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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20ワ14169損害賠償請求事件 判例 特許
平成19ワ2076損害賠償請求事件 判例 特許
関連ワード 特許を受ける権利 /  協議 /  債務不履行 /  契約の解除 /  ライセンス /  存続期間 /  置き換え /  実施 /  実施権 /  専用実施権 /  実施許諾(実施の許諾) /  設定登録 /  対価 /  拒絶査定 /  拒絶理由通知 /  変更 /  相当期間 / 
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事件 平成 21年 (ワ) 16178号 専用実施権設定登録手続等請求事件
茨城県坂東市<以下略>
原告国 際ピーアール株式会社
同訴訟代理人弁護士堀裕一
同 桃尾俊明
同 坂井義紀
同 福田隆行 堺市<以下略> (登録原簿上の住所・堺市<以下略>)
被告A
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2010/02/05
権利種別 特許権
主文 1被告は,原告に対し,別紙特許権目録記載の各特許権について,別紙専用実施権目録記載の専用実施権設定登録手続をそれぞれせよ。
2被告は,原告に対し,1225万円及びこれに対する平成21年5月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3原告のその余の請求を棄却する。
4訴訟費用は,全部被告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求1主文第1項同旨。
2被告は,原告に対し,1225万円及びこれに対する平成17年3月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要1本件は,原告が,特許権者である被告に対し,専用実施権設定契約に基づい, , , て 専用実施権設定登録手続を求めるとともに 同設定契約の特約に基づいて既払金の返還及びこの返還金に対する返還事由発生日後の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
被告は,上記設定契約は,上記返還事由の発生の前に,原告の債務不履行を原因とする被告らからの解除の意思表示により解除されていたと主張する。
2前提となる事実(1) 本件設定契約原告と被告及びBは,平成14年7月19日,次の趣旨を内容とする専用実「」。。,,, 施権設定契約(以下本件設定契約という)を締結した(甲13乙1争いのない事実)ア被告は,別紙権利目録1記載の特許権(以下「本件権利1」という。)について,原告に対し,範囲を,地域は日本全国,期間は特許権の存続期間満了, ,,, まで 内容は製造及び販売とする専用実施権を設定し 被告は 原告に対し同専用実施権について専用実施権設定登録手続をする(第1条)。
イ被告は,別紙権利目録2記載の特許を受ける権利(以下「本件権利2」という )及び同目録4記載の特許を受ける権利(以下 本件権利4 という ) 。 「」。
について専用実施権を設定するとともに,これら権利に係る特許出願について特許権の設定登録があったときは,その特許権について範囲を,地域は日本全国,期間は特許権の存続期間満了まで,内容は製造及び販売とする専用実施権が設定されたものとし,被告は,原告に対し,同専用実施権について専用実施権設定登録手続をする(第2条)。
ウBは,別紙権利目録3記載の権利(以下「本件権利3」という。)について専用実施権を設定するとともに,この権利に係る特許出願について特許権の設定登録があったときは,その特許権について範囲を,地域は日本全国,期間は特許権の存続期間満了まで,内容は製造及び販売とする専用実施権が設定されたものとし,Bは,原告に対し,同専用実施権について専用実施権設定登録手続をする(第2条)。
エ原告と被告及びBは,上記専用実施権設定に対する設定料を,本件権利1につき1000万円,本件権利2につき1500万円,本件権利3につき1500万円及び本件権利4につき1000万円の合計5000万円とすることに合意し,原告は,被告及びBに対し,この5000万円を次のとおり分割して支払う(第7条)。
