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関連審決 不服2003-21756
関連ワード 技術的思想 /  創作性(創作) /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  周知技術 /  慣用技術 /  公知技術 /  技術常識 /  発明の詳細な説明 /  優先権 /  参酌 /  技術的意義 /  容易に想到(容易想到性) /  実施 /  構成要件 /  拒絶査定 /  変更 / 
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事件 平成 18年 (行ケ) 10394号 審決取消請求事件
原告株式会社セガ
訴訟代理人弁理士安形雄三,五十嵐貞喜
被告特許庁長官中嶋誠
指定代理 人二宮千久,小田倉直人,小池正彦,田中敬規
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2007/05/31
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた裁判「特許庁が不服2003-21756号事件について平成18年7月18日にした審決を取り消す 」との判決。。
第2事案の概要本件は,原告が,名称を「ドライビングゲーム装置におけるコースマップの表示方法及びドライビングゲーム装置」とする発明につき特許出願をして拒絶査定を受け,これを不服として審判請求をしたところ,審判請求は成り立たないとの審決がなされたため,同審決の取消しを求めた事案である。
1特許庁における手続の経緯( )本件出願(甲第6号証の1)1本件出願は,特願平4-279513号出願の一部を新たな特許出願としたものである。
出願人:株式会社セガ(原告)発明の名称: ドライビングゲームにおけるコースマップの表示方法及び画像処 「理方法並びにそれらの方法を用いた電子遊戯機器 (平成15年9月12日付け手 」続補正により 「ドライビングゲーム装置におけるコースマップの表示方法及びド ,ライビングゲーム装置」と変更)出願番号:特願2002-131145号出願日:平成14年5月7日出願したものとみなされる日:平成4年9月24日優先権主張日:平成4年7月31日(日本)( )本件手続2手続補正日:平成15年9月12日(甲第6号証の4)拒絶査定日:平成15年9月29日(甲第6号証の5)審判請求日:平成15年11月7日(不服2003-21756号 (甲第7号)証の1)審決日:平成18年7月18日審決の結論: 本件審判の請求は,成り立たない 」 「 。
審決謄本送達日:平成17年8月7日2本願発明の要旨審決が対象とした発明(平成15年9月12日付け手続補正後の請求項1に記載された発明であり,以下「本願発明」という。なお,請求項の数は3個である )。
の要旨は,以下のとおりである。
「三次元仮想空間内において閉曲線状に構成されたドライビングコース上で,遊戯者による操作手段の操作に応じてプレイヤーカーを走行させるドライビングゲーム装置において,前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における現在位置を遊戯者に示すコースマップの表示方法であって,前記プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定して表示手段に表示される遊戯の主の動画画面の所定の位置に表示すると共に,前記シンボルの位置座標を中心として前記閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示し,前記操作手段から入力される操作情報及び前記ドライビングコースの座標情報に基づき,前記操作手段の操作に応じて変化する前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向きを演算手段により算出し,前記算出したプレイヤーカーの位置座標及び向きの情報に基づいて,前記プレイヤーカーが前記ドライビングコース上を走行するにつれて前記コースマップの画像を前記シンボルに沿って移動させて表示すると共に,前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における向きの変化に応じて,前記コースマップの画像を前記固定表示されたシンボルに対して相対的に回転させて表示することを特徴とするドライビングゲーム装置におけるコースマップの表示方法 」。
3審決の理由の要点審決は,本願発明が,下記引用例1に記載された発明,引用例2に記載された事項及び周知の技術事項に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許出願は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,とした。
引用例1:特公平3-39711号公報(甲第1号証)引用例2:1991年(平成3年)7月31日株式会社バンダイ発行の「機動戦士ガンダムF91フォーミュラー戦記0122 (10OFFICIAL GUIDE BOOK 」〜13頁,78〜79頁 (甲第2号証))審決の理由中,引用例の記載事項の認定,本願発明と引用例1記載の発明との対比,相違点についての判断に係る部分は,以下のとおりである。
( )引用例の記載事項の認定1ア引用例1「 1-A)(『 産業上の利用分野] [本発明は業務用ゲーム装置,特に複数のプレーヤが同時に同じゲーム空間内でプレイできる業務用ゲーム装置に関する(第1頁右欄第12〜15行) 。』(1-B)『第3図には,本実施例に用いられるゲーム機10の具体的な構成が示されている。
実施例のゲーム機10は,演算制御部20,表示部22,通信インタフエース24,I/Oインタフエイス26,プレーヤ入力部28およびコイン投入部30を含む。
そして,前記通信インタフエース24は,伝送ライン12を介して他のゲーム機との間でデータを送受信するものであり,本実施例においては第2図に示す伝送ライン12に沿って,図中時計方向にデータを伝送するよう形成されている。
また,演算制御部20はプレーヤ入力部28,コイン投入部30からI/Oインタフエイス26を介して入力される信号や,通信インタフエース24を介して他のゲーム機との間で送受信されるゲームデータ等に基づき,各種の演算を行い,表示部22上にゲーム画面を表示している(第3頁左欄第35行〜右欄第7行) 。』(1-C)『このため,実施例の演算制御部20は,グループ設定を行うグループ設定部20-1と,グループ設定後にゲーム演算を行うゲーム演算部20-2とを有する(第3頁右欄第13〜1 。』6行)(1-D)『また,第1図には前記ゲーム演算部20-2の具体的な回路構成が示されている。
, ,, 本実施例のゲーム演算部20-2は メモリ60およびデータ判別部62 演算制御部64カウントデータ演算部66およびデータ消去部68を含む(第4頁左欄第33〜38行) 。』(1-E)『また,前記データ判別部62は,ゲーム開始後伝送データが送られてくる毎に,このデータに含まれるデータ識別コードとメモリ60に記憶されているデータ識別コードとを照合し,この伝送データが自己の所属グループのデータか否かの判別を行い,その判別結果を演算制御部64へ向け出力している。
また,前記演算制御部64は,伝送データが自己の所属グループのものであるときには,そのゲーム状況データに基づいてゲーム演算処理を行うとともに,この伝送データを通信インタフエース24,伝送ライン12を介して他のゲーム機に向け送信する。
このとき,演算処理部64は,伝送データが自分のゲーム機10のものである場合には,そのゲーム状況データに対して演算結果に基くデータ処理を施し,新たなゲーム状況データとして他のゲーム機に向けて伝送する(第4頁右欄第4〜21行) 。』(1-F)『次に,本発明のゲーム装置をドライブゲームに適用した場合の具体例を説明する。
・・・実施例のゲーム装置は,最大8人のプレーヤによって同時にレースができるよう構成されており,各ゲーム機10の表示部22上には,第7図に示すように他のプレーヤの操作する車もモニタ表示される。
また,各ゲーム機10にはプレーヤ入力部28として,スタートボタン,ステアリング,シフトレバー,アクセル,ブレーキ等が設けられている。
また,ゲーム機10のゲーム空間内には,プレーヤが各ゲーム機を用いて操作する8台の車の他に,コンピュータが操作する16台の車が存在する(第5頁左欄第15〜31行) 。』(1-G)『第9図には,第8図に示す一群の伝送データのうち,人間が操作する車の伝送データの詳細が示されており,実施例において該データは,基盤番号,ゲームステータス,ゲームグループ,,,, 。』 番号 コマンド カーステータス カウンタ チェックサムの各データから構成されている(第5頁右欄第10〜15行)(1-H)『また,カーステータスは,車の状態,例えば車両走行位置等を表すデータであり,例えば第11図aに示すように,コースに沿った走行位置をZ軸で表し,コースと直交する走行位置をX軸で表し 第11図bに示すように コースに対する車両の向きを回転角で表している第 , , 。』(5頁右欄第41行〜第6頁左欄第2行)(1-I)『またゲームが開始されると,これら3台のゲーム機10-a,10-bおよび10-hは,。, ビデオゲーム画面の更新周期に同期して送られくる第8図のデータをその都度取込む そして自己の所属するグループの伝送データに含まれるゲーム状況データ(実施例においては第9図に示すカーステータス情報)に基づき,ゲームの演算処理を行い表示部22上にゲーム画面を表示する。
従って,例えば10-aのゲーム機が操作している車のすぐ前に,10-b,10-hのゲーム機が操作する車がいれば,ゲーム機10-aの表示画面上にはこれらの車が全て表示される。
この結果,3人のプレーヤは表示部22上に表示される各プレーヤの車を見ながら,互いにドライブテクニツクを競い合い,ゲームをより一層楽しむことができる(第7頁左欄第34 。』行〜右欄第5行)(1-J)『第7図は本発明をドライブゲームに適用した場合に各ゲーム機の表示部に表示されるゲーム画面の一例を示す説明図 (第8頁右欄第28〜30行) 』(1-K)第7図のゲーム画面には,表示画面下部に,プレーヤの操作する車や他のプレーヤの操作する車とともに,走行中のコースや周囲の風景等のドライブゲーム表示画像が表示され,表示画面上部に,閉曲線状に構成されたコース全体の縮図であるレース場のレイアウトと,同レイアウト上に配置された複数の黒丸が表示されている。
