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関連審決 訂正2004-39162
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成18ワ1223特許権侵害行為差止等請求事件 判例 特許
平成17ワ12207特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成19ワ11944特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
平成17ワ27193損害賠償請求事件 判例 特許
平成18ワ19307特許権侵害差止等請求事件 判例 特許
関連ワード 技術的思想 /  組立方法 /  新規性 /  29条1項3号 /  進歩性(29条2項) /  同一技術分野(同一の技術分野) /  容易に発明 /  寄せ集め /  周知技術 /  慣用技術 /  公知技術 /  技術的範囲 /  同日出願 /  同一の発明 /  発明の詳細な説明 /  発明が明確 /  遡及 /  分割出願 /  実質的に同一 /  共有 /  着想 /  クレーム /  ライセンス /  権利の濫用(権利濫用) /  存続期間 /  出願経過 /  参酌 /  技術的意義 /  置き換え /  容易に想到(容易想到性) /  特許発明 /  実施 /  権原 /  交換 /  構成要件 /  構成要件充足性 /  差止請求(差止) /  侵害 /  損害額 /  販売数量(販売数) /  実施料 /  相当因果関係 /  不法行為(民法709条) /  拒絶理由通知 /  訂正審判 /  請求の範囲 /  変更 /  審決確定(審決が確定) / 
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事件 平成 18年 (ワ) 474号 特許権侵害差止等請求事件
東京都台東区<以下略>
原告 株式会社バンダイ (以下「原告バンダイ」という。) 大阪府東大阪市<以下略>
原告 大和精工株式会社 (以下「原告大和精工」という。)
原告両名訴訟代理人弁護士 辻居幸一
同佐竹勝一
同水沼淳
同補佐人弁理士 西島孝喜
同井野砂里
同上杉浩 東京都台東区<以下略>
被告 株式会社エポック社
同訴訟代理人弁護士 椙山敬士
同堀井敬一
同上沼紫野
同山澤梨沙
同曽根翼
同訴訟代理人弁理士 牛久健司
同補佐人弁理士 羽村行弘
同神崎正浩
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/10/26
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 被告は,別紙物件目録記載1及び2のカプセルベンダー並びに同目録記載3及び4のカードベンダーを製造,販売,使用してはならない。
2 被告は,別紙物件目録記載1及び2のカプセルベンダー並びに同目録記載3及び4のカードベンダーを廃棄せよ。
3 被告は,原告バンダイに対し,472万7226円及びこれに対する平成19年3月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告は,原告大和精工に対し,39万3024円及びこれに対する平成19年3月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,原告らに生じた各費用の3分の1を被告の負担とし,その余は各自の負担とする。
事実及び理由
請求
1 主文第1項及び第2項と同旨2 被告は,原告バンダイに対し,5400万円及びこれに対する平成19年3月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告大和精工に対し,2250万円及びこれに対する平成19年3月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,カプセル販売装置及びカード販売装置に関する特許権を有する原告らが,被告に対し,被告によるカプセル販売装置及びカード販売装置の製造販売等が上記特許権を侵害すると主張して,その製造販売等の差止め及び廃棄並びに不法行為に基づく損害金及び遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 前提事実(1) 当事者ア 原告バンダイは,玩具,遊戯用具,運動用具,日用品雑貨等の企画,製造及び販売等を業とする株式会社である。
イ 原告大和精工は,自動販売機及びその部分品等の製造販売等を業とする株式会社である。
ウ 被告は,玩具,遊戯器具,運動器具等の企画,製造及び販売等を業とする株式会社である。
(以上,争いのない事実)(2) 本件カプセル特許権原告バンダイは,物品取出装置(カプセル販売装置)に関して,次の特許権を有している。
(以下,アの特許権を「本件カプセル特許権1」といい,それに係る特許を「本件カプセル特許1」といい,本件カプセル特許権1に係る特許明細書及び図面を「本件カプセル特許1明細書」といい,その内容は,別紙に添付するとおりである。各発明については,請求項と組み合わせて,例えば,本件カプセル特許権1の請求項2の発明を「本件カプセル発明1-2」のようにいう。イ以下の特許権及びカード関係の特許権についても,同様に略称する。)ア 本件カプセル特許権1(甲2,3)登録番号 特許第3267512号発明の名称 物品取出装置出願日 平成8年6月5日(特願平8-165288)公開日 平成9年12月16日(特開平9-326081)登録日 平成14年1月11日訂正を認める審決確定日 平成16年9月27日特許請求の範囲請求項2 別紙本件カプセル特許1明細書の該当欄に記載のとおりイ 本件カプセル特許権2(甲5)登録番号 特許第3534741号発明の名称 物品取出装置,物品取出装置の物品取出方法,物品取出装置の物品収納ケース操作方法出願日 平成8年6月5日(原出願 特願2001-136667(後記本件カプセル特許権4))分割出願日 平成14年8月30日(特願2002-254970)登録日 平成16年3月19日特許請求の範囲請求項9 別紙本件カプセル特許2明細書の該当欄に記載のとおりウ 本件カプセル特許権3(甲7)登録番号 特許第3641787号発明の名称 物品取出装置出願日 平成8年6月5日(原出願 特願2001-136667(後記本件カプセル特許権4))分割出願日 平成16年7月28日(特願2004-219812)登録日 平成17年2月4日特許請求の範囲請求項1及び2 別紙本件カプセル特許3明細書の該当欄に記載のとおりエ 本件カプセル特許権4(甲41〜43)登録番号 特許第3836330号発明の名称 物品取出装置出願日 平成8年6月5日(原出願 特願平8-165288(本件カプセル特許権1))分割出願日 平成13年5月7日(特許願2001-136667)登録日 平成18年8月4日特許請求の範囲請求項1 別紙本件カプセル特許4明細書の該当欄に記載のとおり(以上,争いのない事実)(3) 本件カード特許権原告バンダイ及び原告大和精工は,紙葉類送出し装置(カード販売装置)に関して,次の特許権を各2分の1の持分割合により共有している。
ア 本件カード特許権1(甲9)登録番号 特許第2540609号発明の名称 紙葉類送出し装置出願日 昭和63年9月1日(特願昭63-219767)登録日 平成8年7月25日特許請求の範囲請求項1 別紙本件カード特許1明細書の該当欄に記載のとおりイ 本件カード特許権2(甲11)登録番号 特許第3726099号発明の名称 媒体販売装置出願日 平成13年3月19日(原出願特願2001-79282(以下「本件カード特許2等原出願」という。))分割出願日 平成17年6月24日登録日 平成17年9月30日特許請求の範囲請求項1及び2 別紙本件カード特許2明細書の該当欄に記載のとおりウ 本件カード特許権3(甲37,38)登録番号 特許第3830955号発明の名称 媒体販売装置出願日 平成13年3月19日(原出願 本件カード特許2等原出願)分割出願日 平成17年6月24日登録日 平成18年7月21日特許請求の範囲請求項1 別紙本件カード特許3明細書の該当欄に記載のとおり(以上,争いのない事実)(4) 本件カプセル発明本件カプセル発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,各構成要件を「構成要件プ1-2A」のようにいう。)。
ア 本件カプセル発明1-2プ1-2D 以下の構成を有する物品取出装置。
プ1-2A 正面を有する装置本体であって,操作部,物品取出口,該操作部の操作を装置本体の後壁近傍の歯車へ伝達する回転軸,前記物品取出口と一端で連通した落下通路を有する前記装置本体と,プ1-2B 前記装置本体に装着することにより,上部の物品投入用開口部が前記装置本体により覆われ,底部の落下口が前記落下通路の他端と対向する物品収納ケースであって,物品入れ替え時に前記装置本体の正面より引き出し可能な前記物品収納ケースと,プ1-2C 前記物品収納ケースの底壁に設けられ,前記操作部の操作に応じ前記回転軸及び前記歯車を介して回転する回転盤であって,その回転方向に沿って形成された複数の孔であって,互いに所定間隔をあけて設けられた複数の孔を有し,前記操作部の操作により所定間隔分だけ順次回転することに応じ,該複数の孔の一つが順次前記落下口と対向する位置に導かれ,前記物品収納ケース内の物品を前記落下口から前記落下通路へ順次導出可能にする回転盤。
イ 本件カプセル発明2-9プ2-9A 前面に開口部が形成され,操作部と,物品取出口と,該物品取出口に連通する落下通路と,前記操作部の操作により回動する歯車と,を有する装置本体と,プ2-9B 上面が開放され,底部に落下口が形成されている物品収納ケースであって,前記前面から前記装置本体の前記開口部に装着されることにより,前記落下口は前記落下通路に対向する物品収納ケースと,プ2-9C 前記物品収納ケースの底部に回動自在に設けられ,物品を収容するための収容孔及び前記歯車とかみ合うラックを有した回転盤と,プ2-9D 前記装置本体内部に設けられコイン必要枚数を切替可能なコインセレクターであって,前記コイン必要枚数を切り替える操作レバーと,挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記歯車にかみ合う回転盤と,を有するコインセレクターと,プ2-9E 前記回転盤は,前記装置本体に前記コイン必要枚数のコインが挿入されたときに,回転可能となって前記歯車を回転可能にする,プ2-9F ことを特徴とする物品取出装置。
ウ 本件カプセル発明3-1プ3-1A 前壁,後壁および両側壁を含んで箱型形状に形成され,前記前壁の外面には操作部材および物品取出口が設けられており,さらに該物品取出口と一端で連通した落下通路を内部に有している装置本体と,プ3-1B 前記前壁の上部に切り欠かれて形成された開口から前記装置本体に装着し又は前記開口から引き出し可能とされ,前記装置本体に押し込んだときに開放された上面が前記装置本体により覆われるとともに底部の落下口が前記落下通路の他端と対向するようにされた物品収納ケースと,プ3-1C 前記物品収納ケースの底壁に設けられ,下面周縁に環状に形成されたラックと回転方向に沿って複数形成された孔とを有する回転盤と,プ3-1D 前記装置本体内に設けられ,前記操作部材の操作を前記回転盤に伝達する動力伝達部とを含み,プ3-1E 前記物品収納ケースを前記前壁上部の開口から前記装置本体に押し込んだときに前記回転盤の前記ラックが装置本体の後壁側で前記動力伝達部とかみ合い,その状態で前記操作部材を操作すると前記回転盤が回転し,この回転により前記複数の孔の何れか一つが前記落下口と対向する位置に導かれた時に,前記物品収納ケース内の物品を前記落下口から前記落下通路へ導出するプ3-1F 物品取出装置。
エ 本件カプセル発明3-2プ3-2A 前記動力伝達部は,回転軸とその後壁近傍に設けられた一又は二以上の歯車からなり,プ3-2B 前記動力伝達部は,前記操作部材の操作を前記回転軸,前記歯車及び前記ラックを介して前記回転盤へ伝達するものであるプ3-2C 請求項1に記載の物品取出装置。
オ 本件カプセル発明4-1プ4-1F 以下よりなる物品取出装置。
プ4-1A 前壁,後壁,両側壁を含んで箱型形状に形成された装置本体であって,前記前壁の外面に操作部,物品取出口を有し,内部に該物品取出口と一端で連通した落下通路と,前記操作部の操作を後壁近傍の歯車へと伝達する回転軸を有し,前記前壁の上部と両側壁の上部が切り欠かれて開口が形成された前記装置本体と,プ4-1B 前記装置本体の前壁上部に引き出し自在に設けられ,前壁部,両側壁部,底壁を有し,上面が開放された箱形状に形成された透過性を有する物品収納ケースであって,前記装置本体に前記開口から押し込まれたとき,前記前壁部および前記両側壁部は前記装置本体の前壁および両側壁の開口に嵌合し,底壁の落下口が前記落下通路の他端と対向する物品収納ケースと,プ4-1C 前記装置本体の両側壁に設けられ,前記物品収納ケースの底壁の両側部を載置可能であり,ガイドレールを有する係合段部と,プ4-1D 前記物品収納ケースの底壁の両側部に設けられ,前記ガイドレールに係合可能な係合溝と,プ4-1E 前記物品収納ケースの底壁に設けられ,回転方向に沿って形成され互いに所定間隔をあけて設けられた複数の孔と下面周縁に環状に形成されたラックを有する回転盤であって,前記ラックは前記物品収納ケースが前記装置本体の開口から押し込まれたとき前記装置本体の後壁近傍の歯車と噛み合い,その状態で前記操作部の操作により前記回転軸,前記歯車,前記ラックを介して所定間隔分だけ順次回転することに応じ,該複数の孔の一つが順次前記落下口と対向する位置に導かれ,前記物品収納ケース内の物品を前記落下口から前記落下通路へ順次導出可能にする回転盤(以上,争いのない事実)(5) 本件カード発明本件カード発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,各構成要件を「構成要件ド1-1A」のようにいう。)。
ア 本件カード発明1-1ド1-1A 積載された紙葉類の前部下面と当接していて所定角度回転することにより当接紙葉類を前方へ送出する送出しローラと,ド1-1B コインの投入によって駆動軸を所定角度だけ一方向に手動回動可能にする作動機構と,ド1-1C 送出しローラの軸に遊嵌されていて駆動軸から動力が伝達される回転部材と,ド1-1D 前記回転部材と送出しローラ軸とには,一方に作動体が設けられ,他方には作動体と係合して回転部材の動力を送出しローラ軸に伝達して紙葉類をその前端が取出口から所定寸法突出するまで前方へ送出させる係合部と,所定寸法未満突出状態での紙葉類手動引出しによる送出しローラ軸逆駆動後に遊転を阻止すべく作動体と当接するストッパ部とが形成されていることド1-1E を特徴とする紙葉類送出し装置。
イ 本件カード発明2-1ド2-1A 上面を有する基礎フレームと,ド2-1B 前記基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルにより回動させられる操作軸と,ド2-1C 前記基礎フレームの上面に形成された,上方開放状の開放軸受部と,前記開放軸受部に上方より挿脱可能に挿入され,回動可能となるように支持されるローラ軸と,ド2-1D 前記ローラ軸に取り付けられ,ローラ軸の回動により回動する払出ローラと,ド2-1E 前記基礎フレームに設けられ,前記操作軸の回動を前記ローラ軸に伝達し,前記払出ローラを回動させる払出伝動体と,ド2-1F 前記基礎フレームの上面に着脱可能に装着され,複数の媒体を上下積層状に収納可能な収納ケースであって,前記基礎フレームに装着されたとき,収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記払出ローラによって受持される前記収納ケースと,からなり,ド2-1G 前記ハンドルの操作により前記操作軸が回動されたとき払出ローラが回動することにより,前記収納ケース内に収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記収納ケースから送り出されるド2-1H ことを特徴とする媒体販売装置。
ウ 本件カード発明2-2ド2-2A 前面が開放されたケース本体とこの前面を開閉可能に閉鎖する前面扉とからなる機ケースと,ド2-2B この機ケースの内部に設けられた基礎フレームと,ド2-2C この基礎フレームと別個に形成されて基礎フレームの上面に着脱可能に装着されていて複数の媒体を収納可能な収納ケースと,ド2-2D この収納ケース内の最下位置の媒体の前部を受持可能な位置にて基礎フレームの上部に支持されかつ回転することにより最下位置の媒体を送り出し可能な払出ローラと,ド2-2E 前記基礎フレームに回転可能に支持されていてハンドルにより回転操作される操作軸と,ド2-2F 前記基礎フレームに設けられていてハンドルによる操作軸の回転を払出ローラに伝達する払出伝動体と,を有しており,ド2-2G 前記基礎フレームの上面には,払出ローラのローラ軸を上方より挿脱可能に挿入して支持する上方開放状の開放軸受部が設けられ,ド2-2H 前記開放軸受部に支持されたローラ軸は,基礎フレーム上に装着された収納ケースによって離脱が防止されていることド2-2I を特徴とする媒体販売装置。
エ 本件カード発明3-1ド3-1A 基礎フレームと,ド3-1B 前記基礎フレームにローラ軸を介して回動可能に支持された払出ローラと,ド3-1C 前記基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルの操作により回動する操作軸と,ド3-1D 前記ローラ軸に取り付けられ,前記操作軸の回動を前記払出ローラに伝達する払出ギヤと,ド3-1E 前記基礎フレームとは別体とされた,複数の媒体を収容する収納ケースと,ド3-1F 前記収納ケースの側面に設けられたコイン検出作動部とを具備し,ド3-1G 前記コイン検出作動部が設けられた収納ケースは,正規コインの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインの投入が検出されない場合,回動不可能となる作動体と,前記作動体と噛合するアイドラギアとを有し,ド3-1H 前記コイン検出作動部が設けられた収納ケースが前記基礎フレームの上面に着脱可能に載置されたとき,前記アイドラギアが前記払出ギヤと連動し,前記作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され,前記払出ローラは前記収納ケース内の最下位置の媒体を受持し,ド3-1I 正規コインの投入が検出されない場合,前記作動体が回動不可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出ギヤは回転を阻止され,正規コインの投入が検出された場合,前記作動体が回動可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出ギヤは回転が可能となり,前記ハンドルの操作による操作軸の回転に応じて前記払出ギヤが回転し,払出ローラが回動することにより前記受持された媒体が払い出されることド3-1J を特徴とする媒体販売装置。
(以上,争いのない事実)(6) 被告の行為ア 本件カプセルベンダー1及び2の製造販売被告は,平成14年3月ころ以降,別紙物件目録記載1のカプセルベンダー(以下「被告カプセルベンダー1」という。)及び別紙物件目録記載2のカプセルベンダー(以下「被告カプセルベンダー2」といい,「被告カプセルベンダー1」と併せて「被告カプセルベンダー」という。)を製造販売している。
イ 本件カードベンダー1及び2の製造販売被告は,平成16年5月ころ以降,別紙物件目録記載3のカードベンダー(以下「被告カードベンダー1」という。)及び別紙物件目録記載4のカードベンダー(以下「被告カードベンダー2」といい,「被告カードベンダー1」と併せて,「被告カードベンダー」という。)を製造販売している。
(以上,争いのない事実,乙58,弁論の全趣旨)(7) 被告カプセルベンダーの構成被告カプセルベンダーの構成は,別紙被告カプセルベンダー説明書のとおりである。
(争いのない事実,甲12〜14,24,29,40,弁論の全趣旨)(8) 被告カードベンダーの構成ア 被告カードベンダーの構成は,別紙被告カードベンダー説明書のとおりである。
(争いのない事実,甲15〜17,20,21,25,乙11,36,37,弁論の全趣旨)イ 原告らは,甲20及び34を提出するが,それらの実験結果は,?@カードパックの先端が出口から突出されていない状態でペンチを用いて強制的に引き出している点,?A1枚のコインで2枚のカードパックを引き出すことを防止できることを確認したにすぎない点で,イレギュラー操作(本件カード特許1明細書3欄16行,17行)の防止確認とは異なるものであって,被告カードベンダーが本件カード発明1-1の効果を奏することを裏付けるものではない。
(9) 本件カプセル特許の出願経過ア 本件カプセル特許1(ア) 本件カプセル特許1の出願当初の明細書(別紙当初明細書のとおり。以下「本件カプセル特許1当初明細書」という。)には,次の記載がある。
「【特許請求の範囲】【請求項1】 下記の要件を備えてなることを特徴とする物品取出装置。
(イ) 装置本体を有すること。
(ロ) 装置本体の上部には,物品収納ケースが着脱自在に設けられていること。
(ハ) 物品収納ケースの底壁には,回転盤が回動自在に設けられ,回転盤には物品を一つずつ収容する収容孔が設けられていること。
(ニ) 物品収納ケースの底壁には,回転盤に設けられた複数の収容孔の一つに対向する落下口が形成されていること。
(ホ) 装置本体には,前記物品収納ケースの落下口と対向する落下通路が形成され,この落下通路は,装置本体の前壁下部に形成された物品取出口に連通していること。
(ヘ) 装置本体の前壁には,動力伝達部を介して前記回転盤を回転させる操作部材が設けられていること。
【請求項2】 下記の要件を備えてなることを特徴とする物品取出装置。
(イ) 装置本体を有すること。
(ロ) 装置本体の上部には,物品収納ケースが着脱自在に設けられていること。
(ハ) 物品収納ケースの底壁には,回転盤が回動自在に設けられ,回転盤には物品を一つずつ収容する収容孔が同心円上に所定間隔あけて複数設けられていること。
(ニ) 物品収納ケースの底壁には,回転盤に設けられた複数の収容孔の一つに対向する落下口が形成されていること。
(ホ) 装置本体には,前記物品収納ケースの落下口と対向する落下通路が形成され,この落下通路は,装置本体の前壁下部に形成された物品取出口に連通していること。
(ヘ) 装置本体の前壁には,動力伝達部を介して前記回転盤を前記所定間隔分だけ回転させる操作部材が設けられていること。
【請求項3】 下記の要件を備えてなることを特徴とする物品取出装置。
(イ) 装置本体を有すること。
(ロ) 装置本体の上部には,物品収納ケースが設けられていること。
(ハ) 物品収納ケースの底壁には,回転盤が回動自在に設けられ,回転盤には物品を一つずつ収容する収容孔が同心円上に所定間隔あけて複数設けられていること。
(ニ) 物品収納ケースの底壁には,回転盤に設けられた複数の収容孔の一つに対向する落下口が形成されていること。
(ホ) 装置本体には,前記物品収納ケースの落下口と対向する落下通路が形成され,この落下通路は,装置本体の前壁下部に形成された物品取出口に連通していること。
(ヘ) 装置本体には,前記物品収納ケースの落下口を狭めることができる開閉部材が設けられていること。
(ト) 装置本体には,上記開閉部材を連結部材を介して操作することができる操作レバーが設けられていること。
(チ) 装置本体の前壁には,動力伝達部を介して前記回転盤を前記所定間隔分だけ回転させる操作部材が設けられていること。
【請求項4】 下記の要件を備えてなることを特徴とする請求項3記載の物品取出装置。
(イ) 装置本体の前壁には,複数の表示面を有する表示部材が設けられ,この表示部材は,操作レバーの連結部材に連動して表示面を変えることができるようになっていること。
【請求項5】 下記の要件を備えてなることを特徴とする請求項3記載の物品取出装置。
(イ) 装置本体の前壁には,複数の表示面を有する表示部材が設けられ,この表示部材は,操作レバーの連結部材に連動して表示面を変えることができるようになっていること。
(ロ) 前記操作レバーに連動して,コインセレクターのコインの必要枚数が切り換わるように構成されていること。」「【0004】【発明が解決しようとする課題】 従来の物品取出装置は,物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。
【0005】 また従来の物品取出装置は,取り出せる物品の大きさが1種類しかないため,異なる大きさの物品を収納することができず,汎用性に欠けるという問題点があった。
【0006】 本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。また,取り出す物品の大きさが異なっても,充分対応ができる汎用性のある物品取出装置を提供することを第2の課題とする。」「【0009】 本願請求項3に係る物品取出装置は,上記第2の課題を達成するため,下記の構成を有する。…【0010】 本願請求項4に係る物品取出装置は,上記第2の課題を達成するため,下記の構成を有する。…【0011】 本願請求項5に係る物品取出装置は,上記第2の課題を達成するため,下記の構成を有する。…」「【0012】【発明の実施の形態】…物品取出装置1は,装置本体3を有する。
装置本体3の上部には,物品収納ケース5が着脱自在に設けられている。…」「【0014】【実施例】 …図2は,上記物品取出装置の物品収納ケースを引き出した状態を示す斜視図である。…」図2には,物品収納ケースが装置本体から分離して引き出されている状態が図示されている。
「【0015】 物品取出装置1は,箱型形状の装置本体3を有している。装置本体3の前面上部には,物品収納ケース5が引き出し自在に設けられている。装置本体3の前壁7の上部と両側壁9,11の上部の略半分が切り欠かれて形成されている。また,装置本体3の両側壁9,11内部には,物品収納ケース5の底壁21両側部を載置する係合段部15,17が形成されている。係合段部15,17には,ガイドレール16,18が設けられ,物品収納ケース5の底壁21両側部にはガイドレール16,18に係合する係合溝23,25が形成されている。」「【0025】 開閉扉110を閉じると,開閉扉110の上端が物品収納ケース5の突起19に係合し,物品収納ケース5は引き出せなくなる。この状態で,操作部材81を回転させると,操作部材81の回転が,回転軸83,平歯車85,小歯車99,中間軸97,小ウォーム歯車101,大ウォーム歯車105,回転軸103を介してコインセレクター95の搬送円盤を回転させようとするが,コインが挿入されていないため,搬送円盤は回転することができず,従って操作部材81は回転しない。コイン挿入口93に不正コインを挿入しても搬送円盤が回らないため,操作部材81は回転しない。」「【0027】 高価な玩具を内蔵したカプセル等の大きい物品Aを収納した物品収納ケース5に取り替える場合は,前述したように,開閉扉110を開け,装置本体3の前壁7開口7aから,安価な小玩具を内蔵したカプセル等の小さい物品Aを収納した収納ケース5を引き出して,次の物品収納ケース5を押し込む。…」「【0029】【発明の効果】 以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができるという効果がある。
本願請求項3記載の物品取出装置は,物品収納ケースの落下口の面積を簡単な機構で変えることができるので,取り出す物品の大きさが異なっても,充分対応ができる汎用性のある構造にすることができるという効果がある。本願請求項4および5記載の物品取出装置は,例えば100円のカプセル等の物品を200円のカプセル等の物品に変えて使用する場合,操作レバーを一度操作するだけで,金額の表示部の変更(100円から200円への変更),物品の大きさにあわせた物品収納ケースの落下口の面積の変更,投入金額(コインの枚数)を認識させる機能を有するコインセレクターの認識金額の変更を行うことができるという効果がある。」(イ) 第1回補正特許庁審査官は,本件カプセル特許1に係る出願について,平成13年3月5日,進歩性欠如を理由とする拒絶理由を通知した。
これを受けて,原告バンダイ及び当時の共有者株式会社メガハウス(以下「メガハウス」という。)は,同年5月7日,次のとおり,特許請求の範囲変更することなどを内容とする手続補正書を提出した(乙2の1及び2)。
a 請求項1ないし3の各(ロ)を下記のとおり変更する。
「(ロ) 前記装置本体に装着することにより,上部の物品投入用開口部が前記装置本体により覆われ,底部の落下口が前記落下通路の他端と対向する物品収納ケースであって,物品入れ替え時に前記装置本体の正面より引き出し可能な前記物品収納ケース」b 【0029】【発明の効果】を下記のとおり変更する。
「以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品を手で入れ替える代わりに,物品収納ケース自体を取り替え 取り出せる物品 ,を簡単に変更することも可能にするという効果がある。」(ウ) 第2回補正特許庁審査官は,本件カプセル特許1に係る出願について,平成13年9月1日付けで最後の拒絶理由を通知した。
これを受けて,原告バンダイ及びメガハウスは,平成13年11月9日,各請求項の(ハ)に「前記物品収納ケースの底壁に設けられ,」という文言を加え,回転盤を取り付ける場所を明示するための補正をし,同年12月6日付けで,上記補正後の内容で,本件カプセル特許1に係る出願につき,特許査定を受けた。
(エ) 訂正審決a 原告バンダイは,平成16年7月13日,本件カプセル発明1-2につき,次の内容の訂正審判請求をした(乙3。訂正2004-39162)。
(a) 請求項2の構成要件(イ)「正面を有する装置本体であって,操作部,物品取出口および該物品取出口と一端で連通した落下通路を有する前記装置本体と,」を,「正面を有する装置本体であって,操作部,物品取出口,該操作部の操作を装置本体の後壁近傍の歯車へ伝達する回転軸,前記物品取出口と一端で連通した落下通路を有する前記装置本体と,」と訂正する。
(b) 請求項2の構成要件(ハ)「前記物品収納ケースの底壁に設けられ,前記操作部の操作に応じ回転する回転盤であって,」を,「前記物品収納ケースの底壁に設けられ,前記操作部の操作に応じ前記回転軸及び前記歯車を介して回転する回転盤であって,」と訂正する。
b 特許庁は,平成16年9月14日,上記訂正を認める旨の審決をし,同審決は,同月27日確定した(甲1,3)。
(以上,争いのない事実)イ 本件カプセル特許4(ア) 分割出願原告バンダイ及びメガハウスは,平成13年5月7日,本件カプセル特許1に係る出願を原出願として,本件カプセル特許4に係る出願を分割出願した(乙8。前提事実(2)エ)。
(イ) 本件カプセル特許4当初明細書本件カプセル特許4当初明細書(乙8)には,次の記載がある。
「【特許請求の範囲】【請求項1】 …(ロ) 前記装置本体に装着することにより,上部の物品投入用開口部が前記装置本体により覆われ,底部の落下口が前記落下通路の他端と対向する物品収納ケースであって,物品入れ替え時に前記装置本体の正面より引き出し可能な前記物品収納ケースと,…」「【0004】【発明が解決しようとする課題】 従来の物品取出装置は,物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。」「【0006】 本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。」「【0029】【発明の効果】 以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品を手で入れ替える代わりに,物品収納ケース自体を取り替え,取り出せる物品を簡単に変更することも可能にするという効果がある。…」(ウ) 拒絶理由通知特許庁審査官は,平成17年11月28日(起案日),本件カプセル特許4に係る請求項1ないし3について,進歩性欠如を理由とする拒絶理由を通知した(乙9)。
(エ) 補正これを受けて,原告バンダイは,平成18年2月2日,本件カプセル特許4に係る出願を次のとおり補正し(甲43),同年7月7日,その内容で特許査定された。
a 【特許請求の範囲】【請求項1】を次のとおり変更した。
「以下よりなる物品取出装置。
(イ) 前壁,後壁,両側壁を含んで箱型形状に形成された装置本体であって,前記前壁の外面に操作部,物品取出口を有し,内部に該物品取出口と一端で連通した落下通路と,前記操作部の操作を後壁近傍の歯車へと伝達する回転軸を有し,前記前壁の上部と両側壁の上部が切り欠かれて開口が形成された前記装置本体と,(ロ) 前記装置本体の前壁上部に引き出し自在に設けられ,前壁部,両側壁部,底壁を有し,上面が開放された箱形状に形成された透過性を有する物品収納ケースであって,前記装置本体に前記開口から押し込まれたとき,前記前壁部および前記両側壁部は前記装置本体の前壁および両側壁の開口に嵌合し,底壁の落下口が前記落下通路の他端と対向する物品収納ケースと,(ハ) 前記装置本体の両側壁に設けられ,前記物品収納ケースの底壁の両側部を載置可能であり,ガイドレールを有する係合段部と,(ニ) 前記物品収納ケースの底壁の両側部に設けられ,前記ガイドレールに係合可能な係合溝と,(ホ) 前記物品収納ケースの底壁に設けられ,回転方向に沿って形成され互いに所定間隔をあけて設けられた複数の孔と下面周縁に環状に形成されたラックを有する回転盤であって,前記ラックは前記物品収納ケースが前記装置本体の開口から押し込まれたとき前記装置本体の後壁近傍の歯車と噛み合い,その状態で前記操作部の操作により前記回転軸,前記歯車,前記ラックを介して所定間隔分だけ順次回転することに応じ,該複数の孔の一つが順次前記落下口と対向する位置に導かれ,前記物品収納ケース内の物品を前記落下口から前記落下通路へ順次導出可能にする回転盤。」b 【発明が解決しようとする課題】を,「従来の物品取出装置は,…物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。」「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケースが引き出し自在な物品取出装置を提供することを課題とする。」(【0004】【0005】)と変更し,本件カプセル特許4当初明細書に記載されていた「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。」(【0006】)という記載を削除した。
c 【発明の効果】を,「以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品を手で入れ替える代わりに,物品収納ケース自体を取り替え,取り出せる物品を簡単に変更することも可能にするという効果がある。」(【0029】)という記載から,「以上説明してきたように,本願請求項1記載の物品取出装置は,物品収納ケースを容易に引き出し自在にすることができるという効果がある。」(【0022】)へ変更した。
(以上,争いのない事実)ウ 本件カプセル特許2(ア) 分割出願原告バンダイは,平成14年8月30日,本件カプセル特許4に係る出願を原出願として,本件カプセル特許2に係る出願を分割出願した(乙4。前提事実(2)イ)。
本件カプセル特許2の分割出願時における明細書(乙4)は,本件カプセル特許4の分割出願時の明細書(乙8)の記載と同一である。
(イ) 第1回補正原告バンダイは,平成14年11月29日,当初明細書(乙4)の全文を補正したが(乙5の1及び2),その一部として,【発明の詳細な説明】【0006】を「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品を簡単に入れ替えることができる物品取出装置,物品取出装置の物品取出方法,物品取出装置の操作方法,物品取出装置の物品収納ケースの取替方法,物品取出装置の組立方法及び物品取出装置の物品収納ケース操作方法を提供することを課題とする。」と補正した。
(ウ) 拒絶理由通知特許庁審査官は,平成15年2月24日,第1回補正後の本件カプセル特許2に係る明細書には,原々出願である本件カプセル特許1当初明細書に記載されておらず,自明でもない事項を含むから,出願日が遡及せず,本件カプセル特許1の公開公報により進歩性がない旨の拒絶理由を通知した(乙6)。
上記拒絶理由通知は,分割出願の要件を満たさない理由の一つとして,本件カプセル特許1当初明細書には,物品収納ケース自体を取り替えることは記載されているが,物品収納ケース内の物品を入れ替えることは記載されていないところ,第1回補正後の本件カプセル特許2に係る明細書の発明の詳細な説明【0006】には「物品収納ケース内の物品を・・・入れ替える」ことが記載されていることを挙げた。
(エ) 第2回補正これを受けて,原告バンダイは,平成15年4月25日,本件カプセル特許2に係る明細書の発明の詳細な説明中の【0006】を,本件カプセル特許1当初明細書と同一の記載である「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。
…」に補正した(乙7の1及び2)。
(オ) 第3回補正特許庁審査官は,平成16年1月5日,一部の請求項について,進歩性の欠如を理由とする拒絶理由を通知した。
原告バンダイは,同月27日,拒絶理由通知に対応する請求項を削除し,同年2月13日,上記補正後の内容で,特許査定を受けた。
(カ) 訂正審判請求原告バンダイは,平成16年7月28日,本件カプセル発明2-9について,構成要件プ2-9Dの「回転盤」を「第4の歯車」と変更することなどを内容とする訂正審判の請求を行ったが(乙38,39),訂正拒絶理由通知(乙40)を受けて,平成17年4月19日,この請求を取り下げた(乙41)。
(以上,争いのない事実)エ 本件カプセル特許3原告バンダイは,平成16年7月28日,本件カプセル特許4に係る出願を原出願として,本件カプセル特許3に係る出願を分割出願した(前提事実(2)ウ)。
(10) 本件カード特許の出願経過ア 本件カード特許1(ア) 第1回補正原告大和精工は,本件カード特許1に係る出願について,昭和63年10月20日,当初明細書(乙13の1)の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明中の「コインセレクタ」を「作動機構」に変更することなどを内容とする補正をした(乙13の2)。
(イ) 第2回補正特許庁審査官は,平成7年12月12日,本件カード特許1に係る出願について,進歩性の欠如を理由とする拒絶理由を通知した(乙13の3)。
これを受けて,原告大和精工は,平成8年3月6日,特許請求の範囲等について補正をし(乙13の5),同年4月15日,上記補正後の内容で特許査定を受けた。
(以上,争いのない事実)イ 本件カード特許2(ア) 原出願原告らは,平成13年3月19日,発明の名称を販売装置とする発明につき,特許出願をした(乙14。本件カード特許2等原出願)。
(イ) 分割出願原告らは,平成17年6月24日,本件カード特許2等原出願を原出願として,本件カード特許2に係る出願を分割出願した(乙15の1。前提事実(3)イ)。
ウ 本件カード特許3(ア) 分割出願原告らは,平成17年6月24日,本件カード特許2等原出願を原出願として,本件カード特許3に係る出願を分割出願した(前提事実(3)ウ)。
(イ) 当初明細書本件カード特許3当初明細書(乙46の1)の請求項1は,次のとおりである。
「基礎フレームと,前記基礎フレームとは別体とされた,複数の媒体を収容する収納ケースと,前記基礎フレームに回動可能に支持された払出ローラと,前記基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルの操作により回動する操作軸と,前記操作軸の回動を前記払出ローラに伝達する払出伝動体とを具備し,前記収納ケースを前記基礎フレームの上面に装着したときに前記収納ケース内の最下位置の媒体が前記払出ローラによって受持され,前記ハンドルの操作により払出ローラが回動したときに受持する媒体を払い出すようにしたことを特徴とする媒体販売装置。」(ウ) その後の経過a 第1回補正特許庁審査官は,平成17年9月8日(起案日),本件カード特許3について,進歩性の欠如を理由とする拒絶理由の通知をした(乙46の5)。
これに応じて,原告らは,平成17年10月17日,次のとおり,特許請求の範囲変更する等の補正をした(乙46の7。下線部は補正部分である。)。
