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関連審決 無効2002-35083
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成15行ケ155審決取消請求事件 判例 特許
平成12行ケ81審決取消請求事件 判例 特許
平成18ネ10051特許権侵害差止等請求控訴事件 判例 特許
平成16ワ11060職務発明の対価請求事件 判例 特許
平成15行ケ116審決取消請求事件 判例 特許
関連ワード 技術的思想 /  新規性 /  公然知られ(29条1項1号) /  新規性喪失(新規性の喪失) /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  発明の詳細な説明 /  発明が明確 /  明細書の記載要件 /  意匠登録出願 /  信義則 /  実施 /  加工 /  間接侵害 /  構成要件 /  侵害 /  設定登録 /  請求人適格 /  請求の範囲 /  訂正明細書 / 
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事件 平成 15年 (行ケ) 156号 審決取消請求事件
原告 豊栄繊維株式会社
訴訟代理人弁護士 山上和則
同 弁理士 池内寛幸
同 川上桂子
被告 日本マイヤー株式会社
訴訟代理人弁護士 村林隆一
同 岩坪哲
同 赫高規
同 弁理士 蔦田璋子
同 蔦田正人
同 富田克幸
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/10/18
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2002-35083号事件について平成15年3月11日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は,名称を「衣料用シームレス経編地」とする特許第2996633号発明(平成9年9月2日特許出願〔特願平9-237510号〕,平成11年10月29日設定登録,以下,この特許を「本件特許」,本件特許に係る出願を「本件出願」という。)の特許権者である。
被告は,平成14年3月7日,本件特許の請求項1ないし6に係る発明についての特許につき無効審判の請求をした。特許庁は,同請求を無効2002-35083号事件として審理し,平成15年3月11日,「特許第2996633号の請求項1〜6に係る発明についての特許を無効とする。」との審決をし,その謄本は,同月21日,原告に送達された。
2 本件出願の願書に添付した明細書(平成13年4月9日付けで訂正請求がされ,同年8月29日付け異議の決定により訂正が認められた後のもの。以下,図面と併せて「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された発明(以下,順に「本件発明1」ないし「本件発明6」といい,併せて「本件発明」という。)の要旨 【請求項1】ラッセル経編地であって,前記経編地は一枚の連続した衣料用編地であり,編み目の進行方向に沿って生地部とレース部が一体的に連結して編まれてなり,かつ前記生地部は鎖編み・乱止め組織からなる地組織で形成された無地又は無地柄の編地であり,前記レース部は前記地組織にレース模様が形成された柄又は細幅レースの編地であることを特徴とする衣料用シームレス経編地。
【請求項2】 生地部の幅がレース部の幅の3倍以上である請求項1に記載の衣料用シームレス経編地。
【請求項3】レース部が編み目の進行方向に沿って複数形成されている請求項1又は2に記載の衣料用シームレス経編地。
【請求項4】経編地が,非弾性糸を用いた編地(リジット組織),一方向に弾性糸を用いた編地(ワンウェイ組織)及び二方向に弾性糸を用いた編地(ツーウェイ組織)から選ばれる少なくとも一つの編地組織である請求項1〜3のいずれかに記載の衣料用シームレス経編地。
【請求項5】ワンウェイ組織またはツーウェイ組織に用いる糸が,弾性繊維糸に非弾性繊維糸を巻き付けたカバード糸である請求項4に記載の衣料用シームレス経編地。
【請求項6】レース部が隣接する少なくとも一方の生地部との境界部の編み組織から糸抜きされて端部が形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の衣料用シームレス経編地。
3 審決の理由 審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,審判請求人(被告)には本件特許の存否についての利害関係が認められるとした上,(1)本件発明1〜6の特許は,特許法36条4項及び6項2号の規定を満たしていない出願についてされたものである,(2)本件発明1,3は,意願昭60-36286号の意匠登録出願の願書に図面代用見本として添付され,意匠登録第735051号(昭和63年2月24日登録)に係る意匠公報(甲10,昭和63年6月9日発行,以下「甲10意匠公報」という。)に掲載された細巾レース地である公知物件2(以下,上記図面代用見本を「甲10意匠図面代用見本」ということがある。)により本件出願前に公然知られた発明であるから,特許法29条1項1号に該当する,(3)本件発明2,4〜6は,公知物件2によって本件出願前に公然知られた発明に基づいて(あるいは,これに周知,公知の技術を付加することにより),当業者が容易に発明をすることができたものであるから同条2項に該当する,との理由により,本件発明1〜6についての特許は無効とすべきものであるとした。
