審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成19ワ11981特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
平成18ネ10052特許権侵害差止等請求控訴事件 | 判例 | 特許 |
平成16ワ11060職務発明の対価請求事件 | 判例 | 特許 |
平成17ワ10524特許権侵害差止請求事件 | 判例 | 特許 |
平成16ワ25576特許権侵害差止等請求事件 | 判例 | 特許 |
関連ワード | 発明特定事項 / 公知技術 / 上位概念 / 下位概念 / 技術的範囲 / 明確性 / 発明の詳細な説明 / 実質的に同一 / クレーム / 出願経過 / 参酌 / 均等 / 均等論 / 均等侵害 / 置き換え / 置換 / 置換可能性 / 容易に想到(容易想到性) / 意識的除外(意識的に除外) / 信義則 / 特許発明 / 実施 / 構成要件 / 構成要件充足性 / 差止請求(差止) / 侵害 / 同意 / 設定登録 / 請求の範囲 / 釈明 / |
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元本PDF | 裁判所収録の全文PDFを見る |
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事件 |
平成
17年
(ネ)
10104号
特許権侵害差止等請求控訴事件
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控訴人(原告)アルゼ株式会社 訴訟代理人弁護士松本司,津山齊,土居範行,菊地将人 訴訟復代理人弁護士速見禎祥,池上慶 被控訴人(被告)株式会社SNKプレイモア 訴訟代理人弁護士高橋悦夫,西島佳男,目方研次,駒井慶太,芦住敦史,妻鹿 直人,坂根智和,辰巳和男,塩谷雄 補佐人弁理士辰巳忠宏 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2007/04/26 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1控訴人の求めた裁判1原判決を取り消す。 , , 2被控訴人は 原判決別紙物件目録記載のパチンコ型スロットマシンを製造し販売し,又は販売の申出をしてはならない。 3被控訴人は,上記パチンコ型スロットマシンを廃棄せよ。 4被控訴人は,控訴人に対し,10億円及びこれに対する平成16年3月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5仮執行宣言第2事案の概要本判決においては,原判決と同様に又はこれに準じて「被控訴人製品「本件特許権「本 」,」,件明細書」等の略称を用いる。 1本件は 「遊技機」に関する特許権を有する控訴人が,@被控訴人の製造販 ,売する被控訴人製品は,本件発明の技術的範囲に属するものであり,被控訴人製品を製造販売する行為は控訴人の特許権を侵害する,A仮に,被控訴人製品が本件発明の技術的範囲に属さないとしても,本件発明と均等なものとして本件特許権を侵害するなどと主張し,被控訴人製品の製造,販売行為の差止め及び被控訴人製品の廃棄並びに損害賠償を求めた事案である。 原判決は 本件発明の構成要件F-Aの 停止表示態様 とは 可変表示装置 3 , 「」,(リール)がすべて停止したときにおけるリールランプの点滅などによって演出される表示態様であり,可変表示装置のいずれかが停止したときに連動して表示される連動表示態様はこれに含まれないとした上で,争いのない被控訴人製品の動作によれば,被控訴人製品は各リールが停止するごとに報知する表示態様のみを取っており,すべてのリールが停止した場合に何らかの入賞役を報知する機能を有していないのであるから,本件発明の技術的範囲に属するものとはいえないとして,控訴人の請求を棄却した。 そこで,控訴人は,原判決を不服として控訴をし,構成要件F-Aの「停止表示態様」には連動表示態様が含まれないとした原判決の判断は誤りであると主張するとともに,当審において新たに,@上記「停止表示態様」に連動表示態様が含まれないとしても,被控訴人製品はすべてのリールが停止した場合に入賞役を報知する手段を備えているから構成要件F-Aを充足する,A被控訴人製品が本件発明の構成要件そのものに該当しないとしても,これと均等なものとして本件特許権を侵害するなどと主張した。 本件における当事者の主張は,次のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要等「第3争点に関する当事者の主張」記載のと 」,おりであるから,これを引用する。 2当審における控訴人の主張の要点(控訴理由の要点)(1)構成要件F-Aの「停止表示態様」の意義構成要件F-Aの「停止表示態様」は,すべてのリールが停止した場合に何らかの入賞役を報知する表示態様のみならず,各リールの停止に連動して演出される報知態様(連動表示態様)も含むものである。 アこのことは,請求項1の文言自体から明らかである。 構成要件F-Aの「停止表示態様」は 「前記可変表示装置の複数種類の停止表 ,示態様の中から選択された停止表示態様」であるから 「前記可変表示装置」が停 ,止する際の演出表示態様であることが文言上明らかであるところ,本件発明における可変表示装置は「種々の図柄を複数列に可変表示し…図柄の組み合わせを前記各列に停止表示する可変表示装置 (構成要件B ,すなわち,第1リール,第2リー 」)ル,第3リールという各列毎に図柄を停止表示するものであるから 「停止表示態,様」とは「複数列からなる可変表示装置の各列における停止の際の表示の様子」を意味することは一義的に明らかである。 また複数種類の停止表示態様から選択された停止表示態様による報知 は 前 ,「 」 「記可変表示停止手段からの信号に基づいて行われる」ものであり,当該「可変表示停止手段」とは 「停止ボタンの操作タイミングに応じて前記可変表示を各列毎に ,停止させる」ものであるから(構成要件E ,請求項1の「停止表示態様による報 )知」は,第1リール,第2リール,第3リールという停止順序に従ってその信号により遊技者に報知される演出を含むことは明らかである。 イ構成要件F-Aの「停止表示態様」が連動表示態様を含むことは,他の請求項の記載からも明らかである。 本件発明に係る請求項1の従属項である請求項3においては,請求項1の「報知手段」による「報知情報」が 「…前記可変表示の停止に連動して演出表示する連 ,動演出手段との各報知態様」による報知情報と 「…前記可変表示が全て停止した ,ときに演出する停止演出手段との各報知態様」による「報知情報」を含むことが明記されている。このような請求項1と3の関係によれば,請求項1の「可変表示装置による停止表示態様」は,リールの停止に連動する連動演出手段による報知態様と,リールが全停止したときの停止演出手段による報知態様を下位概念として含むことは明らかである。原判決は,請求項3と請求項1の関係につき 「請求項3は,報知手段の種類とその組合せを規定しているものであって,それぞれの報知手段による表示態様をどのように定義しているかについては,何ら触れられていない」と述べるが,この判断は誤りである。 ウ本件発明(請求項1)が形成された訂正請求書(乙3)によると,控訴人が訂正時に追加した「停止表示態様」が,実施例中の「連動表示態様」と「停止表示態様」の双方を含むことは明らかである。 すなわち,本件発明の「前記可変表示装置の複数種類の停止表示態様の中から選択された停止表示態様による報知」との規定は,本件訂正請求において追加された規定である(乙3 。同訂正請求書においては 「可変表示装置の複数種類の停止表 ) ,示態様の中から選択された報知」の訂正根拠として,設定登録時の明細書の段落【0061】〜【0066】の記載等に言及しているが,段落【0062】の「組合せ@は,遊技開始時に遊技開始音が鳴り,各リール3〜5の停止最中に『リールランプ消灯なし』の連動表示態様が現れ,各リール3〜5の停止後に『リールランプ点滅なし』の停止表示態様が現れる組合せである 」等の記載によれば,特許出 。 願人は,詳細な説明に連動表示態様(連動演出手段による表示態様)及び停止表示態様(停止表示手段による表示態様)の双方を含むものとして,訂正クレームを形成したことが明確に推知される。 また,本件発明(請求項1)は,乙3の訂正時に訂正前の請求項1を削除し,同請求項2に限定を付してこれを請求項1に繰り上げたものである。