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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20ネ10068特許権侵害差止控訴事件 判例 特許
平成19ネ10085損害賠償請求控訴事件 判例 特許
平成21ワ18950特許権侵害差止請求事件 判例 特許
平成21ネ10055特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成21ネ10033特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
関連ワード 発明者 /  技術的思想 /  新規性 /  進歩性(29条2項) /  公知技術 /  技術的範囲 /  発明の詳細な説明 /  援用権(援用) /  対象製品 /  均等 /  均等論 /  均等侵害 /  置き換え /  置換 /  置換可能性 /  同一の作用効果 /  置換容易性 /  容易に想到(容易想到性) /  意識的除外(意識的に除外) /  特許発明 /  実施 /  加工 /  間接侵害 /  構成要件 /  構成要件充足性 /  のみ用いる /  物の生産に用いる物 /  課題解決に不可欠(課題の解決に不可欠) /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  拒絶理由通知 /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 21年 (ネ) 10052号 特許権侵害差止等請求控訴事件
控訴人大 紀商事株式会社
訴訟代理人弁護士小林幸夫
同 弓削 田博
同 坂田洋一
訴訟代理人弁理士田 治 米登
同 田治 米惠子
被控訴人山 中産業株式会社
訴訟代理人弁護士山田庸男
同 中世 古裕之
同 二宮誠行
同 西村勇作
同 増田広充
同 三好吉安
同 大森剛
同 梁栄文
同 松尾友寛
同 松嶋依子
同 林友宏
訴訟代理人弁理士小 田 中壽雄
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/01/25
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1本件控訴を棄却する。
- 2 -2控訴人の当審における請求を棄却する。
3当審における訴訟費用は全部控訴人の負担とする。
事実及び理由
全容
第1控訴人の求めた裁判1控訴の趣旨(1) 原判決を取り消す。
(2)被控訴人は,別紙被告製品目録1記載の製品を製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。
(3) 被控訴人は,その占有する上記(2)の製品を廃棄せよ。
(4) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
(5) 仮執行宣言2 当審における請求(請求の追加)(1)被控訴人は,別紙被告製品目録2記載のドリップバッグ製造用シートを製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。
(2)被控訴人は,その占有する上記(1)のドリップバッグ製造用シートを廃棄せよ。
(3) 訴訟費用は,被控訴人の負担とする。
(4) 上記(1)につき仮執行宣言第2事案の概要【以下,略称は原判決の例による。】1控訴人は,特殊紙の開発・ティーバッグ・コーヒーバッグ等のフィルターの製造・販売等を業とする株式会社であり,被控訴人は,繊維資材テープ・紙・各種包装用品・シート等の製造・加工・販売を業とする株式会社である。
2一審原告である控訴人は,特許第3166151号(発明の名称「ドリップバッグ」,出願日 平成9年12月20日,登録日 平成13年3月9日。本件特許権。)の特許権者であるところ,原審における本件訴訟は,一審被告である被控訴人が平成19年9月ころから製造販売を開始した別紙被告製品目録1記載のドリップバッグ(以下「被告製品1」という。)は,上記特許権の請求項1記載の発明(本件特許発明)を侵害するとして,その製造販売等の差止めと廃棄を求めた事案である。
原審における争点は,?被告製品1は本件特許発明技術的範囲に属するか(文言侵害,争点1),及び,?本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものか(争点2)であった。
3原審の大阪地裁は,平成21年6月30日,争点1について判断し,被告製品1は本件特許発明構成要件を充足しないとして,控訴人の請求を棄却した。そこで,これに不服の控訴人が本件控訴を提起した。
4当審において控訴人は,被告製品1が本件特許発明の文言侵害に該当しないとしても均等侵害に該当するとの主張を追加し(争点3),さらに訴えの追加的変更として,前記のとおり,別紙被告製品目録2記載のドリップバッグ製造用シート(以下「被告製品2」という。)の製造販売等の差止めと廃棄を求め,その理由として,被控訴人が被告製品2を製造販売等することは本件特許発明間接侵害(特許法101条1,2号)に該当する(争点4),等と主張した。
第3当事者の主張当事者双方の主張は,次のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」記載のとおりであるから,これを引用する。
1控訴人(1) 被告製品1は本件特許発明技術的範囲に属すること(文言侵害)被控訴人が製造・販売している被告製品1は,本件特許発明をそっくり利用したものであって,特許権侵害を免れようとの意図のもとに,連続させる機能的意味もないのに,単に補強片9’とA部分6’とを繋げたものにすぎない。このような特許権侵害回避のための小手先の製品設計によって,その構成要件充足性が失われることはあり得ず,被告製品1が本件特許発明技術的範囲に属することは明らかである。
それにもかかわらず,被告製品1が本件特許発明技術的範囲に属しないとした原判決には事実誤認の違法があり,原判決は取消しを免れない。
すなわち原判決は,被告製品1は,本件特許発明の「舌片部」がないために構成要件Bを具備せず,本件特許発明技術的範囲に属しないと判断した。しかし,被告製品1は,以下に述べるとおり,本件特許発明構成要件Bを充足し,その技術的範囲に属するものである。
ア被告製品1のA部分6’は補強片9’とは独立した部材でありA部分6’は舌片部に該当する。
(ア)原判決は,「…被告製品のA部分6’と補強片9’(保持部分)とは構造的に連続しているだけではなく,上記のとおり,袋本体2’に一体的に貼着されているため,一体として把手部?5’とともに袋本体2’を対向する2面からそれぞれ外向けに互いに反対方向に引っ張り,袋本体2’の開口部8’の開口形状を良好に維持し,袋本体2’の表裏の矩形面2’a,2’bが撓んで開口部8’が閉ざされるのを防止するという共通の機能を有するのであるから,機能的にも両部分を切り離して捉えることはできない。」(29頁8行〜15行)ことを理由で補足し,「…A部分6’を補強片9’から構造上分断し,本件特許発明の舌片部ということはできないというべきである。」(28頁17行〜19行)とした。なるほど被告製品1のA部分6’と補強片9’(保持部分)とが連続していることは間違いない。
しかし,被告製品1は,本件特許発明をそっくり利用したものであって,特許権侵害を免れようとの意図のもとに,連続させる機能的意味もないのに,単に補強片9’とA部分6’とを繋げたものにすぎない。にもかかわらず,上記「A部分6’を補強片9’から構造上分断し,本件特許発明の舌片部ということはできないというべきである。」とする原判決の判断に誤りがあることは明らかである。
(イ)被告製品1のA部分6’と補強片9’とは袋本体2’に一体的に貼着されていない。
上記のとおり,原判決は,「被告製品のA部分6’と補強片9’(保持部分)とは構造的に連続しているだけではなく,上記のとおり,袋本体2’に一体的に貼着されている」として,被告製品1のA部分6’と補強片9’とが連続していることに加えて,両者が袋本体2’に一体的に貼着されていることを上記判断の前提としている。
しかし,被告製品1では,A部分6’の上端までは接着剤が塗布されておらず,また,補強片9’においても矩形上に接着剤が塗布されているのみである。つまり,A部分6’と補強片9’との連続部分に当たるB部分には接着剤が塗布されておらず,A部分6’と補強片9’とはそれぞれ別個に袋本体に貼着されている。
このように,被告製品1のA部分6’と補強片9’とは,これらを構成する薄板状材料が連続しているとはいえ,貼着状況としては,それぞれ別個に貼着されているのであるから,原判決認定のように「袋本体2’に一体的に貼着されている」という事実はない。
原判決の判断には,その前提自体に事実認定の誤りがあるから,上記「A部分6’を補強片9’から構造上分断し,本件特許発明の舌片部ということはできないというべきである。」との原判決の判断にも誤りがある。
(ウ) A部分6’と補強片9’とは異なる機能を有する。
被告製品1のA部分6’は,本件特許発明のアーム部に相当する把手部?5’の内側に形成され,また,把手部?5’の下端で同部と連続することによって同部を支持し,袋本体の対向する2面上にある同部が外向きの反対方向に引っ張られたときには袋本体の対向する2面も外向きの反対方向に引っ張られるようにするというドリップバッグとして不可欠の機能を有する構成部分である。
これに対し,被告製品1の補強片9’は,袋本体の幅方向の開口幅を広げ,袋本体の開口形状を良好に維持するという機能を有する構成部分である。
このように,被告製品1のA部分6’と補強片9’とはそれぞれ別個の機能を有しており機能的に分離して捉え得る別個の構成部分なのであるから,それぞれ独立した構成部分と考えるべきである。
