てのホッパを対象にして一括して設定する」との記載は,ホッパの種類を問わずに一括して指定して同じモータパターンを設定することまでを意味するものではなく,同一種類のホッパの全てを対象にして一括して設定することを意味するものと理解するのが技術常識に沿うものである。したがって,本件明細書の発明の詳細な説明の上記記載からは,本件特許発明が,個々のホッパ毎ではなくホッパの種類毎にモータパターンを設定する構成を排除しているものとは解されない。
さらに,本件明細書の発明の詳細な説明には「親機と子機とでは,それぞれ動作スピードが異なるし,又,ホッパへの供給量も異なるので,それぞれに適したスピードとゲート開度を指定することによって最適制御を行わせることができる(上記イ(カ)f)との記載もあり, 。」親機の計量セクションと子機の計量セクションのそれぞれに適したス, ピードと開度を指定することが開示されているから,当業者であればこの記載から,種類を同じくする複数のホッパを単位としてそれぞれに適したスピードと開度を指定する態様のものを認識することができるといえる。
(エ)以上によれば,構成要件Eの「指定されたホッパ」とは複数あるホッパのうちの指定されたホッパを指すものであり,1個1個のホッパ毎に指定するものに限定されず,複数のホッパを単位として指定する態様のものも含むと解するのが相当である。
なお,被告は,構成要件Fの「組合せ演算の結果選択されたホッパ」が計量ホッパを指すことからすれば,構成要件Eの「指定されたホッパ」とは計量ホッパのうちの1個1個のホッパについて指定されたものを指すことになる,との主張をする。しかし,組合せ演算の結果選択されるホッパが計量ホッパであるとしても,それは計量ホッパが指定の対象となることを意味するにすぎず,そのことが直ちに指定の対象が計量ホッパに限定されることの根拠となるものではない。上記のとおり,特許請求の範囲の記載からすれば 「指定されたホッパ」とは複数あるホ ,ッパのうちの指定されたものという意味に理解するのが日本語として素直である上,本件明細書の(発明が解決しようとする問題点)の個所(上記イ(ウ))には計量ホッパに限定した問題だけが記載されているものではなく,プールホッパなど他のホッパにも当てはまる問題点が記載されていることからしても,本件特許発明は,計量ホッパだけでなくプールホッパなどの他のホッパについてもゲートの動作変化を設定する態様のものを含むと解するのが相当である。したがって,被告の同主張も採用することができない。
そして,被告物件は,上記のとおり,ホッパの種類を指定してモータパターンを設定するものであるから,構成要件Eの「指定されたホッパ」との要件を充足するものと認められる。
エ「刻々の動作変化を・・・設定する」について(ア)被告は,構成要件Eの「刻々の動作変化を・・・設定する」とは,所定の期間毎の動作変化を設定するものであり,本件明細書の発明の詳細な説明等に即していえば,第1表のようにテーブルの1行1行によって規定される区間iを単位としてその期間における開閉速度,加速度,開度を設定することを意味するところ,被告物件では,テーブルの各行に設定されるのは「初期速度」にすぎず,テーブルの1行1行を単位として規定された期間について,その期間における「開閉速度,加速度,開度」を設定することはできないから 「刻々の動作変化を・・・設定する」 ,との要件を充足しないと主張する。
(イ)しかし,特許請求の範囲には「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」と記載されているだけであり,所定の期間毎のすべての「開閉速度,加速度,開度」が設定できる必要があるとまでは記載されていない。
そして,本件明細書の(作用)の個所にも「本発明の計量装置は,ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを,被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに,パルス周期,パルス数,回転方向等に関して設定しておき,該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので(上記イ(オ))と記載されており,テーブルに設定され ,」るステップモータの動特性データは「パルス周期,パルス数,回転方向, 等」と記載されている上,被告が指摘する第1表のテーブルにおいても区間iを単位とする期間毎に設定されるステップモータの動特性データはパルス周期,パルス数,回転方向である。
以上によれば,少なくとも本件明細書の第1表のテーブルのように所定の期間毎のステップモータのパルス周期,パルス数及び回転方向をテーブルに入力することができれば,構成要件Eの「刻々の動作変化を…任意に設定する」との要件を充たすものと解される。
(ウ)被告物件は「eステップモータの所定期間毎(ステップ毎)のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備え」ている。そして,パルス速度とは,1秒間に送出されるパルスの数であり,パルス周期とは,その逆数,すなわち1個のパルスが送出される時間間隔であるから,両者は表現方法のみが異なる同一事象を表す概念である。したがって,被告物件は,構成要件Eの「刻々の動作変化を…任意に設定する」との要件を充たすものと認められる。
, なお,被告は,被告物件ではテーブルの同じ1行の中でも開度,速度加速度は徐々に変化しているから,被告物件は構成要件Eの「刻々の動作変化を…設定する」を充足しない旨主張する。しかし,本件明細書の特許請求の範囲には 「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作 ,変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」と記載されているだけであるから,ステップ毎に動作変化を設定するものである限り,設定の結果,同じステップの中で速度,加速度等が徐々に変化するように動作するものも,構成要件Eを充足するというべきである。したがって,被告が指摘する点は,被告物件の構成要件充足性に影響を及ぼすものではない。
オ「テーブル」について(ア)被告は,?本件特許発明にいうテーブルとは,画面上に表示される表ではなく,コンピュータのメモリ上に記憶されるデータテーブルのことを指す,?本件特許発明にいうテーブルとは,パルス毎に動特性データ(パルス数,パルス周期,回転方向等)を入力するものであることが必須である,?被告物件において,パルス周期と回転方向というモータの動特性データが格納される二次テーブルは,モータ設定画面において入力されるパルス数と速度のテーブルである一次テーブルの値に基づいてコンピュータにより自動的に生成されるものであるから,本件特許発明にいうテーブルには該当しないとして,被告物件には本件特許発明にいうテーブルがないと主張する。
(イ)被告の主張?の点についてa本件明細書の特許請求の範囲には「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」と記載されているだけであり 「テーブル」,とは「ステップモータの動特性データを設定する」ものと理解をすることはできるが,それがどのようなものを指すのかは同記載からは必ずしも明らかではない。
b「テーブル」の辞書的な意味についてみると,広辞苑第6版では「表・一覧表」と説明され,nifty辞書(甲14)では「表計算ソフトで 『列』と『行』でデータ配置される表のこと。・・・またデ ,ータベースソフトで表形式で配置されたデータや表形式のデータ,データ入力画面もテーブルという。また,一覧表形式のデータベースソフトを一般にテーブルソフトと呼ぶこともある 」と説明されている。
ことが認められる。
本件明細書の発明の詳細な説明には「コンピュータのコントロールパネルを接続する通信ラインには,他のメモリから後述するテーブルデータをロードする(上記イ(カ)a「第2図に対応させた第3 。」),図から第1表のテーブルを作ることができる(上記イ(カ)b , 。」)「こうした制御は,ステップモータをどのようにドライブするかの動作曲線を前述のように描き,これに基づいたデータを設定してテーブルを登録しておくことにより,容易に実現することができる(上。」記イ(カ)h)と記載されており,コンピュータが取り扱うデータを表現する場合,視覚的な表を表現する場合,操作者が登録する概念物を表現する場合にも「テーブル」という用語が用いられている。
c以上によれば,本件特許発明にいう「テーブル」とは,情報処理において「表」あるいは「テーブル」と呼ばれる概念物であって,外形上は表として表示されたり 「データ」として取り扱われるものを指 ,すと解するのが相当である。被告の主張?は採用できない。
そして,被告物件の「パターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウ」は,外形上表として表示されているものであるとともに,ここに入力されたパルス数,速度及び回転方向を指示するステップはステップモーターを制御するためのデータとして取り扱われることは明らかであり,本件特許発明にいう「テーブル」に該当する。
