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事件 平成 17年 (行ケ) 10616号 審決取消請求事件
原告 セルガード・インコーポレーテッド
訴訟代理人弁理士 奥山尚一
同有原幸一
同松島鉄男
同河村英文
被告 特許庁長官中嶋 誠
指定代理人 綿谷晶廣
同吉水純子
同唐木以知良
同小林和男
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2006/07/31
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
請求
特許庁が訂正2004-39202号事件について平成17年3月29日にした審決を取り消す。
事案の概要
原告は,後記特許の特許権者であるところ,東燃化学株式会社からの特許異議の申立てに基づき特許庁が特許取消決定をしたので,その取消訴訟を提起するとともに,特許庁に対し訂正審判請求をした。しかるに,特許庁が,請求不成立の審決をしたため,原告が同審決の取消しを求めた事案である。
なお,前記特許取消決定の取消しを求める訴訟は,平成17年(行ケ)第10070号事件(旧表示 東京高裁(行ケ)第235号)として当庁に係属中であり,本件訴訟と並行して審理が進められている。
当事者の主張
1 請求原因(1) 特許庁における手続の経緯原告は,名称を「電池用セパレータおよびその製造方法」とする発明につき,平成4年1月17日(パリ条約による優先権主張平成3年12月20日,米国)に特許出願をし,平成13年9月28日に特許第3235669号として設定登録を受けた(請求項の数は25。甲2〔特許公報〕。以下「本件特許」という。)。
その後本件特許の請求項1〜8,10〜13,18〜21に係る特許について東燃化学株式会社から特許異議の申立てがなされ,同事件は異議2002-71408号事件として特許庁に係属した。そして同庁は,平成16年1月8日,「特許第3235669号の請求項1ないし8,10ないし13,18ないし21に係る特許を取り消す。」旨の決定をした。そこで原告は,平成16年5月26日,同決定の取消しを求める訴訟を提起した(東京高裁平成16年(行ケ)第235号。その後当庁に回付されて平成17年(行ケ)第10070号)。
同訴訟係属中の平成16年8月24日,原告は本件特許につき訂正審判請求(以下「本件訂正審判請求」という。)を行い,同請求は訂正2004-39202号事件として特許庁に係属した。同庁は,同事件について審理した上,平成17年3月29日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は平成17年4月8日原告に送達された。
(2) 本件訂正審判請求の内容原告のなした本件訂正審判請求の内容は,特許請求の範囲減縮等を目的として,本件特許の登録時の特許請求の範囲の請求項1〜25(その内容は別紙1のとおり。以下「旧請求項」という。)のうち,旧請求項3,4,12,13,17,21,25を削除し,残りの旧請求項1,2,5〜11,14〜16,18〜20,22〜24を別紙2記載の請求項1〜18(以下「新請求項」ということがある。)に訂正しようとするものである。
訂正後の新請求項1〜18のうち,請求項1,4の内容は,それぞれ,下記のとおりである(下線部は訂正部分)。
記【新請求項1】「a) 予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;b) 予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物は超高分子量ポリエチレンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合し,かつ引き伸ばされ,その長さおよび幅寸法を維持することができる引き伸ばされた単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,電池用セパレータ。」(以下「本件訂正発明1」という。)【新請求項4】「a) 不活性な第一ポリマーと,加工温度の該第一ポリマーに対して混和性を示す第一抽出可能材料と,から成る第一ポリマー組成物を生じさせ;b) 不活性な第二ポリマーと,加工温度の該第二ポリマーに対して混和性を示す第二抽出可能材料と,から成る第二ポリマー組成物を生じさせ;上記第一および第二抽出可能材料は共通の溶媒に混和性を示し;c) 該第一ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と,該第二ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と,を有する初期のシート状製品を生じさせ;d) 該初期シート状製品を該共通溶媒に接触させることで,そこから該第一および第二抽出可能材料を本質的に除去し;そしてe) 該初期シート状製品を引き伸ばし;f)1) 予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;2) 予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;該不活性な第二ポリマーが超高分子量ポリエチレンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して,その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,最終的シート状製品を回収する,ことから成る微孔性多層シート状製品の製造方法。」(以下「本件訂正発明4」という。)(3) 審決の内容ア 審決の内容は,別添審決写しのとおりである。
その理由の要点は,新請求項1〜18に記載された発明のうち,本件訂正発明1及び本件訂正発明4は,本件特許の出願前に頒布された下記刊行物1,2又は刊行物1〜3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,独立して特許を受けることができない,等としたものである。
記刊行物1:特開平2-77108号公報(甲3)(これに記載された発明を以下「刊行物1記載発明」という。)刊行物2:特開昭62-10857号公報(甲4)(これに記載された発明を以下「刊行物2記載発明」という。)刊行物3:特開平2-129238号公報(甲5)イ 審決は,刊行物1を主引例とする論理付けにおいて,本件訂正発明1と刊行物1記載発明との一致点及び相違点を,次のとおり認定した。
