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関連審決 不服2003-3434
不服2003-3435
訂正2006-39174
無効2005-80325 無効2005-80320 無効2005-80327 訂正2006-39175
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事件 平成 16年 (ワ) 24626号 特許権侵害差止等請求事件
愛知県豊田市<以下略>
原告株 式会社豊栄商会
同訴訟代理人弁護士竹田稔
同 川田篤
同訴訟代理人弁理士小栗久典
同 補佐人弁理 士大森純一
同 折居章 愛知県安城市<以下略>
被告株式会社陽紀
同訴訟代理人弁護士松本司
同 田上洋平
同 井上義隆
同 補佐人弁理 士三枝英二
同 眞下晋一
同 松本尚子
同 森義明
同 森脇正志
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2007/03/23
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1被告は,別紙被告製品目録記載の取鍋を使用し,譲渡し,貸し渡し,又はその譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。
2被告は,別紙被告製品目録記載の取鍋を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,金7293万7600円及び内金1000万円につ- 8 -き平成16年12月1日から,内金6293万7600円につき平成18年5月26日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4原告のその余の請求を棄却する。
5訴訟費用は,これを10分し,その9を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
6この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
第1請求の趣旨1主文第1項,第2項と同旨2被告は,原告に対し,金1億円及び内金1000万円につき平成16年12月1日から,内金9000万円につき平成18年5月26日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要本件は,原告が,被告に対し,被告の使用する溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋が,原告の有する特許発明技術的範囲に含まれ,また,原告の有, , する意匠権に係る意匠と類似するとして 特許権侵害及び意匠権侵害に基づき前記加圧式取鍋の使用差止等及び損害賠償を求めた事案である。被告は,原告の特許権には進歩性の欠如の無効理由があり,また,被告には先使用権が認められるなどと主張して,これを争っている。
( , 。) 1前提となる事実 当事者間に争いがないか 後掲各証拠によって認められる( ) 当事者等1原告は,アルミニウム第2次製錬・精製業等を目的とする株式会社であって,溶融アルミニウムをトヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ自動車」という )の各工場(衣浦工場を含む )に納入している。 。 。
被告は,アルミニウム及びその合金再生塊の製造加工並びに売買等を目的とする株式会社であり,株式会社大紀アルミニウム工業所(以下「大紀」という )の子会社である。被告は,溶融アルミニウムをトヨタ自動車の衣浦 。
工場に納入している。
( ) 原告の有する特許権2原告は,下記の各特許(以下「本件特許1」のようにいい,その特許権を「本件特許権1」のようにいう )の特許権者である。 。
ア本件特許1特 許 番 号第3323489号発明の名称溶融金属供給用容器出願日平成13年6月22日出 願 番 号特願2001-189650号優先日平成12年12月27日(優先権主張番号特願2000-399465に係るもの)登録日平成14年6月28日イ本件特許2特 許 番 号第3489081号発明の名称容器出願日平成14年12月2日出 願 番 号特願2002-350567号優先日平成14年2月4日(優先権主張番号特願2002-27491に係るもの)平成14年2月12日(優先権主張番号特願2002-34731に係るもの)登録日平成15年11月7日ウ本件特許3特 許 番 号第3489678号発明の名称容器出願日平成13年12月26日出 願 番 号特願2001-395169号優先日平成12年12月27日(優先権主張番号特願2000-399465に係るもの)登録日平成15年11月7日エ本件特許4特 許 番 号第3506137号発明の名称容器,溶融金属供給方法及び溶融金属供給システム出願日平成13年6月22日出 願 番 号特願2002-35770号分割の表示特願2001-190494号の分割優先日平成12年6月22日(優先権主張番号特願2000-188522に係るもの)平成13年2月14日(優先権主張番号特願2001-37159に係るもの)登録日平成15年12月26日オ本件特許5特 許 番 号第3492677号発明の名称溶融金属供給用容器及び安全装置出願日平成14年12月28日出 願 番 号特願2003-45184号分割の表示特願2002-383795号の分割優先日平成14年2月14日(優先権主張番号特願2002-37509に係るもの)平成14年9月18日(優先権主張番号特願2002-272331に係るもの)登録日平成15年11月14日カ本件特許6特 許 番 号第3492680号発明の名称安全装置及び溶融金属搬送方法出願日平成15年8月4日出 願 番 号特願2003-285576号優先日平成14年9月18日(優先権主張番号特願2002-272331に係るもの)平成14年12月28日(優先権主張番号特願2002-383795に係るもの)平成15年2月21日(優先権主張番号特願2003-45185に係るもの)登録日平成15年11月14日キ本件特許7特 許 番 号第3574128号発明の名称安全装置及び溶融金属搬送方法出願日平成15年12月26日出 願 番 号特願2003-433859号優先日平成14年12月28日(優先権主張番号特願2002-383795に係るもの)平成15年2月21日(優先権主張番号特願2003-45185に係るもの)登録日平成16年7月9日( ) 原告の有する意匠権3原告は,下記の意匠(以下「本件意匠」といい,その意匠権を「本件意匠権」という )の意匠権者である。 。
登 録 番 号意匠登録第1137667号意匠に係る物品取鍋出願日平成13年2月13日出願番号意願2001-3118登録日平成14年2月8日( ) 本件各特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載4ア本件特許1に係る明細書(平成16年7月7日付け審決(甲1の3)による訂正後のもの。以下「本件明細書1」という。本判決末尾添付の特許公報及び審決(甲1の2・3 (以下,両者を併せて「本件公報1」とい )う )参照 )の特許請求の範囲の請求項1ないし3(以下「本件特許発 。。
明1-1」のようにいう )の記載は次のとおりである。 。
)請求項1a「溶融金属を収容することができ,上部に第1の開口部を有する容器と,前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な流路と,前記容器の第1の開口部を覆うように配置され,ほぼ中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部を有する蓋と,前記蓋の上面部に開閉可能に設けられ,前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチとを具備することを特徴とする溶融金属供給用容器 」。
)請求項2b「請求項1に記載の溶融金属供給用容器において,前記貫通孔に取り付けられ,前記容器の上面部から上方に向けて突出し,所定の高さの位置で水平方向に折り曲げられ,接続部が水平方向に導出された配管を更に具備することを特徴とする溶融金属供給用容器 」。
)請求項3c「請求項2に記載の溶融金属供給用容器において,前記配管は,前記貫通孔に着脱可能に螺着されていることを特徴とする溶融金属供給用容器 」。
イ本件特許2に係る明細書(以下「本件明細書2」という。本判決末尾添付の特許公報(甲2の2 (以下「本件公報2」という )参照 )の特許 ) 。。
請求の範囲の請求項1,2及び5(以下「本件特許発明2-1」のようにいう )の記載は次のとおりである。 。
)請求項1a「溶融金属を貯留し,内外の圧力差を利用して内外で溶融金属を流通させることができる容器において,円筒状で,円筒側面の下部から上部に向けて外周側に徐々に突き出る突き出し部を有するフレームと,前記フレームの内側に形成され,内外で溶融金属を流通させるための流路を前記突き出し部に沿うように内在したライニングと,前記突き出し部の上面において前記流路とつながるように,且つ,回転可能に接続され,少なくとも前記流路から連続して上方に向かう第1の傾斜部と先端に向けて下方に傾斜する第2の傾斜部とを有し,内外で溶融金属を流通させるための配管とを具備することを特徴とする容器 」。
)請求項2b「請求項1に記載の容器であって,前記配管は,その先端が少なくとも下記(a)と(b)との間を位置するように回転可能であることを特徴とする容器。
(a)当該配管の接続位置とフレームの上面の中心とを結ぶ直線上で且つ当該フレームより外側の位置(b)フレームの上面の中心と突き出し部の最外周とを結ぶ線分を半径とし,フレームの上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置」)請求項5c「溶融金属を収容可能で,圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な容器であって,開口部に第1のフランジを有し,前記開口部の中央付近に開口する前記溶融金属の流路を内在したフレームと,前記開口部で前記流路とつながり,かつ前記第1のフランジに対して回転可能に前記フレームに接続された第2のフランジを有する第2の配管と,前記フレーム内で前記流路の少なくとも一部を囲繞し,端面が前記フレームの開口部の開口面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管とを具備したことを特徴とする容器 」。
ウ本件特許3に係る明細書(以下「本件明細書3」という。本判決末尾添付の特許公報(甲3の2 (以下「本件公報3」という )参照 )の特許 ) 。。
(「」。) 請求の範囲の請求項1及び7 以下 本件特許発明3-1 のようにいうの記載は次のとおりである。
)請求項1a「溶融金属を収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,内部へ溶融金属を導入し,または外部へ溶融金属を供給することが可能で,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器であって,フレームと,前記フレームの内側に設けられる第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記フレームと前記第1のライニングとの間に介挿され,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングと,配管とを有し,前記第1のライニングは,容器内底部に近い位置から容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在し,当該流路と前記容器内の溶融金属が貯留される空間とを分離するゾーンでかつ容器上面側の露出部まで充填され,前記配管は,前記露出部の流路に接続され,先端の出入口が下向きであることを特徴とする容器 」。
)請求項7b「溶融金属を収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,内部へ溶融金属を導入し,または外部へ溶融金属を供給することが可能で,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器であって,溶融金属を貯留する貯留室と,前記貯留室と外部との間の溶融金属の流路となるインターフェース部と,前記貯留室下部と前記インターフェース部下部との間の連結口を有し,これらの間を仕切る壁と,前記インターフェース部上部に接続された配管とを具備し,前記容器の外周は金属製のフレームにより覆われており,前記貯留室及び前記インターフェース部と,前記フレームとの間には,第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングとが前記第1のライニングを内側にして積層され,前記壁は,前記連結口から前記インターフェース部の上部に向けて前記第1のライニングが充填されたゾーンを有し,前記インターフェース部が当該インターフェース部と前記フレームとの間に介挿された前記第2のライニングにより保温されるとともに,前記ゾーンを介して前記貯留室内に貯留された前記溶融金属から前記インターフェース部側への熱伝導が促進されるように構成されていることを特徴とする容器 」。
エ本件特許4に係る明細書(以下「本件明細書4」という。本判決末尾添付の特許公報(甲4の2 (以下「本件公報4」という )参照 )の特許 ) 。。
請求の範囲の請求項1(以下「本件特許発明4-1」という )の記載は。
次のとおりである。
「溶融アルミニウムを収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,外部へ溶融アルミニウムを供給することが可能で,運搬車輌に,, より搭載されてユースポイントまで搬送される容器であって フレームと前記フレームの内側に設けられ,かつ,前記容器内の底部付近に開口を有し,当該容器の上方の配管取付部に向かう流路を内在するライニングと,, , 前記配管取付部に取付けられ 前記流路に連通する第1の配管とを具備し少なくとも前記流路の内径は,約65o〜約85oであることを特徴とする容器 」。
オ本件特許5に係る明細書(以下「本件明細書5」という。本判決末尾添付の特許公報 甲5の2 参照の特許請求の範囲の請求項1及び8 以 ()。) (下「本件特許発明5-1」のようにいう )の記載は次のとおりである。 。
)請求項1a「内外を連通する貫通孔を有し,溶融金属を収容することができ,圧力差により内外で溶融金属を流通させることができる容器と,前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な第1の流路と,前記貫通孔に通じる第2の流路に介在され,気体を通過させ,かつ,溶融金属の通過を規制する規制部材とを具備することを特徴とする溶融金属供給用容器 」。
)請求項8b「 ,, 溶融金属を収容することができる容器と 前記容器の内外を連通し前記溶融金属を流通することが可能な第1の流路と,前記容器の上部に設けられ,前記容器の内圧を逃がすことができる圧力開放管と,前記圧力開放管に,前記溶融金属の流通を規制するように設けられた規制部材と,を具備したことを特徴とする溶融金属供給容器 」。
( ()。) カ本件特許6に係る明細書 本判決末尾添付の特許公報 甲6の2 参照の特許請求の範囲の請求項2(以下「本件特許発明6-2」という )の。
記載は次のとおりである。
「溶融金属を収容することができ,内圧調整用のポートを介して内外の圧力差を調節することにより,内部へ溶融金属を導入し,または,外部へ溶融金属を供給することが可能な容器に用いられる安全装置であって,前記ポートに対して着脱自在なインターフェース部と,前記インターフェース部を介して前記ポートに通じる気体流通通路と,前記気体流通通路と外部との間に介在され,気体の流通を許容し,且つ,前記溶融金属の流通を規制する流通規制部と,レバーの操作に応じて開閉を行う開閉弁が介挿され,気体流通通路を外部に開放するための開放通路と,前記レバーの操作により前記開閉弁を閉としたときに当該レバーの操作に連動して前記ポートに対する前記インターフェース部の着脱を規制し,前記レバーの操作により前記開閉弁を開としたときに当該レバー操作に連動して前記ポートからの前記インターフェース部の着脱可能とする着脱規制手段とを具備することを特徴とする安全装置 」。
( ()。) キ本件特許7に係る明細書 本判決末尾添付の特許公報 甲7の2 参照の特許請求の範囲の請求項2(以下「本件特許発明7-2」という )の。
記載は次のとおりである。
「溶融金属を収容し,内部を加圧気体により加圧して前記溶融金属を外部へ供給することができる気密型の容器の安全装置において,前記容器に接続された,前記加圧気体を前記容器内に導入する配管と,着脱可能なインターフェース部により前記配管と接続され,前記配管内と大気との間で気体の流通を許容し,且つ,溶融金属の流通を規制する流通規制部と,前, , 記配管に接続された大気に対する開放通路と 前記開放通路上に介挿されレバーの操作に応じて前記開放通路と大気との間の開閉を行う開閉弁と,少なくとも前記インターフェース部の外周部を囲繞することができるカバーと,前記開閉弁が閉じているとき,前記カバーが少なくとも前記インターフェース部の外周部を囲繞する位置にあり,かつ,前記開閉弁が開いているとき,前記カバーが前記インターフェース部の外周部を囲繞しない位置にあるように,前記レバーの操作と連動して前記カバーの位置を変える連結部材とを具備することを特徴とする安全装置 」。
( ) 構成要件の分説5本件各特許発明構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれを「構成要件1-1A」のようにいう。。)ア本件特許発明1-1,同1-2,同1-3を構成要件に分説すると,次(,「」。)。 のとおりである 以下 それぞれを 構成要件1-1A のようにいう)本件特許発明1-1a1-1A溶融金属を収容することができ,上部に第1の開口部を有する容器と,1-1B前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な流路と,1-1C前記容器の第1の開口部を覆うように配置され,ほぼ中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部を有する蓋と,1-1D前記蓋の上面部に開閉可能に設けられ,前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチと1-1Eを具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。
)本件特許発明1-2b1-2A請求項1に記載の溶融金属供給用容器において,1-2B前記貫通孔に取り付けられ,前記容器の上面部から上方に向けて突出し,所定の高さの位置で水平方向に折り曲げられ,接続部が水平方向に導出された配管を更に具備する1-2Cことを特徴とする溶融金属供給用容器。
)本件特許発明1-3c1-3A請求項2に記載の溶融金属供給用容器において,1-3B前記配管は,前記貫通孔に着脱可能に螺着されている1-3Cことを特徴とする溶融金属供給用容器。
イ本件特許発明2-1,同2-2,同2-5を構成要件に分説すると,次(,「」。)。 のとおりである 以下 それぞれを 構成要件2-1A のようにいう)本件特許発明2-1a2-1A溶融金属を貯留し,内外の圧力差を利用して内外で溶融金属を流通させることができる容器において,2-1B円筒状で,円筒側面の下部から上部に向けて外周側に徐々に突き出る突き出し部を有するフレームと,2-1C前記フレームの内側に形成され,内外で溶融金属を流通させるための流路を前記突き出し部に沿うように内在したライニングと,2-1D前記突き出し部の上面において前記流路とつながるように,且つ,回転可能に接続され,少なくとも前記流路から連続して上方に向かう第1の傾斜部と先端に向けて下方に傾斜する第2の傾斜部とを有し,内外で溶融金属を流通させるための配管と2-1Eを具備することを特徴とする容器。
)本件特許発明2-2b2-2A請求項1に記載の容器であって,2-2B前記配管は,その先端が少なくとも下記(a)と(b)との間を位置するように回転可能である(a)当該配管の接続位置とフレームの上面の中心とを結ぶ直線上で且つ当該フレームより外側の位置(b)フレームの上面の中心と突き出し部の最外周とを結ぶ線分を半径とし,フレームの上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置2-2Cことを特徴とする容器。
)本件特許発明2-5c2-5A溶融金属を収容可能で,圧力差を利用して外部との間で溶融金属を流通することが可能な容器であって,2-5B開口部に第1のフランジを有し,前記開口部の中央付近に開口する前記溶融金属の流路を内在したフレームと,2-5C前記開口部で前記流路とつながり,かつ前記第1のフランジに対して回転可能に前記フレームに接続された第2のフランジを有する第2の配管と,2-5D前記フレーム内で前記流路の少なくとも一部を囲繞し,端面が前記フレームの開口部の開口面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管と2-5Eを具備したことを特徴とする容器。
ウ本件特許発明3-1,同3-7を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれを「構成要件3-1A」のようにいう。。))本件特許発明3-1a3-1A溶融金属を収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,内部へ溶融金属を導入し,または外部へ溶融金属を供給することが可能で,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器であって,3-1Bフレームと,3-1C前記フレームの内側に設けられる第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,3-1D前記フレームと前記第1のライニングとの間に介挿され,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングと,3-1E配管とを有し,3-1F前記第1のライニングは,容器内底部に近い位置から容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在し,当該流路と前記容器内の溶融金属が貯留される空間とを分離するゾーンでかつ容器上面側の露出部まで充填され,3-1G前記配管は,前記露出部の流路に接続され,先端の出入口が下向きである3-1Hことを特徴とする容器。
)本件特許発明3-7b3-7A溶融金属を収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,内部へ溶融金属を導入し,または外部へ溶融金属を供給することが可能で,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器であって,3-7B溶融金属を貯留する貯留室と,3-7C前記貯留室と外部との間の溶融金属の流路となるインターフェース部と,3-7D前記貯留室下部と前記インターフェース部下部との間の連結口を有し,3-7Eこれらの間を仕切る壁と,3-7F前記インターフェース部上部に接続された配管とを具備し,3-7G前記容器の外周は金属製のフレームにより覆われており,3-7H前記貯留室及び前記インターフェース部と,前記フレームとの間には,第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングとが前記第1のライニングを内側にして積層され,3-7I前記壁は,前記連結口から前記インターフェース部の上部に向けて前記第1のライニングが充填されたゾーンを有し,前記インターフェース部が当該インターフェース部と前記フレームとの間に介挿された前記第2のライニングにより保温されるとともに,前記ゾーンを介して前記貯留室内に貯留された前記溶融金属から前記インターフェース部側への熱伝導が促進されるように構成されている3-7Jことを特徴とする容器。
,(, エ本件特許発明4-1を構成要件に分説すると 次のとおりである 以下それぞれを「構成要件4-1A」のようにいう。。)4-1A溶融アルミニウムを収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,外部へ溶融アルミニウムを供給することが可能で,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器であって,4-1Bフレームと,4-1C前記フレームの内側に設けられ,かつ,前記容器内の底部付近に開口を有し,当該容器の上方の配管取付部に向かう流路を内在するライニングと,4-1D前記配管取付部に取付けられ,前記流路に連通する第1の配管とを具備し,4-1E少なくとも前記流路の内径は,約65o〜約85oである4-1Fことを特徴とする容器。
オ本件特許発明5-1,同5-8を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれを「構成要件5-1A」のようにいう。。))本件特許発明5-1a5-1A内外を連通する貫通孔を有し,溶融金属を収容することができ,圧力差により内外で溶融金属を流通させることができる容器と,5-1B前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な第1の流路と,,, 5-1C前記貫通孔に通じる第2の流路に介在され 気体を通過させかつ,溶融金属の通過を規制する規制部材と5-1Dを具備することを特徴とする溶融金属供給用容器。
)本件特許発明5-8b5-8A溶融金属を収容することができる容器と,5-8B前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な第1の流路と,5-8C前記容器の上部に設けられ,前記容器の内圧を逃がすことができる圧力開放管と,5-8D前記圧力開放管に,前記溶融金属の流通を規制するように設けられた規制部材と,5-8Eを具備したことを特徴とする溶融金属供給容器。
,(, カ本件特許発明6-2を構成要件に分説すると 次のとおりである 以下それぞれを「構成要件6-2A」のようにいう。。)6-2A溶融金属を収容することができ,内圧調整用のポートを介して,, 内外の圧力差を調節することにより 内部へ溶融金属を導入しまたは,外部へ溶融金属を供給することが可能な容器に用いられる安全装置であって,6-2B前記ポートに対して着脱自在なインターフェース部と,6-2C前記インターフェース部を介して前記ポートに通じる気体流通通路と,6-2D前記気体流通通路と外部との間に介在され,気体の流通を許容し,且つ,前記溶融金属の流通を規制する流通規制部と,6-2Eレバーの操作に応じて開閉を行う開閉弁が介挿され,気体流通通路を外部に開放するための開放通路と,6-2F前記レバーの操作により前記開閉弁を閉としたときに当該レバーの操作に連動して前記ポートに対する前記インターフェース部の着脱を規制し,前記レバーの操作により前記開閉弁を開としたときに当該レバー操作に連動して前記ポートからの前記インターフェース部の着脱可能とする着脱規制手段と6-2Gを具備することを特徴とする安全装置。
,(, キ本件特許発明7-2を構成要件に分説すると 次のとおりである 以下それぞれを「構成要件7-2A」のようにいう。。)7-2A溶融金属を収容し,内部を加圧気体により加圧して前記溶融金属を外部へ供給することができる気密型の容器の安全装置において,7-2B前記容器に接続された,前記加圧気体を前記容器内に導入する配管と,7-2C着脱可能なインターフェース部により前記配管と接続され,前記配管内と大気との間で気体の流通を許容し,且つ,溶融金属の流通を規制する流通規制部と,7-2D前記配管に接続された大気に対する開放通路と,7-2E前記開放通路上に介挿され,レバーの操作に応じて前記開放通路と大気との間の開閉を行う開閉弁と,7-2F少なくとも前記インターフェース部の外周部を囲繞することができるカバーと,7-2G前記開閉弁が閉じているとき,前記カバーが少なくとも前記インターフェース部の外周部を囲繞する位置にあり,かつ,前記開閉弁が開いているとき,前記カバーが前記インターフェース部の外周部を囲繞しない位置にあるように,前記レバーの操作と連動して前記カバーの位置を変える連結部材と7-2Hを具備することを特徴とする安全装置。
( ) 本件各特許及び本件意匠の出願経過等6本件各特許及び本件意匠の出願経過等は,次のとおりである(なお,かっこ内の記載は,当該出願がかっこ内記載の特許の特許出願の優先権主張にかかることを示すものである。。)平成12年6月22日特願2000-188522(本件特許4)平成12年12月27日特願2000-399465(本件特許1及び3)平成13年2月13日本件意匠の出願(意願2001-3118)平成13年2月14日特願2001-37159(本件特許4)平成13年6月22日本件特許1の出願(特願2001-189650)本件特許4の親出願(特願2001-190494)平成13年12月26日本件特許3の出願(特願2001-395169)平成14年2月4日特願2002-27491(本件特許2)平成14年2月8日本件意匠の登録平成14年2月12日特願2002-34731(本件特許2)平成14年2月14日特願2002-37509(本件特許5)平成14年6月28日本件特許1の登録平成14年9月18日特願2002-272331(本件特許5及び6)平成14年12月2日本件特許2の出願(特願2002-350567)平成14年12月9日溶融アルミニウム漏れ事故平成14年12月28日本件特許5の親出願(特願2002-383795 (本件特許6及び7) )() 平成15年2月21日特願2003-45185 本件特許6及び7平成15年8月4日本件特許6の出願(特願2003-285576)平成15年11月7日本件特許2,同3の登録平成15年11月14日本件特許5,同6の登録平成15年12月26日本件特許4の登録本件特許7の出願(特願2003-433859)平成16年7月9日本件特許7の登録( ) 無効審判の申立て7ア被告は,平成17年11月9日,本件各特許1,3及び4について無効審判を申し立てた(乙54 。)特許庁は,平成18年7月19日,本件特許1の請求項1ないし3を無効とする旨の審決(無効2005-80325号。乙54)を,本件特許3の請求項1,2及び4ないし8を無効とし,請求項3に対する請求は成り立たない旨の審決(無効2005-80327号。乙55)を,本件特許4の請求項1,3,4及び6に対する請求は成り立たない旨の審決(無効2005-80320号。乙56)をした。
イ被告は,平成18年8月24日,本件特許4に係る審決について,審決取消訴訟(知財高裁平成18年(行ケ)第10383号)を,本件特許3の請求項3に係る審決について,審決取消訴訟(知財高裁平成18年(行))。,,, ケ 第10384号 を提起した 一方 原告は 平成18年8月28日本件特許1に係る審決について,審決取消訴訟(知財高裁平成18年(行ケ)第10389号)を,本件特許3の請求項1,2及び4ないし8に係る審決について,審決取消訴訟(知財高裁平成18年(行ケ)第10390号)を提起した。さらに,原告は,平成18年10月19日,本件特許1について訂正審判(訂正2006-39174号)を,本件特許3について訂正審判(訂正2006-39175号)を請求した。
ウ知財高裁は,平成18年11月15日,本件特許1に係る審決及び本件特許3に係る審決(請求項3に対する審決も含む )を,取り消す旨の決 。
定をした(甲34,35 。)上記取消決定を受けて特許庁に差し戻された本件特許1に係る無効審判請求において,原告は,新たな訂正の請求を行わず,したがって,特許法134条の3第5項本文により,訂正審判請求書に添付した訂正した明細書(甲30の2)のとおり訂正の請求がされたものとみなされた。また,上記取消決定を受けて特許庁に差し戻された本件特許3に係る無効審判請求において,原告は,訂正審判請求における訂正明細書(甲31の2)と同じ内容の訂正請求を行った(甲38の1・2 。)( ) 訂正請求8ア原告は,平成18年10月19日,本件特許1の請求項1について次のとおり訂正審判を申し立てた(甲30の1。下線部が訂正された箇所である。以下「本件訂正1」という。。)1-1A溶融金属を収容することができ,上部に第1の開口部を有する容器と,1-1B前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を加圧により流通することが可能な流路と,1-1C前記容器の第1の開口部を覆うように配置され,ほぼ中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部を有する蓋と,1-1D前記蓋の上面部に開閉可能に設けられ,前記容器の内外を連通し,容器内の前記加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が設けられ,前記容器内部の気密を確保するハッチとを具備し,1-1F公道を介してユースポイントまで搬送される1-1Eことを特徴とする溶融金属供給用容器。
イ原告は,平成18年10月19日,本件特許3の請求項1について次のとおり訂正審判を申し立てた(甲31の1。下線部が訂正された箇所である。以下「本件訂正3」という。。)3-1A溶融金属を収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,内部へ溶融金属を導入し,または外部へ溶融金属を供給することが可能で,運搬車輌により搭載されて公道を介してユースポイントまで搬送される容器であって,3-1Bフレームと,3-1C前記フレームの内側に設けられる第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,3-1D前記フレームと前記第1のライニングとの間に介挿され,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングと,3-1E配管とを有し,3-1F前記第1のライニングは,容器内底部に近い位置から容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在し,当該流路と前記容器内の溶融金属が貯留される空間とを分離するゾーンでかつ容器上面側の露出部まで充填され,3-1I前記第2のライニングは,前記流路からみて前記容器内の溶融金属が貯留される空間とは反対側で,かつ前記流路を内在する第1のライニングの外側に配され,3-1G前記配管は,前記露出部の流路に接続され,先端の出入口が下向きである3-1Hことを特徴とする容器。
( ) 被告の使用する製品及びその構成9被告は,平成15年5月25日ころから現在に至るまで,溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋(製品名「ポットリーベ 。以下「被告製品」とい 」う )を使用している。。
被告製品の構成は,別紙被告製品説明書記載のとおりである。
() 被告製品の本件各特許発明の充足性10ア被告製品は,本件特許発明1-1,同1-2,同1-3の技術的範囲に属する(争いがない。。)イ被告製品は,本件特許発明2-1,同2-5の技術的範囲に属する(争いがない。。)被告製品は,本件特許発明2-2の構成要件2-2A及び同2-2Cを充足する(争いがない。。), , ウ被告製品は 本件特許発明3-1の構成要件3-1Aないし同3-1E同3-1G及び同3-1Hを充足する(争いがない。。), , 被告製品は 本件特許発明3-7の構成要件3-7Aないし同3-7H同3-7Jを充足する(争いがない。。)エ被告製品は,本件特許発明4-1の各構成要件に相当する構成を有する(争いがない。。)オ被告製品は,本件特許発明5-1,同5-8の技術的範囲に属する(争いがない。。), (。)。 カ被告製品は 本件特許発明6-2の技術的範囲に属する 争いがない, (。)。 キ被告製品は 本件特許発明7-2の技術的範囲に属する 争いがない2本件における争点( )本件各特許発明1について(争点1 。
1 )ア本件各特許発明1の進歩性の欠如(争点1-1)イ本件各特許発明1の訂正による無効理由の解消(争点1-2)( )本件各特許発明2について(争点2 。
2 )ア被告製品が,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bを充足するか(争点2-1 。)イ本件各特許発明2の新規性ないし進歩性の欠如(争点2-2)ウ本件各特許発明2についての先使用権の成否(争点2-3)( )本件各特許発明3について(争点3 。
3 )ア被告製品が,本件特許発明3-1の構成要件3-1Fを充足するか(争点3-1 。)イ被告製品が,本件特許発明3-7の構成要件3-7Iを充足するか(争点3-2 。)ウ本件各特許発明3の進歩性の欠如(争点3-3)エ本件各特許発明3の訂正による無効理由の解消(争点3-4)( )本件特許発明4-1について(争点4 。
4 )ア本件特許発明4-1の進歩性の欠如(争点4-1)イ本件特許発明4-1の記載不備(争点4-2)( )本件各特許発明5について(争点5 。
5 )ア本件各特許発明5の新規性ないし進歩性の欠如(争点5-1)イ本件各特許発明5についての先使用権の成否(争点5-2)( )本件特許発明6-2及び同7-2について(争点6 。
6 )ア本件特許発明6-2及び同7-2の新規性ないし進歩性の欠如(争点6-1)イ本件特許発明6-2及び同7-2についての先使用権の成否(争点6-2)( )本件意匠について(争点7)7被告製品の意匠は,本件意匠に類似するか。
( )損害(争点8)8ア特許権侵害に基づく損害について(争点8-1)イ意匠権侵害に基づく損害について(争点8-2)第3争点に関する当事者の主張1争点1-1(本件各特許発明1の進歩性の欠如)について( )被告の主張・無効理由1について1本件各特許発明1は,本件各特許発明1の優先日の前に公開された特公平4-6464号公報(乙1。以下 「引用文献1」という )に記載さ ,。
れた発明(以下「引用発明1」という )と,加圧式取鍋に当然に備えら 。
れる周知慣用の構成( 内圧調整用の貫通孔 )を組み合わせることによ 「」り,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件各特許発明1は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許1は,請求項1,2及び3について 特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから 特 , (許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を )行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア本件特許発明1-1, ,a)引用発明1の構成を 本件特許発明1-1の構成要件に対比させると次のとおりである。
, , A′溶融金属を収容することができ 上部に開口部を有する取鍋2とB′前記取鍋2の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な流路と,C′前記開口部を覆うように配置され,ほぼ中央に前記開口部よりも小径の受湯口17を有する蓋16と,D′前記蓋16の上面部に開閉可能に設けられた小蓋19とE′以上を具備する取鍋2b)引用発明1の構成A′ないしC′及びE′は,本件特許発明1-1の構成要件AないしC及びEと,それぞれ一致する。また,構成D′は,構成要件1-1Dの「蓋の上面部に開閉可能に設けられたハッチ」の部分では一致する。
