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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成18ワ474特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成18ワ1223特許権侵害行為差止等請求事件 判例 特許
平成17ワ12207特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成18ワ15809損害賠償請求事件 判例 特許
平成17ワ12817損害賠償等請求事件 判例 特許
関連ワード 新規性 /  29条1項3号 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  公知技術 /  技術的範囲 /  出願公開 /  技術的手段 /  発明の詳細な説明 /  遡及 /  発明の利用 /  分割出願 /  実質的に同一 /  原出願日 /  参酌 /  置換 /  容易に想到(容易想到性) /  特許発明 /  実施 /  交換 /  構成要件 /  差止請求(差止) /  侵害 /  損害額 /  不法行為(民法709条) /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 19年 (ワ) 11944号 特許権侵害差止等請求事件
東京都渋谷区〈以下略〉
原告共 同カ イテ ッ ク株式会 社
訴訟代理人弁護 士高橋隆二大阪市中央区〈以下略〉
被告東 邦レオ株式会社
訴訟代理人弁護 士岩井泉
同 白木裕一
同 中澤構
同 佐久間水月
訴訟代理人岩井泉復代理人弁護士鶴由貴
補佐人弁理士藤本昇
同 薬丸誠一
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/11/22
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求1被告は,別紙物件目録記載の製品を製造し,販売してはならない。
2被告は,原告に対し,金2475万円及びこれに対する平成19年5月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件は 「植物栽培コンテナ及び植栽設備並びに植栽設備の施工方法」につ ,いて特許権を有する原告が,被告が製造及び販売した別紙物件目録記載の製品と,被告が施工した別紙方法目録記載の方法が,いずれも上記特許権の特許発明技術的範囲に属し,上記製品の製造及び販売並びに上記方法の施工が上記特許権を侵害したものであると主張して,被告に対し,特許法100条1項に基づき,上記製品の製造及び販売の差止めを求めるとともに,民法709条,特許法102条2項に基づき,上記製品の施工により原告が被った損害2475万円及びこれに対する遅延損害金(不法行為の後の日である平成19年5月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合によるもの )の支払を求め 。
ている事案である。
1前提となる事実等(当事者間に争いがないか,該当箇所末尾掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により認められる )。
( )当事者1原告は,電気機械器具及び電気工事材料の製造,販売並びに輸出入等を目的とする株式会社であり,被告は,パーライト及び建築諸資材料の製造,販売,施工業等を目的とする株式会社である。
( )原告は,次の特許権(以下 「本件特許権」といい,その特許を「本件2 ,特許」という )を有する。。
特許番号第3795058号発明の名称植物栽培コンテナ及び植栽設備並びに植栽設備の施工方法出願日平成17年11月14日分割の表示特願2004-181504の分割原出願日平成11年9月14日登録日平成18年4月21日( )本件特許の特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」とい3う。本判決添付の特許公報(以下「本件公報」という )参照 )の特許請 。。
求の範囲(請求項1及び6)の記載は次のとおりである(以下,請求項1に記載された発明を「本件発明1 ,請求項6に記載された発明を「本件発明 」2」といい,本件発明1と本件発明2を併せて「本件発明」という。。)【請求項1】「少なくとも底板と側壁を有する植物栽培コンテナにおいて,該底板からそれぞれが独立して上方に立設し且つ踏圧を支持する複数の底板柱状部材と,該底板からそれぞれが側壁に沿って立設し且つ踏圧を支持する複数の側面柱状部材とを設けることを特徴とする植物栽培コンテナ 」。
【請求項6】「請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培コンテナの複数が敷設面に複数連設される植栽設備,又は請求項4記載の植栽設備,又は請求項5記載の植栽設備の施工方法に於いて,施工現場で植物栽培コンテナを連設し,該連設した植物栽培コンテナに対して育成材を充填することを特徴とする植栽設備の施工方法 」。
( )本件発明の構成要件をそれぞれ分説すると,次のとおりである(以下,4各構成要件を「構成要件A」のようにいう。。)ア本件発明1A少なくとも底板と側壁を有する植物栽培コンテナにおいて,B該底板からそれぞれが独立して上方に立設し且つ踏圧を支持する複数の底板柱状部材と,C該底板からそれぞれが側壁に沿って立設し且つ踏圧を支持する複数の側面柱状部材とを設けることを特徴とするD植物栽培コンテナ。
イ本件発明2E請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培コンテナの複数が敷設面に複数連設される植栽設備,又は請求項4記載の植栽設備,又は請求項5記載の植栽設備の施工方法において,F施工現場で植物栽培コンテナを連設し,G該連設した植物栽培コンテナに対して育成材を充填することを特徴とするH植栽設備の施工方法。
( )被告は,平成17年10月より,商品名「R-パネル」と称する別紙物5件目録記載の製品(以下「被告製品」という )を製造,販売し,同製品を 。
用いた R-パレットシステム と称する別紙方法目録記載の方法 以下 被 「」 (「告方法」という )の施工を行っている。 。
( )本件特許は,平成11年9月14日にされた出願(特願平11-2606561号・乙2。以下「本件元出願」という )につき,平成16年6月1 。
8日に分割出願された出願 特願2004-181504号・乙1 以下 本 ( 。「件原出願」という )について,さらに平成17年11月14日に分割出願
(以下「本件分割出願」という )されたものである。 。
2争点( )被告製品は本件発明1の技術的範囲に属するか(争点1 。
1 )ア被告製品は構成要件Aを充足するか(争点1-1 。)イ被告製品は構成要件Bを充足するか(争点1-2 。)ウ被告製品は構成要件Cを充足するか(争点1-3 。)( )被告方法は本件発明2の技術的範囲に属するか(争点2 。
2 )( )本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものとして,特許法3104条の3により権利行使が許されないものであるか(争点3 。)ア本件特許は進歩性欠如の無効理由を有するか(争点3-1 。)イ本件特許は,分割出願の要件に違反し,新規性欠如の無効理由を有するか(争点3-2 。)( )損害の額(争点4 。
4 )3争点についての当事者の主張( )被告製品は構成要件Aを充足するか(争点1-1 。 1 )(原告の主張)本件発明1の構成要件Aにかかる植物栽培コンテナは,少なくとも底板と側壁を有する構成である。本件明細書に 「本発明は上記のような不具合を ,解消するためになされたものであって,例えば植物等の上を人間が歩行する際の踏圧など圧力を高い強度で支持することが可能であり,狭い空間を有効利用することを可能にする植物栽培コンテナ及び植栽設備,並びに植栽設備の施工方法を提供することを目的とする(本件公報【0006「施工 。」】),現場で植物栽培コンテナを連設し,該連設した植物栽培コンテナに対して育成材を充填することを特徴とする( 0012「また,植物栽培コン 。」【】),, , テナ本体内の上部空間をユニット載置空間とし 下部を育成材充填空間としユニット載置空間にユニット材を載置する場合には,配置換えやユニット材の交換を行う際に,上部に載置されているユニット材を取り除いて新しいユニット材を載置するだけで行うことができ,その労力や費用を削減することが可能となる( 0016「そして,図14に示すように,植物栽培 。」【】),コンテナ1の育成材充填空間9に育成材90を充填する場合,それぞれユニット支持部71,72の頂部である平面部71a,72aが育成材90の上部よりも僅かに高くなるように育成材90を充填すればよく,育成材90の充填量を容易に確認することができるようになっている( 0043,。」【】)「上述した各実施形態においては,ユニット材80として板材81,芝材82,ライト材83について説明したが,これに限定されるものではなく,例えば,ライト83dの代わりに,支持板状に腰掛け,机,時計台,手摺り,支柱,遊具等に使用する支柱等を固定してもよく,その他に,支持板の略中央部に噴水用の開口部を形成し,この噴水用開口部と水道を管で連結し,噴水材のユニット材80を形成するようにしても良い。また,芝材82のかわ,, 。」 りに 植木 花等の植物をユニット材80として使用するようにしても良い( 0058「また,植物栽培コンテナ1の形状は実施形態に限定され 【】),るものではなく,様々な形状のものであっても良く,例えば円形,半円,三角形,六角形など様々である( 0068 )との記載があることからす 。」【】れば,本件発明1の植物栽培コンテナは,育成材を充填するに足りる上方開放の空間を有していればよく 「側壁」は,外周壁と同一の技術内容である ,ものの,育成材を充填するに足りる構造を有していれば十分である。
被告製品の植物栽培パネルは,底プレート面4を底板,半截面10,コーナー嵩上げ部9の外面及び外周縁部7の外面をもって構成される外周壁を側壁とする植物栽培コンテナであり,構成要件Aを充足する。外周縁部7における外周壁の高さは半截面10及びコーナー嵩上げ部の外面9と比較して低く形成されているものの,高低差を有する凹凸形状で連続して外周壁が形成されているので,被告製品は本件発明1の「側壁」を充足する。
