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関連審決 不服2006-1579
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10213審決取消請求事件 判例 特許
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平成20行ケ10171審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10096審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10180審決取消請求事件 判例 特許
関連ワード 確実性 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  引用発明の認定 /  一致点の認定 /  周知技術 /  先行技術 /  発明の詳細な説明 /  優先権 /  国内優先権 /  共有 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  減縮 /  変更 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10175号 審決取消請求事件
原告 古河電気工業株式会社
訴訟代理人弁理士 松下亮
同 永野浩司
同 西山善章
被告 特許庁長官
指定代理人柳下勝幸
同 竹井文雄
同 岩崎伸二
同 小林和男
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/02/18
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2006-1579号事件について平成20年3月31日にした審決を取り消す。
争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯原告は,平成15年5月27日,発明の名称を「複合アンテナ装置」とする発明(後記のとおり,平成18年2月21日付け手続補正書による補正は,発明の名称を「車両用複合アンテナ装置」と変更するものである )につき特許。
出願をした(国内優先権主張 優先権主張日:平成14年5月27日。特願2003-148470号。以下「本願」という。出願当初の請求項の数は5であった。甲1 。)原告は,平成17年12月1日付け手続補正書(甲2)により明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載を補正をした(以下,平成17年12月1日付け手続補正書による補正後の明細書を図面とともに「本願明細書」という 。。),,,, 原告は 平成17年12月20日 拒絶査定を受け 平成18年1月26日これに対する不服の審判請求をした(不服2006-1579号 。)さらに,原告は,平成18年2月21日付け手続補正書(甲3)により明細書の全文を変更する補正をした(以下「本件補正」という。本件補正は,発明の名称を「車両用複合アンテナ装置」と変更し,請求項の数を3とするものである。以下,本件補正後の明細書を図面(図面は甲1に掲載されている )と。
ともに「補正後明細書」という 。。)特許庁は,平成20年3月31日,本件補正を却下した上で「本件審判の,請求は,成り立たない 」との審決(以下「審決」という )をした。 。。
2 特許請求の範囲本願明細書の請求項1の記載,補正後明細書の請求項1の記載は,以下のとおりである。
( ) 本願明細書の請求項1の記載 1複数のアンテナを備えた複合アンテナ装置において,前記複数のアンテナは一枚の地板上に設けられ,前記複数のアンテナの中で他のアンテナとは類型が異なる特定のアンテナと前記他のアンテナの少なくともどちらか一方をサブアッセンブリー構造としたことを特徴とする複合アンテナ装置 以下 本(「願発明」という 。。)( ) 補正後明細書の請求項1の記載 2ETC用アンテナと他のアンテナを含む複数のアンテナを備えた車両用複合アンテナ装置において,前記複数のアンテナは一枚の地板上に設けられ,前記ETC用アンテナは,他のアンテナとは別のサブアッセンブリー構造とし,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようになっていることを特徴とする車両用複合アンテナ装置(以下「補正後発明」という。下線部は,本件補正による実質的な補正箇所である 。。)3 審決の理由( ) 別紙審決書写しのとおりであり,その要旨は,以下のとおりである。 1本件補正は,特許請求の範囲減縮するものであるから,特許法(以下,条文は特許法の条文を示す )17条の2第3項及び4項2号の目的に適合 。
しているが,補正後発明は,特開平10-290110号公報(甲4。以下「引用例」という )記載の発明及び特開2000-77923号公報(甲 。
5。以下「甲5」という ,特開2000-307341号公報(甲6。以 。)下「甲6」という ,特開2000-183643号公報(甲7。以下「甲 。)7」という )に記載された周知技術に基づいて容易に発明できたものであ 。
るから,29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができず,本件補正は,17条の2第5項の規定により準用する126条5項の規定に適合せず,159条1項において準用する53条1項の規定により却下すべきものである。本願発明は,補正後発明から本件補正による限定を省いたものであり,補正後発明が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により容易に発明できたものであり,本願発明は29条2項の規定により特許を受けることができない。
( ) 審決が,補正後発明が進歩性を欠くとの判断を導く過程においてした引 2用例記載の発明(以下「引用発明」という,引用発明と補正後発明の一致 。)点,相違点の各認定,相違点に関する容易想到性の判断は,以下のとおりである。
ア 引用発明の内容ETCアンテナとGPSアンテナとVICSアンテナを備えた車両に搭載されるディスプレイアンテナセンターにおいて,前記ETCアンテナとGPSアンテナとVICSアンテナは平面部に設けられ,前記ETCアンテナは,GPSアンテナとVICSアンテナとは別の組み立てられた部品としたディスプレイアンテナセンター(審決4頁)イ 引用発明と補正後発明の一致点,相違点(一致点)「ETC用アンテナと他のアンテナを含む複数のアンテナを備えた車両用複合アンテナ装置において,前記複数のアンテナは所定の位置に設けられ,前記ETC用アンテナは,他のアンテナとは別のサブアッセンブリー構造とした車両用複合アンテナ装置」(相違点1)「所定の位置」に関し,補正後発明では「一枚の地板上」であるのに対し,引用発明では「平面部」である点。
(相違点2)「ETC用アンテナ」に関し,補正後発明では「ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようになっている」のに対し,引用発明ではその点が特定されていない点 (審決5頁) 。
