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関連審決 無効2009-800101
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成21ワ3529特許権侵害差止請求事件 判例 特許
平成16ワ26092特許権侵害差止請求事件 判例 特許
平成19ネ10056不当利得返還等請求控訴事件 判例 特許
平成19ワ2980損害賠償請求事件 判例 特許
平成19ワ2352特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
関連ワード 物の発明 /  製造方法 /  頒布された刊行物 /  アクセス /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  発明特定事項 /  周知技術 /  慣用技術 /  公知技術 /  課題の共通性 /  機能の共通性 /  内容中の示唆 /  上位概念 /  技術的範囲 /  実施可能要件 /  技術常識 /  明確性 /  発明の詳細な説明 /  発明が明確 /  技術的特徴 /  発明の利用 /  警告 /  消尽 /  権利の濫用(権利濫用) /  優先日 /  参酌 /  技術的意義 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  特許発明 /  実施 /  耐用期間 /  社会通念 /  加工 /  交換 /  間接侵害 /  構成要件 /  専用品 /  物の生産に用いる物 /  一般に流通 /  課題解決に不可欠(課題の解決に不可欠) /  汎用品 /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  同意 /  実施権 /  対価 /  訂正審判 /  新規事項追加(新規事項の追加) /  請求の範囲 /  減縮 /  拡張 /  変更 /  釈明 /  公序良俗 /  訂正要件 /  合理的な理由 /  国際公開 / 
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事件 平成 21年 (ワ) 3527号 特許権侵害差止請求事件
平成 21年 (ワ) 3528号 特許権侵害差止請求事件
平成 21年 (ワ) 3530号 特許権侵害差止請求事件
平成 21年 (ワ) 3538号 特許権侵害差止請求事件
平成 21年 (ワ) 3539号 特許権侵害差止請求事件
東京都大田区<以下略>
原告 キヤノン株式会社
同訴訟代理人弁護士増井和夫
同 橋口尚幸
同 齋藤 誠二郎東京都中央区<以下略> 第1事件被告(以下「被告」という )。 株式会社サップ 東京都中央区<以下略> 第2事件被告(以下「被告」という )。 オフィネット・ドットコム株式会社 東京都中央区<以下略> 第3事件被告(以下「被告」という )。 株式会社スリーイーコーポレーション 大阪市<以下略> 第4事件被告(以下「被告」という )。 株式会社プレジール 大阪市<以下略> 第5事件被告(以下「被告」という )。 株式会社エム・エス・シー
被告ら訴訟代理人弁護士溝上哲也
同 岩原義則
同 江村一宏
同訴訟代理人弁理士 山本進
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2010/06/24
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告株式会社サップは,別紙物件目録( )記載のインクタンクの販売 2及び販売のための展示をしてはならない。
2 被告オフィネット・ドットコム株式会社は,別紙物件目録( )記載の2インクタンクの販売及び販売のための展示をしてはならない。
3 被告株式会社スリーイーコーポレーションは,別紙物件目録( )記載2のインクタンクの販売及び販売のための展示をしてはならない。
4 被告株式会社プレジールは,別紙物件目録( )記載のインクタンクの 2販売及び販売のための展示をしてはならない。
5 被告株式会社エム・エス・シーは,別紙物件目録( )記載のインクタ2ンクの販売及び販売のための展示をしてはならない。
6 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
7 訴訟費用は,これを7分し,その1を原告の負担とし,その余を被告らの負担とする。
事実及び理由
請求
1 被告株式会社サップは,別紙物件目録( )及び( )記載のインクタンクの輸 12入,販売又は販売のための展示をしてはならない。
2 被告オフィネット・ドットコム株式会社は,別紙物件目録( )及び( )記載12のインクタンクの輸入,販売又は販売のための展示をしてはならない。
3 被告株式会社スリーイーコーポレーションは,別紙物件目録( )及び( )記12載のインクタンクの輸入,販売又は販売のための展示をしてはならない。
4 被告株式会社プレジールは,別紙物件目録( )及び( )記載のインクタンク 12の輸入,販売又は販売のための展示をしてはならない。
5 被告株式会社エム・エス・シーは,別紙物件目録( )及び( )記載のインク 12タンクの輸入,販売又は販売のための展示をしてはならない。
事案の概要
本件は,インクジェットプリンタに使用されるインクタンクなどの液体収納容器及び該容器を備える液体供給システムの特許権を有する原告が,被告らによる別紙物件目録( )及び( )記載のインクタンク(以下,同目録( )記載のイ 12 1ンクタンクを「被告製品1 ,同目録( )記載のインクタンクを「被告製品2」 」2といい,両製品を総称して「被告製品」という )の販売行為は,上記液体収 。
納容器の特許権を侵害するものである,又は,特許法101条2号により上記液体供給システムの特許権を侵害するものとみなされるものであり,被告らは被告製品を輸入するおそれがある,と主張して,被告らに対し,特許法100条1項に基づき,被告製品の輸入,販売及び販売のための展示の差止めを求めた事案である。
なお,原告は,平成21年8月27日の本件第2回弁論準備手続期日において,被告製品1に関する販売等の差止請求の訴えを取り下げたものの,被告らは取下げに同意しなかった。原告は,同年12月22日の本件第4回弁論準備手続期日において,被告製品1を輸入,販売する行為が原告の上記特許権を侵害する旨の主張を撤回した。
1 争いのない事実等(末尾に証拠を掲げていない事実は,当事者間に争いがない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である )。
() 当事者1原告は,事務機器,光学製品等を製造,販売する会社である。
被告株式会社サップ,被告オフィネット・ドットコム株式会社及び被告株式会社スリーイーコーポレーションは,いずれも,インクリボン・トナー等事務用品,事務用機器の製造,販売,輸出入,レンタル及び保守等を業とする会社である。
,, 被告株式会社プレジール及び被告株式会社エム・エス・シーは いずれもコンピューター及び周辺機器並びに部品の製造及び販売等を業とする会社である。
( ) 本件特許2ア 原告は,次の特許権(以下,後記特許請求の範囲請求項1の発明を「本件発明1 請求項5の発明を 本件発明2 といい これらを併せて 本 」,「」,「件発明」という。また,本件発明1に係る特許を「本件特許1 ,同特許」に係る特許権を「本件特許権1」などといい,これらの特許ないし特許権を併せて「本件特許」ないし「本件特許権 ,本件特許に係る明細書(別 」紙特許公報参照)を「本件明細書」という )を有している。。
特 許 番 号 第3793216号発明の名称 液体収納容器,該容器を備える液体供給システム,前記容器の製造方法,前記容器用回路基板および液体収納カートリッジ出 願 日 平成16年11月15日優 先 日 平成15年12月26日登 録 日 平成18年4月14日特許請求の範囲【請求項1】別紙1「特許請求の範囲 (以下,単に「別紙1」という )の「請 」。
求項1 「訂正前」欄記載のとおり 」【請求項5】別紙1の「請求項5 「訂正前」欄記載のとおり 」イ 本件発明1及び本件発明2を構成要件に分説すると,それぞれ,次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれ「構成要件1A1」などという 。。)【本件発明1】別紙2「構成要件の分説 (以下,単に「別紙2」という )の「請求 」。
項1 「訂正前」欄記載のとおり 」【本件発明2】別紙2の「請求項5 「訂正前」欄記載のとおり 」( ) 本件訂正請求3ア 被告らは,平成21年5月18日付けで,本件特許につき特許無効審判請求(無効2009-800101)をした(乙A54 。)イ 原告は,上記審判事件において,平成21年8月3日付けで審判事件答弁書とともに,特許庁に対し,次のとおり,本件特許の請求項1及び請求項5について訂正請求(以下「本件訂正」という )をした(乙A66。 。
以下,本件訂正後の請求項1の発明を「本件訂正発明1 ,本件訂正後の」請求項5の発明を「本件訂正発明2」といい,両発明を総称して「本件訂正発明」という 。。)【請求項1について】別紙1の「請求項1 「訂正後」欄記載のとおり 」【請求項5について】別紙1の「請求項5 「訂正後」欄記載のとおり(なお,原告は,本件 」訂正に伴い,本件訂正前の請求項3及び4を削除した。そのため,本件訂正前の請求項5は,同訂正により請求項3となる )。
,, ウ 本件訂正発明1及び本件訂正発明2を構成要件に分説すると それぞれ次のとおりである(以下,分説した構成要件をそれぞれ「構成要件1A1」などという 。’。)【本件訂正発明1】別紙2の「請求項1 「訂正後」欄記載のとおり 」【本件訂正発明2】別紙2の「請求項5 「訂正後」欄記載のとおり 」( ) 原告製プリンタ及び原告製インクタンク 4原告は インクジェットプリンタである PIXUS シリーズ 以下 原 ,「」(「告製プリンタ」という )並びに同プリンタに使用するインクタンクである 。
「BCI-9BK」及び「BCI-7e系 (以下 「BCI-9BK」を 」,「原告製インクタンク1 「BCI-7e系」を「原告製インクタンク2」 」,といい,両者を総称して「原告製インクタンク」という )を製造し,販売。
している(甲3の1,2 。)原告製インクタンク1と原告製インクタンク2とは,その形状が異なっており,前者の方が後者よりも大型である。また,各インクタンクに収納されるインクの色(種類)は,原告製インクタンク1が,ブラックの1色のみであり,原告製インクタンク2が,ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン,フォトマゼンタ,フォトシアン,レッド及びグリーンの8色である(甲3の1,2 。)原告製プリンタのタンクホルダには,原告製インクタンク1を1個及び原告製インクタンク2を複数個搭載することができる。原告製プリンタのタンクホルダに原告製インクタンクを搭載する位置は,インクの形状(原告製インクタンク1と原告製インクタンク2の別)及びインクの色(種類)によって,あらかじめ決められている(甲3の1,2,甲5 。)( ) 被告製品5ア 被告製品の構造及び形状被告製品は,別紙物件目録( )及び( )の第2及び第3記載の構造のイン 12クタンク本体に,同目録第1記載の表示を付し,インクを充填したインクタンクである(甲5,甲10の1〜4。なお,後記のとおり,被告製品の構造の一部については,当事者間に争いがある 。。)被告製品1と被告製品2は,その形状が異なっており,被告製品1の方が被告製品2より大型である。
被告製品に収納されるインクの色(種類)は,被告製品1が,ブラックの1色のみであり,被告製品2が,ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン,フォトマゼンタ及びフォトシアンの6色である。
イ 被告製品と原告製プリンタの関係被告製品は,原告製プリンタに装着することができる(なお,被告製品2のうち,インクの色(種類)がフォトマゼンタないしフォトシアンの物は,一部の原告製プリンタ(甲第5号証において調査対象とされた「PIXUS iP4500」など)には装着することができない 。。)原告製プリンタのタンクホルダには,被告製品1を1個及び被告製品2を4個ないし6個搭載することができる。
原告製プリンタのタンクホルダに被告製品を搭載する位置は,インクタンクの形状(被告製品1と被告製品2の別)及びインクの色(種類)によって,あらかじめ決められている。
ウ 被告製品の輸入,販売被告製品は,エステー産業株式会社(以下「エステー産業」という )。
「(.) の100%子会社である香港法人 NSTECHNOLOGY H KLTD (中国工場名:龍昇科技精密廠)において製造されている。 .」エステー産業は,上記香港法人から被告製品を輸入し,被告株式会社プレジール(以下「被告プレジール」という )に販売している。被告プレ 。
ジールは,業として,被告製品を他の被告らに販売しており,被告プレジール以外の被告は,日本国内において,業として,被告製品を販売している。
2争点( ) 被告製品2は,本件発明1及び本件訂正発明1の構成要件を充足するか 1(争点1 。)( ) 被告製品2を販売する行為は,特許法101条2号により,本件特許権 22を侵害するものとみなされるか(間接侵害の成否 (争点2 。))( ) 本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものか(特許法10 34条の3の抗弁の成否 (争点3 。))ア 本件発明は,進歩性を欠くか(争点3-1)イ 本件発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号(サポート要件)に違反するか(争点3-2)ウ 本件発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号(明確性要件)に違反するか(争点3-3)エ 本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法36条4項1号(実施可能要件)に違反するか(争点3-4)オ 本件特許の無効理由は,本件訂正により解消されるか(争点3-5)(ア) 本件訂正は,特許法134条の2訂正要件を満たすか(争点3-5-1)(イ) 本件訂正発明は,進歩性を欠くか(争点3-5-2)(ウ) 本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は 特許法36条6項1号 サ ,(ポート要件)に違反するか(争点3-5-3)(エ) 本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は 特許法36条6項2号 明 ,(確性要件)に違反するか(争点3-5-4)(オ) 本件明細書の発明の詳細な説明の記載は 特許法36条4項1号 実 ,(施可能要件)に違反するか(争点3-5-5)( ) 原告が被告らに対して本件特許権に基づき被告製品2の輸入,販売等の 4差止めを求めることは,独占禁止法に違反し,権利を濫用するものか(争点4)3 争点に関する当事者の主張( ) 争点1(被告製品2は,本件発明1及び本件訂正発明1の構成要件を充 1足するか)について[原告の主張],(,「 」。 ), 以下のとおり 被告製品2 以下 単に インクタンク ともいう は本件発明1及び本件訂正発明1の構成要件をいずれも充足する。
したがって,被告らが被告製品2を販売する行為は,本件特許権1を侵害するものであり,また,被告らは,被告製品2を輸入するおそれがある(なお,前記のとおり,原告は,被告製品1を輸入,販売する行為が本件特許権を侵害する旨の主張については,本件第4回弁論準備手続期日において,これを撤回した 。。)ア 構成要件1A及び1A’について被告製品2は,次のとおり,構成要件1A1ないし1A4及び構成要件1A1’ないし1A5’の構成を備えた原告製プリンタ(記録装置)のキャリッジに対して,着脱可能である。
したがって,被告製品2は,構成要件1A(1A1〜1A5)及び1A(1A1’〜1A6 )を充足する。 ’’(ア) 構成要件1A1及び1A1’について被告製品2は,液体インク収納容器であり,原告製プリンタは,複数の被告製品2を搭載して移動することのできるキャリッジを備えている(甲5・3頁,甲10の1,2 。)したがって,原告製プリンタは 「複数の液体収納容器が搭載可能」 ,(構成要件1A1)なものであり 「複数の液体インク収納容器を搭載 ,して移動するキャリッジ (構成要件1A1 )を備えている。 」’(イ) 構成要件1A2及び1A2’について原告製プリンタのタンクホルダには 被告製品2に設けられた基板 別 ,(紙物件目録( )の第2【図1】ないし【図3】の番号100を参照)と 2電気的に接続する接点が設けられている(甲5・3頁 。)したがって,原告製プリンタは 「液体収納容器に備えられる接点と ,電気的に結合可能な装置側接点 (構成要件1A2)及び「液体インク 」収納容器に備えられる接点と電気的に接続可能な装置側接点 (構成要」件1A2 )を備えている。’(ウ) 構成要件1A3及び1A3’について原告製プリンタには,キャリッジの箇所に向かい合うように,被告製品2の発光部(別紙物件目録( )の第2【図1】ないし【図3】の番号 2101を参照 )からの光を受光する受光手段が一つ設けられている。 。
同プリンタのすべてのタンクホルダに被告製品を装着した状態でプリンタの上部カバーを閉じると,キャリッジは,上記受光手段の付近まで移動し,受光手段の付近で細かく移動する。これによって,受光手段に対向するインクタンクは,次々と入れ替わる。
そして,各インクタンクが装着されるべき搭載位置(原告製プリンタでは,前記1( )のとおり,インクタンクの形状及び色によって,イン 4クタンクを搭載する位置があらかじめ定められている )が受光手段に。
対向する位置に来たときに,当該インクタンクの発光部を発光させ,上記発光を受光部で受光することができるかどうかを確認する。
インクタンクが正しい位置に装着されていれば,上記発光を受光部で受光することができるので,上記処理により,各インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを確認することができる(上記処理を,以下「本件光照合処理」という (甲5・3頁及び4頁,甲10の1〜 。)4。)したがって,原告製プリンタは 「液体収納容器からの光を受光する ,受光手段 (構成要件1A3 ,並びに 「前記キャリッジの移動により 」),対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段を一つ ,及び 「該受光手段で該光を受光することによって前記液体イン 」,ク収納容器の搭載位置を検出する液体インク収納容器位置検出手段 構」(成要件1A3 )を備えている。’(エ) 構成要件1A4及び1A4’について原告製プリンタは,各インクタンクと接続するタンクホルダのコネクタが,タンクホルダの裏側において,共通の配線で接続されている。
本件光照合処理の際には,上記配線を通じて,各インクタンクを光らせるための色情報のコードが各インクタンクに送信され,各インクタンクは,色情報を受信すると,色情報のコードを,インクタンクの基板上のICチップ(別紙物件目録( )の第2【図1】ないし【図3】の番号 2103を参照 )に保持されている自己の色情報のコードと比較し,両 。
者が一致している場合に,制御コードに基づきインクタンクの発光部を点灯させる(なお,両者が一致しないときは,制御コードに基づく発光部の点灯は,行われない (甲5・5頁及び6頁,甲10の1〜4 。 。))したがって,原告製プリンタは 「搭載される液体収納容器それぞれ ,の前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路 (構成要件1A4 ,及び 「搭載される液体イン 」),ク収納容器それぞれの前記接点と接続する前記装置側接点に対して共通に電気的接続し色情報に係る信号を発生するための配線を有した電気回路 (構成要件1A4 )を備えている。 」’(オ) 構成要件1A5’について上記(ウ)及び(エ)のとおり,原告製プリンタは,本件光照合処理を行うことにより,各インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを検出することができる。
したがって,原告製プリンタは 「前記キャリッジの位置に応じて特 ,定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A5 )機能を 」’備えている。
構成要件1B及び1B’について被告製品2は,その支持部材の根本付近の底面部に基板が設置され,その基板には,原告製プリンタ側のコネクタと電気的に接続する接点が4個設けられており,基板は,接点がインクタンクの外側に向くように設置されている(別紙物件目録()の第2【図1】ないし【図3】の番号100 2及び102を参照 (甲5・7頁及び8頁 。 。))したがって,被告製品2は,構成要件1B及び1B’の「前記装置側接」, 。 点と電気的に接続可能な前記接点 を備えており 同構成要件を充足するウ 構成要件1C及び1C’について被告製品2は,その基板に設けられたICチップに,各インクタンクの色に応じた色情報を保持している(甲5・9頁〜11頁 。)したがって,被告製品2は,構成要件1Cの「液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部」及び同1C’の「液体インク収納容器のインク色を示す色情報を保持可能な情報保持部」を備えており,同構成要件を充足する。
構成要件1D及び1D’について被告製品2は,その基板の上部に,発光部であるLEDが設けられており,本件光照合処理の際,同発光部から,原告製プリンタの受光部に投光するための光を発光する。
したがって,被告製品2は,構成要件1Dの「発光部」及び同1D’の「」, 前記受光手段に投光するための光を発光する前記発光部 を備えており同構成要件を充足する。
構成要件1E及び1E’について被告製品2は,その基板上のICチップに対して,インクの色に応じた色情報に発光コマンド(制御部に発光を命じる命令コード)を付けた信号を送付すると,インクタンクの色と送信した色情報が一致している場合のみ発光し,その他の場合は発光しない(甲5・11頁 。)したがって,被告製品2は,構成要件1Eの「前記接点から入力される個体情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する個体情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部」及び同1E’の「前記接点から入力される前記色情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する前記色情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部」を備えており,同構成要件を充足する。
構成要件1F及び1F’について上記のとおり,被告製品2は,構成要件1A1ないし1A4及び同1A1’ないし1A5’の構成を備えた原告製プリンタのキャリッジに対して着脱可能であり,構成要件1Bないし1E及び同1B’ないし1E’の構成を備えた,液体インク収納容器である。
したがって,被告製品2は,構成要件1Fの「 上記各構成を)有する (ことを特徴とする液体収納容器」及び同1F’の「 上記各構成を)有す (ることを特徴とする液体インク収納容器」に該当し,同構成要件を充足する。
[被告らの主張]ア 原告製プリンタ及び被告製品2の構造原告製プリンタが,? 被告製品2と電気的に結合可能なプリンタ側接点,? 被告製品2の発光部からの光を受光する光センサ(受光手段 ,)? 上記?の複数のプリンタ側接点をバス接続(共通に電気的接続)する配線,を有することについては,知らない。これらの点は,原告製プリンタの内部構成の問題であり,甲第5号証の写真だけでは明らかでない。
被告製品2が,発光部を制御する制御部とインクタンクの個体情報を保持可能な情報保持部とが一体となったICチップを有し,電極パッドを介して供給される電気信号及び電力によりICチップが発光部の発光の制御を行うことについては,知らない。上記ICチップは,被告らが自ら製造又は製造委託した物ではなく,被告らにおいて上記内容を確認することはできない。
イ 被告製品2は本件特許権1を侵害しないこと(ア) 「液体収納容器からの光を受光する受光手段 (構成要件1A3) 」及び「液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段 (構成要件1A3 )の解釈 」’本件明細書の実施例には,インクタンクの発光部から,受光手段又は液体インク収納容器位置検出手段の受光部に向けて投光する構成として,インクタンクを搭載するキャリッジ上のホルダに穴を空けて光を通す構成が記載されているだけであり(段落【0036 【0038 ,】,】),, , 図4 これ以外に 発光部から受光手段等に投光する実施例について十分な開示はされていない。
,「 」 したがって 構成要件1A3の 該液体収納容器からの光を受光する及び同1A3’の「前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する」とは 「インクタンクホルダに空けられた穴もしくは光透過性の部 ,」, 分を通じて光を通すことにより該液体収納容器からの光を受光する と限定して解するのが相当である。
しかしながら,原告製プリンタは,そのキャリッジ上のホルダに空けられた穴又は光透過性の部分を通じて光を通す構成を有しておらず,インクタンクに設けられた光路部材によって光を通す方法を採用している。
よって,原告製プリンタは,構成要件1A3及び1A3’所定の方法で被告製品2からの発光を受光するものではない。
(イ) 「 記録装置に対して)着脱可能な液体収納容器 (構成要件1A (」5)及び「 記録装置の)前記キャリッジに対して着脱可能な液体イン (ク収納容器 (構成要件1A6 )の解釈 」’本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明が解決しようとする課題及び同課題に対して本件発明の構成をとることによる効果について,次のとおり記載されている。
「特許文献3には,インクタンクがキャリッジに搭載される際の,キャリッジの搭載部とインクタンク相互の係合の形状をインクタンクごとに異ならせ,これにより,インクタンクが誤った位置に装着されることを防止している構成が開示されている (段落【0004 ) 。」】「インクタンクの搭載位置を特定する構成としては,上述したように,搭載部とインクタンクが係合する相互の形状を搭載位置ごとに異ならせるものがある。しかしながら,この場合は特に,インクの色ないし種類ごとに異なる形状のインクタンクを製造する必要があり,製造効率やコストの点で不利となる (段落【0007 ) 。」】「本実施形態では,インクタンクの装着位置について,例えば,インクタンクと装着位置の形状を他のインクのインクタンクが装着できないような形状とし,それぞれの色のインクタンクに対応して装着位置を定めるような構成をとらないことから,それぞれの色のインクタンクについて本来の位置でないところに誤って装着される可能性がある。
このため,本光照合処理を行い,誤って装着されている場合は,ユーザにその旨を知らせるものである。これにより,特に,インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく,インクタンクの製造の効率化や低コスト化を図ることができる(段落【0108 ) 。」】以上の記載からすると,本件発明は,インクタンクごとに形状を異ならせる構成をとらないことを前提とするものであるから,構成要件1A5及び1A6’の「着脱可能な液体収納容器(液体インク収納容器 」)とは 「すべて同一形状の複数の液体収納容器が搭載可能な記録装置に ,着脱可能な液体収納容器 (構成要件1A5)及び「すべて同一形状の 」複数の液体インク収納容器が搭載可能な記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体インク収納容器 (構成要件1A6 )と解するのが相 」’当である。
そうすると,被告製品は,前記1( )のとおり,被告製品1と被告製 5品2とで形状が異なるものであるから,構成要件1A5及び1A6’を充足しない。
(ウ) 「発光部の発光を制御する制御部 (構成要件1E及び1E )の 」’解釈a 発光部の発光の制御は,インクタンクではなくプリンタ本体で行われていること構成要件1E及び1E’における「制御」の意義については,本件明細書中に「制御」の定義を述べる記載が存在しないため,その語が有する一般的な意味に従って解釈するのが相当である。
「制御」の一般的な意味は 「かってにさせないこと。思いどおり ,にあやつること。支配 「調節すること 」を指すと解されている 。」,。
(日本語大辞典(乙A7 。)また,一般に,LEDなどによって実現される「発光部」の発光の状態は,点灯,点滅,消灯の3つの状態があり得るものであり,点滅については,ゆっくりとした点滅,速い点滅など,点滅速度を変化させることができることは,周知の事柄である。
したがって 「制御」とは,発光部の発光を,いつ,どのタイミン ,グで,点灯,点滅,消灯のいずれの状態とするのかについて,自身でコントロールし,また,発光部の点滅速度を自身で調節し得る機構を指すと解するのが相当である。
一方,原告製プリンタに被告製品2を搭載した場合,被告製品2の発光部の発光を制御するのは,原告製プリンタの制御回路(本件明細書の記載では,図19に記載のCPU301を備えた「制御回路300」に相当する構成)である。
したがって,被告製品2は,構成要件1E及び1E’の「発光部の発光を制御する制御部」を備えておらず,同構成要件を充足しない。
b 原告製プリンタにおいて誤装着を生じるのは,2個同色を装着する場合のみであり,その場合,上記制御部を活用せずに誤装着を認識し得ること原告製プリンタを新規に購入する場合,その付属品として,原告製インクタンクが,各色1セットずつ同梱されている。
そのため,原告製プリンタを購入したユーザーは,当初は,原告製インクタンクを装着して使用を開始し,いずれかのインクタンクを使い切ったため交換する際に,初めて,交換用インクタンクを使用することとなる。
,, しかしながら 各色のインクタンクにおけるインクの消耗の仕方は印刷する画像の色合いや,印刷物の内容によって異なり,本来的に同一ではないから,複数のインクタンクのインクが同時になくなる(インクタンクが空になる)確率は,無に等しいものである。
また,インクタンクは高価であるから,インクを使い切るまで使用,, するのは当然であり 空になった1個のインクタンクを交換する際にユーザーが残量の残っている他のインクタンクを同時に交換するということも,合理的に考えてあり得ない。
以上の点は,? 原告が作成した原告製プリンタの操作ガイド(乙A61の1。以下「原告製プリンタ操作ガイド」という )に 「一。,,。 」 度に複数のインクタンクを外さず必ず1つずつ交換してくださいと記載されていること(55頁 ,? 原告製プリンタでは,インク )タンクのインクが1個でもなくなった場合には,プリンタ本体のエラーランプが点滅し,インクタンクを交換しない限り,印刷を続行する(,, ことができなくなること 原告製プリンタ操作ガイド・9頁 53頁87頁,89頁 ,? 原告製プリンタでは,インクタンクのインク )が少なくなった場合にもインクランプは点滅するものの,インクがなくなった場合の点滅の形態(点滅速度)とは明確に異なっている上,上記操作ガイドには,インクが少なくなったにすぎない時点でのインクタンクの交換を許容する記載は存在しないこと(原告製プリンタ操作ガイド・53頁 ,などからも裏付けられる。 )以上のとおり,被告製品2を原告製プリンタに誤装着する場合としてあり得るのは,取り外したインクタンクと別の色の被告製品2を誤って装着してしまう場合,すなわち,2個同色を装着した場合に限られる。
しかしながら,原告製プリンタは,2個以上の同色のインクタンクが装着された場合,インクタンクに備えられた発光部及びプリンタ側の受光部を使用することなく 上記同色のインクタンクを点滅表示 異 ,(常表示)させるものである(乙A27,28 。)以上のとおり,被告製品2において唯一想定され得る誤装着の状態である同色のインクタンクが2個装着された場合に,被告製品2の発光部は機能しないのであるから,被告製品2は「発光部の発光を制御する制御部」を有しておらず,構成要件1E及び1E’を充足しない(また,同様の理由により,原告製プリンタは,構成要件1A5’の「前記キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する」機能を備えていない 。。)(エ) 「液体インク収納容器位置検出手段 (構成要件1A3’及び1A 」5)の解釈’「液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A3 ) 」’とは,その通常の語義及び本件発明の課題がキャリッジにおけるインクタンクの誤装着の防止であることからすれば 「各インクタンクがキャ ,リッジ上のどの位置に搭載されているかを検出する」という意味であると解するのが相当である。
原告製プリンタは,前記(ウ)bのとおり,必ず1個単位で交換されるものであるから,そもそも,異なる色の2個のインクタンクを入れ違えて装着することはあり得ないものであるが,仮に,2個のインクタンクが入れ違いに装着されたとしても,次のとおり,原告製プリンタは,インクタンクが所定の位置に装着されていないことは検出できるものの,誤装着されたインクタンクが搭載された場所については検出することができない。
すなわち,例えば,ブラック色のインクタンクとシアン色のインクタンクを入れ違えた場合,本件光照合処理がされることにより,受光センサは,ブラックのインクタンクからの光を受光しないことによって,ブラックのインクタンクが所定の位置に装着されていないことは検出することができるが,シアンの所定位置に装着されたブラックのインクタンクからの光を受光できるわけではないため,結局,ブラックのインクタンクがどの位置に装着されているかを検出することはできない。
以上のとおり,原告製プリンタは,構成要件1A3’の「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」機能を備えていない。
[被告らの主張に対する原告の反論]ア 「液体収納容器からの光を受光する受光手段 (構成要件1A3)及び 」「 」 液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段(構成要件1A3 )の解釈’被告らの主張は,何の合理的理由もなく,請求項の構成要件実施例の態様に限定するものであり,特許法の一般的な解釈に合致しない。実施例とは,請求項の具体的な実施態様の例にすぎず,請求項の技術的範囲実施例によって限定されるものではない。
また,本件明細書には,ホルダに穴を空けて導光性部材を通す以外の方法も開示されている(段落【0128】〜【0133 ,図35〜37 。】)イ 「 記録装置)に対して着脱可能な液体収納容器 (構成要件1A5) (」及び「 記録装置の)前記キャリッジに対して着脱可能な液体インク収納 (容器 (構成要件1A6 )の解釈 」’被告らは,一つでも異なる形状のインクタンクがあれば,インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく誤装着防止を実現するという,本件発明の効果を奏することができないと主張する。
しかしながら,被告製品2には6通りもの色があり,これらは相互に異なる装着位置に装着することが可能であって,誤装着を生ずる可能性があるものである。
したがって,被告製品1と被告製品2の形状が異なるからといって,本件特許の作用効果を奏することができないというものではなく,被告らの主張は理由がない。