(ウ)被告の主張?,?について上記エのとおり,所定期間毎にステップモータのパルス周期,パルス数及び回転方向をテーブルに入力することができれば,構成要件Eの「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」との要件を充足すると解されるから,本件特許発明にいう「テーブル」とはパルス毎に動特性データを入力できることが必須であるとの被告の主張?は失当である。
そして,被告物件においては 「パターン設定ボタン及び/又は数値 ,限定ウインドウ (被告のいう一次テーブルに照応する表)により「モ 」ータのパルス,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができる」のであるから,被告物件の上記「パターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウ」が本件特許発明にいう「テーブル」に相当するものと認められる。被告物件に一次テーブルのデータ表に基づいて生成される二次テーブルが存在するとしても,そのことは構成要件充足性の判断に影響を与えるものではない。被告の主張?も採用することはできない。
カ「任意に設定する」について(ア)被告は,構成要件Eの「任意に設定する」に関して,?被告物件ではゲートの開度(角度)とパルス数とが比例しているような関係は存在せず,両者の関係は非常に複雑であり,ユーザが意図したゲートの刻々の動作変化を実現できるようにモータのパラメータを入力することは実質的に不可能であるから,被告物件はゲートの刻々の動作変化を任意に設定するものではない,?「入力手段」によって「ゲートの動作変化を任意に設定する」といえるためには,少なくとも,目標とするゲートの動作変化がまず決定され,決定したゲートの動作変化に対応してモータの動特性データを決定し,決定したモータの動特性データを入力することができなければならない(すなわち,操作者が思い描いたゲートの動作変化を1回の設定で実現できなければならない)として,このような構成・機能を有さない被告物件は「任意に設定する」との要件を充足しないと主張する。
(イ)まず 「任意」とは広辞苑第6版によれば「心のままにすること。 ,その人の自由意思にまかせること。随意 」との意味であるから,日本 。
語の通常の意味からすれば,特許請求の範囲の「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を…任意に設定する」との記載は,操作者がその意図するままに自由にゲートの刻々の動作変化を設定することができることを意味すると理解することができる。しかし,特許請求の範囲には,ゲートの開度とモータのパルス数とが比例関係にあること(被告の主張?)や,操作者が思い描いたゲートの動作変化を1回の設定で実現すること(被告の主張?)が必要であるとまでは記載されていない。
(ウ)次に,本件明細書の発明の詳細な説明の記載を見るに,確かに,第2図及びその説明個所には「ステップモータの動作サイクル図であり,例えば,ステップモータを100パルスドライブするとホッパゲートが半開となり,200パルスドライブしたときにホッパゲートが全開となるように設定されているとする(上記イ(カ)b)などの記載があり, 。」モータのパルス数とゲートの開度との間に比例関係があることを前提する実施例が記載されていることが認められる。
しかしながら,これはあくまで本件特許発明実施態様の一つを記載したものであり,この記載だけを根拠として本件特許発明においてモータのパルス数とゲートの開度との間に比例関係があることが必須であると解することはできない。
そして,本件明細書の(発明が解決しようとする問題点(問題を),解決するための手段)及び(作用)の個所(上記イ(ウ)ないし(オ))の記載によれば,本件特許発明は,従来のアクチュエータではゲートの開閉を自由にかつ細かに制御することができないという問題があったことから,このような問題点の解消を目的とした計量装置を提供することを目的とし,特許請求の範囲に記載の構成を採用することにより,ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき,計量スピードも任意に変えることができるという効果を得たものと認められる。これによれば,本件特許発明において,ゲート開閉を自由に,細かに制御できることが必要であることは理解できるが,簡明,容易に,あるいはモータのパルス数とゲートの開度との間に完全な比例関係を持たせて制御できることまでが必須であるとまで解することはできない。
加えて,本件明細書の発明の詳細な説明には,計量中においては,アクチュエータに連結されたレバーとゲート開閉リンクのローラとの間に所定のクリアランスを設け,計量が終わると,直ちにモータを微小ステップ数だけドライブしてレバーをローラに接触させるという態様の実施), 例が記載されているところ(上記イ(カ)g,h ,この態様のものではレバーをローラに接触させるまでの間はモータにパルスを送ってもゲートが閉じた状態のままであるから,ゲートの開度とモータのパルス数との間に比例関係はない。
さらに,ゲートの開度とモータのパルス数とが比例関係にないとしても,操作者において,モータのパルス数とゲートの開度との関係を把握していれば,ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータの動特性データとしてテーブルに設定することは可能である。
(エ)以上の点からすれば,本件特許発明において,ゲートの開度とモータのパルス数とが比例関係にあることや,思い描いたゲートの動作変化を1回の設定で実現できることまでが必須とされているとは認められず,操作者において,ステップモータの動特性データをテーブルに入力するに当たり,モータのパルス数とゲートの開度との関係を把握していれば,構成要件Eの「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」との要件を充足するもの解するのが相当である。被告の上記主張は採用できない。
そして,被告物件は 「ステップモータの所定期間毎(ステップ毎) ,のパルス数,速度及び回転方向を指示するステップの繰り返しであるモータパターンを表に随意に設定することができるパターン設定ボタン及び/又は数値限定ウインドウを備え」ており,操作者としては各ステップ毎のパルス数を積算すればゲート開度を把握することができるのであるから,構成要件Eの「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」との要件を充足するものと認められる。
キまとめ以上に検討したところからすれば,被告物件は,本件特許発明構成要件Eを充足するものと認められる。
( )構成要件FないしHについて4被告物件は 「f組合せ演算の結果選択されたホッパについて,設定さ ,れたモータパターンに基づいてステップモータを制御する制御部を有する「g前記パターン設定ボタン及び/又は数値設定ウインドウはタッ 。」,チパネルに含まれている「h指定された種類のホッパについてのゲー 。」,トの動作は,随意に設定されるモータパターンにより制御可能である,組合せ計量装置である 」との各構成を有するものであり,構成要件Eを充足す 。
ることは上記のとおりであるから,本件特許発明構成要件FないしHを充足することも明らかである。
( )小括5したがって,被告物件は,本件特許発明構成要件をいずれも充足するから,その技術的範囲に属するものと認められる。
3争点3(本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものか)について( )被告は,本件特許発明の「ホッパ毎「指定されたホッパ「刻々 ,1 」,」,」「動作変化」及び「刻々の動作変化」という特許請求の範囲の文言が技術的に意味する権利範囲が明確でなく,本件明細書の発明の詳細な説明等の記載から特許請求の範囲に記載の発明が実施可能なものとしてサポートされているか明らかでないとして,本件特許には旧特許法36条3項,4項違反の無効理由があると主張する。
( )「ホッパ毎」について2特許請求の範囲には「前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモータであり 」と記載されているところ 「ホッパ毎」とは,日本語の通常の , ,意味として「1個1個のホッパ毎」という意義のものと解するのが素直である。
そして,本件明細書の実施例の個所には「コンピュータの出力指令は,ドライバ4を介してステップモータ5に送出され,ステップモータは図示しないリンク機構を介してホッパのゲートと連結されてホッパ6のゲートを開閉制御する(上記2( )イ(カ)a)と記載され,第1図にはホッパ6に対し 。」3てステップモータ5が接続している図,すなわち1個のホッパに1個のステップモータが接続されている図が記載されている。また,上記2( )ウで検3討したとおり,本件明細書の「ホッパゲートの開度指定やスピード変更は,全てのホッパを対象にして一括して設定することもできれば,個々のホッパ毎に個別に指定することもできる。例えば,第4図(b)に示すようなメッセージを表示させて,ホッパ毎に個別に指定しても良い。このように個別に指定できるようにすると,例えば,特開昭58-223718号公報に開示されているような,所謂親子計量において有効となる。即ち,親機と子機とでは,それぞれ動作スピードが異なるし,又,ホッパへの供給量も異なるので,それぞれに適したスピードとゲート開度を指定することによって最適制御を行わせることができる(上記2( )イ(カ)f)との記載及び第4図 。」3(b)によれば,本件特許発明実施例として,1個1個のホッパ毎にモータパターンを設定を行う態様のものが記載されていることも認められる。そうすると,これら実施例を下位概念として包含することを前提とした組合せ計量装置においては,ステップモータは1個1個のホッパ毎に設けられているとみるのが自然である。
