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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成15ワ23981補償金請求事件 判例 特許
平成16ワ11060職務発明の対価請求事件 判例 特許
平成16ワ26092特許権侵害差止請求事件 判例 特許
平成18ネ10077特許権侵害差止請求控訴事件 判例 特許
平成10ワ16832補償金請求事件 平成12ワ5572補償金請求事件 判例 特許
関連ワード 冒認出願(冒認) /  特許を受ける権利 /  承継 /  発明者 /  考案者 /  職務発明 /  業務範囲 /  発明行為 /  無償の通常実施権 /  相当の対価(相当な対価) /  準拠法 /  黙示の合意 /  技術的思想 /  物の発明 /  使用方法 /  新規性 /  共同開発 /  共同発明 /  進歩性(29条2項) /  同一技術分野(同一の技術分野) /  容易に発明 /  周知技術 /  慣用技術 /  公知技術 /  29条の2(拡大された先願の地位) /  上位概念 /  技術的範囲 /  出願公開 /  同一の発明 /  先行技術 /  発明の詳細な説明 /  補償金請求権 /  パリ条約 /  優先権 /  分割出願 /  実質的に同一 /  着想 /  警告 /  時効 /  ライセンス /  登録実用新案 /  抵触 /  意匠権 /  援用権(援用) /  存続期間 /  優先日 /  対象製品 /  技術的意義 /  均等 /  容易に想到(容易想到性) /  信義則 /  特許発明 /  実施 /  先使用権(先使用) /  加工 /  交換 /  属地主義 /  間接侵害 /  構成要件 /  専用品 /  のみ用いる /  課題解決に不可欠(課題の解決に不可欠) /  業として /  差止請求(差止) /  侵害 /  算定方法 /  販売数量(販売数) /  乗じた額 /  実施料 /  相当因果関係 /  共同発明者 /  実施権 /  通常実施権 /  実施許諾(実施の許諾) /  移転登録 /  対価 /  クロスライセンス /  拒絶査定不服審判 /  拒絶査定 /  拒絶理由通知 /  請求の範囲 /  拡張 /  変更 /  要旨変更 /  合理的な理由 /  費用の額 /  異議申立 / 
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事件 平成 17年 (ワ) 11007号 不当利得返還等請求事件
名古屋市<以下略>
原告X1 (以下「原告X1」という。) 愛知県尾張旭市<以下略>
原告X2 (以下「原告X2」という。)
原告ら訴訟代理人弁護士加藤洪太郎
同 夏目武志 名古屋市<以下略>
被告ブラザー工業株式会社
訴訟代理人弁護士熊倉禎男
同 佐尾重久
同 田中伸一郎
同 相良由里子
同 水沼淳
同 小和田敦子
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/04/18
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1主位的請求原告らの主位的請求をいずれも棄却する。
2予備的請求(1)原告らの予備的請求のうち,平成18年4月1日以降の被告の売上高に基づく相当対価及び同日以降得られた実施料収入に基づく相当対価に係る訴えをいず- 2 -れも却下する。
(2)被告は,原告X1に対し,2183万8142円及び別紙「認容金額一覧表」の「表1認容金額一覧表(原告X1)」記載の「支払時期」ごとの各「合計」に対する各「支払時期」から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3)被告は,原告X2に対し,1520万8131円及び別紙「認容金額一覧表」の「表2認容金額一覧表(原告X2)」記載の「支払時期」ごとの各「合計」に対する各「支払時期」から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4)原告らのその余の予備的請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用訴訟費用はこれを3分し,その2を原告らの,その余を被告の各負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求1主位的請求(1)被告は,原告X1に対し,1億円及びこれに対する平成16年2月21日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告は,原告X2に対し,1億円及びこれに対する平成16年2月21日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2予備的請求(1)被告は,原告X1に対し,2億円及び別紙「請求金額一覧表」の同原告欄記載の各内金に対する各支払期から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)被告は,原告X2に対し,2億円及び別紙「請求金額一覧表」の同原告欄記載の各内金に対する各支払期から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件は,ラベルライターに関して被告が有する特許権等に係る発明の発明者である原告らが,被告に対し,主位的に,上記各発明は職務発明に当たらないから,被告への特許等を出願する権利の承継は無効であり,特許権等の実施等により被告が得た利益は不当利得に当たると主張してその返還を求め,予備的に,上記承継につき,平成16年法律第79号による改正前の特許法35条3項又は実用新案法11条3項に基づき,職務発明又は職務考案の相当対価の一部を請求した事案である。
1前提事実(1)当事者ア原告X1は,昭和58年4月に被告に入社し,平成12年5月まで被告の従業者の地位にあった者であり,昭和58年11月から平成元年ころまでの間,市場調査部門であるライフリサーチセンター(以下「LRセンター」という。),商品事業企画部等において,市場調査及びそれに基づく開発商品コンセプトの提言勧告等の業務に従事していた。
イ原告X2は,昭和61年4月に被告に入社し,現在まで被告の従業者の地位にあり,同年7月から昭和63年9月まで,情報機器第3事業部企画管理グループ等において,マーケッティング活動及び商品開発・生産販売に関する基本方針の企画・立案業務等に従事していた。
ウ被告は,裁縫用ミシン機械,電気機械器具,電子機械器具,事務用機器等の製造販売等を目的する株式会社である。
(以上,争いのない事実,甲170,171,弁論の全趣旨)(2)本件各発明ア原告らは,被告の従業者である期間中に,別紙「特許・実用新案目録」記載のうち,それぞれ「発明者」又は「考案者」欄に原告名が記載されている権利に係る発明又は考案をした(以下,併せて「本件各発明」といい,個別の発明・考案を「第1発明「第3考案」のようにいい,その特許権又は実用新案権を「本件 」,各特許権」という。)。
イ被告は,本件各発明を,職務発明及び職務考案として,社内規程により原告らから特許又は実用新案登録を受ける権利を承継したとして,それぞれ特許出願又は実用新案登録出願をし,別紙「特許・実用新案目録」記載の特許又は実用新案を得た。
(以上,争いのない事実)(3)本件各発明の内容等ア第1発明(ア)第1発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである(以下,各構成要件を「構成要件1A」のようにいい,他の発明等においても同様に略称する。)。
1A文字や記号等を入力する入力部と,1Bその入力部により入力された文字や記号等の文字データを記憶するメモリ部と,1C前記入力部により入力された文字や記号等を表示する表示部と,1Dその背面から押圧されることで印字された像を被転写物に転写するためにレタリングテープ面に離型促進剤が塗布され,長尺状に形成された樹脂フィルムからなるレタリングテープと,1E着脱自在に装着され,前記レタリングテープ面に像を形成するためのインクリボンと,1F前記メモリ部に記憶された文字データに基づき,その文字データの示す文字や記号等の形状を反転させた鏡像を前記インクリボンを介してレタリングテープ面に印字する印字手段と,1G前記鏡像が印字されたレタリングテープを切断するカッタとを備えたことを特徴とする1H簡易レタリングテープ作製機(イ)出願審査の経緯昭和61年11月14日出願(特願昭61-272136)(甲46)昭和63年5月28日公開(特開昭63-125340)平成5年6月17日審査請求平成7年4月11日拒絶理由通知発送6月9日補正書,意見書提出12月13日出願公告平成8年3月8日異議申立て(W1)12日異議申立て(W2)13日異議申立て(W3)12月16日補正書,答弁書(乙8)提出平成9年7月22日特許異議弁駁書(W1)(甲60)平成10年8月4日異議決定(乙6),拒絶査定(乙5)発送9月8日査定不服審査請求10月7日補正書提出11月17日拒絶査定取消12月18日登録イ第2発明(ア)第2発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
2A透視性を有する第一のテープにインクリボンを介して,文字等を裏返しパターンの反転印字するサーマルヘッドを備えた印字機構と,2B前記第一のテープを送るテープ送り機構と,2C前記インクリボンを巻き取るリボン巻取機構と,2D前記印字機構,テープ送り機構およびリボン巻取機構を内部に収容するハウジングとを含み,かつ,2E前記テープ送り機構が,前記第一のテープを送る際に,第一のテープの反転印字が行われた印字面に,前記第一のテープの背景となるテープ基材とそのテープ基材の両側に設けられた粘着剤層とその粘着剤層の片側に予め粘着された剥離紙とから構成された第二のテープを圧着するとともに,その第二のテープが圧着された第一のテープを前記ハウジング外へ排出することを特徴とする2F反転印字を行うテープ印字装置(イ)出願審査の経緯昭和62年11月20日出願(特願昭62-294471)平成元年5月29日公開2年6月11日審査請求・補正書提出3年9月19日優先審査事情説明書提出(甲49)4年7月17日出願公告10月16日付与前異議申立(マックス)付与前異議申立(セイコーエプソン)5年5月31日答弁書提出(対マックス)(乙23)答弁書提出(対セイコーエプソン)(甲23)9月28日異議決定(乙24)・拒絶査定発送10月26日拒絶査定不服審判請求11月25日審判請求理由補充書(甲22)・補正書提出8年3月5日拒絶理由通知発送4月30日意見書・補正書提出9年7月25日拒絶理由通知発送8月12日補正書提出11月21日登録ウ第3発明(ア)第3発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
3A多数の印字素子からなる印字素子列の長さの範囲内でドットマトリックスにより印字テープに印字を行う印字ヘッドと,3Bその印字ヘッドに対して相対的に印字テープを前記印字素子列と交差する方向に送る送り装置とを備えた印字装置において,3C前記印字素子列の長さより小さいサイズのキャラクタを前記印字テープの長手方向に並べてキャラクタ列を印字する際に駆動される印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフトして,印字テープの幅方向の中央にキャラクタ列の印字を行わせるセンタ印字モードと,3D印字テープの幅方向に片側に寄せてキャラクタ列の印字を行わせる片側揃えモードとに3E変更する印字位置変更手段を設けたことを特徴とする3F印字位置の変更可能な印字装置。
(イ)出願審査の経緯昭和62年12月10日出願(特願昭62-312826)平成元年6月14日公開2年11月5日審査請求4年10月6日拒絶理由通知12月4日意見書・補正書提出5年7月7日出願公告10月4日付与前異議申立て6年7月11日答弁書・補正書提出8年6月4日補正却下決定9年2月18日異議決定4月18日登録13年8月28日無効審判請求(キングジム)14年2月8日無効審判請求取下げ(キングジム)エ第5発明(ア)第5発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
a特許請求の範囲第1項5A記録装置本体のハウジングと,5B透視性を有する記録媒体を媒体搬送路に沿って搬送し,前記ハウジング外へ送り出す搬送手段と,5C前記ハウジング外へ送り出される記録媒体を当該記録装置の使用者が前方から見た側の面を表面として,前記媒体搬送路に関して前記記録媒体の裏面側に配設され,前記記録媒体の裏面に対して記録材による記録を行う記録手段と,5D前記記録媒体の裏面側に形成される記録像が前記裏面側から見て左右反転した像となるように前記記録手段により反転記録を行わせる制御手段と,5E前記記録媒体の記録面に,片面に剥離紙が予め貼着された両面粘着テープの粘着面を貼り付ける手段とを備えることを特徴とする5F記録装置b同第2項5G前記記録媒体がテープ状を成しているとともに,5H前記搬送手段が前記記録媒体をその長手方向に沿って前記ハウジングの右から左へ搬送するものであり,5I前記記録手段は前記記録媒体の搬送方向と直交するドット列による記録を行うものである5J特許請求の範囲第1項記載の記録装置c同第3項5K前記記録材は,前記記録媒体と前記記録手段との間に介在されるインクリボンであるとともに,5Lそのインクリボンを搬送する手段をさらに備えた5M特許請求の範囲第1項記載の記録装置(イ)出願審査の経緯昭和62年12月21日出願(特願昭62-323429)平成元年6月27日公開平成3年9月5日審査請求・補正書提出19日優先審査事情説明書提出(甲61)4年7月17日出願公告10月16日付与前異議申立(マックス)付与前異議申立(セイコーエプソン)11月17日異議申立理由補充書(マックス)(乙25)5年5月31日答弁書提出(対マックス)(乙26)答弁書提出(対セイコーエプソン)(甲24)10月19日異議決定発送6年1月27日登録オ第3考案第3考案を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
6A所定の印字が施された印字テープを作成するテープ印字装置のためのテープカセットであって,6Bその印字テープの作成に必要な2種以上のテープが複数のスプールに巻かれ,6Cそれらのスプールがカセットケース内にそれぞれ回転可能に保持されるとともに,6Dそれらスプールの少なくとも1個がカセットケースに対して着脱自在とされていることを特徴とする6Eテープ印字装置用テープカセットカ海外特許1(EP315369号)海外特許1の請求項1〜3及び5〜9を構成要件に分説すると,別紙「海外特許1(EP315369号)の構成要件」のとおりである。
キ海外特許2(USP5168814号)海外特許2の請求項2〜9,11及び12を構成要件に分説すると,別紙「海外特許2(USP5168814号)の構成要件」のとおりである。
ク海外特許3(USP5009530号)海外特許3の請求項1,2,4〜9及び11を構成要件に分説すると,別紙「海外特許3(USP5009530号)の構成要件」のとおりである。
(以上,争いのない事実,甲1の1〜3・5・8,20の4・5・7)(4)本件被告製品ア被告は,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」記載の各製品(以下,併せて「本件被告製品」という。)を製造,販売している。
イ本体とテープカセットの関係本件被告製品のラベルライター本体とテープカセットは,テープカセットの構造により,TC型,TX型,TZ型及び株式会社タカラ(現在,株式会社タカラトミー)にOEM供給している「ルシール」に区分されており,同一の型内では,すべての本体とテープカセットをそれぞれ装着して使用できるが,型が異なるものは使用できない。
ウ本件被告製品の売上高本件被告製品の昭和63年度(昭和62年11月21日〜昭和63年11月20日)から平成15年度(平成15年4月1日〜平成16年3月31日)までの各会計年度ごとの売上高は,別紙「相当対価算定表(自己実施分)」の「表1-1本件被告製品の売上高」のとおりである。
(以上,争いのない事実)(5)第3発明の実施ア対象品群gの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の「第3発明」欄に「g」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群g」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群gのテープカセット」のようにいう。)は,別紙「被告製品目録g」のとおり,以下の構成を有する。ただし,第3発明がラベルライター本体だけについての発明であるかについては,後に判断する。
3aサーマル印字ヘッドを装備し,そのサーマル印字ヘッドは透明印字テープの搬送方向と直交する多数の印字素子列によって,その発熱素子列の範囲内で印字を行う仕組みとなっている。
3b本体のテープ送りローラーとテープカセット内の送りローラーが対を成して透明印字テープを挟み,透明印字テープをその長手方向に搬送する仕組みとなっている。
3c印字素子列の長さより小さいサイズの文字列を印字素子列の中央部に揃えて印字する「中揃え」モードを備えており,透明印字テープの中央に印字することが可能である。
3d小さいサイズの文字列を印字素子列の下側で印字する「下揃え」モードを備えており,透明印字テープの下側に印字することが可能である。
3e小さいサイズの文字列をテープの中央に印字する「中揃え」モードと,テープの下側に片揃えして印字する「下揃え」モードを選択する手段を備えている。
3f印字位置を変更する手段を備えたテープ印字装置である。
構成要件の対比対象品群gの構成3a〜3fは,それぞれ第3発明の構成要件3A〜3Fを充足するから,対象品群gは第3発明の技術的範囲に属する。
(以上,争いのない事実)(6)他社との実施契約及び交渉経緯アキングジム(ア)株式会社キングジム(以下「キングジム」という。)は,昭和63年11月以降,被告からOEM供給を受けた製品を「テプラ」の商標で販売していたが,平成4年12月から 「テプラプロ」の商標で,セイコーエプソン株式会社(以下 ,。 「セイコーエプソン」という。)に製造委託したラベルライターの販売を開始した,, (イ)被告は,キングジムに対し,平成12年4月4日 「テプラプロ」などが第3発明,第1発明及び原告らが発明者として記載されていない次の2つの特許権などラベルライターに関する特許権9件並びにスタンプ作成装置に関する特許1件を侵害しているとの警告書(甲25)を送付した。
a特許番号●(省略)●発明の名称●(省略)●出願日●(省略)●公開日●(省略)●登録日●(省略)●発明者●(省略)●(甲42。以下「キングジム警告権利7」という。)b特許番号●(省略)●発明の名称●(省略)●出願日●(省略)●公開日●(省略)●登録日●(省略)●発明者●(省略)●(甲43。以下「キングジム警告権利8」という。)(ウ)被告は,平成13年5月,東京地方裁判所に対し,第3発明及び他の2件の特許権に基づく請求権を被保全権利として 「テプラプロ」シリーズのラベルラ ,イター6機種(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」121〜126)の販売仮差止めを求める申し立てた。
(エ)被告とキングジムは,●(省略)●との契約を締結した(甲176。以下「キングジム契約」という)。その契約条項は,別紙「キングジム契約の契約条項」のとおりである。ただし,許諾対象権利に第2発明及び第5発明が含まれるか否かについては,争いがある。
(オ)キングジム契約に基づく平成18年6月20日分までの実施料収入のうち,ラベルライターに関するものは,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表1-1キングジムからの実施料収入」のとおりである。
(争いのない事実,甲25,26,42,43,176,弁論の全趣旨)イカシオ(ア)被告とカシオ計算機株式会社(以下「カシオ」という。)は,●(省略)●との契約を締結した(以下「カシオ契約」という)。その契約条項は,別紙「カシオ契約の契約条項」のとおりであり,●(省略)●と定められている。なお,許諾対象権利に第2発明,第5発明及び海外特許1〜3が含まれるか否かについては,争いがある。
(イ)カシオ契約に基づく平成18年9月30日分までの実施料収入は,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表2-1カシオからの実施料収入」のとおりである。
(以上,争いのない事実,弁論の全趣旨)ウダイモ社(ア)ドイツのEsselte Dymo GmbHとベルギーのEsselte Dymo NV2社(以下,両社を併せて「ダイモ社」という。)は,平成3年4月ころから,ラミネート式ラベルライターDYMO4000の販売を開始した。
(イ)被告は,同年10月28日,ドイツのミュンヘン地方裁判所に対し,●(省略)●(乙40の1。以下「ダイモ契約権利1」という。)に基づくDYMO4000の販売仮差止めを求める申立てをし,同年12月18日,仮差止めを認める決定を得た。
(ウ)被告とダイモ社は,●(省略)●ことを約した(以下「ダイモ契約」という。)。
(エ)ダイモ契約に基づく平成18年3月31日分までの実施料収入は,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表3ダイモ社からの実施料収入」のとおりである。
(以上,争いのない事実,甲131〜134,乙40の1〜4,弁論の全趣旨)(7)被告の発明報奨規程等及びそれに基づく支払ア被告の発明取扱規程及び発明報奨規程の内容(ア)a被告は,昭和58年に発明等取扱規程(乙50の1)及び発明報奨規程(乙50の2)を制定した。
b発明等取扱規程は,職務発明については,被告が工業所有権を受ける権利を承継し(3.1),上記工業所有権を受ける権利には,外国において工業所有権を受ける権利を含む旨規定していた(3.2)。
●(省略)●(イ)被告は,平成4年8月21日付けで発明報奨規程を改訂・施行し(乙51の2。以下「平成4年報奨規程」という。),●(省略)●こととした。
(ウ)さらに,同年12月25日に作成された発明報奨金に関する「運用マニュアル」(乙58。以下「平成4年運用マニュアル」という。)において,●(省略)●が規定された。
(エ)その後,被告の会計年度変更に伴い,平成9年12月支払の実績報奨対象期間は平成8年5月21日から平成9年3月31日までとし,その後は前年4月1日から当年3月31日までとされた(乙60の4(2)1)。
(以上,争いのない事実,乙50の1・2,51の2,58〜62)。
イ原告らに支払われた対価被告は,原告らに対し,本件各発明の実績報奨として,それぞれ別紙「実績報奨の支払状況」のとおりの金額を支払った。
(争いのない事実)(8)消滅時効援用の意思表示被告は,平成18年7月24日の本件第9回弁論準備期日において,後記3(12)の各消滅時効援用するとの意思表示をした。
2争点(1)争点1本件各発明は職務発明に当たるか。
(2)争点2(本件各発明の実施により被告が得た独占的利益)-1被告は本件各発明を実施しているか。
(3)争点2-2本件各特許権は無効か。
(4)争点2-3本体又はテープカセットの製造販売等と間接侵害(5)争点2-4超過売上高の算定(6)争点2-5利益率等(7)争点2-6仮想実施料率(8)争点3第三者からの実施料収入(9)争点4発明に対する被告の貢献度(10)争点5共同発明者間の寄与度(11)争点6相当対価の支払時期(12)争点7消滅時効(13)まとめ相当対価の結論3争点に関する当事者の主張(1)本件各発明は職務発明に当たるか(争点1)ア原告らの主張(ア)職務発明に当たらないことa被告は,ラベルライターの事業化に消極的であったから,本件各発明が被告の業務範囲に属するかは疑わしい。
b(a)原告X1は,本件各発明の当時,LRセンターにおいて各種市場調査を行い,そこで得た情報を各事業部にフィードバックすること及び各事業部の設計者,企画担当,営業担当等を召集してアイデア研修会議を開催し,これらの者に対してアイディア発想法の研修・教育支援を行う業務に従事していた。
(b)したがって,本件各発明のような発明行為を行うことは,予定された業務ではなかったから,本件各発明行為は,原告X1の職務に属していなかった。
c(a)原告X2の職務内容は,商品の利益や売上げを集計し,本社へ報告することであった。
(b)本件各発明のような発明行為を行うことは予定された業務ではなかったから,本件各発明をした行為は,原告X2の職務に属していなかった。
d以上によれば,本件各発明は,職務発明又は職務考案に当たらない。
(イ)被告の不当利得a本件各発明が職務発明等に該当しない以上,被告の発明等取扱規程による本件各発明につき特許等を受ける権利の原告らから被告への移転は,生じない。
bそうすると,被告は,本来原告らに帰属していた本件各特許権によって法律上根拠のない莫大な利益を上げ,その一方で原告らは損失を被っていたということになるから,被告はその不当利得を原告らに返還すべきである。
(ウ)不当利得額a被告は,本件各発明により,これまでに少なくとも●(省略)●万円以上の売上げを上げている。
bそして,売上げから原材料費を除いた粗利益は,●(省略)●円を下らないし,すべての経費を差し引いた純利益も,●(省略)●円は下らない。
c原告らは本件各発明を誕生させた中心人物であったから,被告は,純利益相当額●(省略)●円を,原告X1と原告X2に対して,それぞれ●(省略)●円ずつを不当利得として返還すべきである。
dよって,原告らは,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,一部請求として,各●(省略)●円のうち1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うよう求める。
イ被告の主張(ア)原告らの主張(ア)のうち,aは否認する。
同b(a)は認め,(b)は否認する。
同c(a)は認め,(b)は否認する。ただし,原告X2の職務がこれに限られるものではない。
同dは否認する。
原告らは 「P-touch」の開発について,主として市場調査・需要者のニ ,ーズの調査という観点から担当し,それを関連技術部門に意見具申をして参考にするという業務を行っていた。
本件各発明は,原告らの届け出により,被告の発明等取扱規程に基づき,被告会社に譲渡されている(乙4の1〜9,10,14,64の2・3・5・10・11)。
したがって,本件各発明は,いずれも職務発明又は職務考案である。
(イ)被告の不当利得同(イ)は否認する。
(ウ)不当利得額同(ウ)は否認する。
(2)被告は本件各発明を実施しているか(争点2-1)ア原告らの主張(ア)第1発明a対象品群aの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の「第1発明」欄に「a」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群a」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群aのテープカセット」のようにいう。)は,別紙被告製品目録aのとおり,以下の構成を有する。
1a文字や記号等を入力するための操作キーボードRを備えている。
1b備え付けのIC基板の一部がメモリー部Qとなっており,入力された文字や記号等の文字データを記憶する仕組みとなっている。
1c操作キーボードRによって入力された文字や記号等を表示するディスプレイNを備えている。
1dその背面から押圧されることで印字された像を被転写物に転写するために,レタリングテープ面に離型促進剤Pが塗布され,長尺状に形成された樹脂フィルムからなるレタリングテープOを備えている。
1eレタリングテープ面に像を形成するためのインクリボンAを備えており,ラベルライター本体に対し,レタリングテープOと一体として着脱自在に装着されている。
1fメモリー部Qに記憶された文字データに基づき,その文字データの示す文字や記号等の形状を反転させた鏡像をインクリボンを介してレタリングテープ面に印字するサーマル印字ヘッドBを備えている。
1g鏡像が印字されたレタリングテープを切断するテープカッターLを備えている。
1h簡易レタリングテープ作成機である。
b構成要件の対比(a)充足対象品群aの構成1a〜1hは,それぞれ第1発明の構成要件1A〜1Hを充足する。
(b)構成要件1Eの解釈「インクリボン」が「着脱自在に装着され」るとは,以下の理由のとおり,インクリボンがラベルライター本体に対し着脱自在に装着可能であれば足り,インクリボンがレタリングテープと共に着脱自在に装着される場合も含まれる。
構成要件1Eの文言には,被告主張のような限定はなく,文言どおり解すべきである。
構成要件1Eを被告主張のように解釈すると,第1発明の当初出願に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲を大幅に逸脱する。異議申立人からも,要旨変更に当たる旨主張されている(甲60の4頁参照)。
三被告は,インクリボンのみが着脱可能な製品を販売していないキングジムに対し,第1権利の侵害警告しており(甲25),その時点ではインクリボンがレタリングテープと共に着脱自在に装着される場合を含むと解していた。
四(一)後記被告の主張(ア)b(b)四(一)は認め,(二)は否認する。
(二)被告は,異議答弁書(乙8)の記載を指摘するが,インクリボンのみの交換によって1本のレタリングテープに複数色の印字をするためには,テープの一時停止手段,文字色変更範囲指定手段などが必要であり,第1発明に開示された技術のみでは不可能である。被告自身,カラフル印字を行うために必要な技術につき,特許第2979538号(甲100),特許第3028103号(甲101)という別の特許を取得している。
五特開昭61-211076号公報(乙7の2。以下「乙7の2刊行物」といい,他の公報等についても,同様に略称することがある。)には,単色やカラーの画像を転写シートに作成する方法が記載されており,その明細書3頁上段にはそのためのインキ組成が例示されているから,第1発明は,カラフルな印字ができるとの点では,公知技術との差異をもたらさない。
六後記被告の主張(ア)b(b)六は否認する。
(イ)第2発明a対象品群bの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の「第2発明・第5発明」欄に「b」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群b」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群bのテープカセット」のようにいう。)は,別紙「被告製品目録b」のとおり,以下の構成を有する。
2a透明の印字テープ@,インクリボンA,サーマル印字ヘッドB及びサーマル印字ヘッドが透明印字テープにインクリボンを介して文字等を反転印字する機構Cを有している。
2bテープ送りローラーDが透明の印字テープを送る機構となっている。
2cインクリボン巻取軸Eがインクリボンを巻き取る機構となっている。
2d前記印字機構,テープ送り機構及びインクリボン巻取機構を内部に収容する筐体Fを備えている。
2e剥離紙付き両面テープGを備え,テープ送りローラーDを兼ねた圧着ローラーHが透明印字テープ@を送る際に,透明印字テープの反転印字が行われた面に剥離紙付き両面テープGが圧着され,その圧着されたテープを筐体外に排出する機構を有している。両面テープGは,テープ基材Jとそのテープ基材の両側に設けられた粘着剤層Kとその粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
剥離紙付き両面テープGには,テープ基材Jが無色透明であるクリアタイプと,上記クリアタイプ以外の背景色があるものがある。背景色があるものは,テープ基材Jそのものは白色か無色透明であって,別に印刷層を設けて背景色を形成している。
2f反転印字を行うテープ印字装置である。
b構成要件の対比(a)充足対象品群bの構成2a〜2fは,それぞれ第2発明の構成要件2A〜2Fを充足する。
(b)構成要件2Eの解釈一クリアタイプについては,意匠においては色彩に「透明色」が含まれるし,被告自身も透明色をテープの色の1つとして扱っており(甲48) 「無色透,明」も背景色の1つであるから 「背景となるテープ基材」に当たる。 ,二構成要件2Eでは,第二のテープ基材を「背景」とする方法について限定されていないから,テープ基材自体に着色料を混ぜ込んで着色したもののみならず,テープ基材を印刷によって色付きとしたものも含まれる。
三後記被告の主張(イ)b(b)三(一)及び(二)は認め,(三)は否認する。
(ウ)第5発明a対象品群bの構成対象品群bは,以下の構成を有する。
5aテープ印字装置本体の筐体Fを備えている。筐体Fは,透明ではない。
5b透明の印字テープ@を備え,これがテープ送りローラーDにより,テープ搬送路Mに沿って搬送され,前記筐体外へ送り出される仕組みとなっている。
5cサーマル印字ヘッドBが,透明印字テープ@をユーザーが前方から見た側の面を表面とした場合の,テープ搬送路を境にして透明印字テープの裏面側に配設されており,透明印字テープ@の裏面にインクリボンAによる印字を行う仕組みとなっている。インクリボンAは,インクリボン巻取軸Eによって搬送される仕組みとなっている。
5d透明印字テープ@の裏面側に形成される印字像が,裏面側から見て左右反転の鏡像となるように,サーマル印字ヘッドBにより反転印字を行わせるよう制御される仕組みになっている。
5e片面に剥離紙Iがついた両面テープGを備えており,テープ送りローラーDを兼ねた圧着ローラーHが透明印字テープの印字面に,剥離紙付き両面テープの粘着面を貼り付ける機構を構成している。
5fテープ印字装置である。
5g構成5bの透明印字テープ@はテープ状である。
5h構成5bのテープ搬送手段は,透明印字テープをその長手方向に沿って筐体の右から左へ搬送する仕組みとなっている。
5i構成5c,5dのサーマル印字ヘッドBは透明印字テープ@の搬送方向と直交する印字素子列によって印字を行う仕組みとなっている。
5j(欠番)5k構成5cの記録材は,透明印字テープとサーマル印字ヘッドとの間に介在されるインクリボンAである。
5l構成5cのインクリボンAは,インクリボン巻取機構によって搬送される仕組みとなっている。
b構成要件の対比(a)特許請求の範囲第1項対象品群bの構成5a〜5fは,それぞれ構成要件5A〜5Fを充足する。
(b)同第2項構成5g〜5iは,それぞれ構成要件5G〜5Iを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群bは,請求項1の構成要件をすべて充足しているから,構成要件5Jを充足する。
(c)同第3項構成5kは構成要件5Kを,構成5lは構成要件5Lを充足している。
上記(a)のとおり,対象品群bは,請求項1の構成要件をすべて充足しているから,構成要件5Mを充足する。
(d)構成要件5Cの解釈構成要件5Cのハウジングは,透明なものに限定されない。
(エ)第3考案a対象品群fの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の「第3考案」欄に「f」と記載されたラベルライター本体と,インクカートリッジにテープカートリッジを装着した合体テープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群f」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群fのテープカセット」のようにいう。)は,別紙「被告製品目録f」のとおり,以下の構成を有する。
6a文字ラベルを作成するテープ印字装置@に装着して使用する合体カセットテープCであり,それはインクカートリッジAとテープカートリッジBを合体させたものである。
6b文字ラベルの作成に必要なインクリボンDがインクカートリッジA内のインクリボンのスプールEに巻かれ,同じく印字テープFがテープカートリッジB内の印字テープのスプールGに巻かれている。
6cテープカートリッジBをインクカートリッジA内に収納した状態で,印字テープのスプールGとインクリボンのスプールEがそれぞれ回転可能に装着されている。
6d印字テープFが巻かれてテープカートリッジB内に収納されているスプールが,合体カセットテープCから自在に取り外すことができるようになっている。
6eテープ印字装置用の合体カセットテープCである。
b構成要件の対比(a)充足対象品群fの構成6a〜6eは,それぞれ第3考案の構成要件6A〜6Eを充足する。
(b)構成要件6C,6Dの解釈一構成要件6C及び6Dにいう「カセットケース」とは,ラベルライター本体に装着する「カセット」を意味する。そして 「カセットケース」に対して着 ,脱自在なスプールとそれに巻かれたテープは,ケースに入れられていないことを要件としない。
したがって,対象品群fにおいて,上記「カセットケース」に該当するのは「合体カセットテープC」であり,スプールは,印字テープFがテープカートリッジBに収納されていても,着脱自在であることに変わりはない。
二被告が指摘する特開昭61-37461号公報(乙12)は,テープを巻き取ることが予定されていないため,筐体の左側から排出されたテープがどこに流れていくのかすら分からず,先行技術としての意義は不明である。
(オ)海外特許1(EP315369号)a対象品群nの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の「EP」欄に「n」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群n」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群nのテープカセット」のようにいう。)は,別紙「被告製品目録n」のとおり,以下の構成を有する。
(a)請求項1に対応する構成7a印字装置であり,以下の構成からなる。
7b装置のオペレーターに近い前面部分と,オペレーターから遠い後方部分を持っている装置本体。装置本体は,透明ではない。
7cテープカセットを本体にセットした状態では,カセットの一部と装置本体の一部が透明印字テープ@を送るテープ送り搬送路Mを構成する。このテープ送り搬送路Mが,装置本体の前面部分と後方部分の境界にある。そして,回転駆動する圧着ローラーHが透明印字テープ@を送るテープ送り機構Dとなっていて,その際に透明印字テープ@の一方の面がオペレーター側と対面するようになっている。
7d透明印字テープ@のオペレーター側から見て裏面に印字像を形成するサーマル印字ヘッドBが,装置本体の後方部分に配置されている。
7e透明印字テープ@の裏面側に,裏面側から見て印字された文字や記号が左右反転の鏡像となるようにサーマル印字ヘッドBにより反転印字を行うように制御している。その結果,透明印字テープ@の表側からは印字された文字等を正像で見ることができる。
(b)請求項2に対応する構成7fテープ送り搬送路Mとサーマル印字ヘッドBより前の方に,オペレーターの操作によって印字用のデータを入力できる操作キーボードRを備えている,7g上記(a)の各構成を有する印字装置である。
(c)請求項3に対応する構成7h剥離紙付き両面テープGを透明印字テープ@の印字面に貼り付けるための圧着ローラーHが,テープ送り搬送路M下流の出口付近に付設されている,7i上記(a)又は(b)の各構成を有する印字装置である。
(d)請求項5に対応する構成7j文字を記録する媒体が透明印字テープ@であり,7k印字テープの搬送手段が,本体に対して印字テープを左右横方向に送るテープ送り機構Dからなる,7l上記(a),(b)又は(c)の各構成を有する印字装置である。
(e)請求項6に対応する構成7mテープ送り搬送路Mを境界として前方(オペレーター側)から見た時に,透明印字テープ@がテープ送り機構Dによって右から左に送られる,7n上記(d)の各構成を有する印字装置である。
(f)請求項7に対応する構成7oテープ送り搬送路Mに沿って下流側には,印字テープを切断するためのテープカッターLが配置されている,7p上記(d)又は(e)の各構成を有する印字装置である。
(g)請求項8に対応する構成7qテープ送り搬送路Mに沿ってサーマル印字ヘッドBよりも下流側に,左右反転印字された透明テープの印字面に剥離紙付き両面テープGを重ね合わせ,その2つを挟み込んで強固に貼り合せる一対の圧着ローラーHを備える,7r上記(d)又は(e)の各構成を有する印字装置である。
(h)請求項9に対応する構成7sテープ送り機構Dがテープを貼り合わせる一対の圧着ローラーを兼ねており,7t圧着ローラーは電気モーターに連結されて回転駆動される仕組みとなっている。
7uさらにその圧着ローラーは,リリースレバー○22が下げられると,互いに接した圧着状態となり,リリースレバー○22が上げられると,互いに離れたリリース状態となる。このリリースレバーの上下操作により2つの状態が選択できる仕組みとなっている,7v上記(g)の各構成を有する印字装置である。
b対象品群nの構成要件の対比(a)請求項1対象品群nの構成7a〜7eは,それぞれ海外特許1の構成要件7A〜7Eを充足する。
(b)請求項2構成7fは,構成要件7Fを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群nは,請求項1の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Gを充足する。
(c)請求項3構成7hは,構成要件7Hを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群nは,請求項1の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Iを充足する。
上記(b)のとおり,対象品群nは,請求項2の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Iを充足する。
(d)請求項5構成7j,7kは,それぞれ構成要件7J,7Kを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群nは,請求項1の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Lを充足する。
または,上記(b)のとおり,対象品群nは,請求項2の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Lを充足する。
または,上記(c)のとおり,対象品群nは,請求項3の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Lを充足する。
(e)請求項6構成7mは,構成要件7Mを充足する。
上記(d)のとおり,対象品群nは,請求項5の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Nを充足する。
(f)請求項7構成7oは,構成要件7Oを充足する。
上記(d)のとおり,対象品群nは,請求項5の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Pを充足する。
または,上記(e)のとおり,対象品群nは,請求項6の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Pを充足する。
(g)請求項8構成7qは,構成要件7Qを充足する。
上記(d)のとおり,対象品群nは,請求項5の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Rを充足する。
または,上記(e)のとおり,対象品群nは,請求項6の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Rを充足する。
(h)請求項9構成7s〜7uは,それぞれ構成要件7S〜7Uを充足する。
上記(g)のとおり,対象品群nは,請求項8の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Vを充足する。
c対象品群nのまとめ以上のとおり,対象品群nは,海外特許1の請求項1〜3及び5〜9の各構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属する。
d対象品群oの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」の「EP」欄に「o」と記載されたラベルライター本体と,対象品群nのテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群o」といい,本体のみを指すときは「対象品群oのラベルライター本体」という。)は,別紙「被告製品目録o」のとおりである。
対象品群oは,パソコンに接続して使用する装置であり,文字や記号を入力する機能を持たないので,請求項2に対応する上記a(b)の7fの構成を有しないが,その余の構成は,以下のとおり,上記aの対象品群nの構成と同一である。
(a)請求項1に対応する構成7a′対象品群nの構成7aに同じ。
7b′同7bに同じ。
7c′同7cに同じ。
7d′同7dに同じ。
7e′同7eに同じ。
(b)請求項3に対応する構成7h′同7hに同じ。
7i′上記(a)の各構成を有する印字装置である。
(c)請求項5に対応する構成7j′同7jに同じ。
7k′同7kに同じ。
7l′上記(a)又は(b)の各構成を有する印字装置である。
(d)請求項6に対応する構成7m′同7mに同じ。
7n′上記(c)の各構成を有する印字装置である。
(e)請求項7に対応する構成7o′同7oに同じ。
7p′上記(c)又は(d)の各構成を有する印字装置である。
(f)請求項8に対応する構成7q′同7qに同じ。
7r′上記(c)又は(d)の各構成を有する印字装置である。
(g)請求項9に対応する構成7s′同7sに同じ。
7t′同7tに同じ。
7u′同7uに同じ。
7v′上記(f)の各構成を有する印字装置である。
e対象品群oの構成要件の対比(a)請求項1対象品群oの構成7a′〜7e′は,それぞれ海外特許1の構成要件7A〜7Eを充足する。
(b)請求項3構成7h′は,構成要件7Hを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群oは,請求項1の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Iを充足する。
(c)請求項5構成7j′,7k′は,それぞれ構成要件7J,7Kを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群oは,請求項1の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Lを充足する。
または,上記(b)のとおり,対象品群oは,請求項3の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Lを充足する。
(d)請求項6構成7m′は,構成要件7Mを充足する。
上記(c)のとおり,対象品群oは,請求項5の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Nを充足する。
(e)請求項7構成7o′は,構成要件7Oを充足する。
上記(c)のとおり,対象品群oは,請求項5の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Pを充足する。
または,上記(d)のとおり,対象品群oは,請求項6の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Pを充足する。
(f)請求項8に対応する構成構成7q′は,構成要件7Qを充足する。
上記(c)のとおり,対象品群oは,請求項5の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Rを充足する。
または,上記(d)のとおり,対象品群oは,請求項6の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Rを充足する。
(g)請求項9に対応する構成構成7s′〜7u′は,それぞれ構成要件7S〜7Uを充足する。
上記(f)のとおり,対象品群oは,請求項8の構成要件をすべて充足するから,構成要件7Vを充足する。
f対象品群oのまとめ以上のとおり,対象品群oは,海外特許1の請求項1,3及び5〜9の構成要件をそれぞれすべて充足し,その技術的範囲に属する。
g請求項8及び9に係る発明の発明者請求項8及び9に係る発明の発明者には,その願書に記載のとおり,原告X1及び原告X2が含まれる。
h海外特許についての法律論後記被告の主張(オ)hは争う。
(カ)海外特許2(USP5168814号)a対象品群jの構成本件被告製品のうち,別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の「USP」欄に「j」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群j」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群jのテープカセット」のようにいう。)は,別紙「被告製品目録j」のとおり,以下の構成を有する。
(a)請求項2に対応する構成8a以下の構成からなる,テープ印字装置である。
8b透明印字テープ@が,テープ送りローラーDにより,テープ搬送路Mに沿って搬送される。
8cサーマル印字ヘッドB側から透明印字テープ@を見た第1の方向からは印字像が左右反転となり,プラテンローラーS側から見た第2の方向からは正像で見えるように,反転印字を行わせる仕組みになっている。
8d透明印字テープ@の印字面に貼り付けられる剥離紙付き両面テープGが,両面テープ供給スプール○21に巻かれていて,テープ送りローラーDに巻き取られて供給される構造となっている。
8e剥離紙付き両面テープGは,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kとその粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
剥離紙付き両面テープGには,テープ基材Jが無色透明であるクリアタイプと,上記クリアタイプ以外の背景色があるものがある。背景色があるものは,テープ基材Jそのものは白色か無色透明であって,別に印刷層を設けて背景色を形成している。
8f透明印字テープ@の印字面に,剥離紙付き両面テープGの剥離紙が付いていない方の粘着面を重ね合わせて貼り付けるテープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHを備えている。
(b)請求項3に対応する構成8g圧着ローラーHは,剥離紙付き両面テープGと透明印字テープ@の印字層を挟む状態で加圧する一対のローラー構造となっている。
8hその一対のローラーで加圧されることにより,剥離紙付き両面テープGの粘着面が透明印字テープ@の印字面に重ね合わせて貼り付けられる。
8i上記(a)の各構成を有するテープ印字装置である。
(c)請求項4に対応する構成8jテープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHは,透明印字テープ@を送るとともに,8k透明印字テープ@と剥離紙付き両面テープGを貼り合わせ,さらにその積層テープを筐体外へと送り出す機能をも兼ねている,8l上記(b)の各構成を有するテープ印字装置である。
(d)請求項5に対応する構成8mサーマル印字ヘッドBと対向する位置にあるプラテンローラーSが,透明印字テープ@の送り方向と直行する向きに取り付けられた軸上で回転可能な状態で保持されている。
8nインクリボンAと透明印字テープ@は,サーマル印字ヘッドBとプラテンローラーSに挟まれて接するように保持され,8oインクリボンAと透明印字テープ@を送りながら,サーマル印字ヘッドBで印字を行う機構となっている,8p上記(a)の各構成を有するテープ印字装置である。
(e)請求項6に対応する構成8a′以下の構成からなる,テープに文字や記号を印字するテープ印字装置である。
8c′サーマル印字ヘッドB側から透明印字テープ@を見た第1の方向からは印字像が左右反転となり,反対のプラテンローラーS側から見た第2の方向からは正像で見えるように,反転印字を行わせる仕組みになっている。
8e′透明印字テープ@の印字面を保護するための剥離紙付き両面テープGが,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kとその粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
8f′透明印字テープ@の印字面に,剥離紙付き両面テープGの剥離紙が付いていない方の粘着面を重ね合わせて貼り付ける,圧着ローラーHを備えている。
8q透明印字テープ@を印字機構Cへ送り,さらに剥離紙付き両面テープGと共に圧着ローラーHへと送り,その2つのテープを圧着して積層テープを形成し,その積層テープを筐体F外へと送り出している,テープ送り機構Dを備えている。
(f)請求項7に対応する構成8g′テープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHは,剥離紙付き両面テープGと透明印字テープ@の印字層を挟む状態で加圧する一対のローラー構造となっていて,8h′その一対のローラーで加圧されることにより,剥離紙付き両面テープGの粘着面が透明印字テープ@の印字面に重ね合わせて貼り付けられる,8i′上記(e)の各構成を有するテープ印字装置である。
(g)請求項8に対応する構成8r剥離紙付き両面テープGと透明印字テープ@を搬送するテープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHが,電気モーターに連結されて回転駆動される仕組みとなっている,8s上記(f)の各構成を有するテープ印字装置である。