原告主張の審決取消事由
審決は,審判請求人(被告)に本件特許の存否についての利害関係があるとして無効審判の請求人適格に関する判断を誤り(取消事由1),明細書の記載要件についての判断を誤り(取消事由2),特許法150条5項の規定に違反する手続上の誤りを犯し(取消事由3),本件発明1の新規性の判断を誤った(取消事由4)結果,本件発明2〜6についての新規性又は進歩性の判断も誤った(取消事由5)ものであるから,違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(無効審判の請求人適格に関する判断の誤り) (1) 審決は,「請求人(注,被告)には本件特許の存否についての利害関係が認められる」(審決謄本17頁下から第2段落)として,本件特許の無効審判請求につき被告の請求人適格を肯定したが,誤りである。
(2) 被告は,本件明細書に記載されているラッセル経編機の改造を請け負うなど,本件発明に関連する装置の改造で原告に協力しておきながら,本件特許が成立すると,第三者にも当該装置及び関連装置を販売する意図で,本件特許につき無効審判を請求した上,原告と競合関係にある株式会社タケダレース(以下「タケダレース」という。)が社内で保管しているレース生地見本(審判検甲第1号証,以下「審判検甲1物件」という。)を無効審判請求の証拠として使用している。これは,信義則に反することが明らかであり,被告には本件特許を無効にすることについて法律的な利害関係が存在しないというべきである。
2 取消事由2(明細書の記載要件に関する判断の誤り) (1) 審決は,「本件明細書には,特許請求の範囲に特許を受けようとする発明が明確に記載されているとすることはできず,また,発明の詳細な説明が当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ充分に記載されているものとはいえないから,本件発明1〜6の特許は,特許法第36条第4項及び第6項第2号の規定を満たしていない出願についてされたものである」(審決謄本21頁第5段落)と判断したが,誤りである。
(2) 「無地柄」について 審決は,まず,本件明細書の請求項1に記載された「無地柄」の語の意味するところが不明であるとの理由により,請求項1の記載中の「『生地部は無地柄の編地であり』という部分はその意味するところが明確でない」(審決謄本20頁下から第2段落)と判断した。
しかし,「柄」には,柄糸を用いた柄と,地組織による柄の二つがあり,単に「柄」と表現したのでは両者の区別が明確でないので,本件明細書では,後者であることを明確にするために,「無地柄」と表現している。地組織の糸による柄を「無地柄」と表現することは,横編み分野ではよく知られており(平成9年3月繊維産業構造改善事業協会発行「ニットアパレルIII-ニット生産工場-」204,284頁〔甲12,以下「甲12文献」という。〕,特公昭60-467号公報〔甲13,以下「甲13文献」という。〕,特開平4-11053号公報〔甲14,以下「甲14文献」という。〕),経編みの分野でも,同様に,地組織による柄を「無地柄」と呼んでいる。
審決は,甲12〜14文献中の「無地柄」の語は,いずれも横編み組織に関して記載されたものであるから,経編み組織においても「無地柄」の語が同様の意味で用いられていることを示すものではないとするが,横編みも経編みも同じ編み物分野であり,経編みに関しても「無地柄」の意味するところは,当業者にとって明確である。すなわち,「柄」として視覚的に認識する形態には,@異なる色が隣接して配置されていることによって認識される柄,A編み組織の二次元的又は三次元的な変化によって認識される柄の二通りがあり,@を「色柄」と呼び,Aを「色柄」と明確に区別して表すために,「無地柄」,「組織柄」,「地柄」という言葉が,ラッセル経編地の分野で昔から慣習的に用いられている(信州大学教授Aの平成16年2月6日付け意見書〔甲25添付の甲5〕,京都市産業技術研究所繊維技術センター研究部長Bの同年1月26日付け意見書〔甲25添付の甲6〕,「お尋ね」と題する当業者に対するアンケート結果〔甲25添付の甲7〕)。ラッセル経編地の一種であるカーテン分野においても,単色であるが組織柄によって模様が形成されたカーテンを「無地柄」と称している(カーテン販売業者のホームページ画面印刷結果〔甲25添付の甲8〕)。繊維業界では,「無地」と「柄」とは相反する概念ではない。