なお,本件明細書〔特許公報,甲1〕の段落【0034】には「例えば,図3に示す掛止部材3bのように,上述の掛止部材3から補強片9を省略してもよい。この場合には,コーヒードリップバッグの使用時に袋本体2の開口形状が良好に維持できるよう,袋本体2の外表面に貼着する舌片部6を大きめに形成することが好ましい。」との記載がある。
確かに,補強片がない場合,舌片部を大きめに形成することで袋本体の開口部の開口形状を維持しやすくなるという効果がある。しかしながら,上記記載は,舌片部が補強片と共通の機能を発揮し得ることを説明したものであって,舌片部独自の機能の存在や補強片独自の機能の存在を否定したものではない。
すなわち,舌片部と補強片には共通する機能もあるが,それぞれ独自の機能も存在するため,双方の機能は分離して捉え得る。このことは以下のことから明らかである。
第1に,舌片部の幅を補強片と同じ位の幅にしなければ,袋本体の幅方向の開口幅を広げるという点において,補強片の効果と全く同一の効果を舌片部に発揮させることはできないところ,補強片は周縁部の外側に形成されるのに対し,舌片部は周縁部及びアーム部の内側に形成されるから,舌片部の幅を補強片の幅に形成することは物理的に不可能である。したがって,上記の点については舌片部に補強片と同一の効果を発揮させることはできない。補強片には,舌片部には担えない開口幅の拡大機能が存在するのであるから,やはり,本件特許発明の舌片部と補強片とは別個の作用効果を有する独立の部材と考えるべきである。
第2に,舌片部を設けない場合には,袋本体の対向する2面を互いに反対方向に引っ張るための力が,アーム部の下端部の袋本体との貼着部分にのみに負荷されることになるため,アーム部の下端部と袋本体との貼着部分が破れやすくなるという問題が生じる。また,本件特許発明には,アーム部の下端部が袋本体と貼着していない態様も含むところ,この場合に舌片部を設けない場合には,掛止部材が袋本体から完全に外れてしまい,ドリップバッグとして全く機能しないことになる。アーム部を袋本体に支持するという点において,本件特許発明の舌片部は,補強片には担えない別個の作用効果を有する独立の部材と考えるべきである。
第3に,補強片がない場合に舌片部を相応の大きさに形成することにより,本件特許発明の作用効果は十分に発揮できる。したがって,補強片は,本件特許発明の必須の要素ではなく,あくまでも任意に設けられる好ましい要素である。これに対し,アーム部を袋本体に支持するという点において,上記のとおり,舌片部は本件特許発明に必須の要素である。
したがって,本件明細書の同段落の記載をもって,A部分6’に当たる舌片部と補強片9’に当たる補強片とは機能的に分離されており,原判決のように「機能的にも両部分を切り離して捉えることはできない」ということにはならない。
以上のとおり,被告製品1のA部分6’と補強片9’とはそれぞれ別個の機能を有しており機能的に分離して捉えうる構成部分なのであるから,それぞれ独立した構成部分と考えるべきである。
イ原判決は,「…本件明細書に記載の補強片とは,周縁部の外周部に位置し,開口形状を良好に維持し,袋本体の表裏の矩形面が撓んで開口部が閉ざされることを防止する独立の部材であると解され,これと舌片部とを連続させ,一体として形成した部材とすることについては,本件明細書及び図面に記載も示唆もないから,本件明細書には,舌片部と補強片を一体の構造体とすることについての技術的思想は存しないものというべきである。」(28頁5行〜11行)とするが,本件明細書では,被告製品1の掛止部材のように舌片部と補強片とを連続させることを排除していない。
例えば,本件明細書の【図4】は本件特許発明実施例の1つであるところ,同図記載の掛止部材の上下を逆さまにしても,本件特許発明実施品となる。この場合でも,本件特許発明のすべての構成要件を充足し,その技術的範囲に属するからである。
そして,本件特許発明の掛止部材が単に一枚の板紙で作られているものである以上,本件特許発明構成要件をすべて充足する限りにおいて,当業者がその用途等に応じて様々に設計企画・設計変更することは日常的に行われることであるから,【図4】記載の掛止部材の上下を逆さまにすることもまた,容易に想定される事項である。しかるに,本件明細書を見た当業者にあっては,当該実施品において本件明細書の【図1】や【図2】と同様に補強片を備えるものとした場合,舌片部の上端と補強片とをわざわざ切り離す意味もないことから,両者が連続する構成,すなわち被告製品1となることを容易に読み取れるのであって,本件明細書はこれを排斥するものではない。
したがって,必ずしも,「本件明細書には,舌片部と補強片を一体の構造体とすることについての技術的思想は存しない」ということはできず,この点でも原判決は誤っている。
ウ被告製品1のA部分6’は,その形状からも本件特許発明の「舌片部」に該当する。原判決は,本件特許発明の舌片部について,「…『舌のかけら』様の形状をした部材である…」(21頁2行〜3行),「…その形状が『舌状のかけら』様のものである…」(25頁22行〜23行)とし,かかる前提に基づいて,本件特許発明にいう「…舌片部とは,掛止部材として,アーム部の内側に形成された舌状のかけら部材であ」る(26頁4行〜5行,28頁20行〜21行)と認定した。
しかし,被控訴人でさえ,「舌片部」の意義について「舌状のかけら部材である」とは主張せず,むしろ,その形状については不問とする主張を行っている。すなわち,被控訴人は,例えば,被控訴人が無効理由の引用例として用いている乙2(実開平6-62940号公報,考案の名称「嗜好性飲料または調味料抽出用バッグ」,出願人 山中産業株式会社及びキーコーヒー株式会社,公開日 平成6年9月6日)の切れ込み5,特に【図6】の左右一対の切れ込み5を合わせたものであって,その上下両端部がそれぞれ把手保持部2のその余の部分と連続したものをもって本件特許発明の舌片部に該当すると主張している。このように,当事者双方が,「舌片部」については,その形状を不問としているのである。また,原判決は,舌片部が「舌状のかけら部材」であると定義するに当たり,「…『舌片』とは,その字義から『舌のかけら』を意味するものと解され…」(21頁1行〜2行)とするのみであって,根拠となる文献を示すことさえしていない。よって,原判決認定に係る本件特許発明の「舌片部」の意義は失当であって,舌片部の形状は不問とするのが適切である。
もっとも,仮に,本件特許発明の舌片部が原判決のとおりに「舌状のかけら部材」であると解釈されたとしても,前述のとおり,被告製品1のA部分6’が独立の部材であることからすれば,これを補強片9’とは切り離した上でその形状を単独で評価するべきであって,その場合,被告製品1のA部分6’は「舌状のかけら」部材といえる。
以上のとおりであるから,被告製品1のA部分6’は本件特許発明の舌片部に該当し,被告製品1は,本件特許発明構成要件Bを充足する。
(2) 被告製品1は本件特許発明均等侵害する被告製品1は,以下に述べるとおり,本件特許発明の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,その技術的範囲に属する。
ア 本件特許発明と被告製品1との相違点本件特許発明の「舌片部」の意義を原判決の認定に従って解釈し,原判決のとおりに被告製品1のA部分6’と補強片9’が一体の構造体であることを前提とすると,本件特許発明の構成と被告製品1の構成との相違点は,次のとおりとなる。
「被告製品1の掛止部材において,本件特許発明のアーム部に該当する把手部?5’の下端において連続する部材が,補強片と連続しない舌状のかけら部材ではなく,舌状の部材(A部分6’)とその舌状の部材の上端において連続した逆U字形の最外周の縁(補強片9’)との一体構造体であって,かかる一体構造体が把手部?5’の内側のみに形成されているとはいえない点」イ 均等論の要件への当てはめ被告製品1は,本件特許発明均等物であって本件特許発明技術的範囲に属するものであり,被控訴人による被告製品1の製造・販売等は,本件特許権を侵害するものである。すなわち最高裁第三小法廷平成10年2月24日判決(民集52巻1号113頁)で示された均等の各要件を充たすことは,以下の(ア)〜(オ)のとおりである。
(ア) 異なる部分が特許発明の本質的部分でないこと本件明細書の段落【0002】〜【0010】・【0045】の記載からすれば,本件特許発明の目的,作用効果は,?コンパクトで低コストに製造でき,?カップへのセットと注湯を容易にし,?本来のペーパードリップ方式でいれるコーヒーの美味しさを得ることができ,?コーヒー抽出後の廃棄を容易かつ安全とすることにある。
しかるに,本件明細書の段落【0011】〜【0016】の記載,特に段落【0014】の記載に照らせば,本件特許発明の上記目的,作用効果は,アーム部の下端でアーム部と連続する舌片部が袋本体の外表面に貼着されている場合において,袋本体をアーム部によって対向する2面からそれぞれ外向きに互いに反対方向に引っ張ること及びカップ側壁を周縁部とアーム部とで挟みつつカップ側壁の外面を周縁部で押さえつけることにより達成される。
このように,本件特許発明の目的,作用効果を実現するに当たって,舌片部は,袋本体の外表面に貼着し,かつ,アーム部の下端でアーム部と連続していれば足りる。したがって,原判決の認定に係る本件特許発明の「舌片部」の構成のうち,「掛止部材として,」「アーム部の上下の他端と連続するものであって,袋本体の外表面に貼着され得るもの(周縁部が袋本体に貼着されないときに袋本体に貼着され,上記のような機能を果たすもの)」との要件部分は本件特許発明の課題解決のための手段を基礎づける構成であるが,「アーム部の内側に(のみ)形成」との要件部分及び「(補強片と一体の構造体ではない)舌状のかけら部材」との要件部分は,本件特許発明の本質的部分ではない。