(h)請求項9に対応する構成8tテープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHは,そのローラーを駆動する電気モーターと,その駆動力をローラーに取り付けられたギヤに伝達するための中間ギヤ列により回転する駆動機構を備えている。
8uテープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHは,透明印字テープ@を挟んだ圧着状態で駆動し,テープカセットを着脱する際にはその一対の圧着ローラーが離れたリリース状態となる。
8vローラー同士が離れた状態ではそれぞれが駆動機構と切り離され,圧着した状態では駆動機構と連結され,蓋と連動したリリースバー○22によりその状態を切り替えることができる構造を有している。
8w上記(g)の各構成を有するテープ印字装置である。
(i)請求項11に対応する構成8a″以下の構成からなる,テープに文字や記号を印字するテープ印字装置。
8x使用者は,作成したい文字を所望の順番で操作キーボードRから入力することができる。
8b″透明印字テープ@が,テープ送り機構Dにより,テープ搬送路Mに沿って搬送され,筐体F外へ送り出される仕組みとなっている。
8c″入力された印字データに従って文字を所望の順番で透明印字テープ@に印字する際に,サーマル印字ヘッドB側から透明印字テープ@を見た第1の方向からは印字像が左右反転となり,反対のプラテンローラーS側から見た第2の方向からは正像で見えるように,反転印字を行わせる仕組みを備えている。
8e″印字された透明印字テープ@の印字面をカバーする剥離紙付き両面テープGは,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kとその粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いており,それが両面テープ供給スプール○21に巻かれていて,圧着ローラーHに供給される構造となっている。
8f″剥離紙付き両面テープGの剥離紙が付いていない方の粘着面を,透明印字テープ@の印字面に重ね合わせて貼り付けている圧着ローラーHを備えている。
(j)請求項12に対応する構成8a1以下の構成からなる,テープに文字や記号を印字するテープ印字装置。
8b1透明印字テープ@を,テープ長手方向に設けられたテープ搬送路Mに沿って一方向に搬送するテープ送りローラーDを備えている。
8c1透明印字テープ@を一方向に送りながら,その一方の面に対して,サーマル印字ヘッドB側から透明印字テープ@を見た第1の方向からは印字像が左右反転となり,反対のプラテンローラーS側から見た第2の方向からは正像で見えるように印字を行わせる仕組みを備えている。
8d1透明印字テープ@の印字面を保護するための剥離紙付き両面テープGが,両面テープ供給スプール○21に巻かれていて,テープ送りローラーDに巻き取られて供給される構造となっている。
8e1剥離紙付き両面テープGが,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kとその粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
8f1透明印字テープ@をテープ搬送路Mに沿って一方向に搬送するとともに,印字がされた透明印字テープ@の印字面に,剥離紙付き両面テープGの剥離紙が付いていない方の粘着面を重ね合わせて貼り付ける,テープ送り機構を兼ねる一対の圧着ローラーHを備えている。
b構成要件の対比(a)請求項2対象品群jの構成要件8a〜8fは,それぞれ請求項2の構成要件8A〜8Fを充足する。
(b)請求項3構成8g,8hは,それぞれ請求項3の構成要件8G,8Hを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群jは,請求項2の構成要件をすべて充足するから,構成要件8Iを充足する。
(c)請求項4構成8j,8kは,それぞれ請求項4の構成要件8J,8Kを充足する。
上記(b)のとおり,対象品群jは,請求項3の構成要件をすべて充足するから,構成要件8Lを充足する。
(d)請求項5構成8m〜8oは,それぞれ請求項5の構成要件8M〜8Oを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群jは,請求項2の構成要件をすべて充足するから,構成要件8Pを充足する。
(e)請求項6構成8a′,8c′,8e′,8f′,8qは,それぞれ請求項6の構成要件8A′,8C′,8E′,8F′,8Qを充足する。
(f)請求項7構成8g′,8h′は,それぞれ請求項7の構成要件8G′,8H′を充足する。
上記(e)のとおり,対象品群jは,請求項6の構成要件をすべて充足するから,構成要件8I′を充足する。
(g)請求項8構成8rは,構成要件8Rを充足する。
上記(f)のとおり,対象品群jは,請求項7の構成要件をすべて充足するから,構成要件8Sを充足する。
(h)請求項9構成8t〜8vは,それぞれ構成要件8T〜8Vを充足する。
上記(g)のとおり,対象品群jは,請求項8の構成要件をすべて充足するから,構成要件8Wを充足する。
(i)請求項11に対応する構成構成8a″,8x,8b″,8c″,8e″,8f″は,それぞれ請求項11の構成要件8A″,8X,8B″,8C″,8E″,8F″を充足する。
(j)請求項12に対応する構成構成8a1,8b1,8c1,8d1,8e1,8f1は,それぞれ請求項12の構成要件8A1,8B1,8C1,8D1,8E1,8F1を充足する。
cまとめ以上のとおり,対象品群jは,海外特許2の請求項2〜9,11及び12の構成要件をそれぞれすべて充足し,その技術的範囲に属する。
(キ)海外特許3(USP5009530号)a対象品群jの構成(a)請求項1に対応する構成9a印字装置であり,以下の構成からなる。
9b装置のユーザーに近い前方部分と,装置のユーザーから遠い後方部分を持っている装置本体。装置本体は,透明ではない。
9cカセットテープを本体にセットした状態では,カセットの一部と装置本体の一部が透明印字テープ@を送るテープ送り搬送路Mを構成する。このテープ送り搬送路Mが,装置本体の前方部分と後方部分の境界にある。そして,回転駆動する圧着ローラーHが透明印字テープ@を送るテープ送り機構Dとなっていて,その際に透明印字テープ@の一方の面がユーザー側と対面するようになっている。
9d装置本体の後方部分にインクリボンAがスプールに小巻にされて配置され,インクリボン巻取軸Eを回転させることにより,インクリボンがあらかじめ決められた搬送路の一部に沿って印字部に送られる。
9eサーマル印字ヘッドBが,本体の後方部分に固定されている。そして,インクリボンAが,サーマル印字ヘッドBと透明印字テープ@との間に搬送され,互いに接しながら,透明印字テープ@のユーザー側から見て反対の面に文字や記号などの印字像を印字する仕組みとなっている(印字機構C)。
9f装置本体の前方部分に,プラテンローラーSがサーマル印字ヘッドBと対峙するようにして設置され,このプラテンローラーSとサーマル印字ヘッドBで透明印字テープ@を挟んで支持している。
9g透明印字テープ@の裏面側に,裏面側から見て印字された文字や記号が左右反転の鏡像となるようにサーマル印字ヘッドBにより反転印字を行うように制御している。その結果,透明印字テープ@の表側からは印字された文字等を正像で見ることができる。
9h剥離紙付き両面テープGは,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kと,その粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
9i印字された透明印字テープ@は,テープ送り搬送路Mに沿って出口方向に進むと,剥離紙付き両面テープGと共に貼り付け機構である圧着ローラーHに巻き込まれ,その印字面に剥離紙付き両面テープGの粘着面(剥離紙が無い方)を重ねて貼り合わされるようになっている。
(b)請求項2に対応する構成9jテープ送り搬送路Mとサーマル印字ヘッドBより前の方に,ユーザーの操作によって印字用のデータを入力できる操作キーボードRを備えている,9k上記(a)の各構成を有する印字装置である。
(c)請求項4に対応する構成9l透明印字テープ@は,テープ送り搬送路Mを境界として前方から見た時に,テープ送り機構Dによって右から左に送られる,9m上記(a)の各構成を有する印字装置である。
(d)請求項5に対応する構成9nテープ送り搬送路Mに沿って下流側には,印字テープを切断するためのテープカッターLが配置されている,9o上記(a)の各構成を有する印字装置である。
(e)請求項6に対応する構成9p透明印字テープ@の印字面に剥離紙付き両面テープ(G)を貼り合わせる貼り付け機構は,テープ搬送路Mの下流側に設けられた一対の圧着ローラーHからなり,9q透明印字テープ@の印字面と剥離紙付き両面テープGの片方の粘着面が重ね合わさる状態でその一対の圧着ローラーHに巻き込まれて加圧され,透明印字テープ@の印字面と剥離紙付き両面テープGの粘着面が強固に貼り合わされるようになっている,9r上記(a)の各構成を有する印字装置である。
(f)請求項7に対応する構成9sテープ送り機構Dがテープを貼り合わせる一対の圧着ローラーHを兼ねており,9t圧着ローラーHは電気モーターに連結されて回転駆動される仕組みとなっている,9uさらに,その圧着ローラーHは,リリースレバー○22が下げられると,互いに接した圧着状態となり,リリースレバー○22が上げられると,互いに離れたリリース状態となる。このリリースレバー○22の上下操作により2つの状態が選択でき,テープの着脱がスムーズに行える仕組みとなっている,9v上記(e)の各構成を有する印字装置である。
(g)請求項8に対応する構成9a′テープ印字装置であり,以下の構成からなる。
9b′装置のユーザー近い前方部分と,装置のユーザーから遠い後方部分を持っている装置本体。
9c1′ほぼ透明な透明印字テープ@。
9c2′カセットテープを本体にセットした状態では,カセットの一部と装置本体の一部が透明印字テープ@を送るテープ送り搬送路Mを構成する。このテープ送り搬送路Mが,装置本体の前方部分と後方部分の境界にある。そして,回転駆動する圧着ローラーHが透明印字テープ@を送るテープ送り機構Dとなっていて,その際に透明印字テープ@の一方の面がユーザー側と対面するようになっている。
9e′サーマル印字ヘッドBが装置本体の後方部分に配置され,透明印字テープ@のユーザー側から見て反対の面に印字像を形成する。
9g′透明印字テープ@の裏面側に,裏面側から見て印字された文字や記号が左右反転の鏡像となるようにサーマル印字ヘッドBにより反転印字を行うように制御している。その結果,透明印字テープ@の表側からは印字された文字等を正像で見ることができる。
9h′剥離紙付き両面テープGは,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kと,その粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
9i′印字された透明印字テープ@は,テープ送り搬送路Mに沿って出口方向に進むと,剥離紙付き両面テープGと共に貼り付け機構である圧着ローラーHに巻き込まれ,その印字面に剥離紙付き両面テープGの粘着面(剥離紙が無い方)を重ねて貼り合わされるようになっている。
(h)請求項9に対応する構成9p′透明印字テープ@の印字面に剥離紙付き両面テープGを貼り合わせる貼り付け機構は,テープ搬送路Mの下流側に設けられた一対の圧着ローラーHからなり,9t′透明印字テープ@の印字面と剥離紙付き両面テープGの粘着面を加圧し,それを更に装置本体の外へ排出するために,その一対の圧着ローラーHの一方は電気モーターに連結されて回転駆動する仕組みとなっている,9r′上記(g)の各構成を有するテープ印字装置である。
(i)請求項11に対応する構成9a″記録装置であり,以下の構成からなる。
9b″装置のユーザーに近い前方部分と,装置のユーザーから遠い後方部分を持っている装置本体。
9e″装置本体の後方部分に,ドットマトリックス方式の一種であるサーマル印字ヘッドを含む印字機構Cが配置され,ほぼ透明な透明印字テープ@にあらかじめ決められた方向にテープを送りながら像を記録するようになっている。
9f″プラテンローラーSは,透明印字テープ@が送られる方向とは垂直の方向にテープ幅より拡張されており,装置本体の前方部分に配置され,かつ透明印字テープ@の送り方向と直行する向きに取り付けられている。そのプラテンローラーSは,透明印字テープ@の装置前方側の面と接し,サーマル印字ヘッドBと挟む形でそのテープを支持している。
9c″サーマル印字ヘッドBとプラテンローラーSは共に本体に支持されて1つのブロックとなっていて,透明印字テープ@の方が,テープ送り機構Dにより印字する方向に沿って搬送される。その結果,サーマル印字ヘッドBとプラテンローラーSの集合体と透明印字テープ@は,印字方向に沿って相対的に動くことになる。
9g″透明印字テープ@の裏面側に,裏面側から見て印字された文字や記号が左右反転の鏡像となるようにサーマル印字ヘッドBにより反転印字を行うように制御している。その結果,透明印字テープ@の表側からは,印字された文字等を正像で見ることができる。
9h″剥離紙付き両面テープGは,テープ基材Jとその両側に設けられた粘着剤層Kと,その粘着剤層の片側に剥離紙Iが付いた構造となっている。
9i″印字された透明印字テープ@は,テープ送り搬送路Mに沿って出口方向に進むと,剥離紙付き両面テープGと共に貼り付け機構である圧着ローラーHに巻き込まれ,その印字面に剥離紙付き両面テープGの粘着面(剥離紙が無い方)を重ねて貼り合わされるようになっている。
b構成要件の対比(a)請求項1対象品群jの構成9a〜9iは,それぞれ海外特許3の構成要件9A〜9Iを充足する。
(b)請求項2構成9jは,構成要件9Jを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群jは,請求項1の構成要件をすべて充足しているから,構成要件9Kを充足する。
(c)請求項4構成9lは,構成要件9Lを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群jは,請求項1の構成要件をすべて充足しているから,構成要件9Mを充足する。
(d)請求項5構成9nは,構成要件9Nを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群jは,請求項1の構成要件をすべて充足しているから,構成要件9Oを充足する。
(e)請求項6構成9p,9qは,それぞれ構成要件9P,9Qを充足する。
上記(a)のとおり,対象品群jは,請求項1の構成要件をすべて充足しているから,構成要件9Rを充足する。
(f)請求項7構成9s〜9uは,それぞれ構成要件9S〜9Uを充足する。
上記(e)のとおり,対象品群jは,請求項6の構成要件をすべて充足しているから,構成要件9Vを充足する。
(g)請求項8構成9a′9b′,9c1′,9c2′,9e′,9g′,9h′及び9i′は,それぞれ構成要件9A′9B′,9C1′,9C2′,9E′,9G′,9H′及び9I′を充足する。
(h)請求項9との対応構成9p′,9t′は,それぞれ構成要件9P′,9T′を充足する。
上記(g)のとおり,対象品群jは,請求項8の構成要件をすべて充足しているから,構成要件9R′を充足する。
(i)請求項11との対応構成9a″,9b″,9e″,9f″,9c″,9g″,9h″,9i″は,それぞれ構成要件9A″,9B″,9E″,9F″,9C″,9G″,9H″,9I″を充足する。
cまとめ以上のとおり,対象品群jは,海外特許3の請求項1,2,4〜9及び11の構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属する。
イ被告の主張(ア)第1発明a原告らの主張(ア)a(対象品群aの構成)は,明らかに争わない。
b(a)同b(構成要件の対比)(a)(充足)のうち,構成1eが構成要件1Eを充足することは否認し,その余は明らかに争わない。
対象品群aは,レタリングテープに対してインクリボンが単独で着脱自在である構成を有しないから,構成要件1Eを充足しない。
(b)同b(b)(構成要件1Eの解釈)は否認する。
以下の理由から,構成要件1Eの「着脱可能に装着され」たインクリボンとは,レタリングテープに対してインクリボンが単独で着脱自在であることを意味する。
一同一は否認する。
二同二は否認する。インクリボンが上記の意味で着脱自在であることは,当初の明細書に明記されており,カラフルなレタリングテープが編集可能になることは,作用効果の問題であるから,要旨変更の問題は生じない。
三同三は明らかに争わない。
四(一)被告は,平成8年12月13日付け(同月16日受付)の補正書によって,構成要件1Eを追加し,同日付け異議答弁書(乙8)において 「また,本願,発明の簡易レタリングテープ作製機は,インクリボンが着脱自在に装着されるが,例えば,種々の色のインクリボンを用意し,インクリボンを適宜交換しつつレタリングテープに印字を行えば,所望の色の文字や記号がレタリングテープに印字され,きわめて簡単に被転写物に転写した像をカラフルなものとすることができます 」。
(3頁下から3行〜4頁2行)と主張し,さらに,異議申立人が引用した特開昭55-156980号公報(乙7の1)と特開昭61-211076号公報(乙7の2)を組み合わせても 「インクリボンを着脱自在に装着することまでは想起できず,上 ,記のようにインクリボンを適宜交換しつつ印字を行うことにより,きわめて簡単にカラフルな転写像を得ることは全く期待できません 」(4頁7行〜10行)と主張 。
した。
(二)このように,被告は,第1発明の審査過程において,同一のレタリングテープに対してインクリボンを適宜交換しつつ印字してカラフルな印字を行うために,インクリボンを「着脱自在」とすると主張したのであり,権利範囲もそのように限定されている。
(三)原告らは,第1発明のみによってカラフル印字を実現することは技術的に不可能であると主張するが,単に煩瑣で実用的でないとはいえても,技術的には可能である。
五第1発明は,特開昭55-156980号公報(乙7の1)と特開昭61-211076号公報(乙7の2)に開示された発明に併せ 「加熱を伴わない転写 ,技術「転写材に離型剤を塗布すること「転写紙背面からの押圧で転写するこ 」, 」,と」及び「インクリボンを着脱自在とすること」がいずれも慣用技術であることを考慮すれば進歩性がないとして,平成10年8月4日,拒絶査定を受けた(乙5,6)。
被告は,これに対し,拒絶査定不服審判を請求するとともに,構成要件1Gの「前記鏡像が印字されたレタリングテープを切断するカッタ」を追加する補正を行い,ようやく特許査定を受けた。
しかし,特開昭61-143163号公報(乙18)には,印字されたテープを切断する「カッター5」を備えたサーマル式のテープ印字装置が開示されている(2頁左下欄4行目以下,第1図及び第2図)。
このように,第1発明の構成要件は,上記3つの公知文献にほとんど開示されており,無効の可能性が高いから,その構成要件は限定的に解釈する必要がある。
六印字テープとインクリボンをカセット内に収納して着脱自在とする技術は,特開昭55-11899号公報(乙22の1)及び特開昭53-35735号公報(乙22の2)に開示されている周知技術であるから,第1発明はそのような構成を含まない。
(イ)第2発明a原告らの主張(イ)a(対象品群bの構成)は,明らかに争わない。
b(a)同b(構成要件の対比)(a)(充足)のうち,構成2eが構成要件2Eを充足することは否認し,その余の充足は明らかに争わない。
クリアタイプは,構成要件2Eのうち「背景となるテープ基材」を充足しない。
上記クリアタイプ以外の背景色があるものも,テープ基材そのものは白色か無色透明であって,別に印刷層を設けて背景色を形成しているため,テープ基材自体は背景色を設定していない。
(b)一同(b)(構成要件2Eの解釈)一は否認する。構成要件2Eは,第二のテープの基材自体に,第一のテープの背景となる色付きのものを用いることを意味し,無色透明のテープや,背景色を得るための印刷層や粘着剤層を設けたテープを含まない。
第2発明の明細書(甲2の2)には 「…第二のテープのテープ基材が第一のテー ,プの背景となるので,所望の色の第二のテープを用いることにより,印字部分の背景色を自由に設定することに可能となる 」(3欄37行〜40行,補1頁右欄下 。
から4行〜末行)と記載されている。
二同二は否認する。
後記乙11の5刊行物には,粘着層を着色してテープ基材の背景とする技術が開示されているところ,粘着層を着色することと,テープ基材に印刷層を設けて着色することは作用効果上格別の差異はなく,実質的に同一である。かかる公知例にかかわらず第2発明が登録されたことにかんがみれば,その権利範囲は,テープ基材そのものが背景となったものに限られる。
三(一)被告は,マックス株式会社(以下「マックス」という。)からの異議申立てに対する平成5年5月31日付け答弁書(乙23)において 「…甲第5号証,(注:特開昭53-70700号公報。乙11の5)には両面粘着テープのベーステープを色付きのテープとして記録の背景色を設定することが記載されていないので,本願発明の構成には到達し得ない。甲第5号証には…基材を色付きとすることは記載されていないのである。粘着層を色付きとすることにより均一な背景色を得るより,ベーステープ(基材)を色付きとして均一な背景色を得る方が技術的に容易である 」(7頁11行〜8頁1行)と主張した。 。
(二)これに対し,特許庁は,特許異議決定(乙24)において,両面テープの粘着層とテープ基材のいずれを着色して背景とするかは設計的事項であるとした。
そこで,被告は,拒絶査定不服審判を提起するとともに,平成5年11月25日付け審判請求理由補充書(甲22)において 「…これら6つの文献の記載からもベ ,ーステープを色付きとして均一な背景を得るという技術思想は得られない。これら6つの文献に記載されている粘着シート,テープ等は,基材とそれを他の物品に貼り付けるための粘着剤層とを含み,それら基材と粘着剤層とのいずれか一方が着色されたものであり,粘着剤層自体をベーステープの両面に粘着剤層を形成したものとに変え,かつ,そのベーステープを色付きとすることは,これら6つの文献のいずれにも記載されていないのである 」(11頁10行〜20行)と主張した。 。
(三)このように,被告は,第2発明の出願過程において,第2発明はテープ基材そのものを有色とすることが特徴であって,粘着剤層にせよ,着色する印刷層にせよ,テープ基材に設けられた別の層を背景とする構成を除外すると主張し,その結果,特許査定を受けた。
(ウ)第5発明a原告らの主張(ウ)a(対象品群bの構成)は,次の点を否認し,その余は明らかに争わない。
(a)対象品群bのラベルライター本体のうち,PT-18N(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)96の一部)は,印字ヘッドが表面側に配置されているから,構成5cとは異っている。
(b)対象品群bのラベルライター本体のうち,PT-240(同95)では,垂直に立てられた状態のテープが手前から奥に送り出されるから,構成5hとは異なっている。
(c)対象品群bのラベルライター本体のうち,パソコン接続専用モデルであるPT-PC(同36),PT-9200PC(同83),PT-2500PC(同85),PT-1500PC(同86),PT-2420PC(同87),PT-9500PC(同88)及びLabelloPC(同188)は,専らパソコンと接続して使用するため,文字の制御機構を有しないから,構成5dとは異なっている。
b(a)同b(構成要件の対比)(a)(請求項1)のうち,構成5cが構成要件5Cを充足することは否認する。テープ印字装置の筐体Fには,ハウジングが透明なものはないから,対象品群bは,構成要件5Cを充足しない。
さらに,一部の製品につき,上記a(a)及び(c)のとおり,構成要件5C,5Dを充足することは否認し,その余は明らかに争わない。
(b)同b(b)(請求項2)のうち,上記(a)の否認に加え,一部の製品につき,上記a(b)のとおり,構成要件5Hを充足することは否認し,その余は明らかに争わない。
(c)同b(c)(請求項3)については,上記(a)のとおり否認し,その余は明らかに争わない。
(d)同b(d)(構成要件5Cの解釈)は否認する。
後記(3)ア(ウ)の無効理由を回避するためには,構成要件5C記載の「前記ハウジング外へ送り出される記録媒体」は,ハウジング内にある「媒体搬送路」内の記録媒体であり 「使用者が前方から見た側」との文言から,このハウジング内の記 ,録媒体を使用者が実際に見えることを必要とすると限定して解すべきである。第5発明の明細書(甲2の5)には 「第2図に戻つて,印字部14は開閉自在な透明カ ,バーケース69によって覆われ,このケース69もハウジング12の一部を構成している 」(6欄40行〜42行)と記載されており,この記載からも,この透明カ 。
バーケース69を通して,印字部14により印字されてハウジング内の媒体搬送路に位置する文字が見える点が必須構成要件であると解釈し得る。
第5発明の提案書(乙14)にも 「印字部は透明のアクリルカバーで覆われて ,いるためテープの残量や印字された文字が見える」(4頁)との効果が記載されており,上記のように解釈することは,発明者の意図にも合致する。
(エ)第3考案a原告らの主張(エ)a(対象品群fの構成)は,明らかに争わない。
b(a)同b(構成要件の対比)(a)(充足)は,構成6cが構成要件6Cを充足すること及び構成6dが構成要件6Dを充足することは否認し,その余の充足は明らかに争わない。
対象品群fのカートリッジは,印字テープFとそのスプールG等がテープカートリッジBに,インクリボンDとそのスプールE等がインクカートリッジAにそれぞれ収納され,両者を合体させて合体カセットテープCとして使用するものであって,各スプールは各カートリッジに設けられていて着脱自在となっていないから,構成要件6Dを充足しない。
(b)同b(b)(構成要件6C,6Dの解釈)は否認する。
構成要件6Cは,単一のカセットケースに複数のスプールが保持されていることを意味する。そして,構成要件6Dの「スプールの少なくとも1個がカセットケースに対して着脱自在とされている」とは,その文言から明らかなように,スプールがカセットに対し着脱自在となっていなければならない。
第3考案の明細書(甲2の8)の<考案が解決しようとする問題点>(3欄24行〜33行),<問題点を解決するための手段>(3欄34行〜44行)及び各図面の記載からも,1個のテープカセットに2種類以上のテープが備えられていることが前提である。
二特開昭61-37461号公報(乙12)には,印字テープを収納するカセットとインクリボンを収納するカセットとを着脱可能に組み合わせたテープ印字装置用複合カセットが既に開示されていたから,これとの対比からも,第3考案は,複合カセットではなくスプール自体が着脱可能なものと解すべきである。
(オ)海外特許1(EP315369号)a原告らの主張(オ)a(対象品群nの構成)のうち,ラベルライター本体のPT-2420PC(別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」87)が構成7eを有することは否認し,その余は明らかに争わない。
上記ラベルライター本体は,パソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うため,構成7eを有しない。
b同b(対象品群nの構成要件の対比)のうち,構成7eが構成要件7Eを充足することは否認する。前記(ウ)b(d)と同様に,装置本体は透明ではないから,対象品群nは,構成要件7Eを充足しない。
また,構成7uが構成要件7Uを充足することは否認する。構成要件7Uは,「貼り付けテープを前記記録媒体の裏面に貼り付ける」(請求項3)場合に圧着ローラーとして使用する状態と 「貼り付けテープ」を使用しない場合に単なるテープ ,送り機構として使用する状態を規定したものである。
さらに,対象品群nのうちPT-2420PC(同87)は,上記aのとおり,構成要件7Eを充足しない。
その余は明らかに争わない。
c同c(対象品群nのまとめ)は否認する。
d同d(対象品群oの構成)のうち,対象品群oのラベルライター本体が構成7e′を有することは否認し,その余は明らかに争わない。対象品群oのラベルライター本体は,パソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うため,構成7e′を有しない。
e同e(対象品群oの構成要件の対比)は,構成7e′が構成要件7Eを充足することは否認する。前記(ウ)b(d)と同様に,装置本体は透明ではないから,対象品群oは,構成要件7Eを充足しない。
また,構成7u′が構成要件7Uを充足することは否認する。
さらに,対象品群oは,上記dのとおり,構成要件7Eを充足しない。
その余は明らかに争わない。
f同f(対象品群oのまとめ)は否認する。
g請求項8及び9に係る発明の発明者(a)海外特許1は,複合優先権主張をして出願されたもので,発明者も複合しているから,各請求項ごとに発明者を確定する必要がある。
(b)請求項8及び9に係る発明の発明者は,A(以下「A」という。)のみである。
すなわち,請求項8及び9は,一対の押圧ローラと駆動源とを有するテープ送り機構と,その一対のローラの圧着・離間を行う切替手段とを備えたことに関する発明である。この送り機構と切替手段に関する機構図面(Fig.10,Fig.12)は,第5発明の提案書(乙14)の第4図,第5図と同一であるが,この図面は,Aの発案により同人が作成したものである。
h海外特許についての法律論(a)外国において特許を受ける権利承継対価請求については,特許を受ける権利の成立又は移転の問題と法性決定し,その準拠法は,当該外国における特許法である。
すなわち,特許権には属地主義が適用され,特許権についての属地主義の原則とは,各国の特許権が,その成立,移転,効力等につき当該国の法律によって定められるところ,特許を受ける権利は,発明によって発生する権利であり,特許権を取得する前提となるものであって,特許を受ける権利にも,上記属地主義の原則が適用されるから,従業者の発明に係る特許を受ける権利の成立,移転についても,各国の特許法によって定められる。
(b)したがって,外国において特許を受ける権利の譲渡には,特許法35条の適用はない。
(カ)海外特許2(USP5168814号)a原告らの主張(カ)a(対象品群jの構成)のうち,PT-PC(別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」36),PT-9200PC(同83),PT-2500PC(同85),PT-1500PC(同86)及びPT-9500PC(同88)(以下,これらの5機種を「本件パソコン接続専用モデル」という。)が構成8c,構成8c′,構成8c″及び構成8c1を有することは否認し,その余は明らかに争わない。上記ラベルライター本体は,パソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うため,構成8c,構成8c′,構成8c″及び構成8c1を有しない。
b同b(構成要件の対比)のうち,構成8uが構成要件8Uを充足すること及び構成8vが構成要件8Vを充足することは否認する。請求項9に係る発明は,貼付け用の印字テープとレタリング用の転写テープを選択的に作成するために 「駆,動源が圧着ローラー駆動機構から切り離され,前記圧着ローラーが非操作状態にある第1位置と,前記駆動源が圧着ローラー駆動機構に繋がれ,前記圧着ローラーが操作状態にある第2位置とを選択できる切り換え手段を持つこと」(構成要件8V)を要件としているところ,構成8vはかかる切り換え手段に当たらない。
また,構成8e,8e′,8e″,8e1がそれぞれ構成要件8E,8E′,8E″,8E1を充足することは否認する。これらの構成要件は,前記(イ)bと同様に,カバーテープの基材自体に,記録テープの背景となる色付きのものを用いることを意味し,無色透明のテープや,背景色を得るための印刷層や粘着剤層を設けたテープを含まない。
さらに,対象品群jのうち,本件パソコン接続専用モデルは,上記aのとおり,構成要件8Cを充足しない。
その余は明らかに争わない。
c同c(まとめ)は否認する。
(キ)海外特許3(USP5009530号)a原告らの主張(キ)a(対象品群jの構成)のうち,ラベルライター本体のうち本件パソコン接続専用モデルが構成9g,構成9g′及び構成g″を有することは否認し,その余は明らかに争わない。
上記ラベルライター本体は,パソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うため,構成9g等を有しない。
b同b(構成要件の対比)のうち,構成9g,9g′,9g″がそれぞれ構成要件9G,9G′,9G″を充足することは否認する。前記(ウ)b(d)と同様に,装置本体は透明ではないから,対象品群jは,構成要件9G等を充足しない。
本件パソコン接続専用モデルが構成要件9Gを充足することは否認する。
その余は明らかに争わない。
c同c(まとめ)は否認する。
(3)本件各特許権は無効か(争点2-2)ア被告の主張(ア)第2発明a乙11の1刊行物第2発明の出願前に公開された刊行物である特開昭59-95169号公報(乙11の1)には,下記の技術が開示されている。
(a)一被印字媒体として,透明な記録用紙13が設けられている。
二乙11の1刊行物の出願前に公開された特開昭55-156980号公報(乙11の2)に,テープ状用紙にサーマルヘッドにより印字する技術が開示されていることからすれば,記録用紙13がテープを含むことは明らかである。
三テープは,構成要件2Aの「透過性を有する第一のテープ」に該当する。
(b)一記録用紙13に転写紙14を介して反転・転写印刷するサーマルヘッド11を備えた印刷機構が設けられている。
二転写紙14は,構成要件2Aの「インクリボン」と同一である。
三また,印刷機構とは,データに基づき印刷する技術であるところ,文字データが入力されれば文字が印刷されるのであるから,構成要件2Aの「印字機構」を含むことは明らかである。
(c)一乙11の1刊行物には 「カラー転写印刷の行なわれている情報内容は ,透明な記録用紙13側,すなわち第4図中下側よりみる。従って,転写印刷のデータは,第2図の場合と逆に取り扱うようにしておく必要がある 」(2頁右下欄11。
行〜15行)と記載されている。
二これは,構成要件2Aの「反転印字」と同一である。
(d)乙11の1刊行物には,後記(i)のとおり,構成要件2Bの「テープ送り機構」に相当する構成が開示されている。
(e)一転写紙14を巻き取る巻取り機構については,乙11の1刊行物の第3図に図示されている。
二 これは,構成要件2Cの「リボン巻取機構」と同一である。
(f)一乙11の1刊行物は 「熱転写型印刷装置」に関する発明である。 ,二よって,印刷機構,テープ送り機構及び転写紙巻取り機構がハウジング内に収納されていることは,当業者にとって明らかである。
(g)一印字機構により記録用紙13に印字された結果,印字層18,18′,18″が形成されている。
二これは,構成要件2Eの「第一のテープの反転印字が行われた印字面」と同一である。
(h)一上記記録用紙13に接着される台紙17が設けられており,その片面に, は,記録用紙13と接着するための接着剤19が設けられている。この台紙17は透明でも不透明でもよい旨記載されているから(3頁左上欄4行目以下),台紙が不透明の場合は,記録用紙の背景となり得る。
二したがって,台紙17は,構成要件2Eの「テープ基材」に該当する。
三しかし,乙11の1刊行物は,@「第一のテープの背景となる」点については明示的に触れられていない点,A「両側に設けられた粘着剤層 ,B「その」粘着剤層の片側に予め粘着された剥離紙」を有しない点で相違する。
(i)一乙11の1刊行物には,記録用紙13の印字面に台紙17を接着する加熱ローラ15,16が開示されている。
二そして,記録用紙13に順次印刷するためには,記録用紙を送らなければならないところ,乙11の1刊行物には 「記録用紙13と…転写紙14とが送り ,込まれ」(2頁右上欄9行目以下)と 「記録用紙と台紙とを加熱ローラ15と16と ,の間に送り込み」(2頁左下欄15行目以下)と記載されている。
三加熱ローラ15,16が回転しながら記録用紙13と台紙17を加圧して圧着するのであるから,加圧しながら回転する摩擦力により送られていくことは,当業者にとっては明らかである。
四なお,このような加熱ローラにて送りを行うことは,実開昭59-83547号のマイクロフィルム(乙11の4)にも開示されており,当業者にとっては公知の技術である。
五したがって,乙11の1刊行物には,構成要件2Eの「前記テープ送り機構が,前記第一のテープを送る際に「第二のテープを圧着する」ことは開示さ 」,れている。
六乙11の1刊行物には,C圧着された記録用紙と台紙がハウジングの外へ排出されるか否かの技術までは開示されていない点で相違する。
(j)乙11の1刊行物には,以上から構成されることを特徴とする反転印字を行う印刷装置が開示されており,構成要件2Fと同一である。
b乙11の5刊行物第2発明の出願前に公開された刊行物である特開昭53-70700号公報(乙11の5)には,下記の技術が開示されている。
(a)一乙11の5刊行物には,被印字体である連続基材(1)は 「透明又は不,透明なプラスチックフィルム又は紙等の連続基材(1)」(3頁左上欄7行〜8行)との記載がある。
二よって,乙11の5刊行物には,構成要件2Aの「透視性を有する第一のテープ」と同一の技術が開示されている。
(b)一連続基材(1)の印刷された面には,後記(g)のとおり,剥離層(5)と粘着層(6)を具備したテープが重合されるところ,乙11の5刊行物には 「全ての実,施例にわたり,粘着層は透明又は不透明又は着色されたもののいずれの粘着層も使用する事が可能である。透明な基材に不透明又は着色された粘着層を用いる事により,粘着層がラベルの地色の一色として作用し,印刷インクの節約となる。不透明な基材を用いる用途においては,粘着層は着色されていても透明な事が必要であることは自明である 」(4頁左上欄5行〜12行)と記載されている。 。
二この記載からすれば,乙11の5刊行物には,連続基材(1)の印刷されていない面から印字部分を見る場合と,連続基材(1)の印刷された面に接着された剥離層(5)及び粘着層(6)を具備したテープ側から印字部分を見る場合の双方が可能な技術が開示されている。
三そうすると,当業者であれば,前者の場合は反転印字をしなければならないと理解できる。
四しかし,乙11の5刊行物には,印刷装置(2)の具体的な構成は開示されていない。
(c)一乙11の5刊行物には,前記連続基材(1)を印刷装置(2)へ送り,かつ印刷後に貼合せ装置(4)によって粘着層(6)に重合する技術,及びその後連続基材(1)は巻取り装置(11)により巻き取られる技術が開示されている。
二貼合せ装置(4)の回転圧力と巻取り装置(11)のいずれで送りを行っているのかは確定できないが,構成要件2Bの「テープ送り機構」が開示されている。
(d)乙11の5刊行物では,印刷するに際しインクリボンを使用しているか否かは明らかでなく,構成要件2Cが開示されているとはいえない。
(e)一乙11の5刊行物には,前記印刷装置(2),巻取り装置(11)を備えるラベル製造装置との記載がある。
二これらの記載からすれば,当業者であれば,これらを収容するハウジングが存在すると考えるのは容易である。
(f)一乙11の5刊行物には,印刷装置(2)により連続基材(1)に印刷された印刷面(3)が形成されることは明示されている。
二この記載は,構成要件2Eの「第一のテープの反転印字が行われた印字面」を開示している。
, (g)一乙11の5刊行物には,剥離層(5)と粘着層(6)を具備したテープを。 連続基材(1)の印刷面(3)に重合し,印刷面(3)を保護する技術が開示されているそして,特許請求の範囲第4項には 「粘着層が透明なフィルムを支持体とした両面 ,粘着テープ」とする技術が開示されており,連続基材(1)に重合されるテープの構成として 「透明なフィルム」があり 「その透明なフィルムの両側に粘着層」が設 , ,けられ 「その粘着層の片側に予め貼着された剥離紙(5)」からなる技術が開示され ,ている。
二これは,構成要件2Eの「前記第一のテープの背景となるテープ基材とそのテープ基材の両側に設けられた粘着剤層とその粘着剤層の片側に予め粘着された剥離紙とから構成された第二のテープ」と同一である。
(h)構成要件2Eの「テープ送り機構が…圧着する」点については,乙11の5刊行物に開示されているとは断定はできない。
(i)以上から,乙11の5刊行物には,第一のテープ上に印字をし,当該印字面を第二のテープを接着させて保護することを特徴とするラベル製造装置が開示されている。
c従来技術以下のとおり,テープに印字する電子化されたコンパクトなラベルライター装置や,その主要技術は,第2発明を含む本件各発明の出願前,既に公知であった。
(a)テープに印字する装置一乙18刊行物特開昭61-143163号公報(乙18)には 「小型であっても,プリント結 ,果がどのような大きさの用紙への印字にも対応できる廉価なワードプロセッサ装置」(2頁左上欄14行〜17行)として,本体に入力部,記憶装置,制御装置を備え,テープに印字するための固定したサーマル印字ヘッド,裏面に糊が付けられたテープ上のプリンタ用紙及びこれを移動させつつ印字し,カッターで切断する技術が開示されている。
二乙13の4刊行物特開昭61-37447号公報(乙13の4)には 「メモリ機能を有し,いつで ,もメモリーに書きこんだ記憶されている文章,文字,記号,数字,線等をボタン操作のみで編集しながら簡単に粘着テープに印字する携帯性の良いラベル印刷機」(2頁左下欄13行〜17行)として,貼り付け可能な粘着テープに印字する電子手帳型のテープ印字装置が開示されている。
三乙7の1刊行物特開昭55-156980号公報(乙7の1)には,コンパクトなテープ印字装置において,文字を入力すること,記憶装置及び制御装置を備えていること,テープに印字すること,サーマル印字ヘッドを用いること,CPUにより電子制御することなどが開示されている。
(b)反転印字反転印字の点は,特開昭61-31260号公報(乙11の3)のほか,後記(ウ)bのとおり,乙13の4刊行物及び後記乙13の5刊行物に開示されている。
(c)ラミネートテープとその作製装置ラミネートタイプのテープ及びそれを作製する装置は,乙11の5刊行物のほか,下記の刊行物に開示されている。
一乙13の4刊行物二特開昭53-60600号公報(乙19の1)三USP4068028(乙19の2)四USP4419175(乙19の3)(d)テープ基材の着色テープを着色する際にテープ基材を着色することは,実開昭58-140149号のマイクロフィルム(乙135)に記載されている。
d相違点についての判断乙11の1刊行物に開示された発明に,乙11の5刊行物に開示された発明及び上記c従来技術を組み合わせて,又は乙11の5刊行物に開示された発明に,乙11の1刊行物に開示された発明及び上記c従来技術を組み合わせて,第2発明のように構成することは,当業者にとって容易なことであった。
eまとめ以上のとおり,第2発明は,多くの公知技術の存在により,無効になる可能性が極めて高い権利である。
(イ)第3発明a新規性の欠如(乙16刊行物)(a)第3発明の出願日(昭和62年12月10日)より前である昭和61年12月に公刊されたマーリンエクスプレスのユーザーズガイド(乙16)には,以下の記載がある。
一7頁には,構成要件3Aの「印字ヘッド」に相当する「Thermal Print Head」が記載されている。
二49頁には,構成要件3Bの「送り装置」に相当する「rollers」が記載されている。
三23,24頁には 「Changing The Baseline For Multiple Font Tex ,t」と題して,文字列の配置位置を変更する機能についての説明がされている。
23頁の第1段落には 「フォントモジュールにおける各フォントカードの各文 ,字スタイル及びサイズは印字テープの垂直方向の中央に配置されます。例えば,文字が配列される基準線または仮想線は,活字の大きさが小さい場合にはテープの中央寄りに,大きい場合にはテープの下方寄りに配置されます 」と記載され,さら。
に,同第2段落には 「もし異なるフォントスタイル及び/またはサイズの基準線 ,を調整しなかった場合,印字テキストは各異なるフォントサイズ毎に自動的に中央に配置されます 」と記載されている。 。
四23頁の2,3段落には,テキストを中央に配置すると 「テキストの,見ためは”上がったり,下がったり”することになります。…全ての文字を同一の仮想線上に配置する固定基準を選択することによって,フォントを組み合わせる時のこのような問題を解決することができます 」と記載され,固定基準の例示とし 。
て,大きな文字列「Merlin」と小さな文字列「Express」の「p」を除く文字の下端が揃った文字列の図が記載されている。
これは,固定基準を選択することにより,テープ下方の1つの仮想線上にすべての文字を配置することができることを示すものであり 「全ての文字をテープの片 ,側下方に寄せて配置する機能」について記載されている。
五24頁には,その8頁の図9において「ENTER」で指示されているENTキーを押した後,文字Cをタイプすることにより,固定基準を中央基準に戻すことが記載されている。したがって 「センター印字モード」と「片側揃えモー ,ド」とを変更することが可能であると記載されている。
(b)第3発明との対比一上記(a)一の記載は,構成要件3Aと同一である。
二上記(a)二の記載は,構成要件3Bと同一である。
三上記(a)三の記載は,構成要件3Cの「センタ印字モード」に相当し,これと同一である。
すなわち,乙16刊行物には,マーリンエクスプレスにおいて印字を行うのは,本体に固定され,かつテープの送り方向と直交した方向に一列に配置された発熱素子を有するサーマルヘッドであることが記載されている(7頁)。
乙16刊行物(23頁〜24頁)には 「MerlinExpress」の文字 ,を例にして,中央の位置から下の位置に,サーマルヘッドの印字素子列の長さ方向にシフトされて印字されていることが明確に図示されている。
したがって,当業者であれば 「キャラクタ列を印字する際に駆動される印字素 ,子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフト」することにより<中央合わせ>と<下合わせ>を行う技術が開示されていると理解できる(乙17の5頁,8頁参照)。
四上記(a)四の記載は,構成要件3Dの「片側揃えモード」に相当し,これと同一である。
五上記(a)五の記載は,構成要件3Eと同一である。
(c)まとめしたがって,第3発明は,乙16刊行物にすべて開示されているから,新規性を欠如し,無効である。
b進歩性の欠如(乙16刊行物と乙134刊行物)(a)第3発明の出願日より前に公開された刊行物である特開昭56-162659号公報(乙134)には,9本の印字素子中のどの範囲の4本の印字素子を駆動するかにより,キャラクタの印字位置を変更すること(3頁左下欄6行〜右下欄6行,第10図)が記載されている。
(b)したがって,構成要件3Cの「キャラクタ列を印字する際に駆動される印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフト」することが乙16刊行物に開示されておらず,この点が相違点に当たるとしても,乙134刊行物と組み合わせて第3発明に想到することは,当業者にとって容易であったから,第3発明は進歩性を欠如する。
c無効理由の知悉なお,第3発明の発明者の一人であるB(以下「B」という。)は,乙16刊行物及びこれを被告従業員が検討した文書(乙17)の内容を,すなわち無効理由の存在を知りながら,第3発明の提案書(乙64の11)を作成し,被告に提出している。
このような第3発明は,信義則上も,被告は権利行使できないし,発明者の相当対価請求を認めるべきではない。
(ウ)第5発明a進歩性の欠如1(乙13の4刊行物)(a)乙13の4刊行物の記載第5発明の出願日(昭和62年12月21日)より前に公開された乙13の4刊行物には,以下の記載がある。
一記録装置本体であるハウジングが第2図に図示されている。
二3頁右上欄17行目以下には 「…透明テープベースにすれば,添付す ,る物体の表面に直接印刷してあるように見える 」と記載されており,透明な印字 。
テープを用いることが開示されている。また,第3図には,印字されたラベル19を搬送路に沿ってハウジングの外に送り出すラベル送出ローラー21が開示されている。
三第2図には,印字されたラベル19が,送り出される方向に対して,使用者が表面から見ることができるように構成されている。また,第3図には,プリンターヘッド22がラベルの搬送路に対して裏面側に配設されており,搬送されるラベル19の裏面に印字する技術が開示されている。
四印字については,制御装置により制御される。
(b)第5発明との対比一上記(a)一の記載は,構成要件5Aと同一である。
二上記(a)二の記載は,構成要件5Bと同一である。
三上記(a)三の記載は,構成要件5Cと同一である。
四上記(a)四の記載及び次の開示によれば,構成要件5Dと同一の構成が開示されている。
(一)反転印字については,第3図には使用者から見て裏面に印字することが図示され,第2図には正面から見て正像に見えることが図示されているから,反転印字制御をしていることは,自明である。第2図のテープが捻じられていることを示すものはない。
(二)また,前記(a)二のとおり,3頁右上欄17行目以下には 「透明テー,プベースにすれば,添付する物体の表面に直接印刷してあるように見える 」と記。
載されており,当業者であれば反転印字と理解できる。
(三)乙13の4刊行物の出願日である昭和59年7月31日当時,反転印字の技術が当業者にとって公知であったことは,特開昭59-95169号公報(乙11の1。昭和59年6月1日公開),特開昭59-131478号公報(乙13の5。昭和59年7月28日公開),特開昭59-70079号公報(乙13の6。
昭和59年4月20日公開),特開昭55-3983号公報(乙13の7。昭和55年1月12日公開)からも明らかである。
(四)粘着剤に印字できることは,USP4068028号公報(乙19の2)に開示されている。
構成要件5Eに相当する構成は開示されていない(相違点)。
(c)相違点についての判断一乙11の5刊行物には,透視性を有する記録媒体の記録面に両面粘着テープを貼り付けることが開示されている。
二乙13の4刊行物に開示された発明に,乙11の5刊行物に開示された, 発明及び前記(ア)cの従来技術を組み合わせて,第5発明のように構成することは当業者にとって容易なことであった。
(d)まとめしたがって,第5発明は,進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由を有する。
b進歩性の欠如2(乙13の5刊行物)(a)乙13の5刊行物の記載第5発明の出願前に公開された刊行物である特開昭59-131478号公報(乙13の5)には,以下の記載がある。
一第1図には,印字用紙1を搬送路に沿って送り出す送り出し装置2及び引取り装置3が開示されている。
また 「インクリボン,インクジェット等の裏面の印字が表面にて発色しない形 ,式にあっては,印字用紙は半透明のものが採用され 」(2頁右上欄1行〜4行)と ,記載されている。
したがって,構成要件5Bの「透視性を有する記録媒体」が実質的に開示されている。
二印字用紙1は,送り出される方向に対して使用者が表面から見ることができるように構成されている。また 「活字ブロック5は,印字用紙1の裏面側に ,配され…」(2頁右上欄17行,18行) 「活字ブロックの活字の形態はいわゆる ,逆文字(一般には「右文字」ともいう。)で,通常の活字とは左右逆の状態に作られており,印字用紙1の裏面に印字したとき表面に正常の文字として現われるようになつている 」(2頁左下欄2行〜7行)との記載がある。 。
三上記二の記載によれば,裏面に左右反転印字される技術が明示されている。
「制御手段」については明確な記載がないが 「近年電子計算機の発達に伴い各 ,種の印字装置が開発されてきた 」(1頁左欄最終行,右欄1行)とあるところ,電 。
子計算機が制御装置を有することは,自明である。
(b)第5発明との対比一ハウジングについては,乙13の5刊行物に具体的に開示されていないが,乙13の4刊行物や乙11の2刊行物に開示されており,この種の印刷装置には当然備わっているものである。
したがって,構成要件5Aは実質的に開示されている。
二上記(a)一の記載に併せ,上記一のとおりハウジングが当然備わっていることからすれば,構成要件5Bが実質的に開示されている。
三上記(a)二の記載は,構成要件5Cと実質的に同一である。
第5発明の記録手段としてサーマルヘッドを使用することは,実施例にすぎない。
また,乙13の5刊行物の印字ブロックは 「活字ブロック5の印字形式は公知の ,もので,すでに挙げられたインクリボン,インクジェット,加圧あるいは加熱によるもの等」(2頁右上欄19行目〜左下欄1行)いずれでも可能であると記載されており,サーマルヘッドを使用するものを含んでいる。
四上記(a)三の記載は,構成要件5Dと実質的に同一である。
構成要件5Eに相当する構成は開示されていない(相違点)。
(c)相違点についての判断乙11の5刊行物の記載は,前記(ア)bのとおりであり,透視性を有する記録媒体の記録面に両面粘着テープを貼り付けることが開示されている。
乙13の5刊行物に開示された発明に,乙11の5刊行物に開示された発明及び前記(ア)cの従来技術を組み合わせて,第5発明のように構成することは,当業者にとって容易なことであった。
(d)まとめしたがって,第5発明は,進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由を有する。
(エ)海外特許1(EP315369号)a発明の内容海外特許1に係る各発明は 「透明媒体送り手段,インクリボン送り手段及び記 ,録手段の相互の配置関係,及び記録手段による透明媒体への左右反転印字によりオペレータが正像認識できるようにしたこと」を特徴としている。
