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事件 平成 19年 (ネ) 10075号 特許権侵害行為差止,同請求控訴事件
控訴人(原審本訴被告・反訴原告) X
同所
控訴人(原審本訴被告)株式会社日本コロンクレンズ振興会
両名訴訟代理人弁護士中田光一知,福間智人
同補佐人弁理士樋口盛之助,原慎一郎
被控訴人(原審本訴原告・反訴被告) 破産者株式会社三和メディアセンター破産管財人 Y
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/01/27
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件各控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実及び理由
全容
第1当事者の求めた裁判1控訴人ら「, 。 。 原判決中 控訴人ら敗訴部分を取り消す 被控訴人の請求をいずれも棄却する訴訟費用は,第1,第2審とも,被控訴人の負担とする 」との判決 。
2被控訴人主文と同旨の判決。
第2事案の概要1本件は,株式会社三和メディアセンター(以下「三和メディアセンター」という )の破産管財人である被控訴人が,控訴人株式会社日本コロンクレンズ振興会 。
(以下「控訴人会社」という )及びその代表取締役(後に代表清算人)である控 。
訴人X(以下「控訴人X」という )に対し,三和メディアセンターは控訴人Xを 。
特許権者とする美容ローラーマッサージ器の発明に係る特許権につき専用実施権の設定を受けたところ,控訴人らは,同特許に係る発明の技術的範囲に属する物件を製造販売し,三和メディアセンターの有する専用実施権侵害したと主張して,不法行為に基づく損害賠償金(予備的に不当利得に基づく返還請求金)として,控訴人Xにつき1500万円及びこれに対する不法行為後の日である平成16年3月1日から支払い済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金,控訴人両名につき連帯して2600万円及びこれに対する不法行為後の日である平成18年5月1日から支払い済みまで前同様の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。
原判決は,被控訴人の金銭請求に対し,不法行為に基づく損害賠償金として,控訴人Xに対し768万円及び上記遅延損害金の支払を命ずる限度で,控訴人両名に対し2038万7612円及び上記遅延損害金の連帯支払を命ずる限度で,それぞれ認容し,その余の請求を棄却したところ,これに対し,控訴人らのみが控訴をした。
なお,被控訴人は,上記金銭請求に併合して,特許法100条に基づき,控訴人両名に対し,侵害物件の製造販売の差止め,侵害物件及びその半製品等の廃棄をそれぞれ請求し,他方,控訴人Xは,上記専用実施権の消滅を主張して,被控訴人に対し,上記専用実施権が存在しないことの確認を求める反訴請求をしていたが,当審係属中に,上記特許権が消滅したため,被控訴人は上記各請求を,控訴人Xは上記反訴請求をいずれも取り下げた。
2前提となる事実(証拠等によって認定した事実は,認定に供した証拠等を末尾に掲記した。証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがない )。
( )当事者1,,,,,, ア三和メディアセンターは 広告代理業 広告の企画 立案 デザイン 製作印刷及び出版並びに健康器具及び遊具の通信販売等を目的として,昭和55年10月2日に設立された株式会社であり,平成13年3月5日,株主総会決議により解散し,清算人にAが就任した。
三和メディアセンターは,平成13年12月19日,東京地方裁判所から破産宣告を受け,平成16年2月9日に費用不足を理由とする破産廃止決定を受けたものの,その後,平成18年4月20日,同裁判所から破産手続開始の決定を受けた。
Yは,同日,三和メディアセンターの破産管財人に選任された (甲2〜4) 。
イ控訴人会社は,美容健康器具の開発及び製造販売等を目的として,平成16年3月9日に設立された株式会社であり,控訴人Xは,設立時より控訴人会社の代表取締役であったが,控訴人会社は,平成19年4月30日,株主総会決議により解散し,控訴人Xは,その代表清算人に就任した (控訴人会社の解散及び控訴人 。
Xの代表清算人就任の各事実は,本件記録上明らかである )。
( )本件特許権2控訴人Xは,以下の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許請求の範囲の請求項1の発明を「本件特許発明」という )を有していたが,本件特許権は,特 。
許料の不納付により,平成20年11月に消滅した。
特許番号第2577295号発明の名称回転打撃美容ローラーマッサージ器出願日平成4年12月25日登録日平成8年11月7日特許請求の範囲(請求項1)「身体のゼイ肉部をローリングし,酸化脂質等を除去して痩身のボディを作り上げるための美容マッサージ器であって,中空円筒体のローラと,その両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップと,該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え,前記ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着されることを特徴とする回転打撃美容ローラーマッサージ器 」。
( )本件特許発明構成要件の分説3A身体のゼイ肉部をローリングし,B酸化脂質等を除去して痩身のボディを作り上げるためのC美容マッサージ器であって,D中空円筒体のローラと,Eその両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップと,F該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え,G前記ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着されることを特徴とするH回転打撃美容ローラーマッサージ器。
(以下,個々の構成要件を示す場合には,その符号に従い 「構成要件A」など ,という )。
( )本件専用実施権の設定契約4控訴人Xは,平成11年8月31日ころ,三和メディアセンターとの間で,控訴人Xが三和メディアセンターに対し本件特許権(ただし,特許請求の範囲の請求項2を含む )について,範囲を「全部 ,対価の額を「無償」とする専用実施権を設 。 」定するとの合意をし(以下「本件専用実施権設定契約」といい,設定された専用実施権を「本件専用実施権」という,同年9月27日,その旨の専用実施権設定登 。)録(平成11年8月31日受付,受付番号003192)がされた (甲5) 。
( )イ号物件及びロ号物件の構成 5原判決添付イ号物件目録(イ号物件目録図面を含む。以下同じ )記載の美容ロ 。
ーラー(シングル型。以下「イ号物件」という )及び同ロ号物件目録(ロ号物件 。
目録図面を含む。以下同じ )記載の美容ローラー(ダブル型。以下「ロ号物件」 。
という )は,それぞれ,各物件目録記載のとおりの構成を備えており,両物件と 。
も,本件特許発明構成要件中E及びF以外の全構成要件(A〜D,G,H)を充足する。
3争点( )本件専用実施権設定契約は,通謀虚偽表示によるものであるか。また,被控1訴人は,通謀虚偽表示による無効を対抗することができない善意の第三者に当たるか。
( )本件専用実施権が,三和メディアセンターの破産その他の理由により,又は2控訴人Xの解除により消滅したか。
( )イ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属するか。
3( )控訴人らは,イ号物件及びロ号物件の製造販売をしたか。また,その数量は 4どれほどか。
( )被控訴人に生じた損害又は控訴人らの利得の額54争点に関する当事者の主張( )争点( )(本件専用実施権設定契約は,通謀虚偽表示によるものであるか。
11また,被控訴人は,通謀虚偽表示による無効を対抗することができない善意の第三者に当たるか)についてア控訴人らの主張(ア)本件専用実施権設定契約は,本件特許発明に関する商品を販売する新会社を設立するために,三和メディアセンターの名義で特別中小企業支援融資制度の適用, , を受けるべく 控訴人Xと三和メディアセンターの代表者であったBとが通謀して真実は三和メディアセンターに対して本件特許権の専用実施権を設定する意思がないのに,これがあるように仮装して締結したものである。もっとも,控訴人Xと三和メディアセンターによる上記新会社設立による商品の製造販売計画は実現することなく,三和メディアセンターは破産宣告を受けるに至ったものである。
(イ)原判決は 控訴人らの上記主張に沿う控訴人Xの上申書 乙3 につきそ , (),「れ自体具体性を欠くものである上,何ら客観的裏付けを伴わないものであって,容易に信用することができない 」と判断し,また 「本件専用実施権設定契約の目的 。,が三和メディアセンターにおいて新会社設立のための融資を受けることにあったとしても,そのことから直ちに,被告X及び三和メディアセンターに専用実施権設定の意思がなかったことになるわけではない」とも判断したが,専用実施権は,設定の範囲内で特許権者の権利を制約するものであって,その設定は,特許権の譲渡に匹敵する効果を生ずるものであるから,専用実施権を設定するに当たっては,当事者間において実施料支払の約定があるのが通常であるのに,本件専用実施権に係る対価の額は「無償」とされていること,控訴人Xは,本件専用実施権設定契約締結前の平成8年ころからイ号物件を販売し,本件特許発明の商品化の実績があったから,本件特許権につき,無償で専用実施権の設定をすることは考えられないこと,,, 本件専用実施権設定契約の締結から破産宣告に至るまで 三和メディアセンターは本件専用実施権に基づく商品の販売をしたことがないことなどを併せ考えると,控訴人X及び三和メディアセンターに専用実施権を設定する意思がなかったことは明らかであり,本件専用実施権設定契約は通謀虚偽表示であるというべきである。
