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関連審決 不服2003-14784
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10214審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10096審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10115審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10166審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10196審決取消請求事件 判例 特許
関連ワード インターネット /  アクセス /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  引用発明の認定 /  一致点の認定 /  相違点の認定 /  周知技術 /  置き換え /  実施 /  交換 /  混同 /  拒絶査定 /  請求の範囲 /  国際公開 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10176号 審決取消請求事件
原告X
被告特許庁長官
指定代理人有家秀郎,津田俊明,岩崎伸二,森山啓
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/01/29
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が不服2003−14784号事件について平成20年3月28日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求主文と同旨第2事案の概要本件は,原告が特許出願をして拒絶査定を受け,これを不服として審判請求をしたところ,請求が成り立たないとの審決がされたので,同審決の取消しを求める事案である。
1特許庁における手続の経緯(争いのない事実)原告は,発明の名称を「ゲーム情報供給装置」とする発明について,平成13年7月11日に特許出願(以下「本件出願」という )をしたが,平成15年6月1 。
3日付けで拒絶査定を受けたので,同年7月31日,同拒絶査定に対する不服審判を請求した。
特許庁は,上記不服審判請求を不服2003-14784号事件として審理し,平成20年3月28日 「本件審判の請求は,成り立たない 」との審決をし,同年 , 。
4月15日,その謄本を原告に送達した。
2発明の要旨審決は,平成19年5月11日付け手続補正(以下「本件補正」という。甲5)後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という )を。
対象としたものであるところ,その要旨は次のとおりである(なお,請求項の数は7個である。。)「 請求項1】【コンピュータを用いたゲーム情報供給装置であって,クイズ形式の広告情報を記憶する記憶手段と,ネットワークを介して端末装置からのアクセスを受信すると,前記記憶手段からクイズ形式の広告情報を読み出して前記端末装置に送信し表示させる表示手段と,前記端末装置から前記広告情報を含むクイズの回答情報をネットワークを介して受信する受信手段と,前記回答情報を受信すると,電子データであるゲーム的メリットをネットワークを介して前記端末装置に送信する送信手段とを有し,前記ゲーム的メリットは,エサ,アイテム,ポイント,キャラクター,サウンド又はストーリーを含むゲーム情報供給装置 」。
3審決の理由の要旨審決は,本願発明は,国際公開第99/60501号パンフレット(1999)(。,「」。)(「」。) 乙1 以下引用例 というに記載された発明 以下 引用発明 という及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。
審決が上記結論に至った理由は,以下のとおりである。なお,審決の引用部分において,本判決の略語に合わせるなどして訂正した部分がある。また,本訴の書証番号を付記した。
(1)引用発明の内容引用例には,次の発明が記載されていると認められる。
インターネット1009を介してユーザクライアント装置1011からの接続があると広告企業WWWサーバ装置1004からスポンサー企業の広告情報を読み出してユーザクライアント装置1011に送信して表示させ,ユーザクライアント装置1011からの応答をインターネット1009を介して受信し,応答を受信すると,電子チップがインターネット1009を介してユーザクライアント装置1011に送信して供給され,電子チップは電子データであって,ゲーム操作に消費できるコンピュータを用いた電子チップ発行管理センター1001 」。
(2)本願発明と引用発明との対比ア引用発明の実質的具備事項引用発明は,以下の点を実質的に具備しているということができる。
(ア)実質的具備事項1引用例の記載事項2の「・・・ユーザによるゲーム操作に対し,電子チップ発行条件に基づき電子チップが発行され,そのゲーム操作に対する応答として,そのゲーム操作に対応付けられている広告が表示されるように構成することができる 」なる記載,同記載事項3の「・・ 。
・ユーザは ・・・ネットワークゲームを行うことができ ・・・」なる記載,同記載事項6の , ,「次に,一般ユーザは ・・・ユーザクライアント装置1011から,電子チップ発行ゲーム ,サーバ装置1003が提供する各種ゲームホームページ,クイズホームページ,又はアンケートホームページ・・・にアクセスする ・・・」なる記載,および同記載事項7の「・・・一 。
般ユーザは,ブラウザ画面上に表示されたアミューズメントフォームを使って,ゲーム,クイズを楽しんだり,アンケートに答えたりした後,そのフォーム上に表示されているサブミットボタンをマウスでクリックする。この結果,ゲーム,クイズ,又はアンケートに対する回答等を含むフォームデータが,ユーザクライアント装置1011から,インターネット1009,ルータ装置1008,及びLAN1007を介して,電子チップ発行ゲームサーバ装置1003に送られる。電子チップ発行ゲームサーバ装置1003は,上記フォームデータから企業IDと,ゲーム種別と,ゲーム,クイズ,又はアンケートに対する回答と,ユーザIDとを取り出する 」なる記載並びに図10に基づけば,一般ユーザは,電子チップ管理センター100 。
