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関連ワード 新規性 /  拒絶査定不服審判 /  拒絶査定 /  拒絶理由通知 /  不服申立 /  異議申立 / 
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事件 平成 22年 (行ウ) 276号 決定取消請求事件
栃木県鹿沼市<以下略>
原告A 東京都千代田区<以下略>
被告国 裁決行政庁特許庁長官
訴訟代理人弁護 士大西達夫
指定代理人小倉栄
同 磯貝泰輔
同 市川勉
同 大江摩弥 子
同 天道正和
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2010/12/14
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁長官が,原告に対し,平成21年11月20日付けでした行政不服審査法による異議申立て(21行服特許第21号)を棄却する旨の決定を取り消す。
事案の概要
本件は,特許出願について拒絶査定を受けた原告が,明細書を補正する旨の手続補正書及び意見書を提出したが,特許庁長官から上記手続補正書に係る手続の却下処分及び上記意見書に係る手続の却下処分を受けたため,上記各却下処分について行政不服審査法による異議申立てをしたところ,特許庁長官が上記異議申立てを棄却する旨の決定をしたため,その取消しを求めた事案である。
1特許庁における手続の経緯等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)(1)ア原告は,平成12年7月6日,発明の名称を「雪道用ブレード」とする発明について特許出願(特願2000-243430号。以下「本件出願」という。)をした(乙1の1)。
原告は,本件出願について平成19年3月19日付けで拒絶理由通知を受けたので,同年5月27日付けで,本件出願の願書に添付した明細書(以下「本願明細書」という。)等を補正する手続補正書及び意見書を提出したが,同年11月21日付けで再び拒絶理由通知を受けた(乙1の5ないし7,1の12)。
これに対し原告は,平成20年2月1日付けで本願明細書を補正する手続補正書及び意見書を提出したが,同月25日付けで更に拒絶理由通知を受けたので,同年5月2日付けで本願明細書及び図面を補正する手続補正書並びに意見書を提出した(乙1の13ないし17)。
イ特許庁審査官は,平成20年11月27日付けで拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)をするとともに,同年5月2日付け手続補正書による補正を却下する旨の決定をした(乙1の18,1の19)。
本件拒絶査定に係る拒絶理由は,「この出願については,平成20年2月25日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって,拒絶をすべきものです。なお,意見書の内容を検討しましたが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。」というものであり,また,本件拒絶査定の1頁には,「この査定に不服があるときは,この査定の謄本の送達があった日から30日以内(在外者にあっては,90日以内)に,特許庁長官に対して,審判を請求することができます(特許法第121条第1項)。」との記載がある(乙1の19)。
(2)ア原告は,本件拒絶査定の謄本の送達を受けた後,平成21年1月8日付けで,本願明細書を補正する手続補正書(以下「本件補正書」という。)及び意見書(以下「本件意見書」という。)を提出した(乙1の20,1の21,弁論の全趣旨)。
特許庁長官は,同年2月19日付けで,原告に対し,本件補正書に係る手続については期間経過後の提出であることを理由に却下すべきである旨の却下理由通知及び本件意見書に係る手続については本件拒絶査定の謄本送達後の差し出しであることを理由に却下すべきである旨の却下理由通知をした(乙1の22,1の23)。
原告は,同年4月2日付けで,上記各却下理由通知に係る却下理由についてそれぞれ弁明書を提出した(乙1の24,1の25)。
イ特許庁長官は,平成21年6月8日付けで,原告に対し,本件補正書に係る手続を同年2月19日付け却下理由通知書に記載した理由によって却下する旨の手続却下の処分及び本件意見書に係る手続を同日付け却下理由通知書に記載した理由によって却下する旨の手続却下の処分(以下,これらの処分を併せて「本件各却下処分」という。)をした(乙1の26,1の27)。
