審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成8ワ12109特許権等侵害行為差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成11ワ3968特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成12ワ16531特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成11ワ12736特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成11ワ5104特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 協議 / 物の発明 / 方法の発明 / 公知技術 / 技術的範囲 / 実質的に同一 / 実施料相当額 / 権利の濫用(権利濫用) / 優先日 / 特許発明 / 実施 / 権原 / 加工 / 属地主義 / 間接侵害 / 構成要件 / 方法の使用 / 業として / 差止請求(差止) / 侵害 / 侵害するおそれ / 損害額 / 実施料 / 実施権 / 専用実施権 / 設定登録 / 発明の範囲 / 拡張 / |
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事件 |
平成
10年
(ワ)
12875号
特許権侵害差止等請求事件
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原告 ミリケン・リサーチ・コーポレーション右代表者 【A】 原告 ミリケン・アンド・カンパニー右代表者 【A】 右原告ら訴訟代理人弁護士 品川澄雄 同 吉利靖雄右補佐人弁理士 山本秀策 同 森下夏樹 被告 新日本理化株式会社右代表者代表取締役 【B】 右訴訟代理人弁護士 村林隆一 同 松本司 同 岩坪哲右補佐人弁理士 岩田弘 同 三枝英二 同 小原健志 同 藤井淳 |
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裁判所 | 大阪地方裁判所 |
判決言渡日 | 2000/12/21 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
一 原告らの請求をいずれも棄却する。 二 訴訟費用は原告らの負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
一 被告は、別紙物件目録記載の物件を製造、販売してはならない。 二 被告は、被告の所有する前項記載の物件を廃棄せよ。 三 被告は、原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションに対し、金二七〇〇万円及びこれに対する平成一一年七月二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。 |
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事案の概要
一 基礎となる事実(いずれも争いがないか弁論の全趣旨により認められる。なお、以下、書証の掲記は甲1などと略称し、枝番号のすべてを含む場合はその記載を省略する。)1 原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションの特許権 原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションは、別紙特許権目録記載の特許権(以下「本件特許権」といい、請求項1、14及び20に係る発明を「本件発明」という。)を有している。 2 原告ミリケン・アンド・カンパニーの専用実施権 原告ミリケン・アンド・カンパニーは、本件特許権について、別紙専用実施権目録記載の専用実施権を有している。 3 被告の行為 被告は、遅くとも平成一〇年三月以降、ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールからなる「Gel All DX」という名称の商品(以下「被告製品」という。)を日本国内で製造し、外国向けにのみ販売、輸出し、日本国内向けには販売していない。 二 原告らの請求 本件は、原告らが、被告に対し、被告製品は本件発明の方法の実施にのみ使用する物(請求項1関係)又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物(請求項14及び20関係)であるから、それらの製造、販売は本件特許権を侵害するとみなされる(間接侵害)として、@被告製品の製造、販売等の差止め、A被告製品の廃棄を求めるとともに、原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションが、B平成一〇年三月から同年一二月二四日までの被告製品の販売に係る損害賠償請求をした事案である。 三 争点1 被告製品の特定2 被告製品は、本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物か。 3 先願優位の抗弁の成否4 権利濫用の抗弁の成否5 公知技術実施の抗弁の成否6 損害額 |
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争点に関する当事者の主張
