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関連審決 不服2007-32630
関連ワード 容易に発明 /  引用発明の認定 /  一致点の認定 /  相違点の認定 /  周知技術 /  技術常識 /  発明の詳細な説明 /  翻訳文 /  優先権 /  容易に想到(容易想到性) /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  変更 /  国内公表 / 
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事件 平成 22年 (行ケ) 10091号 審決取消請求事件
原告プラクスエア・テクノロジー・イン コーポレイテッド
訴訟代理人弁理士吉田匠 倉内基弘 遠藤朱砂 中島拓
被告特許庁長官
指 定代理 人谷治和文千馬隆之 黒瀬雅一 田村正明
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2011/01/13
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
原告の求めた判決
特許庁が不服2007-32630号事件について平成21年11月4日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,国際特許出願に対する拒絶査定に係る不服の審判請求について特許庁がした請求不成立の審決の取消訴訟である。争点は,容易推考性の存否である。
1 特許庁における手続の経緯原告は,平成13年(2001年)1月5日(米国)の優先権を主張して,平成13年12月19日,名称を「高流量でのガス送出」とする発明について国際特許出願(PCT/US2001/051618,日本国における出願番号は特願2002-592163号)をし,平成15年9月4日に特許庁に翻訳文を提出し(甲6,国内公表公報は特表2004-527712号 ,平成18年11月16日付 )けで特許請求の範囲等を変更する補正をしたが,拒絶査定を受けたので,不服の審判請求をした。
特許庁は,この請求を不服2007-32630号事件として審理し,平成21年11月4日 「本件審判の請求は,成り立たない 」との審決をし,その謄本は平 , 。
成21年11月17日原告に送達された。
2 本願発明の要旨平成18年11月16日付け補正による請求項の数は10であるが そのうち 請,【求項1】は,次のとおりである(本願発明 。)「貯蔵容器において液化圧縮ガスの温度を制御する方法において,a. 液化圧縮ガスを貯蔵容器に送り,b. 圧縮ガス貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置し,c. 貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し,d. 貯蔵容器内の圧縮ガスの温度を温度測定手段で監視し,e. 貯蔵容器内の出口に圧力測定手段を配置して容器圧を監視し,そしてf. 加熱手段の出力を調整して貯蔵容器内の液化圧縮ガスを加熱する,ことを含み,温度測定手段及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために使用される液化圧縮ガスの温度制御法 」。
3 審決の理由の要点( ,「」,) 引用例 特開平10-277380号公報 審決では 引用例1 と表記 甲1には,次のとおりの引用発明(審決では「引用発明1」と表記)が記載されていると認められる。
「ガスシリンダーにおいて液化ガスの温度を制御する方法において,a. 液化ガスをガスシリンダーに送り,b. ガスシリンダーにシリンダー過熱センサーを配置し,c.ガスシリンダーに接近させて少なくとも1個の伝熱速度増加手段を配置し,d. ガスシリンダーの温度を過熱センサーで監視し,e.ガスシリンダー内の出口に圧力センサーを配置して容器圧を監視し,そしてf.伝熱速度増加手段を調整してガスシリンダー内の液化ガスを加熱する,ことを含み,シリンダー過熱センサー及び圧力センサーは,伝熱速度増加手段の出力を調整するために使用される液化ガスの温度制御法 」。
