• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連ワード 技術的思想 /  物の発明 /  新規性 /  秘密保持義務 /  公然実施(29条1項2号) /  進歩性(29条2項) /  同一技術分野(同一の技術分野) /  容易に発明 /  発明特定事項 /  周知技術 /  慣用技術 /  公知技術 /  技術的範囲 /  技術常識 /  発明の詳細な説明 /  優先権 /  国内優先権 /  クレーム /  援用権(援用) /  原出願日 /  優先日 /  参酌 /  技術的意義 /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  構成要件 /  侵害 /  不法行為(民法709条) /  請求の範囲 /  減縮 /  変更 /  要旨変更 /  異議申立 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 18年 (ワ) 28244号 損害賠償請求事件
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2010/03/25
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
請求
被告は,原告に対し,26億円及びこれに対する平成18年12月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,遊技機に関する特許権を有する原告が,被告において回胴式遊技機(いわゆるパチスロ機)「メタル・スラッグ」を製造販売する行為が原告の上記特許権を侵害するものであると主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償として26億円及びこれに対する不法行為の後の日である平成18年12月28日(訴状送達日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 争いのない事実(1) 原告が有する特許権ア 原告は,次の特許権を有する(以下「本件特許権1」といい,その特許請求の範囲の請求項1記載の発明を「本件発明1-1」,請求項3の発明を「本件発明1-3」,請求項10の発明を「本件発明1-10」といい,これらの発明を合わせて「本件発明1」という。また,本件発明1に係る特許を「本件特許1」といい,本件特許1に係る明細書(平成14年6月227日訂正請求による訂正後のもの)を「本件明細書1」という。(別紙特許公報1及び特許決定公報1参照))(甲1ないし3)。
特 許 番 号 第3069092号発明の名称 遊技機出 願 日 平成10年11月25日優 先 日 平成9年12月5日登 録 日 平成12年5月19日【特許請求の範囲】【請求項1】(本件発明1-1)乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定3確率で遊技者に報知する報知手段を備え,前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなることを特徴とする遊技機。
【請求項3】(本件発明1-3)前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【請求項10】(本件発明1-10)前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の遊技機。
イ 原告は,次の特許権を有する(以下「本件特許権2」といい,その特許請求の範囲の請求項1記載の発明を「本件発明2」という。また,本件発明2に係る特許を「本件特許2」といい,本件特許2に係る明細書(平成15年9月4日訂正請求による訂正後のもの)を「本件明細書2」という。
(別紙特許公報2及び特許決定公報2参照))(甲4ないし6)。
特 許 番 号 第3232076号4発明の名称 遊技機出 願 日 平成10年9月14日優 先 日 平成9年11月26日登 録 日 平成13年9月14日【特許請求の範囲】【請求項1】配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする遊技機。
ウ 原告は,次の特許権を有する(以下「本件特許権3」といい,その特許請求の範囲の請求項1記載の発明を「本件発明3」という。また,本件発5明3に係る特許を「本件特許3」といい,本件特許3に係る明細書(平成16年8月18日訂正請求による訂正後のもの)を「本件明細書3」という。(別紙特許公報3及び特許決定公報3参照))(甲7ないし9)。
特 許 番 号 第3417553号発明の名称 遊技機出 願 日 平成10年11月10日優 先 日 平成9年11月19日登 録 日 平成15年4月11日【特許請求の範囲】【請求項1】種々の図柄を可変表示する可変表示装置と,前記図柄を照明する光源と,乱数抽選によって複数の遊技の入賞態様の中から1つの入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,前記可変表示装置の可変表示を停止させる停止手段と,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を報知する報知手段とを備えて構成される遊技機において,前記報知情報は,前記各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在し,前記報知手段は,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様の中から抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,予め定められた複数種類の効果音の中から前記光源の発光態様に応じた効果音を選択し,前記光源の発光態様が前記特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブルと,前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で前記光6源を発光制御する発光制御手段と,前記音選択テーブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手段とを備え,前記停止手段の操作検出時に行われる前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出音によって前記報知情報を報知することを特徴とする遊技機。
(2) 本件発明1ないし3を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下「構成要件1A」などという。)ア 本件発明1-11A 乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,1B 種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置と,1C この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と,1D 前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段とを備えて構成される遊技機において,1E 前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ,1F 前記可変表示停止手段は,遊技者が操作可能な停止ボタンからなり,この停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に停止させるが,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化入賞ライン上に停止できる所定タイミングで操作されないと,前記有効化入賞ライン上に入賞が発生する図柄組み合わせを停止表示させない制御を行い,1G 前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,7前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え,1H 前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなることを特徴とする1I 遊技機。
イ 本件発明1-31Aないし1H 本件発明1-1に同じ。
1J 前記報知手段は,前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段と,前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段と,前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段とから構成されることを特徴とする1I 遊技機。
ウ 本件発明1-101Aないし1H及び1J本件発明1-3に同じ。
1K 前記報知態様選択手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択することを特徴とする1I 遊技機。
エ 本件発明22A 配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対8応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,2B 前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,2C 前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,2D このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,2E 前記報知手段は,2E-1 遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,2E-2 選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,2E-3 前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする2F 遊技機。
オ 本件発明33A 種々の図柄を可変表示する可変表示装置と,3B 前記図柄を照明する光源と,93C 乱数抽選によって複数の遊技の入賞態様の中から1つの入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,3D 前記可変表示装置の可変表示を停止させる停止手段と,3E 前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を報知する報知手段とを備えて構成される遊技機において,3F 前記報知情報は,前記各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在し,3G 前記報知手段は,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様の中から抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,3H 予め定められた複数種類の効果音の中から前記光源の発光態様に応じた効果音を選択し,前記光源の発光態様が前記特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブルと,3I 前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で前記光源を発光制御する発光制御手段と,3J 前記音選択テーブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手段とを備え,3K 前記停止手段の操作検出時に行われる前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出音によって前記報知情報を報知することを特徴とする3L 遊技機。
(3) 被告の行為被告は,平成16年,別紙被告物件説明書記載の構成を有する「メタル・10スラッグ」との名称の回胴式遊技機(パチスロ機)(以下「被告物件」という。)を製造,販売した(別紙被告物件説明書は,平成19年6月29日付け原告準備書面(2)添付の被告物件説明書を基に,誤記の修正を施すとともに,争いのある部分(図面8「デモ抽選テーブル選択テーブル」に関連する記載,並びに,各演出における開始音がどの当選役に対応するものであるかについての記載)については,その記載を削除したものである。また,図面7’については争いのある部分を削除したものであり,図面9’ないし12’は平成19年3月14日付け被告第1準備書面添付のものである。平成20年7月11日付け原告準備書面(11)添付の図面8’については,争いがあるので,被告物件説明書の添付図面としてはこれを用いないこととした。)。
2争点(1) 被告物件が本件発明1の技術的範囲に属するか(争点1)ア 構成要件1Hの充足性イ 構成要件1Gの充足性ウ 構成要件1Kの充足性(2) 被告物件が本件発明2の技術的範囲に属するか(争点2)ア 構成要件2E-1の充足性イ 構成要件2E-3の充足性(3) 被告物件が本件発明3の技術的範囲に属するか(争点3)ア 構成要件3Gの充足性イ 構成要件3Hの充足性ウ 構成要件3I及び3Jの充足性(4) 本件特許1は無効とされるべきものか(争点4)(5) 本件特許2は無効とされるべきものか(争点5)(6) 本件特許3は無効とされるべきものか(争点6)(7) 損害の額(争点7)11
争点に関する当事者の主張
1 争点1(被告物件が本件発明1の技術的範囲に属するか)〔原告の主張〕(1) 構成要件1Hの充足性ア 構成要件1Hは「前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」(以下「共通報知」という。)と,「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」(以下「その後の報知」という。)とからなることを要件としている。
上記構成要件は,後記ウに述べるとおり,共通報知やその後の報知が単独で入賞態様を絞り込む情報を有している必要はなく,それらが入賞態様を予測するための何らかの情報を備え,全体として入賞態様の予測の絞り込みが行われることを意味するものと解される。
そして,後記エに述べるとおり,上記の「報知」の解釈によれば,被告物件におけるすべての遊技状態を前提としても,木箱演出,鉄箱演出1ないし3,消灯演出及び点滅演出は,いずれも構成要件1Hを充足するものである。
また,後記カに述べるとおり,BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1又はRB内部当たり中+ボーナス阻害状態1の遊技状態に限定すれば,木箱演出,鉄箱演出1ないし3及び消灯演出は,入賞態様が順次判明していくものであるから,構成要件1Hを充足することは明らかである。
イ なお,被告は,被告物件の演出は,動画映像と音とが内容的に対応し,両者が一体となって,1個の演出として連続的に変化するものであるから,これらを一体として,1個の演出として評価すべきであると主張する。
しかしながら,連続的に変化するといっても,被告物件の演出が,スタートレバーの操作を契機とする演出,ストップボタンを契機とする演出,全リール停止を契機とする演出からなることについては,当事者間に争い12がない。そして,被告物件のそれぞれの演出は,その契機によって区別することができるのであり,連続的な演出であっても,段階的に区別することが可能である。また,動画と音とが演出上関連しているとしても,動画による視覚上の演出と,音による聴覚上の演出がそれぞれ行われていることに変わりはない。
よって,被告物件の演出が動画映像と音とが一体となって連続的に変化するものであっても,これらは段階的に区別された異なる報知態様による報知からなるものであって,これらを区別して共通報知又はその後の報知の該当性を議論することは可能である。
構成要件1H「報知」の解釈について(ア) 本件明細書1の【0012】や【0266】に記載された効果は,本件発明1全体による効果であり,構成要件1Hのうちの配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知(共通報知)のみによって上述の効果が発生する必要はない。すなわち,本件発明1は,「入賞態様の予測の絞り込み」を,共通報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(その後の報知)とによって実現する発明であって,共通報知やその後の報知が「単独で」入賞態様の予測の絞り込みを行う発明ではない。
もっとも,本件発明1が,遊技の一連の流れの中で入賞態様を予測可能とすることを特徴とする以上,共通報知やその後の報知が単独で「入賞態様を予測するための何らかの情報」を備えていなければならないことはいうまでもない。
以上から,共通報知やその後の報知が単独で入賞態様を予測するための何らかの情報を備えている上で,全体として入賞態様の予測の絞り込みが行われていれば,構成要件1Hを充足するというべきである。
(イ) 被告が主張する解釈iについて13被告は,本件明細書1の【0012】や【0266】に記載された本件発明1の効果から,i内部抽選結果について何らの情報を含まない単なる演出,すなわち,入賞態様の予測の絞り込みに寄与し得る情報を全く含まない演出は,構成要件1Hが定める「報知」には当たらないとし,「すべての入賞態様に共通して出音される開始音」は,内部抽選結果について何らの情報をも含まない演出であって,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」(共通報知)に該当しないと主張する。
しかしながら,前記のとおり,開始音が「入賞態様を予測するための何らかの情報」を備えていれば,当該開始音は「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」に該当するというべきである。そして,すべての入賞態様に共通するものであっても,入賞態様を予測するための情報,すなわち,「すべての内部抽選結果の可能性がある」(いずれの内部抽選結果の可能性も,排除されていない)という情報を有している。
よって,「すべての入賞態様に共通して出音される開始音」であっても,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」(共通報知)に該当する。
(ウ) 被告が主張する解釈iiについて被告は,ii内部抽選結果以外の情報を報知する演出は,構成要件1Hが定める「報知」には当たらないと主張する。
内部抽選結果以外の情報のみを報知する演出は,「報知」に当たらないが,内部抽選結果以外の情報と併せて内部抽選結果の情報を報知する場合には,構成要件1Hの「報知」に当たると解すべきである。
(エ) 被告が主張する解釈iiiについてa 被告は,iii一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する14場合,すなわち,他の演出態様との組合せではなく,当該一つの演出態様のみが内部抽選結果を直接に表示する演出は,構成要件1Hが定める「報知」に該当しないと主張する。
本件発明1は,本件明細書1の【0012】に記載されているように「内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で,その入賞態様に対応した報知情報によって報知される。従って,遊技者は,遊技の進行に伴い報知される報知態様により,入賞態様を予測できる。すなわち,遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが判明して行き,この判明した入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。」ことにその特有の効果を奏する。
このような効果から報知の意味を解釈すると「入賞態様を遊技の一連の流れの中で報知しない場合」は,構成要件1Hに定める報知情報(共通報知とその後の報知とによる報知)に該当しないことは導き出すことができるが,一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する場合が,構成要件1Hに定める報知に該当しないことは導き出すことはできない。すなわち,共通報知で内部抽選結果が判別するのであれば上述の効果を奏しないのであるが,共通報知で入賞を予測するための何らかの情報が含まれており,その後の報知で内部抽選結果が判別できる場合には,上述の効果を奏するし,本件発明1の構成要件において当該場合を除外してはいない。
このように,一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する場合であっても,本件発明1の効果を奏する以上,被告の主張する報知の解釈iiiは誤りであると言わざるを得ない。
b また,被告は,一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する場合,すなわち,他の演出態様との組合せではなく,当該一つの演15出態様のみが内部抽選結果を直接的に表示する演出の場合,遊技者は,端的にその直接に表示する演出の具体的内容に関心があるのであって,遊技の一連の流れの中で内部抽選結果が順次判明していくことによって遊技者が熱くなるという本件発明1に特有の作用効果は奏しないと主張する。
しかしながら,被告の主張は,共通報知によって内部抽選結果を直接的に表示する演出の場合には妥当であるが,その後の報知によって内部抽選結果を直接的に表示する演出の場合には失当である。被告は,あえて,この区別をしないことによって,本件発明1の効果を奏する後者の場合を含めて,「一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する場合・・・本件発明1に特有の作用効果は奏しない」と主張しており,明らかに失当である。
エ すべての遊技状態を前提とした場合の充足性(ア) 木箱演出a 木箱演出においては,スタートレバー操作により,「カシャ+打鐘音+落下音」が発せられ,それと同時に,液晶画面上において木箱が落下する動画映像が表示される。遊技者がストップスイッチの停止操作を行うと,キャラクタが木箱を銃撃することにより木箱が破壊され,破壊された木箱から内部抽選結果である入賞態様を示すシンボルが現れる。
ここで,キャラクタが木箱を破壊するタイミングは,第1停止ないし第3停止の3パターン設けられている。そして,第1停止時に木箱を破壊したときには,配当のない当選役である可能性がある一方で2枚チェリーの可能性がない。同様に第3停止時に木箱を破壊したときには,2枚チェリーである可能性がある。
? スタートレバー操作時16スタートレバーが操作され,「カシャ+打鐘音+落下音」が発せられると,遊技者は配当のない当選役を含むすべての当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる。
? 第1停止時その後,第1停止が行われると,第1停止に伴い木箱が破壊される場合と,第1停止の時点では木箱が破壊されない場合とがある。
そして,第1停止に伴い木箱が破壊される場合,木箱が破壊された瞬間に遊技者は配当のない当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる一方で,2枚チェリーが内部当選している可能性がないことを把握することができる。そして,その後,破壊された木箱から出現するシンボルにより,遊技者は内部抽選の結果が配当のない当選役,4枚チェリー,バナナ,スイカ,又はリプレイであることを把握することができる。
他方,第1停止の時点で木箱が破壊されないと,遊技者は配当のない当選役が内部当選している可能性がないことを把握することができるとともに,2枚チェリーが内部当選している可能性があることを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時には,配当のない当選役を含むすべての当選役が内部当選している可能性があったものが,第1停止に伴う演出により絞り込みがかかっている。
? 第2停止時第1停止時に木箱を破壊していない場合には,第2停止に伴い木箱を破壊する場合と,第2停止に伴い木箱を破壊しない場合(すなわち,第3停止に伴い木箱を破壊する場合)とがある。
そして,第2停止に伴い木箱を破壊する場合,木箱が破壊された瞬間に遊技者は,スタートレバー操作時から第1停止時までに絞り17込まれた当選役(すなわち,配当のない当選役である可能性がない)のうち,2枚チェリーの可能性がないことを把握することができる。そして,その後,破壊された木箱から出現するシンボルにより,遊技者は内部抽選の結果が4枚チェリー,バナナ,スイカ,又はリプレイであることを把握することができる。
他方,第2停止の時点でも木箱が破壊されないと,遊技者は2枚チェリーが内部当選している可能性があることを把握することができる。
すなわち,第2停止時に木箱を破壊するか否かで,2枚チェリーが内部当選しているか否かについて絞り込みがかかっている。
? 第3停止時第1停止時及び第2停止時で木箱を破壊していない場合には,第3停止に伴い木箱を破壊する。
そして,第3停止に伴い木箱を破壊すると,その後,破壊された木箱から出現するシンボルにより,遊技者は内部抽選の結果が2枚チェリー,4枚チェリー,バナナ,スイカ,又はリプレイであることを把握することができる。
すなわち,木箱演出においては,第3停止まで木箱を破壊していない時点で,配当のない当選役である可能性がないことを把握することができるとともに,2枚チェリーである可能性があることを把握することができる。
b 以上のように,木箱演出は,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知(「カシャ+打鐘音+落下音」)と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(リール停止に伴い木箱を破壊する又は破壊しない演出)とからなるものであり,その結果,入賞態様が順次判明していくものである。
18よって,被告物件は構成要件1Hを充足する。
(イ) 鉄箱演出1a 鉄箱演出1においては,スタートレバー操作により,「カシャ+打鐘音+落下音」が発せられ,それと同時に,液晶画面上において鉄箱が落下する動画映像が表示される。遊技者がストップスイッチの停止操作を行うと,キャラクタが鉄箱を銃撃することにより鉄箱が破壊され,破壊された鉄箱から内部抽選結果である入賞態様を示すシンボルが現れる。
なお,鉄箱演出1において,キャラクタが鉄箱を破壊するタイミングは,第1停止である。
? スタートレバー操作時スタートレバーが操作され,「カシャ+打鐘音+落下音」が発せられると,遊技者は配当のない当選役を含むすべての当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる。
? 第1停止時その後,第1停止が行われると,第1停止に伴い鉄箱が破壊される。
そして,鉄箱が破壊された時点で遊技者は配当のない当選役及び2枚チェリーの可能性がないことを把握することができる。そして,その後,破壊された鉄箱から出現するシンボルにより,遊技者は内部抽選の結果が4枚チェリー,バナナ,スイカ,又はリプレイであることを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時には,配当のない当選役を含むすべての当選役が内部当選している可能性があったものが,第1停止に伴う演出により絞り込みがかかっている。
b 以上のように,鉄箱演出1は,配当のある複数の異なる入賞態様に19共通して演出される報知態様による報知(「カシャ+打鐘音+落下音」)と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(鉄箱を破壊する演出)とからなるものであり,その結果,入賞態様が順次判明していくものである。
よって,被告物件は構成要件1Hを充足する。
(ウ) 鉄箱演出2a 鉄箱演出2においては,スタートレバー操作により,「カシャ+気付き音」が発せられる。そして,遊技者がストップスイッチの停止操作を行うと,鉄箱が出現し,その後,キャラクタが鉄箱を銃撃することにより鉄箱が破壊され,破壊された鉄箱から内部抽選結果である入賞態様を示すシンボルが現れる。
なお,鉄箱演出2において,鉄箱が出現するタイミングは第1停止時であり,キャラクタが鉄箱を破壊するタイミングは第2停止時である。
? スタートレバー操作時スタートレバーが操作され,「カシャ+気付き音」が発せられると,遊技者は2枚チェリー以外のすべての当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる。
なお,当選役が2枚チェリーである場合にも,BB内部当たり中等の遊技状態において,当該合成音は出現する。しかしながら,この場合において行われる演出はすべてボーナス放出条件が成就した場合に出現するものである。そのため,当該合成音は,当選役が2枚チェリーであることを報知するものではなく,内部抽選結果以外の情報を報知するものである。
よって,当該開始音は,2枚チェリー以外のすべての当選役が内部当選していることを報知するものである。
20? 第1停止時その後,第1停止が行われると,第1停止に伴い鉄箱が出現する。
開始音が「カシャ+気付き音」であり配当のない当選役である場合には,第1停止に伴い鉄箱が出現しない。そのため,第1停止に伴い鉄箱が出現した時点で,配当のない当選役の可能性がないことを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時には,2枚チェリー以外のすべての当選役が内部当選している可能性があったものが,第1停止に伴う演出により絞り込みがかかっている。
? 第2停止時その後,第2停止が行われると,第2停止に伴い鉄箱が破壊される。
そして,その後,破壊された鉄箱から出現するシンボルにより,遊技者は内部抽選の結果が4枚チェリー,バナナ,スイカ,又はリプレイであることを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時から第1停止により絞り込まれたものが,鉄箱から出現するシンボルによって更に絞り込まれる。
b 以上のように,鉄箱演出2は,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知(「カシャ+気付き音」)と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(鉄箱が出現する演出,鉄箱を破壊する演出)とからなるものであり,その結果,入賞態様が順次判明していくものである。
よって,被告物件は構成要件1Hを充足する。
(エ) 鉄箱演出3a 鉄箱演出3においては,スタートレバー操作により,「カシャ+気付き音」が発せられる。そして,遊技者がストップスイッチの停止操21作を行うと,鉄箱が出現し,その後,キャラクタが鉄箱を銃撃することにより鉄箱が破壊され,破壊された鉄箱から内部抽選結果である入賞態様を示すシンボルが現れる。
なお,鉄箱演出3において,鉄箱が出現するタイミングは第2停止時であり,キャラクタが鉄箱を破壊するタイミングは第3停止時である。
? スタートレバー操作時スタートレバーが操作され,「カシャ+気付き音」が発せられると,遊技者は2枚チェリー以外のすべての当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる。
なお,当選役が2枚チェリーである場合にも,BB内部当たり中等の遊技状態において,当該合成音は出現する。しかしながら,この場合において行われる演出はすべてボーナス放出条件が成就した場合に出現するものである。そのため,当該合成音は,当選役が2枚チェリーであることを報知するものではなく,内部抽選結果以外の情報を報知するものである。
よって,当該開始音は,2枚チェリー以外のすべての当選役が内部当選していることを報知するものである。
? 第2停止時その後,第2停止が行われると,第2停止に伴い鉄箱が出現する。
ここで,開始音が「カシャ+気付き音」であり配当のない当選役である場合には,第2停止に伴い鉄箱が出現しない。そのため,第2停止に伴い鉄箱が出現した時点で,配当のない当選役の可能性がないことを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時には,2枚チェリー以外のすべての当選役が内部当選している可能性があったものが,第2停止に22伴う演出により絞り込みがかかっている。
? 第3停止時その後,第3停止が行われると,第3停止に伴い鉄箱が破壊される。
そして,その後,破壊された鉄箱から出現するシンボルにより,遊技者は内部抽選の結果が4枚チェリー,バナナ,スイカ,又はリプレイであることを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時から第2停止により絞り込まれたものが,鉄箱から出現するシンボルによって更に絞り込まれる。
b 以上のように,「鉄箱演出3」は,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知(「カシャ+気付き音」)と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(鉄箱が出現する演出,鉄箱を破壊する演出)とからなるものであり,その結果,入賞態様が順次判明していくものである。
よって,被告物件は構成要件1Hを充足する。
(オ) 消灯演出a 消灯演出においては,スタートレバー操作により,「カシャ」が発せられる。そして,遊技者がストップスイッチの停止操作に伴いリールランプが1消灯(第1リールのみ消灯),2消灯(第1,第2リールが消灯),3消灯(全リールが消灯する)する。
? スタートレバー操作時スタートレバーが操作され,「カシャ」が発せられると,遊技者は配当のない当選役を含むすべての当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる。
? 第1停止時その後,第1停止が行われると,第1停止に伴い第1リールが消23灯する場合と,第1リールが消灯しない場合とがある。
そして,第1停止に伴い第1リールが消灯する場合には,遊技者は2枚チェリー及び4枚チェリーの可能性がないことを把握することができる。
他方,第1停止に伴い第1リールが消灯しない場合には,遊技者は配当のない当選役を含むすべての当選役が内部当選している可能性があることを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時には,配当のない当選役を含むすべの当選役が内部当選している可能性があったものが,第1リールが消灯することにより絞り込みがかかっている。
? 第2停止時その後,第2停止が行われると,第2停止に伴い第2リールが消灯する場合と,第2リールが消灯しない場合とがある。
そして,第2停止に伴い第2リールが消灯する場合には,遊技者は,第1リールが消灯した時点で可能性がなかった2枚チェリー及び4枚チェリーに加えて,配当のない当選役及びリプレイの可能性がないことを把握することができる。すなわち,バナナ又はスイカが内部当選していることを把握することができる。他方,第2停止に伴い第2リールが消灯しない場合には,遊技者は,第1リールが消灯した時点で可能性がなかった2枚チェリー及び4枚チェリーに加えて,スイカの可能性がないことを把握することができる。すなわち,配当のない当選役,バナナ,又はリプレイが内部当選していることを把握することができる。
したがって,スタートレバー操作時から第1停止時により絞り込まれたものが第2停止によって更に絞り込まれる。
? 第3停止時24その後,第3停止が行われると,第3停止に伴い第3リールが消灯する場合と,第3リールが消灯しない場合とがある。
そして,第3停止に伴い第3リールが消灯する場合には,遊技者は,第1リール及び第2リールが消灯した時点で可能性がなかった配当のない当選役,2枚チェリー,4枚チェリー及びリプレイに加えて,バナナの可能性がないことを把握することができる。すなわち,スイカが内部当選していることを把握することができる。他方,第3停止に伴い第3リールが消灯しない場合には,遊技者は,第1リール及び第2リールが消灯した時点で可能性がなかった配当のない当選役,2枚チェリー,4枚チェリー,及びリプレイに加えて,スイカの可能性がないこと,すなわち,バナナが内部当選していることを把握することができる。
したがって,スタートレバー操作時から第2停止時により絞り込まれたものが第3停止によって更に絞り込まれる。
b 以上のように,消灯演出は,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知(「カシャ」)と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(リールの消灯)とからなるものであり,その結果,入賞態様が順次判明していくものである。
よって,被告物件は構成要件1Hを充足する。
(カ) 点滅演出(0007Hの演出)a 点滅演出においては,スタートレバー操作により,「カシャ+飛行音」が発せられる。そして,遊技者がすべてのストップスイッチの停止操作終了に伴いリールバックランプが放射状に点滅する。
? スタートレバー操作時スタートレバーが操作され,「カシャ+飛行音」が発せられると,スイカ以外の当選役が内部当選している可能性があることを把握す25ることができる。
? 第3停止時その後,第3停止が行われると,第3停止に伴いバックランプが点滅する場合と,バックランプが点滅しない場合とがある。
そして,第3停止に伴いバックランプが点滅した場合には,遊技者は,スイカに加え,バナナ及びリプレイの可能性がないことを把握することができる。すなわち,配当のない当選役,2枚チェリー,又は4枚チェリーが内部当選していることを把握することができる。
他方,第3停止に伴いバックランプが点滅しない場合には,スイカに加え,配当のない当選役,2枚チェリー,及び4枚チェリーの可能性がないこと,すなわち,バナナ又はリプレイが内部当選していることを把握することができる。
すなわち,スタートレバー操作時に絞り込まれたものが,第3停止に伴う点滅演出により更に絞り込まれる。
b 以上のように,「点滅演出」は,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知(「カシャ+飛行音」)と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知(0007H)とからなるものであり,その結果,入賞態様が順次判明していくものである。
よって,被告物件は構成要件1Hを充足する。
オ 遊技状態の区別について(ア) 被告物件においては,一般遊技状態,BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1,BB内部当たり中+ボーナス阻害状態2ないし4,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態2ないし4,BB内部当たり中,RB内部当たり中,BB作動中,RB作動中の各遊技状態があるところ,常に一つの遊技状態のみが単独で26成立し,二つ以上の遊技状態が同時に成立することはあり得ないから,ある遊技状態において本件発明1の各構成要件を充足すれば,他の遊技状態を考慮するまでもなく,被告物件は,本件発明1の技術的範囲に属するということができる。
(イ) すべての遊技状態を前提とした場合には,「2枚チェリー」に内部当選した際に,ボーナス放出条件の成就を報知する演出として,「カシャ+気付き音」又は「カシャ+金属音+打鐘音+落下音+跳躍音」が出音されることがあるのに対して,ボーナス阻害状態1の遊技状態に限定すれば,「2枚チェリー」の内部当選時に,これら開始音が出音されることはなく,「カシャ+気付き音」又は「カシャ+金属音+打鐘音+落下音+跳躍音」は,「2枚チェリー」以外の当選役を報知していることになる。
また,消灯演出について,「スイカ」が内部当選している場合の第1消灯,「配当のない当選役」,「リプレイ」が内部当選している場合の第2消灯,「配当のない当選役」,「バナナ」,「リプレイ」が内部当選している場合の第3消灯が,内部抽選結果以外の情報を報知する演出であるか否かについては当事者間に争いがあるものの,ボーナス阻害状態1の遊技状態を取り出した場合には,このような争いが生じることはない。
(ウ) 被告は,ボーナス阻害状態1の遊技状態において内部当選役の予測が可能であるためには,前提として,当該ボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを遊技者が容易に認識し得ることが必要であると主張する。
しかしながら,構成要件の充足性の判断においては,対象物件の客観的構成を各構成要件に当てはめることで必要にして十分であるから,本件発明1の構成要件ではない「当該ボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを遊技者が容易に認識し得ること」は充足性の判断に関係がない。
27また,被告物件の遊技状態については,客観的構成として,遊技状態はどの時点においてもいずれか一つの状態をとるのであって,同時に二つ以上の遊技状態をとることはあり得ない。そして,充足性の判断は,ある時点において対象物件が各構成要件について充足しているかどうかを判断すれば足り,すべての時点において対象物件が各構成要件を充足しているかどうかを判断することが要求されるものではない。
仮に,当該ボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを遊技者が容易に認識し得ることが充足性の判断に影響するとしても,以下のとおり,被告物件においては,ボーナス阻害状態1の遊技状態であることを遊技者が容易に認識し得るから,被告の主張はこの点においても誤りである。
被告物件の遊技状態は,通常の状態と,違和感のある状態と,派手な状態とに分けることができる。派手な状態とは,BB作動中であり,だれもがその状態であることを認識することができる。普通の状態(ボーナス阻害状態1の遊技状態)は,BB作動中の状態ではなく,かつ,素直な演出(例えば,スイカが内部当選した場合に,画面にスイカが表示される演出)がされる状態であり,遊戯している時間の約8割がこの状態である。違和感のある状態とは,BB作動中でもなく,普通の状態でもない,遊技者が違和感を覚えるような演出(例えば,バナナが内部当選しているのに,画面にスイカが表示される演出)が行われる状態であり,BB内部当たり中+ボーナス阻害状態2ないし4,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態2ないし4がこれに当たる。被告物件においては,普通の状態(ボーナス阻害状態1の遊技状態)から,違和感のある状態を経て,派手な状態に移行するようになっている。
普通の状態(ボーナス阻害状態1の遊技状態)では,表示態様がスイカであり,実際に止められた役がスイカであれば,遊技者は普通と感じ,この状態では7をそろえられないことが分かる。また,違和感のある状28態では,表示態様がスイカであったにもかかわらず,実際に止められた役がバナナであれば,遊技者は違和感を覚え,もうすぐ(0から4ゲーム消化すれば)7をそろえられることが分かる。このように,遊技者は,普通の状態(ボーナス阻害状態1の遊技状態)か,違和感のある状態かを明確に識別することができる。また,普通の状態(ボーナス阻害状態1の遊技状態)は,被告物件において,遊技時間の約8割という大半の時間を占める遊技状態である。
したがって,遊技状態を,ボーナス阻害状態1の遊技状態(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1)に絞った原告の主張は,自然であり妥当である。
カ ボーナス阻害状態1の遊技状態における充足性前記のとおり,すべての入賞態様に共通して出音される開始音であっても,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」(共通報知)に該当すると解すべきであり,少なくとも,木箱演出,鉄箱演出1ないし3及び消灯演出における各開始音は,共通報知に当たる。
そして,前記エのとおり,これら木箱演出,鉄箱演出1ないし3及び消灯演出は,ストップボタンの操作によるリールの停止時に伴う各演出により,入賞態様が順次判明していくものであり,「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」(その後の報知)を具備するものである。
特に,ボーナス阻害状態1の遊技状態において,鉄箱演出2及び3の開始音(カシャ+気付き音)が出音される場合は,2枚チェリーが内部当選していることはなく,当該開始音は,2枚チェリー以外の当選役が内部当選していることを報知するものであり,入賞態様を推測するための有益な情報を報知するものである。
また,消灯演出については,ボーナス阻害状態1の遊技状態に限定した29場合には,第1消灯でスイカ,第2消灯で配当のない当選役及びリプレイ,第3消灯で配当のない当選役,バナナ及びリプレイが当選することはない。
したがって,これら第1消灯,第2消灯及び第3消灯という演出により,入賞態様が順次判明していくことは明らかである。
よって,木箱演出,鉄箱演出1ないし3及び消灯演出は,構成要件1Hを充足する。
(2) 構成要件1Gの充足性ア 構成要件1Gに含まれる「所定確率」とは,入賞態様を報知する演出が一定確率で選択されることを意味すると解釈すべきである。
そして,被告物件は,別紙被告物件説明書の図面9’のデモ抽選テーブルにおいて,入賞態様を報知する演出を抽選値により一定確率で選択しているのであるから,「入賞態様に対応した報知情報を所定確率で報知」しており,構成要件1Gを充足する。
イ 被告は,「所定確率」について,入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とがある構成を意味すると主張する。しかしながら,特許請求の範囲には,そのように限定して解釈すべき記載はない。
ウ 仮に,被告の主張のように「所定確率」は入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とがある構成を意味するものであるとしても,以下のとおり被告物件は構成要件1Gを充足する。
(ア) 構成要件1Gは,「入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する」とされており,構成要件1Gにおける報知は,「入賞態様に対応した報知」であることは明らかである。
(イ) 被告物件における「0007H」の演出は,入賞態様を報知するものではない。すなわち,「0007H」の演出は,「2枚チェリー」,「4枚チェリー」及び「ハズレ」が内部当選した場合に行われうるものであるものの,同演出が行われる場合には,いずれの入賞役もそろわな30いようにリールが制御されるのであるから,同演出は,「2枚チェリー」又は「4枚チェリー」が内部当選したことを報知するものではない。
(ウ) また,報知情報A「035H」・報知情報B「00EH」の演出は,スタートレバー操作時に「カシャ+打鐘音+落下音」が発せられ,その後,第1停止に伴い木箱が破壊され,破壊された木箱から「スイカ」が出現することから,入賞態様「スイカ」を報知するものである。
しかしながら,同演出は,内部当選として「バナナ」が当選している場合にも行われ(ガセ演出),このような場合には,入賞態様「バナナ」を報知するものではない。
(エ) さらに,開始音及び少なくとも1列の可変表示が停止するのに連動して実施される連動演出を伴う場合に「報知情報」に該当し,これらを伴わない場合には「報知情報」に該当しないと解釈される。
そして,被告物件の「相川ナビ演出」では連動演出が行われないことは争いがなく,同演出は「報知情報」に該当しない。
(オ) このように,被告物件では入賞態様を報知しない演出が行われる場合(0007Hの演出,ガセ演出,相川ナビ演出)があり,これらの演出は,所定の抽選値により所定確率で選択されるものである。他方,これら以外の演出は,入賞態様を報知するものであるから,被告物件は,入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とがある構成を有しており,構成要件1Gにおける「所定確率」を充足する。
(3) 構成要件1Kの充足性「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備することについては,後記の争点2の構成要件2E-1に係る主張と同様である。
〔被告の主張〕(1) 構成要件1Hを充足しないことア 被告物件の演出は,動画映像と音とが内容的に対応し,両者が一体とな31って,1個の演出として連続的に変化するものであるから,これらを一体として,1個の演出として評価すべきである。
したがって,被告物件の演出について,動画映像と音とを恣意的に分断し,あるいは,連続的な演出を段階的に区分することはできない。
よって,被告物件は,異なる報知態様の組合せを具備しておらず,構成要件1Hを充足するものではない。
なお,動画映像と音とを分断し,あるいは,連続的な演出を段階的に区分してとらえたとしても,以下のとおり,被告物件は構成要件1Hを充足していない。