したがって,本件特許発明においてアーム部の下端と連続する部材が「舌片部」であって,「アーム部の内側(のみ)に形成」された「(補強片と一体の構造体ではない)舌状のかけら部材」という構成を有することは,本件特許発明の本質的部分ではない。
よって,本件特許発明の特許請求の範囲に記載された構成中の被告製品1との相違点は,本件特許発明の本質的部分ではない。
(イ) 置換可能性「A部分6’」と「補強片9’」を一体の構造体とする被告製品1においても,「製造におけるコンパクト化・低コスト化,カップへのセットと注湯の容易化,本来のペーパードリップ方式でいれるコーヒーの美味しさの獲得,コーヒー抽出後の廃棄の容易・安全化」という本件特許発明同一の作用効果を奏する。
以上のとおり,本件特許発明の構成について,被告製品1におけるものと置き換えても,本件特許発明の目的は達成され,同一の作用効果を奏する。
(ウ) 置換容易性本件特許の請求項3の記載,本件明細書の【図1】・【図3】のとおり,本件特許発明においては,周縁部の外周部において補強片を袋本体の外表面に貼着することが想定されていること,前記のとおり,本件明細書を見た当業者にあっては舌片部の上端と補強片とを連続する構成を容易に読み取れること,また,舌片部と補強片とを連続させることは物理的にも簡単で特許権侵害回避のために容易に発想できることからすれば,当業者が,本件特許発明の構成に代えて,その「舌片部」を被告製品1が採用する「A部分6’」とこれと連続する「補強片9’」との一体構造体に置き換えることは容易である。
よって,被告製品1の製造時において,当業者は,本件特許発明の構成と被告製品1の構成の相違点を被告製品1の構成に置換することに容易に想到し得たものといえる。
(エ)被告製品1が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考できたものではないこと本件特許発明については,袋本体を対向する2面からそれぞれ外向けに互いに反対方向に引っ張ってカップに掛けるというドリップバッグの掛止機構は非常に独創性が高く,拒絶理由通知もないまま,公知技術から当業者が容易に想到し得ない発明であるとして特許査定がなされたものであるところ,被告製品1は,かかる本件特許発明の構成中の「舌片部」について「補強片」と連続させ,「A部分6’」と「補強片9’」との一体構造体に置換したものにすぎない。
よって,被告製品1は,本件特許発明の出願時における公知技術と同一でなく,また,当業者が容易に推考できたものでもない。
(オ)被告製品1が,特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと上記のとおり,本件明細書を見た当業者にあっては,舌片部の上端と補強片とを連続する構成を容易に読み取れるのであって,本件明細書は被告製品1が本件特許発明技術的範囲に含まれることを排斥するものではない。また,その他,控訴人において,本件特許発明技術的範囲から,被告製品1の構成について,本件特許発明の出願手続上,これを意識的に除外したとの事情は存在しない。
(3) 被告製品2は本件特許発明間接侵害する被控訴人の製造販売する被告製品2については,本件特許発明間接侵害が成立するものであり,その理由は以下のとおりである。
ア 被控訴人の取引先であるコーヒーメーカー各社の直接侵害行為被控訴人の取引先であるコーヒーメーカー各社は,被控訴人から被告製品2を購入し,平行に並ぶ左右2個の掛止部材を1セットとして,中央でシートを折り,カット・シールして袋状のフィルターに製造した上で,コーヒー豆を充填後,個別包装したコーヒーバッグを業として販売しているところ,上記カット・シールした袋状のフィルターは,控訴人主張の被告製品1と同一であって,本件特許発明技術的範囲に属する。
間接侵害(特許法101条1号)の成立上記アで述べたとおり,被告製品2を用いて製造した上記袋状のフィルターは本件特許発明技術的範囲に属するものであるが,被告製品2は,袋状フィルターの生産以外には他に用途がないから,本件特許発明に係る物の「生産にのみ用いる物」である。
よって,被控訴人が,被告製品2を製造・販売する行為は,特許法101条1号の要件を充足するので,本件特許権を侵害するものとみなされる行為である。
間接侵害(特許法101条2号)の成立(ア) 本件特許発明に係る物の生産に用いる物であること上記アで述べたとおり,被告製品2を用いて製造したフィルターは本件特許発明技術的範囲に属するものであるから,被告製品2は,本件特許発明に係る「物の生産に用いる物」である。
(イ) 本件特許発明による課題の解決に不可欠なものであること本件明細書の段落【0002】〜【0010】,【0045】の記載からすれば,本件特許発明により解決される課題は,?コンパクトで低コストに製造でき,?カップへのセットと注湯を容易にし,?本来のペーパードリップ方式でいれるコーヒーの美味しさを得ることができ,?コーヒー抽出後の廃棄を容易かつ安全とする点にある。
そして,本件明細書の段落【0011】〜【0016】の記載,特に段落【0014】の記載に照らせば,本件特許発明の上記課題は,アーム部の下端でアーム部と連続する舌片部が袋本体の外表面に貼着されている場合において,袋本体をアーム部によって対向する2面からそれぞれ外向きに互いに反対方向に引っ張ること及びカップ側壁を周縁部とアーム部とで挟みつつカップ側壁の外面を周縁部で押さえつけることにより達成されるところ,かかる課題解決を実現する構成部分はいずれも掛止部材に含まれている。
また,被告製品2を構成する通水濾過性シートは,中央で折ってカット・シールされることにより本件特許発明の袋本体となる。
したがって,掛止部材が通水濾過性シートに貼着された被告製品2は,本件特許発明による課題の解決に不可欠なものである。
エ 主観的要件控訴人は,平成19年12月11日,被控訴人に対し,本件特許発明の内容を明示して,被控訴人による被告製品1の製造・販売行為が本件特許権を侵害する旨の通知を発送し,同通知は,平成19年12月13日に被控訴人に到達した。これにより,被控訴人が,本件特許発明特許発明であることを認識した。
よって,被控訴人は,本件特許発明特許発明であることを知りながら,被告製品2を製造・販売している。
また,被控訴人は,被控訴人の取引先であるコーヒーメーカー各社が,被控訴人から被告製品2を購入した後,平行に並ぶ左右2個の掛止部材を1セットとして,中央でシートを折り,カット・シールして袋状のフィルターに製造した上で,コーヒー豆を充填後,個別包装したコーヒーバッグを業として販売していることを認識している。
したがって,被控訴人は,被告製品2が被控訴人の取引先であるコーヒーメーカー各社において,本件特許発明実施に用いられることを知りながら,被告製品2の製造・販売行為を行っているものである。
オ 小括以上のとおり,被控訴人が,被告製品2を製造・販売する行為は,特許法101条2号の要件をすべて充足するので,本件特許権を侵害するものとみなされる行為である。
2 被控訴人(1) 控訴人の主張(1)(文言侵害)に対しア補強片と掛止部材の舌片部との連結状態,特にドリップバッグを使用する前と使用した状態においての比較控訴人は,本件明細書では,被告製品1の掛止部材のように舌片部と補強片とを連続させることを排除していないと主張する。
しかし,控訴人の主張する補強片と掛止部材の舌片部の先端とが連結されて一体となった態様のドリップバッグの保持部材は,本件特許発明の特許請求の範囲はもちろん,本件明細書の発明の詳細な説明にも図面中にも一切記載されておらず,何らの示唆すら示されていない。
また,かかる補強片と掛止部材の舌片部の先端とが連結されて一体となった,新規な態様のドリップバッグ保持部材が,なぜ本件特許発明技術的範囲に含まれ得るのかの点についても,本件明細書中にそれを示唆する記載すらもなく,また,控訴人の主張においても説明がなされていない。
さらに,この新規な保持部材である補強片と舌片とを連続させた態様では,ドリップバッグの使用前の状態においても使用中の状態においても,補強片と掛止部材の舌片部とが終始全く同じ位置で連結(接触)したままの状態で,袋本体を保持することとなるものである。
そして,このように使用前の状態でも使用中の状態においても,補強片と掛止部材の舌片部とが全く同じ位置で,連結(接触)されたままの状態で使用されるのであれば,そもそも両者をわざわざ別個の部材として構成する必要はなく,初めから両者が連結された形態を有する一個の部材として作成すればよいことは自明である。生産能率向上が極度に要求されている製造業界の現状を考慮すればなおさらである。
ところが,本件明細書の発明の詳細な説明及び図面においては,使用前の状態において補強片が掛止部材の外周部に接触している態様として,【図1】(a)及び,【図2】の2葉が示されているが,使用中の状態では【図1】(b)及び(c)に示すように,補強片と掛止部材の舌片部の両者は必ず分離された状態で使用されている。その他明細書の記載に徴しても,使用前の形態でこそ補強片は掛止部材の外周部に接触して作成されているが,使用中には両部材は必ずそれぞれが分離された状態で取り付けられているのである。
これは,「掛止部材の舌片部の先端と補強片とを連結(接触)させた状態」である,補強片を追加ないし補強片と舌片とを連続させた構成・形態を有するドリップバッグの掛止部材が,初めから,本件特許発明技術的思想に含まれていたとは到底考えられない何よりの証左である。
これは,ドリップバッグを使用する前も,これを使用している状態においてもA部分6’と補強片9’とが構造的,機能的に一体となって保持部の役割を果たしている被告製品1との関係でも同様であり,本件特許発明には,被告製品1の有する技術的思想は初めから持ち合わせていなかったことが明白である。