本願発明と引用発明とは,次のとおりの一致点で一致し,相違点1及び2で相違するが 相違点1に係る本願発明の構成は 周知技術 実願平3-47965号 実 , ,((開平4-132300号)のマイクロフイルム(甲3 ,特開平8-21560号 )公報(甲4)及び特開平10-26298号公報(甲5)参照)であって,そのような周知技術を引用発明に適用することは当事者が容易になし得たことであり,相違点2に係る本願発明の構成についても,周知技術(特開平8-21560号公報(甲4)及び特開平10-26298号公報(甲5)参照)であって,そのような周知技術の構成を引用発明に適用することは当業者が容易になし得たことであるから,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
【一致点】「貯蔵容器において液化圧縮ガスの温度を制御する方法において,a. 液化圧縮ガスを貯蔵容器に送り,b. 圧縮ガス貯蔵容器に温度測定手段を配置し,c. 貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し,d. 貯蔵容器の温度を温度測定手段で監視し,e. 貯蔵容器内の出口に圧力測定手段を配置して容器圧を監視し,そしてf. 加熱手段の出力を調整して貯蔵容器内の液化圧縮ガスを加熱する,ことを含み,温度測定手段及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために使用される液化圧縮ガスの温度制御法 」。
【相違点1】本願発明の温度測定手段が貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置して圧縮ガスの温, () 度を測定しているのに対して 引用発明のシリンダー過熱センサー 温度測定手段をどのように配置しているのかが不明な点【相違点2】本願発明の温度測定手段が貯蔵容器内の圧縮ガスの温度を測定しているのに対し, () ,() て 引用発明のシリンダー過熱センサー 温度測定手段 が 液化ガス 圧縮ガスの温度を測定しているのか貯蔵容器等の温度を測定しているかが不明な点
原告主張の審決取消事由
1取消事由1(引用発明の認定の誤り,これに伴う一致点・相違点の認定の誤り)(1)審決は,引用発明の「伝熱速度増加手段」が本願発明の「加熱手段」に相,「 ,」 当するとした上c. 貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置しを一致点として認定している。
本願発明では,加熱手段は,加熱手段と貯蔵容器間で絶縁体として作用する空気ギャップを極力排除して熱伝達を高めるため,貯蔵容器に接近して配置される。
これに対し,引用例には,従来技術及び解決課題として,ガスシリンダーと直接接触するように置かれ,シリンダー回りを被覆する加熱/冷却ジャケットを使用すると,シリンダーの温度が環境温度よりも高くなり,あるいは,過熱に伴う再濃縮の欠点があるため,その使用は好ましくなく,そのような加熱/冷却ジャケットを使用することのない方法を提供する旨の記載がある。このような記載事項からすると,引用発明では,貯蔵容器内の液体温度が環境温度を超えないようにするため,伝熱速度増加手段として,貯蔵容器に直接接触したり,貯蔵容器を被覆するものは避けられるものであり,したがって,伝熱速度増加手段は貯蔵容器に接近させて配置するものではないことは明らかである。
したがって,審決における引用発明と本願発明との対比及び一致点の認定には誤りがあり,上記の点を相違点として挙げなかったことも誤りである。
(2)審決は,引用発明について 「シリンダー過熱センサー316がコントロー ,ラーを介して伝熱速度増加手段308の出力を調整していることは明らか」とした上,この「シリンダー過熱センサー」が本願発明の「温度測定手段」に相当し,したがって 「温度測定手段及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために ,使用される」点を一致点として認定している。
しかし,本願発明は,圧縮ガス貯蔵容器の壁に配置した温度測定手段によって得られる容器表面の温度と,貯蔵容器の出口に配置した圧力測定手段によって得られる容器圧との両方に基づいて加熱手段の出力を調整し,これにより,液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達を最適にするものである。
