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関連審決 異議2001-70271 無効2006-80112
無効2006-80116
無効2006-80034
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成21ネ10033特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成18ネ10052特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成17ネ10024特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成18ネ10051特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成19ネ10036特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
関連ワード 産業上利用(29条1項柱書) /  自然法則 /  一定の効果 /  技術的思想 /  創作性(創作) /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  周知技術 /  慣用技術 /  技術的範囲 /  択一的 /  優先日 /  参酌 /  容易に想到(容易想到性) /  禁反言 /  特許発明 /  実施 /  構成要件 /  侵害 /  損害額 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  拡張 /  変更 /  訂正要件 /  審決確定(審決が確定) /  取消決定 /  異議申立 / 
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事件 平成 19年 (ネ) 10050号 損害賠償請求控訴事件
当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/03/10
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
全容
第1控訴の趣旨1原判決を取り消す。
2被控訴人は,控訴人に対し,210億円及びこれに対する平成18年1月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
42項について仮執行宣言第2事案の概要1本件は,本件特許権1及び2(原判決の略称に従う。以下,本判決において訂正する場合を除き,同じ。なお,原審の審級に応じた略称は,当審の審級に応じた略称に読み替える。)を有し,又は有していた控訴人が,被控訴人物件は本件特許権1の請求項1,3及び10に係る本件特許発明1,3及び10並びに本件特許権2の請求項1に係る特許発明技術的範囲に属するから,被控訴人物件を製造販売する被控訴人の行為は本件特許権1及び2を侵害すると主張して,被控訴人に対し,損害賠償等として,控訴の趣旨2項記載の金員(附帯請求の起算日は訴状送達の日)の支払を求める事案である。
2原判決は,本件特許権1の本件特許発明1,3及び10については,被控訴人物件はこれらの特許発明技術的範囲に属するものとは認められないと判断して,本件特許権2の請求項1に係る特許発明については,同発明に係る本件特許2は特許無効審判により無効にされるべきもの(特許法29条2項,同法123条1項2号)と認められるから,控訴人は同発明に係る本件特許権2を行使することができないと判断して,控訴人の本件各請求をいずれも棄却したため,控訴人は,これを不服として本件控訴に及んだ。
なお,原判決言渡後,本件特許2(請求項1の発明を含む。)を無効とする審決が確定した。
3前提となる事実控訴人の本件各請求について判断する前提となる事実は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「第2事案の概要」の「1前提となる事実」(原判決3頁5行〜17頁9行)に摘示のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決3頁6行の「原告」の次に「(旧商号アルゼ株式会社)」を加える。
(2)原判決3頁11行の「本件特許」から12行の「図面」までを「本件特許1に係る平成14年6月27日付け訂正請求による訂正後の明細書及び願書に添付した図面」と改める。
(3)原判決3頁20行末尾の次に「(以下「本件優先日」という。)」を,4頁22行の「請求項3」の次に「(請求項1を引用するもの。以下同じ。)」をそれぞれ加える。
(4)原判決5頁6行の「または請求項2」を「…」と改める。
(5)原判決5頁7行の「請求項10」の次に「(請求項1及び3を順次引用するもの。以下同じ。)」を加える。
(6)原判決5頁13行の「から請求項8のいずれか1項」を「…」と,16行の「本件特許」を「本件特許2」と,17行の「有する」を「有していた」とそれぞれ改める。
(7)原判決6頁3行から5行までを削る。
(8)原判決6頁13行の「本件各特許発明」を「本件特許発明1及び3」と,18行の「図柄の組み合わせ」を「図柄組み合わせ」とそれぞれ改める。
(9)原判決7頁14行から23行までを削る。
(10)原判決7頁24行の「ウ」を「イ」と,8頁1行の「図柄の組み合わせ」を「図柄組み合わせ」と,17行の「所定」から20行末尾までを「所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,」と,22行の「複数の効果音の中の1つの音」を「報知態様」と,9頁13行の「上記物件目録中」を「上記被控訴人物件説明書中」とそれぞれ改め,13頁21行を次のとおり改める。
「(6)本件特許1に係る特許無効審判(無効2006-80112号)及び訂正請求」(11)原判決14頁3行の「請求項1」及び4行の「請求項3」の各次にいずれも「に記載された発明」を加える。
(12)原判決14頁10行の「図柄の組み合わせ」を「図柄組み合わせ」と,16頁3行の「前記可変表示手段」を「前記可変表示停止手段」とそれぞれ改め,15行から17頁9行までを次のとおり改める。
「(7)本件特許1に係る特許無効審判(無効2006-80116号)及び訂正請求ア被控訴人は,平成18年6月21日,本件特許1(本件明細書1に記載された請求項1〜24に係る発明についてのもの)に対して特許無効審判(甲34)を請求し,無効2006-80116号事件として係属した。
イ控訴人は,平成20年4月14日,本件明細書1の請求項1を削除し,同3及び10を別紙特許請求の範囲目録記載のとおり訂正するなどする訂正請求(甲56。以下「本件訂正請求2」といい,本件訂正請求2に係る請求項3及び請求項28(本件明細書1の請求項10を訂正するもの)に記載された発明をそれぞれ「本件訂正特許発明?」及び「本件訂正特許発明?」という。)をした。
(8)本件特許2に係る無効審決の確定ア被控訴人は,平成18年3月1日,本件特許2(本件明細書2に記載された請求項1〜5に係る発明についてのもの)に対して特許無効審判(乙36)を請求し,無効2006-80034号事件として係属した。
控訴人は,同年5月22日,本件明細書2の請求項1を訂正するなどする訂正請求(甲13の1及び2)をした。
特許庁は,同年10月4日,「訂正を認める。特許第3708056号の請求項1〜5に係る発明についての特許を無効とする。」との審決(乙53。以下「本件無効審決」という。)をした。
イ控訴人は,知的財産高等裁判所に対し,本件無効審決の取消しを求める訴え(平成18年(行ケ)第10504号)を提起したが,同裁判所は,平成19年11月14日,控訴人の請求を棄却するとの判決(乙65)を言い渡した。
控訴人は,最高裁判所に対し,上告(平成20年(行ツ)第46号)及び上告受理の申立て(同年(行ヒ)第46号)をしたが,同裁判所は,平成20年5月8日,上告を棄却するとともに,事件を上告審として受理しない旨の決定(乙67)をした。」4本件訴訟の争点本件特許権1に基づく請求に係る争点は,次のとおりである。
(1)被控訴人物件の構成(争点1)ア被控訴人物件の構成1-aの当選番号と被控訴人物件の構成1-bの停止表示図柄との間に対応関係について(争点1-1)イ被控訴人物件の構成1-cのスタートレバー操作とリール回転開始のタイミングとが同時といえるか(争点1-2)ウ被控訴人物件の構成のうち原判決別紙被控訴人物件目録図5(以下「図5」という。)に係る部分が本判決別表1(以下「新図5」という。)のとおりであるとする控訴人の当審における主張は時機に後れた攻撃方法として却下すべきものであるか(争点1-3)エ控訴人のウの主張が時機に後れた攻撃方法でないとして,被控訴人物件の構成のうち図5に係る部分は新図5のとおりであるか(争点1-4)(2)本件特許発明1関係ア被控訴人物件が本件特許発明1の技術的範囲を充足するか(争点2)(ア)被控訴人物件の構成1-b及び1-fが本件特許発明1の構成要件B及びFを充足するか(争点2-1)(イ)被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る図5の各演出種類が本件特許発明1の構成要件G及びHを充足するか(争点2-2)(ウ)被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る新図5の各演出種類が本件特許発明1の構成要件G及びHを充足するか(争点2-3)イ本件特許発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものといえるか(争点3)(ア)本件特許発明1が特許法29条1項柱書の「発明」といえるか(争点3-1)(イ)本件特許発明1は進歩性を欠くものであるか(争点3-2)ウ本件訂正請求1によって特許無効の抗弁が排斥されるか(争点4)(ア)本件特許発明1の無効理由が本件訂正請求1によって解消されるか(争点4-1)(イ)被控訴人物件が本件訂正特許発明1の技術的範囲に属するか(争点4-2)(3)本件特許発明3関係ア被控訴人物件が本件特許発明3の技術的範囲を充足するか(争点5)(ア)被控訴人物件の構成3-b及び3-fが本件特許発明3の構成要件B及びFを充足するか(争点5-1)(イ)被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る図5の各演出種類が本件特許発明3の構成要件G及びHを充足するか(争点5-2)(ウ)被控訴人物件の構成3-iが本件特許発明3の構成要件Iを充足するか(争点5-3)(エ)被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る新図5の各演出種類が本件特許発明3の構成要件G及びHを充足するか(争点5-4)イ本件特許発明3に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものといえるか(争点6)(ア)本件特許発明3が特許法29条1項柱書の「発明」といえるか(争点6-1)(イ)本件特許発明3は進歩性を欠くものであるか(争点6-2)ウ本件訂正請求1によって特許無効の抗弁が排斥されるか(争点7)(ア)本件特許発明3の無効理由が本件訂正請求1によって解消されるか(争点7-1)(イ)被控訴人物件が本件訂正特許発明3の技術的範囲に属するか(争点7-2)エ本件訂正請求2によって特許無効の抗弁が排斥されるか(争点8)(ア)本件特許発明3の無効理由が本件訂正請求2によって解消されるか(争点8-1)(イ)被控訴人物件が本件訂正特許発明?の技術的範囲に属するか(争点8-2)(4)本件特許発明10関係ア被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属するか(争点9)(ア)控訴人が本件特許発明10に係る請求原因を追加することは,不当な請求原因の変更として許されないか。また,本件特許発明10に係る控訴人の主張は,時機に後れた攻撃方法として却下すべきものであるか(争点9-1)(イ)被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属するか(争点9-2)イ本件特許発明10に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものといえるか(争点10)ウ本件訂正請求2によって特許無効の抗弁が排斥されるか(争点11)(ア)本件特許発明10に係る特許の無効理由が本件訂正請求2によって解消されるか(争点11-1)(イ)被控訴人物件が本件訂正特許発明?の技術的範囲に属するか(争点11-2)(5)本件特許権1の侵害に係る損害額(争点12)第3当事者の主張【原審における主張】原審における当事者の主張は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「第3当事者の主張」(原判決20頁6行〜95頁3行)に摘示のとおりであるから,これを引用する。
