運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連ワード アクセス /  進歩性(29条2項) /  優先権 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  取消決定 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 15年 (行ケ) 144号 特許取消決定取消請求事件
原告 コーニンクレッカフィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ
訴訟代理人弁理士 伊東忠彦
同 大貫進介
同 湯原忠男
被告 特許庁長官小川洋
指定代理人 恩田春香
同 小曳満昭
同 河合章
同 河本充雄
同 伊藤三男
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/11/29
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が異議2001−72393号事件について平成14年11月29日にした決定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
請求
主文と同旨
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は,名称を「光感知又はX線感知センサよりなる装置」とする特許第3141033号発明(平成3年1月24日出願〔優先権主張平成2年1月27日・ドイツ連邦共和国〕,平成12年12月15日設定登録,以下,この特許を「本件特許」という。)に係る特許権者である。
その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2001-72393号事件として特許庁に係属した。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成14年11月29日,「特許第3141033号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」との決定をし,その謄本は,同年12月18日,原告に送達された。
(2) 原告は,決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成16年7月30日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2004-39182号事件として審理した上,同年8月30日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,同年9月9日,原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載 (1) 設定登録時のもの(以下,その明細書を「登録明細書」という。) 【請求項1】マトリックスの行及び列に配置され,照射の入射量に依存する電荷を発生する光感知又はX線感知センサ(S1,1 ,…S2000,2000 )からなり,該センサのそれぞれは電気スイッチ(3)を有し,薄膜技術を用いて電気スイッチ(3)として構成され,各センサ行に対してスイッチングライン(5,6,…7)が設けられそれを介してスイッチ(3)は,関連の活性化されたセンサ行の電荷が読出ライン(8,9,…,10,…)を介して同時に出力されるように活性化され,又並列に読出される信号を直列信号に変換する転送手段からなり,各読出ライン(8,9,…,10,…)に,結晶性半導体からなり,転送に先行し,増幅器(11,12,…,13,…)が設けられ,その増幅器は読出動作中,関連読出ライン(8,9,…,10,…)に接続されるセンサ(S1,1 ,…S2000,2000 )から読出された信号を増幅し,且つ,列当りに複数の読出ラインが設けられ,略同数のセンサが列の種々の読出ラインに接続され,且つ各読出ラインに増幅器が設けられることを特徴とする装置。
【請求項2】各列に対し,2つの読出ラインが設けられ,各列の半数のセンサが一の読出ラインに接続され,列のセンサの他の半分が他の読出ラインに接続されることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】 転送手段は幾つかのアナログマルチプレクサ(14)からなり,それぞれが読出ライン(8,9,…,10,…)の夫々の部分に接続され,読出ライン(8,9,…,10,…)に同時に生じる読出信号を直列信号に変換することを特徴とする請求項1乃至2のうちいずれか一項の装置。
【請求項4】 各アナログマルチプレクサ(14,15,…,18)の後に各A/D変換器(19,20,…,21)が続き,各A/D変換器(19,20,…,21)の後に各信号処理器又はマイクロプロセッサ(22,23,…,24)が続き,隣るセンサからの信号を処理する2つのマイクロプロセッサは共通メモリ(25,26,…,27)に接続されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】 マイクロプロセッサ(22,23,…,24)により処理されたセンサ信号は,マイクロプロセッサ(22,23,…,24)に続くディジタルマルチプレクサ(28)で全体のビデオ信号を形成するよう結合されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】 個々のセンサ(S1,1 ,…S2000,2000 )により供給され,次に増幅された信号は,マイクロプロセッサ(22,23,…,24)及び隣るセンサについての共通メモリ(23,26,…27)にアクセスすることにより補正され,これによりセンサの感度の差,個々のセンサの破壊又は増幅器(11,12,…,13,…)の利得係数の差は補償されることを特徴とする請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】 