1の電子チップ発行ゲームサーバ装置1003からユーザクライアント装置1011に提供されたクイズのブラウザ画面においてクイズに関する操作を行うと,その操作に対する応答として広告を表示した上で,クイズの回答をインターネット1009を介して電子チップ管理センター1001の電子チップ発行ゲームサーバ装置1003に送るものであって,そのクイズは特定の広告企業に関連するものであるから,広告情報はクイズ形式の広告情報と言い換えできる。また,電子チップ管理センター1001は,そのクイズ形式の広告情報を記憶していること,および,その情報を記憶する手段を有していることは自明な事項であり,さらに,電子チップ管理センター1001は,ユーザクライアント装置1011にクイズ情報,言い換えるとクイズ形式のゲーム情報を供給しており,電子チップ管理センター1001をゲーム情報供給装置と言い換えできることも明らかであるから,引用発明は,クイズ形式の広告情報を記憶している記憶手段を実質的に有しているということができる。
(イ)実質的具備事項2同記載事項4の「或いは本発明では,ユーザは,自宅のパソコンからインターネットに接続してゲーム,クイズ,アンケートなどに回答し,それに基づいて電子チップを取得できると共, 。 に ユーザのパソコンに必ずそのゲーム等のスポンサー企業の広告を表示させることができる即ちユーザは,電子チップをもらえることを期待してゲーム,クイズ,又はアンケート等に積極的に応答し,これに伴って広告企業の広告ホームページが必ずユーザのブラウザ画面に表示されるため,大きな販売促進効果を生み出すことが可能となる 」なる記載に基づけば,ユー 。
ザのブラウザ画面に広告が表示されていることから 電子チップ管理センター1001は ユー , ,ザのパソコンに広告情報を送信し表示させていることは明らかであり,かつ,そのような送信表示手段を備えていることは自明な事項である。
また 「自宅のパソコン」は「端末装置」と言い換えできると共に,上記実質的具備事項1 ,の記載に基づけば,引用発明の電子チップ管理センター1001は,クイズ形式の広告情報を記憶する記憶手段を備えていること,および電子チップ発行管理センタ1001はゲーム情報供給装置と言い換えできる。
そうすると,引用発明の電子チップ発行管理センタ1001であるゲーム情報供給装置は,記憶手段からクイズ形式の広告情報を読み出して端末装置に送信し表示させる表示手段を実質的に備えているということができる。
(ウ)実質的具備事項3同記載事項7の ・・・一般ユーザは ブラウザ画面上に表示されたアミューズメントフォー 「,ムを使って,ゲーム,クイズを楽しんだり,アンケートに答えたりした後,そのフォーム上に表示されているサブミットボタンをマウスでクリックする。この結果,ゲーム,クイズ,又はアンケートに対する回答等を含むフォームデータが,ユーザクライアント装置1011から,インターネット1009,ルータ装置1008,及びLAN1007を介して,電子チップ発行ゲームサーバ装置1003に送られる ・・・」なる記載および同記載事項8の「続いて, 。
電子チップ発行ゲームサーバ装置1003は,上記ゲーム,クイズ,又はアンケートに対する回答(正解/不正解,又は得点)と上記交換レートとから,チップ発行数を算出する 」なる 。
記載に基づけば,ユーザクライアント装置1011は,クイズに対する回答をインターネット1009を介して電子チップ発行管理センタ1001に送信しているのであり 引用発明の イ ,「ンターネット1009 は本願発明の ネットワーク に相当しているのでおり 判決注: あ 」「」 〔「り」の誤記と認める,かつ,上記実質的具備事項2において示したようにクイズ形式の広告 。〕情報をクライアント端末装置1011に送信した後に,クライアント端末置からクイズに関する回答を受信するのであるから,引用発明の電子チップ発行管理センタ1001は,広告情報を含むクイズの回答情報をネットワークを介して受信する受信手段を実質的に備えているということができる。
(エ)実質的具備事項4同記載事項10の「上記広告企業WWWサーバ装置1004から送信されたホームページには,一般ユーザが前記アミューズメントホームページを使って行ったゲーム,クイズ,又はアンケート等に対する回答が掲載されており,一般ユーザはその回答を確認することができる。
これと同時に,上記広告企業WWWサーバ装置1004から送信されたホームページには,上記広告企業の広告が掲載されている。従って,一般ユーザは,前記ゲーム,クイズ,又はアンケート等に応答することにより,必ず広告企業の広告ホームページを見ることになり,その代わりとして電子チップをもらうことができる。一般ユーザは,電子チップをもらえることを期待してゲーム クイズ 又はアンケート等に積極的に応答し これに伴って広告企業の広告ホー ,, ,ムページが必ず上記一般ユーザのブラウザ画面に表示されるため,大きな販売促進効果を生み出すことが可能となる 」なる記載に基づけば,電子チップ発行管理センタ1001は,クイ 。
ズの回答を受信すると,電子チップをインターネットを介してユーザクライアント装置1011に送信しており,また,そのような送信機能を発現し得る手段を有することは自明であり,さらに,引用発明の「電子チップ発行管理センタ1001 「インターネット1009 「ユー 」 」ザクライアント装置1011」は,それぞれ本願発明の「ゲーム情報供給装置 「ネットワー 」ク 「端末装置」に相当しているから,引用発明の電子チップ発行管理センタ1001は,回 」答情報を受信すると,電子チップをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段を実質的に備えているということができる。
