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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20061739 審決 特許
関連ワード 特許を受ける権利 /  承継 /  発明者 /  製造方法 /  共同研究 /  出願公開 /  出願公開の請求(64条の2) /  優先権 /  名義変更 /  共有 /  存続期間 /  延長登録 /  特許発明 /  実施 /  加工 /  業として /  混同 /  対価 /  拒絶査定不服審判 /  拒絶査定 /  変更 /  必要的共同訴訟 /  期間の延長 / 
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事件 平成 18年 (ワ) 126号 特許を受ける権利の確認請求事件
平成 18年 (ワ) 20971号 承継参加申出事件
山形県米沢市<以下略>
原告株 式会社シー・シー・ワイ
同訴訟代理人弁護士柿崎喜世樹 山形県東置賜郡<以下略>
被告 A
同訴訟代理人弁護士大森鋼三郎
同 庄野功章 山形県東置賜郡<以下略>
被告承継参加 人B山形県東置賜郡<以下略>
同 C山形県東置賜郡<以下略>
同 D山形県東置賜郡<以下略>
同 E
上記被告承継参加人ら訴訟代理人弁護士 大森鋼三郎
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/06/27
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1原告と被告及び被告承継参加人らとの間において,原告が別紙出願目2録記載1ないし5の各発明に係る特許を受ける権利を有することを確認する。
2訴訟費用は被告及び被告承継参加人らの負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求主文第1項に同じ。
第2事案の概要本件は別紙出願目録記載の各発明以下本件各発明というについて , (「」。)特許を受ける権利 以下 本件特許を受ける権利 というを発明者から譲り (「」。)受けて特許出願をした原告が,原告から同権利を譲り受けたとして自らを出願人とする名義変更を行った被告及び被告承継参加人ら(以下「参加人ら」とい。),, , うに対し 原告 被告間の同権利の譲渡契約書が被告の偽造に係るもので真正な出願人は原告であるとして,同権利が原告にあることの確認を求めた事案である。なお,被告は,本件訴訟係属後,同権利の一部を被告承継参加人ら4名に譲渡したとして,被告及び被告承継参加人ら5名全員で共有とする旨の出願人名義変更手続を行っている。
1前提となる事実等(争いがない事実以外は証拠を末尾に記載する )。
(1)当事者及び関係者ア原告は,農産物,食品廃棄物等を原材料とする乳酸及び乳酸エチルの精製,販売や,農産物,食品廃棄物等を原材料とする生分解性素材の製造と加工に関する研究と技術開発等を目的とする会社である(乙5,78 。)イ被告は,平成16年11月17日から平成17年9月26日まで,原告, (,「」 において 参与という役職にあった者であり なお代表取締役付参与。),,(, という名称が使用されていた参加人らは 被告の親族である 甲6061,乙25,47の1,90,95 。)ウFは,平成14年7月15日の原告設立当初から平成17年3月9日ま3,,, (, で 原告代表取締役を務め その後は 原告取締役の地位にある 甲71乙5,78 。)なお,Fは,平成15年10月10日から平成16年7月24日まで,原告取締役の地位にあったGと共に,本件各発明の発明者である(甲1〜,,,。,。)。 5 乙5 78 枝番号の書証を含む 特に明記しない限り 以下同じエHは,平成16年9月22日,原告代表取締役に就任し,同月28日,その旨の登記がされた(乙5,78 。)オIは,平成16年11月17日から平成17年8月31日まで,原告取締役の地位にあったが,同年9月,被告と共に原告を辞めて,平成18年6月に独立するまで,被告の経営する会社(株式会社クリエーティブジャ,「 」。)(, パン以下クリエーティブジャパンというで働いていた甲53乙5,78 。)カJは,平成15年8月中旬ころから平成17年10月7日まで,原告の従業員として働き,その後,平成18年6月中旬ころまで,クリエーティブジャパンで働いていた(甲54,証人J 。)キKは,設立当初から原告に関わって,原告の従業員として働き,平成16年11月17日から平成17年8月31日まで,原告取締役の地位にあった(甲55,乙5,78 。),, , クL及びMは いずれも 平成16年7月26日から同年9月22日までNは 同年9月22日から同年11月10日まで 原告取締役の地位にあっ , ,た(乙5,78 。)(2)本件各発明に関する特許出願人名義の変遷ア原告は,平成15年8月,本件各発明の発明者であるF及びGから,本件特許を受ける権利を譲り受け,本件各発明について,別紙出願目録の各出願日欄記載の日に特許出願をした。
イ被告は,平成17年10月27日,特許庁長官に対し,平成16年9月421日に原告から本件特許を受ける権利を譲り受けたことを原因とする出願人名義変更届を提出し(以下「本件名義変更届出」という,これを受。)けて,本件各発明についての特許出願人は,原告から被告に変更された。
ウ平成18年7月11日,有限会社リールビルドが,特許庁長官に対し,同年6月1日に被告から本件特許を受ける権利を譲り受けたことを原因とする出願人名義変更届を提出したところ,被告は,同年9月11日,同社から同日付けでこれらの権利を譲り受けたとして,出願人名義変更届を提出し,その結果,本件発明についての特許出願人は,再度被告に変更された(乙82〜84,87 。)エ参加人は,被告から本件特許を受ける権利の一部を譲り受けたとして,平成18年9月11日,特許庁長官に対し,本件各発明についての出願人名義変更届を提出して,同日,それが受領された(乙85〜88 。)2争点本件の争点は,原告から被告に対して本件特許を受ける権利が譲渡されたか否かである。
