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関連ワード 公然実施(29条1項2号) /  29条1項3号 /  技術的範囲 /  技術情報 /  善意 /  優先日 /  参酌 /  特許発明 /  実施 /  先使用権(先使用) /  交換 /  構成要件 /  差止請求(差止) /  侵害 /  損害額 /  実施権 /  通常実施権 /  知らないで /  請求の範囲 /  変更 / 
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事件 平成 17年 (ワ) 10223号 特許権侵害差止等請求事件
大韓民国京畿道水原市<以下略>
原告三 星電子株式会社
訴訟代理人弁護 士片山英二
同 佐長功
同 服部誠
同 中村閑
同 高橋雄一郎
訴訟代理人弁理 士日野真美
訴訟復代理人弁理士望月尚子
補佐人弁理 士廣瀬隆行
同 林佳輔 大阪府門真市<以下略>
被告松 下電器産業株式会社
訴訟代理人弁護 士森崎博之
同 根本浩
同 松山智恵
補佐人弁理 士稲葉良幸
同 江口昭彦
同 佐藤睦
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/07/26
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
- 2 -
事実及び理由
全容
第1請求1被告は,別紙イ号物件目録記載のプラズマエッチング装置を使用してはならない。
2被告は,その占有にかかる別紙イ号物件目録記載のプラズマエッチング装置を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,2億6600万円及びこれに対する平成17年6月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要等本件は,プラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置に関する後記の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許を「本件特許 ,後記」請求項1の特許発明を「本件特許発明」という )を有する原告が,被告が別 。
紙イ号物件目録記載のプラズマエッチング装置(以下「イ号物件」という )。
を使用する行為は,本件特許権を侵害すると主張して,被告に対し,イ号物件の使用の差止め,イ号物件の廃棄,及び,損害賠償を求めている事案である。
1前提となる事実等(当事者間に争いのない事実,該当箇所末尾掲記の各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)( )当事者1原告は,半導体装置の製造,販売等を業とする会社である。
被告は,電気・通信・電子及び照明機械器具の製造,販売等を業とする会社である。
( )原告が有している特許権2原告は,次の特許権を有している(甲1,2 。)ア特許番号第3148128号イ発明の名称プラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置ウ出願日平成8年7月17日エ優先日平成7年12月13日オ登録日平成13年1月12日カ請求項の記載本件特許発明の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。本判決末尾添付の特許公報参照 )の特許請求の範囲の請求項1の記載は次 。
のとおりである。
「反応室の壁に具備された感知窓と,該感知窓を介してエッチング工程中に生成された光を反応室の外部の測定手段へ伝達する光学ケーブルと,前記反応室壁の外側面に装着されて前記感知窓と前記光学ケーブルとを固定するブラケットとを備えるプラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置において,前記感知窓は反応室の外部に突出するように固設し,かつ前記ブラケットは反応室内のプラズマとの間に設けられる電界の強さを減らすことができるように前記感知窓を前記ブラケットとの間に所定の空間を確保して取り付けられることを特徴とするプラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置」( )構成要件3本件特許発明構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した各構成要件をその符号に従い「構成要件A」のように表記する。。)A反応室の壁に具備された感知窓と,B該感知窓を介してエッチング工程中に生成された光を反応室の外部の測定手段へ伝達する光学ケーブルと,C前記反応室壁の外側面に装着されて前記感知窓と前記光学ケーブルとを固定するブラケットDとを備えるプラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置において,E前記感知窓は反応室の外部に突出するように固設し,Fかつ前記ブラケットは反応室内のプラズマとの間に設けられる電界の強さを減らすことができるように前記感知窓を前記ブラケットとの間に所定の空間を確保して取り付けられるGことを特徴とするプラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置。