ウ 相違点に関する容易想到性の判断相違点1について検討するに,例えば甲5(特開2000-77923号公報,図2の金属ベース3 ,甲6(特開2000-307341号公 )報,図1の接地板1 ,甲7(特開2000-183643号公報,図6 )のベース金具10)にも記載されているように,複数のアンテナを一枚の地板上に設けることは,周知技術であり,該周知技術を引用発明に適用する上で何ら阻害要因は見当たらないから,引用発明において 「平面部」 ,「」, 。 を 一枚の地板上 とすることは当業者が容易に想到し得るものである相違点2について検討するに,引用例の【0032 (3頁4欄43な 】いし48行)には,ETCアンテナの角度を設定するという課題が開示されており,また一般に,アンテナの角度の設定を行う際に該角度の調整を行うことは,例を挙げるまでもなく当業者が普通に行うことであるから,引用発明において,上記課題を解決するために,ETCアンテナの「取り付け方向の調整が行えるようになっている」とすることは,当業者が適宜なし得ることである。そして,引用発明のETCアンテナは,他のアンテナとは別のサブアッセンブリーとされているのであるから,ETC用アンテナだけ独立して角度調整を行えるようになることは,自明である。
以上のとおり,補正後発明は引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである (審決5ないし6頁) 。
取消事由に係る原告の主張
1 引用発明の認定の誤り(取消事由1)審決が,引用発明について,ETC用アンテナを「組み立てられた部品」とした認定は,以下の理由により,誤りである。
すなわち,審決は 「組み立てられた部品」という語を,補正後明細書にサ ,ブアッセンブリーの定義として記載された「アンテナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のもの ( 0013 )に該当するものとして用いている 」【 】,「」, 「」 から 組み立てられた部品 に該当するか否かは サブアッセンブリー構造に該当するか否かという観点から考慮されるべきである。そして,後記2( )2のとおり 「サブアッセンブリー構造」に該当するというためには,複数のア ,ンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置されていることを要するところ,引用発明において,ETCアンテナは,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置されているものではないから 「サブアッセンブリー構造」に該 ,当せず 「組み立てられた部品」にも該当しない。 ,引用発明においては,平面部28にETCアンテナ受け部材32が取り付けられ固定されており,そこにETCアンテナ35が取り付けられるようになっているが(引用例【0022 【0024,ETCアンテナ受け部材32 】,】 )はETCアンテナ固有の地板(回路基板)ではなく,平面部28に組み込まれた部品又は平面部28と一体をなすものというべきである。そうすると,ET「」 Cアンテナ受け部材32とETCアンテナ35をもって 組み立てられた部品ということはできない。
したがって,審決が,引用発明においてETCアンテナ35がETCアンテナ受け部材32と組み立てられた部品であることから ETC用アンテナを 組 ,「み立てられた部品」とした認定は誤りである。
2 一致点の認定の誤り(取消事由2)審決がした補正後発明と引用発明の一致点の認定には,以下のとおり誤りがある。
( ) 「複合アンテナ装置」との点について 1審決が,補正後発明と引用発明は 「複合アンテナ装置」である点で一致 ,するとした認定は,以下の理由により,誤りである。
すなわち,複数のアンテナを一枚の地板上(回路基板上)に配置すると,アンテナは電波を発受信するから,アンテナ同士が電磁的な結合により互いに影響し合い,個々のアンテナ特性を所望のとおりに調整することが困難になり,このことは補正後明細書の【0005】に説明されている。さらに,補正後発明のようにGPSアンテナ,ETCアンテナ,VICSアンテナ等を搭載する車載アンテナにおいては,地板はいわゆる「グランド」としての,, 機能と電波を反射する反射板としての機能を有しているから その点からも一枚の地板を複数のアンテナにより共有すると,アンテナ相互間に影響が及ぶ。そして,補正後明細書の【0004】に先行技術文献として紹介された特開2001-267843号公報(甲8。以下「甲8」という )におい 。
ては,異なる周波数帯を用いた2種以上のアンテナが同一基板上(甲8にお「」) 「 」 ける 回路基板5 の上面 に実装されたものを 複合アンテナモジュール(複合アンテナ装置)と称している(甲8の請求項1,要約欄,第1図,第3図 。補正後発明は,特に指向性の強いETC用アンテナを含む複数のア )ンテナを一枚の地板上に配置する場合の車両用複合アンテナ装置における問題点の解決を課題としているものであり,ETC用アンテナのような指向性の強いアンテナの設置が問題とならないテレビ,ラジオ等の一般的な複合アンテナ(実願平5-42481号(実開平7-11017号)のCD-RO(。「」 。 ),(。 M 乙1 以下 乙1 という 特開昭56-122204号公報 乙2以下「乙2」という )記載のもの)とは異なる。そのため,補正後発明に 。
おいては,一枚の地板上に複数のアンテナを設けるとアンテナ相互間に影響が及ぶことを前提として,一枚の地板上に複数のアンテナを配置したものを「複合アンテナ装置」と称している。
これに対し,引用発明のディスプレイアンテナセンターは,複数のアンテナが車両前部のウィンドシールド下部の平面部28に,所定の間隔をおいて配置されたものであるが(引用例の【0021】ないし【0024 【00】,28 ,図1ないし3 ,複数のアンテナが一枚の地板上に配置されているも 】)のではなく,引用例は,アンテナ相互間の電磁的な結合及び干渉の問題に言及していない。そのため,引用例のディスプレイアンテナセンターは,一枚の地板上に複数のアンテナを配置したものではないから,補正後発明の「複合アンテナ装置」に当たらない。
したがって,審決が,補正後発明と引用発明は 「複合アンテナ装置」で ,ある点で一致するとした認定は誤りである。
( ) ETC用アンテナは「サブアッセンブリー構造」であるとの点について 2審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造」である点で一致するとした認定は,以下の理由により,誤りである。
すなわち,補正後明細書の【0013】には,補正後発明のサブアッセンブリーは「アンテナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のもの」と定義されており 【0019】には「16BはETC用アンテナ14を実装 ,,した第二のサブアッセンブリー」との説明が記載され,図1には,ETC用アンテナ14のサブアッセンブリーが第二のサブアッセンブリー16Bとして図示されている。これらの記載によれば,補正後発明において,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造」であるとは 「アンテナ素子(ET ,C用アンテナ14)を実装している」ことを意味している。そして,補正後明細書の【0008】に「回路基板上に自動機で電子部品を実装し,その後手作業でアンテナ素子を回路基板に実装する と記載されているように 実 」, 「装」という語は,通常 「回路基板に取り付けること」を意味するから,上 ,記の「アンテナ素子(ETC用アンテナ14)を実装している」とは 「ア,()()」 ンテナ素子 ETC用アンテナ14 を地板 回路基板 に取り付けていることを意味する。
補正後明細書の図1において 「ETC用アンテナ14を実装した第二の ,サブアッセンブリー」16Bは,ETC用アンテナ14より一回り大きい回路基板状の部品を指示しており,その上にETC用アンテナ14が載置されているように描かれているから,補正後発明のETC用アンテナ14がETC用アンテナ固有の地板(回路基板)に取り付けられていることは明らかである。補正後発明は,ETC用アンテナを「サブアッセンブリー構造」とすることにより,すなわち,ETC用アンテナが,複数のアンテナを配置する一枚の地板(回路基板,補正後明細書の図1中の24)とは別のETC用アンテナ固有の地板(回路基板)を備える構造とすることにより,一枚の地板(回路基板)上に配置される他のアンテナとの電磁的結合を弱めることができ 「アンテナ特性の相互調整」を可能としている 「サブアッセンブリー構 ,。
