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事件 平成 24年 (行ケ) 10173号 審決取消請求事件
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裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2012/08/29
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成24年8月29日判決言渡

平成24年(行ケ)第10173号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 平成24年7月4日

判 決



原 告 株式会社インディアン

モトサイクルカンパニージャパン



訴訟代理人弁護士 佐 藤 雅 巳

古 木 睦 美



被 告 東 洋エンタープライズ株式会社



訴訟代理人弁理士 野 原 利 雄



主 文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。



事実及び理由

第1 原告の求めた判決

特許庁が無効2011−890052号事件について平成24年4月3日にした

審決を取り消す。



第2 事案の概要

本件は,原告による商標登録無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。




争点は,本件商標が公序良俗違反のおそれがあるものとして無効とされるべきか(商

標法4条1項7号),である。(以下,商標法を「法」という。)

1 被告は,本件商標権者である。

【本件商標】




・登録第2634277号

・指定役務

第17類:被服,その他本類に属する商品

・出願日:平成3年11月5日

・登録日:平成6年3月31日

存続期間の更新登録:平成16年2月10日

・書換登録:平成17年7月13日

第5類,第9類,第10類,第16類,第17類,第20類ないし第2

2類,第24類及び第25類(詳細は省略)

原告は,本件商標の登録無効審判請求をしたが(無効2011−890052号),

特許庁は,平成24年4月3日,請求を不成立とする旨の審決をし,その謄本は同

年4月12日原告に送達された。



2 審判における原告主張の無効理由

本件商標は,被告において,その指定商品に使用せず,我が国において「Ind

ian」商標を用いたブランドビジネスが展開されたときに,そのブランドビジネ

スを展開するものの企業努力の成果を収奪し,そのブランドビジネスを妨害し,不

当な利益を得る意図で出願し登録を得たものであり,公正な競業秩序を害するもの

であるから,公序良俗に反する商標である。すなわち,被告が行ったことは,
「In

dian」ブランドビジネスの米国での立ち上げ市場への浸透を知り,
「India




n」ブランドを用いたビジネスが日本で導入展開されることが予測できるときに,

まず本件商標を出願し登録を得ておくことにより,
「Indian」ブランドが後に

第三者(本件では原告)により日本市場に導入され,第三者(本件では原告)が企

業努力を傾注して同ブランドを日本市場に浸透させるや,それに便乗して,本件商

標と同一性の範囲内にない,かつ,第三者(本件では原告)の使用にかかる「In

dianロゴ」(別紙3(1))と同一の態様の「Indianロゴ」やこれを含む商

標等の「Indian」ブランドを使用して,第三者(本件では原告)やそのライ

センシーの業務を妨害することであった。かかる行為は,他人の企業努力の成果に

便乗して自己の商品を売り利益を得,同時に他人の業務を妨害することであり,他

人の犠牲のもとに自分のみうまい汁を吸わんとするものであって,公正な競業秩序

を害するものであることは明白である。したがって,本件商標が公序良俗に反し,

4条1項7号に該当するものである。



3 審判における被告の主張

本件商標に対しては,本件審判における無効理由と同様,本件商標が法4条1項

7号に該当することを理由として既に3度の無効審判が請求され,いずれの審判で

も請求不成立の審決が確定している。本件審判請求は,これらの前審判と同一事実

及び同一証拠に基づいてなされており,法56条が準用する特許法167条の規定

に違反する。よって,本件審判請求は不適法な審判の請求として却下されるべきで

ある。



