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審判番号(事件番号) データベース 権利
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平成19ネ10005損害賠償等請求控訴事件 判例 特許
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事件 平成 19年 (ネ) 10087号 特許権侵害差止等請求控訴事件
控訴人株 式会社タニタ
同訴訟代理人弁護士安江邦治
被控訴人株式会社オーワメディカル
同訴訟代理人弁護士藤井信孝
同訴訟代理人弁理士藤井重男
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2008/06/05
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
全容
第1控訴の趣旨1原判決を取り消す。
, ,,, 2 被控訴人は 別紙物件目録記載1ないし8の物を輸入し 使用し 譲渡し貸し渡し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
 被控訴人は,別紙物件目録記載1ないし8の物を廃棄せよ。
 被控訴人は,控訴人に対し,2000万円及びこれに対する平成19年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。
4上記2,3につき仮執行宣言第2事案の概要(本判決においては,当事者,商品名,構成要件等の略称は原判決の用いた略称と同様の意味で用いることとする )。
1本件訴訟は,1審原告である控訴人が,1審被告である被控訴人に対し,本件特許権に基づいて,被控訴人が輸入販売しているとする被控訴人物件が本件特許権を侵害すると主張し,特許法100条1項に基づく輸入等の差止め,同条2項に基づく在庫品の廃棄並びに同法102条2項に基づく損害賠償金2000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成19年3月25日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ求めたものである。
2原審は,?@被控訴人が本件製品5及び8を輸入し,日本国内で販売しているものと認めることができない,?A被控訴人が輸入し,日本国内で販売している本件製品1ないし4,6及び7(輸入自認物件)は,本件発明の構成要件中の「靴下の無い足上部に接触する足用電極を上部のU字形状の両内側に備え前記載置台上に配設された足用アタッチメントと」を充足していることの立証はない,?B本件出願の願書に最初に添付した明細書及び図面(当初明細書)には,「」 , 足裏用電極 を構成要件としない構成を記載していると認めることはできずまた 「足裏用電極」を構成要件としない構成が当初明細書の記載から自明で ,あったと認めることができないにもかかわらず,補正後の本件発明は 「足裏,用電極」を具備しない体内脂肪重量計もその技術的範囲に含むものであって,同補正は,当初明細書に記載した事項の範囲内でする補正といえず,特許法17条の2第3項に該当し無効とされるべきものであり,控訴人は,同法104条の3によりその権利を行使することができないとして,控訴人の請求をすべて棄却した。そこで,控訴人が,本件控訴を提起した。
第3当事者の主張1当事者双方の主張は,次に付加するほか,略称も含め,原判決の「事実及び理由」欄の第2「事案の概要」の1「前提事実 ,2「争点」及び3「争点に 」関する当事者の主張」のとおりであるから,これを引用する。
2控訴人の主張の要点 被控訴人物件による本件特許権侵害についてア本件製品5及び8について原判決は「被控訴人は,少なくとも本件製品5及び8について,販売の申出をしているものである 」と認定判断する。 。
したがって,本件製品5及び8は,少なくとも本件差止請求の対象となる。
イ争点3(構成要件Bの充足)についての原判決の誤りについて 原判決は,第2の電極が設けられた「足用アタッチメント」は 「器,具・機械の付属品」であり 「体重測定装置に取り付け,取り外し可能 ,であるもの」を意味するから 「足首電極支柱4が体重測定装置1の上 ,」,「」 面1aに固定されている 輸入自認物件は構成要件Bを充足しないという。
しかし,原判決の上記認定判断は,余りにも形式的「用語 (部材の 」名称)にとらわれた誤ったものである。
本件発明における構成要件Bにおいて重要なのは,靴,靴下を着用したままで生体インピーダンスを測定する非拘束性の「足用電極 (靴下」の無い足上部に接触する電極)の有無であって,この電極が体重測定装置への着脱自在な「足用アタッチメント」に設けられているか,あるいは体重測定装置の上面に固定された部材上に設けられているかは,大した問題ではない。
何となれば,本件発明において 「足用アタッチメント」が体重測定 ,装置の上面に取り付けられた場合,体重測定装置の固定的な一部材を構,「」 「」 成するのであるから足用アタッチメント が 器具・機械の付属品であるのは,体重測定装置に取り付けられるまでの状態であるにすぎない。
 このことは,輸入自認物件における「足首電極7」においても同じことがいえる 輸入自認物件における 足首電極7足首電極支柱4足 。「」「」「首電極支持筐体5」等からなる「足首電極部6」は,本体部分に取り付けられる付属品であり,これが体重測定装置の本体部分の表面に固定的に取り付けられているにすぎない。