同年6月18日,本件各却下処分の謄本が原告に送達された(乙2の1)(3)ア原告は,平成21年8月15日付けで,特許庁長官に対し,本件各却下処分の取消しを求める旨の行政不服審査法による異議申立て(21行服特許第21号。以下「本件異議申立て」という。)をした(乙2の1)。
特許庁長官は,同月21日付けで,原告に対し,本命令送達の日から30日以内に,本件異議申立ての理由等を記載した「適正な行政不服審査法による異議申立書」の提出を命じる旨の補正命令を発した(乙2の2)。
これに対し原告は,同年9月19日付けで,補正書を提出した(乙2の3)。
上記補正書添付の「適正な行政不服審査法による異議申立書」と題する書面の「5異議申立ての理由」欄には,次のような記載がある(乙2の3)。
「?既提出の出願案件はなく,本出願は新規性ありとの判断で受付となったものであります。
?然るに図面,記述に不備があるとの指摘を受けましたが,完全ではないが私の案でも不可能ではありません。新規性がないとのことですが,記述の不備で新規性は否定されません。
?ましてこの部分について私の方の請求項ではないはずです。
?類似案件の出願ありとの事で,本出願は拒絶すべきものとの判断ですが何れの出願も別物であります。既提出の出願を見れば容易に思い付くとの事ですが異議あり,新規性は容易であろうと何であろうと新規性があるから出願し,受付けとなったのである。まったく同じものがであればこちらから取り下げします。
?こんな簡単な事はだれでもすぐ思い付くとの指摘ですが,誰でも簡単に思い付くのは新規性というのはないのでしょうか,恣意的に新規性を判断されてよいものでしょうか??以上新規性について御庁の納得のいく説明をお聞きしたいと思います。」イ特許庁長官は,平成21年11月20日付けで,原告に対し,本件異議申立てを棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をした。
上記決定書の「第2当庁の認定事実及び判断」の「2判断」欄には,「異議申立人は,本件各却下処分が違法又は不当であり,取り消されるべきものであることについて,何らの主張,立証をしていないが,以下,職権により検討する。・・・してみると,本件各書面(判決注・「本件補正書及び本件意見書」)は,前記1(5)において認定したとおり,本件拒絶査定の謄本の送達後に提出されたものであり,いずれも提出期間を逸脱した不適法なものであることは明らかである。」,「3結論」欄には,「以上のとおり,本件各書面の提出は,拒絶査定の謄本の送達の後になされたものであって,不適法な手続であるから,当庁がこれを理由に行った本件各却下処分は,適法かつ妥当なものである。」との記載がある(乙2の4)。
2 当事者の主張(1) 原告の主張(請求原因)本件決定の違法事由は,別紙「2請求の原因について」記載のとおりである。
以上のとおり,本件決定は,違法であるから,その取消しを求める。
(2) 被告の主張本件訴訟は,特許庁長官がした本件各却下処分について行政不服審査法による本件異議申立てを棄却した本件決定の取消しを求める訴えであり,「裁決の取消しの訴え」(行政事件訴訟法3条3項)に該当するものである。
行政事件訴訟法10条2項は,「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定しており,これによれば,個別法により裁決主義が採られている場合でない限り,裁決の取消しの訴えにおいて原告が主張し得る取消理由は,原処分の違法以外の違法事由,すなわち裁決固有の違法に限られるというべきである(原処分主義)。
しかるに,本件各却下処分の根拠法規である特許法においては,審査請求前置主義が採用されているものの,裁決主義は採られていないのであるから,本件決定の違法事由としては,裁決固有(本件決定固有)の違法に限られるものであるところ,原告が主張する違法事由は,本件出願に係る発明における特許要件の判断に関するものであり,これは本件決定の主体,手続,形式等の違法に関する事由には該当しない。
