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関連審決 無効2005-80295
関連ワード 発明者 /  技術的思想 /  容易に発明 /  発明特定事項 /  一致点の認定 /  慣用技術 /  29条の2(拡大された先願の地位) /  技術常識 /  先行技術 /  優先権 /  国内優先権 /  実質的に同一 /  共有 /  参酌 /  技術的意義 /  実施 /  加工 /  構成要件 /  設定登録 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  変更 /  訂正明細書 /  取消決定 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10128号 審決取消請求事件
原告三井住友建設株式会社
訴訟代理人弁理士鈴木俊一郎,牧村浩次,八本佳子,筒井誠
被告バクマ工業株式会社
訴訟代理人弁理士近藤彰
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/02/26
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が無効2005−80295号事件について平成20年2月28日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求主文と同旨第2事案の概要本件は,原告の下記1(1)の特許につき被告が無効審判を請求したところ,無効審決がされたので,原告が同審決の取消しを求める事案である。
1特許庁における手続の経緯(争いのない事実)(1)原告は,発明の名称を「水用配管敷設方法及び水用可搬形配管ユニット」とする特許第2606808号(平成4年6月4日特許出願(特願平4-170163号 ,平成9年2月13日設定登録。以下「本件特許」という )の特許権者 ) 。
である。
(2)被告は,平成17年10月11日,本件特許について無効審判の請求をした(無効2005-80295号事件として係属 。その後の手続の経緯は,以下 )のとおりである。
平成18年6月13日無効審判請求に対する第1次審決(無効)7月21日第1次審決に対する審決取消訴訟提起(平成18年(行ケ)第10345号)9月21日訂正審判請求11月2日第1次審決の取消決定12月4日訂正請求(特許法134条の3第5項の規定による)その後,特許庁は,平成20年2月28日 「訂正を認める。特許第26068 ,08号の請求項1,2に係る発明についての特許を無効とする 」との審決をし, 。
その謄本は同年3月10日,原告に送達された。
2特許請求の範囲平成18年12月4日付け訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という )後。
の明細書(甲18。以下「本件明細書」という )の特許請求の範囲の記載は,次 。
のとおりである(請求項は2個である。。)「 請求項1】【それ自体は分岐されることがなく,複数の分岐部が設けられた直状の可撓性部材からなる主管を有し,前記主管に,施工現場の接続端末位置に対応した長さにそれぞれ形成された可撓性部材からなる枝管を,前記主管に枝管を配置することのできる複数の分岐部を介して,該分岐部から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該主管に水密に接続して設けた水用可搬形配管ユニットを,工場加工により予め組立形成しておき,前記工場で予め組立形成された状態の水用可搬形配管ユニットを,枝管を撓めた状態で施工現場に搬入し,, , 前記施工現場において 前記主管の元側を構築物の本管に水密に接続すると共に前記枝管の先端側を該枝管に対応した前記構築物の前記接続端末に水密に接続する形で,前記水用可搬形配管ユニットを敷設するようにして構成した,水用配管敷設方法。
【請求項2】予め工場加工された形で施工現場に搬入される水用可搬形配管ユニットにおいて,それ自体は分岐されることがなく,複数の分岐部が設けられた直状の可撓性部材からなる主管を有し,前記主管に,施工現場の接続端末位置に対応した長さにそれぞれ形成された可撓性部材からなる枝管を,前記主管に枝管を配置することのできる複数の分岐部を介して,該分岐部から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該主管に水密に接続して設けて構成した水用可搬形配管ユニット(以。」下,これらの発明を,請求項1,2の順に「本件訂正後発明1「本件訂正後発」,明2」といい,両者を合わせて「本件訂正後発明」という )。
3審決の理由の要旨被告は,本件無効審判において,以下の証拠方法(書証番号は,本訴における書証番号と同一である )を提出し,本件特許は特許法29条の2の規定及び同法2 。
9条2項の規定に違反するとの無効理由を主張し,審決は,本件訂正後発明は甲第7号証に記載された発明と同一であるから特許を受けることができない,と判断して本件特許を無効とした。
甲第1号証特許第2606808号公報(本件特許公報)甲第2号証訂正明細書甲第3号証特願平3-174548号の電子ファイル甲第4号証特願平4-170163号(本件特許出願)の電子ファイル甲第5号証異議(平成9年異議75162号)の取消理由通知書甲第6号証異議決定(平成9年異議75162号)甲第7号証特開平5-172287号公報甲第8号証特開平4-258589号公報甲第9号証特公昭62-8568号公報甲第10号証特開昭63-197731号公報甲第11号証特開昭54-112551号公報甲第12号証特開昭59-199931号公報甲第13号証実開昭52-98824号公報甲第14号証特開昭53-141963号公報甲第15号証実開平2-18562号公報,。,, 審決が上記結論に至った理由は 以下のとおりである なお 審決の引用部分は本判決の略語に合わせるなどして一部訂正したところがある。
(1)無効理由に関する被告(請求人)の主張以下の無効理由により,本件訂正後発明についての特許は,特許法123条1項2号の規定により無効とされるべきである。
<無効理由1>本件訂正後発明は,甲第7又は8号証に係る先願の当初明細書及び図面に記載された発明と同一であり,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
<無効理由2>本件訂正後発明は,甲第9〜15号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(2)本件訂正後発明の出願日「本件訂正後発明の国内優先権の基礎とされた先の出願(特願平3-174548号:本訴甲3)の当初明細書及び図面を掲載した甲第3号証には,本件訂正後発明の構成要件中の「直状の可撓性部材からなる主管」は記載されていないので,本件訂正後発明については国内優先の利益を享受できないものであり,現実の出願日である,平成4年6月4日を基準として,以下,判断する 」。
(3)甲第7号証に記載された発明本件出願の現実の出願日である平成4年6月4日前の他の先願であって,本件出願後に公開された,特願平3-338174号の当初明細書及び図面を掲載した甲第7号証(特開平5-172287号公報)全体の記載並びに当業者の技術常識によれば,甲第7号証には,次の2つの発明が記載されているものと認められる。