( ) イ号物件4被告は,訴外米国アプライドマテリアルズ社(以下「AM社」という )。
が製造販売したイ号物件を,訴外アプライドマテリアルズジャパン社(以下「」。 。) AMJ社 という AM社の製品の日本における販売を行う法人であるから購入し,使用している。
( )対比5,, 。 イ号物件の製品概要 構造等は 別紙イ号物件説明書記載のとおりであるこれによれば,イ号物件は,反応室の壁に具備された感知窓と(構成要件A ,該感知窓を介してエッチング工程中に生成された光を反応室の外部の )測定手段へ伝達する光学ケーブルと(構成要件B ,前記反応室壁の外側面 )に装着されて前記感知窓と前記光学ケーブルとを固定するブラケット(構成要件C)とを備えるプラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置において(構成要件D ,前記感知窓は反応室の外部に突出するように )固設している(構成要件E)ことを特徴とするプラズマエッチング設備におけるエンドポイントの検出装置である。
したがって,イ号物件は,本件特許発明構成要件のうち,構成要件AないしEを充足する。
2争点( )イ号物件は,本件特許発明技術的範囲に属するか(イ号物件は,構成1要件F及びGを充足するか (争点1 。))( )AM社ないし被告は,本件特許発明について,先使用による通常実施権 2(特許法79条)を有するか(争点2 。)( )本件特許は無効にされるべきものか(争点3 。
3 )ア公然実施(特許法29条1項2号 (争点3-1))イ文献公知(特許法29条1項3号 (争点3-2))( )損害額(争点4)4第3争点に関する当事者の主張1争点1(イ号物件は,本件特許発明技術的範囲に属するか(イ号物件は,構成要件F及びGを充足するか)について)。
〔原告の主張〕( )イ号物件には,別紙イ号物件説明書図4イ号物件のエンドポイント検出1装置の断面図が示すとおり,感知窓とブラケットとの間に所定の空間が存在し,その空間は 「ブラケットは反応室内のプラズマとの間に設けられる電 ,界の強さを減らすことができるように」確保されている。
すなわち,構成要件Fにいう「所定の空間」とは,@感知窓とブラケットとの間に設けられる空間であること,A反応室内のプラズマとの間に設けられる電界の強さを減らすことができる程度の大きさを有する空間であること,の二つの要件を満たせば足りるもので,断面がブラケットと感知窓外周部との間の幅で規定されるところの回転体である。
イ号物件の感知窓とブラケットとの間の空間の断面積は,乙1の図面を前提とすると約32.2であり,本件実施例よりも大きい。そして,断mm2面積20のものと断面積0のものとを比較したシミュレーション結果 mm2(甲11)では約1割の電界強度の低下が見られたから,イ号物件の上記空間が電界強度を減らすに足りるものであることは明らかである。
なお,ブラケットに窓(ブラケットの筒状部分にある,感知窓の突出部を外側からみることのできる長孔状の開口)がある場合には,仮に窓がなかったと仮定した場合に存在するところのラインをもって「所定の空間」と定義することができる。
( )被告は,断面積を比較して本件特許発明の作用効果を論じたことを論難2する。しかし,回転体のサイズ比較によって,反応室内のプラズマとの間に設けられる電界の強さを減らすという効果をイ号物件においても享受していることは争いがないと思われ,そうであれば断面積の比較を行うことは当然である。
また,被告は,甲11について,感知窓の開口部分の電界を測定することは無意味であり,ブラケットの近傍の電界を測定する必要があるなどと述べている。しかし,所定の空間がない場合に電界の集中が起こる部分はプラズマとブラケットとの間であるところの「感知窓の開口部」であるから,この部分の電界を測定することが本件特許発明の効果を語る上で重要である。
さらに,被告は,シミュレーションの条件が異なる旨の主張をしている。
しかし,イ号物件のようにブラケットの窓(長孔状の開口)があれば,シミュレーション結果よりも電界の低減される効果がいっそう得られることになる。
〔被告の主張〕イ号物件においては,感知窓の突出部の周囲がブラケットの筒状部分によって完全に覆われているわけではない。そうすると,ブラケットの筒状部分と感知窓の突出部との間に形成される空間の外延を定めることは不可能であり,ブラケットの筒状部分と感知窓の突出部との間に原告のいうような「回転体」を把握することもできないはずである。