4 審決の理由の要点

(1) 「同一の事実及び同一の証拠に基づく審判請求」の被告主張につき

原 告が主張する無効理由が前審判請求事件における原告の主張と実質同一であ

ったとしても,本件審判請求において提出された証拠は,前審判事件で提出された

証拠に追加されたもの(甲477〜486)がある点において,
同一の証拠」によ




る請求とはいい難い。本件審判請求は法56条 1 項,特許法167条のいわゆる「一

事不再理」の原則に違反するとまではいえない。

(2) 法4条1項7号該当性につき

ア 旧インディアン社

1901年(明治34年),米国マサチューセッツ州スプリングフィールドにお

いて設立されたオートバイのメーカーであり,その商号として,1923年に「イ

ンディアン・モトサイクル・カンパニー」を名乗った旧インディアン社は,
「IND

IAN MOTOCYCLE」
(インディアン・モトサイクル)と略称され,195

0年代以前,ハーレー・ダヴィッドソンと並ぶ米国を代表するオートバイメーカー

として知られ,同社の使用する「Indianロゴ」「ヘッドドレスロゴ」(別紙3


(2))等は,旧インディアン社の製造販売するオートバイに付された商標として,米国,

欧州,日本において周知であったが,ハーレー・ダヴィッドソンのオートバイとの

競争に敗れ,1959年に会社が解散されるに至り,その後,同社が再開されること

はなかった。

イ 新インディアン社

米国人Aは,1971年(昭和46年)に,Bという人物が旧インディアン社と

無関係に登録していた「Indian Motorcycle」という商標の一部

を,1990年(平成2年)5月,Cから譲り受けた。1990年(平成2年)ころ,

Aが中心となって,米国マサチューセッツ州スプリングフィールドにおいて「In

dian Motocycle Co.,Inc.(インディアン・モトサイクル・

カンパニー・インク)」という社名の会社を起こした(新インディアン社)。新イン

ディアン社は,1992年(平成4年)1月,Aらから上記商標を譲り受けた。新

インディアン社は,旧インディアン社とは「Indian Motocycle(イ

ンディアン・モトサイクル)」社という社名を共通にするが,旧インディアン社ない

しその承継人との関係はなく,旧インディアン社ないしその承継人から,その商標

権の譲渡や使用許諾を受けたものでもなく,旧インディアン社が有していた技術を




当時の従業員等を介するなどして具体的に引き継いだものでもなかった。



ウ 原告

米国人Dは,1991年(平成3年)12月,Aと面談し,その結果,新インデ

ィアン社から,日本をテリトリーとして「Indian」商標を使用してライセン

ス及びマーチャンダイジングビジネスを展開する独占的権利を,約70万ドルの対

価を払って買い受けることに合意した。Dは,新インディアン社からの協力を得る

ことなく独自で日本において「Indian」商標を使用したビジネスを展開する

ため,原告の現代表者が取締役本部長を務めていたサンライズ社と共に,平成5年

6月3日,皮革製品,衣料品の輸出入及び販売等を目的として原告を設立し,その

代表取締役に就任した。Dは,原告設立と同時に,原告に対し,Indian/M

otocycle商標(別紙3(4))や「Indianロゴ」からなる商標等の「I

ndian」商標の使用を許諾し,その後,平成7年から平成8年にかけて,
「In

dian」商標に関する権利をすべて原告に譲渡した。



エ 以上の事実その他審決認定の事実に基づく検討

新インディアン社は,法的には旧インディアン社との連続性は何らない会社であ

る上,その従業員,営業組織,オートバイ製造の技術等,その他その具体的活動状

況等に照らしても,
「Indian」商標を付したオートバイを製造販売していた旧

インディアン社を復活させたものと評価することはできないのであり,原告は,何

ら旧インディアン社と関係がない第三者であるとの評価を免れず,このような原告

が旧インディアン社と共通の「Indian Motocycle(インディアン

モトサイクル) との部分を含む商号を採択し,
」 旧インディアン社の商標と同一又は

類似のものである別紙4「原告表示」目録記載の原告表示を使用しても,旧インデ

ィアン社と離れて,
「Indian Motocycle」ないし原告表示が,原告

の略称として,ないしはその被服等の商品の出所が原告であることを示すものとし