(オ)実質的具備事項5引用例の記載事項1の「本発明は,電子チップを流通させるための電子チップ流通技術を前提とする。まず,ユーザによる所定の発行操作に対して,設定されている電子チップ発行条件に基づき電子チップが発行される。具体的には例えば,ユーザによるゲーム操作又は商品購入操作に対して,電子チップを発行する。この場合,電子チップ発行条件は例えば,ゲーム操作の得点と電子チップの単位との交換レートと その電子チップの有効期限とを含む 次に ユー , 。,ザによる例えば商品の注文操作又はゲーム操作等の所定の消費操作に対して,設定されている電子チップ消費条件に基づき電子チップの消費が受け付けられる。この電子チップ消費条件は例えば,電子チップの単位と貨幣の単位との換算レートと,その電子チップの有効期限とを含。,, (,, む また ユーザに そのユーザが保有する電子チップに関する情報 チップ残高 有効期限交換レート等)が電子チップ情報として供給される 」なる記載に基づけば,ユーザによるク 。
イズに関する操作に対して電子チップを発行し,次に,ユーザによるクイズに関する操作等の消費操作に対して,設定されている電子チップ消費条件に基づき電子チップの消費が受け付けられるのであり,また,電子チップはユーザに対する電子的な一種のメリットと言えるのであるから,引用発明の「電子チップは電子データであって,ゲーム操作に消費できる」は 「電 ,子データであるメリットはゲームに利用できる」と言い換えすることができ,この点で本願発明の「ゲーム的メリット」と共通する。
イ一致点及び相違点以上の実質的具備事項1〜5を考慮すると,引用発明と本願発明は,「コンピュータを用いたゲーム情報供給装置であって,クイズ形式の広告情報を記憶する手段と,ネットワークを介して端末装置からのアクセスを受信すると,記憶手段からクイズ形式の広告情報を読み出して端末装置に送信して表示させる表示手段と,端末装置からの広告情報,, を含むクイズの回答情報をネットワークを介して受信する受信手段と 回答情報を受信すると電子データであるメリットをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段とを有し,電子データであるメリットはゲームに利用できるゲーム情報供給装置 」。
の点で一致すると共に,以下の点で相違していると認められる。
<相違点>電子データであるメリットが,本願発明においては,エサ,アイテム,ポイント,キャラクター,サウンド又はストーリーを含むゲーム的メリットであり,ゲーム内で利用できるものであるのに対して,引用発明では,ゲームに利用できるものの,具体的内容が不明であり,ゲーム内で利用できるものであるか否か不明な点。
(3)相違点についての判断特開平10-254968号公報(本訴乙2)には,端末装置の操作者が,インターネット等のネットワークを介して,ゲームに勝ったり,特定のビルや広告をクリックすると,ポイントがもらえ,そのポイントはバーチャルマネーとして,ネットビレッジ中の生活において使用できること,国際公開第01/046794号パンフレット(2001 (本訴乙3の1。国 )際公開日2001.6.28,特表2003-518285号公報(本訴乙3の2)参照)には,端末の操作者が,インターネット等のネットワークを介して,広告にアクセスすると鎧,,, , , , 武器 衣類 犬 杖等のエンハンスメントを入手できること およびそのエンハンスメントはネットワーク内の戦闘ゲームにおける戦いに使うことができること,および特開2000-37559号公報(本訴乙4)には,端末装置の操作者が,インターネット等のネットワークを介して,ゲームデータ配信装置にアクセスすると,ゲームに関連するキャラクタアイコン,サウンド,ゲームのストリー〔判決注: ストーリー」の誤記と認める,ゲーム裏技情報等が 「 。〕もらえ,その情報等は端末装置において次のゲームのデータとして使用できること等が記載されているように,端末装置の操作者が,インターネット等のネットワークを介して,ゲームに勝ったり,商品を買ったり,ゲームデータ配信装置又は広告にアクセスすると,ポイント,エンハンスメントまたはゲーム関連データを入手でき,入手して蓄積されたポイント,エンハンスメントまたはゲーム関連データは,インターネット等のネットワーク方式を介して,ゲーム内で使用することは周知な技術にすぎない(以下 「周知技術」という。 ,。)そうすると,引用発明のゲーム操作に利用できる電子データであるメリットとしての電子チップに,上記周知技術を適用して,電子チップを,ゲーム内で使用できる,エサ,アイテム,キャラクター,サウンド又はストーリーをも含むゲーム的メリットとすること,すなわち上記相違点に係る構成となすことは,ゲーム技術分野における通常の知識を有する者(当業者)が容易になし得る程度のことということができる。
第3審決取消事由の要点審決は,引用発明の認定及び本願発明と引用発明との対比を誤った結果,本願発明と引用発明との一致点を誤認して相違点を看過し,また,相違点についての判断を誤ったものであり,これらの誤りがいずれも結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,違法なものとして取り消されるべきである。
1取消事由1(引用発明の認定誤りによる相違点の看過)(1)引用発明の実質的具備事項の認定誤りア実質的具備事項1についての認定誤り審決は,引用発明の実質的具備事項1として,引用例における「広告情報はクイズ形式の広告情報と言い換え」ることができるとした上で,引用発明が「クイズ形式の広告情報を記憶している記憶手段を実質的に有している」と認定したが,誤りである。
本願発明の「クイズ形式の広告情報」とは 「クイズの問題及び回答」のステッ ,プと広告が一体となった形式の広告情報である。
これに対し,引用例においては 「上記広告企業WWWサーバ装置1004から ,送信されたホームページには,一般ユーザが前記アミューズメントホームページを使って行ったゲーム,クイズ,又はアンケート等に対する回答が掲載されており,一般ユーザはその回答を確認することができる。これと同時に,上記広告企業WWWサーバ装置1004から送信されたホームページには,上記広告企業の広告が掲載されている 」と記載されているとおり,電子チップ発行ゲームサーバ装置10 。
03上で実行されるクイズと連動して,広告企業WWWサーバ装置1004から送信されるホームページがユーザの端末に表示され,そこに電子チップ発行ゲームサーバ装置1003上で実施されたクイズの回答のみが掲載され,これと同時に広告企業の広告が掲載されるのであって 「クイズの問題及び回答」と「広告」とは ,別個の概念であり,広告情報がクイズ形式になっているのではない。