そして,第7図におけるレース場のレイアウトは表示画面上で固定されていることや,前記レイアウトがプレーヤの操作する車の走行すべきコースを意味すること,レース場のレイアウト上に記載されている黒丸が何らかの物体等を意味する印であること,演算制御部20が,プレーヤの操作する車のコース上における車両走行位置及び向きを算出した上でゲーム画面を表示していることは,それぞれ自明な事項であるから,引用例1には,以下の発明・・・が記載されていると認められる。
『閉曲線状に構成されたコース上で,操作者によるプレーヤ入力部28の操作に応じてプレーヤの操作する車を走行させるドライブゲーム装置におけるレース場のレイアウト表示方法であって,表示部22に表示されるドライブゲーム表示画像の上側画面に,前記閉曲線状に構成されたコース全体の縮図を,何らかの物体等を意味する黒丸とともにレース場のレイアウトとして表示し,前記プレーヤ入力部28から入力される信号およびカーステータス等のデータに基づき,前記プレーヤ入力部28の操作に応じて変化する前記プレーヤの操作する車の前記コース上における車両走行位置および向きを演算制御部20により算出し,前記算出したプレーヤの操作する車の走行位置及び向きの情報に基づいて,前記プレーヤの操作する車が前記コース上を走行するのに合わせてゲーム画面を表示するドライブゲーム装置におけるレース場のレイアウト表示方法」。』イ引用例2「 2-A)(『・画面の見方-基本画面』の欄には,『敵と接触するとバトル画面に入る。ここは,上部がアニメーション画面。下部は,左からエネルギーゲージ,ステータス(武器選択にも使用 ,レーダー(交戦中は,敵データ ,シール ) )ドゲージになっている。下部は,ガンダムのコックピット的な部分だ 』。
と記載されている。
(2-B)『・レーダーの見方』の欄には,『レーダーは,ガンダムを中心としたセンサー有効エリアを表示している。Vゾーンに敵が入った時Aボタンを押すとロックオンでき,攻撃できる ・・・。
戦闘中は,+キーを前後左右に動かすことにより,レーダーの中のガンダムも前後左右に動く。
また,LRボタンを押すことにより左(L ,右(R)にガンダムが旋回する(向きを変え )る』)。
の記載とともに,中央にF90(ガンダム)を配置し,F90を中心に同心状の円(センサー有効エリア)と,F90を頂点とするVゾーンを示す図が記載されている。
(2-C)『・L・Rボタンを活用しろ』の欄には,『・・・MSの移動方法には2通りあり,+キーで縦,横,斜めの直線移動,L・Rボタンで自機の回転運動が出来るんだ。この操作方法を身に付けちまえば,左図のように,一瞬にして敵をヒットエリアにさそい込むことが可能となる ・・・』。
の記載とともに,F90,センサー有効エリア,Vゾーンの表示位置は固定し,自機を直線移動あるいは回転運動させてVゾーン範囲外の敵をVゾーン内(ヒットエリア)にさそい込むときのレーダー画面を示す図が記載されている 」。
( )本願発明と引用例1記載の発明との対比 2「そこで,本願発明と引用例1記載の発明とを対比すると,引用例1記載の発明における『閉曲線状に構成されたコース『プレーヤ入力部28『プレーヤの操作する車『ドライブゲ 』, 』, 』,ーム装置レース場のレイアウト表示方法表示部22ドライブゲーム表示画像コ 』,『 』,『』,『 』,『ース全体の縮図『プレーヤ入力部28から入力される信号』は,それぞれ本願発明における 』,『閉曲線状に構成されたドライビングコース『操作手段『プレイヤーカー『ドライビン 』,』,』,グゲーム装置『コースマップの表示方法『表示手段『遊戯の主の動画画面『ドライビ 』, 』,』, 』,ングコース全体の縮図『操作手段から入力される操作情報』に相当し, 』,引用例1記載の発明における『コース上における車両走行位置』は,コースに沿った走行位置をZ軸で表し,コースと直交する走行位置をX軸で表したものであるから,本願発明における『ドライビングコース上における位置座標』に相当する。
そうすると,両者は,『閉曲線状に構成されたドライビングコース上で,遊戯者による操作手段の操作に応じてプレイヤーカーを走行させるドライビングゲーム装置におけるコースマップの表示方法であって,前記閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図を,遊戯の主の動画画面とともに表示手段に表示し,前記操作手段から入力される操作情報等に基づき,前記操作手段の操作に応じて変化する前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向きを算出し,前記算出したプレイヤーカーの位置座標及び向きの情報に基づいて,前記プレイヤーカーが前記ドライビングコース上を走行するのに合わせてゲーム画面を表示するドライビングゲーム装置におけるコースマップの表示方法 』。
である点で一致し,次の点で相違する。
(相違点))閉曲線状に構成されたドライビングコースが,本願発明では三次元仮想空間内で構築されiているのに対し,引用例1記載の発明では二次元仮想空間内で構築されたものなのか三次元仮想空間内で構築されたものなのか不明である点,)本願発明では,プレイヤーカーのシンボルが,表示手段に表示される遊戯の主の動画画面ii上に配置されているのに対し,引用例1記載の発明では,そのような構成を備えていない点,)プレイヤーカーのドライビングコース上における位置座標及び向きを算出する演算手段iiiが,それらを算出するための情報として,操作手段から入力される操作情報と共に,本願発明では,ドライビングコースの座標情報を用いているのに対し,引用例1記載の発明では,そのようなドライビングコースの座標情報を用いているかどうか不明な点,)本願発明では,プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定して表示手段上に表iv示し,プレイヤーカーの位置座標及び向きの情報に基づき前記シンボルの位置座標を中心としてドライビングコースの縮図を表示することで,前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における現在位置を遊戯者に示しているのに対し,引用例1記載の発明ではドライビングコース全体の縮図を表示手段上で固定表示しつつプレイヤーカーの位置座標の情報に基づきゲーム画面を表示している点 」。
( )相違点についての判断3「上記相違点 )について検討する。 iドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構成することは,本出願前周知の事項(例えば 『マイコンBASICMagagine ,8[8]電波新聞社,198 , 』9年8月1日,p.284-285,あるいは 『マイコンBASICMagagine , , 』8[12]電波新聞社,1989年12月1日,p.279 『ASCII ,15[1]株式 ,』会社アスキー,1991年1月1日,p.335-336を参照)であることから,引用例1記載の発明におけるコースを三次元仮想空間内で構築することは,当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない。
次に,相違点 )について検討する。
iiドライビングゲームにおいて,コースマップのコース上に車の位置を表示し,さらに同コースマップを遊戯の主の表示画像に重ねて表示することは 本願出願前周知 必要であればマ ,(,『イコンBASICMagagine ,8[8]電波新聞社,1989年8月1日,p.2 』85の上部に記載されている表示画面説明図の『コースマップ』の欄,あるいは 『マイコン,BASICMagagine ,8[7]電波新聞社,1989年7月1日,p.282- 』284を参照)の技術常識である。
ところで,引用例1には,レース場のレイアウト上に示された『黒丸』について何ら説明する記載はないものの,前記のとおりコースマップのコース上に車の位置を表示することは本願出願前周知の技術常識なのであるから,当業者であれば,前記『黒丸』が,プレーヤや他のプレーヤの操作する車を意味するものと認識することは当然の事項である。
そうすると,前記周知の事項や前記当然の事項を参酌すれば,引用例1記載の発明におけるコース全体図を,プレーヤの操作する車を意味する黒丸と共にレース場のレイアウトとして,ドライブゲーム表示画像に重ねて表示部22に表示することは,当業者が普通に導き出すことができる程度の事項と認められ,そして前記のように表示した際に,前記黒丸がドライブゲーム表示画像上に表示されることは明らかである。したがって前記相違点)は格別のものではiiない。
相違点)について検討する。
iii引用例1記載の発明における『演算制御部20』は,種々のデータに基づいて各種の演算を行い,ゲーム画面を表示するものであるから,それら演算を行う際にコースの形状や大きさ等を特定するデータが必須であることは明らかで,前記コースの形状や大きさを特定するデータ, ,, としてどのような表現形式を用いるかは 当業者が適宜決定し得る程度の事項にすぎず また本願発明がドライビングコースを座標情報で表現した点に特段の技術的意義は認められない。
そうすると,引用例1記載の発明における『演算制御部20』においても,コースの座標情報等を用いて各種の演算を行うよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
最後に,相違点)について検討する。