訂正前の請求項2には 「…前記可変表示開始手段および前記可変表示停止手段からの信号に基 ,づいて行われる個々の報知により形成される演出態様組合せを,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に基づいた報知情報として遊技者に報知する報知手段」を備えることが,発明特定事項として記載されていた。ここにいう「個々の報知に」 , より形成される演出態様組合せ を特定して特許請求の範囲の明確性を図るために「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」の組合せに限定したのが乙3の訂正である このような訂正前後の特許請求の範囲の記載から見て 訂正後の 停 。 ,「止表示態様」は,リールが「停止」したときにおける表示態様を意味するにすぎないと解すべきであり 「連動演出手段」による表示態様を排除する趣旨であると解 ,釈すべき理由はない。 エ構成要件F-Aの「停止表示態様」が連動表示態様を含むことは,本件明細書の発明の詳細な説明の記載からも明らかである。 本件発明の詳細な説明には,小役報知のための可変表示の停止時における演出表示態様として,多数の紙幅を割いて「連動演出手段による表示態様 (実施例にお」ける連動表示態様)と「停止演出手段による表示態様 (実施例における停止表示 」態様)とを並列的に開示しているのであり,開示の代償として独占権を付与するという特許制度の趣旨からして,たまたま,実施例における「停止表示態様」の語を訂正時にクレームに取り入れたからといって,本件明細書において十分に開示され「 」 , ている 連動演出手段による表示態様 が技術的範囲に含まれなくなるとするのは発明を開示した特許権者にとって余りに酷である。 (2)すべてのリールが停止した場合の表示態様仮に,原判決の判断するとおり,構成要件F-Aの「停止表示態様」がすべてのリールが停止した場合の表示態様のみを含むとしても,被控訴人製品は,すべてのリールが停止した場合に何らかの入賞役を報知する表示態様を備えている。 すなわち,被控訴人製品は,リールのすべてが停止したときの演出表示態様として 本判決添付別紙4記載の 0007H リールランプ演出0005H リー ,「」,「」,「」,「」, ルランプ演出0009H リールランプ演出0026H リールランプ演出「0070H」リールランプ演出等の演出表示態様を備えている。 また,被控訴人製品における連動演出手段による表示態様のうち,第3リールの停止の表示態様は,第3リール停止時を基準に見れば,すべてのリールが停止したときに演出される表示態様であるともいえる。 (3)構成要件F-@〜Bの充足性ア被控訴人製品によって行われる当選役の報知を,第1リール,第2リール,第3リールの各列が停止されるのに連動して順次演出される各列の表示態様と,すべてのリールが停止したときに演出される表示態様とに区分すると別紙4のとおりとなる。 別紙4の右端欄のア〜ツ(以下「組合せア」などという )に示されているとお 。 り,被控訴人製品は 「可変表示開始手段からの信号に基づいて行われる,配当あ ,る複数の異なる入賞態様に共通して現れる,複数の効果音の中から選択された効果音による報知 (構成要件F-@)及び「可変表示停止手段からの信号に基づいて 」行われる,前記可変表示装置の複数種類の停止表示態様の中から選択された停止表示態様による報知 (構成要件F-A)により形成される「演出態様組合せ」を, 」「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に基づいた報知情報として遊技者に報知する (構成要件F-B)手段を備えている。 」これを組合せア〜ツに基づいて具体的に説明すると,以下のとおりである (以。 下の(ア)〜(ツ)は,別紙4の組合せア〜ツに対応する。なお,組合せア〜ツのうち,BBフラグ間,RBフラグ間において「中チェリー」の報知情報としてウの演出をしないことは認める。。)(ア)被控訴人製品は 「カシャ(04H)+ゴー(飛行音 」という遊技開始音 , )及びリール全停止時の「0007H」リールランプ演出の演出態様組合せを 「一,般遊技中」の「中チェリー(2枚チェリー「上下チェリー(4枚チェリー, )」, )」「BBフラグ間 「RBフラグ間」の「中チェリー「上下チェリー」の各入賞態 」 」,様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 「0007H」リールランプ演出は,3×3のマトリックスによる,白色ランプの上下ライン及び「中・中」の点灯表示を端緒とし,次いで上中及び下中の白点灯に切り替わり,これがフェードアウトした後 「中・中」の点消灯と,当該点消灯 ,に対しタイミングをずらせた周囲の点消灯との組合せによって,放射状の点滅が繰り返されるごとく表される演出パターンである。 (イ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン(打鐘音)+ヒュー…ドン(落下音)+ ,ボヨン,ボヨン(大量跳躍音)+ハッ(敬礼音 」という遊技開始音,各列の停止 )操作に伴う第1「リール消灯及び特定図柄点灯 ・第2「リール消灯及び特定図柄 」点灯 ・第3「リール消灯及び特定図柄点灯 ,及び全停止時の「全リール消灯及び 」 」特定図柄点灯」の演出態様組合せを 「一般遊技中 「BBフラグ間 「RBフラグ ,」」間」の「上下チェリー「バナナ「スイカ「リプレイ」の各入賞態様に基づ 」,」,」,く報知情報として,遊技者に報知している。 (ウ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン+ヒュー…ドン」という遊技開始音,各 ,「」「」 列の停止操作に伴う第1 消灯及び特定図柄点灯 ・第2 消灯及び特定図柄点灯・第3「消灯及び特定図柄点灯 ,及び全停止時の「全リール消灯及び特定図柄点 」灯」の演出態様組合せを 「BBフラグ間 「RBフラグ間」の「中チェリー「一 ,」 」,般遊技中 「BBフラグ間 「RBフラグ間」の「上下チェリー「バナナ「ス 」」 」,」,」,「」 ,。 イカリプレイ の各入賞態様に基づく報知情報として 遊技者に報知している(エ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン+ヒュー…ドン」という遊技開始音,各 ,列の停止操作に伴う第1「消灯 ・第2「消灯及び特定図柄点灯 ・第3「消灯及び 」 」特定図柄点灯 ,及び全停止時の「全リール消灯及び特定図柄点灯」の演出態様組 」合せを 「一般遊技中 「BBフラグ間 「RBフラグ間」の「上下チェリー「バ ,」」 」,ナナ「スイカ「リプレイ」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に 」,」,報知している。 (オ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン+ヒュー…ドン」という遊技開始音, ,「」「」「」, 各列の停止操作に伴う第1 消灯 ・第2 消灯 ・第3 消灯及び特定図柄点灯及び全停止時の「全リール消灯及び特定図柄点灯」の演出態様組合せを,上記(エ)と同一の入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 ,「」,「」, (カ)被控訴人製品はカシャ という遊技開始音 停止操作に伴う第1 消灯及び全停止時の「第1リール消灯」の演出態様組合せを 「一般遊技中 「BBフラ ,」グ間 「RBフラグ間」の「バナナ「リプレイ」の各入賞態様に基づく報知情報 」 」,として,遊技者に報知している。 (キ)被控訴人製品は 「カシャ」という遊技開始音,各列の停止操作に伴う第1 ,「消灯 ・第2「消灯 ,及び全停止時の「第1,第2リール消灯」の演出態様組合 」」せを一般遊技中BBフラグ間RBフラグ間 の バナナスイカB ,「」「」「」 「」,「」,「Bフラグ間 「RBフラグ間」の「リプレイ」の各入賞態様に基づく報知情報とし 」て,遊技者に報知している。 (ク)被控訴人製品は 「カシャ」という遊技開始音,各列の停止操作に伴う第1 ,「消灯 ・第2「消灯 ・第3「消灯 ,及び全停止時の「全リール消灯」の演出態 」」」様組合せを 「一般遊技中 「BBフラグ間 「RBフラグ間」の「スイカ「BB ,」」 」,」「」 「」 , フラグ間RBフラグ間 の リプレイ の各入賞態様に基づく報知情報として遊技者に報知している。 ,「」 「」 (ケ)被控訴人製品はカシャ という遊技開始音及び全停止時の 0007Hリールランプ演出の演出態様組合せをBBフラグ間RBフラグ間 の 中チェ ,「」「」 「リー「上下チェリー」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知して 」,いる。 ,「」 「」 (コ)被控訴人製品はカシャ という遊技開始音及び全停止時の 0070Hリールランプ演出の演出態様組合せを 「BBフラグ間」の「中チェリー「上下 , 」,チェリー「バナナ「スイカ「リプレイ」の各入賞態様に基づく報知情報と 」,」,」,して,遊技者に報知している。 「0070H」リールランプ演出は,赤の「口」の字が点灯回転する演出パターンである。 (サ)被控訴人製品は 「カシャ+ピキーン(金属音 」という遊技開始音及び全 , )停止時の「全リール消灯」の演出態様組合せを 「BBフラグ間」及び「RBフラ ,グ間」の「中チェリー「上下チェリー「リプレイ」の各入賞態様に基づく報 」,」,知情報として,遊技者に報知している。 (シ)被控訴人製品は 「カシャ+ピキーン+足音」という遊技開始音及び全停止 ,時の 0009H リールランプ演出の演出態様組合せをBBフラグ間 の 中 「」 ,「」 「チェリー「上下チェリー」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知 」,している。 「0009H」リールランプ演出は,3×3のマトリックスによる,白色ランプの全点灯を端緒とし,これがフェードアウトした後ランプが「V」字形に点滅し,以後の点消灯演出へと展開する演出パターンである。 (ス)被控訴人製品は 「カシャ+シャキーン+BGM」という遊技開始音及び全 ,停止時の「0026H」リールランプ演出の演出態様組合せを 「BBフラグ間」,「RBフラグ間」の「中チェリー「上下チェリー「バナナ「スイカ「リ 」,」,」,」,プレイ」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 「0026H」リールランプ演出は,3×3のマトリックスによる,赤色全点滅を端緒とする演出パターンである。 (セ)被控訴人製品は 「カシャ+シャキーン+BGM」という遊技開始音及び全 ,停止時の「0027H」リールランプ演出の演出態様組合せを 「BBフラグ間」,の「中チェリー「上下チェリー「バナナ「スイカ「リプレイ」の各入賞 」,」,」,」,態様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 「0027H」リールランプ演出は,3×3のマトリックスによる,前消灯を端緒とし,次いで赤白の点滅がされ,以後の点消灯演出へと展開する演出パターンである。 (ソ)被控訴人製品は 「OK(B8H 」という遊技開始音及び全停止時の ,)0005H リールランプ演出の演出態様組合せをBBフラグ間 の 中チェ 「」 ,「」 「リー「上下チェリー」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知して 」,いる。 「0005H」リールランプ演出は,3×3のマトリックスによる,白色ランプの「V」字アニメーションを端緒とする演出パターンである。 (タ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン」という遊技開始音及び全停止時の「全 ,」,「」「」 「」, リール消灯 の演出態様組合せをBBフラグ間RBフラグ間 の バナナ「スイカ」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 (チ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン+ヒュー…ドン」という遊技開始音,各 ,列の停止操作に伴う第1 消灯 ・第2 消灯 ・第3 消灯及び全停止時の 全 「」「」「」,「」,「」「」 「」, リール消灯 の演出態様組合せをBBフラグ間RBフラグ間 の バナナ「BBフラグ間」の「スイカ」の各入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 (ツ)被控訴人製品は 「カシャ+ジャン+ヒュー…ドン」という遊技開始音及び ,「」,「」「」 全停止時の 全リール消灯 の演出態様組合せをBBフラグ間RBフラグ間の「上下チェリー」の入賞態様に基づく報知情報として,遊技者に報知している。 イ被控訴人の主張に対して被控訴人は,@被控訴人製品の演出はいずれも液晶部の動画演出に連動して演出を補助しているものにすぎない,Aストック機である被控訴人製品の全停止時における演出は ボーナス放出確定を報知するものであって中チェリー上下チェ , ,「」,「リー」などのボーナス放出確定の契機となる入賞態様を報知するものではない,B被控訴人製品においては 「効果音」と「停止表示態様」の組合せにより入賞態様 ,を絞り込む効果がないので,構成要件F-Bを充足しないなどと主張する。 (ア)しかしながら,被控訴人製品の特殊演出(0007H,0005H等)が液晶部の動画と連動しているからといって 上記の全停止時リールランプ演出が 可 , 「変表示手段が全て停止したとき」に行われる「可変表示装置の複数種類の停止表示態様の中から選択された停止表示態様による報知」でなくなるものではない。液晶,, 。 部の動画は せいぜい 前記構成要件充足性との関係では付加的なものにすぎないまた,本件発明は,リールの全停止時の演出に付加して液晶表示を用いることを排除していないどころか,液晶表示部におけるキャラクターや背景画像の変化を使, (【】 用することは 本件発明の実施例として明細書に記載されている 段落 0212【0213。】)被控訴人は,被控訴人製品の小役が液晶部の映像により直接的に報知されていると主張するが,原判決(39頁)の「被告製品説明書 「イ被告製品の動作 「c) 」」バックライト等による停止表示態様に基づく報知について」に「(i)第1リール停止に伴う第1リールバックライト消灯の場合には 『JAC (リプレイ『バ ,』),ナナ (9枚役『スイカ (6枚役)の当選フラグがセットされていることがあ 』),』る」ことが争いのない事実として摘示されている。このように,被控訴人製品が液晶画像によらず,バックライトの点消灯により小役の成立を報知することについては裁判上の自白が成立しているのであるから,被控訴人の上記主張は自白の撤回に当たり,控訴人はこれに同意しない。 (イ)被控訴人は,ストック機である被控訴人製品における「0007Hリールランプ演出」等の全停止時のリールランプ演出は,ボーナス放出確定を報知しているにすぎないと主張するが,ストック機とノーマル機には,制御あるいは遊技の実行上の本質的な差異は存在せず,ストック機である被控訴人製品におけるボーナス放出条件に関する構成は,本件発明の構成要件充足性とは関係がない付加的なものにすぎない。かえって,被控訴人製品においては 「チェリー」の内部当選がボー ,ナス放出の契機として重要視され 「チェリー」役の内部成立の可能性を示唆する ,報知態様が発生することにより,遊技者の興奮を高めるという作用効果を奏する。 したがって 「0007H」の演出は 「チェリー」役の内部成立の報知情報という ,,ことができる。 (ウ)構成要件F-Bは,効果音と停止表示態様の演出態様組合せを内部当選役の報知情報として遊技者に報知することを規定するものであるが,効果音により広い範囲の当選役が予兆され,停止表示態様により狭い範囲の当選役に絞り込まれるという限定は本件発明には存在しない 本件明細書の段落 0262 における 本 。【】「発明によれば,内部抽選によって決定された入賞態様が遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される 」との記載は,ゲームの進行に伴って内部当選役が徐々に報知 。 されていく本件発明の作用効果を意味するにすぎず,その内部当選役が効果音の演出から停止表示態様への演出の過程で一つに絞り込まれることを意味するものではない。 (4)均等侵害被控訴人製品が 「ボーナス放出条件の成就」を報知するものであり 「前記入賞 , ,態様決定手段により決定された入賞態様」を報知するものではないから,構成要件F-Bを充足していないとしても,被控訴人製品は,構成要件F-Bの構成と均等なものとして,本件特許権の侵害となる。 ア本件発明においては,一連の遊技の中で行われる報知,すなわち,構成要件F-@〜Bにおける「報知手段」の構成(効果音及び停止表示態様の演出態様組合せにより遊技者に対し報知を行う構成)こそ本質的部分であり,上記報知手段による報知対象が「大当たり」の当選フラグであるかとか,それ以外の「中当たり」あるいは「小当たり」の当選フラグであるとかは,本件発明にとって本質的部分ではない。本件発明の報知手段による報知対象が,ノーマル機における「ボーナス内部当選」からストック機における「ボーナス放出条件成就」の報知情報に置き換えられたところで,本件発明の本質には何ら変わりがない。 