1原判決24頁9行の「別表5」を「別表第5」と,26頁25行及び26行の各「本件発明1」をいずれも「本件特許発明1」と,25行の「本件明細書」を「本件明細書1」とそれぞれ改める。
2原判決30頁1行の「乙5」の次に「。平成9年4月22日公開」を,4行の「乙8」の次に「。平成9年11月25日公開」をそれぞれ加える。
3原判決31頁2行の「本件特許発明」を「本件特許発明1」と,32頁11行の「本件特許発明」を「本件特許発明1」と,34頁16行,18行及び21行の各「本件明細書」をいずれも「本件明細書1」と改め,35頁13〜14行を次のとおり改める。
「(2)本件特許発明1は進歩性を欠くものであるか(争点3-2)」4原判決41頁11行の「本件明細書」を「本件明細書1」と改め,51頁20行を次のとおり改める。
「4本件訂正請求1によって特許無効の抗弁が排斥されるか(争点4)」5原判決52頁1行の「未だ訂正すべき」を「いまだ訂正を認める」と,54頁6行の「本件特許発明1」を「本件訂正特許発明1」と,55頁19行の各「ア」をいずれも「イ」と,60頁1行の「本件明細書」を「本件明細書1」とそれぞれ改め,4〜6行を次のとおり改める。
「(2)本件特許発明3は進歩性を欠くものであるか(争点6-2)」6原判決60頁14行から15行にかけての「構成要件AないしFの」を削る。
7原判決60頁19行の「一つの音を発生される」を「1つの音を発生させる」と,61頁25行の「乙31公報」を「特開平6-114142号公報(乙31。以下「乙31公報」という。)」と,同行の「乙33公報」を「特開平6-114144号公報(乙33)」と,62頁25行の「選択肢で」を「選択して」と,63頁1行の「構成要件AないしFの」を「構成要件AないしF及び」とそれぞれ改める。
8原判決63頁23行並びに64頁6行及び17行の各「(」の各次に「本件明細書1」をそれぞれ加える。
9原判決64頁7行の「乙12発明,13発明」を「乙12公報に記載された発明及び乙13公報に記載された発明(以下「乙13発明」という。)」と改め,65頁12行目を次のとおり改める。
「7本件訂正請求1によって特許無効の抗弁が排斥されるか(争点7)」10原判決65頁19行の「未だ訂正すべき」を「いまだ訂正を認める」と,67頁2行の「前記6(1)ア」を「前記6(2)ア」と,同行の「本件訂正特許発明3が」を「本件訂正特許発明3は」と,4行の「発明することができたものとはいえない」を「発明をすることができたものである」と,7行の「本件訂正特許発明」を「本件訂正特許発明3の構成要件」とそれぞれ改める。
11原判決67頁18行から93頁6行までを削る。
12原判決93頁7行から9行までを次のとおり改める。
「8控訴人が本件特許発明10に係る請求原因を追加することは不当な請求原因の変更として許されず,また,本件特許発明10に係る控訴人の主張は時機に後れた攻撃方法として却下すべきものであるか(争点9-1)」13原判決93頁11行の「本件特許1の請求項10」を「本件特許発明10」と改める。
14原判決94頁1行の「請求項3」の次に「に基づく請求原因」を加える。
15原判決94頁15行を次のとおり改める。
「9本件特許権1の侵害に係る損害額(争点12)」【当審における主張】1被控訴人物件の構成のうち図5に係る部分について,これが新図5のとおりであるとする控訴人の控訴審における主張は,時機に後れた攻撃方法として却下すべきものであるか(争点1-3)。また,被控訴人物件の構成のうち図5に係る部分は,新図5のとおりであるか(争点1-4)〔控訴人の主張〕(1)図5は,被控訴人物件の演出態様に係る構成を正確に表すものではなく,正しくは,新図5のとおりである。
(2)新図5に基づく控訴人の主張は,以下のとおり,時機に後れた攻撃方法として却下されるべきものではない。
ア新図5は,訴状添付の図面5と矛盾するものでないほか,原判決別紙被控訴人物件目録図5との相違もわずかなものであるから,新図5に基づく控訴人の主張は,新規の主張というよりは,主張の補充というべきものである。また,同主張の根拠である被控訴人物件の解析結果(甲41)の内容も,原審において提出した解析結果(甲33)の内容を大きく変更するものではなく,むしろ,同主張は,甲33及び44の解析結果を整理したもの,すなわち,原審において既に立証済みの事実関係を控訴審において整理したものにすぎない。さらに,同主張は,控訴審の第1回口頭弁論期日において陳述されたものである。そうすると,同主張が時機に後れたものということはできない。
イ控訴人が被控訴人物件の構成の内容を把握するためには,専門的知識を駆使したプログラムの解析(これは,解析者の力量や正確性に大きく依存する。)を必要とし,これには多大の困難を伴うものであるから,仮に,控訴人の当初の主張に不備があったとしても,それが控訴人の重大な過失によるものということはできない。また,控訴人にとって,故意に新図5に基づく主張をしない理由はない。そうすると,控訴人が控訴審において新図5に基づく主張をすることにつき,控訴人には,故意も重過失もないというべきである。
ウ新図5に基づく主張事実の立証は,書証である甲41の提出によりほぼ尽きている。また,甲41は,甲33と比較して大きく内容を異にするものではなく,新証拠とまで評価されるものではない。さらに,被控訴人は,被控訴人物件のプログラムの内容を熟知しており,甲41の内容につき検討するのに時間を要するものではない。加えて,控訴審においては,第1回口頭弁論期日の後も当事者双方の主張立証が予定され,現に,当該主張立証がされたことをも併せ考慮すると,新図5に基づく控訴人の主張は,訴訟の完結の遅延をもたらすものではない。
〔被控訴人の主張〕控訴人は,原審において,図5を含む原判決別紙被控訴人物件目録の内容を争わなかった(被控訴人の平成18年3月23日付け準備書面(2)に対する控訴人の同年7月7日付け準備書面(1),被控訴人の同年10月12日付け準備書面(5)に対する控訴人の同年11月16日付け準備書面(6)及び訴状添付の図面5参照)ものであり,同目録に記載された被控訴人物件の演出態様を前提として,これが本件特許発明1の技術的範囲に属するか否かについて主張立証がされてきたにもかかわらず,控訴審において新図5に係る控訴人の主張を許すとすると,原審における審理が完全に無駄なものとなるから,同主張は,時機に後れた攻撃方法として却下されるべきものである。
したがって,被控訴人物件の演出態様に係る構成が新図5のとおりであるか否かについて認否する必要はない。
2被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る図5の各演出種類は,本件特許発明1の構成要件G及びHを充足するか(争点2-2)〔控訴人の補充主張〕(1)本件特許発明1の構成要件H前段にいう「報知」について原判決は,本件特許発明1の構成要件H前段にいう「報知」(以下「共通報知」ということがある。)につき,単数又は複数の限定された入賞態様のうちいずれかの入賞態様に当選していることについて何らの情報ももたらさない演出(遊技音等)(例えば,すべての入賞態様に共通して行われる1種類の演出(遊技音等))は,共通報知には当たらないと判断した。
しかしながら,被控訴人物件における演出が共通報知に該当するか否かは,それが一定の確率で入賞したことを報知するものであるか否かによって判断されるべきであり,確実に入賞したか否かという二者択一的な情報を報知するものであるか否かによって判断されるべきものではない(本件明細書1【0070】〜【0072】参照)。
例えば,スタートレバーの操作時に出音される一定の効果音についてみると,当該効果音が「ハズレ」の場合に出音される可能性がほぼ皆無であり,他の入賞態様(大当たり,小当たり,リプレイ等)の場合に出音される可能性が高いのであれば,当該効果音は,高い確率で「ハズレ」以外の入賞態様に当選しているとの情報を報知するものということができる。
以上によると,原判決が例示する「すべての入賞態様に共通して行われる1種類の演出」であっても,入賞態様を報知していることは明らかであるから,共通報知の解釈に係る原判決の上記判断は誤りである。
(2)極めて高い確率での情報の報知について原判決は,「ギター前兆音」,「白オーラ+オーラ音」及び「人影+出現音」について,いずれも,「ハズレ」も含めた単数又は限定された複数のいずれの入賞態様であるかにつき何らの情報ももたらさないと認定したが,この認定は誤りである。
ギター前兆音の演出及びこれに引き続いてされる通行人演出等は,以下のとおり,極めて高い確率で情報を報知するものとして,本件特許発明1の構成要件Hを充足するものである。
ア被控訴人物件が「ストック待ちゲーム」の遊技状態にあるのは,工場から出荷された時の初期状態から,初めて「JAC」3つぞろいの当選が発生するまでのごくわずかな間のみである。そして,被控訴人物件において,「JAC」3つぞろいの当選が発生する確率は,約32分の1(甲42の35頁中段右)であるから,被控訴人物件においては,遊技場に並べられ,最初の遊技者が遊技を開始してから数分後には,「ストック待ちゲーム」の遊技状態が終了し,その後は,「ストック待ちゲーム」の遊技状態に戻ることは二度とない。
また,被控訴人物件において,「ストック放出ゲーム」の遊技状態となるのは,わずか6万4000分の1ほどの低い確率においてである(甲42の38頁中段右)。
そうすると,被控訴人物件は,上記のごくわずかな例外の場合を除き,「アシストゲーム」又は「RBゲーム」の遊技状態にない限り,すべて「ストックゲーム」の遊技状態にあるということができる(甲41)。
イ上記アの事実を前提として,「ギター前兆音」を例にとると,「ギター前兆音」が出音されて内部当選役が「ハズレ」となるのは,遊技状態が「ストック待ちゲーム」の場合のみである(本判決別表2)から,「ギター前兆音」を出音するとの演出は,内部当選役が「チェリー」,「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」のいずれかである可能性が極めて高いことを報知するものということができる。したがって,「ギター前兆音」は,共通報知に該当するとともに,原判決にいう「単数又は複数の限定された入賞態様のうちのいずれかの入賞態様に当選していること」についての情報をもたらすものである。