<発明1>「それ自体は分岐されることがなく,複数のT字継手管18或いはY字継手52が設けられた可撓性の分岐主管14を有し,前記分岐主管14に,給排水設備機器と接続される可撓性の枝管16を,前記分岐主管14に枝管16を配置することのできる複数のT字継手管18或いはY字継手52を介して,該T字継手管18或いはY字継手52から該枝管16先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該分岐主管14に接続して設けた給水ユニット配管10を,加工工場において予め加工しておき,前記加工工場において予め加工した状態の給水ユニット配管10を,巻き取られた分岐主管14が形成する円形内に枝管16を折り畳んだ状態で配管現場に搬入し,前記配管現場において,前記分岐主管14の末端部を本管20に接続すると共に,前記枝管16の先端側を該枝管16に対応した前記給排水設備機器に接続する形で,前記給水ユニット配管10を布設するようにして構成した,給水配管敷設方法(以下 「甲第7号 。」,証発明1」という )。
<発明2>「 , 加工工場において予め加工した形で配管現場に搬入される給水ユニット配管10においてそれ自体は分岐されることがなく,複数のT字継手管18或いはY字継手52が設けられた可撓性の分岐主管14を有し,前記分岐主管14に,前記配管現場の給排水設備機器と接続される可撓性の枝管16を,前記分岐主管14に枝管16を配置することのできる複数のT字継手管18或いはY字継手52を介して,該T字継手管18或いはY字継手52から該枝管16先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該分岐主管14に接続して設けて構成した,給水ユニット配管10(以下 「甲第7号証発明2」という ) 。」, 。
(4)本件訂正後発明1の甲第7号証を根拠とする無効理由1についての判断ア本件訂正後発明1と甲第7号証発明1との対比本件訂正後発明1と甲第7号証発明1とを対比すると,両者は,「それ自体は分岐されることがなく,複数の分岐部が設けられた可撓性部材からなる主管を有し,前記主管に,施工現場の接続端末位置に対応した長さにそれぞれ形成された可撓性部材からなる枝管を,前記主管に枝管を配置することのできる複数の分岐部を介して,該分岐部から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該主管に水密に接続して設けた水用可搬形配管ユニットを,工場加工により予め組立形成しておき,前記工場で予め組立形成された状態の水用可搬形配管ユニットを,枝管を撓めた状態で施工現場に搬入し,前記施工現場において,前記主管の元側を構築物の本管に水密に接続すると共に,前記枝管の先端側を該枝管に対応した前記構築物の前記接続端末に水密に接続する形で,前記水用可搬形配管ユニットを敷設するようにして構成した,水用配管敷設方法 」の点で一致 。
し,次の点で一応相違する。
<一応の相違点>「可撓性部材からなる主管」に関して,本件訂正後発明1では 「直状の」ものであるのに ,対して,甲第7号証発明1では,可撓性の分岐主管14(可撓性部材からなる主管)に複数のT字継手管18或いはY字継手52が設けられているものの,それが直状のものであるのか否か定かでない点。
イ上記<一応の相違点>についての検討本件明細書には,本件訂正後発明1における「可撓性部材からなる主管」について 「主管 ,17には前記直状に形成された主管10と同様に,その分岐部21に分岐ヘッダ7を介して枝管11が接続されている。図5に示す分岐部21に設けられる分岐ヘッダ7及び該分岐部21に接続される枝管11の構成は,前述した配管ユニット2と全く同一であり (段落【001 」】),,「」 「」「」 4と記載され 同じく配管ユニット2 の 分岐部 に設けられた上記 分岐ヘッダ7ついて 「分岐ヘッダ7は,図3に示すように,管体71を有しており,管体71は主管10 ,の図中左右方向を分断する形で配管ユニット2に複数組み込まれている。即ち,管体71の元71a側・・・には雄ねじが形成されており,また,管体71の先71b側には雌ねじが形成されている。従って,主管10には予め設定されて工場加工された形で,雌ねじ又は雄ねじが形成された継手部材が適宜接続されており,該継手部材の雌ねじ部分と雄ねじ部分が,それぞれ管体71の元71aと先71bに水密に螺合し合うことにより一体化される形で,主管10に複数の分岐ヘッダ7が組み込まれている。そして,管体71内には流路15が形成されてお, , 。 り 管体71には流路15が分岐する形で・・・取り出し口71c 71cが設けられているそれぞれの取り出し口71cには,管体71に雌ねじが形成されており,それぞれの取り出し口71cには該雌ねじに継手部材を介して水密に螺合される形で,枝管11が接続されている(段落【0009 )と記載されており,これらの記載によれば,本件訂正後発明1にお 。」】ける「水用可搬形配管ユニット」は,その実施例として,可撓性部材からなる主管の分岐部に分岐ヘッダ7が設けられ,当該分岐ヘッダ7を構成する管体71が可撓性部材からなる主管を分断する形で組み込まれ接続されて,全体として,直状の可撓性部材からなる主管となり,さらに,当該分岐ヘッダ7を構成する管体71の取り出し口71cに枝管11が接続されてなるものが開示されている。
そうすると,本件訂正後発明1において 「可撓性部材からなる主管」が「直状の」もので ,あるか否かは,分岐部に設けた分岐ヘッダ7の形状構造,或いは,分岐ヘッダ7より分断された前記主管の当該分岐ヘッダ7への接続態様に依拠しているものと云うことができる。
一方,甲第7号証発明1における「給水ユニット配管10」については,給排水設備機器及び本管の配置位置に応じて可撓性の分岐主管14と可撓性の枝管16とが予め工場で加工され, , , てなるものであるところ 可撓性の分岐主管14には T字継手管18或いはY字継手52が当該分岐主管14を分断する形で接続されて設けられ,当該T字継手管18或いはY字継手52を介して可撓性の枝管16を設けたものであり,そして,T字継手管18により分岐部を形成してなる可撓性の分岐主管14は,図1(A)をみると,適宜のT字継手管18の位置(2箇所)において屈曲し,その他のT字継手管18の位置において直状になっているものが記載され,また,Y字継手52により分岐部を形成してなる可撓性の分岐主管14は,Y字継手52に関する甲第7号証の「T字継手18に比較して水流の抵抗面となる屈曲部がないので,矢印A方向から流れる水は抵抗なく分岐していく「梱包装置28によって巻き込まれた場合,枝 」,管16を分岐主管14の内側へ折り畳む必要がなく・・・分岐主管14と共に巻き込むことができる ・・・との記載を考慮して図7をみると,Y字継手52を挟んで分断された前記分岐 」主管14の軸線が,当該Y字継手52部分において小さく屈曲しているものの,全体としてみれば,直状に近い態様のものが記載されている。
上記した記載によれば,甲第7号証発明1における「給水ユニット配管10」の可撓性の分岐主管14(可撓性部材からなる主管)には,T字継手管18により直状になるように接続した態様,T字継手管18により屈曲するように接続した態様,Y字継手52により屈曲が小さい(屈曲部がない)ように接続した態様が含まれていると云うことができる。
,,,「」 ,, そして甲第7号証には上記のとおり屈曲部がない方が水流の抵抗が少なく且つ梱包装置に巻き込みやすい旨記載されているのであり 「給水ユニット配管10」の主要部分 ,である前記分岐主管14の全体を屈曲がないものとすることは,当然考慮されることと思料されるから,甲第7号証発明1には 「給水ユニット配管10」の可撓性の分岐主管14(可撓 ,性部材からなる主管)の全体を直状にしたものも内在していると云うことができる。
仮に,そうでないとしても 「給水ユニット配管10」は,上記のとおり,給排水設備機器 ,及び本管の配置位置に応じて予め工場で加工されてなるものであるから 「給水ユニット配管 ,10」の可撓性の分岐主管14(可撓性部材からなる主管)の全体を直状にすることは,当業者において,給排水設備機器及び本管の配置位置に応じて,適宜採用する程度の設計上の微差と云うことができる。