したがって,原告の主張はその前提を欠く。また,本件特許発明における断面積と空間の体積の比率,イ号物件における断面積と空間の体積の比率は異なるのであるから,断面積のみを比べても意味がない。さらに,異なる形状で断面積が同じ場合にも同様の効果が生じるかは全く不明であり,縦横比を無視した断面積のみの比較は無意味である。
原告のいう「所定の空間」の要件のうち「電界の強さを減らすことができる程度の大きさ」を有する空間とは,表現が抽象的であり,本件明細書及び図面の記載を参酌してもなおその意義は不明瞭である。本件明細書には「・・・電界の強さを減らすことができるように,前記感知窓20との距離Lが出来る限り遠く離れるように設置されなければならない。望ましくは5o以上の空間を確保する方が良い 」という記載しかなく,同図4及び図5にも,単に距離L 。
の寸法線が示されているだけで,電界を減らす程度の大きさの意義を把握することはできない。
さらに,原告が提出したシミュレーション結果(甲11)は,本件特許発明は反応室のプラズマとブラケットとの間の電界の強さを減らすことが必要であるのに,甲11では,感知窓の開口部分の電界の強さを測定していること,シミュレーション条件が不明であること,対象となったモデルの寸法・形状は,原告主張のイ号物件(Lが約23,Wが1.38)と異なるものであmmmmること,甲11は真空であるのに対し,イ号物件はブラケットの筒状部分に開, ,。 口があり 周辺大気と連通していることなどからみて 客観的な信用性がない2争点2(AM社ないし被告は,本件特許発明について,先使用による通常実施権(特許法79条)を有するか)について〔被告の主張〕イ号物件が本件特許発明の技術範囲に属する場合,AM社ないし被告は,本件特許発明について,先使用に基づく通常実施権(法79条)を有している。
すなわち,被告は,本件特許の優先日である平成7(1995)年12月13日より前の平成6(1994)年10月に,AM社が製造販売したイ号物件をAMJ社から購入し,その使用を継続しているものである。AM社は,本件特許の優先日の14月前から,本件特許発明の内容を知らないで,イ号物件を開発し,その製造販売をしていたものであるから,本件特許発明について先使用権を有する。また,被告は,AM社からイ号物件の内容を知得し,イ号物件の使用を継続していたのであるから,本件特許発明について先使用権を有する。
〔原告の主張〕先使用による通常実施権が発生するためには,実施者が「発明の内容を知らないでその発明をしたこと」あるいは「発明の内容を知らないでその発明をした者から知得したこと」に関する具体的な事実が必要であるが,被告はかかる事実関係に関して何ら主張していない。
また,被告が,AM社が本件特許発明の内容を知らないでイ号物件に関する発明を行い,被告はこれを知得したと主張しているとしても,被告は,AM社が本件特許発明の内容を知らないでイ号物件に関する発明を行ったということについて何ら立証していない。AM社がイ号物件を本件特許の優先日以前に製造したとしても,そのことによって直ちにAM社の善意を推定できるわけではない。半導体製造装置の業界では,ユーザーである半導体メーカーと装置メーカーとが情報交換等を行い,その情報を基礎として装置の開発を行うことが頻繁に行われており,半導体製造装置の分野では,装置メーカーが新たな構成を有する装置を開発した場合であっても,その装置が当該メーカーの知見によって開発されたものとは限らないのである(現に,原告はAM社のビッグユーザーであり,原告とAM社は常に製造装置の改良等について情報交換を行ってきた。加えて,イ号物件の購入者に過ぎない被告がAM社の発明を知得する 。)などということもあり得ない。
3争点3(本件特許は無効にされるべきものか)について〔被告の主張〕本件特許は,以下のとおり,無効にされるべきものである。
( )争点3-1(公然実施)について1前記2のとおり,AMJ社は,本件特許の優先日前にイ号物件を販売し,被告はこれを購入しており,イ号物件が本件特許発明技術的範囲に属するのであれば,被告が購入したものから容易にその発明の内容を知ることができる。被告がイ号物件購入にあたり,AMJ社及びAM社との間で,イ号物件の構成について秘密保持の合意をしたという事実は全くない。
したがって,本件特許発明は,優先日前に公然実施されたものである。
( )争点3-2(文献公知)について2AM社は,本件特許の優先日前に,イ号物件の購入者に配布するためにマニュアル(乙14及び15)を作成しており,当該マニュアルに本件特許発明の各構成は開示されている(乙14及び15には「」等の記載Confidentialは一切ない。被告がイ号物件購入にあたり,AMJ社及びAM社との間 。)で,マニュアルについて秘密保持の合意をしたという事実は全くない。
したがって,本件特許発明は,優先日以前に配布された文献に開示されているものである。