この特許は,下記一と二の日本出願を優先権主張の基礎としているが,請求項1〜8に記載されている発明は,一の出願には開示されておらず,二に開示されている。
一実願昭62-167673号(実開平1-72361号)(乙77)1987年10月31日出願二特願昭62-323429号(特開平1-163073号)(第5発明)1987年12月21日出願b進歩性の欠如第5発明は,前記(ウ)のとおり,進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由を有する可能性が極めて高いから,その対応特許である海外特許1に係る各発明も,無効になる可能性が高い。
c新規性の欠如(ヨーロッパ特許条約54条3項)(a)EP319209号(1994年4月27日登録。甲20の11)は,第5発明の出願日である昭和62(1987)年12月21日より前である同年11月28日の優先日を有し,指定国も独・仏・英・伊と海外特許1と同一である。
海外特許1の請求項1〜3及び5〜7の内容は,EP319209号の明細書及び図面に記載されている。
(b)欧州特許319209号の明細書及び図面の内容は,欧州特許条約54条3項の規定により,本件欧州特許の従来技術(技術水準)とみなされる。
(c)したがって,海外特許1の請求項1〜3及び5〜7に係る発明は新規性を有しておらず,無効である。
(d)なお,残りの請求項8及び9の発明は,上記(2)イ(被告の主張)(オ)g(b)のとおり,原告らの発明ではなく,Aの発明である。
dまとめ以上のとおり,海外特許1に係る発明のうち,原告らを発明者とする発明は,無効である。
(オ)海外特許2(USP5168814号)a発明の内容海外特許2に係る各発明は,透明テープの一方の面に左右反転印字を行い,その印字面をカバーテープにて覆うため,基材とその基材の両面に粘着層が形成され,かつその粘着層の一方に剥離層が形成されているカバーテープを,前記透明テープの印字に重合して貼り合わせることを特徴としており,第2発明にほぼ対応している。
b新規性又は進歩性の欠如(a)第2発明は,前記(ア)のとおり,無効の可能性が極めて高いから,その対応特許である海外特許2に係る各発明も,装置発明である請求項9以外の請求項2〜8,11,12に係る発明は,無効になる可能性が高い。
(b)請求項9に係る発明は,前記(2)イ(被告の主張)(カ)bのとおり,被告は実施していない。
cまとめ以上のとおり,海外特許2に係る発明のうち,被告が実施している特許は無効である。
(カ)海外特許3(USP5009530号)a発明の内容海外特許3に係る発明の内容は 「あらかじめ決められたテープ送り通路に対し ,てオペレータ側と離れた側に配置された固定サーマルヘッドにより,オペレータ側から見て正常イメージになるように,左右反転したイメージが透明テープに印字され,その印字面が,印字部より下流側において,基材の両面に形成された粘着層とその粘着層の一方に形成された剥離層とを有するバッキングテープ(backing tape)にて重合されること」を特徴としており,第5発明とほとんど同一である。
b進歩性の欠如第5発明は,上記(ウ)のとおり,先行文献である乙13の4刊行物,乙11の5刊行物等から,無効の可能性が極めて高いから,その対応特許である海外特許3に係る各発明も,無効になる可能性が高い。
cまとめしたがって,海外特許3は無効である。
(キ)無効に関する主張のまとめ以上のとおり,第2発明,第3発明,第5発明及び海外特許1〜3は,いずれも無効理由を有するから,被告はこれらの特許権を行使することは許されないものであって,対価請求の基礎となる「独占の利益」も生じない。
イ原告らの主張(ア)第2発明a乙11の1刊行物(a)被告の主張(ア)a(a)のうち,二は否認し,一及び三は認める。
乙11の1刊行物における記録用紙は,その図面からも明らかなように,OHP用紙のような透明なカットシートであり,テープではない。
(b)同(b)は明らかに争わない。
(c)同(c)のうち,一は認め,二は否認する。
乙11の1刊行物は,カラーインクを重ねて印刷する印刷装置であるところ,被告が指摘する記載部分は,見る方向によって各色の印刷順を変えることを示唆するものであって,反転印字とは無関係である。
(d)同(d)は,後記(i)のとおり。
(e)同(e)は明らかに争わない。
(f)同(f)のうち,一は認め,二は否認する。
乙11の1刊行物は,相当大がかりな機械装置であり,ハウジング内に収納されていることが当業者にとって明らかとはいえない。
(g)同(g)は明らかに争わない。
(h)同(h)は明らかに争わない。
(i)同(i)のうち,一,二は認め,三は否認し,四は明らかに争わず,五は否認し,六は認める。
乙11の1刊行物に開示された発明において,加熱ローラが回転しながら記録用紙を送ることはできず,必ず別の機構を必要とする。
(j)同(j)は否認する。
b乙11の5刊行物(a)被告の主張(ア)b(a)一は明らかに争わず,二は否認する。
乙11の5刊行物は,印刷会社などにおいて,商品用ラベルなどを大量に印刷する大型印刷機械に関するものであり,ラベルライターとはかけ離れたものである。
(b)同(b)のうち,一及び四は認め,二は印刷ではなく印字をすることは否認し,その余は認め,三は否認する。
(c)同(c)のうち,一は認め,二は否認する。
第2発明のラベルライターにおいては,印字テープ,インクリボン,両面粘着テープ,サーマルヘッドの印字制御,圧着ローラを正確に同期させて制御する必要があるが,乙11の5刊行物は単なる印刷装置であるため,印字のタイミングを正確に制御する必要がないから,連続基材の供給スプールと巻取りスプール,粘着剤付き剥離紙の供給スプールと巻取りスプールをどのように同期して作動するか,一切記載が無く,この点が決定的に異なる。
(d)同(d)は認める。
乙11の5刊行物は,後記(f)のとおり,版で印刷を行うものであり,インクリボンを使用することはあり得ない。
(e)同(e)のうち,一は認め,二は否認する。
乙11の5刊行物は,印刷工場で用いられる床置き型の巨大な印刷機械であり,通常,版のセット,インクの充填,ダイカット(型打ち抜き)で溜まったかすを頻繁に取り除く必要があることからして,装置全体を覆うハウジングがあるとは考えられない。
(f)同(f)のうち,一は認め,二は否認する。
乙11の5刊行物に開示された発明は,印刷装置に関するものであり,印字装置と同一ではない。文字等をデータの指示に従ってドットマトリックスを通じて打ち出す「印字」の場合は,サーマルヘッド,インクリボン,データ制御などを必要とするが 「印刷」はこれと異なり,決められた「版」を型どおりに印刷するもので ,ある。また,印刷の場合は,透明な基材を通して印刷結果を見る場合,乙11の5刊行物にも記載されている凸版,フレキソ,グラビアなどの方法で印刷すれば足り,「反転」を行う必要はない。
(g)同(g)は明らかに争わない。
(h)同(h)は明らかに争わない。
(i)同(i)は否認する。
c従来技術(a)テープに印字する装置被告の主張(ア)c(a)は,明らかに争わない。
ただし,乙18刊行物及び乙7の1刊行物に開示されているのは,原始的なテープ装置であり,テープの耐久性に関する問題意識を有しない。
乙13の4刊行物については,後記(ウ)bのとおり。
(b)反転印字同c(b)のうち,反転印字の技術が乙11の3刊行物に開示されていることは明らかに争わず,乙13の4刊行物及び乙13の5刊行物に開示されていることは否認する。
後記(ウ)aのとおり,乙13の4刊行物は反転印字を採用していないし,後記(ウ)bのとおり,乙13の5刊行物は,反転印字の具体的な手段を記載していない。
(c)ラミネートテープとその作製装置一同c(c)は否認する。
二乙13の4刊行物は,後記(ウ)aのとおり,ラミネートテープを作成するものではない。
三乙19の1刊行物は,粘着剤と文字の結合力を文字と透明フィルムの結合力よりも強くし,透明フィルムが剥がされても印刷された文字が対象物に残るよう,粘着剤と印字文字の化学組成を調整する方法に関する発明である。粘着剤を裏面に塗布することが予定されているところ,小型の機械では,本体内に湿潤な部分を持つと動作や長期保存の面で不都合が生じるため,品質保証の観点から採用できない。
また,このラミネートは,文字の上にセロテープのような透明テープを手動で被せるという原始的なものにすぎない。
四乙19の2刊行物は,粘着部分に印刷を行ってラベルを作製するものであるが,同じラベルを大量印刷する場合の技術であり,特に湿った通常の印刷用インクを用い,輪転機ドラムにより印刷を行う場合でなければ使用できない。仮にサーマル印字ヘッドを使用すると,ヘッドに粘着剤が付着して故障し,しかも,印刷された部分が粘着性を失うことになる。
五乙19の3刊行物は,印刷又は手書きのシートかテープ類の上面からセロテープ状の透明なテープを被せ,手送りでテープを完成させるという方法をその内容としている。単にセロテープの貼り付けを手動の装置を用いて行うという程度の意味しかなく,実用性も乏しい。
(d)テープ基材の着色同(ア)c(d)は明らかに争わない。
d相違点についての判断同dは否認する。
eまとめ同eは否認する。
(イ)第3発明a新規性の欠如(乙16刊行物)(a)被告の主張(イ)a(a)は認める。
(b)同a(b)のうち,一,二及び五は明らかに争わず,三及び四は否認する。
(c)同a(c)は否認する。
b進歩性の欠如(乙16刊行物と乙134刊行物)(a)同b(a)は,明らかに争わない。
(b)同b(b)は否認する。
(c)相違点1(構成要件3C)乙16刊行物マーリンエクスプレスは,書体・サイズごとに別のフォントカードを用意しなければならず,プログラム的な処理によって文字を拡大縮小する等の方式がとられていないから,構成要件3Cの「…キャラクタ列を印字する際に駆動される印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフト」する構成が存在しない。
(d)相違点2(構成要件3D)乙16刊行物の「ベースライン固定モード」は,以下のとおり,構成要件3Dの「片側揃えモード」とは異なる。
一乙16刊行物は,種類の異なるフォントやサイズのアルファベットを印字する場合,文字の中心線であるセンターラインを揃えて印字すると見栄えが良くないため,小文字のg,j,p,qの下に出る部分を除いた文字の下端線であるベースラインを揃える機能を有しているにすぎない。
二ベースラインの位置は,フォントによって異なり,文字の大きさが異なっても常にベースラインとセンターラインが一致するフォントも存在する。
三小さいサイズの文字でも,同一フォント・同一サイズの文字のみを印字する場合には,ベースラインが揃っているため,印字位置が変更されない。
四ベースラインを揃えても,小文字のg,j,p,qについては文字の下端が揃わない。
(e)技術的思想の相違乙16刊行物は,文字をベースラインに揃える文字の画一的配置を意図しているのに対し,第3発明は,多様な印字書式を実現しようとするものであって,両発明の技術的思想は異なる。
c無効理由の知悉同cは否認する。
(ウ)第5発明a進歩性の欠如1(乙13の4刊行物)(a)被告の主張(ウ)a(a)(乙13の4刊行物の記載)は認める。
(b)一同a(b)(第5発明との対比)一は明らかに争わない。
二同二は否認する。
乙13の4刊行物のラベルの材質は 「接着剤がついているプリント用ラベル ,紙」(3頁左上欄15行)とあるように,透視性のない紙を含むものであって,構成要件5Bにいう「透視性を有する記録媒体」とは異なる。
三同三は否認する。
後記四のとおり,乙13の4刊行物においては,正像印字がされている。第2図の印字されたラベル19は,便宜上ラベルをひねって印字面を見せたものにすぎない。
したがって,構成要件5Cの「使用者が前方から見た側の面を表面として」に相当する構成が存在しない。
四同四は否認する。
以下の理由から,乙13の4刊行物は,粘着テープの粘着剤の反対側,すなわち表面に印字されるものであるから,その印字方法は正像印字である。
(一)乙13の4刊行物で用いられるラベルは,特許請求の範囲第1項に「粘着テープを使用し,この粘着テープに書きこむ印字手段」とあるとおり,粘着テープであるところ,その粘着剤側に印字することは,印字ヘッド等がテープにくっついてしまうため不可能である。まして,インクリボンを使用する場合は,なおさらである。
(二)被告は,乙19の2刊行物を根拠に,粘着剤の側から印刷可能であると主張するが,この公知例は,印刷用輪転機のドラムを使用して湿ったインクを乗せ,直後に熱風等で乾燥させるもので,しかもドラム回転軸,印刷媒体とも水平を保つ必要があるから,ラベルライターに採用することはできない。
(三)乙13の4刊行物には,粘着テープに剥離紙が貼られていること(構成要件5E)の記載がないが,剥離紙が付いているとすると,その側に印字をすることはあり得ない。
(四)上記二のとおり,乙13の4刊行物は透視性のないラベルを含むところ,その場合,粘着剤の側に反転印字すると,印字された文字を見ることができないから,このことからも,粘着剤の側に印字するものではない。
(五)乙13の4刊行物には,発明の効果の欄に「テープの表面はほぼ平ら」(3頁右上欄16行,17行)になるとの記載があるが,透明テープの裏面に反転印字した場合は完全に平らになるのだから,この記載は,テープ表面から正像印字していると解するほかない。
五同五は明らかに争わない。
(c)一同a(c)(相違点についての判断)一は明らかに争わず,二は否認する。
二乙13の4刊行物は粘着テープに印字するものであり,これに両面粘着テープを貼り付ける動機がない。
三また,乙13の4刊行物には,ラミネートテープを作成するという技術思想がないことから,組合せの動機付けが存在しない。
(d)同a(d)(まとめ)は否認する。
b進歩性の欠如2(乙13の5刊行物)(a)被告の主張(ウ)b(a)(乙13の5刊行物の記載)は認める。
(b)一同(b)(第5発明との対比)一は明らかに争わない。
二同(b)二は明らかに争わない。
三同三は否認する。
乙13の5刊行物の活字ブロックは左右に移動するのに対し,第5発明のサーマルヘッドは固定されたものであるから,構成要件5Cとは異なる。
仮に,乙13の5刊行物の発明にサーマル印字ヘッドを使用すると,印字された文字の背景に同色のインクリボンが存在することになり 「印字と同時に…判読で ,きる」(2頁左下欄12行,13行)という乙13の5刊行物の作用効果と矛盾する。
四同四は否認する。
乙13の5刊行物には,どのような印字方式で反転印字制御するのか記載されていないから,構成要件5Dが実質的に開示されているとはいえない。
五同五は明らかに争わない。
(c)同(c)(相違点についての判断)は否認する。
乙13の5刊行物は,両側に等ピッチで設けられた用紙送りのための孔と爪(第, 1図の22と23)を備えており,用紙を戻すことが予定された機構となっており仮に両面テープを印刷面に貼り合わせると,用紙が戻される際に両面テープが剥がされるという不都合な結果となる。
このように,乙13の5刊行物は両面テープを貼り合わせるという思想とは全く相容れないものであり,組合せの動機付けが存在しない。
(d)同b(d)(まとめ)は否認する。
(エ)海外特許1(EP315369号)a被告の主張(エ)a(発明の内容)は,明らかに争わない。
b同b(進歩性の欠如)は否認する。
c同c(新規性の欠如(EPC54条3項))(a)は明らかに争わず,(b)〜(d)は否認する。
d同d(まとめ)は否認する。
(オ)海外特許2(USP5168814号)a被告の主張(オ)a(発明の内容)は,明らかに争わない。
b同b(新規性又は進歩性の欠如)は否認する。
c同c(まとめ)は否認する。
(カ)海外特許3(USP5009530号)a被告の主張(カ)a(発明の内容)は,明らかに争わない。
b同b(進歩性の欠如)は否認する。
c同c(まとめ)は否認する。
(キ)無効に関する主張のまとめ同(キ)は否認する。
(4)本体又はテープカセットの製造販売等と間接侵害(争点2-3)ア原告らの主張(ア)本件被告製品のラベルライター本体には,専用に設計された型のテープカセットのみ装着・使用が可能であり,逆に,これらのテープカセットは,専用の本体にのみ装着・使用できる。
(イ)ラベルライター本体とテープカセットは,それぞれラベルライターとしての主要な構成要素をなすものであって,それ以外の用途はない。
(ウ)aしたがって,ラベルライター本体とテープカセットは,第1発明,第2発明,第3発明及び第5発明の対象であるラベルライター装置という「物の生産にのみ用いる物」に該当し,他社が業として販売した場合には,特許法101条1号間接侵害が成立する。
b仮に,特許法101条1号間接侵害が成立しない場合であっても,ラベルライター本体とテープカセットは,上記の各発明による課題の解決に不可欠なものであり 「その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いら ,れることを知りながら」の要件も満たすから,特許法101条2号間接侵害が成立する。
(エ)これらの点は,キングジムの後記対象品群kの製品及びカシオの後記対象品群lについても同様である(第三者からの実施料収入に関する上記対象品群についても,便宜上,ここで検討する。)。
イ被告の主張(ア)認否原告らの主張のうち,(ア)及び(イ)は認め,(ウ)及び(エ)は否認する。
(イ)第1発明aラベルライター本体(a)対象品群aのラベルライター本体は,第1発明に関係する転写テープのみならず,ラミネート方式のテープ,さらにはインクリボンを用いない感熱式テープ,アイロン熱圧着テープも使用することができる。
キングジムなどの対象品群kのラベルライター本体及び対象品群lのラベルライター本体は,非ラミネート方式のテープも使用することができる。
(b)したがって,同ラベルライター本体は,第1発明との関係で,現実的な他の用途を有する。
(c)よって,同ラベルライター本体は,第1発明の対象となる物の生産にのみ用いる物(特許法101条1号)に当たらず,少なくとも現行特許法101条2号を追加する改正規定の施行までは,間接侵害を構成しない。
bテープカセット(a)本件被告製品のうちTR-55,TR-77などの数機種を除く多数の製品(例えば甲34の39頁),キングジムのSR-737(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」124。甲54の174頁),カシオのKL-A50E(同138。乙39の58頁)などほとんどのラベルライター本体には,反転させた鏡像のみではなく,ユーザーの操作によって,正像を印字する機能がある。
(b)第1発明は 「文字や記号等の形状を反転させた鏡像」を印字すること ,を構成要件とする(構成要件1F)から,上記(a)のラベルライター本体と組み合わせ得るテープカセットは,第1発明のいわゆる専用品ではなく,特許法第101条1号の「その物の生産にのみ用いる物」や同条2号の「課題の解決に不可欠なもの」には該当しない。
cパソコン接続専用モデル(a)ラベルライター本体のうちパソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188),キングジム製品のSR-3900P(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」136)及びSR-3500P(同134),並びにカシオ製品のKL-E20(同152)は,専らパソコンと接続して使用し,文字の入力・情報の記憶・制御を汎用コンピュータにより行うので,ラベルライター自体は構成要件1Aの「入力部」を有しておらず,第1発明の実施品ではない。
(b)そうすると,これらの本体においても使用され得るインレタ用テープカセットは,第1発明の実施のためにのみ使用されるものではないから,特許法101条1号間接侵害を構成しない。
(ウ)第2発明上記(イ)aのとおり,ラベルライター本体は,ラミネート方式のテープ以外の多くの用途に使用され得るものであって,第2発明との関係で,現実的な他の用途に使用され得るものであるから,第2発明の対象となる物の生産にのみ用いる物(特許法101条1号)に当たらず,少なくとも現行特許法101条2号を追加する改正規定の施行までは,間接侵害を構成しない。
(エ)第3発明第3発明は,特許請求の範囲からして,ラベルライター本体の機構に関する発明であり,テープカセットについては直接にも間接にも権利は及ばない。
(オ)第5発明aラベルライター本体上記(イ)aのとおり,ラベルライター本体は,ラミネート方式のテープ以外の多くの用途に使用され得るものであって,第5発明との関係で,現実的な他の用途に使用され得るものであるから,第5発明の対象となる物の生産にのみ用いる物(特許法101条1号)に当たらず,少なくとも現行特許法101条2号を追加する改正規定の施行までは,間接侵害を構成しない。
bパソコン接続専用モデル(a)対象品群bのラベルライター本体のうち,上記(イ)c(a)のパソコン接続専用モデルは,文字の入力・情報の記憶・制御を汎用コンピュータにより行うので,ラベルライタ本体は構成要件5Dの「制御手段」を有しておらず,第5発明の実施品ではない。
(b)そうすると,これらの本体においても使用され得るテープカセットは,第5発明の実施のためにのみ使用されるものではないから,特許法第101条1号間接侵害を構成しない。
(5)超過売上高の算定(争点2-4)ア原告らの主張(ア)総論従業者によって職務発明がされた場合,使用者は無償の通常実施権を取得するので,使用者が当該発明・考案に関する権利を承継することによって受けるべき利益(改正前特許法35条4項,実用新案法11条3項)とは,その発明を実施して得られる利益すべてではなく,特許権の取得によりその発明を実施する権利を独占することによって得られる利益(独占の利益)である。
そして,独占の利益とは,@使用者がその特許発明実施を他社に許諾している場合には,それによって得られる実施料収入がこれに該当するが,A他社に実施許諾していない場合には,特許権の効力として他社にその特許発明実施を禁止したことに基づいて使用者が上げた利益がこれに該当する。
後者は,他社に対する禁止の効果として,他社に実施許諾していた場合に予想される売上高と比較して,これを上回る売上高(超過売上高)に基づく利益(超過利益)である。
(イ)本件被告製品の売上高a実施品の範囲本件被告製品は,別紙「本件被告製品一覧表2(テープカセット)」の最右欄に「その他」と記載したものを除き,すべて本件各発明のいずれかの実施品である。
b分類超過売上高を算出する前提として,本件被告製品を,本件各発明の内容及び実施態様により,以下のとおり分類する。
(a)A類型第2発明,第5発明,海外特許1,海外特許2又は海外特許3(以下,併せて「ラミネート発明」という。)が実施され,第1発明及び第3発明が実施されていないラベルライター本体(対象品群bのうち,対象品群aと重複しないもの)(b)B類型ラミネート発明及び第1発明が実施され,第3発明が実施されていないラベルライター本体(対象品群aのうち,対象品群gと重複しないもの)(c)C類型ラミネート発明,第1発明及び第3発明が実施されているラベルライター本体(対象品群g)(d)D類型ラミネート発明及び第3考案が実施されているラベルライター本体(対象品群f)(e)E類型ラミネート発明のみ,又はラミネート発明及び第3発明が実施されているテープカセット(対象品群b,g,n,j)(f)F類型第1発明のみが実施されているテープカセット(対象品群a)(g)G類型第3考案が実施されているテープカセット(対象品群f)c売上高上記A〜D類型につき,各機種ごとの販売台数に平均単価を乗じた額を合計して求めた売上高は,以下のとおりである。
(a)A類型●(省略)●万円(●(省略)●%)(b)B類型●(省略)●万円(●(省略)●%)(c)C類型●(省略)●万円(●(省略)●%)(d)D類型●(省略)●万円(●(省略)●%)(e)小計●(省略)●万円(100.0%)d売上高の内外比率上記G〜F類型の売上高の比率は,以下のとおりである。
(a)E類型国内の●(省略)●%,海外の●(省略)●%(b)F類型国内の●(省略)●%,海外の●(省略)●%(c)G類型国内の●(省略)●%,海外の●(省略)●%(d)その他国内の●(省略)●%,海外の●(省略)●%(ウ)被告の市場占有率a被告は,国内では昭和63年にキングジムへのOEM供給による「テプラ」の,海外では平成元年に自社ブランド「P-touch」の販売を開始し(甲8),その後平成●(省略)●年ころまではラベルライター市場をほぼ100%独占した。
b被告が集計した平成15年時点のラベルライターの台数シェアは,以下のとおりである(地域の%表示は,世界全体に占める割合である。)。
, (a)米国(●(省略)●%)被告●(省略)●%,ダイモ社●(省略)●%カシオ●(省略)●%, (b)欧州(●(省略)●%)ダイモ社●(省略)●%,被告●(省略)●%カシオ●(省略)●%(c)日本(●(省略)●%)キングジム●(省略)●%,カシオ●(省略)●%,被告●(省略)●%(d)アジア(●(省略)●%)被告●(省略)●%,ダイモ社●(省略)●%,その他●(省略)●%(e)全世界(100%)被告●(省略)●%,ダイモ社●(省略)●%,カシオ●(省略)●%,キングジム●(省略)●%,その他●(省略)●%c以上のとおり,本件被告製品は,一貫して高いシェアを有している。被告のラベルライターは,他社に比べて高価格な機種の売上げが多いことから,金額ベースで見た場合には,上記シェアを更に上回る。
d後記被告の主張(ウ)bは明らかに争わない。
(エ)本体とテープカセットとの関係a前記(4)アのとおり,被告製品のラベルライター本体又はテープカセットの製造販売は,いずれも本件各発明の間接侵害に当たるから,超過売上高の算定に当たっても,双方を含めるべきである。
b仮に間接侵害に当たらないとしても,前提事実(4)イのとおり,被告製品のラベルライター本体には,専用に設計された型のテープカセットのみが装着可能であるところ,テープカセットは消耗品であるから,本体を購入したユーザーは,テープがなくなると,更にテープカセットを追加購入するという仕組みが成り立っている。このような関係からすれば,本体,テープカセットそれぞれの販売によって得られる利益も,本件各発明を実施する権利を独占することによって必然的に得られる利益にほかならないから,その売上げを相当の対価の算定の基礎に含めるべきである。
c後記被告の主張(エ)bは否認する。
(オ)本件各発明の寄与aラミネート発明の価値・売上げへの寄与(a)被告のラミネート方式の優位性一ラミネート発明は,M型を除く被告ラベルライターのほとんどすべてにおいて実施されている基本特許ともいうべき発明である。
二本件被告製品中のラミネート発明を実施したラミネートテープは,透明テープに反転印字し,印字面に剥離紙付き両面テープを貼り付けることにより,印字面が印字された透明テープ自体によって保護される。そのため,テープ表面に印字する非ラミネート方式と比較すると,外部からこすられたり,手指の汗・皮脂や水・薬品にさらされても文字が消えないという優れた耐久性を有する(甲105,106)。
三米国クロイ社が開発したラミネートテープは,正像印字したテープの上に,セロテープのような粘着剤付き透明フィルムを被せる方式であるが,透明フィルムと文字の間に粘着剤や気泡が介在するため,見栄えが悪く,透明テープのすぐ下に文字がある被告の方式より品質が劣っている。
(b)被告の宣伝,広報被告は,ラミネート発明やラミネートテープの優位性を,@アニュアルレポート,A国内のP-touchカタログ,B海外の総合カタログ,C海外のプレスリリース,D海外の実施製品に印刷されたロゴ,E米国での取扱説明書,F海外でのテレビコマーシャル,Gウェブページ等において表示し,積極的にアピールしている(甲9,115〜125,146)。
(c)海外製品の取扱説明書被告は,海外で販売する製品の取扱説明書に,次のとおり,海外特許の番号を記載している。これは,米国特許法の表示義務(合衆国法典35巻287条)に基づくが,同業他社を抑制する効果もある。
一米国だけで販売しているモデルPatent numbers and patents publication numbers which are related to thisproducts are as follows:(訳:この製品に関する特許番号および公開特許番号は以下である。)USP4839742USP4983058USP5120147USP4927278USP5009530(注:海外特許3)USP4976558USP5069557二米国と欧州共通で販売しているモデルThis product is covered by one or more of the following patents. (訳:この製品は以下の1つまたは複数の特許によって保護されている。)USP4839742USP4983058EP315369(注:海外特許1)GB2223740USP4922063USP5009530(注:海外特許3)EP322918USP4927278USP5069557EP322919USP4966476USP5120147USP4976558(d)市場の寡占に至った経緯一本件被告製品の発売以前において,ラベルライター市場は,欧州のダイモ社が製造販売する「ダイモライター」が主流を占めており,また,米国のバリトロニクス社の「マーリンエクスプレス」も存在したが,いずれも,本件被告製品の発売以降,急速に衰退した。
二その結果,被告は,キングジムのみならず,ダイモ社に対しては「DYMO3000」(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)183),米国のクロイ社に対しては「Duratype」(同184〜186)というラミネート方式のラベルライターをOEM供給し,上記(ウ)のとおり,市場を●(省略)●%独占することとなった。
三ダイモ社は,前提事実(6)ウのとおり,平成3年から,自社製のラミネート式ラベルライター「DYMO4000」の販売を開始した。これに対し,被告は,販売の仮差止めを求める申立てをし,ダイモ契約を締結して,●(省略)●四(一)マックスは,平成3年7月より,ラミネート式ラベルライター「LM-200」の製造販売を始めるとともに,第2発明と第5発明につき特許異議を申し立てたが,最終的にその販売を停止し,被告からOEM供給を受けることとなった。
。 (二)被告は,マックスに特許侵害警告し,販売を停止させたものである(e)キングジムとの関係一被告のキングジムとの関係は,平成2年ころから,テープカセットの意匠権を巡って急速に悪化した。その結果,キングジムは,平成4年,セイコーエプソン製のラベルライター「テプラプロ」の販売を開始した。
二この時,セイコーエプソンは,ラミネート技術を被告に独占させまいとして,第2発明と第5発明に対し特許異議を申し立てたが,結局申立てが退けられたため,ラミネート方式を採用できず,テープ表面に特殊な前処理を施して文字を保護する「レセプター方式」と呼ばれる技術を採用することとなった。
, 三レセプター方式は,被告のラミネートテープより明らかに劣っていたがキングジムとの関係悪化により,本件被告製品の国内シェアが急速に低下することとなった。仮にキングジムとの関係を維持するか,あるいは被告が独自の販売ルートを持っていれば,海外同様の高いシェアを維持できたはずである。
(f)価格の高さ一被告のラミネートテープは,他社の非ラミネートテープと比較して,定価で20%程度,店頭価格で18〜26%高く販売されている(甲113の1〜11)。
二このことは,被告のラミネートテープがキングジムやカシオとの価格競争に立たされず,優位であることを示している。
(g)ラミネート発明の非許諾ラミネート発明は,以下のとおり,キングジム契約やカシオ契約でも許諾されておらず,被告が独占すべき重要な権利として扱われている。
一キングジム契約前提事実(6)ア(エ)のとおり,キングジム契約には,●(省略)●二カシオ契約前提事実(6)イ(ア)のとおり,カシオ契約では,●(省略)●(h)受賞一原告らを含む発明者6名は,平成6年6月8日,第2発明及び第5発明によって,社団法人発明協会愛知県支部から,当該年度における県内の最も優れた7件の発明に授与される「愛知発明賞」を受賞した(甲11)。
これは,被告が応募したものである。
二また,同年11月10日 「テープ印字装置」に対し,名古屋市長から, ,平成6年度中部地方発明表彰における優秀賞を受賞した(甲12)。
これは,被告が応募したものである。
三さらに,被告は,原告X1に対し,同年12月3日,上記の受賞を受けて,発明特別賞を授与した(甲13)。
b第1発明の価値・売上げへの寄与(a)第1発明は,任意のインレタをだれもが手軽に作ることができる簡易インレタ作製機を実現するため,@コンパクトかつ低コストを実現するための固定式サーマルヘッドによるテープ印字技術と,Aインレタであるための熱で転写された像が圧力で再転写される技術を開示したものであり,被告が主張する公知技術とは全く異質な高い価値を有する。
(b)第1発明は,被告が独占するラミネート方式ラベルライターのルーツともいえる発明で,現在のラベルライター事業は,この発明からスタートしている。
(c)第1発明は,国内競合のキングジムのテプラプロやカシオのネームランドのほとんどすべての機種で実施されている。その結果,被告はキングジムとカシオから実施料分を損害賠償という形で得た。
(d)国内及び海外の被告製品カタログにおいて,インレタ用のテープとインレタで転写できる機能が大きく紹介されている機種が多い。
c第3発明の価値・売上げへの寄与(a)第3発明は,ラベルライターにおけるレイアウト機能に関する基本特許として位置づけられるべき重要な特許である(b)第3発明は,前提事実(6)ア(ウ)のとおり,キングジムに対する侵害警告及び仮処分申立ての根拠となり,多額の損害賠償金及び実施料をもたらした重要な権利である。
d第3考案の価値・売上げへの寄与(a)第3考案の売上対象はルシールのテープカセット(G類型)に限定されるが,それにより子供向けの玩具市場を開拓した点,被告製造のラベルライターにおいて,透明印字テープとインクリボンとベースとなる第2テープを1つのカセットケース内に収納するという思想を開示した点を考慮すれば,そのルシールのテープカセットの売上げに対する寄与割合は極めて大きい。
(b)第3考案の実施品である対象品群fのテープカセットは,インクカートリッジに対してテープカートリッジが着脱自在となっているので,インク色とテープ色の多彩な組合せを手軽に楽しむことができるため,玩具市場において重要な差別化ポイントとなっていると考えられる。
eラミネート発明がなかった場合のシェアの推定(a)ラベルライター以外の他製品における被告の市場占有率は,創業以来の事業であるミシンで25%程度,主力製品のファックスやプリンターでも10%前後にとどまる(甲110,111)。
(b)被告(BIUSAを含む。)がラベルライターについて投じた広告宣伝費は,16年間で合計●(省略)●万円であって,本件被告製品の売上高の●(省略)●%にすぎない。被告の事業全体では,広告宣伝比率は●(省略)●%であるから,広告宣伝費は,ラベルライターのシェアが他の製品と比較して高い要因ではあり得ない。
営業努力,製品改良,販売経路といった点についても,ラベルライターだけ他の製品と異なるという特殊事情は特に存在しない。
(c)被告は,平成7年以降,M型という非ラミネート方式のラベルライター本体及びテープカセットを販売しているが,その平成15年度までの売上高は,被告の主張によっても,本体で●(省略)●円,テープカセットで●(省略)●円,合計●(省略)●円にすぎない。
(d)以上によれば,被告がラミネート発明の承継を受けなかった場合の被告の売上高は,全世界で●(省略)●%程度と推定される。
(カ)超過売上高の割合上記の事情によれば,本件被告製品の各類型において,本件各発明による超過売上高の割合は,以下のとおりと評価すべきである。
A類型ラミネート発明が80%B類型ラミネート発明が78%,第1発明が3%C類型ラミネート発明が78%,第1発明が3%,第3発明が3%D類型ラミネート発明が10%,第3考案が30%E類型ラミネート発明が80%,第3発明が1%F類型第1発明が80%G類型第3考案が80%(キ)本件被告製品の売上げに寄与した事情, a後記被告の主張(キ)a(販売網の存在)のうち,(a),(b)は明らかに争わず(c)は否認する。
b同b(本件各発明以外の特許権・実用新案権の存在)のうち,(a)は明らかに争わず,(b)は否認する。
被告主張の他の特許権・実用新案権が売上げの増加や競業者の排除に貢献した具体的事情の主張はない。
また,ラミネート発明のように,被告製品のほとんどの機種で実施されている権利も存在しない。
(ク)自己実施実施許諾と独占の利益の関係a後記被告の主張(ク)aは争う。
使用者が第三者に実施許諾するとともに自己実施をしている場合であっても,その自己実施分にはなお独占の利益とみるべき部分が含まれている。自己実施分がすべて通常実施権に基づく実施と評価できるのは,特許権の内容や市場の状況からみて,特許権者が獲得し得る最大の実施料を得ている場合に限られるのであって,実施許諾がある場合には当然自己実施による独占の利益がないとする被告の主張は誤りである。
b同bのうち,●(省略)●ことは否認し,その余は認める。
c同cは否認する。
d同d(a)のうち,●(省略)●ことは否認し,両社以外から実施許諾の申入れを受けたことはないは不知,●(省略)●ことは否認する。
同(b)は認める。
同(c)は不知。
同(d)は認める。●(省略)●e同eは否認する。
(ケ)出願公開日,出願公告日又は登録日との関係同(ケ)のうち,aは認め,b及びcは否認する。
(コ)満了前の権利放棄a同(コ)aは認め,bは明らかに争わず,cは否認する。
b被告が第1発明,第2発明,第3発明及び第5発明の権利を満了前に放棄したのは,何ら合理的理由がない。
cまた,原告ら発明者6名に何らの通知もなく権利放棄を決めるのは,不当である。
イ被告の主張(ア)総論原告らの主張(ア)は,明らかに争わない。
(イ)本件被告製品の売上高同(イ)a(実施品の範囲)は否認し,c(売上高)及びd(売上高の内外比率)は明らかに争わない。
(ウ)被告の市場占有率a同(ウ)aは明らかに争わず,bは認め,cは否認する。
b(a)平成3年11月に発売された「KL-1000」(乙114)に始まるカシオの「ネームランド」シリーズ,平成4年5月に発売された「SR-606」(乙117)に始まるキングジムのセイコーエプソン製「テプラPRO」シリーズは,非ラミネート方式のラベルライターであるが,●(省略)●占めている。
(b)欧州では,ダイモ社が,被告によりラミネート方式のラベルライター「DYMO4000」の販売を差し止められた後,ラミネート方式でない「DYMO4500」を発売し,短期間のうちに被告に劣らない市場占有率を獲得した(乙67)。
, (c)以上の状況の下,被告の販売関係会社は,コスト競争力の不足を危惧し非ラミネートタイプの機種を導入するよう強く要望してきた。そのため,被告は,非ラミネートタイプの「M型」を開発し,平成7年5月ころから,米国にて,同年6月ころから欧州にて,販売を開始した(乙120,121)。
M型のラベルライター本体の販売数量が被告製品の本体全体の販売数量に占める割合は,平成12年度●(省略)●%,平成13年度●(省略)●%,平成14年度●(省略)●%と推移し,平成7年度から平成15年度までの総計では●(省略)●%に達している。
(d)原告らが前記ア(ウ)で主張する全世界での被告の台数シェアのうち,ラミネート方式の被告製品の市場占有率は●(省略)●%であり,残りは非ラミネート方式のM型である。これにダイモ社,カシオ,キングジムその他のすべての非ラミネート方式を併せた市場占有率は,●(省略)●%に達する。
(エ)本体とテープカセットとの関係a同(エ)a及びbは否認する。
b通常の特許ライセンスにおいて,発明の対象となる機器の製造販売のライセンス料に加え,その機器で使用される消耗品のライセンス料を要求することはない。消耗品に関しては何らかの技術が許諾されているものではなく,既に許諾料を取得している対象機器の使用の一部と考えられるからである。
本件でいえば,テープカセットがこれに当たるところ,このように第三者へのライセンスで得られないものについて,独占の利益の算定において考慮することはできない。
●(省略)●(オ)本件各発明の寄与aラミネート発明の価値・売上げへの寄与(a)被告のラミネート方式の優位性同(オ)a(a)のうち,一及び三は否認し,二は認める。
一(一)ラミネート発明を含む本件各発明は,被告のラベルライタ製品の商品化において生じた技術的課題の解決手段を呈示したものではなく,単に商品の機能・概要を示したものにすぎない。前記(3)アのとおり 「電子化されたコンパク ,トなラベルライターの基本的な構成「再転写テープ自体やそれを作製する再転 」,写紙作製装置「反転印字又は反転印字する装置「ラミネートタイプのテープ 」, 」,又はそれを作製する装置「正像認識の反転記録装置「印字されるテープ及び 」, 」,インクリボンを1又は複数のカセットに収納する技術」などは,本件各発明の出願前に既に公知であった。
(二)前記(2)イのとおり,第2発明は「第二のテープ」の基材自体を着色して背景とすること,第5発明は@「記録手段」がオペレータと反対側に配置されること,Aハウジングを透明にすることを要件とする限定的な権利にすぎない。したがって,これらの発明をラミネート発明と称し,あたかもラミネートテープを作製するラベルライターの基本特許であるかのような原告らの主張は失当であり,競業者は,これらの発明を実施せずとも,本件被告製品と同じラベルライターを製造することが可能である。
(三)ラミネートタイプのラベルの作成方法は,第2発明及び第5発明に記載されている方法以外にも存在する。
例えば,粘着部分に印字する方法が乙13の4刊行物や乙19の2刊行物に,印字部分の上面に透明フィルムを貼る方法が乙19の3刊行物に記載されている。
後者の特許出願人であるクロイ社は,平成元年8月から,同特許を実施したラミネートタイプのラベルライター「DuraType240」(乙92)や「K1000」を販売している。
キングジムも,平成11年9月ころから,ラミネートタイプの「テプラ・ジェット」(乙122)を発売している。この製品は,印字テープの表面側にインクジェットにより正像印字した後,透明テープを重合接着して印刷文字を覆うセロテープ方式の一種である。
(四)原告らは,セロテープ方式は見栄えが悪いと主張するが,粘着剤の透明度という技術的な問題にすぎず,解決可能である。現に,上記「テプラ・ジェット」においても,印字文字の見栄えは悪くない。
二(一)キングジムの「テプラプロ」シリーズ,カシオの「ネームランド」シリーズ,ダイモ社の「DYMO4500」などは,いずれも,裏面に着色層・粘着層・剥離紙を有する印字テープの表面に,受像層(表面処理層)を塗布し,表面から正像印字したインクを浸透させる非ラミネートタイプのテープを作製するラベルライターである。
(二)ラミネートタイプは,非ラミネートタイプがインクリボンと印字テープで足りるのに対し,剥離紙付き両面テープを透明印字テープに貼り合わせることから,以下の点で不利である。
@剥離紙付き両面テープ及びその貼り合せ機構を収容するため,テープカセットが複雑化,大型化し,ひいては本体も大型化する。
A剥離紙付き両面テープとその貼り合せ機構を駆動するため,消費電力が多く,電池の消耗が早い。
B2種のテープを貼り合わせるため,加圧重合による接着状態やテープの伸縮率の違い等により,透明テープの浮き,縦しわが生じやすい。また,幅方向においてずれが生じた場合,粘着層がテープの端から露出し,ほこりが付着しやすい。
C透明印字テープを薄くするには限度があるため,出来上がったラベルが厚くなる。また,腰が強いため,曲面に貼り付けると剥がれやすい。
D貼り合せのためのローラーが必要であるため,印字位置から貼り合せ位置までのテープがデッドスペースとなり,テープを余分に消費する。
(三)印字面の耐久性についても,非ラミネートテープにおいては向上しており,主たる用途であるファイル等のインデックスには十分な実用性を有している(乙117等)。
(四)そのため,前記(ウ)bのとおり,本件被告製品の発売当初を除き,非ラミネート方式タイプのラベルライターがはるかに大きな市場占有率を占めている。
(五)キングジムが,被告製品に併せ,非ラミネートタイプの「テプラプロ」の販売に踏み切った理由も,テープカートリッジのコスト競争力に着目し,実用上も十分と判断したことによる。
三キングジム,カシオとも,●(省略)●ラミネート方式のラベルライターを実施していない。
(b)被告の宣伝,広報同(b)のうち,ラミネート発明等の優位性を積極的にアピールしていることは否認し,その余は明らかに争わない。
被告のアニュアルレポートや格付け機関の評価における「ラミネート技術」といった表現は,被告のラベルライターを支える技術や特許全体を指しているのであり,本件各発明に限定されていない。
(c)海外製品の取扱説明書同(c)は明らかに争わない。
海外製品の取扱説明書には,海外特許2は記載されていない。
また,海外特許1及び3についても,無効理由があることが判明したため,新規モデルについては上記特許番号の記載を行っていない。
(d)市場の寡占に至った経緯一同(d)のうち,一〜三は明らかに争わず,四のうち,(一)は認め,(二)は否認する。
二被告がマックスに対し特許侵害警告を行った事実はない。マックスが「LM-200」の販売を停止した理由は不明だが,販売不振と推測される。
(e)キングジムとの関係同(e)のうち,一及び二は明らかに争わず,三は否認する。
(f)価格の高さ同(f)のうち,一は明らかに争わず,二は否認する。
(g)ラミネート発明の非許諾一同(g)一(キングジム契約)は否認する。
●(省略)●二同(g)二(カシオ契約)は否認する。
●(省略)●(h)受賞同(h)一のうち,第2発明が受賞対象となったことは否認し,その余は明らかに争わない。二及び三は明らかに争わない。
愛知発明賞等は平成6年に授与されたが,第2発明が登録されたのは平成9年11月21日である。
b第1発明の価値・売上げへの寄与同(オ)bのうち,(a)及び(c)は否認し,(b)及び(d)は明らかに争わない。
(a)インスタントレタリング自体は,第1発明の出願前において,必要な分の文字を再転写するシートをプリンタで作製することは特開昭61-211076号公報(乙7の2)にて,インスタントレタリングテープ自体を作成することは特開昭57-4797号公報(乙20)にて公知である。
入力・表示・記憶機構,印字機構及び制御機構を備えたラベルライターは,乙7の2,乙18等に示されるとおり公知の技術であり,転写技術も当然知られており,それだけでは技術的な意義は認め難い。
(b)第1発明は,インレタ専用機に関するものであって,広い意味でのラベルライター開発の端緒となったが,商業的成功を獲得したラミネート方式のラベルライターとは異なる。
(c)次のとおり,第1発明は,回避が容易である。
一第1発明は,インクリボンとは別にレタリングテープのみが着脱自在となること(構成要件1E)を要件としており,インクリボンとレタリングテープをカセットで一体としたものは,権利範囲に含まれない。
二第1発明は,文字データ等を「反転させた鏡像」を印字することを要件としている(構成要件1F)。
したがって,第1発明の実施例のように印字ヘッド-インクリボン-レタリングテープ-プラテンの順に配置するのではなく,印字ヘッド-レタリングテープ-インクリボン-プラテンの順に配置し,レタリングテープテープ越しにインクリボンを加熱し,反転させない正像を印字する方式とすれば回避できる。
三第1発明は,インクリボンを用いることを要件としているから(構成要件1E,1F),特開昭55-3983号公報(乙13の7)のように,インクリボンを用いないインクジェット方式の印字ヘッドを使用すれば,回避できる。
(d)ラベルライターにおけるインレタ機能は,使用される頻度が極めて少ない。
例えば,●(省略)●そうすると,多く見積もっても,転写テープの割合はその●(省略)●,すなわち●(省略)●%程度と推認される。
カシオ製品,被告自社製品のいずれにおいても,転写テープの利用量は極めて少なく,キングジムのテプラプロに至っては,平成15年5月,転写テープカセットは製造中止となっている(乙85)。
(e)ラベルライター本体については,その売上げが仮に第1発明と関連するとしても,ユーザーにより転写テープが購入され使用されて初めて生ずるものであるから,本体の販売額全体を算入すべきではない。原告らに最も有利な見方をしても,テープカセット全体における転写テープカセットの販売数量又は販売額の割合分を限度とすべきである。
c第3発明の価値・売上げへの寄与同(オ)cのうち,(a)は否認し,(b)のうち,侵害警告及び仮処分申立ての根拠としたことは認め,その余は否認する。
(a)第3発明は無効であり,信義則上も権利行使できないものであるから,第三者に対する独占的排他権を有さず,被告の売上げに何ら寄与していない。
(b)第3発明は,ラベルライターの多種多様な機能において,編集機能の1つに関する発明にすぎず,以下のとおり,ラベルライターに不可欠なものではない。
一例えば,原告らが実施を主張するキングジム製品SR-737(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」124)には,デザインフォーム21種,特殊フォーム4種,宛名印刷,たて書よこ書,飾り字,伸・縮,囲み・網,文字間,文字サイズ,割付,外枠・表組,地紋印刷,定長印刷,余白という14分野,180種以上もの編集機能がある(甲54の232頁,233頁)。第3発明は,このうち「伸・縮」の一部の機能にのみ関係する機能にすぎない。
二キングジムから最初に発売されたテプラシリーズのTR-55(別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」1),テプラPROシリーズのSR-30(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」128),SR-210(同133),SR-51(同135)などは,第3発明が実施されていないことに争いがないが,消費者から受け入れられている。
三カシオは,●(省略)●第3発明を実施していない。
d第3考案の価値・売上げへの寄与同(オ)dはいずれも否認する。
印字テープを収納するカセットと,インクリボンを収納するカセットとを組み合わせた複合カセットは,前記(2)イ(エ)b(b)二のとおり,第3考案の出願前に公開された特開昭61-37461号公報(乙12)から公知であって,特段の価値を有しない。
eラミネート発明がなかった場合の市場占有率の推定同(オ)eのうち,(a)及び(c)は明らかに争わず,(b)及び(d)は否認する。
(カ)超過売上高の割合同(カ)は否認する。
(キ)本件被告製品の売上げに寄与した事情a販売網の存在(a)本件被告製品の発売当初,市場占有のために貢献した最大の要因は,キングジムの文具関係におけるブランド力と販売網であり,これがなければ,現在のような売上額を確保することは難しかったと考えられる。
(b)カシオは,小型計算機等の電子事務機器で確立したブランド力と販売ルートを有していた。
(c)上記のとおり,キングジムのテプラプロとカシオが大きな市場占有率を獲得していることは,ラベルライターの売上げが販売ルートの確保いかんによっていることを示している。
b本件各発明以外の特許権・実用新案権の存在(a)被告は,別紙「被告保有権利一覧表」のとおり,テープカセットに関するものを含め,ラベルライターに関する多数の権利を保有し,実施している。
(b)ラベルライターのような精密機械,電子・電気機器の製品は,材料・素材とは異なり,新製品であっても,既存の構成要素の組合せや,機能・構造面での改良,多機能化,小型化によって生み出すものがほとんどであり,さらに,後継機種のための継続的な改良が必要となる。このような製品は,基本特許によって保護することは不可能であって,最終的に採用されなかったものを含め,開発設計の過程で提案された様々な構成やその組合せを権利化し,多数の権利を保有することで,初めて類似品の出現を防止できるのである。
(ク)自己実施実施許諾と独占の利益の関係a独占の利益の算定に当たり,使用者が他社に実施許諾して実施料収入を得ている場合には,他社からの実施料収入に加えて,自己実施による利益を算入すべきではない。この場合,使用者は,独占の利益を実施料として既に享受しているのであって,自己実施による利益は使用者が有する法定の通常実施権に基づくものと評価すべきであり,自己実施による利益を更に算入することは,独占の利益を二重に計算する結果となる。
●(省略)●cしたがって,キングジム契約及びカシオ契約の締結後は,自己実施による独占の利益を得ていない。
●(省略)●dこの問題について,東京地裁平成15年(ワ)第29850号・同18年6月8日判決(以下「三菱電機判決」という。)の判示する諸事情に従い検討すると,次のとおりである。
●(省略)●●(省略)●(b)カシオやキングジムは,●(省略)●代替技術を実施している。
(c)その後,カシオとキングジムは,自己の開発した代替技術を選択し,第2発明及び第5発明を実施していない。
本件各発明のうち,その余のオプション的なものでさえ,実施している可能性があるのは,ごく一部である。
(d)被告自身,非ラミネート方式であるM型を開発し,従来の被告製品と並行して販売している。
e以上の事情を考慮すれば,第三者にとって,第2発明及び第5発明につき,実施料を支払って実施許諾を得る必要性はないと考えるのが合理的であり,被告の実施通常実施権の範囲であって,自己実施に関して独占の利益を得ていない。
(ケ)出願公開日,出願公告日又は登録日との関係a本件各発明の出願公告日又は登録日はそれぞれ異なっており,いずれも本件被告商品の発売開始より後である。
bしたがって,発売以降の売上高をすべて一律に超過売上高算定の基礎とすることは,妥当でない。
cまた,出願公開から出願公告ないし登録までの段階では,仮に補償金請求権に起因する独占力を考慮するとしても,登録後の2分の1を限度とすべきである(東京地判平成16年2月24日・判例タイムズ1147号111頁(味の素事件判決))。
(コ)満了前の権利放棄a被告は,平成17年から平成18年にかけて,第1発明,第2発明,第3発明及び第5発明につき,年金を支払わないことを決定した(乙146〜148)。