(ア) 平成14年7月から平成15年12月まで毎月末日限り250万円(合計4500万円)(第7条)。
(イ) 上記(ア)を除く500万円については,平成14年12月末日までを期限として,原告と被告及びBが協議の上,支払時期,金額を定める(第7条)。
(ウ) 本件権利2〜4について特許を受けられないことが確定したときは,第7条の設定料を半額に減額し,被告及びBは,原告に対し,当該金員を返還する(第8条)。
オ(ア) 原告は,次のロイヤリティを,原告による売却個数を基準として,毎月末日締切り,2か月後に支払う(第9条)。
a本件権利1100円(1個当たり)b本件権利220円(1枚当たり)c本件権利3240円(1個当たり)d本件権利4380円(1個当たり)(イ) 原告は,被告及びBに対し,ロイヤリティ保証金として250万円を預託することを約し,原告は,被告及びBに対し,公正証書作成時にこれを交付する(第6条)。
(ウ) 原告と被告及びBは,ロイヤリティの支払を上記保証金とまず相殺して支払うことを合意する(第9条)。
(エ) 本件権利2〜4について特許を受けられないことが確定したときは,その時点から上記各ロイヤリティは半額に減額する(第9条)。
カ原告は,被告及びBに対し,預託金として40万円を支払い,被告及びBは,この40万円を特許取得費用に充てる(第11条)。
キ被告及びBは,原告が次の事項に該当するに至った場合には,この契約を解除することができる。この場合,原告の専用実施権を失効させることができる。(第12条)aこの契約の各条項に違反したとき。
b原告がロイヤリティの支払を2か月以上怠ったとき。
c破産,和議,会社更生があったとき。
d原告が商品のすべての販売を中止するに至ったとき。
ク原告は,被告がこの契約の各条項に違反したときは,この契約を解除することができる。ただし,この場合でも原告の得た専用実施権の設定及び専用実施権の許諾についての効力は失わない。(第12条)(2) 本件設定契約に基づく義務の履行状況ア本件公正証書原告と被告及びBは,平成14年7月30日,本件設定契約に係る公正証書の作成を嘱託し,公正証書(東京法務局所属公証人C作成平成14年第30号。以下「本件公正証書」という。)が作成された。ただし,本件公正証書には,上記(1)エ(イ)の500万円の支払について 「平成14年12月末 ,日までを期限として」が「平成15年12月末日までを期限として」と記載されているが,このように異なった記載となった経緯は,証拠上明らかではない。(甲1,2,乙2の12枚目,弁論の全趣旨)イ金員支払原告は,被告及びBに対し,次のとおり,本件設定契約に基づく金員の支払をした。(甲11の1〜12の5)?平成14年6月13日40万円?平成14年6月28日250万円?平成14年7月31日250万円?平成14年8月30日250万円?平成14年9月30日200万円?平成14年10月30日150万円平成14年11月1日50万円?平成14年11月28日100万円?平成14年12月26日250万円?平成15年1月30日250万円?平成15年2月26日250万円?平成15年3月28日250万円?平成15年4月22日250万円?平成15年5月27日250万円?平成15年6月30日250万円?平成15年7月31日250万円?平成15年8月29日250万円?平成15年9月30日250万円ウ平成14年10月催告上記イ?のとおり,原告が平成14年9月の支払の一部を怠ったところ,被告は,同年10月13日ころ,原告に対し,差額50万円の支払を催告した。(乙6の1枚目,弁論の全趣旨)エ第1次解除通知(ア) 被告及びBは,原告が平成14年12月までに前記(1)エ(イ)の500万円を支払わなかったとして,平成15年5月27日ころ,原告に対し,同年6月5日までにこれを支払うよう催告するとともに,その支払をしないときは本件設定契約を解除する旨の意思表示をした。(乙4の1枚目,弁論の全趣旨)(イ) これに対し,原告から被告に対して平成15年9月末日までに前記(1)エ(イ)の500万円を支払うとの申出があったことから,被告及びBは,上記,。