ウ 「発光部の発光を制御する制御部 (構成要件1E及び1E )の解釈 」’(ア) 発光部の発光の制御は,インクタンクで行われること本件明細書の段落【0092】には,実施例として開示された構成における発光部のオン・オフについて,次の手順で行われることが記載されている(なお,下線は原告が引いたものである 。。)「LED101の点灯または消灯では,図24に示すように,上記と同様,先ず 「開始コード+色情報」のデータ信号が,本体側から信号 ,線DATAを介して入出力制御回路103Aに送られてくる。上述したように 「色情報」によってインクタンクが特定され,その後に送 ,られてくる「制御コード」に基づくLED101の点灯,消灯は特定されたインクタンクのみで行われる。点灯,消灯にかかる「制御コード」は,図23にて上述したように 「ON」または「OFF」のコ ,ードがあり 「ON」によってLED101の点灯が行われ 「OF ,,F」によって消灯が行われる。すなわち,制御コードが「ON」のとき,入出力制御回路103Aは,図22にて前述したように,LEDドライバ103Cに対してオン信号を出力し,それ以降もその出力状態を維持する。逆に,制御コードが「OFF」のとき,入出力制御回路103Aは,LEDドライバ103Cに対してオフ信号を出力し,それ以降もその出力状態を維持する。なお,LED101の点灯または消灯の実際のタイミングは,図24に示す各データ信号についてクロックCLKの7クロック目以降に行われる 」。
上記引用部分,とりわけ下線部の記述を読めば,発光部の制御は,インクタンクの入出力制御回路103A及びLEDドライバ103Cで行われていることが理解される。
すなわち,プリンタ本体の制御回路から送られてくる「開始コード+色情報」は,まず,インクタンクの入出力回路によって判断され,色情報が自らのインクタンクの色に一致していると判断されると,入出力回路は,引き続き送られてくる制御コードをLEDドライバに送り,その結果,制御コードに従ったLEDの点灯・消灯が行われる。そして,本件明細書の図20ないし22に示されているとおり,103は,液体収納容器(インクタンク)に設けられた制御素子であり,その内部には,上記入出力制御回路及びLEDドライバが搭載されている。
また,本件特許の発明思想からして,液体収納容器(インクタンク)に発光部の発光を制御する制御部を設けることは,必須の要件である。
すなわち,本件特許の基本構成は,各インクタンクとプリンタ本体とをバス配線で接続し,このバス配線で各インクタンクとプリンタ本体の,, 間の情報伝達及びエネルギー供給を行うというものであり 同構成ではプリンタ本体からの命令がバス配線を通じて複数のインクタンクへ送信されるため,何らかの工夫を行わないと,プリンタ本体が各インクタンクに対して個別に命令を下すことができない。そこで,そのための工夫として,プリンタ本体から各インクタンクへの命令について,その冒頭に色情報を付加し,各インクタンクにおいて,上記色情報が自らのインクタンクのインクの色に一致しているか否かを判断し,一致している場合にのみ当該命令に反応することとしたものである。これにより,バス配線を通じて同じ命令がすべてのインクタンクへ送付されていても,特定のインクタンクにおいてのみ当該命令が実行されることが可能となる。
以上のとおり,上記仕組みにおいては,各インクタンクごとに,色情報を判断し,かつ,プリンタ本体からの命令を実行するための制御装置が必須となるのであり,構成要件1E及び1E’の「発光部の発光を制御する制御部」とは,上記制御装置にほかならない。
(イ) 原告製プリンタにおいてインクタンクの誤装着を生じるのは,2個同色を装着する場合に限られないこと被告らは,原告製プリンタにおいて,被告製品2は必ず1本ずつ交換されるものであると主張するが,被告製品2が「交換用」として販売されていることから,直ちに 「1本ずつ交換される」ものであって 「誤 ,,装着の可能性がない」とはいえない。
複数のインクタンクが同時に交換を必要とする状態になることは,よく経験されることである。また,続けて大量の印刷を行う場合には,途中でのインク切れを防ぐため,あらかじめ,残存インク量の少ないインクタンクをまとめて交換しておく必要が高くなる。
なお,原告製プリンタ操作ガイドに 「一度に複数のインクタンクを ,外さず,必ず1つずつ交換してください」との記載があることが認められるものの,同記載は,2本以上のインクタンクを「同時に(いっぺんに 」取り外すような操作をしてはならない,ということであって,1 )回のインクタンク交換の機会において複数本のインクタンクを交換してはならない,という趣旨ではない。1回のインクタンク交換の機会において,複数のインクタンクについて,それぞれを「1本ずつ」取り外し装着することは,上記操作ガイドの記載の範囲内の行為であり,複数のインクタンクについて順次「1本ずつ」取り外して装着すれば,ある装着位置に誤った種類のインクタンクを装着することもあり得る。
原告製プリンタでは,インクが「少なくなった状態 「なくなった」,可能性がある状態」及び「ない状態」の,3段階のインク切れの警告が行われ 「なくなった可能性がある状態」及び「ない状態」の警告時に ,印刷が停止するものの,どちらの場合も,リセットボタンを押せば,インクタンクを交換しなくても印刷を続行することが可能であり,印刷続行が不可能となるわけではない 「インクがなくなった可能性がある」 。
と判断された場合であっても,若干のインクがタンク内に残っていることが多く,そのような場合,リセットボタンを押してそのまま印刷を継続すると,通常どおり印刷が可能である。
したがって,1本のインクタンクについて 「インクがなくなった可 ,」, , 能性がある と判断され それを示すエラーランプが点滅した場合でもリセットボタンを押して継続使用している間に,2本目,3本目のインクタンクについても「インクがなくなった可能性がある」と判断され,エラーランプが更に点滅することもあるそして 2本目 3本目の イ 。,, 「ンクがなくなった可能性がある状態」に対して,それぞれリセットボタンを押して印刷を継続しているうちに,とうとういずれかがインク切れになってしまうこともあり得る。このような場合,ユーザーにとって,インクの交換作業は面倒な作業であり 「できるだけまとめて済ませて ,しまいたい」というのは当然の気持ちであるから 「なくなった可能性,がある状態」の複数本のインクタンクをまとめて交換することは,現実に起こり得ることである。
さらに 「なくなった可能性がある状態」の警告の前に 「少なくな ,,った状態」の警告も行われることから,複数本まとめてインクタンクを交換することは,より一層頻繁に生じる事態となる。例えば 「なくな,った可能性がある状態」の警告が1本目のインクタンクについて出された後に,リセットボタンを押してしばらく使用し続けている間に,2本目,更に3本目のインクタンクについて 「少なくなった状態」の警告 ,が行われたような場合,又は,複数のインクタンクについて「少なくなった状態」の警告が行われた状態で印刷を継続している間に,そのうち1本について「なくなった可能性がある状態」の警告が行われたような場合,である。
このような場合,大量のカラー印刷を同時にミスなく仕上げたいと考えたユーザーが 「少なくなった状態」及び「なくなった可能性がある ,状態」の警告の行われたインクタンクをすべて同時に交換することや,インクタンクの交換作業はなるべく1度で済ませてしまいたいという心理から 「なくなった可能性がある状態」のインクタンクを交換するつ ,いでに 「少なくなった状態」のインクタンクも同時に交換してしまう ,ことは,十分あり得ることである。このようなユーザーの行動は,別段不合理ではない。
そして,原告製プリンタにおいて2個以上のインクタンクを交換する場合,本件光照合処理が行われ,インクタンクが正しい位置に装着されているのかが検出されるものであるから,被告製品2は 「発光部の発,光を制御する制御部 (構成要件1E及び1E )を有しているといえ 」’る。
エ 「液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A3 )の 」’意義本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0010】には,本件発明の目的について 「インクタンクなど液体収納容器の搭載位置を特定した表示 ,器の発光制御をすることを可能とすること ,と説明され,段落【001 」9】には,発明の効果について 「キャリッジに搭載された複数のインク ,タンクについて,その移動に伴い所定の位置で順次その発光部を発光させるとともに,上記処置(判決注:本件訂正により 「処置」を「所定」と ,訂正する旨の請求がされている(甲8・11頁 。以下同じ )の位置で )。
の発光を検出するようにすることにより,発光が検出されないインクタン。,, クは誤った位置に搭載されていることを認識できる これにより 例えばユーザに対してインクタンクを正しい位置に再装着することを促す処理をすることができ,結果として,インクタンクごとにその搭載位置を特定することができる 」と説明されている。 。
本件明細書の上記記載からすれば構成要件1A3 及び1A5 の 液 ,’’「体インク収納容器の搭載位置を検出する」とは 「所定の位置での発光を ,検出するようにすることにより,発光が検出されないインクタンクは誤っ」, , た位置に搭載されていることを認識 する という意味であると理解され誤った位置に搭載されたインクタンクがどの位置に搭載されているかを確定させることまでは意味しないというべきである。
バス接続を使用するインクタンクの従来技術においては,あるインクタンクが正しい位置に搭載されている事実の確認もできなかったし,別のインクタンクの搭載位置が誤っていることも確認できなかったものである。
本件発明及び本件訂正発明は,このような搭載位置に関する検出を可能にした新規な手段を本件明細書に記載した上で,当該手段の機能を,請求項に「搭載位置を検出する」と記載したものである。
( ) 争点2(間接侵害の成否)について 2[原告の主張]次のとおり,被告製品2は,これを原告製プリンタに装着すると,本件発明2及び本件訂正発明2の「液体供給システム」ないし「液体インク供給システム」を生成するものであり,インクタンクの誤った位置への装着を解消するという,上記各発明の課題を解決するために不可欠なものである。
また,被告らは,被告製品2を 「CANON対応製品 「キヤノン互換 ,」,インクカートリッジ」として販売しており,被告製品2が原告製プリンタに装着されると上記各発明の実施に使用されることを理解した上で,被告製品2を販売している。
したがって,被告製品2を販売する行為は,特許法101条2号により本件特許権2を侵害するものとみなされる。
ア 原告製プリンタについて前記第2の1( )及び同3( )[原告の主張]アのとおり,原告製プリン 51タは,複数の被告製品2を互いに異なる位置のタンクホルダに搭載して移動するキャリッジ(構成要件2A1,2A1 )を備え,タンクホルダに ’は,被告製品2に設けられた基板と電気的に接続する接点(構成要件2A2,2A2 )が設けられている。 ’また,原告製プリンタには,被告製品2からの光を受光する受光手段が一つ設けられ,各インクタンクと接続するタンクホルダのコネクタが,タ,, ンクホルダの裏側において共通の配線で接続され 本件光照合処理により各インクタンクの装着位置を確認することができる(構成要件2A3,2A4,2A3 ,2A4 。’’)したがって,原告製プリンタは,構成要件2A1ないし2A4及び同2A1’ないし2A4’を充足する。
イ 被告製品2について前記( )[原告の主張]アないしカのとおり,被告製品2は,原告製プ 1リンタのキャリッジに着脱可能(構成要件2B,2B )であり,プリン’タ側の接点と電気的に接続可能な接点(基板 (構成要件2D1,2D1 ))を備え,基板に設けられたICチップに各インクタンクの色に応じた ’色情報を保持し(構成要件2D2,2D2,基板の上部には,上記受 ’)光部に投光するための光を発光する発光部(構成要件2D3,2D3 )’が設けられており,原告製プリンタに装着すると,本件光照合処理が行われる(構成要件2D4,2D4 ,2E ,2F 。 ’’’)したがって,被告製品2は,構成要件2B,2D1ないし2D4,2B,2D1’ないし2D4 ,2E’及び2F’を充足し,被告製品2を ’’,「」 装着した原告製プリンタは 構成要件2C及び2Eの 液体供給システムないし同2C’及び2G’の「液体インク供給システム」に該当し,同構成要件を充足する。
[被告らの主張]ア 被告製品2を原告製プリンタに装着しても,本件発明2及び本件訂正発明2の構成要件を充足しないこと前記( )[被告らの主張]イ(ア)ないし(エ)と同様の理由により,構成 1要件2A3及び2A3’の「液体収納容器(液体インク収納容器)からの光を受光する」とは 「キャリッジ上のホルダに空けられた穴もしくは光 ,,」, 透過性の部分を通じて光を通し 該液体収納容器からの光を受光する と構成要件2B及び2B’の「記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器(液体インク収納容器 」とは 「すべて同一形状の複数の液 ),体収納容器(液体インク収納容器)が搭載可能な記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器(液体インク収納容器 」と,それぞれ限)定して解釈すべきであり,構成要件2A3,2A3’及び2F’の「液体収納容器(液体インク収納容器)の搭載位置を検出する」とは 「各イン,クタンクがキャリッジ上のどの位置に搭載されているかを検出する」という意味に,構成要件2D4及び2D4’の「制御」とは 「発光部の発光,を,いつ,どのタイミングで,点灯,点滅,消灯のいずれの状態とするのかについて,自身でコントロールし,また,発光部の点滅速度を自身で調節し得る機構」を指すと,それぞれ解するのが相当である。
また,被告製品2において唯一想定され得る誤装着の状態である同色のインクタンクが2個装着された場合に,被告製品2の発光部は機能しないのであるから,被告製品2は「発光部の発光を制御する制御部 (構成要」件2D4,2D4 )を有していない。’したがって,被告製品2を原告製プリンタに装着しても,本件発明2及び本件訂正発明2の構成要件を充足しない。
イ 原告製プリンタ及びこれに付属する原告製インクタンクがユーザーに譲渡された時点で,本件特許権2は消尽していること本件発明2及び本件訂正発明2は 「液体供給システム(液体インク供 ,給システム 」についての発明であり,プリンタ及びインクタンクの両方 )を含むものである。また,前記のとおり,原告製プリンタは,原告製インクタンク1セットを同梱の上,販売されている。
,, したがって 特許製品としての原告製プリンタ及び同梱インクタンクが特許権者である原告により,我が国においていずれもユーザーに譲渡された時点で,本件特許権2は消尽し,原告は,当該特許製品であるプリンタ及びインクタンクについて特許権を行使することはできないのが原則である。
もっとも 「特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工 ,や部材の交換がされ,それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは,特許権者は,その特許製品について,特許権を行使することが許される (最高裁平成19年11月8 」日第一小法廷判決・民集61巻8号2989頁(以下「平成19年最高裁判決」という )参照 。しかしながら,本件における,当該特許製品の 。)属性(製品の機能,構造,材質,用途,耐用期間,使用態様 ,特許発明)の内容,加工及び部材の交換の態様(加工等がされた際の当該特許製品の状態,加工の内容及び程度,交換された部材の耐用期間,当該部材の特許製品中における技術的機能及び経済的価値 ,取引の実情等を総合考慮す )ると,以下のとおり 「加工や部材の交換」によって「当該特許製品と同 ,一性を欠く特許製品が新たに製造された」とは認められないというべきである。
(ア) 特許製品の属性製品の機能について,液体供給システムの機能の大半を担うのは,原告製プリンタである。
構造及び材質について,インクタンクは,プリンタの中のごく一部の指定された箇所(キャリッジ)に着脱可能に搭載されるという構造となっており,材質的にも,プリンタとインクタンクとは同質ではない。
用途は,印刷であり,制御装置,パーソナルコンピュータとの接続,印字ヘッド,用紙の収納部等を備えた原告製プリンタが,かかる用途のために必要な機能の大半を有している。
耐用期間は,原告製プリンタは,数年から10年程度という長期である。一方,個々のインクタンクは,インク残量がなくなればその耐用期間を終え,交換を余儀なくされるものであり,利用状況によるものの,一般に,プリンタに比べて相当短い。
使用態様については,インク残量がなくなれば,なくなったインクタンクごとに,新たなインクタンクに交換して使用するものであることが前提であり,インクタンクは,当初から,交換が予定されている。
(イ) 特許発明の内容本件発明2及び本件訂正発明2の内容は,低コストでインクタンクの誤装着を防ぐことを目的とした液体供給システムであり,プリンタとインクタンクから構成されている。インクタンクは,プリンタに対して着脱可能であることが請求項に記載されており,着脱による代替が予定されている。
(ウ) 部材の交換の態様インクタンクの交換がされた際の当該特許製品の状態は,インクの残量不足等に陥った特定のインクタンク部分のみが機能不全となっているものの,それ以外,特に,機能の大半を占めるプリンタ部分は,全く正常であり,液体供給システム全体としての完全性を維持しているのが通常である。
,,, 加工の内容及び程度について インクタンクの交換加工ではなくインクの残量不足等に陥った特定のインクタンクのみを交換するという程度であり,液体供給システム全体の完全性に影響を及ぼすものではない。
,, 当該部材の特許製品中における技術的機能については 前記のとおり特許製品の印刷機能の大半を担うのは,プリンタ部分である。
経済的価値については,原告製プリンタの価格が1万8000円程度であるのに対し(乙A38 ,交換される被告製品2の価格は,1個当 )たり780円程度であり,20倍以上の開きがある。
(エ) 取引の実情原告が原告製インクタンクを製造販売しているのに対し,被告らは,原告製プリンタにおいて稼動する互換品インクタンク(被告製品2等)を販売しており,両者は,市場において競合する関係にある。
以上の(ア)ないし(エ)の考慮事由を総合的に検討すると,特許製品である原告製プリンタ及び原告製インクタンクを購入したユーザーが,インクタンクを被告製品2に交換することにより 「同一性を欠く特許製品が新 ,たに製造された」とはいえないというべきである。
このように,直接行為者であるユーザーが原告製プリンタのインクタンクを被告製品2に交換することが本件特許権2の直接侵害に該当しない以上,被告らが被告製品2を販売する行為に本件特許権2の間接侵害は成立しない。
ウ 被告製品2は 本件発明2及び本件訂正発明2の 液体供給システム 液 ,「(体インク供給システム 」の「生産に用いる物 (特許法101条2号) )」に該当しないこと特許法101条2号の「生産」とは,供給を受けた「発明の構成要件を充足しない物 を素材として 発明の構成要件のすべてを充足する物 特 」,「()」「 」 , , 許製品 を 新たに作り出す ことをいうものと解すべきであり 加工修理,組立て等の行為態様に限定はないものの,供給を受けた物を素材として,これに何らかの手を加えることが必要であり,素材の本来の用途に従って使用するにすぎない行為は含まれないと解するのが相当である。
そうすると,特許製品である原告製プリンタ及び原告製インクタンクを購入したユーザーが,インクを使い切ったインクタンクを被告製品2に交換しても 「発明の構成要件を充足しない物」を素材として「発明の構成 ,要件のすべてを充足する物」を「生産」しているとはいえないことは明らかである。すなわち,被告製品2を購入したユーザーが,被告製品2を原告製プリンタに装着する行為は,原告製プリンタから見れば,単に消耗品を交換するにすぎない行為であり,被告製品2の性質から見れば,本来の用途に従って使用する行為であるから,このようなユーザーの行為は,社会通念上,物を「生産」する行為ということはできない。
したがって,被告製品2は,特許法101条2号の「その物の生産に用いる物」に該当しない。
エ 被告製品2は 「日本国内において広く一般に流通しているもの (特 ,」許法101条2号)に該当すること「日本国内において広く一般に流通しているもの (特許法101条2」号)とは,市場において広く取引され,一般に入手することが可能な状態にある普及品のことをいい,当該特許発明実施に適しているが,それ以外の用途も有するものを意味するものと解される。
被告製品2は,市場において広く取引され,一般に入手することが可能な状態にある普及品である(乙A22 。また,被告製品2は,発光と受 )光という本件発明の特徴的機能を有しない,合計67機種のプリンタにおいても使用することができるのであり,一方,発光と受光の機能を有している原告製プリンタの数は,23機種にすぎない(乙A29 。)したがって,被告製品2は,仮に,本件発明2及び本件訂正発明2の実施に適しているとしても,それ以外の用途も有する普及品であるといえるから,特許法101条2号所定の「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当する。
オ 被告製品2は,本件発明2及び本件訂正発明2の「課題の解決に不可欠なもの (特許法101条2号)に該当しないこと 」「その発明による課題の解決に不可欠なもの (特許法101条2号) 」とは,当該対象物を用いることにより,初めて「発明の解決しようとしている課題」を解決することができるものをいう。
しかしながら,原告製プリンタは,前記のとおり,誤って2個同色を装着するという,原告製プリンタにおいてインクタンクの誤装着を生ずる唯一の場合に,発光と受光による誤装着の検出を行わないものであり,そうである以上,被告製品2は,本件発明2及び本件訂正発明2の課題の解決に不可欠なものとはいえない。
したがって,被告製品2は,特許法101条2号所定の,本件発明2及び本件訂正発明2の「課題の解決に不可欠なもの」に該当しない。
[被告らの主張に対する原告の反論]ア 本件特許権2は消尽していないこと本件発明2及び本件訂正発明2は,プリンタ本体とインクタンクの組合せから構成されており,いずれも,発明における重要な技術事項を有している。
また,価格については,プリンタ本体の主力機種がおおむね1万円台ないし数万円程度となっているのに対し,インクタンク一式(全部の色を含む)は数千円であり,プリンタ本体の通常の使用期間に対応するインクタ,。 ンクの価格を比較すれば インクタンクの価格の方が高くなることもある原告のプリンタシステムの技術において,プリンタ本体とインクタンクの技術は,共に重要であり,原告は,プリンタ本体及びその消耗品(インクタンクや印刷用紙等)へ多大な研究開発投資をし,それら製品の販売を通じて本件事業への投資の回収を図っているのであるから,原告が両製品の売上げに依存することは,当然である。そして,需要者によるプリンタ本体当たりのインクタンク使用量は必ずしも一定しないから,インクタンクは,需要者が各自の必要に応じて購入する方式の方が合理的な販売方法である。
このような原告製品の性質上,たとえ,原告製プリンタを新規に購入した際に原告製インクタンク一式が添付されているとしても,原告製プリンタの販売によって,原告が本件発明2及び本件訂正発明2の実施につき無制限の実施権を付与する意思など有していなかったことは当然であり,需要者にもそう認識される合理的な状況がある。
交換部材を使用する装置本体の販売において,特許権の消尽が成立するのは,装置本体が高価であり,装置本体の価格によって発明の対価が回収されたと合理的に認められる場合,すなわち,プリンタ本体の通常の寿命の期間における本件発明の利用価値に相当する回収がされた場合であって,かつ,交換部材が特許発明の実質的な構成要件を含まない場合に限られる。
また,平成19年最高裁判決の一般的規準から判断しても,本件は消尽論の適用されない場合である。すなわち,本件では,特許発明を構成するプリンタ本体とインクタンクの組合せにおいて,インクタンク部分は,発明の実施のための本質的な部分である,バス接続に対応する電気的接点,情報保持部,発光制御機構及びプリンタ本体の受光手段に対して発光する。, , 発光部とを備えている また バス接続に対応するインクタンクであって色情報に基づいて作動する発光部と発光制御部を備えるインクタンクは,被告引用のいずれの公知文献にも記載されておらず新規である。
このように,インクタンクが分担している本件発明2及び本件訂正発明2の構成要件は,発明の本質的な要素であることが明らかであり,プリンタ本体の使用者がインクタンクを購入してプリンタ本体に組み合わせる行為が上記発明の実施に該当することは,平成19年最高裁判決の論理からも,当然に認められる。
イ 被告製品2は 「その物の生産に用いる物」に該当すること ,被告らは,特許法101条2号の「生産」とは,供給を受けた「発明の構成要件を充足しない物」を素材として 「発明の構成要件のすべてを充 ,足する物(特許製品 」を「新たに作り出す」ことをいい,供給を受けた )物を素材として,これに何らかの手を加えることが必要であり,素材の本来の用途に従って使用するにすぎない行為は含まれないと主張する。
しかしながら,被告らの上記定義によったとしても,被告製品2は,それ自体で本件発明2及び本件訂正発明2の構成要件のすべてを充足するものではなく,原告製プリンタに装着することによって上記発明が完成するものであるから 被告製品2を原告製プリンタに装着することは 上記 生 ,,「産」に該当する。
機械製品の特許において,部材を組み合わせて特許製品を完成する場合の部材の供給が間接侵害に該当することは,ごく普通のことである。
ウ 被告製品2は 「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該 ,当しないこと被告製品2は,汎用的な用途のある普及品であるネジや釘と異なり,本,, 件発明の実施のために 原告製プリンタにのみ適合するように設計された原告製プリンタの専用品(他のメーカーのプリンタには使用することができないし,プリンタ以外の製品にも使用することができない)であって,特許法101条2号に該当する汎用品ではない。同号の趣旨からいって,,, このような専用品は たとえ家電量販店で大量に販売されていたとしても同号に該当する普及品とはみなされないというべきである。
エ 被告製品2は,本件発明2の「課題の解決に不可欠なもの」に該当すること「 , 原告製プリンタにおいてインクタンクの誤装着を生ずる唯一の場合は2個同色を装着する場合である」との被告らの主張が誤りであり,原告製プリンタにおいても,複数のインクタンクを同時に交換することが十分にあり得ることについては,前記( )[被告らの主張に対する原告の反論] 1ウ(イ)のとおりである。
そして,原告製プリンタにおいて複数のインクタンクを同時に交換する場合には,本件光照合処理が行われるのであり,被告製品2の構成は,本件光照合処理に欠かせない要素である。
したがって,被告製品2は,本件発明2及び本件訂正発明2の「課題の解決に不可欠なもの」に該当する。
( ) 争点3-1(本件発明は,進歩性を欠くか)について 3[被告らの主張]本件発明1及び本件発明2は,以下のとおり,本件特許の最先の優先日前の公知刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることが,, できたものであり 特許法29条2項に違反して特許されたものであるから本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものである。
よって,特許法104条の3第1項により,原告は,被告らに対し,本件特許権の行使をすることができない。
【本件発明1について】本件発明1は,本件特許の最先の優先日(平成15年12月26日)前である平成14年12月24日に頒布された刊行物である特開2002-370378号公報(乙A1。以下「乙A1公報」という )に記載の発明に,。
平成13年10月23日に頒布された刊行物である特開2001-293883号公報(乙A2。以下「乙A2公報」という )に記載の発明,平成1 。
4年1月9日に頒布された刊行物である特開2002-5818号公報(乙A18。以下「乙A18公報」という )に記載の発明及び平成4年9月3 。
0日に頒布された刊行物である特開平4-275156号公報(乙A4。以下「乙A4公報」という )に記載の発明を組み合わせることによって,当 。
業者が容易に発明をすることができたものである。
また,平成14年5月23日に頒布された刊行物である,WO 02/4(。「 」。), 0275号国際公開公報 乙A30 以下 乙A30公報 という には後記【本件発明2について】のとおり,乙A1公報記載の発明と同様の構成が開示されており,乙A1公報記載の発明の構成は,必要であれば,乙A30公報記載の発明の構成と置き換えることが可能である。
よって,被告らは,予備的に,本件発明1について,乙A1公報記載の発明を主引例とし,乙A2公報,乙A18公報,乙A4公報及び乙A30公報記載の発明を副引例とする,進歩性の欠如を主張する。
ア 乙A1公報記載の発明乙A1公報には 次の構成からなる液体収納容器に関する発明 以下 乙 ,(「A1発明1」という )が記載されていると認められる(請求項11,段 。
落【0001 【0003】〜【0006 【0008 【0011 , 】,】 ,】,】0034 0037 〜 0039 0043 0051 0 【】,【】【】,【】,【】,【052 ,図2,図3 。】)1a1 複数のインクカートリッジが搭載可能であって,1a2 該インクカートリッジに備えられる端子と電気的に結合可能な装置側接点と,1a4 搭載されるインクカートリッジそれぞれの前記端子と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する信号線を有した制御回路とを有する印刷装置に対して1a5 着脱可能なインクカートリッジにおいて,1b 前記装置側接点と電気的に接続可能な前記端子と,1c 少なくともインクカートリッジの識別情報を保持可能な記憶素子と,1e 前記端子から入力される識別情報に係る信号と,前記記憶素子の保持する識別情報とに応じて前記制御回路に対して応答信号を送信する記憶装置と,1f を有することを特徴とするインクカートリッジ。
イ 本件発明1と乙A1発明1の一致点乙A1発明1の構成と本件発明1の構成要件とを対比すると,乙A1発明における インクカートリッジ 端子 信号線 印刷装置 記 「」,「」,「」,「」,「憶素子 「記憶装置 「識別情報」及び「制御回路」が,それぞれ,本 」,」,件発明1における「液体収納容器 「接点 「配線 「記録装置 「情 」,」,」,」,報保持部 「制御部 「個体情報」及び「電気回路」に対応することは 」,」,明らかである。
したがって,本件発明1と乙A1発明1は 「複数の液体収納容器が搭 ,載可能であって,該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と,搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する記録装置に対して着脱可能な液体収納容器において,前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と,少なくとも液体収納容器の個体情報を,, 保持可能な情報保持部と 前記接点から入力される個体情報に係る信号と前記情報保持部の保持する個体情報とに応じて所定の動作を行う制御部と,を有することを特徴とする液体収納容器 」である点において一致す 。
る。
ウ 本件発明1と乙A1発明1の相違点本件発明1と乙A1発明1とは,本件発明1が,記録装置側に「受光手段 (構成要件1A3)を有し,液体収納容器側に「発光部 (構成要件 」」1D)及び「発光部の発光を制御する制御部 (構成要件1E)を有する 」のに対し,乙A1発明1は,かかる「受光手段 「発光部」及び「発光 」,部の発光を制御する制御部」を有しない点で,相違する。
しかしながら,次のとおり,上記相違点は,乙A1発明1に,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報記載の発明を組み合わせることにより当業者が容易に想到することができたものであり,この点について,本件発明1に進歩性が肯定されるものではない。
(ア) 乙A2公報記載の発明乙A2公報の記載からは 「インクタンクに設けることが可能な半導 ,体素子であって,インクヘッド等に設けた他の半導体素子や記録装置との間で,光を通信手段として情報を伝達する情報伝達手段と,インクタンクのIDを記憶した情報蓄積手段と,判断手段とを備えた半導体素子についての構成 」を把握することができる(段落【0014】〜【0 。
016 【0019 【0055 【0062 【0063 【00 】,】,】,】,】,76 【0082 ,図3 。 】,】)上記判断手段は,記録装置から送信されるIDと情報蓄積手段に記憶されたIDとを比較し,一致した場合において,所定の条件下で情報伝達手段に情報を表示,伝達させるものである。
したがって,乙A2公報には,液体収納容器に情報伝達手段としての「」, , 発光部 を設け 記録装置側から送られてくる個体情報に係る信号と,「」 情報保持部の保持する個体情報とに応じて発光部を制御する 制御部を設けることが,開示されている。
(イ) 乙A18公報記載の発明乙A18公報の記載からは 「インクタンク内に設けた半導体素子か ,らの光を受光する光センサを記録装置に設ける構成 」を把握すること。
ができる(請求項7,8,段落【0007【0061 ,図7 。 】,】)したがって 乙A18公報には 液体収納容器からの光を受光する 受 ,, 「光手段」が開示されている。
また,同公報には,複数のインクタンクが所定の位置に装着される記録装置において,記録装置側からの信号によってインクタンク側の半導体素子の発光を制御し,半導体素子からの発光を記録装置側に設けた光センサによって受光し,インクタンクが不適切な位置に装着されたこと,。 を検知し ユーザーに警告を発することができることが記載されているそして,請求項4に 「前記エネルギー変換手段が変換する外部エネル ,ギーは非接触で供給される,請求項1から3のいずれか1項に記載の立体形半導体素子」と記載されていることから,請求項1ないし3においては,外部エネルギーが素子と接触の状態で供給される場合も含まれることは明らかである。
(ウ) 乙A4公報記載の発明乙A4公報の記載からは 「インクタンクの上面に,インクエンド表 ,示用LED,ニアエンド表示用LED,通電回数累積値を記憶するEEPROMをそれぞれ設け,I/Oポートに各LEDの表示回路にそれぞれ駆動信号を出力する表示ドライバを接続し,EEPROMに記憶された通電回数累積値があらかじめ設定した判定値まで達すると,表示ドライバに駆動信号を出力してLEDを点灯させる構成 」を有した記憶装。
置について,把握することができる(段落【0015 【0017 ,】,】【0021 。】)すなわち,乙A4公報には,液体収納容器に報知手段としての「発光部」を設け,EEPROMに保持している通電回数累積値に応じて発光部を制御する「制御部」を設けることが,開示されている。
(エ) 上記各発明と本件発明1との共通性a 技術分野の共通性乙A1発明1と,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報記載の発明は,いずれも,インクカートリッジや記録装置,又は,これらに取付け可能な半導体素子もしくはLEDについての発明であるから,本件発明1と技術分野を共通にする。
b 課題の共通性乙A1発明1は,バス接続された複数のインクカートリッジにおい,, て インクカートリッジの記憶素子に記憶させた識別情報を利用してインクカートリッジを個々に識別し,装着の有無及び通信異常の有無を検出する技術に関するものであり,バス接続において個々のインクカートリッジを識別する技術という点で,本件発明1と課題を共通にする。
乙A18公報記載の発明は,複数のインクタンクがインクの種類に従って所定の位置に装着されるよう構成されている記録装置において,インクタンクの形状を異ならせることなく,ユーザーによるインクタンクの誤装着を防止するための発明であり,本件発明1と課題を共通にする。
また,乙A2公報記載の発明の半導体素子は,素子の位置を確認の上,交換が必要なインクタンクを特定する実施例に適用することができるものであり,乙A4公報記載の発明のLEDは,インクエンドやインクニアエンドを報知するためのものである。
したがって,乙A1発明1並びに乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報記載の各発明の課題は,いずれも,本件発明1の課題と共通する。
