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関連審決 異議2003-70233
関連ワード 優先権 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  取消決定 / 
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事件 平成 17年 (行ケ) 10079号 特許取消決定取消請求事件
原告 三星電子株式会社
訴訟代理人弁理士 小野由己男
同 稲積朋子
被告 特許庁長官小川洋
指定代理人 西野健二
同 長谷川一郎
同 立川功
同 伊藤三男
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2005/04/26
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が異議2003−70233号事件について平成16年3月8日にした決定を取り消す。
2 訴訟費用は各自の負担とする。
事実及び理由
全容
原告は,「1 主文第1項と同旨 2 訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求め,請求の原因として別紙のとおり述べた。
被告は,「1 原告の請求を棄却する。2 訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求め,請求原因事実は認める,と述べた。
前記争いのない事実によれば,原告の本訴請求は理由があるから認容し,訴訟費用については,本訴の経緯にかんがみ,これを各自に負担させるのを相当と認め,主文のとおり判決する。
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(別紙)請求の原因1原告は,発明の名称を「表示装置用基板の積載用カセットおよびこれを用いた静電破壊防止方法」とする特許第3307555号(出願日平成9年2月25日,優先権主張平成8年9月4日・大韓民国,登録日平成14年5月17日,以下,「本件特許」という。)に係る特許権者であり,設定登録時における特許請求の範囲は,別紙1のとおりである。
2その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議2003-70233号事件として特許庁に係属したところ,原告は,平成16年2月12日付けで本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「第1次訂正」という。第1次訂正後の特許請求の範囲は別紙2のとおり)を請求した。特許庁は,上記事件につき審理した結果,平成16年3月8日,「訂正を認める。特許第3307555号の請求項1ないし12に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件取消決定」という。)をし,その謄本は,平成16年3月24日原告に送達された。
3そして原告は,本件取消決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成16年10月15日付けで本件明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正(以下「第2次訂正」という。第2次訂正後の特許請求の範囲は別紙3のとおり)を求める訂正審判の請求をしたところ,特許庁は,同請求を訂正2004-39232号事件として審理した上,平成17年1月25日,訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,その謄本は,平成17年2月4日原告に送達された。
4第2次訂正によって特許請求の範囲減縮されたことは明らかであり,本件訂正審決の確定により,本件取消決定が前提とする発明の要旨の認定は誤りに帰したことになるので,本件取消決定の取消しを求める。
(別紙1)特許請求の範囲(設定登録時のもの)【請求項1】基板を積載するためのスロットが互いに向い合うように形成されているスロット付サイドプレート対と,前記スロット付サイドプレートの上端を支持する上板と,前記スロット付サイドプレートの下端を支持する底板と,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記スロットから積載される前記基板が抜け出ないようにする,前記上板と底板とに支持された一つ以上のストッパーと,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記上板と底板とに支持されたサイドプレートとを含み,前記ストッパーまたは前記基板の挿入側と反対側に設けられた前記サイドプレートのみに,前記スロット付サイドプレート対で挟まれた空間に向かって突出して延長されかつ互いに平行であって,基板の中央部を支持する複数のサポートバーが形成されており,前記底板,ストッパー,サイドプレート及びサポートバーは,導電性材質からなり,前記サポートバーは,前記積載される基板と接触点を有し,前記接触点部分は,サポートバーの主体部分よりも高い表面抵抗率を有する材質で形成されている,表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項2】前記サポートバーが形成された前記ストッパーは,前記底板の中央部に位置している請求項1に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項3】前記スロットを通じて積載された基板が前記スロットを通じて再び抜け出ることを防止するよう前記スロットの基板積載位置より高い位置に位置する複数の突起部を有している抜け出し防止手段と,前記抜け出し防止手段を前記カセットに脱着可能であるように取り付ける取付手段とをさらに含む請求項1または2に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項4】前記取付手段は少なくとも一つ以上のボルトである請求項3に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項5】基板を積載するためのスロットが互いに向い合うように形成されているスロット付サイドプレート対と,前記スロット付サイドプレートの上端を支持する上板と,前記スロット付サイドプレートの下端を支持する,少なくとも一部は金属からなっている第1金属部を含む底板と,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記スロットから積載される前記基板が抜け出ないようにする,前記上板と底板とに支持され,かつ前記底板の第1金属部と連結される第2金属部を有している一つ以上のストッパーとを含み,前記ストッパーには,前記スロット付サイドプレート対で挟まれた空間に向かって突出して延長されかつ互いに平行であって,基板の中央部を支持するサポートバーが形成されており,前記サポートバーは金属製であって前記ストッパーの第2金属部と連結されており,前記サポートバーは前記積載される基板との接触点を有し,前記接触点部分は,サポートバーの主体部分よりも高い表面抵抗率を有する材質で形成されている,表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項6】前記サイドプレートは金属で形成されている第3金属部を含み,前記第3金属部は前記底板の第1金属部と連結されている請求項5に