「基礎フレームと,前記基礎フレームとは別体とされた,複数の媒体を収容する収納ケースと,前記基礎フレームに回動可能に支持された払出ローラと,前記基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルの操作により回動する操作軸と,前記操作軸の回動を前記払出ローラに伝達する払出伝動体とを具備し,前記収納ケースを前記基礎フレームの上面に装着したときに前記収納ケース内の最下位置の媒体が前記払出ローラによって受持され,前記ハンドルの操作により払出ローラが回動, したときに受持する媒体を払い出すようにし前記収納ケースの側面には,コイン検出作動装置が着脱可能にユニットとして形成されており,前記コイン検出作動装置は,前記収納ケースに取り付けられた状態で,当該収納ケースと共に前記基礎フレームの上面に着脱可能に載置されることを特徴とする媒体販売装置。」b 第2回補正特許庁審査官は,平成17年11月22日(起案日),本件カード特許3について,進歩性の欠如を理由とする拒絶理由の通知をした(乙46の8)。
これに応じて,原告らは,平成18年1月30日,次のとおり,特許請求の範囲変更する等の補正をした(乙46の10。下線部は補正部分である。)。
「基礎フレームと,前記基礎フレームにローラ軸を介して回動可能に支持された払出ローラと,前記基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルの操作により回動する操作軸と,前記ローラ軸に取り付けられ,前記操作軸の回動を前記払出ローラに伝達する払出伝動体と,前記基礎フレームとは別体とされた,複数の媒体を収容する収納ケースと,前記収納ケースの側面に設けられたコイン検出作動部とを具備し,前記コイン検出作動部が設けられた収納ケースは,正規コインの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインの投入が検出されない場合,回動不可能となる作動体と,前記作動体と連動可能なアイドラギアとを有し,前記コイン検出作動部が設けられた収納ケースが前記基礎フレームの上面に着脱可能に載置されたとき,前記アイドラギアは前記払出伝動体と連動し,前記作動体は前記払出伝動体と連動連結し,前記払出ローラは前記収納ケース内の最下位置の媒体を受持し,正規コインの投入が検出されない場合,前記作動体が回動不可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出伝動体は回転を阻止され,正規コインの投入が検出された場合,前記作動体が回動可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出伝動体は回転が可能となり,前記ハンドルの操作による操作軸の回転に応じて前記払出伝動体が回転し,払出ローラが回動することにより前記受持された媒体が払い出されることを特徴とする媒体販売装置。」c 第3回補正特許庁審査官は,平成18年4月4日(起案日),本件カード特許3の請求項1〜3について,「「連動可能」「連動」及び「連動連結」という記載は具体的にどのような構成をそれぞれ表すのか明確でなく,…「作動体」,「アイドラギア」及び「払出作動体」の相互間において,駆動力はそれぞれどのように伝達されるように構成されているのか明確でない。また,上記「連動可能」という記載は,「連動」するときと「連動」しないときがあることをそれぞれ表すのかどうかも明確でない。」として,特許法36条6項2号違反を理由とする拒絶理由の通知をした(乙46の11)。
原告らは,これに応じて,平成18年6月12日,次のとおり特許請求の範囲の請求項1を変更する等の補正をし(甲39,乙46の13。下線部は補正部分である。),平成18年7月3日,上記補正後の内容で特許査定を受けた。
「基礎フレームと,前記基礎フレームにローラ軸を介して回動可能に支持された払出ローラと,前記基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルの操作により回動する操作軸と,前記ローラ軸に取り付けられ,前記操作軸の回動を前記払出ローラに伝達する払出ギヤと,前記基礎フレームとは別体とされた,複数の媒体を収容する収納ケースと,前記収納ケースの側面に設けられたコイン検出作動部とを具備し,前記コイン検出作動部が設けられた収納ケースは,正規コインの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインの投入が検出されない場合,回動不可能となる作動体と,前記作動体と噛合するアイドラギアとを有し,前記コイン検出作動部が設けられた収納ケースが前記基礎フレームの上面に着脱可能に載置されたとき,前記アイドラギアが前記払出ギヤと連動し,前記作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され,前記払出ローラは前記収納ケース内の最下位置の媒体を受持し,正規コインの投入が検出されない場合,前記作動体が回動不可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出ギヤは回転を阻止され,正規コインの投入が検出された場合,前記作動体が回動可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出ギヤは回転が可能となり,前記ハンドルの操作による操作軸の回転に応じて前記払出ギヤが回転し,払出ローラが回動することにより前記受持された媒体が払い出されることを特徴とする媒体販売装置。」(以上,争いのない事実)(11) 一部の構成要件の充足ア 被告カプセルベンダー被告カプセルベンダーは,次のとおり,構成要件の一部を充足する。
(ア) 本件カプセル発明1-2構成要件プ1-2C及びプ1-2D(イ) 本件カプセル発明2-9構成要件プ2-9C及び同プ2-9F(ウ) 本件カプセル発明3-1構成要件プ3-1A,同プ3-1C及び同プ3-1F(エ) 本件カプセル発明3-2構成要件プ3-2B(オ) 本件カプセル発明4-1構成要件プ4-1Fイ 被告カードベンダー被告カードベンダーは,次のとおり,構成要件の一部を充足する。
(ア) 本件カード発明1-1構成要件ド1-1E(イ) 本件カード発明2-1構成要件ド2-1A,同ド2-1B及び同ド2-1H(ウ) 本件カード発明2-2構成要件ド2-2A,同ド2-2B,同ド2-2E及び同ド2-2I(エ) 本件カード発明3-1構成要件ド3-1A,同ド3-1Cないし同ド3-1G及び同ド3-1J(以上,争いのない事実,弁論の全趣旨)(12) 損害ア 被告カプセルベンダー(ア) 請求原告バンダイが被告カプセルベンダーにつき損害賠償を請求する期間は,被告カプセルベンダー1につき平成16年10月から平成19年3月20日までの譲渡分,本件カプセルベンダー2につき平成14年3月から平成19年3月20日までの譲渡分である。
(イ) 売上高等被告が平成14年3月から平成19年3月20日までの間に販売した被告カプセルベンダーの数量,売上高及び製造原価は,次のとおりである。
売上高 1億8921万0080円(販売数量1万0137台)製造原価 1億5507万9931円(無償供与240台分を含む。)(明らかに争わない事実)イ 被告カードベンダー(ア) 請求原告バンダイが被告カードベンダーにつき損害賠償を請求する期間は,本件カードベンダー1につき平成17年6月から平成19年3月20日までの譲渡分,本件カードベンダー2につき平成16年4月から平成19年3月20日までの譲渡分である。
(イ) 売上高等-1被告が平成18年8月から平成19年3月20日までの間に販売した被告カードベンダーの数量,売上高及び製造原価は,次のとおりである。
売上高 1430万2400円(販売数量 512台)製造原価 846万8284円(無償供与6台分を含む。)(ウ) 売上高等-2被告が平成16年5月から平成19年3月20日までの間に販売した被告カードベンダーの数量,売上高及び製造原価は,以下のとおりである。
売上高 1億2367万4054円(販売数量 4470台)製造原価 7370万4316円(無償供与167台分を含む。)((イ)及び(ウ)につき,明らかに争わない事実)2争点(1) 争点1 被告カプセルベンダーは,本件カプセル発明1-2を充足するか。
ア 争点1-1 構成要件プ1-2Aの充足イ 争点1-2 構成要件プ1-2Bの充足(2) 争点2 被告カプセルベンダーは,本件カプセル発明2-9を充足するか。
ア 争点2-1 構成要件プ2-9Aの充足イ 争点2-2 構成要件プ2-9Bの充足ウ 争点2-3 構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの充足(3) 争点3 被告カプセルベンダーは,本件カプセル発明3-1を充足するか。
ア 争点3-1 構成要件プ3-1Bの充足イ 争点3-2 構成要件プ3-1Dの充足ウ 争点3-3 構成要件プ3-1Eの充足(4) 争点4 被告カプセルベンダーは,本件カプセル発明3-2を充足するか。
ア 争点4-1 構成要件プ3-2Aの充足イ 争点4-2 構成要件プ3-2Cの充足(争点(3)と同じ)(5) 争点5 被告カプセルベンダーは,本件カプセル発明4-1を充足するか。
ア 争点5-1 構成要件プ4-1Aの充足イ 争点5-2 構成要件プ4-1Bの充足ウ 争点5-3 構成要件プ4-1Cの充足エ 争点5-4 構成要件プ4-1Dの充足オ 争点5-5 構成要件プ4-1Eの充足(6) 争点6 本件カプセル特許1(請求項2)に無効理由があるか。
ア 争点6-1 補正制限違反イ 争点6-2 進歩性の欠如ウ 争点6-3 特許法39条2項違反(7) 争点7 本件カプセル特許2(請求項9)に無効理由があるか。
ア 争点7-1 分割要件違反イ 争点7-2 進歩性欠如ウ 争点7-3 36条6項1号及び2号違反(8) 争点8 本件カプセル特許3(請求項1及び2)に無効理由があるか。
ア 争点8-1 本件カプセル特許4の分割要件違反(新規事項,同一)イ 争点8-2 本件カプセル特許3の分割要件違反ウ 争点8-3 特許法39条2項違反エ 争点8-4 進歩性の欠如(9) 争点9 本件カプセル特許4に無効理由があるか。
ア 争点9-1 分割要件違反-新規事項イ 争点9-2 分割要件違反-同一ウ 争点9-3 特許法39条2項違反エ 争点9-4 進歩性の欠如オ 争点9-5 記載不備(特許法36条4項)(10) 争点10 被告カードベンダーは,本件カード発明1-1を充足するか。
ア 争点10-1 構成要件ド1-1Aの充足イ 争点10-2 構成要件ド1-1Bの充足ウ 争点10-3 構成要件ド1-1Cの充足エ 争点10-4 構成要件ド1-1Dの充足(11) 争点11 被告カードベンダーは,本件カード発明2-1を充足するか。
ア 争点11-1 構成要件ド2-1Cの充足イ 争点11-2 構成要件ド2-1Dの充足ウ 争点11-3 構成要件ド2-1Eの充足エ 争点11-4 構成要件ド2-1Fの充足オ 争点11-5 構成要件ド2-1Gの充足(12) 争点12 被告カードベンダーは,本件カード発明2-2を充足するか。
ア 争点12-1 構成要件ド2-2Cの充足イ 争点12-2 構成要件ド2-2Dの充足ウ 争点12-3 構成要件ド2-2Fの充足エ 争点12-4 構成要件ド2-2Gの充足オ 争点12-5 構成要件ド2-2Hの充足(13) 争点13 被告カードベンダーは,本件カード発明3-1を充足するか。
ア 争点13-1 構成要件ド3-1Bの充足イ 争点13-2 構成要件ド3-1Hの充足ウ 争点13-3 構成要件ド3-1Iの充足(14) 争点14 本件カード特許2(請求項1)に無効理由(進歩性の欠如)があるか。
(15) 争点15 本件カード特許2(請求項2)に無効理由(進歩性の欠如)があるか。
(16) 争点16 本件カード特許3(請求項1)に無効理由(進歩性の欠如)があるか。
(17) 争点17 差止めの可否(権利濫用)(18) 争点18 本件カプセルベンダーについての損害の発生及び額ア 争点18-1 2項損害イ 争点18-2 3項損害(19) 争点19 本件カードベンダーについての損害の発生及び額ア 争点19-1 2項損害イ 争点19-2 3項損害ウ 争点19-3 弁護士費用(本件カプセルベンダー分を含む。)3 争点に関する当事者の主張(1) 争点1(本件カプセル発明1-2の充足)ア 争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)及び(ウ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「後壁近傍」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 「近傍」とは,「近所,近辺」を意味する(広辞苑第5版(甲26)737頁)。
(b) したがって,構成要件プ1-2Aにおける「後壁近傍」とは,「後壁の近辺」を意味する。
b充足被告カプセルベンダーの歯車91は,装置本体3の前壁7と後壁13の間(約39cm)の,後壁13から約8cmを離れた位置に設置されているから(被告カプセルベンダー説明書2(1)),被告カプセルベンダーの歯車91の位置は,「後壁近傍」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告の主張aのうち,(a)は認め,(b)は否認する。
「後壁近傍」とは,「後壁」に設けられていることを意味する。
b充足同bは否認する。
(ウ) 「回転軸…を有する前記装置本体」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈「回転軸…を有する前記装置本体」とは,装置本体が回転軸(を含む機構)を有することを意味しており,回転軸(を含む機構)が装置本体から取外し可能なものも可能でないものも含む。
b充足したがって,回転軸83が装置本体3とは独立して構成されたユニットに設けられたものであっても(被告カプセルベンダー説明書2(1)),「回転軸…を有する前記装置本体」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告の主張aは否認する。
「回転軸…を有する前記装置本体」とは,装置本体が回転軸を有することを意味し,回転軸が装置本体から取外し可能なものを含まない。
本件カプセル特許1明細書の実施例にも,「…回転軸83は,装置本体3の後壁13まで伸びて,後壁13で回動自在に取り付けられている…」と記載されており(【0020】),装置本体が回転軸を有している。
b充足同bは否認する。
イ 争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)及び(ウ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「装着」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 「装着」とは,「付属品を本体に取り付けること」を意味する(広辞苑第5版(甲23)1551頁)。
(b) したがって,構成要件プ1-2Bにおける「前記装置本体に装着することにより,…物品収納ケース」とは,物品収納ケースを物品取出装置に取り付けることができれば足り,物品収納ケースがそのまま物品取出装置から外れるものも外れないものも含む。
b充足したがって,収納ケース5を装置本体3に取り付けることは,収納ケース5の後壁が装置本体3にネジ止めされていても(被告カプセルベンダー説明書2(2)),構成要件1-2Bの「装着」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aのうち,(a)は認め,(b)は否認する。
「装着」とは,同原告主張のとおり「付属品を本体に取り付けること」を意味するから,本体とは別個独立した物体を取り付けることを意味する。
b充足同bは否認する。
(ウ) 「引き出し可能」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 「引き出し(す)」とは,「中にあるものを引っ張って外へ出す」ことを意味する(広辞苑第5版(甲23)2228頁)。
(b) したがって,構成要件プ1-2Bにおける「引き出し可能」とは,「物品収納ケースを引っ張って外へ出すことが可能な物品収納ケース」を意味し,物品収納ケースが物品取出装置から外れるものも外れないものも含む。
(c)一 補正の経過からも,上記の解釈は裏付けられる。
二 本件カプセル特許1当初明細書の請求項3ないし5には,物品収納ケース5が着脱自在か否かについては一切記載されておらず,同当初明細書には,着脱自在であることを要件としない発明が開示されていた(発明の詳細な説明【0013】参照)。
三 同当初明細書の発明の詳細な説明【0015】及び【0025】には,物品収納ケースが「引き出し自在に設けられている」「引き出せなくなる」と記載されている(前提事実(9)ア)。
b充足(a) 収納ケース5は,装置本体3正面方向へ移動させることで引き出すことができるから,収納ケース5の後壁が装置本体3にネジ止めされていても(被告カプセルベンダー説明書2(2)),「引き出し可能な前記物品収納ケース」を充足する。
(b) 仮に構成要件プ1-2Bの「引き出し可能」が着脱可能であることを意味するとしても,一 収納ケース5は,ドライバー等でネジを外すことで装置本体3から取り外すことができるから(被告カプセルベンダー説明書2(2)),構成要件プ1-2Bの「引き出し可能な前記物品収納ケース」を充足する。
二 また,収納ケース5と装置本体3との連結は,取り外すことが容易であり,しかも,被告カプセルベンダーのほとんどにおいて,連結が取り外されている。
これらの事実からすれば,被告カプセルベンダーにおいて,収納ケース5をスライダ部にネジ止めする連結構造は,何ら技術的意義を有するものではないから,被告カプセルベンダーの構成要件充足性を検討する上で考慮すべきではなく,収納ケース5と装置本体3とは「着脱自在」であると解すべきである。
(被告の主張)a クレーム解釈(a) 原告バンダイの主張aのうち,(a)は認め,(b)は否認する。
(b)一 同a(c)のうち,一は否認する。
二 同二は否認する。
同当初明細書の請求項1及び2に係る発明と請求項3ないし5に係る発明は,解決しようとする課題が異なり,課題を解決するための手段も異なる。
したがって,請求項3ないし5に係る発明にのみ関する記載において「物品収納ケースが着脱自在」であることを要件としない発明が開示されていたかどうかは,技術的思想が全く異なる請求項1及び2に係る発明との関係では,意味がない。
同当初明細書の請求項2においては,「着脱自在」ということこそが発明の眼目ともいうべき点であり,着脱自在でない発明が同当初明細書の記載から自明な事項であるとはいえない。
しかも,同当初明細書の請求項3ないし5に係る発明においても「着脱自在に引き出し可能」な物品収納ケースを備えることが前提とされていたものである。
三 同三は認める。
ただし,【0015】及び【0025】では,「引き出し自在」等の表現が「着脱自在」という表現と同じ意味で用いられている。
b充足(a) 同b(a)は否認する。
装置本体3から外れないようにネジで固定された収納ケース5は,装置本体3の一部を構成するものである。
(b) 同b(b)は否認する。
装置本体3から外れないようにネジで固定された収納ケース5は,到底「着脱自在」であるとはいえない。
(2) 争点2(本件カプセル発明2-9の充足)ア 争点2-1(構成要件プ2-9Aの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)及び(ウ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「開口部」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈「開口部」は,物品収納ケースが装着されるものであるが(構成要件プ2-9B),「開口部」といえるためには,物品収納ケースがそのまま物品取出装置から外れる場合も外れない場合も含む。
b充足したがって,収納ケース5の後壁が装置本体3にネジ止めされていても(被告カプセルベンダー説明書3(1)及び(2)),開口7aは,構成要件プ2-9Aの「開口部」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aは否認する。
b充足同bは否認する。
(ウ) 「歯車…を有する装置本体」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈「歯車…を有する装置本体」とは,装置本体が歯車(を含む機構)を有するということを意味しており,歯車(を含む機構)が装置本体から取外し可能なものも可能でないものも含む。
b充足したがって,歯車91が装置本体3から独立して構成されたユニットに設けられたものであっても(被告カプセルベンダー説明書3(1)),「歯車…を有する装置本体」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aは否認する。
「歯車…を有する装置本体」とは,装置本体が歯車を有することを意味し,歯車が装置本体から取外し可能なものを含まない。
b充足同bは否認する。
イ 争点2-2(構成要件プ2-9Bの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「装着」(原告バンダイの主張)争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(イ)(装着)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(イ)(装着)における被告の主張と同旨である。
ウ 争点2-3(構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)ないし(エ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「操作レバー」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 「レバー」とは,「機械などを操作するための取っ手」(明鏡国語辞典初版(甲27)1749頁),「機械・器具を手の力で無理なく動かすための握り」(新明解国語辞典第5版(甲28)1491頁)を意味する。
(b) したがって,「コイン必要枚数を切り替える操作レバー」とは,「コイン必要枚数を切り替える」ための「取っ手」ないし「握り」を意味する。
(c) 構成要件プ2-9Dの「操作レバー」を,一度操作するだけで足りるものに限定して解釈すべき根拠はない。
b充足したがって,被告カプセルベンダーの「価格ツマミ73」(被告カプセルベンダー説明書3(4))は,構成要件プ2-9Dの「操作レバー」に該当する。
(被告の主張)a クレーム解釈(a) 原告バンダイの主張a(a)は認め,(b)及び(c)は否認する。
(b) 「つまみ」は,「つまみ持つように器具などに取り付けた部分。とって。」(広辞苑第5版)であるから,「レバー」とは異なる。
(c) 構成要件プ2-9Dの「操作レバー」は,本件カプセル特許2明細書の発明の詳細な説明【0054】【発明の効果】に「…操作レバーを一度操作するだけで,…コインセレクターの認識金額の変更を行うことができるという効果がある。」と記載されているとおり,一度操作するだけで金額の変更を行うことができるものを意味する。
b充足(a) 同bは否認する。
(b) 価格ツマミ73は,レバーではないし,複数の動作によってコイン必要枚数を切り替えるから,「操作レバー」に当たらない。
(ウ) 「回転盤」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eにいう「回転盤」とは,請求項の文言自体から,「挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記歯車にかみ合う」もので,「コインセレクター」が有する部材を意味する。
そして,「前記歯車にかみ合う」とは,「回転盤」が直接かみ合うものだけでなく,他の歯車等を介して間接的にかみ合うものも含む。
本件カプセル特許2明細書の実施例に関する【0035】に,「挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記歯車91にかみ合う」ものとして,「回転盤35」と記載されているが,「回転盤35」は,「コイン搬送円盤」の誤記である。このことは,同明細書の【0046】【0047】【0050】【0051】及び【0053】の記載から明らかである。
(b) また,構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの「回転盤」は,コインを直接搬送する円盤であることを要件としていない。
(c) さらに,構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの「回転盤」は,コインセレクター内部に存在しなければならないものとは規定されていない。
b充足被告カプセルベンダーの歯車6は,挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,歯車91に,歯車82,87,89を介して連動し,コインセレクター95が有する部材であるから(被告カプセルベンダー説明書3(4)),コインを直接搬送する円盤ではなく,コインセレクター内部に存在しないものであっても,構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの「回転盤」に該当する。
(被告の主張)a クレーム解釈(a) 原告バンダイの主張a(a)は否認する。
本件カプセル特許2明細書によると,歯車91とかみ合っているのは「回転盤35」(【0035】)である。
(b) 同(b)は否認する。
構成要件プ2-9Dの「挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記歯車にかみ合う」という記載は,「回転可能又は回転不可能」となるという機能を表したものであるから,その構成を明らかにするためには,発明の詳細な説明の記載を参酌する必要があり,これを参酌すると,構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの「回転盤」は,コインを直接搬送する円盤を意味する。
(c) 同(c)は否認する。
上記(b)と同様に,本件カプセル特許2明細書の【0046】【0047】及び【図4】によれば,構成要件プ2-9D及び同プ2-9Eの「回転盤」に当たるといわれるコイン搬送円盤は,コインセレクター95内部に存在しなければならない。
b充足(a) 同bは否認する。
(b) 被告カプセルベンダーは,?@本件カプセル特許2明細書中の「回転盤35」に対応するものを有しないし,?A被告カプセルベンダーの「歯車6」は,コインを搬送するものではないし,?Bコイン枚数チェック機構の内部に存在しない。
(エ) 「コインセレクター」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈構成要件プ2-9Dの「コインセレクター」とは,請求項の文言自体から,「装置本体内部に設けられコイン必要枚数を切替可能」で,「前記コイン必要枚数を切り替える操作レバーと,挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記歯車にかみ合う回転盤」を有する部材である。
b充足したがって,被告カプセルベンダーのコインセレクター95(被告カプセルベンダー説明書3(4))は,構成要件プ2-9Dにおける「コインセレクター」に該当する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aは否認する。
「コインセレクター」とは,文字どおりコイン選別機であり,コインの真贋を選別したり,投入されたコインの種類を選別したりする機能を有する機器を意味するから,構成要件プ2-9Dの「コインセレクター」も同じ意味を有するものと解釈すべきである。
b充足同bは否認する。
被告カプセルベンダーにおけるコインセレクター95は,上記のような本来のコインセレクターのみならず,コイン必要枚数チェック機能など他の構成も含むから,構成要件プ2-9Dにおける「コインセレクター」には当たらない。
(3) 争点3(本件カプセル発明3-1の充足)ア 争点3-1(構成要件プ3-1Bの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)及び(ウ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「開口」(原告バンダイの主張)争点2-1(構成要件プ2-9Aの充足)(イ)(開口部)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点2-1(構成要件プ2-9Aの充足)(イ)(開口部)における被告の主張と同旨である。
(ウ) 「装着」(原告バンダイの主張)争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(イ)(装着)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(イ)(装着)における被告の主張と同旨である。
イ 争点3-2(構成要件プ3-1Dの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「動力伝達部とを含み」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈構成要件プ3-1Dにおける「動力伝達部とを含み」とは,物品取出装置が動力伝達部(を含む機構)を含むことを意味し,動力伝達部(を含む機構)が物品取出装置から取外し可能なものも可能でないものも含む。
b充足したがって,動力伝達部が装置本体3から独立して構成されたユニットであるとしても(被告カプセルベンダー説明書4(4)),構成要件プ3-1Dにおける「動力伝達部とを含み」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aは否認する。
「動力伝達部とを含み」とは,装置本体が動力伝達部を有することを意味し,動力伝達部が装置本体から取外し可能なものを含まない。
b充足同bは否認する。
ウ 争点3-3(構成要件プ3-1Eの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「後壁側」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈構成要件プ3-1Eにおける「後壁側」は,「後壁近傍」であれば足り,ラックが「後壁」に設けられている必要はない。
b充足被告カプセルベンダーのラック41は,装置本体3の前壁7から後壁13の間(約39cm)の後壁13から約8cm離れた位置で,動力伝達部とかみ合うから(被告カプセルベンダー説明書4(5)),「後壁側」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aは否認する。
b充足同bは否認する。
(4) 争点4(本件カプセル発明3-2の充足)ア 争点4-1(構成要件プ3-2Aの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「後壁近傍に設けられた一又は二以上の歯車」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 構成要件プ3-2Aにおける「後壁近傍に設けられた一又は二以上の歯車」とは,「後壁の近辺に設けられた一又は二以上の歯車」を意味する。
(b) 後記被告の主張a(b)は,単なる実施例に基づく主張にすぎない。
b充足前壁7から後壁13の間は約39cmで,被告カプセルベンダーの歯車87,89,91は,回転軸83の後壁13から約8cm離れた位置に設置されているから(被告カプセルベンダー説明書5(1)),構成要件プ3-2Aにおける「後壁近傍に設けられた一又は二以上の歯車」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈(a) 原告バンダイの主張a(a)は否認する。
(b)一 本件カプセル特許1当初明細書の【0020】には,「この回転軸83の後壁13近傍には平歯車85が固設されている」と記載されている。
二 「固設」とは,「固着。固定した状態に設けること」を意味する(日刊工業新聞社「特許技術用語集第2版」)。
三 したがって,本件カプセル発明3-2における平歯車は,後壁13に付いている必要がある。
b充足(a) 同bは否認する。
(b) 被告カプセルベンダーの歯車87,89,91は,後壁から8cm離れており,しかも,後壁13に固設されていないから,構成要件プ3-2Aを充足しない。
イ 争点4-2(構成要件プ3-2Cの充足)争点3における主張と同じである。
(5) 争点5(本件カプセル発明4-1の充足)ア 争点5-1(構成要件プ4-1Aの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)ないし(エ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「後壁近傍の歯車」(原告バンダイの主張)争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(イ)(後壁近傍)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(イ)(後壁近傍)における被告の主張と同旨である。
(ウ) 「回転軸を有(する)‥前記装置本体」(原告バンダイの主張)争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(ウ)(回転軸…を有する前記装置本体)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(ウ)(回転軸…を有する前記装置本体)における被告の主張と同旨である。
(エ) 「開口」(原告バンダイの主張)争点2-1(構成要件プ2-9Aの充足)(イ)(開口部)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点2-1(構成要件プ2-9Aの充足)(イ)(開口部)における被告の主張と同旨である。
イ 争点5-2(構成要件プ4-1Bの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「引き出し自在」(原告バンダイの主張)争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(ウ)(引き出し可能)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)(ウ)(引き出し可能)における被告の主張と同旨である。
ウ 争点5-3(構成要件プ4-1Cの充足)(ア) 「係合段部」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈「係合段部」とは,請求項の文言自体から,「装置本体の両側壁に設けられ,物品収納ケースの底壁の両側部を載置可能であり,ガイドレールを有する」ものである。
b充足被告カプセルベンダーのガイドレール16,18を有する構造(被告カプセルベンダー説明書6(3))は,「係合段部」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告バンダイの主張aは否認する。
b充足同bは否認する。
エ 争点5-4(構成要件プ4-1Dの充足)(ア) 「係合溝」(原告バンダイの主張)a クレーム解釈(a) 「係合溝」とは,請求項の文言自体から,「物品収納ケースの底壁の両側部に設けられ,ガイドレールに係合可能な」構造を指す。
(b) 「係合溝」は,収納ケースの底壁に設けられ,収納ケースを装置本体の開口に押し込む際に,装置本体の両側部に設けられた係合段部のガイドレールと係合することによって,収納ケースを前後にスムーズに移動させることができるようにする役割を有する。
収納ケースを装置本体の開口に押し込む際に,収納ケースの底壁の係合溝の先端部が装置本体の両側部に設けられた係合段部のガイドレールにいったん係合すれば,後はそのまま収納ケースを装置本体に水平に押し込むことによって,収納ケースを前後にスムーズに移動することができる。したがって,係合溝が相当程度の長さを有する必要はない。
b充足被告カプセルベンダーにおける係合部分23,25は,収納ケース5の底壁21の両側部に設けられ,装置本体3の側壁に設けられた係合段部15,17のガイドレール16,18に係合可能な構造であるから,その長さが約1?pであっても(被告カプセルベンダー説明書6(4)),「係合溝」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈(a) 原告バンダイの主張aは否認する。
(b) 「溝」とは,「(i)地を細長く掘って水を流す所。どぶ。渠。(ii)戸・障子をたてるために敷居と鴨居とに刻んだ細長いくぼみ。また一般に細長くぼんだところ。『レコードの-』」(広辞苑第5版)と定義され,相当程度の長さを有したくぼみであることを要する。
本件カプセル特許4明細書の実施例を示した図2においても,係合溝23,25は,物品収納ケース5の底壁21の両側部に沿って後端から前端まで一直線に設けられており,「係合溝」とガイドレールが相当の長さで係合し,物品収納ケース5をそれに沿って着脱する構成となっている。
b充足(a) 同bは否認する。
被告カプセルベンダーの係合部分23,25は,約1cmにすぎず,「係合溝」に当たらない。
(b) 被告カプセルベンダーにおいては,収納ケース5を装置本体3内部にスライドする際,装置本体3の中央上部の前端から後端にかけて水平に設けられた軒杆に沿ってスライダが移動し,収納ケース5の前後への移動をスムーズに行うことができるようになっているため,「係合溝」に該当する部分を設ける必要はない。さらに,被告カプセルベンダーは,引き出した収納ケース5を左右に振ることができる構造であるが,ある程度の長さを有する「係合溝」を設けたとすると,「係合溝」がひっかかってしまい,収納ケース5を左右に振ることができなくなるという不具合が発生してしまう。
オ 争点5-5(構成要件プ4-1Eの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の部分の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「後壁近傍の歯車」(原告バンダイの主張)争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(イ)(後壁近傍)における原告バンダイの主張と同旨である。
(被告の主張)争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)(イ)(後壁近傍)における被告の主張と同旨である。
(6) 争点6(本件カプセル特許1の無効理由)ア 争点6-1(補正制限違反)(被告の主張)(ア) 本件カプセル特許1当初明細書a 本件カプセル特許1当初明細書の記載内容は,前提事実(9)ア(ア)のとおりである。
b 同当初明細書における技術思想は,従来,物品収納ケースが装置本体から取り外せないために,物品収納ケース内の物品を取り替えるに際して,いちいち手で取り替える以外の方法がなく煩雑であったことに鑑み,物品収納ケース自体を取り替えることができるようにしたというものであり,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものは,同当初明細書に記載されておらず,同記載から自明でもなかった。
(イ) 第1回補正a 本件カプセル特許1に係る出願についてされた第1回補正の内容は,前提事実(9)ア(イ)のとおりである。
b 第1回補正後の本件カプセル発明1-2は,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものもその技術的範囲に含む。
(ウ) まとめ第1回補正後の本件カプセル発明1-2は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内ではない事項を含んでおり,同発明についての特許は,無効である(特許法123条1項1号,17条の2第3項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 本件カプセル特許1当初明細書被告の主張(ア)bは否認する。
