関連審決 | 無効2007-800200 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成20行ケ10441審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成20行ケ10343審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成20行ケ10243審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成20行ケ10423審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
平成21行ケ10180審決取消請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 発明者 / 方法の発明 / 製造方法 / 29条1項3号 / 進歩性(29条2項) / 容易に発明 / 相違点の認定 / 周知技術 / 技術常識 / 発明の詳細な説明 / 参酌 / 均等 / 容易に想到(容易想到性) / 実施 / 加工 / 設定登録 / 請求の範囲 / 変更 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
平成
20年
(行ケ)
10359号
審決取消請求事件
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原告トーヨーポリマー株式会社 訴訟代理人弁護士松本晶行 同桂充弘 同工藤展久 同壇俊光 同今村昭悟 訴訟代理人弁理士福島三雄 同小山方宜 同向江正幸 同高崎真行 被告株 式会社伏見製薬所 訴訟代理人弁理士神野直美 同上代哲司 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2009/07/29 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1原告の請求を棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1請求特許庁が無効2007-800200号事件について平成20年8月25日にした審決を取り消す。 第2争いのない事実1特許庁における手続の経緯被告は,平成16年12月1日,発明の名称を「連続気孔弾性体及びその製造方法 並びに吸水ローラー及びスワブ とする発明について特許出願をし 特 , 」 (願2004-348452号平成19年3月30日 設定登録を受けた 特 ),,(許第3935907号。以下「本件特許」という。請求項の数は7である。甲72 。)原告は,平成19年9月21日,請求項1ないし7について無効審判を請求( 。 。 した 無効2007-800200号 審判請求書は同月20日付けであった甲37 。)被告は,平成20年3月24日,訂正請求をした(訂正請求書は同月21日付けであった。甲44 。)特許庁は,平成20年8月25日 「訂正を認める。本件審判の請求は,成 ,り立たない 」との審決をし,その謄本は,同年9月4日,原告に送達された 。 (訂正が認められた後も請求項の数は7である。。)2特許請求の範囲訂正後の明細書(以下,訂正後の明細書を図面とともに「本件明細書」とい。) (, うの特許請求の範囲の請求項1ないし7の記載は次のとおりである 以下,「」「」 請求項1ないし7記載の発明を それぞれ 本件発明1 ないし 本件発明7という。。)( )請求項11ポリウレタンからなり,その骨格の平均太さが20μm以下で,骨格の80%以上が6〜15μmの範囲の太さである3次元網目状の気孔構造を有し,見掛け密度が0.2〜0.4g/cm であり,かつHLB値が8以上3の界面活性剤を含有することを特徴とする連続気孔弾性体 (本件発明1) 。 ( )請求項22界面活性剤のHLB値が8〜19であることを特徴とする請求項1に記載の連続気孔弾性体 (本件発明2) 。 ( )請求項33ポリウレタン,溶剤及び気孔生成剤である塩化カルシウムを,主原料として含有する組成物を混練して粘土状相溶物にする工程,当該組成物を脱泡,成形する工程,得られた成形物を水中あるいは水溶液中に投入して凝固する工程,及び,凝固された成形物から前記気孔生成剤を水抽出して除去しその後乾燥する工程を有することを特徴とする連続気孔弾性体の製造方法 (本。 件発明3)( )請求項44前記組成物が,さらに,HLB値が8以上の界面活性剤を含有することを特徴とする請求項3に記載の連続気孔弾性体の製造方法 (本件発明4) 。 ( )請求項55凝固された成形物から,気孔生成剤である前記塩化カルシウムを水抽出した後,該成形物にHLB値が8以上の界面活性剤を添加する工程をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の連続気孔弾性体の製造方法 (本件。 発明5)( )請求項66請求項1又は請求項2に記載の連続気孔弾性体を用いることを特徴とする吸水ローラー (本件発明6)。 ( )請求項77請求項1又は請求項2に記載の連続気孔弾性体を用いることを特徴とするスワブ (本件発明7)。 3審決の理由( )別紙審決書写しのとおりであり,要するに,訂正を認めた上で,本件発1明1ないし7に係る特許を無効とすることはできないとするものである。 審決において主張された無効理由は,次のとおりである。 ア本件発明1及び2について(ア)(無効理由1-1,2-1)本件発明1及び2は,甲8に記載された発明(以下「甲8発明」という,甲1,2,4ないし7に記載された周知技術,及び甲9ないし1 。)4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (イ)(無効理由1-2,2-2)本件発明1及び2は,甲15に記載された発明(以下「甲15発明」という )及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて 。 当業者が容易に発明をすることができたものである。 イ本件発明3について(ア)(無効理由3-1)本件発明3は,甲1に記載された発明(以下「甲1発明」という )。 であり,特許法29条1項3号に該当する。 (イ)(無効理由3-2)本件発明3は,甲2に記載された発明(以下「甲2発明」という )。 であり,特許法29条1項3号に該当する。 (ウ)(無効理由3-3)本件発明3は,甲3に記載された発明(以下「甲3発明」という,。)及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (エ)(無効理由3-4)本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ウ本件発明4について,,, , , 本件発明4は 甲8発明 甲1 2 4ないし7に記載された周知技術及び甲9ないし14に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 エ本件発明5について本件発明4についての無効理由と同じ。 オ本件発明6について,,, , , 本件発明6は 甲8発明 甲1 2 4ないし7に記載された周知技術並びに甲9ないし14号証及び甲21ないし23に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 カ本件発明7に係る特許についての無効理由(無効理由7),,, , , 本件発明7は 甲8発明 甲1 2 4ないし7に記載された周知技術甲9ないし14に記載された周知技術,及び甲17ないし19に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 ( )審決が認定した甲1発明の内容,本件発明3と甲1発明の一致点・相違2点 後記ア甲2発明の内容 本件発明3と甲2発明の一致点・相違点 後 (),, (),, (), 記イ甲3発明の内容 本件発明3と甲3発明の一致点・相違点 後記ウ甲8発明の内容,本件発明3と甲8発明の一致点・相違点(後記エ ,甲1)5発明の内容,本件発明1と甲15発明の一致点・相違点(後記オ)は,次のとおりである。 ア甲1発明について(ア)甲1発明の内容ポリウレタンをN-メチルピロリドン(NMP)に溶解し,孔形成剤としてメチルセルロース,さらに気孔径調整剤としてメチルセルロースの1/10量の塩化カルシウム2水和物を添加した組成物を混練し,真空脱泡することによって原液を調製し,調整された原液をコーターにより不織布上にコートし,不織布ごとNMP水溶液中に浸漬し,原液を凝固させ,その後,流水中で洗浄することで孔形成剤を溶出除去し,多孔質体を得,更に得られた多孔質体を乾燥させることを有する三次元網目状連続多孔質体の製造方法の発明(イ)本件発明3と甲1発明の一致点ポリウレタン,溶剤及び気孔生成剤を主原料として含有する組成物を混練する工程,当該組成物を脱泡する工程,水中あるいは水溶液中に投入して凝固する工程,及び凝固された成形物から前記気孔生成剤を水抽出して除去してその後乾燥する工程を有する連続気孔弾性体の製造方法という点(ウ)本件発明3と甲1発明の相違点(1)本件発明3では,主原料として含有する組成物を混練して「粘土状相溶物」にする工程を有するのに対して,甲1発明では,主原料を含有する組成物を混練する工程を有するだけであって 「粘土状相溶 ,物」にすることが明らかではない点(2)本件発明3では,塩化カルシウムを気孔生成剤として使用するのに対して,甲1発明では,塩化カルシウム2水和物を気孔径調整剤として使用している点(), , 3 本件発明3では 組成物を成形する工程を有しているのに対して甲1発明では,コート(コーティング)工程を有している点イ甲2発明について(ア)甲2発明の内容ポリウレタン合成重合体の樹脂溶液に塩化カルシウム等の無機塩類の粉末を望ましくは5〜20%添加し,ジメチルホルムアミド(DMF。 以下,引用文献の記載に従い「DMF」と記載する場合もある )を加。 え,攪拌し,脱泡し,離型膜上に塗布し,混合水溶液中にて浸漬することで,凝固させ,凝固と同時に無機塩類が凝固液中に溶解して消失することで,樹脂中の無機塩類が存在していた部位が空孔となることで,微細な多孔質が形成され,さらに,洗浄,乾燥せしめることによる透湿膜の製造方法の発明(イ)本件発明3と甲2発明の一致点ポリウレタン,溶剤,及び気孔生成剤である塩化カルシウムを含有する組成物を脱泡する工程,水溶液中に投入して凝固する工程,凝固された成形物から気孔生成剤を水抽出して除去し,その後乾燥する工程を有する連続気孔弾性体の製造方法という点(審決45ないし46頁)(ウ)本件発明3と甲2発明の相違点(1)本件発明3では「主原料を含有する組成物を混練して粘土状相溶物にする工程」を有するのに対して,甲2発明では 「原料を攪拌す ,る」ものである点(2)本件発明3では「成形する工程」を有するのに対して,甲2発明においては「離型膜上に塗布する工程」を有する点ウ甲3発明について(ア)甲3発明の内容水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂と溶媒とを含有する分散液を調製し混練する工程と,混練された分散液を脱泡する工程と,脱泡された分散液を成形し,ポリウレタン樹脂成形体を製造する工程と,ポリウレタン樹脂成形体に含まれる溶媒を水中で脱溶媒,凝固する工程と,凝固されたポリウレタン樹脂成形体から無機微粒子を水抽出して除去する工程とを有する化粧用スポンジの製造方法の発明(イ)本件発明3と甲3発明の相違点(1)甲3発明は「 混練して)粘土状相溶物にする工程」を有してい (ない点(2)本件発明3では「塩化カルシウム」を用いるのに対して,甲3発明では「無機微粒子」を用いるとしている点エ甲8発明(ア)甲8発明の内容,, ポリウレタン系樹脂をジメチルホルムアミドに溶解し 水溶性高分子界面活性剤と混練し,押出機の成形ダイス部分の混合物吐出温度が賦型しうる温度に冷却して,成形ダイスより押出しながら賦型し,水溶液中に浸漬し,凝固させると共に,水溶性高分子を溶解除去することからなるウレタン多孔質体の製造方法の発明(イ)本件発明3と甲8発明の相違点(1)甲8発明は「 混練して)粘土状相溶物にする工程」を有してい (ない点(2)甲8発明は「成形する工程の前に脱泡する工程」を有していない点(3)本件発明3では「塩化カルシウム」を用いるのに対して甲8発明では「水溶性高分子」を用いるとしている点オ甲15発明について(ア)甲15発明の内容シンジオタクティックビニル系芳香族ポリマーとエラストマー状ポリマーとからなるポリマーブレンドにおいて,混合した低分子材料を除去することにより,骨格の平均径10μm以下,好ましくは1〜7μmの範囲で,空孔率が50〜99%,好ましくは60〜98%の範囲にある内部連通空間を有する三次元連続網状骨格から構成されるミクロ多孔質体の発明(イ)本件発明1と甲15発明の一致点ポリウレタンを含むポリマーからなり,その骨格の平均太さが10μm以下で,三次元網目状の気孔構造を有する連続気孔弾性体であること(ウ)本件発明1と甲15発明の相違点(1)甲15発明がポリマーブレンドであること(2)本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの範囲の太さであること(3)本件発明1においては見かけ密度が0.2〜0.4g/cm で3あること(4)本件発明1においてはHLB値が8以上の界面活性剤を含有すること第3取消事由に関する原告の主張審決は,次に述べるとおり,認定,判断の誤り(取消事由1ないし10)があるから,違法として取り消されるべきである。 1取消事由1(無効理由3-1に関する取消事由)審決が1 本件発明3では 主原料として含有する組成物を混練して 粘 ,「(), 『土状相溶物』にする工程を有するのに対して,甲1発明では,主原料を含有する組成物を混練する工程を有するだけであって 『粘土状相溶物』にすること ,が明らかではない点 (審決42頁)を,本件発明3と甲1発明の相違点とし 」た認定は誤りである。以下,詳述する。 ( )本件発明3の粘土状相溶物の意義1本件発明3の粘土状相溶物は,固体に近い状態から粘性のある液状の状態, , までを含んだものと解すべきであり 可塑性と保形性の有無又はその程度も粘土状相溶物の状態により幅のあるものと解すべきである。その理由は,以下のとおりである。 ア本件特許出願時において,固体に近い状態から粘性のある液状の状態まで種々の状態の粘土が市販されていたこと(甲50ないし52 ,液状粘 )土は手工芸品の製作や学術研究の対象として使用されていたこと(甲53ないし55)は周知であったから,粘土状とは,固体と液体の中間状態をいい,固体に近い状態から粘性のある液体に近い状態までをいうと解すべきである。 「粘土」の学術的な定義には,可塑性や保形性の観点は含まれない(甲,)。 ,, 65 66本件明細書の記載を考慮しても 粘土状相溶物の保形性は「 」 なんらかの方法で成形した場合その形状を一定時間保持することが可能な程度という広い意味であり,被告の主張するような「成形型を使うことなく,成形物の凝固が完了するまでの間,所望の立体的形状を保ちうる性質」という意味ではない。 