関連ワード | 技術常識 / 発明の詳細な説明 / 実質的に同一 / 実施 / 構成要件 / 設定登録 / 訂正審判 / 請求の範囲 / 減縮 / 変更 / |
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事件 |
平成
20年
(行ケ)
10170号
審決取消請求事件
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原告大 和製衡株式会社 訴訟代理人弁理 士角田嘉宏 同 古川安航 同 佃誠玄 被告株 式会社イシダ 訴訟代理人弁護 士伊原友己 同 岩坪哲 同 加古尊温 同 速見禎祥 訴訟代理人弁理 士吉村雅人 同 藤岡宏樹 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2008/10/27 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1原告の請求を棄却する。 2訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1請求特許庁が無効2007-800148号事件について平成20年4月1日にした審決を取り消す。 第2事案の概要1本件は,被告が有しかつ被告の訂正審判請求に基づき平成19年3月8日付けでこれを認める審決かなされた後記特許について,原告が無効審判請求をしたところ,特許庁から請求不成立の審決を受けたことから,その取消しを求めた事案である。 2争点は,被告がした上記訂正が実質上特許請求の範囲を変更するもので許されないものであるか(平成6年法律第116号による改正前の特許法126条2項),である。 第3当事者の主張1 請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯被告は,昭和61年11月15日,名称を「計量装置」とする発明について特許出願をし,平成9年8月8日,特許第2681104号として設定登録を受けた(発明の数1。特許公報は甲2。以下「本件特許」という。)。 被告は,平成19年2月13日付けで本件特許について訂正審判請求(訂正2007-390016号,甲8)をしたところ,特許庁は,平成19年3月8日付けで訂正を認める審決(甲1)をした(以下この訂正を「本件訂正」という。)。 これに対し原告は,平成19年7月27日付けで,本件訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものであるから訂正の要件を欠くことを理由(特許法123条1項8号)に本件特許につき無効審判請求をした(甲7)ので,特許庁は,同請求を無効2007-800148号事件として審理した上,平成20年4月1日「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は平成20年4月11日原告に送達された。 (2) 発明の内容ア 本件訂正前本件訂正前の【特許請求の範囲】第1項は,次のとおりである(以下「本件発明」という。)。 「被計量物品を貯蔵し排出するホッパと,該ホッパの排出口に設けられたゲートと,該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって,前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け,被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置。」イ 本件訂正後本件訂正後の【特許請求の範囲】第1項は,次のとおりである(以下「本件訂正発明」という。下線部が訂正部分)。 「被計量物品を貯蔵し排出するホッパと,該ホッパの排出口に設けられたゲートと,該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって,前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け,前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とする計量装置。」(3) 訂正の内容本件訂正の内容は,【特許請求の範囲】第1項を前記(2)のとおり訂正するほか,「発明の詳細な説明」(特許公報[甲2]2頁3欄27行〜35行)を,次のとおり訂正するものである(下線部が訂正部分)。 ア 本件訂正前「本発明の計量装置は,被計量物品を貯蔵し排出するホッパと,該ホッパの排出口に設けられたゲートと,該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって,前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け,被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」(甲2,2頁3欄27行〜35行)イ 本件訂正後「本発明の計量装置は,被計量物品を貯蔵し排出するホッパと,該ホッパの排出口に設けられたゲートと,該ゲートを開閉駆動するモータとを備えた計量装置であって,前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,設定されたゲートの動作変化に基づいて前記モータを制御する制御手段とを設け,前記入力手段はコントロールパネルに含まれており,被計量物の種類や供給量に応じて前記ゲートの動作を任意に制御できるようにしたことを特徴とするものである。」