構成要件1H「報知」の解釈について本件発明1の技術的思想は,時をずらした異なる種類の報知態様の組合せを具備することによって,遊技の一連の進行の中で,遊技者が,遊技の初心者であっても,段階的に,配当のある内部当選役の入賞を予測していくことができる,というものであって,構成要件1Hの「報知」は,以下の意義を有するものである。
i 内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出,すなわち,入賞態様の予測の絞り込みに寄与し得る情報を全く含まない演出は,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない。
ii 内部抽選結果以外の情報を報知する演出は,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない。
iii 一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する構成,すなわち,他の演出態様との組合せではなく,当該一つの演出態様のみが,内部抽選結果を直接に表示する構成は,構成要件1Hを充足するものではない。
(ア) i及びiiについて構成要件1G及び1Hの文言に照らせば,構成要件1Gの「報知情32報」とは,「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報」であり,構成要件1Hにより,かかる「報知情報」が,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」と「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」との組合せによって構成されることが要求されている。
これら一連の「報知」の意義は統一的に解釈すべきであるから,構成要件1Hが定める「報知」とは,「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した(何らかの)報知情報」,すなわち,「内部抽選結果に対応した(何らかの)報知情報」を含むものと解するよりほかない。
この点,本件明細書1には,二つの報知態様(遊技開始音,リールランプの消灯パターンと点滅パターン)のそれぞれのパターンを組み合せることによって,遊技者が,順次,内部抽選結果を判別し得る構成が開示されている(段落【0012】,【0063】ないし【0070】及び【0120】)。すなわち,遊技者は,最初の報知態様(遊技開始音)によって,内部抽選結果を一定程度判別することができ,次の報知態様(リールランプの消灯パターンと点滅パターン)との組合せによって,内部抽選結果を具体的に判別することができる。かかる明細書の記載を参酌すれば,上記のとおり,構成要件1Hにおける前段の「共通して演出される報知態様による報知」及び後段の「異なる報知態様による報知」のいずれもが,「内部抽選結果に対応した(何らかの)報知情報」を報知するものでなければならないことは明白である。
また,本件明細書1の【0012】の記載「本構成によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で,その入賞態様に対応した報知情報によって遊技者に報知される。従って,遊技者は,遊技の進行に伴い報知される報知態様により,入賞態様を予測できる。
すなわち,遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのよ33うな入賞態様が決定されたかが判明して行き,この判明した入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。」,【0266】の記載「【発明の効果】以上説明したように本発明によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される。従って,演技の面白味が増し,また,リーチ目の出目を判断できない遊技の初心者であっても,遊技の一連の流れの中でこの報知によってある程度入賞態様の予測をすることが可能となる。また,この報知は所定確率で行われるため,報知があった場合にはその喜びも増し,一層面白味を増すことが出来,また,報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる。」及び本件明細書1記載の各実施例から明らかなとおり,本件発明1は,「報知情報」によって,遊技の一連の流れの中で,配当のある入賞態様の予測を絞り込んでいくことに技術的意義があるのである。そして,入賞態様を予測するのは,内部当選役に対応した図柄をリールの所定位置に停止させ,実際にその図柄をそろえ入賞を獲得するためにほかならない。このように,本件発明1の「報知」とは,配当のある入賞態様の予測を絞り込んでいくための報知であって,だからこそ,構成要件1Hは,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様」を具備することを要求しているのである。
したがって,i「内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出,すなわち,入賞態様の予測の絞り込みに寄与し得る情報を全く含まない演出」は,構成要件1Hが定める「報知」に該当しない。また,ii「内部抽選結果以外の情報を報知する演出」も,同様に「報知」に当たらない。
(イ) iiiについて構成要件1Hは,演出態様の組合せにより順次内部抽選結果が判別し34得る構成であることを要求するものであるから,一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する場合には,当該演出態様は,構成要件1Hに定める「報知」には当たらない。
本件発明1の作用効果に照らしても,他の演出態様との組合せではなく,一つの演出態様のみによって,内部当選した内部抽選結果が直接に表示される演出であれば,遊技者は,かかる演出の具体的内容にのみ関心を抱くのであって,内部抽選結果が順次判明していくことによって遊技者が熱くなるという本件発明1の作用効果は奏しない。
また,本件明細書1の【0063】,【0070】及び【0120】に記載された第1の実施形態における「報知態様」は,「遊技開始音」が「1」又は「2」のいずれかであるか,「連動表示態様」が「リールランプ消灯なし」,「リールランプ消灯パターン1」,「リールランプ消灯パターン2」,「リールランプ消灯パターン3」のいずれかであるか,「停止表示態様」が「リールランプ点滅なし」,「リールランプ点滅A」,「リールランプ点滅B」,「リールランプ点滅C」のいずれかであるかであって,これらの「報知態様」は,いずれも単一で「スイカ」,「ベル」,「4枚チェリー」等の内部抽選結果を直接に表示するものではない。
よって,iii一つの演出態様のみによって内部抽選結果が判別する構成,すなわち,他の演出態様との組合せではなく,当該一つの演出態様のみが,内部抽選結果を直接に表示する構成は,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない。
ウ 被告物件には開始音を判別する技術的思想がないこと本件発明1は,時をずらした異なる種類の報知態様の組合せを具備することによって,遊技の一連の進行の中で,遊技者が,遊技の初心者であっても,段階的に,配当のある内部当選役の入賞を予測していくことができ35る,というものである。
したがって,開始音が,遊技の初心者においても判別が容易に可能な程度に異なっていることが必要である。
しかるに,ホールの中では,店内のBGM,パチスロ機のメダル排出時に生じる音,ホールに並ぶ他のパチスロ機から出音される効果音が鳴り響く中,遊技の初心者において,開始音「カシャ」,「カシャ+打鐘音+落下音」,「カシャ+気付き音」,「カシャ+金属音+打鐘音+落下音」をそれぞれ判別することは困難である。この事実は,これら開始音が液晶動画映像に付随した単なる効果音にすぎないこと,被告物件には,初心者を含む遊技者が開始音の種類によって内部当選役の判別をする技術的思想がないことの何よりの証左である。
以上のとおり,被告物件のこれら開始音は,いずれも,初心者を含む遊技者に対し,内部当選役の予測を可能とするものではなく,「報知」に当たるものではない。
エ 各演出について(ア) 木箱演出についてa 木箱演出においては,スタートレバー操作により,遊技開始音である撃鉄音(カシャ)が発せられるとともに,打鐘音(ジャン)と落下音(ヒュー・ドン)との合成音が発せられ,それと同時に,液晶画面上において木箱が落下する動画映像が表示される。遊技者がストップスイッチの停止操作を行うと,銃撃音(ビキューン)が発せられるとともに液晶画面上に現れたキャラクタが木箱を銃撃し,破壊音(バギューン)が発せられるとともに木箱が破壊され,破壊された木箱から内部当選した入賞態様を示す「バナナ」「スイカ」等のシンボルマークが現れる。
b 原告は,木箱演出につき,撃鉄音(カシャ),打鐘音(ジャン)及36び落下音(ヒュー・ドン)の合成音が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとして,同合成音の後に,ストップスイッチ操作によるリールの第1ないし第3停止時に,液晶画面上においてキャラクタが木箱を銃撃し,破壊された木箱からチェリー,バナナ等の各シンボルが現れるという報知がされ,各シンボルが,それぞれ,4枚チェリー,バナナ等の内部抽選結果を報知することをもって,被告物件が構成要件1Hを充足する旨主張する。
しかしながら,撃鉄音(カシャ),打鐘音(ジャン)及び落下音(ヒュー・ドン)の合成音は,「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出されるものである。したがって,かかる合成音は,内部抽選結果のいかんにかかわらず発せられる単なる効果音にすぎず,内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出にすぎないのであるから,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない(i)。
また,木箱演出は,他の演出との組合せではなく,内部抽選結果を直接象徴するシンボルマークが破壊された木箱から現れることのみによって内部抽選結果を直接に表示する演出であって,シンボルマークのみによって内部抽選結果が直接に判別するのであるから,内部抽選結果を順次判別し得る構成ではない(iii)。
さらに,撃鉄音(カシャ)は単なる遊技開始音にすぎず,打鐘音(ジャン)及び落下音(ヒュー・ドン)は,液晶画面上において木箱が落下する映像に付随して発せられる単なる効果音にすぎないのであって,それ自体,「報知」の機能を備えるものではない(i)。
c 原告は,第1停止時から第3停止前までの間に,第1停止時に木箱が破壊されるか否か,第2停止時に木箱が破壊されるか否かにより,内部抽選結果の絞り込みができるとも主張する。
しかしながら,第1停止時の木箱の液晶演出,第2停止時の木箱の37液晶演出につき,仮に,これら演出を別個のものととらえたとしても,これら演出は全く同一種類の報知態様であって,構成要件1Hが定める「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」を充足するものではない。また,そもそも,本件明細書1において,第1停止ないし第3停止に連動して表示される演出態様は,1個の演出態様として開示されているのであって,各リール停止時ごとに別個の報知ととらえる思想は全く開示・示唆されていない。
したがって,第1停止時から第3停止前までの間に,入賞態様の予測を絞り込むことができる旨の原告の上記主張は,本件発明1の技術的範囲論の枠外のものである。
d よって,被告物件の?「木箱演出」は,構成要件1Hを充足するものではない。
(イ) 鉄箱演出1についてa 鉄箱演出1においては,スタートレバー操作により,遊技開始音である撃鉄音(カシャ)が発せられるとともに,打鐘音(ジャン)と落下音(ヒュー・ドン)との合成音が発せられ,それと同時に,液晶画面上において鉄箱が落下する動画映像が表示される。第1リール停止時に,銃撃による破壊音が発せられるとともに液晶画面上に現れたキャラクタが鉄箱を銃撃し鉄箱が破壊され,破壊された鉄箱から内部当選した入賞態様を示す「バナナ」「スイカ」等のシンボルマークが現れる。
b 原告は,鉄箱演出1につき,撃鉄音(カシャ),打鐘音(ジャン)及び落下音(ヒュー・ドン)の合成音が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとして,同合成音の後に,ストップスイッチ操作によるリールの第1停止時に,液晶画面上においてキャラクタが鉄箱を銃撃し,破壊された鉄箱からチェリー,バナナ等の各シンボルが現れると38いう報知がされ,各シンボルが,それぞれ,4枚役チェリー,バナナ等の内部抽選結果を報知することをもって,被告物件が構成要件1Hを充足する旨主張する。
しかしながら,撃鉄音(カシャ),打鐘音(ジャン)及び落下音(ヒュー・ドン)の合成音は,「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出されるものである。
したがって,かかる合成音は,内部抽選結果のいかんにかかわらず発せられる単なる効果音にすぎず,内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出にすぎないのであるから,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない(i)。
また,鉄箱演出1は,他の演出との組合せではなく,内部抽選結果を直接象徴するシンボルマークが破壊された鉄箱から現れることのみによって内部抽選結果を直接に表示する演出であって,シンボルマークのみによって内部抽選結果が直接に判別するのであるから,内部抽選結果が順次判別し得る構成ではない(iii)。
さらに,撃鉄音(カシャ)は単なる遊技開始音にすぎず,打鐘音(ジャン)及び落下音(ヒュー・ドン)は,液晶画面上において木箱が落下する映像に付随して発せられる単なる効果音にすぎないのであって,それ自体,「報知」の機能を備えるものではない(i)。
原告は,鉄箱が第1停止時に破壊された時点で,内部当選役の絞り込みができるとも主張するが,前記(ア)cで述べたのと同様,かかる原告の主張は,本件発明1の技術的範囲論の枠外のものである。
c よって,被告物件の鉄箱演出1は,構成要件1Hを充足するものではない。
(ウ) 鉄箱演出2についてa 鉄箱演出2においては,スタートレバー操作により,遊技開始音で39ある撃鉄音(カシャ)が発せられるとともに,気付き音(ピキーン)が発せられ,それと同時に,液晶画面上においてキャラクタが何かに気付いた様子の動画映像が表示される。第1リールの停止時に,スライド音(シューン)が発せられるとともに液晶画面上に鉄箱がスライドして現れ,第2リール停止時に,キャラクタが鉄箱を銃撃し破壊音とともに鉄箱が破壊され,破壊された鉄箱から内部当選した入賞態様を示す「バナナ」「スイカ」等のシンボルマークが現れる。
b 原告は,鉄箱演出2につき,撃鉄音(カシャ)が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとして,合成音の後に,ストップスイッチ操作によるリールの第1停止時に,液晶画面上においてキャラクタが鉄箱を銃撃し,破壊された鉄箱からチェリー,バナナ等の各シンボルが現れるという報知がされ,各シンボルが,それぞれ,4枚役チェリー,バナナ等の内部抽選結果を報知することをもって,被告物件が構成要件1Hを充足する旨主張する。
しかしながら,原告が主張する撃鉄音(カシャ),また,被告物件が備える撃鉄音(カシャ)及び気付き音(ピキーン)の合成音のいずれであっても,鉄箱演出2の遊技開始時に発せられる音は,「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出されるものである。
したがって,鉄箱演出2の遊技開始時に発せられる音は,内部抽選結果のいかんにかかわらず発せられる単なる効果音にすぎず,内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出にすぎないのであるから,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない(i)。
また,鉄箱演出2は,他の演出との組合せではなく,内部抽選結果を直接象徴するシンボルマークが破壊された鉄箱から現れることのみによって内部抽選結果を直接に表示する演出であって,シンボルマークのみによって内部抽選結果が直接に判別するのであるから,内部抽40選結果が順次判別し得る構成ではない(iii)。
さらに,撃鉄音(カシャ)は単なる遊技開始音にすぎず,気付き音(ピキーン)は,液晶画面上においてキャラクタが何かに気付く映像に付随して発せられる単なる効果音にすぎないのであって,それ自体,「報知」の機能を備えるものではない(i)。
原告は,第1停止及び第2停止の各液晶演出により内部当選役の絞り込みができるとも主張するが,前記(ア)cで述べたのと同様,かかる原告の主張は,本件発明1の技術的範囲論の枠外のものである。
c よって,被告物件の?「鉄箱演出2」は,構成要件1Hを充足するものではない。
(エ) 鉄箱演出3についてa 鉄箱演出3においては,スタートレバー操作により,遊技開始音である撃鉄音(カシャ)が発せられるとともに,気付き音(ピキーン)が発せられ,それと同時に,液晶画面上においてキャラクタが何かに気付いた様子の動画映像が表示される。第2リール停止時に,スライド音(シューン)が発せられるとともに液晶画面上に鉄箱がスライドして現れ,第3リール停止時に,キャラクタが鉄箱を銃撃し破壊音とともに鉄箱が破壊され,破壊された鉄箱から内部当選した入賞態様を示す「バナナ」「スイカ」等のシンボルマークが現れる。
b 原告は,鉄箱演出3につき,撃鉄音(カシャ)が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとして,合成音の後に,ストップスイッチ操作によるリールの第2停止時に,液晶画面上においてキャラクタが鉄箱を銃撃し,破壊された鉄箱からチェリー,バナナ等の各シンボルが現れるという報知がされ,各シンボルが,それぞれ,4枚役チェリー,バナナ等の内部抽選結果を報知することをもって,被告物件が構成要件1Hを充足する旨主張する。
41しかしながら,原告が主張する撃鉄音(カシャ),また,被告物件が備える撃鉄音(カシャ)及び気付き音(ピキーン)の合成音のいずれであっても,鉄箱演出3の遊技開始時に発せられる音は,「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出されるものである。
したがって,鉄箱演出3の遊技開始時に発せられる音は,内部抽選結果のいかんにかかわらず発せられる単なる効果音にすぎず,内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出にすぎないのであるから,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない(i)。
また,鉄箱演出3は,他の演出との組合せではなく,内部抽選結果を直接象徴するシンボルマークが破壊された鉄箱から現れることのみによって内部抽選結果を直接に表示する演出であって,シンボルマークのみによって内部抽選結果が直接に判別するのであるから,内部抽選結果が順次判別し得る構成ではない(iii)。
さらに,撃鉄音(カシャ)は単なる遊技開始音にすぎず,気付き音(ピキーン)は,液晶画面上においてキャラクタが何かに気付く映像に付随して発せられる単なる効果音にすぎないのであって,それ自体,「報知」の機能を備えるものではない(i)。
原告は,第1停止及び第2停止の各液晶演出により内部当選役の絞り込みができるとも主張するが,前記(ア)cで述べたのと同様,かかる原告の主張は,本件発明1の技術的範囲論の枠外のものである。
c よって,被告物件の鉄箱演出3は,構成要件1Hを充足するものではない。
(オ) 消灯演出についてa 消灯演出においては,スタートレバー操作により,遊技開始音である撃鉄音(カシャ)が発せられ,ストップスイッチの停止操作に伴いリールランプが1消灯(第1リールのみ消灯),2消灯(第1,第242リールが消灯),3消灯(全リールが消灯)する。
なお,撃鉄音(消灯演出がされない場合の撃鉄音を含む。)は,「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出され,1消灯・2消灯・3消灯の演出は,「2枚チェリー」・「4枚チェリー」以外の「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出される。
その結果,消灯演出は,「2枚チェリー」・「4枚チェリー」以外の「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出される。
b 原告は,消灯演出につき,撃鉄音(カシャ)が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとして,合成音の後に,ストップスイッチ操作による第1,第2及び第3停止時に,それぞれ,リールランプの1消灯(第1リールのみ消灯),2消灯(第1,第2リールが消灯),3消灯(全リールが消灯)がされることをもって,被告物件が構成要件1Hを充足する旨主張する。
しかしながら,撃鉄音(カシャ)は,上記のとおり,「ハズレ」を含むすべての内部抽選結果に共通して演出されるものである。
したがって,撃鉄音(カシャ)は,内部抽選結果のいかんにかかわらず発せられる単なる遊技開始音にすぎず,内部抽選結果について何らの情報をも含まない単なる演出にすぎないのであるから,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない(i)。
原告は,配当のない当選役が内部当選した場合には第1消灯の演出のみが,「バナナ」が内部当選した場合には第1消灯及び第2消灯の演出のみが,「スイカ」が内部当選した場合には第2消灯及び第3消灯の演出のみが,「リプレイ」が内部当選した場合には第1消灯の演出のみが存在する旨主張する。
しかしながら,BB内部当たり中に,「バナナ」が内部当選して第3消灯が演出される場合,「スイカ」が内部当選して第1消灯が演出43される場合,「リプレイ」が内部当選して第2消灯及び第3消灯が演出される場合がある。また,配当のない当選役が内部当選した場合,第1消灯のみならず,第2消灯及び第3消灯の演出が選択される場合もある。このように,第1消灯,第2消灯及び第3消灯は,いずれも,配当のない当選役,「バナナ」,「スイカ」及び「リプレイ」に共通した演出である。
c よって,被告物件の?「消灯演出」は,構成要件1Hを充足するものではない。
(カ) 点滅演出についてa 点滅演出においては,スタートレバーの操作により,撃鉄音(カシャ)が発せられ,それと同時に,飛行音(ゴー)が発せられて液晶画面上において飛行機が飛来する動画映像が表示される。そして,ボーナス放出が確定した場合には,ストップスイッチの停止操作によりリールがすべて停止した後に,液晶画面上に各キャラクタが全員集合するとともに,リールランプが放射状に点滅を繰り返す(かかるリールランプが放射状に点滅を繰り返す演出は,演出番号0007Hである。)。
b 原告は,「2枚チェリー」・「4枚チェリー」・「バナナ」・「JAC」に共通して演出される撃鉄音(カシャ)及び飛行音(ゴー)の合成音が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとし,また,ストップスイッチ操作によるリールの第3停止に伴うリールランプが放射状に点滅する演出(演出番号0007H)が構成要件1Hが定める「報知」に当たるとして,被告物件が構成要件1Hを充足する旨主張する。
演出番号0007Hの演出は,ストック機である被告物件において,ボーナス放出条件が成就した場合にのみ現れる演出である。したがって,同演出は,ボーナス放出条件が成就したことを報知するものであ44って,遊技者は,同演出が行われれば,ボーナス放出条件が成就したことを確知することができ,同演出が行われなければ,ボーナス放出条件が成就しなかったことを確知することができる。ここで,内部抽選においてチェリーが当選することがボーナス放出条件が成就する要件となっていることから,同演出は,ボーナス放出条件が成就したことを報知すると同時に,チェリーが内部当選していることをも示すものといえなくもない。しかしながら,同演出が行われるのは,すべてのリールランプが停止した後であって,遊技者は,この時点において,既に入賞結果を確知している。ところが,ボーナス放出条件が成就する場合には,チェリーが内部当選しているものの,チェリー柄が入賞しないよう制御される。そのため,すべてのリールランプが停止した時点では,遊技者は,いまだボーナス放出条件が成就したことを知り得ない。遊技者は,同演出が行われることによって初めて,ボーナス放出条件が成就したことを知り得るのである。したがって,同演出が行われる際の遊技者にとっての関心事は,内部抽選結果にはなく,専らボーナス放出条件が成就したかどうかにある。また,上記のとおり,演出番号0007Hはボーナス放出条件が成就した場合にのみ現れる演出である。さらに,液晶画面上に各キャラクタが全員集合するとともに,リールランプが放射状に点滅を繰り返すという遊技者にボーナスの放出の期待を持たせるような華やかな態様の演出である。以上によれば,同演出は,内部抽選結果を報知する意義は有しておらず,あくまで遊技者に対しボーナス放出条件の成就を報知する演出である。
したがって,同演出は,内部抽選結果以外の情報を報知する演出であって,構成要件1Hが定める「報知」には当たらない(ii)。
また,そもそも,撃鉄音(カシャ)は単なる遊技開始音にすぎず,飛行音(ゴー)は,液晶画面上において飛行機が飛ぶ映像に付随して45発せられる単なる効果音にすぎないのであって,それ自体,「報知」の機能を備えるものではない(i)。
c よって,被告物件の?「点滅演出」は,構成要件1Hを充足するものではない。
オ 遊技状態の区別について原告は,本件発明1につき,被告物件がボーナス阻害状態1の遊技状態について本件発明1の各構成要件を充足すれば,被告物件が本件発明1の技術的範囲に属することになる旨主張する。
しかしながら,本件発明1は,初心者を含む遊技者が,当該演出の出現により,視覚・聴覚の働きを通して,内部当選役の入賞を予測し得ることを基礎とするものである。したがって,当該ボーナス阻害状態1の遊技状態において内部当選役の予測が可能であるためには,前提として,当該ボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを遊技者が容易に認識し得ることが必要である。
被告物件において,遊技者は,?一般遊技状態,BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1ないし4,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1ないし4のいずれかの遊技状態にあること,?BB内部当たり中,RB内部当たり中のいずれかの遊技状態にあること,?BB作動中にあること,?RB作動中にあることの判別をし得るにすぎず,遊技中に,上記?のいずれの遊技状態にあるか,また,上記?のいずれの遊技状態にあるかを認識することはできない。遊技者は,ボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを認識することは全くできないのである。
したがって,BB作動中及びRB作動中の場合を除き,ボーナス阻害状態1の遊技状態のみを取り出しても,初心者を含む遊技者において,いずれの遊技状態にあるかを認識することはできないのであって,初心者を含む遊技者の視点において,内部当選役を予測する前提を欠く。
46よって,被告物件がボーナス阻害状態1の遊技状態について本件発明1の各構成要件を充足すれば,被告物件が本件発明1の技術的範囲に属することになる旨の原告の上記主張は,初心者を含む遊技者が内部当選役の入賞を予測することができるという本件発明1の技術的意義の基礎から逸脱するものである。
以上のとおり,被告物件が本件発明1の技術的範囲に属するためには,すべての遊技状態を対象として,すべての構成要件を充足していることが必要である。ボーナス阻害状態1の遊技状態においてのみ各構成要件を充足していれば,本件発明1の技術的範囲に属することになる旨の原告の主張には理由がない。
(2) 構成要件1Gを充足しないことア 構成要件1Gの「所定確率」の意味本件明細書1の記載に照らせば,報知を「所定確率」で行うことには,入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とを設けることにより,遊技者の内部当選に対する期待感を高めるという技術的意義があると解される。
原告は,構成要件1Gの「所定確率」の意味について,入賞態様を報知する演出が一定確率で選択されることで足りると主張する。しかし,同主張は,上記技術的意味を踏まえないものである。また,原告の解釈によると,至極当然の構成となってしまい,特許請求の範囲にわざわざ「所定確率」という文言を含めたことに反する。
よって,本件明細書1の記載からすれば,「所定確率」は,遊技者の内部当選に対する期待感を高めるために入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とを設けた構成と解するほかない。
イ 原告は,「所定確率」が入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とがある構成を意味するものであると解したとしても,「000747H」の演出が入賞態様を「報知」する演出でないことをもって,「所定確率」による報知がされている旨主張する。
しかしながら, 演出「0007H」は,ボーナス放出条件が成就したことを高確率で報知する演出であって,遊技者の内部当選に対する期待感ではなく,ボーナス放出条件が成就したことの期待感を高めるものである。
よって,演出「0007H」は,内部当選に対する期待感を高めるものではなく,同演出が存在することをもって被告物件が「所定確率」を具備しているとする原告の上記主張には理由がない。
ウ また,原告は,報知情報A「035H」・報知情報B「00EH」は「スイカ」のシンボルマークが出現する演出であり,同演出が,「スイカ」が内部当選した場合にも,「バナナ」が内部当選した場合にも現れることから,構成要件1G所定の「所定確率」を充足する旨主張する。
しかしながら,被告物件において,「バナナ」が内部当選して,かつ,「スイカ」のシンボルマークが出現する同演出が現れるのは,BB内部当たり中又はRB内部当たり中の場合に限られる。これは,内部当選役に対応するシンボルマークとは異なるシンボルマークを,ことさらに,液晶画面上に出現させることによって,遊技者に対し,BB内部当たり中あるいはRB内部当たり中にあることを認識させ,これにより,遊技者がボーナス状態に突入するための条件である「7」あるいは「タンク」の三つ揃いを狙うことができるようサインを送るものである。
したがって,同構成は,遊技者の内部当選に対する期待感を高めるために入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とを設けたものではない。同演出が存在することをもって被告物件が「所定確率」を具備しているとする原告の上記主張には理由がない。
エ さらに,原告は,「相川ナビ演出」が連動表示態様を具備しておらず,「報知情報」に当たらないことから,同演出が選択される場合は,入賞態48様を報知しない場合に当たるとして,「所定確率」を具備する旨主張する。
しかし,前述の「相川ナビ演出」の構成から明らかなとおり,同演出が出現するか否かによって,遊技者の内部当選に対する期待感が高まるものではない。
よって,「相川ナビ演出」が存在することをもって被告物件が「所定確率」を具備しているとする原告の上記主張には理由がない。
オ 以上のとおり,被告物件は構成要件1G所定の「所定確率」を具備していない。
(3) 構成要件1Kを充足しないこと「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備しないことについては,後記の争点2の構成要件2E-1に係る主張と同様である。
2 争点2(被告物件が本件発明2の技術的範囲に属するか)〔原告の主張〕(1) 構成要件2E-1のクレーム解釈ア 構成要件2E-1の構成構成要件2E-1は,「前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し」というものであるから,「デモ抽選テーブル選択テーブルには,遊技状態及び当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられ」ていること(以下,「割当要件」という。)及び「報知手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および入賞態様決定手段によってその時に成立している当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択する」こと(以下,「選択要件」という。)を備えることを要件とするものである。
49イ 割当要件の充足性(ア) 別紙図面8’は,被告物件を解析して得た甲第27号証に示した2つのアドレス範囲(アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH部分(以下,「デモ抽選テーブル選択テーブル1」という。)及びアドレス0EC3180Hないし0EC3C73H部分(以下,「デモ抽選テーブル選択テーブル2」という。))を一体とし表形式にしたものである。
そして,図面8’は,サブCPU用遊技状態(構成要件2E-1の「遊技状態」に対応する。)及びサブCPU用当選フラグ(構成要件2E-1の「当選フラグ」に対応する。)の各組合せごとに複数のデモ抽選テーブル番号が割り当てられている。
したがって,図面8’に示す構成が割当要件の「デモ抽選テーブル選択テーブル」に該当するものである。
(イ) このように,図面8’は,物理的に分割されたデモ抽選テーブル選択テーブル1及びデモ抽選テーブル選択テーブル2を論理的観点から一つのテーブルとして表現したものである。被告物件は,デモ抽選テーブル選択テーブル1及びデモ抽選テーブル選択テーブル2という2つのテーブルが一体となって,遊技状態及び当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択するという一つの機能を実現しているのであって,単一のテーブルでは,その機能を実現することができない構成となっている。このため,上記2つの物理的に分離されたテーブルは,1つの機能を実現するので,1つのテーブルとみなすのが論理的観点から極めて自然なことであり,図面8’のように結合して表現することができる。
よって,被告物件の物理的に分割されたデモ抽選テーブル選択テーブル1及びデモ抽選テーブル選択テーブル2は,1つの機能を果たす1つのテーブルである。
50(ウ) 被告は,あるアドレスの範囲によって1個の値が選択され,その値が次のアドレスにおいて参照値となっている場合,それぞれがテーブルあるいはテーブル群を構成するのであれば,当該情報処理は,あくまで2個のテーブルあるいはテーブル群から構成されているのであって,これら2個のテーブルあるいはテーブル群を1個の単体のテーブルと評価することはできないと主張する。
しかしながら,論理的に1つのテーブルを,複数のテーブルに小分けし,これらの小分けされた複数のテーブルを,「参照値」を利用して一体として1つの機能を果たすようにすることは,当業者の技術常識である。被告物件のデモ抽選テーブル選択テーブル1及びデモ抽選テーブル選択テーブル2の情報処理によって実現される機能は,遊技状態及び当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択することである。また,デモ抽選テーブル選択テーブル1で選択され,デモ抽選テーブル選択テーブル2において参照値となる当選グループ番号(被告のいう「枝番付内部当選役」)は,上記情報処理による機能を実現するプログラムの作成上の便宜から,デモ抽選テーブル選択テーブル1とデモ抽選テーブル選択テーブル2とを機能的に一体とするために設けられたものである。
被告の上記主張は,ソフトウェアにおける技術常識に反するものであり,誤りである。
(エ) 図面8’に示す構成はデモ抽選テーブル選択テーブルに該当し,被告物件の前記2つのアドレス範囲はこの図面8’に示す構成に該当する。
よって,被告物件は割当要件を充足する。
ウ 選択要件の充足性(ア) 被告物件においては,報知手段は,デモ抽選テーブル選択テーブル(図面8’)を参照して,その時のサブCPU用遊技状態,その時に成立しているサブCPU用当選フラグに加えて,停止制御番号及びサブC51PU演出状態に応じて,一のデモ抽選テーブル番号を決定する。そして,一のデモ抽選テーブル番号が決定されれば一のデモ抽選テーブルが選択される。
(イ) 上記のとおり,被告物件の報知手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照している。また,被告物件において,BB作動中及びRB作動中にデモ抽選テーブル選択テーブルによってデモ抽選テーブルの選択がされないとしても,これらを除く遊技状態においては,デモ抽選テーブル選択テーブルによってデモ抽選テーブルの選択が行われるのであり,被告物件の報知手段は,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照している。
(ウ) 被告物件では,4つの変数によって一のデモ抽選テーブルを選択しているものの,サブCPU用遊技状態,サブCPU用当選フラグが変数に含まれている限り,遊技状態及び当選フラグに応じて選択していることに変わりはない。
また,本件明細書2中には,デモ抽選テーブル選択テーブルによってデモ抽選テーブルを選択するための変数として,遊技状態と当選フラグ以外の変数を排除するような記載は全くないから,選択要件の変数は,遊技状態と当選フラグの2つに限定されるものではない。
図面8’に示す被告物件におけるデモ抽選テーブル選択テーブルにおいて,遊技状態と当選フラグ以外の変数(停止制御番号及びサブCPU演出状態)は付加的構成にすぎないから,選択要件の充足性の判断には何ら影響しない。
よって,被告物件は,選択要件を充足する。
(エ) また,上記のとおり,被告物件は,4つの変数(サブCPU用遊技状態,サブCPU用当選フラグ,停止制御番号,サブCPU演出状態)によって,一のデモ抽選テーブルを選択している。上記4変数のうち,停止制御番号は,遊技状態と当選フラグに応じて選択された停止制御テ52ーブルを用いて決定される。また,当選フラグが同一であっても,例えば,ボーナス阻害状態1とボーナス阻害状態3とでは,ほとんどの場合停止制御番号が異なる。そして,停止制御番号が異なると当選グループ番号が異なり,当選グループ番号が異なれば,デモ抽選テーブル番号は異なる。
したがって,停止制御番号に着目しても,被告物件は,デモ抽選テーブルを遊技状態及び当選フラグに応じて選択しているということができる。
(オ) 以上のように,被告物件は,図面8’に示されるデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,遊技状態及び当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択するから,選択要件を充足する。
エ よって,被告物件は,構成要件2E-1を充足する。
(2) 構成要件2E-3の充足性特許請求の範囲の記載では「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することを特徴とする」とあるだけで,「所定確率」について何ら限定はされていないから,「入賞態様を報知する演出が一定確率で選択される」と解すべきであり,被告物件は,そのような構成を有しているから,構成要件2E-3も充足する。また,仮に,「所定確率」を被告の主張のように「入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とがある構成」と解釈しても,被告物件では,入賞態様を報知するものではない0007Hの演出が所定の抽選値により選択されるのであるから,被告物件は,構成要件2E-3を充足する。
〔被告の主張〕(1) 構成要件2E-1を充足しないことア 被告物件が,デモ抽選テーブルの選択に当たり,遊技状態及び当選フラグ以外の変数を参照すること53構成要件2E-1は,「前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択」することを要求している。
したがって,構成要件2E-1所定のデモ抽選テーブル選択テーブルは,遊技状態及び当然フラグの「各組み合わせ毎に」デモ抽選テーブルを一意的に決定するものである。
このように,構成要件2E-1は,「各組み合わせ毎に」及び「に応じて」の文言を用いて,デモ抽選テーブルを選択するための変数を「遊技状態」及び「当選フラグ」の2個に明確に限定しているのであるから,同構成要件につき,その余の変数をも備えることを許容したものと解する余地は全くない。
これに対し,被告物件は,同アドレスの範囲において,停止制御番号及びサブCPU演出状態を不可欠の変数とするものであって,遊技状態及び当選フラグ以外の変数を参照しているのであるから,変数を遊技状態及び当選フラグの2個に限定する構成要件2E-1を充足するものではない。
イ 当該2つのアドレスの範囲は,小当たりの内部当選役を報知するための演出を選択するに当たり,遊技状態に応じてデモ抽選テーブルを決定していないこと原告は,被告物件につき,有機的に関連した2つのアドレスの範囲(アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH部分及びアドレス0EC3180Hないし0EC3C73H部分)が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当し,これを参照することによって,遊技状態及び当選フラグに応じてデモ抽選テーブルが選択されている旨主張する。
しかしながら,被告物件において,BB作動中及びRB作動中の演出は,54デモ抽選テーブルを参照することなく定められる。
また,BB作動中及びRB作動中以外の状態においては,当該2つのアドレス範囲によりデモ抽選テーブルの選択が行われるものの,被告物件では,アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH部分によって,小当たりの内部当選役について作成される枝番付内部当選役(原告のいう「当選グループ番号」)は,停止制御番号,内部当選役が決まれば,遊技状態にかかわらず常に一定である。そして,被告物件では,BB作動中及びRB作動中を除く遊技状態の場合,枝番付内部当選役(当選グループ番号)が作成された後,演出フローに従って選択されたデモ抽選テーブル群を参照して,枝番付内部当選役(当選グループ番号)に基づき,デモ抽選テーブルが選択される。
したがって,原告が主張する2つのアドレスの範囲は,小当たりの内部当選役を報知するための演出を選択するに当たり,遊技状態に左右されることなく,デモ抽選テーブルを決定するものであり,構成要件2E-1を充足しない。
ウ 被告物件は,遊技状態及び内部当選役(当選フラグ)を参照してデモ抽選テーブルを直接選択する構成ではないこと(ア) 構成要件2E-1は,「前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択」として,遊技状態及び当選フラグという2つの変数を参照して,デモ抽選テーブルを直接選択することを要求している。
また,本件明細書2の【0088】,【0092】,【0094】,【0095】及び【0106】においても,遊技状態及び当選フラグと55いう2つの変数を参照してデモ抽選テーブルを直接選択するという構成のみが開示されており,その他の構成については,何ら開示も示唆もされていない。
以上の記載からすれば,デモ抽選テーブル選択テーブルは,遊技状態と当選フラグの組合せを参照することによって,デモ抽選テーブルを直接選択する構成であると解するほかない。
(イ) 被告物件において,デモ抽選テーブルは,「デモ抽選テーブル群」を参照し,枝番付内部当選役(当選グループ番号)に基づいて選択されるのであって,遊技状態及び内部当選役(当選フラグ)は,デモ抽選テーブルを選択するための直接の変数となっていない。
よって,被告物件は,構成要件2E-1を充足するものではない。
エ 「有機的に関連した2つのアドレスの範囲」を1個のテーブルと評価することはできないこと(ア) 原告は,「有機的に関連した2つのアドレスの範囲」が,停止制御番号,当選フラグ,サブCPU用遊技状態,サブCPU用演出状態等を変数とする1個のテーブルであって,これがデモ抽選テーブル選択テーブルに相当する旨主張する。
被告は,上記「有機的に関連した2つのアドレスの範囲」がテーブルに当たること自体争うものであるが,上記アドレスの範囲は,以下に述べるとおり,あくまで,複数のテーブル及びテーブル群が有機的に関連したものであって,これを総合して,1個のテーブルと評価することはできない。
(イ) テーブルの個数について構成要件2E-1は,「前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入56賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択」することを要求しており,現実の情報処理過程に即して,「デモ抽選テーブル選択テーブル」と「デモ抽選テーブル」とを明確に区別しており,それぞれを1個の情報処理の単位として構成している。
したがって,あるアドレスの範囲によって1個の値が選択され,その値が次のアドレスにおいて参照値となっている場合,それぞれがテーブルあるいはテーブル群を構成するのであれば,当該情報処理は,あくまで2個のテーブルあるいはテーブル群から構成されているのであって,これら2個のテーブルあるいはテーブル群を1個の単体のテーブルと評価することはできない。
(ウ) 2つのアドレスの範囲は複数のテーブル及びテーブル群から構成されている甲第27号証所定の3つのアドレスの範囲からデモ抽選テーブルが選択される過程は,?「枝番付内部当選役抽出テーブル群」を参照し,停止制御番号に基づいて「枝番付内部当選役抽出テーブル」を選択,?「枝番付内部当選役抽出テーブル」から枝番を参照し,これを,サブCPUにおいて,内部当選役(当選フラグ)の情報と一体化させることにより,「枝番付内部当選役」(原告のいう「当選グループ番号」)を作成,?一方で,演出フローに従って,「デモ抽選テーブル群」を選択,?「デモ抽選テーブル群」を参照し,「枝番付内部当選役」に基づいて,「デモ抽選テーブル」を選択という過程を経る。
よって,原告が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当するとしている甲第27号証所定のアドレスの範囲は,変数を参照して結果値を抽出するという過程を幾度となく経るものであり,複数のテーブル及びテーブル群から構成されるものである。
57(エ) 以上のとおり,構成要件2E-1は,デモ抽選テーブル選択テーブルという単体のテーブルを要求するものであるところ,被告物件においては,原告自ら「有機的に関連した2つのアドレスの範囲」と記載しているとおり,あくまで,複数のテーブル及びテーブル群が「有機的に関連し」ているにすぎず,これを1個の単体のテーブルと見ることはできない。
したがって,当該2つのアドレスの範囲は,構成要件2E-1が定める「デモ抽選テーブル選択テーブル」には当たらない。
オ 被告物件の演出が演出フローの流れによって決まること(ア) 被告物件のデモ抽選テーブルを選択において,演出フローは不可欠の構成である原告は,演出フローは本件発明2に関係のない構成であり,被告物件においてデモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択している点に変わりはない旨主張する。
しかしながら,被告物件のデモ抽選テーブルが選択される過程に着目すると,演出フロー所定の各要素の参照がされなければ,アドレス「0EC3180Hないし0EC3C73H」において,デモ抽選テーブル群を選択することはできず,したがって,デモ抽選テーブルを選択することもできない。すなわち,演出フローは,被告物件においてデモ抽選テーブルを選択するための不可欠の構成なのであって,かかる不可欠の構成を除外した原告主張の2つのアドレスでは,デモ抽選テーブルを選択するための構成とはなり得ない。
したがって,演出フローを除外した2つのアドレスの範囲は,およそ「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択」する構成とはなり得ない。
58よって,被告物件は,「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものではなく,上記原告の主張には全く理由がない。
(イ) 作用効果の相違被告物件のデモ抽選テーブルの選択は,上記のとおり,演出フローの流れに応じて所定の各要素を参照することを不可欠の要素とするのであって,かかる演出フローを備えることによって,被告物件は,本件発明2と作用効果を全く異にしている。