(ウ)被控訴人の主張(イ)は争う。
仮に,破産管財人が,民法94条2項所定の「第三者」に当たるとしても,上記2の( )のアのとおり,三和メディアセンターが破産手続開始の決定を受け,被控1訴人がその破産管財人に選任されて,本件専用実施権につき新たに独立の利害関係, , を有するに至ったのは平成18年4月20日であって 控訴人らが被控訴人に対し本件専用実施権設定契約が無効であることを対抗できなくなったのは同日からであるから,本件専用実施権侵害するか否かの判断は同日以降の侵害に限るべきであり,同日より前の本件専用実施権侵害に対する損害賠償は認められない。
イ被控訴人の主張(ア)控訴人らの主張(ア),(イ)は争う。
, , (イ)仮に 本件専用実施権設定契約が通謀虚偽表示によるものであったとしても破産管財人は,破産債権者全体の共同の利益のために善良な管理者の注意義務をもってその職務を行う者であり,ある財産が破産財団に属するか否かを主張するにつき,法律上利害関係を有する者であって,民法94条2項所定の「第三者」に当たる。したがって,控訴人Xは,上記虚偽表示につき善意の第三者である被控訴人に対し,その無効を対抗することはできない。
なお,控訴人らは,被控訴人が三和メディアセンターの破産管財人に選任された平成18年4月20日より前の本件専用実施権侵害に対する損害賠償は認められないと主張するが,争う。
( )争点( )(本件専用実施権が,三和メディアセンターの破産その他の理由に22より,又は控訴人Xの解除により消滅したか)についてア控訴人らの主張(ア)本件専用実施権の消滅a専用実施権者は,当該実施権の対象となる特許権に基づく事業を継続すべき義務を負う。三和メディアセンターは,平成13年3月5日ころその店舗を閉鎖してそれ以降の事業活動を停止したことにより,あるいは,遅くとも破産宣告又は破産手続開始決定を受けたことにより,本件専用実施権に係る事業を継続することが不可能になったから,本件専用実施権は消滅した。
, , b三和メディアセンターについて 平成13年12月19日に破産宣告がされ,, 平成16年2月9日に破産廃止決定がされたのであるから 権利主体の消滅により本件専用実施権も消滅したものと解すべきである。
c三和メディアセンターは本件特許権に係る特許料の支払をしなかったものであるから,これにより,本件専用実施権を放棄したものと解すべきである。
(イ)本件専用実施権設定契約の解除三和メディアセンターは,店舗を閉鎖したことにより,あるいは,破産宣告を受けたことにより,本件専用実施権を行使するという義務を履行することが不可能になった。
そこで,控訴人Xは,被控訴人に対し,平成19年3月22日送達の反訴状をもって,履行不能により,本件専用実施権設定契約を解除する旨の意思表示をした。
イ被控訴人の主張控訴人らの主張は全部争う。
( )争点( )(イ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属するか)33についてア被控訴人の主張(ア)自白の撤回に対する異議控訴人らは,原審においてはイ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属することを認めていたところ,当審に至ってこれを否認するに至った。被控訴人は,控訴人らの自白の撤回に対し異議を述べる。
なお,控訴人Xは,株式会社キャネット(以下「キャネット」という )に対し 。
提起した特許侵害行為差止等請求事件(東京地方裁判所平成16年(ワ)第23002号)において,イ号物件及びロ号物件と同一構成の各美容ローラーマッサージ器が本件特許発明技術的範囲に属する旨主張していたのであるから,控訴人らの自白が錯誤によるものでないことは明らかであり,また,自白の撤回は禁反言の法理に抵触するものであって,許されない。
(イ)時機に後れた攻撃防御方法控訴人らが当審に至ってイ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属することを否認するに至ったことは,時機に後れた攻撃防御方法の提出に当たることが明白である。
(ウ)文言侵害a特許発明技術的範囲は,当該発明に相応しい保護を与えるべきであるという要請と,特許請求の範囲が当該特許発明とパブリックドメインとの境界であるため,明確でなければならないという要請との調和に基づいて定められなければならず,そのためには,特許請求の範囲の文言の形式的解釈に止まることなく,発明の目的,効果等に関する発明の詳細な説明の記載を参酌しつつ,特許請求の範囲に記載された技術的事項がどのようなものであるかを認定しなければならない。
しかるところ,本件特許に係る明細書(甲6。以下「本件明細書」という )に。
よれば,本件特許発明は 「身体に溜った酸化脂質を取り除き,痩身のボディを形 ,成するに好適な回転打撃美容ロ-ラ-マッサージ器に関する」ものであり(段落【「ゼイ肉部の脂肪が除去され,痩身のボディを形成する」という効果を0001 】),奏するものであって(段落【,当該効果は,外周面に円周方向に沿って等間0020 】)隔に複数枚のプレートを外周に接して係着した円筒体ローラを皮膚面に沿って回転させることにより実現されるものである。
bイ号物件及びロ号物件が,本件特許発明構成要件中E及びF以外の構成要件(A〜D,G,H)を充足することは,控訴人らも争わないところ,以下のとおり,イ号物件及びロ号物件は構成要件E及びFをも充足するものである。
すなわち,構成要件E及びFは,次のとおりである。
E「その(判決注・ 中空円筒体のローラの )両側の開放端に着脱可能に装着さ 「」れるキャップと 」,F「該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え 」,ところで,構成要件E及びFにおいて 「キャップ」は,その形態,形状につき ,何らの限定もされておらず,また,本件明細書に 「キャップ4,4の一方側はロ ,ーラ2に嵌着されるが,他方側はローラ2内部に後に説明する液体を投入するために着脱可能に形成されることが望ましい(段落【)と記載されているとお 。」】0010り,構成要件Eの「 中空円筒体のローラの)両側の開放端に着脱可能に装着され (るキャップ」という構成は,ローラ内部に液体を注入するためにその方が望ましい, , という理由によるものであって 本件特許発明の作用効果とは無関係であるところこれらの事情にかんがみれば 「キャップ」は 「ローラ」の両側開放端に蓋をする ,,ように被せて装着するものに限られるものではなく,両端側に凸状小径部を設けた筒状軸体を 「ローラ」の中空部に挿脱可能に収納して,上記凸状小径部が「ロー ,ラ」の両側の開放端から外部に突出するようにして装着する形態のものにおける,当該凸状小径部も,構成要件Eの「 中空円筒体のローラの)両側の開放端に着脱 (可能に装着されるキャップ」という構成に含まれるというべきである。
しかるところ,原判決添付イ号物件目録及び同ロ号物件目録記載のとおり,イ号物件及びロ号物件の「大径のローラ10 (イ号物件及びロ号物件の各部の名称及 」び符号は,上記各物件目録指定のものによる。以下同じ )は,左右対称の中空円 。
筒体であって その両端は開放端になっている また イ号物件及びロ号物件の ロ , 。,「ーラ2」は,その両端に「小円筒状突出部2a,2b」を備え,かつ 「大径のロ ,ーラ10」に,その左右いずれの開口部からでも挿脱可能に収納することができ,収納したときには 「小円筒状突出部2a,2b」が「大径のローラ10」の両側 ,開放端からそれぞれ外部に突出するものである。
そして,イ号物件及びロ号物件の「大径のローラ10」は本件特許発明の「ローラ」に,イ号物件及びロ号物件の「小円筒状突出部2a,2b」は本件特許発明の「」() ,, キャップ凸状小径部 に相当するものであるから イ号物件及びロ号物件は構成要件Eを充足するものというべきである。
また,イ号物件及びロ号物件において 「小円筒状突出部2a,2b」を枢支す ,る「把持具9」が備えられていることは,原判決添付イ号物件目録及び同ロ号物件目録記載のとおりであり 「把持具9」が 「小円筒状突出部2a,2b」を枢支す ,,ることにより,これを介して「大径のローラ10」を枢支するものであることは明らかであるから,イ号物件及びロ号物件は,構成要件Fを充足するものである。
(エ)均等侵害仮に,イ号物件及びロ号物件が,構成要件E及びFを充足しないゆえに,本件特許権を文言上侵害するものでないとしても,イ号物件及びロ号物件は,本件特許発明均等であって,その技術的範囲に属するものである。
すなわち,まず,本件特許発明の本質的部分は構成要件Gであって,構成要件E及びFではないから,本件特許発明の構成におけるイ号物件及びロ号物件と異なる部分は,本件特許発明の本質的部分ではない。
また,構成要件E及びFは 「中空円筒体のローラ」を円滑に回転させるための ,キャップ と 当該 キャップ を介して 中空円筒体のローラ を枢支する 把 「」 ,「」「」「持具」を規定したものにすぎず,イ号物件及びロ号物件の形態であっても 「中空 ,円筒体のローラ」は「把持具」に枢支され,かつ,円滑に回転させることが可能で, , あるから 構成要件E及びFの構成をイ号物件及びロ号物件の構成に置き換えても本件特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものである。