そして,「ギター前兆音」に引き続いて通行人演出が行われる場合を例にとると,第1ボタンないし第3ボタンのいずれかの押下時に,シャツの色が黄又は青であるとの演出がされれば,それは,内部当選役が「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」であることを,緑であるとの演出がされれば,それは,内部当選役が「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」であることを,赤であるとの演出がされれば,それは,内部当選役が「チェリー」,「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」であることをそれぞれ報知するものであるから,このように通行人のシャツの色が判明するとの演出が,本件特許発明1の構成要件H後段にいう報知(以下「その後の報知」ということがある。)に該当することは明らかである。
なお,上記したところは,「ギター前兆音」に引き続いてバット演出又はリン演出がされる場合にも妥当するもの(本判決別表2)であり,また,「白オーラ+オーラ音」の演出及びこれに引き続いてされるオーラの色の変化に係る演出並びに「人影+出現音」の演出及びこれに引き続いてされる各色のザコに係る演出にも妥当するもの(本判決別表3及び4)である。
この点に関し,被控訴人は,「人影+出現音」とその後のザコの色との組合せによっても,入賞態様決定手段で決定された入賞態様を特定することができないと主張するが,これに対する反論は,後記3の〔控訴人の主張〕(4)アのとおりである。
〔被控訴人の補充主張〕(1)共通報知について図5の「回転開始音」欄に記載された音は,「ギター前兆音」及び「通常開始音」の2種類のみであり,これらの音のいずれが出音されても,入賞態様(当選番号)がいずれであるかを判別することはできない。
仮に,控訴人が主張するように,「回転開始音」が「ハズレ」の場合に出音される可能性が低いとしても,配当のある複数の入賞態様のいずれであるかについて報知しない以上,原判決が判断したとおり,「すべての入賞態様に共通して行われる1種類の演出(遊技音等)」は,共通報知に該当しない。
(2)極めて高い確率での情報の報知についてア「ギター前兆音」について前記(1)のとおり,「回転開始音」が出音されても,これが配当のある複数の入賞態様のいずれであるかについて報知しない以上,共通報知に該当する余地はない。
イ「人影+出現音」について控訴人が主張する「人影+出現音」とその後のザコの色との組合せによっても,入賞態様決定手段で決定された入賞態様を特定することができないから,「人影+出現音」の演出及び各色のザコに係る演出は,本件特許発明1の構成要件Hを充足しない。
3被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る新図5の各演出種類は,本件特許発明1の構成要件G及びHを充足するか(争点2-3)〔控訴人の主張〕新図5に記載された演出は,以下のとおり,確実な情報を報知するものとして,共通報知及びその後の報知に該当し,本件特許発明1の構成要件Hを充足する。
(1)演出種類7(バックランプ演出)についてア開始レバーの操作時に行われる「バックランプが左↑右に流れ」との演出は,「チェリー」,「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」のいずれかに内部当選したことを報知しており,当該演出がされたときに入賞態様が「ハズレ」である可能性はないから,当該演出が共通報知に該当することは明らかである。
イその後,第1ボタン押下時にのみ「アチャー」が出音されれば,それは,「チェリー」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」に内部当選したことを報知するものであり,第1ボタン及び第2ボタンの押下時にともに「アチャー」が出音されれば,それは,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」に内部当選したことを報知するものであり,第1ボタンないし第3ボタンのすべての押下時に「アチャー」が出音されれば,それは,「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」に内部当選したことを報知するものであるから,「アチャー」の出音がその後の報知に該当することも明らかである。
(2)演出種類1(通行人演出)について「通行人黄シャツ」の場合を例にとると,第1ボタンないし第3ボタンのいずれかを押下した時にシャツの色が黄色であるとの演出がされた場合,それは,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」のいずれかに内部当選したことを報知するものであり,入賞態様が「チェリー」,「スイカ」及び「ハズレ」である可能性はない。
その上で,第3ボタン押下時に,通行人がザコに倒され,その後,「ボス」が登場する演出がされれば,それは,内部当選役が「ベル」であることを報知するものである。
そうすると,通行人のシャツの色が黄色であると判明する演出は,共通報知に該当し,その後の通行人がザコに倒され「ボス」が登場する演出は,その後の報知に該当するものである。
なお,上記したところは,「通行人緑シャツ」,「通行人赤シャツ」及び「通行人青シャツ」の場合にも妥当するものである。
(3)演出種類5(影(敵)演出)について「黄ザコ」の場合を例にとると,第1ボタン押下時に黄ザコが出現するとの演出がされた場合,それは,「ハズレ」,「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」のいずれかに内部当選したことを報知するものであり,入賞態様が「チェリー」である可能性はない。
そして,第2ボタン押下時に,黄ザコがケンシロウに突かれたり,パンチ,キックその他の必殺技を受けたりし,第3ボタン押下時に黄ザコが倒れるとの演出がされれば,それは,内部当選役が「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」であることを報知するものである。また,第2ボタン押下時に,新たに馬が登場して黄ザコを踏みつぶした場合であって,第3ボタン押下時に馬がラオウの下に進むとの演出がされれば,それは,内部当選役が「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」であることを報知するものであり,馬上にラオウが居るとの演出がされれば,それは,内部当選役が「スイカ」,「ベル」,「リプレイ」又は「JAC」であることを報知するものであり,馬だけがクローズアップされるとの演出がされれば,それは,内部当選役が「ハズレ」,「リプレイ」又は「JAC」であることを報知するものである。さらに,第2ボタン押下時に,黄ザコが倒されることなく逃げ出すとの演出がされれば,それは,内部当選役が「ハズレ」,「リプレイ」又は「JAC」であることを報知するものである。
そうすると,黄ザコが出現するとの演出は,共通報知に該当し,その後に黄ザコが攻撃を受けたり逃げ出したりするとの演出は,その後の報知に該当するものである。
なお,上記したところは,「緑ザコ」及び「青ザコ」の場合にも妥当するものである。
(4)被控訴人の主張に対する反論ア被控訴人は,演出種類1(通行人演出)のうちシャツが青の場合,演出種類7(バックランプ演出)及び演出種類5(影(敵)演出)に関し,共通報知とその後の報知との組合せで遊技者に報知することにより1つに特定された入賞態様を判別することができなければ,本件特許発明1の構成要件Hを充足しないと主張するが,同発明の構成要件Hには,そのような要件は存在しない。
なお,本件特許発明1の構成要件Gにいう「入賞態様に対応した報知情報」とは,一対一の対応関係がある場合のみならず,一対多又は多対一の対応関係がある場合をも含むものであるから,ある1つの報知情報が複数の入賞態様と対応している場合も,同発明の構成要件Gを充足するというべきである。
イ被控訴人は,演出種類1(通行人演出)に関し,「ボス」が登場する演出がされるのが第3ボタンの押下後であるとして,本件特許発明1の構成要件Gのうち「1回の遊技の中で」との要件を充足しないと主張する。
しかしながら,本件明細書1には,報知手段として,音発生手段,連動演出手段及び停止演出手段を備えた実施形態が開示されているところ,連動演出手段は,各リールの停止に連動した演出をなし,また,停止演出手段は,全リールの停止後に演出をなすものとされているのであるから,第3リールの停止に連動する演出や,全リールの停止後に行われる演出も,本件特許発明1における報知たり得るものである。特に,停止演出手段については,全リールの停止後の点滅時間が長い場合もあることが予定されており(本件明細書1【0072】),これは,可変表示が停止された後,相当の時間にわたって演出が行われることを意味する。
このような本件明細書1の記載を参酌すると,本件特許発明1の構成要件Gの「1回の遊技の中で」との要件は,全リールの停止後も含めた一定の幅のあるものと解釈すべきであって,可変表示が停止された瞬間までを指すものと限定的に解釈すべきではない。
そうすると,「ボス」が登場する演出が第3ボタンの押下後にされるとしても,それが第3リールの停止後間もなくされるものである限り,「1回の遊技の中で」との要件を充足するものである。
また,被控訴人は,被控訴人物件においては第3ボタンの押下時までに遊技者をして入賞態様を予測させるものではないとも主張するが,「予測」の語の本来的な意味(結果を前もって推し量ること)に加え,本件特許発明1において報知が行われるのが入賞態様の決定という結果が生じた後であることからすると,本件明細書1の【0012】にいう「予測」とは,推測(既に結果が生じている場合であっても,遊技者にとって不確実なものであれば,推測の対象となる。)を意味すると理解すべきであるから,本件特許発明1の構成要件Gは,報知情報が入賞態様を事前に予測させるものであることを求めるものでないと解釈するのが相当である。
〔被控訴人の主張〕仮に,控訴人が主張する新図5を前提としても,以下のとおり,被控訴人物件は,本件特許発明1の構成要件G及びHを充足しない。
(1)演出種類7(バックランプ演出)について本件特許発明1においては,入賞態様決定手段によって決定された入賞態様を共通報知とその後の報知との組合せで遊技者に報知することにより,遊技が進行していくのに伴って入賞態様が判明し,遊技者が操作を進めていくに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたのかが徐々に報知されるのである(本件明細書1【0120】参照)から,共通報知とその後の報知との組合せで遊技者に報知することにより,入賞態様決定手段によって決定された入賞態様(1つに特定された入賞態様)を判別することができなければならないことは明らかである。
しかしながら,控訴人が主張するバックランプ演出に係る組合せによっても,報知の対象である入賞態様決定手段によって決定された入賞態様は,その後の報知の後であっても,全く特定することができない。
したがって,演出種類7(バックランプ演出)は,本件特許発明1の構成要件Hを充足しない。
(2)演出種類1(通行人演出)についてア本件特許発明1の構成要件Gによると,同発明における報知は,可変表示開始手段によって可変表示が開始され,可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で行われなければならないことになる。また,本件明細書1の記載(【0012】)によると,本件特許発明1は,入賞態様決定手段で決定された入賞態様を遊技者に報知することにより,遊技者をして入賞態様を予測させることに意味があるのであるから,その後の報知は,少なくとも遊技者が第3ボタンを押下するまでにされないと全く意味がない。
