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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19ワ3493特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成23ワ7576特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
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事件 平成 23年 (行ケ) 10340号 審決取消請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2013/01/30
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成25年1月30日判決言渡

平成23年(行ケ)第10340号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 平成24年12月25日

判 決



原 告 メルク・エンド・カンパニー・インクズ・

エム・エス・デイー・オーバーシーズ・

マニュフアクチュアリング・カンパニー

(アイルランド)

訴訟代理人弁護士 片 山 英 二

同 北 原 潤 一

同 梶 並 彰 一 郎

訴訟代理人弁理士 小 林 純 子

被 告 日本薬品工業株式会社

訴訟代理人弁護士 吉 澤 敬 夫

訴訟代理人弁理士 柳 川 泰 男

同 千 草 新 一

同 森 義 之

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

3 本判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を3

0日と定める。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

特許庁が無効2008−800062号事件について平成23年6月17日にし

1
た審決を取り消す。

第2 前提となる事実

1 特許庁における手続

原告は,発明の名称を「4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビス

ホスホン酸又はその塩の製造方法及び前記酸の特定の塩」とする特許(特許第19

31325号,平成2年6月11日出願(パリ条約による優先権主張,1989年

6月9日,米国),平成7年5月12日設定登録。以下「本件特許」という。)の特

許権者である。

被告は,平成20年4月8日,特許庁に対し,本件特許のうち請求項6及び7に

係る発明(以下,
「本件発明6」及び「本件発明7」といい,両者を併せて「本件発

明」という。)について無効審判の請求(無効2008−800062号事件)をし

た。特許庁は,平成21年2月25日,
「特許第1931325号の請求項6,7に

係る発明についての特許を無効とする。」との審決をした。原告は,知的財産高等裁

判所に同審決の取消訴訟(同裁判所平成21年(行ケ)第10180号審決取消請

求事件)を提起し,同裁判所は,平成22年8月19日,同審決を取り消すとの判

決をした。特許庁は,無効2008−800062号事件の審理を再開し,平成2

3年6月17日,
「特許第1931325号の請求項6,7に係る発明についての特

許を無効とする。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は同月27日,

原告に送達された。

2 本件発明

本件発明に係る特許請求の範囲の記載は次のとおりである(甲23(以下「本件

明細書」という。)
)。

「【請求項6】 4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン

酸モノナトリウム塩トリハイドレートを有効成分として含む,骨吸収を伴う疾病の

治療及び予防のための固体状医薬組成物。

錠剤である請求項6記載の固体状医薬組成物。
【請求項7】 」

2
審決の概要


( 1) 理由の要旨

審決の理由は別紙審決書写に記載のとおりである。要するに,本件発明は,甲5

(特開昭58−189193号公報) (以下 引用発明」
に記載された発明 「 という。)

に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,本件発明に係る本件特許

は無効とするべきであるというものである。

( 2) 審決が認定した引用発明の内容

4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−バイホスホン酸を有効成分として

含む尿石症治療作用および骨の再吸収阻害作用を有する医薬製剤。

(3) 審決が認定した本件発明と引用発明の一致点

ア 本件発明6

4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸を有効成分と

して含む,骨吸収を伴う疾病の治療及び予防のための固体状医薬組成物である点。

イ 本件発明7

上記固体状医薬組成物が錠剤である点。

(4) 審決が認定した本件発明と引用発明の相違点

有効成分が,本件発明では,
「4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−

ビスホスホン酸モノナトリウム塩トリハイドレート」であるのに対し,引用発明で

は「4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸」
(以下「フ

リー体」という。)であって,モノナトリウム塩トリハイドレートである点について

特定されていない点。

取消事由に係る当事者の主張
第3

1 原告の主張

( 1) 容易想到性に関する判断手法の誤り(取消事由1)

審決は,フリー体からモノナトリウム塩トリハイドレートへの容易想到性を判断

するに際して,
「モノナトリウム塩とすることの容易想到性」と「トリハイドレート

3
とすることの容易想到性」を別個に分離して判断し,双方が肯定されることをもっ

て,フリー体からモノナトリウム塩トリハイドレートへの容易想到性が肯定される

との結論を導いている。

しかし,モノナトリウム塩トリハイドレートは,水分子を含む特定の化学構造

有し,規則正しい三次元構造を形成した化合物であって,それ自体不可分一体の物

質であるから,あたかも機械とそれを構成する部品のように,一つの部分とその他

の部分とに分断して観念できるものではない。容易想到性の有無の判断は,引用発

明のフリー体である化合物から出発して,本件発明の固体状医薬組成物の有効成分

たるモノナトリウム塩トリハイドレートに想到することが容易か否かについて判断

すべきであるにもかかわらず,別個に分離して判断をした審決の判断手法には誤り

がある。

( 2) モノナトリウム塩への容易想到性判断の誤り(取消事由2)

仮に審決の判断手法によったとしても,次のとおり,フリー体からモノナトリウ

ム塩とすることの容易想到性を肯定した審決の判断には誤りがある。

審決の判断について


モノナトリウム塩へとすることが容易想到である根拠として,
「フリー体
審決は,

は,2個のホスホン酸基を有する化合物であるから,1価のアルカリ金属との塩に

はモノ塩〜テトラ塩が存在し得ることは明らかであり,また,このような酸性基を

有する酸性の化合物を医薬として用いる際に,適当な塩基によって中和して塩とす

ることは慣用手段である。」及び「甲5の実施例3の電位差滴定の記載」を挙げる。

しかし,上記の2点はいずれも誤りである。

慣用手段について


審決は何ら証拠を挙げることなく,慣用手段を認定しており,この点で審決は違

法である。

また,慣用手段とは,何らかの課題を解決するための手段であって,何らかの課

題を解決しようする動機があってはじめて適用可能である。しかし,甲5には,フ

4
リー体をフリー体のまま医薬として用いることに何らかの解決課題があることを示

す記載はないから,たとえ解決手段が慣用的なものであったとしても,フリー体に

ついて,かかる慣用手段を適用する前提を欠く。

電位差滴定について


審決は甲5の実施例3に記載された電位差滴定についての記述から甲5における

フリー体をモノナトリウム塩とすることは,当業者が容易に想到し得ることである

とする。

しかし,甲5の電位差滴定についての記載からは,フリー体のホスホン酸基が順

次水酸化ナトリウム(NaOH)で中和されたこと,電位差滴定終了後に,ビスホ

スホン酸のリン酸 基 の 水素 イオンが 解離 した− PO H とナトリウムイオンが 存


在していることが理解できるだけで,電位差滴定中又はその終了後にフリー体のナ

トリウム塩が固体として得られるかどうかは不明であって,この記載から,フリー

体をナトリウム塩とすることは当業者が容易に想到し得ることであるとはいえず,

また,モノナトリウム塩という特定の塩とすることは当業者が容易に想到し得ると

もいえない。

(3) トリハイドレートへの容易想到性判断の誤り(取消事由3)

