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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20ワ30272損害賠償請求事件 判例 特許
関連ワード 冒認出願(冒認) /  特許を受ける権利 /  承継 /  発明者 /  考案者 /  協議 /  創作性(創作) /  秘密保持義務 /  共同開発 /  共同発明 /  公知技術 /  技術情報 /  共有 /  着想 /  時効 /  ライセンス /  登録実用新案 /  援用権(援用) /  存続期間 /  置き換え /  特許発明 /  実施 /  侵害 /  損害額 /  不法行為(民法709条) /  共同発明者 /  同意 /  設定登録 /  移転登録 /  73条2項 /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 22年 (ワ) 48102号 特許権移転登録等請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 東京地方裁判所 
判決言渡日 2012/01/27
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
判例全文
判例全文
平成24年1月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成22年(ワ)第48102号 特許権移転登録等請求事件

口頭弁論終結日 平成23年11月16日

判 決

東京都台東区<以下略>

原 告 株 式 会 社 ベ セ ル

同所

原 告 X

上記2名訴訟代理人弁護士 冨 宅 恵

西 村 啓

東京都中央区<以下略>

被 告 デ ン カ 生 研 株 式 会 社

同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 木 ア 孝

森 岡 誠

主 文

1 原告らの請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

1 主位的請求

(1) 被告は,原告株式会社ベセル(以下「原告ベセル」という。)に対し,別

紙知的財産権目録記載3の特許権につき,持分2分の1の移転登録手続をせ

よ。

(2) 被告は,原告ベセルに対し,3000万円及びこれに対する平成23年1

月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3) 被告は,原告X(以下「原告X」という。)に対し,200万円及びこれ



1
に対する平成23年1月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を

支払え。

2 予備的請求

(1) 上記1(1)に同じ。

(2) 上記1(2)に同じ。

(3) 上記1(3)に同じ。

第2 事案の概要

1 本件は,原告らが,被告の出願及び登録に係る別紙知的財産権目録記載1の

実用新案権(平成13年6月20日登録,平成18年6月20日抹消。以下「本

件実用新案権1」といい,その実用新案登録請求の範囲【請求項1】〜【請求

項4】の各考案を総称して「本件考案1」,本件考案1に係る実用新案登録を

「本件実用新案登録1」という。),同2の実用新案権(平成14年7月3日

登録,平成20年3月20日抹消。以下「本件実用新案権2」といい,その実

用新案登録請求の範囲【請求項1】〜【請求項6】の各考案を総称して「本件

考案2」,本件考案2に係る実用新案登録を「本件実用新案登録2」という。)

及び同3の特許権(平成18年9月1日登録。以下「本件特許権」といい,そ

の特許請求の範囲【請求項1】〜【請求項12】の各発明を総称して「本件発

明」,本件発明に係る特許を「本件特許」という。また,本件発明と本件考案

1,2を併せて「本件発明等」,本件特許権と本件実用新案権1,2を併せて

「本件特許権等」という。)の真の考案者発明者は原告Xであり(主位的に,

原告Xの単独考案,単独発明であると主張し,予備的に,被告担当者との共同

考案,共同発明であると主張する。),原告Xは被告に対し,@本件特許権の

移転登録手続請求権(以下「本件移転登録手続請求権」という。),A本件特

許権等の実施に係る利益の不当利得返還請求権及びB発明者名誉権(考案者

名誉権を含む。以下同じ。)の侵害に基づく損害賠償請求権を有するところ,

原告ベセルは原告Xから前記@,Aの権利を譲り受けたと主張して,被告に対



2
し,それぞれ次のとおり請求する事案である。

(1) 原告ベセルの請求

ア 主位的請求

(ア) 本件移転登録手続請求権に基づく,本件特許権につき持分2分の1の

移転登録手続請求(一部請求)

(イ) 不当利得返還請求権に基づく,平成14年7月1日から平成18年6

月30日までの間,被告が本件発明等の実施品を販売して得た利益2億

4000万円のうち,本件発明等がもたらした利益6000万円(貢献

度25%)のうち3000万円及びこれに対する平成23年1月28日

(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による

遅延損害金の支払請求(一部請求)

イ 予備的請求

(ア) 本件移転登録手続請求権に基づく,本件特許権につき持分2分の1の

移転登録手続請求

(イ) 不当利得返還請求権に基づく,平成14年7月1日から平成18年6

月30日までの間,被告が本件発明等の実施品を販売して得た利益2億

4000万円のうち,本件発明等がもたらした利益6000万円(貢献

度25%)に原告の貢献度50%を乗じた3000万円及びこれに対す

る平成23年1月28日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所

定の年5分の割合による遅延損害金の支払請求

(2) 原告Xの請求

ア 主位的請求

不法行為(単独の発明者考案者としての発明者名誉権の侵害)に基づ

く精神的損害(慰謝料)200万円及びこれに対する平成23年1月28

日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による

遅延損害金の支払請求



3
イ 予備的請求

不法行為共同発明者,共同考案者としての発明者名誉権の侵害)に基

づく精神的損害(慰謝料)200万円及びこれに対する平成23年1月2

8日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合によ

る遅延損害金の支払請求

2 前提事実(証拠等を掲げたもののほかは,当事者間に争いがない。)

(1) 当 事 者

ア 原告ベセルは,医療用機械,器具の製造販売等を業とする株式会社

であり,原告Xはその代表取締役である。

イ 被告は,生物学的製剤及び医薬品の製造販売等を業とする株式会社

である。

(2) 被 告 に よ る イ ン フ ル エ ン ザ 診 断 用 デ バ イ ス の 開 発 と 原 告 ら の 関 与

被 告 は ,平 成 1 2 年 3 月 頃 ,イ ン フ ル エ ン ザ 診 断 用 デ バ イ ス( 以 下「 本

件デバイス」という。)の開発に際し,ハウジング(本件デバイスのう

ち,メンブレンや吸収体を収容するためのプラスチック容器)の試作及

び量産化を原告ベセルに依頼した(以下「本件依頼」という。ただし,

本 件 依 頼 の 内 容 が ,本 件 デ バ イ ス 全 体 の 共 同 開 発 に ま で 及 ん で い た か〔 原

告らの主張〕,被告の設計内容に従った試作品の制作,量産化のための

金型製作及びハウジングの量産にとどまっていたか〔被告の主張〕は,

当事者間に争いがある。)。

(3) 秘 密 保 持 契 約 の 締 結

原告ベセルと被告は,本件依頼に関し,平成12年3月29日,下記

内容(当事者の表示を本件判決の表示に置き換え,表記を一般的な表記

法 に 改 め た ほ か は ,原 文 の と お り 記 載 し た 。)の 秘 密 保 持 契 約( 以 下「 本

件秘密保持契約」という。)を締結した。





4
(目的)

第1条 被告及び原告ベセルは,被告が所有するインフルエンザ試薬の

ハウジングについて検討(以下,本検討という。)を行うために,それ

ぞれが持つ技術情報を相互に開示する。

(秘密保持)

第2条 被告及び原告ベセルは,相手方から文書あるいは口頭により提

供あるいは開示された資料,情報及びその他関連して知り得た相手方の

秘密事項及び本検討で知り得た相手方の技術上・業務上の情報及び本検

討の内容,成果について秘密を保持するものとし,相手方の事前の書面

による同意を得た場合を除き第三者に開示又は漏洩してはならない。

ただし,次の各号の一に該当するものはこの限りでない。

@開示を受けた時点において,既に公知,公用であった情報等

A開示を受けた時点において,既に自ら所有していた情報等

B開示を受けた後,被告,原告ベセルの責に帰することのできない事由

により公知,公用となった情報等

C開示を受けた後,第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に入手

した情報等

(工業所有権)

