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審判番号(事件番号) データベース 権利
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事件 昭和 50年 (ワ) 9647号
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裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 1981/02/25
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
一 原告1 被告は、別紙目録一及び四記載の交換レンズ、同二の1、2及び五記載の交換レンズ用アダプター並びに同三及び六記載のコンバージヨンレンズを製造、販売してはならない。
2 被告は、その所有に係る前項記載の物件を廃棄せよ。
3 被告は原告に対し、金四〇七七万四九二〇円及びこれに対する昭和五〇年一一月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決及び仮執行の宣言二 被告 主文同旨の判決
請求の原因
一 原告の特許権及びその特許請求の範囲の記載 原告は、次の特許権(以下、「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)について、昭和四四年一二月二日、その設定の登録を受けた。
特許番号 第五六〇五六五号名称 撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ自動プリセツト絞式一眼レフレツクスカメラ出願 昭和三五年一二月一五日出願公告 昭和四二年九月六日(昭四二-一六五七三) 本件発明の特許出願の願書に添附した明細書(補正後のもの)の特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「撮影レンズを透過する光を測定する方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラにおいて、自動プリセツト絞の可能な交換レンズにおける予定絞設定環と係脱自在な連動部材を上記カメラの本体がわに取付け、同連動部材には装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性を常時ばねによつて持たせると同時に、同部材の移動が撮影レンズがわに設定せられた予定絞開口に対応してカメラ本体に組込まれた前記露光計の指示を自動的に制御するようにした撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ手動絞交換レンズによる測光にも兼用し得る自動プリセツト絞式一眼レフレツクスカメラ。」(別添特許公報参照)二 本件発明の構成要件及び作用効果1 構成要件 本件発明の構成要件は、次の(一)ないし(六)のとおりである。
(一) 撮影レンズを透過する光を測定する方式(いわゆるTTL測光方式)の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラであること。
(二) 自動プリセツト絞の可能な交換レンズを有していること。
(三) 右交換レンズの予定絞設定環と係脱自在な連動部材がカメラの本体がわに取付けられていること。
(四) 同連動部材は、常時、バネによつて、装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性を持たされていること。
(五) 同連動部材の移動が、撮影レンズがわに設定された予定絞開口に対応して、カメラ本体に組込まれた露光計の指示を自動的に制御するようになつていること。
(六) 撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうるものであること。
なお、右(二)の自動プリセツト絞とは、手動のプリセツト絞機構(予定絞設定環)と手動のレンズ絞込機構(絞環等)とを有する方式である(手動)プリセツト絞に対し、手動のプリセツト絞機構と自動のレンズ絞込機構とを有し、レンズの絞込みが自動的になされる(予定絞設定環を回動してもレンズ絞は全開のままであり、シヤツターボタンを押すまでフアインダー内に明るい視野を確保でき、シヤツターボタンを押すと、予定絞設定環により設定された予定絞値までレンズが自動的に絞込まれる。)方式のものをいい、右のようにして自動的に絞込まれたレンズ絞込機構を復帰させてレンズを全開状態にするために特別の操作((1)巻上げレバーの巻上げ、(2)手動の開放レバーの操作、(3)押していたシヤツターボタンから手を離し、これを復帰させる操作)を要するものと、このような特別の操作を要しないもの(シヤツターボタンを押せば、レンズの全開状態への復帰も自動的に行われる。)の双方を含む。
2 作用効果 本件発明は、右1の構成要件を具備することにより、次の作用効果を奏する。
(一) 交換レンズの予定絞設定環に係合されたカメラ本体がわの連動部材の移動が、交換レンズがわの予定絞開口に対応して、カメラ本体に組込まれた露光計の指示を自動的に制御するようになつているので、このための手動調節装置を別に装備する必要がない。
(二) 交換レンズをカメラ本体から取外したときは、カメラ本体がわの連動部材は、その習性により常に、装備される撮影レンズの絞の開放がわに回動偏倚しているから、自動プリセツト絞式でない普通の手動絞交換レンズを装着する場合にも、
カメラ本体がわの連動部材をそのつど撮影レンズの絞開放がわに移動させる必要がなく、そのまま手動絞環を所望の絞開口に設定して、撮影レンズを透過する光を測定することができる(すなわち、手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうる。)。
三 被告の行為 被告は、昭和四二年九月以降、別紙目録二の1及び五記載の交換レンズ用アダプター(以下、「アダプター二の1」、「アダプター五」という。)並びに別紙目録三及び六記載のコンバージヨンレンズ(以下、「コンバージヨンレンズ三」、「コンバージヨンレンズ六」という。)を、昭和四五年九月以降、別紙目録一及び四記載の交換レンズ(以下、「交換レンズ一」、「交換レンズ四」という。)を製造、
販売し、そして、昭和四九年以降、別紙目録二の2記載の交換レンズ用アダプター(以下、「アダプター二の2」という。)を製造、販売している(以上の物件を総称して、以下、「被告製品」という。)。
交換レンズ一、アダプター二の1、2、コンバージヨンレンズ三と本件特許権(ミノルタカメラ関係)1 本件ミノルタカメラ並びにその構成及び作用効果(一) 本件ミノルタカメラ 交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2又はそのいずれか(ただし、後記(3)参照)とコンバージヨンレンズ三とを組合せたものは、いずれも、別表一の「装着できるカメラ」欄記載のミノルタ一眼レフレツクスカメラ(日本カメラシヨーで一般配布されるカメラ総合カタログに掲載されたミノルタ一眼レフレツクスカメラを網羅したものである。)のすべてのカメラ本体に装着することができ、各場合に同表「作動の態様」欄記載の作動をするが、そのうち、SRT-一〇一型のカメラ本体に装着されて、全体として、右SRT-一〇一型のカメラ本体にミノルタMCロツコールレンズを装着した場合の機構を示す別紙七記載のカメラと同一の機構を有するカメラを構成し、また、SRT Super型、SR五〇五型、SR一〇一型、AE-Sフアインダー又はMフアインダーを装備したX-一型、XE型、XEb型、XG-E型、X-D型の各ミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されて、全体として、別紙七記載のカメラと実質的に同一の機構を有するカメラを構成するものである(以下、別紙七記載のカメラと同一の機構を有するカメラ及び別紙七記載のカメラと実質的に同一の機構を有するカメラを「本件ミノルタカメラ」という。)。
これを若干詳述すると、以下のとおりである。
(1) 交換レンズ一は、前記九種のカメラのカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成するが、そのうち、SRT-一〇一型のカメラ本体に装着されたときの具体的構成は、別紙(い)のとおりである。
(2) アダプター二の1、2は、プリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒に取付けられたうえ、前記九種のカメラのカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成するが、そのうち、アダプター二の1が右のようにしてSRT-一〇一型のカメラ本体に装着されたときの具体的構成は、別紙(ろ)のとおりであり、アダプター二の2が同様にしてSRT-一〇一型のカメラ本体に装着されたときの具体的構成は、別紙(は)のとおりである。
(3) コンバージヨンレンズ三は、別表一のとおり交換レンズ一又はプリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2と前記九種のカメラのカメラ本体との間に装着されて本件ミノルタカメラを構成する外、別表三のとおり、ミノルタ製の各レンズと組合せたうえ「装着できるカメラ」欄記載のすべてのミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着することができ、各場合に「作動の態様」欄記載の作動をし、そのうちC・プリセツト絞レバーを有する自動プリセツト絞交換レンズ(MCロツコール)又はD・プリセツト絞レバーの外に最小絞値信号爪(MD爪)を有する自動プリセツト絞交換レンズ(MDロツコール)と前記九種のカメラのカメラ本体との間に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成するが、別紙(い)の場合において交換レンズ一とカメラ本体との間に装着されたときの具体的構成は、別紙(に)のとおりであり、同様に別紙(ろ)又は(は)の場合においてアダプター二の1又は2とカメラ本体との間に装着されたときの具体的構成は、別紙(ほ)又は(へ)のとおりである。
(二) 本件ミノルタカメラの構成 本件ミノルタカメラは、次の(1)ないし(6)の構成から成る。
(1) レンズの入射光線が導光プリズム11a、11bを透して光電体素子2a、2bに導かれ測光される方式(いわゆるTTL測光方式)の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラであること。
(2) 自動プリセツト絞の可能な交換レンズを装着していること。
(3) 交換レンズのプリセツト絞環8aと係脱自在な連動環6がカメラ本体の前面に設けられていること。
(4) 遊星プリー16を有する追針環15が、スプリング19により矢印19のように左回り方向の回動習性を有しているため、連動環6は、遊星プリー16に巻回された伝動紐12を介してプリセツト絞環8aの全開方向へ回動復帰しようとする習性を持つていること。
(5) 交換レンズがわのプリセツト絞環8aを回動させると、カメラ本体がわの連動環6もこれに応じて回動し、追針指針26がフアインダー視野内で動くが、この追針指針26が電流計指針3aと重なつたとき、適正な露光の指示がなされること。
(6) 手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうるものであること。
(三) 作用効果 本件ミノルタカメラは、右(二)の構成を有することにより、次の作用効果を奏する。
(1) 追針指針26が電流計指針3aと重なる位置までプリセツト絞環8aを回動させることにより、自動的に適正露出を得ることができるから、この外に露光計をレンズの予定絞開口に対応させるための手動調節装置を装備する必要がない。
(2) 連動環6は、撮影レンズの絞全開方向へ回動復帰する習性を持つており、
レンズをカメラ本体から取外したときは、絞の全開位置に復帰しているから、自動プリセツト絞式でない手動絞交換レンズを装着する場合にも、連動環6を移動させる必要がなく、そのまま手動絞環を所望の絞開口に設定して、撮影レンズを透過する光を測定することができる。
2 本件ミノルタカメラと本件発明の対比 本件ミノルタカメラの構成(1)ないし(6)は、本件発明の構成要件(一)ないし(六)をそれぞれ充足し、本件ミノルタカメラの作用効果(1)及び(2)も、本件発明の作用効果(一)及び(二)とそれぞれ同一であるから、本件ミノルタカメラは、本件発明の技術的範囲に属するものである。
3 いわゆる間接侵害の成立 交換レンズ一、アダプター二の1、2及びコンバージヨンレンズ三は、いずれも、以下のとおり本件ミノルタカメラの生産にのみ使用する物であるから、これらを製造、販売する被告の行為は、特許法第101条第1号の規定により、本件特許権を侵害するものとみなされる。
(一) 交換レンズ一は、そのカメラ本体との接合部分においてミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体のレンズ取付部分にのみ対応する形状をなし、プリセツト絞環2と、プリセツト絞環2の回動に応じて移動するプリセツト絞レバー1を有している(本件ミノルタカメラのプリセツト絞環8aとその突起8bにそれぞれ該当する。)が、このプリセツト絞レバー1は、もつぱら、本件ミノルタカメラのカメラ本体の連動環6の突起6b(別紙七)と係合してプリセツト絞環2の回動に応じて連動環6(別紙七)を回動させるためのものである。したがつて、交換レンズ一は、本件ミノルタカメラの生産にのみ使用する物というべきである。
(二) アダプター二の1、2は、そのカメラ本体との接合部分においてミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体のレンズ取付部分にのみ対応する形状をなし、二股突起5と、二股突起5の回動に応じてこれと反対方向に連動するプリセツト絞レバー1を有しているものであるが、この二股突起5の溝に交換レンズ鏡筒の連絡板7を係合させてアダプター二の1又は2と交換レンズ鏡筒とを螺合すると、
一体として交換レンズ一と同じ構造を有することになり、プリセツト絞レバー1は、右(一)の場合と同じ機能を果たす。すなわち、プリセツト絞レバー1は、このように交換レンズ鏡筒を螺合したアダプター二の1又は2を更に本件ミノルタカメラのカメラ本体に装着した際、もつぱら、本件ミノルタカメラのカメラ本体の連動環6の突起6b(別紙七)と係合して、交換レンズ鏡筒のプリセツト絞環6の回動に応じて連動環6(別紙七)を回動させ、もつてプリセツト絞環の動きを連動環に伝達するためのものである。したがつて、アダプター二の1、2は、本件ミノルタカメラの生産にのみ使用する物というべきである。
(三) コンバージヨンレンズ三は、そのカメラ本体との接合部分においてミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体のレンズ取付部分にのみ対応する構造を、
他端において交換レンズ一及びアダプター二の1、2に対応する構造をなし、連結レバー3の固着した連動リング4を有しているものであるが、この連結レバー3は、撮影レンズ取付がわの一端に突出した先端3bが交換レンズ一及びアダプター二の1、2のプリセツト絞レバー1と係合することにより、プリセツト絞環8a(別紙七)の回動に連動し、かつ、カメラ本体に接合するがわの突起3aがカメラ本体の連動環6の突起6b(別紙七)と係合することにより、プリセツト絞環8aの回動を連動環6に伝達するものであり、プリセツト絞レバー1の構造、機能を延長するものにすぎない。したがつて、コンバージヨンレンズ三は、本件ミノルタカメラの生産にのみ使用する物というべきである。
交換レンズ四、アダプター五、コンバージヨンレンズ六と本件特許権(キヤノンカメラ関係)1 本件キヤノンカメラ並びにその構成及び作用効果(一) 本件キヤノンカメラ 交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五又はこれ(ただし、後記(2)参照)とコンバージヨンレンズ六とを組合せたものは、いずれも、別表二の「装着できるカメラ」欄記載のキヤノン一眼レフレツクスカメラ(日本カメラシヨーで一般配布されるカメラ総合カタログに掲載されたキヤノン一眼レフレツクスカメラを網羅したものである。)のすべてのカメラ本体に装着することができ、各場合に同表「作動の態様」欄記載の作動をするが、そのうち、FTb型及び標準仕様たるアイレベルフアインダーを装備したF-一型の各カメラ本体に装着されて、全体として、右FTb型及びF-一型のカメラ本体にキヤノンFDレンズを装着した場合の機能を示す別紙八記載のカメラと同一の機構を有するカメラ(以下、「本件キヤノンカメラ」という。)を構成するものである。
これを若干詳述すると、以下のとおりである。
(1) アダプター五は、プリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒に取付けられたうえ、前記二種のカメラのカメラ本体に装着されて、全体として本件キヤノンカメラを構成するが、その具体的構成は、別紙(と)のとおりである。
(2) コンバージヨンレンズ六は、別表二のとおりプリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五と前記二種のカメラのカメラ本体との間に装着されて本件キヤノンカメラを構成する外、別表四のとおり、キヤノン製の各レンズと組合せたうえ「装着できるカメラ」欄記載のすべてのキヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着することができ、各場合に「作動の態様」欄記載の作動をするが、そのうち、C・プリセツト絞レバーの外にEEピンを有する自動プリセツト絞交換レンズ(FDレンズ)と前記二種のカメラ(ただし、F-一型については、標準仕様たるアイレベルフアインダー又はサーボEEフアインダーを装備した場合)のカメラ本体との間に装着されて、全体として本件キヤノンカメラを構成するが、そのうち、別紙(と)の場合においてアダプター五とカメラ本体との間に装着されたときの具体的構成は、別紙(ち)のとおりである。
(注:原告は、この項に関し、交換レンズ四については何ら具体的主張をしない。)(二) 本件キヤノンカメラの構成 本件キヤノンカメラは、次の(1)′ないし(6)´の構成から成る。
(1)′ レンズの入射光線がハーフミラー11によつて反射されて光電体素子2に導かれ測光される方式(いわゆるTTL測光方式)の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラであること。
(2)′ 自動プリセツト絞の可能な交換レンズを装着していること。
(3)′ 交換レンズのプリセツト絞環8aと係脱自在なプリセツト絞連動カム6がカメラ本体のレンズ取付部分近くに設けられていること。
(4)′ プリセツト絞連動カム6は、スプリング19により、上方に移動復帰しようとする習性、すなわち装着する交換レンズのプリセツト絞環8aの全開方向へ移動復帰しようとする習性を持つていること。
(5)′ 交換レンズがわのプリセツト絞環8aを回動させると、カメラ本体がわのプリセツト絞連動カム6が下方に移動し、これに伴つて追針26が振れるが、この追針26が検流計指針3aと重なつたとき、適正な予定絞が設定されること。
(6)′ 手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうるものであること。
(三) 作用効果 本件キヤノンカメラは、右(二)の構成を有することにより、次の作用効果を奏する。
(1)′ 追針26が検流計指針3aと重なる位置までプリセツト絞環8aを回動させることにより、自動的に適正露出を得ることができるから、この外に露光計をレンズの予定絞開口に対応させるための手動調節装置を装備する必要がない。
(2)′ プリセツト絞連動カム6は、撮影レンズの絞全開方向へ移動復帰する習性を持つており、レンズをカメラ本体から取外したときは、絞の全開位置に復帰しているから、自動プリセツト絞式でない手動絞交換レンズを装着する場合にも、プリセツト絞連動カム6を移動させる必要がなく、そのまま手動絞環を所望の絞値に設定して、撮影レンズを透過する光を測定することができる。
2 本件キヤノンカメラと本件発明の対比 本件キヤノンカメラの構成(1)′ないし(6)′は、本件発明の構成要件(一)ないし(六)をそれぞれ充足し、本件キヤノンカメラの作用効果(1)′及び(2)′も、本件発明の作用効果(一)及び(二)とそれぞれ同一であるから、
本件キヤノンカメラは、本件発明の技術的範囲に属するものである。
3 いわゆる間接侵害の成立 交換レンズ四、アダプター五及びコンバージヨンレンズ六は、いずれも、以下のとおり本件キヤノンカメラの生産にのみ使用する物であるから、これらを製造、販売する被告の行為は、特許法第101条第1号の規定により、本件特許権を侵害するものとみなされる。
(一) 交換レンズ四は、そのカメラ本体との接合部分においてキヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体のレンズ取付部分にのみ対応する構造をなし、プリセツト絞環2と、プリセツト絞環2の回動に応じて移動するプリセツト絞レバー1を有している(本件キヤノンカメラのプリセツト絞環8aとプリセツト絞レバー8bにそれぞれ該当する。)が、このプリセツト絞レバー1は、もつぱら、本件キヤノンカメラのカメラ本体のプリセツト絞信号レバー6a(別紙八)と係合してプリセツト絞環2の回動に応じてプリセツト絞連動カム6(別紙八)を上下動させることにより、プリセツト絞環2の回動をカメラ本体がわの絞調整機構に伝達するためのものである。したがつて、交換レンズ四は、本件キヤノンカメラの生産にのみ使用する物というべきである。
(二) アダプター五は、そのカメラ本体との接合部分においてキヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体のレンズ取付部分にのみ対応する構造をなし、ハウジング2の溝4内を溝の長手方向に移動する二股連動板5と、二股連動板5の移動に応じてこれと反対方向に連動するプリセツト絞レバー1を有しているものであるが、アダプター五と交換レンズ鏡筒とを螺合し、二股連動板5を交換レンズ鏡筒のプリセツト絞環6に止めネジ7により固着すると、一体として交換レンズ四と同じ構造を有することになり、プリセツト絞レバー1は、右(一)の場合と同じ機能を果たす。すなわち、プリセツト絞レバー1は、このように交換レンズ鏡筒を螺合したアダプター五を更に本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着した際、もつぱら、
本件キヤノンカメラのカメラ本体のプリセツト絞信号レバー6a(別紙八)と係合して、交換レンズ鏡筒のプリセツト絞環6の回動に応じてプリセツト絞連動カム6(別紙八)を上下動させ、もつてプリセツト絞環の動きをプリセツト絞連動カムに伝達するためのものである。したがつて、アダプター五は、本件キヤノンカメラの生産にのみ使用する物というべきである。
(三) コンバージヨンレンズ六は、そのカメラ本体との接合部分においてキヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体のレンズ取付部分にのみ対応する構造を、
他端において交換レンズ四及びアダプター五に対応する構造をなし、連結桿3を有しているものであるが、この連結桿3は、撮影レンズ取付がわの一端に突出した突起3bが交換レンズ四及びアダプター五のプリセツト絞レバー1と係合することにより、プリセツト絞環8a(別紙八)の回動に連動し、かつ、カメラ本体に接合するがわの先端3aがカメラ本体のプリセツト絞信号レバー6a(別紙八)と係合することにより、プリセツト絞環8aの動きをプリセツト絞連動カム6(別紙八)に伝達するものであり、プリセツト絞レバー1の構造、機能を延長するものにすぎない。したがつて、コンバージヨンレンズ六は、本件キヤノンカメラの生産にのみ使用する物というべきである。
不法行為に基づく損害賠償請求及び不当利得返還請求1 不法行為に基づく損害賠償請求 被告は、被告製品が本件発明の技術的範囲に属する本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの生産にのみ使用する物であることを知り、又は過失によりこれを知らないで、被告製品を前記三のとおり製造、販売し、原告の有する本件特許権(又はいわゆる仮保護の権利)を侵害したものであるから、右侵害行為により原告の被つた損害を賠償すべき義務があるところ、原告は、特許法第102条第2項の規定により、本件発明の実施に対し通常受けるべき実施料相当額を自己が受けた損害の額としてその賠償を請求しうるものである。
被告は、昭和四二年九月以降アダプター二の1及び五並びにコンバージヨンレンズ三及び六を、昭和四五年九月以降交換レンズ一及び四を、昭和四九年以降アダプター二の2を製造、販売し、昭和五〇年一〇月までの間に総計一〇億一九三七万三〇〇〇円の売上げを得たが、本件発明の実施に対し通常受けるべき実施料は、売上高の四パーセントをもつて相当とするから、前記実施料相当額すなわち原告が賠償を請求しうる損害の額は、合計四〇七七万四九二〇円となる。
仮に右製造販売期間及び売上高の主張が認められないとしても、被告は、少なくとも、別紙計算表の期間欄記載の各期間に、個数欄記載の各個数の被告製品を製造、販売して、それぞれ売上高欄記載の売上げを得、総計七億七六九七万八〇〇〇円の売上げを得たから、前同様の理由により、原告は、少なくとも右売上高総計の四パーセントに当たる合計三一〇七万九〇〇〇円(一〇〇〇円未満切捨)の賠償を請求しうるものである。
2 不当利得返還請求 被告は、右1の製造販売行為により、法律上の原因なくして右1の損害額と同額を利得し、これがため原告に損失を及ぼしたから、原告はその返還を求める。
よつて、原告は被告に対し、被告製品の製造販売の差止並びに被告所有に係る被告製品の廃棄を求めるとともに、主位的に不法行為に基づく損害賠償請求として、
予備的に不当利得返還請求として、前記四〇七七万四九二〇円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である昭和五〇年一一月二一日から支払済みまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
請求の原因に対する認否及び被告の主張
一1 請求の原因一は認める。
2(一) 同二1前段については、本件特許請求の範囲の記載を原告主張の(一)ないし(六)のとおり分説できることは認めるが、その(六)のうちの「撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ」との部分は削除すべきである。なぜなら、右部分は(一)と重複するものであるし、また、右部分は、本件特許請求の範囲の記載末尾の「自動プリセツト絞式一眼レフレツクスカメラ」を修飾するものであるにもかかわらず、原告主張の(六)のままでは「手動絞交換レンズ」を修飾することとなつて、(六)全体として意味不明となるからである。