これに対し,被控訴人物件においては,第3ボタンが押下されてからリールの可変表示が停止するまでの時間は,およそ0.2秒であり,第3ボタンが押下されるのとほぼ同時にリールの可変表示が停止するのであって,その間に,遊技者がその後の報知を確認するのは不可能(確認するとすれば,可変表示の停止後)であるから,被控訴人物件においては,第3ボタンを押下するまでにその後の報知が行われるものではなく,また,入賞態様を予測させるものでもない。さらに,控訴人の主張によっても,その後の報知に該当するとされる通行人演出は,第3ボタンの押下時に,通行人がザコに倒され,その後,「ボス」が登場するというものであるから,結局,第3ボタンを押下した後,その後の報知がされるということになる。
したがって,演出種類1(通行人演出)は,可変表示開始手段によって可変表示が開始され,可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で行われる報知に該当せず,本件特許発明1の構成要件Gを充足しない。
イ被控訴人物件においては,通行人のシャツが青の場合,その後の報知の後であっても入賞態様が特定されないから,前記(1)において主張したところに照らすと,演出種類1(通行人演出)は,本件特許発明1の構成要件Hを充足しない。
(3)演出種類5(影(敵)演出)について控訴人が主張する影(敵)演出に係る組合せによっても,報知の対象である入賞態様決定手段によって決定された入賞態様を全く特定することができないから,前記(1)において主張したところに照らすと,演出種類5(影(敵)演出)は,本件特許発明1の構成要件Hを充足しない。
4被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る図5の各演出種類は,本件特許発明3の構成要件G及びHを充足するか(争点5-2)〔控訴人の補充主張〕前記2の〔控訴人の補充主張〕のとおり〔被控訴人の補充主張〕前記2の〔被控訴人の補充主張〕のとおり5被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る新図5の各演出種類は,本件特許発明3の構成要件G及びHを充足するか(争点5-4)〔控訴人の主張〕前記3の〔控訴人の主張〕のとおり〔被控訴人の主張〕前記3の〔被控訴人の主張〕のとおり6被控訴人物件は,本件特許発明10の技術的範囲に属するか(争点9-2)〔控訴人の補充主張〕被控訴人物件は,以下のとおり,本件特許発明10の技術的範囲に属するものである。
(1)構成要件の分説本件特許発明10の構成要件を分説すると,次のとおりである。
A〜H本件特許発明1と同じI本件特許発明3と同じJ前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする。
K本件特許発明1の構成要件Iと同じ(2)構成要件A,CないしE及びKについて被控訴人物件が本件特許発明10の構成要件A,CないしE及びKを充足することは被控訴人も認めている。
(3)構成要件B及びFについて争点2-1に係る原審主張のとおり(4)構成要件G及びHについてア争点2-2に係る原審主張,前記2の〔控訴人の補充主張〕及び前記3の〔控訴人の主張〕のとおりイ本件特許発明10の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈について本件特許発明1の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈に係る被控訴人の主張は,以下のとおり,本件特許発明10の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈には妥当しないものである。
(ア)本件特許発明10は,デモ抽選テーブル選択テーブルに係る構成要件Jを含むものであるため,同発明の実施形態は,本件明細書1中,第2の実施形態に係る【0124】以下にのみ記載され,【0022】以下に記載された第1の実施形態は,これに当たらない。
(イ)第2の実施形態によると,本件特許発明10の構成要件Hの共通報知の一例とされる遊技開始音1は,「ハズレ」を含むすべての入賞態様に共通して選択されるものであり,また,一般遊技中において遊技開始音1が出音される場合には,同2が出音される場合と比較して,各入賞態様が決定されている確率が大きく異なり,同1の出音は,「ベル」,「スイカ」又は「リプレイ」に入賞している可能性があることを示している。
このように,遊技開始音1は,すべての入賞態様に共通して出音され,かつ,遊技者にとって有益な情報を報知するものであるということができる。
したがって,本件明細書1の第2の実施形態の記載を参酌すると,本件特許発明10の構成要件Hの共通報知は,すべての入賞態様に共通して報知される開始音を含むものと解釈すべきである。
(ウ)第2の実施形態によると,「遊技開始音」につき「2」が出音され,その後,「リールランプ消灯」につき「2」の演出がされると,その後の「リールランプ点滅」の演出のいかんにかかわらず,決定された入賞態様は,「4枚チェリー」である。このように,第2の実施形態によると,本件特許発明10の構成要件G及びHの報知は,複数の演出により最終的に1つの入賞態様に特定される態様による報知を含むものということができる。
他方,第2の実施形態によると,「遊技開始音」につき「1」の出音がされ,その後,「リールランプ消灯」につき「2」の演出が,「リールランプ点滅」につき「なし」の演出がそれぞれされても,決定された入賞態様は,「ハズレ」,「2枚チェリー」又は「ベル」のいずれかであるにすぎない。このように,第2の実施形態によると,本件特許発明10の構成要件G及びHの報知は,複数の演出により最終的に1つの入賞態様に特定されない態様による報知をも含むものということができる。そして,最終的に1つの入賞態様に特定されない態様による報知であっても,遊技の一連の流れの中で入賞態様が徐々に絞り込まれていき,ある程度入賞態様の予測をすることが可能となるとの効果(本件明細書1【0266】)を奏するものである。
したがって,本件明細書1の第2の実施形態の記載を参酌すると,本件特許発明10の構成要件G及びHの報知は,最終的に1つの入賞態様を特定するもの及びそのような特定をしないものの双方を含むものと解釈すべきである。
(エ)第2の実施形態によると,一般遊技中においては,「リールランプ消灯」についての「2」の演出は,「遊技開始音」につき「1」が出音された後にのみされるものであるから,遊技者は,「リールランプ消灯」につき「2」の演出がされていることを見るだけで,決定された入賞態様が「ハズレ」,「2枚チェリー」,「ベル」又は「リプレイ」のいずれかであることを認識することができる。このように,第2の実施形態によると,「リールランプ消灯」についての「2」の演出は,それ単独で入賞態様(それが最終的に1つの入賞態様に対応するものである必要のないことは,上記(ウ)のとおりである。)を報知するものであるということができる。
したがって,本件明細書1の第2の実施形態の記載を参酌すると,本件特許発明10の構成要件G及びHの報知は,複数の演出の組合せにより入賞態様を報知するもののみならず,単独の演出により入賞態様を報知するものをも含むものと解釈すべきである。
(オ)以上のとおりであるから,本件特許発明10の構成要件G及びHについて,共通報知は,すべての入賞態様に共通して演出される報知を含み,同構成要件のその後の報知は,それ単独で入賞態様と対応する報知を含むものと解釈するのが相当である。
(5)構成要件Iについて争点5-3に係る原審主張のとおり(6)構成要件Jについて被控訴人物件は,原判決別紙被控訴人物件目録図12の「演出パターン番号のコマンド受信処理」により入賞態様のデータを取得し,「現在の遊技状態を取得」により遊技状態を取得した上,「演出種類を決定」により,デモ抽選テーブル選択テーブル(甲41の1〜10頁)を参照して,取得した入賞態様及び遊技状態に応じてデモ抽選テーブル(甲41の11頁以降)を選択し,「演出態様乱数値を取得」し,この演出態様乱数値により,「具体的演出態様を決定」するものであるから,被控訴人物件の報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して入賞態様及び遊技状態に応じて複数種類の演出態様組合せを記憶するデモ抽選テーブルを選択し,さらに,当該デモ抽選テーブルから抽選用乱数値に応じ,演出態様組合せを選択するというものである。
そうすると,被控訴人物件は,本件特許発明10の構成要件Jを充足するということができる。
〔被控訴人の主張〕被控訴人物件が本件特許発明1の技術的範囲に属さない以上,これが本件特許発明10の技術的範囲に属することはない。
7本件特許発明3の無効理由が本件訂正請求2によって解消されるか(争点8-1)〔控訴人の主張〕被控訴人が主張する本件特許発明3に係る本件特許1の無効理由は,以下のとおり,本件訂正請求2により解消されるものである。
(1)訂正要件について本件訂正請求2は,特許請求の範囲減縮を目的とするものであり,また,新規事項を追加するものではなく,特許請求の範囲を実質的に拡張し,又は変更するものでもないから,特許法134条の2第1項ただし書並びに同条5項において準用する同法126条3項及び4項に規定する要件を満たすものである。
(2)特許法29条1項柱書違反に係る無効理由についてある技術的思想創作自然法則を利用したものといえるか否かについては,その全体をみて判断すべきところ,本件訂正特許発明?は,全体としてみると,自然法則を利用した技術的思想創作であるということができる。
(3)特許法29条2項違反に係る無効理由についてア構成要件の分説本件訂正特許発明?の構成要件を分説すると,次のとおりである。
A〜G本件特許発明3と同じH前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,I前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,前記報知態様選択手段により選択された,効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とするJ本件特許発明3と同じイ構成要件H中の各訂正部分に係る構成について本件訂正特許発明?の構成要件H中の各訂正部分(以下,「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,」との部分を「本件訂正部分?-1」と,「前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,」との部分を「本件訂正部分?-2」とそれぞれいう。)に係る構成は,乙4公報,乙6公報,乙8公報その他の刊行物に開示され,又は示唆されたものではない。
したがって,これらの構成は,いずれも,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものということはできない。
構成要件I中の各訂正部分に係る構成について本件訂正特許発明?の構成要件I中の各訂正部分(以下,「各列の」との部分を「本件訂正部分?-3」と,「前記報知態様選択手段により選択された,効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知す(る)」との部分を「本件訂正部分?-4」とそれぞれいう。)に係る構成は,乙6公報その他の刊行物に開示され,又は示唆されたものではない。
したがって,これらの構成は,いずれも,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものということはできない。
エ格別の作用効果について本件訂正特許発明?は,構成要件H及びIに係る構成を備えることにより,遊技者が操作を進めていくに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが徐々に報知されることとなり,操作を進めれば進めるほど判明していく入賞態様に起因して遊技者が熱くなるとの遊技上の興趣を高める格別の作用効果を奏するものである。
