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関連ワード 進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  引用発明の認定 /  相違点の認定 /  課題の共通性 /  出願公開 /  発明の詳細な説明 /  参酌 /  技術的意義 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  構成要件 /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 22年 (行ケ) 10365号 審決取消請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2011/04/27
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成23年4月27日 判決言渡

平成22年(行ケ)第10365号 審決取消請求事件

平成23年3月16日 口頭弁論終結

判 決



原 告 株式会社システムインテグラ



訴訟代理人弁理士 小 山 方 宜



被 告 特 許 庁 長 官



指 定 代 理 人 藤 井 昇

同 堀 川 一 郎

同 仁 木 浩

同 田 部 元 史

同 小 林 和 男

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

特許庁が不服2008−29205号事件について平成22年10月19日にし

た審決を取り消す。

第2 争いのない事実

1 特許庁における手続の経緯

原告は,平成16年4月14日,発明の名称を「過負荷回避用電力コントロール


1
システム」とする発明について,特許出願(特願2004−119368。平成1

7年10月27日出願公開,特開2005−304234。以下「本願」とい

う。)をしたが,平成20年10月17日付けで拒絶査定を受けたので,同年11

月17日,これに対する不服の審判(不服2008−29205号事件)を請求し,

平成22年5月20日付けで拒絶理由が通知され,同年7月13日付けで意見書及

び手続補正書を提出した(以下「本件補正」という。)。

特許庁は,同年10月19日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決

(以下「審決」という。)をし,その謄本は,同年11月2日に原告に送達された。

2 特許請求の範囲

本件補正による補正後の本願の特許請求の範囲,明細書及び図面(甲3,8。以

下,これを「本願明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のと

おりである(以下,この発明を「本願発明」という。)。

「【請求項1】定格電流を上回る電流が流れると電力供給を遮断するブレーカを有

し,このブレーカを介して複数機器に電力供給される箇所に適用され,前記ブレー

カによる前記遮断を回避する電力コントロールシステムであって,

前記ブレーカを介して前記複数機器へ供給される合計電流を常時監視する電流セ

ンサと,

メータリレーから構成され,前記電流センサの出力が第一設定時間継続して所定

電流値を超えると,前記複数機器の内の所定機器の動作を停止させる停止制御部と,

この停止制御部による前記所定機器の停止から第二設定時間経過後に,この所定

機器を動作状態に復帰させる復帰制御部とを備え,

前記所定電流値は,前記ブレーカを時延引きはずしする電流値に設定され,

前記第一設定時間は,前記所定電流値における前記時延引きはずしの最小時間よ

りも短い時間で15秒以上に設定され,

前記第二設定時間は,15〜30秒に設定される

ことを特徴とする電力コントロールシステム。」


2
3 審決の理由

(1) 別紙審決書写しのとおりである。要するに,本願発明は,特開昭54−11

0442号公報(甲1。以下「引用例1」という。)記載の発明(以下「引用発

明」という。),特開2000−83323号公報(甲2。以下「引用例2」とい

う。)記載のものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか

ら,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないと判断した。

(2) 上記判断に際し,審決が認定した引用発明の内容並びに本願発明と引用発明

との一致点及び相違点は,以下のとおりである。

ア 引用発明の内容

30Aの設定電流に対し40A程度で動作するブレーカを有し,このブレーカを

介して複数の負荷に電力供給される配電系統に適用され,前記ブレーカの前記動作

による重要負荷の停電を最少にする負荷制御装置であって,

前記ブレーカを介して前記複数の負荷に対する給電電流を検出する変流器と,

リレーを有し,前記変流器の検出電流が所定時間継続して設定値を越えたことを

検出する検出回路の検出動作に応動して,前記複数の負荷の内の重要負荷と区分さ

れる高順位の一般負荷の給電を断つ制御回路と,

この制御回路による前記高順位の一般負荷への給電を断ってから3分後に,この

高順位の一般負荷を自動的に再投入させる制御回路とを備え,

前記設定値は,設定電流値に設定される負荷制御装置。

イ 一致点

定格電流を上回る電流が流れると電力供給を遮断するブレーカを有し,このブレ

ーカを介して複数機器に電力供給される箇所に適用され,前記ブレーカによる前記

遮断を回避する電力コントロールシステムであって,

前記ブレーカを介して前記複数機器へ供給される合計電流を常時監視する電力セ

ンサと,

リレーから構成され,前記電流センサの出力が第一設定時間継続して所定電流値


3
を超えると,前記複数機器の内の所定機器の動作を停止させる停止制御部と,

この停止制御部による前記所定機器の停止から第二設定時間経過後に,この所定

機器を動作状態に復帰させる復帰制御部とを備える電力コントロールシステム。

ウ 相違点

(ア) 相違点1

停止制御部のリレーの構成に関し,本願発明は,メータリレーであるのに対し,

引用発明は,かかる特定がなされていない点。

(イ) 相違点2

停止制御部の動作に関し,本願発明は,所定電流値は,ブレーカを時延引きはず

しする電流値に設定され,第一設定時間は,所定電流値における時延引きはずしの

最小時間よりも短い時間で15秒以上に設定されるのに対し,引用発明は,所定電

流値は,定格電流値に設定され,第一設定時間は,明示されていない点。

(ウ) 相違点3

復帰制御部の第二設定時間に関し,本願発明は,15〜30秒に設定されるのに

対し,引用発明は,3分である点。

第3 当事者の主張

1 審決の取消事由に係る原告の主張

審決は,(1) 引用発明の認定の誤り(取消事由1),(2) 本願発明と引用発明の

相違点を看過した誤り(取消事由2),(3) 相違点2に関する容易想到性の判断の

誤り(取消事由3),(4) 相違点3に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由

4)があり,これらの誤りは,審決の結論に影響を及ぼすから,審決は取り消され

るべきである。

(1) 引用発明の認定の誤り(取消事由1)

