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審判番号(事件番号) データベース 権利
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事件 平成 23年 (ワ) 8085号 各損害賠償等請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京地方裁判所 
判決言渡日 2013/09/12
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平成25年9月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成23年(ワ)第8085号,第22692号 各損害賠償等請求事件

口頭弁論の終結の日 平成25年3月12日

判 決

当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり

主 文

1 被告三菱電機株式会社,同株式会社三菱電機ライフネットワーク及び

同日本建鐵株式会社は,原告らに対し,連帯して,それぞれ4193万

3727円及びこれに対する平成24年10月2日から支払済みまで

年5分の割合による金員を支払え。

2 被告三菱電機株式会社,同三菱電機住環境システムズ株式会社及び同

日本建鐵株式会社は,原告らに対し,連帯して,それぞれ170万87

07円及びこれに対する平成24年10月2日から支払済みまで年5

分の割合による金員を支払え。

3 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。

4 訴訟費用は,原告東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディン

グス株式会社に生じた費用の40分の39と被告らに生じた費用の8

0分の39を同原告の負担とし,原告東芝ホームアプライアンス株式会

社に生じた費用の40分の39と被告らに生じた費用の80分の39

を同原告の負担とし,原告ら及び被告らに生じたその余の費用を被告ら

の連帯負担とする。

5 この判決は,第1,第2項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求

1 被告三菱電機株式会社,同株式会社三菱電機ライフネットワーク及び同日本

建鐵株式会社は,原告らに対し,連帯して,それぞれ17億円及びこれに対す

る平成24年10月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 被告三菱電機株式会社,同三菱電機住環境システムズ株式会社及び同日本建

鐵株式会社は,原告らに対し,連帯して,それぞれ5000万円及びこれに対

する平成24年10月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払

え。

第2 事案の概要

本件は,洗濯機等に関する6の特許権を共有する原告らが,被告らによる洗

濯機の製造,譲渡又は譲渡等の申出がその特許権を侵害するとして,不法行為

による損害賠償請求権又は不当利得による利得金返還請求権に基づき,(1) 被

告三菱電機株式会社(以下「被告三菱電機」という。),同株式会社三菱電機

ライフネットワーク(以下「被告ライフネットワーク」という。)及び同日本

建鐵株式会社(以下「被告日本建鐵」という。)に対し,それぞれ24億54

80万円,17億9597万5000円,1億3300万円,7億0632万

3750円,13億4128万5000円及び11億1625万円の損害金又

は利得金合計75億4763万3750円のうち17億円並びにこれに対する

不法行為の後の日である平成24年10月2日(請求の拡張及び請求の一部放

棄書(訂正)送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合によ

る遅延損害金の連帯支払,(2) 被告三菱電機,同三菱電機住環境システムズ株

式会社(以下「被告住環境システムズ」という。)及び同日本建鐵に対し,そ

れぞれ1億2920万円,9452万5000円,700万円,3236万7

500円,5436万7500円及び5875万円の損害金又は利得金合計3

億7621万円のうち5000万円並びにこれに対する上記と同様の遅延損害

金の連帯支払を求める事案である。

1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに各項末尾掲記の証拠及び弁論の

全趣旨により容易に認められる事実)

(1) 本件各特許権

ア 株式会社東芝(以下「東芝」という。)は,次の各特許権(以下「本件

各特許権」という。なお,各特許権は,以下の順序に従い,「本件特許権

1」のようにいう。)を有していた。

(ア) 特許番号 第2856770号

発明の名称 機器の電装品検査装置

出 願 日 平成元年6月26日

登 録 日 平成10年11月27日

(イ) 特許番号 第3095454号

発明の名称 洗濯機

出 願 日 平成3年6月14日

登 録 日 平成12年8月4日

(ウ) 特許番号 第3317613号

発明の名称 洗濯機

出 願 日 平成7年8月28日

登 録 日 平成14年6月14日

(エ) 特許番号 第3388095号

発明の名称 洗濯機用水準器

出 願 日 平成8年6月18日

登 録 日 平成15年1月10日

(オ) 特許番号 第3290336号

発明の名称 洗濯機の脱水槽

出 願 日 平成7年7月20日

登 録 日 平成14年3月22日

(カ) 特許番号 第3361055号

発明の名称 電子ユニット

出 願 日 平成10年5月29日

登 録 日 平成14年10月18日

イ 原告らは,平成15年10月1日,東芝から,吸収分割により,本件各

特許権の持分2分の1をそれぞれ承継した。

(2) 本件各発明

本件各特許出願の願書に添付された各明細書(以下,本件各特許権の番号

に従い「本件明細書1」のようにいう。)の特許請求の範囲の請求項1の記

載は,本判決添付の各特許公報の該当項記載のとおりである(以下,この各

請求項1に係る発明を本件各特許権の番号に従い「本件発明1」のようにい

う。)。ただし,本件明細書1の特許請求の範囲の請求項1の記載は,東芝

が平成12年1月20日にした訂正の請求により,「次のスイッチが操作さ

れるまで実行される構成とした」とあるのが「次のスイッチが操作されるま

で実行され,電源スイッチを再投入するまで前記検査運転制御モードを継続

する構成とした」と訂正され,本件明細書2の特許請求の範囲の請求項1の

記載は,東芝が平成21年5月25日にした訂正の請求により,「表示装置

を異常表示作動状態に保つ制御をする制御手段を具えた」とあるのが「報知

装置作動中に報知装置の作動を停止させる操作入力を受付けた場合,報知装

置の作動を停止する一方で,表示装置を異常表示作動状態に保つ制御をする

制御手段を具えた」と訂正された。

(3) 構成要件の分説

本件各発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した

構成要件をそれぞれの符号に従い「構成要件1A1」のようにいう。)。

ア 本件発明1

1A1 複数の電装品を備えると共に,これらの電装品を制御するマイク

ロコンピュータを含んで成る制御装置を備え,

1A2 且つ電源スイッチを初めとして各種のスイッチを備え,

1A3 前記制御装置の制御モードとして通常運転制御モードと検査運転

制御モードとを有するものにおいて,

1B1 前記各種のスイッチのうちの特定の複数のスイッチが同時にオン

操作されたときに検査運転制御モードがセットされ

1B2 且つこのセット状態で個別のスイッチが操作されるとそのスイッ

チに応じた一つまたは複数の電装品についての検査運転が次のスイ

ッチが操作されるまで実行され,

1B3 電源スイッチを再投入するまで前記検査運転制御モードを継続す



1C 構成としたことを特徴とする機器の電装品検査装置。

イ 本件発明2

2A 報知装置と表示装置とを具え,

2B 異常発生時にそれらを作動させるようにしたものであって,

2C1 その異常発生時の報知装置作動中は,操作入力の制限をすること

によって報知装置の作動を停止させる操作入力と電源を遮断する操

作入力以外の他の操作入力を受付けず,

2C2 報知装置作動中に報知装置の作動を停止させる操作入力を受付け

た場合,報知装置の作動を停止する一方で,表示装置を異常表示作

動状態に保つ制御をする制御手段

2D を具えたことを特徴とする洗濯機。

ウ 本件発明3

3A 洗濯に供した槽を

3B 洗浄する槽洗浄コースを有するものにおいて,

3C その槽洗浄コースの給水時に,該給水時の最終到達水位より低い

複数段階の水位でそれぞれ給水を中断し

3D 槽内に溜まった水の撹拌を所定時間ずつ行なうようにした

3E ことを特徴とする洗濯機。

エ 本件発明4

4A 円筒状のケースと,

4B このケースに密に結合された蓋体と,

4C これらの内部に気泡と共に封入された液体と,

4D 前記ケースに一体に形成された係合部を具え,

4E この係合部により洗濯機上面部の取付部に取付けられると共に,

4F ケースの外方に,ケース及び蓋体よりも下方へ突出する外部ケー

スを一体に有し,

4G この外部ケースの下端面を取付部の内底面に当接させて基準面と

する

4H ことを特徴とする洗濯機用水準器。

オ 本件発明5

5A 金属板を円筒状に曲成しその両端部を接合することにより形成し

た胴部と,

5B この胴部の下縁部に結合した底板,及び胴部の上縁部に装着した

バランスリングとを具備するものにおいて,

5C フィルタ部材を具え,

5D このフィルタ部材が上下の全長で前記胴部の接合部を内側より覆

い,

5E その上下の全長より充分に小さな寸法の隙間を前記バランスリン

グ又は底板との間に余すこと

5F を特徴とする洗濯機の脱水槽。

カ 本件発明6

6A ケースと,

6B このケース内に収容される回路基板と,

6C この回路基板上に実装されるリード取付形のIPMと,

6D このIPMの上面部に該IPMの下面側からねじ等の取付具によ

り取付けられる放熱板と,

6E 前記回路基板に前記取付具の取付け位置に対応して形成された穴

と,

6F 前記ケース内に前記回路基板及びIPMのリードを覆うように充

填されるポッティング材とを具備すると共に,

6G 前記放熱板は,その一部が前記ポッティング材中に埋設状態とさ

れている

6H ことを特徴とする電子ユニット。

(4) 被告らによる洗濯機の製造及び販売

被告日本建鐵は,業として別紙物件目録記載1ないし6の各洗濯機(以下,

各項の洗濯機をその項番号に従い「被告製品1」のようにいう。)を製造し

て,被告ライフネットワーク及び同住環境システムズに販売し,被告ライフ

ネットワーク及び同住環境システムズは,業として各被告製品を販売した。

本件特許権4の設定の登録があった平成15年1月10日以降における被

告製品4の売上高は,被告ライフネットワークが約513億6900万円,

被告住環境システムズが約23億5400万円であり,本件特許権5の設定

の登録があった平成14年3月22日以降における被告製品5の売上高は,

被告ライフネットワークが約487億7400万円,被告住環境システムズ

が約19億7700万円である。

(5) 各被告製品の構成と本件各発明の構成要件に対する充足性

ア 被告製品1の構成と本件発明1の構成要件に対する充足性

被告製品1は,排水弁,給水弁,LED,ソフタ給水弁,モータを備え

るとともに,これらを制御するマイクロコンピュータを含んでなる制御装

置を備え(1a1),かつ,「電源」スイッチを初めとして「洗い」スイ

ッチ,「すすぎ」スイッチ,「脱水」スイッチ,「予約」スイッチ,「ス

タート」スイッチといった各種のスイッチを備え(1a2),前記制御装

置の制御モードとして通常運転制御モードと検査運転制御モードとを有

するものにおいて(1a3),電源がオフの状態で,前記各種のスイッチ

のうちの「電源」スイッチ,「洗い」スイッチ,「すすぎ」スイッチが同

時に押下されたときに検査運転制御モードがセットされ(1b1),かつ,

このセット状態で「すすぎ」スイッチが押下されるとそのスイッチに応じ

た給水弁を開き,「脱水」スイッチが押下されると給水弁を閉じる(1b

2)構成とした機器の電装品検査装置(1c)を有し,本件発明1の構成

要件1A1ないし3,1B1及び1Cを充足する。

イ 被告製品2の構成と本件発明2の構成要件に対する充足性

被告製品2は,ブザーと表示装置とを備え(2a),脱水できない異常

の発生時に,表示装置に脱水ができないことを示す異常表示を点灯させる

とともに,ブザーを作動させるようにしたものであって(2b),ブザー

作動中は,操作部の入力制限をすることによって蓋の開操作入力と電源ボ

タンの押下による電源を遮断する操作以外の他の操作入力を受け付けな

い(2c1)洗濯機(2d)であり,本件発明2の構成要件2A,2B及

び2Dを充足する。

ウ 被告製品3の構成と本件発明3の構成要件に対する充足性

被告製品3は,洗濯に供する槽を備え(3a),槽を洗浄する「槽洗浄」

コースを有する(3b)洗濯機(3e)であり,本件発明3の構成要件

A,3B及び3Eを充足する。

エ 被告製品4の構成と本件発明4の構成要件に対する充足性

被告製品4は,円筒状のケースと(4a),このケースに密に結合され

た蓋体と(4b),これらの内部に気泡と共に封入された液体と(4c),

前記ケースに一体に形成された係合部を備え(4d),この係合部により

洗濯機上面部の取付部に取り付けられるとともに(4e),ケースの外方

に,ケース及び蓋体よりも下方へ突出する外部ケースを一体に有する(4

f)洗濯機用水準器(4h)を有し,本件発明4の構成要件4AないしF

及び4Hを充足する。

オ 被告製品5の構成と本件発明5の構成要件に対する充足性

被告製品5は,金属板を円筒状に曲成しその両端部を接合することによ

り形成した胴部と(5a),この胴部の下縁部に結合した底板,及び胴部

の上縁部に装着したバランスリングとを具備するものにおいて(5b),

フィルタ部材を備え(5c),このフィルタ部材が上下の全長で前記胴部

の接合部を内側より覆う(5d)洗濯機の脱水槽(5f)を有し,本件発

明5の構成要件5AないしD及び5Fを充足する。

カ 被告製品6の構成と本件発明6の構成要件に対する充足性

被告製品6は,洗濯機の本体前面内部に収容配置されたケースと(6a),

このケース内に収容される回路基板と(6b),この回路基板上に実装さ

れるリード取付形のIPMと(6c),このIPMの上面部に該IPMの

下面側からねじにより取り付けられる放熱板と(6d),前記回路基板に

前記ねじの取付位置に対応して形成された穴と(6e),前記ケース内に

前記回路基板及びIPMのリードを覆うように充填されるポッティング

材とを具備する(6f)電子ユニット(6h)を有し,本件発明6の構成

要件6AないしF及び6Hを充足する。

(6) 先行技術

ア シャープ株式会社は,昭和63年3月下旬,ES−M338という型名

の全自動洗濯機(以下「引用製品1」という。)を発売した。

引用製品1は,排水弁,給水弁,LED,モータを備えるとともに,こ

れらを制御するマイクロコンピュータを含んでなる制御装置を備え(1

a’1),かつ「電源」スイッチを初めとして「スタート・一時停止」ス

イッチ,「コース1」スイッチ,「コース2」スイッチといった各種のス

イッチを備え(1a’2),前記制御装置の制御モードとして,通常の洗

濯サイクルを実行する第1の運転制御モードと,それぞれ異なる特定操作

で異なる行程を個別に実行する第2の運転制御モードとを有するものに

おいて(1a’3),前記各種のスイッチのうちの「電源」スイッチ,「コ

ース1」スイッチ,「コース2」スイッチが同時にオン操作されたときに

第2の運転制御モードがセットされ(1b’1),かつ,このセット状態

で「スタート・一時停止」スイッチを押すとパルセータが右回転を開始し,

次に「コース1」スイッチを押すとパルセータが右回転を停止して左回転

に切り替わり,更に「コース2」スイッチを押すとパルセータが回転を停

止して排水する(1b’2)構成とした全自動洗濯機及びその制御装置(1

c’)であり,本件発明1の構成要件1A1ないし3,1B1及び2,1

Cの全部において一致する。

イ 被告三菱電機は,昭和63年3月,AW−K605という型名の全自動

電気洗濯機(以下「引用製品2」という。)を発売した。

引用製品2は,アラーム断続音発生手段とランプとを備え(2a’),

脱水中に洗濯物が偏り,脱水運転が正常に行われない状態が発生すると,

アラーム断続音を発生させるとともに,「脱水1分」,「水位切換 高」,

「標準」のランプのそれぞれを点滅させるようにしたものであって(2

b’),アラーム断続音発生中は,アラーム断続音の発生とランプの点滅

を停止させる電源「切」スイッチを押すこと以外,他のスイッチを押して

も動作が変化せず(2c’1),アラーム断続音の発生とランプの点滅を

開始してから60秒が経過することにより,アラーム断続音の発生を停止

させる一方で,ランプの点滅を継続させる制御手段(2c’2)を備えた

洗濯機(2d’)であり,本件発明2の構成要件2A,2B及び2Dの全

部において一致する。

ウ 被告日本建鐵は,平成7年6月下旬,MAW−60J1という型名の全自

動洗濯機(以下「引用製品3」という。)を発売した。

引用製品3は,ステンレス製の金属板を円筒状に曲成しその両端部を接合

することにより形成した胴部と(5a’),この胴部の下縁部に結合した底

板,及び胴部の上縁部に装着したバランスリングとを具備するものにおいて

(5b’),フィルタ部材を備え(5c’),このフィルタ部材が上下の全

長で前記胴部の接合部を内側より覆う(5d’)洗濯機の脱水槽(5f’)