イ溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量について,本件明細書には,実施例1以外に具体的な記載はなく,その添加量を適宜調整しなければならない旨の記載もないから,本件各発明におけるジメチルホルムアミドの添加量は,本件明細書の実施例1に記載されたとおり50重量部と解すべきである。そして,本件明細書の発明の詳細な説明の【0028】には,固形分30重量%のポリウレタン100重量部に対して気孔生成剤の添加量として20ないし100重量部が好ましいと記載されているところ,原告の実験結果(甲56,57)によれば,固形分30重量%のポリウレタン100重量部に対し,塩化カルシウム20重量部とジメチルホルムアミド50重量部を添加して得られた混練組成物の状態は粘性のある液状の状態であったから(甲56の使用原料?A ,本件明細書の発明の詳細な説明 )には,粘土状相溶物が粘性のある液体の状態を含むことが実質的に記載されている。 ウ本件明細書の【0070】には,実施例1についての押出性,保形性について,押出賦型したときの延び方や混練組成物の可塑性,保形性,押出性の程度を明らかにする記載はないし,垂れ下がった旨の記載もその意味は曖昧である。また 【0070】に記載された事項は,実施例の評価に ,すぎず,粘土状相溶物の可塑性や保形性を明らかにするものではない。 エ被告は,固形分30重量%のポリウレタン100重量部(ポリウレタン30重量部及びDMF70重量部からなる,塩化カルシウム20重量部 。)を配合し,その他にDMFを添加することなく再現実験をしたところ,粘土状相溶物が得られた(乙2)と主張するが,固形分30重量%のポリウレタン100重量部中のDMF70重量部と塩化カルシウム20重量部の割合と等しい割合で,DMF35gと無水塩化カルシウム10gを配合して追試験を行ったところ,塩化カルシウムはDMF中に分散している状態であり,溶解している状態ではなかった(甲69 。)オそうすると,本件発明3の粘土状相溶物は,固体に近い状態から粘性のある液状の状態までを含んだものと解すべきであり,可塑性と保形性の有無又はその程度も粘土状相溶物の状態により幅のあるものと解すべきである。粘土状相溶物を,可塑性及び保形性の両方を含むと解することは誤りであり,仮に可塑性と保形性の両方を含むとしても,粘土状相溶物を「成形型を使うことなく製造することができる「高価な多孔材料を用いた成 」,型金型を準備する必要はない」などの説明が当てはまる特定の状態であるということはできない。 ( )甲1における粘土状相溶物にする工程の有無2甲1には,以下のとおり,原料組成物を粘土状相溶物にする工程が記載されている。 すなわち,甲1の【0034】には,気孔形成剤の添加量として 「原料,組成物中に1〜60重量%,より好ましくは5〜50重量%程度が適当である 」と記載され,添加量の最大値を60重量%とした理由として 「60重 。 ,量%を越えるものであると,原料組成物の粘度が極度に上昇し取扱いが困難なものとなるためである 」と記載されている。上記の記載から,甲1に記 。 載された原料組成物は,気孔形成剤の添加量の下限付近では粘性のある液状の状態であり,添加量の上限付近では布に塗布することが困難な状態であることが認められ,甲1発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有することが認められる。 ( )小括3以上によれば,甲1発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しているから 「 1)本件発明3では,主原料として含有する組成物を混練し ,(て『粘土状相溶物』にする工程を有するのに対して,甲1発明では,主原料を含有する組成物を混練する工程を有するだけであって 『粘土状相溶物』 ,にすることが明らかではない点」を,本件発明3と甲1発明の相違点とした審決の認定は誤りである。 2取消事由2(無効理由3-2に関する取消事由)審決が 「 1)本件発明3では『主原料を含有する組成物を混練して粘土状 ,(相溶物にする工程』を有するのに対して,甲2発明では 『原料を攪拌する』 ,ものである点 (審決46頁)を,本件発明3と甲2発明の相違点とした認定 」は誤りである。その理由は,以下のとおりである。 ( )本件発明3の粘土状相溶物の意義1前記1( )のとおり,本件発明3の粘土状相溶物は,固体に近い状態から1粘性のある液状の状態までを含んだものと解すべきであり,可塑性と保形性の有無又はその程度も粘土状相溶物の状態により幅のあるものと解すべきである。 ( )甲2における粘土状相溶物にする工程の有無2甲2には,以下のとおり,原料組成物を粘土状相溶物にする工程が記載されている。 すなわち,甲2の実施例1( 0023 )の樹脂溶液における気孔生成剤 【】である塩化カルシウムの添加量は,本件明細書( 0028 )において気孔 【】生成剤の添加量として好ましいとされた添加量の下限値を少し上回るものであること,他方,甲2の実施例1( 0023 )における溶剤であるジメチ 【】ルホルムアミドの添加量(30重量部)は,本件明細書の実施例1( 00【66 )における溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量(50重量部) 】よりも少ないことから,甲2の実施例1の組成物は,本件明細書の実施例1の組成物よりも粘性が高いはずである。 また,甲2の【0010】には 「・・・樹脂溶液の粘度が10000〜 ,40000(cps)になるようにジメチルホルムアミドを加え,よく攪拌する 」と記載されていることから,甲2の実施例1の樹脂溶液の粘度も1 。 0000〜40000cps(mPa)の範囲にあるものと理解され,粘性のある液状の状態にあることは明らかである。 ( )甲2における混練する工程の有無3甲1 発明の名称:白血球捕捉用フイルター材及びその製造方法 には ・ ( )「。」(【】), ・・均一な分散体が形成されるまで十分に攪拌混合される0036「・・・50℃で1時間混練し ( 0040 )と記載され,甲3(発明の 」【】名称:化粧用スポンジとその製造方法)には「分散液の混練には ・・・高 ,粘度のものであっても容易に攪拌可能な装置を使用することが好ましい 」。 ( 0021「ついで,この分散液をニーダーで20rpmの回転で1 【】),0分攪拌,混練し ( 0030 )と記載され,甲5(発明の名称:連通気 」【】孔を有する多孔性成形物の製法)には「・・・攪拌混練してなるものを成形し (特許請求の範囲)と記載されていることから,ポリウレタン多孔質体 」に係る技術分野において,攪拌と混練は特に区別されることなく使用されており,実質的に同じである。甲2には「原料を攪拌する」ことが記載されているところ,攪拌と混練は実質的に同じであるから,甲2には「主原料を含有する組成物を混練する」ことが記載されているといえる。そうすると,甲2に記載された組成物は攪拌して得られるものであって混練により得られるものではないとした審決の認定は誤りである。 ( )小括4以上によれば,甲2発明は 「主原料を含有する組成物を混練して粘土状 ,相溶物にする工程」を有しているから 「 1)本件発明3では『主原料を含 ,(有する組成物を混練して粘土状相溶物にする工程』を有するのに対して,甲2発明では 『原料を攪拌する』ものである点」を,本件発明3と甲2発明 ,の相違点とした審決の認定は誤りである。 3取消事由3(無効理由3-3に関する取消事由)審決は,本件発明3は,甲3発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないと判断し(審決51頁 ,その判断を導く前提として,次のような認定,判断をし )た。 ?@「 1)甲3発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有していな ((い点 (審決48頁)を,本件発明3と甲3発明の相違点と認定した。 」?A混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないと判断した(審決49頁 。)?B甲3発明における無機微粒子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆は,甲1,2,4ないし7にはないと判断した(審決50頁 。)?C本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないと判断した(審決51頁 。)しかし,上記?@ないし?Cの認定,判断は,以下のとおり,いずれも誤りであるから,それらの認定,判断を前提とした審決の判断も誤りである。 ( )本件発明3と甲3発明の相違点の認定の誤りについて1審決が 「 1)甲3発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ,((していない点 (審決48頁)を,本件発明3と甲3発明の相違点とした認 」定は,以下の理由により,誤りである。 ア本件発明3の粘土状相溶物の意義前記1( )のとおり,本件発明3の粘土状相溶物は,固体に近い状態か1ら粘性のある液状の状態までを含んだものと解すべきであり,可塑性と保形性の有無又はその程度も粘土状相溶物の状態により幅のあるものと解すべきである。 イ甲3における粘土状相溶物にする工程の有無甲3には,以下のとおり,原料組成物を粘土状相溶物にする工程が記載されている。 すなわち,甲3の【0023】には 「押出機を使用し,その成形ダイ ,スより押し出し賦型する方法」と「型を使用して所定の形状に成型する方法」とが,成形方法として並列して記載されており,実施例では後者の方法で分散液が成形されたことが記載されているから,前者の方法によって。,【】, も分散液の成形ができるものと解される また 甲3の 0021 には「分散液の混練には,ニーダー,プロペラミキサー,リボンミキサー,一軸スクリュー押出機,二軸スクリュー押出機など,高粘度のものであっても容易に攪拌可能な装置を使用することが好ましい 」と,分散液が高粘 。 度の状態にあることを前提とした記載があり,このような高粘度の分散液は,押出機を使用し,その成形ダイスより押出賦型する方法により成形できるものと理解される。実際に,甲3の実施例に従って生成したものは押出賦型可能であり,この点からも,甲3に示されたものが粘土状相溶物であることは明らかである。 ウ相違点の認定の適否そうすると,甲3発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しているから 「 1)甲3発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』 ,((を有していない点」を,本件発明3と甲3発明の相違点とした審決の認定(審決48頁)は誤りである。 ( )混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された2周知技術であるとは認められないとした判断の誤りについて審決が,混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断(審決49頁)は,以下の理由により,誤りである。 ア前記1( ),2( )のとおり,甲1,2には,粘土状相溶物にする工程が22記載されている。 イ甲7の実施例2の原料組成物は,ポリウレタン,溶剤,塩化カルシウム及びジルコンモールドからなり,このうちポリウレタン,溶剤及び塩化カルシウムが80重量%を占め,ジルコンモールドが20重量%を占めるから,本件発明3における「ポリウレタン,溶剤及び気孔生成剤である塩化カルシウムを,主原料として含有する組成物」に相当する。したがって,甲7には,組成物を混練して粘土状相溶物にする工程が実質的に記載されている。 ( ) 【】,【】, ウ甲58 特開平6-271703号公報 の 00110018【0019】の記載によれば,甲58には,従来技術として,高分子樹脂組成物原料のポリウレタン樹脂を溶剤に溶解させ,気孔生成物である無機塩,ポリビニルアルコール等を添加して押出成形し,その後DMFを水浴などにより除去して成形する工程を経て多孔質弾性体を製造する方法が広く採用されていることが開示されている。上記製造方法において,ポリウレタン樹脂を溶剤に溶解させ,無機塩等を添加して得られる組成物は,押出成形に適したものであるから,粘土状相溶物に相当する。 甲59(特開2001-302839号公報)の【0002【000】,3【0004】の記載によれば,甲59には,従来技術として,ポリウ 】,レタンを使用し,これを良溶媒で溶解させて粘稠体を作製し,この粘稠体に所定の気泡生成剤を混合・混練して所定形状に成形する方法が開示されている。上記の粘稠体に所定の気泡生成剤を混合・混練して得られる組成物は,所定形状に成形する際,成形型を用いることなく成形できるものと理解されるから,粘土状相溶物に相当する。 甲60(特開平8-92409号公報)の【0001【0016 ,】,】【0017【0019】の記載によれば,甲60には,実施例として, 】,,, () ポリウレタン 溶剤 気泡形成剤としてのポリビニルアルコール PVA及び親水性界面活性剤を同時に添加し,混練して押出成形により成形し,成形品を硬化させた後,成形品を水槽の水に浸漬して,溶剤とともにPVAを溶解させて除去し,その後乾燥させて成形品を得たこと,実施例1ないし5は,混練後の粘度が十分高いため,押出成形が良好に行えたことが開示されている。このように押出成形が良好に行える混練組成物が粘土状相溶物に相当することは明らかである。 上記のとおり,粘土状相溶物にする工程は,周知技術であった。 エそうすると,粘土状相溶物にする工程は,甲1,2,7に記載された周知技術であり,甲58ないし60に記載された周知技術でもあるから,審決が,混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断(審決49頁)は,誤りである。また,粘土状相溶物にする工程は,当業者が容易に想到することができたものである。 ( )甲3発明における無機微粒子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化3カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした判断の誤りについて審決が,甲3発明における無機微粒子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした判断(審決50頁)は,以下の理由により,誤りである。 塩化カルシウムは,気孔生成剤の一つであり,本件明細書において,塩化カルシウムと他の気孔生成剤との違いは明示されておらず 【0027】で ,は,塩化カルシウムが他の気孔生成剤と並列して例示されている。塩化カルシウムは,塩化ナトリウム,硫酸ナトリウムとともに抽出法に広く用いられている二価の無機添加剤であり,一価のものと比較して,添加量が少量で粘性を高める作用があるとされている。