一方,引用発明1では,本件特許発明1-1Dの「前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」が「ハッチ」に設けられていない点で相違する。
c)本件特許発明1-1Dの「前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」は,加圧式取鍋では当然に備えられる周知慣用の構成である(乙2の2ないし5・7 。)また,平成12年(2000年)9月13日付け小蓋組立図(乙3の3。以下「乙3の3図面」という )には,本件特許発明1-1の「貫 。
通孔」に相当する「空気穴」が,本件特許発明1-1の「ハッチ」に相当する「小蓋」に設けられた構成が記載されている。乙3の3図面の構成は,傾動式取鍋であるものの 「ハッチ (小蓋)は取鍋の運搬時の ,」。, 揺れによる液面の変化や液滴が飛び散る度合が小さい位置にある また容器内に溶融金属を供給するたびに開けられるから,そのたびに貫通孔に対する金属の付着を確認することができたから 「貫通孔」を設けた,ものである。つまり 「貫通孔」を「ハッチ」に設ける構成は,加圧式 ,取鍋特有の問題を解決するためではなく,傾動式取鍋にも共通する問題を解決するための構成である。なお,乙3の3図面は,日本坩堝株式会社(以下「日本坩堝」という )から被告に開示されたあと間もなく, 。
遅くとも平成12年9月末日までにはトヨタ自動車に開示され,公知となった。
よって,引用発明1に,加圧式取鍋の周知慣用の構成又は乙3の3図面に開示された構成に開示された技術である「貫通孔」の構成を結合することには,何らの阻害事由もなく,当業者が極めて容易に想到できるものである。
d)@原告は,引用発明1の取鍋の「受湯口17」は傾動式取鍋における溶融アルミニウムの供給口であるのに対し,加圧式取鍋は内部を減圧することにより溶融アルミニウムを取鍋内に取り込む構成であることを前提として,引用発明1の「受湯口17」は本件特許発明1-1Cの「小径の第2の開口部」には該当しないと主張する。
しかし,本件特許発明1-1が加圧式取鍋に関する発明であるとしても,取鍋内への溶融アルミニウムの供給方法を減圧方法に限定している発明ではないし,そのように解すべき明細書上の記載もない。そして,構成要件1-1Cは 「小径の第2の開口部」の目的を,例え ,ば「貫通孔に対する金属の付着を確認する目的」等に限定してもいない。事実,加圧式取鍋でも,被告製品のように取鍋の上部に設けられた受湯口から溶融アルミニウムを供給する方式もある。
原告は,本件特許発明1-1の「小径の第2の開口部」の趣旨を,本件明細書1の記載から解釈し,これらの点が傾動式取鍋とは異なると主張する。しかし,特許権者が公知技術の構成と同一ではないと主張するに際して 特許発明の請求項の記載で限定された技術的範囲 発 , (明の要旨)を,さらに発明の詳細な説明の記載に基づき限定して主張することは許されない(最高裁平成3年3月8日第二小法廷判決 。)また,原告の主張する金属の付着,飛び散りは,取鍋の運搬時に生じる問題であるから,傾動式取鍋,特に息継ぎ対策のため空気穴が設けられた傾動式取鍋にあっても,同様の問題が発生するのであって,加圧式取鍋特有の問題ではない。
A乙2の2ないし5・7から援用すべきものは 「前記容器の内外を,連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」という,加圧式取鍋における極めて常識的な周知慣用技術にすぎないから,これらの具体的な技術的課題が同一でないことは,これら周知技術の適用が当業者にとって極めて容易であったことを否定する理由にはなり得ない。
イ本件特許発明1-2引用発明1には,本件特許発明1-2の構成要件1-2B「前記貫通孔に取り付けられ,前記容器の上面部から上方に向けて突出し,所定の高さの位置で水平方向に折り曲げられ,接続部が水平方向に導出された配管」の構成は開示されていない。
しかし,構成要件1-2Bは,加圧式取鍋における周知慣用技術である(乙2の2ないし5・7 。),, 。 よって 本件特許発明1-2は 当業者が容易に想到することができるウ本件特許発明1-3, 「, 引用発明1には 本件特許発明1-3の構成要件1-3B 前記配管は前記貫通孔に着脱可能に螺着されている」との構成は開示されていない。
しかし,配管技術において,配管を孔に着脱可能に螺着させる技術は周知慣用技術である(乙22の1ないし3 。),, 。 よって 本件特許発明1-3は 当業者が容易に想到することができる( )被告の主張・無効理由2について2本件各特許発明1は,本件各特許発明1の優先日の前に公開された設計図面(乙39。以下「乙39図面」という )と,加圧式取鍋に当然に備 。
えられる周知慣用の構成( 内圧調整用の貫通孔 )を組み合わせること 「」により,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件各特許発明1は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許1は,請求項1,2及び3について 特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから 特 , (許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を )行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア本件特許発明1-1)乙39図面に開示されている構成を,本件特許発明1-1の構成要件aに対比させると,次のとおりである。
, , A′溶融金属を収容することができ 上部に第1の開口を有する蓋とB′前記容器の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な流路と,C′前記容器の第1の開口部を覆うように配置され,中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部を有する蓋と,,, D′前記蓋の上面部に開閉可能に設けられ 前記容器の内外を連通し容器内に窒素ガスを充填するための穴が設けられたハッチE′とを具備する溶融金属供給用容器b)乙39図面に開示されている構成と本件特許発明1-1との相違点本件特許発明1-1において,ハッチに設けられている貫通孔が「容器内の加圧を行うための内圧調整用」のものであるのに対し,乙39図面に開示されている構成では,ハッチに設けられている穴が「容器内に窒素ガスを充填するため」のものである点において,相違する。
c)既に述べたとおり,加圧式取鍋において「容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」は,周知慣用の構成である。
したがって,乙39図面の取鍋に設けられている容器内に窒素ガスを充填するための穴を,同じく気体を流通させる(加圧気体として窒素ガスを用いることが可能であることは,本件明細書1の【0056,】)容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔として用いることは何らの阻害事由もなく,当業者には極めて容易に想到できるものである。
イ本件特許発明1-2被告の主張・無効理由1についてと同様である。
ウ本件特許発明1-3被告の主張・無効理由1についてと同様である。
( )被告の主張・無効理由3について3本件各特許発明1は,本件各特許発明1の優先日の前に公開された特開平6-320255号公報(乙2の7。以下「乙2の7公報」という )。
と,加圧式取鍋に当然に備えられる周知慣用の構成を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件各特許発明1は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許1は,請求項1,2及び3について 特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから 特 , (許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を )行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア本件特許発明1-1)乙2の7公報に開示されている構成を,本件特許発明1-1の構成要a件に対比させると,次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,上部に第1の開口部を有する加圧式注湯炉1と,B′加圧式注湯炉1の内外を連通し,溶融金属を流通することが可能な出湯路3と,C′加圧式注湯炉1の第1の開口部を覆うように配置された蓋と,D′前記蓋の上面部に設けられ,加圧式注湯炉1の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔とE′を具備する溶融金属供給用加圧式注湯炉b)乙2の7公報に開示されている構成と本件特許発明1-1との一致点及び相違点乙2の7公報に開示されている構成A′,B′,E′は,本件特許発明1-1の構成要件A,B,Eと,それぞれ一致する。また,乙2の7公報に開示されている構成C′は,本件特許発明1-1の構成要件Cと「前記容器の第1の開口部を覆うように配置された蓋」との点において一致し,構成D′は,構成要件Dと「前記蓋の上面部に,前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」を具備した点において一致する。
, , 一方 乙2の7公報に開示されている構成と本件特許発明1-1とは蓋のほぼ中央に配置される容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が,本件特許発明1-1においては,ハッチに形成されているのに対し,乙2の7公報では蓋に形成されている点で相違する。
c)相違点について@引用文献1には,蓋の上面部中央に開閉可能に設けられたハッチが開示されており,乙3の3図面には,このハッチに貫通孔が設けられた構成が開示されている。かかる引用文献1及び乙3の3図面を参照すれば,乙2の7公報の構成において,蓋の中央にハッチを設け,このハッチに貫通孔を形成することは,当業者であれば容易に想到し得ることである。
引用文献1及び乙3の3図面に開示された溶融金属供給用容器は,容器を傾動して出湯する「傾動式」の容器であるため,乙3の3図面に記載された貫通孔は容器内の加圧を行うためのものではない。しかし,この貫通孔は,傾動式によるスムーズな注湯を行うために外部から空気を導入して内圧低下を防止するために必要なものであり,容器内の内圧調整を目的とする点で本件特許発明1-1と共通する。
本件明細書1には,貫通孔をハッチに形成することによる効果が記載されている( 0019【0022】等 。しかし,いずれも貫 【】,)通孔が内圧調整用である場合の効果として記載されており,加圧用として用いる場合に特有の効果を何ら示唆するものではない。また,引用発明1では,容器内に溶融金属を供給する度に内圧調整用の貫通孔に対する金属の付着を確認することが可能であり,本件特許発明1-1と同様の効果を奏するものである。そうすると,本件特許発明1-1における貫通孔が,加圧用であるからといって効果の顕著性を見出すことはできない。
A蓋の上面部中央にハッチを設ける構成は 「傾動式」の容器に限定 ,されるものではなく 「加圧式」の容器においても従来から知られて ,いたものである(乙2の6 。そもそも,容器の内部を加圧して液体 )を供給する構成において,容器上部の開閉箇所に加圧用の貫通孔を設けることは,収容液体の種類に基づく狭い範囲で捉えた技術分野の相違を超えて,液体を加圧供給する技術として周知である(乙46ないし48 。)Bしたがって,乙2の7公報に開示された構成において,蓋の上面部中央にハッチを設けることは,引用文献1又は乙2の6の上記記載を参照すれば,当業者に容易である。そして,貫通孔がもともと蓋の中央に形成されているためにハッチに貫通孔が形成されることになることは,乙3の3図面又は周知技術(乙46ないし48)に基づいて,当業者が容易になし得ることである。
イ本件特許発明1-2被告の主張・無効理由1についてと同様である。
ウ本件特許発明1-3被告の主張・無効理由1についてと同様である。
(4)原告の主張・無効理由1についてア本件特許発明1-1についてa)相違点について本件特許発明1-1と引用発明1を対比すると,被告主張の相違点のほかに,次の相違点が存する。
@引用発明1は,本件特許発明1-1の構成要件Cの「小径の第2の開口部」を備えていない。
すなわち,本件特許発明1-1の構成要件Cの「小径の第2の開口部」は,@「容器内に溶融金属を供給する度に内圧調整用の貫通孔に対する金属の付着を確認する」ためのものである点,A「液面の変化や液滴が飛び散る度合いが小さい位置に対応する容器の上面部のほぼ中央に設けられている」点,及び,B「ハッチが蓋の上面部に設けられているので,ハッチの裏面と液面との距離が蓋の裏面と液面との距離に比べて蓋の厚み分だけ長くなる」点などに技術的特徴があり,その位置や大きさは,これらの技術的特徴を反映したものになる。
これに対し,引用発明1の「傾動式取鍋」においては,そもそも加圧気体を溶融アルミニウム貯留部に導入する必要がないのであるから,@その導入口の目詰まりの有無を,その都度確認する必要がないし,また,A溶融アルミニウムの液体がかかりにくい中央部に,導入,, 口を備えた小蓋が設置される開口部を設ける必然性がないし さらにB液面と導入口を備えた小蓋との間の距離をとる必要もない。引用発明1は,溶融アルミニウムを取鍋により搬送する際の取鍋の固定装置に関するものであり,そのような特許公報の概念図からは「受湯口17」の技術的意義は明りょうではなく,このような概念図の記載のみからは 「傾動式取鍋」のどのような位置にどのような大きさの「受 ,湯口17」を設けるべきかさえ明らかではない。このような「傾動式取鍋」の概念図に記載された「受湯口17」と,本件特許発明1-1の構成要件Cの「小径の第2の開口部」とは一致するものではない。
A引用発明1は,本件特許発明1-1の構成要件Dの「加圧式取鍋」の「容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」と組み合わせて用いるための「ハッチ」を備えていない。
引用文献1の第6図の「小蓋19」は 「傾動式取鍋」において, ,あくまで「受湯口17」が存在することを前提として,溶融アルミニウムを注入する必要があることから「開閉可能」にしているにすぎないし 「上面部」に設けられていることも 「受湯口17」の上に設 , ,けるとの技術的意義を示しているにすぎない。
これに対し 「加圧式取鍋」である本件特許発明1-1の構成要件 ,Dにおいて,ハッチを「上面部」に,かつ「開閉可能」に設けることの技術的意義は,本件特許発明1-1の構成要件Cにおいて詳述した三つの点を達成することになる。
,「」 ,「」 したがって 引用文献1の第6図の 小蓋19 は傾動式取鍋の「受湯口17」と組み合わせて用いるためのものにすぎないのであ, ,「」 り 本件特許発明1-1の構成要件Dにおけるように加圧式取鍋の「容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」と組み合わせて用いるための「ハッチ」とは,技術的意義が根本的に異なるものである。
B引用発明1は,本件特許発明1-1の各構成要件を備えていないので,本件特許発明1-1Eの「を具備することを特徴とする溶融金属供給用容器」に当たらない。
b)相違点の容易想到性について@被告は,本件特許発明1-1の構成要件Dが周知慣用技術であると主張する。しかし,被告がその根拠として挙げる公開特許公報又は公開実用新案公報中の記載(乙2の2ないし5・7)は,単なる概念図であるか,本件特許発明1-1の構成要件Dが解決しようとする技術的課題がなく,課題解決のための構成を欠いている。したがって,本件特許発明1-1の構成要件Dの技術的思想に相当するだけの技術的思想を全く示していない。
A乙3の3図面は,作成時期が不明確である。さらに,そもそも被告と密接な関係がある日本坩堝との間においてやり取りされた図面であり,このような開発当事者である企業間においてはその内容を外部にみだりに漏洩しないとの当事者間の信頼関係に基づく守秘義務がある。,「」 のが当然である したがって 乙3の3図面の内容は 公然知られたものであるとはいえない。
乙3の3図面からは,取鍋全体の状況が明らかではないとはいえ,「」 ,,「」 同図面の 小蓋 は その形状から おそらく傾動式取鍋の 受湯口(溶解炉からの溶融アルミニウムを注ぎ入れるための口)のための小蓋と思われる。一方,本件特許発明1-1の加圧式取鍋は,配管の先端を溶解炉に入れ,溶融アルミニウム貯留部を減圧することにより,溶融アルミニウムを同貯留部内に吸入することができるので 「受湯,口」は設けられていない。このような傾動式取鍋における「受湯口」のための「小蓋」は,加圧式取鍋である本件特許発明1-1の構成要件Dの「小径の第2の開口部」に設けられ,加圧のための貫通孔を備える「ハッチ」とは,機能のみならず,シール性など構成も異なり,その技術的意義を異にするといわざるを得ない。そして,乙3の3図面の「受湯口」のための小蓋に設けられた「孔のようなもの」については,そもそも,それにどのような技術的意義があるのか,全く明らかではない。
したがって,乙3の3図面記載の「孔のようなもの」をもって,本件特許発明1-1の構成要件Dにおける「加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」に相当する構成が示されているとはいえない。
イ本件特許発明1-2a)本件特許発明1-2と引用発明1とを対比すると,相違点は被告主張のとおりであることは認める。
b)構成要件1-2Bが,加圧式取鍋における周知慣用技術であることは否認する。
ウ本件特許発明1-3a)本件特許発明1-3と引用発明1とを対比すると,相違点は被告主張のとおりであることは認める。
b)配管技術において,配管を孔に着脱可能に螺着させる技術は周知慣用技術であることは否認する。
(5)原告の主張・無効理由2についてア本件特許発明1-1についてa)相違点について本件特許発明1-1と乙39図面を対比すると,被告主張の相違点のほかに,次の相違点が存する。
@乙39図面に,構成要件1-1Aの「第1の開口部」が存在するか明らかではない。
A乙39図面には,構成要件1-1Bの「加圧式取鍋」における「流路」に相当する構成がない。
B乙39図面には,構成要件1-1Cの「第1の開口部を覆うように配置され」た蓋に相当する構成がない。
C乙39図面には,構成要件1-1Cの「ほぼ中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部を有する蓋」に相当する構成がない。
D乙39図面には,構成要件1-1Dの「前記蓋」に相当する構成がない。
E乙39図面には,構成要件1-1Dの「前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔が設けられたハッチ」に相当する構成がない。
F上記の各相違点が存在する結果,乙39図面には,構成要件1-1Eの「 構成要件1-1Aから1-1Dまでを満たす)ことを特徴と (する容器」に相当する構成がない。
b)相違点の容易想到性について, , 以上のとおり 被告主張の相違点以外にも相違点が認められるところ被告は各相違点が容易想到であることについて何ら主張立証していない。また,仮に,相違点が被告主張のものに限られるとしても,容易に想到できるものではない。
(6)原告の主張・無効理由3についてア本件特許発明1-1についてa)相違点について本件特許発明1-1と乙2の7公報を対比すると,被告主張の相違点のほかに,乙2の7公報記載の「加圧式注湯炉1」は次の構成を有しないという相違点が存する。
@構成要件1-1Aの「第1の開口部」A構成要件1-1Bの「容器の内外を連通」する「流路」B構成要件1-1Cの「前記容器の第1の開口部を覆うように配置され,ほぼ中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部を有する蓋」b)相違点の容易想到性について, , 以上のとおり 被告主張の相違点以外にも相違点が認められるところ被告は各相違点が容易想到であることについて何ら主張立証していない。また,仮に,相違点が被告主張のものに限られるとしても,容易に想到できるものではない。
2争点1-2(本件各特許発明1の訂正による無効理由の解消)について( )原告の主張1既に述べたとおり,本件各特許発明1は,進歩性の欠如の無効理由を有しない。このことは,本件訂正1により,一層明らかとなる。すなわち,本件訂正1により,@構成要件1-1Aの「容器」が「加圧により」溶融金属を供給するためのものであり,乙1の「傾動式」の「取鍋」とは,その「密閉性」の意義において異なることを明らかにするとともに,A蓋の上面部に開閉可能に設けられる「ハッチ」が「気密性」を有するものであり,乙1の「受湯口小蓋19」とは異なること,B公道を介してユースポイントまで搬送される容器であることが明らかにされている。なお,本件訂正1の結果,本件特許1を無効とする審決の「密閉性」及び「ハッチ」についての認定に誤りがあることが一層明確にされている。
上記訂正は,@「明りようでない記載の釈明」又は「特許請求の範囲減縮」を目的とするものであり,A願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされ,かつ,B実質上特許請求の範囲拡張し,又は変更するものではない。
( )被告の主張2)被告主張・無効理由1は,本件訂正1によっても,解消されていないこ aとが明らかである。
b)被告主張・無効理由2及び3については,訂正後には「公道を介してユースポイントまで搬送される容器」であることが相違点となる。しかし,公道を介して搬送可能な溶融金属の容器の構成については,引用文献1に記載されている。乙2の7公報に開示された構成は,加圧式注湯炉に関するものであり,公道を介して搬送することを予定するものではない。しかし,加圧式取鍋とは,溶融金属を供給する容器として技術分野を共通にすると共に,収容された溶湯を加圧供給するための基本構成においても共通する。したがって,乙2の7公報に開示された加圧式注湯炉を加圧式取鍋に転用することは,当業者が容易になし得ることである。
以上より,乙2の7公報に記載された構成を加圧式取鍋に転用し,引用文献1の記載を参酌して,公道を介してユースポイントまで搬送されるように構成することは,当業者にとって容易であって,従前の無効理由は解消されない。
3争点2-1(被告製品が,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bを充足するか)について( )原告の主張1ア構成要件2-2Bに対応する被告製品の構成2-2bは,次のとおりである。
「溶融アルミニウム供給配管部5は,その先端の溶融アルミニウム供給口531が少なくとも下記(a)と(b)との間を位置するように回転可能である(a)溶融アルミニウム供給用配管部5が接続されている突き出し部4の上面部41の中心と,金属製フレーム18の開口部である取鍋本体開口部外径112の中心とを結ぶ直線上で,かつ金属製フレーム18より外側の位置(b)金属製フレーム18の開口部である取鍋本体開口部外径112の中心と突き出し部4の上面部41の最も外側の点とを結ぶ線分を半径とし,金属製フレーム18の上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置」イ本件明細書2の【0051【0056】の各記載と【図2】とを併 】,せて考慮すれば,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bにいう「当該配管の接続位置とフレームの上面の中心とを結ぶ直線」とは 「突き出し部,の上面の最外周とフレームの開口部の中心とを結んだ線分r1を含んだ直線」をいい 「当該フレームより外側の位置」とは 「線分r1を含んだ , ,直線がフレームの一部である突き出し部の上面の最外周よりも外側の部分」をいうと解される。
ここで,被告製品の構成2-2bの「 a)溶融アルミニウム供給用配 (管部5が接続されている突き出し部4の上面部41の中心と,金属製フレーム18の開口部である取鍋本体開口部外径112の中心とを結ぶ直線上」は 「突き出し部4の上面部41の最外周」と「金属製フレーム18 ,」, の開口部である取鍋本体開口部外径112の中心 とを結んだ直線であり本件特許発明2-2の構成要件2-2Bの「当該配管の接続位置とフレームの上面の最外周とを結ぶ直線」にほかならない。また,被告製品の構成2-2bの「金属製フレーム18より外側の位置」は,金属製フレーム18の一部である突き出し部4の金属製フレーム48よりも外側の位置であるから,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bの「当該フレームより外側の位置」にほかならない。
そうすると,被告製品の構成2-2bの(a)は,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bの(a)を満たしている。
ウ本件明細書2の【0056】の記載と【図2】とを併せて考慮すれば,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bにいう「フレームの上面の中心と突き出し部の最外周とを結ぶ線分を半径とし,フレームの上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置」とは 「突き出し部の上面の ,最外周とフレームの開口部の中心とを結んだ線分r1を半径として,フレームの開口部の中心を中心として描いた円周の内側」をいうことが明らかである。
ここで,被告製品の構成2-2bの「 b)金属製フレーム18の開口 (部である取鍋本体開口部外径112の中心と突き出し部4の上面部41の最も外側の点とを結ぶ線分を半径とし,金属製フレーム18の上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置」は 「突き出し部4の上,面部41の最外周」と「金属製フレーム18の開口部である取鍋本体開口部外径112の中心」とを結んだ線分を半径とし,同中心を中心として描いた円周の内側である。したがって,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bにいう「フレームの上面の中心と突き出し部の最外周とを結ぶ線分を半径とし,フレームの上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置」に該当する。
そうすると,被告製品の構成2-2bの(b)は,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bの(b)を満たしている。
エ以上より,被告製品は,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bを充足する。
( )被告の主張2構成要件2-2Bは,配管の回転可能な位置について,( )直線上の位 a置,すなわち,一次元と,( )円の内側,すなわち,二次元の間という, b技術的意義が明確でない記載となっている。そして,これを説明した発明の詳細な説明の記載(本件明細書2の【0056 )に対応する【図2】 】には 【0056】で説明されている「中心160」も「最外周162」 ,も記載されておらず 「直線161」は直線として記載されていない。 ,したがって,構成要件2-2Bの意義は不明確であり,被告製品の充足性について認否できない。なお,被告製品の配管の先端が,少なくとも原告主張の( )と( )の間を移動し得ることは認める。
ab4争点2-2(本件各特許発明2の新規性ないし進歩性の欠如)について( )被告の主張1本件各特許発明2は,本件各特許発明2の優先日の前に公開された設計図等(乙4の1ないし3。以下,まとめて「乙4文献」といい,乙4の2・3の設計図を「乙4の2・3図面」という )に記載された発明と同一 。
であるか,又は,この発明と,引用発明1及び乙5の設計図(以下「乙5図面」という )を組み合わせることにより,当業者が容易に想到するこ 。
とができたものである。
したがって,本件各特許発明2は,特許法29条1項又は2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許2は,請求項1,2及び5について,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対し )その権利を行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア被告の開発の経緯平成13年9月24日加圧式取鍋の設計案。パイプの折り畳みを考案(乙10の1ないし6)同年10月3日パイプ折り畳み案の図面(乙4の3)同年10月5日土瓶式構想案の図面(乙4の2)同年10月11日トヨタ自動車を含めた打合せ。乙4文献を,守秘義務を負わないトヨタ自動車に開示, () 同年12月17日 18日実湯加圧配湯テスト 乙12の1ないし5平成14年2月4日本件特許2の基準時イ乙4の2・3図面には,本件各特許発明2の構成がすべて開示されている。すなわち,乙4の2・3図面は,その後,乙36の平成14年8月4日日本坩堝作成の図面(以下「乙36図面」という )を経て甲10の平。
成14年8月4日日本坩堝作成の図面(以下「甲10図面」という )に。
, (「」。) なるものであり いずれも中央窯業株式会社 以下 中央窯業 というのAが作成したものである。甲10図面において,乙4の2・3図面と同一の場所にある部材が,構成要件2-5D「第1の配管 ,構成要件2-」「 」() 1C 流路を前記突き出し部に沿うように内在したライニング耐火材を充足することに争いはないのであるから,同一人が作成した概ね同じ内容の設計図について,同一の部材が表されていることは,当業者にとって容易に理解できる。他の各構成要件についても,乙4の2・3図面に記載されていることは明らかである。
したがって,本件各特許発明2は,乙4文献に開示された技術内容と同一であるから,新規性に欠けるか,少なくとも進歩性の欠如の無効原因を有するものである。また,本件特許発明2-2は,請求項2の特許を受けようとする発明の記載が明確でなく,かつ,本件明細書2の発明の詳細な説明が当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないことから,特許法36条6項2号及び同条4項1号の記載不備の無効理由を有するものである。
ウ原告の主張に対する反論a)乙4の2・3図面は,同図の記載どおり,平成13年10月3日及び5日に作成されたものである。乙4の1及び乙11からすれば,乙4の2・3図面が,平成13年10月11日に日本坩堝から被告及びトヨタ自動車に開示されたことは明らかである。
b)被告らの行った特許出願(特願2002-381281号)は,特許法の規定によれば既に公知技術として特許を受けられない発明であったにもかかわらず,特許法の規定を知らなかったために,原告に対する対抗措置としてなされたものである。したがって,トヨタ自動車への開示行為が公知となるか否かは,被告らの主観とは関係なく,客観的に判断されるべきものである。
(2)原告の主張, 。 ア乙4文献の作成期日が 各証拠に記載された年月日であるか疑問があるとりわけ,乙4の2・3図面(平成13年10月3日・5日付け)は,同図面に記載された取鍋が,平成14年8月4日付け日本坩堝作成の設計図(甲10図面)と細部を除くと,ほとんど異ならないことからみて,全く信憑性に欠ける。
また,被告並びに大紀,日本坩堝及び中央窯業は,乙4の2・3図面とほとんど同様の加圧式取鍋について,溶融アルミニウム噴出による火災事故から約3週間後の平成14年12月27日,特許出願(特願2002-381281号)をしている。乙4の2・3図面に記載されている加圧式取鍋が,仮に,公知の発明であれば,被告らは,公知の発明についてあえて特許出願をしたことになり,このような矛盾した態度は,信義則に反するものであり,禁反言の法理に従い,許されるものではない。上記特許出願がなされるまでは,被告外3社においてその詳細について守秘義務を負担していたものである。また,トヨタ自動車についても密接な取引関係にあるものとして信義則上の守秘義務を当然負うものである。
,。, イ公知ではない乙4の2・3図面に基づく被告主張は すべて争う 特に構成要件2-1C「突き出し部に沿うように内在したライニング ,構成」要件2-5D「前記フレーム内で前記流路の少なくとも一部を囲繞し,端面が前記フレームの開口部の開口面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管と」に相当する構成が示されているかどうか,明らかでない。
5争点2-3(本件各特許発明2についての先使用権の成否)について( )被告の主張1ア仮に,乙4文献に基づいて本件各特許発明2が無効でないとしても,被告は,本件特許2の基準時(平成14年2月12日)の前である平成13年12月17日に乙4文献に開示された製品の試作品を完成させ,それに基づくテストを行っている(乙12の1ないし5)ので,被告製品については先使用権が成立する。
イ乙4の2・3図面が被告及びトヨタ自動車に提出された平成13年10月11日の時点で,被告において,これを即時実施するとの意図が客観的に認識され得る態様,程度において表明されている。乙4の2・3図面の作成から現実の実施まで1年2か月を要したのは,種々の安全確認等による調整,受入側であるトヨタ自動車の準備等を考慮すれば,決して長期間とはいえない。
原告は,乙4の2・3図面に開示されている配管は,その端面があまりにも低く,実施が現実には非常に困難であるし,構成要件2-5Dが想定している作用効果を果たすこともできないと主張する。しかし,配管の先端に栓をした上で耐火材を流し込めばよいのであって,乙4の2・3図面に基づき現実の実施をすることに全く困難性はない。
また,構成要件2-5Dは「端面が前記フレームの開口部の開口面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管」というものであり,端面がフレームの開口部の開口面よりも下方に埋め込まれていれば足り,どれだけ下方に埋め込まれていても足りるのであって,第1の配管の端面を乙4の2・3図面よりも上方に設けた甲10図面は,乙4の2・3図面に基づく先使用権の成立を妨げるものではない。
ウ乙4の2・3図面に基づく発明は,日本坩堝が被告らの依頼により原告とは関係なく独自に創作したものである。原告の試作品と乙4の3図面とでは,開示されている配管回転機構が全く異なり,原告が独自に創作したことを示している。すなわち,原告の試作品は配管が途中で折れ曲がる構成であるのに対し,乙4の3図面においては,溶融アルミニウム供給用配管を持ち上げた上で,かつ,フランジ部に回転軸となるピンを設け,このピンを中心に配管を回転させるという構成である。
先使用権の主張立証においては,特許権者である原告とは独立した経路( ), により発明されたこと 別起源の発明であること を明らかにすれば足りそれ以上に発明者が誰であるかまでを具体的に特定して主張立証する必要はない。なお,乙4文献記載の発明を完成させたのは,日本坩堝の関係会社である中央窯業のAである。
( )原告の主張2ア即時実施の意図についてa)即時実施の意図があったと認められるためには,その対象となる製品, , , の性質 設計図の作成から試作品の作成 ユーザーの試作品の性能検査承認など発明の完成から事業の実施,事業の開始に至る経路を総合的に考察して評価し,具体的事案に基づいて「即時実施の意図」があったものと客観的に評価されることが必要であり,単に設計図が作成されたというだけで,直ちに「即時実施の意図」が認められるものではない。
本件においては,被告がトヨタ自動車から加圧式取鍋の開発を要請されてから,トヨタ自動車の最終的な承認を経るまでには,@要請に対する提案,協議,再提案及び承認,A承認を受けた提案に基づく試作品の設計,協議及び承認,B試作品の製作,試験,協議及び再設計,C最終的な完成品の設計,制作,試験及び承認というような多数の段階を経る必要がある。
このように,本件の取鍋は,製作の要請がされた後も,ある程度の期間をかけながらも,試作と実験とを繰り返し,最終的な構成が決定されるという類型の製品である。しかも,製作の要請を受けた者は,最終的にトヨタ自動車の承認がされるまでは,必要とする台数の生産に着手することもできない。
そして,乙4の2・3図面は,日本坩堝における社内の承認も済んでおらず,かつ乙36図面と対比すれば明らかなように,細部の寸法も記入されておらず,材料の指定もされていない,いわば「概略図」も同然のものである。しかも,乙4の2・3図面は現実に製造するためには困難な構成が含まれているなど,設計変更の必要がなお相当ある段階のものであり,発明として完成していたことさえ疑わしい。
そうだとすると,本件において「即時実施の意図」が認められるためには,少なくとも最終的な完成品の設計に至ることが必要であるというべきである。そして,その時期は,平成14年12月9日の火災事故において使用された被告の加圧式取鍋に係る甲10図面が作成された時期であり,その時期は平成14年11月ころと推測される。
b)原告は,乙4の2・3図面が,その記載どおり平成13年10月3日及び5日に作成されたと主張する。しかし,乙4の2・3図面が,その記載の日に作成されたこと自体が疑わしいことである。仮に,この日付に作成されたとすれば,現実の実施がされた平成14年12月9日まで1年2か月間も期間が経過していることになり 「即時実施の意図」を ,有していたとは言い難い。なお,乙4の2・3図面がトヨタ自動車に提出されたか否か不明であり,仮に,提出されていたとしても,せいぜい試作を開始してよいかどうかについての「お伺い」程度の意味と考えられる。
構成要件2-5Dのうち「端面が前記フレームの開口部の開口面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管と」の構成については,乙4の2・3図面の「配管」のようなものの端面があまりにも低く,これが「配管」であるとしても,図面上はともかく,その実施は現実には非常に困難であり,かつ,構成要件2-5Dが想定している作用効果(フランジの回転運動による配管の破損及び摩耗を防止する )を果たすこ。
。,,, ともできない 後に 甲10図面においては 構成要件2-5Dの構成すなわち,わずかにフレームの端面より下げて,フランジと直接接触させない構成のものに変更されている。
)乙4の2・3図面の「第1の配管」に相当するかのような部分についcては 「流路」側の「第1のフランジ」と「第1の配管」との間には, ,「耐火材」からなる「ライニング」が設けられていることが予定されている。乙4の2・3図面に記載の構成の技術思想は 「配管」の毀損を,防止することではなく,むしろ「ライニング (耐火材)の毀損を防止 」することにあるというべきであって,本件特許発明2-5の先使用権を基礎付けるものではない。
イ「知らないで」発明したとはいえないことについて構成要件2-1Dの配管を逆U字型とする構成は,加圧式取鍋の開発当初から検討されている構成である。また,配管を回転させる構成自体は,加圧式取鍋の開発当初から検討されていた。そして,配管の先端部を構成要件2-2Bの範囲内において回転させる構成を備え,本件特許発明2-2の各構成要件を充足する加圧式取鍋は,平成13年10月3日に,原告, ()。 においては 既に現実の試作品として完成していた 甲16の1ないし3一方,被告は,同年10月5日においても,なお,設計図段階である。
このように,本件特許発明2-1及び同2-2については,明らかに原告が先行して開発していたのであり,被告は,原告の開発情報を何らかの方法により知得して乙4の2・3図面を作成したものと考えられる。