同二1後段(「なお、右(二)の自動プリセツト絞とは、」以下)は認める。
(二) 同二2については、本件明細書に本件発明の作用効果として原告主張のとおり記載されていることは認める。
3 同三の認否は、以下のとおりである。
(一) 交換レンズ一を昭和五〇年三月一日から昭和五二年一〇月三一日までの間製造、販売したことは認める(ただし、別紙目録一の説明文三行目に「装着する交換レンズ」とあるのは、「装着するための部材を固着した交換レンズ」とすべきである。)が、右期間前及び期間後については否認する。
交換レンズ一はYXレンズにミノルタカメラ用旧YXアダプターを取付け固定したものであるが、絞優先とシヤツター速度優先のいずれの自動露光制御も選択できるミノルタカメラX-Dの製造販売の開始に伴い、昭和五二年一〇月三一日限り確定的に製造販売を廃止した。昭和五二年一一月一日以降は、右ミノルタカメラX-Dの作動にも適合するよう構造変更をした新YXアダプターをYXレンズに取付け固定したものを製造、販売している。
(二) アダプター二の1を昭和四七年八月一日から昭和五〇年四月三〇日までの間製造、販売したことは認める(ただし、別紙目録二の1の説明文三、四行目に「装着するための部材」とあるのは、「装着するため用いうる部材」とすべきである。)が、右期間前及び期間後については否認する。
アダプター二の1は、ミノルタカメラ用旧々YSアダプターであるが、昭和五〇年四月三〇日限り確定的に製造販売を廃止し、昭和五〇年五月一日、これに設計変更を加えたアダプター二の2(旧YSアダプター)の製造販売を開始した。
アダプター二の2を昭和五〇年五月一日から昭和五二年一〇月三一日までの間製造、販売したことは認める(ただし、別紙目録二の2の説明文三、四行目に「装着するための部材」とあるのは、「装着するため用いうる部材」とすべきである。)が、右期間前及び期間後については否認する。
アダプター二の2は、ミノルタカメラ用旧々YSアダプター(アダプター二の1)を設計変更して、昭和五〇年五月一日に製造販売を開始したミノルタカメラ用旧YSアダプターであるが、ミノルタカメラX-Dの製造販売の開始に伴い、昭和五二年一〇月三一日限り確定的に製造販売を廃止した。昭和五二年一一月一日以降は、その構造を変更したミノルタカメラ用新YSアダプターを製造、販売している。
(三) コンバージヨンレンズ三を昭和四五年一〇月一日から昭和五三年一一月三〇日までの間製造、販売したことは認めるが、右期間前及び期間後については否認する。
コンバージヨンレンズ三は、ミノルタカメラ用コンバージヨンレンズであるが、
昭和五三年一一月三〇日限り確定的に製造販売を廃止し、昭和五三年一二月一日以降は、新たに被告において開発したミノルタMD用コンバージヨンレンズを製造、
販売している。
(四) 交換レンズ四については、被告はかつてこれを製造、販売したことはないし、現在も製造、販売していない。
(五) アダプター五を昭和四七年一月から昭和五〇年一月三一日までの間製造、
販売したことは認める(ただし、別紙目録五の説明文三、四行目に「装着するための部材」とあるのは、「装着するため用いうる部材」とすべきである。)が、右期間前及び期間後については否認する。
アダプター五は、EE連動機構を有しないキヤノンカメラ用旧YSアダプターであるが、昭和五〇年一月三一日限り確定的に製造販売を廃止し、昭和五〇年二月一日以降は、EE連動機構を有するキヤノンカメラ用新YSアダプターを製造、販売している。
(六) コンバージヨンレンズ六を昭和四七年一月から昭和四九年九月三〇日までの間製造、販売したことは認めるが、右期間前及び期間後については否認する。
コンバージヨンレンズ六は、EE連動機構を有しないキヤノンカメラ用コンバージヨンレンズであるが、昭和四九年九月三〇日限り確定的に製造販売を廃止し、昭和四九年一〇月一日以降は、新たにEE連動機構を有するキヤノンカメラ用コンバージヨンレンズを製造、販売している。
4(一)(1) 同四1(一)の柱書部分のうち、交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2又はそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものが、いずれも、別表一の「装着できるカメラ」欄記載のミノルタ一眼レフレツクスカメラ(これが、日本カメラシヨーで一般配布されるカメラ総合カタログに掲載されたミノルタ一眼レフレツクスカメラを網羅したものであることを含む。)のすべてのカメラ本体に装着することができ、各場合に同表「作動の態様」欄記載の作動をすること、そのうち、SRT-一〇一型のカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成することは認めるが、その余は争う。
(@) 同四1(一)の(1)のうち、交換レンズ一が、SRT-一〇一型のカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成すること、その具体的構成が別紙(い)のとおりであることは認めるが、その余は争う。
(A)同四1(一)の(2)のうち、アダプター二の1、2が、プリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒に取付けられたうえ、SRT-一〇一型のカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成すること、そして、アダプター二の1が右のようにしてSRT-一〇一型のカメラ本体に装着されたときの具体的構成が別紙(ろ)のとおりであり、アダプター二の2が同様にしてSRT-一〇一型のカメラ本体に装着されたときの具体的構成が別紙(は)のとおりであることは認めるが、その余は争う。
(B) 同四1(一)の(3)のうち、コンバージヨンレンズ三が、交換レンズ一又はプリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2とSRT-一〇一型のカメラ本体との間に装着されて本件ミノルタカメラを構成する外、別表三のとおり、ミノルタ製の各レンズと組合せたうえ「装着できるカメラ」欄記載のすべてのミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着することができ、各場合に「作動の態様」欄記載の作動をし、そのうち、C・又はD・のレンズとSRT-一〇一型のカメラ本体との間に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成すること、そして、別紙(い)の場合において交換レンズ一とカメラ本体との間に装着されたときの具体的構成が別紙(に)のとおりであり、同様に別紙(ろ)又は(は)の場合においてアダプター二の1又は2とカメラ本体との間に装着されたときの具体的構成が別紙(ほ)又は(へ)のとおりであることは認めるが、その余は争う。
(2) 同四1の(二)及び(三)(本件ミノルタカメラの構成及び作用効果)は認める。
(二) 同四2は争う。
(三) 同四3の柱書部分は争う。
(1) 同四3(一)の第一文は認めるが、第二文は争う。
(2) 同四3(二)の第一、第二文は認めるが、第三文は争う。
(3) 同四3(三)の第一文のうち、コンバージヨンレンズ三の連結レバー3がプリセツト絞レバー1の構造、機能を延長するものにすぎないとの点は否認するが、その余は認める。
第二文は争う。
5(一) 同五1(本件キヤノンカメラ並びにその構成及び作用効果)はすべて認める。
(二) 同五2は争う。
(三) 同五3の柱書部分は争う。
(1) 同五3(一)は否認する(前記のとおり、被告はかつて交換レンズ四を製造、販売したことはないし、現在も製造、販売していない。)。
(2) 同五3(二)の第一、第二文は認めるが、第三文は争う。
(3) 同五3(三)の第一文のうち、コンバージヨンレンズ六の連結桿3がプリセツト絞レバー1の構造、機能を延長するものにすぎないとの点は否認するが、その余は認める。
第二文は争う。
6(一) 同六1の第一、第二段は争う。
同六1の第三段の認否は次のとおりである。
(1) 交換レンズ一については、製造販売期間、個数、売上高のいずれも認める。
(2) アダプター二の1については、製造販売期間、個数は認めるが、売上高は否認する。売上高は二九三二万二〇〇〇円(単価平均一五〇〇円)である。
(3) アダプター二の2については、製造販売期間、個数は認めるが、売上高は否認する。売上高は五八一万八五〇〇円(単価平均一五〇〇円)である。
(4) コンバージヨンレンズ三については、製造販売期間は認めるが、製造販売個数、売上高は否認する。
右期間中の製造販売個数は一四〇四個であり、その売上高は二八〇万八〇〇〇円(平均単価二〇〇〇円)である。
(5) アダプター五については、製造販売期間は認めるが、製造販売個数、売上高は否認する。右期間中の製造販売個数は一万八九五二個であり、その売上高は二八四二万八〇〇〇円(平均単価一五〇〇円)である。
(二) 同六2は争う。
二 本件発明の意義と本件特許請求の範囲の記載の解釈 本件発明は、その特許出願時における客観的技術水準に照らすと、当業技術者が適宜選択実施可能な範囲内の技術であり、このことは、本件特許請求の範囲の記載の解釈に当たつて十分顧慮されるべきである。
したがつて、本件発明の構成要件は、十分厳格に解してしかるべきである。
1 本件発明の要旨 本件特許請求の範囲の記載を適宜簡略化して分説すると、本件発明の要旨は、次のAないしIの特徴の結合ということができる。
A 一眼レフレツクスカメラで、
B 露光計を組込んであり、
C TTL開放測光方式で、
D レンズ交換式であり、
E 自動絞交換レンズ、手動絞交換レンズの装着が可能で、
F 装着した自動絞交換レンズの予定絞設定環と係合する連動部材を有し、
G 右連動部材は、レンズの予定絞設定に対応して移動し、露光計の指示を自動的に制御し、
H 右連動部材は、バネにより一方向へ常時復帰する習性を有し、
I 右連動部材の復帰の方向は、装着したレンズの絞開放がわである。
2 公知技術(一) 交換レンズ(1) 本件特許請求の範囲の記載において、カメラに装着する交換レンズとして「手動絞交換レンズ」及び「予定絞設定環を有する自動プリセツト絞の可能な交換レンズ」の二種が示されているが、前者の「手動絞交換レンズ」が、本件発明の特許出願前において周知であつたことはいうまでもない。
(2) また、後者の「予定絞設定環を有する自動プリセツト絞の可能な交換レンズ」についても、撮影レンズ鏡筒の予定絞設定環と一体の連結部材を有し、この連結部材が、カメラに内蔵された露光計又は着脱式露光計を制御する手段と係合し、
予定絞設定環の回動(予定絞設定)により、当該連結部材と係合して連動する右露光計制御手段を通して、露光計の指示を制御しうるようにした自動絞交換レンズが、本件発明の特許出願前において文献により公知であつたのみならず、日本国内において公然と用いられていた。すなわち、
(@) 乙第一号証の一ないし三(昭和三四年七月刊行の雑誌「写真工業」八七号)及び同第二号証の一ないし三(昭和三五年一月刊行の雑誌「写真工業」九三号)には、コニカフレツクスとこれに装着する交換レンズについての記載がある。
この交換レンズは、自動プリセツト絞の可能な交換レンズであつて、その予定絞設定環に固定された絞目盛調節レバーがカメラ前面にある連動環と一体の絞目盛連動金具と係合する構成を有している。そして、右交換レンズをカメラに装着してその予定絞設定環を回動させると、カメラの連動環が回動して、レンズの絞目盛調節レバーの位置の変化に応じて、カメラに内蔵された外光測光方式による露光計の回路の可変抵抗値が変化するようになつている。
(A) また、乙第三号証の一ないし三(昭和三四年五月刊行の雑誌「写真工業」八五号)には、ニコンFとこれに装着する全自動式交換レンズであるニツコールオートについての記載がある。
この交換レンズは、その予定絞設定環に固定された露光計連動用結合部材を備えており、右結合部材が外光測光方式の着脱式露光計の連動ピンと係合して、レンズの予定絞位置に応じ露光計の位置を制御するようになつている。
(二) カメラ(本体)(1) 前記乙第一、第二号証の各一ないし三に記載され本件発明の特許出願前において公知であつたコニカフレツクスは、レンズ交換式一眼レフレツクスカメラであつて(前記「1 本件発明の要旨」A及びD参照。以下同様。)、外光測光方式の内蔵露光計を備え(B、C)、装着した自動絞交換レンズの予定絞設定環の連結部材と係合する部分を有する連動環を有し(F)、右連動環が、レンズの予定絞設定位置に応じて回動し、露光計回路の可変抵抗の抵抗値を自動的に制御する(G)ものであり、そして、右連動環は、装着したレンズが絞全閉がわに向つて回動するときに当該連動環が回動すべき方向に、常時復帰する習性がバネにより与えられている(H、I)。
原告は、右コニカフレツクスの連動環に復帰習性を与えるバネは存在せず、したがつて連動環は復帰習性を有しないと反論する(第四、一2末段)が、右乙第一号証の二には、「一方ボデイ側にある自動絞り連動レバーはシヤツターをきると強い力で働き、シヤツターの作動が終ると同時に元に戻ります。」との記載があり、右カメラの連動環は開放がわか全閉がわのいずれか(いずれであるかは、右記載からは分らないが、全閉がわであると被告は聞知している。)に自動的に復帰する習性を有していることが明らかであり、そして、連動環を自動的に回動させる付勢手段としてバネを用いることは常套手段である(レンズの絞について乙第七号証の六の三)のであつて、右バネの存在を否定する原告の反論は、技術常識を無視するものである。
(2) また、前記乙第三号証の一ないし三に記載され本件発明の特許出願前において公知であつたニコンFは、レンズ交換式一眼レフレツクスカメラであつて(A、D)、外光測光方式の着脱式露光計を装着可能とし(B、C)、装着した自動絞交換レンズの予定絞設定環に一体となつているカツプリング部材と係合する連動部材を露光計に設け(F)、右連動部材が、レンズの予定絞設定位置に応じて露光計中の電気回路を作動させ、露光計の指示を自動的に制御する(G)ものである。
3 本件発明と公知技術の対比(一) 本件発明の構成(前記「1 本件発明の要旨」)と乙第一、第二号証の各一ないし三に示されたコニカフレツクスとその交換レンズの構成とを対比すると、
次の(1)ないし(3)の相違点を除いて、両者はすべて一致する。
(1) 前者は、TTL開放測光方式であるのに対して、後者は、外光測光方式であること。
(2) 前者は、手動絞交換レンズと自動絞交換レンズとを選択装着できるのに対して、後者は、自動絞交換レンズのみを装着できること(コニカフレツクスのマウントに適合する手動絞交換レンズは商品として存在しない。)。
(3) カメラの連動部材の常時復帰の方向が、前者では、装着したレンズの絞開放方向であるのに対して、後者では、絞全閉方向であること。
(二) そこで、右(一)の(1)ないし(3)の相違点について考察すると、以下のとおりである。
(1) まず、(1)の相違点については、本件発明の特許出願前、TTL開放測光方式の一眼レフレツクスカメラも公知のものであつたというべきである。
すなわち、本件発明の特許出願前、
@ 自動プリセツト絞交換レンズ(外光測光方式、TTL測光方式の両方に適用できる。)A 内蔵露光計又は着脱式露光計を有するカメラの測光方式としての(イ) 外光測光方式、すなわち、受光素子をカメラの表面に配置して、撮影レンズを通過しない光を検知する方式(乙第一ないし第三号証の各一ないし三)、及び、
(ロ) TTL測光方式、すなわち、受光素子をカメラに装填したフイルム面近くに配置して、撮影レンズを通過した光を検知する方式(乙第一四ないし第一九号証)(右(イ)、(ロ)は、受光素子の配置箇所が異なるのみで、露光計の機構ないし構成要素は全く同じである。)B 右@とAのイを組合せたもの、すなわち、右@の自動プリセツト絞交換レンズの予定絞設定環の回動により右Aの(イ)のカメラの連動環を連動させて露光計の指示を制御する機構(これは、コニカフレツクスに採用された機構である。)は公知のものであつた。右Bのようにして、外光測光方式のカメラにおいて、レンズの予定絞設定環の回動によりカメラの連動部材を連動させて露光計の指示を自動的に制御する構想を具体化したものが設計され公知となつたなら、TTL測光方式のカメラの設計に当たつても、同じ構想を採用しようとする(@とAの(ロ)の組合せ)のは、連想ないし技術的模倣の心理からして当然である。そして、公知の自動プリセツト絞交換レンズは、予定絞設定環を回動してもレンズ絞が全開のままであるのが特徴なのであるから、公知の自動プリセツト絞交換レンズをTTL測光方式と組合せる限り、当然に開放状態で測光する方式つまりTTL開放測光方式となるのであり、このTTL開放測光方式は、自動プリセツト絞交換レンズを装着した場合の最も自然な形なのである。問題は、レンズの予定絞設定環を回動したときにレンズの予定絞値に合つた表示をするよう露光計の指示を制御する方法をどうするかであるが、その解決手段は、既にコニカフレツクスによつて与えられているのである。
したがつて、本件発明の特許出願前、TTL開放測光方式の一眼レフレツクスカメラも公知のものであつたというべきであり、この点は特許に値しない。ただ、受光素子が発達してTTL測光が容易になるまで実現されなかつたというだけのことである。
(2) (2)の相違点についていえば、交換レンズは、そのマウントがカメラのマウントに適合しさえすれば、その本来の目的である撮影自体は常に可能であるから、レンズの新製品を発売するときには、そのマウントを従来のカメラのマウントに適合するよう設計するのが当然であるのと同様、新機構のレンズ及びこれと共同する新機構を組込んだ新型カメラを発売するときには、新型カメラのマウントは従来と同じ設計にし、新機構を有しない古い機構のレンズもこれに装着して使用できるように配慮するのが当然である。ただ、古い機構のレンズを新型カメラに装着して撮影すれば、新機構のレンズと共同するための新型カメラの新機構が作動しないだけのことである。
したがつて、本件発明に係るカメラが、自動絞交換レンズの外、これに代えて手動絞交換レンズも装着することができるというのは、いわば当然の設計技術思想に基づくものにすぎない。
(3) (3)の相違点についていえば、自動絞交換レンズの予定絞設定環の回動と連動するカメラの連動部材に対して、一方向への常時復帰習性を与えるかどうか、与えるとして、その方向を、レンズが全開となる方向又は全閉となる方向のいずれにするかなどは、通常のカメラにおいて適宜選択すべき設計事項である。
そして、TTL開放測光方式のカメラと自動絞交換レンズとを組合せる場合、手動絞交換レンズとの組合せ使用をも期するとすれば、カメラの連動部材の位置については、これを、
(イ) 全く規整しないか、
(ロ) レンズの絞を閉じていくときに連動部材が移動する方向に、付勢して規整するか、
(ハ) レンズの絞を開いていくときに連動部材が移動する方向に、付勢して規整するか、
の三者しか選択の余地がないのは自明であるが、右(イ)及び(ロ)の方式によれば、手動絞交換レンズを装着したときに露光測定又は適正な露光計制御の目的を達成できず(なぜなら、(イ)又は(ロ)の方式では、カメラの連動部材が適宜の位置又は絞全閉の位置にあるため、不必要かつ有害な露光情報の偏倚がもたらされており、レンズを絞込むと、レンズ絞込みにより制御される制御量が加重されてしまう。)、したがつて、(ハ)の方式しかありえないことは、当業技術者でなくても、カメラに興味を持ち多少の知識を有する者であれば、極めて容易に理解できることである。
また、かかる付勢の手段としてバネを用いることが常套手段であることは前記2(一)(1)後段のとおりである。
(三) 以上のとおり、本件発明は、TTL開放測光方式において自動絞交換レンズと手動絞交換レンズとを選択装着できるようにしたときに、普通に考えれば当然到達するべくして到達するはずの構成のものにすぎない。
現に、本件発明の特許出願前のツアイス社による特許出願に係る西ドイツの特許公報(乙第四号証)には、プリセツト絞交換レンズを装着する、露光計を組込んだ一眼レフレツクスカメラであつて、交換レンズの予定絞設定環に設けた突片が、カメラに設けた連動環と係合し、予定絞値の設定により連動環を連動させて、内蔵露光計の指示を自動的に制御し、また、右連動環は、レンズを取外したとき、バネにより交換レンズの絞開放がわに常時復帰する習性を与えられている構成から成る発明が示されているところ、当該特許出願は、異議により拒絶査定を受けているのである。
原告は、右ツアイス社出願の発明は、(1)半自動式の旧式の交換レンズに関するものであること、(2)その露光計は外光測光方式のものであること、の二点を指摘して、本件発明との技術水準における格差を主張する(第四、一3(二))。
しかし、
(1)プリセツト絞環付交換レンズの種類及びその呼称は区々分れているところ、
右ツアイス社出願の発明の交換レンズは、乙第四号証から明らかなとおり、原告が第二、二1後段で定義する本件発明にいう自動プリセツト絞交換レンズのうちの自動的に絞込まれたレンズ絞込機構を復帰させてレンズを全開状態にするために特別の操作(そのうちの(3))を要するものに該当するのであるから、原告が、右発明は「半自動式の旧式の交換レンズに関するもの」と述べて、あたかもこの点が本件発明と相違するかのように解しうる主張をするのは首肯しがたい。また、(2)前記(二)(1)のとおり、外光測光方式もTTL測光方式も本件発明の特許出願前公知のものであり、両者は、受光素子の配置個所が異なるのみで、露光計の機構ないし構成要素は全く同一である。したがつて、この点を理由に、本件発明が大きな進歩性を有すると考えるのは正当な技術者的思考ではない。
4 本件特許請求の範囲の記載の解釈態度 右に述べたとおり、本件発明の特許出願時における客観的技術的水準に照らすと、本件発明は、当業技術者が適宜選択実施可能な範囲内の技術にすぎないから、
本件特許請求の範囲の記載は、十分厳格に解釈すべきである。
三 本件特許請求の範囲の記載の解釈1 一眼レフレツクスカメラ 本件発明の対象である「一眼レフレツクスカメラ」とは、次の理由により、カメラ本体(すなわち交換レンズを含まないもの)を指すと解すべきである。
もちろん、本件発明の対象をカメラ本体のみと解しても、そのカメラ本体を発明の作用効果を奏するように用いようとすれば、一定のレンズを装着して組合せることを必要とするが、客観的技術的にそうであるだけのことであり、だからといつて、このような場合は組合せ物が発明の対象であると直ちにいうことはできない。
他の物Aと結合しなければ役に立たない物Bを、物Bとして発明の対象とする例は少なくないのであるから、本件発明の対象がカメラ本体であると解されるからといつて、何ら異とするに足りない。
(一) 本件特許請求の範囲の記載の文理と自明の技術内容 本件特許請求の範囲の記載においては、自動プリセツト絞の可能な特定の構成を有する交換レンズAに対応する特定の構成を有し、手動絞交換レンズBによる測光にも兼用しうるものを、「一眼レフレツクスカメラ」と称している。カメラ本体に交換レンズAを装着したままで交換レンズBを装着しえないのは当然であるから、
右にいう「一眼レフレツクスカメラ」は、交換レンズAも交換レンズBも適宜交換して装着できるもの、すなわちカメラ本体と解さざるをえない。
なお、原告は、交換レンズを除外したカメラ本体のみでは、露光計を組込んだカメラとはいえないと反論する(第四、二1(一)第二段)が、これは、後記2のとおり露光計を内蔵したカメラを意味するから、レンズを除外してもカメラ本体に露光計が内蔵されていることに変りはなく、露光計を組込んだカメラということができるのである。
(二) 一般用語例 カメラの語源は、CAMERA OBSCURA(暗箱、暗室)にあり、IN CAMERAは判事の個室を意味し、レンズのないピンホールカメラもまたカメラである。レンズを固着した写真機が現われると、その全体をカメラと称することになつたが、レンズ交換式の写真機が現われた後は、レンズを装着した状態のものをカメラと表現する例も多い一方、「カメラとレンズ」というように、カメラをカメラ本体の意味で用いこれと交換レンズとを対置させて表現する例も多く、かかる用語例に従つた特許明細書も少なくない。したがつて、カメラをカメラ本体と解しても、一般用語例に反しない。
むしろ、標準レンズ付の一眼レフレツクスカメラとでもいうような特別の限定記載のない限り、一眼レフレツクスカメラとはカメラ本体のことを指すとも解しうるのである(乙第六号証の一ないし一〇、同第七号証の一ないし六)。
(三) 出願の経過(1) 本件発明の特許出願当初の明細書の特許請求の範囲の記載は三項から成つていたが、第一、第二項は、カメラ本体内の可動反射鏡の特定の構成のみを特徴として掲げ、当該構成を有する一眼レフレツクスカメラを対象となし、交換レンズを全く問題にしていないから、右一眼レフレツクスカメラはカメラ本体と解さざるをえない。第三項は、撮影レンズについて触れ、これに対応するカメラ本体の構成を掲げ、当該構成を有する「特許請求の範囲第1項記載の一眼レフレツクスカメラ」と結んでいるが、第一項がレンズの構造と関係のないカメラ本体のみを一眼レフレツクスカメラと称している以上、第一項を受けた第三項の一眼レフレツクスカメラという語も、カメラ本体を指すと解さざるをえない。
(2) 本件発明の特許出願についていつたん拒絶査定を受けた後、出願人(原告)は、これに対する審判請求をしたうえ、本件特許請求の範囲の記載の交換レンズの構成と同一の構成から成る交換レンズを対象として分割出願をした。出願の分割や補正は慎重な考慮を経てされているはずであり、出願人が右のように交換レンズについて分割出願をしたという事実から、出願人自身、本件特許請求の範囲の記載の一眼レフレツクスカメラは交換レンズとは別異のカメラ本体を指すものと認識していたことが明らかである。右分割出願の成否は、出願人のかかる認識及び当初の意思を何ら左右するものではない。
(四) 出願人の一般的な考え方 結合発明について、特許請求の範囲の記載に必須要件としての結合部材を多く掲げるほど、特許の保護範囲が狭くなることは、一般の出願人、出願代理人の熟知しているところであるから、特許請求の範囲の記載に余計な部材等を付加記載せず、
広い特許請求をして十分な保護を得ようとするのが、一般的な考え方であり、常識である。
本件発明の特許出願人(原告)が交換レンズのみを対象とする分割出願をしたのも、右常識をわきまえていたからこそのことである。そして、このような常識に基づく配慮をする出願人であるからには、原出願についても同様の配慮をし、一方ではカメラ本体を対象とし、他方では交換レンズを対象として、それぞれについて特許権を取得しようとしたと考えるのが常識に合致する。
してみれば、本件発明の対象をカメラ本体と解しても、何ら不自然ではない。