3争点についての当事者の主張(被告の主張)(1)原告被告間の平成16年9月21日の譲渡の合意被告は,当時原告の代表取締役であったFとの間で,平成16年9月21日,被告が担当する原告の業務内容とその報酬などについて,以下の合意をした(以下「本件基本合意」という。。)(被告の担当する業務)@事業資金の調達,他企業の事業参加等の取りまとめAG博士の再協力の取付けB山形大学の協力の取付けC農林水産省からの補助金交付の取りまとめ5(報酬等)@本件特許を受ける権利を被告に譲渡すること,F個人が保有する発明者としての権利も譲渡することA農林水産省による補助金交付の採択通知後60日以内に1億円を支払うことB実証プラント建設着工時に5000万円,完成時に5000万円を支払うことC終身,年1000万円を支払うこと(被告を重要な位置に登用すること)そして,本件基本合意のうちの本件特許を受ける権利の譲渡に関する合意(「」。),, 部分以下本件譲渡合意というについては平成16年9月24日F自身が,原告住所,名称及びFの氏名が代表取締役として刻されたゴム印以下 原告ゴム印 という並びに代表者印として登録された真正の原告 (「」。)代表者印以下真正代表者印というを押捺して作成した同月21日 (「」。),(,,「」 付けの原告被告間の権利譲渡証書 甲11の2 乙3 以下 本件譲渡証書という )として書面化された。 。
本件譲渡証書上に存在するFの記名及びその右側に存在する印影は,それぞれ原告ゴム印及び真正代表者印によるものである。したがって,本件譲渡証書は真正に作成されたものと推定され,これによれば,本件譲渡合意が認められる。
被告は,本件譲渡合意に基づき,特許庁長官に対し,本件譲渡証書を提出して,本件名義変更届出を行った。
(2)本件譲渡合意の存在を裏付ける事情また,次のような,被告と,F又は原告との関係等に照らせば,本件譲渡合意が成立したことは明らかである。
ア被告がFと知り合った平成16年6,7月当時,原告は,資金難に陥っ6ており,当時原告の代表取締役であったFは,多方面から借入れをしていた。
イ被告は,平成16年8月24日,Fから原告の運営資金として1000万円の借入れを申し込まれたが,被告自身には資金がなかったので,Hに対し,原告への1000万円の資金提供を依頼した。
ウ原告は,平成16年8月31日,被告の仲介により,Hの経営する株式会社ダイニ以下ダイニというから1000万円を月100万 (「」。),,円の利息,同年9月30日を弁済期とする旨の約定で借り入れた。
しかしながら,上記1000万円だけでは原告の窮状は救えない状況にあり,また,原告の事業自体の素晴らしさもあったことから,被告は,原告が何とか事業を継続できるよう協力することとした。
エFは,被告に対し,平成16年9月17日,被告の「将来に対して身分保証の保全」のため,本件特許を受ける権利の譲渡等の約束を取り交わすことなどを記載した「誓約書」と題する書面(乙110。以下「本件誓約書」という )をファクシミリ送信した。 。
オ被告は 平成16年9月21日 Fとの間で約条書 と題する書面3 ,,,「」通乙192057以下本件各約条書というにより被告が (,,。「」。),原告に参画するに当たって果たす役割,原告における地位の確保,報酬などについて確認した。これを受けて,原告と被告とは,同月22日,原告から被告に対する「事業推進することの取りまとめに関することの全権委任」等を内容とする委任契約を締結し,そのころ,同日付けの委任状(乙21。以下「本件委任状」という )を作成した。。
カFは,平成16年9月24日,本件譲渡証書,F個人が発明者である特許発明に係る権利の譲渡証書(乙4の1,2。以下「F個人の譲渡証書」という,本件各約条書等に真正代表者印を押捺した。被告は,上記2つ 。)の権利譲渡の対価として,Fに対し,500万円を支払い,Fは,同日付7けの受領書(乙111)を作成した。さらに,Fは,同日,被告の尽力によりHが原告の代表取締役に就任する手続を完了できたことへの感謝を表すとともに,被告及びその推薦に係る者の原告取締役への就任に関してFの責任で対応し,これを完了する旨を約した「約定書」と題する書面(乙23。以下「本件約定書」という )を作成した。。
キFは,被告に対し,平成16年9月27日,本件譲渡証書の作成経過等を確認する承諾書乙112以下本件承諾書というを作成しフ (。「」。),ァクシミリ送信した。
ク被告は,Hとの間で,ダイニから原告への資金提供及び資本参加の合意,,, 。 を取り付け Hは 平成16年9月22日 原告の代表取締役に就任したケ被告は,平成16年11月17日,原告の参与に就任した。原告では,同日付けで定款を変更し,参与について,取締役会への出席を要し,意見を述べることができるが議決権はないという権限を明記した。被告は,その責任と権限において原告のために働いて上記の役割を果たし,原告の事業を軌道に乗せることに成功した。
コHは,原告の事業が軌道に乗り出した平成17年9月28日,被告を参(),。,, 与 代表取締役付参与 から解任し 原告から排除した そこで 被告は自らの立場を守るために,本件特許を受ける権利について,本件譲渡合意に基づいて,出願人名義変更の手続を行ったものである。
(3)原告の主張に対する反論これに対し,原告は,次のような事情を主張するが,いずれも本件譲渡証書の作成の真正に係る上記推定を破るに足りない。
ア原告は,本件譲渡証書が作成された平成16年9月21日から同月24日までの間,Fが真正代表者印を所持していなかった旨主張する。