審決は,引用発明について,「前記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を

最少にする負荷制御装置」と認定した。

しかし,審決の認定は誤りである。


4
引用例1(甲1)には,「しかしながらこのようなものでは上記ブレーカMCB

の設定電流が30Aとなつている場合,実際には40A程度で動作することが多い。

このために特に集合住宅等の場合幹線の配線サイズに大きな余裕を考えなければな

らない。さらに上記ブレーカMCBの動作時には全ての給電が断たれるために,た

とえば照明系統等の重要な負荷系統も停電してしまう問題があつた。本発明は上記

の事情に鑑みてなされたもので複数の負荷を有する配電系統において合理的な給電

を行なうことができる負荷制御装置を提供することを目的とするものである。」

(1頁右下欄13行ないし2頁右上欄4行)との記載がある。すなわち,引用発明

は,ブレーカの設定電流が30Aとなっている場合でも40A程度で動作すること

が多く,「このために特に集合住宅等の場合幹線の配線サイズに大きな余裕を考え

なければならない」ので,これを解決するために「前記設定値は,設定電流値に設

定される」ものであり,それにより「さらに上記ブレーカMCBの動作時には全て

の給電が断たれるために,たとえば照明系統等の重要な負荷系統も停電してしま

う」のを防止しようとするものである。

したがって,引用例1には,「前記ブレーカの設定電流を超える電流が流れるこ

とを防止し,それによりさらに前記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を防

止する負荷制御装置」が開示されているというべきであり,「上記ブレーカMCB

の動作時には全ての給電が断たれるために,たとえば照明系統等の重要な負荷系統

も停電してしまう」という記載のみに着目し,この問題を防止するという副次的作

用効果のみから,引用発明について,「前記ブレーカの前記動作による重要負荷の

停電を最少にする負荷制御装置」とした審決の認定には誤りがある。

そして,審決は,引用発明と本願発明との対比に当たり,引用発明が,「前記ブ

レーカの設定電流を超える電流が流れることを防止し,それによりさらに前記ブレ

ーカの前記動作による重要負荷の停電を防止する負荷制御装置」が開示されている

ことを前提とせずに,引用発明と本願発明を対比しているから,その対比にも誤り

がある。


5
(2) 本願発明と引用発明との相違点を看過した誤り(取消事由2)

審決は,引用例1には,「第一設定時間は,明示されていない」として,引用発

明における「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作するこ

とがない」時間が,本願発明との相違点であることを認定しなかった。

しかし,審決の認定は誤りである。

引用例1には,「第3図は上記検出回路の一例を示す図で入力端子C1,C2に

それぞれ変流器CT1,CT2の検出信号を与えられこの信号を4個のダイオード

からなる整流器RCで整流した後差動増幅器PAの一方の入力へ与える。この作動

増幅器PAの他方の入力へはポテンシヨメータVRの設定信号が与えられて上記整

流器RCの出力と比較しその差分に比例した信号を得る。この差動増幅器PAの出

力は,時定数回路INによつて所定時間継続後,ツエナーダイオードZDを介して

トランジスタTrのベース端子へ与えられる。そしてこのトランジスタTrのコレ

クタにリレーRY1を介挿し,駆動するようにしている。」(2頁右上欄2行ない

し14行),「このような構成であれば,たとえば検出回路DTの検出感度を30

Aに設定することによつて負荷電流が30Aを越えると変流器CT1,CT2の検

出信号を検出回路DTの整流器RCで整流し,増幅器PAはポテンシヨメータVR

の設定値と比較する。そしてこの増幅器PAの出力信号を時定数回路INおよびツ

エナーダイオードZDを介してトランジスタTrに与える。そしてトランジスタT

rはリレーRY1に通電して駆動する。したがつて上記設定電流は上記ポテンシヨ

メータVRによつて所望の値に正確に設定することができる。また上記時定数回路

INは,電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することが

ない。」(2頁右下欄5行ないし18行)との記載がある。

上記の記載からすると,引用例1には,「変流器の検出電流が所定時間継続して

設定値を越えたことを検出する検出回路」に関し,「所定時間」は,「電動機の起

動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することがない」時間と明示さ

れているということができる。


6
そして,日常生活でも体験するとおり(甲10の187頁「15」),「電動機

の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することがない」時間とは,

電動機の「起動時」,つまり「起動の瞬間」に生じるものであり,せいぜい1秒程

度である。このことからも,引用発明における「電動機の起動時の電流等の過渡的

な過大電流は無視し,誤動作することがない」時間を,本願発明のブレーカの時延

引きはずし時間15秒以上や,引用例2記載の発明のハンチング防止タイマーにて

設定された5秒間と10秒間(第5設定値)と同等に扱うことはできない。すなわ

ち,引用発明は,「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作

することがない」ようにした状態で,定格電流を超えるか否かをみるものである。

そうすると,引用発明における「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無

視し,誤動作することがない」時間を,本願発明のブレーカの時延引きはずし時間

と同等に扱うことはできないというべきである。

したがって,審決は,引用例1には,「第一設定時間」として「電動機の起動時

の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することがない」時間と明示されて

いる点を看過し,引用発明における「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流

は無視し,誤動作することがない」時間を,本願発明におけるブレーカの時延引き

はずし時間と同等に扱った上,相違点として認定すべき,引用発明における「電動

機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することがない」時間を

看過し,本願発明の容易想到性を判断したものであるから,違法として取り消され

るべきである。

(3) 相違点2に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由3)

審決は,相違点2について,「引用発明は,複数の負荷に対する供給電流が,所

定時間継続して設定値を越えた場合に,所定機器(重要負荷と区分される高順位の

一般負荷)への給電を断って重要負荷の停電を最小にするとの課題を有しており,

このような課題は上記引用例2記載のものの課題と共通するものである。そうであ

れば,引用発明において,上記の課題を解決する範囲内のものとして,引用例2記


7
載のものを適用し,所定機器の動作を停止させるための『所定電流値(設定値)』

及び『第一設定時間(所定時間)』を,所定電流値は,ブレーカを時延引きはずし

する電流値に設定され,第一設定時間は,前記所定電流値における前記時延引きは

ずしの最小時間よりも短い時間で15秒以上に設定されるように定めることは,当

業者が容易に考えられることと認められる。」(審決8頁7行ないし17行)と判

断した。

しかし,審決の判断は誤りである。

引用発明において,「複数の負荷に対する供給電流が,所定時間継続して設定値

を越えた場合」とは,上記(2) のとおり,「電動機の起動時の電流等の過渡的な過

大電流は無視し,誤動作することがない」ようにした状態で,単に,定格電流を超

えた場合である。

また,引用発明は,上記(1) のとおり,「前記ブレーカの設定電流を超える電流

が流れることを防止し,それによりさらに前記ブレーカの前記動作による重要負荷

の停電を防止する」ことを課題としており,定格電流を超える電流が流れることを

防止し,定格電流を超える電流を流してはならないものである。引用例2に,定格

電流を超える電流が流れることが記載されているとしても,引用例2記載の発明を

引用発明に適用することによっては,引用発明の課題は解決されないから,引用例

1には,引用例2記載の発明を引用発明に適用することを阻害する記載があるとい

うべきである。

したがって,引用発明と引用例2記載の発明との課題が共通するとはいえず,課

題の共通性に基づき,引用例2記載の発明を引用発明に適用できるとして,相違点

2に係る本願発明の構成の容易想到性を判断した審決には誤りがある。

(4) 相違点3に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由4)