本件カプセル特許1当初明細書の請求項3ないし5には,物品収納ケースが着脱自在か否かについては一切記載されておらず,同当初明細書には,着脱自在であることを要件としない発明が開示されていた(発明の詳細な説明【0013】参照)。
(イ) 第1回補正同(イ)bは否認する。
(ウ) まとめ同(ウ)は否認する。
イ 争点6-2(進歩性の欠如)(ア) 乙42を主引用例とする場合(被告の主張)a 乙42発明実用新案登録第3014387号公報(乙42)には,「主に,子供を対象にプラスチック製カプセルに入った商品…を販売するための小型の自動販売機」(【0001】)に関して,以下の発明が開示されている。
プ1-2D’ 以下の構成を有する自動販売機。
プ1-2A’ 正面を有する自動販売機1本体であって,ハンドル5,商品取出口6,該ハンドル5の操作を自動販売機1本体内のギア62,64,66へ伝達する軸61,前記商品取出口6と一端で連通した商品排出路80aを有する前記自動販売機1本体と,プ1-2B’ 前記自動販売機1本体内に設けられ,上部が前記自動販売機1本体により覆われ,底部の商品排出装置60の落下口が前記商品排出路80aの上端開口と対向する商品収納部2であって,物品入れ替え時に前記自動販売機1本体の正面のカバー7が手前側に開けられるようになっている商品収納部2と,プ1-2C’ 前記商品収納部2の底壁に設けられ,前記ハンドル5の操作に応じ前記軸61及び前記ギア62,64,66を介して回転するドラム70であって,その回転方向に沿って形成された複数の商品排出開口70aであって,互いに所定間隔をあけて設けられた複数の商品排出開口70aを有し,前記ハンドル5の操作により所定間隔分だけ順次回転することに応じ,該複数の商品排出開口70aの一つが順次前記落下口と対向する位置に導かれ,前記商品収納部2内のカプセル商品3を前記落下口から前記商品排出路80aへ順次導出可能にするドラム70b 一致点及び相違点(a) 相違点1本件カプセル発明1-2においては,?@物品収納ケースが,前記装置本体に装着することにより,上部の物品投入用開口部が前記装置本体により覆われ,底部の落下口が落下通路の他端と対向し,物品入れ替え時に前記装置本体の正面より引き出し可能なものであり,?Aその底壁に回転盤が設けられているのに対して,乙42発明においては,?@商品収納部2は自動販売機1本体内に設けられ,?Aその底部にドラム70が設けられている点。
(b) 相違点2本件カプセル発明1においては,操作部の操作を装置本体の後壁近傍の歯車へ伝達しているのに対して,乙42発明においては,ハンドル5の操作を自動販売機1本体のやや前部にあるギア62,64,66に伝達している点。
(c) 一致点乙42発明と本件カプセル発明1-2とは,その余の点において一致している。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断一 相違点1?@商品の補給等のために物品収納ケース自体を取り替えるという目的(課題)ないし技術思想は,周知である(特開平6-274751公報(乙44),実願平3-21161(実開平5-25574)のCD-ROM(乙45))。
二 相違点1?A(一) 相違点1?Aに係る構成は,物品収納ケース自体を取り替えるという技術思想さえあれば,当業者が必要に応じて適宜設計し得たことである。
(二) また,相違点1?Aに係る構成は,次の周知技術(乙43)を参酌することにより,当業者が容易に想到し得たことである。
実願平1-135729(実開平3-75106)のマイクロフィルム(乙43)には,錠剤を分包袋に分包する錠剤分配装置において,前後方向にスライドさせるだけで着脱できる錠剤収納ケース2を設けた構造が示されている。
この収納ケース2内には,複数の送り出し溝11を有する分配ロータ9が回転自在に設けられ,収納ケース2のホッパ4に収納された錠剤が送り出し溝11内に入り,送り出し溝11が分配口13の位置に来た時点で錠剤が分配口13から外に飛び出すようになっている。分配ロータ9は,収納ケース2が装着されたときに歯車10,15,31が噛み合うことにより回転されるようになっている。
(三) 原告は,乙43に関して,技術分野が異なる旨を主張する。
しかし,内部に回転自在な回転盤(乙43では分配ロータ)を有する収納ケースを引き出し可能(スライドによる着脱自在)に設け,歯車等の噛み合いにより上記回転盤(分配ロータ)を回転させて収納ケース内の物品を放出させるという点において,本件カプセル発明1-2と乙43発明とは技術思想を共通にするものである。
(b) 相違点2についての判断一 相違点2に係る構成は,単に歯車の配置位置を限定したものであり,格別の技術的意義をもたない設計的事項である。
二 少なくとも,商品販売装置において,装置の「後壁近傍」に動力伝達機構を設ける構成は,次の公報に例示されるように,周知の技術的事項である。
(一) 米国特許第2,129,185号明細書(乙52。1938年刊行)乙52明細書の硬貨で制御される販売装置においては,硬貨をスロット272に挿入した上で正面に設けられた操作ハンドル70を回すと,その回転動力がジャーナル240によってその後端に伝達される。ジャーナル240の後端にはギアホイール242が固定され,このギアホイール242は販売ホイール232の下縁のギア234と中空ベース2の「後壁近傍」で噛み合っている。ハンドル70の回転により販売ホイール232が回動し,商品区画236内の商品が開口部264を通って放出される。
(二) 米国特許第3,036,732号明細書(乙53。1962年刊行)乙53明細書には,硬貨制御式商品販売機が開示されているが,そのハウジング11の前面に設けられたハンドル18の回転はシャフト53によってピニオン52に伝達され,更にピニオン49に伝達される。ピニオン49が固定されたシャフト48はハウジング11の後壁近くまで延び,その後端にピニオン51が固定されている。ハウジング11の「後壁近傍」においてピニオン51の回転は,一方ではアイドラギヤ54,ギヤ56を経てシャフト43に固定された放出メンバー25に伝えられ,他方,ギヤ56からピニオン57,大アイドラギヤ58,シャフト59,ピニオン61,大ギヤ37を経てシャフト34に伝達され,収容メンバー24が回転する。これによって収容メンバー24に保持されたボールペン39が放出メンバー25を経て放出されることになる。
(c) まとめしたがって,本件カプセル発明1-2は,乙42発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告バンダイの主張)a 乙42発明被告の主張aは認める。
b 一致点及び相違点(a) 相違点1同b(a)は認める。ただし,より正確には,本件カプセル発明1-2は,「物品収納ケース」が物品入れ替え時に「装置本体」の正面より引き出し可能(移動可能)で,上部に物品投入用開口部を有するのに対し,乙42発明では,「物品収納ケース」に相当する部材である商品収納部2は「装置本体」に相当する部材である自動販売機1に固定されたままであることから,自動販売機1に装着し,自動販売機1の正面より引き出し可能ではなく,また,上部にカプセル商品3の投入用開口部を有しないことも認定されるべきである。
(b) 相違点2同b(b)は認める。
(c) 一致点同b(c)は認める。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断一 相違点1?@同c(a)一は否認する。
乙42発明は,商品収納部2が自動販売機1に固定された構造であることを特徴としていること,及び乙42発明につき,ギアの位置から商品収納部2を「物品収納ケース」として自動販売機1の正面から手前に引き出し可能に構成することは,その構造上不可能であることにおいて,本件カプセル発明1-2と本質的に異なっており,商品収納部2を自動販売機1の正面から引き出し可能にするという技術思想の適用を阻害する要因がある。
また,乙44発明及び乙45発明は,物品取出装置とは全く関係のない単なる収納ケースに関する発明である。
二 相違点1?A同c(a)二は否認する。
本件カプセル発明1-2における「物品取出」と乙43発明における「錠剤の分配」とは,全く異なる技術思想である。すなわち,乙43発明は,錠剤という比較的軽い物体を分配するために,回転の遠心力で飛び出させる電動の装置であるのに対し,本件カプセル発明1-2は,物品を回転盤によって落下口の上部に運び,物品の自重によって物品取出口に落下させて取り出すものである。
しかも,乙43発明では,収納ケース2内の錠剤を入れ替えることは,そもそも想定されていない。
(b) 相違点2についての判断一 同c(b)は否認する。
「歯車」が装置本体の後壁近傍にあるという構成は,物品収納ケースを引き出し可能とするために必須の構成であって,単なる設計事項ではない。
二 乙52は,コンテナ16をベース2に固定したことを特徴とするものであり,乙53は,商品収容部材24がハウジング11に固定されており,いずれも,物品収納ケースが装置本体の正面から手前に引き出し可能な構成において歯車を後壁近傍に配置したという技術思想を何ら開示,示唆するものではない。
固定構造である乙42発明に,ケースを装置から外して移動できるという構造を有する乙43〜45発明を組み合わせ,更に固定構造である乙52及び53発明を組み合わせることは道理に合わず,これらの組合せにより,本件カプセル発明1-2に想到することはできない。
(c) まとめ同c(c)は否認する。
(イ) 乙43発明を主引用例とする場合(被告の主張)a 乙43発明乙43マイクロフィルムには,錠剤分配装置に関して,以下の発明が開示されている。
プ1-2D’’ 以下の構成を有する錠剤分配装置。
プ1-2A’’ 分包機の支持板に取付けられる枠体の支持台3であって,回転モータ20,支持板側に開口した錠剤排出口,該回転モータ20の回転を駆動歯車31等に伝達する出力軸,前記錠剤排出口と一端で連通した錠剤排出路25を有する支持台3と,プ1-2B’’ 上面に蓋板6が着脱自在に被せられ,前記支持台3に装着することにより,底部の分配口13が前記錠剤排出路25の他端と対向する物品収納ケースであって,錠剤入れ替え時に前記支持台3の前面より引き出し可能な前記収納ケース2と,プ1-2C’’ 前記収納ケース2の底壁に設けられ,前記回転モータ20の回転に応じ前記出力軸,前記駆動歯車31等を介して回転する分配ロータ9であって,その回転方向に沿って形成され,互いに所定間隔をあけて設けられた複数の送り出し溝11及びすき間12を有し,前記回転モータ20の駆動により所定間隔分だけ順次回転することに応じ,該複数の送り出し溝11の一つが順次前記分配口13と対向する位置に導かれ,前記収納ケース2内の錠剤を前記分配口13から前記錠剤排出路25へ順次導出可能にする分配ロータ9。
b 一致点及び相違点(a) 相違点1本件カプセル発明1-2が物品取出装置に関するものであるのに対して,乙43発明は錠剤分配装置である点。
(b) 相違点2本件カプセル発明1-2における装置本体が正面を有し,物品入れ替え時に物品収納ケースが正面より引き出し可能であり,物品収納ケースを装置本体に装着することにより,その上部の物品投入用開口部が前記装置本体により覆われるのに対して,乙43に記載の装置では,支持台3は枠体であり,開放された前面から収納ケース2が引き出し可能であり,収納ケース2の上面に蓋板6が着脱自在に被せられる点。
(c) 相違点3本件カプセル発明1-2においては,装置本体が操作部,該操作部の操作を装置本体の後壁近傍の歯車へ伝達する回転軸を有し,前記操作部の操作に応じ前記回転軸及び前記歯車を介して回転盤が回転するのに対して,乙43に記載の装置においては,支持台3が回転モータ20と,前記回転モータ20の回転を駆動歯車31に伝達する出力軸とを有し,前記回転モータ20の駆動に応じ前記出力軸,前記歯車31,歯車15,10を介して分配ロータ9が回転する点。
(d) 一致点乙43発明と本件カプセル発明1-2とは,その余の点において一致している。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断本件カプセル発明1-2の装置と乙43に記載の装置とは,いずれも「物品取出装置」であり,収納ケースが引き出し自在,スライド自在ないしは着脱自在なものである点で共通しているので,技術分野を共通にするものである。
したがって,乙43に記載の錠剤分配装置を本件カプセル発明1-2の物品取出装置に適用することに困難性はない。
(b) 相違点2についての判断相違点2は,当業者が普通に設計するであろう事項以上のものではない。
(c) 相違点3についての判断装置本体が操作部と,該操作部の操作を装置本体の歯車へ伝達する回転軸を有し,回転盤が前記操作部の操作により前記回転軸及び前記歯車を介して所定間隔分だけ順次回転して物品収納ケース内の物品を落下通路へ順次導出可能にするという本件カプセル発明1-2の構成は,周知であり(例えば,乙42),物品収納ケースを着脱自在とした構成において,物品収納ケースが装置本体の正面から装着されたときにも操作部の操作に応じて回転軸及び歯車を介して回転盤が回転するようにすることは,物品取出装置である以上,当然のことである。
また,乙43に記載の分配ロータ9を回転盤に置き換えることについても,自動販売機において回転盤(ドラム)の構成が周知であるから,何らの困難性もない。
歯車が装置本体の後壁近傍に設けられている点は,周知の事項である(乙52,53)。
したがって,相違点3も,乙43に記載の錠剤分配装置を物品取出装置に適用するに当たって,周知技術を用いて当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
(d) まとめしたがって,本件カプセル発明1-2は,乙43発明を主引用例として,周知技術を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである。
(原告バンダイの主張)a 乙43発明被告の主張aは認める。
b 一致点及び相違点(a) 相違点1同b(a)は認める。
(b) 相違点2同b(b)は認める。ただし,乙43に記載された装置では,収納ケース2は,そのホッパ4の上部に蓋板6が着脱自在に被せられ,上部が開放されていないことから,支持台3に押し込むことにより,収納ケース2の上部が支持台3により覆われるものではないことを認定すべきである。
(c) 相違点3同b(c)は認める。ただし,乙43に記載された装置では,電動であるため,手動を前提とする操作部を有していない点も明確に認定されるべきである。
(d) 一致点同b(d)は認める。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断同c(a)は否認する。
本件カプセル発明1-2と乙43発明とは,その構成,目的,課題,技術思想などにおいて何ら共通する点がなく,本質的に異なるものであるから,乙43発明から本件カプセル発明1-2に想到することはできない。
(b) 相違点2についての判断同c(b)は否認する。
(c) 相違点3についての判断同c(c)は否認する。
乙42,52及び53発明は,いずれも収納ケースに相当する部材が装置本体に相当する部材に固定されている構造を有しているから,収納ケースと装置本体が分離している乙43発明と組み合わせることは,困難である。
乙43発明は,錠剤という比較的軽い物体を分配するために,回転の遠心力で飛び出させる電動の装置であるから,乙42,52及び53のように手動のものと組み合わせることはあり得ない。
(d) まとめ同c(d)は否認する。
ウ 争点6-3(特許法39条2項違反)(被告の主張)後記争点8-3(特許法39条2項違反)における被告の主張(本件カプセル発明3-1及び同3-2と本件カプセル発明1-2との同一)及び争点9-3(特許法39条2項違反)における被告の主張(本件カプセル発明4-1と本件カプセル発明1-2との同一)と同旨である。
(原告バンダイの主張)後記争点8-3(特許法39条2項違反)における原告バンダイの主張(本件カプセル発明3-1及び3-2とカプセル発明1-2との同一)及び争点9-3(特許法39条2項違反)における原告バンダイの主張と同旨である。
(7) 争点7(本件カプセル特許2の無効理由)ア 争点7-1(分割要件違反)(被告の主張)(ア) 本件カプセル特許1当初明細書a 本件カプセル特許1当初明細書の記載内容は,前提事実(9)ア(ア)のとおりである。
b 同当初明細書における技術思想は,従来,物品収納ケースが装置本体から取り外せないために,物品収納ケース内の物品を取り替えるに際して,いちいち手で取り替える以外の方法がなく煩雑であったことに鑑み,物品収納ケース自体を取り替えることができるようにしたというものであり,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものは,同当初明細書に記載されておらず,同記載から自明の事項でもなかった。
(イ) 分割出願a 本件カプセル特許4に係る出願は,平成13年5月7日,本件カプセル特許1に係る出願を原出願として分割出願され,本件カプセル特許2に係る出願は,平成14年8月30日,本件カプセル特許4に係る出願を原出願として分割出願されたことは,前提事実(2)イ及びエのとおりである。
b 本件カプセル発明4-1は,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものもその技術的範囲に含む。
(ウ) まとめしたがって,本件カプセル特許4は,分割出願の要件を備えておらず,本件カプセル特許2の出願日は,本件カプセル特許4の現実の出願日である平成13年5月7日まで繰り下がる。
本件カプセル発明2-9は,本件カプセル特許1の公開特許公報(特開平9?326081。乙51)により,新規性又は進歩性を欠き,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,29条1項3号又は同条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 本件カプセル特許1当初明細書被告の主張(ア)bは否認する。
(イ) 分割出願同(イ)bは否認する。
(ウ) まとめ同(ウ)は否認する。
イ 争点7-2(進歩性欠如)(被告の主張)(ア) 乙42乙42には,「主に,子供を対象にプラスチック製カプセルに入った商品(以下「カプセル商品」という。)を販売するための小型の自動販売機」(【0001】)に関して,以下の発明が開示されている。
プ2-9A’ 前面に開口部が形成され,ハンドル5と,商品取出口6と,該商品取出口6に連通する商品排出路80aと,前記ハンドル5の操作により回動するギア62,64,66と,を有する自動販売機1本体と,プ2-9B’ 前面が開放され,底部に商品排出装置60の落下口が形成されている物品収納部2であって,前記落下口は前記商品排出路80aに対向する商品収納部2と,プ2-9C’ 前記商品収納部2の底部に回動自在に設けられ,カプセル商品3を収容するための商品排出開口70a及び前記ギア62,64,66とかみ合うラックギア71を有したドラム70と,プ2-9D’ 前記自動販売機1本体内部に設けられコイン必要枚数を切替可能な硬貨選別装置10であって,前記コイン必要枚数を切り替える通路規制部材51のピン51aと,挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記ギア62を介してハンドル5に追従して回転する回転板14と,を有する硬貨選別装置10とを備え,プ2-9E’ 前記回転板14は,前記自動販売機1本体に前記コイン必要枚数のコインが挿入されたときに,回転可能となって前記ハンドル5を回転可能にする,プ2-9F’ ことを特徴とする自動販売機(イ) 一致点及び相違点a相違点1本件カプセル発明2-9は,上面が開放され,底部に落下口が形成されている物品収納ケースが,前記前面から前記装置本体の前記開口部に装着されることにより,前記落下口は前記落下通路に対向しているのに対して,乙42発明においては,商品収納部2は自動販売機1本体内に設けられている点。
b 相違点2本件カプセル発明2-9は,物品収納ケースの底部に回転盤が回転自在に設けられているのに対して,乙42発明においては,商品収納部2の底部にドラム70が設けられている点。
c一致点(a) 乙42発明と本件カプセル発明2-9とは,その余の点において一致している。
(b) 原告バンダイは,「後壁近傍」を相違点として主張するが,「後壁近傍」は,本件カプセル発明2-9の構成要件に含まれていないから,同原告の上記主張は理由がない。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断商品の補給等のために物品収納ケース自体を取り替えるという目的(課題)ないし技術思想は周知である(乙44,45)。
相違点1に係る構成は,既によく知られた上記技術思想を本件カプセル発明2-9の物品取出装置に適用したものにすぎず,当業者が容易に想到し得たことである。
b 相違点2についての判断相違点2は,物品収納ケース自体を取り替えるという着想さえあれば,周知技術(乙43)を参酌し,当業者が必要に応じて適宜設計し得るものである。
c まとめしたがって,本件カプセル発明2-9は,乙42発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 乙42被告の主張(ア)のうち,自動販売機1本体の前面に開口部が形成されていること(プ2-9A’)は否認し,その余は認める。
(イ) 一致点及び相違点a相違点1同(イ)aは認める。ただし,より正確には,本件カプセル発明2-9の「物品収納ケース」が「装置本体」の開口部の前面から押し込んで「装着」することができるのに対し,乙42発明においては,商品収納部2は自動販売機1に固定されたままであることが認定されるべきである。
b 相違点2同(イ)bは認める。
c 一致点(a) 同(イ)c(a)は否認する。
(b) 本件カプセル発明2-9においては,「歯車」が装置本体の後壁近傍にあるのに対し,乙42発明では,ギア62,64,66はいずれも自動販売機1の前壁側に位置し,後壁近傍にはない点も,相違点である。
そして,乙42発明における商品収納部2をケース状にして,自動販売機1の正面より引き出し可能にするという構成を採用しようとしても,ギア66がひっかかってしまうことから,乙42発明に,「物品収納ケースが装置本体の前面から装置本体の開口部に装着される」という構成を組み合わせることは,不可能である。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断同(ウ)aは否認する。
乙42発明は,商品収納部2が自動販売機1に固定された構造であることを特徴としていること,及び乙42発明につき,ギアの位置から商品収納部2を「物品収納ケース」として自動販売機1の正面から手前に引き出し可能に構成することはその構造上不可能であることにおいて,本件カプセル発明2-9と本質的に異なっており,商品収納部2を自動販売機1の正面から引き出し可能にするという技術思想の適用を阻害する要因がある。
また,乙44発明及び乙45発明は,物品取出装置とは全く関係のない単なる収納ケースに関する発明である。
b 相違点2についての判断同(ウ)bは否認する。
本件カプセル発明2-9における「物品取出」と乙43発明における「錠剤の分配」とは,全く異なる技術思想である。
cまとめ同(ウ)cは否認する。
ウ 争点7-3(36条6項1号及び2号違反)(被告の主張)(ア) 技術的矛盾原告バンダイ主張のとおり,構成要件プ2-9Dの「回転盤」は,その実施例においては「コイン搬送円盤」であるとすると,「コイン搬送円盤」が構成要件プ2-9Cの「回転盤」の有するラックがかみ合う「歯車」にかみ合う(構成要件プ2-9D)という矛盾が生じる。
(イ) 訂正審判請求の取下げa 前提事実(9)ウ(カ)のとおり,原告バンダイは,平成16年7月28日,本件カプセル発明2-9について,構成要件プ2-9Dの「回転盤」を「第4の歯車」と変更することなどを内容とする訂正審判の請求を行ったが(乙38,39),拒絶理由通知(乙40)を受けて,平成17年4月19日,この請求を取り下げた(乙41)。
b この事実は,本件カプセル特許2明細書はこの明りょうでない記載を含んでいることを意味する。
(ウ) まとめしたがって,本件カプセル特許2(請求項9)は,特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものではなく,特許を受けようとする発明が明確でないから,無効とされるべきである(特許法123条1項4号,36条6項1号及び2号)。
(原告バンダイの主張)(ア) 技術的矛盾被告の主張(ア)は否認する。
構成要件プ2-9Dの「回転盤」は,「挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,前記歯車に噛み合うコインセレクターを有する部材」であり,構成要件プ2-9Cの「回転盤」とは全く異なる部材である。このことは,特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載から明らかである。
したがって,本件カプセル発明2-9の記載に何ら矛盾はない。
(イ) 訂正審判請求の取下げ同(イ)bは否認する。
拒絶理由通知において問題とされているのは,「回転盤」を「歯車」と言い換えたことにすぎず,「回転盤」が「歯車」を排除するものであると認定されたわけではない。
(ウ) まとめ同(ウ)は否認する。
(8) 争点8(本件カプセル特許3の無効理由)ア 争点8-1(本件カプセル特許4の分割要件違反-新規事項,同一)(被告の主張)(ア) 本件カプセル特許4の分割要件違反(新規事項)a 新規事項後記争点9-1(分割要件違反-新規事項)の被告の主張(ア)(イ)(ウ)a,b(a)と同旨である。
bまとめ(a) したがって,本件カプセル特許4は,分割出願の要件を備えておらず,本件カプセル特許3の出願日は,本件カプセル特許4の現実の出願日である平成13年5月7日まで繰り下がる。
(b) よって,本件カプセル発明3-1及び同3-2は,本件カプセル特許1の公開特許公報(特開平9?326081。乙51)により,新規性又は進歩性を欠き,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,29条1項3号又は同条2項)。
(イ) 本件カプセル特許4の分割要件違反(同一)a同一後記争点9-2(分割要件違反-同一)の被告の主張(ア)(イ)aと同旨である。
b まとめ(a) したがって,本件カプセル特許4は,分割出願の要件を備えておらず,本件カプセル特許3の出願日は,本件カプセル特許4の現実の出願日である平成13年5月7日まで繰り下がる。
(b) よって,本件カプセル発明3-1及び同3-2は,本件カプセル特許1の公開特許公報(特開平9?326081。乙51)により,新規性又は進歩性を欠き,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,29条1項3号又は同条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 本件カプセル特許4の分割要件違反(新規事項)a 新規事項後記争点9-1(分割要件違反-新規事項)の原告バンダイの主張(ア)(イ)と同旨である。
bまとめ同bは否認する。
(イ) 本件カプセル特許4の分割要件違反(同一)a同一後記争点9-2(分割要件違反-同一)の原告バンダイの主張と同旨である。
b まとめ同bは否認する。
イ 争点8-2(本件カプセル特許3の分割要件違反)(被告の主張)(ア) 分割出願本件カプセル特許3は,平成16年7月28日,本件カプセル特許4に係る出願を原出願として分割出願されたことは,前提事実(2)ウのとおりである。
(イ) 同一本件カプセル発明3-1及び同3-2と本件カプセル発明4-1とは,実質的に同一である。
(ウ) まとめa したがって,本件カプセル特許3は,分割出願の要件を備えておらず,本件カプセル特許3の出願日は,その現実の出願日である平成16年7月28日である。
b よって,本件カプセル発明3-1及び同3-2に係る特許は,先願である本件カプセル特許4との関係で,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,39条1項)。
c また,本件カプセル発明3-1及び同3-2に係る特許は,本件カプセル特許1の公開特許公報(特開平9?326081)により,新規性又は進歩性を欠き,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,29条1項3号又は同条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 同一被告の主張(イ)は否認する。
本件カプセル発明3-1及び3-2は,本件カプセル発明4-1と一部重複する発明であるが,同一の発明ではない。
(イ) まとめ同(ウ)は否認する。
ウ 争点8-3(特許法39条2項違反)(被告の主張)(ア) 同一本件カプセル発明3-1及び同3-2と本件カプセル発明1-2とは,実質的に同一である。
(イ) 特許法39条2項違反仮に,本件カプセル特許3,本件カプセル特許4がいずれも分割要件を満たしていたとしても,本件カプセル発明3-1及び同3-2に係る特許は,本件カプセル特許1と同日同一発明となり,特許法39条2項に違反し,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,39条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 同一同(ア)は否認する。
本件カプセル発明3-1及び同3-2は,本件カプセル発明4-1と一部重複する発明であるが,同一の発明ではない。
(イ) 特許法39条2項違反同(イ)は否認する。
エ 争点8-4(進歩性の欠如)(ア) 本件カプセル発明3-1につき,乙42発明を主引用例とする場合(被告の主張)a 乙42発明乙42には,「主に,子供を対象にプラスチック製カプセルに入った商品…を販売するための小型の自動販売機」(【0001】)に関して,以下の発明が開示されている。
プ3-1A’ 前壁,後壁及び両側壁を含んで箱型形状に形成され,前記前壁の外面にはハンドル5及び商品取出口6が設けられており,さらに該商品取出口6と一端で連通した商品排出路80aを内部に有している自動販売機1本体と,プ3-1B’ 前記前壁の上部が切り欠かれて開口が形成された前記自動販売機1本体内に設けられ,上部が前記自動販売機1本体により覆われるとともに,底部の商品排出装置60の落下口が前記商品排出路80aの上端開口と対向する商品収納部2と,プ3-1C’ 前記商品収納部2の底壁に設けられ,下面周縁に環状に形成されたラックギア71と回転方向に沿って複数形成された商品排出開口70aとを有するドラム70と,プ3-1D’ 前記自動販売機1本体内に設けられ,前記ハンドル5の操作を前記ドラム70に伝達する動力伝達部(軸61,ギア62,64,66,ラックギア71)とを含み,プ3-1E’ 前記自動販売機1本体内において前記ドラム70の前記ラックギア71が前記動力伝達部(ギア62,64,66)とかみ合い,その状態で前記ハンドル5を操作すると前記ドラム70が回転し,この回転により前記複数の商品排出開口70aの何れか一つが前記落下口と対向する位置に導かれた時に,前記商品収納部2内のカプセル商品3を前記落下口から前記商品排出路80aへ導出するプ3-1F’ 自動販売機1b 一致点及び相違点(a) 相違点1本件カプセル発明3-1においては,物品収納ケースが,前壁の開口から前記装置本体に装着し又は前記開口から引き出し可能とされ,前記装置本体に押し込んだときに開放された上面が前記装置本体により覆われるのに対して,乙42発明においては,商品収納部2は自動販売機1本体内に設けられている点。
(b) 相違点2本件カプセル発明3-1においては,物品収納ケースの底壁に回転盤が設けられているのに対して,乙42発明においては,商品収納部2の底部にドラム70が設けられている点。
(c) 相違点3本件カプセル発明3-1においては,物品収納ケースを前記装置本体に押し込んだときに前記回転盤の前記ラックが装置本体の後壁側で前記動力伝達部とかみ合うのに対して,乙42発明においては,商品収納部2の底部にドラム70のラックギア71は自動販売機1本体のやや前部にある動力伝達部(ギア62,64,66)とかみ合っている点。
(d) 一致点乙42発明と本件カプセル発明3-1とは,その余の点において一致している。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断物品収納ケース自体を取り替えることのできるようにする技術思想は,既によく知られていたものである(乙44,45)。
相違点1に係る構成は,既に知られた技術思想を乙42発明に適用したにすぎず,当業者が容易に想到し得たものである。
(b) 相違点2についての判断相違点2に係る構成は,物品収納ケース自体を取り替えるという技術思想さえあれば,当業者が必要に応じて適宜設計し得たものである。
また,相違点2に係る構成は,周知技術(乙43)を参酌することにより,当業者が容易に想到し得たことである。
(c) 相違点3についての判断相違点3に係る構成は,単にラックと歯車(動力伝達部)がかみ合う位置を限定したものであるから,単なる設計的事項にすぎない。
歯車が装置本体の後壁近傍に設けられている点は,周知の事項である(乙52,53)。
(d) まとめしたがって,本件カプセル発明3-1は,乙42発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告バンダイの主張)a 乙42発明被告の主張aのうち,自動販売機1に開口が形成されていること(プ3-1B’)は否認し,その余は認める。
b 一致点及び相違点(a) 相違点1同b(a)は認める。ただし,より正確には,本件カプセル発明1-2は,「物品収納ケース」が物品入れ替え時に「装置本体」の正面より引き出し可能(移動可能)で,上部に物品投入用開口部を有するのに対し,乙42発明では,「物品収納ケース」に相当する部材である商品収納部2は「装置本体」に相当する部材である自動販売機1に固定されたままであることから,自動販売機1に装着可能ではなく,自動販売機1の正面より引き出し可能でもなく,また,上部にカプセル商品3の投入用開口部を有しないことも認定されるべきである。
(b) 相違点2同b(b)は認める。
(c) 相違点3同b(c)は認める。
(d) 一致点同b(d)は認める。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断同c(a)は否認する。
乙42発明は,商品収納部2が自動販売機1に固定された構造であることを特徴としていること,及び乙42発明につき,ギアの位置から商品収納部2を「物品収納ケース」として自動販売機1の正面から手前に引き出し可能に構成することは,その構造上不可能であることにおいて,本件カプセル発明3-1と本質的に異なっており,商品収納部2を自動販売機1の正面から引き出し可能にするという技術思想の適用を阻害する要因がある。
また,乙44発明及び乙45発明は,物品取出装置とは全く関係のない単なる収納ケースに関する発明である。
(b) 相違点2についての判断同c(b)は否認する。
本件カプセル発明3-1における「物品取出」と乙43発明における「錠剤の分配」とは,全く異なる技術思想である。すなわち,乙43発明は,錠剤という比較的軽い物体を分配するために,回転の遠心力で飛び出させる電動の装置であるのに対し,本件カプセル発明3-1は,物品を回転盤によって落下口の上部に運び,物品の自重によって物品取出口に落下させて取り出すものである。
しかも,乙43発明では,収納ケース2内の錠剤を入れ替えることは,そもそも想定されていない。
(c) 相違点3についての判断一 同c(c)は否認する。
「歯車」が装置本体の後壁近傍にあるという構成は,物品収納ケースを引き出し可能とするために必須の構成であって,単なる設計事項ではない。
二 乙52は,コンテナ16をベース2に固定したことを特徴とするものであり,乙53は,商品収容部材24がハウジング11に固定されており,いずれも,物品収納ケースが装置本体の正面から手前に引き出し可能な構成において歯車を後壁近傍に配置したという技術思想を何ら開示,示唆するものではない。
固定構造である乙42発明に,ケースを装置から外して移動できるという構造を有する乙43〜45発明を組み合わせ,更に固定構造である乙52発明及び乙53発明を組み合わせることは道理に合わず,これらの組合せにより,本件カプセル発明3-1に想到することはできない。
(d) まとめ同c(d)は否認する。
(イ) 本件カプセル発明3-2につき,乙42発明を主引用例とする場合(被告の主張)a 乙42発明乙42には,以下の発明が開示されている。
プ3-2A’ 前記動力伝達部は,軸61と一又は二以上のギア62,64,66からなり,プ3-2B’ 前記ハンドル5の操作を前記軸61,前記ギア62,64,66及び前記ラックギア71を介して前記ドラム70へ伝達するものであるプ3-2C’ 自動販売機1。
b 一致点及び相違点(a) 相違点4本件カプセル発明3-2においては,前記動力伝達部は,その後壁近傍に設けられた歯車を備えているのに対して,乙42発明においては,自動販売機1本体のやや前部にあるギア62,64,66を備えている点。
(b) 一致点乙42発明と本件カプセル発明3-2とは,乙42発明と本件カプセル発明3-1との相違点並びに上記相違点4を除く点において一致している。
c 容易想到性(a) 相違点4についての判断相違点4は,単に歯車の配置位置を限定したものであるから,単なる設計的事項にすぎない。
また,歯車を装置本体の後壁近傍に設けることは乙52及び乙53に記載のように周知の事項である。
(b) まとめしたがって,本件カプセル発明3-2は,乙42発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43,52,53等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告バンダイの主張)a 乙42発明被告の主張aは認める。
b 一致点及び相違点同bは認める。
c 容易想到性同cは否認する。
乙52及び53によっては,物品収納ケースが装置本体の正面から手前に引き出し可能な構成において,「歯車」が装置本体の「後壁近傍」にあるという構成が設計事項や周知の事項であるとはいえない。
(ウ) 本件カプセル発明3-1につき,乙43発明を主引用例とする場合(被告の主張)a 乙43発明乙43マイクロフィルムには,錠剤分配装置に関して,以下の発明が開示されている。
プ3-1A’’ 分包機の支持板に取り付けられる枠体であって,回転モータ20及び支持板側に開口した錠剤排出口が設けられており,さらに該錠剤排出口と一端で連通した錠剤排出路25を内部に有している支持台3と,プ3-1B’’ 前壁に相当する開放した箇所から前記支持台3に装着し又は前記開放箇所から引き出し可能とされ,上面に蓋板6が着脱自在に被せられ,前記支持台3に押し込んだときに底部の分配口13が前記錠剤排出路25の他端と対向するようにされた収納ケース2と,プ3-1C’’ 前記収納ケース2の底壁に設けられ,下方に突出した下端部に固定された歯車10と回転方向に沿って複数形成された送り出し溝11及びすき間12とを有する分配ロータ9と,プ3-1D’’ 前記支持台3に設けられ,前記回転モータ20の回転を前記分配ロータ9に伝達する動力伝達部とを含み,プ3-1E’’ 前記収納ケース2を前記前壁に相当する開放した箇所から前記支持台3に押し込んだときに前記分配ロータ9の前記歯車10が支持台3の前記動力伝達部とかみ合い,その状態で前記回転モータ20を駆動すると前記分配ロータ9が回転し,この回転により前記複数の送り出し溝11の何れか一つが前記分配口13と対向する位置に導かれた時に,前記収納ケース2内の錠剤を前記分配口13から前記錠剤排出路25へ導出するプ3-1F’’ 錠剤分配装置。
b 一致点及び相違点(a) 相違点1本件カプセル発明3-1が物品取出装置に関するものであるのに対して,乙43に記載のものは錠剤分配装置である点。
(b) 相違点2本件カプセル発明3-1における装置本体が前壁,後壁及び両側壁を含んで箱型形状に形成され,前記前壁の上部に切り欠かれて形成された開口から物品収納ケースが装着され,物品収納ケースを装置本体に押し込んだときに物品収納ケースの開放された上面が装置本体により覆われるのに対して,乙43に記載の装置では,支持台3は枠体であってその前壁に相当する箇所は開放されており,収納ケース2は支持台3の前壁に相当する開放した箇所から装着され,収納ケース2の上面に蓋板6が着脱自在に被せられる点。