造」の意味については,補正後明細書(図面も含む )の記載全体から実質 。
的に考えて,補正後発明の課題を解決するためのものに限定して解釈されるべきである。そうすると,補正後発明において,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造 であるとは 複数のアンテナを設置した一枚の地板 回 」, ()() 。 路基板 とは別の固有の地板 回路基板 に設置されていることを意味するこれに対して,引用発明における,ETCアンテナ35は,ETCアンテナ35にネジ穴部36a,36bを設けておき,これをETCアンテナ受け部材32のネジ穴部33a,33bに一致させてネジ止めしたにすぎないものであり,ETCアンテナ固有の地板(回路基板)に設置されたものではない。
したがって,審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造」である点で一致するとした認定は誤りである。
( ) ETC用アンテナは「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造 3との点について審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造である点で一致するとした認定は,以下の理由により,誤りである。
すなわち,補正後発明において,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造であるとは,ETC用アンテナがサブアッセンブリー構造であることを前提として,ETC用アンテナについて,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)に対して独立して取り付け方向の調整を行えるようにしたことを意味する。
これに対して,引用発明のETCアンテナ35は,前記( )のとおり,E 2TCアンテナ35にネジ穴部36a,36bを設けておき,これをETCアンテナ受け部材32のネジ穴部33a,33bに一致させてネジ止めしたにすぎないものであり,サブアッセンブリー構造でない上,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)に対して独立して取り付け方向の調整を行えるようにしたものでもない。
したがって,審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造である点で一致するとした認定は誤りである。
3 相違点1に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由3)審決が相違点1に関して,複数のアンテナを一枚の地板上に設けることは,周知技術であり,該周知技術を引用発明に適用する上で何ら阻害要因は見当た,, 「」「 」 , らないから 引用発明において 平面部 を 一枚の地板上 とすることは当業者が容易に想到し得るものであるとした判断は,以下の理由により,誤りである。
すなわち,補正後発明は,一枚の地板上に複数のアンテナを配置した複合アンテナ装置であるのに対し,引用発明は,同一プレート上に複数のアンテナを配置したにとどまり,同一地板上に複数のアンテナを配置したものではない。
そして,一枚の地板上に複数のアンテナを配置すると,近接していることにより互いの特性に影響が生じるから,特に指向性が強い車載用ETCアンテナと他のアンテナを一枚の地板上に配置して各アンテナに要求される所定の条件を満足させるのは,当業者にとって非常に困難であった。しかるに,補正後発明は,ETCアンテナを,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置し,サブアッセンブリー構造とすることにより,ETCアンテナの指向特性を満足するようにした。そのため,引用発明に周知技術を適用して,引用発明における複数のアンテナが設置された「平面部」を「一枚の地板」に置き換えることについては,各アンテナ相互間の特性の調整が困難であるという阻害要因が存在する。
したがって,相違点1に関して,引用発明における「平面部」を「一枚の地板上」とすることに阻害要因はないとした審決の判断は誤りである。
4 相違点2に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由4)審決が相違点2に関して,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得るものであるとした判断は,以下の理由により,誤りである。
,(。「」。 ), すなわち 特開2001-236533号公報 乙3 以下 乙3 という特開2001-109919号公報(乙4。以下「乙4」という )に示され。
ているように,単体のアンテナの角度を調節することは,周知の技術である。
しかし,複数のアンテナが一枚の地板上に設けられている場合,アンテナは相互に電磁的な結合の影響を受け,ETC用アンテナの角度を変えると,他のアンテナの特性に影響する。そのため,複数のアンテナが一枚の地板上に設けられている場合には,ETC用アンテナの取り付け方向の調整を行うことについて,アンテナ相互に電磁的な影響のあることが阻害要因となっていた。しかる,, , に 補正後発明は 複数のアンテナが一枚の地板上に設けられている場合でもETC用アンテナをサブアッセンブリー構造とすることにより,電磁的結合によるアンテナ相互間の影響を抑制し,ETC用アンテナの取り付け方向の調整が行えるようにしたものである。甲9のシュミレーションによると,ETC用アンテナを含む複数のアンテナを一枚の地板上に配置した複合アンテナにおいては,ETC用アンテナが固有の地板(回路基板)を有するアッセンブリー構,。 造としなければ 所望の特性調整をすることは困難であることが示されている引用例,甲5,甲6,甲7のいずれにも,複数のアンテナが一枚の地板上に設けられ,アンテナが相互に電磁的な結合の影響を受けている場合において,ETC用アンテナの取り付け方向の調整を行うという課題は開示されていない。引用例には 「VICSアンテナ37及びETCアンテナ35は水平状態 ,に対して所定の角度θ をなして配置した方がよい ( 0032 )と記載さ2 。」【 】れているから,引用例は,ETCアンテナ35のみを,他のアンテナと別に調整可能にする技術を開示したものではない。
したがって,審決が相違点2に関して,TEC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得るものであるとした判断は,誤りである。
被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 引用発明の認定の誤り(取消事由1)に対し審決が,引用発明について,ETCアンテナを「組み立てられた部品」とした認定に誤りはなく,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。
すなわち,引用例の【0022 【0024】の記載によれば,引用発明に 】,おいて,ETCアンテナ受け部材32にはETCアンテナ35が取り付けられているから ETCアンテナ受け部材32はETCアンテナ35とともに 組 ,,「」, 。 み立てられた部品 と捉えられそれが平面部28に設けられているといえるそして,引用例には,ETCアンテナ受け部材32が平面部28と一体をなすものであることについては記載も示唆もない。