ア 審決は,相違点3について,「引用発明において,動作を停止させた所定機

器は,使用する必要性があるから,動作停止後所定時間が経過した後,動作状態に

復帰させなければならない。引用発明は,第二設定時間を3分としているが,所定


8
機器の停止状態が3分では長いのであれば,これを短くし,3分では短いのであれ

ば,これを長くすることは,所定機器の使用形態等を考慮して,当業者であれが適

宜なし得ることと認められ,その際,第二設定時間を15〜30秒とすることに技

術的な臨界的意義は認められないから,引用発明において,第二設定時間を15〜

30秒とすることは,当業者であれば適宜なし得ることと認められる。」(審決8

頁19行ないし27行)と判断した。

しかし,審決の判断は誤りである。

引用発明は,停止後に再投入するまで3分も待機するので,所定機器の停止時間

が長くなり,ユーザにとって不都合である上,電力ピークとして3分も確保する必

要はなく,3分も確保することは,電力ピークが過ぎてからも不必要に機器を停止

させることにつながるものである。

これに対し,本願発明は,所定機器の停止後,15〜30秒で復帰させるので,

所定機器の停止を最小限に抑えることができるものであるから,第二設定時間を1

5〜30秒とすることに技術的な臨界的意義がある。

したがって,本願発明について,第二設定時間を15〜30秒とすることに技術

的な臨界的意義は認められないとした審決は誤りであり,取り消されるべきである。

イ また,審決は,相違点3について,「本願発明は,所定機器の停止時を起算

点として,そこから15〜30秒で設定される第二設定時間経過後に,所定機器を

動作状態に復帰させるものであり,この場合,必ずしも定格電流に戻るまで待機し

ないので,時延引きはずし領域を活用することにつながり,停止時間を確定するこ

とができるので,予測性のあるシステムを実現できる。引用発明も,引用例2記載

の発明も,定格電流未満の状態で,所定機器を動作状態に復帰させるものであるか

ら,本願発明の技術思想は,引用発明及び引用例2記載の発明を組み合わせても,

容易になし得る程度のものではない。」旨の審判請求人(原告)の平成22年7月

13日付意見書に対し,「本願発明は,所定機器がブレーカの定格電流に対して,

どのくらいの割合の大きさの負荷であるのか特定されていないから,所定機器が当


9
該定格電流に対して大きな割合を占める負荷であることが排除されておらず,その

様な負荷をメータリレーによって停止させた場合は,電流値は定格電流以下になっ

ており,したがって,審判請求人の上記主張は,本願発明に基づくものでは無く,

採用できない。」(審決9頁15行ないし20行)と判断する。

しかし,審決の判断は誤りである。

本願発明では,「停止制御部による前記所定機器の停止から第二設定時間経過後

に,この所定機器を動作状態に復帰させる」ものであり,所定機器の停止時を第二

設定時間の起算点とするので,必ずしも定格電流以下で復帰させなければならない

ものでなく,定格電流を超える電流で復帰させることもあり得る。

このような構成は,定格電流になると次々と負荷を切断していき定格電流を超え

る時延引きはずし領域の使用を前提としない引用発明や,定格電流に戻り,かつ,

15秒経過後に負荷を復帰させる引用例2記載の発明では,あり得ない構成である。

したがって,原告の上記主張を,本願発明に基づく主張でないとして採用しなか

った審決の判断には誤りがあり,審決は取り消されるべきである。

2 被告の反論

原告の主張する取消事由は,以下のとおり,いずれも理由がなく,審決に取り消

されるべき違法はない。

(1) 取消事由1(引用発明の認定の誤り)に対し

原告は,「引用例1には,『前記ブレーカの設定電流を超える電流が流れること

を防止し,それによりさらに前記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を防止

する負荷制御装置』が開示されているというべきであり,引用発明について,『前

記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を最少にする負荷制御装置』とした審

決の認定には誤りがある。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

ア 引用例1には,従来技術として,「このようなものでは上記ブレーカMCB

の設定電流が30Aとなつている場合,実際には40A程度で動作することが多


10
い。」こと,課題として,「上記ブレーカMCBの動作時には全ての給電が断たれ

るために,たとえば照明系統等の重要な負荷系統も停電してしまう問題があつ

た。」ことが記載されている(1頁右下欄13行ないし20行)。また,目的とし

て,「本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので複数の負荷を有する配電系統に

おいて合理的な給電を行なうことができる負荷制御装置を提供することを目的とす

るものである。」と記載され,従来技術の事情に鑑みてなされた本願発明の一実施

例として,「図中CT1,CT2はそれぞれ母線t,rの電流を検出する変流器,

DTは変流器CT1,CT2の検出信号が所定電流,たとえば30Aに達したこと

を検出し所定の手順に従つて負荷への給電を制御する。」と記載されている(2頁

左上欄1行ないし12行)。

これらの記載からすると,ブレーカMCBについては,設定電流が30Aとなっ

ている場合であっても,実際には40A程度で動作することが多いのであるから,

審決が,引用発明について,「30Aの設定電流に対し40A程度で動作するブレ

ーカ」と認定した点に誤りはない。

そして,引用例1に,引用発明が奏する作用効果として,「このような構成であ

れば複数の負荷を効率よく駆動することができ,負荷容量を明確にし得,重要負荷

の停電を最少にでき安定かつ安全な給電を行なうことができる。」と記載されてい

る(3頁左上欄13行ないし16行)ことから,引用発明における上記課題及び目

的についての記載をふまえると,審決が,引用発明について,「前記ブレーカの前

記動作による重要負荷の停電を最少にする負荷制御装置」と認定したことに誤りは

ないというべきである。

イ これに対し,原告は,引用発明が,「前記ブレーカの設定電流を超える電流

が流れることを防止し,それによりさらに」前記ブレーカの前記動作による重要負

荷の停電を防止するものであることを前提としていないから,審決における本願発

明と引用発明との対比には誤りがある旨主張するが,引用例1には,「複数の負荷

に対する給電電流を検出する変流器と,この変流器の検出電流が所定時間継続して


11
設定値を越えたことを検出する検出回路と,この検出回路の検出動作に応動して動

作し,かつ上記負荷を重要負荷および所定順位の一般負荷に区分して高順位の一般

負荷から低順位の一般負荷へ順次に給電を断つ」(特許請求の範囲)と記載される

から,引用発明は,ブレーカの設定電流(定格電流)を超える電流が流れることを

所定時間は許容するものということができる。

したがって,原告の主張は失当である。

ウ したがって,引用発明について,「前記ブレーカの前記動作による重要負荷

の停電を最少にする負荷制御装置」と認定した審決に誤りはなく,原告主張の取消

事由1は理由がない。

(2) 取消事由2(本願発明と引用発明の相違点を看過した誤り)に対し

原告は,「引用例1には,『第一設定時間は,明示されていない』として,引用

発明における『電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作する

ことがない』時間が,本願発明との相違点であることを看過した審決の認定は誤り

である。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

ア 引用例1には,「複数の負荷に対する給電電流を検出する変流器と,この変

流器の検出電流が所定時間継続して設定値を越えたことを検出する検出回路と,こ

の検出回路の検出動作に応動して動作し,かつ上記負荷を重要負荷および所定順位