(c) 相違点3本件カプセル発明3-1においては,物品収納ケースの回転盤がその下面周縁に環状に形成されたラックを有し,装置本体の前壁の外面に操作部材及び物品取出口が設けられており,装置本体内に,操作部材の操作を回転盤に伝達する動力伝達部が設けられ,物品収納ケースを装置本体の前壁上部の開口から押し込んだときにラックが装置本体の後壁側で動力伝達部とかみ合い,その状態で操作部材を操作すると回転盤が回転するのに対して,乙43に記載の装置においては,収納ケース2の分配ロータ9が下方に突出した下端部に固定された歯車10を有し,支持台3に,支持板側(後端)に開口した錠剤排出口と,回転モータ20と,前記回転モータ20の回転を駆動歯車31に伝達する出力軸とが設けられ,収納ケース2を支持台3の前壁に相当する開放した箇所から押し込んだときに歯車10に噛み合う従動歯車15が支持台3の駆動歯車31と噛み合い,その状態で回転モータ20の駆動により分配ロータ9が回転する点。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断本件カプセル発明3-1の装置と乙43に記載の装置とは,いずれも「物品取出装置」であり,収納ケースが引き出し自在,スライド自在ないしは着脱自在なものである点で共通しているので,技術分野を共通にするものである。
したがって,乙43に記載の錠剤分配装置を本件カプセル発明3-1の物品取出装置に適用することに困難性はない。
(b) 相違点2についての判断相違点2に係る構成は,当業者が普通に設計する事項である。
すなわち,多くの自動販売機,その他の装置が箱型形状であるのは普通であるし,箱型形状であれば当然に前壁,後壁及び両側壁を含むものであるし,物品収納ケースを装置本体の前壁上部から着脱するのであれば,当然に前壁上部が切り欠かれて開口していなければならない。
乙43に記載の支持台3は,後端部の取付部24を除いて,前部,両側部が開放しているから,開口に関しては,本件カプセル発明3-1は,乙43に記載のものと差異はない。乙43に記載の収納ケース2においては衛生上,蓋板6が被せられるが,蓋板6は着脱自在であるから,収納ケース2の上面は当然開放している。そしてこの収納ケース2が箱型形状の装置本体に押し込まれると,その開放した上面は当然に装置本体によって覆われる。
(c) 相違点3についての判断自動販売機の分野において,装置本体の前面に手動操作ハンドルと,物品取出口と,回転盤(ドラム)の下面周縁に環状ラック(ギアラック)を備え,ハンドルの回転を回転軸,歯車(動力伝達部に相当)を介してラックに伝達する構造は,周知である(例えば,乙42)。
そして,物品収納ケースを着脱自在とした構成において,物品収納ケースを装置本体の前壁上部開口から押し込んだときに,回転盤のラックが装置本体の歯車と噛み合うのは,回転動力を伝達する以上,当然のことである(乙43)。
また,乙43に記載の分配ロータ9を回転盤に置き換えることについても,自動販売機において回転盤(ドラム)の構成が周知なのであるから,何らの困難性もない。
歯車が装置本体の後壁側に設けられている点は,乙52及び53に記載されているように,周知の事項である。
したがって,相違点3に係る構成も,周知技術を用いて当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
(d) まとめしたがって,本件カプセル発明3-1は,乙43発明を主引用例として,周知技術を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,特許法29条2項に規定する進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである。
(原告バンダイの主張)a 乙43発明被告の主張aは認める。
b 一致点及び相違点(a) 相違点1同b(a)は認める。
(b) 相違点2同b(b)は認める。ただし,乙43に記載された装置では,収納ケース2は,そのホッパ4の上部に蓋板6が着脱自在に被せられ,上部が開放されていないことから,支持台3に押し込むことにより,収納ケース2の上部が支持台3により覆われるものではないことを認定すべきである。
(c) 相違点3同b(c)は認める。ただし,乙43に記載された装置では,電動であるため,手動を前提とする操作部を有していない点も明確に認定されるべきである。
c 容易想到性(a) 相違点1についての判断同c(a)は否認する。
本件カプセル発明3-1と乙43発明とは,その構成,目的,課題,技術思想などにおいて何ら共通する点がなく,本質的に異なるものであるから,乙43発明から本件カプセル発明3-1に想到することはできない。
(b) 相違点2についての判断同c(b)は否認する。
(c) 相違点3についての判断同c(c)は否認する。
乙52及び53によっては,物品収納ケースが装置本体の正面から手前に引き出し可能な構成において,「歯車」が装置本体の「後壁近傍」にあるという構成が設計事項や周知の事項であるとはいえない。
(d) まとめ同c(d)は否認する。
(エ) 本件カプセル発明3-2につき,乙43発明を主引用例とする場合(被告の主張)a 乙43発明乙43には,以下の発明が開示されている。
プ3-2A’’ 動力伝達部は,軸61と一又は二以上のギア62,64,66からなり,プ3-2B’’ ハンドル5の操作を軸61,ギア62,64,66及びラックギア71を介してドラム70へ伝達するものであるプ3-2C’’ 自動販売機1。
b 一致点及び相違点(a) 相違点4本件カプセル発明3-2においては,前記動力伝達部は,その後壁近傍に設けられた歯車を備えているのに対して,乙43発明においては,自動販売機1本体のやや前部にあるギア62,64,66を備えていること。
(b) 一致点乙43発明と本件カプセル発明3-2とは,乙43発明と本件カプセル発明3-2との相違点並びに上記相違点4を除く点において一致している。
c 容易想到性(a) 相違点4についての判断相違点4は,単に歯車の配置位置を限定したものであるから,単なる設計的事項にすぎない。
また,歯車が装置本体の後壁側に設けられている点は,乙52及び乙53に記載されているように,周知の事項である。
(b) まとめしたがって,本件カプセル発明3-2は,乙43発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43,52,53等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告バンダイの主張)a 乙43発明被告の主張aは認める。
b 一致点及び相違点同bは認める。
c 容易想到性(a) 相違点4についての判断同c(a)は否認する。
乙52及び乙53によっては,物品収納ケースが装置本体の正面から手前に引き出し可能な構成において,「歯車」が装置本体の「後壁近傍」にあるという構成が設計事項や周知の事項であるとはいえない。
(b) まとめ同c(b)は否認する。
(9) 争点9(本件カプセル特許4の無効理由)ア 争点9-1(分割要件違反-新規事項)(被告の主張)(ア) 本件カプセル特許1当初明細書前記(7)ア(被告の主張)(ア)のとおり(イ) 分割出願本件カプセル特許4に係る出願は,平成13年5月7日,本件カプセル特許1に係る出願を原出願として分割出願されたことは,前提事実(2)エのとおりである。
(ウ) 分割要件違反a新規事項本件カプセル発明4-1は,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものもその技術的範囲に含む。
bまとめ(a) したがって,本件カプセル特許4は,分割出願の要件を備えておらず,その出願日は,現実の出願日である平成13年5月7日まで繰り下がる。
(b) よって,本件カプセル発明4-1は,本件カプセル特許1の公開特許公報(特開平9?326081。乙51)により,新規性又は進歩性を欠き,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,29条1項3号又は同条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 本件カプセル特許1当初明細書の記載等前記(7)ア(原告バンダイの主張)(ア)のとおり(イ) 分割要件違反被告の主張(ウ)は否認する。
イ 争点9-2(分割要件違反-同一)(被告の主張)(ア) 同一本件カプセル発明4-1とカプセル発明1-2とは,技術的意義に意味のある実体的な差異はなく,実質的に同一である。
(イ) まとめa したがって,本件カプセル特許4は,分割出願の要件を備えておらず,本件カプセル特許4の出願日は,その現実の出願日である平成13年5月7日まで繰り下がる。
b よって,本件カプセル発明4-1は,先願である本件カプセル特許1との関係で,無効である(特許法123条1項2号,39条1項)。
c また,本件カプセル発明4-1は,本件カプセル特許1の公開特許公報(特開平9?326081。乙51)により,新規性又は進歩性を欠き,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,29条1項3号又は同条2項)。
(原告バンダイの主張)被告の主張は否認する。
ウ 争点9-3(特許法39条2項違反)(被告の主張)仮に,本件カプセル特許4が分割出願の要件を満たしていたとしても,本件カプセル発明4-1は,上記イのとおり本件カプセル発明1-2と実質的に同一であるから,同日同一発明となり,特許法39条2項に違反し,無効とされるべきものである(特許法123条1項2号,39条2項)。
(原告バンダイの主張)被告の主張は否認する。
エ 争点9-4(進歩性の欠如)(被告の主張)(ア) 乙43発明乙43には,錠剤分配装置に関して,以下の発明が開示されている。
プ4-1F’ 以下よりなる錠剤分配装置。
プ4-1A’ 分包機の支持板に取付けられる枠体の支持台3であって,回転モータ20と,取付部24の中央に形成され,支持板側に開口した錠剤排出口と連通する錠剤排出路25と,前記回転モータ20の回転を駆動歯車31に伝達する出力軸とを有し,前壁及び両側壁に相当する箇所が開放した支持台3と,プ4-1B’ 前記支持台3上に引き出し自在に設けられ,前壁部,両側壁部,底壁を有し,上面に蓋板6が着脱自在に被せられ,箱形状に形成された物品収納ケースであって,前記支持台3上に,前壁に相当する開放した箇所から押し込まれたとき,前記前壁部及び前記両側壁部は前記支持台3の前壁及び両側壁に相当する開放した箇所に嵌合し,底壁の分配口13が前記錠剤排出路25の他端と対向する収納ケース2と,プ4-1C’ 前記支持台3の両側部に設けられ,前記収納ケース2の底壁の両側部を載置可能であり,案内面26とつば27を有する平坦面21と,プ4-1D’ 前記収納ケース2の底壁の両側部に設けられ,前記案内面26とつば27に係合可能な嵌合突起16および案内面17と,プ4-1E’ 前記収納ケース2の底壁に設けられ,回転方向に沿って形成され互いに所定間隔をあけて設けられた複数の送り出し溝11及びすき間12と,下方に突出した下端部に固定された歯車10とを有する分配ロータ9であって,前記歯車10に噛み合う従動歯車15は,前記収納ケース2が前記支持台3の開放箇所から押し込まれたとき前記支持台3の駆動歯車31と噛み合い,その状態で前記回転モータ20の駆動により前記出力軸,前記歯車31,歯車15,10を介して所定間隔分だけ順次回転することに応じ,該複数の送り出し溝11の一つが順次前記分配口13と対向する位置に導かれ,前記収納ケース2内の錠剤を前記分配口13から前記錠剤排出路25へ順次導出可能にする分配ロータ9。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1本件発明が物品取出装置に関するものであるのに対して,乙43に記載のものは錠剤分配装置である点。
b相違点2本件カプセル発明4-1における装置本体が前壁,後壁,両側壁を含んで箱型形状に形成され,前記前壁の上部と両側壁の上部が切り欠かれて開口が形成され,上面が開放され,透過性を有する物品収納ケースが前記開口から押し込まれたとき,物品収納ケースの前壁部及び両側壁部が装置本体の前壁及び両側壁の開口に嵌合するのに対して,乙43に記載の装置では,支持台3の前壁及び両側壁に相当する箇所は開放されており,上面に蓋板6が着脱自在に被せられる収納ケース2が支持台3の前壁に相当する開放した箇所から押し込まれたとき,収納ケース2の前壁部及び両側壁部が支持台3の前壁及び両側壁に相当する開放した箇所に嵌合する点。
c相違点3本件カプセル発明4-1においては,物品収納ケースの回転盤がその下面周縁に環状に形成されたラックを有し,装置本体が,前壁の外面に操作部,物品取出口と,内部に,物品取出口と一端で連通した落下通路と,前記操作部の操作を後壁近傍の歯車へと伝達する回転軸を有し,前記ラックは前記物品収納ケースが前記装置本体の開口から押し込まれたとき前記装置本体の後壁近傍の歯車と噛み合い,その状態で回転盤が前記操作部の操作により前記回転軸,前記歯車,前記ラックを介して所定間隔分だけ順次回転して物品収納ケース内の物品を落下通路へ順次導出可能にするのに対して,乙43に記載の装置においては,収納ケース2の分配ロータ9が下方に突出した下端部に固定された歯車10を有し,枠体の支持台3が,支持板側(後端)に開口した錠剤排出口と連通する錠剤排出路25と,回転モータ20と,前記回転モータ20の回転を駆動歯車31に伝達する出力軸とを有し,前記歯車10に噛み合う従動歯車15は,前記収納ケース2が前記支持台3の開放箇所から押し込まれたとき前記支持台3の駆動歯車31と噛み合い,その状態で分配ロータ9が前記回転モータ20の駆動により前記出力軸,前記歯車31,歯車15,10を介して所定間隔分だけ順次回転して収納ケース2内の錠剤を錠剤排出路25へ順次導出可能にする点。
d相違点4本件カプセル発明4-1においては,物品収納ケースを載置可能な係合段部が装置本体の両側壁に設けられ,かつガイドレールを有し,物品収納ケースの底壁の両側部には前記ガイドレールに係合可能な係合溝が設けられているのに対して,乙43に記載の装置においては,収納ケース2を載置可能な平坦面21は支持台3の両側部に設けられ,案内面26とつば27を有し,収納ケース2の底壁の両側部には前記案内面26とつば27に係合可能な嵌合突起16及び案内面17が設けられている点。
e一致点乙43発明と本件カプセル発明4-1とは,その余の点において一致している。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断本件カプセル発明4-1の装置と乙43に記載の装置とは,いずれも「物品取出装置」であり,収納ケースが引き出し自在,スライド自在ないしは着脱自在なものである点で共通しているので,技術分野を共通にするものである。
したがって,乙43に記載の錠剤分配装置を本件カプセル発明4-1の物品取出装置に適用することに困難性はない。
b 相違点2についての判断相違点2に関する本件カプセル発明4-1の構成は,技術的に意味のない当たり前の事項を限定したものか,又はありふれた形状を表現したものにすぎない。
c 相違点3についての判断物品収納ケースの回転盤がその下面周縁に環状に形成されたラックを有し,装置本体が,前壁の外面に操作部,物品取出口と,内部に,物品取出口と一端で連通した落下通路と,前記操作部の操作を歯車へ伝達する回転軸を有し,前記ラックが前記装置本体の後壁近傍の歯車と噛み合い,その状態で回転盤が前記操作部の操作により前記回転軸,前記歯車,前記ラックを介して所定間隔分だけ順次回転して物品収納ケース内の物品を落下通路へ順次導出可能にするという本件カプセル発明4-1の構成は,周知である(例えば,乙42)。
物品収納ケースを着脱自在とした構成において,物品収納ケースが装置本体の開口から押し込まれたときに,回転盤のラックが装置本体の歯車と噛み合うのは,回転動力を伝達する以上,当然のことである。
乙43に記載の分配ロータ9を回転盤に置き換えることは,自動販売機において回転盤(ドラム)の構成が周知であるから,何らの困難性もない。
歯車が装置本体の後壁近傍に設けられている点は,周知の事項である(乙52,53)。
したがって,相違点3も,周知技術を用いて当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
d 相違点4についての判断収納ケースを引き出し自在,スライド自在又は着脱自在とするために,収納ケースを支持し案内摺動する構造を設けることは,引戸等の例を挙げるまでもなく,周知の事項であり,当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。
(エ) まとめしたがって,本件カプセル発明4-1は,乙43発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43,52,53等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 乙43発明被告の主張(ア)は認める。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1同(イ)aは認める。
b 相違点2同(イ)bは認める。ただし,乙43に記載された装置では,収納ケース2は,そのホッパ4の上部に蓋板6が着脱自在に被せられ,上部が開放されていないことから,支持台3に押し込むことにより,収納ケース2の上部が支持台3により覆われるものではないことを認定すべきである。
c 相違点3同(イ)cは認める。ただし,乙43に記載された装置では,電動であるため,手動を前提とする操作部を有していない点も明確に認定されるべきである。
d相違点4同(イ)dは認める。
e 一致点同(イ)eは認める。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断同(ウ)aは否認する。
本件カプセル発明4-1と乙43発明とは,その構成,目的,課題,技術思想などにおいて何ら共通する点がなく,本質的に異なるものであるから,乙43発明から本件カプセル発明4-1に想到することはできない。
b 相違点2についての判断同(ウ)bは否認する。
c 相違点3についての判断同(ウ)cは否認する。
乙52及び乙53によっては,物品収納ケースが装置本体の正面から手前に引き出し可能な構成において,「歯車」が装置本体の「後壁近傍」にあるという構成が設計事項や周知の事項であるとはいえない。
d 相違点4についての判断同(ウ)dは否認する。
(エ) まとめ同(エ)は否認する。
オ 争点9-5(記載不備(特許法36条4項))(被告の主張)(ア) 不明りょうa 本件カプセル特許4明細書(甲43)の発明の詳細な説明【発明が解決しようとする課題】には,【0005】に「物品収納ケースが引き出し自在な物品取出装置を提供すること」と記載されている一方で,【0004】には,「従来の物品取出装置は,例えば,実開昭62-78998号公報や実開昭55-100280号公報に開示されているように,物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。」と記載されている。
b これらの記載によれば,仮に物品収納ケースを引き出すことができたとしても,依然として,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるという問題点は解決され得ないのではないかとの疑問が残り,本件カプセル発明4-1の技術上の意義を理解することができない。
(イ) まとめしたがって,本件カプセル特許4明細書の発明の詳細な説明は,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないので,無効とされるべきである(特許法36条4項)。
(原告バンダイの主張)(ア) 不明りょう被告の主張(ア)aは認め,bは否認する。
本件カプセル発明4-1の目的,課題は,物品収納ケースを手前に引き出すことによって,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から装置本体の奥部まで手を入れるといった面倒な作業をしなくとも,容易に物品の入替えを可能とすることにあり,このことは,本件カプセル特許4明細書の記載から明らかである。
(イ) まとめ同(イ)は否認する。
(10) 争点10(本件カード発明1-1の充足)ア 争点10-1(構成要件ド1-1Aの充足)(原告らの主張)(ア) 「送出しローラ」のクレーム解釈構成要件ド1-1Aの「送出しローラ」とは,請求項の文言自体から,積載された紙葉類の前部下面と当接していて所定角度回転することにより当接紙葉類を前方へ送出するものを意味する。
(イ) 充足被告カードベンダーにおける前部ゴムローラ24は,積載されたカードパックAの前部下面と当接していて所定角度回転することにより当接カードパックAを前方へ送出するから,後部ゴムローラ23と協働するものであっても(被告カードベンダー説明書2(1)),構成要件ド1-1Aを充足する。
(被告の主張)(ア) 「送出しローラ」のクレーム解釈原告らの主張(ア)は認める。
(イ) 充足同(イ)は否認する。
被告カードベンダーにおいては,前部ゴムローラ24と後部ゴムローラ23との協働によって初めてカードパックを送り出すことができるのであって,前部ゴムローラ24だけではカードパックを正常に送り出すことができない(乙36,37)。
したがって,前部ゴムローラ24は,構成要件ド1-1Aの「送出しローラ」に該当しない。
イ 争点10-2(構成要件ド1-1Bの充足)(原告らの主張)(ア) 「作動機構」のクレーム解釈構成要件ド1-1Bの「作動機構」とは,請求項の文言自体から,コインの投入によって駆動軸を所定角度だけ一方向に手動回動可能にするものを意味する。
(イ) 充足被告カードベンダーにおける作動機構は,コイン投入口43からのコインBの投入によって,ハンドル8に連動して駆動する駆動軸28を所定角度だけ右回り方向に手動回動可能にするから(被告カードベンダー説明書2(2)),構成要件ド1-1Bを充足する。
(被告の主張)(ア) 「作動機構」のクレーム解釈原告らの主張(ア)は認める。
(イ) 充足同(イ)は否認する。
被告カードベンダーにおいては,「作動機構」と「下部機構」とが相まって,初めて「コインの投入によって駆動軸を所定角度だけ一方向に手動回動可能にする」。
しかし,原告らが被告カードベンダーにおいて「作動機構」に当たると主張した範囲には,上記「下部機構」が含まれていない。
したがって,被告カードベンダーの「作動機構」は,構成要件ド1-1Bの「作動機構」を充足しない。
ウ 争点10-3(構成要件ド1-1Cの充足)(原告らの主張)(ア) 「回転部材」のクレーム解釈「回転部材」とは,請求項の文言自体から,送出しローラの軸に遊嵌されていて駆動軸から動力が伝達されるものを意味する。駆動軸から「回転部材」への動力の伝達は,直接伝達されるものも,その間に歯車等が介在するものも含む。
(イ) 充足被告カードベンダーの平歯車26は,前部ゴムローラ24のローラ軸25に遊嵌されていて,駆動軸28の動力が伝達されるものであるから(被告カードベンダー説明書2(3)),構成要件ド1-1Cを充足する。
(被告の主張)(ア) 「回転部材」のクレーム解釈原告らの主張(ア)は否認する。
(イ) 充足同(イ)は否認する。
平歯車26には,駆動軸28から直接動力が伝達されていない。
エ 争点10-4(構成要件ド1-1Dの充足)(原告らの主張)(ア) クレーム解釈a 「作動体」構成要件ド1-1Dの「作動体」は,請求項の文言自体から,回転部材か送出しローラ軸のいずれかに設けられているものである。
b 「係合部」及び「ストッパ部」(a) 「係合部」は,請求項の文言自体から,上記aで選択されなかった回転部材又は送出しローラ軸に設けられ,「作動体と係合して回転部材の動力を送出しローラ軸に伝達して紙葉類をその前端が取出口から所定寸法突出するまで前方へ送出させる」ものを意味する。
(b) 「ストッパ部」は,請求項の文言自体から,上記aで選択されなかった回転部材又は送出しローラ軸に設けられ,「所定寸法未満突出状態での紙葉類手動引出しによる送出しローラ軸逆駆動後に遊転を阻止すべく作動体と当接する」ものを意味する。
(c) 「作動体」,「係合部」及び「ストッパ部」は,抽象的・機能的な表現で記載されているものではなく,いずれも発明の目的及び効果を達成するために必要な発明の具体的な構成が明らかであるから,明細書の実施例の構成に限定されることはない。
c 「所定寸法未満突出状態」「所定寸法未満突出状態」とは,請求項の文言自体から,「紙葉類をその前端が取出口から所定寸法突出する」以前の状態であり,「(そ)の状態での紙葉類手動引出しによるローラ軸逆駆動」を生じさせることができる状態をいう。
(イ) 充足a 「作動体」被告カードベンダーにおけるピン42は,「送出しローラ軸」に相当するローラ軸25に設けられているから(被告カードベンダー説明書2(4)),構成要件ド1-1Dの「作動体」に該当する。
b 「係合部」及び「ストッパ部」被告カードベンダーにおける端部31は,ピン42と係合して平歯車26の動力をローラ軸25に伝達してカードパックAをその前端がカード払出口19から所定寸法突出するまで前方へ送出させるものであり,被告カードベンダーにおける端部31と対向する端部32は,所定寸法未満突出状態でのカードパックA手動引出しによるローラ軸25逆駆動後に遊転を阻止すべくピン42と係合するものであるから(被告カードベンダー説明書2(4)),被告カードベンダーの端部31及び端部32は,それぞれ構成要件ド1-1Dの「係合部」,「ストッパ部」に該当する。
c 「所定寸法未満突出状態」被告カードベンダーは,スライド出口を有していても,特殊なペンチ等を使用すれば,所定寸法未満突出状態でカードパックAの手動引出しが可能であるから(被告カードベンダー説明書2(4)),「所定寸法未満突出状態」を有している。
(被告の主張)(ア) クレーム解釈a 「作動体」原告らの主張(ア)aは否認する。
「作動体」並びに後記「係合部」及び「ストッパ部」の記載は,発明そのものの有する機能ないし作用効果のみを記載しているものであって,具体的構成を明らかにしておらず,その記載のみによって発明の技術的範囲を明らかにすることはできない。したがって,その技術的範囲は,明細書の詳細な説明及び図面の記載に開示された具体的な構成に示されている技術的思想に基づいて確定しなければならない。
本件カード特許1明細書の第6図(甲9)によれば,作動体33は,送出ローラ軸6の中心に打ち込む形で形成されているが,送出ローラ軸6を貫通していない。
b 「係合部」及び「ストッパ部」同(ア)bは否認する。
本件カード特許1明細書の第1図及び第2図等の図面によると,係合部及びストッパ部は,一定の距離を置いてそれぞれ別個の突出片として形成されており,係合部が送出しローラの回動を阻止する機構を有することはなく,ストッパ部が送出しローラを回動させる機構を有することもない。
c 「所定寸法未満突出状態」同(ア)cは認める。
(イ) 充足a 「作動体」同(イ)aは否認する。
被告カードベンダーのローラ軸25に形成されているピン42は,ローラ軸25の中心に貫通して打ち込む方法により形成されているから(被告カードベンダー説明書2(4)),送出ローラ軸6を貫通しないものと解釈されるべき構成要件ド1-1Dの「作動体」を充足しない。
b 「係合部」及び「ストッパ部」同(イ)bは否認する。
被告カードベンダーの平歯車26に形成されている二つの輪郭突出片41は,それぞれ一端(端部31)が平歯車26の動力をローラ軸25に伝達し,前部ゴムローラ24を回動させる機構を有し,他端(端部32)がローラ軸25が回動して前部ゴムローラ24が回動するのを阻止する機構を有している。すなわち,一つの輪郭突出片が,前部ゴムローラ24を回動させる機構と同ゴムローラが回動するのを阻止する機構の二つの機能を有しており,構成要件ド1-1Dと構造的に異なる。
したがって,被告カードベンダーには,構成要件ド1-1Dの「係合部」及び「ストッパ部」は存在しない。
c 「所定寸法未満突出状態」同(イ)cは否認する。
被告カードベンダーは,所定寸法未満でのカードパックAの突出を防止するスライド出口を有し,スライド出口は,カードパックAと連動して送り出され,カードパックAが所定寸法まで前方に移動した時点で,カードパックAを残したまま元の位置に戻ることによって,特殊なペンチ等を使用しなければ,所定寸法未満突出状態でカードパックAの手動引出しを可能にする事態を阻止しているから(被告カードベンダー説明書2(4)),「所定寸法未満突出状態」が生じない。
(11) 争点11(本件カード発明2-1の充足)ア 争点11-1(構成要件ド2-1Cの充足)(ア) 争いのない事実後記(イ)以外の点の充足は,当事者間に争いがない。
(イ) 「基礎フレームの上面」(原告らの主張)a クレーム解釈構成要件ド2-1Cの「基礎フレームの上面」とは,基礎フレームの上部を指すものであり,開放軸受部が基礎フレームの上部の垂直壁に形成されていても,差し支えない。
b充足被告カードベンダーの基礎フレーム16の上部には,垂直壁が設けられ,垂直壁には,上方開放状の開放軸受部16aが形成されているから(被告カードベンダー説明書3(3)),構成要件ド2-1Cの「基礎フレームの上面」に形成された開放軸受部を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告らの主張aは否認する。
b充足同bは否認する。
ゴムローラの軸受部は,垂直壁の上端に形成されているのであって,「基礎フレームの上面」に形成されていない。
イ 争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(原告らの主張)(ア) 「払出ローラ」のクレーム解釈「払出ローラ」とは,請求項の記載自体から,「ローラ軸に取り付けられ,ローラ軸の回動により回動」し,「収納ケース内に収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体」を「送り出」すものを意味する。
(イ) 充足被告カードベンダーにおける前部ゴムローラ24は,ローラ軸25に取り付けられ,ローラ軸25の回動により回動し,当接カードパックAを前方へ送出しているから,前部ゴムローラ24と後部ゴムローラ23とは,協働して当接カードパックAを前方へ送出しているとしても(被告カードベンダー説明書3(4)),構成要件ド2-1Dの「払出ローラ」を充足する。
(被告の主張)(ア) 「払出ローラ」のクレーム解釈原告らの主張(ア)は認める。
(イ) 充足同(イ)は否認する。
被告カードベンダーでは,前部ゴムローラ24のみの回動ではカードパックは正常に送り出されることはないから(乙36,37),前部ゴムローラ24は,「払出ローラ」には該当しない。
ウ 争点11-3(構成要件ド2-1Eの充足)(ア) 「基礎フレームに設けられ」(原告らの主張)a クレーム解釈構成要件ド2-1Eの払出伝動体が「基礎フレームに設けられ」とは,ローラ軸は開放軸受部に上方から挿脱自在に挿入されており(構成要件ド2-1C),払出伝動体は,その「ローラ軸25に‥遊嵌されて」(本件カード特許2明細書【0019】),「基礎フレームに設けられ」(構成要件ド2-1E)ているものであるから,基礎フレームに設置されていることを指すのであって,基礎フレームと不可分一体となって形成されていることを意味するものではない。
b充足被告カードベンダーの平歯車26は,基礎フレーム16の上部の垂直壁に形成された上方開放状の開放軸受部に上方より挿脱可能に挿入され,回動可能となるように支持されるローラ軸25に遊嵌されているから(被告カードベンダー説明書3(3)及び(5)),「基礎フレームに設けられ」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告らの主張aは否認する。
b充足同bは否認する。
被告カードベンダーにおける平歯車26は,ローラ軸に回転自在に嵌められていており,「前記基礎フレーム」に設けられていない。
(イ) 「操作軸の回動を前記ローラ軸に伝達し」(原告らの主張)a クレーム解釈構成要件ド2-1Eの「操作軸の回動を前記ローラ軸に伝達し」は,操作軸の回動が払出伝動体に直接伝達されることを要件としていないから,回動がいくつかの歯車を介して伝達されることを含む。
b充足被告カードベンダーの平歯車26は,ハンドル8による操作軸28の回転をローラ軸25に伝達して前部ゴムローラ24を回動させているから,ハンドル8による操作軸28の回転が傘歯車31,傘歯車32,平歯車33を介して平歯車26に伝達されていても(被告カードベンダー説明書3(5)),「操作軸の回動を前記ローラ軸に伝達し」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈同aは否認する。
b充足同bは否認する。
被告カードベンダーの操作軸28と平歯車26とは離れており,平歯車26は,操作軸28の回動を伝達していない。
エ 争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(ア) 「収納可能な」(原告らの主張)a クレーム解釈構成要件ド2-1Fの「収納可能な」は,請求項自体の文言から,基礎フレームに装着されていない状態でも,複数の媒体を上下積層状に収納することができることを意味する。
b充足被告カードベンダーの収納ケース14は,底部に開口を有するが,複数のカードパック を上下積層状に収納可能であるから(被告カードベンダー説明書3(6)), A「収納可能な」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告らの主張aは否認する。
b充足同bは否認する。
(イ) 「払出ローラによって受持される」(原告らの主張)a クレーム解釈構成要件ド2-1Fの「払出ローラによって受持される」は,「払出ローラ」によって受持されていれば足り,他のローラと協働して受持されている場合を含む。
b充足収納ケース14が基礎フレーム16に装着されたとき,収納された複数のカードパックAのうち最下位置のカードパックは,後部ゴムローラ23と共に,前部ゴムローラ24によって受持されているから(被告カードベンダー説明書3(6)),「払出ローラによって受持される」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈同aは否認する。
b充足同bは否認する。
最下位置のカードパックAは,前部ゴムローラ24のみが支えるわけではなく,後部ゴムローラ23によっても支えられているから,「払出ローラ」によって受持されていない。
オ 争点11-5(構成要件ド2-1Gの充足)(原告らの主張)争点10-1(構成要件ド1-1Aの充足)(送出しローラ)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点10-1(構成要件ド1-1Aの充足)(送出しローラ)における被告の主張と同旨である。
(12) 争点12(本件カード発明2-2の充足)ア 争点12-1(構成要件ド2-2Cの充足)(原告らの主張)争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(ア)(収納可能な)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(ア)(収納可能な)における被告の主張と同旨である。
イ 争点12-2(構成要件ド2-2Dの充足)(原告らの主張)争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(払出ローラ)及び争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(イ)(払出ローラによって受持される)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(払出ローラ)及び争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(イ)(払出ローラによって受持される)における被告の主張と同旨である。
ウ 争点12-3(構成要件ド2-2Fの充足)(原告らの主張)争点11-3(構成要件ド2-1Eの充足)(ア)(基礎フレームに設けられ)及び(イ)(操作軸の回動を前記ローラ軸に伝達し)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-3(構成要件ド2-1Eの充足)(ア)(基礎フレームに設けられ)及び(イ)(操作軸の回動を前記ローラ軸に伝達し)における被告の主張と同旨である。
エ 争点12-4(構成要件ド2-2Gの充足)(ア) 「基礎フレームの上面」(原告らの主張)争点11-1(構成要件ド2-1Cの充足)(イ)(基礎フレームの上面)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-1(構成要件ド2-1Cの充足)(イ)(基礎フレームの上面)における被告の主張と同旨である。
(イ) 「払出ローラ」(原告らの主張)争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(払出ローラ)及び争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(イ)(払出ローラによって受持される)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(払出ローラ)及び争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(イ)(払出ローラによって受持される)における被告の主張と同旨である。
オ 争点12-5(構成要件ド2-2Hの充足)(原告らの主張)(ア) 「収納ケースによって離脱が防止」のクレーム解釈構成要件ド2-2Hの「収納ケースによって離脱が防止」は,「ローラ軸」が基礎フレーム上に装着された「収納ケース」によって離脱が防止されていることを要件とするが,収納ケースの下端縁がローラ軸に接していることは要件としていない。
(イ) 充足被告カードベンダーにおけるローラ軸25は,基礎フレーム16上に収納ケース14が装着されると,直接には収納ケース14内に入れられたカード又は収納ケース内に配置された重錘による荷重によって離脱が防止され,収納ケース14の下端はローラ軸に接していることはなく,間隙があっても(被告カードベンダー説明書4(8)),構成要件ド2-2Hの「ローラ軸」に該当する。
(被告の主張)(ア) 「収納ケースによって離脱が防止」のクレーム解釈原告らの主張(ア)は否認する。
構成要件ド2-2Hの「ローラ軸」は,収納ケースによって開放軸受部からの離脱が防止されていなければならない。
(イ) 充足同(イ)は否認する。
被告カードベンダーにおいては,収納ケース14の下端はローラ軸25に接しておらず,間隙があるから(被告カードベンダー説明書4(8)),構成要件ド2-2Hを充足しない。
(13) 争点13(本件カード発明3-1の充足)ア 争点13-1(構成要件ド3-1Bの充足)(原告らの主張)争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(払出ローラ)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-2(構成要件ド2-1Dの充足)(払出ローラ)における被告の主張と同旨である。
イ 争点13-2(構成要件ド3-1Hの充足)(ア) 「アイドラギアが前記払出ギヤと連動し」(原告らの主張)a クレーム解釈「連動」と「噛合」とは異なる概念であるから,構成要件ド3-1Hの「アイドラギアが前記払出ギヤと連動し」とは,「アイドラギア」が「払出ギヤと連動」すれば足り,歯車が直接噛み合う場合も,間に他の歯車が介在して間接に噛み合う場合も含む。
b充足被告カードベンダーにおいて,コイン検出作動部Dが設けられた収納ケースが基礎フレーム16の上面に着脱可能に載置されたとき,アイドラギア39は,ギア10及びギア11を介して,平歯車26と連動しているから(被告カードベンダー説明書5(8)),「アイドラギアが前記払出ギヤと連動し」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈原告らの主張(ア)aは否認する。
「連動」は,「噛合」という意味に解釈すべきである(本件カード特許3明細書【0026】,図4)。
b充足同(ア)bは否認する。
アイドラギア39は,平歯車26と噛み合っていない。