第6条 被告及び原告ベセルは,相手から開示された本情報などに基づ

き発明・考案・発見・着想その他創作をなした場合には,相手方に通知

し,その取扱いを協議するものとする。

(4) 本 件 発 明 等 の 出 願 等 の 経 緯

ア 本件考案1

被 告 は ,平 成 1 3 年 3 月 1 日 ,特 許 庁 長 官 に 対 し ,考 案 者 を 被 告 従 業

員 で あ る A と し て 本 件 考 案 1 の 実 用 新 案 登 録 出 願 を し た( 以 下「 本 件 実

用新案登録出願1」という。)。



5
平 成 1 3 年 6 月 2 0 日 ,本 件 考 案 1 は ,設 定 の 登 録 が さ れ た( そ の 登

録実用新案公報を別紙として添付する。)。

平 成 1 9 年 3 月 7 日 ,本 件 考 案 1 は ,平 成 1 8 年 6 月 2 0 日 第 6 年 分

登録料不納を原因として,抹消の登録がされた。

イ 本件考案2

被 告 は ,平 成 1 4 年 3 月 2 0 日 ,特 許 庁 長 官 に 対 し ,考 案 者 を 被 告 従

業 員 で あ る B と し て 本 件 考 案 2 の 実 用 新 案 登 録 出 願 を し た( 以 下「 本 件

実用新案登録出願2」という。)。

平 成 1 4 年 7 月 3 日 ,本 件 考 案 2 は ,設 定 の 登 録 が さ れ た( そ の 登 録

実用新案公報を別紙として添付する。)。

平 成 2 0 年 6 月 4 日 ,本 件 考 案 2 は ,平 成 2 0 年 3 月 2 0 日 存 続 期 間

満了を原因として,抹消の登録がされた。

ウ 本件発明

被 告 は ,平 成 1 4 年 6 月 2 7 日 ,特 許 庁 長 官 に 対 し ,発 明 者 を い ず れ

も 被 告 従 業 員 で あ る C ,D ,E ,F 及 びA と し て 本 件 発 明 の 特 許 出 願 を

した(以下「本件特許出願」という。)。

本 件 特 許 出 願 は ,平 成 1 8 年 8 月 2 日 特 許 査 定 が さ れ ,同 年 9 月 1 日

設定の登録がされた(その特許公報を別紙として添付する。)。

3 争点

(1) 原告Xは本件発明等の発明者考案者か(争点1)

(2) 本件特許権に係る移転登録手続請求の可否(争点2)

(3) 本件発明等の実施に係る不当利得返還請求の可否(争点3)

(4) 発明者名誉権侵害の成否と損害額(争点4)

4 争点に関する当事者の主張

(1) 争点1(原告Xは本件発明等の発明者考案者か)について

〔原告らの主張〕



6
共同開発の経緯と本件発明等の完成

平成12年3月当時,インフルエンザ検査器の開発を行おうとしていた

被告は,同月8日,ワットマンジャパン株式会社(以下「ワットマンジャ

パン」という。)から原告ベセルを紹介され(甲1),翌9日,原告ベセ

ルに対し,開発担当者を原告Xとする本件デバイスの共同開発の提案を行

い(甲2),原告ベセルはこれを承諾した。以後,原告ベセルと被告は本

件秘密保持契約を締結するとともに,原告Xは,被告の提案に基づいて本

件デバイスの設計と改良を重ね(甲3,4,6〜51),平成13年8月

7日,原告Xが作成したアダプター及びデバイスの図面(甲52。以下「甲

52図面」という。)を被告が了承したことをもって,本件発明等が完成

した。

イ 本件発明等の発明者考案者が原告Xであること

本件発明等の特徴的部分及びこれに対する原告Xの創作的関与は,次の

とおりである。

(ア) 本件発明等の特徴的部分

本件発明等の特徴的部分は,それぞれ別紙1〜3記載のとおりである

(以下「技術要素○」とあるのは,それぞれ別紙1〜3記載のものを

指す。)。

(イ) 原告Xの創作的関与

a 本件発明

(a) 請求項1

@ 技術要素B

技術要素Bは,「メンブレンの孔径または保留粒子径が,濾過

フィルターの孔径または保留粒子径以上」であるところ,被告は,

平成12年3月28日,メンブレンの検討材料としてワットマン

ジャパン製ニトロセルロースメンブレン(ポアサイズ3?)を提



7
案した(甲3)。そして,被告は,平成12年7月25日,原告

ベセルに対し,同ニトロセルロースメンブレン(ポアサイズ3?)

を提供した(甲59)。

ところが,原告Xが平成12年7月27日,株式会社ニッポン

ジーン(以下「ニッポンジーン」という。)に対し,被告提供の

前記メンブレンを用いたところ,静電気発生によるゴミの付着,

セパレーターからはがす際に折れ破れが発生する欠点が存在する

ことが明らかになった(甲61)。また,原告がニッポンジーン

に対して同社製のニトロセルロースメンブレンの採用を打診して

いたところ,平成12年7月24日にニッポンジーンから,原告

ベセルにおいて採用しているニトロセルロースメンブレンを前提

に検討を行うべくアドバイスを受けていた(甲60)。

そこで,原告Xは,メンブレンの孔径又は保留粒子径が,濾過

フィルターの孔径又は保留粒子径以上であるという条件を満たす

メンブレンを創り上げた(甲62)。

A 技術要素C

技術要素Cは,「濾過フィルターの孔径または保留粒子径が0.

45?以上」であるところ,当該技術要素につき,被告から原告

Xに対して行われた指示は,「中栓の組立て(濾紙3枚の充填)

20万個」のみである(甲16)。

原告Xは,被告から本件特許発明の目的を伝えられていた(甲

3)ところ,粘性物や凝集物によるフィルターの目詰まりを防止

するために,被告に対し,上記技術要素を備える濾過フィルター

を提案した(甲63)。

B 技術要素D

技術要素Dは,「該濾過フィルターが,ガラス繊維フィルター,



8
またはガラス繊維フィルターとニトロセルロースフィルターの組

み合わせ」であるところ,当該技術要素につき,被告から原告X

に対して行われた指示は,「中栓の組立て(濾紙3枚の充填)2

0万個」のみである(甲16)。

原告Xは,被告から本件特許発明の目的を伝えられていた(甲

3)ところ,本件特許発明の目的を達する濾過フィルターの材質

として,ガラス繊維フィルター,又はガラス繊維フィルターとニ

トロセルロースフィルターの組合せを採用するように提案した

(甲63)。

(b) 請求項2

請求項2固有の特徴的部分は「濾過フィルターの孔径または保留

粒子径が0.45〜2.0?である」との部分であるところ,原告

Xが被告に対して濾過フィルターを提供する経緯については前記

(a)Aのとおりである。

そして,原告Xは,濾過フィルターの孔径又は保留粒子径が大き

すぎることにより,人から採取される粘性物や凝集物が透過し,検

体が存在しないにもかかわらず,メンブレン上において陽性反応を

示すことがあることを考慮し,これを排除するために,被告に対し,

濾過フィルターの孔径又は保留粒子径を2.0?以下とすることを

提案した(甲63)。

(c) 請求項3

請求項3固有の特徴的部分は,「濾過フィルターが,検体試料用

濾過チューブに取り付けられている」ことにあるところ,被告から

なされた指示はアッセイ法のフローチャートのみであり(甲3),

原告Xは,平成12年7月,上記指示を受け,検体試料用濾過チュ

ーブに濾過フィルターを取り付ける方法を採用することとした(甲



9
17の1枚目第3項)。

(d) 請求項4

請求項4固有の特徴的部分は,「メンブレンの材質が,不織布,

紙,ニトロセルロース,ガラス繊維,シリカ繊維,セルロースエス

テル,ポリエーテルスルホン,ポリスルホン,四フッ化エチレン樹

脂,フッ化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート,ポリプロピレン,

ポリアミド,ナイロン6,6及びセルロースエステルとニトロセル

ロースの混合物からなる群より選ばれる」であるところ,原告Xが

メンブレンを提案する経緯については前記(a)@のとおりである。

そして,原告Xは,被告に対し,上記メンブレンの材質として,

不織布,紙,ニトロセルロース,ガラス繊維,シリカ繊維,セルロ

ースエステル,ポリエーテルスルホン,ポリスルホン,四フッ化エ

チレン樹脂,フッ化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート,ポリプロ

ピレン,ポリアミド,ナイロン6,6及びセルロースエステルとニ

トロセルロースの混合物からなる群より選択することができること

を提案し説明した(甲60)。

(e) 請求項5

請求項5固有の特徴的部分は,「(ニトロセルロースのメンブレ

ンの)孔径が0.45〜10?である」との部分であるところ,原

告Xがメンブレンを提案する経緯については前記(a)@のとおりで

ある。

そして,原告Xは,被告に対し,請求項4固有の特徴的部分であ

るメンブレンにつき,メンブレンの孔径が小さいことにより目詰ま

りを起こし,溶液中の成分移動を阻害することを防止するために,

孔径を0.45?以上とすること,上限値については一般的なメン

ブレン同様10?とすることを提案した(甲63)。



10
(f) 請求項6

請求項6固有の特徴的部分はなく,請求項1〜5については前記

(a)〜(e)のとおりである。

(g) 請求項7

請求項7の特徴的部分は技術要素A〜C(請求項1の技術要素B

〜Dに同じ。)であり,原告Xの創作的関与については前記(a)@〜

Bのとおりである。

(h) 請求項8

請求項8固有の特徴的部分はなく,請求項7については前記(g)