これに対し,引用発明では,主に圧力センサー310によって得られるシリンダー312の出口の圧力に基づいてコントローラー314が伝熱速度増加手段308を制御(調整)している。シリンダー過熱センサーについては,引用例に「…選択的に,シリンダー過熱センサー316をも設けて,所定の温度リミットを越えたときにコントローラーを無視するようにすることもできる(段落【0078 )と 。」】記載されるように,単なる温度に関するリミッターである。温度リミッターは,安全の観点から設置される装置であって,コントローラーによる制御を遮断してヒーターなどの加熱手段の運転を非常停止するために設置される装置であり,引用発明が目的とする「ガスシリンダー内の液体温度が環境温度を超えないで,環境とガスシリンダーとの間の伝熱速度を増加する ( 請求項1 )という正しい状態にする 」【】, 「」 ことはできないから シリンダー過熱センサーが伝熱速度増加手段の出力を 調整しているということはできない。また,シリンダー過熱センサーは,容器圧とは無関係に機能するものであって,温度と圧力の双方に基づく調整ではない。さらに,シリンダー過熱センサーは,所定の温度リミットを越えたときにコントローラーを無視するような制御を行っているのであるから,この制御は圧力情報を取り扱うコントローラーを介しては行われていない。
以上のとおり,引用発明の「シリンダー過熱センサー」は,本願発明の「温度測定手段」には相当せず,引用発明では,温度測定手段による容器温度と圧力測定手段による容器圧との両方に基づく加熱手段の圧力制御は行われておらず,審決にお, , ける引用発明の認定 引用発明と本願発明との対比・一致点の認定には誤りがあり上記の点を相違点として挙げなかったことも誤りである。
なお,被告は,本願明細書(翻訳文(甲6 ,手続補正書(甲7 )にもリミッタ ))ーに関する記載がある旨主張するが,この記載は,本願発明における「温度測定手段及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために使用される」の具体例ではない。
2 取消事由2(相違点に関する判断の誤り)本願発明では,上記1(2)のとおり,温度測定手段を圧縮ガス貯蔵容器の壁に配置して測定した容器表面温度と,圧力測定手段で測定した容器圧との両方に基づいて,液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達が最適になるように加熱手段の出力を調整する。このような点は,審決が周知技術の記載された文献として掲げる実願平3-47965号(実開平4-132300号)のマイクロフイルム(甲3 ,特開平8-21560号公報(甲4)及び特開 )平10-26298号公報(甲5)には記載されていない。また,引用発明における「シリンダー過熱センサー316」は,上記1(2)で述べたように単なる温度リミッターであり,圧力情報を取り扱うコントローラー314を介しての制御は行われていない。そのため,引用発明のシリンダー過熱センサー316をガスシリンダーの壁に配置して温度を測定し,相違点1及び2のように構成することは,当業者が容易になし得たものではない。
さらに,上記1のとおり,引用発明は,相違点1及び2以外にも,本願発明における 「c.貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し ,及び「温 , 」度測定手段及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために使用される」の構成を欠いているため,実願平3-47965号(実開平4-132300号)のマイクロフイルム(甲3 ,特開平8-21560号公報(甲4)及び特開平10 )-26298号公報(甲5)を参照しても,当業者は本願発明を容易に想到し得ない。
被告の主張
1 取消事由1に対し(1)引用例には,伝熱速度増加手段である「ヒーター」がガスシリンダーに接して配置され,ガスシリンダーを加熱していることを示す記載がある。
したがって,引用発明は,ガスシリンダーに接近させて少なくとも1個のヒーター,すなわち伝熱速度増加手段を配置する構成を具備しており,本願発明における「貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し」に相当する構成を具備しているといえる。