審決は「何を」トリハイドレートにすることの容易想到性を検討しているの


か不明である。

フリー体のモノナトリウム塩に何らかの水和物の形態が存在し得ることは当


業者が容易に推考できるとはいえない。

審決は,甲18ないし21,22の2及び15に示された化合物を副引用発明と

して列挙しておらず,また,これらがいずれも優先日当時に周知であったことを認

定していないから,理由不備である。

また, に, れらの化合物が優先日当時に周知であったとしても,
仮 こ その構造は,

フリー体と異なる。有機化合物において,その構造が異なれば,水和物が生成する

性質を有するか否かも異なる。また,仮に水和物が生成する場合であっても,水和

5
物の形態は,それぞれ異なるので,当該有機化合物と分子構造の一部が共通する他

の有機化合物において,水和物が存在するからといって,当該有機化合物において

水和物が存在すると推論することはできない。以上のとおり,上記の各化合物に水

和物の結晶形態が存在するからといって,そのことから,フリー体のモノナトリウ

ム塩に水和物の結晶形態が存在し得ることを当業者が容易に推考できたとはいえな

い。

水和物の存在及びその安定性を調査するのが当然とはいえないこと


審決は, 錠剤等の固形製剤に用いるには,該化合物が安定な形態であることが要


求されることは明らかであるから,当業者であれば,該化合物について,どのよう

な水和物が存在するのか,また,その水和物が安定であるのか調査しようとするこ

とは当然」と述べる。

しかし,審決は,上記判断の根拠を示しておらず,理由不備である。

審決のいう「安定な形態」の意味や, 安定」の程度は明らかでない。仮に,安定


な形態が,医薬品の原薬となる化合物の化学的及び物理化学的安定性を意味すると

するならば,そのような安定性は,当該化合物を原薬とする固形製剤を開発・製造

するに当たり考慮される要素の一つにすぎず,また,そこで求められている「安定

性」は,医薬としての目的を達成するために原薬として許容される安定性であり,

必ずしも最も安定な形態が選択されるわけではない。 安定性」とは許容範囲が比較


的広いものであり,これを充たし得る化合物の形態は,水和物以外にも様々なもの

があり得る。したがって,たとえ固形製剤の製造で,化合物の「安定な形態」が要

求されたとしても,そのことから,水和物の存否やその安定性を調査するのが当然

であるとはいえない。

現在市販されている薬剤の有効成分のうち水和物は全体の約10%以下にすぎず,

大多数は水和物ではないので,優先日当時の当業者が固形製剤を選択しようとする

場合に,水和物の存在や水和物の安定性を調査するのは当然であるとの審決の判断

は根拠を欠く。

6
また,審決の論理を前提としても,甲5には,フリー体の1水和物を固形製剤に

用いることについて,解決すべき課題があることを示す記載はなく,そのような技

術常識もない。甲5に接した当業者は,実施例3でフリー体の1水和物が得られて

いることに満足するはずであり,あえて他の水和物の存在の有無やその安定性を調

査しようとする動機付けはない。

本件明細書の実施例1の水和物の生成条件に関する審決の判断について


「甲18における形態Eの生成条件からみて,本件実施例1における水和
審決は,

物の生成条件が特殊なものであるということはできない。そうすると,本件発明の

トリハイドレートは,フリー体のモノナトリウム塩を製造する際に,普通に採用さ

れる条件で生成した結晶がトリハイドレートであることを確認したものということ

ができる。」と判断する。

しかし,以下のとおり,審決の判断は,理由不備である。

すなわち,水和物の存否及び安定性の調査への動機付けの議論と,フリー体のモ

ノナトリウム塩を製造する際に,普通に採用される条件で生成した結晶が何である

かの議論との関係が不明であり,甲18のどのような記載から実施例1における水

和物の生成条件が特殊なものでないとするのかについての説明がされていない。

また,フリー体のモノナトリウム塩を製造する場合に,普通に採用される条件で

生成する結晶と,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレートが同じであること

実施例の記載等から事後的に認められるからといって,フリー体のモノナトリウ

ム塩トリハイドレートが容易想到であるとの結論を導くことは相当でない。優先日

当時の技術水準ないし技術常識では,有機化合物について何らかの水和数を有する

水和塩結晶を製造する一般的な方法は知られておらず,ある有機化合物の水和塩結

晶を得ようとした場合,どのような方法(晶析及び後処理)を用いれば良いのかに

ついて予測することは,困難であった。したがって,当業者が,甲5のフリー体の

開示に基づいて,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレートを容易に製造する

ことができたとはいえず,審決のように,甲5から「トリハイドレートとする点」

7
が容易想到であるとはいえない。

被告の反論


( 1) 容易想到性に関する判断手法の誤り(取消事由1)に対して

単一の物に関する発明における容易想到性の有無の判断に当たり,物を構成する

複数の要素について,個々の要素に分けて,その容易想到性を判断する手法が,当

然に誤りであるとはいえない。本件において,フリー体からモノナトリウム塩トリ

ハイドレートを製造する際の製造手順に従った結論を導いた審決の判断手法に誤り

はない。

この点,原告は,モノナトリウム塩トリハイドレートは,水分子を含む特定の化

学構造を有し,規則正しい三次元構造を形成した化合物であると主張する。 かし,


特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載に基づくものではなく,
原告の主張は,

主張自体失当である。

( 2) モノナトリウム塩への容易想到性判断の誤り(取消事由2)に対して

「酸性基を有する化合物を医薬として用いる場合,適当な塩基によって中和して

塩とすること」は,当業者に一般的に知られた周知技術であり,多数の公知文献が

存在するから,いちいちこれを例示することは必要ない。

医薬化合物は塩にすることにより溶解度や溶解速度が増すことは一般的に知られ

ていた。また,医薬化合物の溶解速度は医薬品としての効果に影響するので,医薬

化合物製剤の設計において,その化合物の塩の性質を確認し,適用の可否等を検討

することは,当然に行われていた。

したがって,甲5にフリー体が記載されていれば,その塩の存在や性質を検討す

ることは当業者であれば通常行うものであり,フリー体の解決課題が甲5に記載さ

れていない限り,当業者は塩について検討をしないとはいえない。

甲5の実施例3をみた当業者は,最初の滴定の終点のpH4.4がモノナトリウ

ム塩に対応する滴定の終点であることは容易に認識でき,このpH付近に調整して

製造すれば,モノナトリウム塩を得ることができると考えるのは当然である。 た,


8
甲5の実施例5で,類似化合物でモノナトリウム塩が得られており,フリー体のナ

トリウム塩が得られることは容易に想到できる。

原告は,塩が固体として得られるかどうかは不明と主張するが,塩が固体として

得られるかどうかは,容易想到性の有無に影響を与えるものではない。

(3) トリハイドレートへの容易想到性判断の誤り(取消事由3)に対して

審決は,フリー体のモノナトリウム塩に何らかの水和物の形態が存在し得る