2 一致点の認定の誤り(取消事由2)に対し審決がした補正後発明と引用発明の一致点の認定には,誤りはない。
( ) 「複合アンテナ装置」との点について 1審決が,補正後発明と引用発明は 「複合アンテナ装置」である点で一致 ,するとした認定に誤りはなく,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。
すなわち,補正後明細書の【0004】に先行技術文献として引用されている甲8,公知文献である乙1,2に記載されているように「複合アンテ,ナ装置」という語は,複数のアンテナが一枚の地板上に配置されていない場合にも用いられるから 「複合アンテナ装置」は,一枚の地板上に複数のア ,ンテナを配置したものに限定されない。引用発明は,複数のアンテナをまとめた装置であるから 「複合アンテナ装置」に該当する。 ,( ) ETC用アンテナは「サブアッセンブリー構造」であるとの点について 2審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造」である点で一致するとした認定に誤りはなく,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。
すなわち,補正後明細書の図1からは,サブアッセンブリー16Bについて,ETC用アンテナ14が板状体に載置されている構造は窺われるが,その板状体がETC用アンテナ固有の地板(回路基板)であるとする根拠はないから,補正後発明において,ETC用アンテナが固有の地板を備えるとの原告の主張は,補正後明細書に基づくものではない。
引用発明と補正後発明を対比すると,ETCアンテナ35は「アンテナ素子」に,ETCアンテナ受け部材32は「その他の部品の一部」に該当するから,引用発明のETCアンテナ35とETCアンテナ受け部材32は,アンテナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のものであり 「組み立 ,てられた部品」に該当し,補正後発明の「サブアッセンブリー構造」に該当する。
( ) ETC用アンテナは「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造 3との点について審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造である点で一致するとした認定に誤りはなく,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。
すなわち,引用発明のETCアンテナ35は,ETCアンテナ受け部材32とともに「組み立てられた部品」に該当し 「サブアッセンブリー構造」 ,を採り,VICSアンテナやGPSアンテナなど他のアンテナとは別に設けられているから,引用発明において,ETC用アンテナは「他のアンテナ,とは別の」サブアッセンブリー構造である。
3 相違点1に関する容易想到性の判断(取消事由3)に対し,, , 審決が 相違点1に関して 複数のアンテナを一枚の地板上に設けることは周知技術であり,該周知技術を引用発明に適用する上で何ら阻害要因は見当た,, 「」「 」 , らないから 引用発明において 平面部 を 一枚の地板上 とすることは,, 当業者が容易に想到し得るものであるとした判断に誤りはなく 原告の主張は以下のとおり,理由がない。
すなわち,アンテナ相互間の特性の調整を容易にすることは,補正後発明の課題であり,補正後発明は,ETC用アンテナの指向性の調整のために,ETC用アンテナを実装するサブアッセンブリー16Bを他のアンテナを実装するサブアッセンブリー16Aと分離することにより,ETC用アンテナ14だけ独立して取り付け方向を調整することを可能としたものである(補正後明細書【0021 。しかし,引用発明は,ETCアンテナを他のアンテナとは別の 】)部品とし,各アンテナ相互間の特性の調整を容易にするという課題を基本的に解決していたものであるから,各アンテナ相互間の特性の調整が困難であるということは,複数のアンテナを一枚の地板上に設けるという周知技術を引用発明に適用する上で阻害要因とはならない。
4 相違点2に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由4)に対し審決が相違点2に関して,TEC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得るものであるとした判断に誤りはなく,原告の主張は,以下のとおり,理由がない。
すなわち,ETC用アンテナの角度の調整を行うことは,乙3,乙4に示されているように当業者にとって周知技術である。そして,ETC用アンテナと他のアンテナを一枚の地板上に配置することは周知技術であり,引用発明は,複数のアンテナ相互に電磁的な影響が生じ得ることを前提として,ETCアンテナを他のアンテナとは別のサブアッセンブリー構造とするものである。そうすると,アンテナ相互に電磁的な影響のあることは,引用発明の課題として解決が試みられていたから,TEC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることについて阻害要因とはならない。引用例に「VICSアンテナ37及びETCアンテナ35は水平状態に対して所定の角度θ をな2して配置した方がよい ( 0032 )と記載されているのは,ETC用ア 。」【 】ンテナの角度を独立して調整できることを前提として,その角度をθ に調整2することを意味すると解すべきである。
当裁判所の判断
1 引用発明の認定の誤り(取消事由1)について審決が,引用発明について,ETCアンテナを「組み立てられた部品」と認定したことに誤りはない。その理由は,以下のとおりである。
( ) 引用例の記載等 1ア 「ETCアンテナ35」と「ETCアンテナ受け部材32」に関して,引用例には,以下の記載がある。
「 0021】図2にカバーの詳細な構成図を示す。パネル23の前面部 【24には開口部27が設けられており,この開口部27内の平面部28には溝部29が設けられ,この溝部29にGPSアンテナ17が水平状態で取り付けられるようになっている。このGPSアンテナ17は図3(c)に示すように四角形状をなし受信アンテナ41を有する。
【0022】また,平面部28にはこの平面部28に対して所定の角度をなしてVICSアンテナ受け部材30及びETCアンテナ受け部材32が。, 取り付けられている VICSアンテナ受け部材30にはネジ穴部31a31bが設けられ,ETCアンテナ受け部材32にはネジ穴部33a,33bが設けられている。
【0023】VICSアンテナ受け部材30には図3(b)に示すVICSアンテナ37が取り付けられるようになっている。VICSアンテナ37はビーコンから位置情報や渋滞情報等を受信するもので,ネジ穴部31a,31bに対応するネジ穴部38a,38b,発光部39,受光部40を有して構成される。
【0024】ETCアンテナ受け部材3〔判決注 「32」の誤記と認められる 〕には図3(a)に示すETCアンテナ35が取り付けられるよ 。
うになっている。ETCアンテナ35は入口料金所及び出口料金所から入口料金所情報及び出口料金所情報を受信するもので,ネジ穴部33a,33bに対応するネジ穴部36a,36b,受信アンテナ36cを有する。
【0025】図4に各種のアンテナを開口部内に実装した図を示す。図4に示すように,開口部27内にGPSアンテナ17,VICSアンテナ37及びETCアンテナ35等の各種のアンテナが実装されており,この各種のアンテナは図1に示すミラー15とパネル23の前面部24との間に配置される 」。
