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関連ワード 進歩性(29条2項) /  優先権 /  国内優先権 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  審決確定(審決が確定) / 
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事件 平成 23年 (行ケ) 10322号 審決取消請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2012/03/07
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成24年3月7日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成23年(行ケ)第10322号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 平成24年2月29日

判 決

原 告 美 和 ロ ッ ク 株 式 会 社

同訴訟代理人弁理士 三 浦 光 康

被 告 株 式 会 社 後 藤 製 作 所

同訴訟代理人弁護士 橘 高 郁 文

主 文

1 特許庁が無効2010−800013号事件につい

て平成23年8月30日にした審決を取り消す。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

主文第1項と同旨

第2 事案の概要

本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,本件発明に係る特許を無効と

した本件審決の取消しを求める事案である。

1 本件訴訟に至る手続の経緯

(1) 原告は,平成14年8月5日,発明の名称を「ロータリーディスクタンブ

ラー錠及び鍵」とする特許出願(特願2002−226833号。国内優先権主張

日:平成13年10月15日)をし,平成19年9月7日,設定の登録(特許第4

008302号)を受けた(甲31)。以下,この特許を「本件特許」という。

(2) 被告は,平成22年1月20日,本件特許に係る発明の全てである請求項

1ないし3について特許無効審判を請求し,無効2010−800013号事件と

して係属したところ,特許庁は,平成22年11月8日,「特許第4008302




号の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする。」との審決をした。

(3) 原告は,これを不服として知的財産高等裁判所に上記審決の取消しを求め

る訴え(平成22年(行ケ)第10391号)を提起するとともに,平成23年1

月8日付けで特許庁に対する訂正審判請求をしたところ,同裁判所は,平成23年

2月7日,上記審決を取り消す旨の決定をし,同決定は確定した。

(4) 上記決定確定後の無効審判請求事件(無効2010−800013号事

件)において,原告は,平成23年3月4日付けで訂正請求をしたところ(甲4

0),特許庁は,平成23年8月30日,訂正を却下した上で,「特許第4008

302号の請求項1ないし3に係る発明についての特許を無効とする。」との本件

審決をし,同年9月8日,その謄本が原告に送達された。

なお,本件審決が無効とした特許の特許請求の範囲の記載は,別紙1のとおりで

ある。以下,請求項1ないし3記載の各発明を併せて,「本件発明」という。

訂正審判の確定(当事者間に争いがない。)

原告は,本件審決の取消しを求める本件訴訟が係属中の平成23年10月27

日,特許請求の範囲請求項1ないし3を訂正する審判を請求し,訂正2011−3

90118号事件として係属した(以下「本件訂正」という。)。

特許庁は,平成23年12月20日,本件訂正をすることを認める旨の審決を

し,同審決は確定した。

なお,本件訂正後の特許請求の範囲の記載は,別紙2のとおりであり,下線はそ

の訂正部分である。

第3 当事者の主張

〔原告の主張〕

本件特許を無効とする本件審決の取消訴訟の係属中に本件特許について特許請求

減縮を目的とする訂正審決が確定したのであるから,本件審決は,取り消されな

ければならない。

〔被告の主張〕




争う。

第4 当裁判所の判断

1 本件審決は,本件訂正前の特許請求の範囲請求項1ないし3の記載に基づい

て各請求項に係る発明を認定し,これを前提に特許法29条2項の規定に違反して

特許されたものと判断して,各請求項に係る発明についての特許を無効としたもの

であるが,本件審決の取消しを求める本件訴訟が係属中に,特許請求の範囲減縮

を含む本件訂正に係る審判が請求され,特許庁は本件訂正を認める審決をし,これ

が確定しているものである。

そうすると,本件審決は,結果として,請求項1ないし3について判断の対象と

なるべき発明の要旨の認定を誤ったこととなり,この誤りが各請求項についての審

決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。

2 結論

以上の次第であるから,本件審決は取り消されるべきものである。

なお,訴訟費用については,行政事件訴訟法7条,民訴法62条65条を適用

し,原告の負担とする。

知的財産高等裁判所第4部



裁判長裁判官 滝 澤 孝 臣




裁判官 部 眞 規 子




裁判官 齋 藤 巌





(別紙1)