を有し,本件発明5の構成要件5AないしD及び5Fの全部において一致す

る。

(7) 損害賠償請求権及び不当利得返還請求権の承継

原告らは,平成15年10月1日,東芝から,吸収分割により,東芝が被

告らに対し同年9月30日までに取得した本件各特許権の侵害による損害賠

償請求権及び不当利得返還請求権の半分をそれぞれ承継した。

2 争点及びこれについての当事者の主張

本件の争点は,@被告製品1ないし6の構成,A被告製品1ないし6がそれ

ぞれ本件発明1ないし6の技術的範囲に属するか,B本件発明1,2及び5に

係る各特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるか,C被

告三菱電機の責任,D損害又は利得の額である。

(1) 争点@(被告製品1ないし6の構成)について

ア 本件発明1の構成要件1B3に対比した構成(1b3)

(原告らの主張)

被告製品1は,「電源」スイッチを押圧操作することによって電源が切

れるまで検査運転制御モードを継続する(1b3)構成とした機器の電装

品検査装置を有する。

(被告らの主張)

被告製品1は,「電源」スイッチを押圧操作することによって電源が切

れて電装品検査装置が初期状態に戻るまで検査運転制御モードを継続す

る(1b3)構成とした機器の電装品検査装置を有する。

イ 本件発明2の構成要件2C2に対比した構成(2c2)

(原告らの主張)

被告製品2は,蓋の開操作入力を受け付けた場合,ブザーの作動を途中

で停止する一方で,表示装置を異常表示が点灯された状態に保つ制御をす

るマイクロコンピュータを有する(2c2)。

(被告らの主張)

被告製品2は,蓋の開操作入力を受け付けた場合,ブザーの作動を途中

で停止する一方で,表示装置を異常表示が点灯された状態に保ち,脱水で

きない異常以外の異常の発生時には,蓋の開操作入力をも受け付けず,時

間の経過以外にはブザーの作動を途中で停止する手段がないように制御

をするマイクロコンピュータを有する(2c2)。

ウ 本件発明3の構成要件3C及び3Dに対比した構成(3c及び3d)

(原告らの主張)

被告製品3は,「槽洗浄」コースの給水時に,該給水時の最終到達水位

(約418o)に至る途中において,第1撹拌水位(約321o)と,第

2撹拌水位(約404o)の2段階の水位でそれぞれ給水を中断し(3c),

槽内に溜まった水の撹拌を,第1撹拌水位における約30秒の第1撹拌

と,第2撹拌水位及び最終到達水位において行われる合計約180秒の一

連の撹拌に分けて行い,一連の撹拌のうちの約120秒が第2撹拌水位で

行われ,給水弁電流を流す前にタイマーのタイミングをリセットしている

ためにモータ電流の切断時間が長くなることによっていったん撹拌が中

断し,続いて,約10秒が第2撹拌水位から最終到達水位への給水中に行

われ,約50秒が最終到達水位において行われる(3d)。

(被告らの主張)

被告製品3は,「槽洗浄」コースの給水時に,該給水時の最終到達水位

(約418o)に至る途中において,第1撹拌水位(約321o)と,標

準洗濯コースにおける最高水位と等しい第2撹拌水位(約404o)との

2段階の水位でそれぞれ給水を中断し(3c),槽内に溜まった水の撹拌

を,第1撹拌水位における約30秒の第1撹拌と,第2撹拌水位及び最終

到達水位において途中で停止することなく連続して行われる合計約18

0秒の第2撹拌に分けて行い,第2撹拌のうちの約120秒が第2撹拌水

位で行われ,約10秒が第2撹拌水位から最終到達水位への給水中に行わ

れ,約50秒が最終到達水位において行われる(3d)。

被告製品3は,約120秒の撹拌後,給水弁電流を流す前にタイマーの

タイミングをリセットしているためにモータ電流の切断時間が長くなり,

パルセータの回転が遅くなるが,パルセータの回転が停止する前に,モー

タ電流が接続されて約10秒の撹拌が始まるから,第2撹拌は停止してい

ないのであって,パルセータの回転が停止したように見えるのは,パルセ

ータが同一方向に回転し始めるからにすぎない。

エ 本件発明4の構成要件4Gに対比した構成(4g)

(原告らの主張)

被告製品4は,外部ケースの下端面の4点を取付部の底から立ち上がる

とともに側壁と接続し一体に成形された4つのリブのそれぞれの上端部

に当接させて,これら4つのリブの各上端部が属する単一の仮想面を基準

面として位置決めを行った(4g)洗濯機用水準器を有する。

(被告らの主張)

被告製品4は,外部ケースの下端面の4点を取付部の底から立ち上がる

とともに側壁から突出させた4つのリブのそれぞれの上端部に当接させ

て位置決めを行った(4g)洗濯機用水準器を有する。

オ 本件発明5の構成要件5Eに対比した構成(5e)

(原告らの主張)

被告製品5は,底板との間に隙間が存在せず,29.5ないし56.5

oの隙間をバランスリングとの間に余し,当該隙間とフィルタ部材全長と

の比が0.13ないし0.23であり,当該隙間の接合部が,鉛直との角

度が29ないし44度以上の斜め上方の視点からは見える一方,鉛直との

角度が18度の斜め上方の視点からは見えない(5e)洗濯機の脱水槽を

有する。

(被告らの主張)

被告製品5は,底板との間に隙間が存在せず,29.5ないし56.5

oの隙間をバランスリングとの間に余し,うち31o以上の隙間を前記バ

ランスリングとの間に余すものについては,当該隙間とフィルタ部材全長

との比が0.13ないし0.23であり,当該隙間の接合部が,鉛直との

角度が29ないし44度以上の斜め上方の視点からは見える一方,鉛直と

の角度が18度の斜め上方の視点からは見えない(5e)洗濯機の脱水槽

を有する。

カ 本件発明6の構成要件6Gに対比した構成(6g)

(原告らの主張)

被告製品6は,放熱板がポッティング材と少なくとも側面の一部におい

て接している状態とされている(6g)電子ユニットを有する。

(被告らの主張)

被告製品6は,放熱板がポッティング材と下面において接している状態

とされている(6g)電子ユニットを有する。

被告製品6の放熱板は,粘性が高いポッティング材の表面張力や凝固前

の振動等といった製造上の偶然により,ポッティング材と側面の一部にお

いて接していることもあるが,その全部がポッティング材上部のほぼ水平

面よりも上にある。

(2) 争点A(被告製品1ないし6がそれぞれ本件発明1ないし6の技術的範囲

に属するか)について

ア 被告製品1の本件発明1の構成要件1B2及び3の充足性

(原告らの主張)

被告製品1において,「すすぎ」スイッチが押下されることは,構成要

件1B2の「個別のスイッチが操作される」ことに当たる。

また,給水弁を開いて給水を行うことは,給水弁についての検査運転に

含まれるから,給水弁を開き,「脱水」スイッチが押下されると給水弁を

閉じることは,構成要件1B2の「一つ…の電装品についての検査運転が

次のスイッチが操作されるまで実行され」ることに当たる。構成要件1B

2は,「一つまたは複数の電装品」と定めている上,本件発明1の特許出

願の願書に添付された図面(以下「本件図面1」という。)におけるモー

タについての検査運転がスピーディ設定スイッチやデリケート設定スイ

ッチを押圧操作しても継続して実行される記載(第1図)は,本件発明1

実施例でないから,構成要件1B2の「一つまたは複数の電装品につい

ての検査運転が次のスイッチが操作されるまで実行され」ることが,複数

の電装品についての検査運転が次のスイッチが操作されるまで同時に実

行され得ることを意味するものではない。

さらに,「電源」スイッチを押圧操作することは,構成要件1B3の「電

源スイッチを再投入する」ことに当たる。なお,本件明細書1の発明の詳

細な説明における「通常運転に戻る場合は,再度電源スイッチを投入する

ことによりリセットする。」(本判決添付の本件特許権1に係る特許公報

(以下「本件公報」という。)5欄8ないし10行)との記載は,電源ス

イッチを押圧操作することにより電源がオフの状態になり,電源スイッチ

を再度押圧操作することにより通常運転制御モードに戻ることを意味す

ると考えるのが常識である。また,構成要件1B3は,構成要件1A1な

いし1B2及び1Cからなる登録時請求項1に対し,構成要件1A1ない

し3,1B2及び1Cと同じ構成を有するとともに所定の時間だけ検査運

転制御モードを継続する構成を有した発明(特開昭62−84797号公

報)等に基づいて容易に発明をすることができたとして,特許異議の申立

てがされたことを受け,本件明細書1の発明の詳細な説明における上記記

載を根拠に,訂正の請求によって追加されたものであって,上記発明は,

電源スイッチを2度押圧操作することにより通常運転制御モードに戻る

構成を有したものではない。そうであるから,構成要件1B3の「電源ス

イッチを再投入するまで前記検査運転制御モードを継続する」ことが,電

源スイッチを再び押圧操作することで検査運転制御モードを終了して通

常運転制御モードに戻ることを意味するものではない。

したがって,被告製品1は,本件発明1の構成要件1B2及び3を充足

する。

(被告らの主張)

構成要件1B2は,あえて「複数の電装品」と定めている上,本件明細

書1の発明の詳細な説明には,検査の迅速化という効果(本件公報6欄1

9行)が記載され,本件図面1には,モータについての検査運転がスピー

ディ設定スイッチやデリケート設定スイッチを押圧操作しても継続して

実行され,モータと排水弁又は給水弁についての両検査運転が同時に実行

される実施例(第1図)が記載されているから,構成要件1B2の「一つ

または複数の電装品についての検査運転が次のスイッチが操作されるま

で実行され」るとは,複数の電装品についての検査運転が次のスイッチが

操作されるまで同時に実行され得ることを意味する。給水弁についての検

査運転は,給水弁を開閉することを指し,給水を行うことを含まないとこ

ろ,被告製品1の電装品検査装置は,給水弁についての検査運転が「すす

ぎ」スイッチを押下したときに給水弁を開くことによって実行されるだけ

で,継続しては実行されない上,「脱水」スイッチを押下すると給水弁を

閉じ,複数の電装品についての検査運転が同時に実行され得ない。

また,構成要件1B3は,電源スイッチを2度押圧操作することにより

通常運転制御モードに戻る構成を有した発明(特開昭62−84797号

公報)等に基づいて容易に発明をすることができたとして,特許異議の申

立てがされたことを受け,本件明細書1の発明の詳細な説明の「通常運転

に戻る場合は,再度電源スイッチを投入することによりリセットする。」

(同5欄8ないし10行)との記載を根拠に,訂正の請求によって追加さ

れたものである上,本件明細書1の発明の詳細な説明には,検査の迅速化

という効果(同6欄19行)が記載されているから,構成要件1B3の「電

源スイッチを再投入するまで前記検査運転制御モードを継続する」とは,

電源スイッチを再び押圧操作することで検査運転制御モードを終了して

通常運転制御モードに戻ることを意味する。しかし,被告製品1は,「電

源スイッチ」を押圧操作することにより電源がオフの状態になり,通常運

転制御モードに戻らない。

したがって,被告製品1は,本件発明1の構成要件1B2及び3を充足

しない。

イ 被告製品2の本件発明2の構成要件2C1及び2の充足性

(原告らの主張)

被告製品2における蓋の開操作入力は,ブザー作動中にブザーの作動を

停止させるから,構成要件2C1の「報知装置の作動を停止させる操作入

力」及び構成要件2C2の「報知装置作動中に報知装置の作動を停止させ

る操作入力」に当たる。本件明細書2の発明の詳細な説明には,異常発生

時にむやみなキー操作をしても異常の内容を認識し得るという効果が記

載されているが(段落【0003】【0019】),必須の効果ではない

上,表示装置に異常の内容を表示することよって上記効果を得られるか

ら,上記両構成要件は,報知装置と表示装置が作動する複数の異常発生時

に報知装置の作動を停止させることを目的とした操作入力を意味するも

のではない。

また,被告製品2におけるマイクロコンピュータは,構成要件2C2の

「制御手段」に当たる。

したがって,被告製品2は,本件発明2の構成要件2C1及び2を充足

する。

(被告らの主張)

本件明細書2の発明の詳細な説明では,報知装置と表示装置が作動する

異常が限定されていない上(段落【0006】【0014】等),異常発

生時にむやみなキー操作をしても異常の内容を認識し得るという効果(段

落【0019】等)や,実施例としてブザーの鳴動及び非鳴動の設定並び

に停止のための操作キー(段落【0009】)が記載されているから,構

成要件2C1及び2の「報知装置の作動を停止させる操作入力」は,報知

装置と表示装置が作動する複数の異常発生時に報知装置の作動を停止さ

せることを目的とした操作入力を意味する。しかし,被告製品2における

蓋の開操作入力は,ブザーが作動するとともに表示装置が点灯する運転や

脱水,給排水ができないなどといった異常発生時のうち,脱水ができない

異常発生時にのみブザーの作動を停止させる操作入力である上,その旨の

説明が製品や取扱説明書にはないから,洗濯物の偏りを取り除くことを目

的とした操作にすぎず,報知装置の作動を停止させることを目的とした操

作入力ではない。

したがって,被告製品2は,本件発明2の構成要件2C1及び2を充足

しない。

ウ 被告製品3の本件発明3の構成要件3C及び3Dの充足性

(原告らの主張)