被告は 「側壁」は同一高さで連続した構成を有する外周壁であることを ,要すると主張する。しかし,本件発明1の明細書には外周壁が同一高さで連続した構成を有することが必要との記載はなく,上記のとおり,育成材を充填するに足りる構造を有していれば十分である。被告製品は,外周縁部7の上端までの空間において約6.4リットルの水を保持できるほか,底プレート面4上方の空間に育成材を充填することが可能であり,実際の施工においても,嵩上げ部5の上端面まで土壌を充填した後,その上にマルチング材を設置しているもので,底プレート面4から少なくとも外周縁部7の上端までの空間に土壌が充填されている。
また,被告は,被告製品の半截嵩上げ部8とコーナー嵩上げ部9の各側面は,パネルを複数連結した際に対向するパネルの側面と当接するための半截, 。, 面であって 容器を形成するための外周壁とはいえないと主張する しかし本件発明1と対比されるべき物件は被告製品であり,被告製品が複数連結した物件ではないので,被告製品が複数連結された場合における形状や意匠いかんによって,本件発明1との対比判断に影響を及ぼすものではない。
以上によれば,被告製品は構成要件Aを充足する。
(被告の主張)本件発明1は植物栽培コンテナに関するものである。広辞苑第4版によれば 「コンテナ」とは入れ物・容器を意味するものであって,本件発明1の ,植物栽培コンテナは,コンテナ本体内の上部空間をユニット載置空間とし,その下部を育成材充填空間とすることを前提として開発されたものであるため,当該コンテナは少なくとも育成材を充填できる容器形状でなくてはならない。したがって,本件発明1の植物栽培コンテナは,少なくとも容器形状, 。 の如く 底板とその外周壁からなる上方開口型の容器を意味するものであるこのことは,本件明細書の「図において植物栽培コンテナ1は,主として底, 」 板2と外周壁をなす側板3とを有し 上方が開口するように形成されている【0020】との記載からも裏付けられる。
そして,上記記載に加え,本件明細書の「植栽設備は,少なくとも底板と外周壁を有し」との記載【0014】及び本件原出願の明細書に「少なくとも底板と外周壁を有し,上面が開口した植物栽培コンテナ」と記載されていることからすれば,構成要件Aの「側壁」とは,かかる容器を形成するための外周壁を意味するものである。
これに対し,被告製品は平板なパネル状のものであって,底板に相当する底プレート面4は存在するが,コンテナを形成するための外周壁に相当する部材はない。パネル本体の四辺に隆起した半截嵩上げ部8の側面10及びコ, , ーナー嵩上げ部9の側面は あくまで被告製品のパネルを複数連結した際に対向するパネルの半截嵩上げ部とコーナー嵩上げ部とを当接するための半截面であって,容器を形成するための外周壁ということはできない。また,被告製品の外周縁には底プレート面4よりやや隆起した外周縁部7が形成されるものの,当該外周縁部7は流水防止用の縁部にすぎず,半截嵩上げ部8の側面10及びコーナー嵩上げ部9と比して大いなる段差があることから,容() ,「」。 器 コンテナ を形成するための外周壁とはいえず側壁 に該当しないしたがって,被告製品は,構成要件Aの「側壁」を充足しない。
原告は 「側壁」は外周壁と同一の技術内容であることを認めつつ 「側 , ,壁」は育成材を充填するに足りる構造を有していれば十分であり,同一高さで連続した構成を有する必要はないと主張する。
しかし,本件発明1の植物栽培コンテナは,育成材充填空間を形成するための容器であるが,それと同時にユニット載置空間を形成するための容器でもあるから,底板からそれぞれ独立して上方に立設する複数の底板柱状部材と,底板からそれぞれが側壁に沿って立設する複数の側面形状部材とが備えられていることが必須不可欠である。ところが,側壁の高さが高低差を有する凹凸段差状の場合,側面柱状部材の高さも不揃いとなり,ユニット材の載置が不安定又は不能となると同時に,本件明細書に記載された「上からの圧力を個々独立した柱状部材で分散して受け且つ植物栽培コンテナ全体で受けることが可能となり・・・踏圧等の圧力を高い強度で支持することができる( 0015「植物栽培コンテナ1内の空間はユニット支持部7の 。」【】),平面部7aを境界として分割或いは区画されることになり ( 0024 ) 」【】との作用を奏することができなくなる。複数の側面柱状部材がそれぞれ側壁に沿って立設していなければならないものである以上,当該側壁は凹凸状の段差のある構成であってはならない。
また,本件明細書には,外周壁が凹凸段差状でよいということは,開示も示唆もない上,外周壁が凹凸状では土壌等を一つのコンテナ内に充填した状態を形成維持することはできず,育成材が流出してしまう。本件明細書の発,,「,, 明の詳細な説明には 育成材の充填方法につきまた 前記育成材90は施工現場で充填するようにしても良いが,予め工場などで充填し,現場ではユニット材80を載置するだけの状態で敷設するようにしてもよく,この場合は,育成材90を育成材充填空間9に充填してプレス機をかけた後に少な」(【】) くとも育成材90の上面をバインダ処理することが望ましく0027との記載があり,これを前提とするなら育成材を充填した状態で工場から施工現場に運搬できる構成,すなわち,育成材がほぼ同一の高さの側壁によって取り囲まれ,育成材がこぼれることなく一つのコンテナ内で保持される構成であることが必要である。外周壁に凹凸状の段差がある場合は,工場から施工現場に運搬するに際し,育成材が流出し,これを保持することは到底できない。
よって,構成要件Aの側壁は凹凸状の段差のある構成であってはならず,原告の主張は失当である。
( )被告製品は構成要件Bを充足するか(争点1-2 。
2 )(原告の主張)被告製品の嵩上げ部5は,底プレート面4から9個等間隔に突設し,嵩上げ部5の上面にマルチング材を敷くというもので,人間がマルチング材上を歩行できるものであることは明らかであり,被告製品の嵩上げ部5は踏圧を支持する底板柱状部材に該当する。
被告製品は,屋上緑化のための植物栽培用のパネルであり,上部に敷設するマルチング材として芝生を植えることが予定されている。芝生は,その上を人が歩行することが予定されるものであり,また,被告製品施工後のメンテナンスのため,業者が被告製品上を歩行することは必要不可欠である。さらに,被告は被告製品に関して特許出願しており,その出願明細書には,被告製品の上を人が歩行するものであること,被告製品は地被類の一種である芝類を植栽するものであること,リブ25(別紙物件目録の円筒部15と同一のもの)は底面に設置されて上方からの荷重を受ける補強材としての機能を有することが記載されている。
以上によれば,被告製品の嵩上げ部5は,人の歩行による踏圧を支持するためのものであり,構成要件Bを充足する。
(被告の主張)本件発明1の底板柱状部材とは,底板からそれぞれが独立して上方に立設し,かつ,当該柱状部材によって「踏圧を支持する」構成となっている。しかも,当該柱状部材は「踏圧を支持する複数の底板柱状部材」からなるものである。本件発明1は,底板柱状部材の上面にユニット材を載置してその上を人が歩行することを前提としており,複数の底板柱状部材によって踏圧を支持することが不可欠であるから,底板柱状部材は,それ自体及び複数の底板柱状部材によって「踏圧を支持する」ものでなければならない。
これに対し,被告製品の底プレート面4が隆起して形成された嵩上げ部5は,当該嵩上げ部5の上にユニット材を載置したり,人間が歩行することを前提としておらず 「踏圧を支持する」との要件を欠き,構成要件Bの底板 ,柱状部材に相当するものではない。
,, , 原告は 被告製品においても 嵩上げ部5の上面にマルチング材を敷いてその上を人間が歩行できるものであると主張する。しかし,本件発明1は,コンテナ本体内の下部を育成材充填空間,上部をユニット載置空間として形成すべく構成し,ユニット材としての板材や芝材等を載置空間に載置して,その上を人が歩行することを前提とするものであるのに対し,被告製品においては,嵩上げ部5間の略C字状の空間内に植物を植え付けた後,嵩上げ部5の裸出上面にマルチング材を敷き均すものであるが,マルチング材とは,樹皮及び軽量礫材等であり,あくまで嵩上げ部5の上面を覆うために散在させるものであって,マルチング材上を人が歩行することは目的とされていない。マルチング材は芝材とは別種のものであり,被告製品においては,芝材などのユニット材を嵩上げ部上に載置することはあり得ない。被告製品に関する特許出願の明細書には,施工業者が嵩上げ部の表面に足を載置して施工することとの記載があるものの,これは,施工時やメンテナンス時に,嵩上げ部上に一時的に足を置くことを説明したにすぎず,芝材等のユニット材上を人が常に歩行するのとは異なる。
構成要件Bの「踏圧を支持する」という文言の技術的な意義は一義的に明確ではないから,文言の言葉としての一般的抽象的な意味内容のみにとらわれず,発明の詳細な説明の欄に記載された発明の目的,その目的達成の手段としてとられた技術的な構成及びその作用効果をも参酌して,その文言により表された技術的な意義を考察した上で,客観的・合理的に解釈・確定すべきである。本件明細書において 「踏圧を支持する」構成について 「本発 , ,明の植物栽培コンテナや植栽設備等は,植物栽培コンテナの底板からそれぞれが独立して上方に立設する複数の底板柱状部材と,植物栽培コンテナの底板からそれぞれが側壁に沿って立設する複数の側面柱状部材を設ける構成により,上からの圧力を個々独立した柱状部材で分散して受け且つ植物栽培コンテナ全体で受けることが可能となり (本件公報【0015「上記第 」】),2実施形態の植物栽培コンテナ1を使用することにより,ユニット材80の上部からの踏圧を植物栽培コンテナ1の側板3及び底板2で支持することができると共に,前記ユニット支持部7が植物栽培コンテナ1の底板2及び側板3に設けられた内向きへこみ部6上で支持されるため,ユニット支持部7の強度が増し,且つ,ユニット支持部7への踏圧を側板3で分散することができ ( 0033「上記第3実施形態の植物栽培コンテナ1を使用する 」【】),ことにより (底面)ユニット支持部7が植物栽培コンテナ1の底板2に複 ,数不規則に立設しているため,ユニット材80の上部からの踏圧を植物栽培コンテナ1の底板2で分散することができ,ユニット材80全面を強固に支持できる( 0036「上記第4実施形態の植物栽培コンテナ1を使 。」【】),用することにより,側面ユニット支持部71が所要箇所に,且つ底面ユニット支持部72が底板2に複数不規則に立設し,2種類の平面部71a,72aが多数形成されているため,ユニット材80上部等あらゆる角度からの踏圧に対して,ユニット材80全面を強固に支持できる ( 0039「即」【】),ち,ユニット材80上部からの踏圧を側面ユニット支持部71と底面ユニット支持部72の両方で支持して,側面ユニット支持部71にかかる圧力は側板3或いは側板3及び底板2で分散し,底板ユニット支持部72にかかる圧力は底板2で分散すると共に ( 0042 )との記載があり,これらの記 」【】載によれば,本件発明1の植物栽培コンテナにおいては,複数の底板柱状部材及び側面柱状部材のそれぞれが個々独立して踏圧を分散して受け,その分散して受けた各踏圧を個々の側面柱状部材及び底板柱状部材がコンテナの側板及び底板に伝え,もってコンテナ全体で踏圧を支持する構造となっていることが明らかである。そして,かかる構成をとることで,本件発明1のコンテナは植物等の上を人間が歩行する際の踏圧など圧力を高い強度で支持する, 。, ことが可能となり 狭い空間を有効利用することを可能とする したがって「踏圧を支持する」とは,単に人の歩行に耐えうるという意義ではなく,それぞれの柱状部材が個々独立して踏圧を分散して受け,コンテナの側板や底板に伝達しうることを指す。