イ 前記アの引用例の記載によれば,平面部28にETCアンテナ受け部材32が取り付けられており( 0022 ,ETCアンテナ受け部材32 【】 )にはETCアンテナ35が取り付けられるようになっているから( 00【24 ,平面部28と,ETCアンテナ受け部材32と,ETCアンテナ 】)35は,元はそれぞれ独立したものであることが認められる。そして,ETCアンテナ受け部材32にはETCアンテナ35が取り付けられ,その取付手段としては,ETCアンテナ受け部材32のネジ穴部33a,33bとそれに対応するETCアンテナ35のネジ穴部36a,36bを利用してネジ止めするものであるから( 0022 【0024 ,ETCア 【】 ,】 )ンテナ受け部材32にETCアンテナ35が取り付けられた状態において,ETCアンテナ受け部材32とETCアンテナ35は固着され 「組,み立てられた部品」ということができる。そして,ETCアンテナ35とETCアンテナ受け部材32を「組み立てられた部品」と解するとき,ETCアンテナ35がETCアンテナ受け部材32に取り付けられ,さらにそのETCアンテナ受け部材32が平面部28に取り付けられた状態は,平面部28に 「組み立てられた部品」が取り付けられていると解するこ ,とができる。
( ) 原告の主張に対し 2ア 原告は 「組み立てられた部品」に該当するか否かは 「サブアッセンブ ,,リー構造」に該当するか否かという観点から考慮されるべきであり 「サ,ブアッセンブリー構造」に該当するというためには,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置されていることを要するところ,引用発明において,ETCアンテナは,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回), 「」 路基板 に設置されているものではないから サブアッセンブリー構造に該当せず 「組み立てられた部品」にも該当しないと主張する。 ,しかし,原告の上記主張は,以下のとおり理由がない。
すなわち,後記2( )ア(イ)のとおり,補正後発明の「サブアッセンブ 2リー構造」に該当するために,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置されていることを要するとは認められないから,引用発明のETCアンテナが固有の地板(回路基),, 「」 板 に設置されていなくても そのことをもって 組み立てられた部品に該当しないとすることはできない。なお,原告は,補正後発明における「地板」が「回路基板」であることを前提として上記主張をするが,一般には 「地板」は,接地された金属板との意味であって,補正後明細書に ,アンテナ素子を回路基板に実装することが記載されているとしても(補正後明細書【0008 【0010 ,補正後発明における「地板」は, 】,】 )回路基板に限定されるものではないと認められる。
イ また,原告は,引用発明におけるETCアンテナ受け部材32は,ETCアンテナ固有の地板(回路基板)ではなく,平面部28に組み込まれた部品又は平面部28と一体をなすものというべきであるとした上で,ETCアンテナ受け部材32とETCアンテナ35をもって「組み立てられた部品」ということはできないと主張する。
しかし,原告の上記主張も,以下のとおり理由がない。
すなわち,引用例には,ETCアンテナ受け部材32が平面部28と一体をなすとの記載はないのみならず 「平面部28とETCアンテナ受け ,部材32の取り付け手段」の「ETCアンテナ受け部材32とETCアンテナ35の取り付け手段」に対する優位性が示されているわけではない。
そうすると,ETCアンテナ受け部材32を,平面部28に「組み込まれた部品」と解する余地があったとしても,そのことが,ETCアンテナ受け部材32とETCアンテナ35をもって「組み立てられた部品」とする余地を否定する根拠にはならないというべきである。以上のとおり,引用例において,ETCアンテナ受け部材32とETCアンテナ35が「組み立てられた部品」であると解することを否定することはできない。
( ) 審決の認定の当否 3以上のとおり,引用発明においては,ETCアンテナ受け部材32とETCアンテナ35が「組み立てられた部品」として平面部28に取り付けられていると解することができる。したがって,審決が,引用発明について,ETCアンテナを「組み立てられた部品」と認定したことに誤りはない。
2 一致点の認定の誤り(取消事由2)について審決がした補正後発明と引用発明の一致点の認定に誤りはない。
( ) 「複合アンテナ装置」との点について 1審決が,補正後発明と引用発明は「複合アンテナ」である点で一致するとした認定には,以下のとおり,誤りはない。
ア 補正後発明における「複合アンテナ装置」の意味(ア) 補正後明細書の特許請求の範囲の請求項1 補正後発明 には E (), 「TC用アンテナと他のアンテナを含む複数のアンテナを備えた車両用複合アンテナ装置において,前記複数のアンテナは一枚の地板上に設けられ ・・・車両用複合アンテナ装置」と記載されている。上記の「複数 ,のアンテナは一枚の地板上に設けられ」との記載部分は 「複数のアン ,テナ」の具体的構成に限定を加えるものであるが,そのような限定があるからといって「複合アンテナ装置」が,一般の意義から離れて理解されるものではない。
補正後明細書の発明の詳細な説明には 「複合アンテナ装置」の技術 ,的意味について 「本発明は,複数のアンテナを備えた車両用複合アン ,テナ装置に関するものである ( 0001 「最近,これらのアン 。」【 】),テナを一つのケースにまとめて収容した複合アンテナ装置が提案されている(例えば特許文献1参照 ( 0002 )と記載され 「複合ア )。」【 】 ,ンテナ装置」が一枚の地板上に複数のアンテナを配置したものである旨。, , の記載はない そうすると 発明の詳細な説明の上記記載を参照すると「複合アンテナ装置」とは,複数のアンテナを備えた装置又は複数のアンテナを一つのケースにまとめて収容した装置であると解される。
もっとも 補正後明細書の発明の詳細な説明の 0005 には と ,【】, 「ころが,この種の複合アンテナ装置では複数のアンテナを一枚の回路基板上に接近して配置するため,アンテナ同士が電磁的な結合により,互いの特性に影響し合い(複数のアンテナが接近していると,あるアンテナは近くのアンテナが動作していなくても影響を受ける ,個々のアン )テナ特性を所望なものに調整することが困難であった 」との記載があ 。
る。しかし,これは 【0004】に先行技術文献として挙げられた特 ,開2001-267843号公報(甲8)に記載された複合アンテナモジュール(補正後発明の「複合アンテナ装置」に相当するものと解される )を前提として,その課題について記載したものであるから,先行 。
技術としての複合アンテナ装置が「複数のアンテナを一枚の回路基板上に接近して配置する」ものを指すとしても,そのような配置からなる装「」 。 置のみを 複合アンテナ装置 であると限定的に解することはできないなお,上記に挙げられた甲8を参照すると,甲8には,異なる周波数帯を用いた2種以上のアンテナが同一基板上に実装された複合アンテナモジュール(請求項1)の発明が記載されているが 「本発明は,周波数 ,帯が異なる複数のアンテナが集合してユニット化されている複合アンテナモジュール・・・に関するものである (甲8【0001 )との記 。」】,, 「」 載があることからすると 甲8においても複合アンテナモジュールは,複数のアンテナをまとめて一体化した装置を意味すると解されるものであり,複数のアンテナが一枚の地板上に設けられたものに限定されるとは解されない。
(イ) 以上によれば,補正後発明における「複合アンテナ装置」とは,複数のアンテナが設けられた装置を指すものであって,複数のアンテナが一枚の地板上に配置されているものに限られないものと認められる。