本件出願の願書に添付した図面の図1〜3(本件特許公報〔甲2〕参照)の生地部はすべて地組織による柄であり,図1〜3の下の説明及び実施の形態1〜3には,地組織による柄の形成方法が具体的に記載されている。
そして,請求項1には「地組織で形成された無地又は無地柄の編地」と記載されており,地組織が地組織の糸によって形成されていることは当然であるから,「無地柄」が「地組織の糸によって編み模様が形成されている組織」であることは,特許請求の範囲に明白に記載されている。
したがって,請求項1の記載中の「生地部は無地柄の編地であり」という部分の意味には,何ら不明確なところはない。
(3) 「生地部」と「レース部」について 審決は,また,「請求項1の記載における『生地部』と『レース部』とを明瞭に区別することはできない」(審決謄本21頁第4段落)と判断したが,これも誤りである。
「レース部」とは,生地(地組織)の上にレース糸を使用して模様を形成した透孔のある布地をいうのであり,生地部とレース部の区別は明確である。
審決は,原告が,本件発明におけるレースとは,《1》装飾模様を形成している,《2》レース糸を用いる,《3》透孔を有する,《4》レース部の密度の方が生地部の密度より高い,という4点で定義されるものであると主張したのに対し,「『《4》レース部の密度の方が生地部の密度より高い』点は,乙第1号証(注,平成3年7月10日丸善(第2版第6刷)発行,繊維学会編「繊維便覧 加工編」,本訴甲25添付の甲13〔以下「甲25添付の甲13文献」という。)の記載から直接導き出されるものとはいえず,たまたま本件明細書の実施例のものがそれに当たるとしても,特許請求の範囲に記載されていないこのような事項により本件発明におけるレースが規定されるものとすることはできない」(同第2段落)とする。しかし,請求項1に規定するように,「レース部」は,「地組織にレース模様が形成された柄又は細幅レースの編地」であるから,必然的に地組織の密度に加えてレース模様の密度分だけ密度が高くなるのである。本件明細書(甲3添付の全文訂正明細書)における実施の形態の説明(段落【0014】,【0017】)にもレース部の密度が高いことは明白に記載されている。
審決は,また,「『《2》レース糸を用いる』点も,レース糸をレース部の構成糸と解釈すれば,自明の限定にすぎない」(同第2段落)とするが,本件発明のラッセル経編地においては,レース糸のみではレース部を構成できず,生地の上にレース糸を使用して模様を形成した透孔のある布地を形成する必要がある。
審決は,さらに,「無地柄が透孔を有するレース模様となることが特に排除されているわけではなく,そのような場合にはその模様を形成する糸は『レース糸』にほかならない」(同第3段落)とするが,地組織のみの柄は生地部にほかならない。「無地柄が透孔を有するレース模様となる」場合は,「生地部は鎖編み・乱止め組織からなる地組織で形成された無地柄の編地」そのものである。
以上のように,本件発明においては,地組織の糸のみによって現出された模様は,生地部であり無地柄である。そして,レース部には柄糸(レース糸)を更に加えるものであるから,「生地部」と「レース部」との区別は,明確である。
(4) 以上のとおり,請求項1の記載における「無地柄」の語の意味も,「生地部」と「レース部」との区別も明確であるから,「本件明細書には,特許請求の範囲に特許を受けようとする発明が明確に記載されているとすることはできず,また,発明の詳細な説明が当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ充分に記載されているものとはいえない」(審決謄本21頁第5段落)とした審決の判断は,誤りである。
3 取消事由3(特許法150条5項違反の手続的瑕疵) 審決は,本件発明1の新規性の判断に関して,「公知物件2は意匠登録第735051号公報(・・・意願昭60-36286号・・・)に掲載された細巾レース地であり,検甲第1号証は公知物件2のサンプルとされている。当審において,特許庁に保管されている意願昭60-36286号の原本に添付された図面代用見本と検甲第1号証の編み地(注,審判検甲1物件)とを対比したところ,両者は同一のサイズ及び編み組織を有する編み地であることを確認した」(審決謄本22頁第2段落)とするが,原告は,「特許庁に保管されている意願昭60-36286号の原本に添付された図面代用見本」なるものを見たことがない。もし,審判合議体が,職権で特許庁に保管されている甲10意匠図面代用見本の証拠調べをしたのであれば,特許法150条5項により,その結果を当事者に通知し,相当な期間を指定して,意見を申し立てる機会を与えなければならないのに,この手続がされていないから,上記規定に違反しており,審決の結論に影響を及ぼす明白な手続的瑕疵がある。
4 取消事由4(本件発明1の新規性に関する認定判断の誤り) (1) 審決は,特許庁に保管されている甲10意匠図面代用見本と審判検甲1物件とが同一の編地であるとの前提に立って,本件発明1と審判検甲1物件(審決謄本22頁の「4-4-4.検甲第1号証の検証結果」のイ〜ホの摘示参照。)とを対比し,この対比に基づき,「本件発明1は公知物件2・・・によって本件出願前に公然知られた発明であるから特許法第29条第1項第1号に該当し」(同24頁第3段落)と判断したが,誤りである。