以上のとおり,引用例の広告情報は,本願発明のクイズ形式の広告情報とは異なるから,審決が,引用発明はクイズ形式の広告情報を記憶している記憶手段を実質的に有していると認定したことは誤りである。
イ実質的具備事項4についての認定誤り審決は,引用発明の実質的具備事項4として,引用発明の電子チップ発行管理センタ1001は,クイズの回答を受信すると 「電子チップをインターネットを介 ,してユーザクライアント装置1011に送信しており,また,そのような送信機能を発現し得る手段を有することは自明」であるとした上で,引用発明を「電子チップ発行管理センタ1001は,回答情報を受信すると,電子チップをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段を実質的に備えている」と認定したが,誤りである。
本願発明は,電子データであるゲーム的メリットをネットワークを介してユーザの端末装置に送信する送信手段を有しているのに対し,引用発明においては,電子チップの管理を全てサーバ上で行っており,電子チップをインターネットを介してユーザクライアント装置1011に送信などしていない。その理由は,引用発明の電子チップが本質的に「電子マネー(お金 」であって,本願発明のゲーム的メリ )ットと異なり,財貨としての価値が明確であるから,安易にユーザの端末に送信すると,データ改ざん等の問題が生じやすいからである。
したがって,引用発明が電子チップをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段を備えているとした審決の認定は誤りである。
ウ実質的具備事項5についての認定誤り審決は,引用発明の実質的具備事項5として,引用例の「電子チップは電子データであって,ゲーム操作に消費できる」は 「電子データであるメリットはゲーム ,に利用できる」と言い換えることができ,この点で引用発明の電子チップは本願発明の「ゲーム的メリット」と共通すると認定したが,誤りである。
,「」()。 本願発明のゲーム的メリットはゲーム上仮想世界 で使用するものであるこれに対し,引用発明においては,ゲームセンターでコイン式のゲーム機にコインを入れてゲームを遊ぶのと同じく 「ゲーム下 (現実世界)でゲームを始めるため ,」の ゲーム操作 に電子チップを消費するのであり 電子チップを ゲーム上仮 「」 ,「」(想世界)で使用(消費)することはできない。引用例には 「ユーザによる・・・ ,商品の注文操作又はゲーム操作等の所定の消費操作に対して,設定されている電子チップ消費条件に基づき電子チップの消費が受け付けられる」との記載があるが,これは,電子商取引に電子チップを使えるという文脈の次に,ゲームを遊ぶのにも電子チップを使えるという趣旨の例えとして記載されているのであり,引用例の「ゲーム操作等の所定の消費操作」とは,上記の意味である。
したがって,引用発明の電子チップが本願発明のゲーム的メリットと共通するとした審決の認定は誤りである。
(2)相違点の看過ア審決は,本願発明と引用発明とは 「コンピュータを用いたゲーム情報供給 ,装置であって,クイズ形式の広告情報を記憶する手段と,ネットワークを介して端末装置からのアクセスを受信すると,記憶手段からクイズ形式の広告情報を読み出して端末装置に送信して表示させる表示手段と,端末装置からの広告情報を含むクイズの回答情報をネットワークを介して受信する受信手段と,回答情報を受信すると,電子データであるメリットをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段とを有し,電子データであるメリットはゲームに利用できるゲーム情報供給装置 」の点で一致し 「電子データであるメリットが,本願発明においては,エサ, 。,アイテム,ポイント,キャラクター,サウンド又はストーリーを含むゲーム的メリットであり,ゲーム内で利用できるものであるのに対して,引用例に記載された発明では,ゲームに利用できるものの,具体的内容が不明であり,ゲーム内で利用できるものであるか否か不明な点 」で相違すると認定した。 。
イしかしながら,上記(1)のとおり,引用発明の広告情報は,本願発明の「クイズ形式の広告情報」とは異なること,引用発明は,電子チップをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段を備えていないこと,引用発明の電子チップは本願発明の「ゲーム的メリット」と異なることから,審決が,本願発明と引用発明との一致点として,?@「クイズ形式の広告情報を記憶する手段と ・・・クイズ形 ,式の広告情報を読み出して端末装置に送信して表示させる表示手段と」を有するとしたこと,?A「電子データであるメリットをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段」を有するとしたこと,?B「電子データであるメリットはゲームに利用できる」としたことはいずれも誤りである。
したがって,上記?@ないし?Bの点は,いずれも本願発明と引用発明との相違点として認定すべきであるところ,上記のとおり,審決はこれらの相違点を看過したものである。
2取消事由2(相違点についての判断の誤り), (。「」。), 審決は 特開平10-254968号公報 乙2 以下 周知例乙2 という国際公開第01/046794号パンフレット(2001 (乙3の1。その翻訳 )として,特表2003-518285号公報(乙3の2 。以下「周知例乙3」と )いう,特開2000-37559号公報(乙4。以下「周知例乙4」という ) 。) 。
等から「端末装置の操作者が,インターネット等のネットワークを介して,ゲームに勝ったり,商品を買ったり,ゲームデータ配信装置又は広告にアクセスすると,ポイント,エンハンスメントまたはゲーム関連データを入手でき,入手して蓄積されたポイント,エンハンスメントまたはゲーム関連データは,インターネット等のネットワーク方式を介して,ゲーム内で使用することは周知な技術にすぎない」とした上で 「引用発明のゲーム操作に利用できる電子データであるメリットとして ,,,,, の電子チップに 上記周知技術を適用して 電子チップを ゲーム内で使用できるエサ,アイテム,キャラクター,サウンド又はストーリーをも含むゲーム的メリットとすること ,すなわち相違点に係る構成とすることは,ゲーム技術分野におけ 」る通常の知識を有する者(当業者)が容易になし得た程度のことであると判断したが,以下のとおり,審決のこの判断は誤りである。