したがって,本件特許発明の「前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモータであり 」との要件は,ホッパ1個に対してステップモータが1 ,個設けられていることと解することができるから 「ホッパ毎」との記載が ,不明確ということはできないし,本件明細書の発明の詳細な説明等にも当業者が実施可能な程度に記載されているものと認められる。
( )「指定されたホッパ」について3上記のとおり,本件特許発明の「指定されたホッパ」とは,本件明細書の特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の記載等からすれば,複数あるホッパのうちの指定されたものであり,1個1個のホッパ毎に指定するものに限定されず,複数のホッパを単位として指定する態様のものも含むと解されるのであって 「指定されたホッパ」との記載が不明確ということはでき ,ないし,発明の詳細な説明にも当業者が実施可能な程度に記載されているものである。
( )「刻々「動作変化」及び「刻々の動作変化」について4 」,特許請求の範囲の「当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化」との記載は,日本語の通常の意味からすれば,ホッパゲートの開き始めから閉じるまでの所定期間毎の動きの変化という意義に解することができる。
そして,本件明細書の第1表には,区間iを単位とした所定の期間毎に,ステップモータのパルス周期,パルス数,回転方向を設定することによりホッパゲートの開度やスピードを制御することが記載されており,これはホッパゲートの開き始めから閉じるまでの所定期間毎の動きの変化を設定するものである。
したがって,本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載からすれば,本件特許発明にいう「当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化」とは 「ホッパゲートの開き始めから閉じるま ,での所定期間毎の動きの変化」の意義に解することができるから 「刻々 ,,」「動作変化」及び「刻々の動作変化」との記載が不明確ということはできないし,本件明細書にも当業者が実施可能な程度に記載されているものである。
( )以上のとおりであるから,本件特許に旧特許法36条3項,4項違反の無5効理由があるとの被告の主張は採用できない。
4争点4(本件特許権侵害についての被告の過失の有無)について( )被告は,第1次訂正及び本件訂正は本件特許権の存続期間満了後になされ1たものであり,本件特許権の存続期間中は本件訂正後の特許請求の範囲の記載に基づく本件特許権は全く公示されていない上,登録時の特許請求の範囲の記載に基づく本件特許には無効理由の存在がうかがわれるとして,本件特許権の存続期間中の被告の行為について,特許法103条過失推定規定は適用されないと主張する。
( )特許法103条が,他人の特許権又は専用実施権侵害した者はその侵害2の行為について過失があったものと推定する旨規定している趣旨は,特許発明の内容が特許公報,特許登録原簿等により公示されており,業として製品の製造販売を行っている業者においてその内容を確認し得ることが保障されているから,業者が製品を製造販売し又は製造方法を使用するなどの際に,公示された特許発明の内容等を確認し,上記行為が他人の特許発明実施するものであるか否か,すなわち,他人の特許権又は専用実施権侵害するものでないか否かを慎重に調査すべきことを期待し得るのであり,業者に対してかかる注意義務を課し得ることを基礎として,その調査を怠って漫然と他人の特許発明実施し,その特許権を侵害することになったときは,通常の不法行為における過失の立証責任を転換し,その業者の過失の存在を推定したものであると解される。しかるところ,本件では,本件特許権の存続期間中においては,第1次訂正がされる前の,すなわち本件特許発明の願書に最初に添付した明細書の内容が特許公報等により公示されていたものであるところ,上記存続期間が満了して本件特許権が消滅した後に,第1次訂正及び本件訂正がされたものである。したがって,被告が本件特許権を侵害する行為を行っていた期間中に,第1次訂正及び本件訂正に係る明細書(当初明細書等)の内容が公示されていなかったことは,被告が主張するとおりである。
( )しかし,被告の上記主張は,以下のとおり理由がない。訂正審判請求ある3いは無効審判における訂正請求は,特許権の消滅後においてもすることができ(特許法126条6項,134条の2第5項 ,訂正を認める審決が確定 )したときは,その訂正後における明細書,特許請求の範囲又は図面により特許出願,出願公開,特許をすべき旨の査定又は審決及び特許権の設定の登録), がされたものとみなされる(同法128条,134条の2第5項 。そして特許請求の範囲の訂正は,特許請求の範囲減縮,誤記又は誤訳の訂正,明りょうでない記載の釈明を目的とするものでなければならず(同法126条1項,134条の2第1項 ,かかる訂正要件を満たす適法な訂正が行われ )る限り,訂正前の特許発明実施しない製品等が訂正後の特許発明実施すると解される余地はない。そうすると,業者としては,公示されている訂正前の特許発明の内容等について調査し,自己の製造販売する製品等が同特許発明実施するものではないことを確認していれば,当然に,訂正後の特許発明実施するものではないことを確認したことになるから,訂正後の特許発明の内容が公示されていなかったとしても,公示されている訂正前の特許発明の内容を調査することにより訂正後の特許発明実施することを回避し得ることになる。したがって,訂正後の特許発明実施する行為が,その公示される前にされたものであったとしても,その注意義務を軽減する理由はない。以上からすれば,訂正後の特許権を侵害した者は,訂正がなされる前の侵害行為についても特許法103条により過失が推定されると解すべきである。
この点,被告は,訂正前の特許に無効理由の存在がうかがわれる場合には特許法103条過失推定規定は適用されないとも主張する。しかし,訂正前の特許請求の範囲の記載に基づく特許に無効理由があったとしても,訂正審判請求あるいは無効審判における訂正請求が行われて無効理由が回避される可能性があり,このことは,容易に予見し得るというべきである。したがって,特許法103条により過失を推定するためには,自らの行為が特許発明技術的範囲に属する実施行為であることの予見可能性があれば足りると解すべきであって,訂正前の特許に無効理由があったとしても,それだけで特許法103条による過失の推定が覆ると解することはできない(なお,被告は,本件訂正前の特許に無効理由があり,本件特許が特許無効審判により無効とされるべき旨を具体的に主張立証しているものではない。。)( )これを本件について見るに,本件訂正後の特許請求の範囲の記載は「被計4量物品を貯蔵し排出する複数種類のホッパと,各(判決注:登録時は「該 )ホッパの排出口にそれぞれ設けられたゲートと,各(判決注:登録 」時は「該 )ゲートをリンク機構を介して開閉駆動するモータとを備えた組 」合せ計量装置であって,前記モータは,ホッパ毎に設けられたステップモータであり,前記ステップモータによりゲートを開閉駆動する,指定されたホッパについて,当該ホッパの前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,組合せ演算の結果選択されたホッパについて設定されたゲートの動作変化に基づいて前記ステップモータを制御する制御手段とを設け,前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,被計量物の種類や供給量に応じて,前記指定されたホッパについての前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする組合せ計量装置 」というものである。
が,これは登録時の特許請求の範囲の記載に,第1次訂正及び本件訂正によって下線部の記載を追加して特許請求の範囲減縮したものである。
したがって,被告物件が本件訂正後の特許請求の範囲に記載された特許発明技術的範囲に属する以上,当然に第1次訂正及び本件訂正前の特許請求の範囲の記載に基づく特許発明技術的範囲にも属することになるから,被告が本件訂正後の特許発明が公示されていなかった時期に被告物件を製造販売したことをもって,特許法103条による過失の推定を覆滅するに足りる事情ということはできず,他に上記推定を覆滅するに足りる事情についての主張立証はない。
5侵害論のまとめ以上に検討したところからすれば,被告による被告物件の製造販売は原告の有する本件特許権を侵害した不法行為に該当すると認められるから,被告は,原告に対し,本件特許権侵害により原告が受けた損害を賠償する義務を負う。