被告製品3において,第1撹拌水位(約321o)と第2撹拌水位(約

404o)の2段階の水位は,第2撹拌水位と最終到達水位(約418o)

の間で給水が行われ,いずれも最終到達水位より低い水位であるから,構

成要件3Cの「該給水時の最終到達水位より低い複数段階の水位」に当た

る。本件明細書3の発明の詳細な説明に,構成要件3Cが上下幅のある各

波において槽の底部から最終到達水位までの内周面を全て覆う複数段階

の水位でそれぞれ給水を中断することを意味する旨の記載はない。

また,被告製品3において,第1撹拌水位で第1撹拌が約30秒行われ,

第2撹拌水位で一連の撹拌のうち約120秒の撹拌が行われることは,構

成要件3Dの「水の撹拌を所定時間ずつ行なう」ことに当たる。本件明細

書3の発明の詳細な説明に,構成要件3C及び3Dが給水を中断している

時にのみ撹拌を所定時間ずつ行うことを意味する旨の記載はないし,撹拌

を2ないし3分ずつ行う実施例が記載されているが(段落【0018】な

いし【0020】),この時間に限定されるわけではない。

したがって,被告製品3は,本件発明3の構成要件3C及び3Dを充足

する。

(被告らの主張)

本件明細書3の発明の詳細な説明には,撹拌された水面の波の方が水中

の水流よりも機械力が大きいという本件発明3が利用した自然法則(段落

【0007】)が記載されているところ,原告らは,審決取消訴訟(知的

財産高等裁判所平成21年(行ケ)第10287号)において,上記自然

法則を利用することにより槽内で洗濯時の波立ちによる洗浄を期待する

ことができない最終到達水位より低い部分を十分に洗浄するという技術

的意義を主張していたから,構成要件3Cの「最終到達水位より低い複数

段階の水位でそれぞれ給水を中断」するとは,上下幅のある各波が槽の底

部から最終到達水位の手前までの槽内を全て覆う複数段階の水位でそれ

ぞれ給水を中断することを意味する。しかし,被告製品3は,第1撹拌水

位(約321o)における上下水位約324ないし296oの幅約28o

の波と第2撹拌水位(約404o)における上下水位約409ないし39

0oの幅約19oの波,最終到達水位(約418o)における上下水位約

421ないし401oの幅約20oの波が槽の底部から最終到達水位の

手前までの槽内を全ては覆っていないし,第2撹拌水位と最終到達水位の

差が約14oしかなく,上記両水位における各波が上下水位約401ない

し409oの幅約8oで重なっている上,上記両水位間で撹拌が継続する

から,第2撹拌水位と最終到達水位は実質的に同一の水位であるといえる

のであって,第1撹拌水位だけでは複数段階の水位といえない。

また,本件発明3は,最終到達水位での撹拌を除外している。しかし,

被告製品3は,最終到達水位で第2撹拌を約50秒行う上,第2撹拌水位

と最終到達水位は同一の水位であるといえるから,第2撹拌は構成要件

Dの「撹拌」に当たらないこととなり,第1撹拌だけでは構成要件3Dの

「撹拌を所定時間ずつ行なう」ことに当たらない。仮に第2撹拌水位と最

終到達水位が同一の水位であるということができないとしても,被告製品

3は,最終到達水位で撹拌を行うものである。そして,構成要件3C及び

3Dは,「複数段階の水位でそれぞれ給水を中断し…撹拌を所定時間ずつ

行なう」と定めている上,原告らは,前記訴訟において,給水を中断した

状態で撹拌することにより波の機械力を対象領域に必要な時間だけ集中

させるという技術的意義を主張していたのであるから,給水を中断してい

る時にのみ撹拌を所定時間ずつ行う必要がある。しかし,被告製品3は,

第2撹拌水位から最終到達水位への給水中にも撹拌を行うのである。

さらに,本件発明3は,撹拌によって槽を洗浄する撹拌洗浄方式におけ

る発明であって,撹拌によって立った波で十分に洗浄するという効果を得

る必要があるから,構成要件3Dの「所定時間」とは,洗浄効果を認める

に足りる十分な時間を意味するのであり,本件明細書3の発明の詳細な説

明には,2ないし3分の実施例が記載されている(段落【0018】ない

し【0020】)。しかし,被告製品3は,つけ置き洗浄方式を採用し,

第1撹拌が約30秒しか行われないのであって,洗浄効果を認めるに足り

る十分な時間ではない。

したがって,被告製品3は,本件発明3の構成要件3C及び3Dを充足

しない。

エ 被告製品4の本件発明4の構成要件4Gの充足性

(原告らの主張)

(ア) 被告製品4の洗濯機用水準器において,外部ケースの下端面の4点

は,構成要件4Gの「外部ケースの下端面」に当たる。

また,構成要件4Gは,「取付部の内底面」を「外部ケースの下端面」

と「当接させて基準面とする」面と定めている上,本件明細書4の発明

の詳細な説明では,取付部の底に凹凸があり,外部ケースの下端面が凸

部に当接する場合,凸部の上端部が属する仮想面が内底面となることを

前提としているから(段落【0015】),取付部の底から立ち上がる

とともに側壁と接続し一体に成形された4つのリブの各上端部が属する

単一の仮想面は,構成要件4Gの「取付部の内底面」に当たる。そして,

本件明細書4の発明の詳細な説明に,取付部の内底面に凹凸があっても

外部ケースの下端面が当接するように外部ケースをケースや蓋体よりも

下方へ突出させることにより,取付けの水平度を良くしたものであるこ

とは記載されていないから,構成要件4Gの「取付部の内底面」が,取

付部の内側最下部に実在する単一の平面を意味するものではない。

したがって,被告製品4は,本件発明4の構成要件4Gを充足する。

(イ) 本件発明4は,水準器に関する発明であるところ,構成要件4Gは,

水準器が取り付けられる洗濯機の構成にすぎない上,本件発明4は,外

部ケースを設けることにより水準器を精度良く取り付けるという課題を

解決したものであるから,本件発明4の実質的価値は外部ケースにあり,

構成要件4Gの「取付部の内底面」という構成は,本件発明4の本質的

部分でない。また,構成要件4Gの「取付部の内底面」という構成を被

告製品4の「取付部の底から立ち上がるとともに側壁と接続し一体に成

形された4つのリブの各上端部が属する単一の仮想面」という構成に置

き換えても,水準器を精度良く取り付けるという本件発明4の目的を達

することができ,同一の作用効果を奏するものであり,この構成の置換

えは,いわば面に下駄を履かせるだけであるから,当業者が被告製品4

の製造等の時点において容易に想到することができた。そして,本件発

明4は,外部ケースを設けた点に新規性進歩性が認められたのである

から,被告製品4は,特許出願時における公知技術と同一ではないし,

当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものでもない。さらに,

被告製品4が本件発明4の特許出願手続において特許請求の範囲から意

識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない。

したがって,被告製品4の取付部の底から立ち上がるとともに側壁と

接続し一体に成形された4つのリブの各上端部が属する単一の仮想面が

構成要件4G「取付部の内底面」に当たらないとしても,被告製品4は,

本件発明4の構成と均等なものである。

(被告らの主張)

(ア) 本件明細書4の発明の詳細な説明には,洗濯機用水準器が当接する

部分間の距離を伸ばすために外部ケースを設けるとともに,取付部の内

底面に凹凸があっても外部ケースの下端面が当接するように外部ケー

スをケースや蓋体よりも下方へ突出させることにより,取付けの水平度

の精度を良くしたものであることが記載されている上(段落【0006】

【0007】【0015】【0021】),本件発明4の特許出願の願

書に添付された図面(以下「本件図面4」という。)では,取付部の内

側最下部に実在する単一の平面を「内底面」と説明しているから(【図

7】),構成要件4Gの「取付部の内底面」とは,取付部の内側最下部

に実在する単一の平面を意味する。しかし,被告製品4の水準器は,外

部ケースの下端面が当接しているのが,取付部の底から立ち上がる4つ

のリブの各上端部であって,取付部の内側最下部に実在する単一の平面

ではない。

したがって,被告製品4は,本件発明4の構成要件4Gを充足しない。

(イ) 本件発明4は,ケース及び蓋体よりも下方へ突出する外部ケースを

設け,外部ケースの下端面を取付部の内底面に当接させて基準面とする

ことにより,取付けの水平度の精度を良くするという課題を解決したも

のであるから,本件発明4の実質的価値は外部ケースだけでなく取付部

の内底面にもあり,構成要件4Gの「取付部の内底面」という構成は,

本件発明4の本質的部分である。

したがって,被告製品4の洗濯機用水準器中の取付部の底から立ち上

がるとともに側壁から突出させた4つのリブの各上端部が属する単一の

仮想面は,本件発明4の構成と均等なものではない。

オ 被告製品5の本件発明5の構成要件5Eの充足性

(原告らの主張)

本件明細書5及び本件発明5の特許出願の願書に添付された図面(以下

「本件図面5」という。)には,鉛直との角度が約18度の斜め上方から

の視点で見る使用者に胴部の接合部が見えない実施例が記載されている

から(段落【0016】,【図1】),構成要件5Eのフィルタ部材「の

上下の全長より充分に小さな寸法の隙間」とは,バランスリングとフィル

タ部材との隙間の場合,バランスリングの陰となって鉛直との角度が約1

8度の斜め上方の視点から見る使用者に胴部の接合部が見えないほどに

小さな隙間を意味する。なお,【図1】は,設計図を再現したものであり,

約18度の斜め上方の視点も,不自然な視点ではない。被告製品5の脱水

槽は,バランスリングとフィルタ部材との隙間が29.5ないし56.5

oであって,バランスリングの陰となって鉛直との角度が約18度の斜め

上方の視点から見る使用者に胴部の接合部が見えないから,被告製品5の

脱水槽における隙間は,構成要件5Eのフィルタ部材「の上下の全長より

充分に小さな寸法の隙間」に当たる。

なお,本件明細書5の発明の詳細な説明には,接合部に洗濯物が触れな

くなる旨が記載されているが(段落【0007】
【0009】
【0016】 ,


この記載は,フィルタ部材で覆われた接合部に洗濯物が触れなくなること

を意味するにすぎず,隙間の大きさを限定する趣旨ではないし,仮に隙間

の大きさを限定する趣旨であるとしても,29.5ないし56.5oの隙

間であれば,胴部の接合部に洗濯物が触れる可能性はないと評価すべきで

ある。

したがって,被告製品5は,本件発明5の構成要件5Eを充足する。

(被告らの主張)

構成要件5Eの「その上下の全長より充分に小さな寸法の隙間」は,具

体的な寸法が不明であるが,本件明細書5の発明の詳細な説明には,「胴

部の接合部を見えなく,且つ,その接合部に洗濯物が触れないようにでき

るばかりでなく,特にはそれを,洗濯物が挟まれるようになることなく,

且つ,組立性を悪くすることもなく達成できる洗濯の脱水槽を提供する」

(段落【0007】)という目的が記載されているから,上記構成要件は,

バランスリングとフィルタ部材との隙間の場合,バランスリングの陰とな

って通常の方法で使用する使用者に胴部の接合部が見えず,その接合部に

洗濯物が触れないほど十分に小さな隙間で,かつ,その接合部に洗濯物が

挟まれないほど十分に大きな隙間を意味する。しかし,被告製品5の脱水

槽は,バランスリングとフィルタ部材との隙間につき,使用者に胴部の接

合部が見える上,その接合部に洗濯物が触れる。本件図面5には,鉛直と

の角度が約18度の斜め上方の視点から見る使用者に胴部の接合部が見

えない実施例が記載されているが(【図1】),模式図にすぎない上,不

自然な視点であるから,上記構成要件が,鉛直との角度が約18度の斜め

上方の視点から見る使用者に胴部の接合部が見えないほどに小さな隙間

を意味するものではない。

したがって,被告製品5は,本件発明5の構成要件5Eを充足しない。

カ 被告製品6の本件発明6の構成要件6Gの充足性

(原告らの主張)

埋設には,盛り上がった部分の上にあるくぼみに物を入れることも含ま

れる。また,本件明細書6の発明の詳細な説明には,放熱板から外気への

放熱が十分に行われない場合でも,放熱板の一部がポッティング材中に埋

設状態とされることにより,放熱板の熱がポッティング材を介してケース

に伝達されて放熱されるという放熱経路も構成され,効果的に放熱を行う

ことができるという本件発明6の効果が記載されているところ(段落【0

031】),放熱板の側面の一部がポッティング材に接触していれば,放

熱板の一部がポッティング材上部のほぼ水平面より下になくても,上記効

果を得られる。さらに,本件発明6の特許出願の願書に添付された図面(以

下「本件図面6」という。)には,放熱板の側面の一部がポッティング材

に接触している本件発明6の実施例が【図3】として記載されている。な

お,本件図面6には,構成要件6Gがなかった出願時請求項1の実施例が

【図1】として記載され,【図3】との違いは,放熱板の一部がポッティ

ング材上部の水平面より下にあるか否かであるが,放熱板の一部がポッテ

ィング材上部の水平面より下にない【図1】の場合でも,放熱板の側面の

一部が盛り上がったポッティング材に接触していれば,前記効果を得られ

るから,本件発明6の実施例であるということができる。本件明細書6の

発明の詳細な説明には,放熱板がポッティング材中に埋設状態とされる高

さを主板部のほぼ下半部までとする実施例が記載されている上(段落【0

030】),「分解時の放熱板の取外しを容易に行うことができる」とい

う効果も記載されているから(段落【0041】),放熱板の側面とポッ

ティング材との接触がポッティング材の表面張力のみによるものであっ

ても,本件発明6の実施例に含まれる。そうであるから,構成要件6Gは,

放熱板の側面の一部がポッティング材に接触している状態とされている

ことを意味する。被告製品6の電子ユニットは,放熱板の側面の一部が盛

り上がったポッティング材に接触している。

したがって,被告製品6は,本件発明6の構成要件6Gを充足する。

(被告らの主張)