すなわち,テーブルの場合,行及び列に設定された各変数のデータすべてを参照することが不可欠であるため,変数を多数設けると,情報処理量が多くなってしまう。そのため,テーブルでは,おのずから,変数の種類,演出の種類が制限されてしまう。
ところが,被告物件が具備する演出フローでは,デモ抽選テーブル群を決定するために必要な要素は,フローの流れによって変わり,フローの流れに従い必要となった要素のみが参照され,必要のない要素については参照されない。その結果,演出フローでは,無駄な情報処理を省くことができ,変数を多数設けることが可能となり,それによって,演出の種類も多数設けることが可能となり,遊技の興趣は尽きないものとなるのである。現に,デモ抽選テーブル選択テーブルを備えるサンダーVには,計算上選択されうる演出の組合せが72通りしか存在しないのに対し(通常どおりに遊技した場合,実際に選択される演出はこの半分程度であると考えられる。),被告物件は,240通りもの演出を設けることができる。
このように,被告物件は,デモ抽選テーブルを選択するための不可欠の構成として演出フローを具備することによって,本件発明2とは異なる格別の作用効果を奏する。
(ウ) 以上のとおり,演出フローをデモ抽選テーブルを選択するための不59可欠の構成としている被告物件において,演出フローを除外した2つのアドレスの範囲は,デモ抽選テーブルを選択する構成とはなり得ない。
また,被告物件は,演出フローをデモ抽選テーブルを選択するための不可欠の構成とすることによって,本件発明2とは全く異なる作用効果を奏している。
よって,被告物件は,デモ抽選テーブル選択テーブルを具備するものではない。
カ 図面8’は「デモ抽選テーブル選択テーブル」には当たらないこと(ア) 原告は,図面8’は,被告物件における実際の抽選テーブルをサブCPU演出状態に対応付けて示したものであり,これがデモ抽選テーブル選択テーブルに相当すると主張する。
しかしながら,そもそも「テーブル」とは,マトリックスすなわちすべての変数のすべての組合せについて結果値が用意された表である。
「デモ抽選テーブル選択テーブル」も「テーブル」である以上,マトリックスとして,すべての変数のすべての組合せに対して,結果値がそれぞれ示されたものでなければならない。
ところが,図面8’において,変数として掲げられたサブCPU演出状態の値の集合は,サブCPU用遊技状態,サブCPU用当選フラグ,終了抽選番号,停止制御番号及び当選グループの各組合せによって異なったものとなっている。
例えば,図面8’において,「サブCPU用遊技状態」が「一般遊技状態」,「サブCPU用当選フラグ」が「ハズレ」,「停止制御番号」が「0」,「当選グループ」が「0000H」の組合せに対し,「サブCPU演出状態」は「00H」,「05H」,「06H」,「07H」,「12H」,「13H」,「14H」,「1CH」,「1DH」,「31H」,「35H」,「38H」,「39H」,「3CH」,「3D60H」,「3EH」,「3FH」,「40H」,「41H」及び「42H」の20種類の値が記載されている。これに対し,「サブCPU用遊技状態」が「BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1」,「サブCPU用当選フラグ」が「リプレイ」,「停止制御番号」が「0」,「当選グループ」が「0003H」の場合,「サブCPU演出状態」は,「00H」,「05H」,「06H」,「07H」,「12H」及び「13H」の6種類の値のみが記載されている。
このように,図面8’は,所与の変数の値の組合せすべてについて結果値をそれぞれ示したものではない。よって,図面8’はおよそ「テーブル」とはいえないものであって,「デモ抽選テーブル選択テーブル」には当たらない。
(イ) また,上記のとおり,被告物件では,デモ抽選テーブルの選択に当たり,演出フローの流れによってデモ抽選テーブル群が選択される構成が不可欠である。演出フローの流れによって,現実に選択されうる「サブCPU演出状態」の値は異なったものとなる。
図面8’は,演出フローの解析を行った上で,現実に選択されうる「サブCPU演出状態」の値の種類を人為的に表の体裁にまとめたものであって,演出フローの解析をすることなく,単に上記アドレス記載のデータを表にまとめて作成し得るものではない。
原告は,一方で,不可欠な構成である演出フローを除外した2つのアドレスの範囲が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当すると主張し,他方で,演出フローを解析して人為的に表の形式に作成した図面8’が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当すると主張しているのであって,一貫性を欠いている。
(2) 構成要件2E-3を充足しないこと原告は,被告物件が,報知情報を「所定の確率」で選択しているとして,61構成要件E-3を充足する旨主張する。
しかしながら,「所定確率」とは,本件明細書2の【0082】等の記載のとおり,入賞態様を遊技者に報知する場合と報知しない場合とがある構成を意味するものである。
原告の主張は,被告物件に複数の報知情報が備わっている中,それぞれが一定確率で報知される(すべてを合わせれば,100パーセントとなる。)という至極当然のことを主張しているにすぎない。
3 争点3(被告物件が本件発明3の技術的範囲に属するか)〔原告の主張〕(1) 構成要件3Gの充足性被告物件において,報知手段は,当選役決定手段によって決定された当選役及びその時の遊技状態(非ボーナス状態,ボーナス状態)に応じて,あらかじめ定められた報知情報中の複数種類の発光態様を示す点消灯パターンテーブルを包含するデモ抽選テーブルを有する。
例えば,相川ナビ演出におけるストップスイッチの第1停止,第2停止,第3停止に伴いリールバックランプが中央のシンボル位置に相当する部分のみを残して順次消灯していく特殊消灯演出や,消灯演出における1消灯,2消灯,3消灯のリールバックランプの消灯演出は,いずれも発光態様の一形態であり,点消灯パターンテーブルが包含されたデモ抽選テーブルから抽出乱数値によって選択実行されている。
したがって,被告物件は構成要件3Gを充足する。
(2) 構成要件3Hの充足性被告物件は,あらかじめ定めた複数種類の効果音の中から,点消灯パターンテーブルのリールバックランプの点消灯態様に1対2で対応した複数種類の効果音を選択し,リールランプの点消灯態様が前記(1)の点消灯態様である場合にはこれに対応した特定の効果音を出音する音選択テーブルを包含す62るデモ抽選テーブルを有する。
例えば,効果音の種類として「パン」(06H),「ポーン」(D2H),「バキューン」(D4H)が用意されており,各リールバックランプの消灯に伴い,相川ナビ演出においては順次「ポーン-ポーン-ポーン」という効果音を,また,消灯演出においては1消灯の場合「バキューン-パン-パン」,2消灯の場合「バキューン-バキューン-パン」,3消灯の場合「バキューン-バキューン-バキューン」という効果音が出音されるが,これらは音選択テーブルが包含されたデモ抽選テーブルから選択されている。
したがって,被告物件は構成要件3Hを充足する。
(3) 構成要件3I及び3Jの充足性被告物件は,抽出乱数値及び点消灯パターンテーブルを包含するデモ抽選テーブルを参照して選択されたリールバックランプの点消灯態様で,リールバックランプ(LED)を発光するランプ駆動回路を有することから,構成要件3Iを充足する。
また,被告物件は,前記音選択テーブルを包含するデモ抽選テーブルを参照して選択された効果音を出音するスピーカ駆動回路及びスピーカを有することから,構成要件3Jを充足する。
〔被告の主張〕(1) 構成要件3Gを充足しないことア 構成要件3Gにいう「前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様」とは,発光態様選択テーブルが,抽出乱数値によって一つの発光態様を選択する前に,複数種類の発光態様を含む発光態様グループの選択の過程を経ており,その発光態様グループの選択が,入賞態様及び遊技状態という2つの変数のみによって確定することを意味するものと解釈すべきである。
63ところが,被告物件は,遊技状態,内部当選フラグ,液晶画面の状態,前回遊技において選択された演出テーブルの番号,前回のボーナスゲームから当該遊技までの遊技数,前回の遊技において選択されたデモ抽選テーブル群番号,前回の遊技における液晶画面の演出内容,RT一般遊技回数,RT解除パターン等々の各要素によって,複数種類の演出パッケージの指定を含むデモ抽選テーブルの選択を行っているのであって,発光態様グループの選択が入賞態様及び遊技状態という2つの変数のみによって確定される構成を具備していない。
したがって,被告物件は,構成要件3Gにいう「前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様」という構成を備えていない。
イ また,構成要件3Gの「その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」との文言は,RB作動中又はBB作動中という特定の遊技状態において常に現れる特定の発光態様が,発光態様選択テーブルによって選択されることを意味すると解釈すべきである。
ところが,被告物件においては,BB作動中一般遊技時及びBB作動中RB時の両者を含めたBB作動中に常に現れるリールバックライト全点灯といった演出は,デモ抽選テーブルを介さずに一義的に決定されるものであり,「発光態様選択テーブル」によって選択されるものではない。
したがって,被告物件は,構成要件3Gにいう「その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」という構成を備えていない。
ウ 以上のとおり,被告物件は構成要件3Gを充足していない。
64(2) 構成要件3Hを充足しないことア 被告物件においては,デモ抽選テーブルで選択されるのは,液晶画面上のアニメーション表示,効果音,リールバックライトの点消灯その他一切の演出態様を一括して含んだ一個の複合演出態様としての演出パッケージであり,デモ抽選テーブルにより特定の演出パッケージが選択されれば,液晶画面上のアニメーション表示,効果音,リールバックライトの点消灯その他一切の演出が一義的に決定される。
すなわち,被告物件は,発光態様選択テーブルとは別個独立に存在し,発光態様選択テーブルにより発光態様が選択された後に,これに応じてリール停止音を選択するためのテーブルという構成を備えていない。
したがって,被告物件は,構成要件3Hにいう「予め定められた複数種類の効果音の中から前記光源の発光態様に応じた効果音を選択する音選択テーブル」という構成を備えていない。
イ また,被告物件においては,BB作動中一般遊技時及びBB作動中RB時の両者を含めたBB作動中に常に現れる特定の効果音出音といった演出は,デモ抽選テーブルを介さずに一義的に決定されるものであり,「音選択テーブル」によって選択されるものではない。
したがって,被告物件は,構成要件3Hにいう「前記光源の発光態様が前記特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブル」という構成を備えていない。
ウ 以上から,被告物件は構成要件3Hを充足していない。
(3) 構成要件3I及び3Jを充足しないこと上記のとおり,被告物件は,構成要件3Gにいう「発光態様選択テーブル」を具備しておらず,また,構成要件3Hにいう「音選択テーブル」を具備していないから,構成要件3I及び3Jも充足していない。
4 争点4(本件特許1は無効とされるべきものか)65〔被告の主張〕(1) 本件発明1-1,1-3及び1-10は,いずれもその特許要件の判断基準日前に日本国内において公然実施されていたものであり(特許法第29条1項2号),また,遊技機に関する公知技術周知技術を組み合わせて当業者が容易に発明することができたもの(特許法29条2項)である。
したがって,本件特許1-1,1-3及び1-10は,いずれも特許無効審判により無効とされるべきものであるから,特許法104条の3により,原告は,これら特許権に基づき,被告に対し,損害賠償請求権の行使をすることはできない。
(2) 公然実施についてア 本件特許1は,2件の先の出願に基づく優先権を主張して出願されたものである。しかしながら,以下に述べるとおり,本件発明1-1,1-3及び1-10は,それぞれ追加記載された新規な部分を構成要素として含んでいるため,特許要件の判断基準日が繰り下がる。その結果,本件発明1-1,1-3及び1-10は,基準日前に特許権者自身が生産譲渡したスロットマシン「サンダーV」及び同「ハナビ」それぞれによって,公然と実施されたものである。
よって,本件発明1-1,1-3及び1-10は,いずれも,特許法29条1項2号により特許を受けることができないものであり,本件特許1-1,1-3及び1-10は,いずれも,同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
イ 基準日の繰下げ(ア) 国内優先権の主張本件特許1は,原出願(特願平10-333782号)の分割に係るものであり,原出願で主張された先の特願平09-352171号出願(以下「P1出願」という。)及び特願平10-243695号出願66(以下「P2出願」という。)に基づく優先権を,本件特許出願においてもそれぞれ援用している。
そして,P2出願は,P1出願を先の出願とする国内優先権の主張を伴う出願であるところ,P2出願には,P1出願に記載されていない新規追加事項が記載されるとともに,記載を変更した箇所が存在する。また,前記原出願の出願時においても,P1出願又はP2出願に記載されていない新規追加事項が記載されている。
これらの新規追加事項等については,それぞれ新規追加事項等が追加された時点にまで特許性判断の基準時が繰り下がるものであり(特許法41条2項),したがって,本件特許1の請求項に係る発明のうち,新規追加事項に係るものについては,新規追加事項が追加された時点にまで特許性判断の基準日を繰り下げて,新規性進歩性等が判断されなければならない。
(イ) P2出願における新規追加事項P2出願では,特許請求の範囲において,請求項3,4,6,7,8,9,11,16,17,18及び19の各請求項が新たに追加されており,明細書において,【0009】,【0018】ないし【0021】,【0124】ないし【0214】,【0215】,【0218】が新たに追加され,図面において,図25ないし図64が新たに追加されている。
また,主な記載変更箇所としては,【0006】及び【0007】において「ランプ」が「告知ランプ」に変更されており,【0045】ないし【0048】及び【0065】ないし【0071】において「消灯リールなし」が「リールランプ消灯なし」に,「第1停止リール消灯」が「リールランプ消灯パターン1」に,「第1,第2停止リール消灯」が「リールランプ消灯パターン2」に,「全停止リール消灯」が「リー67ルランプ消灯パターン3」にそれぞれ変更されている。
そして,上記のP2出願において新規に追加された記載事項は,先のP1出願に記載されていない次の技術的事項を含んでいる。
a デモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択する報知態様選択手段(新規追加事項a)この報知態様選択手段は,請求項8(本件特許1の請求項10に対応),【0148】,【0150】ないし【0153】,【0155】及び図29,図53,図54ないし図56に記載されている。
b 連動演出手段によって各列の表示が演出される毎に,予め定められた種類又は長さの効果音を発生させる音発生手段(新規追加事項b)この音発生手段は,請求項9(本件特許1の請求項8に対応),【0129】ないし【0140】,【0195】及び図30ないし図39に記載されている。
なお,先のP1出願においても,請求項3(本件特許1の請求項6に対応),【0015】,【0036】,【0058】及び【0110】において,「音発生手段」の記載があるものの,いずれも遊技開始時の遊技開始音に係るものであり,連動演出手段によって各列の表示が演出されるごとに効果音を発生させる音発生手段ではない。
c 液晶表示部を報知手段として使用する技術(新規追加事項c)この液晶表示技術は,液晶表示部にキャラクタ等を登場させてキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行うものであって,【0214】に,その概要だけが記載されている。なお,具体的な技術内容は,後述の原出願において初めて開示されている。
(ウ) 原出願における新規追加事項原出願では,請求項において,請求項3,4,5及び7の各請求項が新規に追加されており,明細書において,【0209】,【0216】68ないし【0264】が新規に追加され,図面において,図64ないし図101が新規に追加されている。また,【0120】及び【0265】において記載が追加されている。
そして,上記の原出願において新規に追加された記載事項は,次の技術的事項を含んでいる。
a 液晶表示部を報知手段として使用する技術(新規追加事項c’)この液晶技術は,液晶表示部にキャラクタ等を登場させてキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行うものであって,その具体的な内容が,【0216】ないし【0259】及び図64ないし図101に記載されている。
b 音発生手段と連動演出手段と停止演出手段とからなる報知手段を,任意の2つの手段を組み合わせて報知手段とする技術(新規追加事項d)この報知手段は,請求項3,4,5及び【0260】ないし【0262】に記載されている。
c いずれか一つの停止ボタンが操作されるのを契機に,残りの他の停止ボタンの操作にかかわらず,連動表示態様を順次演出する技術(新規追加事項e)この連動表示態様は,請求項3,5,6(「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の1つの表示態様でこの少なくとも1列の可変表示を演出する連動演出手段」)並びに【0263】及び【0264】に記載されている。
(エ) 本件発明1-1,1-3及び1-10の基準日a 本件特許1-1の構成要件の一つである「報知手段」(1G)については,P2出願で初めて,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照し69てデモ抽選テーブルを選択する報知態様選択手段等によって構成されるという技術的事項が記載されるとともに,これが特許請求の範囲の中に組み込まれるに至っている。
すなわち,本件特許1-1の「報知手段」は,P2出願以降は,P1出願には全く記載されていなかったデモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択する報知態様選択手段等によって構成される報知手段をも含んだものとなっている(新規追加事項a)。
したがって,本件発明1-1の要旨となる技術的事項が先のP1出願の当初明細書に記載された技術的事項の範囲を超えていることは明らかである。
b また,同じく本件特許1-1の「報知手段」(1G)について,P2出願で初めて,液晶表示部にキャラクタ等を登場させてキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行うというパターンが記載されるとともに,原出願で初めて,その実施形態として具体的な技術内容が開示されている。
すなわち,本件特許1-1の「報知手段」は,先のP2出願又は原出願以降は,先のP1出願に全く記載されていなかった液晶表示部にキャラクタ等を登場させてキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行うというパターンをも含んだものとなっている(新規追加事項c,c’)。
したがって,本件発明1-1の要旨となる技術的事項が先のP1出願の当初明細書に記載された技術的事項の範囲を超えていることは明らかである。
c さらに,同じく本件特許1-1の「報知手段」(1G)については,P2出願で初めて,連動演出手段によって各列の表示が演出されるごとにあらかじめ定められた種類又は長さの効果音を発生させる音発生70手段等によって構成されるという技術的事項が記載されるとともに,これが特許請求の範囲の中に組み込まれるに至っている。
すなわち,本件特許1-1の「報知手段」は,先のP2出願以降は,先のP1出願では全く記載されていなかった連動演出手段によって各列の表示が演出されるごとに,あらかじめ定められた種類又は長さの効果音を発生させる音発生手段等によって構成される報知手段を含んだものとなっている(新規追加事項b)。
したがって,本件発明1-1の要旨となる技術的事項が先のP1出願の当初明細書に記載された技術的事項の範囲を超えることは明らかである。
d 以上のように,本件特許1-1の「報知手段」(1G)については,前記aないしcの技術を後の出願(P2出願又は原出願)で加えることによって,後の出願の請求項に係る発明の要旨となる技術的事項が先の出願の当初明細書に記載された技術的事項の範囲を超えることとなった。そして,その超えた部分を含む請求項について優先権の主張の効果は認められないことは明らかである。
したがって,かかる「報知手段」を含む請求項1に係る発明である本件発明1-1についての特許性判断の基準日は,液晶表示部を報知手段として使用する技術の具体的な技術内容が初めて開示された原出願日である平成10年11月25日か,または,早くとも,液晶表示部にキャラクタ等を登場させてキャラクタ表示の変化の組合せによって予兆報知を行うという示唆,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択する報知態様選択手段及び連動演出手段によって各列の表示が演出されるごとにあらかじめ定められた種類又は長さの効果音を発生させる音発生手段について初めて言及したP2出願日である平成10年8月28日である。
71そして,当然のことながら,これは,請求項1を引用して発明を特定する本件発明1-3及び1-10についても同様に妥当するものである。
(オ) 本件発明1-3の基準日請求項3ないし5は,原出願時に新たに請求項3ないし5として追加記載されたものであり,明細書においても,請求項3ないし5については原出願の【0260】ないし【0262】で初めてサポートされている(新規追加事項d)。
また,請求項3,5及び6についても,P2出願の請求項5に記載されていた「前記可変表示停止手段によって前記各列の前記可変表示が停止されるのに連動し,・・・前記各列の表示を順次演出する連動演出手段」が,原出願において「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,・・・この少なくとも1列の(前記)可変表示を演出する連動演出手段」との記載の変更がされ,これが原出願の【0263】及び【0264】で初めてサポートされている(新規追加事項e)。
したがって,本件発明1-3の特許性判断の基準日は,原出願日である平成10年11月25日である。
(カ) 本件発明1-10の基準日請求項10は,P2出願時に新たに請求項8として追加記載されたものであり,明細書においても,P2出願の【0148】ないし【0153】の記載によって初めてサポートされている(新規追加事項a)。
したがって,本件発明1-10の特許性判断の基準日は,原出願日である平成10年11月25日か,早くともP2出願時である平成10年8月28日である。
ウ 「サンダーV」「ハナビ」の生産譲渡72本件特許1の成立過程において,原告は,審査に先立ち早期審査に関する事情説明書(乙1の11)を提出しており,これが認められて(乙1の12),早期審査の対象として審査がされている。そして,上記早期審査事情説明書には,実施行為として「生産,譲渡」と記載され,発明の実施時期として「平成9年12月より生産,譲渡中」と記載され,発明と実施行為との関連については,「当該発明を実現するコンピュータ・プログラムが,生産,譲渡中のスロットマシンに内蔵されたROM(読み出し専用メモリ)に記憶されている。このスロットマシンは,ROMに記憶された上記コンピュータ・プログラムの処理手順に従う内蔵マイクロプロセッサの制御により,本事情説明書と共に提出した刊行物の写しのように,遊技処理を行う。」と記載されている。そして,刊行物として株式会社白夜書房の発行する「パチスロ必勝ガイド」,1998年3月号,表紙及び裏表紙,第4頁及び第5頁が提出されており,当該刊行物にはスロットマシン「サンダーV」が掲載されると共に,その解説の一部として「・・サンダーVが去る12月24日のクリスマスイブを以て全国一斉本格導入をスタートさせた。」と記載されている。
すなわち,前記早期審査事情説明書において原告自身が認めているように,原告は,遅くとも平成9年12月24日には,本件発明1に係るスロットマシン「サンダーV」を生産・譲渡しているのである。
さらに,原告は,その第26期有価証券報告書(乙1の13)に記載のように,遅くとも平成10年7月には,スロットマシン「ハナビ」を生産・譲渡している。このスロットマシン「ハナビ」は,「サンダーV」の改良型であり,後述のとおり,コンピュータ・プログラムの大部分を「サンダーV」と共通とする機種である。
そして,前述のとおり,前記スロットマシン「サンダーV」及び「ハナビ」は,いずれも,本件発明1の基準日である平成10年11月25日73(原出願)又は平成10年8月28日(P2出願)よりも,以前に生産譲渡されている。
エ 本件発明1と「サンダーV」「ハナビ」との対比(ア) 本件発明1-1との対比本件発明1-1のうち,構成要件1Aの「入賞態様決定手段」は,スロットマシン(構成要件1I)である「サンダーV」に実装されたROMと,このROMに固定されたプログラムを実行する8ビットCPU(Z80)とから実現されており(乙1の27の1頁),同プログラムにおける該当する箇所は確率抽選処理(ロードアドレス【0935〜09B4】)である(乙1の22の1頁)。これは「ハナビ」においても同様である。また,「サンダーV」及び「ハナビ」のリールユニットは,構成要件1Bの「可変表示装置」に該当し,同スタートレバーは,構成要件1Cの「可変表示開始手段」に該当し,同停止ボタンは,構成要件1Dの「可変表示停止手段」に該当する。
そして,前記確率抽選処理(ロードアドレス【0935〜09B4】)は,演出抽選テーブル(ロードアドレス【118C〜12D1】又は【1A6F〜1B83】)(乙1の27)等に基づいて行われており,これは構成要件1Eに該当する。また,「サンダーV」及び「ハナビ」において,当選フラグが成立し内部当選していても,所定タイミングで前記停止ボタンを押下しないと有効化入賞ラインに停止されない(リール停止制御,ロードアドレス【0BC2〜0C66】及びスベリコマ数決定処理,ロードアドレス【0C79〜0CD8】等によって実現)処理が行われ,これは構成要件1Fに該当する。
また,「サンダーV」及び「ハナビ」においては,予告演出として,所定の確率で,予告音,リール消灯,リールフラッシュの各演出が順次されており(報知選択抽選処理;ロードアドレス【0F42〜0F6749】,遊技開始音出音処理;ロードアドレス【0F42〜0F66】,リールランプ消灯制御;ロードアドレス【0F6A〜0F86】,リールランプ点滅制御ロードアドレス;【0F87〜0FBD】),これらの制御は,構成要件1G,1Hに該当する。
(イ) 本件発明1-3との対比「サンダーV」及び「ハナビ」では,予告演出として,予告音,リール消灯,リールフラッシュの各演出が順次されており(報知選択抽選処理;ロードアドレス【0F42〜0F69】,遊技開始音出音処理ロードアドレス;【0F42〜0F66】,リールランプ消灯制御;ロードアドレス【0F6A〜0F86】,リールランプ点滅制御;ロードアドレス【0F87〜0FBD】),これらの処理は,構成要件1Jに該当する。
(ウ) 本件発明1-10との対比「サンダーV」及び「ハナビ」において,報知態様選択手段として,デモ抽選テーブル選択テーブルを使用して,演出すべきデモ抽選テーブルを選択しており(報知選択抽選処理;ロードアドレス【0F42〜0F69】,デモ抽選テーブル選択テーブル;ロードアドレス【1B68〜1B83】,デモ抽選テーブル;ロードアドレス【1A7F〜1B62】),これは,構成要件1Kに該当する。
オ 以上のように,本件発明1-1,1-3及び1-10は「サンダーV」及び「ハナビ」によって実施がされている。
そして,前記本件発明1の特許性判断の基準日は,前述のとおり,原出願日である平成10年11月25日か,早くともP2出願時である平成10年8月28日であり,いずれにしても,「サンダーV」及び「ハナビ」の生産譲渡日よりも後に繰り下がることは明白である。
したがって,本件発明1-1,1-3及び1-10は,基準日前に特許75権者自身が製造販売したパチスロ機「サンダーV」及び同「ハナビ」によって公然と実施されたものであって,特許法29条1項2号の規定により特許を受けることができないものであり,その特許は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
(3) 進歩性の欠如についてア 本件発明1-1,1-3及び1-10は,いずれも,以下に述べるとおり,乙第1号証の28ないし乙第1号証の36に記載された発明に基づいて,特許要件の判断基準日前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって,本件発明1-1,1-3及び1-10は,いずれも,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許1-1,1-3及び1-10は,いずれも,同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
なお,乙第1号証の28ないし乙第1号証の33,乙第1号証の35及び乙第1号証の36は,いずれも,原告が主張する本件特許1の優先日である平成9年12月5日より前の公知文献である。乙第1号証の34は,P2出願時である平成10年8月28日より前の公知文献である。
イ 本件特許1-1について(ア) 構成要件1A,1B,1C,1D,1E,1F,1Gの一部,1H及び1I乙第1号証の28(特開平8-117390号公報)には,以下に述べるとおり,本件発明1-1の構成要件1A,1B,1C,1D,1E,1F,1Gの一部,1H及び1Iが開示されている。
a 構成要件1Aについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【請求項1】76・・・ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定し,・・・する制御部・・・【0034】この場合,制御部は,マイコン20を主な構成要素とし,これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン20は,予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU21と,記憶手段であるROM22及びRAM23とを含み,そのCPU21に,基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路24及び分周器25と,後述のようにサンプリングされる乱数を発生する乱数発生器26及び乱数サンプリング回路27とが接続されている。マイコン20のROM22は,入賞確率テーブル,シンボルテーブル,入賞シンボル組合せテーブル及びシーケンスプログラムを格納するように区分された記憶部22a,22b,22c,22dを備えている。これらの記憶部に格納されるテーブル等の内容については,後述する。
【0038】図3の回路において,乱数発生器26は,一定の数値範囲に属する乱数を発生し,サンプリング回路27は,スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は,ROM22内の記憶部22aに格納されている入賞確率テーブルにおいて,どの入賞グループに属する値になっているかが判定される。このため,概念的に図4に示したようなデータが,入賞確率テーブル記憶部22aに格納されている。
上記「マイコン20」及び「乱数サンプリングのための回路」を含77む「制御部」は,構成要件1Aの「乱数抽選によって遊技の入賞態様を決定する入賞態様決定手段」に相当する。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Aが開示されている。
b 構成要件1Bについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【請求項1】複数の図柄を可変表示する可変表示部と,・・・その判定した入賞態様に対応する図柄の組合せが出現するように前記可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部上記「可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部」は,構成要件1Bの「種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」に相当する。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Bが開示されている。
c 構成要件1Cについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0032】この実施例では,遊技者がメダル投入口8からメダルを投入した後,正面の左端部に設置されたスタートレバー11を操作することにより,3つのリール2,3,4が一斉に回転する。
上記「スタートレバー11」は,構成要件1Cの「可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段」に相当する。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Cが開示されている。
d 構成要件1Dについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0032】78・・・そして,これらの回転が一定の速さに達した時,各リールに対応して設けられたストップボタン12,13,14の操作が有効化されるので,遊技者はこれらのボタンを押圧操作することで,対応するリールの回転を停止させることができる。
上記「ストップボタン12,13,14」は,構成要件1Dの「前記可変表示を各列毎に停止させる可変表示停止手段」に相当する。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Dが開示されている。
e 構成要件1Eについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【請求項1】・・・前記制御部は,前記入賞確率テーブルとして,一の入賞役に対して設定された複数の入賞図柄の組合せを示すデータと,該入賞図柄の組合せと一対一対応して設定された内部的当選役を示すデータとを格納する記憶手段を有し,前記乱数値がサンプリングされた時,その乱数値が前記内部的当選役のいずれかに該当するか否かを判断し,その判断結果に対応した前記入賞確率テーブル中のデータに基づいて前記可変表示部の動作を制御する【0038】図3の回路において,乱数発生器26は,一定の数値範囲に属する乱数を発生し,サンプリング回路27は,スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は,ROM22内の記憶部22aに格納されている入賞確率テーブルにおいて,どの入賞グループに属する値になっているかが判定される。このため,概念的に図4に示したようなデータが,入賞確率テーブル記憶部22aに格納されている。
79【0039】図4において,B1〜B3,M1〜M3,S1〜S3は予め設定された数値であり,投入メダルの枚数に応じて“B1-M1-S1”,“B2-M2-S2”,“B3-M3-S3”のいずれかが決定される。なお,これらの数値は,サンプリングされた乱数値を大ヒット,中ヒット,小ヒットのいずれかにグループ分けするためのものである。
【0040】乱数発生器26から発生した乱数の値が0〜N(所定の数)であるとすると,投入メダル数が1の場合には,大ヒットの確率が“B1/N”,中ヒットの確率が“M1/N”,小ヒットの確率が“S1/N”となる。例えば,B1,M1,S1の値がそれぞれ“100”,“500”,“1000”であったとすると,サンプリングされた乱数の値が100未満であれば大ヒット,100以上500未満であれば中ヒット,500以上1000未満であれば小ヒットとなって,それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号が発生し,さらに1000以上である場合には入賞なし(ハズレ)のリクエスト信号が発生する。
上記「入賞確率テーブル」は,構成要件1Eの「複数の入賞態様からなる確率テーブル」に相当し,また,上記「それぞれの種類に対応した入賞リクエスト信号」の発生は,構成要件1Eの「当選フラグ」の成立に相当する。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Eが開示されている。
f 構成要件1Fについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0011】80例えば“7-7-7”が大ヒットのシンボルの組合せであるとき,マイコンは,この大ヒットシンボルの組合せが入賞ライン上に並ぶように可変表示部を停止制御するが,実際に可変表示が停止した時に大ヒットのシンボルの組合せになるかどうかは,遊技者の停止操作のタイミングに依存する。従って,“7-7-7”の大ヒットリクエスト信号が発生した状態になっていても,遊技者がその大ヒットシンボルの組合せを入賞ライン上に並ばせることができなかった場合には・・・【0027】また,「大ヒット」のような特定の入賞図柄に対応する内部的当選役に当っているとき,可変表示が停止した時にその特定の入賞図柄になるかどうかは,可変表示を停止させる遊技者の操作タイミングに応じて決定されるが,可変表示の停止により可変表示部に出現し得る図柄の組合せが特定の入賞図柄でない場合は,・・・上記記載は,内部的当選役に当たっていても遊技者がストップボタンを所定のタイミングで停止操作できなければ,入賞図柄を入賞ラインに並ばせることができない構成を示すものである。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Fが開示されている。
g 構成要件1G(一部)について乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0079】(ii)ゲームスタート後,サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。
【0080】81この報知手段としては,例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。
すなわち,遊技がスタートして乱数がサンプリングされ,入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は,このバックライトを点滅又は点灯させることによって,遊技者に内部的当選を知らせる。これにより,遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。
【0081】具体的には,図10及び図11に示すように,3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に,3個のランプ(LED,電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し,これら3列のランプ41を,図3のCPU21により,例えばストップボタン12が押された直後に,図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお,図12において,(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン,(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン,(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論,パターンはこれらのみに限らない。
【0082】また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
上記記載は,構成要件1Gのうち「所定確率で」を除く「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態82様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する報知手段」を示すものである。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Gのうち「所定確率で」を除く構成が開示されている。
h 構成要件1Hについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0043】更に,ROM22の記憶部22c内には,概念的に図6のように表わされる入賞シンボル組合せテーブルが格納されている。この入賞シンボル組合せテーブルでは,入賞となるシンボルの組合せ及び前述の「リーチ目」を構成するシンボルの組合せと,入賞のメダル配当枚数と,その入賞を表わす入賞判定コードとが対応づけられている。入賞判定コードは,例えば,“AH”が大ヒット,“BH”が中ヒット,“CH”が小ヒット,“RH”がリーチ目を表している。
【0079】(ii)ゲームスタート後,サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。
【0080】この報知手段としては,例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。
すなわち,遊技がスタートして乱数がサンプリングされ,入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は,このバックライトを点滅又は点灯させることによって,遊技者に内部的当選を知らせる。これにより,遊技者は「当たり」への期待感を83持つことができる。
【0081】具体的には,図10及び図11に示すように,3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に,3個のランプ(LED,電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し,これら3列のランプ41を,図3のCPU21により,例えばストップボタン12が押された直後に,図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお,図12において,(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン,(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン,(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論,パターンはこれらのみに限らない。
【0082】また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
【0083】更に,上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに,スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても,内部的当選を遊技者に知らせることができる。
【0084】(iii) 内部的当選の後,リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には,「リーチ目」を出現させることにより,遊技者に対し内84部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが,これに代えて,或いはこれと共に,上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。
上記記載のうち【0043】には,「入賞役」として「大ヒット」,「中ヒット」及び「小ヒット」が挙げられており,各入賞役にはメダル配当枚数が割り当てられていることから,これらの入賞役は上記構成要件Hの「配当のある複数の異なる入賞態様」に相当する。
また,【0079】ないし【0081】に記載された報知態様は,各入賞役に共通して現れる報知態様である。実際,【0082】には,上記のとおり「また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。」と記載されているが,かかる記載は,【0082】より前に位置する【0080】の「遊技がスタートして乱数がサンプリングされ,入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は,このバックライトを点滅又は点灯させることによって,遊技者に内部的当選を知らせる」報知が,「複数の入賞役に共通した報知態様による報知」であることを前提とするものである。
よって,乙第1号証の28には,構成要件1Hのうち「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」が開示されている。
さらに,【0083】及び【0084】には,上記のとおり「バックライトの利用に加えて・・・スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによ」る報知が開示されており,報知態様としてリールのバックライトに加え音を用いるなど,複数の異なる報知態様を85組み合わせて報知情報を構成する技術が開示されている。
よって,乙第1号証の28には,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様として音を発生させ,かつそれとは異なる報知態様としてバックライトを点滅又は点灯させる等異なる報知態様を組み合わせる報知技術が開示されている。
ここで,異なる報知態様が組み合わされた場合,それぞれの報知態様による報知のタイミングは,技術常識上当然のことながら,同時か時をずらすかの2通りしかあり得ない。よって,複数の報知態様(たとえば音とバックライト)を上記構成要件1Hのように時をずらせて報知する構成は,異なる報知態様を組み合わせる報知技術において自明な事項にすぎない。
以上により,乙第1号証の28には構成要件1Hのすべてが開示されている。
i 構成要件1Iについて乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0001】【産業上の利用分野】本発明は,マイクロコンピュータ(以下,マイコンという)などの電子回路により遊技態様を制御する遊技機,特に複数の図柄(シンボル)を可変表示する可変表示部を備えたスロットマシン,いわゆるパチスロ,及びパチンコ機等の弾球遊技機を含む遊技機に関する。
上記「遊技機」は構成要件1Iの「遊技機」に相当する。よって,乙第1号証の28には,構成要件1Iが開示されている。
(イ) 構成要件1G「所定確率」構成要件1Gの一部である「・・・報知情報を所定確率で遊技者に報86知する・・・」構成は,以下に述べるとおり,乙第1号証の29(特開平7-68027号公報)及び乙第1号証の30(特開平9-700号公報)に開示されている。
a 乙第1号証の29には,以下の記載がある。
【0020】・・・そしてS2の処理により,ランダム2カウンタの左図柄用のカウント値部分により左図柄を決定し,その決定された左図柄と同じ図柄になるように中図柄と右図柄を揃える処理が行なわれる。その結果,可変表示装置4の可変停止時においては,左図柄と中図柄と右図柄とが同じ図柄となりぞろめの状態となり,大当り状態が発生する。次にS3に進み,ランダム3カウンタのカウント値を読出す処理が行なわれる。このランダム3カウンタは,0からカウントアップしてその上限である2までカウントアップした後再度0からカウントアップし直すものである。そして,読出されたカウント値が0のときにS4に進み,大当り予告1を行なうためのフラグがセットされる。ランダム3カウンタの値が1のときにはS5に進み,リーチ予告を行なうためのフラグがセットされる。リーチとは,複数の可変表示部が時期を異ならせて停止される場合に,一部の可変表示部が未だ可変表示している段階で既に停止している可変表示部の表示結果が大当りとなる特定の表示態様の条件を満たしている状態である。ランダム3カウンタの値が2のときにはS6に進み,予告なしの状態となり,直接S11に進む。
【0021】・・・次にS15に進み,可変入賞球装置9を第1の状態にする大当り制御が行なわれる。