c 作用・機能の共通性(a) 乙A1発明1は,インクカートリッジに設けた記憶装置に識別情報を持たせることにより,バス接続においても個々のインクカートリッジを識別し,通信異常の発生しているインクカートリッジを特定することができるものであるから,同発明は,作用ないし機能の点で,本件発明1と共通性がある。
(b) 乙A18公報記載の発明は,インクタンク側に発光部及び記録装置側に受光手段を設け,インクタンク内のインクを透過した光を上記受光手段で受光することにより,装着されたインクタンクを識別し,誤装着があれば,ユーザーに報知することができるものであるから,同発明は,作用ないし機能の点で,本件発明1と共通性がある。
d 記載内容中の示唆(a) 乙A1公報には,複数のインクカートリッジをバス接続し,各カートリッジに記憶装置を設けて識別する構成が開示されているが,インクカートリッジに「発光部」を設けることについて,直接の記載はない。
しかしながら,同公報には,記録装置側から送出されてきた識別情報とインクカートリッジの記憶装置が格納している識別情報とが一致する場合に,同記憶装置は記録装置の制御回路に対して応答信号を送り返すものとすることにより,同制御回路は,応答のない記憶装置を備えるインクカートリッジを検出することができ,かかるインクカートリッジを検出したときは,各インクカートリッジに対応して備えられた操作パネル上のランプを点滅させる構成が開示されている(段落【0051】〜【0052 。】)すなわち,上記発明は,ユーザーへの報知手段として光を利用することを前提としているものであるから,上記「応答信号」を記録装置の制御回路に送り返す際に,ユーザーへの報知を兼ねて,光による通信手段を用いることについても,示唆があるというべきである。
(b) 乙A18公報には,インクタンクに設けた半導体素子からの発光を記録装置に設けた光センサによって受光する構成が開示されているものの,インクタンクをバス接続することについて,直接の記載はない。
しかしながら,同公報記載の発明は,複数のインクタンクを搭載する記録装置に対して適用することを前提としており,キャリッジ上に搭載されたインクタンクを所定の位置に移動させた上で,インクタンクに設けた半導体素子を発光させることも可能である。
したがって,乙A18公報には,同公報記載の発明をバス接続の場合にも適用することができることについて,示唆されている。
(オ) 小括以上のとおり,乙A18公報記載の発明の「光センサ」は,本件発明1の「受光手段 (構成1A3)に,乙A2公報記載の発明の「半導体 」素子」は,本件発明1の「発光部 (構成1D)及び「制御部 (構成 」」1E)に,乙A4公報記載の発明のインクエンド又はインクニアエンド報知用の「LED」は,本件発明1の「発光部 (構成1D)に,それ 」ぞれ,相当するものである。
また,乙A1発明が,信号線を通じて応答信号を制御回路に送信している点については,記録装置側に乙A18公報の「光センサ」のような「受光手段」を設け,液体収納容器側に乙A4公報の「LED」ないし乙A2公報の「半導体素子」のような「発光部」を設けて,光を介して情報伝達する手段と置き換えることにより,本件発明1のように構成することは,当業者であれば容易に想到し得るものと認められる。
したがって,乙A1発明1に,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4,, 公報記載の各発明を組み合わせることで 液体収納容器に発光部を設け記録装置からの信号により,バス接続された液体収納容器を識別して発光を制御し,誤装着を検出できるようにすること(すなわち,前記相違点に相当する構成を備えること )は,当業者であれば容易に想到する 。
ことができたものである。
【本件発明2について】本件発明2は,乙A30公報記載の発明に,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報記載の各発明を組み合わせることによって,当業者が容易に発明をすることができたものである。
また,前記【本件発明1について】のとおり,乙A1公報には,乙A30公報記載の発明と同様の構成が開示されており,乙A30公報記載の発明の構成は,必要であれば,乙A1公報記載の発明の構成と置き換えることが可能である。
よって,被告らは,予備的に,本件発明2について,乙A1公報記載の発明を主引例とし,乙A2公報,乙A18公報,乙A4公報及び乙A30公報記載の各発明を副引例とする,進歩性の欠如を主張する。
ア 乙A30公報記載の発明乙A30公報にには,次の構成からなるインク供給システムに関する発明(以下「乙A30発明2」という)が記載されていると認められる(1頁10行〜13行,同頁16行〜19行,2頁1行〜4行,同頁6行〜9行,15頁6行〜7行,16頁21行〜24行,18頁8行〜14行,20頁2行〜6行,同頁17行〜19行,21頁13行〜22頁6行,同頁9行〜13行,25頁23行〜26頁4行,同頁6行〜18行,同頁21行〜27頁10行,同頁13行〜21行,30頁26行〜31頁23行,同頁25行〜34頁3行,同頁8行〜25行,41頁17行〜23行,43頁1行〜4行,図11,16,17 。)2a1 複数のインクカートリッジが互いに異なる位置に搭載可能であって,2a2 該インクカートリッジに備えられる端子と電気的に結合可能な装置側接点と,2a3 前記複数のインクカートリッジを搭載したキャリッジの移動により所定の位置にインクカートリッジが入れ換わるように配置可能で,2a4 搭載されるインクカートリッジそれぞれの前記端子と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続し識別データに係る信号を発生するための信号線を有した制御回路とを有する記録装置と,2b 前記記録装置のキャリッジに対して着脱可能なインクカートリッジと,2c を備える液体供給システムにおいて,2d1 前記インクカートリッジは,前記装置側接点と電気的に接続可能な前記端子と,2d2 少なくともインクカートリッジの識別データを保持可能なメモリアレイと,2d4 前記端子から入力される識別データに係る信号と,前記メモリアレイの保持する識別データとが一致した場合に前記制御回路に対して応答信号を送信する制御部と,2e を有することを特徴とする液体供給システム。
イ 本件発明2と乙A30発明2の一致点乙A30発明2の構成と本件発明2の構成要件とを対比すると,乙A30発明2における「インクカートリッジ 「端子 「信号線 「印刷装 」,」,」,置 メモリアレイ 記憶装置 識別データ 制御回路 及び 印 」,「」,「」,「」,「」「刷記録材容器の識別装置」が,それぞれ,本件発明2における「液体収納容器 「接点 「配線 「記録装置 「情報保持部 「制御部 「個体 」,」,」,」,」,」,情報 「電気回路」及び「液体供給システム」に対応することは明らか 」,である。
したがって,本件発明2と乙A30発明2は 「複数の液体収納容器が ,互いに異なる位置に搭載可能であって,該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と,前記複数のインクカートリッジを搭載したキャリッジの移動により所定の位置にインクカートリッジが入れ換わるように配置可能で,搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続し個体情報に係る信号を発生するための配線を有した電気回路とを有する記録装置と,前記記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器と,を備える液体供給システムにおいて,前記液体収納容器は,前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と,少なくとも液体収納容器の個体情報を保持する情報保持部と,前記接点から入力される前記個体情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する個体情報とが一致した場合に前記制御回路に対して所定の動作を行う制御部と,を有することを特徴とする液体供給システム 」であ。
る点において一致する。
ウ 本件発明2と乙A30発明2の相違点本件発明2と乙A30発明2とは,本件発明2が,記録装置側に「液体収納容器位置検出手段 構成要件2A3 を有し 液体収納容器側に 発 」(), 「光部 (構成要件2D3)及び「発光部を発光させる制御部 (構成要件 」」2D4)を有しているのに対し,乙A30発明2は,かかる「液体収納容器位置検出手段 「発光部」及び「発光部を発光させる制御部」を有し 」,ていない点で,相違する。
しかしながら,次のとおり,上記相違点は,乙A30発明2に,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報記載の各発明を組み合わせることにより当業者が容易に想到することができたものであり,この点について,本件発明2に進歩性が肯定されるものではない。
すなわち,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報には,前記【本件発明1について】記載の各構成が開示されており,乙A18公報記載の発明の「光センサ」が,本件発明2の「液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出」(), 「」, 手段 構成要件2A3 に 乙A2公報記載の発明の 半導体素子 が本件発明2の「前記位置検出手段に投光するための発光部 (構成要件2」)「 」 D3 及び 個体情報とが一致した場合に前記発光部を発光させる制御部(構成要件2D4)に,乙A4公報記載の発明のインクエンド又はインクニアエンド報知用の「LED」が,本件発明2の「発光部 (構成要件2」), , 【 】 D3 に それぞれ相当することについては 前記 本件発明1についてと同様である。
また,乙A30発明2は,複数色のインクカートリッジを備える記録装置において,インクカートリッジの交換時等に,交換されるべきインク色とは異なるインクカートリッジを誤装着するのを防止するための技術であり,外形的な識別形状を用いることなく誤装着を防止することを目的とするものであるから,本件発明2と課題が共通する上,インクカートリッジに設けた記憶装置に識別データを持たせることにより,バス接続においても個々のインクカートリッジを識別し,インクタンク交換時の誤装着を検出することができるものであるから,作用ないし機能の点でも,本件発明2と共通性がある。
なお,乙A30公報には,複数のインクカートリッジをバス接続し,各カートリッジに記憶装置を設けて識別する構成が開示されているものの,インクカートリッジに「発光部」を設けることについて,直接の記載はない。
しかしながら,同公報には,搭載されているインクカートリッジに対応する数のLEDをキャリッジ上に設け,インクカートリッジの交換時に,キャリッジをインク交換位置まで移動させた後,交換の対象となるインクカートリッジに対応するLEDを点滅させて,交換対象のインクカートリッジをユーザーに指し示したり(図21 ,誤ったインクカートリッジの )装着の報知に際し,記録装置上の表示ランプを利用することができることが開示されている(35頁15〜18行目 。すなわち,同公報記載の発 )明は,ユーザーへの報知手段として光を利用することを前提としているから,記録装置から送出される識別データとインクカートリッジに記憶している識別データが一致して応答信号を記録装置側の制御回路に送り返す際, , に ユーザーへの報知を兼ねて光による通信手段を用いることについても示唆があるというべきであるしたがって,乙A30発明2に,乙A2公報,乙A18公報及び乙A4公報記載の各発明を組み合わせることで,液体収納容器に発光部を設け,記録装置からの信号により,バス接続された液体収納容器を識別して発光を制御し,誤装着を検出できるようにすること(すなわち,上記相違点に相当する構成を備えること )は,当業者であれば容易に想到することが 。
できたものである。
エ その他の引用例被告らは,補足的に,平成14年10月15日に頒布された刊行物である特開2002-301829号公報(乙A3。以下「乙A3公報」という ,平成10年9月2日に頒布された刊行物である特開平10-23 。)0616号公報(乙A5。以下「乙A5公報」という ,平成15年1。)0月21日に頒布された刊行物である特開2003-300358号公報(乙A51。以下「乙A51公報」という,平成14年3月26日に 。)頒布された刊行物である特開2002-86697号公報(乙A6。以下「乙A6公報」という ,平成14年1月9日に頒布された刊行物であ 。)る特開2002-5724号公報(乙A17。以下「乙A17公報」という )及び平成14年1月18日に頒布された刊行物である特開2002 。
-14870号公報(乙A37。以下「乙A37公報」という )に記載。
の発明を,副引用例として主張する。
(ア) 乙A3公報記載の発明乙A3公報の記載からは 「インク残量が少ないことをユーザーに報 ,知するためにインクタンクにLEDからなる発光部を設ける構成 」を。
把握することができる(段落【0023 【0026 。】,】)乙A3公報の上記構成からすると,インクエンド又はインクニアエン,, ドをユーザーに報知する手段としてインクタンクごとにランプを設けその発光の状態を制御することは,公知の事柄であるといえる。
(イ) 乙A5公報記載の発明乙A5公報の記載からは 「キャリッジに搭載された複数のインクカ ,ートリッジについて,夫々インク残量の検知を行うために,記録装置側に「発光部」と「受光部」を設け,キャリッジを移動させつつ,インクカートリッジの収納物残量検知部に向けて,記録装置側の「発光部」から発光し,その反射光を「受光部」で受光する構成 」を把握すること。
ができる(請求項1,段落【0006 【0052 【0054 。 】,】,】)上記構成からすると,インクカートリッジを記録装置側に設けた発光部と対向可能な位置までキャリッジで移動させ,所定の位置に移動させた後に発光及び受光の処理を行う点に,困難性は認められない。
(ウ) 乙A51公報記載の発明乙A51公報の記載からは 「複数のインクカートリッジに回路チッ ,プをそれぞれ設け,その回路チップのフラッシュメモリにインクカートリッジを識別するデータを記憶させ,インクカートリッジの「無線通信回路」と記録装置の「通信ユニット」の間で無線通信を行って,正常に装着されていないインクカートリッジを特定する構成 」を把握するこ。
とができる(段落【0034】〜【0036 【0043 。】,】)上記構成からすると,バス接続されたインクカートリッジを識別して誤装着等の検出を行う乙A1発明1及び乙A30発明2の構成に対し,記録装置とインクカートリッジの間の情報伝達手段として,乙A2公報及び乙A18公報記載の発明のような無線通信手段を採用することは,当業者であれば容易に想到できる事柄であるというべきである。
(エ) 乙A6公報記載の発明乙A6公報の記載からは 「ユーザーに発光ダイオードを用いてイン ,クエンド等の状態を報知する際に,発光ダイオードの点灯状態とキャリッジの停止位置を組み合わせることにより,少ない発光ダイオードであってもインクエンドの状況を分かりやすくユーザーに知らせる構成 」。
を把握することができる(請求項2,段落【0094 。】)上記構成からすると,キャリッジに搭載したインクカートリッジに対し停止位置も組み合わせて発光制御すること(本件発明2における本件光照合処理の構成をとること)には,何ら困難性が認められない。
(オ) 乙A17公報記載の発明乙A17公報の記載からは 「判断手段と情報蓄積手段と光を用いた ,情報伝達手段とを備え,インクタンクの内部情報を外部に伝達可能な半導体素子であって,半導体素子のみで通信するのではなく,インクジェット記録装置の通信回路に対しても情報伝達可能な構成 」を把握する。
ことができる(段落【0038 【0039 【0044 【004 】,】,】,6 【0052 【0053 。 】,】,】)上記構成からすると,上記(ウ)と同様,乙A1発明1及び乙A30発明2の構成に乙A2公報及び乙A18公報記載の各発明を組み合わせることは,当業者であれば容易に想到することができる事柄であるといえる。
(オ) 乙A37公報記載の発明乙A37公報の記載からは 「記録装置側から送られてくる色情報に ,ついての「IDデータ」と自身が保持している色情報についての「IDデータ」の一致,不一致の判断を行い,アクセス許可信号を送出することで,以後の制御コードの受入,無視の処理を行う構成 」を把握する。
ことができる(段落【0058 【0079 。】,】)本件発明2において液体収納容器側に設ける「制御部」は,制御部という名称が付けられていても 「色情報」以後の「制御コード」の受入 ,れ又は無視の処理を行うだけのものであり,そのような構成は,乙A2公報,乙A30公報及び乙A37公報に開示されているといえる。
また,乙A37公報には,先頭の3ビットがインクの色に対応した識別データであり,次の4ビット目が読み込み又は書き込みを指示するコマンド部であり,5ビット目以降がメモリアレイに書き込む情報であるように設計されたデータ列が開示されているから,本件明細書に記載されているように 「個体情報に係る信号」と共に「個体情報と共に入力 ,される制御に係る信号」を用いて制御を行う点も,公知の事柄であるといえる。
[原告の主張]被告らの主張を否認ないし争う。
仮に,本件特許に被告らの主張する無効理由があるとしても,原告は,前記のとおり本件訂正の請求をしているため,本件訂正によって上記無効理由を解消することができる(なお,本件訂正発明に進歩性が認められることについては,後記( )のとおりである。また,後記( )ないし( )において被告 847らの主張する無効理由についても,上記( )の無効理由と同様に,本件訂正 3によって無効理由を解消することができる 。。)( ) 争点3-2(本件発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1 4号(サポート要件)に違反するか)について[被告らの主張]構成要件1E及び2D4には,液体収納容器に「発光部の発光を制御する制御部」ないし「発光部を発光させる制御部」を備えるべきことが記載されている。
しかしながら,前記( )[被告らの主張]イ(ウ)のとおり,上記構成要件 1「」,「,, ,, における 制御 とは 発光部の発光を いつ どのタイミングで 点灯点滅,消灯のいずれの状態とするのかについて,自身でコントロールし,また,発光部の点滅速度を自身で調節し得る機構」を指すと解するのが相当である。本件明細書の記載(段落【0075 【0077】〜【0079 , 】,】【0083 【0088 【0094 【0110】〜【0113 【0 】,】,】,】 ,115 【0116 )によれば,液体収納容器側の「制御部」は,記録装 】,】置側から送られてくる「色情報」と自身が保持している「色情報」の一致,不一致により,点灯,消灯の「制御コード」の受入れ,無視の処理を行っているにすぎず,自身が「発光部の発光を制御する」ものではなく,そのような発光部の点灯制御は,記録装置側の「制御回路300」で行っていることが明らかである。
したがって,本件明細書の発明の詳細な説明には,液体収納容器に備えら「」「」 れた 発光部の発光を制御する制御部ないし 発光部を発光させる制御部という構成が開示されているとは認められず,特許法36条6項1号に違反する。
[原告の主張]前記( )[被告らの主張に対する原告の反論]ウのとおり,本件明細書に 1は,液体収納容器に設けられた制御素子103(より正確には,その内部の入出力制御回路103A及びLEDドライバ103C)により,液体収納容,。 器に設けられた発光部の点灯 消灯が制御されていることが明記されているしたがって,本件発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号に違反するものではない。
( ) 争点3-3(本件発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2 5号(明確性要件)に違反するか)について[被告らの主張]【本件発明1について】,「」 , 本件発明1は 液体収納容器 という物の発明に関するものであるから「液体収納容器」の構成自体に技術的特徴を備え,特許請求の対象である物の発明として特定することができるものでなければ,請求項の記載が明確であるとはいえない。
しかしながら,本件発明1の請求項は,その液体収納容器が装着されるであろう記録装置側の構造や,記録装置から送られてくる信号及びそれに基づく制御の形態について記載されている。
物の発明に係る請求項の記載において,その「特許請求されている物」自体の構造,動作を特定するのではなく,関連する「他の物」の構造や動作によって「特許請求されている物」を特定する記載表現を用いることが,直ちに請求項の記載を不明確なものとするわけではないものの,そのような記載表現が許容されるのは 「他の物」の構造等を記載することによって 「特 ,,許請求されている物」の発明を明確に特定し 「特許請求されている物」の ,技術的特徴を把握することができる場合に限られ,そのような特定をすることができない記載は,特許法36条6項2号に違反する不明確なものであるというべきである。
本件発明1については,次のとおり「他の物 (記録装置)の構造等を ,」特定することによって 「特許請求されている物 (液体収納容器)の発明 ,」特定事項が明確に特定されているものではないので,特許法36条6項2号に違反する。
ア 「発光部」と「受光手段」の関係が不明確であること本件発明1では,液体収納容器が「発光部 (構成要件1D)を有し, 」液体収納容器が着脱される記録装置は 「液体収納容器からの光を受光す ,る受光手段 (構成要件1A3)を有する。 」しかしながら,請求項1の記載からは,記録装置側の「液体収納容器か」「 」 ,「」 らの光を受光する受光手段 の 液体収納容器からの光 とは 発光部が発した光を指すのか,それ以外の,例えば,記録装置側から発せられる光が液体収納容器に反射した反射光なども含むのか否かが,全く不明であり 「液体収納容器からの光を受光する受光手段」という記載により,液 ,体収納容器側の「発光部」の配置や構成は何ら特定されていない。
したがって,上記記載は,液体収納容器の発明特定事項としては,不明確である。
また,液体収納容器の「発光部」が記録装置側の「受光手段」に投光されて,光を介した情報伝達手段として機能し得るか否かは,液体収納容器に「発光部」を設けるだけでなく 「発光部」と「受光手段」の位置関係 ,等いかんにもよる。すなわち,本件発明1の「制御部」が,接点から入力された個体情報と情報保持部で保持していた個体情報等に応じて発光部の発光を制御するとしても,それが装置側の受光手段に情報を伝達できるか否かは,液体収納容器が特定の記録装置に装着された時に初めて確認できることである。本件発明1においては 「発光部」から発光された光がど ,こに向かうかは,液体収納容器の構成としては問題としていないのであるから,液体収納容器としてみるならば,発光部が,記録装置側の受光手段との間で光を介した情報伝達手段としての機能を実現できる可能性を持っている,と規定しているにすぎない。
したがって,本件発明1は,その記載から発明を明確に特定することができず,技術的にも不明確なものとなっている。
さらに,請求項1の記載からは 「発光部」が発した光が「受光手段」 ,に向けて投光されない構成(例えば,記録装置との通信手段としてではなく,ユーザーの目のみに向けて液体収納容器の装着の適否や,インク切れを報知するために発光する発光部 )を備えた液体収納容器についても本 。
件発明1の技術的範囲に含まれるものかどうかが,不明確である。
イ 「電気回路」と液体収納容器の関係が不明確であること構成要件1A4には,記録装置が 「搭載される液体収納容器それぞれ ,の前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路」を有する旨の記載があるが,本件発明1が特許請求している対象物である「液体収納容器」の発明特定事項には,上記「電気回路」との関係が何ら記載されていない。
したがって,上記記載は,液体収納容器の発明特定事項としては不明確である。
【本件発明2について】ア 「位置検出手段」と「液体収納容器位置検出手段」の関係が不明確であること本件発明2では,液体収納容器の発光部は 「前記位置検出手段 (構 ,」成要件2D3)に投光するためのものであることが特定されているが,請,「」 , 求項5の記載上 位置検出手段 という名称の手段は定義されておらず記録装置側の構成として記載されているのは 「液体収納容器位置検出手 ,段 (構成要件2A3)という,異なる名称の手段である。 」このように,請求項5には 「液体収納容器位置検出手段」という記載 ,と 「位置検出手段」という記載があり,用語が統一されていないため, ,これら2つの手段の関係が不明確となっている。また,本件明細書の発明の詳細な説明には 「位置検出手段」が「液体収納容器位置検出手段」と ,同義であるとか,その略称であるという説明又は用語の定義は,存在しない。
したがって,本件発明2は 「位置検出手段」と「液体収納容器位置検 ,出手段」の関係が明確でなく,技術的にも不明確なものである。
イ 「位置検出手段」及び「液体収納容器位置検出手段」が何を指すのかが不明確であること本件明細書の発明の詳細な説明には,請求項5に記載されている「位置検出手段」及び「液体収納容器位置検出手段」が,段落【0021】以下に記載されている実施例における記録装置のどの構成に対応するのかにつ。, , 「」 いての説明が存在しない すなわち本件発明5は 請求項5で 〜手段と上位概念で記載しているにもかかわらず,発明の詳細な説明において,請求項に記載した手段を実現するための具体的構成が例示されておらず,当該手段の意味するところが不明確となっている。
そのため,本件明細書の記載からは 「位置検出手段」及び「液体収納 ,容器位置検出手段」が,どのような機構によって液体収納容器の位置を検出するのかが不明であり,これらの手段と液体収納容器の「発光部」との位置関係や制御関係も不明であるため,発明を特定することができない。
ウ 「前記位置検出手段に投光するための発光部」の記載が明確でないこと本件発明2には,液体収納容器が「前記位置検出手段に投光するための発光部 (構成要件2D3)を有することが記載されている。 」しかしながら 「前記位置検出手段に投光するため」という記載は 「発 ,,」,, 光部 を設ける目的を記載したものにすぎず 液体収納容器のどの位置にどのような構成の「発光部」を設けるのかについては,何ら具体的に特定。, 「」 , されていない 具体的な特定がなければ 発光部 から発光された光が記録装置側の「位置検出手段」に投光されるものか,ユーザーの目に向けて投光されるものかなど区別のしようがなく,かかる請求項の記載は,不明確である。
[原告の主張]【本件発明1について】本件発明1は,いわゆるサブコンビネーション形式の発明であり,請求項1のプリンタ本体の構成要件と組み合わせられて,組合せとしての機能をすべて実現する構成を有するか否かによって,請求項1のインクタンクの範囲が定まるものであり,明確性に欠けることはない。
ア 「発光部」と「受光手段」の関係は明確であること本件訂正後の請求項1では,液体収納容器の「発光部」が発した光が記録装置の「受光手段」に向けて投光される関係にあり,特定の位置関係で受光手段がインクタンクから受光した光に基づいて,インクタンクの位置検出がされることが明記された(構成要件1A3,1A5 ,1D 。 ’’’)また,本件訂正後の請求項1において,記録装置側から発せられる光を液体収納容器が反射する場合や,ユーザーの目のみに向けて発光するインクタンクを搭載した場合が包含されないことは,明白である。
これらの点は,本件訂正前の請求項1についても,当然そのように解されたはずの内容ないし十分理解し得た内容である。
イ 「電気回路」と液体収納容器の関係は明確であること本件発明1におけるインクタンクは,プリンタの構成要件全部を充足するプリンタに使用されることによって,請求項1の技術的範囲に属することになるものである。
本件発明1ないし本件訂正発明1において 「電気回路」は 「配線」 ,,と共に,インクタンクの制御部に対して色情報及び制御情報を与え,それにより,インクタンクの制御部が作動して発光部を発光させることが,請求項1の内容である。
したがって 「電気回路」とインクタンクの関係は,明確である。 ,【本件発明2について】本件訂正後の請求項3では,本件訂正前の「位置検出手段」という用語及び「液体収納容器位置検出手段」という用語が,いずれも「液体インク収納容器位置検出手段」と訂正されたため,被告らの指摘する問題点は解消されている。
また,請求項に記載された「液体収納容器位置検出手段」や「発光部」の具体的構成については,本件明細書を見た当業者が,その技術常識に基づいて理解することが困難な点があるとは考えられず,被告らの主張は理由がない。
( ) 争点3-4(本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法36条4 6項1号(実施可能要件)に違反するか)について[被告らの主張]ア 「発光部」と「受光手段」ないし「液体収納容器位置検出手段」がいかなる位置関係であっても実施可能であるとは認められないこと本件発明1は,液体収納容器が「発光部 (構成要件1D)を有し,記 」録装置が「該液体収納容器からの光を受光する受光手段 (構成要件1A」3)を有することが記載されているものの 「発光部」と「受光手段」の ,位置関係は,何ら特定されていない。
また,本件発明2の請求項5には,液体収納容器が「前記位置検出手段に投光するための発光部 (構成要件2D3)を有することが記載されて 」いるものの 「前記位置検出手段に投光するため」のものであるという, ,「発光部」の目的が記載されているだけであり 「発光部」と「液体収納 ,容器位置検出手段」の位置関係を特定する記載はない。
すなわち,本件発明1及び本件発明2は,液体収納容器の任意の位置に発光部 が存在し それに対していかなる位置に 受光手段 ないし 液 「」 , 「 」「体収納容器位置検出手段 (両者を併せて,以下「受光手段等」という ) 」。
,, , が存在しようとも 受光手段等は 発光部からの光を受光することができ,, それによって インクタンクの誤装着の検出等ができることになっており「発光部」と「受光手段等」がいかなる位置関係であっても技術的範囲に含まれるよう特許請求されている。
しかしながら,音波や電波とは異なり,光を通信手段として用いるのであれば 「発光部」は 「受光手段等」に対して投光可能な位置に存在し ,,なければならないはずであり,例えば 「発光部」と「受光手段等」の間 ,に液体収納容器を構成する部材が介在する場合に,どのようにすれば受光手段に向けて投光できるのか,本件明細書の記載からは不明である。
したがって,本件明細書は 「発光部」と「受光手段等」がいかなる位 ,置関係であっても当業者が本件発明1を実施できるように,明確かつ十分にその発明の実現手段が開示されているとはいえない。
イ 受光手段等が隣接位置からの発光を誤装着として検出しないようにする手段が不明であること本件特許における「キャリッジに搭載された複数のインクタンクについて,その移動に伴い所定の位置で順次その発光部を発光させるとともに,上記処置の位置での発光を検出するようにすることにより,発光が検出されないインクタンクは誤った位置に搭載されていることを認識できる 」。
(本件明細書の段落【0019 )という効果を達成するためには,受光 】手段等が特定のインクタンクの発光部からの発光のみを受光するように,何らかの構成を付加することが不可欠である。
すなわち,本件明細書の記載からは,誤装着されているインクタンクの位置が正しい装着位置と隣接している場合,どのようにすれば,隣接している位置からの発光やその他プリンタの使用環境に存在する周囲の光は受光せずに,インクタンクが誤装着しているものとして区別して認識するこ,。, とができるのか その実現手段が明確でない 何らの手段も講じなければ,, プリンタ装置側の受光手段等は プリンタの使用環境に存在する周囲の光少なくとも隣接位置からの発光は受光してしまうはずである。
しかしながら,本件発明1及び本件発明2は,そのような構成を設けることなく 「該液体収納容器からの光を受光する受光手段 (構成要件1 ,」A3)ないし「該液体収納容器からの光を受光することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段 (同2A3)」と,インクタンクからの光を受光することができるものとして特許請求されており,本件明細書において,その実現手段は明らかにされていない。
したがって,本件明細書には,当業者が本件発明を実施できるように明確かつ十分に発明の実現手段が開示されているとはいえず,特許法36条4項1号(実施可能要件)に違反する。
[原告の主張]ア 「発光部」と「受光手段等」との位置関係についてインクタンクの具体的な構成の実施例については,本件明細書の発明の詳細な説明の段落【0021】ないし【0150】及び図1ないし40によって詳細に説明されており,当業者が本件発明を実施できるように明確かつ十分に発明の実現手段が開示されている。
したがって,特許法36条4項1号に違反するものではない。
イ 受光手段等が隣接位置からの発光を誤装着として検出しないようにする手段について「」, , , この程度の 実現手段 は 明細書に記載がなくても 当業者であれば技術常識から容易に設定することができる。一例として,最も容易な方法は,受光手段の信号について適当な閾値を設けて,それ以上の光かそれ以下の光かで区別する方法である。隣接している位置からの光やプリンタの周囲の光は,直接受光手段に向き合っているインクタンクからの光に比べて数段その強さが落ちるため,適当な閾値を設定して,それより強いか弱いかで判断すれば,受光手段に向き合ったインクタンクからの発光をその他の光から区別することは,たやすいことである。
いかなる種類のセンサーといえども,そこから得られた信号について,システムが反応すべきレベルの信号と,雑音等として捨て去るべきレベルの信号とを区別するために,適当な閾値を設定しそれを超えるか否かで区別することは,当業者にとっては技術常識である。
[原告の主張に対する被告らの反論]閾値を設けることについて,本件明細書には一切記載がない。また,閾値を設けるだけでは,連続的に導入される隣接位置からの光を区別することは当業者にとって容易ではない。すなわち,隣接するインクタンクは強い光を発している上,インクタンク同士の距離は非常に短く,一定程度の速さで移動するため,対向する位置のインクタンクの発光部の光量と,隣接する位置のインクタンクのそれとでは大きな違いはなく,閾値の設定は当業者にとって容易でない。
( ) 争点3-5-1(本件訂正は,特許法134条の2訂正要件を満たす 7か)について[被告らの主張]ア 「結合」を「接続」に訂正することは,明りょうでない記載の釈明を目的とするものではないこと原告は,本件訂正により,構成要件1A2,1A4,2A2及び2A4における「結合」を 「接続 (構成要件1A2 ,1A4 ,2A2 ,2 ,」 ’’’A4 )に訂正し,かかる訂正は 「明りょうでない記載の釈明 (特許法 ’, 」134条の2第1項3号)に当たると主張する。
しかしながら 結合 とは 結び合うこと 結び合わせること 日 ,「」,「。 。 」(本語大辞典(乙A56 )を意味するものであるのに対し 「接続」とは, ),「つなぐこと。つながること(乙A56)を意味するものであり,こ 。」れらの語句自体が意味するところに,別段不明りょうな点はない。明りょうでない記載の釈明とは,記載内容がそれ自体明らかでないときに,その意味を明らかにするために認められるものであるところ,本件訂正は,語句自体の意味としては明確である 「結合」と「接続」とに書き分けてい ,たものを,確たる理由もなく「接続」に統一するものであり,明りょうでない記載の釈明を目的とするものとはいえない。
また,上記のとおり 「接続」は「結合」を含む広い概念であるから, ,「結合」を「接続」に訂正することは,従来特許請求の範囲に含まれていなかった 「結合」以外の「接続」の態様を含むことになり,特許請求の ,範囲を拡張するものでもある。
したがって,かかる訂正は,特許法134条の2第5項で準用する126条4項により認められない。
