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事件 |
平成
20年
(行ケ)
10418号
審決取消請求事件
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原告オーツー・マイクロ・インターナショナル・リミテッド 訴訟代理人弁理士志賀正武,佐伯義文,渡辺隆,村山靖彦,木内敬二 被告ローム株式会社 訴訟代理人弁理士豊岡静男,櫻井義宏 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2009/03/10 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1特許庁が無効2006−80188号事件について平成20年7月7日にした審決を取り消す。 2訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1原告の求めた裁判主文第1項と同旨の判決第2事案の概要原告は,下記1(1)の特許(以下「本件特許」という。)の特許権者である。特許庁は,本件特許に対する無効審判請求(無効2006-80188号事件)について,本件特許を無効とする審決をしたため,原告はその取消しを求める審決取消訴訟を提起するとともに訂正審判請求(以下「前訂正審判請求」という。)をしたところ,知的財産高等裁判所は特許法181条2項の規定に基づく審決取消の決定をした。これを受けた特許庁は,本件特許の無効審判請求について更に審理し,原告による訂正請求(指定期間内に請求されたもの)に係る訂正を認めた上,本件特許を無効とする旨の審決をした。 本件は,原告が,同審決の取消しを求める事案であるところ,原告は,本訴提起後に訂正審判請求(訂正2008-390125号)をし,特許庁は平成21年2月2日に訂正を認める旨の審決をし,同審決は確定した。 1特許庁等における手続の経緯(1)本件特許特許権者:原告出願日:平成14年1月4日発明の名称:「順次バーストモード活性化回路」出願番号:特願2002-557170号設定登録日:平成18年1月13日特許番号:特許第3758165号(2)本件手続及び訂正審判手続等審判請求日:平成18年9月21日(無効2006-80188号)前訂正審判請求日:平成20年1月9日取消決定日:平成20年3月17日訂正請求日:平成20年4月2日審決日:平成20年7月7日審決の結論:「訂正を認める。特許第3758165号の請求項1ないし9に係る発明についての特許を無効とする。」審決謄本送達日:平成20年7月17日(原告に対し)本訴提起日:平成20年11月11日訂正審判請求日:平成20年11月21日(訂正2008-390125号)訂正審決日:平成21年2月2日訂正審決の結論:「特許第3758165号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」訂正審決謄本送達日:平成21年2月12日2本件特許の出願に係る明細書における特許請求の範囲の記載(1)訂正審決による訂正前のもの(審決において認められた訂正請求に係るもの)「【請求項1】液晶装置のバックライトに用いられる複数の蛍光ランプ負荷の調光制御のための可変パワー調整回路であって,該回路は,前記蛍光ランプ負荷がオンである期間を規定する可変なパルス幅を有するパルス信号を発生するパルス変調器と,前記パルス信号及び周波数選択信号を受け,それぞれが前記周波数選択信号によって決まる周波数を有し,少なくとも四つが異なる開始タイミングである,前記複数の蛍光ランプ負荷のための複数の位相シフトバースト信号を発生する位相遅延アレイと,スクリーン表示の掃引に用いられるビデオ信号を基準信号として受け,該基準信号に基づき前記周波数選択信号を発生する周波数セレクタと,少なくとも四つの各前記蛍光ランプ負荷のために少なくとも四つのパワー調整信号を発生する少なくとも二つの位相アレイドライバとを具備し,前記周波数セレクタは,前記基準信号の周波数をk倍化した信号(kは基準信号の倍係数)を前記周波数選択信号として発生し,前記パルス信号のパルス幅は,前記周波数選択信号の周期より小さな値であり,前記位相遅延アレイは,前記周波数選択信号の周期を有し前記パルス信号のパルス幅を有する信号を,各蛍光ランプ負荷を独立して制御するための前記位相シフトバースト信号として発生するものであり,前記パワー調整信号は,前記位相シフトバースト信号の位相値に等しい位相値を有しており,各前記位相アレイドライバーは,180°位相が異なる二つの前記位相シフトバースト信号を受けて,180°位相の異なる二つの各パワー調整信号を発生することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項2】請求項1に記載の回路において,前記複数の位相シフトバースト信号の各位相シフトバースト信号は,各負荷を調整することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項3】請求項1に記載の回路において,前記パルス変調器は,前記パルス幅を選択するための可変セレクタを有することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項4】請求項3に記載の回路において,前記可変セレクタはDC信号を提供するディマー回路と三角波を発生する発振器とを有し,前記パルス幅が前記DC信号と前記三角波との交点によって決まることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項5】請求項4に記載の回路において,前記ディマー回路は更に,前記DC信号のDC値を設定するための調光セレクタと,前記パルス幅変調信号のパルス幅を発生するために用いられる,前記DC信号と前記三角波の前記交点を決めるための極性セレクタとを有することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項6】請求項1に記載の回路において,前記位相遅延アレイは,前記位相シフトバースト信号の少なくとも二つが異なる開始タイミングを有するように,前記複数の位相シフトバースト信号の各位相シフトバースト信号のタイミングを取るためのカウンタを有することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項7】請求項1に記載の回路において,前記位相遅延アレイは,少なくとも一つの位相遅延値を発生するための位相遅延発生器を有していることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項8】請求項7に記載の回路において,前記少なくとも一つの位相遅延値は一定値であることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項9】請求項1に記載の回路において,前記位相遅延アレイは,発生すべき前記位相シフトバースト信号の数を決定するための少なくとも一つの選択信号入力を有することを特徴とする可変パワー調整回路。」(2)訂正審決による訂正後のもの(下線部分は審決後の訂正箇所である。)「【請求項1】液晶装置のバックライトに用いられる複数の冷陰極蛍光ランプ負荷の調光制御のための可変パワー調整回路であって,該回路は,前記冷陰極蛍光ランプ負荷がオンである期間を規定する可変なパルス幅を有するパルス信号を発生するパルス変調器と,スクリーン表示の掃引に用いられるビデオ信号を基準信号として受け,該基準信号に基づき周波数選択信号を発生する周波数セレクタと,前記パルス変調器および前記周波数セレクタに接続されているとともに,前記パルス信号及び前記周波数選択信号を受け,それぞれが前記周波数選択信号によって決まる周波数を有し,少なくとも四つが異なる開始タイミングである,前記複数の冷陰極蛍光ランプ負荷のための複数の位相シフトバースト信号を発生する位相遅延アレイと,前記位相シフトバースト信号を受けるために前記位相遅延アレイに接続されているとともに,少なくとも4つの前記冷陰極蛍光ランプ負荷への電力を調整するための高電圧ACパワー調整信号であって,前記位相シフトバースト信号のパルス幅に対応したACパワー信号区間を持つ少なくとも4つの高電圧ACパワー調整信号を発生する少なくとも二つの位相アレイドライバーとを具備し,前記冷陰極蛍光ランプ負荷は,前記高電圧ACパワー調整信号をそれぞれ受けるとともに,前記高電圧ACパワー調整信号の電力に基づいて発光し,前記周波数セレクタは,前記基準信号の周波数をk倍化した信号(kは基準信号の倍係数)を前記周波数選択信号として発生し,前記パルス信号のパルス幅は,前記周波数選択信号の周期より小さな値であり,前記位相遅延アレイは,前記周波数選択信号の周期を有し前記パルス信号のパルス幅を有する信号を,各前記冷陰極蛍光ランプ負荷を独立して制御するための前記位相シフトバースト信号として発生するものであり,前記高電圧ACパワー調整信号は,前記位相シフトバースト信号の位相値に等しい位相値を有しており,各前記位相アレイドライバーは,180°位相が異なる二つの前記位相シフトバースト信号を受けて,180°位相の異なる二つの前記高電圧ACパワー調整信号を発生し,前記位相アレイドライバーの少なくとも一つは,対応する前記冷陰極蛍光ランプ負荷へ電力を供給するためのランプ回路を有し,各前記位相アレイドライバは近接して配置されており,前記位相アレイドライバは,第1位相アレイドライバと第2位相アレイドライバとを少なくとも有して構成され,前記第1位相アレイドライバは,前記高電圧ACパワー調整信号の一つである第1高電圧ACパワー調整信号を出力する第1出力端と,前記第1高電圧ACパワー調整信号とは180°位相が異なる第2高電圧ACパワー調整信号を出力する第2出力端とを有し