(五) 公知技術との関係 前記二2のとおり、本件発明の特許出願前、本件特許請求の範囲の記載に示された二種の交換レンズの構成は、いずれも、すなわち「手動絞交換レンズ」の構成はもちろん、「予定絞設定環を有する自動プリセツト絞の可能な交換レンズ」の構成も公知であり、カメラ本体の構成のみが新規であつた(ただし、進歩性がない。)から、本件発明の対象は、カメラ本体の構成と解すべきである。本件特許請求の範囲の記載中に、カメラ本体の構成のみならず、かかる公知の交換レンズの構成についても記載があるのは、カメラ本体の構成を特定するためのものにすぎない。
2 露光計を組込んだ……カメラ 露光計は、カメラとの機械的連動を考える必要のない単独露光計と、カメラのシヤツター速度及びレンズの絞値の一方又は双方に連動する連動露光計とに大別され、後者は、更に、カメラのオプシヨンとして作られ、カメラに装着される形式の外部連動式露光計と、カメラのハウジングの内部に一体に収納されている内蔵連動式露光計とに分けられる(これをカメラのがわからいえば、露光計と連動しないカメラ並びにオプシヨンとしての装着式露光計と連動するカメラ及び露光計内蔵のカメラに分けられる。)が、本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計を組込んだ……カメラ」とは、カメラのハウジングの内部に一体に収納されている内蔵連動式露光計を有するカメラ、すなわち露光計内蔵のカメラをいい、オプシヨンとして着脱自在の装着式露光計が用意されているカメラを含まない(露光計と連動しないカメラを含まないことはいうまでもない。)と解すべきである。
(一) 本件明細書の記載 本件明細書の発明の詳細な説明の欄において、本件発明の総括的説明として、本件発明は「露光計を組込んだ……カメラ」に係るものである旨説明され、その露光計は「内蔵露光計」と呼ばれているうえ、実施例でも、露光計の構成要素である検流計について、「カメラに組込まれた検流計3、……カメラ本体がわに取付けられた環6、同環上の刷子6a、……カメラ本体がわに取付けられた電気抵抗体7」(別添特許公報一頁右欄一五ないし二〇行)等を含む露光計回路の構成のみが記載され、装着式露光計及び装着式露光計に連動するカメラについては、全く触れるところがない。また、交換レンズについては、「装着される」、「選択的に装着」、
「カメラから取外す」、「取替える」などの語で説明されているのに対して、露光計については、前記のとおり「カメラに組込んだ」「内蔵露光計」の語で、別の表現がされているのである。
本件明細書には、「組込む」という語についての定義その他の積極的説明はないけれども、以上の本件明細書の記載と「組込む」という語の通常の用例を併せ考えると、本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計を組込んだ……カメラ」とは、露光計をカメラのハウジング内部に一体に収納固定した露光計内蔵(連動形式)のカメラを意味するものというべきである。
(二) 出願の経過 本件発明の特許出願の経過からも、本件発明がオプシヨンとして着脱自在の装着式露光計を装着して測光する方式のカメラを含まないことが明らかである。
(1) 昭和三五年一二月一五日付の本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)では、発明の名称として「露光計を内蔵する一眼レフレツクスカメラ」と記載され、特許請求の範囲の記載中に「内蔵された電気露光計」という語が用いられ、更に発明の詳細な説明の欄中にも、「内蔵露光計」、「カメラに内蔵したガルバノメーター」(本件明細書の「カメラに組込まれた検流計3」に該当する。)との表現がある。
(2) 昭和三八年一〇月九日付補正書に添附された全文訂正明細書(乙第五号証の七)でも、特許請求の範囲の記載中に「露光計を内蔵するレンズ交換式レフレツクスカメラ」、「内蔵露光計」及び「露光計を内蔵する一眼レフレツクスカメラ」との表現が用いられている。
(3) 本件発明の特許出願に対する拒絶査定に対する審判請求に係る昭和三九年六月一八日付審判請求理由補充書(乙第五号証の九)でも、本件発明は「露光計を内蔵する一眼レフレツクスカメラ」に係るものである旨説明されている。
(4) 昭和四一年八月四日付の手続補正書に添附された第二次全文訂正明細書(乙第五号証の一一)でも、「内蔵露光計」、
「露光計を組込んだ」という語が見られ、この両者は同義に用いられている。
(三) 原告の反論について 以上のとおり、本件発明に係るカメラとは、露光計内蔵のカメラをいい、オプシヨンとして着脱自在の装着式露光計が用意されているカメラを含まないから、カメラ自体は露光計を内蔵せず、露光計を組込んだフアインダーを着脱自在にしたカメラもまた含まないことはいうまでもないところ、原告は、フアインダーもカメラの一部であり、正常の取引、正常の使用法においてはフアインダーが装備されて初めてカメラと認められるのであるから、着脱自在のフアインダーに露光計が組込まれているのは、とりもなおさずカメラに露光計が組込まれていることに外ならないと反論する(第四、二2末段)。
しかし、右のような原告の反論は、次のとおり失当である。
(1) 確かに、一眼レフレツクスカメラにより撮影を行うためには、技術的にみて、撮影レンズを透過した被写体像を結像させるフアインダーが必要である。必要であるからこそ、撮影レンズ、露光計、セルフタイマー等他の撮影に必要な又は有用な部材とともに、カメラの部材として存するのであるが、その態様に、カメラに組込まれているか、カメラに着脱自在のアクセサリーとして用意されているか、の二通りあるのである。フアインダーがカメラの一部であるという論だけでは、原告の反論の理由づけにはならない。
(2) 要は、「露光計を組込んだ……カメラ」という語の解釈の問題であるが、
例えば、選択的に装着される交換レンズは、カメラに一体に組込まれていないからこそ「交換」レンズと呼ばれるのであり、決して「カメラに組込んだ」レンズとは呼ばれないのである。これと同様、フアインダーがカメラに選択的に装備されて初めてフアインダー内の露光計が撮影機構と連動するような構成を指して、露光計がカメラに「組込まれている」とか「内蔵されている」とか説明することは絶対にないはずである。
3 露光計の指示の自動的制御 本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計の指示を自動的に制御する」とは、電気露光計の必須の構成要素である検流計の指針の位置を、検流計回路の可変抵抗値の変化によつて指針を振らせるか、検流計自体を回動させるかして、変化させることをいい、検流計の指針を変化させることなく、これとは別個の追針を機械的手段によつて移動させて、検流計の指針と追針との相互関係位置を制御することは含まないと解すべきである。
(一) 露光計 露光に関する情報を知るための計器である露光計には、検流計を用いない検知方式の露光計もあるが、カメラの連動露光計としては、受光用光電素子を備え、その受光量により出力が変化する電気回路、この電気回路によつて作動する永久磁石型直流マイクロメーター(検流計)の指針の振れにより受光量情報を指示する部分すなわち指示部(針、目盛板、表示体等の指示要素を含む。)、受光量情報以外の必要情報(本件で問題になる予定絞設定値の外、フイルム感度、シヤツター速度等)を検流計、指示部の指示要素に伝達し、これらの位置、角度等を変化させる機構などから成る電気露光計を用いるのが通常であり、本件特許請求の範囲の記載の「露光計の指示を自動的に制御する」との記載にいう「露光計」も、本件発明の特許出願当時普及していたかかる電気露光計、すなわち検流計を必須の構成要素とする電気露光計を意味するものである。
なお、原告が右指示部を計算機構の中に含ませて観念している(第四、二3(一)第二段)のは適切でない。露光計は計器であり、計器である以上、その出力情報を人間に伝達するための指示部が存在しなければならない(出力情報を人間が認知できないものは計器ではない。)から、指示部は計算機構と分けて観念すべきである。
(二) 露光計の指示の自動的制御 露光計に対する現実の受光量に関する情報は、検流計の指針の振れを電気回路の作動により制御することによつて与えるしかないが、他の露光条件に関する情報(本件で問題になる予定絞設定値、フイルム感度、シヤツター速度等)については、機械的手段によつて設定調節された機械的制御量を、検流計、指示部のダイヤル、追針等に機械的に与える方法によることもできるし、電気回路の可変抵抗値を変化させての電流制御等により電気的に与える方法によることもできる。
本件発明において、電気露光計の指示方式(ゼロメソツド、追針式、ガイドライン式等)についての制限はないが、特に、予定絞設定値の情報に関しては、本件特許請求の範囲の記載にいう、撮影レンズがわに設定せられた予定絞開口に対応して「露光計の指示を自動的に制御する」とは、交換レンズの予定絞設定環の回動に対応した機械的制御量の大小により、検流計回路の可変抵抗値を変化させて指針を振らせるか、又は検流計自体を回動させるかして、検流計の指針の位置を変化させ、
この変化を露光計の指示部に伝達する方式のことを指すと解すべきである。
(1) 本件明細書の記載 確かに、本件特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の欄の一般的説明の部分には、単に「露光計の指示を制御する」とだけ記載され、制御の方法に関する限定はないが、発明の詳細な説明の欄中の実施例の説明においては、「検流計3の指示が……補正制御せられている。」(別添特許公報一頁右欄四〇ないし四二行)、
「検流計の指示を見て……手動的に設定」(同一頁右欄四二、四三行)、「検流計の針の振れによつて……露光時間を決定する」(同二頁左欄二二、二三行)などと記載され、続いて、本件発明の実施例の設計変更一般に関する個所においても、受光素子として硫化カドミウムを用いた回路の外、セレン光電池を用いた回路でもよい旨の説明に加えて、「また測光回路における検流計の針の指示を制御する手段としては、……電流計の本体をカメラ本体に対して相対的に回転することは周知であるから、本発明を実施する場合にも例えば図示の回動環6の回転に連動して検流計3全体をカメラ本体に対して相対的に回転させるような設計変更は本発明の精神を逸脱するものではない」(同二頁右欄二ないし一〇行)との記載がある。
右引用部分では、本件発明が右引用部分に述べられた設計以外の設計を含まないと明確に述べられているわけではないとはいうものの、本件明細書全体を熟読吟味すれば、右引用に係る構成以外の構成は、出願人(原告)の念頭に全くなかつたということが十分推察できる。
(2) 出願の経過(@) 本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)では、その発明の詳細な説明の欄に、「そこで本発明では……一方向の回転習性を持つ輪6と、同輪と共軸的に配置せられた可変抵抗体7とをカメラの母体側に取付け」、「本発明によれば……適正露光時間が露光計の針によつて正確に指示せられる。」、「必要があればガルバノメーターの針の振れ角の変化を利用し、……シヤツターの露光時間調節装置を自動的に制御し、適正露光を与えることもできる。」と説明され、更に、
その特許請求の範囲の記載第三項(本件特許請求の範囲の記載に相当する。)にも、「上記輪の回動に伴い上記抵抗体の有効抵抗値が変わるようにし、同可変抵抗を内蔵された電気露光計の回路内に接続した」と記載されているだけである。これらの説明、記載からすれば、被告主張の、検流計回路の可変抵抗値を変化させて指針を振らせる方法が特許請求されているにとどまることが明らかである。
(A) 昭和三八年一〇月九日付手続補正書に添附された全文訂正明細書(乙第五号証の七)では、その発明の詳細な説明の欄に、右(@)で述べた検流計の指針を振らせる方法の外に、新たに、検流計本体を回転させる方法も可能である旨が付加され(その結果、この部分については、現在の本件明細書と同じ記載となつた。)、その特許請求の範囲の記載も「内蔵露光計の指示を制御する」と訂正された。かかる付加訂正に関する要旨変更の問題はおくとしても、そこでも、やはり、
検流計の指針を振らせるか、検流計自体を回動させるか、の二方法しか開示されていないことが明らかである。
(B) 更に、昭和三九年六月一八日付審判請求理由補充書(乙第五号証の九)でも、出願人(原告)は、本件発明について、レンズの予定絞設定環と連動するカメラ母体がわの連動環の回動が内蔵露光計の可変抵抗値を変えるか、露光計の検流計自体をプリセツト絞開口に対応する量だけ回動して測光条件を変化させること、検流計の指針の偏倚量を零位調整する機械運動は、シヤツターの露光時間調節輪の運動に連動されていて、右調節輪を回せば検流計の指針の零位調整ができることなどを説明し、レンズの予定絞設定環の回動により、検流計の指針が振れるか、検流計自体が回動するかして、指針の位置が変化する構成を説明しているにすぎない。
(三) 原告の反論について 露光計とその構成要素である検流計とが同一でないことについては、一般的には、原告の反論(第四、二3(一))のとおりであるが、右(一)、(二)のとおり、本件発明に対する一定の技術的評価及び本件明細書と出願手続中における出願人(原告)提出の書面に現われた出願人の意思からすれば、特に本件特許請求の範囲の記載においては、被告主張のとおり限定解釈すべきものである。
本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)の発明の詳細な説明の欄において、検流計回路の可変抵抗値を変化させて露光計(検流計)の針の振れ角の変化を利用するものである旨説明し、その特許請求の範囲の記載でも右の事実のみを記載し、出願後三年近くを経た昭和三八年一〇月九日付手続補正書に添附された全文訂正明細書(乙第五号証の七)でも、検流計の指針の位置を変化させる方法として検流計本体を回転させることしか付加説明していないにもかかわらず、「検流計の指針を変化させることなく、これとは別個の追針を機械的手段によつて移動させて、検流計の指針と追針との相互関係位置を制御する」方式のものも含まれるとする原告の主張は、単に本件特許請求の範囲の記載の形式的な文言に依拠するものにすぎず、到底首肯しがたい。
4 連動部材 本件特許請求の範囲の記載にいう「連動部材」とは、交換レンズの予定絞設定環と共軸に回動する環状体から成る部材、すなわち「連動環」をいい、例えば、回動することなく垂直方向に移動するプリセツト絞連動カムのようなものは含まないと解すべきである。
(一) 公知技術との関係 前記二2のとおり、露光計を内蔵した外光測光方式の一眼レフレツクスカメラで、交換レンズの予定絞設定環に固定された絞目盛調節レバーが、カメラ前面にある連動部材(連動環)と一体の絞目盛連動金具と係合し、交換レンズの予定絞設定環を回動させると、カメラの連動環が回動して、レンズの絞目盛調節レバーの位置の変化に応じて露光計回路の可変抵抗値を変化させる構造のコニカフレツクスが、
本件発明の特許出願前公知公用のものであつた(乙第一、第二号証の各一ないし三)。すなわち、撮影レンズの予定絞設定環の回動により、外光測光方式の内蔵露光計の指示要素を変位させるための部材として連動環を備える構成のカメラが公知公用のものであつたが、本件発明は、かかる公知公用の構成をTTL開放測光方式のカメラに用いたものである。
(二) 本件明細書の記載 本件明細書の発明の詳細な説明の欄の一般的説明の部分では、本件特許請求の範囲の記載にいう「連動部材」は、「可動部材例えば連動環」、「連動可動部材」、
「連動部材」と指称されているが、同時に、「上記可動部材には装着せられる撮影レンズの絞の開放がわに向つて回動しようとする習性を常時持たせる」(別添特許公報一頁左欄二八ないし三〇行)、「上記露光計の指示補正用連動可動部材は習性により常に装備せられる撮影レンズの絞の開放がわに回動偏倚している」(同一頁左欄四二行ないし右欄二行)と、右連動部材は回動するものであることが一度ならず説明されている。したがつて、それは、環状体である連動部材、すなわち連動環でしかありえない。半環状体のようなものはともかく、回動しない部材は、右連動部材に含める余地はない。本件明細書に記載された唯一の実施例においても、右連動部材に該当するのは、「環6」、「連動環6」、「回動環6」と呼ばれている環状部材である。
このように、本件明細書には、露光計の場合と異り、環状部材以外の設計態様は全く示されていない。
(三) 出願の経過と本件特許請求の範囲の記載の解釈態度(1) 出願の経過(@) 本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)では、「本発明では………撮影レンズ光軸の周りに一方向の回転習性を持つ輪6と、同輪と共軸的に配置せられた可変抵抗体7とをカメラの母体側に取付け」、「同輪の回転………」、
「輪8(注・予定絞調節輪)と6を………一体となつて回転させ得る」、「輪6も同時に回わり」と説明され、その他随所に「輪6」と記載されている。また、その特許請求の範囲の記載第三項にも、「撮影レンズの光軸の周りに回動することができ且一定位置まで回動復帰習性を有する輪と、同輪と共軸の停置抵抗体とをカメラの母体側に取付け、上記輪を装着される撮影レンズの予定絞調節輪(プリセツト絞調節輪)と係脱自在にし、上記輪の回動に伴い上記抵抗体の有効抵抗値が変わるようにし、」と記載されている。
ここでは、出願人(原告)は、輪すなわち連動環しか念頭になかつたことが明らかである。
(A) 拒絶理由通知に対する昭和三八年一〇月九日付意見書(乙第五号証の五)でも、出願人(原告)は、本件発明そのものの説明として、「本願のものは………交換レンズの予定絞設定環と係脱自在の連動環(図に符号6で示すもの)をカメラ母体がわに取付け、同連動環には常時、絞開放がわに回動復帰習性を持たせる」、
「レンズ装着前、前記環6が開放がわに回動している」と説明し、本件発明の構成が、回動する連動環を備えるものであることを明らかにしている。
(B) 昭和三八年一〇月九日付手続補正書に添附された全文訂正明細書(乙第五号証の七)でも、その発明の詳細な説明の欄に右(A)と同様の説明があり、その特許請求の範囲の記載に、回動する連動環が必須の構成要件として掲げられている。
(C) 本件発明の特許出願に対する拒絶査定に対する審判請求に係る昭和三九年六月一八日付審判請求理由補充書(乙第五号証の九)でも、本件発明は「連動環」又は「環」の「回動」により露光計の指示を制御するものである旨反復して説明されている。
(D) ところが、昭和四一年八月四日付手続補正書に添附された第二次全文訂正明細書(乙第五号証の一一)に至つて、従前の明細書中の「係脱自在な連動環」が「係脱自在な可動部材例えば連動環」に変更され、続く説明部分においても、従前の「連動環」が「可動部材」又は「連動部材」に変更された。
(2) 出願の経過と本件特許請求の範囲の記載の解釈態度 右(1)の出願の経過のとおり、出願人(原告)は、本件発明の特許出願当時、
公知の「回動する連動環」と異なる構成の連動部材には全く想到していなかつたし、出願後三年半を経過した審判請求の時点でも、連動環以外の連動部材の構成は全く念頭になかつた。そして、出願人(原告)は、出願から五年半後(審判請求から二年後)に至つて、明細書中の「連動環」を「連動部材」に変更したが、連動環以外の構成を具体的に開示しなかつたのは、それを開示すると要旨変更とされるおそれのあることを慮つたか、連動環以外の連動部材の具体的構成に想到しなかつたからであろう。
このような明細書の記載の変更は、出願後に出願人が新機構を思いつき、又は第三者の実施する新機構を知つて、これを包含するよう権利の拡張を意図する場合に、往々行われることであるが、要旨変更に当たる請求の拡張を是認する結果となるような特許請求の範囲の記載の解釈は避けるべきである。
(四) 原告の反論について 前記(一)のとおり、撮影レンズの予定絞設定環の回動により、外光測光方式の内蔵露光計の指示要素を変位させるための部材として連動環を備える構成のカメラが公知公用のものであつたから、かかる構成をTTL開放測光方式のカメラにそつくり転用することは、容易になしうるところであつたということができる。
しかし、被告主張の、回動することなく垂直方向に移動する連動カムの構成は、
昭和四六年に販売されるに至つたキヤノンFTbの採用するものであるから、それより一一年も前の本件発明の特許出願(昭和三五年一二月一五日)当時、既に右連動カムの構成が容易になしえた適宜の設計事項であるとの原告の反論(第四、二4(一))は、首肯しがたい。
5 交換レンズのカメラへの直接装着と連動部材の移動復帰方向 本件特許請求の範囲の記載において交換レンズをカメラに「装着」するとは、交換レンズをカメラ(本体)に直接装着することをいい、また、連動部材が「撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性」を持つているとは、連動部材の回動復帰方向が、交換レンズの予定絞設定環の開放に向う現実の回動方向と一致していることをいうと解すべきである。すなわち、本件発明は、自動絞交換レンズがカメラに直接装着され、かつ、カメラに装着した交換レンズの予定絞設定環を回動させると、これに係合したカメラの連動部材が、予定絞設定環の回動方向と同一方向に回動する構成のものであると解すべきである。したがつて、アダプターやコンバージヨンレンズ等の中間輪を交換レンズとカメラの間に介在させたものや、例えば、交換レンズの予定絞設定環が時計方向に回動して全開に向うのに対して、連動部材が常時反時計方向に付勢されているようなものは、含まない。
(一) 交換レンズのカメラへの直接装着 本件特許請求の範囲の記載において交換レンズをカメラに「装着」するとは、交換レンズをカメラに直接装着することをいい、アダプターやコンバージヨンレンズ等の中間輪を介在させた構成のものは含まない。
(1) 本件特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載本件特許請求の範囲の記載には、カメラ本体がわに取付けられた連動部材は「交換レンズにおける予定絞設定環と係脱自在」であることが構成要件として記載されているが、右記載は、語の通常の用法からみて、交換レンズをカメラに装着したときには、交換レンズの予定絞設定環がカメラの連動部材と係合し、交換レンズをカメラから取外すときは、予定絞設定環がカメラの連動部材から離脱して右両者の係合が解除されること、つまり、係合し合うのは、交換レンズの予定絞設定環そのものと連動部材そのものであることを意味していると解すべきである。もとより、前記両者が係合するには、そのいずれか一方又は双方に、これらと一体の係合用突片を設けるか、又は一方に切欠等を設ける必要があろうが、いずれにしても、本件発明においては、交換レンズの予定絞設定環に設けた係合部分が直接にカメラの連動部材の係合部分と係合し、
交換レンズの予定絞設定環の回動が、他の介在物なしに、そのままカメラの連動部材に伝わる構成であること、すなわち、右係合関係は、直接の係合であることを要するというべきである。
また、本件明細書には、交換レンズの予定絞設定環が、カメラの連動部材とは別個の部材に設けた係合装置と係脱自在に係合し、右別個の部材の、右係合装置とは異なる部分が、カメラの連動部材と係脱自在に係合するような構成についての説明は全く存しないから、かかる構成は、本件発明の発明者ないしは出願人(原告)の念頭になかつたものと考えられる。
(2) 本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二) 本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)の発明の詳細な説明の欄には、「又撮影レンズとして予定絞調節装置を具えない普通のものを使用する場合又は中間輪等を介在させて撮影する場合には、カメラ母体側の輪6は可変抵抗体7の有効抵抗値が最小又は零になるように回動復帰しているから、使用レンズの絞羽根を所望の開口まで絞点んで、前同様露光計により露光時間を測定することができる。」との記載がある(なお、「絞点んで」は「絞込んで」の誤記と思われる。)が、この記載からすると、本件発明の発明者ないしは出願人(原告)は、交換レンズとカメラの間に中間輪等を介在させた場合には、交換レンズの予定絞設定環とカメラの連動部材との係合は存せず、したがつて当然に絞込測光となる構成のみを念頭においており、中間輪を介しての連動機構など全く考えていなかつたことが明らかである。
すなわち、右当初の明細書(乙第五号証の二)の発明の詳細な説明の欄中では、
原告のいう自動プリセツト絞交換レンズは、「プリセツト絞装置」の付いた撮影レンズと表現され、この「プリセツト絞装置」は、「予定絞調節輪(プリセツト絞輪)8」とも表現されており、そして、「予定絞調節装置を具えない普通のもの」という表現があるのであり、この「予定絞調節装置」は、その後現在の本件明細書に至るまで、「予定絞調節輪」、「予定絞設定環」、「プリセツト絞環」、「自動プリセツト用環」、「自動プリセツト絞開口設定環」、「予定絞設定環」などと表現されているのであるから、右「予定絞調節装置を具えない普通のもの」とは、予定絞設定環を具えない通常の交換レンズをいい、本件明細書中の「自動プリセツト絞式でない普通の手動絞式交換レンズ」(別添特許公報一頁右欄二、三行)、すなわち本件特許請求の範囲の記載にいう「手動絞交換レンズ」を指すものと解する外はない。
したがつて、右当初の明細書の発明の詳細な説明の欄中の前記引用部分すなわち「又撮影レンズとして予定絞調節装置を具えない普通のものを使用する場合又は中間輪等を介在させて撮影する場合には、……(中略)……前同様露光計により露光時間を測定することができる」との記載は、手動絞交換レンズを用いる場合は絞込測光となり、予定絞設定環にカメラ本体がわの連動部材と連係する部材を設けた自動絞交換レンズを用いた場合でも、中間輪を介在させたときは、右連係部材が遊んでしまうから絞込測光になる旨を説明しているのである。
(3) 原告の反論(第四、二5(一)(2))について(@) 一般に、出願人は、明細書に、あれもできる、これもできる、と書きたがるものである。本件において、中間輪を用いた場合でも本件発明所期の作動が可能な場合があると認識していれば、積極的に中間輪を用いうる旨を説明していたはずである。書きにくいときは、その点に関する説明を省いておくのが普通であり、適宜実施できることが分つているのに、実施できないと特記する出願人はいないはずである。本件発明の特許出願人(原告)は、カメラと交換レンズとの中間に中間輪を介在させつつ右中間輪に連動伝達部材を設ける構成など全く考えたことがなく、
右中間輪を介在させると本件発明所期の目的を達成できなくなる構成のみを念頭においていたものであり、本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)の発明の詳細な説明の欄中の右(2)冒頭の引用部分は、まさに、手動絞交換レンズを用いた場合及び中間輪を介在させた場合は、本件発明所期の構成にならないとの認識を表現したものである。