(イ) 「作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され」(原告らの主張)a クレーム解釈構成要件ド3-1Hは,「作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され」とのみ規定し,それ以上の限定をしていないから,「作動体,アイドラギア,払出ギヤ,伝動ギヤ」の順で噛合しているものも,「作動体,アイドラギア,伝動ギヤ,払出ギヤ」の順で噛合しているものも含む。
上記噛合の順序の変更は,何ら技術思想の変更をもたらすものではない。
b充足したがって,被告カードベンダーにおける歯車の噛合の順序が「作動体55,アイドラギア39,伝動ギア10,ギア11,平歯車26」であっても(被告カードベンダー説明書5(8)),「作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され」を充足する。
(被告の主張)a クレーム解釈同aは否認する。
「作動体-アイドラギア-払出ギヤ」という系と操作軸は,一連の構成によりコイン検出作動部の判定結果と払出の拒否を相関させるものであるから,この関係が明らかでないと技術思想として特定されない。
この関係が特許請求の範囲の記載から明らかでないので,本件カード特許3明細書の発明の詳細な説明等を参照すると,【0026】では,「前記払出伝動体26には,前記伝動ギヤ22と噛合する払出ギヤ26Aと…」と記載されており,図4を参照すると,伝動ギヤは,「作動体-アイドラギア-払出ギヤ」という系の払出ギヤとアイドラギアの逆側において噛合しているから,このような関係にあるもののみが本件カード発明3-1の技術的範囲に含まれると解すべきである。
b充足同bは否認する。
被告カードベンダーでは,作動体の阻止力は,伝動ギヤに相当するギア11に伝わり(被告カードベンダー説明書5(8)),阻止力を直接的にハンドルに伝達してハンドルの操作を禁止するという設計思想に基づいている。その結果,回転不可の場合には,平歯車26は,回転を阻止されたギア11とのみ係合しているため,平歯車26には何ら力が加わらないこととなる。
(ウ) 「払出ローラは…媒体を受持し」(原告らの主張)争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(イ)(払出ローラによって受持される)における原告らの主張と同旨である。
(被告の主張)争点11-4(構成要件ド2-1Fの充足)(イ)(払出ローラによって受持される)における被告の主張と同旨である。
ウ 争点13-3(構成要件ド3-1Iの充足)(原告らの主張)(ア) 「前記払出ギヤは回転を阻止され」のクレーム解釈構成要件ド3-1Iの「前記払出ギヤは回転を阻止され」は,請求項の文言どおり,「正規コインの投入が検出されない場合,前記作動体が回動不可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出ギヤは回転を阻止され」ることを意味する。
(イ) 充足被告カードベンダーにおいては,正規コインBの投入が検出されない場合,作動体55が回動不可能となることにより,アイドラギア39及び平歯車26は回転を阻止され,正規コインBの投入が検出された場合,作動体55が回動可能となることにより,アイドラギア39及び平歯車26は回転が可能となっているから(被告カードベンダー説明書5(9)),「前記払出ギヤは回転を阻止され」を充足する。
「作動体55,アイドラギア39,ギア10,ギア11,平歯車26」の順で歯車が噛み合っている以上(被告カードベンダー説明書5(8)),平歯車26には回転力も阻止力も働かないと認めることは,到底できない。
(被告の主張)(ア) 「前記払出ギヤは回転を阻止され」のクレーム解釈原告らの主張(ア)は否認する。
「回転を阻止され」るためには,払出ギヤに回転の阻止力が働くことが必要である。
(イ) 充足同(イ)は否認する。
被告カードベンダーにおいては,正規コインBの投入が検出されない場合,作動体55が回動不可能になり,これにより,アイドラギア39やハンドル8は回転を阻止されるが,平歯車26には回転力も阻止力も働かないので,回転が阻止されることはない。
(14) 争点14(本件カード特許2(請求項1)の無効理由)ア 乙16を主引用例とする場合(被告の主張)(ア) 乙16発明特開平8-2729号公報(乙16)には,「シール,カードと称される紙葉類を束にして又は単枚で自動販売するための紙葉類送り出し装置」(【0001】)に関して,以下の発明が開示されている。
ド2-1A’ フレーム2と,ド2-1B’ フレーム2に回動可能に支持され,ハンドル33により回動させられるハンドル軸34と,ド2-1C’ フレーム2の右側板25Rに固定された軸受30A及びフレーム2の左側板25Lに固定の支持板9に固定された軸受30Bと,一端が軸受30Aに挿脱自在に挿入支持され,他端が軸受30Bに挿入支持され,回動可能となるように支持される送り出し軸4と,ド2-1D’ 送り出し軸4に(一方向クラッチ7を介して)取り付けられ,送り出し軸4の回動により回動する送り出しローラ5と,ド2-1E’ 送り出し軸4に設けられ,前記ハンドル軸34の回動を前記送り出し軸4に伝達し,前記送り出しローラ5を回動させる動力伝達部材11及び一方向クラッチ7と,ド2-1F’ 外箱16の内部に着脱自在に挿入配置され,複数の媒体を上下積層状に収納可能な収納部を有するフレーム2であって,前記外箱16内に挿入配置されたとき,収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記送り出しローラ5によって受持される前記フレーム2と,からなり,ド2-1G’ 前記ハンドル33の操作により前記ハンドル軸34が回動されたとき送り出しローラ5が回動することにより,前記フレーム2の収納部内に収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記フレーム2の収納部から送り出される,ド2-1H’ ことを特徴とする紙葉類送り出し装置。
(イ) 一致点及び相違点a相違点1本件カード発明2-1は,収納ケースが基礎フレームの上面に着脱可能に装着され,操作軸が基礎フレームに回動可能に支持されているのに対して,乙16発明は,収納部を有するフレーム2が外箱16の内部に着脱自在に挿入配置され,ハンドル軸34がフレーム2に回動可能に支持されている点。
b相違点2本件カード発明2-1は,上方開放状の開放軸受部が基礎フレームの上面に形成され,ローラ軸が前記開放軸受部に上方より挿脱可能に挿入されているのに対し,乙16発明は,フレーム2の右側板25Rに軸受30Aが,左側板25Lに固定の支持板9に軸受30Bが固定され,送り出し軸4は,その一端が軸受30Aに挿脱自在に挿入支持され,他端が軸受30Bに挿入支持されている(送り出し軸4は送り出しローラ5とともに着脱自在である)点。
c一致点(a) 乙16発明と本件カード発明2-1とは,その余の点において一致している。
(b) 原告は,相違点4の存在を主張するが,本件カード発明2-1は,「前記開放軸受部の上方より挿脱可能に挿入され,回動可能となるように支持されるローラ軸」とだけ規定しているから,「収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけで,他に特段の操作を要さずに」という限定を加えることはできない。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断(a) 周知技術販売するカード状媒体(又は商品)を収納するケースを基礎フレームに着脱自在に設けることは,次の?@〜?Cに開示されているように,周知の技術である。
?@ 特開平8-333034号公報(乙17)カード状の所望物品を繰り出すためのカード状物品の繰出し装置及び払出し装置(【0001】)が開示されている。
この装置は,平面矩形状の所望のカード状物品を多数枚上下に積層させて収容させるための収容部10を形成したストッカ1と,このストッカ1を支持するためのストッカ1とは別体に形成された基台2と,この基台2に取り付けられた繰出しローラ3とを具備している(【0023】,【0024】,【0029】)。
?A 特開平10-250856号公報(乙18)テレホンカードなどの磁気カードあるいはICカードなどの薄手のカードを払い出すための装置システムが開示されている(【0001】)。
乙18には,「…カードの払い出し装置におけるカードの収容部を独立にして,別体のカセットになるカード収納用のボックス装置にしたため,販売する複数カードの管理が容易になる利点がある。…」(【0026】)と記載されている。
?B 特開平2-233435号公報(乙19)搬送ローラ14を備えた装置本体1に,複数枚のカードを収納するカード収納ケース(カードカセット2)が着脱可能に設けられた構造が開示されている。
?C 実開昭50-100980号公報(乙20)繰出装置の保守,点検,修理等を容易にかつ能率的に行うことができるようにするために,多数の商品を収納保持する商品収納ユニットをケース本体に着脱自在に設ける構成が開示されている。
(b) 適用上記(a)の周知の構造を参照して,紙葉類の収納部のみを着脱自在とするために,フレーム2を上部の収納部(収納ケース)と下部フレーム(基礎フレーム)とに着脱自在に分離することは,当業者が適宜なし得る設計的事項である。
(c) 相違点3仮に相違点3が存在するとしても,上記(a)及び(b)のとおりである。
b 相違点2についての判断(a) 周知技術カード等の媒体を払い出す媒体販売装置において,組立等を容易とするためにローラ軸(及びローラ)を着脱自在とすることは,次の?@〜?Cに開示されているように,周知技術である。
?@ 乙17カード状物品を収容するスタッカ1と,スタッカ1とは別体でかつスタッカ1を支持する基台2とを備えたカード状物品の繰出し,払出し装置において,基台2の側板部2a,2bに,切欠溝26とその下部(奥部)に孔部27とを設け,繰出しローラ3の各軸部30をこれらの切欠溝26の上部から孔部27の位置へ挿入する構成が記載され(【0035】),「基台2に対する繰出しローラ3の組付作業が非常に容易なものとなる。」(【0037】)という効果も示されている。
乙17では切欠溝26は斜めになっているが,シート状媒体の自動販売装置においてU字状の溝によりローラ軸を着脱自在に受ける構造は,既に知られている。
?A 米国特許3,051,352号明細書(乙21)シート状媒体の自動販売装置において,シート状媒体を送り出すローラ16のローラ軸18がハウジング19の両側壁22に形成された上方が開放した溝28に回転自在に支持される構造が記載されている。
?B ローラ軸等の回転軸をU字形の上方開放状の開放軸受で回転自在に受け,必要に応じて回転軸の脱落を防止するために上方開放軸受の上方開放部分を何らかの部材で閉鎖することは,極めてありふれた構造である。
一 「1年のかがく10月教材」第17巻第7号(1975年10月1日)(乙24)「くるくる いろ水マシン」の「くみたてかた」として,「だいのへこみにローラ?@をはめる。」と記載されている。
二 「1年のかがく11月教材」第29巻第9号(1987年11月1日)(乙25)「ゴックン星人いんさつき」を「がんばって くみたてよう」として,「いんさつき」の両側板に形成された開放軸受にローラー?@,?Aを入れる絵と文章が記載されている。
三 「1年のかがく?K秋から冬の研究号」第11巻第8号(1969年12月1日)(乙26)「たのしい すなぐるま」には,「?Aすなうけ」の側縁に「じくうけ」として開放軸受が示され,この「じくうけ」に「はね」の「じくぼう」を入れて回転自在に支持する様子が示されている。
四 「2年のかがく?I2学期開始号」第13巻第7号(1971年10月1日)(乙27)しゃぼん玉の「はっしゃき」の作り方として,ケースの「みぞ」に回てん板の「金ぐ」(軸)をはめる様子を示す絵と文,そして,「ふた」をはめて脱け止めをすることが記載されている。
五 「2年のかがく10月教材」第22巻第7号(1980年10月1日)(乙28)「ロボットかめの組み立て方・つかい方」として,かめの頭のみぞに車りんの軸をはめること,ポンプ(小)の軸をかめのせなかのみぞにはめることが記載されている。
?C 上方開放状の開放軸受部にローラ軸を上方より挿脱可能に挿入して回転自在に支持する構造は,さまざまな技術分野で利用されている。
一 特開昭62-20910号公報(乙29)記録装置の動力伝達装置に関するものであり,簡単な構造で精度を出し易く,組立てが容易な装置を提供するために(目的の項),ベース1のふた2との合わせ面3A,3Bに上端開放の溝4A,4Bを形成し,歯車軸9,10を溝4A,4Bに挿入するとともに,ふた2を装着することにより歯車軸9,10を回転可能に保持する構造が開示されている。
二 特開平9-244445号公報(乙30)定着装置に関するものであり,組立性やメンテナンス性を容易とするために(【0013】,【0030】),側板24の上部にU字状の開口33を形成し,このU字状開口33に加熱ローラ21の端部に設けた回動部材34を保持して加熱ローラ21を回転自在に支持する構造(【0023】)や,加圧ローラ23の軸39を回転可能に保持するU字状開口40が形成された離接軸受部材38(【0024】)が記載されている。
三 実公昭46-17989号公報(乙31)大根,人参等のおろし器に関するものであり,簡単に分解して各部を洗浄することができるようにするために,枠筺2の左右に上端を開放した長溝3,3を設け,円胴5の軸7を長溝3,3に装入する構造,及びU字状の湾曲部9を枠筺2の上端縁に嵌合係止した当片10の一端の凹陥部8で回動時の軸7の上方への揺動を制御する構造が記載されている。
四 実願平4-24050号(実開平5-82918号)のCD-ROM(乙32)製作容易なローラレール(【0005】)として,ローラ12の支軸23が軸受フレーム13の凹所19に嵌合支持される構成(【0010】),及びカバーフレーム14により支軸23の上方への抜け出しを防止する構成(【0011】)が記載されている。
五 特開平3-103614号公報(乙33)六 特開平11-20980号公報(乙34)七 実開昭56-116088号公報(乙35)(b) 適用乙16発明には,紙葉類送出し装置において送出し軸4と送出しローラ5を脱着する考え方が示唆されており,カード状物品の繰出し装置および払出し装置に関する乙17には,スタッカ1と別体の基台2において,上方開放軸受に相当する切欠溝26とその奥の孔部27に繰出しローラ3の軸部30を挿入することが記載され,乙21には,シート状媒体の自動販売装置において,上方開放溝28にローラ軸18が回転自在に支持される構造が記載され,上方開放軸受は小学校低学年の教材(乙24〜28)に掲載されているほどにありふれたものであり,さまざまな分野で構造簡単なものとして使われているから(乙29〜乙35),相違点2に係る構成は,単なる設計変更にすぎない。
c まとめしたがって,本件カード発明2-1は,乙16に記載の紙葉類送出し装置に周知の技術を単に寄せ集めたものであり,上記の相違点は単なる設計変更にすぎないから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告らの主張)(ア) 乙16発明被告の主張(ア)は認める。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1同(イ)aは認める。
b 相違点2同(イ)bは認める。
c 一致点(a) 同(イ)c(a)は否認する。次の相違点もある。
(b) 相違点3本件カード発明2-1は,「基礎フレーム」が上面を有するのに対して(要件ド2-1A),乙16発明では,フレーム2は上面を有しない点。
(c) 相違点4構成要件ド2-1Cにおける「挿脱可能」とは,「収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけで,他に特段の操作を要さずに,ローラ軸を開放軸受部から取り外すことが可能な構成」を意味するから,乙16発明とはこの点でも異なる点。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断(a) 同(ウ)aのうち,(a)(周知技術)は認め,(b)(適用)及び(c)(相違点3)は否認する。
(b) 「操作軸」を開示している引用例の指摘はない。
(c) 乙16発明の目的は,送出しローラの清掃,取り替え等をフレームを分解することなくできるようにすることであり,基礎フレームに相当する部材と収納ケースに相当する部材とを別個に構成することは,乙16発明の目的に反するものである。したがって,乙16発明と収納するケースを別体とする周知技術とを組み合わせることには,阻害要因がある。
(d) 乙17ないし20には,「収納ケース」に相当する部材と「基礎フレーム」に相当する部材とが別個に構成され,装着できるという一般的技術が開示されているだけであって,簡単に組み立てることを可能とし,収納ケースがローラ軸から外れることを防止する目的を達成するため,相違点1のように構成することについては,開示も示唆もされていない。
(e) 「操作軸」が基礎フレームに回動可能に支持される点,「開放軸受部」が基礎フレームの上面に形成され,上方開放状であり,「ローラ軸」がこの「開放軸受部」に上方より挿脱可能に挿入される点は,収納ケース,基礎フレーム,払出ローラ付きローラ軸等を媒体販売装置を別個に構成することを可能とし,簡単に組み立てることを可能とするために必須の構成であり,単なる設計事項ではない。
b 相違点2についての判断(a) 同(ウ)bのうち,(a)(周知技術)は認め,(b)(適用)は否認する。
(b) 上記a(e)のとおりc まとめ同(ウ)cは否認する。
イ 乙17を主引用例とする場合(被告の主張)(ア) 乙17発明特開平8-333034号公報(乙17)には,以下の発明が開示されている。
ド2-1A’’ 上面を有する基台2と,ド2-1B’’ 前記基台2の内側に配置されたモータMにより回動させられるモータMの回転軸と,ド2-1C’’ 前記基台2の上面に形成された,上方開放状の切欠溝26及び孔部27と,前記切欠溝26及び孔部27に上方より挿脱可能に挿入され,回動可能となるように支持される繰出しローラの軸部30と,ド2-1D’’ 前記軸部30が取り付けられ,軸部30の回動により回動する繰出しローラ3と,ド2-1E’’ 前記基台2に設けられ,前記モータMの回転軸の回動を前記軸部30に伝達し,前記繰出しローラ3を回動させるプーリ7a,7b及びタイミングベルト7cと,ド2-1F’’ 前記基台2の上面に着脱可能に装着され,複数の媒体を上下積層状に収納可能なストッカ1であって,前記基台2に装着されたとき,収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記繰出しローラ3によって受持される前記ストッカ1と,からなり,ド2-1G’’ 前記モータMの回転により前記回転軸が回動されたとき繰出しローラ3が回動することにより,前記ストッカ1内に収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記ストッカ1から送り出されるド2-1H’’ ことを特徴とする物品繰出し装置。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1本件カード発明2-1においては,「基礎フレームに回転自在に支持され,ハンドルにより回動させられる操作軸」(ド2-1B)を備えており,この操作軸の回動を払出伝動体によりローラ軸に伝達し(ド2-1E),ハンドルの操作により操作軸が回動されたとき払出ローラが回動する(ド2-1G)のに対して,乙17発明においては,基礎フレームに相当する基台2の内側にモータMが配置されており,モータMの回転軸の回転をプーリ7a,7b及びタイミングベルト7cにより繰出しローラ3の軸部に伝達し,モータMの駆動により繰出しローラ3が回動する点。
b一致点(a) 乙17発明と本件カード発明2-1とは,その余の点において一致している。
(b) 「上面」とは,物理的に面が形成されていることまで要求するものではないが,上方開放状の開放軸受部を形成しうるように,少なくとも面に相当する部分の周囲を囲んでいる壁等の部材の端部が四辺を形成し,観念的には面が形成されているとみられる構造を指すと解すべきであるから,乙17発明の基台2も「上面」を有している。
(c) また,本件カード発明2-1に,収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけで,他に特段の操作を要さずに」という限定を加えることはできない。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断(a) 周知技術乙16発明は,フレーム2に回動自在に支持され,ハンドル33により回動させられるハンドル軸34が備えられており,その結果,このハンドル軸34の回動を動力伝達部材11及び一方向クラッチ7により送り出し軸4に伝達し,ハンドル33の操作によりハンドル軸34が回動されたときに送り出しローラ5が回動し,これによりフレーム2の収納部内に収納された複数の紙葉類のうち最下位置の紙葉類がフレーム2の収納部から送り出されるようになっている。
手動によるハンドル操作によって払出ローラを回動させるタイプの紙葉類送り出し装置は,乙16発明に開示されているように,周知の技術である。
(b) 適用乙17発明の繰出しローラの回動を,モータ駆動による駆動に代えて手動ハンドル操作により行おうとすれば,必然的にハンドルにより回動させられる操作軸の回動をローラ軸に伝達して払出しローラを回動させる構成とならざるを得ないから,相違点1に係る構成は,単なる設計変更にすぎない。
b上面仮に,上面の点が相違点であるとしても,本件カード発明2-1の基礎フレームが上面を有する点に格別の技術的意義は認められないから,上面の点は,当業者が適宜になし得た単なる設計的事項にすぎない。
c 挿脱可能仮に,挿脱可能の点が相違点であるとしても,そのように構成する点は,争点15(本件カード特許2(請求項2)の無効理由)イ(乙17発明を主引用例とする場合)(被告の主張)(ウ)aのとおり,容易に想到することができたことである。
d まとめしたがって,本件カード発明2-1は,乙17発明のカード状物品の繰出し装置に,手動によるハンドル操作によって払出しローラを回動させるために乙16に記載の周知技術参酌したにすぎないか,設計変更を行ったにすぎないと評価されるべきものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告の主張)(ア) 乙17発明被告の主張(ア)のうち,基台2が上面を有することは否認し,その余は認める。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1同(イ)aは認める。
b一致点(a) 同(イ)b(a)は否認する。次の相違点もある。
(b) 本件カード発明2-1は,容易に装置本体を分解,組立することができるようにし,また,容易にローラ軸及び払出ローラの清掃を行うことができるようにするという課題を解決するため,?@「収納ケース」と「基礎フレーム」とが別個に構成され,?Aこの別個に構成された「基礎フレーム」の「上面」に「収納ケース」を着脱可能に装着するという構成,及び?B「収納ケース」が装着される「基礎フレームの上面」に「上方開放状の開放軸受部」を設け,?C当該「上方開放状の開放軸受部」に「ローラ軸」を「挿脱可能」に設けるという構成を採用している。「挿脱可能」とは,収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけで,他に特段の操作を要さずに,ローラ軸を開放軸受部から取り外すことが可能な構成を意味する。
これに対し,乙17発明は,ストッカ1は基台2にネジ止めされ,ストッカ1を基台2から外したとしても,固定板6の裏側にあることから,繰出しローラ3は露出することにはならないため,繰出しローラ3を取り外すには,固定板6の裏側に手を回し,切欠溝26の下部にまで手を差し入れ,タイミングベルト7c,プーリ7b,ブッシュ28を取り外す必要があり,繰出しローラ3を孔部27から切欠溝26を通じて取り外すには困難が伴う構造となっている。
また,乙17発明では,基台2は左右一対の側板部2a,2bを有しているのものであり,周囲の板の端部が四辺を形成しているわけではなく,観念的な面すら形成されていない。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断(a) 同(ウ)aのうち,(a)(周知技術)は認め,(b)(適用)は否認する。
(b) 本件カード発明2-1は,?@手動によって駆動機構を駆動させる発明であり,?A容易に分解,組立することができ,容易にローラ軸及び払出ローラの清掃を行うとの課題を解決するため,「収納ケース」と「基礎フレーム」とが別個に構成されており,乙17発明とは,上記の点で本質的に異なるから,乙17発明に基づいて,本件カード発明2-1に想到することはできない。
b上面同(ウ)bは否認する。
c 挿脱可能同(ウ)cは否認する。
乙21,24ないし35は,「収納ケース」と「基礎フレーム」とが別個に構成されるという本件カード発明2-1の構成とはまったく関係のない一般的な軸受に関する技術にすぎず,本件カード発明2-1の構成は開示も示唆もされていないから,この構成は周知慣用技術でも設計的事項でもない。
したがって,乙17発明に基づいて,上記構成を想到することはできないことは明らかである。
d まとめ同(ウ)dは否認する。
(15) 争点15(本件カード特許2(請求項2)の無効理由)ア 乙16を主引用例とする場合(被告の主張)(ア) 乙16発明乙16(特開平8-2729号公報)には,「シール,カードと称される紙葉類を束にして又は単枚で自動販売するための紙葉類送り出し装置」(【0001】)に関して,以下の発明が開示されている。
ド2-2A’ 背面が開放されていて,開放可能な後蓋19により閉鎖された外箱16と,ド2-2B’ この外箱16の内部に設けられたフレーム2と,ド2-2C’ この外箱16と別個に形成されて外箱16内に着脱自在に挿入配置されていて複数の媒体を収納可能な収納部を有するフレーム2と,ド2-2D’ このフレーム2の収納部内の最下位置の媒体の前部を受持可能な位置にてフレーム2に支持されかつ回転することにより最下位置の媒体を送り出し可能な送り出しローラ5と,ド2-2E’ フレーム2に回転可能に支持されていてハンドル33により回動操作されるハンドル軸34と,ド2-2F’ 送り出し軸4に設けられていてハンドル33によるハンドル軸34の回転を送り出しローラ5に伝達する動力伝達部材11及び一方向クラッチ7と,を有しており,ド2-2G’ フレーム2の右側板25R,左側板25Lに,送り出しローラ5の送り出し軸4を挿脱自在に支持する軸受30A,30Bが設けられ,ド2-2H’ 軸受30A,30Bに支持された送り出し軸4は,軸受30A,30Bによって離脱が防止されていることド2-2I’ を特徴とする紙葉類送り出し装置。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1本件カード発明2-2においては,機ケースのケース本体の前面が開放され,この前面が前面扉により開放可能に閉鎖されるのに対して,乙16発明においては,外箱16の背面が開放され,この背面が後蓋19により開放可能に閉鎖される点。
b 相違点2本件カード発明2-2においては,収納ケースが基礎フレームの上面に着脱可能に装着され,払出ローラが基礎フレームの上部に支持され,操作軸が基礎フレームに回転自在に支持されているのに対して,乙16発明では,収納部を有するフレーム2が外箱16の内部に着脱自在に挿入配置され,送り出しローラ5がフレーム2に支持され,ハンドル軸34がフレーム2に回転自在に支持されている点。
c 相違点3本件カード発明2-2においては,基礎フレームの上面には,払出ローラのローラ軸を上方より挿脱可能に挿入して支持する上方開放状の開放軸受部が設けられ,この開放軸受部に支持されたローラ軸は,基礎フレーム上に装着された収納ケースによって離脱が防止されているのに対して,乙16発明においては,フレーム2の右側板25R,左側板25Lに,送り出しローラ5の送り出し軸4を挿脱自在に支持する軸受30A,30Bが設けられ,軸受30A,30Bに支持された送り出し軸4は,軸受30A,30Bによって離脱が防止されている点。
d 一致点乙16発明と本件カード発明2-2とは,その余の点において一致している。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断(a) 周知技術?@ 実願平1-74556号(実開平3-21189号)のマイクロフィルム(乙22)「ゲーム用カードの販売機」が記載されている。
この販売機では,本体の前部開口に前蓋を着脱自在に装着した構造となっており,「前蓋を外すことによりストッカへのカードの補充や払出手段の点検修理などがきわめて容易に行える。」との記載がある(10頁10行〜12行)。
着脱自在の前蓋の後面にカードストッカや払出し手段が取付けられている。乙22に記載の自動販売機では,本体1の前面に蓋板1aが開閉自在に設けられ,繰出装置の保守,点検,修理等の作業を行う場合に,収納ユニット2をケース本体1の前方に引き出すことができる機構が記載されている。
?A 特開平9-231452号公報(乙23)自動販売機の前面扉を開いて缶ホルダーを着脱可能にする構成が記載されている。
(b) 適用機ケースのケース本体の前面を開放するか,後面を開放するかは,媒体販売装置の使い勝手等を考慮して選択できる設計的事項にすぎない。
b 相違点2についての判断相違点2は,本件カード発明2-1の相違点1に,払出ローラが基礎フレームの上部に支持される点が加わっただけである。
したがって,相違点2は,本件カード発明2-1の相違点1と同じように,乙17〜乙20等に記載の周知の技術を利用した設計的事項にすぎない。
c 相違点3についての判断相違点3においては,本件カード特許発明2-1の相違点2と比較すると,開放軸受部に支持されたローラ軸が基礎フレーム上に装着された収納ケースによって離脱が防止されている点が加わっている。
基礎フレームの上方に収納ケースが存在するのであるから,この収納ケースを利用してローラ軸の離脱を防止することは,当然の構造である。
また,U字形の上方開放軸受に支持された軸の離脱をふた(蓋体),当片,カバーフレーム等で防止する構造は,周知である(乙24,27,29,31,32,35)。
d まとめしたがって,本件カード発明2-2は,乙16に記載の紙葉類送出し装置に周知の技術を単に寄せ集めたものであり,上記の相違点は単なる設計変更にすぎないから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告らの主張)(ア) 乙16発明被告の主張(ア)は認める。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点1同(イ)aは認める。
b 相違点2同(イ)bは認める。ただし,乙16発明では,「操作軸」に相当するハンドル軸34は(機ケースである)外箱16に支持されており,フレーム2に支持されていない点を明確に認定すべきである。
c 相違点3同(イ)cは認める。
d 一致点同(イ)dは認める。
(ウ) 容易想到性a 相違点1についての判断(a) 同(ウ)aは否認する。
(b) 媒体販売装置は,大規模な百貨店やデパートなどの広い売り場において背中合わせに,あるいは壁に沿って多数設置されることが多いから,後面から収納ケースなどの部材を出し入れしなくてはならない場合,作業負担が増大するが,前面から部材を出し入れすることが可能であれば,作業負担が軽減される。したがって,相違点1に係る構成は,単なる設計事項ではない。
b 相違点2についての判断(a) 同(ウ)bは否認する。
(b) 「開放軸受部」が基礎フレームの上面に設けられ,払出ローラのローラ軸を上方より挿脱可能に挿入して支持する上方開放状である点,「ローラ軸」が基礎フレーム上に装着された収納ケースによって離脱を防止されている点は,収納ケース,基礎フレーム,払出ローラ付きローラ軸等を媒体販売装置を別個に構成することを可能とし,また,簡単に組み立てることを可能とするために必須の構成であり,単なる設計事項でない。
c 相違点3についての判断(a) 同(ウ)cは否認する。
(b) 「ローラ軸」が基礎フレーム上に装着された収納ケースによって離脱を防止されている点を開示する引用例はない。
(c) 上記b(b)のとおりd まとめ同(ウ)dは否認する。
イ 乙17発明を主引用例とする場合(被告の主張)(ア) 乙17発明乙17(特開平8-333034号公報)には,以下の発明が開示されている。
ド2-2A’’ 前面が開放された本体とこの前面を開閉可能に閉鎖する前面扉とからなる筐体85と,ド2-2B’’ この筐体85の内部に設けられた基台2と,ド2-2C’’ この基台2と別個に形成されて基台2の上面に着脱可能に装着されていて複数の媒体を収納可能なストッカ1と,ド2-2D’’ このストッカ1内の最下位置の媒体の前部を受持可能な位置にて基台2の上部に支持されかつ回転することにより最下位置の媒体を送り出し可能な繰出しローラ3と,ド2-2E’’ 前記基台2の内側に配置されたモータMにより回転されるモータMの回転軸と,ド2-2F’’ 前記基台2に設けられていてモータMの回転軸の回転を繰出しローラ3に伝達するプーリ7a,7b及びタイミングベルト7cと,を有しており,ド2-2G’’ 前記基台2の上面には,繰出しローラ3の軸部30を上方より挿脱可能に挿入して支持する上方開放状の切欠溝26及び孔部27が設けられ,ド2-2H’’ 前記切欠溝26及び孔部27に支持された繰出しローラ3の軸部30は,ブッシュ28によってがたつきが防止されていることド2-2I’’ を特徴とするカード状物品の払出し装置。
(イ) 本件カード発明2-2と乙17の記載との相違点と一致点a相違点2本件カード発明2-2においては,基礎フレームの上面に設けられた上方開放状の開放軸受部に支持されたローラ軸は,基礎フレーム上に装着された収納ケースによって離脱が防止されている(ド2-2H)のに対して,乙17発明においては,基台2の上面に設けられた上方開放状の切欠溝26及び孔部27に支持された軸部30のブッシュ28によるがたつき防止は記載されているが,離脱の防止については明確に記載されていない点。
b一致点(a) 乙17発明と本件カード発明2-2とは,乙17発明と本件カード発明2-1との相違点及び上記相違点2を除く点において一致している。
(b) 原告は,相違点5の存在を主張するが,本件カード発明2-2は,「払出ローラのローラ軸を上方より挿脱可能に挿して支持する上方開放状の開放軸受部」(構成要件ド2-2G)とだけ規定しているから,「収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけで,他に特段の操作を要さずに」という限定を加えることはできない。
(ウ) 容易想到性a 相違点2についての判断(a)一 上方開放軸受(乙21,24〜35)は,小学校低学年の教材にも掲載されているようなありふれた技術である。
二 したがって,収納ケースを基礎フレームから着脱自在に分離した構造において,基礎フレームの上面に上方開放状の開放軸受部を形成し,ローラ軸を開放軸受部に上方より挿脱可能に挿入した点は,上記周知技術を自動販売装置に採用したにすぎない。
(b)一 U字形の上方開放軸受に支持された軸の離脱をふた(蓋体),当片,カバーフレーム等で防止する構造は,周知である(乙24,27,29,31,32,35)。
二 したがって,開放軸受部に支持されたローラ軸の離脱をその上に配置された収納ケースによって防止する構造とすることは,容易である。
b まとめしたがって,本件カード発明2-2は,乙17に記載の紙葉類送出し装置において,周知技術参酌したにすぎないか,設計変更を行ったにすぎないと評価されるべきものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告らの主張)(ア) 乙17発明被告の主張(ア)のうち,基台2が上面を有すること,及びブッシュ28の機能は否認し,その余は認める。ブッシュ28は,軸部30のがたつき防止だけでなく,離脱防止の機能を有している。
(イ) 一致点及び相違点a 相違点2同(イ)aは認める。
b 一致点(a) 同(イ)b(a)は否認する。次の相違点もある。
(b) 相違点3本件カード発明2-2は,「機ケース」の内部に「基礎フレーム」が設けられている(要件ド2-2B)のに対し,乙17発明では,「機ケース」に相当する構造がない。
(c) 相違点4本件カード発明2-2における「収納ケース」とは,媒体販売装置を「収納ケース」と「基礎フレーム」という異なるユニットに分割し,「収納ケース」を「基礎フレームの上面」に装着することができるようにした構成を有する「収納ケース」であるのに対し,乙17発明では,基台2の側板部2a,2bの間にストッカ1がネジ止めされている構成を有するものであるから,「収納ケース」に相当する部材も,「基礎フレーム」に相当する部材がない点。
(d) 相違点5本件カード発明2-2における要件ド2-2G「挿脱可能」とは,収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけで,他に特段の操作を要さずに,ローラ軸を開放軸受部から取り外すことが可能な構成を意味すると解すべきであるのに対して,乙17発明では,繰出しローラ3の各軸部30を外すためには,複雑な手順を踏まなくてはならず,繰出しローラ3の各軸部30が「挿脱可能」とはいえない点。
(ウ) 容易想到性a 相違点2についての判断(a) 同(ウ)a(a)一及び(b)一は認め,(a)二及び(b)二は否認する。
(b) 被告が指摘する技術は,一般的な軸受に関する技術にすぎず,相違点2のように構成することを示唆する記載もないから,相違点2の用に構成することは,周知技術でも設計的事項でもない。
bまとめ同(ウ)bは否認する。
(16) 争点16(本件カード特許3(請求項1)の無効理由)(被告の主張)ア 乙51発明特開平9-326081公報(乙51)には,以下の発明が開示されている。
ド3-1A’ 装置本体3と,ド3-1B’ 前記物品収納ケース5に中心軸37を介して回動可能に支持された回転盤35と,ド3-1C’ 前記装置本体3に回動自在に支持され,操作部材81の操作により回動する回転軸83と,ド3-1D’ 前記中心軸37に取り付けられた回転盤35に設けられ,前記回転軸83の回動を前記回転盤35に伝達するラック41と,ド3-1E’ 前記装置本体3とは別体とされた,複数の物品を収容する物品収納ケース5と,ド3-1F’ 前記装置本体3の前壁7内面に設けられたコインセレクター95とを具備し,ド3-1G’ 前記コインセレクター95が設けられた装置本体3は,正規コインの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインの投入が検出されない場合,回動不可能となる搬送円盤,大ウォーム歯車105と,前記搬送円盤,大ウォーム歯車105と噛合する歯車群とを有し,ド3-1H’ 物品収納ケース5が前記装置本体3の前面上部に着脱可能に載置されたとき,前記歯車群が前記ラック41と連動し,前記搬送円盤,大ウォーム歯車105と前記ラック41との連動が形成され,前記回転盤35は前記物品収納ケース内の物品を受持し,ド3-1I’ 正規コインの投入が検出されない場合,前記搬送円盤,大ウォーム歯車105が回動不可能となることにより,前記歯車群および前記ラック41は回転を阻止され,正規コインの投入が検出された場合,前記搬送円盤,大ウォーム歯車105が回動可能となることにより,前記歯車群および前記ラック41は回転が可能となり,前記操作部材81の操作による回転軸83の回転に応じて前記ラック41が回転し,回転盤35が回動することにより前記受持された物品が払い出されることド3-1J’ を特徴とする物品取出装置。
イ 一致点及び相違点(ア) 相違点1本件カード発明3-1は,基礎フレームに払出ローラが設けられ,この払出ローラが収納ケース内の最下位置の媒体を受持し,回転することにより当該媒体を払出すのに対して,乙51発明は,物品収納ケース5内に回転盤35が設けられ,物品収納ケース5内の物品が回転盤35の回転によって収納ケース5の落下口まで運ばれて落下する点。
(イ) 相違点2本件カード発明3-1は,コイン検出作動部が側面に設けられた収納ケースが作動体とアイドラギアとを有しているのに対して,乙51発明においては,コインセレクター95(搬送円盤)は,装置本体3の前壁7内面に設けられ,大ウォーム歯車105,歯車群が装置本体3内に設けられている点。
(ウ) 一致点乙51発明と本件カード発明3-1とは,その余の点において一致している。