87【0050】【発明の効果】本発明によれば,可変表示装置の表示結果を特定の表示態様とすることが決定されている場合に,その旨が可変表示装置の表示結果が導出される前に報知されるために,特定の表示態様になることが決定されたという遊技者にとって喜ばしい状態を遊技者がいち早く知ることができ,それ以降の遊技を楽しく行なうことができる。しかも,その報知が必ず行なわれるのではなく,選択的に行なわれるために,報知が行なわれないにも関わらず特定の表示態様となる場合があり,その結果,報知が行なわれない場合には必ず特定の表示態様が発生しないと遊技者が思うことがなく,報知が行なわれない場合に遊技者が完全に失望してしまうことを防止できる。
すなわち,乙第1号証の29記載の発明の本質的部分は,遊技者の興趣を昂じさせるために,内部当選した場合であっても必ずしも報知を行わない構成を設けたことにあり,それは,本件構成要件1Gにいう「所定確率」による報知そのものである。
具体的には,乙第1号証の29記載の実施例においては,大当たりが当選した場合,大当たり予告の報知を行うか否かは,ランダム3カウンタの値によって決定される。ランダム3カウンタは,0から2までの整数値をとるところ,大当たりが当選している場合であっても,大当たり予告がされるのは,ランダム3カウンタの値が「0」の場合のみであって,ランダム3カウンタの値が「1」及び「2」の場合には,大当たり予告はされない。したがって,大当たりが当選している場合に,大当たり予告の報知がされる確率は1/3である。
よって,乙第1号証の29には,構成要件1Gのうち「・・・報知88情報を所定確率で遊技者に報知する・・・」構成が開示されている。
b 乙第1号証の30には,以下の記載がある。
【請求項3】前記可変表示制御手段は,前記表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を前記特定の表示態様に相当するものにする決定が行なわれた場合に,前記特定のキャラクタを用いた報知をする表示制御を第1の確率で行ない,・・・【0051】・・・そして,大当りを発生させることが事前決定された場合には,C RND ZU1の抽出値により,大当りとなる図柄の種類が決定され,さらに,C RND YOKの抽出値により大当り予告を実行するか否かの決定および大当り予告の種類の決定が行なわれる。
【0056】図6は,大当り予告テーブルの内容を示す説明図である。この図6に示される大当り予告テーブルにおいては,各種の遊技状態ごとにC RND YOKの抽出値と,大当り予告の報知方法との関係が予め定められている。
【0057】詳しくは次のとおりである。遊技状態は,大当りが事前決定されていない遊技状態(図中「大当り以外」),大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(図中「大当り・始動記憶2以上」),および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(図中「大当り・始動記憶1以下」)の3種類に分類されている。
【0059】89遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には,CRND YOKとの抽出値,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「99」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」〜「199」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」〜「449」の場合には,音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
【0060】遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には,C RND YOKと,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「224」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」〜「449」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。」【図6】すなわち,乙第1号証の30記載の実施例においては,大当たり予90告の報知を行うか否かは,C RND YOKの抽出値(0〜899の整数値)によって決定され,大当たりを発生させることが事前決定された場合であっても,C RND YOKの抽出値が0から449までの値である場合に限り,大当たり予告の報知が行われるので,大当たり予告が報知される確率は,450/900である。したがって,大当たりが当選している場合に,大当たり予告の報知がされる確率は1/2である。
よって,乙第1号証の30には,構成要件1Gのうち「・・・報知情報を所定確率で遊技者に報知する・・・」構成が開示されている。
このように,構成要件1Gのうち「・・・報知情報を所定確率で遊技者に報知する・・・」構成は,乙第1号証の29及び乙第1号証の30のいずれにも開示されている。
(ウ) 以上により,本件発明1-1において,構成要件1A,1B,1C,1D,1E,1F,1Gのうち「所定確率」による報知を除く構成,1H及び1Iは,いずれも乙第1号証の28に開示されており,また,構成要件1Gのうち「所定確率」による報知は,乙第1号証の29及び乙第1号証の30にそれぞれ開示されている。
ここで,乙第1号証の29及び乙第1号証の30記載の発明は,いずれも乙第1号証の28記載の発明と同様,スロットマシンを含む遊技機に関する発明であり,同一の技術分野に属している。また,遊技機に関する発明において,ゲームの興趣を向上させることは自明の課題であり,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。さらに,乙第1号証の28記載の発明において,内部当選した場合に必ず報知を行う構成に替えて,報知を所定確率で行う構成を適用するに当たり,阻害要因となるべき事情は何ら存しない。したがって,乙第1号証の29に記載された「所定確率」により報知を行う構成を乙第1号証の2891記載の発明に適用することは,当業者が極めて容易に推考し得ることである。同様に,乙第1号証の30に記載された「所定確率」により報知を行う構成を乙第1号証の28記載の発明に適用することは当業者が極めて容易に推考し得ることである。
よって,本件発明1-1は,乙第1号証の28及び甲第29号に記載された発明に基づき,あるいは乙第1号証の28及び乙第1号証の30に記載された発明に基づき,当業者が容易に想到することができたものであって,同発明に,進歩性は認められない。
以上により,本件特許1-1は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであって,特許無効審判により無効とされるべきものである。
(エ) 本件発明1-1は,以下に述べるとおり,乙第1号証の31(特開平9-262348号公報)を参酌することによっても,進歩性が認められない。
乙第1号証の31は,本件特許1に対する特許異議申立て(異議2001-70271)では検討されなかった新たな公知文献である。乙第1号証の31記載の発明は,弾球遊技機のリーチに関する発明であり,構成要件1Hのうち「報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」を明確に開示している。
乙第1号証の31には,以下の記載がある。
【請求項1】・・・前記リーチ判別手段により前記表示結果が前記所定のリーチ状態を含むと判別すると,一旦仮リーチ表示を行った後に該仮リーチ表示に比べて前記特定表示結果となり得る表示上の確率を高く設定してリーチ表示を行うことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】・・・前記リーチ判別手段により前記表示結果が前記特別リーチ92状態を含むと判別すると,一旦特別リーチ以外の通常のリーチ表示を行った後に特別リーチ表示を行うことを特徴とする弾球遊技機。
【0003】・・・本発明は,上記した事情に鑑みなされたもので,その目的とするところは,通常のリーチ表示を行った後に該リーチ表示を大当り期待度が高いあるいは確変等の特別遊技状態を発生し得るリーチ表示に変更することで,遊技の射幸性を向上し得る弾球遊技機を提供することにある。
【0004】・・・リーチ判別手段により表示結果が所定のリーチ状態を含むと判別すると,一旦仮リーチ表示を行った後に該仮リーチ表示に比べて特定表示結果となり得る表示上の確率を高く設定してリーチ表示を行うので,リーチ表示を行う段階で必ずしも表示上の大当り期待度を決定することなく,ひいてはリーチ変動の期待感向上と遊技の射幸性向上が招来できる。
【0005】・・・リーチ判別手段により表示結果が特別リーチ状態を含むと判別すると,一旦特別リーチ以外の通常のリーチ表示を行った後に特別リーチ表示を行うので,リーチ表示を行う段階で必ずしも確変等の特別遊技状態の発生の有無を決定することなく,ひいてはリーチ変動の期待感向上と遊技の射幸性向上が招来できる。
【0009】また,図9に示す各種リーチ2・3の変動制御により,前記リーチ判別手段により前記表示結果が前記所定のリーチ状態を含むと判別すると,一旦仮リーチ表示を行った後に該仮リーチ表示に比べて前記特定表示結果となり得る表示上の確率を高く設定(グルーピン93グのリーチ図柄に変更)してリーチ表示を行う構成の一例を示している。
上記リーチ2・3の変動動作については,【0026】ないし【0029】において,図9を参照した詳細な説明がされており,これを,乙第1号証の31記載の図6及び図9を用いてわかりやすく説明すると,以下のとおりとなる。
【図6】【図9】94まず,始動信号の立ち上がりより0.004秒後に,左・中・右の全図柄を変動パターンAにより変動させる。その後,左図柄は,6.0秒間変動パターンAにより変動された後,0.5秒間変動パターンBにより変動されて第1停止図柄が停止表示される。右図柄は,6.5秒間変動パターンAにより変動された後,0.5秒間変動パターンBにより変動されて第1停止図柄が停止表示される。中図柄は,左右の第1停止図柄によるリーチ図柄が導出される時点まで(7.0秒間)変動パターンAにより変動される。
その後,左右の第1停止図柄がともに停止され,左右の各図柄が同期した状態で第2停止図柄の変動が開始される。第2停止図柄の変動開始は,図6(A)に示す第1停止図柄の上部範囲で一定の高速変動する変動パターンFにより行われるものであり,この変動開始と同時に左右の各第1停止図柄は,1図柄表示領域の下部範囲に縮小表示される。そして,左右の各図柄は,それぞれ第2停止図柄が変動パターンFにより3.0秒間変動された後に0.5秒間変動パターンBにより変動されて最終の表示結果が導出される。
すなわち,乙第1号証の31記載の弾球遊技機(いわゆるパチンコ)には,3種類のリーチ表示(リーチ1,2及び3)が設けられている。
リーチ1,2及び3は,いずれも,可変表示部の左図柄及び右図柄を先に停止させ,中図柄が一定時間変動する状態を作出する。中図柄が特定の図柄の位置で停止すれば大当たりとなることから,リーチは,大当たりが内部当選している可能性があることを遊技者に対し報知する情報であり,遊技者は,リーチ表示が現れれば,大当たりを期待することができる。
リーチ2・3では,いったん第1停止図柄により通常のリーチ図柄(たとえば「6・?・6」のリーチ図柄)が導出され,その後,第2停95止図柄によるリーチ図柄を停止表示することでグルーピングのリーチ図柄(たとえば「7 6」のグルーピング図柄からなる「7 6・?・7 6」のリーチ図柄)が導出される。
よって,乙第1号証の31には,第1停止図柄による通常のリーチ図柄を導出し,その後,第2停止図柄を含むグルーピングのリーチ図柄を導出する構成,すなわち,第1停止図柄とそれとは異なる報知態様である第2停止図柄とを時を異にして報知する構成が開示されている。
さらに,乙第1号証の31記載の同発明の作用効果については,左右の第1停止図柄によるリーチ表示では,中図柄が「6」で停止した時のみ大当たりとしていたが,左右の第2停止図柄によるリーチ表示を加えて「6」もしくは「7」のいずれかで大当たりとなるように変化することにより,表示上の大当り期待度が高くなる。すなわち,大当たりを予告する報知を時をずらして2段階で行う構成を備えることにより,遊技者が,遊技の一連の流れの中で,大当たりの内部当選をしている可能性があることを,段階的により確実に知ることができ,従来のように大当たり期待度が終始一定のリーチ表示に比べて射幸性を向上させることができ,ひいては遊技者の興趣向上を招来することができる。
かかる作用効果は,本件発明1の作用効果「【0266】【発明の効果】内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される。従って,演技の面白味が増し,また,リーチ目の出目を判断できない遊技の初心者であっても,遊技の一連の流れの中でこの報知によってある程度入賞態様の予測をすることが可能となる。」と同様のものである。
以上のとおり,乙第1号証の31には,第1停止図柄による通常のリーチ図柄を導出し,その後,第2停止図柄を含むグルーピングのリーチ図柄を導出する構成,すなわち,第1停止図柄とそれとは異なる報知態96様である第2停止図柄とを時を異にして報知する構成が開示されており,これは,構成要件1Hの「・・・報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」に相当するものである。
ここで,乙第1号証の31記載の発明は弾球遊技機に関する発明であるが,同弾球遊技機は,図柄を可変表示する可変表示部を含む遊技機であることから,乙第1号証の31及び乙第1号証の28記載の発明はいずれも同一の技術分野に属する。また,遊技機に関する発明については,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であり,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。さらに,乙第1号証の28記載の発明に,遊技の一連の流れの中で時をずらして報知するという乙第1号証の31記載の発明を適用するに当たり,阻害要因となるべき事情は何ら存しない。
したがって,乙第1号証の31に接した当業者は,乙第1号証の28に開示されている「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様としての音の発生」と「それとは異なる報知態様としてのバックライトの点滅又は点灯」とのタイミングをずらし,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知と」を行う構成を,極めて容易に想到することができる。
よって,本件発明1-1は,乙第1号証の28,乙第1号証の29及び乙第1号証の31に記載された発明に基づいて,あるいは乙第1号証の28,乙第1号証の30及び乙第1号証の31に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到することができたものであって,同発明に,進歩性は認められない。
以上により,本件特許1-1は,特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって,特許無効審判において無効とされるべきもの97である。
ウ 本件特許1-3について(ア) 本件発明1-3の構成要件1Jのうち「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」を備える構成は,以下に述べるとおり,乙第1号証の32及び乙第1号証の33に開示されている。
a 乙第1号証の32(「必勝パチスロファン」(1994年増刊7月号))の78頁3ないし4段目には,以下の記載がある。
「●音が鳴るスタートレバーを叩いた瞬間,まるでホールの客全員に教えてあげるというような大きな音が鳴る。それがボーナスフラグ成立の合図なのだ。これはどんな初心者といえども,気づかないなんてことはないだろう。親切といえば親切である。だが,いかんせん音が大きすぎる。はっきりいって恥ずかしいのだ。プレーヤーには賛否両論だが,やや否の方が多いようだ。」上記記載は,可変表示開始手段によって可変表示が開始されるときに効果音を発生させる音発生手段を開示するものである。
よって,乙第1号証の32には,構成要件1Jのうち,「複数の効果音の中の1つの」音を除く,「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始されるときに」「音を発生させる音発生手段」が開示されている。
b また,乙第1号証の33(特開平8-173592号公報)には,以下の記載がある。
【請求項1】・・・音を発生する音発生手段とを備えた遊技機において,前記図柄列の移動を停止する際には,前記音発生手段から前記入賞98ライン上に停止した図柄毎に異なる音を発生するように構成したことを特徴とする遊技機。
【0050】・・・シンボルの停止音は,例えば図6(a)に示すテーブルから読み出して発生させる。
【0051】・・・そのシンボルの音を発生させるようにすればよい。
【0052】例えば,上記の入賞判定で今回止めるべきシンボル組合せが「イルカ-イルカ-イルカ」という入賞態様の場合,左側の第1リール2が図2に示すように停止した時,「イルカ」に対応する「ミ」の音を停止音として発生させる。一方,入賞判定で外れとされた場合は,第1リール2が図2に示すように停止した時,3本の入賞ラインL1 〜L3 が有効化されているならば,それらの入賞ライン上に停止したシンボル(この例では3つ)のうち最も配当の大きい「7」に対応する停止音「ド」を発生させる。
【0055】このようにステップ7〜10が繰り返されて全リールが停止した時,ST6の入賞判定結果に基づき,停止ボタンの操作タイミングに応じて生成されたシンボル組合せが上記の「イルカ-イルカ-イルカ」ならば,各リール停止時に発生する停止音は順に「ミ」,「ミ」,「ミ」となるので,遊技者はシンボルを見ていなくても入賞したことが分かる。
【0056】一方,停止ボタンの操作タイミングがまずくて,入賞判定結果が入賞であるにもかかわらず上記の入賞態様のシンボルが入賞ラ99イン上に一列に並ばなかった場合,例えば3つのリールが図2に示すように止まった場合には,各リール停止時に発生する停止音は順に「ミ」,「ミ」,「レ」となるので,遊技者はシンボルを見ていなくても外れたことが分かる。
【0061】・・・シンボルの種類毎に音色(汽笛,クラクション,様々な楽器の音など)を変えることにより,・・・【0062】・・・シンボル毎に音の長さを変えるようにしてもよい。
上記記載は,「複数の効果音の中の1つの音」を発生させる音発生手段を開示するものである。
c よって,乙第1号証の33には,構成要件1Jのうち「複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」が開示されている。
(イ) 本件発明1-3の構成要件1Jのうち「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」を備える構成は,乙第1号証の28に開示されている。
a 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0080】この報知手段としては,例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。
すなわち,遊技がスタートして乱数がサンプリングされ,入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は,このバックライトを点滅又は点灯させることによって,遊技者に内部的当選を知らせる。これにより,遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。
100【0081】具体的には,図10及び図11に示すように,3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に,3個のランプ(LED,電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し,これら3列のランプ41を,図3のCPU21により,例えばストップボタン12が押された直後に,図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯するように制御する。なお,図12において,(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン,(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン,(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論,パターンはこれらのみに限らない。
【0082】また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
b 上記ストップボタンを押した直後にバックライトが点灯・点滅する演出手段は,構成要件1Jのうちの「可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で演出する連動演出手段」に相当する。
(ウ) 本件発明1-3の構成要件1Jのうち「前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」を備える構成も,乙第1号証の28に開示されている。
a 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
101【0083】更に,上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに,スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても,内部的当選を遊技者に知らせることができる。
【0084】(iii) 内部的当選の後,リールの回転停止操作によって出現し得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には,「リーチ目」を出現させることにより,遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが,これに代えて,或いはこれと共に,上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。
b 上記記載は,音と音以外の報知態様との組合せによって内部的当選を遊技者に報知する構成を開示しており,同構成は,構成要件1Jのうち「音発生手段によって発生される効果音の種類,及び前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」に相当する。
(エ) 本件発明1-3は,乙第1号証の28記載の発明において,乙第1号証の32記載の発明を適用し,可変表示開始時に音を発生させる音発生手段を設けるとともに,乙第1号証の33記載の発明を適用し,報知手段としての音を複数種類設けることによって実現するものである。
乙第1号証の28記載の発明及び乙第1号証の33記載の発明はスロットマシンを含む遊技機に係る発明であり,一方,乙第1号証の32はパチスロ機に関する雑誌であって,これら発明はいずれも同一の技術分102野に属している。また,遊技機に関する発明については,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であり,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。
さらに,乙第1号証の28記載の発明に,可変表示が開始されるときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段を適用するに当たり,阻害要因となるべき事情は何ら存しない。
したがって,本件発明1-3は,当業者が,乙第1号証の28,乙第1号証の32及び乙第1号証の33に記載された発明を組み合わせることによって,極めて容易に想到することができたものであって,同発明に進歩性は認められない。
以上により,本件特許1-3は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであって,特許無効審判により無効とされるべきものである。
エ 本件特許1-10について(ア) 「選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成の開示a 乙第1号証の30には,以下の記載がある。
【0058】「大当り以外」の場合は,C RND YOKの抽出値と,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「3」である場合には,特別の音による大当り予告の報知を行なう。抽出値が「500」〜「503」である場合には,キャラクタによる偽りの大当り予告の報知を行なう。抽出値が「800」である場合には,特別の音およびキャラクタの両方による偽りの大当り予告の報知を行なう。抽出値が「4」〜「499」,「504」〜「799」,「801」〜「899」の場合には,偽りの大当り予告の報知をしない。
103【0059】遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には,CRND YOKとの抽出値,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「99」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」〜「199」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」〜「449」の場合には,音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
【0060】遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には,C RND YOKと,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「224」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」〜「449」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
【0067】始動入賞記憶中に大当りが事前決定されたものがない場合に実行されるS8では,偽りの大当り予告を行なうか否かの判断がなされる。具体的には,図14(判決注・「図6」の誤記と思われる。)の大当り予告テーブルの「大当り以外」の遊技状態の場合において,C RNDYOKの抽出値が,「0」〜「3」,「500」〜「503」および「800」のいずれかに該当するか否かの判断がなされる。S8で偽りの大当り予告を行なうと判断さ104れた場合には,S5に進む。一方,S8で偽りの大当り予告を行なわないと判断された場合には,このルーチンを終了する。
【0070】以上に説明した大当り予告処理をまとめると,次のとおりである。大当り予告をするか否かは,大当り予告テーブルに基づいて決定され,大当り予告を行なう場合の報知方法も大当り予告テーブルに基づいて決定される。大当り予告には,真の大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されている場合の予告報知)と,偽りの大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されていない場合の予告報知)とが含まれる。真の大当り予告と,偽りの大当り予告とのそれぞれの報知方法の種類は同じである。さらに,この大当り予告は,複数種類の報知方法を選択的に用いた報知が行なわれる。
b 上記記載は,テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様の組合せを選択する構成を開示するものである。
よって,乙第1号証の30には,構成要件1Kのうち「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルを選択」する構成を除く,「選択されたデモ抽選テーブルを参照して抽選乱数に応じて演出態様組合せを選択する」構成が開示されている。
(イ) 「デモ抽選テーブル選択テーブル」「デモ抽選テーブル」を備える構成の開示a 乙第1号証の34(特開平10-201911号公報)には,以下の記載がある。
【0107】リーチの場合には,ステップ150で,リーチモード選択テー105ブルとリーチモード選択用乱数(リーチモードの選択確率を設定するための乱数)よりリーチモードを決定する。即ち,ステップ142で,大当たりか外れか判定されて,ステップ144で,大当たり移行フラグがセットされているので,これらにより,リーチモード選択確率設定用テーブル(表5,ROMに記憶されている)から,リーチモード選択確率設定及びリーチモード選択テーブルが選択される。即ち,リーチモード選択確率設定用テーブルの先頭アドレスを算出し,リーチモード選択用乱数を該先頭アドレスに加算する。例えば,リーチモード選択確率設定用テーブルの先頭アドレスをI(例えば,1000番地),リーチモード選択用乱数をi(3)とすると,リーチモード選択テーブル及び確率設定は,I+3i(1009番地)から始まるアドレス以降3バイト分のアドレスに記憶されたデータから得られる。なお,表5では,リーチモード選択確率設定用乱数を『乱数』と,リーチモード選択テーブルを『テーブル』と,リーチモード選択確率設定を『確率設定』と,表現している。
【0109】ここで,リーチモード選択テーブルを説明する。リーチモード選択テーブルは,外れリーチ及び大当たりリーチの各々について各確率設定(確率設定1〜確率設定3)毎に予めROMに記憶されている。即ち,外れリーチにおける確率設定1〜確率設定3の各リーチモード選択テーブルは,表6,7,8に示す通りであり,大当たりリーチにおける確率設定1〜確率設定3の各リーチモード選択テーブル2,4,6は,表9,10,11に示す通りである。なお,各リーチモード選択テーブル1〜6では,リーチモード選択用乱数を『乱数』,リーチモード選択テーブルを『テーブ106ル』と表現している。
【0110】例えば,リーチモード選択確率設定用乱数として5がセットされていて,かつ大当たり移行フラグの状態から大当たりと判定した場合,リーチモード選択確率設定用テーブル(表5)から,リーチモード選択テーブル4が選択される。
【0111】そして,選択されたリーチモード選択テーブル及びリーチモード選択用乱数(図21のステップ276参照)から,リーチモード選択用乱数に対応するリーチモードを選択する。即ち,選択されたリーチモード選択テーブルの先頭アドレスを算出し,リーチモード選択用乱数を該先頭アドレスに加算し,加算値のアドレスに記憶されているデータからリーチモードを選択する。
【0112】例えば,前述したように,大当たりとなっており,確率設定2,リーチモード選択テーブル4(表10参照)が選択され,リーチモード選択用乱数として3が抽出された場合には,リーチ1処理モード(表ではリーチモード1)が選択されることになる。
b 上記記載は,「リーチモード選択確率設定用テーブル」を用いて「リーチモード選択テーブル」を決定し,さらに「リーチモード選択テーブル」を用いて「リーチモード」を選択する技術を開示しており,「リーチモード選択確率設定用テーブル」及び「リーチモード選択テーブル」はそれぞれ,構成要件1Kの「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」に相当する。
(ウ) 乙第1号証の35及び乙第1号証の36における開示a 乙第1号証の35(特開平8-211869号公報)には,以下の107記載がある。
【0013】図4は,本発明のエンベロープパラメータ発生手段の第2の実施例を示す機能ブロック図である。エンベロープパラメータテーブル40は,第1実施例と同様に,音域情報および音色情報に基づき,高域,中域,低域の各音域に対応した3つのエンベロープパラメータを発生する。タッチ変換テーブル選択テーブル45は,その内容を図6(a)に示すように,例えば踏み込み量を8段階に分け,各段階に対応して,各音域ごとに採用すべきタッチ変換テーブルの番号を記憶している。そして,キーオン時にはCPU1は踏み込み量情報がどの段階に属するかを判定し,該段階において,それぞれの音域において採用すべきタッチ変換テーブルの番号を読み出す。
【0014】タッチ変換テーブル46は例えばベロシティ情報に基づき,エンベロープパラメータテーブル40から出力されたパラメータの内の各フェーズの目標レベルパラメータを修正するためのエンベロープ係数3を発生する8個のテーブルからなり,その特性は例えば図6(b)に示されているように,テーブル番号が大きいほど,同じベロシティに対するエンベロープ係数3の値が小さくなっている。そして,各音域に対応するエンベロープ係数3は,タッチ変換テーブル選択テーブル45から出力されたテーブル番号によって選択されたタッチ変換テーブルからそれぞれ読み出される。CPU1は,各音域ごとに,エンベロープパラメータテーブル40から出力されたパラメータの内の各フェーズの目標レベルパラメータに,対応する音域のエンベロープ係数3を乗算する108(図においては乗算器47として図示されている。)。
b また,乙第1号証の36(特開平8-99407号公報)には,以下の記載がある。
【0052】・・・また,関数テーブルを規則選択するための関数テーブル選択テーブルを別個有し,所望のタイミングで前記関数テーブル選択テーブルから次に選択する関数テーブルの情報を得る手段であっても良い。
c 乙第1号証の35及び乙第1号証の36記載のいずれの発明も,テーブルデータを利用して情報処理を行う場合において,階層化された2つのテーブルを用いて所望のデータを選択する技術を開示するものである。
構成要件1Kは,「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」という階層化された2つのテーブルを用いて「演出態様組合せを選択する」ことを要求するものであり,かかる構成は,既に,乙第1号証の35及び乙第1号証の36において開示されている。
(エ) 乙第1号証の34は,甲第1号証の30と同様,図柄を可変表示する可変表示部を含む遊技機であり,両者は同一の技術分野に属している。
また,遊技機に関する発明においては,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であるところ,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。さらに,乙第1号証の30記載の発明に乙第1号証の34記載の「リーチモード選択確率設定用テーブル」及び「リーチモード選択テーブル」を適用して,「デモ抽選テーブル選択テーブル」及び「デモ抽選テーブル」を備えた構成を実現する上において,それを阻害する要因は何ら存しない。
また,テーブルデータを利用して情報処理を行う場合において,階層109化された2つのテーブルを用いて所望のデータを選択する技術は,周知・慣用技術であって,このことは,乙第1号証の34のみならず,乙第1号証の35及び乙第1号証の36からも明らかである。したがって,当業者であれば,このような周知・慣用技術を乙第1号証の30に適用し,構成要件1Kを実現することは極めて容易に推考し得る。
よって,本件発明1-10は,乙第1号証の30,乙第1号証の34ないし乙第1号証の36に記載された発明に基づいて,当業者が容易に想到することができたものであって,同発明に進歩性は認められない。
以上により,本件特許1-10は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであって,特許無効審判により無効とされるべきものである。
〔原告の主張〕(1) 要旨変更がないことア 被告の主張について被告は,P2出願において,以下の事項が追加されたと主張する。
a デモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択する報知態様選択手段b 連動演出手段によって各列の表示が演出される毎に,予め定められた種類又は長さの効果音を発生させる音発生手段c 液晶表示部を報知手段として使用する技術の概要また,被告は,原出願において,以下の事項が追加されたと主張する。
c’液晶表示部を報知手段として使用する技術の具体的内容d 音発生手段と連動演出手段と停止演出手段とからなる報知手段を,任意の2つの手段を組み合わせて報知手段とする技術e いずれか一つの停止ボタンが操作されるのを契機に,残りの他の停止ボタンの操作に関わらず,連動表示態様を順次演出する技術110しかしながら,以下に述べるとおり,上記dおよびeに関する主張は誤りである。
(ア) 新規追加事項dについてP1出願の請求項3は,「報知手段」が,「音発生手段」と「連動演出手段」と「停止演出手段」と「報知態様選択手段」とから構成される(乙1の4)。この構成により,遊技の初心者であっても,遊技の一連の流れの中である程度入賞態様の予測をすることが可能となるという効果を奏する(【0119】)。
そして,原出願の請求項3は,P1出願の請求項3の「報知手段」から,「停止演出手段」を「除外」したものであって,構成を「追加」したものではない。
また,P1出願にかかる明細書の記載を参酌すれば,同出願において,「音発生手段」「連動演出手段」「停止演出手段」のうち,任意の2つの組合せで内部抽選に関する情報を報知して同様の効果を奏し得ることは,当業者にとって自明であった。
すなわち,P1出願の明細書には,以下の記載がある。
【0114】このような遊技の一連の流れにおいて,遊技者は遊技開始音Bによる聴覚効果によって,図27(b)に示すように,入賞態様がハズレか小当たりである確率は低く,RB,BBフラグ成立の確率が高いことを把握する。そして,RB,BBフラグ成立への期待感を高める。次に第1リール3の停止時にバックランプ57a〜57cが消灯する視覚効果により,BBフラグ成立への期待感をさらに高め,次に第2リール4の停止時にバックランプ57a〜57cが消灯する視覚効果により,BBフラグ成立への期待感を最大限に高める。最後に,第3リール5が消灯する視覚効果により,内部抽選によ111ってBBフラグが成立していることを知る。そして,最後のリールランプ点滅Cの視覚効果により,BBフラグが成立していることを確認し,リールランプ点滅Cの点滅パターンを楽しむ。
上記の記載によれば,遊技者は,「音発生手段」と3回の「連動演出手段」からの報知により,「内部抽選によってBBフラグが成立していることを知る」こととされ,「停止演出手段」は,BBフラグの成立を「確認」し,その点滅パターンは「楽しむ」対象とされているにすぎない。このように,「音発生手段」と「連動演出手段」からの報知だけでも,本件発明1と同様の効果を奏することが,P1出願の明細書に開示されているのである。
そして,原出願の請求項3は,「報知手段」が,「音発生手段」と「連動演出手段」と「報知態様選択手段」とからなる構成である。つまり,原出願の請求項3は,P1出願の【0114】の実施態様そのものであり,P1出願に何ら新しい構成を付け加えるものではない。
したがって,新規追加事項dは,原出願における発明の要旨変更に当たるものでないばかりか,被告の主張するような新規事項ですらない。
(イ) 新規追加事項eについて被告は,原出願の請求項3は,「いずれか一つの停止ボタンが操作されるのを契機に,残りの他の停止ボタンの操作に関わらず,連動表示態様を順次演出する技術」を記載したものであると主張する。
しかしながら,原出願の請求項3のどこにも,「残りの他の停止ボタンの操作に関わらず」などという記載はないし,「連動表示態様を順次演出する」という記載もない。
P1出願の請求項3では,「前記可変表示停止手段によって前記各列の可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様で前記各列の表示を順次演出する連動演出手段」が記載されていた。
112前述の【0114】の実施態様と合わせて読めば,上記の記載でも,その意味するところは明確であるが,請求項3の記載だけからは,「可変表示停止手段によって停止される列」と「演出が実行される列」との対応が同一ではないと誤解される余地が皆無ではなかった。
そこで原出願の請求項3では,「前記可変表示停止手段によって少なくとも1列の前記可変表示が停止されるのに連動し,複数の表示態様の中の1つの表示態様でこの少なくとも1列の可変表示を演出する連動演出手段」と記載することによって,「停止される列」と「演出が行われる列」が同一であることを明確にした。
したがって,新規追加事項eは,原出願における発明の要旨変更に当たるものでないばかりか,被告の主張するような新規事項ですらない。
(ウ) そして,原出願の請求項1とP1出願の請求項1,原出願の請求項3とP1出願の請求項3,原出願の請求項10とP2出願の請求項8を,それぞれ比較した場合,発明の要旨変更となるような事項はない。
よって,原出願の請求項1,3及び10については,いずれも優先権主張の効果が認められるものである。
(2) 公然性の要件を欠くことア 被告は,本件発明1-1,1-3及び1-10が,遅くとも平成10年8月28日(P2出願日)以前に公然実施されていたと主張する。しかしながら,本件発明1のうち,スロットマシンの内部制御に関する部分については,公然実施された事実はない。
物の発明にあっては,その物の生産・譲渡が「実施」に当たり,そうした生産・譲渡は,「公然実施」(特許法29条1項2号)と,公然でない実施を含むので,公然性の要件が問題となる。発明の内容を不特定多数の者が知り得ないような方法での実施は,公然実施に該当せず,また,譲渡当事者間に秘密保持契約等がある場合には,発明に係る物の譲渡が行われ113ても,公然実施に該当しない。
ウ 「サンダーV」及び「ハナビ」のROMの厳重な秘密管理「サンダーV」及び「ハナビ」が行う内部制御については,各遊技機の主基板に実装されたROM解析を実行しなければ知ることができない。しかしながら,以下に述べるとおり,同ROMは厳重に秘密管理されており,たとえ購入者であっても,ROM解析をすることができない。
(ア) 「サンダーV」及び「ハナビ」の各主基板において,ROM部分は基板封印シールによって封印された状態で遊技機に実装され,このROM部分が封印された主基板を覆うケースは,本体封印シールにより封印され,主基板ケースホルダー鍵により施錠されている。
基板封印シールおよび本体封印シールは,水溶性で粘着性に優れた材質により構成され,対象物に貼付したシールをはがした場合,シールが破壊されるとともにはがした痕跡が残るようになっている。
主基板を覆う透明なケースは,開封するとその痕跡が残るようになっており,開封にはニッパなどの工具を用いて,開封部位を切断することが必要な構造となっている。また,この透明なケースを開封するためには,主基板ケースホルダー鍵を用いて開錠しなければならないところ,この鍵は1台1台すべて異なるものであり,販売当初は,販売者の営業所が保管していた。その後,購入者の状況(秘密保持義務を遵守できる先であるかどうか)を見極めて,順次,鍵を購入者に引き渡したが,その場合でも,購入者に対して,鍵は金庫で厳重に管理するよう指示していた。
このように,ROMは厳重に封印施錠されているから,販売者によって秘密に保持されている。
(イ) また,販売者と購入者との間の売買契約によっても,ROMの取出しは禁止されている。すなわち,「サンダーV」の取扱説明書において,114「サンダーV」の購入者は,販売者との間で,ROMを封印する基板封印シール及び本体封印シールをはがすことや,遊技機本体,各部品の分解等をすることを禁じられている。以上のことは「ハナビ」についても同様である。なお,この取扱説明書の添付は法令上の義務である。
このように,販売者と購入者との間には,ROMの内容につき秘密保持契約が存在する。
(ウ) 以上のとおり,「サンダーV」及び「ハナビ」のいずれについても,ROM内容を秘密に保つための厳重な措置がとられており,かつ,その内容につき秘密保持契約が存在するから,遊技機が生産・譲渡されても,本件発明の内部制御に関する部分については,発明が公然実施されていない。
(3) 本件発明1と「サンダーV」及び「ハナビ」との対比についてア 構成要件1Eについて被告は,「前記確率抽選処理(ロードアドレス【 〜 】)は, 0935 09B4演出抽選テーブル(ロードアドレス【 〜 】)等に基づいて行 1A6F 1B83われており,これは構成要件1Eに該当する」と主張している。
しかしながら,構成要件1Eは,「前記入賞態様決定手段は,複数の入賞態様からなる確率テーブルを有し,抽出された乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞態様に属したとき,その属した入賞態様の当選フラグを成立させ」という構成である。すなわち,いずれかの入賞態様に属するか否かの判断を,確率テーブルに基づき行う構成である。
一方,乙第1号証の22の119頁によると,演出抽選テーブル(ロードアドレス【 〜 】)とは,デモ抽選テーブルである。 1A6F 1B83そして,本件発明1におけるデモ抽選テーブルは,請求項10において,報知態様選択手段が演出態様組合せを選択するために用いるものであり,入賞態様の属否を判断するために用いられる確率テーブルとは全く異なる115構成である。
よって,この点についての被告の対比は誤っている。
構成要件1G及び1Hについて被告は,「予告演出として,所定の確率で,予告音,リール消灯,リールフラッシュの各演出が順次されており(報知選択抽選処理;ロードアドレス【 〜 】…),これらの制御は,構成要件1G,1Hに該当 0F42 0F69する。さらに,これらの予告演出は,例えば,乙第1号証の24の第44頁及び第45頁や乙第1号証の25の第8頁及び第9頁に掲載されている」と主張している。
しかし,上記主張では,構成要件1G,1Hの構成と各乙号証との対応関係が不明確である。具体的には,構成要件1Gの「所定確率で遊技者に報知する」部分,および構成要件1Hの「入賞態様に共通して演出される報知態様」部分が,乙第1号証の22のロードアドレス,同号証の24,同号証の25の各記載のどの部分に該当するのか,不明確である。
(4) 本件発明1-1が進歩性を有することについて被告は,本件発明1-1は,進歩性を欠くと主張する。しかしながら,以下に述べるとおり,被告の主張は誤っている。
ア 本件発明1-1と乙第1号証の28の発明の対比被告は,乙第1号証の28には,構成要件1Aないし1F,1Gの一部(「所定確率で」の構成を除くもの。),1H及び1Iが開示されている旨主張するが,同号証には,構成要件1B及び1Hが開示されていない。
(ア) 構成要件1Bについて被告は,乙第1号証の28の請求項1における上記「可変表示部の可変表示動作を停止制御する制御部」が,構成要件1Bの「種々の図柄を複数列に可変表示し,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置」に相当す116ると主張しているが,誤りである。
構成要件1Bにおける「可変表示装置」はリールであって,CPUを含む「制御部」ではない。このことは,請求項1の「この可変表示装置の可変表示を開始させる可変表示開始手段と」という文言から明らかであるし,本件明細書1の【0032】の記載からも明らかである。
(イ) 構成要件1Hについてa 被告は,乙第1号証の28に,構成要件1Hのうち「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」が開示されていると主張しているが,誤りである。
被告は,乙第1号証の28の【0080】に「共通して演出される報知」が開示されていると主張するが,同段落の「…入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は,このバックライトを点滅又は点灯させることによって,遊技者に内部的当選を知らせる。」との記載からは,「共通して演出される報知」を導くことはできない。
同号証【0080】は,【0079】の「ゲームスタート後,サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。」という記載を受けたものである。すなわち,【0080】に記載されているのは,例えば,内部的当選役が7-7-BAR(乙第1号証の28の【0052】)であれば,その7-7-BARの内部的当選を遊技者に知らせる報知手段が設けられているのである。構成要件1Hにいう「共通して演出される報知」とは,例えば,内部的当選役が7-7-BARである場合と,BAR-BAR-BARである場合とで,同じ報知態様による演出を行うという趣旨であり,そのような構成は乙第1号証の28のどこにも開示されていない。
117同号証【0081】は,「具体的には…」で始まり,同号証【0081】の記載内容の具体例であることが明示されている。すなわち,【0081】の「図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点滅又は点灯する」との記載は,「サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選」(【0079】)を遊技者に知らせるために,「種々のパターンで点滅又は点灯する」のであり,構成要件1Hにいう「共通して演出される報知」とは異なる。