(1)審決は,引用発明の電子チップが,本願発明のゲーム的メリットと共通する「ゲーム操作に利用できる電子データであるメリット」であることを前提としているが,前記1(1)ウのとおり,引用発明の電子チップは,本願発明のゲーム的メリットとは異なるから,審決の相違点についての判断は,前提に誤りがある。
,「, , (2)審決は端末装置の操作者が インターネット等のネットワークを介してゲームに勝ったり,商品を買ったり,ゲームデータ配信装置又は広告にアクセスすると,ポイント,エンハンスメントまたはゲーム関連データを入手でき,入手して蓄積されたポイント,エンハンスメントまたはゲーム関連データは,インターネット等のネットワーク方式を介して,ゲーム内で使用すること」が周知技術であるとするが,周知例乙2ないし4には,上記周知技術の技術内容の全体をそのまま実現する形態は記載されておらず,上記周知技術は,個別の発明を恣意的に組み合わせた新規な技術である。
したがって,審決の周知技術の認定は誤りである。
「」, (3)引用発明の電子チップは財物としての価値のある お金 であるのに対し本願発明のゲーム的メリットはゲーム上(仮想世界)でのみ使用可能な電子データであり,両者の概念は全く異なる。そして,本願発明の属するゲーム技術分野の当業者であれば,両者の概念を切り分けて理解しており,引用例のような「お金」を扱うシステムを,本願発明のゲーム的メリットのような電子データに係る構成とすることは,困難である。しかるに,審決(審判合議体)は,両者を混同して理解しており,当業者として「ゲーム技術分野における通常の知識」を有する者とはいえないから,審決の相違点についての判断は,当業者としての判断ではない。
第4被告の反論の要点1取消事由1(引用発明の認定誤りによる相違点の看過)に対し(1)引用発明の実質的具備事項についてア実質的具備事項1について引用例では,確かに「クイズ」と「広告企業の広告ホームページ」は別れているが,引用例の「クイズ」は 「特定の広告企業に関連する・・・クイズ」であり, ,ユーザが「応答し,これに伴って広告企業の広告ホームページが必ず上記一般ユーザのブラウザ画面に表示される」というものであるから 「クイズ」はこれと必須 ,的に結びつけられた「広告ホームページ」と合わせて広告のための情報ということができ 「クイズ」部分自体もそのような広告情報の一部ということができる。 ,このように,引用例の「クイズ」は 「特定の広告企業に関連する」ものである ,と同時に,必ず企業の「広告ホームページ」を呼び出すものであり,しかもその正しい解答が当該広告ホームページに掲載されているのであるから,本願発明における「クイズ形式の広告情報」に相当するものといえる。
したがって,審決の実質的具備事項1の認定に誤りはない。
イ実質的具備事項4について引用発明においては,ユーザには電子チップ情報(チップ残高,有効期限,交換レート等)が供給され,サーバー側で電子チップの発行履歴と消費履歴を管理して。, , いる そして 電子チップ情報をクライアント装置に送信して供給することにより消費あるいはゲームの進行に従った電子チップ数の演算及び表示をクライアント装置に実施させ ひいてはユーザが電子チップを消費し あるいはゲームの進行に従っ , ,,, て電子チップ数を変化させることを可能としているから 電子チップ情報の供給は実質的には,クライアント装置に対して利用可能な形態で電子チップを送信して供給するものであるということができる。
したがって,審決の実質的具備事項4の認定に誤りはない。
ウ実質的具備事項5について引用例の「ユーザによる・・・商品の注文操作又はゲーム操作等の所定の消費操作に対して,設定されている電子チップ消費条件に基づき電子チップの消費が受け付けられる」との記載は,電子チップが「ゲーム操作」で消費されることを明確に示しており,引用発明の電子チップが「ゲームに利用できる」といえることは明らかである。また,引用例の「電子チップを元手として・・・仮想カジノ・・・を行わせ」との記載を考慮すると,カジノにおいては,元手とする電子チップをゲームで消費もすれば,獲得もするし,獲得した電子チップをさらなるゲームに使用することもできるから,引用発明の電子チップは,消費という面のみならず,消費と獲得という両面を通じて「ゲームに利用」できることは明らかである。
したがって,審決の実質的具備事項5の認定に誤りはない。
(2)相違点の認定について上記(1)のとおり,審決の実質的具備事項の認定には誤りはないから,そのような技術的開示を含む引用例から引用発明を認定したことによって一致点の認定誤りは生じておらず,相違点の看過もない。
2取消事由2(相違点についての判断の誤り)に対し(1)原告は,引用発明の電子チップは,本願発明のゲーム的メリットとは異なるから,これが共通することを前提とした審決の相違点についての判断は誤りであると主張するが,前記1(1)ウのとおり,引用発明の電子チップはゲームに利用することができるから,本願発明のゲーム的メリットに相当するものであり,審決がこれを前提としたことに誤りはない。
したがって,原告の主張は失当である。
(2)原告は,周知例乙2ないし4には,審決の認定した周知技術の技術内容の全体をそのまま実現する形態が記載されていないと主張するが,複数の同様あるいは類似する選択肢を含む技術事項については,選択肢の全てを直接明記する単独の文献が存在しない限り,周知技術と認定されないというものではなく,原告の主張は失当である。
(3)原告は,引用発明の電子チップと本願発明のゲーム的メリットとは全く異なる概念であり,ゲーム技術分野の当業者が,引用例のような「お金」を扱うシス, , テムを 本願発明のゲーム的メリットのような電子データに係る構成とすることは困難であると主張する。
しかしながら,引用発明の電子チップは,オンラインショッピングという限定的,「」 , な場面で割引に使えるという限度では電子マネー と言い得る機能を有するがだからといって貨幣との等価交換が常に保証されなければならないものではない, , し 広告を見て得ることができる電子データとして電子チップが有する利点の中にゲームへの利用可能性が既に開示されているのであるから,当業者において,引用発明の電子チップについて,周知例乙2ないし4等に記載されているような周知技術を適用することが困難であるとはいえない。