ウ別起源の発明であることを明らかにすれば足りるとの主張及び発明者を特定する主張は,時機に後れた防御方法に該当する。なお,原告と被告とは同じトヨタ自動車衣浦工場において,取鍋を用いて溶融アルミニウムの運搬注入業務を行うものであり,競業関係にある原告の技術的思想創作アクセスする機会は当然生じ得る。このような事情のもとにおいては,発明者が誰であって,原告の特許権に開示された技術的思想創作知らないでどのような経路から被告が知得したかを主張立証すべきである。
6争点3-1(被告製品が,本件特許発明3-1の構成要件3-1Fを充足するか)について( )原告の主張1「 」 ,「」 ア被告製品の 溶融アルミニウム供給用配管部5 はフランジ511と「フランジ411」を介して「突き出し部4」に取り付けられる。ここで 「突き出し部4」側の「フランジ411」は 「突き出し部上面部4 , ,1」に設けられた「小フランジ412」にネジ止めされている。このように「フランジ411」は 「溶融アルミニウム供給用配管部5」を「突き ,出し部4」に取り付けるための部材にすぎない。そして 「耐火層46」,は 「配管45」の先の「口金451」と「金属製フレーム48」との間 ,の「耐火層露出部461」において「露出」している(被告製品説明書の図7参照 。)イ構成要件3-1Fの「容器上面側の露出部」の意義は,単に「容器に溶」, 融アルミニウム供給用の配管を取り付ける部分 を指すと解すべきであり被告の主張するように 「配管取付部の流路側のフランジの上面部と同一 ,の高さの面」に限定しなければならない理由はない。
すなわち,構成要件3-1Fの「第1のライニング」に相当する被告製品の「耐火層46」の上面にある「耐火層露出部461」が,構成要件3-1Fの「配管取付部」に相当する「フランジ411」及び「フランジ5」 ,「」 11 の温度低下を抑える構成にされている以上耐火層露出部461は,構成要件3-1Fの「容器上面側の露出部」を満たすことになる。
ウしたがって,被告製品は,構成要件3-1Fを充足する。
( )被告の主張2ア本件明細書3の発明の詳細な説明の記載001100120 (【】,【】,【043 )には 「容器上面側の露出部」自体がどの部分,どの位置を意 】,味するかの明確な記載はない。唯一,その位置を推測させる記載としては「前記第1のライニングの露出部の流路には配管が接続されるが ( 0」【012 )が存在する。この説明からすると,配管56が接続される流路 】(部分)が「露出部」ということになる。そして 「露出部」の露出(覆 ,わずにあらわに出すこと)とは,第1のライニングが露出するという意味であり,第1のライニングである耐火材が露出するのは,配管取付部58のフランジ(本体側フランジ)面であるところの配管56との接合面ということになる。そして,本件明細書3の図3及び図5は,本件特許発明3「」 , , -1の 容器上面側の露出部 を 配管56との接合面として示しておりこのことは,上記の発明の詳細な説明の記載とも符合する。
よって,本件特許発明3-1の第1のライニングが充填される「容器上面側の露出部」とは,配管取付部側の,配管との接合面を意味することになる。
イ被告製品の耐火層( 第1のライニング」に相当)46を形成する耐火 「材は,溶融アルミニウム供給用配管5( 配管56」に相当)との接合面 「まで充填されていない。すなわち,被告製品において 「容器上面側の露,出部 ,すなわち,配管取付部側の配管との接合面とは 「配湯口フラン 」 ,ジ411」の「配湯パイプフランジ511」との接合面を意味することになるが,この面まで耐火材は充填されていないのであって 「配湯口フラ,ンジ411」には耐火層46は形成されていない。
ウよって,被告製品は,構成要件3-1Fを充足しない。
7争点3-2(被告製品が,本件特許発明3-7の構成要件3-7Iを充足するか)について( )原告の主張1ア構成要件3-7Iは 「前記第2のライニング」が 「前記インターフ , ,ェース部」をすべて覆うことを必須であるとはしていないのであるから,「前記第2のライニング」が「前記インターフェース部」の一部を覆っていれば足りる。被告製品は 「インターフェース部」に相当する「突き出 ,し部4」の一部どころか 「上面部41」に近い部分を除いて,ほとんど ,の部分に「断熱層」が介挿されている。
イしたがって,被告製品が構成要件3-7Iを充足することは明らかである。
( )被告の主張2ア原告は,構成要件3-7Iについて 「前記第2のライニングが前記イ ,ンターフェース部の一部を覆っていれば足りる 」と主張する。。
, ,「」 しかし 原告主張のように解すると インターフェース部が 保温されない場合も含むことになり,特許請求の範囲の記載自体が矛盾し,不明確になってしまう。さらに,その「一部」とは,70%なのか,30%程度,「」。, でもよいのかという どの程度の割合の 一部 かが不明確である 仮に「保温され」る程度に覆えばよいと解釈するとしても,その「保温され」る程度が不明確なことになってしまう。
したがって,構成要件3-7Iの意味は,第2のライニングがインターフェース部の「全部」を覆っているものと解釈せざるを得ず,このように解釈することで 「溶融金属の受湯時や給湯時における溶融金属の温度低 ,下を極力抑えることができる( 0078 )との効果とも符合するこ 。」【】とになる。
イ被告製品は,流路(インターフェース部に相当)44の上部は,断熱層(第2のライニングに相当)47で覆われておらず,したがって流路(インターフェース部に相当)44を保温しない。したがって,被告製品は,構成要件3-7Iを充足しない。
8争点3-3(本件各特許発明3の進歩性の欠如)について( )被告の主張1本件各特許発明3は,本件各特許発明3の優先日の前に公開された引用文献1に記載された引用発明1と,加圧式取鍋に当然に備えられる周知慣用の構成を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件各特許発明3は,特許法29条2項の規定により特許を,,, 受けることができないものであり 本件特許3は 請求項1及び7について特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を行使すること )ができない(特許法104条の3第1項 。)ア本件特許発明3-1, ,a)引用発明1の構成を 本件特許発明3-1の構成要件に対比させると次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される取鍋であって,B′外殻鉄皮13と,C′前記外殻鉄皮13の内側に設けられるアルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝製)である内張り耐火材15と,D′前記外殻鉄皮13と前記内張り耐火材15との間に介挿された内張り耐火材15より熱伝導率の低い断熱ボードである断熱材14とを有し,E′(配管)F′前記内張り耐火材15は,取鍋内底部から突き出し部の注湯口18まで溶融金属の流路を内在し,当該流路と前記取鍋の溶融金属の貯留部とを分離するゾーンでかつ注湯口18まで充填され,G′(配管)H′取鍋b)引用発明1の構成B′,C′,D′,H′は,本件特許発明3-1の構成要件B,C,D,Hに,それぞれ一致する。また,引用発明1の構成A′は,本件特許発明3-1の構成要件Aの「溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器」の部分において一致する。また,引用発明1の構成F’は,本件特許発明3-1の構成要件Fの「前記第1のライニングは,容器内底部に近い位置から容器上面側の露出部まで・・・内在し」との限度において一致する。
一方,引用発明1と本件特許発明3-1とは次の点で相違する。
「」, @本件特許発明構成要件3-1Aは 加圧式取鍋 であるのに対し引用発明1は「傾動式取鍋」である点A本件特許発明構成要件3-1Eは「配管」を必須の構成要件としているのに対し,引用発明1には「配管」が存在しない点B本件特許発明構成要件3-1Fは「第1のライニング」が「容器内底部に近い位置から」容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在しているのに対し,引用発明1は「内張り耐火材」が「容器内中段部から」容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在している点「」 「」, C本件特許発明構成要件3-1Gは 配管 が 流路に接続 され「先端」が「下向き」であるにの対し,引用発明1にはそもそも「配管」が存在しない点c)相違点について@相違点@については 引用発明1の 傾動式取鍋 を周知慣用の 加 ,「」「圧式取鍋」に変更することは,当業者にとって容易である。
A相違点A及びCに相当する構成は,加圧式取鍋に関する発明,考案で開示されている周知慣用技術である(乙2-4ないし6・7ないし9 。)そして,本件特許発明3-1は 「加圧式」で「ストーク式」の取 ,鍋の問題点を解決するために 「ストーク」の構成を廃し 「土瓶式」 , ,の構成を採用したものである。そして,引用発明1は 「傾動式」で,はあるものの内部に「ストーク」がなく,本体側面の「突き出し部」を有する「土瓶式」の構成であることで共通し,しかも,本件特許発明3-1は,この「土瓶式」の容器本体及び突き出し部の保温性についての発明であることで引用発明1と同じである。
B相違点Bについて乙39図面には,容器内底部に近い位置から容器突き出し上面部まで溶融金属の流路を,耐火材が内在している。
また,相違点Bは,乙50の1の設計図(以下「乙50-1図面」という )又は特開昭62-289363号公報(乙49,以下「乙 。
」。) , 49公報 というに開示されている構成を適用することによって容易に想到し得る。
d)よって,本件特許発明3-1は,引用発明1と加圧式取鍋に関する周知慣用技術を組み合わせることで当業者が容易に想到し得る発明であり,進歩性の欠如の無効理由を有する。
e)原告の主張に対する反論@原告は,引用発明1が傾動式取鍋であることから,加圧式取鍋とは金属製フレーム(外殻鉄皮)の厚さが異なるとして,本件特許発明3-1における「金属製フレーム」は引用発明1における「外殻鉄皮」に当たらないと主張する。
しかし,本件特許発明3-1の請求項では 「金属製フレームは加 ,圧式を前提とし,それに適応した構造を有しているものをいう 」な。
どという限定はしていない。
A原告は,引用発明1には構成要件3-1F「当該流路と前記容器内の溶融金属が貯留される空間とを分離するゾーン」が存在しないと主張する。
しかし,かかる構成は引用文献1に明確に示されている。
イ本件特許発明3-7, , a)引用発明1の構成を 本件特許発明3-7の構成要件に対比させると次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される取鍋であって,B′溶融金属を貯留する貯留部と,C′前記貯留部と外部との間に溶融金属の流路となる突き出し部と,D′前記貯留部と前記突き出し部との間を連結する内部開口と,E′これらの間を仕切る壁と,F′(配管)G′取鍋の外周は外殻鉄皮13により覆われており,, , H′前記貯留部及び前記突き出し部と 前記外殻鉄皮13との間にはアルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝製)である内張り耐火材15と,内張り耐火材15より熱伝導率の低い断熱ボードである断熱材14とが内部に配置され,I′前記壁は,前記内部開口から前記突き出し部の上部に向けて前記内張り耐火材15が充填されたゾーンを有しているJ′取鍋b)引用発明1の構成B′,C′,D′,E′,G′,J′は,本件特許発明3-7の構成要件B,C,D,E,G,Jに,それぞれ一致する。
また,引用発明1の構成A′は,本件特許発明3-7の構成要件Aの「溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器」との部分において一致し,引用発明1の構成H′は,本件特許発明3-7の構成要件Hの「前記貯留室と,前記フレームとの間には,第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングとが前記第1のライニングを内側にして積層され 」との部分において一 ,致し 引用発明1の構成I′は 本件特許発明3-7の構成要件Iの 前 ,, 「記壁は,前記連結口から前記インターフェース部の上部に向かって前記第1のライニングが充填されたゾーンを有し」との部分において一致する。
一方,引用発明1と本件特許発明3-7は,次の点で相違する。
「」, @本件特許発明構成要件3-7Aは 加圧式取鍋 であるにの対し引用発明1は「傾動式取鍋」である点A本件特許発明構成要件3-7Fは「配管」を必須の構成要件としているのに対し,引用発明1には「配管」が存在しない点B本件特許発明構成要件3-7Hは「第2のライニング」と「第2のライニングを内側」にした「第1のライニング」の積層が 「貯留,室及びインターフェース部と,取鍋本体のみならずフレームとの間」にも設けられている点C本件特許発明構成要件3-7Hは「インターフェース部と前記フレームとの間には,第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングとが前記第1のライニングを内側にして積層され 」ているのに対,し,引用発明1はかかる構成を有していない点D本件特許発明3-7Iは「インターフェース部」が「第2のライニングにより保温」されるのに対し,引用発明1はかかる構成を有していない点c)@相違点@及びAについて本件特許発明3-1で述べたのと同様に容易想到である。
A相違点BないしDについて引用発明1の突き出し部は,本体20とは異なり,内張り耐火材15のみで断熱材14が充填されていない。しかし,断熱材14を本体20の外周のみに充填するか,突き出し部の外周にも充填するかは,溶融金属の保温に関しての設計事項にすぎない。ちなみに,引用発明1の実施品として開発された日本坩堝が原告に納入した傾動式取鍋の設計図である乙5図面では,耐火材が突き出し部に沿うように内在した断熱材(ライニング)が示されている。
また,乙39図面には,壁が貯留室とインターフェース部を分離しており,耐火材からなる壁を介して,貯留室内の溶融金属からインターフェース部側へ熱伝導が促進されるように構成されていることも開示されている。よって,乙39図面では,本件特許発明3-7の構成要件BないしE及びIの「前記インターフェース部が当該インターフェース部と前記フレームとの間に介装された前記第2のライニングにより保温されるとともに 」を除いた構成が開示されている。 ,乙49公報,乙50の1図面においては 「貯留室及び(流路とな ,る)インターフェース部」と「フレーム」との間に 「内張り耐火材,と,断熱材とが内張り耐火材を内側にして積層され」た構成が開示されている。
そうすると「流路(本件特許発明3-7における「インターフェース部」の保温性を高めるために,引用発明1に対し,乙49公報, 」)乙50の1図面を参酌して 「第2のライニング」と「第2のライニ ,ングを内側にした第1のライニング」の積層を 「貯留室及びインタ,ーフェース部と,取鍋本体のみならずフレームとの間」にも設けることは 「保温のために断熱材を設ける」という技術的思想を適用する ,, 。, ことに他ならないから 両者を組み合わせる動機付けとなる そしてこれらの間には何ら阻害要因がないことから,この程度の相違は,いわば設計変更に属する程度のことであり,当業者にとって容易になし得たものというべきである。
d)よって,本件特許発明3-7は,引用発明1と加圧式取鍋に関する周知慣用技術を組み合わせることで当業者が容易に想到し得る発明であり,進歩性の欠如の無効理由を有する。
(2)原告の主張ア本件特許発明3-1a)相違点について本件特許発明3-1と引用発明1とは,被告が主張する点のほか,次の点で相違する。
@引用文献1の第6図の「取鍋」は「傾動式取鍋」に限定されるのであり 「加圧式取鍋」である本件特許発明3-1の構成要件Aの「容 ,器」とは相違する。
A引用発明1の「外殻鉄皮」と本件特許発明3-1の構成要件B,C及びDの「加圧式取鍋」の「フレーム」とは,その技術的意義において相違する。
B引用発明1の「第1のライニング」は,本件特許発明3-1の構成要件Fのうち「容器内底部に近い位置から容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在し」を満たさない。
C引用発明1の「流路」と「貯留部」との間には,本件特許発明3-1の構成要件Fにいう「当該流路と前記容器内の溶融金属が貯留される空間とを分離するゾーン」が存在しない。
「」 「」,「」 D引用発明1の 取鍋 は 傾動式取鍋 に限定され加圧式取鍋である本件特許発明3-1の構成要件Hの「容器」とは異なるし,同Hの「 構成要件Aから同Iを満たす)ことを特徴」とする容器であ (る点を満たさない点においても異なる。
)相違点の容易想到性についてb上記のとおり,被告の主張しない相違点があるので,被告の主張はそ。, 。 れ自体失当である 以下 被告の主張する相違点についてのみ反論する@相違点@,A及びCについてそもそも 「加圧式取鍋」と「傾動式取鍋」とは気密性の有無及び ,溶融金属の供給方法の相違などから,構造的に「金属製フレーム」の構造並びに 流路 の形状及び位置などに違いがあり その差異は 配 「」 ,「」。, , 管 の有無のみに止まらない 被告は 本件特許発明3-1について「」 「」 。, 配管 を 傾動式取鍋 に取り付ければ足りると主張する しかしそのような単純なことで「加圧式取鍋」の技術的構成が実現されるわけではなく,さらに,多様な技術的課題を解決しなければならない。
被告は 「配管」に関する技術が周知慣用であると主張する。しか ,し,被告の挙げる公開特許又は実用新案公報(乙2の4ないし6・8)「」「」 ・9 を引用発明1の 傾動式取鍋 に組み合わせても 加圧式取鍋になるものではない。
A相違点Bについて,「」 「」 引用文献1の第6図の取鍋においては流路 は 内張り耐火材(耐火層)と「外殻鉄皮 (金属製フレーム)に覆われているだけで 」あり 「断熱材 (断熱層)が「流路」の部分にはなく 「流路」を保 ,」 ,温するという技術的思想が示されていない。
B乙39図面について乙39図面が公然知られたことも,公然実施をされたことも,その設計図が頒布された刊行物に当たることも,全く主張立証されていない。
C乙49公報,乙50の1図面について乙50の1図面が公然知られたことも,公然実施をされたことも,その設計図が頒布された刊行物に当たることも,全く主張立証されていない。また,乙49公報によっては,被告が相違点として主張する構成が開示されているか不明である。
イ本件特許発明3-7a)相違点について本件特許発明3-7と引用発明1とは,被告が主張する点のほか,次の点で相違する。
@引用発明1の構成D′の「内部開口」は,本件特許発明3-7の構成要件Dの「前記貯留室下部と前記インターフェース部下部との間の『連結口 」と相違する。』A引用発明1の構成E′の「これらの間を仕切る壁」は,本件特許発明3-7の構成要件Eにいう「前記貯留室」と「前記インターフェース部」との間を「仕切る壁 ,すなわち 「前記貯留室」と「前記イ 」,ンターフェース部」の下部から上部まで延在している壁と相違する。
B引用発明1の構成G′の「外殻鉄皮」の構造は,本件特許発明3-7の構成要件Gの「加圧式取鍋」の「フレーム」の構造とは,加圧に耐え得るような構造かどうかという点で相違する。
C引用発明1の構成H′は,本件特許発明3-7の構成要件Hとは,「前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニング」に相当すべき「断熱材」の層がない点において相違する。
D引用発明1の構成I′は,本件特許発明3-7の構成要件Iのうち「前記壁は,前記連結口から前記インターフェース部の上部に向けて前記第1のライニングが充填されたゾーンを有し 」とは 「前記壁」,,及び「前記連結口」とにおいて相違する。
)相違点の容易想到性についてb上記のとおり,被告の主張しない相違点があるので,被告の主張はそ。, 。 れ自体失当である 以下 被告の主張する相違点についてのみ反論する@相違点@ないしBについて本件特許発明3-1について述べたのと同様である。
A相違点C及びDについて被告は,傾動式取鍋の「断熱材」を突き出し部にも充填するかどうかは,溶融金属の保温についての設計事項にすぎないと主張する。
しかし,傾動式取鍋においては,突き出し部の形状も異なり,突き「」 出し部の保温性を考える必要性に乏しいために突き出し部に 断熱材を充填する必要性がないこと,及び,耐火性を維持するために耐火層を残したまま充填することは,突き出し部の外形を大きくすれば,そ, , の操作性に影響が出てくるし 突き出し部の内径の流路を狭くすれば溶融金属を注ぎ出すための速度が遅くなり効率性に悪影響を与えることなどから,単なる設計事項には止まらない。
また 「前記ゾーンを介して前記貯留室内に貯留された前記溶融金 ,属から前記インターフェース部側への熱伝導が促進されるように構」,, , 成 することも 傾動式取鍋においては 突き出し部の形状も異なり流路も異なるのであるから,そもそも,そのような技術的課題が生じない。
したがって,傾動式取鍋の単なる設計変更のみにより,本件特許発明3-7の構成要件Iのうち「前記インターフェース部が当該インターフェース部と前記フレームとの間に介挿された前記第2のライニングにより保温されるとともに,前記ゾーンを介して前記貯留室内に貯留された前記溶融金属から前記インターフェース部側への熱伝導が促進されるように構成されている」との構成になるものではない。
B乙49公報,乙50の1図面について乙50の1図面が公然知られたことも,公然実施をされたことも,その設計図が頒布された刊行物に当たることも,全く主張立証されていない。また,乙49公報によっては,被告が相違点として主張する構成が開示されているか不明である。
9争点3-4(本件各特許発明3の訂正による無効理由の解消)について( )原告の主張1既に述べたとおり,本件各特許発明3は,進歩性の欠如の無効理由を有しない。このことは,本件訂正3により,一層明らかとなる。すなわち,本件訂正3により 「流路」の部分においても 「第2のライニング」が , ,充填されていることが明確にされた。なお,本件訂正3の結果,本件特許3を無効とする審決が,@引用発明1の「注湯口18」を設けるために突き出した部分には 「断熱材14」は 「取鍋鉄皮13」と「内張り耐火 ,,材15」との間には介挿されていないこと,A引用発明1の「流路」の下方が「溶融金属」の液面に近い付近であることを看過したことが一層明確にされている。
また,上記訂正は,@「明りようでない記載の釈明」又は「特許請求の範囲減縮」を目的とするものであり,A願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされ,かつ,B実質上特許請求の範囲拡張し,又は変更するものではない。
( )被告の主張2本件訂正3によっても,無効理由は解消されていない。
10争点4-1(本件特許発明4-1の進歩性の欠如)について( )被告の主張・無効理由1について1本件特許発明4-1は,本件特許発明4-1の優先日の前に公開された引用文献1に記載された引用発明1と,加圧式取鍋に当然に備えられる周知慣用の構成を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件特許発明4-1は,特許法29条2項の規定により特,,, 許を受けることができないものであり 本件特許4は 請求項1について特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を行使する )ことができない(特許法104条の3第1項 。)ア引用発明1の構成を,本件特許発明4-1の構成要件に対比させると,次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される取鍋であって,B′外殻鉄皮13と,C′前記外殻鉄皮13の内側に設けられ,取鍋本体20内に内部開口を有し,当該取鍋本体20の突き出し部の注湯口18に向かう流路を内在するアルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝製)である内張り耐火材15と,D′(配管)E′突き出し部には流路が存在するF′取鍋イ引用発明1の構成B′,C′,F′は,本件特許発明4-1の構成要件B,C,Fに,それぞれ一致する。また,引用発明1の構成A′は,本件「 , 特許発明4-1の構成要件Aの 溶融アルミニウムを収容することができ運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器」の部分において 引用発明1の構成E′は 本件特許発明4-1の構成要件Eの 流 ,, 「路」の部分において,それぞれ一致する。
一方,引用発明1と本件特許発明4-1は,次の点で相違する。
a)引用発明1は傾動式取鍋であるのに対して,本件特許発明4-1は加圧式取鍋である。
b)引用発明1には,本件特許発明4-1の構成要件Dの「前記配管取付部に取付けられ,前記流路に連通する配管」が存在しない。
)引用発明1の流路の内径は,本件特許発明4-1の構成要件E「約6c5o〜約85o」のように特定されていない。
ウ相違点についてa)相違点a)及びb)について本件特許発明3-1で述べたのと同様である。
b)相違点c)について流路の内径は,溶融金属の単位時間当たりの排出量から,その内径が適宜決定されるのであり,本件特許発明4-1の構成要件E「約65o〜約85o」の構成を有することをもって,進歩性を有することにはならない。
エよって,本件特許発明4-1は,引用発明1と加圧式取鍋に関する周知慣用技術を組み合わせることで当業者が容易に想到し得る発明であり,進歩性の欠如の無効理由を有する。
( )被告の主張・無効理由2について2本件特許発明4-1は,本件特許発明4-1の優先日の前に公開された特開平11-188475号公報(乙2の11。以下「乙2の11公報」という )に記載された発明(以下「乙2の11発明」という )と,加 。 。
圧式取鍋に当然に備えられる周知慣用の構成を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件特許発明4-1は,特許法29条2項の規定により特,,, 許を受けることができないものであり 本件特許4は 請求項1について特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を行使する )ことができない(特許法104条の3第1項 。)ア乙2の11公報に開示された構成を,本件特許発明4-1の構成要件に対比させると,次のとおりである。
A′溶融アルミニウムを収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,外部へ溶融アルミニウムを供給することが可能で,移動昇降装置により成型機まで搬送される容器であって,B′金属板と,C′前記金属板の内側に設けられ,かつ,前記容器内の底部付近に開口を有し,当該容器の上方の外側管部取付部たる管上部に向かう流路を内在するセラミック体と,D′前記外側管部取付部たる管上部に取付けられ,前記流路に連通する外側管部とを具備する,E′ことを特徴とする容器。
イ乙2の11公報に開示された構成A′は,本件特許発明4-1の構成要件Aのうち「溶融アルミニウムを収容することができ,内外の圧力差を調節することにより,外部へ溶融アルミニウムを供給することが可能で,ユースポイントまで搬送される容器であって 」という点で一致し,構成B ,′は構成要件Bと一致する。また,外側管部を別体に構成した場合には外側管部取付部が必須であることから,構成C′,D′,E′は,構成要件C,D,Fと,それぞれ一致する。
一方,乙2の11発明と本件特許発明4-1は,次の点で相違する。
a)本件特許発明4-1は,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器であるのに対し,乙2の11公報には 「運搬車輌に,より搭載されて」ユースポイントまで搬送される容器であるか否か明記されていない。
b)乙2の11発明の流路の内径は,本件特許発明4-1の構成要件Eのように 「約65o〜約85o」と限定されていない。 ,ウ相違点についてa)相違点a)について引用発明1に開示されている。
b)相違点b)について@かかる数値限定は設計事項にすぎない。
加えて,傾動式取鍋であるとはいえ,流路の内径を80oとする構成は,日本坩堝作成の乙5図面にも開示されている。なお,流路や第1の配管を流れる溶湯はいずれも水力学の法則に則って流れるものであるから 「傾動式」と「加圧式」との間に技術的な相違はないし, ,「傾動式取鍋」に「加圧式」の技術を付加して「加圧式取鍋」とすることについて阻害事由は存しない。
A出願経過をみると,本件特許発明4-1は流路の内径を規定したから特許査定されたものではなく,流路が 「容器本体の内壁を覆うよ ,うに設けられた耐火壁により構成された」ことに限定されたことにより特許査定されたものである。したがって,拒絶理由通知(乙6)でも指摘されているとおり,構成要件4-1Eにおける流路の内径の数値限定は何ら臨界的意義はなく,当業者が溶融金属の単位時間当たりの排出量等を考慮して適宜決定される設計事項にすぎないのである。
よって,構成要件4-1Eの構成をもって本件特許発明4-1が進歩性を有することにはならない。
エよって,本件特許発明4-1は,引用発明1と加圧式取鍋に関する周知慣用技術を組み合わせることで当業者が容易に想到し得る発明であり,進歩性の欠如の無効理由を有する。
( )原告の主張・無効理由1について3ア相違点について本件特許発明4-1と引用発明1とは,被告が主張する点のほか,次の点で相違する。
a)引用発明1の構成B′の「外殻鉄皮」と,本件特許発明4-1の構成要件Bの「加圧式取鍋」の「フレーム」とは,その技術的意義において相違する。
b)引用発明1の構成C′の「内部開口」は,本件特許発明4-1の構成要件Cのうち「容器内の底部付近に開口を有し」を満たさない。
c)引用発明1の構成E′の「流路」は,本件特許発明4-1の構成要件Cのうち「当該容器の上方の『配管取付部』に向かう流路」を満たさないし 「加圧式取鍋」における「流路」と構造も異なる。 ,d)引用発明1の構成F′の「取鍋」は「傾動式取鍋」であり 「加圧式,取鍋」である本件特許発明4-1の構成要件Fの「 構成要件AからE(を満たす)ことを特徴とする容器」である点を満たさない。
イ相違点の容易想到性について上記のとおり,被告の主張しない相違点があるので,被告の主張はそれ自体失当である。以下,被告の主張する相違点についてのみ反論する。
)相違点 )及び )についてaab本件特許発明3-1について述べたのと同様である。
)相違点 )についてbc「加圧式取鍋」における最適な「流路」の内径は,原告が 「加圧式,取鍋」の試作品を開発し,現実に実施可能な状態において試行錯誤を繰り返したことにより初めて得られた知見である。
技術常識からいえば,流路の内径を大きくすれば,溶融アルミニウムの供給のためには,より大きな加圧が必要とされることが想定される。
そのような考慮から,トヨタ自動車においては,内製用,すなわち,同社の工場内部で溶融アルミニウムを溶融炉により製造するために用いられる溶融アルミニウムの供給管は 「内径」が「50ミリメートル」と ,されており,溶融アルミニウムの供給管の納入業者に対しても 「50,ミリメートル」のものを納入するように指導がなされていた。なお,そのような溶融アルミニウムの供給管は,被告と被告製品について密接な関係にある日本坩堝からも,トヨタ自動車に納入されている。このようなことから,被告においても,最初の「加圧式取鍋」の試作機は「ストーク」を用いたタイプのものであり,かつ,その内径は「50ミリメートル」とされていた。
技術常識からすれば 「50ミリメートル」の内径をさらに大きくす ,ることは,より大きな加圧を必要とすることになるし 「突き出し部」,や「配管」もより大きくなり,その操作性に障害が生じてしまう。しかし 実際に 加圧式取鍋 を試作すると加圧式取鍋 においては 5 ,「」,「」「0ミリメートル」にすると「配管」又は「流路」が目詰まりするという技術的課題が生じることが見出された。原告の技術者は,温度が下がることにより溶融アルミニウムの粘性が増大し 「流路」の壁面の抵抗が ,増大していることを考えると 「流路」の「内径」を大きくすることに ,より,かえって壁面の抵抗による影響を低減することができるのではな。, , いかと考えた そして そのような仮説に基づいて試作を重ねたところ本件特許発明4-1の構成要件Eにあるように 「内径」が「約65o ,〜約85o」が,加圧を最小値にすることができることを見出したのである。
( )原告の主張・無効理由2について4ア相違点について「」 本件特許発明4-1と乙2の11公報の請求項1に記載の ラドル装置とは,被告が主張する点のほか,次の点で相違する。
a)構成要件4-1Bの「フレーム」に相当する構成を欠いている。
b)構成要件4-1Cの「フレームの内側に設けられ ,かつ 「当該容」,器の上方の配管取付部に向かう流路」に相当する構成を欠いている。
c)構成要件4-1Dの「前記配管取付部に取付けられ,前記流路に連通する第1の配管」に相当する構成を欠いている。
d)構成要件4-1Fの「 構成要件4-1Aから構成要件4-1Eを満 (たす)ことを特徴とする容器」に相当する構成を欠いている。
イ相違点の容易想到性について上記のとおり,被告の主張しない相違点があるので,被告の主張はそれ自体失当である。以下,被告の主張する相違点についてのみ反論する。
)相違点 )についてaa乙2の11公報の「ラドル装置」を「傾動式取鍋」の代わりに運搬車輌に搭載して溶融アルミニウムを搬送することが困難であるのは明らかである。そのためには,傾動式取鍋の具体的構成とラドル装置の具体的構成とを組み合わせるとともに,さらに,そのような組合せを可能にする構成について主張立証する必要があるところ,被告はかかる主張立証をしていない。
)相違点 )についてbb乙5図面が公然知られたものかどうか明らかでない。また,仮に,乙5図面の「傾動式取鍋」の流出口の径が80oであるとしても 「傾動,式取鍋」と「加圧式取鍋」とは技術的な立脚点を異にし,流路の内径の決定のためのプロセスも全く異なるので,当業者が「加圧式取鍋」の内径を80oにする技術的な必然性は全くない。
さらに,乙2の8の「サイフォン原理」を利用した「鋳込み装置」における「フランジのようなもの」を,乙2の11公報の「ラドル装置」の「内側管部」と「外側管部」との間に設ける技術的必然もない。
11争点4-2(本件特許発明4の記載不備)について( )被告の主張1本件特許発明4は,平成14年改正前の特許法36条4項又は6項2号に違反して登録されたものである。
したがって,本件特許4は,請求項1について,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許)権者である原告は,被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア管摩擦をも考慮した場合,アルミニウム溶湯を取鍋から押し出すのに必要な圧力Hを求める式は,次のとおり表される。
H=〔L1-{V1-(L2・d ・π/4)/(D ・π/4 }+λ・2 2)L2/d・v /2/g ・ρ2〕L1:取鍋底面から出湯口までの高さ〔m〕V1:湯体積〔m 〕3L2:出湯管長さ〔m〕d:出湯管内径〔m〕D:取鍋本体平均内径〔m〕λ:管摩擦係数(=0.0032+0.221・Re)-0.237Re:レイノルズ数(=d・v/ν)v:出湯管内部流速〔m/s〕ν:湯の動粘度〔m /s (=0.002)2〕g:重力加速度〔m/s(=9.80665)2〕ρ:アルミニウムの比重(@800℃)=2500〔kg/m 〕3イ上記式のうち,値が定まっている数値は湯の動粘度νと重力加速度gとアルミニウムの比重ρにすぎない。それゆえ,上記式の表す意味は,溶湯を取鍋の流路から排出するために必要な圧力Hは単に流路の内径dだけではなく,取鍋本体の内径D,出湯管内部流速vなどによって定まるということである。つまり,流路の内径dを定めても,上記他の値を特定しない限りは本件明細書4記載の効果を得ることはできない。
したがって,流路の内径dだけを特定する本件特許発明4-1は,自然法則を無視したものであり,また,当業者がその効果を確認できず,発明の詳細な説明が当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
よって,本件特許発明4は,平成14年改正前の特許法36条4項又は6項2号に違反して登録されたものである。
( )原告の主張2ア本件公報4の【0018【0085】の記載からすれば,本件特許 】,発明4-1は,運搬車輌により搭載されて公道を介して搬送される「加圧」 。 式取鍋 を発明者において実際に試作した結果から見出されたものであるそして 「加圧式取鍋」の構成は,本件公報4の詳細な説明と併せて,本 ,件公報4の「図3」及び「図4」を見れば明らかであり,当業者において試作も容易である。被告は,現にこれらの発明と同様の被告製品を多数製造しているのである。したがって,構成要件4-1Eに記載の流路の内径の数値限定技術的意義は明らかであり,当業者がその実施をすることも可能である。
イ被告は,@出湯口まで溶融アルミニウムを押し上げるために必要な揚程h1を理論的に計算し,かつ,A摩擦損失揚程h2を「ニクラッチェの式(0.0032+0.221・Re,Re:レイノルズ数 」に基-0.237)づいて理論的に計算すると,構成要件4-1Eの流路の内径のみを規定することには技術的意義はないと主張するようである。
しかし,被告が示す計算式は,その仮定において極めて恣意的であり,机上の空論の域を出ない。
)被告は,流路を大きくすると,@出湯口まで溶融アルミニウムを押しa上げるために必要な揚程h1が増大し,他方,A摩擦損失揚程h2が減少し,その兼ね合いにより,溶融アルミニウムの供給に必要な圧力が最小になる領域が自然法則上あり得ること自体は認めている。原告は,このような自然法則を前提として,その領域を試作により見出したものであり,被告の主張は,この点において,既に理由がない。
)被告は,恣意的な前提を立てて 「溶融アルミニウムの供給に必要なb ,圧力」について机上の空論を組み立てている。
「ニクラッチェの式」は,管面が「滑らかな」場合における関係式であることが明らかである。ところが 「加圧式取鍋」において使用され ,るセラミック製又は金属製の管は決して滑らかな管ではないし,酸化したアルミニウムがすぐに付着するのであって 「滑らかな」管面に基づ ,く仮定は,あり得ない。
レイノルズ数が一定以上になれば,それ以上レイノルズ数が増加しても,摩擦損失係数λは変わらないことが知られている。ところで,被告自身,加圧式取鍋においてレイノルズ数が数千の領域であることは,およそあり得ないことを認めている。実務上問題となり得るレイノルズ数(数十万単位)の領域においては,摩擦損失係数λは,およそニクラッチェの式による値からは乖離し,一定値をとる。このように,実務上あり得るレイノルズ数の領域においては,被告が前提としているニクラッチェの式に基づく摩擦損失係数λは極めて不正確であり,そのため,被告のh2の計算式もまた不正確となる。
被告は,例えば,溶融アルミニウムの供給時間を500秒に設定した場合,本件特許発明4-1の作用効果を奏しないと主張する。しかし,このような極端な遅い供給速度はあり得ず,このような遅い速度で供給すれば,溶融アルミニウムが流路において固化するおそれがある。そればかりではなく,溶融アルミニウムの温度の低下を無視することができ,, 。 なくなり 粘性がさらに上がり 理論的な計算どおりになる保障はない,,。