甲1,2,4ないし7には,いずれも,,, , 気孔生成剤の一例として塩化カルシウムが例示されており また 甲1 27には,実施例に,気孔生成剤として塩化カルシウムを用いて粘土状相溶物を形成する工程が記載されている。 したがって,甲1,2,4ないし7には,甲3発明における無機微粒子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆がある。 ( )本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないとした判断の誤りに4ついて審決が 本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないとした判断 審 , (決51頁)は,以下の理由により,誤りである。 本件明細書の比較例2は,気孔生成剤として無水塩化カルシウムの代わりに粒径が100μm未満の塩化ナトリウム350部を使用した以外は,実施例1と同様にしたものである(本件明細書【0069。甲42(被告作成 】)の平成20年2月12日付け上申書)の参考資料3によれば,気孔生成剤として塩化ナトリウムを用いる場合には,添加量を350重量部(本件明細書の比較例2の添加量)にしたときに,液状よりは粘性が高まり,可塑性,保形性はないものの,押出性があることが認められる。しかるに,前記1( )1のとおり,粘土状相溶物には粘性のある液状の状態も含まれるから,本件明, 。 細書の比較例2の混練組成物は 粘土状相溶物に該当すると解すべきであるそうすると,比較例2の混練組成物については,粘土状相溶物に該当するとした上で,更に進んで可塑性と保形性について実施例と客観的に比較し得る実験条件が設定されているか否かを検討すべきであった。そして,混練組成物の押出性と保形性を客観的に評価するためには,実施例1,比較例1及び比較例2のいずれについても,押出機から押し出される混練組成物の比重を凝固浴中の水溶液の比重とほぼ等しい1.1ないし1.2とすべきところ,本件明細書には,そのような条件設定は記載されていないので,比較例2の組成物の押出性と保形性は正しく評価されていない。そうすると,本件明細書の比較例2は,不適当である。 したがって,審決が,本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないとした判断は,誤りである。 ( )小括5以上のとおり,審決は,前提となる認定,判断に誤りがあるから,本件発明3は,甲3発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決51頁)も誤りである。 4取消事由4(無効理由3-4に関する取消事由)審決は,本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないと判断し(審決53頁 ,その判断を導く前提として,次のような認定,判断をし )た。 ?@「 1)甲8発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有していな ((い点 (審決52頁)を,本件発明3と甲8発明の相違点と認定した。 」?A混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないと判断した(審決53頁 。)?B甲8発明における水溶性高分子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないと判断した(審決53頁 。)?C本件明細書において特にポリビニルアルコールを特定していないことをもって,比較例1の信憑性を評価できないとまではいえないと判断した(審決53頁 。)しかし,上記?@ないし?Cの認定,判断は,以下のとおり,いずれも誤りであるから,それらの認定,判断を前提とした審決の判断も誤りである。 ( )本件発明3と甲8発明の相違点の認定の誤りについて1審決が 「 1)甲8発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ,((していない点 (審決52頁)を,本件発明3と甲8発明の相違点とした認 」定は,以下の理由により,誤りである。 ア本件発明3の粘土状相溶物の意義前記1( )のとおり,本件発明3の粘土状相溶物は,固体に近い状態か1ら粘性のある液状の状態までを含んだものと解すべきであり,可塑性と保形性の有無又はその程度も粘土状相溶物の状態により幅のあるものと解すべきである。 イ甲8における粘土状相溶物にする工程の有無甲8には,以下のとおり,原料組成物を粘土状相溶物にする工程が記載されている。 すなわち,甲8の【0009】には「ポリウレタン系樹脂の混合物は,・・・ダイスからの吐出部分における温度は常温に近く,混合物の粘度上昇はごく僅かでシート状に塗布できる状態であっても立体的な形状に賦型できる状態ではなかった 」との記載があるので,上記混合物は,立体的 。 な形状に賦型できる程の粘度は有していないが,シート状に塗布できる程度の粘度(粘性)は有するものと解され,一定の可塑性と保形性を有する状態にあることが明らかであるので,甲8には,原料組成物を粘土状相溶物にする工程が記載されている。 ウ相違点の有無甲8発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しているから,審決が 「 1)甲8発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ,((していない点」を,本件発明3と甲8発明の相違点とした認定は,誤りである。 ( )混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された2周知技術であるとは認められないとした判断の誤りについて前記3( )のとおり,粘土状相溶物にする工程は,甲1,2,7に記載さ2, , れた周知技術であり 甲58ないし60に記載された周知技術でもあるから審決が,混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断(審決53頁)は,誤りである。また,粘土状相溶物にする工程は,当業者が容易に想到することができたものである。 ( )甲8発明における水溶性高分子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩3化カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした判断の誤りについて審決が,甲8発明における水溶性高分子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした判断(審決53頁)は,前記3( )と同様の理由3により,誤りである。 ( )本件明細書の比較例1の信憑性を評価できないとまではいえないとした4判断の誤りについて審決が,本件明細書において特にポリビニルアルコールを特定していないことをもって,比較例1の信憑性を評価できないとまではいえないとした判断(審決53頁)は,以下の理由により,誤りである。 すなわち,ポリビニルアルコール(PVA)はポリマーであって,分子量やけん化度で性質が異なることは周知であり,少なくとも商品名を示さなければ特定することができない。また,甲60の【0016【0017 ,】,】【0019【0020【0022【0023】の記載によれば,P 】,】,】,VAが商品名により特定されていても,その粒径によって多孔質体の効果は異なる。そうすると,比較例1は,ポリビニルアルコールを商品名等によって特定していないから,その信憑性を評価することはできない。 ( )小括5以上のとおり,審決は,前提となる認定,判断に誤りがあるから,本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決53頁)も誤りである。 5取消事由5(無効理由4に関する取消事由)審決は,本件発明4は,本件発明3を引用した形式で記載された発明であって,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4に係る主張も採用されない以上,甲9ないし14記載の周知技術を参酌しても,本件発明4に係る特許についての無効理由4に係る主張も採用できないとする(審決53ないし54頁 。しかし,審決の本件発明3に係る特許についての無効理由 )3-1ないし3-4の判断は誤りであるから,審決の本件発明4に係る特許についての無効理由4の上記判断も誤りである。 6取消事由6(無効理由5に関する取消事由)審決は,本件発明5は,本件発明3を引用した形式で記載された発明であって,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4に係る主張も採用されない以上,甲9ないし14記載の周知技術を参酌しても,本件発明5に係る特許についての無効理由5に係る主張も採用できないとする(審決54頁 。しかし,審決の本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ない )し3-4の審決の判断は誤りであるから,審決の本件発明5に係る特許についての無効理由5の上記判断も誤りである。 7取消事由7(無効理由1-1,2-1に関する取消事由)審決は 「無効理由1-1,2-1は,本件発明1及び2に係る連続気孔弾 ,性体が本件発明4に係る製造方法によって製造されたものであるから,本件発明1及び2も,本件発明4と同様に,甲8発明,甲1,2,4ないし7に記載された周知技術,及び甲9ないし14に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるというものであるが,無効理由1-1,2-1の基礎とする本件発明4に係る特許についての無効理由4に係る主張が採用されない以上,無効理由1-1,2-1に係る主張も採用できない(審決。」54頁)とする。しかし,前記5のとおり,審決の本件発明4に係る特許についての無効理由4の判断は誤りであるから,審決の本件発明1及び2についての上記判断も誤りである。 8取消事由8(無効理由1-2に関する取消事由)審決は 「 2)本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの範 ,(囲の太さであること (以下「相違点(2 」ということがある。審決55頁) 」)を,本件発明1と甲15発明の相違点と認定し,その認定を前提とした上で,本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないと判断した(審決57頁 。しかし,上記の相違点(2)の認定及びその認定を前提とし )た容易想到性の判断は誤りである。以下,詳述する。 ( )本件発明1と甲15発明の相違点の認定の誤りについて1審決が 「 2)本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの ,(範囲の太さであること (相違点(2 ,審決55頁)を,本件発明1と甲1 」)5発明の相違点とした認定は,以下の理由により,誤りである。 ア甲15の【0047【0039】の記載によれば,甲15に係るミク 】,ロ多孔質体は,骨格の太さとセル径のバラツキが小さくほぼ均一であり,骨格の太さがセル径に比べて小さく,せいぜい10数μmを上限とするものと理解すべきである。そうすると,甲15には,相違点(2)と実質的に差異がない構成が記載されているといえる。 イミクロ多孔質体に係る技術分野において,骨格や気泡の平均径が,走査型電子顕微鏡等の顕微鏡による解析に基づいて測定されることは周知事項であり このことは甲61 特開平5-194764号公報甲62 特 ,( ),(開2003-192823号公報)にも記載されており,甲15の【0051】の測定値は,顕微鏡測定により得られたものである。 甲61(特開平5-194764号公報 ,甲25(特開平8-736 )44号公報 ,甲26(特開平8-127668号公報 ,甲27(特開平 ) )8-283446号公報)は甲15と同一の出願人に係るものであり,甲25ないし27及び甲15の図1は,甲61の図2と略同一である。そして,甲61の図2は 「実施例1で得られた機能性多孔質材料について, ,骨格の太さとセル径のバラツキが小さくほぼ均一であり,骨格の太さがセル径に比べて小さいことを示す顕微鏡写真図」である甲61の図5の特徴的な構造を反映している。 そうすると,甲15の多孔質体の特徴的構造(ミクロ多孔質体の骨格の太さとセル径のバラツキが小さくほぼ均一であり,骨格の太さがセル径に比べて小さい構造)は周知の構造であるので,甲15の図1は,ミクロ多孔質体の骨格の太さ,骨格の太さの相互関係が示されたものとみることができる。 ウ原告作成の実験報告書である甲28は,甲15記載のミクロ多孔質体の製造を再現する実験に係るものであり,その写真2(その拡大写真は甲63である )からは,全体がほぼ均一の骨格径からなり,骨格径が0.2 。 〜1.0μmの範囲のものがみてとれる。したがって,甲15には,骨格の80%以上が0.2ないし1.0μmの範囲の太さであるものが実質的に記載されている。 エそうすると,本件発明1と甲15発明は,骨格の80%以上が所定の太さである点で一致し,骨格の太さが,本件発明1では6ないし15μmの範囲であるのに対し,甲15発明では0.2ないし1.0μmの範囲である点でのみ相違し,審決が,相違点(2)を本件発明1と甲15発明の相違点とした認定は,誤りである。 ( )本件発明1と甲15発明の相違点に係る構成に想到することが容易であ2ることについて審決が,本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決57頁)は誤りである。その理由は,以下のとおりである。 すなわち,原告作成の実験報告書である甲70は,甲15の請求項1に記載された発明の組成物の配合を微妙に変化させて行った実験を記載したもの,, ,. であり それによれば 組成物の配合を微妙に変化させたところ 密度が020g/cm であり,全体の80%の骨格径が5〜7μmである多孔質体3が得られた。更に配合を変化させれば甲15の請求項1の発明と同じ骨格径のものを製作することは可能であり,骨格径について,甲15記載の「0.2ないし1.0μmの範囲」を本件発明1の「6ないし15μmの範囲」に設定することは,単なる設計事項である数値範囲の変更にすぎないから,当業者にとって容易である。そうすると,本件発明1は,甲15発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 また,本件明細書( 0014 )には 「骨格の太さがほぼ均等であるこ 【】,とにより,水を吸収した後の連続気孔弾性体を外力で圧縮する際に,効率良」 , く水を吐き出す性質がより優れたものとな るとの効果が記載されているが骨格の太さが均一であることが,外力で圧縮する際に効率良く水を吐き出す性質に関連することは,実施例において何ら実証されていないから,このような効果が甲15に記載されていないとしても,そのことをもって,本件発明の進歩性が肯定されることはない。 ( )小括3したがって,審決が,本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決57頁)は誤りである。 9取消事由9(無効理由6に関する取消事由)審決は 「本件発明6に関する原告(請求人)の主張は,審判請求書全般の ,記載,及び引用された甲号証から見て,実質的に,本件発明3に係る特許についての無効理由3-4に基づいてなされたものであると認められるところ,無効理由3-4については採用できないから,本件発明6に係る特許についての無効理由に係る主張は採用できない 」とする。しかし,審決の本件発明3に 。 係る特許についての無効理由3-4の判断は誤りであるから,審決の本件発明6についての上記判断も誤りである。 取消事由10(無効理由7に関する取消事由)10審決は 「本件発明7に関する原告(請求人)の主張は,審判請求書全般の ,記載,及び引用された甲号証から見て,実質的に,本件発明3に係る特許についての無効理由3-4に基づいてなされたものであると認められるところ,無効理由3-4については採用できないから,本件発明7に係る特許についての無効理由に係る主張は採用できない 」とする。しかし,審決の本件発明3に 。 係る特許についての無効理由3-4の判断は誤りであるから,審決の本件発明7についての上記判断も誤りである。 第4被告の反論,, 。 審決の認定 判断に誤りはなく 原告主張の取消事由はいずれも理由がない1取消事由1(無効理由3-1に関する取消事由)に対し審決が1 本件発明3では 主原料として含有する組成物を混練して 粘 ,「(), 『土状相溶物』にする工程を有するのに対して,甲1発明では,主原料を含有する組成物を混練する工程を有するだけであって 『粘土状相溶物』にすること ,が明らかではない点 (審決42頁)を,本件発明3と甲1発明の相違点とし 」た認定に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 粘土状 という語は 固体の状態を示し液体の状態 液状 を含まない 甲 「」, ()(29ないし34,乙1 。また,本件明細書の記載を参酌しても 「粘土状相溶 ) ,物」に液状を含まない。 原告の主張は,塩化カルシウムの添加量を本件明細書の【0028】に記載された下限値の20重量部とし,溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量を本件明細書の実施例1( 0066 )に記載された50重量部とする場合にも 【】粘土状相溶物が生成されるということを前提とする。しかし,そのような添加量とした場合には,当然に,組成物は液状となる。そして,そのような液状のものは 「粘土状相溶物」には含まれない。 ,原告の実験(甲56,57)は,恣意的に液状となるような条件を選んで行われたものであり,この実験結果を根拠として,粘土状相溶物が液状の状態も含んでいるとすることはできない。被告が,固形分30重量%のポリウレタン100重量部(ポリウレタン30重量部及びDMF70重量部からなる,。)塩化カルシウム20重量部を配合し,その他にDMFを添加することなく再現実験をしたところ,粘土状相溶物が得られた(乙2 。)粘土状相溶物が有する可塑性,保形性は,固体が有する性質であって,液体の粘度を高くしても得られない。可塑性,保形性を有する固体は,降伏点を有, ,, する点で液体とは相違し 高粘度の液体と粘土状相溶物とは その点において異なる。 原告は,審判手続において 「粘土状相溶物とは 『混練した組成物を所望の ,,形状に成形し得る可塑性と,成形物の凝固が完了するまでの間,成形物の形状を保ち得る保形性をもつ成形に適した混練組成物をいうもの』と解釈すべきである」と述べており(甲39の口頭審理陳述要領書4頁2〜5行 ,原告は, )審決の解釈に誤りがないことを認めていた。 2取消事由2(無効理由3-2に関する取消事由)に対し審決が 「 1)本件発明3では『主原料を含有する組成物を混練して粘土状 ,(相溶物にする工程』を有するのに対して,甲第2号証記載の発明では 『原料,を攪拌する』ものである点 (審決46頁)を,本件発明3と甲2発明の相違 」点とした認定に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 審決は,甲2に記載された組成物が混練ではなく攪拌によって得られることのみに基づいて,その組成物が粘土状相溶物であることを確認できないとしているのではなく,その後の工程が塗布工程であることに基づいて,その組成物が粘土状相溶物であることを確認できないと認定している。したがって,仮に混練と攪拌が実質上同じであり,甲2に記載された組成物が主原料を混練する工程を有しているものであるとしても,そのことは,審決の認定を否定する根拠とはなり得ない。 3取消事由3(無効理由3-3に関する取消事由)に対し審決が,本件発明3は,甲3発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断,及びその判断を導く前提としてした認定,判断に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ( )本件発明3と甲3発明の相違点の認定の誤りについて1() ,() 甲3の分散液 混練組成物 が 本件発明3の混練組成物 粘土状相溶物と同程度の可塑性,保形性,押出性を有することは,甲3に記載されていなII いし,示唆もされてない。被告作成の実験証明書である乙2の実験目的の結果(実験No4)及び本件明細書の比較例2から,甲3の分散液(混練組成物)を押出賦型により成形した場合,本件発明3の混練組成物(粘土状相溶物)と同程度の可塑性,保形性,押出性が得られないことは明らかである。 ( )混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された 2周知技術であるとは認められないとした判断の誤りについてア甲1,2について,実質的に粘土状相溶物にする工程が記載されていないのは,前記1,2のとおりである。 イ甲7について,実施例2で使用されるポリウレタンは30%DMF溶液であり,DMFを除けば,ポリウレタン固形分とジルコンモールドの重量比は,30:50であり,ジルコンモールドはポリウレタン固形分より多量に配合されている。そして,ジルコンモールドの存在は,ポリウレタンの多孔質体の形成やその製造過程の組成物の物性に重大な影響を与えると考えられる。 また,原告作成の実験証明書である甲56に記載された使用原料?Bを使用した実験から,甲7の実施例2の組成物よりジルコンモールドを除いた,, 場合に粘土状相溶物が生成しないことを理解することができ そうするとジルコンモールドが含まれる上記実施例2の組成物も粘土状相溶物になることはない。さらに,甲7に,粘土状相溶物を生成するための条件を示唆する記載はない。 ウ甲58ないし60のいずれにも,粘土状相溶物にする工程は記載されていない。 すなわち,甲58について,押出成形の条件を示さず,単に押出成形が可能であるとの記載があることを根拠に,粘土状相溶物にする工程が記載されていると解することはできない。 原告は,甲59に記載された組成物は 「成形型を用いることなく成形 ,できる」と主張するが,甲59には,その主張の根拠となる記載は見い出せない。甲59の組成物は,単に成形できるものにすぎず,単に成形できるだけでは,粘土状相溶物が生成されていることにならない。 原告は,甲60について,押出成形が良好に行えるとの記載を根拠に,甲60に記載された混練組成物が本件発明3の粘土状相溶物に相当すると主張する。しかし,押出成形がどの程度良好に行い得るのかが示されていないから,本件発明3のような可塑性,保形性,押出性が得られているかは,不明である。 ( )甲3発明における無機微粒子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化3カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした判断の誤りについて本件明細書において,塩化カルシウムは,硫酸ナトリウム,塩化ナトリウム,水溶性高分子等の他の気孔生成剤と同等には記載されていない。また,甲1,2,4ないし7には,公知の気孔生成剤の中から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆はない。本件発明3の特徴は,多くの気孔生成剤の中から塩化カルシウムを選択したことだけにあるのではなく,粘土状相溶物にするための条件を選択した点にもあり,本件発明3は,塩化カルシウムの添加量が,本件明細書の【0028】に記載されている範囲(20〜100重量部)で優れた効果が得られるものであるところ,上記の塩化カルシウムの添加量の範囲は,当業者が従来技術から動機付けを得られる範囲を超えたものである。 カルシウムの電気陰性度は1.0であり,ナトリウムのそれは0.9と略同一レベルにあるから(乙3 ,塩化カルシウムの方が塩化ナトリウムより )粘性を高める作用が高いということはできない。 ( )本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないとした判断の誤りに4ついて原告は,粘土状相溶物に粘性のある液状の状態も含まれるとの主張を前提として,本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないとした審決の判断は誤りであると主張する。しかし,粘土状相溶物に粘性のある液状の状態も含まれるとの主張は採用することができないから,原告の主張は,その前提において,採用することができない。 4取消事由4(無効理由3-4に関する取消事由)に対し審決が,本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断,及びその判断を導く前提としてした認定,判断に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ( )本件発明3と甲8発明の相違点の認定の誤りについて1粘性のある液体は粘土状相溶物に該当しないし,甲8に記載されたポリウレタン系樹脂の混合物が,シート状に塗布できる程度の粘度(粘性)を有するとしても,そのことを根拠に,甲8に粘土状相溶物にする工程が記載されているとはいえない。 ( )本件明細書の比較例1の信憑性を評価できないとまではいえないとした2判断の誤りについて本件明細書において,比較例1で用いられているのは,連続気孔弾性体の製造に通常用いられているポリビニルアルコールであるので,比較例1と実施例との対比から本件発明3の効果は十分に示される。また,分子量やけん化度等が,実施例や比較例で示されている保形性,押出性に影響を与えることは,技術常識であるとはいえない。甲60は,組成物中に分散しているPVA粒子が溶出した跡が気泡となるのであるから,PVAの粒径によって多孔質体の効果が異なるのは当然である。 5取消事由5(無効理由4に関する取消事由)に対し前記1ないし4のとおり,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4の審決の判断に誤りはなく,審決の本件発明4に係る特許についての無効理由4の判断にも誤りはない。 6取消事由6(無効理由5に関する取消事由)に対し前記1ないし4のとおり,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4の審決の判断に誤りはなく,審決の本件発明5に係る特許についての無効理由5の判断にも誤りはない。 7取消事由7(無効理由1-1,2-1に関する取消事由)に対し前記5のとおり,本件発明4に係る特許についての無効理由4の審決の判断は誤りはなく,審決の本件発明1及び2についての判断にも誤りはない。 8取消事由8(無効理由1-2に関する取消事由)に対し審決が 「 2)本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの範 ,(囲の太さであること (相違点(2 ,審決55頁)を,本件発明1と甲15発 」)明の相違点と認定した上で,本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決57頁)に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ( )本件発明1と甲15発明の相違点の認定の誤りについて1ア甲15には 「非常にミクロで均一な気孔を有する ( 0047 )と , 」【】の記載があるだけであり,そのバラツキの程度についての記載はないし,気孔径と骨格太さが互いに相関関係にあるとの記載もない。セル径(気孔径)が均一であることから,骨格の太さも均一であるとする根拠はない。 イ甲15及び甲25ないし27の図1,並びに甲61の図2は,ほとんど同じであり,この図は,このように多用されていることなどからして,ミクロ多孔質体の気孔や骨格の太さ等を正確に表した図ではなく,模式図,概略図にとどまるものである。 ウ甲28の写真2(甲63)は極めて不鮮明であり,骨格の太さの範囲や割合を認定する根拠とすることはできない。 ( )本件発明1と甲15発明の相違点に係る構成に想到することが容易であ2ることについてパラメーターの選択が,当業者が適宜行い得る設計事項であるというためには,当業者がそのパラメーターを容易に変更した上で実験を複数回行い,。, その中から最適な条件を選択できるような場合でなければならない しかし骨格径の範囲について,甲15に記載された0.2ないし1.0μmの範囲は,上限と下限の比が5であるのに対し,本件発明1に記載された6ないし15μmの範囲は,上限と下限の比が2.5であり,骨格の均一性や太さに大きな差があり,甲15から,本件発明1のように骨格の均一性を高め,太さを太くすることは,容易に行い得ることではない。 本件明細書の発明の詳細な説明( 0014 )には 「骨格の太さがほぼ 【】,均等であることにより,水を吸収した後の連続気孔弾性体を外力で圧縮する際に,効率良く水を吐き出す性質がより優れたものとな」るとの効果が記載されているが,骨格の太さが均一であることの効果は,本件明細書の【0075】の表2中の実施例2,3についての吸水性,残留水分量に示されており,実施例により実証されている。 9取消事由9(無効理由6に関する取消事由)に対し前記1ないし4のとおり,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4の審決の判断に誤りはなく,審決の本件発明6に係る特許についての無効理由6の判断にも誤りはない。 取消事由10(無効理由7に関する取消事由)に対し10前記1ないし4のとおり,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4の審決の判断に誤りはなく,審決の本件発明7に係る特許についての無効理由7の判断にも誤りはない。 第5当裁判所の判断1取消事由1(無効理由3-1に関する取消理由)について審決が1 本件発明3では 主原料として含有する組成物を混練して 粘 ,「(), 『土状相溶物』にする工程を有するのに対して,甲1発明では,主原料を含有する組成物を混練する工程を有するだけであって 『粘土状相溶物』にすること ,が明らかではない点」を,本件発明3と甲1発明の相違点とした認定に誤りはなく,取消事由1は理由がない。