(ア) 一致点「a) 予め決められた長さおよび幅そして0.0002〜0.0042cmの厚さを有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の1つの第一層;b) 予め決められた長さおよび幅そして0.0004〜0.0056cmの厚さを有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の1つの第二層;から成る2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物はポリオレフィンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合し,かつ引き伸ばされ,その長さおよび幅寸法を維持することができる引き伸ばされた単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,所定の数値範囲の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,電池用セパレータ。」である点。また,変換温度の数値範囲で重複する。
(イ) 相違点(1)第二ポリマー組成物のポリオレフィンが,本件訂正発明1においては,「超高分子量ポリエチレン」であるのに対し,刊行物1記載発明においては,「超高分子量ポリエチレン」であることが規定されていない点。
(ウ) 相違点(2)本件訂正発明1においては,「微孔性シートの形態の第一層」と「微孔性シートの形態の第二層」が,どちらも,シートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有するのに対し,刊行物1記載発明においては,各層の空孔率と平均孔サイズが明りょうでなく,全層の平均空孔率が50%から85%,全層の平均空孔径が0.01μmから5μmである点。
ウ また,審決は,刊行物2を主引例とする論理付けにおいて,本件訂正発明1と刊行物2記載発明との一致点及び相違点を,それぞれ次のとおり認定した。
(ア) 一致点「a) 予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜5ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;b) 予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも25容積%を占めるところの,直径が0.005〜5ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シートの形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物は超高分子量ポリオレフィンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して,その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,電池用セパレータ。」である点。
(イ) 相違点(1)第二ポリマー組成物の超高分子量ポリオレフィンが,本件訂正発明1においては,「超高分子量ポリエチレン」であるのに対し,刊行物2記載発明においては,「超高分子量ポリエチレン」であることが規定されていない点。
(ウ) 相違点(2)本件訂正発明1においては,第一及び第二層は,引き伸ばされ,シート状製品も引き伸ばされたものであるのに対し,刊行物2記載発明においては,そのような引き伸ばしについて規定されていない点。
(エ) 相違点(3)第二層の微孔性シートが,本件訂正発明1においては,「本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る」のに対し,刊行物2記載発明においては,「本質的に充填されていないポリマー組成物から成る」ことが規定されていない点。
(4) 審決の取消事由しかしながら,新請求項1,4に係る発明(本件訂正発明1,4)は,特許法29条2項により特許出願の際独立して特許を受けることができないものではないから,審決は,違法として取消しを免れない。
ア 取消事由1(刊行物1を主引例とする論理付けのうち,相違点(1)に係る容易想到性の判断の誤り)審決は,刊行物1を主引例とする論理付けのうち,本件訂正発明1に関する相違点(1)に係る容易想到性の判断において,刊行物1記載の電池用セパレータの発明において,第二ポリマー組成物の「ポリオレフィン」を,周知ないし刊行物2に記載の「超高分子量ポリエチレン」とすることは,当業者が容易に想到し得たことであると判断した(審決12頁下第3段落〜16頁下第2段落)。
しかし,審決の上記判断は,以下のとおり誤りである。
(ア)(取消事由1-1)審決は,超高分子量ポリエチレンが電池用セパレータの材料として周知であることは,下記の文献に示されているとした。
記甲6公報:特開昭63-273651号公報甲7公報:特開昭60-255107号公報甲8公報:特開昭60-242035号公報甲9公報:特開平2-251545号公報甲10公報:特開平3-105851号公報しかし,甲6〜10公報は,いずれも,単層のセパレータに関するものである。単層のセパレータは,本件訂正発明1のような二層(多層)のセパレータとは互換性のない,別個の技術である。その理由は次の@Aのとおりである。
@ 単層のセパレータでは単層を構成するポリマー組成物自体が強度とシャットダウンとの間の適切なバランスを有することが必要であるのに対し,多層のセパレータでは,一のポリマー組成物が強度とシャットダウンとの適切なバランスを有するものではなく,一のポリマー組成物から成る層を別のポリマー組成物から成る層と接合しないと適切なバランスは得られない。
A 単層のセパレータを作るときには押出法が用いられ,この場合,ただ1つのポリマー組成物を溶融し,フィルムに押し出し,次いで微細孔性にすればよい。これは,ただ1つの温度と,ただ1組の流動学的性質に着目することでよいことを意味する。これに対して,二層のセパレータを作るときにも押出法が用いられるが,この場合2つのポリマー組成物を溶融し,押し出し,次いで微細孔性フィルムにする必要がある。これは,少なくとも2つの温度と,少なくとも2組の流動学的性質とを考慮し,それらのバランスを保って,薄肉プラスチックフィルムを作らなければならないことを意味する。
したがって,単層セパレータに関する甲6〜10公報は,本件訂正発明1に係る二層セパレータとは無関係の技術であり,甲6〜10公報に超高分子量ポリエチレンが記載されているからといって,二層セパレータの第二層に超高分子量ポリエチレンを採用することが容易であるとはいえない。
(イ)(取消事由1-2)審決は,第二層のセパレータの材料を超高分子量ポリエチレンとすることは,刊行物2に記載されていると認定した。しかし,審決の当該認定は,刊行物2記載の技術では充填剤の使用が必要であることを看過したものであって,誤りである。
