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関連審決 無効2007-800253
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審判番号(事件番号) データベース 権利
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関連ワード 守秘義務 /  29条1項3号 /  頒布された刊行物 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  非公知 /  不存在 /  営業秘密 /  設定登録 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10180号 審決取消請求事件
原告株式会社備後バルブ製造所
原告X
原告ら訴訟代理人弁護士村重慶一
被告東 京サイレン株式会社
訴訟代理人弁理士斉藤侑
同伊藤文彦
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/01/28
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告らの請求を棄却する。
2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が無効2007-800253号事件について平成20年4月11日にした審決を取り消す。
第2争いのない事実1特許庁における手続の経緯原告らは,発明の名称を「接合金具」とする発明につき,平成13年11月,( ),, 6日 特許出願し 特願2001-340822号平成19年1月26日特許権の設定登録を受けた(特許第3906462号。以下「本件特許」という。請求項の数は2である。。)被告は,平成19年11月12日,本件特許の請求項1及び2について無効審判を請求した(無効2007-800253号 。)特許庁は,平成20年4月11日 「特許第3906462号の請求項1及 ,び2に係る発明についての特許を無効とする 」との審決(以下「審決」とい 。
う )をした。。
以下,審決の表記にしたがって,本件特許の請求項1,2に記載された各発明を,順に「本件発明1「本件発明2」といい,甲1の1に記載されている 」,仕様と同一の仕様が記載されている海上自衛隊仕様書(仕様書番号「M4P-G-00827-2 ,名称「消防用ホース,艦船用 。甲3の7枚目ないし1 」 」4枚目,乙3の4,乙3の7)を「甲1仕様書」という。
2審決の理由の要点審決の理由は,別紙審決書写しのとおりである。
要するに,本件発明1及び2は,本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲1仕様書に記載された発明であって,特許法29条1項3号の規定に該当し特許を受けることができないものであり(無効理由1 ,ま)た,本件発明1及び2は,本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲2(特開2000-304185号公報)記載の発明及び甲1仕様書記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから(無効理由2 ,本件発明1及び2の特許は,無効とすべきものである,と )いうものである。
審決は,上記判断の前提として,?@甲1仕様書は,入札を目的として提供された文書であり,入札参加予定者及びそれ以外の相当数の業者が入手していたこと,?A被告は,平成13年3月27日,艦船用消防ホースの中間継手について,海上自衛隊の契約担当官との間で受注契約を締結し,請書(以下「本件請書」という。甲3,乙3の1)を作成,提出し,その控えを受領したこと,?B本件請書には甲1仕様書が添付されていたこと,から,甲1仕様書は,遅くとも被告が艦船用消防ホースの中間継手について受注契約を締結した平成13年3月27日までに不特定多数の者が見得るような状態におかれており,本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物であると認定した。また,審決は,?C甲1仕様書は受注契約の契約条項により守秘義務が課せられた文書ではない,?D甲1仕様書に係る物品である消防用ホースは,艦船に特有の形状・構造を有するとはいえないごく一般的なものであり,特段の軍事機密に属するものではない,と認定した。