しかしながら,その当時は,原告の取締役であったMが真正代表者印を所持しており,同人が,同月22日ころ,仙台市にて,当時同じく原告の8取締役であったN及びKの立会いの下,これをFに返還している。
,,,(), そして Fは 同月23日 お願いと題する書面 乙108 を作成し訂正印及び捨印として上記のとおり返還を受けた真正代表者印を押捺しているのである。
,,, , このように Fは 同月24日の時点で 真正代表者印を所持しておりこれを用いて本件譲渡証書に押印できたことは明らかである。
原告は,同月22日には,FがKと共に東京に出張していたため,真正代表者印を受け取れなかったのごとく主張する。
しかしながら,取締役会議事録(乙122)上,同日午後には原告の取締会等が開催され,Fが出席していることからみて,同主張には,不自然。,, , な点が多く信用できない また そもそも 東京に出張していたとしても仙台市を発つ前に受け取ることはできたのである。
イ原告は,Fが平成16年9月24日の午前中には「バイオマスシンポジウム」出席のために山形県米沢市から新潟県中頸城郡柿崎町(現「新潟県上越市柿崎区へ出発したから 同日に本件譲渡証書を作成することはで 」),きなかった旨主張する。
しかしながら,Fは,同日午前中に米沢市の原告事務所に立ち寄り,本件譲渡証書等を作成した後,シンポジウムのための資料等を持って,柿崎町に車で出かけたのである。
ウ原告は,平成16年9月24日当時,Fが,糖尿病による諸症状から,パソコン操作もできなかったし,文書の内容も確認できなかったから,本件譲渡証書を作成できなかった旨主張する。
しかしながら,そのような病状の者であれば,上記シンポジウムなどに, , 出席することは不可能であるし その内容も理解できないはずであるから原告の主張は矛盾している。
エ原告は,被告が,譲渡の対価を支払っていない,原告に貢献していない9などとして,そのような被告に対して,原告が本件特許を受ける権利を全部譲渡する本件譲渡合意の内容は不合理である旨主張する。
しかしながら 被告は 上記(2)のとおり 原告の業務の再建に尽力して ,,,も,被告自身に資力がないため,後に必要がないと思われた場合に,原告から放逐される事態が予想されたことから,以後,原告に貢献していけるよう,被告の原告における地位を保全する手段として,平成16年9月21日,本件譲渡合意を含む本件基本合意に至り,原告の真正代表者印の返還を受けた後である,同月24日に,合意内容を示す文書を,同月21日付けで作成したのであって,その経過は,何ら不合理ではなく,また,譲渡の対価も支払われている。
オ原告は,被告らが,白紙に原告ゴム印と真正代表者印のみが押された用紙甲242536以下本件用紙というを利用して本件譲渡 (,,。「」。)証書を作成したなどと偽造の経過について説明するが,次のとおり,それらはいずれも理由がない。
(ア)本件譲渡証書と本件用紙とでは,原告ゴム印と真正代表者印の押されている位置が全く異なっており,そのような用紙から本件譲渡証書を作成することはできない。
(イ)原告は,本件譲渡証書の原稿が存在し,また,Fが所有していたノートパソコンから削除された上記原稿のデータを復元した旨主張する。
しかしながら,その原稿の文面が本件譲渡証書とは異なっている上,それを本件譲渡証書の偽造と結びつける事情は認められない。また,上記復元データは,それに表れた改訂番号,更新日時,作成日時,ファイルサイズ等からして,原告が主張する偽造経過を裏付けるものとはなり得ない。
(ウ)原告は,被告が,平成16年12月上旬ころ,原告ゴム印及び真正代表者印が入った金庫の鍵を保管していたIに命じ,Kをして,それら10の印を白紙に押捺させ,完成した本件用紙を原告事務所内のロッカーに保管させていた旨主張する。
しかしながら,Iは,営業・対外交渉担当の取締役であるから,上記金庫の鍵を保管していることなどあり得ない。
また,Kは,原告の当初からの従業員で,取締役に就任したこともあり,代表者印の重要性を十二分に認識していたのであるから,何の目的に使われるかも分からないまま本件用紙を作成するなどあり得ない。しかも,同人は,本件訴訟提起後9か月も経って自分が押捺したことを告白したというのであり,その点も不自然である。
(エ)原告は,被告に命じられたJが,平成17年9月18日ころ,原告事務所内のロッカーから本件用紙を持ち出し,被告に渡した旨主張するとともに,Jが第三者に預けた段ボール箱に本件用紙が6,7枚入って, (, いた旨主張し その状況を撮影した写真を証拠として提出する 甲2425,36 。), , しかしながら Jが原告事務所内のロッカーから本件用紙を発見して被告に渡したのであれば,段ボール箱に入っているはずがない。そのような用紙が段ボール箱に入っていたという事実は,被告が本件用紙を手に入れていないことを示すものであるか,あるいは,段ボール箱内での発見が原告による虚構であることを窺わせるものである。
(原告の主張)□本件譲渡合意は存在しないこと原告被告間において,本件譲渡合意は存在しておらず,本件特許を受ける権利が被告に譲渡されたことはない。
□本件譲渡証書は真正に作成されたものではないこと本件譲渡証書の原告の住所,社名及びFの氏名の印影並びに原告代表取締役の印影は,それぞれ,原告ゴム印及び真正代表者印によって作出されたも11のである。
しかしながら 本件譲渡証書は 真正に成立したものではなく 被告によっ ,, ,て偽造されたものであり,真正代表者印による印影の存在に基づく真正な成立の推定は,次のような事情によって破られる。
ア真正代表者印は,平成16年7月26日から同年9月27日までの間,Nのところにあり,Fは,本件譲渡証書に押印されたと被告が主張する同月24日の時点で,同印を所持していなかったものである。