刊行物2に記載された超高分子量ポリエチレンは,充填剤を含有することが必須の要件であり,刊行物2には,充填剤を不要とする示唆は全く見いだせない。刊行物2において,特許出願人である W.R.Grace社(ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー)は,高充填の第二層を有するセパレータを発案したのであるが,同社は,非充填の超高分子量ポリエチレンを使用するセパレータを製造できるとは信じていなかった。これらの W.R.Grace 社の見解は,当時同社の技術者であったA 博士の宣誓書(甲11-1。その日本語訳が甲11-2。以下「A宣誓書」という。)に示されているとおりであり,これが当業者の認識でもあった。
これに対し,本件訂正発明1の超高分子量ポリエチレンから成る第二ポリマー組成物は,「本質的に充填されていない」ものである。
したがって,刊行物1記載発明の第二ポリマー組成物のポリオレフィンとして,刊行物2に記載された超高分子量ポリエチレンを採用しても,刊行物2の超高分子量ポリエチレンは高充填のものであるから,本件訂正発明1の,本質的に充填されていない超高分子量ポリエチレンから成る第二ポリマー組成物,という構成を得ることはできない。
(ウ)(取消事由1-3)審決の相違点(1)についての判断は,本件訂正発明1の構成が奏する顕著な効果を無視している点においても,誤りである。
すなわち,本件訂正発明1は,第二層として非充填の超高分子量ポリエチレンを使用することにより,セパレータが,より高い耐穿孔性,寸法安定性を得ることができるという顕著な効果を奏するものである。このことは,原告の技術者である B 博士の宣誓書(甲12-1。その日本語訳が甲12-2。以下「B宣誓書」という。)に示されているとおりである。
イ 取消事由2(刊行物2を主引例とする論理付けのうち,相違点(3)に係る容易想到性の判断の誤り)審決は,刊行物2を主引例とする論理付けにおいて,本件訂正発明1に刊行物2の発明に関する相違点(3)に係る容易想到性を判断するに当たり,「おける重合体組成物は,……充填剤を含有することが必須であるとは云えない」(20頁最終段落) 「刊行物1,3に記載される電池用セパレータの第一層及び第二層をこと,構成するポリマー組成物は,どちらも充填剤を含まないものである」(20頁最終段落〜21頁第1段落) 「そもそも重合体組成物における充填剤は,増量してコストの低こと,下を図るなどの目的で必要に応じて適宜含有されるものであり,………繊維以外の充填こ剤は,………機械的強度等の性能を劣化させることも周知である」(21頁第2段落)「刊行物2記載の電池用セパレータの発明において,第二層の微孔性と等を理由に,シートを構成する第二ポリマー組成物を,本質的に充填されていないものとすることは,刊行物1,3の記載や周知事項に基づき当業者が容易に想到し得たものと云うべきとした。
である」(21頁第4段落)しかし,刊行物2の,実施例及び最終製品の詳細な説明及び好ましい一般的な第二層組成を含む開示全体を見ると,各説明の中で充填剤が必須であることが了解される。各説明の中で,充填剤が選択的であるとの示唆は記載されていない。すなわち,この部分の記載は,まさに充填剤を必須の前提とした上で,さらに好ましくはそれを大量に含んでいてもよい記述となっている。
このように,充填剤を不要とする示唆は刊行物2に全く存在しない。充填剤を不要とする変更をするためには,刊行物2記載の技術を根本的に変質させなければならないが,刊行物2には,そのような示唆は全くない。
そのような示唆はどこから来るかといえば,それは本件特許明細書(甲2,13)にほかならず,審決の判断は,本件特許明細書の記載によって刊行物2を解釈した,いわば後知恵によるものであり,誤りである。
ウ 本件訂正発明1の進歩性を否定した審決の判断は上記ア,イのとおり誤りであるから,本件訂正発明4の進歩性を否定した審決の判断も同様に誤りである。
2 請求原因に対する認否請求原因(1)(2)(3)の各事実は認める。同(4)は争う。
3 被告の反論(1) 取消事由1に対しア 取消事由1-1につき原告は,審決が超高分子量ポリエチレンをセパレータの材料として採用することは周知であるとし,その例として甲6〜10公報を挙げたことについて,甲6〜10公報はいずれも単層セパレータに関するものであり,二層セパレータである刊行物1記載発明には適用できないと主張する。
しかし,審決の判断においては,刊行物1記載の電池用セパレータの発明において,第二ポリマー組成物のポリオレフィンを,ポリマー材料として,ポリマーの技術分野だけでなく,電池用セパレータの技術分野においても周知の,ごくありふれた「超高分子量ポリエチレン」とすることは,当業者が容易に想到し得たことであると判断しているにすぎない。それ故,周知の超高分子量ポリエチレンが用いられたセパレータが単層であるか否かは,審決の論旨と直接の関係がない事項というべきである。
また,刊行物1記載発明における二層セパレータの形状保持機能層としての第二層と,甲6〜10公報に記載された単層セパレータとは,形状保持性を具備する点で共通するから,それらの材料も共通し,互換性があると考えるのが普通である。それゆえ,原告の,二層セパレータと単層のセパレータとは互換性がない旨の主張や,甲6〜10公報は,本件訂正発明1に係る二層セパレータとは無関係の技術であるという主張は,妥当なものではない。
イ 取消事由1-2につき原告は,刊行物2に記載された発明では,第二層に採用された超高分子量ポリエチレンは高充填のものであることが必須の要件であると主張する。
しかし,刊行物2には,第二層を構成する第二ポリマー組成物が充填剤を含有する旨が記載されているが,これらはあくまで好ましい態様として記載されているにすぎず,充填剤は,含有しても含有しなくてもよい選択的な成分であることは明らかである。また,超高分子量ポリエチレンのような高温でも粘度の高いポリマーを選択すれば,充填剤を含有しなくても,刊行物2記載発明の第2層が形状保持機能(寸法安定機能)を果たすことは明らかである。
よって,刊行物2記載発明では第二層が充填剤を本質的に含まなければならない,ということはできない。
ウ 取消事由1-3につき原告は,本件訂正発明1において第二層に非充填の超高分子量ポリエチレンを採用したことは,耐穿孔性及び寸法安定性という顕著な効果を奏すると主張する。
しかし,原告の主張する効果は,本件訂正明細書(甲13)に全く記載されていないから,原告の主張は,本件訂正明細書の記載に基づくものではない。
また,超高分子量ポリエチレンが耐衝撃性及び機械的強度等に優れていることは周知のことであるし,通常の充填剤はそれが加えられたプラスチックの機械的強度を劣化させることも周知のことであるから,非充填の超高分子量ポリエチレンを使用した本件訂正発明1のセパレータが耐穿孔性及び寸法安定性に優れるという原告主張の効果は,非充填の超高分子量ポリエチレンを採用したことにより当然に得られる効果であるか,又は,上記の周知事項に基づき,当業者が容易に予測し得る範囲のものにすぎない。