第5当裁判所の判断1取消事由1(引用発明の認定誤りによる相違点の看過)について原告は,引用発明の認定誤りとして,実質的具備事項1,4及び5の認定の誤り,, ,。 を主張しているところ 判断の便宜上 実質的具備事項4について まず判断する(1)実質的具備事項4についてア本願発明について(ア)本願発明の請求項の記載を再掲すると,次のとおりである。
「コンピュータを用いたゲーム情報供給装置であって,クイズ形式の広告情報を記憶する記憶手段と,ネットワークを介して端末装置からのアクセスを受信すると,前記記憶手段からクイズ形式の広告情報を読み出して前記端末装置に送信し表示させる表示手段と,前記端末装置から前記広告情報を含むクイズの回答情報をネットワークを介して受信する受信手段と,前記回答情報を受信すると,電子データであるゲーム的メリットをネットワークを介して前記端末装置に送信する送信手段とを有し,前記ゲーム的メリットは,エサ,アイテム,ポイント,キャラクター,サウンド又はストーリーを含むゲーム情報供給装置 」。
(イ)本件補正後の明細書及び図面には,以下の記載がある(甲2,5 。)(a)段落【0025】「 発明の実施の形態】図36は,本発明の実施形態によるネットワークの構成 【を示す。ネットワーク(例えばインターネット)102には,サーバ101及び複数の端末103が接続される。サーバ101は,例えば汎用コンピュータ又はパーソナルコンピュータである。端末103は,例えば携帯電話,携帯端末又はパーソナルコンピュータである 」。
(b)図36(c)段落【0026】「端末103は,端末ゲーム121を有する。端末ゲーム121は,例えばアイコン育成ゲームである。ゲームプレイヤーは,自己が作成又は選択したアイコンを電子ペットとして育成する。プレイヤーが1日3回エサを与えないと電子ペットが死んでしまう。そこで,プレイヤーは,ネットワーク102を介して,サーバ101のゲームバナー113にアクセスする。
(d)段落【0027】「図37(A)は,ゲームバナー113の処理を示す。ステップS201で,プ。,, レイヤーがクイズ形式の広告情報にアクセスする 具体的には ブラウザを用いて所定のバナー広告が掲載されているホームページにアクセスする。そのバナー広告は,クイズ形式になっており,ステップS202にてプレイヤーはそのクイズに回答する。クイズは,広告情報になっており,プレイヤーに回答させることにより,広告情報を深く認識し,広告効果が倍増する。クイズに正解すると,ステップ203にて,ゲーム的メリットを取得する。具体的には,図36にて,プレイヤーの端末103は サーバ101からゲーム的メリット116としてのエサを ネットワー , ,ク102を介してダウンロードすることができる。プレイヤーは,そのエサを電子ペットに与えることにより,アイコンの電子ペットを育成することができる ・・。
・」(ウ)以上の記載によれば,本願発明は,プレイヤーがネットワークに接続する端末装置からネットワークを介してゲーム情報供給装置を構成するサーバにアクセスし,所定の操作をすると「電子データであるゲーム的メリット」を取得することができるというものであり,当該「電子データであるゲーム的メリット」は,ゲーム情報供給装置(例えば,サーバ)からネットワーク(例えば,インターネット)を介して端末装置に送信されるものであることが認められる。
イ引用例について引用例は 「電子チップ流通方法,電子チップ流通サーバ装置,及び電子チップ ,流通システム」との名称の発明に係る国際公開パンフレットであり,これには,以下の記載がある(乙1 。)(ア)請求の範囲請求項1「電子チップを流通させるための電子チップ流通方法であって,ユーザによる所定の発行操作に対して,設定されている電子チップ発行条件に基づき電子チップを発行し,ユーザによる所定の消費操作に対して,設定されている電子チップ消費条件に基づき前記電子チップの消費を受け付け,前記ユーザに,そのユーザが保有する電子チップに関する情報を,電子チップ情報として供給し,前記電子チップの発行履歴及び前記電子チップの消費履歴を管理し,該電子チップの発行履歴及び消費履歴に基づき,前記電子チップ発行条件及び前記電子チップ消費条件を算出する,過程を含むことを特徴とする電子チップ流通方法 」。
(イ)発明の開示(a)「本発明は,電子チップを流通させるための電子チップ流通技術を前提とする。
まず,ユーザによる所定の発行操作に対して,設定されている電子チップ発行条件に基づき電子チップが発行される(2頁10〜13行) 。」「, (, (b)ユーザに そのユーザが保有する電子チップに関する情報 チップ残高有効期限,交換レート等)が,電子チップ情報として供給される。
更に,電子チップの発行履歴及び電子チップの消費履歴が管理される(2頁2。」1〜23行)(c)「或いは本発明では,ユーザは,自宅のパソコンからインターネットに接続してゲーム,クイズ,アンケートなどに回答し,それに基づいて電子チップを取得できると共に,ユーザのパソコンに必ずそのゲーム等のスポンサー企業の広告を表示させることができる(4頁5〜8行)。」(ウ)第1の実施の形態「, , (a)同モジュール102は ゲームサーバ装置109から通知された得点に上述の交換レートを乗算することによって,チップ発行数を算出する。
そして,同モジュール102は,算出したチップ発行数を電子チップ履歴管理モジュール105が管理するデータベースに登録する。図3は,そのデータベースのデータ構成図である。このデータベースのテーブルのユーザID及び有効期限毎の各組合せに対応するレコードには,その有効期限に対応する電子チップのそのユーザIDに対応するユーザへのチップ発行数,チップ消費数,チップ残高,及びチップの期限切れ数が登録されている(7頁23〜8頁5行) 。」(b)「電子チップ情報供給モジュール104は,電子チップ履歴管理モジュール105が管理するデータベース 図3 内の全レコード内容を 一定期間毎にゲー (),ムサーバ装置109に送信している(8頁15〜17行) 。」(c)「ゲームサーバ装置109は,ユーザID及びゲーム種別毎に,ゲームクライアント装置108に送信するHTML(ハイパーテキストマークアップ言語)のゲームフォームデータに,電子チップ発行モジュール102及び電子チップ情報供給モジュール104から通知されている交換レート,有効期限,及びチップ残高等の各種情報を,例えば,Netscape Communications Corporationが開発したJavaScript言語を使って埋め込む ・・。