iv引用例2に記載のレーダー画面は,画面の中央にプレイヤーの操作するキャラクタを位置及び向きを固定して配置し,その周囲に他のキャラクタを配置しており,プレイヤーの操作するキャラクタが移動・回転しても,レーダー画面上では同プレイヤーの操作するキャラクタの位置及び向きは変えずに他のキャラクタが移動・回転して表示位置を変えることで,プレイヤーの操作するキャラクタから見た他のキャラクタの方向や距離を視覚的・直感的に把握しやすくするものである。また,車載用地図表示装置の分野においても,車両現在位置を示すマークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示し,車両の移動や車両進行方向に合わせて表示画面に対する位置・向きが固定されている同車両の周辺地図が動くよう描画することで,車両進行方向や周辺地図の読み取りを容易にすることは,特開平3-2518号公報の〈従来技術〉に記載されているように周知の技術事項である。そして,それら記載事項を踏まえれば,レーダーや車載用地図等の周辺参照図上で,操作者が操作する移動体を位置及び向きを固定して表示するとともに,操作者の操作に応じて前記移動体の周辺環境図を相対的に移動・回転させて表示することで,周辺参照図を即座に認識できるようにすることは,本願出願前にごく普通に使われている周知・慣用技術である。
そうすると,引用例1記載の発明におけるレース場のレイアウト表示に上記周知・慣用技術を適用し,プレーヤの操作する車を意味する黒丸( 相違点]についての検討事項参照)の [)ii位置及び向きを画面上で固定表示するとともに,同プレーヤの操作する車の位置や向きの変化に応じて,前記黒丸の位置座標を中心として前記車の周辺環境図であるレース場のレイアウトを相対的に移動・回転させて,プレーヤの操作する車のコース上における現在位置を遊戯者に示すことは,当業者であれば容易に想到し得たものと認められる。そして,前記のように黒丸を中心としてレース場のレイアウトを相対的に移動・回転させれば,プレーヤの操作する車がコース上を走行するにつれて前記レース場のレイアウトが前記黒丸に沿って移動すると共に,前記プレーヤの操作する車の前記コース上における向きの変化に応じて前記レイアウトが前記固定表示された黒丸に対して相対的に回転することは明らかである。
また,本願発明によって奏せられる効果は,各引用例に記載された事項及び周知技術事項に基づいて当業者であれば予測し得るものであり,格別顕著なものではない。
したがって,本願発明は,引用例1記載の発明,引用例2に記載された事項及び周知技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである 」。
第3原告の主張(審決取消事由)の要点審決の,本願発明と引用例1記載の発明(以下「引用発明」という )との一致。
点及び相違点 )〜)の認定は認める。
iiv審決は,上記相違点 )〜)についての判断を誤り(取消事由1〜3 ,さら iiv )に,本願発明の顕著な作用効果を看過するなどして,進歩性判断を誤ったものである(取消事由4)から,取り消されるべきである。
1取消事由1(相違点 )についての判断の誤り)i審決は,相違点 )につき,1989年(平成元年)8月1日電波新聞社発行の i「マイコンBASICMagagine」8巻8号284〜285頁(甲第4号証の1。以下「周知例1」という,同年12月1日同新聞社発行の「マイコンB 。)ASICMagagine」8巻12号279頁(甲第4号証の2。以下「周知例2 という及び1991年 平成3年 1月1日株式会社アスキー発行の A 」。)() 「SCII」15巻1号335〜336頁(甲第4号証の3。以下「周知例3」という )を挙げて 「ドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構 。,成することは,本出願前周知の事項」であるとした上,引用発明におけるコースを三次元仮想空間内で構築することは,当業者が適宜なし得る程度の設計的事項であると判断した。
しかしながら,周知例1には 「最近では,ポリゴン処理で完璧に近い3D表現 ,とスピード感を再現したナムコの『ウィニングラン』やクラッチまで付けて実車感覚に近づけたアタリゲームの『』が有名(285頁右欄)と記載HARD DRIVEN 。」されているのみであって 「3D表現」との文言はあるが,ドライビングゲームの ,コースを仮想空間内で立体的に構成した三次元仮想空間の技術的な内容については,何ら開示されていない。また,周知例2,3には,三次元空間の記載や説明は全くない。
これに対し,平成15年9月12日付け手続補正書(甲第6号証の4)による補正後の本願明細書(甲第6号証の1,以下,単に「本願明細書」という。なお,本判決が引用する発明の詳細な説明の段落は,全部甲第6号証の1記載のものであ。) , (【】 るは 三次元仮想空間の構築に係る技術的内容を詳細に開示している 段落0012〜【。 0016 】),,「 , したがって 周知例1〜3に基づいてドライビングゲームにおけるコースを仮想空間内で立体的に構成することは,本出願前周知の事項」であるとした審決の判断は,誤りである。
そして,三次元仮想空間のゲーム画面は,二次元仮想空間のゲーム画面に比べ格段の迫力と臨場感をプレイヤーに与える作用効果を有しているのであるから 「引,用例1記載の発明におけるコースを三次元仮想空間内で構築することは,当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない 」とした審決の判断は失当である。 。
2取消事由2(相違点)についての判断の誤り)iii( )審決は,相違点)につき 「引用例1記載の発明における『演算制御部 1iii ,20』は,種々のデータに基づいて各種の演算を行い,ゲーム画面を表示するものであるから ・・・引用例1記載の発明における『演算制御部20』においても, ,コースの座標情報等を用いて各種の演算を行うよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である 」と判断した。。
しかしながら,引用発明におけるコースマップ画像の表示は,座標管理で得られるコース上における車の位置を,予め主の画面に固定表示されているコースマップ上に座標変換し,シンボルで移動表示しているため,コースマップ画像の表示位置や回転角度を演算する必要はない。
これに対し,本願発明は,プレイヤーカーのシンボルの位置及び向きを固定し,操作手段の操作に応じて,コースマップ画像の位置や向きを変化(移動・回転)させるようにしているので,コースマップ画像をゲームの主画面のどの位置に,どの角度で表示するかを定めるため,車のドライビングコース上の位置と,ドライビングコースに対する角度とに基づいて 「車の位置を基準としたゲームの主画面にお ,けるコースマップ画像の表示位置と角度」を逐次再演算することが必要である。
このように本願発明と引用発明とでは,コースマップの表示に関する演算において基本的に相違するものである。
また,審決は 「演算を行う際にコースの形状や大きさ等を特定するデータが必 ,須であることは明らかで,前記コースの形状や大きさを特定するデータとしてどのような表現形式を用いるかは,当業者が適宜決定し得る程度の事項」であると判断するが,本願発明は,コースの形状や大きさを特定するデータとして,どのような表現形式を用いるかについて規定したものではなく 「操作手段から入力される操 ,作情報及びドライビングコースの座標情報に基づき,操作手段の操作に応じて変化するプレイヤーカーのドライビングコース上における位置座標及び向きを演算して算出」することに特徴を有しているのである。
審決は,本願発明の演算内容と引用例1記載の「演算制御部20」の演算の基本的な相違を看過しており,本願発明のように,コースマップ画像を移動・回転させるために,ドライビングコースの座標情報等を用いて,操作に従って各種の演算を行うように構成することは,当業者であっても容易なことではない。
( )被告は,本願発明の要旨の「操作手段の操作に応じて変化する前記プレイ2ヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向きを演算手段により算出し 」との規定を捉えて,本願発明の「演算手段」は,プレイヤーカーのドラ ,イビングコース上における位置座標及び向きを算出するものであって,コースマッ,「」 プ画像の表示位置や回転角度を算出するものではないとし 本願発明の 演算手段は,引用例1記載の,コース上の車両走行位置及び向きを算出する演算内容と同等のものであると主張する。
しかしながら,本願発明の「演算手段」が算出するものが,プレイヤーカーのドライビングコース上における位置座標及び向きだけではなく,コースマップ画像の表示位置や回転角度をも算出するものであることは,明らかである。すなわち,本願発明は,プレイヤーカーのシンボルの位置及び向きを固定し,操作手段の操作に応じてコースマップ画像の位置や向きを変化(移動・回転)させるようにしているので,コースマップ画像をゲームの主画面のどの位置に,どの角度で表示するかを定めるため,車のドライビングコース上の位置と,ドライビングコースに対する角度とに基づいて 「車の位置を基準としたゲームの主画面におけるコースマップ画 ,像の表示位置と角度」を逐次再演算する必要があるところ,上記「演算手段」が,本件特許出願の願書に添付した図1に表示された,中央処理装置110や補助演算処理装置102,座標変換処理装置111等を含んで,上記「コースマップ画像の表示位置と角度」の演算を行うものであることは,発明の趣旨や上記図1の説明から明白である。
したがって,被告の上記主張は失当である。
3取消事由3(相違点 )及び)についての判断の誤り)iiiv( )審決は,相違点)につき,引用例2及び特開平3-2518号公報(甲 1iv第3号証の4.以下「周知例4」という )を挙げて 「レーダーや車載用地図等の 。,周辺参照図上で,操作者が操作する移動体を位置及び向きを固定して表示するとともに,操作者の操作に応じて前記移動体の周辺環境図を相対的に移動・回転させて表示することで,周辺参照図を即座に認識できるようにすることは,本願出願前にごく普通に使われている周知・慣用技術である 」とした上 「引用例1記載の発明 。,におけるレース場のレイアウト表示に上記周知・慣用技術を適用し,プレーヤの操作する車を意味する黒丸・・・の位置及び向きを画面上で固定表示するとともに,同プレーヤの操作する車の位置や向きの変化に応じて,前記黒丸の位置座標を中心として前記車の周辺環境図であるレース場のレイアウトを相対的に移動・回転させて,プレーヤの操作する車のコース上における現在位置を遊戯者に示すことは,当業者であれば容易に想到し得たものと認められる「黒丸を中心としてレース場 。」,のレイアウトを相対的に移動・回転させれば,プレーヤの操作する車がコース上を走行するにつれて前記レース場のレイアウトが前記黒丸に沿って移動すると共に,前記プレーヤの操作する車の前記コース上における向きの変化に応じて前記レイアウトが前記固定表示された黒丸に対して相対的に回転することは明らかである 」。