これに対し,被告製品は,ユニット材を上部に載置する構成をとっていないため,一時的に人が被告製品に乗った場合,人が足を置いて踏んでいる嵩上げ部5には踏圧が係るとしても,足を載せていない同一パネル内の他の嵩上げ部5には一切踏圧がかからないので,嵩上げ部5は個々独立して踏圧を分散して受け,コンテナの側板や底板に伝達しているとはいえない。
以上によれば,被告製品の嵩上げ部5は本件発明1の「踏圧を支持する底板柱状部材」に相当するものではなく,構成要件Bを充足しない。
( )被告製品は構成要件Cを充足するか(争点1-3 。
3 )(原告の主張)本件発明1の側面柱状部材は,側壁に沿って立設されるものであれば足りる。
被告は,側面柱状部材は側壁とは別体であることを要すると主張する。しかし,本件明細書には 「柱状部材は植物栽培コンテナ本体に別体若しくは ,一体形成することが可能であるが,好適には一体形成するとよい( 00。」【13「特に,柱状部材を植物栽培コンテナと一体形成する場合には,よ 】),り高い強度で上からの圧力を支持することができる( 0015 )と記 。」【】載されている。柱状部材を植物栽培コンテナと別体で形成する場合は,植物栽培コンテナの構成要素である側壁と柱状部材はそれぞれ構成する部材又は構造として別のものが認識可能であるが,これらを一体形成する場合は,側壁とそれに沿って立設する柱状部材の関係は,側面柱状部材の外側が植物栽培コンテナの側壁の一部を構成することになる。本件公報の図26,図27には,側面柱状部材71の外側が側壁3と一体として形成されている状態が図示されており,その一体形成部分においては,側面柱状部材の側面を構成すると共に側壁を構成している。したがって,本件発明1においては,複数の側面柱状部材の側面が同時に植物栽培コンテナの側面として機能することが排除されるものではないことが明らかである。
被告製品の半截嵩上げ部8は,その外側の一部が植物栽培用パネルの側壁と一体に形成され,その側壁に沿って立設されている。そして,半截嵩上げ部8は,複数立設され,嵩上げ部5と同様に踏圧を支持する部材なので,被告製品は構成要件Cを充足する。
(被告の主張)本件発明1の側面柱状部材は側壁を有するコンテナを前提として構成されており,本件明細書の「底板からそれぞれが側壁に沿って立設し」との記載からも明らかなように,底板からコンテナ本体の側壁に沿って立設した柱状部材である。
また,本件発明1は,本件明細書【0038 【0041】の記載にある 】とおり,コンテナ本体内を底板柱状部材72の平面部72aと側面柱状部材71の平面部71aによって上下に分割又は区画して,上方がユニット載置空間8,下方が育成材充填空間9として形成され,ユニット支持部材である柱状部材上面の平面部71a,72a上にユニット材80が載置され,ユニット材上を人が歩行することが前提とされている上,作用効果として 「上,からの圧力を個々独立した柱状部材で分散して受け且つ植物栽培コンテナ全体で受けることが可能となり ( 0015 )とされていることからも,側 」【】壁と側面柱状部材とは別体で,側面柱状部材が側壁に沿って立設していることを要し 「踏圧を支持する」ことを要する。 ,原告は,側面柱状部材は側壁と一体形成することが可能であることから,別体であることを要するものではないと主張するが,被告は,成形方法ではなく,側面柱状部材と側壁とは別部材であることを要することを主張しているのであるから,原告の反論は失当である。
本件明細書において,コンテナ本体の側壁が側面柱状部材の外面となり完全にその一部となっている構成は,開示も示唆もされていない。本件明細書には 「ユニット支持部7への踏圧を側板3で分散することができ 【00 , 」33「側面ユニット支持部71にかかる圧力は側板3或いは側板3及び 】,底板2で分散し 【0042】という記載があり,側面柱状部材(ユニット 」支持部7ないし側面ユニット支持部71)と側壁が別体であることを当然の前提として,側面柱状部材から側壁へ踏圧が伝達されることが記載されているので,側面柱状部材と側壁は別体であることが必要である。
これに対し,被告製品には側壁に相当する部材はないので,半截嵩上げ部8は側壁に沿って立設しているとはいえない。また,仮に原告の主張するとおり,半截嵩上げ部8及びコーナー嵩上げ部9の外面が側壁に該当するとしても,半截嵩上げ部8及びコーナー嵩上げ部9は側壁と別体ではなく 「底,板からそれぞれが側壁に沿って立設」している構成とはいえない。半截嵩上げ部8及びコーナー嵩上げ部9は,パネル同士を連結した際に対面する半截,, 嵩上げ部8及びコーナー嵩上げ部9との接合によって それぞれ嵩上げ部5半截嵩上げ部8を完成させるための半割体にすぎない。
また 「踏圧を支持する」とは,それぞれの柱状部材が個々独立して踏圧 ,を分散して受け,コンテナの側板や底板に伝達しうることを意味する。しかし,人が被告製品のパネルに一時的に乗り,半截嵩上げ部8上に足を置いた, , としても その足を置いていない他の嵩上げ部はなんら踏圧を受けないため個々独立して踏圧を分散して受けるとの作用を奏するものではない。被告製品においては,平面視二側面の半截嵩上げ部8とコーナー嵩上げ部9の底面側には嵌合用の下向き凹溝が形成されているため,当該両側面直下は逆凹状となることからも,踏圧を支持する構造ではない。したがって,半截嵩上げ部8及びコーナー嵩上げ部9は踏圧を支持する側面柱状部材に該当しない。
以上によれば,被告製品の半截嵩上げ部8及びコーナー嵩上げ部9は,側壁に沿って立設しておらず,また,踏圧を支持する側面柱状部材といえないので,被告製品は構成要件Cを充足しない。
( )被告方法は本件発明2の技術的範囲に属するか(争点2 。
4 )(原告の主張)被告方法は,被告製品の複数が敷設面に複数連結される植栽設備の施工方法である。そして,被告製品は本件発明1の植物栽培コンテナに該当し,また,敷設面に複数連結されることは,敷設面に複数連設されることに該当するので,被告方法は構成要件E,Hを充足する。
本件発明2の「連設」とは,その文言の通常の意味からして,隣接するコンテナ同士が連続して敷設されるすべての状態が含まれ,コンテナに接合部を設け,これを機械的に結合する概念も含まれることは明らかであり,本件明細書にも,隣接するコンテナを機械的に連結する態様が「連設」ではないとは記載されていない。本件発明2(請求項6)は,請求項4記載の植栽設備の施工方法においてコンテナを連設する方法を含んで記載されており,請求項4の発明は「コンテナの複数が連結部で相互に連結して敷設面に連設されること」が記載されているのであるから 「連設」にはコンテナの連結に ,よる敷設を含むことは明らかである。本件明細書には 【0061】で「複 ,数連設した植物栽培コンテナ群」について説明した後 「前記植物栽培コン ,テナ群1aにおいて,連結方法として,個々の植物栽培コンテナ1本体に連係部を形成し,連結するように構成してもよく,より植物栽培コンテナ1相互の連結が強固となると共に,安定性が増す ( 0066 )と記載されて 」【】おり,隣接するコンテナ群を連設する態様に限定がないことが明記されている。
被告方法は,施工現場で被告製品を連結するものであること,連結した被,,。 告製品に育成材を充填するものであることから 構成要件F Gも充足するよって,被告方法は本件発明2の技術的範囲に属する。
(被告の主張)本件発明2は,本件発明1の植物栽培コンテナを敷設面に複数連設する施工方法である。しかし,被告方法は被告製品のパネルを連結して施工するものであり,本件発明1の植物栽培コンテナを敷設するものではないので,本件発明2の構成要件Eを充足しない。
本件発明2において,コンテナを「連設し」とは,本件明細書の【0060 【0061】に記載のとおり,コンテナを複数敷設することである。こ 】れに対して,被告方法は,被告製品である植物栽培用パネル本体の係合突辺と,連結する他のパネル本体の係合溝とを係合して「連結」するものであって,施工法を異にするものである。
原告の主張するように 「連設」という文言の意義に,コンテナに接合部 ,を設けこれを機械的に結合する概念が含まれるとしても,本件発明1の植物栽培コンテナにおいては,育成材が側壁によって取り囲まれているため,育成材はコンテナ間で遮断されており,連続性が確保されないのであるから,これを連設する施工法である本件発明2は,内容物の連続性が維持されたまま連結する状態を含まないことになる。ところが,被告製品を連結すると,内容物である育成材についてパネル間で連続性が確保されるので,被告方法は「連設」する施工法ではない。
よって,被告方法は本件発明2の技術的範囲に属しない。
( )本件特許は進歩性欠如の無効理由を有するか(争点3-1 。
5 )(被告の主張)ア本件発明は,次のとおり,特開平10-164989号公報(乙4。以,「」, 「」。), 下乙4文献 といい 同文献に記載された発明を 乙4発明 という実願昭46-50965号(実開昭48-9532号)のマイクロフィルム(乙5。以下 「乙5文献」といい,同文献に記載された考案を「乙5 ,考案」という,実願昭49-2169号(実開昭50-89842号) 。)のマイクロフィルム(乙6。以下 「乙6文献」といい,同文献に記載さ ,れた考案を「乙6考案」という,実願昭61-124897号(実開 。)昭63-31755号)のマイクロフィルム(乙7。以下 「乙7文献」 ,といい,同文献に記載された考案を「乙7考案」という,特開昭63。)-157920号公報(乙8。以下 「乙8文献」といい,同文献に記載 ,された発明を「乙8発明」という,特開平10-98950号公報(乙 。)9。以下 「乙9文献」といい,同文献に記載された発明を「乙9発明」 ,という )に記載された発明あるいは考案に基づいて当業者が容易に発明
をすることができたものであり,進歩性を欠く。