イ本件発明において「入賞態様決定手段により決定された入賞態様」が「ボーナス放出決定手段により決定されたボーナス放出条件の成就」に置換されたとしても 「ボーナス放出条件成就」という当選状態が,効果音による報知と停止表示態 ,様による報知の「演出態様組み合わせ」により遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される。すなわち,被控訴人製品と本件発明とは同一の効果を奏するのであるか, 「」 ら ストック機において本件発明の演出態様組合せにより ボーナス放出条件成就を報知することは,ノーマル機において「ボーナス内部当選」を報知することと実質的に同一である。したがって,被控訴人製品と本件発明との間には置換可能性がある。 ウ本件明細書の開示に接した当業者が,本件発明の請求の範囲における「入賞態様決定手段により決定された入賞態様」を「ボーナス放出条件決定手段により決定されたボーナス放出条件成就(とりわけチェリーの内部当選を契機とする条件成就 」に置換することが,容易になし得たものであることは明白である。 )エ被控訴人製品の「ボーナス放出条件の成就」なる技術事項は本件出願時に存在しなかった技術である。したがって,被控訴人製品が,本件出願時における公知技術と同一又は当業者が容易に想到できたとする事情は存在しない。 オ本件出願時において 「ボーナス放出条件決定手段により決定されたボーナ ,ス放出条件」なる技術事項(ストック機におけるストック放出条件)が公知技術として存在しなかった以上,本件出願経過において被控訴人製品における「ボーナス放出条件成就を報知する構成」が特許請求の範囲から意識的に除外されたとする事情は存在しない。 (5)時機に後れた攻撃防御方法の主張に対して被控訴人は,被控訴人製品がすべてのリールが停止した場合に入賞役を報知する機能を備えているとの控訴人の予備的主張を時機に後れた攻撃防御方法であると主張する。 しかしながら,原審では,構成要件F-Aにおける「複数種類の停止表示態様」に「連動表示態様」が含まれるか否かを主たる争点として当事者の攻撃防御が行われたものであり,原判決の判断を踏まえ,被控訴人製品の特定についての具体的主張を当審において改めて行うことは,控訴人にとって当然許されるべき訴訟追行である。また,被控訴人製品等のスロットマシンは,リールの停止制御はもとより各種の演出も,すべてマイコン制御で行われており,そのプログラムあるいはデータの構造,内容を知悉する被控訴人であればともかく,被控訴人製品の実機をただ1台入手し得たにすぎない控訴人にとって,機械語で書かれたプログラムを逆アセンブルして被控訴人製品が有するすべての演出態様を確認,実証することは困難である。このように,控訴人が,原審において3リール停止時の演出表示態様の存否及び正確な内容を解析し,訴訟資料として提出することは事実上困難であったのであるから,上記予備的主張は時機に後れた攻撃防御方法ではない。 3当審における被控訴人の主張の要点(1)構成要件F-Aの「停止表示態様」の意義「」 。 構成要件F-Aの 停止表示態様 の意義についての原判決の判断は正当である控訴人は,構成要件B及びEに言及して,F-Aの「停止表示態様」を解釈しようとするが,構成要件B,E,Fは並列的であり,構成要件Bを受けて構成要件Fが存在するわけではなく 構成要件Bの 各列に停止表示する という文言からF- ,「」Aの「停止表示態様」の意義が定まるものでもない 「各列に停止表示する」とい 。 う構成要件の意味は,3列のリールが各列のリール毎に図柄の組合せを停止表示する機能を備えていることを意味するにすぎず,このことから「停止表示態様」の意義が定まるものではない。 また,請求項1の「停止表示態様」の意義は,本件明細書及び図面より明確に解釈できるのであるから,請求項3の記載に影響されることはない。請求項3は,請求項1の従属クレームであるから,むしろ請求項1の意味が前提となる。 控訴人は,本件訂正請求書の記載も根拠とするが,原判決も説示するとおり,出願経過において出願人が提出した意見書等の記載と本件明細書の記載に齟齬がある場合には,本件明細書の記載を優先すべきは当然である。 控訴人は,原判決の判断は特許権者に酷であるというが,特許請求の範囲の内容や文言は特許出願人自身が選択することができるのであるから,連動表示態様を構成要件F-Aに含めなかったことによる不利益は控訴人自身が甘受すべきである。 (2)時機に後れた攻撃防御方法控訴人は 「停止表示態様」についての原判決の判断を前提としたとしても,被 ,控訴人製品においては,リールのすべてが停止したときの演出表示態様として,「0007H」リールランプ演出等が行われることは原判決も認めていると主張する。 「0007H」リールランプ演出等は,控訴人が,原審において提出した原告準備書面(2)の別紙4の中で第3リール停止時の演出態様と分類したものであり,同別紙5では「特殊演出態様」であるなどと説明していた。しかしながら,同準備書面の別の箇所では「第3リール停止時 「第2・第3リール停止時」にのみ行われ 」ると記載するなど,その主張には齟齬があったため,その後,被控訴人が釈明したところ,控訴人は,別紙4を差し替えた。原判決にも添付された差替え後の別紙4には 0007H との記載は残っていたが 別紙5は添付されず 控訴人が別紙5 「」,,の説明を維持するのか不明であった。原判決も,別紙4は添付しているが,別紙5は添付していないことによれば 「0007H」との記載を余事記載と理解してい ,ると考えられる。原判決は,原判決別紙被告製品説明書において「被告製品における点消灯演出態様は,…各リールが停止する毎に表示されるものであることについては,当事者間に争いがない(40頁)と整理している。 。」以上のとおり,控訴人が「0007H」の特殊演出態様を,第3リール停止時の演出態様として表示し,自ら意識的・意図的に審理対象から除外したにもかかわらず,当審において第3リール停止時は全リールの停止時を意味するなどと主張するのは,訴訟上の信義則に明らかに反し,時機に後れた攻撃防御方法というべきである。 さらに,控訴人は,原審において撤回した別紙4のBBフラグ間,RBフラグ間の図表を,新たな記載を加えて再提出しており,この点も訴訟の遅延を意図した時機に後れた攻撃防御方法である。 (3)構成要件F-@〜Bの非充足性ア本件発明は液晶部の存在しないスロットマシンに関する特許発明にすぎない。これに対し,被控訴人製品は,サブ基板を備えており,液晶を用いて,連続性があり,ストーリー性のある劇画・映画のような動画を表示することにより,パチスロ機のゲーム性,期待感を格段に高めた演出ができる。本件明細書には液晶表示部が存在するように記載されているが,これは数種類の静止画を一定時間,断続的に表示するものにすぎない。これに対し,被控訴人製品では,液晶部が遊技者の遊技開始前から常に動画を流し続けており,スタートレバー操作前から演出は既に開始し,第1,第2,第3のストップボタンからの信号により,動画のストーリー展開が様々に変化し,動画の中には第3リール停止時に一定時間を経てから終了するものもある。また,被控訴人製品の液晶部の演出とこれに付随するリールバックランプの特殊演出は 「効果音 「連動表示態様 「停止表示態様」のいずれかに分離 ,」」して分類できる演出でもない。したがって,構成要件F-@〜Bを充足しない。 イ被控訴人製品によるボーナス放出情報の報知(構成要件F-B)被控訴人製品は,いわゆる「ストック機」であり,入賞態様決定手段によりボーナス(RB,BB)が内部当選(ボーナスフラグが成立)しても,直ちにボーナス図柄を揃えることはできず,ボーナス当選は,内部にストックされる。ボーナス当選をストックした後,予め決められた一定条件が達成されなければ,ボーナス図柄を備えることができない。このボーナス放出条件は,被控訴人製品でいえば,@一定のゲーム数の消化,Aチェリーの内部抽選による当選及びボーナス放出抽選での当選,Bハズレの内部抽選による当選である。 入賞態様決定手段により決定されたボーナスフラグは,このようなボーナス放出条件が成就しない限り,次回以降に持ち越しとなる。ボーナスがストックされた状態で行われる遊技においては,再度,スタートレバー押下げ後,入賞態様決定手段により入賞態様が決定される。次回以降で決定された入賞態様が,例えばチェリーであった場合,その遊技中では,入賞態様決定手段で決定されたチェリーのフラグと,ストックされたボーナスフラグの両方のフラグが立っていることになる。 ボーナス放出条件が成就しない場合には,チェリーのフラグの方を,報知する情報として必然的に選択することとなる。