さらに,構成要件E及びFを,支持軸を介して「中空円筒体のローラ」を「把持具」に枢支する構成に置き換えることは,当業者が容易に想到し得るものである。
この場合に,支持軸の内部に球状トルマリンを封入することは付加的な要素にすぎない。したがって,構成要件E及びFの構成をイ号物件及びロ号物件の構成に置き換えることは,当業者が容易に想到できたことである。
なお,イ号物件及びロ号物件は,本件特許に係る出願当時(平成4年12月25日)における公知技術と同一又は公知技術から当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって,イ号物件及びロ号物件は,本件特許発明均等であって,その技術的範囲に属するものである。
イ控訴人らの主張(ア)文言侵害との主張に対しイ号物件及びロ号物件は,以下のとおり,構成要件E及びFを充足しない。
すなわち,本件明細書には,構成要件E及びFの「キャップ」につき 「ローラ ,2の両側端の開口部にはキャップ4,4が装着される。キャップ4,4はローラ2の開口部に嵌まり込む円筒部4a,4aとそれから外方に向かって突出する突出円筒部4b,4bからなる(段落【「これ等の液体は前記したようにロー 。」】),0010ラ2に着脱可能に装着される側のキャップ4を取り外して注入される(段落。」【「ローラ2が小孔7を有する場合には前記したようにキャップ4の一方0015 】),側をローラ2から取り外し,前記液を充填させキャップ4を閉止する(段落。」【)との各記載があり,当該「キャップ」は,美容液体をローラ内に注入,0016 】充填する際にローラから取り外し,注入・充填後は再度閉止するために,構成要件Eに係る「 中空円筒体のローラの)両側の開放端に着脱可能に装着されるキャッ (プ」との構成を備えているものである。
これに対し,イ号物件及びロ号物件においては,両端側に凸状小径部を一体に有する筒状軸体によって成る支持軸がローラに挿脱可能に収納されるものであって,構成要件Eに係る「 中空円筒体のローラの)両側の開放端に着脱可能に装着され (るキャップ との構成を備えていない イ号物件及びロ号物件は 当該筒状軸体 支 」。,(持軸)を中空に形成して内部に個体球状のトルマリンを複数封入し,使用時にローラの回転によるトルマリン球体の衝突等によってマイナスイオンを発生させることを,その目的,効果の一つとするものであり,キャップを脱着してローラ内部に美容液体を注入・充填することは想定されていない。
したがって,イ号物件及びロ号物件は,構成要件Eを充足しない。
また,上記のとおり,イ号物件及びロ号物件は 「キャップ」を備えるものでは ,なく,1本の支持軸である筒状軸体の両端側の凸状小径部を把持軸が枢支する支持構造であるから,構成要件Fに係る「該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え 」との構成を備えるものでもない。 ,したがって,イ号物件及びロ号物件は,構成要件E及びFを充足しない。
(イ)均等侵害との主張に対しイ号物件及びロ号物件が,本件特許発明均等であって,その技術的範囲に属するということはできない。
すなわち,本件特許発明は,構成要件E及びFにおいて,イ号物件及びロ号物件の構成と異なるところ,美容ローラーマッサージ器の技術分野において,構成要件E及びFのように,中空円筒体のローラの両側の開放端に着脱可能にキャップを装着し,当該キャップを介して把持具がローラを枢支する支持構造とするとすること, , は 当該キャップを脱着して美容液体をローラ内に何度も注入することを可能とし極めて顕著な効果を奏する技術的特徴といえるものである。したがって,本件特許発明の構成におけるイ号物件及びロ号物件と異なる部分は,本件特許発明の本質的部分に当たるものである。
被控訴人は,本件特許発明の本質的部分は構成要件Gであると主張するが,構成要件Gに係る「ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して」配設されるローラーマッサージ器は,既に昭和61年ころに周知ないしは公知となっていた(乙42の別紙2。なお,配設方法が「係着」であるか否かは,当業者が適宜選択可能な設計事項である。したがって,構成要件Gが 。)本件特許発明の本質的部分であるということはできない。
また,本件特許発明構成要件E及びFを,イ号物件及びロ号物件における,両端側に凸状小径部を一体に有する筒状軸体によって成る支持軸がローラに挿脱可能に収納され,当該凸状小径部を把持軸が枢支する支持構造とした場合には,ローラ内に液体を充填することができないから,本件特許発明の目的を達することができず,これと同一の作用効果を奏するものではない。
さらに,イ号物件及びロ号物件は,その筒状軸体内部に球状トルマリンを封入する構成であるところ,本件特許発明構成要件E及びFに係る,キャップを介してローラを枢支する支持構造を,ローラに挿脱可能に収納される支持軸(筒状軸体)を介して枢支する支持構造とすること自体は容易であっても,その筒状軸体内部に球状トルマリンを封入する構成とすることは,当業者であっても容易に想到することはできない。
加えて,イ号物件及びロ号物件は,本件特許出願当時,周知ないしは公知となっていた乙42の別紙2記載の美容ローラマッサージ器と同一であるか,又は当業者がこれに基づいて容易に推考できたものである。
したがって,イ号物件及びロ号物件が,本件特許発明均等であって,その技術的範囲に属するということはできない。
(ウ)自白の撤回について控訴人らは,原審において,イ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属することを認めたが,特許発明技術的範囲に属するか否かは法的判断であるから,これはいわゆる権利自白に当たるものであり,事実の自白ではない。したがって,自白をした当事者に対する拘束力は生じない。
仮に,イ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属することについての自白に,当事者に対する拘束力が生ずるとしても,上記のとおり,当該自白は真実に反するものであり,かつ,このことにより,控訴人らの錯誤に基づきされたものであることが推定されるから,撤回が認められる。
被控訴人は,控訴人Xのキャネットに対する特許侵害行為差止等請求事件において,控訴人Xが,イ号物件及びロ号物件と同一構成の各美容ローラーマッサージ器が本件特許発明技術的範囲に属する旨主張していたのであるから,控訴人らの自白が錯誤によるものではなく,また,自白の撤回は禁反言の法理に抵触するものであって許されないと主張する。
しかしながら,キャネットを被告とする上記訴訟は,控訴人Xがこれを取り下げることにより終了しているところ,別個の訴訟における主張に基づき,禁反言の法理によって主張が制限されるのは,同一当事者が,前訴で得た結論(法的利益)と論理的に両立し得ない利益を後訴において追求することを禁止する趣旨であるから,キャネットを被告とする上記訴訟を取り下げ,何ら法的利益を得ていない控訴人Xが,本訴において主張(自白の撤回)の制限を受けることはない。
(エ)控訴人らの自白の撤回が時期に後れた攻撃防御方法であるとの主張について被控訴人の主張は争う。
( )争点( )(控訴人らは,イ号物件及びロ号物件の製造販売をしたか。また,44その数量はどれほどか)についてア被控訴人の主張原判決「事実及び理由」欄の「第3争点に関する当事者の主張」の「3争点( )(被告らによるイ号物件及びロ号物件の製造販売の有無)について」の〔原告3の主張 (原判決7頁16行〜8頁1行)のとおりであるから,これを引用する。 〕イ控訴人らの主張下記のとおり,当審における主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第3争点に関する当事者の主張」の「3争点( )(被告らによるイ号物件3及びロ号物件の製造販売の有無)について」の〔被告らの主張 (原判決8頁2行 〕〜10頁23行)のとおりであるから,これを引用する。
(控訴人らの当審における主張), , 原判決は 控訴人Xが平成14年12月から平成16年2月までの間に相当数の控訴人会社が平成16年3月から平成18年4月までの間に相当数の,それぞれイ号物件及びロ号物件を製造販売したと認定した(なお,販売数量は,結局,いずれも1か月につき1000個以上と認定されている )が,その認定の基礎となった 。
下記証拠は,以下のとおり,信用性がない。
(ア)株式会社壮快薬品のホームページ(甲35)や通信販売業者ストアミックスのホームページ(甲20)などで,通信販売されていたイ号物件及びロ号物件につき,販売会社として,控訴人会社の名称や「日本コロンクレンズ振興会」の表示があったことについては,控訴人らは全く関与していない。これらの商品は,控訴人Xがキャネット又は有限会社リバース(以下「リバース」という )に販売したも 。
のが市場に流通したものにすぎない。これらのホームページ上の広告で,説明文,説明図に,控訴人Xが作成した宣伝用パンフレットの一部が利用されているが,控訴人Xは,その利用の許諾をしていない。
(イ)ロ号物件の箱の写真(甲16)には,製造元として「日本コロクレンズ振興会」との表示があるが,この箱はキャネットが製作したものであり,控訴人Xは,その製作に関与していない。
(ウ)控訴人会社のホームページ(甲17)に,ロ号物件が掲載されているのは,同ホームページが,それまで控訴人会社及び控訴人Xが開発販売した商品を紹介することを目的とするために,ロ号物件を含むものにすぎない。また,同ホームページ上でロ号物件の購入を勧誘しているのは,控訴人Xの手元に僅かに残っていたロ号物件の在庫品が売れればよいという考えによったものであるが,このホームページによって販売された例はない。