, 解除の意思表示を撤回し 原告はこれを承諾した (乙5の10〜11枚目乙6の5枚目,弁論の全趣旨)オ専用実施権設定登録被告は,平成15年9月10日,本件権利1につき,本件設定契約に基づく専用実施権設定登録手続をし,同月26日,同登録がされた。(争いのない事実)カ平成15年10月催告被告は,平成15年10月,原告に対し,前記(1)エ(イ)の500万円の支払の催告をした。しかし,原告は,この500万円及び平成15年10月以降分の設定料の支払をしなかった。(争いのない事実,乙6の6〜7枚目,弁論の全趣旨)キ第2次解除通知(ア) 被告及びBは,原告から被告及びBに対する前記(1)エ(イ)の500万円の支払がなかったとして,平成15年11月17日ころ,原告に対し,本件設定契約の解除の意思表示をした。(甲4,乙4の2枚目,弁論の全趣旨)(イ) 原告代理人弁護士堀裕一ほか4名は,平成15年12月2日ころ,被告に対し,本件公正証書では前記(1)エ(イ)の500万円の支払期限は平成15年12月末日までとなっているので上記解除の意思表示は無効であるとの回答をするとともに,本件権利2及び本件権利3の審査請求がされていないので設定料が半額になっているとして,既払額との差額1250万円の返還を求めた。(乙5の1〜4枚目,弁論の全趣旨)(ウ) 被告は,上記弁護士らに対し,平成15年12月11日ころ,本件公正証書に記載された「平成15年12月末日」は嘱託代理人弁護士Dが無断でしたか公証人の誤記のいずれかであるとの回答をした。(乙5の10〜11枚目,弁論の全趣旨)(3) 本件変更契約原告と被告及びBは,平成16年2月23日,本件設定契約を次のとおり変更すること(判決注:契約書上の呼称は本判決のものに置き換えてある。)を合意し(以下「本件変更契約」という。),再度,ライセンス関係を継続することとした。(争いのない事実,甲5,乙3)「(設定料の支払方法), , 第1条被告及びBは 本件設定契約第7条に定める設定料の支払について同条(1)における平成14年7月分ないし平成15年9月分までは既払であることを確認し,同条(1)における平成15年10月分ないし同年12月分の合計750万円,及び同条(2)における平成14年12月末日を期限とする500万円の支払期日を以下のとおり変更する。
(1) 平成15年10月分250万円については,平成16年2月末日限り(2) 平成15年11月分250万円については,平成16年3月25日限り(3) 平成15年12月分250万円については,平成16年4月26日限り(4) 平成14年12月末日を期限とする500万円については,本件権利2〜4全てについて特許権が成立したとき(審査請求義務)第2条被告及びBは,本件権利2〜4の特許審査請求手続(以下 「本審,査請求手続」という。)を,平成16年3月末日までに履践しなければならない。
被告及びBが前項の期日までに本審査請求手続を履践しなかったときは,前条(2)の支払期日は,当然に『被告及びBが本審査請求手続を履践したとき』に変更されるものとし,被告及びBが前条(3)の支払期日までに当該手続を履践しなかったときも同様とする。
(設定料の減額)第3条原告は,被告及びBの責に帰すべき事由により,本審査請求手続履践後1年以内に,被告及びBが,本件権利2〜4のうち一つでも特許権を取得できなかったときは,本件設定契約第8条の『特許が得られないと確定したとき』にあたるとみなし,同条に基づいて,本件設定契約7条に定める合計5000万円の設定料をその半額の2500万円に減額することができる。このとき,原告が既に支払った設定料が上記2500万円を上回る場合には,本件設定契約第10条に基づくものとする。なお,1年以内に取得できないことについて,被告及びBの責めに帰すべき事由によらないことを被告及びBが立証した場合は,期限の延長について被告及びBと原告が協議するものとする。
(解除の撤回)第4条被告及びBは,被告及びBから原告に対する平成14年(判決注:ママ「平成15年」の誤記と認める )11月17日付通告書に基づく本 。
件設定契約解除の意思表示は,これを撤回し,今後一切,原告の取引先等に本件設定契約が解除されている旨の通知をするなど原告の営業活動を妨害する行為を行わないことを確約する。
(本件設定契約の効力)第5条被告・B及び原告は,本変更合意において定めざる事項については本件設定契約に従うものとし,本件設定契約において定められた被告・B及び原告間の技術提携等に関する合意は,何らの変更もないことを確認する 」。