(2) 取消事由2に対し原告の主張は,刊行物2に記載された発明では,第二層に採用された超高分子量ポリエチレンは高充填のものであることが必須の要件であることを前提とするものであるが,かかる前提が誤りであることは,上記(1)イのとおりである。
当裁判所の判断
1 請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(本件訂正審判請求の内容)及び(3)(審決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,以下,審決の当否を原告主張の取消事由ごとに判断する。
2 取消事由1について(1) 取消事由1-1電ア 審決は,本件訂正発明1と刊行物1記載発明との相違点(1)につき,「池用セパレータに超高分子量ポリエチレンを用いることも,本件特許の出願前において周知のことである 例えば,特開昭63-273651号公報,特開昭60-255107号公報,特開(昭60-242035号公報,特開平2-251545号公報,特開平3-105851号公報参照)」(16頁2行〜6行) 「刊行物1記載の電池用セパレータの発明において,第二ポリとした上,マー組成物のポリオレフィンを前記周知乃至刊行物2に記載の『超高分子量ポリエチレン』とすることは,当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。」(16頁22行〜と判断した。
25行)審決のこの判断について,原告は,電池用セパレータに超高分子量ポリエチレンを用いることが周知であることの根拠として審決が挙げた上記各公報(甲6〜10公報)は,いずれも単層セパレータに関するものであり,単層セパレータに関する技術は,本件訂正発明1及び刊行物1記載発明のような二層セパレータに関する技術とは互換性がないから,審決の周知技術の認定には誤りがある,と主張する。
しかし,審決の相違点(1)に係る容易想到性の判断は,「(i-4)相違点(1)についての判断について」の項(15頁下12行〜16頁25行)において詳細になされているのであって,甲6〜10公報の記載から認定される周知技術のみを根拠としたものではない。そこで,以下においては,まず,相違点(1)に係る構成(第二ポリマー組成物のポレオレフィンを超高分子量ポリエチレンとすること)の技術的意義を踏まえて,当該構成の容易想到性についての審決の判断の当否を検討し,次いで,甲6〜10公報に示された周知技術を論理付けに用いたことの当否について検討する。
イ 審決の容易想到性の判断につき(ア) 本件訂正発明1において,その第二ポリマー組成物として超高分子量ポリエチレンを採用したことの技術的意義について,訂正明細書(甲13)には下記の記載がある。
記「【0001】【発明の背景】本主題の発明は,電池におけるセパレータ,特にリチウム電池における過熱および熱暴走の発生を防止するためのセパレータ,として有益なシート状製品を意図したものである。」「【0009】【発明の要約】本発明は,個々に異なる流動特性を有するポリマー状組成物から成る少なくとも1つの第一層および少なくとも1つの第二層から成る多層シート状製品,並びに遮断用電池セパレータとして有益な多層シート状製品を製造するための有効な方法を意図したものである。この方法は,第一および第二ポリマー状組成物を,非孔性を示す多層シートに共押出しすることから成る。この第一および第二組成物は,各々,互いに異なる流動特性を有し,その結果として,多孔性多層シートを生じさせる多孔性を与えるところの,異なるポリマーから成る。」「【0022】本発明のこのシート状製品は,温度に対して異なる流動特性を有する第一および第二ポリマー状組成物を用いている。………この第一層を形成している組成物の粘度は,関係している全ての温度(即ち,おおよそ周囲温度から,この第二ポリマーの溶融温度までの温度)で,該第二層の組成物のそれと同じであるか或はそれ以下であるべきである。この第一および第二ポリマー組成物の両方共,それらが固体状材料であるところの,低および中間温度では,非常に高い粘度を示すと理解される。これらの温度(例えば周囲温度から約70℃)では,両方の固体状組成物は,それらがいかなる著しい流れも生じないように,本質的に同じ(無限値に近づく)粘度を有する。しかしながら,このシート状製品のための用途によって意図された如き,約80℃またはそれ以上の,予め決められたところの,ある上昇した温度で,この第一ポリマー状組成物から製造された層は,流れを示しそして崩壊してその孔に入り得るに充分な程の粘度変化(減少)または関係した弾性変化を示し得る必要がある。この温度は,該第一ポリマー状組成物の変換温度である。この変換温度で,該第二ポリマー組成物は,充分に高い粘度を有し,従ってその弾性エネルギーを維持する必要がある,即ち本質的に流れを示さない必要がある。」「【0024】好適な種類のポリマー類は,それらが接触する他の電池構成要素に関してそれらが不活性であるため,ポリオレフィン類である。この説明の残りの部分は,本シート状材料そしてそれから製造されたセパレータを製造するためポリオレフィン組成物を用いたところの,好適な具体例の組み合わせによって,本発明を説明する。通常は望ましくない長さおよび幅の収縮特性を示すところの,充填されていない微孔性ポリオレフィン組成物から成る少なくとも1つの第一層と共に,より高い粘度プロファイルのポリオレフィン組成物から成る少なくとも1つの第二ポリマーを有する製品を製造したとき,予想外に,低い変換温度を有するが,高い寸法安定性を示しそれを維持する製品が得られることを見い出した。例えば,ポリマー類は,ポリオレフィン類,例えばポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン-ブテン共重合体,エチレン-ヘキセン共重合体,エチレン-メタアクリレート共重合体など,およびそれらの混合物から選択され得る。………好適には該第一ポリマーは,約100,000〜約1,000,000から成る低い重量平均分子量のポリマーであり,そして好適には,該第二ポリマーは,超高(約2,000,000以上)分子量のポリオレフィン(例えばポリエチレン)を含む,より高い重量平均分子量を有するものとする。」「【0026】該第二層を形成している好適なポリマー類は,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン-ブテン共重合体,エチレン-ヘキセン共重合体,エチレン-メタアクリレート共重合体などから選択されるポリオレフィン類である。この第二ポリマーは,該第一ポリマーの変換温度よりも少なくとも10℃高い,好適には少なくとも20℃高い融点を有するように選択される。この第二ポリマー類は,好適には,該第一ポリマーのそれよりも高い重量平均分子量を有し,そして100,000〜2,000,000以上,最も好適には200,000〜5,000,000から選択される。」(イ) 訂正明細書(甲13)の上記段落【0001】【0009】【0022】の各記載によれば,本件訂正発明1の目的は,個々に異なる流動特性を有するポリマー状組成物から成る第一層及び第二層から成る遮断用電池セパレータを提供することにある。そして,その基本的原理は,リチウム電池が熱暴走して温度が上昇すると,第一層の粘度が減少して小孔が塞がれ電気伝導を遮断する(その結果熱暴走の進行が止まる。)が,第二層は高粘度を維持し,第一層を支持するとともにセパレータの形状を保持する,というものであることが認められる。