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項7】前記サポートバーは積載された基板との接触点を有し,前記接触点部分は前記サポートバーの他の部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる請求項5または6に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項8】前記接触点付近の材質は,表面抵抗率が1010〜1012オーム/m2の帯電防止用樹脂である請求項7に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項9】前記底板の第1金属部,ストッパーの第2金属部及び前記サポートバーの第3金属部は,アルミニウムからなる請求項5または6に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項10】少なくとも一部は金属性材質からなる基板積載用カセットに基板を積載する段階と,前記基板を前記金属性材質に接触させて静電気を分散させる段階とを含み,前記基板積載用カセットは,基板の中央部を支持するように互いに平行に形成され前記基板が歪まないよう基板を支持する,導電性材質のサポートバーを含み,前記サポートバーは積載される基板との接触点を有し,前記接触点部分は前記サポートバーの主体部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる,表示装置用基板の静電破壊防止方法。
【請求項11】金属性材質からなる金属部を含む基板積載用カセットに基板を積載する段階と,前記カセットの金属部を接地させる段階と,前記基板を前記金属部に接触させて静電気電流を放出する段階とを含み,前記基板積載用カセットは,基板の中央部を支持するように互いに平行に形成され前記基板が歪まないよう基板を支持する,導電性材質のサポートバーを含み,前記サポートバーは積載される基板との接触点を有し,前記接触点部分は前記サポートバーの主体部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる,表示装置用基板の静電気放出方法。
【請求項12】前記接地段階は,前記カセットを接地した運搬機構に搭載する段階と,前記運搬機構と前記カセットの金属部を接触させる段階とを含む請求項11に記載の表示装置用基板の静電気放出方法。
(別紙2)特許請求の範囲(第1次訂正に係るもの。訂正部分を下線で示す。)【請求項1】基板を積載するために前記基板の一部を支持するスロットと,前記スロットが互いに向い合うように形成されているスロット付サイドプレート対と,前記スロット付サイドプレートの上端を支持する上板と,前記スロット付サイドプレートの下端を支持する底板と,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記スロットから積載される前記基板が抜け出ないようにする,前記上板と底板とに支持された一つ以上のストッパーと,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記上板と底板とに支持されたサイドプレートとを含み,前記ストッパーまたは前記基板の挿入側と反対側に設けられた前記サイドプレートのみに,前記スロット付サイドプレート対で挟まれた空間に向かって突出して延長され,かつ前記基板を互いに平行に支持する複数のサポートバーが形成されており,前記底板,ストッパー,サイドプレート及びサポートバーは,導電性材質からなり,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は,前記サポートバーの主体部分よりも高い表面抵抗率を有する材質で形成されている,表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項2】前記サポートバーが形成された前記ストッパーは,前記底板の中央部に位置している請求項1に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項3】前記スロットを通じて積載された基板が前記スロットを通じて再び抜け出ることを防止するよう前記スロットの基板積載位置より高い位置に位置する複数の突起部を有している抜け出し防止手段と,前記抜け出し防止手段を前記カセットに脱着可能であるように取り付ける取付手段とをさらに含む請求項1または2に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項4】前記取付手段は少なくとも一つ以上のボルトである請求項3に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項5】基板を積載するために前記基板の一部を支持するスロットと,前記スロットが互いに向い合うように形成されているスロット付サイドプレート対と,前記スロット付サイドプレートの上端を支持する上板と,前記スロット付サイドプレートの下端を支持する,少なくとも一部は金属からなっている第1金属部を含む底板と,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記スロットから積載される前記基板が抜け出ないようにする,前記上板と底板とに支持され,かつ前記底板の第1金属部と連結される第2金属部を有している一つ以上のストッパーとを含み,前記ストッパーには,前記スロット付サイドプレート対で挟まれた空間に向かって突出して延長され,かつ前記基板を互いに平行に支持するサポートバーが形成されており,前記サポートバーは金属製であって前記ストッパーの第2金属部と連結されており,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は,前記サポートバーの主体部分よりも高い表面抵抗率を有する材質で形成されている,表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項6】前記サイドプレートは金属で形成されている第3金属部を含み,前記第3金属部は前記底板の第1金属部と連結されている請求項5に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項7】前記サポートバーは積載された基板との接触点を有し,前記接触点部分は前記サポートバーの他の部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる請求項5または6に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項8】前記接触点付近の材質は,表面抵抗率が1010〜1012オーム/m2の帯電防止用樹脂である請求項7に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項9】前記底板の第1金属部,ストッパーの第2金属部及び前記サポートバーの第3金属部は,アルミニウムからなる請求項5または6に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項10】少なくとも一部は金属性材質からなる基板積載用カセットに基板を積載する段階と,前記基板を前記金属性材質に電気的に接続させて静電気を分散させる段階とを含み,前記基板積載用カセットは,基板を積載するために前記基板の一部を支持するスロットと,前記基板を互いに平行に支持し,かつ前記基板が歪まないよう基板を支持する,導電性材質のサポートバーとを含み,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は前記サポートバーの主体部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる,表示装置用基板の静電破壊防止方法。