一 争点1(被告製品の特定)について【原告らの主張】 被告製品は、別紙物件目録記載のとおりの構成を有する。 【被告の主張】 次の理由から、否認する。 1 被告製品は立体構造を有する。 2 被告製品は、「透明剤」であると同時に「核剤」でもある。 3 物性(1)は、d97が一〇三μmである。 4 物性(2)は、二二μmである。 二 争点2(間接侵害性)について【原告らの主張】1 別紙物件目録記載のとおり、被告製品は透明剤であるところ、被告製品の構造及びそれを半結晶ポリオレフィン樹脂に導入する方法は、d97についての要件を除いて、本件発明の構成要件をいずれも充足する。 そして、被告製品がポリオレフィン樹脂に溶融混合されて樹脂が成形される場合、溶融混合に先立ってポリオレフィン樹脂と被告製品とは、必ず乾式混合され、 その際、被告製品の粒径は必然的に小さくなり、その結果、被告製品のd97は、三〇μm以下となる。 したがって、被告が被告製品を製造、販売する行為は、特許法101条1号の規定する「その物の生産にのみ使用する物を生産し、譲渡」する行為に該当し(請求項14及び20関係)、かつ同二号に規定する「その発明の実施にのみ使用する物を生産し、譲渡」する行為に該当する(請求項1関係)。 2 被告は、被告製品には、プロピレン系重合体の物理的特性や熱的特性を改善するための核剤としての用途もあるとか、透明剤としての用途以外にも不透明用途もあると主張する。 しかし、まず、被告製品がポリオレフィン樹脂に核剤として添加されると、核形成によってポリオレフィン樹脂の透明性を向上させるのであるから、被告製品を核剤として使用するということは、とりもなおさず透明剤として使用することにほかならない。 また、被告が主張する物理特性改善や熱的特性の改善の使途は、産業上の利用可能性を指摘するにとどまり、実用的な用途ではない。 被告製品に非透明用途は存しないが、仮に被告製品に非透明用途があるとしても、本件発明における「透明剤」とは、「ソルビトールアセタール系核剤及びキシリトールアセタール系核剤」という語と実質的に同一の意味を有すると解すべきであるから、被告製品に不透明用途があるとしても、被告製品が本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物であることに変わりはない。 3 被告は、被告製品が日本国外向けにのみ輸出されてきたことを理由に間接侵害の成立を否定する。しかし、被告は、輸出の前提として、被告製品を日本国内で製造、販売しているばかりでなく、輸出自体についても日本国内における取引行為に着目すれば、「譲渡」(特許法2条3項1号)に該当する。 また、被告は、講学上の従属説に立って間接侵害の成立には直接侵害の存在を必要とすると主張しているようである。しかし、特許法101条が、未だ特許権を直接侵害していないが、放置すれば必然的に侵害が生じるおそれのある予備的な行為をも「侵害するものとみなす」と規定して、特許権の効力を強化した趣旨に照らせば、間接侵害の成立には、直接侵害の存在を必要とするとの見解が入れられる余地はない。そして、間接侵害の成立には直接侵害の存在は不要であるとの見解は、ドイツやアメリカ合衆国の特許法において明文規定として採用されていることからも、その合理的妥当性が裏付けられるものである。 したがって、被告製品が日本国外向けにのみ輸出されてきたことを理由に間接侵害の成立を否定することはできない。 【被告の主張】1 被告製品をポリプロピレン樹脂に溶融混合する場合でも、予備的混合を行うことなくプロピレン系重合体に直接溶融混練する方法や、プロピレン系重合体の重合時に添加する方法等があり、必ず乾式混合による予備的混合が行われるわけではない。そして、このように乾式混合による予備的混合を行わない方法でプロピレン系重合体に被告製品を供給して混練するときには、被告製品はそれ自体が有する粒径を保持したままで供給され、その粒径が小さくなることはない。 被告製品の粒径は、争点1についての被告の主張のとおりであり、本件発明のd97及び平均粒径の要件を充足しないものであるから、被告製品は、本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物ではない。 2 被告製品の粒径は、争点1についての被告の主張のとおりであり、このような被告製品では、たとえ乾式混合による予備的混合を行ったとしても、その過程で粒径が本件発明の粒径の要件を充足するに至るものではない。 3 被告製品の用途は、透明剤としての用途に限られず、プロピレン系重合体の物理的特性や熱的特性を改善するための核剤としての用途もある。 また、本件発明の「透明剤」とは、プラスチックないしポリオレフィン樹脂の透明性を改善するために用いられるものを意味すると解すべきところ、被告製品は非透明用途にも用いられる。 したがって、被告製品は、本件発明の方法の実施又は本件発明に係る物の生産にのみ使用する物ではない。 4 被告は、被告製品を、専ら海外に輸出するのみであったところ、輸出は特許法上の「実施」に該当せず、また、外国における物の「譲渡」は日本国の特許発明の「実施」でないことは、特許法2条3項の規定から明らかである。 したがって、被告製品の輸出及び外国における実施は、我が国における間接侵害を構成しない。 三 争点3(先願優位の抗弁の成否)【被告の主張】 被告製品は、被告が有する本件発明の先願発明である特許第一三四〇六九九号(特願昭五四ー一二一六九六号)の実施品であるから、先願優位の原則により、被告製品の製造、販売は本件発明の侵害とならない。 