「」「 」 イ 発光部 を 前記受光手段に投光するための光を発光する前記発光部に訂正することなどは,特許請求の範囲減縮するものではないこと(ア) 原告は,本件訂正により,構成要件1Dの「発光部」を 「前記受,光手段に投光するための光を発光する前記発光部 (構成要件1D ) 」’に訂正し,かかる訂正は特許請求の範囲減縮するものであると主張する。
しかしながら,本件訂正発明1は液体インク収納容器についての発明であるところ,上記訂正によって追加記載された「受光手段」は,記録装置側の構成要素であって,液体インク収納容器に係る発明の構成要素ではない。なお,構成要件1A3’には,記録装置側の受光手段が「液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用」のものであることの記載はあるが 「発光部」と「受光手段」に互いに光の目的や ,用途を記載したところで,それによって,液体インク収納容器の発光部の構成が具体的に限定されるものではない。
したがって,上記訂正は,液体インク収納容器の構成を限定するものではなく,特許請求の範囲減縮に該当しない。
,, () , , また 原告は 訂正請求書 甲8 において 上記訂正の根拠として発光部からの光が受光手段にのみ向かっている本件明細書の図3(a)の実施例を挙げるが,同図と,発光部からの光が人の目に対してのみ向かう図3(b)の実施例を比較した場合,液体インク収納容器の構成としては差がないものであり 「発光部」を「受光手段に投光するための光を ,発光する前記発光部」と訂正しても,それによって,液体インク収納容器に設ける発光部を格別の構成を有するものに限定したことにはならないる。
,, , 「」 さらに そもそも 本件明細書には請求項に記載された 受光手段が,実施例に示されたプリンタ装置の具体的構成中のどの部分に該当するのかについての説明がなく,明細書の記載からはいかなる機構を指すのかが不明である。なお,原告は,訂正請求書(甲8)において,上記,【】 , 訂正の根拠として 本件明細書の発明の詳細な説明の段落 0036【0038】ないし【0047 【0073】及び【0079】を挙 】,げるものの,上記記載部分には 「受光手段に投光するための光を発光 ,する発光部」という構成に相当する記載は存在しない。
,「」, したがって 受光手段に投光するための光を発光する発光部 とは本件訂正により新たに加えられた事項であるというべきであり,上記訂正は,実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものにも該当する。
(イ) 原告は,本件訂正により,構成要件2D3の「前記位置検出手段に投光するための発光部」を「前記液体インク収納容器位置検出手段の前記受光部に投光するための光を発光する発光部 (構成要件2D3 ) 」’に訂正し,かかる訂正は特許請求の範囲減縮するものであると主張する。
しかしながら 「投光するための光を発光する」という抽象的な記載 ,を追加しても,液体インク収納システムの構成が特定されるものではなく,上記訂正は,受光部のみに投光するための光を発光することを意味しない。すなわち 「発光部」を 「受光部に投光するための光を発光 ,,する発光部」というように,光の目的を記載しても,それによって,液体インク収納システムの発光部を格別の構成を有するものに限定したことにはならない。
したがって,上記訂正は,液体インク収納システムの構成を限定するものではなく,特許請求の範囲減縮に該当しない。
,, () , , また 原告は 訂正請求書 甲8 において 上記訂正の根拠として段落【0036 【0038】ないし【0047 【0073】及び 】,】 ,【0079】を挙げるが,上記記載部分に「受光部に投光するための光」,, を発光する発光部 という構成に相当する記載は存在せず 上記訂正は実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものにも該当することについては,上記(ア)と同じである。
ウ 「前記キャリッジの移動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され」との構成を付加することは,特許請求の範囲減縮するものではないこと原告は,本件訂正により,構成要件1A3に 「前記キャリッジの移 ,動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され」との構成を付加し(構成要件1A3 ,上記訂正は,受光手段が ’)キャリッジ上に搭載されたインク収納容器と「対向する」位置関係にあり,かつ,キャリッジが移動するにつれ,受光手段に対向するインク収納容器が入れ替わることを明記したものであると主張する。
しかしながら,請求項に記載のとおり入れ替わるように配置されるかどうかは,液体インク収納容器を実際に記録装置に搭載した時に,記録装置側のキャリッジの動作を見て初めて確認できることであるから,上記記載は,液体インク収納容器に係る発明の構成を減縮するものではなく,また,液体インク収納容器の構成に密接に関連するキャリッジ側の構成を特定したものでもない。
したがって,上記訂正は液体インク収納容器の構成を限定するものではなく,特許請求の範囲減縮するものではない。
構成要件1A5’及び同2F’の構成を付加することは,特許請求の範囲減縮するものではないこと原告は,本件訂正により 「前記キャリッジの位置に応じて特定され ,たインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する」との構成(構成要件1A5 ,2F’)を付加し,上記訂正は特許請求の範囲減縮するものであると主張 ’する。
しかしながら 「前記キャリッジの位置に応じて特定された」とは, ,キャリッジ内部の各インクタンクの装着箇所に応じて特定されたという意味とも,移動するキャリッジのシャフト上における位置に応じて特定,。, されたという意味とも理解し得るものであって 不明確である そして仮に,前者の意味に理解したとしても,本件明細書には,記録装置側で液体インク収納容器の搭載位置を検出可能とするための具体的構成は開示されていないので,上記訂正は,実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものである。
また,本件明細書には 「液体インク収納容器位置検出手段」につい ,ての説明はなく,明細書からはいかなる機構を指すのかが不明であるから「液体インク収納容器位置検出手段」とは,本件訂正により新たに加えられた構成であることが明らかであり,上記訂正は,実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものである。
さらに,そもそも,記録装置において液体インク収納容器が正しい位置に搭載されているか否かを判断できるという効果は,複数の液体インク収納容器のうち,あるインク色の液体インク収納容器が来るべきタイミングが記録装置側であらかじめ分かっており,そのタイミングで所定のインク色の液体インク収納容器の発光部を光らせ,その光が受光されたか否かを判断する手段が記録装置側に備わっていて初めて得られるものであり,液体インク収納容器側の構成によって実現される効果ではない。
したがって,本件訂正発明1に係る上記訂正は,液体インク収納容器,。 の構成を限定するものとはいえず特許請求の範囲減縮に該当しない[原告の主張]ア 「結合」を「接続」に訂正することは,明りょうでない記載の釈明に該当すること本件訂正の前後において 「結合」と「接続」は,同じ意味で使用され ,ている。すなわち,本件明細書の実施例の説明中の「またパッド102お」(【 】),「, よびコネクタ152が接合した状態になる 段落 0054 一方接点としてのパッド102およびコネクタ152は金属など比較的剛性の高い導電部材であり,これらの間には良好な電気接続性が確保されるべきである (段落【0057 )との記載や,インクタンクのホルダへの装 。」】着によってパッド102がコネクタ152と接触するようになる様子を描いた図15を見れば,構成要件1A2及び2A2の「電気的に結合可能」における「結合」とは,電気が流れるように「つながる」という意味であって 「一体になる」という意味ではないことを,容易に理解することが ,できる。
異なる用語が同一の意味に使用されていることは誤解を生じかねないため,用語を統一することが明りょうでない記載の釈明に該当することは当然である。
「」「 」 イ 発光部 を 前記受光手段に投光するための光を発光する前記発光部に訂正することなどは,特許請求の範囲減縮するものであること本件訂正の前後を問わず,インクタンクの発光部からの光は,受光手段において受光される構成としなければならないことは,本件明細書の段落【0108】ないし【0112】記載の光照合処理の説明,及び段落【0019】記載の発明の効果についての説明を読めば,容易に理解することができる。本件発明の目的及び作用効果は,バス接続(共通接続)を使用しながらインクタンクごとの発光部の制御を可能にし,それにより本件光照合処理を行ってインクタンクの装着位置を特定する,すなわち誤装着を防止することにある。そして,光照合処理には,発光部からの光を受光手段で受光することが必須であり 本件発明における発光部及び受光手段 受 ,(光部)は,前者からの光を後者で受光できるように構成すべきであることは,当業者には,明細書の記載から容易に理解し得ることである。また,具体的にどのように構成すればよいかについても,実施例の記載を参酌すれば,当業者であれば容易に理解することができるものである。
以上のとおり,本件訂正の前後を通じて,発光部と受光手段(受光部)の関係については,何らの変更もされておらず,構成要件1D’の「前記受光手段に投光するための光を発光する発光部」とは,形式的に見れば,従前は無限定であった発光部と受光手段の関係について,前者の光が後者に受光される構成に限ることを明記した点で,特許請求の範囲減縮する訂正であり,実質的には,発明の内容を変更することなく,ただその内容をより明確にしたにすぎない。
,「」 , また 受光手段 がプリンタ装置中のどのような構成を意味するかは当業者であれば,本件明細書を読めば容易に理解することができるものである。すなわち,例えば,本件明細書の発明の詳細な説明には,受光部について次のような説明がされており,受光部を配置すべき場所について具体的な記載がある。
「すなわち,図3(a)に示すように,ホルダ150を搭載するキャリッジの走査範囲の端部にあって図の右上方向に投光される光を受容する位置に受光部を配置し,その部位にキャリッジが位置したときに第1発光部101の発光を制御することで,記録装置側は受光部の受光内容からインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる (段落。」【0036 )】上記説明と,図3(a)及びインクジェットプリンタの全体図である図18を参照すれば,プリンタのどの部分に,どのような「受光部 「受光」,手段」を設ければよいかについて,当業者ならば容易に理解し,設計することが可能である。受光部ないし受光手段の具体的な形状やセンサーの構造,プリンタへの取付方法等は,当業者の選択に委ねられるべき設計的事項であり,そのようなことまで特許明細書で説明する必要はない。
ウ 「前記キャリッジの移動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され」との構成を付加することは,特許請求の範囲減縮するものであることキャリッジの移動に伴い (受光手段に)対向する液体インク収納容器 ,が入れ替わるように配置する,という構成を実現するためには,キャリッジの動きを適切に設計しなければならないだけでなく,キャリッジ上での液体インク収納容器の配置方法も適切に設計しなければならないのであり,その結果,液体インク収納容器の形状の設計にも制限が加わることになる。したがって,この要件は,液体インク収納容器の構成に密接に関連する。
また,本件訂正前には,キャリッジの動作によって液体インク収納容器と受光手段の関係がどのように変化すべきかについて,請求項上は何らの制限もされていなかったものを,本件訂正により,この点を制限し,上記訂正において定める動きに従うよう,キャリッジと液体インク収納容器を適切に設計すべきことになったものであるから,上記訂正は,キャリッジと液体インク収納容器双方に対する構成を「限定」するものであり,請求項の減縮に該当することは明らかである。
構成要件1A5’及び同2F’の構成を付加することは,特許請求の範囲減縮するものであること「前記キャリッジの位置に応じて特定された」とは,キャリッジ内部の各インクタンクの装着箇所に応じて特定された,という意味ではなく,キャリッジのシャフト上における位置に応じて特定された,という意味であり,この点は,本件明細書の段落【0108】ないし【0112 ,図2】9及び30に説明されている光照合処理の具体的な手順から明らかであって,同図には,シャフト上をキャリッジが移動すると共に,キャリッジの位置の変更に応じて異なるインクタンクの発光部を発光させる様子が説明されている。
また,本件発明の光照合処理は,記録装置側の構成と液体インク収納容器側の構成の双方が請求項の記載どおりにそろえられることで初めて実現可能となるものであり,訂正請求項1に記載された記録装置側の構成は,液体インク収納容器側の構成と密接に関連するものであって,訂正請求項1は 全体として液体インク収納容器の構成を規定する 上記訂正も 前 ,。, 「記キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ」という文言から明らかなとおり,キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の発光部を光らせることができるよう,液体インク収納容器側の構成も適切に設計する必要を規定するものであり,液体インク収納容器の構成に密接に関連する要件である。
なお,本件訂正後の請求項3は 「液体インク収納容器位置検出手段」 ,について 「前記キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液 ,体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件2F )との記載を付加しているが,本件明細書を 」’読めば 「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」のは本件光照合処 ,理によるものであることが説明されており 「液体インク収納容器位置検 ,出手段」とは,光照合処理を行うための「手段」であることが明らかである。また,本件訂正前の請求項5にも 「該液体収納容器からの光を受光 ,することによって前記液体収納容器の搭載位置を検出する液体収納容器位置検出手段 (構成要件2A3)という,光照合処理を行うための構成が 」記載されており,構成要件2F’に対応する記載は存在したものである。
以上のとおり,上記訂正は,特許請求の範囲減縮する適法な訂正である。
( ) 争点3-5-2(本件訂正発明は,進歩性を欠くか)について 8[被告らの主張]本件訂正発明1及び本件訂正発明2は,以下のとおり,本件特許の最先の優先日前の公知刊行物に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項により,特許を受けることができないものである。
【本件訂正発明1について】本件訂正発明1は,乙A1公報記載の発明に,前記(3)[被告らの主張]【本件発明1について】記載の文献(乙A18公報,乙A17公報,乙A2公報〜乙A6公報,乙A37公報,乙A51公報)並びに本件特許の最先の優先日前である平成11年9月28日に頒布された刊行物である特開平11-263025号公報(乙A36。以下「乙A36公報」という )及び同。
平成15年10月14日に頒布された刊行物である特開2003-291364号公報(乙A67。以下「乙A67公報」という )記載の周知技術を。
組み合わせることによって,当業者が容易に発明をすることができたものである。
ア 乙A1公報記載の発明乙A1公報には 次の構成からなる液体収納容器に関する発明 以下 乙 ,(「A1発明1 」という )が記載されていると認められる(請求項11, ’。
【】,【】【】,【】,【】, 段落 0001 0003 〜 0006 0008 00110033 0034 0037 〜 0040 0042 0 【】,【】,【】【】,【】,【043 【0051 【0052 ,図1〜3,図5 。 】,】,】 )1a1’ 複数の印刷記録材容器を搭載して移動するキャリッジと,1a2’ 該印刷記録材容器に備えられる端子と電気的に結合可能な装置側接点と,1a3’ 前記複数の印刷記録材容器を搭載した前記キャリッジの移動により対向する印刷記録材容器が入れ替わるように配置され,1a4’ 搭載される印刷記録材容器それぞれの前記端子と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する信号線を有した制御回路とを有する印刷装置の1a6’ 前記キャリッジに対して着脱可能な印刷記録材容器において,1b’ 前記装置側接点と電気的に接続可能な前記端子と,1c’ 少なくとも印刷記録材容器のインク色を示す色情報を保持可能な記憶素子と,1e’ 前記接点から入力される前記色情報に係る信号と,前記記憶素子の保持する前記色情報とに応じて,アクセス許可の応答信号を前記配線を通じて印刷装置側の制御回路に対して送り返す動作を制御する記憶装置と,を有し,1f’ 前記印刷記録材容器にはインクが収納されている印刷記録材容器」。
イ 本件訂正発明1と乙A1発明1’の一致点乙A1発明1’の構成と本件訂正発明1の構成要件とを対比すると,乙A1発明1’における「印刷記録材容器 「端子 「信号線 「印刷装 」,」,」,置 「記憶素子 「記憶装置」及び「制御回路」が,それぞれ,本件訂 」,」,「」,「」,「」,「」, 正発明1における 液体インク収納容器 接点 配線 記録装置「情報保持部 「制御部」及び「電気回路」に対応することは明らかで 」,ある。
したがって,本件訂正発明1と乙A1発明1’は 「複数の印刷記録材,容器を搭載して移動するキャリッジと,該印刷記録材容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と,前記複数の印刷記録材容器を搭載した前記キャリッジの移動により対向する印刷記録材容器が入れ替わるように配置され,搭載される印刷記録材容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した制御回路とを有する印刷装置の前記キャリッジに対して着脱可能な印刷記録材容器において,前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と,少なくとも印刷記録材容器のインク色を示す色情報を保持可能な記憶素子と,前記接点から入力される前記色情報に係る信号と,前記記憶素子の保持する前記色情報とに応じて,アクセス許可の応答信号を前記配線を通じて印刷装置側の制御回路に対して送り返す動作を制御する記憶装置と,を有し,前記印刷記録材容器にはインクが収納されている印刷記録材容器 」である点にお。
いて一致する。
ウ 本件訂正発明1と乙A1発明1’の相違点本件訂正発明1と乙A1発明1’とは,次の点で相違する。
? 本件訂正発明1は,記録装置が「液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段を一つ備え,該受光手段で該光を受光することによって前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する液体インク収納容器位置検出手段 (構成要件1A3 )を有することが特 」’,’ () 。 定されるのに対し 乙A1発明1は上記特定を有しない点 相違点1? 本件訂正発明1は,液体インク収納容器が「キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する記録装置の前記キャリッジに対して着脱可能 (構成要件1A5 )であることが特定されるの 」’に対し,乙A1発明1’は上記特定を有しない点(相違点2 。)? 本件訂正発明1は,液体インク収納容器が「前記受光手段に投光するための光を発光する前記発光部 (構成要件1D )を有することが特 」’定されるのに対し,乙A1発明1’は,上記特定を有しない点(相違点3。)しかしながら,次のとおり,上記相違点は,乙A1発明1’に,乙A18公報,乙A17公報,乙A5公報,乙A36公報及び乙A67公報等記載の周知技術を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものであり,この点について,本件訂正発明1に進歩性が肯定されるものではない。
(ア) 乙A18公報記載の発明乙A18公報には「記録装置に複数搭載可能な液体インク収納容器 ,が,情報保持部と,発光部と,その発光を制御する制御部とを備え,液体インク収納容器の外部からの個体情報に係る信号と,情報保持部の保持する個体情報とを比較した判断結果を,発光部の発光により,記録装。」(,,, 置の受光手段へ伝達する構成 が開示されている 請求項1 3 46〜8,段落【0007 【0061 ,図5,7 。 】,】)なお,同公報の図7をみると,インクタンク側の半導体素子からの発光を記録装置側に設けた一つの光センサによって受光し,インクタンクが不適切な位置に装着されたことを検知する構成を把握することができる。同公報の段落【0058】及び【0059】には,一つの光センサを用いても,どの波長が最も吸収されたかを検知することで,インクタンクのインク色がいずれであるかを判別することができる旨が記載されているものであるから,あえてインクタンクごとに光センサを設ける必要はないといえる。
(イ) 乙A17公報記載の発明乙A17公報にも,乙A18公報と同様 「記録装置に複数搭載可能 ,な液体インク収納容器が,情報保持部と,発光部と,その発光を制御する制御部とを備え,液体インク収納容器の外部からの個体情報に係る信号と,情報保持部の保持する個体情報とを比較した判断結果を,発光部の発光により,記録装置の受光手段へ伝達する構成 」が開示されてい。
る(請求項1,4,10〜15,段落【0033 【0038 【0 】,】,039 【0044 【0046 【0052 【0053 。 】,】,】,】,】)(ウ) 乙A5公報記載の発明乙A5公報には「受光部8を備えた検知器9を1つ備え,発光部7 ,から発光した光の受光結果によって複数のインクタンクのインク残量をキャリッジ4を移動させながら順番に検出するプリンタ装置の構成 」。
が開示されている(図2 。)(エ) 乙A36公報記載の発明乙A36公報には「インクジェットプリンタにおいて,プリンタ側 ,のエミッタ24(発光素子)からインクタンク上の指標位置(反射部)に光を当て,反射しているインクタンクから戻ってきた光をプリンタ側の検出器26が受け取ることによってキャリッジのどのカートリッジ位置にどのインク・リザーバ(インクタンク)が取り付けられているかを識別する構成 」及び上記構成が複数のインクタンクの識別にも適用可 。
(,,,【】, 能であることが開示されている 請求項6 9 19 段落 0026【0027 ,図2 。】)(オ) 乙A67公報記載の発明乙A67公報には「インクタンクの底面部に第1及び第2のルーフ ,ミラーユニット30A,30Bを設けると共にプリンタ装置側には受光素子32を備えたフォトセンサPSを一つ設け,インクタンクを所定の方向に移動させたときに,受光素子32側でルーフミラーユニット30A,30Bにおけるルーフ状ミラー34A,34Bの数量の違いによる光量ピーク値の差を検知することでインクタンク単体での情報が認識でき,各色のインクタンクを識別する構成 」が開示されている(請求項 。
21,22,段落【0064】〜【0066 【0114 ,図2 。 】,】)(カ) 相違点1ないし3の容易想到性乙A1発明1’の電気配線を通じた伝送も,乙A18公報及び乙A17公報記載の発光部の発光による記録装置への伝達も,液体インク収納容器の外部からのインクの色情報に係る信号と情報保持部の保持する色情報とを比較した判断結果を記録装置に伝える点で,共通している。
したがって,乙A1発明1’において,液体インク収納容器の外部からの色情報に係る信号と情報保持部の保持する色情報とを比較した判断結果を記録装置に伝える方法として,乙A1発明1’の電気配線を通じた伝送を,乙A18公報及び乙A17公報記載の発光部の発光による記録装置への伝達に置き換えて,本件訂正発明1の相違点1ないし3に係る構成を備えることは,当業者が容易に想到し得ることである。なお,’,, 乙A1発明1 と乙A18公報記載の発明について 技術分野の共通性課題の共通性,作用・機能の共通性,記載内容中の示唆が認められることについては,前記( )[被告らの主張【本件発明1について】ウ(エ) 3]のとおりである。
また,乙A5公報の上記記載から,受光手段たる光センサを一つ設けて,キャリッジの移動により順次インクタンクからの光の受光を行う構成は,周知技術であったことが認められる(なお,同公報記載の受光部は,インク残量検出用のものであるが,本件明細書の段落【0043】及び図9には,インク残量検出用のセンサと受光手段を兼用する構成が記載されているので,インク残量検出用のセンサと本件訂正発明1の受光手段は,兼用も可能な技術であり,同様の技術常識が当てはまるというべきである 。さらに,乙A36公報の上記記載から,インクタン 。)クからの光を受光することによって,インクタンクが正しい位置に装着「」, されているかどうかを検出する 液体インク収納容器位置検出手段 は周知技術であったことが認められ,乙A67公報の上記記載から,キャリッジを移動させながら,所定のタイミングで発光したときのインクタンクからの光を受光することによってインクタンクを識別する「液体収納容器位置検出手段」も,周知技術であったとことが認められる。
【本件訂正発明2について】本件訂正発明2は,次のとおり,乙A30公報記載の発明に,前記【本件訂正発明1について】記載の文献(乙A18公報,乙A17公報,乙A2公報〜乙A6公報,乙A37公報,乙A51公報,乙A36公報,乙A67公報)記載の周知技術を組み合わせることによって,当業者が容易に発明をすることができたものである。
また,前記【本件訂正発明1について】のとおり,乙A1公報には,乙A30公報記載の発明と同様の構成が開示されており,乙A30公報記載の発明の構成は,必要であれば,乙A1公報記載の発明の構成と置き換えることが可能である。
よって,被告らは,予備的に,本件訂正発明2について,乙A1公報記載の発明を主引例とし,乙A2公報,乙A18公報,乙A4公報及び乙A30公報を副引例とする,進歩性の欠如を主張する。
ア 乙A30公報記載の発明乙A30公報には,次の構成からなるインク供給システムに関する発明(以下「乙A30発明2 」という)が記載されていると認められる(1 ’頁10行〜13行,同頁16行〜19行,2頁1行〜4行,同頁6行〜9行,15頁6行〜7行,16頁21行〜24行,18頁8行〜14行,20頁2行〜6行,同頁17行〜19行,21頁13行〜22頁6行,同頁9行〜13行,25頁23行〜26頁4行,同頁6行〜18行,同頁21行〜27頁10行,同頁13行〜21行,30頁26行〜31頁23行,同頁25行〜34頁3行,同頁8行〜25行,41頁17行〜23行,43頁1行〜4行,図11,16,17 。)2a1’ 複数のインクカートリッジを互いに異なる位置に搭載して移動するキャリッジと,2a2’ 該インクカートリッジに備えられる端子と電気的に結合可能な装置側接点と,2a3’ 前記複数のインクカートリッジを搭載したキャリッジの移動により所定の位置にインクカートリッジが入れ換わるように配置され,2a4’ 搭載されるインクカートリッジそれぞれの前記端子と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続しインクの色情報に係る信号を発生するための信号線を有した制御回路とを有する印刷装置と,2b’ 前記印刷装置のキャリッジに対して着脱可能なインクカートリッジと,2c’ を備える液体供給システムにおいて,2d1’ 前記インクカートリッジは,前記装置側接点と電気的に接続可能な前記端子と,2d2’ 少なくともインクカートリッジのインク色を示す色情報のデータを保持可能なメモリアレイと,2d4 前記端子から入力される前記色情報に係る信号と,前記メモリアレイの保持する前記色情報とが一致した場合に,アクセス許可の応答信号を前記信号線を通じて印刷装置側の制御回路に対して送り返す動作を制御する制御部と,2e を有することを特徴とする印刷記録材容器の識別装置。
イ 本件訂正発明2と乙A30発明2’の一致点乙A30発明2’の構成と本件訂正発明2の構成要件とを対比すると,乙A30発明2’における「インクカートリッジ 「端子 「信号線 , 」,」,」「印刷装置 「メモリアレイ 「記憶装置「制御回路」及び「印刷記 」,」,」,録材容器の識別装置」が,それぞれ,本件訂正発明2における「液体インク収納容器 「接点 「配線 「記録装置 「情報保持部 「制御部 , 」,」,」,」,」,」「電気回路」及び「液体インク供給システム」に対応することは明らかである。
したがって,本件訂正発明2と乙A30発明2’は 「複数のインクカ,ートリッジを互いに異なる位置に搭載して移動するキャリッジと,該インクカートリッジに備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点と,前記複数のインクカートリッジを搭載したキャリッジの移動により所定の位置にインクカートリッジが入れ換わるように配置され,搭載されるインクカートリッジそれぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続しインクの色情報に係る信号を発生するための配線を有した制御回路とを有する記録装置と,前記記録装置のキャリッジに対して着脱可能なインクカートリッジと,を備える液体供給システムにおいて,前記,, インクカートリッジは 前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点と少なくともインクカートリッジのインク色を示す色情報のデータを保持可能なメモリアレイと,前記接点から入力される前記色情報に係る信号と,前記メモリアレイの保持する前記色情報とが一致した場合に,アクセス許可の応答信号を前記配線を通じて印刷装置側の制御回路に対して送り返す,。 」 動作を制御する制御部と を有することを特徴とする液体供給システムである点において一致する。
ウ 本件訂正発明2と乙A30発明2’の相違点本件訂正発明2と乙A30発明2’とは,次の点で相違する。
? 本件訂正発明2は,記録装置が「液体インク収納容器からの光を受光する位置検出用の受光部を一つ備え,該受光部で該光を受光することによって前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する液体インク収納容器位置検出手段 (構成要件2A3 )を有することが特定されるのに 」’対し,乙A30発明2’は,上記特定を有しない点(相違点( ) 。1)? 本件訂正発明2は,記録装置の受光部が「キャリッジの移動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され,前記キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出すること」(構成要件2E ,2F )が特定されるのに対し,乙A30発明2’ ’’は,上記特定を有しない点(相違点( ) 。2)? 本件訂正発明2は,液体インク収納容器が「液体インク収納容器位置検出手段の前記受光部に投光するための光を発光する発光部 (構成要」’),’, 件2D3 を有することが特定されるのに対し 乙A30発明2 は上記特定を有しない点(相違点( ) 。3)エ 相違点( )ないし( )の容易想到性 13乙A30発明2’の電気配線を通じた伝送も,乙A18公報及び乙A17公報記載の発光部の発光による記録装置への伝達も,液体インク収納容器の外部からのインクの色情報に係る信号と情報保持部の保持する色情報とを比較した判断結果を記録装置に伝える点で,共通している。
したがって,乙A30発明2’において,液体インク収納容器の外部からの色情報に係る信号と情報保持部の保持する色情報とを比較した判断結果を記録装置に伝える方法として,乙A30発明2’の電気配線を通じた伝送を,乙A18公報及び乙A17公報記載の発光部の発光による記録装置への伝達に置き換えて,本件訂正発明2の相違点( )ないし( )に係る構 13成を備えることは,当業者が容易に想到し得ることである。
また,乙A30発明2’と乙A18公報及び乙A17公報記載の発明について,技術分野の共通性,課題の共通性,作用・機能の共通性,記載内,【 】 容中の示唆が認められることについては 前記 本件訂正発明1についてと同様である。
[原告の主張]【本件訂正発明1について】ア 乙A1公報記載の発明被告らの主張する乙A1公報記載の発明の内容,本件訂正発明1と乙A1発明1’の一致点及び相違点については,認める。ただし,相違点として 「本件訂正発明1は,液体収納容器認が「前記接点から入力される前 ,記色情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する前記色情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部(構成要件1E )を有するのに対 」’し,乙A1発明1’は上記構成を有しない点」を加えるのが相当である。
イ 相違点1ないし3の容易想到性被告らは,相違点1ないし3について,乙A18公報及び乙A17公報等に記載された周知技術を組み合わせることにより,当業者は本件訂正発明1に容易に想到し得たものであると主張する。
しかしながら,次のとおり,被告らの上記主張は理由がない。
(ア) 乙A18公報について乙A18公報の図7を見れば,同公報に開示された構成が,本件訂正発明1の構成とあまりに異なるものであり,乙A1発明1’に組み合わせても本件訂正発明1に想到し得ないことは明らかである。
すなわち,図7及びそれを説明した段落【0057】の記載から,ここに開示されているのは,インクタンク内のインクに浮遊させた球状の立体形半導体素子が発光し,その光がインク中を透過して,タンク外部の光センサによって感知されるという構成であり,光センサ上に搭載されているインクタンクの種別を判別するには,インクの色により,吸収される(あるいは透過する)光の波長が異なることを利用して,透過光のある波長の強度を測定することにより実行される(段落【0014】〜【0016 )ものであることが認められる。 】したがって,インクタンク内の素子は,インクタンクの色情報を保持する必要はなく,単に発光するだけであり,光センサが取得するのは,インクタンクの位置情報ではなく,透過光の波長情報(インクタンクの種類)にすぎないものであるから,本件訂正発明1における,単一の受光手段が,受光手段と対向する位置を順次移動していくインクタンクの発光を受光することによって,インクタンクの搭載位置を判別する構成とは,その構成を明確に異にする。
また,乙A18公報において,光センサの設置される場所や個数については明記されていないが,図7から,光センサは,各インクタンクに対応するインクタンクホルダの底面に,各インクタンクの装着箇所ごとに設置されるものと理解される。それ以外に,複数のインクタンクにつき各インクタンクが不適切な位置に搭載されていないかどうかを判別する方法は考えにくい。そして,乙A18公報は,光センサが取得した情報をどのように制御に反映させるのかについて説明していないが,個別の光センサが得た情報は,個別の配線により制御装置に送信されるものと考えられる。
乙A18公報記載の発明の構成については上記のとおりであり,かかる構成を,どのようにして,乙A1発明1’のようなバス接続の構成に,, 適用し 本件訂正発明1の構成に到達することができるのかについては不明であるというほかない。
(イ) 乙A17公報について乙A17公報記載の発明は,インク内部に浮遊した立体形半導体素子を使用した発明であるが,乙A18公報の図7のように,インクタンクの装着位置を検出するための仕組みが開示されているものではない。
また,乙A17公報記載の発明は,インクタンク内のインクに浮遊させた球状の立体形半導体素子を使用する構成であり,立体形半導体素子と外部とが非接触の状態で情報やエネルギーのやり取りをする点で,バス接続による有線通信を前提とする本件訂正発明1とは決定的に異なっており,かかる乙A17公報の技術思想を,バス接続による通信を前提とする乙A1発明1’に組み合わせることには,阻害要因がある。