甲13は,輸入自認物件の一つである本件製品2の輸入承認申請書であるが,同号証3枚目の別紙1-2の「外観図」から明らかなとおり,同型式の装置は「足首電極」が存在せず 「足裏用電極」の存在する本 ,体部分(同号証4枚目の別紙1-3)と足首電極部分(同号証5枚目の別紙1-4)から成る「体成分分析器」として輸入申請されている。
同外観図の中上の図及び下方の部材一覧表から明らかなとおり,本件,「」(「()」,「()」) 製品2には足裏用電極電極板 大 10電極板 小 11が本体部分の体重測定装置の載置台の上面に設けられ,かつ,体重測定装置の中央下部に「足首電極用カバー12」が取り付けられている。そして,このカバーが取り外されたとき,その位置に「足首電極支柱4」が取り付けられるようになっている。
すなわち 甲13の別紙1-3には 本体部分別紙1-4には 本 ,「」,「」「」 , 体部分 とは別体の 足首電極部分 が存在することが明記されておりさらに,別紙1-4の中段の図において「足首電極支柱4」に相当する部材の下部に「本体部分」に嵌合される突起が示されていることから明らかなとおり 「足首電極部分」はアタッチメントとして存在し,これ ,が「本体部分」に嵌合取付けされることになるのである。
以上に述べたところから明らかなとおり,原判決は誤っており,輸入自認物件は,本件発明の構成要件Bを充足する。
 控訴人の知的財産室室長作成の陳述書である甲14は イ号物件の 足 ,「首電極支柱4」がどのようにして「体重測定装置1の上面1aに固定されている」かについて,その実体を明らかにしている。
イ号物件は,甲14に示すとおり,着脱自在な「足首電極支柱4」を体重測定装置1の上面1a上に嵌合固定している。
なお,イ号物件の構成は,甲6の1ないし8のホームページの図からは必ずしも明らかではないが,その現物においては,いずれも,体重測定装置1の上面1a上に「足裏用電極」が現に存在し,かつ 「足首電 ,極支柱4」は同上面1a上に着脱自在に勘合固定されている(甲6の1は 「足首電極」につきオプションであること(着脱自在な部材である ,こと)を明記している。。)イ号物件においては 上記のとおり足裏用電極 という 電極正 ,,「」「」(確には「電極となり得るもの )が体重測定装置1の上面1a上に存在 」してはいるが,機能的観点からみると 「足首電極」が体重測定装置1 ,の載置台の下に収納された生体インピーダンスを測定するための電気回路及び同測定されたインピーダンスにかかる信号を演算処理装置に送信する電気的手段を組み込んだ「基板」に電気的に接続され 「足裏用電 ,極」を利用しない構成となっている。
しかし 「足裏用電極」に配線を施し,上記「基板」に電気的に接続 ,させると「足裏用電極」は現に機能し,かつ 「足首電極」と「足裏用 ,電極」を選択できるような構成となっていることが分かる。
上記のとおり,イ号物件は 「足裏用電極」の利用の余地を残しつつ ,も,着脱自在な「足首電極支柱4」を体重測定装置1の上面1aに嵌合固定し 「足首電極 (足用電極)を通じて,被測定者の生体インピーダ ,」ンスを測定する構成から成るものであるから,本件発明の構成要件Bを充足するものである。
 補正制限違反について原判決は,本件発明(請求項14の特許発明)につき,補正制限違反により特許無効であるとする。しかし,原判決の上記認定判断は,本件発明を正しく理解しないところからくる誤ったものである。
ア本件出願に係る発明について願書に添付した明細書( 当初明細書 )によれば,本件出願に係る発明 「」は,以下のとおりのものである。
 目的?@従来装置の「特公平5-49050に係わる商品は,被測定者が体重計に載ったとき,両足の裏が接触する位置に生体インピーダンスを測定するための平らな金属製の電極を体重計の載置台表面に設け,載置台の指定された位置に裸足で乗るだけで体内脂肪量を推定する為の因子の内,測定毎に変化のある生体末端間インピーダンスと体重とを同時に測定し,計算式に取り込むことのできる,最も簡便に体内脂肪量が推定できる装置,脂肪計付体重計として商品化されている(乙。」2【0003 )】?Aしかし,このような脂肪計付体重計は 「裸足で測定器に載ること ,が前提として設計されており,システムの構成上,抵抗が大きい靴,靴下を着用したままでは,電極と生体(足の裏)との間の抵抗での電圧降下が大きく,生体に所定の電流を流入する電圧を得ることができなくなり,正確な測定が不可能な構成となっている(乙2【000。」4 )ので,本件出願に係る発明は 「生体と,生体インピーダンスを 】 ,測定するための電極との接触抵抗に大きな影響を与え,測定を不安定にする,抵抗の大きな靴,靴下を着用した状態でも,簡単に,正確に体内脂肪量を推定することができる体内脂肪計付体重計を提供すること」を目的としている(乙2【0005。】) 構成?@本件出願に係る発明は,上記目的を達成するために 「足裏以外の ,」, 部分に接触できる第2の電極を設けた足用アタッチメント を採用し「被測定者が足用アタッチメントを装着すると,靴,靴下の無い足上部の第2の電極が接触する (乙2【0008 )ようにして 「被測 」】,定者の生体インピーダンスが測定され,演算処理装置で表示部へ表示される 」ようにした(乙2【0012 【0013。 。 】】)なお,足用電極につき「第2の電極」と命名したのは 「足裏用電 ,極 と区別することを目的とするものであって第1の電極 と 第 」 ,「」 「2の電極」とが同時に動作することを意味するものではない。