て,需要者,取引者の間に知られるようになっていたということはできない。

そうであれば,同様の第三者である被告が,同様に旧インディアン社の商標と類

似のものである本件商標を出願しても,旧インディアン社との関係ではともかく,

原告表示により展開されている原告の「Indian」商標のビジネスを妨害する

ものとはいえないことも明らかである。すなわち,別紙2「被告商標」目録記載の

被告商標A〜Jの登録出願,登録により,競合する被服等の分野において同一又は

類似する被告商標A〜Jが登録出願を経て登録され,存在することによって,原告

が原告表示(別紙4)を使用した「Indian」商標のビジネスに事実上の影響

を被っているとしても,それは,原告があえて旧インディアン社に依拠したビジネ

ス展開を行ったことが招いた当然の結果であるといわざるを得ず,被告の行為は自

由競争の範囲内のものと評価され,原告のビジネス展開を被告が妨害したものとい

うことはできない。

したがって,本件商標を含む被告商標A〜Jの登録出願が,原告による原告表示

を付した「Indian」商標のビジネスを阻害し妨害する行為であるということ

はできず,そうである以上,本件商標の出願をもって,原告の業務の遂行を阻害し

業務を妨害する意図でなされたものということもできない。本件商標が,法4条

項7号に該当するということはできない。



第3 原告主張の審決取消事由

1 審決は,
「原告は,旧インディアン社に依拠したビジネス展開を行った」旨の

認定をしたが,否認する。原告は,新インディアン社が旧インディアン社の正当な

承継人であるとか,新インディアン社からライセンスを受けているという宣伝広告

をしたことはないし,かかる宣伝に基づく製造販売を行ったこともない。

2 原告は,マーチャンダイジングブランドのイメージキャラクターとして旧イ

ンディアン社のオートバイのブランド「インディアン」を採択し,ブランドのイメ

ージをハーレーダビットソンの一ランク上のアメリカンカジュアルブランドと設定




した。かかるブランドの性格設定はブランドビジネスの基本であり,かかる設定が

適正であったからこそ,これに沿った原告の告知,製造,販売における企業努力が

成功し,原告を出所とするブランドとして承認,認知され,今日に至っている。

かつて存在したが長きにわたり消滅したブランドを何人かが自らのブランドのイ

メージキャラクターとして採択する行為は,何人かが採択するまでは自由競争の範

囲内であって,何ら非難する余地のない行為である。しかし,何人かがこれを自己

のブランドイメージキャラクターとして採択した後は自由競争ですますことはでき

ない。そのかつて存在したが消滅したブランドをイメージキャラクターとして採択

し,その企業努力を傾注して市場に浸透させたときは,その企業努力の成果は保護

すべきものであって,その成果にただ乗りし,収奪し,企業努力を妨害する行為は,

反社会的な行為であり許されず,かかる反社会的な行為をする手段として商標登録

出願をして登録を得ることもまた反社会的な行為であり,許されない。被告の行っ

たことは,資金,エネルギー,創意及び工夫を必要とし,かつ失敗という危険を伴

う「Indian」ブランドの日本市場への導入浸透という地道な作業を他人(本

件では原告)に行わせ,本件登録商標を口実にしてその成果のみを横取りして他人

(本件では原告)の業務を妨害したことである。かかる行為が商標の先願主義を悪

用するものであり,公正な競業秩序に反するものであることは明らかであるから,

本件商標は公序良俗に反する商標として,法4条1項7号に該当することは明らか

である。

したがって,被告の本件商標登録の存在により,原告の「Indian」商標の

ビジネスが事実上影響を被っているとしても,それは原告が旧インディアン社に依

拠したビジネス展開を行ったことが招いた当然の結果であり,被告の行為は自由競

争の範囲のものとして,本件商標の出願をもって原告の業務の遂行を阻害し業務を

妨害する意図でなされたということもできないとして,本件商標の法4条1項7号

該当性を否定した審決の判断は,誤りである。





第4 被告の主張

1 審決のうち,本件審判請求は,法56条が準用する特許法167条の規定(い

わゆる一事不再理)に反しない旨の判断は,争う。

2 本件商標登録が法4条1項7号に該当しないのは,審決が判断したとおりで

ある。



第5 当裁判所の判断

1 本件商標に関する経緯(甲8,486,弁論の全趣旨)