(ウ) 乙A5公報について乙A5公報には,各インクカートリッジの底部にプリズム状のインク残量検知部を設け(図12 ,それに対して記録装置側の発光部から発 )光し,反射光を記録装置側の受光部で受光する構成が開示されている。
そして,被告らは,本件光照合処理に関して,乙A5公報記載の上記構成からすれば,インクカートリッジを,記録装置側に設けた発光部と対向可能な位置までキャリッジで移動させ,所定の位置に移動させた後に発光及び受光の処理を行う点に困難性は認められない,と主張する。
しかしながら,本件光照合処理は 「インクカートリッジを,記録装 ,置側に設けた発光部と対向可能な位置までキャリッジで移動させ,所定の位置に移動させた後に発光及び受光の処理を行う 」ことだけで実現。
されるものではなく,インクタンクへの発光部,情報保持部,及び制御部の搭載が必要であるほか,そもそも,上記光照合処理は,インクタンクとプリンタ本体の間の情報伝達・エネルギー供給がバス配線で行われる構成において,インクタンクの誤った位置への装着を防ぐという目的を達成するために必要となるものである。
これに対し,乙A5公報は,インクタンクとプリンタ本体をバス配線で接続することを開示するものではなく,また,同公報記載の発明は,インク残量の検知を行うという発明であって,インクタンクの誤った位置への装着防止を目的とした発明ではない。
以上のとおり,乙A5公報記載の発明は,本件訂正発明と発明の目的を異にし,開示されている基本的な構成も異なるため,本件訂正発明1へ想到するために参考になる文献ではない。
(エ) 乙A36公報について乙A36公報記載の発明は,インクカートリッジ上の反射部にプリンタ側から光を当ててその反射部の指標を「見る」ことで,キャリッジ上のどのカートリッジの位置にどのインクカートリッジが取り付けられているかを識別するものであり,プリンタ側からの光の反射光を見る技術である。したがって,インクタンク上の発光部の光をプリンタ側で受光する本件訂正発明1の構成とは,根本的に異なっている。
(オ) その他の公報について(なお,乙A30公報記載の発明の内容については,後記【本件訂正発明2について】のとおりである )。
a 乙A2公報について乙A2公報には,インクタンク内に浮遊させた立体形半導体素子を使用が,外部と非接触の状態で,外部との間で情報やエネルギーのやりとりをする構成が,開示されている(段落【0017 【004】,7。】)これに対し,本件訂正発明1の構成では,インクタンクとプリンタの情報伝達やエネルギーの供給は,共通配線(バス接続)という有線通信によって行われており,上記公報記載の構成と相違する。
また,乙A2公報記載の発明では,立体形半導体素子が送信するデータは 「インクタンク内の情報,例えばインクの残量,インクの種 ,類,温度,phなど (段落【0054 )であって,インクタンク 」】の位置に関する情報が含まれない点で本件訂正発明1と相違するほか,そもそも,同公報には,複数のインクタンクを搭載することに関() , する記載はなく 図15でも単一のインクタンクが搭載されているインクタンクの位置決定という課題は考えられていない。
以上のとおり,乙A2公報は,インクタンク内に浮遊させた素子と無線による通信をするという手段を教示しているにすぎず,これを拡張して理解するとしても,プリンタにおいて,無線又は光による通信回路を設けることが可能であることを教示するにとどまるものであって,同公報記載の構成では,インクタンクの搭載位置情報は得ることはできないし,かかる情報を得ることを可能とする構成を示唆するものもない。
b 乙A4公報について乙A4公報記載の発明は 「ヘッドと一体化されたカートリッジの ,上部にインク切れを示すLEDを設け,インクヘッドに設けられたカウンタに記録された印字数が一定の数値に達すると,LEDを点灯させる ,という構成である。 。」同発明は,インクタンクが1個しかなく,インクタンクがインクヘッドと一体化された構成を前提とするものであり(図1参照 ,複数)のインクタンクをホルダに装着して使用する本件訂正発明1とは,構成を異にする。
また,乙A4公報記載の発明は,単に,インク切れをユーザーに知らせるという目的しか有しないため,発光部からの光を受光する受光手段も開示されていないほか,上記のとおり,ヘッドとインクタンクを一体化した1個のカートリッジを前提とするものであることから,そもそも,インクタンクの搭載位置情報を知るという課題すら設定されていない。
c 乙A3公報について被告らは,乙A3公報には,インク残量が少ないことをユーザーに報知するためにインクタンクにLEDからなる発光部を設ける構成が開示されている,と主張する。すなわち,同公報は,乙A4公報と同趣旨の公知文献であり,それ以外の,本件訂正発明1に関する教示を含むものではない。
d 乙A51公報について乙A51公報記載の発明は,インクカートリッジに無線通信可能な回路チップを搭載することで,インクカートリッジとプリンタ本体の無線通信の有無により,インクカートリッジがプリンタ本体に適切に装着されたか否かを確認できる,という発明である。
上記発明は,乙A2公報及び乙A18公報記載の発明と同様に,インクタンクとプリンタ本体間の情報伝達を非接触の無線で行うことを前提とした発明であり,バス配線による有線での情報伝達・エネルギー供給を基本構成とする本件訂正発明1とは相容れない技術思想に基づく発明である。
したがって,乙A51公報は,本件訂正発明1へ想到するために参考となるものではない。
e 乙A6公報について乙A6公報記載の発明は,インクカートリッジにインクロー又はインクエンドのエラーが発生した場合,エラーの発生したインクカートリッジごとにキャリッジを異なる位置に移動させ,さらに,プリンタ本体に付けられた発光ダイオードを点滅させたり点灯させたりすることで,どのインクタンクにどのようなエラーが生じたかを知らせる,という発明である。
同公報には,キャリッジの位置と発光ダイオードの点滅具合の組合せにより,どのインクタンクにどのようなエラーが生じたかを知らせる構成が開示されているだけで,本件光照合処理に必要な,インクタンクへの発光部,情報保持部及び制御部の搭載や,プリンタ側の受光手段は開示されておらず,本件光照合処理の前提となる,インクタンクとプリンタ本体との間のバス配線も開示されていない。また,同公,, 報記載の発明の目的は インクタンクのエラーを報知することでありインクタンクの装着位置を確認するという本件訂正発明1の目的は,全く意識されていない。
したがって,乙A6公報は,本件訂正発明1へ想到する上で参考となるものではない。
f 乙A37公報について乙A37公報には,インクカートリッジに備えられた記憶装置に対して,色情報を照合して特定のインクカートリッジの記憶装置にアクセスし,その情報を書き換えるという構成が開示されている。
上記技術は,後記の乙A30公報記載の発明と同様,バス接続を使用するプリンタにおける,インクタンク内のメモリの取扱いに関する公知技術であって,乙A30公報等に開示された内容に特に付け加えられる内容を有するものではない。
【本件訂正発明2について】ア 乙A30公報記載の発明被告らの主張する乙A30公報記載の発明の内容,本件訂正発明1と乙A30発明2’の一致点及び相違点については,認める。ただし,相違点として 「本件訂正発明2は,液体収納容器が「前記接点から入力される ,前記色情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する前記色情報とが一致した場合に前記発光部を発光させる制御部 (構成要件2D4 )を有す 」’るのに対し,乙A30発明2’は上記構成を有しない点」を加えるのが相当である。
イ 相違点( )ないし( )の容易想到性 13被告らは,相違点( )ないし( )に係る構成が,本件特許の最先の優先日 13当時において周知慣用技術であったものであり,同技術を乙A30発明2’ないし乙A1発明1’に適用することは当業者にとって容易であったと主張する。
しかしながら 被告らの上記主張に理由がないことについては 前記 本 ,,【件訂正発明1について】と同様である。
( ) 争点3-5-3(本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36 9条6項1号(サポート要件)に違反するか)について[被告らの主張]ア 液体インク収納容器側に「制御部」を設ける構成が本件明細書に記載されていないこと本件明細書の発明の詳細な説明には,液体インク収納容器に備えられた「発光部の発光を制御する制御部 (構成要件1E )ないし「発光部を 」’発光させる制御部 (構成要件2D4)という構成が開示されていると 」’は認められず,特許法36条6項1号(サポート要件)に違反する。
その理由は,前記( )[被告らの主張]と同じである。 4イ 「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」ことは発明の詳細な説明に記載されていないこと「液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A3 ,2 」’F )とは 「各インクタンクがキャリッジ上のどの位置に搭載されてい ’,るかを検出する」という意味であると解されることについては,前記( )1[被告らの主張]イ(エ)のとおりである。
しかしながら,本件明細書の発明の詳細な説明には,入れ違いによる誤装着の場合に,対象の液体インク収納容器が所定の位置に装着されていないことが検出される実施例(本件光照合処理による方法)が記載されているだけであり,液体インク収納容器の「搭載位置を検出する」ことについては,開示がない。
したがって,上記記載は,特許法36条6項1号に違反する。
[原告の主張]被告らの主張を否認ないし争う。
本件明細書の発明の詳細な説明に,液体インク収納容器に備えられた「発光部の発光を制御する制御部」ないし「発光部を発光させる制御部」という構成が開示されていることについては,前記( )[原告の主張]のとおりで 4ある。
また 「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」の意義については, ,前記( )[被告らの主張に対する原告の反論]エのとおりであるから,被告 1らの主張は,その前提を欠くものであって,理由がない。
( ) 争点3-5-4(本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36 10条6項2号(明確性要件)に違反するか)について[被告らの主張]本件訂正後の本件訂正発明の特許請求の範囲は,次のとおり,特許を受けようとする発明が明確でなく,特許法36条6項2号に違反する。
【本件訂正発明1について】本件訂正発明1は「液体インク収納容器」という物についての発明であるから 「液体インク収納容器」の構成自体に技術的特徴を備え,特許請求の ,対象である物の発明として特定できるものでなければ,請求項の記載が明確であるとはいえない。
物の発明に係る請求項の記載において,その「特許請求されている物」自体の構造,動作を特定するのではなく,関連する「他の物」の構造や動作によって「特許請求されている物」を特定する記載表現を用いることが許容されるのは 「他の物」の構造等を記載することによって 「特許請求されて ,,いる物」の発明を明確に特定し 「特許請求されている物」の技術的特徴を ,把握することができる場合に限られることについては,前記( )[被告らの5主張 【本件発明1について】のとおりである。しかしながら,本件発明1 ]における「発光部」と「受光手段」との関係は,前記( )[被告らの主張]5【本件発明1について】のとおり,不明確である。なお,本件訂正により,受光手段が液体インク収納容器の発光部からの光を受光すること(構成要件1A3 )及び発光部が受光手段に投光するための光を発光すること(構成 ’要件1D )との記載が追加されたが,上記訂正後においても,受光時にお ’ける発光部と受光手段との位置関係は不明確なままであり,液体収納容器のどの位置に,どのような構成の「発光部」を設けるのかは何ら具体的に特定されていない。
また,受光時における発光部と受光手段との位置関係について,本件訂正により 「前記キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体イ ,ンク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A5 )との構成が追加されたが 「キャリッジの位置に応 」’ ,じて特定された」という記載が二義的に解釈が可能なものであって不明確なものであること,及び 「液体インク収納容器位置検出手段」の意味が不明 ,確であることについては,前記( )[被告らの主張]エのとおりである。 7仮に 「キャリッジの位置に応じて特定された」が,移動するキャリッジ ,のシャフト上における位置に応じて特定されたという意味だとしても,キャリッジがシャフト上のいかなる位置に来たときに,キャリッジ内のどのインクタンクを光らせるのかについて,本件訂正後の請求項は明らかにしておらず,その結果,本件訂正後の請求項は,インクタンクの発光部が受光手段と対向する位置ではなく,対向する位置と隣接する位置又はさらに離れた位置において発光する場合や,キャリッジ自体が受光手段から著しく離れた位置や障害物により光が遮断される位置にある場合など,受光手段が発光部からの発光を受光できず,結果としてインクタンクの位置を検出できないような場合に特定色のインクタンクの発光部を光らせる場合をも含むこととなっており,技術的に意味がないような不当に広い範囲にまで特許権が及ぶおそれがある。したがって,本件訂正は,権利範囲が不当に広いという観点から見ても,明確性要件に違反する。
【本件訂正発明2について】,「」 本件明細書の発明の詳細な説明には 液体インク収納容器位置検出手段(構成要件2A3 ,2F )が,段落【0021】以下に記載されている ’’実施例の記録装置のどの構成に対応するのかについての説明が存在しない。
すなわち,本件訂正発明2は,請求項で「〜手段」と上位概念で記載しているにもかかわらず,発明の詳細な説明において,請求項に記載した手段を実現するための具体的構成が例示されておらず,当該手段の意味するところが不明となっている。
,, 「」 そのため 本件明細書の記載からは 液体インク収納容器位置検出手段が,どのような機構によって位置を検出するのかが不明であり,これらの手段と液体インク収納容器の「発光部」との位置関係や制御関係も不明であるため,発明を特定することができない。
また,本件訂正発明2についても,受光時における発光部と受光手段との位置関係については,構成要件2F’に,構成要件1A5’と同じ記載があるだけである。したがって,本件訂正発明2も,本件訂正発明1と同様に,「」, キャリッジの位置に応じて特定されたとの記載が不明確であるとともに受光部が発光部からの発光を受光できないという,発光部と受光手段との間に技術的な関連性がないような不当に広い範囲にまで特許権が及ぶおそれがあり,明確性要件に違反する。
[原告の主張]【本件訂正発明1について】本件訂正発明1は,発光部と受光手段の位置関係について 「発光部から,の光を受光する位置検出用の受光手段 (構成要件1A3 )と規定してお 」’,。,() り 両者の位置関係は明確になっている すなわち 位置検出 光照合処理においては,インクタンクの発光部からの光がプリンタ側の受光手段において受光されるような位置関係になるように設計されなければならない,ということである。請求項の記載としては,これで必要十分であり,これ以上の具体的な位置関係の説明は不要である。発光部と受光手段の具体的な位置関係は,本件訂正後の請求項 と実施例を見た当業者が,発明思想を理解した 1上で適宜に設計することで定まるものであり,それで十分実施可能である。
また 「キャリッジの位置に応じて」とは 「移動するキャリッジのシャ ,,フト上における位置に応じて」の意味であり 「液体インク収納容器位置検 ,出手段」とは,本件光照合処理を行うための手段であって,これらの意味について,当業者であれば本件明細書の記載から容易に理解することができることについては,前記( )[原告の主張]エのとおりである。 7本件明細書における本件光照合処理についての原理ないし仕組みの記載(段落【0019 )と,同原理ないし仕組みを具体化した光照合処理の実 】施例の説明(段落【0108】〜【0112 )を併せ読めば,上記原理な 】いし仕組みをどのように具体化すればよいか,当業者ならば容易に理解することが可能であるから,明確性要件に違反するものではない。
さらに,本件訂正後の請求項1には「発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段 「受光結果に基づき…液体インク収納容器の搭載位置を検 」,出する」と明記されているのだから,受光手段が発光部からの発光を受光できず,結果としてインクタンクの位置を検出できないような設計は,本件訂正後の請求項1の権利範囲外であることは明らかである。したがって,この点も,明確性要件に違反するものではない。
【本件訂正発明2について】本件訂正発明2について 「キャリッジの位置に応じて特定された」との ,記載の意義が明確であること,及び,発光部と受光手段との間に技術的な関連性がないような不当に広い範囲にまで特許権が及ぶおそれがないことについては,上記【本件訂正発明1について】と同じである。
( ) 争点3-5-5(本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法36 11条4項1号(実施可能要件)に違反するか)について[被告らの主張]本件訂正発明1及び2は,次のとおり,発明の詳細な説明の記載が,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されておらず,特許法36条4項1号に規定する実施可能要件を満たしていない。
ア 「発光部」と「受光手段」若しくは「受光部」が,いかなる位置関係であっても実施可能とは認められないこと本件訂正によって,液体インク収納容器の「発光部」は 「受光手段,に投光するための光を発光する前記発光部 (構成要件1D )ないし 」’「液体インク収納容器位置検出手段の前記受光部に投光するための光を発光する発光部 (構成要件2D3 )と訂正されたが,同訂正によっ 」’ても 「発光部」と「受光手段」ないし「受光部」の位置関係は特定さ ,れていない。
すなわち,本件訂正発明の請求項における「投光するための光」との記載は,いわば願望の記載に止まるもので 「発光部」と「受光手段」 ,ないし「受光部」の位置関係を具体的に特定するものではない。
したがって 本件訂正発明は 液体インク収納容器の任意の位置に 発 ,, 「」, 「」「」 光部 が存在し それに対していかなる位置に 受光手段 や 受光部が存在しようとも「発光部」からの光を受光することができ,それによって液体インク収納容器の搭載位置が検出できることとなっており,いかなる位置関係であっても技術的範囲に含まれるように特許請求されているに等しい。
しかしながら,本件明細書には,いかなる位置関係であっても「発光部」から投光可能とするための実現手段は開示されていない。
したがって,本件明細書は,発光部と受光手段がいかなる位置関係であっても当業者が本件訂正発明を実施できるように明確かつ十分にその発明の実現手段が開示されているとはいえない。
イ 誤装着されたインクタンクが隣接位置にある場合,隣接位置からの光は受光しない実現手段が不明であること本件特許における「キャリッジに搭載された複数のインクタンクについて,その移動に伴い所定の位置で順次その発光部を発光させるとともに,上記処置の位置での発光を検出するようにすることにより,発光が検出されないインクタンクは誤った位置に搭載されていることを認識できる (本件明細書の段落【0019 )という効果を達成するために 。」】は,受光手段等が特定のインクタンクの発光部からの発光のみを受光するように,何らかの構成を付加することが不可欠であるところ,本件明細書においてその実現手段が明らかにされていないことについては,前記( )「被告らの主張」イのとおりである。 6ウ キャリッジがシャフト上のいかなる位置に来たときに,キャリッジ内のどの液体インク収納容器を「光らせ」るのかを特定することなく実施可能であるとは認められないこと「前記キャリッジの位置に応じて特定された (構成要件1A5 , 」’2F )の意味を,仮に,移動するキャリッジのシャフト上における位 ’置に応じて特定されたという意味であると解したとしても,上記構成要,, 件の記載からは キャリッジがシャフト上のいかなる位置に来たときにキャリッジ内のどのインクタンクを「光らせ」るのかについての特定がされていない。また,本件明細書には,液体インク収納容器の発光部が受光手段と対向する位置ではなく,そもそもキャリッジ自体が受光手段から著しく離れた位置や障害物により光が遮断される位置にある場合であっても 「発光部」から「受光手段」への投光を可能とする実現手段 ,は開示されていない。
したがって,本件明細書は,当業者が本件訂正発明を実施できるように明確かつ十分にその発明の実現手段が開示されているとはいえない。
[原告の主張]ア 「発光部」と「受光手段」の位置関係は明確であること本件明細書には,図8,9,35及び36などに 「発光部」と「受,光手段」の構成が何種類か記載されており,当業者であれば,明細書の光照合処理の説明とこれら実施例の図を参照すれば 「発光部」と「受,光手段」の具体的な構成を容易に設計することが可能である。
明細書の開示としてはこの限度で十分であり 「発光部」と「受光手 ,段」の関係についてのより具体的な構成については,プリンタやインクタンクの具体的な設計に応じて適宜設計すべき設計的事項として,当業者に委ねられるものである。
イ 閾値の設定についてこの程度の実現手段については,明細書に記載がなくても,当業者で。, あれば技術常識から容易に設定することができる その理由については前記( )[原告の主張]イのとおりである。 6ウ 光照合処理の具体的な実施方法について本件明細書における本件光照合処理についての原理ないし仕組みの記載(段落【0019 )と,同原理ないし仕組みを具体化した光照合処 】理の実施例の説明(段落【0108】〜【0112 )を併せ読めば,】上記原理ないし仕組みをどのように具体化すればよいか,当業者ならば。,[ ] 容易に理解することが可能である その理由は 前記( ) 原告の主張10イのとおりである。
( ) 争点4(権利濫用(独占禁止法違反)の抗弁の成否)について 12[被告らの主張]私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という )21条は 「この法律の規定は,著作権法,特許法,実用新案法, 。,意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為についてはこれを適用しない 」と規定するが,同条は,特許権者が特許権の行使に名を藉りて濫 。
用的に競争制限行為に及んだ場合にまで独占禁止法の適用を除外する趣旨ではなく,特許権を行使する行為が独占禁止法上違法で公序良俗違反と評価される場合には,その特許権の行使は,権利の濫用として許されないものとされるべきである。
本訴における請求は,以下のとおり,インクカートリッジの消費者の選択肢を奪い,市場に認知されている互換品の製造販売業者を一挙に締め出すことを意図して,本件特許権を利用しようとするものであって,独占禁止法に違反し,公序良俗に反するものであることが明らかであり,権利の濫用として許されない。
ア インクカートリッジ市場の動向原告は,インクジェットカラープリンタ及びカラーインクカートリッジの開発及び製造販売を行っており,我が国のカートリッジ市場において有力な最大手の事業者である。原告を始めとするプリンタメーカーは,プリンタを格安で販売した上で,必需品のインクカートリッジを消耗品として何個も売ることで利益上げるビジネスモデルを推進しており,インクカートリッジ販売の営業利益率は推定25ないし30%あると報道され,その荒稼ぎが批判されている。
インクカートリッジには,プリンタメーカーが販売するいわゆる純正品のほか,再生業者によって製造販売される再生品とプリンタメーカー以外の生産者によって製造販売される互換品とがあり,被告らは 「プレジー,ル」製の互換品である被告製品を製造している。インクカートリッジの市場は,プリンタメーカーが自社独自の構造のインクカートリッジを採用しているため,再生業者や互換品業者が代替品の販売をすることによって初めて,消費者に違った価格や品質のインクを提供することが可能となっており,このような市場の確保が自由かつ公正な競争に不可欠である。
また,今日,パーソナルコンピュータやデジタルカメラ利用の増大に伴い,インクカートリッジの需要が急速に拡大し,ユーザーの互換品インクカートリッジに対する需要も高まっている。
イ 原告のインクカートリッジの変更について原告は,これまで,原告製インクタンク1及び2と同じ形状であって,ICチップが搭載されていないインクカートリッジ(BCI 3e,6,-7系。以下「旧原告製インクタンク」という )を製造販売してきた。旧 。
原告製インクタンクについては,平成17年9月ころには,再生品及び互換品が既に発売されており,市場に認知され,数多くのユーザーが使用していた。
原告は,平成17年9月,それ以降に発売するプリンタを発光機能付きの原告製インクタンクでないと動作しないように設計した上,ICチップが搭載された原告製インクタンクの製造販売を開始し,それと同時に,旧原告製インクタンクの製造販売を中止して,従来のプリンタを購入していたユーザーにもあえて発光機能付きの原告製インクタンクを購入するように市場を誘導した。
しかしながら,発光制御機能のない従来のプリンタに発光機能付きの原告製インクタンクを装着しても,発光しないまま印刷ができるだけであったのみならず,原告製インクタンクは,インクカートリッジ内部に発光機能を組み込んだことにより,旧原告製インクタンクと比較してインク容量が必然的に減少することとなったため,従来のプリンタのユーザーにとっては,割高の商品を強制的に購入せざるを得ない不利益を生じさせるものであった。例えば,BCI-7YとBCI 7eYとの対比において,そ -のインク容量が約8.4重量%減少したのみならず,販売価格は約14円の値上げとなった。このように,原告は,従来のプリンタを購入していたユーザーに対し,不要な機能付の原告製インクタンクを抱き合わせて購入することを強いたのみならず,インクカートリッジの仕様変更に乗じて,不当な利益を搾取したことが明らかである。
原告は,本件発明の課題をパソコンに不慣れなユーザーによる誤った使用(装着位置のミス)の防止である旨主張する。しかしながら,前記のとおり,新機種のプリンタは,同色のインクカートリッジが2個以上装着されたミスがあっても,LEDの発光によりユーザーにエラーが報知されることはない。また,すべての色が装着されたが位置が違っていたというミスの場合は,LEDの発光による報知はあっても,インクカートリッジが受光部の近傍まで移動した後にタイムラグがあって報知されるので,エラーに気づいたときには,すでにキャリッジ部分に違った色のインクが浸透して混色が進んでしまうという欠点があり,誤装着による問題点の解消には,実用上ほとんど意味がない。
したがって,原告製インクタンクへの変更は,既に市場に認知されていた再生業者や互換業者を排除するために,出願中であった本件発明に関連するインクカートリッジの発光機能を利用することを意図して,これにICチップを搭載したものであったことが明らかである。
さらに,原告製インクタンクの発売に伴って再生品,互換品(オーム,カレン,阿吽など)が旧機種のプリンタのみの対応品という位置付けになったため,それを境に再生品,互換品とも著しく売り上げが減少することとなった。その結果,再生業者は,インクカートリッジの確保が困難となり,他方,互換業者は,暗号化されたICチップの解読や発光機能への対応に困難を極めることとなって,原告製インクタンク適合のプリンタについては,その後,約1年半にわたって100%純正品の市場を強いられることとなった。原告がインクカートリッジの変更によって市場を独占することとなったため,ユーザーからは,価格が高止まりしていることが批判されている。
結局,再生業者において,原告製インクタンクの再生品を発売できたのが平成19年4月,互換品(オーム電機,カレン,ナインスター,阿吽,G&G等)が発売されたのが平成20年8月,被告製品の発売は同年9月20日であって,その発売後,ようやく互換品を含めた各社が選択肢を提供する健全な市場が形成されかけた矢先に,これを阻止すべく,本件訴えが提起された。
以上の経過からすると,原告が本件訴えに及んだ真の意図は,高止まりしていた原告製インクタンクの価格を維持し,インクカートリッジの消費者の選択肢を奪い,市場に認知されている互換品の製造販売業者を一挙に締め出すことにあるというべきである。
ウ インクカートリッジの発光化と独占禁止法について原告は,平成16年10月21日,公正取引委員会から,独占禁止法違,,, 反被疑事件の処理について その審査の結果を公表されたが 同委員会はその中で 「レーザープリンタに装着されるトナーカートリッジへのIC ,チップの搭載とトナーカートリッジの再生利用に関する独占禁止法上の考え方」として,以下のとおりの見解を公表している(乙A25 。)「近年,レーザープリンタに使用されるトナーカートリッジ(以下「カートリッジ」という )にICチップが搭載される事例が増えている。レ 。
ーザープリンタのメーカーがその製品の品質・性能の向上等を目的として,カートリッジにICチップを搭載すること自体は独占禁止法上問題となるものではない。しかし,プリンタメーカーが,例えば,技術上の必要性等の合理的理由がないのに,あるいは,その必要性等の範囲を超えて? ICチップに記録される情報を暗号化したり,その書換えを困難にして,カートリッジを再生利用できないようにすること? ICチップにカートリッジのトナーがなくなった等のデータを記録,, , し 再生品が装着された場合 レーザープリンタの作動を停止したり一部の機能が働かないようにすること, ? レーザープリンタ本体によるICチップの制御方法を複雑にしたりこれを頻繁に変更することにより,カートリッジを再生利用できないようにすることなどにより,ユーザーが再生品を使用することを妨げる場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある(第19条(不公正な取引方法第10項[抱き合わせ販売等]又は第15項[競争者に対する取引妨害 )の]規定に違反するおそれ 。)なお,前記の考え方は,インクジェットプリンタに使用されるインクカートリッジにICチップを搭載する場合についても,基本的に同様である 」。
,, 上記の公正取引委員会の考え方は再生品について述べたものであるが本件のような互換品に対しても適用できるものであり,インクカートリッジに発光機能を付加してICチップの制御方法を複雑にする場合にも適用が問題となるものである。
エ 原告の独占禁止法違反行為上記の考え方を前提として,原告の一連の行為をみると,原告製インクタンクは,特定のプリンタにしか適合しないICチップを新たに搭載したインクカートリッジであり,ユーザーが互換品を使用することを妨げる,いわゆる特定のプリンタとの抱き合わせ商品であって,原告は,プリンタの供給に併せてユーザーに原告製インクタンクを購入するように強制させているから,独占禁止法19条(不公正な取引方法第10項「抱き合わせ販売等 )の規定に違反している。 」すなわち,原告製インクタンクが,色ラベルにより誤装着を防止しているにもかかわらず,プリンタからの発光制御信号によって発光する発光素子を採用し,印刷開始に先立って発光しない限り動作しないようにしているのは,単に原告製プリンタがこの発光素子を持たないインクタンクを排除するように設計されているからであり,原告は,原告製プリンタと原告製インクタンクについて,抱き合わせ販売を行っている。このような抱き合わせ販売がされることにより,ユーザーは,原告製インクタンクの購入を強制されて,商品選択の自由が妨げられ,その結果,良質・廉価な商品を提供して顧客を獲得するという競争が侵害され,原告が市場を独占することになった。
また,原告製インクタンクに搭載されたICチップは,ICチップに記録される情報を複雑にしてその書換えを困難にし,本件発明に関連する発光機能を動作させるための不可欠の条件とするものであるから,ユーザーが所望する安価な互換品の購入を妨害し,互換品生産事業者の事業参入を阻害するものである。
原告は,前記のとおり,ICチップ搭載による発光機能の付加が誤装着による問題点の解消に実用上ほとんど意味のないものであったにもかかわらず,競争関係にある再生業者や互換品業者の参入を阻止するため,技術上の必要性等の範囲を超えて,原告製インクタンクにICチップ搭載による発光機能を付加させたものであり,これにより,ユーザーが原告以外の事業者から別のインクカートリッジを購入することを長期間にわたって不当に妨害しているから 独占禁止法19条 不公正な取引方法第15項 競 ,( 「争者に対する取引妨害)の規定に違反する。 」オ 原告の権利濫用行為本件訴えは,上記独占禁止法違反行為によって,市場を独占し,不当な利益を享受していた原告が,相次いで互換品を発売した互換品業者の市場参入を阻止し,自らの独占を維持するために,インクカートリッジの消費者の選択肢を奪い,市場に認知されている互換品の製造販売業者を一挙に締め出すことを意図して,本件特許権の存在を利用して技術上の必要性等の範囲を超えてなしたものであって,独占禁止法に違反し,公序良俗に反するというべきである。
したがって,本件請求は,原告が特許権の行使に名を藉りて濫用的に競争制限行為に及んだものであって,権利濫用として許されない。
[原告の主張]被告らの主張を否認ないし争う。
本件訴えは,原告自身の開発した,原告製品に関する特許権を,単独で行使するものであり,権利濫用となり得る要素は存在しない。
原告は,プリンタを廉価販売し,インクタンクを高値で販売しているものではなく,原告製プリンタ及び原告製インクタンクは,市場における競業他社製品との競争の中で価格が形成されている。原告製プリンタ及び原告製インクタンクの販売価格は,それらを支える技術の知的財産価値,投入した資金を回収するために必要な価格レベル及び取引の実情を考慮して設定されており,合理的な価格である。
また,原告製インクタンクは,カラープリンタ製品の市場動向に鑑み,需要者の希望に沿う技術開発の結果として商品化されたものであり,失敗のないカラー印刷の実現に寄与している。本件発明を実施した原告製インクタンク及び原告製プリンタにより,ユーザーが誤った位置にインクタンクを装着することが防止される上,インクタンクの交換に際し,光によるガイドが提供され,インク切れについても正確な報知がされる。そして,バス配線による接続によってコストを下げつつ,誤装着防止の機能を実現するためには,インクタンクに発光部,情報保持部及び制御部を備えたICチップを搭載することは,技術上必要なことであったものである。なお,発光制御機能のない旧製品のプリンタについては,ICチップ搭載のメリットを生かすことができないものの,原告製インクタンクは,それら旧製品のプリンタにも適合するように設計されており,旧製品プリンタのユーザーにも,デメリットは生じない。
以上のとおり,原告が,旧原告製インクタンクをICチップ搭載のインクタンク(原告製インクタンク)に変更した理由は,ひとえにその技術的な必要性のためであって,競争者を排除するためではない。
当裁判所の判断
1 本件特許権1に基づく被告製品2の輸入,販売等の差止請求の可否( ) 争点1(被告製品2は,本件発明1及び本件訂正発明1の構成要件を充 1足するか)についてア 被告製品2の構成(, ) , , 証拠 甲5 10の1〜4 及び弁論の全趣旨によれば 被告製品2は別紙物件目録( )の第2及び第3記載の構造のインクタンク本体に,同目 2録第1記載の表示を付し,インクを充填したインクタンクであると認められる。
これに対し,被告らは,別紙物件目録( )記載のICチップ(同目録の 2第2【図1】ないし【図3】の番号103)は,被告らが自ら製造又は製造委託した物ではないから,同ICチップの構造(上記目録の第3の8項及び9項)については知らないと主張する。
