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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19ネ10089特許権侵害行為差止等請求控訴事件 判例 特許
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平成20ネ10077損害賠償請求控訴事件 判例 特許
平成19ネ10084損害賠償請求控訴事件 判例 特許
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事件 平成 19年 (ネ) 10089号 特許権侵害行為差止等請求控訴事件
控訴人 日立化成工業株式会社
訴訟代理人弁護士 吉原省三
同小松勉
同三輪拓也
同上田敏成
補佐人弁理士 三好秀和
同豊岡静男
同高久浩一郎
同原裕子 住友金属鉱山パッケージマテリアルズ株式会社承継人
被控訴人 住友金属鉱山株式会社
訴訟代理人弁護士 中川康生
同山川博光
訴訟代理人弁理士 伊東忠彦
同 佐々木定雄
同大貫進介
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/02/18
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,別紙1「被告物件目録」記載の物件を製造,販売してはならない。
3 被控訴人は,前項の物件を廃棄せよ。
4 被控訴人は,控訴人に対し,金4000万円及びこれに対する平成18年2月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は,第1,第2審とも被控訴人の負担とする。
6 仮執行宣言
事案の概要等
1 事案の概要控訴人(原審原告。以下「原告」という )は,被控訴人の被承継人である 。
住友金属鉱山パッケージマテリアルズ株式会社(原審被告。以下「被告」という )に対して,被告の製造販売する半導体素子搭載用基板が原告の有する特 。
許権に係る特許発明技術的範囲に属すると主張し,特許権に基づいてその製造,販売の差止め及び廃棄を求めるとともに,特許権侵害による不法行為に基づいて損害賠償4000万円及びこれに対する不法行為の後である平成18年2月2日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
原審において,被告は,被告の製造販売する半導体素子搭載用基板が原告の特許権に係る特許発明技術的範囲に属することを争うとともに,原告の特許は無効審判により無効にされるべきものであり,さらに,原告による特許の訂正が認められると仮定しても,訂正により無効事由は解消されず,原告は特許法104条の3第1項の規定により特許権を行使することができないと主張した。
原判決は,被告の製造販売する半導体素子搭載用基板が原告の特許権に係る特許発明技術的範囲に属すると判断したが,原告の特許は無効審判により無,, 効にされるべきものであり 原告による特許の訂正が認められると仮定しても訂正により無効事由は解消されず,原告は特許法104条の3第1項の規定により特許権を行使することができないと判断し,原告の請求をいずれも棄却した。
そこで,原告は,原判決を不服として本件控訴を提起した。
なお,被控訴人は,控訴審の口頭弁論終結後である平成20年11月1日,被告を吸収合併し,同月14日,その旨の登記がされた。
(本判決の構成は,別紙9「控訴審判決もくじ」のとおりである )。
2 前提となる事実(認定の根拠となる証拠等を示した部分以外は,当事者間に争いがない )。
・当事者原告は,エレクトロニクス関連製品及び工業材料関連製品等の製造,販売を業とする株式会社である。
被告は,電子機器用部品の製造,販売等を業とする株式会社である。
・ 原告の特許権,(「」 , 原告は 次の各特許権を有する 次のア記載の特許権を 本件特許権1イ記載の特許権を「本件特許権2 ,ウ記載の特許権を「本件特許権3」と 」いい,本件特許権1ないし3を包括して「本件各特許権」という 。。)ア 本件特許権1特許番号 特許第3413413号出願番号 特願2002-137359号分 割 の 表 示 特願2001-237791号の分割出 願 日 平成7年3月17日公開番号 特開2002-334948号公 開 日 平成14年11月22日審 査 請 求 日 平成14年6月10日優先権主張番号 特願平6-48760号優 先 日 平成6年3月18日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平6-273469号優 先 日 平成6年11月8日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平7-7683号優 先 日 平成7年1月20日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平7-56202号優 先 日 平成7年3月15日優先権主張国 日本登 録 日 平成15年3月28日発 明 の 名 称 半導体素子搭載用基板及びその製造方法請 求 項 の 数 9(平成14年10月28日付け手続補正書(乙12)による補正後)イ 本件特許権2特許番号 特許第3413191号出願番号 特願2002-137361号分 割 の 表 示 特願2001-237791号の分割出 願 日 平成7年3月17日公開番号 特開2002-334950号公 開 日 平成14年11月22日審 査 請 求 日 平成14年6月10日優先権主張番号 特願平6-48760号優 先 日 平成6年3月18日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平6-273469号優 先 日 平成6年11月8日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平7-7683号優 先 日 平成7年1月20日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平7-56202号優 先 日 平成7年3月15日優先権主張国 日本登 録 日 平成15年3月28日発 明 の 名 称 半導体パッケージの製造法及び半導体パッケージ請 求 項 の 数 8(平成14年10月28日付け手続補正書(乙20)による補正後)ウ 本件特許権3特許番号 特許第3352084号出願番号 特願2002-137362号分 割 の 表 示 特願2001-237791号の分割出 願 日 平成7年3月17日公開番号 特開2002-334951号公 開 日 平成14年11月22日審 査 請 求 日 平成14年6月10日優先権主張番号 特願平6-48760号優 先 日 平成6年3月18日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平6-273469号優 先 日 平成6年11月8日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平7-7683号優 先 日 平成7年1月20日優先権主張国 日本優先権主張番号 特願平7-56202号優 先 日 平成7年3月15日優先権主張国 日本登 録 日 平成14年9月20日発 明 の 名 称 半導体素子搭載用基板及び半導体パッケージ(() 請 求 項 の 数 8 平成14年6月10日付け手続補正書 乙22による補正後)・ 原告の特許発明ア 本件発明1本件特許権1の特許出願の願書に添付した明細書(平成14年10月28日付け手続補正書(乙12)による手続補正後のもの。以下,図面とともに「本件明細書1」という )の特許請求の範囲の請求項6の記載は次 。
のとおりである(以下,同請求項6に記載された発明を「本件発明1」という 。。)「絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを含む所定の配線パターンを備え,上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ,同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されていることを特徴とする半導体素子搭載用基板 」。
イ 本件発明2本件特許権2の特許出願の願書に添付した明細書(平成14年10月28日付け手続補正書(乙20)による手続補正後のもの。以下,図面とともに「本件明細書2」という )の特許請求の範囲の請求項1の記載は次 。
のとおりである(以下,同請求項1に記載された発明を「本件発明2」という 。。)「それぞれ半導体素子を搭載するための,複数個の半導体素子実装基板部と,上記半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と,位置合わせマーク部とを備え,上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え,上記連結部は導電層を有することを特徴とする半導体素子実装用基板 」。
ウ 本件発明3本件特許権3の特許出願の願書に添付した明細書(平成14年6月10日付け手続補正書(乙22)による手続補正後のもの。以下,図面とともに「本件明細書3」といい,本件明細書1ないし3を包括して「本件各明細書」という )の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである 。
(以下,同請求項1に記載された発明を「本件発明3」といい,本件発明1ないし3を包括して「本件各発明」という 。。)「絶縁性支持体と,その片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み,上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用基板 」。
・ 本件各発明の構成要件の分説本件発明1の構成要件を分説すると,次のとおりである(構成要件は,アないしオの記号をもって特定する 。。)ア 絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,イ 半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,ウ 上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを含む所定の配線パターンを備え,エ 上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ,オ 同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されていることを特徴とする半導体素子搭載用基板。
本件発明2の構成要件を分説すると,次のとおりである(構成要件は,サ?Tないし?V,シ,スの記号をもって特定する 。。)サ?T それぞれ半導体素子を搭載するための,複数個の半導体素子実装基板部と,サ?U 上記半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と,サ?V 位置合わせマーク部とを備え,シ 上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え,ス 上記連結部は導電層を有することを特徴とする半導体素子実装用基板。
本件発明3の構成要件を分説すると,次のとおりである(構成要件は,ナないしネの記号をもって特定する 。。)ナ 絶縁性支持体と,その片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,ニ 半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,ヌ 上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み,ネ 上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用基板。
・ 被告の行為被告は,別紙1「被告物件目録」記載の半導体素子搭載用基板(半導体素子実装用基板,以下「被告製品」という )を業として製造,販売している 。
(別紙1「被告物件目録」添付図面,別紙2「被告製品構造説明図」は,被告製品の一例であるが,被告製品の構成部分の位置関係は,これらが示すとおりである 。。)・ 被告製品の構成被告製品の構成は,次のとおりである(以下,被告製品の構成は,A,B?@ないし?B,C,D,F等の記号をもって特定する。被告製品が,その他 'の構成(構成E )を備えるか否かについては,後記3・〔本判決20頁〕 ’のとおり争いがある。また,原告主張に係る,被告製品を訂正後の発明と対比するための被告製品の特定は,後記第3,13・ア〔本判決106頁〕のとおりである。なお,別紙2「被告製品構造説明図」には,被告製品の構成の一例が示されているので,各構成に該当する番号を示す )。
A 被告製品は,絶縁性フィルム状支持体1と,その片面に形成された配線部2を有し,複数の配線パターン部Pがマトリクス状に配置される (別。
紙2「被告製品構造説明図」第4図-1ないし3参照)B それぞれの配線パターン部P内の配線部2は,少なくとも,?@ランド部21,?Aワイヤボンディング接続端子22,?B配線23を備える (別紙。
2「被告製品構造説明図」第1図-1,第2図,第3図参照)?@ ランド部21ランド部21の下面に位置する部分に,ランド部21に達する開口部11が設けられ,ハンダボール等で外部と接続する。
?A ワイヤボンディング接続端子22ワイヤ3によって,半導体素子と配線部2とを接続する。
?B 配線23ランド部21とワイヤボンディング接続端子22とを接続する。
C 被告製品の半導体素子搭載用基板は,絶縁性フィルム状支持体1の上に同一形状の配線パターン部Pが多数並び,各配線パターン部Pは連結部8,, , によって連結され この連結部8は 各配線パターン部Pを連結するほか目印10及び導電部6を設け,導電部6は,給電部9を介して配線部2と接続する (別紙2「被告製品構造説明図」第4図-1ないし3参照) 。
D 絶縁性フィルム状支持体1の両側には,絶縁性フィルム状支持体1を定量送りするために用いられるスプロケットホール7が設けられる (別紙。
2「被告製品構造説明図」第4図-2・3参照)F 複数の配線パターン部Pがマトリクス状に配置された所定の箇所に目 '印10が位置する。
・ 本件各発明の構成要件充足性被告製品は,本件各発明の次の構成要件を充足する (争いがない) 。
ア 被告製品は,本件発明1の構成要件ア及びウを充足する。
イ 被告製品は,本件発明2の構成要件サ?T,サ?U及びスを充足する。
ウ 被告製品は,本件発明3の構成要件ナ及びネを充足する。
・ 事前の交渉等原告と被告は,平成16年10月15日ころから平成17年11月28日,, ころまでの間 被告製品による本件各特許権の侵害の有無等について交渉し協議を重ねたものの,最終的に交渉は決裂した。原告は,平成18年1月24日,本件訴えを提起した (弁論の全趣旨,顕著な事実) 。
・ 本件各特許権の出願の経緯,, , 本件各特許権の出願の経緯は 次のとおりであり これを模式的に表すと別紙3「表1 本件各特許権の成立経過 ,別紙4「表2 特許第3337 」467号を親とする特許の出願審査状況」のとおりである。
ア 親出願等の経緯・ 原告は,平成7年3月17日,特許出願をした(特願平7-524537号 この特許出願については特許査定及び設定登録がされた 特 )。, (許第3247384号 。原告は,上記特許出願について,次の優先権 )主張を行っている。
a 優先権主張番号 特願平6-48760号優 先 日 平成6年3月18日優先権主張国 日本b 優先権主張番号 特願平6-273469号優 先 日 平成6年11月8日優先権主張国 日本c 優先権主張番号 特願平7-7683号優 先 日 平成7年1月20日優先権主張国 日本d 優先権主張番号 特願平7-56202号優 先 日 平成7年3月15日優先権主張国 日本・ 原告は,前記・〔本判決12頁〕の特許出願(特願平7-524537号)の分割出願として新たな特許出願をした(特願2001-237791号。後記イ〔本判決12頁〕のとおり,この出願の再度の分割出願として,本件各特許権の出願が行われた 。この特許出願(特願2 。)001-237791号)については,特許査定及び設定登録がされた(特許第3337467号 。)イ 本件各特許出願と手続補正原告は,前記ア・〔本判決12頁〕の特許出願(特願2001-237791号)の分割出願として四つの新たな特許出願をした(特願2002-137359号,特願2002-137361号,特願2002-137362号,特願2002-137360号 。これらの特許出願につい )ては,特許査定及び設定登録がされた(特願2002-137359号については特許第3413413号〔本件特許権1 ,特願2002-13 〕7361号については特許第3413191号〔本件特許権2 ,特願2 〕002-137362号については特許第3352084号〔本件特許権3 ,特願2002-137360号については特許第3352083 〕号。)本件各特許権については,平成14年6月10日付け手続補正書(本件特許権1につき乙9,本件特許権2につき乙17,本件特許権3につき乙22)による手続補正が行われ,さらに,本件特許権1,2については,同年10月28日付け手続補正書(本件特許権1につき乙12,本件特許権2につき乙20)による手続補正が行われた。
ウ 本件特許権1の特許出願の分割出願(), 本件特許権1の特許出願 出願2002-137359号 については更に分割出願が行われた(別紙4「表2 特許第3337467号を親とする特許の出願審査状況 。」)エ 本件各発明等の新規性,進歩性の判断の基準日後記3・〔本判決22頁〕のとおり,本件各発明の新規性,進歩性の有無については争いがあり,また,後記3・〔本判決22頁〕のとおり,本件各特許権について訂正が行われたと仮定した場合(本件各特許権について訂正が行われたと仮定した場合の訂正後の各発明を,以下「本件各訂正発明」という )の無効事由の解消の有無については争いがあるところ, 。
それらの争点において新規性,進歩性が問題とされる本件各発明の構成要件の記載事項及び本件各訂正発明の記載事項は,前記ア・d〔本判決12頁〕の特願平7-56202号の願書に添付した明細書及び図面において初めて開示された事項であるから,これらの争点における新規性,進歩性の判断の基準日は,前記ア・d〔本判決12頁〕の特願平7-56202号の出願日である平成7年3月15日である (弁論の全趣旨) 。
・ 訂正請求の経緯ア 無効審判請求と第1次審決取消訴訟被告は 平成18年7月31日 本件特許権1の請求項6に係る発明 本 ,, (件発明1)の特許についての無効審判(無効2006-80142号事件 ,本件特許権2の請求項1に係る発明(本件発明2)の特許について )の無効審判(無効2006-80141号事件 ,本件特許権3の請求項 )1に係る発明(本件発明3)についての特許の無効審判(無効2006-80140号事件)を請求した。
特許庁は,平成19年1月22日,上記各無効審判請求に係る特許をいずれも無効とする旨の各審決(乙39ないし41)をした。
原告は,平成19年2月28日,上記各審決につき知的財産高等裁判所(以下「知財高裁」という )に審決取消訴訟を提起した(知財高裁平成 。
19年(行ケ)第10085号ないし第10087号事件 。)イ 訂正審判請求と差戻決定・ 原告は,平成19年4月2日,本件各明細書の訂正をすることにつき() ,, それぞれ訂正審判請求を行ったが 甲8ないし10 同年6月12日これらの各訂正審判請求を取り下げた。
・ 原告は,平成19年5月28日,本件各明細書の訂正をすることにつきそれぞれ再度の訂正審判請求を行った(甲11ないし13 。)・ 知財高裁は,平成19年7月20日,事件を審判官に差し戻すため,前記ア〔本判決14頁〕の各審決を取り消す旨の決定(特許法181条2項)をした。
ウ 訂正請求と訂正審判のみなし取下げ原告は,差戻し後の無効審判において,平成19年8月6日,本件各明細書につきそれぞれ訂正請求を行い,前記イ・〔本判決14頁〕の各訂正審判請求はいずれも取り下げられたものとみなされた(特許法134条の。, 「 」 , 3第4項 以下 本件特許権1の上記訂正請求に係る訂正を 本件訂正1本件特許権2の上記訂正請求に係る訂正を「本件訂正2 ,本件特許権3 」の上記訂正請求に係る訂正を「本件訂正3」といい,本件訂正1ないし3を包括して「本件各訂正」という 。。)・ 訂正の内容ア 本件訂正1本件訂正1は,本件特許権1の請求項のうち,無効審判請求されている請求項6の他,請求項8(請求項6及び7を引用する。訂正後は項番号の繰り上げにより請求項7となる,請求項9(請求項6ないし8を引用 。)する。訂正後は項番号の繰り上げにより請求項8となる )についても訂 。
正を行うものであった。
本件訂正1は,本件特許権1の請求項6(本件発明1)については,次のとおり訂正することを内容としていた(下線部の箇所は,訂正により変。, 「 」 。 )。 更された部分である 以下 訂正後の発明を 本件訂正発明1 という「 , 絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,上記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しており,上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ,同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列され上記複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており,同一の上記ブロックが複数個設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用基板 」。
イ 本件訂正2本件訂正2は,本件特許権2の請求項のうち,無効審判請求されている請求項1の他,請求項2,3(いずれも請求項1を引用する )について 。
も訂正を行うものであった。
本件訂正2は,本件特許権2の請求項1(本件発明2)については,次のとおり訂正することを内容としていた(下線部の箇所は,訂正により変。, 「 」 。 )。 更された部分である 以下 訂正後の発明を 本件訂正発明2 という「それぞれ半導体素子を搭載するための,複数個の半導体素子実装基板部と,上記半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と,位置合わせマーク部とを備え,上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられる外部接続端子とを含む配線並びに絶縁性支持体を備え,上記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部として備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しており,上記連結部は導電層を有することを特徴とする半導体素子実装用基板」。
ウ 本件訂正3本件訂正3は,本件特許権3の請求項のうち,無効審判請求されている請求項1の他,請求項2ないし8(いずれも請求項1を直接又は間接に引用する )についても訂正を行うものであった。 。
本件訂正3は,本件特許権3の請求項1(本件発明3)については,次のとおり訂正することを内容としていた(下線部の箇所は,訂正により変。, 「 」 。 )。 更された部分である 以下 訂正後の発明を 本件訂正発明3 という「絶縁性支持体と,その片面のみに形成される複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,上記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成される外部接続端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出していることを特徴とする半導体素子搭載用基板 」。
・ 平成20年2月5日付け無効審決ア 本件特許権1特許庁は 平成20年2月5日 本件特許権1の請求項6に係る発明 本 ,, (件発明1)の特許についての無効審判請求(無効2006-80142号事件)について,同特許を無効とするとの審決を行った(甲28 。その)理由は,訂正後の特許請求の範囲の請求項7,請求項8に係る発明は,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件訂正1は特許法134条の2第5項において読み替えて準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条3項の規定に適合せず,本件訂正1は認められないとした上で (訂正,前の)本件発明1についての特許は特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり,特許法123条1項2号に該当するというものであった。
イ 本件特許権2特許庁は 平成20年2月5日 本件特許権2の請求項1に係る発明 本 ,, (件発明2)の特許についての無効審判請求(無効2006-80141号事件)について,同特許を無効とするとの審決を行った(甲29 。その)理由は,訂正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明は,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件訂正2は特許法134条の2第5項において読み替えて準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条3項の規定に適合せず,本件訂正2は認められないとした上で (訂正前の)本件 ,発明2についての特許は特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり,特許法123条1項2号に該当するというものであった。
ウ 本件特許権3特許庁は 平成20年2月5日 本件特許権3の請求項1に係る発明 本 ,, (件発明3)の特許についての無効審判請求(無効2006-80140号事件)について,同特許を無効とするとの審決を行った(甲30 。その)理由は,訂正後の特許請求の範囲の請求項2に係る発明は,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,本件訂正3は特許法134条の2第5項において読み替えて準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法126条3項の規定に適合せず,本件訂正3は認められないとした上で (訂正前の)本件 ,発明3についての特許は特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり,特許法123条1項2号に該当するというものであった。
・ 半導体素子搭載用基板の種類半導体素子搭載用基板には,外部接続端子が半導体素子搭載領域の外側のみに設けられている タイプ,外部接続端子が半導体素子搭載領域の Fan-outみに設けられている タイプ,外部接続端子が半導体素子搭載領域及び Fan-inその外側の両方に設けられているタイプのものがある。 Fan-in/out3 主要な争点・ 本件各発明の タイプへの限定の有無 Fan-in本件発明1の構成要件エ( 上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止 「用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ ,本件発明2の構成要件シ( 上記半導体素子実装基 ,」)「板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部,」),( 「, 接続端子とを含む配線を備え 本件発明3の構成要件ヌ 上記配線は上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み )は,,」外部接続端子が半導体素子搭載領域のみに設けられる タイプに限定 Fan-inFan-in/out Fan-in Fan-in/out し タイプを含まない趣旨か それとも タイプの他 ,,タイプをも含む趣旨か。
・ 被告製品における「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構成E)の 。'有無被告製品は 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ラン ,ド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(以下「構成E」 。 'という )を備えるか。 。
構成要件充足性ア 本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの充足性被告製品は,本件発明1の構成要件エ(上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ,本件発明2の構成要件シ(上記半 ,)導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え ,本件発明3の構 ,)成要件ヌ(上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み )を充足するか。 ,イ 被告製品の「スプロケットホール7 「目印10」の本件発明2の構 」,成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」への該当性(本件発明2の構成要件サ?Vの充足性)被告製品の「スプロケットホール7 「目印10」は,本件発明2の 」,構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」に該当し,被告製品は,本件発明2の構成要件サ?V(位置合わせマーク部とを備え )を充足するか。 ,ウ 本件発明1の構成要件イ,オの充足性被告製品は,本件発明1の構成要件イ(半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え ,構成要件オ(同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭 ,)載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されている)を充足するか。
エ 本件発明3の構成要件ニの充足性被告製品は,本件発明3の構成要件ニ(半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え )を充足するか。 ,・ 本件各発明の無効事由の有無ア 本件特許権1の無効事由の有無本件特許権1は,新規性又は進歩性の欠如のために特許無効審判により無効にされるべきものか。
イ 本件特許権2の無効事由の有無本件特許権2は,進歩性の欠如のために特許無効審判により無効にされるべきものか。
ウ 本件特許権3の無効事由の有無本件特許権3は,新規性又は進歩性の欠如のために特許無効審判により無効にされるべきものか。
・ 本件各訂正による無効事由の解消の成否ア 本件訂正1による本件特許権1の無効事由の解消の成否イ 本件訂正2による本件特許権2の無効事由の解消の成否ウ 本件訂正3による本件特許権3の無効事由の解消の成否・ 本件各訂正発明の構成要件充足性ア 本件訂正発明1の構成要件充足性イ 本件訂正発明2の構成要件充足性ウ 本件訂正発明3の構成要件充足性・ 損害の発生及びその額被告製品の製造,販売により,本件各特許権の侵害として,原告にいかなる損害が発生したか,その額はいくらか。
争点に関する当事者の主張
1 争点・(本件各発明の タイプへの限定の有無) Fan-in・ 原告の主張本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要Fan-in Fan-in Fan-in/out 件ヌは, タイプに限定する趣旨ではなく, タイプの他タイプをも含む趣旨である。以下,詳述する。
ア タイプを含むとする理由 Fan-in/out・ 半導体素子外側の外部接続端子の必要性半導体パッケージにおいて,半導体素子搭載用基板に必要とされる外部接続端子の数は,搭載する半導体素子の設計に応じて増減する。そして,半導体素子のサイズと外部接続端子の数,大きさ,ピッチとの関係で,半導体素子の下に外部接続端子が収まりきれない場合には,半導体素子の外側にも外部接続端子を設けて,必要な数の外部接続端子を確保することになる。
・ 半導体素子搭載用基板の各タイプの成立過程等小型の半導体パッケージにおいて, タイプ, タイプ, Fan-out Fan-inタイプは,同時に成立したものではなく,当初は,半導体素 Fan-in/out子搭載領域の外側に外部接続端子の設けられた タイプのみであ Fan-outった。 タイプの開発に係る技術的な課題は,半導体素子の下方の Fan-in配線が基材と素子との熱膨張率の差によって断線しやすいこと,外部接続端子の有無で生じた段差の近傍でダイボンディング材に気泡が発生しやすいこと,素子と配線とがショートする可能性のあること,従前のスルーホールの技術で外部接続端子を設けることが困難であったことにあり,これらの課題が克服されて タイプが登場した。原告が出願過 Fan-in程において タイプを例として半導体素子搭載用基板の説明を行っ Fan-inたのは,上記の技術の発展を踏まえたものであり,それは本件各発明をタイプに限定する趣旨ではなかった。本件各明細書も,上記の技 Fan-in術の発展を前提として記載されている。
そして,小型の半導体パッケージの集積度がますます高まった結果,外部接続端子を半導体素子搭載領域の内側に設けるだけでは足りず,そ,。 の外側にも設けたものが現れるに至り これが タイプである Fan-in/outタイプの半導体素子搭載領域の外側に外部接続端子を設けること Fan-inに,特別の技術的問題はないから, タイプは, タイプに Fan-in/out Fan-in公知の タイプを組み合わせたものにすぎない。実際に,本件各 Fan-out明細書においては,半導体素子搭載領域の内側のみに外部接続端子を設けるという記載は一切ない。
出願経過における説明等,, , 原告は 早期審査に関する事情説明 出願審査中に提出された意見書インターネットのホームページ等で,先行技術との差異を明確にするために最も分かりやすい タイプのパッケージで用いる半導体素子搭 Fan-in載用基板の例を用いて説明をしたにすぎず,本件発明1の技術的範囲から タイプのパッケージに用いる半導体素子搭載用基板を意識 Fan-in/out的に除外したものではない。
原告は,出願過程において, タイプと タイプとの比較 Fan-in Fan-outにおいて意見を主張して補正をしたのであって, タイプを含 Fan-in/outまない タイプのみを排除しただけであり, タイプをも Fan-out Fan-in/out特許発明技術的範囲から意識的に除外したものではなく,本件発明をタイプに限定したものではない。 Fan-inイ 構成要件の解釈したがって,本件発明1の構成要件エ(上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ,本件発明2の構成要件シ(上記半 ,)導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え ,本件発明3の構 ,)成要件ヌ(上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とFan-in Fan-in をつなぐ配線を含み )は, タイプに限定する趣旨ではなく, ,タイプの他 タイプをも含む趣旨であり,半導体素子搭載領域の Fan-in/out内側に外部接続端子が設けられていれば,その外側に外部接続端子が設けられているか否かにかかわらず,本件各発明の技術的範囲に属する。
・ 被告の反論本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌは, タイプに限定し, タイプを含まない趣旨である。以 Fan-in Fan-in/out下,詳述する。
ア タイプを含まないとする理由 Fan-in/out・ 本件各明細書の記載本件各明細書には 「外部接続端子は,半導体素子端子が配線とワイ ,ヤボンディング等で導通される位置より内側に設けるようにするのが高密度化の上で好ましい(ファンインタイプ 。このように外部接続端子 )の位置は,半導体素子が搭載された下面に格子状に配置するのが高密度化の上で好ましい ( 0037 )との記載がある一方,外部接続端 。」【 】子が半導体素子搭載領域及びその外側の双方に設けられているものに関する記載は,本件各明細書中には存在しない。また,本件各明細書(前記第2,2・アないしウ〔本判決6,7頁〕のとおり図面も含む )の 。
図面には,図17,図19,図22において タイプのパッケージ Fan-inが図示されているにとどまり,外部接続端子が半導体素子搭載領域及びその外側の双方に設けられているもののパッケージを示す図面は一つもない。
・ 本件訴え提起前の交渉における原告の説明本件訴えが提起される前に行われた交渉の際 原告は 平成17年 2 ,, (005年)2月17日付け書簡(乙13)において 「従来のCSPは ,『外部接続端子が実装領域内にあるパッケージ』であり,413特許の請求項に記載のある『・・・上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられる・・・』とは 『外部接続端子が半導体素子搭載領域に ,設けられる』である点で異なります (3頁8ないし10行)と述べ 。」ている。
また,平成17年(2005年)5月6日付け書簡(乙14)の4頁において,本件発明1の半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域を図示するものとして,外部接続端子が半導体素子搭載領域のみにありそれ以外の領域にはない タイプのパッケージを描いてい Fan-inる。
さらに 平成17年 2005年 7月7日付け書簡添付の見解書 乙 ,( ) (15)において 「本特許発明における構成は,半導体チップの電極を ,半導体チップの外側の樹脂封止領域にある基板上に設けられた電極とワイヤボンディングによって接続し,半導体チップ搭載部下部において,外部配線基板との接続部を有するものであり,従来の構成とは全く異なるものであります (乙15の4頁図の下9ないし13行)と述べて 。」いる。
・ 原告ホームページのニュースリリース欄原告のホームページのニュースリリース欄のうち,平成18年(2006年)1月30日発表分(乙16)には,本件訴訟に関する記述が掲載されており,そこでも侵害対象製品として, タイプのいわゆる Fan-inチップサイズパッケージのみが図示されている。
・ 本件訴状別紙被告製品目録の第1ないし第4図原告が本件訴状とともに提出して侵害製品として特定した当初の被告製品目録の中の第1ないし第4図において示されたパッケージは,すべて タイプであり, タイプのパッケージは示されていな Fan-in Fan-in/outい。原告は,本件各発明がいずれもタイプに係るものであり,被 Fan-in告製品も当然に タイプに係るものであるという前提で,被告製品 Fan-inの十分な確認を怠って本件訴えを提起したものであり,その後,被告製品が タイプと判明したことから,このタイプにまでクレーム Fan-in/outの範囲を拡大して主張しているにすぎない。
出願経過における説明等a 本件各特許権の出願経過における説明等本件各特許権の出願経過における説明等は,次のとおりである。
( ) 本件特許権1 a原告から特許庁に提出された平成14年6月10日付け手続補正書(乙9)によれば,本件発明1の審査請求時の内容(当時の請求項11)は 「絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭 ,載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子と,該ワイヤボンディング端子及び該外部接続端子をつなぐ上記配線とを含む所定の配線パターンを備え,同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が,格子状に複数個配列されていることを特徴とする半導体素子搭載用基板 」とされ。
ていた。
特許庁は,平成14年8月23日付け拒絶理由通知書(発送日同年9月3日 (乙10)において,10件の引用文献に基づいて )請求項11を含む全請求項が進歩性を有しない旨を通知した。
これに対し 原告は 平成14年10月28日付け手続補正書 乙 ,, (12)によって,本件発明1に係る請求項6(補正により,従前の請求項11は請求項6とされた )に「上記ワイヤボンディング端 。
子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ 」との文言(本件発 ,明1の構成要件エに相当する )を追加する補正をして引用文献と 。
の差異を生じさせ,その技術的範囲の限定を明確にするとともに,同日付け意見書(乙11)において 「 3)進歩性 本願発明の ,(配線では,外部接続端子をワイヤボンディング端子部より内側に設けることによって,パッケージを従来より単純な構造にすることができ,従来より小型化することができます (1頁24ないし2 。」7行 「これらの文献〔判決注 引用文献〕に記載されたパッケ ),ージは,いずれも本願発明のように外部接続端子をワイヤボンディング端子部より内側に設けるものではなく,いずれの文献にも,このような構造にすることで所謂チップサイズの小型パッケージを実現することを示唆する記載はありません。本願発明は,外部接続端子をワイヤボンディング端子部より内側に設けてチップサイズパッケージングを実現するものであって,このような構造に関する記載も,これを示唆する記載もない引用文献1〜10から容易に導かれるものではないと思います (2頁21ないし28行)としてい 。」。「 」 る 上記の チップサイズパッケージングを実現するものであってという表現は,外部接続端子が半導体素子搭載領域のみに設けられていることによる効果と解される。
このような出願経過によれば,本件発明1の技術的特徴構成要件エのうち「外部接続端子は半導体素子搭載領域に設けられ」てい() る点 外部接続端子が半導体素子搭載領域のみに設けられている点にあることは明らかである。
( ) 本件特許権2 b原告から特許庁に提出された平成14年6月10日付け手続補正() , ( ) 書 乙17 によれば 本件発明2の審査請求時の内容 請求項1は 「それぞれ半導体素子を搭載するための,複数個の半導体素子 ,実装基板部と,上記半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と,位置合わせマーク部とを備え,上記連結部は導電層を有することを特徴とする半導体素子実装用基板 」とされている。 。
特許庁は,平成14年8月26日付け拒絶理由通知書(発送日同年9月3日 (乙18)において,12件の引用文献に基づいて )請求項1を含む全請求項が進歩性を有しない旨を通知した。
これに対し 原告は 平成14年10月28日付け手続補正書 乙 ,, (20)によって,本件発明2に係る請求項1に「上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え 」と ,の文言(本件発明2の構成要件シに相当する )を追加する補正を 。
して引用文献との差異を生じさせ,その技術的範囲の限定を明確にするとともに,同日付け意見書(乙19)において 「 2)進歩 ,(性 本願発明の配線では,外部接続端子をワイヤボンディング端子部より内側に設けることによって,パッケージを従来より単純な構造にすることができ,従来より小型化することができます (1 。」頁19ないし22行 「また,引用文献1〜12に記載されたパ ),ッケージは,いずれも本願発明のように外部接続端子をワイヤボン,, ディング端子部より内側に設けるものではなく いずれの文献にもこのような構造にすることで所謂チップサイズの小型パッケージを実現することを示唆する記載はありません (2頁27ないし3 。」頁1行)としている。上記の「チップサイズの小型パッケージを実現する」という表現は,外部接続端子が半導体素子搭載領域のみに設けられていることによる効果と解される。