同号証【0082】における,「また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当りやすい状態であるかを遊技者に知らせることもできる」との記載は,例えば,内部的当選役が7-7-BARである場合とBAR-BAR-BARとで,点灯パターンを変えるということであり,構成要件1Hとは全く異なる。
なお,被告は,同号証【0082】において,「内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより」と記載があることをとらえて,「同号証【0079】ないし【0081】に記載された報知態様は,各入賞役に共通して現れる報知態様である」と主張しているが,【0082】は同号証【0079】ないし【0081】を受けたものであり,あくまでも,「サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選」(【0079】)を遊技者に知らせるための構成が記載されているにすぎないことを看過している。同号証【0082】は「また,」で始まっており,このことは,同号証【0079】ないし【0081】と【0082】とでは,技術内容は同様であることを示しており,【0082】は,同号証【0079】ないし【0081】において,「内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えること」が記載されていることを確認すると118ともに,その効果が記載されているにすぎない。
b 被告は,異なる報知態様を組み合わせる場合に,同時か時をずらすか2通りしかないから,構成要件1Hのように時をずらせて報知することは自明であると主張するが,失当である。
構成要件1Hは,はじめに「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知」をして,その後に,「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」をすることが骨子である。この構成によって,遊技の進行につれて,だんだんと入賞態様を特定させるという作用・効果を奏するのである。単に異なる報知態様を組み合わるだけでは,本件発明1-1の作用・効果を奏することはできない。
すなわち,本件発明1-1は,単に異なる報知態様というのではなくて,あくまでも,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知」と「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」というように限定している。本件発明1-1は,さらに,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知」の後に,「前記報知態様とは異なる報知態様による報知」が行われるように限定している。
被告の主張は,本件発明1-1において限定した事項を看過しており,失当である。
以上のとおり,乙第1号証の28に構成要件1Hが開示されているという被告の主張は誤りである。
(ウ) 本件発明1-1と乙第1号証の28の発明の相違点以上からすると,本件発明1-1と乙第1号証の28の発明との相違点は,下記のとおりである。
? 「可変表示装置」について,本件発明1-1がCPU等の制御部を含まず,乙第1号証の28発明がこれを含む点119? 「報知」について,本件発明1-1では,はじめに「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」をした後,次にこれとは違う報知態様による報知をするのに対して,乙第1号証の28の発明では,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」は予定されず内部的当選役ごとに別々の報知がされ,かつ,はじめの報知と後の報知について異なる報知態様による旨の限定がされていない点? 入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を遊技者に報知する際に,本件発明1-1では「所定の確率で報知するもの」であるのに対して,乙第1号証の28の発明では「所定の確率で報知するか否か不明である」点イ 本件発明1-1と乙第1号証の29及び30の発明の対比被告は,乙第1号証の29及び30の発明には,構成要件1Gの一部である「報知情報を所定確率で遊技者に報知する」構成が開示されている旨主張するが,誤りである。
すなわち,乙第1号証の29及び30において,報知されるのは表示結果であって,内部当選ではない。本件発明1-1で報知されるのは内部当選であるので,「報知情報」の内容が全く異なる。
さらに,乙第1号証の29及び30においては,大当たりが確定したとの報知が行われれば,報知内容が表示結果であるから,必ず大当たりが実現する。これに対して,本件発明1-1は,報知内容は内部当選であるから,構成要件1Gにおける「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報」による報知が行われたとしても,リールの停止操作を行って入賞態様に対応する図柄をそろえなければ当たりは実現しない。
したがって,乙第1号証の29及び30は,本件発明1-1が行うような意味で,「所定確率での報知」を行うものではない。
120ウ 本件発明1-1と乙第1号証の31の発明の対比被告は,乙第1号証の31には,構成要件1Hの「報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」が開示されていると主張するが,誤りである。
乙第1号証の31におけるはじめの報知は「通常のリーチ表示」であり(同号証【0003】),後の報知は大当たり期待度がより高いなどの性質を有するいわば「特別リーチ表示」である。
そして,「通常のリーチ表示」は共通の報知ではなく,「特別リーチ表示」も「その後の…報知」ではない。「特別リーチ表示」は,当選する入賞態様を多く表示するもので,どの種類の入賞かについてむしろ判別を困難にしており,本件発明1-1の作用・効果とは全く相反する。
よって,乙第1号証の31には,構成要件1Hの「報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」が開示されていない。
なお,乙第1号証の31の遊技機は,当選役が大当たりしかないパチンコ遊技機に関するものであるから,構成要件1Hの「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」を含むものでないことは明白である。
エ 乙第1号証の31の発明の適用の困難性乙第1号証の28の発明に同号証の31の発明を適用することは,当業者が容易に想到し得るものではない。
確かに,パチンコとスロットマシンの技術分野の近接性を根拠に,パチンコの技術をスロットマシンの技術に転用することを容易とした判決例は存在するものの,そのような判断が妥当するのは,パチンコに係る発明とスロットマシンに係る発明とが,両遊技機において奏する効果が同一であることなどにより,たまたま同一発明が異なる遊技機に適用可能となって121いる場合にすぎない。パチンコとスロットマシンの構造上の相違により,同一発明の奏する効果が異なる場合には,もはや,技術分野が近接するといい得るかが問題であり,少なくとも,「技術分野の隣接性」によって,当該発明を適用する容易想到性を基礎付けることはできない。
よって,乙第1号証の28の発明に,同号証の31の発明を適用することは,当業者が容易に想到できたものではない。
(5) 本件発明1-3が進歩性を有することについて前述のとおり,本件発明1-1には進歩性があるから,その従属項である本件発明1-3にも進歩性はある。また,以下のとおり,本件発明1-3に独自の進歩性も存在する。
ア 本件発明1-3と乙第1号証の33の発明の対比被告は,乙第1号証の33の発明に,本件発明1-3の構成要件1Jのうち,「複数の効果音の中の1つの音」を発生させる音発生手段が開示されていると主張する。しかしながら,同発明には,構成要件1Jのうち,「可変表示が開始するときに複数の効果音の中の1つの音を発生させる音発生手段」が備わっていない。
イ 本件発明1-3と乙第1号証の28の発明の対比被告は,本件発明1-3の構成要件1Jのうち,「前記音発生手段によって発生される効果音の種類,および前記連動演出手段によって演出される連動表示態様の種類の組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段」が,乙第1号証の28の発明に開示されていると主張する。しかしながら,被告の主張は誤っている。
被告が指摘する乙第1号証の28の【0083】及び【0084】に開示されているのは,可変表示が停止したときに,バックライトの利用に加えて,または,バックライトを利用する代わりに,音発生手段による報知をしたり,あるいはそれらに加えて,またはその代わりに,リーチ目によ122る報知をするという技術にとどまる。そこには,可変表示が開始されるときに発生される複数の効果音の種類と,可変表示の停止に連動する複数の表示態様の種類を組合せとして把握する技術の開示もなければ,その組合せを入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて選択する報知態様選択手段についての開示もないのであって,およそ,構成要件1Jに該当する技術は含まれていない。
(6) 本件発明1-10が進歩性を有することについて上記のとおり,本件発明1-3には進歩性があるから,その従属項である本件発明1-10にも進歩性がある。
5 争点5(本件特許2は無効とされるべきものか)〔被告の主張〕(1) 公然実施について本件特許2は,先の出願に基づく優先権を主張して出願されたものである。
しかしながら,以下に述べるとおり,本件発明2は,追加記載された新規な部分を構成要素として含んでおり,特許要件の判断基準日が繰り下がる。その結果,本件発明2は,基準日前に原告自身が生産譲渡したスロットマシン「サンダーV」によって公然と実施されたものである。
したがって,本件発明2は,特許法29条1項2号の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許2は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものであるから,原告は,本件特許権2に基づく被告に対する損害賠償請求権の行使をすることはできない。
ア 基準日の繰下げ(ア) 本件特許2は,原出願(特願平10-260071号)の分割に係るものであり,原出願で主張された先にされた特願平09-340746号(以下「先の出願」という。)出願に基づく優先権を,本件特許2出願においても援用している。
123そして,前記原出願には,先の出願に記載されていない新規追加事項が記載されている。これらの新規追加事項については,新規追加事項が追加された時点にまで特許性判断の基準時が繰り下がるものであるから(特許法41条2項),本件特許2の請求項に係る発明のうち,新規追加事項に係るものについては,新規追加事項が追加された時点にまで特許性判断の基準日を繰り下げて,新規性進歩性等が判断されなければならない。
(イ) 原出願における新規追加事項先の出願の当初明細書及び図面(乙2の5)並びに原出願の公開公報(乙2の6)を対比すれば明らかなように,原出願では,明細書の発明の詳細な説明において,【0089】ないし【00123】及び【0126】が新たに追加され,図面において,図15ないし図21が新たに追加されている。
そして,上記の新規に追加された記載事項の中のうち,【0093】ないし【0098】,【0107】ないし【0110】,図15ないし19及び図21には,先の出願に記載されていない「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択し,所定の演算を行い,その結果の報知態様で小当たりが成立したことを報知する報知手段」に関する技術的事項が記載されており,このことは,原告が訂正請求書(乙2の4)において,前記の記載部分を請求項1(構成要件2E)の訂正の根拠として挙げていることからも裏付けられる(乙2の4の3頁)。
(ウ) 本件発明2の基準日a 本件発明2は,本件特許2の成立後に申し立てられた特許異議申立手続(異議2002-71307)において提出された訂正請求書(乙2の4)のとおりに減縮されており(構成要件2E),これが認124められて(甲6),特許維持決定に至っている。そして,この維持判断の中で,「しかして,本件特許の特許請求の範囲の請求項1における『前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する』という記載は,先の出願の明細書又は図面に記載されていない事項であるから,本件特許の請求項1ないし4に係る各発明については,平成10年9月14日を基準としてその特許性を判断する。」として,本件発明2の特許性の判断の基準日を平成10年9月14日として認定している(甲6)。
b 本件特許2については,先の出願の明細書に記載されていなかった技術的事項が,原出願の明細書及び図面において追加記載されており,これが先の出願の明細書に記載された技術的事項を明らかに超えているから,その超えた部分を含む本件発明2について,先の出願に係る優先権主張の効果を認めることができず,上記の特許異議申立てにおける基準日の認定は相当なものである。
したがって,本件発明2の基準日は,平成10年9月14日である。
公然実施本件特許2の成立過程において,原告は,審査に先立ち早期審査に関する事情説明書(乙2の9)を提出しており,これが認められて(乙2の10),早期審査の対象として審査がされている。
125上記事情説明書には,「1.事情」として,「後述する補正案に記載されている,報知手段が小当たり入賞態様の種類をも遊技者に報知する遊技機を平成9年12月より生産,譲渡中の実施関連出願である。」と記載されている。そして,原告が平成9年12月より生産譲渡しているスロットマシン(パチスロ機)は,「サンダーV」であり,これは原告の第26期有価証券報告書の記載(乙1の13)からも明らかである。
すなわち,上記事情説明書において原告自身が認めているように,原告は,遅くとも本件発明2の基準日である平成10年9月14日より前である平成9年12月には,本件特許2に係るスロットマシン「サンダーV」を生産譲渡しているのである。
ウ 本件発明2と「サンダーV」との対比(ア) 本件発明2の構成要件2Aの「入賞態様決定手段」は,スロットマシンである(構成要件2F)「サンダーV」に実装されたROMと,このROMに固定されたプログラムを実行する8ビットCPU(Z80)とから実現されており,同プログラムにおける該当する箇所は確率抽選処理(ロードアドレス【0935〜09B4】)である。
(イ) 「サンダーV」では,前記入賞決定手段で成立した当選フラグを報知する手段として,遊技開始音(CPU・ROM(遊技開始音出音処理)ロードアドレス【0F42〜0F69】),リールランプ消灯制御(CPU・ROM(リールランプ消灯制御)ロードアドレス【0F6A〜0F86】),リールランプ点滅制御(CPU・ROM(リールランプ点滅制御)ロードアドレス【0F87〜0FBD】)の予告演出が行われており,これは,本件発明2の構成要件2Bの「報知手段」に該当する。
(ウ) 「サンダーV」では,次回の遊技に持ち越されない小当たり入賞と入賞態様が発生するまで遊技が持ち越す「ビッグボーナス(BB)」及126び「レギュラーボーナス(RB)」があり,プログラム上該当する箇所は,ロードアドレス【09AC】でRAM領域8062にボーナスフラグを格納するが,遊技終了後にRAMをクリアするのは同【0865】においてRAM領域8063〜81FFまでであって,小当たり入賞のフラグはクリアされるが,ボーナスフラグはクリアされず,ボーナスフラグがクリアされるのはロードアドレス【0B4F〜0BA5】処理において,BB入賞時【0B89〜0B8C】又はRB入賞時【0B9C〜0B9F】とする箇所である。さらに,このことは,前記遊技機の取扱説明書(乙1の23)からも明らかである。これは,本件発明2の構成要件2Cに該当する。
(エ) 「サンダーV」では,「ビッグボーナス(BB)」及び「レギュラーボーナス(RB)」の内部当選中であっても,小当たりの抽選を行う。
これは,乙第2号証の20の12頁に記載のサンダーVのフローチャート及びロードアドレス【0898〜089F】において抽選の指示が出され,同【0919〜0934】及び同【0935〜09B4】において抽選処理されている。これは,本件発明2の構成要件2Dに該当する。
(オ) 「サンダーV」では,遊技状態及び前記当選フラグの各組合せごとにデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様ごとに記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知(遊技開始音(CPU・ROM(遊技開始音出音処理)ロードアドレス【0F42〜0F66】),リールランプ消灯制御127(CPU・ROM(リールランプ消灯制御)ロードアドレス【0F6A〜0F86】),リールランプ点滅制御(CPU・ROM(リールランプ点滅制御)ロードアドレス【0F87〜0FBD】)の予告演出)しており,これは本件発明2の構成要件2Eに該当する。
エ 以上のように,本件発明2については,「サンダーV」によって実施されている。
そして,本件発明2の特許性判断の基準日は,前述のとおり,原出願日である平成10年9月14日であり,「サンダーV」の生産譲渡日よりも繰り下がることは明白である。
したがって,本件発明2は,基準日前に原告自身が製造販売したパチスロ機「サンダーV」によって公然と実施され,したがって,特許法29条1項2号の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許2は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
(2) 進歩性の欠如について本件発明2は,乙第4号証の12等の刊行物に基づき,又は同刊行物と原告自身によって公然実施されたスロットマシン「サンダーV」に基づいて,特許要件の判断基準日前に当業者が容易に想到することができたものである。
よって,本件発明2は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許2は,同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
なお,前記のとおり,本件発明2における特許要件の判断基準日は,平成10年9月14日である。
ア 本件発明2と乙第4号証の12に記載された発明との対比(ア) 構成要件2Aについてa 乙第4号証の12(特開平6-114143号公報)には,以下の128記載がある。
【0018】・・・可変表示装置70の停止時の表示結果が賭数に応じた有効ライン(当りライン)上において「AAA」となればビッグボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。
一方,有効な有効ライン上において「BBB」となればボーナスゲームが開始されるとともにコインが15枚払出される。さらに有効ライン上において「CCC」または「DDD」となれば小役の図柄の組合せが成立してコインが15枚払出される。有効ライン上において「EEE」となれば小役が成立してコインが8枚払出される。有効ライン上において左図柄と中図柄とが共に「F」となれば小役が成立して6枚のコインが払出される。また,有効ライン上において左図柄のみ「F」となれば小役が成立して3枚のコインが払出される。
【0021】制御回路は,制御中枢としての制御部(マイクロコンピュータを含む)45を含む。制御部45は,以下に述べるようなスロットマシン1の動作を制御する機能を有する。制御部45は,たとえば数チップのLSIで構成されており,その中には,制御動作を所定の手順で実行することのできるCPU46とCPU46の動作プログラムを格納するROM47と,必要なデータの書込みおよび読出しができるRAM48とが含まれている。
【0023】・・・そして,CPU46は,ROM47内に格納されたプログラムに従って,かつ,以下に述べる各制御信号の入力に応答して,前述したリール駆動モータや各種表示ランプ等に対し制御信129号を与える。
【0042】次にS66に進み,格納されているランダム値R(図6参照)を用いて所定の演算を行なう処理がなされる。…次にS67により,その演算結果を各当選の判定値と比較する処理が行なわれる。
この各当選の判定値は,ビッグボーナスゲーム当選の判定値,ボーナスゲーム当選の判定値,小役当選の判定値,再ゲーム当選の判定値の4種類がある。なお,この各当選の判定値は,テーブルの形でROM47に記憶され,賭数が多いほどその当選判定値の範囲(領域)が広くなって当選しやすいように構成されている。
【0044】S76では,前記S67による比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ,含まれている場合にはS77に進み,ビッグボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。一方,前記S67による比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果がビッグボーナス当選許容値ではないがボーナス当選許容値に含まれている場合には,S78によりYESの判断がなされてS79に進み,ボーナス当選フラグがセットされてS80に進む。
【0045】・・・S83では,S67の比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果が各小役当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ,含まれていない場合にはそのままS85に進むが,含まれている場合にはS84に進み,含まれている小役の種類に相当する当選フラグがセットされてS85に進む。
b 上記「ビッグボーナス」,「ボーナス」及び「小役」が,構成要件1302Aの「配当が異なる複数の入賞態様」に相当し,上記「ビッグボーナス当選フラグ」,「ボーナス当選フラグ」及び「小役の種類に相当する当選フラグ」が,構成要件2Aの「入賞態様に対応した当選フラグ」に相当し,「制御回路」が構成要件2Aの「入賞態様決定手段」に相当する。
また,乙第4号証の12では,「制御回路」によって,「ランダム値Rを用いた演算結果を各当選の判定値と比較する処理が行なわれ,演算結果がいずれかの当選許容値に含まれている場合には該当する当選フラグがセットされる」構成が開示されており,これが,構成要件2Aの「入賞態様決定手段」が「乱数抽選を行い当選フラグを成立させる」構成に相当する。
よって,乙第4号証の12には,構成要件2Aが開示されている。
(イ) 構成要件2Bについてa 乙第4号証の12には,以下の記載がある。
【0044】・・・S80では,遊技効果ランプ24(図1参照)を点灯開始させる処理がなされ,次にS85に進む。S80の処理により,ビッグボーナスあるいはボーナス当選した旨の報知が行なわれる。
なお,S80による遊技効果ランプ24の点灯に代えて,専用の表示器を設けてビッグボーナス当選あるいはボーナス当選が生じた旨を報知するようにしてもよく,また,スピーカ28から所定の音を発生させて報知するようにしてもよい。
b 上記「遊技効果ランプ24」,「専用の表示器」及び「スピーカ28」が構成要件2Bの「報知手段」に相当し,そして,これらによって遊技者に「ビッグボーナスあるいはボーナス当選した旨の報知」が行なわれることが開示されており,構成要件2Bの「当選フラグが成131立したことを遊技者に報知する」構成に相当する。そして,上記構成はこれを「備えた遊技機」に関するものである。
よって,乙第4号証の12には,構成要件2Bが開示されている。
(ウ) 構成要件2Cについてa 乙第4号証の12には,以下の記載がある。
【0055】・・・一方,現在の図柄番号から4図柄先以内にビックボーナス図柄がない場合にはその回のゲームにおけるビックボーナスゲームの開始を諦めてS139に進む。なお,S127によりNOの判断がなされた場合においても,ビックボーナス当選フラグは引続きセットされたままの状態であるために次回のゲームにおいて再度ビックボーナス図柄を有効ライン上に停止させんとする制御が試みられ,実際にビックボーナス図柄が有効ライン上に停止するまでその試みが繰返し実行される。
【0059】・・・小役当選フラグがセットされている場合には1ゲームの終了時点でその小役当選フラグをクリアする処理が行なわれる(S200参照)。ゆえに,小役当選フラグがセットされているにもかかわらずその回のゲームにおいてリールの図柄配列の関係上その小役当選フラグの種類に応じた小役図柄を有効ライン上に揃えることができなかった場合には,その小役当選フラグがクリアされて小役当選が無効となるのであり,次回のゲームにその小役当選フラグを引継いで次回のゲームにおいて小役図柄を有効ライン上に揃えるという制御は行なわないのである。
b 上記「小役当選フラグがセットされている場合には1ゲームの終了時点でその小役当選フラグをクリアする処理が行なわれる」構成132が,構成要件2Cの「小当たり入賞態様」において「当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない」構成に相当する。
また,上記「ビッグボーナス当選フラグは引続きセットされたままの状態であるために次回のゲームにおいて再度ビッグボーナス図柄を有効ライン上に停止させんとする制御が試みられ,実際にビッグボーナス図柄が有効ライン上に停止するまでその試みが繰り返し実行される」構成が,構成要件2Cの「ボーナス入賞態様」において「当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越される」構成に相当する。
よって,乙第4号証の12には,構成要件2Cが開示されている。
(エ) 構成要件2Dについてa 乙第4号証の12には,以下の記載がある。
【0043】・・・次にS75に進み,ビッグボーナス当選フラグあるいはボーナス当選フラグがセットされているか否かの判断が行なわれ,既にセットされている場合にはS81に進むが,セットされていない場合にはS76に進む。
【0045】S78によりNOの判断がなされた場合にS81に進み,S67の比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果が再ゲーム当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ,含まれていない場合にはS83に進む…S83では,S67の比較結果,ランダム値Rを用いた演算結果が各小役当選許容値に含まれているか否かの判断がなされ,含まれていない場合にはそのままS85に進むが,133含まれている場合にはS84に進み,含まれている小役の種類に相当する当選フラグがセットされてS85に進む。
b 乙第4号証の12においては,上記のように「ビッグボーナス当選フラグあるいはボーナス当選フラグがセットされている」場合であっても,「ランダム値Rを用いた演算結果が再ゲーム当選許容値や各小役当選許容値に含まれているか否かの判断」がされており,これが,構成要件2Dの「このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い」という構成に相当する。
よって,甲第12号証には,構成要件2Dが開示されている。
(オ) 構成要件2Fについてa 乙第4号証の12には,以下の記載がある。
【0001】【産業上の利用分野】本発明は,スロットマシンに関し,詳しくは,複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置を含み,前記複数の可変表示部の可変停止時の表示結果が予め定められた特定の識別情報の組合せになった場合に所定の遊技価値を付与可能となるスロットマシンに関する。
b 上記「スロットマシン」が構成要件2Fの「遊技機」に相当することは明らかである。
よって,乙第4号証の12には,構成要件2Fが開示されている。
(カ) 以上のとおりであるから,構成要件2E(2E-1,2E-2及び2E-3)を除く本件発明2の構成については,乙第4号証の12に開示されている。
イ 相違点である構成要件2Eについて,前記のとおり,本件発明2の特許性判断の基準日である平成10年9月14日以前に,原告によって公然と134実施されたスロットマシン「サンダーV」によって,すべて開示されているものであるが,以下のとおり,刊行物においても開示されている。
(ア) 構成要件2E-1についてa 乙第4号証の13における開示乙第4号証の13(「パチスロ攻略マガジン」(1998年4月号))には,以下の記載がある。
(5頁4段1行ないし15行)フラッシュは告知ランプじゃない!サンダーの演出,予告音・リールランプ消灯・そしてフラッシュ発生の仕組みを,大まかに説明しよう。コインを投入し,レバーを叩き,役のフラグが成立する,もしくはハズレる。そして,フラグ状態に見合った組み合わせでリールが停止する。サンダー?では,その間に前述の演出が絡む。これらの演出は,ボーナスフラグの成立,未成立などのベースに加えて,小役フラグの有無を加味し,それぞれの状態毎に,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルが存在している。この処理はベット数による影響を受けない。
(8頁1段1行ないし2段38行)状態による予告音・消灯・フラッシュの振り分け率 完全版絶妙な演出はこのように決定されていた冒頭で少々触れた通り,「ボーナスフラグ成立」「ボーナス中」「JACゲーム中」,更に「小役フラグ成立の有無」も加味され,想定し得る全ての状態に関して,個別に,各演出への振り分けテーブルが存在する(チェリーに関しては,2枚も4枚も同じテーブルが使用される)。
それぞれ抽選が行われた直後に,予告音発生の有無,リールラ135ンプの消灯が何リール分行われるか,または否か。併せて,何らかの役フラグが成立している場合には,どのフラッシュを出現させるか。上記振り分け表の通り,全演出がワンセットとなったテーブルにより,予め決定されているのだ。
なお,表中の「予告音」の項目に「あり」と書かれていれば予告音が発生し,無表記の場合は予告音は発生しない。「消灯」項目に,Aと書かれていれば最初に押したリールランプが,Bと書かれていれば次に押したリールランプも,Cと書かれていれば全消灯となり,無表記の場合は消灯無しである。最後に,フラッシュの項目に書かれている数字は,全リール停止後に,そのナンバーに該当するフラッシュが発生する。無表記の場合,どのフラッシュも発生しない。
最後に気になるポイントを。ボーナス未成立ハズレ時は,いかなるフラッシュも発生しないが,予告音は発生する可能性がある。
ビック中の小役ゲーム消化時に消灯があった場合は,100%スイカ成立。怪しげなフラッシュも同様だ(こぼしだが)。
上記記載及び8頁のテーブルから分かるように,乙第4号証の13には「ボーナスフラグの成立の有無と小役フラグの種類とに応じて,複数の振り分けテーブルのうちのいずれかのテーブルを選択する」ことが開示されており,これは,構成要件2E-1の「その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択」する構成に相当する。
b 乙第1号証の34における開示乙第1号証の34(特開平10-201911号公報)には,以下の記載がある。
【0107】136リーチの場合には,ステップ150で,リーチモード選択テーブルとリーチモード選択用乱数(リーチモードの選択確率を設定するための乱数)よりリーチモードを決定する。即ち,ステップ142で,大当たりか外れか判定されて,ステップ144で,大当たり移行フラグがセットされているので,これらにより,リーチモード選択確率設定用テーブル(表5,ROMに記憶されている)から,リーチモード選択確率設定及びリーチモード選択テーブルが選択される。即ち,リーチモード選択確率設定用テーブルの先頭アドレスを算出し,リーチモード選択用乱数を該先頭アドレスに加算する。例えば,リーチモード選択確率設定用テーブルの先頭アドレスをI(例えば,1000番地),リーチモード選択用乱数をi(3)とすると,リーチモード選択テーブル及び確率設定は,I+3i(1009番地)から始まるアドレス以降3バイト分のアドレスに記憶されたデータから得られる。なお,表5では,リーチモード選択確率設定用乱数を『乱数』と,リーチモード選択テーブルを『テーブル』と,リーチモード選択確率設定を『確率設定』と,表現している。
【0109】ここで,リーチモード選択テーブルを説明する。リーチモード選択テーブルは,外れリーチ及び大当たりリーチの各々について各確率設定(確率設定1〜確率設定3)毎に予めROMに記憶されている。即ち,外れリーチにおける確率設定1〜確率設定3の各リーチモード選択テーブルは,表6,7,8に示す通りであり,大当たりリーチにおける確率設定1〜確率設定3の各リーチモード選択テーブル2,4,6は,表9,10,11に示す通りである。なお,各リーチモード選択テーブル1〜6では,リーチモー137ド選択用乱数を『乱数』,リーチモード選択テーブルを『テーブル』と表現している。
【0110】例えば,リーチモード選択確率設定用乱数として5がセットされていて,かつ大当たり移行フラグの状態から大当たりと判定した場合,リーチモード選択確率設定用テーブル(表5)から,リーチモード選択テーブル4が選択される。
【0111】そして,選択されたリーチモード選択テーブル及びリーチモード選択用乱数(図21のステップ276参照)から,リーチモード選択用乱数に対応するリーチモードを選択する。即ち,選択されたリーチモード選択テーブルの先頭アドレスを算出し,リーチモード選択用乱数を該先頭アドレスに加算し,加算値のアドレスに記憶されているデータからリーチモードを選択する。
【0112】例えば,前述したように,大当たりとなっており,確率設定2,リーチモード選択テーブル4(表10参照)が選択され,リーチモード選択用乱数として3が抽出された場合には,リーチ1処理モード(表ではリーチモード1)が選択されることになる。
【0108】【表5】138【0113】【表6】【0114】【表7】【0115】【表8】139【0116】【表9】【0117】【表10】【0118】【表11】140このように乙第1号証の34には,表5に示す「リーチモード選択確率設定用テーブル」を参照して,表6ないし表11に示す複数の「リーチモード選択テーブル」のうちのいずれかを選択する技術が開示されており,これは,構成要件2E-1の「デモ抽選テーブル選択テーブル」を参照して,「デモ抽選テーブル」を選択する構成に相当する。
c 乙第1号証の34は,乙第4号証の13と同様,図柄を可変表示する可変表示部を含む遊技機であり,両者は同一の技術分野に属している。また,遊技機に関する発明においては,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であるところ,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。
また,乙第4号証の13記載の発明に,乙第1号証の34記載の「リーチモード選択確率設定用テーブル」を参照して「リーチモード選択テーブル」を選択する技術を適用して,「デモ抽選テーブル選択テーブル」を参照して「デモ抽選テーブル」を選択する構成を実現する上において,それを阻害する要因は何ら存しない。
したがって,当業者であれば,乙第1号証の34記載の発明を乙第4号証の13に適用し,構成要件2E-1を実現することは極めて容易に推考し得る。
(イ) 構成要件2E-2について141a 乙第1号証の30における開示乙第1号証の30(特開平9-700号公報)には,以下の記載がある。
【0058】「大当り以外」の場合は,C RND YOKの抽出値と,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「3」である場合には,特別の音による大当り予告の報知を行なう。抽出値が「500」〜「503」である場合には,キャラクタによる偽りの大当り予告の報知を行なう。抽出値が「800」である場合には,特別の音およびキャラクタの両方による偽りの大当り予告の報知を行なう。抽出値が「4」〜「499」,「504」〜「799」,「801」〜「899」の場合には,偽りの大当り予告の報知をしない。
【0059】遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には,CRND YOKとの抽出値,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「99」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」〜「199」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「200」〜「449」の場合には,音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
【0060】遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には,C RND YOKと,「報知方法」との関係が以下のように定められて142いる。抽出値が「0」〜「224」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」〜「449」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
【0067】始動入賞記憶中に大当りが事前決定されたものがない場合に実行されるS8では,偽りの大当り予告を行なうか否かの判断がなされる。具体的には,図14(原文のまま,「図6」の誤記と思われる。)の大当り予告テーブルの「大当り以外」の遊技状態の場合において,C RNDYOKの抽出値が,「0」〜「3」,「500」〜「503」および「800」のいずれかに該当するか否かの判断がなされる。S8で偽りの大当り予告を行なうと判断された場合には,S5に進む。一方,S8で偽りの大当り予告を行なわないと判断された場合には,このルーチンを終了する。
【0070】以上に説明した大当り予告処理をまとめると,次のとおりである。大当り予告をするか否かは,大当り予告テーブルに基づいて決定され,大当り予告を行なう場合の報知方法も大当り予告テーブルに基づいて決定される。大当り予告には,真の大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されている場合の予告報知)と,偽りの大当り予告(大当りを発生させることが事前に決定されていない場合の予告報知)とが含まれる。真の大当り予告と,偽りの大当り予告とのそれぞれの報知方法の種類は同じである。さらに,この大当り予告は,複数種類の報知方法を選択的に用いた報知が行なわれる。
143上記記載は,テーブルを参照して抽出値に対応する報知方法を選択する構成を開示するものである。
よって,乙第1号証の30には,構成要件2E-2と同様,「選択されたデモ抽選テーブルの中から乱数値に対応する報知態様を選択する」構成が開示されている。
ここで,「複数の報知態様が格納されたデモ抽選テーブルの中から乱数値に対応する一の報知態様を選択する」ための具体的処理方法として,「デモ抽選テーブル内の各報知態様に一の抽選値を対応付けておき,その抽選値と乱数値との演算結果に基づいて乱数値に対応する抽選値を検出し,その検出された抽選値に対応する報知態様を選択する」という方法は,当業者が通常採用し得る技術常識であり,同様の技術が乙第4号証の16及び同号証の17に開示されている。
b 乙第4号証の16における開示乙第4号証の16(特開平8-280873号公報)には,以下の記載がある。
【0083】上記の「B・Bゲーム中」用,「B・Bゲームフラグセット済み」用,「S・B高確率ゲーム中」用,及び「S・B通常確率ゲーム」用の入賞判定テーブルは,図23に模式的に示すように,それぞれ8個のデータを備えている。各データは,入賞役のフラグと,下記のステップ(ST56)で乱数値と比較参照されるデータとしてのそれぞれ異なる数値とを備えている。例えば,(A),(B)の入賞役のフラグはそれぞれ「B・Bゲーム」,「S・Bゲーム」,(C)はリプレイゲームとなっている。
【0084】従って,図20に示すように,次のステップ(ST55)で 1144〜16383 の範囲から乱数サンプリングを行い,このサンプリングした乱数値がR3以下か否かを判定する(ST56)。このとき,R3 として上記入賞判定テーブルの先頭データ「(A)」と比較する。例えば,(A)の数値が 44 で,サンプリングされた乱数値が 37 ならば,これはR3 より小さいから,ST56の判定結果は“YES”となり,次のステップで,そのデータのフラグ(B・Bゲーム)をセットする(ST57)。よって,このフラグがセットされる確率は,44/16383≒1/372となる。
【0085】ST56の判定結果が“NO”のときは,次のアドレスのデータ(B)をR3 とし(ST58),次のステップ(ST59)でデータ終了と判定されない限り,ST56に戻って,サンプリングした乱数値とR3 を比較する。この動作をデータ終了まで(図23のテーブル例では,8回)行い,ST59の判定で“YES”となったとき,該当する入賞役がなかったので,ST57で「外れ」フラグをセットする。
すなわち,図23のテーブル例では,B・Bゲーム,S/Bゲーム,リプレイ等の8個のフラグが格納され,8個のフラグにはそれぞれ(A)ないし(H)の8個のデータが対応付けられている。そして,サンプリングした乱数値をデータと(A)から順に比較していき,「乱数値≦データ」となった当該データに対応するフラグを抽出する。
かかるテーブルからの情報選択方法は,構成要件2E-2の「選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」を選択する処理に相当する。
145c 乙第4号証の17における開示乙第4号証の17(特開平9-99147号公報)には,以下の記載がある。
【0046】次に,各種のリーチ動作を選択実行するために前記基本回路70aのRAM内に記憶されたリーチフラグテーブルを図24及び図25の各一覧表図に基づいて説明する。リーチフラグテーブルは,図24及び図25に示すように,各条件別にエリアが設けられており,この各条件は,前記図19及び図20の各項目(条件)に対応して,リーチがなく外れる時,中図柄が当り図柄の前後2図柄以上のズレで外れる時,中図柄に対応するランダム3の抽出値が奇数で外れる時,中図柄が当り図柄の前後1図柄ズレで外れる時,リーチなしの当り2の時,リーチ有りの当り2の時,及び当り1の時となっている。また,リーチフラグテーブルのデータは,ランダム5の上限値データと,この上限値データに対応するリーチ動作データとが各アドレスに対応して設けられている。
例えば,リーチがなく外れるときランダム5の抽出値が「50」となる場合では,図24の一覧表図に基づいて,先ずランダム5の抽出値が「91」以下か否かが判別される。この場合,抽出値が「91」以下の「50」となるためアドレス“E51A”に対応するアドレス“E51D”のデータ,即ち「はずれA」の動作データが選択される。なお,従来のリーチフラグテーブルは,例えば図26に示すように,1つのアドレス“E51A”に対してランダム5(0〜100)の乱数分(101個)データが設けられていた。そして,ランダム5の抽出値が「50」となる場合では,左上のデータを先頭データとした51個目のデータを該当デ146ータ(「はずれA」)として選択していた。これに対して,本実施形態のリーチフラグテーブルは,前述したようにランダム5の抽出値を上限値データとして記憶しているため,RAMメモリーの使用量を従来に比べて大幅に削減している。
すなわち,リーチフラグテーブルには,複数のリーチ動作データとそれに対応付けられた上限値データとが格納されており,ランダム5の抽出値(乱数値に相当)が上限値データと比較され,当該抽出値が上限値データ以下になるまで比較処理が繰り返され,当該抽出値が上限値データ以下になったときの上限値データに対応するリーチ動作データが選択される。
このデータ選択方法は,上述した乙第4号証の16と同様,構成要件2E-2の「選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様」を選択する処理に相当する。
d 乙第4号証の16及び17は,乙第1号証の30と同様,可変表示装置を有する遊技機であり,両者は同一の技術分野に属している。また,遊技機に関する発明においては,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であるところ,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。
また,乙第1号証の30記載の発明に乙4号証の16又は17記載のテーブルからのデータ選択方法を適用して,構成要件2E-2を実現する上で,それを阻害する要因は何ら存しない。
したがって,当業者であれば,乙第4号証の16又は17記載の発明を乙第1号証の30記載の発明に適用し,構成要件2E-2を実現することは容易に推考し得る。
147(ウ) 構成要件2E-3についてa 乙第4号証の13における開示乙第4号証の13(「パチスロ攻略マガジン」(1998年4月号))には,以下の記載がある。
(5頁4段1行ないし13行)フラッシュは告知ランプじゃない!サンダーの演出,予告音・リールランプ消灯・そしてフラッシュ発生の仕組みを,大まかに説明しよう。コインを投入し,レバーを叩き,役のフラグが成立する,もしくはハズレる。そして,フラグ状態に見合った組み合わせでリールが停止する。サンダー?では,その間に前述の演出が絡む。これらの演出は,ボーナスフラグの成立,未成立などのベースに加えて,小役フラグの有無を加味し,それぞれの状態毎に,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルが存在している。この処理はベット数による影響を受けない。
(8頁1段1行ないし2段38行)状態による予告音・消灯・フラッシュの振り分け率 完全版絶妙な演出はこのように決定されていた冒頭で少々触れた通り,「ボーナスフラグ成立」「ボーナス中」「JACゲーム中」,更に「小役フラグ成立の有無」も加味され,想定し得る全ての状態に関して,個別に,各演出への振り分けテーブルが存在する(チェリーに関しては,2枚も4枚も同じテーブルが使用される)。
それぞれ抽選が行われた直後に,予告音発生の有無,リールランプの消灯が何リール分行われるか,または否か。併せて,何らかの役フラグが成立している場合には,どのフラッシュを出現さ148せるか。上記振り分け表の通り,全演出がワンセットとなったテーブルにより,予め決定されているのだ。
なお,表中の「予告音」の項目に「あり」と書かれていれば予告音が発生し,無表記の場合は予告音は発生しない。「消灯」項目に,Aと書かれていれば最初に押したリールランプが,Bと書かれていれば次に押したリールランプも,Cと書かれていれば全消灯となり,無表記の場合は消灯無しである。最後に,フラッシュの項目に書かれている数字は,全リール停止後に,そのナンバーに該当するフラッシュが発生する。無表記の場合,どのフラッシュも発生しない。
最後に気になるポイントを。ボーナス未成立ハズレ時は,いかなるフラッシュも発生しないが,予告音は発生する可能性がある。
ビック中の小役ゲーム消化時に消灯があった場合は,100%スイカ成立。怪しげなフラッシュも同様だ(こぼしだが)。
上記記載及び8頁のテーブルからわかるように,乙第4号証の13には,小当り入賞態様である「2or4枚チェリー」,「ベル」,「スイカ」及び「リプレイ」のそれぞれに対応する小役フラグである「チェリーフラグ」,「ベルフラグ」,「スイカフラグ」及び「リプレイフラグ」のいずれかが成立した場合に,「予告音」,「リールランプ消灯」及び「フラッシュ」の組合せによって遊技者にそれを報知することが開示されている。また,小役フラグが成立しているにもかかわらず「予告音」,「リールランプ消灯」及び「フラッシュ」のいずれをも出力しない(何ら報知しない)場合があり,フラグの成立を所定確率で報知することが開示されている。これらは,構成要件2E-3の「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」構成に相当する。
149したがって,乙第4号証の13には,構成要件2E-3が開示されている。
b 乙第4号証の18における開示乙第4号証の18(特開平7-136313号公報)には,以下の記載がある。