,, , (ア)Fは Nに対し 同年9月24日の午前12時から午後1時の間に通告書と題する書面甲68以下本件通告書というを内容 「」(。「」。)証明郵便で発送し,真正代表者印の返還を求めている。同郵便は,Fが発送した米沢市とNが居住していた仙台市との地理的関係から,早くとも同月25日でないと同人には到達しない。よって,Fが同月24日に真正代表者印を押印することはできなかったのである。
なお,本件通告書に押捺されている印鑑は,代表者印として登録していないものであり,同書面で返還を求める対象として「弊社代表印鑑」と記載されている印鑑こそが,真正代表者印である。
(イ)被告は,Fが,平成16年9月22日ころ,仙台市において,Nから真正代表者印を受け取った旨主張している。
しかしながら,Fは,同日,Kと共に東京に出張して不在であり,Nから真正代表者印を受領することは不可能であった。なお,同日,取締役会が開かれて,F,H及びNがそれに出席したという内容の取締役会議事録(乙122)が存在するが,実際には,そのような取締役会は開かれていない。
Nは,同月27日,米沢市に来て,真正代表者印をFに返還した。そして,その真正代表者印により,同月28日,取締役,代表取締役の変更に関する登記手続が行われたのである。
12イFは,平成16年9月24日,柿崎町において開催された「バイオマスシンポジウム」に参加するため,その日の午前中には,米沢市を出発している。被告の陳述書(乙1)によれば,Fが,同日,どこかで真正代表者印を受け取ってきて本件譲渡証書を作成したとのことであるが,そのような作業の後で柿崎町へ行くというのは,時間的に困難である。
ウFは,平成16年7月ころから,糖尿病による網膜症,白内障,腎不全,,., の症状が急速に現れ 同年9月ころには 視力が落ちて0 1程度となり視野も中心部分が花が咲いたように見えてしまい,周辺部分しか見えなくなった。そのため,自らパソコンを操作したり,文書の内容を確認したりすることができなくなっていた。さらに,同年10月5日ころには,肺に水が溜まり 息苦しくて立っていられないようになり 入院するまでに至っ , ,ている。したがって,Fは,同年9月ころ,本件譲渡証書のように小さく多量の文字が書かれた文書を作成することはできず,また,内容の確認もできなかったのであるから,それに押印するということもない。
エ本件譲渡証書の内容は,次のとおり,不合理である。そして,文書の内容が余りにも不合理である場合には,成立の真正を疑わせる事情となる。
(ア)原告は,本件各発明を実施して本格的な生産を行うことを目指しており,本件各発明は国からも評価され,平成18年5月までに1億1000万円の補助金を受領することになっていた。それにもかかわらず,途中で出願人を変更するはずがない。
(イ)被告は,本件特許を受ける権利の譲渡の対価を原告に支払ったことはない。原告は,かなりの資本を投入していたし,資金が不足する状態にあったことから,資金調達をするべくHが関与することになったものであり,本件特許を受ける権利を無償で被告に譲渡するはずがない。
, , , (ウ)被告は 平成16年9月21日当時 原告の参与に就任しておらず原告の業務に関与してからも,1か月程度しか経っていない。したがっ13て,原告との信頼関係は,いまだ構築されておらず,原告に貢献したなどということはあり得ない。
(エ)Hは,平成16年8月31日に1000万円の資金を提供しているが,この段階で,被告は金銭を負担していない。そのHが,何も対価がないのに,被告に無償で本件特許を受ける権利を譲渡することはない。
(オ)原告にとって,本件各発明の実施が会社の設立目的であるし,存続の根拠である。それを何の対価もなく,ただ被告に譲渡することはあり得ない。
(カ)被告は,本件譲渡証書とともに,原告が被告に対して1億円,5000万円といった巨額の支払を行う旨の本件各約条書が作成されたとする。
しかしながら,補助金は,1億1000万円であり,全額実証プラントの建設に当てられるものであって,その当時の原告の経営も赤字である。そのような段階で,上記のような合意をするはずがない。
□本件譲渡証書の偽造の状況被告及びその指示を受けた者が本件譲渡証書等の書類を偽造した状況は,次のとおりである。
ア白紙に原告ゴム印及び真正代表者印が押捺された状況原告ゴム印及び真正代表者印は,平成16年12月上旬ころ,原告の事務所の金庫に入っていたところ,その鍵は,Iが保管していた。
当時原告の参与であった被告は,Iに命じ,被告の目的を知らないKをして,原告の事務所内で,原告ゴム印と真正代表者印を押捺させ,本件用紙を作成させた。このとき,被告は,A4判の白紙6ないし7枚に,その右下部分か右上部分に押印した2種類の用紙を作成するよう指示していた。
イ本件用紙が保管されていた状況14その後,被告は,Kに対し,本件用紙を保管しておくように指示し,Kは,本件用紙を他の書類と一緒に原告の事務所のロッカールーム内のビニール製手提げ袋に入れて保管していた。
被告は,平成17年9月18日ころ,Jに対し,本件用紙を持ってくるように指示した。Jは,同日午後,Kに電話して本件用紙の保管場所を問い合わせ,これを探し当てて入手した。
被告は,そのころ,既にH等と対立しており,原告から利得を得ようと考えて準備をしていた。また,J及びIは,被告と行動を共にしていた。
そして,被告,I及びJは,同月下旬ころ,原告の事務所内から,自分たちにとって都合の悪い文書や本件用紙を持ち出し,段ボール箱に詰め込んで,一時的に知人のOに預けた。
Oは,上記段ボール箱を原告のものと考えて,同年10月6日ころ,原告従業員のPに対し,中身を確認してはどうかと連絡してきた。Pは,Oのところへ赴き,段ボール箱を開封したところ,本件用紙を含む書類が出てきたので,Oに対し,当該段ボール箱を原告事務所に持ち帰る旨告げたが,OがJに返すと言って拒否したため,その中身を写真に撮った。その後,Oは,段ボール箱を元の状態に戻してJに返した。