(ア)乙4文献の記載内容乙4発明の目的は 「プランターならびにプランターの接続構造」に ,関し 「傾斜地に設置した場合でも・・・灌水することができ,しかも ,」(【】)。 強度が高いプランターを提供すること である 乙4文献 0008また,乙4発明のプランターは,土壌を充填する栽培槽4の下方に貯水槽1が設けられた構成が開示されている。この貯水槽1は,正方形の底板11と,その底板11を取り囲むようにして設けられた側板12とで形成されており( 0017,また貯水槽1には仕切り板16が設け 【】)られ( 0018,その仕切り板16には,上端部の4箇所に長方形 【】)に切り欠くことによって形成された越流部161が設けられている0(【019。すなわち,仕切り板16が切り欠かれて越流部161が形 】)成され,越流部161以外の仕切り板16の部分は,底板11からそれぞれが独立して上方に立設し,底板11からそれぞれが側板12に沿って立設した状態が開示されている。
(イ)乙5文献の記載内容乙5文献においては 「植物の生育に適する家庭用野菜栽培器」に関 ,し,植生基体3を収容した容器4は,周側壁を有し底部に適宜数の突起7がそれぞれ独立して上方に立設した外箱8に収容されるものであることが記載されている。
(ウ)乙6文献の記載内容,「」,() 乙6文献においては組立式植木箱 に関し 当該植木箱は底面 2と立ち上がり周壁(6)からなる方形容器で,当該容器内の底面(2)に同じ高さの凸部(4)を散在突出せしめ,当該凸部(4)上に発泡ウレタン板や発泡プラスチック板等の通気性板(5)を載置すること,及び通気性板(5)上に土砂を詰入するだけで植木箱が形成されるものであることが記載されている。
(エ)乙7文献の記載内容乙7考案は 「芝生土壌用保水層維持部材」に関し 「コンクリート , ,建築物等の表面に天然芝を育成するための土壌を作る際に,所定の厚みをもち踏圧等に耐える保水層を形成するために使用される保水層維持部材に関する」考案であり(産業上の利用分野の項 ,乙7文献において )は 「また,第2図(b)に示した保水層維持部材1は,底盤5に多数 ,の突起6を林立し,それらの突起6の間に連続空洞部2aを形成したものである「第3図の例では,垂直壁3が表土8の表面近くまで延在 」,するように,垂直壁3の高さを定めている。これにより,表土8に植えつけられた芝生9の上を人が歩いた場合にあっても,その踏圧は垂直壁3で分散支持される。したがって,踏圧が保水層7に直接加わり,土壌に凹みが生じるようなことがない」と記載されている。上記保水層維持部材1は,枠型の土壌保持用ブロック内に組み込まれるものである。
(オ)乙8文献の記載内容乙8文献においては 「芝生用下敷ブロック」に関し 「本発明は, , ,芝生の植生,殊に地表に天然芝を植付けたゴルフ場やローンテニスコー, , ト サッカー場などの運動競技場又は公園や遊園地などの庭園において該芝生をプレーヤーや遊園客などの踏み付けによる障害から有効に保護するため好適な芝生用下敷ブロックに関する 」と記載されている。 。
(カ)乙9文献の記載内容乙9文献においては 「芝草の根保護器とその製造法」に関し 「青 , ,空駐車場や歩道に芝草を植えて雨水を大地に浸透させてヒートアイランド現象をなくするには,青空駐車場や歩道を芝草で緑化し,その芝草を自動車のタイヤや人足から保護する必要がある。本発明は丈夫な板上に, , 任意の数だけの支柱を設けて 多数の支柱の先端でタイヤの荷重を受け支柱と支柱との間に芝草を植えつける芝草の根保護器,及びその製造法を提供することを目的としている(乙9文献【0004 )と記載さ 。」】れている。
イ本件発明1について(ア)本件発明1と乙4発明とを対比すると,次の一致点がある。
乙4発明のプランターの貯水槽は,底板11とこれを取り囲むようにして設けられた側板12とで形成されており,本件発明1の構成要件Aである「少なくとも底板と側壁を有する植物栽培コンテナ」とその構成は共通する。
乙4文献には,乙4発明は「各仕切り板16は,上端部の4箇所に,長方形に切り欠くことによって形成された越流部161が設けられており,上端部の切り欠かれていない部分は,栽培槽4の底板41の下面に接着されている 」と記載され 「上端部の切り欠かれていない部分は 。,側板12の内周壁以外の部分において十字状の仕切り板が底板からそれぞれが上方に立設してなる」構成が図示されている。よって,本件発明1の構成要件Bである「底板柱状部材」は乙4発明の「十字状の仕切り板16」に相当する。
乙4文献には 「上端部の切り欠かれていない仕切り板16で側板1 ,2の内面には底板からそれぞれが側板12に沿って立設してなる」構成が図示されている。よって,本件発明1の構成要件Cである「側面柱状部材」は乙4発明の「側板12の内面に沿って立設した仕切り板16」に相当する。
本件発明1の構成要件Dの「植物栽培コンテナ」は乙4発明の「プランター」に相当する。
(イ)本件発明1と乙4発明とでは,以下の4点,すなわち,乙4発明のプランターは貯水槽と栽培槽からなる二層構造であるのに対し,本件発明1のコンテナは一層構造であること,乙4発明の貯水槽に設けられた十字状の仕切り板は,仕切り板の上端部を切り欠くことによって形成されるのに対し,本件発明1の底板柱状部材はそれぞれが独立して立設していること,本件発明1の底板柱状部材は「踏圧を支持する」ものであるのに対し,乙4発明の十字状の仕切り板は踏圧を支持する点は明記されていないこと,本件発明1の側面柱状部材は「踏圧を支持する」ものであるのに対し,乙4発明の側板内面に沿って立設した仕切り板は踏圧を支持する点は明記されていないことにおいて,相違する。
しかし,一層構造か二層構造かの相違については,従来より,芝生等の植物栽培用の容器の技術分野において,いずれの構造も周知ないし少なくとも公知の技術である。例えば,二層構造としては,乙4発明のほか,乙5考案や乙9発明等が知られ,一層構造としては,乙6考案や,乙7考案が公知技術として知られている。乙6考案や乙7考案のように一層構造とすることが周知又は少なくとも公知である以上,本件発明1のコンテナと乙4発明との容器構造の相違は単なる設計変更であって,当業者であれば容易になし得る事項である。
本件発明1の底板柱状部材はそれぞれが独立して立設しているのに対し,乙4発明の十字状の仕切り板はそれぞれ独立して起立するものではない。しかし,底板柱状部材に相当する部材を底板からそれぞれ独立させて起立させることは,例えば,乙6考案に表示された,容器内の底面に同じ高さの凸部を散在突出させることや,乙7考案に表示された,底盤に多数の突起を林立させることに相当するので,何ら新規な構成ではなく,当業者が容易に設計変更し得る事項である。
本件発明1の底板柱状部材は「踏圧を支持する」との構成要件が付加されているのに対し,乙4文献では底板柱状部材が踏圧を支持することについて明記されていない。しかし,芝生用コンテナの分野において,人が歩行する際の踏圧を高い強度で支持するとの技術的課題やそれを達成するために各種技術的手段が考案されていることは,周知である。例えば,乙7文献には,産業上の利用分野の欄に 「コンクリート建築物 ,等の表面に天然芝を育成するための土壌を作る際に,特定の厚みをもち踏圧等に耐える保水層を形成するために使用される保水層維持部材」との記載があり,その達成手段として「第3図の例では,垂直壁3が表土8の表面近くまで延在するように,垂直壁3の高さを定めている。これにより,表土8に植えつけられた芝生9の上を人が歩いた場合にあっても,その踏圧は垂直壁3で分散支持される。したがって,踏圧が保水層7に直接加わり,土壌に凹みが生じるようなことがない」と記載されている。また,乙8文献にも,発明の利用分野の項において 「芝生をプ ,レーヤーや遊園客などの踏み付けによる障害から有効に保護するため好適な芝生用下敷ブロックに関する」と記載され,これを達成する手段としての芝生用下敷ブロックが発明され,その実施例としての第6図は,基板3からそれぞれが独立して上方に立設された耐圧凸部材4(支柱)が図示され,また「土中に延びたランナー(R)を人の踏圧による圧迫又は切断から保護し」と記載されている。以上によれば,植物栽培コンテナの技術分野において,踏圧に対し十分な強度をもたせるために支持部材が踏圧を支持する構造となっていることが周知又は公知技術であることが明らかであるから,底板柱状部材に相当する乙4発明の十字状の仕切り板も当然に踏圧を支持するものであることは,当業者に明らかである。乙4文献には 「貯水槽に作用する水平荷重は,底板と側板だけ ,でなく仕切り板にも分散する。さらに,仕切り板の上端部が栽培槽の底板と接するようにすることにより,垂直タンクに作用した垂直荷重を,側板だけでなく仕切り板にも分散させることができる」という作用が記載されていることからも,当業者において,十字状の仕切り板が踏圧を支持するのと同様の作用を有することが容易に理解できる よって踏。,「圧を支持する」という要件が明記されているか否かは実質的な相違点ではない。
また,本件発明1の側面柱状部材についても 「踏圧を支持する」と ,の構成要件が付加されているのに対し,乙4発明の側面柱状部材に相当する部材である「側板12の内面に沿って立設した仕切り板16」にはかかる記載はない。しかし,上記の周知ないし公知技術によれば,当業者において 「側板12の内面に沿って立設した仕切り板16」が踏圧 ,を支持することについても,容易に理解することができるから,この点も実質的相違点ではない。
そして,本件発明1の作用効果は,乙4文献に記載された「貯水槽に作用する水平荷重は底板と側板だけでなく仕切り板にも分散する。さらに,仕切り板の上端部が栽培槽の底板と接するようにすることにより,垂直タンクに作用した垂直加重を,側板だけでなく仕切り板にも分散させることができる「貯水槽5a,5b,5cに作用する水平荷重は, 」,底板51と側板52だけでなく仕切り板56にも分散し,貯水槽5a,5b,5cに作用した垂直荷重は,側板52だけでなく仕切り板56にも分散する。つまり,仕切り板56が補強材として機能するので,貯水槽5a,5b,5cの底板51や側板52の肉厚を増やさずに,従来よりも貯水槽5a,5b,5c全体の強度向上をはかることができる」との内容と実質的に同一であり,同様の作用効果を奏するものである。
(ウ)以上によれば,本件発明1と,底板,側壁,底板柱状部材,側面柱状部材を備えた植物栽培コンテナであるという主要な構成要件において共通し,底板,側壁,底板柱状部材,側面柱状部材によって水平荷重及び垂直荷重を受けて分散できるという作用効果が開示されている乙4発明に,人の歩行による踏圧からの保護という従来周知の課題と解決手段が開示されると共に,人の歩行による踏圧を受けて荷重を分散できるという構成,作用,効果が開示されている乙5ないし乙9の発明等を組み合わせることで,当業者は本件発明1を容易に想到し得る。
よって,本件発明1は特許法29条2項により特許を受けることができないものであり,本件特許は,請求項1について無効とされるべきであるから,同法104条の3の規定により,原告は被告に対してその特許権を行使することができない。