のとおりである。

(i) 請求項9

請求項9固有の特徴的部分はなく,請求項7については前記(g)

のとおりである。

(j) 請求項10

請求項10固有の特徴的部分は,「メンブレンの材質が,不織布,

紙,ニトロセルロース,ガラス繊維,シリカ繊維,セルロースエス

テル,ポリエーテルスルホン,ポリスルホン,四フッ化エチレン樹

脂,フッ化ビニリデン樹脂,ポリカーボネート,ポリプロピレン,

ポリアミド,ナイロン6,6及びセルロースエステルとニトロセル

ロースの混合物からなる群より選ばれる」であり(請求項4の特徴

的部分に同じ。),これに対する原告Xの創作的関与は前記(d)のと

おりである。

(k) 請求項11

請求項11固有の特徴的部分は,「(ニトロセルロースのメンブ

レンの)孔径が0.45〜10?である」の部分であり(請求項5

の特徴的部分に同じ。),原告Xの創作的関与は前記(e)のとおりで



11
ある。

(l) 請求項12

請求項12固有の特徴的部分はなく,請求項7〜11については

前記(g)〜(k)のとおりである。

b 本件考案1

(a) 請求項1

@ 技術要素A

技術要素Aのうち,「2種類以上の目標リガンドの受容体を隔

離して固定する」ことが特徴的部分であるところ,原告Xは,平

成13年2月頃,被告に対し,1つの装置において2種類の検体

を検出する装置の提案を行った(甲35)。

なお,甲35は,平成13年3月13日に原告Xによって作成

されたものであるが,上記原告Xの提案を前提に,被告において

打合せを行った内容を書きとめたメモ書である。

また,原告Xと被告は,前記原告Xの提案を受けて,平成13

年3月13日以降,上記技術要素を設計書レベルに落とし込むた

めの打合せを行った(甲36〜44)。

A 技術要素B

技術要素Bの特徴的部分は,「デバイス(1)の上面には,下

端部(6)に受け口(6´)を有する凹部(5)が設けられ」て

いる形状にあるところ,かかる形状は,被告からメンブレンアッ

セイ法によるウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),原

告Xが創作したものである(甲9〜13,17,18,21,2

2,26)。

B 技術要素C

技術要素Cの特徴的部分は,「アダプタ(2)は,形状が前記



12
凹部(5)に対応していてそこに位置し隔壁(10)により区分

された複数個の漏斗状部分(7)及び突出下端部(8)を有し突

出下端部(8)には中央部に開口部(9)が設けられ」ている形

状にあるところ,かかる形状は,被告からメンブレンアッセイ法

によるウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが

創作したものである(甲9〜13,17,18,21,22,2

6)。

C 技術要素D

技術要素Dの特徴的部分は,「開口部(9)は前記膜部材(4)

の2種類以上の目標リガンドの受容体を隔離して固定するための

部位に対応して」いる形状にあるところ,技術要素A記載の「2

種類以上の目標リガンドの受容体を隔離して固定する」技術を採

用することにより,必然的に決定づけられる技術要素である。

このことから,技術要素Dについても,技術要素Aの特徴的部

分の創作を行った原告Xによる創作となる。

D 技術要素E

技術要素Eは,「アダプタ(2)は,その突出下端部(8)を

デバイス(1)の受け口(6´)にスナップ嵌めすることによっ

てデバイス(1)に取り付けられて」いる形状であるところ,か

かる形状は,被告からメンブレンアッセイ法によるウイルス検査

装置の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作したものである

(甲9〜13,17,18,21,22,26)。

E 技術要素F

技術要素Fは,「隔壁(10)の最大高さはアダプタ(2)の

最大高さより低く構成されている」形状であるところ,かかる形

状は,被告からメンブレンアッセイ法によるウイルス検査装置の



13
開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作したものである(甲9

〜13,17,18,21,22,26)。

(b) 請求項2

請求項2の特徴的部分は請求項1と同じであり,原告Xの創作

関与は前記(a)のとおりである。

(c) 請求項3

請求項3固有の特徴的部分はなく,請求項1,2については前記

(a),(b)のとおりである。

(d) 請求項4

請求項4固有の特徴的部分はなく,請求項3については前記(c)