ウ本件用紙に譲渡の文言が印刷され,本件譲渡証書が完成された状況被告は,原告の参与を解任されるや,本件特許を受ける権利を我がものにしようとし,平成17年10月13日ころ,Jに対し,原稿を示して,その内容をパソコン打ちするように指示した。Jは,被告の指示どおり入力したが,プリンターがなかったので,文書データをフロッピーディスクに保存し,印刷可能な店舗においてプリントアウトした。その後,Jは,被告の指示を受けて上記データを訂正し,再び上記の店舗においてプリントアウトした。さらに,被告は,Jに命じて一部字句を訂正させ,同月26日過ぎには本件譲渡証書の記載内容のデータを仕上げ,これをフロッピ15ーディスクに保存した。Jは,被告の指示により,そのフロッピーディスクと本件用紙とを持って上記店舗に行き,フロッピーディスク内のデータ,。 を本件用紙にプリントアウトして本件譲渡証書を完成させ 被告に渡した第3当裁判所の判断1参加人らの訴訟参加形態について参加人らは,被告から本件特許を受ける権利の持分を譲り受けた旨主張しているところ,特許を受ける権利共有者は,特許法上,共有者全員でなければ出願できず 同法38条共有者の一部による出願は 拒絶の査定を受け 同 (), ,(法49条1項2号かつ これに違反した特許は 無効とされる 同法123 ),,,(条1項2号また いったん複数の者が共同して手続をした場合は その後の )。, ,特許出願の変更,放棄及び取下げ,特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ,請求,申請又は申立ての取下げ,特許出願等に基づく優先権(同法41条1項)の主張及びその取下げ,出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求の各手続については,全員が共同してこれを行わなければならない(同法14条しかも 特許を受ける権利共有者がその共有に係る権利について審判を )。,請求するときは,全員が共同してこれを行わなければならない(同法132条3項)という地位に立つ上,拒絶査定不服の審判を請求し,その請求が成り立たない旨の審決を受けた場合,それに対して提起する審決取消訴訟も,固有必要的共同訴訟であると解されている(最高裁判所平成6年(行ツ)第83号同) 。, 7年3月7日第三小法廷判決・民集49巻3号944頁参照したがって特許を受ける権利共有者については,共同して行動しないと,特許査定を受けることが困難であり,また,当該特許権が無効となるおそれがあるという地位に立たされるものということができる。
このような特許を受ける権利共有者の地位に照らせば,本件のように,原告が被告に対して特許を受ける権利の確認を求めている訴訟は,訴訟の目的たる特許を受ける権利共有持分の帰属が当事者の一方である被告と第三者であ16る参加人らについて合一にのみ確定すべき場合に該当するといえるので,参加人らは,被告の共同訴訟人として,本件訴訟に共同訴訟参加(民事訴訟法52条)できるものと解すべきである。
2事実認定証拠及び弁論の全趣旨によれば,被告が原告の業務に関与するようになってから,本件名義変更届出がされるまでの状況について,以下のとおりの事実が認められる。
,, , □原告は 農産物 食品廃棄物等を原材料とする乳酸及び乳酸エチルの生成販売や,農産物,食品廃棄物等を原材料とする生分解性素材の製造と加工に関する研究と技術開発等を目的として,平成14年7月15日に設立された株式会社である(乙5,78 。)□原告内では,上記目的に従った研究開発が進められ,F及びGが本件各発明を行い,原告が同人らから本件特許を受ける権利承継を受け,平成15年8月8日,11月11日,11月20日,11月28日に,本件各発明について,それぞれ特許出願がされた(甲1〜5。))□原告は,平成16年夏ころ,経営難に陥り,給与の支払遅延等を理由として従業員が退職する事態に至っており 乙14の1〜14の3 15原告 (,),の代表取締役であったFは,資金調達先を探していた。そして,Fは,Lを通して知り合った被告からダイニの代表者であったHを紹介され,同年8月31日,原告が,ダイニから,1000万円を,返済期限を同年9月30日とし 利息を月100万円とする旨の約定で借り受けた 乙16の1原告 , ()。
のダイニに対する上記借入れに基づく返還債務については,F及び被告が保証人となり また 特約事項として保証人Fが取得する50%別紙特許願 ,,,「2003-391348を借用人に対し,担保提供する事とし,返済期日までに返済出来なかった場合,貸付人にその権利を移行することに承諾します(乙16の1)とされ,別紙出願目録記載3の発明について,Fが保有 。」17する権利を担保として提供する旨が合意された。この借入れについては,平成16年9月30日に書換え(更新)が行われ,返済期限は同年10月31日とされた(乙16の2 。), , (, □また 平成16年9月22日には Hが原告の代表取締役に就任し 乙578 ,同年11月17日には,被告が原告の参与に就任した(甲60 。被 ) )告が参与に就任するに当たっては,原告において同役職がなかったため,定款の変更手続がとられた(乙25 。)□その後,原告は,被告等の尽力もあり,従前,原告の取締役であり,本件各発明の発明者であって技術開発等を担当していたGから,再度,原告における技術開発業務の支援を受ける旨の契約を締結したり 乙29〜31山(),形大学との間で 共同研究契約を締結し 乙32農林水産省が生産支援事 ,(),業として開始したバイオマス生活創造構想整備事業の補助金を得るなどして乙33事業を進め 乳酸誘導体の発酵製造実証プラント建設工事の契約 (),,を締結するなどした(乙36,37 。)□平成17年9月26日,被告は,原告の参与を解任され,同月29日,その旨の通知を受けた(甲61,乙47の1 。)□被告は,平成17年10月27日,特許庁長官に対し,平成16年9月21日付けの本件譲渡証書を提出して,本件名義変更届出をし,これにより,本件各発明についての特許出願人の名義は,原告から被告に変更された(甲6〜16 。)3本件譲渡証書の成立の真正本件では,原告において被告に対する本件特許を受ける権利の譲渡があったことを認める旨記載された本件譲渡証書(甲11の2,乙3)が作成されているところ,被告は,同書面が本件譲渡合意の内容を確認したものである旨主張し,原告は,同書面の成立を否認するので,まず,本件譲渡証書が真正に成立したものであるか否かについて検討する。