【請求項1】内周面の母線に沿って横断面形状が略V字形のカム溝を形成した外筒

と,この外筒に回転自在に嵌合し,間隙を介して中心軸線方向に積層された複数の

仕切板を設けると共に,中心軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒と,この内筒の母

線に沿って延在し,内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に,

上記カム溝と係合する外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーと

を有し,上記仕切板の間の各スロットに,中央部に鍵孔を包囲し得る大きさの鍵挿

通孔を形成し,剛性を高めるため環状に成形したロータリーディスクタンブラーを

挿設し,その実体部の1ヵ所を,内筒を軸線方向に貫通する支軸に揺動可能に軸支

すると共に,鍵挿通孔を挟んで上記支軸と対峙するロータリーディスクタンブラー

の実体部であり,円弧の一部をなす自由端部外側端縁に解錠切欠を形成し,一方,

鍵挿通孔の開口端縁に,先端の移動軌跡が鍵孔に挿入された合鍵のブレードの平面

部又は端縁部と干渉する係合突起を一体に突設し,各ロータリーディスクタンブラ

ーをこの係合突起が合鍵に近接する方向に付勢すると共に,常態では内筒を軸線方

向に貫通するバックアップピンに係止し,他方,これらのタンブラー群の係合突起

の夫々が鍵孔に挿通された合鍵のブレードに形成された対応する窪みと係合したと

き,各ロータリーディスクタンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合

するようにし,以て,合鍵と一体的に内筒を回動させたさせたとき,カム溝とロッ

キングバーとの間に生じる楔作用によりロッキングバーを内筒中心軸方向に移動さ

せ,内筒を外筒に対し相対回動できるようにしたことを特徴とするロータリーディ

スクタンブラー錠

【請求項2】内周面の母線に沿って横断面形状が略V字形のカム溝を形成した外筒

と,この外筒に回転自在に嵌合し,間隙を介して中心軸線方向に積層された複数の

仕切板を設けると共に,中心軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒と,この内筒の母

線に沿って延在し,内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に,

上記カム溝と係合する外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーと




を有し,上記仕切板の間の各スロットに,中央部に鍵孔を包囲し得る大きさの鍵挿

通孔を形成し,剛性を高めるため環状に成形したロータリーディスクタンブラーを

挿設し,その実体部の1ヵ所を,内筒を軸線方向に貫通する支軸に揺動可能に軸支

すると共に,鍵挿通孔を挟んで上記支軸と対峙するロータリーディスクタンブラー

の実体部であり,円弧の一部をなす自由端部外側端縁に解錠切欠を形成し,一方,

鍵挿通孔の開口端縁に,先端の移動軌跡が鍵孔に挿入された合鍵のブレードの平面

部又は端縁部と干渉する係合突起を一体に突設し,各ロータリーディスクタンブラ

ーをこの係合突起が合鍵に近接する方向に付勢すると共に,常態では内筒を軸線方

向に貫通するバックアップピンに係止し,他方,これらのタンブラー群の係合突起

の夫々が鍵孔に挿通された合鍵のブレードに形成された対応する窪みと係合したと

き,各ロータリーディスクタンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合

するようにしたロータリーディスクタンブラー錠の合鍵であって,鍵孔に挿入され

たときロータリーディスクタンブラーの係合突起の先端と整合するブレードの部位

に,有底で所定の深さの摺り鉢形の窪みを形成し,この窪みが対応する係合突起と

係合したとき,各ロータリーディスクタンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内

側縁と整合するようにし,以て,合鍵と一体的に内筒を回動させたさせたとき,カ

ム溝とロッキングバーとの間に生じる楔作用によりロッキングバーを内筒中心軸方

向に移動させ,内筒を外筒に対し相対回動できるようにしたことを特徴とするロー

タリーディスクタンブラー錠用の鍵

【請求項3】上記ロータリーディスクタンブラーを捩りコイルばねによって付勢す

るようにしたことを特徴とする請求項1記載のロータリーディスクタンブラー錠





(別紙2)