逆に,ボーナス放出条件が成就した場合,遊技者には,その遊技回における入賞態様決定手段により決定した入賞態様(例えばチェリー)よりも,ストックされたボーナスが放出されることの方が決定的に関心のある情報であるため,被控訴人製品では,ストックされたボーナスの放出条件が成就し,ボーナスを放出するという情報を報知することとしている。ボーナス放出条件の成就ではない「中チェリー 「上下チェリー」の入賞の場合には,別の演 」出態様(箱がキャラクターの目の前に落ちてきて,キャラクターが拳銃を発射すると箱が割れて中からチェリーの図柄が現れる演出など)が表示される。 全リール停止後の「0007H 「0005H「0009H「0026H , 」」,」,」「0027H「0070H」の各特殊演出は,すべてボーナス放出確定を報知す 」,る液晶部の特殊演出に伴うものであり,各特殊演出が各入賞態様のいずれかに対応して報知するものではない 「中チェリー」又は「上下チェリー」が内部抽選で当 。 選しても,ボーナス放出抽選に当選しなかった場合は,特殊演出態様が現れることはない。 したがって 別紙4のア コ ケ 0007Hシ 0009Hス 0026 ,, , (), (), (H ,セ(0027H ,ソ(0005H)の特殊演出態様は,ボーナス放出の確定 ))を報知しているのであって 「入賞態様決定手段で決定された入賞態様」を報知し ,ているものではないから,構成要件F-Bを充足しない。 ウ構成要件F-@の「効果音」について遊技開始音+液晶部の演出音は,F-@の「効果音」に該当しない。 (ア)「04H」について本件発明の「効果音」は聴覚効果によって報知情報を報知しようとするものであるところ,被控訴人製品の液晶部の液晶画像による演出は,視覚効果により報知情報を報知するものであり,根本的に構成が異なる。被控訴人製品の液晶部の各演出音は,液晶部の演出に付随するものであり,スタートレバー押下げ直後には,遊技開始音「04H」が出音され,液晶部の演出音は,液晶部における演出とともに,第1,第2,第3ストップボタン停止時まで,連続して出音される(乙9 。この)ように,スタートレバー押下げに次いで出音し,第1ストップボタン停止時,さらにその後にまで発せられる被控訴人製品の液晶部の各演出音を,連続した一つの出音ということはできない。 また,被控訴人製品の「04H」は,ハズレを含む入賞役のすべての場合に共通して現れるものであるから,何ら入賞役の当選を期待させるものではなく,単に遊技が開始したことを知らせる音にすぎない。 (イ)「OK」について控訴人は,BBフラグ間において「中チェリー 「上下チェリー」という配当の 」ある複数の入賞態様に共通して現れる「OK」と表現される効果音が発せられるとし,これがF-@を充足すると主張する。 しかしながら 「OK」の遊技開始音は,ボーナス放出確定を報知するものであ ,る。ストック機である被控訴人製品では,チェリーの内部抽選による入賞がボーナス放出の契機となっている。このため,たまたま「中チェリー 「上下チェリー」」が内部抽選により当選した場合に,ボーナス放出が確定する場合があり,その場合に「OK」の遊技開始音が現れる。遊技者は,遊技開始音で「OK」の音が出現すれば 直ちにボーナス放出が確定したことを報知され その一回の遊技中で 中チェ , ,「リー 「上下チェリー」が揃って当選したとしても,遊技者は,それによりボーナ 」ス放出が確定したことを確認するにすぎない。このように,遊技開始音「OK」はボーナス放出が確定したことを報知するものであるため,2以上の複数の入賞役が内部当選したことを期待させる効果を奏するものではない。 (ウ)「オイ」被控訴人製品のBBフラグ中に現れる遊技開始音「オイ」も 「OK」と全く同,様にボーナス放出確定を報知するものである。 エ構成要件F-Bの「演出態様組合せ」について構成要件F-Bの「演出態様組合せ」は,本件明細書の「遊技者が操作を進めて行くに連れて内部抽選によってどのような入賞態様が決定されたが徐々に報知されることになり,内部抽選結果を単に報知するのとは異なり,操作を進めれば進めるほど判明して行く入賞態様に起因して遊技者は熱くなる(段落【0012 )と 。」】の効果を奏するものでなければならない。 そうすると,@遊技開始音と停止表示態様の組合せが1対1対応の場合には,遊技開始音だけで既に入賞態様の内部当選を確定的に報知していることになり 「操,」 , 作を進めて行くにつれて徐々に報知する との効果を奏することにはならないので遊技開始音と停止表示態様の組合せは1対多対応でなければならない,A同様の理由から,入賞態様のすべてに同じ「演出態様組合せ」が割り当てられていてはならない,B「演出態様組合せ」を構成する遊技開始音は遊技開始音のそれぞれが,複数の入賞態様の場合に現れることにあり,遊技開始音が複数あっても,その遊技開始音が,特定の入賞態様のみに現れるような場合は含まない。 以上に基づき検討すると,組合せア〜ツは,以下のとおり,構成要件F-Bを充足しない。 (ア)スタートレバー操作後に液晶画面に現れる戦闘機の飛行の映像(液晶演出音を伴う )と,第3停止ボタン操作時に現れる3名のキャラクター又は3台の戦 。 車の登場の映像により(ファンファーレなどの液晶演出音を伴う,次回遊技で組。)合せス又はセのボーナス放出条件確定演出に続くことを予兆・報知している04。「H」の遊技開始音(単音)は,すべての8種類の入賞態様の内部当選の場合に現れるものであり,スタート音にすぎないので,入賞態様を報知するものではなく,上記「効果音」の要件を充足しない。仮に,04H+「ゴー」の合成音が効果音だとしても,04H+「ゴー」に対応する特殊演出態様は 「0007H」の一種類に ,すぎないので,1対1の対応関係となるにすぎない。 (イ)スタートレバー操作後,液晶画面に落下してきたキャラクターのリュックの中から内部当選役のシンボル図柄そのものが登場することにより,液晶画像で直接的に小役の内部当選役を予兆・報知している。 (ウ)スタートレバー操作後,液晶画面に箱が落下し,第1停止ボタン操作時に箱が割れて中から内部当選役のシンボル図柄そのものが登場することにより,直接的に内部当選役を予兆・報知している。 (エ)スタートレバー操作後,液晶画面に箱が落下し,第2停止ボタン操作時に箱が割れて中から内部当選役のシンボル図柄そのものが登場することにより内部当選役を直接的に予兆・報知している。仮に,第1停止ボタン操作時にリールバックランプ消灯が行われることだけに着目しても,この演出は,すべての入賞態様に共通して現れるため,本件発明の作用効果を奏するものではない。 (オ)スタートレバー操作後,液晶画面に箱が落下し,第3停止ボタン操作時に箱が割れて中から内部当選役のシンボル図柄そのものが登場することにより内部当選役を直接的に予兆・報知している。仮に,第1停止及び第2停止ボタン操作時にリールバックランプ消灯が行われることだけに着目しても,この演出は,すべての入賞態様に共通して現れるため,本件発明の作用効果を奏するものではない。 (カ)第1停止ボタン操作時にリールバックランプが消灯することにより,リプレイ又はバナナ(フラグ間ではスイカ)の内部当選役を予兆・報知している。第1停止ボタン操作時にバックランプ消灯するのは,本件明細書中に記載の連動表示態様に関するものであるから,請求項1を充足しない。04Hは,スタート音にすぎ, ( ,。)。 ず 効果音の要件も充足しない 04Hの構成を備えるものについては 以下同様(キ)第1停止ボタン操作時及び第2停止ボタン操作時にリールバックランプが消灯することにより,バナナ又はスイカ(フラグ間では,リプレイ又はスイカ)の内部当選役を予兆・報知している。第1停止ボタン操作時及び第2停止ボタン操作時にバックランプ消灯するのは,本件明細書中に記載の連動表示態様に関するものであるから,本件発明(請求項1)を充足しない。 (ク)第1停止ボタン操作時,第2停止ボタン操作時,及び第3停止ボタン操作時にリールバックランプが消灯することにより,スイカ(フラグ間では,リプレイ又はバナナ)の内部当選役を予兆・報知している。第1停止,第2停止及び第3停止ボタン操作時にバックランプ消灯するのは,本件明細書中に記載の連動表示態様に関するものであるから,本件発明(請求項1)を充足しない。 (ケ)該当する演出は存在しない。 (コ)第3停止ボタン操作時に液晶画面に「7」の文字図柄が登場することにより ボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している04H と 0070 , 。「」 「H」の特殊演出態様の組合せは,ボーナス放出条件の確定を報知するものであるから,RB,BBを除くすべての入賞態様の内部当選の場合に共通して同じ演出態様が現れるものである。 (サ)スタートレバー操作時にキャラクターが何かに気づいた様子をし,第3停止ボタン操作時に液晶画面にキャラクターの横から「7」の文字図柄又は「オイ」とかけ声をかけるキャラクターが登場することにより,ボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。 