そして,本件訂正後発明1の効果の点においても,上記<一応の相違点>に係る「直状の可撓性部材からなる主管」とすることにより,新たな格別の作用効果を奏するものと云うことができず,本件訂正後発明1における上記<一応の相違点>に係る「直状の可撓性部材からなる主管」との発明特定事項については,甲第7号証発明1に内在している事項,或いは,課題解決のための具体化手段における設計上の微差であると云わざるをえないものであるから,本件訂正後発明1は,甲第7号証発明1と実質的に同一であるとするのが相当である。
ウまとめしたがって,本件訂正後発明1は,甲第7号証発明1と同一であり,しかも,本件訂正後発明1の発明者が甲第7号証発明1の発明者と同一であるとも,また,本件の出願時に,その出願人が甲第7号証発明1に係る出願の出願人と同一であるとも認められないので,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
(5)本件訂正後発明2の甲第7号証を根拠とする無効理由1についての判断ア本件訂正後発明2と甲第7号証発明2との対比本件訂正後発明2と甲第7号証発明2とを対比すると,両者は,「予め工場加工された形で施工現場に搬入される水用可搬形配管ユニットにおいて,それ自体は分岐されることがなく,複数の分岐部が設けられた可撓性部材からなる主管を有し,前記主管に,前記施工現場の接続端末位置に対応した長さにそれぞれ形成された可撓性部材からなる枝管を,前記主管に枝管を配置することのできる複数の分岐部を介して,該分岐部から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該主管に水密に接続して設けて構成した水用可搬形配管ユニット 」の点で一致し,次の点で一応相違する。 。
<一応の相違点>「可撓性部材からなる主管」に関して,本件訂正後発明2では 「直状の」ものであるのに ,対して,甲第7号証発明2では,可撓性の分岐主管14(可撓性部材からなる主管)に複数のT字継手管18或いはY字継手52が設けられているものの,それが直状のものであるのか否か定かでない点。
イ上記<一応の相違点>についての検討上記<一応の相違点>は,上記(4)アの項で挙げた本件訂正後発明1と甲第7号証発明1との<一応の相違点>と一致しているから,これについての検討も,上記(4)イの項で検討したとおりである。
ウまとめしたがって,本件訂正後発明2は,甲第7号証発明2と同一であり,しかも,本件訂正後発明2の発明者が甲第7号証発明2の発明者と同一であるとも,また,本件の出願時に,その出願人が甲第7号証発明2に係る出願の出願人と同一であるとも認められないので,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
第3審決取消事由の要点審決は,甲第7号証発明1,2(以下,合わせて「甲第7号証発明」という )。
の認定を誤った結果 本件訂正後発明と甲第7号証発明との一致点の認定を誤り 取 , (消事由1 ,また,本件訂正後発明と甲第7号証発明との同一性についての判断を )誤り(取消事由2 ,さらに,引用例としての適格を欠く甲第7号証を誤って特許 )法29条の2の引用例とした(取消事由3)ものであるから,違法なものとして取り消されるべきである。
1取消事由1(甲第7号証発明の認定誤りによる一致点の認定誤り)(1)審決は,甲第7号証の図1(A)について,別紙訂正図(図1(A)の配管部分に赤色及び青色を着色し,符号14の一部に×印を付したもの)のとおり,青色配管部分が分岐主管14であり,赤色配管部分が枝管16であって,赤色配管部分に付された符号14は,いずれも符号16の誤りであると認定し,甲第7号証発明の分岐主管14は 「それ自体は分岐されることがな(い 」と認定したが, , )誤りである。
ア甲第7号証の図1(A)には,配管図(図10)に基づいて加工される配管ユニット10(給水ユニット配管)の実施例が示されている(段落【0015 )】が,可撓性の枝管16は,先端に接続金具48(図4)を備え,同接続金具48を介して給排水設備機器の接合部分Jに接続されるものとされ,さらに,枝管16と(【】)。 分岐主管14とは継手管を介して連通されるものとされている 段落 0016また,配管図(図10)には給排水設備機器と配管ユニット10,12(給湯ユニット配管)との位置関係が斜視的に示され,配管ユニット10と給排水設備機器とは同一平面上に配置されておらず,配管ユニット10と給排水設備機器とは鉛直方向に立ち上がる管(以下「立ち上がり管」という )により接続されている。 。
以上を前提とすると,枝管16は先端に備えた接続金具48を介して給排水設備機器の接合部分Jに接続され,継手管を介して分岐主管14と連通されるのであるから,図10の立ち上がり管が配管ユニット10における枝管16であることは明らかである。また,枝管16が図10の立ち上がり管だとすれば,配管ユニット10におけるそれ以外の部分が分岐主管14ということになる。
イまた,甲第7号証には「各分岐主管14の長さは,湯沸器22,浴室24,台所26等との接合部分Jでの取合誤差を許容するため,余裕を持った長さとされている (段落【0016 )との記載があり,分岐主管14が平面的に給排水設 」】備機器まで配管されることで取合誤差を吸収する効果が発揮されるのであるが,分岐主管14と枝管16とを上記アのとおりに把握することにより,上記記載の技術的意味も正確に理解することができる。
(2)上記(1)のとおり,甲第7号証発明における「分岐主管14」は 「それ自 ,体が分岐する主管」であるから,審決が分岐主管14は「それ自体は分岐されるこ」 。,「」 とがなく と認定したことは誤りである そして 本件訂正後発明における 主管は 「それ自体が分岐されることがない主管」であるから,本件訂正後発明と甲第 ,7号証発明との対比において,審決が,両者は「それ自体は分岐されることがない主管」を有する点で一致すると認定したことは,誤りである。
2取消事由2(本件訂正後発明と甲第7号証発明との同一性についての判断の誤り)(1)審決は,甲第7号証発明には 「給水ユニット配管10」の可撓性の分岐 ,主管14(可撓性部材からなる主管)の全体を直状にしたものも内在していると認定したが,誤りである。
配管ユニットを構成する管路の形状は,配管ユニット全体の形状を検討する中で決定すべきものであることは,従来からの当業者の技術常識である。したがって,甲第7号証発明の分岐主管14の形状は,給排水設備機器及び本管の配置位置を基本として,分岐主管14及び枝管16によって構成される給水ユニット配管10の全体としての「水の流れ易さ「梱包作業の難易性「配管作業の難易性「使 」,」,」,用する材料のコスト「維持管理の難易性」などの各項目を総合的に検討する中 」,で決定すべきものである。
そうすると,単にT字継手と比べてY字継手の方が水流抵抗が少なく,かつ,梱包装置に巻き込みやすい旨の記載が甲第7号証にあるとしても,それは給水ユニット配管10の形状を検討する際の検討項目の一部にすぎず,そのことから当業者が「分岐主管14の全体を直状にしたもの」を導き出すことはできない。
以上のとおり,出願時の技術常識参酌しても,甲第7号証の記載から,当業者が「分岐主管14の全体を直状にしたもの」を導き出すことはできない。
(2)審決は,給水ユニット配管10の可撓性の分岐主管14(可撓性部材からなる主管)の全体を直状にすることは,当業者において,給排水設備機器及び本管の配置位置に応じて,適宜採用する程度の設計上の微差であって,これにより新たな格別の作用効果を奏するものとはいえないと判断したが,誤りである。
アT字継手及びY字継手の継手それ自体は,建築物等の配管ユニットに関する分野において,周知・慣用技術であるといえるが,T字継手及びY字継手の継手それ自体が周知・慣用技術であったとしても,分岐主管14の全ての継手部にY字継手を用いることは,周知・慣用技術の付加,削除,転換等には当たらない。