イ 審決の認定の当否引用発明の「ディスプレイアンテナセンター」は,複数のアンテナをまとめて同一プレート(平面部28)上に配置しているものであるから,複数のアンテナが設けられた装置であると認められ,補正後発明にいう「複合アンテナ装置」に該当するものと認められる。
したがって,審決が,補正後発明と引用発明は「複合アンテナ装置」である点で一致するとした認定に誤りはない。
( ) 「サブアッセンブリー構造」であるとの点について 2審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造」である点で一致すると認定したことに誤りはない。その理由は,以下のとおりである。
ア 補正後発明における「サブアッセンブリー構造」の意味(ア) 補正後明細書に 「なお,ここでいうサブアッセンブリーとは,ア ,ンテナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のもので,サブアッセンブリーと他のサブアッセンブリー又は他の部品を組み立てることで複合アンテナ装置を完成させることができる ( 0013 )と記載 。」【 】,, 「」 されていることから 補正後発明において サブアッセンブリー構造とは,複合アンテナ装置を組み立てるための構成要素であって 「アン ,テナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のもの」ということができる。
(イ) 原告は 「実装」とは「回路基板に取り付けること」を意味するこ ,と,また,補正後明細書の図1(甲1)において,ETC用アンテナ14がETC用アンテナ固有の地板(回路基板)に取り付けられていることを根拠として,補正後発明において,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造 であるとは 複数のアンテナを設置した一枚の地板 回 」, (路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置されていることを意味すると主張する。
しかし,原告の上記主張は,以下のとおり理由がない。
すなわち,補正後明細書に「16AはGPS用アンテナ10及びVICS用アンテナ12を実装した第一のサブアッセンブリー,16BはETC用アンテナ14を実装した第二のサブアッセンブリー ( 001」【9 )と記載されていることから 「サブアッセンブリー」とは 「アン 】,,テナを実装したもの」と解することができる。そして 「実装」につい ,て,一般的な国語辞典に「装置や機器の構成部品を実際に取りつけるこ。」() , 「」 , と 広辞苑第六版 と記載されていることから 実装 という語は「構成部品を実際に取り付けること」を意味するものと認められる。補正後明細書には 「回路基板上に自動機で電子部品を実装し,その後手 ,作業でアンテナ素子を回路基板に実装することが多い ( 0008 ) 。」【 】と記載されているが 「実装」を「構成部品を実際に取り付けること」 ,の意味に解してはじめて,上記補正後明細書の記載を合理的に解することができるといえる。
また,補正後明細書の図1において 「ETC用アンテナ14を実装 ,した第二のサブアッセンブリー」16Bは板状体を指示しており,ETC用アンテナ14が板状体に載置されていることは窺われるが,その板状体がETC用アンテナ14固有の回路基板としての地板(前記1( )2,,「」「 」 。 ) アのとおり 原告は 地板 が 回路基板 であることを前提とするであることを裏付ける記載は,補正後明細書には見出せないから,補正後明細書の図1においてETC用アンテナ14がETC用アンテナ固有の地板(回路基板)に取り付けられていることが明らかであるとはいえない。
したがって,補正後発明において,ETC用アンテナが「サブアッセンブリー構造」であるとは,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)とは別の固有の地板(回路基板)に設置されていることを意味するとの原告の主張は,理由がない。
イ 審決の認定の当否,, 「」 前記ア(ア)のとおり 補正後発明において サブアッセンブリー構造とは 「アンテナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のもの」で ,ある。そして,前記1( )のとおり,引用発明において,ETCアンテナ 135とETCアンテナ受け部材32は 「組み立てられた部品」であるも ,のと認められ,ETCアンテナ35は「アンテナ素子」に該当し,ETCアンテナ受け部材32は 「その他の部品の一部」に該当するものと認め ,られるから,引用発明におけるETCアンテナ35とETCアンテナ受け部材32は 「アンテナ素子とその他の部品の一部を組み立てた状態のも ,の」ということができ 「サブアッセンブリー構造」に該当すると解され ,る。
したがって 審決が 補正後発明と引用発明は ETC用アンテナが サ ,, , 「」。 ブアッセンブリー構造 である点で一致すると認定したことに誤りはない( ) 「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造との点について 3ア 補正後発明における「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造の意味(ア) 補正後発明における「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造とは,認定された補正後発明の文言(前記第2,2( ))及び補正 2後明細書の記載から,ETC用アンテナがサブアッセンブリー構造であることを前提として,ETC用アンテナが他のアンテナと別に設けられていることを意味するものと認められる。
(イ) 原告は,補正後発明において,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造であるとは,ETC用アンテナがサブアッセンブリー構造であることを前提として,ETC用アンテナについて,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)に対して独立して取り付け方向の調整を行えるようにしたことを意味すると主張する。しかし,認定された補正後発明の文言及び補正後明細書の記載からして,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造であるとの文言を,複数のアンテナを設置した一枚の地板(回路基板)に対して独立して取り付け方向の調整を行えるようにしたことを意味するものと解する根拠を見出すことはできない。したがって,原告の上記主張は,理由がない。
なお,原告の上記主張は,補正後発明は,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行える点で引用発明と異なるとの主張とも解されるが,審決は 「ETC用アンテナは,他のアンテナとは別のサブ ,アッセンブリー構造とした」との点を一致点として認定した上で 「補,正後発明では 『ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が ,行えるようになっている』のに対し,引用発明ではその点が特定されていない点」を相違点2として認定しているから,審決も,実質的に,補正後発明は,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行える点で引用発明と異なるとの判断をしているものといえる。