【請求項11】金属性材質からなる金属部を含む基板積載用カセットに基板を積載する段階と,前記カセットの金属部を接地させる段階と,前記基板を前記金属部に電気的に接続させて静電気電流を放出する段階とを含み,前記基板積載用カセットは,基板を積載するために前記基板の一部を支持するスロットと,前記基板を互いに平行に支持し,かつ前記基板が歪まないよう基板を支持する,導電性材質のサポートバーとを含み,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は前記サポートバーの主体部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる,表示装置用基板の静電気放出方法。
【請求項12】前記接地段階は,前記カセットを接地した運搬機構に搭載する段階と,前記運搬機構と前記カセットの金属部を接触させる段階とを含む請求項11に記載の表示装置用基板の静電気放出方法。
(別紙3)特許請求の範囲(第2次訂正に係るもの。訂正部分を下線で示す。なお,2重下線部分は,第1次訂正との相違部分である。)【請求項1】基板を積載するために前記基板のを支持するスロットと,前記スロットが互いに向い合うように形成されているスロット付サイドプレート対と,前記スロット付サイドプレートの上端を支持する上板と,前記スロット付サイドプレートの下端を支持する底板と,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記スロットから積載される前記基板が抜け出ないようにする,前記上板と底板とに支持された一つ以上のストッパーと,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記上板と底板とに支持されたサイドプレートとを含み,前記ストッパーまたは前記基板の挿入側と反対側に設けられた前記サイドプレートのみに,前記スロット付サイドプレート対で挟まれた空間に向かって突出して延長され,かつ前記基板を互いに平行に支持する複数のサポートバーが形成されており,前記底板,ストッパーサイドプレート導電性材質からなり,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は,前記サポートバーの主体部分よりも高い表面抵抗率を有する材質で形成され,表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項2】前記サポートバーが形成された前記ストッパーは,前記底板の中央部に位置している請求項1に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項3】前記スロットを通じて積載された基板が前記スロットを通じて再び抜け出ることを防止するよう前記スロットの基板積載位置より高い位置に位置する複数の突起部を有している抜け出し防止手段と,前記抜け出し防止手段を前記カセットに脱着可能であるように取り付ける取付手段とをさらに含む請求項1または2に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項4】前記取付手段は少なくとも一つ以上のボルトである請求項3に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項5】基板を積載するために前記基板のを支持するスロットと,前記スロットが互いに向い合うように形成されているスロット付サイドプレート対と,前記スロット付サイドプレートの上端を支持する上板と,前記スロット付サイドプレートの下端を支持する,少なくとも一部は金属からなっている第1金属部を含む底板と,前記基板の挿入側と反対側に設けられ,前記スロットから積載される前記基板が抜け出ないようにする,前記上板と底板とに支持され,かつ前記底板の第1金属部と連結される第2金属部を有している一つ以上のストッパーとを含み,前記ストッパーには,前記スロット付サイドプレート対で挟まれた空間に向かって突出して延長され,かつ前記基板を互いに平行に支持するサポートバーが形成されており,前記サポートバーは金属製であって前記ストッパーの第2金属部と連結されており,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は,前記サポートバーの主体部分よりも高い表面抵抗率を有する材質で形成され,表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項6】前記サイドプレートは金属で形成されている第3金属部を含み,前記第3金属部は前記底板の第1金属部と連結されている請求項5に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項7】前記サポートバーは積載された基板との接触点を有し,前記接触点部分は前記サポートバーの他の部分より高い表面抵抗率を有する材質からなる請求項5または6に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項8】前記接触点付近の材質は,表面抵抗率が1010〜1012オーム/m2の帯電防止用樹脂である請求項7に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項9】前記底板の第1金属部,ストッパーの第2金属部及び前記サポートバーの第3金属部は,アルミニウムからなる請求項5または6に記載の表示装置用基板の積載用カセット。
【請求項10】少なくとも一部は金属性材質からなる基板積載用カセットに基板を積載する段階と,前記基板を前記金属性材質に電気的に接続させて静電気を分散させる段階とを含み,前記基板積載用カセットは,基板を積載するために前記基板のを支持するスロットと,前記基板を互いに平行に支持し,かつ前記基板が歪まないよう基板を支持すサポートバーとを含み,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は,前記サポートバーの主体部分より高い表面抵抗率を有する材質,表示装置用基板の静電破壊防止方法。
【請求項11】金属性材質からなる金属部を含む基板積載用カセットに基板を積載する段階と,前記カセットの金属部を接地させる段階と,前記基板を前記金属部に電気的に接続させて静電気電流を放出する段階とを含み,前記基板積載用カセットは,基板を積載するために前記基板のを支持するスロットと,前記基板を互いに平行に支持し,かつ前記基板が歪まないよう基板を支持すサポートバーとを含み,前記サポートバーは,前記スロットによって支持されない基板の中央部と接触点を有し,かつ前記接触点部分において基板を支持し,前記接触点部分は前記サポートバーの主体部分より高い表面抵抗率を有する材質から,表示装置用基板の静電気放出方法。
【請求項12】前記接地段階は,前記カセットを接地した運搬機構に搭載する段階と,前記運搬機構と前記カセットの金属部を接触させる段階とを含む請求項11に記載の表示装置用基板の静電気放出方法。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 大鷹一郎
裁判官 早田尚貴