したがつて、右引用部分は、カメラ本体がわの連動部材に連係する部材を有しないもの、すなわち、手動絞交換レンズ、自動プリセツト絞交換レンズであつても右のような連係部材を有しないもの、あるいは自動プリセツト絞交換レンズであつて右のような連係部材を有するものであつても、右連係部材とカメラ本体がわの連動部材とに係合する部材を有しない機構の中間輪と組合せたものをカメラに装着した場合には、カメラ本体がわの連動部材は、露光計の指示を補正していない位置に戻つているから、そのまま手動絞式により露光時間を測定しうるということを述べているにすぎないとの原告の反論は失当である。
(A) なお、第四、二5(一)(2)第二段記載の中間輪の意義については、原告主張のとおりであるが、接写リングやコンバージヨンレンズが中間輪であるからには、アダプターも中間輪と解するのが相当である。けだし、出願人の認識が前記(@)のようなものであつた以上、カメラと交換レンズの中間にリング状の介在物が挿入された場合、それが何であろうと本件発明の目的を達成できないはずであり、アダプターも、コンバージヨンレンズ同様、カメラ本体と交換レンズ(鏡筒)の中間に挿入されるリング状の介在物であるからである。本件では、中間輪とは何を指称するかということは直接の問題ではなく、中間輪があると本件発明所期の目的を達成できないという出願人の表示した意思を反対解釈することによつて、リング状の介在物のない組合せこそが本件発明の構成であると積極的に解釈するのが相当である。
(二) 連動部材の移動復帰方向 本件特許請求の範囲の記載において連動部材が「撮影レンズの絞開放がわに向つて移動復帰しようとする習性」を持つていることとは、連動部材の回動復帰方向が、交換レンズの予定絞設定環の開放に向う現実の回動方向と一致していることをいい、例えば、交換レンズの予定絞設定環が時計方向に回動して全開に向うのに対して、連動部材が常時反時計方向に付勢されているようなものは、含まない。
なぜなら、右(一)のとおり、交換レンズの予定絞設定環とカメラの連動部材とが直接係合する構成である以上、右両者は、いわば一体的な位置を維持して回動することになり、したがつて、交換レンズの予定絞設定環が回動する方向とカメラの連動部材が回動する方向とは一致するのが当然だからである。そして、本件明細書に記載された作用効果を得るためには、カメラの連動部材の回復動帰方向は、交換レンズ絞を開放するときに予定絞設定環が回動する方向と一致することを要するのはいうまでもない。
四 対象の相違による侵害の不成立 本件発明の対象は、前記三1のとおり、一眼レフレツクスカメラ本体(すなわち交換レンズを含まないもの)であり、被告製品(ただし、交換レンズ四を除く。)すなわち交換レンズ一、アダプター二の1、2及び五、コンバージヨンレンズ三及び六が一眼レフレツクスカメラ本体でないことはいうまでもない(交換レンズ四を製造、販売したことがないことは、前記一3(四)のとおり。)から、右被告製品の製造販売に関して本件特許権の侵害の問題が生ずる余地はない。
五 本件ミノルタカメラ及び本件キヤノンカメラが本件発明の技術的範囲に属しないことを理由とする侵害の不成立 仮に、本件発明の対象が、一眼レフレツクスカメラ本体のみではなく、自動プリセツト絞の可能な交換レンズとこれに対応する特定の構成を有するカメラ本体とから成る一眼レフレツクスカメラ全体であるとしても、本件ミノルタカメラ及び本件キヤノンカメラは、以下の理由により本件発明の技術的範囲に属しないから、交換レンズ一、アダプター二の1、2及びコンバージヨンレンズ三がSRT-一〇一型のカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成するものであることは前記一4(一)(1)のとおりであり、アダプター五、コンバージヨンレンズ六がFTb型及び標準仕様たるアイレベルフアインダーを装備したF-一型の各カメラ本体に装着されて、全体として本件キヤノンカメラを構成するものであることは前記一5(一)のとおりであるも、右被告製品の製造販売行為が本件特許権の侵害となることはありえない。
1 本件ミノルタカメラ(一) 「露光計の指示の自動的制御」なる構成要件の欠如 本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計の指示を自動的に制御する」とは、電気露光計の必須の構成要素である検流計の指針の位置を、検流計回路の可変抵抗値の変化によつて指針を振らせるか、検流計自体を回動させるかして、変化させることをいい、検流計の指針を変化させることなく、これとは別個の追針を機械的手段によつて移動させて、検流計の指針と追針との相互関係位置を制御することは含まないことは前記三3のとおりであるところ、本件ミノルタカメラは、別紙七の記載から明らかなとおり、検流計指針3aはレンズの絞開放値と被写体輝度に応じて振れるだけであり、レンズのプリセツト絞環8aを回動させると、検流計3と関係のない別の機械的機構によつて、検流計指針3aとは別個に設けた追針指針26の位置が変動するという構成のものであるから、「露光計の指示を自動的に制御する」という構成要件を欠如する。
(二) 「交換レンズのカメラへの直接装着」なる構成要件の欠如 本件特許請求の範囲の記載において交換レンズをカメラに「装着」するとは、交換レンズをカメラに直接装着することをいい、アダプターやコンバージヨンレンズ等の中間輪を介在させた構成のものは含まないことは前記三5(一)のとおりであるところ、交換レンズ一(YXレンズにミノルタカメラ用旧YXアダプターを取付け固定したものであることは前記一3(一)のとおり。)、アダプター二の1、2(アダプターも中間輪と解すべきことは前記三5(一)(3)(A)のとおり。)又はコンバージヨンレンズ三を構成要素とする本件ミノルタカメラは、交換レンズとカメラの間に中間輪を介在させた構成のものであるから、「交換レンズのカメラへの直接装置」なる構成要件を欠如する。
(三) 「連動部材の移動復帰方向」についての構成要件の欠如 本件特許請求の範囲の記載において連動部材が「撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性」を持つていることとは、連動部材の回動復帰方向が、交換レンズの予定絞設定環の開放に向う現実の回動方向と一致していることをいうことは前記三5(二)のとおりであるところ、アダプター二の1、2(又はこれとコンバージヨンレンズ三との組合せ)を構成要素とする場合の本件ミノルタカメラは、別紙(ろ)、(は)(又は別紙(ほ)、(へ))から明らかなとおり、そのカメラ本体がわの連動環の開放がわに向う回動方向とその交換レンズの予定絞設定環の開放がわに向う回動方向とは物理的に逆であるから、連動部材の移動復帰方向についての構成要件を欠如する。
2 本件キヤノンカメラ(一) 「露光計の指示の自動的制御」なる構成要件の欠如 本件キヤノンカメラは、別紙八の記載から明らかなとおり、指針付検流計3はレンズの絞開放値、被写体輝度、シヤツター速度及びフイルム感度に応じて回動するが、レンズのプリセツト絞環8aを回動させると、検流計3と関係のない別の機械的機構によつて、検流計指針3aとは別個に設けた追針26の位置が変動するという構成のものであるから、右1(一)と同様の理由により、「露光計の指示を自動的に制御する」という構成要件を欠如する。
(二) 「連動部材」なる構成要件の欠如 本件特許請求の範囲の記載にいう「連動部材」とは、交換レンズの予定絞設定環と共軸に回動する環状体から成る部材、すなわち「連動環」をいい、例えば、回動することなく垂直方向に移動するプリセツト絞連動カムのようなものは含まないことは前記三4のとおりであるところ、本件キヤノンカメラにおけるプリセツト絞連動カム6は、別紙八の記載から明らかなとおり連動環ではなく、回動することなく垂直方向に移動するものであるから、本件キヤノンカメラは「連動部材」なる構成要件を欠如する。
(三) 「交換レンズのカメラへの直接装着」なる構成要件の欠如 アダプター五又はコンバージヨンレンズ六を構成要素とする本件キヤノンカメラは、交換レンズとカメラの間に中間輪を介在させた構成のものであるから、右1(二)と同様の理由により、「交換レンズのカメラへの直接装着」なる構成要件を欠如する。
六 いわゆる間接侵害の不成立1 いわゆる間接侵害の不成立(一般論) 仮に、本件ミノルタカメラ、本件キヤノンカメラが本件発明の技術的範囲に属するとしても、被告製品を製造、販売することは、本件特許権のいわゆる間接侵害を構成しない。
(一) 被告製品と特許法第101条第1号のその物の「生産」 物の発明についての特許権に対するいわゆる間接侵害が成立するためには、問題の行為が、その物の「生産」にのみ使用する物を業として生産、譲渡するなどの行為であることを要する(特許法第101条第1号)が、被告製品を本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着することは本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」に該当せず、したがつて、被告製品は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラの「生産」に使用する物とはいえないから、被告製品を製造、販売することは、本件特許権のいわゆる間接侵害を構成しない。
(1) 物の「生産」の意義(@) 特許法第101条第1号にいう「その物の生産」とは、同法第2条第3項にいうその物の「生産」と同義であり、種々の態様がありうるが、機械的機構から成る物についていえば、材料、部材、部品等の物Aを、物Aとは社会観念上異なる物Bに変えることである。民法上の附合、加工及び混和の理論は、物Aが社会経済的な評価の観点から前後同一とはいえない物Bに変じた場合の所有権の帰属等について定めるものであるが、特許法にいう「物の生産」とは、人の目的的行為によつて物の上に右のような変化をもたらすことである。
このような「物の生産」には当然資本や労働力を要するが、その結果、生産は、
物に付加価値を生ぜしめるものであり、生産された物は、その原材料、部材、部品等の集合体よりも経済的価値が増大する。
したがつて、生産には個人的家庭的な生産もありうることはありうるが、近代社会においては、それを反復することが業として成り立つような性質の行為をいうものである。
(A) そして、特許発明の対象が結合物ないし組合せ物である場合を考えると、
その中には、結合ないし組合せのための行為が、右(@)の意味での生産に当たる場合(例えば、部品の組立てによる機械装置の製作、カメラ本体に内蔵露光計を分離困難に取付け組立てて一体にする製作など)と、これに当たらない場合(例えば、特殊な構造の容器と蓋の組合せ、カメラの特殊な構造とこれに適合する装脱自在なアクセサリーの組合せなど)とがある。前者の場合には、結合物ないし組合せ物を構成すべき部品等の製造販売が特許権の間接侵害となることはありうるが、後者の場合には、結合物ないし組合せ物を構成すべき物の製造販売が特許権の間接侵害となる余地はないというべきである。
(2) 被告製品と物の「生産」 右(1)の観点から被告製品について検討すると、以下のとおりである。
(@) 交換レンズ一(イ) 各種交換レンズとカメラ本体とは、それぞれ別個に生産、販売されている独立の動産であり、独立の商品である。
交換レンズをカメラ本体に装着しても、このことによつて、装着前の交換レンズ及びカメラ本体とは異なる交換レンズ付カメラという一個の別物が生ずるわけではない。両者の所有権の帰属が別個である場合、右装着によつて所有権の帰属が変るわけではない。
また、交換レンズをカメラ本体に装着しても、このことによつて、付加価値を生み出すわけではなく、交換レンズとカメラ本体の経済的価値の合計以上に物の価値が増大するわけではない。
したがつて、交換レンズをカメラ本体に装着することが「交換レンズ装着業」として成り立つ余地もない。
(ロ) より端的にいえば、交換レンズをカメラ本体に装着する行為は、これらの物をその用法に従つて使用するための前提行為(使用の準備行為)にすぎない。交換レンズをカメラ本体から取外す行為は、分離や破壊ではなく、かえつて、これらを運搬し又は保管するための適当な状態にする行為である。
前記(@)(A)の容器と蓋の関係では、蓋を容器から取外す行為が、内容物の使用のための準備行為であり、蓋を容器に結合する行為が、内容物の保管、運搬等のための適当な状態にする行為である。このような場合において、容器に蓋をすることをもつて蓋付容器の「生産」であるなどとは、誰も考えない。
同様に、交換レンズをカメラ本体に装着することをもつて交換レンズ付カメラの「生産」であるなどとは、誰も考えないし、そのように称することもない。
(ハ) よつて、交換レンズ一を本件ミノルタカメラのカメラ本体に装着することは、本件ミノルタカメラの「生産」ではないから、交換レンズ一は、本件ミノルタカメラの「生産」に使用する物とはいえない。
(A) アダプター二の1、2、アダプター五 アダプターは、各種交換レンズ鏡筒をカメラ本体に装着可能とするために交換レンズ鏡筒に取付けるものであるが、右(@)(イ)、(ロ)と同様の理由により、
交換レンズ鏡筒を取付けたアダプターをカメラ本体に装着することは、交換レンズ付カメラの「生産」ではない。
よつて、交換レンズ鏡筒を取付けたアダプター二の1、2又はアダプター五を本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着することは、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」ではないから、アダプター二の1、2又は、アダプター五は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」に使用する物とはいえない。
(B) コンバージヨンレンズ三、コンバージヨンレンズ六 コンバージヨンレンズは、交換レンズとは別個独立の商品で、各種交換レンズの固有の焦点距離を変化させるために交換レンズと組合せてカメラ本体に装着するものであるが、右(@)(イ)、(ロ)と同様の理由により、コンバージヨンレンズを交換レンズと組合せてカメラ本体に装着することは、交換レンズ付カメラの「生産」ではない。
よつて、コンバージヨンレンズ三又はコンバージヨンレンズ六を交換レンズと組合せて本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着することは、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」ではないから、コンバージヨンレンズ三又はコンバージヨンレンズ六は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」に使用するものとはいえない。
(二) 被告製品と特許法第101条第1号その物の生産に「のみ」使用する物 仮に、被告製品を本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着することが本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」に該当し、したがつて、被告製品は本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラの生産に使用する物であるとしても、被告製品は、その生産に「のみ」使用する物とはいえないから、被告製品を製造、販売することは、本件特許権のいわゆる間接侵害を構成しない。
(1) 特許法第101条第1号のその物の生産に「のみ」使用する物の解釈 特許法第101条は、当初の草案で間接侵害成立の要件として掲げられていた主観的要件が立法の過程で削除されて現在の法文となつたものであるが、その際、右削除によつて間接侵害の規定の適用範囲が広くなりすぎることを防ぐ目的で、特に「のみ」という語が挿入されたのである。したがつて、「のみ」という語は、ルーズに解釈されるべきではない。
もとより、発明の対象たる物の生産に「のみ」使用する物かどうかは、単に他の用途を空想しうるかどうかで決せらるべきものではないが、少なくとも、発明の対象たる物以外の物を構成する用途に充てられる現実の可能性がある物まで、右発明の対象たる物の生産に「のみ」使用する物に含めて解することは許されない。
(2) 被告製品と特許法第101条第1号のその物の生産に「のみ」使用する物 被告製品は、以下のとおり、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラ、すなわち本件発明に係るカメラ以外の物を構成する用途に充てられる現実の可能性があるから、被告製品は、本件発明の対象たる物の生産に「のみ」使用する物とはいえない。
(@) 交換レンズ一、アダプター二の1、2、コンバージヨンレンズ三 交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2、又はそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものは、別表一のとおり、SR-一型、NEW SR-一型、SR-一S型、SR-七型、NEWSR-七型、SR-M型、P、H、Wの各フアインダーを装備したX-一型の各ミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されて、外光測光方式の作動をし、又は測光機能を有しないカメラとなり、更に、コンバージヨンレンズ三は、別表三のとおり、ミノルタ製の交換レンズのうちA・手動絞交換レンズ又B・はプリセツト絞レバーを有しない自動プリセツト絞交換レンズと組合された場合は、SRT-一〇一型、SRT super型、SR五〇五型、SR一〇一型、AE-Sフアインダー又はMフアインダーを装備したX-一型、XE型、XEb型、XG-E型、X-D型の各ミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されたときでも、TTL絞込測光方式のカメラとなつて、以上いずれの場合も、本件ミノルタカメラを構成せず、本件ミノルタカメラと機構の異なるカメラを構成する。
主なものについて若干詳述すると、
(イ) ミノルタSR-七 ミノルタSR-七は、かつて量産販売され、現在も中古品が市販され使用されている外光測光方式の一眼レフレツクスカメラであり、撮影レンズの予定絞開口に対応して露光計の指示を制御するための連動部材を有しない。
したがつて、交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、
2、又はそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものをSR-七型のカメラ本体に装着した場合、TTL開放測光方式による測光はできず、外光測光方式による測光のみが可能である。
(ロ) ミノルタX-一 ミノルタX-一は、現在生産、販売されている、露光計もフアインダーも有しないボデイーだけのカメラであり、五種のフアインダーを選択装着して撮影するものである。
よつて、露光計内蔵のカメラとはいえない。また、AE-Sフアインダー、Mフアインダー以外のフアインダー、すなわち、露光計を備えていないフアインダーであるPフアインダー、Hフアインダー、Wフアインダーを装備した場合は、いかなる意味でも露光計内蔵のカメラないし露光計を組込んだカメラとはいえないし、したがつてまた測光をすることができないから、交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2、又はそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものをミノルタX-一に装着しても、本件ミノルタカメラを構成しない。
(A) アダプター五、コンバージヨンレンズ六 交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものは、別表二のとおり、FP型、FX型、ペリツクス型、ペリツクスQL型、FTQL型、FT型、サーボEEフアインダー又はブースターフアインダーを装備したF-一型、EF型、AE-一型、A-一型の各キヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されて、外光測光方式、TTL絞込測光方式又は特別の方式のカメラとなり、更に、コンバージヨンレンズ六は、別表四のとおり、
キヤノン製交換レンズのうちA・手動絞交換レンズ又はB・プリセツト絞レバーを有しない自動プリセツト絞交換レンズ(FLレンズ)と組合された場合は、FTb型及び標準仕様たるアイレベルフアインダーを装備したF-一型の各キヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されたときでも、TTL絞込測光方式のカメラとなつて、以上いずれの場合も、本件キヤノンカメラを構成せず、本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラを構成する。
主なものについて若干詳述すると、
(イ) キヤノンFTQL キヤノンFTQLは、かつて量産販売され、現在も中古品が市販され使用されているTTL絞込測光方式の一眼レフレツクスカメラである。
したがつて、アダプター五又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものにいかなる交換レンズを取付けてキヤノンFTQLに装着しても、TTL開放測光方式による撮影はできない。
(ロ) キヤノンAE-一 キヤノンAE-一は、TTL開放測光、シヤツター速度優先の自動露光制御方式の最新型キヤノン一眼レフレツクスカメラであるが、アダプター五は、EEピンを有しないので、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものをキヤノンAE-一に装着すると、TTL絞込測光方式となる。
(ハ) Tレンズ群の交換レンズとの組合せ Tレンズ群のうちのミラーレンズは、絞機構を全く備えず、各種透過率の異なるNDフイルターの選択装着によつて、レンズを通る光量を調節するものであるが、
この方式は、開放測光、絞込測光のいずれの範疇にも属しない。また、ミラーレンズ以外のTレンズ群の交換レンズは、絞込測光方式のレンズである。
したがつて、ミラーレンズ又はミラーレンズ以外のTレンズ群の交換レンズを取付けたアダプター五又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものを各種キヤノンカメラに装着しても、TTL開放測光方式による撮影はできない。
(3) 原告の反論について 被告製品(ただし、交換レンズ四を除く。)が本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラ、すなわち本件発明に係るカメラ以外の物を構成する用途に充てられる場合として被告の挙示する右(2)の(@)及び(A)の各場合につき、原告は、右事実を認めながら、交換レンズ一並びにアダプター二の1、2及び五のプリセツト絞レバー1、コンバージヨンレンズ三の連結レバー3及びコンバージヨンレンズ六の連結桿3は、使用されることなく、全く遊んでしまう無用の存在となるのであり、右被告製品のプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿は、本件発明の本来の機能を果たすため以外、他に何の用途も持たず、
本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体と組合せて使用される場合にのみその本来の機能を発揮することができるのであるから、右被告製品をもつて本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの生産に「のみ」使用するものと解してしかるべきであると主張する(第四、五1(二)(1)第二段)。
被告の挙示する(2)の(@)及び(A)の各場合に、被告製品のプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿が使用されることなく遊んでしまうことは認めるが、その故をもつて、被告製品をもつて本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの生産に「のみ」使用するものと解してしかるべきであるとの原告の主張は、以下のとおり不当である。
(@) そもそも、ミノルタカメラ用又はキヤノンカメラ用の交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズの主眼点は、各種ミノルタカメラ又はキヤノンカメラのカメラ本体に装着して撮影することができるという点にある。どのカメラにも装着使用できるように交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズを設計すれば、これらをある種のカメラに装着したときにその一部の機構が無駄になる(遊んでしまう)ことがあるが、だからといつて、交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズとして当該カメラに装着使用できないということではない。例えば、カメラM1、M2のいずれにも装着使用が可能な交換レンズL1がある場合において、新しい特殊機構を具備した新型カメラM3が出現すれば、交換レンズL1に、
カメラM3の特殊機構と共同できる新しい機構を付加して、カメラM1、M2、M3に共通に使用できる交換レンズL2を作るのである。この交換レンズL2をカメラM1、M2に装着して使用すれば、交換レンズL2の右付加された新しい機構の部分は遊んでしまうが、単にそれだけのことであつて、交換レンズL2は、交換レンズL1と同様に作用し、立派に撮影ができるのである。つまり、新型カメラは、
新型レンズも旧型レンズも装着使用でき、新型レンズは、新型カメラにも旧型カメラにも装着使用できるのである。カメラ製造業者は、このことを宣伝文句にしているぐらいである。
本件についていえば、例えば、交換レンズ一をミノルタSR-七に装着すると、
プリセツト絞レバー1が遊んでしまうことは原告の反論のとおりであるが、単にそれだけのことであつて、立派にミノルタSR-七としての撮影ができるのである。
ミノルタSR-七とミノルタXEを持つている者は、交換レンズ一を適宜いずれかのカメラに装着して撮影しているわけである。
しかして、本件発明においては、そのカメラ本体に、自動プリセツト絞交換レンズだけでなく、手動絞交換レンズを装着しても撮影できることが特徴とされている(本件特許請求の範囲の記載)が、この手動絞交換レンズを装着した場合は、カメラ本体の連動部材は無用の存在となり、その機能を果たさない。