b被告は,平成4年11月〜平成5年1月にかけて,被告の権利放棄決定時の返還希望調査を行い,被告が年金支払を停止して権利を放棄する場合,希望する発明者には移転登録手続を行うこととしたが(乙136〜138参照),原告らは返還を希望しなかった。
cこのように,費用を負担して権利を維持する合理的理由がない権利について,返還のための合理的手続を経た上で放棄したものであるから,放棄後において,特許法35条対価請求権は存在しない。
(6)利益率等(争点2-5)ア原告らの主張(ア)算定方式1前記(5)ア(原告らの主張)(ア)のとおり,他社に実施許諾していない場合における独占の利益とは,特許権の効力として他社にその特許発明実施を禁止したことに基づいて使用者が上げた利益であるが,これは,他社に対する禁止の効果として,他社に実施許諾していた場合に予想される売上高と比較して,これを上回る売上高(超過売上高)に基づく利益(超過利益)であり,以下の算定式で算出できる。
超過利益=超過売上高×利益率-資本コスト(将来の設備投資や資金調達のリスク等の諸要素)(イ)利益率平成元年から平成15年までの被告のラベルライター事業において,売上げから原材料費,外部加工費,金型費,工場の労務費,設計・製造・開発に関するその他一切の人件費,工場の施設費,営業や間接部門の人件費,広告宣伝費など販売費等を控除した事業利益が売上げに占める比率は,●(省略)●%である。
被告の利益率は,これから更に一般的に考え得る費用として,本社費●(省略)●%,製造行為による利益●(省略)●%を控除した●(省略)●%を下回ることはない。
(ウ)資本コスト資本コストとは,事業運営するための資本を調達することに要するコストである。
被告の場合,平成2年から平成12年までの決算報告書データより,必要となる数値の平均を算出した上で計算すると,資本コストは売上高の●(省略)●%となる。
この%を超過売上高に乗ずると,本件における資本コストが算出される。
イ被告の主張(ア)算定方式1原告らの主張する算定方式1による「超過利益」を算出するためには,使用者のノウハウ,営業・宣伝努力,設備投資・合理化によるコストダウンの努力など,多くの要素を検討する必要があり,客観的な立証は不可能に近い。
同様の算定方式は,日亜化学工業事件(東京地判平成16年1月30日判例時報1852号)において主張されたが,同事件の第1審判決においても採用されておらず,その後の裁判例でも採用されていない。
(イ)利益率原告らの主張(イ)は否認する。
(ウ)資本コスト原告らの主張(ウ)は否認する。
(7)仮想実施料率(争点2-6)ア原告らの主張(ア)算定方式2前記(5)ア(ア)の「他社に実施許諾していない場合には,特許権の効力として他社にその特許発明実施を禁止したことに基づいて使用者が上げた利益」は,仮に他社に実施許諾した場合を想定し,その場合に得られる実施料収入として算定することもできる。
具体的な算定式は,以下のとおりである。
超過利益=超過売上高×仮想実施料率(イ)算定方式2における超過売上高a(a)特許権の実施許諾契約においては,販売価格を基礎として実施料が計算されるが,実施企業がグループ企業である製造会社と販売会社に分かれている場合,製造会社から販売会社への販売価格はグループ企業内部でいくらでも調整できるため,販売会社の販売価格を基礎とするのが通常である。
(b)●(省略)●(c)したがって,算定方法2における超過売上高は,製造会社である被告の売上高ではなく,グループ企業内の販売子会社の売上高を基礎とすべきである。
b国内分については,被告の子会社であるブラザー販売株式会社(以下「ブラザー販売」という。)が,海外分については,100%子会社であるブラザーインターナショナル等が販売を担当している。
c被告の販売子会社に対する販売価格は,販売子会社の対外販売価格のうち,ラベルライター本体については●(省略)●%,テープカセットについては●(省略)●%となるように設定されている。
dしたがって,前提事実(4)ウの被告売上高に対し,本体については●(省略)●,テープカセットについては●(省略)●を乗じた金額が販売子会社の売上高であり,仮想実施料収入の算定に当たっては,これを基礎とすべきである。
(ウ)仮想実施料率a「実施料率〔第5版 」(発明協会研究センター編)(甲130)によれば, 〕ラベルライターが属する技術分野である「電子計算機・その他の電子応用装置」において,イニシャル無しの実施料率の最頻値は50%,同平均値は33.2%である。
●(省略)●ことから,控えめな実施料率となったと考えられる。
c本件各発明は,@基本特許であること,A実施対象製品であるラミネート方式ラベルライターは,大きな市場規模を有しており,本件各発明が新たにこれを築き上げたという実績があること,B特許異議の申立てを経て権利が成立しており,権利の有効性について高く評価されることなど実施料率を高くする要因がある。
d以上の諸要素を総合考慮すれば,本件各発明の仮想実施料率は,●(省略)●を下回ることはない。
したがって,本体については7.5%,テープカセットについては15%とみるべきである。
イ被告の主張(ア)原告らの主張(ア)(算定方式2)は,明らかに争わない。
(イ)a同(イ)(算定方式2の超過売上高)aのうち,(a)及び(c)は否認し,(b)は明らかに争わない。
販売会社の売上げや利益を基準とすることは,そもそも特許法が規定する「使用者等が受けるべき利益」との条文に反する。
b同bのうち,ブラザー販売が被告の子会社であることは否認し,その余は明らかに争わない。
ブラザー販売等の日本国内における販売会社についての被告の持ち株比率は,長期にわたり,20%以下の株式であったものであり,ブラザー販売等は,被告の連結子会社でもなかった。
c同cは,国内での販売については否認し,海外での販売については明らかに争わない。
d同dは否認する。
(ウ)a同(ウ)(仮想実施料率)のうち,aは明らかに争わない。
b同b(b)は否認する。
c同cは否認する。
d同dは否認する。
●(省略)●(a)本件被告製品には,本件各発明以外の多数の被告保有特許が実施されている。
(b)第2発明及び第5発明が関係するラミネート方式については,非ラミネート方式等の代替技術の開発により比較的安価な競合品が販売され,そちらの方が大きな市場占有率を占めている。
(c)第2発明及び第5発明以外の本件各発明は,オプション機能に関するものである。
●(省略)●(e)一般的に,電子事務機器業界においては,市場を独占できるような基本特許はまれであり,ほとんどの特許は部分的な構成や機能に関するものであって,これらの特許を回避した製品を設計,製造することは可能である。しかし,多数の特許に煩わされることなく設計の自由度を確保する目的等から,しかるべき条件で包括的な実施許諾を受けることが多く,●(省略)●(f)国内では,●(省略)●が●(省略)●の市場占有率を占めており,他社が実施許諾を受けて算入する可能性は乏しい。
(g)●(省略)●(h)通常の特許権の実施許諾契約において,発明の対象となる機器の製造販売のライセンス料に加え,その機器で使用される消耗品のライセンス料を要求することはない。消耗品に関しては何らかの技術が許諾されているものではなく,既に許諾料を取得している対象機器の使用の一部と考えられるからである。
●(省略)●(8)第三者からの実施料収入(争点3)ア原告らの主張(ア)キングジムからの実施料収入a第1発明の寄与(a)警告に使用第1発明は,キングジムに対する侵害警告の根拠とされたラベルライターに関する特許権9件のうちの1つである。
(b)重要な権利第1発明は,前記(5)(超過売上高の算定)ア(オ)cのとおり,重要な権利である。
(c)キングジムの実施一対象品群kの構成キングジムが販売する別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「他社製品一覧表2(テープカセット)」記載の各製品のうち,それぞれ「第1発明」欄に「k」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群k」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群kのテープカセット」のようにいう。)は,以下の構成を有する。
キ1a文字や記号等を入力するための操作キーボード@を備えている。
キ1b備え付けのIC基盤の一部がメモリ部Dとなっており,入力された文字や記号等の文字データを記憶する仕組みとなっている。
キ1c操作キーボードによって入力された文字や記号等を表示するディスプレイAを備えている。
キ1dその背面から押圧されることで印字された像を被転写物に転写するために,レタリングテープ面に離型促進剤Gが塗布され,長尺状に形成された樹脂フィルムからなるレタリングテープFを備えている。
キ1eレタリングテープ面に像を形成するためのインクリボンIを備えており,本体に対し,レタリングテープと一体に着脱自在に装着されている。
キ1fメモリ部に記憶された文字データに基づき,その文字データの示す文字や記号等の形状を反転させた鏡像をインクリボンを介してレタリングテープ面に印字するサーマル印字ヘッドCを備えている。
キ1g鏡像が印字されたレタリングテープを切断するテープカッターBを備えている。
キ1h簡易レタリングテープ作成機である。
構成要件の対比対象品群kの上記構成キ1a〜キ1hは,それぞれ第1発明の構成要件1A〜1Hを充足しており,その技術的範囲に属する。
構成要件1Eについて構成要件1Eに関する被告の主張は,前記(2)(被告は本件各発明を実施しているか)ア(ア)のとおり,理由がない。
四まとめしたがって,キングジムは,対象品群kの販売により,第1発明を実施している。
(d)寄与割合以上によれば,キングジムからの実施料収入のうち,9分の1は第1発明の寄与によるものである。
b第3発明の寄与(a)警告に使用第3発明は,キングジムに対する侵害警告の根拠とされたラベルライターに関する特許権9件の1つであり,また,仮処分申立ての根拠とされた特許権3件のうちの1つである。
(b)重要な権利第3発明は,前記(5)(超過売上高の算定)ア(オ)cのとおり,ラベルライターのレイアウト機能に関する基本特許として位置づけられるべき重要な権利である。
(c)キングジムの実施キングジムが販売する別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「他社製品一覧表2(テープカセット)」記載の各製品のうち,それぞれ「第3発明」欄に「e」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群e」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群eのテープカセット」のようにいう。)は,第3発明の構成要件をすべて充足しているから,キングジムは第3発明を実施している。
(d)寄与割合以上によれば,キングジムからの実施料収入のうち,9分の1は第3発明の寄与によるものである。
c第4考案又はキングジム警告権利7及び8の寄与(a)発明者キングジムに対する侵害警告の根拠とされた前提事実(6)ア(ア)のキングジム警告権利7及び8は,以下のとおり,原告X2が考案した第4考案ともう1つの考案において完成していた技術思想を後から出願したにすぎないものであり,原告X2が発明者の1人である。
(b)考案と出願の経緯一原告X2は,平成元年6月5日,第4考案の社内登録を申請した(乙4の9)。
二原告X2は,考案者Cと共に,テープ切断器に関する考案を行い,平成元年8月11日に被告から出願された(実願平1-94481号・実開平3-33857号(甲44)。以下,この考案を「テープ切断器考案」という。)。
三さらに,原告X2は 「TR-77」(別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルラ ,イター本体)」5)の開発段階において,第4考案及びテープ切断器考案を基に,他の設計者らと共に,テープ端処理装置がラベルライター本体に内包されているという点を新たな特徴とするキングジム警告権利7及び8を発明した。
(c)第4考案の構成要件第4考案を構成要件に分説すると,次のとおりである。
一請求項14Aハウジング内に設けられたテープ収容部と,4Bその収容部内に配設され,テープの長手方向の移動を規制するストッパと,4C前記収容部と対向する側のハウジングに設けられ,テープを切断するカッタ刃を有したカッタホルダとを備え,4D前記ストッパまたは前記カッタホルダのいずれか一方をテープの長手方向に位置調節可能としたことを特徴とする4Eテープ切断装置。
二請求項24F前記カッタホルダをハウジングに対し着脱可能に構成し,4G前記カッタ刃とは異なる切断形状のカッタ刃を有したカッタホルダと交換可能とした4H請求項1記載のテープ切断装置三請求項34I前記収容部内に,テープの幅方向の移動を規制する一対のガイド部材をさらに設け,4Jその一対のガイド部材をテープの幅方向に位置調節可能とした4K請求項1記載のテープ切断装置。
(d)テープ切断器考案の構成要件テープ切断器考案を構成要件に分説すると,次のとおりである。
請求項14L粘着層を有したテープ基体とその粘着層に予め粘着された剥離紙とから構成された剥離紙付粘着テープを切断するテープ切断器において,4M前記剥離紙付粘着テープを完全に切断可能な完全切断刃と,4N少なくとも前記基体を切断可能なハーフカット刃とを備えるとともに,4O前記両刃の切断形状を,前記テープの幅方向に対して略対称形にするとともに,4P前記テープの幅方向両端部にて離間し,幅方向中央部にて近接する形状としたことを特徴とするテープ切断器。
請求項24Q前記両刃の切断形状が,略曲線であることを特徴とする4R請求項1記載のテープ切断器。
(e)キングジム警告権利7の構成要件キングジム警告権利7を構成要件に分説すると,次のとおりである。
一請求項14aテープ状の被印刷媒体上に文字や記号等を印刷し,被印刷媒体の印刷がなされた一部を切り取る第1の切断機構を有する印刷装置において,4b前記切り取られた被印刷媒体の端部を所望の形状に切断する第2の切断機構を備えたことを特徴とする4c印刷装置。
二請求項24d前記第2の切断装置は,前記切り取られた被印刷媒体の端部の角を円弧状に切断することを特徴とする4e請求項1に記載の印刷装置。
三請求項34f前記被印刷媒体に印刷を行う印刷手段と,4g被印刷媒体及び印刷手段を内部に収容するハウジングとを備え,4h前記第1及び第2の切断手段は,前記ハウジングに設けられていることを特徴とする4i請求項1記載の印刷装置。
(f)キングジム警告権利8を構成要件に分説すると,次のとおりである。
一請求項14a′テープ状の被印刷媒体上に文字や記号等を印刷し,被印刷媒体の印刷がなされた一部を切り取る第1の切断機構を有する印刷装置において,4b′前記切り取られた被印刷媒体の端部を所望の形状に切断する第2の切断機構と,4j前記切り取られた被印刷媒体の端部を前記第2の切断機構へ挿入案内するための案内溝とを備えたことを特徴とする4c′印刷装置。
二請求項24k前記第2の切断機構へ挿入された被印刷媒体の挿入量を規制する停止部を備えたことを特徴とする,4l請求項1に記載の印刷装置。
三請求項34h′前記案内溝は,前記印刷装置のハウジングに形成されていることを特徴とする,4m請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
四請求項44n前記案内溝は,前記切り取られた被印刷媒体を水平にした状態で挿入案内することを特徴とする,4o請求項1または請求項2または請求項3に記載の印刷装置。
(g)キングジム警告権利7と第4考案等の比較対照一キングジム警告権利7の構成要件4b(端部を所望の形状に切断する第2の切断機構)は,第4考案の請求項4G(前記カッタ刃とは異なる形状のカッタ刃を有したカッタホルダと交換可能とした)と同じ技術である。
構成要件4d(切り取られた被印刷媒体の端部の角を円弧状に切断すること)は,テープ切断器考案の構成要件4Q(切断形状が略曲線であること)及びその実施例の「2枚の刃の切断形状を上記実施例の 略)(形状に変えて,略 >< 形状や略 〔形状にしてもよい」(甲44の10頁15行〜17行)と同一の技術であ 〕る。
構成要件4a,4c,4e,4f,4g,4i(テープ状の被印字媒体に印刷すること)は,テープ切断器考案の図面4及び実施例(剥離紙と基体と粘着層から構成される剥離紙付き粘着テープにサーマルヘッドで印字する機構を備えるテープ印字装置であること)と同一の技術である。
四キングジム警告権利7の構成要件4h(第1と第2のカッターがハウジング内に収容されている)も,テープ切断器考案の実施例及び図面3で示された完全切断をする第1のカッターとハーフカットをする第2のカッターを備えることと同一の技術である。
五以上のとおり,キングジム警告権利7は,テープ切断器考案と第4考案で完成していた技術的思想を後から出願したにすぎないものであり,原告X2が発明者の1人である。
(h)キングジム警告権利8と第4考案等の比較対照一キングジム警告権利8の構成要件4j(切断されたテープの端部を切断機構へ挿入案内する案内溝)は,第4考案の構成要件4I(テープの幅方向の移動を規制する一対のガイド部材)及び第1図(ハウジング内に設けられたテープ収納部(A)の案内溝)と同じ技術である。
構成要件4k(挿入量を規制する停止部を備えること)は,第4考案の構成要件4B(収容部内に配設され,テープの長手方向の移動を規制するストッパ)と同じ技術である。
構成要件4b′(端部を所望の形状に切断する第2の切断機構)は,第4考案の構成要件4G(前記カッタ刃とは異なる形状のカッタ刃を有したカッタホルダと交換可能であること)と同じ技術である。
構成要件4n(前記案内溝は,前記切り取られた被印刷媒体を水平にした状態で挿入案内すること)は,第4考案の第1図で示された実施例と同一の技術である。
構成要件4a′,4c′,4l,4h′,4m,4o(テープ状の被印字媒体に印刷し第1切断機構と第2切断機構を有する印字装置)は,テープ切断器考案の「剥離紙と基体と粘着層から構成される剥離紙付き粘着テープにサーマルヘッドで印字する機構を備えるテープ印字装置であること ,並びに「完全切断をする 」第一のカッターとハーフカットをする第2のカッターを備えること」と同一の技術である。
六以上のとおり,キングジム警告権利8も,当時すでに販売していたテープ印字装置に,第4考案で開示されたテープ端処理機構の構成要件である案内溝,案内溝の構造,ストッパー,カッター刃の円弧形状などの要素を加えて出願されたものであり,原告X2が発明者の1人である。
(i)キングジムの実施キングジムは,SR-910(131)等において,キングジム警告権利7及び8を実施している。
(j)第4考案又はキングジム警告権利7及び8の貢献一したがって,キングジム警告権利7及び8の発明者の1人として,原告X2の貢献を考慮すべきである。
二仮に上記の主張が認められないとしても,職務発明対価請求においては,発明者の基本発明をベースに冒認出願された別特許で使用者が利益を得た場合には,その基本となる発明の価値を十分に評価することで権利の救済を図るべきである。その意味で,キングジム警告権利7及び8によってキングジムから得た利益は,基本発明である第4考案の貢献によってもたらされたものといえる。
(k)寄与割合その寄与割合は,上記(j)のいずれの場合も27分の2と考えるべきである。
d他の権利の寄与(a)経緯後記被告の主張(ア)d(a)のうち,一は否認し,二は不知,三は否認する。
侵害警告の根拠とされた権利は9件だけであり,更にこのうちの3権利だけが仮処分申立ての根拠とされたことは,被告自身がキングジムに対し行使できると考えていた権利がせいぜい9件にすぎず,それ以外の権利は内容面において権利主張に用いることに耐えられない事情があったことを示すものである。
(b)被告の権利数同(b)は不知。
(c)キングジムの実施件数一同(c)一は否認する。
仮に,一部の権利が実施されているとしても 「オートサイズ「定長印刷 , ,」,」「バーコード」などの技術は,ごく一部の高額機種で使われている可能性があるのみで,ほとんどの機種で実施されていない。
二例えば,●(省略)●テープ印字装置のように一度の印字動作で印字する装置をその権利範囲に含まない。
三●(省略)●は,第3発明と同様,キングジムへの侵害警告及び仮処分申立てに用いられた権利であるから,少なくとも9分の1の寄与が認められるが,これは,同特許の出願前に原告X2が提案した内容と同一であり(甲137の3頁左,136の7),原告X2の発明である。
四また,OEMの経過から,被告とキングジムが共同開発した権利も多いため,キングジムが先使用による通常実施権を有していたり,特許を受ける権利を有しているなどして,被告が権利行使できない権利も多い。
(d)まとめ同(d)は否認する。
(イ)カシオからの実施料収入a第1発明の寄与(a)対象品群lの構成カシオが販売する別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」及び別紙「他社製品一覧表2(テープカセット)」記載の各製品のうち,それぞれ「第1発明」欄に「l」と記載されたラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品(以下「対象品群l」といい,本体又はテープカセットのいずれかを指すときは「対象品群lのテープカセット」のようにいう。)は,以下の構成を有する。
カ1a文字や記号等を入力するための操作キーボード@を備えている。
カ1b備え付けのIC基盤の一部がメモリ部Dとなっており,入力された文字や記号等の文字データを記憶する仕組みとなっている。
カ1c操作キーボード@によって入力された文字や記号等を表示するディスプレイAを備えている。
カ1dその背面から押圧されることで印字された像を被転写物に転写するために,レタリングテープ面に離型促進剤Gが塗布され,長尺状に形成された樹脂フィルムからなるレタリングテープFを備えている。
カ1eレタリングテープ面に像を形成するためのインクリボンIを備えており,本体に対し,レタリングテープFと一体に着脱自在に装着されている。
カ1fメモリ部Dに記憶された文字データに基づき,その文字データの示す文字や記号等の形状を反転させた鏡像をインクリボンIを介してレタリングテープ面に印字するサーマル印字ヘッドCを備えている。
カ1g鏡像が印字されたレタリングテープFを切断するテープカッターBを備えている。
カ1h簡易レタリングテープ作成機である。
(b)充足対象品群lの構成カ1a〜カ1hは,それぞれ第1発明の構成要件1A〜1Hを充足しており,その技術的範囲に属する。
(c)構成要件1Eの解釈構成要件1Eに関する被告の主張は,前記(2)ア(ア)のとおり,理由がない。
(d)寄与割合以上のとおり,カシオからの実施料は,すべて第1発明の寄与によるものである。
b他の権利の寄与(a)経緯後記被告の主張(イ)b(a)は否認する。
(b)被告の権利数同(b)は不知。
(c)カシオの実施件数同(c)は否認する。
(ウ)ダイモ社からの実施料収入aダイモ契約権利について(a)優先権主張一ダイモ契約の対象とされたダイモ契約権利1及び2(前提事実(6)ウ(ウ))は,●(省略)●二第2国出願の特許請求の範囲には,第1国出願の明細書及び図面に記載されている事項を入れることができる(パリ条約4条H)。
(b)ダイモ契約権利の内容一(一)●(省略)●(二)●(省略)●二ダイモ契約権利2(乙40の2)のDescription(発明の説明,発明の属する技術分野,従来技術)には,以下の記載がある。
「この発明は,上記のような従来技術の問題点からヒントを得て,印字面が直接触れられないように保護された表示用ラベルを作ることが出来,テープ表面を擦ることによって像を転写することができるインスタントレタリングテープ(以降レタリングテープと呼ぶ)を作ることも出来る汎用性の高いテープカセットを供給することと,このようなテープカセットを使用する,操作も構造も簡単で安価なテーププリンターを供給することを目的とするものである。
上記のこの発明の目的を達成するため,請求項1に記載したテープカセットを供給するものである。
この態様によれば,作られたラベルは剥離紙を剥がした後,簡単に所定の場所もしくは所望の物体に,一般的な表示用テープとして貼り付けることも出来,透明な受像用テープに印字された像が反対側から見れるようなラベルを作ることが出来るのである。
この発明によって実施可能な態様としてはさらに,テープカセットの筐体内に,第1〜第3の収納部が同一レベルで横に近接して設けられており,粘着テープを収納する第3の収納部が他の収納部よりもテープ出口の近くに設けられているといったこともできる。
それにより,粘着テープの出口までの経路が短くなるので,粘着テープがテープカセット内の壁等に触れてしまうことを防ぐことが出来る。
この発明のテーププリンターの特徴は請求項7に記載されている 」。
(c)日本出願1日本出願1の明細書等(乙40の7)の記載は,次のとおりである。
一実用新案登録請求の範囲●(省略)●二上記の「付勢手段」は,ダイモ契約権利2の請求項4の構成要件D2Jの「付勢手段」及び請求項5の構成要件D2Lの「隔離壁」に対応している。
三明細書中の記載「ここで,テープ印字装置1によって作成される貼付けテープ21の構成を第8図に基づいて説明する。
貼付けテープ21は,透明テープ25と,その透明テープ25に貼合わせられた両面テープ27とから構成されている。両面テープ27は,透明な基材27aの両面に形成された第1粘着面27b及び第2粘着面27cと,その第2粘着面27cに貼合わせられた剥離紙27dとから構成されている。前記透明テープ25の裏面に,透明テープ25の表面から見たときに正像となるような文字の印字像29が形成され,この透明テープ25の裏面と両面テープ27の第1粘着面27bとが貼合わせられているのである。従って,印字像29は透明テープ25と両面テープ27の間に挟まれることになり,外部からの摩擦等により汚れたりかすれたりすることがない 」(6頁15行〜7頁11行) 。
(d)日本出願2日本出願2の明細書等(乙40の6)の記載は,次のとおりである。
一実用新案登録請求の範囲(請求項1)●(省略)●二ダイモ契約権利2には,上記請求項1に対応する請求項はない。
三明細書中の記載「以下,本考案を具体化したリボンカセットの実施例について図面を参照して説明する。
第1図は,ラベルテープ用リボンカセット1の蓋部1bを除いて示した分解斜視図,第2図はそのケース本体1aから蓋部1bを除いた平面図,第3図は蓋部1bを取り外した斜視図,である。第5図(A)は全体の平面図,(B)は正面図,(C)は底面図である。
ケース本体1aの内底面には3つの円筒状嵌合軸3,5,7が立設されている。これらにはそれぞれスプール9,11,13が回転可能に支持されている。このうちリボン供給スプール9は印字前の熱転写インクリボン15をインク面を内側にして巻回しており,印字テープスプール11は透明な印字テープ17を巻回しており,両面テープスプール13は片面のみに剥離紙が貼着された両面粘着テープ19を,剥離紙を外側にして巻回している。またケース本体1aの内底面には,軸受孔21,23が設けられ,リボン巻取スプール25,テープ送りローラ27の端部が回転可能に支持されている 」(2欄39。
行〜3欄6行)「尚,印字テープ17は,テープ送りローラ27を通過する位置からは,両面テープスプール13からテープ送りローラ27へ至る両面粘着テープ19とその粘着層にて接着一体化して,ラベル用テープ55となり外部へ至っている 」(4欄8行〜11行) 。
「その下流では,駆動ローラ149がリボンカセット1側のテープ送りローラ27へ圧接され,そのテープ送りローラ27との間で,印字テープ17を両面粘着テープ19に重合し接着させる 」(5欄23行〜26行) 。
「…本印字装置131における固定印字ヘッド141と印字テープ17との相対的走査方向が,通常のサーマルプリンタの走査方向と正反対となるようにされているため,形成される印字パターンは,印字テープ17を印字面方向から見たときには鏡像となるのである 」(5欄38行〜42行) 。
「駆動軸133の回転が始まると,テープ送りローラ27は駆動ローラ149と協動して印字テープ17と両面粘着テープ19とを接着させつつ,一点鎖線で示すごとく印字装置131の外部に,積層体としてのラベル用テープ55aを排出する。従って,同時にスプール11からは印字テープ17が,スプール13からは両面粘着テープ19が,それぞれ引き出されて来る。このとき操作者からは矢印Eで示すようにラベル用テープ55aの内,印字テープ17側が見える 」(5欄43行〜50行) 。
「この状態で上記のごとく,両面粘着テープ19との積層体を形成する。両面粘着テープ19は印字テープ17の印字パターン付着側に接着するので,排出されたラベル用テープ55は,例えば第7図に示すような構造となる。ここで印字テープ17の底面にはインクリボン15のインクにより形成されている鏡像の印字パターン15aが形成され,そこに両面粘着テープ19の粘着層19aが接着し,更に最下層は両面粘着テープ19の剥離紙19bとなっている。排出してきたラベル用テープ55は,印字が終了すれば,印字装置131に設けられている切断レバー151を図の矢印方向に回転し,連動する回転カッター153を図の矢印方向に回転させると,破線で示すごとく,その刃153aが,リボンカセット1の外周壁2の外面にラベル用テープ55を押圧し切断する 」(6欄11行〜24行) 。
「こうして製作されたラベル用テープ55は,使用者が剥離紙19bを剥して所望の場所に貼着すれば,印字は表面でなく裏面であり,その印字パターンが鏡像となっているため,表面からみれば正像となり,しかも印字面が印字テープ17により保護されることとなるので,高耐久性のラベル表示を可能とする 」(6欄25行〜3。
0行)(e)日本出願3日本出願3の明細書等(乙40の5)の記載は,次のとおりである。
一実用新案登録請求の範囲(一)請求項1●(省略)●(二)請求項2●(省略)●二対応関係上記請求項1の「保持部材」及びこれを限定した請求項2の「板ばね」は,ダイモ契約権利2の請求項4の構成要件D2Jの「付勢手段 ,請求項5の構成要件D 」2Lの「隔離壁」及び請求項6の構成要件D2Nの「バックテンションバネ」に対応している。
(f)まとめ以上のとおり,ダイモ契約権利2の構成要件は,日本出願1及び2の明細書に記載されていた,ラミネート発明の構成要素である@ラミネート構造と方法,Aテープ印字装置,B透明印字テープ,Cインクリボンと巻取りスプール,D剥離紙付き両面粘着テープ,E一対の圧着ローラー,Fサーマル印字ヘッド,G反転印字,Hテープカットと,日本出願1〜3の請求項の部分からなる。
そして,ダイモ契約権利2のDescriptionには,ラミネート方式のラベルライターとこれに用いるカセットテープによって,耐久性の高い貼付けラベルや,インレタテープを作ることを目的として出願されたことが明示されており,ラミネート発明がダイモ契約権利2の主要部分であることは,明らかである。
bDYMO4000の構成DYMO4000の構成は,別紙「DYMO4000の構成」のとおりである。
cダイモ契約権利2の構成要件との対比(a)請求項1(構成要件D2A〜D2D)一構成要件D2A〜D2Dの透明な受像用テープの裏側に,インクリボンで反転印字し,その面に裏に剥離紙が付いた両面粘着テープを貼り合わせることは,ラミネート発明の構成要素である。
構成要件D2Aの「印字ヘッドが退避する凹所」は,サーマル印字用のカセットすべてが有している必然的な構成にすぎない。
三DYMO4000は,構成要件D2A〜D2Dをいずれも充足する。
(b)請求項2(構成要件D2E,D2F)一構成要件D2Fは,反転印字された透明テープと両面粘着テープを貼り合わせるための一対の圧着ローラーのことで,ラミネート発明の構成要素である。
二DYMO4000は,構成要件D2E及びD2Fをいずれも充足する。
(c)請求項3(構成要件D2G,D2H)一構成要件D2Hの両面粘着テープがテープ出口に一番近いところに配置されることは,これを最後に貼り付けるラミネート機構において必然的な構成である。
二DYMO4000は,構成要件D2G及びD2Hをいずれも充足する。
(d)請求項4(構成要件D2I,D2J)一構成要件D2Jの「付勢手段」は,上記a(c)及び(e)のとおり,日本出願1及び3の請求項に対応する。
二DYMO4000のテープカセットには,リボンを凹所から外側に向かって付勢する付勢手段がないから,構成要件D2Jを充足しない。
(e)請求項5(構成要件D2K,D2L)一構成要件D2Lの「隔離壁」は,上記a(c)及び(e)のとおり,日本出願1及び3の請求項に対応する。
二DYMO4000のテープカセットには,インクリボンと透明受像用テープが直接触れ合わないようにする隔離壁がないから,構成要件D2Lを充足しない。
(f)請求項6(構成要件D2M,D2N)一構成要件D2Nの「バックテンションバネ」は,上記a(e)のとおり,日本出願3の請求項に対応する。
二DYMO4000のテープカセットには,案内棒に向かって透明受像用テープとインクリボンのたるみを押える板バネは存在するが,2か所の突起がテープの走行方向と同じ方向に端を向けているという特徴はないから,構成要件D2Nを充足しない。
(g)請求項7(構成要件D2O,D2P)一構成要件D2Pは,インクリボンを装着するためにプラテンと印字ヘッドを相対的に可動とするという自明の構成にすぎない。
二DYMO4000は,構成要件D2O及びD2Pをいずれも充足する。
(h)請求項8(構成要件D2Q,D2R)一構成要件D2Rは,透明受像用テープへの反転印字であり,ラミネート発明の構成要素である。
二DYMO4000は,構成要件D2Q及びD2Rをいずれも充足する。
(i)まとめ以上のとおり,ダイモ契約権利2の請求項のうち,DYMO4000で実施されているのは,ラミネート発明で開示されている請求項1〜3,7及び8のみであり,日本出願1及び3に対応する請求項4〜6は,いずれも実施されていない。
(j)DYMO4000において,日本出願2から分割出願された実願平2-71610(乙97)の権利内容が実施されている点は,原告らにおいて明らかに争わない。
dその他の事情(a)ダイモ社が製造販売するDYMO4500は,非ラミネート方式である点以外はDYMO4000と同じ構成であるが,仮差止めやダイモ契約の対象となっていない。
(b)被告がダイモ社から得た賠償金の金額は,●(省略)●そのような金額が算定される根拠となり得る権利は,ラミネート発明以外に考えられない。日本出願1〜3に係る権利は,内容も些末で考案の価値自体が乏しい上,ダイモ社は実施しておらず,賠償金やロイヤリティの根拠とはなり得ない。
(c)ダイモ契約において,海外特許1ではなく,ダイモ契約権利1及び2が用いられたのは,●(省略)●海外特許1(登録日平成4年9月2日)が登録されていなかったのに対し,ダイモ契約権利1及び2は既に登録を経ており,ラミネート発明の内容をそのまま有していたからである。
(d)被告は,ダイモ契約権利1及び2の発明の主要部分はテープカセットである旨主張するが,ダイモ契約で製造・販売を禁止されたのはラベルライター本体であるから,ダイモ契約権利1及び2は,単にテープカセットを対象としたものではない。
eまとめ以上のとおり,ダイモ社からの実施料は,すべてラミネート発明(第2発明,第5発明,海外特許1)の寄与によるものである。
イ被告の主張(ア)キングジムからの実施料収入a第1発明の寄与(a)原告らの主張(ア)a(a)(警告に使用)は認める。
ただし,被告は,第1発明につき,キングジムから無効理由を主張され,これに対する反論が困難であると判断し,仮処分申立ての際には第1発明を根拠としなかった。
(b)同(b)(重要な権利)は否認する。
第1発明が関連する転写テープは,使用される頻度は極めて少なく,必要性に乏しい機能である。
実際,前記(5)(超過売上高)イ(オ)b(d)のとおり,キングジム(テプラプロ)における転写テープの販売額は,テープ全体の●(省略)●%程度であり,しかも,平成15年5月には製造中止となっている。
(c)同(c)(キングジムの実施)のうち,一(対象品群kの構成)は明らかに争わず,二(構成要件の対比)は構成キ1eが第1発明の構成要件1Eを充足することは否認し,その余は明らかに争わず,三(構成要件1Eについて)及び四(まとめ)は否認する。
前記(2)イ(ア)のとおり,構成要件1Eは,レタリングテープに対してインクリボンが着脱自在のものに限定されているから,構成キ1eは構成要件1Eを充足しない。
(d)同(d)(寄与割合)は否認する。
第1発明は,キングジムからの実施料収入に全く寄与していない。
仮に,ラベルライター本体については,その売上げが仮に第1発明と関連するとしても,ユーザーにより転写テープが購入され使用されて初めて生ずるものであるから,ラベルライター本体の販売額全体を算入すべきではない。
原告らに最も有利な見方をしても,テープカセット全体における転写テープカセットの販売数量又は販売額の割合分を限度とすべきである。
b第3発明の寄与(a)同b(a)(警告に使用)は認める。
キングジムに対する侵害警告に際しては,特許請求の範囲の記載が分かりやすいものという観点から,スタンプ作成装置に関するものを含め10件を抽出したものである。そして,交渉過程でキングジムが侵害を認めた3件を,仮処分申立てにおいて被保全権利としたにすぎない(乙75の5,6項)。
また,後記(b)の事情及び他の多くの権利が寄与していることからも,第3発明の存在がキングジムにキングジム契約の締結を決断させた理由になったとは考えられない。
(b)同(b)(重要な権利)は否認する。
第3発明は,前記(5)(超過売上高)イ(オ)c(b)のとおり,多種多様な編集機能の1つにすぎず,第3発明の編集機能を有さずに消費者に受け容れられたラベルライターは多く存在するから,ラベルライター製造に必要な権利ではない。
また,前記のとおり,第3発明は,進歩性を有しない無効な権利であり,しかも発明者の1人がそれを知りながら申請したものであって,価値は極めて低い。
(c)同(c)(キングジムの実施)は明らかに争わない。
(d)同(d)(寄与割合)は否認する。
第3発明は,その請求の範囲から見て,ラベルライタ本体の機構に関する発明であり,テープカセットについては,直接にも間接にも特許の権利は及ばないから,テープカセットに係る実施料収入には寄与していない。
c第4考案又はキングジム警告権利7及び8の寄与(a)同c(a)(発明者)は否認する。
仮に原告X2が発明者とすると,キングジム警告権利7及び8は冒認出願として無効な権利であり,原告X2に対価請求権は存在しない。
(b)同(b)(考案と出願の経緯)のうち,一及び二は認め,三は否認する。
(c)同(c)(第4考案の構成要件)は,明らかに争わない。
(d)同(d)(テープ切断器考案の構成要件)は,明らかに争わない。
(e)同(e)(キングジム警告権利7の構成要件)は,明らかに争わない。
(f)同(f)(キングジム警告権利8の構成要件)は,明らかに争わない。
(g)同(g)(キングジム警告権利7と第4考案等の比較対照)は,後記(l)二及び三の限度で否認し,その余は明らかに争わない。
(h)同(h)(キングジム警告権利8と第4考案等の比較対照)は,上記(l)二及び三の限度で否認し,その余は明らかに争わない。
(i)同(i)(キングジムの実施)は明らかに争わない。
(j)同(j)(第4考案等の貢献)は否認する。
(k)同(k)(寄与割合)は否認する。
第4考案は,キングジム製品に実施されていないし,●(省略)●平成12年5月31日に,年金未納により権利が消滅している。したがって,キングジムからの実施料収入に寄与していないことは明白である。
(l)一キングジム警告権利7は 「被印刷媒体の印刷がなされた一部を切り ,取る第1の切断機構を有する印刷装置」(構成要件4a)を前提として 「前記切り,取られた被印刷媒体の端部を所望の形状に切断する第2の切断機構」(構成要件4b)を特徴部分としている。この「第2の切断機構」は 「第1の切断機構」によ ,り既に切り取られた被印刷媒体の端部を所望の形状に整えるものであり 「第1の,切断機構」とは別個に「印刷装置」に備えられている。そして 「必要に応じて被,印刷媒体の端部を所望の形状に切断することができ,また,その端部処理の作業が簡単に行える」(甲42の8欄4行,5行)ことを発明の効果としている。
また,キングジム警告権利8は,上記4a及び4bと同一の構成要件に加え,「前記切り取られた被印刷媒体の端部を前記第2の切断機構へ挿入案内するための案内溝」(4j)を特徴部分としている。そして,発明の効果は,上記と同様である。
二これに対して,第4考案は 「前記ストッパまたは前記カッタホルダの ,いずれか一方をテープの長手方向に位置調節可能としたこと」(構成要件4D)を特徴部分とし 「テープをその両端が垂直若しくは左右対称形に,しかも左右等間隔 ,で所望の長さに切断することができるので,装飾性に優れた所望のテープを得ることができる」(甲2の9の5欄8行〜6欄1行)ことを考案の効果としている。また,第4考案の明細書には 「カッタホルダ20を交換することにより他の切断形状の ,もの(例えばテープの長手方向に対して垂直のもの)を用いることも可能である」(同4欄3行〜5行)との記載がある。
しかし,第4考案及びその明細書に記載された発明は,あくまでもテープを所望の長さに切断するために「ストッパまたはカッタホルダのいずれか一方」が位置調整可能である「テープ切断装置」を特徴とするもので,切断済みの端部を処理するために「第2の切断機構」が「第1の切断機構」とは別個に印刷装置に備えられたキングジム警告権利7及び8とは構成を異にする。
三原告らは 「第2の切断機構」(構成要件4b)は,第4考案の「前記カ ,ッタ刃とは異なる形状のカッタ刃を有したカッタホルダと交換可能」(構成要件4G)であることと同じ技術である旨主張する。
しかし,かかる交換可能な構成では,端部処理の度にカッタホルダの交換作業を必要とし,キングジム警告権利7及び8の効果である「端部処理の作業が簡単に行える」との効果を発揮できない。
したがって 「第2の切断機構」(構成要件4b)は,第4考案の「交換可能な」 ,「異なる形状のカッタ刃を有したカッタホルダ」と対応しない。
四以上のとおり,第4考案及びその明細書に記載された発明は,キングジム警告権利7及び8とは構成及び効果において相違するから,原告X2がキングジム警告権利7及び8の発明者でないことは明らかである。
五また,テープ切断器考案には 「全カットカッター」と「ハーフカット ,カッター」の2つのカッターを設ける技術が開示されているが,これは貼付テープを「全カット」するか「ハーフカット」するかであり,また,テープを切断する際に2つの刃が同時に作動する構成であって 「第2の切断機構」が「第1の切断機 ,構」と別個に作動するキングジム警告権利7及び8とは構成を異にし,技術思想も異なる。
d他の権利の寄与(a)経緯一キングジムの「テプラプロ」は,被告がOEM供給していた「テプラ」の延長線上の製品であり,ラミネートテープから非ラミネートテープに変更した以外は,機能,機構とも同じであったから,必然的に被告が保有する多くの特許権・実用新案権を侵害していた(乙75第4項)。
二●(省略)●三●(省略)●(b)被告の権利数キングジム契約の締結時において,キングジムへの実施許諾に関する被告の権利は,スタンプ関係のものを含め,少なくとも●(省略)●件以上あった。また,被告は,ラベルライターを対象とする特許・実用新案の出願は少なくとも●(省略)●件以上あり,現在効力を有する特許権・登録実用新案権だけでも少なくとも●(省略)●件以上ある。
(c)キングジムの実施件数一平成17年時点において,キングジムが実施している本件各発明以外の被告保有権利は,ざっと調べただけでも●(省略)●件に上る(乙70〜73)。
二原告らは,ミラー印字発明は,複数行を数回に分けて印字する場合に限って発明性が認められたものにすぎないと主張するが,そのように解すべき明細書等の記載はない。特許異議決定(甲138)の記載の趣旨も不明である。
三原告らは,オートサイズ発明の発明者は原告X2であると主張するが,甲137の提案内容を不当に拡張解釈し,上記特許の各構成要件と無理やりに対応付けて構成の同一を主張するもので,根拠のないものである。
四原告らの主張(c)四は否認する。
(d)まとめこのように,キングジムが多額の一時金や実施料を支払ってキングジム契約に応じたのは,被告の保有する多数の特許に対するリスク回避のため,ないしは設計の自由を確保するためである。
(イ)カシオからの実施料収入a第1発明の寄与(a)原告らの主張(イ)(対象品群lの構成)a(a)は明らかに争わない。
(b)同(b)(充足)は,構成カ1eが第1発明の構成要件1Eを充足することは否認し,その余は明らかに争わない。
(c)同(c)(構成要件1Eの解釈)は否認する。
前記(2)イ(ア)のとおり,構成要件1Eは,レタリングテープに対してインクリボンが着脱自在のものに限定されているから,構成カ1eは構成要件1Eを充足しない。
(d)同(d)(寄与割合)は否認する。
第1発明が関連する転写テープは,使用される頻度は極めて少なく,必要性に乏しい機能である。
実際,前記(ア)a(b)のとおり,キングジム(テプラプロ)の場合,転写テープの販売額は,テープカセット全体の●(省略)●%程度である。カタログから見るカシオのテープカセットの種類は,キングジムと余り異ならないから,同程度と推認できる。
ラベルライター本体については,その売上げが仮に第1発明と関連するとしても,ユーザーにより転写テープが購入され使用されて初めて生ずるものであるから,本体の販売額全体を算入すべきではない。
原告らに最も有利な見方をしても,テープカセット全体における転写テープカセットの販売数量又は販売額の割合分を限度とすべきである。
b他の権利の寄与(a)経緯カシオ契約は,被告保有の特許権・実用新案権●(省略)●許諾である。
(b)被告の権利数カシオ契約の締結時,カシオへの実施許諾に関する被告の権利は,少なくとも国内で●(省略)●件以上あった。また,被告は,ラベルライターを対象とする特許・実用新案の出願は少なくとも●(省略)●件以上あり,現在効力を有する特許権,登録実用新案権だけでも少なくとも●(省略)●件以上ある。
(c)カシオの実施件数平成17年時点において,カシオが実施している本件各発明以外の被告保有権利は,別紙「キングジム及びカシオ実施の被告権利一覧表」のとおり,少なくとも●(省略)●件に上る(乙70)。
(ウ)ダイモ社からの実施料収入aダイモ契約権利について原告らの主張(ウ)a(a)〜(e)(各権利の内容等)は明らかに争わず,(f)(まとめ)は否認する。
原告らのまとめは,そもそも第2発明,第5発明,海外特許1の特許請求の範囲を無視した解釈であり,利用発明(特許法72条)の主張にすらなっていない。
bDYMO4000の構成同bは明らかに争わない。
cダイモ契約権利2の構成要件との対比同cは,いずれも明らかに争わない。
●(省略)●その権利内容がDYMO4000において実施されている。
dその他の事情(a)同d(a)は明らかに争わない。
(b)同(b)は否認する。
(c)同(c)のうち,各権利の登録の時期は認め,その余は否認する。
(d)ダイモ契約権利1及び2の請求項1は,いずれも「プラテンと相対して印字を行う印字ヘッド(83)を持つ,テープ印字装置に用いられるテープカセットであり」と記載されており,テープカセットを主要部分とする発明・考案であることは明らかである。請求項2以下も同様に,テープカセットか,請求項1のテープカセットを使用するテーププリンターに関する発明である。
これに対し,第2発明,第5発明及び海外特許1は,ラミネートテープ作製に必要なテープをカセット化する以前の発明であり,テープカセットには全く触れられていないから,内容を異にする。
eまとめ同eは否認する。
契約対象でない発明が契約対象の権利に係る発明の本質部分と同一であるからといって,当該契約に基づくライセンス収入が契約対象でない発明に対する関係での収入となる理由はない。
(9)発明に対する被告の貢献度(争点4)ア原告らの主張(ア)本件各発明についての原告らの貢献a第1発明に至る経緯(a)原告X1は,LRセンターにおいて,昭和60年11月ころ,日本語ワープロの使用実態の調査を担当し(乙1のphase1),昭和61年2月,ワープロ開発のアイデアを創出するための研修会議をコーディネートした(乙1のphase2)。そして,原告X1は,このアイデア会議において,インレタ作製機のアイデアを提案した。
(b)一原告X1は,その後,インレタ作製機に必要となる以下の技術について,独自に検討した。
@ヘッドを固定し,テープを搬送して印字する印字機構(メカ的要素)Aレタリングテープと印字リボン(化学的要素)B入力・表示・編集・記録機能(ソフトウェア的要素)C全体を制御する電子回路(ハードウェア的要素)二このうち,@,B及びCは,当時から使用されていた汎用技術であったので,Aの化学的要素の部分を重点的に検討するうちに,印字されたインク材を保持し,かつ剥がれやすくする「仲立ち役」の存在の必要性に気がついた。
三そこで,原告X1は,同期入社の技術者であるD(以下「D」という。)に協力を依頼し,同人の協力による数回の実験を経て,樹脂製のシートにシリコーン剤をコーティングすることとなった。
四Dは,原告X1からの具体的相談を受けて協力したのであり,Dの研究が先行していたのではない。
(c)原告X1は,こうして第1発明を完成し,昭和61年7月30日,第1発明に係る社内申請をした(乙4の1,10)。
b第1発明完成後(a)一原告X2は,原告X1からインレタ作製機を紹介され,担当業務とはほとんど無関係に参画することとなった。そして,原告らは,昭和61年10月ころから,上司の命令・指示や組織的な人員・予算の割当てがないまま,独自にインレタ作製機の製品仕様を検討した。
二また,開発部の電子工学系技術者であったBは,同年11月ころ,インレタ作製機に興味を持ち,個人的に原告らに協力するようになった。
(b)原告X2は,昭和62年1月ころ,インレタ作製機に貼付けテープの作製機能を盛り込むことを着想し,原告らとBが検討を進めた。
, 貼付けテープの課題としては,まず文字が簡単に消えないようにすることがあり続いて,正像印字と逆像印字の切替え処理に関するリコー特許(特願昭59-152696号。乙11の3)の回避が課題となった。原告らは,このような検討過程の中で,透明なテープの裏から左右反転の鏡像文字を印字する方式であれば,文字が透。 明テープによって覆われ,文字擦れという最初の問題を解消できることを発見したc第2発明,第3発明,第5発明及び第3考案の経緯(a)第2発明一(一)昭和62年3月ころ,Bがカラーコピーの開発プロジェクトに召集され,原告らに協力できなくなった。原告らは,Bの助言もあって,被告社内の正式な事業とするため,商品コンセプトと設計的思想をまとめて,情報機器事業部にプレゼンテーションをすることとした。
原告らは,この段階までに 「レタリングプリンターの特徴」(甲21の5枚目) ,として,具体的製品仕様をまとめていた。
(二)また,同年4月から5月にかけて,商品コンセプトの受容性の再確認と,求められる製品仕様や希望価格を明らかにすることを目的とした「プロダクトテスト」を行った(乙1のPhase4)。
(三)上記プロダクトテスト後,原告X2は,第2発明等の共同発明者となったA,E(以下「E」という。)及びF(以下「F」という。)の3名に対し,ラベルライター商品化の根回しを行った。
(四)原告らは,インレタ作製機の事業化のため 「P-touchプロジェ ,クト基本仕様案(1版)」(乙55添付資料11),アイデア提案書(同添付資料13),企画書(同添付資料14)などを作成した。
(五)以上の準備を経て,原告らは,情報機器第1事業部G部長にプレゼンテーションを行い,同事業部で製品開発を行う了解を取り付けた。
(六)このような原告らの活動により,同年5月21日,プロジェクトチーム「NB-1チーム」が結成された。
二(一)ラベルライターの製品コンセプトと技術的着想の基盤は,すでに原告らが相当程度まで詰めていたので,NB-1チームでは,すぐに重要なポイントについての検討に入った。NB-1チームが結成された翌日である昭和62年5月22日の打合せ(乙55添付資料19)では,インレタと貼付けテープの両立に併せ,テープの耐久性が望まれること,鏡像と正像を切り替えるとリコー特許に抵触することなど,原告らとBが検討してきた内容が伝えられた。
(二)耐久性のある貼付けテープについては,従前の検討結果のとおり,透明テープに鏡像を印字する方法が唯一最善であるとの意見で一致した。
(三)同プロジェクトチームで話し合っていくうちに,透明テープの裏から鏡像印字し,その裏面に両面テープを貼り合わせ,さらに送ってカットする,これらのすべての操作を1つのコンパクトな機械の中に納めるという発想が生まれた。
(四)さらに,細部の詰めで,@コンパクト化を図るために,1つの駆動モーターでテープとインクリボンの両方を送るようにする,Aテープ類はすぐになくなるから,一体式のカセットにまとめて取り外しをできるようにする,Bカセットテープの取り替え時には,テープやリボンを挟んでいる印字ヘッドとプラテンをリリースする(離す)ことが必要となるといったことも決まり,ついに同年6月ころ,ラミネート方式ラベルライターの発明の主要な部分がすべて完成した。この時の会議出席者は,原告ら,A,E及びFの5名であった。
三この段階では,小型化,コスト削減,印字テープと両面テープの貼り合せの精度を上げること,テープ類の搬送にガイド棒が必要であることなどの課題が残されていたが,まずは特許として出願することになった。
四被告は,漢字ダイモについて主張するが,G部長は,原告X2から「P-touchプロジェクト基本仕様案(1版)」の説明を受けた上,同年3月21日,同年2月25日作成の「アイデア提案書」に印を押し(乙55添付資料13),Aら3名に対して,ダイモの漢字版を検討するように言ったものである。しかも,同年3月21日からNB-1チームができる同年5月21日までの間,Aの業務日誌(乙3)に何も記載されていないように,Aら3名が何らかの検討を行ったことを示す証拠はない。