(2) そもそも,審決が本件発明1との対比判断に用いた審判検甲1物件は,同物件を撮影した写真(甲9,以下「甲9写真」という。)に「TAKEDA LACE0331」と記載され,被告(審判請求人)が無効審判請求書において,甲10意匠公報に係る意匠の出願人であるタケダレースにおいて保管されていたサンプルであると主張していたとおり,タケダレースに保管されていたものであって,公知となっていた物件ではない。したがって,審決が,公知ではない審判検甲1物件と本件発明1とを対比して,新規性の判断をしたこと自体が誤りである。
また,審決は,「公知物件2は意匠登録第735051号公報(・・・意願昭60-36286号・・・)に掲載された細巾レース地であり,検甲第1号証(注,審判検甲1物件)は公知物件2のサンプルとされている」(審決謄本22頁第2段落)とするが,甲10意匠図面代用見本(公知物件2)と審判検甲1物件とが同一物であるという客観的証明はされていない。
(3) 仮に,審判検甲1物件が甲10意匠図面代用見本と同一物であるとしても,審判検甲1物件は,本件発明1の構成要件の一部を満たすにすぎないから,同物件によって本件発明1の新規性を否定することはできない。すなわち,審判検甲1物件は,「細巾のレース地」であるから,全体として衣料に構成することはできない。したがって,審判検甲1物件は,生地部とレース部が一体的に連結して編まれてなり,これを一体的に連結した状態でシームレス経編地として衣料用に使用するという本件発明1の技術的思想を記載も示唆もするものではない。
審決は,「『基本組織』という意味では,公知物件2の前記無地部分は,まさに編み地の基礎をなす鎖編み組織からなる部分であるから,本件発明1における『生地部』そのものというべきである」(審決謄本23頁第3段落)と認定するが,審判検甲1物件の中央部分の無地部分は,細巾レースを分離するための切断部分であり,そのまま一体的に連結した状態で衣類にするための生地部ではない。審判検甲1物件の中央部は,切り離すことを予定しているので,きわめて強度が弱く,手の指で押せば破れるほどである。これでは,毎日洗濯を繰り返さなければならないような女性の実用的衣料の生地として用いることはできない。
5 取消事由5(本件発明2〜6の新規性又は進歩性に関する判断の誤り) 審決は,本件発明2〜6について,本件発明1に新規性がないことを前提に,本件発明2,4〜6の進歩性及び本件発明3の新規性を否定したが,本件発明1に新規性がないとの判断が誤りであるから,これを前提とする本件発明2〜6についての判断も,誤りである。
被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 取消事由1(無効審判の請求人適格に関する判断の誤り)について 審決の判断に誤りはない。
2 取消事由2(明細書の記載要件に関する判断の誤り)について (1)「無地柄」について 「無地柄」が「地組織の糸によって編み模様が形成されている組織」であることは,特許請求の範囲にも発明の詳細な説明にも記載がない。甲12〜甲14文献に,横編み組織に関して「無地柄」の用例があるとしても,編成及び模様現出機構を全く異にする経編み組織に関し,「無地柄」の語が「地組織の糸で形成される柄」(地組織による柄)を意味するものとは解されない。
仮に,「無地柄」を「地組織の糸で形成される柄」と解釈しても,地組織のみで現出されたレース模様は「無地柄」に該当し「生地部」に該当するのか,「レース模様」である以上「レース部」に該当するのか不明であるから,「無地柄」の意味は,依然不明確である。
(2)「生地部」と「レース部」について 「レース部の密度」が「生地部の密度」より高いなどという技術的事項は,特許請求の範囲に記載されていない。原告が主張する,「レース部」が「生地の上にレース糸を使用して模様を形成した透孔のある生地」であるという事項は,本件明細書から導くことは不可能である。原告は「透孔を有する模様のある編地」が「生地部」であることを認めており,「透孔を有するか否か」が生地部とレース部を区別する指標とならないことを自認しているに等しい。
3 取消事由3(特許法150条5項違反の手続的瑕疵)について 審判における手続に,原告主張のような審決の結論に影響を及ぼす瑕疵はない。
被告は,無効審判手続において,公知物件2(甲10意匠図面代用見本)による本件発明1の新規性欠如を無効理由として主張し,その形状の同一性から公知物件2との同一性が明らかな審判検甲1物件を,公知物件2のサンプルとして提出した。審決は,審判検甲1物件及び甲10意匠公報に基づき,公知物件2による新規性喪失の主張について判断をしたものであり,被告にとって何ら不意打ちとなる点はない。
甲10意匠図面代用見本が,甲10意匠公報に係る意匠登録によって公知となったものであることは,被告代理人弁護士岩坪哲作成の平成12年12月27日付け報告書(乙1,審判甲3,以下「乙1報告書」という。)から明らかである。
