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関連ワード 承継 /  発明者 /  29条の2(拡大された先願の地位) /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  取消決定 / 
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事件 平成 16年 (行ケ) 476号 特許取消決定取消請求事件
原告 ナブテスコ株式会社
訴訟代理人弁理士 辻邦夫
同 辻良子
被告 特許庁長官小川洋
指定代理人 井出隆一
同 一色由美子
同 伊藤三男
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2005/03/29
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が異議2001−71689号事件について平成16年9月7日にした決定を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
請求
主文と同旨
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 名称を「光学的立体造形用樹脂組成物」とする特許第3117394号発明(平成7年10月16日出願,平成12年10月6日設定登録,以下,この特許を「本件特許」という。)に対して,特許異議の申立てがされ,特許庁は,これを異議2001-71689号事件として審理した結果,平成16年9月7日,「特許第3117394号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。」との決定をし,その謄本は,同年9月29日,本件特許出願人であり特許権者であったティーエスコーポレーション(旧商号帝人製機株式会社)に送達された。
原告は,同年10月1日,ティーエスコーポレーションを吸収合併することにより本件特許に係る特許権を承継取得し,同月28日,上記決定の取消しを求める本訴を提起した。その後,原告は,同年12月16日に,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲等の訂正(以下「本件訂正」という。)を求める訂正審判の請求をしたところ,特許庁はこれを訂正2004-39285号事件として審理した上,平成17年2月10日,本件訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月22日,原告に送達された。
2 本件明細書の特許請求の範囲の記載 (1) 本件訂正前のもの 別紙の(1)記載のとおり (2) 本件訂正後のもの 別紙の(2)記載のとおり 3 決定の理由 決定は,本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし5に係る発明(以下「本件発明1〜5」という。)の要旨を本件訂正前の本件明細書の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上,本件発明1〜5は,特願平6-32314号(特開平7-238106号)(以下「先願明細書」という。)に記載された発明と同一であり,しかも,本件発明1〜5に係る発明の発明者と先願明細書に記載された発明の発明者が同一の者であるとも,本件出願時において,本件出願人と先願の出願人が同一の者であるとも認められないから,本件発明1〜5についての特許は,特許法29条の2の規定に違反してされたものであるとした。
原告主張の決定取消事由
本件訂正審決の確定により,決定は,結果として,判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことに帰し,その誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,決定は取り消されるべきである。
被告の主張
本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲が上記第2の2 (2)のとおり訂正されたことは認める。
当裁判所の判断
本件訂正審決の確定により,本件明細書の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,この訂正によって特許請求の範囲減縮されたことは明らかである。
そうすると,決定が本件発明1〜5の要旨を上記第2の2(1)のとおり認定したことは結果的に誤りであったことに帰し,これが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。
よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 古城春実
裁判官 岡本岳