(4) 審決の内容審決の内容は,別添審決写しのとおりである。その理由の要点は,本件訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的としたものであり,実質上特許請求の範囲を変更するものでもないから,平成6年法律第116号による改正前の特許法126条1項ただし書及び同条2項に違反することはなく,本件特許を無効とすることはできない,というものである。 (5) 審決の取消事由しかしながら,審決には,以下のとおり誤りがあるから,違法なものとして取り消されるべきである。 ア 本件発明の要旨(ア)本件訂正前の【特許請求の範囲】における「入力手段」は,「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する」ものであるから,設定及び入力される対象(パラメータ)は,「ゲートの動作変化」に他ならない。 一方,本件特許明細書(甲2)の【発明の詳細な説明】において「入力手段」たるコントロールパネルにより設定及び入力されているのは,「ゲートの動作変化」ではなく「モータのパルス周期,パルス数,回転方向」である(2頁3欄39行以下等)。 (イ)そこで,「入力手段」による設定及び入力の対象に関し,「ゲートの動作変化」すなわちゲートのパラメータと「モータのパルス周期,パルス数,回転方向」すなわちモータのパラメータとの関係が問題となる。 一般に,「モータの動特性データ」に基づいて設定対象たる「ゲートの動作変化」が容易に予想できなければ,ゲートの動作変化を任意に設定することなどできない。 しかし,本件特許明細書(甲2)記載の実施例では,モータのパラメータとゲートのパラメータとが実質的に同一視できることを前提として「任意の設定」を可能にしている。すなわち,本件特許明細書では,「ゲートとモータとの間でパラメータが比例関係にある,あるいはこれと同程度の簡明な関係すなわち実質的に同一視できる関係にある」との前提に基づき終始一貫した記載がされている。 具体例を挙げれば以下の通りである。 a【第2図】の構成【第2図】を見ると,横軸を時間とし,縦軸をパルス数とするグラフが描かれており,縦軸には,パルス数100のところに「半開」,パルス数200のところに「全開」との記載がある。したがって,ゲートの開度(角度)とパルス数とが比例するものとされていることになる。 b【第2図】のタイトル【図面の簡単な説明】欄の記載によれば,【第2図】は「ホッパゲートの動作特性図」である。一方,【発明の詳細な説明】2頁4欄9行には,「第2図は,ステップモータの動作サイクル図であり,」と記載されている。したがって,【第2図】は「ホッパゲートの動作特性図」であると同時に「ステップモータの動作サイクル図」でもあるということになる。 cその他の実施例の記載【発明の詳細な説明】の「…開度が100%,周期も100%に指定された時は,パルス周期(Ti)の各定数をそれぞれ1/2に,パルス数(Pi)の各定数をそれぞれ2倍にした新たなテーブルをコンピュータ内部で作成して記憶する。」(3頁5欄17行〜20行)という記載や,「…開度が75%であれば,Tiの各定数は3/4に,Piの各定数は4/3倍にそれぞれ変更され,又,周期が200%に指定された時は,パルス周期(Ti)の各定数はそれぞれ2倍に変更される。」(3頁5欄22行〜26行)などの記載からも,ゲート開度とモータ角度とが比例関係にあることがはっきりと認められる。 (ウ)そして,本件特許明細書(甲2)において,ゲート開度とモータ角度とが比例関係にない構成については,一切,記載や示唆がない。 (エ)当業者の技術常識に立脚して本件特許明細書(甲2)を読む限り,本件発明は,ゲートとモータとの間にパラメータの比例関係(あるいはこれと同程度の簡明な関係,すなわち実質的に同一視できる関係)が存在することを前提として,「モータの動特性データをテーブルに入力することでゲートの動作変化を任意に設定する」,すなわち,操作者の意図した通りに簡単にゲートの動作変化を自由自在に設定入力できるという機能が実現されているのである。 イ 本件訂正発明の要旨本件訂正後の【特許請求の範囲】における「入力手段」は,「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する」ものである。本件訂正発明において,「入力手段」による設定及び入力の対象は,「ゲートの動作変化」ではなく,あくまで「モータの動特性データ」であることになった。本件訂正発明においては,単にゲートとモータとの間に相応の対応関係が存在し,モータの動特性データを入力さえできればよい。「ゲートの動作変化」は「モータの動特性データ」と実質的に同一視できる必要はない。 このような訂正により,「入力手段」による設定及び入力の対象(パラメータ)が変更されたことは明らかである。 ウ以上の点に照らせば,本件訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものに該当することは明らかであり,本件訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものに該当しないとした審決は誤りである。 