と判断した。
( )しかしながら,まず,引用例2に示されているレーダー画面は,主画面と2, , してのアニメーション画面の下側右部に アニメーション画面とは別の画面として分離して設けられているために,プレイヤーは,眼を,両画面の間を頻繁に移動させながら遊戯しなければならない決定的な不都合がある。しかも,引用例に記載されたレーダー画面では,遊戯空間の全体表示ができないため,全体空間に対して自機(ガンダム)がどの辺りにいるかを,直感的に把握することができないという致命的な問題がある。
( )次に,周知例4に記載されたものは,自動車のナビゲーションシステムに3係る地図描画方法に関するものである。しかしながら,自動車ナビゲーションシステムが対象とするのは,ゲーム機である本願発明のような仮想空間ではなく,実空間であるために,自動車ナビゲーションシステムの場合には,主の動画画面とレーダー(本願発明のコースマップに相当)画面といった概念は存在せず 「コース全,体の形状の縮図」としてのコースマップのデータを持つこともないから,引用発明に示されるレース場のレイアウト全体を周知例4の地図に対応させることに無理がある。また,自動車は,実際の道路上を走行するために,ゲーム機におけるドライビングコースの座標管理も不要であり,ドライビングコースの内側とか外側といった概念もない。したがって,本願発明のような,ゲーム機におけるコースマップの表示方法に対して,周知例4に記載された自動車のナビゲーションシステムの地図表示方法を適用することは,技術的な背景の相違が大きすぎ,不適当というべきである。
この点につき,被告は,引用発明のレース場のレイアウト表示と,周知例4に記載された自動車のナビゲーションシステムの地図表示とは,コンピュータ内で構築されている自車の周辺物位置データをモニタ上で画像により表現する点で共通しており,引用発明のレース場のレイアウト表示に,周知例4記載の技術を適用することに格別の困難性はないと主張するが,ゲーム機と自動車のナビゲーションシステムでは,その利用対象者が遊戯者と自動車運転者というように相違しているとともに,利用する技術分野が全く異なるものであり,ゲーム機の分野に自動車のナビゲーションシステムの技術を応用することが日常化しているわけでもないから,上記被告の主張は失当である。
,, (「」) , ( )さらに 本願発明は プレイヤーカーのシンボル 審決のいう 黒丸を4その位置及び向きを固定し,シンボルの位置座標を中心として閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示するというだけでなく 「プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定して表示手段に表 ,示される遊戯の主の動画画面の所定の位置に表示すると共に,前記シンボルの位置座標を中心として前記閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示」する構成を採用し,閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図を,コースマップの画像として,主の動画画面上に重ねて表示するものである。そして,この構成により,プレイヤーは視野を移動させることなく,直感的に次画面を予想しながらゲームを進行することができる利点がある。
これに対し,引用発明では,引用例1の第7図に示されるように,ドライビングコースと遊戯の主の動画画面とは,別個に分離されて表示されるとともに,レース場のレイアウトは固定表示である。このため,レース場のレイアウトと主の動画画面との間で視野を頻繁に変え,レース場のレイアウトで自己が操作する車両を探し,() , 出し しかも次画面 例えば左急カーブ を考えながらゲームをしなければならず円滑にゲーム展開できないという問題がある。
そして,引用発明のレース場のレイアウトの全体を,引用例2記載のレーダー画面に表示し,自己の車両(ガンダムに相当)の移動・回転に従ってレーダー画面の背景を相対的に移動・回転させ,あるいは,周知例4記載の地図のように,自己の車両の移動に従ってレーダー画面の背景を相対的に移動・回転するようにしても,ドライビングコース全体の縮図であるコースマップ及び車両(シンボル)を遊戯の主の動画画面上に重ねて表示すると共に,ドライビングコース全体の縮図であるコースマップを固定表示された車のシンボルに対して相対的に移動・回転させて表示するという,本願発明の独創的な構成が得られるものではない。
,,),() ( )なお 審決は 相違点について 周知例1及び1989年 平成元年 5 ii7月1日電波新聞社発行の「マイコンBASICMagagine」8巻7号282〜284頁(甲第4号証の4。以下「周知例5」という )を挙げて 「ドライ 。,ビングゲームにおいて,コースマップのコース上に車の位置を表示し,さらに同コースマップを遊戯の主の表示画像に重ねて表示することは,本願出願前周知・・・の技術常識である「引用例1記載の発明におけるコース全体図を,プレーヤの 。」,操作する車を意味する黒丸と共にレース場のレイアウトとして,ドライブゲーム表示画像に重ねて表示部22に表示することは,当業者が普通に導き出すことができる程度の事項と認められ 」と判断した。,しかしながら,引用発明のレース場のレイアウト全体をプレイヤー画面上に重ねて表示したとしても,固定されたコース上を車が移動する画面がプレイヤー画面上に見られるだけであり 「プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定し ,て表示手段に表示される遊戯の主の動画画面の所定の位置に表示すると共に,シンボルの位置座標を中心として閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示」する本願発明の構成を得ることはできず,審決の上記判断は誤りである。
4取消事由4(進歩性判断の誤り)( )審決は 「本願発明によって奏せられる効果は,各引用例に記載された事項1 ,及び周知技術事項に基づいて当業者であれば予測し得るものであり,格別顕著なものではない 」と認定したが,本願明細書に記載されているとおり,本願発明は, 。
「 , プレイヤーカー等の移動体を固定しているので遊戯者は移動体を探す必要がなくまた,遊戯者の操作に応じて固定した移動体に対して移動領域のコースマップを移動させるようにしているので,移動体のコースマップに対する位置や向きが即座に認識できると共に,それらの情報を頭の中で整理する必要がないことからカーブ等のコース情報やアザーカー等の各種情報に集中でき,それらの的確な把握が可能と。」(【】) ,,, なる段落という効果を奏するところ このような効果は 引用例1 00232及び周知の技術事項の組合せによって得られるものではない。また,上記相違点)〜)に係る作用効果も,引用例1,2又は周知の技術事項から,当業者が容iiiv易に予測し得るものではない。
被告は,上記作用効果が,引用発明と周知の技術事項を組み合わせることに伴っ, , , て 当業者が予測し得る範囲内のものであって 格別のものではないと主張するが当該主張は 「プレーヤの操作する車両を意味する黒丸を固定表示し,レース場の ,レイアウトを相対的に移動・回転させるよう構成すれば 」という条件付きのもの ,であり,しかも,当該条件は,本願発明の本質的部分である。本願発明の作用効果は,引用発明のレース場のレイアウトに,引用例2及び周知例5に記載の周知技術事項を適用しても得られるものではなく,上記本質部分に相当する「プレーヤの操作する車を意味する黒丸を固定表示し,レース場のレイアウトを相対的に移動・回転させる構成」を付加することにより,初めて本願発明の作用効果が得られるのである。
したがって,被告の上記主張は誤りである。
( )仮に,相違点 )〜)についての審決の判断に誤りがないとしても,本2iiv願発明は,引用例1,2に加え,4点もの相違点に係る周知慣用技術を組み合わせなければ構成できないものであるところ,これほど多数の技術を組み合わせることを要するということ自体に,進歩性が認められるべきである。多数の公知技術又は周知慣用技術を組み合わせて発明を創作することは,当業者であっても容易なことではないからである。発明を公知技術又は周知慣用技術と比較するに当たって,構成要件に分説した上,個々の相違点を比較することも重要ではあるが,発明が技術的思想創作であることにかんがみて,各要素が一体的に融合した発明全体の構成及び発明全体として奏する技術的作用効果を比較することは,それ以上に重要である。
特に,本願発明は,発明の本質的部分が相違点(相違点)となり,それが公iv)知文献に記載されていないばかりか,2件の公知文献(引用例1,2)と周知の技術事項(周知例5)だけでも足りず,さらに当業者の創作能力を加えなければ構成できないのであるから,当業者といえども,引用例の記載だけから,これらを理論的に組み立てて本願発明に想到することは容易なことではないと解する合理的理由がある。
第4被告の反論の要点1取消事由1(相違点 )についての判断の誤り)に対しi本願発明の要旨の「三次元仮想空間内において閉曲線状に構成されたドライビングコース上で,遊戯者による操作手段の操作に応じてプレイヤーカーを走行させるドライビングゲーム装置」との規定に,本願明細書の「ここで,この発明が前提としている三次元空間情報処理について説明する。TVモニタ30に映し出すための映像情報として,三次元的な情報を確保しておく。すなわち,映し出される映像に係る物体の位置や形状はすべて三次元座標空間における座標で特定される(段落。」【)との記載を併せ考えると,本願発明でいう「三次元仮想空間」とは,三0013 】次元座標で特定される仮想的な物体が配置される空間を指すものと解される。しかるところ,周知例1には,ドライブゲーム画面の注として「コースにはかなりのア。 」(), ップ・ダウンもある 空を飛んでしまいそうになる瞬間だ284頁右欄 との周知例2には 「実際にあるサーキットをモデルにしてコーナーや登り下りまで忠 ,, ,。」 実に再現した 全16コースを自由にテスト走行ができる TESTRUNモード(),,「 」 279頁右欄1〜5行 との 周知例3には走る快楽!コースはどこだ?との見出しと共に 「自動車ものも多いが,ボードに対応しているのと,パ ,AdLibッケージの裏にとんでもないジェットコースターのようなスタントコースが載ってSpectrumHoloByteSTUNT DRIVER いたので面白そうだと思って遊んだのが,社のだ ・・・宙返りするコースや,ジャンプ台(転落すると人食いサメのいる池に落 。