ことは当業者が容易に推考できるといえると判断するに当たり,甲18,21等に

バイホスホネート水和物の記載があることを認定したもので,何ら違法な点はない。

水和物の有無を検討することは,医薬品の投与剤形を考える場合に当然の常識で

あり,多くのビスホスホン酸化合物が水和物も得られることが周知であり,甲5に

は水和物の存在についての示唆がある。また,本件発明が3水和物(トリハイドレ

ート)であることによって,特段の効果が認められるものでもなく,本件明細書中

にそれらに関する何らの記載もない。目的とする化合物と構造が類似する化合物に

水和物が存在する場合,当該化合物においても同様に水和物が存在するものと予測

できる。

したがって,審決の判断に何らの誤りはない。

水和物が複数存在する化合物において,環境条件によって形態の転移が起き


ると,溶解性・吸収性・安定性など医薬品としての品質に影響を与える。公知のビ

スホスホネート化合物が様々な水和形態をとることが知られている以上,フリー体

についてもどのような水和物が存在し,また,どの水和物の形態が安定かを調査す

ることは,当然に行われる。

甲18における形態Eの生成条件は, 業者にとって, 般的な方法であり,

ウ 一

本件明細書の実施例1におけるフリー体からモノナトリウム塩トリハイドレートを

得る方法も,一般的な方法である。さらに,モノナトリウム塩を通常の乾燥条件に

従って乾燥することで,モノナトリウム塩のトリハイドレートが得られることが確

認されている。

9
本件明細書に本件発明がトリハイドレートであることに医薬品としての特徴があ

ることが記載されているわけではなく,本件明細書の実施例1における水和物の生

成条件が特殊なものでないことを前提として,容易想到性があるとした審決の判断

に誤りはない。

当裁判所の判断
第4

当裁判所は,本件発明は引用発明から当業者が容易に想到することができた発明

であるから,本件発明に係る特許を無効とするべき旨の審決の結論に誤りはないと

判断する。その理由は次のとおりである。

認定事実


( 1) 本件明細書の記載

本件明細書(甲23)には,次の記載がある。

「【特許請求の範囲

【請求項1】4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸

又はその塩の製造方法において,

メタンスルホン酸の存在下,4−アミノ酪酸を亜燐酸とPCl との混合
(a) 3
物と反応させ,そして

(b) 4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸又はそ

の塩を回収することを含んでなる製造方法。」

「【請求項4】 4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン

酸モノナトリウム塩トリハイドレートが回収される請求項1記載の方法。」

発明の詳細な説明


本発明は,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸又

はその塩の改良された製造方法に関する。特に,一ポット方法で高純度かつ高収率

で最終生成物が得られる方法に関する。

米国特許4,407,761号によれば,アミノカルボン酸をホスホネート化試

薬と反応させ,そしてその反応混合物を加熱しつつ濃塩酸の添加によって加水分解

10
することにより,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン

酸を製造することが知られている。この反応には,それが均一ではなくそして局所

凝固が生ずるという問題が伴う。 の凝固は一定しない収率の原因となる。 れは,
こ こ

一部,熱スポットを発生させる反応の発熱性から生ずるものである。更に,先行技

術の方法を利用してナトリウム塩を製造することは,4−アミノ−1−ヒドロキシ

ブチリデン−1,1−ビスホスホン酸の単離と,モノナトリウム塩への変換工程の

ための追加の工程を必要としていた。

本発明は,この反応を流動性かつ均一な状態に保たせることにより,前述の問題

点を解決する。これにより,商業的生産が可能となり,反応工程数が減少し,そし

て約45−50%から85−90%へという単離収率の大きな改善をもたらす。

本発明によれば,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホ

ン酸又はその塩の製造方法において, a)メタンスルホン酸の存在下,4−アミノ


酪酸を亜燐酸とPCl との混合物と反応させ,そして(b)4−アミノ−1−ヒ

ドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸又はその塩を回収することを含んで

なる製造方法を提供する。(2欄11行〜3欄26行)


「純粋な結晶の4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン

酸又はその塩は,本発明の方法の使用により,驚くべき程の高収率で得ることがで

きる。本発明は,メタンスルホン酸の存在下,アミノアルカンカルボン酸をホスホ

ナート化試薬との反応と,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビス

ホスホン酸又はその塩の回収を含む。この化合物は,反応の停止,加水分解及びP

H約4.3への調整の後,約90%収率で反応混合物から直接結晶化され,これ以

上の精製は不必要である。(4欄3〜12行)


「反応は,以下に概略的に示される。




11
ここで記載される4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホ

ン酸モノナトリウム塩トリハイドレートは,医薬組成物,特に固体状医薬組成物,

好ましくは錠剤形態の組成物としてそして骨吸収を伴う疾病の治療及び予防のため

に有用である。悪性の高カルシウム血症,ページェット症,骨粗鬆症のような疾病

は,本発明の方法により製造された4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,

1−ビスホスホン酸ナトリウム塩トリハイドレートで有効に治療される。(4欄2


8行〜下から8行)

実施例1

4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸モノナトリウ

ム塩トリハイドレート

…アミノ酪酸20g(0.19mol) タンスルホン酸80ml及びホスホン
,メ

酸24g(0.29mol)を仕込んだ。…混合し,中和の熱で溶液は反応温度が

75℃に上昇した。懸濁液を70−75℃で15分間ねかし,澄んだ無色の溶液と

なった。その溶液を35℃に冷やし,三塩化リン(PCl )40 ml(0.46

mol)を20分かけて注意深く加えた。反応物をそれから65℃に加熱し,その

温度で20時間ねかした。反応物は65℃を大きく上回ることを許容されるべきで

反応物は85℃以上に発熱し断熱条件下で温度は着実に上昇するであろう。
はない。

約150℃で大きな圧の放出に伴なって発熱が起こる。したがって,若し温度が8

5℃に達するなら反応物を直ちに冷水中に注ぐことが推奨される。反応物を25℃

12
に冷やし,脱イオン水200mlを5分間かけて加えた。フラスコをさらなる10

0mlの水で濯ぎ,合わせた溶液を95−100℃で5時間ねかした。反応物を2

0℃に冷却し,20−25℃に維持し同時にpHを50%NaOH約80mlで4.