本件商標に関しては,平成6年から数次にわたり,法4条1項7号などに該当す

ることを理由とする無効審判請求がされ,不成立とされてきたところ,直近では,

原告は,法4条1項7号に該当することを理由に,本件商標登録が無効とされるべ

きであるとして審判請求をしたが(無効2005−89065号),特許庁は,上記

請求は成り立たないとの審決をした。原告は,この審決につき取消訴訟を提起した

が(知財高裁平成19年〔行ケ〕第10388号),平成21年2月25日に請求を

棄却する旨の判決がなされ,その上告の申立ても不受理とされて,平成21年10

月21日に確定の登録がされた。

原告は,この審判請求事件及び審決取消訴訟において,
「他人の業務の遂行を阻害

し,他人の業務を妨害する意図で出願し登録を得た商標は公正な競合秩序を害する

商標であり,公序良俗に反するおそれのあるものであり,登録を無効にすべきもの

である。しかるに,本件商標は,被告において,平成2年に米国で『Indian』

ブランドのマーチャンダイジングビジネスが立ち上げられたことを知り,同ブラン

ドビジネスが何人かにより日本に導入され展開されることのあるべきことを予測し,

本件商標を指定商品に使用する意思なしに,将来何人かにより日本に『India

n』ブランドビジネスが導入され展開されたときに,その導入,展開をした者の企

業努力の成果を収奪し,もってそのものの業務の遂行を阻害して業務を妨害するこ

となどを意図して出願し登録を受けたものであるから,公正な競業秩序を害し,公




序良俗に反するおそれのある商標に当たる。」と主張した。

これにつき,上記知財高裁判決は,
「・・・新インディアン社は,法的には旧イン

ディアン社との連続性は何らない会社である上,その従業員,営業組織,オートバ

イ製造の技術等,その他その具体的活動状況等に照らしても,
『Indian』商標

を付したオートバイを製造販売していた旧インディアン社を復活させたものと評価

することはできないのであり,原告は,何ら旧インディアン社と関係がない第三者

であるとの評価を免れず,このような原告が旧インディアン社と共通の「Indi

an Motocycle(インディアン モトサイクル) との部分を含む商号を


採択し,旧インディアン社の商標と同一又は類似のものである原告表示を使用して

も,旧インディアン社と離れて,
「Indian Motocycle」ないし原告

表示が,原告の略称として,ないしはその被服等の商品の出所が原告であることを

示すものとして,需要者,取引者の間に知られるようになっていたということはで

きない。そうであれば,同様の第三者である被告が,同様に旧インディアン社の商

標と類似のものである本件商標を出願しても,旧インディアン社との関係ではとも

かく,原告表示により展開されている原告の「Indian」商標のビジネスを妨

害するものとはいえないことも明らかである。すなわち,被告商標A〜Jの登録出

願,登録により,競合する被服等の分野において同一又は類似する被告商標A〜J

が登録出願を経て登録され,存在することによって,原告が原告表示を使用した「I

ndian」商標のビジネスに事実上の影響を被っているとしても,それは,原告

があえて旧インディアン社に依拠したビジネス展開を行ったことが招いた当然の結

果であるといわざるを得ず,被告の行為は自由競争の範囲内のものと評価され,原

告のビジネス展開を被告が妨害したものということはできない。したがって,本件

商標を含む被告商標A〜Jの登録出願が,原告による原告表示を付した「Indi

an」商標のビジネスを阻害し妨害する行為であるということはできず,そうであ

る以上,本件商標の出願をもって,原告の業務の遂行を阻害し業務を妨害する意図

でなされたものということもできない。以上によれば,本件商標が,法4条1項




号に該当するということはできない。」と判断した。



2(1) 今回の取消訴訟の対象となっている審決は,上記知財高裁判決の認定判断

に沿って,本件商標の法4条1項7号該当を否定したものであり,その認定証拠は

本件訴訟の甲476までの原告提出の証拠方法において共通している。

本件無効審判請求においては,証拠方法として甲477以下が追加提出されたこ

とから,審決は本件請求を法56条が準用する特許法167条の1事不再理に該当

しないと判断し,甲477〜486に基づき上記無効理由が成立するかを判断し,

これによっても法4条1項7号には該当しないと認定判断した。当裁判所も,本件

の前提となる事実は前記知財高裁判決及び審決がした事実認定のとおりであり,こ

の認定は甲477〜486によっても左右されないと認めるものであり(審決も同

旨の認定) したがって,
, 本件商標が法4条1項7号に該当するものではないと判断

する。

(2) なお,原告は,新インディアン社が旧インディアン社の正当な承継人であ

るとか,新インディアン社からライセンスを受けているという宣伝広告をしたこと