イ本件明細書に記載ないし示唆されるところからみることのできる本件特許発明の掛止部材と,被告製品1の保持部材との構成の差異控訴人は,本件特許発明に開示された思想に基づき被告製品1の構成に至ることができるとして,本件明細書の【図4】の上下を逆さまにして補強片を追加し,補強片と舌片を連続させると被告製品1となるとし,【図4】の「上下逆さま」として,突然【図4】の掛止部材の上下を逆転した掛止部材の態様を主張する。
しかし,かかる態様の掛止部材は前記のように,基となる本件特許発明の特許請求の範囲,発明の詳細な説明及び図面の何れにも全く見い出せないし,このような可能性を示唆する記載の片鱗すら存在しない。本件明細書の発明の詳細な説明及び図面の記載によれば,【図4】については,「例えば,図4に示す掛止部材3cのように…。この掛止部材3cを袋本体2の外表面に貼着する際には,周縁部4を袋本体2の外表面に貼着し,アーム部5と舌片部6とが引き起こし可能となるようにする。」(段落【0036】)との実施形態が開示されているにとどまる。
控訴人は更に,突然,掛止部材の上下を逆転して,補強片をその上側から下側へ差し込んだ形態のドリップバッグを,補強片の追加として主張する。しかし,かかる態様の掛止部材は本件明細書の特許請求の範囲にも,発明の詳細な説明の欄にも,図面にも全く記載も示唆すらもされていなかった態様である。
本件明細書において,使用前の状態で補強片が掛止部材の周縁部の外周部に接触している態様としては,図面中の【図1】(a)及び【図2】の2葉の図面に示されているが,ここには補強片が取り付けられる仕様として,片仮名のコの字状の開口部を下向きにして,【図1】(a)のような形状の舌片部を有する掛止部材の上側から差し込んだ形状が示されているのみである。
また,本件明細書の段落【0025】で,【図2】について「この掛止部材3aにおいて,周縁部4の外周部には,第3の切込線L3で周縁部4と区切られている補強片9が形成されており,この補強片9が袋本体2の外表面に貼着されている。」として,この両者は接触はしているが,その間は切断されて補強片は袋本体に貼着されており,補強片に接触している掛止部材の周縁部は袋本体には貼着されていないという,使用前の状態における補強片と掛止部材との相互の関係が記載されている。更に,その作用効果については段落【0028】で【図1】(c)について,「袋本体2は,アーム部5によって対向する2面から矢印B方向に,互いに反対方向に引っ張られ,開口部8が大きく広げられた状態で,カップ20の中央上部に吊されることとなる。さらに,この開口形状は補強片9によって良好に維持され,袋本体2の表裏の矩形面2a,2bが撓んで開口部8が閉ざされることが防止される。」とされており,もし,補強片がなければ袋本体の両面が互いに反対方向の矢印B方向に引っ張られるため,開口部は細長く伸びた菱形になり,このために開口部が狭められた形状となる。しかし,補強片が貼着されているため,開口部8が大きく矩形状に広げられた状態に保持される効果がある旨が記載されている。
以上の本件明細書中の詳細な説明や図面における補強片の記載と【図4】の【符号の説明】(本件明細書,第6頁右欄【符号の説明】)において,掛止部材の符号4,5,6はそれぞれ,周縁部,アーム部及び舌片部を指す符号である旨が記載されているところを前提とすると,控訴人の主張する補強片を追加した態様,すなわち【図4】の上下逆さまの掛止部材に補強片を取り付けて舌片部と補強片とを連続させうるような形態は取りえないことを意味する。
他方,仮に控訴人主張のごとく補強片を追加,すなわち【図4】の上下逆さまの掛止部材に補強片を取り付けて舌片部と補強片とを連続させうるような態様を採ろうとした場合,この態様では補強片と舌片部の先端とが接続(接触)された形状とはなるが,一方,「周縁部の外周部において補強片が袋本体の外表面に貼着されている【請求項3】」という,本件特許発明に記載された補強片と掛止部材との接続関係は充足しないこととなる。また,更に,かかる控訴人主張の態様では,「この掛止部材3aにおいて,周縁部4の外周部には,第3の切込線L3で周縁部4と区切られている補強片9が形成されており,…。」(段落【0025】)という本件明細書の発明の詳細な説明における関係も充足されていない。なお,ここで外周部とは,【図4】の【符号の説明】(本件明細書,第6項右欄【符号の説明】)において,「4周縁部」と規定されているから,【図4】において上部及び左右の縁からなる逆Uの形状がこれに相当する。この図によって,下側の縁は舌片部で切断されているため「下側の縁部」は存在しないためである。
以上のところから明らかなとおり,控訴人の主張は,本件特許発明の特許請求の範囲,本件明細書中の発明の詳細な説明や図面の記載からは到底読み取れない構成であり,かつ,補強片と掛止部材との関係に関する本件明細書の記載を全く無視するものである。本件特許発明のように,特許請求の範囲を複数の構成要件から構成し,それらの複数の構成要件を順列・組合せ的に構成して,広い特許請求の範囲が記載されている場合に,その権利範囲はその構成要件発明の詳細な説明,実施例及び作用効果等が明確に開示されている態様に厳しく限定されるべきである。
本件でも,控訴人主張のような補強片に掛止部材のうちの舌片部を連結してそれらを袋本体に貼着させうるような実施形態は,本件明細書中には何ら記載も示唆もされていないのであるから,本件特許発明の特許請求の範囲としても,かかる構成はその範囲内には含まれていない。
また,本件明細書中の発明の詳細な説明や図面における記載である「周縁部の外周部において補強片が袋本体の外表面に貼着」との関係を満たさず,さらに補強片が掛止部材の「外周部には貼着されていない」という点においても,控訴人が控訴理由書において主張している補強片と掛止部材との接続関係が本件明細書の記載からは採りえないことは明らかであり,かかる観点からも,本件特許の特許請求の範囲として,かかる構成はその範囲内には含まれていないというべきである。
(2) 控訴人の主張(2)(均等侵害)に対し当審における均等侵害の主張の追加は,時機に遅れた攻撃方法であり,却下されるべきである。
仮にこれが却下されるべきでないとしても,控訴人の主張する被告製品1と本件特許発明との相違点は,以下に述べるとおり,本件特許発明の本質的部分に当たるから,均等侵害の要件を充足しない。
ア控訴人は,本件明細書の段落【0011】〜【0016】の記載,特に段落【0014】の記載に照らせば,本件特許発明の目的,作用効果(控訴人によれば?コンパクトで低コストに製造でき,?カップへのセットと注湯を容易にし,?本来のペーパードリップ方式でいれるコーヒーの美味しさを得ることができ,?コーヒー抽出後の廃棄を容易かつ安全にする)は,アーム部の下端でアーム部と連続する舌片部が袋本体の外表面に貼着されている場合において,袋本体をアーム部によって対向する2面からそれぞれ外向きに互いに反対方向に引っ張ること及びカップ側壁を周縁部とアーム部とで挟みつつカップ側壁の外面を周縁部で押さえつけることにより達成されるとし,よって,舌片部は袋本体の外表面に貼着しかつアーム部の下端でアーム部と連続していれば足りるのであり,この点が本件特許発明の課題解決のための手段を基礎づける構成,すなわち本質的部分であると主張する。
しかし,均等論における特許発明の本質的部分とは,例えば「特許法が保護しようとする発明の実質的価値は,従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を,具体的構成をもって社会に開示した点にあるから,明細書の特許請求の範囲に記載された構成のうち,当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分が当該特許発明における本質的部分である」と理解すべきであるなどとされている(東京地裁平成11年1月28日判決〔平成8年(ワ)第14828号・同第14833号〕,東京地裁平成12年3月23日判決〔平成10年(ワ)第11453号〕)。
イしかるに,本件特許発明の属する技術分野であるドリップバッグの業界においては,すでに本件特許発明の出願される以前から,本件特許発明と同一又は類似の多数のドリップバッグが発明ないし製品化されており,たとえば,無効理由に関する実願平2-101530号(実開平4-60136号)のマイクロフィルム(考案の名称「防熱平面支持板付コーヒーバッグ」,公開日 平成4年5月22日,乙1)や前記実開平6-62940号公報(乙2)もその例であり,控訴人が主張する「舌片部が袋本体の外表面に貼着しかつアーム部の下端でアーム部と連続している」程度の構成は,多くのドリップバッグが取り入れている構造である。
よって,本件特許発明には従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を提示したといえるようなものではなく,上記乙1,2と同一の技術を開示しているにすぎない程度ということができる。仮に本件特許発明が,そのような既存のドリップバッグにおける従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するために,従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を具体的構成をもって開示したといえる点があるとすれば,やはり本件特許発明の特許請求の範囲に記載された具体的構成要件のうち,掛止部材の形態を定めた構成要件Bに関する具体的構成の全てが,当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分であるといえることは明白である。