6争点5(消滅時効の成否)について( )被告は,原告において,被告物件のカタログの記載内容を知った時点をも1って,被告による本件特許権侵害の事実を知った時と推認するのが相当であるとして,?原告が,平成6年1月 「SIGMA」のカタログを入手した ,上,実際に「SIGMA」の中古機を購入してその構造を分析していること,?原告が,平成9年7月 「ALPHA」のカタログを入手した上,株式会 ,社マツヤに納入されていた「ALPHA」の実機を見学していること,?遅くとも「JAPANPACK2003」の最終日である平成15年10月25日までには,原告において,被告が多数の展示会で配布した被告物件のカタログを入手していると考えられることからすれば,本件特許権の登録がなされた平成9年8月8日,あるいは遅くとも「JAPANPACK2003」の最終日である平成15年10月25日には,原告において,被告による本件特許権侵害の事実を知っていたので,その時期をもって本件特許権侵害不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点とすべきであると主張する。
( )証拠(各項末尾に掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認2められる。
ア原告の関連会社であるイシダ・ヨーロッパは,平成6年1月ころ 「S,IGMA」の中古機を購入して原告の計量装置である「RZ」及び「DZ」シリーズとの比較を行い,以下の内容が記載された同月28日付けの「ISHIDATRAININGSESSION」と題する文書を作成した (乙174)。
(ア)5枚目「1.ステッピングモータ駆動RZおよびDZシリーズの計量機ホッパは全て,完全に独立したステッピングモータ駆動を具備している。このことは,ホッパの開閉プロファイルが使用方法に応じて独立に設定できることを意味する。エアー式ドライブに対する大きな利点は,全ての設定が,時間のかかる機械的なホッパの調整という「試行錯誤(”」でhit and miss affair ”)はなく,リモートコントロールユニットから行うことができるという点である。我々のシステムはさらに,製品の協力なコントロールが可能である。例えば,粘着性の製品についてはホッパの扉を非常に早く開放し,開状態を比較的長い時間維持し,その後に非常に早く閉めることで,製品がホッパから排出される時間をより長く確保できる 」。
「5.メインコントロールボックス大和製衡の計量機はメインコントロールボックスを備えていない。
大和製衡によれば,このことは装置全高を低くすることを可能にする(18.を参照)としている。しかし実際には,この点は重大な短所と見ることができる。すなわち,イシダでは装置本体にメインコントロールボックスが設けられ,装置の内部に「隠されて」いるよりも操作を容易にし,メンテナンス作業や診断作業を簡便に行うことができる 」。
「6.自動パラメータ設定Atomaおよび大和製衡の計量機のいずれも (0〜9)の物品,名,目標重量,要求速度,物品の種類を入力できる。計量機は自動的にプリセットパラメータを計算する。我々はこの点に対する対抗技術を持たないが,日本側はこの点について調査研究を行うことに合意している 」。
(イ)6枚目「9.ホッパデザイン大和製衡はスプリングレスのプッシュ・プル型ステッピングモータ駆動型ホッパを導入している。このホッパは完全に実証された技術ではなく,以下の短所を有すると認識している。すなわち,ホッパを装置本体に配置・取付しにくくなり,洗浄後の組み付け/はずし時間を長びかせる。また,ホッパアクチュエータ周りのアクセススペースが小さくなり,物品の汚染問題につながる可能性がある 」。
「12.オートゼロ補正イシダのオートゼロ補正機能は仕様に応じて設定可能である。マルチポンドの特徴,インテリジェントオートゼロ補正システムは,最初,毎回のサイクルにこの機能を実行し,結果の変動傾向を監視してオートゼロ補正を行う頻度を適切に低くする。大和製鋼のシグマシリーズの特徴は同様の2段階式オートゼロ補正,すなわち当初は頻繁にゼロ補正を行い,その後所定の時間間隔(例:10分間)を置いて,ゼロ補正の頻度が低くされる 」。
「13.運転結果によるフィードバック大和製衡のシグマシリーズは,許容範囲内の組合せの数を表示することにより,計量機の設定が適切か否かを一目で確認できるようにするという形で,わかりやすく計量結果を表示している。すなわち,許容範囲内の組合せの数が多いほど,計量機の設定が適切にされていることになる。許容範囲内の組合せの数が非常に少ない場合には,計量機の設定が適切でないことの確かな指標となる。イシダにおいても同様の統計データが得られることはもちろんだが,表示フォーマットはそれほど即座に認知し得るものでも読取り得るものでもないものとなっている。なお,大和製衡製品のこの特徴は見かけ上のものに過ぎない-基本的に何も新しい情報を提示している訳ではなく,表示方法がオペレータにとってわかりやすいだけである-点に留意すべきである 」。
(ウ)7枚目「19.装置の高さ大和製衡は,メインコントロールボックスがないために装置の全高が低くなると主張しているが,実際には誤導である。大和製衡において従来製品に対して現状製品の全高が低くなっているのは,電子制御部を装置の分散部の上方に配置してからである。我々の装置に対して全般的に装置の全高が低い訳ではない 」。
(エ)8枚目「22.計量機と包装機の一元制御(オプション)Atomaではこの機能は一切実現できない。大和製衡のシステムの短所は,ハイセン社の包装機とのみ連動可能であるという点である。
イシダの半共通の包装機制御は汎用的であり,消費者に対して包装機の選択の自由をもたらす 」。
イ原告の開発部制御技術グループは,平成9年7月11日,愛知県<以下略>所在の株式会社マツヤを訪れ,同社が使用する「ALPHA」を見学し,以下の内容が記載された同月16日付けの「TechnicalReport大和製衡コンピュータスケール(Dataweighα)の見学」と題する文書を作成した (甲78)。
(ア)1枚目「ABSTRACT:大和製衡製コンピュータスケール(Dataweighα)を見学する機会が得られた。株式会社マツヤという詰め屋さんが,大和製衡製のコンピュータスケールを使用しておられ,こちらの見学希望に対し,快く承諾していただけたからである。そのときの報告を行う。
Dataweighαは最新高級機種ではないため,組合せ計量制度に問題があることがわかった 」。
(イ)2枚目ないし3枚目「 1】目的【, 大和製衡株式会社製コンピュータスケールをユーザの好意により見る機会が得られたので,見学した。主な性能を把握し,形状の測定および写真撮影を行う 」。
「 2】条件【場所:株式会社マツヤ…コンピュータスケール:DataweighαADW-510A…日時:H97月11日(金)16:00〜19:00測定者:P2,P3,P4,P5」「 3】結果【…5)写真撮影今回,写真撮影も行った。ポケットカメラによる撮影のため,少しピントがぼけているが,参考のため,付記する。なお,データウェイアルファのカタログも付記しておく 」。
「 3】考察【見学して感じた主な点を以下に示す。
)優れている点1分散フィーダ,放射フィーダ共,制御値はフィーダ値の1種類のみである。当社のように,振幅と振幅時間の2種類に分かれていない。そのため,最適調整はできないが,一般的なユーザにはわかりやすいのではないかと思われる。
放射フィーダの留め方が,当社の方法と異なっていた。水平方向にスライドさせて留めるのではなく,当社のNESのように,スプリングコイルを円形の出っ張り部分にはめることにより留めていた。この方式の方が,外れ難いのかもしれない。
なお,放射フィーダは,当社のF00型の頃の形状に似ていた。
)劣っている点2放射フィーダ?板バネ枚数板バネ枚数が多すぎる。もう少し厚め( 1.0)の板tバネを使用すれば,板バネ枚数を減らすことが出来,コス, トダウンになると思われる。また,枚数が多いことにより共振点の非線形性が大きいことが推定される。
?ギャップギャップが広すぎる。最大振幅1.5に対し,ギャップが4.0もある。消費電力が増大し,発熱量が大きいことが推定される。もっとも,カバーが取り付けられているわけではないので,発熱は問題にならないのかもしれない。
ホッパ?開閉方法最新機種シグマでは改善されているが,この機種ではホッパの開閉方法に問題がある。ゲートが開閉する度にホッパが大きく揺れる。PHには問題ないが,WHでは計量を行うため,問題があると推定される。
?抜けよく抜けが発生すると工場長が言っておられた。トグル機能に問題があるのかもしれない。また,これが発生しても,エラーを知らせるアラームが鳴らず,リモコン部でのエラー発生表示も無いそうである。リモコンの表示上,問。 題なく適量が組み合わされているように見えるそうであるしかし,ウエイトチェッカーのところで過量エラーがでるので,問題が発覚するそうである。
計量精度粒物の場合問題ないが,ビスケット等,個体物を組合せ計量する場合,精度がよくないと,工場長が言っておられた。
単に,調整ミスでホッパ内で計量物が跳ねている間に計量していて,そのため,精度が悪いだけのことかもしれない。しかし,それほど,能力の高くない場合であっても精度が悪いと言っておられたので,当社のように選択されたヘッドについてはもう一度計量し直すということを行っていないのかもしれないと思った。