【請求項1】内周面の母線に沿って横断面形状が略V字形のカム溝を形成した外筒

と,この外筒に回転自在に嵌合し,間隙を介して中心軸線方向に積層された複数の

仕切板を設けると共に,中心軸線に沿って鍵孔4を貫通させた内筒と,この内筒の

母線に沿って延在し,内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共

に,上記カム溝と係合する外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバ

ーとを有し,上記仕切板の間の各スロットに,中央部に前記内筒の中心軸線に関し

て点対称に形成された鍵孔を包囲し得る大きさの鍵挿通孔26を形成した環状ロー

タリーディスクタンブラーを挿設し,その実体部の1ヵ所を,内筒を軸線方向に貫

通する支軸に揺動可能に軸支すると共に,鍵挿通孔を挟んで上記支軸と対峙するロ

ータリーディスクタンブラーの実体部であり,円弧の一部をなす自由端部外側端縁

に解錠切欠を形成し,一方,鍵挿通孔の開口端縁に,先端の移動軌跡が鍵孔に挿入

されたリバーシブルである合鍵のブレードの平面部と干渉する係合突起を一体に突

設し,各ロータリーディスクタンブラーをこの係合突起が合鍵に近接する方向に付

勢すると共に,常態では内筒を軸線方向に貫通するバックアップピンに係止し,他

方,これらのタンブラー群の突出量が一定である前記係合突起の夫々が鍵孔に挿通

された合鍵のブレードの平面部に形成された対応する有底で複数種類の大きさと深

さを有する摺り鉢形の窪みと係合したとき,該タンブラー群が前記摺り鉢形の窪み

の深さやブレードの幅方向の位置に対応して揺動角度が変わることにより,各ロー

タリーディスクタンブラーの解錠切欠がロッキングバーの内側縁と整合するように

し,以て,合鍵と一体的に内筒を回動させたさせたとき,カム溝とロッキングバー

との間に生じる楔作用によりロッキングバーを内筒中心軸方向に移動させ,内筒を

外筒に対し相対回動できるようにしたことを特徴とするロータリーディスクタンブ

ラー錠

【請求項2】内周面の母線に沿って横断面形状が略V字形のカム溝を形成した外筒

と,この外筒に回転自在に嵌合し,間隙を介して中心軸線方向に積層された複数の




仕切板を設けると共に,中心軸線に沿って鍵孔を貫通させた内筒と,この内筒の母

線に沿って延在し,内筒の外周部において半径方向に移動可能に案内されると共に,

上記カム溝と係合する外側縁が外方に突出する方向に付勢されたロッキングバーと

を有し,上記仕切板の間の各スロットに,中央部に前記内筒の中心軸線に関して点

対称に形成された鍵孔を包囲し得る大きさの鍵挿通孔26を形成した環状ロータリ

ーディスクタンブラーを挿設し,その実体部の1ヵ所を,内筒を軸線方向に貫通す

る支軸に揺動可能に軸支すると共に,鍵挿通孔を挟んで上記支軸と対峙するロータ

リーディスクタンブラーの実体部であり,円弧の一部をなす自由端部外側端縁に解

錠切欠を形成し,一方,鍵挿通孔の開口端縁に,先端の移動軌跡が鍵孔に挿入され

たリバーシブルである合鍵のブレードの平面部と干渉する係合突起を一体に突設し,

各ロータリーディスクタンブラーをこの係合突起が合鍵に近接する方向に付勢する

と共に,常態では内筒を軸線方向に貫通するバックアップピンに係止し,他方,こ

れらのタンブラー群の係合突起の夫々が鍵孔に挿通された合鍵のブレードに形成さ

れた対応する窪みと係合したとき,各ロータリーディスクタンブラーの解錠切欠が

ロッキングバーの内側縁と整合するようにしたロータリーディスクタンブラー錠の

合鍵であって,鍵孔に挿入されたときロータリーディスクタンブラーの突出量が一

定である前記係合突起の先端と整合するブレードの平面部に,有底で複数種類の大

きさと深さの摺り鉢形の窪みを形成し,この窪みが対応する前記係合突起と係合し

たとき,該タンブラー群が前記摺り鉢形の窪みの深さやブレードの幅方向の位置に

対応して揺動角度が変わることにより,各ロータリーディスクタンブラーの解錠切

欠がロッキングバーの内側縁と整合するようにし,以て,合鍵と一体的に内筒を回

動させたさせたとき,カム溝とロッキングバーとの間に生じる楔作用によりロッキ

ングバーを内筒中心軸方向に移動させ,内筒を外筒に対し相対回動できるようにし

たことを特徴とするロータリーディスクタンブラー錠用の鍵

【請求項3】上記ロータリーディスクタンブラーを捩りコイルばねによって付勢す

るようにしたことを特徴とする請求項1記載のロータリーディスクタンブラー錠