なぜなら,上記(1)のとおり,分岐主管14の形状が,給水ユニット配管10の全体の形状を検討する中で決定されるべきものであることは,当業者の技術常識であり,この技術常識を無視してまで,分岐主管14の全ての継手部にY字継手を積極的に用いることは,もはや単なる「設計上の微差」には当たらないというべきだからである。
イまた,仮に分岐主管14の全体にY字継手を用いることが周知・慣用技術の付加,削除,転換等に該当するものであったとしても,本件訂正後発明は 「直状 ,の可撓性部材からなる主管」に限定することによって,甲第7号証発明と比べて次のような格別の作用効果を奏するものである。すなわち,主管が直状に形成されていることから,該主管が芯材となる形で枝管を束ねることができ,また,主管は可撓性部材から構成されているから,該主管自体も撓めた形で束ねることができ,搬送時の取扱いが容易である(甲18の段落【0011【0015。また,主 】,】)管が直状に形成されていることから,現場での配管作業が容易であり,その寸法を計測するのも簡単であるから,現場における寸法出しや配管位置の変更作業も容易に行うことができる。
3取消事由3(甲第7号証を引用例としたことの誤り)出願の当初明細書等に記載されている事項及び記載されているに等しい事項から当業者が把握することができない発明又は考案は,特許法29条の2における「当該特許出願の日前の他の特許出願又は実用新案登録出願 (以下「他の出願」とい 」う )の当初明細書等に記載された発明又は考案とすることはできないところ,甲 。
第7号証の明細書等には誤記や不明瞭な記載が多くあるため,当業者が特定の発明を把握することが困難であるから,同号証を特許法29条の2先行技術文献として引用することは許されない。
したがって,甲第7号証に基づいて,本件訂正後発明が特許法29条の2の規定により特許を受けることができないとした審決の判断は誤りである。
第4被告の反論の要点1取消事由1(甲第7号証発明の認定誤りによる一致点の認定誤り)に対し(1)本件訂正後発明における配管は 「主管と枝管」で構成され,管径による ,相違や分岐部の構造によって「主管」と「枝管」が定義されていないが,本件明細書を参照すると 「主管」は「複数の分岐部を設けたもの」と特定され 「枝管」 , ,は 「主管の分岐部から分岐して,接続端末(給水設備機器の給水栓)までを接続 ,する配管」であって「分岐部を介して,該分岐部から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形」のものと特定される。
以上の点から,本件訂正後発明における「枝管」は,給水配管を例とすると「一端が一つの特定の接続端末(給水設備機器の給水栓等)に接続され,他端が流路構成する管(主管)との分岐部に接続されている管」又は「特定の接続端末にのみに給水を行う流路を構成する管」と定義することができ 「主管」は「枝管の流路以 ,外の流路を構成する管」と定義することができる。
(2)甲第7号証に開示されている給水配管は 「分岐主管14」と「枝管16」 ,で構成されており,図1の配管構成の図示及び段落【0016】の説明によると,分岐主管14は,給水設備機器が配置されている個所までの床下面の配管として示され,枝管16は,分岐主管14の先端(床面)からL字状継手管19を介して立上げ分の配管として示されている。
そして,本件訂正後発明における上記(1)の枝管と主管の定義を甲第7号証に開示されている配管構成に適用すると,本件訂正後発明の「枝管」と対応する「一端が一つの特定の接続端末(給水設備機器の給水栓等)に接続され,他端が流路構成する管(主管)との分岐部に接続されている管」又は「特定の接続端末にのみに給」 , ,「」 水を行う流路を構成する管 は 別紙訂正図における赤色配管部分であり主管と対応する配管は,残りの青色配管部分となる。
(3)図1(A)においては,分岐主管14からT字継手18により分岐主管14が分岐しているが,甲第7号証の段落【0023】の記載のとおり,図1のT字継手18に代えてY字継手52を適用した場合には,図1が正しいとすると,Y字継手の箇所で分岐主管14が分岐主管14と枝管16とに分岐しないこととなるから,分岐主管14がY字継手により分岐主管14と枝管16とに分岐する図7の符号が誤りということになる。逆に,図7の符号が正しいとすると,図1の符号が誤りということになる。
そして,審決は,Y字継手52を採用した場合の説明に基づいて,分岐主管14から枝管16が分岐されるとの構成が正しいとの立場を採用し,甲第7号証に開示,「(),, された配管構成について図1 A で末端に符号16 18が付された枝管は当該端末において何れも給排水設備機器の接合部分Jに接続されているから,これら枝管に付された符号「14」が何れも符号「16」の誤りであるであることは明らかである (審決書15頁12行〜末行)と認定し,図1(A)の符号の誤りを 」指摘したものである。
(4)以上のとおり,本件訂正後発明における「枝管」及び「主管」の定義を甲第7号証開示の配管構成に適用し,また,同号証の図1(A)の符号付与が誤りであるとの立場に立った場合には,甲第7号証発明の主管は 「特定の接続端末にの ,みに給水を行う流路を構成する管」である枝管部分以外の配管部分,すなわち,別紙訂正図の青色配管部分となるから,審決が 「上記枝管を除く符号14が付され ,た管部分の集合体が,全体として,分岐主管(14)となっていて,当該分岐主管(14)の各継手管からは枝管のみが分岐されて,当該分岐主管(14)がそれ自体は分岐されておらず,また,当該分岐主管(14)の各継手管からそれぞれ分岐された枝管 16 が何れも先端部分までの間に更に枝管を生じさせていない審 () 」(決書16頁1行〜5行)と認定したことは,誤りではない。
したがって,甲第7号証発明に「それ自体分岐されることがなく,複数の分岐部が設けられた可撓性部材からなる主管を有し」とした審決の認定に誤りはなく,取消事由1は理由がない。
2取消事由2(本件訂正後発明と甲第7号証発明との同一性についての判断の誤り)に対し(1)配管構成の「直状」の内在についてア本件明細書には 「可撓性部材からなる主管」が「直状」のものであること ,が直接的に記載されていないが,審決は,本件訂正の可否を判断するに当たり,本件明細書に記載された施工の状況,搬送状況等の種々の事情を考慮すると 「 直 ,「状の」ものとすることも内在され,或いは,少なくとも 「直状の」のものとする ,ことを排除していない (審決書10頁33行〜34行)として 「直状の主管」 」 ,も内在されていると認定した。
イ一方,甲第7号証には,T字継手18に代えてY字継手52を採用することが示されており,Y字継手52を採用する個所は,同号証の図7に表示されたとおり,枝管16(本件訂正後発明の枝管と対応する管路)と分岐主管14(本件訂正後発明の主管に対応する管路)とを接続する個所であり,分岐を必要する個所のみに限定され,同号証の図1(A)の枝管16の接続箇所には適用できないから,甲第7号証には,分岐部にY字継手を採用して直状に近い態様の可撓性部材からなる主管が記載されていることになる。
また,どの様な形態の継手を採用するか,あるいはどのような構成の配管形態とするかは,当該施工個所の接続機器の配置などから設計される設計事項に過ぎないものであり,特に甲第7号証発明において,本件訂正後発明と同様に,直状の構成が明確に記載されていないとしても,少なくとも直状の構成を排除しているものではない。
したがって,本件訂正を認めた論理と同様に,甲第7号証発明においても 「直,状の主管」が内在しているというべきであるから,これと同旨の審決の認定に誤りはない。