のとおりである。

c 本件考案2

(a) 請求項1

請求項1の特徴的部分は,技術要素Bのうち,「前記検出が適切

に行われたかどうかを判定するための穴の膜部材に接触する下部開

口面積(S1)より,上部開口面積(S2)の方が大きい」形状に

あるところ,かかる形状は,被告からメンブレンアッセイ法による

ウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作した

ものである(甲35,36)。

(b) 請求項2

請求項2固有の特徴的部分は,「検出が適切に行われたかどうか

を判定するための穴の内周壁が,前記穴が上方に向かって拡開する

ように一部傾斜または全て傾斜している」形状にあるところ,かか

る形状は,被告からメンブレンアッセイ法によるウイルス検査装置

の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作したものである(甲3

5,36)。



14
(c) 請求項3

請求項3の特徴的部分は,「検出が適切に行われたかどうかを判

定するための穴の内周壁の傾斜部分の最大傾斜角が下部底面に対し

て20°以上70°以下の範囲内」という形状にあるところ,かか

る形状は,被告からメンブレンアッセイ法によるウイルス検査装置

の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作したものである(甲3

5,36)。

(d) 請求項4

請求項4の特徴的部分は,「検出が適切に行われたかどうかを判

定するための穴の下部開口面積(S1)に対する上部開口面積(S

2)の比率(S2/S1)が3〜80」という形状であるところ,

かかる形状は,被告からメンブレンアッセイ法によるウイルス検査

装置の開発依頼を受けて(甲3) 原告Xが創作したものである
, (甲

35,36)。

(e) 請求項5

請求項5の特徴的部分は,「検出が適切に行われたかどうかを判

定するための穴の下部開口面積が1〜1.5?の範囲内」の形状で

あるところ,かかる形状は,被告からメンブレンアッセイ法による

ウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作した

ものである(甲35,36)。

(f) 請求項6

請求項6の特徴的部分は,「検出が適切に行われたかどうかを判

定するための穴の高さが0.5〜1.5oの範囲内」の形状にある

ところ,かかる形状は,被告からメンブレンアッセイ法によるウイ

ルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),原告Xが創作したもの

である(甲35,36)。



15
(ウ) 以上のとおり,原告Xは本件発明等を単独で発明,考案した。

仮に被告担当者との共同発明であったとしても,原告Xの貢献度が5

0%を下回ることはない。

〔被告の主張〕

共同開発の経緯と本件発明等の完成に対し

平成12年3月当時,被告がインフルエンザ検査器の開発を行おうとし

ていたこと,同月8日,被告がワットマンジャパンから原告ベセルを紹介

されたことは認め,その余は争う。

被告が原告ベセルに依頼したのは,本件デバイスのうちハウジングの試

作品の製作,量産化のための金型の製造及びハウジングの量産であって,

本件デバイス全体についての共同開発の提案など行っていない。原告Xが

担当したのも上記の限度にとどまっており,同人は本件発明等の特徴的部

分の創作には何ら関与していない。

イ 本件発明等の発明者考案者が原告Xであることに対し

(ア) 本件発明について

a 特徴的部分につき

請求項1の発明の特徴的部分についての原告らの主張は争う。請求

項1の発明の特徴的部分は,技術要素B,C,Dの組合せにあり,各

技術要素は公知であった。

請求項2,4〜6の発明の固有の特徴的部分に関する原告らの主張

は特に争わない。

請求項3の固有の特徴的部分についての原告らの主張は争う。濾過

フィルターを検体試料用濾過チューブに取り付けることは,公知技術

であり,請求項3の固有の特徴的部分はない。

請求項7の発明の特徴的部分についての原告の主張は争う。請求項

7の発明の特徴的部分は,技術要素A,B,Cの組合せにあり,各技



16
術要素は公知であった。

請求項8〜12の発明の固有の特徴的部分に関する原告らの主張は

特に争わない。

発明者について

本件発明の発明者が原告Xであることは否認する。本件特許の発明

者は,特許公報(甲55)記載の被告従業員らである。

(イ) 本件考案1について

a 特徴的部分につき

請求項1〜4の各考案の特徴的部分は,技術要素F(隔壁の最大高

さがアダプタの最大高さより低く構成されていること)のみである。

技術要素A〜Eも特徴的部分であるとの原告らの主張は否認する。

考案者につき

本件考案1の考案者が原告Xであることは否認する。本件考案1の

特徴的部分の考案は,登録実用新案公報(甲53)記載の被告従業員

が行ったものである。

(ウ) 本件考案2について

a 特徴的部分につき

請求項1の考案の特徴的部分が,技術要素Bの「前記検出が適切に

行われたかどうかを判定するための穴の膜部材に接触する下部開口面

積(S1)より,上部開口面積(S2)の方が大きい」という点にあ

ることは認める。

請求項2〜6の考案の固有の特徴的部分が,原告らの主張どおりで

あることは争わない。

考案者につき

本件考案2の考案者が原告Xであることは否認する。本件考案2の

特徴的部分の考案は,登録実用新案公報(甲54)記載の被告従業員



17
が行ったものである。

(2) 争点2(本件特許権に係る移転登録手続請求の可否)について

〔原告らの主張〕

ア 主位的

(ア) 原告Xは本件発明の発明者であり,被告に対して本件特許権の移転登

録手続請求権を有する。

(イ) 原告ベセルは,取締役会の承認を得て,原告Xから上記移転登録手続

請求権を譲り受けた。

(ウ) よって,原告ベセルは,被告に対し,本件特許権の移転登録手続を請

求することができる。

イ 予備的

(ア) 原告Xは本件発明の共同発明者であり,その貢献度は50%を下回る

ことはないから,被告に対して本件特許権につき持分2分の1の移転登

録手続請求権を有する。

(イ) 原告ベセルは,取締役会の承認を得て,原告Xから上記移転登録手続

請求権を譲り受けた。

(ウ) よって,原告ベセルは,被告に対し,本件特許権につき持分2分の1

移転登録手続を請求することができる。

ウ 被告の主張に対する反論

被告は,特許法では,冒認出願により特許の設定登録がなされた場合に,

冒認出願により特許登録を得た者に対して発明者特許を受ける権利の承

継人が特許権の移転登録手続を求める権利は原則として認められていない

と主張するが,そもそも冒認出願における真の発明者あるいは共同発明者

の保護として登録名義人に対する移転登録手続請求が認められてしかるべ

きであり,真の発明者あるいは共同発明者が出願手続に関与していたか否

かによって結論が異なるべきではない。被告が指摘する最高裁平成13年



18
6月12日第三小法廷判決・民集55巻4号793頁(以下「最高裁平成

13年判決」という。)は,「上告人の有していた特許を受ける権利と連

続性を有し,それが変形したものであると評価することができる」と判示

するように,特許を受ける権利の対象となる発明と特許査定された発明の

連続性を要件としているのであって,共同発明者が特許出願手続に関与し

ていたことを必須の要件とするものではない。同判決において,「上告人

がした本件特許出願について特許法所定の手続を経て設定の登録がされ

た」とされている点は,特許を受ける権利の対象となる発明と特許査定さ

れた発明の連続性を判断するための個別事情にすぎない。

本件においても原告Xが行った発明と現に特許査定された発明との間の

連続性について議論されるべきであって,原告Xあるいは原告ベセルの出

願手続への関与の有無のみを問題としてはならない。

〔被告の主張〕

ア 原告Xはそもそも本件発明の発明者でもなければ共同発明者でもないか

ら,原告Xから本件移転登録手続請求権を譲り受けたことを前提とする原

告ベセルの請求は失当である。

イ 仮に,原告らの主張どおり原告Xが本件発明の発明者ないし共同発明者

であり,その特許を受ける権利を原告ベセルが承継していたとしても,特

許法では,冒認出願により特許の設定登録がなされた場合に,冒認出願

より特許登録を得た者に対して発明者特許を受ける権利承継人が特許

権の移転登録手続を求める権利は原則として認められていない。

例外的に最高裁平成13年判決のような事実関係が認められる場合には,

真の権利者に移転登録を認めて救済を図る必要があるとして,特許権の移

転登録手続を求め得るが,本件ではそもそも原告らによる出願はなされて

おらず,上記最高裁判決の事案のように真の権利者に移転登録手続請求を

認めて救済を図るべき事実関係は認められない。



19
したがって,この点からも原告の請求は失当である。

(3) 争点3(本件発明等の実施に係る不当利得返還請求の可否)について

〔原告らの主張〕

ア 主位的

(ア) 被告は,平成14年7月1日から平成18年6月30日まで,本件発

明等に係るA型・B型インフルエンザ検査キットを販売し,少なくとも

24億円の売上げと2億4000万円の利益を得た。

上記利益に対する本件発明等の貢献割合は全部で25%であり,本件

発明等がもたらした利益は6000万円となる。

よって,原告Xは,被告に対し,6000万円の不当利得返還請求権

を有する。

(イ) 原告ベセルは,原告Xが有する上記不当利得返還請求権を譲り受けた。

イ 予備的

(ア) 原告ベセルと被告は,本件秘密保持契約において,他方当事者から開

示された秘密情報などに基づき発明・考案をした場合には,他方当事者

に通知し,その取扱いを協議する旨の合意をしており(第6条),この

合意は,実用新案法26条,特許法73条2項における「契約で別段の

定めをした」場合に該当する。

(イ) 被告は,原告ベセルを介して,原告Xによる本件発明等に関する技術

情報の提供を受けながら,原告ベセルに対して何ら通知を行わず,本件