【0014】また,表示窓30〜32の上側には,内部当り表示手段120が左右に並設してある。この内部当り表示手段120は,賞態様である図柄の組み合わせが,後に詳述する電気的制御装置200内の乱数抽出手段202によりソフト的に決定された場合に点灯して,遊技者に賞態様が発生する条件が整ったことを告知する手段である。本実施例における賞態様は,大当たりの賞態様である「7」「7」「7」と,中当りの賞態様である「BAR」「BAR」「BAR」と,小役の賞態様である「オレンジ」「オレンジ」「オレンジ」,「プラム」「プラム」「プラム」,「スイカ」「スイカ」「スイカ」,「チェリー」「チェリー」「チェリー」(以下「3チェリー」と記す),「チェリー」「チェリー」(以下「2チェリー」と記す),「チェリー」(以下「1チェリー」と記す)の図柄の組み合わせである。そして,内部当り表示手段120はこれらの賞態様に対応して,向かって左から,「7」の内部当り表示ランプ121,「BAR」の内部当り表示ランプ122,オレンジの内部当り表示ランプ123,プラムの内部当り表示ランプ124,スイカの内部当り表示ランプ125,1チェリーの内部当り表示ランプ126,2チェリーの内部当り表示ランプ127,3チェリーの内部当り表示ランプ128とから構成されている。尚,それぞれの内部当り表示ランプ121〜128の点灯150タイミングは,「7」の内部当り表示ランプ121及び「BAR」の内部当り表示ランプ122では,「7」「7」「7」及び「BAR」「BAR」「BAR」が内部フラグを持ち越すため,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出手段202により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,実際に入賞するまでの間点灯し,その他の内部当り表示ランプ123〜128では,スタートスイッチ80がオンとなって乱数抽出選手段192により乱数が抽出されて賞態様がソフト的に発生してから,全てのストップスイッチ90〜92がオンとなるまでの間点灯する。
乙第4号証の18では,複数の小当たり入賞態様である「オレンジ」,「プラム」,「スイカ」,「1チェリー」,「2チェリー」及び「3チェリー」にそれぞれ対応して,「内部当り表示ランプ123」,「内部当り表示ランプ124」,「内部当り表示ランプ125」,「内部当り表示ランプ126」,「内部当り表示ランプ127」及び「内部当り表示ランプ128」が,「ソフト的に決定された場合に点灯して,遊技者に賞態様が発生する条件が整ったことを告知する」とともに,小当たり入賞態様の種類をも報知する構成が開示されており,構成要件2E-3の「所定確率で」を除く「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に対して報知する」構成が開示されている。
c 乙第1号証の30における開示乙第1号証の30(特開平9-700号公報)には,以下の記載がある。
【請求項3】前記可変表示制御手段は,前記表示結果内容事前決定手段により表示結果内容を前記特定の表示態様に相当するものにする決定151が行なわれた場合に,前記特定のキャラクタを用いた報知をする表示制御を第1の確率で行ない・・・【0051】・・・そして,大当りを発生させることが事前決定された場合には,C RND ZU1の抽出値により,大当りとなる図柄の種類が決定され,さらに,C RND YOKの抽出値により大当り予告を実行するか否かの決定および大当り予告の種類の決定が行なわれる。
【0056】・・・図6は,大当り予告テーブルの内容を示す説明図である。
この図6に示される大当り予告テーブルにおいては,各種の遊技状態ごとにC RND YOKの抽出値と,大当り予告の報知方法との関係が予め定められている。
【0057】詳しくは次のとおりである。遊技状態は,大当りが事前決定されていない遊技状態(図中「大当り以外」),大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が2以上である遊技状態(図中「大当り・始動記憶2以上」),および大当りが事前決定されておりかつ始動入賞記憶数が1以下の遊技状態(図中「大当り・始動記憶1以下」)の3種類に分類されている。
【0059】遊技状態が「大当り・始動記憶2以上」である場合には,CRND YOKとの抽出値,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「99」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「100」〜「199」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報152知を行なう。抽出値が「200」〜「449」の場合には,音およびキャラクタの両方による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
【0060】遊技状態が「大当り・始動記憶1以下」の場合には,C RND YOKと,「報知方法」との関係が以下のように定められている。抽出値が「0」〜「224」の場合には,特別の音による真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「225」〜「449」の場合には,キャラクタによる真の大当り予告の報知を行なう。抽出値が「450」〜「899」の場合には,大当り予告の報知をしない。
すなわち,乙第1号証の30記載の実施例においては,大当たり予告の報知を行うか否かは,C RND YOKの抽出値(0〜899の整数値)によって決定され,大当たりを発生させることが事前決定された場合であっても,C RND YOKの抽出値が0から449までの値である場合に限り,大当たり予告の報知が行われるので,大当たり予告が報知される確率は,450/900である。したがって,大当たりが当選している場合に,大当たり予告の報知がされる確率は1/2である。
よって,乙第1号証の30には,構成要件2E-3のうち「所定確率で」遊技者に対して報知する構成が開示されている。
d 構成要件2E-3は,乙第4号証の13にすべて開示されている。
また,乙第4号証の18は,乙第1号証の30と同様,スロットマシンにかかる発明であり,両者は同一の技術分野に属している。そして,スロットマシンに関する発明においては,ゲームの興趣を向上さ153せることが自明の課題であり,これらいずれの発明も,かかる自明の課題を共通して有している。
さらに,乙第4号証の18記載の発明に乙第1号証の30記載の「所定確率で」遊技者に対して報知する構成を適用して,構成要件2E-3を実現する上で,それを阻害する要因は何ら存しない。
したがって,当業者であれば,乙第1号証の30記載の発明を乙第4号証の18記載の発明に適用し,構成要件2E-3を実現することは容易に推考し得る。
ウ 以上のとおり,本件発明2の構成要件は,すべて刊行物において開示されている。
そして,乙第4号証の12記載の発明はスロットマシンに関する発明であり,乙第4号証の13の記載はスロットマシンに関するものであり,乙第1号証の34記載の発明はパチンコ機等の遊戯機に関する発明であり,乙第1号証の30記載の発明はスロットマシン等の遊技機に関する発明であり,乙第4号証の16記載の発明はスロットマシン等の遊技機に関する発明であり,乙第4号証の17記載の発明は弾球遊遊技機に関する発明であり,乙第4号証の18記載の発明はスロットマシンに関する発明であり,いずれも同一の技術分野に属する。
また,遊技機に関する発明については,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であるところ,いずれの発明等も,かかる自明の課題を共通して有している。
さらに,乙第4号証の12記載の発明において,乙第4号証の13ほか上記刊行物に記載された技術を適用するに当たり,阻害要因となるべき事情は何ら存しない。
よって,本件発明2は,乙第4号証の12記載の発明に,乙第4号証の13及び乙第1号証の34に記載された技術・発明を適用して,遊技状態154および当選フラグに基づいてデモ抽選テーブルを選択し,乙第1号証の30及び乙4号証の16(又は乙第1号証の30及び乙第4号証の17)に記載された発明を適用して,デモ抽選テーブルから報知態様を選択し,さらに乙第4号証の13(又は乙第4号証の18及び乙第1号証の30)に記載された発明を適用して,小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で報知することによって実現することができるものであり,当業者が容易に想到することができたものであるから,本件発明2に進歩性を認めることはできない。
また,本件発明2は,乙第4号証の12記載の発明に,基準日前に公然実施されたスロットマシン「サンダーV」を適用することによって実現することができるものであり,当業者が容易に想到することができたものであるから,やはり本件発明2に進歩性を認めることはできない。
エ 以上のとおり,本件発明2は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許2は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
〔原告の主張〕(1) 公然実施の事実はないことア 被告は,本件発明2が遅くとも平成9年12月以前に「サンダーV」の生産譲渡により公然実施されていたと主張する。
しかしながら,本件発明のうち,スロットマシンの内部制御に関する部分については,実施に公然性がないことは,本件発明1について述べたところと同様である(前記4〔原告の主張〕(2))。
イ 本件発明2と「サンダーV」との対比について(ア) 構成要件2Bについて被告は,前記入賞決定手段で成立した当選フラグを報知する手段として,遊技開始音(CPU・ROM(遊技開始音出音処理)ロードアドレ155ス【0F42〜0F69】)が本件発明2の構成要件2Bの「報知手段」に該当すると主張しているが,構成要件2Bの「前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する」の部分が,各乙号証のロードアドレスのどの部分に該当するのかが,不明確である。
(イ) 構成要件2Eについて被告は,演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知(遊技開始音(CPU・ROM(遊技開始音出音処理)ロードアドレス【0F42〜0F69】)しており,本件発明2の構成要件Eに該当すると主張しているが,「前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」の部分が,各乙号証のロードアドレスのどの部分に該当するのかが,不明確である。
(2) 本件発明2が進歩性を有することについて被告は,本件発明2は,乙第4号証の12,乙第4号証の13,乙第1号証の30,乙第1号証の34,及び乙第4号証の16ないし乙第4号証の18(以下,「乙第4号証の12等の刊行物」とする。)に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである,又は,刊行物(乙第4号証の12)に記載された発明及び基準日前に公然実施されたパチスロ機「サンダーV」に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである,と主張するが,以下のとおり失当である。
ア 本件発明2は,乙第4号証の12等の刊行物に記載された発明に基づき,当業者が容易に発明することができたものではないこと(ア) 本件発明2は,「遊技状態および当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および入賞態様決定手段によってその時156に成立している当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる抽選値に割り当てられた報知態様で,小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」構成を備えているのに対して,乙第4号証の12等の刊行物に記載の発明は,上記構成を備えていない点で異なる。
(イ) 「デモ抽選テーブル選択テーブル」について被告は,乙第4号証の13には「ボーナスフラグの成立の有無と小役フラグの種類とに応じて,複数の振り分けテーブルのうちのいずれかのテーブルを選択する」ことが開示されており,これは「その時の遊技状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択」する構成に相当すると主張する。
しかしながら,乙第4号証の13には,テーブルを選択する動作は開示されているものの「デモ抽選テーブル選択テーブル」という構成は記載されていないし,同テーブルが存在することを示唆する記載もない。
また,被告は,乙第1号証の34には「リーチモード選択確率設定用テーブル」を参照して,表6ないし表11に示す複数の「リーチモード選択テーブル」のうちのいずれかを選択する技術が開示されており,これは,「デモ抽選テーブル選択テーブル」を参照して「デモ抽選テーブル」を選択する構成に相当すると主張する。
しかしながら,乙第1号証の34には,「リーチモード選択確率設定用テーブル」を参照して「リーチモード選択テーブル」なるものを選択するとの記載はあるものの,この選択の方法は「リーチモード選択確率設定用テーブル」を参照して,乱数値及び当選フラグに応じて行うもの157である。一方,本件発明2においては,「デモ抽選テーブル選択テーブル」を参照することで,遊技状態及び当選フラグに応じて「デモ抽選テーブル」の選択を行っている。そして,「乱数値」は遊技とは無関係に発生する単なる値にすぎないから,本件発明2の「遊技状態」に相当するものではない。
したがって,乙第4号証の13及び乙第1号証の34に記載の発明は,上記相違点に係る構成のうち「遊技状態および当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブル」の構成を備えていない。
なお,乙第4号証の12,乙第1号証の30及び乙第4号証の16ないし乙第4号証の18にも,「デモ抽選テーブル選択テーブル」に相当する構成の開示はない。
(ウ) 「デモ抽選テーブル」の選択方法について被告は,乙第1号証の30には,テーブルを参照して抽選値に対応する報知方法を選択する構成が開示されているので,「選択されたデモ抽選テーブルの中から乱数値に対応する報知態様を選択する」構成が開示されていると主張する。また,被告は,「複数の報知態様が格納されたデモ抽選テーブルの中から乱数値に対応する一の報知態様を選択する」ための具体的処理方法として,「デモ抽選テーブル内の各報知態様に一の抽選値を対応付けておき,その抽選値と乱数値との演算結果に基づいて乱数値に対応する抽選値を検出し,その検出された抽選値に対応する報知態様を選択する」という方法は,当業者が通常採用し得る技術常識であり,同様の技術が乙第4号証の16及び乙第4号証の17に開示されていると主張する。
しかしながら,乙第1号証の30及び乙第4号証の16ないし乙第4号証の18に記載されたテーブルは,いずれも遊技状態及び当選フラグ158に応じて選択されるものではないし,デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して選択されるものでもない。これに対して,本件発明2の「デモ抽選テーブル」は,遊技状態及び当選フラグに応じて,デモ抽選テーブル選択テーブルによって選択される。すなわち,乙第1号証の30及び乙第4号証の16ないし乙第4号証の18に記載の技術は,テーブルの選択方法が本件発明2とは異なる。
したがって,乙第1号証の30及び乙第4号証の16ないし乙第4号証の18は,上記相違点に係る構成のうち「デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および入賞態様決定手段によってその時に成立している当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる抽選値に割り当てられた報知態様で,」の構成を備えていない。
なお,乙第4号証の12,乙第4号証の13及び乙第1号証の34には,そもそも「デモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる抽選値に割り当てられた報知態様」に相当する構成の開示はない。
(エ) 本件発明2は,上記相違点に係る構成を備えることによって,次に示す格別の作用効果を奏する。
報知手段が,遊技状態および当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊技状態および入賞態様決定手段によってその時に成立している当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した159抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる抽選値に割り当てられた報知態様で,小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知することにより,「【0096】・・・つまり,異なる当選フラグが成立するゲームにおいても,予兆報知パターン決定用乱数の値によっては,同一の予兆報知パターンが出現する可能性がある。
【0097】このようにして当選フラグの種類は,その時の遊技状態によって定まるリールランプ消灯パターンの種類によって遊技者に報知されるが,その信頼度は一様ではない。例えば,一般遊技中における4枚チェリーフラグ当選の予兆報知が上記のように行われたとしても,その時に必ずしも4枚チェリーフラグが当選しているとは限らない。つまり,一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選している際にその予兆報知が行われる確率はX(=0〜100)%であり,また,一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選していないのにその予兆報知が行われる確率は(100-X)%である。
【0098】また,第2の実施形態と同様に本実施形態においても,ランプ駆動回路48,バックランプ57a〜57cおよびマイコン30は,各リール3〜5の表示を演出して入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。この報知手段によって演出される表示態様には5種類ある。
【0099】第1の表示態様は「リールランプ消灯パターンなし」の表示態160様であり,報知手段は,スタートレバー15の操作直後に各リール3〜5の各バックランプ57a〜57cを消灯せずに点灯したままの状態にする。第2の表示態様は図20(a)に示す「リールランプ消灯パターン1」の表示態様であり,スタートレバー15の操作直後に第1リール3の各バックランプ57a〜57cが消灯する。第3の表示態様は同図(b)に示す「リールランプ消灯パターン2」の表示態様であり,スタートレバー15の操作直後に第2リール4の各バックランプ57a〜57cが消灯する。
第4の表示態様は同図(c)に示す「リールランプ消灯パターン3」の表示態様であり,スタートレバー15の操作直後に第3リール5の各バックランプ57a〜57cが消灯する。第5の表示態様は同図(d)に示す「リールランプ消灯パターン4」の表示態様であり,スタートレバー15の操作直後に全リール3〜5の各バックランプ57a〜57cが消灯する。
【0100】なお,各リール3〜5に内蔵された各バックランプ57a〜57cはメダル投入時に一斉に点灯している。
【0101】「リールランプ消灯パターンなし」の表示態様は,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「はずれ」になり,デモ抽選テーブルNo.17が選択される場合や,フラグカウンタが「リプレイ」になり,デモ抽選テーブルNo.0が選択される場合に高い確率で現れる。また,「リールランプ消灯パターン1」の表示態様は,「2枚チェリー」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「2枚チェリー」になり,デモ抽選テーブルNo.1,No.5,No.9,161No.13が選択される場合に高い確率で現れる。また,「リールランプ消灯パターン2」の表示態様は,「4枚チェリー」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「4枚チェリー」になり,デモ抽選テーブルNo.2,No.6,No.10,No.14が選択される場合に高い確率で現れる。
【0102】また,「リールランプ消灯パターン3」の表示態様は,「ベル」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「ベル」になり,デモ抽選テーブルNo.3,No.7,No.11,No.15が選択される場合に高い確率で現れる。また,「リールランプ消灯パターン4」の表示態様は,「スイカ」小当たり入賞に対応しており,デモ抽選テーブル選択テーブルでフラグカウンタが「スイカ」になり,デモ抽選テーブルNo.4,No.8,No.12,No.16が選択される場合に高い確率で現れる。」と,入賞態様との関連性や法則性を持たせつつ,多彩な演出を行うことができるので,推理推測の要素が最大限に広がり,遊技に一層面白味を増すことができるという作用効果を奏する。
さらに,「【0119】また,小当たり入賞態様の報知は,全ての内部抽選結果に対して行われるのではなく,デモ抽選テーブル(図16〜図18参照)を用いた乱数抽選による所定確率で行われる。また,入賞態様決定手段で決定された入賞態様と異なる入賞態様が所定確率で報知される場合もある。従って,小当たり入賞態様は遊技者に報162知される場合もあり,報知されない場合もある。よって,遊技者によって小当たり入賞態様の報知が期待されるようになり,報知があった場合にはその喜びも増し,遊技の興趣は向上する。」と,いう作用効果を奏する。
また,その他にも,デモ抽選テーブルは複数の演出態様を有しているので,遊技状態および当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択することで,入賞態様との関連性や法則性を持たせつつ多彩な演出を行うことができ,推理推測の要素が最大限に広がるという格別の作用効果を奏することも自明といえる。
したがって,本件発明2は,乙第4号証の12等の刊行物に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。よって,本件発明2は,特許法29条2項の規定に違反してされたものではなく,無効とされるべきものではない。
イ 本件発明2は,刊行物(乙第4号証の12)に記載された発明及び基準日前に公然実施されたパチスロ機「サンダーV」に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものではないこと被告は,本件発明2が,特許性の判断基準日である平成10年9月14日以前に公然実施されていたと主張する。しかしながら,本件発明2に必須の構成であるスロットマシンの内部制御に関する部分について,既に述べたとおり,本件出願日前に公然と知られていなかったのであるから,当時,本件発明2が公然実施された事実はない。
したがって,本件発明2が本件出願前に公然実施された事実はないから,本件発明2は,刊行物(乙第4号証の12等)に記載された発明及びパチスロ機「サンダーV」に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 争点6(本件特許3は無効とされるべきものか)163〔被告の主張〕(1) 公然実施について本件特許3は,先の出願に基づく優先権を主張して出願されたものである。
しかしながら,以下に述べるとおり,本件発明3は,追加記載された新規な部分を構成要素として含んでおり,特許要件の判断基準日が繰り下がる。その結果,本件発明3は,基準日前に原告自身が生産譲渡したスロットマシン「ハナビ」によって公然と実施されたものである。
したがって,本件発明3は,特許法29条1項2号の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許3は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものであるから,原告は,本件特許権3に基づき被告に対する損害賠償請求権の行使をすることはできない。
ア 基準日の繰下げ(ア) 本件特許3は,原出願(特願平10-318954号)の分割に係るものであり,原出願で主張された先の特願平09-334984号出願(以下「3P1出願」という)及び特願平10-2515528号出願(以下「3P2出願」という)に基づく優先権を本件特許3の出願においてもそれぞれ援用している。
そして,前記先の3P2出願は,前記先の3P1出願を先の出願とする国内優先権の主張を伴う出願であり,先の3P2出願には,先の3P1出願に記載されていない新規追加事項が記載されている。また,前記原出願の出願時においても,先の3P1出願又は先の3P2出願に記載されていない新規追加事項が記載されている。
これらの新規追加事項については,それぞれ新規追加事項が追加された時点にまで特許性判断の基準時が繰り下がるものであり(特許法41条2項),したがって,本件特許3の請求項に係る発明のうち,新規追加事項に係るものについては,新規追加事項が追加された時点にまで特164許性判断の基準日を繰り下げて,新規性進歩性等が判断されなければならない。
(イ) 本件発明3における新規追加事項本件発明3は,本件特許成立後に申し立てられた特許異議申立手続(異議2003-73047)において提出された訂正請求書のとおりに減縮されており,これが認められたうえで,特許維持決定に至っている(甲9)。
そして,これらの訂正のうち,構成要件3Gのうち「発光態様を選択する時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」に関する技術的事項については,本件明細書3の【0144】ないし【0146】,【0128】,【0129】,図37及び図40の記載に基づくものであり,また,構成要件3Gのうち「発光態様が前記特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブル」に関する技術的事項については,本件明細書3の【0130】,【0131】,【0139】,【0140】,図28及び図36の記載に基づくものであるが,これらの技術的事項の記載はいずれも前記先の3P2出願の出願時(平成10年9月4日)に新規に追加されたものである(乙3の4ないし6)。
(ウ) 本件発明3の基準日a 特許異議申立手続(異議2003-73047)における維持判断の中で,「ところが,本件発明の上記b.ないしf.に係る発明特定事項については,優先権主張の基礎となった出願のうち,特願平10-251528号の願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されているが,特願平9-334984号の願書に最初に添付した明細書又は図面には記載されていないので,当該発明特定事項については,165特許法第29条第2項の規定の適用についての出願日は平成10年9月4日とみなされる」として,特許性の判断の基準日を平成10年9月4日として認定している(甲9)。
b 本件特許3については,先の3P1出願の明細書に記載されていなかった技術的事項が,先の3P2出願の明細書及び図面において追加記載されており,これが先の3P1出願の明細書に記載された技術的事項を明らかに超えているから,その超えた部分を含む本件発明3について,先の3P1出願に係る優先権主張の効果を認めることができず,上記の特許異議申立てにおける基準日の認定は相当なものである。
したがって,本件発明2の基準日は,平成10年9月4日である。
公然実施原告は,遅くとも平成10年7月より,スロットマシン(パチスロ機)「ハナビ」を生産譲渡しており,これは原告の第26期有価証券報告書(乙1の13)の記載からも明らかである。
そして,このスロットマシン(パチスロ機)「ハナビ」によって,以下に述べるように,本件発明3が実施されている。
ウ 本件発明3と「ハナビ」との対比(ア) 本件発明3の構成要件3Aの「可変表示装置」は,「ハナビ」の「リールユニット」が該当し,構成要件3Bの「光源」は「ハナビ」のリールユニットに組み込まれた「バックランプ」が,それぞれ該当する。
(イ) 本件発明3の構成要件3Cの「入賞態様決定手段」は,スロットマシンである(構成要件3L)「ハナビ」に実装されたROMと,このROMに固定されたプログラムを実行する8ビットCPU(Z80)とから実現されており,同プログラムにおける該当箇所は確率抽選処理(ロードアドレス【0935〜09B4】)である。
(ウ) 本件発明3の構成要件3Dの「停止手段」は「ハナビ」の停止ボタ166ンが該当し,構成要件3Eの「報知手段」は,「ハナビ」の遊技開始音(CPU・ROM(遊技開始音出音処理)ロードアドレス【0F42〜0F66】),リールランプ消灯制御(CPU・ROM(リールランプ消灯制御)ロードアドレス【0F6A〜0F86】),リールランプ点滅制御(CPU・ROM(リールランプ点滅制御)ロードアドレス【0F87〜0FBD】)の各予告演出がそれぞれ該当する。
(エ) 「ハナビ」には,デモ抽選テーブル(CPU・ROMロードアドレス【1A81〜1B40】)が存在し,各入賞態様に対して複数の報知情報が存在しており,これは本件発明3の構成要件3Fに該当する。
(オ) 「ハナビ」は,デモ抽選テーブル選択テーブル(CPU・ROMロードアドレス【1B46〜1B61】)によって,前記デモ抽選テーブル(CPU・ROMロードアドレス【1A81〜1B40】)を選択し,その中の抽選値(抽出乱数値)によってリールランプの消灯/点灯を行う(フラッシュパターン)が,遊技状態が「ビッグボーナス(BB)」又は「レギュラーボーナス(RB)」の場合は,特定の発光態様(リールランプ全消灯)を呈する。これは,本件発明3の構成要件3G及び3Kに該当する。
(カ) 「ハナビ」では,前記のリールランプの消灯は,停止ボタンを押下するごとに行われるが,その際の効果音として,第一停止ボタンを押下すると「ジリジリ」,第二停止ボタンを押下すると「ヒューン」,第三停止ボタンを押下すると「ドン」という効果音が出音されて,ボーナスを告知する。そして,前記の効果音は,停止音選択テーブルから選択されている。これは本件発明3の構成要件3H及び3Kに該当する。
(キ) 前記の発光制御及び効果音発生は,CPUからの指示に基づいて前記「バックランプ」又は「スピーカ」によって行われている。これは,本件発明3の構成要件3I及び3Jに該当する。
167エ 以上のように,本件発明3については,「ハナビ」によって実施がされている。
そして,本件発明3の特許性判断の基準日は,前述のとおり,先の3P2出願の出願日である平成10年9月4日であり,「ハナビ」の生産譲渡日よりも繰り下がることは明白である。
したがって,本件発明3は,基準日前に原告自身が製造販売したパチスロ機「ハナビ」によって公然と実施され,特許法29条1項2号の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許3は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
(2) 進歩性の欠如について本件特許3は,乙第1号証の28等の刊行物に基づき,又は同刊行物と原告自身によって公然実施されたスロットマシン「ハナビ」に基づいて,特許要件の判断基準日前に当業者が容易に想到することができたものである。
よって,本件発明3は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許3は,同法123条1項第2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
なお,前記のとおり,本件発明3における特許要件の判断基準日は,平成10年9月4日である。
ア 本件発明3と乙第1号証の28に記載された発明との対比(ア) 構成要件3Aについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0029】・・・このスロットマシン1の本体中央部には,各々の外周面に複数種類のシンボルが配列された3個のリール2,3,4が回転自在に設けられて可変表示部を形成している。
b これは,本件発明3の「種々の図柄を可変表示する可変表示装置」168に相当するものであり,乙第1号証の28には,構成要件3Aが開示されている。
(イ) 構成要件3Bについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0080】この報知手段としては,例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。」b この各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)が,本件発明3の「前記図柄を照明する光源」に相当するものであり,乙第1号証の28には,構成要件3Bが開示されている。
(ウ) 構成要件3Cについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【請求項1】・・・ゲーム毎にサンプリングされる乱数値を予め設定された入賞確率テーブル中のデータと照合することにより入賞態様を判定・・・する制御部【0034】・・・制御部は,マイコン20を主な構成要素とし,これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン20は,予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU21と,記憶手段であるROM22及びRAM23とを含み,そのCPU21に,基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路24及び分周器25と,後述のようにサンプリングされる乱数を発生する乱数発生器26及び乱数サンプリング回路27とが接続されている。マイコン20のROM22は,入賞確率169テーブル,シンボルテーブル,入賞シンボル組合せテーブル及びシーケンスプログラムを格納するように区分された記憶部22a,22b,22c,22dを備えている。
【0038】・・・乱数発生器26は,一定の数値範囲に属する乱数を発生し,サンプリング回路27は,スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は,ROM22内の記憶部22aに格納されている入賞確率テーブルにおいて,どの入賞グループに属する値になっているかが判定される。
【0053】内部的抽選処理は,図8及び図9に示すフローチャートに従って実行される。具体的には,マイコン20のCPU21が,前述のようにゲームスタート後に乱数値をサンプリングして,ROM22の記憶部22aに格納されている入賞確率テーブルと照合することにより,以下の抽選処理を実行する。
【0054】まず,図8に示すように,サンプリングされた乱数値をBB?の当選幅(入賞組合せ“7-7-7”に対する内部的当選役の数値の範囲)と比較し(ST1),BB?に該当するか否かを判定する(ST2)。その結果,該当する場合には,内部的当選が達成され,例えば8ビット構成のRAM23においてBB?に対応するビット(7)にフラグを立て(ST3),抽選処理を終了する。
【0055】一方,乱数値がBB?に当選しない場合には,当該乱数値を次170の内部的当選役BB?の当選幅(入賞組合せ“BAR-BAR-7”に対応する内部的当選役の数値の範囲)と比較し(ST4),BB?に該当するか否かを判定する(ST5)。その結果,該当する場合には内部的当選が達成されて,RAM23においてBB?に対応するビット(6)にフラグを立て(ST6),抽選処理を終了する。
【0056】乱数値がBB?にも当選しない場合には,図9に示すように,乱数値を次の内部的当選役NB?の当選幅(入賞組合せ“7-7-BAR”に対応する内部的当選役の数値の範囲)と比較し(ST7),NB?に該当するか否かを判定する(ST8)。その結果,該当する場合には内部的当選が達成されて,RAM23においてNB?に対応するビット(5)にフラグを立て(ST9),抽選処理を終了する。
【0057】一方,乱数値がNB?に当選しない場合には,当該乱数値を次の内部的当選役NB?の当選幅(入賞組合せ“BAR-BAR-BAR”に対応する内部的当選役の数値の範囲)と比較し(ST10),NB?に該当するか否かを判定する(ST11)。その結果,該当する場合には内部的当選が達成されて,RAM23においてNB?に対応するビット(4)にフラグを立て(ST12),抽選処理を終了する。
【0058】最後に,乱数値がNB?にも当選しない場合には,その他の役の抽選処理を行う(ST13)。ここで,どの役にも該当しなければ,「ハズレ」になることは従来と同様である。
171b 上記「マイコン20」及び「乱数サンプリングのための回路」を含む「制御部」は,サンプリングされた乱数値を入賞確率テーブルと照合して,「BB」,「NB」及び「その他の役」の抽選処理を行うものであるから,本件発明3の「乱数抽選によって複数の遊技の入賞態様の中から1つの入賞態様を決定する入賞態様決定手段」に相当するものであり,乙第1号証の28には,構成要件3Cが開示されている。
(エ) 構成要件3Dについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0032】・・・遊技者がメダル投入口8からメダルを投入した後,正面の左端部に設置されたスタートレバー11を操作することにより,3つのリール2,3,4が一斉に回転する。そして,これらの回転が一定の速さに達した時,各リールに対応して設けられたストップボタン12,13,14の操作が有効化されるので,遊技者はこれらのボタンを押圧操作することで,対応するリールの回転を停止させることができる。
b この「各リールに対応して設けられたストップボタン」は,本件発明3の「前記可変表示装置の可変表示を停止させる停止手段」に相当するものであり,乙第1号証の28には,構成要件3Dが開示されている。
(オ) 構成要件3Eについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0079】(ii)ゲームスタート後,サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。
172b 上記「報知手段」は,本件発明3の「前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を報知する報知手段」に相当するものであり,乙第1号証の28は遊技機(スロットマシン)に関するものであるから,同号証には,構成要件3E,3G及び3Hが開示されている。
(カ) 構成要件3G及び3GIについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0079】(ii)ゲームスタート後,サンプリングされた乱数値が内部的当選役に該当した場合,その内部的当選を遊技者に知らせる報知手段を設けてもよい。
【0080】この報知手段としては,例えば各リール2,3,4の内側に取り付けられているバックライト(照明)を利用することができる。
すなわち,遊技がスタートして乱数がサンプリングされ,入賞確率テーブルとの照合により内部的当選に該当する場合は,このバックライトを点滅又は点灯させることによって,遊技者に内部的当選を知らせる。これにより,遊技者は「当たり」への期待感を持つことができる。
【0081】具体的には,図10及び図11に示すように,3つのリール2,3,4の各々について可変表示部の窓に現れるシンボルの裏面側に,3個のランプ(LED,電球などの発光体)41を縦方向に配列した基板42を設置し,これら3列のランプ41を,図3のCPU21により,例えばストップボタン12が押された直後に,図12(A),(B),(C)に示すような種々のパターンで点173滅又は点灯するように制御する。なお,図12において,(A)は全てのランプを点灯又は点滅するパターン,(B)は上下及び中心部のランプを点灯又は点滅するパターン,(C)はランプを所定の方向に順次点灯又は点滅する動作を繰り返すパターンを示す。勿論,パターンはこれらのみに限らない。
【0082】また,内部的当選の種類に応じて上述の点灯パターンを変えることにより,どの種類の入賞役に当たり易い状態であるかを遊技者に知らせることもできる。
b 以上のとおり,乙第1号証の28には,バックライトを種々のパターンで点滅又は点灯するように制御し,内部当選の種類に応じてその点灯パターンを変えることによって,どの種類の入賞役に当たりやすい状態であるかを遊技者に知らせるものであるから,構成要件3G及び3Iの「予め定められた複数種類の発光態様の中から発光態様を選択し,選択された発光態様で前記光源を発光制御する発光制御手段」に相当するものであり,乙第1号証の28には,同部分が開示されている。
(キ) 構成要件3J及び3Kについてa 乙第1号証の28には,以下の記載がある。
【0083】更に,上記のようなバックライトの利用に加えて又はバックライトを利用する代わりに,スピーカのような発音装置から適当な音を発生することによっても,内部的当選を遊技者に知らせることができる。
【0084】(iii) 内部的当選の後,リールの回転停止操作によって出現し174得る図柄組合せが「大ヒット」のような特定の入賞図柄でない場合には,「リーチ目」を出現させることにより,遊技者に対し内部的当選を知らせるようにしてもよい。これはマイコン20のプログラムで実現できるが,これに代えて,或いはこれと共に,上記(ii)で説明したリールのバックライトや音声を利用する報知手段を用いてもよい。
b 上記「発音装置」は,構成要件3Jの「効果音を出音する音発生手段」に相当するものであり,乙第1号証の28には,同部分が開示されている。
そして,内部的当選を遊技者に知らせる構成としては,「バックライトの利用に加えて…スピーカのような発音装置から適当な音を発生すること」が記載されており,これは,構成要件3Kの「前記発光制御手段による発光制御及び前記音発生手段による出音によって前記報知情報を報知する」に相当するものであるから,乙第1号証の28には,同部分が開示されている。
(ク) 一致点本件発明3と乙第1号証の28に記載された発明とを対比すると,両者は,「種々の図柄を可変表示する可変表示装置と,前記図柄を照明する光源と,乱数抽選によって複数の遊技の入賞態様の中から1つの入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,前記可変表示器の可変表示を停止させる停止手段と,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報とを備えて構成される遊技機において,前記報知手段は,予め定められた複数種類の発光態様の中から発光態様を選択し,選択された発光態様で前記光源を発光制御する発光制御手段と,効果音を出音する音発生手段とを備え,前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出音によって前記報知情報を報知する遊技機」である点175で一致している。
(ケ) 相違点以上からすれば,本件発明3と乙第1号証の28に記載された発明とは,以下の?ないし?の点で相違する。
? 本件発明3においては,各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在するものであり,停止手段の操作検出時に行われる報知であるのに対して,乙第1号証の28に記載された発明においては,これらの点が明確でない点? 本件発明3においては,あらかじめ定められた複数種類の発光態様の中から発光態様を選択して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段が,入賞決定手段によって決定された入賞態様及びその時の遊技状態に応じて,抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段であるのに対して,乙第1号証の28に記載された発明はそのような構成でない点? 本件発明3においては,効果音を出音する音発生手段が,あらかじめ定められた複数種類の効果音の中から光源の発光態様に応じた効果音を選択し,前記光源の発光態様が特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブルと,前記音選択テーブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手段であるのに対して,乙第1号証の28に記載された発明はそのような構成でない点イ 相違点の検討上記相違点については,本件発明3の特許性判断の基準日である平成11760年9月4日以前に,原告によって公然と実施されたスロットマシン「ハナビ」によってすべて開示されているところ,刊行物においても,以下のとおり,開示されている。
(ア) 相違点?についてa 乙第4号証の13における開示乙第4号証の13(「パチスロ攻略マガジン」(1998年4月号))は,遅くとも平成10年4月1日までに発行された刊行物であって,原告が遅くとも平成9年12月より製造販売しているスロットマシン「サンダーV」に関する記事として,以下の記載がある。
(5頁左下囲み記事)フラッシュは告知ランプじゃない!サンダーの演出,予告音・リールランプ消灯・そしてフラッシュ発生の仕組みを,大まかに説明しよう。コインを投入し,レバーを叩き,役のフラグが成立する,もしくはハズレる。そして,フラグ状態に見合った組み合わせでリールが停止する。サンダーVでは,その間に前述の演出が絡む。これらの演出は,ボーナスフラグの成立,未成立などのベースに加えて,子役フラグの有無を加味し,それぞれの状態毎に,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルが存在している。この処理はベット数による影響を受けない。
(8頁見出し及び本文1段1行ないし2段23行)状態による予告音・消灯・フラッシュの振り分け率絶妙な演出はこのように決定されていた・・・『ボーナスフラグ成立』『ボーナス中』『JACゲーム中』,更に『小役フラグ成立の有無』も加味され,想定し得る全ての状態に関して,個別に,各演出への振り分けテーブルが存在177する…。それぞれ抽選が行われた直後に,予告音発生の有無,リールランプの消灯が何リール分行われるか,または否か。併せて,何らかの役フラグが成立している場合には,どのフラッシュを出現させるか。上記振り分け表の通り,全演出がワンセットとなったテーブルにより,予め決定されているのだ。なお,表中の・・・『消灯』項目に,Aと書かれていれば最初に押したリールランプが,Bと書かれていれば次に押したリールランプも,Cと書かれていれば全消灯となり,無表記の場合は消灯無しである。
また,乙第4号証の13の8頁上段には,「ボーナス未成立・リプレイ」「ボーナス成立・リプレイ」「ボーナス未成立・スイカ」「ボーナス成立・スイカ」「ボーナス未成立・ベル」「ボーナス成立・ベル」「ボーナス未成立・2or4枚チェリー」「ボーナス成立・2or4枚チェリー」「ボーナス未成立・ハズレ」「ボーナス成立・ハズレ」「REG当選プレイ」「BIG当選プレイ」「BIG中の各状態」に関して,「出現率」と「予告音」「消灯」等との関係を示す表が記載されている。そして,上記8頁見出し及び本文の記載と合わせれば,例えば表の「消灯」欄にABとの記載があれば,最初に押したリールランプが消灯し,次に押したリールランプも消灯するが,最後に押したリールランプは消灯しないということになる。
以上のとおり,乙第4号証の13には,ボーナスフラグの成立,未成立などのベースに加えて,小役フラグの有無を加味し,それぞれの入賞態様ごとに,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルを備えるスロットマシン「サンダーV」につき,各入賞態様(BIG,REG,スイカ,ベル,2or4枚チェリー等)ごとに報知情報を複数有するとともに,停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯等して前記報知情報を報知する遊技機が開示されている。
178b 乙第5号証の14における開示乙第5号証の14(「パチスロ必勝ガイド」(1998年10月号))は,遅くとも平成10年8月21日付けで国立国会図書館(東京本館)に受け入れられた刊行物であって,原告が遅くとも平成10年7月より製造販売しているスロットマシン「ハナビ」に関する記事(4頁及び5頁)として,また,原告が平成10年6月より製造販売しているスロットマシン「バーサス」に関する記事(40頁及び41頁)として,以下の各記載がある。
4頁中央やや上部にある「花火が開花すれば激アツフラッシュが目頭を熱くする!」との記載の左に3つの停止ボタンの記載があり,左停止ボタンからの吹き出し部には「左リール停止」(左リールが消灯した状態で)「デデンデデン」「花火点火」と記載され,中央停止ボタンからの吹き出し部には「中リール停止」(左リールおよび中央リールが消灯した状態で)「ピューン」「打ち上げ」と記載され,右停止ボタンからの吹き出し部には「右リール停止」(全リールが消灯した状態で)「ドーンドーン」「花火開花」と記載されている。
また,中段左側の「補足説明」には「ハナビでは,ストップボタンを押した状態に『予告音』が鳴る事がある。まず,第1リール停止の瞬間に花火の点火音がすればチャンス到来。続いて第2リールで打ち上げ音,第3リールで花火開花音と,段階を経てチャンスは広がってゆく。そして効果音ごとに各リールのバックライトが消灯し,花火開花(全消灯)までいけば必ず何からのフラッシュが出現するのである。」と記載されている。