このような出願経過によれば,本件発明2の技術的特徴構成要件シにあり,特にそのうち「半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子 (半導体素子搭載領域のみに設けられた外部接続端子) 」にあることは明らかである。
( ) 本件特許権3 c原告から特許庁に提出された平成14年6月10日付け早期審査に関する事情説明書(乙21)では 「 ?V)先行技術文献との対 ,(比説明 文献(イ)〜(ハ)のいずれにも,半導体素子搭載用基板と,それを用いた半導体パッケージとが開示されております。しかし,文献(イ (ロ)のいずれにも,本願発明のように,素子と ),基板とがワイヤボンディングにより接続され,しかもファンイン構造(すなわち,パッケージ領域にワイヤボンディング端子が,その内側の半導体素子搭載領域に外部接続端子がそれぞれ設けられた構造)であって,外部接続端子が支持体の開口部に設けられている半〔「 」 。 〕, 導体パケージ 判決注 パッケージ の誤記と認められる やそれに用いられる素子搭載用基板は開示されておりません (2 。」頁25行ないし3頁3行 「本願発明は,ワイヤボンディングに ),より基板と素子とを接続しつつ,ファンインタイプ(すなわち,外部接続端子を,ボンディングワイヤ等の半導体素子との導通のための配線が,基板上の表面配線に接続した位置より内側に配置するタイプ)の構成にすることで,チップサイズとほぼ同等の小型パッケージを実現するものです (3頁11ないし15行)としている。 」本件発明3は,上記の早期審査に関する事情説明の結果,特許されたものであるから,その技術的特徴は,構成要件ヌにあり,特にそのうち「半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子 (半導 」体素子搭載領域のみに設けられた外部接続端子)にあることは明らかである。
b 出願経過における説明等の参酌出願経過における説明等は,技術的範囲の解釈にあたって参酌されるべきであり,前記a〔本判決27頁〕のとおり,本件各発明は,原告自身が,出願の過程において,本件各発明は タイプのものを Fan-in対象とし,その構成により,チップサイズとほぼ同等の小型パッケーFan-in ジを実現すると主張した結果 特許されたものである そして ,。,と あるいは とは技術構成が異なり, ある Fan-in/out Fan-out Fan-in/outいは タイプの半導体パッケージでは,チップサイズとほぼ同 Fan-out等の小型パッケージを実現することはできず, タイプとはその Fan-in作用効果が異なる。
構成要件の解釈についてしたがって,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌは, タイプに限定し, タイプを含まな Fan-in Fan-in/outい趣旨であり,半導体素子搭載領域の外側に外部接続端子が設けられていれば,本件各発明の技術的範囲に属さないことになる。
2 争点・(被告製品における「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構成E) 。'の有無)・ 原告の主張被告製品は,以下のとおり 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部 ,5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている との構成 構 。」(成E)を備える。'すなわち,被告が半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5のような領域を指定しているか否かはともかく,被告製品は,半導体素子搭載用基板として半導体素子を搭載し樹脂で封止することが客観的に明らかであるから,それぞれの領域の予定部分をもって,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予。, , 〔 〕 定部5と呼称することができる また被告は 後記3・イ 本判決35頁のとおり,被告製品が タイプであることを主張しており,このこ Fan-in/outとは,需要者でない被告においても,どの部分が半導体素子搭載領域であるか認識していることを示すものである。そのため,被告製品は,その構成として,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えている。
そして,ランド部21は半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている。
したがって,被告製品は 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5 ,を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構 。
成E)を備える。'・ 被告の反論,, 被告製品は 半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えておらず「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構成E)を備えていない。 。'すなわち,被告製品については,需要者が,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5のような領域を決めるのであって,被告があらかじめそのような領域を特定することはない。原告は,需要者が決した領域を遡及的に呼称しているにすぎない。
3 争点・(構成要件充足性)ア(本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの充足性)・ 原告の主張被告製品は,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌをいずれも充足する。以下,詳述する。
構成要件と被告製品の構成部分の対応被告製品の「半導体素子搭載予定部4 (構成E)は,本件発明1の構 」'成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの「半導体素子搭載領域」に該当する。
被告製品の「樹脂封止予定部5 (構成E)は,本件発明1の構成要件 」'エ,本件発明2の構成要件シの「樹脂封止用半導体パッケージ領域 ,本」件発明3の構成要件ヌの「半導体パッケージ領域」に該当する。
被告製品の「ワイヤボンディング接続端子22 (構成B,E)は,本 」'件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの「ワイヤボンディング端子」に該当する。
被告製品の「ランド部21 (構成B,E)は,本件発明1の構成要件 」',, 「」 エ 本件発明2の構成要件シ 本件発明3の構成要件ヌの 外部接続端子に該当する。
被告製品の「配線パターン部P (構成B,C)は,本件発明2の構成 」要件シの「半導体素子実装基板部」に該当する。
イ 本件発明1の構成要件エの充足性構成Eによれば,ワイヤボンディング接続端子22は樹脂封止予定部 '5に設けられ,ランド部21は半導体素子搭載予定部4に設けられているから,被告製品は,本件発明1の構成要件エ( 上記ワイヤボンディング 「端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ )を充足する。 ,」ウ 本件発明2の構成要件シの充足性構成Eによれば,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予 '定部5,及び樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21とを備える。
また,構成Bによれば,被告製品の樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21は,配線部2に含まれる。さらに,構成B,構成Cによれば,被告製品の配線パターン部P内には配線部2がある。
したがって,被告製品において,配線パターン部Pは,半導体素子搭載予定部4,樹脂封止予定部5,及び樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21とを含む配線2を備えるから,被告製品は,本件発明2の構成要件シ( 上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体 「素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え ),」を充足する。
エ 本件発明3の構成要件ヌの充足性構成Eによれば,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予 '定部5,及び樹脂封止予定部5に形成されたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に形成されたランド部21とを備える。
また,構成AないしCによれば,被告製品の半導体素子搭載用基板の片面に形成された複数の配線パターンP内の配線部2は,ランド部21とワイヤボンディング接続端子22とを接続する配線23を備える。
したがって,被告製品において,配線部2は,樹脂封止予定部5に形成されたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に形成されたランド部21とをつなぐ配線部23を含むから,本件発明3の構成要件ヌ( 上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤ 「ボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み )を充足する。 ,」・ 被告の反論被告製品は,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌをいずれも充足しない。以下,詳述する。
ア 被告製品が構成E’を備えないことによる構成要件の非充足前記2・〔本判決32頁〕のとおり,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えておらず 「半導体素子搭載予定部4と樹 ,脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成( 構成E )を備えていない。 。「」 'したがって,被告製品は,本件発明1の構成要件エ( 上記ワイヤボン 「ディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ ,本件発明2の構成 ,」)要件シ( 上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導 「体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え ,本件発明3の構成要件ヌ( 上記配線は,上記半導体パッケージ ,」)「領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み )をいずれも充足しな ,」い。
イ 本件各発明が タイプに限定されることによる構成要件の非充足 Fan-in前記1・〔本判決25頁〕のとおり,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌは, タイプに限定し, Fan-inタイプを含まない趣旨であり,半導体素子搭載領域の外側に外 Fan-in/out部接続端子が設けられていれば,本件各発明の技術的範囲に属さないことになる。
仮に被告製品が半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5( 構成E 「)を備えるとしても,被告製品は,ランド部21が半導体素子搭載予定 '」部4及びその外側の双方に存在するから,外部接続端子が半導体素子搭載領域及びその外側の両方に設けられており, タイプである。し Fan-in/outたがって,被告製品は,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌをいずれも充足しない。
4 争点・イ(被告製品の「スプロケットホール7 「目印10」の本件発明 」,2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」への該当性(本件発明2の構成要件サ?Vの充足性 ))・ 原告の主張「」「」,, 被告製品の スプロケットホール7 又は 目印10 は 以下のとおり「」,, 本件発明2の構成要件サ?Vの 位置合わせマーク部 に該当し 被告製品は本件発明2の構成要件サ?V(位置合わせマーク部とを備え )を充足する。 ,すなわち,被告製品においては,複数の配線パターン部Pはマトリクス状に配置されており(構成A ,スプロケットホール7はインチ単位で配列さ )れ,配線パターン部Pはミリメートル単位で配列されているから,配線パターン部Pのブロックごとにスプロケットホール7の配列は一定となっている。また,目印10は,複数の配線パターン部Pがマトリクス状に配置された所定の箇所に位置する(構成F 。そのため,スプロケットホール7と目 ')印10が位置合わせに使用されることは,当業者であれば当然予想される。
したがって,被告製品の「スプロケットホール7」又は「目印10」は,「」,, 本件発明2の構成要件サ?Vの 位置合わせマーク部 に該当し 被告製品は本件発明2の構成要件サ?V(位置合わせマーク部とを備え )を充足する。 ,・ 被告の反論被告製品の「スプロケットホール7」及び「目印10」は,いずれも本件発明2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」に該当せず,被告製品は,本件発明2の構成要件サ?Vを充足しない。
すなわち,被告製品において,スプロケットホール7は,スプロケットの歯に係合させてフィルムを送るためのものであり,マトリクス状に配置された複数の配線パターン部Pとスプロケットホール7とは所定の位置関係になく,スプロケットホール7は位置決めのために使用されるものではない。また,被告製品には,目印10があり,これは,切り分ける際の位置決めなど,, に利用されるとも考えられるが 需要者がこれを何の目的に利用しているか被告は知らない。
5 争点・ウ(本件発明1の構成要件イ,オの充足性)・ 原告の主張被告製品は,構成AないしC,Eによれば,同一形状の複数の配線パタ 'ーン部Pを有し,配線パターン部Pに,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えている。
したがって,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5とを複数組備えており,本件発明1の構成要件イ( 半導体素子搭載領域と, 「該半導体搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え )を充足する。 ,」また,被告製品は,同じ配線パターンを有する半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5が複数個配列されており,本件発明1の構成要件オ( 同 「一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されている )を充足する。 」・ 被告の反論前記2・〔本判決32頁〕のとおり,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えておらず 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封 ,止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」と 。
の構成( 構成E )を備えていない。 「」 'したがって,被告製品は,本件発明1の構成要件イ( 半導体素子搭載領 「域と,該半導体搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え ,構成要件オ( 同一の上記配線パターンを有する上記半導体 ,」)「素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されている )を 」いずれも充足しない。
6 争点・エ(本件発明3の構成要件ニの充足性)・ 原告の主張被告製品は,構成AないしC,Eによれば,同一形状の複数の配線パタ 'ーン部Pを有し,配線パターン部Pに,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えている。
したがって,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5とを複数組備えており,本件発明3の構成要件ニ( 半導体素子搭載領域と, 「該半導体搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え )を充足する。 ,」・ 被告の反論前記2・〔本判決32頁〕のとおり,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えておらず 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封 ,止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」と 。
の構成( 構成E )を備えていない。 「」 'したがって,被告製品は,本件発明3の構成要件ニ( 半導体素子搭載領 「域と,該半導体搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え )を充足しない。 ,」()( ) 7 争点・ 本件各発明の無効事由の有無 ア 本件特許権1の無効事由の有無・ 被告の主張ア 新規性,進歩性の欠如本件発明1は,乙1公報(特開平5-109922号公報,平成5年4月30日公開,発明の名称:半導体装置,乙1。以下,書証である公開特許公報等は 「乙1公報」のように書証番号により特定する。書証番号に ,より特定される公開特許公報等の番号発行日 発明の名称は 別紙8 公 ,, ,「報一覧表」のとおりである )記載の発明と実質的に同一であって,新規 。
性に欠ける。
仮にそうでないとしても,本件発明1は,乙1公報記載の発明と,本件各発明の新規性,進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日よりも前に頒布された刊行物である乙4ないし乙8の公報記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであって,進歩性に欠ける。以下,詳述する。
イ 乙1公報記載の発明・ 乙1公報の記載乙1公報には,次のとおりの記載がある。
a 「 目的】半導体素子の大きさを限定することなく,多ピンで小型 【の半導体装置を提供する。
【構成】半導体素子1の下面に接着剤5及び絶縁シート6を介して,樹脂基板8のスルーホールを有しており,そのスルーホール内には外部接続用リードピン9が挿入されている。樹脂基板8上の配線回路はスルーホールより外側に向って形成されていて,半導体素子と電気的接続するための素子接続用端子7は,スルーホールの外側に有している ( 要約】欄) 。」【b 「 請求項2】 外部接続用リードピンがすべて半導体素子の外形 【内の下面に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置 」。
c 「 実施例】次に本発明によって図面を参照して説明する。図1の 【(A)は本発明の第1の実施例の半導体装置の断面図である。樹脂基板8は,ガラス布エポキシやガラス布BTやガラス布ポリイミド等の積層板で成っており,表裏両面には銅が張られている。また表裏の銅を導通させるためにスルーホール10を設けてめっきを行ない,表裏面の銅をエッチングすることにより回路が形成されている。スルーホール10には,リン青銅,コバール,42alloy等に半田めっきが施こされている外部接続用リードピン9が挿入されている。図1の(B)は本発明の第1の実施例の樹脂基板の上面図である。外部接続用リードピンを挿入するスルーホールが半導体素子1の外形内に設けられており,半導体素子1と外部接続用リードピン9とを電気的接続するための素子接続用端子7がスルーホールの外側に形成されてい。。 る 半導体素子1は絶縁シート6を介して接着剤5に固定されている素子接続用端子7と半導体素子1を接続線3により電気的接続させ,エポキシ系の封止樹脂2により接続線及び半導体素子を外圧より保護する ( 0005 ) 。」【 】d 「 発明の効果】以上説明したように本発明は,少なくとも最内列 【に形成したスルーホールに挿入した外部接続用リードピンより外側に素子接続用端子を有しているので,最内列ピンの配列サイズに関係なく又,パッケージサイズも規格外の大きなサイズにする必要なく,大きな半導体素子を搭載することが可能となるという効果を有する 」。
(0007) 【】e 図1として,別紙5「乙1公報図面」の図1のとおりの図面が示されている。
・ 乙1公報に記載された発明前記・〔本判決39頁〕の乙1公報の記載を参照すると,乙1公報には,?@樹脂基板8上に複数の配線回路が設けられ,配線回路はスルーホールより外側に向かって形成されていること,?A配線回路の外側端にある素子接続用端子7は,接続線3により半導体素子1と電気的接続するためのものであること,また,?B配線回路の内側端にあって,スルーホールの周囲を取り囲んでいる環状の端子であり,スルーホール内に挿入される外部接続用リードピン9と電気的接続するための端子(以下「環状外部接続端子」という。別紙6「乙1公報図面に部材名を記入した参考図面」の図1(B)に指示されている )が示されているから,乙1 。
公報に記載された発明を本件発明1の構成要件に対応させて示すと,次のとおりとなる(以下「被告主張に係る乙1公報発明1」という 。。)「ガラス布エポキシ等の積層板と複数の配線回路とを備える,半導体素子1を搭載する樹脂基板8において,半導体素子1を搭載する領域と,該半導体素子搭載領域の外側の封止樹脂2により保護された半導体パッケージ領域とを備え,上記配線回路は,素子接続用端子7と,環状外部接続端子とを含む所定の配線回路を備え,上記素子接続用端子7は上記半導体パッケージ領域に設けられ,上記環状外部接続端子は上記半導体素子の外形内,すなわち,半導体素子搭載領域に設けられた,ことを特徴とする半導体素子搭載用樹脂基板8 」。
ウ 被告主張に係る乙1公報発明1と本件発明1の一致点,相違点被告主張に係る乙1公報発明1と本件発明1の構成部分の対応をみると 被告主張に係る乙1公報発明1の環状外部接続端子は本件発明1の 外 ,「部接続端子」に該当する。仮に,本件発明1の「外部接続端子」が,本件明細書1でいう配線パターン33の一部ではなく,外部基板との接続部42のような部材を意味すると解釈し,被告主張に係る乙1公報発明1の環状外部接続端子が本件発明1の「外部接続端子」に該当しないとしても,被告主張に係る乙1公報発明1の外部接続用リードピン9は,本件発明1の「外部接続端子」に該当する。
また,被告主張に係る乙1公報発明1の効果と本件発明1の効果をみると,被告主張に係る乙1公報発明1の効果は,環状外部接続端子,スルーホール及び外部接続用リードピン9が半導体素子1の外形内に設けられて,パッケージサイズを大きなサイズにする必要がないため小型化することができ,半導体パッケージを小型化するというものであり,本件発明1の効果と同様のものである。
そうすると,被告主張に係る乙1公報発明1を,本件発明1と対比すると,一致点及び相違点は,次のとおりである。
・ 一致点絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを含む所定の配線パターンを備え,上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域,, に設けられ 上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられることを特徴とする半導体素子搭載用基板である点。
・ 相違点本件発明1では,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域とを複数組備え(構成要件イ ,同一の配線パターンを有する半導体素子搭載 )領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列されている(構成要件オ)のに対し,被告主張に係る乙1公報発明1では,これらの領域を複数組備え,複数個配列することを明記していない点。
新規性,進歩性の有無・ 新規性本件発明1の技術的特徴は,構成要件エの「上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ」ている点にあり,このことは,前記1・ア・a( )〔本判決27頁〕のとおりであるから,前記ウ・〔本判決 a42頁〕の相違点は,本件発明1の技術的特徴ではない些末な要素に関するものである。しかも,半導体素子搭載用基板の製造分野において,半導体パッケージ領域を1個ずつ個別に製造することは例外的であり,通常の製造工程で同一基板上に半導体パッケージ領域を複数個配列することは技術常識であるから,当業者であれば,乙1公報に記載がなくとも,複数個配列を予定していることを当然の事項として了知することができる。
したがって,本件発明1は,乙1公報に実質的に記載されているに等しく,被告主張に係る乙1公報発明1と実質的に同一である。
進歩性仮に,乙1公報に複数個配列の実質的な記載がないとしても,このことは,次のとおり,本件発明1と同じ技術分野に属する乙4ないし乙8の公報に記載されており,本件各発明の新規性,進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日の時点において周知の常用技術であった。
(,, a 乙4公報 特開昭64-54791号公報 平成元年3月2日公開発明の名称:複合配線基板)配線回路部A複数個を 両側の連結部Bにより連結しており 3 「, 」 (頁左上欄9,10行)と記載され,第1図(4頁左上)には,複数組の基板の配列が示されている。
(,, b 乙5公報 特開平3-89587号公報 平成3年4月15日公開発明の名称:可撓性回路基板集合体及びその製造法)「複数の回路基板形成域 (1頁左下欄7行)と記載され,第1図 」(4頁左上)には,複数組の基板の配列が示されている。
(,, c 乙6公報 特開平2-91956号公報 平成2年3月30日公開発明の名称:フィルムキャリヤ)「10は金属箔配線を示し,これが長手方向にくり返し形成されている (2頁左上欄1,2行)と記載され,第1図(4頁左下)及 。」び第7図(5頁右上)には,複数組の基板の配列が示されている。
d 乙7公報(特開平4-33350号公報,平成4年2月4日公開,発明の名称:TABテープの構造)「搬送用送り孔1aを半導体搭載部毎に順次7づつ打ち抜き (2 」,) ,() (), 頁左下欄10 11行 と記載され 第1図 a 3頁右下 には複数組の基板の配列が示されている。
(,, e 乙8公報 特開平3-94430号公報 平成3年4月19日公開発明の名称:半導体装置の製造方法)「ベースフィルム10上には回路パターンが繰り返しパターンで形成され (3頁右上欄15ないし17行)と記載され,第2図(4頁 」下)には,複数組の基板の配列が示されている。
したがって,前記ウ・〔本判決42頁〕の相違点は,製造設計上の当然の技術事項であり,本件発明1は,当業者が被告主張に係る乙1公報発明1及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができた。
オ小括以上によれば,本件発明1は,被告主張に係る乙1公報発明1と実質的に同一であるか,又は被告主張に係る乙1公報発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,本件特許権1には,新規性及び進歩性を欠くという無効事由がある。
・ 原告の反論ア 新規性,進歩性の具備本件発明1は,乙1公報記載の発明と実質的に同一ではなく,新規性を有する。また,本件発明1は,乙1公報記載の発明と乙4ないし乙8の公報記載の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,進歩性を有する。以下,詳述する。
イ 本件発明1の「外部接続端子 (構成要件ウ,エ)の開示の有無 」・ 本件発明1の「外部接続端子」本件発明1は 「上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続 ,端子とを含む所定の配線パターンを備え (構成要件ウ)との構成要 ,」,「」 ( ,), 件を備えるから 本件発明1の 外部接続端子 構成要件ウ エ は「ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを含む所定の配線パターン」に作り込まれた外部接続端子であり,配線に含まれる外部接続端子である。
・ 乙1公報に開示された外部接続端子以下のとおり,乙1公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
a 外部接続用リードピンの本件発明1の「外部接続端子」への該当性乙1公報記載の発明の外部接続用リードピンは,外部との接続手段という意味での外部接続用リードピンには該当するが,配線に含まれていないから,本件発明1の「外部接続端子 (配線に含まれる)に 」は該当しない。以下,詳述する。
( ) 外部との接続手段への該当性 a?@ 半導体素子搭載用基板の意味半導体素子搭載用基板とは,半導体を搭載することが可能な状態の基板という意味であるから,乙1公報記載の発明における半導体素子搭載用基板とは,半導体搭載領域にリードピンが設けられている基板と解すべきであり,そのことから,乙1公報記載の発明における半導体素子搭載用基板の外部接続端子は,リードピンといわざるを得ない。
?A 製造工程半導体装置に関して 最終製品の半導体装置として完成した 半 ,「導体パッケージ」と,その製造工程における部材としての「半導体素子搭載用基板」は区別される。本件発明1は,製造工程における部材としての半導体素子搭載用基板に関する発明であるのに,,「 【】 対し 乙1公報記載の発明は 乙1公報に 産業上の利用分野本発明は半導体装置に係わり,特にピングリッドアレイ型パッケージの半導体装置に関する ( 0001 )と記載されている 。」【 】PinGridArray ことから,最終製品としてのピングリッドアレイ(:PGA)型パッケージの半導体装置に関する発明である。その,, ため 乙1公報記載の発明を本件発明1と対比するに当たっては乙1公報に記載された最終製品としてのPGA型半導体パッケージから,その部材としてのPGA基板を推測する必要がある。
そこで,PGA基板の製造法をみると,PGA基板の一般的な製造工程を示した日経BP社「VLSIパッケージング技術()」()().. 上 1993年 平成5年 167頁 乙38 の図5 33に示されるように,基材にスルーホールを形成し,回路を形成し,半導体パッケージ1個分を個別に切り出した後,外部接続用の接続ピンをスルーホールに挿入し,ろう付け,めっき等を行って製造される。このように,半導体素子を搭載する前の半導体素子搭載用基板の製造の段階で接続ピンを挿入するのは,半導体素子を搭載した後に接続ピンを挿入すると,その挿入時に半導体素子を破損させるおそれがあり,また,ダイボンド材や絶縁シートの接着剤がスルーホールに浸出して接続ピンとの接触の妨げになるおそれがあり,そのような不都合を避けるためである。そのため,PGA基板の半導体素子搭載用基板としては,外部接続用リードピンを備えた構造となり,外部接続用リードピンが本件発明1の「外部接続端子」に該当する。そして,通常の取引形態においても,PGA基板は,接続ピンを備えた状態で顧客に納入される。
半導体素子搭載用基板にリードピンを打つタイミングは,その構造から決まるものであり,半導体素子搭載領域にリードピンが設けられている半導体素子搭載用基板の場合は,その構造から,半導体素子搭載前にリードピンを打つ。乙1公報には,半導体素子搭載領域にリードピンが設けられている基板しか示されていないから,乙1公報により,どんなPGA基板でもリードピンを打つタイミングを変えることが周知の技術であるとはいえない。
?B 外部接続用リードピンが打たれていない半導体素子搭載用基板の存否仮に外部接続用リードピン以外の部材が本件発明1の「外部接続端子」に該当するとするならば,本件各発明は,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域を複数組備えるから,リードピンが打たれておらずかつ半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域が複数つなげられているPGA基板が存在するとしなければならない。
しかし,そのようなPGA基板により半導体パッケージを製造するとすれば,半導体パッケージメーカーがPGA基板を購入した後,外部接続用リードピンを打ち込んでから半導体素子を搭載し,樹脂でモールドする方法が考えられるところ,そのような方法では,半導体パッケージメーカーは,基板メーカーから未完成の基板を購入し,リードピン打ちと絶縁シートの接着を行って半導体素子搭載用基板を完成させることになり,半導体パッケージメーカーにとって何のメリットもない。
他方,半導体素子を搭載し,樹脂でモールドした後に,外部接続用リードピンを打ち込む方法も考えられるが,そのような方法では,半導体素子直下でのリードピンの打ち込みにより,半導体素子を破損させる危険性が高く,歩留りからの要請上,合理的でない。もともと 「日経マイクロデバイス」1987年(昭和6 ,2年)8月号(日経マグロウヒル社刊,乙37)68頁や「日経」( )() マイクロデバイス 1986年昭和61年 12月号 乙3660頁で取り上げられた実例は,半導体素子の外側のかなり離れた箇所にリードピンを打ち込む構造のものであって,リードピンを基板に打ち込む際に,半導体素子にストレスを与える程度が問題にならないくらい小さいものであり,この場合にも,ストレスを減らすため,一度に全ピンではなく,1ピンずつ打つとされている。また,乙36には,半導体素子搭載領域にリードピンのない基板について半導体パッケージメーカーがリードピンを挿入することは記載されているが,乙1公報に示されているような半導体搭載領域にリードピンが設けられている基板について半導体パッケージメーカーがリードピンを挿入することは記載されていない。そのため,乙1公報の半導体パッケージに用いられている半導体素子搭載用基板を,リードピンを打たない状態で複数枚つなげたままで,これに半導体を搭載し,樹脂封止をした後,リードピンを打ち,その後,個別に切り離す方法を採用することは,当業者においても,極めて困難であり,乙1公報記載の発明に上記乙36,37記載の技術を適用することについては阻害要因がある。
そうすると,リードピンが打たれておらずかつ半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域が複数つなげられている。, , PGA基板は存在するとはいえないしたがって その点からも「」 外部接続用リードピン以外の部材が本件発明1の 外部接続端子に該当することはなく 外部接続用リードピンが本件発明1の 外 ,「部接続端子」に該当する。
?C 外部接続用リードピンが打たれていない状態における「半導体素子搭載用基板」との呼称の有無PGA基板が外部接続用リードピンを備えない状態であってもPGA用の「半導体素子搭載用基板」と呼ばれているかどうかについてみると,乙29公報(特開平3-195051号公報,平成3年(1991年)8月26日公開,発明の名称:磁性合金膜被覆リード)記載の発明は,リードピンを当然に備えており,リードピンが挿入されていない状態のPGA基板を開示しておらず,乙30公報(特開平5-6945号公報,平成5年(199), ) 3年 1月14日公開 発明の名称:半導体用アルミニウム基板記載の発明は,半導体素子を搭載できる段階の基板でなく,単なるスルーホール基板であり,乙31公報(特開平5-152496号公報,平成5年(1993年)6月18日公開,発明の名称:半導体搭載基板)記載の発明は,放熱フィンの付いた特殊なピンを用いたピン接続型半導体素子搭載用基板の発明であり,組立ての手順として,ピンの挿入の前にパッケージの組立てをせざるを得ないものであり,乙32公報(特開昭61-208226号公報,昭和61年(1986年)9月16日公開,発明の名称:半導体素子搭載用配線板)記載の発明は,半導体素子を搭載する段階で既にネールヘッドピンが取り付けられている例を示すものであり,いずれによっても,PGA基板が外部接続用リードピンを備えない状態においてPGA用の「半導体素子搭載用基板」と呼ばれていることを示しているとはいえない。
?D ハンダボールとの比較外部接続用リードピンがハンダボールに該当するという見方,, は 製品としての半導体装置の状態を比較した場合の見方であり半導体素子搭載用基板の状態で比較した場合は,そのような見方は当てはまらない。
?E 外部との接続手段への該当性以上によれば,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン(9)は,外部との接続手段という意味での外部接続端子には該当する。
( ) 配線への包含の有無 bところで,乙1公報には 「スルーホール10には,リン青銅, ,コバール,42alloy等に半田めっきが施こされている外部接続用リードピン9が挿入されている ( 0005 )として,外 。」【 】部接続用リードピン9をスルーホール10に挿入することが,回路形成とは別に記載されており,外部接続リードピン(9)は配線の一部として形成されるものではない。
( ) 本件発明1の「外部接続端子」への該当性 c,〔 〕 , , そうすると 前記( ) 本判決45頁 のとおり 乙1公報には a外部との接続手段という意味での外部接続用リードピン(9)が開示されているが,前記( )〔本判決50頁〕のとおり,この外部接 b続用リードピン(9)は,配線には含まれていないから,本件発明1の「外部接続端子 (配線に含まれる)には該当しない。 」したがって,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン(9)は,本件発明1の「外部接続端子」には該当しない。
b 環状外部接続端子の本件発明1の「外部接続端子」への該当性,「 」 被告の主張する環状外部接続端子は本件発明1の 外部接続端子には該当しない。以下,詳述する。
( ) パッケージ外部接続端子と基板配線外部接続端子の区別 a被告は,後記・ア・〔本判決58頁〕のとおり,パッケージ外部接続端子と基板配線外部接続端子を区別し,乙1公報には 「樹脂 ,基板上に設けられた複数の配線回路の内側端にあり,スルーホールの周囲を取り囲んでいる環状の端子であって,スルーホール内に挿入される外部接続用リードピンと電気的接続をするための端子(環状外部接続端子 」が示されており,これが基板配線外部接続端子 )に含まれ,本件発明1の「外部接続端子」に該当すると主張する。
しかし,パッケージ外部接続端子と基板配線外部接続端子の区別は外観による区分けにすぎず,技術的な根拠はない。
( ) 外部との接続の可否 b乙1公報記載の発明におけるPGA用の半導体素子搭載用基板における外部接続端子は,外部接続用リードピンであって,環状外部接続端子ではない。
スルーホールの内部にめっきが施されていたとしても,半導体素子を基板に接着するダイボンド材がスルーホールを埋めてしまえば,リードピンやバンプは外部と接続することができないから,この点からして,リードピン,バンプ,環状外部接続端子は,いずれも外部接続端子とはいえない。
半導体素子搭載用基板とは,半導体素子を搭載することが可能な状態の基板であるところ,リードピンやバンプのない状態で半導体素子を搭載すると,ダイボンド材がスルーホールを埋めてしまい,半導体素子搭載用基板として機能しなくなるから,リードピン等を挿入する前の段階の基板は,半導体素子を搭載することができず,半導体素子搭載用基板ではなく,このような状態の基板を本件発明1の半導体素子搭載用基板と比較することは無意味である。
( ) 外部接続端子における「端子」の意味 c端子とは 「電気回路の接続をするため設けた電流の出入口。ま ,た,そこに取りつける金具。ターミナル (広辞苑第5版)とさ 。」れているところ,被告が定義する「環状外部接続端子」は電流の出入口といえる部位ではない。
そして,被告のいう環状外部接続端子は,乙1公報の図1(A)を拡大してみれば明らかなように,外部接続用リードピンとも物理的に接続されていないから,電流の出入口としての端子ということはできない。
また,乙1公報の樹脂基板8上に絶縁シート6を設ける場合,絶縁シート6を樹脂基板8に接着させる必要があり,その接着剤がスルーホールを埋めてしまうことになる。接着性のある絶縁シートであれば,加熱,加圧の際に,絶縁シートがスルーホール内に一部染みだして硬化するため,接続用リードピンを均一かつ十分にスルーホール内に挿入できないという不具合が生ずる可能性が高まる。このように,環状外部接続端子は,電流の出入口の役割を果たすことができない。
( ) 本件発明1の「外部接続端子」への該当性 dしたがって,被告の主張する環状外部接続端子は,本件発明1の「外部接続端子」には該当しない。
c 本件発明1の「外部接続端子」を外部基板との接続部42のような部材と解することの可否さらに,被告は,前記・ウ〔本判決41頁〕のとおり,本件発明1の「外部接続端子」について,本件明細書1における配線パターン33の一部でなく,外部基板との接続部42のような部材を意味すると解釈したとすれば,被告主張に係る乙1公報発明1の外部接続用リードピン9は,本件発明1の「外部接続端子」に該当すると主張する。
しかし,本件明細書1の段落【0070】後段の「半導体パッケージ」の製造工程を説明する記載からも明らかなとおり,外部基板との接続部42は,半導体パッケージの外部接続端子であって,半導体素子搭載用基板の外部接続端子ではない。
d 乙1公報における本件発明1の「外部接続端子」の開示の有無したがって,乙1公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 乙2公報に開示された外部接続端子以下のとおり,乙2公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
すなわち,被告は,乙2公報(特開平2-133943号公報,平成2年(1990年)5月23日公開,発明の名称:高集積回路及びその製造方法)に本件発明1の「外部接続端子」が開示されていると主張するところ(後記・ア・〔本判決61頁 ,その点についての反論は, 〕)次のとおりである。
乙2公報には,マルチチップモジュール用の高集積回路及びその製造方法に関する発明が記載されており 「半導体素子搭載用基板」に関す ,,。 る発明は 第3A図ないし第3C図に関する説明として記載されているこの第3A図ないし第3C図に関する説明中には 「複数の貫通孔18 ,が,基板プレート6と同じ材料で形成可能な基板17のマウント領域2内に ・・・グリッド間隔eで形成される(第3A図 。基板17の上 ,)面からその下面へと延びた貫通孔18は,その後上面と下面間の導電接続のために使われる (7頁左上欄16行ないし右上欄3行 「孔あ 。」) ,き基板17に・・・,第1の接続領域19と,該第1の接続領域19を貫通孔18に接続する導体路20とが施される(第3B図 。ここで導 )体路20は,基板17の上面と下面の両方に配置できる (7頁右上 。」欄5ないし9行 「これに追加して,あるいは導体及び接続構造を施 ),すのと同時に,貫通孔18はそれらを貫いてメタライズされると共に,基板17の下面箇所に(好ましくは電気化学蒸着によって ,いわゆる )バンプ21の形の接点領域が設けられる。この結果,第3C図の断面図に示すような基板が得られる (7頁右上欄12行ないし右上欄18 。」行)と記載されている。
上記記載によれば,乙2公報に開示された「基板」の外部接続端子は「バンプ21」であって,本件発明1の「外部接続端子」とは相違し,乙2公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 乙3公報に開示された外部接続端子以下のとおり,乙3公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