オ以上のとおりであるから,本件訂正特許発明?は,乙7発明,乙6公報その他の刊行物に記載された事項及び周知慣用技術に基づいて,本件優先日当時の当業者が容易に発明をすることのできたものということはできない。
〔被控訴人の主張〕本件訂正特許発明?は,以下のとおり,依然として進歩性を欠くものであるから,本件訂正請求2によっても,本件特許発明3に係る本件特許1の無効理由は解消されない。
(1)本件訂正部分?-1に係る構成について本件訂正部分?-1に係る構成は,乙6公報,乙11公報,日本文芸社平成6年発行の「必勝パチスロファン」(「パチンコファン増刊7月号」)の75頁から79頁までに掲載された「パチスロ入門勝利への扉」と題する記事(乙72。以下「乙72記事」という。)等に記載されるとおり,本件優先日当時の周知技術であるし,また,同構成を採用することは,本件優先日当時の当業者が適宜選択することのできる設計的事項にすぎないから,同構成は,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものである。
(2)本件訂正部分?-2及び?-3に係る各構成について乙7発明は,一般のスロットマシンとして,本件訂正部分?-2及び?-3に係る各構成を当然に備えたものと解されるし,また,乙72記事によると,これらの構成は,本件優先日当時の当業者が適宜選択することのできる周知慣用技術であったということができるから,これらの構成は,実質的には,本件訂正特許発明?と乙7発明との相違点ではない。
(3)本件訂正部分?-4に係る構成について乙7発明のバックライトの点滅又は点灯の種類及び可変表示装置の各列の停止に連動した連動表示態様(リーチ目)の種類は,共通報知とその後の報知とからなる報知情報であるということができるところ,これが,あらかじめ定められた入賞態様や遊技状態と一対一に対応する以上,乙7発明における報知情報が効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せからなることは明らかであるから,本件訂正部分?-4に係る構成は,実質的には,本件訂正特許発明?と乙7発明との相違点ではない。
8被控訴人物件は,本件訂正特許発明?の技術的範囲に属するか(争点8-2)〔控訴人の主張〕(1)本件訂正部分?-1及び?-2に係る構成要件Hについて被控訴人物件は,報知情報に関し次の構成を有するから,本件訂正部分?-1及び?-2に係る本件訂正特許発明?の構成要件Hを充足する。
ア演出種類1(通行人演出)?スタートレバー操作によって前記可変表示が開始されるときに行われる,複数の異なる入賞態様に共通する開始音(ギター前兆音)による報知と,?その後の,ストップボタンスイッチによって各列の上記リールが停止されるのに連動して行われる報知であって,上記開始音とは異なる連動表示(通行人の着衣の色及び「ボス」の登場)による報知とからなる。
イ演出種類2(バット演出)?スタートレバー操作によって前記可変表示が開始されるときに行われる,複数の異なる入賞態様に共通する開始音(ギター前兆音)による報知と,?その後の,ストップボタンスイッチによって各列の上記リールが停止されるのに連動して行われる報知であって,上記開始音とは異なる連動表示(落下してくるリンゴ又は空き缶の色)による報知とからなる。
ウ演出種類3(リン演出)?スタートレバー操作によって前記可変表示が開始されるときに行われる,複数の異なる入賞態様に共通する開始音(ギター前兆音)による報知と,?その後の,ストップボタンスイッチによって各列の上記リールが停止されるのに連動して行われる報知であって,上記開始音とは異なる連動表示(リンの挙動)による報知とからなる。
エ演出種類4(オーラ演出)?スタートレバー操作によって前記可変表示が開始されるときに行われる,複数の異なる入賞態様に共通する開始音(オーラ音)による報知と,?その後の,ストップボタンスイッチによって各列の上記リールが停止されるのに連動して行われる報知であって,上記開始音とは異なる連動表示(立ち昇るオーラの色)による報知とからなる。
オ演出種類5(影(敵)演出)?スタートレバー操作によって前記可変表示が開始されるときに行われる,複数の異なる入賞態様に共通する開始音(人影出現音)による報知と,?その後の,ストップボタンスイッチによって各列の上記リールが停止されるのに連動して行われる報知であって,上記開始音とは異なる連動表示(ザコがケンシロウの技により倒されるというもの)による報知とからなる。
カ演出種類7(バックランプ演出)?スタートレバー操作によって前記可変表示が開始されるときに行われる,複数の異なる入賞態様に共通する開始音(ギター前兆音)による報知と,?その後の,ストップボタンスイッチによって各列の上記リールが停止されるのに連動して行われる報知であって,上記開始音とは異なる連動表示(「アチャー」音の出音及びバックランプの消灯)による報知とからなる。
(2)本件訂正部分?-3及び?-4に係る構成要件Iついて被控訴人物件は,報知手段に関し次の構成を有するから,本件訂正部分?-3及び?-4に係る本件訂正特許発明?の構成要件Iを充足する。
報知手段は,…前記ストップボタンスイッチによって各列のリールが停止されるのに連動し,「通行人演出」,「バット演出(缶又はリンゴの落下)」,「リン演出」,「オーラ演出」,「敵(ザコ)演出」,「バックランプ演出」の複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段…から構成され,前記報知態様選択手段により選択された,効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報(新図5における各効果音の種類と連動表示態様の種類との組合せ)を報知する。
〔被控訴人の主張〕被控訴人物件が本件特許発明3の技術的範囲に属さない以上,これが本件訂正特許発明?の技術的範囲に属することはない。
9本件特許発明10に係る本件特許1は,特許無効審判により無効にされるべきものであるか(本件特許発明10は,進歩性を欠くものであるか。争点10)〔被控訴人の主張〕本件特許発明10は,以下のとおり,進歩性を欠くものであるから,同発明に係る本件特許1は,特許無効審判により無効にされるべきものである。
(1)本件特許発明10本件特許発明10は,前記6の〔控訴人の補充主張〕(1)のとおりである。
(2)乙7公報に記載された発明乙7公報には,次の発明が記載されている。
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが,入賞態様の当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され,前記報知手段は,複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を,それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機(3)対比本件特許発明10と上記(2)の乙7公報記載の発明とを対比すると,両者の相違点は,次のとおりである。
ア相違点1入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段につき,本件特許発明10においては,「所定確率で遊技者に報知する」ものであるのに対して,乙7公報記載の発明においては,「所定確率で遊技者に報知する」ものであるか否かが明らかでない点イ相違点2音発生手段につき,本件特許発明10においては,「可変表示開始手段によって可変表示が開始されるとき」に複数の効果音の中の1つの音を発生するものであるのに対して,乙7公報記載の発明においては,この点が不明である点ウ相違点3報知態様選択手段につき,本件特許発明10においては,効果音の種類および連動表示態様の種類の「組合せ」を「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて」選択するものであるのに対して,乙7公報記載の発明においては,効果音の種類および連動表示態様の種類をそれぞれ選択するものであって,「組合せ」を「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて」選択するものではない点エ相違点4効果音の種類および連動表示態様の種類の組合せ(演出態様組合せ)につき,本件特許発明10においては,「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」のに対して,乙7公報記載の発明においては,そのような構成を備えない点(4)相違点に係る各構成の容易想到性ア相違点1ないし3に係る各構成について相違点1ないし3に係る各構成は,本件特許発明3も備えるものであるところ,これらの構成は,原審においても主張したとおり,乙7公報記載の発明及び周知技術に基づいて,本件優先日当時の当業者が容易に想到することのできたものである。
イ相違点4に係る構成について(ア)デモ抽選テーブル選択テーブル及びデモ抽選テーブルは,例えば,乙4公報,特開平8-280872号公報(乙71。以下「乙71公報」という。)等にも記載されるとおり,本件優先日当時の周知技術である。
(イ)複数の入賞態様について複数の報知態様による演出をする場合に,乱数を用いて適宜の確率で種々の演出をするため,遊技状態と入賞態様とに区分され,抽選値と各種の報知態様とが対応する1つのテーブルに相当するデモ抽選テーブル選択テーブル及びデモ抽選テーブルを用意し,これによって演出態様の組合せを選択する報知態様選択手段とすることは,本件優先日当時の当業者が適宜選択することのできた設計的事項にすぎない。
(5)小括以上のとおりであるから,本件特許発明10は,乙7公報記載の発明及び周知技術に基づいて,本件優先日当時の当業者が容易に発明をすることのできたものである。
〔控訴人の主張〕本件特許発明10は,以下のとおり,進歩性を欠くものではないから,同発明に係る本件特許1に無効理由はない。
(1)乙7公報に記載された発明乙7公報に記載された発明は,次のとおりである。
乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて可変表示を各列毎に停止させるが,入賞態様の当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記入賞態様の当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とから構成され,前記報知手段は,複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類を,それぞれ選択する報知態様選択手段とから構成される遊技機(2)対比本件特許発明10と上記(1)の乙7公報記載の発明とを対比すると,両者の相違点は,次のとおりである。
ア相違点1ないし4それぞれ〔被控訴人の主張〕(3)アないしエと同じイ相違点5「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」の共通報知との先後関係につき,本件特許発明10においては,「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」とされているのに対し,乙7公報記載の発明においては,「その後の,…」とはされていない点(3)相違点2ないし5に係る各構成の想到困難性ア相違点2及び3に係る各構成について相違点2及び3に係る各構成は,乙4公報,乙6公報,乙11公報,乙71公報,乙72記事その他の刊行物に開示され,又は示唆されたものではないし,また,これらの構成を採用することが本件優先日当時の当業者において適宜選択することのできた設計的事項であるということもできない。