(ウ) 本件訂正発明1では,かかる目的を達成するため,第二層に用いるポリマーの種類として,ポリオリフィン類の一種である超高分子量ポリエチレンを選択している。この選択の理由について,訂正明細書では,ポリマーとしてポリオレフィン類を使用することが好ましいことの理由については上記段落【0024】の冒頭において述べられているが,ポリオレフィン類の中で更に超高分子量ポリエチレンに特定する理由について「好適には,該第二ポリマーは,超高(約2,000,000は,段落【0024】の末尾に以上)分子量のポリオレフィン(例えばポリエチレン)を含む,より高い重量平均分との記載があるにとどまり,超高分子量ポリエ子量を有するものとする。」チレンが「好適」であるというだけで,それ以上の特段の記載はない。
「第二ポリマー類は,好適には,該第一ポリマかえって,段落【0026】には,ーのそれよりも高い重量平均分子量を有し,そして100,000〜2,000,000以上,最も好と記載されているのであって,適には200,000〜5,000,000から選択される」「最も好適」であるとされている分子量の数値範囲の中に,「超高分子量」(2,000,000以上)ではないものも含まれている。
そうすると,訂正明細書の記載からは,本件訂正発明1が第二層に用いるポリマーとしてポリオレフィン類の中から超高分子量ポリエチレンを選択したこと(この選択こそが,刊行物1との相違点(1)そのものである。)の技術的意義は,明らかではないといわざるを得ない。
(エ) 一方,本件出願の優先日(平成3年12月20日)当時に頒布されていた刊行物の下記記載によれば,本件出願の優先日当時,超高分子量ポリエチレンは加熱してもほとんど軟化溶融せず,溶融しても溶融粘度が極めて高く,汎用のポリエチレンに比べ,耐衝撃性,耐摩耗性,耐薬品性,機械的強度(引張強度等)などに優れていることが,周知の技術的事項であったと認められる。
記「超高分子量ポリエチレン 重量平均分子量が約200万以上の高密度ポリエチレンをいい,……加熱してもほとんど軟化溶融しない……。耐衝撃性はあらゆる熱可塑性プラスチックの中で最高に優れており,耐摩耗性も著しく良い。」(1989年9月10日改訂第3版発行・永井進監修「実用プラスチック用語辞典第三版」〔潟vラスチックス・エージ刊〕(乙1)の412頁「超高分子量ポリエチレン」の項目)「超高分子量ポリエチレンは分子量100万以上で,このような超高分子量になると,物性値も非常に異なってくる。衝撃強度が大になり,低温における衝撃強さがよくなる。耐摩耗性がよい。耐薬品性が向上する。・・・電気特性などの諸特性は低密度,中密度,高密度のポリエチレンと同様。超高分子量ポリエチレンは,溶融粘度が高く,射出成形材料もつくられ,強靱な機械強度が利用され軽量,高強度部品がつくられている。」(1989年5月20日新版第2版発行・桜内雄二郎著「新版 プラスチック材料読本」〔轄H業調査会刊〕(乙2)の133頁21行〜134頁2行)「超高分子量ポリエチレンは汎用のポリエチレンに比べ,耐衝撃性,耐摩耗性,耐薬品性,引張強度等に優れており,エンジニアリングプラスチックとしてその用途が拡がりつつある。しかしながら汎用のポリエチレンに比較して溶融粘度が極めて高く流動性が悪い」(特開昭59-215833号公報(乙3)の1頁下左欄〜下右欄)「超高分子量ポリエチレンは,従来から使用されているいわゆる汎用のポリエチレンに比べ,耐衝撃性,耐摩耗性,耐薬品性,引張り強度等の特性(判決注:「特性性」は誤記)に優れており,エンジニアリングプラスチックとしての用途が拡がりつつある。しかしながら,超高分子量ポリエチレンは,汎用のポリエチレンと比較すると,溶融粘度が極めて高く流動性が低い」(特開平2-30514号公報(乙4)の1頁下右欄〜2頁上左欄)(オ) 上記(イ)のとおり,二層セパレータの第二層に期待される機能は,第一層の粘度が減少する温度でも高粘度を維持し,第一層を支持するとともにセパレータの形状を保持する,というものである。また,上記(ウ)のとおり,訂正明細書の記載によれば,本件訂正発明1が第二層の材料として超高分子量ポリエチレンを選択することの技術的意義は明らかでなく,ポリオレフィンには構造及び分子量の両面で多種多様のものが存在する中で,特段の理由も示されずに「好適」なものとして開示されているにすぎない。
そうすると,二層セパレータの第二層に期待される機能が上記(イ)のとおりであり,超高分子量ポリエチレンがかかる機能に適した物性を有することが上記(エ)のとおり周知であったことに照らせば,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)にとって,第二層に用いるポリオレフィン類の好適なものとして超高分子量ポリエチレンを選択する程度のことは,通常の創作能力の発揮にすぎないというべきである。
(カ) したがって,甲6〜10公報に示される技術事項を論理付けに用いることの当否を問うまでもなく,相違点(1)に係る構成の容易想到性に関する審決の判断に誤りはない。
ウ そして,以下のとおり,審決が,甲6〜10公報に示される技術事項を論理付けに用いたことも,誤りではない。
(ア) セパレータの構造が単層か二層かという違いがあるにせよ,甲6〜10公報によれば,本件出願の優先日(平成3年12月20日)当時,超高分子量ポリエチレンが,電池用セパレータの材料に用いられ得ること自体は周知であり,その薄膜化の方法についても種々の提案がなされている状況にあったことが明らかである。そうすると,ポリオレフィン類の中から超高分子量ポリエチレンを選択することは当業者にとってごく自然なことであることを示すという趣旨で,甲6〜10公報に示される技術事項を論理付けに用いることは,何ら不当なものではない。