(4) 本件変更契約に基づく義務の履行状況等ア設定料の支払原告は,被告及びBに対し,次のとおりに本件変更契約に基づく設定料の支払をした。(甲12の6〜12の8)?平成16年2月27日250万円?平成16年3月31日250万円?平成16年4月26日250万円イ審査請求(ア) 被告は 平成16年3月4日 本件権利2について審査請求を行った (甲 ,, 。
6)(イ) Bは 平成16年3月15日 本件権利3について審査請求を行った (甲 ,, 。
8)(ウ) 被告は 平成16年3月9日 本件権利4について審査請求を行った (甲 ,, 。
17)。
ウロイヤリティの発生原告は,被告に対し,少なくとも,本件権利2に係る平成16年8月から平成21年3月までの前記(1)オ(ア)のロイヤリティ(以下「変動ロイヤリティ」という )として115万1280円の支払義務を負っている。なお, 。
平成18年6月末時点において原告が被告に対し負担していた変動ロイヤリティの合計額は22万7040円であった。(弁論の全趣旨)エ第3次解除通知(ア) 被告及びBは,平成18年9月1日ころ,原告に対し,変動ロイヤリティの未払を理由に本件設定契約及び本件変更契約(以下,両者を併せて「本件契約」という )を解除する旨の通告書を送付した。(乙4の3枚目,弁論 。
の全趣旨)(イ) 被告及びBは,平成18年9月10日ころ,原告に対し,再度,変動ロイヤリティの未払を理由とする本件契約を解除する旨の通告書を送付した(以下「本件解除通知」という。(争いのない事実,甲13,乙4の4〜5枚 。)目)(ウ) 原告は,平成19年1月31日,被告及びBに対し,平成16年8月から平成18年12月までの変動ロイヤリティとして37万1900円を支払った。しかし,被告及びBは,同年3月1日,これを原告に返金した。(争いのない事実,乙7の3枚目,弁論の全趣旨)(エ) 原告代理人弁護士堀裕一は,平成19年4月25日,被告に対し,本件権利3について特許を受けていないのでその設定料は半額となっており設定料の未払はない,保証金250万円を支払済みであり変動ロイヤリティは保証金から相殺されることになっている(本件設定契約第7条,第10条)ので未払はないと主張するとともに,本件権利2(当時,別紙特許目録1の特許権。以下,この特許権を「本件特許権1」という。)及び本件権利4(当時,別紙特許権目録2の特許権以下この特許権を本件特許権2という) 。,「」。
について専用実施権設定登録をすることを求める通知をした。(乙5の7〜8枚目,弁論の全趣旨)(オ) 被告は,平成19年4月30日,原告代理人弁護士堀裕一に対し,保証金250万円の支払は受けていないので変動ロイヤリティの支払はないと回答した。(乙5の12〜13枚目,弁論の全趣旨)(カ) 平成19年7月19日に原告代理人弁護士堀裕一から被告に対し,また,同月23日ころに被告から原告代理人弁護士堀裕一に対し,どちらに債務不履行があるかについて主張し合う書面のやりとりがあった。(乙5の5〜6枚目,14〜16枚目)(キ) 被告は,平成20年5月26日,原告に対し,変動ロイヤリティの支払義務を免除することを条件に本件権利1に係る専用実施権を放棄することを求,,。, める書面を送付したが 原告は これには応じなかった (争いのない事実甲14,15)(ク) 平成20年8月18日ころ,被告は原告代理人弁護士堀裕一に対し,本件契約が本件解除通知によって平成18年9月10日をもって失効した旨を主張する書面を送付した。(乙5の17枚目,乙5の9枚目,乙5の18〜21枚目,弁論の全趣旨)(ケ)平成20年11月9日,本件権利1は,年金不納付により消滅した。(弁論の全趣旨)(コ)平成21年4月2日,被告に対する処分禁止仮処分命令により,本件特許権1について,処分禁止仮処分登録及び専用実施権設定の保全仮登録がされた。(甲7)(サ)本件訴訟提起後の平成21年10月30日,本件特許権2について,原告が年金の納付を行った。(弁論の全趣旨)(5) 条件成就ア本件権利2については,平成18年1月10日,拒絶理由通知が発せられたが,同年3月13日,手続補正がされるなどして,同年5月19日,特許権設定登録(本件特許権1)がされた。