の一般負荷に区分して高順位の一般負荷から低順位の一般負荷へ順次に給電を断つ

とともに高順位の一般負荷に対しては所定時間後に自動的に再投入し,低順位の一

般負荷に対しては手動でのみ再投入を許容する制御回路とを具備する負荷制御装

置。」(特許請求の範囲)と記載されており,引用発明の構成要件の一部として,

「変流器の検出電流が所定時間継続して設定値を越えたことを検出する検出回路の

検出動作に応動して,複数の負荷の内の重要負荷と区分される高順位の一般負荷の

給電を断つ制御回路」が認定できる。

そして,上記「変流器の検出電流が所定時間継続して設定値を越えたことを検出


12
する検出回路」の所定時間について,引用例1の発明の詳細な説明には,「時定数

回路INによって所定時間継続後」(2頁右上欄10,11行),「時定数回路I

Nは,電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することがな

い。」(2頁右下欄16行ないし18行)と記載されるが,本願発明の「第一設定

時間は,所定電流値における時延引きはずしの最小時間よりも短い時間で15秒以

上に設定され」に対比するべき,時間に関する具体的な数値については,明示され

ていない。

イ したがって,引用発明における「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電

流は無視し,誤動作することがない」との構成について,本願発明との相違点と認

定しなかった審決の認定に誤りはなく,原告主張の取消事由2は理由がない。

ウ これに対し,原告は,以下のとおり主張するが,いずれも失当である。

(ア) 原告は,「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作す

ることがない」時間とは,電動機の「起動時」つまり「起動の瞬間」に生じるもの

であり,せいぜい1秒程度である旨主張する。

しかし,上記のとおり,引用発明における「変流器の検出電流が所定時間継続し

て設定値を越えたことを検出する検出回路」の所定時間については,引用例1の発

明の詳細な説明において,時定数回路INにより定められるものであり,「時定数

回路INは,電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作するこ

とがない。」ことが記載されるところ,この記載は,「電動機の起動時の電流(突

入電流)等の過渡的な過大電流は無視するから誤動作することがない」ことをいい,

「電動機の起動時の電流(突入電流)等の過渡的な過大電流に対して誤動作しない

だけの時間」を意味するのではない。

また,通常,誤動作しないように設けられるハンチング防止時間として,一例と

して引用例2は5秒間としているように,少し余裕を持たせて設けられるものであ

り,「せいぜい1秒程度」の短い設定に限定されるものではない。

さらに,「電動機の起動時の電流等」とあるから,電動機の起動時の電流つまり


13
突入電流は「過渡的な過大電流」の一例にすぎず,何れかの負荷に負荷変動が生じ

た場合等の他の過渡的な過大電流も無視するものと解される(乙1)。

そうすると,「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作す

ることがない」時間を,「せいぜい1秒程度」と限定的に解する理由はなく,原告

の主張は失当である。

(イ) また,原告は,「引用発明における『電動機の起動時の電流等の過渡的な過

大電流は無視し,誤動作することがない』時間を,本願発明の『ブレーカの時延引

きはずし時間』と同等に扱うことはできない。」と主張する。

しかし,上記(1) のとおり,引用発明は,ブレーカの設定電流(定格電流)を超

える電流が流れることを所定時間は許容するものであり,引用例2には,所定電流

値としてブレーカを時延引きはずしする電流値(定格電流値の120%である24

A)に設定されるとともに,第一設定時間に対応する所定電流値における時延引き

はずしの最小時間よりも短い時間で15秒以上(「ハンチング防止タイマーにて設

定された5秒間と10秒(第5設定値)」=15秒)に設定することが開示されて

いるから(甲2の段落【0016】ないし【0018】),引用発明と引用例2記

載の発明は,複数の負荷に対する供給電流が,所定時間継続して設定値を超えた場

合に,所定機器(重要負荷と区分される高順位の一般負荷)への供給を絶って,重

要負荷の停電を最小にするという共通の課題を有するものである。

そうすると,引用発明の「所定電流値(設定値)」及び「第一設定時間(所定時

間)」に,引用例2記載の上記「ブレーカを時延引きはずしする電流値(定格電流

値の120%である24A)」及び「第一設定時間に対応する所定電流値における

時延引きはずしの最小時間よりも短い時間で15秒以上(「ハンチング防止タイマ

ーにて設定された5秒間と10秒(第5設定値)」=15秒)」を適用することに

技術的困難性はなく,「引用発明における『電動機の起動時の電流等の過渡的な過

大電流は無視し,誤動作することがない』時間を,『ブレーカの時延引きはずし時

間』とあたかも置き換えるように同等に扱うことはできない。」と主張する点は,


14
失当である。

(3) 取消事由3(相違点2に関する容易想到性の判断の誤り)に対し

原告は,「引用発明と引用例2記載の発明との課題が共通するとはいえず,課題

の共通性に基づき,引用例2記載の発明を引用発明に適用できるとして,相違点2

に係る本願発明の構成の容易想到性を判断した審決には誤りがある。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

ア 上記(1) のとおり,引用発明は,ブレーカの設定電流(定格電流)を超える

電流が流れることを所定時間は許容するものであるから,「引用発明は,定格電流

をも流してはならないものである」ことを前提とする原告の主張は失当である。

イ また,審決は,本願発明と引用発明との相違点2の克服に当たり,所定機器

の動作を停止させるための「所定電流値(設定値)」及び「第一設定時間(所定時

間)」について,引用発明の「所定電流値(設定値)」及び「第一設定時間(所定

時間)」に対して,引用例2記載の発明を適用したものであるが,上記(2) のとお

り,引用発明と引用例2記載の発明は,複数の負荷に対する供給電流が,所定時間

継続して設定値を超えた場合に,所定機器(重要負荷と区分される高順位の一般負

荷)への供給を絶って,重要負荷の停電を最小にするという共通の課題を有するも

のであり,引用発明の「所定電流値(設定値)」及び「第一設定時間(所定時

間)」に,引用例2記載の発明の上記「ブレーカを時延引きはずしする電流値(定

格電流値の120%である24A)」及び「第一設定時間に対応する所定電流値に

おける時延引きはずしの最小時間よりも短い時間で15秒以上(「ハンチング防止

タイマーにて設定された5秒間と10秒(第5設定値)」=15秒)」を適用する

ことに,技術的困難性はない。

そうすると,「引用例1には,引用例2記載の発明を引用発明に適用することを

阻害する記載がある」との原告の主張は失当である。

したがって,審決は,相違点2に係る本願発明の構成に関する容易想到性の判断

に誤りはないから,原告主張の取消事由3は理由がない。


15
(4) 取消事由4(相違点3に関する容易想到性の判断の誤り)に対し

ア 原告は,「引用発明は,停止後に再投入するまで3分も待機するので,所定

機器の停止時間が長くなり,ユーザにとって不都合である上,電力ピークとして3

分も確保する必要はなく,3分も確保することは,電力ピークが過ぎてからも不必

要に機器を停止させることにつながる。これに対し,本願発明は,所定機器の停止

後,15〜30秒で復帰させるので,所定機器の停止を最小限に抑えることができ

るものであるから,第二設定時間を15〜30秒とすることに技術的な臨界的意義

がある。したがって,本願発明について,第二設定時間を15〜30秒とすること

に技術的な臨界的意義は認められないとした審決は誤りである。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