,前記第2位相アレイドライバは,前記高電圧ACパワー調整信号の一つである第3高電圧ACパワー調整信号を出力する第3出力端と,前記第3高電圧ACパワー調整信号とは180°位相が異なる第4高電圧ACパワー調整信号を出力する第4出力端とを有し,前記第1高電圧ACパワー調整信号の位相は,前記第3高電圧ACパワー調整信号の位相よりも進んでおり,前記第3高電圧ACパワー調整信号の位相は,前記第2高電圧ACパワー調整信号の位相よりも進んでおり,前記第2高電圧ACパワー調整信号の位相は,前記第4高電圧ACパワー調整信号の位相よりも進んでおり,前記第1出力端と第2出力端と第3出力端と第4出力端とは,該第1出力端,第2出力端,第3出力端,第4出力端の順序で配置されており,前記第1出力端と第2出力端と第3出力端と第4出力端とは,それぞれ,前記冷陰極蛍光ランプ負荷のそれぞれの一つに接続されていることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項2】請求項1に記載の回路において,前記複数の位相シフトバースト信号の各位相シフトバースト信号は,各負荷を調整することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項3】請求項1に記載の回路において,前記パルス変調器は,前記パルス幅を選択するための可変セレクタを有することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項4】請求項3に記載の回路において,前記可変セレクタはDC信号を提供するディマー回路と三角波を発生する発振器とを有し,前記パルス幅が前記DC信号と前記三角波との交点によって決まることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項5】請求項4に記載の回路において,前記ディマー回路は更に,前記DC信号のDC値を設定するための調光セレクタと,前記パルス幅変調信号のパルス幅を発生するために用いられる,前記DC信号と前記三角波の前記交点を決めるための極性セレクタとを有することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項6】請求項1に記載の回路において,前記位相遅延アレイは,前記位相シフトバースト信号の少なくとも二つが異なる開始タイミングを有するように,前記複数の位相シフトバースト信号の各位相シフトバースト信号のタイミングを取るためのカウンタを有することを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項7】請求項1に記載の回路において,前記位相遅延アレイは,少なくとも一つの位相遅延値を発生するための位相遅延発生器を有していることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項8】請求項7に記載の回路において,前記少なくとも一つの位相遅延値は一定値であることを特徴とする可変パワー調整回路。 【請求項9】請求項1に記載の回路において,前記位相遅延アレイは,発生すべき前記位相シフトバースト信号の数を決定するための少なくとも一つの選択信号入力を有することを特徴とする可変パワー調整回路。」3審決の理由の要旨審決は,原告による訂正請求を認め,本件特許に係る各発明の要旨を上記2(1)のとおり認定した上,これらの発明は,甲第1号証に記載された発明又は甲第3号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,これらの発明に係る特許は,いずれも特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法123条1項2号に該当し,無効とすべきものであるとした。 第3審決取消事由審決は,本件特許に係る発明の要旨を上記第2の2(1)のとおり認定し,これに基づき,上記第2の3のとおり,本件特許を無効とすべきであると判断したが,訂正審決が確定したことによって,本件特許に係る特許請求の範囲の記載は,第2の2(2)のとおりとなったものであるから,審決は,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになり,取消しを免れない。 第4当裁判所の判断本件特許に係る特許請求の範囲の記載が訂正審決により原告主張のとおりになったことは当事者間に争いがなく,これによれば,審決は結果的に本件特許に係る発明の要旨の認定を誤ったものというべきであるから,本訴請求は理由がある。 よって,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 田中信義 |
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裁判官 | 浅井憲 |
裁判官 | 杜下弘記 |