3に調節した。得られた白色の懸濁液を0−5℃に冷却し1時間ねかした。必要に

応じてpHを4.3に調節し,懸濁液を0−5℃でさらに2時間ねかした。生成物

を?過により集め,冷水(0−5℃)2×50ml及び95%EtOH100ml

で洗浄した。恒量に至るまでの40℃での空気乾燥後の収率は56.4g(90%)

であった。

実施例2

4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸モノナトリウ

ム塩トリハイドレートの分析

実施例1の反応生成物を分析し以下のような結果を得た。(4欄下から2行〜6


欄。「結果」は別紙のとおり。)

( 2) 甲5の記載

引用発明が記載されている甲5(特開昭58−189193号公報)には,次の

記載がある。

「2 特許請求の範囲

一般式(T):





(式中,Rはフツ素原子または1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖状

置換または未置換アルキル基であり,置換されているばあいは,少なくとも1個

のフツ素原子および(または)アミノ基で置換されており,R はヒドロキシル基


またはフツ素原子である)で示されるバイホスホネートまたはその塩。



13
4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−バイホスホン酸である特許請


求の範囲第1項記載の化合物。



一般式(T):





(式中,Rはフツ素原子または1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖状

置換または未置換アルキル基であり,置換されているばあいは少なくとも1個の

フツ素原子および(または)アミノ基で置換されており,R はヒドロキシル基ま


たはフツ素原子である)で示されるバイホスホネートを有効成分とする尿石症治療

作用および骨の再吸収阻害作用を有する医薬。

経口投与に適した形に製剤されてなる特許請求の範囲第8項記載の医薬。
9 」

発明の詳細な説明
「3

本発明はバイホスホネート(biphosphonate),その製造法およびそれを有効成分

とする医薬に関する。

さらに詳しくは,一般式(T):




(式中,Rはフツ素原子または1〜5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖状

置換または未置換アルキル基であり,置換されているばあいは少なくとも1個の

フツ素原子および(または)アミノ基で置換されており,R はヒドロキシル基ま


たはフツ素原子である)で示されるバイホスホネート,その製造法およびそれを有

効成分とする尿石症治療作用および骨の再吸収(bone reabsorption)阻害作用を有

する医薬に関する。

14
縮合ホスフエート(condensed phosphate)は低濃度で炭酸カルシウムの溶液中か

ら炭酸カルシウムが沈殿するのを防ぐことが知られており,さらに縮合ホスフエー

トおよびその中のひとつのパイロホスフエート pyrophosphate)はたとえ低濃度で


もリン酸カルシウム溶液中に加えられると,リン酸カルシウムの沈殿を阻害するこ

とが知られている。…

…in vitro においてパイロホスフエート(以下,PPという)が生体濃度にほぼ

匹敵 する 濃 度 のリン酸カルシウムに対して及 ぼ す 顕著 な効 果から , PP は 軟 組 織

(soft tissue)の鉱質化(mineralization)を防ぐものと考えられる。骨において

も,PPはカルシウム沈着の進行を調整し,それによつてカルシウムやホスフエー

トの形態変化に影響している。 PPに関する叙上のあらゆる性質にもかかわらず,


PPは経口投与されても全身投与されても速かに加水分解されてしまうので,PP

を治療に供することは不可能である。

PPに関連する興味ある性質に鑑みて,PPと類似の活性を有し,しかも加水分

解に耐性のある物質を製造する目的で検討がなされてきた。叙上の目的は,PPの

P−O−P結合の代わりにP−C−P結合を有するバイホスホネートを製造するこ

とで一部達成された。バイホスホネートのカルシウム塩に対する作用はPPのそれ

と類似したものであ…る。(2頁右上欄5行〜右下欄下から3行)


「しかしながら,種々の薬理試験および臨床試験の結果から,今日までに骨障害

(osteopathia) 使用されてきたバイホスホネートはPPと類似の作用を有してい


るが,そのうちいくつかは動物に投与したばあいの毒性,ヒトに投与したばあいの

耐性もしくは副作用に関して重篤な障害を示した。

発明者らは,さらに種々検討を重ねた結果,一般式(T) で示されるバイホ
:…

スホネートまたはそのアルカリ金属,有機塩基または塩基性アミノ酸との塩が尿石

症の治療作用および骨の再吸収を阻害する作用を有しており,しかも前記のPPに

関して述べた副作用がないため非常に好ましいものであることを見出した。(3頁


左上欄7行〜3頁右上欄5行)

15
「本発明の方法によって製造される化合物の中で好ましいものとして,…4−ア

ミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−バイホスホン酸,…およびそれらのナトリ

ウム,…塩があげられる。(4頁左上欄4〜10行)


実施例3

(4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−バイホスホン酸の製造)

4−アミノ酪酸1モル,亜リン酸1.5モルおよび無水クロロベンゼン500c

cを混合し,100℃まで加熱したのち,100℃に温度を保つて撹拌下に三塩化

リン1.5モルを加えた。えられた反応混合物を,濃密な相が完全に形成されるま

でさらに100℃で約3時間半撹拌した。冷却後,えられた固体状物質を?過し,

少量のクロロベンゼンで洗浄したのち,水に溶解させた。えられた水溶液を沸点で

1時間加熱し,ついで冷却したのち,活性炭で脱色し,?過した。えられた?液に

過剰の温メタノールを加えて析出する粗成物を20%塩酸中で8時間加熱還流し,

塩酸を留去したのち残渣を水から再結晶して白色結晶状粉末の目的の化合物をえた。

つぎにえられた目的化合物の構造式および特性値を示す。

構造式:




元素分析値:C H NO P
31 4 27
実 測 値( % ):C17.88 H 5 .62 N4.93 P23.94

理論値(無水物として) %):C19.28 H 5 .26 N5.64 P24.86


理論値(一水和物として) %):C17.98 H5.66 N 5. 24 P 2 3 .19


含水量の定量

カール−フイツシヤー Karl−Fischer)法にしたがつて含水量を調べた結果, .
( 3

9重量%であつた。

電位差滴定

16
えられた目的化合物203mgを水75ccに溶解した溶液に0. N NaOH


水溶液を加えて電位差滴定曲線を作成した。該滴定曲線は,0.1N NaOHをそ

れぞれ7.5ccおよび15.2cc加えたpH4.4およびpH9の2点にみら

れる明白な滴定の終点(end point)によって特徴づけられるものであつた。これら

の値から計算すると,最初の中和点からは270当量,第2の中和点からは264

当量が導かれ,平均すると267当量となった。なお目的化合物(以下,ABDP

という)の一水和物であるABDP・H Oの分子量は267.114である。(4


頁右下欄1行〜5頁右上欄6行)

〔毒性試験〕


本発明の化合物のうち,4−アミノ−1−ヒドロキシブタン−1,1−バイホス

ホン酸(以下,AHBuBPという),5−アミノ−1−ヒドロキシペンタン−1,

1−バイホスホン酸(以下,AHPeBP)およびジフルオロメタンバイホスホン

酸(以下,F MBPという)のナトリウム塩を用いて毒性試験を行なつた。

なお,比較のために…6−アミノ−1−ヒドロキシヘキサン−1,1−バイホス

ホン酸(以下,AHExBPという)および公知物質であるジクロロメタンバイホ

スホン酸(以下,Cl MBPという)のナトリウム塩を用いた。 (6頁左下欄1


3行〜6頁右下欄6行)