容易想到性(ア) 相違点1についての判断カード状の媒体を払い出す装置において,払出ローラにより,収納ケース内の最下位置の媒体を受持し,払出ローラの回転により該媒体を払い出す構成は,周知である(乙22,49,16,50等)。
媒体払出装置において収納ケースを基礎フレームと別体とする構造は,乙17等に記載されている。
したがって,相違点1は,周知技術の単なる転用又は単なる設計的事項にすぎない。
(イ) 相違点2についての判断コイン検出作動部及びアイドラギアを基礎フレームと別体とされた収納ケースに設けるか,基礎フレームに設けるかは,コイン検出作動部全体の形状及び寸法,物品販売装置の形状及び寸法等を考慮して決まる選択の問題にすぎず,相違点2に係る構成は,単なる設計的事項にすぎない。
(ウ) まとめしたがって,本件カード発明3-1は,乙51の記載に基づき,これに周知の構造を適宜選択して設計変更した程度のものにすぎず,当業者が容易に想到し得たものであるから,特許法29条2項の規定に該当し,本件特許は無効とされるべきものであるから,進歩性の要件を備えておらず,無効とされるべきである(特許法123条1項2号,29条2項)。
(原告らの主張)ア 乙51発明被告の主張(ア)は認める。
イ 一致点及び相違点(ア) 相違点1同イ(ア)は認める。
(イ) 相違点2同イ(イ)は認める。ただし,乙51発明にはコイン検出作動部に相当するものがない点も,相違点として認定されるべきである。
(ウ) 一致点a 同イ(ウ)は否認する。次の相違点もある。
b相違点3本件カード発明3-1においては,基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルの操作により回動する「操作軸」が具備されているのに対して,乙51発明には「操作軸」に相当するものはない点。
c相違点4本件カード発明3-1においては,ローラ軸に取り付けられ,操作軸の回動を払出ローラに伝達する「払出ギヤ」が具備されているのに対して,乙51発明には「払出ギヤ」に相当するものはない点。
d相違点5本件カード発明3-1においては,「コイン検出作動部が設けられた収納ケースは,正規コインの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインの投入が検出されない場合,回動不可能となる作動体と,作動体と噛合するアイドラギアとを有している」のに対して,乙51発明はそのような構成を有していない点。
e相違点6本件カード発明3-1においては,「コイン検出作動部が設けられた収納ケースが基礎フレームの上面に着脱可能に載置されたとき,アイドラギアが払出ギヤと連動し,作動体と払出ギヤとの連動が形成され,払出ローラは収納ケース内の最下位置の媒体を受持する」のに対して,乙51発明はそのような構成を有していない点。
容易想到性(ア) 相違点1についての判断a 同ウ(ア)は否認する。
b 乙51発明は,「カプセル等の物品を一つずつ取り出すことができる物品取出装置に関する」ものであり,その払出方法も,物品の自重を利用するものである。このように,乙51発明と乙22発明等とは,異なる技術分野に属する発明であり,それらを組み合わせることには,阻害要因がある。
(イ) 相違点2についての判断同ウ(イ)は否認する。
(ウ) まとめ同ウ(ウ)は否認する。
(17) 争点17(差止めの可否(権利濫用))(被告の主張)ア 被告は,本件訴訟の和解手続において,本件カプセル発明1-2及び本件カード発明3-1を侵害しないように被告カプセルベンダーや被告カードベンダーを改造するという提案をして,具体的な準備を行い,特許権の侵害状態は早期に解消される見込みであったにもかかわらず,原告らは和解を拒絶した。
原告らが拒絶したのは,本件訴訟の目的が自らの発明の価値を守ることにあるのではなく,被告の取引先に対し,被告の製品が原告らの特許を侵害している旨の判決が出たことを宣伝し,被告の取引先が被告との関係を絶つようにすることにあるからである。
したがって,原告らには,加害意思等の悪質性,権利行使の相手方に対する不当に不利益を被らせる等の悪質性がある。
イ さらに,本件カプセル発明1-2及び本件カード発明3-1の技術的意義が非常に乏しいこと,出願経過からみても上記発明も無効となる可能性が高いものであること,分割出願制度の利用が恣意的であることなどを併せ考慮すると,上記発明に係る特許は権利性の低いものであり,このような特許権に差止め等の重大な効果を与えることは,権利行使により権利行使者が得る利益と比較して著しく大きな不利益を相手方及び社会に対して与えることになる。
ウ 以上によれば,原告らの被告に対する差止請求は,権利の濫用に当たるというべきである。
(原告らの主張)被告の主張は否認し争う。
特許権者が特許権を侵害する者に対して差止請求を求めることは,正当な権利行使であり,権利濫用には当たらない。
(18) 争点18(本件カプセルベンダーについての損害の発生及び額)ア 争点18-1(2項損害)(原告バンダイの主張)(ア) 損害額a 売上高前提事実(12)ア(イ)のとおり,被告は,平成14年3月から平成19年3月20日までの間,少なくとも10137台の被告カプセルベンダーを製造,販売し,少なくとも1億8921万0080円の売上げを得た。
b製造原価(a) 前提事実(12)ア(イ)のとおり,被告カプセルベンダー1万0377台(無償供与分240台を含む。)の製造原価は,1億5507万9931円である。
(b) 製造原価のうち,有償供与分の1万0137台に相当する金額は,1億5149万3231円である。
1億5507万9931円÷1万0377台×1万0137台=1億5149万3231円c損害額したがって,被告は,少なくとも3771万6849円の利益を得ており,原告バンダイは,少なくとも同額の損害を被った(特許法102条2項)。
1億8921万0080円-1億5149万3231円=3771万6849円(イ) 被告の主張に対する反論a 金型製作費用(a) 金型製作費用額後記被告の主張a(a)は不知。
(b) 金型の使用可能性一 同(b)一は不知。
二 同(b)二は否認する。
特許法102条2項にいう侵害行為により受けた利益の額とは,売上額から当該売上げを得るために特許権者にとって必要な変動経費のみを控除した残額であるいわゆる限界利益と解すべきであるから,開発費や販売管理費を控除すべきではない。
しかも,金型を改造後に流用することができるか否かや差止請求を受けたか否かといった事後的な事情を考慮して,特許法102条2項にいう侵害行為により受けた利益の額が変動することは,不合理である。
(c) 将来金型を使用する場合一 将来使用することができない金型の製作費用同(c)一は不知。
二 金型の有する製造能力同(c)二は否認する。
仮に,金型製作費用を控除するとしても,カプセルベンダーの金型の製造能力は,約5万台である。
被告の主張する商品寿命や予想販売数量には,何ら合理的な根拠はない。
したがって,金型製作費用のうち,損害賠償の対象となる被告カプセルベンダーの有償出荷分1万0137台に相当する金型費用1379万3154円のみを控除すべきである。
6803万3709円÷5万台×1万0137台=1379万3154円三 控除すべき金型製作費用同(c)三は否認する。
仮に金型製作費用の一部を控除するとしても,原告バンダイの損害額は,2392万3695円となる。
3771万6849円-1379万3154円=2392万3695円b 販売管理費(a) 無償供与分の製造費用同b(a)は否認する。
売上額から控除すべき費用は,有償供与分の製造販売によって増加した費用のみに限るべきである。
(b) それ以外の費用同b(b)は否認する。
販売管理費などの固定費用は,侵害品の製造販売によって増加したと認められる部分に限って,費用として控除すべきである。
被告が主張する額は,被告の売上総額と被告カプセルベンダーの売上額の割合とを計算し,その割合に基づき,被告の販売管理費総額から被告カプセルベンダーの販売管理費を単純に計算しているだけであり,被告カプセルベンダーの製造,販売による変動額を示すものではない。
c 推定を覆滅させる事情(a) 販売経路同c(a)のうち,一は不知,二は否認する。
(b) 市場占有率同c(b)のうち,一は明らかに争わない,二は,否認する。
(被告の主張)(ア) 認否原告バンダイの主張(ア)b(b)及びcは否認する。
(イ) 被告の主張a 金型製作費用(a) 金型製作費用額被告は,被告カプセルベンダーの金型製作費用(改良費用を含む。以下,同じ。)として,6803万3709円を支出した。
(b) 金型の使用可能性一 被告カプセルベンダーが原告バンダイの特許権を侵害すると判断された場合,被告は,カプセルベンダーを自ら製造することをやめ,他社からOEM供給を受ける可能性もあり,将来にわたって被告カプセルベンダーの金型を使用するか否かは,未定である。
二 したがって,金型製作費用の全額を経費と認めるべきである。
(c) 将来金型を使用する場合仮に,将来金型を使用する場合,控除すべき金型製作費用は,次のとおりである。
一 将来使用することができない金型の製作費用被告が現在検討している被告カプセルベンダーの改造案のうち,最も可能性の高い方法によれば,改造した後に使用することができない金型の製作費用は,489万4692円である(乙60)。
二 金型の有する製造能力(一) 仮に,将来使用する可能性のある金型の製作費用について,現在までの使用に相当する製作費用のみを経費として控除するとしても,金型の物理的製造可能台数である5万台を基礎として按分計算するのではなく,カプセルベンダーの商品寿命等を考慮し,合理的な製造可能台数を基礎として按分計算すべきである。
(二) カプセルベンダーの商品寿命は,5,6年である。
(三) 仮に商品寿命が10年であるとしても,これまでの被告の販売実績からすると,販売可能な数量は,これまでの分を含めて,約2万台にすぎない。
三 控除すべき金型製作費用したがって,控除すべき金型製作費用は,将来使用することができない金型の製作費用489万4692円と,将来使用できる金型の製作費用6313万9017円のうち,現在までの使用台数1万0377台分の按分額3275万9679円の合計3765万4371円となる。
6803万3709円-489万4692円=6313万9017円6313万9017円÷2万台×1万0377台=3275万9679円489万4692円+3275万9679円=3765万4371円b 販売管理費(a) 無償供与分の製造費用無償供与分の製造費用は,被告カプセルベンダーの販売のための直接の費用として支出したものと同視されるべきである。
(b) それ以外の費用上記(a)以外に,被告は,被告カプセルベンダーの販売のための販売管理費として,少なくとも500万円を支出した(乙61)。
c 推定を覆滅させる事情(a) 販売経路一 被告は,被告の関連会社である株式会社ミント(以下「ミント社」という。
)に対し,被告カプセルベンダーのうち657台を販売した。
二 ミント社は,被告独自の販売先であり,同社が原告バンダイからカプセルベンダーを購入することはない。
(b) 市場占有率一 カプセルベンダーの市場シェアは,次のとおりである(乙56,57)。
原告バンダイ 60%株式会社ユージン 38.5%被告 1.5%二 したがって,被告の侵害行為がなかったとしても,原告バンダイは,上記シェアの割合でしか,その販売を行うことができなかった。
イ 争点18-2(3項損害)(原告バンダイの主張)(ア) 売上高a 無償供与分は,サンプルとして供与され,営業活動の一環として利用されたものであるから,3項損害を算定する場合,無償供与分についても有償供与分と同様に評価すべきである。
b 無償供与分240台を含めた1万0377台の売上高は,1億9368万9750円である。
1億8921万0080円÷1万0137台×1万0377台=1億9368万9750円(イ) 相当実施料率a まとめb以下の点を考慮すると,相当実施料率は,10%を下らない。
b 本件カプセル発明1-2の技術的価値本件カプセル発明1-2は,パイオニア的な発明であり,その価値は市場において高く評価されている。
原告バンダイは,カプセルベンダー市場で約6割のシェアを獲得しているが,本件カプセル発明1-2を実施していることがその要因の一つである。
したがって,相当実施料率は高く算定されるべきである。
c カプセルの売上げへの寄与(a) カプセルベンダーを製造販売する会社は,カプセルベンダーを販売することによって,自社製のカプセルをより多く販売するルートを開拓することができる。そして,被告が被告カプセルベンダーを製造販売することにより,被告製のカプセルの売上げが増加することは,通常予想される相当因果関係の範囲内の結果である。
(b) したがって,本件カプセル発明1-2の価値は,カプセルベンダーの売上げだけでなく,カプセルベンダーに収納されているカプセルの売上げにも寄与していることを考慮して評価されるべきであるから,その実施料率は高く算定されるべきである。
d 原告バンダイのライセンス方針(a) 原告バンダイは,本件カプセル発明1-2を含む一連のカプセル特許について,他社にライセンスを許諾せず,自社で独占的に実施する方針を採用してきた。
(b) したがって,本件カプセル発明1-2の実施料率は高く算定されるべきである。
e 同一技術分野における実施料率社団法人発明協会発行の実施料率〔第5版〕(甲56)によると,自動販売機等の技術分野における平成4年度から平成10年度の実施料率の平均値は4.4%であるが,8%以上の高率の契約も存在している。また,娯楽機械の技術分野では,平均値は約5%であり,実施料率10%の例もある。
(ウ) まとめしたがって,予備的主張である原告バンダイの3項損害の額は,1936万8975円を下らない。
1億9368万9750円×10%=1936万8975円(被告の主張)(ア) 売上高原告バンダイの主張(ア)は否認する。
(イ) 相当実施料率a まとめ同(イ)aは否認する。
相当実施料率は,高くても2%である。
b 本件カプセル発明1-2の技術的価値同(イ)bは否認する。
本件カプセル発明1-2は,物品収納ケースを着脱できる点が特徴であるが,簡単な構成であり,技術的価値が乏しいものである。
c カプセルの売上げへの寄与同(イ)cは否認する。
被告カプセルベンダーは,カプセル用玩具の販売過程を自動化するものにすぎず,カプセルの顧客は,カプセルの内容物である商品自体の魅力に着目してカプセルを購入するものである。したがって,カプセルベンダー自体はカプセルの売上げには寄与しておらず,カプセルの売上げを相当実施料率の決定に当たり考慮すべきではない。
d 原告バンダイのライセンス方針(a) 同(イ)d(a)は不知,(b)は否認する。
実施料率が高くなる理由は,自社で独占的に実施しているからではなく,そのようなライセンス方針により市場を独占でき,高い利益を上げることができるからである。本件におけるように同一市場に競業者がいる場合には,市場を独占することはできないから,他社にライセンスをしないという方針であったことは,相当実施料率を高くする理由とはならない。
e 同一技術分野における実施料率社団法人発明協会発行の実施料率〔第5版〕(乙59)によると,自動販売機等の技術分野における平成4年度から平成10年度の実施料率の最頻値は2%及び5%とされている。
従前の国有特許権実施契約書において,実施価値が下のものは,実施料率は2%とされている(乙59)。
(ウ) まとめしたがって,原告バンダイの3項損害の額は,378万4202円を上回ることはない。
1億8921万0080円×2%=378万4202円(19) 争点19(本件カードベンダーについての損害の発生及び額)ア 争点19-1(2項損害)(原告らの主張)(ア) 損害額a 売上高前提事実(12)イ(イ)のとおり,被告は,平成18年8月から平成19年3月20日までの間,少なくとも512台の被告カードベンダーを製造,販売し,少なくとも1430万2400円の売上げを得た。
b経費(a) 前提事実(12)イ(イ)のとおり,無償供与分6台を含む518台の製造原価は,846万8284円である。
(b) 製造原価のうち,有償供与分512台に相当する金額は,837万0196円である。
846万8284円÷518台×512台=837万0196円c損害したがって,被告は,少なくとも593万2204円の利益を得ており,原告らは,少なくとも各296万6102円の損害を被った(特許法102条2項)。
(1430万2400円-837万0196円)÷2=296万6102円(イ) 被告の主張に対する反論a 金型製作費用(a) 金型製作費用額後記被告の主張a(a)は不知。
(b) 金型の使用可能性一 同(b)一は不知。
二 同(b)二は否認する。
(c) 将来金型を使用する場合一 将来使用することができない金型の製作費用同(c)一は不知。
二 金型の有する製造能力同(c)二は否認する。
仮に,金型製作費用を控除するとしても,カードベンダーの金型の製造能力は,約5万台である。
被告の主張する商品寿命や予想販売数量には,何ら合理的な根拠はない。
三 控除すべき金型製作費用同(c)三は否認する。
金型製作費用のうち,512台分の金型費用68万5816円のみを控除すべきである。
6697万4236円÷5万台×512台=68万5816円b 販売管理費(a) 無償供与分の製造費用同b(a)は否認する。
(b) それ以外の費用同b(b)は否認する。
c 推定を覆滅させる事情(販売先)同cのうち,(a)は不知,(b)は否認する。
(被告の主張)(ア) 損害額原告らの主張(ア)b及びcは否認する。
(イ) 被告の主張a 金型製作費用(a) 金型製作費用額一 被告は,被告カードベンダーの金型製作費用として,6697万4236円を支出した。
二 すべての金型が,被告カードベンダーを製造するために必要なものであるから,512台に対応する開発費767万1322円を経費と認めるべきである。
6697万4236円÷4470台×512台=767万1322円(b) 金型の使用可能性一 被告カードベンダーが原告らの特許権を侵害すると判断された場合,被告は,カードベンダーを自ら製造することをやめ,他社からOEM供給を受ける可能性もあり,将来にわたって被告カードベンダーの金型を使用するか否かは,未定である。
二 したがって,将来金型を使用し,被告カードベンダーを販売することを前提として,金型製作費用を按分し,被告が現に得た利益額を算出するという計算方法は合理性がない。
(c) 将来金型を使用した場合仮に,将来金型を使用する場合,控除すべき金型製作費用は,次のとおりである。
一 将来使用することができない金型の製作費用被告が現在検討している被告カードベンダーの改造案のうち,最も可能性の高い方法によれば,改造した後に使用することができない金型の製作費用は,1000万6307円である(乙60)。
二 金型の有する製造能力(一) 仮に,将来使用する可能性のある金型の製作費用について,現在までの使用に相当する製作費用のみを経費として控除するとしても,金型の物理的製造可能台数である5万台を基礎として按分計算するのではなく,カードベンダーの商品寿命等を考慮し,合理的な製造可能台数を基礎として按分計算すべきである。
(二) カードベンダーの商品寿命は,長くても10年である。
(三) これまでの被告の販売実績からすると,販売可能な数量は,これまでの分を含めて,約1万5000台にすぎない。
三 控除すべき金型の製作費用したがって,控除すべき金型の製作費用は,将来使用することができない金型の製作費用1000万6307円と,将来使用できる金型の製作費用5696万7929円のうち,平成18年8月以降の製造台数518台分の按分額196万7292円の合計1197万3599円となる。
6697万4236円-1000万6307円=5696万7929円5696万7929円÷1万5000台×518台=196万7292円1000万6307円+196万7292円=1197万3599円b 販売管理費(a) 無償供与分の製造費用無償供与分の製造費用は,被告カードベンダーの販売のための直接の費用として支出したものと同視されるべきである。
(b) それ以外の費用上記(a)以外に,被告は,被告カードベンダーの販売のための販売管理費として,平成18年8月以降,少なくとも37万円を支出した(乙61)。
c 推定を覆滅させる事情(販売先)(a) 被告は,平成18年8月以降,被告の関連会社であるミント社に対し,被告カードベンダーのうち149台を販売した。
(b) ミント社は,被告独自の販売先であり,同社が原告バンダイからカードベンダーを購入することはない。
イ 争点19-2(3項損害)(原告らの主張)(ア) 売上高a 無償供与分は,サンプルとして供与され,営業活動の一環として利用されているのであるから,3項損害を算定する場合,無償供与分についても有償供与分と同様に評価すべきである。
b 無償供与分6台を含めた518台の売上高は,1447万0006円となる。
1430万2400円÷512台×518台=1447万0006円(イ) 相当実施料率a まとめb以下の点を考慮すると,相当実施料率は,15%を下らない。
b 本件カード発明3-1の技術的価値本件カード発明3-1の技術的価値は高いから,相当実施料率は高く算定されるべきである。
c カードパックの売上げへの寄与(a) カードベンダーを製造販売する会社は,カードベンダーを販売することによって,自社製のカードパックをより多く販売するルートを開拓することができる。特に,被告カードベンダーは,構造上被告製のカードパックのみを収納することができるものであるため,被告カードベンダーの設置台数の増加は,被告製カードパックの売上増加に直結する。そして,被告が被告カードベンダーを製造販売することにより,被告製のカードパックの売上げが増加することは,通常予想される相当因果関係の範囲内の結果である。
(b) したがって,本件カード発明3-1の価値は,カードベンダーの売上げだけでなく,カードベンダーに収納されているカードパックの売上げにも寄与していることを考慮して評価されるべきであるから,その実施料率は高く算定されるべきである。
d 原告らのライセンス方針(a) 原告らは,本件カード発明3-1を含む一連のカード特許について,他社にライセンスを許諾せず,自社で独占的に実施する方針を採用してきた。
(b) したがって,本件カード発明3-1の実施料率は高く算定されるべきである。
e 同一技術分野における実施料率争点18-2(3項損害)(原告バンダイの主張)(イ)e(同一技術分野における実施料率)と同旨である。
(ウ) まとめしたがって,予備的主張である原告らの3項損害の額は,各108万5250円を下らない。
1447万0006円×15%÷2=108万5250円(被告の主張)(ア) 売上高原告らの主張(ア)は否認する。
(イ) 相当実施料率a まとめ同(イ)aは否認する。
相当実施料率は,高くても2%である。
b 本件カード発明3-1の技術的価値同(イ)bは否認する。
本件カード発明3-1は,カードベンダー装置を構成する要素を別個に構成して簡単に組み立てられるようにする点に目的があるが,技術的に単純な構成からなるものであり,技術的価値は低い。
c カードパックの売上げへの寄与同(イ)cは否認する。
被告カードベンダーは,カードパックの販売過程を自動化するものにすぎず,カードパックの顧客は,商品自体の魅力に着目してカードを購入するものである。したがって,カードベンダー自体はカードパックの売上げには寄与しておらず,カードパックの売上げを相当実施料率の決定に当たり考慮すべきではない。
また,被告カードベンダーにおいて,カードパックを市販のビニールに入れ,収納ケースの後ろの板をカードの長さに応じて適宜調整すれば,被告以外のカードパックを販売することが可能である(乙62)。
d 原告らのライセンス方針同(イ)d(a)は不知,(b)は否認する。
e 同一技術分野における実施料率争点18-2(3項損害)(被告の主張)(イ)e(同一技術分野における実施料率)と同旨である。
(ウ) まとめしたがって,原告らの3項損害は,各14万3024円を上回ることはない。
1430万2400円×2%÷2=14万3024円ウ 争点19-3(弁護士費用)(原告らの主張)(ア) 原告らは,本訴原告ら訴訟代理人に対し,本訴の提起及び追行を委任し,報酬の支払を約した。
(イ) 本件事案の性質・内容及び認容内容等からすると,原告バンダイの支払約束額のうち少なくとも400万円は,被告カプセルベンダー関係及び被告カードベンダー関係の不法行為相当因果関係を有する損害である。
(ウ) 本件事案の性質・内容及び認容内容等からすると,原告大和精工の支払約束額のうち少なくとも40万円は,被告カードベンダー関係の不法行為相当因果関係を有する損害である。
(被告の主張)原告らの主張(ア)は不知,(イ)(ウ)は否認する。
当裁判所の判断
1 争点1(本件カプセル発明1-2の充足)(1) 争点1-1(構成要件プ1-2Aの充足)ア 「後壁近傍」(ア) クレーム解釈「近傍」とは,「近所,近辺」を意味すること(広辞苑第5版(甲26)737頁)は,当事者間に争いがない。
さらに,歯車を「後壁近傍」に位置させるのは,物品収納ケースを装置本体の正面より引き出す構成とするためには,物品収納ケースの回転盤を回転させるための歯車を装置本体の正面側に位置させることはできず,後壁側に位置させざるを得ないところ(本件カプセル特許1明細書の請求項2,【0004】及び【0024】),その目的のためには,歯車は,必ずしも後壁に接しさせる必要はないと認められる。
したがって,構成要件プ1-2Aの「後壁近傍」は,歯車が後壁の近辺にあれば足り,後壁に固着している必要はないことを意味すると認められる。
後壁との間に間隙のある位置に歯車を配置する公知技術(乙52,53)の存在は,「後壁近傍」を後壁に設置する場合に限定して解釈すべき理由とはならない。
(イ) 充足被告カプセルベンダーの歯車91は,装置本体3の前壁7と後壁13の間(約39cm)の,後壁13から約8cm離れた位置に設置されているから(被告カプセルベンダー説明書2(1)),被告カプセルベンダーの歯車91の位置は,構成要件プ1-2Aにおける「後壁近傍」を充足する。
イ 「回転軸…を有する装置本体」(ア) クレーム解釈構成要件プ1-2Aにおける「回転軸…を有する前記装置本体」とは,装置本体が回転軸(を含む機構)を有することを意味しており,回転軸(を含む機構)が装置本体から取外し可能なものも可能でないものも含むと認められる。
被告は,装置本体が回転軸を有することを意味すると主張し,その根拠として実施例についての記載(【0020】)を挙げるが,単なる実施例についての記載から,特許請求の範囲をその文言に反して限定することはできないし,そのように限定して解釈すべき技術上の理由も見いだせないから,被告の上記主張は採用することができない。
(イ) 充足したがって,回転軸83が装置本体3とは独立して構成されたユニットに設けられたものであっても(被告カプセルベンダー説明書2(1)),構成要件プ1-2Aの「回転軸…を有する前記装置本体」を充足する。
ウまとめ以上によれば,被告カプセルベンダーは,構成要件プ1-2Aを充足する。
(2) 争点1-2(構成要件プ1-2Bの充足)ア「装着」(ア) クレーム解釈「装着」とは,「付属品を本体に取り付けること」を意味すること(広辞苑第5版(甲23)1551頁)は,当事者間に争いがない。
本件カプセル特許1明細書中に,上記通常の意味と異なる解釈をすべきことを基礎付ける記載は見いだせないから,構成要件プ1-2Bの「装着」は,物品収納ケースを物品取出装置に取り付けることができれば足り,物品収納ケースがそのまま物品取出装置から取り外すことができるものも取り外すことができないものも含むと認められる。
これに反する被告の主張は採用することができない。
(イ) 充足したがって,収納ケース5を装置本体3に取り付けることは,収納ケース5の後壁が装置本体3にネジ止めされていても(被告カプセルベンダー説明書2(2)),構成要件1-2Bの「装着」を充足する。
イ 「引き出し可能」(ア) クレーム解釈a 特許請求の範囲,辞書的意味「引き出し(す)」とは,「中にあるものを引っ張って外へ出す」ことを意味すること(広辞苑第5版(甲23)2228頁)は,当事者間に争いがない。
構成要件プ1-2Bの「引き出し可能な前記物品収納ケース」が,物品収納ケースが物品取出装置から取り外すことができるものを意味するのか,物品収納ケースが物品取出装置から取り外すことはできないが外へ引き出すことが可能なものも含むかについては,特許請求の範囲の記載のみからは明らかではない。
b 発明の詳細な説明及び図面(a) 本件カプセル特許1明細書には,次の記載がある。
「【0004】【発明が解決しようとする課題】 従来の物品取出装置は,物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。
【0005】 また従来の物品取出装置は,取り出せる物品の大きさが1種類しかないため,異なる大きさの物品を収納することができず,汎用性に欠けるという問題点があった。
【0006】 本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。また,取り出す物品の大きさが異なっても,充分対応ができる汎用性のある物品取出装置を提供することを第2の課題とする。」「【0024】 物品取出装置1は,上記構成からなり,開閉扉110を開け,装置本体3の前壁7開口7aから,安価な小玩具を内蔵したカプセル等の小さい物品Aを収納した物品収納ケース5を押し込むと,物品収納ケース5内の回転盤35のラック41が装置本体3内の駆動歯車91とかみ合うことになる。…」「【0027】 高価な玩具を内蔵したカプセル等の大きい物品Aを収納した物品収納ケース5に取り替える場合は,前述したように,開閉扉110を開け,装置本体3の前壁7開口7aから,安価な小玩具を内蔵したカプセル等の小さい物品Aを収納した物品収納ケース5を引き出して,次の物品収納ケース5を押し込む。物品収納ケース5内の回転盤35のラック41が装置本体3内の駆動歯車91とかみ合うことになる。…」「【0029】【発明の効果】 以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品を手で入れ替える代わりに,物品収納ケース自体を取り替え,取り出せる物品を簡単に変更することも可能にするという効果がある。本願請求項3記載の物品取出装置は,物品収納ケースの落下口の面積を簡単な機構で変えることができるので,取り出す物品の大きさが異なっても,充分対応ができる汎用性のある構造にすることができるという効果がある。」(b) 上記記載内容によれば,本件カプセル発明1-2は,従来の物品取出装置が,物品収納ケースに収納した物品を入れ替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であったという問題を解決し,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入れ替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを課題とし,「物品収納ケース内の物品を手で入れ替える代わりに,物品収納ケース自体を取り替え,取り出せる物品を簡単に変更することも可能にするという効果がある」という作用効果を有し,実施例においても,入れ替える際に取り外すことができる収納ケースが開示されているものであるから,構成要件プ1-2Bの「引き出し可能」は,物品収納ケースを取り外すことはできないが外へ引き出すことができるというだけでは足りず,物品収納ケース自体を取り替えることができることを意味すると認められる。
c 出願経過(a) さらに,前提事実(9)アのとおり,本件カプセル特許1当初明細書の【特許請求の範囲】の請求項1及び2には,物品収納ケースについて,「(ロ) 装置本体の上部には,物品収納ケースが着脱自在に設けられていること。」と記載され,【発明が解決しようとする課題】【0006】に「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。」,【発明の効果】【0029】に「以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができるという効果がある。」と記載されていたが,構成要件プ1-2Bの「引き出し可能」は,同当初明細書の「着脱自在」の文言を補正したものである。
(b) そうすると,構成要件プ1-2Bの「引き出し可能」も,同当初明細書の「着脱自在」と同じ意味に理解するのが相当であるところ,同当初明細書における請求項1及び2の「着脱自在」は,その文言自体から,物品収納ケースが物品取出装置から取り外すことができることを意味すると認められる。
(c)一 この点につき,原告バンダイは,同当初明細書の請求項3ないし5に「着脱自在」であることを要件としない発明が開示されているから,構成要件プ1-2Bの「引き出し可能」は,物品収納ケースが物品取出装置から取り外すことはできないが外へ引き出すことは可能なものも含む旨主張する。
二 しかし,前提事実(9)アのとおり,同当初明細書の請求項3には,「(ヘ) 装置本体には,前記物品収納ケースの落下口を狭めることができる開閉部材が設けられていること」と記載されており,同当初明細書の請求項3ないし5の発明は,このような「開閉部材」を構成要件とするものであり,同当初明細書の【発明が解決しようとする課題】【0006】にも,「…また,取り出す物品の大きさが異なっても,充分対応ができる汎用性のある物品取出装置を提供することを第2の課題とする。」,【0009】「本件請求項3に係る物品取出装置は,上記第2の課題を達成するため,下記の構成を有する。
…」,【0010】「本件請求項4に係る物品取出装置は,上記第2の課題を達成するため,下記の構成を有する。…」,【0011】「本件請求項5に係る物品取出装置は,上記第2の課題を達成するため,下記の構成を有する。…」と記載されており,【発明の効果】【0029】にも,「…本願請求項3記載の物品取出装置は,物品収納ケースの落下口の面積を簡単な機構で変えることができるので,取り出す物品の大きさが異なっても,十分対応ができる汎用性のある構造にすることができるという効果がある。本願請求項4および5記載の物品取出装置は,…物品の大きさにあわせた物品収納ケースの落下口の面積の変更,…を行うことができるという効果がある。」と記載されている。
三 これらの記載によれば,請求項3ないし5は,請求項1及び2とは異なる第2の課題に対応する発明であることが認められ,この事実によれば,同当初明細書の請求項3ないし5についての記載から,請求項1及び2の発明についても「着脱自在」を要件としない発明が記載されていたとか,自明であると認めることはできない。
四 よって,原告バンダイの上記主張は理由がない。
(d) よって,本件カプセル特許1の出願経過からも,上記b(b)に示した解釈が相当であることが裏付けられる。
(イ) 充足a 被告カプセルベンダーの収納ケース5は,装置本体3に固設された軸杆に嵌合されたスライダ部にネジ止めされているが,ドライバー等を用いて装置本体3から取り外すことができるところ(被告カプセルベンダー説明書2(2)),このような構造の収納ケース5も,「従来の物品取出装置は,物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。」(【0004】)との従来技術と対比すると,装置本体3からの取外しが容易であるから,構成要件プ1-2Bの「引き出し可能な前記物品収納ケース」を充足すると認められる。
これに反する被告の主張は採用することができない。
ウ まとめよって,被告カプセルベンダーは,構成要件プ1-2Bを充足し,本件カプセル発明1-2の構成要件をすべて充足する。
2 争点6(本件カプセル特許1の無効理由)(1) 争点6-1(補正制限違反)ア 被告は,本件カプセル特許1当初明細書には,物品収納ケース自体を取り替えることができるものだけが記載又は自明の事項であったところ,第1回補正により,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものも含むようになり,特許法17条の2第3項に違反し,無効である旨主張する。
イ しかしながら,前記1(2)イのとおり,構成要件プ1-2Bの「引き出し可能」は,物品収納ケース自体を取り替えることができることを意味するから,第1回補正によって物品収納ケースを装置本体から取り外すことができないものも含むようになったと認めることはできず,被告の上記主張は理由がない。
(2) 争点6-2(進歩性の欠如)ア 乙42を主引用例とする場合(ア) 乙42発明乙42の開示内容(第2,3(6)イ(ア)(被告の主張)a)は,当事者間に争いがない。
(イ) 一致点及び相違点乙42発明と本件カプセル発明1-2とを対比すると,少なくとも次の相違点があることが認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
a 相違点1?@本件カプセル発明1-2では,物品収納ケースが,装置本体に装着することにより,上部の物品投入用開口部が装置本体により覆われ,底部の落下口が落下通路の他端と対向し,物品入れ替え時に前記装置本体の正面より引き出し可能なものであるのに対して,乙42発明では,商品収納部2は,自動販売機1本体に固定されており,物品入れ替え時に引き出し可能ではない点。
b 相違点1?A本件カプセル発明1-2では,物品収納ケースの底壁に回転盤が設けられているのに対して,乙42発明のドラム70は,商品収納部2の底部に設けられていて,物品入れ替え時に引き出し可能な物品収納ケースの底壁に設けられていない点。
(ウ) 相違点1?@についての判断a周知技術(a) 乙44証拠(乙44)によれば,特開平6-274751公報には,次の記載があることが認められる。
自動販売機及び通い箱兼用の商品収納ケースに係る発明であり,「缶,瓶入り商品の自動販売機」を対象に,「自動販売機へ商品を補給する際のローディング作業の改善と併せて,商品配送に伴う物流コストの節減,およびダンボール箱の浪費問題を一挙に解決できるようにした自動販売機,およびその自動販売機に適用する通い箱兼用の商品収納ケースを提供することを目的とする」ものである(【発明の詳細な説明】【0001】,【0004】〜【0006】)。
この課題を解決するための手段として,「…本発明の自動販売機は,キャビネットの庫内に画成した商品収納室に対して該商品収納室の底部より前面外扉の商品取出口に向けて引出した商品搬送通路と,該商品搬送通路の出口側に配備した商品払出機構とを備え,前記商品収納室内にはあらかじめ配送元で商品を装填した通い箱兼用の商品収納ケースを上下段に積み重ねて装荷し,該商品収納ケースから排出した商品を一列に整列して商品搬送通路に供給した上で,商品払出機構の動作により商品を商品取出口へ払出すように構成するものとする。」(【0007】)。実施例中に,「…商品の販売動作が進んで商品収納ケース15が空になれば,空になった商品収納ケース15を商品収納室11から引き出し,この代わりに配送元から新たに運び込んだ通い箱兼用の商品収納ケースを商品が入ったまま装荷する。これにより通い箱から商品10を取出して移し替えることなく,ケース単位での商品補給が行える。…」と記載されている(【0016】〜【0018】)。
(b) 乙45乙45によれば,実願平3-21161(実開平5-25574)のCD-ROMには,次の記載があることが認められる。
「…従来の装置内の物品を収納する枠体は装置外へ取出すことが不可能であり,そのため,この枠体上部より,この枠体内へ物品を1個ずつ落下させ,重積させなければならないという欠点がある。このような収納作業は煩雑であり,また,非能率的であるという問題がある。」(【0003】),「また,このような物品の収納状態では,多量に収納する場合,重積した物品の最下段の物品に全て荷重が掛かるため,その最下段の物品の損傷等を招く虞れがある。」(【0004】),「そこで本考案は,上記問題点を解消するために,自動販売機等の装置から取り外せることができ,商品等の物品を容易にかつすばやく多量に収納することができる収納ケースを提供することを目的としている。」(【0005】)。
そして,その目的を達成するため,例えば,実施例1の収納ケース1は,ケース内が複数段に区切られ,各段ごとに物品が重積して収納され,物品Aはケース1内から各段ごとに形成された出口9から払出される構成を採用し,収納ケース1は,真っ直ぐにスライドさせ押し込んで装着する(【0026】【0034】)。
その結果,「…物品を重積して収納するケースの内部が複数段に区切られているので,多量の物品を収納しても払出際に物品の自重が妨げとなることがなく,すなわち,各段によって分散されているため,スムーズに払出動作を行うことができるという効果がある。