(2)引用例には「…選択的に,シリンダー過熱センサー316をも設けて,所定の温度リミットを越えたときにコントローラーを無視するようにすることもできる (段落【0078 )と記載されているように,シリンダー過熱センサーは,シ 」】リンダーの温度が所定温度を越えたときに伝熱速度増加手段による加熱を止め,シリンダー温度が所定温度を越えないようにすることが示されている。つまり,引用発明の「シリンダー過熱センサー」は,本願発明と同様にガスシリンダーの温度を測定するという機能若しくは作用を奏するものであるから,本願発明の「温度測定手段」に相当するものであるし,シリンダー過熱センサーにより測定されるシリンダーの温度が所定温度を越えないように伝熱速度増加手段の出力を調整するものであるといえる。したがって,引用発明における「シリンダー過熱センサー」は「伝熱速度増加手段の出力を調整するために使用される」との構成は,本願発明における「温度測定手段」は「加熱手段の出力を調整するために使用される」との構成に相当するから,引用発明は,本願発明の「温度測定手段及び圧力測定手段は,加熱」 。 手段の出力を調整するために使用される に相当する構成を具備しているといえるなお,原告が主張するように,引用発明のシリンダー過熱センサーが温度に関するリミッターであるとしても,本願明細書には,これと同様に,トンコンテナの温度を制限するリミッターとして用いられる赤外表面温度センサーが示されている。
, (), すなわち 赤外表面温度センサーによりトンコンテナ 貯蔵容器 の温度を測定しこの温度と連動するトンコンテナ(貯蔵容器)内の圧縮ガスの温度が所定温度を越えないようにヒーター(加熱手段)の出力を調整する構成が示されており,引用発明が,本願発明の「温度測定手段」は 「加熱手段の出力を調整するために使用さ ,れる」に相当する構成を具備していることに変わりはない。
以上のとおり,審決における引用発明の認定,本願発明と引用発明との一致点及び相違点の認定に誤りはない。
2 取消事由2に対し原告は,本願発明では,温度測定手段で測定した容器表面温度と,圧力測定手段で測定した容器圧との両方に基づいて,液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達が最適になるように加熱手段の出力を調整する旨を主張しているが,本願発明において,液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限するための構成は特定されていない(なお,本願明細書を参照しても,自由対流及び核沸騰型に制限するための具体的手法は何ら記載されておらず,どのようなものであるか不明である )から,原告の上記主張は,本願発明の構成に基づくもの 。
ではない。
また,原告は,引用発明における「シリンダー過熱センサー316」は,単なる温度リミッターであり,圧力情報を取り扱うコントローラー314を介しての制御は行われていないことから,引用発明のシリンダー過熱センサー316をガスシリンダーの壁に配置して温度を測定し,相違点1及び2のように構成することは,当業者が容易になし得たものではない旨を主張している。しかし,上記1で主張したとおり,引用発明の「シリンダー過熱センサー」は,本願発明の「温度測定手段」に相当するものであって,引用発明は,本願発明の「温度測定手段及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために使用される」に相当する構成を具備している。また,本願発明においても「シリンダー過熱センサー及び圧力センサーは,伝熱速度増加手段の出力を調整するために使用される」と特定されているのみで,圧力情報をどのように取り扱って制御するかは何ら特定されていないから,原告の主。,,, 張は本願発明の構成に基づかない主張である そして 相違点1について 審決は容器の温度測定の技術分野において「貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置して温度を測定する」ことは周知技術であることから,これを引用発明に用いて,引用発明のシリンダー過熱センサー(温度測定手段)をガスシリンダー(貯蔵容器)の壁に配置し,本願発明の相違点1に係る構成のようにすることは当業者にとり格別な困難性のないものであり,容易になし得たものであると判断したものであって,この審決の相違点1の判断に誤りはない。
さらに,原告は,相違点1及び2以外にも相違点がある旨主張するが,上記1で主張したとおり,審決の一致点・相違点認定に誤りはない。
以上のとおり,審決の相違点に関する判断に誤りはない。
当裁判所の判断
1 本願発明について,【】,(, )【】 上記第2 2の 請求項1 の記載 本願明細書 甲6 7 の段落 0001〜【0011【0014【0015】等の記載によれば,本願発明は,次のと 】,】,おりのものと認められる。