第40頁には「チャンス予告機能からフラグ成立を見抜け!」「・・・というわけで今回は,予告音・バックライト消灯・フラッシュの3要素に加え,出現小役からみたボーナス確定パターンを紹介しよ179う。」と記載され,第41頁の中央部には「2枚チェリー」「4枚チェリー」「ベル」「スイカ」「リプレイ」「ハズレ」「BIGフラグ成立ゲーム」「REGフラグ成立ゲーム」の各表が掲載されており,各表は「リール消灯」「予告音」「フラッシュ」「選択率」を一つにまとめて配置した表形式で「通常時 成立役別予告パターン」として掲載されている。
以上のとおり,乙第5号証の14には,ボーナスフラグの成立,未成立および小役フラグの有無を加味し,それぞれの入賞態様ごとに,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルを備えるスロットマシン「バーサス」につき,各入賞態様(BIG,REG,スイカ,ベル,2or4枚チェリー等)ごとに報知情報を複数有すると共に,停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯等して前記報知情報を報知する遊技機が開示されている。また,スロットマシン「ハナビ」について,停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯するとともに効果音を出音して報知情報を報知する遊技機が開示されている。
c したがって,「各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在し,停止手段の操作検出時に報知が行われる」という相違点?にかかる構成は,乙第4号証の13又は乙第5号証の14のそれぞれにおいて,すべて開示されている。
(イ) 相違点?についてa 前記の乙第4号証の13には,ボーナスフラグの成立,未成立などのベースに加えて,小役フラグの有無を加味し,それぞれの入賞態様ごとに,各演出(予告音・消灯・フラッシュ)の発生を一括して振り分けるテーブルを備え,それぞれ抽選が行われた直後に,どの演出を行うのかを,前記振り分けテーブルから決定する(すなわち,入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応180じて,振り分けテーブルを決定し,抽選によってテーブルから演出を決定する)遊技機が開示されており,同遊技機に関する8頁上段の表には,「BIG中の各状態」テーブルにおいては,ほとんどの場合でリールバックランプ消灯がされない演出(全点灯)が行われることが開示されている。
b なお,相違点?について,原告は,異議意見書において,「その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」の効果として,「遊技者は,この特定の発光態様および特定の出音態様を認識することにより,その時の遊技状態がRB作動中やBB作動中といった特定の遊技状態であることを容易に把握することが可能です。すなわち,訂正後の本件発明によれば,訂正前の本件発明が奏する効果に加えて,このような格別の効果を奏します。」と主張しているが(乙5の5の4頁),かかる効果は全く期待できるものではない。すなわち,上記異議手続における「その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択」するという訂正の唯一の根拠は,本件明細書3の図37に,その時の遊技状態が特定の遊技状態(具体的には「RB作動中」と「BB作動中」)である場合には,その時に成立している当選フラグにかかわらず常に特定のテーブルNO.(具体的にはNO.17)を選択することとし,また,図40に,特定のテーブルNO.(具体的にはNO.17)を選択した場合には常に特定の発光態様(具体的には「リールランプ消灯パターン1」)で発光制御することが記載されている点にある。
また,上記異議手続における「光源の発光態様が特定の発光態様で181ある場合には特定の出音態様の効果音を選択」するという訂正の根拠は,【0130】【0131】【0139】及び【0140】並びに図28及び図36に,各停止ボタンの操作検出時に,停止要求のあったリールのバックランプの点灯または消灯要求に対応した停止音が選択されることが記載されている点にある。
しかしながら,上記のテーブルNO.17で必然的に選択されるリールランプ消灯パターン1及びこのリールランプの点消灯に伴い必然的に選択される一定の音は,例えば,図38の一般遊技中のハズレのときに選択されるテーブルNO.0においても,100/128の確率で出現するし,また,テーブルNO.1ないし9及び11ないし14並びに16においてもそれぞれ確率の程度は相違しても出現するのである。すなわち,このリールランプ消灯パターン1及びこのリールランプの点消灯に伴い必然的に選択される一定の音は,ほぼすべてのテーブルにおいて出現する演出であるから,かかる演出を認識することによって,遊技者が「その時の遊技状態がRB作動中やBB作動中といった特定の遊技状態であることを容易に把握する」ことは全く期待することができないのである。
そして,このように,本構成要件が何らの効果をも奏しないとすれば,上述した乙第4号証の13に示す「BIG中の各状態」において,504/512の確率で出現する点灯ありのテーブルと相違点?とは,単なる確率上の微差にすぎないものということができる。
c 以上から,「予め定められた複数種類の発光態様の中から発光態様を選択して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段が,入賞決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定182された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段」は,乙第4号証の13において実質的に開示されているものといってよい。また,原告自身によって公然実施されたスロットマシン「ハナビ」によってもすべて開示されている。
(ウ) 相違点?についてa 前記の乙第5号証の14には,報知手段として,第1リール停止時(第1停止ボタン押下時)にリール消灯させて「デデンデデン」と出音させ,第2リール停止時(第2停止ボタン押下時)にリール消灯させて「ピューン」と出音させ,第3リール停止時(第3停止ボタン押下時)にリール消灯させて「ドーン」と出音させるスロットマシン「ハナビ」が開示されている。
b また,乙第5号証の15(「必勝パチスロファン」(1998年10月号))は,遅くとも平成10年9月2日付けで国立国会図書館(東京本館)に受け入れられた刊行物であって,原告が遅くとも平成10年7月より製造販売しているスロットマシン「ハナビ」に関する記事として,6頁本文1段及び右下囲み記事に,「三連花火は現時点ではハズレなし予告音はなく告知ランプが付いた」「その他の進行は,サンダーVやバーサスと同じ。ただし,リールランプが消灯する時に,効果音がなるようになっている。」「ゲームの進行」「スタート」「第1リールストップ」「消灯,ドドン」「第2リールストップ」「消灯,ピューン」「第3リールストップ」「消灯,ドーン」「フラッシュ?」「告知ランプ?」「今までと違い,予告音はなし。リール消灯は効果音が付く。1リールめは『ドドン』,2リールめは『ピューン』,3リールめは『ドーン』とすべて違う音。フラッシュは全リ183ール停止後に発生。告知ランプはその後に点滅し始める。ランプはボーナス成立後に抽選している。」との記載がある。
すなわち,乙第5号証の15にも同様に,第1リール停止時(第1停止ボタン押下時)にリール消灯させて「ドドン」と出音させ,第2リール停止時(第2停止ボタン押下時)にリール消灯させて「ピューン」と出音させ,第3リール停止時(第3停止ボタン押下時)にリール消灯させて「ドーン」と出音させるスロットマシン「ハナビ」が開示されている。
c 以上のとおり,乙第5号証の14及び15には,複数種類の効果音の中から,第1ないし第3リールの消灯に応じて効果音を発生し,リール消灯パターンが全消灯の場合に上記特定の効果音を発生する遊技機が開示されている。
d なお,リール制御にテーブルを用いることは,この種遊技機の周知慣用技術であることは乙第5号証の16及び17の以下の記載からも明らかである。また,効果音をテーブルとして他の演出と関連付けて配置することが周知慣用技術であることは,前記の乙第4号証の13及び乙第5号証の14に掲載されているテーブルからも明らかである。
(a) 乙第5号証の16乙第5号証の16(「パチスロ必勝本SPECIAL」(2000年5月号増刊))は,平成12年5月15日に発行された刊行物であるが,リール制御に使用するテーブル方式に関して,70頁本文1段から2段に,「アルゼ系機種のテーブル方式とは?」「そもそも『テーブル方式って何?」「『テーブル』とはコンピュータ用語で表を指す言葉で,パチスロで『テーブル方式』と言えば,普通リール制御のそれを指す。ハナビのリール制御テーブルの一部が左ページ下にあるが,これは紙面掲載用に体裁を整えたもの。プログ184ラム上にこの表がまんま存在するというワケではないのでご注意を。
リール制御にテーブル方式を用いる主な目的は,大量リーチ目を作り出すことにある。大量リーチ目タイプの雄『山佐』はパチスロ黎明期からこの方式を用いていたのだが,ニューパルサーの大ヒット以降,他のメーカもこぞってこの方式を用いる様になった。ただしひとくちに『テーブル方式』といっても,メーカー毎でその方式は異なる。アルゼ系の機種だけを取ってみても,下のように3タイプにカテゴライズ出来るくらいだ。テーブル方式の定義は,『各状態下における停止パターンが予め決められていて,なおかつ1つの状態・ストップボタンを押した位置に対して複数の停止パターンが用意されている』こと。…アルゼが初めてテーブル方式を用いたのはクランキーコンドルだったのだが・・・」との記載がある。
(b) 乙第5号証の17乙第5号証の17(「パチスロ大図鑑1964〜2000」)は,平成19年5月21日に発行された刊行物であるが,クランキーコンドルに関し, 124頁本文1段に,「…爆発的ヒット機種『ニューパルサー』の影響が色濃く残る95年夏,『テーブル方式による本格的大量リーチ目搭載機』といういささか地味な謳い文句とともに,静かに世に現れたのだ。」との記載があり,125頁本文1段に,「また,同メーカー初のテーブル方式マシンでありながらリール制御の完成度は高く,上段青7テンパイ以外にも秀逸リーチ目が満載だった。」との記載がある。
e 以上より,「予め定められた複数種類の効果音の中から光源の発光態様に応じた効果音を選択し,前記光源の発光態様が特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブルと,前記音選択テーブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手185段」は,乙第5号証の14及び15に実質的に開示されているものといってよい。また,原告自身によって公然実施されたスロットマシン「ハナビ」によってもすべて開示されている。
ウ 乙第1号証の28記載の発明は可変表示部を備えたスロットマシン等を含む遊技機に関する発明であり,乙第4号証の13並びに乙第5号証の14及び15の記載はスロットマシンに関するものであり,いずれも同一の技術分野に属する。また,遊技機に関する発明については,ゲームの興趣を向上させることが自明の課題であり,いずれも,かかる自明の課題を共通して有している。さらに,乙第1号証の28記載の発明において,乙第4号証の13他上記刊行物に記載された技術を適用するに当たり,阻害要因となるべき事情は何ら存しない。
よって,本件発明3は,乙第1号証の28記載の発明に,乙第4号証の13又は乙第5号証の14に記載された技術を適用して,各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在し,停止手段の操作検出時に報知が行われるものとし,乙第4号証の13に記載された技術を適用して,あらかじめ定められた複数種類の発光態様の中から発光態様を選択して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段が,入賞決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段であるものとし,乙第5号証の14及び15に記載された技術を適用して,あらかじめ定められた複数種類の効果音の中から光源の発光態様に応じた効果音を選択し,前記光源の発光態様が特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブルと,前記音選択テー186ブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手段を備えたものとすることによって実現することができるものであり,当業者が容易に想到することができたものであるから,本件発明3に進歩性を認めることはできない。
また,本件発明3は,乙第1号証の28記載の発明に,基準日前に公然実施されたスロットマシン「ハナビ」を適用することによって実現することができるものであり,当業者が容易に想到することができたものであるから,やはり本件発明3に進歩性を認めることはできない。
エ 以上のとおり,本件発明3は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許3は同法123条1項2号に該当し,特許無効審判により無効とされるべきものである。
〔原告の主張〕(1) 公然実施の事実はないことア 被告は,本件発明3が遅くとも平成10年7月以前に「ハナビ」の生産譲渡により公然実施されていたと主張する。
しかしながら,本件発明のうち,スロットマシンの内部制御に関する部分については,実施に公然性がないことは,本件発明1について述べたところと同様である(前記4〔原告の主張〕(2))。
イ 本件発明3と「ハナビ」との対比について(ア) 構成要件3Gについて被告は,遊技状態が「ビッグボーナス(BB)」又は「レギュラーボーナス(RB)」の場合は,特定の発光態様(リールランプ全消灯)を呈し,これが構成要件3G及び3Kに該当すると主張しているが,構成要件3Gの「その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらずに常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」の部分が,各乙号証のど187の部分に該当するのか,不明確である。
(イ) 構成要件3Hについて被告は,ハナビでは,前記のリールランプの消灯は,停止ボタンを押下するごとに行われるが,その際の効果音として,第一停止ボタンを押下すると「ジリジリ」,第二停止ボタンを押下すると「ヒューン」,第三停止ボタンを押下すると「ドン」という効果音が出音されて,ボーナスを告知するが,この効果音は,停止音選択テーブルから選択されており,これが構成要件3H及び3Kに該当すると主張する。しかしながら,構成要件3Hの「前記光源の発光態様に応じた効果音を選択」の部分,及び,「前記光源の発光態様が前記特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する」の部分が,各乙号証のどの部分に該当するのか,不明確である。
(2) 本件発明3が進歩性を有することについてア 本件発明3と乙第1号証の28に記載された発明との相違点は,以下の3点である。
(ア) 相違点?本件発明3においては,報知情報が各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在するものであり,停止手段の停止検出時に行われる前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出音からなる報知であるのに対して,乙第1号証の28に記載された発明においてはこれらの点が明確でない点(イ) 相違点?本件発明3においては,あらかじめ定められた複数種類の発光態様の中から発光態様を選択して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段が,入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびそのときの遊技状態に応じて,抽出乱数値によって発光態様を選択し,そ188のときの遊技状態が特定の遊技状態である場合には前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で光源を発光制御する発光制御手段であるのに対して,乙第1号証の28に記載された発明はそのような構成でない点(ウ) 相違点?本件発明3においては,効果音を出音する音発生手段が,あらかじめ定められた複数種類の効果音の中から光源の発光態様に応じた効果音を選択し,前記光源の発光態様が特定の発光態様である場合には特定の出音態様の効果音を選択する音選択テーブルと,前記音選択テーブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手段であるのに対して,乙第1号証の28に記載された発明はそのような構成でない点イ 相違点についての検討(ア) 相違点?についてa 乙第4号証の13について被告は,乙第4号証の13には,ボーナスフラグの成立,未成立などのベースに加えて,小役フラグの有無を加味し,それぞれの入賞態様毎に,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルを備えるスロットマシン「サンダーV」につき,各入賞態様(BIG,REG,スイカ,ベル,2or4枚チェリー等)毎に報知情報を複数有するとともに,停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯等して前記報知情報を報知する遊技機が開示されていると主張する。
しかしながら,乙第4号証の13には,停止ボタンの押下に伴う報知としてはリールバックランプの消灯(又は点灯)によるものしか開示されておらず,相違点?のように,「停止手段の停止検出時に行われる前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出189音からなる報知」は開示されていない。
b 乙第5号証の14について被告は,乙第5号証の14には,スロットマシン「ハナビ」について,停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯するとともに効果音を出音して報知情報を報知する遊技機が開示されていると主張する。
この点について,乙第5号証の14には,「停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯するとともに効果音を出音」する遊技機は開示されているものの,これらの消灯及び効果音が報知情報を報知しているか否かは不明である。すなわち,報知情報を報知しているのはスロットマシン「バーサス」についての記載部分だけであり,スロットマシン「ハナビ」については,報知情報を報知している旨の記載はない。そのため,乙第5号証の14には,「ボーナスフラグの成立,未成立および小役フラグの有無を加味し,それぞれの入賞態様毎に,各演出の発生を一括して振り分けるテーブルを備えるスロットマシン「バーサス」につき,各入賞態様(BIG,REG,スイカ。ベル,2or4枚チェリー等)毎に報知情報を複数有するとともに,停止ボタンの押下に伴いリールバックランプを消灯等して前記報知情報を報知する遊技機」が開示されているだけである。すると,乙第4号証の13と同様に,乙第5号証の14には,相違点?のような,「停止手段の停止検出時に行われる前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出音からなる報知」は開示されていない。
c 以上のように,本件発明3は,相違点?の構成を備えることにより,停止操作時に前記発光制御手段による発光制御からなる報知だけでなく前記音発生手段による出音からなる報知,すなわち,視覚的な報知だけでなく聴覚的な報知を行うことができる。その結果,停止操作時190に行われる各入賞態様に対してその成立を表す報知を遊技者に確実に知らしめることが可能になるという効果を奏するのである。
(イ) 相違点?についてa 乙第4号証の13について被告は,本構成要件が何らの効果も奏しないとすれば上述した乙第4号証の13に示す「BIG中の各状態」において,504/512の確率で出現する点灯ありのテーブルと,相違点?は,単に確率上の微差に過ぎないと主張し,相違点?は乙第14号証の13において実質的に開示されているものといってよいと主張しているが,誤りである。
この点について,相違点?は,「そのときの遊技状態が特定の遊技状態である場合には前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する」ことであるところ,特定の遊技状態で,常に(100%)特定の発光態様が選択されるとは,特定の遊技状態では,特定の発光態様以外の発光態様が選択されることがないということである。そのため,特定の発光態様以外の発光態様が選択された場合には,特定の遊技状態ではないこととなる。
すなわち,相違点?の構成によると,「特定の発光態様以外の発光態様が選択された場合には,遊技者は,特定の遊技状態ではないということを容易に把握できる」という効果を奏する。このような効果は,本構成要件を有することにより初めて奏する特有の効果であり,本構成要件が何らの効果をも奏しないという被告の主張は誤りである。
そして,乙第4号証の13のように,特定の遊技状態において504/512という高確率で特定の発光態様が選択されたとしても,特定の遊技状態において特定の発光態様以外の発光態様が選択される場合がある以上,乙第4号証の13に開示された発明では上述のような191効果を奏することがない。
そのため,前記の乙第4号証の13に示す「BIG中の各状態」において,504/512の確率で出現する点灯ありのテーブルと,相違点?は,単に確率上の微差にすぎないという被告の主張は誤りである。この点で被告の主張は誤っているから,その結果,『乙第14号証の13において実質的に開示されているものといってよい。』との被告の主張もまた誤りであると言わざるを得ない。
b 公然実施されたスロットマシン「ハナビ」について既に述べたのと同様,本件発明3は,基準日前に特許権者自身が生産譲渡したスロットマシン「ハナビ」によって公然と実施されたものではない。
ウ 以上のように,本件発明3と各乙号証に記載された発明とでは,相違点?,?の点で相違するものであり,各乙号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到することはできず,本件発明3は進歩性を有する。
7 争点7(損害の額)〔原告の主張〕被告は,平成16年2月以降,被告物件を単価27万5000円で少なくとも2万台を販売し,1台当たり13万円,合計26億円の利益を得た。この利益は,本件特許権1ないし3の侵害により原告が被った損害と推定される。
〔被告の主張〕争う。
当裁判所の判断
1 争点1(被告物件が本件発明1の技術的範囲に属するか)について(1) 原告は,被告物件が本件発明1-1,1-3及び1-10の各構成要件を充足すると主張し,被告は,構成要件1G,1H及び1Kについて,その充足性を争っている。
192本件特許1の請求項3及び10は,請求項1の従属項となっており,構成要件1G及び1Hは,本件発明1-1,1-3及び1-10に共通の構成要件である。以下,被告物件の構成要件1Hの充足性について判断する。
(2) 構成要件1Hは,「前記報知情報が,配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知と,その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知とからなることを特徴とする」というものであり,「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」(共通報知)と「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」(その後の報知)とを備えることが必要とされている。
ここにいう報知の意義について,原告は,各報知が単独で入賞態様を絞り込む情報を有している必要はなく,報知全体として入賞態様の絞り込みが行われていれば構成要件1Hを充足すると主張し,これに対して,被告は,入賞態様の予測の絞り込みに寄与し得る情報を全く含まない演出は「報知」に当たらず,配当のない当選役(ハズレ)を含むすべての入賞態様に共通する演出は共通報知に当たらないと主張し争っている。
そこで,以下,構成要件1Hの共通報知の解釈について,本件明細書1の記載を考慮しつつ検討する。
ア 本件発明1に係る特許請求の範囲の記載によれば,構成要件1Gにおいて「前記可変表示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え」と定め,これを受けて構成要件1Hは,構成要件1Gの「入賞態様に対応した報知情報」を共通報知とその後の報知からなるものに限定するものであることは明らかであり,そうすると,2つの異なる報知態様の各組合せが入賞態様に対応していることが必要であると解される。
193そして,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出については,その後の報知と合わせた報知全体として入賞態様の絞り込みが行われたとしても,それはその後の報知が入賞態様に対応していることによる結果にすぎず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出とその後の報知との組合せが入賞態様に対応しているとみることは困難である。
そうすると,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが自然である。
イ この点に関し,本件明細書1及び図面には,以下の記載がある。
【0012】本構成によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で,その入賞態様に対応した報知情報によって遊技者に報知される。従って,遊技者は,遊技の進行に伴い報知される報知態様により,入賞態様を予測できる。すなわち,遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが判明して行き,この判明した入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。
【0063】また,入賞態様報知選択抽選確率テーブルは,上記の入賞態様決定手段で決定された8入賞態様の中の1入賞態様に応じて,遊技開始音の種類,連動表示態様の種類および停止表示態様の種類を組み合わせて得られる8組合せの中から1つの組合せを選択する報知態様選択手段を構成している。また,この報知態様選択手段,音発生手段,連動演出手段および停止演出手段は,スロットマシン遊技の一連の流れを通じて入賞態様を所定確率で遊技者に194報知する報知手段を構成している。
【0064】本実施形態では図18に示すように8種類の各演出態様の組合せが8種類の各入賞態様に割り当てられている。
【0065】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯なし」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅なし」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,機械内部の抽選によって「ハズレ」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0066】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯パターン1」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅A」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,内部抽選によって「再遊技」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0067】組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯パターン2」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅B」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,内部抽選によって「2枚チェリー」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0068】195組合せ?は,遊技開始時に遊技開始音1が鳴り,各リール3〜5の停止最中に「リールランプ消灯パターン3」の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に「リールランプ点滅C」の停止表示態様が現れる組合せである。報知手段によるこの組合せ?の演出により,内部抽選によって「4枚チェリー」当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
【0069】以下同様にして組合せ?〜組合せ?の各演出により,内部抽選によって各当選フラグが立っていることが遊技者に報知される。
同図に示す各演出態様の組合せは次の考えに基づいて作成されている。
【0070】遊技開始音の種類は図19(a)に示す考え方で選択される。
つまり,音1は,一般遊技の際に高い頻度で出音され,「RB」当選フラグや「BB」当選フラグといったボーナスフラグが立って行われるボーナスフラグ成立ゲームの際には低い頻度で出音される。また,音2は,一般遊技の際に低い頻度で出音され,ボーナスフラグ成立ゲームの際に高い頻度で出音される。遊技者は遊技開始音2を聞く聴覚効果により,内部抽選によってボーナスフラグが立った可能性があることを知ることが出来,ボーナスゲームへの期待感は高まる。
【0120】本実施形態では上記のように遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く。つまり,スタートレバー15の操作によって各リール3〜5の回転が開始し,各停止ボタン16〜18の操作によってこの回転が各列毎に順次停止して行き,全てのリー196ル3〜5の回転が停止するのに伴い,当選フラグの種類が遊技者に順次報知されて行く。従って,遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたが徐々に報知されることになり,内部抽選結果を単に報知するのとは異なり,操作を進めれば進めるほど判明して行く入賞態様に起因して遊技者は熱くなる。この結果,スタートレバー15の操作や,各停止ボタン16〜18の操作は面白味を増すようになる。
【0266】【発明の効果】以上説明したように本発明によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れ中で遊技者に報知される。従って,演技の面白味が増し,また,リーチ目の出目を判断できない遊技の初心者であっても,遊技の一連の流れの中でこの報知によってある程度入賞態様の予測をすることが可能となる。また,この報知は所定確率で行われるため,報知があった場合にはその喜びも増し,一層面白味を増すことが出来,また,報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】【図18】第1の実施形態によるスロットマシンの遊技処理において報知手段によって遊技者に報知される演出表示態様の組合せを示す図である。(判決注:下記の図面は,対応する図面を裁判所において挿入した。以下同じ。)197ウ 上記のとおり,本件明細書1及び図面中には,遊技開始時に鳴る2種類の遊技開始音と,その後の各リール停止時における複数のリールランプ消灯パターンの組合せに対応して報知当選フラグが割り当てられ,「遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く」ものが開示されており,共通報知もそれ単独で,入賞態様の絞り込みができるものとなっている。
また,発明の効果について「報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる」とし,これは共通報知により入賞態様について一定の絞り込みがされることを前提とした記載であると解される。
このような本件明細書1及び図面の記載に鑑みても,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,配当のない当選役(ハズレ)を含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが相当である。
(3) 上記の共通報知の解釈を前提に,被告物件が共通報知を備えているといえるかについて,以下,演出態様ごとに検討する。
ア 木箱演出(ア) 前記争いのない事実によれば,木箱演出においては,スタートレバー操作により,撃鉄音(カシャ),打鐘音(ジャン)及び落下音(ヒュー・ドン)が順次鳴り,落下音と同時に液晶画面上において木箱が落下198する動画映像が表示される(以下,このようなスタートレバー操作によって発生する音をまとめて「開始音」という。)。その後,第1ないし第3ストップボタンのいずれかの操作に伴って,銃撃による破壊音(バキューン)が鳴り,それと同時に液晶画面上のキャラクタが木箱を破壊し,木箱からチェリー,バナナ,スイカ,JAC(リプレイ)の各シンボルが表示される。
(イ) 上記開始音(撃鉄音+打鐘音+落下音)が報知する入賞態様は,配当のない当選役(ハズレ),2枚チェリー,4枚チェリー,バナナ,スイカ及びリプレイであることについては当事者間に争いがない。
そうすると,原告が共通報知に該当すると主張する上記開始音は,配当のない当選役も含めたすべての入賞態様に共通して出音されるものであるから,いずれの入賞態様に決定されているかについて絞り込む情報を有しておらず,共通報知に該当すると認めることはできない。
(ウ) 原告は,すべての入賞態様に共通する演出であっても,それにより「すべての入賞態様の可能性が排除されていないという情報」を有するものであるから,上記開始音も共通報知に該当する旨主張する。そして,その後の第1ないし第3ストップボタンのいずれかの操作に伴って木箱が破壊されるか又は破壊されないかによって,配当のない当選役と2枚チェリーについて,これらが内部当選していないこと又は内部当選の可能性があることが分かるから,上記開始音及びその後の液晶画面の表示の全体として入賞態様の絞り込みがされており,構成要件1Hを充足するなどと主張する。
しかしながら,本件発明1は,共通報知とそれと態様が異なるその後の報知が順次されることにより,それらによって入賞態様が順次判明するものであるとされているものであるから,共通報知もそれ自体により入賞態様の絞り込みができるものでなければならないと解すべきことは199前記説示のとおりである。すべての入賞態様の可能性があると認識することは入賞態様の予測とはいえないから,原告の上記主張は,採用することができない。
(エ) 以上のとおり,木箱演出においては,共通報知を具備すると認めることはできない。
イ 鉄箱演出1(ア) 前記争いのない事実によれば,鉄箱演出1においては,スタートレバー操作により,開始音(撃鉄音(カシャ),打鐘音(ジャン),落下音(ヒュー・ドン))が順次鳴り,落下音と同時に液晶画面上において鉄箱が落下する動画映像が表示される。その後,第1ストップボタン操作に伴って,銃撃による破壊音(バキューン)が鳴り,それと同時に液晶画面上のキャラクタが木箱を破壊し,木箱からチェリー,バナナ,スイカ,JAC(リプレイ)の各シンボルが表示される。
(イ) 上記開始音(撃鉄音+打鐘音+落下音)が報知する入賞態様は,配当のない当選役(ハズレ),2枚チェリー,4枚チェリー,バナナ,スイカ及びリプレイであることについては当事者間に争いがない。
そうすると,原告が共通報知に該当すると主張する上記開始音は,配当のない当選役も含めたすべての入賞態様に共通して出音されるものであるから,いずれの入賞態様に決定されているかについて絞り込む情報を有しておらず,共通報知に該当すると認めることはできない。
(ウ) したがって,鉄箱演出1においては,共通報知を具備すると認めることはできない。
ウ 鉄箱演出2(ア) 前記争いのない事実によれば,鉄箱演出2においては,スタートレバー操作により,開始音(撃鉄音(カシャ),気付き音(ピキーン))が鳴り,これと同時に液晶画面上においてキャラクタが何かに気付いた200動画映像が表示される。その後,第1ストップボタン操作に伴って,スライド音(シューン)が鳴り,これと同時に液晶画面上の映像がスライドして鉄箱が出現する。第2ストップボタン操作に伴って,銃撃による破壊音(バキューン)が鳴り,それと同時に同画面上でこの鉄箱をキャラクタが破壊し,鉄箱からチェリー,バナナ,スイカ,JACの各シンボルが表示される。
(イ) 上記開始音(撃鉄音+気付き音)が鳴った場合,すべての遊技状態を前提とすると,配当のない当選役(ハズレ),2枚チェリー,4枚チェリー,バナナ,スイカ及びリプレイが当選する可能性があるものの,ボーナス阻害状態1の遊技状態(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1)に限っては2枚チェリーが当選することはないことは,当事者間に争いがない。
(ウ) 上記のとおり,すべての遊技状態を前提とすると,上記開始音は,配当のない当選役も含めたすべての入賞態様に共通する演出であって入賞態様を絞り込む情報を有しないものであるから,共通報知に該当すると認めることはできない。
原告は,入賞態様が2枚チェリーであって上記開始音が鳴るのはボーナス放出条件が成就したときであるから,この場合の上記開始音は,ボーナス放出条件の成就を報知するものであって2枚チェリーを報知するものではなく,2枚チェリー以外の入賞態様を報知するものであると主張する。
しかしながら,上記開始音が鳴った場合において,2枚チェリーを含むすべての入賞態様が当選する可能性がある以上,上記開始音は,2枚チェリー以外の入賞態様を報知するものと認めることはできない。
(エ) ボーナス阻害状態1の遊技状態に限定した原告の主張についてa 原告は,ボーナス阻害状態1の遊技状態(BB内部当たり中+ボー201ナス阻害状態1,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1)に限れば構成要件1Hを充足するので,被告物件は,本件発明1の技術的範囲に属する旨主張する。
しかしながら,上記開始音により2枚チェリーが除外されることを遊技者が認識するためには,遊技者がボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを認識している必要がある。ところが,被告物件において,ボーナス阻害状態1の遊技状態と一般遊技状態とを識別する方法があるとは認められない。また,BB内部当たり中+ボーナス阻害状態2ないし4又はRB内部当たり中+ボーナス阻害状態2ないし4にあることは遊戯中に液晶画面に表示された入賞態様と異なる入賞態様が当選するといった違和感のある演出により窺い知るほか方法はなく,ボーナス阻害状態1の遊技状態に移行する際にこの違和感のある演出が必ず行われるといった事情も認められないのであって,被告物件において,遊技者がボーナス阻害状態1の遊技状態にあることを認識していることを前提にすることは困難であると言わざるを得ない。
そして,本件発明1が遊技者に入賞態様の予測を可能として遊技の興趣を向上するということをその作用効果としている(本件明細書1【0012】,【0266】参照)以上,遊技者の認識にかかわらずボーナス阻害状態1の遊技状態に限って構成要件1Hの充足性を論ずることはできない。
そうすると,前記のとおり,ボーナス阻害状態1の遊技状態に限定しない場合は,上記開始音(撃鉄音+気付き音)は,それが鳴ったときはすべての入賞態様の可能性があるのであって,入賞態様を絞り込む情報を有しているとはいえないから,共通報知に当たると認めることはできない。
b また,被告物件において,2枚チェリーが当選しないことが遊技者202に知らされたとしても,4枚チェリーの当選の可能性が否定されない以上,引き込み制御との関係でストップボタンの操作に影響を及ぼすものではない。すなわち,争いのない事実(被告物件説明書第2の1)によれば,2枚チェリーは,左リールの中央に「チェリー」の図柄が停止することにより入賞するものであり,左リールの中央から前後一定の範囲内でストップボタンを操作する必要があるのに対し,4枚チェリーは,左リールの下又は上に「チェリー」の図柄が停止することにより入賞するものであるから,左リールの上より一定の範囲内及び左リールの下より一定の範囲内,すなわち2枚チェリーに当選するよりも広い範囲でストップボタンを操作すれば足りるものである(つまり,2枚チェリーに当選するためのストップボタン操作は,4枚チェリーに当選するためのストップボタン操作に完全に包含される関係にある。)。そうすると,仮に,遊技者に2枚チェリーの当選の可能性がないことの情報が与えられたとしても,それによって,遊技者のストップボタンの操作に何ら影響を及ぼすものではない。
そして,本件発明1が「遊技者は,この内部抽選結果を予め把握できないため,リールの回転を最初に停止操作する際,どのような図柄を入賞ライン上に揃えれば良いかを知ることは全く出来なかった」(本件明細書1【0010】)という課題について,遊技者が報知により内部抽選結果を知ることができるため「停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる」(本件明細書1【0014】,【0266】)という効果もあるとされているところ,前記のように2枚チェリーのみが除外されたとしても,ストップボタンの操作に影響を及ぼすものではないから上記効果は生じず,この意味においても,上記開始音が共通報知に当たるということはできない。
(オ) したがって,鉄箱演出2においては,共通報知を具備すると認める203ことはできない。
エ 鉄箱演出3(ア) 前記争いのない事実によれば,鉄箱演出3においては,スタートレバー操作により,開始音(撃鉄音(カシャ),気付き音(ピキーン))が鳴り,これと同時に液晶画面上においてキャラクタが何かに気付いた動画映像が表示される。その後,第2ストップボタン操作に伴って,スライド音(シューン)が鳴り,これと同時に液晶画面上の映像がスライドして鉄箱が出現する。第3ストップボタン操作に伴って,銃撃による破壊音(バキューン)が鳴り,それと同時に同画面上でこの鉄箱をキャラクタが破壊し,鉄箱からチェリー,バナナ,スイカ,JACの各シンボルが表示される。
(イ) 上記開始音(撃鉄音+気付き音)が鳴った場合,配当のない当選役(ハズレ),2枚チェリー,4枚チェリー,バナナ,スイカ及びリプレイが当選する可能性があるものの,ボーナス阻害状態1の遊技状態(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1,RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1)に限っては2枚チェリーが当選することはないことは,当事者間に争いがない。
(ウ) そして,上記開始音が共通報知に当たらないことについては,上記鉄箱演出2において述べたところと同様である。したがって,鉄箱演出3においても,共通報知を具備すると認めることはできない。
オ 消灯演出(ア) 前記争いのない事実によれば,消灯演出においては,スタートレバー操作により,開始音(撃鉄音(カシャ))が鳴る。その後,第1ストップボタン操作により第1リールが消灯する場合と消灯しない場合があり,消灯しない場合はその後の操作による第2及び第3リールの消灯も行われない(この場合は厳密には消灯演出ではないが,開始音が同一で204あるのでここで議論する。)。第1リールが消灯した場合,第2ストップボタン操作により,第2リールが消灯する場合と消灯しない場合があり,消灯しない場合はその後の操作による第3リールの消灯も行われない。第2リールも消灯した場合,第3ストップボタン操作により第3リールが消灯する場合と消灯しない場合がある。
(イ) 上記開始音(撃鉄音(カシャ))が報知する入賞態様は,配当のない当選役(ハズレ),2枚チェリー,4枚チェリー,バナナ,スイカ及びリプレイであることについては当事者間に争いがない。
そうすると,原告が共通報知に該当すると主張する上記開始音は,配当のない当選役も含めたすべての入賞態様に共通して出音されるものであるから,いずれの入賞態様に決定されているかについて絞り込む情報を有しておらず,共通報知に該当すると認めることはできない。
なお,すべての入賞態様に共通する演出であっても,それにより「すべての入賞態様の可能性が排除されていないという情報」を有するものであるから,上記開始音も共通報知に該当する旨の原告の主張に理由がないことは既に述べたとおりである。
(ウ) 原告は,ボーナス阻害状態1の遊技状態に限定した場合は,第1消灯でスイカ,第2消灯で配当のない当選役及びリプレイ,第3消灯で配当のない当選役,バナナ及びリプレイが当選することはないから,これら第1ないし第3消灯により,入賞態様が順次判明していくことは明らかであるとして,構成要件1Hを充足すると主張する。
しかしながら,ボーナス阻害状態1の遊技状態に限って構成要件1Hの充足性を論ずることはできないことは前記のとおりである。
また,前記のとおり,本件発明1は,共通報知とそれとは異なる態様のその後の報知を具備することにより,入賞態様が何であるかを遊技者に順次知らせるものであって,共通報知が入賞態様を絞り込む情報を有205していなければならないと解されるところ,上記消灯演出においては,原告の主張する開始音(撃鉄音(カシャ))は,第1消灯が行われない場合にも鳴るものであり,配当のない当選役を含むすべての入賞態様に共通の開始音であって,共通報知に該当しないものであるから,その後に第1ないし第3消灯により入賞態様が順次判明したとしても,本件発明1の技術的範囲に属するものとはいえない。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
(エ) よって,消灯演出においては,共通報知を具備すると認めることはできない。
カ 点滅演出(ア) 前記争いのない事実によれば,点滅演出においては,スタートレバー操作に伴い開始音(撃鉄音(カシャ),飛行音(ゴー))が鳴る。その後,第3ストップボタン操作に伴い,リールバックランプが放射状に点滅する場合と,そのような演出がない場合(厳密には点滅演出ではないが,開始音が同一であるのでここで議論する。)がある。
(イ) 上記開始音(撃鉄音+飛行音)が鳴ると,スイカが当選することはないことは,当事者間に争いがない。
そうすると,上記開始音は,これが鳴ることにより遊技者はスイカ以外の入賞態様が内部当選していることを知ることができるから,いずれの入賞態様に決定されているかについて絞り込む情報を有しているものということができ,共通報知を備えているものと認めることができる。
キ 以上のとおり,木箱演出,鉄箱演出1ないし3,消灯演出については,いずれもその開始音は,構成要件1Hに定める「配当のある複数の異なる入賞態様に共通して演出される報知態様による報知」(共通報知)に該当するものとは認められないものの,点滅演出については,その開始音が共通報知に該当するものと認めることができる。
206(4) 次に,点滅演出における,第3ストップボタン操作に伴う点滅の有無が「その後の,前記報知態様とは異なる報知態様による報知」(その後の報知)に該当するといえるかについて検討する。
構成要件1Gにおいて「可変表示が停止される1回の遊技の中で・・・報知情報を・・・遊技者に報知する」ものとされているのであるから,同構成要件の「報知情報」の内容を限定している構成要件1Hに規定するその後の報知は,1回の遊技の中で行われ,遊技終了後にされる演出はこれに該当しないものと解するのが相当である。このことは,本件発明1は,「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたかが判明して行き,この判明した入賞態様に起因して遊技者は熱くなる」という効果を生じるものであることからも明らかである。
そして,原告がその後の報知であると主張する第3ストップボタン操作に伴う点滅の有無は,すべてのストップボタン操作が終了し,1回の遊技が終了した以後の演出である。その時点においては既に,停止したリールの表示により入賞態様が明らかとなっているのであって,点滅の有無により,入賞態様を遊技者に知らせる意味を有するものということはできない。
イ また,第3ストップボタン操作に伴いバックランプが点滅するのは,ボーナス放出条件(チェリーが内部当選すること)が成就したときであること,及び,バックランプが点滅する場合は,2枚チェリー又は4枚チェリーが内部当選していても,これらが入賞しないよう制御されることは当事者間に争いがない。