埋設とは埋めて配置すること,埋めるとは穴やくぼみに物を入れること,

穴もくぼみも落ち込んでいる一部分をそれぞれ意味する。また,本件明細

書6の発明の詳細な説明には,「このポッティング材33は,前記突起部

32が埋設状態となると共に,放熱板32の主板部の一部(厚み方向ほぼ

下半部)が埋設状態とされる高さ位置まで設けられている。」(段落【0

030】)と記載されている。さらに,放熱板の熱がポッティング材を介

してケースに伝達されて放熱されるという放熱経路も構成され,効果的に

放熱を行うことができるという本件発明6の効果を得るには,放熱板の側

面の一部がポッティング材の表面張力等によってポッティング材に接触

しているだけでは足りず,放熱板の一部がポッティング材上部のほぼ水平

面よりも下にあることが必要である。加えて,本件図面6に記載されてい

る本件発明6の実施例は,いずれも放熱板の一部がポッティング材上部の

水平面よりも下にある(【図3】【図5】【図7】【図8】)。本件図面

6には,構成要件6Gがなかった出願時請求項1の実施例が【図1】とし

て記載され,【図3】との違いは,放熱板の一部がポッティング材上部の

水平面より下にあるか否かである。放熱板の一部がポッティング材上部の

水平面より下にない【図1】の場合は,放熱板の側面の一部が表面張力等

によって盛り上がったポッティング材に接触していても,前記効果を得ら

れないから,本件発明6の実施例といえない。このため,構成要件6Gは,

放熱板の一部がポッティング材上部のほぼ水平面よりも下にあることを

意味する。被告製品6の電子ユニットは,放熱板の一部がポッティング材

上部のほぼ水平面よりも下にない。

したがって,被告製品6は,本件発明6の構成要件6Gを充足しない。

(3) 争点B(本件発明1,2及び5に係る各特許が特許無効審判により無効に

されるべきものと認められるか)について

ア 引用製品1で実施された発明と本件発明1との同一性

(被告らの主張)

引用製品1は,「電源」スイッチを再び押圧操作することで電源が切れ

ることにより第2の運転制御モードが終了するから(1b’3),本件発

明1の構成要件1B3の全部においても一致する。引用製品1で実施され

た発明は,引用製品1が販売されたことにより,不特定多数の当業者が操

作,分析すれば容易に知ることができたから,公然と実施された。

引用製品1で実施された発明は,本件発明1に係る特許出願前に日本国

内において公然実施をされた発明であって,本件発明1は,引用製品1で

実施された発明と同一である。

(原告らの主張)

引用製品1が「電源」スイッチを再び押圧操作することで電源が切れる

ことにより第2の運転制御モードが終了することは,知らない。また,引

用製品1で実施された発明は,秘密保持義務を負ったメーカー関係者にし

か知らされない隠しコマンドであり,操作,分析しても,これを知ること

は極めて困難であったから,公然と実施されたものとはいえない。

したがって,引用製品1で実施された発明は,本件発明1に係る特許出

願前に日本国内において公然実施をされた発明ではないし,本件発明1

は,引用製品1で実施された発明と同一でもない。

イ 引用製品2で実施された発明に基づく本件発明2の想到容易性

(被告らの主張)

本件発明2と引用製品2で実施された発明は,構成要件2C1及び2の

一部においても一致し,本件発明2では,報知装置の作動を停止させる操

作入力を有するのに対し(構成要件2C1及び2),引用製品2で実施

れた発明では,一定時間の経過後に報知装置の作動を停止させるタイマー

機構を有する点で相違する。引用製品2で実施された発明は,引用製品2

が販売されることにより,公然と実施された。

昭和61年9月16日に頒布された特公昭61−41597公報(以下

「引用例」という。)の記載(8欄35ないし42行,9欄41行ないし

10欄5行)によれば,引用例の「ブザー」,「排水異常」及び「異常振

動」,「蓋を開操作」は,本件発明2の「報知装置」,「異常」,「報知

装置の作動を停止させる操作入力」に相当するから,引用例には「報知装

置を備え,異常発生時にそれを作動させるようにしたものであって,報知

装置作動中に報知装置の作動を停止させる操作入力を受け付けた場合,報

知装置の作動を停止する制御をする制御手段を備えた洗濯機」という発明

が記載されている。

引用製品2で実施された発明と引用例に記載された発明は,異常の発生

が認識された後にも報知装置が作動し続けるのはうるさく,異常の発生が

認識された後は報知装置の作動を停止させるという共通の課題を有する

とともに,前者の発明はタイマー機構により,後者の発明は蓋の開操作に

より,上記課題を解決し,騒音公害の発生を抑えるという共通の効果を有

していた。また,引用例には,「発光ダイオード54」(8欄14行)や

「発光ダイオード53」(8欄31行)の記載があるが,ブザーの周波数

を異常発生時と全行程終了時とで異ならせるためのものであって,表示装

置ではないから,上記両発明の組合せを阻害しない。

したがって,引用製品2で実施された発明は,本件発明2に係る特許出

願前に日本国内において公然実施をされた発明であって,本件発明2は,

当業者が引用製品2で実施された発明と引用例とを組み合わせることに

より,容易に発明をすることができた。

(原告らの主張)

本件発明2と引用製品2で実施された発明は,@本件発明2では,異常

発生時の報知装置作動中,報知装置の作動を停止させる操作入力と電源を

遮断する操作入力以外の他の操作入力を受け付けないのに対し(構成要件

2C1),引用製品2で実施された発明では,これがない点,A本件発明

2では,報知装置作動中に報知装置の作動を停止させる操作入力を受け付

けた場合,報知装置の作動を停止する一方で,表示装置を異常表示作動状

態に保つ制御をするのに対し(構成要件2C2),引用製品2で実施され

た発明では,これがない点で相違する。

引用例に記載された発明は,前記両相違点に係る構成を有しないから,

引用製品2で実施された発明に引用例に記載された発明を組み合わせて

も,本件発明2に到達しない。また,引用製品2には,本件発明2に至る

課題が示されていない上,引用例にも,タイマー機構を操作入力に置き換

える旨の記載はない。さらに,引用例には,ブザーと表示装置としての発

光ダイオードを同期させて作動させる旨の記載があるから(8欄28ない

し33行,9欄1ないし14行),上記両発明の組合せを阻害する。

したがって,本件発明2は,引用製品2で実施された発明に引用例に記

載された発明を組み合わせることにより,当業者が容易に発明をすること

ができたということはできない。

ウ 引用製品3で実施された発明と本件発明5との同一性

(被告らの主張)

引用製品3の脱水槽は,フィルタ部材がその上下の全長より十分に小さ

な2ないし3oの隙間をバランスリングとの間に余すから(5e’),本

件発明5の構成要件5Eの全部においても一致する。引用製品3で実施

れた発明は,引用製品3が販売されることにより,公然と実施された。

したがって,引用製品3で実施された発明は,本件発明5に係る特許出

願前に日本国内において公然実施をされた発明であって,本件発明5は,

引用製品3で実施された発明と同一である。

(原告らの主張)

引用製品3の脱水槽は,バランスリングとフィルタ部材との間に2o程

度の間隙があるが,これは金属製の胴部の熱膨張率とプラスチック製のフ

ィルタ部材の熱膨張率が異なることに配慮した設計上の余裕にすぎない。

本件明細書5の発明の詳細な説明には,胴部の接合部を揚水路形成部材で

あるフィルタ部材で底板からバランスリングにかけて上下に隙間なく覆

った場合に,上記両熱膨張率が異なることから,フィルタ部材と底板やバ

ランスリングとの間に隙間を生じ,そこに洗濯物が挟まれて痛められると

いう本件発明5が解決した問題が記載されているから(段落【0005】

【0006】),構成要件5Eの「その上下の全長より充分に小さな寸法

の隙間」は,熱膨張や熱収縮に備えた設計上の余裕程度の間隙を含まない。

したがって,引用製品3で実施された発明は,本件発明5と同一でない。

(4) 争点C(被告三菱電機の責任)

(原告らの主張)

被告三菱電機は,各被告製品を発売する旨のプレスリリースやテレビコマ

ーシャル,三菱電機技報を出した。また,家庭電気製品のカタログには,当

該製品を製造又は輸入して販売する事業者等の名称を明瞭に表示しなければ

ならないところ(平成17年法律第35号による改正前の不当景品類及び不

当表示防止法10条1項に基づき公正取引委員会が認定した家庭電気製品製

造業における表示に関する公正競争規約(平成12年同委員会告示第35号)

2条3項5条1号,同施行規則(以下「本件規則」という。)3条),各

被告製品のカタログの裏表紙には,いずれも被告三菱電機の名称が表示され

ている。さらに,家庭用品には,製造業者又は販売業者等を表示しなければ

ならないところ(家庭用品品質表示法3条1項2号),各被告製品には,い

ずれも被告三菱電機の商号が表示されている。したがって,被告三菱電機は,

各被告製品を譲渡し,又は譲渡等の申出をしたものである。

仮に被告三菱電機が各被告製品の譲渡や譲渡等の申出をしたと認められ

ないとしても,被告三菱電機は,被告ライフネットワーク,同住環境システ

ムズ及び同日本建鐵と共に洗濯機の製造販売に係る事業を行い,各被告製品

を開発したり,被告日本建鐵,同ライフネットワーク及び同住環境システム

ズによる各被告製品の製造又は販売を承認したり,プレスリリース等を出し

たり,製造物責任(製造物責任法2条3項2号)をも負担する前記各表示を

したりすることにより,被告ライフネットワークや同住環境システムズ,同

日本建鐵が行う各被告製品の製造又は販売を促進した。また,被告三菱電機

は,各被告製品の製造又は販売が本件各特許権を侵害することを認識してい

た。仮に認識していなかったとしても,被告三菱電機は,被告ライフネット

ワークや同住環境システムズ,同日本建鐵の共同行為者といえるから(民法

719条),原告らの本件各特許権を侵害した者として,本件各特許権の侵

害について過失がある(特許法103条)。

(被告らの主張)

被告三菱電機が各被告製品を発売する旨のプレスリリースやテレビコマー

シャル,三菱電機技報を出したのは,各被告製品を発売した被告ライフネッ

トワークや同住環境システムズが被告三菱電機の完全子会社だからである。

また,各被告製品のカタログの裏表紙に被告三菱電機の名称が表示されてい

るのは,被告三菱電機が各被告製品を製造して販売する被告日本建鐵と特別

の契約関係にあるからであり(本件規則3条2号),各被告製品に被告三菱

電機の商号が表示されているのは,表示業者として表示したものにすぎない

(家庭用品品質表示法3条1項2号)。譲渡や譲渡等の申出は,所有者だけ

がすることができるが,被告三菱電機は,各被告製品を所有したことがない

から,各被告製品について,譲渡も,譲渡等の申出もしたことはない。

被告三菱電機は,各被告製品を開発したり,プレスリリース等を出したり,

製造物責任をも負担する前記各表示をしたりすることにより,被告ライフネ

ットワークや同住環境システムズが行う各被告製品の販売を促進したが,各

被告製品が本件各発明の技術的範囲に属することに向けた寄与はなく,一般

的なものにとどまるから,被告ライフネットワークや同住環境システムズ,

同日本建鐵の共同行為者といえない。そして,被告三菱電機は,各被告製品

の製造又は販売が本件各特許権を侵害することを認識せず,かつ,これにつ

いて過失もない。

(5) 争点D(損害又は利得の額)について

(原告らの主張)

ア 本件特許権4に係る損害又は利得の額

前記1(4)のとおり,本件特許権4の存続期間における被告製品4の売上

高は,被告ライフネットワークが約513億6900万円,被告住環境シ

ステムズが約23億5400万円である。

本件発明4は,洗濯機用水準器に関する発明であるが,洗濯機は水平に

設置しないと振動や騒音が大きくなって洗濯をすることができなくなる

から,洗濯機用水準器は,洗濯機を設置したり使用したりする際に必要不

可欠なものであって,被告製品4の水準器だけでは取引されないから,実

施料算定の基礎となる物は,被告製品4に係る洗濯機であって,被告製品

4に取り付けられる洗濯機用水準器ではない。

洗濯機における前記洗濯機用水準器の必要性を考慮すれば,被告製品4

における水準器の寄与度は50%である。そして,被告製品4は,従前の

製品に比べて多く洗濯をすることができるよう,高さを上げて容量を大き

くした結果,脱水時の異常振動が生じやすくなり,精度の良い水準器が必

要不可欠であったところ,被告製品4の水準器は,取付けに別部品を要せ

ず,安価な上,外部ケースによって精度良く取り付けられているから,本

件発明4の効果を得ているのであって,本件発明4の実施料率は,5%を

下らない。

そうすると,原告らの損害又は損失の額は,次の計算式のとおり,被告

ライフネットワークの売上高について,それぞれ原告らが被告三菱電機,

同ライフネットワーク及び同日本建鐵からその特許発明実施に対し受

けるべき金銭の額に1割の弁護士費用を加えた7億0632万3750

円であり,被告住環境システムズの売上高について,それぞれ原告らが被

告三菱電機,同住環境システムズ及び同日本建鐵からその特許発明実施

に対し受けるべき金銭の額に1割の弁護士費用を加えた3236万75

00円である。

(計算式)513億6900万円×0.5×0.05÷2×1.1=7億0632万3750円

23億5400万円×0.5×0.05÷2×1.1=3236万7500円

イ 本件特許権5に係る損害又は利得の額

前記1(4)のとおり,本件特許権5の存続期間における被告製品5の売上

高は,被告ライフネットワークが約487億7400万円,被告住環境シ

ステムズが約19億7700万円である。

本件発明5は,脱水槽に関する発明であるが,脱水槽は洗濯機の枢要部

であるから,実施料算定の基礎となる物は,被告製品5に係る洗濯機であ

って,被告製品5が備えるフィルタ部材ではない。

被告製品5は,胴部の接合部が見えないことによって外観が向上すると

ともに,接合部に洗濯物が触れないことによって洗濯物の汚損が防止さ

れ,かつ,フィルタ部材とバランスリングとの隙間に洗濯物が挟まれて痛

むことがなく,組立性も悪くないから,本件発明5の効果を得ているので

あって,本件発明5の実施料率は5%を下らない。

そうすると,原告らの損害又は損失の額は,次の計算式のとおり,被告

ライフネットワークの売上高について,それぞれ原告らが被告三菱電機,

同ライフネットワーク及び同日本建鐵からその特許発明実施に対し受

けるべき金銭の額に1割の弁護士費用を加えた13億4128万500

0円であり,被告住環境システムズの売上高について,それぞれ原告らが

被告三菱電機,同住環境システムズ及び同日本建鐵からその特許発明の実

施に対し受けるべき金銭の額に1割の弁護士費用を加えた5436万7

500円である。

(計算式)487億7400万円×0.05÷2×1.1=13億4128万5000円

19億7700万円×0.05÷2×1.1=5436万7500円

(被告らの主張)