第3原告ら主張の取消事由甲1仕様書が本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に該当するとした審決の認定には,以下のとおりの誤りがある。
1甲1仕様書が本件請書に添付されていたとの認定の誤り審決は,甲1仕様書が本件請書に添付されていたと認定したが,以下の理由により,その認定は誤りである。
すなわち,?@被告は,中間継手の入札に参加した上で,受注し,その受注契約の過程で本件請書を作成,提出し,その控えを受領したものであるから,本件請書に「消防用ホース,艦船用」の仕様書である甲1仕様書が添付されるのは不自然であり,?A本件請書(甲3の3枚目)には調達要求番号が記載されているのに対し,本件請書に添付されていたとされる甲1仕様書(甲3の7枚目ないし14枚目,乙3の4,乙3の7)には調達要求番号が記載されていないことからすれば,甲1仕様書は,本件請書に添付されていなかったものと認定するのが合理的であり,?B原告ら訴訟代理人が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という )に基づいて「平成13年度に 。
おける防衛庁(当時)に対する海上自衛隊仕様書(M4P-G-00827-2)による消防用ホース,艦船用に関する納入契約書(添付書類を含む 」の)開示請求を行ったところ 「開示請求に係る行政文書は,契約実績がないこと ,から,文書不存在につき不開示とします 」との行政文書不開示決定通知を受 。
けたことからも,甲1仕様書が本件請書に添付されていたことはないと推認できる。
2甲1仕様書は受注契約の契約条項により守秘義務が課せられた文書ではないとの認定の誤り審決は,甲1仕様書は受注契約の契約条項により守秘義務が課せられた文書ではないと認定するが,以下の理由により,その認定は誤りである。
すなわち,中間継手の受注契約においては,必ず契約書が作成され,契約書には秘密保全義務が規定され,甲1仕様書が綴られ,また,秘密の保護に関する特約条項が規定されるから( 入札及び契約心得」5.14参照 ,甲1仕様 「 )書は,契約条項による包括的な守秘義務の対象とされている。
3甲1仕様書は入札を目的として提供された文書で相当数の業者が入手していたことから不特定多数の者が見得るような状態におかれていたとの認定の誤り審決は,甲1仕様書は入札を目的として提供された文書で相当数の業者が入手していたことから不特定多数の者が見得るような状態におかれていたと認定するが,以下の理由により,その認定は誤りである。
?@入札及び契約心得防衛省装備施設本部 の 1 1 目的は防 「」() 「. ()」 ,「衛省装備施設本部・・・と・・・入札等に参加しようとする者,契約を締結しようとする者及び契約を締結した者・・・が知り,かつ,守らなければならない事項を定めるものとする 」と規定する。仕様書は,防衛省と契約を 。
締結しようとする者以外の一般人が知り得ない文書であり,契約を締結しようとする者も,入札の際は閲覧し若しくは貸与を受けるにとどまり,返還義務があるから 頒布されたとはいえない そのため 仕様書については入 ,。,,「札及び契約心得」により守秘義務が課せられている。
?A甲1仕様書は,防衛省における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準の第4,5(6)に規定する「防衛省・自衛隊の現有及び将来装備品等の機能,性能,構造,材質に係る情報であって,当該情報を開示することにより自衛隊の装備品等の質的能力が推察され,防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報」に該当し,情報公開法5条3号に基づき不開示とされる情報である。
?B甲1仕様書は,不正競争防止法2条6項に規定する営業秘密に当たり,被告の従業員が下請等に甲1仕様書を見せたとしても,甲1仕様書は公知とはならない。