ウ本件発明2について本件発明2は,本件発明1の植物栽培コンテナを前提として,施工現場で当該コンテナを連設し,連設したコンテナに育成材を充填する植栽設備の施工方法である。しかし,本件発明1の植物栽培コンテナは上記のとお,, ,, り進歩性を欠くものであり しかも コンテナを連設することは 例えば乙4発明の請求項4に記載されているとおり公知であり,かつ,コンテナに育成材を充填することは周知である。
よって,本件発明2も,乙4発明に乙5ないし乙9の発明等を組み合わせることで容易に想到し得るものであって,特許法29条2項により特許を受けることができないものであり,本件特許は,請求項6について無効とされるべきであるから,同法104条の3の規定により,原告は被告に対してその特許権を行使することができない。
(原告の主張)被告が乙4発明と本件発明1との一致点として主張している点については,いずれも否認する。
乙4発明は,土壌を充填する栽培槽4の下方に設置する貯水槽1に関する発明である。本件発明1の植物栽培コンテナは,その内部に育成材を充填することが予定されるものであるのに対し,乙4発明の貯水槽1は,育成材が充填される栽培槽4に対して吸水体3を介して灌水する貯水槽であって,その目的も機能も異なる。乙4発明において本件発明1と対比するとすれば,育成材が充填される栽培槽4の構成であって,それに灌水するための貯水槽ではない。
乙4発明の貯水槽1は,傾斜地に設置した場合でも灌水むらを生じずに均一に上方に設置した栽培槽内の土壌へ灌水することができるように,仕切り板によって複数の貯水室を構成すると共に,仕切り板の上端部に貯水空間の水の移動を可能とする越流部が設けられていることがその技術思想となっている。したがって,乙4発明の十字状の仕切り板の構成を,本件発明1のような底板柱状部材を独立して上方に立設するように変更することは,複数の貯水室を構成することや貯水空間の水の移動を可能とする技術思想を否定することになるので,乙4発明の構成を被告主張のように変更することには重大な阻害要因がある。
また,乙4文献には,本件発明1のうち,構成要件Aの底板と側壁を有する植物栽培コンテナが栽培槽4において開示されるにすぎず,構成要件B,Cは記載されていない。
被告は,二層構造の容器である乙4発明の構造を,乙6,乙7考案のように一層構造とすることは設計事項であると主張する。しかし,乙4,乙5,乙9文献に開示されている発明等は,いずれも一層のコンテナの下方に貯水槽,外箱あるいは補強用基板を設けたものであって,コンテナ自体は一層構造であり,植物栽培用のコンテナ自体が二層構造のものなど知られていないので,被告が主張する一層構造と二層構造の議論は無意味である。
被告は,乙4発明の仕切り板に替えて,乙6,乙7文献に記載される独立した凹部や突起の構成を採用することは,当業者が容易になし得る設計変更と主張する。しかし,乙4発明の仕切り板は,複数の貯水室を構成するために仕切られたものであり,仕切機能がない部材を独立して立設することは不可能であるから,これに替えて乙6,乙7文献に記載される独立した凹部や突起の構成を採用することは技術思想上の背理であり,否定される。
被告は,乙4発明の十字状の仕切り板も当然に踏圧を支持するものであることが当業者に明らかであると主張する。しかし,乙4発明の仕切り板は,上方に設置する栽培槽の荷重を支持して貯水槽の空間を維持するためのものであり,栽培槽4に関して人が歩行する踏圧を支持するものではない。
被告は,芝生用のコンテナの分野においては,人が歩行する際の踏圧を高い強度で支持するよう構成するとの技術的課題や各種技術的手段は周知であると主張する。しかし,乙7考案は,保水槽7とその上に設置した表土8との二層構造において,踏圧等に耐える保水槽を形成するために使用される保水槽維持部材に関する考案であり,育成材を充填する植物栽培コンテナに関する発明ではない。また,乙8発明は,芝を植え付けるべき区域の地面を適当な深さだけ掘り下げ,その底面に敷設する芝生用下敷ブロックに関する発明であって,底板と側壁を有する植物栽培コンテナに関する発明ではない。
したがって,芝生用コンテナの分野において,人が歩行する際の踏圧を高い強度で支持するよう構成するとの技術的課題や技術的手段が周知であるとはいえない。
乙4ないし乙9文献のいずれにも,本件発明1の構成要件Cにかかる「複数の側面柱状部材が底板からそれぞれが側壁に沿って立設し」との構成は記載されておらず,構成要件Cが公知の構成であることを示す証拠は一切提出されていない。植物栽培コンテナの技術分野において,踏圧のため十分な強度を持たせるべく,支持部材が踏圧を支持する構造とすることが,公知の技術とはいえない以上,乙4ないし乙9発明等をいかに組み合わせても,構成要件Cが容易に想到し得るとはいえない。
以上によれば,本件発明1及び2が,乙4発明を主引例とし,乙5ないし乙9発明等と組み合わせることにより容易に想到し得るものであるとの被告の主張は,失当である。
( )本件特許は,分割出願の要件に違反し,新規性欠如の無効理由を有する6か(争点3-2 。)(被告の主張), ( 。 本件特許は 特願2004-181504号 乙1がその公開公報である以下「乙1公報」という )を原出願とした分割出願について特許されたも 。
のである。しかし,本件出願は,分割出願の要件を充足していないため,その出願日は遡及せず,平成17年11月14日に出願されたこととなり,本件発明は既に出願公開されている本件原出願の公開特許公報に記載されているため,新規性を欠如する。
本件原出願の請求項1記載の発明は,下記構成要件からなる。
a少なくとも底板と外周壁を有し,上面が開口した植物栽培コンテナにおいて,b該植物栽培コンテナ内にユニット支持部を設け,c該ユニット支持部の上端で区画して該植物栽培コンテナの上部をユニット載置空間,その下部を育成材充填空間とすると共に,d該ユニット支持部の上端まで育成材が充填され,e該ユニット支持部上に,板材のユニット材若しくは支持板を有するユニット材が載置されることを特徴とする,f植物栽培コンテナ。
また,本件原出願の請求項3記載の発明は,下記構成要件からなる。
g前記ユニット支持部は,底板から側板に沿って柱状に立設する側面ユニット支持部と,h底板から柱状に立設する底面ユニット支持部とを設けることを特徴とする,i請求項1又は2記載の植物栽培コンテナ。
本件発明1の構成要件AないしDのうち,B,Cは上記構成要件g,hに,, ,。,, 対応するものの 構成要件c d eを含まない すなわち 本件発明1は底板,側壁,底板柱状部材,側面柱状部材を備えているものの,ユニット支持部の上端でユニット載置空間と育成材充填空間とに区画せず,ユニット支持部上に板材のユニット材若しくは支持板を有するユニット材を載置することのない植物栽培用コンテナをも,その範囲に含む。
,,,, , しかしながら 底板 側壁 底板柱状部材 側面柱状部材を備えているがユニット載置空間と育成材充填空間に区画されておらず,ユニット材を載置することのないような植物栽培用コンテナは,本件原出願の出願当初の明細書(以下「本件原明細書」ともいう )又は図面に開示も示唆もされていな 。
い すなわち 本件原明細書には課題を解決するための手段 の段落 0 。,,【 】【013】に「前記ユニット支持部は複数の柱状部材とし」と記載されているが このユニット支持部とは段落 0012 に記載されているようにユ , 【】,「ニット載置空間と育成材充填空間を形成するため」のものであり 「ユニッ ,ト載置空間と育成材充填空間を形成するためのユニット支持部を複数の柱状部材とする」ことが記載されているのであって,かかるユニット載置空間や育成材充填空間がなく 「底板からそれぞれが独立し且つ踏圧を支持する複 ,数の底板柱状部材」と「該底板からそれぞれが側壁に沿って立設し且つ踏圧を支持する複数の側面柱状部材」のみを具備する植物栽培コンテナは記載されていない。また,本件原明細書の【発明を実施するための最良の形態】には,五つの実施形態例が記載されており,本件原明細書の請求項3に対応する「ユニット支持部が底板から側板に沿って柱状に立設する側面ユニット支持部と,底板から柱状に立設する底面ユニット支持部とを設けた」構造の植物栽培コンテナは,上記実施形態例4及び5に記載されている。これらは,「底板と側壁を有し,該底板からそれぞれが独立して上方に立設し且つ踏圧を支持する複数の側面柱状部材と,該底板からそれぞれが側壁に沿って立設し且つ踏圧を支持する複数の底板柱状部材」であるものの,同時に「ユニット支持部を設け,該ユニット支持部の上端で区画して該植物栽培コンテナの上部をユニット載置空間,その下部を育成材充填空間とすると共に,該ユニット支持部の上端まで育成材が充填され,該ユニット支持部上に,板材のユニット材若しくは支持板を有するユニット材が載置される」ものである。
本件元出願の出願当初の明細書及び図面(乙10)においても 「少なく ,とも底板と外周壁を有し,上方が開口した植物栽培コンテナにおいて,コンテナ内の上部をユニット載置空間とし,その下部を育成材充填空間とすること並びにコンテナ内にユニット支持部を設け,該支持部上にユニット材を載置するようにする」ことが発明の本質として記載されている。
したがって,本件発明は,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲内でないものを含んでおり,また,本件発明は分割直前の原出願の明細書又は図面に記載された発明ではないので,分割出願の要件を充たしていない。
そうすると,本件特許出願については出願日の遡及は認められず,平成17年11月14日に出願したものとなり,そのときには既に本件原出願が出願公開されているから,本件発明は,新規性がなく特許法29条1項3号に該当するため,本件特許は,請求項1及び6について無効にされるべきものであることは明白であり,同法104条の3の規定により,原告は被告に対してその特許権を行使することができない。
(原告の主張)分割出願は,原出願の特許請求の範囲に記載されたものに限られず,当業者において正確に理解し,かつ実施することができる程度に記載されているならば,原出願の明細書の発明の詳細な説明や図面に記載されているものであっても対象となり得るところ,本件発明1の構成要件にかかる技術的事項は,本件原明細書の実施形態例4及び5に開示されている。よって被告の主張は失当である。
( )損害の額(争点4)7(原告の主張)ア原告は,平成11年から,本件発明1の実施品である商品名「スクエアターフ」の植物栽培コンテナを製造・販売し,同コンテナを用いた植栽設備を施工している。