18□成立の真正の推定「」,, 本件譲渡証書の右下の 権利譲渡者 という印字の下側には 原告の住所名称及び代表取締役の肩書きが付されたFの氏名が横3列に記された記名印の印影が存在し,その右側に,原告の代表者印の印影が存在する(甲11の2,乙3)ところ,上記原告の代表者印の印影が真正代表者印によって顕出されたものであることは,当事者間に争いがない。
そうすると,上記印影はFの意思に基づいて顕出されたものと事実上推定され,その結果,民事訴訟法228条4項により,本件譲渡証書がFの意思に基づいて作成されたものと法律上推定されることになる(なお,上記記名印の印影が原告ゴム印によって顕出されたものであることも当事者間に争いがないが,上記記名印の印影が代表者印の印影と共に存在していることや,原告ゴム印が原告事務所内のゴム印入れ内に保管されており,F以外の者も容易にそれを使用し得たと認められること(甲55,弁論の全趣旨)からすれば,本件譲渡合意の有無を検討する前提としては,上記原告の代表者印の印影の真正のみを問題にすれば足りると解すべきである。。)□推定を妨げる事情の有無そこで,次に,上記推定を妨げる事情が認められるか否かについて検討する。
ア本件譲渡証書に真正代表者印が押捺されたとされる平成16年9月24日の時点で,Fが同印を所持していたか否か。
(ア)まず,Fが平成16年9月21日の時点で真正代表者印を所持していなかったことは,当事者間に争いがない(ただし,同印の保管者については争いがある。。)そして,証拠(甲68,70〜74,乙5,証人J)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
aJは,F及び被告の意向を受けて,同月24日,真正代表者印とは19異なる,銀行印として用いられていた原告代表者印を用いて,Nに対し,真正代表者印の返還を求める本件通告書を作成した。
bJは,同日午前12時から午後1時までの間に,Nにあてて,内容証明郵便により本件通告書を送付した。
cNは,同月27日,仙台市から米沢市にある原告の事務所を訪れ,Fに真正代表者印を返還した。
d同月28日,真正代表者印が用いられ,原告の取締役及び代表取締役の変更に関する登記申請の手続が行われた。
以上の事実経過に照らせば,Fは,少なくとも同月21日から同月27日までの間において,真正代表者印を所持しておらず,これを自ら使用することができなかったものと推認することができる。
(イ)被告は,平成16年9月22日の時点で真正代表者印が返還されていたことの証拠として,真正代表者印による印影が存在する「お願い」と題する書面の写し乙108以下本件依頼文書というを提出 (。「」。)する。そして,本件依頼文書について,Fが,同月23日,同書面に真正代表者印を押捺した上でLに対してファクシミリ送信したものであること,別件の訴訟において,何ら利害関係を有しない相手方代理人弁護士から書証として提出されたものであること,その訴訟の打合せに臨んだI,K及びJも,それが間違いないものと確認していることなどを挙げて,Fが上記22日に真正代表者印を所持していたことは間違いない旨主張する。
そこで,本件依頼文書の記載内容,体裁等を見ると,上部に,他の訴訟で使用されたことを窺わせる「甲第14号証」の記載及び「弁護士」と読める契印並びにファクシミリ送信されたことを窺わせる(株)「From:シー.シー.ワイ 」との 0238 28 86762004/09/23 16:39 #006 P.001/001記載が存在する。そして,その下側に捨印として,また,あて先である20Lの肩書きとして印字された「(株)東北サンラト」を二重線で消し,その上部に「(株)シーシーワイ代表取締役会長」に訂正するための訂正印として,それぞれ真正代表者印による印影が存在している。さらに,本文の日付けは,平成16年9月23日とされ,その本文には,Nから原告の代表者印を預かっているLに対し,その返還を依頼したが,いまだ返還を受けていない旨が記載されている。そして,同書面の下部には,原告代表取締役の肩書きが付されたFの氏名が印字されているものの,その名下には真正代表者印による印影その他の印影は存在しない。
以上の事実に照らせば,同文書は,原告の事務所から平成16年9月23日にファクシミリ送信されたものを受信した用紙であって,他の訴訟で書証として提出されたものであると推認することができる。
しかしながら,上記Lの肩書きの訂正部分及び真正代表者印による印影は,ファクシミリで受信された文書に通常見られ,同書面の他の部分にも見られるような,文字の字体の粗さなどが見られないのであり,上記訂正及び真正代表社印による印影は,ファクシミリ受信後に加えられた可能性が強い。
