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関連ワード 進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  周知技術 /  慣用技術 /  均等 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  減縮 /  取消決定 / 
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事件 平成 16年 (行ケ) 224号 特許取消決定取消請求事件
原告 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
訴訟代理人弁理士 石島茂男
同 阿部英樹
被告 特許庁長官小川洋
指定代理人 杉野裕幸
同 福田裕司
同 高橋泰史
同 涌井幸一
同 宮下正之
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/10/26
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が異議2002−71985号事件について平成16年3月26日にした決定中「特許第3257994号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求める裁判
1 原告 (1) 主文1と同旨 (2) 訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告 (1) 原告の請求を棄却する。
(2) 主文2と同旨
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は,発明の名称を「ソケット」とする特許第3257994号の特許(平成11年8月30日出願,平成13年12月7日設定登録。以下「本件特許」という。請求項の数は13である。)の特許権者である。
本件特許に対して特許異議の申立てがされ,特許庁は,これを異議2002-71985号事件として審理した。その過程で,原告は,特許出願の願書に添付した明細書の訂正(以下「本件第1訂正」という。なお,この訂正により,請求項の数は10になる。)を請求した。その結果,特許庁は,平成16年3月26日,「訂正を認める。特許第3257994号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。」との決定をし,同年4月19日,その決定の謄本を原告に送達した。
2 決定の理由 決定の理由は,要するに,本件第1訂正後の請求項1ないし10に係る発明は,いずれも刊行物記載の発明,周知技術及び慣用技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである,とするものである。
3 訂正審決の確定 原告は,本訴係属中,平成16年8月16日付けで,本件第1訂正後の前記明細書につき,特許請求の範囲の記載の訂正を含む訂正審判を請求した。特許庁は,これを訂正2004-39193号事件として審理し,その結果,平成16年9月14日にその請求のとおり訂正をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい,これによって認められた訂正を「本件第2訂正」という。)をし,これが確定した。
4 本件第1訂正による請求項1ないし10の内容 【請求項1】部品本体の一面に接続端子を所定のパターンで配列してなる電子部品を着脱自在に装着可能なソケット本体と,上記ソケット本体に固定され,上記ソケット本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材と,上記ソケット本体に上記電子部品の接続端子の配列パターンに対応して配設され,上記電子部品の各接続端子を挟んだ状態で加圧接触する一対の弾性的に開閉可能なアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられている複数の接触子と,上記接触子の一対のアーム状接点部の係合突部とそれぞれ係合する係合部を有し,該係合部は上記一対のアーム状接点部の間に配され,該係合部の前記アーム状接点部の開閉方向とほぼ直交する方向への移動によって上記アーム状接点部をそれぞれ対称的に開閉させるように構成された接点部開閉部材と,上記ソケット本体に対して上下動可能に設けられ,その上下動により上記接点部開閉部材を上下動させるためのカバー部材とを備え,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部の下方の第1の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は閉状態にある一方で,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は開状態にあり,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項2】部品本体の一面に接続端子を所定のパターンで配列してなる電子部品を着脱自在に装着可能なソケット本体と,上記ソケット本体に固定され,上記ソケット本