?Aそして,この足用アタッチメントの第2の電極とインピーダンス測定装置とを電気的に接続する方法について,本件出願に係る発明は,二つの方法を提案・開示している。
その一つの方法が○「足用アタッチメント」の第2の電極を「足裏アイ用電極 を介して電気的に接続させる方法であり 他の一つの方法が○ 」 ,「足用アタッチメントを載置台へ勘合するものでは,勘合部がコネク, 。」 ターを兼ねていて インピーダンス測定装置と電気的に接続される(乙2【0009 )方法である。 】 願書に添付した特許請求の範囲願書に添付した特許請求の範囲は,原判決が認定するとおり,請求項1ないし請求項7から成るが,請求項1は,従来公知の足裏用電極を有する脂肪計付体重計に本件出願発明の特徴的部分を成す「第2の電極」(靴,靴下の無い足上部に接触する電極)を付加・配設することによって,従来装置同様に「足裏用電極」によってインピーダンス測定を行ったり,あるいは「第2の電極」によってインピーダンス測定を行うことができるような「体内脂肪重量計」として,以下のとおりの構成を採用したものである。すなわち,「被測定者の身長等の身体的データを入力する入力装置と,被測定者の体重を測定する重量測定装置と,該重量測定装置の載置台には被測定者の両足の裏面にそれぞれ接触できる二対の足裏用電極を設け,被測定者の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定装置と,入力された身体的データと測定または入力された体重値及びインピーダンス測定装置で得たインピーダンス値を演算処理して体内脂肪量を算出する演算処理装置と,演算処理装置で得た体内脂肪量,重量測定装置で測定された体重値などを表示する表示装置と,足裏以外の部分に接触できる第2の電極を設けたアタッチメントを有することを特徴とする体内脂肪重量計」そして,請求項2は,第2の電極を設けるアタッチメントとして「足用アタッチメント」を,請求項3及び請求項7は,それぞれ第2の電極をインピーダンス測定装置に電気的に接続する方法として,上記○及びア○の二つの電気的接続方法をクレームしているのである。
イ上記○の電気的接続方法をクレームする請求項3の記載によれば足ア,「用アタッチメントには,載置台に設けた足裏用電極と接触できる裏面電極を配設し,足用アタッチメントの上部には足部に接触できる位置に第2の電極を配設し,該アタッチメントの裏面電極と上部の第2の電極とは互いに電気的に接続されている」とあるように,足部に接触する第2の電極からの電気的信号は 「裏面電極」及びこれと接触できる「足裏 ,用電極」を介してインピーダンス測定装置に送られる。
この場合,被測定者の足部に接触して生体インピーダンスの電気的信号を得るのは「第2の電極」であり,この電気的信号をインピーダンス測定装置まで送る役割を担う「裏面電極」及び「足裏用電極」は上記電気的信号の単なる通り道となるのであるから,いわば 「裏面電極」及 ,び「足裏用電極」は「第2の電極」と「インピーダンス測定装置」を結ぶ電気的回路の途中にある「電気的接点」又は「導線」の役割しか果たしていない。
また,上記○の電気的接続方法をクレームしている請求項7の記載にイよれば 「足裏用電極と第2の電極とは切換装置で選択可能に切り換え ,ることを特徴とする請求項1に記載の体内脂肪重量計」とあるように,切換装置によって「第2の電極」を選択した場合,従来装置である「足裏用電極」によるインピーダンス測定は行わず 「第2の電極」によっ ,てインピーダンス測定を行う外 「第2の電極」で測定された電気的信 ,号は請求項3とは異なり 「足裏用電極」を介することなく,直接イン ,ピーダンス測定装置に送られることになる。
換言すれば,この場合 「足裏用電極」は何の役割も機能も有さない ,存在ということになり いわば 輸入自認物件が行っているように足 ,, ,「裏用電極」は載置台上に設けられてはいるが,その上を蓋等で覆い「足裏用電極」の存在を隠し,かつ,使用を凍結しているに等しい状態となっているのである。
上記のとおり,本件出願発明の特徴的部分は 「靴,靴下を着用した ,ままで」生体インピーダンスを測定するための「第2の電極」にあるのであるから,正に 「足裏用電極」の使用も存在も必要としない体内脂 ,肪重量計の構成こそが本件出願発明を具現するものといえる。
イ補正制限違反とする原判決の認定判断の誤り 原判決は 「当初明細書の記載から「足裏用電極」を構成要件に含ま ,ない本件発明の構成が当業者に自明であると認めることはできない 」。
「当初明細書に記載された構成は,嵌合部がコネクターとなり第2の電極がインピーダンス測定装置と直接電気的に接続される方式のものであっても 「足裏用電極」を構成要件に含むものであるから,控訴人が指 ,摘する発明が解決しようとする課題等の記載を併せ考慮しても,当初明細書の記載から「足裏用電極」を構成要件に含まない本件発明の構成が当業者に自明であると認めることはできない 」とする。 。
しかし,上記に述べたとおり,本件出願発明の請求項1は従来公知の「足裏用電極」を使用した体内脂肪重量計に「第2の電極」を付加・配設しているが,請求項7は「足裏用電極」の使用・存在を必要としない「第2の電極」による体内脂肪重量計の構成を提案・開示しているのであるから,本件発明は「願書に最初に添付した特許請求の範囲,当初の明細書及び図面」に記載した事項の範囲内において補正されたものというべきであり,原判決の認定判断は誤っている。