「叙上の結果より,本発明の一般式(T)で示される化合物は静脈注射で大量に

投与されたばあいに急性毒性および緩かな慢性毒性を示したが,経口投与されたば

あいには毒性を示さなかつた。(7頁右上欄7〜10行)


「 薬理試験〕


本発明のバイホスホネートの頭蓋骨培養細胞に対する効果および in vivo におけ

る骨の再吸収および鉱質化に対する効果を調べるために,以下に示す試験を行なつ

た。なお,供試化合物としては本発明のF MBPのナトリウム塩,AHBuBP

およびAHPeBPを用いた。また比較例としてAHExBPおよびCl MBP2
のナトリウム塩を,対照例として食塩を用いた。(8頁右上欄4〜12行)


17
「叙上の結果から明らかなように,本発明のバイホスホネートのアミノ誘導体に

おいて,奇数個の炭素原子を有するものはいくらか毒性はあるが骨の再吸収阻害作

用が比較例に比してきわめて強く,また偶数個の炭素原子を有するものの骨の再吸

収阻害作用はCl MBPに比してわずかに強かつた。また骨の鉱質化に関しては,

AHExBPが顕著な阻害作用を示したのに対し,AHBuBPは高投与量でもほ

とんどあるいはほんのわずかしか阻害作用を示さなかった。以上のことから,AH

BuBPはヒトの骨の再吸収が増加する疾患により好適に利用することができた。」

(10頁左下欄10行〜10頁右下欄1行)

「本発明のバイホスホネートを有効成分とする医薬はカプセル剤,錠剤,経口投

与用または全身投与用液剤の形で用いられる。(10頁右下欄10〜12行)


(3) 甲18の記載

甲18(米国特許第4639338号明細書,特許日1987年1月27日)に

は,次の記載がある。

実施例1

実質的に無水の3−アミノ−1−ヒドロキシ−プロパン−1,1−ジホスホン

酸ジナトリウム74.2gを75℃に加熱した水浴中で攪拌しながら脱イオン水5

00m1中に溶かす。その溶液を,減圧下に,結晶化が開始する(約375m1の

水が溜出した後に行われた)まで,徐々に濃縮し,その混合物を攪拌しながら徐々

に室温まで冷却する。一夜放置した後,その混合物を水浴中で1時間攪拌し,吸引

ろ過し,少量の氷冷水で洗浄し,室温で約20mbarで恒量になるまで乾燥する。

こうして3−アミノ−1−ヒドロキシ−プロパン−1,1−ジホスホン酸ジナトリ

ウムを結晶水を含む新規結晶形態(形態E)の形で得る。(10欄31〜48行)


乙16の記載
(4)

乙16(大塚昭信ほか編, 剤学」,株式会社南江堂,1987年5月1日発行)
「製

には,次の記載がある。

「5−2 安定性とその評価

18
医薬品の安定性とは


医薬品の有効成分の大部分は,有機物質である。有機物質は永久に安定なもので

はなく,酸素や水により化学変化をうけて変化するが,常に設計された品質特性ど

おりのものが製造され,貯蔵と使用の期間を通して品質が保持されていなければな

らない。すなわち安定性が保証されている必要がある。医薬品の安定性は次の5つ

のカテゴリーに分類することができる。

物理的安定性 外観着色,
: 固形製剤における経時的な崩壊性や溶出性の遅延,
1)

液剤における沈殿の生成など

化学的安定性:有機化合物である主成分の含量,力価の安定性
2)

経時変化による微生物に対する作用(防腐効果など)の変化:…
3)

経時変化による生物学的有効性の変化:主成分含量の低下,崩壊・溶出の遅
4)

延など上記 1)〜3)の総合した結果としての有効性の変化

経時変化する安全性の変化:主成分の化学的分解によって生成する副生物の
5)

毒性に基因する変化など」(196頁1〜16行)

「6.適用後の問題」

「6−1 内用剤からの吸収」

溶解
「1

一般的にいってほとんどの医薬品は水に溶解しなければ,吸収,作用といった重

要な体内現象が生じがたい。薬に水溶解性が求められるゆえんである。これは製剤

処方による溶解性の改良によって,薬理作用を高めることができたという例にしば

しば遭遇するからである。(214頁図の下16〜20行)


「2.pH,塩の影響

有機酸,有機塩基である多くの薬物の溶解は,また液のpHによって著しく左右

される。…このような薬物を塩として投与すると,その溶解特性はそれぞれもとの

薬物とは違ってくる。有機酸のNa塩やK塩はいずれのpHの液性からの溶解速度

も,遊離酸に比べて大きい。…これらの塩を経口投与すると,血中濃度は著しく速

19
く最高が現れる。(216頁6〜19行)


「3.結晶多形と無晶形

固体内の分子の配列の違いによって結晶に多形…が生ずる。このため,ある結晶

は安定であり,他は不安定であったりする。また,安定形への転移が比較的遅いも

のがあり,これを準安定形…という。これらの各結晶形は密度,融点,溶解度,溶

解速度といった物理化学的性質において異なる。たとえばリボフラビンは溶解度に

20倍も差のあることが知られる。

結晶構造をとらない無晶形…は不安定であるが,溶解速度を比べれば,無晶形>

準安定形>安定形のような関係にある。

結晶形の異なる化合物を経口的に与えた場合,その血中濃度にも差を生じる場合

がある。図6・5はパルミチン酸クロラムフェニコールの例であるが,溶解性のよ

いB形の含有率が高い剤形ほど血中濃度の高くなることがわかる。(216頁24


〜34行)

乙17の記載
(5)

乙17(一番ヶ瀬尚編, 剤学 改稿版」,株式会社廣川書店,昭和57年11月
「製

1日発行)には,次の記載がある。

製剤設計」
「第2章

「結局のところ剤形や投与法の決定の最終目的は薬物作用の最適化にある。作ら

れた剤形によって最適の有効性,最大の安全性,最高の適確性が同時に得られるこ

とを目標とするものである。もし化学的に不安定な製剤であれば薬理的に不活性と

なるため,有効性,確実性において劣るものとなる。(136頁図の下4行〜13


7頁2行)

「 ( 2) 溶解速度」

「(2-B)薬物の塩:通常,薬物の塩はもとの薬物の溶解度よりも優れていること

が多く,この場合には溶解速度もまたもとの薬物よりも速いことが予想される。溶

解律速を示す薬物であれば当然このような塩を用いた方が吸収はよいと思われる。

20
弱酸である p-アミノサリチル酸(PAS)はK,Na,Caなどの塩として投与で

きる。図2.8は12人のヒトに経口投与したときの平均血漿中濃度であるが,す

べての塩がPASよりも有意に高い血漿中濃度を示している。(144頁18〜2


3行)