よって,舌片部がアーム部分の内側に形成され,補強片と一体構造ではなく独立した構造であるという点が,本件特許発明の本質的部分とはいえない,との控訴人の主張は誤りである。少なくとも,被告製品1の保持部は矩形の最外周の上部の縁,その左側・右側及び上部の縁の中心から下方に向けて延伸された逆T字状の部分が一体的に連続して形成されており,それが把手部?(周縁部)及び把手部?(アーム部)の内側だけにとどまっておらず,この保持部の全周囲+中心部の柱という形状によって袋本体を全体で保持しているという点は,本件特許発明技術的思想を根本的に異にする点である。これは被告製品1固有の課題解決手段を基礎付ける技術的思想に基づく具体的構成であって,明らかに本質的部分において相違がみられる。
以上から,被告製品1と本件特許発明とは発明の本質的部分において大きく相違している。
(3) 控訴人の主張(3)(間接侵害)に対しア控訴人は,被控訴人が製造し取引先コーヒーメーカー各社に販売する被告製品2が本件特許発明間接侵害を構成するとするが,被告製品2の供給により取引先コーヒーメーカー各社においてフィルターとして完成した製品は,控訴人主張の被告製品1と同一であって,本件特許発明技術的範囲に属するものではない。この点は,被告製品1に関する被控訴人のこれまでの主張と同じであり,これを援用する。
イ被告製品2は,掛止部材b以下の構成が,原判決別紙「掛止部材目録」記載のとおりであって,これは本件特許発明構成要件と全く異なっている。よって,被告製品2は本件特許発明技術的範囲に何ら属していないことはこれまでの被控訴人の主張及び原判決の判断により明白である。被告製品2が本件特許発明技術的範囲に属さないことについての理由の詳細は,これまでの被控訴人の主張のとおりであるからこれを援用するが,その要点は以下のとおりである。
すなわち,被告製品2は,原判決別紙「掛止部材目録」記載のとおりの構成の掛止部材を有するところ,とりわけ「矩形の最外周の上部の縁,その左側及び右側の縁,及び上部の縁の中心から下方に向けて延伸された逆T字状の部分が一体的に連続して形成された保持部」〔同目録b〕の部?分が本件特許発明構成要件とは異なる。
つまり,本件特許発明のように舌片部と補強片が別個独立した2部材による構成とは全く異なり,被告製品1でいうところのA部分6’と補強片9’すなわち保持部が一体的に形成された構造となっている。
また,このような一体的に構成されて相当程度の厚みがあり剛性が高い掛止部材(のうちの被告製品1のA部分6’と補強片9’,すなわち保持部)が,柔軟な不織布の袋本体に貼着されている構造を有していることにより,負荷される力が,貼着されていない部分も含めて保持部全体に伝達され,貼着された袋本体の全体が,貼着された部分及び貼着されていない部分の保持部分全体で保持されているものである。
そして,完成した被告製品2は,ドリップバッグを使用する前も,ドリップバッグを使用した際も,保持部(被告製品1のA部分6’と補強片9’)が,一体的に連続して袋本体に貼着されていて,保持部の全体で負荷された力を受け止め,袋本体の形状を保持部全体で保持するという機能を発揮しており,そのために保持部全体(被告製品のA部分6’と補強片9’)が一体的に構成されているのである。
この点,本件特許発明には,上記のような構成と機能とは,特許請求の範囲,明細書中の発明の詳細な説明及び図面のいずれを見ても記載も示唆もされていないのであり,本件特許発明には,一体的な連続した保持部でもって,袋本体を全体的に保持するというような構成と技術思想は含まれていない。
上記の点は原判決においても明確に認定されているところである。
以上から,被告製品2について,これを製造販売しても,被控訴人の取引先コーヒーメーカー各社に直接侵害行為は成立しない。よって,被控訴人の製造販売する被告製品2について間接侵害は成立しない。
第4 当裁判所の判断1 被告製品1の製造販売差止等請求について(1) 文言侵害の成否(控訴人の主張(1))当裁判所も,被告製品1は本件特許発明技術的範囲に属しないと判断する。その理由は,以下のとおり付加するほか,原判決記載のとおりであるから,これを引用する。
ア控訴人は,被告製品は,本件特許発明〔請求項1の発明〕の構成要件を充足すると主張する。
(ア) 本件明細書(甲1〔特許公報〕)には,以下の記載がある。
a特許請求の範囲・ 【請求項1】通水性濾過性シート材料からなり,上端部に開口部を有する袋本体と,薄板状材料からなり,袋本体の対向する2面の外表面に設けられた掛止部材とからなるドリップバッグであって,掛止部材が,その周縁側に形成されている周縁部と,周縁部の内側にあって,袋本体から引き起こし可能に形成されているアーム部と,アーム部の内側に形成されている舌片部とからなり,アーム部の上下いずれか一端で周縁部とアーム部とが連続し,アーム部の上下の他端でアーム部と舌片部とが連続し,周縁部又は舌片部のいずれか一方が,袋本体の外表面に貼着されていることを特徴とするドリップバッグ。
・ 【請求項2】アーム部の上端部で周縁部とアーム部とが連続し,アーム部の下端でアーム部と舌片部とが連続し,アーム部の基部と舌片部とが袋本体の外表面に貼着されている請求項1記載のドリップバッグ。
・ 【請求項3】周縁部の外周部において補強片が袋本体の外表面に貼着されている請求項2記載のドリップバッグ。
b発明の詳細な説明・「【発明の属する技術分野】本発明は,カップ等の容器の上部に掛止することにより容易にドリップ式コーヒーを入れられるようにするドリップバッグに関する。」(段落【0001】)・「…従来の数杯分のコーヒーを抽出することが基本とされているペーパードリップ方式に代えて,一杯分のコーヒーの抽出を手軽に行えるようにすることを目的とした,使い捨てのワンドリップコーヒー(以下,ドリップバッグと称する)が種々の製品形態で市場に出回っている。」(段落【0003】)・「これまでに市場に出回っているドリップバッグは,カップにセットする方式によって二つに大別することができる。そのうちの一つは,ドリッパーをカップの上に載置する方式(以下,カップオン方式という)であり,他の一つはドリッパーに取り付けられている掛止部をカップの壁に引っかけ,ドリッパーがカップ内で掛止されるようにする方式(以下,カップイン方式という)である。」(段落【0004】)・「【発明が解決しようとする課題】…ドリップバッグとして,種々のカップオン方式やカップイン方式の製品が市場に出回っているが,それぞれ長所及び短所を有しており,これまでに双方の利点を兼ね備えたドリップバッグ,即ち,カップオン方式のコーヒーの美味しさと,カップへのセットや注湯のしやすさを有し,カップイン方式のようにコンパクトで低コストに製造できるものは存在しない。」(段落【0009】)・「本発明は以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり,本来のペーパードリップ方式でいれるコーヒーの美味しさを得ることができ,簡略な構成を有し,かつカップへのセットが極めて容易で,カップへのセット後の形状も安定しており,コーヒー抽出後の廃棄も容易かつ安全な新たなドリップバッグを提供することを目的としている。」(段落【0010】)【課題を解決するための手段】本発明者は,上記の目的を達成するた・「め,通水性濾過性シート材料からなり,上端部に開口部を有する袋本体と,薄板状材料からなり,袋本体の対向する2面の外表面に設けられた掛止部材とからなるドリップバッグであって,掛止部材が,その周縁側に形成されている周縁部と,周縁部の内側にあって,袋本体から引き起こし可能に形成されているアーム部と,アーム部の内側に形成されている舌片部とからなり,アーム部の上下いずれか一端で周縁部とアーム部とが連続し,アーム部の上下の他端でアーム部と舌片部とが連続し,周縁部又は舌片部のいずれか一方が,袋本体の外表面に貼着されていることを特徴とするドリップバッグを提供する。」(段落【0011】)・「本発明のドリップバッグは,通水性濾過性シート材料からなる袋本体と,袋本体の外表面に設けられた掛止部材とからなる。この掛止部材は,例えば,矩形の薄板状材料に特定の切込線を入れることにより簡便に得ることができる。したがって,本発明のドリップバッグは,その形成材料の省資源化を図ることができ,また,低コストで製造できるものとなる。」(段落【0012】)・「さらに,この掛止部材は,掛止部材の周縁側に形成された周縁部と,周縁部の内側にあって,引き起こし可能に形成されたアーム部と,アーム部の内側に形成されている舌片部とからなり,このアーム部の上下いずれか一端で周縁部とアーム部とが連続し,アーム部の上下の他端でアーム部と舌片部とが連続している。即ち,アーム部の上端部で周縁部とアーム部とが連続し,アーム部の下端でアーム部と舌片部とが連続しているか,あるいは,アーム部の下端部で周縁部とアーム部とが連続し,アーム部の上端部でアーム部と舌片部とが連続している。そして,この周縁部又は舌片部のいずれか一方が,袋本体の対向する2面の外表面に貼着されている。」(段落【0013】)・「したがって,舌片部が袋本体の外表面に貼着されている場合,アーム部を引き起こすことにより,周縁部も引き起こしてカップ側壁にかけることが可能となり,また,周縁部が袋本体の外表面に貼着されている場合には,アーム部と共に舌片部を引き起こしてカップ側壁にかけることが可能となる。この場合,袋本体は,アーム部によって対向する2面からそれぞれ外向きに互いに反対方向に引っ張られ,袋本体の上端部の開口部が大きく広げられた状態で,カップの中央上部に吊されることとなる。また,カップ側壁は周縁部又は舌片部とアーム部とで挟まれ,かつカップ側壁の外面は周縁部又は舌片部で押さえつけられるので,ドリップバッグは極めて安定した状態でコップの上部に固定される。」