(甲6,7),, , イ本件権利3については 平成19年1月16日 拒絶理由通知が発せられBはこれに応答することはせず,特許を受けることを断念した。同年6月5日,拒絶査定がされた。(争いのない事実,甲8,乙5の18〜21枚目)ウ本件権利4について,平成18年5月12日,特許権設定登録(本件特許権2)がされた。(甲10,17)3争点(1) 本件解除の効力(2) 返還事由の発生の有無(3) 返還額4争点に関する当事者の主張(1) 本件解除の効力ア被告(ア) 原告は,前記2前提となる事実(1)オ(イ)の保証金250万円(以下「本件保証金」という )を支払っていないから,変動ライセンスに充てるべき保 。
証金はない。原告が変動ライセンスを支払ったのは平成19年1月31日であるところ,被告及びBは,それ以前の平成18年9月10日に本件解除通知をしているのであるから,本件契約は解除された。したがって,被告は,専用実施権設定登録手続請求に応じる義務はないし,設定料の半額減額の適用もない。
(イ) 前記2前提となる事実(2)イ?の平成14年6月28日支払の250万円は,被告及びBが他社と契約を進行させていたことを聞いた原告があわてて前払いした第1回の設定料である。
(ウ) 被告及びBは,原告から前記2前提となる事実(2)イ?〜?及び同(4)ア?〜?のとおり合計4500万円の支払を受けたが,同(2)イ?の平成14年6月28日支払の250万円が本件保証金に対する支払であるとしたら,被告及びBは,設定料として約定の4500万円に足りない4250万円の支払しか受けていないことになる。
(エ) 原告は,前記2前提となる事実(2)イ?の平成14年6月28日支払の250万円が,本件保証金として支払われたことを証明するものを何ら提示していない。
(オ) 本件保証金は預託金にすぎないのであるから,変動ロイヤリティの支払をしている限り,別途請求すべきようなものではない。被告及びBは,原告の資金難を考慮して,あえて本件保証金の支払を催促していなかっただけである。そもそも本件保証金が支払われているというのならば,被告及びBが変動ロイヤリティの請求をするはずがない。
イ原告(ア) 前記2前提となる事実(2)イ?の平成14年6月28日支払の250万円は,本件保証金として支払われたものである。したがって,原告には,本件保証金からまず相殺される変動ロイヤリティの未払はない。前記2前提となる事実(4)エ(ウ)のとおり被告が平成19年1月31日に原告に対して変動ロイヤリティを支払ったのは,被告の請求が不当なものであると知りつつも,事態の収束を図るためにした便法にすぎない。
(イ) 上記平成14年6月28日支払の250万円が設定料であるとすると,本件設定契約締結時の平成14年7月19日時点での設定料は4750万円に, ,。 なるはずであるが 同契約書では5000万円となっており そごが生じる(ウ) 上記平成14年6月28日支払の250万円が設定料であるとすると,本件変更契約書で支払が確認された設定料は16か月分(平成14年6月〜平成15年9月)になるはずであるが,同契約書では15か月分(平成14年7月〜平成15年9月)であり,そごが生じる。
(エ) 本件保証金が未払であれば,その支払期限が既に経過していた以上,本件変更合意書にそのことが盛り込まれてしかるべきであるが,同契約書にそのような条項は存しない。
(オ) 原告は,本件訴訟が提起されるまでの間,被告又はBから本件保証金の支払を請求されたことはない。本件保証金の額の方が変動ロイヤリティよりも大きいことからすれば,仮に本件保証金の支払がないとするならば,解除通知に際しては,まず本件保証金の支払を請求するのが合理的である。
(2)返還事由の発生の有無ア原告被告及びBは,審査請求の実務を承知の上で,あえて本件変更契約第3条において審査請求後1年以内という特許取得期限を定めたのであるから,たとえ同人らに帰責性がなく特許を取得できなかったとしても,本件変更契約第3条の設定料減額条件は成就する。そうでないとしても,少なくとも,本件権利3はBにおいて殊更に特許権の取得を断念したものであるから,条件は成就している。
イ被告特許の審査にまで被告及びBが立ち入ることはできないのであり,1年以内に特許が受けられるか否かは特許庁次第である。審査請求をした以上,被告及びBは本件変更契約上の義務を果たした。