しかしながら,前掲各証拠により認められる,被告製品2に設けられた基板の外観,同基板上に設けられたICチップ内部のメモリに保持されたコードをCPUボードを用いて読み出した結果,及び,被告製品2を原告製プリンタに装着した際の動作の状況等によれば,? 被告製品2は,その基板の上面に,発光部及びICチップが設けられ,基板の下面(上面と反対側の面)に,インクタンクがタンクホルダに保持された状態で原告製プリンタのコネクタ(プリンタ側接点)と電気的に接続する電極パッドが設けられていること,? 上記ICチップには情報保持部が存在し,当該インクタンクのインク色を示す情報を保持することが可能であること,?上記ICチップには制御部が存在し,原告製プリンタから上記電極パッドを介して入力される電気信号中の色情報と,上記情報保持部の保持する色情報とを比較し,それらが同一である場合に上記発光部を発光させることが認められ,上記認定を左右するに足りる証拠はない。
したがって,被告製品2に設けられたICチップが別紙物件目録( )記2載の構造(同目録第3の8,9)を有することは明らかであり,被告らの主張は理由がない。
イ 各構成要件の充足性についての検討(ア) 構成要件1A及び1A’についてa 構成要件1A1及び1A1’について証拠(甲5・3頁,甲10の1,2)によれば,被告製品2は液体インク収納容器であり,原告製プリンタは複数の被告製品2を搭載して移動することのできるキャリッジを備えていることが認められる。
,,「」 したがって 原告製プリンタは複数の液体収納容器が搭載可能(構成要件1A1)なものであり 「複数の液体インク収納容器を搭 ,載して移動するキャリッジ (構成要件1A1 )を備えていると認 」’められる。
b 構成要件1A2及び1A2’について証拠(甲5・3頁,甲10の1〜4)によれば,原告製プリンタのタンクホルダには,被告製品2に設けられた基板と電気的に接続する接点が設けられていることが認められる。
したがって,原告製プリンタは「液体収納容器に備えられる接点 ,と電気的に結合可能な装置側接点 (構成要件1A2)及び「液体イ 」ンク収納容器に備えられる接点と電気的に接続可能な装置側接点 構」(成要件1A2 )を備えていることが認められる。 ’c 構成要件1A3及び1A3’について(a) 証拠(甲5(3頁,4頁,7頁〜11頁 ,甲10の1〜4) )及び弁論の全趣旨によれば,? 原告製プリンタには,同プリンタのキャリッジの箇所に向かい合うように,被告製品2の発光部からの光を受光する受光手段が一つ設けられていること(なお,被告製品2は,底面の発光部の光が,透明なプラスチック状の導光性部材を通してインクタンク上部まで導光され,同所から上記受光手段に投光される構成となっている ,? 同プリンタのすべてのタン 。)クホルダに被告製品を装着した状態でプリンタの上部カバーを閉じると,キャリッジは,上記受光手段の付近まで移動し,受光手段の付近で細かく移動することによって,受光手段に対向するインクタンクが次々と入れ替わること,? 各インクタンクは,前記アのとおり,当該インクタンクのインク色を示す色情報を保持することが可能な情報保持部を有しており,原告製プリンタから上記bの接点を介して入力される電気信号中の色情報と,上記情報保持部の保持する情報を比較し,それらが同一である場合に,インクタンク上の,,, 発光部を発光させること ? 上記?の発光は 各インクタンクがその本来装着されるべき搭載位置が上記受光手段に対向する位置に来た時に行われること,? 原告製プリンタ(具体的には,プリンタ内の制御回路)は,上記?ないし?の動作により上記受光部が上,, 記発光を受光することができるか否かによって 各インクタンクがその本来装着されるべき位置に装着されているかどうかを確認すること(すなわち,本件光照合処理を行うこと ,が認められる。)したがって,原告製プリンタは「液体収納容器からの光を受光 ,する受光手段 (構成要件1A3 ,並びに 「前記キャリッジの移 」),動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段を一つ ,及び 「該受光手段で該光を受光すること 」,によって前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する液体インク収納容器位置検出手段 (構成要件1A3 )を備えている。 」’(b) これに対し,被告らは,本件明細書の実施例には,インクタンクの発光部から,受光手段又は液体インク収納容器位置検出手段の受光部に向けて投光する構成として,インクタンクを搭載するキャリッジ上のホルダに穴を空けて光を通す構成が記載されているだけであり(段落【0036 【0038 ,図4 ,これ以外に,発 】,】)光部から受光手段等に投光する実施例について,十分な開示はされていないから,構成要件1A3の「該液体収納容器からの光を受光する」及び同1A3’の「前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する」とは 「インクタンクホルダに空けられた穴もしく ,は光透過性の部分を通じて光を通すことにより該液体収納容器からの光を受光する」と,限定して解するのが相当であり,かかる受光方法を採用していない原告製プリンタは,構成要件1A3及び1A3’所定の方法で被告製品2からの発光を受光するものではない,と主張する。
しかしながら,上記構成要件には,単に 「該液体収納容器から ,の光を受光する」ないし「前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する」と記載されているだけであり,プリンタに設けられた受光手段がインクタンクないしインクタンクの発光部からの光を受光する方法を被告らの主張する方法に限定する旨の記載は存在しない。
また,本件明細書には,発明の詳細な説明として,以下の記載が存在する(甲2 。)【背景技術】「近年,デジタルカメラの普及に伴って,パーソナルコンピュータ(PC)を介さずにデジタルカメラと記録装置としてのプリンタ() 。 とを直接接続して印刷する用途 ノンPC記録 が増えつつあるさらにデジタルカメラに着脱可能に用いられる情報記憶媒体であるカードタイプの情報記憶媒体を直接プリンタに装着してデータ,()。」 転送を行い 印刷を行う形態 ノンPC記録 も増えつつある(4頁43行〜48行 段落【0002 )】「一方,さらなる高画質化の要求から従来の4色(ブラック,イエロー,マゼンタ,シアン)インクに,濃度の薄い淡色マゼンタ,淡色シアンといったインクが使われるようになってきており,さらにはレッド,ブルーインクといったいわゆる特色インクの使用も提案されてきている。このような場合,インクジェットプリンタに対しては7〜8個といったインクタンクを個別に搭載することになる。その際に,間違った装着位置へのインクタンクの搭載を防止する機構が必要となってくる。特許文献3には,インクタンクがキャリッジに搭載される際の,キャリッジの搭載部とインクタンク相互の係合の形状をインクタンクごとに異ならせ,これにより,インクタンクが誤った位置に装着されることを防止している構成が開示されている (5頁11行〜20行 段落【0 。」004 )】【発明が解決しようとする課題】「インクタンクの搭載位置を特定する構成としては,上述したように,搭載部とインクタンクが係合する相互の形状を搭載位置ごとに異ならせるものがある。しかしながら,この場合は特に,インクの色ないし種類ごとに異なる形状のインクタンクを製造する必要があり,製造効率やコストの点で不利となる (5頁35行。」〜39行 【0007 )】「他の構成として,インクタンクの電気接点とキャリッジ等の搭載位置における本体側の電気接点とが接続して形成される回路の信号線を,搭載位置ごとに個別のものとする構成が考慮される。例えば,インクタンクのインク色情報をそのインクタンクから読み出し,LEDの点灯などを制御するための信号線を搭載位置ごとに個別のものとすることにより,読み出した色情報がその搭載位置に適合していなければインクタンクが誤って搭載されていることを知ることができる (5頁40行〜46行 【0008 ) 。」】「しかしながら,このような信号線をインクタンクもしくは搭載位,。 置ごとに個別なものとする構成は 信号線の数を増すものである特に,上述したように最近のインクジェットプリンタなどでは,用いるインクの種類を多くすることにより画質の向上を図るのが一つの傾向としてある。このようなプリンタでは,特に信号線の数が増すことはコストを増すなどの要因となる。一方で,配線数を削減するためにはバス接続といった所謂共通の信号線の構成が有効であるが,単にバス接続のような共通の信号線を用いる構成では,インクタンクもしくはその搭載位置を特定することができないことは明らかである (5頁47行〜6頁4行 段落【0 。」009 )】「本発明はこのような問題を解消するためになされたものであり,その目的とするところは,複数のインクタンクの搭載位置に対して共通の信号線を用いてLEDなどの表示器の発光制御を行い,この場合でもインクタンクなど液体収納容器の搭載位置を特定した表示器の発光制御をすることを可能とすることにある (6。」頁5行〜9行 段落【0010 )】【発明の効果】「以上の構成によれば,記録装置の本体側の接点(コネクタ)と接続する液体収納容器であるインクタンクの接点(パッド)を介して入力される信号と,そのインクタンクの個体情報とに基づいて発光部の発光を制御するので,先ず,搭載される複数のインクタンクが共通の信号線によってその同じ制御信号を受け取ったとしても,固体情報に合致するインクタンクのみがその発光制御を行うことができ,これにより,インクタンクを特定した発光部の点灯など発光制御が可能となる。次に,このようなインクタンクを特定した発光制御が可能な場合,例えば,キャリッジに搭載された複数のインクタンクについて,その移動に伴い所定の位置で順次その発光部を発光させるとともに,上記処置の位置での発光を検出するようにすることにより,発光が検出されないインクタン。, クは誤った位置に搭載されていることを認識できる これにより例えば,ユーザに対してインクタンクを正しい位置に再装着することを促す処理をすることができ,結果として,インクタンクごとにその搭載位置を特定することができる (8頁47行〜9。」頁10行 段落【0019 )】「この結果,複数のインクタンクの搭載位置に対して共通の信号線を用いてLEDなどの表示器の発光制御を行い,この場合でもインクタンクなど液体収納容器の搭載位置を特定した表示器の発行(判決注: 発光」の誤記と認める )制御をすることが可能と 「。
なる (9頁11行〜14行 段落【0020 ) 。」】本件明細書の発明の詳細な説明における上記【発明が解決しようとする課題】及び【発明の効果】の記載からすると,本件発明1及び本件訂正発明1においてインクタンクに発光部を設けること及びプリンタに受光手段を設けることの技術的意義は,インクタンクによる所定の位置での発光を上記受光部が検出することによって本件光照合処理を実現することにあるものと認められる。
そうすると,構成要件1A3及び1A3’の「受光手段」とは,プリンタ上に1個設けられたものであり,インクタンクからの発光を受光することによって本件光照合処理を実現することのできるものであれば足りると解するのが相当であり,これを更に,基板をインクタンクの底面側に設けた場合のインクタンクからの発光を受光する方法を本件明細書の実施例の場合に限定するものと認めることはできないというべきである。
被告らの主張は,本件発明1及び本件訂正発明1の技術的範囲をその実施例に限定しようとするものであり,これを採用することはできない。
(c) 被告らは 「液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構 ,」成要件1A3 )とは,その通常の語義や,本件発明1及び本件訂 ’正発明1の課題がキャリッジにおけるインクタンクの誤装着を防止することであることからすれば 「各インクタンクがキャリッジ上 ,のどの位置に搭載されているかを検出する」という意味であると解するのが相当であり,原告製プリンタは,インクタンクが所定の位置に装着されていないことは検出できるものの,誤装着されたインクタンクが装着された場所については検出することができないから,上記の意味の「検出」機能を備えていないとも主張する。
しかしながら,構成要件1A3’は,単に 「液体インク収納容,器の搭載位置を検出する」と記載されているだけであり 「搭載」,とは「船・車・飛行機などに資材を積みこむこと」を 「位置」と,は「ある人・物・事柄が,他との関係もしくは全体との関係で占める場所,あるいは立場」を 「検出」とは「検査して見つけ出すこ ,」, ( , と を それぞれ意味するものであるから 広辞苑第5版152頁860頁,1879頁 「搭載位置」というだけでは,それが絶 ),対的な位置関係(インクタンクが現に装着されているキャリッジ上の特定の箇所)を意味するのか,相対的な位置関係(例えば,インクタンクが現に装着されている場所が,その本来装着されるべき場所との関係で,正しいものか否か)を意味するのかは,一義的に 。
明確であるとはいえないというべきである。
そこで本件明細書の発明の詳細な説明を見ると,前記(b)のとおり,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明1及び本件訂正発明1の課題は,インクタンクの形状を異ならせたり,各インクタンクとプリンタとをつなぐ個別の信号線を用いたりすることなく,インクタンクの誤装着を防止することであり,本件光照合処理により,発光が検出されないインクタンクは誤った位置に搭載されていることを認識することができ,これによって,上記課題を解決することができる旨が記載されていることが認められるが,それを超えて,誤った位置に搭載されたインクタンクが,キャリッジ上のどの位置に搭載されているのかを検出する方法については,何らの記載も示唆もされていないものと認められる。
さらに,本件明細書の発明の詳細な説明中には 【発明を実施す,るための最良の形態】として,次のとおり,本件光照合処理について説明する部分があり,ここでも,本件光照合処理は,インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを判断する処理であり,同処理によって,本来の位置に装着されていないインクタンクを特定することができることが説明されている。
「光照合処理は,正常に装着されたインクタンクそれぞれが正しい位置に装着されているか否かを判断する処理である。本実施形態では,インクタンクの装着位置について,例えば,インクタンクと装着位置の形状を他のインクのインクタンクが装着できないような形状とし,それぞれの色のインクタンクに対応して装着位置を定めるような構成をとらないことから,それぞれの色のインクタンクについて本来の位置でないところに誤って装着される可能性がある。このため,本光照合処理を行い,誤って装着されている場合は,ユーザにその旨を知らせるものである。これにより,特に,インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく,インクタンクの製造の効率化や低コスト化を図ることができる (2。」2頁43行〜23頁1行 段落【0108 )】「図29(a)〜(d)および図30(a)〜(d)は,この光照合処理を説明する図である (23頁2行〜4行 段落【0109 ) 。」】(, 。 判決注:下記の図面は 対応する図面を裁判所において挿入した以下同じ )。
【図29】 【図30】「図29(a)に示すように,先ず,第1受光部210に対して,図中左側から右側へ移動キャリッジ205を開始する。そして,最初に,イエローインクのインクタンク1Yが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で,インクタンク1YのLED101を発光させる(図24にて説明したように,実際は点灯し所定時間後消灯すること,以下,本照合処理で)。, は同様 インクタンク本来の正しい位置に装着されているとき第1受光部210はLED101の発光を受光することができ,制御回路300は,その装着位置にはインクタンク1Yが正しく装着されていると判断する (23頁5行〜12行 段落【0 。」110 )】「キャリッジ205を移動しつつ,同様にして,図29(b)に示すように,マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置のインクタンクが第1受光部210に対向する位置で,インクタンク1MのLED101を発光させる。同図に示す例は,インクタンク1Mが正しい位置に装着されていて第1受光部210はその発光を受光することを示している。順次,図29(b)〜(d),。 に示すように 判断する装着位置を変えながら発光を行って行くこれらの図は,正しい位置に装着されている例を示している 」。
(23頁13行〜19行 段落【0111 )】「これに対し,図30(b)に示すように,マゼンタインクのインクタンク1Mが装着されるべき位置にシアンインクのインクタンク1Cが誤って装着されているときは,第1受光部210に対向しているインクタンク1CのLED101は発光せず,別の位置に搭載されているインクタンク1MのLED101が発光する。この結果,このタイミングでは,第1受光部210は受光できないことから,制御回路300は,その装着位置にはインクタンク1M以外のインクタンクが装着されていると判断する。これに対応して,図30(c)に示すように,シアンインクのインクタンク1Cが装着されるべき位置にマゼンタインクのインクタンク1Mが誤って装着されており,第1受光部210に対向しているインクタンク1MのLED101は発光せず,別の位置に搭載されているインクタンク1CのLED101が発光する (23頁20。」行〜30行 段落【0112 )】「以上説明した光照合処理を行うことにより,制御回路300は本来の位置に装着されていないインクタンクを特定することができる。また,装着されるべき位置に正しいインクタンクが装着されていなかった場合には,その装着位置において,他の3色のインクタンクを順に発光させる制御を行うことによって,その装着位置に誤って何色のインクタンクが装着されてしまったかを特定することもできる (23頁31行〜36行 段落【0113 ) 。」】「図25において,上述したステップS105の光照合処理の後,ステップS106でこの処理が正常終了したか否かを判断する。
光照合が正常終了したと判断したときは,ステップS107で,操作部213の表示器を例えばグリーンに点灯して,本処理を終了する。一方,正常の終了でないと判断したときは,ステップS109で操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅するとともに,ステップS110で,ステップS105で特定した,本来の正しい位置に装着されていないインクタンクのLED101を,例えば点滅あるいは点灯する。これにより,ステップS108で,ユーザが本体カバー201を開けたとき,本来の正しい位置に装着されていないインクタンクを知ることができ,正しい位置への再装着を促すことができる (23頁37行〜46行 。」段落【0114 )】以上の請求項の記載及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載からすると,構成要件1A3’の「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」とは 「インクタンクが正しい位置に搭載されているか ,否かを認識する」ことを意味するものであり,それを超えて,誤った位置に搭載されたインクタンクが,キャリッジ上のどの位置に搭載されているかを確定させることまでは意味しないと解するのが相当である。
したがって,被告らの主張は理由がない。
d 構成要件1A4及び1A4’について証拠(甲5・5頁及び6頁,甲10の1〜4)によれば,原告製プリンタは,各インクタンクと接続するタンクホルダのコネクタが,タンクホルダの裏側において共通の配線で接続されていること,本件光照合処理の際には,上記配線を通じて,各インクタンクを光らせるための色情報のコードが各インクタンクに送信されること,が認められる。
したがって,原告製プリンタは「搭載される液体収納容器それぞ ,れの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路 (構成要件1A4 ,及び 「搭載される液 」),体インク収納容器それぞれの前記接点と接続する前記装置側接点に対して共通に電気的接続し色情報に係る信号を発生するための配線を有した電気回路 (構成要件1A4 )を備えていると認められる。 」’e 構成要件1A5’について構成要件1A5’の「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」とは,前記cのとおり 「インクタンクが正しい位置に搭載されてい ,るか否かを認識する」ことを意味するものと解される。また,原告製プリンタが,本件光照合処理を行うことによって,各インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを検出することができると認められることについても,上記cで認定したとおりである。
したがって,原告製プリンタは「前記キャリッジの位置に応じて ,特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A5」)機能を備えていると認められる。 ’f 構成要件1A5及び1A6’について(a) 被告製品2は,上記aないしeのとおり,構成要件1A1ないし1A4及び構成要件1A1’ないし1A5’の構成を備えた原告製プリンタのキャリッジに対して着脱可能であることが認められる。
したがって,被告製品2は,構成要件1A(1A1〜1A5)及び1A (1A1’〜1A6 )を充足する。 ’’(b) これに対し,被告らは,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明が解決しようとする課題及び同課題に対して本件発明の構成をとることによる効果について,前記の段落【0004 【0】,007】及び【0108】のとおり記載されており,上記記載からすると,本件発明は,インクタンクごとに形状を異ならせる構成をとらないことを前提とするものであるから,構成要件1A5及び1’「 ( )」, A6 の 着脱可能な液体収納容器 液体インク収納容器 とは「すべて同一形状の複数の液体収納容器が搭載可能な記録装置に着脱可能な液体収納容器 (構成要件1A5)及び「すべて同一形状 」の複数の液体インク収納容器が搭載可能な記録装置のキャリッジに対して着脱可能な液体インク収納容器 (構成要件1A6 )と解 」’するのが相当である,と主張する。
しかしながら,上記構成要件は,単に 「 記録装置に対して) ,(着脱可能な液体収納容器 (構成要件1A5)及び「 記録装置の) 」(前記キャリッジに対して着脱可能な液体インク収納容器 (構成要」件1A6 )と記載されているだけであり,搭載可能な液体収納容 ’,。 器の形状について 被告らの主張するような限定は付されていない,,, また 本件明細書の発明の詳細な説明には 前記cの記載があり上記記載によれば,同一形状の複数のインクタンクを相互に異なる位置に搭載することができるプリンタであれば,同プリンタに上記インクタンクと異なる形状のインクタンクを搭載することができるか否かにかかわらず,本件発明1及び本件訂正発明1における課題(インクタンクの形状をインクタンクごとに異ならせることなく,インクタンクの誤装着を防止すること )が存在するということが 。
でき,本件光照合処理によりインクタンクの誤装着を認識するという上記発明の効果によって,上記課題を解決することができるものと認められる。
そうすると,構成要件1A5及び1A6’の 「 記録装置に対,(して)着脱可能な液体収納容器 (構成要件1A5)及び「 記録 」(装置の)前記キャリッジに対して着脱可能な液体インク収納容器」(構成要件1A6 )とは,同一形状の複数のインクタンクを相互 ’に異なる位置に搭載することかできるプリンタないしそのキャリッジに対して着脱可能な液体収納容器ないし液体インク収納容器であれば足りると解するのが相当であり,上記プリンタが,他に異なる形状のインクタンクを搭載することができるものであることは,被告製品2が構成要件1A5及び1A6’を充足するとの判断を妨げるものではないというべきである。
したがって,被告らの主張は理由がない。
(イ) 構成要件1B及び1B’について証拠(甲5・7頁及び8頁)によれば,被告製品2には,その底面部に基板が設置され,同基板上に,原告製プリンタ側のコネクタと電気的に接続することが可能な接点が設けられていることが認められる。
したがって,被告製品2は,構成要件1B及び1B’の「前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点」を備えていると認められ,同構成要件を充足する。
(ウ) 構成要件1C及び1C’について証拠(甲5・8頁〜11頁,甲10の1〜4)によれば,被告製品2は,その基板に設けられたICチップに,当該インクタンクの色に応じた色情報を保持していることが認められる。
したがって,被告製品2は,構成要件1Cの「液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部」及び同1C’の「液体インク収納容器のイ」, ンク色を示す色情報を保持可能な情報保持部 を備えていると認められ同構成要件を充足する。
(エ) 構成要件1D及び1D’について前記アのとおり,被告製品2は,その基板の上面に発光部が設けられていることが認められる。また,前記(ア)cのとおり,上記発光部は,本件光照合処理の際,原告製プリンタの受光部に投光するための光を発光することが認められる。
したがって,被告製品2は,構成要件1Dの「発光部」及び同1D’の「前記受光手段に投光するための光を発光する前記発光部」を備えていると認められ,同構成要件を充足する。
(オ) 構成要件1E及び1E’についてa 前記アのとおり,被告製品2は,その基板の上面に発光部及びICチップが設けられ,ICチップには情報保持部が存在し,当該インクタンクのインク色を示す情報を保持することが可能であって,原告製プリンタとインクタンクとの接点から上記ICチップに対し,インクの色に応じた色情報に発光コマンド(制御部に発光を命じる命令コード)を付けた信号を送付すると,ICチップ内の制御部において,上,, 記送信された色情報と 上記情報保持部の保持する色情報とを比較し両者が一致している場合のみ上記発光部を発光させることが認められる。
したがって,被告製品2は,構成要件1Eの「前記接点から入力される個体情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する個体情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部」及び同1E’の「前記接点から入力される前記色情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する前記色情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部」を備えており,同構成要件を充足する。
b これに対し,被告らは 「かってにさせないこと。思いどおりにあ ,やつること。支配 「調節すること (乙A7)という 「制御」 。」,。」,の有する通常の意味に従って解釈すれば,構成要件1E及び1E’の「発光部の発光を制御する制御部」とは,発光部の発光を,いつ,どのタイミングで,点灯,点滅,消灯のいずれの状態とするのかについて,自身でコントロールし,また,発光部の点滅速度を自身で調節し得る機構を指すと解するのが相当であり,被告製品2は,プリンタ本体の制御回路からの信号を受け取って,その指示どおりの発光,点滅を行っているにすぎないから,上記意味での「制御部」を備えていない,と主張する。
,( ) ,「」, , しかしながら 証拠 乙A7 によれば 制御 とは 一般的に「かってにさせないこと。思いどおりにあやつること。支配 「調。」,。」,, 節すること を意味するものと認められるところ 被告製品2では上記aのとおり,プリンタ本体から送られてくる「色情報+発光コマンド」を受信すると,同製品に設けられたICチップ内の制御部において,上記色情報が自らのインクタンクの色に一致しているかどうかを比較し,両者が一致していると判断した場合に限り,同製品上の発光部を発光させていることが認められる。
そうすると,被告製品2は,単にプリンタ本体に指示されるがままに発光部を発光させているものではなく,そのICチップ内の制御部において,その発光部の発光を操作している,すなわち,上記のとおりプリンタ本体から送られてくる色情報が自己の保有する色情報と一致するかどうかを主体的に判断することにより,発光部の発光を「制御」しているものと認められる。
また,本件明細書の発明の詳細な説明においても,前記のとおり,本件発明1及び本件訂正発明1の目的は 「複数のインクタンクの搭 ,載位置に対して共通の信号線を用いてLEDなどの表示器の発光制御を行い,この場合でもインクタンクなど液体収納容器の搭載位置を特定した表示器の発光制御をすることを可能とすること (段落【00」10 )にあり,発明の効果は 「記録装置の本体側の接点(コネク 】,タ)と接続する液体収納容器であるインクタンクの接点(パッド)を介して入力される信号と,そのインクタンクの個体情報とに基づいて発光部の発光を制御するので,先ず,搭載される複数のインクタンクが共通の信号線によってその同じ制御信号を受け取ったとしても,固体情報に合致するインクタンクのみがその発光制御を行うことができ,これにより,インクタンクを特定した発光部の点灯など発光制御が可能となる (段落【0019 )であると説明されており,イン 。」】クタンクにおいて発光部の発光制御が行われる旨が記載されている。
さらに,本件明細書の発明の詳細な説明の【発明を実施するための最良の形態】においても,次のとおり,発光部の制御は,インクタンク内の入出力の制御回路及びLEDドライバで行われる旨が記載されている。
「一方,各インクタンク1の基板100には,これら4本の信号線の信号によって動作する制御部103およびそれによって動作するLED101が設けられている (18頁29行〜31行 段落【0 。」082 )】「図21はこれら制御部などが設けられた基板の詳細を示す回路図である。同図に示すように,制御部103は,入出力制御回路(I/O CTRL)103A,メモリーアレイ103BおよびLEDドライバ103Cを有して構成される。入出力制御回路103Aは,本体側の制御回路300からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データに応じて,LED101の表示駆動やメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。メモリーアレイ103Bは,本実施形態ではEEPROMの形態のものであり,インク残量,収納するインクの色情報の他,そのインクタンクの固有番号や製造ロット番号などの製造情報等のインクタンク個体情報を記憶することができる。なお,色情報はインクタンクの出荷時または製造時に,その収納しているインクの色に対応して,メモリーアレイ103Bの所定のアドレスに書き込ま。,, , れる 例えばこの色情報は 図23図24にて後述されるように() , , インクタンクの識別情報 個体情報として用いられ これによりインクタンクを特定してメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みやメモリーアレイ103Bからデータの読み出しを行い,また,そのインクタンクのLED101の点灯,消灯を制御することが可能となる (後略 (18頁32行〜46行 段落【008 。)」3)】「LEDドライバ103Cは,入出力制御回路103Aから出力される信号がオンのときLED101に電源電圧を印加するよう動作し,これにより,LED101を発光させる。従って,入出力制御回路103Aから出力される信号がオンの状態にあるとき,LED101は点灯状態となり,上記信号がオフの状態にあるとき,LED101は消灯状態となる (19頁8行〜13行 段落【00 。」84 )】「図23に示すように,メモリーアレイ103Bへの書き込みでは,本体側の制御回路300からインクタンク1の制御部103における入出力制御回路103Aに対し,信号線DATA(図20)を介して「開始コード+色情報 「制御コード 「アドレスコード , 」,」,」「データコード」の各データ信号が,クロック信号CLKに同期してこの順で送られてくる 「開始コード+色情報」は,その「開始 。
」, ,, コード 信号によって 一連のデータ信号の始まりを意味し また「色情報」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンクを特定する。なお,ここでのインクの「色」とはY,M,C等のインク色だけでなく濃度の異なるインクをも含むものである (19頁26行〜34行 段落【0087 ) 。」】「「」, , 「」 ,「」,「」, 色情報 は 同図に示すように インクの色 K C M「」 , , Y に対応したコードを有しており入出力制御回路103Aはこのコードが示す色情報とメモリーアレイ103Bに格納されている自身の色情報とを比較し一致しているときにのみ,それ以降のデータ信号を取り込む処理を行い,一致しないときは,それ以降のデータ信号の取り込みを無視する処理を行う。これにより,図20に示した共通の信号線「DATA」を介して,本体側からデータ信号をそれぞれのインクタンクに共通に送っても,それに上述の色情報を含めることによってインクタンクを特定することができ,書き込み,読み出し,LEDの点灯,消灯など,その後のデータ信号に基づく処理を,その特定したインクタンクに関してのみ行うことが可。, () 能となる この結果 4つのインクタンクに対して共通の 1本のデータ信号線を介して送信されるデータによってデータの書き込みなどのほか,LEDの点灯,消灯の制御を行うことができ,これらの制御に要する信号線の数を本発明のように少なくすることが可能となる (後略 (19頁35行〜47行 段落【0088 ) 。)」】「LED101の点灯または消灯では,図24に示すように,上記と同様,先ず 「開始コード+色情報」のデータ信号が,本体側から ,信号線DATAを介して入出力制御回路103Aに送られてくる。
上述したように 「色情報」によってインクタンクが特定され,そ ,の後に送られてくる「制御コード」に基づくLED101の点灯,消灯は特定されたインクタンクのみで行われる。点灯,消灯にかかる「制御コード」は,図23にて上述したように 「ON」または,「OFF」のコードがあり 「ON」によってLED101の点灯 ,が行われ 「OFF」によって消灯が行われる。すなわち,制御コ ,ードが「ON」のとき,入出力制御回路103Aは,図22にて前,, 述したように LEDドライバ103Cに対してオン信号を出力し。, 「 」 それ以降もその出力状態を維持する 逆に 制御コードが OFFのとき,入出力制御回路103Aは,LEDドライバ103Cに対してオフ信号を出力し,それ以降もその出力状態を維持する (後。
略 (20頁21行〜32行 段落【0092 ) )」】以上の請求項の記載及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,構成要件1E及び1E’の「発光部の発光を制御する」とは,「プリンタ本体とインクタンクとの接点を通じてプリンタからインクタンクに入力される,インクタンクのインク色を示す色情報に係る信号と,インクタンク内の情報保持部の保持する当該インクタンクの色情報とを比較し,両者が一致する場合にインクタンクの発光部を発光させ,一致しない場合は発光部を発光させないこと」を意味すると解するのが相当である。
そうすると,本件では,上記認定のとおり,被告製品2において上記意味での「制御」が行われていることが明らかであるから,被告らの主張は理由がない。
c 被告らは,各色のインクタンクにおけるインクの消耗の仕方は,印刷する画像の色合いや印刷物の内容によって異なるものであり,複数のインクタンクのインクが同時になくなる確率は無に等しいものである上,インクタンクは高価であるから,空になった1個のインクタンクを交換する際に,残量の残っている他のインクタンクを同時に交換することもあり得ないとして,被告製品2を原告製プリンタに誤装着する場合としてあり得るのは,インクタンクのいずれかが消耗したために交換する際に,取り外したインクタンクと別の色の被告製品2を誤って装着してしまう場合(すなわち,2個同色を装着した場合 )。