電力供給(給電,配電)の安全性を重くみて,動作を停止させた所定機器の停止

時間を長くすれば,復帰させた場合に,ブレーカによる遮断の可能性,又は,設定

電流以上に再びなって所定機器の停止につながる可能性は低くなるが,その間該所

定機器は動作できない不都合が発生し,逆に,所定機器の停止時間を短くすれば,

復帰させた場合に,ブレーカによる遮断の可能性,又は,設定電流以上に再びなっ

て所定機器の停止につながる可能性は高くなるが,該所定機器が動作できない時間

を短くできる可能性があることは,当業者であれば容易に首肯し得る事項である。

そうすると,第二設定時間は,所定機器の使用形態等(使用形態以外に,所定機

器の構成機種や構成台数が挙げられる。)を考慮して,使用者等によって適宜に設

定されるべきものであり,その際,第二設定時間を15〜30秒とすることについ

ても,上記所定機器の使用形態等に無関係に決定できるものとはいえないから,技

術的な臨界的意義は認められず,当業者が適宜なし得たものである。

したがって,審決は,相違点3に係る本願発明の構成の容易想到性の判断に誤り

はない。

イ また,原告は,「本願発明では,『停止制御部による前記所定機器の停止か

ら第二設定時間経過後に,この所定機器を動作状態に復帰させる』ものであり,所


16
定機器の停止時を第二設定時間の起算点とするので,必ずしも定格電流以下で復帰

させなければならないものでなく,定格電流を超える電流で復帰させることもあり

得る。このような構成は,定格電流になると次々と負荷を切断していき定格電流を

超える時延引きはずし領域の使用を前提としない引用発明や,定格電流に戻り,か

つ,15秒経過後に負荷を復帰させる引用例2記載の発明では,あり得ない構成で

ある。したがって,原告の上記主張を,本願発明に基づく主張でないとして採用し

なかった審決の判断には誤りがある。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

本願発明は,所定電流値を,ブレーカを時延引きはずしする電流値と設定する一

方で,停止させる所定機器の負荷の大きさを全体の負荷の大きさに対して限定して

いるものではないから,所定電流値が定格電流を少しだけ上回るものにおいて,停

止させる所定機器の負荷を全体の負荷に対して比較的大きくした場合には,第二設

定時間を15〜30秒としても復帰前に定格電流以下となることは,容易に想定し

得る事項である。

原告は,「定格電流以上で復帰させることもあり得る」旨の本願発明の作用効果

を主張するが,この主張は,出願当初の明細書等に記載または示唆されたものでは

なく,また,定格電流以上で復帰した場合には,時延引きはずし領域の活用にはな

るかもしれないが,ブレーカによる遮断の可能性,及び,再び,所定電流値以上に

なって所定機器の停止につながる可能性も併せて高くなり,格別の作用効果がある

とは必ずしもいえない。

したがって,原告の主張は,本願発明を特定する特許請求の範囲の請求項1の記

載,及び,出願当初の明細書等の記載に基づかないものであり,また,その作用効

果の主張を参酌したとしても格別のものともいえないから,原告の上記主張を,本

願発明に基づく主張でないとして採用しなかった審決の判断に誤りはなく,原告の

主張は失当である。

ウ 以上のとおり,原告主張の取消事由4は理由がない。


17
第4 当裁判所の判断

当裁判所は,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消すべき違

法はないものと判断する。その理由は以下のとおりである。

1 取消事由1(引用発明の認定の誤り)について

原告は,「引用例1には,『前記ブレーカの設定電流を超える電流が流れること

を防止し,それによりさらに前記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を防止

する負荷制御装置』が開示されているというべきであり,引用発明について,『前

記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を最少にする負荷制御装置』とした審

決の認定には誤りがある。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

(1) 認定事実

引用例1(甲1)には次の記載がある。

ア 「2.特許請求の範囲

複数の負荷に対する給電電流を検出する変流器と,この変流器の検出電流が所定

時間継続して設定値を越えたことを検出する検出回路と,この検出回路の検出動作

に応動して動作し,かつ上記負荷を重要負荷および所定順位の一般負荷に区分して

高順位の一般負荷から低順位の一般負荷へ順次に給電を断つとともに高順位の一般

負荷に対しては所定時間後に自動的に再投入し,低順位の一般負荷に対しては手動

でのみ再投入を許容する制御回路とを具備する負荷制御装置。」(1頁左下欄4行

ないし15行)

イ 「本発明は,複数の負荷を有する配電系統において合理的な給電を行なうこ

とのできる負荷制御装置に関する。」(1頁左下欄17行ないし19行)

ウ 「このようなものでは上記ブレーカMCBの設定電流が30Aとなつている

場合,実際には40A程度で動作することが多い。このために特に集合住宅等の場

合幹線の配線サイズに大きな余裕を考えなければならない。さらに上記ブレーカM

CBの動作時には全ての給電が断たれるために,たとえば照明系統等の重要な負荷


18
系統も停電してしまう問題があつた。」(1頁右下欄13行ないし20行)

エ 「本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので複数の負荷を有する配電系統

において合理的な給電を行なうことができる負荷制御装置を提供することを目的と

するものである。」(2頁左上欄1行ないし4行)

オ 「図中CT1,CT2はそれぞれ母線t,rの電流を検出する変流器,DT

は変流器CT1.CT2の検出信号が所定電流,たとえば30Aに達したことを検

出し所定の手順に従つて負荷への給電を制御する。検出回路(判決注:制御回路の

誤記と認める。)CSは上記検出回路DTの検出信号に応動し,予め設定された負

荷の順位に応じて給電を選択的に断つ制御回路である。この制御回路CSは端子L

1,L2 …L5に接続される負荷を照明等の重要負荷と空調機器,乾燥器等の一般


負荷とに区分する。そして上記一般負荷を過負荷時に最初に給電を断つ第1の一般

負荷,2番目に給電を断つ第2の一般負荷,3番目に給電を断つ第3の一般負荷等

の順位を設定する。」(2頁左上欄8行ないし右上欄1行)