実用新案登録出願1,本件実用新案登録出願2及び本件特許出願を行っ

た。

(ウ) 被告は,平成14年7月1日から平成18年6月30日まで,本件発

明等に係るA型・B型インフルエンザ検査キットを販売し,少なくとも

24億円の売上げと2億4000万円の利益を得た。

上記利益に対する本件発明等の貢献割合は全部で25%であり,本件



20
発明等がもたらした利益は6000万円となる。

原告Xの本件発明等に対する貢献度が50%を下回ることはないため,

原告Xは被告に対し3000万円の不当利得返還請求権を有する。

(エ) 原告ベセルは,原告Xが有する上記不当利得返還請求権を譲り受けた。

〔被告の主張〕

全て争う。

特許権,実用新案権の共有者は,他の共有者の同意を得ないで自らその特

許発明,考案の実施をすることができる(特許法73条2項,実用新案法2

6条)。そして,被告は,本件特許権等について他社とのライセンス契約は

していない。したがって,原告Xが不当利得返還請求権を取得する理由はな

い。

(4) 争点4(発明者名誉権侵害の成否と損害額)について

〔原告らの主張〕

ア 主位的

原告Xは,本件発明等の単独の発明者考案者であるにもかかわらず,

特許公報,登録実用新案公報に発明者考案者として氏名が記載されず,

発明者考案者としての名誉権を侵害された。

かかる発明者名誉権の侵害によって原告Xが被った精神的苦痛を慰謝す

るには200万円が相当である。

イ 予備的

原告Xは,本件発明等の発明者考案者の一人であるにもかかわらず,

特許公報,登録実用新案公報に発明者考案者として氏名が記載されず,

発明者考案者としての名誉権を侵害された。

かかる発明者名誉権の侵害によって原告Xが被った精神的苦痛を慰謝す

るには200万円が相当である。

ウ 被告の主張(消滅時効)に対し



21
被告は,本件特許,本件実用新案登録2について,平成17年時点で公

開されており,原告Xにおいてこれを認識する可能性があったことをもっ

て消滅時効が成立すると主張するが,消滅時効は権利を行使することがで

きるとき,すなわち権利者が権利を認識したときから起算するものであり,

権利を認識し得たときから起算するものではない。

よって,かかる被告の主張については法的根拠が全くない。

〔被告の主張〕

ア 全て争う。

イ 消滅時効

仮に発明者名誉権侵害が成立するとしても,原告Xが特許公報,登録実

用新案公報に自らの名前がないことを知ったのは,遅くとも平成17年中

であり,このことは,原告ベセルが平成17年5月27日に出願した特許

出願(特願2005−155940)の公開特許公報(乙3)において,

先行文献として本件実用新案登録1を引用していることからも明らかであ

る(原告ベセルは,本件特許,本件実用新案登録2についても,このとき

当然に検索済みであったと考えられる。)。

よって,発明者名誉権侵害に係る原告の損害賠償請求権は,平成17年

5月27日から3年の経過(平成20年5月27日の経過)をもって時効

消滅するので,被告はかかる消滅時効援用する(平成23年9月9日第

5回弁論準備手続における意思表示)。

第3 当裁判所の判断

1 争点1(原告は本件発明等の発明者考案者か)について

(1) 共同開発の経緯と本件発明等の完成

原告らは,平成12年3月9日,被告から開発担当者を原告Xとする本件

デバイスの共同開発の提案があり(甲2),以後,原告Xは被告の提案に基

づいて本件デバイスの設計と改良を重ね(甲3,4,6〜51),平成13



22
年8月7日,原告Xが作成した甲52図面を被告が了承したことをもって,

本件発明等が完成したと主張する。

しかしながら,甲2は,被告担当者Eが原告Xに宛てて送信した平成12

年3月9日付けファクシミリ文書であり,「診断用デバイスのハウジングに

関してお知恵を拝借したく,是非一度直接お話をさせていただきたい」と記

載されているが,本件デバイスの共同開発の提案に当たるような趣旨の記載

はない。また,上記甲3,4,6〜52は,いずれもその大半が本件デバイ

スのハウジングの試作及び量産に関する原告ベセルと被告との間のやり取り

で交わされた連絡文書や図面にすぎず,これらの証拠から,原告べセルと被

告が本件デバイスの共同開発を行った事実を認めることはできない。

そして,仮に本件発明等の特徴的部分が原告ら主張のとおりであったとし

ても,各特徴的部分について,着想,具体化に係る創作的行為に原告Xが現

実に加担した事実が認められないことは,後記(2)に説示するとおりである。

(2) 本件発明等の発明者考案者

ア 本件発明について

(ア) 請求項1の発明につき

原告らは,請求項1の発明の特徴的部分は別紙1記載の技術要素B〜

Dにあると主張し,技術要素Bを満たすメンブレンを原告Xが創作した

証拠として甲62を,技術要素C,Dを満たす濾過フィルターを原告X

が提案した証拠として甲63をそれぞれ引用する。

しかしながら,請求項1の発明の特徴的部分が原告ら主張のとおりで

あるとしても,甲62は,「組立て」と題する単なる箇条書の書面であ

って,そこにはメンブレンの孔径又は保留粒子径に関する記載はなく,

甲63も,「抽出液」,「デバイス」,「吸収体」及び「メンブレン」

についてそれぞれの個数(枚数)や金額が記載されたメモ書にすぎず,

濾過フィルターに関しては,「フィルター 3枚」との記載があるにす



23
ぎない。したがって,上記証拠からは,原告ら主張の各特徴的部分の着

想,具体化に係る創作的行為に原告Xが現実に加担した事実を認めるこ

とはできず,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。

よって,原告Xが請求項1の発明の発明者又はその共同発明者である

と認めることはできない。

(イ) 請求項2の発明につき

請求項2の発明の特徴的部分が「濾過フィルターの孔径または保留粒

子径が0.45〜2.0?である」との部分であることについては,当

事者間に争いがない。

原告らは,原告Xは,濾過フィルターの孔径又は保留粒子径が大きす

ぎることにより,人から採取される粘性物や凝集物が透過し,検体が存

在しないにもかかわらず,メンブレン上において陽性反応を示すことが

あることを考慮し,これを排除するために,被告に対し,濾過フィルタ

ーの孔径又は保留粒子径を2.0?以下とすることを提案したと主張し,

その証拠として甲63を引用するが,甲63は,「抽出液」,「デバイ

ス」,「吸収体」及び「メンブレン」についてそれぞれの個数(枚数)

や金額が記載されたメモ書にすぎず,濾過フィルターに関しては,「フ

ィルター 3枚」との記載があるにすぎないことは上記(ア)のとおりであ

り,甲63からは原告Xが原告ら主張の提案をしたとの事実を認めるこ

とはできない。そして,ほかに上記特徴的部分の着想,具体化に係る創

作的行為に原告Xが現実に加担した事実を認めるに足りる証拠はない。

よって,原告Xが請求項2の発明の発明者又は共同発明者であると認

めることはできない。

(ウ) 請求項3の発明につき

原告らは,請求項3の発明の特徴的部分は「濾過フィルターが,検体

試料用濾過チューブに取り付けられている」ことにあるところ,被告か



24
らなされた指示はアッセイ法のフローチャートのみであり(甲3),原

告Xが検体試料用濾過チューブに濾過フィルターを取り付ける方法を採

用することとした(甲17の 1 枚目第3項)と主張する。

しかしながら,請求項3の発明の特徴的部分が原告ら主張のとおりで

あり,被告からなされた指示がアッセイ法のフローチャートのみであっ

たとしても,甲17は,原告ベセルが金型製作業者の有沢金型に宛てて

送信した平成12年7月18日付けファクシミリ文書であり,その1枚

目は,「見積り依頼の件」と題するファクシミリ送付案内であるが,そ

の第3項には,濾過チューブと濾過フィルターを描写したと思われる手

書きの図と,「中栓」,「フィルター押え」,「C金型4ロット取り」

という文言が記載されているにすぎない。また,甲17のその余の部分

にも,請求項3の発明に関する記載は見当たらない。したがって,甲1

7からは,検体試料用濾過チューブに濾過フィルターを取り付けること

について,その着想,具体化に係る創作的行為に原告Xが加担した事実

を認めることができず,ほかに上記事実を認めるに足りる証拠はない。

よって,原告Xが請求項3の発明の発明者又は共同発明者であると認

めることはできない。

(エ) 請求項4の発明につき

請求項4の発明の特徴的部分が「メンブレンの材質が,不織布,紙,

ニトロセルロース,ガラス繊維,シリカ繊維,セルロースエステル,ポ

リエーテルスルホン,ポリスルホン,四フッ化エチレン樹脂,フッ化ビ

ニリデン樹脂,ポリカーボネート,ポリプロピレン,ポリアミド,ナイ

ロン6,6及びセルロースエステルとニトロセルロースの混合物からな

る群より選ばれる」との部分であることについては,当事者間に争いが

ない。

原告らは,原告Xがこれを提案し説明した証拠として甲60を引用す



25
る。しかし,甲60は,ニッポンジーンが原告に宛てて送信した平成1

2年7月24日付けファクシミリ文書であり,同文書には,「ニトロセ

ルロース サンプルについて」という件名の下,「弊社の型,ニトロセ

ルロースを使用するよりも,御社支給品でミシン目の切れ具合を確認さ

れた方が良い」との記載があるが,上記特徴的部分を原告Xが提案し説

明した事実を示す記載は全くない。したがって,甲60からは上記事実

を認定することはできず,ほかに上記特徴的部分の着想,具体化に係る

創作的行為に原告Xが現実に加担した事実を認めるに足りる証拠はない。

よって,原告Xが請求項4の発明の発明者又は共同発明者であると認

めることはできない。

(オ) 請求項5の発明につき

請求項5の発明の特徴的部分が (ニトロセルロースのメンブレンの)


孔径が0.45〜10?である」との部分であることについては,当事

者間に争いがない。

原告らは,原告Xは,被告に対し,請求項4固有の特徴的部分である

メンブレンにつき,メンブレンの孔径が小さいことにより目詰まりを起

こし,溶液中の成分移動を阻害することを防止するために,孔径を0.