ちる! もある カスタムコースともなると 文字どおりスタントをやらされる 画 )。 , (面8(335頁中欄32行〜右欄22行)との記載,及び,下方に自動車の操 )。」縦席が,上方中程には宙返りしているコースが表示された画面8の注として「こんなコースがあっていいのか,いくらスタントとはいっても,ジェットコースターだよ,これじゃ(336頁左欄)との記載がそれぞれあり,これらの「コースには 。」かなりのアップ・ダウンもある「コーナーや登り下りまで忠実に再現した「宙 」, 」,返りするコース「ジャンプ台」等は,平面状のコースでは実現不可能なもので, 」,三次元仮想空間の座標で特定される立体的なドライビングコースでなければ表現できないものであるから,周知例1〜3記載のコースが,仮想空間の三次元座標で特定されていることは明らかである。
また,周知例1〜3の上記記載に,周知例1の「シミュレーション性を追求したカーレース物というと最近では,ポリゴン処理で完璧に近い3D表現とスピード感『』」(), を再現したナムコの ウイニングラン285頁右欄 との記載を併せ考えると引用発明におけるコースを三次元仮想空間内で構築するとともに,引用例1に記載されたドライブゲーム表示画像を,本願発明と同様の三次元仮想空間で展開されるドライブゲーム画像とすることは,当業者であれば適宜なし得る事項である(本願明細書の実施例においても,三次元画像処理として,周知例1と同様のポリゴン処。)。,「 」 理を採用しているそして三次元仮想空間で展開されるドライブゲーム画像が,二次元仮想空間のドライブゲーム画像に比べ格段の迫力と臨場感をプレイヤーに与えるという作用効果は,引用発明に上記周知事項を組み合わせたものでも奏することは明らかであって,本願発明に特有のものではない。
したがって,周知例1〜3に基づき,ドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構成することが,本件特許出願前周知の事項であると認定し,「引用例1記載の発明におけるコースを三次元仮想空間内で構築することは,当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない」とした審決の判断に誤りはない。
2取消事由2(相違点)についての判断の誤り)に対しiii原告は,取消事由2の主張の前提として,本願発明が,コースマップ画像の位置や向きを変化(移動・回転)させるようにする旨主張するが,本願発明の要旨が,「操作手段の操作に応じて変化する前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向きを演算手段により算出し 」と規定するとおり,本願 ,発明の「演算手段」は,プレイヤーカーのドライビングコース上における位置座標及び向きを算出するものであって,コースマップ画像の表示位置や回転角度を算出するものではない。そして,プレイヤーカーのドライビングコース上における位置座標及び向きを算出する本願発明の「演算手段」は,引用例1記載の,コース上の車両走行位置及び向きを算出する演算内容と同等のものである。したがって,原告の上記主張は本願発明の要旨に基づくものではなく,取消事由2の主張が失当であることは明らかである。
ところで,審決が認定したとおり,引用発明は 「プレーヤ入力部28から入力 ,される信号およびカーステータス等のデータに基づき,前記プレーヤ入力部28の操作に応じて変化する前記プレーヤの操作する車の前記コース上における車両走行位置および向きを演算制御部20により算出」するものであるが,操作情報等に基づき,コース上の車両走行位置及び向きを算出するには,コースに関する情報(形状や位置,大きさなど)が不可欠であることは明らかであり,このことを考慮すると 「演算制御部20」は,プレーヤ入力部28から入力される信号及びカーステ ,ータスのほか 「コースに関する情報」に基づき,プレーヤ入力部28の操作に応 ,じて変化するプレーヤの操作する車の,コース上における車両走行位置及び向きを算出するものである。しかるところ 「コースに関する情報」を表現するには,種 ,々の手法が考えられるが,引用例1の第11図にも記載されているように,TVゲームにおいては,仮想空間内の構成物の位置は,座標で管理・特定することが一般的であるから,上記「コースに関する情報」を座標により表現することは,当業者が通常なし得るものにすぎず,また 「コースに関する情報」として座標情報を採 ,用したことによる格別の作用効果もない。
審決は,上記の趣旨において,コースの形状や大きさを特定するデータとして,どのような表現形式を用いるかは,当業者が適宜決定し得る程度の事項にすぎないと判断したものである。
3取消事由3(相違点 )及び)についての判断の誤り)に対しiiiv( )引用例2には,画面の中央にプレイヤーの操作するキャラクタの位置及び 1向きを固定して配置し,プレイヤーの操作するキャラクタが移動・回転しても,レーダー画面上ではプレイヤーの操作するキャラクタの位置及び向きは変わらずに,当該キャラクタの周辺構成物である他のキャラクタが移動・回転して表示されるレーダー画面が記載されており,また,周知例4の〈従来技術〉には,車両現在位置を示すマークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示し,車両の移動や車両進行方向に合わせて当該車両の周辺地図が動くよう描画する自動車ナビゲーションシステムが記載されている。
そして,これら引用例2及び周知例4の記載事項から,レーダーや車載用地図等の周辺参照図上で,操作者が操作する移動体を位置及び向きを固定して表示するとともに,操作者の操作に応じて上記移動体の周辺環境図を相対的に移動・回転させて表示することは,本件出願前にごく普通に用いられていた周知慣用技術であると認められる。
そうすると,引用発明のレース場のレイアウト表示に,上記周知慣用技術を適用し,プレーヤの操作する車両を意味する黒丸の位置及び向きを画面上で固定表示するとともに,プレーヤの操作する車両の位置や向きの変化に応じて,上記黒丸の位置座標を中心として上記車両の周辺図であるレース場のレイアウトの移動・回転位置を計算,表示することは,当業者であれば容易に想到し得たものということができる。
( )原告は,本願発明のような,ゲーム機におけるコースマップの表示方法に2対して,周知例4に記載された自動車のナビゲーションシステムの地図表示方法を適用することは,技術的な背景の相違が大きすぎて不適当であると主張する。
しかしながら,引用発明のレース場のレイアウト表示と,周知例4に記載された自動車のナビゲーションシステムの地図表示とは,コンピュータ内で構築されている道路等,自車の周辺物位置データをモニタ上で画像により表現する点で共通しており,引用発明のレース場のレイアウト表示に,周知例4記載のナビゲーションシステム内で構築されている道路等,自車の周辺物位置データをモニタ上で表現する技術を適用することに格別の困難性はない。さらに,引用発明のレース場のレイアウト表示,周知例4に記載された自動車のナビゲーションシステムの地図表示及び引用例2記載のレーダー画面は,操作者の操作体周辺における他の物体との配置関係を示す参照図である点で共通するものであって,そのような周辺参照図を表示する分野において共通する技術を,引用発明における周辺参照図(レース場のレイアウト)に採用することは,当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
また,原告は,引用発明のレース場のレイアウトの全体を,引用例2記載のレーダー画面に表示し,引用例2,周知例4に記載されたように,自己の車両の移動に従ってレーダー画面の背景を相対的に移動・回転するようにしても,ドライビングコース全体の縮図であるコースマップ及び車両(シンボル)を遊戯の主の動画画面上に重ねて表示すると共に,ドライビングコース全体の縮図であるコースマップを固定表示された車のシンボルに対して相対的に移動・回転させて表示するという,本願発明の独創的な特徴が得られるものではないと主張するが,引用発明のレース場のレイアウト表示場所に,周知例1,5に記載の周知の技術事項を適用して,ドライブゲーム表示画像上にレース場のレイアウトを表示すると共に,レース場のレイアウトの具体的な表示態様として,引用例2,周知例4に記載の周知の技術事項, , を適用し プレーヤの操作する車を意味する黒丸の位置及び向きを画面上で固定しレース場のレイアウトを相対的に移動・回転するよう構成することは,当業者であれば容易に想到し得たものであり,かつ,このように構成したものが,ドライブゲーム表示画像とレース場のレイアウトに視線を移動することなくゲームを進行できる効果と,その効果とは種類の異なる,プレーヤは自分の操作する車を探す必要がなく,プレーヤの操作する車のコースに対する位置や向きが即座に認識できる効果を有することは明らかである。