以下,詳述する。 ( )粘土状相溶物の意義について1ア本件明細書の記載特許請求の範囲(請求項3,前記第2,2( ))の記載によれば,粘土3状相溶物は,ポリウレタン,溶剤及び気孔生成剤である塩化カルシウムを主原料として含有する組成物を混練して生成されるものであること,生成された粘土状相溶物である組成物は,脱泡,成形する工程,得られた成形物を水中あるいは水溶液中に投入して凝固する工程,及び凝固された成形物から気孔生成剤を水抽出して除去してその後乾燥する工程を経ることにより連続気孔弾性体を製造できることが認められる。しかし,これによれば,粘土状相溶物について,組成物の主原料,生成過程で組成物を混練すること,諸工程を経て連続気孔弾性体を製造できることは認められるものの,それ以上には,粘土状相溶物の意義は明らかでない。そこで,本件明細書の発明の詳細な説明を参照すると,本件明細書の発明の詳細な説明には,次のとおりの記載がある。 「特許文献2の方法によれば,成形物の肉厚が例えば20mmの場合,凝固完了までに1週間近くかかり,かつ製造時に高価な多孔材料からなる成形型が必要になる。特に,量産のためにはその数が大量に必要となり,結果として製造コストが高くなる。そこで,このような従来技術の問題がない連続気孔弾性体の製造方法の開発が望まれている( 背景技術」の。」「欄 【0008 ),】「本発明はさらに,水を瞬時に吸水することができる性質を有する連続気孔弾性体,又はこの性質を付与することが可能な連続気孔弾性体を,製造工程において材料を加熱することなく,酸,アルカリなどの劇薬を使うことなく,かつ成形型を使うことなく製造することができる,連続気孔弾性体の製造方法を提供することを課題とする( 発明が解決しようとす 。」「る課題」の欄 【0009 ),】「本発明者はさらに ・・・方法により,瞬時に吸水する性質を付与す ,ることが可能な連続気孔弾性体を,材料を加熱することなく,酸,アルカリなどの劇薬を使うことなく,かつ成形型を使うことなく製造することができることを見出した( 課題を解決するための手段」の欄 【001 。」「 ,1 )】「本発明者は,ポリウレタン,溶剤及び水溶性でありかつ溶剤と分子化, , 合物を形成する気孔生成剤を 主原料として含有する組成物を混練すると粘土に類似した可塑性と保形性をもつ成形に適した混練組成物が得られることを見出した( 課題を解決するための手段」の欄 【0022 ) 。」「 ,】「このような気孔生成剤が溶剤中に該溶剤とゆるやかな結合をもつ状態で存在し,これに高分子材料が相溶することで,特異な粘土状の可塑性と保形性が発現するものと考えられる( 課題を解決するための手段」の 。」「欄 【0024 ),】「可塑性は押出などの方法で混練した組成物を,所望の形状に成形するために重要である。また,成形加工に次ぐ凝固過程は長時間を必要とし,例えば,25℃の水中で肉厚10mmの組成物が凝固完了するまでには,12から18時間を必要とする。このため,組成物の凝固が完了するまでの間,成形型を使わずに所望の形状を保つためには,所望の形状を成形後も保つ性質すなわち成形後の保形性の良いことが重要になる( 課題を。」「解決するための手段」の欄 【0025 ) ,】「又粘土状の可塑性と保形性を有する混練組成物を用いることにより,その太さが細くかつ均一で3次元網目状に広がった骨格を有する成形体が得られやすい( 課題を解決するための手段」の欄 【0026 ) 。」「 ,】「 , 混練組成物に粘土状の可塑性と保形性を付与する気孔生成剤としては塩化カルシウム 塩化マグネシウム等の無機塩微粒子が例示される課 , 。」(「題を解決するための手段」の欄 【0027 ) ,】「気孔生成剤の添加量は,固形分30重量%の溶液型ポリウレタン100重量部に対して20〜100重量部が好ましい。添加量が20重量部より少ないと,組成物の可塑性及保形性が不十分となり成形時に所望の形状を得られない場合がある。又,100重量部よりも多いと,混練時に組成物が固体に近い状態となるため成形が困難になる場合がある( 課題を。」「解決するための手段」の欄 【0028 ) ,】「本発明の連続気孔弾性体の製造方法によれば ・・・である連続気孔 ,弾性体であって,所望の形状を有するものを,工程中に高温に加熱することなく,酸やアルカリなどの薬品を使用することなく,高価な多孔材料を用いた成形金型を準備する必要がなく,製造することができる( 発明。」「の効果」の欄 【0042 ),】「 混練組成物の押出性(可塑性)と保形性] [外径46mm,内径20mmのチューブ成形用口金を接続したスクリュー径40φのベント式押出機から,混練組成物を,40〜50℃の温度範囲で押出しした。押出し方向は下向きにし,口金先端から出る組成物を,比重1.1〜1.2の塩化カルシウムあるいは塩化マグネシウム水溶液に。 , そのまま押出して50cm長で裁断した その水溶液温度は20〜25℃口金先端と水溶液面の距離は10cmとした。この時,口金から出る押出組成物の形状が口金外径に比例した一定の状態で押出されるか,垂れが生じて変形するかを目視確認して,押出性を評価した。垂れが生じていないものを良好とした( 実施例」の欄 【0060 ) 。」「,】「前記押出し後の状態のまま12時間放置して凝固が完了した組成物を取り出し,洗浄,乾燥した。これによってできた連続気孔弾性体チューブのほぼ中央部を押出方向と垂直にカッターで裁断した。図4に,裁断後のチューブの断面の模式図,及び最小直径a,最大直径bを示す。この断面の最小直径aと最大直径bをノギスで測定し,b/aの値を保形性とした( 実施例」の欄 【0061 ) 。」「,】【0070】の【表1】において 「保形性b/a」は,実施例1に ,ついては1.04とされている。 【0075】の【表2】において 「保形性b/a」は,実施例2に ,ついては1.05,実施例3については1.04とされている。 イ判断前記アの本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌すれば,本件発明3の粘土状相溶物は,混練した組成物を所望の形状に成形しうるための可,, , 塑性を有するとともに 成形された後 組成物の凝固が完了するまでの間成形型を使わなくとも,成形された形状を保つような保形性を有するものであることが認められる。成形型を使わなくとも,成形された形状を保つような保形性とは,換言すれば,成形された後,組成物の凝固が完了するまでの間,変形の程度が小さいことをいうと認められる。 そうすると,粘性のある液状の状態のものは,成形されても直ぐに変形,, , してしまうものであり 成形された後 組成物の凝固が完了するまでの間成形型を使わなくとも,成形された形状を保つような保形性を有するものではないから,本件発明の粘土状相溶物に含まれないものと認められる。 なお,粘土状相溶物が,少なくとも「混練した組成物を所望の形状に成形しうるための可塑性と,成形物の凝固が完了するまでの間,所望の形状を保ち得る保形性を有する」という「組成物自体の性質」で特徴づけられることは,審判において,原告(請求人)が平成20年1月24日付け口() ,() 頭審理陳述要領書 甲39 4頁2ないし5行で主張し 被告 被請求人が同年2月12日付け上申書(甲42)2頁4行ないし5頁15行で主張しており,審決(42頁33行ないし43頁34行)が,請求人と被請求人との間で争いのないところとして認定したものであって,審判における当事者の主張に照らし,この点に関する審決の認定に誤りはない。 ウ原告の主張に対し(ア)原告は,本願出願時において,固体に近い状態から粘性のある液状の状態まで種々の状態の粘土が市販されていたこと(甲50ないし52 ,液状粘土は手工芸品の製作や学術研究の対象として使用されてい )たこと(甲53ないし55)は周知であったから,粘土状とは,固体と液体の中間状態を示し,固体に近い状態から粘性のある液体に近い状態までをいうと解すべきであり 「粘土」の学術的な定義には,可塑性や ,保形性の観点は含まれない(甲65,66)などと主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により採用することができない。 確かに,本願出願時において,粘性のある液状の状態の粘土が液状粘土などとして市販されていたこと(甲50ないし52 ,液状粘土は手 )工芸品の製作や学術研究の対象として使用されていたこと(甲53ないし55)は認められる。しかし 「粘土」という用語が,通常の用法に ,おいて液状粘土を含む意味で用いられていたことまでを認めるに足りる証拠はない。また 「粘土状」との用語が,固体に近い状態から粘性の ,ある液体に近い状態までの意味を含み得るものであるとしても,本件明細書における「粘土状」との文言の意味は,本件明細書の記載に基づいて理解されるべきであり,そうすると,前記イのとおり,本件発明3の粘土状相溶物は,成形された後,組成物の凝固が完了するまでの間,成形型を使わなくとも,成形された形状を保つような保形性を有するものでなければならないと解され,本件発明3における「粘土状」とは,そのような保形性を有するものと解される。そして,そのような保形性を有するものを「粘土状」と表現することは 「粘土」という用語の意味 ,に照らして,その通常の用法を逸脱するものとは認められない。そうすると,本件明細書において 「粘土状」には,液体に近い状態は含まれ ,ないものというべきである。さらに,甲65( 理化学辞典 ,長倉三郎 「」他編集,株式会社岩波書店,2006年9月5日第5版第9刷発行)において 「粘土」について 「湿っているときには粘性と可塑性があるの ,,でその名がある」との記載があり,粘性や可塑性などの特質に言及されていることに照らせば,本件明細書の「粘土状」との語を上記の通り解することは 「粘土」の学術的な定義に反するとは認められない。 ,,, , (イ)また 原告は 溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量について本件明細書には,実施例1以外に具体的な記載はなく,その添加量を適宜調整しなければならない旨の記載もないから,本件各発明におけるジメチルホルムアミドの添加量は,本件明細書の実施例1に記載されたとおり50重量部と解すべきであるとした上で,本件明細書の発明の詳細な説明の【0028】には,固形分30重量%のポリウレタン100重量部に対して気孔生成剤の添加量として20ないし100重量部が好ましいと記載されているところ,原告の実験結果(甲56,57)によれば,固形分30重量%のポリウレタン100重量部に対し,塩化カルシウム20重量部とジメチルホルムアミド50重量部を添加して得られた混練組成物の状態は粘性のある液状の状態であったから(甲56の使用原料?A ,本件明細書の発明の詳細な説明には,粘土状相溶物が粘性の )ある液体の状態を含むことが実質的に記載されていると主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により採用することができない。 すなわち,特許請求の範囲及び本件明細書の発明の詳細な説明には,ジメチルホルムアミドの添加量が,常に実施例1に記載された50重量部に限定される旨の記載はないし,溶剤の添加量次第で混練組成物の粘性が異なることは,事柄の内容に照らして,当業者であれば容易に理解し得るから,本件各発明におけるジメチルホルムアミドの添加量が,常に本件明細書の実施例1に記載されたとおりに限定されるとは認められず,原告の上記主張は,その前提において,採用することができない。 また,確かに,原告の実験結果(甲56の使用原料?A)によれば,固形分30重量%のポリウレタン100重量部に対し,塩化カルシウム20重量部とジメチルホルムアミド50重量部を添加して得られた混練組成物の状態は粘性のある液状の状態(甲56にいう流動体)になることが認められる。しかし,ポリウレタン,気孔生成剤の添加量が定められていても,溶剤の添加量次第で混練組成物の粘性が異なることは,事柄の内容に照らして,当業者であれば容易に理解し得ると解される。そして,前記イのとおり,本件明細書の記載によれば,本件発明の粘土状相溶物は,成形された後,組成物の凝固が完了するまでの間,成形型を使わなくとも,成形された形状を保つような保形性を有するものあり,粘性のある液状の状態のものは,本件発明の粘土状相溶物に含まれないと解される。そうすると,上記の【0028】の記載は,およそ溶剤の添加量がいかなる割合であっても混練組成物が粘土状相溶物になるという趣旨の記載とは解されない。原告の実験(甲56の実験?@)によれば,固形分30重量%のポリウレタン100重量部に対し,塩化カルシウム50重量部とジメチルホルムアミド50重量部を添加して得られた混練組成物(本件明細書の実施例1と同じ添加量のもの)は,手に取ると一定形状を保ち,押出賦形可能とされており,成形された後,組成物の凝固が完了するまでの間,成形型を使わなくとも,成形された形状を保つ,【】, ような保形性を有すると認められるから 上記の 0028 の記載は溶剤の添加量を適切に調整することを前提として,粘土状相溶物を形成するためのポリウレタンと気孔生成剤の添加量を定めたものと解され,【0028】の記載から,本件発明の粘土状相溶物が,粘性のある液状の状態のものと含むとすることはできない。 (ウ)さらに,原告は,本件明細書の【0070】には,実施例1についての押出性,保形性について,押出賦型したときの延び方や混練組成物の可塑性,保形性,押出性の程度を明らかにする記載はなく,垂れ下がった旨の記載もその意味は曖昧であること 【0070】に記載された ,事項は,実施例の評価にすぎず,粘土状相溶物の可塑性や保形性を明らかにするものではないことを主張する。 しかし,本件明細書の【0070】に記載された事項のうち,少なくとも保形性(b/a)は,成形後に形が崩れるか否かについて客観的な評価を示したものと認められる。 ( )甲1における粘土状相溶物にする工程の記載の有無2ア甲1の記載甲1には,次のとおりの記載がある。 「少なくとも1種の高分子材料と,該高分子材料の良溶剤と,この良溶剤と相溶性のある非溶剤に溶解ないしは膨潤する1種あるいは2種以上の気孔形成剤とを含む原料組成物を 多孔性基剤表面にコーティングし0 , 」(【031 )】「これらの成分を含む原料組成物の調製は,溶剤の沸点以下,好ましくは10〜80℃程度の温度で行われ,均一な分散体が形成されるまで十分に攪拌混合される。次にこのように調製された原料組成物は,先端部に扁平なスリットを有する適当なダイ,例えばTダイ等を有する押出機により押出されて,基材の表面にコーティングされ ( 0036 ) 」【】「2軸プラネタリーミキサー・・・により50℃で1時間混練し,真空脱泡することによって,原液を調製した( 0040 )。」【】「次に,上記のようにして調製された原液を,50℃の温度でコーターによりポリエステル製不織布(平均繊維径18μm,目付密度8.5×10g/cm ,厚さ0.15mm)上にコートし ( 0041 )-3 2」【】表1には,サンプルとして比較例1ないし5,実施例1ないし10の多孔質体部分の評価実験の結果が記載されており,すべてのサンプルの多孔質体の肉厚は0.3mmと記載されている。 