45?以上とすること,上限値については一般的なメンブレン同様10

?とすることを提案したと主張し,その証拠として甲63を引用する。

しかし,甲63は,「抽出液」,「デバイス」,「吸収体」及び「メン

ブレン」についてそれぞれの個数(枚数)や金額が記載されたメモ書で

あり,メンブレンに関しては,「メンブレン 200,000枚」との

記載があるにすぎない。したがって,甲63からは原告ら主張の事実を

認めることはできず,ほかに上記特徴的部分の着想,具体化に係る創作

的行為に原告Xが現実に加担した事実を認めるに足りる証拠はない。

よって,原告Xが請求項5の発明の発明者又は共同発明者であると認



26
めることはできない。

(カ) 請求項6の発明につき

請求項6は請求項1〜5の従属項であるが,固有の特徴的部分がない

ことは当事者間に争いがなく,原告Xが請求項1〜5の発明の発明者

共同発明者であると認めることができないことは前記(ア)〜(オ)のとお

りである。

よって,固有の特徴的部分がない請求項6の発明についても,請求項

1〜5の発明と同様の理由により,原告Xが発明者又は共同発明者であ

ると認めることはできない。

(キ) 請求項7の発明につき

原告らは,請求項7の発明の特徴的部分は技術要素A〜C(請求項1

の技術要素B〜Dに同じ。)であると主張するが,請求項1の発明にお

いて,その特徴的部分の着想,具体化に係る創作的行為に原告Xが現実

に加担したと認められないことは前記(ア)のとおりである。

よって,原告Xが請求項7の発明の発明者又は共同発明者であると認

めることはできない。

(ク) 請求項8の発明につき

請求項8は請求項7の従属項であるが,固有の特徴的部分がないこと

は当事者間に争いがなく,原告Xが請求項7の発明の発明者又は共同発

明者であると認めることができないことは前記(キ)のとおりである。

よって,固有の特徴的部分がない請求項8の発明についても,請求項

7の発明と同様の理由により,原告Xが発明者又は共同発明者であると

認めることはできない。

(ケ) 請求項9の発明につき

請求項9は請求項7の従属項であるが,固有の特徴的部分がないこと

は当事者間に争いがなく,原告Xが請求項7の発明の発明者又は共同発



27
明者であると認めることができないことは前記(キ)のとおりである。

よって,固有の特徴的部分がない請求項9の発明についても,請求項

7の発明と同様の理由により,原告Xが発明者又は共同発明者であると

認めることはできない。

(コ) 請求項10の発明につき

請求項10の発明の特徴的部分が「メンブレンの材質が,不織布,紙,

ニトロセルロース,ガラス繊維,シリカ繊維,セルロースエステル,ポ

リエーテルスルホン,ポリスルホン,四フッ化エチレン樹脂,フッ化ビ

ニリデン樹脂,ポリカーボネート,ポリプロピレン,ポリアミド,ナイ

ロン6,6及びセルロースエステルとニトロセルロースの混合物からな

る群より選ばれる」との部分(請求項4の特徴的部分に同じ。)である

ことについては,当事者間に争いがなく,同部分の着想,具体化に係る

創作的行為に原告Xが現実に加担したと認められないことは前記(エ)の

とおりである。

よって,原告Xが請求項10の発明の発明者又は共同発明者であると

認めることはできない。

(サ) 請求項11の発明につき

請求項11の発明の特徴的部分が「(ニトロセルロースのメンブレン

の)孔径が0.45〜10?である」との部分(請求項5の特徴的部分

に同じ。 であることについては当事者間に争いがなく,
) 同部分の着想

具体化に係る創作的行為に原告Xが現実に加担したと認められないこと

は前記(オ)のとおりである。

よって,原告Xが請求項11の発明の発明者又は共同発明者であると

認めることはできない。

(シ) 請求項12の発明につき

請求項12は請求項7〜11の従属項であるが,固有の特徴的部分が



28
ないことは当事者間に争いがなく,原告Xが請求項7〜11の発明の発

明者又は共同発明者であると認めることができないことは前記(キ)〜(サ)

のとおりである。

よって,固有の特徴的部分がない請求項12の発明についても,請求

項7〜11の発明と同様の理由により,原告Xが発明者又は共同発明者

であると認めることはできない。

イ 本件考案1について

(ア) 請求項1の考案につき

a 原告らは,請求項1の考案の特徴的部分は,別紙2記載の技術要素

Aのうち,「2種類以上の目標リガンドの受容体を隔離して固定する」

ことにあるところ,原告Xは,平成13年2月頃,被告に対し,1つ

の装置において2種類の検体を検出する装置の提案を行ったと主張し,

その証拠として甲35〜44を引用する。

しかしながら,原告ら主張の上記特徴的部分を前提にしても,原告

らが引用する上記各証拠は,いずれも本件実用新案登録出願1の出願

日(平成13年3月1日)より後に作成された文書ないし図面であり,

これらの証拠からは上記特徴的部分の着想,具体化に係る創作的行為

に原告Xが現実に加担した事実を認めることはできず,ほかに同事実

を認めるに足りる証拠はない。

b 原告らは,請求項1の考案の特徴的部分は,別紙2記載の技術要素

Bの「デバイス(1)の上面には,下端部(6)に受け口(6´)を

有する凹部(5)が設けられ」ている形状にあるところ,かかる形状

は,被告からメンブレンアッセイ法によるウィルス検査装置の開発依

頼を受けて(甲3),原告Xが創作したものであると主張し,その証

拠として甲9〜13,17,18,21,22,26を引用する。

しかしながら,これらの証拠によっても,上記形状を原告Xが着想



29
具体化した事実を認めることはできず(かえって,甲9〔被告担当者

Bが原告Xに宛てて送信した平成12年5月29日付けファクシミリ

文書〕には,送信表を含む送信枚数が2枚と記載されており,かつ,

「…で設計しております」,「…に設計しております」,「…は図面

に描いておりません…を参考に設計して頂きたい」との記載があり,

これらの記載からは,ハウジングに関する図面が存在し,その図面は

被告の設計によるものであることがうかがわれることからすると,甲

9が送信された時点では既にデバイス本体の基本設計は完了しており,

甲9にはその基本設計図が添付されていたものと推認される。また,

甲9以外の証拠はいずれも甲9の後に作成された図面ないし連絡文書

であることからすると,原告ベセルは被告の基本設計に基づいて試作

品の作成を依頼されたにすぎず,同時点で既に本件考案1の特徴的部

分は被告により完成されていたことが推認できる。),ほかにそのよ

うに認めるに足りる証拠はない。

c 原告らは,請求項1の考案の特徴的部分は,別紙2記載の技術要素

Cの「アダプタ(2)は,形状が前記凹部(5)に対応していてそこ

に位置し隔壁(10)により区分された複数個の漏斗状部分(7)及

び突出下端部(8)を有し突出下端部(8)には中央部に開口部(9)