(2)本件訂正後発明の「直状の非可撓性部材からなる主管」との構成の作用効果ア「直状の」について本件訂正後発明の「直状の非可撓性部材からなる主管」が,一直線に形成される「」,「」, 直状 と解釈され そして甲第7号証発明に 直状の ものが内在されておらずかつ,配管構成が「Y字継手を採用して直状に近似したもの」は「直状の」に含まれないとすると,この点において本件訂正後発明と甲第7号証発明とは相違が認められることになる(審判でいう一応の相違点 。)しかし,審決は,この一応の相違点は設計上の微差であり,実質的に同一であると認定した。
イ明細書に記載された作用効果原告は,本件訂正後発明の「直状の非可撓性部材からなる主管」に基づく顕著な作用効果として ?@主管が芯材となる形で枝管を束ねることができること 段落 0 , (【011【0015,?A現場での配置作業が容易であり,寸法出し作業,配管 】,】)の変更作業も容易であること(段落【0012【0013 )を主張するが,本 】,】件明細書の段落【0011】に記載された事項は 「配管ユニット2:直状の非可 ,撓性部材からなる主管 剛性管 を採用したユニット に関しての説明であり可 ()」,「撓性部材からなる主管」を採用した配管ユニット2’の場合には,甲第7号証の図9に示すように束ねられるので 「直状の可撓性部材からなる主管」の技術的意義 ,は非常に小さい。
また,段落【0012【0013】も 「配管ユニット2:直状の非可撓性部 】,,材からなる主管(剛性管)を採用したユニット」に関しての説明であり,前記?Aの作用効果は 「可撓性部材からなる主管を採用したユニット」においては主管が任 ,意に折れ曲がるので 「直状」と「非直状」の間に大きな差異は認められない。 ,したがって,審決が認定した「一応の相違点」は 「主管が可撓性部材」であれ ,, 。 ば実質的に同一といえる設計上の微差にすぎず この点において審決に誤りはない3取消事由3(甲第7号証を引用例としたことの誤り)に対し甲第7号証には,段落【0002】〜【0007】に技術課題が示され,その技術課題の解決手段として 「給排水設備機器及び主管の配置位置に応じて予め工場 ,で加工接続され配管場所へ搬入される配管ユニットにおいて,前記給排水設備機器へ接続される可撓性の枝管と,前記枝管と熱融着され各枝管と連通する可撓性の分岐主管とで構成される配管ユニット (段落【0008 )が提案され,その作用 」】効果(段落【0012【0027【0028 )が記載されている。 】,】,】したがって,甲第7号証には一定の技術的思想が明確に開示されている。
さらに,甲第7号証には,前記の技術的思想を具現化する構成として,図1の配管構成と,当該配管構成の説明が開示されている。また継手の変更採用も開示されている。
そして,甲第7号証の配管構成において 「分岐主管14」と「枝管16」につ ,いて厳密な定義づけがされておらず,また図の符号に整合性がなく,符号説明に誤記があったとしても,当業者は,図示されている配管構成から甲第7号証発明を実施することができると認められる。
したがって,甲第7号証を先行技術文献として採用することに何ら問題はない。
第5当裁判所の判断1取消事由1(甲第7号証発明の認定誤りによる一致点の認定誤り)について(1)原告は,審決が,甲第7号証発明の分岐主管14について「それ自体は分岐されることがなく」と認定したことが誤りであると主張するので,以下,検討する。
ア甲第7号証には,以下の記載がある。
(ア)「 請求項1】給排水設備機器及び主管の配置位置に応じて予め工場で 【加工接続され配管場所へ搬入される配管ユニットにおいて,前記給排水設備機器へ接続される可撓性の枝管と,前記枝管と熱融着され各枝管と連通する可撓性の分岐主管と,で構成されることを特徴とする配管ユニット。
【請求項2】前記枝管と前記分岐主管とがY字型の継手管を介して熱融着されることを特徴とする請求項1記載の配管ユニット 」。
(イ)「 0007】【【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事実を考慮し,梱包作業が容易であり,軽量で嵩張らず配管場所への搬入及び配管場所での配管施工が容易で,接合部分の水密性が確保でき,さらに省力化と工期の短縮が可能となる配管ユニット,その梱包装置及びその配管方法を提供することを目的とする。
【0008】【課題を解決するための手段】請求項1に記載の配管ユニットは,給排水設備機器及び主管の配置位置に応じて予め工場で加工接続され配管場所へ搬入される配管ユニットにおいて,前記給排水設備機器へ接続される可撓性の枝管と,前記枝管と熱融着され各枝管と連通する可撓性の分岐主管と,で構成されることを特徴としている。
【0009】請求項2に記載の配管ユニットは,前記枝管と前記分岐主管とがY字型の継手管を介して熱融着されることを特徴としている 」。
(ウ)「 0012】【【作用】上記構成の配管ユニットは,給排水設備機器へ接続される可撓性の枝管と,これら枝管と連通する可撓性の分岐主管が,予め工場で給排水設備機器及び主管の配置位置に応じて加工し熱融着される。このため,配管場所で分岐主管と枝管とを切断及び接合する必要がなくなるので,配管施工が容易となり,接合部分の水密性が確保される。また,枝管と分岐主管とをY字型の継手管を介して熱融着することによって,従来のT字型の継手管に比較して水が抵抗なく流れ,さらに,可撓性の枝管と分岐主管とを一体に巻き取ることができる 」。
(エ)「 0014】この梱包された配管ユニットを,配管現場へ搬入し,解梱 【。,, 。 して布設する 次に 主管へ分岐主管を接合し 給排水設備機器へ枝管を接合するこれによって,配管作業が完了するので,作業工程が削減され配管技能職人も必要としない。また,工場で予め可撓性の枝管と可撓性の分岐主管の接合部は熱融着されているので,接合部の水密性の確保でき,配管場所での水圧テスト箇所が少なくて済む。
【0015】【実施例】本発明に係る配管ユニットは,図1に示されるように,加工工場において,配管図に基づき(図10参照 ,給水ユニット配管10あるいは給湯ユニッ )ト配管12として加工される。
【0016】これら給水ユニット配管10及び給湯ユニット配管12は,先端に接続金具48(図4参照)を備えた可撓性の枝管16と,これら枝管16と連通する可撓性の分岐主管14がT字状の継手管18あるいはL字状の継手管19を介して熱融着されることによって構成されている。図2に示されるように,分岐主管14の末端は,本管20に接続されるようになっている。さらに,各分岐主管14の長さは,湯沸器22,浴室24,台所26等との接合部分Jでの取合誤差を許容するため,余裕を持った長さとされている 」。
(オ)「 0023】ここで,分岐主管14と枝管16とを接続するT字継手1 【8に変えて,Y字継手52が適用された例について説明する。
【0024】このY字継手52は,図7に示すように,T字継手18に比較して水流の抵抗面となる屈曲部がないので,矢印A方向から流れる水は抵抗なく分岐していく。また,図8及び図9に示されるように,梱包装置28によって巻き込まれた場合,枝管16を分岐主管14の内側へ折り畳む必要がなく(図7参照 ,分岐 )主管14と共に巻き込むことができるので,梱包作業がさらに容易となる。
【0025】次に,この梱包された給水ユニット配管10が配管場所に搬入されると,ビニールテープ50を解いて敷き並べ,図2に示すように,枝管16を湯沸器22,浴室24等との接合部分Jへ接続する。この時,分岐主管14は実際の配管距離より長くされているので,配管場所での取合誤差を許容することができる。
(カ)「 0027】【【】 , 。, 発明の効果 本発明は上記構成としたので 配管技能職人が不要となる また省力化が図られると共に工期の短縮が可能となる。さらに,加工工場で予め接合部を熱融着するので,接合部の水密性の確保でき,配管場所での水圧テスト箇所が少なくて済む。
【0028】また,配管ユニットは,軽量で,また梱包装置で運搬し易い形状に巻き取ることができるので,運搬搬入が容易となる 」。