(イ) 原告は,単層のセパレータに関する技術と二層のセパレータに関する技術は互換性がないと主張し,その理由として,単層のセパレータを作るときには1種類だけのポリマー組成物を扱うのに対して,二層のセパレータを作るときには2種類のポリマー組成物を同時に扱う必要があり,しかも第二層に超高分子量ポリエチレンを用いるような場合にはその流動性の低さなどに起因して加工が極めて困難になる,等の点を挙げる。
しかし,もし原告が主張するように,二層セパレータの加工は単層セパレータの加工とは異なる技術であり,第二層に超高分子量ポリエチレンを採用した場合には特に加工が困難だというのであれば,訂正明細書(甲13)に,加工の困難性を克服するための手段についての記載がされているのでなければならない。なぜなら,かかる記載を欠くときは,発明の詳細な説明の記載が,当業者が発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものではないとして,特許法(平成6年法第116号による改正前のもの)36条4項違反の問題を生ずことになるからである。しかるに,上記イ(ウ)で述べたとおり,訂正明細書には,単に,超高分子量ポリエチレンが第二層の材料として好適であるとの記載がなされているにとどまり,超高分子量ポリエチレンに特有の加工の方法について何らの記載もない。そして,訂正明細書実施例にも,超高分子量ポリエチレンを第二層の材料として採用したものについての記載はない。
そうすると,訂正明細書(甲13)の記載によれば,二層セパレータの第二層に超高分子量ポリエチレンを採用した場合の加工も,二層セパレータにおいて第二層に通常のポリオレフィン類を採用した場合や,単層セパレータにおいて超高分子量ポリエチレンを採用した場合の加工方法と,特段の相違はないと解するほかない。したがって,加工の困難性を理由とする原告の上記主張も,採用することができない。
(2) 取消事由1-2ア 原告は,刊行物2に記載されたポリオレフィン類は高充填(「充填剤を含有する」との意味で用いる。以下同じ)あることが必須であり,これを本件訂正発明1のように非充填(「本質的に充填剤を含有しない」との意味で用いる。以下同じ)とすることは,当業者が容易に想到し得るものではないと主張する。
しかし,以下に述べるとおり,原告の上記主張は採用することができない。
イ 刊行物2(甲4)には,下記の記載がある(下線はいずれも本判決が付した)。
記@「第2種層(判決注:本件訂正発明1の第二層に相当する。)は最も好ましくは,実質的に全ての可塑剤が除去された高充填ポリオレフインである。通常は,抽出した第2種層は重量百分率7〜35/50〜93/0〜15の重合体/充填剤/可塑剤を有する。」(14頁左上欄)A「第2種シートを形成するのに有用な好ましい組成物は,10乃至20重量パーセントのポリオレフイン,特に,高度の結晶性,好ましくは少なくとも約30,最も好ましくは少なくとも約50パーセントの結晶化度を有する高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン;20乃至40重量パーセントの石油;および45乃至65重量パーセントの炭素または金属酸化物もしくは水酸化物,たとえばケイ素,アルミニウム,カルシウム,マグネシウムおよびチタニウムの酸化物および水酸化物ならびにその混合物から選択した第1種の充填剤よりなる。」(11頁左上欄〜右上欄)B「本件シート製品およびそれから作るセパレータの第2種層を形成するのに有用である重合体組成物は,5乃至30重量パーセントのポリオレフイン,10乃至60重量パーセントのポリオレフイン用可塑剤,および30乃至75重量パーセントの粒状充填剤の実質的に均一な混合物である。各成分の好ましい範囲は,それぞれ10乃至20;20乃至40;および45乃至65である。」(9頁左下欄)C「第2種層は,本明細書中で後に詳細に記述するような重合体を含有する重合体組成物より形成されるものであり,加えて,内部に可塑剤,安定剤,酸化防止剤等を均一に分布させていてもよく,かつ,好ましくは大量の(20重量パーセント以上の)固体の粒状充填剤を含有していてもよい。」(8頁左下欄)D「通常は長さおよび幅の収縮という望ましくない性質を示す非充填微細孔性ポリオレフイン組成物よりなる少なくとも1枚の第1種層を,高粘度特性のポリオレフイン組成物(最も好ましくは充填ポリオレフイン組成物)よりなる少なくとも1枚の第2種層と結合したものを有する製品を形成すると,予期し得なかつたことであるが,高度の安定性を示し,かつ保持しながら低い変成温度を有する製品が得られることが見出だされた。」(9頁右上欄〜左下欄)E「本発明を記述するために本件明細書および特許請求の範囲で用いるある種の用語を明確にする目的で以下に用語を定義する。 …“重合体組成物”の語は,実質的に均一に内部に分布した他の物質,たとえば可塑剤,酸化防止剤,固体粒状充填剤等を含有していてもよい重合体を表わすのに用いる。」(6頁右下欄〜7頁右上欄)ウ 上記イに摘示した刊行物2の各記載においては,「好ましくは」又は「通常は」等の文言から明らかなとおり,第二層の材料となるポリオレフィン組成物を高充填とすることは,推奨される構成として述べられているにとどまる。また,刊行物2には,ポリオレフィン組成物を高充填とすることの積極的な意義について述べた記載はない。
そうすると,刊行物2の記載によれば,刊行物2に記載された発明において,第二層の材料となるポリオレフィン組成物を高充填とすることが必須であるということはできない。
(1989年5月20日新版第2版発行・桜内雄二エ また,充填剤について,乙2文献には,下記の各記載があ郎著「新版 プラスチック材料読本」〔轄H業調査会刊〕)る。
記「充てん材を混合する目的は成形品の強度,外観などの物性を改良する目的として加える場合と,増量してコストの低下をはかる目的で加えられる場合(判決注:「加えら場合れる」とあるのは誤記)とがある。」(270頁末行〜271頁1行)「一般に熱可塑性樹脂は充てん材を加えると(ガラス繊維など繊維質を除いて),性能は劣化する。」(67頁1〜2行)「熱可塑性樹脂は,繊維質以外の充てん材を加えると一般に機械強さが減少するので大量に加えることは望ましくない。」(271頁下2〜1行)上記の各記載からすれば,本件出願の優先日(平成3年12月20日)当時,ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂組成物における充填剤は,コストの低下を図る等の目的で必要に応じて適宜含有されるものであること,及び,充填剤はポリオレフィン等の機械的強度等の性能を劣化させることが,当業者の技術常識であったと認められる。
そうすると,第二層の機能として寸法安定性等も求められる本件訂正発明1において,第二層の材料として超高分子量ポリエチレンを採用するに当たり,充填剤の添加を排除して非充填のものとすることは,むしろ当業者が当然に思いつく構成であるというべきである。