・ユーザは,ゲームクライアント装置108を使い,例えば図4に示されるようなゲームフォーム画面を使ってゲームを行う。このフォーム画面には,ゲーム画面の他に ”今回の得点”現在の交換レート”今回の取得チップ数”有効期限 , ,”,”,”,””現在の総チップ数”等が表示される ”現在の交換レート”と”有効期限”の各 。
フィールドには,ゲームサーバ装置109から送信された交換レートと有効期限が表示される。ゲームの進行に従って”今回の得点”が更新されると,ゲームサーバ装置109から送信された交換レートを使って ”今回の取得チップ数”のフィー ,ルド値が自動的に計算され表示される。また,ゲームサーバ装置109から送信されたチップ残高から”今回の取得チップ数”のフィールド値が減算されることにより ”現在の総チップ数”が自動的に計算される。これらの自動計算及び表示は, ,例えば,HTMLゲームフォームデータに埋め込まれたJavaScript言語による計算コードを,ゲームクライアント装置108が実行する動作として実現される。
以上のようにして,ユーザは,ネットワークゲームを行いながら,電子チップの今回の取得数や有効期限,現在の交換レート,及び現在自分が保有する総チップ数等を確認することができる(8頁19〜9頁20行) 。」(d)「図5は,Web-POSクライアント装置110に表示されるWeb-POSフォーム画面例を示す図である。ユーザは,タッチパネル等を用いて,図5の3分割されたフレーム画面のうちの上段の第1フレームに表示されているカテゴリーリスト中の所望の商品カテゴリーと,その選択した商品カテゴリーに属する中断 判決注: 中段 の誤記と認めるの第2フレームに表示されているPLU プ 〔「」。〕 (ライスルックアップ)リスト中の所望の商品名を選択し,キーボードを用いて,第2フレームに表示されている数量入力フィールドに数量を入力するだけで,POS管理のための明細フォームを第3フレーム上に自動的に取得することができる。
この場合に,明細行の金額の合計が自動計算されて”商品額:”として表示されるほか 電子チップの有効期限 期限:チップ残高 残高:交換レート レー ,””,””,”ト:”等が表示される。ユーザは,各有効期限の電子チップ毎に今回使用したいチップ数を”使用:”フィールドに入力することで,その数に交換レートが乗算されることにより,割引金額”換算:”を表示させることができる。この結果 ”商品 ,額:”のフィールド値から各有効期限毎の”換算:”のフィールド値を減算して得られる値が ”小計:”として得られ,更に”税額:”が自動計算され,最終的に ,”注文金額:”が算出される。
以上の一連の自動計算及び表示は,例えば,Web-POSフォームデータに埋め込まれたJavaScript言語による計算コードを,Web-POSクライ。」( ) アント装置110が実行する動作として実現される10頁24〜11頁19行(e)「以上のようにして,Web-POSクライアント装置110に図5に示されるようなWeb-POSフォーム画面を表示させることができ,ユーザは,自分が保有する電子チップを自由に使うことができる(12頁16〜18行) 。」(エ)第2の実施の形態(a)「図1に示される第1の実施の形態では,1つの電子チップ流通サーバ装置101が電子チップの流通の全体を制御しているが,第2の実施の形態では,電子チップ管理センター1001内のLAN1007に接続される電子チップ発行管理サーバ装置1002,電子チップ発行ゲームサーバ装置1003,広告企業WWWサーバ装置1004,電子チップ履歴管理サーバ装置1005,及び電子チップ消費サーバ装置1006が相互に連携することにより,電子チップの流通の全体を制御する(16頁22〜17頁3行) 。」(b)「一般ユーザ〔判決注:ユーザクライアント装置1011の操作者〕は,ブラウザ画面上に表示されたアミューズメントフォームを使って,ゲーム,クイズを楽しんだり,アンケートに答えたりした後,そのフォーム上に表示されているサブミットボタンをマウスでクリックする この結果 ゲーム クイズ 又はアンケー 。,,,, , トに対する回答等を含むフォームデータが ユーザクライアント装置1011からインターネット1009,ルータ装置1008,及びLAN1007を介して,電子チップ発行ゲームサーバ装置1003に送られる(19頁19〜25行) 。」(c)「続いて,電子チップ発行ゲームサーバ装置1003は,上記ゲーム,クイズ,又はアンケートに対する回答(正解/不正解,又は得点)と上記交換レートとから,チップ発行数を算出する。
, ,, そして 電子チップ発行ゲームサーバ装置1003は 算出したチップ発行数を上記企業ID及びゲーム種別と共に,電子チップ発行管理サーバ装置1002に送信する。電子チップ発行ゲームサーバ装置1003〔判決注: 電子チップ発行管 「理サーバ装置1002 の誤記と認めるは 上記企業ID及びゲーム種別をキー 」。〕 ,として,図11に示される電子チップ発行条件データベース上の該当するレコードを検索して,検索されたレコードのチップ発行数フィールドに登録されているチップ発行数に上記電子チップ発行ゲームサーバ装置1003から受信したチップ発行数を累算し,その累算結果によって上記チップ発行数フィールドの内容を置き換える(20頁15〜25行) 。」(d)「電子チップ履歴管理サーバ装置1005は,図1に示される第1の実施の形態における電子チップ履歴管理モジュール105の機能を含み,一般的なユーザ情報(氏名,住所等)のデータベースと共に,同モジュール105が管理する図3に示されるデータベースと同様のデータベースを管理する。同サーバ装置1005は,上記電子チップ発行ゲームサーバ装置1003から受信したユーザID及び有効期限をキーとして,上記データベース上の該当するレコードを検索し,検索されたレコードのチップ発行数フィールドに登録されているチップ発行数に上記電子チップ発行ゲームサーバ装置1003から受信したチップ発行数を累算し,その累算結果によって上記チップ発行数フィールドの内容を置き換える。なお,電子チップ発行ゲームサーバ装置1003は,電子チップ履歴管理サーバ装置1005が管理する上記データベースに直接アクセスして,上記チップ発行数を更新するように構成されてもよい。