(キ)図1(A)には,甲第7号証発明に係る給水ユニット配管が梱包される前の状態を示した平面図が図示されている。なお,図1の符号説明の記載中の「14枝管「16分岐主管」はそれぞれ「16枝管「14分岐主管」の誤 」, 」,記である。
図2には,甲第7号証発明に係る配管ユニットを適用した配管方法を示した平面図が図示されている。
図7には,甲第7号証発明に係る配管ユニットにY字型の継手管が適用されたものを示す部分側面図が図示されている。
図10には,従来の剛性配管によって配管された状態を示した斜視図が図示されている。
イ上記記載によれば,甲第7号証の給水ユニット配管10について,次の事項が認められる。
(ア)分岐主管14の末端部は接続金具48を介して水道本管20に接続され,また,枝管16の先端は接続金具48を介して給排水設備機器(湯沸器22,浴室24,台所26等)の接合部分Jに接続され,さらに,枝管16はT字継手管18(Y字継手52に代替可能)を介して熱融着されて分岐主管14に連通するものである。
(イ)給排水設備機器へ接続される可撓性の枝管16とこれら枝管と連通する可撓性の分岐主管14は,予め工場で給排水設備機器及び主管の配置位置に応じて加工し熱融着されている。また,枝管16及び分岐主管14の長さは,配管場所で必要とされる長さに予め調整されている。そのため,配管場所で分岐主管14及び枝管16を切断及び接合する必要がなく,配管施工が容易となる。
(ウ)枝管16の長さは,各分岐主管14と給排水設備機器の接合部分Jとを連結するために必要十分な長さとされ,各分岐主管14の長さは,水道本管20と各給排水設備機器間の最短の配管距離よりも余裕を持った長さであるとされているので,配管場所での取合誤差を調整することができる。
ウ以上を前提として甲第7号証の図1及び図2について検討すると,図1,2は平面図であるから,図示された分岐主管14の長さは水平面方向の長さであると理解されるところ,分岐主管14は,水道本管20と接続し,給排水設備機器の接合部分Jでの取合誤差を調整するための余裕を持った長さを有する可撓性の管であるから,床下面などに水平面方向で湾曲して配置されることにより配置場所での取合誤差が調整可能な配管として図示されている図1の符号14の付された配管がこれに当たるものと解釈するのが相当である。
他方,枝管16も可撓性の管であり,分岐主管14と給排水設備機器の接合部分Jとを連結するための長さを有するものではあるところ,湯沸器等の給排水設備機器は床下面より上方向の室内等に設置されるのが通例であるから,図10を参酌すると,上記のとおり図示された分岐主管14と枝管16との接合部と各給排水設備機器の接合部分Jとの位置関係は,平面図上は短く表わされるか又はほぼ垂直方向に配置されるものとして点として表わされるものと解されること及び「図2に示すように,枝管16を湯沸器22,浴室24等の接合部分Jへ接続する (段落【0 」025 )とされ,図1と図2とを対比すると,図1において配管の末端の符号1 】6の付された「○」印の箇所に,図2においては接合部分「J」の符号が付されていることからすれば,いずれも平面図である図1,2においては,本来,位置を示す点で表わされるべき枝管16は,その水平面方向の長さが単に「○」印で表示されているものと解釈するのが相当である。
以上によれば,甲第7号証の図1(A)の配管のうち,以下に示す青色配管部分が分岐主管14に当たるものと認められる。なお,図1(A)の左下端の符号18は下記のとおり符号16の誤記であり,また,符号の説明の「14枝管,16分岐主管」は「14分岐主管,16枝管」の誤記であると認められる。
図1(A)そして,図1及び図2を上記のとおり解釈することにより,甲第7号証の明細書の記載及び図面を整合性のあるものとして理解することができる。
エ以上のとおりであり,分岐主管14は,T字状の継手管18において分岐しているから,それ自体が分岐している主管であると認められる。
(2)これに対し,審決は 「図1(A)には ・・・ 給水ユニット配管10」 ,,「について,図上,右下の符号14が付された管部分( 分岐主管 ・・・)から始 「」まり,左方向に進んで4つ目の符号18が付された継手管( T字継手管 ,以下 「」同様 )を経由して同じく符号14が付された管部分が立ち上がり,さらに,その 。
次の符号18が付された継手管を経由して同じく符号14が付された管部分が左方向に延びて最左の符号18が付された継手管までに至る管を有し,当該管の各継手, , , 管から 末端に符号16が付された枝管 左下末端では符号18が付された枝管がそれぞれ分岐されてなる態様のものが示されている。ここにおいて,図2を参照すると,図1(A)で末端に符号16,18が付された枝管は,当該末端において何れも給排水設備機器の接合部分Jに接続されているから,これら枝管に付された符号「」「」 。, 14 が何れも符号 16 の誤りであることは明らかである 以上のことから上記枝管を除く符号14が付された管部分の集合体が,全体として,分岐主管(14)となっていて,当該分岐主管(14)からは枝管のみが分岐されて,当該分岐主管(14)がそれ自体は分岐されておらず,また,当該分岐主管(14)の各継手管からそれぞれ分岐された枝管(16)が何れも先端部分までの間で更に枝管を生じさせていないものであることは明らかである(審決書15頁1行〜16頁 。」6行)と認定し,別紙訂正図の赤色配管部分に付された符号14は符号16の誤りであって,別紙訂正図の青色配管部分が分岐主管14であり,赤色配管部分が枝管16であると認定したが,以下のとおり,これを採用することはできない。
すなわち,甲第7号証の前記(1)アの記載,特に段落【0016】及び【0025】の記載によれば,甲第7号証の給水ユニット配管10においては,各分岐主管14の長さは湯沸器22,浴室24,台所26等との接合部分Jでの取合誤差を許容するため,最短の配管距離よりも余裕を持った長さであるとされているところ,,(), , 審決の上記認定を前提とすると 図1 A において 分岐主管14は湯沸器22浴室24,台所26等の各給排水設備機器の接合部分Jと離れてしまい,接合部分Jでの取合誤差の調整は,分岐主管14ではなく,分岐主管14から継手管18を介して各給排水設備機器に接続される枝管16 別紙訂正図の赤色配管部分 によっ ( )て行われることになるものと解されるが,それでは,分岐主管14の長さに余裕を持たせることにより接合部分Jでの取合誤差を調整するとした明細書の記載と整合しないこととなるし,図1(A)の符号の不一致も多くなり,図面との整合性も欠くこととなる。
したがって,審決の上記認定を採用することはできない。
(3)さらに,上記(1)で認定判断した点に関する被告の主張について,以下,検討する。
ア被告は,本件訂正後発明における「枝管」は「一端が一つの特定の接続端末(給水設備機器の給水栓等)に接続され,他端が流路構成する管(主管)との分岐部に接続されている管」又は「特定の接続端末にのみに給水を行う流路を構成する管」と 「主管」は「枝管の流路以外の流路を構成する管」とそれぞれ定義するこ ,とができるところ,この枝管と主管の定義を甲第7号証に開示されている配管構成に適用すると,本件訂正後発明の「枝管」と対応する「一端が一つの特定の接続端末(給水設備機器の給水栓等)に接続され,他端が流路構成する管(主管)との分岐部に接続されている管」又は「特定の接続端末にのみに給水を行う流路を構成する管」は,別紙訂正図の赤色配管部分であり 「主管」と対応する配管は,残りの ,青色配管部分である,と主張する。
イ被告の上記主張の趣旨は,被告が,甲第7号証の「分岐主管14は,給水設備機器が配置されている個所までの床下面の配管として示され,枝管16は,分岐主管14の先端(床面)からL状継手管19を介して立上げ分の配管として示され」(),() ている と主張する 前記第4の1(2) ところから見て 甲第7号証の図1 Aの配管構成が,上記(1)ウ認定のとおりのものであることを前提とした上で,特許法29条の2の適用に当たっては 甲第7号証における配管の 分岐主管 及び 枝 , 「」「」, , 管 との名称に拘わらず 別紙訂正図の赤色配管部分の分岐主管14がそれのみで若しくは枝管16と一体となって本件訂正後発明の枝管と対応し,青色配管部分の分岐主管14が本件訂正後発明の主管と対応することを主張するものと解される。