すなわち,被告は,乙3公報(特開平4-103152号公報,平成4年(1992年)4月6日公開,発明の名称:半導体装置)に本件発明1の「外部接続端子」が開示されていると主張するところ(後記・ア・〔本判決62頁 ,その点についての反論は,次のとおりである。 〕)乙3公報には,乙1公報と同じくPGAタイプの半導体装置(パッケージ)が記載されており,第2図からして,半導体チップ搭載基板の外部接続端子として構成されているのは 「リードピン4」である。さら ,に,乙3公報の目的,課題は,半導体搭載面下にもリードピンと内部配線を設けることにより,これらに影響されずに大きい半導体チップを搭載することができるとするもので,本件発明1とは異なっている。
そうすると,乙3公報に記載された「半導体チップ搭載基板」の外部接続端子は「リードピン4」であって,本件発明1の「外部接続端子」と相違し,乙3公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
・小括以上によれば,乙1ないし乙3の公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていない。
ウ 本件発明1の 上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ 構 「」 (成要件エ)の開示の有無前記イ・〔本判決55頁〕のとおり,乙1ないし乙3の公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていないから,本件発明1の「上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ (構成要件エ)との構成 」要件も開示されていない。
エ 半導体パッケージ領域を複数個配列することの周知性の有無半導体パッケージ領域を複数個配列することは,以下のとおり,周知ではない。
すなわち,乙1公報のPGA基板は,外部接続端子として,接続用リードピンを多数設けており,仮に,1枚の大きなPGA基板に複数の半導体パッケージ領域を形成した場合,その数の分の多数の接続ピンが基板の底面から突出することになって,取扱いの煩雑さや破損等の問題が生じ,さらに,接続ピンが障害となって,複数の半導体パッケージを一括して樹脂でモールド封止することも難しくなるため,通常は,個別に切り分けられた後,外部接続用リードピンを挿入した状態で取引される。このように,PGA基板においては 「半導体素子搭載領域と,半導体パッケージ領域 ,とを,複数組備え,同一の配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列され」ることは,技術常識あ,, 。 るいは周知といえる技術ではなく むしろ技術常識に反するものである被告は,後記・ウ〔本判決62頁〕のとおり,乙33公報(特開昭61-248453号公報,昭和61年(1986年)11月5日公開,発明の名称:セラミック基板および半導体装置の製造方法 ,乙34公報(特 ),( ) , 開昭63-60547号公報 昭和63年 1988年 3月16日公開発明の名称:半導体搭載用基板)によれば,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域を複数組備えたPGA基板は周知であったと主張する。しかし,乙33公報は,PGAなどの半導体パッケージにも適用できるとしか記載がなく,具体性に欠けるから,これをもって周知性の根拠とすることはできないし,乙34公報は,半導体素子搭載用基板を作る,, 途中段階のものにすぎず ピンを挿入した時点では個別に分けられており半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数組存在しているとはいえない。
オ 乙1公報記載の発明と本件発明1の課題の相違乙1公報記載の発明と本件発明1は,以下のとおり,課題が相違する。
すなわち,本件発明1の課題と効果は,半導体パッケージを小型化することにある。ところが,乙1公報の段落【0003 【発明が解決しよ 】,うとする課題】中には,半導体パッケージの小型化に関する記載も示唆もなく,段落【0007】には,半導体素子の大きさにかかわらず,半導体パッケージを規格の寸法に収めることができると記載されているのであって,半導体パッケージを小型化するという本件発明1の効果に対応する思想はどこにも記載がなく,その示唆もない。したがって,本件発明1の出願前に,このような課題の異なる乙1公報から本件発明1を想到することはできない。
乙1公報【要約】欄の【目的】の記載は,規格外の大きなサイズに比べて小型の半導体装置を提供するという意味であり,本件各発明の半導体パッケージの小型化とは,レベルが全く異なるものである。
カ 乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することは,以下のとおり,容易ではない。
すなわち,乙4ないし乙8の公報に記載された発明は,乙1公報に記載されたPGA基板とは構造も課題も異なるから,乙1公報記載の発明に乙4ないし乙8の公報に記載された発明を組み合わせることは,動機付けがなく,困難であり,本件発明1は,乙1公報記載の発明から当業者が容易に想到することのできた発明であるとはいえない。
,, 乙4公報の記載は ICカードと呼ばれる製品の複合配線基板であって半導体素子搭載用基板と異なるだけでなく,本件発明1とも技術分野が異,,。 なり これをPGA基板に適用するには 当業者にとっても容易ではないまた,乙5公報はフレキシブルプリント配線板,乙6公報はフィルムキャリヤ,乙7公報はTABテープ,乙8公報はマルチチップモジュール等の基板にそれぞれ関するものであって,乙1公報に記載されたような接続ピンを挿入する構造のPGA基板に関するものでない。PGA基板は,個別に切り分けた状態で一般的に使用されるため,乙4ないし乙8の公報に示された回路パターンを繰り返して形成することを乙1公報記載の発明に適用することは,当業者にとっても容易ではない。
乙4公報のICカードはマザーボードに搭載せず,そのための外部接続端子をもたないから,これを乙1公報のPGA基板の発明に適用することは,当業者にとって容易ではない。
また,乙5ないし乙8の公報記載の各発明は,外部接続端子が乙1公報のリードピンとは異なっており,これらの各発明と乙1公報記載の発明を組み合わせることは容易ではない。仮に,乙1公報記載の発明と乙5ないし乙8の公報記載の発明を組み合わせても,本件発明1の構成要件ウを充足しない。
・ 被告の再反論ア 本件発明1の「外部接続端子 (構成要件ウ,エ)の開示の有無につい 」て乙1公報の環状外部接続端子は,本件発明1の「外部接続端子」に該当する。以下,詳述する。
・ 本件発明1の半導体素子搭載用基板について被告は,被告主張に係る乙1公報発明1と本件発明1を対比するに当たり,乙1公報の記載事項のうち本件発明1に関連する記載箇所を抽出した上で「半導体素子搭載用樹脂基板」の発明(被告主張に係る乙1公報発明1)を特定し,本件発明1と対比しているから,製品としての半導体パッケージと,部材としての半導体素子搭載用基板との区別をした上で対比をしている。
乙1公報が半導体パッケージの発明に係るものであるとしても,その半導体パッケージの一部として,乙1公報には,半導体素子1を搭載する樹脂基板8が開示されており,本件各発明の半導体素子搭載用基板が示されている。
・ 乙1公報に開示された外部接続端子についてa 外部接続用リードピン及び環状外部接続端子の本件発明1の「外部接続端子」への該当性について以下のとおり,乙1公報の外部接続用リードピン9は,本件発明1の「外部接続用端子」には該当しないが,乙1公報の環状外部接続端子は,本件発明1の「外部接続端子」に該当する。
( ) パッケージ外部接続端子と基板配線外部接続端子の区別につい aて外部接続端子を「パッケージ外部接続端子 ( はんだボール , 」「 」「リードピン 「バンプ」のように,外部基板に電気的に接続す 」,るための端子であり,半導体素子搭載基板上の配線パターンの一部でない端子)と「基板配線外部接続端子 (半導体素子搭載用基板 」上のワイヤボンディング端子を「パッケージ外部接続端子」に電気的に接続するための半導体素子搭載基板上の配線パターンの一部としての端子)に区別すれば,乙1公報に開示された外部接続用リードピン9と環状外部接続端子のうち,外部接続用リードピン9がパッケージ外部接続端子に,環状外部接続端子が基板配線外部接続端子にそれぞれ該当するから,本件各発明の外部接続端子と対比すべき乙1公報の端子は,基板配線外部接続端子に当たる環状外部接続端子である。環状外部接続端子は,樹脂基板が備える配線回路の一部としての接続端子であり,半導体素子外形内に設けられ,その結果,半導体パッケージを小型化する効果を発揮している。
( ) 外部との接続の可否について b仮に,半導体素子を基板に接着するダイボンド材がスルーホールを埋めてしまうおそれがあったとしても,乙1公報の【要約】欄の【構成】欄に「半導体素子1の下面に接着剤5及び絶縁シート6を介して,樹脂基板8のスルーホールを有しており 」と記載され, ,図1(A)にも明示されているように,絶縁シート6の存在によって,接着剤5がスルーホールを埋めてしまう懸念は無用となる。
( ) 半導体素子搭載用基板におけるリードピンの有無について cPGA基板が,個別に切り出された後に外部接続用の接続ピンを挿入するものであったと仮定しても,乙1公報のPGA基板は,接続ピンを挿入する前でかつ個別に切り出す前に本件発明1の全構成要件に相当する構成を実質上備えている。
日経マイクロデバイス1987年(昭和62年)8月号(日経マグロウヒル社刊,乙37)68頁には 「同社はPGAの基板が5 ,枚程度リードフレーム状につながった状態で取り扱い,自動化を図っている(図10 。ピンも自社で取り付ける。リードフレーム状 )の基板にダイ・ボンディング,ワイヤー・ボンディングし,ポッテ。。 ィング樹脂とメタル・キャップで封止する そしてピンを挿入する・・・ピン打ち後,ピンの接合部を半田付けする。キャップにマーキングして,最後にフレームから切り離す (右欄8ないし19 。」行)と記載されており,図10が示されている。また,日経マイクロデバイス1986年(昭和61年)12月号(乙36)60頁には 「まず,ピン数に合わせてパターニングしたプリント基板を切 ,断せず,5枚程度つながった状態で基板の製造元から受け取る(図1 。基板にLSIチップをダイ・ボンディングし,ワイヤー・ボ )ンディングする。その上にエポキシ樹脂をポッティングし,メタル・キャップで封止する。ピン挿入,ハンダ付け,マーキング後,最後に各パッケージをバラバラにする(図2 (右欄3ないし12 )。」行)と記載されており,図1が示されている。これらの記載によれば,PGA基板において,半導体素子を搭載した後にピンを挿入することは周知技術であり,また,ピンを挿入する前に半導体素子搭載用基板が複数の半導体素子搭載領域を備えることは周知技術であった。
また,乙27公報(特開平5-29526号公報,平成5年(1993年)2月5日公開,発明の名称:半導体パッケージの基板への端子ピンの取付方法 ,乙29公報,乙30公報,乙31公報及 )び乙32公報によれば,PGA基板が外部接続用リードピンを備えない状態であっても,当業界においてPGA用の「半導体素子搭載用基板」と呼ばれている。
なお,もともと本件各発明も,各公報記載の公知の発明も,物の発明であって製造方法の発明ではないから,製造工程や納入形態を議論する意味はなく,リードピンを挿入するタイミングに関する議論は意味がない。
( ) 本件発明1の「外部接続端子」への該当性について dしたがって,乙1公報の環状外部接続端子は,本件発明1の「外部接続端子」に該当する。
b 本件発明1の「外部接続端子」を外部基板との接続部42のような部材と解することの可否について前記・ウ〔本判決41頁〕のとおり,仮に本件発明1の外部接続について,本件明細書1における配線パターン33の一部でなく,外部基板との接続部42のような部材を意味すると解釈し,被告主張に係「」 る乙1公報発明1の環状外部接続端子が本件発明1の 外部接続端子に該当しないとしても,被告主張に係る乙1公報発明1の外部接続用リードピン9は,本件発明1の「外部接続端子」に該当する。
c 乙1公報における本件発明1の「外部接続端子」の開示の有無についてしたがって,乙1公報の環状外部接続端子は,本件発明1の「外部接続端子」に該当し,乙1公報のPGA型樹脂基板8は,本件発明1の「半導体素子搭載用基板」に該当する。
・ 乙2公報に開示された外部接続端子について乙2公報の「貫通孔18に接続する端子部」は,本件発明1の「外部接続端子」に該当する。
すなわち,乙2公報のバンプ21は,パッケージ外部接続端子に該当,, 「 」 。 するものであり これは 本件発明1の外部接続端子 に該当しない,(.) , しかし 乙2公報の第3B図 FIG 3B に図示されているように乙2公報記載の実施例の各導体路20の一端には第1の接続領域19が存在し,他端には「貫通孔18に接続する端子部」が存在しており,こ「」, , の 貫通孔18に接続する端子部 は基板配線外部接続端子であって本件発明1の「外部接続端子」に該当する。
・ 乙3公報に開示された外部接続端子について乙3公報のリードピン4は,パッケージ外部接続端子に該当するもの,, 「 」 。, であり これは 本件発明1の 外部接続端子 に該当しない しかし乙3公報のスルーホール配線3に接続する内部配線2の端子部は,基板,「 」。 配線外部接続端子であって 本件発明1の外部接続端子 に該当する・小括以上によれば,乙1ないし乙3の公報には,本件発明1の「外部接続端子」が開示されている。
イ 本件発明1の 上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ 構 「」 (成要件エ)の開示の有無について乙1公報の環状外部接続端子は,本件発明1の「外部接続端子」に該当するから,本件発明1の「外部接続端子」は乙1公報に開示されており,本件発明1の構成要件ウ及びエは,乙1公報に開示されている。
ウ 半導体パッケージ領域を複数個配列することの周知性の有無について半導体パッケージ領域を複数個配列することは,以下のとおり,周知である。
すなわち,原告は,PGA基板について,一般的に切り出される前の時点において,複数個の半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が存在することを認めている。仮に,切り出された後に外部接続用リードピン9が挿入されるとしても,本件発明1の「外部接続端子」に該当するものは,配線回路の一部である環状外部接続端子であることから,乙1公報のPGA基板は,切り出される前から,本件発明1の構成要素をすべて実質上備えているといえる。
また,乙33公報及び乙34公報によれば,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域を複数組備えたPGA基板は周知であった。
したがって,通常の製造工程では,同一基板上に半導体パッケージ領域を複数個配列することは技術常識であり,当業者であれば,被告主張に係る乙1公報発明1について,複数個配列を予定したものであることを当然の事項として了知することができる。
エ 乙1公報記載の発明と本件発明1の課題の相違について,, 。 乙1公報記載の発明と本件発明1は 以下のとおり 課題を同一にするすなわち,乙1公報【要約】欄の【目的】には 「小型の半導体装置を ,提供する」と記載され,段落【0003】の【発明が解決しようとする課】,「。, 題 には 外形サイズが大きくなってしまうという問題があった またこの種の外形サイズを大きくしたパッケージは ・・・特殊仕様になって ,しまうという問題があった 」と記載され,さらに,段落【0007】に 。
は 「パッケージサイズも規格外の大きなサイズにする必要なく」と記載 ,されている。したがって,乙1公報記載の発明の目的は小型の半導体装置の提供である。他方,本件発明1の課題及び効果は大きいパッケージを小型化することであるから,乙1公報記載の発明と本件発明1とは課題を同一にするものである。
オ 乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無について乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することは,以下のとおり,容易である。
すなわち,乙4公報には,ICカード用の複合配線基板が開示されており,複合配線基板自体は,本件発明1の半導体素子搭載用基板と同じ技術分野に属するものであり,乙4公報に記載された技術を乙1公報に記載されたPGA基板に適用することは当業者にとって容易である。また,乙5ないし乙8の公報も,本件発明1と同じ技術分野に属する発明を開示しており,これらに記載された技術を乙1公報に記載されたPGA基板に適用することは当業者にとって容易である。
8 争点・イ(本件特許権2の無効事由の有無)・ 被告の主張ア 進歩性の欠如本件発明2は,乙1公報記載の発明と乙4ないし乙8の公報記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであって,進歩性に欠ける。以下,詳述する。
イ 乙1公報記載の発明〔〕, , 前記7・イ・ 本判決41頁 のとおり 乙1公報の記載を参照すると乙1公報には,?@樹脂基板8上に複数の配線回路が設けられ,配線回路はスルーホールより外側に向かって形成されていること,?A配線回路の外側端にある素子接続用端子7は,接続線3により半導体素子1と電気的接続するためのものであること,また,?B配線回路の内側端にあって,スルーホールの周囲を取り囲んでいる環状の端子であり,スルーホール内に挿入される外部接続用リードピン9と電気的に接続するための端子(環状外部接続端子)が示されているから,乙1公報に記載された発明を本件発明2の構成要件に対応させて示すと,次のとおりとなる(以下「被告主張に係る乙1公報発明2」という 。。)「半導体素子1を搭載するための,半導体素子搭載樹脂基板8を備え,上記半導体素子搭載樹脂基板8は,半導体素子1を搭載する領域,上記半導体素子搭載領域の外側の封止樹脂2により保護された半導体パッケージ領域,及び上記封止樹脂半導体パッケージ領域に設けられた素子接続用端子7と,上記半導体素子搭載領域に設けられた環状外部接続端子とを含む配線回路を備えることを特徴とする半導体素子搭載用樹脂基板8 」。
ウ 被告主張に係る乙1公報発明2と本件発明2の一致点,相違点被告主張に係る乙1公報発明2と本件発明1の構成部分の対応をみると 被告主張に係る乙1公報発明2の環状外部接続端子は本件発明2の 外 ,「」。,「」 部接続端子 に該当すると解される仮に 本件発明2の 外部接続端子が本件明細書2でいう配線33の一部ではなく,外部基板との接続部42のような部材を意味すると解釈し,被告主張に係る乙1公報発明2の環状外部接続端子が本件発明2の「外部接続端子」に該当しないとしても,被告主張に係る乙1公報発明2の外部接続用リードピン9は,本件発明2の「外部接続端子」に該当する。
また,被告主張に係る乙1公報発明2の効果と本件発明2の効果をみると,被告主張に係る乙1公報発明2の効果は,環状外部接続端子,スルーホール及び外部接続用リードピン9が半導体素子1の外形内に設けられて,パッケージサイズを大きなサイズにする必要がないため小型化でき,半導体パッケージを小型化するというものであり,本件発明2の効果と同様のものである。そうすると,被告主張に係る乙1公報発明2を,本件発明2と対比すると,一致点及び相違点は,次のとおりである。
・ 一致点半導体素子を搭載するための,半導体素子実装基板部を備え,上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備えることを特徴とする半導体素子実装用基板である点。
・ 相違点a相違点A本件発明2では,複数個の半導体素子実装基板部を備えている(構成要件サ?T)のに対し,被告主張に係る乙1公報発明2では,その複数個を明記していない点。
b相違点B本件発明2では 半導体実装基板部間を連結するための連結部と 構 ,(成要件サ?U)位置合わせマーク部とを備えている(構成要件サ?V)のに対し,被告主張に係る乙1公報発明2では,そのような連結部と位置合わせマーク部を明記していない点。
c相違点C,(), 本件発明2では 連結部が導電層を有する 構成要件ス のに対し被告主張に係る乙1公報発明2では,連結部の導電層を明記していない点。
エ 相違点についての容易想到性本件発明2の技術的特徴は,構成要件シにあり,特に,このうちの「上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子」という点にあり,このことは,前記1・ア・a( )〔本判決27頁〕と同様であるから,前記ウ a・〔本判決66頁〕の相違点は,いずれも本件発明2の技術的特徴ではない些末な要素に関するものである。
しかも,前記ウ・〔本判決66頁〕の相違点は,次のとおり,当業者であれば,乙1公報と周知技術に基づいて容易に想到し得たものである。
・ 相違点Aについて被告主張に係る乙1公報発明2では,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域とを1組のみ示し,それらの複数個の存在を明記していない。しかし,半導体素子搭載用基板の製造分野において,半導体パッケージ領域を1個ずつ個別に製造することは例外的であり,通常の製造工程で同一基板上に半導体パッケージ領域を複数個配列することは技術常識であるから,当業者であれば,乙1公報に記載がなくとも,複数個配列を予定していることを当然の事項として了知することができる。仮にPGA基板が接続ピン挿入前に個別に切り出されるものであるとしても,切り出される前に半導体素子を搭載するための複数個の半導体素子実装基板が連結されている。そうすると,相違点Aに係る複数個の半導体素子実装基板部を備えていることは,乙1公報に実質的に記載されているに等しい。
仮に,乙1公報に複数個配列の実質的な記載がないとしても,前記7・エ・〔本判決43頁〕と同様に,このことは,本件発明2と同じ技術分野に属する乙4ないし乙8の公報に記載されており,本件各発明の新規性,進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日の時点において周知の常用技術であった。
したがって,相違点Aは,製造設計上の当然の技術事項であり,複数個の半導体素子実装基板部を備えていることは,当業者であれば,乙1公報と周知技術に基づいて容易に想到し得たものである。
・ 相違点Bについて被告主張に係る乙1公報発明2では,半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と位置合わせマーク部を明記していない。しかし,前記・〔本判決67頁〕のとおり,当業者であれば,乙1公報に記載がなくとも,複数個配列を予定していることを当然の事項として了知するこ。, , とができる そして 複数個の半導体素子実装基板部を備えるためにはそれらの間を連結する連結部を備える必要があることは明白であり,また,半導体パッケージの製造分野において,半導体を樹脂でモールドするなどのために位置合わせ用のマークを備えることも技術常識であり,被告主張に係る乙1公報発明2において,位置合わせマーク部を備えることを予定していることも当然の事項として了知することができる。そのため,相違点Bに係る半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と位置合わせマーク部は,乙1公報に実質的に記載されているに等しい。
仮に,乙1公報に「半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と位置合わせマーク部」の実質的な記載がないとしても,このことは,次のとおり,本件発明2と同じ技術分野に属する乙4ないし乙8の公報に記載されており,本件各発明の新規性,進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日の時点において周知であった。
?@乙4公報配線回路部A複数個を 両側の連結部Bにより連結しており 3 「, 」 (頁左上欄9,10行 )と記載され,第1図には,連結部B及び位置 ,合わせ用の孔が図示されている。
?A乙5公報「これら回路基板形成域の側方に連設した支持枠 (1頁左下欄7 」ないし8行。ここにいう「支持枠」は,本件発明2の「連結部」に該当する 「両支持枠部分19の各端部には適当な位置決め穴乃至は 。),」() 支持穴20を適宜形成することが出来る3頁左上欄3ないし5行と記載され,第1図には,支持穴20が図示されている。
?B乙6公報「長尺状の可 性〔判決注 「可撓性」の誤記と認められる 〕絶 。
縁性フィルム上に,金属箔配線が形成され (1頁左下欄5ないし6 」行。ここにいう「長尺状の可撓性絶縁性フィルム」は,本件発明2の「連結部」に該当する 「パーフォレーション周囲の強度は充分で 。),あり ・・・その際の位置精度を下げることがない (3頁右下欄7 ,。 」ないし12行 ここにいう パーフォレーション は本件発明2の 位 。「 」 「置合わせマーク部」に該当する )と記載され,第7図には,フィル 。
ムキャリヤ1及びパーフォレーション10が図示されている。
?C乙7公報「ポリイミド製ベーステープ(絶縁性フィルム)1 (2頁右上欄 」,。 「 ( ) 2 3行 ここにいう ポリイミド製ベーステープ 絶縁性フィルム1」は,本件発明2の「連結部」に該当する 「搬送用送り孔1a 。),を基準にして (2頁左下欄13,14行。ここにいう「搬送用送り 」孔1a」は本件発明2の「位置合わせマーク部」に該当する )と記。
載され,第1図(a)には,ポリイミド製ベーステープ1と搬送用送り孔1aが図示されている。
?D乙8公報「ベースフィルム10上には回路パターンが繰り返しパターンで形成され (3頁右上欄15ないし17行)と記載され,第2図には, 」位置合わせ孔が図示されている。
したがって,相違点Bは,製造設計上の当然の技術事項であり,半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と位置合わせマーク部を備えることは,当業者であれば,乙1公報と周知技術に基づいて容易に想到し得たものである。
・ 相違点Cについて被告主張に係る乙1公報発明2では,剛性を与えるために連結部が具える導電層を明記していない。しかし,半導体素子搭載用基板の製造分野において,強度を増すために「連結部は導電層を有する」ようにすることは,次のとおり,本件発明2と同じ技術分野に属する乙4ないし乙8の公報に記載されており,本件各発明の新規性,進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日の時点において周知であった。
?@乙4公報「金属層11dを連結部の配線基板に設けたのは,複合配線基板としての機械的強度の向上と・・・をはかるためであり,配線基板11の配線導体11c形成時に同時に形成した (3頁左下欄7ないし 。」11行)と記載され,第3図には,金属層11dが図示されている。
?A乙5公報「支持枠部分6には機械的強度を確保する為に導電層を残置することも出来る (2頁左上欄6ないし8行)と記載されている。 。」?B乙6公報「図中13がパーフォレーション周辺を補強する為に配置された,銅箔であり (3頁右上欄11ないし13行)と記載され,第7図に 」は,補強材13が図示されている。
?C乙7公報「金属箔は,絶縁性フィルムの側縁に送り孔の部分を除いて連続的に付着され,送り孔の開口縁を補強する (1頁左下欄9ないし11 」行)と記載され,第1図(a)には,搬送用送り孔補強用帯6及び帯間隔変化防止用横桟7が図示されている。
?D乙8公報「ベースフィルム10上には回路パターンが繰り返しパターンで形成され,同時に各回路パターンに接続して検査用ライン40および電解めっきの導通をとるためのバスライン42が設けられる (3頁 。」右上欄15ないし19行)と記載され,第2図には,回路パターンを連結するベースフィルム10上に導電性のバスライン42が設けられていることが図示されている。
したがって,相違点Cは,製造設計上の当然の技術事項であり,連結部が導電層を有するようにすることは,当業者であれば,乙1公報と周知技術に基づいて容易に想到し得たものである。
オ小括以上によれば,本件発明2は,被告主張に係る乙1公報発明2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,本件特許権2には,進歩性を欠くという無効事由がある。
・ 原告の反論ア 進歩性の具備本件発明2は,乙1公報記載の発明と乙4ないし乙8の公報記載の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,進歩性を有する。以下,詳述する。
イ 本件発明2の「外部接続端子(構成要件シ)の開示の有無 」以下のとおり,乙1ないし乙3の公報には,本件発明2の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 本件発明2の「外部接続端子」本件発明2は 「・・・上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接 ,続端子とを含む配線を備え (構成要件シ)との構成要件を備えるか ,」ら,本件発明2の「外部接続端子 (構成要件シ)は,配線に含まれる 」外部接続端子である。
・ 乙1公報に開示された外部接続端子前記7・イ・〔本判決45頁〕と同様に,乙1公報には,本件発明2の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 乙2公報に開示された外部接続端子前記7・イ・〔本判決53頁〕と同様に,乙2公報には,本件発明2の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 乙3公報に開示された外部接続端子前記7・イ・〔本判決54頁〕と同様に,乙3公報には,本件発明2の「外部接続端子」は開示されていない。
ウ 乙1公報記載の発明と本件発明2の課題の相違前記7・オ〔本判決56頁〕と同様に,乙1公報から本件発明2を想到することはできない。
エ 乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無前記7・カ〔本判決57頁〕と同様に,乙1公報記載の発明に乙4ないし乙8の公報に記載された発明を組み合わせることは困難であり,本件発明2は,乙1公報記載の発明から当業者が容易に想到することはできなかった。
オ 相違点についての容易想到性以下のとおり,被告主張に係る乙1公報発明2と本件発明2の相違点に係る技術事項は,容易想到であるとはいえない。
・ 相違点AについてPGA基板は,他の半導体パッケージとは異なり,接続用リードピンが多数設けられているという特殊性があるから,個別に作られるのが一般的な製造法である。乙1公報にはこのような一般的な製造法が記載されているにとどまり,同一基板上に半導体素子実装基板部を複数個配列することは記載されていない。
したがって,相違点Aは,製造設計上の当然の技術事項ではなく,複数個の半導体素子実装基板部を備えていることは,乙1公報と周知技術に基づいて容易に想到し得たものではない。
・ 相違点Bについて前記・〔本判決72頁〕で述べたように,PGA基板は,個別に作られるのが一般的な製造法であるから,複数個の半導体素子実装基板部の存在を前提とした連結部や位置合わせマーク部を設けることは,製造設計上の当然の技術事項ではなく,そのために乙4ないし乙8の公報に記載された技術を適用する動機付けもない。
・ 相違点Cについて乙1公報に記載されたPGA基板は,基板に外部接続用リードピンを挿入してこれを支持する必要があるため,基板自体が十分な剛性を有しているか又は剛性を出すために厚さを厚くしており,導電層を設けて強度を上げようとする発想がない。したがって,乙1公報には 「連結部 ,は導電層を有する」ことの記載も示唆もなく,乙4ないし乙8の公報に記載された技術を組み合わせる動機付けも存在しない。
・ 相違点AないしCについての容易想到性の有無そうすると,相違点AないしCに係る技術事項は,いずれも乙1公報に記載されているに等しいとはいえず,また,乙4ないし乙8の公報に記載された技術を乙1公報のPGA基板に適用することは当業者にとって容易とはいえないから,相違点AないしCに係る技術事項は,容易想到であるとはいえない。
9 争点・ウ(本件特許権3の無効事由の有無)・ 被告の主張ア 新規性,進歩性の欠如本件発明3は,乙1公報記載の発明と実質的に同一であって,新規性に欠ける。仮にそうでないとしても,乙1公報記載の発明と乙4ないし乙8の公報記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであって,進歩性に欠ける。以下,詳述する。
イ 乙1公報記載の発明〔〕, , 前記7・イ・ 本判決41頁 のとおり 乙1公報の記載を参照すると乙1公報には,?@樹脂基板8上に複数の配線回路が設けられ,配線回路はスルーホールより外側に向かって形成されていること,?A配線回路の外側端にある素子接続用端子7は,接続線3により半導体素子1と電気的接続するためのものであること,また,?B配線回路の内側端にあって,スルーホールの周囲を取り囲んでいる環状の端子であり,スルーホール内に挿入される外部接続用リードピン9と電気的に接続するための端子(環状外部接続端子)が示されているから,乙1公報に記載された発明を本件発明3の構成要件に対応させて示すと,次のとおりとなる(以下「被告主張に係る乙1公報発明3」という 。。)「ガラス布エポキシ等の積層板と,その上面に形成された複数の配線回路とを備える,半導体素子1を搭載する樹脂基板8において,半導体素子1を搭載する領域と,該半導体素子搭載領域の外側の封止樹脂2により保護された半導体パッケージ領域とを備え,上記配線回路は,上記半導体パッケージ領域に形成された素子接続用端子7と,上記半導体素子搭載領域に形成された環状外部接続端子とをつなぐ配線回路を含み,上記環状外部接続端子の形成された箇所の上記積層板に,上記環状外部接続端子に達するスルーホール10が設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用樹脂基板8 」。
ウ 被告主張に係る乙1公報発明3と本件発明3の一致点,相違点被告主張に係る乙1公報発明3と本件発明3の構成部分の対応をみると,被告主張に係る乙1公報発明3の「環状外部接続端子」は本件発明3の「外部接続端子」に該当すると解される。仮に,本件発明3の「外部接続端子」が本件明細書3でいう配線パターン33の一部ではなく,外部基板との接続部42のような部材を意味すると解釈し,被告主張に係る乙1公報発明3の「環状外部接続端子」が本件発明3の「外部接続端子」に該当しないとしても,被告主張に係る乙1公報発明3の「外部接続用リードピン9」は,本件発明3の「外部接続端子」に該当すると解される。
また,被告主張に係る乙1公報発明3の効果と本件発明3の効果をみると,被告主張に係る乙1公報発明3の効果は,環状外部接続端子,スルーホール及び外部接続用リードピン9が半導体素子1の外形内に設けられて,パッケージサイズを大きなサイズにする必要がないため小型化することができ,半導体パッケージを小型化するというものであり,本件発明3と同様のものである。
そうすると,被告主張に係る乙1公報発明3を,本件発明3と対比すると,一致点及び相違点は,次のとおりである。
・ 一致点絶縁性支持体と,その片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み,上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用基板である点。
・ 相違点本件発明3では,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域とを複数組備えている(構成要件ニ)のに対し,被告主張に係る乙1公報発明3では,これらの領域を複数組備えることを明記していない点エ 新規性,進歩性の有無・ 新規性以下のとおり,本件発明3は,被告主張に係る乙1公報発明3と実質的に同一である。
すなわち,本件発明3の技術的特徴は,構成要件ヌの「上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子」という点にあり,このことは,前記1・ア・a( )〔本判決30頁〕と同様であるから,前記ウ・〔本 c判決75頁〕の相違点は,本件発明3の技術的特徴ではない些末な要素に関するものである。しかも,半導体素子搭載用基板の製造分野において,半導体パッケージ領域を1個ずつ個別に製造することは例外的であり,通常の製造工程で同一基板上に半導体パッケージ領域を複数個配列することは技術常識であるから,当業者であれば,乙1公報に記載がなくとも,複数個配列を予定していることを当然の事項として了知することができる。
したがって,本件発明3は,乙1公報に実質的に記載されているに等しく,被告主張に係る乙1公報発明3と実質的に同一である。
進歩性仮に,乙1公報に複数組(複数個配列)の実質的な記載がないとしても,前記7・エ・〔本判決43頁〕と同様に,このことは,本件発明3と同じ技術分野に属する乙4ないし乙8の公報に記載されており,本件各発明の新規性,進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日の時点において周知の常用技術であった。
したがって,前記ウ・〔本判決75頁〕の相違点は,製造設計上の当然の技術事項であり,本件発明3は,当業者が被告主張に係る乙1公報発明3及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができた。
オ小括以上によれば,本件発明3は,被告主張に係る乙1公報発明3と実質的に同一であるか,又は被告主張に係る乙1公報発明3及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたから,本件特許権3には,新規性及び進歩性を欠くという無効事由がある。
・ 原告の反論ア 新規性,進歩性の具備本件発明3は,乙1公報記載の発明と実質的に同一ではなく,新規性を有する。また,本件発明3は,乙1公報記載の発明と乙4ないし乙8の公報記載の周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく,進歩性を有する。以下,詳述する。
イ 本件発明3の「外部接続端子(構成要件ヌ)の開示の有無 」以下のとおり,乙1ないし乙3の公報には,本件発明3の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 本件発明3の「外部接続端子」本件発明3は 「・・・上記半導体素子搭載領域に形成された外部 ,接続端子とをつなぐ配線を含み (構成要件ヌ)との構成要件を備 ,」えるから,本件発明3の「外部接続端子 (構成要件ヌ)は,配線に 」含まれる外部接続端子である。
・ 乙1公報に開示された外部接続端子前記7・イ・〔本判決45頁〕と同様に,乙1公報には,本件発明3の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 乙2公報に開示された外部接続端子前記7・イ・〔本判決53頁〕と同様に,乙2公報には,本件発明3の「外部接続端子」は開示されていない。
・ 乙3公報に開示された外部接続端子前記7・イ・〔本判決54頁〕と同様に,乙3公報には,本件発明3の「外部接続端子」は開示されていない。
ウ 本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)の開示の有無以下のとおり,乙1公報記載の発明は,本件発明3の構成要件ナの構成を備えるものではない。
すなわち,構成要件ナの基板の「片面に形成された配線」とは,基板の片面のみに配線が形成されていることを意味する。
これに対し 乙1公報には 表裏両面には銅が張られている 表 ,, 「。 」,「裏面の銅をエッチングすることにより回路が形成されている ( 00 。」【05 )と記載されており,乙1公報記載の発明に係る基板には,裏面 】にも配線がある。PGA基板においては,通常,裏面の環状回路を含む配線とリードピンをハンダで接続し,裏面の配線とリードピンとの電気的な接続を確実にしているため,裏面の回路は電気配線として機能している。そうすると,乙1公報記載の発明の基板は,半導体素子1を搭載する面とその裏面に複数の配線が設けられており,これらの配線が素子接続用端子7とめっきの施されたスルーホール10をつなぐ配線パターンを備えるものである。
したがって,乙1公報記載の発明は,配線が基板の両面に形成されたものであるから,構成要件ナの上記構成を備えるものではなく,本件発明3と相違する。
エ 本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)の開示の有無 」以下のとおり,本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)は乙1公報記 」載の発明には開示されていない。
・ 本件発明3は,配線を絶縁性支持体の片面に形成して,開口部を外部接続端子でふさぐ構造とすることにより,半導体パッケージの構造を単純化することができ,低コストで生産性に優れた半導体素子搭載用基板を得ることができるものであるのに対し,乙1公報記載の発明のPGA基板のスルーホールは,外部接続端子を挿入してこれを支持するためのものであり,内部のめっきと両面配線が必要であり,外部接続端子が挿入されなければダイボンド材によって埋められてしまうから,乙1公報記載の発明のスルーホール10と本件発明3の「開口部」は目的も構造も全く相違している。したがって,乙1公報記載の発明のスルーホール10は本件発明3の「外部接続端子に達する開口部」ではなく,本件発明3の「開口部」は乙1公報記載の発明には開示されていない。
・ 仮に「外部接続端子」がスルーホールのめっき部であるとすると,本件発明3の構成要件ネ(上記外部接続端子の形成された箇所の上記,) 絶縁性支持体に 上記外部接続端子に達する開口部が設けられているは 「上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,ス ,ルーホールのめっき部に達する開口部が設けられている」ということになるが,乙1公報にはそのような構造のものは開示されていない。
また,そこでいう開口部はスルーホールであるから 「上記外部接続 ,端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,スルーホールのめっき部に達するスルーホールが設けられている」ということになり,矛盾した意味になる。
オ 乙1公報記載の発明と本件発明3の課題の相違前記7・オ〔本判決56頁〕と同様に,乙1公報から本件発明3を想到することはできない。
カ 乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無前記7・カ〔本判決57頁〕と同様に,乙1公報記載の発明に乙4ないし乙8の公報に記載された発明を組み合わせることは困難であり,本件発明3は,乙1公報記載の発明から当業者が容易に想到することのできた発明であるとはいえない。
キ 被告主張に係る乙1公報発明3と本件発明3の相違点についての容易想到性前記8・オ・〔本判決72頁〕のとおり,乙1公報にはPGA基板を個別に作る一般的な製造法が記載されているにとどまり,同一基板上に半導体素子実装基板部を複数個配列することは記載されていない。
,, したがって 被告主張に係る乙1公報発明3と本件発明3の相違点は製造設計上の当然の技術事項ではなく,半導体搭載領域と半導体パッケージ領域とを複数組備えていることは,乙1公報と周知技術に基づいて容易に想到し得たものではない。
・ 被告の再反論ア 本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)の開示の有無について以下のとおり,本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)は,乙1公報記載の発明に開示されている。