しかし、それでも、右のように本件発明に係るカメラの一使用態様として積極的に予定されている。そうすると、被告製品を本件発明に係るカメラ以外のカメラ本体に装着したときに被告製品の一部の機構が無用化しても、交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズとしての立派な一使用態様であると考えなければ筋が通らない。そして、本件発明に係るカメラのカメラ本体に自動プリセツト絞交換レンズを装着するのがTTL開放測光方式のカメラの生産であるとするなら、右カメラ本体に手動絞交換レンズを装着するのはTTL絞込測光方式のカメラの生産であるということになるはずであり、されば、右自動プリセツト絞交換レンズを本件発明に係るカメラ以外のカメラ本体に装着するのは本件発明に係るカメラ以外のカメラの生産であると解さなければ、筋が通らない。すなわち、被告製品を例えばミノルタSRT-一〇一に装着することが本件発明に係るカメラの生産に当たるというのであれば、被告製品を例えばミノルタSR-七に装着することは、本件発明に係るカメラ以外のカメラの生産に当たるということになるはずである。
したがつて、被告製品をもつて本件発明に係るカメラの生産に「のみ」使用する物ということができないこと明らかである。
(A) 被告製品を本件発明に係るカメラ以外のカメラ本体に装着した場合のように、多くの用途に使用される物品が特定の一用途に使用される場合にその機構の一部分が機能しないという事例は決して異例ではなく、当該物品に当然のこととして予定されていることも多いのであつて、被告の主張の正当性が裏付けられる。
例えば、ミノルタMDロツコールレンズは、シヤツター速度優先の自動露光撮影ができる最高級機種であるミノルタXD及びXD-Sに適合するよう連動爪を有するものであるが、右カメラより廉価なミノルタXG-E及びXG-Sに装着されると、右ミノルタXG-E及びXG-Sが絞優先のカメラであるため、右MDロツコールレンズの右連動爪は遊んでしまうにもかかわらず、MDロツコールレンズは、
ミノルタカメラ株式会社により、右ミノルタXG-E及びXG-Sの標準レンズとして指定され、宣伝、販売されているのである。また、シヤツター速度優先のカメラであるキヤノンAE-一用のキヤノンFDレンズは、EEピンを有するものであるが、絞優先自動露光方式の最新のカメラであるキヤノンAV-一に装着されると、右EEピンは遊んでしまう(TTL開放測光による自動露光方式となる。)にもかかわらず、FDレンズは、キヤノン株式会社により、右キヤノンAV-一の標準レンズとして指定され、宣伝、販売されているのである。
(B) なお、アダプター五とミラーレンズの関係についての原告の反論(第四、
五1(二)(3)(A)も、以下のとおり不当である。
交換レンズやカメラ本体の種類が異なるごとに、それぞれに専用のアダプターを各種備えておいて使い分けるというのでは不便である。なるほど、ミラーレンズには、ミラーレンズだけに適合する単純なアダプターを使つてもよいが、しかし、一つのキヤノン用アダプターを備えれば、どのキヤノン一眼レフレツクスカメラにも、どのキヤノン用交換レンズにも用いることができ、そのカメラやレンズに応じた働きをするという方が便利なことはいうまでもない。
被告製品は、まさにそのような意図で設計されているのであり、Aの構成の交換レンズと組合せればAの機能を営み、それ以外の構成の交換レンズと組合せればそれなりの機能を営むのである。後者の場合には、Aの構成の交換レンズの機構に対応するアダプターの一部の機構が遊んでしまうから、かかるアダプターは、Aの構成の交換レンズ付カメラの生産にのみ使用する物と解すべきであるとするような原告の主張は、首肯しがたい。
2 いわゆる間接侵害の不成立(従属説の立場から) 仮に、被告製品が本件ミノルタカメラ、本件キヤノンカメラの生産にのみ使用する物であり、したがつて、被告製品を製造、販売することが、一般的には本件特許権に対する間接侵害を構成するとしても、被告製品の大部分は、家庭的、個人的使用に充てられ、又は海外に輸出されるものであるから、当該大部分の製造、販売行為に関する限り、間接侵害は成立しない。
(一) 間接侵害と従属説 特許権の効力につき、特許法は、当該特許発明の国内における業として実施に対してのみ排他権を認め、家庭的、個人的実施や国外の行為に対しては特許権の効力は及ばないとしている。法理論上、家庭的、個人的実施や国外の行為は、特許権の侵害にそもそもならないのであつて、特許権の侵害にはなるが行為者が免責されるというのではない。
そして、間接侵害が成立するためにいわゆる直接侵害の存在を必要とするか否かにつき、わが国では、従属説と独立説とが対立しているが、アメリカや西ドイツの学説判例が採る従属説が正当である。したがつて、間接侵害に問われている行為が原因となつて直接侵害が生ずる場合にのみ間接侵害が成立するというべきである。
(二) 家庭的、個人的使用に充てられ又は輸出される被告製品と間接侵害(1) 家庭的、個人的使用に充てられる被告製品 被告製品の使用者、すなわち被告製品を用途に応じてカメラに装着し撮影の用に供する者は、大部分が個人であり、その使用は家庭的、個人的使用である。右使用のための準備として被告製品を本件ミノルタカメラ、本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着する行為が生産に当たるとしてもそれは家庭的、個人的生産である。
かかる家庭的、個人的生産である装着使用は、前記(一)のとおり本件特許権に対する(直接)侵害とはならないから、右装着使用に原因を与えるだけで、いわゆるセツト売りにも当たらない被告の行為は、その限りにおいて本件特許権に対する間接侵害を構成しない。
(2) 輸出される被告製品 被告製品の大部分(昭和四七年頃で八四パーセント、同五〇年頃で七八パーセント、現在でも七〇パーセント)は海外に輸出されているが、こうして輸出された被告製品は、海外の購入者によつて適宜カメラに装着して用いられる。右装着が本件ミノルタカメラ、本件キヤノンカメラの生産に当たるとしてもそれは国外における生産である。しかも、そのための構成部分としての被告製品の輸出はいわゆるノツクダウンにすら当たらないことが明白である。
かかる国外における行為は、前記(一)のとおり本件特許権に対する(直接)侵害とはならないから、右輸出の前提となる被告の行為は、その限りにおいて本件特許権に対する間接侵害を構成しない。
被告の主張に対する原告の反論
一 本件発明の意義1 本件発明の意義と本件発明の要旨(一) 本件発明の意義 本件発明の本質は、カメラにおける測光方式の現在の主流たるTTL開放測光方式の基本的技術を、世界に先駆けて開発、公開した点にあることに注目しなければならない。
カメラに取付けられ、撮影条件の入力各部と連動しうる露光計として、被写体輝度そのものを測定し、これから間接的に露光条件を求めようとする考え方に基づく外光測光方式に対し、撮影レンズをいつたん通過してフイルム面を照射する光の照度から、より直接的に露光条件を求めようとする考え方に基づくTTL測光方式も、その概念自体は古くから公知であつた。そして、TTL測光方式において、一眼レフレツクスカメラ以前の段階のカメラでは、撮影レンズがフアインダーの光線取入口を兼用しておらず、測光時にレンズを絞込んでもフアインダーが暗くならないから、撮影レンズを絞込む絞込測光方式でも一向に差支えなかつた。TTL測光方式が最も効果的であるのは、交換レンズをほとんど必須の条件としている一眼レフレツクスカメラ(レンズが固定されていて交換できない一眼レフレツクスカメラも例外的に存在する。)であるが、この場合まず考えられるのは、常識的にいつて、技術的に簡単で値段も安くて済む絞込測光方式である。しかし、このTTL絞込測光方式では、フアインダーが測光時に暗くなることは何といつても大きな欠点であつた。
本件発明は、TTL測光方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラにおいて、自動プリセツト絞の可能な交換レンズの絞開放状態のもとで測光を行い、その時の撮影諸条件を求めうるようにしたことを第一の特徴とする。そして、本件発明の特許出願当時普及していた手動絞交換レンズを支障なく使用できるようにすると同時に、長焦点距離の交換レンズなどのように現在でも機構上の制約から手動絞式のものが相当量生産されているレンズについても支障なく測光を行えるようにすることが重要な課題であつたので、そのカメラ本体に手動絞交換レンズを装着した場合も何ら付加的手段をとることなくそのままTTL絞込測光方式で使用できるようにしたことを第二の特徴とするものである。
(二) 本件発明の要旨 右(一)のような観点から、本件発明の要旨は前記第二、二1のとおり分説さるべきであり、被告主張の前記第三、二1のAないしIという分説のし方は、本件特許請求の範囲の記載にない語を用い、あるいは故意に分説、簡略化するなどして、
被告独自の議論を導くためにあえて本件発明の要旨をあいまいにし、あるいは歪曲したものといわざるをえない。
例えば、右AないしDについていえば、単なる「一眼レフレツクスカメラ」というより「レンズ交換式一眼レフレツクスカメラ」であることが重要なのであり、露光計にしても、単なる「露光計」ではなく「TTL測光方式の露光計」を組込んであることに意味があるのであつて、被告のようにこれらを分けて摘示したのでは、
その重要な点がぼかされてしまう。また、そもそも本件発明は、前記(一)第三段(第一の特徴)のとおり、TTL測光方式の一眼レフレツクスカメラにおいて開放測光を可能にした最初のものであり、この点に発明としての重要なポイントがあるのにかかわらず、被告は、「TTL開放測光方式」と一つにまとめているが、これは、TTL開放測光方式の構成は既に知られており、本件発明はその方式におけるある具体的な構成に係るものであるかの如き印象を与えんとするものであつて、正確な表現ではない。本件発明は、TTL測光方式において、F、Gのような構成をとることにより開放測光を可能にしたものであり、当時この構成を離れてTTL開放測光方式が存在していたわけではない。なお、本件発明は、近代カメラの発達史上特記さるべきものと評価されており、一九三〇年以降のカメラ発達史上における輝かしい五つの改革の一つとして掲げる文献もある(【A】編著「カメラの実際知識」)。
このようなわけで、現在わが国の大手カメラメーカーは、ミノルタカメラ株式会社及びキヤノン株式会社を含めそのほとんどが、本件発明の実施権を得ており、昭和五二年に至つても、日本光学株式会社が新たにその実施品を発売している状態である。
更に、Eの「自動絞交換レンズ、手動絞交換レンズの装着が可能で」というのも、不適切である。本件発明は、自動絞交換レンズと手動絞交換レンズの選択装着が可能とか、単なる交換レンズのマウントとカメラ本体のマウントの適合の問題というのではなく、HとIに摘示されたように、装着した自動絞交換レンズの予定絞設定環と係合する連動部材に、常時、バネによつて、装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性を持たせたことにより、そのカメラ本体に手動絞交換レンズを装着したときも、もつとも簡潔な手段によりそのままTTL絞込測光方式で使用できるようにした点に特徴があるのである。このことが、本件特許請求の範囲の記載において「手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうる」と表現されているのである。
2 公知技術 被告が「予定絞設定環を有する自動プリセツト絞の可能な交換レンズ」及びこれに対応するカメラ(本体)に関して公知公用のものであつたとして挙示する乙第一、第二号証の各一ないし三のコニカフレツクスとこれに装着する交換レンズ及び乙第三号証の一ないし三のニコンFとこれに装着する全自動式交換レンズであるニツコールオートは、被告も自認するとおり、いずれも、外光測光方式のものであることに留意しなければならない。TTL測光方式と外光測光方式とは、撮影レンズを透過する光を測光するものとそうでないものというように基本的に全く別の方式であり、この点を度外視して単に交換レンズ又はカメラ本体の構造の異同を論じてみても意味のないことである。
どのような方式であれ、交換レンズがわの絞機構とカメラ本体がわの露光計部分の連動を考える以上、交換レンズとカメラ本体に連動部材を設けることは当然であるが、その連動部材により伝達されるべき内容は外光測光方式の場合とTTL測光方式の場合とでは異つており、それぞれの方式により、交換レンズとカメラ本体の連結部材間の位相差を考えなければならないのである。すなわち、外光測光方式の場合、露光計の光線取入窓の大きさは原則として常に一定であり、測定するものは被写体輝度そのもので、これから最適絞はいくらであるかをレンズがわに教えるものであるのに対し、TTL開放測光方式の場合、被写体からの光束がいつたん撮影レンズの最大開口を通過したものを測定するので、現在使用している交換レンズの開放F値を基準としてそれから何段絞込めばよいかをレンズがわに教えるものである。両者ともカメラにおける露光計の指示制御であるから手段が似るのは当然であるが、両者の制御内容には明らかに差があるので、前者を絶対制御方式、後者を段数制御方式といつて区別するくらいである。形式的に同じような連結部材が存在するというだけで、両者の異同を論ずるのは意味がない。
なお、被告は、乙第一、第二号証の各一ないし三のコニカフレツクスについて、
その「連動環は、装着したレンズが絞全閉がわに向つて回動するときに当該連動環が回動すべき方向に、常時復帰する習性がバネにより与えられている」と主張する(第三、二2(二)(1)前段)が、これは誤りであり、右カメラの連動環に復帰習性を与えるバネは存在せず、したがつて連動環は復帰習性を有しない(少なくとも、乙第一、第二号証の各一ないし三には、被告の右主張を根拠づける記載はない。)。被告の引用する乙第一号証の二の記載(同後段)は、「完全自動絞機構」すなわちレンズの絞羽根の作動に関する機構の説明であつて、レンズの予定絞設定環と係合するカメラ本体がわの連動環に関する説明ではない。
3 本件発明と公知技術の対比(一) 被告は、本件発明の構成と公知技術である乙第一、第二号証の各一ないし三のコニカフレツクスとその交換レンズの構成とを対比して、(1)ないし(3)(第三、二3(一))の相違点が存するだけであると主張するが、かかる対比のし方は、以下のとおり不当である。
(1) まず(1)の相違点に関して、本件発明がTTL開放測光方式であると一つにまとめるのが必らずしも正確な表現といえないことは、前記1(二)第二段のとおりである。
また、右(1)の相違点に関して、本件発明特許出願前、TTL開放測光方式の一眼レフレツクスカメラも公知のものであつたというべきであるという被告の主張(第三、二3(二)(1))は、到底首肯しえない。
外光測光方式のカメラにおいて、レンズの予定絞設定環の回動によりカメラの連動部材を連動させて露光計の指示を自動的に制御する構想を具体化したものが設計され公知となつていたとしても、このことから、TTL測光方式のカメラの設計に当たつても同じ構想を採用しようとするのは、連想ないし技術的模倣の心理からして当然であるとするのは被告の独断にすぎない。そして、被告は、TTL開放測光方式は、自動プリセツト絞交換レンズを装着した場合の最も自然な形であるとして、TTL測光方式を実用化しようとすれば当然TTL開放測光方式となるかの如く主張するが、これは、TTL測光方式のカメラの開発の歴史を無視するものである。すなわち、昭和三〇年前半に、カメラの露光量決定の理想的方式としてTTL測光方式の具体化が考えられはじめ、受光素子の発達、特に硫化カドミウムの開発によつてその実用化に一段と拍車がかけられたが、しかし当時としては、各カメラメーカーは、とにかくTTL測光方式を実用化することを先決問題として、最も常識的で技術的にも実現が容易な絞込測光(前記1(一)第二段参照)の研究で手一杯で、到底開放測光まで考えが及ばなかつたというのが実情であり、したがつて、
昭和三五年から昭和四一年三月までの間のTTL測光方式のカメラの創成期において開発されたTTL測光方式のカメラは、自動プリセツト絞交換レンズを有するにもかかわらず、原告のものを除いてすべて絞込式のTTL測光方式のものばかりであつた。一方原告は、非常に早くからTTL測光方式に着目して研究を開始し、他社に先んじて実験試作を繰返した結果、実用機としては旭光学工業株式会社の絞込式のものより一足早く、しかも開放測光のものとしては世界で最も早く世に出すことができたのである。こうして、測光時にもフアインダーが暗転しないという開放測光特有の利点が世に認められるに及んで、ミノルタSRT-一〇一以降遂にカメラ界はTTL開放測光方式時代を迎えたのである。被告は、かかる経過を無視し、
現在においては少なくとも大手カメラメーカーの露光計組込みの一眼レフレツクスカメラのほとんどすべてはTTL開放測光方式のものであるという現状にとらわれて、あたかも二〇年前のカメラ業界の技術水準もこれと同様であつたかの如き主張をするが、全く根拠がない。
(2) (2)の相違点に関して、本件発明は手動絞交換レンズと自動絞交換レンズとを選択装着できると表現するのが不適切であることは前記1(二)第三段のとおりである。
また、右(2)の相違点に関して、被告は、乙第一、第二号証の各一ないし三のコニカフレツクスが自動絞交換レンズのみを装着するようになつているのは、コニカフレツクスのマウントに適合する手動絞交換レンズが商品として存在しなかつたためであるかのようにいうが、これが、もしコニカフレツクスのマウントに適合する手動絞交換レンズ(カメラ本体がわとの連結手段を有しないもの)が売られていたなら測光が可能であつたという趣旨ならば、明らかに間違いである。本件発明こそ、連結手段を有しない旧型の手動絞交換レンズを装着した場合でも、TTL測光を可能にしたという点に注目すべきである。
(3) (3)の相違点に関して、乙第一、第二号証の各一ないし三のコニカフレツクスの連動部材はバネによる復帰習性を与えられていないことは、前記2末段のとおりであるから、かかる対比は失当である。
(二) 更に、異議により拒絶査定を受けたとして被告が引用するツアイス社出願の西ドイツ特許公報(乙第四号証)に係る発明(第三、二3(三)第二段)は、半自動式の旧式の交換レンズに関するもので、絞開放がわに復帰習性を有し、更に露光計の指示を制御する連動部材を、予定絞設定環と係脱自在にカメラ本体がわに設けたものであるが、右露光計は外光測光方式のものでコニカフレツクスと同質のものであり、その出願がコニカフレツクスの発表より後であるから、いつたん出願公告されたことすら不思議に思われるものであつて、本件発明の内容とは全く技術水準を異にするものである。
二 本件特許請求の範囲の記載の解釈1 一眼レフレツクスカメラ 本件発明の対象である「一眼レフレツクスカメラ」とは、交換レンズを含んだ一眼レフレツクスカメラ全体をいうのであり、交換レンズを除外したカメラ本体のみを指すという被告の主張(第三、三1)は、まず交換レンズを除外したカメラ本体のみを対象とすると決めてから、この観点からすべての事項を解釈し根拠を求めんとするものであつて、何ら合理的根拠がなく、誤りである。
(一) 本件特許請求の範囲の記載の文理 本件特許請求の範囲の記載には、「撮影レンズを透過する光を測定する方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラにおいて」と明記されており、この記載を含む本件特許請求の範囲の記載の文言を素直に読めば、本件発明は、自動プリセツト絞の可能な交換レンズとこれに対応するある特定の構成を有するカメラ本体とから成る、TTL測光方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラを対象とするものであり、なおこのカメラは、交換レンズとして手動絞交換レンズを使用すれば、TTL測光方式の露光計を組込んだ手動絞式一眼レフレツクスカメラとしても使用できるものであると解されるのである。
露光計という以上、必らず光線の取入窓があるはずであるが、TTL測光方式のカメラでは撮影レンズがこの取入窓の役割を果たしているのであり、このカメラはレンズ交換式一眼レフレツクスカメラであるから、撮影レンズとは交換レンズのことである。交換レンズを除外したカメラ本体のみでは、露光計を組込んだカメラとはいえない。露光計への絞情報の入力部は交換レンズ上の予定絞設定環であることなど、本件特許請求の範囲の記載自体から自動プリセツト絞交換レンズは本件発明の構成上必須の要件をなすことが明らかである。
また、本件特許請求の範囲の記載において(発明の詳細な説明の欄においても)、カメラなる語とカメラ本体なる語は、注意深く書き分けられているのであるから、カメラをカメラ本体と解すべき理由はない。もし、被告の主張どおりとすれば、なぜカメラなる語とともにわざわざカメラ本体なる語が別に用いられているのか理解に苦しむところである。
(二) 一般用語例 レンズは写真を撮影する装置であるカメラの重要な構成部分であり、普通一般にカメラといえば、特にことわりのない以上、レンズをも含む撮影用の機器全体が観念されるであろうと考えられ、カメラ本体のみを指すときは、カメラ本体とかカメラのボデイというような表現が用いられるのが普通である。もつとも、カメラなる語が、レンズと対置されたカメラ本体のみを指す趣旨で用いられる場合もあることは、あえて否定するものではないが、ただ、どちらの意味で用いられているかは、
その語の用いられた状況、前後の文脈などから自から明らかになるのであつて、本件特許請求の範囲の記載にいう「一眼レフレツクスカメラ」の場合は、右(一)のとおり、レンズも含んだカメラ全体を指すものと解されるのである。
(三) 出願の経過 出願当初の明細書の特許請求の範囲の記載において、交換レンズと関係のないカメラ本体内の可動反射鏡の特定の構成のみが特徴として掲げられ、当該構成を有する一眼レフレツクスカメラと記載されていることが、一眼レフレツクスカメラなる語をカメラ本体と解する根拠となるとは思われない。ちなみに、その第三項では、
カメラの母体という語が用いられ、これによつて、カメラとカメラ本体とが区別されているのである。
(四) 出願人の一般的な考え方 出願人の一般的な考え方が被告の述べるとおりであるとしても、本件発明の対象をカメラ本体と解する根拠となるものではない。むしろ、本件特許請求の範囲の記載の構成は、交換レンズと係りのあるところであるから、特にことわりのない以上、交換レンズを除外したカメラ本体と解すべき根拠に乏しいといわなければならない。
(五) 公知技術との関係 本件特許請求の範囲の記載中の予定絞設定環を有する「自動プリセツト絞の可能な交換レンズ」の構成が、本件発明の特許出願前公知であつたとの被告の主張が誤りであることは、前記一2のとおりである(外光測光方式のカメラにおける交換レンズとカメラ本体の連動部材の構成は、本件発明のTTL開放測光方式のカメラにおける交換レンズとカメラ本体の連動部材とは全く別ものである。)から、右交換レンズが公知であつたことを前提とする主張は意味がない。
2 露光計を組込んだ……カメラ 本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計を組込んだ……カメラ」とは、文字どおり露光計を組込んだカメラであれば足りるのであつて、露光計を内蔵したカメラに限る根拠はない。
確かに、「システムカメラ」的傾向が進み、カメラの各部分を着脱交換可能にして仕様を多様化する傾向が生じてくるに従い、本件発明の特許出願当時に考えられなかつた態様のカメラが市場に現われている。露光計もその例に漏れず、被告主張のとおり、カメラ自体は露光計を内蔵せず、露光計を組込んだフアインダーを着脱自在にしたカメラもある。
しかしながら、フアインダーもカメラの一部であり、正常の取引、正常の使用法においてはフアインダーが装備されて初めてカメラと認められるのであるから、着脱自在のフアインダーに露光計が組込まれているのは、とりもなおさずカメラに露光計が組込まれていることに外ならない。
3 露光計の指示の自動的制御 本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計の指示を自動的に制御する」とは、字義どおり露光計の指示を自動的に制御するものであれば足り、その制御の方法には何ら限定はない。したがつて、被告主張の「電気露光計の必須の構成要素である検流計の指針の位置を、検流計回路の可変抵抗値の変化によつて指針を振らせるか、
検流計自体を回動させるかして、変化させる」方式のものに限定して解釈すべきではなく、「検流計の指針を変化させることなく、これとは別個の追針を機械的手段によつて移動させて、検流計の指針と追針との相互関係位置を制御する」方式のものも当然含まれるというべきである。
(一) 本件特許請求の範囲の記載及び発明の詳細な説明の欄の一般的説明の部分には、被告も認めるとおり、単に「露光計の指示を制御する」とだけ記載され、制御の方法に関する限定はないのであり、この記載は、それ自体明瞭な表現であつて、これを解釈するのに他の助けを借りる必要は全くない。
すなわち、露光計は、適正露光に関する情報を得るための装置をいうのであつて、受光部(光電素子のように被写体からの光量を感知する手段)、検知部(光量を測定する部分。被告主張の電気露光計では、光電素子の受光量により出力の変化する電気回路と、この電気回路によつて作動する検流計)及び計算機構(受光量情報に、絞設定値、フイルム感度、シヤツター速度のうち二つを与えて適正露出を計算し、これを指示する機構)を主たる構成部分とする。そして、現実の受光量に関する情報は、検知部の指示(検流計では、その指針の振れ)によつて与えるのであるが、他の露光条件に関する情報(絞設定値、フイルム感度、シヤツター速度)は、被告主張のような機械的又は電気的な種々の方法によつて与えることができる。本件発明において「露光計の指示を自動的に制御する」とは、特別の手動調節装置を装備することなしに、撮影レンズの予定絞開口に応じた補正が、レンズの予定絞設定環の回転に伴つてカメラ本体がわに取付けられた可動部材が移動することにより、適正露光を知るための露光計に与えられるとの意であるが、この予定絞開口に応じた補正を露光計に与えるため可動部材の移動を露光計に伝達するのに、機械的な方法によるのも電気的な方法によるのも、それは伝達方式の問題にすぎず、
当業技術者により適宜設計しうる範囲のものであつて、いろいろ列挙して説明しなければ明らかにならないというような類のものではない。
検流計は、前記のとおり露光計の検知部を構成する装置の一種であり、検流計を用いない検知方式の露光計もあるぐらいであるから、被告主張の限定解釈は、検流計をもつて露光計そのものとみなす誤解に基づくものと思われるが、検流計指針又は検流計そのものを制御することと「露光計の指示を制御する」こととは同一ではない。
なお、被告は、露光計の定義に関する原告の主張について、指示部を計算機構の中に含ませて観念するのは適切ではないと主張する(第三、三3(一)後段)が、
次の(二)後段記載の本件明細書の記載からすれば、本件発明において露光計の出力情報を人間が認知できなければならないかどうかは、特に区別して意識する必要はなく、本質と全く無関係であるから、右の点を論ずる意味はない。