【原告らの主張】 被告主張の先願発明には、被告製品を構成する化合物であるビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールは開示されていない。 また、被告主張の先願発明では、核剤・透明剤の粒径を本件発明の範囲内まで超微粒化することは開示されておらず、被告の後願発明(特願昭六三ー二三二八九六号)に関する明細書の記載からしても、被告は、ジベンジリデンソルビトール(DBS)系化合物を超微粒化することによって、その融点よりもはるかに低い温度で溶解速度に著しい影響を与え得ることを知らなかったことが裏付けられる。 したがって、被告の先願優位の抗弁は成立しない。 四 争点4(権利濫用の抗弁)について【被告の主張】 @本件発明はその優先日前の公知文献である乙14(特開昭六三ー一二〇七八八号公開特許公報)により全部公知であり、A本件発明のうち請求項14の発明は乙16(オーストラリア特許公告AU-B-11485/88号公報)からも全部公知である。 したがって、本件特許には明白な無効理由があるから、その行使は権利の濫用である。 【原告らの主張】 本件発明は、乙14又は16により全部公知ではない。 五 争点5(公知技術実施の抗弁)について【被告の主張】 本件発明の優先日より前に、ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトール自体既に公知であり、またこれをポリオレフィン樹脂成形体の透明化剤として用いることも公知であった(乙46〔特開平三ー一六九八八二号公開特許公報〕)から、 本件発明は、乙46に記載されているような通常の合成法で得られたDBS類に、本件明細書で記載されているようなジェット流動床を用いる等の超微粒化手段を施すことによって、平均粒径を所定の超微粒状にした点に特徴があるものと解すべきである。 他方、被告製品は、通常の合成法で合成されたもので超微粒化手段を施しておらず、実際にも本件発明所定の粒径の要件を満たしていないから、被告製品は公知の技術を実施するものにすぎない。 したがって、被告製品の製造、販売には、本件特許権の効力は及ばない。 【原告らの主張】 本件発明の優先日当時、ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールは公知であったが、その粒径を小さくして気泡及び白点などの欠陥を解消するという知見は公知ではなく、乙46の発明によっても右欠陥のリスクがあることに変わりはない。 したがって、被告の公知技術実施の抗弁は失当である。 六 争点6(損害額)について【原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションの主張】 被告は、被告製品について、販売を開始した平成一〇年三月から、原告ミリケン・アンド・カンパニーに本件特許権の専用実施権が設定登録された平成一〇年一二月二四日までの間に、少なくとも一億八〇〇〇万円の売上げを得たところ、本件発明の実施料率は売上高の一五%が妥当であるから、原告ミリケン・リサーチ・コーポレーションが被告に対して請求し得る実施料相当額は、二七〇〇万円を下らない。 【被告の主張】 争う。 |
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争点に対する当裁判所の判断
一 争点1(間接侵害性)について1 被告が被告製品を、これまで外国向けにのみ輸出、販売し、日本国内向けに販売していないことは当事者間に争いがない。 また、証拠(乙28、41、42、48ないし51)と弁論の全趣旨によれば、@被告は、 被告製品を構成する化合物であるビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールを製造するに先立ち、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律3条1項に基づく届出をしたところ、同物質は同法4条1項の規定に基づき、同項二号の指定化学物質(同法2条3項各号の一に該当する疑いのあるもの。)に該当するとして、平成八年一月二三日厚生省生衛第四五号により、厚生大臣及び通商産業大臣から、同法2条4項の「指定化学物質」に指定され、同年一二月一七日に厚生省通商産業省告示第二号によって告示されたこと、A我が国では、食品用容器包装及び器具に用いられるポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂について、安全衛生面で適切な材料の選定、使用及び普及を目的として、ポリオレフィン等の製造又はその取扱いや、ポリオレフィン等容器包装・器具の製造、加工又はその取扱いを業として営む者等から構成される「ポリオレフィン等衛生協議会」が組織されており、平成八年一二月の時点で正会員として約八〇〇社が入会し、被告もその一員であるが、同協議会では、樹脂製食品容器包装等に用いられる樹脂原料について衛生的見地から自主的に基準を定め、会員は同自主基準に記載された物質を使用して樹脂性包装容器等を製造するよう努めるものとされているところ、ビス(3,4ジメチルベンジリデン)ソルビトールは指定化学物質に指定されていることから、平成九年三月以降の自主基準のリストに記載されていないこと、B平成一一年一一月発行の被告の日本国内向け総合製品カタログには被告製品が掲載されていないこと、が認められる。 右事実によれば、被告には、今後も、被告製品を日本国内向けに製造、販売するおそれがないものと認められる。 