 原判決は「当初明細書の発明の詳細な説明中の実施例3の記載( 0【】),,「」 「」, 020によれば 同所には足裏用電極 と 足用電極 とを有しそれらの「切換装置」を具備した体内脂肪重量計が記載されており,この構成においては,足裏用電極を経由することなく,嵌合部がコネクターとなり,第2の電極がインピーダンス測定装置と直接電気的に接続されていることが認められる 」として,当初明細書中に「足裏用電極を 。
経由することなく,嵌合部がコネクターとなり,第2の電極がインピーダンス測定装置と直接電気的に接続されている」構成が記載されていることを認めている。
それにもかかわらず,原判決は,?@本件発明が解決しようとした課題についての記載である 0005 及び?A効果についての記載である 0 【】 【023】が記載された位置からみて「 足裏用電極』を構成要件としな 『い構成を記載していると認めることができない 」と判断する。 。
すなわち,?@については 【0005 (解決しようとする課題)の記 ,】載は,○「足裏用電極」を有する従来の脂肪計付体重計の問題点を指摘アした上でのものであること( 0004,○【0005 (解決しよう 【】)】イとする課題 の記載に続く課題解決のための手段0006 及び 0 ) (【】【007 )においては 「足裏用電極」を構成要件とする構成が記載され 】,ていることをその根拠とし,?Aについては,効果( 0023 )の記載 【】が 足裏用電極 を構成要件とする実施例1ないし3の効果の記載0 「」 (【022 )に続くものであることをその根拠とする。 】,,【】() しかし ?@についていえば 当初明細書は 0009実施の形態及び【0020 (実施例3)の記載中に「足裏用電極」を構成要件と 】しない構成を明示しており 【0005】の記載が【0004】の次に ,記載され 【0006】及び【0007】の記載が【0005】の記載 ,に続いて記載されていることをもって,上記【0009】及び【0020】の記載の存在を否定する根拠とはなし得ない。
また,?Aについては,実施例3( 0020 )は,原判決も認めてい 【】るように 「 足裏用電極』を経由することなく,嵌合部がコネクターと ,『, 」 なり 第2の電極がインピーダンス測定装置と直接的に接続されている構成からなり 「 足裏用電極』を構成要件としない構成」であるから, ,『「 足裏用電極』を構成要件とする実施例1ないし3の効果の記載( 0 『 【022 )に続くものである」との原判決の認定は明らかに間違ってい 】る。
上記に述べたところから明らかなとおり,原判決が当初明細書には「 足裏用電極』を構成要件としない構成を記載していると認めること 『ができない 」とする判断は誤った失当なものといわざるを得ない。 。
ウ本件発明における「足裏用電極」及び「足首電極」の意義について前記ア ?@及び?Aにおいて述べたとおり,本件発明は,従来装置である特公平5-49050に採用され,かつ,当初明細書の請求項1ないし請求項7に記載された「足裏用電極」は「被測定者が体重計に載ったとき,体重計の両足の裏が接触する位置」に設けられた「平らな金属製の電極」( 0003】3行)であり,この「電極」は体重計の載置台の下に収納 【された,生体インピーダンスを測定するための電気回路及び同測定されたインピーダンスにかかる信号を演算処理装置に送信する電気的手段を組み込んだ「基板」に電気的に接続される。
一方,本件発明における「足首電極」は「靴下のない足上部に接触する電極」であり,この「電極」は「足裏用電極」の場合と同様に体重計の載置台の下に収納された,生体インピーダンスを測定するための電気回路及び同測定されたインピーダンスにかかる信号を演算処理装置に送信する電気的手段に電気的に接続される。そして,上記「足裏用電極」が電気的に接続される「電気回路及び電気的送信手段を有する基板」と「足首電極」が電気的に接続される「電気回路及び電気的送信手段を有する基板」とは全く同一のものである。
したがって 「足裏用電極」と「足首電極」のいずれを用いるかという ,ことは 「足裏」に接触する「電極」又は「足首」に接触する「電極」の ,いずれを用いて体重計の載置台下に収納された基板に組み込まれた電気回路のスイッチをオン・オフするかということにほかならない。
,「」 「」,「」 そして足裏用電極 は 平らな金属製の電極 を意味し足首電極は 靴下のない足上部に接触する電極 を意味するものであって 上記 基 「 」,「板」と一体となったものを意味するわけではない。
また 「足首電極」と「足裏用電極」が併存する場合 「足首電極」を使 , ,,「」 , 用する時は足裏電極 は上記電気回路との導通が遮断されているので「足裏用電極」は「電極」としての機能を果たさず,単なる「平らな金属製の板」あるいは被控訴人のいう「模様」にすぎないものとなる。
,「」「」 ,, 本件発明において足裏用電極 及び 足首電極 は 上記のとおり常に併存しなければならないものではなく,むしろ,両電極が併存している場合においても,両電極は選択的に使用されるにすぎないものである。
したがって,本件発明において 「 足裏用電極』を構成要件としない構 ,『成」は存在し得るものであり,かつ,そのような構成は,上記のとおり,当初明細書中に記載されている。