乙1報告書は,甲10意匠図面代用見本による新規性欠如の主張の証拠資料として,審判請求書に添付され,原告に対し反論の機会も付与されていたものであるから,審決中に,審判合議体が特許庁に保管されていた甲10意匠図面代用見本を確認したと記載されていても,それは,審判検甲1物件あるいは乙1報告書の証明力に関する補助証拠として用いられたにすぎない。原告は,無効審判手続において,審判検甲1物件が公知物件2のサンプルであることを争っておらず,公知物件2の公知性は争いのない事実であった。 4 取消事由4(本件発明1の新規性に関する判断の誤り)について (1) 審決は,審判検甲1物件を公知物件2そのものとしたものではなく,公知物件2のサンプルであるとの被告の主張に沿って適切に判断をしており,審判検甲1物件と甲10意匠図面代用見本とが同一であることは,両者の模様・形状の同一性及び甲10意匠図面代用見本を撮影した乙1報告書の写真A-1〜3により明確に裏付けられている。
(2) 審判検甲1物件(公知物件2)を衣料用とする際に,中央部分が切断されるか否かは,同物件が本件発明1の要旨を備える公知の物件であるか否かを判断するに当たり,全く無関係の事実である。本件発明1の新規性の判断に当たって引用されている証拠は,審判検甲1物件に示される公知物件2のレース地を中央部分で切断したものではなく,切断前のレース地そのものである。
5 取消事由5(本件発明2〜6の新規性又は進歩性に関する判断の誤り)について 審決の判断に誤りはない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(無効審判の請求人適格に関する判断の誤り)について (1) 原告は,「請求人(注,被告)には本件特許の存否についての利害関係が認められる」(審決謄本17頁下から第2段落)として,本件特許の無効審判請求につき被告の請求人適格を肯定した審決の判断が誤りであると主張する。
審決は,無効審判請求に関する被告の利害関係を判断する前提として,「請求人が疏明資料とする甲第13号証(注,「kettenwirk-praxis」1971年〔昭和46年〕3期号,本訴乙4-9)及び参考資料1(「kettenwirk-praxis」1972年〔昭和47年〕3期号)をみると,これらにはマイヤー社(注,ドイツ連邦共和国のカールマイヤー・テキステイル・マシーネンファブリーク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクター・ハフツング)のラッシェル機を用いたレース地に関する記載があり,このレース地は編み機の性能を紹介するために作成されたサンプルであると理解される」(審決謄本17頁第4段落)と認定しており,この認定自体は,原告の争わないところである。そうすると,弁論の全趣旨から,上記マイヤー社の日本法人であり,同社から編み機を導入していると認められる被告が,我が国において同様のレース地及び衣類を製造する業者にその編み機を供給し,あるいは,編み機の販売のために,当該レース地のサンプルを作成することは,当然予測されるところであり,これらの活動に関連して,本件特許の特許権者である原告から特許権侵害(間接侵害を含む。)の権利主張を受けたり,本件特許の存在により編み機の生産,販売に関する事業活動上何らかの制約を受ける可能性があることは否定できない。そうである以上,被告が本件特許の無効審判を請求するについて法律上正当な利益を有することは明らかというべきであり,本件特許の無効審判請求につき被告の請求人適格を肯定した審決の判断に誤りはない。
(2) なお,原告は,被告が本件特許の無効審判を請求することは信義則違反であるから,無効審判の請求についての被告の法律的な利害関係は否定されるべきである旨主張するが,その主張のような信義則違反の有無は,上記のとおり認定した無効審判請求についての被告の法律上の利益に消長を来すものではないというべきである。
原告の取消事由1の主張は理由がない。
2 取消事由2(明細書の記載要件に関する判断の誤り)について (1) 原告は,審決が,「請求項1の・・・記載中の『生地部は無地柄の編地であり』という部分はその意味するところが明確でない」(審決謄本20頁下から第2段落),「請求項1の記載における『生地部』と『レース部』とを明瞭に区別することはできない」(同21頁第4段落)との理由により,「本件明細書には,特許請求の範囲に特許を受けようとする発明が明確に記載されているとすることはできず,また,発明の詳細な説明が当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ充分に記載されているものとはいえない」(同頁第5段落)と判断したことに対し,「無地柄」の語の意味は不明確とはいえず,また,「レース部」と「生地部」との区別も不明確とはいえないから,審決の上記判断は誤りであると主張する。
