関連審決 | 不服2003-13892 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成17行ケ10820審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成19行ケ10097審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成19行ケ10429審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成17行ケ10720審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成18行ケ10550審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 産業上利用(29条1項柱書) / 反復(反復可能性) / 容易に実施 / 実施可能要件 / 発明の詳細な説明 / 要約書 / 発明の概要 / パリ条約 / 優先権 / 発明の要旨認定 / 実施 / 拒絶査定 / 拒絶理由通知 / 請求の範囲 / 変更 / |
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事件 |
平成
19年
(行ケ)
10181号
審決取消請求事件
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原告グ ラプハ・ホルディング・アクチエンゲゼルシャフト 訴訟代理人弁理 士江崎光史 同 鍜冶澤實 同 荒垣恒輝 同 小泉順彦 被告特許庁長官 肥塚雅博 指定代理人松縄正登 同 高木彰 同 内山進 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2008/02/27 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1特許庁が不服2003−13892号事件について平成18年12月11日にした審決を取り消す。 2訴訟費用は被告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1請求主文同旨第2事案の概要1本件は,スイス国法人である原告が「並列して起立している刷紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置 (補正後)とする名称の後記 」発明につき特許出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求したが,特許庁から請求不成立の審決を受けたことから,その取消しを求めた事案である。 争点は,審判手続の法令違背の有無,及び,本願発明の明細書及び図面の記載がいわゆる実施可能要件を満たすか,である。 2なお,上記実施可能要件に関し本件に適用される平成6年法律第116号による改正前の特許法36条(以下「旧36条」という )の規定は,次のとお 。 りである。 「 1項,2項略)(, 。 3前項の明細書には次に掲げる事項を記載しなければならない一 発明の名称二 図面の簡単な説明三 発明の詳細な説明四 特許請求の範囲4前項第三号の発明の詳細な説明には,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易にその実施をすることができる程度に,その発明の目的,構成及び効果を記載しなければならない。 5第三項第四号の特許請求の範囲の記載は,次の各号に適合するものでなければならない。 一特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。 二特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項(以下「請求項」という )に区分してあること。 。 三その他通商産業省令で定めるところにより記載されていること。 6前項の規定は,その記載が一の請求項に係る発明と他の請求項に係る発明とが同一である特許請求の範囲の記載となることを妨げない。 7第二項の要約書には,明細書又は図面に記載した発明の概要その他通商産業省令で定める事項を記載しなければならない 」。 第3当事者の主張1 請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯原告は,平成6年5月2日,優先権主張 1993年〔平成5年〕5月7日・スイス国・名称を「並列して起立している印刷全紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置」とする発明について特許出願(特願平6-93392号,以下「本願」という。甲2)をし,平成13年3月23日付け(第1次補正,甲3)及び平成15年3月20付け(第2次補正,乙4。このとき発明の名称が「並列して起立している刷紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置」と変更された )で各補正をした 。 が,平成15年4月15日付けで拒絶査定(甲6)を受けたので,不服の審判請求をした。 特許庁は,同請求を不服2003-13892号事件として審理し,その中で原告に対し平成18年2月9日付けで拒絶理由通知(甲4)をしたところ,原告は平成18年9月6日付けで改めて明細書の補正(第3次補正,請求項の数18,以下「本件補正」という。甲1)をしたが,特許庁は,平成18年12月11日 「本件審判の請求は,成り立たない」との審決(出訴 ,期間として90日附加)をし,その謄本は平成19年1月22日原告に送達された。 (2) 発明の内容本件補正後の特許請求の範囲は,上記のとおり請求項1ないし18から成,(,「」 「」 るが そこに記載された発明 以下 順に 本願発明1 〜 本願発明18といい,これらを総称して「本願発明」という )の内容は,下記のとおり 。 である。 記【請求項1】刷紙を堆積体を形成するためのほぼ水平な排紙台(3)に供給するための移送装置(2)と,堆積体(7)を形成するために二つの刷紙間に入込む少なくとも二つの部分から成る刷紙区分装置(8)とから成り,この刷紙区分装置(8)が排紙台(3)の入口端部に両方の部分で互いに当接し合って下方へと供給されて来る鱗状の流れ内に或いは供給されてくる二つの部分鱗状の流の間に入込み可能であり,この刷紙区分装置(8)の堆積体形成方向で先行する部材が形成された堆積体(7)の後端部に所属しておりかつ後端部に所属していて上昇降下可能な支持要素(10)を備えており,上記刷紙区分装置(8)の後行する部材が後続している堆積体(7)の前端部に所属しておりかつこの前端部に所属していてかつ上昇降下可能な支持要素(10)を備えている様式の,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で延在している堆積体を形成するための装置において,刷紙が鱗状流れの形で或いは連続した部分鱗状の流の形で垂直方向で排紙台(3)の上方から供給されるように構成されており,刷紙区分装置(8)の部材がそれぞれ後続している二つの堆積体(7)の後端部と前端部に所属していてかつ刷紙区分装置(8)が押込まれた際その持上げられた位置に来る上昇降下可能な分離要素(9)を備えていることを特徴とする,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置。 【請求項2】刷紙区分装置(8)の押込みが,両方の刷紙の前端部が少なくともほぼ排紙台(3)の上方に存在すると直ちに行われるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【請求項3】刷紙区分装置(8)が進入のために堆積体形成の方向で移動されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。 【請求項4】刷紙区分部材(9)の堆積体(7)内に進入する部分が二つの刷紙の鱗状の配列間隔よりも短く形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置。 【】 ,, 請求項5刷紙区分装置(8)の先行する部材(9 10)が後行する部材(910)から離間可能であるように形成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項6】刷紙区分装置(8)が排紙台(3)の入口端部の手前に存在している静止位置から堆積体形成区間に沿って前進運動およびこの位置に戻り運動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項7】刷紙区分装置(8)が堆積体を形成するために同期駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項8】堆積体形成のために設けられている排紙台(3)に沿って設けられており,堆積体の長さを終端部側で導入される終端板(5)よって形成する押込み装置と,かつ紐掛け装置(14)を備えており堆積体(7)を圧縮するトング状の後方に設けられているプレス(25)とが設けられており,この場合プレス(25)の作用領域に延在している排紙台(3)の上方で摺動可能に駆動され,堆積体形成区間に沿って押込み装置として堆積体(7)の終端板(5,12)に所属している二つの担持機構(4,11)の案内装置(6)が設けられており,これらの担持機構(4,11)が移送作用を行いかつ排紙台(3)の紐掛けを行うための続いている或る区間上で延在方向で圧縮を行うプス(25)として移動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項9】排紙台(3)が堆積体形成区間の少なくとも先端領域において堆積体形成方向で無端に駆動されるベルト(45)によって形成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。 【請求項10】担持機構(4,11)が堆積体形成区間の側方でマガジン(13)内に支承されていて堆積体(7)の端部を形成する終端板(5,12)を収容するように形成されていることを特徴とする請求項8或いは9に記載の装置。 【請求項11】終端板(5,12)の押込み装置として形成されている担持機構(4,11)が排紙台(3)に形成された堆積体上縁部の上方で横方向に摺動可能に駆動される押圧板(15 〜 18)を備えていることを特徴とする請求項8から10までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項12】担持機構(4,11)に二つの押圧板(15,16;17,18)が設けられており,これらの押圧板が案内ロッド(26)に設けられており,駆動機構(30)により排紙台(3)の傍らを移動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。 