 損害について控訴人の知的財産室室長作成の陳述書である甲15によれば,控訴人が原審で請求した損害額2000万円は被控訴人の得た利益1億0161万円の範囲内にあり,控訴人の上記主張が極めて妥当であることが裏付けられる。
3被控訴人の主張の要点 被控訴人物件による本件特許権侵害の有無についてア本件製品5及び8について控訴人は,本件製品5及び8の販売の申出について 「被控訴人製品5 ,及び8は,少なくとも本件差止請求の対象となる 」と主張する。 。
しかし,本件製品5及び8に係る構成は明らかにされていない上,その構成が他製品の構成と同様であったとしても,被控訴人の次のイの主張のとおりであるので,差止請求の対象となることはない。
イ本件発明の構成要件Bの充足の有無について 本件発明の構成要件Bの当然の解釈として 「足用アタッチメント」 ,自体は,体重測定装置に取り付けられた状態と,取り外した状態とで,何ら物理的に変化するものではなく,当該「足用アタッチメント」は,取付け状態のいかんにかかわらず,常に「アタッチメント=器具・機械の付属品」として存在しているものである。
すなわち,当該「足用アタッチメント」を体重測定装置に取り付けた,「」 「」 状態においても 当該 足用アタッチメント は 器具・機械の付属品として体重測定装置に取り付けられているだけのことであり 「アタッ ,チメント」である以上は,依然として取り外し可能であると解釈すべきものである。
したがって 「足用アタッチメント」が「アタッチメント=器具・機 ,械の付属品」であるのは体重測定装置に取り付けられるまでの状態であって,体重測定装置に取り付けられた状態においては「アタッチメント=器具・機械の付属品」ではなくなる,とする控訴人の主張は,構成要件の解釈としては明らかに無理がある。
 加えて,控訴人の上記「足用アタッチメント」についての解釈は,本件発明の出願経過からみても認容できるものではない。
控訴人は第2回補正(乙5)において 「足首に装着する電極」が開 ,示された乙29(FIG.4参照)に基づいて進歩性を否定する旨の拒絶理由(乙4)に対応して 「足用アタッチメント」を構成要件に含ま ,ない補正前の請求項14 乙31の2の請求項14 において その 足 (),「用電極」は「足用アタッチメント」に配設されているとの限定的補正を行い,その補正後の内容(本件発明)で特許されたものである(乙5の請求項14 。)このことは,本件発明は 「足用電極」を「足用アタッチメント」に ,設けた点をその本質的特徴とするものであり,そのことを控訴人自身が意思表示しているといえる。
当該「足用アタッチメント」は 「足裏用電極」を具備した体内脂肪 ,重量計の「付属品=アタッチメント」として存在するものであり,通常は付属品としての当該「足用アタッチメント」を取り外した状態で「足裏用電極」での生体インピーダンスの測定を前提とする体内脂肪重量計において,靴下等を履いた状態で生体インピーダンスを測定するために当該体内脂肪重量計に装着され,その装着状態において「足用アタッチメント」にて生体インピーダンスの測定を可能とした体内脂肪重量計が,「」 開示されているのであり そのような構成以外の 足用アタッチメントは開示されていないし,示唆されてもいない。
そうすると,本件発明の構成要件Bにおける「足用アタッチメント」も,体内脂肪重量計に着脱不能に固定されるものではなく,体内脂肪重量計に取り付けたり,取り外したりすることが可能であるもの,すなわち,体内脂肪重量計に取り付けた状態においても「付属品=アタッチメント」であることを何ら失うものではなく 「足裏用電極」を使用する ,か「足用電極」を使用するかによって,体内脂肪重量計に対して適宜取り付けたり,取り外したりすることが可能な機能を有するもの,と解すべきであるし,またそのように解さないと,拒絶理由の引用文献(乙29)に対して進歩性を主張し得ない。
かくして 「足用アタッチメント」を体重測定装置に取り付けた状態 ,においては 「器具・機械の付属品=アタッチメント」ではなくなる, ,という独自の解釈に基づいて,体重測定装置の固定的な一部を構成する輸入自認物件の「足首電極部6」が本件発明の「足用アタッチメント」と同じであるとする控訴人の主張は,上記本件発明の出願経過における控訴人自身の意思表示に反するものであり,到底認容できる解釈ではない。
上述のように,構成要件Bの「足用アタッチメント」は,体重測定装置に対して着脱自在の「付属品」として解釈すべきであるから 「足用,電極」が「体重測定装置への着脱自在な『足用アタッチメント』に設けられているかあるいは体重測定装置の上面に固定された部材上に設けられているかは大した問題ではない 」とする控訴人主張もまた,当初明 。
細書及び出願経過を無視した主張であるというほかない。
 控訴人は,輸入自認物件における「足首電極7」を具備する「足首電極部6」も,上記控訴人解釈の「着脱自在」の「足用アタッチメント」と同じであって,本来的に「着脱自在」の「付属品」であるが 「これ,が体重測定装置の本体部分の表面に固定的に取り付けられているにすぎない」と主張する。
そして,控訴人は,その根拠として輸入自認物件の一つである本件製品2について,甲13の輸入承認申請書に基づいて,同号証3枚目の別「」,「」 紙1-2の 外観図 から明らかなとおり 同型式の装置は 足首電極が存在せず「足裏用電極」の存在する本体部分(同号証4枚目の別紙1-3)と,足首電極部分(同号証5枚目の別紙1-4)からなる「体成分分析器」として輸入申請されている旨主張する。