(エ)日本工業新聞の記事(甲21)は,控訴人Xが電話取材に応じたことに基づくものであるが,その中で「販売以来七年間で約二十万台販売した」とあるのは,主として本件専用実施権設定契約締結前の販売実績であり,かつ,若干の誇張がある。また 「月産五千台のペースでは,生産が間に合わない」とあるのは,宣伝目 ,的による誇張である。
( )争点( )(被控訴人に生じた損害又は控訴人らの利得の額)について55ア被控訴人の主張原判決「事実及び理由」欄の「第3争点に関する当事者の主張」の「5争点( )(損害ないし利得の額)について」の〔原告の主張 (原判決11頁7行〜135 〕頁19行)のとおりであるから,これを引用する。
イ控訴人らの主張原判決「事実及び理由」欄の「第3争点に関する当事者の主張」の「5争点( )(損害ないし利得の額)について」の〔被告らの主張 (原判決13頁20行〜5 〕14頁3行)のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断1争点( )(本件専用実施権設定契約は,通謀虚偽表示によるものであるか。ま1た,被控訴人は,通謀虚偽表示による無効を対抗することができない善意の第三者に当たるか)について( )控訴人らは,本件専用実施権設定契約は,本件特許発明に関する商品を販売1する新会社を設立するために,三和メディアセンターの名義で特別中小企業支援融資制度の適用を受けるべく,控訴人Xと三和メディアセンターの代表者であったBとが通謀して,真実は三和メディアセンターに対して本件特許権の専用実施権を設, 。 定する意思がないのに これがあるように仮装して締結したものであると主張するしかるところ,控訴人X作成に係る上申書(乙3)には 「私が?且O和メディア ,の広告代不払のために専有実施権を与えたとYは主張していますが,あくまでも新会社設立を目的としたものに間違いはありません 」との記載部分があるが,上記 。
上申書によっても,新会社の設立目的と本件専用実施権設定契約の締結との間にどのような関係があるのかは明らかではない。
もっとも,本件専用実施権設定の対価が「無償」とされていることに加え,平成11年8月31日ころの本件専用実施権設定契約締結から平成13年3月5日の解散決議までの間,三和メディアセンターが本件特許発明実施をした形跡がないことに照らせば,本件専用実施権設定契約の締結について,何らかの背景事情があったことが窺われるが,そのような事情として想定され得るものが常に通謀虚偽表示に該当するものでないことは明らかであり(例えば,新会社を設立してこれに専用実施権を取得させるが,何らかの必要があって,いったん三和メディアセンターに対し専用実施権を設定し,その後,三和メディアセンターから新会社に移転させることが想定されているような場合には,三和メディアセンターとの間の専用実施権設定契約が通謀虚偽表示であるとはいえない,そうであれば,単に「新会社の設 。)立を目的としたもの」とあるだけで,それ以上の具体的な事情の記載がない上記上申書によって,控訴人ら主張事実が認められるものではなく,他に,当該事実を認めるに足りる証拠もない。
したがって,通謀虚偽表示による無効の主張は,その余の点について検討するまでもなく失当であり,採用することができない。
( )仮に,本件専用実施権設定契約が,控訴人Xと三和メディアセンターの代表2者であったBとの通謀による虚偽表示であったとしても,以下に述べるとおり,控訴人らは,本件専用実施権設定契約が無効であることを被控訴人に対抗することができないものというべきである。
破産法(平成16年法律第75号)附則2条による廃止前の破産法(大正11年法律第71号)の下において,破産宣告により,破産者に属する財産は破産財団を組成し,その管理処分権は破産管財人に付与されるところ,かかる破産財団は,破産目的のための特別の管理機構の下に置かれた独立財産であって,当該管理機構を構成する者としての破産管財人には独立した法主体性が認められる(同法126条参照)ものと解される。
したがって,三和メディアセンターの破産管財人に選任された被控訴人は,本件専用実施権設定契約の結果について,新たに法律上の利害関係を有するに至った第三者に該当すると解するのが相当であり,かつ,弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,破産管財人選任当時,本件専用実施権設定契約が通謀虚偽表示であることにつき善意であったものと認めることができる。
なお,この点につき,控訴人らは,控訴人らが被控訴人に対し,本件専用実施権設定契約が無効であることを対抗できなくなったのは,被控訴人が三和メディアセンターの破産管財人に選任された平成18年4月20日からであるから,本件専用実施権侵害するか否かの判断は同日以降の侵害に限るべきであると主張するが,被控訴人が三和メディアセンターの破産管財人に選任され,本件専用実施権設定契約の結果について,新たに法律上の利害関係を有するに至ったのが同日であるとしても,控訴人らが被控訴人に対し,本件専用実施権設定契約の無効を主張できない以上,控訴人らは,本件専用実施権設定契約によって生ずる効果である当該設定契約時以降における本件専用実施権の存在を承認せざるを得ないことは明白であるから,控訴人らの上記主張は失当であり,採用することができない。
2争点( )(本件専用実施権が,三和メディアセンターの破産その他の理由によ2り,又は控訴人Xの解除により消滅したか)について( )ア控訴人らは,専用実施権者は,当該実施権の対象となる特許権に基づく事1業を継続すべき義務を負うとした上,このことを前提として,三和メディアセンターは,遅くとも破産宣告又は破産手続開始決定を受けたことにより,本件専用実施権に係る事業を継続することが不可能になったから,本件専用実施権は消滅したと主張するが,例えば,特許権者と専用実施権者との間に,専用実施権者が実施の義務を負う旨の合意があった等,何らかの事由が存在しない限り,専用実施権者が,当該特許発明実施の義務を当然に負うものと解することはできないところ,本件において,かかる事由について主張立証はないから,控訴人らの上記主張は,前提を欠くものであって,失当である。
イまた,控訴人らは,三和メディアセンターについて,破産宣告がされ,その後破産廃止決定がされたのであるから,権利主体の消滅により,本件専用実施権も消滅したと主張するが,三和メディアセンターに係る破産廃止決定は,費用不足によるものであるところ(甲3 ,法人について費用不足による破産廃止決定が確定 )したときには,当該法人は,解散による清算手続を行うことを要し,その範囲内でなお権利能力が存続するものであるから,残余財産を構成する本件専用実施権が破産廃止決定によって消滅するとはいえず,控訴人らの上記主張は失当である。
ウさらに,控訴人らは,三和メディアセンターは本件特許権に係る特許料の支払をしなかったものであるから,これにより,本件専用実施権を放棄したものと解すべきである旨主張するが,設定登録された特許権に係る特許料の支払義務者は特許権者であり(特許法107条 ,例えば,特許権者と専用実施権者との間に,専 )用実施権者が特許料を負担する旨の合意がされた等,何らかの事由が存在しない限り,専用実施権者が,特許料を負担すべき義務を当然に負うものと解することはできないところ,本件において,かかる事由について主張立証はないから,三和メディアセンターが本件特許権に係る特許料の支払をしなかったからといって,これにより,本件専用実施権を放棄したものと解することはできず,控訴人らの上記主張は失当である。
( )控訴人らは,三和メディアセンターは,店舗の閉鎖又は破産宣告を受けたこ2とにより,本件専用実施権を行使するという義務を履行することが不可能になったから,控訴人Xは,履行不能により本件専用実施権設定契約を解除する旨の意思表示をしたと主張するが,上記( )のアのとおり,本件において,三和メディアセン1ターが,本件専用実施権設定契約に基づき,本件特許発明実施をすべき義務を負うものと解することはできないから,控訴人らの上記主張は,その前提を欠くものであって,失当である。
3争点( )(イ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属するか)3について( )自白の撤回について1控訴人らは,原審においてはイ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属することを認める旨の陳述をしていたが,当審に至ってこれを変更し,イ号物件及びロ号物件が本件特許発明構成要件E及びFを充足することを争うに至った。しかるところ,被控訴人は,これを自白の撤回であるとして,異議を述べた。
しかしながら,本件においては,イ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属するか否かの判断の前提である,本件特許発明の各構成要件についてはもとより,イ号物件及びロ号物件が原判決添付イ号物件目録及び同ロ号物件目録記載の各構成を有することについても,原審以来,実質的に争いはなかったところ,控, , 訴人らの上記陳述の変更は これらの点についての主張の変更を伴うものではなく上記のとおり当事者間に争いのない本件特許発明構成要件及びイ号物件及びロ号物件の構成(特定)を前提とした上で,イ号物件及びロ号物件の各構成の構成要件E及びFに対する当てはめを争うにすぎないものである。そして,そのような当てはめは,規範的な評価を内容とする法律判断であるから,控訴人らが,かかる当てはめについて被控訴人の主張と一致する陳述をしたとしても,それはいわゆる権利自白に類するものというべく,したがって,控訴人らに対し,事実についての自白と同様の拘束力が及ぶものではないと解するのが相当である。そうすると,控訴人らは,上記陳述の変更をするについて,自白が真実に反し,かつ,錯誤に基づくものであることの立証を要するものではない。