すなわち,本件発明3の構成要件ナには 「片面に形成された複数の ,配線」と記載されており 「片面のみに」との記載はなく,また,片面 ,のみに配線を設けることによる格別な効果もない。そのため,乙1公報記載の発明において,絶縁性支持体の片面に配線が形成されていれば,その他の面の配線の有無にかかわらず,構成要件ナの「片面に形成された複数の配線」が開示されているといえる。
乙1公報の段落【0005,図1には,ガラス布エポキシ等の積層 】板と,その上面に形成された複数の配線回路が開示されているから,本件発明3の絶縁性支持体の片面に形成された配線が開示されている。
イ 本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)の開示の有無について 」以下のとおり,本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)は乙1公報記 」載の発明には開示されている。
すなわち,本件特許権3の請求項1に,開口部を外部接続端子で「ふ」,「」, さぐ 構造とするような限定の記載はなく本件発明3の 開口部 は乙1公報にスルーホールとして開示されている。
,, 仮に 被告主張に係る乙1公報発明3のPGA基板のスルーホールが内部のめっきと両面配線を必要とするとしても,乙1公報の「環状外部接続端子に達するスルーホール」が本件発明3の「外部接続端子に達する開口部」に該当することに変わりはない。
なお,スルーホールに内部めっきのされていない状態でリードピン又はバンプに接続することは可能であり,環状外部接続端子が,スルーホール内のめっきの有無にかかわらず,基板上のワイヤボンディング端子をリードピン又はバンプと電気的に接続するための機能,すなわち,本件発明3の半導体素子搭載用基板の外部接続端子と同一の機能を果たしていることは明らかである。
本件発明3においては,絶縁性支持体裏面から外部接続端子に達する開口部が設けられているが,その開口部はバンプを設け,絶縁性支持体裏面と外部接続端子との電気的接触を取れるようにするためのものである。乙1公報記載の発明においても,開口が基板裏面から外部接続端子であるめっきが施されたスルーホールの内面に達するように設けられているから,本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)は開示されている。 」争点・(本件各訂正による無効事由の解消の有無)ア(本件訂正1による本 10件特許権1の無効事由の解消の有無)・ 原告の主張。, 。 本件訂正1により本件特許権1の無効事由は解消された 以下 詳述するア 乙1公報記載の発明に基づく容易想到性がないこと・ 乙1公報記載の発明乙1公報記載の発明は,次のとおりである。
「樹脂基板に,半導体素子が搭載される領域と,その外側に樹脂により封止される領域を有し,該樹脂基板の片面に複数の配線が設けられ,該樹脂により封止される領域に素子接続用端子が設けられ,該半導体素子が搭載される領域にめっきが施されたスルーホールが設けられ,該配線が素子接続用端子とスルーホールとをつなぐ配線パターンを備えたPGA基板 」。
・ 本件訂正発明1本件訂正発明1(前記第2,2・ア〔本判決15頁 )を構成要件に 〕分説すると,次のとおりである。
ア 絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,イ 半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,○?T 上記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体ウの半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,○?U 上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記ウ絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え,○?T 上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えらエれ,○?U 上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,エ○?V 上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記エ外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,○?? 上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部のエ側壁に上記絶縁性支持体が露出しており,○?? 上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージエ領域に設けられ,○?? 上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ,エ○?T 同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上オ記半導体パッケージ領域が複数個配列され上記複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており,○?U 同一の上記ブロックが複数個設けられているオことを特徴とする半導体素子搭載用基板。
・ 乙1公報記載の発明と本件訂正発明1の対比本件訂正発明は,前記・〔本判決82頁〕の乙1公報記載の発明と対比すると,次の点で相違する。
a 配線は,銅箔から形成される配線であって,絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層ある点。
b 外部接続端子は配線の絶縁性支持体側の面に備えられている点。
c 外部接続端子の形成される箇所の絶縁性支持体に,外部接続端子に達する開口部が設けられ,開口部の半導体素子を搭載する面側は,外部接続端子で覆われている点。
d 絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出している点。
e 同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列され複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており,同一のブロックが複数個設けられている点。
・ 乙1公報記載の発明に基づく容易想到性の有無そうすると,乙1公報記載の発明と本件訂正発明1とは,配線や外部との接続構造が全く異なっているから,乙1公報記載の発明に基づいて本件訂正発明1を容易に想到することはできなかった。
イ 乙4公報記載の発明に基づく容易想到性がないこと・ 乙4公報記載の発明乙4公報の発明は,次のとおりである。
「配線回路部と前記配線回路部を複数個を連結するための連結部とにより構成され,前記配線回路部および前記連結部は,絶縁基板に配線導体が設けられた配線基板と,不要部が除去加工された絶縁体とを接着積層して形成され,配線回路部の配線基板には,集積回路素子を搭載する凹部が設けられ,配線回路部の配線導体は,配線基板の凹部が設けられた側の絶縁基板表面の複数の回路パターン,及び該回路パターンに設けら,, れたワイヤボンディング端子 絶縁基板裏面の外部接続用端子パターン及びスルーホールを有し,集積回路素子および接続部は,封止樹脂により保護される部分である複合配線基板 」。
・ 乙4公報記載の発明と本件訂正発明1の対比本件訂正発明1は,前記・〔本判決84頁〕の乙4公報記載の発明と対比すると,次の点で相違する。
a 配線は,銅箔から形成される配線であって,絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層ある点。
b 外部接続端子は配線の絶縁性支持体側の面に備えられている点。
c 外部接続端子の形成される箇所の絶縁性支持体に,外部接続端子に達する開口部が設けられ,開口部の半導体素子を搭載する面側は,外部接続端子で覆われている点。
d 絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出している点。
e 外部接続端子は半導体素子搭載領域に設けられている点。
f 同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列され複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており,同一のブロックが複数個設けられている点。
・ 乙4公報記載の発明に基づく容易想到性の有無そうすると,乙4公報記載の発明と本件訂正発明1とは,配線や外部との接続構造が全く異なっているから,乙4公報記載の発明に基づいて本件訂正発明1を容易に想到することはできなかった。
ウ 本件特許権1の無効事由の解消,, 。 したがって 本件訂正1により 本件特許権1の無効事由は解消された・ 被告の反論。, 本件訂正1によっても本件特許権1の無効事由は解消されていない 以下詳述する。
ア 乙1公報記載の発明との対比における新規性,進歩性の欠如本件訂正発明1の技術的特徴は,訂正前の本件発明1と同様,外部接続ウウ端子が半導体素子搭載領域に設けられている点にあり,構成要件○?T,○?U,○?Tないし??,○?T,○?Uは,この本件発明1の技術的特徴自体を本エオオ質的に限定するものではない。本件訂正発明1の上記の技術的特徴は,乙1公報の図1により開示されている。そして,本件発明1の本件訂正1に係る事項は,このような技術的特徴と関係のない些末な要素に関するものであるから,本件訂正発明1は,乙1公報記載の発明と実質的に同一であり,又は乙1公報記載の発明及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 乙42公報記載の発明との対比における進歩性の欠如本件訂正発明1は,当業者が乙42公報(特開昭61-177759号,( ) , ) 公報 昭和61年 1986年 8月9日公開 発明の名称:半導体装置。, 。 及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができた 以下 詳述する・ 乙42公報記載の発明乙42公報の実施例及び図面によれば,乙42公報には,次の構成を備える発明が記載されている。
a ガラスエポキシ基板により構成されるベース1と金属箔から形成される複数のメタライズ層6とを備える,半導体素子3を固着した半導体素子搭載用基板。
b 半導体素子3を搭載する領域と,外側のS 系ゲル9により被覆さ iれた半導体パッケージ領域。
c 1層のメタライズ層6は,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみにある。
d メタライズ層6は,コネクタワイヤボンディング部と,アウターリード4に接続する端子とをベース1上に形成されるメタライズ層6の一部とした配線パターンを備えている。
e アウターリード接続部分はメタライズ層6のベース1側の面に備えられ,コネクタワイヤボンディング部はその反対側(素子側)の面に備えられている。
f アウターリード4に接続する端子の形成される箇所のベース1に,アウターリード4に接続する端子に達するスルーホールがベース1に穿設され,スルーホールの半導体素子搭載面側は,メタライズ層6で覆われており,スルーホールの側壁にベース1が露出している。
g コネクタワイヤボンディング部はSi系ゲル9により被覆される半導体パッケージ領域に設けられ,アウターリード4に接続する端子は半導体素子3搭載領域に設けられている。
・ 乙42公報記載の発明と本件訂正発明1の一致点,相違点乙42公報記載の発明と本件訂正発明1の一致点,相違点は,次のとおりである。
a一致点絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しており,上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられている点。
b相違点( ) 相違点?@a本件訂正発明1は,半導体素子搭載用基板において半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数組備えられているが,乙42公報記載の発明には,複数組備えられていることが明示されていない点。
( ) 相違点?Ab本件訂正発明1は,配線が銅箔により形成されているが,乙42公報記載の発明には,そのことが明示されていない点。
( ) 相違点?Bc本件訂正発明1は,絶縁性支持体がポリイミドフィルムにより形成されているが,乙42公報記載の発明には,そのことが明示されていない点。
( ) 相違点?Cd本件訂正発明1は,同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列され,複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており,同一の上記ブロックが複数個設けられているが,乙42公報記載の発明には,そのことが明示されていない点。
・ 相違点に係る技術の周知性a 相違点?@について半導体素子搭載用基板において半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数組備えられていることは,乙4ないし8,47ないし51に記載されており,周知であった。
b 相違点?Aについて配線を銅箔により形成することは,乙7,44,45,58,59に記載されており,周知であった。
c 相違点?Bについて絶縁性支持体をポリイミドフィルムにより形成することは,乙7,8,45,58,59に記載されており,周知であった。
d 相違点?Cについて同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数個配列されることは,乙4ないし8,47ないし51に記載されており,周知であった。また,これらの複数個を一括して封止可能な複数ブロックが複数個設けられることも,乙60ないし63に記載されており,周知であった。
容易想到性前記・〔本判決88頁〕のとおり,相違点に係る技術はいずれも周知であった。また,乙42公報には 「発明の概要」を記載した欄に 「チ ,,ップの下部にもアウターリードを垂直に出した構成・・・としたので,・・・パッケージサイズも小型化可能となる (2頁右上欄3ないし 。」9行)と記載されており,半導体パッケージを小型化するという本件訂正発明1と同様の作用効果が記載されている。したがって,乙42公報記載の発明に周知技術を適用して本件訂正発明1を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものである。
・ 原告の再反論乙42公報記載の発明に周知技術を適用して本件訂正発明1を構成するこ,。,。 とは 当業者にとって容易に想到することはできなかった 以下 詳述するア 乙42公報記載の発明について本件各訂正発明は,その特許請求の範囲の記載にあるとおり半導体素子搭載用の基板についての発明であって,その基本的な構成は,ポリイミドフィルムの上面(半導体素子を搭載する側を上面とし,反対側を下面とする)に銅箔からなる配線パターンを設け,その一端の上面をワイヤボンディング端子とし,他端の下面を外部接続端子とし,基板であるポリイミドフィルムの当該部分に該当する位置に開口部を設けて,外部と電気的に接続できるようにしておくというものである。これに対して,乙42公報記載の発明は,半導体素子を搭載した半導体装置であるが,そのうちの基板の部分の構成をみると,ガラスエポキシのベース(基板)の上面にメタライズ層からなる配線パターンを設け,その一端の上面をワイヤボンディン,。 グ端子とし 他端をベースに穿設されたスルーホールに電気的に接続するそして,このスルーホールにアウターリードを挿入し,スルーホールの下部につながる裏面配線とアウターリードとをはんだ付したというものである。ここで,スルーホールとは,側壁にめっき等による導電層を有する貫通孔のことである。
そこで,本件各訂正発明と乙42公報記載の発明を対比すると,ポリイミドフィルムのような薄い素材では,アウターリードを挿入し保持・固定するスルーホールを設けることは困難であり,そもそも基板の材質が異なっている。そして,配線について,本件各訂正発明では基板の上面のみに,,, 設けられているのに対し 乙42公報記載の発明では 電気的接続経路がコネクタワイヤ→メタライズ層→スルーホール→アウターリード,又はコネクタワイヤ→メタライズ層→スルーホール→下面配線→はんだ→アウターリードの順となり,基板の下面にも下面配線が設けられている。このように,基板として,両者は技術的に基本的発想が異なっている。
そうすると,乙42公報記載の発明は,半導体素子を搭載する面の反対側の下面にも配線が設けられているから,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみに,メタライズ層6からなる複数の配線が設けられていること(前記・イ・c,d〔本判決86頁 )はない。 〕また,乙42公報の第3図に示されているように,スルーホールに対面する部分のメタライズ層6は空孔となっており,メタライズ層6はスルーホールを覆っていない。そのため,乙42公報記載の発明において,アウターリード4に接続されているのは,電気的にも物理的にもスルーホールであり,メタライズ層6の下面にアウターリード4に接続する端子は存在しないから,アウターリード4に接続する端子は半導体素子3の搭載領域のメタライズ層6の下面に設けられること(前記・イ・e,g〔本判決86頁 )はないし,スルーホールの半導体素子3を搭載する面側がメタラ 〕イズ層6で覆われていること(前記・イ・f〔本判決86頁 )はない。 〕そのため,乙42公報記載の発明においては,外部接続端子に該当するのは,アウターリード4ということになる。
イ 乙42公報記載の発明と本件訂正発明1の一致点,相違点について前記ア〔本判決89頁〕のとおり,乙42公報記載の発明においては,半導体素子を搭載する面の反対側である下面にも配線があるから 「上記,,, 」 配線は 上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり(前記・イ・a〔本判決87頁 )との点は一致点ではなく,相違点であ 〕る。
また,乙42公報記載の発明においては,アウターリード4(リードピン)が外部接続端子に該当するから,外部接続端子は絶縁性支持体上に形成される配線の一部ではない。仮にスルーホールの側壁(めっき等が施されている部分)を外部接続端子とした場合でも同様である。そうすると,「上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え 「上記外」,部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ 「上記ワ」,イヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ 「上記開口部の半 」,導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており (前記・ 」イ・a〔本判決87頁 )との点は,一致点ではなく,相違点である。 〕ウ 絶縁性支持体の開口部側壁への露出に関する相違点について,, ・ 本件訂正発明1では 絶縁性支持体がポリイミドフィルムで構成され絶縁性支持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報記載の発明では,ベース(絶縁性支持体)がガラスエポキシで構成され,スルーホール(開口部)の側壁にベースが露出しているか否かを明記しておらず,この点は,本件訂正発明1と乙42公報記載の発明の相違点である。
・ 本件訂正発明1は,製品としての半導体素子搭載用基板において,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報記載の発明では,製品としての状態で,スルーホールの側壁にはめっき等による導電層が形成される。
すなわち,本件訂正発明1は,半導体素子搭載用基板に関する発明であって,半導体素子を直ちに搭載できる状態であることが必要である。
本件訂正発明1に係る半導体素子搭載用基板は,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出しているが,半導体素子を搭載できる状態にあり,この基板に半導体素子を接着し,半導体素子の外部端子とワイヤボンディング端子とを電気的に接続し,パッケージ領域に該当する部分に半導体封止用エポキシ樹脂を用いて配線パターンを一括封止した後,外部接続端子にはんだボールを形成して外部接続用バンプを形成し,各パッケージ部に分離するものである。そのため,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出している基板は,半導体素子搭載用基板の製造工程におけるある時点での基板の状態ではなく,本件訂正発明1の半導体素子搭載用基板そのものである。
これに対し,乙42公報記載の発明は,半導体素子搭載領域にアウターリードを設ける構造となっているため,半導体素子を搭載した後でアウターリードを打ち込むことは極めて困難であり,アウターリードが備わっている状態でなければ半導体素子搭載基板とはいえない。そして,乙42公報に「上記メタライズ層6と,アウターリード4とを,ベース1に穿設されたスルーホールを介して電気的に接続している (2頁右 」下欄1ないし3行)と記載されているように,アウターリードを打ち込む際には,スルーホールは,メタライズ層6とアウターリード4とを電気的に接続するために,めっき等により側壁に導電層が形成されていな,, ければならないから 乙42公報記載の発明の半導体素子搭載用基板はスルーホールの側壁にベースが露出された状態にはならない。なお,スルーホールは,両面銅張積層板に孔を穿設し,次いで孔の側壁を含めめっきすることによって形成されるものであり,この時点では,まだ配線は形成されておらず,そのため,孔が穿設された段階,及び次のスルーホール形成の段階においては,半導体素子搭載用基板とはいえない。
・ 前記・〔本判決91頁〕の相違点について,スルーホールの側壁にめっき等による導電層が形成されている乙42公報記載の発明から,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出している本件訂正発明1を想到することは,容易とはいえない。
容易想到性についてしたがって,乙42公報記載の発明に周知技術を適用して本件訂正発明,。 1を構成することは 当業者にとって容易に想到することはできなかった争点・イ(本件訂正2による本件特許権2の無効事由の解消の有無) 11・ 原告の主張。, 。 本件訂正2により本件特許権2の無効事由は解消された 以下 詳述するア 乙4公報記載の発明乙4公報記載の発明は,次のとおりである。
「配線回路部と前記配線回路部を複数個を連結するための連結部とにより構成され,前記配線回路部及び前記連結部は,絶縁基板に配線導体が設けられた配線基板と,不要部が除去加工された絶縁体とを接着積層して形成され,配線回路部の配線基板には,集積回路素子を搭載する凹部が設けられ,配線回路部の配線導体は,配線基板の凹部が設けられた側の絶縁基板表面の回路パターン及び該回路パターンに設けられたワイヤボンディング端子,絶縁基板裏面の外部接続用端子パターン,及び,スルーホールを有し,集積回路素子及び接続部は,封止樹脂により保護される部分であり,連結部は,その配線基板の少なくとも一方面に設けられた金属層,及び,隣接する配線回路部間に対応する位置に形成された穴を有する複合配線基板」。
イ 本件訂正発明2本件訂正発明2(前記第2,2・イ〔本判決16頁 )を構成要件に分 〕説すると,次のとおりである。
サ?T それぞれ半導体素子を搭載するための,複数個の半導体素子実装基板部と,サ?U 上記半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と,サ?V 位置合わせマーク部とを備え,○?T 上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素シ子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられる外部接続端子とを含む配線並びに絶縁性支持体を備え,○?U 上記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体のシ半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,○?V 上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶シ縁性支持体上に形成される配線の一部として備え,○?? 上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えらシれ,○?? 上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,シ○?? 上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外シ部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,○?? 上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側シ壁に上記絶縁性支持体が露出しており,ス 上記連結部は導電層を有することを特徴とする半導体素子実装用基板。
ウ 乙4公報記載の発明と本件訂正発明2の対比本件訂正発明2は,前記ア〔本判決93頁〕の乙4公報記載の発明と対比すると,次の点で相違する。
a 半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子である点。
b 配線は銅箔から形成される配線であって,絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層ある点。
c 外部接続端子は配線の絶縁性支持体側の面に備えられる点。
d 外部接続端子の形成される箇所の絶縁性支持体に,外部接続端子に達する開口部が設けられ,開口部の半導体素子を搭載する面側は,外部接続端子で覆われている点。
e 絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出している点。
エ 乙4公報記載の発明に基づく容易想到性の有無そうすると,乙4公報記載の発明と本件訂正発明2とは,配線や外部との接続構造が全く異なっているから,乙4公報記載の発明に基づいて本件訂正発明2を容易に想到することはできなかった。
オ 本件特許権2の無効事由の解消,, 。 したがって 本件訂正2により 本件特許権2の無効事由は解消された・ 被告の反論。, 本件訂正2によっても本件特許権1の無効事由は解消されていない 以下詳述する。
ア 乙1公報記載の発明との対比における進歩性の欠如本件訂正発明2の技術的特徴は,訂正前の本件発明1と同様,外部接続端子が半導体素子搭載領域に設けられている点にあり,構成要件○?Tないシし??は,この本件発明2の技術的特徴自体を本質的に限定するものではない。本件訂正発明2の上記の技術的特徴は,乙1公報の図1により開示されている。そして,本件発明2の本件訂正2に係る事項は,このような技,, 術的特徴ではない些末な要素に関するものであるから 本件訂正発明2は乙1公報記載の発明及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 乙42公報記載の発明との対比における進歩性の欠如本件訂正発明2は,当業者が乙42公報及び公知文献に基づいて容易に発明をすることができた。以下,詳述する。
・ 乙42公報記載の発明乙42公報の実施例及び図面によれば,乙42公報には,次の構成を備える発明が記載されている。
a 半導体素子を搭載するためのベース1及び金属箔から形成されるメタライズ層6。
b 半導体チップ3を固着するベース1,コネクタワイヤボンディング部を被覆する領域,該被覆領域のコネクタワイヤ7,チップの下部にあるアウターリード4に接続する端子を含むメタライズ層6,並びにベース1。
c 1層のメタライズ層6は,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみにある。
d メタライズ層6は,コネクタワイヤボンディング部と,アウターリード4に接続する端子とをベース1上に形成されるメタライズ層6の一部とした配線パターンを備えている。
e アウターリード接続部分はメタライズ層6のベース1側の面に備えられ,コネクタワイヤボンディング部はその反対側(素子側)の面に備えられている。
f アウターリード4に接続する端子の形成される箇所のベース1に,アウターリード4に接続する端子に達するスルーホールがベース1に穿設され,スルーホールの半導体素子搭載面側は,メタライズ層6で覆われており,スルーホールの側壁にベース1が露出している。
・ 乙42公報記載の発明と本件訂正発明2の一致点,相違点乙42公報記載の発明と本件訂正発明2の一致点,相違点は,次のとおりである。
a一致点それぞれ半導体素子を搭載するための,半導体素子実装基板部を備え,上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられる外部接続端子とを含む配線並びに絶縁性支持体を備え,上記配線は,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部として備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出している点。
b相違点( ) 相違点?@a本件訂正発明2は,複数個の半導体素子実装基板部が備えられているが,乙42公報記載の発明には,複数個備えられていることが明示されていない点。
( ) 相違点?Ab本件訂正発明2は,半導体素子実装基板間を連結するための連結部と,位置合わせマーク部とを備えるが,乙42公報記載の発明ではそのことが明示されていない点。
( ) 相違点?Bc本件訂正発明2は,配線を銅箔により形成するが,乙42公報記載の発明ではそのことが明示されていない点。
( ) 相違点?Cd本件訂正発明2は,絶縁性支持体であるベース1をポリイミドフィルムにより形成するが,乙42公報記載の発明ではそのことが明示されていない点。
( ) 相違点?De本件訂正発明2は,連結部が導電層を有するが,乙42公報記載の発明ではそのことが明示されていない点。
・ 相違点に係る技術の周知性a 相違点?@について半導体素子搭載用基板において半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数組備えられていることは,乙4ないし8,47ないし51に記載されており,周知であった。
b 相違点?Aについて,, 連結部及び位置合わせマーク部は 乙4ないし8に記載されており周知であった。
c 相違点?Bについて配線を銅箔により形成することは,乙7,44,45,58,59に記載されており,周知であった。
d 相違点?Cについて絶縁性支持体であるベース1をポリイミドフィルムにより形成することは,乙7,8,45,58,59に記載されており,周知であった。
e 相違点?Dについて連結部に導電部が形成されていることは,乙4ないし乙8に記載されており,周知であった。
容易想到性前記・〔本判決98頁〕のとおり,相違点に係る技術はいずれも周知であった。また,乙42公報には 「発明の概要」を記載した欄に 「チ ,,ップの下部にもアウターリードを垂直に出した構成・・・としたので,・・・パッケージサイズも小型化可能となる (2頁右上欄3ないし 。」9行)と記載されており,半導体パッケージを小型化するという本件訂正発明2と同様の作用効果が記載されている。したがって,乙42公報記載の発明に周知技術を適用して本件訂正発明2を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものである。
・ 原告の再反論前記10・ア,イ〔本判決89,91頁〕と同様に,乙42公報記載の発明と本件訂正発明2の対比において 「上記配線は,上記絶縁性支持体の半 ,導体素子を搭載する面側のみに1層あり「上記配線は,ワイヤボンディ ,」,ング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部として備え 「上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に 」,備えられ 「上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ , 」,」「上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており (前記・イ・a〔本判決97頁 )との点は,いずれも一致点ではな 」〕く,相違点である。
争点・ウ(本件訂正3による本件特許権3の無効事由の解消の有無) 12・ 原告の主張。, 。 本件訂正3により本件特許権3の無効事由は解消された 以下 詳述するア 乙1公報記載の発明乙1公報記載の発明は,次のとおりである。
「樹脂基板に,半導体素子が搭載される領域と,その外側に樹脂により封止される領域を有し,該樹脂基板の片面に複数の配線が設けられ,該樹脂により封止される領域に素子接続用端子が設けられ,該半導体素子が搭載される領域にめっきが施されたスルーホールが設けられ,該配線が素子接続用端子とスルーホールとをつなぐ配線パターンを含むPGA基板 」。
イ 本件訂正発明3本件訂正発明3(前記第2,2・ウ〔本判決17頁 )を構成要件に分 〕説すると,次のとおりである。
ナ 絶縁性支持体と,その片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,ニ 半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え,○?T 上記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体のヌ半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,○?U 上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されるワイヤボンデヌィング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成される外部接続端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備え,○?T 上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えらネれ,○?U 上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,ネ○?V 上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外ネ部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,○?? 上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側ネ壁に上記絶縁性支持体が露出していることを特徴とする半導体素子搭載用基板。
ウ 乙1公報記載の発明と本件訂正発明3の対比本件訂正発明3は,乙1公報記載の発明と次の点で相違する。
a 半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備える点。
b 配線は,銅箔から形成される配線であって,絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層ある点。
c 外部接続端子は配線の絶縁性支持体側の面に備えられる点。
d 外部接続端子の形成される箇所の絶縁性支持体に,外部接続端子に達する開口部が設けられ,開口部の半導体素子を搭載する面側は,外部接続端子で覆われている点。
e 絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出している点。
エ 乙1公報記載の発明に基づく容易想到性の有無そうすると,乙1公報記載の発明と本件訂正発明3とは,配線や外部との接続構造が全く異なっているから,乙1公報記載の発明に基づいて本件訂正発明3を容易に想到することはできなかった。
オ 本件特許権3の無効事由の解消,, 。 したがって 本件訂正3により 本件特許権3の無効事由は解消された・ 被告の反論。, 本件訂正3によっても本件特許権3の無効事由は解消されていない 以下詳述する。
ア 乙1公報記載の発明との対比における進歩性の欠如本件訂正発明3の技術的特徴は,訂正前の本件発明3と同様,外部接続,,, 端子が半導体素子搭載領域に設けられている点にあり 構成要件ナ ○?Tヌ○?U,ネ?Tないし??は,この本件訂正発明3の技術的特徴自体を限定するヌものではない。本件訂正発明3の上記の技術的特徴は,乙1公報の図1により開示されている。そして,本件発明3の本件訂正3に係る事項は,このような技術的特徴ではない些末な要素に関するものであるから,本件訂正発明3は,乙1公報記載の発明及び周知技術に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 乙42公報記載の発明との対比における進歩性の欠如本件訂正発明3は,当業者が乙42公報及び公知文献に基づいて容易に発明をすることができた。以下,詳述する。
・ 乙42公報記載の発明乙42公報の実施例及び図面によれば,乙42公報には,次の構成を備える発明が記載されている。
a ガラスエポキシ基板により構成されるベース1と,ベース1の片面のみに形成された金属箔から形成される複数のメタライズ層6とを備える,半導体素子3を固着した半導体素子搭載用基板。
b 半導体素子3を搭載する領域と,外側のS 系ゲル9により被覆さ iれた半導体パッケージ領域。
c メタライズ層6は,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみにある。
d メタライズ層6は,Si系ゲル9により被覆される半導体パッケージ領域に設けられたコネクタワイヤボンディング部と,半導体素子搭載領域に設けられたアウターリード4に接続する端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備えている。
e アウターリード接続部分はメタライズ層6のベース1側の面に備えられ,コネクタワイヤボンディング部はその反対側(素子側)の面に備えられている。
f アウターリード4に接続する端子の形成された箇所のベース1に,アウターリード4に接続する端子に達するスルーホールがベース1に穿設され,スルーホールの半導体素子搭載面側は,メタライズ層6で覆われており,スルーホールの側壁にベース1が露出している。
・ 乙42公報記載の発明と本件訂正発明3の一致点,相違点乙42公報記載の発明と本件訂正発明3の一致点,相違点は,次のとおりである。
a一致点絶縁性支持体と,その片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり,上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成される外部接続端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出している点。
b相違点( ) 相違点?@a本件訂正発明3は,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領,, 域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを 複数組備えるが乙42公報記載の発明には,複数組備えることが明示されていない点。
( ) 相違点?Ab本件訂正発明3は,配線が銅箔により形成されているが,乙42公報記載の発明には,そのことが明示されていない点。
( ) 相違点?Bc本件訂正発明3は,絶縁性支持体がポリイミドフィルムにより形成されているが,乙42公報記載の発明には,そのことが明示されていない点。
・ 相違点に係る技術の周知性a 相違点?@について半導体素子搭載用基板において半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数組備えられていることは,乙4ないし8,47ないし51に記載されており,周知であった。
b 相違点?Aについて配線を銅箔により形成することは,乙7,44,45,58,59に記載されており,周知であった。
c 相違点?Bについて絶縁性支持体であるベース1をポリイミドフィルムにより形成することは,乙7,8,45,58,59に記載されており,周知であった。
容易想到性前記・〔本判決104頁〕のとおり,相違点に係る技術はいずれも周知であった。また,乙42公報には 「発明の概要」を記載した欄に, ,「チップの下部にもアウターリードを垂直に出した構成・・・としたので ・・・パッケージサイズも小型化可能となる (2頁右上欄3ない ,。 」し9行)と記載されており,半導体パッケージを小型化するという本件訂正発明3と同様の作用効果が記載されている。したがって,乙42公報記載の発明に周知技術を適用して本件訂正発明3を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものである。
・ 原告の再反論前記10・ア,イ〔本判決89,91頁〕と同様に,乙42公報記載の発明と本件訂正発明3の対比において 「上記配線は,上記絶縁性支持体の半 ,導体素子を搭載する面側のみに1層あり「上記配線は,上記半導体パッ ,」,ケージ領域に形成されるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成される外部接続端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備」,「」 , え 上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ「上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ 「上記開口 」,部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており (前 」記・イ・a〔本判決103頁 )との点は,いずれも一致点ではなく,相違 〕点である。
争点・(本件各訂正発明の構成要件充足性)ア(本件訂正発明1の構成要件 13充足性)・ 原告の主張ア 本件各訂正発明の構成要件と対比するための被告製品の特定被告製品は 構成AないしD Fにより特定され 前記第2 2・ 本 ,, (,〔 '〕),( ,〔 〕 ), 判決10頁 構成E 前記第3 2・ 本判決31頁 をも備えるが '更に,次のGないしLの構成をも備えるものであって,本件各訂正発明の構成要件と対比するための被告製品の構成は,次のとおりである。
A 被告製品は,絶縁性フィルム状支持体1と,その片面に形成された配線部2を有し,複数の配線パターン部Pがマトリクス状に配置される。
B それぞれの配線パターン部P内の配線部2は,少なくとも,?@ランド部21,?Aワイヤボンディング接続端子22,?B配線23を備える。
?@ ランド部21ランド部21の下面に位置する部分に,ランド部21に達する開口部11が設けられ,ハンダボール等で外部と接続する。
?A ワイヤボンディング接続端子22ワイヤ3によって,半導体素子と配線部2とを接続する。
?B配線23ランド部21とワイヤボンディング接続端子22とを接続する。
C 被告製品の半導体素子搭載用基板は,絶縁性フィルム状支持体1の上に同一形状の配線パターン部Pが多数並び,各配線パターン部Pは連結部8によって連結され,この連結部8は,各配線パターン部Pを連結するほか,目印10及び導電部6を設け,導電部6は,給電部9を介して配線部2と接続する。
D 絶縁性フィルム状支持体1の両側には,絶縁性フィルム状支持体1を定量送りするために用いられるスプロケットホール7が設けられる。
E 半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21 'が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている。
F 複数の配線パターン部Pがマトリクス状に配置された所定の箇所に '目印10が位置する。