イ被告は,本件特許権の登録日である平成18年4月21日から平成19年3月20日までの11か月間,被告方法を使用して,1平方メートルあたり1万6500円の被告製品を少なくとも5000平方メートル施工し,8250万円を売り上げた。被告の利益は売上げの3割を下らないので,被告は2475万円の利益を得た。したがって,同期間に原告が被った損害額は2475万円と推定される。
(被告の主張)アの事実は不知であり,イについては否認ないし争う。
第3当裁判所の判断1争点1-1(被告製品は構成要件Aを充足するか)について( )本件明細書には 構成要件Aの 側壁 に関連して 次の記載がある 甲1 ,「」,(1 。)ア課題を解決するための手段【0007】本発明の植物栽培コンテナは,少なくとも底板と側壁を有する植物栽培コンテナにおいて,該底板からそれぞれが独立して上方に立設し且つ踏圧を支持する複数の底板柱状部材と,該底板からそれぞれが側壁に沿って立設し且つ踏圧を支持する複数の側面柱状部材とを設けることを特徴とする。
【0012】本発明の植栽設備の施工方法は,上記植物栽培コンテナの複数が敷設面に複数連設される植栽設備,又は上記植栽設備の施工方法において,施工現場で植物栽培コンテナを連設し,該連設した植物栽培コンテナに対して育成材を充填することを特徴とする。
【0013】上記植物栽培コンテナに於いて,底板柱状部材の支持部分と側面柱状部材の支持部分とで,ユニット材を載置するユニット載置空間と育成材充填空間とを区画し,底板柱状部材の上端部と側面柱状部材の上端部より上方をユニット載置空間,底板柱状部材の上端部と側面柱状部材の上端部より下方を育成材充填空間としてもよい。
【0014】また,植栽設備は,少なくとも底板と外周壁を有し,上方が開口した植物栽培コンテナで,該植物栽培コンテナ内の上部にユニット載置空間を形成されると共に,該植物栽培コンテナ内の下部に育成材充填空間を形成される植物栽培コンテナを複数敷設して植物栽培コンテナ群を形成し,植物栽培コンテナ群の植物栽培コンテナに複数種類のユニット材を選択的に載置するようにしてもよい。
イ発明を実施するための最良の形態【0020】図に於いて植物栽培コンテナ1は,主として底板2と外周壁をなす側板3とを有し,上方が開口するように形成されている。
【0024】植物栽培コンテナ1内の空間はユニット支持部7の平面部7aを境界として分割或いは区画されることになり,図3に示すように,植物栽培コンテナ1内の上部であるユニット支持部7から上方にユニット載置空間8が形成されると共に,植物栽培コンテナ1内の下部であるユニット支持部7から下方に育成材充填空間9が形成される。
【0025】そして,上記植物栽培コンテナ1に育成材90及びユニット材80を載置するが,これは図4及び図5に示すように,まず最初に植物栽培コンテナ1本体内の下方に設けられた育成材充填空間9に,育成材充填空間9の上端であるユニット支持部7の位置まで育成材90を充填し,その後ユニット材80として例えばウッドデッキ等の板材(板状体)81をユニット支持部7上に載置する。
【0027】また前記育成材90は,施工現場で充填するようにしても良いが,予め工場などで充填し,現場ではユニット材80を載置するだけの状態で敷設するようにしてもよく,この場合は,育成材90を育成材充填空間9に充填してプレス機をかけた後に,少なくとも育成材90の上面をバインダ処理することが望ましく ・・・,【0038】本実施形態(判決注・第4実施形態)は,上記第2実施形態及び第3実施形態を合わせた構成であり,側面ユニット支持部71は底板2から側板3に沿って所要箇所に複数立設する柱状部材で,頂部に略十字形及び略I時形の平面部71aが形成されていると共に,底面ユニット支持部72は底板2で且つ側面ユニット支持部71が立設された箇所以外に, 。 立設する複数の柱状部材で 頂部に円形の平面部72aが形成されている水平である平面部71aと平面部72aは略同じ高さで略同一平面を形成し,前記平面部71a,72aによって分割或いは区画され,ユニット載置空間8と育成材充填空間9が形成されており,ユニット材80の底面は前記略十字形の平面部71aと円形の平面部72aで支持する構成である。
【0041】本実施形態(判決注・第5実施形態)は,上記第4実施形態と類似し,側面ユニット支持部71は底板2から側板3に沿って所定箇所に複数立設する柱状部材で,頂部に略十字形の平面部71aが形成されていると共に,底面ユニット支持部72は前記側面ユニット支持部71が立設した箇所以外で且つ底面から複数立設する柱状部材で,頂部には平面視で略十字形,略L字形,略逆L字形,略I字形等様々な形状の平面部72aが形成されている。平面部71a,72aは略同じ高さで水平に略同一平面を形成し,前記平面部71a,72aによって分割或いは区画され,ユニット載置空間8と育成材充填空間9が形成され,ユニット材80の底面は前記平面部71aと平面部72aで支持する構成である。
【0043】そして,図14に示すように,植物栽培コンテナ1の育成材充填空間9に育成材90を充填する場合,それぞれユニット支持部71,72の頂部である平面部71a,72aが育成材90の上部よりも僅かに高くなるように育成材90を充填すればよく,育成材90の充填量を容易に確認することができるようになっている。
( )広辞苑第4版によれば 「コンテナ」とは入れ物・容器を意味するもの2 ,であるから(乙3 ,本件発明1の「植物栽培コンテナ」も,植物を栽培す )るための容器を意味すると解される。そして,本件明細書には,本件発明1の植物栽培コンテナは,少なくとも底板と外周壁を有し,上方が開口した植物栽培コンテナであるとの記載があり(本件公報【0014,また,実】)施例にも,主として底板2と外周壁をなす側板3とを有し,上方が開口するように形成される植物栽培コンテナが開示されていること( 0020 ) 【】からすれば,本件発明1の「側壁」は「外周壁」すなわち容器の外周を囲む壁を意味すると解される。
上記( )のとおり,本件明細書には,本件発明1の植物栽培コンテナは,1底板柱状部材と側面柱状部材の頂部である平面部がユニット支持部となり,この部分によって,ユニット材を載置するユニット載置空間と育成材充填空間とを区画し,底板柱状部材と側面柱状部材の頂部より上方をユニット載置空間,下方を育成材充填空間としてもよいこと( 0014 【0013, 【】】)施工する際に,育成剤充填空間に育成材を充填すること( 0012,及【】)び,コンテナにユニット材を載置すること( 0014 )が開示されてい 【】る。また実施例にも,コンテナ内を底面ユニット支持部である底板柱状部材と側面ユニット支持部である側面柱状部材の頂部である平面部により区画して,ユニット載置空間と育成材充填空間を設け,育成剤充填空間の上端であるユニット支持部まで,あるいはその付近まで育成材を充填し,その後ユニット支持部上にユニット材を載置するものが開示されている( 0020】 【【0024 【0025 【0038 【0041 【0043。したがっ 】】】】】)て,本件発明1の植物栽培コンテナは,ユニット支持部である底板柱状部材と側面柱状部材の頂部である平面部によりユニット載置空間と育成材充填空間に区画され,ユニット支持部の下方に育成材を充填すると共に,上方にユニット材を載置するための容器であること,及び,育成材充填空間においては,その上端である底部柱状部材及び側面柱状部材の頂部付近まで育成材を充填することを主に想定しているものであり,さらに,あらかじめ工場などで育成材を充填してから施工現場に運ぶこともできるとの施工法の実施例( 0027 )も記載されていることも併せると,柱状部材の頂部付近ま 【】で育成材を充填した状態を保持したまま植物栽培コンテナを運搬することもできる容器を想定しているものであると解される。
以上によれば,本件発明1の「植物栽培コンテナ」は,育成材充填空間の上端までの空間すなわち底部柱状部材及び側面柱状部材の頂部付近までの空間を外周壁が囲む構成であることを要するというべきであり,同発明の「側壁」は育成材充填空間の上端すなわち底部柱状部材及び側面柱状部材の頂部付近までの高さで連続した構成を有するものであると解すべきである。
原告は,本件発明1の植物栽培コンテナは,育成材を充填するに足りる構造を有していれば十分であり 「側壁」は同一高さで連続した構成を有する ,ことは必要でなく,凹凸状のものも含まれると主張する。
しかし,本件明細書には,外周縁が高低差のある凹凸状となっている側壁は開示も示唆もない上,植物栽培コンテナの外周縁に育成剤充填空間の上端すなわち底部柱状部材及び側面柱状部材の頂部付近よりも低い部分があれば,そこから育成材が流出してしまい,育成材を充填した状態を保持するとの本件発明1の「植物栽培コンテナ」としての最低限の機能を果たし得なくなるのであるから,原告の主張は採用することができない。
( )被告製品は,別紙物件目録記載のとおり,パネル本体1の外周縁に底プ3レート面4よりやや隆起した外周縁部7が形成され,かつ,パネル本体1の四側辺に嵩上げ部5を半截した半截嵩上げ部8が3個等間隔に,外周縁部7上に当接用の半截面10が位置するように,一体成形により隆起し,パネル本体1の四コーナー部には当該半截嵩上げ部8を半截した平面視略矢印状のコーナー嵩上げ部9がそれぞれ隆起しているものである。したがって,被告製品の外周部分は,半截嵩上げ部8,コーナー嵩上げ部9の外面及び外周縁部7の外面とから構成されるものであり,半截嵩上げ部8,コーナー嵩上げ部9と外周縁部7との間に高低差がある凹凸状であって,かつ,外周縁部7は底プレート面4よりやや隆起したにすぎないものである。
被告製品のパンフレット(甲4)によれば,被告製品は,建物に荷重負担をかけないことと植物に必要な土壌厚を確保することを可能とするため,土壌面と嵩上げ部分を一体化したものであり,土壌等を嵩上げ部の上面付近まで入れるものであることが認められる。上記のとおり,被告製品は外周部分が凹凸状となり,外周縁部7が底プレート面4よりやや隆起したにすぎない高さであるため,嵩上げ部の上面付近まで土壌等の育成材を敷設した場合には,外周縁部7の部分から育成材が外に漏れることは明らかである。別紙方法目録の記載によれば,被告方法は,多数のパネルすなわち被告製品を連結した後,連結されたパネルの底プレート面4上に育成材を敷設するというものであり,むしろ,各パネルを連結することで各パネルに敷設した土壌の連続性を確保することができるとされているのであるから(甲4 ,一つのパ )ネル内に育成材を充填した状態を保持することをその前提とした構成とはなっていないのである。また,別紙方法目録の記載によれば,被告方法では,連結したパネルの外周縁の外に土留めパネルを設置するとされているものであり,このことからすれば,被告製品は,そもそも単独で育成材を充填するための容器ではなく,育成材を充填した状態を保持するための外周壁を有しているものと認めることはできない。