2 原告は、被告製品が外国向けにのみ輸出、販売されるものであっても、特許法101条所定の「その物の生産にのみ使用する物」(一号)及び「その発明の実施にのみ使用する物」(二号)に当たると主張する。 (一) 本来、特許権は、業として特許発明の実施をする権利を専有するものである(特許法68条)から、特許権侵害とされるべきものは、物の発明においてはその物の生産、販売等の行為であり、方法の発明においては当該方法を使用して当該特許発明を実施する行為であるのが原則である(特許法2条3項)。 しかしながら、物の発明の場合のその物の生産、販売等の行為や、方法の発明の場合の当該方法の使用行為を、特許権者がすべて捕捉することは容易ではないことから、発明に係る物の生産、販売や方法の使用行為のみを規制の対象とするのでは、特許権の効力の実効性を確保するのに十分とはいえない。そしてこの場合、発明に係る物の生産に当たっては材料や装置を使用することが通常であるし、発明に係る方法の使用に当たっても何らかの物を用いることが通常であることから、発明に係る物の生産に用いられる物(材料又は装置)や、発明に係る方法の使用に用いられる物の生産、販売等を規制することとすれば、特許権の効力の実効性を確保するために寄与するところが大きいと考えられる。 しかし他方、発明に係る物の生産や、発明に係る方法の使用に用いられる物は多種多様であり、それらの生産、販売等を一律に規制の対象としたのでは、本来特許権の効力が及ばないはずの、当該特許発明の実施以外の行為をも規制することにつながり、特許権の効力が不当に拡張されることになるおそれもある。 特許法101条が、特許権を侵害するものとみなす行為の範囲を、発明に係る物の生産「にのみ」使用する物(一号)及び発明に係る方法の実施「にのみ」使用する物(二号)を生産、譲渡等する行為に限定したのは、以上のような考慮に基づくものであって、そのような性質を有する物であれば、それが生産、譲渡される等の場合には侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高いことから、その生産、譲渡等を規制しても特許権の効力の不当な拡張とならないとの趣旨に出るものであると解される。 このように、特許法101条は、特許権の効力の不当な拡張とならない範囲でその実効性を確保するという観点から、特許権侵害とする対象を、それが生産、譲渡される等の場合には当該特許発明の侵害行為(実施行為)を誘発する蓋然性が極めて高い物の生産、譲渡等に限定して拡張する趣旨に基づくものである。そうすると、「その物の生産にのみ使用する物」(一号)及び「その発明の実施にのみ使用する物」(二号)という要件が予定する「生産」及び「実施」がどのようなものでなければならないかを検討するに当たっては、当該特許発明の直接侵害行為(実施行為)を規制することとは別に、間接侵害行為をどの程度まで規制することが、特許権の効力の不当な拡張とならない範囲で特許権の効力の実効性を確保するものといえるかという観点を抜きにしては考えられないものというべきである。 ところで、本来、日本国外において、日本で特許を受けている発明の技術的範囲に属する物を製造し又は方法を使用してその価値を利用しても、日本の特許権を侵害することにはならない。それは、日本における特許権が、日本の主権の及ぶ日本国内においてのみ効力を有するにすぎないことに伴う内在的な制約によるものであり、一般に属地主義として承認されているところであるが、このような見地からすると、特許法2条3項にいう「生産」、「実施」は、日本国内におけるもののみを意味すると解すべきである。そうすると、外国において発明に係る物の生産や発明に係る方法の使用に供される物についてまで、「その物の生産にのみ使用する物」、「その発明の実施にのみ使用する物」であるとして特許権の効力を拡張する場合には、日本の特許権者が、本来当該特許権によっておよそ享受し得ないはずの、外国での実施による市場機会の獲得という利益まで享受し得ることになり、不当に当該特許権の効力を拡張することになるというべきである。 したがって、「その物の生産にのみ使用する物」における「生産」、「その発明の実施にのみ使用する物」における「実施」は、日本国内におけるものに限られると解するのが相当であり、このように解することは、前記のような特許法2条3項における「生産」、「実施」の意義にも整合するものというべきである。 (二) しかるところ、1で認定した事実によれば、被告製品は日本国内で製造されてはいるものの、これまですべて外国向けに販売、輸出されており、今後も日本国内向けに販売されるおそれは認められないのであるから、仮に被告製品が乾式混合の過程で必ず本件発明所定の粒径の要件を充足するに至るとしても、それは外国での「生産」や「実施」の過程でのみ生じるにすぎないから、被告製品は、101条所定の要件を満たさないというべきである。 したがって、被告製品の製造、販売は、過去に行われたものについては本件特許権の間接侵害とはならず、また今後も被告が被告製品を製造、販売することによって本件特許権を間接侵害するおそれは認められない。 二 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、主文のとおり判決する。 (平成一二年一〇月一三日口頭弁論終結) |
裁判長裁判官 | 小松一雄 |
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裁判官 | 高松宏之 |
裁判官 | 安永武央 |