2 請求原因に対する認否請求原因(1)ないし(4)の各事実は認めるが,(5)は争う。 3被告の反論(1)本件訂正は,本件訂正前の構成要件である「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段」を,「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段」と具体化したものである。 入力手段による設定の対象は本件訂正前後において一貫して「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化」であって,その具体的な設定手段が限定されたにすぎないものであるから,設定対象が変わったかのように述べる原告の主張は理由がない。 (2)訂正前明細書である本件特許明細書(甲2)には,「本発明の計量装置は,ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを,被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに,パルス周期,パルス数,回転方向等に関して設定しておき,該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので,ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調整でき,計量スピードも任意に変えることができる。」と記載されており(2頁3欄37行〜43行),モータの動特性データを設定することでゲート開度等を任意に調整するという本件訂正発明の要旨が開示されている。 ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化をモータの動特性データとして任意に設定することが本件訂正発明の要旨あり,「ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化」と「モータの動特性データ」が何らかの意味で「同一」であることは,本件訂正発明の要旨ではない。 (3)したがって,本件訂正が特許請求の範囲の実質変更に該当するとの原告の主張は理由がなく,審決に取り消されるべき瑕疵は存在しない。 第4 当裁判所の判断1請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(訂正の内容),(4)(審決の内容)の各事実は,当事者間に争いがない。 2取消事由について(1)前記第3,1(2)アのとおり,本件訂正前の【特許請求の範囲】第1項は,入力手段について,「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を任意に設定する入力手段と,」と規定していたから,入力手段の設定の対象は「ゲートの動作変化」である。 これに対し,前記第3,1(2)イのとおり,本件訂正後の【特許請求の範囲】第1項は,入力手段について,「前記ゲートの開き始めから閉じるまでの刻々の動作変化を前記モータの動特性データとしてテーブルに任意に設定する入力手段と,」と規定している。この文言からすると,本件訂正後であっても,入力手段の設定の対象は「ゲートの動作変化」であって,それを「モータの動特性データ」として設定すると特定したものということができる。 したがって,入力手段の設定の対象が本件訂正の前後で変更されたということはできないから,その旨の原告の主張はこれを採用することができない。 (2)ア一方,本件特許明細書(甲2)には,【発明の詳細な説明】として次の記載がある。 (ア) 作用「本発明の計量装置は,ホッパゲートを開閉駆動するモータの動特性データを,被計量物品の種類や供給量に応じて予めテーブルに,パルス周期,パルス数,回転方向等に関して設定しておき,該テーブルの情報に応じてホッパゲートを開閉制御するので,ゲート開度を被計量物の供給量に応じて任意に調製でき,計量スピードも任意に変えることができる。また,前記モータの動特性データを外部記憶装置に複数記憶し,必要に応じて切り替えられるので,複数の被計量物のデータを記憶しておき被計量物が変わったときに迅速にデータの変更ができる。」(2頁3欄37行〜46行)(イ) 実施例a「第2図は,ステップモータの動作サイクル図であり,例えば,ステップモータを100パルスドライブするとホッパゲートが半開となり,200パルスドライブしたときにホッパゲートが全開となるように設定されているとする。」(2頁4欄9行〜13行)「…ホッパゲートの開度設定に際しては,例えば,第4図(a)に示すようなメッセージを表示装置に表示させて,開度,周期を指定する。そして,例えば開度が100%,周期も100%に指定された時は,パルス周期(Ti)の各定数をそれぞれ1/2に,パルス数(Pi)の各定数をそれぞれ2倍にした新たなテーブルをコンピュータ内部で作成して記憶する。これにより,変更後のテーブル情報は,第2図の点線で示す全開の動作曲線に対応したものとなる。同様に,開度が75%であれば,Tiの各定数は3/4に,Piの各定数は4/3倍にそれぞれ変更され,又,周期が200%に指定された時は,パルス周期(Ti)の各定数はそれぞれ2倍に変更される。 