本願発明は,高純度半導体ガスを高流量で送出するための方法等に関するものであって,液化圧縮ガスの温度制御法とされている。液化ガスの貯蔵容器から蒸気となったガスを送出すると,圧力の低下を補うために液化ガスが蒸発し,液化ガスの温度が低下するため,外部の装置を介して液化ガスにエネルギーを供給する(加熱等を行う)必要があるが,従来技術では,既存の圧縮ガス貯蔵源に適応することができず,追加的な装置を必要とするなどの欠点があることから,本願発明は,?貯蔵容器からの蒸気(ガス)の抜出しを容易にし,?貯蔵容器壁から液化ガスへの最適な熱伝達を可能にする制御戦略を提供し,?プロセスラインにおける液滴の形成を最小限にしながら高い蒸気流量を送出する方法を開発することを解決すべき課題とするもので,課題解決の手段として,液化圧縮ガスの貯蔵容器に接近させた加熱手段を設け,貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置して容器内の圧縮ガスの温度を測定し,また,貯蔵容器の出口に圧力測定手段を配置して容器圧を測定し,測定した温度及び圧力に基づいて加熱手段の出力を調整するものである。
2 引用発明について引用例(甲1)の特許請求の範囲【請求項1【請求項11 ,発明の詳細な説 】,】明段落【0001【0002【0013】〜【0017【0023【00 】,】, 】,】,29【0056【0077【0078】等の記載によれば,引用例には,半 】,】,】,導体製造工業等において用いられる,液化状態から高純度ガスを制御配給するシステムに関するものであって,シリンダーに貯えられた液化状態の高純度ガスを,ヒーター等の伝熱速度増加手段により加熱して処理ツールに供給するが,その際,シリンダー出口の圧力を圧力センサーで読み取り,これに基づいて伝熱速度増加手段の出力を調整し,また,シリンダー過熱センサーを設けて,所定の温度リミットを超えたときに圧力に基づく調整を無視するようにすることで,液化状態のガスの温度がシリンダー周辺の温度より高くならないように制御することができる発明が記載されているものと認められる。
3取消事由1(引用発明の認定の誤り,これに伴う一致点・相違点の認定の誤り)について(1)原告は,引用例においては,ガスシリンダーと直接接触するように置かれた加熱/冷却ジャケットを使用しないとされていることを根拠として,引用発明の伝熱速度増加手段は,貯蔵容器に直接接触することを避けるものなので 「貯蔵容,器に接近させて…配置」されるものではなく,したがって,審決が「c.貯蔵容器に接近させて少なくとも1個の加熱手段を配置し 」を一致点として認定したこと ,は誤りである旨主張する。
しかし,引用例の「伝熱速度増加手段は,シリンダーの下に置かれたヒーターを備えた請求項1に記載のガス配給システム特許請求の範囲 請求項11… 。」(【】),「ヒーター100は,重量測定スケール用のカバーの形をとっており,…加熱されるスケールカバーを使用する時,シリンダーは,カバーされたスケール上に直接置かれる(発明の詳細な説明段落【0057 )等の記載によれば,引用発明の伝熱 。」 】速度増加手段(ヒーター)がガスシリンダーに接近して配置されていることは明らかである。
したがって,原告の上記主張は理由がない。
(2)原告は,温度測定手段によって得られる容器表面の温度と,圧力測定手段,, によって得られる容器圧との両方に基づいて加熱手段の出力を調整し これにより液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達を最適にするものであるという本願発明に関する主張を前提として,引用発明のシリンダー過熱センサーは本願発明の温度測定手段に相当せず,加熱手段の出力を調整するために使用されるものでもないと主張する。
しかし,上記第2,2のとおり,本願発明の【請求項1】では 「温度測定手段,及び圧力測定手段は,加熱手段の出力を調整するために使用される」と特定されているにとどまり 「加熱手段の出力の調整により,液体の沸騰を自由対流及び核沸 ,騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達を最適にする」ことに関する特定はない。また,本願明細書には,原告が主張するような「加熱手段の出力の調整により,液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達を最適にする」ための制御戦略を提案する旨の記載はあるが,他方で,赤外表面温度センサーで測定したトンコンテナ(貯蔵容器)の壁温度が設定した温度に達したときには圧力制御プロセスを無視し,ヒーターへの動力を停止する旨の記載(段落【0063,すなわちリミッターに関する記載もあるから,本願明細書の記載を 】)斟酌したとしても,本願発明の「調整」が原告の主張するような構成で限定されたものと読み取ることはできない。したがって,原告の上記主張は,本願発明の構成に基づく主張とはいえず,これを採用することはできない。