( )原告は,審決の相違点)についての判断に対し,引用発明のレース場の3 iiレイアウト全体をプレイヤー画面上に重ねて表示したとしても,固定されたコース上を車が移動する画面がプレイヤー画面上に見られるだけであり 「プレイヤーカ,ーのシンボルをその位置及び向きを固定して表示手段に表示される遊戯の主の動画画面の所定の位置に表示すると共に,シンボルの位置座標を中心として閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示」する本願発明の構成を得ることはできないと主張するが,プレイヤーカーのシンボルの位置及び向きを固定するとともに,同シンボルの位置座標を中心としてドライビングコース全体の縮図を表示する構成については,上記のとおり,相違点)におivいて判断されており,相違点 )に係る問題ではない。 ii4取消事由4(進歩性判断の誤り)に対し( )原告は,本願発明の「プレイヤーカー等の移動体を固定しているので遊戯1者は移動体を探す必要がなく,また,遊戯者の操作に応じて固定した移動体に対して移動領域のコースマップを移動させるようにしているので,移動体のコースマップに対する位置や向きが即座に認識できると共に,それらの情報を頭の中で整理する必要がないことからカーブ等のコース情報やアザーカー等の各種情報に集中でき,それらの的確な把握が可能となる(段落【)という効果及び相違点 ) 。」】0023 i〜)に係る作用効果が,引用例1,2及び周知の技術事項の組合せによって得 ivられるものではなく,これらの技術事項から当業者が容易に予測し得るものでもないと主張する。
,,「 」 , しかしながら 上記のとおりプレイヤーカー等の移動体を固定している 点及び「遊戯者の操作に応じて固定した移動体に対して移動領域のコースマップを移動させるようにしている」点は,引用発明に周知の技術事項を組み合わせることにより得られる構成である。そして「遊戯者は移動体を探す必要がなく「移動体の」,コースマップに対する位置や向きが即座に認識できると共に,それらの情報を頭の中で整理する必要がないことからカーブ等のコース情報やアザーカー等の各種情報に集中でき,それらの的確な把握が可能となる」作用効果は,引用発明に,引用例2及び周知例4記載の周知の技術事項を適用し,プレーヤの操作する車両を意味する黒丸を固定表示して,レース場のレイアウトを相対的に移動・回転させるよう構成すれば,奏するものであることが明らかであり,当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものではない。相違点 )〜)に係る作用効果も,引用発明とiiv周知の技術事項を組み合わせることに伴って,当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって,原告の上記主張は失当である。
( )また,原告は,本願発明を構成するのに,多数の技術を組み合わせること2, 。 を要するということ自体に 本願発明の進歩性が認められるべきであると主張するしかしながら,発明の進歩性に関する審査又は審理は,当該発明と一の引用発明とを対比し,一致点及び,1個又は複数の相違点を認定し,その各相違点に係る構成がそれぞれ容易に想到し得たかどうかを判断することにより行われるもので,それぞれの相違点に係る構成,及び各相違点に係る構成を総合的に検討した作用効果が,いずれも容易に想到し得たものであれば,進歩性は否定されることになる。
したがって,進歩性の判断は,相違点の数や組み合わされる技術の数に左右されるものではなく,原告の上記主張は失当である。
第5当裁判所の判断1取消事由1(相違点 )についての判断の誤り)についてi原告は,周知例1には,ドライビングゲームのコースを仮想空間内で立体的に構成した三次元仮想空間の技術的な内容については,何ら開示されておらず,周知例2,3には,三次元空間の記載や説明が全くないから,周知例1〜3に基づいて,「ドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構成することは,本出願前周知の事項」であるとした審決の判断が誤りであると主張する。
しかしながら,周知例1には,カーレース・ゲーム「スーパーモナコGP」の紹介記事が掲載され,同記事中には 「コースにはかなりのアップ・ダウンもある。 ,空を飛んでしまいそうになる瞬間だ (284頁右欄2番目の図の説明文「シミ 」 ),ュレーション性を追求したカーレース物というと最近では,ポリゴン処理で完璧に近い3D表現とスピード感を再現したナムコの『ウィニングラン』やクラッチまで付けて実車感覚に近づけたアタリゲームの『』が有名。そこで,HARD DRIVENこの『スーパーモナコGP』の位置付けはどうかというと,シミュレーション性においては前述の2作にはおよばないかもしれませんが,スピード感,ギア操作,体感性,そしてレーサーの心理的感覚と,セガならではのグラフィックとゲーム性をうまくマッチングさせたところが,このゲームの評価すべき点ではないでしょうか(285頁右欄)との各記載があり,さらに,285頁上欄の図の右側には, 。」閉曲線状のコースマップ図が掲記されているから,周知例1には 「アップダウン,のある閉曲線状のコースを備えたドライビングゲーム」が記載されているものと認められる。
周知例2には,レーシング・ゲーム「F1トリプルバトル」等の紹介記事が掲載され,上記「F1トリプルバトル」につき 「モードは全部で3種類あり ・・・実 , ,際にあるサーキットをモデルにしてコーナーや登り下りまで忠実に再現した,全16コースを自由にテスト走行ができる,TESTRUNモード・・・が用意されています(279頁上中欄5行〜上右欄7行)との記載があり,279頁下段の図 。」の中に 「全16コースの中にはもちろん日本のものも入っている」との説明文と ,共に,閉曲線状のコースマップ2種類が示されているから,周知例2には 「現実,に存在するサーキットを,その登り下りまで忠実に模した閉曲線状のコースを備えたドライビングゲーム」が記載されているものと認められる。
周知例3には,米国の自動車走行ゲーム「」等の紹介記事が掲 STUNT DRIVER載され,同記事中には,上記「」につき 「宙返りするコースや, STUNT DRIVER ,ジャンプ台(転落すると人食いサメのいる池に落ちる!)もある。カスタムコースともなると,文字どおりスタントをやらされる(画面8(335頁右欄18〜 )。」22行)との記載があり,336頁左上の画面8には 「こんなコースがあってい ,いのか。いくらスタントといっても,ジェットコースターだよ,これじゃ 」との。
説明文と共に,宙返りループのあるコースのグラフィックが示されているから,周知例3には 「宙返りループやジャンプ台のあるコースを備えたドライビングゲー ,ム」が記載されているものと認められる。
そして,これら周知例1〜3に記載された各ドライビングゲームのコースは,いずれも高さの要素を含む三次元空間に構築されたものであることが明らかであるから,本件特許出願に係る優先権主張日である平成4年7月31日の約1〜3年前には,三次元仮想空間内に構築されたドライビングコースを有するドライビングゲームが製品化され,市販されていたものと認められ,そうすると,ドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構築することは,本出願前(正確には優先権主張日前)に周知の事項であったということができる。
原告は,三次元仮想空間に係る技術的な内容について開示されていないことを理由として,周知例1〜3に基づいて 「ドライビングゲームにおけるコースを,仮 ,想空間内で立体的に構成することは,本出願前周知の事項」であるとした審決の判断が誤りであると主張するが,たとえ,周知例1〜3自体に三次元仮想空間に係る技術的な内容が記載されていなくとも,上記のとおり,三次元仮想空間内に構築されたドライビングコースを有するドライビングゲームが製品化され,市販されていた以上,ドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構成することが周知であるとの事実が左右されるものではない。
また,原告は,三次元仮想空間のゲーム画面は,二次元仮想空間のゲーム画面に比べ格段の迫力と臨場感をプレイヤーに与える作用効果を有しているから 「引用,例1記載の発明におけるコースを三次元仮想空間内で構築することは,当業者が適宜なし得る程度の設計的事項にすぎない 」とした審決の判断は失当であるとも主 。
張するが,当該作用効果は,ドライビングゲームにおけるコースを,仮想空間内で立体的に構築する周知の構成を備えたゲームであれば当然に奏するものであるから,原告の上記主張を採用することもできない。
したがって,審決の相違点1についての判断に誤りはない。
2取消事由2(相違点)についての判断の誤り)についてiii( )原告は,プレイヤーカーのシンボルの位置及び向きを固定し,操作手段の 1操作に応じて,コースマップ画像の位置や向きを変化(移動・回転)させるようにした本願発明は,車のドライビングコース上の位置と,ドライビングコースに対する角度とに基づいて 「車の位置を基準としたゲームの主画面におけるコースマッ ,プ画像の表示位置と角度」を逐次再演算することが必要であり,コースマップの表示に関する演算において,引用発明と基本的に相違するものであるとした上で,審決は,本願発明の演算内容と引用例1記載の「演算制御部20」の演算の基本的な相違を看過しており,本願発明のように,コースマップ画像を移動・回転させるために,ドライビングコースの座標情報等を用いて,操作に従って各種の演算を行うように構成することは,当業者であっても容易なことではない旨主張する。
しかしながら,本願発明の要旨は,本願発明が行う演算につき 「前記操作手段,から入力される操作情報及び前記ドライビングコースの座標情報に基づき,前記操作手段の操作に応じて変化する前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向きを演算手段により算出し 」と規定するものであり,当該 ,規定は 「演算手段」が行う演算の内容を「前記操作手段の操作に応じて変化する ,」, 前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向き としその算出のための情報を「前記操作手段から入力される操作情報及び前記ドライビングコースの座標情報」としていることは明らかである。そして,審決は,かかる本願発明の要旨の規定に基づいて 「プレイヤーカーのドライビングコース上にお ,, , ける位置座標及び向きを算出する演算手段が それらを算出するための情報として操作手段から入力される操作情報と共に,本願発明では,ドライビングコースの座標情報を用いているのに対し,引用例1記載の発明では,そのようなドライビングコースの座標情報を用いているかどうか不明な点」を,本願発明と引用発明との相違点)として認定したものであり,上記本願発明の要旨の認定はもとより,相iii違点)の認定も原告は争っていない。iiiそうすると,本願発明につき,発明の要旨及び相違点)の認定の内容となっ iii「 ()」 ていない コースマップ画像の位置や向きを変化 移動・回転 させるための演算を 「演算手段」が行うことを前提として,審決の相違点)についての判断の誤 ,iiiりをいう被告の主張は,その前提自体失当といわざるを得ない。