(2) 「無地柄」について 平成9年4月1日光琳社出版増補改訂第3版発行「新ファッションビジネス基礎用語辞典〈増補改訂版〉」(甲25添付の甲9,以下「甲25添付の甲9文献」という。)には,「編地」の項目に,「編地を外観上から区分すると,無地の組織柄のもの,および異色の糸を用いた色柄のものがある」(553頁末行〜554頁2行目)と記載されており,この記載によれば,編地において「無地」と「柄」とは,両立する概念であることが認められる。甲12〜甲14文献には,横編み組織に関してではあるが,「無地柄」,「無地柄組織」などの用語が使用されており,これらの用例は,編地において,「無地」と「柄」とが背反する概念でないことを裏付けるものということができる。
そこで,「無地柄」がどのような柄を指して用いられるかにつき,更に検討すると,甲25添付の甲13文献には,「丸編メリヤスで編出される柄は,色模様編地と無地柄編地の2つに大別できる。色模様編地は色柄ジャガード編地ともいわれ,多彩なカラーデザイン編地である。無地柄編地は編組織の変化によって,編地の形態が変わり,凹凸,粗密の変化,あるいはこれらの組合わせによってできた無地柄である」(603頁下から2行目〜604頁2行目)と記載されており,この記載によると,「無地柄」は,「色模様」と対峙される「編組織の変化によって,編地の形態が変わり,凹凸,粗密の変化,あるいはこれらの組合わせによってできた柄」のことであると認められる。
そして,甲25添付の甲13文献の上記記載は,横編の一種の「丸編」に関する項目における記載ではあるが,甲25添付の甲9文献においては,編地の種類を特に限定することなく,「無地の組織柄」及び「色柄」の用語が用いられており,経編みの場合に,上記の意味を有する「無地柄」が製造できない等の事情も認められないから,経編地に関する本件発明における「無地柄」も,横編みの場合と同様に,「編組織の変化によって,編地の形態が変わり,凹凸,粗密の変化,あるいはこれらの組合わせによってできた」柄,すなわち,地組織の糸で形成される柄という意味に理解されることは明らかというべきであり,「無地柄」の意味が当業者にとって不明確であるとはいえない。
これに対し,被告は,「無地柄」を「地組織の糸で形成される柄」と解釈しても,地組織のみでレース模様を現出した場合,それが「無地柄」に該当し「生地部」に該当するのか,「レース模様」である以上「レース部」に該当するのかが不明であるから,「無地柄」の意味は,依然不明確であると主張する。しかし,「無地柄」の語は,上記のとおりの意味に解されるものであるから,その語自体の意味が不明確とはいえず,また,「レース部」と「生地部」との関係は,次の(3)に説示するとおりであるから,地組織のみでレース模様を現出したような場合であっても,その部分が「レース部」又は「生地部」のどちらに該当するかが不明であるということはできない。
(3) 「生地部」と「レース部」について 本件特許の特許請求の範囲の請求項1には,「レース部」に関し,「前記経編地は一枚の連続した衣料用編地であり,編み目の進行方向に沿って生地部とレース部が一体的に連結して編まれてなり」,「前記レース部は前記地組織にレース模様が形成された柄又は細幅レースの編地であることを特徴とする」と記載されているところ,これらの記載における「レース部」がどのようなものを意味するかは,特許請求の範囲の記載だけからでは一義的に明確とはいえない。
そこで,本件明細書(甲2,甲3添付)の発明の詳細な説明欄の記載及び図面を検討すると,図1〜3によれば,レース部に相当する部分は,地組織を構成する糸のほかに柄糸を加えてレース模様が形成されていることが認められ,図1〜3に対応する実施の形態1〜3についての説明記載(段落【0014】,【0015】,【0017】)によれば,レース部は目付換算で287.5g/m2,生地部は目付換算で142.9g/m2と,生地部よりレース部の方が密度の高いものが得られていることが認められる。そして,本件明細書には,実施の形態1〜3及び図1〜3以外には,「地組織にレース模様が形成される」ことに関連する記載は存在しない。
上記の各記載及び図面によれば,本件明細書において,「レース部」の語は,地組織を構成する糸に更に他の糸を加えてレース模様が形成され,その密度が生地部の密度よりも高くなっている部分を指して用いられていることが明らかである。そして,「レース部」を,上記のように,地組織を構成する糸に他の糸を加えてレース模様を形成したものと理解することにより,請求項1の「経編地は生地部とレース部が一体的に連結して編まれてなり」との記載及び発明の詳細な説明欄の「生地部とレース部の間の縫製部分をなくすことができる」(段落【0012】)との記載の意義も一層明確になる。
したがって,請求項1にいう「レース部」と「生地部」とは,明確に区別することができるというべきであり,両者の関係に不明確なところはない。
(4) 以上によれば,「無地柄」の用語の意味が不明確であるとはいえず,また,「レース部」と「生地部」との区別も不明確とはいえないから,審決の,「本件明細書には,特許請求の範囲に特許を受けようとする発明が明確に記載されているとすることはできず,また,発明の詳細な説明が当業者が本件発明を実施できる程度に明確かつ充分に記載されているものとはいえない」(審決謄本21頁第5段落)との判断は,誤りというべきである。