組合せサ,タ,ツのリール全停止後の全リールランプ消灯は,そもそも停止表示態様の文言に該当しない。仮に,全リールランプの消灯も停止表示態様の文言に入, , , るとしても 04H+全リールランプの消灯の演出は コのコメントと同様にRBBBを除くすべての入賞態様の内部当選の場合に共通して現れるものである。 (シ)スタートレバー操作時に液晶画面でキャラクターが何かに気づいた様子をして走り去り,第3停止ボタン操作時に液晶画面にキャラクターが拳銃を発射して「7」の文字図柄が登場することにより,ボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。仮に 「04H+ビキーン・タカタカタカ」の合成音を効果音で ,あると解しても,この合成音に対応する特殊演出態様は 「0009H」の一種類 ,だけであり,1対1対応となるにすぎない。 (ス)スタートレバー操作時に液晶画面の「司令官を仕留めろ」という字幕から始まり,第3停止ボタン操作時に「7」の文字又は「VICTORY」の文字が登場する一連の液晶演出によりボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。 (セ)スタートレバー操作時に液晶画面の「司令官を仕留めろ」という字幕から始まり,第3停止ボタン操作時に「7」の文字又は「VICTORY」の文字が登場する一連の液晶演出によりボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。 (ソ)スタートレバー操作時に「OK」という音を発することによりボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している 「OK」の遊技開始音の場合に現れ 。 る特殊演出態様は 「0005H」一種類であり,1対1の対応関係になるにすぎ ,ない。 (タ)スタートレバー操作時に液晶画面でキャラクターが何かに気づいた様子をし画面の視点がスライド移動し,第3停止ボタン操作時に液晶画面にキャラクターの前に「7」又は「オイ」と声を発するキャラクターが登場することにより,ボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。 (チ)スタートレバー操作時に液晶画面でキャラクターの前に鉄の箱が落ち 第1,停止ボタン操作時に箱が割れて「7」又は「オイ」と声を発するキャラクターが登場することにより,ボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。 第1,第2,第3リール停止時の消灯演出は,連動表示態様にすぎない。 (ツ)スタートレバー操作時に液晶画面でキャラクターの前に木の箱が落ち 第3,停止ボタン操作時に箱が割れて「7」又は「オイ」と声を発するキャラクターが登場することにより,ボーナス放出条件が確定したことを予兆・報知している。 以上のとおり,被控訴人製品について控訴人が指摘する構成は,いずれも構成要件F-Bの「演出態様組合せ」の要件を充足していないことは明らかであり,このため,被控訴人製品は本件特許権を侵害していないことは明白である。 (4)均等侵害の主張に対して控訴人は,被控訴人製品が本件発明と均等なものとして,本件特許権の侵害に当たると主張する。 しかしながら,控訴人の全リール停止後の「0007H」等の特殊演出態様に関する主張そのものが,時機に後れた攻撃防御方法である。かかる時機に後れた攻撃について,念のために被控訴人がした反論に対し,さらに均等論を展開することが時機に後れた攻撃防御方法であることは当然である。しかも,控訴人は,被控訴人が上記反論の準備書面を提出して,さらに弁論準備手続を経た時点で均等侵害の主張を初めてしているのであるから,控訴審の審理を遅延させるための主張というほかない。 なお,本件発明は,上記のように大当たり以外の入賞態様についても報知し,遊技が進行していくにつれて入賞態様を徐々に報知していくことに本質的特徴があるから,何を報知情報とするかは本件発明の本質的部分であり,また,ボーナス放出条件が成就しボーナスが確定した情報を確定的に報知することは,本件発明の作用効果を奏することがないことは明らかである。 第3当裁判所の判断1構成要件F-Aの「停止表示態様」の意義について当裁判所も,構成要件F-Aの「停止表示態様」は,可変表示装置(3リール)のすべてが停止したときにおけるリールランプの点滅などによって演出される表示態様と解すべきであり,連動表示態様を含まないと判断するが,その理由は,次のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第4 当裁判所の判断 「1」争点2(構成要件F-Aにおける「停止表示態様」の意義)について」のとおりであるから,これを引用する。 (1)控訴人は,構成要件BやEの文言に照らし,請求項1の「停止表示態様による報知」は,第1リール,第2リール,第3リールという停止順序に従ってその信号により遊技者に報知される演出を含むと解すべきであると主張する。 しかしながら,構成要件Bは,可変表示装置が 「種々の図柄を複数列に可変表 ,示」することと 「入賞態様決定手段で決定された入賞態様に応じた図柄の組み合 ,わせを…各列に停止表示する」ことを記載しているにすぎず,入賞態様をどのように遊技者に報知するかについて特定又は示唆するものではない。 また,構成要件Eは,停止ボタンを操作することにより,入賞態様決定された入賞態様を有効化入賞ライン上に停止表示させ,場合によって停止表示させないことについて記載しているにすぎず,入賞態様をどのように遊技者に報知するかについて特定又は示唆するものではない。 したがって,構成要件B及びEの記載に基づいて,構成要件F-Aの「停止表示態様」が「連動表示態様」も含むという結論を導き出すことはできない。 (2)原告は,請求項1の「可変表示装置による停止表示態様」がリールの停止に連動する連動演出手段による報知態様と,リールが全停止したときの停止演出手段による報知態様を下位概念として含むことは,請求項3と請求項1との関係から明らかであると主張する。 しかしながら,請求項3には「連動演出手段」と「停止演出手段」との用語が用いられているものの,同請求項には「停止表示態様」という用語は用いられておらず,この用語が「連動演出手段」と「停止演出手段」のいずれをも含むことを示し。,, 又は示唆する記載も存在しない 原判決も判示するとおり 本件明細書においても「連動表示態様」と「停止表示態様 ,あるいは「連動演出手段」と「停止演出手 」段」とは明確に区別して使用され 「停止表示態様」が「連動演出手段」と「停止 ,演出手段」の上位概念に当たることを示す記載は存在しない。 また,請求項1と3の関係については,請求項1において,その演出態様の組合せを「効果音」と「すべてのリールが停止したときの表示態様」とし,連動表示態様を組合せに加えないとした上で(ただし,請求項1は連動表示態様を備えた遊技機を排除するものではない,請求項3において報知態様の組合せをさらに特定し 。)たものと理解することができるのであり,請求項1の「停止表示態様」をすべてのリールが停止したときの表示態様と解したとしても,何ら不自然,不合理な点はない。 ,, 「」 したがって 請求項3の記載から 請求項1の構成要件F-Aの 停止表示態様が連動表示態様を含むとの結論を導くことはできない。 (3)控訴人は,請求項1の訂正の経過や,本件明細書の記載に照らしても,構成要件F-Aの「停止表示態様」は連動表示態様も含むと主張する。 しかしながら,本件明細書において 「連動表示態様」と「停止表示態様」との ,用語,あるいは「連動演出手段」と「停止演出手段」との用語が明確に区別して使用されていることは,原判決が判示するとおりであり,請求項1の訂正の経過において言及のなされた本件明細書の段落 0061 〜 0066 においても停 【】 【】,「」 「」 , 止表示態様 と 連動表示態様 との用語は区別して使用されているのであるから,「」 , 本件明細書の記載や訂正の出願経過を参酌しても 請求項1の 停止表示態様 は本件明細書にいう「停止表示態様」と「連動表示態様」のうち 「停止表示態様」,のみを構成要件としたものと理解することが自然である。 (4)以上のとおりであるから,請求項1の構成要件F-Aの「停止表示態様」, 。 