原告は,被告製品でも外周縁部7の上端までの空間において約6.4リットルの水を保持することができ,嵩上げ部まで土壌を敷設すると少なくともこの空間に土壌を充填することができるから,被告製品は「側壁」を備えていると主張する。しかし,上記認定のとおり,被告製品は,嵩上げ部の上面付近すなわち外周縁部7をはるかに超えた高さまで土壌等の育成材を入れて使用するものであるから,外周縁部7は,育成材を保持することができる外周壁であるとはいえず,単に,底面に水を溜めて給水するに際し,水が流出するのを防ぐための部材であるにすぎない。
したがって,被告製品は,本件発明1における「側壁」を有するといえないから,構成要件Aを充足せず,本件発明1の技術的範囲に属しない。
2争点2(被告方法は本件発明2の技術的範囲に属するか)について本件発明2は,上記前提となる事実等のとおり 「請求項1乃至3の何れか ,に記載の植物栽培コンテナの複数が敷設面に複数連設される植栽設備・・・の施工方法」である。
これに対し,被告方法は,別紙方法目録記載のとおり,被告製品の施工方法である。そして,被告製品は,上記のとおり,本件発明1の構成要件Aを充足しないものである。また,本件においては,被告製品が請求項2及び3記載の発明の技術的範囲に属するとの主張も,被告方法が請求項5記載の発明の技術的範囲に属するとの主張もなく,これらを認めるに足りる証拠もない。したがって,被告方法は 「請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培コンテナの複 ,数が敷設面に複数連設される植栽設備,又は請求項4記載の植栽設備,又は請,」, 求項5記載の植栽設備の施工方法において ・・・の施工方法 ではないから構成要件Eを充足せず,本件発明2の技術的範囲に属しない。
3争点3-2(本件特許は,分割出願の要件に違反し,新規性欠如の無効理由を有するか)について本件事案の内容に鑑み,本件特許が,分割出願の要件に違反する出願に基づくものであり,新規性欠如の無効理由を有するか否かについても判断する。
( )本件原明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された発明 以1 (下「本件原出願発明」という )は,次のとおりである(乙1 。 。 )【請求項1】少なくとも底板と外周壁を有し,上面が開口した植物栽培コンテナにおいて,該植物栽培コンテナ内にユニット支持部を設け,該ユニット支持部の上端で区画して該植物栽培コンテナの上部をユニット載置空間,その下部を育成材充填空間とすると共に,該ユニット支持部の上端まで育成材が充填され,該ユニット支持部上に,板状のユニット材若しくは支持板を有するユニット材が載置されることを特徴とする植物栽培コンテナ。
【請求項2】前記ユニット材の裏面に凸部が形成され,該凸部がユニット支持部間に挟まれた状態で載置されることを特徴とする請求項1記載の植物栽培コンテナ。
【請求項3】前記ユニット支持部は,底板から側板に沿って柱状に立設する側面ユニット支持部と,底板から柱状に立設する底面ユニット支持部とを設けることを特徴とする請求項1又は2記載の植物栽培コンテナ。
【請求項4】前記ユニット支持部は,平面視略十字形若しくは平面視略L字形若しくは平面視略I字形の柱状部材若しくはこれらの組み合わせである複数からなり,該複数のユニット支持部を不規則に配列してなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の植物栽培コンテナ。
このように,本件原出願発明においては 「該植物栽培コンテナ内にユニ ,ット支持部を設け,該ユニット支持部の上端で区画して該植物栽培コンテナの上部をユニット載置空間,その下部を育成材充填空間とすると共に,当該ユニット支持部の上端まで育成材が充填され,当該ユニット支持部上に,板状のユニット材若しくは支持板を有するユニット材が載置される」との構成が,各請求項に共通して記載されていたものの,本件発明には同構成の記載はなく,本件分割出願における特許請求の範囲からはこの構成が削除されたものと認められる。分割出願が行われた場合,新たな特許出願は元の特許出願の時にしたものとみなされるものの(特許法44条2項 ,出願日の遡及 )が認められるためには,分割出願に係る発明がその原出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか,同明細書等に記載した事項から自明な事項であることを要する。したがって,本件発明が本件原明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか,同明細書等に記載した事項から自明な事項であるかを,次に判断する。
( )本件原明細書及びこれに添付された図面には,次の記載のあることが認2められる(乙1 。)ア技術分野,背景技術【0001】本発明は,屋上,ベランダ等における緑化対策の一貫として使用する植物栽培コンテナに関する。
0004 ・・・装飾性を向上できるものとして 例えば特許文献3 判 【】 ,(決注・特開平6-141685号)には,ライト,植木などをプランターによってユニット化することにより,様々なレイアウトを実現可能にしたシステムプランターが開示されている。
イ発明が解決しようとする課題【0008】また,特許文献3のシステムプランターに関する技術は,上記配置換えは容易に行うことができるが,配置換えやユニットの交換の時にプランター全体を移動しなければならず,多大な労力及び費用を費やす必要が出てくる。
【0009】さらに,上記従来例を観賞用・縁取り用の植物に対して使用する場合,近年の住宅事情においては狭いベランダ等で使用されることが想定されるが,かような使用によって人間等が移動可能な範囲がより狭くなってしまい,ベランダ等を有効利用できなくなってしまうという不具合が生じていた。
【0010】本発明は上記のような不具合を解消するためになされたものであって,装飾性に優れ,配置換えや交換が容易であると共に,植物等の上を人間等が歩行可能にし,さらには狭い空間を有効利用可能な植物栽培コンテナを提供することを目的とする。
ウ課題を解決するための手段【0011】本発明の植物栽培コンテナは,少なくとも底板と外周壁を有し,上方が開口した植物栽培コンテナにおいて,該植物栽培コンテナ内の上部にユニット載置空間を形成すると共に,該植物栽培コンテナ内の下部に育成材充填空間を形成することを特徴とする。
【0012】さらに上記植物栽培コンテナは,ユニット載置空間と育成材充填空間を形成するためのユニット支持部を備えるようにし,例えば前記植物栽培コンテナ内にユニット支持部を設け,該ユニット支持部のユニット支持部分で区画することで,前記ユニット載置空間と前記育成材充填空間を形成することを特徴とする ・・・。
【0013】ここで,前記ユニット支持部は複数の柱状部材とし,さらには前記柱状部材を不規則に立設して配置すると好適である。又前記複数の柱状部材は頂部に平面部を有し,該平面部の形状を少なくとも2種類以上とすると好適である ・・・。
【0014】また上記植物栽培コンテナは,少なくとも裏面に凸部が形成されたユニット材が,前記凸部と植物栽培コンテナ本体内に設けられたユニット支持部とで位置決め可能に載置される,例えば該凸部が前記ユニット支持部間に挟まれた状態で載置されることを特徴とする ・・・。
【0015】そして,植物栽培コンテナ群は,少なくとも底板と外周壁を有し,上方が開口した植物栽培コンテナにおいて,該植物栽培コンテナ内の上部にユニット載置空間を形成すると共に,該植物栽培コンテナ内の下部に育成材充填空間を形成する植物栽培コンテナを複数敷設し,該植物栽培コンテナに複数種類のユニット材を選択的に載置する ・・・。
エ発明の効果【0016】本発明の植物栽培コンテナは,優れた装飾性を実現でき,容易に配置換えや交換を行うことができると共に,植物等の上を人間等が歩行できるようにし,さらには狭い空間を有効利用することが可能になるという効果を有する。
【0017】また,植物栽培コンテナ本体内の上部空間をユニット載置空間とし,下部を育成材充填空間として形成することで,配置換えやユニット材の交換を行う際に,上部に載置されているユニット材を取り除いて新しいユニット材を載置するだけで行うことができ,その労力や費用を削減することが可能となる。
【0018】また,上記ユニット載置空間内に載置されるユニット材を支持するユニット支持部をコンテナと別体又は一体形成することで,ユニット材上部を人等が歩行する際に上からの圧力を植物栽培コンテナ全体で受けることができると共に,強固にユニット材を保持できる。前記ユニット支持部は植物栽培コンテナと一体形成する方がより強固にユニット材を保持可能であって好適である。
【0019】また,上記ユニット材の裏面に凸部を形成し,ユニット支持部間等に嵌め込む構成とすることで,位置決めが容易となると共に,人等の歩行によるユニット材の前後左右の移動が強固に規制される。
オ発明を実施するための最良の形態及び図面図1から図5は,本件原出願発明の第1実施形態例を示す( 002【4。植物栽培コンテナ1は,主として底板2と外周壁をなす側板3と 】), ,() を有し 上方が開口するように形成されており 側板3の内面には 側面ユニット支持部7(71)が設けられている( 0025(側面)ユ 【】)。
ニット支持部7は水平方向の板状で,ユニット材支持部分である上端に位置する平面部7aを有し,側板3から植物栽培コンテナ1の中央に向かって突出しており,側板3の全域に一体形成されている。植物栽培コンテナ1内の空間はユニット支持部7の平面部7aを境界として分割あるいは区画されることになり,植物栽培コンテナ1のA-A矢視断面図である図3に示されているように,植物栽培コンテナ1内の上部であるユニット支持部7から上方にユニット載置空間8が形成されると共に,植物栽培コンテナ1内の下部であるユニット支持部7から下方に育成材充填空間9が形成される( 0029。そして,植物栽培コンテナ1内に育成材90及び 【】)ユニット材80を載置するが,これは植物栽培コンテナへのユニット材載置作業説明図である図4,植物栽培コンテナへのユニット材載置状態を示す断面図である図5に示されるとおり,植物栽培コンテナ1本体内の下方に設けられた育成材充填空間9に,育成材充填空間9の上端であるユニット支持部7の位置まで育成材90を充填し,その後ユニット材80をユニット支持部7上に載置する( 0030。【】)図6及び図7は第2実施形態例を示す( 0036。この実施形態例 【】)と第1実施形態例との違いは (側面)ユニット支持部が植物栽培コンテ ,ナ1の底板2から側板3に沿って所定箇所に複数立設した柱状部材で,その頂部には略十字形,及び略I字形で水平の平面部7aが形成され,この平面部7a上でユニット材80の底面を支持する構成であることである。