(段落【0014】)・「よって,このドリップバッグによれば,極めて簡単なセット方法でカップ上部に安定的にセットすることが可能となる。また,このドリップバッグによれば,カップにセットした状態で袋本体の開口部は大きく広がる。したがって,このドリップバッグによれば,コーヒー抽出時に注湯を容易に行えるようになる。また,このドリップバッグは,カップの上部に掛止されるので,コーヒー抽出後もドリップバッグは抽出したコーヒー液の液面上にある。したがって,本来のペーパードリップ方式と同様の美味しいコーヒーをいれることが可能となる。さらに,コーヒー抽出後にドリップバッグは抽出したコーヒー液中に浸っていないので,コーヒー抽出後のドリップバッグの廃棄も容易であり,やけどの危険も生じない。」(段落【0015】)・「【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の態様を図面に基づいて詳細に説明する。なお,各図中,同一符号は同一又は同等の構成要素をあらわしている。」(段落【0017】)・「一方,掛止部材3aは紙,プラスチックシート等の薄板状材料からなり,袋本体2の表裏の矩形面2a,2bの外表面にそれぞれ設けられている。本発明においては,この掛止部材3aが,その周縁側に形成されている周縁部4と,周縁部4の内側にあって,袋本体2から引き起こし可能に形成されているアーム部5と,アーム部5の内側に形成されている舌片部6とからなり,アーム部5の上下いずれか一端で周縁部4とアーム部5とが連続し,アーム部5の上下の他端でアーム部5と舌片部6とが連続し,さらに,周縁部4又は舌片部6のいずれか一方が,袋本体2の外表面に貼着されていることを特徴としており,例えば,図1のように,アーム部5の上端部で周縁部4とアーム部5とが連続し,アーム部5の下端でアーム部5と舌片部6とが連続し,アーム部5の基部と舌片部6(図1(a)中ドットで塗りつぶした部分)が袋本体2の外表面に貼着されている態様とすることができる。」(段落【0023】)・「図2は,この掛止部材3aの平面図である。同図に示したように,この掛止部材3aはその外形が四つの角に丸みを有する矩形となっている。
そして,周縁部4が掛止部材3aの全周に帯状に形成され,周縁部4とアーム部5とが,矩形の掛止部材3aの両側辺及び下辺に略沿った第1の切込線(外側切込線)L1で区切られ,アーム部5と舌片部6とが,外側切込線L1の内側で矩形の掛止部材3aの両側辺及び上辺に略沿った第2の切込線(内側切込線)L2で区切られている。したがって,この掛止部材3aにおいては,外側切込線L1により周縁部4とアーム部5とが区切られ,また,内側切込線L2によってアーム部5と舌片部6とが区切られている。」(段落【0024】)・「さらに,この掛止部材3aにおいて,周縁部4の外周部には,第3の切込線L3で周縁部4と区切られている補強片9が形成されており,この補強片9が袋本体2の外表面に貼着されている。」(段落【0025】)・ 「本発明において,掛止部材の形態は,種々の態様をとることができる。」(段落【0033】)・「例えば,図3に示す掛止部材3bのように,上述の掛止部材3から補強片9を省略してもよい。この場合には,コーヒードリップバッグの使用時に袋本体2の開口形状が良好に維持できるよう,袋本体2の外表面に貼着する舌片部6を大きめに形成することが好ましい。」(段落【0034】)・「例えば,図4に示す掛止部材3cのように,周縁部4が掛止部材3cの両側辺3q,3r及び上辺3sの縁部に帯状に形成され,周縁部4とアーム部5とが,矩形の掛止部材3cの両側辺3q,3r及び上辺3sに略沿った第1の切込線(外側切込線)L1で区切られ,アーム部5と舌片部6とが,外側切込線L1の内側で矩形の掛止部材3cの両側辺3q,3rに略沿った第2の内側切込線L2で区切られるようにしてもよい。この掛止部材3cを袋本体2の外表面に貼着する際には,周縁部4を袋本体2の外表面に貼着し,アーム部5と舌片部6とが引き起こし可能となるようにする。」(段落【0036】)・「図5は,この図4の掛止部材3cを袋本体2に貼着したコーヒードリップバッグ10Bの使用状態の説明図である。」(段落【0037】)・「同図に示したように,このコーヒードリップバッグ10Bを使用してコーヒーを抽出する場合には,まず,図5(a)に示したように,開口した袋本体2の舌片部6を矢印Aのように引き起こす。次に図5(b)に示したように,カップ20の開口部22の径に合わせてさらに舌片部6を引き起こし,舌片部6をカップ側壁21にかける。これにより,図1のコーヒードリップバッグ10Aの場合と同様に,袋本体2は,アーム部5によって対向する2面から矢印B方向に,互いに反対方向に引っ張られ,開口部8が大きく広げられた状態で,カップ20の中央上部に吊されることとなる。」(段落【0038】)・「また,カップ側壁21はアーム部5と舌片部6とで挟まれ,かつカップ側壁21の外面は矢印C方向に舌片部6で押さえつけられるので,コーヒードリップバッグ10Bは極めて安定した状体でカップ20の上部に固定されることとなる。」(段落【0039】)・「この他,本発明のコーヒードリップバッグで使用する掛止部材としては,図6に示すように,周縁部4とアーム部5とが,矩形の掛止部材3dの両側辺3q,3r及び上辺3sに略沿った第1の切込線(外側切込線)L1で区切られ,アーム部5と舌片部6とが,外側切込線L1の内側で矩形の掛止部材3dの両側辺3q,3rに略沿った第2の切込線(内側切込線)L2で区切られ,さらに周縁部4と舌片部6とが,矩形の掛止部材3dの下辺3pに略沿った第4の切込線(下側切込線)L4で区切られていてもよい。これにより,周縁部4が,掛止部材3dの全周に略帯状に形成されることとなる。」(段落【0040】)・「この掛止部材3dを有するコーヒードリップバッグ10Cは,図7に示したようにカップ20にセットされる。この場合,コーヒードリップバッグ10Cの袋本体2の底部は,図5のコーヒードリップバッグ10Bに比して,掛止部材3dによってより安定的に支持されるので,袋本体2の強度等によっては,図5のコーヒードリップバッグ10Bよりもこの図7のコーヒードリップバッグ10Cを使用することが好ましい。」(段落【0041】)・「図8は,さらに異なる掛止部材3eの平面図である。この掛止部材3eでは,周縁部4とアーム部5とを区切る外側切込線L1が掛止部材3cの両側辺3q,3rに沿って形成されているが,掛止部材3eの上辺3sに沿っては形成されていないため,周辺部4が掛止部材3eの両側辺3q,3rにのみ沿った帯状のものとなっている。したがって,この掛止部材3eを使用したコーヒードリップバッグでは,図1,図5あるいは図7のコーヒードリップバッグ10A,10B,10Cに比して掛止部材3eが袋本体2の上部の形状を支持する機能が弱くなる。そこで,袋本体2の強度や剛性が強い場合に,この掛止部材3eを使用することが好ましい。」(段落【0042】)c図面(かっこ内は【図面の簡単な説明】の記載である)・【図1】(本発明のコーヒードリップバッグの平面図(同図(a))及び使用状態の説明図(同図(b),(c))である。)(a)(b)(c)・ 【図2】(本発明のドリップバッグに使用する掛止部材の平面図)【図3】(本発明のドリップバッグに使用する掛止部材の平面図)・・ 【図4】(本発明のドリップバッグに使用する掛止部材の平面図)・ 【図5】(本発明のコーヒードリップバッグの使用状態の説明図)・【図6】(本発明のドリップバッグに使用する掛止部材の平面図)・【図7】(本発明のコーヒードリップバッグの使用状態の説明図))・【図8】(本発明のドリップバッグに使用する掛止部材の平面図(イ)上記(ア)によれば,本件特許発明は,カップ等の容器の上部に掛止しドリップ式コーヒーをいれるドリップバッグに関するものであるところ(段落【0001】),従来知られた使い捨てのワンドリップコーヒー(ドリップバッグ)につき,ドリッパー(明細書に定義はないが抽出するコーヒー粉末を入れたものと解される)をカップの上に載置するカップオン方式と,ドリッパーに取り付けられている掛止部をカップの壁に引っかけるカップイン方式が知られていたところ(段落【0003】・【0004】),それぞれに長所,短所が存した。そこで本件特許発明は,カップオン方式の有する長所であるコーヒーの美味・セットや注湯のしやすさ・セット後の形状の安定と,カップイン方式の長所である簡略な構成・抽出後の廃棄が容易で安全である新たなドリップバッグを提供することを目的とする(段落【0009】・【0010】)。
そのため,本件特許発明のドリップバッグは,上端部に開口部を有する袋本体,薄板状材料,袋本体の対向する外表面に設けられる掛止部材とからなる。そして,上記掛止部材は,?周縁側に形成される周縁部と,?周縁部の内側にあり袋本体から引き起こし可能に形成されるアーム部と,?アーム部の内側に形成される舌片部とからなる。そして,周縁部とアーム部,アーム部と舌片部は,それぞれ端部で連続しており,周縁部又は舌片部のいずれかが袋本体に貼着される(【請求項1】)。
本件特許発明の舌片部には,本件明細書には特段その意味を定義する記載はないところ,舌片部に関し,発明の詳細な説明の【課題を解決するための手段】には,「…周縁部が袋本体の外表面に貼着されている場合には,アーム部と共に舌片部を引き起こしてカップ側壁にかけることが可能となる。この場合,袋本体は,アーム部によって対向する2面からそれぞれ外向きに互いに反対方向に引っ張られ,袋本体の上端部の開口部が大きく広げられた状態で,カップの中央上部に吊されることとなる。また,カップ側壁は周縁部又は舌片部とアーム部とで挟まれ,かつカップ側壁の外面は周縁部又は舌片部で押さえつけられるので,ドリップバッグは極めて安定した状態でコップの上部に固定される。」(段落【0014】)と記載されている。そうすると,周縁部が袋本体に貼着された場合には,舌片部はカップ側壁にかけられるものであることが明らかである。