また,装置への物品の供給がケース単位としているので,まとまった数量をすばやく,かつ容易に装置内へ装着でき,装置の稼働スピードを向上させることができる。さらに,この収納ケースは物品の収納時に装置から取り外せることができ,また,蓋部がケース本体に対して大きく開くので,収納が容易に行え,かつ装置へ物品の供給を素早く行えるという効果がある。」(【0036】)。
(c) まとめ以上によれば,乙44発明及び乙45発明は,いずれも自動販売機を対象とする発明であり,商品供給のために物品収納ケース自体を取り替えるという技術思想が開示されていることが認められる。
b(a) しかし,乙44発明は,缶,瓶入り商品を販売する自動販売機を対象とするもの,乙45発明は,縦に重積収納した物品を下から1個ずつ取り出す払出装置を対象とするものであり,いずれも,商品等を整列状態において補給する必要があり,その補給作業に手間がかかるという課題を解決するために,物品収納ケース自体を取り替えることとしたものであるのに対し,乙42発明には,商品等を整列状態にて補給する必要がないから,乙44発明及び乙45発明の商品の補給等のために物品収納ケース自体を取り替えるという技術思想を,乙42発明に組み合わせることに当業者が容易に想到することができたものということはできない。
(エ) 相違点1?Aa 仮に,上記物品収納ケース自体を取り替えるという技術思想を乙42発明に適用することに想到することができたとしても,本件カプセル発明1-2は,回転盤を物品収納ケースの底壁に設け,物品収納ケースと共に引き出し可能とする点(相違点1?A)は,乙44及び乙45に示されていないから,これらの引用例によっては,当業者が適宜設計することができた事項であるということはできない。
b 次に,被告は,乙43を提出して,相違点1?Aに係る構成は設計事項である旨主張する。
(a) 乙43によれば,実願平1-135729号(実開平3-75106号)のマイクロフィルムには,次のとおり記載されていることが認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
「実用新案登録請求の範囲 (1) 回転モータを備える支持台と,その支持台上に着脱自在に支持される錠剤収納ケースとから成り,上記ケースは,下部に錠剤の分配口を有し,内部に錠剤を所定数ずつ分配口に送り出す回転自在の分配ロータを備えた錠剤分配装置において,上記ケースと支持台に,両者を前後方向にスライド案内する案内路と,支持台上面の所定位置で上記ケースを支持台に係脱自在に係止する係止手段とを設け,上記支持台の上面に回転モータと連結する駆動歯車を突出させると共に,ケースの下部に,上記ケースの係止位置で上記駆動歯車に係合する従動歯車を設け,この従動歯車と上記分配ロータを連結したことを特徴とする錠剤分配装置。」「回転モータの作動により錠剤を分配する分配装置に関するもの」(1頁末行〜2頁1行)であり,「(従前の)構造では,ケース42を支持台41から取り外したり,又は取付ける場合,両歯車48,50に係合する長さ分だけケース42を支持台41に対して上下方向に動かす必要がある。このため,分配装置の上側にはケースの移動に必要なすき間を設ける必要があり,第6図に示すように多数の分配装置を上下方向に積層した場合には,上記すき間が大きな量になり,錠剤分包装置の形状を大きくしたり,分配装置の装着できる数を少なくする欠点」(3頁9行〜18行)があったため,「ケースの上側に着脱のためのすき間を設ける必要がなく,コンパクトなスペースで収納できる錠剤分配装置を提供することを目的と」(3頁19行〜4頁2行)して,「錠剤収納ケースと支持台に,両者を前後方向にスライド案内する案内路と,支持台上面の所定位置でケースを支持台に係脱自在に係止する係止手段とを設け,上記支持台の上面に回転モータと連結する駆動歯車を突出させると共に,ケースの下部に,上記ケースの係止位置でその駆動歯車に係合する従動歯車を設け,この従動歯車と分配ロータとを連結した構造としたものである。」(4頁4行〜12行)実施例によると,「ケース2は錠剤を収納するホッパ4と,そのホッパ4の下部に固定される基台5とから成り,…上記ホッパ4は,底面4aが中央にいくに従って下側に傾斜しており,その底面4aの中央部に設けた軸受7に分配ロータ9が回転可能に取付けられている。…上記分配ロータ9の側面9aは,ホッパ底面4aに倣う傾斜面で形成され,その側面に沿って錠剤1個が縦向きに嵌まり込む複数の送り出し溝11が形成されており,送り出し溝11の上部には,ホッパ4の底面4aとの間で錠剤が嵌まり込むすき間12が形成されている。また,分配ロータ9の側面9aに対向するホッパ底面4aには,錠剤が挿通可能な分配口13が形成され,その分配口13に錠剤を案内するじゃま板8が取付けられている。上記の構造では,分配ロータ9が回転すると,ホッパ4に収納された下側の錠剤がすき間12を通って各送り出し溝11に入り込み,送り出し溝11が分配口13の位置にきた時点で,回転の遠心力により錠剤が分配口13から外側に飛び出す。」(5頁8行〜6頁11行)(b) 上記(a)の記載によれば,?@乙43発明は,「錠剤分配装置」についての発明であり,乙42のカプセル商品を販売するための自動販売機についての発明とは技術分野が異なること,?A乙42発明と乙43発明とでは,課題に共通性がないこと,?B乙42発明では,ドラム70が円盤状で,上下方向に貫通する商品排出開口70aが設けられ,ハンドル5によってドラム70が回転され,カプセル商品が重力で商品取出し口6に排出されるのに対し,乙43発明では,分配ロータ9の側面9aがホッパ底面4aにならう傾斜面とされ,この側面に沿って溝11が形成され,分配ロータ9は回転モータ20によって回転され,錠剤は回転の遠心力で分配口13から飛び出すものであり,回転盤についての構成も相当程度異なっていることからすると,乙43の構成を乙42の自動販売機と組み合わせることが当業者にとって容易であったと認めることはできない。
(オ) まとめ以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,本件カプセル発明1-2は,乙42発明を主引用例として,収納ケースを着脱自在(引き出し可能)とする周知の技術思想(乙44,45)及び周知技術(乙43等)を適用して,当業者が容易に想到し得たものと認めることはできない。
イ 乙43発明を主引用例にする場合上記ア(エ)bに認定した事実によれば,乙43発明は,「錠剤分配装置」についての発明であり,本件カプセル発明1-2の容易想到性を判断するに当たり,第1引用例となり得るものではないから,本件カプセル発明1-2は,乙43発明を主引用例として,周知技術を適用して,当業者が容易に想到し得たものであると認めることはできない。
(3) 争点6-3(特許法39条2項違反)被告は,本件カプセル発明3-1及び同3-2及び同4-1と本件カプセル発明1-2とは,実質的に同一であるから,特許法123条1項2号,39条2項により,本件カプセル特許1は無効とされるべきである旨主張する。
しかしながら,後記3(2)ウ及び(3)アのとおり,本件カプセル特許4に係る出願は,原出願である本件カプセル特許1当初明細書に記載した事項の範囲内でないものを含むから,分割出願の要件(特許法44条1項)を満たさず,その出願日は現に分割出願をした平成13年5月7日となり,本件カプセル特許権2及び3の出願日も,最も遡っても平成13年5月7日となるから,本件カプセル特許3に係る出願と本件カプセル特許1に係る出願とは,同日出願とはならない。
よって,その余の点について判断するまでもなく,被告の上記主張は理由がない。
(4) まとめ以上によれば,本件カプセル発明1-2についての特許は無効ではなく,被告カプセルベンダーは,本件カプセル発明1-2に係る特許権を侵害する。
3 争点7〜9の各ア(本件カプセル特許2ないし4の分割要件違反)(1) 本件カプセル特許1当初明細書前記1(2)イ(ア)cのとおり,本件カプセル特許1当初明細書における請求項1及び2の「着脱自在」は,物品収納ケースを物品取出装置から取り外すことができることを意味し,装置本体から取り外すことができないが引き出すことはできる物品収納ケースは,本件カプセル特許1当初明細書に記載されていなかったし,自明でもなかったものである。
(2) 本件カプセル特許4ア 前提事実(2)エのとおり,本件カプセル特許権4に係る出願は,本件カプセル特許権1に係る出願を原出願とする分割出願である。
イ(ア) 前提事実(9)イ(エ)のとおり,本件カプセル特許4の【特許請求の範囲】【請求項1】の(ロ)(構成要件プ4-1B)は,「前記装置本体の前壁上部に引き出し自在に設けられ,前壁部,両側壁部,底壁を有し,上面が開放された箱形状に形成された透過性を有する物品収納ケースであって,前記装置本体に前記開口から押し込まれたとき,前記前壁部および前記両側壁部は前記装置本体の前壁および両側壁の開口に嵌合し,底壁の落下口が前記落下通路の他端と対向する物品収納ケースと,」と補正された。
(イ) 【発明が解決しようとする課題】については,本件カプセル特許4当初明細書に記載されていた【0006】「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケース内の物品をいちいち手で入替えることなく,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供することを第1の課題とする。」という記載は削除され,「従来の物品取出装置は,…物品収納ケースに収納した物品を入替える場合,物品収納ケースの開口を塞ぐ蓋体を外し,その開口から手を入れて物品収納ケースの中に収納した物品を全部取り出し,最初とは異なる物品を開口から物品収納ケースに入れ直す必要があるため,極めて面倒であるという問題点があった。」「本願発明は,上記問題点に鑑み案出したものであって,物品収納ケースが引き出し自在な物品取出装置を提供することを課題とする。」(【0004】【0005】)と記載された。
(ウ) 【発明の効果】についても,同当初明細書の「以上説明してきたように,本願請求項1および2記載の物品取出装置は,物品収納ケース内の物品を手で入れ替える代わりに,物品収納ケース自体を取り替え,取り出せる物品を簡単に変更することも可能にするという効果がある。」(【0029】)という記載から,「以上説明してきたように,本願請求項1記載の物品取出装置は,物品収納ケースを容易に引き出し自在にすることができるという効果がある。」(【0022】)と変更された。
ウ これらの特許請求の範囲及び発明の詳細な説明からすると,構成要件プ4-1Bの「引き出し自在」は,物品収納ケースを装置本体から取り外すことができるものだけでなく,装置本体から取り外すことはできないが引き出すことはできるものを含むに至ったものと認めざるを得ない。
そうすると,本件カプセル特許4に係る出願は,原出願である本件カプセル特許1当初明細書に記載した事項の範囲内でないものを含むから,分割出願の要件(特許法44条1項)を満たさず,その出願日は,現に分割出願をした平成13年5月7日となる。
エ その結果,本件カプセル発明4-1は,平成9年12月16日に公開された特開平9?326081公報(本件カプセル特許1の公開特許公報。乙51)に記載された発明と同一であると認められ,本件カプセル特許4は,特許法123条1項2号,29条1項3号に違反し,無効なものである。
(3) 本件カプセル特許2及び3ア 前提事実(2)イないしエのとおり,本件カプセル特許2及び3に係る出願は,本件カプセル特許4に係る出願を原出願とし,本件カプセル特許1に係る出願を原々出願とする分割出願である。
上記(2)ウのとおり,本件カプセル特許4に係る出願は,原出願である本件カプセル特許1当初明細書に記載した事項の範囲内でないものを含むから,分割出願の要件(特許法44条1項)を満たさず,その出願日は,現に分割出願をした平成13年5月7日となるから,本件カプセル特許2及び3の出願日も,最も遡っても平成13年5月7日となる。
イ その結果,本件カプセル発明2-9,同3-1及び同3-2は,平成9年12月16日に公開された特開平9?326081公報(本件カプセル特許1の公開特許公報。
乙51)に記載された発明と同一であると認められ,本件カプセル発明2-9,同3-1及び同3-2に係る特許は,特許法123条1項2号,29条1項3号に違反し,無効なものである。
(4) まとめ以上によれば,本件カプセル発明2-9,同3-1,同3-2及び同4-1に係る特許は,いずれも無効なものであるから,原告バンダイは,特許法104条の3により,被告に対して権利を行使することができない。
4 争点10(本件カード発明1-1の充足)(1) 争点10-4(構成要件ド1-1Dの充足)ア 構成要件ド1-1D(ア) 本件カード特許1明細書には,次のとおり記載されている。
「(発明が解決しようとする課題) ところで,顧客が子供の場合,正規のハンドル操作をしないことがある。即ち,紙葉類の先端が装置ケースから指で掴める程度(5〜6cm)突出すると,ハンドルの回動を途中で中止して,紙葉類を無理矢理に引出してしまうことがある。
このように,紙葉類を引出すと,ハンドルの残り回動で次の紙葉類が少し送出されることになり,これが積重なると,5〜6枚の割に1枚多く送出され,イレギュラー操作が行われることになる。
本発明は,紙葉類が不本意に且つ急激に引出されても,イレギュラー操作が生じないようにした紙葉類送出し装置を提供することを目的とする。」(3欄8行〜20行)「(課題を解決するための手段) 本発明における課題解決のための具体的手段は,積載された紙葉類の前部下面と当接していて所定角度回転することにより当接紙葉類を前方へ送出する送出しローラと,コインの投入によって駆動軸を所定角度だけ一方向に手動回動可能にする作動機構と,送出しローラの軸に遊嵌されていて駆動軸から動力が伝達される回転部材とが備えられ,前記回転部材と送出しローラ軸とには,一方に作動体が設けられ,他方には作動体と係合して回転部材の動力を送出しローラ軸に伝達して紙葉類をその前端が取出口から所定寸法突出するまで前方へ送出させる係合部と,所定寸法未満突出状態での紙葉類手動引出しによる送出しローラ軸逆駆動後に遊転を阻止すべく作動体と当接するストッパ部とが形成されていることである。」(3欄21行〜35行)「(作用) 作動機構26に所定数のコインBを投入し,駆動軸28を介して駆動回転体30を一定角度回転すると,回転部材7が駆動されて,そこに設けた係合部31が送出しローラ軸6に設けた作動体33と係合して,送出しローラ軸6及び送出しローラ3を一定角度駆動する。送出しローラ3の一定角度回動によって,それに当接している紙葉類Aは全送出し量送出され,その先端が取出口19から通常突出量だけ突出する(注・誤記を訂正した。)。
紙葉類Aの先端が取出口19から引出し可能最少突出量(所定寸法未満突出状態)になった時に,駆動軸29の駆動を停止して紙葉類Aが引出されると,送出し残量だけ送出しローラ3が逆駆動される。この送出しローラ3の逆駆動は,作動体33を係合部31から離れる方向に移動し,送出ローラ軸6は回転部材7に対して遊転し,回転部材7を駆動することはなく,送出しローラ3は紙葉類全送出し量相当角度回動されることになる。
紙葉類Aが急激に引出されて,送出しローラ軸6が送出し残量相当角度以上に慣性で遊転しようとすると,作動体33が回転部材7のストッパ部32に当接し,回転部材7に駆動回転体30の抵抗が加わっていることから,送出しローラ軸6の慣性遊転は阻止される。
紙葉類強制引出しの後に,駆動軸28を残量回転すると,駆動回転体30及び回転部材7は残量だけ回転するが,係合部31が作動体33から離れているため,送出しローラ3は駆動されなく,新規にコインBを投入して,初動動作から始めなければならない。」(3欄36行〜4欄12行)「(発明の効果) 以上詳述した本発明によれば,回転部材と送出しローラ軸とには,一方に作動体が設けられ,他方には作動体と係合して回転部材の動力を送出しローラ軸に伝達して紙葉類をその前端が取出口から所定寸法突出するまで前方へ送出される係合部と,所定寸法未満突出状態での紙葉類手動引出しによる送出しローラ軸逆駆動後に遊転を阻止すべく作動体と当接するストッパ部とが形成されているので,紙葉類が全量送出す前に所定寸法未満突出状態で強制的に手動引出しされると,送出しローラ及び送出しローラ軸が紙葉類から逆駆動されるが,その遊転は作動体がストッパ部に当接することにより阻止され,その後の駆動軸の残量回動では係合部が作動体に近づくだけで送出しローラ軸は駆動されなく,次に作動機構を手動作動したときには,前記遊転分を差し引いた後の回動で係合部が作動体に当接して動力を伝達でき,強制手動引出しによるイレギュラー操作を防止できる。」(8欄15行〜31行)(イ)a 上記発明の詳細な説明によれば,本件カード発明1-1は,次のとおり理解される。
b すなわち,手動でハンドルを回動することにより,紙葉類を送り出す装置について,従来技術では,ハンドルの回動を途中で中止して,紙葉類を無理矢理に引き出すと,ハンドルの残りの回動で次の紙葉類が少し送出されることになり,これが積み重なると,5〜6枚の割に1枚多く送出されるというイレギュラー操作が生じていたが,本件カード発明1-1は,上記のイレギュラー操作を防止するために,作動体と係合部及びストッパ部を設けた。
c 紙葉類の前端が取出口から引出し可能な最少突出量だけ突出した状態(所定寸法未満突出状態)になった時に,紙葉類を強制的に引き出すと,送出し残量だけ送出しローラは逆駆動されるが,その際,作動体は係合部から離れる方向に移動するので,送出しローラ軸は回転部材に対して遊転する。
引出しが急激な場合には,送出しローラ軸は送出し残量以上に慣性で遊転しようとするが,回転部材のストッパ部に作動体が当接するので,このような慣性遊転は阻止される。
d 紙葉類を強制的に引き出した後,駆動軸を残量回転させると,回転部材は残量だけ回転するが,作動体は係合部から離れているため,送出しローラ軸は回転しない。
すなわち,本件カード発明1-1は,上記c及びdの動作を実現するように作動体と係合部及びストッパ部を設けることによって,イレギュラー操作を防止するという課題を解決したものである。したがって,構成要件ド1-1Dの「送出しローラ軸の逆駆動後に遊転を阻止すべく作動体と当接するストッパ部」とは,送出しローラ軸の逆駆動中は,作動体がストッパ部に当接することなく遊転を許容し,送出しローラ軸が逆駆動後に慣性で遊転することは,作動体がストッパ部に当接することにより阻止されるという構成を意味するものと解される。
イ 被告カードベンダーの構成と構成要件ド1-1Dの充足(ア)a 被告カードベンダーの構成は,被告カードベンダー説明書2(4)のとおりである。
b すなわち,被告カードベンダーは,所定寸法未満でのカードパックAの突出を防止するスライド出口を有している。スライド出口は,カードパックAと連動して送り出され,カードパックAが所定寸法まで前方に移動した時点で,カードパックAを残したまま元の位置に戻ることによって,特殊なペンチ等を使用しなければ,所定寸法未満突出状態でカードパックAの手動引出しを可能にする事態を阻止する。
c 被告カードベンダーには,コインを投入してハンドルを回動する時点で,カードパックAが初期位置よりも前方に送出された位置にある場合に,その後の新たなハンドルの回動を不能にするストッパー及びロックピンが設けられている。
仮に,カードパックAをペンチ等を使用して強制的に引き出し,ハンドルの残り回動で次のカードパックが初期位置よりも前方に送り出されたとしても,カードパックAが上記ストッパーの上に乗ってロックピンを押し込み,ハンドルを回動させようとしてもハンドル軸が回動せず,ゴムローラも回転しないため,カードパックAが送り出されることはない。
d 平歯車26には,2つの対向する輪郭突出片41の間に約30°の遊び部が設けられており,所定寸法未満突出状態でカードパックAが手動引出しされると,ローラ軸25の逆駆動により,対向する輪郭突出片41の端部32がピン42と係合するまでの間は,ローラ軸25の逆駆動は許容されているが,対向する輪郭突出片41の端部32はピン42と係合すると,ローラ軸25のそれ以上の遊転は阻止される。
(イ) 以上によれば,イレギュラー状態に相当する状態が生じた場合,本件カード発明1-1では,その後の駆動軸の残量回動では係合部が作動体に近づくだけで送出しローラ軸は駆動しない方法によってイレギュラー操作を防止しているのに対し,被告カードベンダーは,ハンドルの回動それ自体を止める方法によって次のカードパックの送り出しが全くできないようにしているものであり,カードパックAが所定寸法送出されるまで,スライド出口によってカードパックAの突出は防止されるから,「所定寸法未満突出状態」となることがなく,構成要件ド1-1Dを充足しない。
仮に,被告カードベンダーにおいて,カードパックAが所定寸法未満送出された状態が「所定寸法未満突出状態」を充足するとしても,この状態でカードパックAを手動引出しした場合に,逆駆動している間はピン42が輪郭突出片41の端部32に当接することなくローラ軸25が遊転し,逆駆動後にピン42と端部32が当接してローラ軸25が慣性で遊転されることを阻止するという構成になっていることを認めるに足りる証拠はない。したがって,輪郭突出片41の端部32は,「送出しローラ軸逆駆動後に遊転を阻止すべく作動体と当接するストッパ部」に当たらないというべきであり,この点においても,構成要件ド1-1Dを充足しない。
(ウ) よって,被告カードベンダーは,その余について判断するまでもなく,本件カード発明1-1に係る特許権を侵害しない。
5 争点14(本件カード特許2(請求項1)の無効理由)(1) 乙17発明証拠(乙17)によれば,乙17には,次の発明が開示されていると認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
ド2-1A’’ 上面を有せず,側板2a,2bを有する基台2と,ド2-1B’’ 前記基台2の内側に配置されたモータMにより回動させられるモータMの回転軸と,ド2-1C’’ 前記基台2の側板2a,2bの上方に形成された,斜め上方に開放状の切欠溝26及び孔部27と,前記切欠溝26及び孔部27に上方より挿脱可能に挿入され,回動可能となるように支持されるブッシュ28の外嵌されたローラの軸部30と,ド2-1D’’ 前記軸部30に取り付けられ,軸部30の回動により回動する繰出しローラ3と,ド2-1E’’ 前記基台2に設けられ,前記モータMの回動を前記軸部30に伝達し,前記繰出しローラ3を回動させる払出伝動体(ブーリ7a,7b及びタイミングベルト7c)と,ド2-1F’’ 前記基台2の上方に着脱可能に装着され,複数の媒体を上下積層状に収納可能なストッカ1であって,前記基台2に装着されたとき,収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記繰出しローラ3によって受持される前記ストッカ1と,からなり,ド2-1G’’ 前記モータMの回転により前記回転軸が回動されたとき繰出しローラ3が回動することにより,前記ストッカ1内に収納された複数の媒体のうち最下位置の媒体が前記ストッカ1から送り出されるド2-1H’’ ことを特徴とする媒体販売装置。
(2) 乙17発明と本件カード発明2-1との一致点及び相違点ア一致点乙17発明と本件カード発明2-1とは,下記の相違点を有するが,その余の点で一致すると認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
イ相違点1本件カード発明2-1が,基礎フレームに回動可能に支持され,ハンドルにより回動させられる操作軸を備え,この操作軸の回動をローラ軸に伝達するのに対し,乙17発明は,基礎フレームに支持されたモータMの回動を軸部30に伝達する点。
ウ相違点2本件カード発明2-1の基礎フレームは,「上面」を有し,この上面に開放軸受部が形成され,収納ケースが装着されるのに対し,乙17発明の基台2は,「上面」を備えず,基台2の側板部2a,2bの上方に開放軸受部が形成され,収納ケースが装着される点。
エ相違点3本件カード発明2-1では,開放軸受部を有し,収納ケースを基礎フレームの上面から外すだけでローラ軸を開放軸受部から取り外すことが可能であるのに対して,乙17発明では,繰出しローラ3は,基台2の側板部2a,2bに形成された孔部27によって支持されるが,直接にはブッシュ28によって支持され,繰出しローラ3を取り外すには,タイミングベルト7c,プーリ7b,ブッシュ28を取り外す必要がある点。
オ その余の相違点-着脱可能原告らは,構成要件ド2-1Fにいう「着脱可能」とは,乙17発明におけるように,ストッカ1が基台2にネジ止めされることを含まないから,この点も相違点である旨主張する。
証拠(乙17)によれば,乙17には,「【0017】・・・この基台には,…複数のストッカを着脱自在に取付けるための取付手段が設けられている構成とすることができる。」「【0030】・・・ただし,本願発明では,基台2にストッカ1を着脱自在に取付けるための手段は上記のようなネジ止め手段に限定されない。たとえば上記以外として,ボルト止め手段,クランプ手段,嵌合方式の手段などを採用することが可能である。」と記載されていることが認められ,これらの記載によれば,乙17には,ネジ止めをしないで着脱可能に装着する態様のものも開示されているから,原告らの上記主張は理由がない。
(3) 相違点1についての判断ア 乙16に,フレーム2に回動可能に支持され,ハンドル33により回動させられるハンドル軸34を備え,このハンドル軸34の回動を送り出しローラ軸4に伝達する紙葉類送り出し装置が開示されていることは,当事者間に争いがない。
イ 乙17発明において,軸部30を回動するための駆動源がモータMでなければならない理由はないから,モータMに代えて,手動操作によりローラ軸を回動することは,当業者が容易に想到し得た程度の設計変更であるというべきであり,その具体的な構造として相違点1に係る構成とすることは,上記乙16に基づいて,当業者が容易になし得たことと認められる。
ウ これに反する原告らの主張は,採用することができない。
(4) 相違点2についての判断ア 本件カード発明2-1の基礎フレームが上面を有する点に,格別の技術的意義は認められないから,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が適宜になし得た単なる設計的事項であるというべきである。
なお,乙19の第5図には,装置本体に着脱可能なカード収納ケースについて,装置本体の上面を覆う構成が開示されている。
イ これに反する原告らの主張は,採用することができない。
(5) 相違点3についての判断ア 証拠(乙17)によれば,乙17には,「【0037】繰出しローラ3を基台2に取付ける手段として,上記のような手段(注・切欠溝26,孔部27及びブッシュ28)を採用すれば,基台2に対する繰出しローラ3の組付作業が非常に容易なものとなる。また,繰出しローラ3の各軸部30からブッシュ28を抜き外すと,繰出しローラ3を基台2の切欠溝26から容易に取り出すこともできる。したがって,繰出しローラ3の部品交換作業も容易かつ迅速に行えるという利点が得られる。
ただし,本願発明は,繰出しローラ3の具体的な取付け手段がこれに限定されないことは言うまでもない。」と記載されていることが認められる。
この記載によれば,乙17には,繰出しローラ3の交換を容易に行うとの課題が示されており,しかも,この課題を解決するための手段として,ブッシュ28を外す必要はあるものの,孔部27の上方を切欠溝26にて開放し,軸部30を上方より取り出すことができる構成までは開示されているものである。
イ(ア) 上方開放軸受はありふれた技術であり,U字形の上方開放軸受に支持された軸の離脱をふた(蓋体),当片,カバーフレーム等で防止する構造も周知であることは,当事者間に争いがない。
(イ) したがって,乙17発明において,ローラ3の交換をより容易に行うことができるように,ブッシュ28を省いて,周知技術である開放軸受部を採用することは,当業者が容易に想到し得たことであると認められる。
(ウ) そして,基台2に「上面」を形成した場合に,この開放軸受部を当該「上面」に形成することも,当業者が容易になし得たことであると認められる。
(エ) また,弁論の全趣旨によれば,乙17において採用されているモータMの回動をローラに伝達する手段であるタイミングベルト7c及びブーリ7bの代わりに,他の適宜の回動伝達手段を採用し得ることが認められるから,繰出しローラ3の交換をより容易に行うために,この伝達手段を他の適宜の手段に変更し,繰出しローラ3の各軸部30を「挿脱可能」とすることも,当業者が容易に想到し得たことと認められる。
ウ よって,相違点3に係る構成とすることは,当業者が適宜になし得た設計的事項であると認められ,それによる効果も格別のものとは認められない。
これに反する原告らの主張は,採用することができない。
(6) まとめ以上によれば,本件カード発明2-1は,進歩性を欠き,この発明についての特許は無効なものであるから(特許法123条1項2号,29条2項),原告らは,特許法104条の3により,被告に対して権利を行使することができない。
6 争点15(本件カード特許2(請求項2)の無効理由)(1) 乙17発明証拠(乙17)によれば,乙17には,次の発明が開示されていると認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
ド2-2A’’ 前面が開放された本体とこの前面を開閉可能に閉鎖する前面扉からなる筐体85と,ド2-2B’’ この筐体85の内部に設けられた基台2と,ド2-2C’’ この基台2と別個に形成されて基台2の上方に着脱可能に装着されていて複数の媒体を収納可能なストッカ1と,ド2-2D’’ このストッカ1内の最下位置の媒体の前部を受持可能な位置にて基台2の上部に支持されかつ回転することにより最下位置の媒体を送り出し可能な繰出しローラ3と,ド2-2E’’ 前記基台2の内側に配置されたモータMにより回転されるモータMの回転軸と,ド2-2F’’ 前記基台2に設けられていてモータMの回転軸の回転を繰出しローラ3に伝達するブーリ7a,7b,タイミングベルト7cと,を有しており,ド2-2G’’ 前記基台2の上方には,繰出しローラ3の軸部30を上方より挿脱可能に挿入して支持する上方開放状の切欠溝26及び孔部27が設けられ,ド2-2H’’ 前記切欠溝26及び孔部27に支持された繰出しローラ3の軸部30は,ブッシュ28によってがたつき及び離脱が防止されていることド2-2I’’ を特徴とする媒体販売装置。
(2) 乙17発明と本件カード発明2-2との一致点及び相違点ア一致点乙17発明と本件カード発明2-2とは,前記5(2)イないしエの相違点に加え,次の相違点4を有するが,その余の点で一致すると認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
イ相違点4本件カード発明2-2は,基礎フレーム上に装着された収納ケースによってローラ軸の離脱が防止されているのに対して,乙17発明は,ブッシュ28によってローラ軸の離脱が防止されている点。
(3) 相違点についての判断ア 相違点1ないし3についての判断相違点1ないし3については,前記5(3)ないし(5)と同旨の理由により,当業者が容易に想到し得たものである。
イ 相違点4についての判断乙17発明においても,単にローラ軸の離脱を防止するとの観点では,基台2にストッカ1を装着すると,切欠溝26がふさがれてローラ軸30は離脱できなくなる構造であるから,その限りにおいて,本件カード発明2-2と同じく,基礎フレーム上に装着された収納ケースによってローラ軸の離脱が防止されているということができる。
また,U字形の上方開放軸受に支持された軸の離脱をふた(蓋体),当片,カバーフレーム等で防止する構造は,乙24,27,29,31,32及び35に示されているように周知であることは,当事者間に争いがない。
したがって,この周知技術を乙17発明に適用することにより,相違点4に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことと認められる。
そして,本件カード発明2-2のように構成することにより,格別優れた作用効果を奏するということもできない。
これに反する原告らの主張は,採用することができない。
(4) まとめ以上によれば,本件カード発明2-2は,進歩性を欠き,この発明についての特許は無効なものであるから(特許法123条1項2号,29条2項),原告らは,特許法104条の3により,被告に対して権利を行使することができない。
7 争点13(本件カード発明3-1の充足)(1) 争点13-1(構成要件ド3-1Bの充足)ア クレーム解釈構成要件ド3-1Bにいう「払出ローラ」が,「前記基礎フレームにローラ軸を介して回動可能に支持され」,「回動することにより前記受持された媒体が払い出される」ものを意味することは,当事者間に争いがない。
イ充足(ア) 被告カードベンダーにおける前部ゴムローラ24は,ローラ軸25に取り付けられ,ローラ軸25の回動により回動し,当接カードパックAを前方へ送出しているから,前部ゴムローラ24と後部ゴムローラ23とは,協働して当接カードパックAを前方へ送出しているとしても(被告カードベンダー説明書5(2)),構成要件ド3-1Bの「払出ローラ」を充足する。
(イ) 被告は,被告カードベンダーでは,前部ゴムローラ24のみの回動ではカードパックは正常に送り出されることはないから(乙36,37),前部ゴムローラ24は,「払出ローラ」には該当しない旨主張する。
確かに,証拠(乙36,37)によれば,被告カードベンダーにおいては,前部ゴムローラ24のみではカードパックを払い出すことはできず,後部ゴムローラ23と協働してカードパックを払い出していることが認められる。
しかし,後部ゴムローラ23と協働していても,前部ゴムローラ24がカードパックを送り出す機能を有していることに変わりはない。しかも,構成要件ド3-1Bが他のローラと協働するものを「払出ローラ」から排除していると解すべき技術的理由は見いだせない。
よって,被告の上記主張は採用することができない。
(2) 争点13-2(構成要件ド3-1Hの充足)ア 「アイドラギアが前記払出ギヤと連動し」(ア) クレーム解釈構成要件ド3-1Hの「アイドラギアが前記払出ギヤと連動し」とは,発明の詳細な説明及び図面を参照しても,「アイドラギア」が「払出ギヤと連動」すれば足り,歯車が直接噛み合う場合も,他の歯車が介在して直接的には噛み合わないが連動している場合も含むと認められる。
これに反する被告の主張は,到底採用することができない。
(イ) 充足被告カードベンダーにおいて,コイン検出作動部Dが設けられた収納ケースが基礎フレーム16の上面に着脱可能に載置されたとき,アイドラギア39,ギア10,払出ギヤ26Aの順で歯車が噛み合っているから,「アイドラギアが前記払出ギヤと連動し」を充足する。
イ 「作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され」(ア) クレーム解釈a 構成要件ド3-1Hは,「作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され」とのみ規定し,それ以上の限定をしていないから,「作動体,アイドラギア,払出ギヤ,伝動ギヤ」の順で噛合しているものも,「作動体,アイドラギア,伝動ギヤ,払出ギヤ」の順で噛合しているものも含むと認められる。
b 被告は,「作動体-アイドラギア-払出ギヤ」という系と操作軸は一連の構成によりコイン検出作動部の判定結果と払出の拒否を相関させるものであるから,この関係が明らかでないと技術思想として特定されないところ,この関係が特許請求の範囲の記載から明らかでないので,本件カード特許3明細書の発明の詳細な説明等を参照しなければならない旨主張する。
しかしながら,そのように解すべき理由はないから,被告の上記主張は,採用することができない。
(イ) 充足したがって,被告カードベンダーにおける歯車の噛合の順序が「作動体55,アイドラギア39,ギア10,ギア11,平歯車26」であっても(被告カードベンダー説明書5(8)),「作動体と前記払出ギヤとの連動が形成され」を充足する。
ウ 「払出ローラは…媒体を受持し」(ア) クレーム解釈構成要件ド3-1Hの「払出ローラは…媒体を受持し」は,請求項の記載から,「払出ローラ」によって受持されていれば足りると解されるし,同構成要件が他のローラと協働するものを「払出ローラ」から排除していると解すべき技術的理由は見いだせないから,他のローラと協働して受持されている場合を含むと認められる。
これに反する被告の主張は,採用することができない。
(イ) 充足前部ゴムローラ24は,後部ゴムローラ23と共に,収納ケース14内の最下位置のカードパックAを受持しているから(被告カードベンダー説明書5(8)),「払出ローラは…媒体を受持し」を充足する。
(3) 争点13-3(構成要件ド3-1Iの充足)ア 「前記払出ギヤは回転を阻止され」のクレーム解釈構成要件ド3-1Iの「前記払出ギヤは回転を阻止され」は,請求項の文言どおり,「正規コインの投入が検出されない場合,前記作動体が回動不可能となることにより,前記アイドラギアおよび前記払出ギヤは回転を阻止され」ることを意味すると認められる。
被告は,「回転を阻止され」るためには,払出ギヤに回転の阻止力が働くことが必要である旨主張する。しかしながら,「回転を阻止され」が回転の阻止力の加わることを要件としていると解すべき根拠はないから,被告の上記主張は理由がない。
イ充足(ア) 被告カードベンダーにおいては,正規コインBの投入が検出されない場合,作動体55が回動不可能となることにより,アイドラギア39,ギア10及びギア11の回転だけでなく,平歯車26の回転も阻止され,正規コインBの投入が検出された場合,作動体55が回動可能となることにより,アイドラギア39及び平歯車26は回転が可能となっているから(被告カードベンダー説明書5(9)),「前記払出ギヤは回転を阻止され」を充足する。
(イ) 仮に,被告主張のとおり,「回転を阻止され」るためには,払出ギヤに回転の阻止力が働くことが必要であると解したとしても,被告カードベンダーにおいては,「作動体55,アイドラギア39,ギア10,ギア11,平歯車26」の順で歯車が噛み合っている以上(被告カードベンダー説明書5(8)),平歯車26が回転しようとしなければ,平歯車26に力が加わっていないといえるかもしれないが,平歯車26が回転しようとすれば,直接噛合するギア11が妨げとなって,その回転を阻止されるから,「前記払出ギヤは回転を阻止され」を充足すると考えられる。
ウまとめよって,被告カードベンダーは,構成要件ド3-1Iを充足し,本件カード発明3-1の構成要件をすべて充足する。
8 争点16(本件カード特許3(請求項1)の無効理由)(1) 乙51発明乙51の開示事項は,当事者間に争いがない。
(2) 一致点及び相違点ア一致点乙51発明と本件カード発明3-1とは,少なくとも以下の相違点を有することが認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
イ相違点1本件カード発明3-1は,基礎フレームにローラ軸を介して回動可能に支持された払出ローラを備え,操作軸の回動を払出ローラに伝達する払出ギヤがローラ軸に取り付けられ,払出ローラが収納ケース内の最下位置の媒体を受持するのに対して,乙51発明は,物品収納ケース5内に回転盤35が設けられ,物品収納ケース5内の物品が回転盤35の回転によって収納ケースの落下口まで運ばれて落下する点。
ウ相違点2本件カード発明3-1では,コイン検出作動部や正規コインの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインの投入が検出されない場合,回動不可能となる作動体と,上記作動体と噛合するアイドラギアが収納ケースの側面に設けられているのに対して,乙51発明においては,コインセレクター95(搬送円盤)や歯車は,装置本体の内面に設けられている点。
エ相違点3本件カード発明3-1においては,収納ケースが基礎フレームの上面に着脱可能に載置されたときに,アイドラギアが払出ギヤと連動し,作動体と払出ギヤとの連動が形成されるのに対して,乙51発明はそのような構成を有していない点。
(3) 相違点についての判断ア 被告は,カード状の媒体を払い出す装置において,払出ローラにより,収納ケース内の最下位置の媒体を受持し,払出ローラの回転により該媒体を払い出す構成は,周知であり(乙22,49,16,50等),媒体払出装置において収納ケースを基礎フレームと別体とする構造は,乙17等に記載されているから,相違点1に係る構成は,周知技術の単なる転用又は設計的事項にすぎない旨主張する。