オ この点につき,原告は,A宣誓書(甲11-1,11-2)によれば,刊行物2(甲4)の特許出願人である W.R.Grace 社は,非充填の超高分子量ポリエチレンを使用するセパレータを製造できるとは信じておらず,これが当業者の認識でもあった,と主張する。
しかし,刊行物2は,既に公然と頒布され,社会が共有する技術的資料の一部として特許法上の先行発明や技術水準を立証する証拠方法に利用されるものであるから,その記載内容の解釈は,上記ウのとおり客観的になされるべきである。そして,同宣誓書の内容は,上記エの充填剤についての技術常識からみて妥当なものともいえない。したがって,同宣誓書は,上記ウ,エのとおりの判断を左右するものではない。
カ また,もし原告が主張するように,刊行物2に開示された超高分子量ポリオレフィンは高充填であることが必須であるのに対して,本件訂正発明1の超高分子量ポリエチレンは非充填のものである点において進歩性を有するというのであれば,非充填とすることの技術的意義訂正明細書の記載において明らかにされているのでなければならない。
しかし,訂正明細書(甲13)には,非充填とすることの技術的意義に関「……各々のポリマー組成物は,薄い共押する記載としては,段落【0033】に,出しシート状製品を生じさせるその能力を増強させる目的で,本質的に充填されていなとの抽象的な記載があるにとどまり,当該記載の意味すい組成物である。」るところもまた明確ではないといわざるを得ない。
キ 以上のとおり,刊行物2に開示された超高分子量ポリオレフィンは高充填であることが必須であることを前提とする原告の主張も,採用することができない。
(3) 取消事由1-3原告は,本件訂正発明1は,第二層として非充填の超高分子量ポリエチレンを使用することによって,耐穿孔性及び寸法安定性という顕著な効果を得たものであると主張し,その根拠としてB宣誓書(甲12-1,12-2)を援用する。
しかし,訂正明細書(甲13)には,超高分子量ポリエチレンを使用した実施例の記載はなく,原告の主張する当該効果は,訂正明細書に全く記載されていないものである。原告の主張は明細書の記載に基づかないものであって,採用することができない。
3 取消事由2について原告は,刊行物2に記載された発明では,第二層に採用された超高分子量ポリエチレンは高充填のものであることが必須の要件であると主張するが,かかる主張が採用できないことは,上記2(2)で説示したとおりである。
4結語以上の次第で,原告が取消事由として主張するところは,いずれも理由がない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
(別紙1)旧請求項【請求項1】a)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;b)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第一および第二層の各々は互いに結合して,その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,電池用セパレータ。
【請求項2】該第一ポリマー組成物がエチレン-ブテンまたはエチレン-ヘキセンから選択される共重合体から成る請求項1の製品。
【請求項3】該第二ポリマー組成物がポリエチレンまたはポリプロピレンから選択されるポリマーから成る請求項1の製品。
【請求項4】該第二ポリマー組成物がポリエチレンまたはポリプロピレンから選択されるポリマーから成る請求項2の製品。
【請求項5】各々の第一層および各々の第二層の該孔容積が少なくとも約50パーセントである請求項4の製品。
【請求項6】a)不活性な第一ポリマーと,加工温度の該第一ポリマーに対して混和性を示す第一抽出可能材料と,から成る第一ポリマー組成物を生じさせ;b)不活性な第二ポリマーと,加工温度の該第二ポリマーに対して混和性を示す第二抽出可能材料と,から成る第二ポリマー組成物を生じさせ;上記第一および第二抽出可能材料は共通の溶媒に混和性を示し;c)該第一ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と,該第二ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と,を有する初期のシート状製品を生じさせ;d)該初期シート状製品を該共通溶媒に接触させることで,そこから該第一および第二抽出可能材料を本質的に除去し;そしてe)1)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;2)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第一および第二層の各々は互いに結合して,その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,最終的シート状製品を回収する,ことから成る微孔性多層シート状製品の製造方法
【請求項7】該段階c)が共押出し成型段階である請求項6の方法。
【請求項8】該押出し成型段階で多岐管内部結合用ダイスを用いる請求項7の方法。
【請求項9】該押出し成型段階がブローンフィルムまたはキャストフィルム技術である請求項8の方法。
【請求項10】該不活性第一ポリマーおよび不活性第二ポリマーが各々ポリオレフィンから選択される請求項6の方法。
【請求項11】該不活性第一ポリマーが低密度ポリエチレン,エチレン/ブテンの共重合体,或はエチレン/ヘキセンの共重合体から選択される請求項10の方法。
【請求項12】該不活性第二ポリマーが高密度ポリエチレン,超高分子量ポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される請求項10の方法。
【請求項13】該不活性第二ポリマーが高密度ポリエチレン,超高分子量ポリエチレンまたはポリプロピレンから選択される請求項11の方法。
【請求項14】該抽出可能材料が芳香族ジカルボン酸のC-CアルキルエステルまたはC-Cアルカ3569ニルジカルボン酸のC-Cアルキルエステルから選択される請求項10の方法。
35【請求項15】該抽出可能材料がセバシン酸のC-Cアルキルエステル,フタル酸のC-Cアルキル3535エステル,或はイソフタル酸のC-Cアルキルエステルから選択される請求項14の方法。
35【請求項16】該初期シート状製品がブローンフィルムもしくはキャストフィルム技術の共押出し方法で製造され;該第一不活性ポリマーが低密度ポリエチレン,エチレン/ブテンの共重合体またはエチレン/ヘキセンの共重合体から選択され;該第二不活性ポリマーが高密度ポリエチレン,超高分子量ポリエチレン,ポリプロピレンから選択され;そして該抽出可能材料がフタル酸のC-Cアルキルエステル,イソ35フタル酸のC-Cアルキルエステルまたはセバシン酸のC-Cアルキルエステルから選択される請求3535項6の方法。