【請求項13】押圧板(15 〜 18)が選択的に機械的に,空圧により,液圧により或いは電気的に駆動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項14】押圧板(15,16;17,18)が案内装置(6)内に支承されている支持体(21)の下側に固定されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項15】案内装置(6)が,堆積体形成の方向に対して相対して指向していてかつ担持機構(4,11)を収容している二つの案内レール(19,20)を備えていることを特徴とする請求項8から14までの何れか一つに記載の装置。 【請求項16】案内レール(19,20)の少なくとも一つとラック(39)が結合されており,このラックが担持機構(4,11)に固定された伝動モータ(37,40)の駆動ピニオン(38)と噛合っていることを特徴とする請求項15に記載の装置。 【請求項17】案内レール(19,20)にそれぞれ一つのラック(39)が設けられており,このラックに設けられている駆動ピニオン(38)が共通の軸(41)に固定されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。 【請求項18】担持機構(4,11)が堆積体形成の方向で別個に駆動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項8から17までの何れか一つに記載の装置。 (3) 審決の内容審決の詳細は,別添審決写しのとおりである。 その理由の要点は,本件補正後における発明の詳細な説明の記載は,当業者が本願発明を容易に実施をすることができる程度に記載されているものであるとは認められない,というものである。 (4)審決の取消事由しかしながら,審決には,以下に述べるとおり,その認定判断に誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。 ア 取消事由1(手続違背その1)審決は,当審の判断において 「…出願当初の本願明細書には本願発明 ,を当業者が容易に実施できる程度に構成が開示されているものとは認められないという,先の拒絶理由を覆すことはできない(2頁15行〜17 。」行)とする。また審決は,審判段階における平成18年2月9日付け拒絶理由通知(甲4)の内容として 「紙葉捌き装置8 「紙葉捌き要素9」と ,」記述しているが(審決2頁5行〜6行参照「紙葉捌き装置8 「紙葉捌 ),」き要素9」という記載は,出願当初の明細書には存在したものの,第1次補正(乙4)により「刷紙区分装置8 「刷紙区分部材9」へと変更され 」ている。 以上に鑑みれば,審決が当初明細書に基づいて判断したことは明白であるが,原告は,出願当初の明細書を対象とする拒絶理由通知は一切受取っていない。 そうすると,原告は,審決の判断対象となった当初明細書に対して意見を述べる機会を何ら与えられず,防御の機会が奪われたまま拒絶の審決がなされたのであるから,審決には特許法159条2項が準用する同法50条の規定に違反する手続違背がある。 イ 取消事由2(手続違背その2)特許法が拒絶理由通知の規定(50条)を設けた趣旨は,審査官が特許出願について審査をした結果,49条各号に規定する拒絶理由に該当するという心証を得た場合においても,弁明の機会を与えず直ちに拒絶査定をすることは特許出願人に対して苛酷であり,また審査官も全く過誤がないことは保証できないので,特許出願人に意見書を提出する機会を与え,かつ,その意見書を基にして審査官が再審査をする機会を与えようとするものである。 したがって,拒絶理由通知の記載の程度は,上記の趣旨に合致する程度に明確かつ具体的なものであることを要する。仮に「その発明の目的,構成及び効果 (特許法旧36条4項)が不明であるという結論のみが示さ 」れていてその結論が導かれるに至った理由が何も示されていない場合には,出願人としては対処のしようがなく,50条が設けられている趣旨が没却される。 本件に係る平成18年2月9日付け拒絶理由通知 甲4 の記述は移(),「送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順(特に,紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について)が,発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められない(3頁17行〜21行)という結論が 。」導かれるに至った具体的な説明は,何もない。括弧書きで「紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構」と述べているが,そこには部品の名称が羅列されているだけであって,その部品がなぜ不明であるのかわからない。 よって,上記拒絶理由通知(甲4)は特許法50条の立法趣旨を没却しており,そのような拒絶理由通知に基づいてなされた審決は違法である。 ウ 取消事由3(事実認定の誤り)被告は,平成18年2月9日付け拒絶理由通知書(甲4)において,本願発明1は「移送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順(特に,紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について)が,発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施すること。」() ができる程度に記載されたものとは認められない3頁17行〜21行とするが,上記アで述べたとおり,第1次補正により「紙葉捌き装置8」「紙葉捌き要素9」との記載は既に明細書に存在しなくなっているのであるから,これらの記載が何を指すのか不明である。 また 「移送手段2」という記載は,出願当初の本願明細書(甲2)に ,も平成18年9月6日付け手続補正書(甲1)にも存在しない。仮に「移送手段」を「移送装置」と読み替えたとしても,移送装置2よりも前の工程に堆積体7は存在していない。 さらに,本願発明1には「マガジン13 「担持機構4,11」は含ま 」れていない。 以上によれば,審決が本願発明1の内容を誤認していたのは明らかである。 エ 取消事由4(明細書に実施可能要件の記載がないとした判断の誤り)審決は,堆積体を処理するための手順が,明細書の発明の詳細な説明の欄の記載をみても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められないとするが,以下のとおり,当業者が本願発明の明細書及び図面に接すれば,容易にその実施をすることができる程度に目的,構成及び効果が記載されていることは明らかである。 すなわち,本願発明1における堆積体を処理するための手順(一連の動作機構)は,以下の手順1から手順6までの各工程を順次繰り返すことによって達成することができる(図面はいずれも本願明細書のもの。なお,本願明細書の添付図面は,図4〜6は当初明細書〔甲2〕から変わっておらず,図1〜3,7,8は,平成13年3月23日付け手続補正〔第1次補正,甲3〕により補正されている。別紙【図1】〜【図8】参照 。)a手順1(図2)本件補正後の明細書(甲1)に「…摺動可能なかつ堆積体の前端部を形成する終端板5を担持している担持機構4に沿って,排紙台3上に堆積体を形成するように堆積され,この際担持機構4はこの排紙台3に沿って平行に延在している案内装置6に沿って堆積体が形成される速度で駆動されている。図2にこの作業状況が示されている(段。」落【0009 )と記載されているとおり,担持機構は右側の担持機 】構4と左側の担持機構11とからなり,それぞれ駆動源(モータ)を備えていて,レールの役目を果たす案内装置6(図1参照)に沿って左右に移動することができる。 b手順2(図3)堆積体7が所定枚数に達すると,刷紙区分部材9,9が上昇し,刷紙区分部材9,9の先端が刷紙間に挿入して小さい口を開け,その直後に支持要素10,10が刷紙間に進入する。このように,刷紙区分部材9,9及び支持要素10,10は,刷紙間に確実に挿入する(堆積体7の底部が折損することがない 。。)c手順3(図4)上記明細書の「支持要素10が突進した際,刷紙区分部材9は,図4から認められるように,堆積体7から引戻される。手前の支持要素10は新たに形成される堆積体の前端部を区画するが,他方では前方の支持要素10は完全に形成された堆積体7の背面に当接する(段。」落【0015 )という記載に基づき図4を参照すると,支持要素1 】0,10が二つに分かれて,右側の支持要素10は堆積体7を右方向へ移送する。刷紙区分部材9,9は,役目を終えたので排紙台3から降下する。 d手順4(図4)上記明細書に「…担持機構4と同様に案内装置6上を摺動される他の担持機構11により,先行する堆積体7の手前の端部を形成する終端板12が側方のマガジン13から持上げられ,堆積体7の手前で幾分支持要素10に当接しながら挿込まれる。次いで支持要素10が排紙台3の下方で降下され,その後堆積体7は背面で終端板12に当接する。… (段落【0017 )と記載されているとおり,担持機構4 」】と担持機構11がマガジン(終端板の収納庫)13から終端板12を取出し,前方の支持要素10は役目を終えたので降下して,終端板12は堆積体7の背面に当接する。 e手順5(図1)上記明細書の「…この堆積体を移送する担持機構4と11により排紙台3でプレスされ,引続き排紙台3の端部に設けられている紐掛け装置14により結束される(図1参照(段落【0018 )という )。」】記載及び図1を参照すると,前端と後端にそれぞれ終端板5,12が添えられた右側の堆積体7は担持機構4と11によりプレス(圧縮)され,紐掛け装置14により結束され,この結束された堆積体は次の作業場へ送られる。 f手順6(図6)図4において左方の支持要素10に支持された新しい後続の堆積体7は刻々と増加して,図6に示す状況を呈するに至る。新しい後続の堆積体7の前端部に終端板5を添える(当接する)手順は,次のとおりである。すなわち,上記明細書の「…担持機構4と11はその間にそれらのマガジン13に面した側部は,形成されつつある堆積体7の前端部の終端板5を収容し,この終端板5を連続して形成されている堆積体7の前端部に添える(段落【0019「…終端板5は排 。」】),紙台3に対して横方向で部分堆積体の前方に移動され,従って直ぐ続いて支持要素10が部分堆積体の前端部に沿って排紙台3の下方へと降下される(段落【0020 )という記載に基づき図6を参照す 。」】ると,担持機構11及び担持機構4はマガジン13から取り出した終端板5を間に挟んで左方向に走行し,終端板5を支持要素10に当接させる。役目を終えた支持要素10が降下すると,図2に示す状態になる。 gまとめ堆積体の厚さが所定の枚数に達すると,刷紙区分部材9,9と支持, ,, 要素10 10が上昇することは手順2で述べたとおりであり 以後手順3〜6を反復して繰り返す。 