「(2-C)結晶形, 晶状態:薬物の多くは結晶多形…をもつことが知られている。


例えばパルミチン酸クロラムフェニコールは結晶析出の条件によって3種の異なる

結晶形が得られる。熱力学的に安定な結晶は一般に不安定な結晶に比べ水に溶け難

い。パルミチン酸クロラムフェニコールのA形及びB形を適当な比率に混合した懸

濁剤をヒトに投与したところ,図2.9にみられるように明らかに溶解性のよいB

形の含有率の高いものほど血中濃度が高くなる。

このほかにも結晶の水和度が溶解に影響する。アンピシリンの無水物と三水和物

は37℃の溶解度がそれぞれ10及び8mg/mlである。どちらを使った製剤で

あるかによって溶解速度,ひいては吸収性の違いが現われる。(146頁図の下3


〜11行)

「2.2.3 製剤学上の化学的修飾」

「薬物の有効性や安全性の確保,品質の改良等のためには,これまで述べてきた

剤形上の修飾法では不十分な場合がある。現存する薬物の溶解性や安定性を高める,

吸収性をよくする,作用持続性を附加する,あるいは悪味悪臭をなくすといった薬

物の製剤学上の特性の改善のために,薬物の化学構造の一部を改変するといった化

学的修飾は広い意味の製剤研究の一つとして注目される。

このうち化学的合成法によらず,単純に塩,分子化合物等に導く方法は従来から

もよく行われてきている。その例を次に示す。

酸性薬物の無機塩

〔水溶化〕 サリチル酸ナトリウム,バルビツール酸類のナトリウム塩,サルファ

剤のナトリウム塩

〔悪味の除去〕 PAS Ca

21
〔胃刺激軽減〕 アスピリンアルミニウム」162頁図の下10行〜163頁7行)


乙19の記載
(6)

乙19(後藤茂編,「薬学生のための生物薬剤学」,株式会社廣川書店,昭和60

年9月25日発行)には,次の記載がある。

「3-4-1 溶解度および溶解速度」

「難溶性薬物は速やかな溶解を期待するためにしばしば塩として用いることがあ

る。例えば弱酸性薬物は酸性の強い胃液中では解離が起こらず溶解しにくいが,こ

の薬物をKやNaの塩として投与すると,一旦は固体表面の拡散層中で溶解したイ

オン化分子は急速に拡散して胃の酸性によって微細な粒子として析出してくる。し

かしこの薬物粒子の総表面積は著しく大きいため,急速な再溶解が生じる。すなわ

ち遊離酸自身を最初から投与した場合よりはるかに速い溶解がみられる。ペニシリ

ンやトルブタミドなどはK塩あるいはNa塩として投与した方がはるかに高い血中

濃度が得られるのはこのためである。(46頁17〜24行)


乙24の記載
(7)

乙24(Howard C. Ansel 著,池田憲ほか監訳, 医薬品の投与剤形」 医歯薬出
「 ,

版株式会社,昭和58年5月14日発行)には,次の記載がある。

「2.溶出と薬物吸収

薬物が吸収されるには,まず吸収部位で体液中に溶解されねばならない。…薬物

粒子が溶解する過程は溶出 dissolution とよばれる。(53頁左欄1〜9行)


「…多くの製薬企業では,投与時に望ましい溶出特性を示すような無晶性,結晶

性,塩あるいはエステル形の薬物を用いる。薬物の溶出に影響を与えるこれらの要

因のいくつかについて,次に簡単に考察しよう。(53頁右欄図の下9〜12行)


「薬物の結晶形あるいは無晶形

固体の原薬は明確に確認できる形状をもつ純結晶物質の場合もあり,明確な構造

をもたない無晶形粒子のこともある。原末が無晶性であるか結晶性であるかは.製

剤化や取扱いの容易さ,その化学的安定性についてだけでなく,最近明らかになっ

22
たようにその生物学的活性にとってもかなり重要なことである。薬物によっては結

晶形,無晶形のいずれの形状にも製造することができる。無晶形のものは結晶形の

ものよりも通常溶解しやすいので,両者間では吸収率が異なり,その結果,薬理活

性の程度も異なる可能性がある。(54頁左欄23〜33行)


その結晶化の条件 温
「結晶形で存在する医薬品用化学物質のいくつかのものは, (

度,溶媒,時間)に応じて種種の結晶形を形成しうる。単一の化学物質が複数の結

晶形で存在するというこの性質は“結晶多形”として知られている。ある純粋な薬

物については,単一結晶形のみが一定の温度および圧力のもとで安定であるが,準

安定形とよばれ,やがては安定な結晶形に変換しうる他の給晶形もそこに共存する

ことが知られている。したがって,ある医薬品の準安定形が製造の完了した製剤中

でも結晶形を変えることもありうる。ただし,完全に変化し終えるのに要する時間

はその製品の通常の貯蔵期間を超えるかもしれない。 かし, 剤学的観点からは,
し 製

医薬品の結晶構造のいかなる変化も,製品の安定性さらには治療効果にさえも重大

な影響を及ぼすことがありうる。

同一化学物質であってもその種々の多晶形では,一般に,生体系への薬物吸収の

速度 と 程度 を 支配 する 溶解度 と 溶 出特 性 な ど の 多く の 物 理 学 的 性質 が 異 な っ てい

る。(54頁右欄29行〜55頁左欄2行)


「塩

ある薬物の塩の溶解速度は,一般に親化合物のそれとはかなり異なる。弱有機酸

のナトリウム塩とカリウム塩…は, 遊離の酸…よりもずっと容易に溶解しやすい。


その結果,溶解する粒子周囲の拡散層における飽和はすみやかに起こり,それによ

って吸収部位への薬物の拡散がよりすみやかとなる。(55頁左欄28〜35行)


「その他の要因

薬物分子の“水和状態”は,その溶解度や吸収様式に影響を及ぼしうる。通常,

有機分子の無水物は水和物よりも溶けやすい。(55頁左欄43行〜右欄2行)


乙12の記載
(8)

23
乙12( 岩波 理化学辞典 第4版」
「 ,株式会社岩波書店,1987年10月12

日発行)には,次の記載がある。

「結晶水…結晶中に一定の化合比で含まれている水。 晶内で一定の位置をしめ,


結晶格子の安定化に寄与している。一定の温度範囲で一定の水蒸気圧を示し,熱す

ればある温度で段階的に脱水され,それに伴って結晶構造が変化する。(386頁


右欄6〜12行)

甲6,乙10の記載
(9)