イ前記アの甲1の記載によれば,調製された原料組成物は,原液と表現されることから,液状のものであると認められ,これをコーターにより不織布上にコートして形成される多孔質体の厚さは0.3mmと非常に薄いことをも考慮すると,調製された原料組成物は,粘性のある液状の状態のものであり,成形後凝固の完了までの間,成形型を使わなくとも成形された形状を保つような保形性を有するものとは認められない。したがって,甲1には,粘土状相溶物にする工程の記載はなく,甲1発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しないと認められる。 ウ原告の主張に対し原告は,甲1の【0034】に,気孔形成剤の添加量として 「原料組 ,成物中に1〜60重量%,より好ましくは5〜50重量%程度が適当である 」と記載され,添加量の最大値を60重量%とした理由として 「60 。 ,重量%を越えるものであると,原料組成物の粘度が極度に上昇し取扱いが困難なものとなるためである 」と記載されていることから,甲1に記載 。 された原料組成物又は原液は,気孔形成剤の添加量の下限付近で粘性のある液状の状態にあり,また,気孔形成剤の添加量の上限付近では布に塗布することが困難な程度であり,甲1発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有すると主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により,採用することができない。 確かに,甲1の【0034】には,上記の記載があるが,前記ア,イのとおり,甲1に記載された原料組成物は,不織布上にコートされるものであり,コートして形成される多孔質体の厚さは0.3mmと非常に薄いことからすると 【0034】の「60重量%を越えるものであると,原料 ,組成物の粘度が極度に上昇し取扱いが困難なものとなるためである 」と。 の記載は,不織布上に0.3mm程度に薄くコートすることが可能か否かという観点から,粘土が上昇し取扱いが困難なものとなることを述べているものと解され,粘度が上昇する旨記載されていることを考慮しても,上記記載が,成形後凝固の完了までの間,成形型を使わなくとも成形された形状を保つような保形性を有することを意味するとは解されない。 ( )小括3前記( )のとおり,甲1発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を2有しないから,審決が「 1)本件発明3では,主原料として含有する組成 (物を混練して『粘土状相溶物』にする工程を有するのに対して,甲1発明では,主原料を含有する組成物を混練する工程を有するだけであって 『粘土,状相溶物』にすることが明らかではない点」を,本件発明3と甲1発明の相違点とした認定に誤りはない。 2取消事由2(無効理由3-2に関する取消理由)について審決が 「 1)本件発明3では,主原料『主原料を含有する組成物を混練し ,(て粘土状相溶物にする工程』を有するのに対して,甲2発明では 『原料を攪 ,拌する』ものである点」を,本件発明3と甲2発明の相違点とした認定に誤りはなく,取消事由2は理由がない。以下,詳述する。 ( )粘土状相溶物の意義1本件発明3の粘土状相溶物の意義は,前記1( )ア,イのとおりである。 1( )甲2における粘土状相溶物にする工程の記載の有無 2ア甲2の記載甲2には,次のとおりの記載がある。 「 請求項1】 ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に,粒径20μm以 【下の無機塩類を1%以上添加した樹脂溶液を離型膜上に塗布し,次に,ジメチルホルムアミドおよび無機塩類を各々1%以上溶解せしめた混合水溶液中に浸漬,凝固させてフィルムを形成し,該フィルムをウレタン系接着剤を介して布帛に点接着ラミネートすることを特徴とする柔軟な風合を有する透湿防水布帛の製造方法(特許請求の範囲) 。」「本発明では,上述のポリウレタン合成重合体の樹脂溶液に20μm以下,好ましくは10〜0.1μmの粒径を有する塩化ナトリウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム,塩化カリウム等の粉末を単独で,あるいは, , 2種類以上の混合物で少なくとも1%以上 望ましくは5〜20%添加し樹脂溶液の粘度が10000〜40000(cps)になるようにジメチルホルムアミドを加え,よく攪拌する( 0010 )。」【】「透湿膜の形成に際しては,表面が平滑で,かつフッ素系樹脂,シリコン系樹脂,ポリプロピレン等で溶解性パラメーターを低下させる加工を施した織物,フィルム,紙等の離型膜上に,前述の塩類を含有するポリウレタン樹脂溶液を塗布し,湿式凝固法で固化させて透湿膜を形成する。塗布に際しては,ナイフコーター,コンマコーター,リバースコーター等の公知のコーティング方法を用いて塗布し,得ようとする透湿膜の膜厚が5〜50μmの範囲となるように適宜調整する( 0011 )。」【】「本発明では,湿式凝固に際し,凝固浴にジメチルホルムアミドと塩化ナトリウム,塩化カルシウム,塩化マグネシウム,塩化カリウムの単独あるいは混合物を各々1%以上,好ましくは5〜20%溶解した5〜20℃の混合水溶液中にて凝固させる。このように構成すると,樹脂の凝固と同時に樹脂溶液中に添加した無機塩類が凝固液中に溶解して消失し,このため,樹脂中の無機塩類が存在していた部位が空孔となり,微細な多孔質が形成される( 0013 )。」【】「凝固に際しては,樹脂溶液を離型膜上に塗布後,凝固液中にて5〜10分間浸漬,凝固し,続いて,50℃の温水で15分間洗浄する。以下,通常の方法にて乾燥する( 0014 )。」【】「 作用】粒径20μm以下の無機塩類をポリウレタン樹脂に1%以上 【添加した樹脂溶液を離型膜上に塗布し,これをジメチルホルムアミドと無機塩類を各々1%以上溶解せしめた混合水溶液中に浸漬,凝固させ,フィルムを形成すると,樹脂の凝固と同時に樹脂溶液中の無機塩類が凝固液中に溶解して消失するため,樹脂中の無機塩類が存在していた部分に空孔が形成される。しかも,無機塩類の溶解に際し,本発明のごとく凝固液中にジメチルホルムアミドと無機塩類を各々1%以上溶解させておくと,樹脂溶液から溶解していく無機塩類の溶解速度がゆるやかにコントロールされ, , るので フィルム中に形成される細孔が非常に細かい多数の微細孔となり高透湿度と高耐水圧を示すようになる。このようなフィルムをウレタン系接着剤を介して布帛に点接着することにより,柔軟な風合を有する透湿防水布帛となる( 0020 )。」【】「実施例1まず,シリコン系樹脂フィルムをラミネートした離型紙を用意し,これに下記処方1に示す樹脂溶液をナイフオーバーロールコーターを使用して,乾燥後の透湿膜が30μmになるように塗布量を適宜調整して塗布した後,ジメチルホルムアミドおよび塩化カルシウムを各々10%溶解した15℃の混合水溶液中に5分間浸漬,凝固し ・・・ ( 0023 ) ,」【】イ前記アの甲2の記載によれば,成形するために離型膜上に塗布されるものは樹脂溶液と表現されており,甲2において,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に無機塩類を添加して攪拌して得られた樹脂溶液(離型膜上に塗布される樹脂溶液)は,液状のものであると認められる。そして,液状のものが,成形後凝固の完了までの間,成形型を使わなくとも成形された形状を保つような保形性を有するものと認められないのは,前記1( )イ1のとおりである。したがって,甲2には,原料組成物を粘土状相溶物にする工程の記載はないと認められる。 ウ原告の主張に対し(ア)原告は,甲2の実施例1( 0023 )の樹脂溶液における気孔生 【】成剤である塩化カルシウムの添加量は,本件明細書( 0028 )にお 【】いて気孔生成剤の添加量として好ましいとされた添加量の下限値を少し上回るものであること,他方,甲2の実施例1( 0023 )における 【】溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量(30重量部)は,本件発明の実施例1( 0066 )における溶剤であるジメチルホルムアミドの 【】添加量(50重量部)よりも少ないことから,甲2の実施例1の生成物は,本件発明の実施例1よりも粘性が高いはずであると主張する。 ,,,。 しかし 原告の主張は 以下の理由により 採用することができない甲2の実施例1( 0023 )の樹脂溶液の組成は, 【】1740-29B100重量部(ウレタン系合成樹脂,セイコー化成株式会社製品 ,)塩化カルシウム20重量部(平均粒径1μm ,)レザミンX2重量部(イソシアネート系架橋剤,大日本精化工業株式会社製品 ,)ジメチルホルムアミド30重量部である。 他方,本件発明の実施例1( 0066 )の組成は, 【】レザミンCUS-1500100重量部(ポリカーボネート系ポリウレタン,固形分30%,大日本精化工業株式会社製品)ジメチルホルムアミド50重量部,無水塩化カルシウム50重量部である。 また,本件明細書には 「気孔生成剤の添加量は,固形分30重量% ,の溶液型ポリウレタン100重量部に対して20〜100重量部が好ましい( 0028 )と記載されている。 。」【】上記の甲2と本件明細書の記載によれば,確かに,甲2の実施例1の塩化カルシウムの添加量(20重量部)は,本件明細書( 0028 ) 【】において気孔生成剤の添加量として好ましいとされた添加量の下限値であり,他方,甲2の実施例1における溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量(30重量部)は,本件発明の実施例1における溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量(50重量部)よりも少なく,この点のみを捉えるならば,甲2の実施例1は,本件発明の実施例1と比べて,気孔生成剤の量は多く,溶剤の量は少ないこととなる。しかし,もともと本件明細書( 0028 )には,固形分30重量%の溶液型ポリウレタ 【】ン100重量部に対する気孔生成剤の添加量が記載されているにとどまり,ポリウレタン以外の組成物に対する添加量は記載されていない。そして,本件発明の実施例1は,固形分30重量%の溶液型ポリウレタンであるレザミンCUS-1500を100重量部を含むものであるのに対し,甲2の実施例1は,固形分30重量%の溶液型ポリウレタンではなく,ウレタン系樹脂である1740-29Bを100重量部含むものであって,固形分30重量%の溶液型ポリウレタンを100重量部含む場合(本件明細書の実施例1)と,ウレタン系樹脂である1740-29Bを100重量部含む場合(甲2の実施例1)とで,溶液の粘性が同じであると認めるに足りる証拠はない。そうすると,甲2の実施例1の塩化カルシウムの添加量が,本件明細書( 0028 )において気孔生 【】成剤の添加量として好ましいとされた添加量の下限値であり,甲2の実施例1における溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量が,本件発明の実施例1における溶剤であるジメチルホルムアミドの添加量よりも少ないとしても,そのことから直ちに,甲2の実施例1の生成物が,本件発明の実施例1よりも粘性が高いとはいえない。したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (イ)また,原告は,甲2の【0010】には 「・・・樹脂溶液の粘度 ,が10000〜40000(cps)になるようにジメチルホルムアミドを加え,よく攪拌する」と記載されていることから,甲2の実施例1の樹脂溶液の粘度も10000〜40000cps(mPa)の範囲にあるものと理解され,粘性のある液状の状態にあることは明らかであると主張する。 ,,,。 しかし 原告の主張は 以下の理由により 採用することができないすなわち,前記1( )ア,イのとおり,粘性のある液状の状態のもの1は,本件発明3の粘土状相溶物に含まれないから,甲2の実施例1の樹脂溶液が粘性のある液状の状態にあるとしても,それは本件発明3の粘土状相溶物であるとはいえない。 (ウ)さらに,原告は,混練と攪拌は実質上同じであるから,甲2発明は攪拌して得られるものであって混練により得られるものではないとした審決の判断は誤りであると主張する。 ,,,。 しかし 原告の主張は 以下の理由により 採用することができない, , すなわち 仮に混練と攪拌を明確に区別することができないとしても前記ア,イのとおり,甲2には,液状の樹脂溶液が記載されているにとどまり,粘土状相溶物にする工程の記載はないから,審決が「 1)本(件発明3では,主原料『主原料を含有する組成物を混練して粘土状相溶』,,『』 物にする工程 を有するのに対して 甲2発明では原料を攪拌するものである点」を,本件発明3と甲2発明の相違点とした認定に誤りがあるとはいえない。 3取消事由3(無効理由3-3に関する取消理由)について審決が,?@「 1)甲3発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ((していない点 (審決48頁)を本件発明3と甲3発明の相違点とした認定, 」?A混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断(審決49頁)に誤りはないから,これらの認定,判断を前提として,本件発明3は,甲3発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決51頁)に誤りはなく,取消事由3は理由がない。以下,詳述する。 ( )本件発明3と甲3発明の相違点の認定の誤りについて1審決が 「 1)甲3発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ,((していない点 (審決48頁)を,本件発明3と甲3発明の相違点とした認 」定に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ア粘土状相溶物の意義,,。 本件発明3の粘土状相溶物の意義は 前記1( )ア イのとおりである1イ甲3における粘土状相溶物にする工程の記載の有無(ア)甲3の記載甲3には,次のとおりの記載がある。 「 請求項5】水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂と溶媒とを 【含有する分散液を調製し混練する工程と,混練された分散液を脱泡する工程と,, , 脱泡された分散液を成形し ポリウレタン樹脂成形体を製造する工程と・・・ (特許請求の範囲) 」「本発明の化粧用スポンジの製造方法は,水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂と溶媒とを含有する分散液を調製し混練する工程と,混練された分散液を脱泡する工程と,脱泡された分散液を成形しポリウレタン樹脂成形体を製造する工程と ・・・ ( 0010 ) ,」【】「,,,, 分散液の混練には ニーダー プロペラミキサー リボンミキサー一軸スクリュー押出機,二軸スクリュー押出機など,高粘度のものであ。」