2 請求原因に対する認否請求原因(1)ないし(3)の各事実はいずれも認めるが,同(4)は争う。 3 被告の反論審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。 (1) 取消事由1に対し原告は,審決が当初明細書に基づいて判断した旨主張する。 しかし,平成18年2月9日付拒絶理由通知(甲4)の理由欄には,前段に平成15年3月20日付手続補正書(乙4)に記載された発明の要旨認定があり,後段に結論が記載されている。また,当該拒絶理由通知(甲4)には 「本願補正後の本願発明1〜18について検討する (3頁16行)と記 , 」載されている。 このように,審判の審理は本件補正後の本願発明についてされたものであって,その審理に基づいて拒絶理由を通知していることが明らかである。 また,審決には 「1.手続の経緯・本願発明」の欄に「…その請求項1 ,〜18に係る発明は,明細書および図面の記載からみて,平成18年9月6日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜。」(),「 . 18に記載されたとおりのものと認められる1頁下7行〜下4行2当審の拒絶理由」の欄に「当審において,平成18年2月9日付けで次のとおりの拒絶理由を通知した(1頁下2行〜下1行「3.請求人の主張」 。」),の欄に「これに対して,請求人は,平成18年9月6日付けで『意見書』及び『手続補正書』を提出した(2頁11行〜12行「4.当審の判断」 。」),の欄に「しかしながら 『意見書』及び『手続補正書』を検討しても… (2 , 」頁14行)と記載されている。 したがって審決は,当該拒絶理由通知に応答して提出された平成18年9月6日付意見書(乙5)及び手続補正書(甲1)について本願の発明の要旨認定を行い,明細書及び図面に記載された技術的事項について検討していることが明らかである。 以上のとおりであるから,審決が,実質的に出願当初の明細書でなく,平成18年9月6日付手続補正書により補正された明細書に基づいてなされたものであることは明らかである 「4.当審の判断」の欄における「出願当 。 初の本願明細書には」は不適切であって,本来「本願明細書には」と記載すべきものであったものの,原告の主張する審判手続の法令違背はない。 (2) 取消事由2及び3に対しア 審判手続における平成18年2月9日付拒絶理由通知 甲4 には紙(),「」「」 , 葉捌き装置8紙葉捌き要素9 という部材の名称が使用されているが平成15年3月20日付手続補正書(乙4)により 「紙葉捌き装置8」 ,は「刷紙区分装置8」に 「紙葉捌き要素9」は「刷紙区分部材9」にそ ,れぞれ補正されているので 「紙葉捌き装置8「紙葉捌き要素9」は正 ,」,しくは「刷紙区分装置8 「刷紙区分部材9」と記載すべきであった。 」,また,当該拒絶理由通知(甲4)には「移送手段2」という部材の名称が使用されているが,本願の明細書には「移送手段」という用語がなく,一方,出願当初から「移送装置2」という用語が存在するので,当該拒絶理由通知(甲4)に記載した「移送手段2」は明らかに誤記であり,正しくは「移送装置2」と記載すべきであった。 以上のとおりであるから,審決の「移送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順(特に,紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について(2頁5行〜7行)との記載は不適切で )」あり,正しくは「移送装置2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順(特に,刷紙区分装置8,刷紙区分部材9,マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について 」と記載すべきであった。 )しかし,当該不適切な記載は,上記した理由による程度のものであり,また,部材名の後に部材番号も併記されているから,拒絶理由の趣旨は明, 。 らかであって 記載内容が不明となってしまうというほどのものではないイまた原告は,移送手段2(移送装置2)について,移送装置2よりも前の工程に堆積体7は存在していない旨主張する。 しかし,審決の理由の記載は,明細書の発明の詳細な説明の記載において,移送装置2からの堆積体7を処理するための一連の手順が不明瞭であ,,「(, ることを指摘しようとしたものであり そのことは 括弧書きの特に紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について 」を読めば明らかであるから,原告の主張は理由がない。 )ウ審判手続における拒絶理由は,特許法旧36条4項及び5項各号について通知したものであり,発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載不備について通知したものである。そして 「マガジン13」は,発明の詳細 ,な説明に記載された装置の一部であり,当該拒絶理由(甲4)が当該装置の一連の動作を問題としていることは明らかである。 なお原告は,この拒絶理由通知(甲4)に応答して,意見書(乙5)及び手続補正書(甲1)を提出しているが,この点について何ら指摘していない。 エ審決は,その判断に当たり,平成15年3月20日付の意見書(乙3)及び手続補正書(乙4)をみても,先の拒絶理由が解消しないことをいうために,当該拒絶理由通知(甲4)の要旨部分を転記し 「本件出願は, ,明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条第4項,第5項及び第5項(被告注 「及び第5項」は「各号」の誤記)に規定す ,る要件を満たしていない。 記本願補正後の本願発明1について検討すると,移送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順(特に,紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経) , て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について が発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められない(2頁1行〜9行)と記載したもの 。」である。 (3) 取消事由4に対しア原告は,当業者が本願発明の明細書及び図面に接すれば,容易にその実施をすることができる程度に目的,構成及び効果が記載されている旨主張し,手順1〜手順6を詳述する。 , , , しかし 審決が問題としているのは 本件の明細書及び図面の記載から当業者が本装置の一連の動作を理解できるかどうかということである。手順1〜手順6の追加的説明は,明細書に記載されていない。仮に本願発明の一連の動作が,その追加的な説明によって初めて理解できるというのであれば,そもそも明細書の記載は不明瞭というべきものである。 そもそも,本願の明細書は,何回にもわたって補正が行われており,特許請求の範囲の記載が大幅に補正されたのみならず,発明の詳細な説明においても,部材又は装置の名称が大きく変わっているために,本願の発明の把握が非常に困難となっている。そこで審決は,本件補正後の本願発明1に記載された事項について検討し 「移送手段2まで運ばれた堆積体7 ,を処理するための手順(特に,紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9,マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について)が,発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められない (2頁5行〜9行 ,すなわち明細書全体の記載内容が個別に指摘し 」)難いほど不明瞭である旨を述べたのである。 イ以下,原告の主張に対する反論のため,敢えて明細書の不備を有する箇所について,例示として指摘する。 (ア) 刷紙区分装置8,刷紙区分部材9(),(), 本件補正後の明細書 甲1 には 紙葉捌き装置8 刷紙区分装置8紙葉捌き要素9(刷紙区分部材9)について,段落【0010】〜【0015】に記載がある。 これらの記載及び図2〜6により,刷紙区分装置8,刷紙区分部材9は,支持要素10とともに,堆積体7を2つに分離し区分するための部材であることは理解できるが,その動作のための具体的な装置が図示されておらず,その記載もないため,当業者が本願発明を容易に実施することができる程度に記載されているものであるとはいえない。 (イ) マガジン13(),,【】, 上記明細書 甲1 には マガジン13について 段落 0017【】,【】,【】【】。 001900210024 及び 0029 に記載があるこれらの記載及び図1〜6により,終端板12がマガジン13から担持機構により持ち上げられ,堆積体7の端部に添えられることは理解で, ,, きるが マガジン13が具体的にどのような構造をしているのか また,。,, その動作についても記載がないため 不明である 特に 図1において13で示される一点鎖線(二箇所)のマガジンがいかなる構造をなし,いかなる動作をするのか,他の図面(図2〜6)との整合性がなく,また明細書にその旨の記載もないため,理解することができない。 (ウ) 担持機構4,11上記明細書(甲1)には,担持機構4,11について,段落【0009【0017】〜【0019【0021】〜【0024【002 】, 】, 】,7 【0029 【0030 【0033】に記載がある。 】,】,】,上記明細書(甲1)は 「図1は起立して並列している刷紙に対して ,垂直方向で延在している堆積体を形成するための本発明による装置1… (段落【0008 )であるとし 「…担持機構4はこの排紙台3に 」】,沿って平行に延在している案内装置6に沿って堆積体が形成される速度で駆動されている。図2にこの作業状況が示されている(段落【00。」09 )としているが,図2において担持機構4が図1の案内レール1 】9とどのような関係にあるのか,また図2において担持機構11はどの, , ような動作をするのか等 特殊な作動・動作を実現する具体的な手段が当業者が本願発明を容易に実施をすることができる程度に記載されているものではない。 (エ) その他の機構a無端ベルト45上記明細書には,無端ベルト45について,段落【0016】及び【0017】に記載がある。 ここで,無端に駆動されるベルト45は図1に記載されておらず,その位置関係が明らかでない。さらに,当該ベルト45と紙葉捌き装置8(刷紙区分装置8 ,紙葉捌き要素9(刷紙区分部材9)との構 )成及び動作における関係が不明であり,当業者が本願発明を容易に実施をすることができる程度に記載されているものではない。 b終端板12の挿込み上記明細書には,終端板12の挿込みについて段落【0017】及び【0021】に記載がある。 