以上によれば,本件特許発明の舌片部は,周縁部と連続しその内側に形成されるアーム部の,さらにその内側に形成されるものであり,アーム部が周縁部と連続する端のもう一方のアーム部の端と連続しており,袋本体にも貼着し得るとともに,周縁部を袋本体に貼着した場合にはアーム部と共に引き起こしてカップ側壁にかけることが可能な部材をいい,用語の通常の意味からして,原判決も判示するとおり(21頁1行〜3行),「舌のかけら」様の形状を有するものであることが明らかである。
そして,本件明細書のその余の記載も上記解釈を裏付けるものである。すなわち,舌片部に関し,実施例(【発明の実施の形態】)には,「…舌片部6(図1((a)中ドットで塗りつぶした部分)…」(段落【0023】)として,図1には下部でアーム部と連続した舌のかけら様の形状の舌片部がドットで塗りつぶされて示されている。また,「図2は…外側切込線L1により周縁部4とアーム部5とが区切られ,また,内側切込線L2によってアーム部5と舌片部6とが区切られている。」(段落【0024】)として,図2にアーム部5の内側に切込線L2により形成された舌のかけら様の形状の舌片部6が示されている。
さらに,「本発明において,掛止部材の形態は,種々の態様をとることができる。」(段落【0033】)とする実施例においても,図3(舌片部を大きめに形成する〔段落【0034】〕とされた例),図4(舌辺部が掛止部材の両側辺に略沿った内側切込線でアーム部と区切られ,舌片部を引き起こし可能とする〔段落【0036】〕例),図5(舌片部を引き起こしてカップ側壁にかけ〔段落【0038】〕,舌片部でカップ側壁を押さえつける〔段落【0039】例),図6・7(周縁部と舌片部が下側切込線L4で区切られた例〔段落【0040】・【0041】〕),図8(舌片部6は図8に示されているが,前記のとおり図8を説明する段落【0042】には舌片部に言及する記載はない)のいずれにおいても,周縁部と連続して内側に形成されるアーム部のさらにその内側に位置し,アーム部の端と連続し,先端の角部分が丸みを帯びた舌のかけら様の形状を有する舌片部が示されているということができる。
(ウ) 被告製品1の構成要件Bの充足性本件特許発明構成要件B(原判決記載のとおり)にいう「舌片部」の意味については,上記(イ)のとおり,周縁部と連続しその内側に形成されるアーム部の,さらにその内側に形成されるものであり,アーム部が周縁部と連続する端のもう一方のアーム部の端と連続しており,袋本体にも貼着し得るとともに,周縁部を袋本体に貼着した場合にはアーム部と共に引き起こしてカップ側壁にかけることが可能な部材で,「舌のかけら」様の形状を有する部材をいうものである。
これを被告製品1についてみると,被告製品1の掛止部材の構成は原判決別紙被告製品目録の図面記載のとおりである(当事者間に争いがない)。これによれば,被告製品1のA部分6’と補強片9’とは一体として形成されており,仮に周縁部に比すべき把手部?4’を袋本体に貼着した場合には,引き起こしてカップ側壁にかけることが可能な部材とはなっていない。加えて,被告製品1のA部分6’は袋本体の上端部方向に伸びる形で補強片9’と一体となっており,本件特許発明のアーム部に比すべき把手部?5’の内側に形成されているともいえない。さらに,被告製品1のA部分6’の形状は,アーム部に比すべき把手部?5’と連続する部分から上部に向けて徐々に幅が狭くなり補強片9’と連続する部分付近ではかなり細く尖った形状となっていることから,これが舌のかけら様のものであるということもできない。
そうすると,被告製品1は本件特許発明における「舌片部」を備えるものとはいえず,本件特許発明構成要件B(B?)を充足しないといえるほか,構成要件D,同Eに記載された「舌片部」に関してもその要件を充足しないことになる。
イ 控訴人の主張に対する補足的判断(ア)控訴人は,被告製品1のA部分6’と補強片9’とが連続する部分には接着剤が塗布されていないから一体的には貼着されておらず,またA部分6’は補強片9’とは異なる機能も有するから補強片9’とは独立した部材であり,A部分6’は本件特許発明の舌片部に該当し,これに反する原判決の認定は誤りであると主張する。
被告製品1の掛止部材は相応の厚みを有し剛性もある板紙からなり,袋本体にA部分6’及び補強片9’において貼着されているところ(弁論の全趣旨),被告製品1の掛止部材のA部分6’と補強片9’とが連続する部分の一部に袋本体に貼着されていない部分があるとしても,掛止部材が相応の厚みを有して剛性もあることから,A部分6’と補強片9’が貼着されている以上,A部分6’と補強片9’は一体的に袋本体に貼着されているということができる。原判決が「…被告製品のA部分6’と補強片9’(保持部分)とは構造的に連続しているだけではなく,…袋本体2’に一体的に貼着されている…」(29頁8行〜10行),「…A部分6’を補強片9’から構造上分断し,本件特許発明の舌片部ということはできないというべきである。」(28頁17行〜19行)とした認定・判断に誤りはない。
また,被告製品1のA部分6’と補強片9’との機能についてみると,被告製品1のA部分6’と補強片9’とは連続していることから,把手部?4’を把手部?5’と共に引き起こして把手部?4’をカップ側壁にかけた場合,対向する2面の掛止部材のA部分6’と補強片9’とは外向きの反対方向に引っ張られることから,共に袋本体の矩形面2’a,2’bが撓むのを防止して袋本体2’の開口部8’の開口形状を良好に維持するとの同一の機能を果たすことが明らかである。そうすると,A部分6’と補強片9’とを機能的に切り離して捉えることはできない。
原判決の認定に誤りはなく,控訴人の上記主張は採用することができない。
(イ)また控訴人は,本件特許発明では,被告製品1の掛止部材のように舌片部と補強片とを連続させることを排除していないし,本件明細書の【図4】記載の実施例を上下逆さまにして補強片を備え,舌片部の上端と補強片をわざわざ切り離す必要もないことからこれを連続させれば被告製品1となるとも主張する。
しかし,本件特許において,補強片は,請求項3に記載されているところ,その内容及び請求項3が引用する請求項2の特許請求の範囲の記載は,前記のとおりである。そして,本件明細書の発明の詳細な説明には,補強片に関し「…周縁部4の外周部には,第3の切込線L3で周縁部4と区切られている補強片9が形成されており…」(段落【0025】)と記載され,補強片が貼着された実施例を示す図2においても,補強片9は切込線L3で周縁部4と区切られ,切込線L1〜L3で周縁部4・アーム部5・舌片部6も一端のみで連続するほかはそれぞれ別々に区切られている。また,図1においても補強片は周縁部4・アーム部5・舌片部6とは切り離された部材として記載されている。これらによれば,本件特許発明において,舌片部と補強片とは別々の部材として記載され,これを一体とすることについては何らの示唆もされていないということができる。また,本件明細書の【図4】の実施例を上下逆さまにして補強片を備え,舌片部の上端と補強片をわざわざ切り離す必要もないから,連続させるとの点は,本件明細書に何ら示唆されているものでもない。控訴人の上記主張は採用することができない。
(ウ)さらに控訴人は,舌片部につきその形状は不問にすべきであると主張する。
しかし,本件特許発明〔請求項1〕の特許請求の範囲には明確に「舌片部」と記載され,本件明細書中に特段これを定義する記載もないものであるから,その形状は当然その通常の用語の意味により解すべきである。そして,「片」については広辞苑(新村出編,2008年1月11日第6版第1刷発行,2541頁)に「?ひときれ。きれはし。…」と記載されており,舌片部につき舌のかけら様の形状と解することに誤りはない。控訴人の上記主張は採用することができない。
(エ)さらに控訴人は,甲13の1〜5(財団法人日本化学繊維検査協会大阪分析センターが平成21年10月16日に作成した「試験報告書」)を提出し,被告製品1におけるA部分6’と補強片9’とを分離してもこれを一体とした場合と機能的に異なるものではないから,被告製品1のA部分6’は舌片部に該当すると主張する。
甲13の1〜5を基にした控訴人の上記主張は,被告製品1(甲13の1)と,被告製品1のA部分6’と補強片9’とを切り離し分離した物(甲13の2)とで,開口状態が全くといってよいほど同じでほとんど変化がない,被告製品1の補強片9’を除去した物(甲13の3),被告製品1のA部分6’を除去したもの(甲13の4),被告製品1の補強片9’及びA部分6’を除去したもの(甲13の5)とを比較すると,補強片9’はあるがA部分6’が除去されても袋本体が開口していることから,被告製品1においては把手部?5’の下端が袋本体に貼着していることにより開口が生じ,補強片9’には袋本体を反対方向に大きく引っ張る機能はない,とするものである。
しかし,甲13の1〜5の実験は,いずれも上部面積がそれほどドリップバッグの開口部の面積と異ならない特定のカップを用いて注湯前の袋本体の開口部の長さ・幅・面積を測定したものであるところ,ドリップバッグの開口部の長さ・面積等は,用いるカップの大きさや,開口する際の力の入れ具合等によってもその状況には差異が生じうることが明らかである上,実際の使用に際しては袋本体に熱湯が注がれるものであるから,開口状況はこれにより大きく変化するものと容易に推認される。そうすると,甲13の1〜5の実験結果から,必ずしも,被告製品1においてA部分6’と補強片9’を切り離しても機能に差がなく,補強片9’に袋本体を引っ張る機能がないということはできないから,控訴人の上記主張は採用することができない。