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材と,上記ソケット本体に上記電子部品の接続端子の配列パターンに対応して配設され,上記電子部品の各接続端子を挟んだ状態で加圧接触する一対の弾性的に開閉可能なアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられている複数の接触子と,上記接触子の一対のアーム状接点部の係合突部とそれぞれ係合する係合部を有し,該係合部は上記一対のアーム状接点部の間に配され,該係合部の前記アーム状接点部の開閉方向とほぼ直交する方向への移動によって上記アーム状接点部をそれぞれ対称的に開閉させるように構成された接点部開閉部材と,上記ソケット本体に対して上下動可能に設けられ,その上下動により上記接点部開閉部材を上下動させるためのカバー部材とを備え,上記一対のアーム状接点部は,上記接触子の長手方向に対してほぼ線対称な形状に形成され,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部の下方の第1の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は閉状態にある一方で,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は開状態にあり,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項3】上記接点部開閉部材は,上記接触子の一対のアーム状接点部とそれぞれ係合する係合部によって隔離された一対の貫通孔を有し,該一対の貫通孔にそれぞれ一対のアーム状接点部が配され,該係合部の上記アーム状接点部の開閉方向とほぼ直交する方向への移動によって上記一対のアーム状接点部をそれぞれ対称的に開閉させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のソケット。
【請求項4】上記電子部品は,BGAパッケージであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のソケット。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項記載のソケットに電子部品を取り付けてテストを行う方法であって,電子部品を用意し,上記カバー部材を上記ソケット本体に対して押し下げる向きに駆動して上記係合部を上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置へ移動させることにより上記一対のアーム状接点部を対称的に開かせ,上記電子部品の接続端子がそれぞれに対応する一対のアーム状接点部の間に配置されるように上記電子部品を上記アダプタ部材に載置し,上記カバー部材を上記ソケット本体から離れる向きに駆動して上記係合部を上記一対のアーム状接点部の係合突部の下方の第1の位置へ移動させることにより上記各一対のアーム状接点部によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触させることを特徴とする電子部品のテスト方法。
【請求項6】少なくとも一面に複数の接続端子を備えた電子部品を装着するためのソケットであって,上下動可能なカバー部材と,上記カバー部材の移動に応じて上下動可能なスライド部材と,先端部に開閉可能な一対のアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられていする(ママ)複数の接触子と,上記カバー部材及び上記スライド部材を取り付け,かつ,上記複数の接触子を保持する本体と,上記本体に固定され,上記本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材とを備え,上記スライド部材に上記複数の接触子に対応する位置に複数の孔が形成されるとともに,これら各孔に一対の貫通孔を隔離するための係合部が形成され,該一対の貫通孔にそれぞれ一対のアーム状接点部が配置され,該係合部の上下動によって上記アーム状接点部の係合突部と係合して開閉するように構成され,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部の下方の第1の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は閉状態にある一方で,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は開状態にあり,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項7】上記カバー部材を押し下げた場合に上記各一対のアーム状接点部の加圧接触部がその中心部からほぼ均等な距離だけ移動するように構成されていることを特徴とする請求項6記載のソケット。
【請求項8】上記電子部品は,BGAパッケージであることを特徴とする請求項6又は7のいずれか1項記載のソケット。