カ 「第3図は上記検出回路の一例を示す図で入力端子C1,C2にそれぞれ変

流器CT1,CT2の検出信号を与えられこの信号を4個のダイオードからなる整

流器RCで整流した後差動増幅器PAの一方の入力へ与える。この差動増幅器PA

の他方の入力へはポテンシヨメータVRの設定信号が与えられて上記整流器RCの

出力と比較しその差分に比例した信号を得る。この差動増幅器PAの出力は,時定

数回路INによつて所定時間継続後,ツエナーダイオードZDを介してトランジス

タTrのベース端子へ与えられる。そしてこのトランジスタTrのコレクタにリレ

ーRY1を介挿し,駆動するようにしている。」(2頁右上欄2行ないし14行)

キ 「たとえば検出回路DTでの検出感度を30Aに設定することによつて負荷

電流が30Aを越えると変流器CT1,CT2の検出信号を検出回路DTの整流器

RCで整流し,増幅器PAはポテンシヨメータVRの設定値と比較する。そしてこ

の増幅器PAの出力信号を時定数回路INおよびツエナーダイオードZDを介して

トランジスタTrに与える。そしてトランジスタTrはリレーRY1に通電して駆


19
動する。・・・上記時定数回路INは,電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電

流は無視し,誤動作することがない。」(2頁右下欄5行ないし18行)

ク 「そうして上記リレーRY1が動作するとリレーRY2が動作しその接点R

Y2aを介してRY3が動作して第1の一般負荷に対する給電を断つ。この第1の

一般負荷を切離してもなお過負荷であればリレーRY4の接点RY4aが1秒後に

動作してリレーRY5,リレーRY6を駆動して第2の一般負荷を切離す。さらに

第2の一般負荷を切離してもなお過負荷であればリレーRY7の接点RY7aが1

秒後に動作してリレーRY8を駆動して第3の一般負荷を切離す。なお第1,第2

の一般負荷はリレーRY2,RY5の限時復帰接点RY2a,RY2b,RY5a.

RY5bにより3分後に再投入され,また第3の一般負荷については手動でのみ再

投入するようにしている。」(2頁右下欄19行ないし3頁左上欄12行)

ケ 「このような構成であれば複数の負荷を効率よく駆動することができ,負荷

容量を明確にし得,重要負荷の停電を最少にでき安定かつ安全な給電を行なうこと

ができる。」(3頁左上欄13行ないし16行)