(2) 均等侵害の成否(控訴人の主張(2))控訴人は,仮に被告製品が本件特許発明の舌片部を備えないとしても,A部分6’と補強片9’との一体構造を有する被告製品1は本件特許発明均等物であると主張するので,以下検討する。
ア 時機に遅れた攻撃方法該当性の有無被控訴人は,当審における均等侵害の主張の追加は時機に遅れており,却下されるべきであると主張する。
本件記録によれば,控訴人による均等侵害の主張は,平成21年8月31日付けの控訴理由書においてなされたものであることが認められるが,その後特段の証拠調べをすることなく,平成21年12月17日に口頭弁論が終結されたことが認められる。このような本件訴訟の審理経緯に鑑みると,「これにより訴訟の完結を遅延させることとなる」(民訴法157条1項)とまでいうことはできないというべきであり,被控訴人の上記主張は採用することができない。
均等侵害についての検討(ア)明細書の特許請求の範囲に記載された構成中に他人が製造する対象製品と異なる部分が存する場合であっても,?該部分が特許発明の本質的部分ではなく,?該部分を対象製品等におけるものと置き換えても特許発明の目的を達することができ同一の作用効果を奏するものであって,?このように置き換えることに当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,?対象製品特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,?対象製品が特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,該製品は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明技術的範囲に属するものと解される(最高裁第三小法廷平成10年2月24日判決・民集52巻1号113頁参照)。
そこで,以上の観点に立って本件事案につき検討する。
(イ) 本質的部分(上記?の観点)について控訴人は,被告製品1と本件特許発明とでは,被告製品1の掛止部材において,本件特許発明のアーム部に該当する把手部?5’の下端において連続する部材が,補強片と連続しない舌状のかけら部材ではなく,舌状の部材(A部分6’)とその舌状の部材の上端において連続した逆U字形の最外周の縁(補強片9’)との一体構造体であって,かかる一体構造体が把手部?5’の内側のみに形成されているとはいえない点が構成の異なる部分であると主張する。
なるほど控訴人の主張は,被告製品1においては,A部分6’と補強片9’とが一体構造となっており,本件特許発明の「舌片部」を備えるものでないこと,及び,この一体構造がアーム部に相当する把手部?5’の内側のみにあるとはいえないこと,すなわち舌片部がアーム部の内側にあるとはいえないこと,との2つの相違点があることを前提として,これら構成が均等である旨主張するものと解される。
これにつき検討すると,構成の異なる部分が発明の本質的部分であるとは,発明の課題解決のための特徴的な部分をいうと解されるところ,本件特許発明は,上記のとおり,既に知られたカップオン方式,カップイン方式のそれぞれの長所である,コーヒーの美味,セットや注湯のしやすさと簡略な構成・抽出後の廃棄が容易で安全なことの双方を達成しようとするものである。そのため本件特許発明のドリップバッグは,上端部に開口部を有する袋本体と薄板状材料からなる対向する外表面に設けられる掛止部材とからなり(簡略で廃棄が容易である),その掛止部材は,周縁側に形成される周縁部,周縁部の内側にあり袋本体から引き起こし可能に形成されるアーム部,アーム部の内側に形成される舌片部からなる。そして,周縁部とアーム部,アーム部と舌片部は,それぞれ端部で連続し,周縁部又は舌片部のいずれかが袋本体に貼着され,周縁部が袋本体に貼着された場合には舌片部がカップ側壁にかけられ,アーム部によって反対方向に引っ張られて袋本体の上端が開口しカップの中央上部に吊されることになる(コーヒーが美味でセット・注湯がしやすく安全である)ものである。
そうすると,本件特許発明において,周縁部を袋本体に貼着した場合には舌片部をアーム部と共に引き起こすことも可能であること,舌片部がアーム部の内側に形成されていることは,いずれも本件特許発明の本質的部分であるということができる。
そうすると,被告製品1においてA部分6’と補強片9’とが一体構造となっていて本件特許発明の舌片部を備えるものではなく,この一体構造がアーム部に相当する把手部?5’の内側のみにあるといえないとの相違点は,いずれも本件特許発明の本質的部分において相違するものである。
そうすると,その余の点について判断するまでもなく,均等侵害についての控訴人の主張は理由がないことになる。
(ウ) 控訴人の主張に対する補足的判断控訴人は,甲14(弁理士A作成の「調査報告書」)を提出し,本件特許発明における袋本体の対向する2面を外向き反対方向に引っ張りつつカップに掛止させるタイプの発明としてはパイオニアであり,被告製品1はかかるパイオニア発明である本件特許発明を利用するものにすぎず,特許権侵害と評価すべきであると主張する。
甲14は,本件特許出願前の出願に係る関連特許,実用新案581件を調査したところ,本件特許発明における袋本体の対向する2面を外向き反対方向に引っ張りつつカップに掛止させるタイプの物は皆無である等とするものである。本件特許発明が,その特許請求の範囲記載のとおりの構成を有するものとして新規性進歩性が認められて特許査定がされ,優れた発明であることは控訴人主張のとおりであるが,被告製品1との関係で均等侵害が成立しないことについては上記(ア)(イ)で検討したとおりであり,控訴人の上記主張は採用することができない。
2 被告製品2の製造販売差止等請求について控訴人は,当審に至り,被控訴人が販売する別紙被告製品目録2記載のドリップバッグ製造用シート(被告製品2)の製造,販売,販売のための展示の差止め及び廃棄を求める請求を追加したので,以下この点について判断する。
「被告製品の販売形態」と題する書面(乙3)によれば,被控訴人が販売する製品にはロール状のもの(被告製品2)と個別フィルターのもの(被告製品1)の2種類があるところ,ロール状のものはフィルターの左右2列に等間隔で掛止部材を貼着し,これをロール状に巻いて被控訴人の客先に出荷する,これは客先でコーヒー充填専用設備に掛けられ,平行に並ぶ2個の掛止部材からなるフィルター部を一セットとしてカットし,中央で折ってシール(底部を貼り付ける)してコーヒー豆粉を充填した後,個包装されて一般販売されるものであり,被控訴人において主として販売しているのはこのドリップバッグ製造用シート(被告製品2)であることが認められる。
このドリップバッグ製造用シート(被告製品2)には,被告製品1と同一の掛止部材が貼着されているところ,この掛止部材のA部分6’と補強片9’との一体構造は,本件特許発明の舌片部に相当するものではなく,本件特許発明技術的範囲に属するものでないことについては既に検討したとおりである。
そうすると,ドリップバッグ製造用シート(被告製品2)は,本件特許発明に係る「その物の生産にのみ用いる物」(特許法101条1号)・「その物の生産に用いる物」(同2号)ということはできないから,控訴人の被告製品2の製造販売差止等請求も理由がない。
3 結論以上によれば,控訴人の被控訴人に対する被告製品1及び2の各製造販売差止等を求める本訴請求はいずれも理由がなく棄却すべきである。
そうすると,被告製品1の製造販売差止等につき請求を棄却した原判決は相当であるから本件控訴は理由がなく,また当審において追加された被告製品2の製造販売差止等の請求も理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
(別紙)被告製品目録1以下の構成からなるドリップバッグa?袋本体は,上端部に開口部を有しており,通水性濾過性シート材料である不織布からなる。
?薄板状の紙材料からなる掛止部材が,袋本体の対向する2つの矩形面の外表面に設けられている。
b上記掛止部材は,?その周縁側(外側)に形成されている把手部?と,?上記把手部?の内側にあって,袋本体から引き起こし可能に形成されている把手部?と,?把手部?の内側に形成されているA部分からなる。
c上記掛止部材にあっては,把手部?の上端において把手部?と把手部?とが連続している。
dまた,上記掛止部材にあっては,把手部?の下端で把手部?とA部分とが連続している。
e上記A部分は,袋本体の外表面に貼着されている。
f補強片は上部の縁においてA部分と連続している。
(別紙)被告製品目録2下図の構成からなるドリップバッグ製造用シート3’:掛止部材4’:周縁部5’:アーム部6’:舌片部7’:ミシン目9’:補強片30':ドリップバッグ製造用シート31’:通水性濾過性シートドリップバッグ製造用シート30’は,長尺帯状の通水濾過性シート31’に,左右一対の掛止部材3’を一定間隔で通水濾過性シート31’の長手方向に列設したものからなる。左右一対の掛止部材3’は,それぞれドリップバッグ1’において開口部側となる辺を通水濾過性シート31’の側辺に向けている。
各掛止部材3’は,別紙被告製品目録1のとおり,薄板状の紙材料からなり,周縁部4’とアーム部5’と舌片部(A部分)6’を有する。また,各掛止部材3’の外側には,補強片9’が設けられている。各掛止部材3’と補強片9’は,図中,左上のハッチングで示した部分で通水濾過性シート10’と貼着している。
なお,通水濾過性シート10’の左右両側辺近傍には,ミシン目7’が設けられている。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 今井弘晃
裁判官 真辺朋子
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