審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成17ネ10120特許実施料請求控訴事件 | 判例 | 特許 |
平成18ワ1305損害賠償請求事件 | 判例 | 特許 |
平成13ワ17772特許権持分確認等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成13ワ17772特許権持分確認等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成12ワ3563特許権に基づく損害賠償請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 準拠法 / 特許の有効性 / 債務不履行 / 契約の解除 / ライセンス / 実施 / 販売数量(販売数) / 実施料 / |
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事件 |
平成
17年
(ワ)
14441号
特許実施料請求事件
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原告 太陽インキ製造株式会社 同訴訟代理人弁護士 和泉芳郎 同補佐人弁理士 鈴江武彦 同 河野哲 同 中村誠 被告 タムラ化研株式会社 同訴訟代理人弁護士 中島敏 同 阿部隆徳 |
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裁判所 | 東京地方裁判所 |
判決言渡日 | 2005/10/21 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨 被告は,原告に対し,金3億2819万円及びこれに対する平成17年7月28日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 本案前の答弁 本件訴えを却下する。 |
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当事者の主張
1 請求原因 (1) 当事者 原告は,プリント配線板用印刷インキ並びに塗料,接着剤及びその応用製品の開発製造,販売等を業とする株式会社である。 被告は,電子工業用材料の研究,開発並びに製造販売等を業とする株式会社である。 (2) 原告と被告間の特許ライセンス契約の存在 原告と被告は,平成14年10月1日,次の内容の特許ライセンス契約を締結した(以下「本件契約」という。甲1) ア 原告は,別表1記載の特許(以下「本件各特許」という。)について,非独占的ライセンスを被告に付与する(第2条1項)。 イ 被告は,被告及び被告のサブライセンシーにより販売されたライセンス製品について1キログラムにつきランニング・ロイヤルティ160円とこれにかかる消費税を原告に支払う(第3条2項)。 ウ 被告は,各暦四半期の末日後30日以内に当該四半期中に販売されたライセンス製品について,生産地域別に,及び,仕向先地域別に,ライセンス製品の製品名とその数量を詳述したロイヤルティ報告を原告に提出する(第4条3項)。 エ 被告は,暦四半期の終了後翌々月の末日までにランニング・ロイヤルティの支払をする(第4条2項)。 (3) 被告の平成16年度の販売数量の過少申告とそれに基づくランニング・ロイヤルティの過少支払 被告及び被告のサブライセンシーの販売額は,ライセンス製品を使用するプリント配線板メーカーの生産動向から,平成16年度は平成15年度を上回りこそすれ下回ることはなかったのであるから,被告の支払うべき平成16年度のランニング・ロイヤルティの額は,少なくとも平成15年度を下回ることはあり得ない。 ところが,被告は,平成16年度の各四半期毎の販売報告において,別表2の「販売数量」及び「実施料(税抜き)」欄記載のとおり,いずれも前年度を下回る数量及び実施料の報告をし,この数値に基づくランニング・ロイヤルティの支払しかしなかった(甲2)。 (4) 被告の支払うべきランニング・ロイヤルティ未払額 上記(3)のとおり,被告の支払うべきランニング・ロイヤルティ未払額は少なくとも平成15年度のランニング・ロイヤルティの額と平成16年度のランニング・ロイヤルティの額との差額というべきであるから,その最低額は,別表2の「平成15年度と平成16年度の実施料差額(税抜き)」欄記載のとおり,合計3億2819万円(1万円未満切捨て)である。 (5) よって,原告は,被告に対し,上記ランニング・ロイヤルティ未払額合計金3億2819万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 被告の本案前の主張 原告と被告との間には,本件契約第15条により,本件契約に関して万一紛争が発生した場合は友好的に解決するものとし,合理的な期間内に解決することができない場合には,国際商業会議所(ICC)の規則に基づいて仲裁に付する旨の仲裁合意が成立している。 したがって,仲裁法14条に基づき,原告の本件訴えは却下されるべきである。 3 被告の本案前の主張に対する原告の反論 (1) 原告は,被告に対し,平成17年3月25日付けで,被告の支払うべきランニング・ロイヤルティの未払を理由に本件契約を解除する旨の通知(以下「本件解除通知」という。)をした(甲3)。 被告は,原告の解除通知後40日を経過しても,上記未払ランニング・ロイヤルティを支払わなかった。 しかも,被告は,同月29日付けで,本件解除通知は効力を有しない旨原告に通知しただけで,本件契約第12条2項に定める仲裁の申立てをしなかった(甲4)。 以上により,本件契約は,平成17年4月9日に解除により終了した。 したがって,本件契約の存続を前提とした被告の本案前の主張は失当である。 (2) 被告は,本件各特許について,本件契約第15条の規定に反し,仲裁の手続を経ることなく,うち2件の特許に対し無効審判を請求している(甲5,6)。 したがって,被告の本案前の主張は理由がない。 |