読出ライン(8,9,…,10,…)の増幅器(11,12,…,13,…)及び続くアナログマルチプレクサ(14,17,…,18)は,アナログマルチプレクサ(14,…)及びその関連した増幅器(11,12,…,13,…)が集積回路に配置されるように,集積回路に組込まれることを特徴とする請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】 適切な制御信号に応答して,毎回列方向及び/又は行方向に互いに隣りあう幾つかのセンサ信号はマイクロプロセッサ(22,23,…,24)により1つの信号を形成するよう結合されることを特徴とする請求項4乃至7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】 増幅器(11,12,…,13,…)は電流積分器として接続されることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】 X線検査装置において請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載の装置を使用する方法。
(以下,上記【請求項1】〜【請求項10】に係る発明を,「本件発明1」〜「本件発明10」という。) (2) 本件訂正審決に係るもの(注,訂正部分を下線で示す。なお,この訂正により設定登録時の【請求項3】〜【請求項8】は削除され,設定登録時の【請求項9】及び【請求項10】が【請求項3】及び【請求項4】に繰り上げられた。) 【請求項1】 マトリックスの行及び列に配置され,照射の入射量に依存する電荷を発生する光感知又はX線感知センサ(S1,1 ,…S2000,2000 )からなり,該センサのそれぞれは電気スイッチ(3)を有し,薄膜技術を用いて前記電気スイッチ(3)として構成され,各センサ行に対してスイッチングライン(5,6,…7)が設けられそれを介して前記電気スイッチ(3)は,関連の活性化されたセンサ行の全ての センサ の電荷が読出ライン(8,9,…,10,…)を介して同時に出力されるように活性化され,又並列に読出される信号を直列信号に変換する転送手段からなり,各前記読出ライン(8,9,…,10,…)に,結晶性半導体からなり,前記転送手段 に先行し,増幅器(11,12,…,13,…)が設けられ,その増幅器は読出動作中,その増幅器 に関連する 前記 読出ライン(8,9,…,10,…)に接続されるセンサ(S1,1 ,…S2000,2000 )から読出された信号を増幅し,且つ,前記列当りに複数の前記 読出ラインが設けられ,略同数のセンサが前記列の種々の前記 読出ラインに接続され,且つ各前記 読出ラインに増幅器が設けられ,前記転送手段 は幾つかの アナログマルチプレクサ (14 ,17 ,18 )からなり ,それぞれが 前記読出 ライン (8,9,…,10 ,…)の夫々の部分 に接続され ,前記読出 ライン (8,9,…,10 ,…)に同時 に生じる 並列 に読出 された信号 を前記幾 つかの アナログマルチプレクサ (14 ,17 ,18 )からの 直列信号に変換 し,これらの 幾つかの アナログマルチプレクサ (14 ,17 ,18 )からのそれぞれの 直列信号 は並列 に処理 され ることを特徴とする装置。
【請求項2】 各前記列に対し,2つの前記 読出ラインが設けられ,各前記列の半数のセンサが一の前記 読出ラインに接続され,各前記 列のセンサの他の半分が他の前記読出ラインに接続されることを特徴とする請求項1に 記載 の装置。
【請求項3】 前記 増幅器(11,12,…,13,…)は電流積分器として接続されることを特徴とする請求項1又 は2に記載の装置。
【請求項4】 X線検査装置において請求項1乃至3 のうちいずれか一項に記載の装置を使用する方法。
3 決定の理由 決定は,本件特許は,特許法36条4項並びに同条5項1号及び2号の規定を満たしていない出願についてされたばかりでなく,本件発明1〜3,7,9,10に係る発明についての特許は特許法29条2項の規定に反してされたものであるから,本件発明1〜10に係る特許は,拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものであり,特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条2項の規定により,取り消されるべきものであるとした。
原告主張の決定取消事由
決定が,本件発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定した点は,本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたため,誤りに帰したことになるから,決定は,発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り消されるべきである。
被告の主張
本件訂正審決の確定により本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。
当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲減縮されたことは明らかである。
そうすると,決定が,本件発明の要旨を登録明細書の特許請求の範囲の記載(上記第2の2(1))のとおり認定したことは,結果的に誤りであったことに帰し,これが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。
よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 古城春実
裁判官 早田尚貴