ア 本件特許権4に係る損害又は利得の額について

本件発明4は,水準器に関する発明である上,糸と重りで水平度を確認

することもできるから,水準器は必要不可欠なものではなく,はめ込み式

水準器だけでも取引されるから,実施料算定の基礎となる物は,被告製品

4に取り付けられる仕入価格約●(省略)●円の水準器であって,被告製品

4に係る洗濯機ではない。

被告製品4の水準器は,平面よりも高価で精度誤差も生じやすい4つの

リブの各上端部に当接しているから,安価に精度良く取り付けるという本

件発明4の効果をほとんど得ていない。また,被告製品4の水準器が達成

する水平度程度であれば,従来技術の水準器で代替可能である。さらに,

洗濯機用水準器は,通常,業者が洗濯機を据え付ける際に用いられるだけ

で,購入動機の形成に寄与しない。被告製品4は,従前の製品に比べて精

度の良い水準器が必要ではなかったから,本件発明4の実施料率は,1%

を超えない。

そうすると,次の計算式のとおり,原告らが被告ライフネットワークの

販売した被告製品4の水準器について本件発明4の実施に対し受けるべ

き金銭の額は,それぞれ32万2900円を超えず,原告らが被告住環境

システムズの販売した被告製品4の水準器について本件発明4の実施

対し受けるべき金銭の額は,それぞれ1万4800円を超えない。

(計算式) 513億6900万円×●(省略)●円/●(省略)●円×0.01÷2

=32万2900円

23億5400万円×●(省略)●円/●(省略)●円×0.01÷2

=1万4800円

イ 本件特許権5に係る損害又は利得の額について

被告製品5の脱水槽で構成要件5Eを充足し得るのは,31o以上の隙

間をバランスリングとの間に余すものに限られるところ,本件特許権5の

存続期間における被告製品5の売上高のうち,31o以上の隙間をバラン

スリングとの間に余すものは,被告ライフネットワークが約311億91

00万円,被告住環境システムズが約14億7700万円である。

本件発明5は,脱水槽に関する発明であるが,実質的にはフィルタ部材

に関する発明であるから,実施料算定の基礎となる物は,被告製品5が備

える平均仕入価格●(省略)●円のフィルタ部材であって,脱水槽でも,洗

濯機でもない。

被告製品5の脱水槽は,これが本件発明5の技術的範囲に属するもので

あるとしても,製造費を削減するためにフィルタ部材を共通化した結果に

すぎない。また,本件発明5の効果は,専ら美感の向上と洗濯物の痛みを

防止することにあるが,約18度の斜め上方の視点から見た場合の美観や

フィルタ部材とバランスリングとの隙間が31o以上であることを考慮

して洗濯機を購入する者はなく,購入動機の形成に寄与しないから,本件

発明5の実施料率は,1%を超えない。

そうすると,次の計算式のとおり,原告らが被告ライフネットワークの

販売した被告製品5の脱水槽について本件発明5の実施に対し受けるべ

き金銭の額は,それぞれ39万7700円を超えず,原告らが被告住環境

システムズの販売した被告製品5の脱水槽について本件発明5の実施

対し受けるべき金銭の額は,それぞれ1万8850円を超えない。

(計算式)311億9100万円×●(省略)●円/●(省略)●円×0.01÷2

=39万7700円

14億7700万円×●(省略)●円/●(省略)●円×0.01÷2

=1万8850円

第3 当裁判所の判断

1 争点@(被告製品1ないし6の構成)について

(1) 本件発明1の構成要件1B3に対比した構成(1b3)について

被告製品1が「電源」スイッチを押圧操作することによって電源が切れる

まで検査運転制御モードを継続することは,当事者間に争いがない。

被告製品1において電源が切れると電装品検査装置が初期状態に戻ること

を認めるに足りる証拠はない。

(2) 本件発明2の構成要件2C2に対比した構成(2c2)について

被告製品2が,蓋の開操作入力を受け付けた場合,ブザーの作動を途中で

停止する一方で,表示装置を異常表示が点灯された状態に保つ制御をするマ

イクロコンピュータを有することは,当事者間に争いがない。

被告製品2が,脱水できない異常以外の異常の発生時に,蓋の開操作入力

をも受け付けず,時間の経過以外にはブザーの作動を途中で停止する手段が

ないことを認めるに足りる証拠はない。

(3) 本件発明3の構成要件3C及び3Dに対比した構成(3c及び3d)につ

いて

被告製品3が,「槽洗浄」コースの給水時に,該給水時の最終到達水位(約

418o)に至る途中において,第1撹拌水位(約321o)と,第2撹拌

水位(約404o)の2段階の水位でそれぞれ給水を中断し(3c),槽内

に溜まった水の撹拌を,第1撹拌水位における約30秒の第1撹拌と,第2

撹拌水位及び最終到達水位において行われる合計約180秒の撹拌に分けて

行い,後者の撹拌のうちの約120秒が第2撹拌水位で行われ,約10秒が

第2撹拌水位から最終到達水位への給水中に行われ,約50秒が最終到達水

位において行われる(3d)ことは,当事者間に争いがない。また,証拠(甲

57,86,87)及び弁論の全趣旨によれば,被告製品3は,約120秒

の撹拌後,給水弁電流を流す前にタイマーのタイミングをリセットしている

ので,モータ電流の切断時間が長くなることにより,いったんパルセータの

回転が停止し,続いて,約10秒の撹拌が行われることが認められる。

被告製品3において,第2撹拌水位が標準選択コースにおける最高水位と

等しいことを認めるに足りる証拠はない。

被告らは,パルセータの回転が停止したように見えるのは,パルセータが

同一方向に回転し始めるからにすぎないと主張する。証拠(甲87)及び弁

論の全趣旨によれば,被告製品3の各撹拌は,回転羽根であるパルセータが

時計回りの回転と反時計回りの回転を交互に行うことによって行われるとこ

ろ,約120秒の撹拌のうち最後のパルセータの回転は時計回りであり,続

く約10秒の撹拌のうち最初のパルセータの回転も時計回りであることが認

められるが,パルセータは,約120秒の撹拌のうち最後の回転を終えてか

ら続く約10秒の撹拌のうち最初の回転を始めるまでの間,明らかに一瞬停

止していることが認められるのである。被告らの上記主張は,採用すること

ができない。

(4) 本件発明4の構成要件4Gに対比した構成(4g)について

被告製品4が外部ケースの下端面の4点を取付部の底から立ち上がる4つ

のリブのそれぞれの上端部に当接させて位置決めを行った(4g)洗濯機用

水準器を有することは,当事者間に争いがない。また,証拠(甲57)によ

れば,被告製品4において,上記各リブが,側壁と接続し一体に成形されて

いるとともに,側壁から突出していること,上記洗濯機用水準器が上記各リ

ブの各上端部が属する仮想面を基準面として位置決めを行っていることが認

められる。

(5) 本件発明5の構成要件5Eに対比した構成(5e)について

被告製品5が,底板との間には隙間が存在せず,29.5ないし56.5

oの隙間をバランスリングとの間に余し,うち31o以上の隙間を前記バラ

ンスリングとの間に余すものについては,当該隙間とフィルタ部材全長との

比が0.13ないし0.23であり,当該隙間の接合部が,鉛直との角度が

29ないし44度以上の斜め上方の視点からは見える一方,鉛直との角度が

18度の斜め上方の視点からは見えない(5e)洗濯機の脱水槽を有するこ

とは,当事者間に争いがない。証拠(甲82,88)及び弁論の全趣旨によ

れば,被告製品5において,うち29.5o以上31o未満の隙間を前記バ

ランスリングとの間に余すものについては,当該隙間とフィルタ部材全長と

の比が約0.12であり,当該隙間の接合部が,鉛直との角度が29ないし

44度以上の斜め上方の視点からは見える一方,鉛直との角度が18度の斜

め上方の視点からは見えないことが認められる。

(6) 本件発明6の構成要件6Gに対比した構成(6g)について

被告製品6が,放熱板がポッティング材と少なくとも側面の一部において

接している状態とされている(6g)電子ユニットを有することは,当事者

間に争いがない。証拠(甲71,83)によれば,被告製品6において,放

熱板がポッティング材と下面において接していることが認められる。

2 争点A(被告製品1ないし6がそれぞれ本件発明1ないし6の技術的範囲

属するか)について

(1) 被告製品1の本件発明1の構成要件1B2及び3の充足性について

構成要件1B2「一つまたは複数の電装品についての検査運転が次のス

イッチが操作されるまで実行され」について

証拠(甲13)によれば,本件明細書1の発明の詳細な説明には「給水

弁…は…所定の時間的序列に従って実行される給水行程…といった各行

程時に動作されて検査される。」(3欄5ないし8行),「給水弁16が

動作中であるか否かを判断し(ステップS17),動作中でなければ該給

水弁16をオンし(ステップS18),動作中であれば該給水弁16をオ

フする(ステップS19)」(4欄49行ないし5欄2行)と記載されて

いることが認められるから,被告製品1においても,給水弁を開いておく

には,給水弁がその間作動し続けることを要するものと推認することがで

きる。そうすると,被告製品1において,給水弁を開き,これを「脱水」

スイッチが押下されるまで開いておくことは,構成要件1B2の「一つ…

の電装品についての検査運転が次のスイッチが操作されるまで実行され」

ることに当たる。

被告らは,構成要件1B2があえて「複数の電装品」と定め,本件明細

書1の発明の詳細な説明や本件図面1には,検査の迅速化という効果やモ

ータと排水弁又は給水弁についての両検査運転が同時に実行される実施

例が記載されているから,構成要件1B2の「一つまたは複数の電装品に

ついての検査運転が次のスイッチが操作されるまで実行され」るとは,複

数の電装品についての検査運転が次のスイッチが操作されるまで同時に

実行され得ることを意味すると主張する。しかしながら,構成要件1B2

は,「一つまたは複数の電装品」と定めているし,証拠(甲13)によれ

ば,本件明細書1の発明の詳細な説明には,「上記実施例では,一つのス

イッチで検査対象としての電装品を一つ指定するようにしたが,これは複

数の電装品を指定するようにしても良い。」(5欄26ないし28行)と

記載されていることが認められる。そして,証拠(甲13)によれば,本

件明細書1の発明の詳細な説明には,「これにて,任意の電装品を指定し

て検査でき,よって検査の迅速化を図り得…るといった優れた効果を奏す

る。」(6欄18ないし22行)と記載されていることが認められるから,

検査の迅速化という効果は,任意の電装品を指定して順次検査することに

よるものであって,複数の電装品を同時に検査することによるものではな

い。また,証拠(甲13)によれば,本件図面1には,実施例として,モ

ータの検査運転中にスピーディ設定スイッチやデリケート設定スイッチ

を押圧操作すると排水弁や給水弁の検査運転も開始する旨が記載されて

いることが認められるが(第1図),これによれば,上記各スイッチを操

作してもモータの検査運転は停止することなく実行されるから,構成要件

1B2の「一つ…の電装品についての検査運転が次のスイッチが操作され

るまで実行され」ることに当たらないのであって,上記記載は本件発明1

実施例ではない。被告らの上記主張は,採用することができない。

構成要件1B3について

「投入」とは,「投げ入れること。つぎ込むこと。」を意味する(広辞

苑(第6版))。また,証拠(甲13ないし16,乙3ないし5)によれ

ば,(ア)構成要件1B3は,平成11年8月10日,構成要件1A1ない

し1B2及び1Cからなる登録時請求項1につき,構成要件1A1ないし

3,1B2及び1Cと同じ構成を有した発明(特開昭62−84797号

公報)等に基づいて容易に発明をすることができたとして,特許異議の申

立てがされ,特許権者であった東芝は,上記発明は運転時間が限られて時

間内に検査が終了しない可能性があるのに対し,本件発明1は「時間的制

約もなくし得て十分な電装品の検査ができる」(本件公報6欄20行)と

して,本件明細書1の発明の詳細な説明の「通常運転に戻る場合は,再度

電源スイッチを投入することによりリセットする。」(同5欄8ないし1

0行)との記載を根拠に,特許請求の範囲の訂正を請求し,これにより構

成要件1B3の構成が追加された,(イ)上記記載中の「再度」の文言は,

本件明細書1の発明の詳細な説明の「制御装置14は検査運転を第1図に

示すように制御する。即ち,電源スイッチ3がオンされたとき水位設定ス

イッチ10が押されていれば(ステップS1で判断),つまり,特定の複

数のスイッチ(この場合水位設定スイッチ10及び電源スイッチ3)が同

時にオン操作されればステップS2以降に移行する。このステップS2以

降は検査運転制御モードとなっており,該モードがセット状態となる。」

(同4欄15ないし23行)との記載を受けたものであることが認められ

る。さらに,弁論の全趣旨によれば,検査運転から通常運転に戻る場合は,

いったん電源を切った後に再び電源を入れる方法によるのが技術常識

あることが認められる。これらを総合すれば,構成要件1B3の「電源ス

イッチを再投入する」は,電源スイッチを操作して再び電源を入れること

を意味すると解される。そうすると,構成要件1B3は,電源スイッチを

操作し,電源を切った後,再び電源を入れるまで検査運転制御モードを継

続することを意味するが,電源を切った状態では検査運転が実行され得な

いから,実質的には,電源スイッチを操作して電源を切るまで検査運転制

御モードを継続することを意味するものと解される。

被告製品1は,「電源」スイッチを押圧操作することによって電源が切

れるまで検査運転制御モードを継続するのであるから,構成要件1B3を

充足する。

被告らは,本件明細書1の発明の詳細な説明に検査の迅速化という効果

が記載されているから,構成要件1B3は電源スイッチを再び押圧操作す

ることで検査運転制御モードを終了して通常運転制御モードに戻ること

を意味すると主張する。しかしながら,検査の迅速化という上記効果は,

前記アのとおり,任意の電装品を指定して順次検査することによるもので

ある。被告らの上記主張は,採用することができない。

ウ その余について

被告製品1において,「すすぎ」スイッチが押下されることは,構成要

件1B2の「個別のスイッチが操作される」ことに当たる。

エ したがって,被告製品1は,構成要件1B2及び3を充足するから,本

件発明1の技術的範囲に属する。

(2) 被告製品2の本件発明2の構成要件2C1及び2の充足性について

証拠(甲18)によれば,本件発明2は,異常発生時に報知装置と表示装

置とを作動させて異常を知らしめる洗濯機にあって,異常発生時に使用者が

むやみなキー操作をしたとしても,表示装置が異常表示作動を停止されたり,

運転モードが変更されたりすることのない優れた洗濯機を提供するという従

来技術では達成し得なかった技術的課題を解決するために,本件明細書2の

特許請求の範囲の請求項1のとおりの構成を採用したものであり,これによ

り,報知装置作動中は,操作入力の制限をすることによって報知装置の作動

を停止させる操作入力と電源を遮断する操作入力以外の他の操作入力を受け

付けずに,表示装置を異常表示作動状態に保つから,異常発生時に使用者が

むやみなキー操作をして,表示装置が異常表示作動状態を停止されたり,運

転モードが変更されて運転再開時に異常による停止が繰り返され,さらに,

次の電源オン時に所望しない運転モードが再現設定されたりする不都合の発

生をなくし,そのほか,報知装置の作動を停止させる操作入力と電源を遮断

する操作入力は受け付けるから,報知装置の作動を任意に停止させ,また,

リセットも任意にさせることができるものと認められる。

上記認定の事実によれば,構成要件2C1及び2の「報知装置の作動を停

止させる操作入力」は,異常発生時の報知装置作動中にこれを受け付け,こ

れにより報知装置の作動を任意に停止させるというものである。

被告製品2は,脱水できない異常の発生時に,表示装置に脱水ができない

ことを示す異常表示を点灯させるとともに,ブザーを作動させ,ブザーの作

動中に蓋の開操作入力を受け付けると,ブザーの作動を停止する一方で,表

示装置を異常表示が点灯された状態に保つというものである。ところで,脱

水できない異常が発生したときに蓋の開操作入力によってブザーの作動が停

止することの説明が製品や取扱説明書等に記載されて使用者が認識し得る状

態にあったことを認めるに足りる証拠はないから,脱水できない異常が発生

したときのブザー作動中における蓋の開操作入力は,使用者が脱水槽の内部

を確認するためであって,使用者がブザーの作動を任意に停止させるためで

あるということはできない。そうであるから,上記蓋の開操作入力は,構成

要件2C1及び2の「報知装置の作動を停止させる操作入力」に当たらない。

したがって,被告製品2は,構成要件2C1及び2を充足しないから,本

件発明2の技術的範囲に属さない。

(3) 被告製品3の本件発明3の構成要件3C及び3Dの充足性について

ア 証拠(甲21)によれば,本件明細書3の発明の詳細な説明には,次の

記載があることが認められる。

(ア) 「【発明の属する技術分野】本発明は槽洗浄コースを有する洗濯機

に関する。」(段落【0001】)

