関連審決 | 不服2005-9621 再審2010-950001 |
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関連ワード | 拒絶査定不服審判 / 拒絶査定 / 審決確定(審決が確定) / 再審請求 / |
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事件 |
平成
22年
(行ケ)
10148号
審決取消請求事件
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原告X 被告特許庁長官 指定代理人亀丸広司 同 豊永茂弘 同 紀本孝 同 小林和男 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2010/07/15 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1原告の請求を棄却する。 2訴訟費用は,原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1請求 特許庁が再審2010-950001号事件について平成22年4月14日にした審決を取り消す。 第2当事者間に争いのない事実1特許庁における手続の経緯原告は,平成9年8月20日,発明の名称を「介助機」とする発明について,特許出願(特願平9-260785号)をしたが,平成17年3月15日に拒絶査定がされ,これに対し,同年4月20日,不服の審判(不服2005-9621号事件)を請求した。 特許庁は,平成19年11月12日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「原審決」という。)をした。 原告は,平成19年12月24日,当庁に対し,原審決の取消しを求める訴え(平成19年(行ケ)第10421号事件)を提起し,これに対し,当庁は,平成20年6月26日,原告の請求を棄却する旨の判決を言い渡した。 原告は,平成20年7月9日,上記判決を不服として上告(平成20年(行ツ)第280号事件)を提起し,これに対し,最高裁判所は,平成21年1月15日,上告を棄却し,原審決が確定した。 原告は,平成22年1月13日,原審決について再審(再審2010-950001号事件)の請求(以下「本件再審の請求」という。)をし,これに対し,特許庁は,同年4月14日,「本件審判の請求を却下する。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,同年4月23日,原告に送達された。 2審決の理由審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。審決の判断の概要は,以下のとおりである。 (1)再審請求人は,原審決には虚偽の記述がある,無形偽造であり,刑法156条所定の虚偽公文書作成罪(有印)に該当する疑いがある,と不服理由を述べ,原審決には,民訴法338条1項4号及び同条2項所定の再審の事由があると主張する。 (2)しかし,再審事由となる,特許法171条2項が準用する民訴法338条1項4号にいう「職務に関する罪」として,再審請求人が主張する刑法156条所定の虚偽公文書作成罪については,公訴が提起されたものではなく,まして有罪の判決又は過料の裁判が確定したものではない。さらに,証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決又は過料の確定裁判を得ることができないとの事実が明らかにされたものでもない。そうすると,再審請求人が再審事由として主張する事由は,特許法171条2項が準用する民訴法338条2項の規定に適合しないから,本件再審の請求は,不適法なものとして,却下すべきものである。 第3当事者の主張1取消事由に係る原告の主張取消事由に係る原告の主張は,別紙「平成22年6月10日付け準備書面(第1回)」写し記載のとおりである。 2被告の反論取消事由に係る被告の反論は,別紙「平成22年6月21日付け準備書面(第1回)」写し記載のとおりである。 第4当裁判所の判断1原告は,「原審決には虚偽の記述がある。無形偽造であり,刑法156条所定の虚偽公文書作成罪(有印)に該当する疑いがある。よって,原審決には,民訴法338条1項4号及び同条2項所定の再審の事由がある。そうであるのに,審決は本件再審の請求を却下したから取り消されるべきである。」旨主張する。 しかし,原告の主張は,採用の限りでない。その理由は,次のとおりである。 (1)原告は,再審の事由として,特許法171条2項が準用する民訴法338条1項4号(「判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。」)に該当する事由が原審決について存在する旨主張する。 ところで,民訴法上の再審の訴えにおいては,民訴法338条1項4号に掲げる事由がある場合においては,「罰すべき行為について,有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき,又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り,再審の訴えを提起することができる。」(民訴法338条2項)と定められており,この要件は,再審の訴えを,再審事由の存在する蓋然性が顕著な場合に限定して濫訴の弊害を防止しようとする趣旨によるものであると解されるから,この要件を欠くときには,再審の訴え自体が不適法となり,同条1項4号の再審事由自体の有無の判断に立ち入るまでもなく,再審の訴えは却下を免れないものであると解される(最高裁判所昭和44年(オ)第793号昭和45年10月9日第二小法廷判決参照)。 そうすると,拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審についても,これと同様に,特許法171条2項により準用される民訴法338条2項の要件を欠くときには,再審の請求自体が不適法となり,同条1項4号の再審事由自体の有無の判断に立ち入るまでもなく,再審の請求は,却下を免れないものであると解される。 (2)これを本件についてみると,原告が主張する原審決に係る民訴法338条1項4号にいう「職務に関する罪」に関しては,「有罪の判決若しくは過料の裁判が確定した」ものではないことについて,当事者間に争いがない。 また,「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないとき」に当たると認めるに足りる証拠もない。そうすると,本件再審の請求は,特許法171条2項が準用する民訴法338条第2項の適法性要件を欠くものであるといわざるを得ない。 (3)よって,本件再審の請求は,「不適法な審判の請求であって,その補正をすることができないもの」として,審決をもってこれを却下するのが相当である(特許法174条1項,135条)。よって,これと同旨の審決に誤りはない。 (4)これに対し,原告は,平成21年1月15日に原審決が確定した後再審の理由を知った日から30日以内に再審の請求をしているが,その30日の期間内に,罰すべき行為について,訴えを提起し確定判決に至ることは,判決が有罪であるか無罪であるかを問わず,時間的に不可能であるから,本件の場合は,「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないとき」(民訴法338条2項)に当たる旨主張する。 しかし,原告の主張は,採用の限りでない。すなわち,再審請求人が上訴後に罰すべき行為の存在を知り,その有罪判決が確定したような場合には,有罪判決が確定したことを知った日から30日の再審請求期間が起算され,原告指摘のような不都合は生じないものと解されるから,本件の場合が「証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないとき」に当たると解すべきであるとする原告の主張は,採用の限りでない。その他,原告は,縷々主張するが,いずれも理由がなく,前記判断を左右するに足りない。 2結論以上のとおり,原告の主張は理由がないから,原告の請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 飯村敏明 |
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裁判官 | 齊木教朗 |
裁判官 | 武宮英子 |