但し,以上の例は,半開の場合を基準にしたものであって,全開のテーブル情報を予めコンピュータに登録した場合は,開度指定に伴う各パラメータ(Ti,Pi)の倍率は異なって来る。即ち,開度100%と指定された時は,各パラメータの定数はそのままで良いが,開度が50%に指定された時は,パルス周期(Ti)の各定数は2倍に,パルス数(Pi)の各定数は,それぞれ1/2に変更される。 こうして,ステップすなわち,ゲートの開閉スピード,加速度,開度を計量物品の種類や貯蔵量に応じたそれぞれのモータの動作特性値が作成され記憶されると,コンピュータは,この情報に基づいてステップモータを駆動する。」(3頁5欄14行〜39行)b「計量中は他の処理例えば,入出力装置からの信号をチェックし,その信号に基づいた処理を行ない(ステップP2),レバーをローラから退避させて,ローラとの間に所定のクリアランスを設けておくが,計量が終ると,直ちにステップモータを微小ステップ数だけドライブして,レバーをローラに軽く接触させておく(ステップP1,P3)。この場合,ゲートの開閉リンクには若干の遊びがあるので,ゲートは閉じたままである。そして,組合せ演算の結果,選択されて排出指令を受けると,ステップモータを直ちにドライブして,レバーにより,応答遅れなくローラをプッシュしてゲートを開放させる(ステップP4〜P6)。そして,ゲートの閉鎖サイクルでは,レバーとローラとの間に所定のクリアランスが生じる初期位置まで,ステップモータの逆回転でレバーを引き戻す(ステップP7)。また,組合せ選択されなかった計量ホッパに対しても,次の計量に備えて,レバーを初期位置まで引き戻しておく。」(3頁6欄下1行〜4頁7欄16行)(ウ) 発明の効果「以上説明したように,本発明によれば次のような効果が得られる。 (1)ホッパの供給量に応じてゲート開度を任意に調整することができるので,供給量に応じて計量スピードを変えることができる。 (2)ゲート開閉の動作特性を入力装置で簡単に変えることができるので,設計の自由度が増し,あらゆる被計量物の性状に応じたゲート開閉制御を行なうことができる。特に粘着性のある被計量物に対しては,ゲートを開放した姿勢でゲートに微振動を与えることができるので,付着による計量誤差をなくすことができる。 (3)各ホッパ毎に任意に開閉スピードを変えることができるので,親子計量のような特殊な計量方式のものにも使用でき,又,…時間差排出を行なわせることもできる。…(4)ゲートをどのように開閉させるかは,データとして登録しておくことができるので,…被計量物の性状に応じた最適なゲート開閉データを被計量物毎にメモリに登録しておき,被計量物を指定すれば,登録された所定のデータが呼び出されて最適なゲートの開閉を行なわせることができる。又,目標重量値の大小に応じても同様にできる。 (5)ゲート開閉リンクの摩耗によってゲート開閉時の騒音が大きくなっても,ゲート開閉特性をデータの変更によって調整することにより簡単に騒音を押さえることができる。」(4頁7欄26行〜8欄22行)イまた,本件特許明細書(甲2)に,【図面の簡単な説明】として「第2図…はホッパゲートの動作特性図,」との記載がある。 ウそして,本件特許の図面(甲2)として,下記の【第2図】が記載されている。 エ前記第3,1(2)アの本件訂正前の【特許請求の範囲】第1項に,上記ア〜ウの本件特許の明細書及び図面の記載を総合すると,訂正前の本件発明は,「ゲートとモータとの間でパラメータが比例関係にある,あるいはこれと同程度の簡明な関係すなわち実質的に同一視できる関係にある」ものに限られると解することはできない。すなわち,本件訂正前の【特許請求の範囲】第1項にそのような限定はないし,本件特許明細書(甲2)の【発明の詳細な説明】を見ても,「作用」や「発明の効果」にそのような限定はなく,かえって,ゲート開度や計量スピードを任意に調整することができることが記載されている。また,「実施例」には,上記ア(イ)aのとおり,ゲートとモータとの間でパラメータが比例関係にあるものが記載されているが,これは実施例の記載である上,さらに,上記ア(イ)bのとおり,ゲートの動作とモータの動作とを常に対応させて動かすものではないことが記載されている。したがって,訂正前の本件発明が「ゲートとモータとの間でパラメータが比例関係にある,あるいはこれと同程度の簡明な関係すなわち実質的に同一視できる関係にある」ものに限られると解することはできない。 以上述べたところは,本件訂正発明についても同様である。 オ以上のとおり,訂正前の本件発明は「ゲートとモータとの間でパラメータが比例関係にある,あるいはこれと同程度の簡明な関係すなわち実質的に同一視できる関係にある」ものであるが,本件訂正発明は,そのようなものではないとの原告の主張を採用することはできない。 (3)よって,本件訂正は実質上特許請求の範囲を変更するものに該当することはなく,その旨の審決の判断に誤りがあるということはできない。 3結論以上のとおりであるから,原告主張の取消事由は理由がない。 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 中野哲弘 |
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裁判官 | 森義之 |
裁判官 | 澁谷勝海 |