(イ) 「【発明が解決しようとする課題】従来より,洗濯機においては,

槽洗浄コースを有するものが供されている。これは,洗濯に供した槽を

洗浄するもので,槽内に規定水位まで給水して後,該槽内に溜まった水

を撹拌するようになっている。しかしながら,このものでは,槽の洗浄

効果が充分に得られなかった。

本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり,従ってその目的は,

槽の洗浄効果が充分に得られる洗濯機を提供するにある。」(段落【0

002】【0003】)

(ウ) 「【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発

明の洗濯機においては,第1に,槽洗浄コースの給水時に,該給水時の

最終到達水位より低い複数段階の水位でそれぞれ給水を中断し槽内に溜

まった水の撹拌を所定時間ずつ行なうようにしたことを特徴とする。…

従来のものの槽の洗浄効果を見たところ,全般にその効果が小さいも

のの,水面部分ではその効果が大きいことが判明した。この原因を探っ

たところ,下記のことが明らかとなった。すなわち,槽洗浄時に槽内に

溜まった水を撹拌することによる洗浄効果は,撹拌された水による機械

力が槽に及ぶことで槽の汚れを落とすことであるが,この槽の汚れを落

とす機械力は,槽内の水が撹拌されて波立つことにより槽に与えられる

ものであり,要するに波による作用であるから,水面部分ほどその効果

が大きいのである。」(段落【0004】【0007】)

イ 証拠(乙6)によれば,原告らが被告三菱電機との審決取消訴訟(知的

財産高等裁判所平成21年(行ケ)第10287号)で提出した平成21

年12月9日付け準備書面(第1回)には,本件発明3の進歩性を根拠付

けるために,「本件発明の主要部の構成要件技術的意義を明らかにする。

槽洗浄のために波の機械力を槽表面に作用させる方法として,給水を継続

しながら撹拌も同時に継続する構成が考えられるところ,本件発明では,

@「給水時の最終到達水位より低い複数段階の水位でそれぞれ給水を中断

し」A「(その中断中に)撹拌を所定時間ずつ行う」構成としている。こ

のような構成であると,給水を中断した状態での撹拌による波の機械力を

対象領域に必要時間集中させることができる。しかも,波の機械力を作用

させている間給水を中断しているので槽洗浄に要にする水量は少なくて

済む。また,給水時の最終到達水位での槽洗浄が通常の衣類洗濯時の波立

ちにより期待できることから,最終到達水位での槽洗浄動作を除外してお

り,これにより槽洗浄運転時間の冗長化が免れる。本件発明の構成要件@

Aには,以上のような技術的意義を有するのである。」との記載があるこ

とが認められる。

構成要件3C及び3Dは,「その槽洗浄コースの給水時に,該給水時の

最終到達水位より低い複数段階の水位でそれぞれ給水を中断し槽内に溜

まった水の撹拌を所定時間ずつ行なうようにした」と定め,「その槽洗浄

コースの給水時に,複数段階の水位で槽内に溜まった水の撹拌を所定時間

行なうようにした」とは定めていない。そして,原告らが本件発明3の「給

水時の最終到達水位より低い複数段階の水位でそれぞれ給水を中断し」,

「(その中断中に)撹拌を所定時間ずつ行う」構成の技術的意義について,

前記イ認定のような説明をしていることを併せ考慮すれば,構成要件3C

は,給水時における最終到達水位で撹拌を行うものや給水を中断しないで

撹拌を行うものを含まないと解するのが相当である。

被告製品3は,槽洗浄コースの給水時に,第2撹拌水位から最終到達水

位への給水中に約10秒の撹拌を行うとともに,最終到達水位で約50秒

の撹拌を行う洗濯機である。

したがって,被告製品3は,構成要件3C及び3Dを充足しないから,

本件発明3の技術的範囲に属さない。

(4) 被告製品4の本件発明4の構成要件4Gの充足性について

ア 被告製品4の洗濯機用水準器における外部ケースの下端面の4点は,構

成要件4Gの「外部ケースの下端面」に当たる。

「内」とは「何かを中核・規準とする,一定の限界の中。区域内。内部。 ,


「底」とは「くぼんだものや容器の下の所。物体の下面。底面。集積した

ものの下層部。」,「面」とは「物の外郭を成す,角立っていない広がり。

その類似物。」(広辞苑(第6版))をそれぞれ意味する。そして,証拠

(甲24)によれば,本件明細書4の発明の詳細な説明には,「図7及び

図8は本発明の一実施例を示すもので,水準器30のケース31の外方に

前述の外部ケース35に代えてケース31及び蓋体32よりも下方へ突

出する外部ケース41を一体に形成し,この外部ケース41の下端面41

aを,トップカバー24に前述の凹部38に代えてそれより深底に形成し

た取付部である凹部42の内底面42aに当接させて基準面とするよう

にしたものを示している。このものによれば,ケース31の下端面を基準

面とした前記基本構成のものに比して,当接面に同様の凹凸があっても,

外部ケース41がケース31より径大であるから,水準器30の傾きを少

なくできて,取付けの水平度の精度を良くできる利点を有している。例え

ば,ケース31の直径が15[o]で,外部ケース41の直径が25[o]