(二) 本件明細書の発明の詳細な説明の欄中の実施例及び出願手続における出願人(原告)提出の書面の具体的な説明では、「交換レンズの予定絞設定環の回動に対応した機械的制御量の大小により、検流計回路の可変抵抗値を変化させて指針を振らせるか、又は検流計自体を回動させるかして、検流計の指針の位置を変化させ、この変化を露光計の指示部に伝達する方式」の構成のみが記載されていることは被告主張のとおりであるが、これは、あくまで、実施例を記載する趣旨に則つて、あるいは最も明瞭な説明として、この種露光計の指示を制御する最も典型的、
一般的な構成によつて本件発明を説明しているにすぎないものと解されるのである。
本件明細書には、「露光計の指示を制御する」方法を右のような特定の構成に限定する趣旨の記載がないことは前記のとおりであるばかりか、「また図示されない連動機構により自動的に上記露光時間を設定するようにしてもよい。」との記載、
すなわち、検流計指針等人間の知覚(視覚)に訴えるようなものを制御することばかりでなく、自動的にシヤツター速度を制御することをも含む旨の記載まであるのであり、また、露光計の指示を制御するという目的に関し、他に考えられる構成(例えば、追針式とがゼロメソツド等)を排して特に右特定の構成をとることに特段の意味はないのであるから、被告主張のような限定解釈をなすべき理由はない。
4 連動部材 本件特許請求の範囲の記載にいう「連動部材」について、被告主張のように「連動環」に限定して解釈すべき理由はない。したがつて、被告主張の「回動することなく垂直方向に移動するプリセツト絞連動カム」のようなものも当然含まれるというべきである。
(一) そもそも「連動部材」というのは、撮影レンズの予定絞設定環と連動するよう係合して、その動きをカメラ本体がわの露光計の指示部に伝達し、撮影レンズがわに設定された予定絞開口に対応して露光計の指示を制御するための伝達手段を構成するものである。このような伝達手段には、古くから種々の機構が存在しており、そのいずれを選択するかは、カメラの設計技術者にとつて単なる設計上の問題にすぎない(後記(二)参照。)。
右予定絞設定環の回動する動きを受けて他に伝達する手段として、これと同軸の環状部材をもつて充てるのが最も簡単容易であるということはいえようが、環状部材でなければ機能しないというわけではない。本件発明においては、撮影レンズがわの予定絞設定環は環状であり、この動きを受けて他に伝達する手段として同じ環状の構成をもつ連動環が最も典型的であるので、可動部材について回動と説明され、実施例として連動環の例が記載されているのである。
伝達手段として環状のもの以外の構成も可能なのであるから、本件明細書及び出願手続中における出願人(原告)提出の書面を通して、連動部材を環状のものに限る趣旨が明らかにされていない以上、被告主張のような限定解釈をするべき理由はない。回動することなく垂直方向に移動する連動カムの構成も、本件発明の特許出願当時容易になしえた適宜の設計事項であることは明らかである。
(二) 連動の伝達手段として、古くから種々の機構が存在しており、そのいずれを選択するかは、カメラの設計技術者にとつて単なる設計上の問題にすぎないことは、以下の事実からも明らかである。
自動プリセツト絞交換レンズを有する一眼レフレツクスカメラにおいて、交換レンズの絞羽根は、シヤツターレリーズ時には、あらかじめ設定された予定絞開口にまで絞込まれ、露光後は、再び全開状態にまで開放される構造に設計されているのが一般的なのであるが、本件発明の特許出願当時、このような連動運動をカメラ本体がわから交換レンズがわの絞羽根に伝達する方式として、(1)絞込信号レバーが円周上を移動する方式、(2)絞込信号板が前後に移動する方式、(3)絞込信号レバーが上下に移動する方式というようにいくつかの例があり、そのいずれを選択するかは単なる設計上の問題にすぎなかつた。
(1) 絞込信号レバーが円周上を移動する方式 原告が昭和三八年五月に発売したトプコンREスーパー(本件発明の実施品)及び昭和三六年九月に発売したクリツプオン露出計付オートマチツクトプコンVにおいては、次のとおり、絞込信号レバーが円周上を移動する方式が採用されている。
交換レンズ後方(カメラ本体に装着するがわ)に突出した絞込レバーは、レンズ光軸と同心的に回動する輪状環から、光軸方向に、レンズ背面板に光軸と同心に形成された円弧状溝を貫通し、この円弧状溝を円弧に沿つてほぼ上下に移動するものであるが、交換レンズをカメラ本体から離脱した状態では、この絞込レバーは、上方復帰習性により常に上方に復帰しており、これに連動する絞羽根は、予定絞設定環で設定された予定絞開口にまで常に絞込まれている(常閉型)。交換レンズを正規の状態でカメラ本体に装着した場合、絞込レバーは、カメラ本体の円弧溝を円弧に沿つてほぼ上下に移動する絞込信号レバーの下側面に係止され、下方に押し下げられるので、絞羽根は全開状態に保たれる。そこで、カメラ本体がわのシヤツターをレリーズすると、この運動に関連して、絞込信号レバーが上方に移動するので、
絞込レバーもその上方復帰習性により上方に復帰し、これに応じて絞羽根は、予定絞設定環によつて設定された予定絞開口にまで絞込まれ、露光完了後は、絞込信号レバーが下方に復帰するので、絞込レバーが再び下方に押し下げられ、絞羽根は全開状態に戻る。
(2) 絞込信号板が前後に移動する方式 昭和三九年七月に旭光学工業株式会社が発売したアサヒペンタツクスSPカメラにおいては、次のとおり、絞込信号板が前後に移動する方式が採用されている(この点に関する構造は、昭和三二年五月発売のアサヒペンタツクスAP、昭和三三年五月発売のアサヒペンタツクスKと同一である。)。
交換レンズをカメラ本体から離脱した状態では、交換レンズ後方に突出した絞込ピンは突出したままの状態にあり、これに連動する絞羽根は全開状態にある(常開型)。絞羽根は、絞込ピンが押し込まれたとき、予定絞設定環によつて設定された予定絞開口にまで絞込まれ、絞込ピンが元の突出した状態に戻ると同時に、全開状態に戻る。カメラ本体の中央下部の内がわには、下方がヒンジによつて本体内部に取付けられ、通常はやや後方に傾斜する姿勢を保つている絞込信号板がある。交換レンズを正規の状態でカメラ本体に装着した場合、絞込信号板はやや後方に傾斜したままであるので、絞込ピンは突出したままであり、絞羽根も全開状態にあるが、
カメラ本体がわのシヤツターをレリーズすると、この運動に関連して、絞込信号板が下部ヒンジを中心として前方に起上がるので、その直前にある絞込ピンが前方に押し込まれ、これに応じて絞羽根は、予定絞開口にまで絞込まれ、露光完了後は、
絞込信号板が元の位置に復帰するので、絞込ピンが元の突出した状態に戻り、絞羽根は全開状態に戻る。
(3) 絞込信号レバーが上下に移動する方式 昭和三四年四月に日本光学工業株式会社が発売したニコンF(乙第三号証の二)においては、次のとおり、絞込信号レバーが上下に移動する方式が採用されている。
交換レンズをカメラ本体から離脱した状態では、絞羽根は、常時、予定絞設定環の目盛にまで絞込まれている(常閉型)が、交換レンズをカメラ本体に装着した場合、予定絞設定環の目盛をどこに合わせたかに関係なく、絞羽根は全開状態にある。そして、シヤツターをレリーズすると、この運動に関連して、絞込信号レバー(絞連動レバー)が下方にほぼ直線的に押し下げられることによつて、絞羽根は所定の絞開口にまで絞込まれ、露光完了後、絞込信号レバーが上方に復帰するに伴つて絞羽根は全開状態に戻る。
5 交換レンズのカメラへの装着と連動部材の移動復帰方向 本件特許請求の範囲の記載にいう交換レンズのカメラへの「装着」及び連動部材の有する「撮影レンズの絞開放がわに向つて移動復帰しようとする習性」につき、
それぞれ被告主張のように交換レンズをカメラに「直接」装着すること及び「連動部材の回動復帰方向が、交換レンズの予定絞設定環の開放に向う現実の回動方向と一致していること」に限定して解釈すべき理由はない。したがつて、中間輪の一種であるコンバージヨンレンズを交換レンズとカメラの間に介在させたものや、例えば、交換レンズの予定絞設定環が時計方向に回動して全開に向うのに対して、連動部材が常時反時計方向に付勢されているようなものも当然含まれるというべきである。
(一) 交換レンズのカメラへの装着(1) 本件特許請求の範囲の記載 被告は、その限定解釈の根拠として、本件特許請求の範囲の記載の、カメラ本体がわに取付けられた連動部材は「交換レンズにおける予定絞設定環と係脱自在」であるとの記載を挙げる(第三、三5(一)(1)前段)が、予定絞設定環と連動部材とを係合するのは、予定絞設定環における絞設定の動きに対応してその動きが連動部材に伝達されるように両者を連係することを目的とするものであり、この目的のためには、両者の係合が直接である必要は全くないのであるから、右記載は、被告主張の限定解釈の根拠となるものではない。予定絞設定環と連動部材とを係合する交換レンズがわの部材を予定絞設定環と一体的に作るか、いくつかの部品、部材により構成するかは、交換レンズのような精密複雑な製品を扱う当業技術者にとつて極めて普通に行われている設計上の問題にすぎない。
(2) 本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二) 本件発明の特許出願当初の明細書(乙第五号証の二)の発明の詳細な説明の欄中の被告引用部分の記載(第三、三5(一)(2)冒頭)も、本件発明では、カメラ本体がわの連動部材に連係する部材を有しないもの、すなわち、手動絞交換レンズ、自動プリセツト絞交換レンズであつても右のような連係部材を有しないもの、
あるいは自動プリセツト絞交換レンズであつて右のような連係部材を有するものであつても、右連係部材とカメラ本体がわの連動部材とに係合する部材を有しない機構の中間輪と組合せたもの(この場合は、自動プリセツト絞ではなく、手動絞交換レンズと同じことになる。)をカメラに装着した場合には、カメラ本体がわの連動部材は、露光計の指示を補正していない位置に戻つているから、そのまま手動絞式により露光時間を測定しうるということを述べているにすぎない。交換レンズをカメラ本体に直接装着するのが最も普通であろうが、その間に中間輪を介在させて撮影することも考えられるのであり、この場合に、自動プリセツト絞交換レンズとカメラ本体の本来の機能をそのまま生かすためには、単にその中間輪を、両者の機能を連結する構成のものにすれば十分なのであり、このことは、当業技術者にとつて当然のことであるから、特に中間輪を介しての連動機構についてまで明記するに及ばないのである。
なお、右にいう中間輪とは、接写リングのようなリングのことであり、交換レンズとカメラ本体の間に挿入して特殊な撮影をするためのカメラの附属品の一つである。コンバージヨンレンズは、中間輪の一種であつて、右のような中間輪に一枚又は二枚以上の凹レンズ、凸レンズ等各種のレンズを嵌込んだものであり、交換レンズ固有の焦点距離を変化させてレンズの適用範囲を拡大するために交換レンズと組合せて使用するものである。
被告は、アダプターも右中間輪と解するのが相当であると主張する(第三、三5(一)(3)(A))が、アダプターは中間輪に含まれない。アダプターはあくまで交換レンズの一部分にすぎないのであつて、交換レンズ鏡筒と結合することによつて初めて交換レンズとなるのである。
(二) 連動部材の移動復帰方向 本件発明においては、本件特許請求の範囲の記載の「同連動部材には装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性を常時ばねによつて持たせる」という構成により、発明の詳細な説明の欄記載のとおり「自動プリセツト絞の可能な交換レンズを選択的に装着し得るようにしたT・T・L方式の露光計を組込んだ一眼レフレツクスカメラの本体がわに、同露光計の指示を、装着した交換レンズの予定絞開口に対応させるための手動調節装置を別に装備する必要がなくなるのみならず、交換レンズをカメラ本体から取外したときは、本発明におけるカメラ本体がわに取付けられた上記露光計の指示補正用連動可動部材は習性により常に装備せられる撮影レンズの絞の開放がわに回動偏倚しているから、自動プリセツト絞式でない普通の手動絞式交換レンズを取付ける場合にも、カメラ本体がわの前記連動部材をその都度撮影レンズの絞開放がわに移動させる必要がなく」(別添特許公報一頁左欄三五行ないし右欄五行)なつているのである。要するに、カメラ本体がわに取付けられた連動部材が、バネによる習性により移動復帰している位置は、
露光計の指示に絞による補正を与えていない位置、すなわち、撮影レンズの絞が全開となつている状態に対応する位置であることを要するのであり、このことが、右本件特許請求の範囲の記載のように表現されているのである。したがつて、右のような構成及びそれによる作用効果を考えれば、カメラ本体がわの連動部材の移動復帰している位置が右のような位置であれば足りるのであつて、被告主張のように「連動部材の回動復帰方向が、交換レンズの予定絞設定環の開放に向う現実の回動方向と一致している」必要はなく、被告主張の限定解釈は根拠がない。交換レンズの予定絞設定環が時計方向に回動して全開に向うのに対して、連動部材が常時反時計方向に付勢されているような構成のものであつても、そのような連動部材が移動復帰しているときに、露光計の指示に補正がなされていない状態(すなわち、絞の開放がわに向つて移動復帰している状態)になつていれば、本件発明所期の目的は達成されているのである。
三 本件発明の対象と本件特許権の侵害 本件発明の対象が、交換レンズを含んだ一眼レフレツクスカメラ全体であることは、前記二1のとおりであるから、対象の相違を理由として、本件特許権の侵害の問題が生ずる余地はないとする被告の主張は、前提を欠き、失当である。
四 本件ミノルタカメラ及び本件キヤノンカメラと本件発明の技術的範囲 本件発明における「露光計の指示の自動的制御」、「連動部材」、「交換レンズのカメラへの装着と連動部材の移動復帰方向」についての構成要件につき、被告主張のような限定解釈をすべきでないことは、それぞれ、前記二3、同4、同5のとおりであるから、本件ミノルタカメラ及び本件キヤノンカメラが本件発明の技術的範囲に属しないことを理由として本件特許権の侵害にはならないとする被告の主張は、前提を欠き、失当である。
五 いわゆる間接侵害の成立1 いわゆる間接侵害の成立(一般論) 被告製品を製造、販売することは、以下のとおり本件特許権に対するいわゆる間接侵害を構成するものであるから、間接侵害を構成しないとする被告の主張は失当である。
(一) 被告製品と特許法第101条第1号のその物の「生産」 被告製品を本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラのカメラ本体と組合せる行為は、右カメラの「生産」以外の何ものでもないから、被告製品は、右カメラの「生産」に使用する物である。
(1) 物の「生産」の意義 特許法上「生産」(製造)とは、ひろく物を造り出す行為をいうのであつて、被告主張(第三、六1(一)(1)(@))のような、材料、部材、部品等の物Aを、物Aとは社会観念上異なる物Bに変える行為に限定して解釈すべき根拠はない。物Aがそのまま存在するような形で物Bを造る行為、例えば車体にタイヤを取付けて自動車を造る行為が生産(製造)に当たると解することに疑問を抱く者はいないはずである。
また、生産という概念には、付加価値を生ぜしめるという意味は当然には含まれていず、特許法上生産というためには付加価値を生ぜしめることを要件とすると解すべき根拠はない。
更に被告は、生産とは、近代社会においてはそれを反復することが業として成り立つような性質の行為をいうと主張するが、かかる解釈は、根拠を欠くものであり、特許法の規定に反するものである。すなわち、特許法は、特に「業として……実施をする」(第68条)、「……業として生産し……」(第101条)とわざわざ規定しており、「実施」あるいは「生産」そのものには、業として成り立つような性質の行為という限定された意味を持たせていない。したがつて、「生産」そのものには個人的家庭的な行為も含まれるというべきである。
(2) 被告製品と物の「生産」 被告製品は、それぞれ独立の商品として生産、販売されうるものではあるが、それだけでは有用なものとはならず、そのうち、交換レンズ一、交換レンズ四は、カメラ本体と、アダプター二の1、2、アダプター五は、交換レンズ鏡筒に取付けられたうえでカメラ本体と、コンバージヨンレンズ三、コンバージヨンレンズ六は、
交換レンズ及びカメラ本体と、それぞれ組合されることによつて初めて、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラを造り出し、その機能を果たすことができるのである。右のように被告製品を右カメラのカメラ本体と組合せる行為は、右カメラの「生産」以外の何ものでもない。
(二) 被告製品と特許法第101条第1号のその物の生産に「のみ」使用する物 被告製品は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラ以外のカメラに装着しうるとしとも、以下のとおり、本件発明の対象たる物の生産に「のみ」使用する物というべきであるから、被告製品を製造、販売することは、本件特許権に対する間接侵害を構成する。
(1) 被告が第三、六1(二)(2)の(@)及び(A)において列挙する各場合に被告主張のとおり、被告製品が本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラ、すなわち本件発明に係るカメラ以外の物を構成することは認めるが、しかしながら、このことの故をもつて、被告製品は本件発明の対象たる物の生産に「のみ」使用する物に当たらないという被告の主張は失当である。
交換レンズ一及び四並びにアダプター二の1、2及び五のプリセツト絞レバー1、コンバージヨンレンズ三の連結レバー3、コンバージヨンレンズ六の連結桿3は、右各場合において使用されることなく、全く遊んでしまう無用の存在となる。
右被告製品のプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿は、本件発明の本来の機能を果たすため以外、他に何の用途も持たず、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体と組合せて使用される場合にのみその本来の機能を発揮することができるのであるから、右被告製品をもつて本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの生産に「のみ」使用する物と解してしかるべきである。たまたまこのプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿と関係のない部分において右被告製品が本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラ以外のカメラ本体に装着して使用されることがあつても、右の結論に何ら影響を与えるものではない。
被告製品のプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿が全く遊んでしまう無用の存在となるということは、MC爪(別紙七のプリセツト絞環8aの突起8bに相当する。)の外にいわゆるMD爪を有するミノルタMDロツコールレンズをミノルタXDに装着していわゆるSモードによつて撮影する場合に、MC爪がMD爪と共同して本件発明における作用と異なる作用をすること、また、EEピンを有するキヤノンFDレンズをキヤノンAE-一又はサーボEEフアインダーを装備したキヤノンF-一に装着してシヤツター速度優先EE撮影をする場合に、プリセツト絞環の突起(別紙八のプリセツト絞レバー8bに相当する。)がカメラ本体がわからレンズがわに情報を伝えるという、本件発明における作用と異なる作用をすることとは相違する。
(2) 被告製品が本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラのカメラ本体に装着されうることは前記のとおりであるが、本件において特許法第101条第1号の、その物の生産にのみ使用する「物」にいう「物」とは何であるかについて次のように考えれば、被告製品の製造、販売の差止等を求める原告の請求が決して不当でないことが分る。
すなわち、被告製品は、その物理的あるいは取引上の存在としてはそれぞれ一個の存在であるかもしれないが、これを観念的にみると、
(a) レンズの予定絞設定環についてカメラ本体がわの連動部材と係合する部材を有する、本件発明に係るカメラを構成する構造のものと、
(b) 右のような部材を有しない、本件発明に係るカメラを構成しない構造のものという二種のものを重畳的に表現するものであつて、それぞれの構成の範囲で別個の用途を持つているとみることができよう。そうすると、交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズとして(a)の構成を持つ側面から把握するとき、被告製品は、本件発明に係るカメラを構成する用途のみを有し、他に用途を有しないものであるから、本件発明に係るカメラの生産にのみ使用する物と観念され、他方、
(b)の構成を持つ側面から把握するときは、被告製品は本件発明に係るカメラを構成しないことになる。しかして、本件訴訟において原告が差止等の対象としているのは、(a)の構成を有するものとしての交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズであつて、問題の係合する部材を持たないところの、(b)の構成を有するものとしての交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズまでも対象としているのではないから、特許権の保護の範囲を不当に拡張するものではない。
(3)(@) なお、被告は、ミノルタX-一は露光計を内蔵しない、あるいは組込んでいないカメラであると主張する(第三、六1(二)(2)(@)(ロ))が、これは誤りである。ミノルタX-一のカメラ筐体に露光計が備えられていないことは被告主張のとおりであるが、カメラ筐体だけではカメラといわないのであり、ペンタプリズム部分及び交換レンズを装着することによつて初めて撮影可能なカメラとなるのであるから、ミノルタX-一も、露光計を備えたフアインダーであるAE-Sフアインダー、Mフアインダーを装備するときは、露光計を組込んだカメラに相当する(本件特許請求の範囲の記載にいう「露光計を組込んだ……カメラ」を、露光計を内蔵したカメラに限定すべきでないことは、前記二2のとおりである。)。
(A) アダプター五は、これをTレンズ群のミラーレンズに取付けてカメラに装着できることは、被告主張(第三、六1(二)(2)(A)(ハ))のとおりであるが、ミラーレンズは絞機構を全く有していないのであるから、かかるミラーレンズ鏡筒に、レンズがわのプリセツト絞環と連動してその予定絞情報をカメラ本体がわに伝達するプリセツト絞レバーを有するアダプター五(被告主張の旧YSアダプター)を取付けても、このプリセツト絞レバーは、全く遊んでしまう無用の存在であり、何らの用途がない。ミラーレンズ鏡筒には、本来旧型のYSアダプター(旧々YSアダプター)を取付ければ十分なのであつて、わざわざ不必要なプリセツト絞レバーを有するアダプター五を取付けることは意味がない。
アダプター五は、プリセツト絞環を有する交換レンズ鏡筒に取付けられたうえ、
本件キヤノンカメラのカメラ本体と組合せて使用される場合にのみ、プリセツト絞レバーを有することにより果たしている本件発明の本来の機能を発揮することができるのであるから、アダプター五をもつて本件キヤノンカメラの生産に「のみ」使用する物と解すべきであるとの結論は何ら左右されない。
2 いわゆる間接侵害の成立(独立説の立場から) いわゆる間接侵害が成立するために本来の特許権侵害(いわゆる直接侵害)の存在を必要とするか否かについては、これを必要としないとする独立説が正当であり、被告主張の従属説は採りえないから、従属説を前提にして、家庭的、個人的使用に充てられ、又は海外に輸出される被告製品の大部分の製造販売行為に関する限り、間接侵害は成立しないとする被告の主張は失当である。
(一) 間接侵害と独立説 特許法第101条第1号は、「その物の生産にのみ使用する物を業として生産し譲渡」する等の行為そのものを、法律上特許権を侵害するものとみなしている(間接侵害)のであつて、右規定の文言上、その行為の結果直接侵害が成立することを、間接侵害の成立要件としているものとは認められない。
また、「組立てて完成品として販売すれば権利侵害になる物をセツトとして販売するような場合は、「特許発明に係る物」の販売とはいえないから侵害にはならないので、特許権者はこれを差止めることができない。しかし、特許権に対する脅威であることは侵害の場合と変らない。……従つてこのような場合は現実にはまだ侵害が行われていないにもかかわらず、侵害とみなすこととし、権利の保護を強化した。」(工業所有権制度改正審議会の答申(一般部会関係)第三、説明書一〇八、
一〇九頁)という右規定の立法趣旨からも、独立説が正当であることが明らかである。
更に、間接侵害は、独立説では間接侵害に当たるような行為を直接侵害の幇助として構成することが困難である(例えば、家庭での実施の場合)という事情から、
ドイツにおいて判例によつて認められてきたという沿革に照らしても、独立説が相当である。
(二) 家庭的、個人的使用に充てられ又は輸出される被告製品と間接侵害 右(一)によれば、被告製品のうち家庭的、個人的使用に充てられ、又は海外に輸出されるものを製造、販売する行為も、本件特許権に対する間接侵害を構成することが明らかである。
証拠関係(省略)
理 由一 原告が本件特許権について昭和四四年一二月二日その設定の登録を受けたことは当事者間に争いがなく、これによれば、格別の事由の認められない本件においては、原告は、同日から存続期間満了の日である昭和五五年一二月一五日(出願日が昭和三五年一二月一五日であることは前記のとおり。)までの間、本件特許権の特許権者であることが認められる。そして、本件発明についての特許出願の願書に添附した明細書(補正後のもの)の特許請求の範囲の記載が原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。
二 右一に確定した本件特許請求の範囲の記載に成立に争いのない甲第二号証(本件特許公報)によつて認められる本件明細書の記載及び図面を総合すると、本件発明の構成要件は、次の(1)ないし(6)のとおりであることが認められる。
(1) 撮影レンズを透過する光を測定する方式(いわゆるTTL測光方式すなわちThrough the Taking Lens Me-asuring)の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラであること、
(2) 自動プリセツト絞の可能な交換レンズにおける予定絞設定環と係脱自在な連動部材が右カメラの本体がわに取付けられていること、
(3) 右連動部材は、常時、バネによつて、装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて移動復帰しようとする習性を持たされていること、