c)加圧式取鍋の流路の断面積は 本体の断面積に比べ はるかに小さいしたがって,出湯口まで溶融アルミニウムを押し上げるために必要な揚程h1は,出湯口の高さL1と液面の高さHとの差のみに影響され,加圧式取鍋の断面積Sにほとんど影響されない。
にもかかわらず,被告は,h1について,V1,L2,d,Dなどのほとんど無視することができるパラメータを誇張した主張を行っているのである。
12争点5-1(本件各特許発明5の新規性ないし進歩性の欠如)について( )被告の主張・無効理由1について1本件各特許発明5は,出願日に既に公知となっていた被告製品と同一の構成である。
したがって,本件各特許発明5は,特許法29条1項の規定により特許を,,, 受けることができないものであり 本件特許5は 請求項1及び8について特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を行使すること )ができない(特許法104条の3第1項 。)ア基準時について本件各特許発明5において優先権が主張されている明細書には,本件特許発明5-1の構成要件C,本件特許発明の5-8の構成要件Dが記載されていない。したがって,本件各特許発明5の現実の出願日が基準時となる。
イ本件各特許発明5ないし7に関する被告の開発平成14年8月4日日本坩堝作成の設計図(甲10)同年8月10日被告側打合せ(乙13の1ないし5)同年10月8日甲10修正及び出図同年12月9日被告,加圧式取鍋による納入開始。湯洩れ事故発生。圧力開放弁の設置を検討(乙8の1)同年12月16日火災事故の対策会議。圧力開放バルブ,焼結ベントの設置(乙8の2,14の1・2)同年12月23日トヨタ自動車より,開放バルブ操作の安全基準の欠落の指摘(乙8の4,16)同年12月28日本件特許5の出願平成15年1月10日インターロック案の図面(乙18の10)同年1月23日トヨタ自動車に乙18の10提出。カプラの仕様変更を求められる(乙18の1ないし13,19ないし21 。)同年2月14日カプラ変更後の図面(乙9)同年2月18日図面番号を振り直して本採用(乙9)同年2月21日本件特許発明6-2及び同7-2の基準時ウ出願日前の公知技術)平成14年(2002年)8月4日付け日本坩堝作成の設計図(甲1a0図面)に基づく加圧式取鍋に,)同年12月9日の湯洩れ火災事故対策として 同年12月23日加b ,,「圧用配管部取付口311に通じる加圧用配管部6に介在させ,気体を通過させ,かつ,溶融アルミニウムの通過を規制する焼結ベント721を充填した栓72 (構成要件5-1Cに相当する被告製品の構成 ,換 」 )言すれば,「前記取鍋の小蓋3の加圧用配管部取付口311に設けられ,前記取鍋の内圧を逃すことのできる加圧用配管部6」と(構成要件5-8Cに相当する被告製品の構成「前記加圧用配管部6に前記溶融アルミニウ ),ムの流出を規制するように設けられた焼結ベント721 (構成要件5」-8Dに相当する被告製品の構成)を追加修正する構成の取鍋エ被告らは,平成14年(2002年)12月16日,甲10図面に基づく加圧式取鍋に,焼結ベントを圧力口カプラ内に取り付ける修正を施した取鍋を,守秘義務を負わないトヨタ自動車に提案し,その了承を受けたものである。この修正を施した取鍋とは,被告製品の構成をすべて備えた取鍋であって,本件各特許発明5と同じ構成の取鍋である。
オよって,本件各特許発明5は,平成14年(2002年)12月16日に完成し(乙8-2 ,守秘義務を負わないトヨタ自動車に開示された発 )明と同じであるから,新規性欠如の無効原因を有するものである。
( )被告の主張・無効理由2について2本件各特許発明5は,出願日に既に公知となっていた被告製品に,周知慣用の「規制部材」を組み合わせることにより,当業者が容易に想到することができたものである。
したがって,本件各特許発明5は,特許法29条1項の規定により特許を,,, 受けることができないものであり 本件特許5は 請求項1及び8について特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその権利を行使すること )ができない(特許法104条の3第1項 。)ア基準時について本件各特許発明5について優先権が主張されている明細書には,本件特許発明5-1の構成要件C,本件特許発明の5-8の構成要件Dが記載されていない。したがって,本件各特許発明5の現実の出願日が基準時となる。
イ甲10図面に開示された構成を,本件特許発明5-1及び5-8の構成要件に対比させると,次のとおりである。
A′内外を連通する加圧用配管取付口及び加圧気体噴出口を有し,溶融アルミニウムを収容することができ,加圧により溶融金属を供給させることができる取鍋と,B′前記取鍋の内外を連通し,前記溶融アルミニウムを供給することが可能な溶融アルミニウム供給流路と,C′前記取鍋の小蓋の加圧用配管取付口に設けられ,前記取鍋の内圧を逃すことができる加圧用配管部と,D′を具備することを特徴とする溶融アルミニウム供給用取鍋ウ甲10図面に開示された構成A′,B′,D′は,本件特許発明5-1の構成要件A,B,Dと,それぞれ一致する。また,甲10に開示された構成A′,C′,B′,D′は,本件特許発明5-8の構成要件A,C,B,Eと,それぞれ一致する。
一方,甲10図面に開示された構成には,構成要件5-1C及び5-8Dに相当する構成,すなわち,貫通孔に通じる流路(圧力開放管)に気体を通過させ,かつ,溶融金属の通過を規制する規制部材が存在しない点で相違する。
エ相違点についてa)乙8の3添付のパンフレット(株式会社ファインシンター作成のパンフレット。以下「乙8の3パンフレット」という )には,焼結ベント。
はアルミ合金の鋳物についてのガス抜きに用いられており,気体は通過させるが溶融アルミニウムの通過を規制する規制部材であることが開示されている。
特開平10-156513号公報(乙28。以下「乙28公報」という )には 「20μm〜100μmの多数の耐熱性金属細線を絡ませ, 。,焼結した多孔質材」が開示されており,かかる多孔質材は 「溶融金属,(液体)は通過させずに気体のみを通過させることができる」ことが開示されている。したがって,乙28公報に開示されている多孔質材は,構成要件5-1C及び5-8Dにおける「気体を通過させ,かつ,溶融金属の通過を規制する規制部材」に相当する。
, , b)以上のとおり 甲10図面に開示されている取鍋及び気体を通過させかつ,溶融金属の通過を規制する規制部材が,本件各特許発明5の基準時前に公知であったことに加え,平成14年12月9日の溶湯洩れ火災事故の原因が取鍋内部の圧力上昇であったこと,それゆえ,取鍋内部の圧力上昇を防ぐ必要があることが当業者に公知であったことからすれば,甲10図面の取鍋の加圧用配管取付口及び加圧気体噴出口に,気体を通過させ,かつ,溶融金属の通過を規制する規制部材を設置して圧力上昇を防止するという取鍋を想到することは,当業者にとって容易である。
よって,本件各特許発明5には,進歩性の欠如の無効理由がある。
( )原告の主張・無効理由1について3ア基準時について本件特許発明5-1の構成要件C,本件特許発明5-8の構成要件Dが本件明細書5(出願時明細書)に記載されていることは認める。
イ被告主張の引用例の公知性について)甲10図面に記載の「ポットリーベ」は,被告と日本坩堝との間におaいて秘密裡に開発されていたものである。このような新製品の開発においては,秘密情報の取扱いを明確にするために秘密保持契約が締結されることもある。そのような契約が締結されていなくても,当然の前提として当事者間の信頼関係に基づく信義則上の守秘義務があることは公知の事実である。新製品の開発において,それが新聞発表されたり,実際に公然と使用されたりして,公知のものとなるまでは,第三者に開示してはならない信義則上の義務があることは常識の部類に属する。
)被告は,トヨタ自動車の下請企業であり,継続的かつ密接な取引関係bにあることから,トヨタ自動車からの技術情報(乙8の1)をトヨタ自動車の承諾なく第三者にみだりに開示しない信義則上の義務を負うことも経験則上当然である。このような信頼関係があるからこそ,トヨタ自動車にしても,詳細な火災事故の状況及び原因と想定される事項について詳細に教示しているのである。しかも,当該文書に記載の事項は,トヨタ自動車のみならず,被告にとっても技術上の秘密に属する事項であるから,被告自身が第三者にみだりに開示するような性質のものではない。
)トヨタ自動車としては,継続的かつ密接な取引関係にある被告のようcな下請企業から提供された技術情報(乙8の2・4)をみだりに開示しない信義則上の義務を負うことも経験則上当然である。すなわち,トヨタ自動車としては,そのような信義則上の義務を遵守し,下請企業の技術情報を尊重する姿勢を示しているからこそ,下請企業から詳細な技術情報を得ることができるのである。しかも,このような文書に記載された事項は,被告にとり,技術上の秘密に属する事項であるから,トヨタ自動車にとっても,技術上の秘密に属する事項である。
)トヨタ自動車として,同じ衣浦工場において溶融アルミニウムを納入dしている原告においても同様の事故が起こらないように最大限の安全に配慮し,かつ,そのような安全対策のために原告に技術情報の提供を求めることは,極めて自然なことである。換言すれば,トヨタ自動車が,被告らに対し,秘密保持義務を負担しつつも,火災事故を起因とする安全対策について,そのために必要な限りにおいて,原告にも事故の情報を提供するのは,トヨタ自動車と被告との信義則上の義務に反するものではなく,かえって,信義則上,当然に認められるべきことである。
原告が,火災事故というような緊急事態において,かつ,密接な取引関係にある会社として,トヨタ自動車から安全対策のために情報提供を要請されたのは当然のことである。そして,このような緊急事態において,被告が,トヨタ自動車から,そのような技術情報を受ければ,原告に対してこそ直接には秘密保持義務を負わないとしても,被告及び被告の親会社である大紀と密接な取引関係にあるトヨタ自動車との関係においては,秘密保持義務を負うことは当然である。それと同様に,原告においても,トヨタ自動車から安全対策のために事故原因について情報を提供された場合には,被告に対してはともかく,トヨタ自動車との関係において,信義則上,秘密保持義務を負うことは当然である。
( )原告の主張・無効理由2について4ア基準時について本件特許発明5-1の構成要件C,本件特許発明5-8の構成要件Dが本件明細書5(出願時明細書)に記載されていることは認める。
イ被告主張の引用例の公知性について既に述べたとおり,被告製品は,基準時において公知ではない。
容易想到性について「焼結ベント」が本件各特許発明5の基準時において公然知られていたことは認める。
被告が主張する「焼結ベント」及び「鋳造用フィルタ」は,鋳物の金型からのガス抜きのために使用されるものであり,本来,本件各特許発明5のような用途に使用されることは,全く予想されていない。いくら気体を通過させるとはいえ,加圧気体を通すために障害となるようなものを,通常であれば,わざわざ,加圧気体を通すための配管に入れるようなことは考えない。そのようなことを着想することは,運搬車輌により公道上を搬送される「加圧式取鍋」において,溶融アルミニウムを搬送している間にライニングからの水分が気化し,蒸気圧が高まるおそれがあるため,その内部を密閉してはならないという,原告の社内においては知られていた技術情報を知らない限りは困難である。換言すれば,そのような技術的課題を知らない限りは,当業者において 「焼結ベント」及び「鋳造用フィル ,タ」を,本件各特許発明5に使用することを想起すらできない。本件各特許5の出願時において,そのような技術的課題は,公然知られたものではないから,本件各特許発明5を,その出願前の当業者において,容易に発明することができたとはいえない。
13争点5-2(本件各特許発明5についての先使用権の成否)について( )被告の主張1被告は,遅くとも平成14年12月16日に,被告ら作成の「衣浦工場殿向けADC12溶湯湯洩れ火災事故対策書 (乙8の2。以下「乙8の 」2対策書」という )で開示された圧力口に焼結ベントを設けるという発 。
明を完成させていた。また,乙8の2対策書に実施予定日として12月28日と記載され,現に焼結ベントの取寄せを行っていたことから明らかなように,即時実施の意図を有していた。
ア発明の完成について)乙8の2対策書の図D-1には「圧力解放バルブ・焼結ベントの取りa付け」と記載され 「焼結ベント(圧力口カプラ内に取り付け 」とし , )て,その具体的構成が示されている。この記載に基づけば,当業者が焼結ベントを圧力口カプラに取り付けた最終図面を作成して,それに基づいた製品を製造することが可能である。そして,焼結ベントを用いることにより,本件各特許発明5の目的とする効果が得られることは,乙8の3パンフレットに,焼結ベントはアルミニウム合金の鋳造及びアルミニウム合金ダイカストのガス抜きに使用できることが記載されていることから明らかである。
よって,本件各特許発明5は,平成14年12月16日には既に完成している。
)本件各特許発明5に相当する技術的手段は,平成14年12月9日のb事故後の会議における協議において,対応策の一つとして出てきたものであり,被告及び会議に参加した各社の従業員が共同で発案したもので。, 。, ある 具体的には トヨタ自動車衣浦工場のBが提案した したがって原告を起源として知得したものではないことが明らかである。
仮に,原告の主張するとおり,原告が先に本件各特許発明5に相当す, , る着想創作し 被告が何らかの方法によりこれを知得したのであれば本件各特許発明5は,基準日において,原告に対して守秘義務のない被告の知るところとなっていたのであるから,本件各特許発明5は新規性欠如の発明ということになる。
イ即時実施の意図について被告は,本件各特許発明5を平成14年12月28日までに実施する予定であった。そして,乙8の2対策書及び乙8の4の「加圧溶湯流出事故対策書 (以下「乙8の4対策書」という )が取引先であるトヨタ自動 」 。
車に提出されていたことからすると,被告の即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度において表明されていたことは明らかである。トヨタ自動車の承認の有無は,最終的に実施品がトヨタ自動車に採用されるかの問題であり 「事業の準備」とは無関係である。 ,ウ原告の主張に対する反論について)原告がトヨタ自動車に提供した技術情報について,トヨタ自動車が信a義則上の守秘義務を負っていたとしても,トヨタ自動車が被告や日本坩堝に開示した時点で,守秘義務に違反したことになる。守秘義務を負う者が,秘密情報を第三者に開示する場合は,当該第三者に守秘義務を負わせるとしても,改めて秘密情報提供者の同意が必要なのであり,かかる同意が必要でなければ多数の第三者に守秘義務を負わせながら開示することが可能となるのであり,守秘義務が無に帰する結果となってしまうことからも明らかである。
b)乙9の図面(以下「乙9図面」という )と乙18の8の図面(以下 。
「乙18の8図面」という )及び乙18の10の図面(以下「乙18 。
の10図面」という )との間において変更があったのは,本件各特許 。
発明5と関係のない「カプラ形状」のみである。
c)原告は,本件特許発明6-2が完成して初めて本件各特許発明5に相当する発明の即時実施が可能となると主張する。しかし,本件各特許発明5は,本件特許発明6-2がなくても,それだけで独立して安全を確保する発明である。
( )原告の主張2ア総説先使用による通常実施権(特許法79条)について公平説によるとしても,現行法上,先願主義がとられ,特許出願により,最初に発明を公知な利用可能な状態において産業の発達に寄与したことの代償として,特許を最先の特許出願人にのみ付与し,第三者による同一発明の実施を禁止する権限を与えることを建前としていることからみて,先使用による通常実施権はあくまで例外であり,その適用範囲については,厳格に解されるべきである。特に,最先の特許出願の時点において,既に同一発明を自らしていた者は,自ら特許出願をして,特許による保護を受けることができたにもかかわらず,その発明を公知の状態におくことなく,秘密裡に事業の準備等をしていたという事情があることを考えると,特許権者との公平を考えるにしても,先使用による通常実施権の成立が認められる場合が自ずから限定されることも,やむを得ないというべきである。
イ発明の未完成について当業者において 「その実施をすることができる程度」の技術的な知見 ,を得たということができるためには 「焼結ベント」を用いるとの構想を ,着想しただけでは足りないというべきである。なぜなら 「焼結ベント」,が所期の課題を解決するために適当な手段かどうかは,実際に試作をし,実験をしてみないと明らかではないからである。また,そのような試作を経て「焼結ベント」により課題の解決に必要な作用及び効果が得られて初めて 「最終的な制作図面の作成が可能な程度」に至るといえる。 ,被告において,そのような程度に至り 「発明が完成した」といえるの ,は 早くとも 平成15年1月14日の 焼結ベントの湯洩れテスト乙 ,,「 」(18の6)の時点である。そして,被告が,実際の加圧式取鍋において実施することが可能かどうかを最終的に確認したのは,試作品の設計図(乙9)が作成された平成15年2月14日よりも後のことである。乙8の4対策書では,単に「構造見直し」が必要ではないかとの検討課題が記載されているにすぎず,平成14年12月28日の基準時において,被告の提案に係る焼結ベントを用いる安全対策を実施することが可能な状態におかれていたとは考え難い。
ウ「知らないで自ら発明した」との立証がされていないことについてa)前記イの着想自体 原告が被告に先行して創作していたものである 甲 , (19,20 。すなわち,初めて 「焼結ベント」についての記載があ ),る客観的な証拠は,平成14年12月16日付けの「衣浦工場殿向けADC12溶湯湯洩れ火災事故対策書 (乙8の2対策書)である。そ 」の日付は,原告とトヨタ自動車の関係者とが,平成14年12月10日及び同月12日 「ポート先端に焼結金属や金網などで熱容量が大きい ,ものを取付け,気体を通し溶湯は固まって止まるようにする」との技術(,)。, 情報を提供した時点 甲19 20 よりも後のことである すなわち被告は,トヨタ自動車の関係者から,火災事故という「非常事態」における安全対策として,原告からの技術情報を得たにすぎない。原告が,このような非常事態において,技術情報を提供するのはトヨタ自動車と密接な取引関係にある者として当然のことである。そして,そのような密接な取引関係にある者の間における技術情報交換においては,社会通念上かつ商慣習上の信義則に基づく秘密保持義務が存する。
なお,被告が原告に対し秘密保持義務を負わないとしても,そのような技術情報をトヨタ自動車から提供される際に当然にトヨタ自動車に対し秘密保持義務を負うことは明らかであり,その技術情報公然知られたものになるわけではない。すなわち,原告としては,被告と同様にトヨタ自動車の衣浦工場に溶融アルミニウムを供給している立場から,火災事故を受けての安全対策のために,かつ,その限りにおいて,技術情報を提供したのである。それは,トヨタ自動車との信頼関係及び緊密な協力関係において,信義則上,当然のことである。そして,トヨタ自動, , 車を通じて技術情報を取得したときは トヨタ自動車との関係においてその技術情報を火災事故に対する安全対策以上には使用せず,かつ,みだりに第三者に開示しないとの秘密保持義務信義則上負うことも当然のことである。したがって,被告が,原告からの当該技術情報を取得したことにより,当該技術情報が当然に公然知られたものになるものではない。
b)別起源の発明であることを明らかにすれば足りるとの主張及び発明者を特定する主張は,時機に後れた防御方法に該当する。なお,原告と被告とは同じトヨタ自動車衣浦工場において,取鍋を用いて溶融アルミニウムの運搬注入業務を行うものであり,競業関係にある原告の技術的思想創作アクセスする機会は当然生じ得る。このような事情のもとにおいては,発明者が誰であって,原告の特許権に開示された技術的思想創作知らないでどのような経路から被告が知得したかを主張立証すべきである。
エ「即時実施の意図」が認められないことについてa)実際に模擬実験がされたのは,検討課題が出されてから1か月ほど後の平成15年1月14日のことであり,実際に設計がされたのが,さらに1か月ほど後の同年2月14日のことであり,試作がされ,実際の実験がされ,それについてトヨタ自動車の承認を得たのは,設計よりさらに後のことであるのは間違いなく,かつ,被告製品による配湯が再開されたのは,設計から3か月余り後の同年5月19日のことである。このように,配管取付部の先端に焼結ベントを設けるという構成が検討課題として構想されていたことのみでは 「即時実施の意図が客観的に認識 ,される態様,程度において表明されている」とは言い難い。このような意図が認められるためには,配管取付部の先端に焼結ベントを設けるという構成を被告製品に用いることにより,目的とする効果を挙げられることが確認されたことが必要であるし,かつ,それが火災事故後の安全対策の趣旨でなされていることを考えれば,実施の準備に取りかかるためには,トヨタ自動車の承認が不可欠であるというべきである。
また,乙8の4対策書は,大幅な変更の可能性を潜在的に有するものであり,それのみで 「即時実施の意図」の客観的な表明がなされたと ,評価することができるはずがない。実際にも 「圧力開放バルブ」につ ,, (,)。 いては 大幅な設計変更を余儀なくされている 乙9 18の8・10b)「焼結ベント」を用いるという検討案を採用することが最終的に決定されるためには,その前提として,少なくとも,本件特許発明6-2の構成要件E及び同Fに相当する構成が,被告製品においても具体化されることにより 「焼結ベント」を用いる構成の安全性が確保される必要 ,がある。すなわち,本件特許発明6-2に相当する発明が見出されない限り,安全性の問題からみて,その構成を実際に即時に実施することは困難であり,本件各特許発明5についても「即時実施」をすることができない状態にあることから 「焼結ベント」を検討案の状態を超えて, ,最終的に採用することを意思決定し,即時実施の意図が客観的に表明されたといえるような態様,態度には至らないというべきである。なぜなら 「焼結ベント」のみを用いた構成では 「容器内が加圧状態にあっ , ,て,流通規制部が詰まり,しかも弁の切り替えを忘れた場合には,そのような状態で容器から安全装置を取り外そうとしたときに安全装置が飛び跳ねる危険性がある」という課題を克服していないからである。
14争点6-1(本件特許発明6-2及び同7-2の新規性ないし進歩性の欠如)について( )被告の主張・無効理由1について1本件特許発明6-2及び同7-2は,出願日に既に公知となっていた被告製品と同一の構成である。
したがって,本件特許発明6-2及び同7-2は,特許法29条1項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許6及び7は,各請求項2について,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその )権利を行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア基準時について)本件特許発明6-2の優先権主張に係る平成14年9月8日出願及びa同年12月28日出願の各明細書には,本件特許発明6-2の構成要件Fが記載されていない。構成要件Fは,優先権主張に係る平成15年2月21日出願の明細書に初めて登場する。したがって,本件特許発明6-2の基準時は,平成15年2月21日となる。
)本件特許発明7-2の優先権主張に係る平成14年12月28日出願bの明細書には,本件特許発明7-2の構成要件F及びGが記載されていない。構成要件F及びGは,優先権主張に係る平成15年2月21日出願の明細書に初めて登場する。
したがって,本件特許発明7-2の基準時は,平成15年2月21日となる。
イ基準時前に開発され,公知となった技術内容)圧抜きバルブの設置a乙8の2対策書には 「圧抜きバルブ」を装着した図が開示されてお ,り,同圧抜きバルブにはレバーが装着されている。また,乙8の2対策書には 「圧力解放バルブ(上向き排出 」との記載がある図も開示さ , )れている。乙8の2対策書は,平成14年12月16日,トヨタ自動車に開示されて公知となった。
)圧力開放バルブ操作安全基準確立の要請b被告,豊田通商,大紀及び日本坩堝が平成14年12月23日の会議においてトヨタ自動車に提出した乙8の4対策書には 「A歯止め策と,して取鍋構造見直しの必要性。↑内部圧力の解放する機構(圧力解放バ,)。」。,, ルブ 焼結ベント*1 を設置と記載されている また 翌24日豊田通商株式会社(以下「豊田通商」という )から大紀のCに宛てた 。
メールにおいて,同月23日の会議後における,トヨタ自動車担当者との面談の際に指摘された事項が記載されている(乙16 。))安全対策c被告らは,トヨタ自動車担当者の上記指摘を受け,年末から年始にかけて圧力開放バルブの操作の安全性を高めるために,カプラを覆うカバーを設け,圧力開放バルブを開としない限り,カプラのソケットを取り外せない構成を採用することとした。この案に基づいて,中央窯業のAが,平成15年1月10日作成し,被告に提出した図面が乙18の10図面である。
)加圧溶湯流出事故対策書Aの提出dトヨタ自動車と被告,豊田通商,大紀及び日本坩堝との間で,平成15年1月23日に開催された会議において,乙18の10図面を添付した加圧溶湯流出事故対策書A 乙18の1ないし13 が提出された 乙 ()(19ないし21 。))乙9図面の作成e日本坩堝が,トヨタ自動車よりカプラの支給を受けた後の平成15年2月14日付けで作成し,被告に提出した図面の訂正図面が乙9図面で,「」「」,「」 あり 同図面は右上に 訂正番号 として 1 と記載され訂正日「」,「」「 」, として訂正内容 として 図番変更↑03.2.18 E-423-16041300C「訂正者」として「」と記載されている。 T.M.このことは,平成15年2月14日に作成した図面を中央窯業のAが訂正し,乙9図面としたことを示している。そして,この図番変更は採, 。, 用図面となったことから 改めて図番を振り直したものである これが被告製品の図面である。
)本件特許発明6-2及び同7-2の開示f上記のとおり,乙18の10図面に記載された発明の構成を備えた取鍋は,カプラの形状が違うのみで被告製品と同一である。しかし,本件特許発明6-2及び同7-2においてカプラの形状は特に限定されていない。したがって,被告製品が本件特許発明6-2及び同7-2の各構成要件を充足することについて当事者間に争いがないことから,本件特許発明6-2及び同7-2は乙18の10図面に開示されている発明と同一ということになる。
そして,本件特許発明6-2及び同7-2の基準時は,平成15年2月21日であるところ,乙18の10図面は平成15年1月23日の上記会議において,守秘義務を負わない第三者たるトヨタ自動車に開示されたことから,公然知られた発明となった。
ウよって,本件各特許発明6-2及び同7-2は,新規性欠如の無効原因を有するものである。
( )被告の主張・無効理由2について 2本件特許発明6-2及び同7-2は 特開平11-153249号公報 乙 , (30。以下「乙30公報」という )あるいは特開平9-166241号公 。
報(乙31。以下「乙31公報」という )に記載された発明と同一の構成 。
である。
したがって,本件特許発明6-2及び同7-2は,特許法29条1項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許6及び7は,各請求項2について,特許無効審判により無効にされるべきものと認められるから(特許法123条1項2号 ,特許権者である原告は,被告に対しその )権利を行使することができない(特許法104条の3第1項 。)ア基準日について本件特許発明6-2及び同7-2の出願日(基準時)は,既に述べたとおり,平成15年2月21日となる。
イ乙30公報あるいは乙31公報に開示された発明を,本件特許発明6-2及び同7-2の構成要件に対比させると,次のとおりである。
A′配管の流出口に着脱自在なカプラーと,B′ハンドルの操作に応じて開閉を行う開閉弁が介挿され,流体流通通路を外部に開放するための開放通路と,C′前記ハンドルの操作により前記開閉弁を閉としたときに当該ハンドルの操作に連動して前記配管の流出口に対する前記カプラーの着脱を規制し,前記ハンドルの操作により前記開閉弁を閉としたときに当該ハンドル操作に連動して前記配管の流出口からの前記カプラの着脱を可能とする着脱規制手段と,D′を具備することを特徴とする安全装置。
ウ本件特許発明6-2及び同7-2における「ポート」は乙30公報及び乙31公報に開示された構成の「配管の流出口」に 「インターフェース,」 「」 ,「」 「」 ,。 部 は カプラーにレバー は ハンドルに それぞれ相当するしたがって,乙30公報及び乙31公報に開示された構成A′は,本件特許発明6-2の構成要件Bと,C′は構成要件Eと,D′は構成要件Gと,それぞれ一致する。また,乙30公報及び乙31公報に開示された構成A′は,本件特許発明7-2の構成要件Cのうち「着脱可能なインターフェース部」と,C′は構成要件D及びEと,D′は構成要件Hと,それぞれ一致する。
一方,乙30公報及び乙31公報に開示された発明と,本件特許発明6-2及び7-2との間には,次の相違点がある。
a)本件特許発明6-2及び同7-2における安全装置が,加圧式取鍋に用いられるものであるのに対し,乙30公報及び乙31公報にはそのような限定がない。
b)本件特許発明6-2及び同7-2においては気体の流通を許容し,かつ,溶融金属の流通を規制する流通規制部が設けられているのに対し,乙30公報及び乙31公報にはそのような構成の開示がない。
c)本件特許発明6-2及び同7-2には,開閉弁が閉じているときにインターフェース部の着脱を規制し,開閉弁が開いているときにインターフェース部の着脱を可能にするのに対し,乙30公報及び乙31公報には,逆に開閉弁が開いているときにカプラーの着脱を規制し,開閉弁が閉じているときにカプラーの着脱を可能とする構成が開示されている。
エ相違点についてa)相違点a)について乙32及び乙2の1ないし11によれば,本件特許発明6-2及び同7-2の基準時以前に加圧式取鍋は公知であった。
そして,加圧式取鍋に加圧のための気体を流通させる,気体流通通路となる配管が存在し,かかる配管部に着脱自在なインターフェース部を設けることも公知であった。
したがって,本件特許発明6-2及び同7-2は,乙30公報及び乙31公報に記載された発明に対し,その用途を加圧式取鍋に限定したものにすぎず,乙30公報及び乙31公報に記載された発明は本件特許発明6-2及び同7-2における用途を包含する関係にある。
b)相違点b)について本件特許発明5について述べたとおり,乙8の3パンフレットに記載された焼結ベント及び乙28公報に記載された多孔質材を組み合わせることは,当業者にとって容易である。
c)相違点c)について開閉弁を開くことと,開閉弁を閉じることとは,いずれも作業者がカプラの取り外し作業の前に必ず行わなければならない弁の状態(すなわち,安全な状態)にするという点では,同一の目的及び効果を奏するものである。また,開閉弁の開閉と着脱規制の組合せは,弁の用途に応じて当業者が適宜決定する設計事項にすぎない。
オよって,本件特許発明6-2及び同7-2は,上記公知技術を組み合わせることにより当業者が容易に想到できる発明であり,進歩性の欠如の無効理由を有する。
( )原告の主張・無効理由1について3ア基準時について本件特許発明6-2の構成要件Fが出願時明細書に記載されていること,本件特許発明7-2の構成要件Gが出願時明細書に記載されていることは認める。
イ被告主張の引用例の公知性について)乙8の2対策書,乙8の4対策書,乙9図面,乙18の1ないし10aの対策書A,並びに,乙19ないし21の会議議事録や連絡書面に記載の技術情報のように,共同開発を進めている企業間において交換される技術情報においては,秘密保持契約により守秘義務の外縁を明確にすることもあるように,そのような契約の基礎として,そもそも当事者間において信頼関係に基づく信義則上の守秘義務があることは当然である。
上記の技術情報が,いつトヨタ自動車に開示されたか定かではないものの,トヨタ自動車としては,継続的かつ密接な取引関係にある被告のような下請企業から提供された技術情報をみだりに開示しない信義則上の義務を負うことも経験則上当然である。したがって,仮に,これらの情報が,トヨタ自動車に開示されていたとしても 「公然知られた」も,のであるはずがない。
)被告,大紀及び豊田通商との間のやりとりされた上記技術情報についbても,継続的かつ密接な取引関係にある3社の間において,明示の守秘義務の合意がなくとも,信義則上,当然に守秘義務が認められるものである。
( )原告の主張・無効理由2について4「」 ,, ア乙30公報及び乙31公報に記載の 誤操作防止バルブ は いずれも単に「気体」の流通を止めて,安全にカプラを取り外そうというだけのありふれた構成及び技術思想を示しているにすぎず,本件特許発明6-2及び同7-2の構成及び技術的思想とは異なる。
イ運搬車輌により公道上を搬送される「加圧式取鍋」において,溶融アルミニウムを搬送している間にライニングからの水分が気化し,蒸気圧が高まるおそれがあるため,その内部を密閉してはならないという,原告の社内においては知られていた技術情報を知らない限り,本件特許発明6-2及び同7-2に相当する構成をあえて創作する必然性がない。そのような技術的課題の存在を知らなければ,被告のように,単に加圧気体を導入する配管に栓をすれば足りると考えるのが通常である。なお,そのような技術的課題は,トヨタ自動車,豊田通商,原告及び被告外3社のみにおいて知られていた技術情報であり,その技術情報について,各社とも信義則上の秘密保持義務を負担していた。
( ) 15争点6-2 本件特許発明6-2及び同7-2についての先使用権の成否について( )被告の主張1被告は,遅くとも平成15年1月10日までに,乙18の10図面に開示されている発明を完成させていた。そして,平成14年12月9日の溶湯洩れ事故以来,トヨタ自動車,豊田通商及び被告らは会議を重ね,対応策を早急に考えていたことから即時実施の意図を有していたことも明らかである。
ア発明の完成についてa)「着脱規制手段」に相当する「カバー」は,平成15年1月23日付けの加圧溶湯流出事故対策書Aの中で 「メカニカルインターロック式 ,図面」として言及されている。
日本坩堝が平成15年1月10日に被告に提出した乙18の8図面及び乙18の10図面からすれば,被告が乙18の10図面の作成日である平成15年1月10日に同図面記載のインターロック式圧抜き弁の発明を完成させていたことは明らかである。被告の現実の実施品の設計図である乙9図面においては,カプラの形状を変更したにすぎないものであることは,乙20,21等から明らかであり,本件特許発明6-2,同7-2の構成は,乙18の8図面及び乙18の10図面にすべて開示されている。
b)開放バルブの安全装置(インターロック式圧抜き弁)は,平成14年12月23日の安全対策会議の席上,トヨタ自動車側より手動バルブの操作の安全基準をどうするのか等の指摘があり,これに対応するため,日本坩堝のDが中央窯業のAに指示し 平成15年1月10日に図面 乙 , (18の10)を作成させたものである。したがって,原告を起源として知得したものではないことが明らかである。
イ即時実施の意図について乙18の1ないし13の事故対策書Aは,平成15年1月23日の会議にて,トヨタ自動車に提出されている。被告が即時実施の意図を有していたことは,平成14年12月9日の溶湯洩れ事故以来,会議を重ね,対応策及びその実施に追われていたことから明らかである。
ウ原告の主張に対する反論について)乙29の2記載の「焼結ベント通気試験」とは,乙18の9に記載のa「焼結ベント通気試験機」を用いて,使用中の取鍋における焼結ベントが溶融金属により目詰まりを起こしていないことを確認するための試験である(乙18の13 。すなわち 「焼結ベント」の交換時期を調べ ),るために日常的に行われる試験にすぎない。
乙29の1から明らかなとおり,最終的な製作図面である乙9図面が平成15年2月14日に作成されている。また,乙18の10図面と乙9図面との変更点は,カプラの形状のみであり,本件特許発明6-2及び同7-2に相当する構成は,乙18の8図面及び乙18の10図面にすべて開示されている。なお,平成15年2月22日に予定されていた改造は,足場側の改造であって(乙29の2 ,本件特許発明6-2及 )び同7-2に相当する構成についての改造は全く考えられていない。
乙18の8図面及び乙18の10図面は,最終的な製作図面だったのであり,トヨタ自動車に提出されたものの,採用されず,その結果実施されなかったにすぎない。
b)原告は,本件特許発明6-2及び7-2は,本件各特許発明5と利用関係に立つと主張する。しかし,本件各特許発明5は公然知られたものであり,被告に先使用の抗弁が成立するのものである。
( )原告の主張2ア発明の未完成について)乙18の1ないし13の事故対策書A及び乙19の議事録に記載されaている事項について,被告がどこまで正確な事実をトヨタ自動車に伝えているかについては疑わしいと言わざるを得ない。乙18の1ないし13の事故対策書Aが,トヨタ自動車に正式に提出されたのは,平成15年2月6日か,それより後のことであると思われる。
b)乙18の1ないし13の事故対策書A及び乙19の議事録においては,構成要件6-2Dの「流通規制部」と構成要件6-2Fの「着脱規制手段」との組合せ,及び,構成要件7-2Cの「流通規制部」と構成要件7-2Gの「着脱規制手段」の構成との組合せを明瞭に示したものはない。
本件特許発明6-2及び同7-2のすべての構成が明確に示されているのは,日本坩堝の作成に係る「03.2.14」付けの「小蓋配管改造案・圧抜きインターロック式」と題する設計図(乙9図面)におけるものが初めてである。しかも,この日付の記載自体に,信憑性がない。
c)発明の完成といえる時点は,早くとも,乙29の2において撮影されているものが作成された平成15年2月22日であり,実際には,それより後である。被告は,乙18の10図面が作成された平成15年1月, , 10日には 本件特許発明6-2及び同7-2に相当する被告の構成が発明として完成していたと主張する。しかし,乙18の10図面と乙9図面とを対比すると,設計変更がされていることが看取され,乙18の10図面に記載のものが発明として完成したかについては疑問である。
さらに,平成15年2月22日に作成された乙29の2の文書において, , 。 さえ なおも改造が予定されており 発明としての完成には疑問があるd)別起源の発明であることを明らかにすれば足りるとの被告の主張及び発明者を特定する被告の主張は,時機に後れた防御方法に該当する。なお,原告と被告とは同じトヨタ自動車衣浦工場において,取鍋を用いて溶融アルミニウムの運搬注入業務を行うものであり,競業関係にある原告の技術的思想創作アクセスする機会は当然生じ得る。このような事情のもとにおいては,被告は,発明者が誰であって,原告の特許権に開示された技術的思想創作知らないでどのような経路から被告が知得したかを主張立証すべきである。
イ被告独自の発明の完成及び即時実施の意図についてa)原告においては,トヨタ自動車から,原告が使用するスチールウールの取外しが安全にできるような装置を付けて欲しいとの要請を受けて,平成15年2月5日ころには,同日付けの「アルサーブ運搬時の安全対策(衣浦用トリベ 」と題する書面(甲21の1)中の写真2(甲21 )の2)及び写真3(甲21の3)の態様の安全装置を開発している。この安全装置については,トヨタ自動車には,同年2月14日ころに提示し,了承を得ている。そして,当該安全装置を備えた原告の加圧式取鍋による衣浦工場における配湯(溶融アルミニウム供給)は,同年2月21日の特許出願をした後の同年2月24日には再開されている。