だけであって,この場合,原告製プリンタは,本件光照合処理を行わずに誤装着の有無を検出し,誤装着を防止することができるので,被告製品2は「発光部の発光を制御する制御部」を有しておらず,構成要件1E及び1E’を充足しないと主張する。
また,被告らは,同人らの主張は,? 原告製プリンタ操作ガイド(乙A61の1)に 「一度に複数のインクタンクを外さず,必ず1 ,つずつ交換してください 」と記載されていること(55頁 ,? 。)原告製プリンタでは,インクタンクのインクがなくなった場合,プリンタ本体のエラーランプが点滅し,インクタンクを交換しない限り印刷を続行することができなくなること(同ガイド・9頁,53頁,87頁,89頁 ,? 原告製プリンタでは,インクタンクのインクが )少なくなった場合にもインクランプは点滅するが,インクがなくなった場合の点滅の形態(点滅速度)とは明確に異なっている上,上記操作ガイドには,インクが少なくなったにすぎない時点でのインクタンクの交換を許容する記載は存在しないこと(同ガイド・53頁 ,な)どからも裏付けられるとする。
しかしながら,証拠(甲5,10の1〜4,11,乙A61の1〜4)及び弁論の全趣旨によれば,原告製プリンタは,1個のインクタンクのみが脱着可能な開口部を有するカバーをプリンタ上に設けるなどして,交換されるべきインクタンクだけを脱着することができるような構成(乙A30・1頁16行〜19行,15頁16行〜21行,第1図を参照 )を採るものではなく,ユーザーが,プリンタのトッ 。
プカバーを開けて,任意のインクタンクを脱着することが可能な構成,,, を採っており プリンタカバーを開けた状態であれば 一度の機会に複数のインクタンクを順次取り外し,取外し作業の完了後に,新しいインクタンクを順次装着していくことも可能な構成であることが認められる。
したがって,ユーザーが,上記交換の際に,複数のインクタンクの装着位置を取り違え,それぞれ所定の位置と異なる場所に装着してしまうこと(例えば,前記本件明細書の発明の詳細な説明の段落【01】,) ,, 12 図30のようなケース も起こり得るものであり この場合ユーザーが,複数のインクタンクの脱着が完了した状態でプリンタカバーを閉じると,本件光照合処理が行われ,インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを検出することができると認められる。
また,被告らは,上記?ないし?の事実を挙げるなどして,原告製プリンタにおいてユーザーが複数のインクタンクを同時に交換することはあり得ないことであると主張する。しかしながら,上掲各証拠によれば,原告製プリンタでは,インクが「少なくなった状態 「な」,くなった可能性がある状態」及び「ない状態」の,3段階のインク切,「」「」 れの警告が行われ なくなった可能性がある状態 及び ない状態の警告時に印刷が停止するものの,どちらの場合も,リセットボタンを押せば,インクタンクを交換しなくても印刷を続行することが可能な構成となっており,その旨は原告製プリンタ操作ガイドにも記載されていることが認められる。そうすると,被告製品2を装着して原告製プリンタを使用しているユーザーが,同プリンタを使用中に,1本のインクタンクについて「インクがなくなった可能性がある」こと ,を示すエラーランプが点滅した場合でも,直ちに当該インクタンクを,,, 交換せず リセットボタンを押して印刷を継続することとし その後他のインクタンクについても 「インクがなくなった可能性がある状 ,態」ないし「インクが少なくなった状態」を示すエラーランプが点滅する状態となったため,この機会に複数のインクタンクをまとめて交換することとして,複数のインクタンクの脱着作業を行うということは,格別不合理な行動とはいえず,およそ起こり得ない状況ではないものと認められる。
以上の点に照らして考えると,被告製品2が本件発明1及び本件訂正発明1の「発光部の発光を制御する制御部」を有していることは明らかであり,被告らの主張は理由がない。
(カ) 構成要件1F及び1F’について上記のとおり,被告製品2は,構成要件1A1ないし1A4及び同1A1’ないし1A5’の構成を備えた原告製プリンタのキャリッジに対して着脱可能であり,構成要件1Bないし1E及び同1B’ないし1E’の構成を備えた液体インク収納容器であると認められる。
したがって,被告製品2は,構成要件1Fの「 上記各構成を)有す (ることを特徴とする液体収納容器」及び同1F’の「 上記各構成を)(有することを特徴とする液体インク収納容器」に該当し,同構成要件を充足する。
( ) 争点3(本件特許は,特許無効審判により無効にされるべきものか)に 2ついて被告らは,前記第2の3( )ないし( )の[被告らの主張]のとおり,本件 36発明は進歩性を欠く(争点3-1 ,本件発明の特許請求の範囲の記載は特 )許法36条6項1号(サポート要件)及び同項2号(明確性要件)に違反する(争点3-2,3-3 ,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法 )()() , 36条4項1号 実施可能要件 に違反する 争点3-4 などと主張して本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであると主張する。
しかしながら,本件特許については,その無効審判事件において本件訂正の請求がされており,同訂正はいまだ確定していない状況にある。このような場合において,特許法104条の3第1項所定の「当該特許が無効審判により無効にされるべきものと認められるとき」とは,当該特許についての訂正審判請求又は訂正請求に係る訂正が将来認められ,訂正の効力が確定したときにおいても,当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるか否かによって判断すべきものと解するのが相当である。
したがって,原告は,被告らが,訂正前の特許請求の範囲の請求項について無効理由があると主張するのに対し,?当該請求項について訂正審判請求又は訂正請求をしたこと,?当該訂正が特許法126条又は134条の2所定の訂正要件を充たすこと,?当該訂正により,当該請求項について無効の抗弁で主張された無効理由が解消すること,?被告製品が訂正後の請求項の技術的範囲に属すること,を主張立証することができ,被告らは,これに対し,?訂正後の請求項に係る特許につき無効事由があることを主張立証することができるというべきである。
本件においても,原告及び被告らは本件訂正に関し,同趣旨の主張をしており,前記のとおり,原告が本件訂正請求をしていること(上記?)及び被告製品2が本件訂正後の請求項1の技術的範囲に属すること(本件訂正発明1の構成要件を充足すること。上記?)については,これを認めることができる。
そこで,以下において,上記?,?及び?の点について判断する。
ア 争点3-5-1(本件訂正は,特許法134条の2訂正要件を満たすか)について(ア) 本件訂正により,本件訂正前の請求項1は,別紙1の「請求項1」「訂正後」欄記載のとおり訂正請求がされている。
そこで,上記訂正が特許法134条の2訂正要件を充たすか否かについて検討するに 次のとおり 本件訂正は 特許請求の範囲減縮 特 ,,, (許法134条の2第1項1号)ないし明りょうでない記載の釈明(同項3号)を目的とするものであり,かつ,同条第5項において準用される同法126条3項及び4項の規定に適合するものであるから,適法な訂正であると認められる(なお,以下の説示中においては,本件訂正請求に係る訂正部分を下線で示すものとする 。。)a 構成要件1A1’及び1A6’について構成要件1A1’は,構成要件1A1の「液体収納容器が搭載可能であって」を 「液体インク収納容器を搭載して移動するキャリッジ ,と」に変更するものであり,構成要件1A6’は,構成要件1A5の「着脱可能な液体収納容器」を 「前記キャリッジに対して着脱可能 ,な液体インク収納容器」に変更するものである。
,「 」,「」 上記変更は 訂正前の 液体収納容器 を 液体インク収納容器(液体インクを収納する容器)に限定した上,同容器を,キャリッジを備えた記録装置の該キャリッジに対して着脱可能な容器に限定するものであるから,特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められる(なお,構成要件1A2’以下においても,訂正前の請求項1の「液体収納容器」を「液体インク収納容器」に変更するものがあり,かかる訂正が,いずれも特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められることについては,構成要件1A1’の場合と同じである 。。)また,上記訂正の内容は,本件明細書の段落【0022】及び【0068】ないし【0072】などに記載されているから(甲2 ,同)訂正は,明細書に記載した事項の範囲内において行われたもの(特許法134条の2第5項,同法126条3項)であると認められる。
b 構成要件1A2’について構成要件1A2’は,構成要件1A2の「該液体収納容器に備えられる接点と電気的に結合可能な装置側接点」を 「該液体インク収納,容器に備えられる接点と電気的に接続可能な装置側接点」に変更するものである。
上記変更は,本件訂正前の請求項1において,構成要件1A2及び1Bが,いずれも,インクタンクに備えられる接点と装置側接点との関係を表現したものであるにもかかわらず,構成要件1A2では「結」, 「」 , 合 と表現され 構成要件1Bでは接続 と表現されているために表現が混在していたものを「接続」という表現に統一して明確にし ,たものであるから,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであると認められる。
また,インクタンクに備えられる接点と装置側接点とが接触する関係を「接続」と表現することについては,本件明細書の段落【003】,【】 (),, 3 0057 などにも記載されているから 甲2 上記訂正は明細書に記載した事項の範囲内において行われたものであると認められる。
c 構成要件1A3’及び1A5’について構成要件1A3’は,構成要件1A3の「該液体収納容器からの光を受光する受光手段」を「前記キャリッジの移動により対向する前 ,記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段を一つ備え,該受光手段で該光を受光することによって前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する液体インク収納容器位置検出手段」に変更するものであり,構成要件1A5’は,訂正前の請求項1に 「前記キ,ャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する」との構成を付加するものである。
上記変更は,発明の対象となる液体インク収納容器を,上記の構成を有する記録装置に着脱可能な容器に限定するものであるから,特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められる。
また,上記訂正の内容が本件明細書の段落【0019】及び【0108】ないし【0113】などに記載されていると認められることについては,前記( )イ(ア)cのとおりであるから,同訂正は,明細書 1に記載した事項の範囲内において行われたものであると認められる。
d 構成要件1A4’について構成要件1A4’は,構成要件1A4の「搭載される液体収納容器それぞれの前記接点と結合する前記装置側接点に対して共通に電気的接続する配線を有した電気回路とを有する」を 「搭載される液体イ,ンク収納容器それぞれの前記接点と接続する前記装置側接点に対して共通に電気的接続し色情報に係る信号を発生するための配線を有した電気回路とを有し」に変更するものである。
上記変更は,発明の対象となる液体インク収納容器を,色情報に係る信号を発生する電気回路を備えた記録装置に着脱可能な容器に限定するものであるから,特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められる(なお,構成要件1A4の「結合」を「接続」に変更することが,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであると認められることについては,上記bと同じである 。。)また 上記訂正の内容は 本件明細書の段落 0088 ないし 0 ,,【】【094】などに記載されているから(甲2 ,同訂正は,明細書に記 )載した事項の範囲内において行われたものであると認められる。
e 構成要件1C’及び1E’について構成要件1C’は,構成要件1Cの「少なくとも液体収納容器の個体情報を保持可能な情報保持部」を 「少なくとも液体インク収納容 ,器のインク色を示す色情報を保持可能な情報保持部」に変更するものであり,構成要件1E’は,構成要件1Eの「前記接点から入力される個体情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する個体情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部」を 「前記接点から入力さ ,れる前記色情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する前記色情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部」に変更するものである。
上記各変更は,訂正前の「液体収納容器の個体情報」ないし「個体情報 を 液体インク収納容器のインク色を示す色情報 ないし 色 」,「」「情報」に限定するものであるから,特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められる。
また,上記訂正の内容は,本件明細書の段落【0083】などに記載されているから(甲2,同訂正は,明細書に記載した事項の範囲 )内において行われたものであると認められる。
f 構成要件1D’について構成要件1D’は,構成要件1Dの「発光部」を 「前記受光手段,に投光するための光を発光する前記発光部」に変更するものである。
上記変更は,訂正前の「発光部」を 「記録装置の)受光手段に ,(投光するための光を発光する発光部」に限定するものであるから,特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められる。
また,上記訂正の内容は,本件明細書の段落【0036 【00】,38】ないし【0047 【0073 【0079】及び図3(a) 】,】,などに記載されているから(甲2 ,同訂正は,明細書に記載した事 )項の範囲内において行われたものであると認められる。
(イ) これに対し,被告らは,次のとおり,本件訂正は特許法134条の2所定の訂正要件を充たすものではなく,違法であると主張する。
a 構成要件1A2’及び1A4’について被告らは 「結合」とは 「結び合うこと。結び合わせること 」を ,, 。
意味するものであるのに対し 「接続」とは 「つなぐこと。また, ,,つながること 」を意味するものであり,これらの語句が意味すると 。
ころに別段不明りょうな点はなく,また 「接続」は「結合」を含む ,,「」「」 広い概念であるから 構成要件1A2及び1A4の 結合 を 接続に変更することは,特許請求の範囲拡張するものであり,かかる訂正は,特許法134条の2第5項で準用する126条4項に違反し,許されないと主張する。
しかしながら,上記訂正が明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり,明細書に記載した事項の範囲内において行われたものであると認められることについては,前記(ア)b,dのとおりである。
また,本件明細書における,インクタンクに設けられた接点と,プリンタのホルダに設けられた接点との関係について記載した部分(段落【】,【】【】,【】,【】, 0033 0057 〜 0061 0072 0080図20〜24など)をみれば,本件訂正前の請求項1における「液体収納容器に備えられる接点」と「装置側接点」との「電気的」な「結合」ないし「接続」とは,接点同士の接触により電気信号のやり取り,。 が可能な状態となることを意味するものであることは 明らかであるしたがって,被告らの主張は理由がない。
b 構成要件1A3’について被告らは,本件訂正により,構成要件1A3に「前記キャリッジの移動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され」との構成が付加されているが(構成要件1A3 ,請求項に’)記載のとおり入れ替わるように配置されるかどうかは,液体インク収納容器を実際に記録装置に搭載した時に,記録装置側のキャリッジの動作を見て初めて確認できることであるから,上記訂正は,液体インク収納容器の構成を限定するものではなく,特許請求の範囲減縮するものではないと主張する。
しかしながら,本件訂正前の請求項1及び本件訂正後の請求項1の記載によれば,本件発明1及び本件訂正発明1は,組み合わせる装置(本件では,インクタンクを装着するプリンタ本体 )の構成を構成。
要件とすることにより,組み合わされる装置(本件では,インクタンク )の構成を特定するものであるということができるから,プリン 。
タ側の構成に係る構成要件(構成要件1A1〜1A4,同1A1’〜1A5 )も,インクタンクの構成を特定するために必要なものであ ’ることが認められる。
したがって,記録装置の構成に関するものである上記訂正も,発明の対象となる液体インク収納容器を,上記の構成を有する記録装置に着脱可能な容器に限定するものであるという意味で,特許請求の範囲減縮を目的とするものであると認められ,被告らの主張は理由がない。
c 構成要件1A5’について被告らは,本件訂正により 「前記キャリッジの位置に応じて特定 ,されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する」との構成(構成要件1A5 )が付加されているが 「前記キャリッジの位置に応じて特定さ ’,れた」という意味が不明確である上,本件明細書には 「液体インク,収納容器位置検出手段」についての説明はなく,これがいかなる機構を指すのかが不明であることから 「液体インク収納容器位置検出手 ,段」とは,本件訂正により新たに加えられた構成であって,上記訂正は実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものであると主張する。
しかしながら,前記( )イ(ア)c及びeのとおり,請求項の記載及 1び本件明細書の発明の詳細な説明の記載からすると,構成要件1A5’の「前記キャリッジの位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する」とは,各インクタンクが,その本来装着されるべき搭載位置が上記受光手段に対向する位置に来た時に,インクタンク上の発光部を発光させることにより,上記受光部が上記発光を受光することができるか否かによって,各インクタンクがその本来装着されるべき位置に装着されているかどうかを確認すること(すなわち,本件光照合処理を行うこと)を意味するものであると認められ 「前記キ,ャリッジの位置に応じて特定された」とは,キャリッジのシャフト上における位置に応じて特定された,という意味であることは明らかである。
したがって,上記訂正は,新たな構成を加えたり,実質上特許請求の範囲拡張又は変更するものとは認められず,被告らの主張は理由がない。
なお,被告らは,記録装置において液体インク収納容器が正しい位置に搭載されているか否かを判断できるという効果は,特定の構成が記録装置側に備わっていて初めて得られるものであり,液体インク収納容器側の構成によって実現される効果ではないから,上記訂正は,液体インク収納容器の構成を限定するものとはいえず,特許請求の範囲減縮するものではないとも主張するが,上記主張に理由がないことについては,上記bと同様である。
d 構成要件1D’について被告らは,本件明細書には 「受光手段に投光するための光を発光 ,する発光部 という記載はないから構成要件1Dの 発光部 を 受 」,「」「光手段に投光するための光を発光する発光部」に訂正することは,本件訂正前の本件明細書に記載のない新規事項の追加に当たるものであり,特許法134条の2第5項で準用する126条3項に違反すると主張する。
しかしながら,本件明細書に「受光手段に投光するための光を発 ,光する発光部」に相当する構成が開示されていることについては,段落【0036 【0038】ないし【0047 【0073 【0 】,】 ,】,079】及び図3(a)などの記載から明らかであり,かかる訂正が特許請求の範囲を実質上変更するものとは到底認められない。
また,被告らは,本件訂正発明1は液体インク収納容器についての,「」, 発明であるところ 上記訂正によって追加記載された 受光手段 は記録装置側の構成要素であって,液体インク収納容器に係る発明の構成要素ではなく,同訂正によって液体インク収納容器の発光部の構成が具体的に限定されるものではないから,同訂正は特許請求の範囲減縮するものではないとも主張する。
しかしながら,上記(ア)fのとおり,上記訂正が特許請求の範囲減縮するものであることについては,その記載自体から明白である。
したがって,被告らの主張は理由がない。
イ 争点3-5-2(本件訂正発明は,進歩性を欠くか)について被告らは,本件訂正発明1は,乙A1公報記載の発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであると主張する。
(ア) 乙A1公報の記載乙A1公報には,以下の記載が存在する(乙A1 。)【請求項11】識別情報を格納する記憶装置を備える印刷記録材容器が複数装着される印刷装置であって,前記複数の印刷記録材容器に備えられた各記憶装置をバス接続にて接続する信号線と,前記印刷記録材容器の交換要求を検出する交換要求検出手段と,前記印刷記録材容器の交換完了を検出する交換完了検出手段と,前記複数の印刷記録材容器が全て装着されているか否かを判定する装着判定手段と,前記複数の印刷記録材容器が全て装着されていると判定された場合には,前記信号線を介して前記各記憶装置と通信できるか否かを判定する通信判定手段と,前記各記憶装置と通信できないと判定された場合には,前記識別情報に基づいて,通信できなかった記憶装置を備える印刷記録材容器を特定する第1の印刷記録材容器特定手段とを備える印刷装置。
発明の詳細な説明】a 発明の属する技術分野本発明は,バス接続されている記憶装置を備えた印刷記録材容器が複数個用いられる場合に,印刷記録材容器の有無を検出する技術に関する (段落【0001 ) 。】b 従来の技術記憶装置を備える印刷記録材容器,例えば,インクカートリッジが実用化されている。記憶装置には,例えば,印刷記録材(インク)の量に関するデータ,インクの種類に関するデータ,インクカートリッ。,, ジの製造年月日情報等が格納されている カラープリンタでは 通常少なくともシアンインク,マゼンタインク,イエロインク,ブラックインクの4色が用いられる。したがって,ブラックインクカートリッジとカラーインクカートリッジといった2個のインクカートリッジ,または各インク色毎に4個のインクカートリッジがプリンタに装着される (段落【0002 ) 。】また,インクカートリッジに備えられた各記憶装置と制御回路とを接続する信号線数を低減するために,各記憶装置を識別するための信号線を廃止し,共通のバスを用いて各記憶装置を接続するバス接続の技術が知られている。この技術では,バス接続されている各記憶装置を特定(識別)するために,各記憶装置に対してユニークに割り当てられた識別子が利用される (段落【0003 ) 。】c 発明が解決しようとする課題しかしながら,バス接続形式では,インクカートリッジの取り外しは検出できるものの,複数のインクカートリッジが同時に取り外された場合には,どのインクカートリッジが取り外されたかを特定することができないという問題があった。さらに,インクカートリッジに備えられた各記憶装置とプリンタの制御回路との通信が正常に行われない場合には,いずれの記憶装置(インクカートリッジ)に異常が発生しているか報知されず,ユーザは全てのインクカートリッジを脱着して確認しなければならなかった (段落【0004 ) 。】本発明は,上記問題を解決するためになされたものであり,バス接続されている記憶装置を備える印刷記録材容器が印刷装置に複数装着される際に,印刷記録材容器に発生している通信異常を検出し,報知することを目的とする。また,いずれの印刷記録材容器が装着されていないかを検出することを目的とする。さらに,記憶装置と印刷装置との通信が正常に行われない場合に,いずれの印刷記録材容器に備えられている記憶装置が異常であるかを検出することを目的とする 段。(落【0005 )】d 課題を解決するための手段およびその作用・効果上記課題を解決するために本発明の第1の態様は,識別情報を格納する記憶装置が備えられた印刷記録材容器の異常検出装置を提供する。本発明の第1の態様に係る異常検出装置は,前記複数の印刷記録材容器に備えられた各記憶装置をバス接続にて接続する信号線と,前記信号線を介して全ての前記印刷記録材容器に備えられている前記記憶装置と通信できるか否かを判定する通信判定手段と,前記通信判定手段によって,全ての前記記憶装置と通信できないと判定された場合には,前記識別情報に基づいて,通信異常の発生した記憶装置を備える印刷記録材容器を特定する異常印刷記録材容器特定手段を備えることを特徴とする (段落【0006 ) 。】本発明の第1の態様に係る異常検出装置によれば,複数の印刷記録材容器に備えられている記憶装置と通信できるか否かを判定し,通信異常が発生している場合には,識別情報を用いて通信異常の発生した記憶装置を備える印刷記録材容器を特定するので,バス接続されている記憶装置を備える印刷記録材容器が印刷装置に複数装着される際に,いずれの印刷記録材容器に通信異常が発生しているかを検出することができる。ここで,通信異常の発生した記憶装置を備える印刷記録材容器を特定は,例えば,記憶装置に対して識別情報を送信し,送信した識別情報に対して記憶装置が応答するか否かに基づいて特定し。, , ても良い あるいは 記憶装置に格納されている識別情報を検索して目的とする識別情報が存在するか否かに基づいて特定しても良い 段。(落【0007 )】本発明の第1の態様に係る異常検出装置はさらに,前記複数の印刷記録材容器を,印刷記録材容器の取り外しができない位置まで移動させて前記印刷記録材容器が装着されているか否かを判定する装着判定手段と,前記印刷記録材容器が装着されていないと判定された場合には,前記通信異常は,印刷記録材容器が装着されていないことに起因すると判定する通信異常理由判定手段とを備えても良い。かかる場合,, には 印刷記録材容器の脱着を許容しない構造を備えることによって印刷記録材容器の有無をより確実に検出することができると共に,通信異常の理由が,印刷記録材容器の非装着に起因するものであると判断することができる (段落【0008 ) 。】本発明の第1の態様に係る異常検出装置において,前記異常印刷記録材容器特定手段は,前記複数の印刷記録材容器に対応する各識別情報を順次,検索し,検索できなかった識別情報が格納されている記憶装置を有する印刷記録材容器を,前記通信異常の発生した印刷記録材容器として特定しても良い (段落【0011 ) 。】本発明の第2の態様に係る報知装置において,前記印刷記録材容器に備えられている記憶装置は,互いにバス接続にて接続されており,前記記憶装置には固有の識別情報が格納されており,前記印刷記録材容器特定手段は,前記識別情報に基づいて,通信異常の発生した記憶装置を備える印刷記録材容器を特定しても良い。かかる構成を備える場合には,本発明の第1の態様に係る異常検出装置と同様の作用効果を得ることができる (段落【0017 ) 。】カラープリンタ10は,図示するように,キャリッジ11に搭載された印字ヘッドIH1〜IH6を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と,このキャリッジ11をキャリッジモータ12によってプラテン13の軸方向に往復動させる機構と,紙送りモータ14によって印刷用のカット紙Pを搬送する機構と,制御回路30とから構成されている。キャリッジ11をプラテン13の軸方向に往復動させる機構は,プラテン13の軸と並行に架設されたキャリッジ11を摺動可能に保持する摺動軸15と,キャリッジモータ12との間に無端の駆動ベルト16を張設するプーリ17等から構成されている。カ,, ラープリンタ10には インクカートリッジCAの交換を初めとするプリンタ10対する各種指示を入力するための操作ボタン,表示ランプ351を備える操作パネル35が備えられている (段落【003。
3)】制御回路30は,プリンタ10を印刷記録材容器(インクカートリッジ)の異常検出装置として機能させる他,プリンタ10の操作パネル35と信号をやり取りしつつ,紙送りモータ14やキャリッジモータ12,印字ヘッドIH1〜IH6の動きを適切に制御する。キャリッジ11にはインクカートリッジCA1〜CA6が装着されている。
例えば,インクカートリッジCA1には黒(K)インク,インクカートリッジCA2にはシアン(C)インク,インクカートリッジCA3にはライトシアン(LC)インク,インクカートリッジCA4にはマゼンタ(M)インク,インクカートリッジCA5にはライトマゼンタ(LM)インク,インクカートリッジCA6にはイエロー(Y)インクの各インクが収納されている (段落【0034 ) 。】次に,図2および図3を参照してインクカートリッジに備えられている記憶装置と制御回路30(パーソナルコンピュータPC)との接続状態について説明する。図2はキャリッジ11上に装着されているインクカートリッジCA1〜CA6と制御回路との接続状態を概略的に示す説明図である。図3はインクカートリッジCA1〜CA6に備えられている各記憶装置21〜26と制御回路30(パーソナルコンピュータPC)との接続状態を示すブロック図である。なお,図3では説明を容易にするために,記憶装置21,22,23,26を備えるインクカートリッジCA1,CA2,CA3,CA6とが代表して模式的に示されている。また,本実施例に係る印刷記録材容器の異常検出装置の構成は,図3に示す構成に限定されるものではない (段。
落【0036 )】各記憶装置21〜26は,既述のように,インクジェットプリンタ用の6色のインクカートリッジCA1〜CA6それぞれ備えられている。また,本実施例では,記憶装置として不揮発的に記憶内容を保持すると共に記憶内容を書き換え可能なEEPROMを用いた。各記憶装置21〜26は,その内部に,識別情報を格納する記憶素子(メモリアレイ ,送信されてきた識別情報と記憶素子内に格納されている )識別情報とを比較するIDコンパレータ,命令コードを解析するオペレーションデコーダ,アドレス位置をカウントアップするアドレスカウンタ,記憶素子に対する読み出し/書き込みを制御するI/Oコントローラ等を備えている (段落【0037 ) 。】各記憶装置21〜26内の記憶素子に格納されている識別情報は,それぞれインクカートリッジCA1〜CA6内に収容されているインク色を識別するための識別情報である。各記憶装置21〜26は,制御回路30から識別情報が送信されてくると送信されてきた識別情報と自己の識別情報とを比較解析し,解析した識別情報が記憶素子内に格納されている識別情報と一致する場合には,アクセス許可の応答信。, , 号を制御回路30に対して送り返す これによって 制御回路30はアクセスを所望するインクカートリッジCA1〜CA6に対して選択的にアクセスすることができる。また,識別情報が書き込みデータと共にデータ列として送信されてきた場合には,識別情報の一致を確認後,書き込みデータの書き込みを許容する (段落【0038 ) 。】各記憶装置21〜26のデータ信号端子DT,クロック信号端子CT,リセット信号端子RTは,データバスDB,クロックバスCB,。, リセットバスRBを介してそれぞれ接続されている 制御回路30はデータ信号線DLへ送出するためのデータ列を一時的に格納しておくバッファメモリを備えている。なお,信号線は,例えば,フレキシブル・フィード・ケーブル(FFC)として実現され得る (段落【0。
039 )】制御回路30の電源正極端子VDDHと各記憶装置21〜26の電源正極端子VDDMとは電源供給線VDLを介して接続されている。
また,各記憶装置21〜26の電源負極端子VSSは,キャリッジ11上の接地線GDLに接続されている。キャリッジ11上には,インクカートリッジCA1〜CA6に備えられているカートリッジアウト検出用端子CAOTをカスケードに接続するカートリッジアウト検出線CDLが配置されている。カートリッジアウト検出線CDLの一端は接地されており,他端はカートリッジアウト信号線COLを介してパーソナルコンピュータPCのカートリッジアウト検出端子COTと接続されている (段落【0040 ) 。】制御回路30は,CPU31を介して,クロック信号生成機能,リセット信号生成機能,電源監視機能,電源回路,データ記憶回路および各回路を制御する制御機能を実現する制御装置であり,記憶装置21〜26に対するアクセスを制御する。制御回路30は,カラープリンタ10の本体側に配置されており,電源がオンされると,データ信号線DL記憶装置21〜26から,インク消費量,インクカートリッジの装着時間といったデータを取得しデータ記憶回路に記憶する。また,電源がオフされる際には,データ信号線DLを介して記憶装置21〜26に対して,それぞれインク消費量,インクカートリッジの装着時間といったデータを書き込む(段落【0042 ) 。】制御回路30は,インクジェットプリンタの電源投入時,インクカートリッジの交換時,印刷ジョブの終了時,インクジェットプリンタ,。 の電源遮断時等に 記憶装置21〜26に対するアクセスを実行する,, 制御回路30は 記憶装置21〜26に対してアクセスする場合にはリセット信号生成回路に対してリセット信号RSTの生成を要求する。制御回路30は,インクカートリッジCAの装着の有無,通信の状態を検出する際には,インクカートリッジCA1〜CA6に対応する識別情報を順次,データ信号線DL上に送出する。これに対して,アクセスを所望するインクカートリッジCAが決まっている場合には,アクセスを所望するインクカートリッジCAの識別情報が先頭列に格納されているデータ列をデータ信号線DL上に送出して,各インクカートリッジCA1〜CA6の記憶装置21〜26に送信する 段。(落【0043 )】一方,制御回路30は,いずれかのインクカートリッジCAが装着されておらずCO≠0である,すなわち入力値が1であると判定した場合には(ステップS130:NO ,存在しない,すなわち,装着 )されていないインクカートリッジCAを検出する(ステップS150 。装着されていないインクカートリッジCAの検出に際しては, )制御回路30は,各記憶装置21〜26に割り当てられている識別情報を順次,データ信号線DLへ送出する。本実施例における記憶装置21〜26は,送出されてきた識別情報と自己が格納する識別情報と,, が一致する場合には 応答信号を制御回路30に対して送り返すので制御回路30は,応答信号の無い記憶装置を備えるインクカートリッジCAを装着されていないインクカートリッジCAとして検出する。
(段落【0051 )】制御回路30は,装着されていないインクカートリッジCAを検出すると,装着されていないインクカートリッジCAを報知する(ステップS160 。報知の態様としては,例えば,パーソナルコンピュ )ータPCを介して印刷処理が実行されている場合には,表示モニタMN上に表示されているインクカートリッジCAのステータスウィンド,, ウにおいて 装着されていないインクカートリッジCAを表示したりインクカートリッジが装着されていない旨を警告する警告文を表示するようにしても良い。あるいは,プリンタ10の操作パネル35上に各インクカートリッジに対応して備えられている表示ランプ351を点滅させるようにしても良い (段落【0052 ) 。】(イ) 乙A1公報記載の発明以上の記載から,乙A1公報には 「複数のインクカートリッジ(印 ,刷用記録材容器)を搭載して移動するキャリッジと,該インクカートリッジに備えられるデータ信号端子と電気的に接続可能なプリンタ側端子と,各インクカートリッジに対応して設けられ,装着されていない又は通信異常のあるインクカートリッジを点灯して示す操作パネル上の表示ランプと,搭載されるインクカートリッジそれぞれの前記端子と接続され,インクカートリッジを識別するための識別情報を送出するためのデータバスとを有し,装着されていない又は通信異常のあるインクカートリッジに対応する操作パネル上の表示ランプを点灯させ,その点灯結果に基づいて装着されていない又は通信異常のあるインクカートリッジを報知するカラープリンタのキャリッジに対して着脱可能なインクカートリッジであって,前記データバスに接続可能な前記データ信号端子と,(), インクカートリッジの識別情報を格納するEEPROM 記憶装置 と前記データ信号端子から入力される識別情報と,前記メモリアレイに格納されている識別情報とに応じて応答する記憶装置と,を有するインクカートリッジ 」の発明が開示されているものと認められる(以下「乙 。