が設けられ」ている形状にあるところ,かかる形状は,被告からメン

ブレンアッセイ法によるウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),

原告Xが創作したものであると主張し,その証拠として甲9〜13,

17,18,21,22,26を引用する。

しかしながら,上記のとおり,甲9は,被告担当者Bが原告Xに宛

てて送信した平成12年5月29日付けファクシミリ文書であり,ガ

イド(アダプタ)の形状について,原告ベセルが被告から提供を受け

た他社製のものを参考に設計するよう記載されているが,同記載から



30
は上記特徴的部分に係る形状を原告Xが創作したものであると認める

ことはできない。また,その余の上記各証拠にも,上記特徴的部分に

係る形状を原告Xが着想,具体化したことを示す記載はなく(そもそ

も上記各証拠にはいずれも「複数個の漏斗状部分」が存在しない。 ,


ほかにそのように認めるに足りる証拠はない。

d 原告らは,請求項1の考案の特徴的部分は,別紙2記載の技術要素

Dの「開口部(9)は前記膜部材(4)の2種類以上の目標リガンド

の受容体を隔離して固定するための部位に対応して」いる形状にある

ところ,技術要素A記載の「2種類以上の目標リガンドの受容体を隔

離して固定する」技術を採用することにより,必然的に決定づけられ

る技術要素であるから,技術要素Dについても,技術要素Aの特徴的

部分の創作を行った原告Xによる創作となると主張する。

しかしながら,原告ら主張の特徴的部分を前提にしても,技術要素

Aの特徴的部分を原告Xが着想,具体化したと認められないことは前

記aのとおりであり,原告らの上記主張は,その前提を欠き採用する

ことができない。

e 原告らは,請求項1の考案の特徴的部分は,別紙2記載の技術要素

Eの「アダプタ(2)は,その突出下端部(8)をデバイス(1)の

受け口(6´)にスナップ嵌めすることによってデバイス(1)に取

り付けられて」いる形状であるところ,かかる形状は,被告からメン

ブレンアッセイ法によるウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),

原告Xが創作したものであると主張する。

しかしながら,原告ら主張の特徴的部分を前提にしても,アダプタ

の形状について原告Xの創作的関与が認められないことは前記cのと

おりであり,原告の上記主張は採用することができない。

f 原告らは,請求項1の考案の特徴的部分は,別紙2記載の技術要素



31
Fの「隔壁(10)の最大高さはアダプタ(2)の最大高さより低く

構成されている」形状であるところ,かかる形状は,被告からメンブ

レンアッセイ法によるウイルス検査装置の開発依頼を受けて(甲3),

原告Xが創作したものであると主張し,その証拠として甲9〜13,

17,18,21,22,26を引用する。

しかしながら,技術要素Fの「隔壁」は,「複数個の漏斗状部分」

を区分するものであるから,「複数個の漏斗状部分」の存在が前提と

なっているが,上記各証拠にはいずれも「複数個の漏斗状部分」が存

在しないことは前記cのとおりである(当然ながら上記各証拠には上

記「隔壁」の記載もない。)。なお,甲36の図面,甲44の3枚目

の図面及び甲52の図面には,2個の漏斗状部分と隔壁が存在するが,

これらは,いずれも本件実用新案登録出願1の出願日(平成13年3

月1日)より後に作成されたものであり,かつ,隔壁の高さをアダプ

タの高さよりも低くする構成がないから,上記特徴的部分を原告Xが

着想,具体化したことの証拠となるものではない。

g よって,以上検討したところによれば,原告Xが請求項1の考案の

考案者又は共同考案者であると認めることはできない。

(イ) 請求項2の考案につき

原告らは,請求項2の考案の特徴的部分は請求項1と同じであると主

張するが,そうであるとすれば,原告Xが請求項1の考案の考案者又は

共同考案者であると認められないことは前記(ア)のとおりであるから,請

求項2の考案についても,同様の理由により,原告Xが考案者又は共同

考案者であると認めることはできない。

(ウ) 請求項3の考案につき

請求項3は請求項1又は請求項2の従属項であるが,固有の特徴的部

分がないことは当事者間に争いがなく,原告Xが請求項1,2の考案の



32
考案者又は共同考案者であると認められないことは前記(ア),(イ)のとお

りである。

よって,固有の特徴的部分がない請求項3の考案についても,請求項

1,2の考案と同様の理由により,原告Xが考案者又は共同考案者であ

ると認めることはできない。

(エ) 請求項4の考案につき

請求項4は請求項3の従属項であるが,固有の特徴的部分がないこと

は当事者間に争いがなく,原告Xが請求項3の考案の考案者又は共同考

案者であると認められないことは前記(ウ)のとおりである。

よって,固有の特徴的部分がない請求項4の考案についても,請求項

3の考案と同様の理由により,原告Xが考案者又は共同考案者であると

認めることはできない。

ウ 本件考案2について

(ア) 請求項1〜6の考案の特徴的部分が,それぞれ「前記検出が適切に行

われたかどうかを判定するための穴の膜部材に接触する下部開口面積

(S1)より,上部開口面積(S2)の方が大きい」(請求項1),「検

出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の内周壁が,前記穴が

上方に向かって拡開するように一部傾斜または全て傾斜している」(請

求項2),「検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の内周

壁の傾斜部分の最大傾斜角が下部底面に対して20°以上70°以下の

範囲内」(請求項3),「検出が適切に行われたかどうかを判定するた

めの穴の下部開口面積(S1)に対する上部開口面積(S2)の比率(S

2/S1)が3〜80」(請求項4),「検出が適切に行われたかどう

かを判定するための穴の下部開口面積が1〜1.5?の範囲内」(請求

項5),「検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の高さが

0.5〜1.5oの範囲内」(請求項6)という形状にあることについ



33
ては当事者間に争いがない。

(イ) 原告らは,上記特徴的部分を創作したのは原告Xであると主張し,そ

の証拠として甲9〜13,17,18,21,22,26を引用してい

たが,これらの証拠に記載されている装置はいずれも「検出が適切に行

われたかどうかを判定するための穴」を備えておらず,この事実を被告

から指摘されるや(被告第2準備書面8頁),主張整理の最終段階に至

って,引用する証拠を上記各証拠から甲35(原告Xの平成13年3月

13日作成に係るとするメモ書)及び甲36(原告Xの平成13年3月

20日頃作成に係るとするデバイスの設計図面)に変更した(原告第4

準備書面6頁) しかしながら,
。 甲35,36に記載されている装置は,

いずれも「検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴」こそ備

えているものの,甲35は,手書きの平面図とメモ書程度の記載のみで,

上記各特徴的部分に係る構成は開示されておらず,甲36の3,4枚目

の図面には,「検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴」の

断面図が記載されているものの,穴自体の上部開口面積と下部開口面積

は同じであって,やはり上記各特徴的部分に係る構成は開示されていな

い(甲36の4枚目左下の図においては,穴の高さが1.3oであるこ

とが開示されているが,かかる構成を着想,具体化したのが原告Xであ

ることを示す証拠は全くない。)。したがって,これらの証拠から上記

特徴的部分の着想,具体化に係る創作的行為に原告Xが現実に加担した

事実を認めることはできず,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。

よって,原告Xが本件考案2の考案の考案者又は共同考案者であると

認めることはできない。

2 以上のとおり,原告Xが本件発明等の発明者考案者又は共同発明者,共同

考案者であると認めることはできないから,これを前提とする原告ベセルの本

件特許権に係る移転登録手続請求(争点2),本件発明等の実施に係る不当利



34
得返還請求(争点3),原告Xの発明者名誉権侵害を理由とする損害賠償請求

(争点4)が成り立たないことも明らかである。

3 結論

よって,原告らの被告に対する請求は,いずれも理由がないから棄却す

ることとして,主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部



裁判長裁判官



岡 本 岳



裁判官



鈴 木 和 典



裁判官



寺 田 利 彦




35
(別紙)