イ 審決の認定の当否前記( )のとおり,引用発明におけるETCアンテナ35とETCアン 2テナ受け部材32は 「サブアッセンブリー構造」に該当する。そして, ,引用例によれば,引用発明において,ETCアンテナ35とETCアンテナ受け部材32は,VICSアンテナ受け部材30に取り付けられたVICSアンテナ37,溝部29に取り付けられたGPSアンテナ17とは別に設けられているから,引用発明において,ETCアンテナ35は 「他,のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造となっているものと認められる。したがって,審決が,補正後発明と引用発明は,ETC用アンテナが「他のアンテナとは別の」サブアッセンブリー構造である点で一致するとした認定に誤りはない。
3 相違点1に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由3)審決が相違点1に関して,複数のアンテナを一枚の地板上に設けることは,周知技術であり,該周知技術を引用発明に適用する上で何ら阻害要因は見当た,, 「」「 」 , らないから 引用発明において 平面部 を 一枚の地板上 とすることは当業者が容易に想到し得るものであるとした判断に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。
甲5(特開2000-77923号公報)の図2には,金属ベース3上に電話用アンテナ部5とGPSアンテナ部4とを設けることが記載されており,甲6(特開2000-307341号公報)の図1には,接地板1上にマイクロストリップアンテナ素子2とアンテナ素子板7とを設けることが記載されており,甲7(特開2000-183643号公報)の図6には,ベース金具10上にGPSアンテナ素子12とセルラー電話送受信アンテナ20を設けることが記載されており,複数のアンテナを一枚の地板上に設けることは周知技術であったと認められる。
補正後明細書に先行技術文献として挙げられた甲8には,S-DAB用アンテナ1A,VICS用アンテナ1B,GPS用アンテナ1C,リモートキーレスエントリー用アンテナ1Dを回路基板5の上面に配置して複合アンテナモジュールとすること( 0018】ないし【0020 ,リモートキーレスエン 【】 )トリー用アンテナ1Dに代えてETC用アンテナ1Eを設けてもよいこと 0(【039 )が記載されており,ETC用アンテナと他のアンテナを一つの回路 】基板上に配置することが開示されており,そこにいう回路基板5は,補正後発明の地板に対応すると解されるから,ETC用アンテナと他のアンテナを一枚の地板(この場合の地板は回路基板である )上に配置することは周知技術で 。
あったといえる。
また,引用例には 「 0029】また,GPSアンテナ17は,図5に示す ,【,()。 ように ウィンドシールド11の下部で水平状態 角度0° で配置しているこれは GPSアンテナ17の指向角度がθ でかなり広いためである 0 ,。 」,「【1031】すなわち,GPSアンテナ17を水平状態に配置すれば,GPS衛星からのGPSデータをウィンドシールド11の範囲内で最も効率良く受信することができる 「 0032】また,VICSアンテナ37及びETCアン 。」,【テナ35は水平状態に対して所定の角度θ をなして配置した方がよい。例え2ば,図5に示すようにVICSアンテナ37を水平状態に対して所定の角度θをなして配置すれば,ビーコン47からの光を効率良く受信することができ2る 」と記載されており,各アンテナの指向性が異なることを前提に受信効率 。
,, を考慮してアンテナの角度設定をすることが記載されているから 引用例には各アンテナ相互間の特性の調整が困難であるとの課題を解決する手段が開示されているといえる。
,() このように ETC用アンテナとその他のアンテナを一枚の地板 回路基板上に設けることは周知技術であり,引用例には,各アンテナの指向性が異なることを前提に受信効率を考慮してアンテナの角度設定をすることにより,各アンテナ相互間の特性の調整が困難であるとの課題を解決する手段が開示されていたことからすると,引用発明において 「平面部」を「一枚の地板上」とす ,ることは,当業者が容易に想到し得たものと認められる。
原告は,引用発明に周知技術を適用して,引用発明における複数のアンテナが設置された「平面部」を「一枚の地板」に置き換えることについては,各アンテナ相互間の特性の調整が困難であるという阻害要因が存在すると主張するが,これまで述べたところによれば,原告の上記主張は,理由がない。
以上によれば,審決が相違点1に関して,複数のアンテナを一枚の地板上に設けることは,周知技術であり,該周知技術を引用発明に適用する上で何ら阻,, 「」「 」 害要因は見当たらないから 引用発明において 平面部 を 一枚の地板上,。 とすることは 当業者が容易に想到し得るものであるとした判断に誤りはない4 相違点2に関する容易想到性の判断の誤り(取消事由4)審決が相違点2に関して,TEC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得るものであるとした判断に誤りはない。その理由は,以下のとおりである。
( ) ETC用アンテナの調整に関する周知技術 1ア 乙3(特開2001-236533号公報)には 「車両搭載通信端末 ,装置および情報通信方法 (発明の名称)について,以下の記載がある。 」「図1において,RFモジュール6はモジュール基板9を備え,その上にアンテナ10,薄板モジュールシールド7,メイン基板シールド12,およびモジュールコネクタ8が置かれて一体化され,1つのまとまった部品を構成する。メイン基板シールド12は薄板モジュールシールド7よりも面積が大きく,大きなシールド機能を有する。RFモジュール6は分離可能な薄板23上に載置される。薄板23は,垂直方向に延びる板抜きによって形成されたモジュールブラケット14を備える。モジュールブラケット14は4つのブラケット14a,14bから成り,片側にそれぞれ2個配置される。アンテナ10に対向する形でRFモジュールを載置する薄板23の前方に設けられるブラケット14aは,シールド7に対向する形で薄板23の後方に設けられるブラケット14bの長さよりも長さが長く形成されており,これによってモジュール基板9,すなわちRFモジュール6はメイン基板5に対して鋭角である角度を持った配置とされる。RFモジュール6をメイン基板5に対して角度を持つ配置とすれば足り,ブラケット14の位置は重要ではなく,また1つの長細い板状にしても角度を持った配置は可能である。従って,ここではこれら総称して傾斜形成部材と呼ぶ。後述するように,RFモジュール6,すなわちRFモジュール基板9上にあるアンテナ10はメイン基板5に対して傾斜を持つことによってRFモジュール基板9の垂直方向である通信方向はメイン基板5に対して垂直より左方に傾いたものとなり指向性が与えられる。これによって通信状態がよくなる。この指向性は薄板モジュールシールド7の作用によって更に相乗される ( 0015 ) 。」【 】「この取り付け具22には取り付け角度調整ブラケット41を設けて通信,。 端末装置 すなわちアンテナ10の通信方向を調整するようにしてもよいこれによって,アンテナ10の指向性はモジュールブラケット14a,14bおよびモジュールシールド7の作用によるばかりでなく,取り付け角度調整ブラケット41によっても調整されることによってETCアンテナ() 。 」(【】 ) 後述 との通信の確実性を増すことができるようになる 0025乙3の記載によれば,上記アンテナ10はETC用アンテナであることが認められる。そして,乙3には下記の図1が掲載され 「本発明の実施 ,例の組み立て前状態を示す概略構成図 ( 図面の簡単な説明 )との説明 」【 】が記載されている。