したがって,相違点2及び3に係る各構成は,いずれも,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものということはできない。
イ相違点4に係る構成について相違点4に係る構成は,乙4公報,乙71公報その他の刊行物に開示され,又は示唆されたものではないし,また,同構成を採用することが本件優先日当時の当業者において適宜選択することのできた設計的事項であるということもできない。
したがって,相違点4に係る構成は,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものということはできない。
ウ相違点5に係る構成について相違点5に係る構成は,乙6公報その他の刊行物に開示され,又は示唆されたものではい。
したがって,相違点5に係る構成は,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものということはできない。
エ格別の作用効果について本件特許発明10は,相違点2ないし5に係る各構成を備えることにより,前記7の〔控訴人の主張〕(3)エのとおりの格別の作用効果を奏するものである。
オ以上のとおりであるから,本件特許発明10は,乙7公報記載の発明及び周知技術に基づいて,本件優先日当時の当業者が容易に発明をすることのできたものということはできない。
10本件訂正請求2により,本件特許発明10に係る本件特許1の無効理由が解消されるか(争点11-1)〔控訴人の主張〕被控訴人が主張する本件特許発明10に係る本件特許1の無効理由は,以下のとおり,本件訂正請求2により解消されるものである。
(1)訂正要件について前記7の〔控訴人の主張〕(1)のとおり(2)無効理由についてア構成要件の分説本件訂正特許発明?の構成要件を分説すると,次のとおりである。
A〜G本件特許発明10と同じH前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,I〜K本件特許発明10と同じイ構成要件H中の訂正部分に係る構成について本件訂正特許発明?の構成要件H中の「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,」との部分(以下「本件訂正部分?-1」という。)に係る構成は,乙6公報,乙11公報,乙72記事その他の刊行物に開示され,又は示唆されたものではないし,また,同構成を採用することが本件優先日当時の当業者において適宜選択することのできた設計的事項であるということもできない。
したがって,同構成は,本件優先日当時の当業者が容易に想到し得たものということはできない。
ウ格別の作用効果について本件訂正特許発明?は,構成要件Hに係る構成を備えることにより,前記7の〔控訴人の主張〕(3)エのとおりの格別の作用効果を奏するものである。
エ以上のとおりであるから,本件訂正特許発明?は,乙7公報記載の発明及び周知技術に基づいて,本件優先日当時の当業者が容易に発明をすることのできたものということはできない。
〔被控訴人の主張〕本件訂正特許発明?は,以下のとおり,依然として進歩性を欠くものであるから,本件訂正請求2によっても,本件特許発明10に係る本件特許1の無効理由は解消されない。
(1)本件訂正部分?-1に係る構成について前記7の〔被控訴人の主張〕(1)のとおり(2)本件訂正特許発明?の構成要件H中の「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,」との部分に係る構成について前記7の〔被控訴人の主張〕(2)のとおり11被控訴人物件は,本件訂正特許発明?の技術的範囲に属するか(争点11-2)〔控訴人の主張〕前記8の〔控訴人の主張〕(1)のとおり〔被控訴人の主張〕被控訴人物件が本件特許発明3及び10の技術的範囲に属さない以上,これが本件訂正特許発明?の技術的範囲に属することはない。
第4当裁判所の判断1本件特許権1に基づく請求の当否当裁判所も,被控訴人物件の構成1-g及び1-h並びに3-g及び3-hがそれぞれ本件特許発明1及び3の各構成要件Hを充足せず,また,被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属さないとした原判決は相当であると判断するので,以下,被控訴人物件の構成1-g及び1-h並びに3-g及び3-hがそれぞれ本件特許発明1及び3の各構成要件G及びHを充足するか否かに係る争点2-2,2-3,5-2及び5-4並びに被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属するか否かに係る争点9-2について,順次,当裁判所の判断を示すこととする。
(1)争点2-2(被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る図5の各演出種類は,本件特許発明1の構成要件G及びHを充足するか)についてア本件特許発明1の構成要件Hのうち共通報知についての解釈(ア)本件特許発明1に係る請求項1(以下,本件明細書1に記載された各請求項を「訂正前請求項1」などという。)の記載によると,本件特許発明1の構成要件G及びH(以下,この(1)及び後記(2)において,単に「構成要件G」などという。)の「報知情報」とは,「可変表示開始手段によって…可変表示が開始され,…可変表示停止手段によって…可変表示が停止される1回の遊技の中で…報知」されるものであり,また,「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した」ものであり,さらに,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」,すなわち,共通報知と,「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」,すなわち,その後の報知とからなるものであるから,構成要件Hの共通報知は,訂正前請求項1の記載によると,可変表示開始手段によって可変表示が開始され,可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で報知され,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報をなす報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様によるものであり,その後の報知とは区別されるものであるということになる。
(イ)本件明細書1の記載本件明細書1には,次の記載がある。
【0012】本構成によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で,その入賞態様に対応した報知情報によって遊技者に報知される。従って,遊技者は,遊技の進行に伴い報知される報知態様により,入賞態様を予測できる。すなわち,遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが判明して行き,この判明した入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。
【0059】…抽出された乱数値がa未満であれば大当たり入賞(大ヒット)となって「BB」当選フラグが立つ。また,抽出された乱数値がa以上b未満であれば中当たり入賞(中ヒット)となって「RB」当選フラグが立つ。また,抽出された乱数値がb以上f未満であれば小当たり入賞(小ヒット)となり,この場合,b以上c未満の場合には「スイカ」当選フラグが立ち,c以上d未満の場合には「ベル」当選フラグ,d以上e未満の場合には「4枚チェリー」当選フラグ,e以上f未満の場合には「2枚チェリー」当選フラグが立つ。また,抽出された乱数値がf以上g未満であれば「再遊技」当選フラグが立ち,g以上であれば入賞なしの「ハズレ」当選フラグが立つ。
【0060】つまり,入賞態様は,サンプリングされた1つの乱数値がこのどの数値範囲に属するかによって決定され,「ハズレ」および「再遊技」を含めて合計8種類の当選フラグによって表される。…【0063】…入賞態様報知選択抽選確率テーブルは,上記の入賞態様決定手段で決定された8入賞態様の中の1入賞態様に応じて,遊技開始音の種類,連動表示態様の種類および停止表示態様の種類を組み合わせて得られる8組合せの中から1つの組合せを選択する報知態様選択手段を構成している。また,この報知態様選択手段,音発生手段,連動演出手段および停止演出手段は,スロットマシン遊技の一連の流れを通じて入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。
【0064】本実施形態では…8種類の各演出態様の組合せが8種類の各入賞態様に割り当てられている。
【0065】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯なし」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅なし」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,機械内部の抽選によって「ハズレ」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0066】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯パターン1」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅A」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,内部抽選によって「再遊技」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0067】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯パターン2」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅B」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,内部抽選によって「2枚チェリー」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0068】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯パターン3」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅C」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,内部抽選によって「4枚チェリー」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0069】以下同様にして組合せ?〜組合せ?の各演出により,内部抽選によって各当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。…【0113】例えば,「2枚チェリー」の小当たり入賞の場合には2枚のメダルが払い出され,「4枚チェリー」の小当たり入賞の場合には4枚のメダルが払い出される。また,「ベル」の小当たり入賞の場合には6枚のメダル,「スイカ」の小当たり入賞の場合には8枚のメダルが払い出される。また,「BB」,「RB」の大当たり入賞の場合にはそれぞれ15枚のメダルが払い出される。