(3) 返還額ア原告(ア) 原告の債務額本件変更契約第3条に基づき,本件権利1〜4に係る設定料支払債務は,合計2500万円(本件権利1につき500万円〔被告 ,本件権利2につ〕き750万円〔被告 ,本件権利3につき750万円〔B ,本件権利4に 〕 〕つき500万円〔被告〕)となる。
したがって,原告は,被告に対し,1750万円(500万円+750万円+500万円)の支払義務を負う。
(イ) 原告の支払額, , 原告が支払った設定料は 前記2(2)イ?〜?及び同(4)ア?〜?のとおり合計4250万円(被告につき,850万円〔4250万円×(1000/5000)〕+1275万円〔4250万円×(1500/5000)〕+85〔 〕,, 0万円 4250万円×(1000/5000) =2975万円 Bにつき1275万円〔4250万円-2975万円〕)となる。
したがって,原告は,被告に対し,2975万円を支払った。
(ウ) 被告の返還額以上から,被告は原告に対し,1225万円(2975万円-1750万円)の返還債務を負っている。
イ被告すべて争う。
第3当裁判所の判断1争点(1)(本件解除の効力)について(1) 平成14年6月28日支払の250万円につきア前記第2,2前提となる事実(3)のとおり,本件変更契約書には 「(設定,料の支払方法)第1条被告及びBは,本件設定契約第7条に定める設定料の支払について,同条(1)における平成14年7月分ないし平成15年9月分までは既払であることを確認し 」と記載されており,一方,それ以外 ,には特段の確認条項とみるべき記載はない。そして,本件変更契約書第1条, (), には 原告が将来支払うべき設定料750万円 250万円×3 について「平成15年10月分「平成15年11月分」及び「平成15年12月 」,分」として特定している。したがって,同条の確認条項を通常の読み方から解釈すれば,本件設定契約に定められた,平成14年7月「分」として支払うべき設定料から,平成15年9月「分」として支払うべき設定料までの15回分の合計3750万円(250万円×15回)が原告から被告及びBに支払済みであることを確認する趣旨のものと理解するのが自然である。しかるに,前記第2,2前提となる事実(2)イ?〜?のとおり,原告は,平成14年9月,同年10月及び同11月において約定の250万円に満たない額の支払いしかせず,平成14年6月28日支払の250万円(?)を含めて総額が上記合計3750万円に一致するのであるから,本件変更契約書第1条の確認条項で「確認」されたのは,本件設定契約に定められた設定料のうち平成14年7月分〜平成15年9月分の合計3750万円が支払済みである, 。, との事実と読み取るのが 整合的かつ合理的である 原告が主張するように本件変更契約書が平成14年7月から平成15年9月までに支払った設定料により同期間に対応する約定の設定料が支払済みであることを確認したものととらえるとすると,前記第2,2前提となる事実(2)イ?〜?のとおり,本件変更契約書が締結された平成16年2月23日当時,原告から被告及びBに対して支払われた設定料は3500万円であるから,その後支払があり得る1250万円(250万円+250万円+250万円+500万円)を加算しても設定料は4750万円にしかならず,そうであれば設定料を一部免除することになるのにもかかわらず,そのことに関する条項は本件変更契約書には見当たらない。かえって,本件変更契約書第3条を見る限り,設定料が5000万円のままである(したがって,半額の減額をすると2500万。 。,, 円となる )ことを当然の前提としているとしか解し得ない そして 現に原告は,本件保証金が支払済みであるならば支払をする必要のない変動ロイ,,, ヤリティを被告に支払っているのである(そして 原告が この支払の前に被告に対して本件保証金が支払済みであるとの反論をしたことを認めるに足りる証拠はない。)。
したがって,平成14年6月28日支払の250万円は設定料の支払であって,本件保証金の支払いではないというべきである。