ちなみに,被告による配湯再開は同年5月であり,原告より3か月ほども遅れており,この意味でも,乙9図面の日付の時点において,被告が独自に発明を完成していたかどうか,即時実施の意図が客観的に認められるかどうかについては,大いに疑問がある。
仮に,乙9図面の作成日付が正しいとしても,被告においては,その時点においても,なお,設計図に止まるのである。いまだ設計図に止まり,試作品すらない状態において 「即時実施の意図」があるとはとて ,も言い難い。まして,火災事故を起こした後においては,実際にその設計図どおりのものを実施することができるかどうかは,トヨタ自動車の承認に係るのである。被告の現実の実施が平成15年5月19日であることを考えると,設計時及び試作品についてトヨタ自動車の承認を受けたのは,平成15年2月14日よりも,相当期間が経過した後のことである可能性が極めて高い。試作品すらなく,トヨタ自動車の承認も得ていない段階で「即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度において表明されている」とはとてもいえない。
b)火災事故の対策に追われていることと 「即時実施の意図」とは,次 ,元の異なることである。すなわち,火災事故の対策の中で,具体的な解決手段が見出され,それが実施可能であり,しかも必要とされる作用効果を果たすことが確認され,かつその解決手段について,トヨタ自動車の了承を得て初めて,事業の準備にとりかかることができるのであり,この時点において初めて 「即時実施の意図」が客観的に表明されたと ,いい得る。トヨタ自動車への報告は,さらなる試験と設計変更の始まりにすぎない。その時点をもって 「即時実施の意図」が客観的に表明さ ,れたということはできない。
c)被告は,前記のとおり,本件各特許発明5に相当する被告製品の構成について,原告の「特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明を」 , 。 した とはいえないのであるから 被告について先使用権は成立しないそうだとすると,本件特許発明6-2及び7-2との関係においても,構成要件6-2D及び構成要件7-2Cに相当する構成は,本件各特許発明5に相当する構成にほかならないから,少なくとも,その構成については,原告の「特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした」とはいえない。本件特許発明6-2及び7-2は,本件各特許発明5と「利用関係」に立たざるを得ないのであるから,その全体について先使用権が成立しないと評価すべきである。
16争点7(被告製品の意匠は,本件意匠に類似するか)について( )原告の主張1ア本件意匠の構成態様は,次のとおりである(番号については,別紙本件意匠及び被告意匠正面図参照 。))本件意匠の基本的構成態様a本件意匠は,有底円筒形状の取鍋本体1と,取鍋本体1を覆う円形の大蓋2と,大蓋2の中心に設けられた円形の小蓋3と,取鍋本体1の側面側に設けられ,その取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突出し部4と,その突出し部4の上端に取り付けられ,先端部が下方に屈曲した配管5とで構成され,全体として一体化した態様を備えている。
)本件意匠の具体的構成態様b( )取鍋本体1の上部の外縁には,一定の肉厚を有し,取鍋本体1よ iりやや径の大きい輪状の薄い肉厚のフランジ1Aが設けられている。
( )取鍋本体1の底部には,底面からみて配管5が伸びる方向とは垂ii直な方向に一定の間隔をおいて平行に2列にわたり直方体状のチャネル1Bが設けられており,同チャネル1Bは,その両端が取鍋本体1の径からわずかにはみ出る長さを有しており,かつ,その断面形状はロの字型をしている。
( )大蓋2は,取鍋本体1の上方に向かって同径で,フランジ1Aをiii介して,その8/100程度の高さにて設けられ,また大蓋2の中心部に大蓋2の径の2分の1相当の径の輪状の薄い肉厚のフランジ2Aを有している。
( )小蓋3は,大蓋2の中心部上方に,小蓋3よりやや径の大きいフivランジ2Aを介して,大蓋2の径の2分の1相当の径で設けられている。
( )突出し部4は,正面図からみて,取鍋本体1の右側外縁に接して v直角三角形状に設けられた部分と,その水平な上面部の上に設けられたパイプ状の部材4Aからなり,パイプ状の部材4Aは,突出し部4の外側の斜線と平行になるように突き出しており,その上面は,パイプ状の部材4Aの斜線と垂直になるように,水平面より外側に傾いており,その上面部の外縁部には,輪状で薄い肉厚のフランジ4Bが設けられている。
( )配管5は,突出し部4の上方に,突出し部4のフランジ4Bを介viして,突出し部のパイプ状の部材4Aと同じ傾きで取り付けられている。
()配管5は,突出し部4のパイプ状の部材4Aと同じ傾きで小蓋vii3と同じくらいの高さまで伸びた後,やや傾きを水平方向に変え,その位置において,フランジ5Aが設けられており,さらに,大蓋2の径の2分の1ほどの長さ相当分,外側に突き出た後,傾斜を直角に近いほど下向きに変えて水平面よりはやや外側に開口しており,その直前にフランジ5Bが重ねあわされた形状で設けられている。
)被告の主張する本件意匠の構成態様は認める。ただし,被告が付加修c正する点は,いずれも看者が本件意匠を観察する場合,認識することがなく,被告製品の意匠(以下「被告意匠」という )との類否判断とは。
関係のない構成の細部にすぎないから,本件意匠と被告意匠の対比に当たり,原告主張の具体的構成態様にさらに被告主張の構成を付加する必要は全くない。
イ被告製品の意匠の構成態様は,別紙被告意匠構成態様目録記載のとおりである。
なお,被告の主張する被告意匠の構成態様は認める。ただし,被告が付加修正する点は,いずれも看者が被告意匠を観察する場合,認識すること, , がなく 本件意匠との類否判断とは関係のない構成の細部にすぎないから本件意匠と被告意匠の対比に当たり,原告主張の具体的構成態様にさらに被告主張の構成を付加する必要は全くない。
ウ本件意匠と被告意匠の類否本件意匠と被告意匠とを対比すれば,その要部である基本的構成態様において一致し,看者に共通の美感を与えるものであり,両意匠は類似の意匠である。その具体的構成態様における微細な相違点は,両意匠の要部が看者に与える共通の美感を左右するものではなく,上記類否判断に影響を与えるものではない。
)本件意匠の要部a本件意匠は,意匠に係る物品を「取鍋」とするものであって,本件意匠公報の【意匠に係る物品の説明】に「本物品は,アルミニウム等の溶融金属を搬送するために使用する取鍋である。筒状の本体上部の蓋から溶融金属を投入し,本体側部から伸びる配管から溶融金属を外部に取り出すものである。本物品の大きさは,筒状の本体の直径が約1m,高さが約1.2mである 」と記載されているように,冷却を防止し,高度 。
の安全性を必要とする溶融アルミニウム等の溶融金属を搬送するための容器である。この容器の通常の使用形態であるが,まず,工場において溶融された高温の溶融金属を入れた状態で,トラック等に積載されて,,, , 取引先の工場に搬送され 次に フォークリフトにより工場内を移動し溶融金属供給時には,フォークリフトに搭載されたまま,容器を傾けることなく水平の状態で,加圧気体を容器内に送り込み,溶融金属供給用配管から,工場内の他の容器に溶融金属を送り込むというものである。
このような取鍋の物品としての性質・用途・使用態様に照らすと,取引者需要者は,大型容器である取鍋からやや離れた位置で観察し 取鍋,の横方向正面及びその背面の形状(本件意匠公報の【正面図】及び【背面図】からみたもの)に最も注目するものであり,その場合,溶融金属を収容する取鍋本体,溶融金属を密閉するための蓋並びに溶融金属を注ぎ出すための突出し部及び配管から形成される取鍋の骨格が,全体として,最も看者の注意を引きやすい部分であるといえ,その細部の形態よりも,これらの取鍋を形成する基本的構成の全体としてのまとまりが,, 。 看者の注意を最も引く部分であり 意匠の要部であるというべきである)意匠の要部における本件意匠と被告意匠の類似性b前記意匠の要部について,本件意匠と被告意匠を対比すると,両意匠は,本件意匠は,有底円筒形状の取鍋本体1と,取鍋本体1を覆う円形の大蓋2と,大蓋2の中心に設けられた円形の小蓋3と,取鍋本体1の側面側に設けられ,その取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突出し部4と,その突出し部4の上端に取り付けられ,先端部が下方に屈曲した配管5とで構成され,全体として一体化した態様を備えている。一方,被告意匠も,有底円筒形状の取鍋本体@と,取鍋本体@を覆う円形の大蓋Aと,大蓋Aの中心に設けられた円形の小蓋Bと,取鍋本体@の側面側に設けられ,その取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突出し部Cと,その突出し部Cの上端に取り付けられ,先端部が下方に屈曲した配管Dとで構成され,全体として一体化した態様を備える基本的構成態様において一致している。
しかも,その具体的構成態様をみても,次の態様においていずれも共通している。
( )取鍋本体1,@の上部の外縁に,一定の肉厚を有し,取鍋本体1iよりやや径の大きい輪状の薄い肉厚のフランジ1A,@aが設けられている態様( )取鍋本体1,@の底部には,一定の間隔をおいて平行に2列にわiiたり直方体状のチャネル1B,@bが設けられており,同チャネル1B,@bは,その両端が取鍋本体1の径からわずかにはみ出る長さを有しており,かつ,その断面形状はロの字型をしている態様( )大蓋2,Aは,取鍋本体1,@の上方にむかって同径で,ほぼ同iiiじ高さにて設けられており,その大蓋2の下部の外縁の取鍋本体1,@と接する部分には,フランジ1A,@aが設けられている態様( )小蓋3,Bは,大蓋2,Aの中心部に大蓋2,Aの径の2分の1iv相当の径で大蓋2,Aと重ねあわされて設けられている態様( )小蓋3,Bには,正面図からみて逆U字状の把手3A,Baが小v蓋3,Bの円周に近い部分に垂直に立てられている態様( )突出し部4,Cは,取鍋本体1,@の右側外縁に接して三角形状viに設けられた部分と,その上面部の上に設けられたパイプ状の部材4A,Caからなり,パイプ状の部材4A,Caは,突出し部4,Cの外側の斜線と平行になるように突き出しており,その上面は,パイプ状の部材4A,Caの斜線と垂直になるように,水平面より外側に傾,, , いており その上面部の外縁部には 輪状で薄い肉厚のフランジ4BCbが設けられている態様()配管5,Dは,突出し部4,Cのフランジ4B,Cbを介して,viiパイプ状の部材4A,Caと同じ傾きで取り付けられている態様()配管5,Dは,突出し部4,Cのパイプ状の部材4A,Caとviii同じ傾きで伸びた後,やや傾きを水平方向に延びた後傾斜を直角に近いほど下向きに変え外側に開口している態様,及び,配管5,Dに,フランジ5A,Da及び5B,Dbが設けられている態様したがって,両意匠を全体的に観察すると,両意匠は美感を共通とするものであり,類似する意匠である。
)両意匠の具体的態様の差異についてc両意匠の具体的構成態様における差異は,微細なものであって,両意匠の要部が看者に与える共通の美感を左右するものではなく,上記類否判断に影響を与えるものではない。
( )底面に配置された本件意匠のチャネル1Bと被告意匠のチャネルi@bの位置や本件意匠のチャネル1Bに設けられたロ字型の孔1Cの存否は,看者の全く注目しない底面方向からみての差異にすぎない。
( )本件意匠には,大蓋2の中心部に被告意匠に存しない薄い肉厚のiiフランジ2Aを設けている。しかし,大蓋の大きさ・厚さに比べればわずかなものであり,かつ,直上からみないとその存在を認識しにくいものであることからして,美感に影響する差異とは到底いえない。
また,被告意匠には,大蓋Aの外縁部から,その中心部の小蓋Bに向かい,8枚の長方形の板状の部材Aaが設けられている点は,( )とi同様,取鍋全体の構成からみれば,目立ちにくい小さな部位での差異にすぎない。
( )本件意匠の突出し部4の上面部が水平面であるのに対し,被告意iii匠の突出し部Cの上面部が突き出し部の斜線に垂直で外側にやや傾いており,かつ,円錐台状をしている点は,正面及び背面からみると,突出し部とその上方に設けられたパイプ状部材から看者が認識する美感の共通性を凌駕して美感の差異を生じさせるような顕著な差異とは到底いえないものである。
( )両意匠の配管5,Dや同所に設けられたフランジ5A,Da及びiv5B,Dbの位置の差異は,看者の注意を惹くことのない極めてわずかな差異である。
( )本件意匠では,配管5が傾きを水平方向に近い方向に変え,さらvに,その傾きを直角にほぼ下向きに変えた後すぐに開口しているのに対し,被告意匠は,傾きを水平方向よりやや下方向に変え,さらに,その傾きを直角にほぼ下向きに変えた後,取鍋本体1の高さの2分の1ほどの長さまで伸びてから開口している点は,溶融金属を注ぎ出す際の注ぎ出し先の容器の位置という使用態様から生ずる差異であり,前記( )のとおり,看者は横方向正面及び背面からみて,突出し部とivその上方に設けられたパイプ状部材から共通の美感を認識することに照らし,美感の差異を生じさせるような顕著な差異ではない。このことは,本件意匠を本意匠とする関連意匠(意匠登録第1137869号)の意匠公報(甲14)によれば,突出し部とその上方に設けられたパイプ状部材の形状・長さが被告意匠と全く同一であって,配管が傾きを水平方向よりやや下方向に変え,さらに,その傾きを直角にほぼ下向きに変えた後,取鍋本体1の高さの2分の1ほどの長さまで伸びてから開口している具体的構成態様の意匠が本件意匠の類似意匠として登録されていることから裏付けられ,この構成が本件意匠と類似することは明白である。
)結論d以上のとおり,本件意匠と被告意匠は,その要部というべき構成態様において一致し,美感を共通にするものであって,相違点は,両意匠の要部が看者に与える共通の美感を左右するものではなく,上記類否判断に影響を与えるものではない。
したがって,被告意匠は,本件意匠に類似し,本件意匠に係る物品と同一の取鍋に本件意匠と類似する意匠を使用する被告の行為は,本件意匠権侵害する行為である。
エ被告の主張に対する反論, ,,a)意匠の要部認定は 看者の注意をひく部分の認定であるから 例えば,,,, , 当該意匠に係る物品の性質 用途 使用形態からみて その構成A BCが組み合わされたものが看者の注意をひくとき,構成Bが公知意匠であるからといって,その部分が当然要部でないとはいえない。意匠は全体として機能的に構成されていることが多く,公知意匠Bと合致する部,,, 分が他の構成部分A Cと結合しているとき 公知意匠Bを含む構成AB,Cが組み合わされたものが一体となって見る者に強く注目されることも十分あり得ることである。
しかも 「公知意匠と比べ新規な創作部分を意匠の要部とみる」こと ,が正当とする立場においても,意匠の要部とすることができないのは登録意匠のうちの公知意匠と同一の構成であって,公知意匠に類似する構成ではない。
)被告は,引用発明1の実施品の取鍋の意匠(以下「公知意匠1」といbう )に類似する本件意匠の取鍋本体,大蓋及び小蓋は本件意匠の要部 。
ということはできない旨主張する。
,, ,,, しかし 本件意匠は 被告も認めているように 取鍋本体1 大蓋2小蓋3,突出し部4及び配管5とで構成され,全体として機能的に一体化した態様(基本的構成態様)を備えているのであって,その要部中に仮に公知意匠に似た形状が含まれていたとしても,その組合せ自体あるいは組合せ方等に看者が注目することは当然起こり得ることである。しかも,公知意匠1は,本件意匠の取鍋本体,大蓋及び小蓋と似ているというだけで構成において一致しておらず,意匠の要部認定において参酌される公知意匠は,登録意匠のうちの公知意匠と同一の構成であって,公知意匠に類似する構成ではないから,被告の主張は,その前提において誤っている。また,乙2の6の公開特許公報の図1記載の意匠(以下「公知意匠2」という )は,本件意匠の取鍋本体と類似するとさえい 。
えない。
)登録要件である意匠法3条1項3号の趣旨と意匠の要部判断とは直接cには関係がなく,このことが本件意匠の取鍋本体,大蓋及び小蓋を含む本件意匠の基本的構成態様が要部ということはできない理由になるものではない。全体として機能的に一体化した形態の中に,仮に公知の形状と似た形状があったとしても,単にそれのみでその部分を除いた部分が意匠の要部であるとするのは,意匠の本質を無視したものである。
また,本件意匠と被告意匠の突出し部C及び配管Dの差異は,溶融金属を取り出す際の取り出し先の容器の位置という使用態様から生ずる差異であり,看者は横方向正面及び背面からみて,突出し部とその上方に設けられたパイプ状部材から共通の美感を認識することに照らし,美感の差異を生じさせるような顕著な差異ではない。
)意匠の類否は、意匠を全体として観察し、物品の性質・用途・使用形d態等を参酌して意匠の要部,すなわち,看者の最も注意を引かれる部分から看者にどのような美感を与えるか,両者の美感に相違があるかによって判断すべきものである。その場合,周知ないし公知の形状であるからといって,当然に意匠の要部から除外することにはならない。
既に述べたとおり,本件意匠においては,溶融金属を収容する取鍋本体,溶融金属を密閉するための蓋並びに溶融金属を注ぎ出すための突出し部及び配管から形成される取鍋の骨格が,全体として,最も看者の注意を引きやすい部分である。かかる観点から,本件意匠と公知意匠1とを対比した場合,本件意匠は「取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突き出し部」であるのに対し,公知意匠1は配管を有せず 「取鍋本体の外周中央部付近から上方に向けてわ ,ずかに外側に突き出した形状の突き出し部」を有する構成であって,意匠の要部たる基本的構成態様において相違している。そして,看者が両意匠について取鍋本体,大蓋,小蓋,突き出し部,配管が一体化した構成全体から美感を把握する場合,本件意匠は「横方向への広がりを持ち伸びやかな美感」であるのに対し,公知意匠1は「円筒状で,堅固にまとまった重厚な美感」を与えるものであり,美感の相違は一見して明らかである。
乙2の6の公開特許公報の図1に示された意匠(以下「公知意匠2」という )の配管と本件意匠及び被告意匠の配管とを比較すると,公知 。
意匠2の配管にみられない本件意匠及び被告意匠の配管の共通点としての特徴がある。したがって,公知意匠2によっても,本件意匠及び被告意匠の配管について,本件意匠と被告意匠との類否判断は何らの影響も受けない。
被告は,本件意匠の要部は,突出し部4及び配管5の具体的構成態様であると主張する。しかし 「突き出し部及び配管の具体的構成態様」 ,は,取鍋からやや離れた位置で観察したときの取鍋の横方向正面及びその背面の形状の一部にすぎず 「突出し部及び配管」に「取鍋本体,大 ,蓋,小蓋」が組み合わされ,全体として一体化されることにより意匠としての斬新さが現れ,見る者に注意を強く引かせることとなり,その類否判断に与える影響が大きくなるものである。
さらに付言すれば,取鍋は使用の際高熱になると共に,重量が大きいので例えばフォークリフトで運搬されるから,その使用形態からみて看者は取鍋の傍らによって観察するより離れた位置で観察することが多い。したがって 「突き出し部及び配管の具体的構成態様」より「基本 ,的構成態様」の方が需要者又は取引者に強い印象を与える。また,需要者又は取引者にとって配管があるかどうかは,加圧式か傾動式かの選択の重要なポイントであり,その存在自体が需要者又は取引者に強い印象を与える。一方,その配管の傾斜や長さは実際に使用する際に調節可能であり,いわば設計事項的な色彩が強く,需要者又は取引者に強い印象を与えるものではない。
したがって,本件意匠の要部(特徴的部分)は,突出し部4及び配管5の具体的構成態様であるとする被告の主張は誤りである。
)意願2001-030138号に係る意匠についての不服2003-e3433号事件の審決(甲22 ,意願2001-030139号に係 )る意匠についての不服2003-3434号事件の審決(甲23 ,及)び,意願2001-30140号に係る意匠についての不服2003-3435号事件の審決(甲24)において,いずれの出願に係る意匠も準司法的手続により審理された審判手続を経て本件意匠に類似すると判断されており,その判断は十分尊重されるべきである。また,意願2001-3124号に係る意匠については,本件意匠を本意匠とする関連意匠として意匠登録第1137869号をもって登録されている。その構成は意匠公報(甲14)記載のとおりであり,この意匠が本件意匠の関連意匠として登録されたことからすれば,被告意匠も本件意匠の類似範囲に属することが明白である。
( )被告の主張2ア本件意匠の構成態様は,次のとおりである。
, 。
a)本件意匠の基本的構成態様は 原告主張のとおりであることを認める)本件意匠の具体的構成態様は,次のとおりである(原告主張と異なるb部分には下線を付した。別紙被告作成本件意匠正面図参照 。)( )取鍋本体1の上部の外縁には,一定の肉厚を有し,取鍋本体1よiりやや径の大きい輪状の薄い肉厚のフランジ1Aが設けられている。
( )取鍋本体1の底部には,底面からみて配管5が伸びる方向とは垂ii直な方向に一定の間隔をおいて平行に2列にわたり直方体状のチャネル1Bが設けられており,同チャネル1Bは,その両端が取鍋本体1の径からわずかにはみ出る長さを有しており,かつ,その断面形状はロの字型をしている。
( )大蓋2は,取鍋本体1の上方に向かって同径で,フランジ1Aをiii介して,その8/100程度の高さにて設けられ,また大蓋2の中心部に大蓋2の径の2分の1相当の径の輪状の薄い肉厚のフランジ2Aを有している。
( )小蓋3は,大蓋2の中心部上方に,小蓋3よりやや径の大きいフivランジ2Aを介して,大蓋2の径の約40%相当の径で設けられている。小蓋3には,正面図からみて中央に逆U字状の把手3Aが垂直に立てられている。
( )突出し部4は,正面図からみて,取鍋本体1の右側外縁に長辺が v接し,斜辺が外縁となる直角三角形状の部分4Dと,その水平な短辺の上面部の上に設けられたパイプ状の部材4Aからなり,パイプ状の部材4Aは,突出し部4の外側の斜線と平行になるように突き出しており,その上面は,パイプ状の部材4Aの斜線と垂直になるように,水平面より外側に傾いており,その上面部の外縁部には,輪状で薄い肉厚のフランジ4Bが設けられている。突出し部4の上方には,パイプ状部材4と取鍋本体1を連結させてなる連結部材4Cが設けられている。
( )配管5は,突出し部4の上方に,突出し部4のフランジ4Bを介 viして,突出し部のパイプ状の部材4Aと同じ傾きで取り付けられている。
上記フランジ4Bには4枚の直角二等辺三角形状の補強片5Cが配管5の周方向等間隔に設けられている。
()配管5は,突出し部4のパイプ状の部材4Aと同じ傾きで小蓋 vii3の取手3Aよりもやや高い位置X点まで伸びた後,X点で内角約125度の角度で屈曲して水平面に対して約10度上方に傾斜した後,Y点で下方へ内角約90度の角度に屈曲している。
配管5の先端部の高さは小蓋3の取手3Aの高さとほぼ同じである。
X点及びY点の間には2つのフランジ5A及び5Bが設けられ,このフランジ5A及び5Bの間は配管5は直線状である。
()X点からY点までの長さと,Y点から配管5の先端部までの長 viiiさの比率は約3:1である。
また,正面図からみて,パイプ状の部材4Aの幅とフランジ4Bから先端部までの配管5の幅の比率は約5:3であり,フランジ4Bから先端部までの配管5の幅は均一である。
イ本件意匠の登録出願前に,原告と日本坩堝の共同出願に係る引用発明1(乙1)の実施品である取鍋は,平成元年末ころまでに日本坩堝から原告に納入されて原告において使用されていたし,また,平成4年1月ころには,日本坩堝から株式会社テクノメタルに納入されて使用されていた(乙23 。したがって,本件意匠の意匠登録出願(平成13年2月13日) )前に,引用発明1の実施品の意匠(公知意匠1)は,公然知られた意匠となっていた。
公知意匠1は別紙公知意匠図面のとおりであって,取鍋本体,大蓋及び小蓋の具体的構成態様は次のとおりである。
)取鍋本体1の上部外縁には,取鍋本体1よりやや径の大きい輪状の薄aい肉厚のフランジ1aが設けられている(さらに,フランジ1aの上下にはボルト・ナット1dが設けられ,フランジ1aの下方には取鍋本体1の周囲方向に4個の逆J字状のフックが設けられている。。))取鍋本体1の底部には,底面からみて突出し部4の突き出し方向とはb垂直な方向に一定の間隔をおいて平行に2列にわたり直方体状のチャネル1Bが設けられており,同チャネル1Bは,その両端が取鍋本体1の径からわずかにはみ出る長さを有しており,かつ,その断面形状はロの字型をしている。
)大蓋2は,取鍋本体1の上方に向かって同径で,フランジ1aを介し cて,その9/100程度の高さで設けられ,また大蓋2の上面には,その外縁部からその中心部の小蓋3に向かい,4枚の長方形の板状の部材2aが設けられている。
)小蓋3は,大蓋2の中心部に,大蓋2の径に対する比率が約40%相d当の径で,大蓋2に重ね合わされて設けられている。
また,小蓋3は,大蓋2の径の2分の1相当の径の天板3bで覆われている。小蓋3の天板3bには,正面図からみて逆U字状の把手3aが中央部に垂直に立てられている。
,, , 以上のように 本件意匠の取鍋本体 大蓋及び小蓋の具体的構成態様は公知意匠1の取鍋本体,大蓋及び小蓋の具体的構成態様と類似する。
また,乙2の6の公開特許公報の図1には,本件意匠と物品が実質的に「」 , 同一である 鋳造用等の溶湯運搬炉 に係る公知意匠2が記載されておりその構成は次のとおりである。
)溶湯運搬炉本体の一方が前に突き出した前傾収容部8を有する。
a)前傾収容部8の上部には,略逆U字状に屈曲してなる取出し部7(配 b管)が配されている。
)略逆U字状からなる取出し部7の上辺部分には2つのフランジが設けcられている。
以上のとおり,本体から突き出した部分を有し,その上に円柱形の配管を有する溶湯運搬炉(取鍋)が,本件意匠の出願前に公知であった。
ウ被告意匠の構成態様は,別紙被告作成被告意匠図面のとおりであって,その具体的態様は次のとおりである(別紙被告意匠構成態様目録と異なる部分には,下線を付した。。))取鍋本体@の上部外縁には,取鍋本体@よりやや径の大きい輪状の薄aい肉厚のフランジ@aが設けられている。
フランジ@aの上下には台形状の12個の補強片@cがフランジ@aの円周方向等間隔に設けられ,且つ,各補強片@c間には2組のボルト・ナット@dで2枚のフランジ@aが設けられている。
また,フランジ@aの下方には取鍋本体@の周囲方向に4個の逆J字状のフック@eが設けられている。
)取鍋本体@の底部には,底面からみて配管Dが伸びる方向に対し垂直 bな方向から約30度ほど反時計回りに回転させた方向に一定の間隔をおいて平行に,直方体状のチャネル@bが2列設けられており,その断面形状はロの字型をしている。
)大蓋Aは,取鍋本体@の上方に向かって同径で,フランジ@aを介しcて,その7/100程度の高さで設けられ,その大蓋Aの上面には,その外縁部からその中心部の小蓋Bに向かい,8枚の長方形の板状の部材Aaが設けられている。
また,大蓋Aの背面図左方には,長方形状の配管係止部材Abが設けられている。
)小蓋Bは,大蓋Aの中心部に,大蓋Aの径に対する比率が約40%相 d当の径にて,大蓋Aに重ね合わされて設けられている。
また,小蓋Bは,大蓋Aの径の2分の1相当の径の天板Bbで覆われている。小蓋Bの天板Bbには,正面図からみて逆U字状の把手Baが左側手前の小蓋Bの円周に近い部分に垂直に立てられ,中央部にはインターフェイス部Bcが取り付けられている。
)突出し部Cは,正面図からみて,取鍋本体@の右側外縁に接し,取鍋 e本体@に接する辺(斜辺)以外の2辺(長辺と短辺)の交差角が約90度である略直角三角形状の部材Cdと,当該直角三角形の短辺の上方に正面視略台形状の管状部材Ce及びパイプ状の部材Caにより形成されている。
略直角三角形状の部材Cdの短辺は外下方に傾斜している。
また,パイプ状の部材Caは,略直角三角形状の部材Cdの長辺と平行になるように突き出しており,その上面は,略直角三角形状の部材Cdの短辺と平行になるように,水平面より外側に傾いており,その上面部の外縁部には,輪状で薄い肉厚のフランジCb及び輪状で薄い肉厚で該フランジCbより小径のフランジCcが設けられている。
さらに,前記フランジCbには,配管Dを回転可能にするためのトッグルクランプ部Cf及び配管Dが回転した際にフランジCcの部分で開口する当該開口部を覆う蓋Cgが取り付けられている。
)配管Dは,突出し部CにフランジCb及びフランジCcを介して,取 fり付けられ,該取付の付け根から屈曲している。
)配管Dは,上記取付の付け根から屈曲し,小蓋Bの取手Baと略同じ g高さのx点で内角約92度屈曲して水平面より下方に約20度傾斜し,同じ傾きで斜め下方に傾斜した後,y点で内角約115度に屈曲している。
配管Dの先端部の高さは,取鍋本体@の高さのほぼ2分の1の高さである。
x点及びy点の間にはフランジDaが設けられ,y点と先端部との間にフランジDbが各設けられ,フランジDa及びDbの間の配管Dは,y点で上記のように屈曲している。
)x点からy点までの長さと,y点から配管Dの先端部までの長さはほ hぼ等しい。
また,正面図からみて,パイプ状の部材Caの幅とフランジCcの付け根の配管Dの幅の比率は約9:7であり,フランジDaから先端部までの幅は均一で,パイプ状の部材Caの幅との比率は約9:5である。
また,フランジCcの付け根からフランジDaの付け根まで配管Dの幅は連続して狭まっている。
エ本件意匠と被告意匠の類否)本件意匠の要部a意匠登録出願前に公然知られた意匠,刊行物に記載された意匠又はこれらと類似する意匠(意匠法3条1項)は意匠登録を受けることができないのであるから,公知意匠に類似する本件意匠の取鍋本体,大蓋及び小蓋は,本件意匠の要部ということはできない。公知意匠と同一の意匠部分だけでなく,類似の意匠部分も登録意匠の特徴的部分に含まれないと解釈すべきである。
すなわち,本件意匠の要部は,突出し部4及び配管5の具体的構成態様であって,取鍋の骨格を形成する基本的構成の全体としてのまとまりが,本件意匠及び被告意匠の要部であるとの原告主張は当を得ない。
)意匠の要部における本件意匠と被告意匠の類似性b( )突出し部i本件意匠の突出し部4と被告意匠の突出し部Cとは,正面視で取鍋本体1,@の右側外縁に設けられ,直角三角形状の部分4D,Cdと,,,, パイプ状の部材4A Caからなること 及び パイプ状の部材4ACaは突出し部4,Cの外側の斜線と平行になるように突き出している点で共通する。
しかし,次の点で相違する。
本件意匠の直角三角形状の部分4Dは,取鍋本体1の右側外縁に長辺が接し斜辺が外縁となっているのに対して,被告意匠の略直角三角形状の部分Cdは,取鍋本体@の右側外縁に斜辺が接し長辺が外縁となっていること。
本件意匠のパイプ状の部材4Aは,直角三角形状の部分4Dの水平な短辺の上面部の上に設けられているのに対し,被告意匠のパイプ状の部材Caは略直角三角形状の部分Cdの傾斜した短辺の上方に正面視略台形状の管状部材Ceを介して設けられていること。
本件意匠には連結部材4Cが設けられているのに対し,被告意匠にはこれに対応する部材は存在しないこと。
被告意匠には正面視略台形状の管状部材Ce,トッグルクランプ部Cf,及び蓋Cgが存在するのに対し,本件意匠にはこれらが存在しないこと。
( )配管ii本件意匠の配管5と被告意匠の配管Dとは,全体が逆U字状に屈曲していること,及び,途中に2枚のフランジ5A・5B,Da・Dbが設けられている点で共通する。しかし,配管全体が逆U字状に屈曲し,途中に2枚のフランジが設けられている構成は,公知意匠2の構成である。
本件意匠と被告意匠とは,次の点で相違する。
本件意匠の配管5は,突出し部4のフランジ4BからX点までの間パイプ状の部材4Aと同じ傾きで取り付けられているのに対し,被告意匠の配管Dは,フランジCb及びフランジCcの取付の付け根から屈曲していること。
本件意匠にはフランジ4Bに4枚の直角二等辺三角形状の補強片5Cが配管5の周方向等間隔に設けられているのに対し,被告意匠ではこのような部材は存在しないこと。
本件意匠の配管5は,小蓋3の取手3Aよりもやや高い位置X点で内角約125度の角度で屈曲して水平面に対して約10度上方に傾斜しているのに対し,被告意匠の配管Dは,小蓋Bの取手Baと略同じ高さのx点で内角約92度屈曲して水平面より下方に約20度傾斜しており,傾斜方向が上方と下方と逆の方向であること。
本件意匠の配管5は,Y点で下方へ内角約90度の角度に屈曲しているのに対し,被告意匠の配管Dは,被告意匠の配管Dのy点で内角約115度に緩やかに屈曲していること。
本件意匠の配管5の先端部の高さは小蓋3の取手3Aの高さとほぼ同じであるのに対し,被告意匠の配管Dの先端部の高さは,取鍋本体@の高さのほぼ2分の1の高さであること。
本件意匠の配管5は,X点及びY点の間に2つのフランジ5A及び5Bが設けられ,このフランジ5A及び5Bの間は配管5は直線状であるのに対し,被告意匠の配管Dは,x点及びy点の間にはフランジDaが設けられ,y点と先端部との間にフランジDbが各設けられ,フランジDa及びDbの間の配管Dは,y点で上記のように屈曲していること。
本件意匠の配管5のX点からY点までの長さと,Y点から配管5の先端部までの長さの比率は約3:1であるのに対し,被告意匠の配管Dのx点からy点までの長さと,y点から配管Dの先端部までの長さはほぼ等しいこと。
本件意匠の配管5は,正面視において,パイプ状の部材4Aの幅とフランジ4Bから先端部までの配管5の幅の比率は約5:3であり,フランジ4Bから先端部までの配管5の幅は均一であるのに対し,被告意匠の配管Dは,正面視において,パイプ状の部材Caの幅とフランジCcの付け根の配管Dの幅の比率は約9:7であり,フランジDaから先端部までの幅は均一で,パイプ状の部材Caの幅との比率は約9:5であり,また,フランジCcの付け根からフランジDaの付け根まで配管Dの幅は連続して狭まっていること。
)結論c以上のとおり,本件意匠の要部である突出し部4及び配管5と被告意, , 匠の突出し部C及び配管Dとは 一部共通する部分が存在するとはいえその共通点を凌駕して余りある相違点が存在するのである。
被告意匠は,本件意匠と要部において大きく相違し,本件意匠と被告意匠とは全体として看者に与える美感を異にするものであるから,被告意匠は本件意匠と類似しない。
17争点8(損害)について( )原告の主張1ア特許権侵害に基づく損害について(争点8-1))溶融アルミニウムの納入価格を基準とする損害額の算定a@被告は,平成15年5月12日ころから現在に至るまで,被告製品による溶融アルミニウムのトヨタ自動車の衣浦工場への納入を行っており,平成15年は8000トン,平成16年は1万4610トン,平成17年は1万3960トンの納入をしている。
被告は,本件各特許発明技術的範囲に属する被告製品を使用して溶融アルミニウムを納入しなければ,トヨタ自動車の衣浦工場への納入が困難な状況にある。このことを考慮すれば,被告において本件各特許発明実施する価値は高い。
したがって,溶融アルミニウムの納入価格のうち,@いわゆる独立項である本件特許発明1-1,同2-1,同2-5,同3-1,同3-7,同4-1,同5-1,同5-8,同6-2及び同7-2の10件については,それぞれ,1パーセント相当の金額の実施許諾料を支払うべきであり,Aいわゆる従属項である本件特許発明1-2,同1-3及び2-2の3件については,それぞれ,0.5パーセント相当の金額の実施許諾料を支払うべきである。
A原告は,加圧式取鍋の製造販売を主たる営業としているわけではなく,加圧式取鍋を使用して,溶融アルミニウムを製造販売することを主たる営業としている。その点は,被告も同様であり,加圧式取鍋を使用して,溶融アルミニウムを製造販売することにより,利益を得ている。その溶融アルミニウムの製造販売による利益と,加圧式取鍋の使用との間には,因果関係があるというべきである。したがって,溶融アルミニウムを基準として,原告が本件各特許発明実施に対し受けるべき金銭の額(特許法102条3項)を定めるべきである。
B溶融アルミニウムの納入価格は,1キログラム当たり,@平成15( 。 年5月から同年12月までが平均187円 1円未満の端数は切捨て以下同じ,A平成16年1月から同年12月までが平均200円, 。)B平成17年1月から同年12月までが平均206円である。
上記被告の溶融アルミニウムの納入量,本件各特許発明実施について認められるべき料率及び溶融アルミニウムの納入価格の各事実と,本件各特許1ないし7の特許権設定登録の時期とを考慮すれば,被告が被告製品を使用して溶融アルミニウムを納入していることによる原告の損害額は,平成15年5月12日から平成17年12月31日までの期間においては,別紙損害算定目録1のとおり,7億0931万9894円である。
)加圧式取鍋の購入価格及び修繕費用を基準とする損害額の算定b, , 仮に 加圧式取鍋の購入価格及び修繕費用を基準とした場合において,, 原告が本件各特許発明実施に対し受けるべき金銭の額も併せて 以下算定する。
@被告は,平成15年5月12日ころから現在に至るまで,被告製品を少なくとも50台を用いて被告製品による溶融アルミニウムのトヨタ自動車の衣浦工場への納入を行っている。被告は,本件各特許発明技術的範囲に属する被告製品を使用して溶融アルミニウムを納入しなければ,トヨタ自動車の衣浦工場への納入が困難な状況にある。このことを考慮すれば,被告において本件各特許発明実施する価値は高い。
したがって,被告製品の購入価格及び修繕費用のうち,@いわゆる独立項である本件特許発明1-1,同2-1,同2-5,同3-1,同3-7,同4-1,同5-1,同5-8,同6-2及び同7-2の10件については,それぞれ,3パーセント相当の金額の実施許諾料を支払うべきであり,Aいわゆる従属項である本件特許発明1-2,同1-3及び2-2の3件については,それぞれ,1.5パーセント相当の金額の実施許諾料を支払うべきである。
A被告製品1台当たりの製造価格は,本体が220万円であり,パイ,。,, プが20万円であるから 合計240万円である また 修繕費用は平均して1年に1度なされる本体の修繕費用は180万円であり,少なくとの1年に2度なされるパイプの修繕費用は40万円(=20万円×2)であるから,合計220万円である。
被告製品がすべて平成15年5月12日に製造されたものとみなし,平成16年5月12日,平成17年5月12日及び平成18年5月12日にそれぞれ修繕されたものとみなし,かつ,本件各特許1ないし7の特許権設定登録の時期とを考慮すれば,被告が被告製品を使用していることによる原告の損害額は,平成15年5月12日から平成17年12月31日までの期間においては,別紙損害算定目録2のとおり,8389万3523円である。
)よって,原告は,被告に対し,本件各特許に基づき,上記損害金7億c0931万9894円又は8389万3523円のうち,8000万円並びに内800万円につき本訴状送達の日の翌日である平成16年12月1日から,内金7200万円につき平成18年5月23日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成18年5月26日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
意匠権侵害に基づく損害について(争点8-2))溶融アルミニウムの納入価格を基準とする損害額の算定a@被告は,平成15年5月12日ころから現在に至るまで,被告製品による溶融アルミニウムのトヨタ自動車の衣浦工場への納入を行っており,平成15年は8000トン,平成16年は1万4610トン,平成17年は1万3960トンの納入をしている。