は すべてのリールが停止したときに演出される表示態様をいうと解すべきである2「停止表示態様」の具備について(1)被控訴人製品が,すべてのリールが停止した場合に入賞役を報知する表示態様として 「0007H」リールランプ演出(3×3のマトリックスによる,白 ,色ランプの上下ライン及び「中・中」の点灯表示を端緒とし,次いで上中及び下中の白点灯に切り替わり,これがフェードアウトした後 「中・中」の点消灯と,当 ,該点消灯に対しタイミングをずらせた周囲の点消灯との組合せによって,放射状の点滅が繰り返されるごとく表される演出パターン「0005H」リールランプ演 ),出(3×3のマトリックスによる,白色ランプの「V」字アニメーションを端緒とする演出パターン「0009H」リールランプ演出(3×3のマトリックスによ ),る,白色ランプの全点灯を端緒とし,これがフェードアウトした後ランプが「V」字形に点滅し,以後の点消灯演出へと展開する演出パターン「0026H」リー),ルランプ演出(3×3のマトリックスによる,赤色全点滅を端緒とする演出パターン「0070H」リールランプ演出(赤の「口」の字が点灯回転する演出パター ),ン)を行う機能を備えていることは,当事者間に争いがない。これらのリールランプ演出は,構成要件F-Aの「停止表示態様」に該当するものと認められる。 (2)控訴人は 被控訴人製品における連動演出手段による表示態様のうち 第3 , ,リールの停止の表示態様は,第3リール停止時を基準に見れば 「すべてのリール,が停止したときに演出される」ものであるともいえると主張する。 しかしながら,原判決の摘示する本件明細書の記載(例えば,段落【0041】〜【0053 )にも示されているとおり,第3の停止ボタンの操作に伴う表示態 】様は連動表示態様による演出の一部であるのに対し 停止表示態様は すべてのリー ,,ルが停止したときの表示態様であるから,連動表示態様と停止表示態様は異なる演出態様であり,第3リール停止時の演出自体を構成要件F-Aの「停止表示態様」であるということはできない。 ただし,本件明細書の段落【0050】に「第1の停止表示態様は…各リール3〜5の全停止時に,各リール3〜5の全てのバックランプ57a〜57cを点灯したままの状態とし,点滅制御はしない 」と記載されているように,構成要件F- 。 Aの「停止表示態様」には,第3の停止ボタンの操作に伴う演出の後に,何らの点滅制御をしない演出も含むと理解できる。したがって 「0070H」リールラン ,プ演出等の演出がなされない場合は 「リールランプ点滅なし (本件明細書の段落 ,」【】) 。 0050 及び図18参照 との停止表示態様であると解することが相当である3演出態様組合せア〜ツが構成要件Fを充足するかどうかについて(1)構成要件F-Bは 構成要件F-@の 効果音による報知 と構成要件F- ,「」Aの「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せを 「入賞態様,決定手段で決定された入賞態様に基づいた報知情報」として遊技者に報知するというものである。それにより,本件発明は 「内部抽選によって決定された入賞態様 ,が遊技の一連の流れの中で遊技者に報知される。従って,演技の面白味が増し,また,リーチ目の出目を判断できない遊技の初心者であっても,遊技の一連の流れの中でこの報知によってある程度入賞態様の予測をすることが可能となる (段落」【0262 )との効果を奏する。 】このように,本件発明は 「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」 ,により形成される「演出態様組合せ」を「入賞態様」の報知情報として遊技者に報知し,それにより遊技の初心者が,遊技の一連の流れの中で入賞態様を予測できるようにするものであるから,逆にいうと,@「効果音による報知」と「停止表示態様による報知 のいずれかにより 入賞態様 が報知されるものである場合 A 入 」「」 , 「賞態様」の報知が「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」の演出態様の組合せ以外の他の方法により行われるものである場合,B「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せが 「入賞態様決,定手段で決定された入賞態様」以外のものを報知するものである場合等は,構成要件F-Bを充足しないというべきである。 (2)以上を前提に,控訴人の主張する別紙4のア〜ツの演出態様組合せが構成要件F-@〜Bを充足するかどうかについて検討する。 アまず,被控訴人製品がいわゆるストック機であることや,液晶部による画像演出の内容を捨象して,控訴人作成に係る別紙4の演出態様組合せが構成要件F-@〜Bを充足するかどうかについて検討する(なお,請求項1の「停止表示態様」の意義及び内容については,前記判示が前提となることは当然である。。),,,「」 (ア)別紙4によれば 組合せア ケは 停止表示態様がいずれも 0007Hリールランプ演出であり 報知される入賞態様がいずれも 中チェリー上下チェ , 「」「リー」であるから,被控訴人製品が控訴人の主張するような効果音及び停止表示態様を備えているとしても(組合せケの存在については当事者間に争いがある,。)遊技者は,停止表示態様が「0007H」リールランプ演出が表示されれば,効果音の種類にかかわらず,報知される入賞態様が「中チェリー」か「上下チェリー」であることを知り得ることになる。したがって,組合せア,ケは 「効果音による,報知」と「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せにより入賞態様を報知するものということはできない。 (イ)組合せコ シ ス セ ソは それぞれ停止表示態様を 0070H リー , , , ,,「」,「」,「」, ルランプ演出0009H リールランプ演出0026H リールランプ演出「0027H」リールランプ演出 「0005H」リールランプ演出とするもので ,あるが,これらの場合には効果音の種類にかかわらず,停止表示態様のみによって入賞態様が定まるものであるから,これらの組合せも「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せにより入賞態様を報知するものということはできない。 (ウ)上記組合せ以外の場合には,すべてのリールが停止した際にリールランプ点滅制御を行わないという「停止演出手段」がとられると認められることは前記判示のとおりである。組合せイ,サ,タは,効果音をそれぞれ「カシャ 「ジャン+」ヒュー・ドン+ビョン,ビョン+ハッ「カシャ 「ピキーン「カシャ 「ジャ 」,」」,」ン」とするものであり,停止表示態様の種類にかかわらず,効果音のみによって遊技者は対応する入賞態様を知ることができるのであるから,これらの組合せも「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せにより入賞態様を報知するものということはできない。 , , , ,,「」「」 (エ)組合せウ エ オ チ ツは 効果音を カシャジャン+ヒュー・ドン, ,,「」 とし 停止表示態様をいずれも点消滅なしとするものであり 遊技者はカシャ「」,「」 ジャン+ヒュー・ドン との効果音により 対応する入賞態様が 上下チェリー「バナナ 「スイカ 「JAC」のいずれかであることを知ることができるのである 」」から,これらの組合せも「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せにより入賞態様を報知するものということはできない。 (オ)組合せカ,キ,クは,いずれも 「カシャ」との効果音を備え,停止表示態 ,様をいずれも点消滅なしとするものであるが,これらの組合せは,各列の停止操作に伴う演出態様を見れば,第1リール,第2リール,第3リールの各停止時における演出態様の組合せ(連動表示態様)により入賞態様を遊技者に報知することを意図していることは明らかである。請求項1の「停止表示態様」には連動演出態様が含まれないことは,前記判示のとおりであるから,組合せカ,キ,クも 「効果音,による報知」と「停止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せにより入賞態様を報知するものということはできない。 (カ)仮に,控訴人の主張するとおり,第3リールの停止ボタンの操作による連動表示態様を,すべてのリールが停止したときの停止表示態様と同視し得るとしても,前記判示のとおり,組合せア,ケ,コ,シ,ス,セ,ソは効果音の種類にかかわらず,入賞態様が定まるものであり,組合せイ,サ,タは停止表示態様の種類にかかわらず入賞態様が定まるものであり,組合せカ,キの場合には,効果音の種類にかかわらず,停止表示態様と同視される第3リール停止時の演出のみ(カについては,各リールが消灯・点灯・点灯の組合せ,キについては,各リールが消灯・消灯・点灯の組合せ)により対応する入賞態様を知ることができる。 