(【】) っても容易に攪拌可能な装置を使用することが好ましい0021「このようにして分散液を調製し,混練した後,混練された分散液を脱泡する ・・・ ( 0022 ) 。」【】「ついで,脱泡された分散液を成形しポリウレタン樹脂成形体を製造する。成形の具体的方法としては,押出機を使用し,その成形ダイスより押し出し賦形する方法,型を使用して所定の形状に成型する方法がある ・・・ ( 0023 ) 。」【】「また,このような化粧用スポンジは,水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂と溶媒とを含有する分散液を調製し混練する工程と,混練された分散液を脱泡する工程と,脱泡された分散液を成形し,ポリウレタン樹脂成形体を製造する工程と ・・・ ( 0027 ) ,」【】「 実施例1][下記のポリウレタン樹脂,溶媒,無機微粒子を混合して,分散液を調製した ・・・ ( 0029 ) 。」【】「ついで,この分散液をニーダーで20rpmの回転で10分攪拌,混練し,その後,真空脱泡することで,混入した気泡を取り除いた。ついで,ポリウレタン樹脂などが付着しないように表面処理された有底の縦200mm×横200mm×高さ40mmプラスチック型に,脱泡された分散液を充填し,ポリウレタン樹脂成形体とし,その後,これを25℃の温度で,24時間,水中凝固,脱溶媒し,凝固したポリウレタン樹脂成形体を得た( 0030 )。」【】(イ)前記(ア)の甲3の記載によれば,甲3発明において,ポリウレタン樹脂成形体を製造する工程は,水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂と溶媒とを調製する工程,調製されたものを混練する工程,混練されたものを脱泡する工程によりなるものと認められ(甲3の特許請求の範囲の請求項5 【0010】には,水溶解性の無機微粒子とポリウレタ ,ン樹脂と溶媒とを調製する工程と,調製されたものを混練する工程は,まとめて記載されている,水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂 。)と溶媒とを調製したもの,これを混練したもの,更にこれを脱泡したものは,いずれも分散液と表現されている。そうすると,甲3発明において,水溶解性の無機微粒子とポリウレタン樹脂と溶媒とを調製し,調製,,, されたものを混練したものは 分散液であって 液状のものであるから成形後凝固の完了までの間,成形型を使わなくとも成形された形状を保。,, つような保形性を有するものとは認められない したがって 甲3には粘土状相溶物にする工程の記載はなく,甲3発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しないと認められる。 もっとも,甲3には 「分散液の混練には ・・・など,高粘度のもの ,,であっても容易に攪拌可能な装置を使用することが好ましい( 00。」【21「成形の具体的方法としては,押出機を使用し,その成形ダイ 】),スより押し出し賦形する方法,型を使用して所定の形状に成型する方法がある( 0023 )との記載があることから,甲3発明は,混練 。」【】後のものについて,押出成形し得る程度の粘度を有することを予定しているとも考えられる。しかし,押出成形し得ることから,直ちに,成形後凝固の完了までの間,成形型を使わなくとも成形された形状を保つような保形性を有するということはできないし,甲3には,上記の記載以外には,混練後のものが粘性の高いものであることを裏付ける記載はなく,むしろ,前記のとおり,混練後のものも分散液と表現されている。 そうすると,甲3に上記の記載があることを考慮したとしても,甲3発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しないと認められる。 ( )混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された2周知技術であるとは認められないとした判断の誤りについて審決が,混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断(審決49頁)に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ア前記1( ),2( )のとおり,甲1,2には,粘土状相溶物にする工程は22記載されていない。 イ原告は,甲7の実施例2の原料組成物は,ポリウレタン,溶剤,塩化カルシウム及びジルコンモールドからなり,このうちポリウレタン,溶剤及び塩化カルシウムが80重量%を占め,ジルコンモールドが20重量%を占めるから,本件発明3における「ポリウレタン,溶剤及び気孔生成剤である塩化カルシウムを,主原料として含有する組成物」に相当し,したがって,甲7には,組成物を混練して粘土状相溶物にする工程が実質的に記載されていると主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により,採用することができない。 甲7には,次のとおりの記載がある。 「本発明の目的は,ボールの吸水時の比重が大きく,水中に容易に沈降させることのできるスポンジボール用シートの製造法を提供することにある。 本法は,水中で容易に沈降するスポンジボール用シートの製造法に関するものである。天然ゴムあるいは,各種合成ゴムに,発泡剤,発泡助剤,硬化剤,軟化剤などと一緒に,比重2.0以上の固形物粉末,例えば,金属粉末あるいは金属化合物,無機化合物の粉末を加え,素練りあるいは攪拌により均一にゴム中に分散させ,硬化発泡を行う。これにより,含水時の比重が1.05〜3.00g/cm のスポンジシートが得られ,容易3に水中に沈降させることができるボールを作ることができる(1欄33。」行ないし2欄9行)「また,比重2.0以上の固形物粉末としては,ゴムの硬化,発泡反応に悪影響を与えないものが良く,鉄,銅・・・白金,金,銀,ジルコン,アルミニウムなどの金属粉末あるいは,それ等金属の酸化物などの金属化合物,あるいは,シリカ粉末,ケイ藻土などの無機化合物の粉末が有効である(2欄14行ないし22行) 。」「実施例2サンプレンLQ・X1(ポリエステル系ポリウレタンエラストマー)の30%ジメチルホルムアミド溶液(以下DMFと略す)100部に,ジルコンモールド(ジルコンニウムケイ酸塩200メツシュ粉末)50部,塩化カルシウム粉末(吸湿試験測定用)100部を添加し,攪拌して均一に混合する。得られる混合物を20mmの厚さのシート状にし,20℃水中に浸漬する。8時間放置し,ウレタン中の塩化カルシウム及びDMFが完全に水に溶出されてから,再び水洗後,80℃で30分乾燥する。これにより弾力性に富んだスポンジが得られた。これから得られるスポンジボールの吸水時の比重は1.18g/cm であった(4欄9行ないし223。」行)「特許請求の範囲1天然ゴムまたは各種合成ゴムに,それらゴムの加硫反応,硬化反応,発泡反応,あるいは湿式凝固に,全く関与しない比重2.0g/cm 以3上の固形物粉末を加え,均一に混合後,硬化,発泡,あるいは凝固させることを特徴とする吸水時の比重が1.05g/cm 以上のスポンジの製3造法(4欄36行ないし42行) 。」上記の甲7の記載によれば,甲7の実施例2の混合物は,ポリウレタンの30%DMF溶液100重量部,ジルコンモールド50重量部,塩化カルシウム粉末100重量部から成り,ジルコンモールドの重量比は全体の20%であるが,ポリウレタン固形分(ポリウレタンの30%DMF溶液100重量部中のポリウレタン)とジルコンモールドの重量比は30:50であり,重量比において,ジルコンモールドの方がポリウレタンより大きいから,ジルコンモールドも主原料に当たるというべきである。そうすると,甲7の実施例2の混合物は,ジルコンモールドをも主原料とするものであって,本件発明3の「ポリウレタン,溶剤及び気孔生成剤である塩化カルシウムを,主原料として含有する組成物」とは主原料を異にしており,上記の本件発明3の組成物に該当するとはいえないから,甲7の実施例2には,本件発明3の上記組成物を混練して粘土状相溶物にする工程が記載されているとはいえない。 ウ甲58は,発明の名称を「多孔質弾性体の製造方法及び多孔質弾性体ロ」 ,,, ーラー とする特許の公開特許公報であり 甲58には 従来技術の欄に「多孔質弾性体の製造方法として,高分子樹脂組成物原料に気孔生成物を混入して押し出し成形し,その後気孔生成物を適宜手段により取り出すような方法が広く採用されている( 0011 )と記載されている。ま 。」【】た,甲59は,発明の名称を「ミクロ多孔体およびその製造方法」とする特許の公開特許公報であり,甲59には,発明の実施の形態の欄に 「本,発明に係るミクロ多孔体を製造するには,図1に示す如く,先ず原料となる熱可塑性樹脂,水溶解性気泡形成材および水溶解性高分子化合物を,所定の機器を使用して,混合・混練し,得られた混合物を押出機等を使用して所定形状に成形体に成形する これにより得られた成形体を・・・0 。 」(【020 )と記載されている。さらに,甲60は,発明の名称を「多孔質 】体及びその製造方法」とする特許の公開特許公報であり,実施例の欄に,「これらを混練して押し出し成形により成形し,成形品を硬化させた後,・・・ ( 0017 )と記載されている。 」【】上記の甲58ないし60の記載によれば,甲58ないし60には,押出機を使用して押出成形することが可能な組成物は記載されていると認められる。しかし,前記1( )ア,イのとおり,本件発明3の粘土状相溶物と 1は,成形された後,組成物の凝固が完了するまでの間,成形型を使わなくとも,成形された形状を保つような保形性を有するものであるところ,押出成形可能というのみでは,そのような保形性を有するものとは認められないし,甲58ないし60を参照しても,そのような保形性を有する組成物が記載されているとは認められない。 エそうすると,粘土状相溶物にする工程は,甲1,2,7に記載された周知技術であるとは認められないし,甲58ないし60に記載された周知技術であるとも認められず,粘土状相溶物にする工程は当業者が容易に想到することができたとも認められない。したがって,審決が,混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断に誤りはない。 ( )小括3前記( )のとおり,審決が,?@「 1)甲3発明は『 混練して)粘土状相1 ((溶物にする工程』を有していない点」を,本件発明3と甲3発明の相違点とした認定に誤りはなく,前記( )のとおり,審決が,?A混練して粘土状相溶2物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断に誤りはないから,?B甲3発明における無機微粒子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした審決の判断に誤りがあるか否か,?C本件明細書の比較例2が不適当であるとはいえないとした審決の判断に誤りがあるか否かにかかわらず,本件発明3は,甲3発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって,審決が,本件発明3は,甲3発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断に誤りはないというべきである。 4取消事由4(無効理由3-4に関する取消事由)について審決が,?@「 1)甲8発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ((していない点 (審決53頁)を本件発明3と甲8発明の相違点とした認定, 」?A混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断(審決53頁)に誤りはないから,これらの認定判断を前提として,本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決53頁)に誤りはなく,取消事由4は理由がない。以下,詳述する。 ( )本件発明3と甲8発明の相違点の認定の誤りについて1審決が 「 1)甲8発明は『 混練して)粘土状相溶物にする工程』を有 ,((していない点 (審決53頁)を,本件発明3と甲8発明の相違点とした認 」定に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ア粘土状相溶物の意義,,。 本件発明3の粘土状相溶物の意義は 前記1( )ア イのとおりである1イ甲8における粘土状相溶物にする工程の記載の有無甲8には,次のとおりの記載がある。 「ポリウレタン系樹脂の混合物は ・・・ダイスからの吐出部分におけ ,る温度は常温に近く,混合物の粘度上昇はごく僅かでシート状に塗布できる状態であっても立体的な形状に賦型できる状態ではなかった( 00。」【09 )】原告は,上記混合物は,立体的な形状に賦型できる程の粘度は有してい, (), ないが シート状に塗布できる程度の粘度 粘性 は有するものと解され一定の可塑性と保形性を有する状態にあることが明らかであるので,甲8, 。 には 原料組成物を粘土状相溶物にする工程が記載されていると主張するしかし,上記混合物は,立体的な形状に賦型できる程の粘度を有しておらず,シート状に塗布できる程度の粘度(粘性)を有するにとどまるのであるから,成形後凝固完了までの間,成形型を使わなくとも成形された形状を保つような保形性を有するものとは認められない。したがって,甲8には,粘土状相溶物にする工程の記載はなく,甲8発明は,原料組成物を粘土状相溶物にする工程を有しないと認められる。 ( )混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された2周知技術であるとは認められないとした判断の誤りについて前記3( )のとおり,審決が,混練して粘土状相溶物にする工程は甲1,22,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断に誤りはない。 ( )小括3前記( )のとおり,審決が,?@「 1)甲8発明は『 混練して)粘土状相1 ((溶物にする工程』を有していない点」を,本件発明3と甲8発明の相違点とした認定に誤りはなく,前記( )のとおり,審決が,?A混練して粘土状相溶2物にする工程は甲1,2,4ないし7に記載された周知技術であるとは認められないとした判断に誤りはないから,?B甲8発明における水溶性高分子に代えて数多くの気孔生成剤の内から塩化カルシウムを選択して使用することについての示唆が,甲1,2,4ないし7にはないとした審決の判断に誤りがあるか否か,?C本件明細書の比較例1の信憑性を評価できないとまではいえないとした審決の判断に誤りがあるか否かにかかわらず,本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって,審決が,本件発明3は,甲8発明及び甲1,2,4ないし7に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断に誤りはないというべきである。 