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事件 平成 17年 (行ケ) 10591号 特許取消決定取消請求事件
原告ダイワ精工株式会社
訴訟代理人弁理士西山善章,水野浩司,中村俊郎,青木宏義,天田昌行,岡田 喜雅
被告特許庁長官肥塚雅博
指定代理人澤村茂実,石井淑久,唐木以知良,森山啓
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2007/09/27
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1特許庁が異議2002−71331号事件について平成17年6月10日にした決定のうち「特許第3233576号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた裁判主文第1項と同旨の判決第2事案の概要原告は,下記1(1)の特許(以下「本件特許」という。)の特許権者である。本件特許に対する異議申立事件(異議2002-71331号事件)について,特許庁は,原告による訂正を認めた上,本件特許を取り消す旨の決定をした。本件は,原告が,同決定の取り消しを求めた事案であるところ,原告は,本訴提起後に訂正審判請求(訂正2005-39142号)をし,特許庁は同訂正審判請求は成り立たないとの審決をしたが,これを不服として原告が提起した審決取消訴訟(平成18年(行ケ)第10177号。以下「別訴」という。)において,審決を取り消す旨の判決が言い渡されたことを受けて,特許庁は平成19年7月6日に訂正を認める旨の審決(以下「再度の審決」という。)をし,同審決は確定した。
1特許庁等における手続の経緯(1)本件特許特許権者:原告出願日:平成8年6月24日発明の名称:「釣り・スポーツ用具用部材」出願番号:特願平8-163112号設定登録日:平成13年9月21日特許番号:特許第3233576号(2)本件手続及び訂正審判手続等異議申立日:平成14年5月22日(異議2002-71331号)訂正請求日:平成15年9月16日決定日:平成17年6月10日(「訂正を認める。特許第3233576号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。」との決定)決定謄本送達日:平成17年7月1日(原告に対し)本訴提起日:平成17年7月28日訂正審判請求日:平成17年8月8日(訂正2005-39142号)審決日:平成18年3月10日(「本件審判の請求は成り立たない。」との審決)審決謄本送達日:平成18年3月23日(原告に対し)別訴提起日:18年4月20日(平成18年(行ケ)第10177号)別訴判決言渡日:平成18年12月20日(「特許庁が訂正2005-39142号事件について,平成18年3月10日にした審決を取り消す。」との判決)再度の審決日:平成19年7月6日(「特許第3233576号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。」との審決)再度の審決の謄本送達日:平成19年7月19日(原告に対し)2本件特許の出願に係る明細書における特許請求の範囲の記載(1)再度の審決による訂正前のもの(決定において認められた訂正請求に係るもの)【請求項1】特定方向に引き揃えた強化繊維にマトリクス材料を含浸してなる繊維強化材で構成された本体部材を有しており,前記本体部材の表面は研磨されて,前記強化繊維が露出するとともに,前記露出する強化繊維自体も研磨されて,前記研磨された個々の強化繊維表面には平坦部が形成されていることを特徴とする竿管。
【請求項2】前記本体部材の表面は,光輝性を示すことを特徴とする請求項1に記載の竿管。
【請求項3】前記本体部材の表面は,鏡面研磨されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の竿管。
【請求項4】前記本体部材の外側に,金属材料又はセラミック材料で構成されている厚さ1ミクロン以下の薄膜を形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の竿管。
【請求項5】請求項1ないし4のいずれかの項に記載の竿管を用いた釣り竿。
(2)再度の審決による訂正後のもの(下線部分は決定後の訂正箇所である。)【請求項1】特定方向に引き揃えた強化繊維にマトリクス材料を含浸してなる繊維強化材で構成された本体部材を有しており,前記本体部材の表面は研磨されて,前記強化繊維が露出するとともに,前記露出する強化繊維自体も研磨されて,前記研磨された個々の強化繊維表面には窪み部および平坦部が形成されており,表面粗さが5μm以下であることを特徴とする竿管。
【請求項2】前記本体部材の表面は,光輝性を示すことを特徴とする請求項1に記載の竿管。
【請求項3】前記本体部材の表面は,鏡面研磨されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の竿管。
【請求項4】前記本体部材の外側に,金属材料又はセラミック材料で構成されている厚さ1ミクロン以下の薄膜を形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の竿管。
【請求項5】請求項1ないし4のいずれかの項に記載の竿管を用いた釣り竿。
3決定の理由の要旨決定は,異議事件の審理中の原告による訂正請求を認め,上記2(1)のとおりの発明を認定した上,同発明を特定する特許請求の範囲の請求項1の記載並びに明細書の段落【0005】及び同【0019】の記載の補正は,いずれも当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものということはできず,特許法17条の2第3項の要件を満たしていないから,平成15年法律第47号の改正附則2条7項によりなお従前の例によるとされた特許法113条1号に該当し,本件特許は取り消すべきであるとした。
第3原告主張の取消事由決定は,本件発明の要旨を上記第2の2(1)のとおり認定し,これに基づき,上記第2の3のとおり,本件特許を取り消すべきであると判断したが,再度の審決が確定したことによって,決定は,結果的に本件発明の要旨の認定を誤ったことになるから,取消しを免れない。
第4当裁判所の判断原告主張の取消事由により,決定は取り消されるべきものであり,本訴請求は理由がある。
よって,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 石原直樹
裁判官 古閑裕二
裁判官 杜下弘記