G 樹脂封止予定部5は,半導体素子搭載予定部4の外側に位置し,同じ配線パターンを有する半導体素子搭載予定部4及び樹脂封止予定部5が,多数配列され,その複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており,このブロックが複数個設けられている。
H 配線部2は銅箔から形成されており,絶縁性フィルム状支持体1の半導体素子の搭載が予定される面側にのみ1層ある。
I 外部接続端子は,配線部2のランド部21の下面,すなわち絶縁性フィルム状支持体1側の面に備えられている。
J ワイヤボンディング接続端子22は,絶縁性フィルム状支持体1側とは反対側の面に備えられている。
K ランド部21の下面にあたる部分の絶縁性フィルム状支持体1に,ランド部21に達する開口部11が設けられ,この支持体1の半導体素子を搭載する面の側は,ランド部21で覆われている。
L 絶縁性フィルム状支持体1はポリイミドフィルムであって,ランド部21に達する開口部11の側壁に,この支持体1が露出している。
イ 本件訂正発明1の構成要件充足性以下のとおり,被告製品は,本件訂正発明1の構成要件を充足する。
構成要件ア被告製品の構成A,Cによれば,被告製品は,絶縁性フィルム状支持体1と,複数の配線パターン部Pを備える配線部2を有する半導体素子搭載用の基板である。したがって,被告製品は,構成要件ア(絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において )を充足 ,する。
構成要件イ被告製品の構成E,Gによれば,被告製品において,半導体素子搭 '載予定部4と,その外側に位置する樹脂封止予定部5とが,多数配列されている。したがって,被告製品は,構成要件イ(半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え )を充足する。 ,・ 構成要件○?Tウ被告製品の構成Hによれば,被告製品において,配線部2は銅箔から形成されており,絶縁性フィルム状支持体1の半導体素子の搭載が予定される面側にのみ1層ある したがって被告製品は 構成要件○?T 上 。,, (ウ記配線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり )を充足する。 ,・ 構成要件○?Uウ構成Bによれば,被告製品において,配線部2は,ワイヤボンディング接続端子22と外部接続端子とを,絶縁性フィルム状支持体1上に形。, 成される配線部2の一部とした配線パターンを備えている したがって被告製品は,構成要件○?U(上記配線は,ワイヤボンディング端子と,ウ外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え )を充足する。 ,・ 構成要件○?Tエ構成Iによれば,被告製品において,外部接続端子は,配線部2のランド部21の下面,すなわち絶縁性フィルム状支持体1側の面に備えられている。したがって,被告製品は,構成要件○?T(上記外部接続端子エは上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ )を充足する。 ,・ 構成要件○?Uエ構成Jによれば,被告製品において,ワイヤボンディング接続端子22は,絶縁性フィルム状支持体1側とは反対側の面に備えられている。
したがって,被告製品は,構成要件○?U(上記ワイヤボンディング端子エはその反対側の面に備えられ )を充足する。 ,・ 構成要件○?Vエ構成Kによれば,被告製品において,ランド部21の下面にあたる部分の絶縁性フィルム状支持体1に,ランド部21に達する開口部11が設けられ,この支持体1の半導体素子を搭載する面の側は,ランド部21で覆われている。したがって,被告製品は,構成要件○?V(上記外部エ接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており )を充足する。 ,・ 構成要件○??エ構成Lによれば,被告製品において,絶縁性フィルム状支持体1はポ,, リイミドフィルムであって ランド部21に達する開口部11の側壁にこの支持体1が露出している。したがって,被告製品は,構成要件○??エ(上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しており )を充足する。 ,・ 構成要件○??エ構成E’によれば,被告製品において,樹脂封止予定部5内にワイヤエボンディング接続端子22がある したがって 被告製品は 構成要件○ 。,,??(上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ )を充足する。 ,・ 構成要件○??エ,。 構成Eによれば 半導体素子搭載予定部4内にランド部21がある 'したがって,被告製品は,構成要件○??(上記外部接続端子は上記半導エ体素子搭載領域に設けられ )を充足する。 ,・ 構成要件○?Tオ構成Gによれば,同じ配線パターンを有する半導体素子搭載予定部4及び樹脂封止予定部5が,多数配列され,その複数個を一括して封止可オ能なブロックが形成されている。したがって,被告製品は,構成要件○?T(同一の上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列され上記複数個を一括して封止可能なブロックが形成されており )を充足する。 ,・ 構成要件○?Uオ構成Gによれば,同じ配線パターンを有する半導体素子搭載予定部4及び樹脂封止予定部5が,多数配列され,その複数個を一括して封止可,。 能なブロックが形成されており このブロックが複数個設けられているしたがって,被告製品は,構成要件○?U(同一の上記ブロックが複数個オ設けられている)を充足する。
・ 半導体素子搭載用基板構成Cによれば,被告製品は半導体素子搭載用基板である。
構成要件充足性,, , したがって 被告製品は 本件訂正発明1の構成要件をすべて充足し本件訂正発明1の技術的範囲に属する。
・ 被告の反論被告製品が本件訂正発明1の技術的範囲に属することは争う。そもそも,本件各訂正が特許庁により認められていない段階で,技術的範囲の充足性を議論することは無意味である。
争点・イ(本件訂正発明2の構成要件充足性) 14・ 原告の主張以下のとおり,被告製品は,本件訂正発明2の構成要件を充足する。
構成要件サ?T被告製品の構成Cによれば,被告製品において,半導体素子を搭載するための基板部である配線パターン部Pが,多数ある。したがって,被告製品は,構成要件サ?T(それぞれ半導体素子を搭載するための,複数個の半導体素子実装基板部と )を充足する。 ,イ 構成要件サ?U被告製品の構成Cによれば,被告製品において,半導体素子を搭載する各基板部間に,連結部8がある。したがって,被告製品は,構成要件サ?U(, )。 上記半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と を充足するウ 構成要件サ?V被告製品の構成D,F’によれば,被告製品において,位置合わせの機能を有するスプロケットホール7及び目印10がある。したがって,被告製品は,構成要件サ?V(位置合わせマーク部とを備え )を充足する。 ,エ 構成要件○?Tシ被告製品の構成A,B,E ,Gによれば,被告製品において,半導体 ’素子を搭載する各基板部は,半導体素子搭載予定部4,その外側に位置する樹脂封止予定部5,及び樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21を含む配線部2,並びに絶縁性フィルム状支持体1を備えている。したがって,被告製品は,構成要件○?T(上記半導体素子実装基板部は,半導体シ素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられる外部接続端子とを含む配線並びに絶縁性支持体を備え )を充足する。 ,オ 構成要件○?Uシ被告製品の構成Hによれば,被告製品において,配線部2は銅箔から形成されており,絶縁性フィルム状支持体1の半導体素子の搭載が予定される面側にのみ1層ある。したがって,被告製品は,構成要件○?U(上記配シ線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり )を充足する。,カ 構成要件○?Vシ被告製品の構成B,Iによれば,被告製品において,配線は,ワイヤボンディング接続端子22と,外部接続端子とを絶縁性フィルム状支持体1。,, の上に形成される配線部2の一部として備える したがって 被告製品は構成要件○?V(上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とシ,)。 を上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部として備え を充足するキ 構成要件○??シ被告製品の構成Iによれば,被告製品において,外部接続端子は,配線部2のランド部21の下面,すなわち絶縁性フィルム状支持体1側の面に備えられている。したがって,被告製品は,構成要件○??(上記外部接続シ端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ )を充足する。 ,ク 構成要件○??シ被告製品の構成Jによれば,被告製品において,ワイヤボンディング接続端子22は,絶縁性フィルム状支持体1側とは反対側の面に備えられている。したがって,被告製品は,構成要件○??(上記ワイヤボンディングシ端子はその反対側の面に備えられ )を充足する。 ,ケ 構成要件○??シ被告製品の構成Kによれば,被告製品において,ランド部21の下面に当たる部分の絶縁性フィルム状支持体1に,ランド部21に達する開口部11が設けられ,この支持体1の半導体素子を搭載する面の側は,ランド部21で覆われている。したがって,被告製品は,構成要件○??(上記外シ部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており )を充足する。 ,コ 構成要件○??シ被告製品の構成Lによれば,被告製品において,絶縁性フィルム状支持体1はポリイミドフィルムであって,ランド部21に達する開口部の側壁シに,この支持体1が露出している。したがって,被告製品は,構成要件○??(上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しており )を充足する。 ,サ 構成要件ス被告製品の構成Cによれば,被告製品において,連結部8には,導電部6が形成されている。したがって,被告製品は,構成要件ス(上記連結部は導電層を有する)を充足する。
シ 半導体素子搭載用基板構成Cによれば,被告製品は半導体素子搭載用基板である。
構成要件充足性したがって,被告製品は,本件訂正発明2の構成要件をすべて充足し,本件訂正発明2の技術的範囲に属する。
・ 被告の反論被告製品が本件訂正発明2の技術的範囲に属することは争う。
争点・ウ(本件訂正発明3の構成要件充足性) 15・ 原告の主張以下のとおり,被告製品は,本件訂正発明3の構成要件を充足する。
構成要件ナ,, , 被告製品の構成Aによれば 被告製品は絶縁性フィルム状支持体1とその一方の面のみに形成される複数の配線部2とを備える半導体素子搭載。,,( , 用の基板である したがって 被告製品は 構成要件ナ 絶縁性支持体とその片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において )を充足する。,イ 構成要件ニ被告製品の構成Gによれば,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と,。, その外側に位置する樹脂封止予定部5とを多数組備えている したがって被告製品は,構成要件ニ(半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え )を充足す ,る。
構成要件○?Tヌ被告製品の構成Hによれば,被告製品において,配線部2は銅箔から形成されており,絶縁性フィルム状支持体1の半導体素子の搭載が予定される面側にのみ1層ある。したがって,被告製品は,構成要件○?T(上記配ヌ線は銅箔から形成される配線であって,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり )を充足する。,エ 構成要件○?Uヌ被告製品の構成B,E’によれば,被告製品において,配線部2は,樹脂封止予定部5に設けられているワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に設けられているランド部21と,両者を接続する, 。,, 配線23とを 配線2の一部として備えている したがって 被告製品は構成要件○?U(上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されるワイヌヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成される外部接続端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備え )を充足する。 ,オ 構成要件○?Tネ被告製品の構成Iによれば,被告製品において,外部接続端子は,配線部2のランド部21の下面,すなわち絶縁性フィルム状支持体1側の面に備えられている。したがって,被告製品は,構成要件○?T(上記外部接続ネ端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ )を充足する。 ,カ 構成要件○?Uネ被告製品の構成Jによれば,被告製品において,ワイヤボンディング接続端子22は,絶縁性フィルム状支持体1側とは反対側の面に備えられている。したがって,被告製品は,構成要件○?U(上記ワイヤボンディングネ端子はその反対側の面に備えられ )を充足する。 ,キ 構成要件○?Vネ被告製品の構成Kによれば,被告製品において,ランド部21の下面にあたる部分の絶縁性フィルム状支持体1に,ランド部21に達する開口部11が設けられ,この支持体1の半導体素子を搭載する面の側は,ランド部21で覆われている。したがって,被告製品は,構成要件○?V(上記外ネ部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており )を充足する。 ,ク 構成要件○??ネ被告製品の構成Lによれば,被告製品において,絶縁性フィルム状支持体1はポリイミドフィルムであって,ランド部21に達する開口部11の側壁に,この支持体1が露出している。したがって,被告製品は,構成要件○??(上記絶縁性支持体はポリイミドフィルムであって,上記開口部のネ側壁に上記絶縁性支持体が露出している)を充足する。
ケ 半導体素子搭載用基板被告製品の構成Cによれば,被告製品は半導体素子搭載用基板である。
構成要件充足性したがって,被告製品は,本件訂正発明3の構成要件をすべて充足し,本件訂正発明3の技術的範囲に属する。
・ 被告の反論被告製品が本件訂正発明3の技術的範囲に属することは争う。
争点・(損害の発生及びその額) 16・ 原告の主張ア 被告製品の販売額被告は,被控訴人の関連会社として平成14年4月に設立され,以降,被告製品を製造し,被控訴人の名で販売している。
株式会社ジャパンマーケティングサーベイの「CSP/BGAマテリアル市場動向」によると,被控訴人のテープCPS基板(半導体チップを搭載又は実装するためのチップサイズパッケージ基板である「半導体素子搭載用基板」又は「半導体素子実装用基板 )の生産額は,米ドル建てで平 」成14年が200万ドル,平成15年が200万ドル,平成16年が145万ドルであり,年平均は約180万ドルで,円貨換算では2億円以上であった。被告は,本件各特許権の特許公報の発行日以後である平成15年6月3日から少なくとも約2年半,被告製品を製造,販売しているから,被告製品の販売額は,上記の生産額から推計すると,総額5億円を下らない。
実施料率本件各特許権の侵害による損害賠償額を算定する場合の実施料率は,8%を下らない。
損害額原告が被告による被告製品の製造販売によって受けた損害の金額は,被告製品の販売額(5億円)に実施料率(8%)を乗じた4000万円である。
・ 被告の反論ア 原告の主張ア(被告製品の販売額)のうち,被告が平成14年4月に設立された被控訴人の関連会社であることは認め,その余は否認する。被告は,平成14年4月1日から同年6月30日まで,被控訴人に被告製品の製造を委託して,これを自社で販売しており,同年7月1日に被控訴人から被告製品の製造部門の移管を受け,同日から,自社で被告製品の製造,販売を行っていた。
イ 原告の主張イ(実施料率)は争う。
ウ 原告の主張ウ(損害額)は争う。
当裁判所の判断
1 争点・(本件各発明の タイプへの限定の有無)について Fan-in本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌは, タイプに限定されるものではなく, タイプの他 タ Fan-in Fan-in Fan-in/outイプをも含む趣旨であると解する。以下,詳述する。
・ タイプを含む理由について Fan-in/outア 特許請求の範囲の記載本件発明1の構成要件エ( 上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封 「止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ ,本件発明2の構成要件シ( 上記半導体素子 ,」)「実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え ,本件発明3の構成要件ヌ ,」)( 上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディ 「ング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み )は,その文言からすると,外部接続端子が半導体素子 ,」搭載領域に設けられていることは記載されているが,それを超えて,外部接続端子が半導体素子搭載領域のみに設けられていて樹脂封止用半導体パッケージ領域(半導体パッケージ領域)には設けられていないこと,すなわち タイプに限定する趣旨が記載されているとは,直ちには認めら Fan-inれない。
イ 本件各明細書等の記載・ 発明の詳細な説明の記載本件各明細書の発明の詳細な説明には次のとおり記載されている 甲 ,(1の2,2の2,3の2 。)「, , a 一般に 入出力端子はパッケージの周辺に一列配置するタイプとQFP 周辺だけでなく内部まで多列に配置するタイプがある。前者は,( )が代表的である ・・・後者のアレイタイプは比較 Quad Flat Package。
的大きなピッチで端子配列が可能なため,多ピン化に適している 」。
(0002) 【】b 「従来,アレイタイプは接続ピンを有する ( )が PGA Pin Grid Array一般的であるが,配線板との接続は挿入型となり,表面実装には適していない。このため,表面実装可能な ( )と称する BGA Ball Grid Arrayパッケージが開発されている ( 0003 ) 。」【 】c 「パッケージサイズの更なる小型化に対応するものとして,半導体CSP; チップとほぼ同等サイズの,いわゆるチップサイズパッケージ()が提案されている。これは,半導体チップの周辺 Chip Size Package部でなく,実装領域内に外部配線基板との接続部を有するパッケージである ( 0004 ) 。」【 】d 「以上のように小型化高集積度化に対応できる半導体パッケージとして,種々の提案がされているが,性能,特性,生産性等全てにわたって満足するよう一層の改善が望まれている ( 0007 ) 。」【 】「,, , e 本発明は 小型化 高集積度化に対応できる半導体パッケージを生産性良くかつ安定的に製造するを可能とする半導体パッケージの製造法及び半導体パッケージを提供するものである ( 0008 ) 。」【 】f 「外部接続端子は,半導体素子端子が配線とワイヤボンディング等で導通される位置より内側に設けるようにするのが高密度化の上で好ましい(ファンインタイプ。このように外部接続端子の位置は,半 )導体素子が搭載された下面に格子状に配置するのが高密度化の上で好ましい ( 0037 ) 。」【 】g 「本発明により,半導体チップの高集積度化に対応することができる半導体パッケージを生産性良く,かつ安定的に製造することができる ( 0100 ) 。」【 】・図面本件各明細書(前記第2,2・アないしウ〔本判決6,7頁〕のとおり図面も含む )の図面には,半導体パッケージの製造法の例を説明す 。
る断面図と平面図が示されている(図面は,本件各特許権について共通である。甲1の2,2の2,3の2 。このうち,図1ないし図4,図 )7ないし図10,図13,図16,図24,図25は,外部接続端子が半導体素子搭載領域外のみにある タイプであり,図17,図1 Fan-outFan-in 9,図22は,外部接続端子が半導体素子搭載領域内のみにあるタイプであり,図18は,外部接続端子が半導体素子搭載領域の境界域にあるタイプである。外部接続端子が半導体素子搭載領域の内側と外側の双方にある タイプを示す図面は存在しない。 Fan-in/out・ タイプの公知性 Fan-in/out乙42公報(昭和61年(1986年)8月9日公開,発明の名称:半導体装置)には,半導体装置の発明が記載されており,第1図及び第2図には,半導体素子の搭載領域の内側と外側の双方に外部接続端子のある タイプが示されている。また,乙3公報(平成4年(1 Fan-in/out992年)4月6日公開,発明の名称:半導体装置)にも,半導体装置の発明が記載されており,第1図及び第2図には,半導体チップの搭載領域の内側と外側の双方に外部接続端子のある タイプが示さ Fan-in/outれている。
上記の乙42公報,乙3公報の記載によれば,本件各発明の新規性,Fan-in/out 進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日当時,既にタイプは公知であったことが認められる。
構成要件の解釈ア 前記・イ・ 本判決118頁 の発明の詳細な説明の記載 特に段落 0 〔〕 (【008 )によれば,本件各発明は,半導体パッケージの小型化,高集積 】化を目的とするものである。そして,段落【0004 【0037】に 】,は,小型化,高集積化のために タイプが好適である旨記載されてい Fan-inる。また,本件各明細書中には, タイプについての直接の記載 Fan-in/outはなく,図面にも タイプを示すものはない。 Fan-in/outしかし,半導体パッケージの小型化,高集積化は, タイプのみに Fan-inよってしか実現できないものではなく, タイプによっても実現 Fan-in/outし得るものである。そして,前記・イ・〔本判決119頁〕のとおり,本,, 件各発明の新規性 進歩性の判断の基準日である平成7年3月15日当時既に タイプは公知であり,その存在は当業者であれば認識して Fan-in/outFan-in いたものと認められる また 本件各発明は その内容に鑑みれば 。, , ,タイプに限定されるか否か争いのある点を除いたそれ以外の技術内容については, タイプ, タイプのいずれであっても実施すること Fan-in Fan-in/outが可能であると認められる。そうすると,発明の詳細な説明の記載及び図面を参酌しても タイプに限定する趣旨とは直ちに解されない構成要 Fan-in件の文言を,敢えて タイプに限定して解釈する根拠は認められない Fan-inというべきである。
イ 被告は,本件訴え提起前の交渉における原告の説明(前記第3,1・ア・〔本判決25頁 ,乙13ないし15 ,原告ホームページのニュース 〕)リリース欄(前記第3,1・ア・〔本判決26頁 ,乙16 ,本件各特 〕)許権の出願経過における説明等(前記第3,1・ア・〔本判決27頁 ,〕本件特許権1につき乙9ないし12,本件特許権2につき乙17ないし20,本件特許権3につき乙21)から,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌは, タイプに限定する Fan-in趣旨である旨主張する。
確かに,上記の書証によれば,原告が上記の各場合において,外部接続端子を半導体素子搭載領域に設けることにより半導体パッケージの小型化を図ることに言及して本件各発明の特徴を説明するなどしていたことが認められ,図面として タイプの半導体パッケージを示していたことが Fan-in認められる。そして,本件各特許権の出願経過における説明(前記第3,1・ア・〔本判決27頁 ,本件特許権1につき乙11,本件特許権2に 〕つき乙19,本件特許権3につき乙21)において,原告は,本件各発明の進歩性に関し, タイプを採用することによってチップサイズとほ Fan-inぼ同等の小型パッケージを実現する趣旨を述べていたことが認められる。
しかし,上記の各場合における原告の説明等は,外部接続端子を半導体素子搭載領域に設けることによる利点を説くものではあるが,外部接続端子を半導体素子搭載領域のみに設けなければならず,その外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域(半導体パッケージ領域)に設けてはならないこと,すなわち タイプに限定し タイプを排除することを明 Fan-in Fan-in/out確に述べたものではない。本件各特許権の出願経過における原告の説明等(前記第3,1・ア・〔本判決27頁 )は,本件各発明にもともと含ま 〕れる タイプの利点(チップサイズのパッケージの実現)を強調する Fan-inものではあるが,その主張の内容や表現に鑑みると,本件各発明がタイプを含むと解することと相反する趣旨のもの(禁反言に該 Fan-in/out当するもの)とまでは解されず,その説明等を根拠として構成要件の文言を限定して解釈すべきであるということはできない。なお,本件訴状別紙(,〔 〕 ) 被告製品目録の第1ないし第4図 前記第3 1・ア・ 本判決26頁,,,「」 は タイプを示すものであったが その後 別紙1 被告物件目録 Fan-inに変更され,被告製品は, タイプをも含むものとして特定され Fan-in/outるようになったから,本件訴状別紙被告製品目録の第1ないし第4図がタイプを示すものであったことをもって,構成要件の文言を限定し Fan-inて解釈すべきであるということはできない。
ウ したがって,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件Fan-in Fan-in 発明3の構成要件ヌは, タイプに限定されるものではなく,タイプの他 タイプをも含む趣旨と解するのが相当である。 Fan-in/out2 争点・(被告製品における「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構成E) 。'の有無)について被告製品は 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド ,部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構成E)を備えるもの 。'と認められる。以下,詳述する。
・ 半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えること被告製品の構成A,B及び別紙1「被告物件目録 ,別紙2「被告製品構 」造説明図 (別紙1「被告物件目録」添付図面,別紙2「被告製品構造説明 」図」は,被告製品の一例であるが,被告製品の構成部分の位置関係は,これらが示すとおりである )によれば,被告製品には,配線パターン部Pが複 。
数配置されており,個々の配線パターン部Pにおいては,配線23の両端にランド部21とワイヤボンディング端子22を備えた配線部2がパターン化されて配置されていることが認められる。そして,被告製品は,半導体素子が搭載されるものであり,弁論の全趣旨によれば,ワイヤボンディング端子22は,半導体素子の電極とワイヤボンドで接続されるものであることが認められるから,ワイヤボンディング端子の位置を基準として,半導体素子を搭載する領域(半導体素子搭載予定部4)と,樹脂封止をする領域のうちの半導体素子を搭載する領域よりも外側でワイヤボンディング端子を含む領域(), , 樹脂封止予定部5 は 被告製品の基板上の所定の区域に自ずと限定され各領域は,被告製品において客観的に明らかであるものと認められる。したがって,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えるものと認められる。
被告は,被告製品については,需要者が,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5のような領域を決めるのであって,被告があらかじめそのような領域を特定することはないから,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えていない旨を主張する(前記第3,2・〔本判決32頁 。しかし,上記のとおり,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定 〕)部5は,被告製品において客観的に明らかであるものと認められるから,被告の上記主張は,採用することができない。
・ ランド部21,ワイヤボンディング接続端子22の位置前記・〔本判決122頁〕のとおり,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えるものと認められる。そして,別紙1「被告物件目録」?Cには 「ワイヤボンディング接続端子よりも配線パターンの内側 ,の位置に配置されているランド部も存在する 」と記載されている。また, 。
別紙1「被告物件目録」添付第1図,別紙2「被告製品構造説明図」第1図-2,第3図によれば,ランド部21が半導体素子の下面に当たる半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が,半導体素子の外側の樹脂によって封止された樹脂封止予定部5に設けられている状態が示されている。
そうすると,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられているものと認められる。
・ 構成Eの有無'したがって,被告製品は 「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5 ,を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている 」との構成(構 。
成E)を備えるものと認められる。 '3 争点・(構成要件充足性)ア(本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの充足性)について被告製品は,本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌを充足すると解する。以下,詳述する。
構成要件と被告製品の構成部分の対応本件各発明の構成要件と被告製品の構成は,次のとおり対応するものと認められる。
被告製品の「半導体素子搭載予定部4 (構成E)は,本件発明1の構成 」'要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの「半導体素子搭載領域」に該当する。
「」 (), , 被告製品の 樹脂封止予定部5 構成E は 本件発明1の構成要件エ '本件発明2の構成要件シの「樹脂封止用半導体パッケージ領域 ,本件発明 」3の構成要件ヌの「半導体パッケージ領域」に該当する。
被告製品の「ワイヤボンディング接続端子22 (構成B,構成E)は, 」'本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの「ワイヤボンディング端子」に該当する。
被告製品の「ランド部21 (構成B,構成E)は,本件発明1の構成要 」',, 「」 件エ 本件発明2の構成要件シ 本件発明3の構成要件ヌの 外部接続端子に該当する。
被告製品の「配線パターン部P (構成B,構成C)は,本件発明2の構 」成要件シの「半導体素子実装基板部」に該当する。
・ 本件発明1の構成要件エの充足性構成Eによれば,ワイヤボンディング接続端子22は樹脂封止予定部5 ',, に設けられ ランド部21は半導体素子搭載予定部4に設けられているから被告製品は,本件発明1の構成要件エ( 上記ワイヤボンディング端子は上 「記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられ )を充足するものと認められる。 ,」・ 本件発明2の構成要件シの充足性構成Eによれば,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定 '部5,及び樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21とを備える。また,構成Bによれば,被告製品の樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21は,配線部2に含まれる。さらに,構成B,Cによれば,被告製品の配線パターン部P内には配線部2がある。
そうすると,被告製品において,配線パターン部Pは,半導体素子搭載予定部4,樹脂封止予定部5,及び樹脂封止予定部5に設けられたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に設けられたランド部21とを含む配線2を備えるから 被告製品は 本件発明2の構成要件シ 上 ,, ( 「記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備え )を充足する。 ,」・ 本件発明3の構成要件ヌの充足性構成Eによれば,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定 '部5,及び樹脂封止予定部5に形成されたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に形成されたランド部21とを備える。また,構成AないしCによれば,被告製品の半導体素子搭載用基板の片面に形成された複数の配線パターンP内の配線部2は,ランド部21とワイヤボンディング接続端子22とを接続する配線23を備える。
そうすると,被告製品において,配線部2は,樹脂封止予定部5に形成されたワイヤボンディング接続端子22と,半導体素子搭載予定部4に形成されたランド部21とをつなぐ配線部23を含むから,被告製品は,本件発明3の構成要件ヌ( 上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワ 「イヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み )を充足する。 ,」4 争点・イ(被告製品の「スプロケットホール7 「目印10」の本件発明 」,2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」への該当性(本件発明2の構成要件サ?Vの充足性 )について)被告製品の「スプロケットホール7 「目印10」は,本件発明2の構成 」,要件サ?Vの「位置合わせマーク部」に該当し,被告製品は,本件発明2の構成要件サ?Vを充足すると解する。以下,詳述する。
・ 被告製品の「目印10」の本件発明2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」への該当性被告製品においては,複数の配線パターン部Pがマトリクス状に配置された所定の箇所に「目印10」が位置する(構成F 。別紙1「被告物件目 ’)録」添付第2図,第3図,別紙2「被告製品構造説明図」第4図-2及び3によれば 「目印10」は,基板上に整然と配置された複数の配線パターン ,部P全体の周囲にあって,個々の配線パターン部Pの端の線上とその間の線上に規則正しく位置していることが認められる。このような位置にあることからすると 「目印10」は,配線パターン部Pのエッチング加工を行う際 ,や,配線パターン部Pを個別に切り出す際に,位置合わせのために使用されるものと認められる。
被告は,需要者が「目印10」を何の目的に利用しているか知らないと主張するが(前記第3,4・〔本判決36頁 「目印10」は,客観的にみ 〕),て,位置合わせのために使用されているものと認められる。
そうすると 被告製品の 目印10 は 本件発明2の構成要件サ?Vの 位 ,「」, 「置合わせマーク部」に該当するものと認められる。
・ 被告製品の「スプロケットホール7」の本件発明2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」への該当性弁論の全趣旨によれば 「スプロケットホール7」は,製造工程で製品を ,搬送するために用いられるスプロケットの歯の間隔に合わせて形成されるものであり,基板全体を定量送りすることを可能とするものであること 「ス ,プロケットホール7 は 基板全体の定量送りを可能とすることにより 目 」, ,「印10」と連動して位置合わせの機能を実現することが認められる。
そうすると,被告製品の「スプロケットホール7」は,本件発明2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」に該当するものと認められる。
・ 本件発明2の構成要件サ?Vの充足性前記・,・〔本判決126,127頁〕のとおり,被告製品の「スプロケットホール7」及び「目印10」は,いずれも本件発明2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」に該当するものと認められるから,被告製品は,本件発明2の構成要件サ?V(位置合わせマーク部とを備え )を充足するもの ,と認められる。
5 争点・ウ(本件発明1の構成要件イ,オの充足性)について被告製品は,以下のとおり,本件発明1の構成要件イ,オを充足すると解する。
すなわち,被告製品は,構成AないしC,Eによれば,同一形状の複数の '配線パターン部Pを有し,配線パターン部Pに,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えているものと認められる。
したがって,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5とを複数組備えており,本件発明1の構成要件イ( 半導体素子搭載領域と,該半 「導体搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え ),」を充足するものと認められる。
また,被告製品は,同じ配線パターンを有する半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5が複数個配列されており,本件発明1の構成要件オ( 同一の 「上記配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されている )を充足するものと認められる。 」6 争点・エ(本件発明3の構成要件ニの充足性)について被告製品は,以下のとおり,本件発明3の構成要件ニを充足すると解する。
すなわち,被告製品は,構成AないしC,Eによれば,同一形状の複数の '配線パターン部Pを有し,配線パターン部Pに,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えているものと認められる。
したがって,被告製品は,半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5とを複数組備えており,本件発明3の構成要件ニ( 半導体素子搭載領域と,該半 「導体搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,複数組備え ),」を充足するものと認められる。
7 本件各発明の構成要件充足性被告製品は,以下のとおり,本件各発明の構成要件をすべて充足すると解する。
・ 本件発明1(構成要件アないしオ)前記第2,2・ア〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件アを充足することは,当事者間に争いがない。
〔〕,, 。 前記5 本判決127頁 のとおり被告製品は 構成要件イを充足する前記第2,2・ア〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件ウを充足することは,当事者間に争いがない。
〔〕, 。 前記3・ 本判決125頁 のとおり 被告製品は構成要件エを充足する〔〕,, 。 前記5 本判決127頁 のとおり被告製品は 構成要件オを充足するしたがって,被告製品は,本件発明1の構成要件をすべて充足するものと認められる。
・ 本件発明2(構成要件サ?Tないし?V,シ,ス)前記第2,2・イ〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件サ?Tを充足することは,当事者間に争いがない。
前記第2,2・イ〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件サ?Uを充足することは,当事者間に争いがない。
前記4・〔本判決127頁〕のとおり,被告製品は,本件発明2の構成要件サ?Vを充足する。
前記3・〔本判決125頁〕のとおり,被告製品は,本件発明2の構成要件シを充足する。
前記第2,2・イ〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件スを充足することは,当事者間に争いがない。
したがって,被告製品は,本件発明2の構成要件をすべて充足するものと認められる。
・ 本件発明3(構成要件ナないしネ)前記第2,2・ウ〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件ナを充足することは,当事者間に争いがない。
前記6〔本判決128頁〕のとおり,被告製品は,本件発明3の構成要件ニを充足する。
前記3・〔本判決125頁〕のとおり,本件発明3の構成要件ヌを充足する。
前記第2,2・ウ〔本判決11頁〕のとおり,被告製品が構成要件ネを充足することは,当事者間に争いがない。
したがって,被告製品は,本件発明3の構成要件をすべて充足するものと認められる。
()( ) 8 争点・ 本件各発明の無効事由の有無 ア 本件特許権1の無効事由の有無について本件発明1は,乙1公報記載の発明と実質的に同一であるとはいえないが,乙1公報記載の発明と周知又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許権1には進歩性欠如の無効事由があるというべきである。以下,詳述する。
・ 乙1公報発明ア 乙1公報の記載乙1公報には,次のとおりの記載がある。
・ 「 目的】半導体素子の大きさを限定することなく,多ピンで小型の 【半導体装置を提供する ( 要約】欄) 。」【「【】 , ・ 構成 半導体素子1の下面に接着剤5及び絶縁シート6を介して樹脂基板8のスルーホールを有しており,そのスルーホール内には外部接続用リードピン9が挿入されている。樹脂基板8上の配線回路はスルーホールより外側に向って形成されていて,半導体素子と電気的接続するための素子接続用端子7は スルーホールの外側に有している 要 ,。 」(【約】欄)・ 「 請求項1】複数の外部接続用リードピンを樹脂基板に格子状に形 【成したスルーホールに挿入して取付けた前記樹脂基板上に,半導体装置を搭載してなる半導体装置において,少なくとも最内列に形成された前記スルーホールに挿入された外部接続用リードピンより外側に素子接続用端子を有していることを特徴とする半導体装置 」。
・ 「 請求項2 「外部接続用リードピンがすべて半導体素子の外形内 【】の下面に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置」。