【請求項9】少なくとも一面に複数の接続端子を備えた電子部品を装着するためのソケットであって,上下動可能なカバー部材と,上記カバー部材の移動に応じて上下動可能なスライド部材と,上記カバー部材の移動に応じて上記スライド部材を上下動可能なレバー部材と,先端部に開閉可能な一対のアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられていする(ママ)複数の接触子と,挿入される当該電子部品を所定位置に押さえるためのラッチ部材と,上記カバー部材及び上記スライド部材を取り付け,かつ,上記複数の接触子を保持する本体と,上記本体に固定され,上記本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材とを備え,上記スライド部材に上記複数の接触子に対応する位置に複数の孔が形成されるとともに,これら各孔に一対の貫通孔を隔離するための係合部が形成され,該一対の貫通孔にそれぞれ一対のアーム状接点部が配置され,該係合部の上下動によって上記アーム状接点部の係合突部と係合して開閉するように構成され,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部の下方の第1の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は閉状態にある一方で,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置にあるとき上記一対のアーム状接点部は開状態にあり,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項10】上記レバー部材は,上記本体に回動可能に取り付けられ,該レバー部材の力点部が上記カバー部材に当接する一方で,該レバー部材の作動部が上記スライド部材の下方においてその下面部に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項9記載のソケット。」 5 本件訂正審決後の本件第2訂正による請求項1ないし10の内容(下線部は,本件第2訂正による訂正箇所である。) 【請求項1】部品本体の一面に接続端子を所定のパターンで配列してなる電子部品を着脱自在に装着可能なソケット本体と,上記ソケット本体に固定され,上記ソケット本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材と,上記ソケット本体に上記電子部品の接続端子の配列パターンに対応して配設され,上記電子部品の各接続端子を挟んだ状態で加圧接触する一対の弾性的に開閉可能なアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられている複数の接触子と,上記接触子の一対のアーム状接点部の係合突部とそれぞれ係合する係合部を有し,該係合部は上記一対のアーム状接点部の間に配され,該係合部の前記アーム状接点部の開閉方向とほぼ直交する方向への移動によって上記アーム状接点部をそれぞれ対称的に開閉させるように構成された接点部開閉部材と,上記一対のアーム 状接点部 に対して 接近又 は離間 するように 構成 され ,挿入 される 当該電子部品 を所定位置 に押さえるための ラッチ 部材 と,上記ソケット本体に対して上下動可能に設けられ,その押圧による 下方 への 移動 により 上記接点部開閉部材 を上方 へ移動 させ ,かつ ,その押圧解除 による 上方 への 移動 により 上記接点部開閉部材 を下方 へ移動 させる カバー部材とを備え,上記カバー 部材 が押圧 されず 上記 ソケット 本体 に対して 上方 の位置にあるときは ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部に 対して 下方で離間 した 第1の位置にあって ,上記一対のアーム状接点部が 閉状態で ある一方で,上記カバー 部材 が下方 へ押し下げられた 状態 では ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置にあって ,上記一対のアーム状接点部が開状態で, かつ ,上記 ラッチ 部材 が上記一対 のアーム 状接点部 の近傍 から 退避して ,上記電子部品 を上記 ソケット 本体 に固定 された 上記 アダプタ 部材 に位置決 め載置可能 であり ,さらに ,上記 カバー 部材 が下方 へ押し下げられた 状態 から 当該 カバー 部材 の押圧 を解除 することにより ,上記 ラッチ 部材 によって 上記電子部品 を所定位置 に押さえるとともに ,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項2】部品本体の一面に接続端子を所定のパターンで配列してなる電子部品を着脱自在に装着可能なソケット本体と,上記ソケット本体に固定され,上記ソケット本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材と,上記ソケット本体に上記電子部品の接続端子の配列パターンに対応して配設され,上記電子部品の各接続端子を挟んだ状態で加圧接触する一対の弾性的に開閉可能なアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられている複数の接触子と,上記接触子の一対のアーム状接点部の係合突部とそれぞれ係合する係合部を有し,該係合部は上記一対のアーム状接点部の間に配され,該係合部の前記アーム状接点部の開閉方向とほぼ直交する方向への移動によって上記アーム状接点部をそれぞれ対称的に開閉させるように構成された接点部開閉部材と,上記一対のアーム 