知的財産権目録



1 実用新案登録番号 第3079968号

考 案 の 名 称 フロースルー型リガンド検出装置

出 願 日 平成13年3月1日

登 録 日 平成13年6月20日

実用新案登録請求の範囲

【 請 求 項 1 】 デ バ イ ス (1 )と ア ダ プ タ (2 )を 備 え た リ ガ ン ド 検 出 装 置 で あ

っ て , デ バ イ ス (1 )に は , 液 体 吸 収 部 材 (3 )と , そ の 上 部 に 設 置 さ れ , 2

種 類 以 上 の 目 標 リ ガ ン ド の 受 容 体 を 隔 離 し て 固 定 す る た め の 膜 部 材 (4 )が

収 納 さ れ , デ バ イ ス (1 )の 上 面 に は , 下 端 部 ( 6 ) に 受 け 口 ( 6 ´) を 有

す る 凹 部 (5 )が 設 け ら れ , ア ダ プ タ ( 2 ) は , 形 状 が 前 記 凹 部 ( 5 ) に 対

応していてそこに位置し,隔壁(10)により区分された複数個の漏斗状

部分(7)及び突出下端部(8)を有し,突出下端部(8)には中央部に

開口部(9)が設けられ,開口部(9)は前記膜部材(4)の2種類以上

の目標リガンドの受容体を隔離して固定するための部位に対応しており,

アダプタ(2)は,その突出下端部(8)をデバイス(1)の受け口(6

´) に ス ナ ッ プ 嵌 め す る こ と に よ っ て デ バ イ ス ( 1 ) に 取 り 付 け ら れ て お

り,隔壁(10)の最大高さはアダプタ(2)の最大高さより低く構成さ

れていることを特徴とする2種類以上のリガンドを検出するための装置。

【 請 求 項 2 】 デ バ イ ス (1 )と ア ダ プ タ (2 )を 備 え た リ ガ ン ド 検 出 装 置 で あ

っ て , デ バ イ ス (1 )に は , 液 体 吸 収 部 材 (3 )と , そ の 上 部 に 設 置 さ れ , 2

種 類 以 上 の 目 標 リ ガ ン ド の 受 容 体 を 隔 離 し て 固 定 し た 膜 部 材 (4 )が 収 納 さ

れ , デ バ イ ス (1 )の 上 面 に は , 下 端 部 ( 6 ) に 受 け 口 ( 6 ´) を 有 す る 凹

部 (5 )が 設 け ら れ , ア ダ プ タ ( 2 ) は , 形 状 が 前 記 凹 部 ( 5 ) に 対 応 し て



36
い て そ こ に 位 置 し ,隔 壁( 1 0 )に よ り 区 分 さ れ た 複 数 個 の 漏 斗 状 部 分( 7 )

及 び 突 出 下 端 部( 8 )を 有 し ,突 出 下 端 部( 8 )に は 中 央 部 に 開 口 部( 9 )

が設けられ,開口部(9)は前記膜部材(4)の2種類以上の目標リガン

ド の 受 容 体 を 隔 離 し て 固 定 す る た め の 部 位 に 対 応 し て お り ,ア ダ プ タ( 2 )

は , そ の 突 出 下 端 部 ( 8 ) を デ バ イ ス ( 1 ) の 受 け 口 ( 6 ´) に ス ナ ッ プ

嵌 め す る こ と に よ っ て デ バ イ ス( 1 )に取 り 付 け ら れ て お り ,隔 壁( 1 0 )

の最大高さはアダプタ(2)の最大高さより低く構成されていることを特

徴とする2種類以上のリガンドを検出するための装置。

【請求項3】リガンドがウイルスである請求項1又は2記載の装置。

【請求項4】ウイルスがA型インフルエンザウイルス及びB型インフルエ

ンザウイルスである請求項3記載の装置。



2 実用新案登録番号 第3088698号

考 案 の 名 称 フロースルー型アッセイ装置

出 願 日 平成14年3月20日

登 録 日 平成14年7月3日

実用新案登録請求の範囲

【請求項1】液体吸収部材と,その上部に分析対象物に対する受容体が固

定された膜部材が設置されており,さらにその上面に,分析対象物を検出

するための穴及び検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴が底

面部に存在する開口部を有するアダプターが設置されたフロースルー型ア

ッセイ装置であって,前記検出が適切に行われたかどうかを判定するため

の 穴 の 膜 部 材 に 接 触 す る 下 部 開 口 面 積( S 1 )よ り ,上 部 開口 面 積( S 2 )

の方が大きいことを特徴とするフロースルー型アッセイ装置。

【請求項2】検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の内周壁

が,前記穴が上方に向かって拡開するように一部傾斜または全て傾斜して



37
いる,請求項1に記載のアッセイ装置。

【請求項3】検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の内周壁

の 傾 斜 部 分 の 最 大 傾 斜 角 が 下 部 底 面 に 対 し て 2 0 °以 上 7 0 °以 下 の 範 囲

内である,請求項1または2のいずれかに記載のアッセイ装置。

【請求項4】検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の下部開

口面積(S1)に対する上部開口面積(S2)の比率(S2/S1)が3

〜80である,請求項1〜3のいずれか一項に記載のアッセイ装置。

【請求項5】検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の下部開

口 面 積 が 1 〜 1 . 5 ?の 範 囲 内 で あ る , 請 求 項 1 〜 4 の い ず れ か 一 項 に 記

載のアッセイ装置。

【請求項6】検出が適切に行われたかどうかを判定するための穴の高さが

0.5〜1.5oの範囲内である,請求項1〜5のいずれか一項に記載の

アッセイ装置。



3 特 許 番 号 第3848599号

発 明 の 名 称 簡易メンブレンアッセイ法及びキット

出 願 日 平成14年6月27日

登 録 日 平成18年9月1日

特許請求の範囲

【請求項1】被測定物を捕捉するための捕捉物質が結合したメンブレンを

備えたアッセイ装置を用いる,検体試料中の被測定物の簡易メンブレンア

ッセイ法であって,検体試料を濾過フィルターを用いて濾過した後に前記

メンブレン上に滴下し,前記検体試料中の被測定物の存在を検出あるいは

定量することを含み,前記メンブレンの孔径または保留粒子径が,濾過フ

ィルターの孔径または保留粒子径以上であり,前記濾過フィルターの孔径

または保留粒子径が0.45?以上であり,該濾過フィルターが,ガラス



38
繊維フィルター,またはガラス繊維フィルターとニトロセルロースフィル

ターの組み合わせであり,かつ前記被測定物がインフルエンザウイルスで

あることを特徴とする方法。

【請求項2】該濾過フィルターの孔径または保留粒子径が0.45〜2.

0?であることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項3】該濾過フィルターが,検体試料用濾過チューブに取り付けら

れていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】該メンブレンの材質が,不織布,紙,ニトロセルロース,ガ

ラス繊維,シリカ繊維,セルロースエステル,ポリエーテルスルホン,ポ

リスルホン,四フッ化エチレン樹脂,フッ化ビニリデン樹脂,ポリカーボ

ネート,ポリプロピレン,ポリアミド,ナイロン6,6及びセルロースエ

ステルとニトロセルロースの混合物からなる群より選ばれることを特徴と

する請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

【請求項5】該メンブレンの材質がニトロセルロースであり,かつその孔

径が0.45〜10?であることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【請求項6】フロースルー式またはラテラルフロー式メンブレンアッセイ

法である,請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

【 請 求 項 7 】( 1 )検 体 試 料 を 濾 過 す る た め の 濾 過 フ ィ ル タ ー ,及 び( 2 )

被測定物を捕捉するための捕捉物質が結合したメンブレンを含む,検体試

料中の被測定物の存在を検査あるいは定量するための簡易メンブレンアッ

セイキットであって,前記メンブレンの孔径または保留粒子径が,前記濾

過フィルターの孔径または保留粒子径以上であり,前記濾過フィルターの

孔径または保留粒子径が0.45?以上であり,該濾過フィルターが,ガ

ラス繊維フィルター,またはガラス繊維フィルターとニトロセルロースフ

ィルターの組み合わせであり,かつ前記被測定物がインフルエンザウイル

スであるキット。



39
【請求項8】さらに以下のものを含む,請求項7に記載のキット;

(3)検体浮遊液

(4)洗浄液組成物,

(5)標識化検出試薬,

(6)検体採取器具,及び

(7)コントロール液。

【請求項9】さらに以下のものを含む,請求項7に記載のキット;

(3)検体浮遊液,

(4)洗浄液組成物,

(5)標識化検出試薬,

(6)検体採取器具,または

(7)コントロール液。

【請求項10】該メンブレンの材質が,不織布,紙,ニトロセルロース,

ガラス繊維,シリカ繊維,セルロースエステル,ポリエーテルスルホン,

ポリスルホン,四フッ化エチレン樹脂,フッ化ビニリデン樹脂,ポリカー

ボネート,ポリプロピレン,ポリアミド,ナイロン6,6及びセルロース

エステルとニトロセルロースの混合物からなる群より選ばれることを特徴

とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のキット。

【請求項11】該メンブレンの材質がニトロセルロースであり,かつその

孔径が0.45〜10?であることを特徴とする請求項10に記載のキッ

ト。

【請求項12】フロースルー式またはラテラルフロー式メンブレンアッセイキ

ットである,請求項7〜11のいずれか一項に記載のキット。

以上




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