であるとすれば,その差から水準器30の水平度は40[%]良くできる

のである。」(段落【0014】【0015】)と記載され,本件図面4

の【図7】には,外部ケース41の下端面41aが当接する凹凸を含み得

るとされた取付部42の内底面42aが記載されていることが認められ

る。これらを総合すれば,構成要件4Gの「取付部の内底面」とは,取付

部の内側の下に実在する広がりを意味するものと解される。

原告らは,@構成要件4Gが「取付部の内底面」を「外部ケースの下端

面」と「当接させて基準面とする」面と定めている上,本件明細書4の発

明の詳細な説明では,取付部の底に凹凸があり,外部ケースの下端面が凸

部に当接する場合,凸部の上端部が属する仮想面が内底面となることを前

提としているから(段落【0015】),取付部の底から立ち上がるとと

もに側壁と接続し一体に成形された4つのリブの各上端部が属する単一

の仮想面が構成要件4Gの「取付部の内底面」に当たる,A本件明細書4

発明の詳細な説明に,取付部の内底面に凹凸があっても外部ケースの下

端面が当接するように外部ケースをケースや蓋体よりも下方へ突出させ

ることにより,取付けの水平度を良くしたものであることは記載されてい

ないから,構成要件4Gの「取付部の内底面」が,取付部の内側最下部に

実在する単一の平面を意味するものではないと主張する。しかしながら,

@構成要件4Gは,「取付部の内底面」が取付部の内底面であると同時に,

これに「外部ケースの下端面」を「当接」させることを定めているのであ

って,内底面であること自体を不要とはしていない。そして,前記認定の

本件明細書4の発明の詳細な説明の記載では,取付部の底に凹凸があり,

外部ケースの下端面が凸部に当接する場合であっても,「内底面」は実在

する内底面42aであって,凸部の上端部が当接する外部ケースの下端面

が仮想面としての基準面となることを前提としているから(段落【001

4】【0015】),4つのリブの各上端部が属する単一の仮想面が構成

要件4Gの「取付部の内底面」に当たるとする余地はないのである。また,

A本件発明4は,取付部の内底面に凹凸があっても外部ケースの下端面が

当接するよう,外部ケースをケースや蓋体よりも下方へ突出させることに

より,取付けの水平度を良くしたものであり,このことは,本件明細書4

発明の詳細な説明の段落【0015】に十分示されている。原告らの上

記主張は,採用することができない。

証拠(甲57)によれば,被告製品4における洗濯機用水準器の外部ケ

ースの下端面の4点が当接する4つのリブの各上端部は,いずれも取付部

の底に比べてはるかに狭いことが認められるから,取付部の内側の下に実

在する広がりとはいえず,上記各上端部は,構成要件4Gの「取付部の内

底面」に当たらない。

したがって,被告製品4は,構成要件4Gを充足しない。

イ 特許請求の範囲に記載された構成中に他人が製造等をする製品と異なる

部分が存する場合であっても,@当該部分が特許発明の本質的部分ではな

く,A当該部分を上記製品におけるものと置き換えても,特許発明の目的

を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,Bそのよう

置き換えることに,当業者が上記製品の製造等の時点において容易に想

到することができたものであり,C上記製品が,特許発明の特許出願時に

おける公知技術と同一又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考で

きたものではなく,かつ,D上記製品が特許発明の特許出願手続において

特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情

もないときは,上記製品は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なも

のとして,特許発明技術的範囲に属するものと解するのが相当である

(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判

決・民集52巻1号113頁参照)。

(ア) そこで,以下,これについて検討する。

a @の要件について

特許権は,従来技術では達成し得なかった技術的課題を解決する手

段を公開した代償として付与されるものであるから,このことを考慮

すれば,特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特

許発明の構成のうち,公開された明細書や出願関係書類の記載から把

握される当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分を

いうと解するのが相当である。

証拠(甲24)によれば,本件発明4は,取付けに別部品を必要

とせず,当接面に凹凸があっても,安価に精度良く取り付けること

ができ,視認性にも優れる洗濯機用水準器を提供するという従来技

術では達成し得なかった技術的課題を解決するために,ケースと係

合部を一体に形成するとともに,ケースの外方にケース及び蓋体よ

りも下方へ突出する外部ケースを一体に備えさせたものであり,こ

れが本件発明4特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分である

と認められる。そうであるから,構成要件4Gの「取付部の内底面」

という構成は,本件発明4の本質的部分でないというべきである。

被告らは,本件発明4が外部ケースの下端面を取付部の内底面に

当接 さ せて 基準 面 とす る こと に よっ て 取 付け の 水平 度の 精 度を 良

くするという課題を解決したものであるから,本件発明4の実質的

価値が「取付部の内底面」という構成にもあるとして,本件発明4

の本質的部分であると主張する。しかしながら,前記のとおり,取

付部の内底面は,凹凸があることによって取付けの精度が悪くなる

という問題点があるために,技術的課題を生じさせていた構成であ

って,課題を解決した構成ではない。被告らの上記主張は,採用す

ることができない。

b AないしDの要件について

A構成要件4Gの「取付部の内底面」という構成を被告製品4の4

つのリブの各上端部に置き換えても,当該各リブが取付部の側壁と一

体に成形されているとともに,側壁から突出しており,取付けに別部

品を必要としない上,当接面に凹凸があっても,安価に精度良く取

り付けることができ,視認性にも優れるから,本件発明4の目的を

達することができ,同一の作用効果を奏する。そして,B上記のよ

うに置き換えることは,取付部の補強目的で行うなど,当業者が被

告製品4における洗濯機用水準器の製造等の時点において容易に

想到することができたものである。また,C被告製品4における洗

濯機用水準器が,本件発明4の特許出願時における公知技術と同一

又は当業者がこれから上記出願時に容易に推考できたことは窺え

ない。さらに,D被告製品4における洗濯機用水準器が本件発明4

の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外された

ものに当たるなどの特段の事情があることは認められない。

(イ) したがって,被告製品4における洗濯機用水準器は,本件発明4の

構成と均等なものとして,その技術的範囲に属する。

(5) 被告製品5の本件発明5の構成要件5Eの充足性について

証拠(甲64)によれば,本件発明5は,脱水槽内をのぞく使用者に胴部

の接合部が見えず,その接合部に洗濯物が触れないようにするとともに,フ

ィルタ部材が熱収縮しても,バランスリングとフィルタ部材との間の隙間や

フィルタ部材と底板との間の隙間に洗濯物が挟まれず,フィルタ部材を嵌合

する際の組立性も悪くない洗濯機の脱水槽を提供するという従来技術では達

し得なかった技術的課題を解決するために,本件明細書5の特許請求の範囲

の請求項1のとおりの構成を採用したものであり,これにより,脱水槽をの

ぞく使用者に,胴部の接合部のうちフィルタ部材で覆われた部分が見えず,

その部分に洗濯物が触れなくなるのはもちろん,胴部の接合部のうちフィル

タ部材で覆われていないバランスリングとフィルタ部材との間の隙間やフィ

ルタ部材と底板との間の隙間についても,バランスリングやフィルタ部材の

陰となって見えなくなるとともに,各隙間の接合部には洗濯物がバランスリ

ングとフィルタ部材やフィルタ部材と底板にそれぞれ止められて触れなくな

った上,各隙間に洗濯物が挟まれず,フィルタ部材をバランスリングや底板

に関係なく組み付けることができるようになったことが認められる。

そうであれば,構成要件5Eの「その上下の全長より充分に小さな寸法の

隙間を前記バランスリング又は底板との間に余すこと」とは,フィルタ部材

とバランスリング又は底板との間の隙間がフィルタ部材の全長より小さい上,

脱水槽をのぞく使用者に胴部の接合部が見えず,その接合部に洗濯物が触れ

ず,洗濯物が挟まれない寸法の隙間をバランスリング又は底板との間に余す

ことを意味するものと解される。なお,使用者が脱水槽をのぞく態様につい

ては,通常の態様を意味するものと解するのが相当であり,証拠(甲32,

64)によれば,中心的な使用者と想定されている日本人の女性の平均身長

が約157pであること,本件図面5の【図1】には,鉛直との角度が約1

8度の斜め上方の視点からのぞく態様が記載されていることが認められるか

ら,これらの事実に鑑みれば,使用者が脱水槽をのぞく態様は,身長が約1

57p前後の使用者が前屈みになって洗濯物を脱水槽から取り出す際の態様

を意味すると解される。また,フィルタ部材が熱収縮することによって生じ

る隙間にすら洗濯物が入り込んで挟まれることがあり,その隙間を広げれば,

バランスリングやフィルタ部材,底板に止められるとはいえ,洗濯物が入り

込みやすくなって胴部の接合部に触れる可能性が生じるから,胴部の接合部

に洗濯物が触れないということは,実質的には,胴部の接合部に洗濯物が触

れにくいことを意味するものと解される。

被告らは,本件図面5の【図1】に鉛直との角度が約18度の斜め上方の

視点から見る例が記載されているが,模式図にすぎない上,不自然な視点で

あると主張する。しかしながら,証拠(乙16)によれば,身長が約157

p前後の使用者が前屈みになって洗濯物を脱水槽から取り出す場合には,鉛

直との角度が約18度の斜め上方から見ることになるものと認められるから,

本件図面5の【図1】が模式図であるとしても,不自然な視点であるという

ことはできない。被告らの上記主張は,採用することができない。

被告製品5の脱水槽は,フィルタ部材とバランスリングとの間に29.5

ないし56.5oの隙間を余しているところ,当該隙間とフィルタ部材全長

との比が0.13ないし0.23であるから,フィルタ部材とバランスリン

グとの間の隙間がフィルタ部材の全長より小さいものということができる。

また,証拠(甲82,乙16)によれば,身長が159pの者が前屈みにな

って鉛直との角度が約18度の斜め上方の視点から脱水槽をのぞいた場合に

は,胴部の接合部が見えないことが認められるから,被告製品5の脱水槽は,

身長が約157p前後の使用者が前屈みになって洗濯物を脱水槽から取り出

す際にも胴部の接合部が見えないと認められる。さらに,被告製品5の脱水

槽は,56.5o以下の隙間を余すところ,証拠(甲82)によれば,バラ

ンスリングの幅が26ないし33oであり,フィルタ部材の上部の幅がそれ

よりも長いことが認められるから,胴部の接合部に洗濯物が触れにくいと認

められる。そして,被告製品5の脱水槽は,29.5o以上の隙間を余すか

ら,隙間に洗濯物が挟まれないと認められる。

そうすると,被告製品5の脱水槽がフィルタ部材において29.5ないし

56.5oの隙間をバランスリングとの間に余すことは,構成要件5Eを充

足する。

したがって,被告製品5は,構成要件5Eを充足するから,本件発明5の

技術的範囲に属する。

(6) 被告製品6の本件発明6の構成要件6Gの充足性について

「中」とは「一定の区画・範囲の内。「外」に対する。内部。うち。,
」「埋

設」とは「地中に埋めて取り付けること。,
」「埋める」とは「穴や空所を満た

す。中に入れた物の上を覆って見えなくする。うずめる。」をそれぞれ意味す

る(広辞苑(第6版)。そして,証拠(甲68)によれば,本件明細書6の


発明の詳細な説明には,
「これによれば,IPMの上面に取付けられた放熱板

から放熱が行われると共に,IPMのリード部分に伝わった熱が,ポッティ

ング材を介してあるいは回路基板及びポッティング材を介してケースから放

熱される。このとき,IPMのリードとケース内面との間に,熱容量の大き

いポッティング材が介在されているので,空気層が介在される場合に比べて

ケースに対する良好な熱伝導が行われる。しかも,放熱板の一部をポッティ

ング材中に埋設状態とするようにしたので,放熱板の熱がポッティング材を

介してケースに伝達されて放熱されるという放熱経路も構成されるようにな

り,放熱板から外気への放熱が十分に行われない場合でも,効果的に放熱を

行うことができる。(段落【0008】,
」 )「図3は,本発明の第2の実施例に

係る電子ユニット31の構成を示している。この実施例においては,IPM

12の上面部に取付けられる放熱板32は,その端部に,下方に延びる突起

部32aを一体に有している。そして,ケース22内には,例えばウレタン

樹脂からなるポッティング材33が充填されるのであるが,このポッティン

グ材33は,前記突起部32が埋設状態となると共に,放熱板32の主板部

の一部(厚み方向ほぼ下半部)が埋設状態とされる高さ位置まで設けられて

いる。(段落【0030】
」 )と記載され,本件発明の効果につき,放熱板から

外気への放熱が十分に行われなくても,放熱板の熱がその側面からポッティ

ング材を介しケースに伝達されて放熱されることにより,効果的な放熱を行

えることを挙げている。これらに,前記(4)アの「内」の意味を併せ考慮すれ

ば,構成要件6Gは,放熱板が取り付けられなければポッティング材が充填

されるはずであったであろう部分を放熱板の一部が満たして取り付けられて

いることを意味するものと解される。

原告らは,@埋設には盛り上がった部分の上にあるくぼみに物を入れるこ

とも含まれる,A放熱板の側面の一部がポッティング材に接触していれば,

効果的な放熱という本件発明6の効果を得られる,B本件発明6の実施例で

はない本件図面6の【図1】の場合でも,放熱板の側面の一部が盛り上がっ

たポッティング材に接触していれば,上記効果を得られるから,本件発明6

実施例であるということができる,C本件明細書6の発明の詳細な説明

は,埋設状態とされる高さが主板部のほぼ下半部とする実施例や分解時の放

熱板の取外しを容易に行えるという効果が記載され,放熱板とポッティング

材との接触が表面張力のみによるものであっても,本件発明6の実施例に含

まれるから,構成要件6Gは,放熱板の側面の一部がポッティング材に接触

している状態とされていることを意味すると主張する。しかしながら,@に

ついては,放熱板が取り付けられなくてもポッティング材が盛り上がる場合

は,放熱板が取り付けられなければポッティング材が充填されるはずであっ

たであろう部分を放熱板の一部が満たして取り付けられていることになるか

ら,
「中に埋設」といえるが,放熱板が取り付けられたことによりポッティン

グ材が盛り上がる場合は,放熱板が取り付けられなければポッティング材が

充填された部分を放熱板の一部が満たして取り付けられていない限り,中に


埋設」とはいえない。AないしCについては,いずれも「中に埋設」の解釈

を左右するものではない。原告らの上記主張は,採用することができない。

被告製品6の電子ユニットは,放熱板が周囲のポッティング材と少なくと

も側面の一部において接しているが,証拠(甲71,83)及び弁論の全趣

旨によれば,これは表面張力等で盛り上がったポッティング材が放熱板の側

面の一部に付着しているにすぎず,放熱板が取り付けられなければポッティ

ング材が充填されるはずであったであろう部分を放熱板の一部が満たして取

り付けられていることを認めるに足りる証拠はない。

したがって,被告製品6は,構成要件6Gを充足しないから,本件発明6

技術的範囲に属さない。

3 争点B(本件発明1及び5に係る各特許が特許無効審判により無効にされる

べきものと認められるか)について

(1) 引用製品1で実施された発明と本件発明1との同一性について

ア 証拠(乙10,19)によれば,引用製品1は,
「電源」スイッチを再び

押圧操作することで電源が切れることにより第2の運転制御モードが終

了するものであることが認められる。第2の運転制御モードが検査運転制

御モードに当たることは,当事者間に争いがないから,引用製品1で実施

された発明は,電源スイッチを操作して電源を切るまで検査運転制御モー

ドを継続するものであり,本件発明1の構成要件1B3の全部においても

一致する。

イ 引用製品1は,
「電源」スイッチ,
「コース1」スイッチ及び「コース2」

スイッチを同時にオン操作すると検査運転制御モードがセットされ,「ス

タート・一時停止」スイッチを押すとパルセータが右回転し,「コース1」

スイッチを押すとパルセータが左回転し,「コース2」スイッチを押すと

パルセータが回転を停止して排水し,「電源」スイッチを押すと上記モー

ドが終了するというものであるが,証拠(乙10,19)によれば,操作・

表示盤には,「電源」スイッチと「スタート・一時停止」スイッチ,「コー

ス1」スイッチ,「コース2」スイッチの4スイッチだけを備えることが

認められる。そして,証拠(乙3)によれば,洗濯機において電源スイッ

チを含む複数のボタンを同時に押下することにより検査プログラムを実

行する隠しコマンドがあることは,本件発明1の特許出願前に周知の事項

となっていたことが認められるから,引用製品1で実施された発明は,引

用製品1において適宜の操作を行えば,認識することができる状態にあっ

たものということができる。

原告らは,引用製品1で実施された発明が秘密保持義務を負ったメーカ

ー関係者にしか知らされない隠しコマンドであり,操作,分析しても,こ

れを知ることが極めて困難であったから,公然と実施されたものとはいえ

ないと主張する。しかしながら,証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によれば,

メーカー関係者は,引用製品1が発売された昭和63年3月下旬当時か

ら,隠しコマンドの存在を一般的には認識していたことが認められるか

ら,当業者が新製品を開発するなどといった目的で隠しコマンドの有無及

び内容を調査すれば,容易に引用製品1で実施された発明を認識すること

ができたということができる。原告らの上記主張は,採用することができ

ない。

したがって,引用製品1で実施された発明は,本件発明1に係る特許出

願前に日本国内において公然実施をされた発明であって,本件発明1は,

引用製品1で実施された発明と同一であり,本件発明1に係る特許は,特

許無効審判により無効にされるべきものと認められるから,原告は,被告

に対し,本件特許権1を行使することができない。

(2) 引用製品3で実施された発明と本件発明5との同一性について

証拠(乙17)によれば,引用製品3の脱水槽は,フィルタ部材がその上

下の全長より小さな2o程度の間隙をバランスリングとの間に余すことが認

められる。本件発明5の構成要件5Eは,洗濯物が挟まれない寸法の隙間を

余すことを定めているが,2o程度の間隙では,洗濯物が挟まれる寸法であ

るから,引用製品3で実施された発明は,本件発明5の構成要件5Eにおい

て一致しない。

したがって,引用製品3で実施された発明は,本件発明5と同一でないか

ら,本件発明5に係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと

認められない。

4 争点C(被告三菱電機の責任)について

被告三菱電機が被告製品4及び5を譲渡し,又は譲渡等の申出をしたことを

認めるに足りる証拠はない。

ところで,被告三菱電機を除く被告らは,被告日本建鐵が製造して,被告ラ

イフネットワーク及び同住環境システムズに販売し,同被告両名が転売すると

いう関係にあったから,被告ライフネットワークが販売した被告製品4及び5

に係る被告日本建鐵と同ライフネットワークの各譲渡,被告住環境システムズ

が販売した被告製品4及び5に係る被告日本建鐵と同住環境システムズの各譲

渡は,それぞれ客観的に関連したものということができる。そして,証拠(甲

33ないし35,40ないし56,58ないし60,73,74,81)及び

弁論の全趣旨によれば,被告ライフネットワーク,同住環境システムズ及び同

日本建鐵は,被告三菱電機の完全子会社であるところ,被告三菱電機は,被告

ライフネットワーク,同住環境システムズ及び同日本建鐵と共に洗濯機の製造

販売に係る事業を行い,被告日本建鐵と共に被告製品4及び5を開発したり,

被告製品4及び5を発売する旨のプレスリリースや新聞広告を出したり,被告

製品4及び5のカタログや取扱説明書の最終頁に自らの名称を表示したり,製

造物責任を負担する趣旨で被告製品4及び5に自らの商号を表示したりしたこ

とが認められる。これらの事実によれば,被告三菱電機は,被告製品4及び5

に係る被告日本建鐵,同ライフネットワーク及び同住環境システムズのそれぞ

れの譲渡を幇助したものということができる。そして,被告三菱電機は,被告

日本建鐵と共に,被告製品4及び5を開発したのであるから,先行技術を調査

するなどして上記各譲渡を幇助すべきでなかったのに,漫然と幇助した過失も

認められる。

したがって,被告らは,民法719条の共同不法行為として,連帯して損害

賠償責任を負う。

5 争点D(損害の額)について

(1) 本件特許権4に係る損害の額について

証拠(甲40ないし56,91)によれば,洗濯機は,水平に据え付けら

れないと,振動や騒音が大きくなって,洗濯することができない場合がある

ことが認められるから,被告製品4の洗濯機用水準器は,洗濯機の洗濯機能

を十分に発揮させるための重要な部品であるということができる。もっとも,

洗濯機の中核的な機能は,洗濯することにあるから,上記水準器は,洗濯機

の補助的な部品であるといわざるを得ない上,これを使用するのは主に洗濯

機を購入して設置する時や転居等で移設する時くらいであって,使用頻度は

高くなく,また,はめ込み式でない水準器等でも代替することができるので

あって(乙24の1及び2),被告らがカタログ等で本件発明4の効果を広

告,宣伝していたことを認めるに足りる証拠もないから,被告製品4の水準

器が被告製品4を購入する際の動機の形成に寄与するとは考え難い。そして,

弁論の全趣旨によれば,被告製品4の水準器の仕入価格は約●(省略)●円で,

被告製品4の平均製造原価約●(省略)●円の約●(省略)●%を占めるにすぎ

ないことが認められる。これらを総合すれば,被告製品4における本件発明

4の寄与率は,0.2%であると認めるのが相当である。

本件発明4は,前記2(4)イ(ア)aのとおり,取付けに別部品を必要とせ

ず,当接面に凹凸があっても,安価に精度良く取り付けることができ,視

認性にも優 れる洗 濯機用 水準器を 提供す るという従 来技術 では達 成し得

なかった技術的課題を解決するために,ケースと係合部を一体に形成する

とともに,ケースの外方にケース及び蓋体よりも下方へ突出する外部ケー

スを一体に備えさせたものであるが,被告製品4の水準器は,平面よりも

高価で精度 誤差も 生じや すい4つ のリブ の各上端部 に当接 してい るので

あるから,本件発明4の効果を十分には得ていない。このことを基本とし

て,本件に現れた諸事情を総合考慮すれば,本件発明4の実施料率は3%

であると認めるのが相当である。

原告らは,被告製品4が従前の製品に比べて多く洗濯をすることができる

よう,精度の良い水準器が必要不可欠であったと主張する。しかしながら,

証拠(乙22,23)によれば,被告製品4の水準器は,従前の製品の水準

器よりも精度の低いものであったことが認められる。原告らの上記主張は,

採用することができない。

そうすると,前記第2の1(4)のとおり,本件特許権4の存続期間におけ

る被告製品4の売上高は,被告ライフネットワークが約513億6900万

円,被告住環境システムズが約23億5400万円であり,被告製品4にお

ける本件発明4の寄与率は0.2%,本件発明4の実施料率は3%である

から,次の計算式のとおり,原告らが被告三菱電機,同ライフネットワーク

及び同日本建鐵から本件発明4の実施に対し受けるべき金銭の額は,それぞ

れ154万1070円であり,原告らが被告三菱電機,同住環境システムズ

及び同日本建鐵からその特許発明実施に対し受けるべき金銭の額は,それ

ぞれ7万0620円であり,原告らは,それぞれこれらに相当する額の金銭

を自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

(計算式)513億6900万円×0.002×0.03÷2=154万1070円

23億5400万円×0.002×0.03÷2=7万0620円

(2) 本件特許権5に係る損害の額について

被告製品5の脱水槽は,洗濯機の洗濯機能を発揮するための中核的な部品

であり,洗濯の度に使用して,その使用頻度は高いから,被告製品5の脱水

槽が被告製品5を購入する際の動機の形成に寄与することはそれなりに考え

られる。もっとも,被告らがカタログ等で本件発明5の効果を広告,宣伝し

ていたことを認めるに足りる証拠はなく,弁論の全趣旨によれば,被告製品

5の脱水槽の平均製造原価は,約●(省略)●円(約●(省略)●円×(直接材料

費●(省略)●%+労務管理費等●(省略)●%)/直接材料費●(省略)●%)