なお,被控訴人は,控訴人Xが,キャネットに対し提起した特許侵害行為差止等請求事件(東京地方裁判所平成16年(ワ)第23002号)において,イ号物件及びロ号物件と同一構成の各美容ローラーマッサージ器が本件特許発明技術的範囲に属する旨主張していたから,控訴人らの自白の撤回は禁反言の法理に抵触するものであって,許されないとも主張する。
しかしながら,仮に,控訴人Xがキャネットに対する上記訴訟において,イ号物件及びロ号物件と同一構成の各美容ローラーマッサージ器が本件特許発明技術的範囲に属する旨主張したとしても,被控訴人ないし三和メディアセンターが当該訴訟に関与していたとか,被控訴人ないし三和メディアセンターに対しその主張の法律上又は事実上の効果が及ぶ等の事情がなければ,イ号物件及びロ号物件が本件特許発明構成要件E及びFを充足しないとの本件訴訟における控訴人らの主張が,禁反言の法理により当然に許されないということはできないところ,かかる事情についての主張立証はない。
したがって,被控訴人の上記異議は失当である。
( )時機に後れた攻撃防御方法2被控訴人は,控訴人らが当審に至ってイ号物件及びロ号物件が本件特許発明技術的範囲に属することを否認するに至ったことは,時機に後れた攻撃防御方法の提出に当たると主張する。
しかしながら,当審における審理の経過において,上記陳述の変更は,主として控訴人らの平成20年2月18日付け第一準備書面に記載された上,同日の第2回口頭弁論期日に,他の控訴理由とともに主張され,その後,同年4月9日の第3回口頭弁論期日に,上記陳述の変更を含む控訴理由に対する被控訴人の反論,控訴人らの再反論等の主張がされて,同期日にいったん弁論が終結されたものの,当裁判所の和解勧告により,同年11月までに8回の和解期日が開かれた末,結局,和解勧告は打ち切られたが,その間に,本件特許権が消滅したことにより,弁論が再開され,同年12月15日の第4回口頭弁論期日に,被控訴人によるイ号物件及びロ号物件の製造販売の差止等の請求に係る訴えの取下げ,及び控訴人Xによる反訴の取下げがされて,弁論が終結されたものであって,かかる当審における審理の経過に照らし,また,上記( )のとおり,控訴人らの上記主張の変更は,結局,原審以1来,実質的に争いのない本件特許発明構成要件及びイ号物件及びロ号物件の構成(特定)を前提とした上で,イ号物件及びロ号物件の各構成の構成要件E及びFに対する当てはめを争うにすぎないものであって,当該主張の変更に伴って,新たな証拠調べを要するようなものではないことにかんがみれば,控訴人らの上記主張の変更が時期に後れた攻撃防御方法の提出であるとまでいうことはできない。
したがって,この点に関する被控訴人の主張は失当である。
( )文言侵害について3アイ号物件及びロ号物件が,本件特許発明構成要件中E及びF以外の構成要件(A〜D,G,H)を充足することは,当事者間に争いがない。
そこで,以下,イ号物件及びロ号物件が本件特許発明構成要件E及びFを充足するか否かについて検討する。
イ(ア)本件特許発明構成要件E及びFは,以下のとおりである。
Eその(判決注・ 中空円筒体のローラの )両側の開放端に着脱可能に装着さ 「」れるキャップと,F該キャップを介して前記ローラを枢支する把持具を備え,そして,本件明細書には,構成要件E及びFに関し,以下の記載がある。
(【】) a 段落 「【】, 。」 実施例以下本発明の一実施例を図面に基づき説明する ・・・ 0007「図1および図2に示すように,本実施例の回転打撃美容ロ-ラ-マッサージ器1は,プレート3を係着すると共にキャップ4を装着するローラ2と,ローラ2を枢支する把持具5等か(段落【) ら形成される。」 0008 】「ローラ2の両側端の開口部にはキャップ4,4が装着される。キャップ4,4はローラ2の開口部に嵌まり込む円筒部4a,4aとそれから外方に向かって突出する突出円筒部4b,4bからなる。なお,キャップ4,4の一方側はローラ2に嵌着されるが,他方側はローラ2内部に後に説明する液体を投入するために着脱可能に形成されることが望ましい。また,着脱可能なキャップ4を他のキャップ4と区別するために,例えば,そのキャップ4の突出円筒部(段落【) 4bを着色する。」 0010 】「図1および図2に示すように,把持具5は空間部10を形成する握り部5aと,その b両側に一体的に形成される側板部5bからなり,例えば,プラスチック材から形成される。握り部5aには握り時に指の嵌まり込む波形部11が形成される。側板部5bの開口端側にはキ(段落 ャップ4の突出円筒部4bを支持するための略半円弧部12が形成される ・・・ 。」【)0012 】「本実施例では図3,図7等に示したようにローラ2に小孔7を形成したものを採用す cるが,小孔7はローラ2内に充填された液体を噴出するためのものである。なお,前記液体を使用しない場合には小孔7をローラ2に穿孔する必要は勿論ない。ローラ2内に充填される前記液体はローラ2と皮膚間のすべりをよくすると共に,ゼイ肉部の静電気の吸着に機能し得るものがよく,例えば,100g水+50g塩等からなる塩水や,クリーム,石鹸水,オイル等が採用される。これ等の液体は前記したようにローラ2に着脱可能に装着される側のキャップ(段落【) 4を取り外して注入される。」 0015 】「次に,本実施例の作用を説明する。ローラ2が小孔7を有する場合には前記したようにキャップ4の一方側をローラ2から取り外し,前記液を充填させキャップ4を閉止する。次に,把持具5の側板部5bの略半円弧部12をローラ2の両端に装着されているキャップ4,4の(段落【) 突出円筒部4b,4bに嵌め込みローラ2の両端を枢支する ・・・ 。」 0016 】(イ)本件特許発明のローラの両端に装着される「キャップ」は,それぞれが把持具の所定位置に嵌め込まれるなどして,把持具が,ローラの両端を支持することにより,ローラ全体を枢支するための手段であることは,構成要件Fによって明らかであり,本件明細書の上記各記載もこれに沿うものである。
しかしながら 「キャップ」が,単に把持具がローラを枢支するための手段であ ,るにすぎないのであれば,当該「キャップ」が中空円筒体のローラの両側の開放端に「着脱可能に」装着される構成である必要はなく,むしろ,ローラと一体に形成されることが,強度の点などから望ましいことも明らかであるところ,本件明細書の上記各記載によれば,本件特許発明について,中空円筒体のローラ内部に塩水,クリーム,石鹸水,オイル等の液体を充填し,ローラの側部に設けた小孔から噴出させて,ローラと皮膚間のすべりをよくし,ゼイ肉部の静電気の吸着を図る実施態様が想定されており 「キャップ」を「着脱可能に」装着する構成は,これらの液 ,体をローラ内部に注入充填する際に 「キャップ」をローラの端部から取り外して ,注入口とし,注入が完了すれば,再度ローラの端部に取り付けて,液体がローラの端部から流出しないようにするためのものであることが認められる。すなわち,本件特許発明において 「キャップ」をローラの両側の開放端に「着脱可能に」装着 ,することとは 「キャップ」をローラの端部から取り外して,その内部に少なくと ,も液体を注入することができ,かつ,注入後はその流出を防ぐようにローラの端部に取り付け得ることを意味すると解すべきものである 「キャップ」を「着脱可能 。
に」装着する構成についてのこのような理解は 「キャップ」という語の一般的な ,意義(例えば,滝川立夫編「カナ引き工業用語辞典 (第5版。平成元年8月10 」日株式会社ジャパンマシニスト社発行 にはキャップの語義として 管 ),「()」「cap端や管孔を閉塞する栓や,ふたなどをいう」と記載されている )とも符合するも 。
のである。
もっとも,本件特許発明において,ローラ内部に液体を充填して小孔から噴出させるものが1実施態様であるにすぎないことは,ローラに小孔を設けることが構成要件とされていないこと(したがって,小孔を設けない態様も本件特許発明に含まれること)や,本件明細書の上記各記載により明らかである。本件特許発明は,それにもかかわらず 「キャップ」を「着脱可能に」装着することを特許請求の範囲 ,に規定し,その構成要件としたものであるところ,これは,畢竟,当該構成によって本件特許発明を限定する趣旨にほかならないものと解さざるを得ない(なお,本件明細書の上記各記載によれば 「キャップ」は,ローラの両端に装着されたもの ,のうち,少なくとも一方が「着脱可能に」装着されていれば足りることになるが,構成要件Eは 「キャップ」がローラの両端において「着脱可能に」装着されるこ ,とを含めて,本件特許発明を限定するものと解される。この点において,本件明細書がいわゆるサポート要件を満たしているかどうかは別論である。したがって,。)「キャップ」がローラの両側の開放端に「着脱可能に」装着される構成でないものが,本件特許発明に属するということはできない。
ウイ号物件及びロ号物件の各構成は,原判決添付イ号物件目録及び同ロ号物件目録記載のとおりである。そして,本件特許発明は,ローラの外周側にその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着されるものである(構成要件G)ところ,イ号物件及びロ号物件の各構成において,外周側にその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して係着されているのは「大径のローラ10」であるから,その各構成中の大径のローラ10が,本件特許発明の「中空円筒体のローラ」に相当することになる。