〔原告の主張〕AMJ社やAM社が費用や時間をかけて開発した独自の技術情報が含まれている製品を販売・納入するにあたって,買主に対し秘密保持を求めないということはあり得ない。たとえマニュアルに「」の記載がなくても,被Confidential告がイ号物件を購入した際にも第三者に対して装置の構成やマニュアルの記載内容を秘密に保持する旨の措置がとられたのは明らかである。加えて,クリーンルームに設置されているイ号物件の構成を不特定人が知り得る状態となることはありえない。
したがって,イ号物件の販売やマニュアルの記載によって本件特許発明公然実施されたものであるとか,文献公知となっているなどという被告の主張は誤りである。
4争点4(損害額)について〔原告の主張〕被告は,平成13年ころから現在に至るまで,本件特許発明技術的範囲に属するイ号物件を使用して半導体装置を製造しており,その半導体製品の売上高は年間1330億円を下らない。エッチング工程は,半導体製造工程のうちの重要な工程の一つであり,かつ,エンドポイントを正確に検出することは,エッチング工程において極めて重要であることから,被告による半導体製品の売上げにおける本件特許発明の寄与率は,10%を下らない。また,本件特許権のロイヤルティ料率は5%を下らない。
したがって,本件特許権の実施により原告が受けるべき金銭の額は,以下のとおり,26億6000万円を下らないから,被告は,原告に対し,少なくとも同額の損害賠償をする義務がある。原告は,本訴において,その一部である2億6600万円の損害賠償を求める。
1330億円×10%×5%×4年=26億6000万円〔被告の主張〕原告の主張を否認し争う。
第4当裁判所の判断1争点1(イ号物件は,本件特許発明技術的範囲に属するか(イ号物件は,構成要件F及びGを充足するか)について。)。
( )イ号物件は構成要件を充足するかについて1 Fア本件特許発明の「所定の空間」について(。 ) ,a)証拠 甲2 本判決末尾添付の特許公報 及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。
@従来の技術及び発明が解決しようとする課題半導体素子製造工程のうちエッチング工程においては,エッチングのエンドポイント(エッチングが進行されるにつれて,薄膜がなくなりシリコン基盤や他の薄膜が露出されるエッチングの終了時点)を正確に感知する方法が必要であり,プラズマエッチングのような乾式エッチングにおいては,薄膜の屈折率の差を光学的に測定してエンドポイントを決定する方法などが使われている。光学的に測定する方法を用いた従来の装置(甲2記載の図1。上記特許公報参照)では,反応室(図1記載1)内のプラズマから発光する光を透明な感知窓(図1記載2)を介して検出するが,反応室内においてエッチング中に発生する副産物などがプラズマに比べて相対的に温度が低い反応室の壁(図1記載1a)や感知窓に吸着するため,感知窓はエッチングが進行する程濁るようになる。そうすると,光学ケーブル(図1記載3)に伝達される光の強度が低くなってエンドポイントの検出状態が不安定となる問題点があった(甲2【0002】ないし【0012。】)そこで,感知窓の濁化現象を改善するため,感知窓の構造をブラケット 図1記載4 側へ後退するように変更することが考えられた 甲 () (2記載の図2。上記特許公報参照 。しかし,この場合,反応室(図 )2記載1)内のプラズマとブラケット(図2記載4)間に電界が形成され,プラズマスパイキング現象が生じて,感知窓側へプラズマが引き込まれるようになるので,工程の副産物の吸着を防ぐことができないとの問題が生じる(甲2【0013】ないし【0014。】)本件特許発明は,上記の問題点を解消するため,反応室内のプラズマとブラケットとの間に形成される電界の強さを減少させるため,反応室の壁に具備された感知窓を反応室の外部に突出するように固設し,感知窓と光学ケーブルとを固定するブラケットを感知窓との間に所定の空間を確保して取り付けることを特徴とするものである(甲2【0016。】)A発明の実施の形態本件特許発明の望ましい実施の形態(甲2記載の図4及び図5)においては,ブラケット(図4及び図5記載40)は,感知窓(図4及び図5記載20)と所定距離Lだけ離隔されて一定の空間を確保する(甲2【0020。】)上記感知窓とブラケットとの距離(図5記載L)は,できるだけ遠く離れるように設置されなければならず,望ましくは5o以上の空間を確保するほうがよい(甲2【0023。】))上記認定のとおり,本件特許発明は,エッチング工程における副産物bが感知窓に吸着すること,そしてそれによって感知窓が濁化することを防止するべく,反応室内のプラズマとブラケットとの間に形成される電界の強度を減らすために,ブラケットと反応室壁の外に突出した感知窓との間に 「所定の空間」を確保するものである。したがって 「所定 , ,の空間」とは,上記電界強度を減らすため,感知窓とブラケットを接触させないように,感知窓が反応室壁の外に突出した部分の外周とブラケットとの間に設けられた空間であり,本件明細書でいえば,図4及び図5に記載された,感知窓の外周とブラケットの内周(そのうち光学ケーブル取付部は切欠となっている )の間の空間がこれに当たるものであ 。