(2) 判断

上記(1) 認定の事実によれば,引用例1(甲1)には,@複数の負荷を有する配

電系統に給電を行なう負荷制御装置において,ブレーカが動作すると全ての給電が

断たれ,重要な負荷系統も停電してしまうという課題があること(上記(1)ウ,

エ),Aこの課題を解決するために,「30Aの設定電流に対し40A程度で動作

するブレーカを有し,・・・前記ブレーカの前記動作による重要負荷の停電を最少

にする負荷制御装置であって,前記ブレーカを介して前記複数の負荷に対する給電

電流を検出する変流器と,リレーを有し,前記変流器の検出電流が所定時間継続し

て設定値を越えたことを検出する検出回路の検出動作に応動して,前記複数の負荷

の内の重要負荷と区分される高順位の一般負荷の給電を断つ制御回路と,この制御

回路による前記高順位の一般負荷への給電を断ってから3分後に,この高順位の一

般負荷を自動的に再投入させる制御回路とを備え,前記設定値は,設定電流値に設


20
定される負荷制御装置。」との構成としたこと(上記(1) ア,エないしク),Bこ

の構成により,ブレーカが動作することを防止し,重要負荷の停電を最少にでき,

安定かつ安全な給電を行なうことができること(上記(1)ケ),C検出電流が所定

時間継続して設定値(設定電流)を超えると,特定の一般負荷の給電を断つもので

あり,その結果,ブレーカが動作することを防止できるのであって,ブレーカに設

定値を超える電流が流れても直ちに動作しないこと,すなわち,少なくとも所定時

間はブレーカに設定値を超える電流が流れることを許容していること(上記(1)ア,

キ,ク)が,それぞれ開示されていると認定できる。

この点,原告は,引用例1の上記(1)ウ の記載を根拠として,引用発明は,「ブ

レーカの設定電流を超える電流が流れることを防止し,それによりさらにブレーカ

の動作による重要負荷の停電を防止する」ものであると主張するが,上記(1)ウ の

記載の課題があるからといって,課題解決方法として,「ブレーカの設定電流を超

える電流が流れることを防止」する構成を採用する必然性があるとはいえず,また,

少なくとも所定時間はブレーカに設定値を超える電流が流れることを許容する構成

を採用することが阻害されるともいえないから,原告の主張は失当である。

そうすると,引用発明は,「ブレーカの設定電流を超える電流が流れることを防

止し,それによりさらにブレーカの動作による重要負荷の停電を防止する」もので

あることを前提とする原告の主張は理由がなく,審決は,引用発明の認定の誤りが

あるとはいえない。

2 取消事由2(本願発明と引用発明の相違点を看過した誤り)について

原告は,「引用例1には,『第一設定時間は,明示されていない』として,引用

発明における『電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作する

ことがない』時間が,本願発明との相違点であることを看過した審決の認定は誤り

である。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

(1) 本願発明は,「前記電流センサの出力が第一設定時間継続して所定電流値を


21
超えると,前記複数機器の内の所定機器の動作を停止させる停止制御部」,及び

「前記第一設定時間は,前記所定電流値における前記時延引きはずしの最小時間よ

りも短い時間で15秒以上に設定され」と特定されており,本願明細書(甲3)の

「このブレーカは,定格電流を上回る電流に対して電気を遮断する必要があるが,

実際には,電流値によっては直ちに遮断する必要がない場合がある。つまり,定格

電流を上回る電流が流れても,ブレーカを動作させて電気を遮断するまでに,猶予

時間が設けられている。」(段落【0013】),「本発明の電力コントロールシ

ステムは,・・・適宜変更可能である。・・・第一設定時間や第二設定時間などの

設定も,事案に応じて適宜に変更されることも言うまでもない。」との記載(段落

【0037】)からすれば,時延引きはずし時間は,定格電流を上回る電流が流れ

てからブレーカが動作するまでの猶予時間であり,第一設定時間は,事案に応じて

適宜変更できることが示されているといえる。一方,第一設定時間を15秒以上に

設定したことについて,それ以上の根拠は開示されていないから,本願発明の「第

一設定時間」は,複数機器に供給される電流が所定電流値を超えてから,複数機器

の内の所定機器の動作を停止させるまでの時間であり,「所定電流値における時延

引きはずしの最小時間よりも短い時間で15秒以上」は,ブレーカが動作しない範

囲で適宜設定された時間と理解できる。

他方,引用発明は,上記1(2) のとおり,検出電流が所定時間継続して設定値を

超えると,一般負荷の給電を断つものであり,この結果,ブレーカが動作すること

を防止できるのであるから,少なくとも上記「所定時間」の間は,負荷電流が設定

電流を超えていてもブレーカが動作しないことは明らかであり,上記「所定時間」

は,ブレーカが動作しない範囲で設定された時間であると理解できる。

そうすると,本願発明の「第一設定時間」と引用発明の「所定時間」は,いずれ

もブレーカが動作しない範囲で設定された時間である点で共通するから,審決が,

相違点の認定において,本願発明における「所定電流値における時延引きはずしの

最小時間よりも短い時間で15秒以上に設定」された「第一設定時間」と,引用発


22
明における「所定時間」とを対比し,ブレーカが動作しない範囲で設定された時間

について,本願発明は,「所定電流値における時延引きはずしの最小時間よりも短

い時間15秒以上」と特定しているのに対し,引用発明は,「所定時間」について

特定していないとして,この点を相違点として認定した点に誤りはないというべき

である。

(2) これに対し,原告は,引用例1に,「所定時間」は「電動機の起動時の電流

等の過渡的な過大電流は無視し,誤動作することがない」時間と明示されている旨

主張する。

しかし,引用例1には,「上記時定数回路INは,電動機の起動時の電流等の過

渡的な過大電流は無視し,誤動作することがない。」(2頁右下欄16行ないし1

8行)と記載されており,当該記載は,引用発明における「所定時間」を特定した

ものではなく,むしろ,負荷電流が設定電流を超えてから負荷への給電を断つまで

の「所定時間」を設けたことによる作用効果と解釈するのが自然である。

また,原告は,引用発明は,「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電流は無

視し,誤動作することがない」ようにした状態で定格電流を超えるか否かをみてい

るとも主張する。

しかし,上記1(2) のとおり,引用発明は,所定時間継続して設定電流を超える

か否かを検出するものであり,原告の主張は,前提において誤りである。

(3) したがって,引用発明における「電動機の起動時の電流等の過渡的な過大電

流は無視し,誤動作することがない」時間が,本願発明との相違点であると認定し

なかった審決に誤りはなく,原告の主張は失当である。

3 取消事由3(相違点2に関する容易想到性の判断の誤り)について

原告は,「引用発明と引用例2記載の発明との課題が共通するとはいえず,課題

の共通性に基づき,引用例2記載の発明を引用発明に適用できるとして,相違点2

に係る本願発明の構成の容易想到性を判断した審決には誤りがある。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。