ここで 「…他の担持機構11により,先行する堆積体7の手前の ,端部を形成する終端板12が側方のマガジン13から持上げられ,堆積体7の手前で幾分支持要素10に当接しながら挿込まれる …段。 」(落【0017 )とあるが,終端板12を,どのような部材がどのよ 】うに支持しているのか,また,支持要素10があるにもかかわらずどのようにして堆積体7と支持要素10との間に終端板12を挿込むことができるのか,理解し難い。 cトング部分27,28,,,,, 上記明細書には トング部分27 28と押圧板15 16 1718について,段落【0021【0024】及び【0029】に記 】,載がある。 これらの記載及び図面をみても,当該トング部分と当該押圧板との構成上の関連性が明らかでない。 d一連の動作機構との関係上記明細書には,最後の作業工程について 「図6には最後の作業 ,工程が示されており,この作業工程にあって終端板5は排紙台3に対して横方向で部分堆積体の前方に移動され,従って直ぐ続いて支持要素10が部分堆積体の前端部に沿って排紙台3の下方へと降下される (段落【0020 )との記載がある。 。」】ここで,図6を参照しても 「最後の作業工程」とは何を意味する ,のか,また本段落の意味するところが不明であり,当業者が本願発明を容易に実施をすることができる程度に記載されているものではない。 ウしたがって,本願発明は不明瞭であり,その発明が発明の詳細な説明に当業者が実施可能な程度に記載されたものとはいえないから,原告主張の取消事由4は理由がない。 第4 当裁判所の判断1請求原因(1)(特許庁における手続の経緯 ,(2)(発明の内容 ,(3)(審決 ))の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。 2 取消事由1(手続違背その1)について(1)原告は,審決の判断対象となった本願発明は当初明細書に基づくものであるとし,この当初明細書に基づく本願発明について意見を述べる機会が与えられなかったことは手続違背に当たる旨主張するので,まずこの点について検討する。 (2)審決の理由の記載は,次のとおりである (下線部分は判決による付加) 。 「理由1.手続の経緯・本願発明本願は,平成6年5月2日(パリ条約による優先権主張1993年5月7日,スイス国)の出願であって,その請求項1〜18に係る発明は,明細書および図面の記載からみて,平成18年9月6日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜18に記載されたとおりのものと認められる。 2.当審の拒絶理由当審において,平成18年2月9日付けで次のとおりの拒絶理由を通知した。 本件出願は,明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため,特許法第36条第4項,第5項及び第5項に規定する要件を満たしていない。 記本願補正後の本願発明1について検討すると,(,, 移送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順 特に 紙葉捌き装置8紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について)が,発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められない。 3.請求人の主張これに対して,請求人は,平成18年9月6日付けで「意見書」及び「手続補正書」を提出した。 4.当審の判断しかしながら 「意見書」及び「手続補正書」を検討しても,請求人の主張によ ,って,出願当初の本願明細書には本願発明を当業者が容易に実施できる程度に構成が開示されているものとは認められないという,先の拒絶理由を覆すことはできない。 したがって,先の拒絶理由で示した点は依然として解消されていない。 してみれば,本願の明細書の発明の詳細な説明の項には,当業者が本願発明を容易に実施をすることができる程度に記載されているものであるとする請求人の主張は採用できない。 5.むすび以上のとおりであるから,本願は,当審で通知した拒絶の理由によって拒絶すべきものである。 よって結論のとおり審決する 」。 (3)以上によれば,審決は,本願発明の内容について 「平成18年9月6日 ,付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜18に記載されたとおりのもの (審決の理由「1.手続の経緯・本願発明」 」の下線部分)と認定していることは明らかであるし,また,審決が「2.当審の拒絶理由」として平成18年2月9日付け拒絶理由通知(甲4)の内容を指摘し,かつ 「3.請求人の主張」として原告の平成18年9月6日付 ,け意見書(乙5)及び同日付けの本件補正(甲1)の存在を指摘した上で,「4.当審の判断」において,上記意見書及び本件補正を検討してもなお,本願の明細書の記載は実施可能要件を満たすものではない旨を述べていることからすれば,審決が審判の対象とする本願発明の内容は,本件補正後の明細書の記載に基づくものであることは明らかというべきであって,審決が本願発明当初明細書に基づいて判断したということはできない。 (4)アこれに対し原告は,審決が,その理由中で,出願当初の明細書には存在したが第1次補正により変更されたため本件補正後の明細書には存在しない「紙葉捌き装置8「紙葉捌き要素9」との言葉を挙げていることを指 」,摘する。 , () イ この点 審決の上記記載に関連する平成6年5月2日付け特許願 甲2に記載の当初明細書における特許請求の範囲,平成18年2月9日付け拒絶理由通知(甲4 ,平成18年9月6日付け意見書(乙5)及び本件補 )正(甲1)の内容は,次のとおりである (下線部分は判決による付加) 。 (ア) 当初明細書(甲2)における特許請求の範囲「 請求項01】紐掛け装置が所属しており,送り装置と押込み装置と後方に接 【続されていて堆積体を圧縮するプレスとから成り,上記送り装置が一つの鱗状の流れ或いは陸続する部分鱗状の流の形で印刷全紙を垂直方向で上方からほぼ水平な堆積体載置台に供給し,上記押込み装置が堆積体を形成するための堆積体載置台に沿って設けられていてかつ堆積体の幅を終端で供給される終端板によって形成するように構成されている様式の,並列して起立している印刷全紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置において,プレス(25)の作用領域内で延在している堆積体載置台(3)の上方において,堆積体(7)の終端板(5,12)のための押込み装置として所属しておりかつ堆積体形成区間に沿って異なった様式で駆動される二つの担持機構(4,11)を備えた案内装置(6)が設けられており,この担持機構(4,11)が移送作用を行うようにかつ堆積体載置台(3)の紐掛けのための上記に連なる区間において堆積体(7)を延在方向で圧縮をするためのプレス(5)として形成されていることを特徴とする,並列して起立している印刷全紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置。 【請求項02】堆積体(7)を形成するために堆積体載置台(3)の入口端部において,供給されて来る鱗状流れの二つの紙葉間或いは二つの供給されて来る部分鱗状流間で下方から作用する少なくとも二つの部分から成る紙葉捌き装置(8)が設けられており,この紙葉捌き装置の堆積体形成区間の方向で先行している部分が形成された堆積体(7)の後端部に,そして後行している部分が続いている堆積体(7)の先端部に所属していることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【請求項03】紙葉捌き装置(8)の部分が陸続する二つの堆積体(7)のそれぞれ後端部および前端部に所属していてかつ昇降可能な紙葉捌き要素(9)と支持要素(10)とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の装置。 【請求項04】紙葉捌き要素(9)の堆積体(7)内に進入する部分が二つの印刷全紙の鱗状配列間隔よりも短く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。 【請求項05】紙葉捌き装置(8)の先行する部分(9,10)が後行する部分(9,10)から離間可能であるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。 【請求項06】紙葉捌き装置(8)が堆積体載置台(3)の入口端部の手前に存在している静止位置から堆積体形成区間に沿って前進およびこの位置に後退可能に構成されていることを特徴とする請求項2から5までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項07】紙葉捌き装置(8)が堆積体を形成するために同期駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項2から6までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項08】堆積体載置台(3)が堆積体形成区間の少なくとも先端部領域において堆積体形成装置内で無端に駆動されるベルト(45)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【】(,) () 請求項09担持機構 4 11 が堆積体形成区間の側方でマガジン 13内に支承されていて堆積体(7)の端部を形成する終端板(5,12)を収容するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【請求項10】終端板(5,12)の押込み装置として形成されている担持機構(4,11)が堆積体載置台(3)に形成された堆積体上縁部の上方で横方向に摺動可能な押圧板(15〜18)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【】(,)(,,) 請求項11担持機構 4 11 に二つの押圧板 15 16;17 18が所属しており,これらの押圧板が案内ロッド(26)に設けられており,駆動機構(30)により堆積体載置台(3)の傍らを移動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。 【請求項12】押圧板(15〜18)が選択的に機械的に,空圧により,液圧により或いは電気的に駆動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。 【請求項13】押圧板(15,16;17,18)が案内装置(6)内に支承されている支持体(21)の下側に固定されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。 