で,被告製品5の平均製造原価約●(省略)●円の約●(省略)●%を占めるに

すぎないことが認められる。これらを総合すれば,被告製品5における本件

発明5の寄与率は,15%であると認めるのが相当である。

本件発明5は,前記2(5)のとおり,脱水槽内をのぞく使用者に胴部の接合

部が見えず,その接合部に洗濯物が触れないようにするとともに,フィルタ

部材が熱収縮しても,バランスリングとフィルタ部材との間の隙間やフィル

タ部材と底板との間の隙間に洗濯物が挟まれず,フィルタ部材を嵌合する際

の組立性も悪くない洗濯機の脱水槽を提供するという従来技術では達し得な

かった技術的課題を解決するために,フィルタ部材で胴部の接合部を内側か

ら覆うとともに,フィルタ部材の上下の全長より十分に小さな寸法の隙間を

バランスリング又は底板との間に余したものであるが,具体的には,フィル

タ部材を従来のものより少し短くしたにすぎない。このことを基本として,

本件に現れた諸事情を総合考慮すれば,本件発明5の実施料率は,1%であ

ると認めるのが相当である。

そうすると,前記第2の1(4)のとおり,本件特許権5の存続期間における

被告製品5の売上高は,被告ライフネットワークが約487億7400万円,

被告住環境システムズが約19億7700万円であり,被告製品5における

本件発明5の寄与率は15%,本件発明5の実施料率は1%であるから,次

の計算式のとおり,原告らが被告三菱電機,同ライフネットワーク及び同日

本建鐵からその特許発明実施に対し受けるべき金銭の額は,それぞれ36

58万0500円であり,原告らが被告三菱電機,同住環境システムズ及び

同日本建鐵からその特許発明実施に対し受けるべき金銭の額は,それぞれ

148万2750円であり,原告らは,それぞれこれらに相当する額の金銭

を自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

(計算式)487億7400万円×0.15×0.01÷2=3658万0500円

19億7700万円×0.15×0.01÷2=148万2750円

(3) 本件の事案の内容,認容額及び本件訴訟の経過等を総合すると,被告らの

不法行為相当因果関係のある弁護士費用に相当する損害の額は,それぞれ,

被告三菱電機,同ライフネットワーク及び同日本建鐵に対するものが381

万2157円,被告三菱電機,同住環境システムズ及び同日本建鐵に対する

ものが15万5337円と認めるのが相当である。

6 以上によれば,原告らの被告三菱電機,同ライフネットワーク及び同日本建

鐵に対する請求は,それぞれ損害金4193万3727円及びこれに対する不

法行為の後の日である平成24年10月2日から支払済みまで民法所定の年5

分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり,被告三菱電

機,同住環境システムズ及び同日本建鐵に対する請求は,それぞれ損害金17

0万8707円及びこれに対する上記同様の遅延損害金の連帯支払を求める限

度で理由がある。

よって,原告らの請求を前記の限度で認容し,その余は理由がないからこれ

を棄却することとして,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第47部




裁判長裁判官 高 野 輝 久




裁判官 三 井 大 有

裁判官 志 賀 勝




(本判決添付の特許公報は,掲載を省略)





(別紙)

当 事 者 目 録




東京都千代田区<以下略>

平成23年(ワ)第8085号原告・第226

92号原告(以下「原告」という。)

東芝コンシューマエレクトロ

ニクス・ホールディングス株

式会社

東京都千代田区<以下略>

平成23年(ワ)第8085号原告・第226

92号原告(以下「原告」という。)

東芝ホームアプライアンス株

式会社

上記両名訴訟代理人弁護士

高 橋 雄 一 郎

同訴訟代理人弁理士 小 川 泰 典

同訴訟復代理人弁護士 北 島 志 保

東京都千代田区<以下略>

平成23年(ワ)第8085号被告・第226

92号被告(以下「被告」という。)

三 菱 電 機 株 式 会 社

東京都江東区<以下略>

平成23年(ワ)第22692号被告(以下「被

告」という。)

株式会社三菱電機ライフネッ

トワーク

東京都台東区<以下略>

平成23年(ワ)第22692号被告(以下「被

告」という。)

三菱電機住環境システムズ株

式会社

千葉県船橋市<以下略>

平成23年(ワ)第22692号被告(以下「被

告」という。)

日 本 建 鐵 株 式 会 社

上記4名訴訟代理人弁護士

近 藤 恵 嗣

重 入 正 希

前 田 将 貴





(別紙)

物 件 目 録




1 MAW−70KP MAW−V8MP

MAW−60KP MAW−V7MP

MAW−60K MAW−VB7P−H

MAW−50K MAW−V7JP−H

MAW−ZP7B−C MAW−70MP

MAW−Z6B−H MAW−70M

MAW−KP7−H MAW−60MP

MAW−K6−H MAW−60M

MAW−70LP MAW−50LP

MAW−70L MAW−50MP

MAW−60LP MAW−50M

MAW−60L MAW−MP7−H

MAW−50S MAW−Z7DP−H

MAW−50L MAW−Z6D−H

MAW−DP7L−H MAW−V8QP

MAW−ZP7C−C MAW−V7QP

MAW−LP6−H MAW−70QP

MAW−Z6C−H MAW−70Q

MAW−D6L−H MAW−60QP

MAW−60Q MAW−Z6F−H

MAW−711P−H MAW−EG6RP

MAW−611 MAW−V8SP

MAW−511 MAW−V7SP

MAW−50QP MAW−V6SP

MAW−50Q MAW−70SP

MAW−Z7EP−H MAW−70S

MAW−YP7−H MAW−60SP

MAW−Z6E−H MAW−60S

MAW−EG6P−H MAW−5SP

MAW−V8RP MAW−5S

MAW−V7RP MAW−Z6H

MAW−V6RP MAW−EG6SP

MAW−70RP MAW−D8TP

MAW−70R MAW−D7TP

MAW−60RP MAW−V8TP

MAW−60R MAW−V7TP

MAW−712P MAW−V6TP

MAW−612P MAW−FV7TP

MAW−50RP MAW−N8TP

MAW−50R MAW−N7TP

MAW−Z7FP−H MAW−60TP

MAW−815P MAW−YM70UP

MAW−715P MAW−D9WP

MAW−Z8HP MAW−D8WP

MAW−R7T MAW−D7WP

MAW−EG7SP MAW−HV9WP

MAW−6TPV5 MAW−HV8WP

MAW−D8UP MAW−HV7WP

MAW−D7UP MAW−HV6WP

MAW−HV8UP MAW−H75V7

MAW−HV7UP MAW−KV9WP

MAW−HV6UP MAW−KV8WP

MAW−H85V6 MAW−KV7WP

MAW−H75V6 MAW−N9WP

MAW−MV8UP MAW−N8WP

MAW−MV7UP MAW−N7WP

MAW−CHV8UP MAW−N6WP

MAW−V8UP MAW−816P

MAW−V7UP MAW−716P

MAW−N8UP MAW−GD108Y

MAW−N7UP MAW−HD88Y

MAW−N6UP MAW−HD88X

MAW−YM80UP MAW−HD66Y

MAW−D9XP MAW−F80P

MAW−D8XP MAW−F70P

MAW−D7XP MAW−D9YP

MAW−HV9XP MAW−D8YP

MAW−HV8XP MAW−D7YP

MAW−HV7XP MAW−HV9YP

MAW−N9XP MAW−HV8YP

MAW−N8XP MAW−HV7YP

MAW−N7XP MAW−N9YP

MAW−N6XP MAW−N8YP

MAW−S90 MAW−N7YP

MAW−F90P MVW−VD1




2 MAW−V8SP MAW−D8TP

MAW−V7SP MAW−D7TP

MAW−V6SP MAW−V8TP

MAW−70SP MAW−V7TP

MAW−70S MAW−V6TP

MAW−60SP MAW−FV7TP

MAW−60S MAW−N8TP

MAW−50SP MAW−N7TP

MAW−50S MAW−60TP

MAW−815P MAW−HV9WP

MAW−715P MAW−HV8WP

MAW−D8UP MAW−HV7WP

MAW−D7UP MAW−HV6WP

MAW−HV8UP MAW−H75V7

MAW−HV7UP MAW−KV9WP

MAW−HV6UP MAW−KV8WP

MAW−H85V6 MAW−KV7WP

MAW−H75V6 MAW−N9WP

MAW−MV8UP MAW−N8WP

MAW−MV7UP MAW−N7WP

MAW−CHV8UP MAW−N6WP

MAW−V8UP MAW−816P

MAW−V7UP MAW−716P

MAW−N8UP MAW−GD108Y

MAW−N7UP MAW−HD88Y

MAW−N6UP MAW−HD88X

MAW−YM80UP MAW−HD66Y

MAW−YM70UP MAW−D9XP

MAW−D9WP MAW−D8XP

MAW−D8WP MAW−D7XP

MAW−D7WP MAW−HV9XP

MAW−HV8XP MAW−D9YP

MAW−HV7XP MAW−D8YP

MAW−N9XP MAW−D7YP

MAW−N8XP MAW−HV9YP

MAW−N7XP MAW−HV8YP

MAW−N6XP MAW−HV7YP

MAW−S90 MAW−N9YP

MAW−F90P MAW−N8YP

MAW−F80P MAW−N7YP

MAW−F70P MVW−VD1




3 MAW−D9YP MAW−D7YP

MAW−D8YP




4 MAW−D8TP MAW−60TP

MAW−D7TP MAW−815P

MAW−V8TP MAW−715P

MAW−V7TP MAW−D8UP

MAW−V6TP MAW−D7UP

MAW−FV7TP MAW−HV8UP

MAW−N8TP MAW−HV7UP

MAW−N7TP MAW−HV6UP

MAW−H85V6 MAW−KV7WP

MAW−H75V6 MAW−N9WP

MAW−MV8UP MAW−N8WP

MAW−MV7UP MAW−N7WP

MAW−CHV8UP MAW−N6WP

MAW−V8UP MAW−816P

MAW−V7UP MAW−716P

MAW−N8UP MAW−GD108Y

MAW−N7UP MAW−HD88Y

MAW−N6UP MAW−HD88X

MAW−YM80UP MAW−HD66Y

MAW−YM70UP MAW−D9XP

MAW−D9WP MAW−D8XP

MAW−D8WP MAW−D7XP

MAW−D7WP MAW−HV9XP

MAW−HV9WP MAW−HV8XP

MAW−HV8WP MAW−HV7XP

MAW−HV7WP MAW−N9XP

MAW−HV6WP MAW−N8XP

MAW−H75V7 MAW−N7XP

MAW−KV9WP MAW−N6XP

MAW−KV8WP MAW−S90

MAW−F90P MAW−HV8YP

MAW−F80P MAW−HV7YP

MAW−F70P MAW−N9YP

MAW−D9YP MAW−N8YP

MAW−D8YP MAW−N7YP

MAW−D7YP MVW−VD1

MAW−HV9YP




5 MAW−V8SP MAW−D7UP

MAW−V7SP MAW−HV8UP

MAW−70SP MAW−HV7UP

MAW−70S MAW−H85V6

MAW−D8TP MAW−H75V6

MAW−D7TP MAW−MV8UP

MAW−V8TP MAW−MV7UP

MAW−V7TP MAW−CHV8UP

MAW−FV7TP MAW−V8UP

MAW−N8TP MAW−V7UP

MAW−N7TP MAW−N8UP

MAW−815P MAW−N7UP

MAW−715P MAW−YM80UP

MAW−D8UP MAW−YM70UP

MAW−D9WP MAW−HV9XP

MAW−D8WP MAW−HV8XP

MAW−D7WP MAW−N9XP

MAW−HV9WP MAW−N8XP

MAW−HV8WP MAW−N7XP

MAW−KV9WP MAW−S90

MAW−KV8WP MAW−F90P

MAW−N9WP MAW−F80P

MAW−N8WP MAW−F70P

MAW−N7WP MAW−D9YP

MAW−816P MAW−D8YP

MAW−716P MAW−D7YP

MAW−GD108Y MAW−HV9YP

MAW−HD88Y MAW−HV8YP

MAW−HD88X MAW−N9YP

MAW−D9XP MAW−N8YP

MAW−D8XP MAW−N7YP

MAW−D7XP




6 MAW−D8TP MAW−V7TP

MAW−D7TP MAW−V6TP

MAW−V8TP MAW−FV7TP

MAW−D8UP MAW−KV9WP

MAW−D7UP MAW−KV8WP

MAW−HV8UP MAW−KV7WP

MAW−HV7UP MAW−HV9XP

MAW−HV6UP MAW−HV8XP

MAW−MV8UP MAW−HV7XP

MAW−MV7UP MAW−HD88X

MAW−CHV8UP MAW−D9XP

MAW−V8UP MAW−D8XP

MAW−V7UP MAW−D7XP

MAW−H85V6 MAW−D9YP

MAW−H75V6 MAW−D8YP

MAW−H75V7 MAW−D7YP

MAW−D9WP MAW−GD108Y

MAW−D8WP MAW−HD88Y

MAW−D7WP MAW−HD66Y

MAW−HV9WP MAW−HV9YP

MAW−HV8WP MAW−HV8YP

MAW−HV7WP MAW−HV7YP

MAW−HV6WP MVW−VD1

(ただし,ポッティング材が放熱板の側面の少なくとも一部に付着しているも

のに限る。)


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