しかしながら,本件製品2は,甲13の別紙1-1の写真(乙19の別紙1-1も同じ)に示されるように,別紙1-4に示される「足首電」 , 極部分 を同号証別紙1-2に示す本体に一体的に固定した状態の機器すなわち,別紙1-1の「概要」記載の「生体インピーダンス値を測定し解析を行い,細胞外液量,細胞内液量などの体液量を推定する機器」として輸入申請し,かつ,承認を受けているのであり,控訴人の主張のように,別紙1-3の「本体部分」と別紙1-4の「足首電極部分」として別々に輸入申請しているのではない。
このように,本件製品2は,甲13(又は乙19)の別紙1-1の写真に示されるように,体重測定装置1の上面1aに足首電極部6が一体的に固定された状態の装置(被控訴人物件説明書記載の装置)として輸入申請し,かつ,承認されている。
, 「」 そもそも本件製品2には 生体インピーダンス測定用の 足裏用電極は存在しないため足首電極部分 が存在しない別紙1-3記載の 本 ,「」 「体部分」のみでは,生体インピーダンスの測定自体が不可能である。
したがって,生体インピーダンスの測定が不可能な「本体部分」のみとして輸入が承認されるはずがない。
かかる点を考慮しても,控訴人の上記主張は失当であるし,事実に反する主張といわざるを得ない。
 本件製品2の「本体部分」には生体インピーダンス測定用の「足裏用電極」は存在しない。
甲13の別紙1-2の符号10の「電極板(大 」と符号11の「電 )極板(小 」には,本件製品2の体重測定部分の写真である乙36に示 )されるように,電気的な接続は全くされておらず,これらは,足を乗せる部分を特定するための単なる金属製の板にすぎない。これらの金属製の板は体重測定装置の上面1aに両面テープで接着されているだけである。
また,控訴人は,同別紙外観図の中上の図及び下方の部材一覧表から,,「」(「()」, 明らかなとおり 本件製品2には足裏用電極電極板 大 10「電極板(小)11 )が本体部分の体重測定装置の載置台の上面に設 」けられ,かつ,体重測定装置の中央下部に「足首電極用カバー12」が取り付けられている。そして,このカバーが取り外されたとき,その位「」 。 置に 足首電極支柱4 が取り付けられるようになっていると主張するしかしながら,上述のように 「電極板(大)10「電極板(小) ,」,11」として示されているのは,体重測定に際して足を置く場所を示す金属製の板であり,生体インピーダンス測定用の「足裏用電極」ではない(乙36,乙37 。)したがって 「足裏用電極」が本体部分の体重測定装置の載置台に設け ,られているとする控訴人の主張は事実に反する。
さらに,控訴人は 「甲13の別紙1-3には『本体部分 ,別紙1- , 』4には『本体部分』とは別体の『足首電極部分』が存在することが明記,, 『』 されており さらに 別紙1-4の中段の図において 足首電極支柱4に相当する部分の下部に『本体部分』に嵌合される突起が示されていることから明らかなとおり 『足首電極部分』はアタッチメントとして存 ,在し,これが『本体部分』に嵌合取付けされることになるのである 」。
と主張し,あたかも,本件製品2の「足首電極部分」が着脱自在の「アタッチメント (=付属品)として,本体部分に取り付けたり,取り外 」したりすることができるものであるような主張をする。
しかしながら,本件製品2は,製品のこん包時は「足首電極部分」は「本体部分」とは別に存在するが 「足首電極部分」は3本のボルトで ,体重測定装置に取り外し不能に固定され,かかる固定状態で使用されるものであるし,輸入承認も「足首電極部」を固定した状態で承認されているのであり,足首電極部分を取り付けたり,取り外したりすることが可能な付属品(=アタッチメント)として申請したものでもないし,そのような付属品として承認を受けたものではない。
本件製品2は 「足首電極部」なしでは生体インピーダンス測定も行 ,うことができず(乙37 ,そもそも装置として正常に動作することが )できないものであり 「足首電極部」を体重計に一体に固定した状態で ,しか動作し得ない。すなわち,上記「足首電極部」は,体成分分析装置として成り立ち得るための本体の不可欠な構成部材であるから 当該 足 ,「」 ,「」 「」 首電極部 を 本体に対して 着脱自在 な 付属品=アタッチメント等と解釈すること自体,不可能なものである。
本件製品2には,生体インピーダンス測定用の「足裏用電極」は存在,, , せず 生体インピーダンスは 足首電極部に存在する四つの足首電極と電極取手に存在する四つの手電極で測定するものであり,この構成は輸入自認物件に共通するものであって 「被控訴人物件説明書」記載のと ,おりである。
 控訴人は,イ号物件においては「足裏用電極」という「電極 (正確」には電極になり得るもの)が,体重測定装置1の上面1 a 上に存在し,この「足裏用電極」を利用しない構成となっているが,この「足裏用電極」に「配線を施し ,電気的に接続させると 「足裏用電極」は現に機 」,能し,かつ 「足用電極」と選択できる構成になっていると主張する。 ,しかし イ号物件 甲14の ZEUS9 9JP も含むに 足 ,(「.」。) 「裏用電極」は存在しない(電気的接続がそもそもされていない。。)甲14に示される物件は 「足裏用電極となり得るもの」に,本来イ ,号物件には存在しない電気的配線を控訴人自身が施し 「足裏用電極」 ,として利用できるよう控訴人の主張に都合よくイ号物件を改変したものにほかならない。また,同号証の写真26の配線(体重測定装置の裏面側に伸びている赤と白の配線)はイ号物件には存在せず,これも控訴人による改変行為によるものである。
