関連審決 | 異議1998-70682 |
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関連ワード | 権利の濫用(権利濫用) / 信義則 / 侵害 / 不法行為(民法709条) / 同意 / 変更 / 釈明 / 取消決定 / 異議申立 / |
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事件 |
平成
18年
(ネ)
10086号
損害賠償請求控訴事件
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控訴人株式会社イー・ピー・ルーム 被控訴人住 友石炭鉱業株式会社 同訴訟代理人弁護士鈴木修 同 横井康真 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2007/03/28 |
権利種別 | 特許権 |
訴訟類型 | 民事訴訟 |
主文 |
1控訴人の訴えの一部取下げに基づき,原判決主文第1項を「本件訴えを却下する。」と変更する。 2訴訟費用は,第1,2審を通じ控訴人の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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全容
第1当事者の求めた裁判1控訴人(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人は控訴人に対し,10万円及びこれに対する平成18年8月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。 2被控訴人(1)本件控訴を棄却する。 (2)控訴費用は控訴人の負担とする。 第2事案の概要控訴人は,「放電焼結装置」の発明に係る特許権(平成2年9月18日出願,平成9年5月2日登録,特許番号第2640694号。以下「本件特許」という。)の特許権者であった。被控訴人は,平成10年2月13日,本件特許に対し,特許庁に特許異議の申立て(以下「本件特許異議申立て」という。)をした。特許庁は,これを平成10年異議第70682号事件として審理した上で,平成13年7月4日,本件特許を取り消す旨の決定をした(以下「本件取消決定」という。)。 控訴人は,平成13年8月21日,東京高等裁判所に本件取消決定の取消しを求める訴えを提起したが,平成15年4月9日,控訴人の請求を棄却するとの判決が言い渡された。この判決は,平成15年10月9日,上告不受理決定等により確定したため,本件取消決定が確定した。 その後,控訴人は,被控訴人に対し,主位的に,本件特許異議申立ては権利の濫用であって不法行為に当たると主張して,15億円の損害の一部請求として10万円を請求するとともに,予備的に,被控訴人が控訴人の著作権を侵害したと主張して,1億円の損害の一部請求として10万円を請求する訴えを東 |
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追加 | |
原判決は,本件特許異議申立てが不法行為に当たると主張して控訴人が被控訴人に損害賠償等を請求した他の訴訟(東京地方裁判所平成18年(ワ)第4428号,同第6631号,同第11210号。以下,これらを「前訴」という。)において,損害賠償請求を棄却する判決が言い渡され,判決が確定していたことから,主位的請求に係る訴えは,前訴の蒸し返しであって信義則に反し許されないとして却下し,予備的請求に係る訴えは,併合の要件を欠くとして却下したものである。 控訴人は,これを不服として,控訴を提起した。 1控訴人は,当審において,上記予備的請求に係る訴えを取り下げ,被控訴人は,これに同意した。 また,控訴人は,上記主位的請求について,本件特許異議申立てが不法行為であるとの点は維持したまま,被控訴人が株式会社石川島播磨重工業に対して販売見積り価格2950万円で放電焼結機を販売したことによる利益,すなわち控訴人の損害が少なくとも10万円あるから,控訴人の請求は,この10万円を請求するものである(全部請求)と釈明した。 控訴人の主張は,次のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要等」の「1争いのない事実等」及び「3当事者の主張の要旨」「(1)主位的請求について[原告の主張の要旨]」アからウまでに記載のとおりであるから,これを引用する。 「エよって,本件特許異議の申立ては権利の濫用であって不法行為に当たり,被控訴人が株式会社石川島播磨重工業に対して販売見積り価格2950万円で放電焼結機を販売したことによる利益が少なくとも10万円あるから,この10万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成18年8月19日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求する。」2被控訴人は,控訴棄却を求め,その理由は,原判決の「事実及び理由」の「第2事案の概要等」の「1争いのない事実等」及び「3当事者の主張の要旨」「(1)主位的請求について[被告の主張の要旨]」記載のとおりであると述べた。 第3当裁判所の判断当裁判所も,本件訴えは,前訴と損害の発生原因を同じくするものであるところ,前訴において控訴人の請求は棄却されて,同判決(乙第1及び第2号証)が確定している以上(争いない。),控訴人が不法行為による総損害のうちから前訴とは異なる一部を損害として主張してみても,その訴えは,信義則に反し,訴権の濫用に当たり許されないものと判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3当裁判所の判断」の1(1)(原判決5頁21行から7頁2行まで)と同一であるから,これを引用する。 以上によれば,控訴人の請求に係る訴えは,不適法であり,当審において控訴人が訴えの一部を取り下げたことにより失効した部分を除き,原判決は相当であるから,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官飯村敏明裁判官三村量一裁判官古閑裕二 |