イ(ア) 原告は,平成14年6月28日支払の250万円が設定料の支払であるとすると,本件設定契約書締結時の平成14年7月19日時点での設定料は4750万円になるはずであるが同契約書では5000万円となっておりそごが生じると主張する。しかしながら,その理屈でいえば,平成14年6月28日支払の250万円を保証金の支払であると解しても,本件設定契約書の保証金に係る定めともそごが生じることになり(第6条に,支払済みであるはずの保証金の支払条項が存することになる。),何ら反論足り得ていない。前払により契約書の支払時期と実際の支払時期とに相違が生じることは世上よく見られることであって,不自然なことではない。
(イ) 原告は,平成14年6月28日支払の250万円が設定料の支払であるとすると,本件変更契約書の設定料の支払確認に係る定めとそごが生じる旨を主張する。しかしながら,この主張は,原告が被告及びBに対して上記250万円の外に15か月分合計3750万円の設定料の支払をしていることを前提としなければ無意味な主張であるところ,その前提が成り立たないことは前記アにて認定のとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
(ウ) 原告は,本件変更契約書には本件保証金の支払に係る条項がない旨を主張する。しかしながら,本件変更契約書には,設定料を一部免除するとの条項もない。どちらがないことが不自然かといえば,それは後者にほかならない。債権の支払請求をしないことは当該債務が弁済されたことを直ちに意味するのではないのであり,本件変更契約書に本件保証金の支払に係る条項がないことから,本件保証金について何ら定めをする意図がなかったとか(猶予 ,あるいは,もはや本件保証金の預託をしないものとする )意図であったとか(免除)の解釈をする余地があるとしても,直ちに,本件保証金が支払済みである(弁済)と解釈することはできない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
(エ) 原告は,原告は被告又はBから本件保証金の支払を請求されたことはない旨を主張する。しかしながら,設定料が4750万円に減額されたことを認めるに足りる証拠も全くない。また,解除に際して催告をするに当たっては,仮に変動ライセンスの支払期限が経過しているならば,預託義務があるにすぎない保証金ではなく当該ライセンス料を催告するのがむしろ自然かつ合理的な行動である。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。
(2) 解除の適法性につきアところで,履行遅滞による解除を適法になすためには,相当期間を定めて当該債務の履行を催告するとともに,当該債務と同時履行の関係にある自己が相手方に対して負う債務がある場合には,当該反対債務の履行の提供をしなければならない。これを本件についてみるに,被告及びBは,平成18年9月1日及び同月10日に解除の意思表示をしているが,本件契約には無催告解除特約の定めは存在しないにもかかわらず,被告及びBが解除の意思表示をする前に変動ライセンスの支払について催告をしたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,上記解除の意思表示は催告なくしてされたものということになる。
イ仮に上記9月1日の解除の意思表示が同月10日の解除との関係で催告を兼ねるとしても,あるいは,被告及びBから原告に対して黙示の相当期間を定めた催告があったものと認められるような事情が存するとしても,被告が自己の負担する反対債務について履行の提供をしたとの主張はなく,また,これを認めるに足りる証拠もない。
すなわち,平成18年9月10日時点において,前記第2,2前提となる事実(5)のとおり,本件権利2(平成18年5月19日)及び本件権利4(平成18年5月12日)につき特許権設定登録がされており これらの特許権 本 ,(件特許権1及び本件特許権2)についての被告から原告に対する専用実施権設定登録手続は,条件成就により履行期が到来している(その上,原告は被告及びBに対して設定料を全額既に支払済みである。)。そして,本件契約に定める設定料は,特許を受ける権利及び特許権の存続期間中の実施許諾に対する固定ライセンスの前払であると認められ,これと変動ライセンス料とを含めた一体不可分のものが,実施許諾及び専用実施権設定登録対価関係にあるものというべきであるから,専用実施権設定登録手続(履行期の到来したものに限る。)は,変動ライセンス支払義務と同時履行の関係にあると認められる。