【請求項14】案内装置(6)が,堆積体形成の方向に対して相対して指向していてかつ担持機構(4,11)を収容している二つの案内レール(19,20)を備えていることを特徴とする請求項1或いは7に記載の装置。 【請求項15】案内レール(19,20)の少なくとも一つとラック(39)が,(,) (, 係合しており このラックが担持機構 4 11 に固定された伝動モータ 3740)の駆動ピニオン(38)と噛合っていることを特徴とする請求項14に記載の装置。 【請求項16】案内レール(19,20)にそれぞれ一つのラック(39)が所属しており,このラックの所属している駆動ピニオン(38)が共通の軸(41)に固定されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。 【請求項17】担持機構(4,11)が堆積体形成の方向で別個に駆動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項18】この装置が堆積体(7)の一重の或いは多重の紐掛けを行い得るように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置 」。 (イ) 平成18年2月9日付け拒絶理由通知書(甲4)「理由平成15年8月11日付け手続補正は却下されたので,本願の請求項1〜18に係る発明は,平成15年3月20日付け手続補正書に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。 『 請求項01】紐掛け装置が設けられており,送り装置と押込み装置と後方に接 【続されていて堆積体を圧縮するプレスとから成り,上記送り装置が一群の鱗状の流れ或いは連続している鱗状の流の形で刷紙を垂直方向で上方からほぼ水平な排紙台に供給し,上記押込み装置が堆積体を形成するための排紙台に沿って設けられていてかつ堆積体の幅を終端で供給される終端板によって形成するように構成されている様式の,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置において,プレス(25)の作用領域内で延在している排紙台(3)の上方において,堆積体(7)の終端板(5,12)のための押込み装置として設けられており,かつ堆積体形成区間に沿って異なった様式で駆動される二つの担持機構(4,11)を備えた案内装置(6)が設けられており,この担持機構(4,11)が移送作用を行うようにかつ排紙台(3)の紐掛けのための上記に連なる区間において堆積体(7)を延在方向で圧縮をするためのプレス(25)として形成されていることを特徴とする,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置。 【】() (), 請求項02 堆積体 7 を形成するために排紙台 3 の入口端部において供給されて来る鱗の状流れの二枚の刷紙間或いは二つの供給されて来る一群の鱗状の流間で下方から作用する少なくとも二つの部分から成る刷紙区分装置(8)が設けられており,この刷紙区分装置の堆積体形成区間の方向で先行している部材が形( ), () 成された堆積体 7 の後端部に そして後行している部材が続いている堆積体 7の先端部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【請求項03】刷紙区分装置(8)の部材が連続して来る二つの堆積体(7)の, () それぞれ後端部および前端部に設けられており かつ昇降可能な刷紙区分部材 9と支持要素(10)とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の装置。 【請求項04】刷紙区分部材(9)の堆積体(7)内に進入する部分が二つの刷紙の鱗状の配列間隔よりも短く形成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。 【請求項05】刷紙区分装置(8)の先行する部材(9,10)が後行する部材(9,10)から離間可能であるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。 【請求項06】刷紙区分装置(8)が排紙台(3)の入口端部の手前に存在している静止位置から堆積体形成区間に沿って前進およびこの位置に後退可能に構成されていることを特徴とする請求項2から5までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項07】刷紙区分装置(8)が堆積体を形成するために同期駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項2から6までのいずれか一つに記載の装置。 【請求項08】排紙台(3)が堆積体形成区間の少なくとも先端部領域において堆積体形成装置内で無端に駆動されるベルト(45)によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【】(,) () 請求項09 担持機構 4 11 が堆積体形成区間の側方でマガジン 13内に支承されていて堆積体(7)の端部を形成する終端板(5,12)を収容するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【請求項10】終端板(5,12)の押込み装置として形成されている担持機構(4,11)が排紙台(3)に形成された堆積体上縁部の上方で横方向に摺動可能な押圧板(15〜18)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。 【】(,)(,,) 請求項11 担持機構 4 11 に二つの押圧板 15 16;17 18が設けられており,これらの押圧板が案内ロッド(26)に設けられており,駆動機構(30)により排紙台(3)の傍らを移動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。 【請求項12】押圧板(15〜18)が選択的に機械的に,空圧により,液圧により或いは電気的に駆動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。 【請求項13】押圧板(15,16;17,18)が案内装置(6)内に支承されている支持体(21)の下側に固定されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。 【請求項14】案内装置(6)が,堆積体形成の方向に対して相対して指向していてかつ担持機構(4,11)を収容している二つの案内レール(19,20)を備えていることを特徴とする請求項1或いは7に記載の装置。 【請求項15】案内レール(19,20)の少なくとも一つとラック(39)が,(,) (, 係合しており このラックが担持機構 4 11 に固定された伝動モータ 3740)の駆動ピニオン(38)と噛合っていることを特徴とする請求項14に記載の装置。 【請求項16】案内レール(19,20)にそれぞれ一つのラック(39)が設けられており,このラックの設けられている駆動ピニオン(38)が共通の軸(41)に固定されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。 【請求項17】担持機構(4,11)が堆積体形成の方向で別個に駆動可能であるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。 【請求項18】この装置が堆積体(7)の一重の或いは多重の紐掛けを行い得るように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(以下 「本願発 。』,明1〜18」という 。)そこで,本願補正後の本願発明1〜18について検討すると,移送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順(特に,紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について)が,発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められない。 したがって,1.この出願は,明細書および図面の記載が,当業者が容易に実施できる程度に記載されていないから,産業上利用できる発明をしたものとは認められず特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない。 2.この出願は,特許請求の範囲の記載が不備のため,特許法第36条第4項および第5項各号に規定する要件を満たしていない 」。 (ウ) 平成18年9月6日付け意見書(乙5)「 意見の内容】【平成18年2月9日付けの拒絶理由に対して以下に出願人の意見を申しのべます。 審判官殿は,拒絶理由通知書において,『そこで,補正後の本願発明1〜18について検討すると,…(略)…特許法第36条第4項および第5項各号に規定する用件を満たしていない 』。 と,拒絶の理由を述べられております。 先ず,上記の御指摘のうち 『移送手段2まで運ばれた堆積体7を…』なる記載 ,は誤っております。本願発明にあっては,堆積体7が移送手段2まで運ばれるのではなく,堆積体7が移送手段2によって運ばれます。 審判官殿は,本願特許請求の範囲の記載が不備である旨御指摘をなされておること,および同日付けで『補正の却下の決定』に記載の『結論』とその『理由』とを考慮して,別紙手続補正書に示しますように改めて特許請求の範囲を補正致しました。 この手続補正書により補正致しました,特許請求の範囲の請求項は1から18であり,請求項は限縮されております。 以下に本願発明による装置の作動態様を御説明致します。 …以上の説明により,本願発明による装置の作業過程が御理解いただけたものと思料いたします 」。 (エ) 平成18年9月6日付け手続補正書(甲1)平成18年9月6日付け手続補正(本件補正)による補正後の本願発明1〜18の内容は,前記第3,1(2)に記載のとおりである。このうち本願発明1〜7の内容は,次のとおりである。 「 請求項1】刷紙を堆積体を形成するためのほぼ水平な排紙台(3)に供給するた 【めの移送装置(2)と,堆積体(7)を形成するために二つの刷紙間に入込む少なくとも二つの部分から成る刷紙区分装置(8)とから成り,この刷紙区分装置(8)が排紙台(3)の入口端部に両方の部分で互いに当接し合って下方へと供給されて来る鱗状の流れ内に或いは供給されてくる二つの部分鱗状の流の間に入込み可能であり,この刷紙区分装置(8)の堆積体形成方向で先行する部材が形成された堆積体(7)の後端部に所属しておりかつ後端部に所属していて上昇降下可能な支持要素(10)を備えており,上記刷紙区分装置(8)の後行する部材が後続している堆積体(7)の前端部に所属しておりかつこの前端部に所属していてかつ上昇降下可能な支持要素(10)を備えている様式の,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で延在している堆積体を形成するための装置において,刷紙が鱗状流れの形で或いは連続した部分鱗状の流の形で垂直方向で排紙台(3)の上方から供給されるように構成されており,刷紙区分装置(8)の部材がそれぞれ後続している二つの堆積体(7)の後端部と前端部に所属していてかつ刷紙区分装置(8)が押込まれた際その持上げられた位置に来る上昇降下可能な分離要素(9)を備えていることを特徴とする,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で指向して堆積体を形成するための装置 」。 