4甲1仕様書に係る消防用ホースは特段の軍事機密に属するものではないとの認定の誤り審決は,甲1仕様書に係る消防用ホースは特段の軍事機密に属するものではないと認定するが,甲1仕様書には材質等の記載があり,材質は耐熱特性,運, , 用の限界に影響するから 甲1仕様書に係る消防用ホースは重要な秘密に属し審決の認定は誤りである。
第4被告の反論甲1仕様書が本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に該当するとの審決の認定に誤りはなく,原告ら主張の取消事由は理由がない。
1甲1仕様書が本件請書に添付されていたとの審決の認定に誤りはなく,この点に関する原告らの主張は理由がない。
すなわち,?@甲1仕様書は,中間継手の仕様書に引用された文書として,中間継手の仕様書とともに本件請書に添付されていたものであること,?A甲1仕様書は,中間継手の仕様書に引用された文書であったことから,本件請書に添付されていた甲1仕様書の写しには調達要求番号が記載されていなかったものであり,調達要求番号が記載されていなかったことに不自然な点はないこと,?B被告は,中間継手について受注契約を締結したものであるから,消防用ホースについて契約実績がない旨の行政文書不開示決定通知が行われたとしても,甲1仕様書が本件請書に添付されていたことと矛盾はないことから,審決の認定に誤りはない。
2甲1仕様書は受注契約の契約条項により守秘義務が課せられた文書ではないとの審決の認定に誤りはなく,この点に関する原告らの主張は理由がない。
すなわち,被告の中間継手の受注契約において,守秘義務を定めた契約条項はなく,秘密の保護に関する特約条項もない。したがって,甲1仕様書は契約条項による守秘義務の対象とされておらず,甲1仕様書は受注契約の契約条項により守秘義務が課せられた文書ではないとの審決の認定に誤りはない。
3甲1仕様書は入札を目的として提供された文書で相当数の業者が入手していたことから不特定多数の者が見得るような状態におかれていたとの審決の認定に誤りはなく,この点に関する原告らの主張は理由がない。
すなわち,?@甲1仕様書は 「入札及び契約心得」によって守秘義務が課せ ,られているとはいえず,?A情報公開法5条3号の情報に該当せず,?B不正競争防止法2条6項営業秘密にも該当しない。
4甲1仕様書に係る消防用ホースは特段の軍事機密に属するものではないので,その旨の審決の認定に誤りはなく,この点に関する原告らの主張は理由がない。
第5当裁判所の判断1当裁判所は,以下のとおり,甲1仕様書は本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に該当するとの審決の認定に誤りはないものと判断する。
( )甲1仕様書が本件請書に添付されていたとの認定について1ア原告らは,甲1仕様書が本件請書に添付されていたとの審決の認定は誤りであると主張し,その理由として,?@被告は,中間継手の入札に参加した上で,受注し,その受注契約の過程で本件請書を作成,提出し,その控えを受領したものであるから,本件請書に「消防用ホース,艦船用」の仕様書である甲1仕様書が添付されるのは不自然であり,?A本件請書(甲3の3枚目)には調達要求番号が記載されているのに対し,本件請書に添付( ,, されていたとされる甲1仕様書 甲3の7枚目ないし14枚目 乙3の4乙3の7)には調達要求番号が記載されていないことからすれば,甲1仕様書は,本件請書に添付されていなかったものと認定するのが合理的であると主張する。
しかし,原告らの上記各主張は,以下のとおり理由がない。
(ア)甲1(甲1の枝番号の表記は省略する,甲3,乙2,乙3の1な 。)いし8によれば,次の事実が認められる。
被告は,昭和30年ころから,一般競争入札及び指名競争入札の参加,() , 資格者として 防衛庁 現防衛省 の発注した防衛用装備品類等の製造販売を行っていた。被告は,艦船用消防ホースの中間継手について受注のための準備行為を行う過程において,平成11年3月ころ,防衛庁の担当部署から甲1仕様書の交付を受けた。甲1仕様書は,見積書を提出するために不可欠な資料として交付を受けたものであって,入札への参加を希望する資格者であれば誰でも入手できるものであった。また,甲1仕様書の交付を受けるに当たり,秘密保全に関して特別な義務は課されていなかった。被告は,製品を試作するために下請業者に製作依頼をしたが,その際も,被告は下請業者に対し,秘密保持契約の締結を求めるなどの対応はしなかった。