甲6(日本ケミファ株式会社の従業員Aによる実験証明書)には,次の記載があ

る。

(フリー体,
「4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸

2.49g,10.0ミリモル)と蒸留水(5mL)との懸濁液をガラス容器内で

室温攪拌下にて, の懸濁液に,1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液
調製し, こ (1

0mL,10.0ミリモル)を滴下した。懸濁液は一旦透明な溶液になり,まもな

く析出物が生成した。室温での攪拌を一夜継続し,次いで,氷冷下2時間の攪拌を

行なった。析出した結晶を濾取し,冷水(2mL)で洗浄したのち,1時間風乾し,

さらに40℃にて8時間減圧乾燥して,2.76gの白色結晶粉末を得た。

生成した白色結晶粉末(原料変換生成物)を分析した結果,4−アミノ−1−ヒ

ドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸モノナトリウム塩トリハイドレート

であることが確認された(収率:84.9%)」
。(1頁9〜19行)

乙10(同人による実験報告書)には,甲6について,析出した結晶を次の各乾

燥条件によって乾燥して得られたものは,いずれもフリー体のモノナトリウム塩ト

リハイドレートであったことが確認された旨の記載がある。

「イ)室温(23℃) 風乾による乾燥,24時間


ロ)室温(23℃),デシケーター(乾燥剤:シリカゲル)による減圧乾燥,2

4時間

ハ)60℃,減圧乾燥器による乾燥,24時間」(1頁11〜14行)

24
( 10 ) 乙31,37の記載

乙31(岐阜薬科大学のB教授による実験報告書)には,次の記載がある。

「2.実験

フラスコにフリー体(12.46g,50mmol)と水(50mL)を加えて

室温で攪拌,懸濁した。この懸濁液に2mol/L NaOH(25mL,50m

mol)を5分間かけて滴下した。滴下終了時に反応液は澄明な溶液となり,pH

は4.25を示した。さらに攪拌を続けると徐々に白色の析出物が生成した。室温

で合計21時間攪拌後,冷蔵庫(約4℃)で2時間冷却した。得られた白色結晶を

吸引ろ取し,減圧下(5mmHg)室温で19時間乾燥した 収量 02g)」
1 4.
( 。

(1頁下から7〜1行)

「2.で得られた白色結晶は,1Na塩3水和物である。(2頁下から5〜6行)


乙37(同人による実験報告書)には, 室温での撹拌を21時間ではなく,3時


間とし,そして生成物の白色結晶の吸引ろ取後の減圧下(5mmHg)室温での乾

燥を…19時間行った以外は同一の条件で実施した」場合についても, 三水和物が


得られることが確認された」と記載されている。

(11) 甲17の記載

甲17 万有製薬株式会社の従業員Cによる実験報告書)
( には,次の記載がある。

(実験1)


50mlナスフラスコに4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビス

ホスホン酸のフリー体(2.50g,10.0mol)を蒸留水(5ml)に懸濁

させ,室温にて攪拌した。引き続き本懸濁液中に1mol/L水酸化ナトリウム水

溶液(10.0ml,10.0mmol)を滴下した。懸濁液は一度溶解し,しば

らく攪拌を続けることによって結晶が析出した。懸濁液を室温下一晩攪拌し,続い

て氷冷にて冷却後,2時間攪拌を行った。析出した結晶を濾取し,冷却した蒸留水

(2ml)にて結晶を洗浄後,1時間室温にて風乾した。続いて110℃にて13

時間減圧乾燥を行い,白色結晶を得た(2.85g,87%収率) …


25
なお,前記の「1時間室温にて風乾」までの工程は,甲6号証1頁…に記載の工

程と同じである。

(実験2)

実験1と同様にして, 時間室温にて風乾」までの工程を行った。その後,続い
「1

て130℃に設定し,13時間減圧乾燥を行い,白色粉末結晶を得た 35g)」
(2. 。

(2頁2〜17行)

「実験1で得られた結晶は,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−

ビスホスホン酸モノナトリウム塩ジハイドレート(2水和物)であること…が分か

った。(3頁5〜8行)


「実験2で得られた結晶は,4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−

ビスホスホン酸モノナトリウム塩無水物であること…が分かった。(4頁下から4


〜1行)