他方,イ号物件及びロ号物件の「ローラ2」は,中空円筒体からなるが,一端側は閉塞部となって小円筒状の突出部が設けられており,他端側は,ローラ2の開口部に嵌まり込む扁平な円筒部とそれから外方に向かって進退可能に突出する小円筒状の突出部とからなるキャップが,ローラ2の開口部に着脱可能に装着されている(上記イ号物件目録及びロ号物件目録の各図3,検甲1,2 。そして,ローラ2 )は,大径のローラ10の中空部に挿入され,かつ,挿入された状態で,大径のローラ10の両開放端から外部に突出したローラ2両端の小円筒状の突出部が把持具5の所定位置に嵌め込まれて,これに枢支されるものであり,その結果,大径のローラ10も把持具に枢支されることになるものである。なお,イ号物件は大径のローラ10及びこれに挿入されるローラ2が1組であり,ローラ2両端の小円筒状の突出部を嵌め込む把持具5の所定位置も1組であるのに対し,ロ号物件は大径のローラ10及びこれに挿入されるローラ2が2組あって,ローラ2両端の小円筒状の突出部を嵌め込む把持具5の所定位置も2組設けられている。
エ上記イのとおり,本件特許発明において,ローラの両端に装着される「キャップ」は,ローラを把持具に枢支するための手段であるとともに,構成要件Eに係る 「キャップ」をローラの両側の開放端に「着脱可能に」装着する構成により, ,「キャップ」をローラの端部から取り外して,その内部に少なくとも液体を注入することができ,かつ,注入後はその流出を防ぐようにローラの端部に取り付け得るものであることを要するものである。
しかるところ,イ号物件及びロ号物件においては,ローラ2が,本件特許発明の「ローラ」に相当する大径のローラ10の中空部に挿入され,かつ,挿入された状態で,大径のローラ10の両開放端から外部に突出したローラ2両端の小円筒状の突出部が把持具5の所定位置に嵌め込まれて,これに枢支されるものであるが,大径のローラ10の端部から取り外して,その内部に少なくとも液体を注入することができ,かつ,注入後はその流出を防ぐように大径のローラ10の端部に取り付け得る「キャップ」を備えていないことは明らかであるから,イ号物件及びロ号物件が構成要件Eを充足するものということはできず 「該キャップ」を介してローラ ,を枢支する把持具の構成を規定する構成要件Fを充足するものともいえない。
なお,イ号物件及びロ号物件のローラ2は,その1端に,ローラ2の開口部に着脱可能に装着されるキャップを備えていることは上記ウのとおりであるが,上記のとおり,イ号物件及びロ号物件において,本件特許発明の「ローラ」に相当するのは大径のローラ10であり,ローラ2ではないから,ローラ2の1端の開口部に着脱可能に装着されるキャップが存在するからといって,イ号物件及びロ号物件が,構成要件Eを充足するということもできない。
被控訴人は,構成要件Eが本件特許発明の作用効果とは無関係であることにかんがみれば 「キャップ」は 「ローラ」の両側開放端に被せて装着するものに限られ ,,るものではなく,イ号物件及びロ号物件の「ローラ2」のように,両端側に凸状小径部が設けられた筒状軸体を 「ローラ」の中空部に挿脱可能に収納して,上記凸 ,状小径部が「ローラ」の両側の開放端から外部に突出するようにして装着する形態のものにおける,当該凸状小径部も,構成要件Eの「 中空円筒体のローラの)両 (」 , 側の開放端に着脱可能に装着されるキャップ という構成に含まれると主張するが上記イで述べたところから,かかる主張を採用することはできない。
( )均等侵害について4アイ号物件及びロ号物件が,本件特許発明構成要件中E及びF以外の構成要件(A〜D,G,H)を充足することは,当事者間に争いがなく,本件特許発明の構成におけるイ号物件及びロ号物件と異なる部分は,構成要件E及びFに係る構成である。
イ本件特許発明の本質的部分について(ア)本件明細書には以下の記載がある。
「 産業上の利用分野】本発明は,身体に溜った酸化脂質を取り除き,痩身のボディを形 a 【(段落【) 成するに好適な回転打撃美容ロ-ラ-マッサージ器に関する。」 0001 】「 発明が解決しようとする課題】前記したように,ゼイ肉のマイナス静電気は美容塩の b 【ような通電性の電解質による電解作用により放電されて取り除かれるが,超音波振動等の振動を身体に加えることによりゼイ肉のマイナス静電気が吸着され,身体から脂肪分が除去されることが知られている。すなわち,ゼイ肉の溜っている部分に刺激を与えると共に適度な振動数の共鳴振動を与えることにより脂肪が除去される。身体に適宜の刺激を与える手段として,図9に示す横断面三角形状のローラ15を皮膚面14に当てながらローリングするものや,図10に示すように横断面円状のローラ16を皮膚面14に沿って転がすものが考えられる。しかしながら,ローラ15を中心Oまわりに回転し,三角形状の頂点が皮膚面14に達した場合2には大きな押圧力が集中的に作用して皮膚面14をいためる。また,頂点以外の部分による押圧力は小さく,頂点と極端に差が生じ美容マッサージ器としては適当ではない。一方,ローラ16を中心Oまわりに回転する場合には皮膚面14への損傷はないが,打撃エネルギーが不3(段 足するため静電気の吸着効果が低く美容マッサージ器のローラとしては適当ではない。」落【) 0003 】「本発明は,以上の事情に鑑みて創案されたものであり,ゼイ肉部を共鳴振動を与えながら適度に刺激することにゼイ肉部の静電気を吸着し,ゼイ肉部の脂肪を取り除いて痩身なボディを(段落【) 作るようにした回転打撃美容マッサージ器を提供することを目的とする。」 0004 】(【】) c 段落「【】, 。」 実施例以下本発明の一実施例を図面に基づき説明する ・・・ 0007「ローラ2の両側端の開口部にはキャップ4,4が装着される。キャップ4,4はローラ2の開口部に嵌まり込む円筒部4a,4aとそれから外方に向かって突出する突出円筒部4b,4bからなる。なお,キャップ4,4の一方側はローラ2に嵌着されるが,他方側はローラ2内(段 部に後に説明する液体を投入するために着脱可能に形成されることが望ましい ・・・ 。」落【) 0010 】「本実施例では図3,図7等に示したようにローラ2に小孔7を形成したものを採用するが,小孔7はローラ2内に充填された液体を噴出するためのものである。なお,前記液体を使用しない場合には小孔7をローラ2に穿孔する必要は勿論ない。ローラ2内に充填される前記液体はローラ2と皮膚間のすべりをよくすると共に,ゼイ肉部の静電気の吸着に機能し得るものがよく,例えば,100g水+50g塩等からなる塩水や,クリーム,石鹸水,オイル等が採用される。これ等の液体は前記したようにローラ2に着脱可能に装着される側のキャップ4を取(段落【) り外して注入される。」 0015 】「次に,本実施例の作用を説明する。ローラ2が小孔7を有する場合には前記したようにキャップ4の一方側をローラ2から取り外し,前記液を充填させキャップ4を閉止する。次に,把持具5の側板部5bの略半円弧部12をローラ2の両端に装着されているキャップ4,4の突出円筒部4b,4bに嵌め込みローラ2の両端を枢支する。また,ローラ2には図6,図5に示したようにプレート3が等間隔に係着され,隙間13を介し小孔7を覆って配置される。以上により,図1および図2に示した回転打撃美容マッサージ器1が組み立て完成される。この回転打撃美容マッサージ器1を使用するには,把持具5の握り部5aを握り,プレート3を係着したローラ2を図8に示すように皮膚面14に当て,ローラ2を皮膚面14側に押圧しながらローラ2を皮膚面14に沿って回転させる。すなわち,皮膚面14のゼイ肉部をローラ2に。 , よりローリングする ローラ2のローリングにより3枚のプレート3が順次皮膚面14に当り皮膚面14を刺激すると共に,図7に示すように,ローリングにより浮き上がってプレート3の下方の隙間13から小孔7を介して噴出した前記液体が皮膚面14に付着しローラ2のロー(段落【) リングに伴って皮膚面14上に流れる。」 0016 】「図8に示すように,本実施例の3枚のプレート3,3,3の縁部のアール8に相当する部分をプレート3の力点としてD,D,DおよびE,E,Eとし,プレート3とロ123123ーラ2との係着点を作用点としてC,C,Cとし,ローラ2の回転中心を支点Oと 123 1する。図8に示すようにローラ2を支点Oまわりに回転し,1つのプレート3の力点Dが 1 3皮膚面14に当接する位置にきた場合にはもう1つのプレート3の力点Eが皮膚面14に当 3接する状態になる。よって,皮膚面14は力点Dによってのみ押圧されずに2つにプレート 23,3の力点D,Eにより同時に押圧される。そのため,図9に示した三角形状のローラ 2315のように極端な刺激力が皮膚面14側に作用しない。すなわち,適度な押圧力が皮膚面14側に作用する。また,図示のように,プレート3が皮膚面14に対し,傾斜して当接するため押圧力が分散され,適度な垂直力と水平力が皮膚面14に作用する。以上により,ゼイ肉部の静電気を吸着し易い刺激エネルギーが皮膚面14に付加される。なお,プレート3の力点D(段落【) 11,E等にはアール8が形成されているため刺激が緩和される。」 0017 】「一方,プレート3を係着したローラ2を回転することにより,少なくとも3種類の振動波が。, , 発生する すなわち プレート3と一体構造となったローラ2全体から生ずる第1の振動波とローラ2とプレート3との接合点の支持点C,C,Cと皮膚面14側との接触によって123生ずる第2の振動波と,プレート3の力点D,E,D,E,D,Eと皮膚面1 1122334との当接によってプレート3がてこ運動することにより発生する第3の振動波が生ずる。本, ,, ,, 実施例の場合 支点Oから作用点CCCまでの距離は一定でありCとC1123 122331 133 CとC,CとC間の距離も一定である。また,プレート3の力点DとE,DとE,DとE間の距離も一定であり,かつプレート3は同一形状のものからなる。その331ため,第1乃至第3の振動波は合成され共鳴振動が生ずる。以上のように,本実施例の回転打撃美容マッサージ器1を皮膚面14に沿ってローリングすることにより,適宜の強さの押圧力が皮膚面14に作用すると共に,前記の合成された共鳴振動波が皮膚面14側に伝達されるためゼイ肉部が刺激され,その部分の静電気が放電され吸着される。その結果,痩身のボディが(段落【) 作り出される ・・・。」 0018 】「 発明の効果】本発明によれば,次のような顕著な効果を奏する。 d 【(1)本発明の美容マッサージ器は皮膚面に適度な押圧力と共鳴振動を与えるように形成されるため,ゼイ肉部のマイナス静電気を刺激して体外に放電することが出来る。それにより,ゼイ肉部の脂肪が除去され,痩身のボディを形成することが出来る。