本件依頼文書において,上記のような加工が行われた趣旨は,明らかではないが,前記認定のとおり,Lは,上記ファクシミリが送信された平成16年9月23日の前日である同月22日の時点で,原告の内部手続上,既に取締役を辞任したとされているところ,そのようなLについて,敢えて上記のように肩書きを「代表取締役会長」とする訂正をしている点,同文書は,真正代表者印が返還されていないことを強く訴えた内容であると認められるのに,その真正代表者印による印影が存在する点(被告は,預けていた経緯を示すために,真正代表者印の返還(被告は同月22日と主張する前に作成していた文書に 押印したものであ 。) ,る旨主張するが,それ自体合理的な説明といえない上,本文の日付けが21平成16年9月23日となっていることとも整合しないから,上記主張は採用できない,訂正印及び捨印として真正代表者印の印影が存在す 。)るのに,肝心の代表取締役名下にその印影が存在しない点など,不自然な点が多い。
,,,, これらの事情を総合考慮すれば 本件依頼文書によって Fが 同日真正代表者印を所持していたという事実を認めることはできないというべきである。
(ウ)被告は,本件通告書について,真正代表者印が返還されていたにもかかわらず,返還前に作っていたものを,そのまま出したものであろうと主張するが,返還されている印につき返還を求めることは不自然というほかなく,しかも,本件通告書を平成16年9月24日に作成したとの証人Jの供述を否定するに足りる証拠はないから,上記主張は失当といわなければならない。
また,被告は,証人Jの供述に信憑性がないとして縷々主張するが,いずれの主張も,同証人がことさら虚偽の内容を述べているものと疑わせるには足りず,失当である。
さらに,L作成の陳述書(乙132)においては,同人が,Nから,平成16年9月22日午前10時ころ,N及びK同席の下にMが直接Fに真正代表者印を返還し,その後,N自身は一切代表者印を手にしたことはないこと,同月27日にNが原告の事務所に出社したことは間違いないが,その時にFに真正代表者印を返還したことは絶対にないこと,本件通告書の件は,Fより原告の取締役変更登記をするということで真, , 正代表者印の返還を求められた際 Lが保管していることを報告したがL,Mのどちらかが真正代表者印を保管しているのであれば,それは既に原告に返還されたことになるものの,その保管中に真正代表者印が使用されてしまった場合を考え,後日の証として,Fと合意の上,同人が22本件通告書を差し出したことなどの報告を受けた旨が記載されている。
しかし,その内容は,主たる部分がNからの伝聞であって信用性が低いのみならず,直接,Fに真正代表者印を返還したとされるN自身が,自ら陳述書を作成しないこと(その理由として,同陳述書では,Fに貸した金員を返済してもらえなくなる可能性があるからとされるが,その説明自体,説得力に乏しい,より信用性が高いと認められる上記証人J 。), 。 の供述にも反することを考慮すれば 上記陳述書の内容は採用できない同様に 真正代表者印の返還日について記載する被告 乙1I 乙 , (), (), ()(),。 2M乙109及びL乙115の各陳述書も採用できないなお,被告は,Iが自ら進んで陳述書に真実を記載していることを示す証拠として同人の手紙(乙134)を提出するが,そこに記載された内容のみから直ちに同人の陳述書の信用性を認めることはできない。
イ本件譲渡証書の作成過程に関する事情(,,,,) , 証拠 甲53 54 56 70 証人J 及び弁論の全趣旨によればJは,平成17年の9月ないし10月ころ,被告から依頼され,被告から見せられた原稿に基づいてパソコンで文書を作成し,それを白紙に原告ゴム印及び真正代表者印が押捺された書面に印刷して,被告の指示によりそれを修正するという作業を何度か経た上,本件譲渡証書と同様の文書を作成したものと認められる。
これに対し,被告は,証人Jの供述に信憑性がない旨縷々主張するが,既に検討したとおり,同証人がことさら虚偽の事実を述べたと認めるに足りる証拠は存しない。確かに,同人の供述及び陳述書ともに,曖昧な部分が認められ,また,部分的な変遷があることも否めないが,それは期日の経過による記憶の薄れや他の事実との混同によるものとも考えられるところ,被告の指示により,白紙に真正代表者印等が押捺された書面を用いて本件譲渡証書と同様の文書を作成したという中核部分については,明確に23供述している上,そのような部分については,記憶の希薄化や混乱のおそれも乏しいといえるのであるから,信用性が高いというべきである。
また,被告は,Jによる上記原稿作成に関し,原告が復元したと主張するパソコン内の上記原稿のデータが約66キロバイトという記録容量の大きなものであって,不自然であると強く主張するところ,証拠(甲39の),,,「」 1によれば確かにその復元結果としてサイズについては66048と表示されているものの 他方ページ数:1単語数:110文字数 ,,「」,「」,「:628行数:5段落数:1文字数 スペース含む :771 とさほ 」,「」,「」,「()」ど長い文章ではないことを示す情報も表示されているのであるから,被告が指摘する点のみをもって,証人Jの供述の信用性を否定することはできない。
したがって,被告の主張は採用できない。
(3)小括以上によれば,本件譲渡証書に真正代表者印が押捺されたと被告が主張する平成16年9月24日の時点においては,Fにおいて真正代表者印を所持していなかったものと認められる。
かかる事情に照らせば,その余の点を検討するまでもなく,Fがその意思に基づいて本件譲渡証書に真正代表者印を押捺したと推定することはできないというべきである。
そして,他に,本件譲渡証書の成立の真正を認めるに足りる証拠もなく,これを認めることはできない。
4本件譲渡合意の有無そこで,次に,被告が,平成16年9月21日になされたと主張する本件譲渡合意を含む本件基本合意が認められるか否かを検討する。