しかしながら,特許法29条の2を適用するに当たり 「他の出願」の発明を認 ,定する場合には,当該「他の出願」に係る当初明細書及び図面の記載を基に,そこに記載された発明を認定するのであり,その際に参酌できるのは「他の出願」の出願時の技術常識である。
しかるところ,本件訂正後発明及び甲第7号証発明が属する建築物等の給排水設備機器のための配管に関する技術分野においては,本件出願当時も甲第7号証発明の出願当時も,当業者は「主管」及び「枝管」の用語で表される配管を区別して理解していたものと認められる(甲1,3,7,12)から,本件訂正後発明と甲第7号証発明との同一性を判断するに当たっても,それぞれの「主管」同士及び「枝管」同士を対応させた上で,発明の同一性を判断するのが相当である。
したがって,被告の上記主張は,甲第7号証発明の分岐主管14が本件訂正後発明の枝管と対応するとした点において既に失当であるというべきである。
ウまた,本件訂正後発明と甲第7号証発明とでは,以下に説示するとおり,そ「」「」 , れぞれの 主管 及び 枝管 が各配管ユニットにおいて果たす役割が異なるから本件訂正後発明から導かれる「主管」及び「枝管」の定義を甲第7号証発明に適用して甲第7号証発明を認定すること自体,特許法29条の2の規定の判断として相当性を欠くものというべきである。
(ア)すなわち,本件明細書には,以下の記載がある(甲18 。)(a)「 0003】【【発明が解決しようとする課題】従って,このため,配管敷設作業は現場での作業量が多く,建築物の施工サイクルタイムの内でも多大な時間が費やされている。そこで,現場外の場所で予め切断加工した管材を運搬してきて,接合組立作業のみを現場で行う場合もあるが,この場合には管材の構成数量が多くなるので,作業が煩雑になり,既に切断されている, 。, 管材を誤った位置に配設してしまうと 配置修正にはかえって時間がかかる また現場での接続箇所が多いことに起因して,漏れ等による配管不良発生率が高く,それだけ施工検査に手間をかけなければ,配管構造の信頼性を得ることが出来なかった。
【0004】本発明は,上記事情に鑑み,建築物の給排水設備等に配管施工する際に,現場での作業量を減らして,簡単迅速に信頼性の高い配管構造を敷設することが出来るよ, 。」 うにした 水用配管敷設方法及び水用可搬形配管ユニットを提供するものである(b)「 0005】【【課題を解決するための手段】即ち,本発明は,それ自体は分岐されることがなく,複数の分岐部(21)が設けられた直状の可撓性部材からなる主管(17)を有し,前記主管(17)に,施工現場の接続端末(12)位置に対応した長さこ〔判決注: 長さに」の誤記と認 「。〕 () ,() めるそれぞれ形成された可撓性部材からなる枝管 11 を 前記主管 17に枝管(11)を配置することのできる複数の分岐部(21)を介して,該分岐部() , 21 から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で該主管に水密に接続して設けた水用可搬形配管ユニット(2 )を,工場加工によ ’り予め組立形成しておき,前記工場で予め組立形成された状態の水用可搬形配管ユ, (’),, ニットを 枝管を撓めた状態で施工現場 1に搬入し 前記施工現場において前記主管の元側を構築物の本管(6)に水密に接続すると共に,前記枝管(11)の先端側を該枝管に対応した前記構築物の前記接続端末(12)に水密に接続する形で,前記水用可搬形配管ユニットを敷設するようにして構成される。
また,予め工場加工された形で施工現場に搬入される水用可搬形配管ユニットにおいて,それ自体は分岐されることがなく,複数の分岐部(21)が設けられた直状の可撓性部材からなる主管(17)を有し,前記主管に,前記施工現場の接続端末(12)位置に対応した長さにそれぞれ形成された可撓性部材からなる枝管(11)を,前記主管(17)に枝管(11)を配置することのできる複数の分岐部を介して,該分岐部(21)から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることなく分岐する形で,該主管(17)に水密に接続して設けて構成される ・・・ 。
【0006】【作用】上記した構成により,本発明は,配管ユニット(2 )は,枝管(11)が施工 ’現場の接続端末(12)位置に対応した長さに予め形成された形で施工現場に搬入,()() 。, され 直ちに本管 6 及び接続端末 12 へ接続されるように作用する また主管(17)と枝管(11)は相互に接続された状態で撓むように作用する 」。
(c)「 0008】【,,, 集合住宅の占有居室等の施工現場1には 図1に示すように 配管ユニット2が該施工現場1の図中右側に示す共有部分等に配置されたメーターボックス3等から接続された形で,敷設されており,配管ユニット2は図中左右方向に伸延する形の直状の主管10を有している。主管10の図中右端部分に示す主管元101にはソケット等による継手5が,メーターボックス3に固定接続された形の本管6と該主管10とを接続する形で,設けられており,また,主管10には,分岐部21が,図中左右方向に複数並ぶ形で,設けられている。分岐部21にはそれぞれ,図4に示すような可撓性を有する,例えばリブ付き管状の枝管11が,図3に示すような分岐ヘッダ7を介して接続されており,枝管11の先端部11aにはそれぞれ,施工現場1に施工される設備に給水給湯する為の給水栓12が接続されて設けられている。それぞれの給水栓12は,施工現場1に施工配設され得る例えば図中上部左右に示す形のユニットバス91,洗濯室92,図中下部左右に示すトイレ93,流し94,洗面台95等に配置される 」。
(d)「 0011】【施工現場1は以上のような構成を有するので,該施工現場1に配管ユニット2を敷設する際には,まず図2に示すように,枝管11を適宜撓めて主管10に沿わせた形で,配管ユニット2を箒状に束ねて施工現場1まで搬送してくる。すると,こうして箒状に束ねることにより配管ユニット2は資材置場,工場等やトラックの荷台等において場所をとることがないように小型化されて,該小型化された配管ユニット2を,トラックの荷台等に積載することにより一度に大量に搬送してくることが可能となる ・・・。
【0012】いま,施工現場1には水平スラブが打設構築されて未だ間仕切,ドア等が配設されていないとすると,こうして箒状に束ねた状態で施工現場1に搬送してきた配管ユニット2を,図1に示すように,主管元101側を継手5を介して本管6に接続する形で,施工現場1に配置する。そして,予め設計された施工現場1の配管計画, ,。, に基いてまず 主管10部分を水平スラブ等に支持させる形で 固定する すると主管10は図中左右方向に伸延する形で直状に形成されていることから,ユニット管2における主管10部分が正確に配置固定されることが出来る。こうして,主管10部分が施工現場1内に配置固定されたなら,予め分岐ヘッダ7を介して分岐する形で,主管10に接続されている枝管11を適宜撓めつつ,それぞれの先端部11aを拡げて,ユニットバス91,洗濯室92,トイレ93,流し94,洗面台95等に配置させる形で,それぞれの枝管11を位置決めする。すると,それぞれの枝管11は,可撓性を有していることから,配管ユニット2以外の施工現場1の設,, , 備部材に制限されることなく 即ち枝管11が これ等の部材を自在に避ける形でそれぞれの枝管11が的確な位置に配置固定されることが出来る ・・・。