判断


上記の認定に基づいて,取消事由について判断する。

( 1) 取消事由1について

原告は,審決が,フリー体からモノナトリウム塩トリハイドレートへの容易想到

性を判断するに際して,
「モノナトリウム塩とすることの容易想到性」と「トリハイ

ドレートとすることの容易想到性」を別個に分離して判断し,容易想到であるとし

た点に,判断手法上の誤りがあると主張する。

しかし,本件において,原告の主張を採用することはできない。

本件発明の引用発明との相違点についての容易想到性を判断するに当たっては,

各相違点の全体を判断の対象とすべきであって,相違点を構成する各要素に分離し

て,各要素のそれぞれが容易でありさえすれば,そのことから直ちに,相違点に係

る 構 成の 全体 が 容易想到 であるとの結論を 導くべき でない こ とはいう ま で も ない

(なお,相違点の抽出の仕方についても,もとより同様である。。


上記観点から,審決の判断の当否について検討する。

26
フリー体は,2個のホスホン酸基を有する化合物であり,有機酸の一種であるか

ら,フリー体がイオン化して陽イオンと共に塩を形成することがあり,他方,フリ

ー体又はその塩を含む化学物質は,結晶水と共に結晶化する場合がある。そして,

フリー体が塩を形成するか否かという点と,フリー体又はその塩が水和物を形成す

るか否かという点は,それぞれ別個の事項である。ところで,審決は,
「モノナトリ

ウム塩とすることの容易想到性」と「トリハイドレートとすることの容易想到性

を個別に判断しているが,本件における上記の判断手法は,複数の事項を含む相違

点について,論理的な順序に従った合理的な判断であるといえること,また,相違

点に係る構成の全体についても容易想到であるとの総合的な評価がされていると解

されることに照らすならば,本件における審決の判断方法に,原告の指摘する違法

はないというべきである。

( 2) 取消事由2について

モノナトリウム塩とすることの容易想到性について


フリー体をモノナトリウム塩とすることは,以下のとおり,当業者が容易に想到

することができたと認められる。

すなわち,塩の溶解速度はもとの薬物(遊離酸)と比較して速くなること,その

ため,医薬品の製剤化に際しては,遊離の酸ではなくナトリウム,カリウム,カル

シウム等との塩がしばしば使用されていることは周知である(前記1(4)ないし(7))。

他方,フリー体は,2個のホスホン酸基を有するから,1価のアルカリ金属との

間には,1価ないし4価の塩が存在する。加えて,甲5の実施例3には,フリー体

の水溶液の滴定曲線が「pH4.4およびpH9の2点にみられる明白な滴定の終

点(end point)によって特徴づけられるものであつた。 旨が記載されており(前


記1(2)) ここでpH4.4の終点がフリー体のモノナトリウム塩に相当すること


は,当業者の技術常識から明らかでもある。

以上のとおり,一般に薬物の製剤化に際して,その塩を用いることを検討するの

は当業者の通常行うことであって,かつ,フリー体にモノナトリウム塩が存在する

27
ことは甲5の記載によっても技術常識によっても明らかであることからすると,フ

リー体をモノナトリウム塩とすることは,容易想到であると認められる。

この点に関する審決の判断に誤りはない。

イ 原告の主張について

原告は甲5には,フリー体をフリー体のまま医薬として用いることに何らかの解

決課題があることを示す記載はないので,フリー体からモノナトリウム塩を想到す

ることの動機がない旨を主張する。しかし,前記のとおり,塩の溶解速度はもとの

薬物(遊離の酸)と比較して速くなること,薬物の製剤化では遊離の酸ではなくナ

トリウム,カリウム,カルシウム等との塩がしばしば使用されていることは,周知

の事項であったといえる。したがって,医薬の有効成分として,遊離の酸(フリー

体)が得られたことに接した当業者は,フリー体をフリー体のまま医薬として用い

ることに課題が存在することが明記されていなくとも,フリー体が形成可能な塩の

特性を検討すると考えられるから,原告の主張は採用できない。

原告は,甲5の実施例3の記載からは,電位差滴定中又はその終了後にフリー体

のナトリウム塩が固体として得られるかどうかは不明であり,同記載からフリー体

をナトリウム塩とすることは,容易に想到することはできない旨を主張する。しか

し,フリー体は,2個のホスホン酸基を有するから,1価のアルカリ金属との間に

は,1価ないし4価の塩が存在することは,当業者にとって明らかである。また,

甲5の記載において,pH4.4の終点がフリー体のモノナトリウム塩に相当する

ことも,当業者にとって明らかであるから,原告の主張は採用できない。

(3) 取消事由3について

トリハイドレートとすることの容易想到性について


前記(2)のとおり,フリー体の製剤化に際して,そのモノナトリウム塩を用いるこ

とは当業者にとって容易想到であったと認められる。そして,以下のとおり,フリ

ー体のモノナトリウム塩を製造するに際して,普通に採用される条件で生成した結

晶は,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレートとなると認められるから,引

28
用発明(フリー体)に接した当業者は,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレ

ートを容易に想到するといえる。

前記1(9)及び(10)に記載の各実験によれば, ずれもフリー体の水溶
すなわち, い

液に水酸化ナトリウムを滴下後,析出物を乾燥することにより,フリー体のモノナ

トリウム塩トリハイドレートが得られることが示されている。そして,同実験条件

は,フリー体のモノナトリウム塩を製造するに際しての通常の条件であることが認

められる(乙29,30,36,38)。

もっとも,前記1(11)の実験では,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレー

トは得られず,乾燥条件(110℃・13時間減圧乾燥,130℃・13時間減圧

乾燥)によってフリー体のモノナトリウム塩ジハイドレート(2水和物)又はフリ

ー体のモノナトリウム塩(無水物)が得られている。前記1(9)及び(10)に記載の各

実験と前記1(11)の実験との違いは,析出物をどのような乾燥条件で乾燥するかの

点にある。

結晶が含む水和水(結晶水)の数が異なると,薬剤の溶解特性が異なり,当該有

効成分の生体への吸収特性が異なることは周知の事項であり(前記1(5),(7)),甲

5には,フリー体の1水和物(モノハイドレート)が得られたと解される記載があ

る(前記1(2)) これらからすると,当業者は,フリー体の製剤化に際して,フリ


ー体のモノナトリウム塩を用いることを検討し(前記2(2)のとおり) かつ,フリ


ー体のモノナトリウム塩に何らかの水和物が存在するか,存在する場合,その吸収

特性を含めその特性はどのようなものかを調査しようとするのは当然である。 た,


結晶水は熱すれば,ある温度で段階的に脱水することも周知の事項である(前記1

(8))から,当業者が析出物の乾燥条件を設定するに際しては,当然に,結晶水が脱

水しない条件も設定しようとすると考えられる(このことは審決が指摘する「乙1

2の形態E」
(本件の甲18)の生成条件にも現れている。。そうすると,当業者に


おいて,前記1(11)の高温条件による乾燥 のみを行うとは考えられず,前記1(9)

及び(10)に記載の各実験の乾燥条件による乾燥も通常に行うと認められる。

29
前記1(9)及び(10)に記載の各実験はフリー体のモノナトリウム塩
以上のとおり,

を製造するに際して,通常採用される条件である。そして,引用発明に接した当業

者は,フリー体のモノナトリウム塩に容易に想到する(前記(2))のであるから,フ

リー体のモノナトリウム塩トリハイドレートについても容易に想到するというべき

で,審決の結論には違法はない。

イ 原告の主張について

原告は,甲37及び40(早稲田大学のD 教授の見 解書)を根拠 に,前記1(9)

及び(10)の各実験の実験条件は通常のものではないとする。しかし,原告が指摘す

る攪拌時間や攪拌の際の温度等は,収量を上げる目的で採用されたものであり,こ

れをもって前記判断を左右するものではない。

また,原告は,甲24(同)を根拠に,有機化合物について何らかの水和数を有

する水和塩結晶を製造する一般的な方法は知られておらず,ある有機化合物の水和

塩結晶を得ようとした場合,どのような方法(晶析及び後処理)を用いればよいの

かについて予測することは,相当な試行錯誤をする必要があったので,当業者が,

甲5のフリー体の開示に基づいて,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレート

を容易に製造することができたとはいえないとする。しかし,有機化合物について

何らかの水和数を有する水和塩結晶を製造する一般的な方法は知られていないとし

ても,前記(2)及び(3)アのとおり,フリー体に接した当事者としてはそのモノナト

リウム塩を容易に想到し,フリー体のモノナトリウム塩を製造するに際して通常の

方法をとれば,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレートが生成される以上,

当業者においては,フリー体から,フリー体のモノナトリウム塩トリハイドレート

容易に想到するとすべきであって,原告の主張は採用できない。

さらに,原告は,甲5に接した当業者は,実施例3でフリー体の1水和物(モノ

ハイドレート)が得られていることに満足するはずであり,あえて他の水和物の存

在の有無やその安定性を調査しようとする動機付けがないとも主張する。しかし,

結晶が含む水和水(結晶水)の数が異なると,薬剤の溶解特性が異なり,当該有効

30
成分の生体への吸収特性が異なることは周知の事項であることからすれば,当業者

においては,モノナトリウム塩に何らかの水和物が存在するか,存在する場合,吸

収特性を含めその特性はどのようなものかを調査しようとするのは当然であるから,

原告の主張は採用の限りではない。

3 結論

以上よりすれば,本件発明に係る特許を無効とするべきとの審決の結論に誤りは

ない。原告はその他縷々主張するが,いずれも採用の限りではない。よって,原告

の請求を棄却することとして主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第1部




裁判長裁判官


飯 村 敏




裁判 官


八 木 貴 美




裁判 官


小 田 真




31
別紙




32

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