・ 「 産業上の利用分野】本発明は半導体装置に係わり,特にピングリ 【ッドアレイ型パッケージの半導体装置に関する ( 0001 ) 。」【 】「【】 。() ・ 実施例 次に本発明によって図面を参照して説明する 図1の Aは本発明の第1の実施例の半導体装置の断面図である。樹脂基板8は,ガラス布エポキシやガラス布BTやガラス布ポリイミド等の積層板で成っており,表裏両面には銅が張られている。また表裏の銅を導通させるためにスルーホール10を設けてめっきを行ない,表裏面の銅をエッチングすることにより回路が形成されている。スルーホール10には,リン青銅,コバール,42alloy等に半田めっきが施こされている外部接続用リードピン9が挿入されている。図1の(B)は本発明の第1の実施例の樹脂基板の上面図である。外部接続用リードピンを挿入するスルーホールが半導体素子1の外形内に設けられており,半導体素子1と外部接続用リードピン9とを電気的接続するための素子接続用端子7がスルーホールの外側に形成されている。半導体素子1は絶縁シート6を介して接着剤5に固定されている。素子接続用端子7と半導体素子1を接続線3により電気的接続させ,エポキシ系の封止樹脂2により接続線及び半導体素子を外圧より保護する ( 0005 ) 。」【 】・ 「 発明の効果】以上説明したように本発明は,少なくとも最内列に 【形成したスルーホールに挿入した外部接続用リードピンより外側に素子接続用端子を有しているので,最内列ピンの配列サイズに関係なく又,パッケージサイズも規格外の大きなサイズにする必要なく,大きな半導体素子を搭載することが可能となるという効果を有する ( 000。」【7)】・ 図1として,別紙5「乙1公報図面」の図1のとおりの図面が示されている。
イ 外部接続用リードピンが打たれていない状態のPGA基板についての文献の記載乙36,37には,外部接続用リードピンが打たれていない状態のPGA基板について,次のとおりの記載がある。
・ 「日経マイクロデバイス」1987年(昭和62年)8月号,日経マグロウヒル社刊(乙37)a 「図B●パッケージはプリント基板とリード・ピン,ポッティング樹脂から成るパッケージの組み立て工程と各パッケージ・メーカーとLSIメーカーのカバー範囲。通常,プリント基板メーカーはPGA用の基板を加工し,ピン打ちまで行う。LSIメーカーである日本電気は自社でピン打ちをする。パッケージ・メーカーのシチズン時計は組み立ての全作業をLSIメーカーから引き受ける (63頁上)。」b 「自動化してコストを下げる同社〔判決注 日本電気を指す 〕はPGAの基板が5枚程度リー 。
ドフレーム状につながった状態で取り扱い,自動化を図っている(図10 。ピンも自社で取り付ける。リードフレーム状の基板にダイ・ )ボンディング,ワイヤー・ボンディングし,ポッティング樹脂とメタル・キャップで封止する。そしてピンを挿入する。ピン打ちの装置は専用に開発した。1ピンずつ打っているという。一度に全ピン打つと生産性はいいが,LSIチップにストレスが加わりすぎる。ピン打ち後,ピンの接合部を半田付けする。キャップにマーキングして,最後にフレームから切り離す (68頁右欄7ないし19行) 。」c 「図10●リードフレームのようにPGAを組み立てるプリント基板メーカーから基板が5枚ぐらいつながった状態で購入する。ワイヤー・ボンダーやダイ・ボンダーは既存の装置を流用できるという (68頁左上) 。」d 図10(68頁上)として,5枚のPGA基板がリードフレーム状につながった状態が示されている。
・ 「日経マイクロデバイス」1986年(昭和61年)12月号,日経マグロウヒル社刊(乙36)a 「リードフレームのようにプリント基板が5枚程度につながった状態で,ダイ・ボンディングやワイヤー・ボンディング,メタル封止を行う。そして組み立ての最終工程でバラバラにする (60頁上欄 。」2,3行)b 「日本電気は,PGA用のプリント基板の5枚程度をリードフレームのようにつなげた状態でダイ・ボンディングし,ワイヤー・ボンディング後,切断する量産用の組み立て技術を開発し,すでにそのPGA製品を出荷していることを明らかにした (60頁左欄6ないし1 」2行)c 「まず,ピン数に合わせてパターニングしたプリント基板を切断せず,5枚程度つながった状態で基板の製造元から受け取る(図1 。)基板にLSIチップをダイ・ボンディングし,ワイヤー・ボンディングする。その上にエポキシ樹脂をポッティングし,メタル・キャップで封止する。ピン挿入,ハンダ付け,マーキング後,最後に各パッケージをバラバラにする(図2 (60頁右欄3ないし12行) )。」d 「図1●組み立てに使う基板五つのプリント基板がつながった状態で基板の製造元から受け取る。
パターニングとスルー・ホールのメッキはしてある (60頁右下) 。」e 図1(60頁下)として,5枚のPGA基板がリードフレーム状につながった状態が示されている。
ウ 乙1公報発明の認定・ 前記ア〔本判決130頁〕の乙1公報の記載によれば,乙1公報記載の発明においては 「樹脂基板8は,ガラス布エポキシやガラス布BT ,やガラス布ポリイミド等の積層板で成っており,表裏両面には銅が張られている。また表裏の銅を導通させるためにスルーホール10を設けてめっきを行ない,表裏面の銅をエッチングすることにより回路が形成されている (前記ア・〔本判決131頁 )とされ,別紙5「乙1公報 。」〕図面」図1(A)及び(B)のとおり,表面(上面)に複数の配線回路が設けられ,その配線回路がスルーホールの外側に向かって形成され,配線回路の外側端には素子接続用端子7が形成され,配線回路の内側端にはスルーホール10を取り巻く環状部分が形成され,裏面(下面)の回路としては,スルーホール10内のめっきで表面(上面)の配線と導通してスルーホール10の周囲を取り巻く環状部分がエッチングで残されている。
また,前記イ〔本判決132頁〕の乙36,37の記載によれば,LSIメーカーが,リードピンを打っていない状態のPGA基板を基板メーカーから購入し,ダイボンディング,ワイヤボンディング,封止,リードピン挿入を行うことは周知又は公知の技術であるものと認められるから,乙1公報において,スルーホール10に外部接続用リードピン9の打っていない状態のPGA基板も開示されているということができる。
,,(「 」。 ) ・ したがって 乙1公報には 次の発明 以下 乙1公報発明 というが開示されているものと認められる(原判決92頁にいう「引用発明1 ,同105頁にいう「引用発明3」は,いずれも本判決にいう「乙 」1公報発明」と同じである。原判決99頁にいう「引用発明2」は,末尾が「半導体素子実装用基板」である点以外は,本判決にいう「乙1公報発明」と同じである。なお,乙1公報に記載された発明について,次のとおり厳密に特定された発明を指す場合は「乙1公報発明」といい,そうでない場合は「乙1公報記載の発明」という 。。)「樹脂基板8に半導体素子1の搭載される領域とその外側に樹脂により封止される領域を有し,樹脂基板8の半導体素子1を搭載する面に複数の配線が設けられ,この配線が素子接続用端子7とめっきの施されたスルーホール10とをつなぐ配線パターンを備え,素子接続用端子7が樹脂により封止される領域に設けられ,スルーホール10が半導体素子1の搭載される領域に設けられた半導体素子搭載用基板 」。
エ 乙1公報発明と本件発明1の対応乙1公報発明の「樹脂基板 「素子接続用端子」は,それぞれ本件発 」,明1の「絶縁性支持体 「ワイヤボンディング端子」に該当する。また, 」,乙1公報発明の「めっきの施されたスルーホール」は,リードピンの打たれていないPGA基板において,外部接続用リードピンが挿入されて外部と接続する端子といえるから,本件発明1の「外部接続端子 (構成要件 」ウ,エ)に該当すると認められる。
オ 本件発明1の「外部接続端子 (構成要件ウ,エ)の開示の有無 」乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン9,環状外部接続端子は,いずれも本件発明1の「外部接続端子」に該当せず,前記エ〔本判決135頁〕のとおり,めっきの施されたスルーホールが,本件発明1の「外部接続端子」に該当すると解する。以下,詳述する。
・ 外部接続用リードピン原告は,乙1公報発明の外部接続用リードピン(9)は,外部との接,, 続手段という意味での外部接続端子に当たると主張し その根拠として?@半導体素子搭載用基板という用語の意味,?A製造工程,?B外部接続用リードピンが打たれていない半導体素子搭載用基板の存否,?C外部接続用リードピンが打たれていない状態における「半導体素子用基板」との呼称の有無,?Dハンダボールとの比較を主張するので(前記第3,7・イ・a( )〔本判決45頁 ,以下,検討する。 a〕)?@ 半導体素子搭載用基板という用語の意味について「・・・用」という文言は,一般に「・・・に使うためのもの」という意味を表すとされているから(広辞苑第5版等 ,半導体素子搭 )載用基板とは,半導体素子の搭載に使うための基板という意味と解される。
本件各明細書によれば,本件各発明における「半導体素子搭載用基板」は,本件各明細書の発明の詳細な説明においては「半導体パッケ」,, ージ と表現されているものと認められ 半導体パッケージについて発明の詳細な説明には,次のとおり記載されている(下線は本判決により付されたものである 。。)a 「 技術分野)本発明は,半導体パッケージの製造法及び半導体 (パッケージに関する ( 0001 ) 。」【 】b 「 背景技術)半導体の集積度が向上するに従い,入出力端子数 (が増加している。従って,多くの入出力端子数を有する半導体パッケージが必要になった。一般に,入出力端子はパッケージの周辺に一列配置するタイプと,周辺だけでなく内部まで多列に配置するタイプがある。前者は, ( )が代表的である ・・ QFP Quad Flat Package。
・後者のアレイタイプは比較的大きなピッチで端子配列が可能なため,多ピン化に適している ( 0002 ) 。」【 】c 「従来,アレイタイプは接続ピンを有する ( ) PGA Pin Grid Arrayが一般的であるが,配線板との接続は挿入型となり,表面実装には適していない。このため,表面実装可能な ( )と BGA Ball Grid Array称するパッケージが開発されている ( 0003 ) 。」【 】d 「パッケージサイズの更なる小型化に対応するものとして,半導体チップとほぼ同等サイズの,いわゆるチップサイズパッケージ( )が提案されている。これは,半導体チッ CSP; Chip Size Packageプの周辺部でなく,実装領域内に外部配線基板との接続部を有するパッケージである ( 0004 ) 。」【 】e 「以上のように小型化高集積度化に対応できる半導体パッケージとして,種々の提案がされているが,性能,特性,生産性等全てに。」(【】 ) わたって満足するよう一層の改善が望まれている 0007f 「本発明は,小型化,高集積度化に対応できる半導体パッケージを,生産性良くかつ安定的に製造するを可能とする半導体パッケージの製造法及び半導体パッケージを提供するものである ( 00 。」【08 )】g 「本発明により,半導体チップの高集積度化に対応することができる半導体パッケージを生産性良く,かつ安定的に製造することができる ( 0100 ) 。」【 】上記の記載(特に下線部)に照らせば,発明の詳細な説明においても,半導体パッケージという文言を,半導体素子の搭載に使うための基板という意味と理解することができると認められる。
原告は,半導体素子搭載用基板とは,直ちに半導体を搭載することが可能な状態の基板という意味であると主張するが(前記第3,7・イ・a( )?@〔本判決45頁 「・・・用」という文言の一般的な a〕),意味からして,そのように限定して解釈する必然性はないし,本件各明細書の記載からしても,半導体素子の搭載に使うための基板という意味を超えて,直ちに半導体を搭載することが可能な状態の基板という意味であるとする根拠は認められず,原告の上記主張は,採用することができない。
?A 製造工程について原告は,PGA基板の製造工程から,PGA基板の半導体素子搭載用基板としては,外部接続用リードピンを備えた構造となり,外部接続用リードピンが本件発明1の「外部接続端子」に該当すること,通常の取引形態においても,PGA基板は,接続ピンを備えた状態で顧客に納入されること,乙1公報によってどんなPGA基板でもリードピンを打つタイミングを変えることが周知又は公知の技術であるとはいえないことなどを主張する(前記第3,7・イ・a( )?A〔本判決 a46頁 。〕)しかし,乙1公報記載の発明は,物の発明であり,物を生産する方法の発明ではなく,製造方法を限定するものではないこと,また,前記?@〔本判決136頁〕のとおり,半導体素子搭載用基板とは,半導体素子の搭載に使うための基板であって,直ちに半導体を搭載することが可能な状態の基板に限定されるものではないことからすれば,製造方法や流通実態により半導体素子搭載用基板の構造を決することはできず,原告の上記主張は,いずれも採用することができない。乙1公報発明は,外部接続用リードピンが挿入される前の時点で,既に本件各発明の外部接続端子に該当する構成として 「めっきの施された ,スルーホール」を開示していると認められる。
?B 外部接続用リードピンが打たれていない半導体素子搭載用基板の存否について原告は,リードピンが打たれておらずかつ半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域が複数つなげられているPGA基板により半導体パッケージを製造するとすれば,半導体パッケージメーカーにとって何のメリットもないことを主張する。また,原告は,半導体素子を搭載し樹脂でモールドした後に外部接続用リードピンを打ち込み,その後切り離す方法を採用することは極めて困難であると主張する(前記第3,7・イ・a( )?B〔本判決47頁 。 a〕)しかし,半導体パッケージメーカーにとって何のメリットもないとの主張については これを裏付ける具体的な根拠はないし 前記?@ 本 ,,〔判決136頁〕のとおり,半導体素子搭載用基板という語が,半導体素子の搭載に使うための基板という意味であり,それを超えて,直ちに半導体を搭載することが可能な状態の基板という意味であるとは認められないことからすれば,リードピンが打たれておらずかつ半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域が複数つなげられているPGA基板の存在を認めたとしても,その後のピン打ち,半導体素子搭載,切り離しの順序は適宜選択することができ,原告主張の上記順序(半導体素子を搭載し樹脂でモールドした後に外部接続用リードピンを打ち込み,その後切り離す)に限定される根拠はない。したがって,原告の上記主張は,いずれも,リードピンが打たれておらずかつ半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域が複数つなげられているPGA基板が存在し得ないことの根拠とはならないというべきである。
?C 外部接続用リードピンを備えない状態における「半導体素子搭載用基板」との呼称の有無について前記イ〔本判決132頁〕の乙36,37の記載によれば,PGA基板は,実際の取引においても,リードピンの打たれる前の状態でPGA用の半導体素子搭載用基板としてLSIメーカーに納入されていることがあると認められ,その場合,PGA基板のスルーホールは,めっきが施されており,外部接続端子としての機能を備えていることが認められる。
また,乙29公報は,磁性合金膜被覆リードの発明に関する公開特許公報であり このリードピン 10 は半導体素子搭載用基板 3 ,「() (0)のスルーホール(32)に挿入されて,導体回路(31)を介して搭載される半導体素子と外部とを電気的に接続するためのものである (3頁右下欄16行ないし4頁左上欄1行)と記載されている。 。」乙30公報は,半導体用アルミニウム基板の発明に関する公開特許公報であり,リードピンを挿入する前の状態のスルーホールタイプのピングリッドアレー用のアルミニウム基板が記載されている。乙31公報は,半導体搭載基板の発明に関する公開特許公報であり,外部接続用リードピンを備えない段階の図1について 「図1は本発明による ,半導体搭載基板の製造工程の一例を示す図で,先ず,図1(a)に示すように,熱硬化性樹脂から或る〔判決注 「成る」の誤記と認められる 〕基板11に,回路パターン,スルーホール12,半導体搭載 。
用凹部13を形成し,さらに,ソルダーレジスト14を印刷し,ニッケル・金メッキを施して半導体搭載用基板を得る ( 0006 ) 。」【 】と記載されている。乙32公報は,半導体素子搭載用配線板に関する発明であり,特許請求の範囲などには,外部との接続に用いられるネールヘッドピンが打たれていない段階での半導体素子搭載用配線板が記載されている。そうすると,乙29ないし乙32の公報によれば,外部接続用リードピンを備えない状態において「半導体素子搭載用基板」と呼ばれていることが認められる。また,仮に,原告主張のとおり,乙29ないし乙32の公報が,PGA基板が外部接続用リードピンを備えない状態においてPGA用の「半導体素子搭載用基板」と呼ばれていることを示していないとしても,少なくとも,乙29ないし乙32の公報は,そのような呼称を積極的に否定するものではないと解される。
?D ハンダボールとの比較について原告は,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン9は本件発明1のハンダボールに該当するとはいえないと主張する(前記第3,7・イ・a( )?D〔本判決50頁 。しかし,乙1公報によれば,乙1 a〕)公報記載の発明では,外部接続用リードピン9は,PGA基板を外部と接続するための部材であり,他方,本件各発明においては,半導体素子搭載用基板に形成された外部接続端子と外部との接続は,本件各明細書の記載や図面のとおり,はんだボール7やはんだバンプ70を介して行う構造になっている。そうすると,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン9は,本件各明細書に記載されたはんだボール7又ははんだバンプ70に該当するものであり,本件各発明の外部接続端子(前記エ〔本判決135頁〕のとおり,めっきの施されたスルー,「 」 。 ) ホールが 本件発明1の 外部接続端子 に該当すると認められるに該当するものではないと認められる。
・ 環状外部接続端子被告は,乙1公報記載の発明の環状外部接続端子(別紙6「乙1公報図面に部材名を記入した参考図面」図1(B)に指示されている )が 。
本件発明1の「外部接続端子」に該当する旨主張する(前記第3,7・ア・a〔本判決58頁 。〕)しかし,別紙6「乙1公報図面に部材名を記入した参考図面」図1(A)で指示されているとおり,外部接続用リードピン9の上方には空間があり,環状外部接続端子に該当する部分は,直接に外部接続用リードピン9と接触しておらず,スルーホール内のめっきを介して外部接続用リードピン9と接触しており,このことからすると,環状外部接続端子をもって本件発明1の「外部接続端子」ととらえることはできない。
したがって,被告の上記主張を採用することはできない。
・ 外部基板との接続部42と解することについてなお,被告は,本件発明1の「外部接続端子」について,本件明細書1における外部基板との接続部42のような部材を意味するとした場合について主張するが(前記第3,7・ア・b〔本判決61頁 ,本件 〕)発明1の「外部接続端子」は配線に含まれるところ,接続部42は配線,「」, , に含まれないから 外部接続端子には該当せず 被告の上記主張は採用することができない。
・ 「外部接続端子」の開示の有無上記のとおり,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン9,環状外部接続端子は,いずれも本件発明1の「外部接続端子」に該当せず,めっきの施されたスルーホールが,本件発明1の「外部接続端子」に該当すると認められる(前記エ〔本判決135頁 。〕)カ 本件発明1の 上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ 構 「」 (成要件エ)の開示の有無原告は,乙1ないし乙3の公報には,本件発明1の「外部接続端子」は開示されていないから,本件発明1の「上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ (構成要件エ)との構成要件も開示されていないと主 」張する(前記第3,7・ウ〔本判決55頁 。〕)しかし,前記エ〔本判決135頁〕のとおり,乙1公報発明のめっきの施されたスルーホールが,本件発明1の「外部接続端子」に該当し,本件発明1の「外部接続端子」は開示されているものと認められるから,原告の上記主張は,採用することができない。
・ 乙1公報発明と本件発明1の一致点,相違点以上検討したところによれば,乙1公報発明と本件発明1を対比すると,一致点,相違点は,次のとおり認められる。
ア 一致点絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを含む所定の配線パターンを備え,上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられることを特徴とする半導体素子搭載用基板である点。
イ 相違点本件発明1では,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備え(構成要件イ ,同一の配線パターンを有する上記半導 )体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されている(), , , 構成要件オ のに対し 乙1公報発明では これらの領域を複数組備え複数個配列することを明記していない点。
・ 相違点に係る技術の周知又は公知性乙1公報発明と本件発明1の相違点に関する技術事項(半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えること,同一の配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されていること)は,周知又は公知であったものと認められる。以下,詳述する。
ア 公知文献の記載公知文献には,次のとおり記載されている。
・ 乙4公報(平成元年3月2日公開,発明の名称:複合配線基板)「配線回路部A複数個を,両側の連結部Bにより連結しており (3」頁左上欄9,10行)と記載され,第1図(4頁左上)には,実施例における複合配線基板の平面図により,複数組の基板の配列が示されている。
・ 乙5公報(平成3年4月15日公開,発明の名称:可撓性回路基板集合体及びその製造法)複数の回路基板形成域 1頁左下欄7行 と記載され 第1図 4 「」 (),(頁左上)には,実施例によるスクラップレス構造の小形微細な可撓性回路基板集合体の概念的な平面構成図により,複数組の基板の配列が示されている。
(, ) ・ 乙6公報 平成2年3月30日公開 発明の名称:フィルムキャリヤ「10は金属箔配線を示し,これが長手方向にくり返し形成されている (上記「10」は誤りで 「11」が正しいものと認められる。2 。」,頁左上欄1,2行)と記載され,第1図(4頁左下)には,従来のフィルムキャリヤの平面図により,複数組の基板の配列が示されており,第7図(5頁右上)には,実施例を示すフィルムの上面図により,複数組の基板の配列が示されている。
(, ) ・ 乙7公報 平成4年2月4日公開 発明の名称:TABテープの構造「搬送用送り孔1aを半導体搭載部毎に順次7づつ打ち抜き (2頁」左下欄10,11行)と記載され,第1図(a (3頁右下)には,実 )施例1を示す正面図により,複数組の基板の配列が示されている。
・ 乙8公報(平成3年4月19日公開,発明の名称:半導体装置の製造方法)「ベースフィルム10上には回路パターンが繰り返しパターンで形成され (3頁右上欄15ないし17行)と記載され,第2図(4頁下) 」には,長尺帯状体を用いた製造方法を示す説明図により,複数組の基板の配列が示されている。
・ 「日経マイクロデバイス」1986年(昭和61年)12月号,60頁,日経マグロウヒル社刊(乙36)「ピン数に合わせてパターニングしたプリント基板を切断せず,5枚程度つながった状態で (60頁右欄3ないし5行)と記載され,図1 」には,組み立てに使う基板を示す写真により,複数組の基板の配列が示されている。
「」(),, ・ 日経マイクロデバイス 1987年 昭和62年 8月号 68頁日経マグロウヒル社刊(乙37)PGAの基板が5枚程度リードフレーム状につながった状態で 右 「」 (欄8,9行)と記載され,図10には,組み立てに使う基板を示す写真により,複数組の基板の配列が示されている。
・ 「VLSIパッケージング技術(上 」1993年(平成5年)5月 )31日発行,167頁,日経BP社刊(乙38).. , , 図5 3 3において PGAの製造工程が一覧できる形で図解され同一基板上に複数組の領域が配列して形成されることが示されている。
・ 乙33公報(昭和61年11月5日発行,発明の名称:セラミック基板および半導体装置の製造方法)「縦に2つのパッケージ5を接続し,横には3個〜5個のパッケージ5を接続して,1枚のセラミック基板には複数のパッケージが形成されている (2頁右下欄1ないし4行)と記載され,第1図(3頁左下) 。」には,実施例の平面図により,複数組の基板の配列が示されている。
・ 乙34公報(昭和63年3月16日公開,発明の名称:半導体搭載用基板)「シート状で多数の半導体搭載用基板が連続的に配列されたプリント」(),() 配線用基板 2頁右下欄14ないし15行 と記載され 第2図 a(5頁左上)には,半導体搭載用基板を形成する状態を示した部分平面図により,複数組の基板の配列が示されている。
イ 技術の周知又は公知性・ 前記ア 本判決143頁 の文献は いずれも 昭和61年11月 乙 〔〕,, (,( 〔 〕 ) 36及び弁論の全趣旨によれば 乙36前記ア・ 本判決144頁は昭和61年11月に発行されたものと認められる )から平成5年5 。
月までに発行されたものであり,本件各発明と同一の技術分野である半導体素子搭載用基板に係る製造分野に関するものであり,前記ア〔本判決143頁〕の文献によれば,同一基板上に複数組の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,半導体素子搭載用基板に係る製造分野の当業者にとって,周知又は公知の技術であったものと認められる。したがって,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えること,同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列されていることは,同日当時,当業者にとって周知又は公知であったものと認められる。
・ 原告は,乙1公報記載のPGA基板は,仮に,1枚の大きなPGA基板に複数の半導体パッケージ領域を形成した場合,その数の分の多数の接続ピンが基板の底面から突出することになって,取扱いの煩雑さや破損,封止の障害等の問題が生じるため,通常は,個別に切り分けられた後,外部接続用リードピンを挿入した状態で取引されるとし,PGA基板においては 「半導体素子搭載領域と,半導体パッケージ領域とを, ,複数組備え,同一の配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列され」ることは,技術常識あるいは,周知といえる技術ではなく,むしろ,技術常識に反するものであると主張する。また,乙34公報は,半導体素子搭載用基板を作る途中段階のものにすぎず,ピンを挿入した時点では個別に分けられており,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域が複数組存在しているとはいえないと主張する(前記第3,7・エ〔本判決55頁 。〕)原告の上記主張は,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピンが本件発明1の「外部接続端子」に該当することを前提とし,本件発明1の構成要件を充足する半導体素子搭載用基板として,外部接続用リードピンを備えた上で複数の半導体搭載領域及び半導パッケージ領域が存在する基板を前提するものである。
しかし,前記・エ〔本判決135頁〕のとおり,本件発明1の「外部接続端子」に該当するのは,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピンではなく,めっきの施されたスルーホールであると認められる。そのため,本件発明1に該当する半導体素子搭載用基板として,外部接続用リードピンを備えない状態で,複数の半導体素子搭載領域及び半導パッケージ領域が存在する基板を想定することができるので,原告の上記主張は,その前提において,採用することができない。前記ア〔本判決143頁〕の文献の記載から,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えること等は,周知又は公知であったと認められる。
容易想到性ア これまで検討したところによれば,乙1公報発明1と本件発明1の相違点に係る技術は周知又は公知であったから,乙1公報発明1に周知又は公知技術を適用して本件発明1を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものと認められる。
イ 原告は,本件発明1の課題と効果は,半導体パッケージを小型化することにあるところ,乙1公報中の発明の効果を記載した段落【0007】には,半導体素子の大きさにかかわらず半導体パッケージを規格の寸法に収めることができると記載されているにとどまり,半導体パッケージを小型化するという本件発明1の効果に対応する思想の記載や示唆はないから,課題の異なる乙1公報記載の発明から本件発明1に想到することはできないと主張する(前記第3,7・オ〔本判決56頁 。〕)しかし,乙1公報は半導体装置の発明に係るものであり,本件各発明と技術分野を同じくするし,乙1公報の段落【0007】には,大きな半導体素子を搭載する場合でもパッケージサイズを大きなサイズにする必要がないことが記載されており,これは,半導体パッケージを小型化することと共通の指向を示すものであるから,乙1公報記載の発明から本件発明1に想到することはできないとはいえず,原告の上記主張は,採用することができない。
ウ また,原告は,乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することは容易ではないと主張する(前記第3,7・カ〔本判決57頁 。〕)乙4ないし乙8の公報に記載された発明は,それぞれを仔細にみれば,乙1公報記載の発明と相違する点は存在する。しかし,乙4ないし乙8の公報は,乙1公報記載の発明と技術分野を同じくするものであり,前記・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数組の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術が示されているから,乙4ないし乙8の公報に記載された上記技術を乙1公報記載の発明に適用することは当業者にとって容易であるものと認められる。したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
・ 無効事由の有無前記・イ〔本判決143頁〕のとおり,本件発明1は,乙1公報記載の発明と相違点が存在することから,乙1公報記載の発明と実質的に同一であるとはいい難いが,乙1公報記載の発明と周知又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許権1には無効事由があり,本件特許権1は,進歩性の欠如のために特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。
9 争点・イ(本件特許権2の無効事由の有無)について本件発明2は,乙1公報記載の発明と周知又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許権2には進歩性欠如の無効事由があるというべきである。以下,詳述する。
・ 乙1公報発明ア 乙1公報発明前記8・ウ〔本判決134頁〕のとおり,乙1公報には,乙1公報発明が記載されているものと認められる。
イ 乙1公報発明と本件発明2の対応乙1公報発明の「樹脂基板 「素子接続用端子」は,それぞれ本件発 」,明2の「半導体素子実装基板部「ワイヤボンディング端子」に該当す 」,る。また,乙1公報発明の「めっきの施されたスルーホール」は,本件発明2の「外部接続端子」に該当するものと認められ,乙1公報発明の「半導体素子搭載用基板」は,本件発明2の「半導体素子実装用基板」に該当するものと認められる。
ウ 本件発明2の「外部接続端子(構成要件シ)の開示の有無 」前記8・オ〔本判決135頁〕と同様に,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン9,環状外部接続端子は,いずれも本件発明2の「外部接続端子 に該当せず めっきの施されたスルーホールが 本件発明2の 外 」, , 「部接続端子」に該当すると認められる。
・ 乙1公報発明と本件発明2の一致点,相違点以上検討したところによれば,乙1公報発明と本件発明2を対比すると,一致点,相違点は,次のとおり認められる。
ア 一致点半導体素子を搭載するための,半導体素子実装基板部を備え,上記半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられた外部接続端子とを含む配線を備えることを特徴とする半導体素子実装用基板である点。
イ 相違点・ 相違点A本件発明2では,複数個の半導体素子実装基板部を備えている(構成要件サ?T)のに対し,乙1公報発明では,その複数個を明記していない点。
・ 相違点B本件発明2では,半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と() ,() 構成要件サ?U 位置合わせマーク部とを備えている 構成要件サ?Vのに対し,乙1公報発明では,そのような連結部と位置合わせマーク部を明記していない点。
・ 相違点C本件発明2では,連結部が導電層を有する(構成要件ス)のに対し,乙1公報発明では,連結部の導電層を明記していない点。
・ 相違点に係る技術の周知又は公知性(, 乙1公報発明と本件発明2の相違点に関する技術事項 相違点Aについて複数個の半導体素子実装基板部を備えていること,相違点Bについて,半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と位置合わせマーク部とを備えていること,相違点Cについて,基板の複数の領域を連結する連結部に導電層を有すること)は,周知又は公知であったものと認められる。以下,詳述する。
ア 相違点Aについて前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数組の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,半導体素子搭載用基板に係る製造分野の当業者にとって,既に周知又は公知の技術であったものと認められる。したがって,複数個の半導体素子実装基板部を備えていることは,同日当時,当業者にとって周知又は公知であったものと認められる。
イ 相違点Bについて・ 公知文献の記載公知文献には,次のとおり記載されている。
a 乙4公報(平成元年3月2日公開,発明の名称:複合配線基板)配線回路部A複数個を 両側の連結部Bにより連結しており 3 「, 」 (頁左上欄9,10行)と記載され,第1図(4頁左上)には,実施例における複合配線基板の平面図により,連結部B及び位置合わせ用の孔が示されている。
b 乙5公報(平成3年4月15日公開,発明の名称:可撓性回路基板集合体及びその製造法)「これら回路基板形成域の側方に連設した支持枠 (1頁左下欄7 」ないし8行 「両支持枠部分19の各端部には適当な位置決め穴乃 ),至は支持穴20を適宜形成することが出来る (3頁左上欄3ない 。」し5行)と記載され,第1図(4頁左上)には,実施例によるスクラップレス構造の小形微細な可撓性回路基板集合体の概念的な平面構成図により,支持枠部分19と支持穴20が示されており,第3図(4頁右上)には,従来手法に従った可撓性回路基板集合体の概念的な平面構成図により,支持枠部分6が示されている。
c 乙6公報(平成2年3月30日公開,発明の名称:フィルムキャリヤ)「長尺状の可 性〔判決注 「可撓性」の誤記と認められる 〕絶 。
縁性フィルム上に,金属箔配線が形成され (1頁左下欄5ないし6 」行 「パーフォレーション周囲の強度は充分であり ・・・フィルム ),,が薄くなった場合でもフィルム送りが支障なく出来又,その際の位置精度を下げることがない (3頁右下欄7ないし12行)と記載さ 。」,( ), , れ 第7図 5頁右上 には 実施例を示すフィルムの上面図によりフィルムキャリヤ1及びパーフォレーション10が示されている。
d 乙7公報(平成4年2月4日公開,発明の名称:TABテープの構造)「ポリイミド製ベーステープ(絶縁性フィルム)1 (2頁右上欄 」2,3行 「搬送用送り孔1a (2頁左下欄13行)と記載され, ),」第1図(a (3頁右下)には,実施例1を示す正面図により,ポリ )イミド製ベーステープ1と搬送用送り孔1aが示されている。
e 乙8公報(平成3年4月19日公開,発明の名称:半導体装置の製造方法)「ベースフィルム10上には回路パターンが繰り返しパターンで形成され,同時に各回路パターンに接続して検査用ライン40および電解めっきの導通をとるためのバスライン42が設けられる (3頁 。」右上欄15ないし19行)と記載され,第2図(4頁下)には,長尺帯状体を用いた製造方法を示す説明図により,位置合わせ孔が示されている。
・ 技術の周知又は公知性前記・〔本判決151頁〕の文献は,いずれも,平成元年3月から平成4年2月までに発行され,本件各発明と同一の技術分野である半導体素子搭載用基板の製造分野に関するものであり,複数個の個別の基板領域を連結するための連結部と製造工程で必要な位置合わせマーク部に関する技術に言及したものである。そして,前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数個の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,当業者にとって,周知又は公知の技術であったところ,これに関連して,複数個の個別の基板領域を連結するために連結部を備えることや個別の基板領域ごとの加工のために製造工程で必要な位置合わせマーク部を備えることは,同一基板上で複数個の基板領域を配列形成し,これらを一括製造する上で,当。, 然に必要とされる必須の構成であるといい得るものである そうすると本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点においては,半導体素子実装基板部間を連結するための連結部と位置合わせマーク部とを備えていることは,周知又は公知であったものと認められる。
ウ 相違点Cについて・ 公知文献の記載公知文献には,次のとおり記載されている。
a 乙4公報(平成元年3月2日公開,発明の名称:複合配線基板)「金属層11dを連結部の配線基板に設けたのは,複合配線基板としての機械的強度の向上と・・・をはかるためであり,配線基板11の配線導体11c形成時に同時に形成した (3頁左下欄7ないし 。」11行)と記載され,第3図(4頁左上)には,実施例における複合配線基板の断面図により,金属層11dが示されている。
b 乙5公報(平成3年4月15日公開,発明の名称:可撓性回路基板集合体及びその製造法)「支持枠部分6には機械的強度を確保する為に導電層を残置することも出来る (2頁左上欄6ないし8行)と記載されている。 。」c 乙6公報(平成2年3月30日公開,発明の名称:フィルムキャリヤ)「図中13がパーフォレーション周辺を補強する為に配置された,銅箔であり 3頁右上欄11ないし13行 と記載され 第7図 5 」(),(頁右上)には,実施例を示すフィルムの上面図により,補強材13が示されている。
d 乙7公報(平成4年2月4日公開,発明の名称:TABテープの構造)「金属箔は,絶縁性フィルムの側縁に送り孔の部分を除いて連続的に付着され,送り孔の開口縁を補強する (1頁左下欄9ないし11 」行)と記載され,第1図(a (3頁右下)には,実施例1を示す正 )面図により,搬送用送り孔補強用帯6及び帯間隔変化防止用横桟7が示されている。
e 乙8公報(平成3年4月19日公開,発明の名称:半導体装置の製造方法)「ベースフィルム10上には回路パターンが繰り返しパターンで形成され,同時に各回路パターンに接続して検査用ライン40および電解めっきの導通をとるためのバスライン42が設けられる (3頁 。」右上欄15〜19行)と記載され,第2図(4頁下)には,長尺帯状体を用いた製造方法を示す説明図により,バスライン42が示されている。
・ 技術の周知又は公知性前記・〔本判決153頁〕の文献は,いずれも,平成元年3月から平成4年2月までに発行され,本件各発明と同一の技術分野である半導体素子搭載用基板の製造分野に関するものであり,基板の複数の領域を連結する連結部に機械的な強度の補強を兼ねて導電層を有する構成を示したものである。そして,前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数個の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,当業者にとって,周知又は公知の技術であったところ,これに関連して,複数個の基板部間を連結するための連結部について,その強度を増すことは,製造設計上,当然に要求される技術的事項といい得るものである。そうすると,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点においては,基板の複数の領域を連結する連結部に導電層を有することは,周知又は公知であったものと認められる。
容易想到性ア これまで検討したところによれば,乙1公報発明と本件発明2の相違点に係る技術はいずれも周知又は公知であったから,乙1公報発明に周知又は公知技術を適用して本件発明2を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものと認められる。
,, イ 原告は 本件発明2の課題と乙1公報記載の発明の課題が異なるとして容易想到性を否定すべきであると主張するが(前記第3,8・ウ〔本判決72頁 ,前記8・イ〔本判決147頁〕と同様に,原告の上記主張は, 〕)採用することができない。
ウ 原告は,乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することは容易ではないと主張するが(前記第3,8・エ〔本判決72頁 ,前記8・ウ〔本判決148頁〕のとおり,原告の上記主張は,採 〕)用することができない。
エ 原告は,PGA基板が個別に作られるのが一般的な製造法であるとし,これを前提として,相違点A,Bについて容易想到性を否定すべきであると主張する(前記第3,8・オ・,・〔本判決72,73頁 。しかし,〕)前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数組の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,半導体素子搭載用基板に係る製造分野の当業者にとって,既に周知又は公知の技術であったものと認められる。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
オ 原告は,相違点Cの容易想到性に関し,乙1公報に記載されたPGA基板は,基板に外部接続用リードピンを挿入してこれを支持する必要があるため,基板自体が十分な剛性を有しているか又は剛性を出すために厚さを厚くしており,導電層を設けて強度を上げようとする発想がないから,乙1公報には 「連結部は導電層を有する」ことの記載も示唆もなく,乙4 ,ないし乙8の公報に記載された技術を組み合わせる動機付けも存在しないと主張する(前記第3,8・オ・〔本判決73頁 。〕)しかし,乙1公報に記載されたPGA基板に,外部接続用リードピンを挿入してこれを支持するために必要な強度があったとしても,複数個の基板部間の連結部に補強が不要といえるまでの十分な強度があるかどうかは明らかでなく,この点を裏付ける具体的な根拠はない。そうであるとすると,乙1公報を前提とした場合に連結部の強度を上げるという発想が生じないとはいえない。むしろ,前記・ウ〔本判決153頁〕のとおり,同一基板上に複数個の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,周知又は公知の技術であり,これに関連して,連結部の強度を増すことは,製造設計上当然に要求される技術的事項といい得ることからすれば,乙1公報を前提としても,連結部に導電層を設けて強度を上げようとする発想は生じたものと認められ,原告の上記主張は,採用することができない。