る。ただし 「所定の空間」の大きさについては明確に規定されている ,わけではなく,本件明細書には,図5記載Lの距離が5o以上であることが望ましいと記載されているものの(上記)A ,その根拠は不明でa )あり,5o以上でなければならない(5o以上でなければ所期の目的を達することができない)と規定されているわけでもない。
そうすると,本件特許発明における「所定の空間」とは,感知窓が反応室壁の外に突出した部分の外周とブラケットの内周との間に設けられた空間で,感知窓とブラケットとが接触しないようにするものであり,これにより反応室内のプラズマとブラケットとの間に形成される電界の強度が減少するとの効果を奏するものをいうと解すべきである。
イイ号物件における「所定の空間」について, , イ号物件においては 別紙イ号物件説明書図4に記載されているとおりイ号物件の感知窓が反応室壁の外側に突出した部分の外周とその外側に取り付けられたブラケットの内周との間には「空間」が設けられており,そのため,感知窓とブラケットとが接触していない。そして,イ号物件における上記空間により,反応室内のプラズマとブラケットとの間に形成される電界の強度が減少することは明らかである。したがって,イ号物件における上記「空間」も,本件特許発明構成要件Fにいう「所定の空間」に該当するものと認められる。
( )小括2以上によれば,イ号物件は,構成要件Fを充足するものであり,構成要件Eを充足することは前記第2の1( )のとおりであるから,構成要件Gをも5充足する。
,, 。 したがって イ号物件は 本件特許発明技術的範囲に属するものである2争点2(AM社ないし被告は,本件特許発明について,先使用による通常実施権(特許法79条)を有するか )について。
(,,,, ( )ア証拠乙3ないし7乙8の1ないし4乙10乙11の1及び21乙12,乙13)及び弁論の全趣旨によれば,被告がAMJ社から購入したイ号物件は,いずれもAM社が製造販売したもので,被告の魚津工場において使用されているものであり,その購入時期等は以下のとおりであると認められる。
)資産番号-平成6年10月購入のもの(乙3,乙7,乙aME617058の1,乙10))資産番号-平成7年10月購入のもの(乙4,乙7,乙bME643858の2,乙11の1及び2))資産番号-平成7年10月購入のもの(乙5,乙7,乙cME644008の3,乙12))資産番号-平成7年10月購入のもの(乙6,乙7,乙dME644048の4,乙13)イ上記のとおり,被告はその使用するイ号物件のいずれも本件特許の優先日である平成7年12月13日よりも前に購入したものである。そして,イ号物件の製造者であるAM社は,上記認定のとおり,本件特許発明優先日の14月も前に,イ号物件を製造販売していたのであるから,原告が本件特許発明優先日の14月よりも前に本件特許発明を完成していたにもかかわらず,これを出願していなかったとか,出願もせずにこれをAM社に教示し,AM社のみが本件特許発明実施していたとは,到底考えにくいことからすれば,AM社は,本件特許発明の内容を知らないで自らその発明をし,イ号物件を製造販売したものと認めるのが相当である。したがって,AM社は,本件特許発明について,イ号物件に具現されている技術思想と同一性を有する範囲内で先使用による通常実施権を有する。
この点,原告は,半導体製造装置の業界では,半導体メーカーと装置メーカーとが情報交換等を行い,その情報を基礎として装置の開発を行うことが頻繁に行われており,現に原告はAM社のビッグユーザーで,AM社と常に製造装置の改良等について情報交換を行ってきたものであるから,AM社がイ号物件を本件特許の優先日以前に製造したとしても,直ちにAM社の善意を推定できるわけではないなどと主張する。しかし,本件証拠上,原告が本件特許発明優先日よりも14月以上も前から,AM社と取引関係にあり,本件特許発明について情報提供をしていたことを窺わせるような事情は,何ら見あたらず,原告の主張は上記認定を左右するものではない。
( )被告は,本件特許発明について先使用による通常実施権を有するAM社2の製造販売にかかる上記( )ア )ないし )のイ号物件をAMJ社から購入 1adして,以後これらを使用しているものである。先使用権者が製造販売した製品を使用する行為が特許権侵害行為に当たらないことは明らかであるから,被告の上記行為が本件特許権を侵害するものではないことも明らかである。
第5結論以上によれば,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 設樂隆一
裁判官 間史恵
裁判官 古庄研
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