こうして,それぞれの枝管11が位置決めされたなら,それぞれの先端部11aをそれぞれの給水栓12に接続する。この際,給水栓12の配設位置はそれぞれの施工現場1毎に若干ずれる場合があるが,枝管11は可撓性を有しているので,先端部11aの位置は容易に変更することが出来,従って,先端部11aと給水栓12が確実に接続されることが出来る。こうして先端部11aを給水栓12に接続することにより,配管ユニット2には,本管6内を介してメーターボックス3とそれぞれの給水栓12が連通する形で,忽ち流路15が形成されて,該流路15を介して,メーターボックス3からユニットバス91,洗濯室92,トイレ93,流し94,洗面台95等に湯水が供給され得る。
【0013】従って,施工現場1には極僅かの作業量で,即ち,工場等において接続加工された配管ユニット2を搬送してきて,位置決めし,主管元101を本管6側に,先端部11aをそれぞれの給水栓12に接続するだけで,迅速且つ確実に配管敷設することが出来る。
なお,こうして施工現場1に配管敷設するに際し,配管位置を設計位置から大きく変更修正する必要が生じた場合には,主管10又は枝管11を切断する場合もある。この際,主管10は単に直状に形成されていることから,切断すべき寸法出しが容易に出来,また,枝管11は可撓性部材であることから,撓めることにより容易に配置修正を施して切断誤差を許容することが出来るので,施工現場1における実際の配管敷設位置を設計位置から大きくずらすことも可能である ・・・」 。
(e)「 0017】【【発明の効果】・・・施工現場において接続端末の位置に合わせて切断,接合等の加工をする必, , 要なく 単に予め工場加工された可搬形配管ユニットを施工現場まで搬送してきて位置決めし,主管の元側を本管と,また枝管の先端側をそれぞれの接続端末に水密に接続するだけの極僅かの作業量で,迅速且つ確実に本管と接続端末を内通させて配管敷設を完了することが出来る。この際,可搬形配管ユニットは,主管及び枝管が可撓性部材であることから配管敷設位置の修正及び設計変更に容易に追従することが出来ると共に,可搬形配管ユニットが一体に工場生産されていることから分岐部を介して漏れが発生する恐れがなく,従って,施工効率が良いだけではなく,信頼性の高い配管構造を得ることが出来る。即ち本発明によれば,現場における作業量を大幅に削減して簡単且つ迅速に,信頼性の高い配管構造を敷設することが出来る ・・・。
・・・枝管11及び主管は共に撓むことが出来る。従って,可搬形配管ユニットを工場から施工現場まで搬送する際には枝管及び主管を撓めた状態にすることにより可搬形配管ユニットを小型化して搬送してきて,施工箇所においてこれを自在に展開する形で,効率的且つ迅速な配管敷設が出来る ・・・」。
(イ)上記記載によれば,本件訂正後発明について,次のことが認められる。
(a)本件訂正後発明の主管は 「それ自体は分岐されることがなく,複数の分 ,岐部が設けられた直状の可撓性部材からなる」ものであり,枝管は 「施工現場の ,接続端末位置に対応した長さにそれぞれ形成された可撓性部材からなるものであり,分岐部から該枝管先端部までの間で更に枝管を生じさせることがないもの」である。
(b)本件訂正後発明の水用可搬配管ユニットは,上記の主管及び枝管を工場加工により予め組立形成しておき,枝管を撓めた状態で施工現場に搬入し,施工現場において,主管の元側を構築物の水道本管に水密に接続すると共に,枝管の先端側を該枝管に対応した構築物の接続端末に水密に接続する形となるように構成されたものである。そして,この構成を採用したことにより,本件訂正後発明の配管ユニットは,枝管が施工現場の接続端末位置に対応した長さに予め形成された形で施工現場に搬入され,直ちに本管及び接続端末へ接続することができる。
(c)本件訂正後発明の配管ユニットは,施工現場において,直状の主管を配置固定した後,主管に接続された枝管が可撓性を有するため,これを適宜撓めつつ,施工現場の設備部材を自在に避ける形で接続端末に配置させ,接続することができる。また,施工現場で配管位置を設計位置から大きく変更修正する必要が生じた場合にも,主管は直状に形成されているため,切断すべき寸法出しが容易であり,また,枝管は可撓性であるから,撓めることにより容易に配置を修正し,切断誤差を許容することができる。
(ウ)以上のとおり,本件訂正後発明の主管は,直状の可撓性部材からなるものであり,その主管に設けられた複数の分岐部に施工現場の接続端末位置に対応した長さを有する可撓性部材からなる枝管が接続されていること,施工現場において直状の主管を直状のままに配置固定した場合に,枝管は可撓性であり,それ自体分岐することがないため,これを適宜撓めつつ,障害物を避けるなどして接続端末に配置し,接続することができること,施工現場での配管位置が変更されるときも,枝管の可撓性を利用して,容易に配置を修正することができる等の事項が認められ,これに照らすならば,本件訂正後発明においては,枝管が,直状の主管と給排水設備機器の接合部分とを連結する際の長さの調整を行うものであると認められる。
, ,,, これに対し 甲第7号証発明においては 前記(1)のとおり 平面図である図12に図示のとおり,分岐主管14が湾曲して配置され給排水設備機器の接合部分Jと連結する際の長さの調整を行うものであるが,枝管16は,分岐主管と同様に可撓管ではあるものの,甲第7号証には給排水設備機器の接合部分Jと連結する際の長さを調整する部材であるとの記載も示唆もなく,図1の枝管16が○で示されているように,その長さは余裕を持ったものでなくてもよいものである。
(エ)以上によれば,本件訂正後発明の枝管は,配管ユニットの配置構成において,給排水設備機器と連結する際の長さを調整する部材であるのに対し,甲第7号, ,, 証発明においては その役割を果たすのが分岐主管14であり 枝管ではないから本件訂正後発明と甲第7号証発明とでは 「主管」及び「枝管」が配管ユニットに ,おいて果たす役割につき,技術的思想が異なるものと認められる。
したがって,本件訂正後発明から導かれる「主管」及び「枝管」の定義を甲第7号証発明に適用して甲第7号証発明を認定すべきであるとする被告主張は,採用することができない。
エさらに,被告は,図1(A)において,T字継手18に代えてY字継手52を適用した場合には,図7の符号が正しいとすると,図1の符号が誤りということになると主張する。
しかしながら 甲第7号証の段落 0023 及び 0024 には 前記1(1) ,【】【】,ア(オ)のとおりの記載があるところ,そこには,T字継手18に代えてY字継手52を適用することができることが一般的に記載されているだけで,具体的に,図1の特定のT字継手18をY字継手52に代えることについては記載も示唆もされていないこと,特許請求の範囲において,Y字継手を用いるものは請求項2に分けて記載されていることからすれば,T字継手18を用いた図面である図1とY字継手52を用いた図面である図7は,異なる実施例についての図面であると解釈するのが相当である。
したがって,図1と図7とを関連づけて解釈することを前提とする被告の上記主張は採用することができない。
(4)以上に検討したところによれば,甲第7号証発明の分岐主管14は,T字継手管18においてそれ自体が分岐しているから,審決が,本件訂正後発明と甲第7号証発明との対比において,両者は「それ自体は分岐されることがない主管」を有する点で一致すると認定したことは,誤りであり,取消事由1は理由がある。
2以上の次第であるから,その余の審決取消事由について検討するまでもなく審決は違法であり,本件請求は理由がある。
第6結論よって,本件請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 田中信義
裁判官 杜下弘記
裁判官 榎戸道也
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