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当裁判所の判断
1 被告の本案前の答弁について (1) 証拠によれば,次の事実が認められる。 ア 原告と被告は,平成14年10月1日,請求原因(2)記載の内容を含む本件契約を締結した(甲1)。 イ 本件契約第15条には,仲裁及び準拠法に関し,次の条項がある(以下「本件合意」という。甲1)。 (ア) 「本契約」から又は「本契約」に関して又は「本契約」に関連して「本契約」両当事者間に生じることがあるいかなる紛争,論争又は意見の相違も,両当事者間の交渉により友好的に解決する。但し,かかる各事項を合理的な期間内に解決することができない場合,当該事項は,国際商業会議所の規則に基づいて仲裁に付するものとする。仲裁は,3人の仲裁人で構成するものとし,各当事者が1人を任命し,議長となる第三仲裁人を両当事者が任命した2人の仲裁人が共同で任命する。各当事者は,相手方当事者に書面にて通知し,自己の任命する仲裁人の氏名を提供することにより仲裁手続を開始することができる。この場合,当該通知の受領後2ヶ月以内に,相手方当事者は,もう1人の仲裁人を任命しなければならない。 (イ) 「本契約」は日本国法に準拠して解釈され,仲裁地は日本国東京とする。 ウ 国際商業会議所日本委員会による平成10年1月1日発効のICC仲裁規則には,国際性を有しない紛争,すなわち,国内紛争についても仲裁による解決を提供すること(第1条),同規則における仲裁合意の一応の存在を認める限り,仲裁手続を進行させることができること(第6条)が規定されている(弁論の全趣旨)。 (2) 以上によれば,上記(1)イ認定の本件合意は,既に生じた民事上の紛争又は将来において生ずる一定の法律関係に関する民事上の紛争の全部又は一部の解決を1人又は2人以上の仲裁人にゆだね,かつ,その判断に服する旨の合意であるから,仲裁法2条1項所定の仲裁合意と認めることができる。そして,本件合意は当事者が和解をすることができる民事上の紛争を対象とするものであることが認められるから,本件合意は仲裁法13条1項により,効力を有する。 そして,本件訴えは,本件合意の対象となる民事上の紛争について提起されたことが明らかであり,仲裁法14条1項各号所定の事由も認められないから,本件訴えは,同条項により,却下を免れない。 (3) この点,原告は,上記第2の3(1)記載のとおり,ランニング・ロイヤルティの未払を理由に本件解除通知をしたから,本件契約は解除により終了し,本件契約の存在を前提とした本件合意も効力が失われた旨主張する。しかしながら,被告は本件合意の成立そのものを争っているものではないところ,そもそも,原告の被告に対する債務不履行解除の有効性は現時点では明らかではない。仮に原告の主張するとおり,本件契約がランニング・ロイヤルティの未払を解除原因として原告の解除の意思表示によって終了したとしても,仲裁法13条6項によれば,「仲裁合意を含む1の契約において,仲裁合意以外の契約条項が無効,取消しその他の事由により効力を有しないものとされる場合においても,仲裁合意は,当然には,その効力を妨げられない」のであるから,本件契約の解除によって,本件合意の効力がさかのぼって無効になるものではない。したがって,この点に関する原告の主張は失当である。 また,原告は,上記第2の3(2)記載のとおり,被告が,本件各特許のうちの2件について無効審判請求をした点を問題としているが,そもそも,本件契約第6条2項によれば,本件契約中のいかなる規定も,被告が本件各特許の有効性を争うことを妨げるものではない旨定められているから,被告が本件各特許の有効性を争うことは本件契約に何ら反するものではない。また,特許無効審判は特許に無効理由が存在する場合に,行政処分としての特許査定を無効とする審判であって,「当事者が和解をすることができる民事上の紛争」ではないから,被告による無効審判請求は本件契約第15条に反するものではないというべきである。仮に,それが本件契約第15条に反する行為であったとしても,それは単に無効審判請求が不適法になるにすぎず,そのことによって仲裁合意の効力そのものが失われ,本件訴えに関しても仲裁法14項1項の適用が妨げられると解すべき理由はないから,この点に関する原告の主張も失当である。 2 よって,原告の本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 高部眞規子 |
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裁判官 | 東海林保 |
裁判官 | 田邉実 |