はなく,旧インディアン社に依拠したビジネス展開を行ったことはないと主張する。

しかし,原告は,平成8年7月22日付の繊研新聞において,
「伝説のブランド,復

活。」との見出しで,別紙1「原告商標目録」記載の原告商標aとともに,「190

1年5月,伝説のモーターサイクルは,マサチューセッツ州スプリングフィールド

で生まれた。などと旧インディアン社の設立経緯を説明した文章により広告を掲載


していることなどからすれば(甲58),客観的には,原告は,新インディアン社が

旧インディアン社の正当な承継人であるかのように振る舞っていたと認めることが

できる。また,甲477〜486(本件審判請求において提出された証拠のうち,

前審判事件では提出されていなかったもの)によって,原告の主張が裏付けられる

ものではなく,かえって,上記証拠からは,新インディアン社が「THE LEGEND

RETURNS」との見出しで「Indian」ロゴとともに米国の雑誌に広告を掲載し




たことが認められ,客観的に見れば,新インディアン社が旧インディアン社に依拠

した事業展開をしていたことを認めることができる。したがって,原告の上記主張

は,採用することができない。

また,原告は,かつて存在したが長きにわたり消滅したブランドを何人かが自ら

のブランドのイメージキャラクターとして採択する行為は,何人かが採択するまで

は自由競争の範囲内であって,何ら非難する余地のない行為であるが,何人かがこ

れを自己のブランドイメージキャラクターとして採択した後は自由競争ですますこ

とはできず,そのかつて存在したが消滅したブランドをイメージキャラクターとし

て採択し,その企業努力を傾注して市場に浸透させたときは,その企業努力の成果

は保護すべきものであって,その成果にただ乗りし,収奪し,企業努力を妨害する

行為は,反社会的な行為であり許されないと主張する。

しかし,原告が旧インディアン社に依拠した事業展開をしていたことは前記のと

おりであり,原告も,旧インディアン社の有する潜在的な周知性に訴えてその営業

上の信用を利用していたものである。原告は,自らのブランドのイメージキャラク

ターとしてかつてはオートバイのブランドとして周知であった「Indian」ブ

ランドを採択したと主張するが,原告は,上記のとおり,旧インディアン社の営業

上の信用を利用していたものであって,自らのブランドのイメージキャラクターと

して「Indian」ブランドを採択したとは到底認められない。原告の主張はそ

の前提を欠くものである。

そうすると,本件商標により,原告が原告表示を使用した「Indian」商標

のビジネスに事実上の影響を被っているとしても,それは,原告があえて旧インデ

ィアン社に依拠したビジネス展開を行ったことが招いた結果であり,原告に対する

関係でみれば,被告の行為は自由競争の範囲内にとどまり,原告のビジネス展開を

被告が妨害したものということはできず,本件商標の出願をもって,原告の業務の

遂行を阻害し業務を妨害する意図でなされたものということもできない。

(3) 他 に本件商標が法4条1項7号に該当することについての主張立証はな




く,これを否定した審決の判断に誤りはない。



第6 結論

以上より,原告の請求は理由がない。

よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。



知的財産高等裁判所第2部




裁判長裁判官

塩 月 秀 平




裁判官

真 辺 朋 子




裁判官

田 邉 実





平成24年(行ケ)第10173号判決別紙1

「原告商標」目録

登録第2710099号(原告商標a)




登録第4022987号(原告商標b)




登録4116047号(原告商標c)





平成24年(行ケ)第10173号判決別紙2

「被告商標」目録

登録第2634277号商標(被告商標A・本件商標)




登録第4751422号商標(被告商標B)




登録第4751423号商標(被告商標C)




登録第4751424号商標(被告商標D)




登録第4751425号商標(被告商標E)




登録第4751426号商標(被告商標F)




登録第4751427号商標(被告商標G)





登録第4751428号商標(被告商標H)




登録第4751429号商標(被告商標I)




登録第4751430号商標(被告商標J)





平成24年(行ケ)第10173号判決別紙3

「略語」目録

Indian ロゴ
A




ヘッドドレスロゴ
B




MOTOCYCLE ロゴ
C


MOTOCYCLE



Indian/Motocycle 商標
D





平成24年(行ケ)第10173号判決別紙4

「原告表示」目録

(Indian ロゴ)




(ヘッドドレスロゴ)




(Indian ロゴ+MOTOCYCLE)


MOTOCYCLE




MOTOCYCLE


(ヘッドドレスロゴ+MOTOCYCLE)


MOTOCYCLE