今回,見たのが特に悪かっただけかもしれないが,森永製菓製ビスケットの場合,ウエイトチェッカーが,約10回に1回過量ではねていた。…」「 4】所感【今回,他社製のコンピュータスケールを見学する機会を得,大変参考になった。今後の設計に活かしたい。次回,大和の最新高級機種シグマを見学したいと思った 」。
ウ被告は,平成5年ころから,多数の展示会に被告物件を出展し,展示会場において被告物件のカタログを配布していた。原告も被告と同じ展示会に商品を出展していたことがあり,原告従業員が被告の展示ブースを訪れて被告従業員と名刺交換をしたこともあった (乙129ないし137) 。
( )検討3ア以上に基づいて検討するに,民法724条は,不法行為による損害賠償請求権の期間制限(消滅時効)を定めたものであり,不法行為に基づく法律関係が,未知の当事者間に予期しない事情に基づいて発生することがあることにかんがみ,被害者による損害賠償請求権の行使を念頭に置いて,消滅時効の起算点に関して特則を設けたものである。したがって,同条にいう「損害及び加害者を知った時」とは,被害者において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれらを知った時を意味するものと解するのが相当であり,同条にいう被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいうと解すべきである(最高裁判所平成14年1月29日第三小法廷判決・民集56巻1号218頁参照 。そして,本件のような特許権侵害不法行為に基づく損 )害賠償請求権については,被害者としては,加害者による物件の製造販売等を認識していたとしても,当該物件が自己の特許発明と対比してその技術的範囲に属し,当該加害者の行為が被害者の有する特許権を侵害する行為であることを現実に認識していなければ,これによる損害の発生を現実に認識し得ず,加害者に対して損害賠償請求権を行使することができないから 「損害及び加害者を知った」というためには,加害者の行為が被害 ,者の特許権を侵害する行為であることを現実に認識することを要するものと解するのが相当である。
イこれを本件についてみるに,上記のとおり,原告の関係会社であるイシダ・ヨーロッパが,平成6年1月に「SIGMA」の中古機を購入して原告の計量装置との比較を行い 「SIGMA」と原告の計量装置の性能等 ,を比較した結果を記した「ISHIDATRAININGSESSION」と題する文書を作成したこと,原告(開発部制御技術グループ)自身,平成9年7月には,株式会社マツヤが使用する「ALPHA」を見学して「TechnicalReport大和製衡コンピュータスケール(Dataweighα)の見学」と題する文書を作成したことが認められる。そして,イシダ・ヨーロッパが作成した「ISHIDATRAININGSESSION」には原告の計量装置の問題点に関して「日本側はこの点について調査研究を行うことに合意している 」と記載。
されていることからすると,イシダ・ヨーロッパが「SIGMA」と原告の計量装置とを比較検討した内容については原告も把握しているものと推認される。また,原告は,上記のとおり,被告物件を実際に購入してその性能を調査したり,他社の使用する被告物件を見学するなどしていたのであるから,被告が展示会等で配布していた被告物件のパンフレットについては,随時収集して被告物件を調査していたことは容易に推認されるところであり,このことは,原告作成に係る「TechnicalReport大和製衡コンピュータスケール(Dataweighα)の見学」の中に「今回,写真撮影も行った。ポケットカメラによる撮影のため,少しピントがぼけているが,参考のため,付記する。なお,データウェイアルファのカタログも付記しておく 」と記載されていることからも明 。
らかである。
そして 「SIGMA」のカタログ(甲3)には「ステッピングモータ ,ーで,ホッパーの開口時,開閉時における駆動,制御を行っています 」。
との記載が 「ALPHA」のカタログ(甲4)には「ステッピングモー ,タによる駆動方式を採用している為,静かな運転音で長寿命の安定した動きを約束します「計量物の性質に合わせてホッパーゲートの開閉速度 。」,を細かく調整することができ,欠けを防ぎます 」との記載が 「SIG 。,MAPLUS」のカタログ(甲5)には「先進技術…調整可能なドア開閉角度「最先端のソフトウェア…きめ細かい運転条件の変更も可能」 」,との記載が 「ALPHAPLUS」のカタログ(甲7)には「アルフ ,ァシリーズは,ホッパードアの開閉用駆動源にステッピングモータを使用していますので,商品に合わせてホッパドア開閉のパターンを細かく調整し,登録することができます。これにより高速運転が可能です 」との記。
載がそれぞれあるから,これらの記載を見た上で本件特許発明と対比すれば,被告物件が本件特許発明技術的範囲に属するのではないかとの疑念を抱くことは十分に可能であるとはいえる(実際,原告は,被告物件が本件特許発明技術的範囲に属することを立証するため,被告物件のカタログを証拠として提出している。しかも,原告が,被告物件のカタログ 。)収集による調査に加えて,被告物件の実機を購入して運転稼働させたり,他社が使用する被告物件の運転稼働状況を見学していることからしても,原告において,本件特許発明と対比するに必要な程度の被告物件の構成については把握していたものと推認される。
ウしかしながら 「ISHIDATRAININGSESSION」 ,及び「TechnicalReport大和製衡コンピュータスケール(Dataweighα)の見学」と題する各書面には,原告において,被告物件が本件特許発明(当時は登録前の発明)の技術的範囲に属するか否かの調査をしたことをうかがわせるような記載は一切なく,かえって 「ISHIDATRAININGSESSION」の「Ato ,ma及び大和製衡の計量機のいずれも (0〜9)の物品名,目標重量, ,要求速度,物品の種類を入力できる。計量機は自動的にプリセットパラメータを計算する。我々はこの点に対する対抗技術を持たないが,日本側はこの点について調査研究を行うことに合意している 」との記載や 「T。,echnicalReport大和製衡コンピュータスケール(Dataweighα)の見学」の「今回,他社製のコンピュータスケールを見学する機械を得,大変参考になった。今後の設計に活かしたい。次回,大和の最新高級機種シグマを見学したいと思った 」との記載等から。
すれば,原告は,あくまで競業会社である被告が製造する被告物件と原告の計量装置とを比較し,原告の計量装置の優位性や改善点を調査することを目的として被告物件の調査を行っていたことが明らかである。このことからすれば,原告が被告物件のカタログを随時収集していた点についても,同様の目的で被告物件の調査をしていたものと推認されるのであって,そのことを超えて,本件特許権侵害の有無の調査を目的とし,被告物件と本件特許発明とを対比し,被告物件が本件特許発明技術的範囲に属するか否かについての調査をしていたものと認めることはできない。
以上のとおり,原告としては,カタログの収集や実機の分析等により被告物件の構成・性能等を継続的に調査し,被告物件の構成を相当程度詳細に把握していたものと認められるが,上記( )で認定した事実からは,原2告において,本件訴訟提起の3年以上前の時点で,被告物件と本件特許発明とを対比し,被告物件が本件特許発明技術的範囲に属するものであって,これを製造販売する被告の行為が本件特許権を侵害することを現実に認識していたとまでは認められず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。
したがって,原告が本件訴訟を提起した平成19年2月26日の時点では,原告の被告に対する損害賠償請求権のうち消滅時効期間の3年が経過したと認められるものはないから,被告の消滅時効の主張は採用することができない。
7争点6-1(日本国内で製造され日本国外向けに販売された被告物件が損害賠償の対象に含まれるか)について( )被告は,?原告が本件特許権により独占的な利益を得ることができるのは1日本国内の市場だけであり,日本国外の市場を独占することはできないから,被告が外国に販売した被告物件については,損害賠償の対象からは除外されるべきである,?本件和解により本件特許発明実質的に同一の技術を対象とする米国125特許発明実施を許諾されているところ,これは米国に輸出する目的で米国125特許発明実施品である被告物件を日本国内で製造することをも許諾するものであるから,米国向けの被告物件は損害賠償の対象には含まれない,?原告と原告の関連会社が,EP268346号特許権に基づき,被告の取引先を被告として,被告が製造販売した本件訴訟と同一の被告物件を対象として,欧州において損害賠償請求訴訟を提起しており,欧州と日本とで二重に損害の賠償を受けることは著しく損害賠償制度の趣旨を逸脱するものであるから,欧州向け被告物件についても損害賠償の対象から除外すべきである,と主張する。