【請求項17】該回収段階(e)が,そこに更に,微孔性を与えるための該シート状製品引き伸ばしを含む請求項16の方法。
【請求項18】請求項6の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項19】請求項7の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項20】請求項10の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項21】請求項13の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項22】請求項14の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項23】請求項15の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項24】請求項16の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項25】請求項17の方法に従って製造されたシート状製品。
(別紙2)新請求項(下線部は訂正部分)【請求項1】a)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;b)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する溶媒により抽出可能材料を除去された微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;上記第二ポリマー組成物は超高分子量ポリエチレンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合し,かつ引き伸ばされ,その長さおよび幅寸法を維持することができる引き伸ばされた単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,電池用セパレータ。
【請求項2】該第一ポリマー組成物がエチレン-ブテンまたはエチレン-ヘキセンから選択される共重合体から成る請求項1の製品。
【請求項3】各々の第一層および各々の第二層の該孔容積が少なくとも約50パーセントである請求項の製品。2【請求項4】a)不活性な第一ポリマーと,加工温度の該第一ポリマーに対して混和性を示す第一抽出可能材料と,から成る第一ポリマー組成物を生じさせ;b)不活性な第二ポリマーと,加工温度の該第二ポリマーに対して混和性を示す第二抽出可能材料と,から成る第二ポリマー組成物を生じさせ;上記第一および第二抽出可能材料は共通の溶媒に混和性を示し;c)該第一ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と,該第二ポリマー組成物から成る少なくとも1つの層と,を有す製品を該共通溶媒に接触させることで,そる初期のシート状製品を生じさせ;d)該初期シート状こから該第一および第二抽出可能材料を本質的に除去し;そしてe)該初期シート状製品を引き伸ばし;f)1)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第一ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第一層;2)予め決められた長さおよび幅そして0.025cm未満の厚さを有し,そしてこのシートの少なくとも20容積%を占めるところの,直径が0.005〜50ミクロンから成る平均孔サイズの孔を有する微孔性シート(このシートは,本質的に充填されていない第二ポリマー組成物から成る)の形態の少なくとも1つの第二層;から成る少なくとも2つの層を有し;該不活性な第二ポリマーが超高分子量ポリエチレンから成り;上記第一および第二層の各々は互いに結合して,その長さおよび幅寸法を維持することができる単一シート状製品を与え,そしてこの第一ポリマー組成物および第二ポリマー組成物の粘度は極めて高く,周囲温度から70℃の温度で本質的に同じである一方,80℃〜150℃の変換温度で,上記第一ポリマー組成物は,シート(a)を本質的に非孔性にする流れを表すに充分な程の粘度減少を示すが,上記第二ポリマー組成物は,該変換温度を越える少なくとも10℃に渡ってその超高粘度を維持しているところの,最終的シート状製品を回収する,ことから成る微孔性多層シート状製品の製造方法
【請求項5】該段階c)が共押出し成型段階である請求項4の方法。
【請求項6】該押出し成型段階で多岐管内部結合用ダイスを用いる請求項5の方法。
【請求項7】該押出し成型段階がブローンフィルムまたはキャストフィルム技術である請求項6の方法。
【請求項8】該不活性な第一ポリマーがポリオレフィンから選択される請求項4の方法。
【請求項9】該不活性な第一ポリマーが低密度ポリエチレン,エチレン/ブテンの共重合体,或はエチレン/ヘキセンの共重合体から選択される請求項8の方法。
【請求項10】該抽出可能材料が芳香族ジカルボン酸のC-CアルキルエステルまたはC-356Cアルカニルジカルボン酸のC-Cアルキルエステルから選択される請求項8の方法。
9353535【請求項11】該抽出可能材料がセバシン酸のC-Cアルキルエステル,フタル酸のC-Cアルキルエステル,或はイソフタル酸のC-Cアルキルエステルから選択される請求項10の方35法。
【請求項12】該初期シート状製品がブローンフィルムもしくはキャストフィルム技術の共押出し方法で製造され;該第一不活性ポリマーが低密度ポリエチレン,エチレン/ブテンの共重合体またはエチレン/ヘキセンの共重合体から選択され;そして該抽出可能材料がフタル酸のC-Cア35ルキルエステル,イソフタル酸のC-Cアルキルエステルまたはセバシン酸のC-Cアルキル3535エステルから選択される請求項4の方法。
【請求項13】請求項4の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項14】請求項5の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項15】請求項8の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項16】請求項10の方法に従って製造されたシート状製品。
【請求項17】請求項11の方法に従って製造されたシート状製品。
状製品。【請求項18】請求項12の方法に従って製造されたシート
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 岡本岳
裁判官 上田卓哉