A1発明」という 。。)(ウ) 本件訂正発明1と乙A1発明との対比a 乙A1発明の「インクカートリッジ」及び「インクカートリッジに備えられるデータ信号端子」は,それぞれ,本件訂正発明1の「液体インク収納容器 (構成要件1A1’等)及び「液体インク収納容器 」に備えられる接点 (構成要件1A2 )に相当するものと認められ 」’る。また,乙A1公報には,本件訂正発明1の「液体インク収納容器に備えられる接点と電気的に接続可能な装置側接点 (構成要件1A」2 )を備える点について明示の記載はないが 「インクカートリッ ’,ジに備えられるデータ信号端子」がキャリッジに設けられたデータバスに接続されていることから,キャリッジ側に対応する端子(接点),, が設けられていることは当業者にとって自明であって 乙A1発明は「液体インク収納容器に備えられる接点と電気的に接続可能な装置側接点」及び「前記装置側接点と電気的に接続可能な前記接点 (構成」要件1B )を備えていると認められる。 ’乙A1発明の「データバス」は,各インクカートリッジのデータ信号端子と接続し,バス接続,すなわち,共通な電気的接続となっており,インクカートリッジ(の色)を識別するための識別データを送信するための配線を有した電気回路であると認められる。したがって,乙A1発明は,構成要件1A4’の「搭載される液体インク収納容器それぞれの前記接点と接続する前記装置側接点に対して共通に電気的接続し色情報に係る信号を発生するための配線を有した電気回路」を備えていると認められる。
乙A1発明の「識別情報」は,インク色を示すものであるから,乙A1発明の「インクカートリッジの識別情報を格納するEEPROM(記憶装置 」は,構成要件1C’の「液体インク収納容器のインク )色を示す色情報を保持可能な情報保持部」に相当するものと認められる。
したがって,本件訂正発明1と乙A1発明は,構成要件1A1 ,’1A2 ,1A4 ,1A6 ,1B ,1C’及び1F’に相当する ’’’’構成を備える点で一致し,以下の点で相違すると認められる。
(a) 相違点1記録装置に関して,本件訂正発明1は,構成要件1A3 (前記’キャリッジの移動により対向する前記液体インク収納容器が入れ替わるように配置され前記液体インク収納容器の発光部からの光を受光する位置検出用の受光手段を一つ備え,該受光手段で該光を受光することによって前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する液体インク収納容器位置検出手段)及び同1A5 (前記キャリッジ’の位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する記録装置)に相当する構成,すなわち,本件光照合処理に用いられる受光部等の液体インク収納容器の位置検出手段を有するのに対し,乙A1発明はこれを有しない点。
(b) 相違点2液体インク収納容器に関して,本件訂正発明1の液体インク収納容器に「受光手段に投光するための光を発光する発光部」が備えられている(構成要件1D )のに対し,乙A1発明のインクカート ’,, リッジには発光部が備えられておらず プリンタ側の操作パネルに装着されていない又は通信異常のあるインクカートリッジを報知するための表示ランプが備えられている点。また,本件訂正発明1では,インクタンク内に,前記接点から入力される前記色情報に係る信号と,前記情報保持部の保持する前記色情報とに応じて前記発光部の発光を制御する制御部を備える(構成要件1E )のに対し,’乙A1発明では,インクカートリッジ内の記憶装置(制御部)は,() , プリンタとの接点から入力される色情報 識別情報 に係る信号と記憶装置の保持する前記色情報とが一致した場合に,応答信号をプリンタ側の制御回路に対して送り返す動作を制御するものの,上記記憶装置(制御部)においてプリンタ側の表示ランプ(発光部)を発光させるものではない点。
(エ) 本件訂正発明1の容易想到性の有無被告らは,前記相違点1及び2に係る構成は,いずれも本件特許の最先の優先日当時において周知慣用技術であったものであり,同技術は乙A18公報及び乙A17公報等にも記載されているから,これらの技術を乙A1発明に適用することは当業者にとって容易であったと主張する。
しかしながら,次のとおり,相違点1及び2に相当する構成は,乙A18公報及び乙A17公報等に開示されているとは認められず,このほかに,上記相違点に相当する構成が本件特許の最先の優先日当時において周知慣用技術であったことを認めるに足りる証拠もない。
したがって,被告らの主張は理由がない。
a 乙A18公報の記載証拠(乙A18)によれば,乙A18公報には 「複数のインクタ,ンクを搭載して移動するキャリッジと,前記インクタンクの発光手段からの光を受光する光センサを備えたインクジェット記録装置に対して着脱可能なインクタンクにおいて,前記光センサに投光するための。」 光を発光する前記発光手段を有することを特徴とするインクタンクの発明が開示されているものと認められる(請求項1,4〜8,段落【】【】,【】,【】,【】, 0001 〜 0003 0006 0007 0010【0011 【0012 【0014 【0017 【0020 , 】,】,】,】,】【0021 【0028 【0032 【0033 【0057 , 】,】,】,】,】【0058 【0061 ,図7 。 】,】)しかしながら,同公報記載の発明は,インク色ごとに光の吸収スペクトルが異なることに着目し,立体形半導体素子から一定の範囲の波長を含む光を発光させ,その光をインク中に透過させて,インクタンク外にある受光手段で受光させ,どの波長が最も吸収されたかを検知することで,当該インクの種類を判別するものであって(段落【0014 【0020 【0057 【0058 ,上記立体形半導体 】,】,】,】)素子に当該インクタンクのインク色を示す色情報が保持される(構成要件1C )ものではない。’このように,同公報記載の発明における発光部及び受光部と,本件訂正発明1における発光部及び受光部とは,これらを用いることにより当該インクタンクの色情報(本件訂正発明1においては,受光部に対向するインクタンクの色情報)を判別するための原理も,その果たす役割も,全く異なるものであり,同公報中に,本件訂正発明1における本件光照合処理のような構成や技術思想を示唆する記載は存在しない。
さらに,同公報記載の発明は,従来の構成ではインクタンク内に検出用の電極を配置する必要があったため,インク成分に金属イオンを用いることができないなど,使用するインクに制約が生じてしまうという課題があることを解決するために,立体形半導体素子への外部エネルギーの供給を非接触で行う構成としたものであるから(段落【0006 【0017 ,乙A1発明のように,立体形半導体素子と 】,】)プリンタとを電気的につなぐための接点を設けることは,むしろ,上記発明の技術思想に反するものであるということができる。
したがって,乙A1発明に乙A18公報記載の発明を適用する動機付けはなく,仮に乙A1発明に乙A18公報記載の構成を組み合わせても,本件訂正発明1に想到することが容易であるということはできない。
b 乙A17公報の記載証拠(乙A17)によれば,乙A17公報には,各インクタンク内に配置された,インクタンクの色ごとに応答条件が異なる通信機能を有する立体形半導体素子が,インクジェット記録装置側に設けられた通信回路と,外部と非接触の無線によって,インクタンクの色ごとに独立した通信を行うことが開示されていると認められる(段落【0037 【0039 【0040 【0044】〜【0047 【0 】,】,】,】 ,050 【0052 ,図3等 。 】,】)このように,同公報には,インクタンク内の立体形半導体素子とインクジェット記録装置側とが,インクタンクの色ごとに独立した通信を行うことが可能な構成が開示されているものの,本件訂正発明1における方法でインクタンクの誤装着を検出する方法,すなわち,インクタンクの発光部を所定の位置で発光させ,これをプリンタ側の受光部で受光することによって,当該インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを検出するという,本件光照合処理(構成要件1A3,1A5 )に係る記載ないし同構成を示唆する記載は存在しない ’’ものと認められる。
,, , また 乙A17公報記載の発明も 乙A18公報記載の発明と同様外部からのエネルギーをインクタンク内の立体形半導体素子に非接触で供給することを技術的特徴とするものであるから(段落【000】,【】,【】,【】),, 6 0029 0033 0034 乙A1発明のように立体形半導体素子とプリンタとを電気的につなぐための接点を設けることは,同発明の技術思想に反するものであるということができる。
したがって,乙A17公報記載の発明を乙A1発明に組み合わせる動機付けはなく,また,乙A17公報には,相違点1に係る構成のすべて及び相違点2に係る構成のうち構成要件1B’及び1E’に相当する構成については,開示されていないと認められるから,乙A1発明に同公報記載の構成を組み合わせても,本件訂正発明1に想到することが容易であるということはできない。
c その他の公報について被告らは,相違点1及び2に係る構成が本件特許の最先の優先日当時において周知技術であったことを裏付けるものとして,上記各公報のほかに,乙A2ないしA6,A36,A37,A51,A67各公報も挙げているが,いずれの公報にも,受光部等の構成が断片的に記載されているだけで,上記相違点に係る構成は開示されていないと認められ,これらの公報の記載を総合しても,上記相違点に係る構成が周知技術であったと認めることはできない。
(a) 乙A2公報証拠(乙A2)によれば,乙A2公報記載の発明は,インクタンク中に球状の立体形半導体素子31を浮遊させ,外部からインクタンク内に光を当てて素子31の位置を測定することで,素子の位置によりインクタンクの交換の必要を判断するというものであって,インクタンクが正しい位置に装着されているか否かを確認するための手段ではなく,インクタンクに発光部が設けられているものでもないことが認められる。
(b) 乙A3公報及び乙A4公報証拠(乙A3,4)によれば,乙A3公報及び乙A4公報記載の発明は,インク残量が少ないことをユーザーに報知するためにインクタンクにLEDからなる発光部を設けるものであり,発光部からの光を受光する受光手段が開示されていないことが認められる。
(c) 乙A5公報証拠(乙A5)によれば,乙A5公報には,各インクカートリッジの底部にプリズム状のインク残量検知部を設け,それに対して記録装置側の発光部から発光し,反射光を記録装置側の受光部で受光する構成が開示されている(図12等)ものの,インクカートリッジに発光部,情報保持部及び制御部が設けられていないものであることが認められる。
(d) 乙A6公報証拠(乙A6)によれば,乙A6公報記載の発明は,インクカートリッジにインクロー又はインクエンドのエラーが発生した場合,エラーの発生したインクカートリッジごとにキャリッジを異なる位置に移動させ,さらに,プリンタ本体に付けられた発光ダイオードを点滅させたり点灯させたりすることで,どのインクタンクにどのようなエラーが生じたかを知らせるというものであり,インクタンクに発光部や制御部が設けられていないことが認められる。
(e) 乙A36公報証拠(乙A36)によれば,乙A36公報には,インクジェットプリンタにおいて,プリンタ側のエミッタ(発光素子)からインクカートリッジ上の指標位置(反射部)に光を当て,反射してインクカートリッジから戻ってきた光を,プリンタ側に一つ備えられた検出器が受け取ることによって,キャリッジのどのカートリッジ位置にどのインクカートリッジが取り付けられているかを識別する構成,及び,かかる構成が,移動するキャリッジ上に複数装着され,キャリッジの移動により「検出器」に対して入れ替わるように配置されたインクカートリッジの識別にも適用可能であることが開示されていると認められる。
しかしながら,上記構成は,インクカートリッジに発光部を設けるのではなく,プリンタ側から発光した光を,インクカートリッジの表面に添付されたラベル上の光学的に読み取り可能な指標(当該カートリッジの種類を識別する符号化された情報)において反射させ,その反射光をプリンタ側の受光部で受け取り,同受光部で上記光学的指標を読み取ることによって,インクカートリッジの種類を識別するというものである。
(f) 乙A37公報証拠(乙A37)によれば,乙A37公報記載の発明は,インクカートリッジに備えられた記憶装置に対して,色情報を照合して特定のインクカートリッジの記憶装置にアクセスし,その情報を書き換えるというものであり,バス接続を使用するプリンタにおけるインクタンク内のメモリの取扱いについて開示するものであるが,相違点1及び2に係るその余の構成を開示するものではない。
(g) 乙A51公報証拠(乙A51)によれば,乙A51公報記載の発明は,インクカートリッジに無線通信可能な回路チップを搭載することで,インクカートリッジとプリンタ本体の無線通信の有無により,インクカートリッジがプリンタ本体に適切に装着されたか否かを確認するというものであり,インクタンクに発光部及びその発光を制御する制御部を設けたり,プリンタ本体に受光部を設けるものではなく,相違点1及び2に係る構成を開示するものではないことが認められる。
乙A67公報(h)証拠(乙A67)によれば,乙A67公報には 「インクタンク,の底面部に第1及び第2のルーフミラーユニットを設けると共に,プリンタ装置側には受光素子を備えたフォトセンサを一つ設け,インクタンクを所定の方向に移動させたときに,受光素子側でルーフミラーユニットにおけるルーフ状ミラーの数量の違いによる光量ピーク値の差を検知することで,インクタンク単体での情報を認識することができ,各色のインクタンクを識別する構成 」が開示され。
ていると認められる。
しかしながら,上記構成は,乙A36公報記載の発明と同様,インクカートリッジに発光部を設けるのではなく,プリンタ側から発光した光を,インクタンクに設けた反射体において反射させ,その反射光をプリンタ側の受光部で受け取ることによって,インクタンクの種類を識別するというものである。
したがって,乙A67公報に相違点1及び2に相当する構成が開示されていると認めることはできない。
ウ 争点3-5-3(本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項1号(サポート要件)に違反するか)について被告らは,本件明細書の発明の詳細な説明には,液体インク収納容器に備えられた「発光部の発光を制御する制御部 (構成要件1E )の構成 」’が開示されているとは認められず,特許法36条6項1号に違反すると主張する。
しかしながら,構成要件1E’の「発光部の発光を制御する制御部」の意義及びインクタンク内に設けられたICチップ内の制御部が上記「制御部」に該当することについては,前記( )イ(オ)のとおりであり,本件明 1細書の発明の詳細な説明には,インクタンクに備えられた「発光部の発光を制御する制御部」の構成が開示されていると認められる。したがって,被告らの主張は理由がない。
また,被告らは 「液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成 ,」要件1A3 )とは 「各インクタンクがキャリッジ上のどの位置に搭載 ’,」, されているかを検出する という意味であると解釈することを前提として本件明細書の発明の詳細な説明には「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」構成が開示されているとは認められず,特許法36条6項1号に違反するとも主張する。
しかしながら,構成要件1A3’の「液体インク収納容器の搭載位置を検出する」とは 「 本件光照合処理により,プリンタにおいて )インク ,( ,タンクが正しい位置に搭載されているか否かを認識する」ことを意味するものと解されることについては,前記( )イ(ア)cのとおりである。被告 1らの上記主張は,その前提を欠くものであり,理由がない。
エ 争点3-5-4(本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は,特許法36条6項2号(明確性要件)に違反するか)について被告らは,? 原告は,本件訂正により,受光手段が液体インク収納容器の発光部からの光を受光すること(構成要件1A3 )及び発光部が受’光手段に投光するための光を発光すること(構成要件1D )を追加した’ものの,上記訂正後においても 「投光するための光」と「液体インク収 ,納容器の発光部からの光」との関係は不明りょうであり,受光時における発光部と受光手段との位置関係は明確でない,? 受光時における発光部と受光手段との位置関係について,本件訂正により 「前記キャリッジの,位置に応じて特定されたインク色の前記液体インク収納容器の前記発光部を光らせ,その光の受光結果に基づき前記液体インク収納容器位置検出手段は前記液体インク収納容器の搭載位置を検出する (構成要件1A5 ) 」’との構成が追加されたものの 「前記キャリッジの位置に応じて特定され ,」, たインク色の前記液体インク収納容器という構成の意義が不明確であると主張する。
しかしながら,本件特許における請求項の記載及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載から 「発光部」と「受光手段」の関係や,いかなる方 ,法により液体収納容器の「搭載位置の検出」がされるのかなど,構成要件1A3’及び1A5’の意味について明確に理解することができることについては,前記( )に認定したとおりであるから,被告らの主張は理由が 1ない。
また,被告らは,本件訂正発明1において,構成要件1A1’ないし1A5’の部分には 「請求される物」としての「液体インク収納容器」以 ,外の他の物である「記録装置」が記載されており,同構成要件の記載は,「液体インク収納容器」の技術的特徴を示すものとなっておらず,これらの記載からは,特許を受けようとする発明が明確でないとも主張する。
しかしながら,本件訂正発明1は,組み合わせる装置(本件では,イン。), クタンクを装着するプリンタ本体 の構成を構成要件とすることにより組み合わされる装置(本件では,インクタンク )の構成を特定するもの 。
ということができるから,プリンタ側の構成に係る構成要件(構成要件1A1’〜1A5 )も,インクタンクの構成を特定するために必要なもの ’であることが認められる。そして,請求項の記載及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載から,構成要件1A1’ないし1A5’の意味について明確に理解することができることについては,前記( )で認定したとおり1である。したがって,特許を受けようとする発明が明確でないとは認められず,被告らの主張は理由がない。
オ 争点3-5-5(本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,特許法36条4項1号(実施可能要件)に違反するか)について被告らは,? 本件訂正発明1の請求項は,液体インク収納容器の任意の位置に「発光部」が存在し,それに対していかなる位置に「受光手段」「」 「」 , や 受光部 が存在しようとも 発光部からの光を受光することができそれによって液体インク収納容器の搭載位置が検出できるような記載となっているところ,本件明細書の発明の詳細な説明には,いかなる位置関係であっても「発光部」から「受光手段」への投光を可能とするための実現手段は開示されていない,? 本件明細書の記載からは,誤装着されているインクタンクの位置が正しい装着位置と隣接している場合に,どのようにすれば,隣接している位置からの発光やその他プリンタの使用環境に存在する周囲の光は受光せずに,インクタンクが誤装着しているものとして区別して認識することができるのか,その実現手段が明確でない,? 仮に,構成要件1A5’の「前記キャリッジの位置に応じて特定された」の意味を 「移動するキャリッジのシャフト上における位置に応じて特定さ ,れた」という意味に解したとしても,上記構成要件の記載からは,キャリッジがシャフト上のいかなる位置に来たときに,キャリッジ内のどのインクタンクを「光らせ」るのかについての特定がされておらず,本件明細書には,液体インク収納容器の発光部が受光手段と対向する位置ではなく,そもそもキャリッジ自体が受光手段から著しく離れた位置や障害物により光が遮断される位置にある場合であっても 「発光部」から「受光手段」 ,への投光を可能とする実現手段は開示されていない,として,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は特許法36条4項1号に違反すると主張する。
しかしながら,特許法36条4項は,明細書の発明の詳細な説明の記載は,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものでなければならない旨を定めるものであるところ,本件特許における請求項の記載及び本件明細書の発明の詳細な説明の記載から 「発光部」と「受光手段」の関 ,係や,いかなる方法により液体収納容器の「搭載位置の検出」がされるのか(すなわち,本件光照合処理の方法により,インクタンクが正しい位置に装着されているか否かをプリンタ側において認識することができること )など,構成要件1A3’及び1A5’の意味について明確に理解す 。
ることができることについては,前記( )に認定したとおりである(した 1がって,被告らの主張する上記?及び?のような解釈がとられるものでないことは明らかである 。そして,これらの本件光照合処理についての 。)記載や光照合処理の実施例の説明を読めば,当業者であれば,本件光照合処理を実現するために「発光部」と「受光手段」をどのように具体化すれ,。 ばよいのかということを 容易に理解することが可能であると認められるまた,本件光照合処理の構成を実現するために,原告製インクタンクのように,適当な閾値を設定して,受光手段に向き合ったインクタンクからの発光をその他の光から区別する方法を採ったり,発光部からの光を導光路部材を用いて受光部まで導く方法を採ることなどは,当業者が適宜選択すべき設計的事項にすぎないというべきである。これら発明の実施に当たって取り決める詳細設計が明細書に開示されていないからといって,本件発明を当業者が実施することができないとはいえない。
したがって,本件明細書の発明の詳細な説明の記載は,当業者が発明を実施するのに十分な程度のものであると認められ,被告らの主張は理由がない。
カ小括以上のとおりであるから,本件訂正後の請求項1に係る特許につき被告らの主張する無効理由はいずれも理由がないから,仮に,本件特許1に無効理由があるとしても,本件訂正により,その無効理由をいずれも解消することができるというべきである。
したがって,被告らの主張する本件特許1の無効理由(前記争点3-1ないし3-3)についても,理由がない。
( ) 争点4(原告が被告らに対して本件特許権に基づき被告製品2の輸入, 3販売等の差止めを求めることは,独占禁止法に違反し,権利を濫用するものか)について被告らは,独占禁止法21条は,特許権者が特許権の行使に名を藉りて濫用的に競争制限行為に及んだ場合にまで独占禁止法の適用を除外する趣旨ではなく,特許権を行使する行為が独占禁止法上違法で公序良俗違反と評価される場合には,その特許権の行使は,権利の濫用として許されないものとされるべきである,とした上で,? 原告は,平成17年9月,それ以降に発売するプリンタを発光機能付きの原告製インクタンクでないと動作しないように設計した上,ICチップが搭載された原告製インクタンクの製造販売を開始したものの,前記のとおり,原告製プリンタにインクタンクを誤装着する場合としてあり得るのは,同色のインクタンクを2個装着した場合だけであり,かかる誤装着は,本件光照合処理によらずに防止することができる,,, ? また すべての色が装着されたが位置が違っていたというミスの場合は本件光照合処理によりユーザーにエラーが報知されるとしても,インクカートリッジが受光部の近傍まで移動した後に,タイムラグがあって報知されるので,エラーに気づいたときには,すでにキャリッジ部分に違った色のインクが浸透して混色が進んでしまうという欠点があり,誤装着による問題点の解消には,実用上ほとんど意味がない,? したがって,原告製インクタンクは,ユーザーが互換品を使用することを妨げる,いわゆる特定のプリンタとの抱き合わせ商品であって,原告は,プリンタの供給に併せてユーザーに原告製インクタンクを購入するよう強制しているから 独占禁止法19条 不 ,(公正な取引方法第10項「抱き合わせ販売等 )に違反する,? また,原 」告は,上記?のとおり,ICチップ搭載による発光機能の付加が誤装着による問題点の解消に実用上ほとんど意味のないものであったにもかかわらず,競争関係にある再生業者や互換品業者の参入を阻止するため,技術上の必要性等の範囲を超えて,原告製インクタンクにICチップ搭載による発光機能を付加させたものであり,これにより,ユーザーが原告以外の事業者から別のインクカートリッジを購入することを長期間にわたって不当に妨害しているから,独占禁止法19条(不公正な取引方法第15項「競争者に対する取引妨害 )に違反する,? そうすると,本件訴えは,上記独占禁止法違反 」行為によって,市場を独占し,不当な利益を享受していた原告が,相次いで互換品を発売した互換品業者の市場参入を阻止し,自らの独占を維持するために,インクカートリッジの消費者の選択肢を奪い,市場に認知されている互換品の製造販売業者を一挙に締め出すことを意図して,本件特許権の存在を利用して技術上の必要性等の範囲を超えてしたものであって,独占禁止法に違反し,公序良俗に反するというべきであるから,権利濫用として許されない,と主張する。
しかしながら,原告製プリンタにおいてインクタンクの誤装着が生じる場合は2個同色を装着する場合に限られず,本件光照合処理により誤装着を防止することのできる場合も想定し得ることについては,前記( )イ(オ)cで1認定したとおりである。また,被告らの主張する上記?の事実については,これを客観的に裏付けるに足りる証拠は存在しない。そうすると,原告製プリンタ及び原告製インクタンクは,本件明細書に記載された本件発明1及び2の課題(インクタンクの形状をインクタンクごとに異ならせたり,インクタンクとプリンタとをつなぐ信号線を個別の配線としたりすることによる,製造効率の悪化やコスト増を招かない方法により,インクタンクの誤装着を防止すること)を,本件光照合処理によりインクタンクが正しい位置に搭載されているか否かを検出する構成を有するプリンタ及びインクタンクによって解決するために開発され,製造,販売されているものといえ,原告のかかる行為は,技術的必要性という合理的な理由基づくものといえる。
そうである以上,原告が本件特許権1に基づき,同特許権を侵害する被告製品2の販売等の差止めを求めることが,権利の行使に名を藉りた濫用的なものであるということはできない。被告らの主張は理由がない。
( ) 以上のとおり,被告製品2は,本件発明1の技術的範囲に属するものと 4認められ,かつ,本件特許1は,無効とされるべきものとは認められない。
また,前記第2の1( )ウのとおり,被告らにおいて被告製品2を販売して 5いることが認められる。
したがって,原告の被告らに対する特許法100条1項に基づく被告製品2の販売又は販売のための展示の差止請求は,理由がある。
なお,前記第2の1( )ウのとおり,被告製品は,エステー産業の100 5%子会社である香港法人において製造されており,エステー産業において同香港法人から被告製品を輸入して被告プレジールに販売し,被告プレジールから他の被告らに販売されていると認められる。
原告は,被告らは現在被告製品を輸入しているものではないとしても,今後被告製品を輸入するおそれがあると主張して,被告らに対し,被告製品の輸入の差止めも請求する。しかしながら,被告らがこれまでに被告製品を輸入した事実がないことについては上記のとおりであり,本件証拠を精査しても,被告らにおいて今後被告製品を輸入するおそれがあることを具体的に裏付けるに足りる証拠はない。
したがって,被告らに対して被告製品2の輸入の差止めを請求する原告の主張は,理由がない。
2 本件特許権2に基づく被告製品2の輸入,販売等の差止請求の可否以上のとおり,本件では,本件特許権1に基づく被告製品2の販売及び販売のための展示の差止請求が認められるものであるが,本件の事案にかんがみ,本件特許権2に基づく被告製品2の輸入,販売等の差止請求の可否についても判断を加える。
( ) 争点2(間接侵害の成否)について 1ア 原告製プリンタ前記1のとおり,原告製プリンタは,複数の被告製品2を互いに異なる位置のタンクホルダに搭載して移動するキャリッジ(構成要件2A1,2A1 )を備え,タンクホルダには,被告製品2に設けられた基板と電気 ’的に接続する接点(構成要件2A2,2A2 )が設けられている。 ’また,原告製プリンタには,被告製品2からの光を受光する受光手段が一つ設けられ,各インクタンクと接続するタンクホルダのコネクタが,タ,, ンクホルダの裏側において共通の配線で接続され 本件光照合処理により各インクタンクの装着位置を確認することができる(構成要件2A3,2A4,2A3 ,2A4 。’’)したがって,原告製プリンタは,構成要件2A1ないし2A4及び同2A1’ないし2A4’を充足する。
イ 被告製品2前記1のとおり,被告製品2は,原告製プリンタのキャリッジに着脱可能(構成要件2B,2B )であり,プリンタ側の接点と電気的に接続可 ’能な接点(基板 (構成要件2D1,2D1 )を備え,基板に設けられ )’たICチップに各インクタンクの色に応じた色情報を保持し(構成要件2D2,2D2 ,基板の上部には,上記受光部に投光するための光を発 ’)光する発光部(構成要件2D3,2D3 )が設けられており,原告製プ ’リンタに装着すると,本件光照合処理が行われる(構成要件2D4,2D4,2E,2F 。 ’’’)したがって,被告製品2は,構成要件2B,2D1ないし2D4,2B,2D1’ないし2D4 ,2E’及び2F’を充足し,被告製品2を ’’,「」 装着した原告製プリンタは 構成要件2C及び2Eの 液体供給システムないし同2C’及び2G’の「液体インク供給システム」に該当し,同構成要件を充足する。
ウ 「その物の生産に用いる物」及び「発明による課題の解決にとって不可欠なもの (特許法101条2号) 」被告製品2は,これを原告製プリンタに装着すると,本件発明2及び本件訂正発明2の「液体供給システム」ないし「液体インク供給システム」,。 を生成するものであると認められることについては 上記のとおりであるしたがって,被告製品2が,本件発明2及び本件訂正発明2の「液体供給システム(液体インク供給システム」の「生産に用いる物 (特許法 )」101条2号)に該当することは明らかであり,かつ,インクタンクの誤った位置への装着を解消するという,上記各「発明による課題の解決にとって不可欠なもの」であると認められる。
これに対し,被告らは,原告製プリンタは,誤って2個同色を装着するという同プリンタにおいてインクタンクの誤装着を生ずる唯一の場合に,本件光照合処理による誤装着の検出を行わないものであるから,本件発明2及び本件訂正発明2の特徴的技術手段である,上記誤装着検出手段を直接形成するものには当たらず,特許法101条2号所定の,本件発明2及び本件訂正発明2の「課題の解決に不可欠なもの」に該当しないと主張する。
しかしながら,原告製プリンタにおいてインクタンクの誤装着を生ずるのは 誤って2個同色を装着する場合に限られないことは前記1( )イ(オ) , 1cで認定したとおりであるから,被告らの主張はその前提を欠くものである。
被告製品2は,発光部や制御部,情報保持部といった構成を備えることにより,原告製プリンタと協働して,システムとしての機能を達成しているといえるから 「発明による課題の解決にとって不可欠なもの」である ,と認められる。
エ 「日本国内において広く一般に流通しているもの (特許法101条2 」号)について被告らは,被告製品2は,市場において広く取引され,たやすく入手することができる物であり,本件発明2及び本件訂正発明2の特徴的機能を有しない67機種の原告製造のプリンタにおいても使用することができる,, 一方 同機能を有している原告製プリンタの数は23機種にすぎないから仮に,同製品が本件発明2及び本件訂正発明2の実施に適しているとしても,それ以外の用途も有する汎用品であるといえ,特許法101条2号所定の「日本国内において広く一般に流通しているもの」に該当すると主張する。
しかしながら,特許法101条2号所定の「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは,より広い用途を有するねじや釘のような普及品を想定して制定されたものである。原告製プリンタにしか使用することができない被告製品2は,発光と受光という本件発明の特徴的機能を有しない機種計67機種の他の原告製プリンタにも使用することができるとしても,汎用品ということは到底できず 「日本国内において広く一般に流 ,通しているもの」とは認められない。上記「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは,汎用の部品や材料が,特許発明侵害する製品の製造に用いられたとしても,間接侵害とならないように設けられた規定であり,被告製インクタンクは,原告製プリンタ専用のインクタンクであるから,到底,汎用の部品とはいえない。
したがって,被告製品2は 「日本国内において広く一般に流通してい ,るもの」とは認められない。
消尽について被告らは,特許製品としての原告製プリンタ及び同梱インクタンクが,特許権者である原告により,我が国においていずれもユーザーに譲渡された時点で,本件特許権2は消尽し,原告は,当該特許製品であるプリンタ及びインクタンクについて特許権を行使することはできないと主張する。
しかしながら,インク供給システムの発明において,インクタンクは,プリンタ装置本体と同等に重要な構成要素(主要な部品)であるといえ,その主要な部品を新たなものに交換する行為は,修理等の域を超えて,実施対象を新たに生産するものと考えられるから,被告製インクタンクを原告製プリンタに装着する行為は,インク供給システムの新たな生産とみなすことができ,本件特許権2は消尽していないと解するのが相当である。
カ小括被告らは,被告製品2を 「CANON対応製品 「キヤノン互換イン ,」,クカートリッジ」として販売しており,被告製品2が原告製プリンタに装着されると上記各発明の実施に使用されることを理解した上で,被告製品2を販売している。
したがって,被告製品2を販売する行為は,特許法101条2号により本件特許権2を侵害するものとみなされる。また,被告らは,本件特許2についても,同特許の特許無効審判により無効にされるべきものであると主張するものの(争点3 ,その主張する無効理由は,本件特許1につい )て主張する無効理由とほぼ同様のものであるから,前記1で判示した点に照らして,同主張に理由がないことは明らかである。
したがって,原告の被告らに対する特許法100条1項に基づく被告製品2の販売又は販売のための展示の差止請求は,理由がある。
3 被告製品1に関する請求について原告は,前記第2の3のとおり,被告製品1が本件特許権を侵害する旨の主張を第4回弁論準備手続期日において撤回し,本件訴訟において,被告製品1が本件特許権を侵害する旨の主張はしていない。
したがって,原告の請求のうち,被告製品1の輸入,販売及び販売のための展示の差止めを求める部分については,理由がない。
4結語よって,原告の請求は主文第1項の限度で理由があるから認容し,その余の請求についてはいずれも理由がないからこれを棄却することとし,仮執行宣言,。 については相当でないからこれを付さないこととして 主文のとおり判決する
裁判長裁判官 阿部正幸
裁判官 山門優
裁判官 柵木澄子
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