「 請求項2】刷紙区分装置(8)の押込みが,両方の刷紙の前端部が少なくともほ 【ぼ排紙台(3)の上方に存在すると直ちに行われるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置 」。 「 請求項3】刷紙区分装置(8)が進入のために堆積体形成の方向で移動されるよ 【うに構成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置 」。 「 請求項4】刷紙区分部材(9)の堆積体(7)内に進入する部分が二つの刷紙の鱗 【状の配列間隔よりも短く形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置 」。 「 請求項5】刷紙区分装置(8)の先行する部材(9,10)が後行する部材(9,10)か 【ら離間可能であるように形成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の装置 」。 「 請求項6】刷紙区分装置(8)が排紙台(3)の入口端部の手前に存在している静 【止位置から堆積体形成区間に沿って前進運動およびこの位置に戻り運動可能に構成されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の装置 」。 「 請求項7】刷紙区分装置(8)が堆積体を形成するために同期駆動されるように 【構成されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の装置 」。 ウ以上によれば,出願当初の明細書(甲2)においては「紙葉捌き装置(8「紙葉捌き要素(9 」との言葉が使用されていたものの,これら )」,)は,平成15年3月20日付け手続補正(第2次補正)により「刷紙区分装置(8「刷紙区分部材(9 」と変更され,その後の平成18年9月 )」,)6日付け手続補正(本件補正,甲1)においても,これら変更後の言葉が踏襲されていることが認められる。そうすると,上記のような変更があったにもかかわらず,平成18年2月9日付けの拒絶理由通知(甲4)が,第2次補正後の発明の認定として「紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9」との言葉を用いたことは明らかに誤りといわざるを得ないし,審決が,このような誤りを含む拒絶理由通知書の記載をそのまま引用した上で 「先の,拒絶理由を覆すことはできない 」とか 「本願は,当審で通知した拒絶の 。,理由によって拒絶すべきものである 」などと結論付けることもまた,理 。 由として不適切であったといわざるを得ない。 しかし,当初明細書の「紙葉捌き装置(8「紙葉捌き要素(9 」と )」,)第2次補正後の「刷紙区分装置(8「刷紙区分部材(9 」とは,表現 )」,)に若干の異同はあるもののその実質は同一であるということができるし(前記イ(ア)及び(イ)の各【請求項02】〜【請求項07】参照 ,また, )これらと本件補正後の「刷り紙区分装置(8「刷紙区分部材(9 」に )」,)ついても,表現は異なるものの,基本的な構成部分は一致しており(前記イ(エ)の各【請求項01】〜【請求項07】参照 ,このことからすれば, )これらがいずれも同じ装置ないし部材を指すものであることは明らかである。 以上に加えて,前記(3)に述べたとおり,審決が「1.手続の経緯・本願発明」として審判対象として本件補正後の本願発明を認定していることなどを併せ考慮すれば,上記拒絶理由通知ないし審決の記載は,明白な誤記であるということはできても,本願発明の構成を取り違えたとまでいうことはできない。 エまた原告は,審決が「…出願当初の本願明細書には本願発明を当業者が容易に実施できる程度に構成が開示されているものとは認められないという,先の拒絶理由を覆すことはできない。したがって,先の拒絶理由で示した点は依然として解消されていない(2頁15行〜17行)と述べて 。」いることを挙げ,出願当初の本願明細書に基づく本願発明を対象とする拒絶理由通知を受けていない旨主張する。 しかし,上記事実関係を前提にすれば,上記審決における「先の拒絶理由」とは平成18年2月9日付け拒絶理由通知として理解するのが相当であり,そのように理解すれば 「出願当初の本願明細書」との記載が「第 ,1次補正後の本願明細書」の誤記であることは明らかというべきである。 オそうすると,上記のとおり審決には誤記が見受けられるものの,これをもって審決が本件補正後の本願発明ではなく,当初明細書に基づいて判断したものであるとまでは認めることはできない。 したがって,当初明細書に対する意見を述べる機会が与えられなかったことの違法をいう原告の主張は前提を欠き,採用することができない。 3 取消事由2(手続違背その2)について原告は,拒絶理由通知書(甲4)における理由の記載は,拒絶理由の通知の規定(特許法50条)を設けた趣旨を没却するものであると主張するので,この点について検討する。 拒絶理由通知書(甲4)の内容は前記2(4)イ(イ)に認定したとおりである。 すなわち,上記拒絶理由通知は,第2次補正後の本願発明1〜18について検,「 (, 討した上で移送手段2まで運ばれた堆積体7を処理するための手順 特に紙葉捌き装置8,紙葉捌き要素9マガジン13,担持機構4,11等の動作を経て紐掛けドラムの作用を受けるに至るまでの一連の動作機構について)が,発明の詳細な説明の欄の記載を見ても当業者が実施することができる程度に記。」(),, 載されたものとは認められない3頁17行〜21行 と述べ 結論として「1.この出願は,明細書および図面の記載が,当業者が容易に実施できる程度に記載されていないから,産業上利用できる発明をしたものとは認められず。 ., 特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていない 2 この出願は特許請求の範囲の記載が不備のため,特許法第36条第4項および第5項各号に規定する要件を満たしていない 」と述べたものである。 。 上記拒絶理由通知の理由の記載のうち 「2.この出願は,特許請求の範囲 ,の記載が不備のため,特許法第36条第4項および第5項各号に規定する要件を満たしていない 」とする点は,明細書の記載が特許法旧36条4項のいわ 。 ゆる実施可能要件を満たさないことなどをいうものと解されるが,実施可能要件は発明の詳細な説明の記載を問題とするものであって,特許請求の範囲の記。, , 載を問題とするものではない しかし 拒絶理由通知を全体として解釈すれば本願発明の装置につきその一連の動作ないし機械構造が不明であり,そのため明細書の記載が特許法旧36条4項の実施可能要件を満たさないことなどを指摘したものと理解することができる。 しかも原告は,前記2(4)イ(ウ)のとおり,上記拒絶理由通知に対する応答として,平成18年9月6日付けの意見書(乙5)において 「以下に本願発明 ,による装置の作動態様を御説明致します(1頁下12行)として本願発明に 。」よる装置の作業過程を説明した上で 「以上の説明により,本願発明による装 ,置の作業過程が御理解いただけたものと思料いたします(2頁下5行〜下4 。」行)と述べていることからすれば,原告は,拒絶理由通知において明細書の記載が実施可能要件を満たさないことを指摘されたことを認識し,その上で,これに対する反論を述べたことが認められる。 そうすると,原告において防御の機会が与えられなかったということはできないから,拒絶理由通知の記載が特許法50条の趣旨に反するとまでいうことはできない。 4 取消事由3(審決の事実認定の誤り)について原告は,審決が第1次補正により補正されたため既に存在しない「紙葉捌き装置8「紙葉捌き要素9」との言葉を用いている点などを捉え,審決は本願 」,発明1の内容を誤認していた旨主張するが,前記2に述べたとおり,審決がその判断の対象として把握した本願発明の内容は本件補正後の本願発明であるから,原告の主張は理由がない。 なお原告は,仮に「移送手段」を「移送装置」として読み替えたとしても,移送装置2よりも前の工程に堆積体7は存在していないとか,本件補正後の本「」,「,」, 願発明1には マガジン13担持機構4 11 は含まれていないとしてこれらが事実誤認に当たるとも主張するが,審決が把握した本願発明の装置の動作機構が誤りであるか否かという問題は,結局はそれを前提とした実施可能要件の判断の当否の問題に帰着するから,その点は取消事由4において検討するとおりである。 5取消事由4(明細書に実施可能要件の記載がないとした判断の誤り)について(1)審決は,堆積体を処理するための手順が,明細書の発明の詳細な説明の欄の記載をみても当業者が実施することができる程度に記載されたものとは認められない旨判断したのに対し,原告は,当業者が本願発明の明細書及び図面に接すれば,容易にその実施をすることができる程度に目的,構成及び効果が記載されていることは明らかであると主張するので,以下この点について検討する。 (2)本願発明は前記第3,1(2)に記載の【請求項1】〜【請求項18】のと,() 【】 おりであるところ 本件補正後の本願明細書 甲1 の 発明の詳細な説明(,【】 【】。)。 には次の記載がある なお 図面は本判決別紙 図1 〜 図8 のとおり「 発明の詳細な説明】 【【0001】【産業上の利用分野】本発明は,刷紙を堆積体を形成するためのほぼ水平な排紙台に供給するための移送装置と,堆積体を形成するために二つの刷紙間に入込む少なくとも二つの部分から成る刷紙区分装置とから成り,この刷紙区分装置が排紙台の入口端部に両方の部分で互いに当接し合って下方へと供給されて来る鱗状の流れ内に或いは供給されてくる二つの部分鱗状の流の間に入込み可能であり,この刷紙区分装置の堆積体形成方向で先行する部材が形成された堆積体の後端部に所属しておりかつ後端部に所属していて上昇降下可能な支持要素を備えており,上記刷紙区分装置の後行する部材が後続している堆積体の前端部に所属しておりかつこの前端部に所属していてかつ上昇降下可能な支持要素を備えている様式の,並列して起立している刷紙に対して垂直方向で延在している堆積体を形成するための装置に関する。 