さらに,イ号物件にあっては 「足裏用電極」は存在せず 「足裏用電 , ,極が利用できる装置」はイ号物件ではない。
「ZEUS9.9JP」は,四つの足首電極すべてに足首後部が接触し,かつ,足首電極部の4個のマイクロスイッチ10がすべてオンにならないと生体インピーダンス測定は開始されない 「ZEUS9.9J 。
P」は,このような「足首電極モード」しか具備しておらず 「足裏用 ,電極」で生体インピーダンスを測定するためのモードを有していない。
したがって,控訴人陳述のように 「足裏用電極」に配線を施したと ,しても 「足裏用電極」は機能しない。 , 補正制限違反についてア当初明細書の「請求項7」は 「足裏用電極と第2の電極とは切換装置 ,で選択可能に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の体内脂肪重量計」であり,構成要件そのものとして「足裏用電極」を含んでいることは明白である。
したがって,いかなる側面から検討しようとも,当初明細書の上記請求項7に 「足裏用電極の存在を必要としない体内脂肪重量計」が記載され ,ているという解釈をとることは無理である。
当然のことであるが 仮に 当初明細書の請求項7の発明において切 ,, ,「換装置」により「第2の電極」を選択し 「足裏用電極」を選択していな ,い動作状態に着目しても,請求項7の体内脂肪重量計にはその構成要件として「足裏用電極」は歴然と存在しており,上記動作状態を含めてその他のいかなる動作状態を想定しても,当該「足裏用電極」の存在が「請求項7」の構成要件から消えてなくなることはあり得ない。
控訴人の主張は,請求項7にその構成要件そのものとして文言上明らかに存在している「足裏用電極」を 「存在していない」ものとして解釈す ,べきである,と主張していることと同じであり,このような解釈が成り立ち得ないことは論ずるまでもないことである。
このように,控訴人の主張をどのように善解しようとも,当初明細書の「請求項7」の記載が,本件発明の補正の根拠となることはない。
イ加えて,当初明細書の「請求項7」は 「足裏用電極」を具備する「請求 ,項1」を全部引用しているのであるから,当該「請求項7」の発明も,当然に,その構成要件として「足裏用電極」を具備していることにならざるを得ない。
ところが,控訴人は,請求項1の発明が「足裏用電極」をその構成要件として具備していることを自認しながら,その請求項1を全部引用している上記請求項7の構成については 「 足裏用電極』の存在を必要としない」と主 ,『張し,明白な論理矛盾を犯している。
この意味でも,控訴人の主張は明らかに失当である。
第4当裁判所の判断1当裁判所も,控訴人の被控訴人に対する本訴請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。
2争点3(構成要件Bの充足)について 当裁判所も,輸入自認物件が本件発明の構成要件Bを充足するものではないと判断する。その理由は,次に付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第3「当裁判所の判断」の2のとおりであるから,これを引用する。
,, 「」 ア控訴人は 原判決が ?@本件発明の構成要件Bの 足用アタッチメントは「付属品」であり,体重測定装置に取付け,取外し可能であるものを意味すると解すべきであり,?A輸入自認物件は,足首用電極支柱4が体重測定装置1の上面1 a に固定されているから構成要件Bを充足しないとしたことにつき,余りにも形式的「用語 (部材の名称)にとらわれた誤った 」ものであると主張する。
,, , , そして 控訴人は 本件発明における構成要件において重要なのは 靴靴下を着用したままで生体インピーダンスを測定する非拘束性の「足用電極 (靴下の無い足上部に接触する電極)の有無であって,この電極が体 」重測定装置への着脱自在な「足用アタッチメント」に設けられているか,あるいは体重測定装置の上面に固定された部材上に設けられているかは,大した問題ではないなどと主張する。
イしかしながら 「アタッチメント」とは 「器具・機械の付属品」を意味 ,,する(広辞苑第4版)ところ,本件明細書には 「足用アタッチメント」 ,をこれと異なる意味で使用する旨の明示又は黙示の定義はされておらず,構成要件Bの「足用アタッチメント」とは,体重測定装置の使用時に,使用者が自由に着脱して使用するような「付属品」をいうものであって,これを取り付けると体重測定装置の固定的な一部材を構成することになるということはできない。
加えて,控訴人は,本件出願につき,平成16年5月31日の第1回補正における請求項14で 「載置台上に被測定者が乗ることで体重を測定 ,する重量測定装置と,前記載置台上に設けられ,靴下の無い足上部に接触する足用電極と,前記足用電極を通じて,被測定者の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定装置と,前記体重と前記生体インピーダンスを演算処理して被測定者の体内脂肪重量を算出する演算処理装置とを備えることを特徴とする体内脂肪重量計 」と記載したところ(乙3。乙3 。