このように,仮に,第3リールの停止ボタンの操作による連動表示態様をすべてのリールが停止したときの停止表示態様と同視したとしても,控訴人の主張する組合せの多くは 「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成さ ,れる演出態様組合せにより対応する入賞態様を報知するものではないものと認められ,このことは,被控訴人製品が 「効果音による報知」と「停止表示態様による ,報知」により形成される演出態様組合せにより入賞態様を報知することを意図するものではないことを示すものといえる。 (キ)以上のとおり,被控訴人製品がいわゆるストック機であることや,液晶部による画像演出の内容を捨象しても 被控訴人製品は効果音による報知 と 停 ,,「」 「止表示態様による報知」により形成される演出態様組合せにより対応する入賞態様を報知するものということはできず,構成要件F-Bを充足しない。 イ次に,被控訴人製品のいわゆるストック機としての特性や液晶部における動画演出の内容も加味し,被控訴人製品が「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」の組合せにより入賞態様を報知するものといえるかどうかについて検討する。 証拠(乙9〜14)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人製品は,いわゆる「ストック機」と呼ばれる種類の遊技機であり,入賞態様決定手段により決定される入賞態様のうち,ボーナスの入賞態様(ボーナスフラグ)が成立しても,直ちにボーナス入賞図柄が停止可能な状態とはならず,ボーナス放出条件が成就して,初めてボーナス図柄が停止可能状態となるものであり,また,被控訴人製品は,液晶部において動画とそれに伴う効果音が一体となった一連の演出を行う機能を備えており,遊技者は液晶部における動画演出を見ながら遊技を行うことが当然の前提となるものと認められる。 (ア)上記証拠及び弁論の全趣旨によれば,別紙4の組合せア〜ツのうち,@組合せアにおける,液晶部における戦闘機,トラック,キャラクター等の動画の演出及び「0007H」リールランプ表示演出,A組合せコにおける 「7」の文字図,柄の演出及び「0070H」リールランプ表示演出,B組合せサにおける 「7」,の文字図柄 「オイ」とのかけ声,ファンファーレ音等の演出,C組合せシにおけ ,る 「7」の文字図柄,ファンファーレ音等の演出及び「0009H」リールラン ,プ表示,D組合せス,セにおける 「司令官を仕留めろ」との文字表示 「7」の文 , ,字図柄 「VICTORY」との文字表示の演出及び「0026H」リールランプ ,表示演出,E組合せソにおける「OK」との効果音の演出,F組合せタ,チ,ツにおける 「7」の文字図柄 「オイ」とのかけ声の演出は,いずれも,ボーナス放出 ,,条件が確定した場合にのみ現れる演出であると認められる(なお,組合せケの存在については当事者間に争いがあるが,控訴人の主張によっても「0007H」リールランプ表示演出が行われるものであるから,ボーナス放出条件が確定した場合にのみ現れる演出であることに変わりはない。。)以上の組合せの場合には,チェリーの内部抽選による当選,ハズレの内部抽選による当選がボーナス放出条件となっていることから,同時にチェリーやハズレ等が内部成立しているものと認められるが,遊技者にとっての関心事は,ボーナス放出条件が成就したかどうかにあること,画像,音,リールランプによる上記演出態様はボーナス放出条件が確定した場合にのみ現れること,上記演出が「7」の文字図柄の登場,ファンファーレなどの効果音,リールランプの点灯など遊技者にボーナス放出の期待を持たせるような態様であることなどに照らすと,これらの演出は,入賞態様決定手段で決定された入賞態様の報知というよりむしろ,遊技者にボーナス放出条件の成就を報知するものであるというべきである。 (イ)他方,乙14によれば 「JAC 「バナナ 「チェリー 「スイカ」等の小 ,」」」役の報知に関し,被控訴人製品においては,キャラクターのリュックの中から内部当選役のシンボル図柄そのものが登場し(組合せイ ,落下した箱が割れて内部当 )選役のシンボル図柄が登場する(組合せウ,エ,オ)など,遊技の過程において,内部当選役のシンボル図柄そのものが液晶部に表示されるとの演出がなされているものと認められる。これらの場合は 「JAC」との文字,バナナ,チェリー,ス ,イカなどのシンボル図柄そのものが直接遊技者に表示されることにより,遊技者は入賞態様を知り得るのであるから これらの組合せは効果音による報知 と 停 ,,「」 「止表示態様による報知」の組合せにより入賞態様を報知するものであるということはできない。 なお,控訴人は,原判決の「(i)第1リール停止に伴う第1リールバックライト消灯の場合には 『JAC (リプレイ『バナナ (9枚役『スイカ (6枚役) ,』),』),』の当選フラグがセットされていることがある」との記載を根拠として,被控訴人製品が液晶画像によらず,バックライトの点消灯により小役の成立を報知することについて裁判上の自白が成立していると主張するが,原判決の上記記載は,第1リール停止時に「JAC」等の当選フラグがセットされているという事実を摘示するにすぎず,これをもって,被控訴人製品が液晶画像によらずに小役の成立を報知することを意味するものとは理解することはできず,ましてや,この点について裁判上の自白が成立しているということはできない。 (ウ)組合せカ,キ,クは,前記判示のとおり,第1リール,第2リール,第3リールの各停止時における演出態様の組合せ(連動表示態様)により入賞態様を表示するものであり 「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形 ,成される演出態様組合せにより入賞態様を報知するものということはできない。 (エ)以上のとおり,別紙4の組合せア〜ツのうち,組合せア,コ〜ツは,ボーナス放出条件の成就を報知するものであり,組合せイ〜オはシンボル図柄を直接液晶部に表示することにより入賞態様を報知し,組合せカ〜クにおいては,連動表示態様により入賞態様を報知するものであるから,これらの組合せを有する被控訴人製品は 「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」の組合せにより入賞 ,態様を報知するものであるということはできない。 したがって,被控訴人製品は,請求項1の構成要件F-Bを充足しない。 4均等侵害の主張について控訴人は 「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成され ,る演出態様組合せにより報知する対象が 「ボーナス放出条件の成就」であり 「入 , ,賞態様決定手段で決定された入賞態様」ではないとしても 「ボーナス放出条件の ,成就」を「入賞態様決定手段で決定された入賞態様」に置換するのは容易であるから,被控訴人製品は本件発明と均等なものとして,本件特許権を侵害すると主張する。 しかしながら,そもそも,被控訴人製品がいわゆるストック機であることを捨象しても,構成要件F-Bを充足しないことは前記判示のとおりであり,また,被控訴人製品は,ボーナス放出条件の成就を,液晶部における文字図柄や動画の表示,ファンファーレなどの効果音又はリールランプの点灯などの演出により報知しているのであり 「効果音による報知」と「停止表示態様による報知」により形成され ,る演出態様組合せによりボーナス放出条件の成就を報知するものであるということはできない。したがって,控訴人の主張は前提を欠くものであり,失当である。 また,本件発明の本質的部分が,効果音による報知と停止表示態様による報知による形成される演出態様組合せを,入賞態様決定手段で決定された入賞態様に基づいた報知情報として遊技者に報知する点にあることは,原判決の摘示する明細書の記載から明らかであるから,上記演出態様組合せにより報知する対象が入賞態様であるか,ボーナス放出条件の成就であるかという点が本件発明の本質的部分を構成しないとの控訴人の主張は採用し得ない。 したがって,均等侵害についての控訴人の主張には理由がない。 5結論以上によれば,控訴人の請求はその余の判断をするまでもなく棄却されるべきであるから,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がない。 |
裁判長裁判官 | 塚原朋一 |
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裁判官 | 石原直樹 |
裁判官 | 佐藤達文 |