【0002】【従来の技術】互いに起立して並列している刷紙の堆積体を形成するための,ミュラーマルチニと言う商品名と商品番号327で公知の押込みロッド或いは装置は,一群の鱗状の流れで移送されて来る刷紙を,形成されるべき堆積体の幅に相当して,垂直な送り方向で平行な無端で回転する二つのチェーンから成る排紙台に供給する。回転するベルトと水平方向で駆動される排紙台で形成される堆積体はその前端部およびその後端部においてチェーンの支持要素に当接しているそれぞれ一つの終端板によって区画される。 この比較的ルーズな形で,堆積体はその縦方向でプレスの二つのトング部分間に移動され,このプレスは堆積体を端部から圧縮しかつ引続き紐掛け(Umreifung) のため側方へと送る。 【0003】商品番号244で公知の他の装置にあっては,回転するチェーン上に形成された堆積体はプレストングでチェーンにより圧縮され,持上げられ,圧縮された状態で紐掛けのため側方へと送られる。 【0004】この装置にあっては,棒状の堆積体の形成は堆積体を収容するチェーンのピッチによって定まる。即ち,堆積体の幅の変更は限られ,比較的大きな作業労力を費やして始めて可能である。更に,色々な方向でと面で行わなければならない非連続的な多数の作業工程が必要である。 【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の根底をなす課題は,要するスペースが僅かでありかつ上記した欠陥が十分に排除することが可能な装置を提供することである。 【0006】【課題を解決するための手段】上記の課題は本発明により,特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴によって解決される。 【0007】以下に添付した図面に示した実施例につき本発明を詳細に説明する。 【0008】【実施例】図1は起立して並列している刷紙に対して垂直方向で延在している堆積体を形成するための本発明による装置1を示している。 【0009】刷紙は,この実施例の場合,先ず調心され,整向され,既に形成されている折畳み目が後プレスされた後,移送装置2を介して一群の鱗状の流れの形で或いは連続した-形成される堆積体の長さによって定まる-部分鱗状の流れの形でほぼ垂直方向で上方から水平な排紙台3に供給される。この際,刷紙が折り目を備えた多刷紙の形である場合,予め排紙台3上にほぼ垂直に降ろされ,移送装置2の端部に存在していて,摺動可能なかつ堆積体の前端部を形成する終端板5を担持している担持機構4に沿って,排紙台3上に堆積体を形成するように堆積され,この際担持機構4はこの排紙台3に沿って平行に延在している案内装置6に沿って堆積体が形成される速度で駆動されている。図2にこの作業状況が示されている。 【0010】形成された排紙台3の外方で移送装置2の移送面の傍らで働く刷紙区分装置8は,供給されて来る二つの刷紙の前方の刷紙が少なくとも大体排紙台3上に存在すると,直ちにこれら二つの刷紙の間に挿入される。この工程は,刷紙区分装置8が堆積体形成方向で移動することによって行われ,移送装置2の移送端部の手前で,鱗状の流れが間隙形成装置によって中断されて部分鱗状の流れに形成されるように,或いは二つの刷紙間の間隔が増大するように信頼性をもって行われる。 【0011】即ち,排紙台3から突出する刷紙区分部材9の寸法は二つの刷紙の鱗間隔よりも小さくなければならない。 刷紙区分装置8は対の状態で間隔をもって堆積体形成の方向に対して横方向で設けられており,また各々の刷紙区分装置8は刷紙区分部材9と支持要素10とから形成されている二つの部材を対の形で備えており,これらの部材対は排紙台に沿って鏡対称的に相対して設けられている。 【0012】二つの刷紙間への刷紙区分装置8の挿入は互いに並列して設けられている部材対でかつ突き出ている刷紙区分部材9によって行われ,その後少なくとも堆積された刷紙の下方領域内において個々の堆積体の形成が行われる。 【0013】更に堆積体の形成が進むに連れて,刷紙区分部材9が堆積体7内により大きな間隙を形成するように互いに離間される。その後,刷紙区分部材9が次の堆積体7の前端部から先行している堆積体の形成された後方端部を支持しながら分離することにより,刷紙区分部材9に連行される支持要素10は堆積体内に進入する。 【0014】図3から見られるように,刷紙区分部材9と支持要素10は,これらが堆積体運動方向に対して横方向でほぼ面一に設けられているが (理解を助ける意味で)側方に ,位置ずれして示されている。 【0015】支持要素10が突進した際,刷紙区分部材9は,図4から認められるように,堆積体7から引戻される。手前の支持要素10は新たに形成される堆積体の前端部を区画, 。 するが 他方では前方の支持要素10は完全に形成された堆積体7の背面に当接する【0016】図1から認められるように,排紙台3は堆積体形成区間の少なくとも手前の領域内において堆積体形成方向で駆動される無端のベルト45により形成されており,従って堆積体7の選択的な予備圧縮が達せられる。 【0017】ベルト45の駆動は堆積体形成速度に無関係でも,またこの堆積体形成速度に依存しても行うことが可能である。 排紙台3が進んだ距離に応じて,担持機構4と同様に案内装置6上を摺動される他の担持機構11により,先行する堆積体7の手前の端部を形成する終端板12が側方のマガジン13から持上げられ,堆積体7の手前で幾分支持要素10に当接しながら挿込まれる。次いで支持要素10が排紙台3の下方で降下され,その後堆積体7は背面で終端板12に当接する。図4には終端板12の板マガジン13からのほぼ排紙台3の高さでの一時的な持上がり図示されている。 【0018】作業工程の中間において,堆積体7は更に移送さた後,この堆積体を移送する担持機構4と11により排紙台3でプレスされ,引続き排紙台3の端部に設けられている紐掛け装置14により結束される(図1参照 。)【0019】次いで,結束された堆積体7は担持機構4と11により側方に設けられている移送装置に移される。 引続き,担持機構4と11は,図5から認められるように,新たに形成されつつある部分堆積体の領域内に案内装置6に沿って戻される。担持機構4と11はその間にそれらのマガジン13に面した側部は,形成されつつある堆積体7の前端部の終端板5を収容し,この終端板5を連続して形成されている堆積体7の前端部に添える。 【0020】図6には最後の作業工程が示されており,この作業工程にあって終端板5は排紙台3に対して横方向で部分堆積体の前方に移動され,従って直ぐ続いて支持要素10が部分堆積体の前端部に沿って排紙台3の下方へと降下される。 【0021】その後,担持機構4は終端板マガジン13の終端板取出し位置内に戻される。補足すると,担持機構4と11はそれぞれ排紙台3の上方でもしくは排紙台3から側方に移動可能な押圧板15,16,17,18を備えており,これらの押圧板によりそれぞれ終端板マガジン13に面している押圧板15,17は終端板12の堆積体からの取出しと堆積体内への挿入のためのものである。 …【0034】【発明の効果】上記の構成により鱗状の流れで供給されて来る刷紙を果断なく短い直線状の処理区間でコンパクトな,紐掛けされた堆積体に形成することが可能となると言う利点が得られる 」。 (3)以上によれば,本願明細書(甲1)には次の技術事項が記載されているものと認められる。 ア本願発明は,起立して並ぶ刷紙を重ねた堆積体を所定の幅で形成するための装置である (段落【0001 【0008 ) 。】,】イ従来,起立して並ぶ刷紙を重ねて堆積体を形成する場合は,一群の鱗状の流れで移送されてくる刷紙のうち,形成されるべき堆積体の幅に相当する分を排紙台に供給し,その前端部と後端部に終端板を置いて区画し,これを二つのトング部分でプレスしつつ,紐を掛けるために側方へと送るという装置などが使用されていたが,このような装置では堆積体の幅の変更は限定的であるとともに比較的大きな作業労力を費やして初めて可能であり,また,様々な方向ないし面において非連続的な多数の作業工程が必要であった。 本願発明は,鱗状の流れで供給されてくる刷紙を,間断なく短い直線状の処理区間で,コンパクトな,紐掛けされた堆積体に形成することを可能とするものである (段落【0002】〜【0006 【0034 ) 。 】,】ウ 本願発明の装置の動作は次のようなものである。 (ア)刷紙は,移送装置2を介して,上方から一群の鱗状の形又は一部分鱗状の形で,ほぼ水平な排紙台3に連続して起立した状態で供給され堆積し,また,この刷紙の堆積体の前端には終端板5が当てられ,これを担。 , 持機構4が担持する 担持機構4は堆積体が形成される速度で駆動されこれにより,排紙台3上に並列して起立した状態が維持されたまま刷紙の堆積体7が形成される (段落【0009 ) 。】(イ)堆積体7が所定の幅に達したところで,堆積体の途中の刷紙の隙間に刷紙区分装置8が差し込まれる。刷紙区分装置8は堆積体形成の方向に対して横方向に対の状態で間隔をもって設けられており,またそれぞれの刷紙区分装置8は刷紙区分部材9と支持要素10とから形成されている二つの部材を対の形で備えており,これらの部材対は排紙台に沿って鏡対称的に相対して設けられている。二つの刷紙間への刷紙区分装置8の挿入は上記刷紙区分部材9によって行われる (段落【0010】〜 。 【0012 【図2 )】,】(ウ)挿入後の刷紙区分部材9は,区分された堆積体7内により大きな間隙を形成するように互いに離間される。これにより,堆積体7は所定幅に形成され終えたもの(その前端は前記(ア)の終端板5・担持機構4が,またその後端は刷紙区分部材9が支持している)と,今後更に堆積体が形成されるもの(その前端をもう一つの刷紙区分部材9・支持要素10が支持している)とに区分される。その後,両刷紙区分部材9とともにある両支持要素10が堆積体内に進入し,両刷紙区分部材9は堆積体7から引き戻される。この結果,所定幅に形成され終えた先行する堆積体の後端と今後更に形成される後方の堆積体の前端がそれぞれ支持要素10により支持された状態となる段落 0013 〜 0015図 。(【】 【】,【3 【図4 )】,】(エ)上記のようにして区分された堆積体7は,後方から前方へと駆動される無端のベルト45により形成された排紙台3により前方へと移送される。これが一定の距離進んだところで,先行する堆積体7の後端部にある支持要素10に接する形で,担持機構11により終端板12(側方のマガジン13にストックされていたもの)が差し込まれ,次いで支持要素10が降下される。これにより終端板5・担持機構4と,終端板12・担持機構11により挟まれた所定幅の堆積体7が形成されたことになり,これが更に移送された後,担持機構4及び11によりプレスされ,引き続き排紙台3の端部に設けられている紐掛け装置14により結束される (段落【0016】〜【0018 【図1 ) 。 】,】(オ)結束された堆積体7は,担持機構4及び11により側方に設けられている移送装置に移され,これにより所定幅の堆積体7の形成に関する1回の処理が終わる。