23
(1) 認定事実

引用例2(甲2)には次の記載がある。

ア 段落【0001】「本発明は,共通の受電設備から複数の電力機器に配電さ

れている配電システムの電力を監視し,最適な運用を行う電力管理システムに関す

るものである。」

イ 段落【0003】「しかし,ぎりぎりの25KWで契約すると,一時的な作業

のピークのために5KWの電力機器を2台以上稼働させると,ブレーカが作動してし

まったり,契約電力を超過して超過料金が課せられるという問題が生じる。・・・

また,家庭用で,使用中のパソコンの不意の停電を防ぐために,ブレーカの作動す

る前に,電灯回路を強制的に遮断して,パソコンのデータの消滅を防ぐように構成

されたシステムも提案されている。」

ウ 段落【0005】「そこで,本発明は,・・・電源を遮断する対象の機器を

個別に設定可能であって,負荷が低下すると,設定された順番に自動的に電源を復

帰させることのできる管理システムの提供を目的としてなされたものである。」

エ 段落【0006】「本発明にかかる請求項1の電力管理システムは,共通の

受電設備から配電される複数の電力機器を備えた配電設備における電力管理システ

ムにおいて,負荷電力を監視する電力監視手段と,過負荷状態になったときに電源

を遮断する順番を,前記複数の電力機器ごとに個別に設定する遮断優先順位設定手

段と,過負荷状態から回復したときに電源を復帰させる順番を,前記複数の電力機

器ごとに個別に設定する復帰優先順位設定手段と,前記電力監視手段による負荷電

力が予め設定された電力を越えて過負荷状態になったときには,前記遮断優先順位

設定手段において設定された順番に電力機器の電源を遮断し,過負荷状態から回復

したときには,前記復帰優先順位設定手段において設定された順番に電力機器の電

源を復帰させる制御手段と,を備えるという手段を講じた。」

オ 段落【0016】「・・・当該事業所が稼働し始めてから終業するまでの負

荷電流値の変化と各信号の状態及び各表示灯の状態及び電力機器の遮断及び復帰状


24
態を,図3に基づいて説明する。なお,第1設定値は20A,第2設定値は12

0%(24A),第3設定値は10秒,第4設定値は10秒,第5設定値は10秒,

第6設定値は15秒,第7設定値は10秒,第8設定値は15秒に設定された場合

を例として説明する。」

カ 段落【0017】「・・・時刻T2において,第2設定値(120%)を越

えると・・・」

キ 段落【0018】「・・・時刻T2からハンチング防止タイマーにて設定さ

れた5秒間と10秒(第5設定値)経過した後の時刻T3に,第1制御回路58か

ら第1遮断信号が出力される。この第1遮断信号によって電力機器31のマグネッ

トMG1が制御されて電力機器31への電力が遮断される。・・・そして,電力機

器31への電力が遮断されても負荷電流が第2設定値を越えた状態のままであると

・・・」

ク 段落【0019】「・・・10秒(第7設定値)後の時刻T4においては,

第2制御回路59から第2遮断信号が出力され,電力機器32のマグネットMG2

が制御されて電力機器32への電力も遮断される。・・・」

ケ 段落【0020】「その後,時刻T5になって,負荷電流が第2設定値を下

回ると・・・。さらに,負荷電流が低下して,時刻T6において,第1設定値を下

回ると,・・・15秒(第8設定値)後の時刻T7になって第2復帰信号が出力さ

れて電力機器32のマグネットが閉じられて電力機器32の電力が復帰して運転が

再開される。・・・更に15秒(第6設定値)後の時刻T8になると,第1復帰信

号が出力されて電力機器31のマグネットも閉じられて電力機器31の電力も復帰

して運転が再開される。」

コ 段落【0024】「本発明によれば,過負荷状態になったときに予め設定さ

れた優先順位に従って稼働中の電力機器を順番に遮断し,過負荷状態から正常状態

に復帰した場合には,予め設定された優先順位に従って,遮断されていた電力機器

への電源を順番に自動復帰するので,負荷電力を所定の設定電力以下に抑えるよう


25
に自動的に制御することが可能になる。・・・」

(2) 判断

上記(1) 認定の事実によれば,引用例2には,共通の受電設備から複数の電力機

器に配電する電力管理システムにおいて(上記(1)アないしエ ),負荷電流が定格

電流値の120%(第2設定値)を超える過負荷状態になると(上記(1)オ,カ ),

「ハンチング防止タイマーにて設定された5秒間と10秒(第5設定値)」経過後,

設定された優先順位に従って電力機器を遮断し(上記(1)キ,ク,コ ),一方,過

負荷状態から回復し,負荷電流が定格電流値を下回ると,「15秒」経過後,設定

された優先順位に従って,遮断した電力機器の電源を復帰させる(上記(1)ケ,

コ)ように構成したことにより,ブレーカが作動することを防止した発明が記載さ

れていると認められる。

そうすると,引用例2記載の発明は,上記のとおり,共通の受電設備から複数の

電力機器に配電する電力管理システムにおいて,ブレーカが作動することを防止す

るものであり,引用発明と技術分野及び課題が共通するというべきであって,引用

発明に引用例2記載の発明を適用することを阻害する要因があるとはいえない。

また,引用例2記載の発明は,負荷電流が「ハンチング防止タイマーにて設定さ

れた5秒間と10秒(第5設定値)」継続して第2設定値を超えると,特定の負荷

への給電を遮断し,所定時間経過すると遮断した特定の負荷を再投入するものであ

り,基本的な構成においても引用発明と共通する。

さらに,引用例2記載の発明の「第2設定値」は,引用発明における「設定値

(設定電流)」,すなわち,ブレーカが動作しない範囲で設定された「ブレーカを

時延引きはずしする電流値」ということができる。また,引用例2記載の発明の

「ハンチング防止タイマーにて設定された5秒間と10秒(第5設定値)」(「1

5秒」)は,引用発明における「所定時間」,すなわち,ブレーカが動作しない範

囲で設定された「所定電流値における時延引きはずしの最小時間よりも短い時間」

であることは明らかであり,引用例2には,上記時間を「15秒」に特定した根拠


26
は記載されていないことからして,上記時間は,ブレーカが動作しない,所定電流

値における時延引きはずし時間の範囲内で,適宜設定できる値であると認められる。

したがって,引用発明における「設定値(設定電流)」及び「所定時間」として,

引用例2記載の発明に記載された「第2設定値」及び「ハンチング防止タイマーに

て設定された5秒間と10秒(第5設定値)」を適用し,それぞれ「ブレーカを時

延引きはずしする電流値」及び「所定電流値における時延引きはずしの最小時間よ

りも短い時間で15秒以上」とすることは,当業者が容易に想到することができた

と認められ,相違点2に係る本願発明の構成の容易想到性に関する審決の判断に誤

りはない。

4 取消事由4(相違点3に関する容易想到性の判断の誤り)について

(1) 原告は,「引用発明は,停止後に再投入するまで3分も待機するので,所定

機器の停止時間が長くなり,ユーザにとって不都合である上,電力ピークとして3

分も確保する必要はなく,3分も確保することは,電力ピークが過ぎてからも不必

要に機器を停止させることにつながる。これに対し,本願発明は,所定機器の停止

後,15〜30秒で復帰させるので,所定機器の停止を最小限に抑えることができ

るものであるから,第二設定時間を15〜30秒とすることに技術的な臨界的意義

がある。したがって,本願発明について,第二設定時間を15〜30秒とすること

に技術的な臨界的意義は認められないとした審決は誤りである。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

本願発明は,所定機器を停止してからこの所定機器を動作状態に復帰させるまで

の時間である第二設定時間について,「前記第二設定時間は,15〜30秒に設定

される」と特定されており,本願明細書(甲3)を参照すれば,「第二設定時間は,

電力消費(過負荷)のピーク持続時間を考慮して定められ,本実施例では通常,1

5〜30秒に設定される。」(段落【0034】)と記載され,電力消費(過負

荷)のピーク持続時間を考慮して定めることは示されているものの,下限を「15

秒」,上限を「30秒」とした根拠は記載されておらず,第二設定時間を「15〜


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30秒」に限定した技術的意義については示されていないというべきである。

他方,引用例1には,本願発明の第二設定時間に対応する時間を「3分」とした

ことが,また,引用例2には,同じく「15秒」としたことがそれぞれ記載されて

おり,いずれの引用例にも,前記時間を特定した根拠については明示されていない

ことからして,前記時間は,少なくとも15秒ないし3分の範囲であれば,当業者

が適宜設定できる値であると考えるのが自然である。

この点,原告は,電力ピークとして3分も確保することは不要かつ不都合である

旨主張するが,それを前提としても,第二設定時間を「15〜30秒」に限定した

技術的意義が開示されているとはいえない。

したがって,引用発明において,本願発明の第二設定時間に対応する時間を「1

5〜30秒」とすることは,当業者が容易に想到することができたと認められる。

原告の主張は理由がない。

(2) また,原告は,「本願発明では,『停止制御部による前記所定機器の停止か

ら第二設定時間経過後に,この所定機器を動作状態に復帰させる』ものであり,所

定機器の停止時を第二設定時間の起算点とするので,必ずしも定格電流以下で復帰

させなければならないものでなく,定格電流を超える電流で復帰させることもあり

得る。このような構成は,定格電流になると次々と負荷を切断していき定格電流を

超える時延引きはずし領域の使用を前提としない引用発明や,定格電流に戻り,か

つ,15秒経過後に負荷を復帰させる引用例2記載の発明では,あり得ない構成で

ある。したがって,原告の上記主張を,本願発明に基づく主張でないとして採用し

なかった審決の判断には誤りがある。」と主張する。

しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。

本願発明における第二設定時間は,上記(1) のとおり,電力消費(過負荷)のピ

ーク持続時間を考慮して定めた時間であって,所定機器を動作状態に復帰させるに

当たり,供給される電流が定格電流以下であることを検出しているわけではないか

ら,「所定時間だけ所定機器の動作を強制停止している間に,通常ほとんどの場合,


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他の機器の動作が停止し,電力消費(過負荷)のピークは過ぎるので,前記所定機

器を再起動しても問題はない。」(甲3の段落【0015】)と記載されるように,

本願発明は,第二設定時間経過後に所定機器を動作状態に復帰させた結果,依然と

して電流が定格電流を超えていることがあり得ることを前提としているということ

ができる。

したがって,原告の上記主張を,本願発明に基づく主張でないとした審決の判断

に誤りはなく,原告の主張は失当である。

なお,引用発明や引用例2記載の発明においても,所定時間経過後に負荷を再投

入するに当たり,負荷に供給される電流が定格電流以下であることを検出している

ことは開示されていないから,本願発明と同様に,電流が定格電流を超えている状

態で復帰することがあり得ることは当然に予測できることであり,本願発明と引用

発明又は引用例2記載の発明との作用効果に,格別の差異はないというべきである。

5 小括

以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,審決に取り消すべき

違法は認められない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも採用の限りでない。

第5 結論

よって,原告の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決す

る。



知的財産高等裁判所第3部




裁判長裁判官

飯 村 敏 明




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裁判官

武 宮 英 子



裁判官齊木教朗は,転任のため,署名・押印することができない。




裁判長裁判官

飯 村 敏 明




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