また,原告は,引用発明のシリンダー過熱センサーについて,安全の観点から設置され,加熱手段の運転を非常停止するための装置であるから,伝熱速度増加手段の出力を調整するためのものではないなどとも主張する。
しかし,引用例の記載によれば,引用発明においては,制御手段がシリンダーの圧力と温度とを制御するものとされ(段落【0077,その制御手段は公知であ 】)って,伝熱速度増加手段を調整するコントローラーが,圧力センサーで読み込んだ圧力に基づき調整を行い,選択的に,シリンダー過熱センサーを設けて,所定の温度リミットを超えたときにコントローラーを無視するようにすることもできる(段落【0078 )というものであることが認められる。これらの記載からすると, 】。, シリンダー過熱センサーはシリンダーの温度を測定するものであるといえる また「制御手段」は温度についても制御対象としているのであるから,引用発明においては,シリンダー過熱センサーによって測定された温度が所定の値を超えたときにコントローラーを無視する,すなわち圧力に基づく調整(加熱)を行わないものとすることも,制御手段による制御の一環として位置付けられているものといえる。
さらに,シリンダー過熱センサーは,上記のとおり,温度が所定の値(リミット)を超えたときに加熱を止めるものであるが,技術常識に照らすと,温度が低下した場合にはコントローラーによる制御に復帰するものと解されるから,測定した温度に基づきコントローラーを介した伝熱速度増加手段の調整が行われているといえる。したがって,引用発明においても,測定した温度に基づく調整は行われているといえるし,この調整は圧力に基づく調整とも関連し,コントローラーを介して行われているということができるのであって,審決における引用発明の認定,これと本願発明との対比,一致点・相違点の認定に原告主張の誤りはない。
以上のとおり,取消事由1には理由がない。
4 取消事由2(相違点に関する判断の誤り)について原告は,取消事由1においてした主張,すなわち,本願発明が,測定した圧力及び温度に基づいて加熱手段の出力を調整し,これにより,液体の沸騰を自由対流及び核沸騰型に制限して貯蔵容器壁から液体への熱伝達を最適にするものであるという主張や,引用発明のシリンダー過熱センサーは伝熱速度増加手段の出力を調整する手段ではないという主張を前提として,これらの点を考慮すると,相違点1及び2に係る本願発明の構成とすることは,当業者にとって容易とはいえない旨主張する。しかし,上記3で説示したとおり,原告が前提とする上記主張はいずれも採用することができない。なお,相違点1については,実願平3-47965号(実開平4-132300号)のマイクロフイルム(甲3 ,特開平8-21560号公 )報(甲4)及び特開平10-26298号公報(甲5)の記載に照らし,容器の温度測定の技術分野において「貯蔵容器の壁に温度測定手段を配置して温度を測定すること」は,周知技術であると認められるから,これを引用発明に適用して,相違点1に係る本願発明の構成とすることは,当業者にとって容易であったといえる。
また,相違点2についても,上記特開平8-21560号公報及び特開平10-26298号公報の記載に照らし,容器の温度測定の技術分野において「貯蔵容器内の物質の温度を測定する」ことは,周知技術であると認められるから,これを引用発明に適用して,相違点2に係る本願発明の構成とすることは,当業者にとって容易であったといえる。したがって,相違点1及び2に関する審決の判断に誤りはない。
また,原告は,審決が認定した相違点1及び2以外にも,取消事由1で主張した点が相違点として認定されるべきであり,これらの点についても当業者にとって想到容易とはいえないと主張するが,審決における相違点の認定に誤りがないことは上記3で説示したとおりである。
したがって,取消事由2についても理由がない。
結論
以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 塩月秀平
裁判官 清水節
裁判官 古谷健二郎
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