1の2 ,平成18年5月の拒絶理由通知(乙4)において 「本願の請求 ) ,項14に係る発明と引用文献1(判決注:特開平6-304149号公報)に記載された発明では,前者においては,靴下の無い足上部に接触する足用電極が載置台上に設けられているのに対し,後者においては,足裏用電極が載置台上に設けられている点において相違し,その余の点で一致する「しかし,引用文献2(判決注:国際公開第97/24984号パン 。」フレット。乙29)には,生体インピーダンス測定において,足首に電極を配置する構成が記載されている「したがって,被検者が靴下を履いて 。」いることによる生体と電極との接触状態を改善するために,引用文献1に記載された足裏用電極を,引用文献2に記載された足首に配置する構成とするとすることは,当業者が容易に想到し得るものである 」などとされ 。
たことから,同年6月16日,請求項14を削除するなどの第2回補正を行い 「足用電極」が「足用アタッチメント」に備えられていることに限 ,定した結果(乙5 ,特許査定を受けたものであって(引用の原判決第2 )の「事案の概要」の1「前提事実」 ,本件発明においては 「足用アタ ),ッチメント」が備えられていることに意義があるとされたものである。この点からも,本件発明の構成要件Bの「足用アタッチメント」は,体重測, , 定装置に取付け 取外しが可能であるものを意味すると解すべきであって控訴人の上記主張は採用できない。
ウまた,控訴人は,輸入自認物件における「足首電極7 「足首電極支柱 」4 「足首電極支持筐体5」等からなる「足首電極部6」は,本体部分に 」取り付けられる付属品にすぎないとし,構成要件Bにおける「足用アタッチメント」と同じものであると主張する。
,(, ,,, しかしながら 証拠 甲3 5 乙17ないし19 20の1ないし6乙21の1ないし4)によれば,輸入自認物件は,いずれも体重測定装置の上面に足首用電極部が一体的に固定された装置(乙17ないし19,20の1ないし6)として存在するものであって,これらは,被控訴人の関連会社である韓国法人JAWONメディカルが国外において販売している足首用電極部がオプションとなっている装置(乙21の1)とは相違するものである。
もっとも,控訴人は,本件製品2の医療用輸入承認申請書の「外観図」において,同型式の装置には「足首電極」が存在せず 「足裏用電極」の ,存在する本体部分(甲13の4枚目の別紙1-3)と足首電極部分(同号証5枚目の別紙1-4)からなる「体成分分析器」として輸入申請されて。,(,,), いると主張する しかしながら 証拠 甲13 乙19 35 によれば?@本件製品2は 「足首電極部分」を本体に一体的に固定した状態の機器 ,として輸入申請がされ,承認を受けているものであること,?A本件製品2等の組立てマニュアル(乙35)においても,設置の際には,六角レンチを使用し,体重測定装置に足首電極部を固定することによって装置を組み立てるとされていることなどに照らすと 「足首電極部分」は固定された ,ものであって 「足首電極部分」が,取り付けたり,取り外したりするこ ,とが可能なアタッチメントとして存在するものとはいえず,控訴人の上記主張は採用できない。
さらに,控訴人は,控訴人の知的財産室室長作成の陳述書である甲14を提出し,被控訴人が販売する「体成分分析器ZEUS9.9JP」につき調査した結果 「足裏用電極」という「電極 (電極となり得るもの)が , 」体重測定装置1の上面に存在しており,この「足裏用電極」に配線を施すと「足裏用電極」は現に機能するようになって 「足首電極」と「足裏用 ,電極」を選択できるような構成となっていることが判明したこと,輸入自認物件は,本件発明の構成要件Bを充足するものであることを主張する。
しかし,証拠(甲14,乙38,39)によれば,甲14の内容は,被「」 , 控訴人において 足裏用電極 を利用しない構成としている同装置につき控訴人側で,その内部を開き 「足裏用電極」に配線を施し,電気的に接 ,続させるなどという改変を行った結果 「足裏用電極」が利用できるよう ,になったというものであって,このような改変が可能であったとしても,そのことをもって,輸入自認物件が本件発明の構成要件Bを充足することになるものではなく,控訴人の上記主張も採用することはできない。
3以上によれば,輸入自認物件は,本件発明の構成要件を充足するものではないことになる。
4争点1(本件製品5及び8の輸入等の有無)について控訴人は,被控訴人が本件製品の販売の申出をしていることから,本件製品5及び8は,少なくとも差止請求の対象となると主張する。
ところで,被控訴人は,自己のウェブに,他のモデル名の製品と併せて本件製品5及び8の宣伝広告を掲載していることが認められるものの(甲6の5及び8 ,本件全証拠によっても,本件製品5及び8に係る構成は明らかにされ )ておらず,しかも,仮に本件製品5及び8が輸入自認物件と同様の構成であったとしても,上記2及び3のとおり,輸入自認物件が本件発明の構成要件を充足するものではないことからすれば,本件製品5及び8に対する輸入等ないしはそのおそれについて判断するまでもなく,本件製品5及び8もまた本件発明の構成要件を充足するものではないといわざるを得ない。
5結論以上のとおりであるから,その余の争点について判断するまでもなく,本件製品1ないし8が本件特許権を侵害していると認めることはできず,控訴人の本訴請求はいずれも理由がなく,原判決は相当であって,本件控訴は理由がない。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 本多知成
裁判官 田中孝一