( )被告の主張?について2本件特許権が日本国内でのみ効力を有するものであることはいうまでもないが,特許権者である原告としては,業として日本国内で本件特許発明実施品を製造し日本国内でこれを販売することだけでなく,業として日本国内で本件特許発明実施品を製造してこれを外国の顧客等に向けて販売(輸出)するという実施行為をする権利を専有し,これらの実施行為について本件特許権に基づく独占権を有している(特許法68条,2条3項1号。なお,本件特許権の存続期間中の行為に適用される平成18年法律第55号による改正前の特許法2条3項1号及び平成14年法律第24号による改正前の特許法2条3項1号では,輸出自体は発明の実施行為とはされていなかったが,日本国内から外国の顧客等に販売することは上記各規定で定められていた譲渡に該当する実施行為であるから,原告が実施権を専有する実施行為に該当することは明らかである。そして,弁論の全趣旨によれば,被告は,米 。)国では,販売会社である「YamatoCorporationDataweighDivisioninUSA (以下「YDW」とい 」う )を設立し,YDWを通じて被告物件の機種,仕様,付属装置の有無等 。
の顧客の要望がまとめられた注文を受けて日本国内で被告物件を製造し,これをいったんYDWに販売した上で顧客に納品していたこと,米国以外の外国の顧客についても,米国と同様の方法で被告物件を販売していたことが認められる。かかる被告の行為が原告が有する上記独占権を侵害することは明らかであり,これにより原告が上記独占権に基づいて得ることができた利益を失ったことも明らかである。したがって,被告の主張?は,採用することができない。
( )被告の主張?について3ア証拠(乙83)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
(ア)原告は,昭和59年3月22日,被告を債務者として,原告の有する自動定量計量装置に関する特許権に基づき,被告の自動定量計量装置の製造販売の差止めを求める仮処分を申し立て(東京地方裁判所昭和5) , 9年(ヨ)第2527号 ,被告との間において,昭和63年4月15日次の内容の本件和解を成立させた(以下の和解条項中の「原告」は原文の「債権者」を 「被告」は原文の「債務者」を,それぞれ読み替えた ,ものである。。)a前文「原告及び被告は,裁判官の勧告に従い,両者間の特許紛争を全世界的に解決するため,現在両者が有している特許権及び現在公開されている両者の特許出願中の権利を対象として,次のとおり和解することとする 」。
b和解条項「一原告は,被告に対し,別紙工業所有権目録(一)記載の特許権(実用新案権を含む。以下同じ )について通常実施権(範囲に 。
制限のない無償の非独占的実施権とする。以下同じ )を許諾す。
る。自動定量計量装置に係る特許権であって,本和解成立の日までに成立するものについても,同様とする。
二原告は,被告に対し,別紙工業所有権目録(二)記載の特許出願(実用新案登録出願を含む。以下同じ )中の権利について,そ 。
実施を許諾し(範囲に制限のない無償の非独占的実施の許諾とする。以下同じ,かつ特許権の成立を停止条件としてその通 。)常実施権を許諾する。自動定量計量装置に係る特許出願中の権利であって,本和解成立の日までに出願公開されるものについても,同様とする。
三被告は,原告に対し,別紙工業所有権目録(三)記載の特許権について,通常実施権を許諾する。第一項後段の規定は,この場合に準用する。
四被告は,原告に対し,別紙工業所有権目録(四)記載の特許出願中の権利について,その実施を許諾し,かつ特許権の成立を停止条件としてその通常実施権を許諾する。第二項後段の規定は,この場合に準用する 」。
(イ)本件和解の別紙工業所有権目録(一)ないし(四)(以下「本件目録」という )には,日本特許,米国特許,オーストラリア特許,英国特許 。
など合計約900件にのぼる特許権及び実用新案権並びに特許出願中の権利及び実用新案登録出願中の権利が国ごとに分類されて記載されている。
(ウ)本件特許は,本件和解当時特許出願中であったところ,同出願中の権利は本件目録に記載されておらず,また,本件特許の出願公開がされたのは本件和解成立後の昭和63年5月31日である。したがって,本件和解の第二項にいう「特許出願中の権利であって,本和解成立の日までに出願公開されるもの」には該当しない。
(エ)米国125特許権は,本件目録のうち工業所有権目録(一)に記載されている。したがって,米国125特許権は,本件和解により被告に通常実施権が許諾されたことになる。
イそこで,検討するに,原告が有する米国125特許権については,本件和解により被告に通常実施権が許諾されたものであり,これが本件特許権と実質的に同一の技術を対象とすることについては原告も争っているものではない。被告が主張するように,米国に輸出する目的で米国125特許発明実施品である被告物件を日本国内で製造することが本件和解により許容されるとすれば,その限度で本件特許権についても被告に実施権が許諾されたことになる。
しかし,本件和解は,実施許諾の対象となる特許権等の権利について,本件目録に記載されたもの 「自動定量計量装置に係る特許権であって, ,本和解成立の日までに成立するもの」及び「自動定量計量装置に係る特許出願中の権利であって,本和解成立の日までに出願公開されるもの」として許諾の対象範囲を明確に特定しており,本件特許の出願公開がされたのは本件和解成立後であるから,本件和解条項の文言からは,本件特許権が本件和解による実施許諾の対象から除外されることは明らかである。
そして,特許権は各国ごとに成立する別個の権利であり,実質的に同一の技術を対象とするものであっても,各国の特許権について,それぞれの国の市場状況等に応じて,ある国では実施を許諾し,他の国では許諾しないということは当然にあり得ることであって,このことは何ら不自然なことではない上,本件和解による実施許諾の対象が記載されている本件目録においても,各国ごとに実施許諾の対象となる特許権等は分類して記載されているのであるから,原告と被告が,本件和解において,各国の特許権ごとに実施許諾をするか否かを個別に決定することを当然に前提としていたことが明らかである。
この点,被告は,原告と被告のいずれも外国に生産設備を有しておらず,そのことをお互いに認識した上で,世界的な紛争を解決するために本件和解をしたと主張するが,そうであったとしても,原告と被告は,そのことを前提として,外国の特許権と日本の特許権とを明確に区別して各別にその実施許諾の対象にするという本件和解をしているのであるから,許諾された外国の特許発明の実施(販売)のために日本国内で製品を製造することまでを許諾する意思を有していたと認めることは困難である。
以上によれば,本件和解において,被告に米国125特許権の実施が許諾されたとしても,それは米国内で米国125特許発明実施することを許諾するものにすぎず,原告が米国向けの製品を製造し販売するという限度であっても,本件特許権について被告に実施を許諾した,すなわち日本国内で被告物件を製造販売することを許諾したとまで解することはできない。
したがって,被告が日本国内で被告物件を製造して米国の顧客等に向けて販売した行為は本件特許権を侵害する行為というべきであるから,米国向け被告物件を損害賠償の対象から除外することはできない。被告の主張?も採用することはできない。
ウ被告の主張?について被告が主張するように,原告と原告の関連会社が,EP268346号特許権に基づき,被告の取引先を被告として,被告が製造販売した本件訴訟と同一の被告物件を対象として,欧州において損害賠償請求訴訟を提起しているとしても,EP268346号特許権と本件特許権とは別個の権利である上,原告は,本件訴訟において,特許法102条2項に基づいて被告が被告物件を製造販売したことにより得た利益を損害としてその賠償を求めているものであり,被告の取引先が得た利益を原告の受けた損害としてその賠償を求めるものではない。したがって,原告が日本と欧州とで同一の被告物件について二重の賠償を得ようとしているとは認められず,欧州向けの被告物件を対象とする本件における原告の請求を制限することは相当でない。被告の主張?も採用することはできない。
エ以上に検討したとおり,被告が日本国内で製造し外国向けに販売した被告物件はいずれも本件請求に係る損害賠償の対象に含まれるというべきである。
8争点6-2(原告の損害の額)について( )被告が本件特許権を侵害したことにより得た利益の額 1ア証拠(乙82,181)及び弁論の全趣旨によれば,被告が,本件特許の存続期間中の平成9年9月1日から平成18年11月15日までの間,被告物件を国内向けに236台製造して販売し,外国向けに4562台製造して販売したこと,上記期間中の国内向け被告物件の売上額は9億1559万8000円,外国向けの被告物件の売上額は255億3785万9000円であること,国内向けの被告物件の売上額から売上原価を控除した粗利額は8593万8000円であり,外国向けの被告物件の粗利額は69億6541万6000円であること,被告物件の販売に係る営業費(販売費と一般管理費の合計)は国内向けの分が4億5575万9000円であり,外国向けの分が48億2903万1000円であることが認められる。
イところで,原告は,特許法102条2項に基づき,被告が本件特許権を侵害した行為により得た利益の額の賠償を求めているところ,ここでいう被告が得た利益とは,被告物件の売上高から被告物件の製造販売のために直接的に要した費用を控除した額(限界利益)をいうと解するのが相当である。