(1)この点 被告は 原告の業務の再建に尽力しても 被告自身に資力がない ,, ,ことから,後に必要がないと思われた場合に,原告から放逐される事態が予24想されたことから,以後,原告に貢献していけるよう,被告の原告における地位を保全する手段として,平成16年9月21日,本件譲渡合意を含む本件基本合意に至り,原告の真正代表者印の返還を受けた後である,同月24日に,合意内容を示す文書を,同月21日付けで作成した旨主張し,それに沿う被告の陳述書(乙1)のほか,その経過を示す証拠として,本件誓約書(),(,,),(), 乙110本件各約条書乙192057本件委任状乙21F個人の譲渡証書乙4の1本件約定書乙23及び本件承諾書乙1 (),()(12)を挙げる。また,本件特許を受ける権利とF個人が発明者である特許発明に係る権利との両方の譲渡の対価として500万円が支払われていると主張し,F作成の「受領書 (乙111)を提出する。 」(2)しかしながら まず 本件譲渡合意の内容は 当時の原告の唯一ともいえ ,,,る資産である本件各特許を受ける権利について,被告に譲渡するというものであり,取締役会決議が必要な事項であると考えられるところ,それを裏付ける証拠はない。しかも,本件基本合意中のその他の合意内容も,補助金受領直後でいまだ原告として利益を上げるまでには至らないと思われる時期に5000万円,又は,1億円の支払を約するものであったり,本件各発明の実施・事業化による利益も全く不明であるのに,被告に対し終身にわたって年間1000万円(及び被告の親族にも年間600万円)の支払を約するものであるなど,いかに,原告が窮状にある際に合意されたものであるとしても,著しく被告に有利であって合理性を欠き,このような合意をすることを基礎付ける特段の事情のない限り,上記合意が成立したと認めることはできないというべきである。そして,上記1で認定したとおり,被告は,Fからの依頼に応じて,ダイニからの融資を実現させ,その後も原告の業務の再建に尽力するなどして,原告に一定の貢献をしたことは窺ええるものの,この程度の貢献があったからといって,上記合意の合理性を導くことは困難であり,上記の特段の事情があるとは認められない。
25そして,被告が挙げる上記各証拠のうち,本件各約条書(乙19,20,57本件委任状乙21及び本件約定書乙23はいずれも平成 ),()(),,16年9月24日に,真正代表者印を押捺して作成されたものとして提出されているところ,上記3□ア(ア)のとおり,同日時点では,Fが真正代表者印を所持していなかったと認められるから,同日に作成されたこれらの文書は,Fの意思に基づいて作成されたとはいえないことになり,同文書によって,上記合意を認めることは困難である。また,本件誓約書及び本件承諾書は,上記において検討したとおり,真正に成立したとは認められない各文書を引用した記載内容になっていること,特に,本件誓約書については,平成16年9月17日付けであるにもかかわらず,同月21日付けの本件譲渡証書が既に作成済みとされたり,印鑑証明が同月24日に「発効」するとされる等,不自然な点が存することに照らせば,これらの証拠を採用することはできない。
さらに,F個人の譲渡証書(乙4の1)について,被告は,F個人の特許発明に係る権利の譲渡が,本件特許を受ける権利の譲渡と一体としてなされたものであると主張する。
しかしながら,まず,上記文書は,平成16年9月24日付けで作成されているところ,上記3□アのとおり,同日にFが本件譲渡証書に押捺することが困難であったことに照らせば,同日にFがF個人の譲渡証書を作成することが可能であったかも疑問といわざるを得ない。また,仮に,F個人の譲,, 渡証書がその意思に基づいて作成されたものであったとしても そのことが直ちに,本件譲渡合意の存在を導くものとはいえず,両者の譲渡の合意に一体性を認めるに足りる証拠も存しない。さらに,その両者の譲渡対価の支払を示すとされる上記受領書(乙111)は,原告代表者としてではなくF個人が作成したものである上 「但し,別紙譲渡証書に伴う代金として 」との , 。
記載が存するが,その別紙は添付されていないから,かかる証拠のみによっ26ては,原告が保有する本件特許を受ける権利について,譲渡の対価が支払われたものと認めることはできない。
そうすると,被告の主張内容について説明する被告陳述書(乙1)も,上記の検討に照らし,これを採用することはできない。
,, 。 (3)その他 本件全証拠によっても 本件譲渡合意を認めることはできないしたがって,被告が,原告から,本件特許を受ける権利を譲り受けたとは認められず,原告は,上記権利を有するものといえる。
第4結論以上の次第で,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。
追加
27(別紙)出願目録1出願番号特願2003-206976発明の名称農作物の乳酸発酵のための前処理方法および乳酸製造方法出願日平成15年8月8日公開番号特開2005-58004公開日平成17年3月10日2出願番号特願2003-381815発明の名称ポリ乳酸生産システムおよび生産方法ならびにポリ乳酸生産支援システムおよび生産支援方法出願日平成15年11月11日公開番号特開2005-143320公開日平成17年6月9日3出願番号特願2003-391348発明の名称乳酸エチル製造方法出願日平成15年11月20日公開番号特開2005-154290公開日平成17年6月16日4出願番号特願2003-391464発明の名称乳酸菌用培地,乳酸菌培養方法および乳酸製造方法出願日平成15年11月20日公開番号特開2005-151821公開日平成17年6月16日5出願番号特願2003-398583発明の名称乳酸菌生育促進剤およびその製造方法出願日平成15年11月28日28公開番号特開2005-151927公開日平成17年6月16日
裁判長裁判官 清水節
裁判官 山田真紀
裁判官 國分隆文
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