【図1】イ 乙4(特開2001-109919号公報)には 「通行料金収受シス ,テム用の車載通信装置 (発明の名称)について,以下の記載がある。 」「 従来の技術】車両の通行料金を電子通信で行うETCシステム 【( )と呼ばれる通行料金収受システムが考 Electronic Toll Collection Systemえられている。このETCシステムによる従来の車載通信装置の例を図8に示してある。図8において,1は車載器箱体で,この車載器箱体1の中に車載器アンテナ2,無線回路部3,通信制御部4が収容されている 」。
( 0002 )【】「 第1実施形態)まず,図1,図2に示す第1実施形態による車載通信 (装置について説明する。図1に示されているように,この実施形態による車載通信装置では,車載器アンテナ2は無線回路部3とは別の基板上に設置され,車載器アンテナ2と無線回路部3とは,高周波ケーブル8によって接続されている。車載器アンテナ2は車載器アンテナ面角度保持装置7を介して車載器箱体1に固定されている ( 0015 ) 。」【 】「本実施形態による車載通信装置においては,車載器アンテナ2を無線回路部3とに切り離し,車載器アンテナ2を車載器アンテナ面角度保持装置27により車載器箱体1に取り付けているが,車載器アンテナ面角度保持装置27は駆動モータ12につながっており,通信制御部4からの制御により車載器アンテナ2の角度を自由に変更することができる ( 002 。」【7)】乙4の記載によれば,上記車載器アンテナ2はETC用アンテナであることが認められる。そして,乙4には下記の図6が記載され 「本発明の ,第3実施形態による車載通信装置を示す図面で (a)は平面図 (b)は ,,縦断面図 ( 図面の簡単な説明)との説明が記載されている。 。」【 】【図6】ウ 前記アの乙3の記載によれば,アンテナ10がRFモジュール6のモジュール基板9上に設置されるから,アンテナ10とその他の部品の一部であるモジュール基板9は組み立てられた状態にあり,アンテナ10はサブアッセンブリー構造となっているといえる。そして,RFモジュール基板9上にあるアンテナ10は,メイン基板5に対して傾斜をもつことによっ,, て RFモジュール基板9の垂直方向である通信方向に指向性が与えられ通信状態がよくなることが開示されている。
また,乙4の記載によれば,車載器アンテナ2は無線回路部3とは別の基板上に設置されるから,車載器アンテナ2とその他の部品の一部である別の基板は組み立てられた状態にあり,車載器アンテナ2はサブアッセンブリー構造となっているといえる。そして,車載器アンテナ2を車載器アンテナ面角度保持装置27により車載器箱体1に取り付けることで,車載器アンテナ2の面角度を適正な角度に調節できることが開示されている。
そうすると,ETC用アンテナをサブアッセンブリー構造とすることにより,他の回路基板とは独立に,適正な角度を保持できるように調整し,受信性能を向上させることは,周知技術であると認められる。
( ) 容易想到性の有無 2前記3のとおり,ETC用アンテナとその他のアンテナを一枚の地板(回路基板)上に設けることは周知技術であり,引用例には,各アンテナの指向性が異なることを前提に受信効率を考慮してアンテナの角度設定をすることにより,各アンテナ相互間の特性の調整が困難であるとの課題を解決する手段が開示されていた。そして,受信性能を高めるためにアンテナの角度を調整すること自体は,普通に行われていることであるから,ETC用アンテナと他のアンテナが一枚の地板上に配置されており,ETC用アンテナの指向性が強い場合であっても,当業者にとって,ETC用アンテナの受信性能を高めるためにその角度を調整することは,当然に検討されるべき手段であると解される。さらに,前記2( )イのとおり,引用例には,ETC用アンテ 2ナをサブアッセンブリー構造とすること(組み立てられた部品とすること)が記載されており,前記( )ウのとおり,ETC用アンテナをサブアッセン 1ブリー構造とすることにより,他の回路基板とは独立に,適正な角度を保持できるように調整し,受信性能を向上させることは,周知技術である。そうすると,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得たというべきである。
( ) 原告の主張に対し 3原告の主張は,以下のとおり,いずれも理由がない。
ア 原告は,乙3,乙4は,単体のアンテナの角度を調節することを示しているが,複数のアンテナが一枚の地板上に設けられている場合には,ETC用アンテナの取り付け方向の調整を行うことについて,アンテナ相互に影響のあることが阻害要因となっていた旨主張する。
しかし,前記( )のとおり,乙3,乙4に開示された周知技術に加え, 2他の周知技術などをも考慮すれば,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得たというべきであり,原告の上記主張は,理由がない。
イ また,原告は,甲9のシュミレーションによると,ETC用アンテナを含む複数のアンテナを一枚の地板上に配置した複合アンテナにおいては,ETC用アンテナが固有の地板(回路基板)を有するアッセンブリー構造としなければ,所望の特性調整が困難であることが示されていると主張する。
しかし,補正後発明において,ETC用アンテナをアッセンブリー構造とすることは,ETC用アンテナを組み立てられた部品とすることを意味し,ETC用アンテナが固有の地板(回路基板)に設置されていることではないから(2( )ア ,甲9のシュミレーションの結果をもって,補正後 2),,。 発明の作用効果を認定することはできず原告の上記主張は 理由がないウ 原告は,引用例,甲5,甲6,甲7のいずれにも,複数のアンテナが一枚の地板上に設けられ,アンテナが相互に電磁的な結合の影響を受けている場合においてETC用アンテナの取り付け方向の調整を行うという課題は開示されていないと主張する。
しかし,前記( )のとおり,ETC用アンテナとその他のアンテナを一 2枚の地板(回路基板)上に設けることが周知技術であることなどを考慮すると,ETC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得たというべきであるから,原告の上記主張は,理由がない。
エ 原告は,引用例には 「VICSアンテナ37及びETCアンテナ35 ,は水平状態に対して所定の角度θ をなして配置した方がよい ( 002 。」【32 )と記載されているから,引用例はETCアンテナ35のみを,他 】のアンテナと別に調整可能にする技術を開示したものではないと主張する。
しかし,引用例の【0029】ないし【0032】の記載によれば,そこには,各アンテナの指向性が異なることを前提として受信効率を考慮し(), てアンテナの角度設定をすることが記載されているものであり 前記3引用例の「所定の角度θ をなして配置した方がよい ( 0032 )と2 。」【 】の記載は,角度を変えて配置し得るアンテナについて,受信効率のよい角度θ を選択してその角度に調整することを意味するものと認められるか2ら,原告の上記主張は,理由がない。
( ) 審決の判断の当否 4したがって,審決が相違点2に関して,TEC用アンテナだけ独立して取り付け方向の調整が行えるようにすることは,当業者が容易に想到し得るものであるとした判断に誤りはない。
5結論以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がない。原告は,その他縷々主張するが,審決にこれを取り消すべきその他の違法もない。
よって,原告の本訴請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 中平健
裁判官 上田洋幸
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