状接点部 に対して 接近又 は離間 するように 構成 され ,挿入 される 当該電子部品 を所定位置 に押さえるための ラッチ 部材 と,上記ソケット本体に対して上下動可能に設けられ,その押圧による 下方 への 移動 により 上記接点部開閉部材 を上方 へ移動 させ ,かつ ,その押圧解除 による 上方 への 移動 により 上記接点部開閉部材 を下方 へ移動 させる カバー部材とを備え,上記一対のアーム状接点部は,上記接触子の長手方向に対してほぼ線対称な形状に形成され,上記カバー 部材 が押圧 されず 上記 ソケット 本体 に対して上方 の位置 にあるときは ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部に対して 下方で 離間 した 第1の位置にあって ,上記一対のアーム状接点部が 閉状態である一方で,上記 カバー 部材 が下方 へ押し下げられた 状態 では ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置にあって,上記一対のアーム状接点部が開状態で, かつ ,上記 ラッチ 部材 が上記一対 のアーム 状接点部 の近傍から 退避 して ,上記電子部品 を上記 ソケット 本体 に固定 された 上記 アダプタ 部材 に位置決 め載置可能 であり ,さらに ,上記 カバー 部材 が下方 へ押し下げられた 状態 から当該 カバー 部材 の押圧 を解除 することにより ,上記 ラッチ 部材 によって 上記電子部品 を所定位置 に押さえるとともに ,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項3】上記接点部開閉部材は,上記接触子の一対のアーム状接点部とそれぞれ係合する係合部によって隔離された一対の貫通孔を有し,該一対の貫通孔にそれぞれ一対のアーム状接点部が配され,該係合部の上記アーム状接点部の開閉方向とほぼ直交する方向への移動によって上記一対のアーム状接点部をそれぞれ対称的に開閉させるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載のソケット。
【請求項4】上記電子部品は,BGAパッケージであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のソケット。
【請求項5】請求項1乃至4のいずれか1項記載のソケットに電子部品を取り付けてテストを行う方法であって,電子部品を用意し,上記カバー部材を上記ソケット本体に対して押し下げる向きに駆動して上記係合部を上記一対のアーム 状接点部の係合突部 に対して 下方 で離間 した 第1の位置 から 上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する第2の位置へ上方へ移動させることにより上記一対のアーム状接点部を対称的に開かせるとともに,上記 ラッチ 部材 を上記一対 のアーム 状接点部の近傍 から 退避 させて ,上記電子部品の接続端子がそれぞれに対応する一対のアーム状接点部の間に配置されるように上記電子部品を上記アダプタ部材に位置決め載置し,上記カバー 部材 の押圧 を解除 し,上記カバー部材を上記ソケット本体から離れる向きに上方へ駆動して上記係合部を上記一対のアーム状接点部の係合突部の下方の上記第1の位置へ移動させることにより, 上記各一対のアーム状接点部によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触させるとともに,上記 ラッチ 部材 によって 上記電子部品 を所定位置 に押さえる ことを特徴とする電子部品のテスト方法。
【請求項6】少なくとも一面に複数の接続端子を備えた電子部品を装着するためのソケットであって,上下動可能なカバー部材と,上記カバー部材の押圧による下方 への 移動 により 上方 へ移動 し,かつ ,上記 カバー 部材 の押圧解除 による 上方 への移動 により 下方 へ移動 可能なスライド部材と,先端部に開閉可能な一対のアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられている複数の接触子と,上記一対のアーム 状接点部 に対して 接近又 は離間 するように 構成 され,挿入 される 当該電子部品 を所定位置 に押さえるための ラッチ 部材 と,上記カバー部材及び上記スライド部材を取り付け,かつ,上記複数の接触子を保持する本体と,上記本体に固定され,上記本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材とを備え,上記スライド部材に上記複数の接触子に対応する位置に複数の孔が形成されるとともに,これら各孔に一対の貫通孔を隔離するための係合部が形成され,該一対の貫通孔にそれぞれ一対のアーム状接点部が配置され,該係合部の上下動によって上記アーム状接点部の係合突部と係合して開閉するように構成され,上記カバー 部材が押圧 されず 上記本体 に対して 上方 の位置 にあるときは ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部に対して 