被告は,トヨタの衣浦工場へ納入する際に,別の構成態様を採用することができる。それにもかかわらず,原告製の加圧式取鍋にも採用されている本件意匠の美感と同様の美感を与える被告意匠を使用することにより,原告製の加圧式取鍋に使用された本件意匠の美感に化体された顧客における信頼感を享受していることを考慮すれば,被告において本件意匠を使用する価値は高い。
したがって,溶融アルミニウムの納入価格の1パーセント相当の金額の実施許諾料を支払うべきである。
A原告は,加圧式取鍋の製造販売を主たる営業としているわけではなく,加圧式取鍋を使用して,溶融アルミニウムを製造販売することを主たる営業としている。その点は,被告も同様であり,加圧式取鍋を使用して,溶融アルミニウムを製造販売することにより,利益を得ている。その溶融アルミニウムの製造販売による利益と,加圧式取鍋の使用との間には,因果関係があるというべきである。したがって,溶融アルミニウムを基準として,原告が本件意匠の実施に対し受けるべき金銭の額(意匠法39条3項)を定めるべきであると思料する。
B溶融アルミニウムの納入価格は,1キログラム当たり,@平成15( 。 年5月から同年12月までが平均187円 1円未満の端数は切捨て以下同じ,A平成16年1月から同年12月までが平均200円, 。)B平成17年1月から同年12月までが平均206円である。
上記被告の溶融アルミニウムの納入量,あるべき実施許諾料相当額及び溶融アルミニウムの納入価格を考慮すれば,被告が被告製品を使用して溶融アルミニウムを納入していることによる原告の損害額は,平成15年5月12日から平成17年12月31日までの期間においては,別紙損害算定目録3のとおり,7293万7600円である。
)加圧式取鍋の購入価格及び修繕費用を基準とする損害額の算定b, , 仮に 加圧式取鍋の購入価格及び修繕費用を基準とした場合において原告が本件意匠の実施に対し受けるべき金銭の額も併せて,以下,算定する。
@被告は,平成15年5月12日ころから現在に至るまで,被告製品を少なくとも50台を用いて被告製品による溶融アルミニウムのトヨタ自動車の衣浦工場への納入を行っている。
被告は,トヨタの衣浦工場へ納入する際に,別の構成態様を採用することができる。それにもかかわらず,原告製の加圧式取鍋にも採用されている本件意匠の美感と同様の美感を与える被告意匠を使用することにより,原告製の加圧式取鍋に使用された本件意匠の美感に化体された顧客における信頼感を享受していることを考慮すれば,被告において本件意匠を使用する価値は高い。
したがって,被告製品の購入価格及び修繕費用の7パーセント相当の金額の実施許諾料を支払うべきである。
A被告製品1台当たりの製造価格は,本体が220万円であり,パイ,。,, プが20万円であるから 合計240万円である また 修繕費用は平均して1年に1度なされる本体の修繕費用は180万円であり,少なくとの1年に2度なされるパイプの修繕費用は40万円(=20万円×2)であるから,合計220万円である。
被告製品がすべて平成15年5月12日に製造されたものとみなし,平成16年5月12日,平成17年5月12日及び平成18年5月12日にそれぞれ修繕されたものとみなし,かつ,本件意匠の登録の時期とを考慮すれば,被告が被告製品を使用していることによる原告の損害額は,平成15年5月12日から平成17年12月31日までの期間においては,別紙損害算定目録4のとおり,2103万6438円である。
)よって,原告は,被告に対し,本件意匠に基づき,上記損害金729c3万7600円又は2103万6438円のうち,2000万円並びに内200万円につき本訴状送達の日の翌日である平成16年12月1日から,内金1800万円につき平成18年5月23日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成18年5月26日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
ウ結論よって,原告は,被告に対し,本件各特許権及び本件意匠権侵害による損害賠償として,合計1億円及び内金1000万円につき本訴状送達の日の翌日である平成16年12月1日から,内金9000万円につき平成18年5月23日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成18年5月26日から,各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
エ被告の主張に対する原告の反論a)被告製品の購入価格及び修理費用は,少なくとも,被告が主張する金額を下回るものではない。
b)平成18年12月現在のトヨタ自動車衣浦工場における被告の溶融アルミニウムの供給量を供給するために直接必要とされる被告製品の台数が35基であることは認める。
( )被告の主張2ア損害に関する原告の主張は,否認ないし争う。
イ損害の不発生について特許法102条3項(意匠法39条3項)は,不法行為法の基本的枠内における損害額の計算規定であり,損害の発生を前提として,実施料相当額損害額として法定した規定である。
ところで,本件各特許は物の発明であり,また,被告は加圧式取鍋を製造販売したのではなく,使用したにすぎない。溶融アルミニウムを製造販売することによって被告が得た利益は,あくまで溶融アルミニウムを製造販売したことによって得た利益であって,特許権又は意匠権侵害したことによって得た利益,すなわち,特許権又は意匠権侵害されることで原告に発生した損害ではない。
また,加圧式取鍋の価格を前提として,特許法102条3項の適用を認めるのであれば,原告は加圧式取鍋の製造者と使用者の双方から損害賠償を受けることができることになり,損害の填補という日本法における損害賠償制度と相容れない結果となる。
ウ被告製品の納入・修理状況被告製品の平成17年12月末日までの購入,修理費用及び台数の内訳は,別紙被告取鍋費用明細のとおりであり,購入価格の合計は1億3098万円,修理費用の合計は5704万2073円である。
そして,被告は現在35基の被告製品しか使用しておらず,その余の被告製品は使用していない。したがって,少なくとも50台を使用しているとの原告の主張は失当である。
なお,12基については,本件特許5の基準日たる平成14年12月28日以前に納入されたものであり,被告製品説明書記載の構成を備える取鍋ではない。
また,取鍋の修理状況についても,別紙被告取鍋費用明細記載のとおりであり,原告主張のように平均して1年に1度修繕しているわけでも,ましてやパイプを1年に2度も交換しているわけではなく,費用も平均すれば原告の主張するほど高額ではない。
実施料相当額仮に,原告に実施料相当額の損害の発生が認められるとしても,原告の主張は,相当額を逸脱したものであり,失当である。
そもそも,原告主張の実施料率は,溶融アルミニウム供給額に基づいて計算する場合と,取鍋の購入価格とで異なっており,この点からしても失当である。
加えて,原告の主張によれば,本件各特許権と本件意匠権を合計した実施料率は41.5%となり,このような著しく高い実施料率に基づく実施料を支払いながら成り立つ事業などほとんど存在し得ない。
被告は被告製品を使用しているのみで,製造販売しているわけではないこと,傾動式取鍋によるアルミ溶湯の納入が可能であり,代替可能な技術であること,加えて,本件各特許及び本件意匠のうち原告が実施しているのはわずかであり,製品に対する寄与も極めて少ないものである。
また,被告は,被告製品を使用しているのみであるから,仮に,原告に実施料相当額の損害が認められるとしても,購入した被告製品の数量ではなく,現実に使用している取鍋の数量(35基)をベースに算定しなければならない。
第4争点に対する判断1争点1-1(本件各特許発明1の進歩性の欠如)及び争点1-2(本件各特許発明1の訂正による無効理由の解消)について( )本件特許発明1-11ア無効理由1(引用文献1を主引例とする主張)について)引用文献1(乙1)には,次の記載がある。 a「 産業上の利用分野〕〔本発明はアルミニウム等の溶融金属を公道など一般道路を通って遠隔地運搬,長時間運搬,坂道などの傾斜面運搬ができ,溶湯のまま使用者側に配送ができるようにしたトラック等,道路上を運行する運搬用車輌による溶融金属の運搬方法に関するものである。
〔従来の技術〕アルミニウム等の溶融金属をフォークリフト等により工場内を運搬することは従来から行われているが,此の場合はインゴットを集中溶解炉で溶解してから取鍋に受け,ダイカスト等の鋳造設備に隣接して設けた保持炉(手許炉)に分配しているので通路は概ね平坦であり,運搬距離も長くない。従って取鍋,或はその把持方法等に特別な工夫を要せずに安全に運搬が行われている。運搬中取鍋は本体部分は蓋をして移送中の温度低下を防止しているが,注湯口は開放したままであるのが普通である。
また,車輌による溶融金属運搬の例として高炉から出銑した溶融銑鉄を運搬する混銑車があるが,この混銑車は製鐵所の敷地内に敷設した軌道上を運行するものであるから適時所望の個所に配送することができず,機動性に乏しく,また軌道上を走行するため容器等に特別の工夫も要せず,運搬時間も長くないので溶湯の温度低下も大して問題とならない。
〔解決すべき問題点〕・・・従って,例えば溶湯を外部の企業から配給を受けて使用することは以前から構想されてきたが,未だ実現されないまま,今日に至っている。その原因は溶湯の放冷を防ぎ安全に運搬することが困難であったことによる。
即ち従来の方法で溶湯を一般道路上を運搬する場合は,公道など一般道路が工場内と異なり,坂道があったり,車の振動が激しくなる舗装状態の悪い道路面があったりすることから,溶湯がこぼれたり,積込んだ取鍋が横転したり,また放冷により溶湯が凝固する等の困難が予想され,実現ができなかった。
〔問題点の解決手段〕本発明は上記の事情に鑑みなされたもので,溶融金属を密閉型の取鍋に収納し,開口部を密閉した取鍋をトラック等道路上を運行する運搬用車輌の荷台上に載置固定して運搬することを特徴としている。
実施例〕・・・,第1図において・・・,2は開口部が密閉可能な円筒形の取鍋 ・・・,上述の如くして取鍋2の下部が固定装置3により固定され,上部が・・・により緊締されるから,荷台上を移動したりガタ付く等のことなく,長距離運搬,坂道などの傾斜運搬が可能であり,また舗装状態の悪い道路での振動に対しても緊締が緩まず,従って荷台上の取鍋は公道など一般道路上を安全に運搬できる。
第6図〜第8図は取鍋の断面図を示し,13は外殻鉄皮,14は断,,,,, 熱材 15は内張り耐火材 16は蓋 17は受湯口 18は注湯口19は受湯口小蓋,蓋16と取鍋本体20の各鉄皮はフランジ部21を締着22して接続してある。また,小蓋19は第7図に示すように蝶番23により蓋16に開閉自在に取付けられ ・・・,実施例1・・・( ) 取鍋2取鍋は厚さ約6oの鉄板で円筒形に形成して鉄皮13とし,これに適宜補強板を設けた。内張耐火材は蓋16,小蓋19に軽量キャスタブル,本体20の胴部断熱材14に断熱性ボード,内張耐火材15にはアルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝株式会社製)をそれぞれ使用した。
・・・〔発明の効果〕本発明は上述のように溶湯を適時に使用者側に配送することができるので,使用者側において省エネルギー,歩留の向上,溶解費用の節減が図られる等の効果があり,また供給者側も溶融状態のまま配送できるので,インゴットに鋳造する手間が省け,省エネルギーの効果があり,また製品の在庫を軽減し得る等の効果が大であり,特にアルミニウム再生工場等において極めて有効に使用することができる ・・。
・」)引用発明1の構成b, , 引用発明1の構成を 本件特許発明1-1の構成要件に対比させると次のとおりである。
, , A′溶融金属を収容することができ 上部に開口部を有する取鍋2とB′前記取鍋2の内外を連通し,前記溶融金属を流通することが可能な流路18と,C′前記開口部を覆うように配置され,ほぼ中央に前記開口部よりも小径の受湯口17を有する蓋16と,D′前記蓋16の上面部に開閉可能に設けられた小蓋19と(F′公道を介してユースポイントまで搬送される)E′以上を具備する取鍋2c)引用発明1と本件特許発明1-1との対比引用発明1の構成A′ないしC′及びE′は,本件特許発明1-1の構成要件AないしC及びEと,それぞれ一致する。また,構成D′は,構成要件1-1Dの「蓋の上面部に開閉可能に設けられたハッチ」との点で一致する。
一方,引用発明1と本件特許発明1-1とは次の点で相違する。
@本件特許発明1-1は「内圧調整用の貫通孔」が「ハッチ」に設けられている加圧式取鍋であるのに対し,引用発明1は「内圧調整用の貫通孔」がない傾動式取鍋であることA原告は,傾動式取鍋である引用発明1の「受湯口17」と,加圧式取鍋である本件特許発明1-1の構成要件Cの「小径の第2の開口部 ,引用発明1の「小蓋19」と本件特許発明1-1の構成要件D 」の「ハッチ」とは,同一にみえる構成であっても,その具体的な構成や作用は大きく異なるのであるから,相違点は上記の点にとどまらないと主張する。
しかし,原告が指摘するところは,傾動式取鍋における受湯口17及び小蓋19の果たす作用ないし役割が,加圧式取鍋における同一の構成の部材が果たす作用ないし役割と異なることを述べるものにすぎず,この点は,構成が同じである以上は,傾動式取鍋である引用発明1から加圧式取鍋を想到することが容易であるかどうかの後記の判断において,容易想到であると判断されれば自ずから解消する問題である。原告は,また,これらの部材の具体的な構成が異なる趣旨の主張もするものの,本件特許発明1-1においては,単に 「小径の第2,の開口部」及び「ハッチ」と記載しているだけであるから,これらが引用発明1の「受湯口17」及び「小蓋19」の構成と異なるものとは認められない。原告は,本件特許発明1-1が加圧式取鍋であることから,特許請求の範囲に記載されていないものをその構成要件に読, 。 み込もうとしているものであり その主張は採用することができないd)本件特許発明1-1の優先日前に公刊された刊行物には,次の記載がある。
@特開昭60-72662号公報(乙2の2)「第1図は,従来のストッパ付加圧式自動注湯装置を示す。図において,(1)は加圧式注湯炉,(2)は溶融金属,(3)は加圧式注湯炉(1)の溶融金属(2)の表面に働く加圧ガス,(4)は加圧ガス(3)を導く管路,・・・ (1頁右欄1行ないし9行) 」4 図面の簡単な説明・・・図において (1)は加圧式注湯炉 (2) 「. ,,は溶融金属,(3)は加圧ガス,(4)は管路 ・・・(5頁左下欄1行 ,。」ないし右下欄5行)第1図,第2図及び第4図には,加圧ガスを導く管路が加圧式注湯炉の上部にある蓋を貫通している構成が記載されている。
A実願昭60-139738号のマイクロフィルム(乙2の3)「従来,この種の加圧式注湯炉は,第3図及び第4図に示す如く注湯するに必要な圧力Pは,圧力制御装置13より,送圧管12を介して湯室1にのみ供給される(1頁20行ないし2頁3行) 。」「第1図及び第2図は・・・。また,加圧注湯時には受湯室22の外側に移動式の小蓋23を気密フランジ24部にて圧力制御装置13より主送圧管12を介して,湯室用送圧管12a及び受湯室送圧管12bに分岐せしめ湯室側と受湯サイフォン側を同時に加圧することにより,注湯ノズル8からの注湯を行う(4頁9行ないし5頁2行) 。」「4.図面の簡単な説明・・・12…送圧管 ・・・(6頁3行,。」ないし10行)第1図及び第3図には 「送圧管12」が,加圧式注湯炉の上面の ,中心部の貫通孔に取り付けられた構成が記載されている。
B特開平1-262062号公報(乙2の4)「溶湯保温炉23は,上向きの開口部24を有する器体25と ・,・・。また,炉蓋30の中央部近傍に,それを貫通して加圧ガス用導入管(排出管を兼ねる)37が立設され,その導入管37と,前記ガス圧制御器18より延出する供給管38とが一対の半体39a,39bを持つ第1コネクタ39を介して着脱される。
これにより導入管37からのガス圧が溶湯mの表面に作用すると,その溶湯mは給湯管32を通じて保持炉3内に流入し,したがって加圧ガス供給源17,ガス圧制御器18,供給管38,第1コネクタ39および導入管37は溶湯駆動源Sを構成する(3頁右上欄15。」行ないし4頁左上欄8行)「加圧ガスを加圧ガス供給源17よりガス圧制御器18,供給管38および導入管37を通じて溶湯保温炉23内に供給する。そのガス圧が溶湯m表面に作用すると,溶湯mは給湯管32の鉛直部32aを上昇して中間部32b,傾斜部32cおよび第2管体32aを経て保持炉3内に流入する(5頁左下欄2行ないし8行) 。」「保持炉3内の溶湯mが略上限レベルl に達したとき,ガス圧制1御器18により溶湯保温炉23内の加圧ガスを導入管37等を介して大気に排出する(5頁左下欄16行ないし右下欄2行) 。」「4.図面の簡単な説明・・・・。17…加圧ガス供給源,18…ガス圧制御器,23…溶湯保温炉,24…開口部,30…炉蓋,32,,,」 …給湯管 ・・・37…導入管 38…供給管 39…第1コネクタ(7頁右下欄14行ないし8頁左上欄15行)第1図及び第6図には 「導入管37」が「炉蓋30」の中央部近 ,傍に「炉蓋30」を貫通して取り付けられた構成が記載されている。
C実願平1-89474号のマイクロフィルム(乙2の5)「 考案が解決しようとする課題〕 〔しかし,前述の移湯取鍋の傾注容器移湯方式は,移湯取鍋の傾注時の溶湯飛散による不安全作業であるとか,溶湯の激流でガスの巻き込みにより,比重値がバラツキを起こして,品質不良が発生する。
ついで,ポンプ方式はポンプ内で溶湯を渦流で汲み揚げるため,ガスの巻き込みは避けられない。また,動力源としてエアー及び電力を溶湯移送エネルギーに変換する効率が極めて低く,その上,イニシャル(設備費)ランニングとも高価であるという問題点がある。
そこで,この考案は上記問題点を解決するために,溶解炉から保持炉への溶湯の移湯装置を簡素化してコスト低減を図るとともに,移湯作業時の安全性を向上させることにある 」。
「 課題を解決するための手段〕 〔そのため,この考案は上述の課題を,取鍋運搬車輌に積載の移湯取鍋を密閉して移湯密閉取鍋を形成し,溶解炉から保持炉への溶湯の移湯は,前記移湯密閉取鍋内の溶湯を,車載の加圧装置である過給器の加圧力によって押し上げ,保持路に加圧静流移湯することにより解決しようとするものである 」。
実施例〕〔・・・第1図は,本考案の概略全体構成図を示しており,取鍋運搬車輌(フォークリフト)1に車載のエンジン2の第2図図示の駆動軸3には ・・・加圧装置である自動車用の過給器(スーパーチャージ ,ャーブロアー)5が配設されており,また,取鍋運搬車輌1に上下動自在に配設されるフォーク6には,耐火材料でライニング密閉構造に,, 形成される移湯密閉取鍋7が積載してあり この移湯密閉取鍋7には図示してない溶解炉から溶湯26を受湯して蓋70により密閉し,該取鍋7内を気密に保つようになっている。
そして,前記過給器5の吸引側5aには,吸引空気導入管8を介して吸引空気フィルタ9が配設してあり,過給器5の吐出側5bには,送気管10の一端10aが接続してある。また,送気管10の他端10bは,前記移湯密閉取鍋7の取鍋給気口11に気密を保って接続してあり,移湯密閉取鍋7内の溶湯表面20の上部空間部21に連通してある 」。
第1図には,溶湯を受湯するための蓋70とは異なる場所で,取鍋吸気口が上部蓋を貫通している構成が記載されている(なお,第3図においては,溶湯を受湯するための蓋70の記載が省略されているので,溶湯を受湯するための蓋70と貫通孔との位置関係は不明である。。)D特開平6-320255号公報(乙2の7)「 実施例】図1は実施例の断面図である。図において,この加圧 【式注湯炉1は,密閉した溶湯室2の底部2aから立上がる出湯路3の上端の出湯室4と,この出湯室4の底面の注湯口5と,底部2aから立上がる受湯路6の上端の受湯室7と,底部2aに連通する溝形インダクタ8と,ガス導入管9を介して溶湯室2の溶湯10にガスを加圧する加圧ガス制御装置11とからなる 」。
図1には,ガス導入管9が加圧式注湯炉1の上面の中心部の貫通孔に取り付けられている構成が記載されている。
E特開平8-20826号公報(乙2の9)「 0002 【従来の技術 ・・・ところが従来の真空脱ガス法に 【】】おいては,一般に先ず溶解炉から開放状態の取鍋内に大気中で溶湯を注湯し,この溶湯を入れた取鍋を運搬して減圧槽内に収容し,真空脱ガス後,取鍋を取出して鋳造装置等の溶湯使用装置まで運搬し,鋳造装置の保持炉へ取鍋を傾動させて配湯したり,大型鋳物の場合等は直接鋳型への注湯を取鍋を傾動させておこなっている 」。
「 0003】このため従来の真空脱ガス法においては,取鍋への 【注湯時や運搬中および溶湯使用装置部における注湯時などに,溶湯の大気との接触や大気の巻込みにより,溶湯が酸化しやすく,また溶湯が大気中の水素ガスを吸収しやすく(特に高湿度のとき著しい ,折)角脱ガスをおこなっていながら溶湯品質が劣化し,鋳造製品中に気泡が発生して強度が低下するという問題があった ・・・」。
「 0018 【実施例 ・・・図1および図2において1は,取鍋 【】】本体2に蓋3を密閉開放自在に被せた密閉式の取鍋である ・・・脚。
部7には,フォークリフトによる運搬用のフォーク穴7aが設けてある。蓋3は外殻10の内面に断熱材製の内張り11を施し,そのフランジ部12は,取鍋本体2のフランジ部8上に重ねられ,ねじ込み式のクランプ装置13により両フランジ部8,12が締付けられ ・・,・シール材14により密封されるようになっている。
・・・【0020】蓋3には,該蓋を貫通して,下端部が取鍋本体2の上部空間2a(詳しくは取鍋本体2内の溶湯40の上面と蓋3の内面との間)に開口する排気管31と給気管32が固設してある ・・・ま。
た給気管32の上端部には,給気用のホース50(図3参照)がワンタッチで着脱されるカプラから成る給気接続口34が設けてある ・。
・・」「 0027】上記のように,溶解炉41から取鍋1への給湯は, 【溶湯貯留部44の溶湯40中に先端部が浸積した給湯管43による吸引によりおこなわれるとともに,保持炉71への配湯も,取鍋1内の溶湯40を該溶湯中に浸積したストーク16および配湯管91を経て加圧供給することによりおこなわれるので,溶湯への大気の巻込みおよび溶湯の大気との接触が防止され,また真空脱ガス後の取鍋1内に窒素ガスが封入された状態で溶湯の運搬をおこなうので,運搬中における溶湯の大気との接触および大気の巻込みが防止される。これによって溶湯は酸化や水分を吸収することなく品質良好な状態で,溶湯使用装置である保持炉71内に供給できるのである 」。
F特開昭62-289363号公報(乙49)「 従来の技術)(鋳物の鋳造とくに逐次に連続的な鋳造を行う鋳造ラインなどでかつてのとりべを使用する手動注湯にとって代わって用いられ始めた溶融金属の注湯炉には注湯方式として加圧式,傾動式,電磁ポンプ式などがあり,そのうち注湯精度,電力消費の面から加圧式が有利であってこの点冨士時報:52(’79 ,619;三菱電機技報53(’7 )9 ,652;三菱電機技報52(’78 ,450などで開示され ) )ているとおりである。
これら加圧式注湯炉は上部を密閉した貯湯室と貯湯室の下部より立上る受湯路と出湯路および貯湯室の下部に連通した溶融金属を加熱するための溝型誘導加熱部を有し,注湯に際しては・・・加圧し注湯する 」。
e)相違点の容易想到性について@上記d)CEFの各記載(乙2の5・9,49)からすれば,本件特許発明1-1の優先権主張日の当時,傾動式取鍋の欠点を克服するために加圧式取鍋とすることは,当業者にとって周知の事項であったものと認められる。そして,様々なタイプの加圧式取鍋が既に存在し,溶融金属を収容した状態で移動させる加圧式取鍋も存在していた(上)。, , 記d)C・乙2の5したがって 引用発明1の傾動式取鍋の構成を加圧式取鍋の構成に置換し,それに伴って傾動式取鍋における各構成部分を加圧式取鍋に適した形状に適宜変更することは,当業者が容易になし得ることであったものと認められる(なお,原告の行っている本件訂正1は,@本件特許発明1-1が加圧式取鍋であり,A公道を介して移動するものであることを明確にするものである。@は上記のとおり引用発明1と上記周知技術から容易に想到し得る事項であり,Aは引用文献1にも開示されている。したがって,訂正の可否は上記結論を左右するものではない。。)A引用発明1を加圧式取鍋の構成とした場合,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔を当然設置することになる。そして,その設置位置は,取鍋本体か蓋の部分に限られる。実際,上部蓋に設置した( )() 例 乙2の2ないし5・7ないし9 と側面に設置した例 乙2の6があり,蓋に設置するか,本体に設置するかという点は,設計事項にすぎないというべきである。ただし,上記各証拠によって認められる周知の構成は,いずれも,容器の本体,あるいは,一枚蓋に貫通孔を設置したものである。
,,「 , これに対し 引用発明1のように開口部を覆うように配置されほぼ中央に前記開口部よりも小径の受湯口17を有する蓋16 と 前」「記蓋16の上面部に開閉可能に設けられた小蓋19」という二重の蓋を有し,小蓋は開閉を予定されている場合には,加圧用の貫通孔には加圧用の配管が接続されるのが技術常識であるから(乙2の2ないし5・7ないし9 ,開閉が予定されていない大蓋の方に,配管の接続 )される貫通孔を設置するのが通常の設計であり,開閉が予定されている小蓋に,あえて配管の接続される貫通孔を設置することは通常は想到し難いことである。したがって,大蓋に加圧用の貫通孔を設置することは容易想到であるということはできても,このような小蓋に加圧用の貫通孔を設置することを容易想到であるということはできない。
また,蓋のほぼ中央部にある小蓋に貫通孔を設置することにより,液の跳ね返りによる汚れが減少するという本件特許発明1-1の作用効果を奏するものである(本件明細書1の【0011】には「ハッチに内圧調整用の貫通孔が設けられ,しかもそのハッチが上記のように液面の変化や液滴が飛び散る度合いが小さい位置に対応する容器の上面部のほぼ中央に設けられているので,金属が内圧調整に用いるための配管や孔に付着することが少なくなる 」と記載されている。 。。)以上からすれば,引用発明1の小蓋に加圧用の貫通孔を設置することを単なる設計事項ということはできず,本件特許発明1-1は当業者が容易に想到し得たものということはできない。
B被告は,引用発明1に,乙3の3図面を組み合わせれば,ハッチに貫通孔を設ける構成は容易に想到できると主張する。
証拠(乙3の3)によれば,乙3の3図面は,日本坩堝が被告に提出した平成12年(2000年)9月13日付け「アルミ搬送取鍋M8KY型・小蓋組立図」と題する設計図面であり,小蓋に孔が設けられ,そこにバルブが接続された構成が記載されていることが認められる。
しかし,乙3の3図面は,被告から取鍋の製造を受注している日本坩堝が作成して被告に提出した設計図である。かかる図面が取鍋の使用先のトヨタ自動車に提出されたとしても,さらに不特定の第三者に交付されることを予定する図面ではなく,トヨタ自動車の工場において使用される取鍋に関わる関係者の範囲内においてのみ開示される文書であることは客観的にみて明らかである。このような図面については,取引担当者間においては,信義則上,当然に守秘義務が生じるものと解すべきであるから,乙3の3図面が「公然知られた」ものであると認めることはできない。
イ無効理由2(乙39図面を主引例とする主張)についてModern Equipment Company証拠(乙39)によれば,乙39図面は,作成の平成10年(1998年)4月7日付け設計図面であることが認められる。しかし,乙39図面はその性質上,第三者に頒布される性質のものではなく 「公然知られた」ものであることを認めるに足りる証拠はな ,い また 被告は 乙39図面に開示された取鍋が遅くとも平成11年 1 。,, (999年)には公知,公用であったとして,工場内で撮影された写真(乙51)を提出する。しかし,乙51によっては,その被写体となった取鍋の内部構造が不明であるから,その取鍋が乙39図面に開示された構成と同一の取鍋であるか疑問が残り,また,この取鍋が工場内に備え置かれていることから直ちに公知,公用になったということもできない。
よって,乙39図面を主引例とする無効理由は失当である。
ウ無効理由3(乙2の7公報を主引例とする主張)について)乙2の7公報に開示された構成a特開平6-320255号公報(乙2の7公報)には,次の構成が開示されている。
A′溶融金属を収容することができ,上部に第1の開口部を有する加圧式注湯炉1と,B′加圧式注湯炉1の内外を連通し,溶融金属を流通することが可能な出湯路3と,C′加圧式注湯炉1の第1の開口部を覆うように配置された蓋と,D′前記蓋の上面部に設けられ,加圧式注湯炉1の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔とE′を具備する溶融金属供給用加圧式注湯炉b)本件特許発明1-1と乙2の7公報に開示されている構成との対比@共通点乙2の7公報に開示されている構成A′,B′,E′は,本件特許発明1-1の構成要件A,B,Eと,それぞれ一致する。また,乙2の7公報に開示されている構成C′は,本件特許発明1-1の構成要件Cと「前記容器の第1の開口部を覆うように配置された蓋」との点において一致し,構成D′は,構成要件Dと「前記蓋の上面部に,前記容器の内外を連通し,容器内の加圧を行うための内圧調整用の貫通孔」を具備した点において一致する。
A相違点乙2の7公報の蓋には,本件特許発明1-1の構成要件Cの「ほぼ中央に前記第1の開口部よりも小径の第2の開口部」が存在しないこと(相違点1 ,及び,蓋のほぼ中央に配置される容器内の加圧を行 )うための内圧調整用の貫通孔が,本件特許発明1-1においては,ハッチに形成されているのに対し,乙2の7公報では蓋に形成されていること(相違点2)において,相違する。
c)相違点の容易想到性について乙2の7公報に開示される構成について,蓋のほぼ中央に小蓋(ハッチ)を設け,さらに内圧調整用の貫通孔を蓋ではなく小蓋(ハッチ)に設けるということは,無効理由1において既に述べたとおり,容易に想到し得るものということはできない。
よって,乙2の7公報と引用発明1等を基に,本件特許発明1-1を容易に想到することはできない。
( ) 本件特許発明1-22本件特許発明1-1につき進歩性が認められるので,さらに本件特許発明1-2に特有の構成(構成要件1-2B)を付加した本件特許発明1-2につき進歩性が認められるのは明らかである。
( ) 本件特許発明1-33本件特許発明1-2につき進歩性が認められるので,さらに本件特許発明1-3に特有の構成(構成要件1-3B)を付加した本件特許発明1-3につき進歩性が認められるのは明らかである。
( ) 結論4以上のとおり,本件各特許発明1は,当業者が容易に想到し得ないものであって,被告主張の無効理由を認めることはできない。なお,既に述べたところからすれば,本件訂正1後の本件各特許発明1についても無効理由がないことは明らかである。
2争点2-1(被告製品が,本件特許発明2-2の構成要件2-2Bを充足するか)について( )本件明細書2には,次の記載がある(甲2の2 。
1 )「 0051】突き出し部154の上面では,その表面に露出した流路5 【7が配管156,56,158に連通している。配管56は,突き出し部154の上面において回転可能に接続されている。回転可能とする機構としては,例えばこの配管56の突き出し部154の上面との接続部におけるフランジの一点を容器側のフランジとをピボットのように回転可能に接続すると共に,この配管56のフランジと容器側のフランジとを例えばクランプ機構により固定してもよい。なお,本体50側には,回転して折り曲げされたこの配管56を保持する保持部材を設けても構わない。その際に,保持部材には,配管56を固定するための手段を設けても良い。配管の回転軸(フランジ面の法線と平行)は,鉛直方向から前方(容器本体の中心から配管の接続位置方向)へ傾斜を有している。このように構成することで配管は単に回転運動するだけでなく,配管158の先端部157は上下にも動くことになる。したがって例えば配管を回転させたときに先端部157が容器本体部(例えば,大蓋52,大蓋のフランジ54,本体のフランジ53)と干渉するのを防止することができ,よりコンパクトに収納できる(本件公報2・10欄23行ないし42行) 。」「【】,, () 0056 また 配管56は その先端157が少なくとも下記 aと(b)との間を位置A,Bするように回転可能である。
(a)当該配管56の接続位置159と本体50の上面の中心160とを結ぶ直線161上で且つ当該本体50より外側の位置A(b)本体50の上面の中心160と突き出し部154の最外周162とを結ぶ線分162を半径r1とし,本体50の上面の中心160を中心として半径r1で描いた円Cの内側の位置B配管56は上記位置Aにおいて溶融アルミニウムの導入及び導出が行われ,上記位置Bにおいて当該容器100の移送が行われる(同・11欄。」27行ないし39行)また,本発明の一実施形態に係る容器の断面図である【図1】及び同平面図である【図2】が添付されている。
( )前記認定の本件明細書2の記載並びに【図1】及び【図2】を併せ読め2ば 【図2】における「161」は「本体50の上面の中心160」の誤 ,記であるものと認められ 【図2】における「r1」は【0056】にお ,ける「直線161」の一部であり,かつ 「線分162」であるものと認 ,められる。そして,構成要件2-2Bの「 a)当該配管の接続位置とフ (レームの上面の中心とを結ぶ直線上で且つ当該フレームより外側の位置」とは 【図2】において,実線で記載された配管56における配管56の ,先端部分の位置を意味し,同「 b)フレームの上面の中心と突き出し部 (の最外周とを結ぶ線分を半径とし,フレームの上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置」とは 【図2】において破線で描かれた ,円の内側,すなわち,破線で記載された配管56における配管56の先端部分の位置を意味するものと認められる。したがって,構成要件2-2Bは,配管の先端が 【図2】において実線で記載された位置と破線で記載 ,された位置との間を回転可能であることを意味するものと解するのが相当である。被告は,構成要件2-2Bの技術的意義が不明確であると主張するものの,本件明細書2の記載に照らし,構成要件2-2Bは上記のとおり解釈することができ,かかる構成を当業者が実施することは可能であるから,被告の主張は採用することができない。
( )被告は,被告製品の配管の先端が,上記(a)と(b)との間を移動し3得るものであることを認めている。したがって,被告製品が,構成要件2-2Bを充足することは明らかである。
3争点2-2(本件各特許発明2の新規性ないし進歩性の欠如)について( )乙4文献の公知性1被告は,本件各特許発明2は,乙4文献に記載された発明と同一であるか,これから容易に想到し得るものであると主張する。
証拠(乙4の1ないし3)によれば,日本坩堝が,平成13年10月11日,被告に対し,同年9月24日の打合せに基づき,パイプを折り畳み方式とする等の設計変更をした旨報告し,同報告書には,パイプを折り畳み方式とした設計図(乙4の2図面は平成13年(2001年)10月5日付け,乙4の3図面は同年10月3日付け)が添付されていることが認められる。
しかし,乙4文献は,日本坩堝から被告に提出された設計図等であり,トヨタ自動車の衣浦工場において使用することを前提とした加圧式取鍋の設計図等である(乙4の1ないし3 。このような開発途中の製品の設計 )図等は,客観的にみて営業秘密であることが取引担当者間において明らかなものであるから,秘密保持義務については明示的な合意がなくとも,取,,, 。 引担当者の間で 信義則上 当然に 守秘義務が生じるものと認められるしたがって,乙4文献は,不特定の第三者が知り得べき刊行物には該当せず,乙4文献を主引例とした,本件各特許発明2が新規性ないし進歩性に欠ける旨の被告主張は,その余の点について判断するまでもなく失当である。
( )本件特許発明2-2の明確性,記載不備2本件特許発明2-2の技術的範囲は,争点2-1で述べたとおり解釈することができるのであって,本件明細書2の請求項2が明確性に欠けるとか,同明細書の発明の詳細な説明が記載不備であるとかの被告の主張は理由がない。
4争点2-3(本件各特許発明2についての先使用権の成否)について( )事実経過について1証拠(甲10,15,16,乙4,10ないし13,36(いずれも枝番を含む)によれば,次の事実が認められる。 。)アアイシンは,平成13年9月18日,原告との打ち合わせにおいて,原告に対し,取鍋のパイプを折り畳み式若しくは回転式にすることを提案した(甲16の1 。原告は,同年10月3日,折り畳み式パイプの取り回 )しテストを実施した(甲16の2 。)イ一方,日本坩堝は,平成13年8月ころ,取鍋のパイプを折り畳み方式とすることを検討していたところ(乙4の1,10の1ないし6 ,被告)は,同年9月24日,日本坩堝との打ち合わせにおいて,取鍋のパイプを折り畳み式とすることを伝えた。また,日本坩堝は 「土瓶式にU型パイ,プを追加した方式(土瓶式 」と「独立したU型パイプを大蓋に取り付け )た方式(Uパイプ方式 」の両方について検討していたところ,同年10 )月11日までに,前者を採用することになった。
ウ日本坩堝は,平成13年10月11日,中央窯業のAに作成させた折り畳み式パイプの乙4の2・3図面(乙4の2・3)を,被告に提出し,被告は,同日,トヨタ自動車と折り畳み式パイプ等についての打ち合わせを行った(乙11 。)エ被告は,同年12月17日及び18日,トヨタ自動車の担当者立会いのもと,被告の西尾工場において,乙4の2・3図面に基づいて試作した加圧式取鍋を用いたテストを行った。実湯テストにおいては,加圧不良,湯漏れなどの問題はなく終了したものの,内面付着物の影響などを調べるためにテストを継続することになった(乙12の1ないし5 。被告の行っ)たテストの後の被告とトヨタ自動車,日本坩堝,中央窯業の各担当者間の協議で,被告が試作した取鍋が原告試作の取鍋のコピーではないとの評価を受け,トヨタ自動車衣浦工場での寸法上の問題についての実地検証を平成14年1月に行うこと,被告がその間内部付着物のテストを継続すること,トヨタ自動車が平成14年2月以降に,原告,被告及びトヨタ自動車製作予定の3種類の試作機の取鍋のテストをすることになった(乙12の3 。)オ原告は,平成14年2月4日及び2月12日に,本件各特許発明2の優先権主張の基礎となる特許出願をした。本件各特許発明2の発明者は,いずれも原告の従業員であるE,F及びGである(甲2の2 。)カ中央窯業のAは,平成14年8月10日,トヨタ自動車から指示された取鍋の重量の軽減やその他の改良点について,被告に説明した(乙13の1ないし4 。日本坩堝は,その際,被告に対し,乙4の2・3図面の細 )部を修正した同年8月4日付けの乙36図面(乙13の4,36)を提出した。
日本坩堝は,同年10月28日,被告製品の最終設計図(納入予定図)である甲10図面を作成した(甲10 。甲10図面は,乙36図面を8 )月10日の打ち合わせ後に2度ほど訂正して作成されたものである。