第1実施形態例と同様に,ユニット支持部7の平面部7aによって分割あるいは区画されてユニット載置空間8と育成材充填空間9が形成される( 0037。【】)図8及び図9は第3実施形態例を示す( 0039。この実施形態例 【】)と第1実施形態例及び第2実施形態例との違いは (底面)ユニット支持 ,部7(72)が植物栽培コンテナ1の底板2から不規則な配列で立設する複数の柱状部材で,頂部に円形の平面部7aを形成され,この平面部7a上でユニット材80の底面を支持する構成であることである。第1実施形態例,第2実施形態例と同様,ユニット支持部7の平面部7aによって分割あるいは区画されてユニット載置空間8と育成材充填空間9が形成される( 0040。【】)図10,図11は第4実施形態例を示す( 0042。この実施形態 【】)例は第2実施形態例及び第3実施形態例を合わせた構成であり,側面ユニット支持部71は底板2から側板3に沿って所要箇所に複数立設する柱状, , 部材で 頂部に略十字形及び略I字形の平面部71aが形成されると共に底面ユニット支持部72は底板2でかつ側面ユニット支持部71が立設した箇所以外に立設する複数の柱状部材で,頂部に円形の平面部72aが形成される。これらの平面部71aと72aによって分割あるいは区画されてユニット載置空間8と育成材充填空間9が形成され,ユニット材80の底面は略十字形の平面部71aと円形の平面部72aで支持される( 0【043。】)図12から図18は第5実施形態例を示す( 0045。この実施形 【】)態例は,第4実施形態例と類似し,側面ユニット支持部71は底板2から側板3に沿って所定箇所に複数立設する柱状部材で,頂部に略十字形の平面部71aが形成されると共に,底面ユニット支持部72は側面ユニット支持部71が立設した箇所以外でかつ底面から複数立設する柱状部材で,頂部には平面視で略十字形,略L字形,略逆L字形,略I字形等様々な形状の平面部72aが形成される。平面部71a,72aは略同じ高さで水平に略同一平面を形成し,平面部71a,72aによって分割或いは区画されてユニット載置空間8と育成剤充填空間9が形成され,ユニット材8(【】)。, 0の底面は平面部71aと72aで支持される0046図14は第5実施形態例の植物栽培コンテナの育成材充填状態の斜視図,図15はユニット材(板材)載置作業説明図,図16はユニット材(板材)載置状態を示す斜視図,図17はユニット材(芝材)載置作業説明図,図18はユニット材(芝材)載置状態を示す斜視図であるが,育成材充填空間9に育成材90を充填する場合,ユニット支持部71,72の頂部である平面部71a,72aが育成材90の上部よりも僅かに高くなるように育成材90を充填し,その後に,ユニット材80として板材81や芝材82等を(【】) 上部から載置するだけで植物栽培コンテナ1が完成する構成0048を示している。
図19から図24までは第5実施形態例の植物栽培コンテナ1に様々なユニット材を載置する場合を,図25から図28までは第5実施形態例の使用例( 0057 )を,図29は,ユニット材の第4変形例を( 00 【】 【62 )それぞれ示すものである。 】図30から図32までは,第5実施形態例の植物栽培コンテナ1を複数敷設し,植物栽培コンテナ群1aを形成する場合を示すものであり,複数連設した植物栽培コンテナ1内には必要に応じて各々育成材90を充填し,ユニット支持部7で支持するようにユニット材80を載置している( 0065 【0066。 【】】)( )上記( )によれば,本件原明細書には,屋上,ベランダ等における緑化対32,, 策のための植物栽培コンテナに関する技術分野においては 従来技術として植木などをプランターによってユニット化し,様々なレイアウトを実現可能にしたシステムプランターが開示されていたが,配置換えやユニット交換の時にプランター全体を移動しなければならず,多大な労力及び費用を要するという問題があり,また,かかるプランターを住宅の狭いベランダ等で使用する場合,人間等が移動可能な範囲がより狭くなってしまい,ベランダ等を有効利用できなくなってしまうという問題もあって,植物等の配置換えや交換を容易にすると共に,植物等の上を人間等が歩行可能にし,狭い空間を有効利用可能にするという課題があったこと(乙1公報【0001 【000 】4 【0008】ないし【0010,本件原出願発明は,かかる課題を解 】 】)決するための手段として,植物栽培コンテナ内にユニット支持部を設け,その上端で区画された上部にユニット載置空間を形成すると共に下部に育成材充填空間を形成し,同空間に育成材を充填し,ユニット支持部上にユニット材を載置するとされたこと( 0011】ないし【0015,この発明の 【 】)効果として,植物栽培コンテナ本体内の上部空間をユニット載置空間とし,下部を育成材充填空間として形成することで,上部に載置されているユニット材を取り除いて新しいユニット材を載置するだけで容易にユニット材の配置換えや交換をすることが可能となると共に,ユニット載置空間内に載置されるユニット材を支持するユニット支持部を,コンテナと別体又は一体形成することで,ユニット材上部を人等が歩行する際に上からの圧力を植物栽培コンテナ本体全体で受けることができるため,植物等の上を人間等が歩行できるようにし,狭い空間を有効利用することができること( 0016】な 【いし【0019 )が記載されている。また,本件原明細書には,ユニット 】支持部を複数の柱状部材とし,これらを不規則に立設して配置する構成も記載されているものの,これらの柱状部材は 【0012】に記載されたユニ ,ット支持部であることが明記されている( 0013。そして,図1ない 【】)し32に記載されたいずれの実施例にもユニット支持部とユニット材が設けられた状態が示され,柱状部材もユニット支持部として設けられており,ユニット支持部とユニット材を欠いた構成の植物栽培コンテナは全く開示されていない。
したがって,本件原明細書及びこれに添付された図面に記載されている発明は,ユニット支持部の上端によって区画されたユニット材載置空間と育成材充填空間を設けると共に,当該ユニット支持部上に,ユニット材が載置さ, , れる構成の植物栽培コンテナであり ユニット支持部の形態が側面柱状部材底板柱状部材である場合も含むものの,ユニット支持部上にユニット材を載置することを必須の構成とするものであり,これにより「配置換えや交換が容易である」と共に「植物等の上を人間等が歩行可能」にするとの効果を奏するものである。このように,本件原明細書には,底板,側壁,側面柱状部材,底板柱状部材を有するものの,ユニット支持部上にユニット材を載置することがない植物栽培コンテナは,一切記載されておらず,本件原明細書の上記内容からすれば,その示唆もないというべきである。
( )これに対し,本件発明1及びこれを構成に含む本件発明2は,ユニット 4支持部の上にユニット材を載置しない植物栽培コンテナをも包含するものであるから,いずれも,本件原出願の願書に最初に添付した本件原明細書若しくは図面に記載した事項又は同明細書等に記載した事項から自明な事項の範囲外の発明を含むものであり,本件分割出願は特許法44条1項の分割要件を充たしているとは認められない。よって,本件分割出願は,不適法なものであり,出願日の遡及は認められず,本件特許の出願日は,現実の出願日である平成17年11月14日となる(前提となる事実等 。)そして,本件原出願が既に平成16年9月16日に公開されており,その公開特許公報において 「少なくとも底板と外周壁を有し,上面が開口した ,植物栽培コンテナ」で「底板から側板に沿って柱状に立設する側面ユニット支持部(柱状部材)と,底板から柱状に立設する底面ユニット支持部(柱状部材 とを設けることを特徴とする 植物栽培コンテナが開示されている 乙 ) 」 (1公報【0065 【0066 :図30〜32)のであるから,本件発明 】】はいずれも新規性を欠くものであり,特許法29条1項3号の規定する発明に該当する。
以上によれば,本件特許は,請求項1及び6について,いずれも特許法29条1項の規定に違反して特許されたものであるから,同法123条1項2号の規定に基づき,特許無効審判により無効にされるべきものである。したがって,原告は,同法104条の3第1項の規定により,被告に対し,本件特許権に基づく権利行使をすることはできない。
第4結論よって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。
追加
別紙物件目録被告物件は,別紙図面所載のとおり,下記構成要件からなる植物栽培用のパネルである。
aパネル本体1は発泡ポリスチレン等の発泡性合成樹脂で一体成形されてなる平面視略正方形状の板状体(外形寸法は約1m×1m)で,四側辺中,隣接する二側辺のイとロには上向き係合突辺2が本体より外方に突設されてなり,該二側辺イとロに対向する二側辺ハとニには該係合突辺2が係入する係合溝3が下向きに凹設されてなり,しかも底プレート面4には平面視十字状の隆起部14が突設してなり,b前記パネル本体1の外周縁を除く内側には底プレート面4が隆起した平面視四隅が略C字状に切り欠かれた十字型のブロック状の嵩上げ部5が3×3=9個等間隔に突設してなり,且つ該嵩上げ部5の上面には格子状の溝6が形成されてなる,c前記パネル本体1の外周縁には底プレート面4よりやや隆起せしめた外周縁部7が形成され,且つパネル本体1の四側辺イ,ロ,ハ,ニには前記嵩上げ部5を半截した半截嵩上げ部8が3個等間隔に前記外周縁部7上に当接用の半截面10が一体成形により隆起してなり,しかもパネル本体1の四コーナー部には該半截嵩上げ部8を半截した平面視略矢印状のコーナー嵩上げ部9が夫々隆起してなる,d植物栽培用のパネルである。
方法目録被告が実施する被告製品を使用したパレットシステムは植栽設備の施工方法であって,別紙図面及び写真に示すとおり,下記方法からなるものである。
敷設面にパネル固定テープ11を設置し,その後被告物件(製品)目録記載のパネル本体1の係合突辺2と,他のパネル本体1の係合溝3とを係合して両パネル本体1,1を連結すると,連結状態の平面図のように連結辺間が当接して両パネル本,,,,体11の各半截嵩上げ部88の半截面1010同士及びコーナー嵩上げ部99同士が当接して一体接合して嵩上げ部5及び8として完成されることとなる。このようにして,多数のパネルを連結した後,土留めパネル12を前記パネルの外周縁から所定の空間部13を残して設置し,該空間部には排水促進剤を充填する。その後,前記パネル本体1の底プレート面4上にパーライトや土壌等の植物育成材を敷設し,その後対面する嵩上げ部5,5の略C字状の空間内にポットに植物を植生したポット苗(根鉢)を適宜前記育成材内に埋設せしめて植物を植え付け,最後にマルチング材を表面に敷くことによって屋上緑化システムとしての施工が完了するものである。
裁判長裁判官 設樂隆一
裁判官 中島基至
裁判官 関根澄子