(4) 右連動部材の移動が、撮影レンズがわに設定された予定絞開口に対応して、カメラ本体に組込まれた前記露光計の指示を自動的に制御するようになつていること、
(5) 手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうるものであること、
(6) 以上の特徴を有する(撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ)自動プリセツト絞式一眼レフレツクスカメラであること。
原告は、右構成要件(5)に関し、「撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ手動絞交換レンズによる測光にも兼用しうるものであること」と主張する(請求の原因二1(六))が、本件特許請求の範囲の記載及び本件明細書の記載に照らせば、本件特許請求の範囲の記載中の右「撮影レンズの透過光を測定する方式の露光計を組込んだ」との部分は、右「手動絞交換レンズ」ではなく、本件特許請求の範囲の記載末尾の「自動プリセツト絞式一眼レフレツクスカメラ」を修飾するものであり、かつ、構成要件(1)と重複するものであることが明らかであるから、これが「手動絞交換レンズ」を修飾するものであるとの誤解を生じかねない原告の分説のし方は適切でなく、前認定のとおり分説するのが適切である。
そして、前掲甲第二号証によつて認められる本件明細書の記載及び図面並びに本件口頭弁論の全趣旨によれば、本件発明は、右のような構成要件を具備することにより、TTL測光方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラにおいて、自動プリセツト絞の可能な交換レンズの絞開放状態のもとで測光を行い(開放測光)、その時の撮影諸条件を求めうるようにしたことを第一の特徴とし、
そのカメラ本体に手動絞交換レンズを装着した場合も何ら付加的手段をとることなくそのままTTL絞込測光方式で使用できるようにしたことを第二の特徴とするものであることが認められ、なお、右構成要件(2)にいう「自動プリセツト絞」とは、手動のプリセツト絞機構(予定絞設定環)と手動のレンズ絞込機構(絞環等)とを有する方式である(手動)プリセツト絞に対し、手動のプリセツト絞機構と自動のレンズ絞込機構とを有し、レンズの絞込みが自動的になされる(予定絞設定環を回動してもレンズ絞は全開のままであり、シヤツターボタンを押すまでフアインダー内に明るい視野を確保でき、シヤツターボタンを押すと、予定絞設定環により設定された予定絞値までレンズが自動的に絞込まれる)方式のものをいい、右のようにして自動的に絞込まれたレンズ絞込機構を復帰させてレンズを全開状態にするために特別の操作((1)巻上げレバーの巻上げ、(2)手動の開放レバーの操作、(3)押していたシヤツターボタンから手を離し、これを復帰させる操作)を要するものと、このような特別の操作を要しないもの(シヤツターボタンを押せば、レンズの全開状態への復帰も自動的に行われる。)の双方を含むことは当事者間に争いがない。
三 被告が、交換レンズ一(ただし、別紙目録一の説明文三行目に「装着する交換レンズ」とあるのを「装着するための部材を固着した交換レンズ」とすべきであると被告が主張する点を除く。)を少なくとも昭和五〇年三月一日から昭和五二年一〇月三一日までの間、アダプター二の1(ただし、別紙目録二の1の説明文三、四行目に「装着するための部材」とあるのを「装着するため用いうる部材」とすべきであると被告が主張する点を除く。)を少なくとも昭和四七年八月一日から昭和五〇年四月三〇日までの間、アダプター二の2(ただし、別紙目録二の2の説明文三、四行目に「装着するための部材」とあるのを「装着するため用いうる部材」とすべきであると被告が主張する点を除く。)を少なくとも昭和五〇年五月一日から昭和五二年一〇月三一日までの間、コンバージヨンレンズ三を少なくとも昭和四五年一〇月一日から昭和五三年一一月三〇日までの間、アダプター五(ただし、別紙目録五の説明文三、四行目に「装着するための部材」とあるのを「装着するため用いうる部材」とすべきであると被告が主張する点を除く。)を少なくとも昭和四七年一月から昭和五〇年一月三一日までの間、コンバージヨンレンズ六を少なくとも昭和四七年一月から昭和四九年九月三〇日までの間、それぞれ製造、販売したことは当事者間に争いがなく、被告が交換レンズ四をかつて製造、販売した、あるいは現在製造、販売しているとの事実は、本件全証拠によるも認められない。
したがつて、本訴請求中、交換レンズ四に関する部分は、被告がこれをかつて製造、販売した、あるいは現在製造、販売しているとの前提を欠くから、その余の点について判断するまでもなく、理由のないこと明らかである。
四 しかして、仮に、本件発明の対象が、一眼レフレツクスカメラ本体のみではなく、自動プリセツト絞の可能な交換レンズとこれに対応する特定の構成を有するカメラ本体とから成る一眼レフレツクスカメラ全体であり、本件ミノルタカメラ及び本件キヤノンカメラが本件発明の技術的範囲に属するものであつて、かつ、被告製品(ただし、交換レンズ四を除く以下同じ。)を本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着することが本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」に該当するとしても、被告製品は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの生産に「のみ」使用する物(特許法第101条第1号)とはいえないから、被告製品を製造、販売することは、本件特許権のいわゆる間接侵害を構成しないとの被告の主張に鑑み、被告製品が本件発明に係るカメラの生産に「のみ」使用する物といえるか否かの点について判断する。
1 特許権に対する侵害とは、本来、正当な権原なくして特許発明の構成全体を実施することであり、したがつて、その一部のみの実施は特許権に対する侵害とはならないのであつて、これを特許が物の発明についてされている場合についていえば、原則として(均等論等の適用にある場合は別として)、特許発明構成要件をすべて具備する物の生産譲渡等が特許権に対する侵害となるのであつて、その構成要件を一部でも欠如する物の生産譲渡等は特許権に対する侵害とはならないところ、かくては、数個の構成要件から成る特許発明に係る物が二つ以上の部品に分けて生産、譲渡され、譲渡を受けた者によつて組立てられ右構成要件のすべてを具備する物が完成される場合において、部品を組立てて完成する業者が多数にのぼり、
これに対して権利行使をすることが著しく困難なときや、右組立て、完成が最終の需要者によつて個人的、家庭的に行われるためこれに対して権利行使をすることが許されないときなどのように、特許権の効力が著しく減殺されることがあることに鑑み、特許法第101条第1号は、特許発明に係る「物の生産にのみ使用する物」を業として生産、譲渡する等の行為に限り、特許権を侵害するものとみなし(いわゆる間接侵害)、特許権の効力を拡張して本来特許権の侵害とならない行為に対してまでもその権利行使を認めたものと解される。右のように同条(同号)の規定は対世的、絶対的な独占権である特許権の効力を拡張するものであり、そして、旧特許法(大正一〇年法律第九六号)改正のための工業所有権制度改正審議会の答申(一般部会関係)においては「特許発明に係る物の組成部分若しくはその物を製作するために使用される材料、機械、装置……をその特許権を侵害する目的を以て、
又は主としてその特許権の侵害に用いられることを知りながら製作、販売、拡布又は輸入した者は、その特許権を侵害したものとみなす。」(特許庁編、社団法人発明協会昭和三二年二月一日発行「工業所有権制度改正審議会答申説明書」一〇八頁)とされていたのが、立法の過程で、「その特許権を侵害する目的を以て、又は主としてその特許権の侵害に用いられることを知りながら」という主観的要件が削除され、代わりに客観的要件において特許発明に係る「物の生産にのみ使用する物」との限定が付されて現行法のような規定となつたことに照らすと、右規定にいう特許発明に係る「物の生産にのみ使用する物」の意義は、右規定の適用範囲が不当に広くならないよう、厳格に解釈すべきものといわなければならない。
してみれば、対象物件が特許発明に係る物の生産に使用する以外の用途を有するときは、右規定の適用のないこともちろんであるが、一方、およそあらゆる物について特定の用途以外の用途に使用される抽象的ないしは試験的な可能性が存しないとはいい難く、かかる可能性さえあれば右規定の適用がないということになれば、
右規定が設けられた趣旨が没却されることになりかねないことに徴すれば、右「特許発明に係る物の生産に使用する以外の用途」は、右のような抽象的ないしは試験的な使用の可能性では足らず、社会通念上経済的、商業的ないしは実用的であると認められる用途であることを要するというべきである。ただし、同条の規定のし方及び前記立法趣旨に照らせば、対象物件が特許発明に係る物の生産以外の用途を有するものと認められるときは、右規定の適用を求める特許権者においてその用途が社会通念上経済的、商業的ないしは実用的なものではないことの立証責任を負うというべきである。
これを要するに、第三者の生産、譲渡等に係る対象物件が、特許発明に係る物の生産に使用する以外の、社会通念上経済的、商業的ないしは実用的であると認められる用途を有しないときは、右対象物件は特許発明に係る物の生産にのみ使用する物ということができ右規定の適用があるが、かかる用途を有しないとはいえないときは、右対象物件は特許発明に係る物の生産にのみ使用する物ということはできず、右規定の適用はないものと解するを相当とする。
2 そこで、本件について検討することとする。
(一) 被告製品中、交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2、又はそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものが、いずれも、別表一の「装着できるカメラ」欄記載のミノルタ一眼レフレツクスカメラのすべてのカメラ本体に装着することができ、各場合に同表「作動の態様」欄記載の作動をすること、更にコンバージヨンレンズ三は、別表三のとおりミノルタ製の各レンズと組合せたうえ「装着できるカメラ」欄記載のすべてのミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着することができ、各場合に「作動の態様」欄記載の作動をすること、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものが、いずれも、別表二の「装着できるカメラ」欄記載のキヤノン一眼レフレツクスカメラのすべてのカメラ本体に装着することができ、各場合に同表「作動の態様」欄記載の作動をすること、更にコンバージヨンレンズ六は、別表四のとおり、キヤノン製の各レンズと組合せたうえ「装着できるカメラ」欄記載のすべてのキヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着することができ、各場合に「作動の態様」欄記載の作動をすること、そのうち、交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、2、若しくはそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたもの、又は別表三のミノルタ製のC・若しくはD・のレンズとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものが、いずれも、SRT-一〇一型のカメラ本体に装着されて、全体として本件ミノルタカメラを構成すること、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五、又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものが、FTb型及び標準仕様たるアイレベルフアインダーを装備したF-一型の各カメラ本体に装着され、また、別表四のキヤノン製のC・のレンズとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものが、FTb型及び標準仕様たるアイレベルフアインダー又はサーボEEフアインダーを装備したF-一型の各カメラ本体に装着されて、いずれも、全体として本件キヤノンカメラを構成することは当事者間に争いがない。
しかしまた、交換レンズ一、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター二の1、
2、又はそのいずれかとコンバージヨンレンズ三とを組合せたものは、別表一のとおり、SR-一型、NEW SR-一型、SR-一S型、SR-七型、NEW SR-七型の各ミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されると外光測光方式のカメラとなり、SR-M型、P、H、Wの各フアインダーを装備したX-一型の各ミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されると測光機能を有しないカメラとなり、更にコンバージヨンレンズ三は、別表三のミノルタ製の交換レンズのうちA・又はB・のレンズと組合された場合は、SRT-一〇一型、SRT super型、SR五〇五型、SR一〇一型、AE-Sフアインダー又はMフアインダーを装備したX-一型、XE型、XEb型、XG-E型、X-D型の各ミノルタ一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されたときでも、TTL絞込測光方式のカメラとなつて、以上いずれの場合も、本件ミノルタカメラ(TTL開放測光方式)を構成せず、本件ミノルタカメラと機構の異なるカメラを構成すること、ただし、この場合、交換レンズ一及びアダプター二の1、2のプリセツト絞レバー1、コンバージヨンレンズ三の連結レバー3は使用されることなく遊んでしまう(機能を果たさない)こと、また、交換レンズ鏡筒に取付けられたアダプター五又はこれとコンバージヨンレンズ六とを組合せたものは、別表二のとおり、FP型、FX型の各キヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されると外光測光方式のカメラとなり、ペリツクス型、ペリツクスQL型、FTQL型、FT型、ブースターフアインダーを装備したF-一型、EF型、AE-一型、A-一型の各キヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されるとTTL絞込測光方式のカメラとなり、サーボEEフアインダーを装備したF-一型のカメラ本体に装着されると特別の方式のカメラとなり、更にコンバージヨンレンズ六は、別表四のキヤノン製の交換レンズのうちA・又はB・のレンズと組合された場合は、FTb型及び標準仕様たるアイレベルフアインダーを装備したF-一型の各キヤノン一眼レフレツクスカメラのカメラ本体に装着されたときでも、TTL絞込測光方式のカメラとなつて、以上いずれの場合も、本件キヤノンカメラ(TTL開放測光方式)を構成せず、本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラを構成すること、ただし、この場合、アダプター五のプリセツト絞レバー1、コンバージヨンレンズ六の連結桿3は使用されることなく遊んでしまう(機能を果たさない)ことは当事者間に争いがない。
(二) 右事実によれば、被告製品は、少なくとも右(一)後段の各場合には、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラ、すなわち本件発明に係るカメラの構成を有しないカメラ(少なくとも本件発明の構成要件(1)又は(2)を欠如する。)のカメラ本体に装着されて使用される用途を有することが明らかである。
しかして、被告製品が本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラのカメラ本体に装着されて使用される右各場合には、交換レンズ一並びにアダプター二の1、2及び五のプリセツト絞レバー1、コンバージヨンレンズ三の連結レバー3、コンバージヨンレンズ六の連結桿3は、使用されることなく遊んでしまう(機能を果たさない)ことは前記のとおりであるところ、原告は、右被告製品のプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿は、本件発明の本来の機能を果たすため以外、他に何の用途も持たず、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの機構を有するカメラのカメラ本体と組合せて使用される場合にのみその本来の機能を発揮することができるのであるから、右被告製品をもつて本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの生産に「のみ」使用する物と解してしかるべきであると主張する。
しかしながら、右各場合において、被告製品の機構の一部であるプリセツト絞レバー又は連結レバー若しくは連結桿が使用されることなく遊んでしまいその機能を果たさないというだけのことであつて、被告製品は、それぞれ、交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズとしての役目は十分に果たし、全体として外光測光方式のカメラ、測光機能を有しないカメラ、TTL絞込測光方式のカメラ又は特別の方式のカメラとして使用することができるのであり、右各場合に被告製品の装着されるカメラ(本体)がいずれも日本カメラシヨーで一般配布されるカメラ総合カタログに掲載されたものであること当事者間に争いがなく、この事実並びに成立に争いのない乙第八号証、第九、第一一号証の各一ないし三、第一二号証、第一三号証の一、二、第二〇ないし第二二号証の各一、二、第二三号証の一ないし三、第二四、第二五号証の各一、二、本件口頭弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第一〇、第二六号証及び本件口頭弁論の全趣旨によれば、右各場合に被告製品の装着されるカメラが現に市販され、最終需要者によつてそのカメラ本体に被告製品が装着されて使用されている事実が存することが認められ、これを覆すに足る証拠はなく、そして、本件口頭弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第二七、第二八号証及び本件口頭弁論の全趣旨によれば、そもそも被告製品の如き交換レンズ、アダプター、コンバージヨンレンズの類は、各種のカメラ(本体)に装着して使用できることが特徴とされ、できるだけ多くの種類のカメラ(本体)に装着して使用できることを一つのセールスポイントとして販売されていることが認められること、本件発明は、前記二のとおり、そのカメラ本体に、自動プリセツト絞交換レンズだけでなく、手動絞交換レンズを装着しても撮影できることを特徴(第二の特徴)とするものである(構成要件(5)からも明らかである。)ところ、前掲甲第二号証によつて認められる本件明細書の記載及び本件口頭弁論の全趣旨によれば、この手動絞交換レンズを装着した場合には、カメラ本体の連動部材はその機能を果たさないことが認められるにもかかわらず、右のようにして本件発明に係るカメラの一使用態様として積極的に予定されていること、また、
本件口頭弁論の全趣旨によれば、ミノルタMDロツコールレンズは、シヤツター速度優先の自動露光撮影ができる最高級機種であるミノルタXD及びXD-Sに適合するよう連動爪を有するものであるが、右カメラより廉価なミノルタXG-E及びXG-Sに装着されると右ミノルタXG-E及びXG-Sが絞優先のカメラであるため、右MDロツコールレンズの右連動爪は遊んでしまうにもかかわらず、MDロツコールレンズは、ミノルタカメラ株式会社により、右ミノルタXG-E及びXG-Sの標準レンズとして指定され、宣伝、販売され、また、シヤツター速度優先のカメラであるキヤノンAE-一用のキヤノンFDレンズは、EEピンを有するものであるが、絞優先自動露光方式の最新のカメラであるキヤノンAV-一に装着されると、右EEピンは遊んでしまうにもかかわらず、FDレンズは、キヤノン株式会社により、右キヤノンAV-一の標準レンズとして指定され、宣伝、販売されていることが認められることを併せ考えると、被告製品が本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラと機構の異なるカメラを構成するべくそのカメラに本件装着して使用される用途は、社会通念上経済的、商業的ないしは実用的なものであると優に認めることができる。
(三) したがつて、被告製品は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラ以外の、社会通念上経済的、商業的ないしは実用的であると認められる用途を有しないとはいえないことが明らかであるから、前記1に説示したところにより、被告製品は本件発明に係るカメラの生産に「のみ」使用する物ということはできず、被告製品の製造販売については特許法第101条第1号の規定の適用はないといわなければならない。
なお、原告は、被告製品は、観念的には、(a)レンズの予定絞設定環についてカメラ本体がわの連動部材と係合する部材を有する、本件発明に係るカメラを構成する構造のものと、(b)右のような部材を有しない、本件発明に係るカメラを構成しない構造のものを重畳的に表現するものであつて、それぞれの構成の範囲で別個の用途を持つているとみることができ、(a)の構成を持つ側面から把握するとき、被告製品は、本件発明に係るカメラを構成する用途のみを有し、他に用途を有しないものであるから、本件発明に係るカメラの生産にのみ使用する物と観念されるところ、本件において原告が差止等の対象としているのは、この(a)の構成を有するものとしての被告製品であるから、かかる差止等の請求を認容することは、
特許権の保護の範囲を不当に拡張するものではない旨主張するが、仮に原告主張のように被告製品を分けて観念することができるとしても、本件において原告が差止等の対象としているのは、現実に被告が製造、販売する被告製品そのものであり、
これは、取引上の存在としてそれぞれ一個のものであり、原告のいう(a)、
(b)両方の側面を併せ有するものといわざるを得ないから、原告の右主張は採用するをえず、前記判断を何ら左右するものではない。
3 以上によれば、仮に、本件発明の対象が、一眼レフレツクスカメラ本体のみではなく、自動プリセツト絞の可能な交換レンズとこれに対応する特定の構成を有するカメラ本体とから成る一眼レフレツクスカメラ全体であり、本件ミノルタカメラ及び本件キヤノンカメラが本件発明の技術的範囲に属するものであつて、かつ、被告製品を本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラのカメラ本体に装着することが本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラの「生産」に該当するとしても、被告製品は、本件ミノルタカメラ又は本件キヤノンカメラすなわち本件発明に係るカメラの生産に「のみ」使用するものとはいえず、被告製品の製造販売については特許法第101条第1号の適用はないから、これが適用のあることを前提とする被告製品についての本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がないこと明らかである。
五 よつて、本訴請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第89条の規定を適用して、主文のとおり判決する。
追加
別紙目録一別紙目録一(図面)<12217-001>別紙目録二の1添附図面に示すとおりの、撮影レンズを透過する光を測定する方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラに、プリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒を装着するための部材、すなわち以下のような構造を有する交換レンズ用アダプター。
カメラ本体がわに設けられた露光計の指示を制御するための連動環と係脱自在に係合しうるプリセツト絞レバー1を備え、このプリセツト絞レバー1は、ハウジング2の側面に設けられた溝3内を溝の長手方向に移動しうるようになつており、かつ、ハウジング2の側面に設けられた他の溝4内を溝の長手方向に移動しうる二股突起5と互いに反対方向に向けて連動するようになつている。本アダプターが交換レンズ鏡筒に螺合された後、この二股突起5は連絡板7と係止され、この連絡板7は交換レンズ鏡筒のプリセツト絞環6にネジ止めされるので、プリセツト絞環6の回動に従つて二股突起5及びプリセツト絞レバー1が連動する。
別紙目録二-1(図面)<12217-002>別紙目録二の2添附図面に示すとおりの、撮影レンズを透過する光を測定する方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラに、プリセツト絞環を備えたレンズ鏡筒を装着するための部材、すなわち以下のような構造を有する交換レンズ用アダプター。
カメラ本体がわに設けられた露光計の指示を制御するための連動環と係脱自在に係合しうるプリセツト絞レバー1を備え、このプリセツト絞レバー1は、ハウジング2上に回動自在に嵌装された薄板状円環1′から突起して形成されていてアダプターの外周に沿つて回動しうるようになつており、かつ、右薄板状円環1′の前方(交換レンズ鏡筒がわ)においてハウジング2上に回動自在に嵌装された円筒3と更にその前方においてハウジング2上に固着されたローレツト環8との間隙によりハウジング2の円周上に形成された溝4内を溝の長手方向に移動しうる二股突起5と互いに反対方向に向けて連動するようになつている。円筒3の表面には1・8から32までの絞値の数字が、カメラ本体がわから見て反時計方向に順次表示されている。本アダプターが交換レンズ鏡筒に螺合された後、連絡板7の突起部基部7″は二股突起5と係止され、また連絡板7の突起部先端折曲部7′は円筒3の隆起部の上に刻まれた細溝10、10′、10″………のいずれかに適宜に嵌込まれて係合し(なお、細溝の選択については、交換レンズ鏡筒の予定絞設定環により絞を設定したとき、円筒3上に表示された数値のうち前記設定絞と同じ絞値が、使用カメラのフアインダーから読取れるような位置関係にくるような溝を選択する。)、この連絡板7は交換レンズ鏡筒のプリセツト絞環6にネジ止めされるので、プリセツト絞環6の回動に従つて二股突起5及びプリセツト絞レバー1が連動する。
別紙目録二-2(図面)<12217-003>別紙目録三撮影レンズを透過する光を測定する方式の露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラに使用するコンバージヨンレンズであつて、以下のような構造を有するもの。