五被告は,第2発明等について,実際に発明・考案をしたのはAら技術者であり,原告らは貢献していない旨主張するが,第2発明は,Aらが参画する以前において,原告らが発明の主要部分をすでに完成させており,プロジェクトチーム結成後に行われていたことは,むしろ発明の詰めと評価されるべき部分である。第1発明の社内申請書類(乙10)5頁には 「そのテープ(注:インレタテープのこと) ,自体に接着力があれば,それをそのまま対象物に貼ってやることも可能で,それが保護膜としての機能を持つようになる」との記載が既にあった。原告X2が昭和62年4月1日に作成した「P-touch『インスタントレタリング作成機』企画書」(乙55添付資料14)2頁にも,次機種案として 「プラスター状のテープごと貼り ,付けるタイプを考える」と記載されている。
また,その他の共同発明は,ラベルライターの根幹発明である第1発明と第2発明の上に成り立つ派生的な発明であるが,原告らは,それらについても,検討の中で主導的な役割を果たしていた。
(b)第3発明第3発明については,原告X2が中心となって,ラベルライターの具体的な使用方法を調査検討するうちに,VHSビデオのラベルを作る場合,大きな字のタイトルの横に小さい字で録画時間や俳優名を入れるため,小さい字を真中,下,上に揃えるレイアウトがあると便利だと気が付いた。そこで,原告らが設計者へ相談し,実施方法を考えた。
(c)第5発明NB-1チームは,使用者が送られた印字テープの文字を正像で認識できるようにしたいと考え,印字ヘッドを印字テープを挟んで作業者と対向する位置とした。
また,印字された文字が天地逆にならないようにすため,使用者からみて右から左の方向にテープを送ることとした。
(d)第3考案NB-1チームは,テープ類やインクリボンは一体式のカセットにまとめることにしたが,ユーザーのニーズに応え切れない懸念があったので,テープや文字のバリエーションを増やすため,カセットテープ内のスプールを個別に取り外し,テープと文字の組合せを自由にすることを思いついた。
(イ)貢献度の考慮要素a原告らの地位・職務内容(a)原告X1は,LRセンターで市場調査やアイデア研修のコーディネートをしており,本件各発明を期待される立場・地位になかった。
(b)原告X2は,新入社員であり,商品の売上げ・利益を集計して本社に報告する部署にいたもので,本件各発明を期待される立場・地位になかった。
(c)発明に当たって,上司からの指揮・指導もなかった。
b本件各発明の意義本件各発明,特に第1発明及び第2発明は,電子式ラベルライターというこれまでなかった商品を生み出したパイオニア発明である。
c使用者に蓄積された技術の利用本件各発明当時,ラベルライターは被告の事業ではなく,被告に蓄積された発明,ノウハウ,人的資源などは何もなかった。
むしろ被告は,ラベルライター事業自体に消極的であったことは,上記(ア)のとおりである。
d先行投資や研究設備,スタッフの存在被告は,本件各発明につき,先行投資等を全くしていない。
e本件各発明の会社に対する貢献特許法35条に基づく対価請求において,発明に対する貢献として考慮される事情は,あくまで発明完成までの事情に限られるべきである。
仮に発明完成後の事情を考慮するのであれば,本件各発明は,ラベルライター事業を生み出すことにより,倒産寸前であった被告会社を立て直すという多大な貢献をしたという事実を考慮すべきである。
(ウ)ラベルライター発売までの製品化・事業化に向けた努力a製品化へ向けた努力後記被告の主張(ウ)aは明らかに争わない。
b販売ルートの開拓同bは明らかに争わない。
原告らは,キングジムへのOEM供給に反対し,当時のY社長に対し直談判するなどしたが,覆すことはできなかった。原告らは,社長に直談判した責任を問われ,担当をはずされた。
c国内販売開始までの時期(昭和63年3月〜11月)同cは明らかに争わない。
d開発費用(a)同dは否認する。
(b)昭和61年12月から発売までの間,ラベルライターの開発に要した費用を試算すると,●(省略)●(エ)被告の保有技術の投入a同(エ)は明らかに争わない。
b(a)一透明粘着テープ,インクリボン,両面粘着テープという3種類のテープすべてを,個別のオープンリール式による供給ではなく,1つのカセットに収納して提供するという技術は,最初に原告らの第3考案の実施例で示されたものである。
二A作成の業務日誌(乙3の6月17日欄)には,共同発明者間で特許出願の可能性があると考えた技術要素の内容が,1〜25項目にまとめて列挙されており,その中に,3種のテープをすべてカセットに収める「Allカセット方式」(2506頁下から3行)も記載されている。
(b)ラミネート方式ラベルライターを構成する技術,例えば 「テープ送り,機構部」や「印字機構部」は,印字ヘッドを固定してテープを横に送る動作で完了し,しかも自社仕様のテープに対応するだけでよいから,一般的なワープロやプリンターに比べて,困難な技術を要しない。
被告は,日本語ワープロの分野における入力・編集,表示,記憶,印字手段のいずれの技術においても,他社に優位する技術を有していなかった。
ラベルライターの印字機構部の構成のうち,サーマル印字ヘッド及びプラテンローラーは,メーカーに発注したものを調整して使用するだけである。
入力・編集ソフトについても,初期のラベルライターは単漢字変換という初歩的な汎用技術であり,被告の独自技術ではない。
結局,Dが研究開発した独自技術であるインレタ用のインクリボンを除き,いずれも,既存の部品や素材を加工・調整する調整技術か,だれでも利用できる汎用技術のレベルであって,それ自体が付加価値を生むものではない。
(c)被告が最重要技術であると強調しているテープの蛇行防止(平行貼り合せ)やカセット化技術のうち,代表としているバックテンション,突起物の走行ガイド,リボン張りバネ等は,いずれも平易で常識的な設計事項にすぎない。
バックテンションの問題と,そのためにバネ類を用いることについては,第5発明,第2発明の明細書の中でも「ばね座金94が設けられてスプール90の回転に適当な回転抵抗を与え,必要以上に透明テープ70が引き出されない」(甲2の5の7欄38行〜40行) 「渦巻きばね95を使用してもよい」(甲2の2の6欄3 ,8行,39行)と触れられている。
(d)ラミネート方式ラベルライターが商品企画会議を通過した昭和62年10月16日から,生産が開始された昭和63年9月までに行われた品質チェックや改良設計の内容を見ても(乙55添付資料25〜57),いずれも軽微な問題であり,短期間で解決されている。
(オ)発売後の開発投資a同(オ)は明らかに争わない。
b事業を拡大するために,品質改良や製品ラインナップを揃えることは,どこの会社でも行う当然のことである。
(カ)販売ルートの開拓と販売促進活動a日本国内(a)同(カ)aは明らかに争わない。
(b)●(省略)●被告の営業政策は失敗している。
b米国(a)同bは明らかに争わない。
(b)米国の商品流通が1990年代に劇的発展を遂げ,その結果本件被告製品の売上げが増加したことは事実であるが,それは,そのような流通先との商談に当たって,ラミネートテープの優位性を全面にアピールし,それが受け容れられた結果である。
(c)米国や欧州における被告の販売ルートは,当時,売れる商品がなく瀕死の状態で,被告の負担となる可能性もあったのであり,むしろ,ラベルライターがこれを救ったと評価すべきである。
(d)なお,海外販売子会社の販売活動,営業努力,広告宣伝費等を考慮するのであれば,相当対価の基礎も,被告グループ全体の金額とすべきである。
(e)また,被告が製品開発や自社製品の販売にどれだけ経営資源を投入したかは,他社から獲得した実施料収入には無関係であるから,実施料収入については,これらの事情を被告の貢献度として考慮すべきではない。
c欧州同cは明らかに争わない。
d広告宣伝費(a)平成3年から平成4年における被告,キングジム,カシオ及びマックスの全売上高に対する広告宣伝比率を比較すると,被告の場合●(省略)●%であり,他社と同等かそれ以下にすぎない。
さらに,ラベルライターに関し,被告が平成2年から平成17年の16年間に投じた宣伝費用は●(省略)●にすぎない。
(b)BICUSAの投じた宣伝費は●(省略)●しかない。
(c)このように,被告がラベルライターに費やした広告宣伝費はせいぜい平均程度かそれ以下でしかなく,広告宣伝が特別に売上げや市場占有率を伸ばした要因とはいえない。
(キ)本件各発明の権利化のための努力・費用後記被告の主張(キ)は明らかに争わない。
(ク)他の特許等知的財産権の取得・利用同(ク)は不知。
(ケ)被告知的財産権による防衛及び他社権利に対する対応同(ケ)は不知。
(コ)被告の貢献度の結論以上によれば,本件各発明に対する原告ら(共同発明については,発明者全体)の貢献度は,90%を下ることはない。
イ被告の主張(ア)本件各発明についての原告らの貢献a第1発明に至る経緯(a)原告らの主張(ア)aのうち,(a)は明らかに争わない。(b)のうち,一及び二は明らかに争わず,三は認め,四は否認する。(c)は認める。
(b)被告は,以前より英文タイプライターを製造販売し,1980年代前半から,熱転写印字機構を有するパーソナルプリンター「EP-20」(乙27)を,昭和59年4月からはその印字技術を利用した日本語ワープロ「ピコワード」(乙28)を製造,販売していた。しかし,その販売が振るわなかったため,昭和60年12月,当時の被告本社部門である開発部LRセンターが,●(省略)●万円の調査費用をかけて,ユーザーを対象にアンケート調査を行った(乙1)。原告X1は,昭和60年末ころから,市場調査段階において,インレタ専用機の検討に関与した(乙1)。
さらに,昭和61年2月から5月にかけて,日本語ワープロの企画担当部門であった情報機器第3事業部企画管理グループのH(以下「H」という。),Iを主体とするNPプロジェクトチームのメンバー,原告X1ら開発部LRセンターのメンバー及び開発部のデザイングループのメンバーに対し,上記調査に基づく商品アイデアの提出を命じた。その際出された7つのコンセプトのうち1つが,原告X1の発案したインレタ作製機(乙2の1)である。
開発部LRセンターでは,更に調査費用●(省略)●万円をかけて,ワープロ購入者及び購入希望者に対し,グループインタビューにより上記コンセプトの評価及び需要性を調査し,その結果,インレタ専用機を含む3つのコンセプトに絞られた(乙1)。
(c)原告X1の提案に先行して,ワープロによるミラー文字を転写用シートに印字するというアイデアは,当時同じLRセンターに所属したJらにより別途提案されており(乙29の1・2),後継機に搭載すべく検討が進められていた。
(d)また,転写用シート作成の最重要課題となった化学面の研究開発は,以前から熱転写印字用インクリボンを研究していた技術部製品技術グループのDとK(以下「K」という。)が行っていた。昭和61年7月22日付けの「61年下期研究プロジェクト報告会資料」(乙55添付資料9)により,Kが「NEP(注:日本語ワープロ)を用いたインスタントレタリング法の開発」における技術的ポイントを報告し,これ以降,Dが主体となってインスタントレタリング用の透明シート及びインクリボンについて研究開発を進めた。転写用のインレタシートは,昭和62年10月発売の「ピコワード5100」(乙30)に搭載されたが,インクの化学的性状,そのための化学品の選択等の技術は,被告のラベルライターにも採用されている。
b第1発明完成後(a)同b(a)一のうち,原告X2が担当業務とはほとんど無関係に参画したこと及び上司の命令・指示や組織的な人員・予算の割当てがなかったことは否認し,その余は認める。原告X2は,昭和61年5月に企画管理グループに所属した後,当時の上司であるHの指示により,この業務に関与した。
同b(a)二のうち,Bが個人的に原告らに協力したことは否認し,その余は認める。
同b(b)は不知。
(b)一昭和61年10月ころより,開発部製品開発グループのBを主体とするメンバーが,インレタ作製機の研究開発に着手した。同研究開発は 「P-to,uchプロジェクト」との名称を付した活動となり,Bのほか,デザインから2名,LRセンターから原告X1ほか1名,情報機器第1事業部企画管理グループからは,原告X2らのほか,インレタシートの技術的知識を有するKやDがメンバーとなった。
上記メンバーにより,昭和62年2月26日付けにて「P-touchプロジェクト基本仕様案(1版)」(乙55添付資料11)が作成され,同日,社内においてプレゼンテーションが行われた(同添付資料12)。
上記基本仕様書案の技術面に関する分野を作成したのは,Bを中心とする開発部の担当者であり,原告らではない。また,プレゼンテーションにおいては,Bが仕様書全体を説明し,補足説明は,電池についてB,テープ溝についてLとM,印字書体についてはNとL,印字方式についてはDが行っており,原告らは,技術面について何も説明していない。
c第2発明,第3発明,第5発明及び第3考案の経緯(a)第2発明一同c(a)一のうち,(一)及び(三)は不知,(二),(四)及び(五)は認める。
(六)のうち,原告らの活動によることは否認し,その余は認める。
同二及び三は不知。
二(一)昭和62年4月1日には,Hと原告X2の捺印による「P-touch『インスタントレタリング作成機』企画書」(乙55添付資料14)が,同月7日には「製品開発計画表」(乙55添付資料15)が,それぞれ被告に提出され,さらに,同年5月10日,11日に,インレタ専用機としてのワードプロッターについて,費用●(省略)●万円をかけてグループインタビューを行い,想定している具体的仕様,デザイン,価格等についての評価と,インレタの受容性を調査した(乙1)。
これらの各文書に記載されているのは,すべてインレタ作製専用機であり,貼付けテープに関する具体的記載はない。
(二)他方,情報機器第1事業部のG部長は,同年3月21日ころ,ダイモ社製ラベルライターの漢字版(以下「漢字ダイモ」という。)の開発研究を指示した。
これにより,A,E,Fのチーム(以下この3名を併せて「Aら3名」という。)で検討を進めることとなった(乙55の第2・9項,乙65の第2・1項,乙66の2項)。
(三)被告は,同年5月21日,情報機器第1事業部内にインレタ作成機の技術的な可能性を検討するプロジェクトチーム「NB-1チーム」を発足させ,開発設計グループのO課長をトップに,漢字ダイモを検討していたAら3名に加え,P-touchプロジェクトを進めていたBと原告らをメンバーとした(乙55添付資料18)。
NB-1チームにおいて日常業務を行い,技術的な検討をしていたのは,Aら3名であって,Bと原告らは,それぞれの所属部署に机を置いて各自の担当業務を行っており,単に打合せに参加していたにすぎない。Aら3名は,同じ技術者のBには技術的意見を求めたことはあったが,原告らに求めたことはなかった(乙65の第3・2頁,乙66の3項(3))。
(四)また,インレタ専用機では商品化しても売れないと考え,貼付けテープの検討を提案したのは,Aら3名であり,ラミネートテープの具体的な構成や,同一機器でインレタと貼付けテープの双方を作成可能な方法を提案したのは,Eである。
これに対し,原告らは,社外における顧客の動向や社内,事業部内の技術状況の調査に基づき,プロジェクトチームでの研究商品の仕様に関して意見を交換した程度である。
(五)その後,後記三の「NEW-Bグループ」を立ち上げる際 「NB-,1チーム」の検討結果を第2発明,第3発明,第5発明及び第3考案等として出願することとし,同年7月10日付けで社内登録がされた。
, (六)上記各発明を含め,発明記述用紙を作成したのはAら3名とBであり原告らのいずれかが作成したと思われるのは,出願後に審査請求されなかった1件のみである(乙64の8)。
(七)原告らを含む6名全員を発明者としたのは,プロジェクトチーム全体の研究成果であるというリーダーAの考えによるものであって,原告らに技術的貢献がほとんどなかったことからすれば,本来は発明者として認め難い。
三(一)被告は,昭和62年7月10日付けにて,このプロジェクトを正式に情報機器第1事業部の開発設計グループの組織に組み込み,P課長代理をトップとし,NB-1チームのAら3名ほかに,ソフト担当のQ,機構担当のRを加えた「NEW-Bグループ」を発足させた(乙55添付資料21,乙63)。同年9月には,Pを総括,Aをチーフとし,ほかに機構担当3名,電子担当3名,ソフト担当2名及びソフト開発の外部委託(3名)として人員を大幅に増強し(乙63添付資料2),必要に応じて適宜人員を増強しつつ,ラベルライター製品の検討,開発に当たった。原告らは「NEW-Bグループ」のメンバーとはならず,その後の技術的検討には加わっていない。
(二)NEW-Bグループは,同年7月18日付け「P-touchプロジェクト中間報告」(乙63添付資料1)を作成し,ここで初めて,従来の短冊テープ方式ではなく,テープカセット方式が提案された。
さらに,同年9月14日,インレタ・貼付けラベル作成機「P-Touch」に関する「商品計画表」(乙55添付資料23)を提出し,採用された。
(三)同年10月6日,被告経営陣も出席する商品企画会議において 「P,-Touchの製品化(試作開始)」が正式決定され,同年11月2日に 「P-t,ouch」に関する商品企画書(乙34)に基づいて製品化を進めることを決定した。
(b)第3発明同(b)は不知。
(c)第5発明同(c)は不知。
(d)第3考案同(d)は不知。
(イ)貢献度の考慮要素a原告らの地位・職務内容同(イ)aは否認する。
開発部は,新商品の開発のための専属部門であって,その部門に属していた社員は,新商品の開発に関連する業務に従事することが職務とされていた。原告X1は,開発部内のLRセンターに所属し,調査・情報収集活動及びそれに基づく社内各部門に対する提言を職務とした。また,原告X2は,事業部の企画管理部門に所属し,マーケティング活動及び商品開発・生産・販売に関する基本方針の企画・立案を職務とし,商品企画,開発テーマの検討・選定・推進及び進捗管理も業務であった。
b本件各発明の意義同bは否認する。
第1発明は,本件被告製品とは異なるインレタ専用機に関する発明であり,ラベルライター開発との関連では,原告X1が所属し,広い意味で一体性の認められるプロジェクトの中で提案されたということにすぎず,商品としてのラベルライターとは直接結びつかない。
技術的評価としては,第1発明当時において入力・表示・記憶機構,印字機構及び制御回路を備えたラベルライターは公知の技術であり,また転写技術も当然知られていたものであり,それだけでは技術的意義は認め難い。転写用のレタリングテープと印字リボンは,化学的要素の強い部分であり,DとKがしたものであって,第1発明の社内登録用紙(乙4の1)が提出される前に,その3件の発明の社内登録用紙(乙31の1〜3の各2)が提出されている。
c使用者に蓄積された技術の利用同cは否認する。
d先行投資や研究設備,スタッフの存在同dは否認する。
e本件各発明の会社に対する貢献同eは否認する。
(ウ)ラベルライター発売までの製品化・事業化に向けた努力a製品化へ向けた努力(a)その後,被告は,ワープロなどで長年培ってきた熱転写技術,漢字処理ソフト技術,上記レタリングインクの技術に加え,開発中に生じたテープ蛇行などの課題解決のため,インクリボン送り・カセット化技術などを実現しながら,多くの人材により電子ラベルプリンタの開発に取り組んだ。
この時期から商品化されるまでの間に,被告におけるラベルライターの商品化のために最も重要で,かつ試作を介して技術的に順次裏付けされた多くの発明,考案,ノウハウが創出され,商品化に結びついている。
(b)昭和62年9月から昭和63年3月にかけて,後記の問題点を改良しつつ,3次にわたり,試作設計,試作機組立て及び評価を繰り返した。
(c)上記の商品企画会議では,重要課題として,@コストダウンによる目標コストの達成,Aリボン(貼付テープ)送りの安定化,B新規販売ルートの開発が課題として挙げられた(乙34)。さらに,試作機による評価の結果,インレタ用インクリボンの高温保存性不良,貼付用インクリボンの印字性能不良,電池消耗が早い,テープの蛇行(乙55添付資料27),レタリング印字技術の問題が発生した。被告各担当者は,苦労しながらも,構造的,電気的,ソフト面など様々な改良を施していった(乙55添付資料34,35)。
b販売ルートの開拓(a)Pは,昭和62年10月ころから,統括責任者の職務として,販売予測台数と採算性の検討に入った。当時,被告は,日本国内の販売会社と,米国,欧州それぞれの販売子会社による販売ルートを有していたものの,国内にはワープロなど事務機製品について独自の直接販売ルートがないなど,多くの懸案事項があった。
(b)被告は,昭和63年1月,テープ作成機「P-touch」の需要見込みを判断するため,調査費用●(省略)●万円をかけて,第2次試作品4台を使用して,アンケート調査を実施した(乙1のphase5)。この結果,製品の受容性が確認され,個人消費者よりもビジネスユースをターゲットにする方向を見出した。
(c)当時,情報機器第1事業部企画管理グループ課長代理兼営業部営業第4課課長代理であったHは,新規販売ルート開拓のため,従来取引はなかったが高い販売力と信用を有するキングジムとの間で,OEM供給に関する交渉を進めた。
これを受けて,Pは,販売数量●(省略)●万台を提示した被告販売会社と,●(省略)●万台を提示し文具ルートでの宣伝力をも有するキングジムの販売力とを比較し,キングジムへのOEM供給の方向で社内を説得した。その結果,昭和63年3月21日付けで,Pが作成したキングジムへOEM供給するための商品計画表(乙55添付資料42)が被告管掌役員により了承されることとなった。
(d)Hは,その後キングジムとの契約交渉を重ね,同年5月19日付けで売買契約を締結した。●(省略)●c国内販売開始までの時期(昭和63年3月〜11月)(a)被告の開発設計メンバーは,キングジムへOEM販売をすることが決定されたことを機に,キングジムと打合せを頻繁に行い,外観デザインやテープカセットの装着方法の変更など,キングジムから提示された仕様への設計変更を行った。
(b)その後,昭和63年6月8日の試作品検討会,その翌日の販売企画会議を経て,電子テープ作成機の商品化が会社として決定され,生産を前提とした量産試作,本生産に先立つ先行生産を経て,同年9月28日,キングジム向け製品の本格生産が開始され,出荷の社内許可,キングジムの立会い検査を経て,同年11月1日より「テプラTR55」として国内販売が開始された。
d開発費用以上の製品開発に要した費用は,人件費を含め,昭和63年11月までに●(省略)●円に上る(乙74別紙2)。
(エ)被告の保有技術の投入a本件被告製品は,@熱転写印字技術,A漢字処理ソフト技術,Bレタリングインク技術,Cリボンカセット及びリボン送り機構技術の4つの基本技術から構成されている(乙63添付資料10)。
bこのうち,@の熱転写印字技術は,サーマルヘッドでプラスチックテープに印字する方式であるが,被告が昭和62年10月に発売した日本語ワープロ「ピコワード5100」(乙63添付資料11参照)における再転写シート印字と基本的には同一のものである。
また,印字される文字ドット構成(全角)の明朝体データは,従前の日本語ワープロ用のものを利用している。
さらに,製品開発途上において,プラスチックテープへの印字品質の確保のために,既販の被告製品である電子パーソナルプリンター「EP-5」及び日本語ワープロ「ピコワード5100」の技術とを比較して対策案を検討しており(乙63添付資料15),これらの技術も,間接的に利用されている。
このように,上記熱転写印字技術は,それまでに被告が保有していた技術を基本として使用している。
cAの漢字処理ソフト技術のうち,かな漢字変換処理技術は,被告の日本語ワープロと同一の技術であり,漢字辞書については,日本語ワープロ搭載用に開発した被告オリジナル辞書をベースに,キングジムが要望した記号,絵文字等の特殊辞書を,当時書体を担当していた開発部デザイングループのSが作業して追加したものである。
dBのレタリングインク技術は,被告が日本語ワープロ用に開発した技術であり,P-touchのレタリングインク技術は,それを利用・改良して引き続き技術研究を継続したものである。
eCのリボンカセット及びリボン送り機構技術は,被告技術者が苦労して生み出したものである。
(オ)発売後の開発投資a開発費の継続投入ラベルライターのような家庭用・事務用製品,とりわけ本件のようにカシオ,キングジム(テプラプロ)等競業他社との競争の激しい市場においては,常にデザイン改良や機能の追加により,他社製品及び自社の旧製品との差別化を図るため,開発投資を続けて行う必要がある。
被告は,ラベルライター発売後,現在に至るまで,年間●(省略)●円の開発投資を継続し,平成元年度から平成15年度までに約●(省略)●円の開発費を投じた(乙74別紙1)。
bテープカセットの内製化努力被告製品の販売の順調な立ち上がりとともに,補給部品であるテープカセットの需要が増加し始めた。そのため,被告は,●(省略)●技術開発や設備投資の努力をし,もって,P-touch事業に多大な利益をもたらした(乙124〜129)。
(カ)販売ルートの開拓と販売促進活動a日本国内(a)キングジムの文具ルートにおける強固な販売網とブランド力を十分活用できたことは,製品立上げ時の重要な成功要因となったが,これは,被告がキングジムへのOEM供給という経営判断を行い,交渉を成立させたことによる。
(b)ラベルライターは,本体の販売台数を確保できれば,補給品としてのテープカセットの販売が増加するため,本体の利益率が少なくても,テープカセットの利益率を確保することにより利益が確保されるが,このようなビジネスモデルを構築したのは,被告である。
b米国(乙68)(a)米国では,被告の販売子会社であるブラザー・インターナショナル・コーポレーション・USA(以下「BICUSA」という。)が,昭和63年12月から本件被告製品の販売を開始し,数か月遅れて,クロイ社に対するOEM供給による販売も併用した。しかし,米国における本件被告製品の初期販売は,OEM供給分を併せても,全く振るわなかった。その理由は,電子式ラベルライターが市場に認知されていなかったことに加え,ダイアル入力,テープサイズの制限,高価格など多くの欠点があり,一部の富裕層にしか受け入れられなかったことにあった。
(b)そこで,BICUSAは,市場調査を十分に行い,顧客の要望の高かったキーボード入力方式,幅広テープ対応,複数行印字機能,自動テープカッター機能を採用し,家庭用の低価格機種や業務用の高級機種を開発し,平成7年以降は,M型及びTZ型のテープカセットを開発し,多種類のテープ幅及びテープ色のカセットを製造することにより,様々なユーザーに対応する製品ラインナップを整えた。
(c)販売ルートとして,店舗拡大が見込まれたオフィス・スーパー・ストア(OSS)への営業販売に注力し,それとの関係を強固にした。
, (d)BICUSAは,平成2年以降,被告ブランドの強化に専念し,テレビラジオ等のマスメディアに対して膨大な費用を費やして,広告宣伝等を積極的に行った。特に,CNNのコマーシャルを含む広告宣伝に,平成3年度は●(省略)●万ドル,平成4年度から平成6年度にかけては毎年●(省略)●万ドルの費用を費やした。
(e)その結果,平成3年以降,OSSの店舗数が急激に拡大し,また,湾岸戦争勃発により,多くの顧客がCNNテレビを視聴して「P-touch」のコマーシャルに触れたこともあり,売上げが急激に増加した。
c欧州(乙67)(a)欧州においては,欧州仕様に変更されたラベルライタ「P-touch(PT-8E)」が,それまで被告製品であるタイプライタ,プリンタ等の事務機器の販売に強い販売網を確立していた欧州販売子会社であるブラザー・インターナショナル・ヨーロッパ(以下「BIE」という。)の販売網を通じて,平成元年5月ころから販売された。
(b)ダイモ社は,ラベルライターの原形となるエンボス方式テープライターの販売を通じ,欧州に強力な販売網を有していたが,被告との間でOEM供給の交渉が成立し,同年9月ころからは,ダイモブランドによるラベルライターが発売された。
自社ブランド及びダイモブランドによる電子ラベルライタの競合により,消費者に対する商品の認知度が徐々に高まるという相乗効果,本体の販売に伴うテープカセットの需要の発生を販売店に説明して回る販売促進活動,並びに「P-touch」により作成可能なラベルの用途を紹介する宣伝活動等の販売努力により,欧州におけるラベルライタ事業は,順調に立ち上った。
(c)その後,平成3年後半にはダイモ社への欧州におけるOEM供給が途絶えたが,テープの用途の新たな提案,平成4年に欧州で行われた冬季及び夏季の両オリンピックにおける「P-touch」製品の紹介活動等により商品の浸透を図ったBIEの営業販売努力によって,安定した売上げを確保している。
d広告宣伝費(a)原告らの主張(カ)dは明らかに争わない。
(b)ただし,原告らは,被告が費やした開発費,知的財産権の取得・維持費用,広告宣伝費等と本件被告製品の売上高を単純に比較して,その比率が低いと主張しているが,上記のような絶対額として莫大な費用及び人員を投じることは,重要な経営判断と努力を伴うものであり,これがなければこれまでの売上高はもちろん,商品化すら実現しなかったのであるから,単純に達成された売上高との割合で貢献度を算定すべきではない。
(キ)本件各発明の権利化のための努力・費用本件各発明が権利化されるに当たっては,原告らは明細書の作成等に関わることなく,被告の知的財産担当者が,明細書の作成,意見書,補正書,異議申立てに対する答弁書等を作成・提出する等の労力を費やし,被告において,出願費用や権利維持管理等の費用を負担した。
a第1発明第1発明については,前提事実(3)ア(イ)のとおり,3件の異議申立てに対して答弁書をそれぞれ提出し,2回手続補正(内容)を行ったものの,拒絶査定となったため,拒絶査定不服審判の請求を行い,更に補正を行った末,ようやく権利化された。
b第2発明第2発明については,前提事実(3)イ(イ)のとおり,手続補正(内容)を行うとともに,優先審査請求を行い,2件の異議申立てに対する答弁書を提出したものの,拒絶査定となったため,拒絶査定不服審判の請求を行い,3回手続補正(内容)を行った末,ようやく権利化された。
c第3発明第3発明については,前提事実(3)ウ(イ)のとおり,合計2回にわたる手続補正(内容)を行い,意見書を提出し,異議申立てに対する答弁書を提出して,ようやく権利化されたものである。また,権利化された後も,キングジムによる無効審判請求に対して答弁書を提出するなどして,権利の維持に努め,無効とされることを免れた。
d第5発明第5発明については,前提事実(3)エ(イ)のとおり,第5発明は,手続補正(内容)を行い,2件の異議申立てに対する答弁書を提出して,ようやく権利化された。
(ク)他の特許等知的財産権の取得・利用a被告は,本件各発明以外にも,ラベルライターの開発から得た発明・考案・意匠を保全すべく,極めて多くの出願を国内外で行い,特許権等を維持してきた。
b被告の昭和62年から平成15年までのラベルライターに関する権利の出願は,特許・実用新案併せて国内で●(省略)●件,海外で●(省略)●件,意匠は日本国内で●(省略)●件,海外で●(省略)●件に上る。
平成15年時点において,特許権・実用新案権については,国内で登録●(省略)●件,公開●(省略)●件,その他出願中●(省略)●件,意匠権については,登録●(省略)●件,出願●(省略)●件が存在し,海外で特許登録●(省略)●件,公開●(省略)●件,その他出願中●(省略)●件,外国意匠については登録●(省略)●件,出願●(省略)●件が存在した(乙56)。
平成17年10月時点においては,意匠を含め少なくとも1318件を出願し,登録は376件ある。
c開発段階において創出された数多くの技術は,テープカセットに関する発明・考案として出願され,本件被告製品において実施された。原告らの関与しない権利で,当初のTC型テープカセットに実施され,その後開発されたテープカセットにも引き継がれたものは,別紙「発売当初のテープカセット(TCタイプ)に関する実施権利(カッター受け台を含む)」のとおりである。
この中には,下記の商品化のための重要な技術が含まれており,これらの権利こそが,被告のテープカセットを保護する上で大きく貢献してきた。
●(省略)●dこうした知的財産権の確保及び維持に要した費用は,平成元年から平成15年まで,累計で約●(省略)●万円に上る(乙74)。
(ケ)被告知的財産権による防衛及び他社権利に対する対応aキングジムとの交渉経緯前提事実(6)ア(ア)のとおり,キングジムが平成4年12月にセイコーエプソン製「テプラプロ」の販売を開始した後,被告のキングジムへの販売量は急激に落ち込んだ。
被告は,平成11年まで,友好的な関係を維持すべく話合いを継続したが,前提事実(6)ア(イ)のとおり,平成12年4月,10件の特許による警告状を発送し,弁護士間での交渉を行った。しかし,それでも和解点を見出せなかったため,前提事実(6)ア(ウ)のとおり,平成13年5月,東京地方裁判所に対する仮処分申立てに踏み切り,キングジム契約が成立した平成14年1月末まで仮処分手続を継続した。
この間,被告から7通,キングジムから5通のいずれも長文にわたる準備書面が提出され,被告担当者は,被告訴訟代理人とともに長時間の労力と多額の費用を投入した(乙69,70,75)。
キングジムからの実施料収入は,上記(ク)の知的財産権の取得による大規模な特許ポートフォリオの確立に加え,こうした権利行使・努力の集積によって得た成果である。
bカシオとの交渉経緯カシオは,上記「テプラプロ」の発売に先立つ平成3年11月,ラベルライターの発売を開始した。
被告は,上記キングジムとの交渉と並行してカシオとの交渉を継続していたが,カシオは,●(省略)●被告との間で,カシオ契約を締結した。
このように,カシオからの実施料収入は,上記(ク)の知的財産権の取得による大規模な特許ポートフォリオの確立に加え,キングジムへの権利行使の実績,クロイ社との米国訴訟の実績等が背景にある。
cダイモ社との交渉経緯ダイモ社は,平成元年9月1日以降,被告からOEM供給を受けたラベルライターを販売していたが,前提事実(6)ウ(ア)のとおり,平成3年4月ころ,自社製の「DYMO4000」の販売を開始した。
被告は 「DYMO4000」を入手分析し,ドイツ代理人と相談し,前提事実(6)ウ(イ) ,のとおり,同年10月にドイツのミュンヘン地方裁判所に販売仮差止めを求める申立てをし,同年12月に仮差止決定を得た。この訴訟費用は,少なくとも●(省略)●万円を超えるものとなった。前提事実(6)ウ(ウ)のダイモ契約は,これを受けて締結されたものである。
ダイモ社からのライセンス料収入は,ラベルライタ技術の開発・知的財産の取得・訴訟遂行も含めてのこうした被告の努力と費用の投入の成果である。
dクロイ社との交渉経緯クロイ社は,被告に対し,平成12年,米国において,同社の米国特許権2件を侵害しているとして訴訟を提起した。この訴訟は,ヴァージニア東部地区,オハイオ北部地区及びニュージャージー地区の3つの連邦地方裁判所に係属して争われた。
被告は,この訴訟対応のため,米国弁護士を依頼し,ディスカバリー対応等のための被告従業員11名の20回,延べ46.5か月にわたる米国への派遣や書類提出・翻訳作業に追われ,また,度重なる和解交渉に6名の被告役員,従業員を出張させ,弁護士費用●(省略)●円,その他の費用の●(省略)●円の負担が生じた。
●(省略)●以上のとおり,被告は,少なくとも●(省略)●円の費用の負担を強いられたが(乙74別紙3),その結果,被告は,クロイ社の特許を懸念することなく,米国・欧州その他の国際的な市場で被告製品を販売することが可能となった。
(コ)被告の貢献度の結論a同(コ)は否認する。
b以上のとおり,本件各発明は,@被告が新商品のアイデアを得るために,費用をかけてアンケート調査を行い,その調査結果を基にアイデアを出すよう開発部等に命じてコンセプトを提示させ,さらにそのコンセプトをアンケート調査により絞り込んだ3つの新商品コンセプト,Aピコワードの改良製品への付加機能として研究開発された日本語ワープロを用いたインスタントレタリング法,B漢字ダイモの研究開発といった被告がそれぞれ別の部署に進めさせていた新しい製品の研究開発をベースとして,被告の組織的な調査や指揮,研究開発のバックアップ体制があればこそ,完成したものである。
cしたがって,被告が多大な貢献をしたことは明らかであって,被告の貢献度は99%を下らない。
(10)共同発明者間の寄与度(争点5)ア原告らの主張第2発明,第3発明,第5発明及び第3考案は,前記(9)アの発明の経緯に照らしても,各発明者の寄与度は均等であり,各6分の1とすべきである。
イ被告の主張第2発明,第3発明,第5発明及び第3考案は,前記(9)イのとおり,技術者であるA,F,E及びBの貢献度が高く,原告らがこれと同等の貢献を行ったとみるのは不自然であって,原告らの貢献度は,それぞれ他の発明者の2分の1と評価すべきである。
また,第1発明についても,前記(9)イのとおり,原告の関与は商品アイデアの提供に止まり,技術的完成には,被告の技術的集積に基づくDの助言が大きく貢献しているものであるから,原告の貢献度は2分の1と評価すべきである。
(11)相当対価の支払時期(争点6)ア被告の主張(ア)自己実施に係る相当対価の支払時期a前提事実(7)アの被告の発明報奨規程の内容によれば,自己実施分についての実施報奨は,●(省略)●bよって,下記の各期間における自己実施分を対象とする職務発明承継したことによる相当の対価の支払時期は,以下のとおりである。
●(省略)●(イ)実施料収入に係る相当対価の支払時期前提事実(7)アの被告の発明報奨規程の内容によれば,実施料収入を対象とする職務発明承継したことによる相当の対価の支払時期は,以下のとおりである。
平成4年8月21日〜平成5年5月20日平成5年12月平成5年5月21日〜平成6年5月20日平成6年12月平成6年5月21日〜平成7年5月20日平成7年12月平成7年5月21日〜平成8年5月20日平成8年12月平成8年5月21日〜平成9年3月31日平成9年12月平成9年4月1日〜平成10年3月31日平成10年12月以降,前年4月1日〜当年3月31日当年12月(ウ)将来請求の必要性後記原告らの主張(ウ)は否認する。
イ原告らの主張(ア)自己実施に係る相当対価の支払時期被告の主張(ア)は否認する。
(イ)実施料収入に係る相当対価の支払時期同(イ)は否認する。
(ウ)将来請求の必要性本件においては,平成19年12月以降に支払期が到来する分についても,あらかじめその請求をする必要がある。
(12)消滅時効(争点7)ア被告の主張(ア)法律論a勤務規則等に,使用者等が従業者等に対して支払うべき対価の支払時期に関する条項がある場合には,その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となる(最高裁平成15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁)。
bそして,相当対価を分割支払とし,特許権の存続期間中,一定の期間ごとに特許発明実施実施料収入の実績に応じた額を支払う旨の定めがされている場合は,分割された各期間に対応する相当対価については,分割された各期間における特許発明実施に対応する分ごとに各支払時期から消滅時効が進行すると解すべきである。
(イ)自己実施による利益についてa前提事実(7)アのとおり,被告の発明報奨規程では,平成4年報奨規程までは,自社実施の実績について報奨金を支払うことを定めておらず,同規程によっても,実施報奨の対象としたのは平成4年8月21日以降の業績であって,それ以前の期間は対象とされていないから,平成4年8月20日以前の期間に係る自己実施に関する相当対価請求権の消滅時効の起算日は,遅くとも各出願日となる。
b本件各発明の出願日から,いずれも10年が経過した。
cまた,平成4年8月21日から平成5年度上期(平成5年5月20日まで)の期間については,前提事実(7)アのとおり,支払時期は平成5年12月である。
d上記cの支払時期から,10年が経過した。
(ウ)ダイモからの実施料収入についてa前提事実(7)アのとおり,被告の発明報奨規程によっても,有償ライセンス報奨の対象としたのは,平成4年8月21日以降であって,それ以前の期間は対象とされていない。したがって,平成4年8月20日以前の実施料収入に関する相当対価請求権の消滅時効の起算日は,遅くとも各出願日となる。
bダイモ契約権利1及び2の出願日は,いずれも昭和63年12月29日であり,その日からいずれも10年が経過した。
cまた,平成4年8月21日から平成5年5月20日までの期間については,前提事実(7)アのとおり,支払時期は平成5年12月である。
d上記cの支払時期から,10年が経過した。
(エ)催告後記原告らの主張(エ)のうち,実施料収入の全部につき催告したことは否認し,その余は認める。
原告らの催告は,自己実施については全期間にわたるが,実施料収入については,平成14年末に行った報奨,すなわちキングジム及びカシオからの平成13年分の実施料収入に関するものに限定されている(甲17)。
(オ)債務の承認等同(オ)bは争う。
被告による各報奨金の支払は,平成4年8月21日以降の自己実施及び実施料収入のそれぞれについて,一定期間ごとに行ったものであるから,この点のみをもってしても,上記期間以前の分については,債務の承認に当たらない。
また,被告は,かかる支払によって,上記期間以前の分の支払を約し,あるいはそのような期待を持たせる表明をしていないから,被告の時効援用信義則に反しない。
(カ)時機に後れた攻撃防御方法同(カ)a及びbは認め,c〜eは否認ないし争う。
被告の消滅時効の抗弁は,自社実施や発明への貢献度に関する主張を順次主張する過程で提出したものであり,平成17年5月26日の本件弁論準備期日において,一部の主張の提出が遅れることにつき了解を得た上で提出したものであり,本件訴訟の審理計画に照らしても,特に遅れたものではない。
消滅時効についての審理は,被告がそれまでに提出していた資料から明らかな発明報奨規程の内容,各特許出願の承継日,各年の実施料収入等の客観的事実を審理すれば足るから,訴訟の完結を遅延させるものではない。
(キ)まとめ以上のとおり,平成5年5月20日以前の自己実施に係る利益及びダイモ社からの実施料収入についての相当対価は,時効消滅した。
イ原告らの主張(ア)法律論被告の主張(ア)aは認め,bは争う。
(イ)自己実施による利益について同(イ)aは否認し,b〜dは認める。
平成4年報奨規程や平成4年運用マニュアルには,平成4年8月20日以前の期間に係る実績報奨を除外する旨の規定はないから,同日以前分についても,その支払時期は平成4年12月末日と解すべきである。
(ウ)ダイモからの実施料収入について同(ウ)aは否認し,b〜dは認める。
平成4年報奨規程や平成4年運用マニュアルには,平成4年8月20日以前の期間に係る実績報奨を除外する旨の規定はないから,同日以前分についても,その支払時期は平成4年12月末日と解すべきである。
(エ)催告原告らは,被告に対し,平成15年12月12日付けで,本件各発明の相当対価に関する催告を行い(甲172,173),平成16年2月13日に本件訴訟を提起した。
(オ)債務の承認等a前提事実(7)イのとおり,被告は,原告らに対し,本件各発明の実績報奨として,それぞれ別紙「実績報奨の支払状況」のとおりの金額を支払った。
b上記の各支払は,それぞれ上記各発明(ラミネート発明に含まれるものについては,ラミネート発明全体)の相当対価についての債務の承認(民法147条3号)に当たるか,時効完成後の債務の承認に当たり,信義則時効援用権を喪失する(最高裁昭和37年(オ)第1316号昭和41年4月20日大法廷判決・民集20巻4号702頁)。
(カ)時機に後れた攻撃防御方法a被告は,平成16年2月の本件訴訟提起以降,2年半にわたって時効及び期限未到来の主張をしてこなかった。
b本件訴訟においては,平成18年2月6日の弁論準備期日において,被告の主張の提出期限が同年5月26日の期日までと確認されたにもかかわらず,被告が消滅時効の主張を行ったのは,同年6月9日に至ってのことであった。
c消滅時効の抗弁は,審理の進行とは無関係に提出できる権利であるから,被告には重大な過失がある。
d消滅時効の審理のためには,時効の起算点,援用権の濫用,債務承認など多くの審理を要するから,訴訟の完結を遅延させるものである。
e以上によれば,被告の消滅時効の抗弁は,時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。
(キ)まとめ同(キ)は争う。
(13)相当対価の結論ア原告らの主張(ア)算定方式1による相当対価a平成15年までの自己実施分上記のとおり,算定方式1により被告の超過利益を算出し,発明に対する被告の貢献度,共同発明者間の貢献度を乗ずると,平成15年までの売上高に基づく相当対価は,以下のとおりである。
●(省略)●(a)原告X1一ラミネート発明46億7200万円二第1発明3億9000万円三第3発明5300万円四第3考案4600万円五合計51億6000万円(b) 原告X2一ラミネート発明46億7200万円二第3発明5300万円三第3考案4600万円四合計47億7100万円b平成16年以降分上記の売上高に占める相当対価の割合を求めると,原告X1が●(省略)●%,原告X2が●(省略)●%である。
平成12年から平成15年までの本件被告製品の売上高を平均すると,年●(省略)●円であり,ラミネート発明の権利が消滅する平成19年11月までは,同程度の売上げが続くものと考えられる。
そこで,上記平成19年11月までの売上高に対し,上記相当対価の比率を乗じ,中間利息年5%を控除すると,相当対価は,以下のとおりである。
●(省略)●(a)原告X111億4500万円(b)原告X210億5900万円c実施料収入分実施料収入に基づく相当対価は,以下のとおり,原告X1が16億円,原告X2が6億1000万円である。
●(省略)●d合計(a)原告X179億0500万円(b)原告X264億4000万円(イ)算定方式2による相当対価a平成15年までの自己実施分上記のとおり,算定方式2により被告の超過利益を算出し,発明に対する被告の貢献度,共同発明者間の貢献度を乗ずると,平成15年までの売上高に基づく相当対価は,以下のとおりである。
●(省略)●(a)原告X164億6200万円(b)原告X260億7000万円b平成16年以降分上記の売上高に占める相当対価の割合を求めると,原告X1が●(省略)●%,原告X2が●(省略)●%である。
平成12年から平成15年までの本件被告製品の売上高を平均すると,年●(省略)●円であり,ラミネート発明の権利が消滅する平成19年11月までは,同程度の売上げが続くものと考えられる。
そこで,上記平成19年11月までの売上高に対し,上記相当対価の比率を乗じ,中間利息年5%を控除すると,相当対価は,以下のとおりである。
●(省略)●(a)原告X114億4200万円(b)原告X213億5500万円c実施料収入分実施料収入に基づく相当対価は,上記(ア)cのとおり,原告X1が16億円,原告X2が6億1000万円である。
d合計(a)原告X195億0400万円(b)原告X280億3500万円(ウ)まとめ以上から前提事実(7)イの既払分を控除した上で,その一部を,被告の発明報奨規程に基づく支払時期ごとに,上記予備的請求のとおり支払うよう求める。
イ被告の主張原告らの主張は否認する。
第3当裁判所の判断1本件各発明は職務発明に当たるか(争点1)(1)前提事実(1)及び(2)のとおり,原告らは,本件各発明をした当時,被告の従業員であった。
(2)後記4(1)に説示の事実によれば,原告らが本件各発明をした行為は被告従業員としての原告らの職務に属したものである。
(3)そして,前提事実(7)ア(ア)のとおり,被告の発明等取扱規程は,被告が工業所有権を受ける権利を承継する旨規定していた。
(4)以上のとおり,本件各発明は職務発明又は職務考案に当たり,被告に特許を受ける権利等が承継されたから,原告らの不当利得の返還を求める主位的請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
2本件各発明の実施により被告が得た独占的利益(争点2)(1)被告は本件各発明を実施しているか(争点2-1)ア総論(ア)はじめに被告が本件各発明の特許を受ける権利等を承継することにより,それらの発明を実施する権利を独占することによって得られる利益(独占の利益)を得ているか否かについて判断するため,まず,被告が製造販売するラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた製品が本件各発明を実施したものに当たるかについて検討する。
ラベルライター本体又はテープカセットの製造販売が本件各発明の間接侵害に当たるか否かについては,後記(3)の「本体又はテープカセットの製造販売等と間接侵害(争点2-3)」において検討する。
(イ)外国において特許を受ける権利の譲渡の対価についてa後記4のとおり,本件において,原告らは,いずれも被告との雇用関係に基づいて特許法35条1項所定の職務発明又は職務考案に該当する本件各発明をし,本件各発明の完成時に,被告に対し,特許又は実用新案登録を受ける権利を譲渡したと認められるところ,前提事実(7)ア(ア)のとおり,被告の発明等取扱規程は,我が国において工業所有権を受ける権利のみならず,外国において工業所有権を受ける権利も被告に承継されると規定していたから,外国において本件各発明に係る特許を受ける権利等も被告に承継されたものである。
そうすると,外国において特許を受ける権利等の譲渡に伴って譲渡人が譲受人に対しその対価を請求できるかどうか,その対価の額はいくらであるかなどの特許を受ける権利等の譲渡の対価に関する問題も,雇用契約と密接な関連を有する問題であると解されるので,法の適用に関する通則法7条の規定により,第一次的には当事者の意思に従って定められると解するのが相当である。
そして,被告は,本訴段階では,外国において特許を受ける権利承継対価請求については,その準拠法は当該外国における特許法である旨主張しているが(第2,3(2)イ(オ)h),日本人である原告ら(弁論の全趣旨)は,日本企業である被告に入社し,日本において勤務している間に本件各発明を行ったものであり,被告の発明等取扱規程も,我が国のみでなく外国において特許を受ける権利等の譲渡や補償金の支払に関する定めをしていたものであるから(前提事実(7)ア(ア)),原告らと被告との間には,外国における特許を受ける権利等の譲渡の効力につき,その準拠法を我が国の法律とする旨の黙示の合意が存在したと認めるべきである。
我が国の特許法は,外国において特許を受ける権利について直接規律するものではないが,職務発明とされる発明については,その基となる雇用関係が同一であり,これに係る各国の特許を受ける権利等は,実質的に1個と評価される同一の発明又は考案から生じるものであり,当該発明等をした従業者から使用者への特許を受ける権利等の承継について,両当事者が対等の立場で取引をすることが困難であるという点は,その対象が我が国において特許を受ける権利等である場合と外国において特許を受ける権利等である場合とで何ら異なるものではない。したがって,外国において特許を受ける権利等の譲渡に伴う対価請求については,改正前特許法35条3項及び4項の規定を類推適用すべきであり,原告らは,被告に対し,上記各外国において特許を受ける権利等の譲渡についても,同条3項に基づく同条4項の基準に従って定められる相当の対価の支払を請求することができる(最高裁平成18年10月17日第三小法廷判決・裁判所時報1422号)。
イ第1発明(ア)構成要件1E以外の充足対象品群aが前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(ア)aの構成を有すること,並びに構成1a〜1d,1f〜1gが,それぞれ第1発明の構成要件1A〜1D,1F〜1Gを充足することは,当事者間に争いがない(以下 「当事者間に争いがな ,い」には,明らかに争わない場合を含む。)。
(イ)構成要件1Eの充足a第1発明の明細書(甲2の1)には,構成要件1Eについて直接述べた記載はなく,実施例の1つである第1図の説明として 「…該印字ヘッド9の先端面を ,インクリボン10が通るようにそのインクリボンカセット11が着脱自在に装着されている 」(3欄41行〜43行)と記載されているにとどまる。 。
構成要件1Eの文言及び上記明細書の記載からは,インクリボンが「着脱自在」とは,インクリボンがラベルライター本体に対し着脱自在に装着可能であれば足り,インクリボンがレタリングテープと共に着脱自在に装着される場合も含むものと解される。
b(a)これに対し,被告は,特許異議答弁書(乙8)における被告主張を根拠に,構成要件1Eは,レタリングテープに対してインクリボンが単独で着脱自在であることを意味すると主張する。
平成8年12月13日付けの特許異議答弁書に以下の記載があることは,当事者間に争いがない。
一「また,本願発明の簡易レタリングテープ作製機は,インクリボンが着脱自在に装着されるが,例えば,種々の色のインクリボンを用意し,インクリボンを適宜交換しつつレタリングテープに印字を行えば,所望の色の文字や記号がレタリングテープに印字され,きわめて簡単に被転写物に転写した像をカラフルなものとすることができます 」(3頁下から3行〜4頁2行)。 。
二「(主引用例である乙7の1刊行物と乙7の2刊行物とを組み合わせても),インクリボンを着脱自在に装着することまでは想起できず,上記のようにインクリボンを適宜交換しつつ印字を行うことにより,きわめて簡単にカラフルな転写像を得ることは全く期待できません 」(4頁7行〜10行) 。
(b)しかし,上記記載は同一のレタリングテープに対してインクリボンを適宜交換しつつ印字する場合だけを想定したものと認めることはできず,テープごとに異なる色で印字されたものをユーザーが組み合わせて対象物に転写する場合を含めて述べたものと解する余地がある。また,上記記載中の「例えば」で始まる部分は,レタリングテープとは独立してインクリボンのみが単独で着脱自在に装着される実施形態について述べたにすぎないと解する余地もある。
(c)さらに,乙6によれば,特許異議決定においては 「インクリボンを着,脱自在とすること」は相違点の1つと認められたものの 「慣用技術」(4頁3行, ,4行)であり 「上記相違点に発明の存在を認めることができない 」(4頁9行)と , 。
判断されていることが認められる。
(d)そうすると,特許異議答弁書(乙8)から,構成要件1Eを被告主張のように解釈することはできない。
c被告は,第1発明の構成要件は乙7の1刊行物,乙7の2刊行物及び乙18刊行物にほとんど開示されており,無効の可能性が高いから,その構成要件は限定的に解釈する必要がある旨主張するが,離型促進剤の点を直ちに慣用技術であると認めることはできないから,第1発明を無効の可能性が高いものと認めることはできず,被告の上記主張は採用することができない。