(2)ローラの外周に等間隔にプレートを配置することにより,三角形状のローラのような極端な刺激エネルギーが発生せず,皮膚面を痛めることがない。また,丸形のローラのように押圧力が不足することがなく適宜の刺激を与えることが出来る。
(3)把持具を握ってローラを皮膚面に沿ってローリングするだけの簡単な操作によってゼイ肉除去が可能となり,誰でもが簡単に実施することが出来る。
(4)ローラに小穴を設け,ローラ内に液体を充填することにより,ローラのローリング動作が円滑に行われると共に放電効果が促進され,一層の痩身効果が上げられる。
(5)全体構造がコンパクトにまとめられ,取り扱いや保管が便利である。
(段落【) (6)比較的安価に実施出来る。」 0020 】(イ)上記(ア)の本件明細書の各記載によれば,?@本件特許発明は,ゼイ肉の溜っている部分に刺激を与えるとともに,適度な振動数の共鳴振動を与えることによりゼイ肉のマイナス静電気を吸着して脂肪を除去する回転打撃美容ロ-ラ-マッサージ器の技術分野において,従来技術である横断面三角形状のローラを皮膚面に当てながらローリングするものは,三角形状の頂点が皮膚面に達したときに大きな押圧力が集中的に作用して皮膚面を傷めるなどするため,美容マッサージ器としては適当でなく,また,横断面円状のローラを回転する場合には,皮膚面への損傷はないものの,打撃エネルギーが不足するため静電気の吸着効果が低く,美容マッサージ器のローラとしては適当ではないという問題があったことにかんがみ,共鳴振動を与えながらゼイ肉部を適度に刺激することのできる回転打撃美容マッサージ器を提供することを目的とするものであること,?Aそして,本件特許発明は,外周に等間隔に複数板のプレートを係着したローラによって皮膚面のゼイ肉部をローリングすることにより,極端な刺激エネルギーが発生して皮膚面を痛めたり,押圧力が不足したりすることなく,適度な押圧力が皮膚面に作用するとともに,適切な振動波が皮膚面側に伝達されるため,その部分の静電気が放電され吸着されて,ゼイ肉部の脂肪が除去されるとの効果を奏することができるものであることが認められる。
すなわち,本件特許発明は,上記?@の技術課題を,上記?Aのとおり,外周に等間隔に複数板のプレートを係着したローラという構成によって解決するものであるから,本件特許発明の本質的部分は,当該構成(構成要件Gに係る構成)ということができる。
控訴人らは,構成要件Gに係る「ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して」配設されるローラーマッサージ器は,既に昭和61年ころに周知ないしは公知となっていたと主張するところ,控訴人らがその主張の根拠とする乙42添付別紙2は,昭和60年6月ころに作製されたフィットネスクラブの広告チラシの写しであって,当該チラシには「ローラーマッサージ器」の写真が掲載され 「三枚の羽を持つローターが筋肉を活性させながらクール ,ダウン」との説明文が付されているものの,この写真は著しく不鮮明であって,上記説明文を併せ考慮しても,当該「ローラーマッサージ器」が「ローラの外周側にはその円周方向に沿って等間隔に複数板のプレートが外周に接して」配設されるものであることを確認し得ないから,上記チラシの写しによって控訴人らの上記主張事実を認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(ウ)控訴人らは,本件特許発明の構成におけるイ号物件及びロ号物件と異なる部分である構成要件E及びFに係る構成が,本件特許発明の本質的部分に当たるものであると主張する。
しかしながら,上記(ア)の本件明細書の各記載によれば,構成要件Eに係る「その(判決注・ 中空円筒体のローラの )両側の開放端に着脱可能に装着されるキャ 「」ップ」との構成は,ローラと皮膚間のすべりをよくし,ゼイ肉部の静電気の吸着を図るべく,中空円筒体のローラ内部に塩水,クリーム,石鹸水,オイル等の液体を充填し,ローラの側部に設けた小孔から噴出させるために,これらの液体をローラ内部に注入充填するに際して 「キャップ」をローラの端部から取り外して注入口 ,とし,注入が完了すれば,再度ローラの端部に取り付けて,液体がローラの端部から流出しないようにするためのものであるが,このように液体をローラ内部に充填し,噴出させることは,本件特許発明において,任意的事項であり,実施態様の一つであるにすぎないと認められるから,構成要件Eに係る構成が本件特許発明の本質的部分に当たるとすることはできない。
また,構成要件Fは,上記「キャップ」を介してローラを把持具に枢支することを規定するものであるが,美容ローラーマッサージ器が,これを使用する際に,ローラーを皮膚面に当ててローリングするため,ローラを枢支する把持具を備えることは,本件特許に係る出願前から周知の構成であったと考えられるから,構成要件Fに係る構成が本件特許発明の本質的部分に当たるとすることもできない。
(エ)したがって,本件特許発明の構成におけるイ号物件及びロ号物件と異なる部分(構成要件E及びF)が,本件特許発明の本質的部分に当たるとすることはできない。
構成要件E及びFについての置換可能性の有無上記( )のウ,エのとおり,イ号物件及びロ号物件は,両端に小円筒状の突出部3,(「」。) を備えたローラ2を 大径のローラ10 本件特許発明の ローラ に相当するの中空部に挿入し,挿入された状態で,大径のローラ10の両開放端から外部に突出したローラ2両端の小円筒状の突出部が把持具5の所定位置に嵌め込まれることにより,把持具5がローラ2を介して大径のローラ10を枢支する構成を有するものであり,本件特許発明構成要件E及びFを,かかる構成に置き換えたものということができる。
しかるところ,上記イの(イ)とおり,本件特許発明は,極端な刺激エネルギーが発生して皮膚面を痛めたり,押圧力が不足したりすることなく,共鳴振動を与えながらゼイ肉部を適度に刺激することのできる回転打撃美容マッサージ器を提供することを目的とするものである。上記イの(ウ)とおり,構成要件Eに係る「その(判決注・ 中空円筒体のローラの )両側の開放端に着脱可能に装着されるキャップ」 「」との構成は,中空円筒体のローラ内部に液体を充填し,ローラの側部の小孔から噴出させるため,液体をローラ内部に注入充填する際に 「キャップ」をローラの端 ,,, , 部から取り外して注入口とし 注入が完了すれば 再度ローラの端部に取り付けて液体がローラの端部から流出しないようにするためのものであるが,このように液体をローラ内部に充填し,噴出させることは,本件特許発明において,任意的事項,, ,, であり 実施態様の一つであって 本件特許発明の目的ということはできず 結局当該「キャップ」は,本件特許発明の目的との関係では,構成要件Fが規定するとおり,ローラを把持具によって枢支するための手段にすぎないものである。
そうであれば,構成要件E及びFをイ号物件及びロ号物件の上記構成に置き換えたとしても,本件特許発明の目的を達することができることは明らかである。
構成要件E及びFについての置換容易性の有無上記ウのとおり,イ号物件及びロ号物件は,両端に小円筒状の突出部を備えたローラ2を,大径のローラ10(本件特許発明の「ローラ」に相当する )の中空部 。
に挿入し,挿入された状態で,大径のローラ10の両開放端から外部に突出したローラ2両端の小円筒状の突出部が把持具5の所定位置に嵌め込まれることにより,把持具5がローラ2を介して大径のローラ10を枢支する構成を有するものである。そして,把持具がローラ(大径のローラ10)を枢支するこのような構成は,ローラに挿入した支持軸(ローラ2)の両端部を介して,把持具がローラを枢支する支持構造にほかならず,平成14年12月当時(控訴人らによるイ号物件及びロ号物件の製造販売時期として被控訴人が主張する時期の最初の時点)はもとより,それ以前から周知の支持構造であったことは明らかであるから,本件特許発明構成要件E及びFに係る,ローラの両端部に装着したキャップを介して,把持具がローラを枢支する支持構造を,上記イ号物件及びロ号物件の支持構造とすることは,当業者にとって容易であったものと認めることができる(そのこと自体は,控訴人らも争わない。。)なお,控訴人らは,イ号物件及びロ号物件は,支持軸(ローラ2)の内部に球状トルマリンを封入する構成であるところ,そのような構成とすることは,当業者であっても容易に想到することはできないと主張するが,たとえ,イ号物件及びロ号物件において,ローラ2が内部に球状トルマリンを封入するものであっても,そのことにより,把持具がローラ(大径のローラ10)に挿入した支持軸(ローラ2)の両端部を介してローラを枢支するというイ号物件及びロ号物件の支持構造自体に変化があるわけではなく,構成要件E及びFの支持構造に代えて,このような支持構造を採用することが当業者にとって容易である以上,支持軸内部に球状トルマリンを封入する構成を付加したことが,均等侵害の判断に影響を及ぼすものとはいえない。