また,本件異議申立ては,特許法18条の2第1項の規定による不適法な手続の却下について,処分をした行政庁である特許庁長官に対してされた行政不服審査法による異議申立てであり,その審査の対象は,当該異議申立ての適法性及びその理由の有無(すなわち当該手続却下処分の違法性やその当否)である(行政不服審査法47条1項ないし3項)。そもそも特許法は,特許出願について,特許法29条の規定にある特許要件を欠くときなど,拒絶査定をすべき場合を制限的に規定し(同法49条各号),これらの拒絶理由による拒絶査定に不服のある者がこれを争う手段として,拒絶査定不服審判(同法121条1項)を法定しているのであるから,拒絶査定を受けた特許出願人が拒絶理由において示された特許要件についての審査官の判断の過誤を争う場合には,法定期間内に拒絶査定不服審判を請求すべきものであり,特許要件等の特許出願の実体審査に関わる事項について,不適法な手続の却下処分に係る異議審査庁(特許庁長官)が改めて審査し,判断することができると解すべき法的根拠は,関係法令の規定上何ら見当たらない。
そうすると,原告が主張する本件決定の違法事由は,本件異議申立てにおける審査の対象事項に含まれないので,何ら本件決定の違法性を根拠づけるものではない。
したがって,本件決定の違法事由に関する原告の主張は,裁決に該当する本件決定固有の違法を主張するものということはできず,主張自体失当である。
当裁判所の判断
1 本件決定の違法事由の存否(1)原告が,本件出願について平成20年11月27日付けで本件拒絶査定を受けた後,本件補正書及び本件意見書を提出したこと,特許庁長官が原告に対し平成21年6月8日付けで本件補正書及び本件意見書に係る各手続を却下する旨の本件各却下処分をしたこと,原告が本件各却下処分について本件異議の申立てをしたこと,特許庁長官が原告に対し同年11月20日付けで本件異議の申立てを棄却する旨の本件決定をしたことは,前記第2の1のとおりである。
そして,原告主張の本件決定の違法事由は,別紙「2請求の原因について」記載のとおりであり,要するに,原告の本件出願に係る発明は,特許法29条1項各号,2項のいずれにも該当せず,特許要件を充足するのに,これを充足しないとした特許庁の判断に誤りがある,すなわち,本件出願を拒絶すべきものとした本件拒絶査定の判断に誤りがあるというにあると解される。
(2)ところで,行政事件訴訟法3条3項は,「この法律において「裁決の取消しの訴え」とは,審査請求,異議申立てその他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決,決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。」と規定し,同法10条2項は,「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいては,処分の違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定している。
これらの規定によれば,処分の取消しの訴えとその処分についての不服申立てを棄却した「裁決」(異議申立てを棄却した決定を含む。)の取消しの訴えのいずれも提起することができる場合には,裁決の取消しの訴えにおいて主張し得る違法事由は,裁決固有の瑕疵に限られると解される。
前記(1)によれば,本件決定は,特許庁長官がした本件各却下処分に対する行政不服審査法による異議申立てを棄却する決定であるから,本件各却下処分を「処分」とする「裁決」に該当するものと解されるところ,特許法その他の法令において,本件各却下処分の取消しの訴えと本件決定の取消しの訴えのいずれか一方しか提起することができないとする定めはなく,上記訴えのいずれも提起することができる場合に該当するものと解される。
そうすると,本件決定の取消しを求める本件訴訟において,本件決定の違法事由として原告が主張し得るのは,本件決定の固有の瑕疵に当たる違法事由に限られるというべきである。
これを本件についてみるに,前記(1)のとおり,原告が主張する本件決定の違法事由は,本件拒絶査定の判断の誤りであって,これが本件決定の固有の瑕疵に当たらないことは明らかであるから,原告の主張は,その主張自体理由がないといわざるを得ない。
なお,特許法121条1項は,拒絶査定を受けた者は,その査定に不服があるときは,同項所定の期間内に拒絶査定不服審判を請求することができる旨定めており,拒絶査定に対する不服申立ては,拒絶査定不服審判請求によるべきである。このことは,原告に送達された本件拒絶査定の謄本にも記載されている(前記第2の1(1)イ,(2)ア)。
2 結論以上のとおり,原告の請求は理由がないから,棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 大西勝滋
裁判官 上田真史
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