5取消事由5(無効理由4に関する取消事由)について取消事由5は,以下のとおり,理由がない。 すなわち,本件発明4は,本件発明3を引用した形式で記載された発明であり,原告は,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4の審決の判断は誤りであるから,審決の本件発明4に係る特許についての無効理由4の判断も誤りであると主張する。しかし,前記1ないし4のとおり,無効理由3-1ないし3-4についての審決の判断にはいずれも誤りはないから,原告の上記主張は,採用することができない。 6取消事由6(無効理由5に関する取消事由)について取消事由6は,以下のとおり,理由がない。 すなわち,本件発明5は,本件発明3を引用した形式で記載された発明であり,原告は,本件発明3に係る特許についての無効理由3-1ないし3-4の審決の判断は誤りであるから,審決の本件発明5に係る特許についての無効理由5の判断も誤りであると主張する。しかし,前記1ないし4のとおり,無効理由3-1ないし3-4についての審決の判断にはいずれも誤りはないから,原告の上記主張は,採用することができない。 7取消事由7(無効理由1-1,2-1に関する取消事由)について取消事由7は,以下のとおり,理由がない。 審決は 「無効理由1-1,2-1は,本件発明1及び2に係る連続気孔弾 ,性体が本件発明4に係る製造方法によって製造されたものであるから,本件発明1及び2も,本件発明4と同様に,甲8発明,甲1,2,4ないし7に記載された周知技術,及び甲9ないし14に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるというものであるが,無効理由1-1,2-1の基礎とする本件発明4に係る特許についての無効理由4に係る主張が採用されない以上,無効理由1-1,2-1に係る主張も採用できない 」とす。 る。この点につき,原告は,本件発明4に係る特許についての無効理由4の審決の判断は誤りであるから,審決の本件発明1及び2についての上記判断も誤りであると主張する。しかし,前記5のとおり,本件発明4に係る特許についての無効理由4の審決の判断は誤りであるとの原告の主張は,採用することができないから,審決の本件発明1及び2についての判断は誤りであるとの原告の主張も,採用することができない。 8取消事由8(無効理由1-2に関する取消事由)について審決が 「 2)本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの範 ,(囲の太さであること (相違点(2 ,審決55頁)を,本件発明1と甲15発 」)明の相違点とした認定,及び本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとした判断(審決57頁)には,誤りはなく,取消事由8は理由がない。以下,詳述する。 ( )本件発明1と甲15発明の相違点の認定の誤りについて1審決が 「 2)本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの ,(範囲の太さであること (相違点(2 )を本件発明1と甲15発明の相違点 」)とした認定に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 ア原告は,甲15の【0047【0039】の記載によれば,甲15に 】,係るミクロ多孔質体は,骨格の太さとセル径のバラツキが小さくほぼ均一であり,骨格の太さがセル径に比べて小さく,せいぜい10数μmを上限とするものであると理解すべきであり,そうすると,甲15には,相違点(2)と実質的に差異がない構成が記載されていると主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により,採用することができない。 甲15には,次のとおりの記載がある。 「このようにして得られるミクロ多孔質体は,上記低分子材料が除去されることにより,上記ポリマーブレンドから構成される三次元連続網状骨格を有し,図1に示すようなミクロ構造を有する。なお,図1において,1は上記ポリマーブレンドからなる三次元連続網状骨格,2は内部連通空,〔「」。〕 間であり この内部連通空間2はに 判決注: に は誤記と認められる後述する低分子材料が除去された空隙である。ここで,図1において,骨格1の平均径dは10μm以下,好ましくは1〜7μmの範囲,またセルの平均径Dは80μm以下,好ましくは2〜50μmの範囲であるものが望ましい。更に,空孔率は50〜99%,好ましくは60〜98%の範囲であり,非常に空孔率が高いものである( 0039 )。」【】「 発明の効果】本発明のミクロ多孔質体は,これを構成する三次元連 【続網状骨格構造体が非常にミクロで均一な気孔を有すると共に,機械的強度等に優れているため,広い用途展開が可能となるものである( 00。」【47 )】上記の甲15の記載によれば0047 には ミクロ多孔質体が 非 ,【】,「常にミクロで均一な気孔を有する」ことが記載されており,気孔の大きさ(セル径)が均一であることは記載されているといえる。そして 【00,39】には,骨格の平均径(太さ ,セルの平均径が記載され,骨格の平 )均径(太さ)はセルの平均径に比べて小さく,10μm以下であり,好ましくは1〜7μmの範囲であることが記載されている。しかし,甲15に, ,() は 骨格の太さのバラツキについての記載はなく 気孔の大きさ セル径が均一であることは,直ちに骨格の太さのバラツキが少ないことに結びつくとはいえないから,例えば骨格の80%がどの程度の太さの範囲に属す, 。,, るかは 甲15の記載によっては明らかでない そうすると 甲15には相違点(2 (本件発明1においては骨格の80%以上が6〜15μmの )範囲の太さであること)と実質的に差異がない構成が記載されているとはいえない。 イまた,原告は,?@ミクロ多孔質体に係る技術分野において,骨格や気泡の平均径が,走査型電子顕微鏡等の顕微鏡による解析に基づいて測定されることは周知事項であり,甲15の【0051】の測定値は,顕微鏡測定, , により得られたものであること ?A甲25ないし27及び甲15の図1は甲61の図2と略同一であり,甲61の図2は 「実施例1で得られた機 ,能性多孔質材料について,骨格の太さとセル径のバラツキが小さくほぼ均一であり,骨格の太さがセル径に比べて小さいことを示す顕微鏡写真図」である甲61の図5の特徴的な構造を反映していること,?Bそうすると,甲15の多孔質体の特徴的構造(ミクロ多孔質体の骨格の太さとセル径のバラツキが小さくほぼ均一であり,骨格の太さがセル径に比べて小さい構造)は周知の構造であるので,甲15の図1は,ミクロ多孔質体の骨格の太さ,骨格の太さの相互関係が示されたものとみることができることを主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により,採用することができない。 確かに,ミクロ多孔質体に係る技術分野において,骨格や気泡の平均径が,走査型電子顕微鏡等の顕微鏡による解析に基づいて測定されることは周知であり,甲15の【0051】の測定値は,顕微鏡測定により得られたものであると考えられる。しかし,甲61には,気孔がミクロかつ均一で空孔率が高いことは記載されているが(甲61の【0010【004】,5,骨格の太さのバラツキについての記載はなく,甲61の図5を参照 】)しても,骨格の80%以上がいかなる寸法の範囲に収まるのかということまでは明らかでない。また,甲15,甲26ないし27の図1,並びに甲61の図2は,ほぼ同一の図面であり,その説明として,甲15,25,26に「 図1】本発明のミクロ多孔質体の構造を示す概略図である 」 【 。 と記載され 甲27に図1 本発明のミクロ多孔体の構造を示す該 判 ,「【】 〔決注: 概」の誤記と認められる 〕略図である 」と記載され,甲61に 「 。。 「 図1】本発明の機能性多孔質材料の三次元連続の網状骨格構造の一例 【を示す模式的な斜視図である 【図2】図1の部分拡大図である 」と記載 。 。 されていることから,これらの図面は,模式的な図面又は概略図であることが認められ,セル径,骨格の太さ,骨格の太さの相互関係等を正確に示したものとは認められない。 ウさらに,原告は,原告作成の実験報告書である甲28は,甲15記載のミクロ多孔質体の製造を再現する実験に係るものであり,その写真2(そ。), , の拡大写真は甲63であるからは 全体がほぼ均一の骨格径からなり.. ,, 骨格径が0 2〜1 0μmの範囲のものがみてとれるとし したがって甲15には,骨格の80%以上が0.2ないし1.0μmの範囲の太さであるものが実質的に記載されていると主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により,採用することができない。 すなわち,甲28,63の写真は,骨格径が必ずしも鮮明に示されているものではなく,そこから,全体がほぼ均一の骨格径からなり,骨格径が0.2〜1.0μmの範囲にあることを認めることはできない。したがって,甲15に,骨格の80%以上が0.2ないし1.0μmの範囲の太さであるものが実質的に記載されているとは認められない。 エ以上によれば,審決が 「 2)本件発明1においては骨格の80%以上 ,(が6〜15μmの範囲の太さであること (相違点(2 ,審決55頁)を 」)本件発明1と甲15発明の相違点とした認定に誤りはない。 ( )本件発明1と甲15発明の相違点に係る構成の容易想到性について2審決が,本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえないとした判断(審決57頁)に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。 原告は,?@原告作成の実験報告書である甲70は,甲15の請求項1に記載された発明の組成物の配合を微妙に変化させて行った実験を記載したもの,, ,. であり それによれば 組成物の配合を微妙に変化させたところ 密度が020g/cm であり,全体の80%の骨格径が5〜7μmである多孔質体3が得られたこと(甲70の実験条件?A ,?A更に配合を変化させれば甲15 )の請求項1の発明と同じ骨格径のものを製作することは可能であり,骨格径について,甲15記載の「0.2ないし1.0μmの範囲」を本件発明1の「6ないし15μmの範囲」に設定することは,単なる数値範囲の変更であり,当業者が適宜定める設計事項であるから,当業者にとって容易である旨主張する。 しかし,原告の主張は,以下の理由により,採用することができない。 甲70の実験の実験条件?Aにおいて,得られた多孔質体の全体の80%程度の骨格径が5〜7μmであるとの原告の主張は,甲70の写真2を根拠と。, , しているものと解される しかし 写真2は必ずしも鮮明であるとはいえず写真2から,全体の80%程度の骨格径が5〜7μmであることが認められるとはいえないし,その他に,多孔質の骨格径が上記のとおりであることを認めるに足りる証拠はない。また,そもそも,本件発明1は,ポリウレタンからなる連続気孔弾性体の発明であり,審決において,甲15発明と本件発明1の対比は,甲15発明(甲15の請求項1)を組成するエラストマー状ポリマーとしてウレタンゴムを選択することを前提としており(審決54ないし55頁 ,ポリウレタンを含むポリマーからなることを一致点としてい )る(審決55頁,前記第2,3( )オ(イ) 。ところが,甲70の実験により2 )製作された多孔質体は,甲15発明を組成するエラストマー状ポリマーとして水素化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体を選択したものであり,ポリウレタンを含むものではない。そうすると,仮に甲70の実験により,全体の80%程度の骨格径が5〜7μmである多孔質体が得られたとしても,そのことから,本件発明1のようなポリウレタンからなる多孔質体において同様の骨格径の多孔質体が得られることが容易であるとは認められない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができず,本件発明1は,甲15発明及び甲9ないし14,16に記載された周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとは認められない。 9取消事由9(無効理由6に関する取消事由)について取消事由9は,以下のとおり,理由がない。 審決は 「本件発明6に関する原告(請求人)の主張は,審判請求書全般の ,記載,及び引用された甲号証から見て,実質的に,本件発明3に係る特許についての無効理由3-4に基づいてなされたものであると認められるところ,無効理由3-4については採用できないから,本件発明6に係る特許についての無効理由に係る主張は採用できない 」とする。この点につき,原告は,本件 。 発明3に係る特許についての無効理由3-4の審決の判断は誤りであるから,審決の本件発明6についての上記判断も誤りであると主張する。しかし,前記4のとおり,本件発明3に係る特許についての無効理由3-4の審決の判断は誤りであるとの原告の主張は,採用することができないから,審決の本件発明6についての判断は誤りであるとの原告の主張も,採用することができない。 取消事由(無効理由7に関する取消事由)について1010取消事由は,以下のとおり,理由がない。 10審決は 「本件発明7に関する原告(請求人)の主張は,審判請求書全般の ,記載,及び引用された甲号証から見て,実質的に,本件発明3に係る特許についての無効理由3-4に基づいてなされたものであると認められるところ,無効理由3-4については採用できないから,本件発明7に係る特許についての無効理由に係る主張は採用できない 」とする。この点につき,原告は,本件 。 発明3に係る特許についての無効理由3-4の審決の判断は誤りであるから,審決の本件発明7についての上記判断も誤りであると主張する。しかし,前記4のとおり,本件発明3に係る特許についての無効理由3-4の審決の判断は誤りであるとの原告の主張は,採用することができないから,審決の本件発明7についての判断は誤りであるとの原告の主張も,採用することができない。 結論11以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。原告は,その他縷々主張するが,審決にこれを取り消すべきその他の違法もない。 よって,原告の本訴請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 飯村敏明 |
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裁判官 | 中平健 |
裁判官 | 上田洋幸 |