3 取消事由3(特許法150条5項違反の手続的瑕疵)について (1) 原告は,審決に,特許庁に保管されていた甲10意匠図面代用見本と審判検甲1物件の編地とが同一のサイズ及び編み組織を有することを確認した旨の記載(審決謄本22頁第2段落)があることに対し,審判合議体が職権で証拠調べをしたのであれば,その結果を当事者に通知して意見を申し立てる機会を与えなければならない(特許法150条5項)にもかかわらず,その手続がされていないから,審決には,結論に影響を及ぼす明白な手続的瑕疵がある旨主張する。
(2) 証拠(甲11,37)及び弁論の全趣旨によれば,特許庁における審判手続において,@被告(審判請求人)は,無効理由の一つとして,甲10意匠公報に係る意匠登録がされたことにより公然知られることになった甲10意匠図面代用見本(公知物件2)に基づく本件発明1の新規性欠如の主張をしていたこと,A被告は,甲10意匠図面代用見本(公知物件2)の編地の具体的構成を明らかにするために,審判検甲1物件を証拠方法として提出し,併せて,特許庁において甲10意匠図面代用見本を閲覧して写真撮影したこと等を報告し,撮影した甲10意匠図面代用見本の写真を貼付した乙1報告書も証拠方法として提出したこと,B審判の口頭審理手続においては,原告代理人の立会いの下,審判検甲1物件の検証が行われ,同物件について被告代理人岩坪哲による指示説明がされたことが認められる。
以上の事実経過に照らすと,審判合議体は,審判請求人(被告)が無効理由の根拠として主張しない証拠について職権で証拠調べを行ったものではなく,また,甲10意匠図面代用見本の編み組織の構造については,これを撮影した写真(乙1報告書の写真A-1〜3)が証拠として提出されており,甲10意匠図面代用見本を根拠とする無効理由の主張に対して原告が反論をする機会が与えられていたことは明らかというべきである。特許法150条5項は,当事者の知らない間に不利な証拠が集められて,何ら弁明の機会を与えられないうちに心証が形成されるという不利益から当事者を救済するための手続を定めたものであって,審判合議体が職権で特許庁に保管されていた甲10意匠図面代用見本と審判検甲1物件の編地とが同一のサイズ及び編み組織を有することを確認したとしても,甲10意匠図面代用見本の編み組織を明らかにするために提出された審判検甲1物件あるいは乙1報告書の証明力に関する補助証拠として用いたことをうかがわせるにすぎず,そのことのみをとらえて,原告に上記のような不利益を負わせるものということはできない。したがって,審判における手続に審決の結論に影響を及ぼす明白な手続的瑕疵があったとする原告の主張は失当というほかはない。
なお,原告は,甲10意匠図面代用見本を見たことがないと主張するが,審判において被告が主張した無効理由の一つは,甲10意匠図面代用見本(公知物件2)に基づく新規性欠如の主張であったのであるから,これに反論するために,原告は,自ら甲10意匠公報に係る意匠登録出願の包袋を閲覧し,願書に添付された図面代用見本の細巾レース地の構成を確認することも可能であったというべきであり,審判における手続の経緯が,原告にとって,不意打ちとなる性質のものであったということもできない。
(3) 以上のとおり,審判における手続に,原告主張のような審決の結論に影響を及ぼすべき手続的瑕疵があったということはできないから,原告の取消事由3の主張は理由がない。
4 取消事由4(本件発明1の新規性に関する認定判断の誤り)について (1) 原告は,審決が,公知物件に該当しない審判検甲1物件の検証をしたこと自体が誤りであるから,同物件の検証結果に基づき本件発明1の新規性を否定した判断も誤りであると主張する。しかし,審決が,審判検甲1物件自体を公知の物件として本件発明1の新規性を判断したのではなく,甲10意匠図面代用見本によって本件発明1の新規性が否定されるという審判請求人(被告)の主張について判断するために,タケダレースに保管されていた甲10意匠図面代用見本のサンプルである審判検甲1物件を検証することによって,甲10意匠図面代用見本の具体的な構成を確認したものであることは,審決謄本21頁の「4-4-1.請求人の主張」,同22頁の「4-4-3.公知物件2と検甲第1号証との関係」及び同頁「4-4-5.対比・判断」における各説示自体から明らかである。原告の主張は,審決を正解しないで論難するものにすぎず,採用することができない。
(2) 原告は,また,審判検甲1物件と甲10意匠図面代用見本とが同一物であるという客観的証明はないから,審判検甲1物件の構成がそのまま甲10意匠図面代用見本の構成であるとの前提に立って,審判検甲1物件の検証結果に基づき本件発明1の新規性を否定した審決の判断は誤りであると主張する。