その後,被告は,海上自衛隊の担当部署から,被告を発注先とする旨の連絡を受け,平成13年3月27日,艦船用消防ホースの中間継手の製造,販売について,海上自衛隊の契約担当官との間で受注契約を締結した。被告は,受注契約締結に際し,本件請書(甲3,乙3の1)を4通作成,提出し,そのうち1通を控えとして受領した。本件請書には,中間継手についての海上自衛隊仕様書(物品番号等「GQ4730-335-23565 ,仕様書番号「M4P-G-00617-3 ,名称 」 」「中間継手,MS40×MS65 。甲3の3枚目ないし6枚目,乙3 」の3。以下「本件中間継手仕様書」という )が添付されていた。本件 。
中間継手仕様書には,以下の記載がある。
「引用文書この仕様書に引用する次の文書は,この仕様書に規 1.3定する範囲内において,この仕様書の一部をなすものであり,入札書又は見積書の提出時における最新版とする。
)規格・・・a)仕様書M4P-G-00827消防ホース,艦船用」 bそして,本件請書には,本件中間継手仕様書とともに甲1仕様書が添付されていた。
(イ)上記の事実によれば,甲1仕様書は,仕様書番号が「M4P-G-00827-2」であり,名称が「消防用ホース,艦船用」と表記されているから,本件中間継手仕様書に引用文書として記載された「仕様書M4P-G-00827消防ホース,艦船用」の最新版に該当すること,また,甲1仕様書は,本件中間継手仕様書とともに,本件中間継手仕様書に引用される形式の文書として本件請書に添付されたことが認められる。
なお,受注契約に際して作成された本件請書に添付された本件中間継手仕様書には,調達要求番号()が記載されてい 「」12-2-6645-6104-2334るのに対し,本件請書に添付されていたとされる甲1仕様書には,調達要求番号は記載されていない。しかし,本件請書に添付された甲1仕様, , 書は 本件中間継手仕様書に引用される形式で付された文書であるから調達要求番号が記載されていなかったことは不自然でない。
以上のとおり,原告らの上記?@及び?Aの主張は理由がない。
イまた,原告らは,原告ら訴訟代理人が情報公開法に基づいて「平成13年度における防衛庁(当時)に対する海上自衛隊仕様書(M4P-G-00872-2)による消防用ホース,艦船用に関する納入契約書(添付書類を含む 」の開示請求を行ったところ 「開示請求に係る行政文書は,契 ) ,約実績がないことから,文書不存在につき不開示とします 」との行政文 。
書不開示決定通知を受けたことからも,甲1仕様書が本件請書に添付されていたことはないと推認できると主張する。
しかし,原告らの上記主張は,以下のとおり理由がない。
すなわち,原告ら訴訟代理人は,平成20年9月2日,情報公開法に基づいて「平成13年度における防衛庁(当時)に対する海上自衛隊仕様書(M4P-G-00872-2)による消防用ホース,艦船用に関する納入契約書(添付書類を含む 」の開示請求を行ったところ(甲14 ,同月 ) )29日 「開示請求に係る行政文書は,契約実績がないことから,文書不 ,存在につき不開示とします 」との行政文書不開示決定通知(甲15)を 。
受けたことが認められる。しかし,被告は,消防用ホースそのものではなく,その中間継手について受注契約を締結し,甲1仕様書は本件中間継手仕様書の引用文書として本件請書に添付されたものであるから,被告に消防用ホースについて契約実績がない旨の行政文書不開示決定通知が行われたとしても,甲1仕様書が本件請書に添付されていたことと矛盾するものではない。
ウ以上のとおり,原告らの主張は理由がなく,甲1仕様書が本件請書に添付されていたとの審決の認定に誤りはない。
( )甲1仕様書は受注契約の契約条項により守秘義務が課せられた文書では2ないとの認定について原告らは,中間継手の受注契約においては,必ず契約書が作成され,契約書には秘密保全義務が規定され,甲1仕様書が綴られ,また,秘密の保護に関する特約条項が規定されるから( 入札及び契約心得」5.14参照 , 「 )甲1仕様書は,契約条項による包括的な守秘義務の対象とされていると主張する。