日本坩堝及び大紀は,同年12月27日,乙4の2図面とほぼ同一の取鍋について,被告,大紀,中央窯業及び日本坩堝の社員を発明者として特許出願をした(甲15 。)( )被告ら(被告,日本坩堝及び中央窯業)による発明の完成について2ア乙4の2図面は 「土瓶式にU型パイプを追加した方式」による取鍋の ,設計図である(乙4の1 。乙4の2図面には,構成要件2-1A及びB )並びに2-5AないしCが記載されている。そして,構成要件2-1C及び2-5Dについては,乙4の2図面における突き出し部は,容器の中空部と対比すれば,流路の周囲に何らかの部材が存在するものと理解するのが相当であり,さらに,流路の大部分は別の部材によって覆われており,乙4の2図面に接した当業者は,突き出し部に「ライニング(耐火材 」)が充填され,流路の周囲が「配管」によって囲繞されていると理解すると認められる(乙1,4の2,36,甲10参照 。また,乙4の2図面に )は,構成要件2-1Cの「前記突き出し部の上面において前記流路とつながるように,且つ,回転可能に接続され,少なくとも前記流路から連続して上方に向かう第1の傾斜部と先端に向けて下方に傾斜する第2の傾斜部とを有し,内外で溶融金属を流通させるための配管」との構成及び,構成要件2-2Bの「前記配管は,その先端が少なくとも下記(a)と(b)との間を位置するように回転可能である (a)当該配管の接続位置とフ ,レームの上面の中心とを結ぶ直線上で且つ当該フレームより外側の位置,(b)フレームの上面の中心と突き出し部の最外周とを結ぶ線分を半径と, 」 し フレームの上面の中心を中心として前記半径で描いた円の内側の位置との構成がいずれも記載されているものと認められる(乙4の2 。)原告は,構成要件2-5Dのうち「端面が前記フレームの開口部の開口」, 面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管と の構成については乙4の2図面の 配管 のようなものの端面があまりにも低く これが 配 「」 ,「管」であるとしても,図面上はともかく,その実施は現実には非常に困難であり,かつ,構成要件2-5Dが想定している作用効果(フランジの回転運動による配管の破損及び摩耗を防止する )を果たすこともできない 。
と主張する。しかし,構成要件2-5Dは「端面が前記フレームの開口部の開口面よりも下方になるように埋め込まれた第1の配管」と定めるにすぎず 「配管を回転させたとき,すなわち第2のフランジが第1のフラン ,ジに対して回転したときに,この回転運動による第1の配管の破損,摩耗を防止することができる(本件明細書2の【0045 )というもので 。」 】あるから,端面の位置はフレームの開口部の開口面よりも下であれば足りるというべきであり,したがって,乙4の2図面には構成要件2-5Dが開示されている。
, , イ原告は 被告製品が実際に使用されたのが1年以上後であること等から乙4の2・3図面の作成日付に疑問があると主張する。しかし,前記のとおり,被告は,平成13年9月ころから,取鍋のパイプを折り畳み式とすることを決定し,同年12月17日及び18日には,トヨタ自動車の担当者立会いの上で,折り畳み式の試作機によるテストを実施していることからすれば,試作機製作前の同年10月には乙4の2・3図面を作成していたと認定することに何ら不合理な点はなく,原告の上記主張は採用し得ない。なお,トヨタ自動車の衣浦工場において被告製品が実際に使用されたのが1年以上後であることは,同工場において使用するためには,トヨタ自動車による取鍋の安全性,効率性その他の多面的な検討を経た上で,同社の承認を得てから初めてその使用が可能となるものであるとの事情によるものであり,乙4の2・3図面の作成日付は信用できるものである。
また,原告は,乙4の2・3図面には細部の寸法が記入されておらず,単なる概略図にすぎない旨主張する。しかし,乙4の2・3図面が単なる概略図ではないことは,同図面自体から明らかであり,上記のとおり,平, , 成13年12月には その試作機によるテストが行われたことからみても, 。 同図面は 試作機を作成することが可能な図面であるということができる原告の上記主張は採用し得ない。
ウ上記認定事実によれば,被告,日本坩堝及び中央窯業は,平成13年夏ころから本件各特許発明2の基本構想を有しており,同年10月には被告製品の試作機の図面である乙4の2・3図面を作成し,同年12月には被告工場においてトヨタ自動車担当者立会いの上で,試作機によるテストを行い,その結果が良好であったため,後は,細部の改良とトヨタ自動車の承認が降りるのを待つだけであったことが認められる。したがって,被告は,本件各特許発明2の発明者である原告の上記従業員とは無関係に,日本坩堝の従業員及び中央窯業のAらとともに乙4の2図面記載の製品を独自に開発し,同年12月の試作機によるテストを経た段階において,その発明を完成させていたものと認められる。
原告は,被告が原告の開発情報を何らかの方法で知得して乙4の2・3図面を作成したとか,別起源の発明であることの被告の主張は時機に後れた防御方法であると主張する。しかし,被告による乙4の2・3図面の作成とその試作機によるテストの結果について,トヨタ自動車から原告による発明のコピーではないとの評価を受けたことは上記認定のとおりであり,上記認定の被告製品の開発経過からしても,被告らが被告製品を独自に開発したことは明らかである。また,本件記録により認められる訴訟の経過によれば,被告らによる別起源発明についての主張立証が訴訟の完結を遅延させたものと認めることもできない。
( )即時実施の意図について3ア特許出願の際現に日本国内においてその事業の準備をしている者特 「 」(許法79条)とは 「特許出願に係る発明の内容を知らないでこれと同じ ,内容の発明をした者又はこの者から知得した者が,その発明につき,いまだ事業の実施の段階には至らないものの,即時実施の意図を有しており,かつ,その即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度において表明されていることを意味する」と解するのが相当である(最二小判昭61年10月3日民集40巻6号1068頁 。)イ上記認定のとおり,被告,日本坩堝及び中央窯業は,平成13年10月に乙4の2・3図面を作成し,同年12月に,トヨタ自動車の担当者立会いの上で,試作機によるテストを実施し,その結果がおおむね良好であったため,この取鍋をトヨタ自動車衣浦工場において使用することが概ね確認されたこと,その後は,トヨタ自動車の最終承認を得るための追加的な試験を継続することが予定されていたことからすれば,被告は,遅くとも平成13年12月のテスト終了後には,乙4の2図面記載の発明(折り畳み式取鍋)を即時に実施する意図を有していたものと認められる。
( )先使用権の成立範囲について4ア被告の先使用権は,乙4の2・3図面において開示されている範囲について認められるものと解される。
イ証拠(甲10)によれば,被告製品(別紙被告製品説明書参照)においては 「第1の配管」の「端面 (構成要件2-5D)が,乙4の2図面 , 」に比べ,上方に位置していることが認められる。しかし,かかる変更は,本件特許発明2-5の特許請求の範囲内でなされた設計変更にすぎないものである。したがって,被告製品は,上記先使用権の成立する範囲内に含まれるものと認められる。
( ) 結論5よって,被告,日本坩堝及び中央窯業は,本件各特許発明2に関しては,被告製品について先使用権を有するものであるから,本件特許2に基づく原告の請求はいずれも理由がない。
5争点3-1(被告製品が,本件特許発明3-1の構成要件3-1F「前記第1のライニングは ・・・容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在し, ,・・・容器上面側の露出部まで充填され 」を充足するか)について ,( ) 本件明細書3には,次の記載がある(甲3の2 。
1 )「【】, , 0010 本発明では 例えば第1のライニングとして耐火材を用い第2のライニングとして断熱材を用いる(本件公報3・6欄17行ない 。」し19行)「 0011 ・・・また,本発明では,流路が熱伝導率の高い第1のラ 【】イニングに内在されるように構成されているので,容器内の熱が流路に伝達し易い。従って,流路を流通する溶融金属の温度低下を極力抑えることができる(同・6欄42行ないし46行) 。」「 0012】ここで,本発明では,前記流路が容器内底部に近い位置か 【ら容器上面の第1のライニングの露出部まで第1のライニングに内在していることが好ましく,また前記第1のライニングの露出部の流路には配管が接続されるが,この場合には当該接続部の近傍は断熱部材により包囲されていることが好ましい。これにより,流路や配管を流通する溶融金属の温度低下を更に抑えることができる。特に,配管の上記接続部近傍は溶融金属が冷えやすくしかも容器搬送の際に液面が丁度揺れる位置にあるので,溶融金属が固化することが多かった。これに対して本発明では,配管の接続部の近傍を断熱部材により包囲することでこの位置における溶融金属の固化を防止することができる(同・6欄47行ないし7欄9行) 。」「 0044】配管取付部58における流路57は,本体50内周の該容 【器本体底部50aに近い位置に設けられた開口57aを介し,該本体50外周の上部57bに向けて延在している。この配管取付部58の流路57に連通するように配管56が固定されている(同・13欄13行ないし17 。」行)( ) 本件明細書3の上記記載によれば,構成要件3-1Fは (相対的に熱伝2 ,導率が高い 「第1のライニング」が 「容器内底部に近い位置」から「配 ) ,管」が接続される「容器上面側の露出部」まで「溶融金属の流路を内在」する構成を採用することによって,流路や配管を流通する溶融金属の温度低下を抑えるというものである。そして,流路は 「第1のライニングの露出部 ,まで第1のライニングに内在していることが好ましく」との本件明細書3の上記記載によれば,構成要件3-1Fの「容器上面側の露出部」まで「溶融金属の流路を内在」する構成とは,文字どおり 「容器上面側の露出部」ま ,で 「第1のライニング」が「溶融金属の流路を内在」する構成と解するの ,が相当であって,接続部分にフランジが存在する場合,そのフランジの内部まで「第1のライニング」が存在することまで厳密に規定しているものと解するのは相当ではない。したがって,上記構成要件3-1Fは,被告が主張するように,配管を取り外した状態での配管との接合面まで厳密に「溶融金属の流路を内在」する構成を意味するものと解することはできない。
( ) 被告製品の「溶融アルミニウム供給用配管部5」は 「フランジ511」3 ,と「フランジ411」を介して「突き出し部4」に取り付けられている。ここで 「突き出し部4」側の「フランジ411」は 「突き出し部上面部4 , ,1」に設けられた「小フランジ412」にネジ止めされているのであって,「フランジ411」は 「溶融アルミニウム供給用配管部5」を「突き出し ,部4」に取り付ける部材にすぎず,配管を接続するのに必要十分な大きさにとどまる。そして 「耐火層46」は 「配管45」の先の「口金451」 ,,「」「」「」 と 金属製フレーム48 との間の 耐火層露出部461 において 露出している。
,, 。 したがって 被告製品は 構成要件3-1Fを充足するものと認められる6争点3-2(被告製品が,本件特許発明3-7の構成要件3-7I「前記インターフェース部が・・・前記第2のライニングにより保温される」を充足するか)について( ) 本件明細書3には,次の記載がある(甲3の2 。
1 )「 0021 ・・・本発明の一の形態に係る容器は,前記容器本体の内 【】壁と前記耐火壁との間に介挿された断熱部材を更に具備することを特徴とするものである。容器は全体として保温性を高める必要があるから断熱性能の高い部材をライニングしてある(本件公報3・8欄43行ないし47行) 。」( ) 構成要件3-7Iは 「・・・前記インターフェース部が当該インターフ2 ,ェース部と前記フレームとの間に介挿された前記第2のライニングにより保温される・・・」というものであり,特許請求の範囲の文言上,インターフェース部(流路)が全面的に第2のライニング(断熱部材)によって覆われていることまでは求められていない。第2のライニングは,インターフェース部の保温のために設けられるのであるから,保温が可能な程度にインターフェース部を覆っていれば足りるものと解するのが相当である。インターフェース部のすべてが第2のライニングにより覆われていることを要する旨の被告主張は採用することができない。
( ) 証拠(甲10,乙36)によれば,被告製品においては,インターフェー3ス部に相当する「突き出し部4」が 「上面部41」に近い部分を除き,そ ,の相当部分が第2のライニング(断熱層)によって覆われていることが認められる。したがって,被告製品は,構成要件3-7Iを充足するものと認められる。
7争点3-3(本件各特許発明3の進歩性の欠如)について( )本件特許発明3-11ア引用発明1の構成引用発明1の構成を,本件特許発明3-1の構成要件に対比させると,次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される取鍋であって,B′外殻鉄皮13と,C′前記外殻鉄皮13の内側に設けられるアルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝製)である内張り耐火材15と,D′前記外殻鉄皮13と前記内張り耐火材15との間に介挿された内張り耐火材15より熱伝導率の低い断熱ボードである断熱材14とを有し,F′前記内張り耐火材15は,取鍋容器内中段部から突き出し部の注湯口18まで溶融金属の流路を内在し,当該流路と前記取鍋の溶融金属の貯留部とを分離するゾーンでかつ注湯口18まで充填された,H′取鍋イ引用発明1と本件特許発明3-1との共通点と相違点a)引用発明1の構成B′,C′,D′,H′は,本件特許発明3-1の構成要件B,C,D,Hに,それぞれ一致する。また,引用発明1の構成A′は,本件特許発明3-1の構成要件Aの「溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器」の部分において一致する。引用発明1の構成F′は,本件特許発明3-1の構成要件Fの「容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在し」との構成において一致する。
b)一方,引用発明1と本件特許発明3-1とは次の点で相違する。
@本件特許発明3-1は「加圧式取鍋 (構成要件3-1A)である 」のに対し,引用発明1は「傾動式取鍋」である点A本件特許発明3-1は「第1のライニング」が「容器内底部に近い位置から」容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在しているのに対し(構成要件3-1F ,引用発明1は「内張り耐火材」が「容 )器内中段部から」容器上面側の露出部まで溶融金属の流路を内在している点B本件特許発明3-1は「配管 (構成要件3-1E)を構成要件と 」しているのに対し,引用発明1には「配管」が存在しない点C本件特許発明3-1は「配管」が「流路に接続」され 「先端」が,「下向き」であるにの対し(構成要件3-1G ,引用発明1にはそ)もそも「配管」が存在しない点なお,原告は,引用発明1では,第2のライニングが溶融金属の流路を内在していない点も,本件特許発明3-1との相違点であると主張する しかし 本件特許発明3-1においては 第2のライニングはフ 。, ,,「レームと第1のライニングとの間に介挿 (構成要件3-1D)される 」ものの,第2のライニングがフレームと第1のライニングとの間であれば,そのすべてに介挿されるとまでは規定していないのであるから,第1のライニングが「容器内底部に近い位置から容器上面側の露出部まで」(), 溶融金属の流路を内在 する 構成要件3-1F と規定されていても第2のライニングが溶融金属の流路において,フレームと第1のライニングとの間に内在することまでは必要とされていないと解するのが相当である。したがって,原告指摘の点は相違点には該当しない。
また 原告は 本件特許発明3-1と引用発明1との 容器 及び フ ,, 「」「レーム」は,その技術的意義において相違すると主張する。しかし,原告が指摘するところは,傾動式取鍋と加圧式取鍋における「容器」及び「フレーム」の果たす役割及び機能が異なるということであり,このことは,引用発明1の傾動式取鍋を加圧式取鍋にすることが容易想到であるかどうかにおいて判断されれば足りるのであり,構成が同じものを相違点としてあげる必要はないと解すべきである。
ウ相違点の容易想到性)相違点@についてa本件特許発明1-1の無効理由1において既に述べたとおり,本件特許発明3-1の優先権主張日(本件特許発明1-1と同じ平成12年1),, , 2月27日 の当時 傾動式取鍋の構成を 加圧式取鍋の構成に置換しそれに伴って傾動式取鍋における各構成部分を加圧式取鍋に適した形状に適宜変更することは,当業者が容易になし得ることであったものと認められる。
したがって,引用発明1の傾動式取鍋に接した当業者は,これを加圧式取鍋に置換することを容易になし得るものと認められる。
b)相違点Aについて傾動式取鍋を加圧式取鍋に変更した場合,溶融金属を別の容器に注ぐためには,取鍋を傾動させるのではなく,圧力をかけることになるのであるから,取鍋内の下部に多くの溶融金属を残留させないようにするために,排出用の流路を容器内の貯留空間に容器の底部付近で接続させることは,加圧式取鍋において当業者が容易になし得る設計事項である。
実際,特開平11-188475号公報(乙2の11)には,加圧式取鍋における上記構成が開示されていることが認められ,また,証拠(乙50の1ないし4)によれば,優先日前に発行された加圧式取鍋のカタログにおいて,容器内底部付近に流路が接続され,流路と貯留空間とを分離するゾーンが流路と貯留空間の接続部分付近に至るまで設けられた構成が記載されていることが認められる。
なお,流路を容器の底部付近で貯留空間に接続した場合,流路と貯留空間とを分離する耐火材(第1のライニング)の充填されたゾーンも当然に容器底部付近に至るまで設けることになるのであるから,仮にゾーンの点が相違点であるとしても,上記結論を左右するものではない。
したがって,相違点Aは当業者が容易に想到し得るものである。
c)相違点B及びCに相当する構成(流路に接続され,先端が下向きの配管)は,乙2の7及び乙2の8の各特許公報に開示されている(乙2の7・8 。したがって,引用発明1を加圧式取鍋の構成とした場合に, )上記の形態の配管を設けることは,当業者が容易に想到し得ることである。
エ以上のとおりであるから,本件特許発明3-1は,引用発明1に加圧式取鍋に関する周知慣用技術を適用することによって,容易に想到し得るものである。
( )本件特許発明3-72ア引用発明1の構成引用発明1の構成を,本件特許発明3-7の構成要件に対比させると,次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される取鍋であって,B′溶融金属を貯留する貯留部と,C′前記貯留部と外部との間に溶融金属の流路となる突き出し部と,D′前記貯留部と前記突き出し部との間を連結する内部開口と,E′これらの間を仕切る壁と,G′取鍋の外周は外殻鉄皮13により覆われており,H′@前記貯留部と,前記外殻鉄皮13との間には,アルミノホウ酸( ) を含有する耐食性キャスタブル アルガレフAC85日本坩堝製である内張り耐火材15と,内張り耐火材15より熱伝導率の低い断熱ボードである断熱材14とが内部に配置され,A前記突き出し部と,前記外殻鉄皮13との間には,アルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝製)である内張り耐火材15が内部に配置され,I′前記壁は,前記内部開口から前記突き出し部の上部に向けて前記内張り耐火材15が充填されたゾーンを有しているJ′取鍋イ引用発明1と本件特許発明3-7との共通点及び相違点)引用発明1の構成B′,C′,E′,G′,J′は,本件特許発明3a-7の構成要件B,C,E,G,Jに,それぞれ一致する。
また,引用発明1の構成A′は,本件特許発明3-7の構成要件Aの「溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器」との部分において一致し,引用発明1の構成D′は 「前記貯留部と前記突き出し部との間を連結する内部開口」 ,が存在する点で本件特許発明3-7の構成要件Dと一致し,引用発明1の構成H′は,本件特許発明3-7の構成要件Hの「前記貯留室と,前記フレームとの間には,第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記第1の熱伝導率よりも低い第2の熱伝導率を有する第2のライニングとが前記第1のライニングを内側にして積層され 」との部分におい,て一致し,引用発明1の構成I′は,本件特許発明3-7の構成要件Iの「前記壁は,前記連結口から前記インターフェース部の上部に向かって前記第1のライニングが充填されたゾーンを有し」との部分において一致する。
)一方,引用発明1と本件特許発明3-7は,次の点で相違する。
b@本件特許発明3-7は「加圧式取鍋 (構成要件3-7A)である 」にの対し,引用発明1は「傾動式取鍋」である点A本件特許発明3-7は「連結口」が「貯留室下部」にある(構成要件3-7D)のに対し,引用発明1の「内部開口」は「貯留室の中段部」にある点B本件特許発明3-7は「配管 (構成要件3-7F)を構成要件と 」しているのに対し,引用発明1には「配管」が存在しない点C本件特許発明3-7は「前記インターフェース部と,前記フレームとの間には,第1の熱伝導率を有する第1のライニングと,前記第1の熱伝導率を有する第2のライニングとが前記第1のライニングを内側にして積層され (構成要件3-7H「前記インターフェース部 」),が前記第2のライニングにより保温される (構成要件3-7I)の 」に対し,引用発明1では,前記突き出し部と,前記外殻鉄皮13との間には,断熱材14が内部に配置されていない点D本件特許発明3-7は「 前記壁の有する)前記ゾーンを介して前 (記貯留室内に貯留された前記溶融金属から前記インターフェース部側への熱伝導が促進されるように」構成されているのに対し,引用発明1では,かかる構成がされているか定かでない点ウ相違点の容易想到性)相違点@ないしBについてa本件特許発明3-1について述べたとおり,当業者が容易に想到し得るものと認められる。
)相違点Cについてb乙49公報(特開昭62-289363号公報・乙49)の第1図には,加圧式注湯路において,貯湯室1の下面と容器の外壁との間に2種類の層を形成し,出湯路3の下面と容器の外壁との間にも同様の2種類の層を形成すること,この2種類の層のうち貯湯室1側の層は,出湯路3の上面と貯湯室1との間にある壁にも形成することが記載されている。
加圧式取鍋において,溶湯金属の保温の観点からすれば,インターフェース部も耐火材と断熱材の二重構造とすることが望ましいことは明らかであるから,貯留部と外殻鉄皮13との間に,内張り耐火材15と断熱材14とを配置する構成の引用発明1を加圧式取鍋の構成とした場合に,乙49公報に記載された加圧式取鍋におけるライニング層の上記構成を適用して,このような耐火材層と断熱材層の二重構造をインターフェース部にも形成することは,当業者が容易になし得ることであるということができる。そして,かかる構成とした場合,インターフェース部が第2のライニング(断熱材層)によって保温されることは,その構成から当然に導かれる効果である。
よって,相違点Cは当業者が容易に想到し得るものである。
c)相違点Dについて本件特許発明3-1について述べたとおり,インターフェース部を貯留室下部の連結口で貯留室に接続した場合,インターフェース部と貯留室とを分離する耐火材(第1のライニング)の充填されたゾーンも当然に貯留部下部の連結口に至るまで設けることになる。そして,かかる構成とした場合,第1のライニングは,第2のライニングよりも高い熱伝導率を有するのであるから 「 前記壁の有する)前記ゾーンを介して ,(前記貯留室内に貯留された前記溶融金属から前記インターフェース部側への熱伝導が促進される」ことは,その構成から当然に導かれる効果である。
)以上のとおりであるから,本件特許発明3-7は,引用発明1に加圧d式取鍋に関する周知慣用技術及び乙49公報に開示される構成を適用することによって,容易に想到し得るものである。
(3) 結論よって,本件各特許発明3は,進歩性の欠如の無効理由を有する。
8争点3-4(本件各特許発明3の訂正による無効理由の解消)について原告は,本件特許発明3-1について,本件訂正を請求しているので,これによって既に述べた無効理由が解消されるかを判断する。
(1) 構成要件3-1Aについて原告は 「公道を介して」ユースポイントまで搬送される容器であること ,を明確にする訂正を求めている。しかし,引用発明1は公道を介してユースポイントまで搬送することを予定した取鍋であるから,かかる訂正部分は相,, 。 違点とはならず したがって 既に述べた無効理由を解消するものではない(2) 構成要件3-1Iについて原告は 「前記第2のライニングは,前記流路からみて前記容器内の溶融 ,金属が貯留される空間とは反対側で,かつ前記流路を内在する第1のライニングの外側に配され 」 との訂正を求めている。 ,上記訂正は,引用発明1との相違点となるものである。しかし,この相違点は,本件特許発明3-7の相違点Cと同一のものであり,既に述べたとおり,乙49公報に記載された構成を適用することによって容易に想到し得るものである。
( ) 結論3以上のとおりであるから,本件訂正3によっては,被告の主張する無効理由は解消されないのであって,本件特許3は「特許無効審判により無効にされるべきものと認められ ,原告は,その権利を行使することができない。 」9争点4-1(本件特許発明4-1の進歩性の欠如)について( )引用発明1の構成を,本件特許発明4-1の構成要件に対比させると,1次のとおりである。
A′溶融金属を収容することができ,運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される取鍋であって,B′外殻鉄皮13と,C′前記外殻鉄皮13の内側に設けられ,取鍋本体20内に内部開口を有し,当該取鍋本体20の突き出し部の注湯口18に向かう流路を内在するアルミノホウ酸を含有する耐食性キャスタブル(アルガレフAC85日本坩堝製)である内張り耐火材15と,E′突き出し部には流路が存在するF′取鍋(2)引用発明1の構成B′及びF′は,本件特許発明4-1の構成要件B及びFに,それぞれ一致する。また,引用発明1の構成A′は,本件特許発明4-1の構成要件Aの「溶融アルミニウムを収容することができ ・・,・運搬車輌により搭載されてユースポイントまで搬送される容器」の部分において一致し,引用発明1の構成C′は本件特許発明4-1の構成要件Cの「前記フレームの内側に設けられ,かつ,前記容器内・・・に開口を有し,当該容器の上方の配管取付部に向かう流路を内在するライニング」と一致し,引用発明1の構成E′は,本件特許発明4-1の構成要件Eの「流路」の部分において一致する。
一方,引用発明1と本件特許発明4-1は,次の点で相違する。
ア本件特許発明4-1は「加圧式取鍋 (構成要件4-1A)であるのに 」対し,引用発明1は「傾動式取鍋」である点イ本件特許発明4-1は 流路が 容器内の底部付近に開口を有 する 構 ,「 」(成要件4-1C)のに対し,引用発明1では,流路の「内部開口」は「貯留室の中段部」にある点ウ本件特許発明4-1は「第1の配管 (構成要件4-1D)を構成要件 」としているのに対し,引用発明1には「配管」が存在しない点エ本件特許発明4-1では 「流路の内径は,約65o〜約85o」であ ,る(構成要件4-1E)のに対し,引用発明1では内径が特定されていない点(3)相違点アないしウの容易想到性について, , 相違点アないしウについては 本件特許発明3-1について述べたとおり当業者が容易に想到し得るものと認められる。
(4)相違点エの容易想到性についてア本件明細書4には,次の記載がある(甲4の2 。)「 0018】前記流路の内径が約65o〜約85oであることは,発 【明者らが配管径と圧送に必要な圧力との関係を調べた結果得られた知見である 」。
「 0085】流路57及びこれに続く配管56の内径はほぼ等しく, 【65o〜85o程度が好ましい。従来からこの種の配管の内径は50o程度であった。これはそれ以上であると容器内を加圧して配管から溶融金属を導出する際に大きな圧力が必要であると考えられていたからである。これに対して本発明者等は,流路57及びこれに続く配管56の内径としてはこの50oを大きく超える65o〜85o程度が好ましく,より好まし, 。 くは70o〜80o程度 更には好ましくは70oであることを見出したすなわち,溶融金属が流路や配管を上方に向けて流れる際に,流路や配管に存在する溶融金属自体の重量及び流路や配管の内壁の粘性抵抗の2つパラメータが溶融金属の流れを阻害する抵抗に大きな影響を及ぼしているものと考えられる。ここで,内径が65oより小さいときには流路を流れる溶融金属はどの位置においても溶融金属自体の重量と内壁の粘性抵抗の両方の影響を受けているが,内径が65o以上となると流れのほぼ中心付近から内壁の粘性抵抗の影響を殆ど受けない領域が生じ始め,その領域が次第に大きくなる。この領域の影響は非常に大きく,溶融金属の流れを阻害する抵抗が下がり始める。溶融金属を容器内から導出する際に容器内を非常に小さな圧力で加圧すればよくなる。つまり,従来はこのような領域の影響は全く考慮に入れず,溶融金属自体の重量だけが溶融金属の流れを阻害する抵抗の変動要因として考えられており,作業性や保守性等の理由から内径を50o程度としていた。一方,内径が85oを超えると,溶融金属自体の重量が溶融金属の流れを阻害する抵抗として非常に支配的となり,溶融金属の流れを阻害する抵抗が大きくなってしまう。本発明者等の試作による結果によれば,70o〜80o程度の内径が容器内の圧力を非常に小さな圧力で加圧すればよく,特に70oが標準化及び作業性の観点から最も好ましい。すなわち,配管径は50o,60o70o,と1,,0o単位で標準化されており,配管径がより小さい方が取り扱いが容易で作業性が良好だからである 」。
イ相違点エは,流路の内径について数値限定を行ったものである。本件明細書4の上記記載によれば,内径50o程度の従来技術と対比すると,内径約65o以上となると,流れのほぼ中心付近から内壁の粘性抵抗の影響をほとんど受けない領域が生じ始め,その領域が次第に大きくなって,溶融金属の流れを阻害する抵抗が下がり始め,一方,内径が85oを超えると,溶融金属自体の重量が溶融金属の流れを阻害する抵抗として非常に支配的となり,溶融金属の流れを阻害する抵抗が大きくなってしまうことを見出したことから,上記数値限定を行ったというものである。すなわち,流路の内径を大きくするにつれ,溶融金属を排出するために必要な装置全体の加圧力も大きくなるのが通常であるところ,本件特許発明4-1は,流路の内壁の粘性抵抗の影響をほとんど受けない領域が生じることから,内径約65oから約85oの間については,小さな圧力の加圧で溶融アルミニウムを配管から導出することが可能となることを見出したものである。
このように,本件特許発明4-1は,流路の内径50oの場合と対比してその作用効果を説明し,特許請求の範囲においても流路内径のみを規定するものである。しかし,流路や配管の粘性抵抗は,溶融アルミニウムの流速により変動するものである。そして,溶融アルミニウムの流速は,流路の開口における単位面積あたりの加圧力(この加圧力は,装置全体の加圧力,容器本体の内径,容器の気密度等により定まると考えられる )等。
によって変わるものであるから,流路や配管の粘性抵抗は,流路開口における単位面積当たりの加圧力の大小等が変わることによって,大きく変わるものであることも明らかである。したがって,本件明細書4に記載されているように,内径65o以上を超えると,内壁の粘性抵抗を受けない領域が生じ始めるというのは,流路の開口における単位面積あたりの加圧力等により定まる溶融アルミニウムの流速をある特定のものにした場合にいいうることであるにもかかわらず,本件明細書4には,これらのパラメー。,「, ターについての説明は全くない また 本件明細書4の 配管径は50o60o70o,と10o単位で標準化されており」との上記記載によ ,,れば,従前の加圧式取鍋(公知技術であるストーク式の加圧式取鍋であると考えられる )のストークの内径が50oのものを使用していたという 。
趣旨と解されるものの,この従前のストーク式の加圧式取鍋における上記のパラメータ(ストークの開口における単位面積当たりの加圧力等)についても同様に何の説明もない。結局のところ,本件特許発明4-1は,原告(出願人)が前提とする一定の構造及び仕様の加圧式取鍋における一定の流速の溶融アルミニウムにおいて,流路の内径を65oから85oに定めると,少ない加圧力で溶融アルミニウムを排出することができるとの作用効果を奏するにすぎないものであるのに,原告(出願人)が前提とする一定の構造及び仕様の加圧式取鍋が,どのような構造及び仕様の加圧式取鍋であるのかが本件明細書4の請求項1のみならず,発明の詳細な説明をみても明らかではない。このような請求項の記載は,本来,発明を特定するために欠くことのできない構成のすべてを記載したものとは認められず,上記のパラメータがどのようなものであっても,流路内径のみを上記のとおり数値限定すれば,これにより一般的に上記作用効果を奏するものということができないことも明らかである。このような本件特許発明4-1の請求項の記載を前提とすれば,相違点エの数値限定は,臨界的意義を有するものとは認められない。
そもそも,加圧式取鍋の設計において,流路の開口の単位面積当たりの加圧力(上記のとおり容器本体の内径,装置全体の加圧力,容器の気密度等により定まる )等の関係するパラメータを考慮して,流路の適切な内 。
径を設計することは,当業者であれば,実験等により容易になし得る設計的事項であるにすぎない。そして,溶融アルミニウムを流路や配管を通じて排出する場合に粘性抵抗があること自体は,当業者にとって自明の事項であるから,上記の設計に当たって,上記のパラメータないしは流路の粘性抵抗も考慮することは,当業者にとって格別困難なことということもできない。
したがって,引用発明1の傾動式取鍋を周知技術を勘案して加圧式取鍋に変更するに当たり,加圧式取鍋における上記の様々なパラメータを考慮して,流路の内径を最適化することは,当業者が通常設計し得る事項であるというべきである。
以上によれば,溶融アルミニウムを収容する加圧式取鍋において,一般に流路の内径を65oないし85oに定めることについては,進歩性があるものと認めることはできない。
ウよって,本件特許発明4-1は,引用発明1を主引例として,相違点アないしウについては加圧式取鍋に関する周知慣用技術を組み合わせることで当業者が容易に想到し得るものであり,また,相違点エについては上記, 。 のとおりであるから 進歩性の欠如の無効理由を有するものと認められる10争点5-1(本件各特許発明5の新規性ないし進歩性の欠如)について( ) 本件各特許発明5において優先権が主張されている明細書には,本件特許1発明5-1の構成要件C,本件特許発明の5-8の構成要件Dが記載されていないことは当事者間に争いがない。したがって,本件各特許発明5の現実の出願日が基準時となる。
( ) 被告は,甲10図面を基に,本件各特許発明5を容易に想到できると主張2。,(),,, する しかし 証拠 甲10 によれば 甲10図面は 日本坩堝において平成14年(2002年)8月4日に作成した図面について2度の訂正を経て,同年10月28日に完成した,被告宛の図面( トヨタ自動車(株)衣 「浦工場殿向け加圧配湯ポットリーベ(軽量形)であることが認められる。 )」かかる図面は,トヨタ自動車の衣浦工場で使用される予定の取鍋の設計図であり,このような開発途中の製品の設計図は,客観的にみて営業秘密であることは取引担当者間において明らかなものであるから,秘密保持義務について明示的な合意がなくとも,取引担当者の間で,信義則上,当然に守秘義務が生じるものと認められる。
したがって,甲10図面は不特定の第三者が知り得るべき刊行物には該当せず,甲10図面を主引例とした,進歩性欠如の被告の主張は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも失当である。
11争点5-2(本件各特許発明5についての先使用権の成否)について( ) 発明の完成について1被告は,本件各特許発明5の基準時である平成14年12月28日よりも前の,同年12月16日には本件各特許発明5に相当する発明を完成させていたと主張するので,この点について判断する。
ア事実経過について)平成14年12月9日午前9時40分ころ,トヨタ自動車衣浦工場内aにおいて,被告製品から溶融アルミニウムが漏れ出し,トラックの荷台と幌が一部焼損する事故が発生した。トヨタ自動車のB,豊田通商,被告,大紀及び日本坩堝のAらの担当者の間で,同日午後に行われた会議では,事故の原因として,取鍋の耐火材に含まれた水がアルミ溶湯の熱により気化し,内圧上昇を引き起こし,湯が噴き出したこと,事故防止の対策案として,取鍋新規作成時に耐火物乾燥要領の見直し,取鍋本体への圧力開放弁(リリーフ弁)の設置等が挙げられた。ただし,圧力開放弁(リリーフ弁)設置との記載はあるが,焼結ベントを採用することについての記載まではない(乙8の1 。))被告,大紀及び豊田通商の3社が連名でトヨタ自動車に提出した,平b成14年(2002年)12月16日付けの「衣浦工場殿向けADC12溶湯湯洩れ火災事故対策書 (乙8の2対策書)には,加圧式取鍋の 」小蓋に装着された配管に 「圧力解放バルブ」をとりつけるとともに, ,圧力口カプラ内に「焼結ベント」を取り付ける旨の見取図が記載されている。ただし,この見取り図には,寸法等の記載はない(乙8の2 。)被告,大紀,日本坩堝,豊田通商及びトヨタ自動車との間で,同日夕刻に行われた会議では,取鍋の乾燥工程を改善することのほか,取鍋に焼結ベントを設置することが確認された(乙14の1・2 。))中央窯業のAは,同年12月19日,株式会社ファインシンターに対cし,ガス抜きに用いる焼結ベントのサンプルの取寄せを依頼した(乙8の3 。))被告,大紀,豊田通商及び日本坩堝の4者が連名でトヨタ自動車に提d出した,平成14年(2002年)12月23日付け「加圧溶湯流出事故対策書 (乙8の4対策書)には 「歯止策として取鍋構造見直しの 」 ,。 (,) 必要性 ↑内部圧力の解放する機構 圧力解放バルブ 焼結ベント*1。 」()。 を設置 *1空気のみ通すフィルター と記載されている 乙8の4)豊田通商,大紀,被告及び日本坩堝は,トヨタ自動車に対し,平成1e5年1月23日付けで 「加圧溶湯流出事故対策書A」を提出した。同 ,, , 対策書には 焼結ベントを設置した取鍋では圧力上昇が生じないことが平成15年1月14日実施の試験で確認されたことから,結論として,焼結ベント等による圧抜き弁を設置することが記載されている(乙18の1ないし13 。トヨタ自動車と被告,豊田通商,大紀及び日本坩堝 )との間で同日夕刻に開催された会議において,今回の事故に伴う不具合の原因推定,確認トライは一旦完了し,被告による納入開始時期については,追って連絡することが確認された(乙19 。))中央窯業のAが 同年2月4日 日本坩堝に対し ファクシミリで 圧f ,,,「力解放バルブのインターロック方法,焼結ベントの設置案図面を提出しましたが衣浦工場現場サイドからカップラを他のものに変える・・・とのことで,カプラは6セットトヨタ側より支給されることになっていますが,まだ陽紀にも届いていません。バルブのインターロック方法と焼結ベントの取付は改めてカプラ入手後具体案の検討になりますので現在ストップ状態です 」との文書を送付した(乙20 。 。 )中央窯業のAは,同年2月5日,大紀に対し,翌6日のトヨタ自動車本社での説明において「圧力解放バルブのインターロック方法,焼結ベントの設置案について図面を提出しましたが,衣浦工場サイドよりカプラを変更するとのことです。トヨタ自動車殿より6セット支給戴き,それに基づいて再度案作成することになりますが,基本的には提出案を踏襲する予定です 」とファクシミリで連絡した(乙21 。 。 ))日本坩堝は,同年2月14日,圧抜き弁インターロック式の設計図面gを作成し,被告に同図面を渡した(乙9 。)イ特許法79条は 「特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発 ,明をし,又は特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得して ・・・」と規定しており,先使用権の成立のために,特許出 ,願の際に,発明が完成していることを必要としている。この発明の完成については 「その物が現実に製造されあるいはその物を製造するための最 ,終的な製作図面が作成されていることまでは必ずしも必要ではなく,その物の具体的な構成が設計図等によって示され,当該技術分野における通常の知識を有する者がこれに基づいて最終的な製作図面を作成しその物を製造することが可能な状態になっていれば,発明としては完成しているというべきである(最二小判昭61年10月3日民集40巻6号1068 。」頁)との基準に照らして判断すべきであるところ,本件特許5の出願がなされた平成14年12月28日よりも前の同月16日ころ作成された乙8の2対策書において記載された上記見取図には寸法等の記載がなく,焼結ベントのサンプルの取り寄せがなされたのが同月19日であり,また,試験により焼結ベントの効果が確認されたのは,翌年の1月14日以降であることからすれば,平成14年12月16日ころ作成の上記見取図においては,未だ着想を示した段階にとどまっており,当業者が実施により目的とする効果を挙げることができる程度にまで具体的客観的なものとして,発明が完成され示されているということはできない。実際,証拠(乙18の6・7)によれば,被告は,平成15年1月14日に焼結ベントの湯洩れテストを,同年1月18日に焼結ベントの内圧発生確認テストをそれぞれ実施したことが認められるのであって,かかる実験は焼結ベントが,課題を解決する手段として,意図した作用効果を奏するか検証して発明を具体化するものと解され,かかる実験を経ていない段階においては,未だ発明は完成していないものというべきである。