処理を終えた担持機構4及び11は,新たに形成されつつある堆積体7(上記(ウ)に述べた前端を支持要素10が支持する堆積体)の領域内に戻され,堆積体7の側方でマガジン13から終端板5を収容し,堆積体7の前端部に移動して側方から堆積体7の前端部に添える。これに伴い支持要素10は下方へと降下され,担持機構11が側方に移動することで,新たに形成されつつある堆積体7は終端板5・担持機構4により担持された上記(ア)の状態に戻る 以下 上記(ア)〜(オ) 。,。(【】 【】,【】,【】。, を繰り返す段落 0019 〜 0021図5図6なお段落【0021】において,終端板マガジン13の終端板取出し位置内に戻されるのが「担持機構4」とあるが 【図2】によれば「担持機構 ,11」の誤記と認められる )。 (4)以上のとおり,本願明細書には,本願発明の刷紙が「移送装置2」により移送され,排紙台3上に起立した状態で堆積されるものであること 「刷紙,」「」「」 , 区分装置8 の構成要素である 刷紙区分部材9 及び 支持要素10 が「排紙台3」に移送された堆積体を二つに分離し,区分するための部材であること,区分された堆積体は両端をマガジン13に収納された終端板5・12に挟まれ,そのまま担持機構4と担持機構11に担持され,紐掛け装置において結束されるという一連の手順が理解できる程度に記載されているものと認められるから,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易にその実施をすることができる程度に,その発明の目的,構成及び効果が記載されているものと認められる。 (5)アこれに対し被告は,刷紙区分装置8,刷紙区分部材9,支持要素10は動作のための具体的な装置が図示されておらず,その記載もないため,当業者が本願発明を容易に実施することができる程度に記載されているものであるとはいえないと主張する。 しかし,前記(3)ウのとおり,本願発明における刷紙区分部材9,支持要素10の動作は,堆積体の形成速度に従い堆積体に沿って前後に移動することと,堆積体を分離・支持するために上昇し,又は終端板と入れ替わるために降下するという上下動に尽きるのであって,それ自体決して複雑なものとはいい難い。 イ被告は,マガジン13が具体的構造や動作について記載がないため不明である旨,また,その点について本願明細書の図1と他の図面( 図2】 【〜【図6 )との整合性がないなどと主張する。 】しかし,本願発明において,マガジン13は,その内に堆積体7の端部を形成する終端板5,12が支承されており,担持機構4,11がその終端板を収容するように形成されているものとして規定されているにすぎず(本願発明10 ,担持機構4,11がマガジン13の終端板取り出し位 )置において,マガジン13から終端板を取り出すことが可能であればその具体的構造を問うものではないし,可動性のものであることさえ必要でないことは容易に理解できる。したがって,当業者が本願発明を実施できないとまでは認めることができない。 なお被告は,図面相互に整合性がないかのように主張するが,図1の破線は本願発明による装置全体におけるマガジン13の位置を実施例として示したものであるのに対し,他の図面は担持装置との関係でのマガジンの位置を模式的に示したものであることを考慮すれば,両者が整合性を欠くものとは認められない。 ウ被告は,担持機構4,11について,図2において,担持機構4が図1の案内レール19とどのような関係にあるのか,また図2において,担持機構11はどのような動作をするのか等,特殊な作動,動作を実現する具体的な手段が,当業者が本願発明を容易に実施をすることができる程度に記載されているものではないと主張する。 しかし,本願明細書(甲1)の段落【0022】には,案内レール19が同20とともに案内装置6の構成要素であり,これらの案内レールに担持機構4と11が走行可能な態様で設置されている旨が明記されている。 また,図2において担持機構11は特殊な動作をするものでないことは前記(3)ウ(ア),(オ)に述べたところから明らかであるし,担持機構の動作がモータやピストン-シリンダ-ユニットのような空気圧力又は液圧の作動手段を用いるものであることなどは本願明細書に詳細に開示されているのであって(段落【0022】〜【0033【図7【図8】参照 ,こ 】,】,)れらを注意深く読みさえすれば,担持機構11の動作やこれを実現する具体的な手段が,当業者が本願発明を実施できる程度に記載されていることを容易に看取できるというべきである。 エ被告は,本願明細書の図1に無端に駆動されるベルト45が記載されておらず,その位置関係が明らかでないとか,当該ベルト45と刷紙区分装置8との構成及び動作における関係が不明であると主張する。 しかし,段落【0016】には,排紙台3が堆積体形成区間の少なくとも手前の領域内において駆動される無端ベルト45により形成されていると記載されており,これを前提に図1を見れば,図の中央に左右に引かれた排紙台3の左端下部にあるベルトコンベア様のものが無端ベルト45を。,【】, 指すものであると容易に理解することができる また 段落 0016【0017】によれば,無端ベルト45は排紙台3上の堆積体を圧縮する作用を有することが記載されているが,堆積体を区分することと関連する記載はないし,前記(3)ウに述べたところから明らかなとおり,実際の作動上も,無端ベルト45と刷紙区分装置8とは構成上又は動作上直接関係するところがないのであるから,これを殊更関係付ける記載がないとしても,本願発明の実施が困難になるものではない。被告の主張は誤解に基づくものであり,採用することができない。 オ被告は,段落【0017】における「…他の担持機構11により,先行する堆積体7の手前の端部を形成する終端板12が側方のマガジン13から持上げられ,堆積体7の手前で幾分支持要素10に当接しながら挿込まれる 」との記載をもって,終端板12を,どのような部材がどのように 。 支持しているのか,また,支持要素10があるにもかかわらず,どのようにして堆積体7と支持要素10との間に,終端板12を挿込むことができるのか理解し難いと主張する。 しかし,前記(3)ウ(エ)に述べたとおり,終端板12は担持機構11により支持されているのであって,このことは,担持機構4と11が堆積体7(【】, を挟み込むトングの機能を果たしていること 段落 0018 のとおり終端板が設置され,支持要素10が降下した後の堆積体7は,担持機構4と11によりプレスされ,また,段落【0019】のとおり,結束された堆積体7は担持機構4と11により移送装置に移される )に照らして明 。 らかである。 また,段落【0017】には,終端板12が 「…堆積体7の手前で幾 ,分支持要素10に当接しながら」差し込まれると記載されているだけで,堆積体7と支持要素10との間に終端板12を挿入する旨の記載はない。 むしろ本願明細書の図4には,形成された右側の堆積体7の左端部にある( 。) 支持要素10の更に左側に終端板12 担持機構11に収容されている,,【】, , が描かれ かつ 段落 0017 には 支持要素10が降下された後に「堆積体7は背面で終端板12に当接する 」とされている。これによれ 。 , , ば 終端板12は堆積体7と支持要素10との間に挿入されるのではなく支持要素10の外側(図4の左側)から,支持要素10に当接しながら,区分された両堆積体7の間に差し込まれ,その後支持要素10が降下して抜去されることで終端板12が堆積体7に当接されるものと理解することができる。被告の主張は誤解に基づくものであり,採用することができない。 カ被告は,本願明細書の記載をもってしても,トング部分27,28と押圧板15〜18との構成上の関連性が明らかでないと主張する。 しかし,本願明細書には次の記載がある。 ・「その後,担持機構4は終端板マガジン13の終端板取出し位置内に戻される。 補足すると,担持機構4と11はそれぞれ排紙台3の上方でもしくは排紙台3から側方に移動可能な押圧板15,16,17,18を備えており,これらの押圧板によりそれぞれ終端板マガジン13に面している押圧板15,17は終端板12の堆積体からの取出しと堆積体内への挿入のためのものである(段落【0021 ) 。」】・「図7においては,トング部分27,28の側方の終端位置を一方では堆積体形成区間内で実線で示されており(内側 ,他方では担持機構4,11の戻り位置内 )で一点鎖線で示されており(外側 ,その際トング部分28は終端板12を収容す )るために終端板マガジン13から側方へと位置ずれした位置で更に離れた位置を占めている(段落【0029 ) 。」】これらの記載に図7を併せ考慮すれば,担持機構4,11はそれぞれ対となる2枚の押圧板(担持機構4につき押圧板15と16,担持機構11につき押圧板17と18)により構成された機構であり,堆積体7(及び終端板)を押さえる際は対となる2枚の押圧板が接近し,並んで担持機構, (,, を構成するのに対し 堆積体7を押さえる必要のないとき 例えば 図23の状態の担持機構11)は,これら2枚の押圧板(図2,3における17,18)が左右に離れ,また,マガジン13から終端板を取り出す際には,担持機構4の押圧板15と担持機構11の押圧板17がその役割を果たすこと,その上で,本願明細書においては,上記対になる押圧板を総称して「トング部分27,28」と指称していることを理解することができる。 以上によれば,トング部分27,28と押圧板15〜18との構成上の関連性が明らかでないとはいえないから,被告の主張は採用することができない。 キさらに被告は,段落【0020】における「最後の作業工程」が何を意味するかが不明であるなどと主張するが,同工程は前記(3)ウ(オ)に述べたとおりであり,本願明細書の記載に基づき容易に理解することができる。 クなお被告は,上記アないしキの主張は本願明細書が不明瞭であることの「例示」であるとするが,他に何ら具体的に主張するところがない。そして,前記(4)に述べたとおり,本願明細書の記載は当業者が実施できないほど不明瞭であるとはいえないのであって,被告の主張は失当といわざるを得ない。また被告は,本願明細書は何回にもわたって補正が行われており,本願の発明の把握が非常に困難となっているとし,そのために明細書の記載内容が個別に指摘し難いほど不明瞭であるかのように主張するが,平成18年9月6日までに補正された本願明細書の記載がそれ自体から当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであることは前記のとおりであるし,補正が数次にわたるものであること自体は,何ら被告の主張を正当化するものではない。 6 結論以上によれば,原告主張の取消事由のうち,1ないし3は理由がないが,4は理由があるから,審決は違法として取消しを免れない。 よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 中野哲弘 |
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裁判官 | 森義之 |
裁判官 | 澁谷勝海 |