下方で 離間 した 第1の位置にあって ,上記一対のアーム状接点部が閉状態で ある一方で,上記 カバー 部材 が下方 へ押し下げられた状態 では ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する下方の第2の位置にあって,上記一対のアーム状接点部が 開状態で, かつ ,上記 ラッチ 部材が上記一対 のアーム 状接点部 の近傍 から 退避 して ,上記電子部品 を上記 ソケット本体 に固定 された 上記 アダプタ 部材 に位置決 め載置可能 であり ,さらに ,上記 カバー部材 が下方 へ押し下げられた 状態 から 当該部材 の押圧 を解除 することにより ,上記ラッチ 部材 によって 上記電子部品 を所定位置 に押さえるとともに ,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項7】上記カバー部材を押し下げた場合に上記各一対のアーム状接点部の加圧接触部がその中心部からほぼ均等な距離だけ移動するように構成されていることを特徴とする請求項6記載のソケット。
【請求項8】上記電子部品は,BGAパッケージであることを特徴とする請求項6又は7のいずれか1項記載のソケット。
【請求項9】少なくとも一面に複数の接続端子を備えた電子部品を装着するためのソケットであって,上下動可能なカバー部材と,上記カバー部材の押圧による下方 への 移動 により 上方 へ移動 し,かつ ,上記 カバー 部材 の押圧解除 による 上方 への移動 により 下方 へ移動 可能なスライド部材と,上記カバー部材の移動に応じて上記スライド部材を上下動可能なレバー部材と,先端部に開閉可能な一対のアーム状接点部を有し,当該各アーム状接点部の先端近傍の部位を互いに近づける方向に「く」の字状に折り曲げることによりくびれた形状の係合突部が設けられている複数の接触子と,上記一対のアーム 状接点部 に対して 接近又 は離間 するように 構成 され,挿入される当該電子部品を所定位置に押さえるためのラッチ部材と,上記カバー部材,上記スライド部材,上記レバー部材及び上記ラッチ部材を取り付け,かつ,上記複数の接触子を保持する本体と,上記本体に固定され,上記本体への電子部品の装着に際し,当該電子部品を案内するとともに上記電子部品を位置決めして載置するためのアダプタ部材とを備え,上記スライド部材に上記複数の接触子に対応する位置に複数の孔が形成されるとともに,これら各孔に一対の貫通孔を隔離するための係合部が形成され,該一対の貫通孔にそれぞれ一対のアーム状接点部が配置され,該係合部の上下動によって上記アーム状接点部の係合突部と係合して開閉するように構成され,上記カバー 部材 が押圧 されず 上記本体 に対して 上方 の位置 にあるときは ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部に 対して 下方で 離間した 第1の位置にあって ,上記一対のアーム状接点部が 閉状態で ある一方で,上記カバー 部材 が下方 へ押し下げられた 状態 では ,上記係合部が上記一対のアーム状接点部の係合突部と当接する下方の第2の位置にあって,上記一対のアーム状接点部が開状態で, かつ ,上記 ラッチ 部材 が上記一対 のアーム 状接点部 の近傍 から 退避して ,上記電子部品 を上記 ソケット 本体 に固定 された 上記 アダプタ 部材 に位置決 め載置可能 であり ,さらに ,上記 カバー 部材 が下方 へ押し下げられた 状態 から 当該 カバー 部材 の押圧 を解除 することにより ,上記 ラッチ 部材 によって 上記電子部品 を所定位置 に押さえるとともに ,上記開状態にある一対のアーム状接点部の弾性力によって上記電子部品の各接続端子を双方向から挟んで加圧接触するように構成されていることを特徴とするソケット。
【請求項10】上記レバー部材は,上記本体に回動可能に取り付けられ,該レバー部材の力点部が上記カバー部材に当接する一方で,該レバー部材の作動部が上記スライド部材の下方においてその下面部に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項9記載のソケット。」
当裁判所の判断
上記当事者間に争いのない事実によれば,本件訂正審決前の特許請求の範囲(本件第1訂正後の特許請求の範囲)請求項1ないし10の記載に基づいて,その発明を認定し,これを前提に,これら請求項について,特許法29条2項の規定に違反して登録された特許であることを理由にこの特許を取り消した決定の取消を求める訴訟の係属中に特許請求の範囲減縮を含む訂正審判が請求され,特許庁がこれを認める旨の本件訂正審決をし,これが確定したということができる。
そうすると,決定は,これにより,結果として,請求項1ないし10について,判断の対象となるべき発明を特定すべき特許請求の範囲の認定を誤ったことになり,この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし10に係る特許を取り消した決定は,取消を免れない。
以上によれば,本訴請求は理由があるので,これを認容することとし,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 佐藤久夫
裁判官 設樂驤
裁判官 若林辰繁