( )しかるところ,引用例1には 「次に,本発明のゲーム装置をドライブゲー2 ,ムに適用した場合の具体例を説明する ・・・実施例のゲーム装置は,最大8人の 。
プレーヤによつて同時にレースができるよう構成されており,各ゲーム機10の表示部22上には,第7図に示すように他のプレーヤの操作する車もモニタ表示される(9欄15〜23行「第2図に示す装置においては,第8図に示す一群の 。」),伝送データがひとまとまりとなり,伝送ライン12を介して図中時計周りに伝送されるものとする ・・・この第8図に示す一群の伝送データは,プレーヤが操作す 。
る8台分の車の伝送データと,コンピユータが操作する16台分の車の伝送データとから構成されている。第9図には,第8図に示す一群の伝送データのうち,人間が操作する車の伝送データの詳細が示されており,実施例において該データは,基盤番号,ゲームステータス,ゲームグループ番号,コマンド,カーステータス,, 。, カウンタ チエツクサムの各データから構成されている ・・・カーステータスは車の状態,例えば車両走行位置等を表すデータであり,例えば第11図aに示すように,コースに沿つた走行位置をZ軸で表し,コースと直交する走行位置をX軸で,, 。」 表し 第11図bに示すように コースに対する車両の向きを回転角で表している(9欄42行〜11欄2行「ゲームが開始されると,これら3台のゲーム機10 ),-a,10-b,および10-hは,ビデオゲームの更新周期に同期して送られてくる第8図のデータをその都度取込む。そして,自己の所属するグループの伝送データ(実施例においては第9図に示すカーステータス情報)に基づき,ゲームの演算処理を行い表示部22上にゲーム画面を表示する(13欄34〜40行)との 。」各記載があり,第11図(a)には,Z軸とX軸とから成る閉曲線状のコースが図示され,第11図(b)には,車両を模擬した形状とコースに対する車両の向きを表す回転角が図示されている。
これらの記載によれば,引用発明において 「カーステータス」は,プレイヤー ,が操作する車両についての,当該操作の結果としての車両の位置とコースに対する車両の向きとを,それぞれ,ドライビングコース上の座標(Z軸及びX軸)と回転角とで表したデータであり,当該データは,当該車両に係る他のデータや,別の車,, , 両に係る同様のデータと共に 演算処理の対象となり その演算処理の結果としてゲーム機の表示部にゲーム画面の表示がなされること,すなわち 「プレイヤーカ,ーのドライビングコース上における位置座標及び向きを算出する演算手段が,それらを算出するための情報として,操作手段から入力される操作情報を用いること」が記載されているものと認められる。それと同時に 「カーステータス」は,プレ ,イヤーの操作する車両に係る情報が,ドライビングコース上の座標及び回転角により表されているのであるから,その位置座標を演算するに当たっては,ドライビングコースの形状,位置,大きさ等の特定をする必要があり,その特定のための情報,, , として 例えば ドライビングコースの座標情報を用いることが必要であることも当業者にとって明らかな事項というべきである。この場合に,ドライビングコースの形状,位置,大きさ等の特定のための情報として,ドライビングコースの座標情報以外に,他の表現形式が存在するとしても,いずれを用いるかは,当業者が適宜決定し得る事項である。したがって,引用例1の上記記載は 「プレイヤーカーの,ドライビングコース上における位置座標及び向きを算出する演算手段が,それらを算出するための情報として,ドライビングコースの座標情報を用いること」を示唆しているものということができる。
審決の相違点)についての判断は,以上と同旨であって,何ら誤りはない。
iii( )なお,原告は,本願発明の「演算手段」が演算するものが,プレイヤーカ 3ーのドライビングコース上における位置座標及び向きだけではなく,コースマップ画像の表示位置や回転角度をも演算するものである旨主張するが,仮に 「演算手,段」がコースマップ画像の表示位置や回転角度をも演算するものであるとしても,そのこと自体は 「演算手段」が 「前記操作手段から入力される操作情報及び前記 ,,ドライビングコースの座標情報」に基づいて 「前記操作手段の操作に応じて変化 ,する前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における位置座標及び向き」を演算することを妨げるものではなく,したがって,上記相違点)についてのiii審決の判断が誤りとなるものでもない。
3取消事由3(相違点 )及び)についての判断の誤り)についてiiiv( )周知例4(特開平3-2518号公報。平成3年1月8日公開)には,下 1記記載がある。
「 産業上の利用分野〉 〈本発明は自動車ナビゲーションシステムの地図描画方法に係り,特に車両進行方向がディスプレイ画面の上方向となるように地図を回転して表示する地図描画方法に関する。
〈従来技術〉地図データを記憶する記憶手段としてCD-ROMを利用した自動車用ナビゲーション・システムがある。かかる自動車用ナビゲーション・システムは,CD-ROMに大量の地図データを記憶させておくと共に,ディスプレイ装置や車両の現在位置を測定する位置測定装置等を設け,車両現在位置に応じた地図をディスプレイ画面に表示し,かつ車両現在位置を示すマーク(ロケーションカーソル)を地図上に表示し,車両の走行に応じて該マークを地図に対し相対的に移動させる。マークを地図に対し相対的に移動させるには2つの方法があり,第1の方法は地図を固定してマークを地図上で移動させるものであり,第2の方法はマークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示すると共に,地図を車両の移動に応じてスクロールするものである。
かかる自動車ナビゲーションシステムの地図描画においては,ディスプレイ画面の上方向が北となるように地図を描画する方法(ノースアップ)と,ディスプレイ画面の上方向が車両進行方向となるように地図を描画する方法(ヘッドアップ)がある。後者のヘッドアップ描画方法によれば容易に車両進行方向を把握でき,しかも地図の読み取りが容易になるという利点がある(1頁左欄17行〜2頁左上欄6行) 。」上記記載によれば,周知例4には,自動車ナビゲーションシステムの地図描画方法について 「車両現在位置を示すマーク(ロケーションカーソル)をディスプレ ,イ画面の一定位置に固定表示するとともに,当該車両現在位置に対応した地図を,ディスプレイ画面の上方向が車両の進行方向となるようにして,ディスプレイ画面に表示し,車両の走行による車両現在位置の変化に応じて,地図を移動させる」方法が,この方法を採用した場合の,容易に車両進行方向を把握でき,しかも地図の読み取りが容易になるという利点(作用効果)と併せて開示されているところ,周知例が平成3年1月8日公開に係る公開公報であり,かつ,上記記載が 「従来技,術」とされていることにかんがみると,上記自動車ナビゲーションシステムの地図描画方法及びその作用効果は,本件特許出願に係る優先権主張日である平成4年7月31日当時,周知の技術事項であったものと認めることができる。
しかるところ,上記1で引用した周知例1,2に,シミュレーション性を追求するドライビングゲームについて,クラッチなど,実際の自動車の操作手段を備えて実車感覚に近付けることや,実際に存在するサーキットをモデルにして,そのコーナーや登り下りまで忠実に再現したコースを備えることが記載されていることに照らすと,ドライビングゲームの企画,開発において,実際の自動車やカーレースに用いられている技術を参考にしたり,取り入れたりすることは,通常行われているものと推認することができる。
そうすると,実際の自動車に用いられる運転操作補助システムであるナビゲーションシステムの技術を,ドライビングゲームに転用しようとすることは,当業者が当然試みることと認められ,そうであれば,引用発明のコースマップの構成について,車両進行方向の把握とマップの読み取りとを容易にするため,上記「車両現在位置を示すマーク(ロケーションカーソル)をディスプレイ画面の一定位置に固定表示するとともに,当該車両現在位置に対応した地図を,ディスプレイ画面の上方向が車両の進行方向となるようにして,ディスプレイ画面に表示し,車両の走行による車両現在位置の変化に応じて,地図を移動させる」周知の自動車ナビゲーションシステムの地図描画方法を採用し 「プレイヤーカーが前記ドライビングコース ,上を走行するにつれて前記コースマップの画像を前記シンボルに沿って移動させて表示すると共に,前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における向きの変化に応じて,前記コースマップの画像を前記固定表示されたシンボルに対して相対的に回転させて表示する」構成,すなわち,相違点)に係る本願発明の構成ivとすることは,当業者であれば,容易に想到し得るものと認めることができる。