・ 無効事由の有無以上によれば,本件発明2は,乙1公報記載の発明と周知又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許権2には無効事由があり,本件特許権2は,進歩性の欠如のために特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。
争点・ウ(本件特許権3の無効事由の有無)について 10本件発明3は,乙1公報記載の発明と周知又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許権3には進歩性欠如の無効事由があるというべきである。以下,詳述する。
・ 乙1公報発明ア 乙1公報発明前記8・ウ〔本判決134頁〕のとおり,乙1公報には,乙1公報発明が記載されているものと認められる。
イ 乙1公報発明と本件発明3の対応乙1公報発明の「樹脂基板 「素子接続用端子」は,それぞれ本件発 」,明3の「絶縁性支持体 「ワイヤボンディング端子」に該当する。また, 」,乙1公報発明の「めっきの施されたスルーホール」は,本件発明3の「外部接続端子」に該当すると認められる。
ウ 本件発明3の「外部接続端子(構成要件ヌ)の開示の有無 」前記8・オ〔本判決135頁〕と同様に,乙1公報記載の発明の外部接続用リードピン9,環状外部接続端子は,いずれも本件発明3の「外部接続端子 に該当せず めっきの施されたスルーホールが 本件発明3の 外 」, , 「部接続端子」に該当すると認められる。
エ 本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)の開示の有無乙1公報記載の発明には本件発明3の「基板の片面に形成された配線」(構成要件ナ)が開示されているものと認められる。以下,詳述する。
原告は,構成要件ナの「基板の片面に形成された複数の配線」とは,基板の片面のみに配線が形成されていることを意味するとした上で,乙1公報記載の発明は,配線が基板の両面に形成されたものであるから,構成要件ナの上記構成を備えるものではなく,本件発明3と相違する旨主張する(前記第3,9・ウ〔本判決78頁 。〕)乙1公報記載の発明においては 「樹脂基板8は,ガラス布エポキシや ,ガラス布BTやガラス布ポリイミド等の積層板で成っており,表裏両面には銅が張られている。また表裏の銅を導通させるためにスルーホール10を設けてめっきを行ない,表裏面の銅をエッチングすることにより回路が形成されている ( 0005,前記8・ア・〔本判決131頁 )とさ 。」【 】 〕れており,別紙5「乙1公報図面」図1(A)及び(B)に示されているとおり,表面(上面)には,複数の配線回路が設けられ,その配線回路がスルーホールの外側に向かって形成され,配線回路の外側端には素子接続用端子7が形成され,配線回路の内側端にはスルーホール10を取り巻く環状部分が形成されているのに対し,裏面(下面)には,スルーホール10の周囲を取り巻く環状部分がエッチングで残されており,これがスルー() 。 , ホール10内のめっきで表面 上面の配線と導通している そうすると乙1公報記載の発明において 樹脂基板8の半導体素子1を搭載する面 表 ,(面・上面)には複数の配線が設けられているのに対し,裏面(下面)にはスルーホール10の周囲を取り巻くように環状に銅の部分が残されているだけである。この裏面(下面)の環状の銅の部分は,スルーホール内のめっきによって表面の配線と導通され,外部接続用リードピンを固定し,外部接続用リードピンとめっきの施されたスルーホールとの電気的接続をより確実にするためのものであると認められ,このような裏面(下面)の環状の銅の部分は,樹脂基板の表面(上面)上で半導体素子接続用端子とめっきの施されたスルーホールとの間を取り回される表面(上面)の配線回路とは機能的に異なるものである。裏面(下面)の環状の銅の部分がこのようなものであることに照らせば,裏面(下面)の環状の銅の部分は「複数の配線」に該当せず,表面(上面)の配線回路のみが「複数の配線」に該当し,基板の片面のみに「複数の配線」が形成されているものと認められ,乙1公報記載の発明は,本件発明3の構成要件ナの「基板の片面に形成された複数の配線」に当たる構成を備えていると認められる。
また,仮に,表面(上面)の配線回路のみならず裏面(下面)の環状の銅の部分も「複数の配線」に該当するとしても,構成要件ナは 「片面に ,形成された複数の配線」というにとどまり 「片面のみ」に形成されたと ,はされておらず,本件明細書3に,配線を片面のみに設けることの技術的意義について明確な記載がないことからすれば,本件発明3は,絶縁性支持体の片面に複数の配線を形成するとともに,外部との電気的接続を確実にするために他の面にも配線を設けた構成を含むものと解され,これを排除する趣旨とは解されない。そうすると,仮に,裏面(下面)の環状の銅の部分も「複数の配線」に該当するとしても,乙1公報記載の発明は,構「」。 成要件ナの 片面に形成された複数の配線 を備えるということができるしたがって,乙1公報記載の発明は本件発明3の構成要件ナに該当する構成を備えない旨の原告の上記主張は採用することができず,乙1公報記「」 () 載の発明には本件発明3の 基板の片面に形成された配線 構成要件ナが開示されているものと認められる。
オ 本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)の開示の有無 」乙1公報記載の発明には本件発明3の「開口部 (構成要件ネ)が開示 」されているものと認められる。以下,詳述する。
原告は,本件発明3は,配線を絶縁性支持体の片面に形成して,開口部を外部接続端子でふさぐ構造とすることにより,半導体パッケージの構造を単純化することができ,低コストで生産性に優れた半導体素子搭載用基板を得ることができるが,他方,乙1公報記載の発明では,PGA基板のスルーホールは,内部のめっきと両面配線が必要であり,外部接続端子が挿入されなければダイボンド材によって埋められてしまうから,乙1公報記載の発明のスルーホール10は本件発明3の「外部接続端子に達する開口部」ではなく,本件発明3の「開口部」は乙1公報記載の発明には開示されていないと主張し,また,外部接続端子がスルーホールのめっき部であるとすると,本件発明3の構成要件ネ(上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられている)は矛盾した意味になるなどと主張する(前記第3,9・エ〔本判決78頁 。〕)しかし,本件明細書3の特許請求の範囲(本件発明3)においては,外部接続端子の形状について,開口部を外部接続端子でふさぐ構造とするという限定はされていないから,外部接続端子が開口部をふさぐものであることを前提とする原告の主張は,特許請求の範囲の記載に基づかないものであり,採用することはできない。また,本件発明3の構成要件ネ(上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられている)は,絶縁性支持体を貫通し,配線の形成された面(半導体素子の搭載面)に設けられた外部接続端子に達する開口部が設けられていることを意味していると解されるところ,乙1公報記載の発明のスルーホールは,基板の上下を貫通しており,半導体素子の搭載面とは反対側の面から半導体素子の搭載面に向けて開口しているから,本件発明3の開口部に該当するものと認められ,スルーホールのめっき部は,配線の形成された面(半導体素子の搭載面)に至るまで設けられているから,めっきされたスルーホールを外部接続端子と解したとしても,構成要件ネの「上記外部接続端子に達する開口部が設けられている」との文言は,矛盾した意味になるとはいえない。したがって,原告の上記主張を採用することはできず,乙1公報記載の発明には本件発明3の「開口部」(構成要件ネ)が開示されているものと認められる。
・ 乙1公報発明と本件発明3の一致点,相違点以上検討したところによれば,乙1公報発明と本件発明3を対比すると,一致点,相違点は,次のとおり認められる。
ア 一致点絶縁性支持体と,その片面に形成された複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されたワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成された外部接続端子とをつなぐ配線を含み,上記外部接続端子の形成された箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられていることを特徴とする半導体素子搭載用基板である点。
イ 相違点本件発明3では,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えている(構成要件ニ)のに対し,乙1公報発明では,これらの領域を複数組備えることを明記していない点。
・ 相違点に係る技術の周知又は公知性前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数組の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,半導体素子搭載用基板に係る製造分野の当業者にとって,既に周知又は公知の技術であったものと認められる。したがって,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えることは,同日当時,当業者にとって周知又は公知であったものと認められる。
容易想到性ア これまで検討したところによれば,乙1公報発明に周知又は公知技術を適用して本件発明3を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものと認められる。
,, イ 原告は 本件発明3の課題と乙1公報記載の発明の課題が異なるとして容易想到性を否定するが(前記第3,9・オ〔本判決79頁 ,前記8〕)・イ〔本判決147頁〕と同様に,原告の上記主張は,採用することができない。
ウ 原告は,乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することは容易ではないと主張するが(前記第3,9・カ〔本判決79頁 ,前記8・ウ〔本判決148頁〕のとおり,原告の上記主張は,採 〕)用することができない。
エ 原告は,PGA基板が個別に作られるのが一般的な製造法である旨主張し,その主張を前提として,相違点について容易想到性を否定するが(前記第3,9・キ〔本判決80頁,前記9・エ〔本判決155頁〕と同 〕)様に,原告の上記主張は,採用することができない。
・ 無効事由の有無以上によれば,本件発明3は,乙1公報記載の発明と周知又は公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,本件特許権3には無効事由があり,本件特許権3は,進歩性の欠如のために特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。
争点・(本件各訂正による無効事由の解消の成否)ア(本件訂正1による本 11件特許権1の無効事由の解消の成否)について本件訂正1によって本件特許権1の無効事由は解消されないものと解する。
以下,本件各訂正後の特許の無効事由の有無について,詳述する。
・ 乙42公報発明ア 乙42公報の記載乙42公報には,次のとおりの記載がある。
・ 「特許請求の範囲1.パッケージより,アウターリードを垂直に出した半導体装置であって,前記パッケージ本体内の半導体素子の下部にも前記アウターリードを有して成ることを特徴とする半導体装置 (1頁左下欄3ないし7 。」行)「, , ・ 本発明では チップの下部にもアウターリードを垂直に出した構成換言すれば,アウターリードを全面に設け,その上部にチップを搭載する構成としたので,チップは大なるサイズのものが搭載でき,ピン数も増加でき,配線引きまわしも容易となり,かつ,パッケージサイズも小型化可能となる (2頁右上欄3ないし9行) 。」・ 「第1図に示すように,ベース(基板)1の上に接着材料2により半導体素子(チップ)3を固着する。
ベース1は例えばガラスエポキシ基板により構成される (2頁右 。」上欄12ないし16行)・ 「基板1には第1図および第2図に示すようにその垂直方向に多数のアウターリード4が立設されている。
・・・アウターリード4は半導体素子3の下部にも立設されている。パッケージ本体5の基板1の裏面から基〔判決注 「碁」の誤記と認められる 〕盤目状に一定のピッチで,金属ピンよりなるアウターリード4 。
が全面にわたって突出しており (2頁左下欄5ないし12行) 」・ 「ベース1には,第1図にはメタライズ層(配線層)6がメッキ,蒸着などにより設けられており,このメタライズ層6と半導体素子3のパッド・・・とを,コネクタワイヤ7により ・・・ボンディングし,上 ,記メタライズ層6と,アウターリード4とを,ベース1に穿設されたスルーホールを介して電気的に接続している。
アウターリード4は,ベース1に融点の高い半田により,半田付される (2頁左下欄16行ないし右下欄5行) 。」・ 「ベース1上に,ダム8を・・・接合し,このダム8により区画されたエリア内にSi系ゲル材料をポッティングし,加熱硬化させ,得られたSi系ゲル9により,半導体素子3とコネクタワイヤボンディング部などを被覆する (2頁右下欄9ないし14行) 。」・ 「第3図は,本発明におけるワイヤボンディングおよびピン間の配線の要部平面図で,第3図に示すように,半導体素子3のボンディングパッド11とメタライズ層9とをコネクタワイヤ7によりボンディングするが,本発明では配線基板1のメタライズ層(配線)9をボンディングリードとして利用すると,ピン間に引きまわすコネクタワイヤの本数が少なくでき,その配線が楽になる (上記「メタライズ層9 「メタ 。」」 ,ライズ層(配線)9」は 「メタライズ層6 「メタライズ層(配線) ,」 ,6」の明白な誤記と認められる。3頁右下欄1ないし8行)・ 第1図,第2図(4頁右下 ,第3図(5頁上)には,別紙7「乙4 )2公報図面」の第1ないし第3図の各図面が示されている。
イ 乙42公報発明の認定前記ア〔本判決163頁〕の乙42公報の記載によれば,乙42公報には,次の発明(以下「乙42公報発明」という )が開示されているもの 。
と認められる(原判決111頁にいう「訂正引用発明1 ,原判決123 」「」, 「」 頁にいう 訂正引用発明3 は いずれも本判決にいう 乙42公報発明と同じである。原判決120頁にいう「訂正引用発明2」は,末尾が「半導体素子実装用基板」である点以外は,本判決にいう「乙42公報発明」と同じである。なお,乙42公報に記載された発明について,次のとおり厳密に特定された発明を指す場合は「乙42公報発明」といい,そうでない場合は「乙42公報記載の発明」という 。。)「ガラスエポキシ基板により構成されるベース1に,半導体素子3の搭載される領域と,その外側にSi系ゲル9により被覆される領域を有し,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみに,メタライズ層6からなる複数の配線が設けられ,メタライズ層6はコネクタワイヤボンディング部とアウターリード4に接続する端子とを配線の一部とした配線パターンを備え,コネクタワイヤボンディング部はSi系ゲル9により被覆される領域のメタライズ層6の上面に設けられ,アウターリード4に接続する端子は半導体素子3の搭載領域のメタライズ層6の下面に設けられ,アウターリード4に接続する端子の形成される箇所のベース1にこの端子に達するスルーホールが穿設され,スルーホールの半導体素子3を搭載する面側がメタライズ層6で覆われている半導体素子搭載用基板 」。
ウ 乙42公報発明と本件訂正発明1の対応乙42公報発明の「ベース 「メタライズ層 「コネクタワイヤボン 」,」 ,ディング部 「アウターリードに接続する端子 「スルーホール」は, 」,」 ,それぞれ本件訂正発明1の「絶縁性支持体 「配線 「ワイヤボンディ 」,」,ング端子 「外部接続端子 「開口部」に該当するものと認められる。 」,」 ,・ 乙42公報発明と本件訂正発明1の一致点,相違点ア 一致点,相違点前記・〔本判決163頁〕に検討したところによれば,乙42公報発明と本件訂正発明1を対比すると,一致点,相違点は,次のとおり認められる。
・ 一致点絶縁性支持体と複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,上記配線は,上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみにあり,上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われており,上記ワイヤボンディング端子は上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられ,上記外部接続端子は上記半導体素子搭載領域に設けられることを特徴とする半導体素子搭載用基板である点。
・ 相違点a相違点A本件訂正発明1では,1層の銅箔から形成された配線を用いているのに対し,乙42公報発明では,めっきや蒸着などにより形成されたメタライズ層を用いている点。
b相違点B本件訂正発明1では,絶縁性支持体がポリイミドフィルムで構成され,絶縁性支持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報発明では,ベース(絶縁性支持体)がガラスエポキシで構成され,スルーホール(開口部)の側壁にベースが露出しているか否かを明記していない点。
c相違点C本件訂正発明1では,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備え,同一の配線パターンを有する上記半導体素子搭載領域及び上記半導体パッケージ領域が複数個配列されているのに対し,乙42公報発明では,これらの領域を複数組備え,複数個配列することを明記していない点。
d相違点D本件訂正発明1では,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックが形成され,同一の上記ブロックが複数個設けられているのに対し,乙42公報発明では,このようなブロックの形成がなく,また,複数個設けられていない点。
イ 片面配線,外部接続端子についての対比・ 片面配線a 原告は,乙42公報記載の発明において,スルーホールとは,側壁にめっき等による導電層を有する貫通孔のことであるとし,これを前提として,乙42公報記載の発明は,スルーホールにアウターリードが挿入され,スルーホールの下部につながる裏面配線とアウターリードがはんだ付けされており,電気的接続経路がコネクタワイヤ→メタライズ層→スルーホール→アウターリード,又はコネクタワイヤ→メタライズ層→スルーホール→下面配線→はんだ→アウターリードの順となり,基板の下面に下面配線が設けられていることになるから,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみにメタライズ層6からなる複数の配線が設けられていることはない旨主張する(前記第3,10・ア〔本判決89頁 。そして,その上で 「上記配線は,上記絶縁 〕),性支持体の半導体素子を搭載する面側のみに1層あり 」との点は, ,乙42公報記載の発明と本件訂正発明1との一致点ではなく,相違点であると主張する(前記第3,10・イ〔本判決91頁 。しかし,〕)以下のとおり,原告の主張は,採用することができない。
b( ) まず,スルーホールの意味について検討する。 aスルーホールとは,その文言からすると,貫通接続を行うために基板に設けられた貫通孔のことである。そして,貫通孔の壁面にめっきを施すことなくリードピン等により直接電気的接合を行う技術に関して,公知文献には,次のとおり記載されている。
?@ 乙71公報 特開昭63-253657号公報 昭和63年 1 (,(988年)10月20日公開,発明の名称:半導体装置)?T 「特許請求の範囲(1)貫通孔を有する穴開き絶縁基板と,穴開き絶縁基板の表面に形成した配線層と,穴開き絶縁基板の表面に塔載され配線層と結線された半導体素子と,穴開き絶縁基板の貫通孔に基板表面で配線層と接続し且つ基板裏面から突出するように挿入され,貫通孔内で金ロウにより固着された表面に金めつき層を有する金属製のピンとを具えたことを特徴とする半導体装置 」。
(1頁左下欄3ないし11行)?U「作用〕 〔本発明においては,穴開き絶縁基板を使用し,配線層と外部とを連絡する導電媒体として,表面に金めつき層を有する金属製のピンを穴開き絶縁基板の貫通孔内に挿入し,その内部で金ロウにより固着してある。従つて,基板を貫通し内部の配線層と外部とを連絡する導電媒体として,従来の如く複数のグリーンシートにいちいちスルホールメタライズを形成する必要がない。その結果,粉末冶金法により一体的に成形し焼結して製造したセラミツクスの穴開き絶縁基板を用いることが可能になり,製造工数を大幅に削減できる。
更に,金属製のピンの穴開き絶縁基板への固着は,貫通孔内に表面に金めつき層を有するピンを挿入して両者の隙間に金ロウを浸透流入させるだけで良好な結合が得られ,従来の如く基板裏面のメタライズ部にピンを精度よくロウ付けするよりも簡単である (2頁右下欄1ないし18行) 。」?A 乙72公報 特開昭63-253658号公報 昭和63年 1 (,(988年)10月20日公開,発明の名称:半導体装置)?T 「特許請求の範囲(1)貫通孔を有する穴開き絶縁基板と,穴開き絶縁基板の表面に形成した配線層と,穴開き絶縁基板の表面に塔載され配線層と結線された半導体素子と,穴開き絶縁基板の貫通孔に基板表面で配線層と接続し且つ基板裏面から突出するように挿入され,該貫通孔内で銀ロウにより固着された金属製のピンとを具えたことを特徴とする半導体装置 (1頁左下欄3ないし1 。」1行)?U「作用〕 〔本発明においては,穴開き絶縁基板を使用し,配線層と外部とを連絡する導電媒体として,金属製のピンを穴開き絶縁基板の貫通孔内に挿入し,その内部で銀ロウにより固着してある。
従つて,基板を貫通し内部の配線層と外部とを連絡する導電媒体として,従来の如く複数のグリーンシートにいちいちスルホールメタライズを形成する必要がない。その結果,粉末冶金法により一体的に成形し焼結して製造したセラミツクス絶縁基板を用いることが可能になり,しかも製造工数を大幅に削減できる。
更に,金属製のピンの穴開き絶縁基板への固着は,貫通孔内にピンを挿入して両者の隙間に銀ロウを浸透流入させるだけで良好な結合が得られ,従来の如く基板裏面のメタライズ部にピンを精度よくロウ付けするよりも簡単である (2頁右下欄 。」1ないし17行)?B 乙73公報(特開平6-140462号公報,平成6年(19), ) 94年 5月20日公開 発明の名称:半導体装置のパッケージ?T 「 特許請求の範囲】 【【請求項1】半導体チップを載置する絶縁フィルムと,前記半導体チップの電極パッドのそれぞれと接続する部分をもち前記フィルム面内で互いに分離されて形成される複数の配線を有し,前記絶縁フィルムの配線形成面の反対面から複数の穴を開けてそれぞれの前記配線の一部を露呈し,これら穴に外部端子を差し込み前記配線の一部分と接続し,前記外部端子の先端部を前記絶縁フィルムより突出させることを特徴とする半導体装置のパッケージ。
【請求項2】前記外部端子の先端部の形状が半球状であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置のパッケージ。
【請求項3】前記外部端子の先端部の形状がピン状であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置のパッケージ 」。
?U 「このTAB型パッケージは,図4に示すようにポリイミド等の樹脂で製作されるTABフィルム1上に,銅の金属膜を被着し ( 0004 ) ,」【 】?V 「まず,TABフィルム1の面に金属膜を被着し,選択的にエッチングして,例えば,図1(a)に示すようなパターンで配線2aを形成する。次に,TABフィルム1に形成された配線2aの部分がTABフィルム1より露呈するように,配線形成面の反対面からフォトリソグラフィ技術で選択的にエッチングし,スルーホール3を形成する。尚,このスルーホール3は実装されるプリント基板の接続端子と合うように配列して形成されるものである。従って,配線のパターンも予めこのことを考慮して設計すべきである ( 0014 ) 。」【 】?? 「次に,配線2a及びスルーホール3が形成されたTABフィルムと半導体チップを準備し,図2(a)に示すように,半導体チップ7をTABフィルム1に位置決めして載置し,電極パッド8とそれぞれ対応する配線2aと接合する ( 001 。」【5)】?? 「次に,スルーホール3の開口のある面からめっきあるいは蒸着等によりスルーホール3が塞がるように半田あるいは金属の膜を形成する。そして,図2(b)に示すように,スルーホール3以外の領域の金属膜をエッチング除去して,TABフィルム1より突出する外部端子材4aを形成する。次に,図2(c)に示すように外部端子部材4aに半田めっき等によりバンプ5を被着し,外部端子として完成する ( 0016 ) 。」【 】?? 「このように本発明のTAB型パッケージは,図1(c)に示すように,外部端子4がパッケージ裏面の全面に設けられている ( 0017】1ないし3行) 。」【?? 「図3は図1のTAB型パッケージを適用した他の例を示す半導体装置の部分破断側面図である。この実施例のパッケージでは,前述の実施例で示した外部端子を形成するバンプの代わりに図3に示す導電ピン5aを用いている ( 0018 ) 。」【 】?? 「次に,このパッケージ構造を理解し易いように組立順に説明する。まず,前述したと同様にTABフィルム1の配線層の外部端子に対応する部分をエッチングし,スルーホール3を形成する。勿論,スルーホール3の位置は望しくは格子状に配列され形成される ( 0019 ) 。」【 】?? 「次に,スルーホール3を形成したTABフィルム1の裏面から露出した配線の部分に,金等の導電ピンを熱圧着等の手段例えば,予備半田された導電ピン5aを熱圧で接合する方法で接続し,TABフィルム1と垂直方向に立てて接続し,TABフィルム1より1mm程度の長さで突出させ切断する。次に,スルーホール3に樹脂6aをポッティングし,導電ピン5aを固定し,これを外部端子とする ( 0020 ) 。」【 】?? 「パッケージサイズをより大幅に小さくすることできる。このことはパッケージサイズの縮小率は,ピン数が増大する程顕著である ( 0022】13ないし15行) 。」【上記の?@ないし?Bの文献の記載によれば,貫通孔の壁面にめっきを施すことなくリードピン等により外部と直接電気的接続を行う技術は公知であり,スルーホールとは,基板に設けられた貫通孔を意味し,必ずしもめっきを施しためっきスルーホール,又はめっき等による導電層を有する貫通孔の意味に限定されるものではないことが認められる。
( ) さらに,乙42公報において,スルーホールを貫通するアウタ bーリードに関して次のとおり記載されている。
?@ 「特許請求の範囲1.パッケージより,アウターリードを垂直に出した半導体装置であって,前記パッケージ本体内の半導体素子の下部にも前記アウターリードを有して成ることを特徴とする半導体装置 (1。」頁左下欄3ないし7行)?A 「 発明の目的 」 〔〕本発明の目的は,大チップ搭載可能としたプラグインパッケージを提供することを目的とする。
本発明の他の目的はピン数の増加したプラグインパッケージを提供することを目的とする(2頁左上欄6ないし10行) 。」?B 「本発明では,チップの下部にもアウターリードを垂直に出した構成,換言すれば,アウターリードを全面に設け,その上部にチップを搭載する構成としたので,チップは大なるサイズのものが搭載でき,ピン数も増加でき,配線引きまわしも容易となり,かつ,パッケージサイズも小型化可能となる (2頁右上欄3 。」ないし9行)?C 「第1図に示すように,ベース(基板)1の上に接着材料2により半導体素子(チップ)3を固着する。
ベース1は例えばガラスエポキシ基板により構成される (2。」頁右上欄12ないし16行)?D 「基板1には第1図および第2図に示すようにその垂直方向に多数のアウターリード4が立設されている。
本発明では,これら図に示すように,アウターリード4は半導体素子3の下部にも立設されている。パッケージ本体5の基板1の裏面から基〔判決注 「碁」の誤記と認められる 〕盤目状に。
一定のピッチで,金属ピンよりなるアウターリード4が全面にわたって突出しており,第2図に示すように,最内周の金属ピン4の対向するピン間間隔(A)よりも大なる半導体素子3を搭載している (2頁左下欄5ないし15行) 。」?E 「ベース1には,第1図にはメタライズ層(配線層)6がメッキ,蒸着などにより設けられており,このメタライズ層6と半導体素子3のパッド・・・とを,コネクタワイヤ7により ・・・,,,, ボンディングし 上記メタライズ層6と アウターリード4とをベース1に穿設されたスルーホールを介して電気的に接続している。
アウターリード4は,ベース1に融点の高い半田により,半田付される (2頁左下欄16行ないし右下欄5行) 。」?F 「第3図は,本発明におけるワイヤボンディングおよびピン間の配線の要部平面図で,第3図に示すように,半導体素子3のボンディングパッド11とメタライズ層9とをコネクタワイヤ7によりボンディングするが,本発明では配線基板1のメタライズ層(配線)9をボンディングリードとして利用すると,ピン間に引きまわすコネクタワイヤの本数が少なくでき,その配線が楽になる (上記「メタライズ層9 「メタライズ層(配線)9」は 。」」 ,誤りで 「メタライズ層6 「メタライズ層(配線)6」が正し ,」 ,いものと認められる。3頁右下欄1ないし8行)?G 「アウターリードを,従来のごとく,チップの周辺下部に垂設するという制限を取り払い,全面に一定のピッチで基〔判決注「碁」の誤記と認められる 〕盤目状に配列し,それらアウター 。
リードの上部にチップを搭載するようにしたので,チップは大きなサイズであっても搭載可能である (3頁右下欄10ないし1 。」5行)?H 「上記のようにアウターリードをベース全面にわたり多数垂設しているので,多ピン化が可能である(4頁左上欄3ないし 。」5行)上記の乙42公報の記載によれば,乙42公報記載の発明は,要するに,アウターリード4(リードピン)をチップの周辺下部に垂設するという従来の制限を取り払い,パッケージ内の半導体素子の下部にも全面に一定のピッチで碁盤目状に配列し,それらのアウターリードの上部にチップを搭載することにより,大きなチップを搭載可能とし,また,多ピン化を可能としたものである。アウターリード4は,ベース1に融点の高いはんだにより,はんだ付されている。そして,第1図によれば,アウターリード4はベース1のスルーホールを貫通していることが示されている。しかし,乙42公報,,, には スルーホールの作り方や構造については 特段の記載はなくスルーホールにめっきが施されている旨の記載もなく,スルーホールに関しては 「上記メタライズ層6と,アウターリード4とを, ,。」 ベース1に穿設されたスルホールを介して電気的に接続している(2頁右下欄1ないし3行)との記載があるだけである。
( ) 前記( )〔本判決168頁〕のとおり,スルーホールとは,基板 caに設けられた貫通孔を意味し,必ずしもめっきを施しためっきスルーホール,又はめっき等による導電層を有する貫通孔の意味に限定されるものではない。そして,乙42公報記載の発明では,メタライズ層6とアウターリード4とが電気的に接続されれば足りるのであって,電気的な接続を確実にするためにめっきスルーホールを採用する余地があるとしても,スルーホールにめっきすることが必ずしも要求されるわけではない。また,乙42公報記載の発明では,アウターリード4は,ベース1に融点の高いはんだにより,はんだ付されているが,これは,アウターリード4(リードピン)を固定し,電気的な接続を確実にするためのものと解される。
そうすると,スルーホールとは側壁にめっき等による導電層を有〔〕, する貫通孔であるという原告の前記a本判決167頁 の主張は採用することができず,それを前提とする原告の前記a〔本判決167頁〕のその余の主張も採用することができない。
c そして,乙42公報には,裏面配線の存在を示す記載はないし,乙42公報記載の発明に裏面配線が必要な理由も見い出せない。そうすると,前記・イ〔本判決164頁〕認定のとおり,乙42公報記載の発明は,ベース1の半導体素子3を搭載する面側のみにメタライズ層,「, 6からなる複数の配線が設けられているものであって 上記配線は上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみにあり 」との点,は,乙42公報記載の発明と本件訂正発明1との相違点ではなく,一致点であると認められる。
・ 外部接続端子a 原告は,乙42公報の第3図に示されているように,スルーホールに対面する部分のメタライズ層6は空孔となっており,メタライズ層6はスルーホールを覆っていないとし,これを前提として,アウターリード4に接続されているのは,電気的にも物理的にもスルーホールであり,メタライズ層6の下面にアウターリード4に接続する端子は存在せず,アウターリード4に接続する端子は半導体素子3の搭載領域のメタライズ層6の下面に設けられること(前記第3,10・イ・e,g〔本判決86頁 )はないし,スルーホールの半導体素子3を 〕搭載する面側がメタライズ層6で覆われていること(前記第3,10・イ・f〔本判決86頁)はないから,乙42公報記載の発明にお 〕いて本件訂正発明1の外部接続端子に該当するのはアウターリード4であると主張する(前記第3,10・ア〔本判決89頁 。そして,〕)アウターリード4は絶縁性支持体上に形成される配線の一部ではないし,仮にスルーホールの側壁を外部接続端子とした場合でも同様であって 「上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを ,上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え 「上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備 」,えられ 「上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えら 」,れ 「上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端 」,子で覆われており」との点は,乙42公報記載の発明と本件訂正発明1の一致点ではなく,相違点であると主張する(前記第3,10・イ〔本判決91頁 。〕)b しかし,以下のとおり,原告の上記主張は,採用することができない。
すなわち,乙42公報には,第3図に関して次のとおりの記載があるのみであり,メタライズ層6とスルーホールの関係についての記載はない。
「第3図は,本発明におけるワイヤボンディングおよびピン間の配線の要部平面図で,第3図に示すように,半導体素子3のボンディングパッド11とメタライズ層9とをコネクタワイヤ7によりボンディングするが,本発明では配線基板1のメタライズ層(配線)9をボンディングリードとして利用すると,ピン間に引きまわすコネクタワイヤの本数が少なくでき,その配線が楽になる (上記「メタライズ層 。」9 「メタライズ層(配線)9」は 「メタライズ層6 「メタライ 」,,」 ,ズ層(配線)6」の明白な誤記と認められる。3頁右下欄1ないし8行。)また,乙42公報の第3図においては,メタライズ層6を示す長方,,, 形の上に○印が付され アウターリード4と指示されているが 他方第1図においては,細いアウターリード4の上端が,若干幅のあるメタライズ層6の幅方向の中央付近に当接していることが示されてい。, , , る そうすると 第1図と合わせてみた場合 第3図の○印の部分はパッケージを上から見た場合にアウターリード4がメタライズ層6の幅に納まる範囲に位置していることを示しているものと認められるが,それ以上に,スルーホールに対面する部分のメタライズ層6が空孔となっていることを示しているとは認められない。そして,乙42公報には,スルーホールに対面する部分のメタライズ層6が空孔となっている旨の説明はないし,乙42公報記載の発明において,スルーホールに対面する部分のメタライズ層6に殊更空孔を設ける理由も見い出し難い。
そうすると,スルーホールに対面する部分のメタライズ層6は空孔となっており,メタライズ層6はスルーホールを覆っていないとの原告の前記a〔本判決176頁〕の主張は,採用することができず,その主張を前提とした原告の前記a〔本判決176頁〕のその余の主張も,採用することができない。
c 前記・イ〔本判決164頁〕認定のとおり,乙42公報発明においては,メタライズ層6はコネクタワイヤボンディング部とアウターリード4に接続する端子とを配線の一部とした配線パターンを備えること,アウターリード4に接続する端子は半導体素子3の搭載領域のメタライズ層6の下面に設けられること,コネクタワイヤボンディング部はSi系ゲル9により被覆される領域のメタライズ層6の上面に設けられること,スルーホールの半導体素子3を搭載する面側がメタライズ層6で覆われていることから 「上記配線は,ワイヤボンディン ,グ端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部とした配線パターンを備え 「上記外部接続端子は上記配線の 」,上記絶縁性支持体側の面に備えられ 「上記ワイヤボンディング端 」,子はその反対側の面に備えられ 「上記開口部の半導体素子を搭載 」,する面側は,上記外部接続端子で覆われており」との点は,いずれも乙42公報記載の発明と本件訂正発明1との一致点であると認められる。
・ 相違点に係る技術の周知又は公知性乙42公報発明と本件訂正発明1の相違点に関する技術事項(相違点Aについて,配線を1層の銅箔から形成すること,相違点Bについて,絶縁性ポリイミド(フィルム)で構成されること,相違点Cについて,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えること,同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列されていること,相違点Dについて,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックが形成され,同一のブロックを複数個設けること)は,周知又は公知であったものと認められる。以下,詳述する。
ア 相違点Aについて・ 公知文献の記載公知文献には,次のとおり記載されている。
a 乙7公報(平成4年2月4日公開,発明の名称:TABテープの構造)「」 (, ベーステープ1上に・・・圧延銅箔を張り付け 2頁右上欄56行)b 乙8公報(平成3年4月19日発行,発明の名称:半導体装置の製造方法)「ベースフィルム10上に銅箔を接着し (2頁左下欄12,13 」行)c 乙44公報(特開平6-112354号公報,平成6年4月22日公開,発明の名称:薄型オーバーモールデッド半導体デバイスおよびその製造方法)「高分子材基板42は銅張りのBT樹脂を使用できるが,これに限定されない ・・・導電金属トレース46のパターンを形成する 」 。。
( 0012】8ないし12行) 【(,, d 乙45公報 特開平7-58161号公報 平成7年3月3日公開発明の名称:フィルムキャリヤ及びこのフィルムキャリヤを用いた半導体装置)「フィルム基材2の一方の面(表面)に,上記配線パターン3を形成するための銅箔が貼着される。この銅箔はパターン形成され,これにより配線パターン3が形成される ( 0017】5ないし8行) 。」【e 乙58公報(特開平4-188741号公報,平成4年7月7日公開,発明の名称:半導体装置の製造方法とそれに使用するキャリアテープ)「ポリイミド膜1a上に・・・銅箔を部分エッチングにより配線パターンに形成 (3頁左下欄1,2行) 」f 乙59公報(特開平6-13434号公報,平成6年1月21日公開,発明の名称:半導体装置用フィルムキャリア)「フィルムキャリア1はポリイミド樹脂,ポリエステル樹脂,ガラスエポキシ樹脂などからなる可撓性絶縁フィルム2とこの絶縁フィルム2上にパターン形成された銅箔等の金属導体膜のリード5とを備えている ( 0014】4ないし8行) 。」【・ 技術の周知又は公知性前記・〔本判決179頁〕の文献の記載によれば,本件各訂正発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の当時,半導体素子搭載用基板において,配線を1層の銅箔から形成することは,周知又は公知の技術であったものと認められ,当業者であれば適宜選択し得る設計的事項であったといえる。
イ 相違点Bについて・ 公知文献の記載公知文献には,次のとおり記載されている。
a 乙6公報(平成2年3月30日公開,発明の名称:フィルムキャリヤ)「例としてフィルム材にポリイミドを想定し (2頁右上欄2,3 」行)b 乙7公報(平成4年2月4日公開,発明の名称:TABテープの構造)「ポリイミド製ベーステープ(絶縁性フィルム)1 (2頁右上欄 」2,3行)c 乙8公報(平成3年4月19日公開,発明の名称:半導体装置の製造方法)「ポリイミド等の電気的絶縁性を有するフィルムから成るベースフィルムで (2頁左下欄6,7行) 」d 乙45公報(平成7年3月3日公開,発明の名称:フィルムキャリヤ及びこのフィルムキャリヤを用いた半導体装置)「2はポリイミド材料等により形成されたフィルム基材 ( 00 」【16】2,3行)e 乙46公報(特開平成5-283460号公報,平成5年10月29日公開,発明の名称:半導体装置)「絶縁性のベースフィルムであって,ポリイミドフィルム等の耐熱性フィルムで形成している (0020】1ないし3行) 。」【f 乙58公報(平成4年7月7日公開,発明の名称:半導体装置の製造方法とそれに使用するキャリアテープ)「ポリイミド膜1a上に・・・銅箔を部分エッチングにより配線パターンに形成 (3頁左下欄1,2行) 」g 乙59公報(平成6年1月21日公開,発明の名称:半導体装置用フィルムキャリア)「フィルムキャリア1はポリイミド樹脂,ポリエステル樹脂,ガラスエポキシ樹脂などからなる可撓性絶縁フィルム2とこの絶縁フィルム2上にパターン形成された銅箔等の金属導体膜のリード5とを備えている ( 0014】4ないし8行) 。」【・ 技術の周知又は公知性a 前記・〔本判決180頁〕の文献の記載によれば,本件訂正発明1の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の当時,半導体素子搭載用基板において,絶縁性支持体がポリイミド(フィルム)で構成されることは,周知又は公知の技術であったものと認められ,当業者であれば適宜選択し得る設計的事項であったといえる。
b( ) さらに,相違点Bについては,本件訂正発明1では,絶縁性支 a持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報発明では,スルーホール(開口部)の側壁にベースが露出しているか否かを明記していない点が相違点とされている。
( ) しかし,本件訂正発明1において,絶縁性支持体の開口部の側 b壁に絶縁性支持体が露出しているとは,半導体素子搭載用基板の製造工程において,開口部にはんだボールが形成される前の状態を意味し,その時点での基板の状態を特許請求の範囲として記載したものというべきである。他方,乙42公報発明において,スルーホールの側壁にベースが露出しているか否か明確な記載はないものの,スルーホールがその形成と同時にアウターリードと接続するためのはんだで埋められるなどの記載はないから,製造工程において,基板のスルーホール(開口部)の側壁にベース(絶縁性支持体)が露出した状態となる時期があるものと推認され,その状態をもって乙42公報記載の発明ということができるものと認められる。そうすると,上記の相違点とされた事項について,本件訂正発明1と乙42公報発明との間で実質的には差異がなく,容易想到性の判断に当たって,この点を相違点として考慮する必要はないものと認められる。
( ) この点について,原告は,本件訂正発明1は,製品としての半 c導体素子搭載用基板において,開口部の側壁に絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報記載の発明では,製品としての状態で,スルーホールの側壁にはめっき等による導電層が形成されるとして,上記相違点についての容易想到性を否定すべきであると主張する(前記第3,10・ウ〔本判決91頁 。〕)しかし,前記8・オ・?@〔本判決136頁〕のとおり,本件各発明は半導体素子搭載用基板に係るものであるところ,この半導体素子搭載用基板とは,半導体素子の搭載に使うための基板という意味であり,半導体素子を直ちに搭載できる状態の基板には限らず,製造工程のある時点のものも含まれる。