被告の上記営業費(販売費と一般管理費の合計)の中には被告物件の製造販売の有無にかかわらず必要であった費用も含まれていることは明らかであるから,損害の基礎となる被告の限界利益を算出するに当たり,被告物件の販売に係る粗利額の合計から被告が支出した営業費の全額を控除することは相当でなく,粗利額から控除することができるのは営業費のうち被告物件の製造販売に直接的に要したと認められる部分に限られるというべきである。この点,原告は,被告が粗利額から控除すべき変動経費の額について具体的に主張していない以上,被告物件の販売に係る粗利額をもって被告が得た利益の額とすべきであると主張するが,被告の上記営業費の中に被告物件の販売に直接的に必要となった費用が含まれていることも否定することはできないから,被告が支出した営業費を一切考慮しないとするのは相当でない。
もっとも,被告は,上記営業費の内訳を明らかにする資料を開示していないから,原告において,被告の限界利益の額を直接立証することは極めて困難というべきである。したがって,本件においては,特許法105条の3の趣旨に照らし,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,被告の営業費のうち粗利額から控除すべき金額を認定するのが相当であり,その際には,被告と競合する原告における産機部門の販売管理費・一般管理費の内訳を参考にするのが合理的である。
そして,証拠(甲63)及び弁論の全趣旨によれば,原告の第52期から第59期まで(平成10年4月から平成18年3月まで)の海外産機部門の販売費・一般管理費の合計は●●●●●●●●●●●●●円,そのうち直接部門費(運賃,倉庫料,支払手数料等の変動経費と直接部門の人件費の合計)は●●●●●●●●●●●●円であり,海外産機部門における直接部門費が販売費・一般管理費に閉める割合は●●●●%であること,同期間の原告の国内産機部門の販売費・一般管理費の合計は●●●●●●●●●●●●●円,そのうち直接部門費は●●●●●●●●●●●●●円であり,国内産機部門における直接部門費が販売費・一般管理費に占める割合は●●●●%であることが認められる。そうすると,販売費・一般管理費のうち被告物件の製造販売のために直接要した費用の額は,外国向け販売分及び国内販売分に区分し,上記に算定したとおり,販売費・一般管理費に占める直接部門費の割合をもって算出するのが相当である(なお,人件費は通常は製品の販売の多寡にかかわらず支払われるものであるから,限界利益の算出に当たって粗利額から人件費を一律に控除することは相当ではないが,原告は,直接部門費のうちに人件費が占める割合を明らかにしておらず,原告における人件費を含む直接部門費が販売費・一般管理費に占める割合に基づいて被告の限界利益を算出しているから,本件では,原告の主張する計算方法に基づいて被告の限界利益を算出することとする。
このような計算方法は被告に有利ではあっても不利な計算方法ではない。。)したがって,被告の限界利益の額は,被告物件の販売に係る粗利額から,被告の外国分の営業費のうち●●●●●●●●●●●●円(計算:48億2903万1000円×●●●●=●●●●●●●●●●●●●円)を,国内分の営業費のうち●●●●●●●●●●●円(計算:4億5575万9000円×●●●●=●●●●●●●●●●●●円)をそれぞれ控除して算出するのが相当である。
ウ以上によれば,被告物件の製造販売に係る被告の限界利益は●●●●●●●●●●●●円(計算:70億5135万4000円-●●●●●●●●●●●●円-●●●●●●●●●●●●円=●●●●●●●●●●●円)と認められる。
( )本件特許発明の寄与度2ア被告物件における本件特許発明の位置づけ上記のとおり,本件特許発明は,組合せ計量装置において,従来のアクチュエータではホッパゲートの開閉を自由にかつ細かに制御することができないという問題を解決するため,ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段を設けるなどの構成を採用してホッパゲートの動作を任意に制御できるようにしたものであり,ホッパの供給量に応じた計量スピードの変更,被計量物の性状に応じたゲートの開閉制御,ゲート開閉リンクの摩耗によるゲート開閉時の騒音の制御などの作用効果を奏するものである。このような本件特許発明の作用効果は,作業効率の向上,作業環境の改善に直結するものであり,組合せ計量装置の購入を検討する顧客が重視するものと考えられる。実際,被告物件のカタログにおいても 「SIG,MA」のカタログ(甲3)には「ステッピングモーターにより,ホッパーの開口時における駆動,制御を行いますので,データウェイ全体の運転ノイズを下げ,騒音コントロールに優れています「ホッパーのゲートは, 。」,任意のスピードと開閉角度で,制御可能です 」との記載が 「ALPH 。,A」のカタログ(甲4)には「計量物の性質に合わせてホッパーゲートの開閉速度を細かく調整することができ,欠けを防ぎます 」との記載が,。
「SIGMAPLUS」のカタログ(甲5)には「Σプラスは,スナック・菓子・チーズ・フレッシュサラダなどの多様な製品を,比類ない精度と効率で処理します「先進技術…調整可能なドア開閉角度「最先端 。」, 」,のソフトウェア…きめ細かい運転条件の変更も可能」との記載が 「SI,GMACOMPACT」のカタログ(甲6)には「ステッピングモータ駆動式超軽量バケットがノイズを最小限にします 」との記載が 「AL 。,PHAPLUS」のカタログ(甲7)には「アルファシリーズは,ホッパードアの開閉用駆動源にステッピングモータを使用していますので,商品に合わせてホッパドア開閉のパターンを細かく調整し,登録することができます。これにより高速運転が可能です 」との記載がそれぞれあり, 。
本件特許発明の作用効果が強調されている。
イ被告物件における本件特許発明以外の技術(ア)弁論の全趣旨によれば,組合せ計量装置は,組合せはかりへの供給装置,振動機による搬送技術,被計量物を貯蔵するホッパの技術,組合せ演算の技術(シングルシフト,ダブルシフト,トリプルシフト ,組)合せ演算された計量物を包装機に投入する技術(メモリホッパ,集合シュート ,組合せはかりと包装機間の通信・インターロック技術,操作 )設定表示装置の情報端末としての技術(LAN,通信)など多数の技術が用いられていること,被告物件においても,本件和解により被告が原告から実施許諾を受けた発明等を含めて本件特許発明以外の多数の技術が使用されていることが認められる。そして,イシダ・ヨーロッパ作成に係る原告の組合せ計量装置と被告物件との比較が記載された「ISH」 , IDATRAININGSESSION (乙174)においても本件特許発明とは関係のない機能が多数比較の対象とされている。また,被告物件のカタログにおいても 「SIGMA」のカタログ(甲3)に ,は「ヤマトのデータウェイΣシリーズの組合せはかりは,サニテーションの向上および高耐久性実現のために最先端技術をフルに活用し,今日のあらゆる市場ニーズに対応します 」などの記載が 「SIGMA 。,PLUS」のカタログ(甲5)には「高衛生性「高耐久性「高可」,」,動性」などの記載が 「SIGMACOMPACT」のカタログ(甲 ,6)には「Σコンパクトは,設置面積が小さく,背も低いため,現在使用しているパッケージング・加工ラインに簡単に組み込むことができます「Σコンパクトの最大の利点は,落下距離とシュートが短いこと 。」,です。オプション品を使用することで,非常に壊れやすい製品も,こわさずに計量できます「ひっつき易く小さなものでも,お任せ下さい。 。」,小粒のゼリーなどの粘りのある製品を,エンボスプレート製の部品で対応します 」などの記載が 「ALPHAPLUS」のカタログ(甲 。,7)には「リニアフィーダの駆動部を含め,全ての駆動源を閉鎖構造とし,高衛生性を確保しました「ALPHAシリーズは,Yamat 。」,oの高性能ロードセルとその信号のデジタルフィルタリング(特許)処理により,外部振動の影響を除去することで高い精度が保たれます 」。
などの記載がそれぞれあり,本件特許発明以外の技術による作用効果が強調されている個所が多数見受けられる。
(イ)819発明の実施許諾についてa被告は,本件和解により819発明の実施を許諾されているところ,本件特許発明は819発明の技術内容に完全に包含されており819発明に対して意味のある技術的貢献をしていないと主張するので,この点について検討する。
b819発明は,本件目録のうち工業所有権目録(二)に記載されたものであるから,本件和解により被告に実施が許諾されたことが認められる。819発明に係る特開昭62-91819号公報(乙102,以下「乙102公報」という )には次の記載がある。 。
(a)2・特許請求の範囲「 4)計量装置に移送される計量物を収容する複数のプールホッ (パ,該プールホッパと対応して設けられ,プールホッパのゲートから排出される計量物を計量し,左右のゲートのいずれか一方から計量物を排出する計量ホッパ,計量ホッパから排出される計量物を外部に移送する内側シュート及び外側シュートを具備し,上記プールホッパ及び計量ホッパの各ゲートをデジタル制御されるモータにより駆動することを特徴とする,組合せ計量装置における計量物の収集装置(1頁右欄15行〜2頁左上欄4行) 。」「 5)デジタル制御されるモータとして,ステッピングモータを (用いたことを特徴とする,特許請求の範囲第(4)項に記載の組合せ計量装置における計量物の収集装置(2頁左上欄5行〜。」8行)(b)3・発明の詳細な説明「…本件発明においては,回転速度や回転方向等が自由に変更制御できるステッピングモータを使用したので,次のような利点が得られる (1)クラッチ,ブレーキ等を省略できるので,駆動部 。