しかし,原告らの主張は,以下のとおり理由がない。
まず,被告が締結した受注契約に甲1仕様書を秘密とする旨の契約条項が定められていたことや,甲1仕様書を秘密とする旨の特約が別途締結されたことを認めるに足りる証拠はない。
次に,被告が締結した受注契約には,防衛省の製造請負契約条項が適用され,同条項は,秘密の保持について 「第46条甲及び乙は,この契約の ,履行に際し知得した相手方の秘密を第三者に漏らし,又は利用してはならない ・・・乙は,特約条項の定めるところにより,秘密の保全を確実にしな 。
ければならない 」と規定している(甲8の6 。上記46条1項の規定は, 。 )秘密とされる事項が存在する場合に,それを前提に,漏泄,利用を禁止する,,,「」, 条項であるところ 後記( )のとおり 甲1仕様書は入札及び契約心得3情報公開法又は不正競争防止法に基づいて秘密と認められるものではなく,後記( )のとおり,甲1仕様書に係る消防用ホースは軍事上の秘密に属する4ものとは認られないから,上記46条1項に基づいて,甲1仕様書について実質的に守秘義務が課せられることはない。
さらに 「入札及び契約心得」5.14.1は,契約条項に定める場合の ,ほか,秘密の保護等に関する特約条項が添付されている場合に当該特約条項の定めるところにより秘密の保全に万全を期さなければならないと規定する(甲8の5 。しかし,前記のとおり,被告が締結した受注契約に甲1仕様 )書を秘密とする旨の契約条項が定められていたことや,甲1仕様書を秘密とする旨の特約が別途締結されたことを認めるに足りる証拠はないから,そのような契約条項や特約の規定に基づいて甲1仕様書について守秘義務が課せられることはない。
以上のとおり,原告らの上記主張は,採用することができない。
( )甲1仕様書は入札を目的として提供された文書で相当数の業者が入手し3ていたことから不特定多数の者が見得るような状態におかれていたとの認定についてア原告らは,仕様書については 「入札及び契約心得」により守秘義務が ,課せられていると主張するが,以下のとおり理由がない。
すなわち 「入札及び契約心得」の「1.1(目的 」は 「防衛省装備 , ),施設本部・・・と・・・入札等に参加しようとする者,契約を締結しようとする者及び契約を締結した者・・・が知り,かつ,守らなければならな。」(),, い事項を定めるものとすると規定するところ 甲8の1この規定は「入札及び契約心得」の一般的な目的を規定しているにすぎず,この規定から仕様書についての守秘義務を導くことはできない。また,前記( )の2とおり 「入札及び契約心得」5.14.1に基づいて甲1仕様書につい ,,,「」 て守秘義務が課せられているとは認められず 他に入札及び契約心得により甲1仕様書の守秘義務が根拠づけられると認めるに足りる証拠はない。
また,甲12,乙2,乙5ないし7及び弁論の全趣旨によれば,?@省庁の一般競争入札及び指名競争入札の参加資格を有する者は相当数存在すること,?A甲1仕様書を含む海上自衛隊の仕様書は,海上自衛隊の入札広告に対して応札意思を示し,資格審査結果通知書を提示した者に配布されること,?B甲1仕様書は,平成13年4月1日から情報公開の開示対象であったことが認められ,前記( )のとおり,甲1仕様書は本件請書にも添付1されたものである。そうすると,甲1仕様書は,遅くとも被告が本件請書を作成,提出し,本件請書とともにそこに添付された甲1仕様書を受領した平成13年3月27日には,不特定多数の者が見得る状態にあり,配布, 。 を受けることが可能であったのであるから 頒布されたものと認められる原告らは,仕様書は,契約を締結しようとする者が閲覧し若しくは貸与を受けるにとどまり,返還義務があるから,頒布されたとはいえないと主張するが,仮に受注契約に至らなかった入札資格者が甲1仕様書について返還義務を負うとしても,入札資格者であれば,閲覧し,貸与を受けることは可能であったのだから,頒布されたといえる。
したがって,原告らの上記主張は理由がない。