原告は,バックランプの点滅が2枚チェリー,4枚チェリー及び配当のない当選役が内部当選したことを報知するものであると主張するものの,上記争いのない事実及びバックランプ点滅という演出が1回の遊技終了後に行われることからすれば,バックランプ点滅は,ボーナス放出条件が成就したことを遊技者に知らせるものというべきであって,2枚チェリー,2074枚チェリー及び配当のない当選役等の入賞態様を報知するものということはできない。
ウ したがって,被告物件の点滅演出において,その後の報知を備えていると認めることはできない。
(5) 以上のとおり,被告物件の各演出は,いずれも,共通報知を備えないか,又は,共通報知を備えていても,その後の報知を備えないものであるから,被告物件は,構成要件1Hを充足するものと認めることができず,本件発明1の技術的範囲に属するものということはできない。
2 争点2(被告物件が本件発明2の技術的範囲に属するか)について(1) 原告は,被告物件が本件発明2の各構成要件を充足すると主張し,被告は,構成要件2E-1及び2E-3について,その充足性を争っている。そこで,まず,構成要件2E-1の充足性について判断する。
(2) 原告は,構成要件2E-1の「遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブル」との要件について,遊技状態及び当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択するという1つの機能を果たしていれば,物理的に複数のテーブルであっても,これらを論理的に結合して表現することができ(図面8’),これがデモ抽選テーブル選択テーブルに該当するから,同要件を充足すると主張し,被告は,そのように物理的に複数のテーブルを論理的に結合したものは1個のテーブルではなく「デモ抽選テーブル選択テーブル」には当たらないと反論する。
そこで,本件発明2における「テーブル」の意義について検討する。
ア 本件明細書2及び図面には,以下の記載がある。
【0088】第2の実施形態によるスロットマシンでは,報知選択抽選処理は,報知選択確率抽選テーブル(図11参照)が参照されて報知208する入賞態様が選択され,この入賞態様に応じた報知情報が選択されて予兆報知が行われた。しかし,この第3の実施形態によるスロットマシンの報知選択抽選処理は,後述するように,デモ抽選テーブル選択テーブルが参照され,遊技状態および入賞態様に応じてデモ抽選テーブルが選択される。さらに,選択されたデモ抽選テーブルが参照され,抽選乱数に応じて報知情報が選択されて予兆報知が行われる。
【0090】以下にこの第3の実施形態によるスロットマシンについて詳述する。
【0091】本実施形態によるスロットマシンでは,図15に示すデモ抽選テーブル選択テーブルおよび図16〜図18に示すデモ抽選テーブルがROM32に記憶されている。デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて報知手段が点灯制御するリールバックランプ消灯パターンの種類を選択する報知態様選択手段を構成している。
【0092】デモ抽選テーブル選択テーブルは,遊技状態および当選フラグからNo.0〜No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図19(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。
このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0〜4には遊技状態が記憶されており,データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示209されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および「BB内部当たり中」の5種類がある。
【0093】当選フラグは図19(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00〜07の1バイトデータにより,その時の当選フラグが示されている。
【0094】例えば,GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ,FLGCTRのデータが02Hであれば,遊技状態は一般遊技中で当選フラグは4枚チェリーになる。従って,その時のデモ抽選テーブルは,デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.2のデモ抽選テーブルになる。このNo.2のデモ抽選テーブルは図16に示され,同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により,リールランプ消灯パターンの種類が選択される。例えば,No.2のデモ抽選テーブルで抽選値49の欄の組合せが選択されると,リールランプ消灯パターンはパターン2になる。
【0095】また,遊技状態ステータスが一般遊技中でフラグカウンタが4枚チェリーの上記の場合において,No.2のデモ抽選テーブルで最下欄の抽選値30の欄の組合せが選択されると,リールランプ消灯パターンはパターン3になる。また,GMLVSTSのビット2のデータが1にセットされ,FLGCTRのデータが04210Hであれば,遊技状態は一般遊技中で当選フラグはスイカになる。
この時のデモ抽選テーブルは,デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.4のデモ抽選テーブルになる。
【0106】まず,RAM33に格納されたGMLVSTS領域(図19(a)参照)が参照され,その時の遊技状態が把握される(図21,ステップ201)。次に,FLGCTR領域に格納されたデータが参照され,当選フラグの種類が把握される(ステップ202)。次に,その時の遊技状態および当選したフラグの種類から,デモ抽選テーブル選択テーブル(図15参照)を参照してNo.0〜No.17のうちのいずれか1つのデモ抽選テーブルが選択される(ステップ203)。次に,RAM33を一定時間間隔でリフレッシュするためのカウンタから任意のタイミングでカウント値Cが抽出される(ステップ204)。
【0107】このカウント値Cは0〜127の範囲で変化しており,抽出されたこのカウント値Cを用いて報知態様選択のための乱数抽選が行われる。つまり,このカウント値Cから,ステップ203で選択されたデモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値Rが減算され,減算結果A(=C-R)の正負が判断される(ステップ205)。
減算結果Aが負にならない場合には,次にテーブルの次段の抽選値が抽選値Rにセットされ(ステップ206),その後A-Rの減算が行われてその結果A(=A-R)の正負が判断される(ステップ207)。この演算は減算結果Aが負になるまで行われ,負になった場合にはその抽選値Rの欄のリールランプ消灯パターンが予兆報知される演出態様に選択される(ステップ208)。
211【0108】例えば,一般遊技中に4枚チェリーフラグが当選した場合には上述したようにNo.2のデモ抽選テーブルが選択されるが,この際の表示態様の選択抽選処理は次のように行われる。まず,ステップ204でリフレッシュ・カウンタ値Cとして15が抽出されたとすると,ステップ205のC-Rの減算は,抽選値Rに最上段の抽選値3がまずセットされ,減算結果A=15-3=12になる。この減算結果Aは正であるため,次にテーブルの次段の抽選値10が抽選値Rにセットされ,減算結果A=12-10=2の正負が判断される。この減算結果Aも正であるため,次にテーブルの次段の抽選値5が抽選値Rにセットされ,減算結果A=2-5=-3の正負が判断される。この減算結果Aは負であるため,抽選値5の欄のリールランプ消灯パターン1が予兆報知態様に選択される。
【図面の簡単な説明】【図6】本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる入賞確率テーブルを示す図である。
【図7】本発明の第1,第2,第3の各実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるシンボルテーブルを示す図である。
212【図15】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるデモ抽選テーブル選択テーブルを示す図である。
【図16】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用213いられる第1のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図17】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第2のデモ抽選テーブルを示す図である。
214【図18】本発明の第3の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第3のデモ抽選テーブルを示す図である。
【図21】本発明の第3の実施形態における報知選択抽選処理の内容を示すフローチャートである。
215イ 証拠(甲4,5,6)によれば,本件発明2の訂正の経緯は以下のとおりであることが認められる。
(ア) 本件発明2に係る特許請求の範囲の記載は,その登録時,以下のとおりであった。
【請求項1】配当が異なる複数の入賞態様について乱数抽選を行い入賞態様に対応した当選フラグを成立させる入賞態様決定手段と,前記当選フラグが成立したことを遊技者に報知する報知手段とを備えた遊技機において,前記入賞態様決定手段は,前記当選フラグが成立したその遊技において完結し次回の遊技に前記当選フラグが持ち越されない小当たり入賞態様と,前記当選フラグの成立後前記当選フラグに対応した入賞態様が発生するまで前記当選フラグが次回の遊技に持ち越されるボーナス入賞態様とを有し,このボーナス入賞態様の内部当選中であっても前記小当たり入賞態様の抽選を行い,前記報知手段は,前記当選フラグおよび遊技状態を参照して選択した報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に報知することを特徴とする遊技機。
すなわち,構成要件2Eに当たる部分は,「前記報知手段は,前記当選フラグおよび遊技状態を参照して選択した報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に報知することを特徴とする」とされ,報知態様の選択方法は,当選フラグ及び遊技状態を参照さえしていればよいとの構成をとっており,当選フラグ及び遊技状態の参照の方法,態様については,特許請求の範囲において何ら限定がされていなかった。
(イ) 平成14年5月,本件発明2について特許異議申立てがあり,その216手続において,原告は,以下の内容を含む訂正請求を行い,平成15年10月16日,訂正を認め,本件特許2を維持するとの決定がされた。
訂正事項a特許請求の範囲の請求項1において,「前記報知手段は,前記当選フラグおよび遊技状態を参照して選択した報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを遊技者に報知する」とあるのを,「前記報知手段は,遊技状態および前記当選フラグの各組み合わせ毎にデモ抽選テーブルの種類が割り当てられたデモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,その時の遊戯状態および前記入賞態様決定手段によってその時に成立している前記当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択し,選択したデモ抽選テーブルに各報知態様毎に記憶された各抽選値を参照し,参照した抽選値と抽出した乱数値とを演算して,この演算結果が所定の結果になる前記抽選値に割り当てられた報知態様で,前記小当たり入賞態様に対応した当選フラグが成立したことを所定確率で遊技者に対して報知する」と訂正する。
ウ 本件発明2の特許請求の範囲の記載について見ると,構成要件2Eは,報知態様を決定するために,?デモ抽選テーブル選択テーブルを参照して,遊技状態と当選フラグからデモ抽選テーブルを選択する処理(構成要件2E-1),?デモ抽選テーブルの抽選値を参照して,乱数値から報知態様を決定する処理(構成要件2E-2)という,2つの処理過程から成っているものと解することができる。このように,本件発明2においては,遊技状態,当選フラグ及び乱数値という3つの変数を用いて報知態様を決定するという1つの機能を果たすために,情報処理の過程を2つに分け,それぞれ「デモ抽選テーブル選択テーブル」と「デモ抽選テーブル」という217別個のテーブルを用いて,デモ抽選テーブルの選択処理及び報知態様の抽選処理という2段階の処理過程を経て報知態様を決定するものとされている。
また,前記認定に係る本件明細書2及び図面においても,本件発明2の実施例と認められる「第3の実施形態」(【0090】以降参照)につき,遊技状態及び当選フラグの2つの組合せごとにテーブル番号が割り当てられた表(【図15】。デモ抽選テーブル選択テーブル)を参照して選択された表(【図16】,【図17】及び【図18】。デモ抽選テーブル)に記憶された抽選値を参照して,乱数値を演算して報知態様を決定するという2段階の処理過程を有する構成が開示されており,これらの計算処理は,遊技状態,当選フラグ及び乱数値から,報知態様を決定するという1つの機能を果たすものといえる。なお,本件明細書2及び図面に記載のその他のテーブルも,2つの変数から1つの値を導く表しか開示されていない(入賞確率テーブル【図6】,シンボルテーブル【図7】,入賞態様報知選択抽選確率テーブル【図11】参照)。
さらに,前記のとおり,本件発明2は,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するとされていたものを,現在の特許請求の範囲のとおり訂正されたのであって,この訂正は,遊技状態及び当選フラグを参照する方法について,これらの変数からなるデモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択し,抽選値と乱数値を演算する方法に限定することで,特許請求の範囲減縮するものである。すなわち,構成要件2Eは,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するという機能を果たすために,その計算処理過程を具体的に規定するものということができる。
論理的には,遊技状態及び当選フラグの組合せごとにテーブル番号が割り当てられた表(デモ抽選テーブル選択テーブル)と,抽選値に報知態様218が割り当てられた表(デモ抽選テーブル)とを1つの表に統合することは可能であり,かつ,これらのテーブルは,遊技状態,当選フラグ及び乱数という3つの変数によって報知態様を決定するという1つの機能を果たしていると見ることが可能なものである。そうであるにもかかわらず本件発明2において,デモ抽選テーブル選択テーブルとデモ抽選テーブルを別個のテーブルと位置付けていることに照らすと,本件発明2における「テーブル」は,論理的又は機能的に見て該当性を判断するのではなく,複数の変数から1つの値を抽出するための表を指し,あるアドレスの範囲において複数の変数から1個の値が抽出され,その抽出された値と他の変数を用いて別のアドレスの範囲において別の値が抽出される場合は,それぞれが別個のテーブルであるというべきである。
以上のような解釈を前提とすると,原告が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に当たると主張する被告物件の2つのアドレス範囲(アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH及びアドレス0EC3180Hないし0EC3C73H)は,これを一体として本件発明2における「テーブル」に当たるとは評価することができず,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできない。
エ また,2つのアドレス範囲を一体として「テーブル」と評価することができないことを措いたとしても,以下のとおり,被告物件は,構成要件2E-1を充足するものとは認められない。
すなわち,原告が作成した図面8’は,2つのアドレス範囲を統合して表にしたものであり,これを見ると,サブCPU用遊技状態とサブCPU用当選フラグが変数とされており,かつ,その組合せに対して当選グループ番号が割り当てられ,さらにその当選グループ番号とサブCPU演出状態の変数の組合せに対して,デモ抽選テーブル番号が割り当てられているものの,サブCPU用当選フラグの数値(1(2枚チェリー),2(4枚219チェリー),3(バナナ),4(スイカ)及び5(リプレイ))と停止制御番号(0から2)が定まれば,サブCPU用遊技状態(00H(一般遊技中),01H(BB内部当たり中),02H(RB内部当たり中),03H(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態1),04H(RB内部当たり中+ボーナス阻害状態1),07H(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態2),08H(RB内部当たり中+ボーナス阻害状態2),09H(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態3),0AH(RB内部当たり中+ボーナス阻害状態3),0BH(BB内部当たり中+ボーナス阻害状態4),0CH(RB内部当たり中+ボーナス阻害状態4))がいずれの状態であろうと,当選グループ番号には影響がない。そうすると,図面8’において,遊技状態(サブCPU用遊技状態)は,デモ抽選テーブル番号の選択に影響を及ぼしていないのであるから,構成要件2E-1「その時の遊戯状態・・・に応じてデモ抽選テーブルを選択し」とする要件を満たさないものと言わざるを得ない。
これに対し,原告は,構成要件2E-1はデモ抽選テーブル選択テーブルに遊技状態及び当選フラグの組合せごとにデモ抽選テーブルの種類が割り当てられていること(割当要件)と遊技状態及び当選フラグに応じてデモ抽選テーブルを選択すること(選択要件)とに分けた上で,停止制御番号(0から2)は遊技状態と当選フラグに応じて選択されているのであるから,停止制御番号に着目するならば,被告物件はデモ抽選テーブルを遊技状態及び当選フラグに応じて選択しており選択要件を満たす旨主張する。
しかしながら,本件明細書2の記載及び図面中には,遊技状態及び当選フラグの組合せごとにデモ抽選テーブルが割り当てられているデモ抽選テーブル選択テーブルを参照することにより,その割り当てられた遊技状態及び当選フラグの組合せに対応するデモ抽選テーブル番号によって,デモ抽選テーブルの選択が行われる構成が開示されているにとどまり,デモ抽220選テーブルを選択する際の遊技状態を,デモ抽選テーブル選択テーブルに割り当てられた遊技状態とは別個のものとする構成を示唆する記載は見当たらず,このような構成が自明であると認めるに足りる証拠もない。このような本件明細書2の記載内容等に照らすと,デモ抽選テーブル選択テーブルに割り当てられた遊技状態及び当選フラグの各組合せに対応するデモ抽選テーブルの選択が,上記割り当てられた遊技状態に依存していない場合までも,本件発明2の技術的範囲に含まれると解することはできない。
割当要件における遊技状態と選択要件における遊技状態とを分断して充足性を判断するという原告の上記主張は採用することができない。
そうすると,デモ抽選テーブル選択テーブルであると原告が主張する2つのアドレス範囲を統合した図面8’を参照することによって選択されるデモ抽選テーブル番号は,遊技状態に応じて選択されているということはできないから,原告の上記主張は採用することができない。
(3) 以上のとおり,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,被告物件は,本件発明2の技術的範囲に属するものということはできない。
3 争点3(被告物件が本件発明3の技術的範囲に属するか)について(1) 原告は,被告物件が本件発明3の各構成要件を充足すると主張し,被告は,構成要件3G,3H,3I及び3Jについて,その充足性を争っている。
以下,構成要件3Gの充足性について判断する。
(2) 被告は,被告物件においては,BB作動中及びRB作動中は,デモ抽選テーブルを参照せず演出が一義的に定められており,発光態様選択テーブルによって発光態様を選択していないとして,同構成要件に該当しない旨主張している。証拠(乙19及び20)によれば,被告物件において,BB作動中又はRB作動中は,デモ抽選テーブルの選択を行うことなく,演出が決定221されていることが認められ,これに反する証拠はない(この点について,原告は特に争っていない。)。そこで,構成要件3Gが,特定の遊技状態において常に選択される特定の発光態様が発光態様選択テーブルを参照して選択されることを必要とするものと解釈されるべきか否かについて,検討する。
構成要件3Gは,「前記報知手段は,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様の中から抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」を備えることを要求し,また,構成要件3Iには「前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で前記光源を発光制御する発光制御手段」とされており,このような文言からすれば,特定の遊技状態において常に選択される特定の発光態様についても,発光態様選択テーブルを参照して選択される必要があるものと解するのが自然である。
イ 本件明細書3及び図面には以下の記載がある。
【0128】本実施形態においても,ランプ駆動回路48,バックランプ57a〜57cおよびマイコン30は,各停止ボタン16〜18の操作によって各リール3〜5の回転表示が停止されるのに連動し,各リール3〜5の表示を順次演出して入賞態様を所定確率で遊技者に報知する報知手段を構成している。この報知手段によって演出される表示態様には8種類ある。
【0129】前述した図14および図17〜図23は,報知手段が演出するこの8種類の表示態様と同じ表示態様を示している。図23に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン1」の表示態様で222あり,図22に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン2」,図21に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン3」,図20に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン4」,図19に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン5」,図18に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン6」,図17に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン7」,図14に示される表示態様は「リールランプ消灯パターン8」の表示態様である。
【0143】また,デモ抽選テーブル選択テーブルおよびデモ抽選テーブルは,上記の入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じて報知手段が点灯制御するリールバックランプ消灯パターンの種類を選択する報知態様選択手段を構成している。この報知態様選択手段による報知態様の選択抽選処理も,図13(k)に示す入賞態様確率抽選タイミングに続くタイミングで行われる。
【0144】図37に示すデモ抽選テーブル選択テーブルは,遊技状態および当選フラグから図38〜図40に示すNo.0〜No.17のデモ抽選テーブルを選択するためのものである。遊技状態は図41(a)に示す遊技状態ステータス(GMLVSTS)格納領域を参照することによって判明する。このGMLVSTS格納領域はRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。ビット0〜4には遊技状態が記憶されており,データが1にセットされてオンになっている遊技状態がその時の遊技状態である。遊技状態の種類にはGMLVSTSに示されるように「RB作動中」,「BB作動中」,「一般遊技中」,「RB内部当たり中」および223「BB内部当たり中」の5種類がある。
【0145】当選フラグは図41(b)に示すフラグカウンタ(FLGCTR)格納領域を参照することによって判明する。このFLGCTR格納領域もRAM33中に1バイトのデータとして記憶されている。16進数の00〜07の1バイトデータにより,その時の当選フラグが示されている。
【0146】例えば,GMLVSTSのビット2のデータが1(04H)にセットされ,FLGCTRのデータが07Hであれば,遊技状態は一般遊技中で当選フラグはBBになる。従って,その時のデモ抽選テーブルは,デモ抽選テーブル選択テーブルからNo.7のデモ抽選テーブルになる。このNo.7のデモ抽選テーブルは図39に示され,同テーブルに示される抽選値を使った後述する抽選により,リールランプ消灯パターンの種類が選択される。例えば,No.7のデモ抽選テーブルで抽選値18の欄の組合せが選択されると,リールランプ消灯パターンはパターン5になる。
【図面の簡単な説明】【図37】第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられるデモ抽選テーブル選択テーブルを示す図である。
224【図40】第2の実施形態によるスロットマシンの遊技処理に用いられる第3のデモ抽選テーブルを示す図である。
225ウ 証拠(甲7,8,9)によれば,本件発明3の訂正の経緯は以下のとおりであることが認められる。
(ア) 本件発明3に係る特許請求の範囲の記載は,その登録時,以下のとおりであった。
【請求項1】種々の図柄を可変表示する可変表示装置と,前記図柄を照明する光源と,乱数抽選によって複数の遊技の入賞態様の中から1つの入賞態様を決定する入賞態様決定手段と,前記可変表示装置の可変表示を停止させる停止手段と,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた報知情報を報知する報知手段とを備えて構成される遊技機において,前記報知情報は,前記各入賞態様に対してその成立を表す報知情報が複数存在し,前記報知手段は,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様の中から抽出乱数値によって発光態様を選択する発光態様選択テーブルと,予め定められた複数種類の効果音の中から前記光源の発光態226様に応じた効果音を選択する音選択テーブルと,前記抽出乱数値および前記発光態様選択テーブルを参照して選択された発光態様で前記光源を発光制御する発光制御手段と,前記音選択テーブルを参照して選択された効果音を出音する音発生手段とを備え,前記停止手段の操作検出時に行われる前記発光制御手段による発光制御および前記音発生手段による出音によって前記報知情報を報知することを特徴とする遊技機。
(イ) 平成15年12月,本件発明3について特許異議申立てがあり,その手続において,原告は,以下の内容を含む訂正請求を行い,平成17年3月31日,訂正を認め,本件特許3を維持するとの決定がされた。
訂正事項a特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の「前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様の中から抽出乱数値によって発光態様を選択する発光態様選択テーブル」の記載を,「前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様およびその時の遊技状態に応じて,予め定められた複数種類の発光態様の中から抽出乱数値によって発光態様を選択し,その時の遊技状態が特定の遊技状態である場合には,前記入賞態様決定手段によって決定された入賞態様にかかわらず常に特定の発光態様を選択する発光態様選択テーブル」と訂正する。
エ 上記本件明細書3の記載及び図面を見ると,図37の表において,遊技状態がRB作動中又はBB作動中である場合は,当選フラグのいかんにかかわらずテーブル番号17が割り当てられ,また,図40の表において,17番のテーブルはすべての抽選値にリールランプ消灯パターン1が割り当てられており,これらの表を参照することにより,遊技状態が特定の遊227技状態(RB作動中又はBB作動中)である場合には入賞態様にかかわらず常に(乱数値にかかわらず)特定の発光態様が選択されるという構成が開示されている。他方,本件明細書3には,特定の遊技状態である場合に,常に特定の発光態様を選択する方法として,テーブルを用いないで行う方法は開示されていない。
そして,上記訂正は,これらの図及び上記の本件明細書3の各記載を根拠にされたものであることに鑑みても,特定の遊技状態である場合に特定の発光態様を選択する方法に,上記のように表を参照して選択を行う方法以外の方法も含まれると解釈することは困難である。
オ 以上のことからすれば,構成要件3Gは,特定の遊技状態において常に選択される特定の発光態様についても,発光態様選択テーブルを参照して選択されることを要求するものと解するのが相当である。
(3) そうすると,被告物件において,BB作動中又はRB作動中といった遊技状態において選択される発光態様が発光態様選択テーブルを参照して選択されるものであると認めることはできないことは前記認定のとおりであるから,被告物件は,構成要件3Gを充足するものと認めることはできず,被告物件は,本件発明3の技術的範囲に属するものということはできない。
4結論よって,被告物件は,本件発明1ないし3のいずれについても,その技術的範囲に属するものと認めることはできないから,その余の点を判断するまでもなく,原告の本訴請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
追加
228裁判官柵木澄子裁判官舟橋伸行229(別紙)当事者目録東京都江東区<以下略>原告株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号アルゼ株式会社)同訴訟代理人弁護士田中康久同中込秀樹同岩渕正紀同岩渕正樹同松永暁太同長沢幸男同長沢美智子同大西剛同今井博紀同津山齊同土居範行同菊地将人同訴訟復代理人弁護士池上慶同補佐人弁理士豊岡静男同正林真之同八木澤史彦同小野寺隆230同佐藤玲太郎同佐藤武史同清水俊介同進藤利哉同小椋崇吉大阪府吹田市<以下略>被告株式会社SNKプレイモア同訴訟代理人弁護士小松陽一郎同福田あやこ同井崎康孝同辻村和彦同井口喜久治同井端さとみ同森本純同訴訟復代理人弁護士中村理紗同山崎道雄同宇田浩康同辻淳子同訴訟代理人弁理士辰巳忠宏同中尾真一231(別紙)被告物件説明書被告物件は,下記の構成を有し作動する。
第1.図面の説明図面1被告物件の正面図図面2被告物件のリール帯図面3配当表図面4基本構成ブロック図図面5入賞確率テーブル及び終了抽選番号選択テーブル図面6-1〜6-3メイン遊技フローチャート(サブルーチンを含む)図面7’サブ演出フローチャート図面9’デモ抽選テーブル図面10’報知情報パターン表図面11’リール停止音選択テーブル図面12’BB及びRB中点消灯及び停止音パターン表第2.被告物件の構成1.概要被告物件は風営法2条1項7号に規定される営業(7号営業)に供される遊技機であって,遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則(昭和60年2月12日国家公安委員会規則第4号)上は回胴式遊技機と称され,一般にスロットマシンあるいはパチスロ機(パチンコ台のシマに収まる形状のスロットマシン)と称されるものである。
232後記4.に記載するとおり,スロットマシンは,遊技開始のためのスタートレバーの始動動作を行う際に乱数を取得し,この乱数があらかじめROMに格納された入賞役別確率テーブルの各役に対応する数値領域のいずれに該当するかによって,当該遊技における当選役があらかじめ決定され,リール(可変表示)の回転停止を司る停止制御装置により,各リール毎に設けられたストップスイッチを遊技者が操作したときの入賞ライン上の図柄から最大4コマ以内の範囲内に当選役に対応する図柄が存在するとき,その図柄を入賞ライン上に引き込む制御(停止制御による引込のアシスト)が行われる。
遊技媒体(メダル)を多く取得できる当選役(利益状態)は「BB」(ビッグ・ボーナス・ゲーム)及び「RB」(レギュラー・ボーナス・ゲーム)であるが,スロットマシンには,この利益状態を当該ゲームで直ちに実現することなくストックし所定の条件が成立するまではボーナスの実現が阻害されるストック機と称されるカテゴリーがあり(本訴訟提起日現在の国家公安委員会規則の運用上は禁止されており新規に認定されない),被告物件はこのカテゴリーに属するスロットマシンである。
(なお,ストック機は,国家公安委員会規則の運用上平成13年ころから認められるようになったスロットマシンであるため,本件特許1ないし3の優先日当時は概念として存在せず,ゆえに「ストック中(ボーナス阻害状態)」といった遊技状態について本件特許1ないし3の明細書には記載がない。)2.構造?キャビネット1の正面には,各々上,中,下の3つの位置に全7種,21並びの図柄を可変表示及び停止させる矩形状の表示窓2を設けるとともに,該表示窓2中においては,中段M,上段U,下段B,右下がりD,右上がりPの合計5本が入賞ラインとなる。
?表示窓の裏側には,1リール当たり21並び(7種)の図柄が描かれこれらの図柄を3列に可変表示する3本のリール3L,3C,3Rが回動可能に軸支さ233れている。
これらのリール及び図柄は,リールの裏側に配置された光源(LED)によって照明可能となっている。
?キャビネット1の正面中央部には,向かって左側から,ゲーム開始用のスタートレバー4,各リール3L,3C,3Rの回転を停止させるためのストップボタンスイッチ5L,5C,5R及びメダル投入口6が設けられている。
?表示窓2の上側には,ゲームの進行に応じて種々のカラーアニメーション映像を映し出す液晶表示部7が設けられている。
?図面4に図示する被告物件の基本構成ブロック図のとおり,キャビネット1の内部には,メインCPU,クロックパルス発生回路,乱数サンプリング回路,7種類(絵柄の組合せとしては8種類)の入賞役ごとにそれぞれ所定数値領域をもって区分された入賞確率テーブル(図面5に示す)等を有するROM,当選フラグ等がセットされるRAM,スタート操作を検出するスタートスイッチ,演出を司るサブCPU,リールバックランプの点消灯を駆動するランプ駆動回路,液晶表示部の表示を駆動する表示駆動回路,サブCPUあるいは液晶表示部を信号源とする複数の音声信号を合成する回路を含むとともにスピーカによる音演出を制御するスピーカ駆動回路,ステッピングモータによるリールの回転/停止を制御するモータ駆動/停止回路,ストップスイッチによるリールの停止操作を検出する,リール停止信号回路を含む制御機構が内蔵されている。
3.入賞態様?メダルの投入遊技者がメダルを投入口6に投入する。被告物件は3枚がけ専用機であり,メダル3枚投入によって中段M,上段U,下段B,右下がりD及び右上がりPの5本の入賞ラインが有効化される。
?入賞役の種類(図面3参照)234i)ビッグボーナス(BB)役(「7」三つ揃い,「タンク」三つ揃い)メダル15枚払出+ビッグボーナスビッグボーナスでは,ボーナススタート確率(RBへの突入確率)等が高められた最大30回の一般遊技中に,JAC図柄(リプレイ)の三つ揃いで始まるレギュラーボーナス(RB)を最大3セット行うことができ,約400枚のメダルが獲得できる。
ii)レギュラーボーナス(RB)役(「BAR」三つ揃い)メダル15枚払出+レギュラーボーナスレギュラーボーナスでは,最大12回の1枚賭けジャックゲームの間に,JAC図柄(リプレイ)の三つ揃い等による15枚払出を最大8回まで受けることが出来,約120枚のメダルを獲得できる。
iii)9枚役(「バナナ」三つ揃い)メダル9枚払出iv)6枚役(「スイカ」三つ揃い)メダル6枚/ビッグボーナス中は12枚払出v)2枚役(左中リールに「チェリー」)メダル2枚払出vi)4枚役[上下(左上若しくは左下)に「チェリー」]メダル4枚払出vii)リプレイ(「JAC」三つ揃い)再遊技/ビッグボーナス中は3枚払出+レギュラーボーナススタート/レギュラーボーナス中は15枚払出viii)チェリー+JAC+JACレギュラーボーナス中15枚払出?前記?の入賞態様のうちi)及びii)は,遊技状態が後記5.?イの「非ボーナス阻害状態」(図柄をそろえることが可能な状態)であってもストップスイッチを遊技者が操作したときの入賞ライン上の図柄から最大4コマ以内235の範囲内にこれらの役に対応する図柄が存在しないときにはボーナス入賞を得られないが,次回のゲームにその利益(ボーナス当選フラグ)が持ち越される。
これに対し,他の入賞は,その当選フラグが成立したゲームで消化され次回のゲームに持ち越されない。
4.基本動作?被告物件は,一般遊技(ストックなし)およびボーナス阻害状態下では,7種類(図柄の組合せは8種類)の入賞役ごとにそれぞれ所定の数値領域をもって区分された入賞確率テーブル(図面5に示す)を有し,ゲーム開始時(遊技者によるスタートレバー始動操作時)に,「0〜65535」(2バイト)の範囲からサンプリングされた乱数が前記確率テーブルのいずれかの入賞役の数値領域に属したとき,その属した入賞役をそのゲームにおける内部当選役とし,当該当選役に対応する当選フラグを成立させる。
BB作動中用確率テーブルにおいては「4枚チェリー」,「バナナ」三つ揃い,「スイカ」三つ揃い,「RB」の4種の入賞態様に係る数値領域が,RB作動中用確率テーブルにおいては「JAC」三つ揃いに係る数値領域が設定されている。
以上により被告物件の当選役決定手段が構築されている。
?リールによる図柄の可変表示は,遊技者のスタートレバーの始動操作によって開始される。
リールの図柄表示は,遊技者のストップスイッチの操作によって停止する。
?上記ストップスイッチの操作タイミングに応じて,前記リールによる図柄の可変表示を三つの列毎に停止させるようになっている。しかし,前記当選フラグが成立していても,前記停止ボタンが前記当選フラグに対応した図柄を有効化された5本の入賞ライン上に停止できる所定タイミング,すなわち,ストップスイッチボタンが操作されたタイミングにおける入賞ライン上の図236柄から最大4コマ以内の範囲内に当選フラグに対応した図柄が存在するタイミングで操作されない場合には,前記有効化された入賞ライン上に入賞役となる図柄の組合せを停止表示させない。
ストップスイッチボタンが操作されたタイミングにおける入賞ライン上の図柄から上流側最大4コマ以内に入賞役となる図柄が存在するタイミングで操作された場合には,原則として,入賞ライン上に入賞役となる図柄の組合せを停止表示させるようにリールの回転停止を制御する回転停止制御手段を有する。
ただし,後記5.?イのボーナス阻害状態のもとでは,上記タイミングでストップスイッチボタンを操作してもボーナス図柄の組合せはそろわない。
5.制御?メイン遊技動作メイン遊技に関するメインフローチャートは,図面6-1ないし6-3に記載のとおりである。
ア被告物件の動作制御を司る基板は,メイン遊技及びこれに関連するプログラムを格納するROM,当該プログラムを実行するCPU等を搭載したメイン基板,音・光・液晶画面の映像,及びこれらの組合せによってゲームの進行に応じて種々の演出を行うプログラムを格納するROM,当該プログラムを実行するCPUを搭載した演出用サブ基板,その他液晶部を制御する基板から構成されている。
イ被告物件の遊技状態には,大別して,一般遊技中(ストックなし),ボーナス内部当たり中(ボーナス阻害状態及び非ボーナス阻害状態),ボーナス作動中,が存在する。
遊技状態の決定につき概略説明する。
i)阻害状態,内部当たり状態図面6-1の「遊技メイン処理」の「ボーナスストックチェック処理」237(ROMアドレス0F1DH)のサブルーチン(図面6-3)において「ボーナス阻害遊技数を抽選により選択し,格納」処理(ROMアドレス0FA7H)で,ボーナス阻害遊技数(原則としてその回数分遊技を消化しなければボーナスをそろえることができる状態に至らない遊技数。俗称「天井」)決定処理の次処理において,「ボーナス阻害状態1」が決定され格納される。
次ゲーム以降では,遊技メイン処理の「ボーナス入賞処理(0A6CH)」ルーチンに引き続く「ボーナス阻害遊技数およびボーナス阻害状態」の処理中で「ボーナス阻害状態2」ないし同「4」あるいは非ボーナス阻害状態(BB内部当たり中,RB内部当たり中)へと移行されることがある。
ii)ボーナス作動状態非ボーナス阻害状態となった結果,遊技メイン処理でボーナス図柄がそろったことを契機に(「入賞検索処理」中で実行),BB又はRB作動状態へと移行する。
ウ遊技メイン処理フローチャートの「確率抽選処理」(ROMアドレス0DB2H)の次々処理である「停止制御番号選択テーブルに基づいて,停止制御番号を選択」(ROMアドレス03F1H)の処理で,当選フラグに該当する図柄を有効ライン上に停止させるための停止テーブル(この段階では複数テーブルよりなるテーブル群)の選択処理がされる。
その後,「全てのリールの回転の開始」処理,「ストップスイッチがオンになったか?」の識別子(ROMアドレス0420H)で「YES」の場合に,順次停止テーブルが絞り込まれ,最終的に使用される停止テーブルが選択決定される。
エ遊技メインフローチャートの上記「停止制御番号を選択」処理の次処理である「サブCPUへ情報送信」処理,「ストップスイッチがオンになったか?」の識別子でYESの場合に分岐する「リールの回転の停止制御を行い,238サブCPUへ情報送信」処理に基づき,メイン基板において決定されている遊技状態及び当選フラグに係る情報が,光・音・映像等の演出を司るサブ基板側に送信される。
オ上記の「情報送信処理」によって,サブ側においてROMアドレス0EC44DDHを端緒とする,図面7’の「サブ演出フローチャート」が実行される。
?演出動作ア演出動作は,上記図面7'「サブ演出フローチャート」に従って,メイン側から発せられるスタートスイッチの信号,ストップスイッチの信号を受信しながら実行される。
図面9’に示す「デモ抽選テーブル」には,最終的に当該ゲームにおいて演出される上記演出パターンに対応した報知情報A(領域「02H」)及び報知情報B(領域「06H」)の報知情報のユニットが所定の抽選値と共に割り当てられている。
サブ側フローチャートにおいては,0EC44DH以降の処理において,「0〜65535」(2バイト)の範囲内で取得された報知態様選択のための抽選用乱数値が抽選用数値としてセットされ,上記デモ抽選テーブルにおける最上段の抽選値から上記抽選用数値が減算(演算)され,減算結果の正負を判断する識別子が「YES」の場合(負数となった場合)に,当該抽選値に割り当てられた報知情報[報知情報A(領域02H)及び報知情報B(領域06H)]をRAMに登録し,該報知情報に対応する演出パターンによって,当選フラグの成立を遊技者に報知する演出が実行される。
イ遊技開始時,停止操作時における遊技状態及び当選フラグとこれに対応する音との関係の具体例は,図面10’に記載のとおりである。
その結果,上記?エの「サブCPUへ情報送信」処理中で発せられるリールの回転開始情報,停止情報,前回の遊技における演出状態等が関連して,液晶画像,リールバックランプ等の演出パターンが選ばれる。
239ウ図面10’の「報知情報パターン表」は被告物件における演出の一例であるところ,同表に基づき被告物件の小役の当選フラグ報知に係る演出態様を説明すると,次のとおりとなる。
i)「木箱演出」撃鉄音(カシャ)と打鐘音(ジャン)と落下音(ヒュー・ドン)との合成音及びこれと同時に液晶画面上にて木箱が落下する動画映像と,その後,ストップボタンの停止操作に伴って銃撃音(ビキューン),銃撃による破壊音(バキューン)及びこれと同時に液晶画面上のキャラクタが木箱を銃撃し,破壊された木箱からチェリー,バナナ,スイカ,JACの各シンボルが現れる報知とからなる。
そして,木箱から現れるシンボルがチェリーであれば4枚役チェリー,同じくバナナであれば「バナナ」三つ揃い,同じくスイカであれば「スイカ」三つ揃い,同じくJACであれば「JAC」三つ揃いの,それぞれ当選フラグの報知情報となっている。
ii)「鉄箱演出1」撃鉄音と打鐘音と落下音との合成音及びこれと同時に液晶画面上にて鉄箱が落下する動画映像と,その後,ストップスイッチの第1停止時に銃撃による破壊音及びこれと同時に液晶画面上の鉄箱をキャラクタが銃撃し,破壊された鉄箱からチェリー,バナナ,スイカ,JACの各シンボルが現れる報知とからなる。
そして,シンボルがチェリーであれば4枚役チェリー,同じくバナナであれば「バナナ」三つ揃い,同じくスイカであれば「スイカ」三つ揃い,同じくJACであれば「JAC」三つ揃いの,それぞれ当選フラグの報知情報となっている。
iii)「鉄箱演出2」撃鉄音と気付き音(ピキーン)との合成音及びこれと同時に液晶画面240上にてキャラクタが何かに気付いた動画映像と,その後,ストップスイッチの第1停止時にスライド音(シューン)及びこれと同時に液晶画面上がスライドして鉄箱が出現し,第2停止時に銃撃による破壊音及びこれと同時に同画面上でこの鉄箱をキャラクタが銃撃し,破壊された鉄箱からチェリー,バナナ,スイカ,JACの各シンボルが現れる報知とからなる。
そして,シンボルがチェリーであれば4枚役チェリー,同じくバナナであれば「バナナ」三つ揃い,同じくスイカであれば「スイカ」三つ揃い,同じくJACであれば「JAC」三つ揃いの,それぞれ当選フラグの報知情報となっている。
iv)「鉄箱演出3」撃鉄音と気付き音(ピキーン)との合成音及びこれと同時に液晶画面にてキャラクタが何かに気付いた動画映像と,その後,ストップスイッチの第2停止時にスライド音(シューン)及びそれと同時に液晶画面上がスライドして鉄箱が出現し,第3停止時に銃撃による破壊音及びこれと同時に同画面上でこの鉄箱をキャラクタが銃撃し,破壊された鉄箱からチェリー,バナナ,スイカ,JACの各シンボルが現れる報知とからなる。
そして,シンボルがチェリーであれば4枚役チェリー,同じくバナナであれば「バナナ」三つ揃い,同じくスイカであれば「スイカ」三つ揃い,同じくJACであれば「JAC」三つ揃いの,それぞれ当選フラグの報知情報となっている。
v)「相川ナビ演出」撃鉄音と金属音(ピン)と落下音との合成音及びこれと同時に液晶画面上にキャラクタ(相川留美)が落下する動画映像と,その後,跳躍音(ビョン,ビョン)と敬礼かけ声(ハッ!)との合成音及びこれと同時に同キャラクタが背負ったリュックから大量のシンボルが現れ,同キャ241ラクタが敬礼する報知と,その後,ストップスイッチの第1停止,第2停止,第3停止に伴いリールバックランプが当該内部抽選結果に該当する絵柄部分のみを残して消灯する(特殊消灯)報知とからなる。
そして,大量シンボルがチェリーであれば4枚役チェリー,同じくバナナであれば「バナナ」三つ揃い,同じくスイカであれば「スイカ」三つ揃い,同じくJACであれば「JAC」三つ揃いの,それぞれ当選フラグの報知情報となっている。
vi)「消灯演出」撃鉄音と,その後,ストップスイッチの停止操作に伴うリールバックランプの1消灯,2消灯,3消灯報知とからなる。
そして,1消灯の場合は「JAC」三つ揃い又は「バナナ」三つ揃いの,2消灯の場合は「バナナ」三つ揃い又は「スイカ」三つ揃いの,3消灯(全消灯)の場合は「スイカ」三つ揃いの,それぞれ当選フラグの報知情報となっている。
vii)「点滅演出」配当のある複数の当選役である「2枚チェリー」・「4枚チェリー」・「バナナ」三つ揃い・「JAC」三つ揃いに共通して演出される撃鉄音及び飛行音(ゴー)の合成音からなる報知と,その後のストップスイッチ操作によるリールの第3停止に伴うリールバックランプが放射状に点滅する演出(0007H)とからなる。
そして,リールバックランプの点滅が現れた場合には「2枚チェリー」・「4枚チェリー」の,現れない場合は「バナナ」三つ揃い・「JAC」三つ揃いの報知情報となっている。
エ図面9’の抽出乱数値によって選択される前記ウv)の特殊消灯演出,及び,同vi)の消灯演出に1対1に対応して第1ないし第3停止操作時に発せられる効果音は,図面11’の「リール停止音選択テーブル」のとお242りである。
すなわち,あらかじめ定めた複数種類の効果音「パン」(06H),「ポーン」(D2H),「バキューン」(D4H)の中から,前記リール停止音選択テーブルのリールバックランプの点消灯態様に1対1で対応した複数種類の効果音,即ち,相川ナビ演出においては各リールバックランプの特殊消灯に伴い順次「ポーン-ポーン-ポーン」という効果音を,また,消灯演出においては1消灯の場合は「バキューン-パン-パン」,2消灯の場合は「バキューン-バキューン-パン」,3消灯の場合は「バキューン-バキューン-バキューン」という効果音が選択される。
なお,遊技状態が「BB中」または「RB中」である場合には,リールバックランプは第1停止時から第3停止時に至るまで終始点灯し続けており,当選役決定手段によって決定された当選フラグに関わらず,常にその状態を維持している(図面12’参照)。
(以下別紙略)
裁判長裁判官 阿部正幸
  • この表をプリントする