以上のようにして,一般ユーザは,特定の広告企業に関連するゲーム,クイズ,又はアンケートに応答することにより,電子チップをもらうことができる(21。」頁7〜22行)(e)「また,電子チップ消費サーバ装置1006は,電子チップ履歴管理サーバ装置1005が管理するデータベース(図3)内の全レコード内容を,一定期間毎に取得する。この取得も,例えば電子メールで行われる。
そして,電子チップ消費サーバ装置1006は,ユーザクライアント装置1011に送信するHTMLによるWeb-POSフォームデータに,同装置1011から予め入力されているユーザIDに対応する電子チップの有効期限,チップ残高,及び交換レート等の情報を,JavaScript言語等を使って埋め込む。
この結果,一般ユーザは,インターネット1009に接続されるユーザクライアント装置1011から,電子チップ消費サーバ装置1006が提供する,第1の実施の形態において説明したようなWeb-POSフォーム画面(図5参照)を表示させることができ,自分が保有する電子チップを自由に使用できる(23頁19。」〜24頁6行)(オ)以上の記載によれば,引用発明について,次の(a)ないし(d)が認められる。
(a)引用発明は,ユーザが所定の操作をすると,電子チップ流通サーバ装置101又は電子チップ管理センター1001が,設定されている電子チップ発行条件に基づいて電子チップを発行するというものであり,所定の操作としては,ユーザが自宅のパソコンからインターネットに接続してゲーム,クイズ,アンケートなどに回答することなどがある。
(b)ユーザに発行した電子チップについては,電子チップ流通サーバ装置を構成する電子チップ履歴モジュール105又は電子チップ履歴管理サーバ装置100, , ,, 5が ユーザID及び有効期限毎に これに対応するチップ発行数 チップ消費数チップ残高,チップ期限切れ数等をデータベースに登録して管理している。
(c)第1の実施形態においては,電子チップ情報供給モジュール104が,上。, 記データベースの内容を一定期間毎にゲームサーバ装置109に送信する そしてゲームサーバ装置109は,ユーザのゲームクライアント装置108に,ユーザの保有するチップ残高等の電子チップに関する各種情報を送信する。ユーザは,ゲームクライアント装置108を使ってゲームを行いながら,現在自分が保有する総チップ数等の電子チップに関する情報を確認することができる。
また,ユーザがWeb-POSクライアント装置110を使用して商品を購入する際に,同装置のWeb-POSフォーム画面にユーザが保有する電子チップに関する情報が表示され,ユーザは,自分が保有する電子チップを自由に使うことができる。
(d)第2の実施形態においては,電子チップ消費サーバ装置1006が,上記(b)のデータベースの内容を一定期間毎に取得し,ユーザクライアント装置1011にユーザの保有するチップ残高等の電子チップに関する各種情報を送信する。
ユーザは,ユーザクライアント装置1011を使用して上記(c)のWeb-POSフォーム画面を表示させ,自分が保有する電子チップを自由に使うことができる。
(カ)以上によれば,引用発明において電子チップが発行された場合には,前記(ア)の請求項1に「前記ユーザに,そのユーザが保有する電子チップに関する情報を,電子チップ情報として供給し」と記載されているように,ユーザの端末装置に対して送信されるのは,チップ残高,有効期限,交換レート等の電子チップに関する情報であって,電子データである電子チップそれ自体はユーザの端末装置に送信されることはないものと認められ,引用例にはこれに反する記載はもちろん,電子チップそれ自体が送信されることを示唆する記載は存在しない。
ウ小活(ア)審決は,引用発明の電子チップが本願発明のゲーム的メリットと共通する(実質的具備事項5)とした上で,引用発明と本願発明とが「電子データであるメリットをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段」を有する点で一致すると認定している。しかしながら,上記ア及びイに認定説示したところによれば,本願発明は,ゲーム的メリットをネットワークを介して端末装置に送信するものであるのに対し,引用発明は,電子チップを端末装置に送信するものではないから,引用発明の電子チップが本願発明のゲーム的メリットと共通するかについても争いのあるところであるが,仮にこれが認められるとしても,引用発明が「電子データであるメリットをネットワークを介して端末装置に送信する送信手段」を有するとした審決の認定は誤りというべきである。
(イ)この点について,被告は,引用発明においては,電子チップ情報をクライアント装置に送信して供給することにより,消費あるいはゲームの進行に従った電子チップ数の演算及び表示をクライアント装置に実施させ,ひいてはユーザが電子チップを消費し,あるいはゲームの進行に従って電子チップ数を変化させることを可能としているから,電子チップ情報の供給は,実質的には,クライアント装置に対して利用可能な形態で電子チップを送信して供給するものであるということができると主張する。
しかしながら,引用発明において,ユーザがクライアント装置を使用してその保有する電子チップに関する情報を確認できたり,電子チップを使用できたりしたとしても,そのような機能を実現するための具体的構成は複数存在するのであって,引用発明と本願発明とでは同じ機能を実現するための具体的な構成が異なるのであるから,単に実現される機能が同一であるという理由から,両者の具体的な構成を同一視することはできないというべきである。
したがって,被告の上記主張は採用することができない。
(ウ)以上のとおり,審決は,引用発明を誤認したため,本願発明と引用発明との一致点についての認定を誤り,その結果,相違点を看過したものであるから,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
よって,その他の相違点の看過の有無を検討するまでもなく,取消事由1は理由がある。
2以上の次第で,取消事由1は理由があるから,他の取消事由について判断するまでもなく審決は違法であり,本件請求は理由がある。
第6結論よって,本件請求を認容することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 田中信義
裁判官 榎戸道也
裁判官 浅井憲