イ原告らは,甲1仕様書は,防衛省における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準の第4の5(6)の規定に該, 。 当し 情報公開法5条3号に基づき不開示とされる情報であると主張するしかし,原告らの上記主張は,以下のとおり理由がない。
すなわち,甲1仕様書に係る消防用ホースは,後記( )のとおり,艦船4に特有の形状・構造を有するものとは認められず,ごく一般的なものであると認められ,甲1仕様書は,防衛省における行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく処分に係る審査基準の第4の5(6)の「防衛省・自衛隊の現有及び将来装備品等の機能,性能,構造,材質に係る情報であって,当該情報を開示することにより自衛隊の装備品等の質的能力が推察され,防衛省・自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じさせるおそれがあると認められる情報 (甲9)に該当するとは認められず,情報公 」開法5条3号の情報に該当するとは認められない。
ウ原告らは,甲1仕様書は,不正競争防止法2条6項に規定する営業秘密,, , に該当し たとえ 被告の従業員が下請等に甲1仕様書を見せたとしても甲1仕様書は公知とはならないと主張する。
しかし,甲1仕様書については,秘密管理性,非公知性など不正競争防止法2条6項が規定する要件を充足すると認めるに足りる証拠はないから,甲1仕様書が不正競争防止法2条6項に基づいて秘密であると認めることはできず,原告らの上記主張は理由がない。
以上のとおり,甲1仕様書は,不特定多数の者が見得る状態にあったものと認められ,頒布されたと認められるから,甲1仕様書は入札を目的として提供された文書で相当数の業者が入手していたことから不特定多数の者が見得るような状態におかれていたとの審決の認定に誤りはない。
( )甲1仕様書に係る消防用ホースは特段の軍事機密に属するものではない4との認定について原告らは,甲1仕様書には材質等の記載があり,材質は耐熱特性,運用の限界に影響するから,甲1仕様書に係る消防用ホースは重要な秘密に属するものであって,同消防用ホースは特段の軍事機密に属するものではないとの審決の認定は誤りであると主張する。
しかし,原告らの主張は,以下のとおり理由がない。
すなわち,甲1仕様書の材質に関する記載をみると 「材料・構造」 ,2.3の項に,次のとおり記載されている(甲3の7枚目ないし14枚目,乙3の4,乙3の7 。)「材料・構造材料及び構造は,次によるほか付図1による。
2.3ジャケット 2.3.1)ジャケットは,縦糸に綿糸,横糸にポリエステル繊維糸を使用する aものとする。
)ジャケットは,自治省令に規定する消防用ゴム引きホースとする。
b結合金具結合金具は,MS継手本体,接合環,エキスパンション 2.3.2リング,MSパッキン及びホースパッキンからなる。
保護布材料は,合成繊維とし,織り方は,丸織りとする 」2.3.3 。
上記記載によれば,甲1仕様書の材質に関する記載は,その内容に鑑みて,一般の消防用ホースの材料・構造と異なる特徴はなく,一般のホースと異なる耐熱特性や運用の限界を画するような記載もなく,甲1仕様書の「製品に関する要求」などの記載に照らしても,甲1仕様書に係る消2.防用ホースは,艦船に特有の形状・構造を有するものとは認められず,ごく一般的なものであると認められ,軍事上の秘密に属するものとは認められない。
したがって,原告らの主張は理由がなく,甲1仕様書に係る消防用ホースは特段の軍事機密に属するものではないとの審決の認定に誤りはない。
( )公知刊行物への該当性5前記( )のとおり,甲1仕様書は,遅くとも平成13年3月27日の時点3で,不特定多数の者が見得る状態にあり,頒布されたと認められるから,本件特許出願前に日本国内において頒布された刊行物に該当し,その旨の審決の認定に誤りはない。
2結論以上のとおり,原告ら主張の取消事由は理由がない。原告らはその他縷々主張するが,審決にこれを取り消すべきその他の違法もない。
よって,原告らの本訴請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 中平健
裁判官 上田洋幸
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