( )原告は,引用発明に示されるレース場のレイアウト全体を周知例4の地図2に対応させることに無理があるとか,周知例4に記載された自動車のナビゲーションシステムの地図表示方法を適用することは,技術的な背景の相違が大きすぎ,不適当であると主張する。しかしながら,引用発明のコースマップも周知例4に記載された上記ナビゲーションシステムも,自動車の現在の走行位置を,走行経路上で表示するシステムである点で共通するものであり,引用発明に示されるレース場のレイアウト全体と周知例4の地図とは,それぞれのシステムにおける走行経路を示すものに相当するものであるから,両者を対応させることが,格別無理であるとすることはできない。その他,原告が,上記主張の根拠として挙げる事由は,自動車ナビゲーションシステムが対象とするのは,ゲーム機である本願発明のような仮想空間ではなく,実空間であるから,自動車ナビゲーションシステムの場合には,主の動画画面とレーダー画面(コースマップ表示画面)といった概念は存在しないとか,自動車は,実際の道路上を走行するために,ゲーム機におけるドライビングコースの座標管理も不要であり,ドライビングコースの内側とか外側といった概念もないなどというものであり,要するに,ドライビングゲームが,仮想空間において自動車の走行を模擬するために要し,あるいは,自動車の走行を模擬することにより生ずる技術事項であって,実際の自動車の走行においては要しない(生じない)というものを挙げているにすぎない。他方,審決が,引用発明(ドライビングゲーム)に適用しようとする技術事項は,単なる車両現在位置を表示するシステムにおける地図描画方法であって,それが「車両現在位置を示すマークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示するとともに,当該車両現在位置に対応した地図を,ディスプレイ画面の上方向が車両の進行方向となるようにして,ディスプレイ画面に表示し,車両の走行による車両現在位置の変化に応じて,地図を移動させる」方法であるというにすぎず,原告の挙げるような,ドライビングゲームにおける走行の模擬と,実際の自動車の走行とによって相違する事項があるからといって,その適用が妨げられるものとはいえず,また,原告から,適用を阻害する具体的事由の主張もない。
原告は,ゲーム機と自動車のナビゲーションシステムでは,その利用対象者が相違しているとともに,利用する技術分野が全く異なるものであり,ゲーム機の分野に自動車のナビゲーションシステムの技術を応用することが日常化しているわけでもないと主張するが,これらの点に関しては,上記のとおり,ドライビングゲームの企画,開発において,実際の自動車やカーレースに用いられている技術を参考にしたり,取り入れたりすることは,通常行われているものと推認することができるのであり,これを覆すに足りる証拠はない。
( )原告は,さらに,本願発明が,プレイヤーカーのシンボル(車両位置を示3すマーク)を,その位置及び向きを固定し,シンボルの位置座標を中心として閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示するというだけでなく,閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図を,コースマップの画像として,主の動画画面上に重ねて表示するものであり,この構成により,プレイヤーは視野を移動させることなく,直感的に次画面を予想しながらゲームを進行することができる利点があるところ,引用発明のレース場のレイアウトの全体を,周知例4記載の地図のように,自己の車両の移動に従って相対的に移動・回転するようにしても,本願発明の独創的な構成が得られるものではないと主張する。
しかしながら,ドライビングコース全体の縮図を,コースマップの画像として,主の動画画面上に重ねて表示するという点は,原告自身が主張するとおり,本願発明の「プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定して表示手段に表示される遊戯の主の動画画面の所定の位置に表示すると共に,前記シンボルの位置座標を中心として前記閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示」する構成,すなわち,本願発明の相違点)に係る構成にii基づくものである(なお 「ドライビングコース全体の縮図を,コースマップの画 ,像と」する点は,引用発明も備えている。。), ,「」 しかるところ 周知例1の285頁上欄の図は 上記1の スーパーモナコGPに係る遊戯の主の動画画面であり,また,周知例5の284頁右下欄の一部重なった2枚の図も,同様に「スーパーモナコGP」に係る遊戯の主の動画画面であるところ,これらの図には,いずれも遊戯の主の動画画面に重ねてコースマップ図が表示されていると認めることができる。そうすると,同一のゲームに係るものとはいえ,一般のゲームユーザーを対象とするゲーム雑誌であるものと認められる周知例1,5に,2号連続して,ドライビングゲームにおいて,主の動画画面上にコースマップを表示する構成が紹介されているのであるから,周知例1,5の発行時期か( ), ら約3年が経過した平成4年7月31日 本件特許出願に係る優先権主張日 当時当該構成は,当業者にとっては周知の技術事項となっていたものと推認することができる。
そうすると,引用発明に上記周知の技術事項を適用し,相違点)に係る本願発ii明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得るものと認めることができる。
なお,原告は,引用発明のレース場のレイアウト全体をプレイヤー画面上に重ねて表示したとしても,固定されたコース上を車が移動する画面がプレイヤー画面上に見られるだけであり 「プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定し ,て表示手段に表示される遊戯の主の動画画面の所定の位置に表示すると共に,シンボルの位置座標を中心として閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示」する本願発明の構成を得ることはできないと主張するが 「プレイヤーカーのシンボルをその位置及び向きを固定して・・・表示 ,する」こと,及び「シンボルの位置座標を中心として閉曲線状に構成されたドライビングコース全体の縮図をコースマップの画像として表示」することは,上記相違点)に係る本願発明の構成である「前記プレイヤーカーが前記ドライビングコー Cス上を走行するにつれて前記コースマップの画像を前記シンボルに沿って移動させて表示すると共に,前記プレイヤーカーの前記ドライビングコース上における向きの変化に応じて,前記コースマップの画像を前記固定表示されたシンボルに対して相対的に回転させて表示する」ことを別の観点から規定しているにすぎず,したがって,この構成も上記( ),( )のとおり,容易想到である。
12( )したがって,原告の取消事由3の主張を採用することもできない。 44取消事由4(進歩性判断の誤り)について( )原告は,本願発明の「プレイヤーカー等の移動体を固定しているので遊戯1者は移動体を探す必要がなく,また,遊戯者の操作に応じて固定した移動体に対して移動領域のコースマップを移動させるようにしているので,移動体のコースマップに対する位置や向きが即座に認識できると共に,それらの情報を頭の中で整理する必要がないことからカーブ等のコース情報やアザーカー等の各種情報に集中で, 。」(【】), き それらの的確な把握が可能となる本願明細書段落という効果は0023引用例1,2及び周知の技術事項の組合せによって得られるものではないと主張する。
しかしながら,上記3のとおり 「プレイヤーカー等の移動体を固定している」 ,点,及び「遊戯者の操作に応じて固定した移動体に対して移動領域のコースマップを移動させるようにしている」点は,引用発明に,周知例4に示された従来周知の技術事項である「車両現在位置を示すマークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示するとともに,当該車両現在位置に対応した地図を,ディスプレイ画面の上方向が車両の進行方向となるようにして,ディスプレイ画面に表示し,車両の走行に,」 , よる車両現在位置の変化に応じて 地図を移動させる 方法を適用することにより得られる構成である。
また 「遊戯者は移動体を探す必要がな」いことは,上記周知事項の「車両現在 ,位置を示すマークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示する」ことから,直ちに予測し得る作用効果であり さらに 周知例4に 上記の地図描画方法の利点 作 ,,, (用効果)として 「車両進行方向の把握とマップの読み取りとを容易にする」こと ,が記載されているのであるから 「移動体のコースマップに対する位置や向きが即 ,座に認識できると共に,それらの情報を頭の中で整理する必要がない」との作用効果も,容易に予測し得るものである。そして,これらの作用効果により,遊戯者の精神作用に余力が生じた場合には,それを,ゲームの実行上有用な他の情報の処理に振り向けることができるから,ドライビングゲームに関しては 「カーブ等のコ,ース情報やアザーカー等の各種情報」に集中し,それらの的確な把握が可能となることは,自明である。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
なお,原告は,この点に係る被告の主張に 「プレーヤの操作する車両を意味す ,る黒丸を固定表示して,レース場のレイアウトを相対的に移動・回転させるよう構成すれば 」との文言があることを捉えて,被告の主張が条件付きのものであり, ,本願発明の作用効果は,引用発明のレース場のレイアウトに,引用例2及び周知例5に記載の周知技術事項を適用しても得られるものではなく,上記「プレーヤの操作する車を意味する黒丸を固定表示し,レース場のレイアウトを相対的に移動・回転させる構成」を付加することにより,初めて本願発明の作用効果が得られると主張するが,被告の主張に係る当該文言は,引用発明に,引用例2及び周知例4記載の周知の技術事項を適用した場合に実現する具体的構成を述べたものであることが明白であり,原告の上記主張は,被告の主張を正解しないものであって,失当である。
( )原告は,本願発明を構成するのに,多数の技術を組み合わせることを要す2るということ自体に,本願発明の進歩性が認められるべきであると主張する。
しかしながら,上記のとおり,本願発明は,引用発明との各相違点について,周知技術を適用することにより,その構成に容易に想到し得るものであって,その作用効果も,当業者の予測の範囲内のものである。そうすると,上記相違点の数や,引用発明に適用すべき技術の数が,本件の程度あったからといって,そのゆえに本願発明に進歩性が認められると解する余地はない。
5結論以上によれば,原告の主張はすべて理由がなく,原告の請求は棄却されるべきである。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 石原直樹
裁判官 高野輝久