d被告は,印字テープとインクリボンをカセット内に収納して着脱自在とする技術は周知技術であり,第1発明はそのような構成を含まない旨主張するが,一部の構成要素のみが周知であることは,直ちにその構成を権利範囲から除外する根拠とはならないから,被告の上記主張は理由がない。
e以上の構成要件1Eの解釈によれば,対象品群aの構成1eは,構成要件1Eを充足する。
(ウ)まとめ以上のとおり,対象品群aは,第1発明の構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属する。
ウ第2発明(ア)構成要件2E以外の充足対象品群bが前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(イ)aの構成を有すること,並びに構成2a〜2d,2fが,それぞれ第2発明の構成要件2A〜2D,2Fを充足することは,当事者間に争いがない。
(イ)構成要件2Eの充足a構成要件2Eは 「第二のテープ」は,透視性を有する第一のテープ(構 ,成要件2A)の「背景となるテープ基材」であると規定しており,第二のテープは第一のテープの背景として機能するものである。
b甲2の2によれば,第2発明の補正後の明細書には 「…第二のテープの,テープ基材が第一のテープの背景となるので,所望の色の第二のテープを用いることにより,印字部分の背景色を自由に設定することが可能になる 」(3欄37行。
〜40行,補1頁右欄下から4行〜末行)と記載され,また,実施例においても,「この剥離紙付き両面テープ102は,第9図に示すように,テープ基材としてのベーステープ107(不透明な紙又はフイルム等)の両側に粘着剤層108,110がそれぞれ形成されたものであり」(7欄24行〜28行)と説明されていることが認められる。
cさらに,被告が,マックスからの異議申立てに対する平成5年5月31日付け答弁書(乙23)において 「…甲第5号証(注:本訴における乙11の5刊行 ,物)には両面粘着テープのベーステープを色付きのテープとして記録の背景色を設定することが記載されていないので,本願発明の構成には到達し得ない。甲第5号証には…基材を色付きとすることは記載されていないのである。粘着層を色付きとすることにより均一な背景色を得るより,ベーステープ(基材)を色付きとして均一な背景色を得る方が技術的に容易である 」(7頁11行〜8頁1行)と主張したこ 。
と,並びに特許庁は,これに対し,特許異議決定(乙24)において,両面テープの粘着層とテープ基材のいずれを着色して背景とするかは設計的事項であるとしたため,被告は,拒絶査定不服審判を提起するとともに,平成5年11月25日付審判請求理由補充書(甲22)において 「…これら6つの文献の記載からもベーステー ,プを色付きとして均一な背景を得るという技術思想は得られない。これら6つの文献に記載されている粘着シート,テープ等は,基材とそれを他の物品に貼り付けるための粘着剤層とを含み,それら基材と粘着剤層とのいずれか一方が着色されたものであり,粘着剤層自体をベーステープの両面に粘着剤層を形成したものとに変え,かつ,そのベーステープを色付きとすることは,これら6つの文献のいずれにも記載されていないのである 」(11頁10行〜20行)と主張したことは,当事者間 。
に争いがない。
この事実によれば,被告は,乙11の5刊行物等の公知文献との相違点として,第2発明は背景色を設定するためにテープ基材を色付きとするものである旨明確に主張したものである。
d以上によれば,構成要件2Eの「背景となるテープ基材」は,有色のものに限られ,無色透明のものは含まないと解釈すべきである。
これに反する原告らの主張は,採用することができない。
eさらに,被告は,構成要件2Eは背景色を得るための印刷層や粘着剤層を設けたテープを含まない旨主張する。
しかし,第2発明の特許請求の範囲,発明の詳細な説明及び図面中にテープ基材を着色する方法を限定した記載は見いだせない。また,上記cの出願過程における被告の主張も,第二のテープのテープ基材が第一のテープの背景色となることを意味するにとどまり,印刷層等によって背景色を得ることを排除しているものではないと認められる。
したがって,被告の上記主張は,採用することができない。
(ウ)まとめしたがって,対象品群bのうち 「クリアタイプ」のテープカセットと組み合わ ,せたものは構成要件2Eを充足しないが,それ以外のテープカセットと組み合わせたものは,構成要件2Eを充足する。
(エ)対象品群f(ルシール)のラベルライター本体なお,原告らの主張中には,対象品群f(ルシール)のラベルライター本体と対象品群bのテープカセットとを組み合わせることが可能であり,その場合第2発明及, び第5発明の実施品に当たるとの部分があるが(第28準備書面別紙10の2(3))その具体的な構成に関する主張もなく,また,かかる組合せが可能であることを認めるに足りる証拠もないから,原告らの上記主張は採用することができない。
エ第5発明(ア)パソコン接続専用モデル等を除く対象品群bの構成対象品群bは,後記(エ)a〜cのPT-18N(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)96の一部),PT-240(同95),並びにパソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188)を除き,前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(ウ)aの構成を有することは,当事者間に争いがない。
(イ)構成要件の対比a特許請求の範囲第1項, 後記(オ)a〜cのパソコン接続専用モデル等を除く対象品群bの構成5a,5b5d〜5fが,それぞれ構成要件5A,5B,5D〜5Fを充足することは,当事者間に争いがない。
b同第2項同構成5g〜5iが,それぞれ構成要件5G〜5Iを充足することは,当事者間に争いがない。
そして,同構成5cが構成要件5Cを充足するのであれば,構成要件5Jも充足することになる。
c同第3項同構成5k,5lが,それぞれ構成要件5K,5Lを充足することは,当事者間に争いがない。
そして,同構成5cが構成要件5Cを充足するのであれば,構成要件5Mも充足することになる。
(ウ)構成要件5Cの解釈a被告は,構成要件5Cにつき,ハウジング内の記録媒体を使用者が実際に見えることを必要とする,すなわちハウジングが透明であると限定して解すべきである旨主張するが,第5発明の特許請求の範囲の記載には,構成要件5Cを含め,ハウジングが透明であることを規定したと解し得る文言はない。
bまた,第5発明の明細書(甲2の5)においても 「第2図に戻つて,印字 ,部14は開閉自在な透明カバーケース69によって覆われ,このケース69もハウジング12の一部を構成している」(6欄40行〜42行)との記載が実施例として記載されているのみであって,被告主張の解釈を裏付けるに足りる記載は見いだせない。
c以上のとおり,構成要件5Cの解釈として,ハウジングが透明であることは要しないものと認められるから,対象品群bの構成5cは,構成要件5Cを充足する。
(エ)パソコン接続専用モデル等についてa対象品群bのラベルライター本体のうちPT-18N(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)96の一部)については,構成5cを有することを認めるに足りる証拠はない。かえって,弁論の全趣旨によれば,PT-18N(同96の一部)は,構成5cと異なり,印字ヘッドが使用者から見て印字テープの前方,すなわち裏面側ではなく表面側に配置されていることが認められる。
したがって,PT-18N(同96の一部)と対象品群bのテープカセットとを組み合わせた製品は,構成要件5Cを充足しないから,特許請求の範囲第1項〜第3項のすべてについて,第5発明の技術的範囲に属さないものと認められる。
b対象品群bのラベルライター本体のうちPT-240(同95)については,構成5hを有することを認めるに足りる証拠はない。かえって,弁論の全趣旨によれば,PT-240(同95)は,構成5hとは異なり,垂直に立てられた状態のテープが手前から奥に送り出されることが認められる。
また,弁論の全趣旨によれば,PT-240(同95)は,特許請求の範囲第1項に係る構成5a〜5f,同第3項に係る構成5k及び5lは備えていることが認められる。
したがって,PT-240(同95)と対象品群bのテープカセットとを組み合わせた製品は,特許請求の範囲第1項及び第3項の構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属するが,構成要件5Hを充足せず,同第2項に係る技術的範囲には属しないものと認められる。
c対象品群bのラベルライター本体のうち,パソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188)については,構成5d及び5hを有することを認めるに足りる証拠はない。かえって,証拠(甲95,96,乙69添付資料15)及び弁論の全趣旨によれば,これらは,構成5dのうち文字の制御機構を有せず,専用ソフトウェアをインストールしたパソコンと接続し,パソコンにおいて文字を制御すること,透明印字テープを右から左に搬送する仕組みとなっていない可能性があることが認められる。
さらに,上記証拠及び弁論の全趣旨によれば,これらは,特許請求の範囲第1項に係るその余の構成5a〜5c及び5f,同第2項に係る構成5g及び5i,同第3項に係る構成5k及び5lは備えていることが認められる。
そうすると,上記の各パソコン接続専用機種と対象品群bのテープカセットを組み合わせた製品は,第5発明の構成要件5D及び5Hを充足しない。
d第5発明は,構成要件5Dの制御手段を含め,1つのハウジング(構成要件5A)内に収容した装置の発明と解されるから,上記パソコン接続専用モデルについては,間接侵害も成立しない。
(オ)まとめa対象品群bは,後記b〜dのパソコン接続専用モデル等を除き,第5発明の特許請求の範囲第1項〜第3項に係る構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属する。
bPT-18N(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)96の一部)と対象品群bのテープカセットとを組み合わせた製品は,構成要件5Cを充足せず,第5発明の技術的範囲に属さない。
cPT-240(同95)と対象品群bのテープカセットとを組み合わせた製品は,特許請求の範囲第1項及び第3項の構成要件はすべて充足し,その技術的範囲に属するが,同第2項の構成要件を充足せず,その技術的範囲に属さない。
dパソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188)と対象品群bのテープカセットとを組み合わせた製品は,第5発明の構成要件5D及び5Hを充足せず,その技術的範囲に属さない。
オ第3考案(ア)構成要件6C及び6D以外の充足対象品群fが前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(エ)aの構成を有すること,並びに構成6a,6b,6eが,それぞれ第3考案の構成要件6A,6B,6Eを充足することは,当事者間に争いがない。
ただし,第3考案は,その構成要件から明らかなように,カセットテープの考案であるから,第3考案の構成要件と対比されるべきものは,対象品群fのテープカセットのみである。
(イ)構成要件6C及び6Dの充足a「それらスプールの少なくとも1個がカセットケースに対して着脱自在とされていることを特徴とする」という構成要件6Dの文言からは,スプールがカセットケースに対し直接着脱自在となっていることを意味すると解するのが自然である。
b(a)甲2の8によれば,第3考案の明細書には次の記載があることが認められる。
「<従来技術>…この被印字体テープのスプールを,インクリボンの供給および巻取のスプールとともに1個のカセットケースに収めて,2種のテープを備えたテープカセットとする場合がある 」(2欄末行,3欄15行〜18行), 。
「<考案が解決しようとする問題点>しかし,テープ類(インクリボンを含む)のいずれかを交換する必要が生じた場合でも,交換する必要がない他のテープ類を含めてカセットごと交換しなければならないという問題がある。つまり,リボンカセットのように1種類のテープのみを保持するカセットでは問題がないのであるが,2種以上のテープを含むカセットでは,常にカセット単位の交換というカセット本来の長所が欠点ともなるのである 」(3欄24行〜33行), 。
「<問題を解決するための手段>…本考案に係るテープカセットは…その印字テープの作成に必要な2種類以上のテープが複数のスプールに巻かれ,それらのスプールがカセットケース内にそれぞれ回転可能に保持されるとともに,それらスプールの少なくとも1個がカセットケースに対して着脱自在とされていることを特徴とするものである 」(3欄34行〜44行), 。
「<作用及び効果>このようにテープを保持するスプールをカセットケースに対して着脱自在とすることにより,そのテープのみ交換の必要が生じたときには,そのスプールだけカセットケースから取り外して別のものと交換することができ,カセットごと交換する必要がなくなる 」(4欄1行〜7行)。
(b)甲2の8によれば,明細書中の図面及び実施例は,すべて,複数のスプールが1つのカセットケースに保持され,そのカセットケースに対し着脱自在となっているものであることが認められる。
cさらに,乙12によれば,第3考案の出願日(昭和62年11月18日)より前に公開された刊行物である特開昭61-37461号公報(乙12)に,以下の記載があることが認められ,この記載によれば,同公報には,印字テープを収納するカセットとインクリボンを収納するカセットとを着脱可能に組み合わせたテープ印字装置用複合カセットが開示されていることが認められる。その結果,対象品群fのようなテープを収納したカートリッジとインクリボンを収納したカートリッジの複合カセットであり,そこからテープを収納したカートリッジが着脱自在である構成を含むものと第3考案を解釈すると,第3考案は同公報により新規性を欠如する結果となるおそれがあると認められる。
(a)「本発明は一般的には各種テープ及びリボンのプリント装置に関し,更に詳しくはテープスプールとプリントリボンが,互に解放可能に結合できる別々のハウジングの中に収容され,それによって,同じテープをプリントされる基材として使用し続けながら1つのリボンを他と容易に交換できるような装置で使用するためのカートリッジ組立体の設計に関する 」(2頁右下欄2行〜9行) 。
(b)「第1図を参照すると,テープリボン複合カートリッジは全体を数字10で示され且つ第1ハウジング部材12と第2ハウジング部材14を含むことがわかり,それらの部材は以下に詳細に説明する方法で一つが他に解放可能に結合されるように設計されている 」(4頁右上欄2〜7行) 。
(c)「この成形されたプラスチックセグメント18の側壁の内面から垂直に突出するのは円筒形スピンドル26で,その上にプラスチックテープ28のスプール27を回転可能に取付けることができる。このテープは第1図の複合カートリッジ組立体を使つた機械のプリントステーションに達するとプリント画像を受けるようにされている 」(4頁右上欄20行〜左下欄6行) 。
, (d)「即ち,それは一対の成形されたプラスチツク部品70及び72を含みそれらは並列関係に互いにぱちつとはまりプリントリボンのスプール74のための囲いを形成し,そのスプールは成形プラスチツク部品70又は72の側壁の1つと一体に形成され且つそれから内方に突出する支柱又はスピンドル76上に回転可能に取付けられている 」(5頁左下欄9行〜16行) 。
(e)「第2図で鎖線104はカーボンリボン74がとる路を描く。このリボンハウジングがテープハウジングにくつ付けられると,テープとリボンは面と面が合されてこの複合カートリッジを出る 」(6頁右上欄3行〜6行) 。
d上記bの明細書及び図面の記載,並びに上記cの公知技術を考慮すれば,構成要件6Cは,複数のスプールが1つのカセットケースに保持されていることを意味し,構成要件6Dは,スプール自体がカセットケースに対して着脱自在であることを意味するものであり,1種類のテープのみを保持するカセットや,1種類のテープのみを保持するカセットを組み合わせた複合カセットを含まないものと解される。
したがって,対象品群fの構成6c,6dは,第3考案の構成要件6C,6Dを充足しない。
(ウ)まとめ以上によれば,被告が第3考案を実施しているとは認められない。
カ海外特許1(EP315369号)(ア)対象品群nの構成aPT-2420PCを除く対象品群nの構成対象品群nのうち本体のPT-2420PC(別紙「本件被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」87)を除くものが前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(オ)aの構成を有することは,当事者間に争いがない。
bPT-2420PCの構成対象品群nのうち本体のPT-2420PC(同87)については,構成7eを有することを認めるに足りる証拠はない。かえって,証拠(乙69添付資料15)及び弁論の全趣旨によれば,同機種はパソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行い,本体には構成7eのうち文字の制御機構を有せず,専用ソフトウェアのインストールされたパソコンと接続し,パソコンにおいて文字を制御することが認められる。
(イ)PT-2420PCを除く対象品群nの充足a構成要件7E及び7Uを除く構成要件の充足PT-2420PC(同87)を除く対象品群nの構成が構成要件7E及び7Uを除く構成要件を充足することは,当事者間に争いがない。
b構成要件7Eの充足前記エ(ウ)と同様の理由により,構成要件7Eは,ハウジングが透明であることを要件としていないと解されるから,構成7eは構成要件7Eを充足すると認められる。
c構成要件7Uの充足(a)構成要件7Uの「そして前記一対の圧着ローラーがかみ合った第1の状態と,2つの圧着ローラーが互いに離れた第2の状態を切り換える切り換え手段を持つ」とは,海外特許1の明細書(甲20の7)の記載(訳文7頁12行〜13行,7頁24行〜8頁7行)を考慮すれば 「貼り付けテープを前記記録媒体の裏面に ,貼り付ける」(請求項3)場合に圧着ローラーとして使用する状態と 「貼り付けテ,ープ」を使用しない場合に単なるテープ送り機構として使用する状態を規定したものと解される。
これに対し,対象品群nの構成7uは,別紙「被告製品目録n」の2(8)の説明のとおり,単にテープカセットの着脱時に圧着ローラーが離れることを規定したものである。
したがって,構成7uは,構成要件7Uを充足しない。
(b)この点は,後記対象品群oの構成7u′についても同様である。
(ウ)PT-2420PCの充足PT-2420PC(同87)は,前記(ア)bのとおり,構成7eの制御機構を有しないから,印字装置自体に反転印字の制御手段を有することを要件としていると解される構成要件7Eを充足せず,したがって,請求項1の充足を要件とするその余の請求項2,3及び5〜9の各構成要件も充足しない。
(エ)請求項8及び9の発明者被告は,原告らは請求項8及び9に係る発明の発明者ではない旨主張する。
しかし,被告は,それ以外の請求項に係る発明の発明者に原告らが含まれることは争っていないところ,請求項8は請求項5又は6の,請求項9は請求項8のそれぞれ従属項であるから,仮に被告が主張するとおり,請求項8及び9に係る構成要件7Qや7Sの圧着ローラー,7Tの駆動源及び7Uの切り替え手段がA単独の発案であるとしても,特段の事情がない限り,原告らも請求項8及び9に係る発明の共同発明者であると認められるところ,本件においてはこの特段の事情の主張立証はない。
よって,被告の上記主張は,理由がない。
(オ)対象品群nのまとめa以上のとおり,PT-2420PC(同87)を除く対象品群nは,海外特許1の請求項1〜3及び5〜8の構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属するが,請求項9の構成要件を充足せず,その技術的範囲に属しない。
bPT-2420PC(同87)は,いずれの請求項の技術的範囲にも属さない。
(カ)対象品群oの構成a構成7e′を除く構成対象品群oが,構成7e′を除き,前記第2の3(2)ア(原告らの主張)(オ)dの各構成を有することは,当事者間に争いがない。
b構成7e′対象品群oが,構成7e′を有することを認めるに足りる証拠はない。かえって,証拠(甲67,95,96,乙69添付資料15)及び弁論の全趣旨によれば,対象品群oの本体は,パソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行い,構成7e′の制御機構を有しないことが認められる。
(キ)対象品群oの構成要件の対比上記(カ)のとおり,対象品群oは,構成7e′を有しないから,印字装置自体に反転印字の制御手段を有することを要件としていると解される請求項1の構成要件7Eを充足せず,したがって,請求項1の充足を要件とするその余の請求項3及び5〜9の各構成要件も充足しない。
前記(イ)c(b)のとおり,構成7u′は,構成要件7Uを充足しないから,対象品群oは,この点でも,請求項9の構成要件を充足しない。
(ク)対象品群oのまとめ以上のとおり,対象品群oは,海外特許1の請求項1〜3及び5〜9の技術的範囲に属さない。
キ海外特許2(USP5168814号)(ア)対象品群jの構成aパソコン接続専用モデルを除く対象品群jの構成対象品群jのうち,本件パソコン接続専用モデルを除くものが,前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(カ)aの各構成を有することは,当事者間に争いがない。
b本件パソコン接続専用モデルの構成対象品群jの本体のうち,本件パソコン接続専用モデルが,前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(カ)aの構成のうち,構成8c,構成8c′,構成8c″及び構成8c1を除く構成を有することは,当事者間に争いがない。
, 前記カ(カ)bのとおり,対象品群jの本体のうち本件パソコン接続専用モデルはパソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うため,反転印字の制御手段を有しないが,反転印字手段は有していることが認められる。
(イ)本件パソコン接続専用モデルを除く対象品群jの充足a構成要件8E等,8U及び8Vを除く充足本件パソコン接続専用モデルを除く対象品群jの構成が構成要件8Eとその系,8U及び8Vを除く構成要件を充足することは,当事者間に争いがない。
b構成要件8E等の充足第2発明について判示した前記ウ(イ)とは異なり,海外特許2の各請求項には,「第二のテープ」が「第一のテープ」の背景となることを規定した文言はなく,しかも,海外特許2については,第2発明の出願過程でされた平成5年5月31日付け答弁書(乙23)における陳述に相当するものがあったことを認めるに足りる証拠はないから,無色透明のテープや背景色を得るための印刷層や粘着剤層を設けたテープを除外したと解することはできない。
よって,構成8e,8e′,8e″及び8e1は,無色透明のテープや,背景色を得るための印刷層や粘着剤層を設けたテープを含め,構成要件8E,8E′,8E″,8E1を充足すると認められる。
c構成要件8U及び8Vの充足甲20の4により認められる海外特許2の公開特許公報の記載(請求項10の文言及び訳文13頁11行〜17行)によれば,構成要件8Uの「前記一対の圧着ローラー」が「お互い離れた非操作状態」や,構成要件8Vの「前記駆動制御機構」が「前記駆動源が圧着ローラー駆動機構からは切り離され,前記圧着ローラーが非操作状態にある第1位置」とは,転写テープ等を作製するために「圧着ローラー」を使用しない状態を意味すると解されるから,単にテープカセット着脱時の態様を規定した構成8u,8vは,それぞれ構成要件8U,8Vを充足しないと認められる。
(ウ)本件パソコン接続専用モデルの充足a構成要件8C等,8E等,8U及び8Vを除く充足本件パソコン接続専用モデルの構成が構成要件8Cとその系,8Eとその系,8U及び8Vを除く構成要件を充足することは,当事者間に争いがない。
b構成要件8C等の充足上記(ア)bのとおり,本件パソコン接続専用モデルは,反転印字手段は有しているが,反転印字の制御手段を有しないところ,構成要件8C,8C′,8C″及び8C1は,第2発明と同様に,テープ印字装置自体に反転印字の制御手段を有することを要件としていないと解されるから,本件パソコン接続専用モデルの構成は,構成要件8C,8C′,8C″及び8C1を充足するものと認められる。
c構成要件8E等,8U及び8Vの充足本件パソコン接続専用モデルが構成要件8Eとその系を充足するが,8U及び8Vを充足しないことは,上記(イ)b及びcのとおりである。
(エ)まとめ対象品群jは,本件パソコン接続専用モデルを含め,海外特許2の請求項2〜8,11及び12の構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属するが,請求項9の構成要件を充足せず,その技術的範囲に属さない。
ク海外特許3(USP5009530号)(ア)対象品群jの構成a本件パソコン接続専用モデルを除く対象品群jの構成対象品群jのうち,本件パソコン接続専用モデルを除くものが,前記第2,3(2)ア(原告らの主張)(キ)aの各構成を有することは,当事者間に争いがない。
b本件パソコン接続専用モデルの構成前記カ(カ)bのとおり,対象品群jの本体のうち本件パソコン接続専用モデルについては,パソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うと認められるから,反転印字のパソコンに組み込んだ専用ソフトウェアによって文字の制御を行うため,反転印字の制御手段を有しないが,反転印字手段は有していることが認められる。
(イ)本件パソコン接続専用モデルを除く対象品群jの充足a構成要件9G等を除く構成要件の充足対象品群jのうち本件パソコン接続専用モデルを除くものが構成要件9G,9G′及び9G″を除く構成要件を充足することは,当事者間に争いがない。
b構成要件9G等の充足前記エ(ウ)と同様の理由により,構成要件9G等は,ハウジングが透明であることを要件としていないと解されるから,構成9g,9g′,9g″はそれぞれ構成要件9G,9G′,9G″を充足すると認められる。
(ウ)本件パソコン接続専用モデルの充足上記(ア)bのとおり,対象品群jの本体のうち本件パソコン接続専用モデルは,反転印字手段は有しているが,反転印字の制御手段を有しないから,記録装置自体に反転印字の制御手段を有することを要件としていると解される構成要件9G,9G′及び9G″を充足しないと認められる。
(エ)まとめa本件パソコン接続専用モデルを除く対象品群jは,海外特許3の請求項1,2,4〜9及び11の構成要件をすべて充足し,その技術的範囲に属する。
b本件パソコン接続専用モデルは,いずれの請求項の技術的範囲にも属さない。
ケ被告による自己実施についての結論(ア)以上によれば,被告は,次の限度で本件各発明を実施している。
a第1発明(対象品群a),b第2発明(対象品群bの本体と対象品群bのテープカセットのうち「クリアタイプ」以外のテープカセットとを組み合わせたもののみ。),c第5発明(対象品群bのPT-18N(同96の一部)及び本件パソコン接続専用モデル等以外の本体と対象品群bのテープカセットとを組み合わせたもののみ。
ただし,PT-240(同95)は,特許請求の範囲第1項及び第3項のみの充足である。),d海外特許1(対象品群nのPT-2420PC(87)以外の本体と対象品群nのテープカセットとを組み合わせたもののみ。ただし,請求項1〜3及び5〜8のみの充足である。),e海外特許2(対象品群j。ただし,請求項2〜8,11及び12のみの充足である。),f海外特許3(対象品群jの本件パソコン接続専用モデル以外の本体と対象品群jのテープカセットとを組み合わせたもののみ),g第3発明(対象品群g。前提事実(5)のとおり。)(2)本件各特許権は無効か(争点2-2)ア総論(ア)本件各発明がこれまで無効審判や侵害訴訟等で無効と判断されたとの主張はない。そうすると,本件各発明は,少なくとも形式上有効な特許として,第三者に対する禁止権を行使し得る状態で存続してきたものであるから,仮に無効理由があったとしても,独占の利益が全くないものと扱うのは妥当でない。例えば,第三者に実施を許諾し,これにより実施料収入を得ている場合には,被告は現に独占の利益を得ているのであり,これを相当対価算定の基礎とすべきである。
(イ)第三者に実施許諾をせず,当該特許発明を独占的に実施したことによる利益についても,現実に第三者の実施を禁止したことによると認められる利益については,当該特許発明に無効理由がある事実を考慮しながら,相当対価算定の基礎とすべきである。
(ウ)ただし,将来分については,本判決で無効理由を有することが事実上公表されることになるから,もはや独占の利益を生じないものとすべきである。
イ第2発明(ア)乙11の1刊行物a第2発明の出願前に公開された刊行物である乙11の1刊行物(特開昭5, 9-95169号公報)に,前記第2,3(3)ア(被告の主張)(ア)a(a)一,三,(b)(c)一,(e),(f)一,(g),(h)一,二,(i)一,二,四の記載があることは,当事者間に争いがない。
b被告が第2発明の「第二のテープ」に相当すると主張する乙11の1刊行物の「台紙」に,構成要件2Eが規定する「第一のテープの背景となる」点 「両,側に設けられた粘着剤層」及び「その粘着剤層の片側に予め粘着された剥離紙」に相当する構成は開示されていない点は,被告も認めるとおりである(第2,3(3)ア(被告の主張)(ア)a(h)三)。
cまた,反転印字の点(同(c)二)については,乙11の1刊行物中の「カラー転写印刷の行なわれている情報内容は透明な記録用紙13側,すなわち第4図中下側よりみる。従って,転写印刷のデータは,第2図の場合と逆に取り扱うようにしておく必要がある 」(2頁右下欄11行〜15行)との記載(同(c)一)は,第2図 。
に関する説明(1頁右欄8行〜19行)を考慮すると,図柄の色を印刷する順番を逆にすることを述べたものであって,反転印字を開示したものではないと認められる。
dさらに,被印字媒体がテープである点(同(a)二) 「前記テープ送り機構が, ,前記第一のテープを送る際に「第二のテープを圧着する」点(同(i)五),並びに 」,「圧着された記録用紙と台紙がハウジングの外へ排出される」点(同(i)六)は,少なくとも明示されていない。
e上記b〜dの相違点のすべてが,後記乙11の5刊行物及び被告が従来技術として主張する公知文献に開示されているとは認められない。
f以上によれば,第2発明が,乙11の1刊行物を主たる引用例として,新規性又は進歩性を欠如するものとは認められない。
(イ)乙11の5刊行物a第2発明の出願前に公開された刊行物である乙11の5刊行物(特開昭53-70700号公報)に,前記第2,3(3)ア(被告の主張)(ア)b(a)一,(b)一,(c)一,(e)一,(f)一,(g)の記載があることは,当事者間に争いがない。
b(a)第2,3(3)ア(被告の主張)(ア)b(a)一の記載によれば,透明な連続基材はテープ状であることが開示されていると認められる。
(b)また,同(b)一の記載によれば,上記透明テープの印刷されていない面から印刷表示を見る場合が開示されていると認められ,その場合,反転した「像」を印刷しなければならないことは自明である。
(c)同(f)一の記載によれば,構成要件2Eの「第一のテープの反転印字が行われた印字面」を開示していると認められる。
c以上によれば,乙11の5刊行物に開示された発明と第2発明とは 「透,視性を有する第一のテープに,裏返しパターンの反転した「像」を印刷する印刷機構と,前記第一のテープを送るテープ送り機構とを含み,第一のテープの反転した「像」を印刷した印刷面に,テープ基材とそのテープ基材の両側に設けられた粘着剤層とその粘着剤層の片側に予め粘着された剥離紙とから構成された第二のテープを圧着することを特徴とする装置」である点で一致し,以下の点において相違すると認められる。
@第2発明は,インクリボンとサーマルヘッドを備えた反転「印字」を行う印字機構及びインクリボン巻取り装置を備えているが,乙11の5刊行物にはその記載がないこと(同(b)四,(d)),A第2発明は,印字機構,テープ送り機構及びリボン巻取機構を内部に収容するハウジングを含むが,乙11の5刊行物にはその記載がないこと(同(e)二),B第2発明は,第二のテープのテープ基材が第一のテープの背景となるが,乙11の5刊行物にはその記載がないこと(同(h)),C第2発明は,第一のテープのテープ送り機構が,第一のテープを送る際,第一のテープに第二のテープを圧着するとともに,ハウジング外へ排出するが,乙11の5刊行物には,連続基材の送り機構と貼合わせ装置との関係が不明であること(同(c)二,(h))。
d上記cの相違点,特にB及びCについては,乙11の1刊行物や被告が従来技術として主張する公知文献にも記載されているとは認められない。
e以上によれば,第2発明が,乙11の5刊行物を主たる引用例として,新規性又は進歩性を欠如するものとは認められない。
(ウ)結論以上のとおり,乙11の1刊行物,乙11の5刊行物及び被告主張の従来技術の公知文献の記載を考慮しても,第2発明は新規性又は進歩性欠如の無効理由があるとは認められない。
ウ第3発明(ア)乙16刊行物に開示されている発明a第3発明の出願前に公刊された乙16刊行物(マーリンエクスプレスのユーザーズガイド)に前記第2,3(3)ア(被告の主張)(イ)a(a)一〜五の記載があること,及び同(a)一の記載は構成要件3Aと,(a)二の記載は構成要件3Bと,(a)五の記載は構成要件3Eとそれぞれ同一であることは,当事者間に争いがない。
b同(a)四の記載によれば,乙16刊行物には,比較的小さいサイズのアルファベットを印字する場合において,通常は文字のベースラインがテープ中央に配置されるところ,これを大きな文字のベースラインと揃えるように下方に寄せて配置する機能が開示されていると認められる。
これに反する原告らの主張は採用することができない。
cこれに対し,前記第2,3(3)ア(被告の主張)(イ)a(a)三には 「センタ,印字モード」と「片側揃えモード」を実現する具体的な手段については記載されていない。
被告は,当業者であれば,乙16刊行物から 「キャラクタ列を印字する際に駆 ,動される印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフト」することにより<中央合わせ>と<下合わせ>を行う技術が開示されていると理解できる旨主張するが,原告らが指摘する箇所を検討しても,印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフトして行う点が実質的に開示されているとまで認めるには足りない。
(イ)一致点と相違点したがって,第3発明と乙16刊行物に記載された発明とを対比すると,両者は,「多数の印字素子からなる印字素子列の長さの範囲内でキャラクタをドットマトリックスにより印字テープに印字する印字ヘッドと,その印字ヘッドに対して相対的に印字テープを前記印字素子列と交差する方向に送る送り装置とを備えた印字装置において,前記印字素子列の長さより小さいサイズのキャラクタを,印字テープの幅方向の中央にキャラクタ列の印字を行わせるセンタ印字モードと,印字テープの幅方向の片側に寄せてキャラクタ列の印字を行わせる片側揃えモードとに変更する印字位置変更手段を設けたことを特徴とする印字位置の変更可能な印字装置 」で。
ある点で一致するが,第3発明は,印字位置の変更を「前記印字テープの長手方向に並べてキャラクタ列を印字する際に駆動される印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフトして」行うのに対し,乙16刊行物には,その点の記載がない点で相違すると認められる。
(ウ)相違点についての判断a乙134によれば,第3発明の出願日より前に公開された乙134刊行物(特開昭56-162659号公報)は 「ハングル文字を基本エレメントの活字又 ,はマトリックス状の複数のドットにより構成して印字するハングル文字印字方式」(1頁左欄13行〜15行)に関するもので 「第10図はドットの印字ピン配列と ,ドットパターンデータの関係を示す説明図で,印字ピン14は例えば図示の如く縦1列に一定間隔で9本配列され,又子音,母音等の各エレメントのドットパターンは縦9×横7ドットで構成される。上記フォントメモリ10には第10図(a)の形式でドットパターンが格納されているが,次のエレメントが縦母音である前子音の場合は第1コラムから第7コラムまでのドットパターンデータが逐次前述のようにシフトされる結果第10図(b)の形式のドットパターンデータとなり,これが印字駆動回路に与えられる。…こうして次に印字すべきエレメントが縦母音のときの前子音のドットは印字用紙又は印字ヘッドを移動することなく縦方向にずらして印字することができる 」(3頁左下欄6行〜右下欄6行)と記載され,第10図に示さ 。
れた実施例では,ハングル文字を構成するエレメントのドットパターンを縦9×横7ドットで構成し,次に印字すべきエレメントが縦母音である前子音の場合,4ドット下方にシフトして印字位置をずらすことが図示されていることが認められる(一部は当事者間に争いがない。)。
bこれらの記載によれば,乙134刊行物には,印字位置の変更を「前記印字テープの長手方向に並べてキャラクタ列を印字する際に駆動される印字素子列の範囲を印字素子列の長さ方向にシフトして」行うことが開示されていると認められる。
cしたがって,当業者であれば,乙134刊行物に開示された上記bの発明を同一の技術分野に属する乙16刊行物に記載された発明に適用することにより,第3発明に容易に想到することができたものと認められる。
(エ)結論よって,第3発明は,新規性を欠如するとは認められないが,乙16刊行物に記載された発明及び乙134刊行物に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由を有する。
(オ)無効理由の知悉についてなお,被告は,発明者の一人であるBが乙16刊行物等を知っていたことを理由に,被告は権利行使できないし,原告らに相当対価の請求を認めるべきではない旨主張する。
しかし,原告らが上記事情を知っていたとは認められないし,前記アのとおり,被告が現に得た独占の利益は,当該発明に無効理由があっても,相当対価の算定に当たり考慮すべきであるから,被告の上記主張は,採用することができない。
エ第5発明(ア)乙13の5刊行物の記載乙13の5によれば,第5発明の出願前に公開された乙13の5刊行物(特開昭59-131478号公報)に次の記載があることが認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
a「本発明は,印字方法に関して,裏面より印字して表面から判読可能な印字用紙の表面を透明なプラテンに接面させ,該印字用紙の裏面に逆文字の活字ブロックで印字することにより成り,その印字装置に関しては,印字用紙の送り出し装置及び引取り装置,プラテン,活字ブロックを備える印字装置において,文字の読み取り側に透明なプラテンを,そして反読み取り側に逆文字の活字ブロックを配して成るもので,印字と同時にその印字を判読できるようにして印字結果に即時対処可能とする…」(1頁右欄13行〜2頁左上欄3行)b「上記印字用紙1は,活字ブロツクの形式との関連で定まるが,裏面に印字して表面から読みとれるものであれば特に制約はない。インクリボン,インクジエツト等の裏面の印字が表面にて発色しない形式にあつては,印字用紙は半透明のものが採用され…」(2頁左上欄19行〜右上欄4行)c「活字ブロック5は,印字用紙1の裏面側に配され…る。活字ブロツク5の印字形式は公知のもので,すでに挙げられたインクリボン,インクジエツト,加圧あるいは加熱によるもの等のうち印字用紙1との組合せで選定される 」(2頁。
右上欄17行〜左下欄2行)d「活字ブロックの活字の形態はいわゆる逆文字(一般には「右文字」ともいう。)で,通常の活字とは左右逆の状態に作られており,印字用紙1の裏面に印字したとき表面に正常の文字として現われるようになつている 」(2頁左下欄2。
行〜7行)e第1図には,印字用紙1,印字用紙1を搬送路に沿って送り出す送り出し装置2及び引取り装置3,印字用紙1の裏面側に配され裏面に印字する活字ブロツク5が図示されている。
(イ)第5発明との対比a上記乙13の5刊行物における「印字装置 「半透明の印字用紙 「送り 」」出し装置及び引取り装置 「活字ブロック」は,それぞれ第5発明の「記録装置」 」「透視性を有する記録媒体 「搬送手段 「記録手段」に相当する。 」」乙13の5刊行物に記載された発明は,第5発明と対比すると 「透視性を有す,る記録媒体を媒体搬送路に沿って搬送する搬送手段と,記録媒体を記録装置の使用者が前方から見た側の面を表面として,前記媒体搬送路に関して前記記録媒体の裏面側に配設され,前記記録媒体の裏面に対して記録材による記録を行う記録手段を備え,前記記録媒体の裏面側に形成される記録像が前記裏面側から見て左右反転した像となるように前記記録手段により反転記録を行わせる記録装置 」である点で。
一致し,以下の点で相違すると認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
(a)相違点1第5発明の記録装置本体はハウジングを有し,記録媒体がハウジング外に搬出されるが(構成要件5A,5B),乙13の5刊行物にはその記載がないこと。
(b)相違点2第5発明は,記録手段により反転記録を行わせる「制御手段」を有するが(構成要件5D),乙13の5刊行物にはその記載がないこと。
(c)相違点3第5発明は,記録媒体の記録面に剥離紙付き両面粘着テープの粘着面を貼り付ける手段を備えるが(構成要件5E),乙13の5刊行物にはその記載がないこと。
b第2発明は,テープ印字装置に係るものであり,第一のテープのテープ送り機構が,第一のテープを送る際に,第一のテープに第二のテープを圧着するとともに圧着後のテープをハウジング外へ排出することが特定されているなど,任意の文字を印刷したテープ状のラベルを簡単に作成できる「ラベルライター」の発明として認識されるものであるのに対して,第5発明は,記録媒体がテープ状であることが明確ではなく(特許請求の範囲第1項),印字装置の上位概念というべき記録装置に係るものであり,必ずしも「ラベルライター」の発明として認識できないものである。したがって,第5発明は,テープ状のラベルを作成するものではない乙13の5の技術やラベルを大量生産するのに使われるものと考えられるシール印刷機に関する乙11の5の技術とは異なる技術分野に属すると認めることはできない。
cなお,第5発明に係る出願は,昭和62年12月21日にされており,請求項ごとに無効理由が判断される昭和62年法ではなく,発明ごとに無効理由が判断される昭和50年法が適用されるから,第5発明の特許が無効か否かの判断は,必須要件項である請求項1について判断すれば足りる。
(ウ)相違点についての判断a相違点1(ハウジング等)について乙13の5刊行物に「近年電子計算機の発達に伴い各種の印字装置が開発されてきた 」(1頁左欄末行〜右欄1行) 「本発明は,上述の事情に鑑み従来の欠点を 。 ,根本的に解消し,印字と同時にその印字を容易に判読できる印字方法及びその印字装置を提供することを目的とする」(1頁右欄9行〜12行)とあるように,乙13の5刊行物に記載された発明は,従来の印字装置を前提にしたものであるから,一例として,乙13の5刊行物より前に公開された特開昭55-156980号公報(乙11の2)の図面にもハウジングが図示されているように,ハウジングの存在を前提とするものと解される。
また,第5発明の明細書(甲2の5)に 「ハウジング」の意義に関する特段の記 ,載はない。
そして,記録装置にハウジングが存在する場合,印刷された媒体がハウジング外に搬出されることは,当然のことと解される。
したがって,相違点1は,実質的な相違点とは認められない。
b相違点2(反転記録を行わせる制御手段)について上記(ア)のとおり,乙13の5刊行物には,反転した印字を行うこと及びインクリボンを用いることは開示されているところ,インクリボンとサーマル印字ヘッドを用い,文字を反転制御して印字する技術は,第5発明の明細書(3欄28行)に従来技術として挙げられている特開昭61-31260号公報(乙11の3)にも記載されており,遅くとも第5発明の出願時には,公知の技術であったと認められる。
c相違点3(両面粘着テープを貼り付ける手段)について第5発明の出願前に公開された刊行物である乙11の5刊行物には,前記イ(イ)のとおり 「透視性を有する連続基材に,裏返しパターンの反転した像を印刷する ,印刷機構と,前記連続基材を送る送り機構とを含み,連続基材の印刷面に,透明なフィルムを支持体とした剥離紙付き両面粘着テープを貼り合わせる装置」が開示されていると認められる。
d組合せの容易性乙13の5刊行物に記載された発明と,乙11の5刊行物に記載された発明とは,透視性のある印刷媒体に,印刷面の反対側から正像として認識できる反転した像を印刷するという点で共通しており,また,乙13の5刊行物に記載された発明は,印字装置に関するものであるから,乙13の5刊行物に記載された発明に乙11の5刊行物に記載された発明を適用し,更に上記bの公知技術を適用して,第5発明のように構成することは,当業者にとって容易に想到することができたことと認められる。
(エ)原告らの主張に対する反論a原告らは,乙13の5刊行物の活字ブロックは左右に移動するのに対し,第5発明のサーマルヘッドは固定されたものであるから,この点も相違点であると主張する。
しかし,原告らの上記主張は,乙13の5刊行物,第5発明のいずれについても実施例に限定した解釈に基づくもので,その前提において誤っているから,採用できない。
b原告らは,乙13の5刊行物に記載された発明にサーマル印字ヘッドを使用すると,印字された文字の背景に同色のインクリボンが存在することになり,「印字と同時にその印字結果を判読できる」という乙13の5刊行物の作用効果と矛盾すると主張する。
しかしながら,上記(ア)b及びcのとおり,乙13の5刊行物にインクリボンを用いる構成が開示されていることからすると 「印字と同時にその印字結果を判読 ,できる」とは,半透明な印字用紙と透明なプラテンの構成により達成される効果を意味すると解されるから,原告らの上記主張は採用することができない。
c原告らは,乙13の5刊行物に記載された発明と乙11の5刊行物に記載された発明を組み合わせる動機付けがないと主張し,その理由として,乙13の5刊行物は,両側に等ピッチで設けられた用紙送りのための孔と爪(第1図の11と23)を備えており,用紙を戻すことが予定された機構となっており,仮に両面テープを印刷面に貼り合わせると,用紙が戻される際に両面テープが剥がされるという不都合な結果となると主張する。
しかし,乙13の5刊行物に記載された発明において,上記図面の原告ら指摘箇所は 「印字用紙の送り出し装置及び引取り装置」の1つの実施例にすぎないと認 ,, , められ,また 「用紙を戻すこと」に触れた記載はないから,原告らの上記主張は理由がない。
(オ)結論以上によれば,第5発明は,進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由を有する。
オ海外特許1(EP315369号)(ア)新規性の欠如a海外特許1の請求項1〜3及び5〜7の内容は,第5発明の出願日より前である1987年11月28日の優先日を有し,指定国も英・独・仏・伊と同一であるEP319209号(甲20の11。1994年4月27日登録)の明細書及び図面に記載されていることは,当事者間に争いがない。
b欧州特許条約89条によれば,54条3項(日本特許法29条の2に相当)にいう従来技術の基礎となる先行出願の「出願日」とは,パリ条約優先権主張がある場合はその優先日をいうと解される。
cそうすると,海外特許1の請求項1〜3及び5〜7は,欧州特許条約54条3項により無効となる可能性があるものと認められる。
(イ)発明者の点被告は,請求項8及び9の発明者はAである旨主張するが,この主張が理由がないことは,前記(1)カ(エ)のとおりである。
(ウ)進歩性の欠如被告は,対応特許である第5発明が無効であるから,海外特許1も無効の可能性が高いと主張する。
しかし,前提事実(3)エ及びカのとおり,第5発明の構成要件と海外特許1の請求項8及び9の構成要件は同一ではない。さらに,欧州特許条約及びこれに基づくEPOの実務における進歩性の判断は,日本における進歩性の判断と必ずしも同じではない。したがって,乙13の5刊行物等の存在から,海外特許1の請求項8及び9が進歩性欠如により無効とされると認めることはできないから,被告の上記主張は理由がない。
カ海外特許2(USP5168814号)(ア)海外特許2に係る各発明は 「透明テープの一方の面に左右反転印字を行 ,い,その印字面をカバーテープにて覆うため,基材とその基材の両面に粘着層が形成されかつその粘着層の一方に剥離層が形成されているカバーテープを,前記透明テープの印字に重合して貼り合わせること」を特徴としており,第2発明にほぼ対応していることは,当事者間に争いがない。
(イ)被告は,対応特許である第2発明が無効であるから,海外特許2も無効の可能性が高いと主張する。
しかしながら,前記イのとおり,第2発明は無効ではないし,しかも,前提事実(3)イ及びキのとおり,第2発明の構成要件と海外特許2の構成要件は必ずしも同一ではない。さらに,米国特許法及びこれに基づく米国の実務における非自明性の判断は,日本における進歩性の判断と必ずしも同じではない。したがって,乙11の5刊行物等の存在から,海外特許2が進歩性欠如により無効とされると認めることはできないから,被告の上記主張は理由がない。
キ海外特許3(USP5009530号)(ア)海外特許3に係る発明の内容は 「あらかじめ決められたテープ送り通路 ,に対してオペレータ側と離れた側に配置された固定サーマルヘッドにより,オペレータ側から見て正常イメージになるように,左右反転したイメージが透明テープに印字され,その印字面が,印字部より下流側において,基材の両面に形成された粘着層とその粘着層の一方に形成された剥離層とを有するバッキングテープ(backingtape)にて重合されること」を特徴としており,第5発明とほとんど同一であることは,当事者間に争いがない。
(イ)被告は,対応特許である第5発明が無効であるから,海外特許3も無効の可能性が高いと主張する。
しかし,前提事実(3)エ及びクのとおり,第5発明の構成要件と海外特許3の構成要件は必ずしも同一ではない。さらに,米国特許法及びこれに基づく米国の実務における非自明性の判断は,日本における進歩性の判断と必ずしも同じではない。
したがって,乙13の5刊行物等の存在から,海外特許3が進歩性欠如により無効とされると認めることはできないから,被告の上記主張は理由がない。
クまとめ以上をまとめると,次のとおりである。
(ア)第3発明と第5発明は,進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由を有する。
(イ)海外特許1の請求項1〜3及び5〜7は,新規性欠如(欧州特許条約54条3項)の無効理由を有する。
(ウ)その余の発明については,無効理由は認められない。
(3)本体又はテープカセットの製造販売等と間接侵害(争点2-3)ラベルライター本体とテープカセットとを組み合わせた状態において本件各発明の実施品に当たる製品について,ラベルライター本体又はテープカセットのみの製造販売等を他社が行った場合,特許法101条1号又は2号の間接侵害に当たるか否かについて検討する。
間接侵害の成否は,超過売上高の算定や第三者からの実施料における貢献度の判断に直結するものではないが,それらの判断の基礎をなすものである。
ア第1発明(ア)ラベルライター本体a特許法101条1号間接侵害について(a)当事者間に争いのない別紙「被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」から明らかなとおり,原告らが第1発明の実施品として主張する対象品群aのラベルライター本体は,すべて第2発明及び第5発明の実施品として主張する対象品群bに包含されており,対象品群aのラベルライター本体は,転写テープのみならず,ラミネートテープ等と組み合わせて使用することができる。
したがって,対象品群aのラベルライター本体を製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
(b)証拠(甲54の60頁・206頁以下,甲55の21頁・161頁以下,乙37,39,114,115)及び弁論の全趣旨によれば,キングジムが販売するセイコーエプソン製の「テプラプロ」やカシオが販売する「ネームランド」なども,転写テープのみならず,ラミネートテープ等と組み合わせて使用することができることが認められる。
したがって,キングジムらが対象品群kのラベルライター本体及び対象品群lのラベルライター本体を製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
b特許法101条2号間接侵害について(a)前記(1)イ(ア)のとおり,対象品群aのラベルライター本体は,鏡像を印字する印字手段等を有するものであるから,ラミネートテープと組み合わせて使用することができ,ラミネートテープの方が組み合わされて使用される割合が極めて高いことを考慮しても,第1発明による課題の解決に不可欠なものであり,そのようなラベルライター本体を製造販売する以上,通常 「その発明が特許発明である ,こと及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件も満たすものと認められる。