しかしながら,乙1報告書には,被告代理人岩坪哲が特許庁において閲覧し,写真撮影した,甲10意匠図面代用見本の鮮明な写真A-1〜3が添付されており,これらの写真と,タケダレースに保管されていたレース地である審判検甲1物件を撮影した甲9写真とを対比検討すると,特に甲10意匠図面代用見本の写真A-3における網目構造は,甲9写真のものと同一と認めることができるから,審判検甲1物件と甲10意匠図面代用見本とが同一のものであることは,疑いを容れないというべきである。したがって,審決が,審判検甲1物件と甲10意匠図面代用見本(公知物件2)とが同一のものであるとの前提に立って,本件発明1の新規性について判断をしたことに誤りはない。
(3) そこで,甲10意匠図面代用見本と同一物である審判検甲1物件の編地の組織,構造と本件発明1とを対比検討する。
審決には,審判検甲1物件の検証結果として,以下のイ.〜ホ.が摘示されている(審決謄本22頁の「4-4-4」)ところ,この検証結果について,当事者間に争いはない。
イ.この組織は両端の花柄模様部分とそれに挟まれた部分(以下,「中央部分」という。)から構成されたラッセル経編地であって,これら両部分は 編み目の進行方向に沿って,一体的に連続している。
ロ.中央部分は,鎖編み組織よりなり,編み目進行方向に斜交して組織が密になった線状部分が複数本平行に形成されている。
ハ.中央部分には,その中央領域に編み組織で形成された島状小模様が点在しており,該領域と花柄模様部分に挟まれた二つの領域には,無地の鎖編 み組織に他の糸が編み込まれて形成された島状小模様が点在している。
ニ.花柄模様部分は,鎖編み組織に他の糸が編み込まれてレース模様が形成された編地である。
ホ.花柄模様部分の最大幅は約8センチメートルで,編地の幅は概ね30センチメートルである。 上記ロ.により,中央部分は,「鎖編み組織」からなるもので,また,「編み目進行方向に斜交して組織が密になった線状部分」においては,ウエール間で糸が移行していることによりラン防止作用が生じると解されるから,「乱止め組織」からなるものであると認められる。また,上記ハ.により,「島状小模様」を有する中央部分は,「無地柄の編地」であるということができる。さらに,上記ニ.の「鎖編み組織に他の糸が編み込まれてレース模様が形成された編地」からなる「花柄模様部分」は,他の糸が編み込まれ,他の部分に比べて密度が高くなっていると解されるから,「地組織にレース模様が形成された柄又は細幅レースの編地」からなる「レース部」ということができ,「レース部」以外の部分,すなわち中央部分は,「生地部」であるということができる。そして,上記イ.により,審判検甲1物件は,「ラッセル経編地」であり「編み目の進行方向に沿って生地部とレース部が一体的に連結して編まれて」なる「シームレス経編地」であることが認められる。
さらに,審判検甲1物件であるラッセル経編地の用途として,「衣料用」は自明であるから,この点は本件発明1との実質的な相違点とはいえない。
以上の本件発明1と審判検甲1物件との対比結果によれば,審判検甲1物件は,本件発明1の構成要件をすべて備えるものである。
したがって,本件発明1は,審判検甲1物件と同一の編地組織を有する甲10意匠図面代用見本が甲10意匠公報に係る意匠の登録に伴い公然知られたものとなったことによって,本件発明1の出願前に公然知られた発明となっていたものというべきである。
(4) これに対し,原告は,審判検甲1物件の中央部分は,細巾レースを分離するための切断部分で,そのまま一体的に連結した状態で衣類にするための生地部ではないと主張する。しかしながら,甲10意匠図面代用見本に係る編地と本件発明1に係る編地とが客観的に同一の構成を有することは上記(3)のとおりであるから,甲10意匠図面代用見本のレース地が後に切り離されて使用されるものであるか否かは,上記(3)の判断を左右するものではない。
(5) 以上のとおりであるから,本件発明1の新規性に関する審決の判断に誤りはない。
5 取消事由5(本件発明2〜6の新規性又は進歩性に関する判断の誤り)について 上記4に示したとおり,本件発明1の新規性を否定した審決の判断に誤りはなく,本件発明1に新規性がないことを前提としてされた本件発明2,4〜6の進歩性及び本件発明3の新規性の判断にも,誤りは認められない。
6 結論 以上検討したところによれば,原告が取消事由2として主張する,審決の「本件発明1〜6の特許は,特許法36条4項及び6項2号の規定を満たしていない出願についてされたものである」との判断は誤りであるが,本件発明1が公知物件2により公然知られた発明であるとの審決の判断に誤りがないことは上記4で判示したとおりであり,また,本件発明2,4〜6の進歩性及び本件発明3の新規性を否定した審決の判断に誤りがないことは,上記5で判示したとおりであるから,結局,本件発明1〜6は,新規性又は進歩性の欠如により,無効とされるべきものであることに帰し,審決が本件発明1〜6についての特許を無効とするとした結論に誤りはない。
よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 古城春実
裁判官 岡本岳
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