また,乙42公報には 「上記メタライズ層6と,アウターリー ,ド4とを,ベース1に穿設されたスルホールを介して電気的に接続」(),, している 2頁右下欄1ないし3行 と記載されており これは電気がスルーホールのめっき部を通ってメタライズ層6とアウターリード4との間を流れるように電気的に接続されている旨の意味と,, , も解されるが 他方で アウターリード4が基板の下面に設けられ貫通孔であるスルーホールの中を通り抜けてベースの下からメタライズ層6に至っていることに鑑みれば,スルーホールが導電性を有することにより電気的に接続することに限定するのではなく,場所的関係として,アウターリード4がスルーホールの中を通ってメタライズ層6に接続している旨の意味とも解される。そして,前記・イ・b〔本判決168頁〕のとおり,乙42公報記載の発明に関して,スルーホールとは,側壁にめっきを施した貫通孔又はめっき等による導電層を有する貫通孔の意味に限られないし,乙42公報の第1図によれば,メタライズ層6とアウターリード4は直接接触していると認められるところ,メタライズ層6とアウターリード4が電気的に接続されれば足りるのであるから,スルーホールのめっき又は導電層は常に必要なわけではない。アウターリード4は,ベース1にはんだ付けされているが,それは,アウターリード4(リードピン)を固定し,電気的な接続を確実にするためのものである。
さらに,前記・イ・c〔本判決176頁〕のとおり,乙42公報には,裏面配線の存在を示す記載はなく,乙42公報記載の発明にお。, いて裏面配線が必要な理由も見い出すことができない そうすると乙42公報の「上記メタライズ層6と,アウターリード4とをベース1に穿設されたスルーホールを介して電気的に接続している」との記載を,スルーホールの壁面にめっき等により形成された導電層を介して電気的に接続している意味に限定して解すべき理由はなく,乙42公報記載の発明において,製品としての状態で,常にスルーホールの側壁にめっき等による導電層が形成されるものとは解されない。
したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
ウ 相違点Cについて前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数個の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,本件各訂正発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,当業者にとって,周知又は公知の技術であり,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えること,同一の配線パターンを有する半導体素子搭載領域及び半導体パッケージ領域が複数個配列されていることは,同日当時,当業者にとって周知又は公知であったものと認められる。
エ 相違点Dについて・ 公知文献の記載公知文献には,次のとおり記載されている。
a 乙60公報(特開昭62-150834号公報,昭和62年7月4日公開,発明の名称:半導体装置樹脂成形方法および樹脂成形装置)「このような連続フレームの上に縦方向の2単位のフレームは同図に示されるように共通の一つの樹脂ブロック5により成形封止され,樹脂パッケージ5を得る (2頁右下欄4ないし7行)と記載され, 。」第1図(4頁右上)では,スタック型のリードフレームの例を示す平面図(一部樹脂封止した状態)により,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックの形成が示されている。
b 乙61公報(特開昭62-150868号公報,昭和62年7月4日公開,発明の名称:半導体装置用リードフレームとそれを使用する樹脂封止方法)「共通の樹脂ブロック内に封止されるユニット(素子)の数は2つ又は2つ以上であればいくつでもよい (3頁右上欄11ないし1 。」3行)と記載され,第1図(3頁右下)には,実施例を示すリードフレーム(一部を樹脂形成)の平面図により,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックの形成が示されており,第5図(4頁右上)には,実施例を示すリードフレームの平面図により,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックの形成が示されている。
c 乙62公報(特開平1-281736号公報,平成元年11月13日公開,発明の名称:回路基板ユニットの製造方法)「一列複数個毎に接続部への被覆樹脂のポッティングがなされる。
・・・一度に一列のうちの5個のICデバイス10に対して樹脂を噴出する (3頁右下欄13ないし19行 「スプロケット・・・を回 」) ,転し,次の列の処理を行なう (4頁左上欄1ないし3行)と記載さ 」れ,第2図(9頁左上)には,当該発明による回路基板ユニットの製造方法実施する製造ラインの第1処理工程で作成されたICユニット用のキャリアテープの平面図により,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックの形成と,同一の樹脂封止列の複数個形成が示されている。
d 乙63公報(特開平4-116961号公報,平成4年4月17日公開,発明の名称:半導体ダイオード素子およびその製造方法)「直線状に並んだ複数個の半導体チップを列毎に一体封止するようにして行われる (3頁右上欄11ないし12行)と記載され,第 。」(), , 3図 4頁右上 には 当該発明ダイオード素子の組立工程図により半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックの形成と,このようなブロックの複数列形成が示されている。
・ 技術の周知又は公知性前記・〔本判決185頁〕の文献の記載によれば,半導体素子搭載用基板に関する製造分野において,本件各訂正発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の時点において,半導体素子搭載領域と半導体パッケージ領域の複数個を一括して封止可能なブロックを形成し,同一のブロックを複数個設けることは,半導体素子搭載用基板を効率よく大量に製造する上で,周知又は公知の技術であったということができる。
容易想到性これまで検討したところによれば,乙42公報発明に周知又は公知技術を適用して本件訂正発明1を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものと認められる。
・ 無効事由の解消の成否以上によれば,本件訂正1によっても本件特許権1の無効事由は解消されないものと認められる。
争点・イ(本件訂正2による本件特許権2の無効事由の解消の成否)につい 12て本件訂正2によって本件特許権2の無効事由は解消されないものと解する。
以下,詳述する。
・ 乙42公報発明と本件訂正発明2の対応乙42公報発明の「ベース 「メタライズ層 「コネクタワイヤボンデ 」,」 ,ィング部 「アウターリードに接続する端子 「スルーホール 「半導体 」,」 ,」 ,」, 「 」,「」, 素子搭載用基板 は それぞれ本件訂正発明2の 絶縁性支持体 配線「ワイヤボンディング端子 「外部接続端子 「開口部 「半導体素子実 」,」 ,」 ,装用基板」に該当すると認められる。
・ 乙42公報発明と本件訂正発明2の一致点,相違点乙42公報発明と本件訂正発明2を対比すると,一致点,相違点は,次のとおり認められる。
ア 一致点半導体素子実装基板部は,半導体素子搭載領域,上記半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域,及び上記樹脂封止用半導体パッケージ領域に設けられるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に設けられる外部接続端子とを含む配線並びに絶縁性支持体を備え,,, 上記配線は 上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみにあり上記配線は,ワイヤボンディング端子と,外部接続端子とを上記絶縁性支持体上に形成される配線の一部として備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われていることを特徴とする半導体素子実装用基板である点。
イ 相違点・ 相違点A本件訂正発明2では,1層の銅箔から形成された配線を用いているのに対し,乙42公報発明では,めっきや蒸着などにより形成されたメタライズ層を用いている点。
・ 相違点B,, 本件訂正発明2では 絶縁性支持体がポリイミドフィルムで構成され絶縁性支持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報発明では,ベース(絶縁性支持体)がガラスエポキシで構成され,スルーホール(開口部)の側壁にベースが露出しているか否か明記していない点。
・ 相違点C本件訂正発明2では,複数個の半導体素子実装基板部を備えているのに対し,乙42公報発明では,その複数個を明記していない点。
・ 相違点D本件訂正発明2では,半導体素子実装基板部間を連結するための連結部,位置合わせマーク部を備えているのに対し,乙42公報発明では,これらを備えていない点。
・ 相違点E本件訂正発明2では,連結部が導電層を有するのに対し,乙42公報発明では,これを明記していない点。
・ 相違点に係る技術の周知又は公知性乙42公報発明と本件訂正発明2の相違点に関する技術事項(相違点Aについて,配線を1層の銅箔から形成すること,相違点Bについて,絶縁性ポリイミド(フィルム)で構成されること,相違点Cについて,複数個の半導体素子実装基板部を備えていること,相違点Dについて,半導体素子実装基板間を連結するための連結部と位置合わせマーク部とを備えていること,相,) 違点Eについて 基板の複数の領域を連結する連結部に導電層を有することは,周知又は公知であったものと認められる。以下,詳述する。
ア 相違点Aについて前記11・ア・〔本判決180頁〕のとおり,本件各訂正発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の当時,半導体素子搭載用基板において,配線を1層の銅箔から形成することは,周知又は公知の技術であったものと認められ,当業者であれば適宜選択し得る設計的事項であったといえる。
イ 相違点Bについて前記11・イ・〔本判決182頁〕のとおり,平成7年3月15日の当時,半導体素子搭載用基板において,絶縁性支持体がポリイミド(フィルム)で構成されることは,周知又は公知の技術であったものと認められ,当業者であれば適宜選択し得る設計的事項であったといえる。さらに,相違点Bのうち,本件訂正発明2では,絶縁性支持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報発明では,スルーホー() , ル 開口部 の側壁にベースが露出しているか否かを明記していない点は本件訂正発明1と乙42公報発明との間で実質的には差異がなく,容易想到性の判断に当たって,この点を相違点として考慮する必要はないものと認められる。
ウ 相違点Cについて本件訂正発明2でいう複数個の半導体素子実装基板部を備えることは,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備え,これらを複数個配列することと同様の意味であり,前記8・〔本判決14〕, , 3頁 のとおり 同一基板上に複数個の個別の基板領域を配列して形成しこれを一括して製造する技術は,平成7年3月15日の時点において,当業者にとって,周知又は公知の技術であった。したがって,複数個の半導体素子実装基板部を備えていることは,同日当時,当業者にとって周知又は公知であったものと認められる。
エ 相違点Dについて前記9・イ・〔本判決152頁〕のとおり,平成7年3月15日の時点において,半導体素子実装基板間を連結するための連結部と位置合わせマーク部とを備えていることは,周知又は公知であったものと認められる。
オ 相違点Eについて前記9・ウ・〔本判決154頁〕のとおり,平成7年3月15日の時点において,基板の複数の領域を連結する連結部に導電層を有することは,周知又は公知であったものと認められる。
容易想到性これまで検討したところによれば,乙42公報発明に周知又は公知技術を適用して本件訂正発明2を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものと認められる。
・ 無効事由の解消の成否以上によれば,本件訂正2によっても本件特許権2の無効事由は解消されないものと認められる。
争点・ウ(本件訂正3による本件特許権3の無効事由の解消の成否)につい 13て本件訂正3によって本件特許権3の無効事由は解消されないものと解する。
以下,詳述する。
・ 乙42公報発明と本件訂正発明3の対応乙42公報発明の「ベース 「メタライズ層 「コネクタワイヤボンデ 」,」 ,ィング部 「アウターリードに接続する端子 「スルーホール」は,それ 」,」 ,ぞれ本件訂正発明3の「絶縁性支持体 「配線 「ワイヤボンディング端 」,」,子 「外部接続端子 「開口部」に該当すると認められる。 」,」 ,・ 乙42公報発明と本件訂正発明3の一致点,相違点乙42公報発明と本件訂正発明3を対比すると,一致点,相違点は,次のとおり認められる。
ア 一致点絶縁性支持体と,その片面のみに形成される複数の配線とを備える半導体素子搭載用基板において,半導体素子搭載領域と,該半導体素子搭載領域の外側の樹脂封止用半導体パッケージ領域とを,備え,,, 上記配線は 上記絶縁性支持体の半導体素子を搭載する面側のみにあり上記配線は,上記半導体パッケージ領域に形成されるワイヤボンディング端子と,上記半導体素子搭載領域に形成される外部接続端子及びそれらをつなぐ配線を配線の一部として備え,上記外部接続端子は上記配線の上記絶縁性支持体側の面に備えられ,上記ワイヤボンディング端子はその反対側の面に備えられ,上記外部接続端子の形成される箇所の上記絶縁性支持体に,上記外部接続端子に達する開口部が設けられ,上記開口部の半導体素子を搭載する面側は,上記外部接続端子で覆われていることを特徴とする半導体素子搭載用基板である点。
イ 相違点・ 相違点A本件訂正発明3では,1層の銅箔から形成された配線を用いているのに対し,乙42公報発明では,めっきや蒸着などにより形成されたメタライズ層を用いている点。
・ 相違点B,, 本件訂正発明3では 絶縁性支持体がポリイミドフィルムで構成され絶縁性支持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報発明では,ベース(絶縁性支持体)がガラスエポキシで構成され,スルーホール(開口部)の側壁にベースが露出しているか否か明記していない点。
・ 相違点C本件訂正発明3では,半導体素子搭載領域と樹脂封止用半導体パッケージ領域とを複数組備えているのに対し,乙42公報発明では,これらの領域を複数組備えることを明記していない点。
・ 相違点に係る技術の周知又は公知性乙42公報発明と本件訂正発明3の相違点に関する技術事項(相違点Aについて,配線を1層の銅箔から形成すること,相違点Bについて,絶縁性ポリイミド(フィルム)で構成されること,相違点Cについて,複数個の半導体素子実装基板部を備えていること)は,周知又は公知であったものと認められる。以下,詳述する。
ア 相違点Aについて前記11・ア・〔本判決180頁〕のとおり,本件各訂正発明の新規性及び進歩性の判断基準日である平成7年3月15日の当時,半導体素子搭載用基板において,配線を1層の銅箔から形成することは,周知又は公知の技術であったものと認められ,当業者であれば,適宜選択し得る設計的事項であったといえる。
イ 相違点Bについて前記11・イ・〔本判決182頁〕のとおり,平成7年3月15日の当時,半導体素子搭載用基板において,絶縁性支持体がポリイミド(フィルム)で構成されることは,周知又は公知の技術であったものと認められ,当業者であれば,適宜選択し得る設計的事項であったといえる。さらに,相違点Bのうち,本件訂正発明3では,絶縁性支持体の開口部の側壁に上記絶縁性支持体が露出しているのに対し,乙42公報発明では,スルーホール(開口部)の側壁にベースが露出しているか否かを明記していない点は,本件訂正発明3と乙42公報発明との間で実質的には差異がなく,容易想到性の判断に当たって,この点を相違点として考慮する必要はないものと認められる。
ウ 相違点Cについて前記8・〔本判決143頁〕のとおり,同一基板上に複数個の個別の基板領域を配列して形成し,これを一括して製造する技術は,平成7年3月15日の時点において,当業者にとって,周知又は公知の技術であった。
したがって,複数個の半導体素子実装基板部を備えていることは,同日当時,当業者にとって周知又は公知であったものと認められる。
容易想到性これまで検討したところによれば,乙42公報発明に周知又は公知技術を適用して本件訂正発明3を構成することは,当業者にとって容易に想到し得たものと認められる。
・ 無効事由の解消の成否以上によれば,本件訂正3によっても本件特許権3の無効事由は解消されないものと認められる。
結論14以上のとおり,被告製品は,本件各発明の構成要件をいずれも充足するが,本件各特許権に係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものと認められ,本件各訂正によってもその無効事由は解消されないものと認められる。
そうすると,原告は,特許法104条の3第1項により,被告及び被控訴人に対し,その権利を行使することができず,原告の本訴請求はいずれも理由がない。
よって,原告の被告に対する本訴請求をいずれも棄却すべきものとした原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
追加
別紙1被告物件目録被告が製造する半導体素子搭載用基板(半導体素子実装用基板)であって,両側にスプロケットホールを形成したフィルム状部材に複数の配線パターンが繰り返し規則的に配置形成されている,以下の構成を備えたもの?@配線パターンは複数のワイヤボンディング接続端子と複数のランド部とを備えており,複数のワイヤボンディング接続端子と複数のランド部はそれぞれ配線で接続されている。
?Aワイヤボンディング接続端子とランド部は,両者を接続する配線よりも幅が広く形成されている。
?Bランド部の下部のフィルム状部材にはランド部に達する開口部が形成されており,ワイヤボンディング接続端子の下部のフィルム状部材には開口部が形成されていない。
?Cワイヤボンディング接続端子とランド部とが繰り返し規則的に配置形成されている配線パターンであって,ワイヤボンディング接続端子よりも配線パターンの内側の位置に配置されているランド部が存在する。ただし,ワイヤボンディング接続端子よりも配線パターンの外側の位置に配置されているランド部も存在する。
なお,被告の半導体素子搭載用基板の一例の断面構造は,模式図のようになっており,開口部が開口した面(裏面)から反対の面(表面)の配線パターンを透かし。,(),て見たときは第1図のようになっているまた外観の拡大写真は第2図表面第3図(裏面)のとおりである。
(別紙1図面及び別紙2省略)別紙4表2特許号を親とする特許の出願審査状況33374671世代2世代3世代4世代2004160856出願-3685203登録2004247763特開-20041608572005138827出願-出願-200231306920042477642005328057出願-特開-特開-36062752004160858【本件特許権1】登録出願-200213735920031334793685204出願-特開-登録34134132004247765登録特開-20023349482004160859特開-出願-2004282098特開-2004160860出願2001-237791出願-3685205登録3337467登録2004247766特開-2002特開-2002137360110858出願-3352083登録2002334949特開-】【本件特許権22002137361出願-3413191登録2002334950特開-】【本件特許権32002137362出願-3352084登録2002334951特開-別紙5乙1公報図面【図1】別紙7乙42公報図面別紙8公報一覧表番号公開日発明の名称乙1公報特開平5-109922号公報平成5年(1993年)4月30日公開半導体装置乙2公報特開平2-133943号公報平成2年(1990年)5月23日公開高集積回路及びその製造方法乙3公報特開平4-103152号公報平成4年(1992年)4月6日公開半導体装置乙4公報特開昭64-54791号公報平成元年(1989年)3月2日公開複合配線基板乙5公報特開平3-89587号公報平成3年(1991年)4月15日公開可撓性回路基板集合体及びその製造法乙6公報特開平2-91956号公報平成2年(1990年)3月30日公開フィルムキャリヤ乙7公報特開平4-33350号公報平成4年(1992年)2月4日公開テーTABプの構造乙8公報特開平3-94430号公報平成3年(1991年)4月19日公開半導体装置の製造方法乙27公報特開平5-29526号公報平成5年(1993年)2月5日公開半導体パツケージの基板への端子ピンの取付方法乙29公報特開平3-195051号公報平成3年(1991年)8月26日公開磁性合金膜被覆リード乙30公報特開平5-6945号公報平成5年(1993年)1月14日公開半導体用アルミニウム基板乙31公報特開平5-152496号公報平成5年(1993年)6月18日公開半導体搭載基板乙32公報特開昭61-208226号公報昭和61年(1986年)9月16日公開半導体素子搭載用配線板乙33公報特開昭61-248453号公報昭和61年(1986年)11月5日公開セラミック基板および半導体装置の製造方法乙34公報特開昭63-60547号公報昭和63年(1988年)3月16日公開半導体搭載用基板乙42公報特開昭61-177759号公報昭和61年(1986年)8月9日公開半導体装置乙44公報特開平6-112354号公報平成6年(1994年)4月22日公開薄型オーバーモールデッド半導体デバイスおよびその製造方法乙45公報特開平7-58161号公報平成7年(1995年)3月3日公開フィルムキャリヤ及びこのフィルムキャリヤを用いた半導体装置乙46公報特開平成5-283460号公報平成5年(1993年)10月29日公開半導体装置乙58公報特開平4-188741号公報平成4年(1992年)7月7日公開半導体装置の製造方法とそれに使用するキャリアテープ乙59公報特開平6-13434号公報平成6年(1994年)1月21日公開半導体装置用フィルムキャリア乙60公報特開昭62-150834号公報昭和62年(1987年)7月4日公開半導体装置樹脂成形方法および樹脂成形装置乙61公報特開昭62-150868号公報昭和62年(1987年)7月4日公開半導体装置用リードフレームとそれを使用する樹脂封止方法乙62公報特開平1-281736号公報平成元年(1989年)11月13日公開回路基板ユニットの製造方法乙63公報特開平4-116961号公報平成4年(1992年)4月17日公開半導体ダイオード素子およびその製造方法乙71公報特開昭63-253657号公報昭和63年(1988年)10月20日公開半導体装置乙72公報特開昭63-253658号公報昭和63年(1988年)10月20日公開半導体装置乙73公報特開平6-140462号公報平成6年(1994年)5月20日公開半導体装置のパッケージ別紙9控訴審判決もくじ第1控訴の趣旨p2第2事案の概要等p21事案の概要p22前提となる事実p3・当事者p3・原告の特許権p3ア本件特許権1p3イ本件特許権2p4ウ本件特許権3p5・原告の特許発明p6ア本件発明1p6イ本件発明2p7ウ本件発明3p7・本件各発明の構成要件の分説p8・被告の行為p10・被告製品の構成p10・本件各発明の構成要件充足性p11・事前の交渉等p11・本件各特許権の出願の経緯p11ア親出願等の経緯p12イ本件各特許出願と手続補正p12ウ本件特許権1の特許出願の分割出願p13エ本件各発明等の新規性,進歩性の判断の基準日p13・訂正請求の経緯p14ア無効審判請求と第1次審決取消訴訟p14イ訂正審判請求と差戻決定p14ウ訂正請求と訂正審判のみなし取下げp14・訂正の内容p15ア本件訂正1p15イ本件訂正2p16ウ本件訂正3p17・平成20年2月5日付け無効審決p18ア本件特許権1p18イ本件特許権2p19ウ本件特許権3p19・半導体素子搭載用基板の種類p193主要な争点p20第3争点に関する当事者の主張p221争点・(本件各発明のタイプへの限定の有無)p22Fan-in・原告の主張p22アタイプを含むとする理由p23Fan-in/out・半導体素子外側の外部接続端子の必要性p23・半導体素子搭載用基板の各タイプの成立過程等p23・出願経過における説明等p24イ構成要件の解釈p24・被告の反論p25アタイプを含まないとする理由p25Fan-in/out・本件各明細書の記載p25・本件訴え提起前の交渉における原告の説明p25・原告ホームページのニュースリリース欄p26・本件訴状別紙被告製品目録の第1ないし第4図p26・出願経過における説明等p27a本件各特許権の出願経過における説明等p27()本件特許権1p27a()本件特許権2p28b()本件特許権3p30cb出願経過における説明等の参酌p31イ構成要件の解釈についてp312争点・(被告製品における「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている」との構成(構成E)の有無)p31。’・原告の主張p31・被告の反論p323争点・(構成要件充足性)ア(本件発明1の構成要件エ、本件発明2の構成要件シ、本件発明3の構成要件ヌの充足性)p32・原告の主張p33ア構成要件と被告製品の構成部分の対応p33イ本件発明1の構成要件エの充足性p33ウ本件発明2の構成要件シの充足性p33エ本件発明3の構成要件ヌの充足性p34・被告の反論p35ア被告製品が構成E’を備えないことによる構成要件の非充足p35イ本件各発明がタイプに限定されることによる構成要件の非充足p35Fan-in4争点・イ(被告製品の「スプロケットホール7「目印10」の本件発明2の構成要件サ?V」,の「位置合わせ部」への該当性(本件発明2の構成要件サ?Vの充足性)p36)・原告の主張p36・被告の反論p365争点・ウ(本件発明1の構成要件イ,オの充足性)p37・原告の主張p37・被告の反論p376争点・エ(本件発明3の構成要件ニの充足性)p38・原告の主張p38・被告の反論p387争点・(本件各発明の無効事由の有無)ア(本件特許権1の無効事由の有無)p39・被告の主張p39ア新規性,進歩性の欠如p39イ乙1公報記載の発明p39・乙1公報の記載p39・乙1公報に記載された発明p41ウ被告主張に係る乙1公報発明1と本件発明1の一致点、相違点p41・一致点p42・相違点p42エ新規性進歩性の有無p43・新規性p43・進歩性p43オ小括p44・原告の反論p45ア新規性,進歩性の具備p45イ本件発明1の「外部接続端子(構成要件ウ、エ)の開示の有無p45」・本件発明1の「外部接続端子」p45・乙1公報に開示された外部接続端子p45a外部接続用リードピンの本件発明1の「外部接続端子」への該当性p45()外部との接続手段への該当性p45a?@半導体素子搭載用基板の意味p45?A製造工程p46?B外部接続用リードピンが打たれていない半導体素子搭載用基板の存否p47?C外部接続用リードピンが打たれていない状態における「半導体素子搭載用基板」との呼称の有無p49?Dハンダボールとの比較p50?E外部との接続手段への該当性p50()配線への包含の有無p50b()本件発明1の「外部接続端子」への該当性p50cb環状外部接続端子の本件発明1の「外部接続端子」への該当性p51()パッケージ外部接続端子と基板配線外部接続端子の区別p51a()外部との接続の可否p51b()外部接続端子における「端子」の意味p52c()本件発明1の「外部接続端子」への該当性p52dc本件発明1の「外部接続端子」を外部基板との接続部42のような部材と解することの可否p53d乙1公報における本件発明1の「外部接続端子」の開示の有無p53・乙2公報に開示された外部接続端子p53・乙3公報に開示された外部接続端子p54・小括p55ウ本件発明1の「上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ(構成要件エ)の開」示の有無p55エ半導体パッケージ領域を複数個配列することの周知性の有無p55オ乙1公報記載の発明と本件発明1の課題の相違p56カ乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無p57・被告の再反論p58ア本件発明1の「外部接続端子(構成要件ウ、エ)の開示の有無についてp58」・本件発明1の半導体素子搭載用基板についてp58・乙1公報に開示された外部接続端子についてp58a外部接続用リードピン及び環状外部接続端子の本件発明1の「外部接続端子」への該当性についてp58()パッケージ外部接続端子と基板配線外部接続端子の区別についてp59a()外部との接続の可否についてp59b()半導体素子搭載用基板におけるリードピンの有無についてp60c()本件発明1の「外部接続端子」への該当性についてp61db本件発明1の「外部接続端子」を外部基板との接続部42のような部材と解することの可否についてp61c乙1公報における本件発明1の「外部接続端子」の開示の有無についてp61・乙2公報に開示された外部接続端子についてp61・乙3公報に開示された外部接続端子についてp62・小括p62イ本件発明1の「上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ(構成要件エ)の開」示の有無についてp62ウ半導体パッケージ領域を複数個配列することの周知性の有無についてp62エ乙1公報記載の発明と本件発明1の課題の相違についてp63オ乙4ないし乙8の公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無についてp638争点・イ(本件特許権2の無効事由の有無)p64・被告の主張p64ア進歩性の欠如p64イ乙1公報記載の発明p64ウ被告主張に係る乙1公報発明2と本件発明2の一致点、相違点p65・一致点p65・相違点p66a相違点Ap66b相違点Bp66c相違点Cp66エ相違点についての容易想到性p66・相違点Aについてp67・相違点Bについてp67・相違点Cについてp69オ小括p71・原告の反論p71ア進歩性の具備p71イ本件発明2の「外部接続端子(構成要件シ)の開示の有無p71」・本件発明2の「外部接続端子」p71・乙1公報に開示された外部接続端子p71・乙2公報に開示された外部接続端子p71・乙3公報に開示された外部接続端子p72ウ乙1公報記載の発明と本件発明2の課題の相違p72エ乙4ないし乙8の各公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無p72オ相違点についての容易想到性p72・相違点Aについてp72・相違点Bについてp73・相違点Cについてp73・相違点AないしCについての容易想到性の有無p739争点・ウ(本件特許権3の無効事由の有無)p73・被告の主張p73ア新規性,進歩性の欠如p73イ乙1公報記載の発明p74ウ被告主張に係る乙1公報発明3と本件発明3の一致点、相違点p74・一致点p75・相違点p75エ新規性進歩性の有無p76・新規性p76・進歩性p76オ小括p77・原告の反論p77ア新規性,進歩性の具備p77イ本件発明3の「外部接続端子(構成要件ヌ)の開示の有無p77」・本件発明3の「外部接続端子」p77・乙1公報に開示された外部接続端子p77・乙2公報に開示された外部接続端子p77・乙3公報に開示された外部接続端子p77ウ本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)の開示の有無p78エ本件発明3の「開口部(構成要件ネ)の開示の有無p78」オ乙1公報記載の発明と本件発明3の課題の相違p79カ乙4ないし乙8の各公報記載の発明を乙1公報記載の発明に適用することの容易性の有無p79キ被告主張に係る乙1公報発明3と本件発明3の相違点についての容易想到性p80・被告の再反論p80ア本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)の開示の有無についてp80イ本件発明3の「開口部(構成要件ネ)の開示の有無についてp81」争点・(本件各訂正による無効事由の解消の有無)ア(本件訂正1による本件特許権1の無効10事由の解消の有無)p81・原告の主張p81ア乙1公報記載の発明に基づく容易想到性がないことp82・乙1公報記載の発明p82・本件訂正発明1p82・乙1公報記載の発明と本件訂正発明1の対比p83・乙1公報記載の発明に基づく容易想到性の有無p83イ乙4公報記載の発明に基づく容易想到性がないことp84・乙4公報記載の発明p84・乙4公報記載の発明と本件訂正発明1の対比p84・乙4公報記載の発明に基づく容易想到性の有無p85ウ本件特許権1の無効事由の解消p85・被告の反論p85ア乙1公報記載の発明との対比における新規性進歩性の欠如p85イ乙42公報記載の発明との対比における進歩性の欠如p85・乙42公報記載の発明p86・乙42公報記載の発明と本件訂正発明1の一致点,相違点p86a一致点p87b相違点p87()相違点?@p87a()相違点?Ap87b()相違点?Bp88c()相違点?Cp88d・相違点に係る技術の周知性p88a相違点?@についてp88b相違点?Aについてp88c相違点?Bについてp88d相違点?Cについてp88・容易想到性p89・原告の再反論p89ア乙42公報記載の発明についてp89イ乙42公報記載の発明と本件訂正発明1の一致点,相違点についてp91ウ絶縁性支持体の開口部側壁への露出に関する相違点についてp91エ容易想到性についてp93争点・イ(本件訂正2による本件特許権2の無効事由の解消の有無)p9311・原告の主張p93ア乙4公報記載の発明p93イ本件訂正発明2p94ウ乙4公報記載の発明と本件訂正発明2の対比p95エ乙4公報記載の発明に基づく容易想到性の有無p95オ本件特許権2の無効事由の解消p95・被告の反論p95ア乙1公報記載の発明との対比における進歩性の欠如p95イ乙42公報記載の発明との対比における進歩性の欠如p96・乙42公報記載の発明p96・乙42公報記載の発明と本件訂正発明2の一致点,相違点p97a一致点p97b相違点p98()相違点?@p98a()相違点?Ap98b()相違点?Bp98c()相違点?Cp98d()相違点?Dp98e・相違点に係る技術の周知性p98a相違点?@についてp98b相違点?Aについてp98c相違点?Bについてp99d相違点?Cについてp99e相違点?Dについてp99・容易想到性p99・原告の再反論p99争点・ウ(本件訂正3による本件特許権3の無効事由の解消の有無)p10012・原告の主張p100ア乙1公報記載の発明p100イ本件訂正発明3p100ウ乙1公報記載の発明と本件訂正発明3の対比p101エ乙1公報記載の発明に基づく容易想到性の有無p101オ本件特許権3の無効事由の解消p101・被告の反論p102ア乙1公報記載の発明との対比における進歩性の欠如p102イ乙42公報記載の発明との対比における進歩性の欠如p102・乙42公報記載の発明p102・乙42公報記載の発明と本件訂正発明3の一致点,相違点p103a一致点p103b相違点p104()相違点?@p104a()相違点?Ap104b()相違点?Bp104c・相違点に係る技術の周知性p104a相違点?@についてp104b相違点?Aについてp104c相違点?Bについてp105・容易想到性p105・原告の再反論p105争点・(本件各訂正発明の構成要件充足性)ア(本件訂正発明1の構成要件充足性)p10135・原告の主張p106ア本件各訂正発明の構成要件と対比するための被告製品の特定p106イ本件訂正発明1の構成要件充足性p107・構成要件アp107・構成要件イp108・構成要件○??p108ウ・構成要件○??p108ウ・構成要件○??p108エ・構成要件○??p108エ・構成要件○??p109エ・構成要件○??p109エ・構成要件○??p109エ・構成要件○??p109エ・構成要件○??p110オ・構成要件○??p110オ・半導体素子搭載用基板p110・構成要件充足性p110・被告の反論p110争点・イ(本件訂正発明2の構成要件充足性)p11014・原告の主張p110ア構成要件サ?Tp110イ構成要件サ?Up111ウ構成要件サ?Vp111エ構成要件○??p111シオ構成要件○??p111シカ構成要件○??p112シキ構成要件○??p112シク構成要件○??p112シケ構成要件○??p112シコ構成要件○??p113シサ構成要件スp113シ半導体素子搭載用基板p113ス構成要件充足性p113・被告の反論p113争点・ウ(本件訂正発明3の構成要件充足性)p11315・原告の主張p113ア構成要件ナp113イ構成要件ニp114ウ構成要件○??p114ヌエ構成要件○??p114ヌオ構成要件○??p114ネカ構成要件○??p115ネキ構成要件○??p115ネク構成要件○??p115ネケ半導体素子搭載用基板p115コ構成要件充足性p115・被告の反論p115争点・(損害の発生及びその額)p11616・原告の主張p116ア被告製品の販売額p116イ実施料率p116ウ損害額p116・被告の反論p116第4当裁判所の判断p1171争点・(本件各発明のタイプへの限定の有無)についてp117Fan-in・タイプを含む理由についてp117Fan-in/outア特許請求の範囲の記載p117イ本件各明細書等の記載p118・発明の詳細な説明の記載p118・図面p119・タイプの公知性p119Fan-in/out・構成要件の解釈p1202争点・(被告製品における「半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備え,ランド部21が半導体素子搭載予定部4に設けられ,ワイヤボンディング接続端子22が樹脂封止予定部5に設けられている」との構成(構成E')の有無)についてp122。
・半導体素子搭載予定部4と樹脂封止予定部5を備えることp122・ランド部21,ワイヤボンディング接続端子22の位置p123・構成E'の有無p1243争点・(構成要件充足性)ア(本件発明1の構成要件エ,本件発明2の構成要件シ,本件発明3の構成要件ヌの充足性)についてp124・構成要件と被告製品の構成部分の対応p124・本件発明1の構成要件エの充足性p125・本件発明2の構成要件シの充足性p125・本件発明3の構成要件ヌの充足性p1254争点・イ(被告製品の「スプロケットホール7「目印10」の本件発明2の構成要件サ?V」,の「位置合わせマーク部」への該当性(本件発明2の構成要件サ?Vの充足性)についてp1)26・被告製品の「目印10」の本件発明2の構成要件サ?Vの「位置合わせマーク部」への該当性p126「」「」・被告製品のスプロケットホール7の本件発明2の構成要件サ?Vの位置合わせマーク部への該当性p127・本件発明2の構成要件サ?Vの充足性p1275争点・ウ(本件発明1の構成要件イ,オの充足性)についてp1276争点・エ(本件発明3の構成要件ニの充足性)についてp1287本件各発明の構成要件充足性p128・本件発明1(構成要件アないしオ)p128・本件発明2(構成要件サ?Tないし?V,シ,ス)p129・本件発明3(構成要件ナないしネ)p1298争点・(本件各発明の無効事由の有無)ア(本件特許権1の無効事由の有無)についてp130・乙1公報発明p130ア乙1公報の記載p130イ外部接続用リードピンが打たれていない状態のPGA用基板についての文献の記載p132ウ乙1公報発明の認定p134エ乙1公報発明と本件発明1の対応p135オ本件発明1の「外部接続端子(構成要件ウ、エ)の開示の有無p135」・外部接続用リードピンp135?@半導体素子搭載用基板という用語の意味についてp136?A製造工程についてp138?B外部接続用リードピンが打たれていない半導体素子搭載用基板の存否についてp138?C外部接続用リードピンを備えない状態における「半導体素子搭載用基板」との呼称の有無についてp139?Dハンダボールとの比較についてp140・環状外部接続端子p141・外部基板との接続部42と解することについてp141・「外部接続端子」の開示の有無p142カ本件発明1の「上記外部接続端子は上記半導体搭載領域に設けられ(構成要件エ)の開」示の有無p142・乙1公報発明と本件発明1の一致点,相違点p142ア一致点p142イ相違点p143・相違点に係る技術の周知又は公知性p143ア公知文献の記載p143イ技術の周知又は公知性p145・容易想到性p147・無効事由の有無p1489争点・イ(本件特許権2の無効事由の有無)についてp149・乙1公報発明p149ア乙1公報発明p149イ乙1公報発明と本件発明2の対応p149ウ本件発明2の「外部接続端子(構成要件シ)の開示の有無p149」・乙1公報発明と本件発明2の一致点,相違点p149ア一致点p149イ相違点p150・相違点Ap150・相違点Bp150・相違点Cp150・相違点に係る技術の周知又は公知性p150ア相違点Aについてp150イ相違点Bについてp151・公知文献の記載p151・技術の周知又は公知性p152ウ相違点Cについてp153・公知文献の記載p153・技術の周知又は公知性p154・容易想到性p155・無効事由の有無p156争点・ウ(本件特許権3の無効事由の有無)についてp15710・乙1公報記載の発明p157ア乙1公報記載の発明p157イ乙1公報発明と本件発明3の対応p157ウ本件発明3の「外部接続端子(構成要件ヌ)の開示の有無p157」エ本件発明3の基板の片面に形成された配線(構成要件ナ)の開示の有無p157オ本件発明3の「開口部(構成要件ネ)の開示の有無p159」・乙1公報発明と本件発明3の一致点,相違点p161ア一致点p161イ相違点p161・相違点に係る技術の周知又は公知性p161・容易想到性p162・無効事由の有無p162争点・(本件各訂正による無効事由の解消の成否)ア(本件訂正1による本件特許権1の無効11事由の解消の成否)についてp162・乙42公報発明p163ア乙42公報の記載p163イ乙42公報発明の認定p164ウ乙42公報発明と本件訂正発明1の対応p165・乙42公報発明と本件訂正発明1の一致点,相違点p165ア一致点,相違点p165・一致点p165・相違点p166a相違点Ap166b相違点Bp166c相違点Cp167d相違点Dp167イ片面配線,外部接続端子についての対比p167・片面配線p167・外部接続端子p176・相違点に係る技術の周知又は公知性p179ア相違点Aについてp179・公知文献の記載p179・技術の周知又は公知性p180イ相違点Bについてp180・公知文献の記載p180・技術の周知又は公知性p182ウ相違点Cについてp184エ相違点Dについてp185・公知文献の記載p185・技術の周知又は公知性p186・容易想到性p187・無効事由の解消の成否p187争点・イ(本件訂正2による本件特許権2の無効事由の解消の成否)についてp18712・乙42公報発明と本件訂正発明2の対応p187・乙42公報発明と本件訂正発明2の一致点,相違点p187ア一致点p187イ相違点p188・相違点Ap188・相違点Bp188・相違点Cp188・相違点Dp188・相違点Ep189・相違点に係る技術の周知又は公知性p189ア相違点Aについてp189イ相違点Bについてp189ウ相違点Cについてp190エ相違点Dについてp190オ相違点Eについてp190・容易想到性p190・無効事由の解消の成否p190争点・ウ(本件訂正3による本件特許権3の無効事由の解消の成否)についてp19113・乙42公報発明と本件訂正発明3の対応p191・乙42公報発明と本件訂正発明3の一致点,相違点p191ア一致点p191イ相違点p192・相違点Ap192・相違点Bp192・相違点Cp192・相違点に係る技術の周知又は公知性p192ア相違点Aについてp192イ相違点Bについてp193ウ相違点Cについてp193・容易想到性p193・無効事由の解消の成否p193結論p19414
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 中平健
裁判官 上田洋幸