しかし,乙51発明は,物品収納ケース自体を取り替えるだけで,取り出せる物品を簡単に変更することができる物品取出装置を提供するとの課題(【0006】)を解決するために必須の構成として,物品収納ケース内に回転盤を設けたものであり,このような回転盤を設けずに,上記課題を解決することについては,何ら示唆するところがない。
したがって,乙51発明を前提とすると,乙17等に記載された構成と組み合わせても,乙51発明の課題解決のために必須の構成を変更して,払出ローラを基礎フレーム側に設けるという構成にすることは,当業者が容易に想到し得たということはできない。
イ 相違点2及び3については,これらに係る構成が周知技術であることを示す証拠はない。
乙51発明は,物品収納ケース自体を取り替えることを予定しているものであり,同発明ではコインセレクターは装置本体に設けられていて,コインセレクターを物品収納ケースに設けることについて何ら示唆するところはない。
したがって,乙51発明から,相違点2及び3に係る構成が設計的事項であるということはできず,他にこれらが設計的事項であることを認めるに足りる証拠はない。
(4) まとめ以上によれば,本件カード発明3-1は,乙51発明及び周知技術によって,当業者が容易に発明することができたものであると認めることができず,被告カードベンダーは,本件カード発明3-1に係る特許権を侵害する。
9 争点17(差止めの可否(権利濫用))(1) 被告は,本件訴訟の和解手続において,本件カプセル発明1-2等を侵害しないように被告カプセルベンダー等を改造するという提案をして,具体的な準備を行ったにもかかわらず,原告らは和解を拒絶したが,原告らが拒絶したのは,本件訴訟の目的が,被告の取引先に対して被告の製品が原告らの特許を侵害している旨の判決が出たことを宣伝し,被告との関係を絶たせることにあるからである,さらに,上記発明の技術的意義が非常に乏しいこと等を併せ考慮すると,上記発明の係る特許は権利性の低いものであるから,原告らの差止請求権利の濫用に当たる旨主張する。
(2) しかし,被告は,侵害行為を中止したものではない。また,特許法は,特許権侵害の要件が満たされれば,発明の技術的価値の高低にかかわらず,特許法所定の保護を認めている。さらに,以上の事情に,原告らの和解拒否の理由が,被告の取引先に対し,被告の製品が原告らの特許を侵害している旨の判決が出たことを宣伝し,販売競争で有利な地位に立つことを目的としていることが付け加わったとしても,原告らの特許権に基づく差止請求権の行使が,権利の濫用になるものとは認められない。
(3) したがって,原告バンダイは,被告に対し,特許法100条1項に基づき被告カプセルベンダーの製造,販売及び使用の差止め(使用については,少なくとも予防請求として認める。)を,同条2項に基づき在庫品の廃棄を,原告らは,被告に対し,特許法100条1項に基づき,被告カードベンダーの製造,販売及び使用の差止め(使用については,少なくとも予防請求として認める。)を,同条2項に基づき在庫品の廃棄を,それぞれ求めることができる。
10 争点18(本件カプセルベンダーについての損害の発生及び額)(1) 争点18-1(2項損害)ア売上げ前提事実(12)ア(イ)のとおり,被告は,平成14年3月から平成19年3月20日までの間に,被告カプセルベンダーを1万0377台(無償供与分240台を含む。)販売し,1億8921万0080円の売上げを得た。
イ経費(ア) 製造原価前提事実(12)ア(イ)のとおり,無償供与分240台を含めた1万0377台の製造原価は,1億5507万9931円である。
(イ) 金型製作費用証拠(乙58)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,被告カプセルベンダーを製造するために,平成13年ころから,金型製作費用として,6803万3709円を支出したこと,被告は,平成14年ころから平成19年3月ころまでの約5年間に同金型を使用して,1万0377台のカプセルベンダーを製造していること,金型の製造能力は約5万台であること,法人税法上の金型の減価償却期間は2年であり,既に法人税法上の減価償却期間を経過していること,カプセルベンダーの市場における商品価値の存続期間は,長くても10年であることが認められる。
これらの事情に,被告が今後も同金型を使用して被告カプセルベンダーを製造する可能性は否定できないこと,仮に製造を続けたとしても,被告カプセルベンダーの商品価値の存続期間とこれまでの被告の販売実績を考慮すると,同金型は5万台を製造する前に廃棄される可能性が大きいことを考慮すると,上記金型製作費用のうちその約2分の1に相当する3500万円を,本件で損害賠償の対象となった被告カプセルベンダーの売上げに直接関連する経費であると認めるのが相当である。
(ウ) 販売管理費a 無償供与分の製造原価証拠(乙58)及び弁論の全趣旨によれば,無償供与分240台は,被告カプセルベンダー1万0137台の有償供与分を販売するためのサンプルとして譲渡されたものであることが認められる。
したがって,上記無償供与分240台の製造原価は,有償供与分1万0137台を販売するために直接必要な経費と認めるのが相当である。
b その他の販売管理費証拠(乙61)によれば,被告は,広告宣伝費を含む販売費及び一般管理費総額に広告宣伝費を除くため10分の1を乗じ,その額に,被告の総売上額に対し被告カプセルベンダーの売上額が占める割合を乗じて,被告カプセルベンダーの販売費及び一般管理費を算出していることが認められる。
しかし,それ以上に,どのような販売費及び一般管理費が被告カプセルベンダーの販売のために必要であったかを明らかにする具体的な証拠はないから,被告主張の販売管理費が被告カプセルベンダーを販売するために直接必要な経費であると認めることはできない。
したがって,その他の販売管理費を経費として控除することはできない。
ウまとめ以上によれば,被告は,被告カプセルベンダーの販売により利益を得ていないから,特許法102条2項により推定される原告バンダイの損害額は0円になる。
1億8921万0080円-(1億5507万9931円+3500万円)=-86万9851円(2) 争点18-2(3項損害)ア 発明協会の「実施料率」証拠(甲56,乙59)によれば,社団法人発明協会発行,発明協会研究センター編「実施料率」〔第5版〕の141頁以下には,事務用・サービス用・民生用機械器具製造技術,その他の機械・同部分品製造技術の分野に関して次のような記載があることが認められる。
実施料率の平均値については,平成4年度〜平成10年度は,イニシャル有りが4.4%,イニシャル無しが4.4%であり,昭和63年度〜平成3年度と比較すると,イニシャル有りが4.7%→4.4%,イニシャル無しが4.8%→4.4%と,いずれもわずかに減少している。平成4年度〜平成10年度は,実施料率8%以上の契約が,イニシャル有りについては5件(0.7件/年),イニシャル無しについては4件(0.6件/年)あった。」(142頁)「なお,実施料率が8%以上の契約の技術内容は,新聞取り扱い機に関するもの,ラベル貼り装置に関するもの,発電設備のバルプに関するもの(2件),吸気弁に関するもの,食品充填システムに関するもの,車輪留め装置に関するもの,鋳型に関するもの,工場自動化に関するものと,多岐にわたっていた。」(同頁)また,図2-16-1として,その他の機械(イニシャル 有)の実施料率別契約件数が棒グラフで示されており(144頁),これによると,実施料率3〜5%台の契約が多いことが認められる。
イ 市場占有率カプセルベンダーについての市場占有率が,原告バンダイが60%,被告が1.5%,株式会社ユージンが38.5%程度であることについて,原告バンダイは明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。
ウ 本件カプセル発明1-2の技術的価値前記1及び2のとおり,本件カプセル発明1-2は,収納ケース自体を取り外してカプセルを交換することができる点に新規性,進歩性を有するものの,上記イのとおり,カプセルを販売するためのカプセルベンダーは他にも存在していたし,弁論の全趣旨によれば,本件カプセル発明1-2を侵害しないように被告カプセルベンダーを改造することもさほど困難なことではないことが認められる。
エ 原告バンダイのライセンスの方針弁論の全趣旨によれば,原告バンダイは,本件カプセル発明1-2を含むカプセルに関する特許について,他にライセンスしない方針を採用し,実際,ライセンスをしたことがなかったことが認められる。
オ カプセルの売上げとの関係弁論の全趣旨によれば,被告は,被告カプセルベンダーを販売することにより,カプセルベンダーに収納する被告製のカプセルの販売ルートを開拓することができることが認められるが,上記イ及びウのとおり,他から同じ機能を有するカプセルベンダーが入手可能であり,本件カプセル発明1-2を侵害しないような被告カプセルベンダーを製作することはさほど困難なことではないから,被告カプセルベンダーの販売に付随する被告製のカプセルの販売の点を実施料率を算定する際の一つの要因として重視することはできない。
カまとめ(ア) 以上の諸事情を考慮すれば,本件カプセル発明1-2の実施料率は,2%をもって相当と認められる。
そうすると,特許法102条3項により推定される原告バンダイの損害額は,378万4202円になる。
1億8921万0080円×2%=378万4202円(イ) 原告バンダイは,無償供与分に相当する販売価格を加算して実施料率を計算すべきである旨主張する。
しかし,前記(1)イ(ウ)aのとおり,本件における無償供与分は,サンプルとして供与されたものであり,実質的に有償供与分を値引きしたものと考えられるから,前記の有償供与分の売上げを基準に使用料を計算するのが相当であり,同原告の上記主張は,採用することができない。
11 争点19(被告カードベンダーについての損害の発生及び額)(1) 争点19-1(2項損害)ア売上げ前提事実(12)イ(イ)のとおり,被告は,平成18年8月から平成19年3月20日までの間に,被告カードベンダーを518台(無償供与分6台を含む。)販売し,1430万2400円の売上げを得た。
イ経費(ア) 製造原価前提事実(12)イ(イ)のとおり,無償供与分6台を含めた518台の製造原価は,846万8284円である。
(イ) 金型製作費用証拠(乙58)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,被告カードベンダーを製造するために,平成14年ころから,金型製作費用として,6697万4236円を支出したこと,被告は,平成16年5月から平成19年3月20日までの約3年間に同金型を使用して,少なくとも4637台のカードベンダーを製造し,平成18年8月から平成19年3月20日までの間に518台を製造していること,金型の製造能力は約5万台であること,法人税法上の金型の減価償却期間は2年であり,既に法人税法上の減価償却期間を経過していること,カードベンダーの市場における商品価値の存続期間は,長くても10年であることが認められる。
これらの事情に,被告が今後も同金型を使用して被告カードベンダーを製造する可能性は否定できないこと,仮に製造を続けたとしても,被告カードベンダーの商品価値の存続期間とこれまでの被告の販売実績を考慮すると,同金型は5万台を製造する前に廃棄される可能性が大きいことを考慮すると,上記金型製作費用のうち600万円を,本件で損害賠償の対象となった被告カードベンダーの売上げに直接関連する経費であると認めるのが相当である。
(ウ) 販売管理費a 無償供与分の製造原価証拠(乙58)及び弁論の全趣旨によれば,無償供与分6台は,被告カードベンダー512台の有償供与分を販売するためのサンプルとして譲渡されたものであることが認められる。
したがって,上記無償供与分6台の製造原価は,有償供与分512台を販売するために直接必要な経費と認めるのが相当である。
b その他の販売管理費証拠(乙61)によれば,被告は,広告宣伝費を含む販売費及び一般管理費総額に広告宣伝費を除くため10分の1を乗じ,その額に,被告の総売上額に対し被告カードベンダーの売上額が占める割合を乗じて,被告カードベンダーの販売費及び一般管理費を算出していることが認められる。
しかし,それ以上に,どのような販売費及び一般管理費が被告カードベンダーの販売のために必要であったかを明らかにする具体的な証拠はないから,被告主張の販売管理費が被告カードベンダーを販売するために直接必要な経費であると認めることはできない。
したがって,その他の販売管理費を経費として控除することはできない。
ウまとめ以上によれば,被告は,被告カードベンダーの販売により利益を得ていないから,特許法102条2項により推定される原告らの損害額は0円になる。
1430万2400円-(846万8284円+600万円)=-16万5884円(2) 争点19-2(3項損害)ア 発明協会の「実施料率」この点は,前記10(2)アのとおりである。
イ 本件カード発明3-1の技術的価値前記7及び8のとおり,本件カード発明3-1は,カードベンダー装置を構成する要素を別個に構成して簡単に組み立てられるようにした点に新規性,進歩性を有するものの,弁論の全趣旨によれば,カードパックを販売するためのカードベンダーを構成するために不可欠の構成ではなく,本件カード発明3-1を侵害しないように被告カードベンダーを改造することもさほど困難なことではないことが認められる。
ウ 原告らのライセンスの方針弁論の全趣旨によれば,原告らは,本件カード発明3-1を含むカードに関する特許について,他にライセンスしない方針を採用し,実際,ライセンスをしたことがなかったことが認められる。
エ カードの売上げとの関係弁論の全趣旨によれば,被告は,被告カードベンダーを販売することにより,被告カードベンダーに収納する被告製のカードパックの販売ルートを開拓することができることが認められ,この点は,通常のライセンス料率の交渉の際に考慮される事情であると認められる。しかし,上記イのとおり,本件カード発明3-1を侵害しないような被告カードベンダーを製作することはさほど困難なことではないから,被告カードベンダーの販売に付随する被告製のカードパックの販売の点を実施料率を算定する際の一つの要因として重視することはできない。
オまとめ(ア) 以上の諸事情を考慮すれば,本件カード発明3-1の実施料率は,2%をもって相当と認められる。
そうすると,特許法102条3項により推定される原告らの損害額は,各14万3024円になる。
1430万2400円×2%÷2=14万3024円(イ) 原告らは,無償供与分に相当する販売価格を加算して実施料率を計算すべきである旨主張する。
しかし,前記(1)イ(ウ)aのとおり,本件における無償供与分は,サンプルとして供与されたものであり,実質的に有償供与分を値引きしたものと考えられるから,前記の有償供与分の売上げを基準に使用料を計算するのが相当であり,原告らの上記主張は,採用することができない。
(3) 争点19-3(弁護士費用)ア 弁論の全趣旨によれば,原告らは,本訴原告ら訴訟代理人に対し,本訴の提起及び追行を委任し,報酬の支払を約したことが認められる。
イ 本件訴訟における差止めを含む認容内容及び認容額,訴訟の難易度等を総合勘案すれば,原告バンダイの弁護士費用のうち80万円をもって,被告による侵害行為と相当因果関係のある損害と認めるべきである。
ウ 本件訴訟における認容内容及び認容額,訴訟の難易度等を総合勘案すれば,原告大和精工の弁護士費用のうち25万円をもって,被告による侵害行為と相当因果関係のある損害と認めるべきである。
結論
以上によれば,原告バンダイの請求は,被告カプセルベンダー及び被告カードベンダーの製造,販売及び使用の差止め,廃棄並びに損害賠償金472万7226円及びこれに対する不法行為後である平成19年3月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却し,原告大和精工の請求は,被告カードベンダーの製造,販売及び使用の差止め,廃棄並びに損害賠償金39万3024円及びこれに対する同じく平成19年3月21日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却し,仮執行宣言については,相当でないからこれを却下することとし,主文のとおり判決する。
追加
(別紙)物件目録1被告カプセルベンダー1商品名「ECCOH500(EPOCHCAPSULECOLLECTIONHOUSE500)」,品番「4905040-70302?6」のカプセルベンダー2被告カプセルベンダー2商品名「ECCOH500(EPOCHCAPSULECOLLECTIONHOUSE500)」,品番「4905040-12734-1」のカプセルベンダー3被告カードベンダー1商品名「カードガチャ自動販売機筐体Version2」,品番「49-05040-62200-6」のカードベンダー4被告カードベンダー2商品名「カードガチャ自動販売機筐体」,品番「49-05040-56550-1」のカードベンダー以上(別紙)被告カプセルベンダー説明書1概要被告カプセルベンダーは,別紙写真1ないし14に例示する,2項ないし6項に記載する構成を有する。
2本件カプセル発明1-2の構成要件に対応する構成(1)プ1-2a被告カプセルベンダーの装置本体3は,正面を有し,ハンドル81,カプセル取出口51,カプセル取出口51と一端で連通した落下通路49を有する。
ハンドル81と係合することにより,ハンドル81の操作を伝達する回転軸83は,装置本体3とは独立して構成されたユニットに設けられている。
回転軸83は,歯車91にハンドル81の操作を伝達する。
歯車91は,装置本体3の前壁7と後壁13の間(約39cm)の,後壁13から約8cm離れた位置に設置されている。
(2)プ1-2b被告カプセルベンダーの収納ケース5は,その後壁において,装置本体3に固設された軸杆に嵌合されたスライダ部にネジ止めされており,ドライバー等でネジを外すことで装置本体3から外すことができる。
収納ケース5は,装置本体3内部の最奥部まで移動させることで,装置本体3に取り付けられる。このとき,上部のカプセル投入用開口部4が装置本体3の上部により覆われ,底部の落下口43が落下通路49の他端と対向する。
収納ケース5は,カプセルAの入れ替え時に,装置本体3正面方向へ移動させることで引き出すことができる。
(3)プ1-2c被告カプセルベンダーの回転盤35は,収納ケース5の底壁21に設けられ,ハンドル81の操作に応じ回転軸83,歯車91及びその他複数の歯車を介して回転し,その回転方向に沿って形成され互いに所定間隔をあけて設けられた複数の収容孔39を有し,ハンドル81の操作により所定間隔分だけ順次回転することに応じ,複数の収容孔39の一つが順次落下口43と対向する位置に導かれ,収納ケース5内のカプセルAを落下口43から落下通路49へ順次導出可能にする。
(4)プ1-2d上記プ1-2aないしプ1-2cの構成を有するカプセルベンダー。
3本件カプセル発明2-9の構成要件に対応する構成(1)プ2-9a被告カプセルベンダーの装置本体3の前面には,開口7aが設けられている。
装置本体3は,ハンドル81と,カプセル取出口51と,カプセル取出口51に連通する落下通路49を備える。
ハンドル81の操作により回動する歯車91は,装置本体3から独立して構成されたユニットに設けられている。
(2)プ2-9b被告カプセルベンダーの収納ケース5は,装置本体3に固設された軸杆に嵌合されたスライダ部にネジ止めされており,ドライバー等でネジを外すことで装置本体3から取り外すことができる。
収納ケース5は,上面が開放され,底部に落下口43が形成されている。
収納ケース5は,装置本体3前面の開口7aに,装置本体3内部の最奥部まで移動させることで取り付けられる。このとき,落下口43は,落下通路49に対向する。
(3)プ2-9c被告カプセルベンダーの回転盤35は,収納ケース5の底壁21に回動自在に設けられ,カプセルAを収容するための収容孔39及び歯車91とかみ合うラック41を有している。
(4)プ2-9d被告カプセルベンダーのコインセレクター95は,装置本体3とは独立して構成されたユニットとして設けられ,コイン真贋判別機構及びコイン必要枚数を切替可能とするコイン枚数チェック機構を有する。
コイン枚数チェック機構は,コイン必要枚数を切り替える価格ツマミ73を有する。
コインセレクター95は,その外部に歯車6を有し,歯車6は,挿入されたコインに応じて回転可能又は回転不可能となり,歯車91に,歯車82,87,89を介して連動する。
(5)プ2-9e被告カプセルベンダーの歯車6は,装置本体3に前記コイン必要枚数のコインが挿入されたときに,回転可能となって歯車91を回転可能にする。
(6)プ2-9f上記2-9aないし2-9eを特徴とするカプセルベンダー。
4本件カプセル発明3-1の構成要件に対応する構成(1)プ3-1a被告カプセルベンダーの装置本体3は,前壁7,後壁13及び側壁9,11を含んで箱型形状に形成されている。
前壁7の外面には,ハンドル81及びカプセル取出口51が設けられている。
装置本体3は,カプセル取出口51と一端で連通した落下通路49を内部に有している。
(2)プ3-1b被告カプセルベンダーの装置本体3には,前壁7の上部に切り欠かれて形成された開口7aがある。
被告カプセルベンダーの収納ケース5は,装置本体3に固設された軸杆に嵌合されたスライダにネジ止めされており,ネジを外すことで装置本体3から外すことができる。
収納ケース5は,装置本体3内部の最奥部まで移動させたときに装置本体3に装着され,開放された上面が装置本体3の上面で覆われるとともに,底部の落下口43が落下通路49の他端と対向する。
収納ケース5は,開口7aから手前に引き出すことができる。
(3)プ3-1c被告カプセルベンダーの回転盤35は,収納ケース5の底壁21に設けられ,回転方向に沿って複数形成された収容孔39と下面周縁に環状に形成されたラック41とを有する。
(4)プ3-1d装置本体3内には,ハンドル81の操作を回転盤35に伝達する回転軸83,歯車87,89,91からなる装置本体3から独立したユニットである動力伝達部が設けられている。
(5)プ3-1e被告カプセルベンダーは,収納ケース5を,開口7aから装置本体3内部の最奥部まで移動させたときに,回転盤35のラック41が装置本体3の前壁7から後壁13の間(約39cm)の後壁13から約8cm離れた位置で,回転軸83,歯車87,89,91を備えた装置本体3から独立したユニットである動力伝達部とかみ合う。
その状態でハンドル81を操作すると,回転盤35が回転し,この回転により複数の収容孔39のいずれか一つが落下口43と対向する位置に導かれた時に,収納ケース5内のカプセルAを落下口43から落下通路49へ導出する。
(6)プ3-1f上記3-1aないし3-1eを特徴とするカプセルベンダー。
5本件カプセル発明3-2の構成要件に対応する構成(1)プ3-2a被告カプセルベンダーの動力伝達部は,回転軸83と歯車87,89,91を備えた装置本体3から独立したユニットである。
歯車87,89,91は,回転軸83の後壁13から約8cm離れた位置に設置されている。前壁7から後壁13の間は,約39cmである。
(2)プ3-2b動力伝達部は,ハンドル81の操作を回転軸83,歯車87,89,91及びラック41を介して回転盤35へ伝達する。
(3)プ3-2c上記プ3-2a及びプ3-2bの特徴を有するカプセルベンダー。
6本件カプセル発明4-1の構成要件に対応する構成(1)プ4-1a被告カプセルベンダーの装置本体3は,前壁7,後壁13及び側壁9,11を含んで箱型形状に形成されている。
装置本体3には,前壁7の外面にハンドル81及びカプセル取出口51が,内部にカプセル取出口51と一端で連通した落下通路49とハンドル81の操作を回転盤35に伝達する回転軸83,歯車87,89,91からなる装置本体3から独立したユニットである動力伝達部が設けられている。
装置本体3には,前壁7の上部と側壁9,11の上部が切り欠かれて形成された開口7aがある。
(2)プ4-1b被告カプセルベンダーの収納ケース5は,前壁部27,側壁部29,31,底壁21を有し,上面が開放され,底部に落下口43が形成され,透過性を有している。
収納ケース5は,装置本体3に固設された軸杆に嵌合されたスライダにネジ止めされており,ネジを外すことで装置本体3から外すことができる。
収納ケース5は,装置本体3内部の最奥部まで移動させたときに装置本体3に装着され,開放された上面が装置本体3の上面で覆われるとともに,底部の落下口43が落下通路49の他端と対向する。
収納ケース5は,開口7aから手前に引き出すことができ,かつ,その状態で左右に振ることができる。
(3)プ4-1c被告カプセルベンダーの係合段部15,17は,装置本体の側壁9,11に設けられ,収納ケース5の底壁21の両側部を載置可能であり,ガイドレール16,18を有する。
(4)プ4-1d被告カプセルベンダーの収納ケース5の係合部分23,25は,各約1?pであり,収納ケース5の底壁21の両側部に設けられ,ガイドレール16,18に係合可能である。
(5)プ4-1e被告カプセルベンダーの回転盤35は,収納ケース5の底壁21に設けられ,ハンドル81の操作に応じ回転軸83,歯車91及びその他複数の歯車を介して回転し,その回転方向に沿って形成され互いに所定間隔をあけて設けられた複数の収容孔39と下面周縁に形成されたラック41を有する。
ラック41は,収納ケース5が装置本体3の開口7aから押し込まれたとき装置本体3の前壁7から後壁13の間(約39cm)の後壁13から約8cm離れた位置で,回転軸83,歯車87,89,91を備えた装置本体3から独立したユニットである動力伝達部とかみ合い,ハンドル81の操作により所定間隔分だけ順次回転することに応じ,複数の収容孔39の一つが順次落下口43と対向する位置に導かれ,収納ケース5内のカプセルAを落下口43から落下通路49へ順次導出可能にする。
(6)プ4-1f上記プ4-1aないしプ4-1eの特徴を有するカプセルベンダー。
7別紙写真1ないし14の説明別紙写真1ないし14は,物件目録1項記載のカプセルベンダーを撮影したものである。
(1)写真1は,被告カプセルベンダーを前方から撮影したものである。
(2)写真2は,被告カプセルベンダーを前方から撮影したものである。
(3)写真3は,被告カプセルベンダーを右側方から撮影したものである。
(4)写真4は,被告カプセルベンダーを,収納ケース5を引き出した状態で右斜上方より撮影したものである。
(5)写真5は,被告カプセルベンダーを,収納ケース5を引き出した状態で前斜上方より撮影したものである。
(6)写真6は,被告カプセルベンダーの収納ケース5を底部方向から撮影したものである。
(7)写真7は,被告カプセルベンダーの装置本体3内部を前方より撮影したものである。
(8)写真8は,被告カプセルベンダーの装置本体3内部を撮影したものである。
(9)写真9は,被告カプセルベンダーのコインセレクター95及び動力伝達部を装置本体3より取り外し,側方より撮影したものである。
(10)写真10は,被告カプセルベンダーのコインセレクター95及び動力伝達部を装置本体3より取り出し,後側より撮影したものである。
(11)写真11は,被告カプセルベンダーの装置本体3内部を右斜方より撮影したものである。
(12)写真12は,被告カプセルベンダーの収納ケース5を底部左斜方より撮影したものである。
(13)写真13は,被告カプセルベンダーの収納ケース5の係合部分23を撮影したものである。
(14)写真14は,被告カプセルベンダーの収納ケース5の係合部分25を撮影したものである。
以上(別紙)被告カードベンダー説明書1概要被告カードベンダーは,別紙写真1ないし14に例示する,2項ないし5項記載の構成を有する。
2本件カード発明1-1の構成要件に対応する構成(1)ド1-1a積載された紙葉類であるカードパックAの前部下面及び中部下面とそれぞれ当接し,所定角度回転することにより協働して当接カードパックAを前方へ送出する前部ゴムローラ24及び後部ゴムローラ23が備えられている。
(2)ド1-1bコイン投入口43からのコインBの投入によって,ハンドル8に連動して駆動する駆動軸28を所定角度だけ右回り方向に手動回動可能にする作動機構及び下部機構を有している。
ただし,「作動機構」と「下部機構」が相まって,初めて「コインの投入によって駆動軸28を所定角度だけ右回り方向に手動回動可能にする」か否かについては認定できない。
(3)ド1-1c前部ゴムローラ24のローラ軸25に遊嵌されていて,駆動軸28の動力が伝達される平歯車26を備えている。
(4)ド1-1dローラ軸25には,貫通してピン42が打ち込まれている。
平歯車26には,2つの部分円弧形を有する輪郭突出片41が同一円周上に設けられており,対向する輪郭突出片41の端部31は,ピン42と係合することで平歯車26の動力をローラ軸25に伝達して,前部ゴムローラ24は,カードパックAの前部下面と当接し,後部ゴムローラ23は,カードパックAの中部下面と当接し,カードパックAをその前端がカード払出口19から所定寸法突出するまで前方へ送出させる。このとき,前,後部2つのゴムローラは協働する。
平歯車26には,2つの輪郭突出片41の間に約30°の遊び部が設けられており,所定寸法未満突出状態でカードパックAが手動引出しされると,ローラ軸25の逆駆動により,対向する輪郭突出片41の端部32はピン42と係合し,ローラ軸25のそれ以上の遊転は阻止されるが,約30°の遊び部の存在により,対向する輪郭突出片41の端部32がピン42と係合するまでの間は,ローラ軸25の逆駆動は許容されている。
被告カードベンダーは,所定寸法未満でのカードパックAの突出を防止するスライド出口を有している。スライド出口は,カードパックAと連動して送り出され,カードパックAが所定寸法まで前方に移動した時点で,カードパックAを残したまま元の位置に戻ることによって,特殊なペンチ等を使用しなければ,所定寸法未満突出状態でカードパックAの手動引出しを可能にする事態を阻止する。
被告カードベンダーには,コインを投入してハンドルを回動する時点で,カードパックAが初期位置よりも前方に送出された位置にある場合に,その後の新たなハンドルの回動を不能にするストッパー及びロックピンが設けられている。
(5)ド1-1e上記ド1-1aからド1-1dまでの特徴を備えているカードベンダー。
3本件カード発明2-1の構成要件に対応する構成(1)ド2-1a被告カードベンダーは,基礎フレーム16を備えている。
(2)ド2-1b被告カードベンダーは,基礎フレーム16に回動可能に支持され,ハンドル8により回動させられる操作軸28を備えている。
(3)ド2-1c被告カードベンダーの基礎フレーム16の上部には,垂直壁が設けられている。
被告カードベンダーは,垂直壁に形成された上方開放状の開放軸受部16aと,開放軸受部16aに上方より挿脱可能に挿入され,回動可能となるように支持される二つのローラ軸(前部はローラ軸25)を備えている。
(4)ド2-1d被告カードベンダーは,ローラ軸25に取り付けられ,ローラ軸25の回動により回動する前部ゴムローラ24を備えている。
被告カードベンダーは,ローラ軸25の回動により回動する後部ゴムローラ23を備えている。
前部ゴムローラ24と後部ゴムローラ23とは,協働して当接カードパックAを前方へ送出している。
(5)ド2-1e被告カードベンダーは,ハンドル8による操作軸28(駆動軸28)の回転をローラ軸25に伝達して前部ゴムローラ24を回動させる平歯車26を有している。
ハンドル8による操作軸28の回転は,傘歯車31,傘歯車32,平歯車33を介して,平歯車26に伝達される。平歯車26は,平歯車26に設けられた輪郭突出片41,ピン42を介して,操作軸28の回転をローラ軸25に伝達し,前部ゴムローラ24を回動する。
平歯車26は,ローラ軸25に遊嵌されている。
(6)ド2-1f被告カードベンダーの収納ケース14は,基礎フレーム16の上面に着脱可能に装着される。
収納ケース14の底部には,開口があるが,複数のカードパックを上下積層状Aに収納可能である。
収納ケース14は,基礎フレーム16に装着されたとき,収納された複数のカードパックAのうち最下位置のカードパックが前部ゴムローラ24及び後部ゴムローラ23によって受持される。
(7)ド2-1gハンドル8の操作により操作軸28が回動されたとき,ハンドルの回転力が,操作軸28,傘歯車31,傘歯車32,平歯車33,平歯車26,輪郭突出片41及びピン42を介して前部ゴムローラ24のローラ軸25に伝達され,前部ゴムローラ24が回動し,前部ゴムローラ24は,収納ケース14内に収納された複数のカードパックAのうち最下位置のカードパックAを収納ケース14から送り出す。前部ゴムローラ24の回動が,前部ゴムローラ24の連動歯車51,中間歯車52及び後部ゴムローラ23の連動歯車53を経て後部ゴムローラ23のローラ軸54に伝達され,前部ゴムローラ24と後部ゴムローラ23は同期して同方向に同速で回動する。
(8)ド2-1h上記ド2-1aからド2-1gまでの特徴を備えているカードベンダー。
4本件カード発明2-2の構成要件に対応する構成(1)ド2-2a被告カードベンダーは,前面が開放されたケース本体2Bとこの前面を開閉可能に閉鎖する前扉2Aとからなる機ケース2を有している。
(2)ド2-2b被告カードベンダーは,機ケース2の内部に設けられた基礎フレーム16を有している。
(3)ド2-2c被告カードベンダーは,基礎フレーム16と別個に形成されて基礎フレーム16の上面に着脱可能に装着されていて複数のカードパックを収納可能な収納ケAース14を有している。
(4)ド2-2d被告カードベンダーは,収納ケース14内の最下位置のカードパックの前部A下面を受持可能な位置にて基礎フレーム16の上部に支持されかつ回転することにより最下位置のカードパックを送り出すことが可能な前部ゴムローラ24を有Aしている。
被告カードベンダーは,収納ケース14内の最下位置のカードパックの中部A下面を受持可能な位置にて基礎フレーム16の上部に支持されかつ回転することにより最下位置のカードパックを送り出すことが可能な後部ゴムローラ23を有Aしている。
(5)ド2-2e被告カードベンダーは,基礎フレーム16に回転可能に支持されていてハンドル8により回転操作される操作軸28を有している。
(6)ド2-2f被告カードベンダーは,ハンドル8による操作軸28の回転を前部ゴムローラ24に伝達する平歯車26を有している。ハンドル8による操作軸28の回転は,傘歯車31,傘歯車32,平歯車33を介して,平歯車26に伝達される。平歯車26は,平歯車26に設けられた輪郭突出片41及びピン42を介して,操作軸28の回転をローラ軸25に伝達し,前部ゴムローラ24に伝達している。平歯車26はローラ軸25に遊嵌され,基礎フレーム16に設けられている。
被告カードベンダーは,前部ゴムローラ24の回動を後部ゴムローラ23に伝達して後部ゴムローラ23を同期して回動させる,前部ゴムローラ24の連動歯車51,中間歯車52及び後部ゴムローラ23の連動歯車53を備えている。
(7)ド2-2g被告カードベンダーの基礎フレーム16の上面は,垂直壁の上端(四辺)によって画定されている。基礎フレーム16の上面には,前部ゴムローラ24のローラ軸25を上方より挿脱可能に挿入して支持する上方開放状の開放軸受部16aが設けられている。
(8)ド2-2h被告カードベンダーにおいては,開放軸受部16aに支持されたローラ軸25は,基礎フレーム16上に収納ケース14が装着されると,直接には収納ケース14内に入れられたカード又は収納ケース内に配置された重錘による荷重によって,離脱が防止されている。
収納ケース14の下端は,ローラ軸に接していることはなく,間隙がある。
(9)ド2-2i上記ド2-2aからド2-2hまでの特徴を備えているカードベンダー。
5本件カード発明3-1の構成要件に対応する構成(1)ド3-1a被告カードベンダーは,基礎フレーム16を具備している。
(2)ド3-1b被告カードベンダーは,基礎フレーム16にローラ軸25を介して回動可能に支持された前部ゴムローラ24を具備している。
被告カードベンダーは,ローラ軸25の回動により回動する後部ゴムローラ23を備えている。
前部ゴムローラ24と後部ゴムローラ23とは,協働して当接カードパックAを前方へ送出している。
(3)ド3-1c被告カードベンダーは,基礎フレーム16に回動可能に支持され,ハンドル8の操作により回動する操作軸28を具備している。
(4)ド3-1d被告カードベンダーは,ローラ軸25に取り付けられ,操作軸28の回動を前部ゴムローラ24に伝達する平歯車26を具備している。
(5)ド3-1e被告カードベンダーは,基礎フレーム16とは別体とされた,複数のカードパックAを収容する収納ケース14を具備している。
(6)ド3-1f被告カードベンダーは,収納ケース14の側面に設けられたコイン検出作動部Dを具備している。
(7)ド3-1g被告カードベンダーにおいては,コイン検出作動部Dが設けられた収納ケース14は,正規コインBの投入が検出された場合に回動可能となり,正規コインBの投入が検出されない場合,回動不可能となる作動体55と,作動体55と噛合するアイドラギア39とを有している。
(8)ド3-1h被告カードベンダーにおいては,コイン検出作動部Dが設けられた収納ケース14が基礎フレーム16の上面に載置されたとき,「作動体55,アイドラギア39,ギア10,ギア11,平歯車26」の順で歯車が噛み合っている。
前部ゴムローラ24は,後部ゴムローラ23と共に,収納ケース14内の最下位置のカードパックAを受持する。
被告カードベンダーにおいては,開放軸受部16aに支持されたローラ軸25は,基礎フレーム16上に収納ケース14が装着されると,直接には収納ケース14内に入れられたカード又は収納ケース内に配置された重錘による荷重によって,離脱が防止されている。収納ケース14の下端は,ローラ軸に接していることはなく,間隙がある。
(9)ド3-1i被告カードベンダーにおいては,正規コインBの投入が検出されない場合,作動体55が回動不可能となることにより,アイドラギア39,ギア10及びギア11の回転だけでなく,平歯車26の回転も阻止され,正規コインBの投入が検出された場合,作動体55が回動可能となることにより,アイドラギア39及び平歯車26は回転が可能となり,ハンドル8の操作による操作軸28の回転に応じて平歯車26が回転し,前部ゴムローラ24が回動することにより,受持されたカードパックAが払い出される。
(10)ド3-1j被告カードベンダーは,上記ド3-1aないしド3-1iを特徴とする媒体販売装置である。
6別紙写真1ないし14の説明別紙写真1ないし14は,物件目録3項記載のカードベンダーを撮影したものである。
(1)写真1は,被告カードベンダーを前方から撮影したものである。
(2)写真2は,被告カードベンダーを前方から撮影したものである。
(3)写真3は,被告カードベンダーから,カードパックAが送り出されている状態を,前方から撮影したものである。
(4)写真4は,被告カードベンダーの基礎フレーム16と,これとは別体とされた収納ケース14の中に複数のカードパックAが収容されている状態を,前方より撮影したものである。
(5)写真5は,被告カードベンダーの前扉2Aを開放し,積載されたカードパックAのうち前部ゴムローラ24と当接するカードパックAが前方へ送り出されている状態を,前斜上方より撮影したものである。
(6)写真6は,被告カードベンダーの開閉扉を開放し,カードパックAを積載する収容ケースを取り外した状態を,前斜上方より撮影したものである。
(7)写真7は,被告カードベンダーの前部ゴムローラ24を取り外し,ローラ軸25より平歯車26をはずした状態を撮影したものである。
(8)写真8は,被告カードベンダーのローラ軸25に平歯車26を取り付け,端部31とピン42(作動体33)とが当接している状態を,撮影したものである。
(9)写真9は,被告カードベンダーのローラ軸25に平歯車26を取り付け,端部32とピン42(作動体33)とが当接している状態を,撮影したものである。
(10)写真10は,被告カードベンダーの作動機構のうち,駆動軸28(操作軸28)周辺を露出させた状態で撮影したものである。
写真11は,収納ケース14を取り外した状態の基礎フレーム16を,前(11)斜上方より撮影したものである。
写真12は,前部ゴムローラ24を基礎フレーム16の上面の上方開放状(12)の開放軸受部16aより取り外す様子を撮影したものである。
写真13は,収容ケース14を取り外した状態の基礎フレーム16を,前(13)斜上方より撮影したものである。
(14)写真14は,収容ケース14から取り外されたコイン検出作動部Dを,左方向から撮影したものである。
以上
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 中村恭
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