のスペースを小さくできる (2)計量ホッパ等の開閉ゲートを 。
計量物の性状に応じて開閉制御でき,計量物の割れや騒音等を防止できる (3)1つのステッピングモータの正転,逆転の使い 。
分けで,計量ホッパの両開きゲートを各々独立に開閉制御できる。
従って,駆動部を小さくすることができると共に,部品点数を削減でき,加えて保守点検整備が簡単になる (4)回転速度や回。
転方向は,デジタル制御で簡単に変更でき,しかもオープンループ制御ができるので,設計変更が容易で自由度が高い。なお,ステッピングモータの他に,回転速度や回転方向が自由に変更制御できるサーボモータを使用しても,同様の効果が得られる 」。
(8頁左下欄17行〜右下欄16行)c以上によれば,本件和解により被告に実施が許諾された819発明は,ホッパゲートをデジタル制御されるステッピングモータを用いて駆動することを特徴とする組合せ計量装置における計量物の収集装置であり,計量物の性状に応じたホッパゲートの開閉制御,騒音の防止などの本件特許発明と同様の効果を奏するものと認められる。
しかし,819発明は,ホッパゲートを駆動するステッピングモータの制御に関しては単に「デジタル制御される」とするだけであり,本件特許発明のように「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記ステップモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段 (構成要件E「前記入力手段はコントロールパ 」),ネルに含まれており (構成要件G)という具体的構成を備えている 」ものではないから,本件特許発明が819発明と同一の発明とはいえないことは明らかである。本件特許発明が819発明に対して意味のある技術的貢献をしていないという被告の主張は採用できない。
したがって,被告物件が819発明の実施品とも見ることができるとしても,被告物件の販売利益に対する本件特許発明の寄与度が大きく減殺されるとは認められない。
ウ代替技術の有無について被告は,テーブルデータとしてではなく本件明細書の第2図に示されるようなゲートの時間変化を関数やグラフ図形として入力するという方法でも本件特許発明と全く同様の作用効果を奏することができるから,本件特許発明の技術的価値は相応に低いものにならざるを得ないと主張する。
しかしながら,ゲートの時間変化を関数やグラフ図形として入力する方法により本件特許発明と同じ作用効果を奏することが可能であるとしても,実際にそのような入力方法を採用した製品があるとは認められず,また,製品化することの容易性について具体的な立証まではされていないから,本件特許発明に容易に取って代わるような代替技術であると認めることはできない。
エ米国125特許発明実施許諾について被告は,本件和解により本件特許発明に対応する米国125特許発明実施許諾を受けたことを,米国向け被告物件の販売利益に対する本件特許発明の寄与度を評価するに当たって考慮すべきであると主張する。
確かに,被告は,本件和解により本件特許発明と同一の技術内容を対象とする米国125特許権について実施許諾を受けており,米国内で被告物件を製造販売することはできたのであるから,本件特許権を侵害せずに米国向けの被告物件を製造販売して利益を得る方法があったといえる。しかし,被告は,米国に製造拠点を設けることなく,日本国内で被告物件を製造して米国に向けて販売するという経営戦略をとり,その結果,本件特許権を侵害し,かかる侵害行為により被告物件の販売利益を得たのであるから,被告が米国125特許発明実施許諾を受けていることを理由に,被告物件の販売利益に対する本件特許発明の寄与度を減殺するのは相当でない。被告の上記主張は採用できない。
オまとめ以上のとおり,本件特許発明は,ホッパゲートの開閉を細かに制御する技術であって,顧客が重視する作業効率の向上・作業環境の改善等に直結するものであり,被告物件のカタログにおいても本件特許発明の作用効果が強調されて記載されていることからすれば,被告物件に本件特許発明以外の多数の技術が使用されており,カタログにおいてもそれらの技術を強調する記載が見受けられることなど被告が縷々主張するところを総合して考慮しても,被告物件の販売利益に対する本件特許発明の寄与度は●●%と認めるのが相当である。
( )以上によれば,特許法102条2項本文により推定される原告の損害額は,3被告の限界利益●●●●●●●●●●●●円に寄与度●●%を乗じた14億9847万9183円となる。
( )推定の覆滅の有無4被告は,原被告以外の製造業者としてアンリツがあり,アンリツは被告と同程度を販売していたのであるから,被告物件の販売数のすべてを原告が販売することができたという関係にないと主張する。
確かに,証拠(乙196,197)によれば,アンリツが,本件特許権の存続期間中,複数のホッパを有する自動電子計量機を製造販売していたこと,平成17年5月に作成されたアンリツの自動電子計量機「クリーンマルチスケール」のカタログには「高速度ダイレクトシャッタで,シャッタ開閉時間を1/2に短縮。しかも速度制御が可能。信頼性のあるステッピングモータを使用のため高寿命を実現いたしました 」などの記載があることが認めら 。
れる。
しかし,アンリツ製の自動電子計量機が,ステッピングモータを採用しており,シャッタ(ゲート)の開閉速度を制御することが可能であるとしても,被告物件のようにきめ細かにゲートの開閉制御を行うことができる機能を具備しているかは不明であり,被告物件の代替品といえるものかは明らかでない上,被告は,アンリツが自動電子計量機をどの程度販売していたのかについて何ら立証していないのであるから(なお,被告は,原告と被告が計量装置のシェアを2分する企業であるとの主張もしており,このことからすれば,原被告に比べればアンリツの自動電子計量機の販売数が相当多かったとはいえない,被告物件が販売されていなかったと仮定した場合に,被告物件 。)を購入していた顧客が,被告物件の代替品としてアンリツ製の自動電子計量機をどの程度購入していたのかは全く不明というほかない。
したがって,本件においては,特許法102条2項本文による原告の損害額の推定を覆滅するに足りる事実が具体的に立証されているとはいえないから,上記( )で算出した原告の損害額を減額するのは相当でない。
3第5結語以上によれば,原告の本件請求は,特許権侵害不法行為に基づき,損害賠償金14億9847万9183円及びこれに対する不法行為の日の後である平成19年1月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
田中俊次裁判長裁判官北岡裕章裁判官山下隼人裁判官別紙被告物件説明書別紙図面に示し,下記構成を有する,以下の商品名の計量装置1商品名「DataweighSIGMA」シリーズ「DataweighALPHA」シリーズ「DataweighSIGMAPLUS」シリーズ「DataweighSIGMACOMPACT」シリーズ「DataweighALPHAPLUS」シリーズ「DataweighSIGMAF1」シリーズ「DataweighSDW」シリーズ「SNXDataweigh」シリーズ2図面の説明図1(a)被告物件の一例(SIGMAPLUS)の斜視図図1(b)被告物件の一例(SDW)の斜視図図2被告物件のバケット(計量バケット)の斜視図図3被告物件のブロック図図4被告物件のタッチパネルにおけるステッピングモータ動作情報画面概念図図5上記タッチパネルにおける動作情報入力画面概念図3符号の説明1計量装置2バケット2aゲート3ステッピングモータ4制御装置5タッチパネル6パターン設定ボタン7数値設定ウインドウ4構成の説明(1)構造図1に例示するとおり,計量装置1は,円周状[図1(a]もしくは直線)状[同(b]に設けられた被計量物品を貯蔵,排出する,フィードホッパ,)計量ホッパ,メモリホッパ,集合ホッパ等の,複数種類のバケット2,2…を備えている。
図2に例示するとおり,各バケット2,2…の排出口には下向きに開閉自在のゲート2aが設けられている。
図3に示すとおり,バケット2のゲート2aは,バケット毎に設けられたステッピングモータ3によって開閉駆動され,該開閉駆動を後記する動作情報によって制御するCPU等からなる制御装置4が設けられている。
制御装置4は通信ラインによってタッチパネル5と接続されている。
(2)作動図4のステッピングモータ動作情報画面に例示するとおり,タッチパネル5には,フィードホッパ,計量ホッパ,集合ホッパ等の各種ホッパのうちの指定された,ゲートをステッピングモータにより開閉駆動するバケットについて,そのゲート2aの動作変化を司るステッピングモータの動作情報が表示される。
即ち,ゲート2aが開き始めてから閉じるまでの間のステッピングモータの動作変化を,時々刻々に刻まれたステップ毎に,送出パルス数,パルス速度及び回転方向という情報として表したテーブルが,タッチパネル5の画面上に表示される。
タッチパネル5の画面上のステッピングモータ動作情報は,入力画面において,パターン設定ボタン6及び/又は数値設定ウインドウ7により任意に設定可能であって,計量装置1は,当該情報を設定することにより被計量物の種類あるいは供給量に応じて,指定されたホッパの前記ゲートの開閉動作を任意に制御することがきる。
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