したがって,対象品群aのラベルライター本体を製造販売する行為を他社が許諾なく行えば,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(b)上記の点は,キングジムらの対象品群kのラベルライター本体及び対象品群lのラベルライター本体についても同様であり,これらを製造販売する行為を他社が許諾なく行えば,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(イ)テープカセットa特許法101条1号間接侵害について(a)証拠(甲95,96,乙69添付資料15)及び弁論の全趣旨によれば,パソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188)は,専らパソコンと接続して使用し,文字の入力・情報の記憶・制御を汎用コンピュータにより行うので,ラベルライター自体は構成要件1Aの「入力部」を備えていないから,第1発明の技術的範囲に属さないこと,これらのモデルで,転写テープを作成することができることが認められる。
したがって,これらのパソコン接続専用モデルの使用形態であるパソコンと接続した状態と組み合わせて対象品群aのテープカセットを使用した場合は,第1発明の構成要件を充足しないから,対象品群aのテープカセットは,他の実用的な用途を有していると認められる。
よって,対象品群aのテープカセットを製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
(b)弁論の全趣旨によれば,キングジム製品のSR-3900P(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」136)及びSR-3500P(同134),並びにカシオ製品のKL-E20(同152)等は,専らパソコンと接続して使用し,文字の入力・情報の記憶・制御を汎用コンピュータにより行うので,ラベルライター自体は構成要件1Aの「入力部」を有していないから,第1発明の技術的範囲に属さないこと,これらのモデルで,転写テープを作成することができることが認められる。
したがって,これらのパソコン接続専用モデルと組み合わせて対象品群k又は対象品群lのテープカセットを使用した場合は,第1発明の構成要件を充足しないから,対象品群k及び対象品群lのテープカセットは,他の実用的な用途を有していると認められる。
したがって,対象品群k又は対象品群lのテープカセットを製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
b特許法101条2号間接侵害について(a)前記(1)イ(ア)のとおり,対象品群aのテープカセットは 「レタリング,テープ面に離型促進剤が塗布され」たものであるから,第1発明による課題の解決に不可欠なものであり,そのようなテープカセットを製造販売する以上,通常,「その発明が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件も満たすと認められる。
したがって,対象品群aのテープカセットを製造販売する行為を他社が許諾なく行えば,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(b)この点は,キングジムらの対象品群k及び対象品群lのテープカセットについても同様であると認められる。
イ第2発明(ア)ラベルライター本体a特許法101条1号間接侵害について前記2(1)イのとおり,背景色が無色透明な「クリアタイプ」のテープカセットと組み合わせた場合は,第2発明の技術的範囲に属さないから,対象品群bのラベルライター本体は,第2発明の実施のみ用いるものではない。
したがって,対象品群bのラベルライター本体を製造販売する行為は,第2発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
b特許法101条2号間接侵害について前記(1)ウのとおり,対象品群bのテープカセットのうちクリアタイプ以外のものと対象品群bのラベルライター本体とを組み合わせた製品は,第2発明の構成要件を充足するから,対象品群bのラベルライター本体は,第2発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たると認められる。
そして,そのようなラベルライター本体を製造販売する以上,通常 「その発明,が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件も満たすと認められる。
したがって,対象品群bのラベルライター本体を製造販売する行為を他社が許諾なく行えば,第2発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(イ)テープカセット前記(1)ウのとおり 「クリアタイプ」を除く対象品群bのテープカセットとラ ,ベルライター本体とを組み合わせた製品は,第2発明の構成要件を充足するところ,このようなテープカセットは,他の実用的な用途を有しないものと認められるから,同様の構成のテープカセットは,第2発明の実施のみ用いるものに当たり,これを製造販売等する行為を他社が許諾なく行えば,第2発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たると認められる。
ウ第3発明(ア)ラベルライター本体前提事実(3)ウ及び(5)のとおり,対象品群gのテープカセットとラベルライター本体とを組み合わせた製品は,第3発明の構成要件を充足する。
そして,このラベルライター本体は,構成要件3Bの「送り装置」の一部をテープカセットが構成すること(構成3bの一部)を除き,第3発明の構成要件をすべて充足するから,対象品群gのラベルライター本体の製造販売等は,第3発明の直接侵害か,少なくとも特許法101条1号間接侵害に当たると認められる。
(イ)テープカセットa特許法101条1号間接侵害について別紙「被告製品一覧表2(テープカセット)」のとおり,対象品群gのテープカセットは,対象品群bのテープカセットにすべて包含されており,また,別紙「被告製品一覧表1(ラベルライター本体)」のとおり,対象品群gの本体は,対象品群bの本体にすべて包含されている。すなわち,対象品群gのテープカセットは,すべて対象品群g以外の対象品群bのラベルライター本体に装着することが可能であって,その場合には第3発明の構成要件を充足しないと認められる。
したがって,対象品群gのテープカセットの製造販売は,第3発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
b特許法101条2号間接侵害について上記(ア)のとおり,第3発明との関係では,テープカセットはテープ送り機構の一部を構成するが,第3発明は,その明細書(甲2の3)の記載によれば 「従来の,テープ印字装置においては…小さいサイズのキャラクタについてその印字位置は予め一律に定められていて…多様な印字書式に対応できない」(2頁左欄10行〜17行)という課題を 「…センタ印字モードと…片側揃えモードとに変更する印字 ,位置変更手段を設けた」(2頁左欄19行〜29行)ことにより解決したものであり,本来,テープやテープカセットは何ら関係していない。したがって,対象品群gのテープカセットは,第3発明との関係で,特許法101条2号にいう「発明による課題の解決に不可欠なもの」には当たらない。
よって,対象品群gのテープカセットの製造販売は,第3発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たらない。
エ第5発明(ア)ラベルライター本体a特許法101条1号間接侵害について, 前記ア(ア)のとおり,本件被告製品のラベルライター本体は,対象品群bを含めTC型,TX型,TZ型それぞれについて,ラミネートテープのみならず,転写テープ,アイロン転写テープ等と組み合わせて使用できるから,対象品群bのラベルライター本体の製造販売は,第5発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たらない。
b特許法101条2号間接侵害について(a)前記(1)エのとおり,対象品群bのテープカセットと前記(1)エ(オ)で充足と判断されたラベルライター本体とを組み合わせた製品は,第5発明の構成要件を充足するから,対象品群bのうちそれらのラベルライター本体は,第5発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たると認められる。
そして,そのようなラベルライター本体を製造販売する以上,通常 「その発明,が特許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件も満たすと認められる。
したがって,対象品群bのうちそれらのラベルライター本体を製造販売する行為を他社が許諾なく行えば,第5発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(イ)テープカセットa特許法101条1号間接侵害について(a)前記(1)エ(オ)b及びdのとおり,対象品群bのラベルライター本体のうち,PT-18N(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)の96の一部)並びにパソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188)は構成要件5Cを充足しない。そうすると,対象品群bのテープカセットのうち,それらと組み合わせて使用することができるTX型及びTZ型のものについては,第5発明の実施のみ用いるものに当たらないことになる。
(b)対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型を除くものと前記(1)エ(オ)で充足と判断されたラベルライター本体とを組み合わせた製品は,第5発明の構成要件を充足するところ,このような対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型を除くものは,他の実用的な用途を有しないものと認められるから,第5発明の実施のみ用いるものに当たり,これを製造販売等する行為を他社が許諾なく行えば,第5発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たる。
b特許法101条2号間接侵害について(a)前記(1)エのとおり,対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型のものについても,PT-18N(同96の一部)並びにパソコン接続専用モデルである本件パソコン接続専用モデル,PT-2420PC(同87)及びLabelloPC(同188)以外の本体と組み合わせたものは,第5発明の構成要件を充足するから,対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型のものは,第5発明による「課題の解決に不可欠なもの」に当たると認められる。
そして,そのようなテープカセットを製造販売する以上,通常 「その発明が特,許発明であること及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら」の要件も満たすと認められる。
したがって,対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型のものを製造販売する行為を他社が許諾なく行えば,第5発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(4)超過売上高の算定(争点2-4)ア前提事実に,各項に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア)本件被告製品の売上高・市場占有率の推移等a日本国内(a)被告は,キングジムへのOEM供給により,昭和63年11月,本件被告製品の最初の機種「テプラTR-55」の販売を開始し,さらに,平成2年1月,その改良品である「TR-55R」を発売した。キングジムが文具・事務機器の強力な販売ルートを持っていたこと等に加え,当初は有力な競合品がなかったこともあり,本体,テープカセットとも順調に売上げを伸ばした。
(b)マックスは,平成3年7月,本件被告製品に類似したラミネート方式テープのラベルライター「LM-200」の販売を開始した。
被告は,同年9月19日,特許庁に対し,マックスの上記製品の販売を理由に,第2発明及び第5発明の出願に係る優先審査を求めた。
その後,マックスは,平成4年10月に,同年7月に出願公告された第2発明及び第5発明につき付与前異議申立てをしたが,最終的にその販売を停止しただけでなく,●(省略)●ことからすると,被告からマックスに対し,特許権侵害警告等がされ,その結果として,マックスがラミネート方式テープのラベルライターの販売を中止し,●(省略)●可能性が高いと認められる。
マックスの販売中止までの売上数量を認めるに足りる証拠はない。
(c)カシオは,平成3年11月 「ネームランドKL-1000」の販売を開始し ,た。これは,本件被告製品とは異なり,テープ表面から印字する非ラミネート方式のラベルライターだったが,カシオが独自の販売ルートを有していたこともあり,順調に売上げを伸ばしていった。
(d)キングジムは,平成4年5月ころ以降,カシオ製品の台頭に危機感を強め,被告との交渉において,テープカセットの値下げ等の対策を強く求めた。さらに,キングジムは,被告に対し,セイコーエプソンが開発・製造した非ラミネート方式ラベルライターを販売する予定であること,その最大の理由は,テープカセットの売上げによる利益が重要であるところ,同社製のテープカセットが非常に安いことにあると説明した。
(e)キングジムは,同年12月,セイコーエプソン製の非ラミネート方式ラベルライター「テプラプロSR-606」の販売を開始した。
また,カシオは,同年10月,上位機種の「ネームランドKL-1200」を投入した。
これらの事情により,平成5年度(平成4年11月21日〜平成5年11月20日)の本件被告製品の本体の売上げは,前年度の約3分の1にまで落ち込んだ。
(f)本件被告製品の売上げは,平成6年度以降は 「テプラTR-22」などキ ,ングジムからの新製品の投入や,タカラ等へのOEM供給により,本体の売上げがやや回復した。その後,自社ブランド「P-touch」を国内にも投入するなどしたが,平成9年度(同年4月1日〜平成10年3月31日)以降はやや低落傾向にある。
国内における本体及びテープカセットの販売額(ルシールを含む。)における自社ブランド「P-touch」の占める割合は,平成12年度以降は相当高くなってきたが,平成11年度以前は,零に近い。
また,テープカセットの売上げは,平成4年度(平成3年11月21日〜平成4年11月20日)以降も横ばいで推移したが,平成9年度以降はやや低落傾向にある。
(g)日本国内における平成15年度の本体台数ベースの市場占有率は,キングジムのテプラプロが約●(省略)●%,カシオ約●(省略)●%,M型を含む被告の製品は約●(省略)●%である。
また,株式会社矢野経済研究所の調査によると,平成13年度において,ラベルライターとPCラベルプリンターからなる電子文具市場の売上げシェアは,キングジム(●(省略)●)●(省略)●%,カシオ●(省略)●%,被告●(省略)●%(OEM先の●(省略)●を含むと,●(省略)●%)である。
(以上,争いのない事実,甲49,61,109,乙21の3・4,35,69,弁論の全趣旨)b米国市場(a)米国では,被告の販売子会社であるブラザーインターナショナルUSA, (BICUSA)は,昭和63年12月から被告製品の販売を開始し,数か月遅れてクロイ社に対するOEM供給による販売も併用したが,当初の販売は全く振るわなかった。
(b)その後,ダイヤル入力に替わるキーボード方式の導入,多種類のテープ幅及びテープ色のカセットの導入,販売先であるOSS(オフィス・スーパー・ストア)の店舗拡大などの要因に加え,広告宣伝等の強化もあって,平成3年以降,BICUSAは,急速に売上げを伸ばした。
平成7年から投入した非ラミネート方式のM型製品も,低価格機種による顧客層の拡大に寄与した。
(c)被告は,米国で販売されている被告製品の取扱説明書,実施している特許権の1つとして,海外特許3の特許番号を記載している。
(d)米国における平成15年度の本体台数ベースの市場占有率は,非ラミネート方式のM型を含む被告の製品は約●(省略)●%,ダイモ社約●(省略)●%,カシオ約●(省略)●%である。
(以上,争いのない事実,甲109,乙68,弁論の全趣旨)c欧州(a)欧州における販売子会社であるブラザーインターナショナルヨーロッパ(BIE)は,プリンタ等の事務機器の販売に強い販売網を確立していたが,平成元年5月ころ,その販売網を通じて,欧州仕様に変更されたラベルライタ「P-touch(PT-8E)」の販売を開始した。
(b)ダイモ社は,ラベルライターの原形となるエンボス方式テープライターの販売を通じ,欧州に強力な販売網を有していたが,被告との間でOEM供給の交渉が成立し,同年9月ころ以降,ダイモ社ブランドによるラミネート方式ラベルライター「DYMO3000」を販売していた。
(c)しかし,ダイモ社は,自社製のラミネート方式ラベルライター「DYMO4000」を発表し,平成3年4月ころに販売を開始した。
被告は,同年10月,ダイモ契約権利1に基づき,ドイツのミュンヘン地方裁判所に「DYMO4000」の販売仮差止めを申し立て,同年12月に仮差止決定を得た。そして,平成4年6月4日,前提事実(6)ウのとおり,ダイモ契約を締結した。
(d)ダイモ社は,上記(c)のダイモ契約締結と相前後する平成4年5月から,非ラミネート方式ラベルライター「DYMO4500」を発売し,また,平成6年末ころからは,低価格機の「DYMO1000」を発売するなどして,売上げを伸ばしてきた。これに対し,被告も,M型の「P-touch110」を投入して対抗した。
(e)欧州における平成15年度の本体台数ベースの市場占有率は,ダイモ社約●(省略)●%,M型を含む被告の製品は約●(省略)●%,カシオ約●(省略)●%である。
(以上,争いのない事実,甲109,乙67,弁論の全趣旨)d全世界での市場占有率上記の日本国内,米国,欧州などを含む全世界における平成15年度の本体台数ベースの市場占有率は,被告は約●(省略)●%(うちM型が約●(省略)●%,その他が約●(省略)●%),ダイモ社約●(省略)●%,カシオ約●(省略)●%,キングジム約●(省略)●%である。
(甲109,弁論の全趣旨)(イ)他社への実施許諾aキングジム契約(a)キングジム契約の内容は,別紙「キングジム契約の契約条項」のとおりである。
(前提事実(6)ア(ア))(b)上記契約条項によれば,●(省略)●したものと解され,第2発明及び第5発明を除外したとは解されない。
(c)これに対し,原告らは,●(省略)●許諾特許から第2発明及び第5発明を除外した旨主張する。
確かに,キングジム契約の契約条項は分かりにくく,原告ら主張のような解釈を招きかねないが,次の事情によれば,上記(b)のとおり解釈すべきであり,原告らの上記主張は理由がないといわなければならない。
一原告らが指摘する部分は,●(省略)●許諾製品に含まれる製品を例示的に確認した規定であって,特定の製品を除外する規定とは解されない。
第1条(2)ただし書において,別に除外する特許権が記載されている。
三後記bのとおり,カシオ契約において,ラミネート式の発明を許諾の範囲から除外しているとは解されないが,このことは,同年に締結されたキングジム契約においても,ラミネート方式の発明が除外されていないことを推認させるものである。
(d)以上によれば,キングジムは,第三者に製造させる場合を含め(第3条1項),平成14年1月1日以降,第2発明及び第5発明を含めて,その実施を許諾されていると認められる。
bカシオ契約(a)カシオ契約の内容は,別紙「カシオ契約の契約条項」のとおりである。
(前提事実(6)イ(ア))(b)上記契約条項(第1条(1)及び(2))によれば,カシオは,●(省略)●ものであって,その中に「ラミネート発明」が含まれることは,明らかである。
原告らの主張は,カシオが過去に販売した製品についての免責条項(第2条)の記載を,根拠なく第1条の解釈に持ち込むもので,上記認定を左右するに足りるものではない。
。 (c)以上によれば,カシオは,●(省略)●を許諾されていると認められるcその他の会社キングジム及びカシオ以外のダイモ社,クロイ社など同業他社は,本件各発明の実施許諾を受けていない(ただし,ダイモ社は,一定期間だけの本体の在庫処分及び販売済みの本体へのテープカセット供給を許されている。)。
(前提事実(6)ウ,争いのない事実)(ウ)ラミネート発明の寄与aラミネート発明の内容(a)第2発明,第5発明及び海外特許1〜3は,いずれも@インクリボン,透明印字テープ及び剥離紙付き両面粘着テープを備え,A印字ヘッドによりインクリボンから透明印字テープに反転印字し,その印字面に剥離紙付き両面粘着テープを貼り付けることにより,B透明印字テープ-印字面-粘着層-テープ基材-粘着層-剥離紙からなるラミネートテープ(以下「被告ラミネートテープ」という。)の作製に関する発明であることは共通している。
(b)第2発明の内容一(一)前記(1)ウのとおり,第2発明は 「第二のテープ」のテープ基材が ,背景色を有するものに限定され,無色透明のものには及びない。
したがって,対象品群bのうち,第2発明が実施されているのは,対象品群bのうち,テープカセットが無色透明の「クリアタイプ」以外のものであり 「クリア,タイプ」については権利が及ばない。
(二)弁論の全趣旨によれば,本件被告製品のラミネートテープにおいて,「クリアタイプ」の割合は,平成15年度の実績で,●(省略)●%と認められる。
二前記(3)イのとおり,対象品群bのラベルライター本体を製造販売する行為は,第2発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たり 「クリアタ,イプ」を除く対象品群bのテープカセットを製造販売する行為は,第2発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たる。
(c)第5発明の内容一前記(1)エのとおり,対象品群bでは,大部分で第5発明が実施されているが,PT-18N(別紙被告製品一覧表1(ラベルライター本体)の96の一部)並びに本件パソコン接続専用モデル等のパソコン接続専用モデルについては,第5発明が実施されていない。
二前記(2)エのとおり,第5発明は,実体としては進歩性を欠く無効な権利である。
三前記(3)エのとおり,上記一で非充足とされたもの以外のラベルライター本体を製造販売する行為は,第5発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たり,対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型を除くものを製造販売する行為は,第5発明との関係で,特許法101条1号間接侵害に当たり,対象品群bのテープカセットのうちTX型及びTZ型のものを製造販売する行為は,第5発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(d)海外特許1の内容, 一前記(1)カのとおり,対象品群nのうちPT-2420PC(同87)においては海外特許1が実施されていないが,その余の対象品群nにおいては,海外特許1が実施されている。
対象品群oについては,海外特許1が実施されていない。
二前記(2)オのとおり,海外特許1の請求項1〜3及び5〜7は,実体としては新規性を欠く無効な権利である。
(e)海外特許2の内容上記(1)キのとおり,対象品群jにおいては,本件パソコン接続専用モデルを含め,海外特許2が実施されている。
(f)海外特許3の内容上記(1)クのとおり,本件パソコン接続専用モデルについては,海外特許3が実施されていないが,その余の対象品群jについては,海外特許3が実施されている。
b本体とテープカセットの関係(a)前提事実(4)イに加え,証拠(乙110〜122)及び弁論の全趣旨によれば,本件被告製品や同業他社のラベルライターは,いずれも専用のテープカセットを組み合わせて使用する製品として販売されていること,需要者は,特定のラベルライター本体あるいはテープカセットを使いたいと思った場合,それに対応するテープカセットあるいはラベルライター本体を購入するという関係にあること,本体あるいはテープカセットについて間接侵害が成立しない場合であっても,本件各発明,特にラミネート発明や第1発明を有しない競合他社が,間接侵害にも当たらないように間隙を縫ってラベルライター本体だけあるいはテープカセットだけの製造販売に参入することは,採算性及び事業の将来性等の観点から,事実上困難であることが認められる。
(b)そうすると,自己実施による超過売上高を算定するに当たっては,ラベルライター本体あるいはテープカセットには間接侵害が成立しない場合であっても,法定の通常実施権に加えて本件各発明の特許を受ける権利等を承継したことと相当因果関係を有するテープカセットあるいは本体の売上げの増加を考慮すべきである。
(c)また,超過売上高を第三者から得られる実施料収入の観点から評価する場合においても,本件におけるように,ラベルライター本体自体ではさほど利益が上がらず,その後のテープの販売により利益を上げるビジネスモデル(弁論の全趣旨)においては,実施料率の交渉は,このようなラベルライター本体の販売後のテープカセットの販売により得られる利益をも考慮して行われるものであるから,相当実施料率の決定に当たっては,同様に,ラベルライター本体あるいはテープカセットには間接侵害が成立しない場合であっても,法定の通常実施権に加えて本件各発明の特許を受ける権利等を承継したことと相当因果関係を有するテープカセットあるいは本体の売上げの増加を考慮すべきである。
c被告ラミネートテープの長所と短所前提事実に併せ,各項に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告ラミネートテープの長所と短所に関し,以下の事実が認められる。
(a)被告ラミネートテープは,印字面が印字された透明テープ自体によって保護されるため,テープ表面に印字する非ラミネート方式と比較すると,外部からの摩擦,手指の汗・皮脂,水や薬品にさらされても文字が消えないという優れた耐久性を有する。
(甲105,106)。
(b)上記の耐久性は,正像印字したテープ表面に粘着剤付き透明テープを被せる方式のラミネートテープによっても実現可能であり,クロイ社が平成元年7月に発売した「DuraType240」や,キングジムが平成11年7月に発売した「テプラJETJCR770」などで採用されている。前者のラベルには,透明フィルムと文字の間に粘着剤や気泡が介在し見栄えが悪いとの問題があったが,後者のラベルでは,被告ラミネートテープと比べ,見栄えの差異がほとんどない程度に改良されてきている。
(乙92〜95,弁論の全趣旨)(c)キングジムのテプラプロやカシオ製品の非ラミネート方式のテープは,被告ラミネートテープと比較すると,薬品等に対する耐久性は弱いが,摩擦に対しては,研究開発の進展とともに,家庭や職場における通常の用途には十分な品質を有するようになった。
(甲106,乙114〜119)(d)他方,被告ラミネートテープの方式は,剥離紙付き両面粘着テープを透明印字テープに貼り合わせることから,@製造原価が高くなる,Aテープカセットが複雑化,大型化し,ひいては本体も大型化する,B消費電力が多く,電池の消耗が早い,C透明テープの浮き,縦しわが生じやすく,幅方向においてずれが生じた場合,粘着層がテープの端から露出し,ほこりが付着しやすい,D曲面に貼り付けると剥がれやすい,E印字位置から貼り合せ位置までのテープがデッドスペースとなり,テープを余分に消費する点で不利である。
(弁論の全趣旨)(e)日本国内において,本件被告製品のラミネートテープは,他社の非ラミネートテープと比較して,定価で20%程度,店頭価格で18〜26%高く販売されている。
(甲113の1〜11)(f)キングジムは,前記(ア)a(d)のとおり,低価格であることを重要な理由として,セイコーエプソン製のテプラプロを選択しており,カタログにおいても低価格であることを積極的に記載している。
(乙118の7頁,119の10頁)d被告ラミネートテープの優位性に関するその他の積極事情(a)被告は,ラミネート発明やラミネートテープの優位性を,@アニュアルレポート,A国内のP-Touchカタログ,B海外の総合カタログ,C海外のプレスリリース,D海外の実施製品に印刷されたロゴ,E米国での取扱い説明書,F海外でのテレビコマーシャル,Gウェブページ等において表示し,積極的にアピールしている。
(争いのない事実,甲9,115,118の1〜3,120の1〜9.121〜123,146の1〜3), (b)セイコーエプソンは,非ラミネート方式ラベルライターを開発する一方平成4年10月,第2発明と第5発明に特許異議の申立てをしており,ラミネート方式ラベルライターを開発する意図があったことが窺える。
(前提事実(3)イ(イ)及びエ(イ))(c)原告ら発明者6名は,第5発明に関し,平成6年,社団法人発明協会愛知県支部から,当該年度における県内の最も優れた7件の発明に授与される「愛知発明賞」を 「テープ印字装置」に対し,名古屋市長から,平成6年度中部地方発 ,明表彰における優秀賞を受賞した。
また,被告は,原告X1に対し,上記の表彰を受けて,発明特別賞を授与した。
(争いのない事実)e被告ラミネートテープの優位性に関するその他の消極事情(a)被告は,平成7年以降,非ラミネート方式のM型を販売している。被告ラベルライター本体の販売数量に占めるM型ラベルライター本体の販売数量は,平成12年度●(省略)●%,平成13年度●(省略)●%,平成14年度●(省略)●%と推移し,平成7年度から平成15年度までの総計では●(省略)●%に達している。
ただし,売上高でみると,別紙「M型の売上高の推移」のとおり,上記発売以降は被告の製品全体に占める割合は増加傾向にあるが,平成13年度以降,本体・テープカセットを併せて概ね●(省略)●%を占めている。
(争いのない事実,弁論の全趣旨)(b)キングジムは,前記(イ)aのとおり,●(省略)●を許諾されているが,同日以降,被告からのOEM供給品を除き,第2発明及び第5発明を実施した製品を販売していない。
(c)カシオは,前記(イ)bのとおり,●(省略)●を許諾されているが,同日以降,国内でも海外でも,ラミネート発明を実施した製品を製造販売していない。
(d)被告を含め,ラベルライターの製造販売業者は,ラベルライターのカタログにおいて,テープの幅,色,種類,印字できる文字・記号,編集機能等の多様さを強く打ち出しており,被告のカタログにおいても,ラミネートラベルの耐久性は,その中の1つの利点にとどまっている。
(乙110〜122)(エ)第1発明の寄与a第1発明の内容(a)前記(3)アのとおり,対象品群aのラベルライター本体を製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たり,対象品群aのテープカセットを製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
(b)後記3(1)及び(2)のとおり,キングジムとカシオがキングジム契約等の前から第1発明を実施していたことからすると,第1発明を回避した製品を製造することは,相当困難である。
b第1発明の寄与に関するその他の事情(a)本件被告製品のテープカセットにおいて,第1発明の実施品である対象品群aの売上高は,国内売上高の●(省略)●%,海外売上高の●(省略)●%である。
(争いのない事実)(b)被告は,●(省略)●などの権利を有しており,それらの発明は,対象品群aのテープカセットの製造に利用されている。
, (乙31の1の1・2,31の2の1・2,31の3の1・2,55別紙1,63弁論の全趣旨)(c)キングジムは,後記3(1)ア及びウのとおり,キングジム契約締結以前から第1発明の実施品を販売していたが,その販売額は,テープカセット全体の0.6%程度であり,しかも,平成15年5月に転写テープの製造を中止している。
(d)後記3(1)のとおり,キングジム契約に基づく過去分の損害賠償及び契約後の実施料収入については,第1発明の寄与が認められる。
(e)カシオは,後記3(2)イのとおり,カシオ契約締結以前から,第1発明の実施品を販売していたが,その販売額は,テープカセット全体の●(省略)●%程度である。
(f)後記3(2)のとおり,カシオ契約に基づく過去分の損害賠償及び契約後の実施料収入については,第1発明の寄与が認められる。
(オ)第3発明の寄与a第3発明の内容(a)前記(2)ウのとおり,第3発明は,実体としては進歩性を欠く無効な権利である。
(b)前記(3)ウのとおり,対象品群gのラベルライター本体を製造販売する行為は,第3発明との関係で,直接侵害か,特許法101条1号間接侵害に当たり,対象品群gのテープカセットを製造販売する行為は,第3発明との関係で,間接侵害にも当たらない。
b第3発明の寄与に関するその他の事情(a)本件被告製品のラベルライター本体において,第3発明の実施品である対象品群gの売上高が占める割合は,●(省略)●%である。
(争いのない事実)(b)後記3(1)ア及びエのとおり,キングジムは,キングジム契約締結以前から,第3発明の実施品を販売していたが,機種別に見ると,テプラプロ28機種のうちの9機種であり,第3発明の編集機能を有しない機種も多い。
(c)後記3(1)のとおり,キングジム契約に基づく過去分の損害賠償及び契約後の実施料収入については,第3発明の寄与が認められる。
(d)カシオは,前記(イ)bのとおり,カシオ契約により,●(省略)●許諾されているが,カシオ契約締結前から現在に至るまで第3発明を実施していない。
(e)本件被告製品には,キングジムのテプラプロ,カシオ製品と同様に,多くの編集機能が搭載されており,第3発明はその編集機能の1つにすぎない。
(甲29〜34,乙39,110〜122)(カ)第3考案の寄与前記2(1)オのとおり,被告は第3考案を実施していないから,第3考案による超過売上高を認める余地はない。
イその他の権利の寄与(ア)証拠(乙132)及び弁論の全趣旨によれば,本件被告製品の一部において,次のとおり,被告が保有する本件各発明以外の特許権・実用新案権が実施されていたことが認められる。
a本件被告製品の販売開始時点である昭和63年11月時点で少なくとも●(省略)●件,bカシオが参入した平成3年11月時点で少なくとも●(省略)●件,c平成4年5月時点で少なくとも●(省略)●件(イ)上記(ア)の各発明又は考案は,その内容を個々に検討すれば,必ずしも必要性が高いとは認め難い権利であり,個々の権利がどの程度他社のラベルライターの製造販売を抑え,本件被告製品の売上高の増加に貢献したのかは,明らかとはいえない。
しかし,後記3(1)及び(2)で認定するとおり,その実施が一部の製品にとどまるとしても,被告が多くの権利を保有し,特許ポートフォリオを構築したこと自体が,同業他社に製品開発のリスクを生じさせ,新規参入や新製品開発を遅らせるなどの効果があることは否定できないところであるから,上記の各発明又は考案は,上記の限度で,本件被告製品の売上高の増加に寄与したものと認められる。
ウ第三者への実施許諾がある場合の自己実施による超過売上高(ア)被告は,前記ア(イ)のとおり,キングジムとカシオに本件各発明の実施を許諾し,実施料収入を得ているので,これと自己実施による超過売上高との関係について検討する。
(イ)特許権者が,当該特許発明実施しつつ,他社に実施許諾もしている場合については,当該特許発明実施について,実施許諾を得ていない他社に対する特許権による禁止権を行使したことによる超過売上げが生じているとみるべきかどうかについては,@特許権者が当該特許について有償実施許諾を求める者にはすべて合理的な実施料率でこれを許諾する方針(開放的ライセンスポリシー)を採用しているか,あるいは,特定の企業にのみ実施許諾をする方針(限定的ライセンスポリシー)を採用しているか,A当該特許の実施許諾を得ていない競業会社が一定割合で存在する場合でも,当該競業会社が当該特許に代替する技術を使用して同種の製品を製造販売しているか,代替技術と当該特許発明との間に作用効果等の面で技術的に顕著な差異がないか,また,B包括ライセンス契約あるいは包括クロスライセンス契約等を締結している相手方が当該特許発明実施しているか,あるいはこれを実施せず代替技術を実施しているか,さらに,C特許権者自身が当該特許発明実施しているのみならず,同時に又は別な時期に,他の代替技術も実施しているか等の事情を総合的に考慮して,特許権者が当該特許権の禁止権による超過売上げを得ているかどうかを判断すべきである。
(ウ)被告は,キングジム契約及びカシオ契約において,キングジムらの販売開始以降の過去分の損害賠償を受け取ったとして,販売開始以降の期間はすべて実施許諾があったのと同じである旨主張する。
キングジムらとキングジム契約らを締結したからといって,被告が同契約締結以前の時期について有償実施許諾を求める者に合理的な実施料率でこれを許諾するという開放的ライセンスポリシーの方針を採用していなかったことに変わりはない。
しかし,相当対価の算定の観点からは,キングジムらが無許諾で競合製品の製造販売を開始したことにより,被告は,限定的ライセンスポリシーを採用した場合に近い経済的地位に立ったものと見ることができるから,被告の上記主張は,この限度で理由がある。
(エ)被告のライセンスポリシーについて(上記(イ)@)a被告は,後記3(1)ア(ア)のとおり,平成5年及び6年にされたキングジムからのラベルライターに関する包括的な実施許諾の申入れを拒絶している。
, b被告は,前記ア(ウ)cのとおり,クロイ社など海外の同業他社との間でも実施許諾契約を結んでいない。
cこのように,被告は,キングジム契約の締結時までは,他に実施許諾をしない方針を採用していたものと認められる。
(オ)実施許諾を得ていない同業他社の代替技術(上記(イ)A)aラミネート発明前記ア(ア)のとおり,実施許諾契約前のキングジム及びカシオは,代替技術であ, る非ラミネート方式のラベルライターを製造販売している。前記ア(ウ)cのとおりキングジムらのテープは,被告ラミネートテープと比較すると,薬品等に対する耐久性は弱いが,摩擦に対しては,研究開発の進展とともに,家庭や職場における通常の用途には十分な品質を有するようになり,また,見栄え上の差異も縮まってきている。
b第1発明前記ア(エ)のとおり,第1発明を回避した製品を製造することは,相当困難である。
c第3発明前記ア(オ)のとおり,キングジムは,キングジム契約締結以前から第3発明の実施品を販売していたものであり,第3発明自体を回避した製品を製造することは,相当困難である。
(カ)●(省略)●契約を締結している相手方の実施(上記(イ)B)aラミネート発明前記ア(ア)のとおり,キングジム,カシオとも,ラミネート発明を実施せず,代替技術である非ラミネート技術を採用してきたが,キングジムは,被告から,ラミネート方式の製品をOEM供給を受けていた。
b第1発明前記ア(エ)のとおり,キングジムは,平成15年5月に製造を中止するまで第1発明を実施しており,カシオは,現在まで実施している。
c第3発明上記ア(オ)のとおり,キングジムは,第3発明を実施しているが,カシオは実施していない。
(キ)被告による代替技術の実施aラミネート発明前記ア(ア)のとおり,被告は,非ラミネート方式のM型ラベルライターも製造販売している。
b第3発明上記ア(オ)のとおり,被告は,第3発明を実施していない本件被告製品も販売している。
エ満了前の権利放棄について(ア)被告が平成17年から平成18年にかけて,第1発明,第2発明,第3発明及び第5発明につき年金を支払わないことを決定したことは,当事者間に争いがない。
(イ)被告が平成4年11月〜平成5年1月にかけて,被告の権利放棄決定時の返還希望調査を行い,被告が年金支払を停止して権利を放棄する場合,希望する発明者には移転登録手続を行うこととしたが,原告らは返還を希望しなかったことは,当事者間に争いがない。
被告は,平成5年ころに権利返還を求めるか否かを確認したことをもって,合理的手続を経た旨主張する。
しかしながら,原告らは,本件訴訟において,主位的に特許を受ける権利の移転が無効であると主張し,予備的に多額の相当対価の支払を請求しているから,本件訴訟提起以降は,権利返還の申し出があればこれを受ける意思を有していたものと認められる。
よって,被告の上記主張は,到底採用することができない。
(ウ)そして,第2発明については,無効理由もなく,権利放棄されなければ現在でも超過売上高に寄与していたものと認められるから,相当対価の算定は,権利の放棄がなかったものとして行うべきである。
(エ)しかしながら,第1発明については,無効理由はないが,その販売額が少なく,かつ減少傾向が続いていることからすると,その放棄には合理的理由があると認められる。
(オ)第3発明及び第5発明は,無効理由を有するから,その放棄には合理的理由があると認められる。
オ超過売上高の結論以上を総合すれば,被告の自己実施につき,本件各発明による超過売上高は,以下のとおりと認めらるべきである。
(ア)ラミネート発明a結論(a)国内分一平成11年支払分まで対象品群bの本体分の30%対象品群bのテープカセット分の25%二平成12年支払分から平成14年分支払分まで対象品群bの本体分の25%対象品群bのテープカセット分の20%三平成15年支払分以降対象品群bの本体分の10%対象品群bのテープカセット分の8%(b)海外分一平成11年支払分まで対象品群bの本体分の20%対象品群bのテープカセット分の16%二平成12年支払分から平成14年分支払分まで対象品群bの本体分の15%対象品群bのテープカセット分の12%三平成15年支払分以降対象品群bの本体分の8%対象品群bのテープカセット分の6%b説明(a)時期を3つに分けるについては,主として,他社による非ラミネート方式に属する技術の改良及びラミネート方式に属する技術の改良により,ラミネート発明の価値が時間の経過とともに減少したこと,及びキングジム契約等が締結されたことを考慮した。
(b)海外分については,国内分との比較において,被告の販売力が高いことを考慮し,海外分についての%を低くした。
(c)上記%の認定に当たっては,@第2発明は,クリアタイプに権利が及ばず,クリアタイプの割合は,平成15年度の実績で●(省略)●%であること(前記(1)ウ,(5)ア(ウ)a(b)),A売上額中にパソコン接続専用モデルなど一部ラミネート発明の構成要件を充足しないものがあること,Bラミネート発明の特許登録がされていない国で製造された後,ラミネート発明の特許登録がされていない国で販売されているものがあること(別紙本件被告製品一覧表1及び2,弁論の全趣旨)も考慮した。
c被告の主張に対する判断被告は,超過売上高の割合はもっと低い旨主張する。
しかしながら,前記認定の諸事実によれば,ラミネート発明は優れた耐久性を有しているから,被告が開放的ライセンスポリシーを採用すれば,実施許諾を求める企業が相当数あったと推認でき,この点は,特に国内分におけるOEM生産の割合が極めて高かったことから裏付けられるところ,被告は,国内においては,ラミネート発明を含めた実施許諾の申入れを拒絶し,平成14年までラミネート発明への他社の参入を許さず,海外においても,ダイモ社に対し速やかに権利行使を行い,在庫の販売等のみを許したものである。そして,上記超過売上高の認定は,時間の経過とともに非ラミネート方式の研究開発が進展してきたことやキングジム契約等が締結されたことを超過売上高の割合の減少に反映させたものである。よって,被告の上記主張は採用することができない。
(イ)第1発明a結論平成8年支払分まで対象品群aの本体の0.8%対象品群aのテープカセットの4%平成9年支払分から平成14年支払分まで対象品群aの本体の1%対象品群aのテープカセットの5%平成15年支払分から平成18年支払分まで対象品群aの本体の0.5%対象品群aのテープカセットの2.5%b説明(a)キングジム及びカシオがキングジム契約等以前から第1発明を実施し,キングジム契約等で過去分の損害賠償を支払っていることにより,実際上被告が第1発明につき限定的ライセンスポリシーを採用したと同様な状況にあったこと,平成14年にキングジム契約等が締結されたこと,及び第1発明の出願公告日が平成7年12月13日であることを考慮した。
(b)ラベルライター本体については,対象品群aのラベルライター本体はすべて対象品群bの本体に含まれ,対象品群aのテープカセットの売上高は,対象品群bのテープカセットのそれに比し極めて低いことを考慮し,ラベルライター本体の超過売上高の大部分はラミネート発明に起因すると認めるのが相当であることを考慮した。
(ウ)第3発明a結論平成5年支払分対象品群gの本体の1.6%平成6年支払分から平成17年支払分まで対象品群gの本体の2%b説明(a)キングジムがキングジム契約以前から第3発明を実施し,●(省略)●実際上被告が第3発明につき限定的ライセンスポリシーを採用したと同様な状況にあったこと,第3発明には,無効理由があること及び第3発明の出願公告日が平成5年7月7日であることを考慮した。
(b)超過売上高について,本件各発明の寄与度を考慮すると,第3発明は編集機能の1つにすぎず,本体の超過売上高の大部分はラミネート発明に起因すると認めるのが相当であることを考慮した。
(c)前記(5)エ(オ)のとおり, 第3発明の満了前の権利放棄には,合理的な理由がある。
(5)利益率等(争点2-5)職務発明における使用者の独占的利益を算定する方法として,@利益率算定方式と,A仮想実施料率算定方式が考えられるが,原告らは,算定方式1として,超過利益=超過売上高×利益率-資本コスト(将来の設備投資や資金調達のリスク等の。 諸要素)を主張し,被告の利益率は●(省略)●%を下回ることはない旨主張するしかしながら,原告ら主張の試算を行うにしても,証拠が不足しており,粗利益率及びその他の差し引かれるべき費用の額の認定や,被告が主張するテープカセット内製化の努力などの設備投資や技術開発等の貢献度の認定は困難であるから,原告ら主張の利益率算定方式によれば,次の仮想実施料率による算定方式の場合よりも高い試算額となり得ることを仮想実施料率による算定方式による額の修正要素として取り上げるに止めることとする。
(6)仮想実施料率(争点2-6)ア基礎となる売上高について(ア)被告がラベルライターに関する特許権を実施許諾していたキングジム契約,カシオ契約及びダイモ契約において,販売価格を基礎として実施料が計算されるが,実施企業がグループ企業である製造会社と販売会社に分かれている場合,販売会社の販売価格を基礎とすると規定されているところ(前提事実(6)ア(エ),イ(ア)及びウ(ウ),争いのない事実),弁論の全趣旨によれば,特許権の実施許諾契約においては,販売価格を基礎として実施料が計算されるが,実施企業がグループ企業である製造会社と販売会社に分かれている場合,製造会社から販売会社への販売価格はグループ企業内部でいくらでも調整できるため,販売会社の第三者への販売価格を基礎とするのが通常であることが認められる。
したがって,算定方法2における超過売上高は,製造会社である被告の売上高ではなく,グループ企業内の販売子会社の売上高を基礎とすべきである。
(イ)海外分については,100%子会社であるブラザーインターナショナル等が販売を担当していることは,当事者間に争いがない。
被告の販売子会社に対する海外分について販売価格は,販売子会社の対外販売価格に対して,ラベルライター本体については●(省略)●%,テープカセットについては●(省略)●%となるように設定されていることは,当事者間に争いがない。
したがって,前提事実(4)ウの本件被告製品の海外分売上高に対し,本体については●(省略)●を乗じた金額が海外分の販売子会社の売上高であり,仮想実施料収入の算定に当たっては,これを基礎とすべきである。
(ウ)弁論の全趣旨によれば,ブラザー販売は,平成11年4月以降は被告の100%子会社であることが認められるが,平成11年3月以前に被告の連結対象子会社等であったことを認めるに足りる証拠はない。
したがって,仮想実施料率に基づく算定方式2による場合,前提事実(4)ウの本件被告製品の国内分売上高に対し,平成11年4月以降についてのみ,同社から第三者への売上高を超過売上高を算定する基礎となる売上高と認めるべきである。
しかしながら,被告のブラザー販売に対する販売価格が,ブラザー販売の対外販売価格の何割くらいに設定されているかを認めるに足りる的確な証拠はないが,弁論の全趣旨によれば,少なくとも上記売上高を●(省略)●倍した金額がブラザー販売の売上高であると認められ,仮想実施料収入の算定に当たっては,これを基礎とすべきである。
イ相当対価算定の基礎となる売上高(ア)ラミネート発明a本体国内については,ルシール分を除くため,弁論の全趣旨により,国内売上高に占めるルシールの割合を●(省略)●%と認め,ルシールの販売が開始された平成7年12月支払期以降,本体国内の売上高に●(省略)●%を乗じた。
bテープ国内のうち,ラミネートテープの割合は,●(省略)●%である(争いのない事実。第2,3(5)ア(原告らの主張)(イ)d(a))。
cテープ海外のうち,ラミネートテープの割合は,●(省略)●%である(争いのない事実。第2,3(5)ア(原告らの主張)(イ)d(a))。
d販売子会社段階での売上高とするため,次のとおり計算した(上記ア)。
(a)国内本体平成12年支払分以降につき,●(省略)●を乗じた。
(b)国内テープ平成12年支払分以降につき,●(省略)●を乗じた。
(c)海外本体全期間につき,●(省略)●を乗じた。
(d)海外テープ全期間につき,●(省略)●を乗じた。
(イ)第1発明。 a本体のうち,第1発明の割合は,●(省略)●%である(争いのない事実第2,3(5)ア(原告らの主張)(イ)c(b)及び(c))。
bテープ国内のうち,第1発明の割合は,●(省略)●%である(争いのない事実。第2,3(5)ア(原告らの主張)(イ)d(b))。
。 テープ海外のうち,第1発明の割合は,●(省略)●%である(争いのない事実第2,3(5)ア(原告らの主張)(イ)d(b))。
c販売子会社段階での売上高とするため,次のとおり計算した(上記ア)。
(a)国内本体平成12年支払分以降につき,●(省略)●を乗じた。
(b)国内テープ平成12年支払分以降につき,●(省略)●を乗じた。
(c)海外本体全期間につき,●(省略)●を乗じた。
(d)海外テープ全期間につき,●(省略)●を乗じた。
(ウ)第3発明a第3発明が実施されているC類型の割合は,●(省略)●%である(争いのない事実。第2,3(5)ア(原告らの主張)(イ)c(c))。
b販売子会社段階での売上高とするため,次のとおり計算した(上記ア)。
(a)国内本体平成12年支払分以降につき,●(省略)●を乗じた。
(b)海外本体全期間につき,●(省略)●を乗じた。
ウ仮想実施料率前記(4)(超過売上高の算定(争点2-4))で認定した事情及び後記3のキングジム契約,カシオ契約及びダイモ契約の経緯などを総合すると,本件において,本件各発明の時期ごとの仮想実施料率を次のとおりと認めるのが相当である。
(ア)ラミネート発明a結論(a)平成11年支払分まで対象品群bの本体分は5%対象品群bのテープカセット分は4%(b)平成12年支払分から平成14年分支払分まで対象品群bの本体分は3%対象品群bのテープカセット分は2%(c)平成15年支払分以降対象品群bの本体分は1.5%対象品群bのテープカセット分は1%b説明時期を3つに分けるについては,主として,他社による非ラミネート方式に属する技術の改良及びラミネート方式に属する技術の改良により,ラミネート発明の価値が時間の経過とともに減少したことを考慮した。
(イ)第1発明a結論平成8年支払分までは0.8%平成9年支払分以降は1%b説明第1発明の出願公告日は平成7年12月13日であることを考慮した。
(ウ)第3発明a結論平成5年支払分は0.4%平成6年支払分以降は0.5%b説明第3発明の出願公告日は平成5年7月7日であることを考慮した。
3第三者からの実施料収入(争点3)(1)キングジムからの実施料収入アキングジムとの交渉経緯前提事実に,各項に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告とキングジムの交渉経緯は,以下のとおりであったことが認められる。
(ア)キングジムは,平成4年12月にセイコーエプソン製の「テプラプロ」を発売したが,平成5年12月,被告に対し,ラベルライターに関する被告の特許権等の包括的な実施許諾を申し入れ,平成6年6月10日付け書面において,改めて同様の申入れをした(乙75,同添付資料1)。
(イ)被告は,同月15日付け書面をもって,キングジムの上記申入れを拒絶した(乙75,同添付資料2)。
(ウ)被告は,キングジムに対し,平成11年9月,被告保有特許の無断使用を指摘して,知的財産部同士の交渉を開始したが,進展はなかった(乙75)。
(エ)被告は,キングジムに対し,平成12年4月4日,代理人弁護士名にて,「テプラプロ」シリーズのラベルライター5機種(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター)」114,116,118,123及び124)など及びそのテープカセットが,第3発明,第1発明,キングジム警告権利7及びキングジム警告権利8などラベルライターに関する特許権9件を侵害しているとの通知書(甲25)を送付した。
(オ)キングジムの代理人となったZ弁理士は,同年6月30日付けの回答書(甲135)において,以下のとおり回答した。
a第3発明については,実施していない。
b第1発明については,被告が警告書で指摘した機種はレタリングテープを構成に含んでいないが,レタリングテープを別途販売していることは認める。
しかし,第1発明は,審査過程で問題となった乙7の1刊行物と乙7の2刊行物に併せ,乙18刊行物にカッターや樹脂フィルムのテープが開示されているから,進歩性を有しない。
cキングジム警告権利7及び8は,出願前の段階で,キングジムが実施の準備をしており,また被告に対し提示した発明であるから,キングジムが先使用権又は特許を受ける権利を有する。
(カ)被告は,キングジムに対し,同年7月28日付けの意見書(甲45)にて,以下のとおり回答した。
a第3発明に関するキングジムの主張は,却下された手続補正に係る請求項を前提とするもので,登録された請求項を侵害していることは明らかである。
b第1発明についての無効主張には,理由がない。