オイ号物件及びロ号物件の容易推考性の有無控訴人らは,イ号物件及びロ号物件が,本件特許出願当時,周知ないしは公知となっていた乙42の別紙2記載の美容ローラーマッサージ器と同一であるか,又は当業者がこれに基づいて容易に推考できたものであると主張するが,上記イの(イ)のとおり,乙42添付別紙2に掲載された「ローラーマッサージ器」の写真は著しく不鮮明であるから この写真や 写真に付された前記説明文によっても 当該 ロ ,, ,「ーラーマッサージ器」がどのような構成を有するものかを確認することができず,したがって,イ号物件及びロ号物件が,当該ローラマッサージ器と同一であるか,又は当業者がこれに基づいて容易に推考できたものと認めることはできない。
そして,他に,本件特許に係る出願時点において,イ号物件及びロ号物件が公知・周知技術と同一又はそれに基づいて当業者が容易に推考することができたことを認めるに足りる証拠はない。
意識的除外等の有無イ号物件及びロ号物件に係る構成が,本件特許に係る出願手続において,意識的に除外された等,均等侵害の成立を妨げるべき特段の事情が存するとの主張立証はない。
,, , キ以上によれば イ号物件及びロ号物件は 本件特許発明均等なものとして本件特許発明技術的範囲に属するものと認められる。
4争点( )(控訴人らは,イ号物件及びロ号物件の製造販売をしたか。また,そ4の数量はどれほどか)について,, , ( )当裁判所も 控訴人らは それぞれ具体的な販売数量を確定できないものの1控訴人Xにおいて平成16年3月9日(控訴人会社の設立日)より前に相当数のイ号物件及びロ号物件を製造販売し,また,控訴人会社も上記設立日以降,相当数のイ号物件及びロ号物件を製造販売したものと認定する。
その理由は,後記( )のとおり,付加訂正し,当審における控訴人らの主張に対2し,後記( )のとおり判断をするほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第4当 3裁判所の判断」の「3争点( )(被告らによるイ号物件及びロ号物件の製造販売 3の有無)について (原判決17頁5行〜28頁13行)のとおりであるから,こ 」れを引用する。
( )原判決の付加訂正2ア原判決17頁6行に「前記争いのない事実等並びに」とあるのを「前記前提となる事実に 」と改める。,イ原判決20頁7行の「イ号物件及びロ号物件」の次に「 それぞれ本件訴訟 (におけるイ号物件及びロ号物件に相当する」を加える。。)ウ同頁22行の「イ号物件を」の次に「7年前に開発し」を加える。
エ原判決27頁17行の「認められる」の次に「 ただし,前記認定に係る各 (ホームページにおけるイ号物件,ロ号物件の取扱状況に照らして,イ号物件の販売数量はロ号物件の販売数量に比べ相当に少ないものと認められる」を加える。。)( )当審における控訴人らの主張に対する判断3ア控訴人らは,株式会社壮快薬品のホームページ(甲35)や通信販売業者ストアミックスのホームページ(甲20)などで,通信販売されていたイ号物件及びロ号物件は,控訴人Xがキャネット又はリバースに販売したものが市場に流通したものであると主張する。
しかしながら,当該主張事実を認めるに足りる証拠はないのみならず,前記認定() に係る控訴人からの照会に対する株式会社壮快薬品の回答 原判決25頁8〜9行及びエリット株式会社の他社に対する通知(同頁17〜22行)の各内容に照らすと,少なくとも株式会社壮快薬品の販売分については,エリット株式会社を介して控訴人X又は控訴人会社から仕入れたものであることが窺われるから,上記主張を採用することはできない。
なお,控訴人らは,株式会社壮快薬品やストアミックスのホームページなどで,通信販売されていたイ号物件及びロ号物件につき,販売会社として,控訴人会社の名称や「日本コロンクレンズ振興会」の表示があったことについて,控訴人らは関与していないと主張するが,これらの通信販売会社の製作したホームページの内容自体に控訴人らが関与していなかったからといって,これらの通信販売会社の取り扱ったイ号物件及びロ号物件が控訴人らの製造販売したものであることが妨げられるものではない。
イ控訴人らは,被控訴人が平成17年6月14日に撮影した写真(甲16)の被写体であるロ号物件の梱包箱はキャネットが製作したものであると主張するところ,確かに,当該梱包箱に記載された製造元が「日本コロクレンズ振興会」と誤って表示されていることに照らすと,当該梱包箱は,控訴人X以外の者が製作した可能性があるが,仮にそうであったとしても,そのことのみをもってしては,控訴人Xが平成14年12月から平成16年2月までの間に相当数のイ号物件及びロ号物件を製造販売したとの上記認定を左右するに足りない。
ウ控訴人らは,控訴人会社のホームページ(甲17)に,ロ号物件が掲載されているのは,同ホームページが,それまで控訴人会社及び控訴人Xが開発販売した商品を紹介することを目的とするために,ロ号物件を含めたものにすぎないとか,同ホームページ上でロ号物件の購入を勧誘しているのは,控訴人Xの手元に僅かに残っていたロ号物件の在庫品が売れればよいという考えによったものであるが,このホームページによって販売された例はないと主張する。
しかしながら,同ホームページにおけるロ号物件の扱いが,単に,控訴人らが過去において製造販売した商品を紹介するというものではなく,通信販売の対象である商品として,その購入を勧誘するものであることは極めて明白である。また,同ホームページにロ号物件が掲載された平成18年6月6日当時,控訴人Xの手元にあったロ号物件の在庫品が僅かであったとか,このホームページによって,通信販売されたロ号物件が存在しなかったなどの事実を認めるに足りる証拠はない。
エ控訴人らは,日本工業新聞の記事(甲21)中に 「販売以来七年間で約二 ,十万台販売した」とあるのは,主として本件専用実施権設定契約締結前の販売実績であり,かつ,若干の誇張があるとか 「月産五千台のペースでは,生産が間に合 ,わない」とあるのは,宣伝目的による誇張であると主張する。
しかしながら,当該各主張事実を認めるに足りる証拠はないのみならず,同記事の掲載日(平成14年6月4日)に照らすと,控訴人Xが「7年前に開発」したイ号物件に係る「販売以来七年間」とは,平成7年6月ころから平成14年5月ころまでを指すものと認められるところ,この期間のうち,平成11年8月(本件専用実施権設定契約締結時)以前の約4年間に 「若干の誇張」があるとしても20万 ,台近くのイ号物件が売れたのに,その後の約3年間はこれが売れなくなったとするのは不自然であり,また,イ号物件が7年間(84か月)に20万台が販売されたとすれば,1か月当たりの平均販売数は2380台になるから,ロ号物件についても,その月産5000台という数字に誇張があったにせよ,少なくとも毎月1000台程度を越える相当数の製造がされていたと認めるのが相当である。
したがって,控訴人らの上記主張を採用することはできない。
5争点( )(被控訴人に生じた損害又は控訴人らの利得の額)について5( )当裁判所も,控訴人Xは,平成14年12月から平成16年2月までの間に 1イ号物件及びロ号物件の製造販売をしたことにより,被控訴人に対し,不法行為に基づく損害賠償として768万円の支払義務を負い,また,控訴人X及び控訴人会社は,控訴人会社が平成16年3月9日から平成18年4月までの間にロ号物件の製造販売をしたことにより,被控訴人に対し,共同不法行為に基づく損害賠償として2038万7612円の連帯支払義務を負うものと判断する。
その理由は 後記( )のとおり訂正するほかは 原判決 事実及び理由 欄の 第 , ,「」「24当裁判所の判断」の「5争点( )(損害ないし利得の額)について (原判決 5 」29頁13行〜35頁10行)のとおりであるから,これを引用する。
( )原判決の訂正2ア原判決29頁16行及び20行にそれぞれ「本件特許発明実施品である」とあるのをいずれも「本件特許発明均等である」と改める。
イ原判決30頁3行,5行,14行,24行,31頁6行,17行,18行にそれぞれ「請求書」とあるのをいずれも「請求書写し」と改め,30頁12行,22行,31頁4行,11行にそれぞれ「被告らから開示された請求書」とあるのを「 」,「 いずれも 控訴人らから提出された請求書写し と改め 31頁13〜15行をこれらの事実に照らすと,控訴人らが提出した上記各請求書写しは,その原本のうちのロ号物件の販売代金の請求に係る部分を 「PTジェルセット」の販売代金の ,請求に係るかのように改ざんして作成した写しであるものと認められる 」と改め 。
る。
ウ原判決31頁24行に「上記3( )」とあるのを「上記4( )(原判決17頁 1 16行〜27頁3行 」と改める。)エ原判決32頁18〜20行の「前記認定の・・・考えられること」を「前記のとおり,控訴人会社のイ号物件の販売数量は,ロ号物件の販売数量と比べて相当に少ないものと認められること」と改める。
オ原判決33頁25行に「前記3( )」とあるのを「上記4( )(原判決17頁1 16行〜27頁3行 」と改める。)カ原判決34頁14〜15行の「上記の当時のホームページ等における・・・証拠は存せず」を「その当時の通信販売会社のホームページ等,需要者への販売に関するイ号物件,ロ号物件の各取扱状況を示す証拠は存在せず」と改める。
6結論以上によれば,被控訴人の不法行為に基づく損害賠償請求を,控訴人Xに対し,768万円及びこれに対する不法行為後の日である平成16年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,控訴人らに対し,2038万7612円及びこれに対する不法行為後の日である平成18年5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を,それぞれ命ずる限度で認容し,その余を棄却した原判決は相当であって,控訴人らの本件各控訴はいずれも理由がない。
裁判長裁判官 田中信義
裁判官 杜下弘記
裁判官 石原直樹
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