【0115】このような本実施形態によれば,内部抽選によって決定された入賞態様がスロットマシン遊技の一連の流れを通じて遊技者に報知される。すなわち,各リール3〜5の回転が開始されるときに音発生手段によって発生される遊技開始音の種類,各リール3〜5が停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出される各バックランプ57a〜57cの表示態様の種類,および各リール3〜5の全てが停止したときに停止演出手段によって演出される各バックランプ57a〜57cの表示態様の種類の組合せにより,入賞態様が遊技者に報知される。
【0266】【発明の効果】…本発明によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される。従って,演技の面白味が増し,また,リーチ目の出目を判断できない遊技の初心者であっても,遊技の一連の流れの中でこの報知によってある程度入賞態様の予測をすることが可能となる。また,この報知は所定確率で行われるため,報知があった場合にはその喜びも増し,一層面白味を増すことが出来,また,報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる。
(ウ)上記(イ)のとおり,本件明細書1には,遊技開始音の種類(後記のとおり,共通報知に該当する。)と連動表示態様の種類及び停止表示態様の種類(後記のとおり,その後の報知に該当する。)との8種類の組合せのパターンをそれぞれ8つの入賞態様に割り当て,各パターンの組合せによる報知がされることにより,どの入賞態様に当選したかが遊技者に報知されるとの記載があるのであるから,「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した」報知情報をなす報知である構成要件Hの共通報知は,その後の報知と相まって,特定の入賞態様に当選したことを報知するものでなければならず,その後の報知と相まっても当選した入賞態様が何であるかを特定することのできないような共通報知は,「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した」報知情報をなす報知ということができず,構成要件Hの共通報知に該当しないものと解釈するのが相当である。
他方,本件明細書1には,「配当のある複数の異なる入賞態様」に関し,「BB」等の6種類の入賞態様に当選した場合にはメダルの払出しがされるとの記載があり,また,「再遊技」に当選した場合であっても,メダルを投入することなく遊技を行うことができるとの利益が得られるものであることは明らかであるから,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」である構成要件Hの共通報知は,このような「BB」等又は「再遊技」に該当するような入賞態様に共通して演出されるものでなければならず,配当のない「ハズレ」の場合も含めて演出されるような共通報知は,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」ということができず,構成要件Hの共通報知に該当しないものと解釈するのが相当である。
さらに,本件明細書1には,入賞態様が遊技の一連の流れを通じて報知される方法として,各リールの回転の開始時において遊技開始音が出音され,その後,各リールが停止されるのに連動して連動演出手段によって順次演出(各リールランプ(バックランプ)の消灯のパターン)がされ,更にその後,全リールの停止時に停止演出手段によって演出(各リールランプ(バックランプ)の点滅のパターン)がされるとの記載があるのであるから,「可変表示開始手段によって可変表示が開始され,可変表示停止手段によって可変表示が停止される1回の遊技の中で報知」される報知情報をなす報知であって,その後の報知とは区別される構成要件Hの共通報知は,各リールの回転の開始時においてされる報知を意味し,その後にされる各リールの停止に連動した演出や,全リールの停止時にされる演出は,構成要件Hの共通報知に該当しないものと解釈するのが相当である。
なお,上記の解釈は,本件明細書1に記載された本件特許発明1の作用効果,すなわち,遊技者において,遊技の進行に伴い,遊技の一連の流れの中で報知される報知情報により,入賞態様を予測することができ,操作を進めていくに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが判明していき,これに起因して「熱くなる」ほか,報知が各入賞態様に対して行われることから,例えば,停止ボタンの操作等を容易に行うことができるなどの作用効果と十分に整合するものである。
(エ)控訴人の主張についてa控訴人は,構成要件Gの「入賞態様に対応した報知情報」について,訂正前請求項1に何の特定もないことから,報知情報と入賞態様との間に一対一又は多対一の対応関係がある場合のみならず,一対多の対応関係がある場合をも含むと主張(ただし,争点2-3における主張(〔控訴人の主張〕(4)ア)である。)するが,上記(ウ)において説示したとおり,本件明細書1の記載を参酌すると,共通報知とその後の報知とからなる報知情報は,特定の入賞態様に当選したことを報知するものでなければならないと解釈すべきであり,したがって,報知情報と入賞態様との間には,多対一又は一対一の対応関係があることを要すると解するのが相当であるから,控訴人の主張を採用することはできない。
また,控訴人は,構成要件G及びHの報知情報には,最終的に1つの入賞態様を特定しないものを含むとも主張(ただし,本件特許発明10に係る争点9-2における主張(〔控訴人の補充主張〕(4)イ(ウ))である。)するが,上記説示したのと同様,これを採用することはできない。
さらに,控訴人は,訂正前請求項2に「入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様に対応した報知情報を…報知する」との記載があることから,構成要件Hの共通報知には,その後の報知と相まっても当選した入賞態様が何であるかを特定することのできないようなものも含まれると主張するが,訂正前請求項1の記載によると,本件特許発明1が訂正前請求項2の上記記載に係る構成を有していないことは明らかであるから,訂正前請求項2の上記記載を根拠とする控訴人の主張は失当である。
b控訴人は,?一定の確率で入賞したことを報知するものや,?極めて高い確率で入賞したことを報知するものであっても,構成要件Hの共通報知に該当すると主張し,また,?すべての入賞態様に共通して報知される開始音であっても,構成要件Hの共通報知に該当すると主張(ただし,本件特許発明10に係る争点9-2における主張(〔控訴人の補充主張〕(4)イ(イ))である。)する。
控訴人の主張?ないし?は,いずれも,配当のない「ハズレ」の場合も含めて演出されるような共通報知であっても,構成要件Hの共通報知に該当する旨をいうものであるが,共通報知が「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」であることは,訂正前請求項1に明示的に記載されているのであるから,これに反する控訴人の主張に理由がないことは明らかである。
なお,証拠(甲2,3,乙34,48)及び弁論の全趣旨によると,構成要件Hは,控訴人が,本件特許1に係る特許異議申立事件(異議2001-70271号事件)においてした訂正請求により追加した要件であるところ,構成要件Hにつきこれと同旨の訂正請求(同事件において先にされた訂正請求)に関し,控訴人は,訂正により,本件特許発明1においては,遊技開始音1及び2がそれぞれ配当のある2つの異なる入賞態様(それぞれ「2枚チェリー」及び「4枚チェリー」並びに「スイカ」及び「BB」)に共通して現れることとなり,また,遊技当初に配当のある複数の入賞態様に共通する演出が報知されることなどにより,同発明に特有の効果が得られるなどと主張し,特許庁も,構成要件Hに係る構成を本件特許発明1と引用刊行物に記載された発明との相違点であると認定した上,その容易想到性を否定して,本件特許発明1,3及び10を含む訂正前請求項1ないし24に係る発明についての本件特許1を維持するとの決定をしたものと窺われる。
以上のような本件特許1に係る特許異議申立事件において控訴人がした訂正請求の内容,それに関連する控訴人の主張の内容等に照らすと,控訴人が,本件訴訟において,配当のない入賞態様(「ハズレ」)の場合も含めて演出されるような共通報知であっても構成要件Hの共通報知に該当すると主張することは,禁反言に照らし,許されないというべきである。
イ図5の各演出種類について控訴人は,図5の演出種類1ないし3における「ギター前兆音」,演出種類4における「白オーラ+オーラ音」及び演出種類5における「人影+出現音」が,いずれも構成要件Hの共通報知に該当すると主張するが,図5によると,演出種類1ないし3における「ギター前兆音」,演出種類4における「白オーラ+オーラ音」及び演出種類5における「人影+出現音」は,いずれも,配当のない「当選番号0」の場合も含めて演出されるものであるから,構成要件Hの共通報知に該当しないことは明らかである。
ウ小括以上のとおりであるから,その余の点について判断するまでもなく,被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る図5の各演出種類は,構成要件Hを充足しない。
(2)争点2-3(被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る新図5の各演出種類は,本件特許発明1の構成要件G及びHを充足するか)についてア演出種類7(バックランプ演出)について控訴人は,新図5の演出種類7(バックランプ演出)につき,開始レバーの操作時にされる「バックランプが左↑右に流れ」との演出が,構成要件Hの共通報知に該当すると主張するが,新図5によると,「バックランプが左↑右に流れ」との演出は,その後の第1ボタンないし第3ボタンの押下の際にされる「アチャー」の音の各演出と相まっても,当選番号が1ないし5,1若しくは3ないし5,3ないし5又は2ないし5に絞り込まれるのみであって,当選した入賞態様が何であるかを特定することができないから,構成要件Hの共通報知には該当しない。
イ演出種類1(通行人演出)及び演出種類5(影(敵)演出)について控訴人は,新図5の演出種類1(通行人演出)につき,第1ボタンないし第3ボタンのいずれかの押下時にされるシャツの色に係る演出が,演出種類5(影(敵)演出)につき,第1ボタンの押下時にされるザコの出現に係る演出がそれぞれ構成要件Hの共通報知に該当すると主張するが,新図5によると,演出種類1において第1ボタンないし第3ボタンのいずれかの押下時にされるシャツの色に係る演出及び演出種類5において第1ボタンの押下時にされるザコの出現に係る演出は,いずれも,各リールの回転の開始時においてされる報知ではないから,構成要件Hの共通報知には該当しない。
ウ小括以上のとおりであるから,仮に,被控訴人物件の構成についての新図5に基づく控訴人の主張を許し,かつ,被控訴人物件の構成のうち図5に係る部分が新図5のとおりである(争点1-3及び1-4)としても,被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る新図5の各演出種類は,構成要件Hを充足しない。
(3)争点5-2(被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る図5の各演出種類は,本件特許発明3の構成要件G及びHを充足するか)及び争点5-4(被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る新図5の各演出種類は,本件特許発明3の構成要件G及びHを充足するか)について訂正前請求項3は,構成要件Hを含む訂正前請求項1を引用する従属項であるところ,被控訴人物件の構成3-g及び3-hに係る図5又は新図5に係る各演出種類は,被控訴人物件の構成1-g及び1-hのそれらと同一であるから,結局,前記(1)及び(2)のとおり,被控訴人物件の構成1-g及び1-hに係る図5又は新図5に係る各演出種類が本件特許発明1の構成要件Hを充足しない以上,被控訴人物件の構成3-g及び3-hも,本件特許発明3の構成要件Hを充足しないことは明らかである。
