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関連ワード 進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  周知技術 /  公知技術 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 / 
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事件 平成 16年 (行ケ) 59号 審決取消請求事件
原告 日本電気株式会社
原告 九州電力株式会社
両名訴訟代理人弁護士 新保克芳
両名訴訟代理人弁理士 鈴木康夫
同 臼田保伸
被告 朝日航洋株式会社
訴訟代理人弁理士 田中常雄
被告 オプテック・インコーポレイテッド
訴訟代理人弁護士 大野聖二
訴訟代理人弁理士 田中久子
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/09/28
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が無効2002−35489号事件について平成16年1月7日にした審決中,特許第3179254号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とするとの部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
全容
1 原告らの請求 (1) 主文1項と同旨。
(2) 訴訟費用は被告らの負担とする。
2 当事者間に争いのない事実 (1) 特許庁における手続の経緯 原告らは,発明の名称を「接近樹木離隔検出装置」とする特許第3179254号の特許(平成5年8月3日特許出願,平成13年4月13日設定登録,以下「本件特許」という。請求項の数は2である。)の特許権者である。
本件特許に対し,請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)につき,無効審判の申立てがあり,特許庁は,この申立てを,無効2002-35489号事件として審理した。原告らは,この審理の過程で,平成15年3月24日,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正の請求をした。特許庁は,上記事件につき審理し,その結果,平成16年1月7日,この訂正を認めた上で(以下「本件第1訂正」という。),「特許第3179254号の請求項1に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決をし,同年1月19日にその謄本を原告らに送達した。
(2) 審決の理由 要するに,本件発明は,公知技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定に該当し,無効とされるべきものである,ということである。
(3) 訂正審判の確定 原告らは,本訴係属中に,本件特許の出願に係る願書に添付した明細書の訂正をすることについて審判を請求した。特許庁は,これを訂正2004-39085号事件として審理し,その結果,平成16年7月15日に訂正(以下「本件第2訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。
3 本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲 「【請求項1】測距光軸を走査する機能を有したレーザ測距装置部と,前記レーザ測距装置部から出力される距離データ,及び走査光学系のスキャン角度データを記録する記録部と,前記レーザ測距装置部及び前記記録部を制御する制御部と,前記記録部によって記録された距離データ,スキャン角度データを処理し,送電線と前記送電線に接近する障害物間の離隔距離データを出力するデータ処理解析部とを有し,前記レーザ測距装置,記録部,制御部をヘリコプターに搭載し,前記ヘリコプターの機軸方向を含め互いに直交する3軸方向についての前記ヘリコプターの平行運動データ及び前記3軸を中心とした回転運動データを取得するためのジャイロ加速度計部を有し,前記データ処理解析部において処理される測定点の位置を前記平行運動データ及び回転運動データにより補正することを特徴とする接近樹木離隔検出装置。」 4 本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲(下線部が本件第1訂正後のものと比較した場合の訂正箇所である。) 【請求項1】測距光軸を走査する機能を有し,スキャナ による レーザ 測距光軸の振れ角をθ,1フレーム 当たりの データ 数をDとしたとき ,走査 する レーザビームをθ/D 以上 の広がり 角で照射 することにより ,前記 レーザ 測距光軸 の走査軌跡 に沿って 抜けなく 前記 レーザビーム を照射 する レーザ測距装置部と,前記レーザ測距装置部から出力される距離データ,及び走査光学系のスキャン角度データを記録する記録部と,前記レーザ測距装置部及び前記記録部を制御する制御部と,前記記録部によって記録された距離データ,スキャン角度データを処理し,送電線と前記送電線に接近する障害物間の離隔距離データを出力するデータ処理解析部とを有し,前記レーザ測距装置,記録部,制御部をヘリコプターに搭載し,前記ヘリコプターの機軸方向を含め互いに直交する3軸方向についての前記ヘリコプターの平行運動データ及び前記3軸を中心とした回転運動データを取得するためのジャイロ加速度計部を有し,前記レーザ 測距光軸 を前記 ヘリコプター の機軸 に垂直 な面内 で走査 しながら ,前記振 れ角と前記 ヘリコプター の飛行経路 によって 作られる 面内 を前記広がり 角に相当 する 面分解能 で前記 レーザビーム を照射 することにより 取得 され ,前記データ処理解析部において処理される前記距離データ 及びスキャン 角度 データを,該距離 データ 及びスキャン 角度 データ の取得 と並行 して 取得 される 前記平行運動データ及び回転運動データで補正することにより,前記 フレーム をつなぎ 合わせて前記送電線下 の状況 の3次元画像 を作成 し,前後 のフレーム も含めて 送電線 のある点からの 最接近位置 を検出 できるようにした ことを特徴とする接近樹木離隔検出装置。」 5 当裁判所の判断 上記当事者間に争いのない事実によれば,本件第2訂正前の特許の請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲)の請求項1の記載に基づき,その発明を認定し,これを前提に,特許法29条2項の規定に違反して登録された特許であることを理由に,請求項1に係る発明につき本件特許を無効とした審決の取消しを求める訴訟の係属中に,当該特許に係る特許請求の範囲減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁が,これを認める審決(本件訂正審決)をし,これが確定したということができる。
審決は,これにより,結果として,上記請求項1について判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,審決は,上請求項1につき,取消しを免れない。
6 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告らに負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 佐藤久夫
裁判官 設樂隆一
裁判官 若林辰繁