cキングジム警告権利7について(a)キングジムが先使用等の根拠とした「添付資料3」には 「本体組込み,の別カッターメカに依って行っても構わない」とあるのみで,具体的な構成等が記載されていない。
(b)テープ印字装置に組み込まれた2つの別個のカッターにより,テープを切断するという基本的技術は,ブラザー独自で開発した技術であり(テープ切断器考案),キングジム警告権利7は,この技術から更に「第1の切断機構と第2の切断機構とを独立した機構として設けること」を新たに開発したもので,キングジムが特許を受ける権利を有していないことは明らかである。
dキングジム警告権利8についてキングジム警告権利8の重要な構成要件である案内溝については,資料3のどこにも記載はなく,キングジムとの共同開発に係るものではないことは明らかである。
(キ)平成12年9月1日,被告とキングジム双方の代理人及び担当者による交渉が行われ,その席上,キングジム側は,現時点では第3発明,特許第2546196号及び特許第2556224号の侵害を認める旨発言した(甲26,乙75)。
(ク)被告は,平成13年5月,東京地方裁判所に対し,上記(キ)の3件の特許権に基づく請求権を被保全権利として 「テプラプロ」シリーズのラベルライター ,6機種(別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター)」121〜126)の販売差止めの仮処分を申し立てた(甲26)。
(ケ)被告は,上記仮処分手続において,同年6月13日付けの第2準備書面をもって,キングジムのテプラプロ用テープカセット「PROシリーズ」の販売が上記3件の特許の間接侵害に当たるとして,その販売差止めの申立てを追加した(甲27)。
(コ)キングジムは,同年8月28日,第3発明について無効審判請求をしたが,キングジム契約の成立を受け,平成14年2月8日,同請求を取り下げた。なお,キングジムの無効主張は,乙16刊行物(マーリンエクスプレスの取扱説明書)に基づくものではなかった。
(甲135,弁論の全趣旨)イキングジム契約の内容(ア)前提事実(6)ア及び前記2(4)ア(イ)aのとおり,キングジム契約は,●(省略)●を許諾するものである。
また,●(省略)●しかし,テープカセット分の実施料収入につき,第3発明が貢献したものと認めることはできない。
(イ)被告は,上記時点において,ラベルライターに関し,国内の特許・実用新案につき出願●(省略)●件,権利化されたものは,スタンプ関係を含めると●(省略)●件以上を有するなど,多数の出願,権利取得をしていた。
(乙56,弁論の全趣旨)ウ第1発明(ア)キングジムの実施aキングジムが販売する対象品群kの構成が,前記第2,3(8)ア(原告らの主張)(ア)a(c)一のとおりであること,構成キ1a〜キ1d,キ1f〜キ1hが,それぞれ第1発明の構成要件1A〜1D,1F〜1Hを充足することは,当事者間に争いがない。
b構成要件1Eに関する被告の主張に理由がないことは,前記2(1)イ(イ)のとおりであるから,構成キ1eは,構成要件1Eを充足する。
cしたがって,対象品群kの構成は,第1発明の構成要件をすべて充足するから,キングジムは第1発明を実施している。
(イ)第1発明の寄与に関する事情前提事実,各項に記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
aキングジムは,別紙「他社製品一覧表2(テープカセット)」左欄のとおり,多くの種類のテープカセットを製造販売しているが,その中で対象品群kに属する転写テープは,SL9KLなど5種類(474〜478)のみである。
bキングジムの●(省略)●全テープカセットの販売額のうち,転写テープのほかアイロン転写テープ,伸縮ラベル等10種類以上の各種テープを含む「その他シリーズ」の販売額は全体の●(省略)●%である(弁論の全趣旨)。
cテプラプロの転写テープは,平成15年5月に製造中止となった(乙85)。
d以上によれば,キングジムにおいて,上記転写テープの販売額は,平成15年5月ころまでは 「その他シリーズ」の多くとも●(省略)●,テープカセッ ,ト全体の●(省略)●%程度であり,同年6月以降は,●(省略)●と推認される。
e証拠(乙37,117〜119)及び弁論の全趣旨によれば,キングジムが販売するテプラプロの本体は,多くの種類のテープカセットを汎用的に使用できることが認められるところ,前記2(3)アのとおり,対象品群kのラベルライター又はテープカセットを製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
fキングジムが,インスタントレタリングについて,Dらが発明した●(省略)●などの権利を実施していることを認めるに足りる証拠はない。
エ第3発明(ア)キングジムの実施キングジムが販売する対象品群eが第3発明の構成要件をすべて充足しており,キングジムが第3発明を実施していることは,当事者間に争いがない。
(イ)第3発明の寄与に関する事情前提事実,各項に記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
aキングジムのテプラプロには,多くの編集機能が搭載されており,第3発明は,その中の1種類の編集機能に関する発明である。また,別紙「他社製品一覧表1(ラベルライター本体)」左欄のとおり,対象品群eは,機種別に見ると,テプラプロ28機種のうちの9機種であり,第3発明の編集機能を有しない機種も多い。
(甲54の232〜233頁,乙117の6〜7頁,乙118の4〜5頁,弁論の全趣旨)bカシオは,カシオ契約により,第3発明を含む特許権・実用新案権を●(省略)●に許諾されたが,カシオ契約締結前から現在に至るまで,第3発明を実施していない。
(争いのない事実)c前記ウ(イ)eのとおり,テプラプロ本体は,多くの種類のテープカセットを汎用的に使用できるから,対象品群eのテープカセットは,対象品群e以外のラベルライター本体にも装着することが可能であると認められ,また,単にテープ送り機構の一部を構成するのみであると認められる。
第3発明は,前記2(3)ウのとおり,このようなテープカセットについて,直接侵害間接侵害を成立させる権利ではない。
d前記2(2)ウのとおり,第3発明は,実体としては進歩性を欠如する権利である。
オ第4考案並びにキングジム警告権利7及び8について(ア)キングジムの実施aキングジムがSR-910(131)等において,キングジム警告権利7及び8を実施していることは,当事者間に争いがない。
bなお,キングジムの製品が構成要件4D(前記ストッパまたは前記カッタホルダのいずれか一方をテープの長手方向に位置調節可能としたこと)を充足する構成を有することの立証はないから,キングジムが第4考案を実施していることの立証はない。
(イ)キングジム警告権利7及び8と原告X2の関与a甲171には,原告X2は,キングジム警告権利7及び8の発明過程に関与した旨の記載があるが,同原告がキングジム警告権利7及び8の存在を知った後,直ちに同原告が発明者の1人であることを主張した等の事情はうかがわれないから,上記証拠のみから同原告が発明者の1人であると認めることはできず,他にこの点を認めるに足りる証拠はない。
b第4考案及びテープ切断器考案の内容により,原告X2がキングジム警告権利7及び8の共同発明者になるかについて検討する。
構成要件を比較しても,キングジム警告権利7又は8が第4考案又はテープ切断器考案の利用発明であると認めることはできない。
さらに,キングジム警告権利7又は8が,第4考案又はテープ切断器考案の技術思想に基づき,それを更に発展させたものであり,キングジム警告権利7又は8の発明者と第4考案又はテープ切断器考案の考案者とが客観的に共同発明者の関係にあると認めることもできない(「被印刷媒体の端部を所望の形状に切断する切断機構を設けること」自体で進歩性を有すると考えれば,客観的に共同発明者の関係にあると認めることも可能であるが,各明細書の記載(甲2の9,42〜44)を考慮すれば,上記の切断機構に,第4考案は,ストッパ又はカッタホルダの一方を位置調節可能にするとの構成を加え,テープ切断器考案は,ハーフカット刃の構成等を加え,キングジム警告権利7及び8は,それを印刷装置やハウジングに設けるとの構成を加えることによって,進歩性を有する技術思想に至ったものと認めるべきであり,被印刷媒体の端部を所望の形状に切断する切断機構を設けること自体で進歩性を有すると認めることは困難である。)。
cしたがって,原告X2をキングジム警告権利7及び8の共同発明者の1人と認めることはできない。
d原告X2は,仮に同原告が発明者の1人と認められないとしても,発明者の基本発明をベースに冒認出願された別特許で使用者が利益を得た場合には,その基本となる発明の価値を十分に評価することで権利の救済を図るべきところ,第4考案はキングジム警告権利7及び8の基本発明に当たるから,キングジムから得た利益は第4考案の貢献によってもたらされたものである旨主張するが,上記bで説示した第4考案とキングジム警告権利7及び8との関係からすると,同原告の上記主張も理由がない。
カその他の権利(ア)証拠(乙70,73)及び弁論の全趣旨によれば,平成17年3月現在,キングジムのラベルライター製品において,被告が保有する本件各発明以外の特許権・実用新案権のうち,別紙「キングジム及びカシオ実施の被告権利一覧表」のとおり,●(省略)●件(うちテープカセットに関するもの●(省略)●件,インレタ用本体及びテープカセットに関するもの●(省略)●件)が実施されていることが認められる。
(イ)原告らは,●(省略)●は,ワープロのように複数行を数回に分けて印字する場合に限って発明性が認められたものにすぎない旨主張するが,同特許権の特許請求の範囲にも明細書にも(乙29の1・3),原告ら主張の権利解釈を裏付ける記載は認められないし,原告らが指摘する特許異議決定(甲138)の記載の趣旨は,必ずしも明らかでなく,また,上記請求項のどの部分の解釈を示すものかも不明であるから,原告らの主張の根拠とはならない。よって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(ウ)原告らは,●(省略)●は,原告X2の発明である旨主張する。
確かに,原告X2の提案(甲137の3枚目右)には,@機械がテープ幅を自動で検知し,A手動で行数を入力すると,B印字可能な文字サイズと行数の候補が複数表示され,それを手動で選択するという機能が記載されており,上記特許権の請求項1,3,4,5の主な部分と同一であると認められるから,原告X2は,BICUSAのTと共に,発明者の1人である可能性が高いと認められる。ただし,原告X2の上記提案は,その具体化にUら技術者の協力が必要であり,上記提案にない請求項も存在するから,原告X2の単独発明とまでは認められない。
したがって,キングジムからの実施料収入につき本件各発明の寄与を判断するに当たり,●(省略)●の寄与を重視することはできない。
(エ)原告らは,被告とキングジムが共同開発した権利も多い旨主張する。
確かに,前記2(4)ア(ア)a(a)のとおり,被告がキングジムに対しOEM供給していたが,キングジムがどの権利についてキングジムが特許を受ける権利先使用権を有しているのかについて,明確な主張はなく,この点を具体的に認定することはできないから,原告らの上記主張は,採用することができない。
(オ)上記(ア)の被告主張の各発明は,その内容を個々に検討すれば,必ずしも必要性が高いとは認め難い権利ではないし,類似する複数の分割出願が含まれている。また,キングジム製品全体においてどの程度実施されているかも明らかでない。
しかし,被告が多数の権利を保有し,特許ポートフォリオを構築していることは,他社に対し,個々の権利は回避可能であるとしても,全体として同業他社の参入を抑制したり,設計の自由度を確保するなどの目的から●(省略)●契約を締結させる動機になるものであるし,さらに,第1発明及び第3発明の内容等と対比して考慮すると,上記(ア)の被告主張の各発明は,キングジム契約においても,実施料収入に相当程度寄与しているものと認められる。
キまとめ以上を総合すれば,キングジムからの実施料収入のうち,本件各発明の寄与は,以下のとおりと認められる。
(ア)第1発明a当初の一時金(a)結論ラベルライター本体及びテープカセットの2%。
(b)説明一第1発明は,キングジムに対する侵害警告の根拠とはなったが,仮処分申立ての根拠とはなっていないこと,●(省略)●転写テープの販売額は,テープカセット全体の●(省略)●%程度であること(上記ウ(イ))を考慮すると,上記の寄与度の認定が相当であると考えられる。
二ラベルライター本体及びテープカセットは,スタンプ分を除く(以下,同じ。)。スタンプ分を除く計算方法は,別紙「相当対価算定表(実施料収入)表1-1」の説明文のとおりであり,スタンプ分を除いた後の額は,●(省略)●円である。
b●(省略)●から平成15年6月20日まで(a)結論本体及びテープカセットに関する実施料の0.8%。
(b)説明●(省略)●以降は,●(省略)●等も実施許諾されたこと(前記2(4)ア(イ)a)を考慮した。
c対象期間を平成15年6月21日以降製造中止により,寄与は認められない。
(イ)第3発明a当初の一時金(a)結論本体及びテープカセットに関する実施料の3%。
(b)説明●(省略)●第3発明が実施されていない本体やカセットテープも第3発明以外の権利を侵害していることが前提とされているが,第3発明はキングジムに対する侵害警告及び仮処分申立ての根拠とされた特許権3件のうちの1つであることを考慮すると,上記の寄与度の認定が相当であると考えられる。
b●(省略)●から平成17年6月20日まで(a)結論本体に関する実施料の1%。
(b)説明被告が本件各発明以外に多くの特許権・実用新案権を有し,キングジムで実施されていること(上記カ),第3発明は多くの編集機能のうちの1つであり,第3発明の編集機能を有しない機種も多いこと(上記エ(イ)a),第3発明は,テープカセットについては●(省略)●こと(前記2(3)ウ),●(省略)●等も実施許諾されたこと(前記2(4)ア(イ)a)等を考慮した。
c平成17年6月21日から同年12月20日まで(a)結論本体に関する実施料の0.1%。
(b)説明平成17年7月7日に特許が消滅したことを考慮した。
d対象期間を平成17年12月21日以降の分特許の消滅により,寄与は認められない。
(2)カシオからの実施料収入アカシオ契約の内容(ア)前提事実(6)イ及び前記2(4)ア(イ)bのとおり,カシオ契約は,●(省略)●を許諾するものである。
(イ)カシオ契約においても,●(省略)●はない。
(ウ)被告は,上記キングジムとの交渉と並行してカシオとの交渉を継続していたが,カシオは,●(省略)●カシオ契約を締結した。
(エ)被告は,上記時点において,ラベルライターに関し,国内の特許・実用新案につき出願●(省略)●件,権利化されたもの●(省略)●件以上,海外の特許・実用新案出願●(省略)●件を有するなど,多数の出願,権利取得をしていた。
(以上,前提事実(6)イ,乙56,弁論の全趣旨)イ第1発明(ア)カシオの実施aカシオが製造販売する対象品群lの構成が,上記第2,3(8)ア(原告らの主張)(イ)a(a)のとおりであること,構成カ1a〜カ1d,カ1f〜カ1hが,それぞれ第1発明の構成要件1A〜1D,1F〜1Hを充足することは,当事者間に争いがない。
b構成要件1Eに関する被告の主張に理由がないことは,前記2(1)イ(イ)のとおりであるから,構成カ1eは,構成要件1Eを充足する。
cしたがって,対象品群lの構成は,第1発明の構成要件をすべて充足するから,カシオは第1発明を実施している。
(イ)第1発明の寄与に関する事情前提事実,各項に記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
aカシオは,別紙「他社製品一覧表2(テープカセット)」右欄のとおり,多くの種類のテープカセットを製造販売しているが,その中で対象品群lに属する転写テープは,XR-18LBK(同747)1種類のみである。
bカシオのカタログ(乙115の10頁,乙116の7頁)においても,転写テープは,多種類・多色のテープカセットの中で,最後の方に挙げられるバリエーションの1つという位置づけである。
c前記(1)ウ(イ)のとおり,同業他社であるキングジム(テプラプロ)の場合,転写テープの販売額は,テープカセット全体の●(省略)●%程度であり,しかも,平成15年5月には製造中止となっている。
d以上によれば,カシオにおいても,上記XR-18LBK(同747)の販売額は,テープカセット全体の●(省略)●%程度と推認できる。
e証拠(乙115,116)及び弁論の全趣旨によれば,カシオが製造,販売するラベルライター本体は,多くの種類のテープカセットを汎用的に使用できることが認められるところ,前記2(3)アのとおり,対象品群lのラベルライター又はテープカセットを製造販売する行為は,第1発明との関係で,特許法101条2号間接侵害に当たる。
fカシオが,●(省略)●の権利を実施していることを認めるに足りる証拠はない。
ウその他の権利(ア)証拠(乙70,73)及び弁論の全趣旨によれば,平成17年3月現在,カシオのラベルライター製品において,被告が保有する本件各発明以外の特許権・実用新案権のうち,別紙「キングジム及びカシオ実施の被告権利一覧表」のとおり,●(省略)●件(うちテープカセットに関するもの●(省略)●件)が実施されていることが認められる。
証拠(乙70別紙72,乙116の7頁)によれば,●(省略)●(同一覧表48)については,第1発明の実施品であるXR-18LBK(別紙「他社製品一覧表2(テープカセット)」747)においても実施されていると認められる。
(イ)上記(ア)の被告主張の各発明は,その内容を個々に検討すれば,必ずしも必要性が高いとは認め難い権利であり,類似する複数の分割出願が含まれている。
また,カシオ製品全体においてどの程度実施されているかも明らかでない。
しかし,被告が多数の権利を保有し,特許ポートフォリオを構築していることは,他社に対し,個々の権利は回避可能であるとしても,全体として同業他社の参入を抑制したり,設計の自由度を確保するなどの目的から●(省略)●契約を締結させる動機になるものであるし,さらに,第1発明の内容等と対比して考慮すると,上記(ア)の被告主張の各発明は,カシオ契約においても,実施料収入に相当程度寄与しているものと認められる。
エまとめ(ア)第1発明a当初の一時金(a)結論一時金の2%。
(b)説明カシオ契約の第2条(前提事実(6)イ(ア))は,キングジム契約ほど明確ではないが,カシオは,●(省略)●と認められること,転写テープの販売額は,テープカセット全体の●(省略)●%程度であること(上記イ(イ))を考慮すると,上記の寄与度の認定が相当であると考えられる。
b●(省略)●から平成17年12月20日まで(a)結論本体及びテープカセットに関する実施料の0.8%。
(b)説明●(省略)●等も実施許諾されたこと(前記2(4)ア(イ)b)を考慮した。
c平成17年12月21日以降特許の消滅により,寄与は認められない。
(3)ダイモ社からの実施料収入ア対象となった権利前提事実(6)ウのとおり,ダイモ契約は,英仏独伊4か国におけるDYMO4000の製造販売について規定し,また,ダイモ契約権利1及び2を対象とする旨規定しており,●(省略)●海外特許1については,契約書で触れていない。
イダイモ契約権利1及び2の充足●(省略)●●(省略)●ダイモ契約権利2の特許請求の範囲と比較すると,ダイモ契約権利1の請求項1と4を併せたものがダイモ契約権利2の請求項1と実質的に同一であり,以下,それぞれ請求項2と請求項2,請求項3と請求項3,請求項5と請求項4,請求項6と請求項5,請求項7と請求項6,請求項8と請求項7,請求項9と請求項8が実質的に同一であることが認められる。
(ウ)ダイモ契約権利2の請求項1〜3,7及び8の発明がDYMO4000において実施されているが,同請求項4〜6の発明がDYMO4000において実施されていないことは,当事者間に争いがない。
ウ海外特許1の充足(ア)DYMO4000の構成が別紙「DYMO4000の構成」のとおりであることは,当事者間に争いがない。
(イ)上記DYMO4000の構成は,海外特許1の請求項1〜3及び5〜8を充足するが,請求項9は充足しないものと認められる。
エ海外特許1の貢献(ア)ダイモ契約権利2のうち,DYMO4000で実施されている請求項1〜3,7及び8に係る発明の技術的思想は,その請求項の記載等によれば,ラミネートテープ及びその作製方法に関する部分に,必要なテープ類をテープカセットに収納するとの技術的思想を追加したものと認められる。
この事実に,ダイモ契約が締結された●(省略)●時点において,海外特許1(登録日平成4年9月2日)は登録されていなかったが,ダイモ契約権利1及び2は既に登録されていたこと(争いのない事実),海外特許1の登録後に,海外特許1についての和解契約が別途締結されたとの事情は認められないことを併せ考慮すると,ダイモ契約において,ダイモ契約権利1及び2のみがその対象とされ,海外特許1が対象に加えられなかったのは,海外特許1がいまだ登録されていなかったためであると推認すべきである。
海外特許1が平成元年5月10日に公開されていたこと(甲20の7)からすると,海外特許1については,ドイツ特許法等の規定により,少なくとも補償金請求権ないし類似の権利が既に発生していたものと考えられる。
(イ)したがって,ダイモ契約に基づきダイモ社から実施料収入を得ることができたことには,ラミネート発明の1つである海外特許1が貢献しているものと認められ,ダイモ社から実施料収入につき,海外特許1の発明者である原告ら6名に相当対価の請求を認めるべきである。
(ウ)なお,海外特許1の一部については,前記2(2)オのとおり,新規性欠如の無効理由があるが,そのような無効理由が生じた原因は,発明そのものではなく,被告の特許出願の方法にあることが窺われるから,上記無効理由の存否を重視すべきではない。
(エ)海外特許1は,印字装置に関する発明であり,テープカセットの部分を含まないから,海外特許1の貢献度は,2分の1と評価すべきである。
4発明に対する被告の貢献度(争点4)(1)発明に対する貢献度に関する事情前提事実に,以下の各項に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア本件各発明がされたころの原告らの地位・職務(ア)原告X1は,昭和58年4月に被告に入社し,同年11月から平成元年ころまでの間,市場調査部門であるLRセンター,商品事業企画部等において,市場調査及びそれに基づく開発商品コンセプトの提言勧告等の業務に従事していた。なお,LRセンターは,昭和60年8月からは被告の開発部の,昭和62年2月からは被告の中央研究所の部門となった。
(イ)原告X2は,昭和61年4月に被告に入社し,同年5月から昭和63年9月までは,ワープロ,プリンター等の情報機器及び付属品に関する総合調整,事業計画の立案,商品開発に関する企画立案を業務とする部門である情報機器第3事業部又は同第1事業部企画管理グループに所属していた。その後,同年10月から平成2年5月ころまでは,同第1事業部又は情報機器事業部の営業部に所属していた。
(以上,前提事実(1),争いのない事実,甲170,171,弁論の全趣旨)イ第1発明の経緯(ア)被告は,開発部LRセンターにおいて,昭和60年11月ころ,約●(省略)●万円の費用をかけて,日本語ワープロの使用実態の調査を行い,その結果を踏まえ,情報機器第3事業部企画管理グループ,開発部のデザイングループ等を交えて,上記調査に基づく商品アイデアを提出させた。原告X1は,上記の使用実態調査を担当し,また,商品アイデアの1つとして 「透明のテープに文字を打ち出 ,し,それを指でこすれば紙でもプラスチックでもどこにでも転写できるインスタントレタリング作成専用の超小型ワープロ」として,インレタ作製機を提案した。
(イ)原告X1は,その後,インレタ作製機に必要となる技術について,独自に検討した。転写用レタリングテープと印字リボンの化学的要素については,開発部基礎開発グループ所属の技術者であったDに協力を依頼し,その研究成果によって実現の目処が立った。
(ウ)原告X1は,昭和61年7月30日 「インスタントレタリング作製機」 ,として,第1発明を記載した「発明社内登録用紙(譲渡証)」(乙4の1)を提出した。
(エ)開発部基礎開発グループ所属のDとKは,同月17日,24日,及び30日に,それぞれ「乾式転写材の製造法」(乙31の3の2) 「乾式転写材の基本シ ,ート」(乙31の1の2) 「インクリボン」(乙31の2の2)に関する発明を,被 ,告社内に届け出た。これらのインクの化学的性状等に関する技術は,その後,●(省略)●に採用された。
(オ)なお,開発部LRセンターに所属していたJらは,昭和61年6月11日,ワープロにおいて転写用紙に印字するための「ミラー(鏡像)データ印字装置」に関する発明を,発明社内登録用紙(乙29の2)に記載して提出した。ただし,この発明と第1発明との間にどのような関連があるのかを認めるに足りる証拠はない。
(以上,争いのない事実,甲170,乙1,2の1,4の1,10,29の2,31の1の2,31の2の2,31の3の2,55,弁論の全趣旨)。
ウ「NB-1チーム」発足までの経緯(ア)原告X1は,その後,第1発明に係るインレタ作製機に「P-touch」との名称を考え,被告の正式な事業として提案すべく,当時あまり仕事がない状態であった原告X2や,開発部製品開発グループの技術者であったBと共に,その仕様を検討し,具体化を進めた(以下,この3名を「原告ら3名」という。)。
なお,この段階では 「P-touch」開発に関して,被告から直接の指示・ ,命令があったと認めるに足りる証拠はないが,上記検討は,主に勤務時間中に被告社内で行われており,原告ら3名の業務における裁量の範囲内でされたものと認められる。
(イ)原告ら3名は,昭和62年2月26日までに 「P-touchプロジェ ,クト基本仕様案(1版)」(乙55添付資料11)をまとめ,同日,上記イ(エ)のDら及び他の技術者が同席して,開発部V次長の前でプレゼンテーションを行った。
また,同年2月から3月ころにかけて,情報機器第1事業部長であったGに働き掛けたり,原告X1がLRセンターにおいてP-touchの需要者と見込まれる層に対するグループインタビューを行うなどして,被告における事業化のために努力した。
原告ら3名は,上記に並行して 「P-touch」の仕様のさらなる具体化を ,進めた。上記グループインタビュー用の添付資料には 「レタリングプリンターの ,特徴」(甲21の5枚目)として 「印字テープインレタタイプ,テープタイプの ,2種類(170o×12o)」などの具体的仕様が記載されている。
(ウ)他方,情報機器第1事業部においては,A,E,Fらが新製品の研究を行っていたものの,製品化の目処が立たない中,G第1事業部長から,同年3月21日ころ 「漢字ダイモ」検討の指示がされた。 ,ただし,Aら3名による「漢字ダイモ」検討の具体的内容や成果を裏付ける証拠はない。
(以上,争いのない事実,甲21,170,171,乙55,65,66,弁論の全趣旨)エ第2発明等に至る経緯(ア)被告は,昭和62年5月21日,情報機器第1事業部内に,インレタ作製機の技術的な可能性を検討するプロジェクトチーム「NB-1チーム」を発足させ,開発設計グループのO課長をトップに,漢字ダイモを検討していたAら3名に加え,P-touchプロジェクトを進めていたBと原告らをメンバーとした(乙55添付資料18)。
, , (イ)Aら3名は 「NB-1チーム」として,情報機器第1事業部内において技術的な検討,他社特許の調査等を行った。そして,会議の際には,原告らとBなどが加わった。
(ウ)上記(ア)のとおり 「NB-1チーム」は,インレタ作製機の技術的な可 ,能性を検討することが目的であり,それまで原告らとBが検討してきた「P-touch」が叩き台となった。
(エ)プロジェクト発足の翌日である同月22日の打合せ(乙55添付資料19)において,@コスト目標9800円,A設計者のアイデアを抽出し,仕様をまとめるため,社内100人くらいにアンケートを行うこと,Bキーテクノロジーはテープ,リボンであり(なお,リボンには「こすってもとれない」と注記された。),開発の化学担当者と詰めること,C上記A,Bをまとめ,同年6月末に中間報告を行うことなどが決められた。
(オ)aそして,インレタと貼付けテープを両立する方向で検討が進められ,同月28日,A,E,F,B,原告ら,開発部のD及びMが参加した打合せにおいて,印字テープにサーマル印字ヘッドとインクリボンで印字した後,両面粘着テープを貼り付けるという被告ラミネートテープの構成がまとまった。
b証拠(甲170,171,乙66,同添付資料4)によれば,被告ラミネートテープの構成がまとまったことには,Eによるインレタテープと貼付けテープの双方を行うことができる機構の提案が大きく影響したことが認められる。他方,証拠(乙10,55)によれば,原告X1の作成に係る第1発明の社内申請書類(乙10)5頁には 「そのテープ(注:インレタテープのこと)自体に接着力があれば, ,それをそのまま対象物に貼ってやることも可能で,それが保護膜としての機能を持つようになる」との記載が既にあったこと,及び原告X2が昭和62年4月1日に作成した「P-touch『インスタントレタリング作成機』企画書」(乙55添付資料14)2頁にも,次機種案として 「プラスター状のテープごと貼り付けるタイプを ,考える」と記載されていることが認められ,これらの事実によれば,被告ラミネートテープの構成がまとまったことには,原告らの貢献も大きかったと認めるべきである。
(カ)同年6月17日のAの業務日誌(乙3)には,それまでの検討結果を特許出願する候補の1つとして,印字をセンター基準と下面基準とするという第3発明に相当する構成が記載されている。また,この段階では,項目の8番目として 「従,来のリボンカセット+オープンリール方式」と「Allカセット方式」が並記されている。
(キ)同年7月10日,第2発明〜第5発明,第2考案,第3考案を含む12件の発明につき 「発明社内登録用紙(譲渡証)」(乙4の2〜5・7・8,14(注: ,乙4の5の一部),64の1〜11)が被告に提出された。本件各発明に係る分については,F,E及びBがその内容を,Aが図面を記載して作成した。これらの発明者は,Aの提案により,Aら3名,原告ら及びBの6名とされた。
(ク)上記の登録用紙には,本件各発明の明細書中の図面とほぼ同一の図面が記載されており,第2発明(乙64の3)及び第5発明(乙14)の図面には 「インク,リボンカセット+オープンリール方式」のものが,第3考案(乙64の2)の第3図には,被告ラミネート方式を前提とした3種類のテープを1つにまとめ,スプールを着脱自在としたテープカセットが記載された。
, (以上,争いのない事実,文中に記載したもののほか,甲170,171,乙5565,66,弁論の全趣旨)オラベルライター発売までの製品化の経緯(ア)被告は,昭和62年7月10日付けで 「NB-1チーム」を正式に情報 ,機器第1事業部開発設計グループの組織に組み込み,P課長代理をトップとし,NB-1チームのAら3名ほかに,ソフト担当のQ,機構担当のRを加えた「NEW-Bグループ」を発足させた。その後,このグループにおいて,人員を適宜増強しつつ,ラベルライターを製品化するための技術的検討及び課題解決を進めていった。
(イ)NEW-Bグループは,同年7月18日付け「P-touchプロジェクト中間報告」(乙63添付資料1)を作成し,正式にテープカセット方式が提案された。
(ウ)ラベルライターの製品開発は,昭和63年3月にかけて,試作設計,試作機組立て及び評価を繰り返しながら行われ,その後もキングジムから要求された仕様への対応,量産開始後まで生じた品質不良への対応等がされた。
その過程では,@従前被告製ワープロで使用していた熱転写印字技術及び単漢字変換の漢字処理ソフト技術,A上記イ(エ)のDらによるレタリングインク及び再転写シートの技術に加え,B開発中に生じたテープ蛇行などの課題解決のため,●(省略)●など,インクリボン送り・カセット化技術などを実現しながら行われた。
(エ)以上の製品開発に要した費用は,被告の試算によれば,●(省略)●万円以上に上る(乙74別紙2)。
(オ)原告らは,NEW-Bグループのメンバーとはならず,製品化のための技術開発には加わらなかったが,ラベルライター事業化のため,被告販売会社への働きかけや,需要見込みを判断するためのアンケート調査などに参加した。
しかし,原告らは,後記のキングジムへのOEM供給に反対し,社長に直訴するなどしたため,ラベルライターの担当から外されることとなった。
(カ)原告X2は,その後,単独で第4考案を考案し,平成元年6月5日,社内登録をした(乙4の9)。
, (以上,争いのない事実,甲170,171,乙4の9,55,63,65,6674,弁論の全趣旨)カキングジムへのOEM供給(ア)被告は,当時,被告の販売子会社などの国内販売ルートが弱体であったこともあり,キングジムとの間でOEM供給に関する交渉を進め,●(省略)●付けで売買契約を締結した。●(省略)●等が決められた(乙55添付資料45)。
(イ)上記キングジムとの売買契約により,販売の目処が立ったこともあり,同年6月9日,被告の販売企画会議を経て,ラベルライターの商品化が会社として正式決定された。
こうして,同年9月28日,製品の本格生産が開始され,出荷の社内許可,キングジムの立会検査を経て,同年11月1日より「テプラTR-55」の国内販売が開始された。
キングジムの強力な販売ルートや,積極的な広告宣伝もあり 「テプラTR-5,5」は順調に売上げを伸ばし,その後のラベルライター事業発展につながった。
(以上,争いのない事実,乙55,63,69,弁論の全趣旨)キ発売後の開発投資及び販売のための努力(ア)発売後の開発投資及び宣伝広告費a被告は,上記のラベルライター発売後,現在に至るまで,年間●(省略)●円の開発投資を継続し,平成元年度から平成15年度までに約●(省略)●円の開発費を投じた。
b被告(BIUSAを含む。)がラベルライターについて投じた広告宣伝費は,16年間で合計●(省略)●万円であって,本件被告製品の売上高の●(省略)●%である。被告の事業全体での広告宣伝比率は,●(省略)●%である。
(以上,争いのない事実)(イ)米国a米国では,昭和63年12月から本件被告製品の販売を開始し,当初の販売は振るわなかったものの,顧客の要望に応えてキーボード入力方式,幅広テープ対応,複数行印字機能,自動テープカッター機能を採用し,家庭用の低価格機種や業務用の高級機種を開発し,平成7年以降は,M型及びTZ型のテープカセットを開発し,多種類のテープ幅及びテープ色のカセットを製造することにより,様々なユーザーに対応する製品ラインナップを整えた。
bまた,販売ルートとして,店舗拡大が見込まれたオフィス・スーパー・ストア(OSS)への営業販売に注力し,それとの関係を強固にした。
c平成2年以降,テレビ,ラジオ等のマスメディアに対して膨大な費用を費やして,広告宣伝等を積極的に行った。特に,CNNのコマーシャルを含む広告宣伝に,平成3年度は●(省略)●ドル,平成4年度から平成6年度にかけては毎年●(省略)●ドルもの費用を費やした。
dその結果,平成3年以降,OSSの店舗数が急激に拡大し,また,湾岸戦争勃発により多くの顧客がCNNテレビを視聴して「P-touch」のコマーシャルに触れたこともあり,売上げが急激に増加した。
(以上,争いのない事実,乙68)(ウ)欧州a欧州においては,欧州仕様に変更されたラベルライタ「P-touch(PT-8E)」が,それまで被告製品であるタイプライタ,プリンタ等の事務機器の販売に強い販売網を確立していた欧州販売子会社であるBIEの販売網を通じて,平成元年5月ころから販売された。
bダイモ社は,ラベルライターの原形となるエンボス方式テープライターの販売を通じ,欧州に強力な販売網を有していたが,被告からOEM供給を受けたラベルライターを発売することとなり,両社ブランドの競合により商品の認知度が高まるという相乗効果と,本体の販売に伴うテープカセットの需要の発生を販売店に説明して回る販売促進活動 「P-touch」により作成可能なラベルの用途を紹 ,介する宣伝活動等の販売努力により,順調に売上げを伸ばした。
cその後,平成3年後半にはダイモへの欧州におけるOEM供給が途絶えたが,テープの用途の新たな提案に努めたり,平成4年に欧州で行われた冬季及び夏季の両オリンピックにおける「P-touch」製品の紹介活動により,商品の浸透を図ったBIEの営業販売努力により,安定した売上げを確保している。
(以上,争いのない事実,乙67)ク特許等知的財産権の取得・利用(ア)本件各発明の権利化のための努力・費用本件各発明が権利化されるに当たっては,前提事実(3)ア(イ),イ(イ),ウ(イ),エ, (イ)の手続対応を含め,被告の知的財産担当者が,明細書の作成,意見書,補正書異議申立てに対する答弁書等を作成・提出する等の労力を費やし,被告において,出願費用や権利維持管理等の費用相当額を負担した。
(争いのない事実)(イ)他の特許等知的財産権の取得・利用a被告の平成15年度までのラベルライターに関する権利の出願は,特許・実用新案併せて国内で●(省略)●件,海外で●(省略)●件,意匠は日本国内で●(省略)●件,海外で●(省略)●件に上る。
平成15年度末時点において,特許権・実用新案権は,国内で登録●(省略)●件,公開●(省略)●件,その他出願中●(省略)●件,意匠権について登録●(省略)●件,出願●(省略)●件が存在し,海外で特許登録●(省略)●件,公開●(省略)●件,その他出願中●(省略)●件,外国意匠については登録●(省略)●件,出願●(省略)●件が存在する。
bこれらの知的財産権は,個別の権利をみれば,ラベルライターにおける必要性又は回避可能性,技術的難易度,被告製品に実施されている割合など様々であるが,被告が多くの権利を取得し,特許ポートフォリオを構築することが,競合他社に対し,新規参入や製品開発に当たってのリスクを生じさせ,回避のための努力を強いたり,あるいは設計開発の自由度を確保するための●(省略)●実施許諾を受ける動機付けになるものと認められる。
c被告は,上記の知的財産権の確保及び維持のため,平成元年から平成15年まで,累計約●(省略)●万円を費やした。
(以上,乙56,74,132,133,弁論の全趣旨)ケ被告知的財産権による防衛及び他社権利に対する対応(ア)キングジムとの交渉経緯キングジム契約に至るまでのキングジムとの交渉経緯は,前記3(1)アのとおりである。
(イ)カシオとの交渉経緯カシオ契約に至るまでのカシオとの交渉経緯は,前記3(2)アのとおりである。
(ウ)ダイモ社との交渉経緯ダイモ社は,平成元年9月1日以降,被告からOEM供給を受けたラベルライターを販売していたが,平成3年4月ころ,自社製の「DYMO4000」の販売を開始した。
被告は 「DYMO4000」を入手分析し,ドイツ代理人と相談し,同年10月にドイ ,ツのミュンヘン地方裁判所にその販売の仮差止めを申し立て,同年12月に仮差止決定を得た。これに要した訴訟費用は,少なくとも●(省略)●万円を超えるものとなった。ダイモ契約は,これを受けて締結されたものである。
(前提事実(6)ウ,乙67,弁論の全趣旨)(エ)クロイ社との交渉経緯クロイ社は,平成12年,米国において,被告を相手方として,被告が同社の米国特許権2件を侵害しているとして訴訟を提起した。この訴訟は,ヴァージニア東部地区,オハイオ北部地区およびニュージャージー地区の3つの連邦地方裁判所に係属して争われた。
被告は,この訴訟対応のため,米国弁護士を依頼し,ディスカバリー対応等のための被告従業員11名の20回,延べ46.5か月にわたる米国への派遣や書類提出・翻訳作業に追われ,また,度重なる和解交渉に6名の被告役員,従業員を出張させ,弁護士費用●(省略)●円,その他の費用●(省略)●円を負担した。
●(省略)●被告は,少なくとも●(省略)●円の費用の負担を強いられたが(乙74・別紙3),その結果,被告は,クロイ社の特許を懸念することなく,米国・欧州その他の国際的な市場で被告製品を販売することが可能となった。
(乙74,弁論の全趣旨)(2)発明への貢献度ア考慮すべき事項「使用者等が貢献した程度」(特許法35条4項)は,原告らの職務内容,本件各発明がされた経緯だけでなく,本件各発明の権利化の経緯,本件各発明の事業化の経緯,実施許諾契約等の締結の経緯,原告らの待遇等の諸事情を総合的に判断して定められるべきである。
これに反する原告らの主張は,採用することができない。
イ第1発明前記(1)で認定したとおり,@原告X1は,新商品の企画提案等を職務としており,第1発明はこれと関連すること,A当時,被告においてラベルライター事業に向けた組織的取組みはいまだ十分ではなく,Dの協力を受けながら,原告X1が第1発明を完成したこと,Bその後の具体的な製品開発,キングジムとのOEM契約,開発投資及び海外での販売努力については,被告の組織的貢献が大きいこと,C第1発明の権利化及びその他の知的財産権の取得において,被告は,その人的資源を利用し,費用を負担していること,D被告は,クロイ社から侵害訴訟を提起され,多額の費用をかけて,応訴し,和解をしたこと,E原告らは,前記2(4)ア(ウ)d(c)の表彰を受けた程度で,第1発明による好待遇を受けているとは認められないこと等の諸事情を総合すると,被告が貢献した程度を93%と認めるのが相当である。
ウ第2発明,第3発明,第5発明前記(1)で認定したとおり,@第2発明及び第5発明の1つの核心であるラミネート方式が発案された段階では,原告らは,被告が組織として対応した「NB-1チーム」のメンバーとして,インレタ作製機ないしラベルライターの技術的可能性を検討する立場にいたこと,Aこのようなプロジェクトチームの立ち上げ及び前提となる仕様等の検討には,原告らが大いに貢献したこと,Bラベルライターの技術的検討は,被告の組織的な対応により,D,Mなど被告の多くの技術者が協力したと認められること,C具体的な製品開発,キングジムとのOEM契約,開発投資,海外での販売努力,各発明の権利化及びその他の知的財産権の取得については,被告の組織的貢献が大きいこと,D被告は,クロイ社から侵害訴訟を提起され,多額の費用をかけて,応訴し,和解をしたこと,E原告らは,前記2(5)ア(ウ)d(c)の表彰を受けた程度で,ラミネート発明による好待遇を受けているとは認められないこと等の諸事情を総合すると,被告が貢献した程度を95%と認めるのが相当である。
5共同発明者間の寄与度(争点5)(1)ラミネート発明前記4で認定した事実によれば,6名の共同発明となっているラミネート発明については,原告らの寄与度を,その頭割りによる割合である各6分の1と認めるのが相当である。
被告は,技術者であるAらの貢献度が高く,原告らの貢献度は他の発明者の2分の1と評価すべきである旨主張する。しかしながら,前記の諸事実によれば,ラミネート発明は,課題をどのように解決したかだけでなく,顧客のニーズを的確に理解することを含む課題の発見が重要な発明であり,その商業的成功においても,そのような課題の発見が大きな比重を占めていたものと認められる。しかも,原告らの寄与度を各6分の1と認定しても,その合計は3分の1にすぎず,技術者の貢献度は合計3分の2であり,課題の解決に当たった技術者の貢献度を低く認定することにはなっていない。よって,被告の上記主張は,採用することができない。
(2)第3発明前記4で認定した事実によれば,第3発明についても,原告らの寄与度を各6分の1と認めるのが相当である。
(3)第1発明なお,被告は,第1発明についても,Dらの貢献を主張し,原告の貢献度は2分の1と評価すべきである旨主張する。
しかしながら,Dらが共同発明者であるとまで認めるに足りる証拠はないから,Dらの協力は,被告の貢献度の中で評価されるべき事柄であり,被告の上記主張は,理由がない。
6相当対価の支払時期(争点6)(1)被告の発明報奨規程等の内容は,前提事実(7)アのとおりである。
(2)ア被告は,●(省略)●であると主張する。
。 イ被告の発明報奨規程とその運用マニュアルの規定は,以下のとおりである(ア)前提事実(7)アのとおり,●(省略)●(イ)乙61及び62によれば,平成10年8月20日改訂の発明報奨金支払運用マニュアル(乙61。以下「平成10年運用マニュアル」という。)には,●(省略)●との規定があり,その後の運用マニュアル(乙62)にも引き継がれていることが認められる。
(ウ)そして,乙54の2によれば,平成17年3月31日改訂・同年4月1日施行の発明報奨規程(乙54の2)には,実施報奨について,●(省略)●との規定があることが認められる。
ウしかし,上記各規定は,●(省略)●ことを定めたものと解さざるを得ないところ,かかる規定は,相当対価の額を合理的理由なく一方的に制限するものであり,無効といわざるを得ない。したがって,原告らは,平成10年運用マニュアル以前の平成4年報奨規程及び平成4年運用マニュアルに基づき,前年の4月1日から当年の3月31日までの実績につき毎年12月に相当対価の支払を受けられるものというべきである(仮に,このように解しないと,平成10年運用マニュアルによる改正後の報奨規程は,実績に基づき相当対価を支払うとの性格を失い,単に恩賞又は表彰にその本質を変化させたこととなりかねない。そうであれば,平成10年運用マニュアルによる改正により,相当対価の残額につき,直ちに支払期が到来したものと解さざるを得ないこととなる。)。
(3)以上によれば,下記の各期間における自己実施及び実施料収入を対象とする,職務発明承継したことによる相当の対価の支払時期は,以下のとおりと認められる。これに反する被告の上記主張は,採用することができない。
平成4年8月21日〜平成5年5月20日平成5年12月25日平成5年5月21日〜平成6年5月20日平成6年12月25日平成6年5月21日〜平成7年5月20日平成7年12月25日平成7年5月21日〜平成8年5月20日平成8年12月25日平成8年5月21日〜平成9年3月31日平成9年12月25日平成9年4月1日〜平成10年3月31日平成10年12月25日以降,前年4月1日〜当年3月31日当年12月25日(4)将来請求についてア原告らは,本件訴訟において,いずれも本件口頭弁論終結後である平成18年4月1日から平成19年3月31日までを対象とする平成19年12月支払分,及び平成19年4月1日から平成20年3月31日までを対象とする平成20年12月支払分の支払を請求している。
イしかしながら,請求権の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することができず,具体的に請求権が成立したとされる時点においてはじめてこれを認定することができるとともに,事情の変動を専ら債務者の立証すべき新たな権利成立阻却事由の発生としてとらえてその負担を債務者に課するのは不当であると考えられるようなものについては,本来例外的にのみ認められる将来の給付の訴えにおける請求権としての適格を有するものとすることはできない。
ウ本件において,上記将来分の請求については,上記各対象期間における本件被告製品の売上高,キングジムらからの実施料額及びそれらに対する本件各発明の寄与度を判断すべき事情等は,現時点で確定的に認定し得るものではなく,今後大きく変動し得るものである。
エしたがって,原告らの請求のうち,平成19年12月支払分及び平成20年12月支払分の支払を求める部分については,訴えを却下すべきである。
7消滅時効(争点7)(1)法律論ア職務発明について,勤務規則等に基づき特許を受ける権利を使用者等に承継させた場合,発明者である従業員等が取得する相当の対価について,勤務規則等に支払時期が定められているときは,その支払時期が到来するまでの間は,相当の対価の支払を受ける権利の行使につき法律上の障害があるから,その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となる(最高裁平成15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁(オリンパス光学事件))。
これに対し,勤務規則等に支払時期の定めがないときは,従業者等は,承継後直ちに相当対価の支払を請求できるから,その承継時が消滅時効の起算点となる。
イそして,勤務規則等において,相当対価を分割支払とし,特許権の存続期間中,一定の期間ごとに特許発明実施の実績や実施料収入に応じた額を使用者から従業者に支払う旨の定めがされている場合にあっては,相当対価のうち分割された各期間における特許発明実施実施料収入に対応する分については,それぞれ当該分割金の支払時期が到来するまでその支払を求めることができないのであるから,各期間に対応する分ごとに当該支払時期から消滅時効が進行するものと解するのが相当である。
(2)本件における支払時期本件各発明を承継したことによる相当の対価の支払時期は,前記6(3)のとおりと認められる。
(3)平成4年8月20日以前分についてア前提事実(7)アのとおり,平成4年8月21日施行の平成4年報奨規程は,「この規程の施行期日以前に出願された保有権利であっても,この規程の施行期日以降の当社の業績に対して特に顕著な実績をあげた保有権利については,2.4[実績報奨]の規定を適用する 」(4.2項(3))と規定しており,同月20日以 。
前の期間に対応する分については実績報奨を支払わない旨規定している。
イしたがって,同日以前分については,支払時期の定めがなく,原告らは,直ちに相当対価の支払を請求できたものと認められる。
これに反する原告らの主張は採用できない。
ウしたがって,同日以前分についての消滅時効の起算点は,各発明の承継日であるところ,本件各発明についての承継日より遅い各出願日は,いずれも平成3年以前である。
(争いのない事実)(4)原告らの催告についてア証拠(甲17,172,173)によれば,原告らは被告に対し,@平成15年12月5日付けの書面によって,被告の自己実施による利益に基づく対価請求及び平成14年末のライセンス料収入分配のやり直しを求め,原告ら合わせて100億円及び将来分として毎年10億円を支払うよう求めたこと,A同月12日差出しの内容証明郵便2通をもって,それぞれ50億円及び将来分として毎年5億円を支払うよう求め,そのころ被告に到達したことが認められる(一部は,当事者間に争いがない。)。
イ上記の各催告,特にAの催告は,その内容からみて,相当対価全額の支払を求めたものであって,特定の年度の実施料収入に係る相当対価のみを催告したものではないと認められる。
これに反する被告の主張は,採用できない。
ウ原告らが,上記の催告日から6か月以内である平成16年2月13日に本件訴訟を提起したことは,当裁判所に顕著である。
(5)債務の承認等についてア前提事実(7)イのとおり,被告は,原告らに対し,本件各発明の実績報奨として,それぞれ別紙「実績報奨の支払状況」のとおりの金額を支払ったものである。
イ原告らは,上記実績報奨の支払は,時効期間の完成前については時効の中断事由である債務の承認等に当たる旨主張する。
しかし,被告の上記各支払は,被告の発明報奨規程等に基づき,各支払時期に対応する期間についての実績報奨として支払ったものであり,それ以前の期間に対応する相当対価に関するものではないから,時効完成前における債務の承認(民法147条3号)等に当たるとはいえない。
したがって,原告らの上記主張は,採用することができない。
(6)時機に後れた攻撃防御方法について本件訴訟において,被告による消滅時効の抗弁の提出が時機に後れたものとは認められないし,訴訟の完結を遅延させるものでもないから,原告らのこの点の主張は採用できない。
(7)消滅時効の結論ア平成4年8月20日以前における自己実施及び実施料収入に係る相当対価の請求権は,時効により消滅した。
イ平成5年12月支払分(平成4年8月21日〜平成5年5月20日)以降の請求権は,上記(4)の催告及び本件訴訟提起により,10年を経過する前に時効中断事由が生じており,時効により消滅していない。
8相当対価の結論(1)ラミネート発明ア自己実施に係る相当対価以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(自己実施分)」の「表2-1ラミネート発明の相当対価算定」のとおりである。
実施料収入(ダイモ社)以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表3ダイモ社からの実施料収入」のとおりである。
(2)第1発明ア自己実施に係る相当対価以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(自己実施分)」の「表2-2第1発明の相当対価算定」のとおりである。
実施料収入に係る相当対価(前記3)(ア)キングジム以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表1-2第1発明」のとおりである。
(イ)カシオ以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表2-2カシオからの実施料収入」のとおりである。
(3)第3発明ア自己実施に係る相当対価以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(自己実施分)」の「表2-3第3発明の相当対価算定」のとおりである。
イキングジムの実施料収入に係る相当対価以上を計算すると,別紙「相当対価算定表(実施料収入)」の「表1-3第3発明」のとおりである。
(4)原告X1に対する相当対価(元本のみ記載)原告X1に支払われた本件各発明の実績報奨(前提事実(7)イ)のうち,ラミネート発明,第1発明及び第3発明に関する平成5年支払期以降の支払分(別紙「相当対価の結論」の「表3既払金のまとめ」)を差し引くと,別紙「認容金額一覧表」の「表1認容金額一覧表(原告X1)」のとおり,合計2183万8142円となる。
(5)原告X2に対する相当対価原告X2に支払われた本件各発明の実績報奨(前提事実(7)イ)のうち,ラミネート発明及び第3発明に関する平成5年支払期以降の支払分(別紙「相当対価の結論」の「表3既払金のまとめ」)を差し引くと,別紙「認容金額一覧表」の「表2認容金額一覧表(原告X2)」のとおり,合計1520万8131円となる。
9結論仮執行宣言は相当でないので付さないこととし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官 大竹優子
裁判官 頼晋一
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