(4)争点9-2(被控訴人物件は,本件特許発明10の技術的範囲に属するか)について仮に,控訴人による本件特許発明10に係る主張の追加を許す(争点9-1)としても,訂正前請求項10は,訂正前請求項1及び3を順次引用する従属項であるから,前記(1)ないし(3)のとおり,被控訴人物件が本件特許発明1及び3の技術的範囲に属さない以上,被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属さないことは明らかである。
なお,控訴人は,本件特許発明1の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈は本件特許発明10の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈には妥当しないと主張するが,訂正前請求項10は,訂正前請求項3を引用することにより,構成要件Hを含む訂正前請求項1をそのまま引用するものであるから,控訴人の主張を採用することができないことは論を待たない。
(5)したがって,被控訴人物件は,さらに進んで判断するまでもなく,本件特許権1を侵害するものでないことが明らかであるから,控訴人の本件特許権1に基づく請求は理由がない。
2本件特許権2に基づく請求の当否被控訴人は,当審において,特許権消滅の抗弁を提出するところ,請求項1の特許発明を含む本件特許2を無効とする審決が確定したことは前記前提となる事実のとおりであるから,被控訴人の抗弁は理由があり,さらに進んで判断するまでもなく,控訴人の本件特許権2に基づく請求は理由がない。
3付言なお,控訴人は,当審における口頭弁論の終結に際して,被控訴人物件による本件特許権1の侵害を前提に,控訴人の被った損害についての主張立証がされていないとして,被控訴人の損害賠償責任を認めた中間判決が言い渡されるべきであるとし,また,口頭弁論終結後,「弁論再開申立書-審理不尽-」と題する書面を提出し,当審における審理が不十分であるとして,当裁判所が口頭弁論を再開するよう当裁判所の職権発動を求めるので,以下,この点について簡潔に付言する。
(1)控訴人がいう「審理不尽」とは,要するに,被控訴人物件が本件特許発明10,本件訂正特許発明?及び同?の技術的範囲に属するか否か,本件訂正請求2により本件特許発明10に係る本件特許1の無効理由が解消されるか否かの各争点並びに平成22年1月13日の当審第3回弁論準備手続期日において控訴人が行った技術説明に対して被控訴人が口頭で反論した点につき,当審において十分な審理が尽くされていない,というものである。
(2)本件記録から明らかな本件訴訟の手続経過ア控訴人は,平成17年12月27日,被控訴人物件が本件特許発明1の技術的範囲に属すると主張して,本件訴えを提起した。
イ原審においては,平成18年11月28日の第4回口頭弁論期日までに,本件特許発明1に係る充足論及び同発明についての本件特許1に係る無効論(本件訂正請求1に基づく対抗主張を含む。)に関し,当事者双方の主張立証が尽くされた。
ウところが,控訴人は,原審第4回口頭弁論期日の2週間ほど前に,被控訴人物件が本件特許発明3の技術的範囲に属するとの主張を記載した準備書面を提出した。原審は,同口頭弁論期日において,同準備書面の陳述を許し,平成19年2月5日の第5回口頭弁論期日において,本件特許発明3に係る充足論及び同発明についての本件特許1に係る無効論(本件訂正請求1に基づく対抗主張を含む。)が尽くされた。
エしかるに,控訴人は,原審第5回口頭弁論期日の10日ほど前に,被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属するとの主張を記載した準備書面を突如として提出した。被控訴人は,同口頭弁論期日において,同発明に係る主張の却下を求めるなどする申立てをしたが,原審は,同準備書面の陳述を許した。
オ原審は,同年3月6日の第6回口頭弁論期日において,口頭弁論を終結し,同年5月22日の第7回口頭弁論期日において,本件特許発明10に係る主張の却下等を求める被控訴人の申立てを排斥した上,被控訴人物件は同発明の技術的範囲に属さないとの判断を含む原判決を言い渡した。
カ控訴人は,同年6月4日,本件控訴を提起し,同年9月13日の当審第1回口頭弁論期日において,本件特許発明1に係る充足論についての主張を記載した控訴理由書を陳述した。
キ控訴人は,同年11月27日の当審第2回口頭弁論期日において,被控訴人の反論に答える形で,本件特許発明1に係る充足論についての主張を記載した準備書面を陳述した。また,控訴人は,同口頭弁論期日において,同年9月20日にされた本件特許1の一部(本件特許発明1に係る部分を含む。)を無効とする特許庁の2つの審決(特許無効審判の請求人はいずれも被控訴人である。)を受け,これらに対して審決取消訴訟を提起したとともに,訂正審判請求を平成20年1月上旬までに行い,その後,特許法181条2項の規定に基づく審決取消決定を求める上申を行う予定である旨述べた。
当裁判所(以下,受命裁判官の場合も,便宜上「当裁判所」という。)は,訂正審判請求又は同項の規定に基づく審決取消決定後の訂正請求(本件訂正請求2)の内容,審決取消訴訟における控訴人の主張立証の内容等を踏まえて本件訴訟における本件特許1の無効論(訂正による対抗主張を含む。)に係る主張立証を行いたいとの控訴人の要望に配慮し,同口頭弁論期日において,本件を弁論準備手続に付した上,第1回弁論準備手続期日を追って指定することとした。
ク上記キの各審決については,平成20年3月21日,特許法181条2項に基づく取消決定がされた。
なお,被控訴人は,原判決と同様,被控訴人物件が本件特許発明1,3及び10の技術的範囲に属さないとの理由により,差戻後にされる審決を受けた本件特許1の無効論(訂正による対抗主張を含む。)に係る控訴人の主張を待たず,速やかに審理を進めるべきであるとの立場であった。
ケ特許庁は,上記クの決定を受けて再度審理した結果,同年11月19日,本件訂正請求2を認めた上,無効審判請求は成り立たないとの審決をし,被控訴人は,これに対して審決取消訴訟を提起したことから,当裁判所は,同審決取消訴訟において被告の立場に立つ控訴人が審決取消事由に対する反論を行うべき時期に配慮し,当審第1回弁論準備手続期日を平成21年7月9日と指定した。
控訴人は,同弁論準備手続期日において,本件訂正請求2に基づく対抗主張(本件特許発明3に係るもの)を記載した準備書面3通を陳述した。
コ被控訴人は,同年10月15日の当審第2回弁論準備手続期日において,本件特許発明1に係る充足論及び同発明についての本件特許1に係る無効論並びに本件特許発明3に係る充足論及び同発明についての本件特許1に係る無効論(対抗主張に対する反論を含む。)とともに,本件特許発明10に係る充足論及び同発明についての本件特許1に係る無効論(対抗主張に対する先行的な反論を含む。)についての主張を記載した準備書面を陳述した。
サ控訴人は,平成22年1月13日の当審第3回弁論準備手続期日において,本件訂正請求2に基づく対抗主張(本件特許発明10に係るもの)を記載した準備書面2通を陳述するとともに,被控訴人物件が本件特許発明1,3及び10並びに本件訂正特許発明?及び?の技術的範囲に属することについての技術説明を行った。
当裁判所は,同弁論準備手続期日において弁論準備手続を終結するとともに,同日の第3回口頭弁論期日において口頭弁論を終結した。
(3)以上の手続経過にかんがみれば,当裁判所が第3回口頭弁論期日において口頭弁論を終結するまでの間に被控訴人物件が本件訂正特許発明?及び?の技術的範囲に属するか否か,本件訂正請求2により本件特許発明10に係る本件特許1の無効理由が解消されるか否かの各争点については,控訴人の主張及びこれに対する被控訴人の反論が既にされているところであるばかりでなく,前記1において説示したとおり,当裁判所は,本件特許権1に基づく控訴人の請求について判断するに当たって,以上の各争点についてさらに審理する必要はないと判断するものであるから,口頭弁論を再開する必要性は認め難い。
さらに,被控訴人物件が本件特許発明10の技術的範囲に属するか否かの争点についても,同特許発明10に基づく主張は,前記(2)のとおり,控訴人が原審の口頭弁論の終結の間際になって突如追加したものであるし,当裁判所が同特許発明に係る主張の提出の機会を制限したこともないのであるからから,控訴人において,同特許発明に係る充足論についての主張が不十分であると考えるのであれば,控訴理由書等において速やかに主張を補充するなど適時に主張を提出すべきであったというべきである。また,当裁判所は,前記1のとおり,本件特許発明1の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈が本件特許発明10の構成要件G及びHにいう「報知」の解釈には妥当しないとの控訴人の主張は失当であると判断するものであるから,本件特許発明10に係る充足論について更に審理を尽くすため,口頭弁論を再開する必要性は認め難い。
そして,当審第3回弁論準備手続期日において行われた控訴人の技術説明に対して被控訴人が口頭でした反論についても,控訴人の前記「報知」の解釈に対して反駁したという以上のものではなく,これを理由に口頭弁論を再開する必要性は認め難い。
(4)したがって,当裁判所が先に終結した口頭弁論の結果を踏まえて終局判決を言い渡すのに少しも支障はないといわなければならない。
4結論以上の次第であるから,原判決は相当であって,本件控訴は棄却されるべきものである。
追加
(別紙)当事者目録旧商号アルゼ株式会社控訴人株式会社ユニバーサルエンターテインメント同訴訟代理人弁護士田中康久中込秀樹岩渕正紀岩渕正樹松永暁太長沢幸男長沢美智子大西剛今井博紀同弁理士八木澤史彦同補佐人弁理士豊岡静男正林真之井口嘉和佐藤武史清水俊介進藤利哉小野寺隆佐藤玲太郎小椋崇吉被控訴人サミー株式会社同訴訟代理人弁護士牧野利秋飯田秀郷栗宇一樹早稲本和徳鈴木英之和氣満美子大友良浩隈部泰正戸谷由布子同弁理士黒田博道北口智英石井豪布川俊幸同訴訟復代理人弁護士辻本恵太森山航洋(別紙)特許請求の範囲目録【請求項3】乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって各列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,前記報知態様選択手段により選択された,効果音の種類及び連動表示態様の種類の組合せからなる報知情報を報知することを特徴とする遊技機【請求項28】乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに行われる報知であって,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動して行われる報知であって,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなり,前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成され,前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする遊技機
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 本多知成
裁判官 浅井憲