添附縦断図面に示すとおり、ハウジング1の外周に遊嵌された連動リング4には連絡レバー3が固着されており、連動リング4は、バネ2により、装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて回動復帰するようになつている。本コンバージヨンレンズが撮影レンズとカメラ本体の間に装着されるときは、連絡レバー3のカメラ本体に接するがわの突起3aは、カメラ本体がわの連動環の突起と係脱自在に係合してこれと連動し、また連結レバー3の撮影レンズに接するがわの先端3bは、撮影レンズのプリセツト絞レバーに係脱自在に係合してこれと連動し、かくして撮影レンズのプリセツト絞環の回動をカメラ本体がわの絞調整機構の連動環に伝達するようになつている。
別紙目録三(図面)<12217-004>別紙目録四別紙目録四(図面)<12217-005>別紙目録五別紙目録五(図面)<12217-006>別紙目録六撮影レンズを透過する光を測定する方式の露出計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラに使用するコンバージヨンレンズであつて、以下のような構造を有するもの。
添附縦断図面に示すとおり、ハウジング1の内周に沿つて回動しうるように連結桿3が取付けられており、連結桿3は、バネ2により、装着する撮影レンズの絞の開放がわに向つて回動復帰するようになつている。本コンバージヨンレンズが撮影レンズとカメラ本体の間に装着されるときは、連結桿3のカメラ本体に接するがわの先端3aは、カメラ本体がわのプリセツト絞連動カムのプリセツト絞信号レバーと係脱自在に係合してこれと連動し、また連結桿3の撮影レンズに接するがわの突起3bは、撮影レンズのプリセツト絞レバーに係脱自在に係合してこれと連動し、
かくして撮影レンズのプリセツト絞環の回動をカメラ本体がわの絞調整機構のプリセツト絞連動カムに伝達するようになつている。
別紙目録六(図面)<12217-007>別紙七添附図面は、露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラの要部の構成を示すため、
カメラ本体の外筐を除去した斜視図である。
カメラ本体の前面に着脱可能に装着される交換レンズ8の光軸に対し四五度の角度に傾設される可動反射鏡1により、交換レンズ8から入射光線は常時ピントガラス9上に結像され、該ピントガラス9上に結像される被写体像は、ペンタプリズム10により反射され、カメラ本体背面の図示されていない接眼レンズを通して観測されるとともに、ピントガラス9により散乱される被写体像の光線の一部は、導光プリズム11a及び11bを透して光電体素子2a及び2bに導かれる。該光電体素子2a及び2bは、カメラ本体に配置される電流計3と図示されていない直流電源、固体抵抗とともに直列回路を構成しており、電流計3の指針3aは、ピントガラス上の一側縁に臨ませてフアインダー視野内に現われるようになつている。電流計指針3aは、常に絞の全開状態における被写体輝度に応じた振れ角を示す。
カメラ本体の前面に設けられた連動環6は、交換レンズ8のプリセツト絞環8aの突起8bと係合する突起6bを有する。
交換レンズ8のプリセツト絞環8a及び後記シヤツターダイヤル20は、クリツプストツプにより係止され、撮影者がそれらの操作を行わない限りカメラ内部の各種スプリングの牽引力のみによつてはみだりに回動しえないように構成されている。
カメラ本体がわの露光計指示制御部においては、軸13に回転可能にシヤツタースピード調整プリー17が軸着され、これとは別に遊星プリー16を有する追針環15と追針カム18が一体に軸13に回転可能に枢着され、スプリング19により、矢印19′で示す左回り方向の回動習性が与えられている。追針環15上には予定絞値伝達プリー14が遊嵌され、相対的に回動可能に枢着されている。
一端を連動環6に固着された伝動紐12は、転向プリー(27)1、(27)2を経て予定絞値伝達プリー14に左巻方向に巻かれ、遊星プリー16に巻回された後、シヤツタースピード調整プリー17に右巻方向に巻かれ、転向プリー(27)3、(27)4を経てシヤツタースピードダイヤル20の軸筒20bに巻回され、
転向プリー(27)5、(27)6、(27)7を経て、バネにより矢印の方向に30′方向に回動する習性を有する巻軸30に巻回されている。なお、伝導紐12は、フアインダー視野内に表示されるようにピントガラス9に並べて配置されたシヤツタースピード表示板29においてシヤツタースピードを表示するシヤツタースピード表示指針28を挟持している。
連動環6は、スプリング19の回動習性により、伝動紐12を介して、プリセツト絞環8aの全開方向へ回動しようとする習性が与えられているので、交換レンズ8のプリセツト絞環8aを全開位置にセツトしてカメラ本体に装着すると、プリセツト絞環8aの突起8bは、連動環6の突起8bと係合し、プリセツト絞環8aを絞込方向に回動すれば連動環6もこれに応じて回動するので、常に係合関係が確保されて、カメラ本体がわに予定絞量の情報を伝達することができる。もし、カメラ本体に手動絞交換レンズ、すなわちプリセツト絞環8aの突起6bに相当するものを有しない交換レンズを装着するときは、連動環6はプリセツト絞レンズを装着した場合のプリセツト絞環8aの突起8bの絞全開方向に移動復帰したままの状態にある。
軸22に軸着され、右回転方向の回動習性を有する追針レバー21は、その一端が追針カム18に当接し、その他端が、電流計3の指針3aの直上に設けられた軸24に軸着され左回転方向の回動習性を有する追針23の一方の腕25と係合している。追針23の他方の腕の追針指針26は、電流指針3aと同様にピントガラス9の一側縁に臨ませて、フアインダー視野内に現われるようになつている。追針指針26は、伝動紐12を介して、プリセツト絞環8aによる絞及びシヤツタースピードダイヤル20の回動によつて振れる。すなわち、プリセツト絞環8aは、全開の状態で連動環6とそれぞれ突起8b、6bにより係合しているので、これを希望の予定絞値まで回動させれば、その量に応じて連動環6も回動し、伝動紐12を牽引するので、予定絞値伝達プリー14が回動し、追針環15の遊星プリー16を牽引するので、追針環15はスプリング19に抗して回動し、これに伴つて、シヤツタースピード調整プリー17を巻いている伝動紐12の部分にたるみを生じさせないよう、遊星プリー16は追針環15とともに公転しながら自転する。追針カム18は追針環15とともに回動するので、追針レバー21を介して追針23は回動し、追針指針26が、ある位置まで振れる。他方、シヤツタースピードダイヤル20を回動すると軸筒20bが回動し、伝動紐12を移動するので、その移動量に応じてシヤツタースピード調整プリー17が回動し、遊星プリー16は追針環15と共に回動するので、この場合も追針レバー21を介して追針23は回動し、追針指針26が振れる。前記のとおり、電流計指針3aは絞の全開状態における被写体輝度に応じた位置にあり、シヤツターダイヤル20を回動して追針指針26をこれに重なる位置に動かせば、その時の予定絞値に対応した適正な露光時間の設定がなされるようになつている。
別紙七(図面)<12217-008>別紙八添附図面は露光計を組込んだレンズ交換式一眼レフレツクスカメラの要部を示すため、カメラ本体の外筐を除去した斜視図である。
カメラ本体の前面に着脱可能に装着される交換レンズ8の光軸に対し四五度の角度に傾設される可動反射鏡1により、交換レンズからの入射光線はピントガラス9上に結像され、ここで結像された被写体像は、ペンタプリズム10によりカメラ本体背面の接眼レンズ13を透して観測されるとともに、ピントガラス9により散乱される被写体像の光線の一部は、ハーフミラー11によつて反射され光電体素子2に導かれる。光電体素子2は電源4、検流計3と回路を構成しており、検流計指針3aは、ペンタプリズム10の一側面に臨ませて、フアインダー視野内に現われるようになつている。検流計指針3aは絞の全開状態におけるレンズを透過した光量に応じ検流計本体に対して回動する。カメラ本体のレンズ取付口近くに設けられたプリセツト絞連動カム6は、その前面に、交換レンズ8のプリセツト絞環8aの回動に応じて移動するプリセツト絞レバー8bと係合するプリセツト絞信号レバー6aを有する。
交換レンズ8のプリセツト絞環8a及び後記シヤツターダイヤル20は、クリツプストツプにより係止され、撮影者がそれらの操作を行わない限りカメラ内部の各種スプリングの牽引力のみによつてはみだりに回動しえないように構成されている。
シヤツターダイヤル20の軸18にはシヤツター連動カム17が軸着されている。連動桿22はある程度矢印Aの方向に摺動可能であるようにカメラ本体に装着され、後記バネ5bの張力により、連動桿22に固着された連動レバー21の先端はカム17のカム面に当接する習性が与えられている。
検流計3は回転軸XYを中心に回動し、検流計本体下部には、ピン5aが上方に突出した腕5が固着され、更にこの腕5に取付けられたバネ5bにより常時右旋回(上方から見て)習性が付与されている。
連動桿22の一端の突出部22aは、検流計3の腕5から突出したピン5aと検流計3の回動習性に逆う方向に係合し相互の接触関係が常時確保されている。
シヤツターダイヤル20をシヤツター速度とフイルム感度に応じ回転させると、
シヤツター連動カム17が回動するので、連動桿22は連動レバー21を介して矢印Aの方向に移動する。これにより検流計3本体は矢印Bの方向に回転するので、
検流計指針3aもともにその回転に従つて振れる。
撮影レンズのプリセツト絞環8aに連動するカメラ本体がわの露光制御としては、プリセツト絞連動カム6の後端が下方に幅広くなるよう斜めのカムになつており、この面にバネ24aの引張力によつて追針レバー23の突起25が常時当接している。プリセツト絞連動カム6は上下方向に移動しうるよう設けられており、その上端に固着したスプリング19により上方に移動復帰する習性を与えられている。交換レンズ8のプリセツト絞環8aを全開位置にセツトしたときプリセツト絞レバー8bはカメラ本体に対して最上部に位置し、これが絞込方向に回動されるに従つて下降することによつて、カメラ本体がわに予定絞量の情報を伝達する。このとき、プリセツト絞連動カム6は常にスプリング19によつて上方に移動復帰する習性が与えられているのでプリセツト絞レバー8bとプリセツト絞信号レバー6aは常に係合関係が確保され、もし、カメラ本体に装着された交換レンズが手動絞込用のもの、すなわちプリセツト絞レバー8bを有しないものであるときは、プリセツト絞連動カム6はプリセツト絞レンズを装着した場合のプリセツト絞レバー8bの絞全開方向に移動復帰したままの状態にある。追針レバー23は追針レバー軸24を中心として矢印Cの方向に回転する。追針レバー23の一端にある追針26は、検流計指針3aと同様にペンタプリズム10の一側面に臨ませて、フアインダー視野内に現われるようになつている。追針26は、プリセツト絞環8aの回動によつて振れる。すなわち、プリセツト絞環8aは、全開の状態でプリセツト絞レバー8b、プリセツト絞信号レバー6aを介して連動カム6と係合しているので、プリセツト絞環8aを絞込方向へ回動させると、その量に応じてプリセツト絞連動カム6はスプリング19に抗して下方に押し下げられ、これに伴つて追針レバー23の突起25は連動カム6の斜辺上を滑つていくので追針レバー23は傾斜し、追針26が振れる。検流計指針3aは、絞の全開状態における光量と、シヤツターダイヤル20に設定したシヤツタースピードとフイルム感度に応じた位置にあり、この検流計指針3aに追針26が重なるようプリセツト絞環が回動されたとき適正な予定絞が設定される。
別紙八(図面)<12217-009>別紙(い)別紙目録一記載の交換レンズをミノルタカメラSRTー一〇一のカメラ本体に装着した場合の説明図である。図中ほぼ中央に太線で示された交換レンズ部は別紙目録一の図面のものを示し、カメラ本体がわの連動環及び本体内部の露光計指示制御機構の図は、別紙七の図面に示したものと同一である。
図中7-6なる部品(別紙七の図面に示す部品6を意味し、以下これに準ずる。)はカメラ本体のマウント外周部に回動自在に設けられた連動環で、交換レンズのプリセツト絞環1-2(別紙目録一の図の記号2の部品を示す。以下同じ。)にあるプリセツト絞レバー1-1と係合する突起7-6bを有しているとともに、
伝導紐7-12を介して、プリセツト絞環1-2の絞全開方向すなわちカメラ本体がわから見て時計方向(以下、方向の指示はカメラ本体がわから見たもので表示する。)に移動復帰しようとする習性が与えられている。したがつて、レンズがわのプリセツト絞環1-2を絞込方向に回動すれば、カメラ本体がわの連動環7-6は、その突起7-6bがレンズがわプリセツト絞レバー1-1と常に接触を保ちつつ同一方向に回動し、以下、伝導紐7-12を介してカメラ本体内の電光計の指示を制御するようになつていることは別紙七に詳記したものと全く同一である。
(い)図<12217-010>別紙(ろ)別紙目録二-1記載のアダプターにプリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒を結合して交換レンズを構成し、ミノルタカメラSRT-一〇一本体に装着した場合の発明図である。このようにしてできた交換レンズが図面の左方部に示されている。
図面手前に画かれた7-6等から成る部分は、カメラ本体がわの連動環であつて、これから7-12の伝導紐を介してつながつているカメラ本体内部の露光計指示制御機構の構造は(い)図(すなわち別紙七の図面)と全く同様である(図示は省略)。この交換レンズ部の構成は別紙目録二-1に示すとおりであるが、プリセツト絞レバー2-1は、二股突起2-5と反対方向に向けて連動するようになつている。この二股突起2-5はプリセツト絞環2-6と同じ方向に回動する。このプリセツト絞レバー2-1の左側に、カメラ本体がわの連動環7-6の突起7-6bが係合する。プリセツト絞環2-6が全開位置に設定されているとき、二股突起2-5は、溝2-4の長手方向最下端に来るのであるから、これと反対方向に向けて連動するプリセツト絞レバー2-1は、溝2-3の長手方向最右端に位置することになる。この位置は、これと係合している本体がわの連動環7-6の突起7-6bが、伝導紐7-12を介して本体がわのバネにより回動復帰した位置と同じである。
(ろ)図<12217-011>別紙(は)別紙目録二-2記載のアダプターにプリセツト絞環を備えた交換レンズ鏡筒を結合して交換レンズを構成し、ミノルタカメラSRT-一〇一本体に装着した場合の説明図である。(ろ)図のものの改造品にすぎない。すなわち図の2-2-3として示されているようにプリセツト絞値を表示した表示環がレンズマウント部の近傍に追加されたのみで、プリセツト絞環2-2-6、二股突起2-2-5、プリセツト絞レバー2-2-1、本体がわの連動環7-6、その突起7-6bの基本的な構成、作用は別紙(ろ)の場合と何らの変更もない。
(は)図<12217-012>別紙(に)別紙目録三に示されたコンバージヨンレンズを別紙目録一に示された交換レンズに装着したうえで、更に、ミノルタカメラSRT-一〇一カメラ本体に取付けた状態を示したものである。図中、C部は交換レンズ部であり、B部はコンバージヨンレンズ部、Aはカメラ本体がわの連動環部を示し、その他の部分は、別紙七のカメラ本体内露光指示制御機構の説明図と同一である。コンバージヨンレンズのハウジング部3ー1の外周に回動自在に遊嵌された連動リング3ー4に固着されている連結レバー3ー3の一端部3ー3bは交換レンズのプリセツト絞レバー1ー1の左側に、他端部3ー3aはカメラ本体がわ連動環の突起7ー6aの右側に接触する如く位置する。しかも、3ー4の連動リングはハウジング部3ー1の外周において常に交換レンズの絞全開方向にごく弱いバネによる移動復帰習性を有する。なお、連結レバー3ー3の一端3ー3bは中心線より右側半分が、他端3ー3aは左側半分が切欠かれている。
(に)図<12217-013>別紙(ほ)(ほ)図<12217-014>別紙(へ)(へ)図<12217-015>別紙(と)別紙目録五に記載のアダプターに交換レンズ鏡筒を結合して交換レンズとし完成したものをキヤノンFー一又はFTbに装着した場合の説明図である。図中、左上方に示されているのがアダプターに交換レンズ鏡筒を結合した交換レンズであり、
右方に示された図は別紙八に記載したものと同一のカメラ内部の露光指示制御機構の説明図を視角を変えて描いたものである。
今、交換レンズがわプリセツト絞環5ー6を絞開放にセツトしてカメラ本体に装着すれば、交換レンズがわのプリセツト絞情報をカメラ本体がわに伝達するための5ー1なるプリセツト絞レバーの下縁は、カメラ本体がわの連動カム8ー6より前方に突出したプリセツト絞信号レバー8ー6aの上縁に係合して追針8ー26が絞全開を示す。連動カム8ー6はスプリング8ー19によつて上方への移動復帰習性が与えられており、この方向は交換レンズがわプリセツト絞レバー5ー1を時計方向に回動せんとする方向、すなわち絞全開方向と一致する。プリセツト絞環5ー6を順次絞込みの方向すなわち時計方向に回動すれば、プリセツト絞レバー5ー1はこれと連動して5ー6とは反対方向すなわち反時計方向に回動して、これと係合している本体がわプリセツト絞信号レバー8ー6aを下方に移動せしめ、追針8ー26にプリセツト絞情報を伝達する。その他の構成、作用等は別紙八に記載のとおりである。
(と)図<12217-016>別紙(ち)a図は、(と)図に示した交換レンズのカメラ本体へ装着するがわに、別紙目録六のコンバージヨンレンズを取付け一体としたものを別紙(と)に説明したカメラ本体に装着した場合の説明図で、B部分がコンバージヨンレンズ、A部分が交換レンズ部で、その右方の図は別紙八と全く同一のカメラ本体内部の説明図である。b図は、交換レンズAとコンバージヨンレンズBとを切離して各々の接合面を示すためのものである。コンバージヨンレンズのハウジング6ー1の前後の底板にそれぞれ穿かれた光軸に同心の円弧溝を貫通する連結桿6ー3は、同溝内を光軸と常に平行に、かつ同心的に回動自在であつて軽いバネによつて、交換レンズの絞全開方向すなわち時計方向に移動復帰習性が与えられている。したがつて、交換レンズに取付けられたときは連結桿6ー3の一端6ー3bの上縁が常に交換レンズのプリセツト絞レバー5ー1の下縁に、また両者を結合してカメラ本体に装着すれば、その他端6ー3aの下縁が、カメラ本体がわのプリセツト絞信号レバー8ー6aの上縁に係合する。そうして連結桿6ー3はその一端6ー3bの上縁と他端6ー3aの下縁とが一直線上にある如く形成されている。そして、交換レンズとコンバージヨンレンズとを結合して更にカメラ本体に装着したとき、レンズがわ予定絞環からの予定絞情報は、(と)図の場合と同じようにカメラ本体がわに伝達される。
(ち)図<12217-017>別表一(a)「別紙目録一の交換レンズ」を装着できるカメラ及び各場合における作動の態様(b)「別紙目録二の1、2の各アダプター」を交換レンズ鏡筒に取付け固定して成る交換レンズを装着できるカメラ及び各場合における作動の態様(c)「別紙目録三のコンバージヨンレンズ」を上記(a)、(b)の交換レンズと組合せて装着できるカメラ及び各場合における作動の態様これらは、いずれも共通であつて、以下のとおりである。
装着できるカメラ作動の態様備考SRー一外光測光(マニアル)注1NEWSRー一外光測光(マニアル)注1SRー一s外光測光(マニアル)注1SRー七外光測光(マニアル)注1NEWSRー七外光測光(マニアル)注1SRーM測光機能を有しない。注2注1SRTー一〇一TTL開放測光(マニアル)SRTsuperTTL開放測光(マニアル)SR五〇五TTL開放測光(マニアル)SR一〇一TTL開放測光(マニアル)Xー一(AEーSフアインダー装備)@TTL開放測光(マニアル、AE)ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1Xー一(Mフアインダー装備)@TTL開放測光(マニアル)ATTL絞込測光(マニアル)注1Xー一(P、H、Wの各フアインダー装備)測光機能を有しない。注2注1XE@TTL開放測光(マニアル、AE)ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1XEb@TTL開放測光(マニアル、AE)ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1XGーETTL開放測光(AE)XーDTTL開放測光(マニアル、AE)注1この場合、交換レンズがわのプリセツト絞レバー、コンバージヨンレンズの連結レバーは、全く無用の存在で、何の機能も果たさない。
注2撮影者が適宜決定した絞値とシヤツター速度で撮影。
注3マニアル:カメラに取付け、あるいは組込まれた露光計が適切な指示を行い、これを利用した撮影。
別表二(a)「別紙目録五のアダプター」を交換レンズ鏡筒に取付け固定して成る交換レンズを装着できるカメラ及び各場合における作動の態様(b)「別紙目録六のコンバージヨンレンズ」を上記(a)の交換レンズと組合せて装着できるカメラ及び各場合における作動の態様これらは、いずれも共通であつて、以下のとおりである。
装着できるカメラ作動の態様備考FP外光測光(マニアル)注1FX外光測光(マニアル)注1ペリツクスTTL絞込測光(マニアル)注1ペリツクスQLTTL絞込測光(マニアル)注1FTQLTTL絞込測光(マニアル)注1FTTTL絞込測光(マニアル)注1Fー一(標準仕様)@TTL開放測光(マニアル)ATTL絞込測光(マニアル)注1Fー一(サーボEEフアインダー装備)撮影者がフアインダーに組込まれている露光計の指示する絞の絶対値を読取つて、設定する。注1Fー一(ブースターフアインダー装備)TTL絞込測光(マニアル)注1FTb@TTL開放測光(マニアル)ATTL絞込測光(マニアル)注1EFTTL絞込測光(マニアル)注1AEー一TTL絞込測光(マニアル)注1Aー一TTL絞込測光(AE)注1注1この場合、交換レンズがわのプリセツト絞レバー、コンバージヨンレンズの連結桿は、全く無用の存在で、何の機能も果たさない。
なお、マニアルについては別表一の注3参照。
別表三「別紙目録三のコンバージヨンレンズ」をミノルタ製各種交換レンズと組合せて装着できるカメラ及び各場合における作動の態様。
なお、ミノルタ製交換レンズを定性的に次のA〜Dの四種類に分類して表示する。
A、手動絞交換レンズB、プリセツト絞レバーを有しない自動プリセツト絞交換レンズC、プリセツト絞レバーを有する自動プリセツト絞交換レンズ(MCロツコール)D、プリセツト絞レバーの外に最小絞値信号爪(MD爪)を有する自動プリセツト絞交換レンズ(MDロツコール)装着できるカメラレンズの種類作動の態様備考SRー一A、B、C、D外光測光(マニアル)注1NEWSRー一A、B、C、D外光測光(マニアル)注1SRー一sA、B、C、D外光測光(マニアル)注1SRー七A、B、C、D外光測光(マニアル)注1NEWSRー七A、B、C、D外光測光(マニアル)注1SRーMA、B、C、D測光機能を有しない。注2注1SRTー一〇一A、BTTL絞込測光(マニアル)注1C、DTTL開放測光(マニアル)SRTsuperA、BTTL絞込測光(マニアル)注1C、DTTL開放測光(マニアル)SR五〇五A、BTTL絞込測光(マニアル)注1C、DTTL開放測光(マニアル)SR一〇一A、BTTL絞込測光(マニアル)注1C、DTTL開放測光(マニアル)Xー一(AEーSフアインダー装備)A、BTTL絞込測光(マニアル、AE)注1C、D@TTL開放測光(マニアル、AE)ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1Xー一(Mフアインダー装備)A、BTTL絞込測光(マニアル)C、D@TTL開放測光(マニアル)ATTL絞込測光(マニアル)注1Xー一(P、H、Wの各フアインダー装備)A、B、C、D測光機能を有しない。注2注1XEA、BTTL絞込測光(マニアル、AE)注1C、D@TTL開放測光(マニアル、AE)ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1XEbA、BTTL絞込測光(マニアル、AE)注1C、D@TTL開放測光(マニアル、AE)ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1XGーEATTL絞込測光(AE)注1C、DTTL開放測光(AE)XーDA、BTTL絞込測光(マニアル、AE)注1C、DTTL開放測光(マニアル、AE)注1コンバージヨンレンズの連結レバーは全く無用の存在で何の機能も果たさない。
注2及びマニアルについては、別表一の注2、注3を参照。
別表四「別紙目録六のコンバージヨンレンズ」をキヤノン製各種交換レンズと組合せて装着できるカメラ及び各場合における作動の態様。
なお、キヤノン製交換レンズを定性的に次のA〜Cの三種類に分類して表示する。
A、手動絞交換レンズB、プリセツト絞レバーを有しない自動プリセツト絞交換レンズ(FLレンズ)C、プリセツト絞レバーの外にEEピンを有する自動プリセツト絞交換レンズ(FDレンズ)装着できるカメラレンズの種類作動の態様備考FPA、B、C外光測光(マニアル)注1FXA、B、C外光測光(マニアル)注1ペリツクスA、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1ペリツクスQLA、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1FTQLA、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1FTA、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1Fー一(標準仕様)A、BTTL絞込測光(マニアル)注1C@TTL開放測光(マニアル)ATTL絞込測光(マニアル)注1Fー一(サーボEEフアインダー装備)A、B撮影者がフアインダーに組込まれた露光計の指示する絞の絶対値を続取つて設定する。注1CTTL開放測光(AE)Fー一(ブースターフアインダー装備)A、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1FTbA、BTTL絞込測光(マニアル)注1C@TTL開放測光(マニアル)ATTL絞込測光(マニアル)注1EFA、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1AEー一A、B、CTTL絞込測光(マニアル)注1Aー一ATTL絞込測光(マニアル、AE)注1BTTL絞込測光(AE)注1CTTL絞込測光(マニアル、AE)注1注1コンバージヨンレンズの連結桿は全く無用の存在で何の機能も果さない。
なお、マニアルについては別表一の注3参照。
計算表<12217-018><12217-019><12217-020><12217-021><12217-022>第一図<12217-023>
裁判官 秋吉稔弘
裁判官 水野武
裁判官 設楽隆一