したがって,被告及びBが本件契約を解除するには,少なくとも,被告において原告に対して上記特許権について専用実施権設定登録手続の履行の提供をする必要があるというべきところ,被告がこれをしたことを認めるに足りる証拠はないのである。
(3) 小括以上に検討したところによれば,被告及びBがした平成18年9月10日付け解除通知(本件解除通知)は,解除の要件を欠き,その効力を有しないものというほかない。
2争点(2)(返還事由の発生の有無)について前記第2,2前提となる事実(5)イのとおり,本件権利3については拒絶査定によって特許を受けることができなくなったことが確定したから,本件設定契約第8条の条件が成就し,かつ,本件変更契約第3条の特約により,本件権利1〜4に係る設定料が2500万円に減額された。なお,特許を受けることができなくなったことが確定している以上,特にその帰責事由の存否を論ずる必要はない(本件設定契約第8条及び本件変更契約第3条の文言からすれば,特許を受けることができなくなったことが確定した場合は,被告及びBの帰責事由の有無にかかわらず設定料を半額に減額することができ,帰責事由の有無は特許を取得すべき期限についての延長の可否に係るものにすぎないものと認められる。)。
3争点(3)(返還額)について(1) 返還額につき本件変更契約第3条により,被告及びBが取得すべき設定料5000万円は2500万円に減額されたところ,前記第2,2前提となる事実(2)イ?〜?及び同(4)ア?〜?のとおり,原告は被告及びBに対して設定料として4500万円を支払っているから(同イ?の250万円が設定料の支払と認められることは前記1にて認定判断のとおりである,被告及びBの原告に対する返 。)還額は2000万円となる。
(2) 被告の返還額につき上記(1)の2000万円を被告及びBがどのような割合で返還すべきか否かについては,本件契約には定めがないところ,本件権利1〜4につき設定料の内訳が定められているから,それに基づいて按分することが合理的である。
したがって,被告に係る権利(本件権利1,2及び4)の設定料は合計3500万円(1000万円+1500万円+1000万円)であるから,被告が原告に返還すべき設定料は,1400万円(2000万円×〔3500/5000〕)と認めるのが相当である(なお,前記第2,2前提となる事実(4)ウのとおり,原告は,被告に対し,少なくとも115万1280円の変動ロイヤリティの支払義務を負っている。)。
(3) 返還方法及び返還時期につき本件変更契約第3条は,過払設定料の返還方法を本件設定契約第10条に基づくものと定めているところ(甲5),同10条は変動ロイヤリティの支払を定めた条項であって,その適用はない。したがって,本則に戻って,本件設定契約第8条に基づくところ,同条は,返還条件を定める規定であって返還方法及び返還時期についての定めはない。したがって,過払設定料は期限の定めなき債務として,催告のときに支払期限が到来するものと認められる。そして,原告が確定的に過払設定料の返還を催告したのは,本件訴状をもって被告に返還を請求した時と認められる。
4まとめ(1) 本件契約の専用実施権設定登録手続条項に基づき,被告は原告に対して本件特許権1及び本件特許権2について専用実施権設定登録をする義務があるから,原告の専用実施権設定登録請求は理由がある(なお,被告は原告に対してこれと対価関係のある変動ロイヤリティの支払請求権を有するが,被告から同時履行の抗弁権の主張はない。)。
(2) 本件契約の設定料返還条項に基づき,被告は原告に対して1400万円の支払義務があるから,本件返還請求額である1225万円の限度で原告の設定料返還請求は理由がある。これに対する遅延損害金請求は,本件訴状送達日の翌日である平成21年5月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を求める限度で理由がある。
(3) よって,訴訟費用の負担について民事訴訟法64条ただし書きを適用し,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 岡本岳
裁判官 中村恭
裁判官 鈴木和典
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