( ) 発明の知得経路について2, , ア被告は 平成14年12月9日の火災事故発生後同月16日までの間にトヨタ自動車のBから,取鍋に焼結ベントを設置することを提案され,その後,同月16日には,乙8の2対策書において,上記見取図を作成し,焼結ベントを使用することを記載している(乙8の1・2,59 。)また,証拠(甲19,20)によれば,原告社員のFらは,平成14年(2002年)12月10日午後3時30分から午後5時にかけて,トヨタ自動車衣浦工場において,トヨタ自動車の社員であるHから,取鍋の火災事故に関連して,取鍋転倒時や加圧ポートからの湯洩れはしないのかという問い合わせを受け,ポート先端に焼結金属や金網などで熱容量が大きいものを取り付け,気体を通し溶湯は固まって止まるようにすると回答したこと,及び,原告社員のEは,同年12月12日午後3時から午後4時にかけて,原告大林工場において,トヨタ自動車の社員Iから,同旨の問い合わせを受け,同旨の回答をしたことが認められる。
イ上記認定事実によれば,ポート先端に焼結金属などを取り付け,気体を通すものの溶湯は固まって止まるようにすることによって,溶湯洩れの発生を防止するとの着想は,原告の上記社員がトヨタ自動車の上記社員に告知したものである。トヨタ自動車としては,工場内で現に溶湯流出事故が発生し,かかる事故は人命に関わる重大事故につながりかねないものであることから,同じく納入業者である原告に対しても安全対策の問い合わせをしたものと推認される。かかる状況のもとで,原告が提供した上記技術情報は,安全対策に必要な範囲内での使用を認めたほかは,信義則上の守秘義務を伴うものであるとしても,トヨタ自動車の担当者が安全対策の見地から被告の担当者にも速やかに開示することがあることも自然の成り行きである(かかる開示は,開示を受けた被告の担当者においても信義則上の守秘義務を負うものであるから,かかる技術情報が公知になったというわけではない。。)被告は,火災事故当日の平成14年12月9日の対策会議において,対応策の一つとして圧力解放弁(リリーフ弁)の設置検討のアイデアを出していたものの(乙8の1 ,同会議においては,焼結ベントを使用するこ )とについてのアイデアが出ていたかどうかは不明である以上,原告の発明をトヨタ自動車を通じて知り得た可能性も否定し得ないのであるから,被告の本件各特許発明5に関する先使用の主張は,この点からも理由がないといわざるを得ない。
(3) 結論したがって,被告は,本件各特許発明5に相当する発明を,本件各特許発明5の基準時前に完成させていたとはいえないので,同発明について先使用権が成立している旨の主張は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。
12争点6-1(本件特許発明6-2及び同7-2の新規性ないし進歩性の欠如)について( )本件特許発明6-2の優先権主張に係る平成14年9月8日出願及び同1年12月28日出願の各明細書には,本件特許発明6-2の構成要件Fが記載されておらず,同構成要件Fは,優先権主張に係る平成15年2月21日出願の明細書に初めて登場すること,及び,本件特許発明7-2の優先権主張に係る平成14年12月28日出願の明細書には,本件特許発明7-2の構成要件F及びGが記載されておらず,同構成要件F及びGは,優先権主張に係る平成15年2月21日出願の明細書に初めて登場することは当事者間に争いがない。したがって,本件特許発明6-2及び本件特許発明7-2の基準時は,平成15年2月21日となる。
( ) 証拠(乙8の2)によれば,被告,大紀及び豊田通商の3社が連名でトヨ2タ自動車に提出した平成14年(2002年)12月16日付けの「衣浦工場殿向けADC12溶湯湯洩れ火災事故対策書 (乙8の2対策書)には, 」加圧式取鍋の小蓋に装着された配管に,手動のレバーが装着された圧力解放バルブをとりつけるとともに,圧力口カプラ内に焼結ベントを取り付ける旨の見取図が記載され,同見取図には「圧力解放バルブ(上向き排出 」等と)の記載がある。
証拠(乙16,18の1ないし13,19)によれば,平成14年12月23日の会議の後に,トヨタ自動車担当者から,被告,豊田通商,大紀,日本坩堝の担当者に対し,開放バルブを装着するにしても,手動バルブの操作の安全基準対策に疑問があるなどの指摘があったこと,そのため,被告は,年末から年始にかけて,圧力開放バルブの操作の安全性を高めるために,カプラを覆うカバーを設け,圧力開放バルブを開としない限り,カプラのソケットを取り外せない構成を採用することとしたこと,中央窯業のAは,この改良案に基づいて,平成15年1月10日 「小蓋配管改造案・圧抜き弁イ ,ンターロック式」と題する図面(乙18の10図面)を作成したこと,乙18の10図面は,平成15年1月23日の対策会議(乙19)において,加圧溶湯流出事故対策書Aに添付して,トヨタ自動車に提出されたことが認められる。
証拠(乙20,21)によれば,中央窯業のAは,平成15年2月4日,日本坩堝に対し 「圧力解放バルブのインターロック方法,焼結ベントの設 ,置案図面を提出しましたが,衣浦工場現場サイドからカプラを他のものに変える ・・・バルブのインターロック方法と焼結ベントの取付は改めてカプ 。
ラ入手後具体案の検討になりますので,現在ストップ状態です 」とファク。
シミリで連絡したこと,中央窯業のAは,同年2月5日,大紀に対し,翌6日のトヨタ自動車本社での説明において「圧力解放バルブのインターロック方法,焼結ベントの設置案について図面を提出しましたが,衣浦工場サイド。 , よりカプラを変更するとのことです トヨタ自動車殿より6セット支給戴きそれに基づいて再度案作成することになりますが,基本的には提出案を踏襲する予定です 」とファクシミリで連絡したことが認められる。 。
証拠(乙9)によれば,平成15年2月14日付けで,カプラの変更を考慮した乙9図面が作成され,さらに同年2月18日付けで,同図面について図番を変更する旨の訂正がなされたことが認められる。
( )被告は,本件特許発明6-2及び同7-2は,乙18の10図面と同一3であり,新規性又は進歩性に欠けると主張する。
しかし,乙18の10図面は,上記認定のとおり,火災事故対策の一つとして設ける安全装置について,取鍋の使用先であるトヨタ自動車に対し,平成15年1月23日の対策会議にて提出された設計図面であり,かかる図面は,安全対策の必要上提出されたものであるから,図面が授受された取引担当者間で,信義則上,当然に,守秘義務が課されているというべきであるから,不特定の第三者が見ることが可能な刊行物に当たらないことは明らかである。したがって,トヨタ自動車に提出されたからといって,乙18の10図面が公知あるいは頒布された刊行物に該当するものではなく,乙18の10図面を基にした,本件特許発明6-2及び7-2が新規性ないし進歩性に欠ける旨の被告の主張は理由がないことが明らかである。
そして,完成図面の乙9図面についても,トヨタ自動車衣浦工場において使用される取鍋の設計図面であることからすれば,同図面については,取引担当者間で,信義則上,当然に,守秘義務が課されているというべきであるから,トヨタ自動車に提出されたからといって,乙9図面が公知あるいは頒。,, 布された刊行物に該当するものではない したがって 乙9図面を基にした本件特許発明6-2及び7-2が新規性ないし進歩性に欠ける旨の被告の主張は理由がないことが明らかである。
( )被告は,乙30公報あるいは乙31公報に記載された発明を主引例とし4て,これを加圧式取鍋に関する公知技術,乙8の3パンフレットあるいは乙28公報等を組み合わせれば,本件特許発明6-2及び同7-2は容易に想到できると主張する。
ア乙30公報(特開平11-153249号公報)には,弁の開閉操作を誤りなく行うことができるバルブを提供することを課題として,弁開閉操作角度が約90°以内であるバルブ及びその流出口にカプラーを装着したバルブ装置であり,該バルブの弁開閉操作を行うハンドルに流出口のカプラーを包囲可能なカバーユニットを装着せしめ,該操作ハンドルにより弁が開の状態においてはカバーが流出口のカプラー周囲を包囲し該カプラーの取り外しを不可能とし,該操作ハンドルにより弁が閉の状態においては該カバーが流出口のカプラー周囲を解放し該カプラーの取り外しを可能とする発明が記載されている(乙30 。)乙31公報(特開平9-166241号公報)には,弁の開閉操作を誤りなく行うことができる新規なバルブを提供することを課題として,弁開閉操作角度が約90度であるバルブおよびその流出口にカムレバー付きカプラーを装着したバルブ装置であり,該カムレバー付きカプラーを包囲する筒状カバーを該流出口と同方向にしゅう動するように取り付け,しかも該バルブの弁開閉用ステム(弁体)頂部にハンドルが付設してあり,該ハンドルの操作によりL字型アームを介して該筒状カバーを上記方向にしゅう動可能にし,バルブが閉じた状態でのみ該カプラーが脱着できるようにしたことを特徴とする誤操作防止バルブに関する発明が記載されている(乙31 。)本件各特許発明6-2及び同7-2は 「気体の流通を許容し,且つ, ,」(,) 溶融金属の流通を規制する流通規制部構成要件6-2D 同7-2C「 」() と 気体流通通路を外部に開放するための開放通路構成要件6-2E又は「配管に接続された大気に対する開放通路 (構成要件7-2D)と 」を備え,レバー操作により開閉弁を閉としたときにポートに対するインターフェース部の着脱を規制し,開閉弁を開としたときにポートに対するインターフェース部の着脱を可能とする「着脱規制手段 (構成要件6-2」F)又は「レバーの操作に連動してカバーの位置を変える連結部材 (構」成要件7-2G)を具備する加圧式取鍋に関するものである。一方,乙30公報及び乙31公報に記載された発明は,カプラーの取り外し時に弁が開いていないようにする安全装置についての発明であり,連結した二つの部材を取り外す際に弁が開いていないようにする安全装置にすぎず,加圧式取鍋とは関係のない技術である。したがって,乙30公報及び乙31公報に記載された発明を加圧式取鍋に組み合わせる動機付けがあることを認めるに足りる証拠はないし,また,仮に組み合わせたとしても,本件各特許発明6-2及び7-2の構成が容易に想到できるものでもない。
イ乙8の3パンフレット及び乙28公報は,焼結ベントに関する発明であり,これらは加圧式取鍋に関係のない技術である。加圧式取鍋に焼結ベン, , トを採用することになったのは 上記のような事故が発生したためでありこのような事故の存在とその原因の解明をした者でなければ,焼結ベントを加圧式取鍋の安全装置に採用することを想到し得ないものである(事故の原因とその解決策を示す文書が非公知のものであることは前記のとおりである。したがって,乙30公報及び乙31公報に記載された発明に, 。)乙8の3パンフレットあるいは乙28公報に記載された発明を組み合わせる動機付けが認められず,当業者は「流通規制部 (構成要件6-2D, 」同7-2C)を容易に想到し得ないものというべきである。
ウ以上によれば,本件特許発明6-2及び7-2は,乙30公報あるいは乙31公報に記載された発明に原告主張の公知技術を組み合わせることによって,容易に想到し得るものということはできない。
( ) 13争点6-2 本件特許発明6-2及び同7-2についての先使用権の成否について( )発明の完成について1アトヨタ自動車衣浦工場における溶湯流出事故発生後の被告製品開発の経過は,争点5-2( )認定の事実のとおりである。これと一部重複するも1のの,インターロック式圧抜き弁の開発に関する事実経過は,以下のとおりである。
日本坩堝は,平成14年(2002年)12月17日付けで「加圧配湯ポットリーベ・カプリング栓」と題する設計図(乙18の8図面)を作成し,これを被告に提出した(乙18の8。なお,乙18の8には,作成日「..」,() 付が 01 12 17 と表記されているが 平成13年 2001年12月当時に,焼結ベントを内包したカプラを設計すべき事情は認められないことに照らし 「02.12.17」の誤記と認められる。 , 。)証拠(乙16,18の1ないし13,19)によれば,平成14年12月23日の会議の後に,トヨタ自動車の担当者から,被告らに対し,開放バルブを装着するにしても,手動バルブの操作の安全基準対策に疑問があるなどの指摘があったこと,そのため,被告は,年末から年始にかけて,圧力開放バルブの操作の安全性を高めるために,カプラを覆うカバーを設け,圧力開放バルブを開としない限り,カプラのソケットを取り外せない,,, 構成を採用することとしたこと 中央窯業のAは この改良案に基づいて平成15年1月10日 「小蓋配管改造案・圧抜き弁インターロック式」 ,(),, と題する図面 乙18の10図面 を作成したこと 乙18の10図面は平成15年1月23日の対策会議(乙19)において,加圧溶湯流出事故対策書Aに添付して,トヨタ自動車に提出されたことが認められる。
乙18の8図面は,流通規制部(構成要件6-2D及び構成要件7-2C)を開示するものであり,乙18の10図面は,構成要件6-2E及び,, 。 同F 並びに 構成要件7-2DないしG等の構成を開示するものであるそして,乙18の10図面の平面図の符号A付近には,乙18の8図面におけるカプラを装着した状態が記載されている。
したがって,乙18の8図面及び乙18の10図面には,本件特許発明6-2及び同7-2に相当する発明が記載されている。なお,上記各図面は,被告の依頼を受けた日本坩堝の関連会社の中央窯業のA(上記各図面に記載されたイニシャル「T.M 」は同人を指すものと認められる ) . 。
によって作成されたものである。
イ証拠(乙18の1ないし13,19)によれば,被告は,平成15年1月14日及び18日に,上記各図面に基づき作成した試作品を用いて各種テストを実施し,その結果を,トヨタ自動車,被告,大紀,豊田通商,日本坩堝との間で平成15年1月23日に行われた事故対策会議において報告したことが認められる。
ウ証拠(乙20,21)によれば,中央窯業のAは,平成15年2月4日及び5日に,日本坩堝及び大紀に対し,圧力解放バルブのインターロック方法,焼結ベントの設置案図面を提出したものの,トヨタ自動車の衣浦工場現場サイドからカプラを他のものに変えるとの要望があり,作業が中断していること,及び,基本的には上記会議に提出した案でいく旨を連絡したことが認められる。
エ日本坩堝は,平成15年2月14日付けで,カプラの変更を考慮した乙9図面を作成し,同図面を被告に提出し,さらに同年2月18日付けで,図番を変更する旨の訂正をした(乙9 。乙9図面は,乙18の10図面 )と対比すると,カプラ部分の形状が変更されているほかは,概ね同一の構造を有するものである。
証拠(乙29の1・2)によれば,平成15年2月22日,乙9図面に基づいて製作された配管について,結露テストが実施された。
オ上記認定事実によれば,被告,日本坩堝の担当者及び中央窯業の担当者であるAは,平成15年1月23日までに,本件特許発明6-2及び同7-2に相当する構成の設計図面である乙18の10図面を作成し,その試作品を用いたテストを実施し,同23日の事故対策会議で,トヨタ自動車に対し,その結果を報告していること,及び,その後になされたカプラの変更は,乙18の10図面と対比しても,単にカプラの形状が変更されただけのものであることが認められる。したがって,被告らは,平成15年1月23日の時点において,被告らのインターロック式圧力開放バルブの具体的な構成を設計図等によって明示し,当業者がこれに基づいて最終的な製作図面を作成し,その物を製造することが可能な状態になっていたものと認めることができる。したがって,発明の完成についての前掲最判の基準( その物が現実に製造されあるいはその物を製造するための最終的 「な製作図面が作成されていることまでは必ずしも必要ではなく,その物の具体的な構成が設計図等によって示され,当該技術分野における通常の知識を有する者がこれに基づいて最終的な製作図面を作成しその物を製造することが可能な状態になっていれば,発明としては完成しているというべきである)によれば,平成15年1月23日までに乙18の10図面 。」の作成と試作品の実験により,被告らにおける発明が完成していたものとみることができる。
なお,その後作成された乙9図面は,乙18の10図面とは一部形状が異なるものの,これはカプラーの形状が異なっているにすぎないものである。本件特許発明6-2及び同7-2は 「ポート」というのみで,ポー ,トの具体的な形状については規定していないのであるから,乙9図面においてなされた変更は,単なる設計変更にすぎず,先使用権の成立に影響を与えるものではない。
なお,仮に,乙9図面の作成時において発明の完成を認めるとしても,本件特許発明6-2及び本件特許発明7-2の基準時は,平成15年2月21日の優先日であるから,遅くとも乙9図面が作成された平成15年2月18日までに被告らによるインターロック式圧力開放バルブの発明が完成していたものと認められる。
( )独自に発明したことについて2ア本件各特許発明5について述べたとおり,焼結ベントを用いて「気体を通過させ,かつ,溶融金属の通過を規制する規制部材」を構成するという着想は,原告に由来し,かかる着想を具体化して発明を完成させたのは,原告の方が先である。
一方,本件特許発明6-2及び同7-2の各安全装置は,上記「規制部材」をその構成要素の一つとするものの,レバー操作による開閉弁の開閉とインターロック部のポートへの着脱を関連づけることによって誤操作を避けるという発明であって,本件各特許発明5とは別個の発明である。そして,かかる別個の発明については,トヨタ自動車からの示唆・要求を受けて,前記認定のとおり,被告がその具体化に取り組んで,平成15年1月23日にその発明を完成させ,あるいは,遅くとも,トヨタ自動車から要請のあったカプラの仕様変更を行った,平成15年2月18日に,その発明を完成させたものである。
したがって,本件特許発明6-2及び同7-2は,被告が独自に発明したものというべきである。
イ原告は,本件特許発明6-2及び同7-2は,先使用権の成立しない本件各特許発明5と「利用関係」に立たざるを得ないのであるから,その全体について先使用権が成立しないと評価すべきであると主張する。
しかし,上記のとおり,本件特許発明6-2及び7-2自体は,原告に由来せずに被告が独自に発明したものであり,本件各特許発明5とは別個の発明であるから,本件各特許発明5について先使用権を認めることができなくとも,本件特許発明6-2及び7-2について先使用権を認めることができるのである。なお,本件各特許発明5については先使用権は成立しないのであるから,結局のところ,本件各特許発明5を侵害している製品に対し,原告は特許権を行使することができるのであり,本件各特許発明5と利用関係にある本件特許発明6-2及び同7-2について先使用権を認めたからといって,本件各特許5に基づく権利行使は何ら妨げられるものではない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。
( )即時実施の意図について3ア特許出願の際現に日本国内においてその事業の準備をしている者特 「 」(許法79条)とは 「特許出願に係る発明の内容を知らないでこれと同じ ,内容の発明をした者又はこの者から知得した者が,その発明につき,いまだ事業の実施の段階には至らないものの,即時実施の意図を有しており,かつ,その即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度において表明されていることを意味する (前掲最判)と解するのが相当である。 」イ被告は,既に述べたとおり,火災事故発生後,関係者との対策会議を重ね,平成14年12月17日には乙18の8図面を,同15年1月10日には乙18の10図面を作成し,同月23日に行われた事故対策会議において,インターロック式圧抜き弁の設計図面(乙18の10図面等)と試。, 作品についての各種テストの結果をトヨタ自動車に報告している そしてトヨタ自動車から要請のあったカプラーの形状変更を経て,同年2月18日ころにはその訂正図面である乙9図面を完成させているのである。
したがって,被告,大紀,日本坩堝らは,平成15年1月23日ころ,あるいは,遅くとも同年2月18日ころには,インターロック式圧抜き弁の発明について「即時実施の意図を有しており,かつ,その即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度において表明」しているものと認められる。
原告は,上記構成を用いた取鍋によって溶融アルミニウムの納入が再開されたのは,平成15年5月のことであり,優先日前に即時実施の意図は認められないと主張する。しかし,上記認定事実によれば,被告は,直ちに納入を再開するとの意図を客観的に表明しているのであって,現実の納入が遅れたのはトヨタ自動車による承認等を原因とするものであり,これにより被告による即時実施の意図を否定することは相当ではない。
( )先使用権の成立範囲について4ア被告の先使用権は,上記のとおり,乙18の8図面及び乙18の10図面において開示される範囲について認められる。
イ被告製品は,別紙被告製品説明書の図5,6から明らかなように,上記先使用権の成立する範囲内に含まれる。
( )結論5よって,被告らは,原告の本件特許6及び本件特許7について,先使用権を有するのであるから,原告の同特許に基づく,被告らに対する請求はいずれも理由がない。
14争点7(被告製品の意匠は本件意匠に類似するか)について( )証拠(甲8の2)によれば,本件意匠の構成は,次のとおりであると認 1められる(番号については,別紙本件意匠及び被告意匠正面図参照 。)ア本件意匠の基本的構成態様本件意匠は,有底円筒形状の取鍋本体1と,取鍋本体1を覆う円形の大蓋2と,大蓋2の中心に設けられた円形の小蓋3と,取鍋本体1の側面側に設けられ,その取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突出し部4と,その突出し部4の上端に取り付けられ,先端部が下方に屈曲した配管5とで構成され,全体として一体化した態様を備えている。
イ本件意匠の具体的構成態様)取鍋本体1の上部の外縁には,一定の肉厚を有し,取鍋本体1よりやaや径の大きい輪状の薄い肉厚のフランジ1Aが設けられている。
)取鍋本体1の底部には,底面からみて配管5が伸びる方向とは垂直なb方向に一定の間隔をおいて平行に2列にわたり直方体状のチャネル1Bが設けられており,同チャネル1Bは,その両端が取鍋本体1の径からわずかにはみ出る長さを有しており,かつ,その断面形状はロの字型をしている。
)大蓋2は,取鍋本体1の上方に向かって同径で,フランジ1Aを介しcて,その8/100程度の高さにて設けられ,また大蓋2の中心部に大蓋2の径の2分の1相当の径の輪状の薄い肉厚のフランジ2Aを有している。
)小蓋3は,大蓋2の中心部上方に,小蓋3よりやや径の大きいフランdジ2Aを介して,大蓋2の径の2分の1相当の径で設けられている。
)突出し部4は,正面図からみて,取鍋本体1の右側外縁に接して直角e三角形状に設けられた部分と,その水平な上面部の上に設けられたパイプ状の部材4Aからなり,パイプ状の部材4Aは,突出し部4の外側の斜線と平行になるように突き出しており,その上面は,パイプ状, , の部材4Aの斜線と垂直になるように 水平面より外側に傾いておりその上面部の外縁部には,輪状で薄い肉厚のフランジ4Bが設けられている。
,, ,f)配管5は 突出し部4の上方に 突出し部4のフランジ4Bを介して突出し部のパイプ状の部材4Aと同じ傾きで取り付けられている。
)配管5は,突出し部4のパイプ状の部材4Aと同じ傾きで小蓋3と同gじくらいの高さまで伸びた後,やや傾きを水平方向に変え,その位置において,フランジ5Aが設けられており,さらに,大蓋2の径の2分の1ほどの長さ相当分,外側に突き出た後,傾斜を直角に近いほど下向きに変えて水平面よりはやや外側に開口しており,その直前にフランジ5Bが重ねあわされた形状で設けられている。
( )証拠(甲10,11)及び弁論の全趣旨によれば,被告意匠の構成態様2は,別紙被告意匠構成態様目録記載のとおりであることが認められる。
( )本件意匠の要部について3ア証拠(甲8の2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
本件意匠に係る物品は 「取鍋」であり,本件意匠公報の【意匠に係る ,物品の説明】に「本物品は,アルミニウム等の溶融金属を搬送するために使用する取鍋である。筒状の本体上部の蓋から溶融金属を投入し,本体側部から伸びる配管から溶融金属を外部に取り出すものである。本物品の大きさは,筒状の本体の直径が約1m,高さが約1.2mである 」と記載。
されている。この取鍋の通常の使用形態は,工場において高温の溶融金属を取鍋本体に入れ,この取鍋をトラックに積載して公道を移動し取引先の工場に搬送し,取引先の工場内でフォークリフトに積載した上で,容器を傾けることなく,フォークリフトに積載した水平状態のままで,取鍋本体上部から,加圧気体を送り込み,取鍋の配管から,他の容器に溶融金属を送り込むというものである。
イこのような物品の性状,用途,使用態様によれば,取鍋の取引者及び需要者である溶湯アルミニウム納入関係者及び作業従事者は,取鍋からやや離れた位置で観察するのであり,取鍋の横方向,正面及びその背面並びに上面からみた,取鍋本体,大蓋,小蓋,突出し部及び配管についての形状及びこれらの組合せから成る全体的形状(本件意匠公報の【正面図【背】,面図】左右の【側面図】及び【平面図】からみた全体的形状)に注目するものというべきである。すなわち,取引者及び需要者は,溶融金属を収容する取鍋本体,溶融金属を密閉するための大蓋及び小蓋並びに溶融金属を注ぎ出すための突出し部及び配管についての形状及びこれらの組合せから成る取鍋の全体的形状に注目し,その全体的形状からこれを公道を運搬可能な加圧式取鍋と理解するのであるから,各構成部の細部の形状よりも,このような取鍋を形成する基本的構成の形状とその全体としてのまとまりが,取引者及び需要者の注意を強く引く意匠の要部であるというべきである。
ウ被告は,これに対し,公知意匠1に類似する本件意匠の取鍋本体,大蓋及び小蓋は本件意匠の要部ということはできず,本件意匠の要部は,突出し部及び配管の具体的構成態様であると主張する。
しかし,登録意匠の要部とは,登録意匠のうち,物品の性状,用途,使用態様などからみて,取引者及び需要者の注意を強く引く部分をいうのであり,公知意匠の組合せあるいは公知意匠と新規な意匠との組合せにより意匠が創作されることもあり得ることからしても,単に公知の意匠であるというだけで,登録意匠の要部となり得ないとする理由はないと解すべきである。公知の意匠あるいは周知慣用の形状ないし意匠であることから,登録意匠の要部とならない場合があることは少なくはないとしても,公知意匠であることから,直ちに,登録意匠の要部となり得ないと考えることは相当ではないことは,登録意匠の要部と,特許発明の特許請求の範囲の記載とを比べて考えてみれば明らかであろう。すなわち,特許請求の範囲に記載される構成要件について,公知技術に該当するものがあることは特に珍しいことではなく,特許請求の範囲に記載された発明を全体としてみて新規性及び進歩性があればよいのであるのと同様に,登録意匠の要部についても,取引者及び需要者が注目する意匠の要部の中に,公知意匠が含まれることはあり得るのであり,登録意匠の要部を全体としてみて,意匠。,, の創作性が認められればよいと解すべきである 本件意匠は 取鍋本体1大蓋2,小蓋3,突出し部4及び配管5とから構成されており,全体とし,(), て一体化した形状 構成及び態様 基本的構成態様 から成るのであってその性状,用途,使用態様から見て,細部の形状よりもその全体的形状が取引者及び需要者の注意を強く引くことは前記のとおりであり,その中に公知の意匠にみられる形状,構成及び態様が含まれているとしても,その全体的形状が公知意匠からみて,新規性及び創作性があればよいと解すべきである。
公知意匠1は,本件意匠に係る製品と同じく,高温の溶融金属を入れた取鍋本体をトラックに積載して公道を移動し,取引先の工場に搬送し,取引先の工場内でフォークリフトに積載されるものであって,加圧式取鍋である本件意匠と異なり,容器を傾けることによって,他の容器に溶融金属を送り込む傾動式取鍋である(乙1 。公知意匠1は,このように溶湯の )排出機構が加圧式取鍋と相違することから,各部材の具体的構成についても自ずと相違するのであり,とりわけ,本件意匠では,加圧式であることから,突出し部が取り鍋本体の外周底部から斜め上方に突出し,その斜め上方には配管が伸びているのに対し,公知意匠1では,傾動式であることから,突出し部が取鍋本体の外周中段部から斜め上方に突き出し,取鍋本体上面と突出し部上面とがほぼ同一面上にあり,配管も備えない点で,本, 。 件意匠と大きく相違しており これによりその美感も異にするものであるしたがって,公知意匠1と比較すると,本件意匠の創作的な部分は,上記のような突出し部及び配管の形状にあるといえるものの,乙2の1ないし11にみられるその余の加圧式取鍋の意匠と比べると,本件意匠については,公道運搬可能な取鍋としての形態にその特徴があるのであり,取引者及び需要者は,公知意匠1からみたときの創作的部分のみならず,取鍋本体,大蓋,小蓋,突き出し部及び配管の各構成から成る全体的な形状にも。,,,, 注目するものである したがって 取鍋本体 大蓋 小蓋と類似の形状が傾動式取鍋についての公知意匠1においてみられるとしても,このことのみから,当該形状が本件意匠において,取引者及び需要者が注目すべき要部となり得ないとする被告の主張は採用することができない。
( )本件意匠と被告意匠の類否4ア本件意匠と被告意匠とを対比すれば,本件意匠と被告意匠は,その基本的構成態様において,類似する。
すなわち,本件意匠は,有底円筒形状の取鍋本体1と,取鍋本体1を覆う円形の大蓋2と,大蓋2の中心に設けられた円形の小蓋3と,取鍋本体1の側面側に設けられ,その取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突出し部4と,その突出し部4の上端に斜め上方に伸びながら取り付けられ,途中で屈曲し,先端部が下方に伸びている配管5とで構成され,全体として一体化した態様を備えている。
一方,被告意匠も,有底円筒形状の取鍋本体@と,取鍋本体@を覆う円形の大蓋Aと,大蓋Aの中心に設けられた円形の小蓋Bと,取鍋本体@の側面側に設けられ,その取鍋本体の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突出し部Cと,その突出し部Cの上端に斜め上方に伸びながら取り付けられ,途中で屈曲し,先端部が下方に伸びている配管Dとで構成され,全体として一体化した態様を備える基本的構成態様において一致している。
イ本件意匠と被告意匠とは,次の具体的構成態様において共通している。
)取鍋本体1,@の上部の外縁に,一定の肉厚を有し,取鍋本体1よりa,。 やや径の大きい輪状の薄い肉厚のフランジ1A @aが設けられている)取鍋本体1,@の底部には,一定の間隔をおいて平行に2列にわたりb直方体状のチャネル1B,@bが設けられている。
)大蓋2,Aは,取鍋本体1,@の上方にむかって同径で,ほぼ同じ高cさにて設けられており,その大蓋2の下部の外縁の取鍋本体1,@と接する部分には,フランジ1A,@aが設けられている。
)小蓋3,Bは,大蓋2,Aの中心部に大蓋2,Aの径の2分の1相当dの径で大蓋2,Aと重ねあわされて設けられている。
,, ,,e)小蓋3 Bには 正面図からみて逆U字状の把手3A Baが小蓋3Bの円周に近い部分に垂直に立てられている。
)突出し部4,Cは,取鍋本体1,@の右側外縁に接して三角形状に設fけられた部分と,その上面部の上に設けられたパイプ状の部材4A,Caからなり,パイプ状の部材4A,Caは,突出し部4,Cの外側の斜線と平行になるように突き出しており,その上面は,パイプ状の部材4A,Caの斜線と垂直になるように,水平面より外側に傾いており,その上面部の外縁部には,輪状で薄い肉厚のフランジ4B,Cbが設けられている。
)配管5,Dは,突出し部4,Cのフランジ4B,Cbを介して,パイgプ状の部材4A,Caと同じ傾きで取り付けられている。
)配管5,Dは,突出し部4,Cのパイプ状の部材4A,Caと同じ傾hきで伸びた後,やや傾きを水平方向に延びた後傾斜を直角に近いほど下向きに変え外側に開口している態様,及び,配管5,Dに,フランジ5A,Da及び5B,Dbが設けられている。
ウ本件意匠と被告意匠とは,その具体的構成態様をみても,上記の態様においていずれも共通しており,具体的構成態様において後記認定の差異があるものの,これらの差異によっても,基本的構成態様とこの具体的構成態様の共通性から生じる美感を左右するだけの差異,特徴があるということはできない。すなわち,本件意匠において,取引者及び需要者が注目するのは,上記のとおり,取鍋本体,大蓋,小蓋,突出し部及び配管の各形状とその全体的形状のまとまりにあるから,その基本的構成態様及び具体的態様において,このような共通性がある以上,両者は,美感において類似するものと認められる。
エ被告は,本件意匠と被告意匠は,その突出し部及び配管の具体的態様に差異があり,これにより全体として美感を異にすると主張する。しかし,被告が主張する差異は,次に述べるとおり,両意匠に共通する美感を左右する程のものではなく,上記類否判断に影響を与えるものということはできない。
)本件意匠の突出し部4は,その上面部が水平面であるのに対し,被告a意匠の突出し部Cは,その上面部が突き出し部の斜線に垂直で外側にやや傾いており,かつ,円錐台状をしている点で異なる。しかし,取引者及び需要者は,本件意匠及び被告意匠において,突出し部とその上方に設けられたパイプ状部材及び配管に注目し,これとその全体形状から両意匠の美感における共通性を認識するのであるから,この差異は,取引者及び需要者が認識する美感の共通性を凌駕して美感の差異を生じさせるような顕著な差異とはいえないものである。
)本件意匠では,パイプ状部材にフランジを介して接続された配管5がb, , 斜め上方へ延び 途中で屈曲してその傾きを水平方向に近い方向に変えさらに,その傾きを直角にほぼ下向きに変えた後すぐに開口しているのに対し,被告意匠では,パイプ状部材Cにフランジを介して接続された配管Dがわずかに斜め上方へ延び,すぐに屈曲してその傾きを水平方向よりやや下方向に変え,さらに,その傾きを直角にほぼ下向きに変えた後,取鍋本体1の高さの2分の1ほどの長さまで伸びてから開口している点で相違している。しかし,配管の傾き具合及び開口部の位置の差異は,溶融金属を注ぎ出す際の注ぎ出し先の容器の位置という使用態様から生ずる差異であり,両者とも,パイプ状部材及び配管が逆U字状に屈曲していることに変わりはなく,取引者及び需要者は,突出し部とその上方に設けられたパイプ状部材及び配管の逆U字状の形状に注目し,これと取鍋の全体形状から両意匠に共通する美感を認識するのであるから,この差異は,取引者及び需要者が両意匠の全体的構成から認識する美感の共通性を凌駕して美感の差異を生じさせるような顕著な差異ではないというべきである。なお,このことは,本件意匠を本意匠とする関( )(), 連意匠 意匠登録第1137869号 の意匠公報 甲14 によれば突出し部とその上方に設けられたパイプ状部材の形状・長さが被告意匠と全く同一であって,配管が傾きを水平方向よりやや下方向に変え,さらに,その傾きを直角にほぼ下向きに変えた後,取鍋本体1の高さの2分の1ほどの長さまで伸びてから開口している具体的構成態様の意匠が本件意匠の関連意匠として登録されていることからも裏付けられるものである。
)本件意匠と被告意匠の具体的構成態様においては,上記の差異以外にcおいても,細部において差異がある。例えば,本体底面に配置されたチャネルの位置等,被告意匠には,大蓋Aの外縁部から,その中心部の小蓋Bに向かい,8枚の長方形の板状の部材Aaが設けられていること,本件意匠の両意匠の配管5,Dに設けられたフランジ5A,Da及び5B,Dbの位置に差異があること,本件意匠には,フランジ4Bに4枚の直角二等片三角形状の補強片5Cが設けられているのに対し,被告意匠においてはこれが存在しないことなどの差異がある。しかし,これらの差異は,両意匠が基本的構成態様において同一であり,その具体的構,, , 成態様においても 上記のとおり 共通している意匠的特徴が多いこと並びに,本件意匠の要部が取鍋本体,大蓋,小蓋,突出し部及び配管の基本的形状とその全体的組合せにあることからすれば,両意匠の全体的構成から生じる美感の共通性を超えて美感の差異を生じさせるものということはできない。
( ) 結論5したがって,被告意匠は,本件意匠に類似し,本件意匠に係る物品と同一の取鍋に本件意匠と類似する意匠を使用する被告の行為は,本件意匠権侵害する行為であると認められる。
15争点8(損害)について( ) 特許権者は,故意又は過失により特許権を侵害した者に対し,その特許発1明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を,自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる(特許法102条3項 。)被告は,被告製品を使用して本件各特許発明1及び同5を実施しているのであるから,原告は,本件各特許発明1及び5の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を被告に請求することができる。
実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額」は,取引関係の実情等を考慮して相当な額を決すべきである。まず,被告は,トヨタ自動車に対し,本件各特許発明1及び5の技術的範囲に属する被告製品を使用して溶融アルミニウムを納入しなければ,その衣浦工場への納入が困難な状況にある。す,, ,, なわち 原告と被告とは 衣浦工場において競業関係にあるところ 被告は, , 衣浦工場へ溶融アルミニウムを納入するに際し トヨタ自動車の要請により加圧式で公道運搬可能な取鍋であり,本件各特許発明1の構成を備えた被告,, , 製品を使用する必要があり また 平成14年12月の溶湯洩れ事故によりその安全策にも配慮した本件各特許発明5の安全装置を備えた被告製品を使用する必要もあるのである。そして,被告は,加圧式取鍋である被告製品を使用して,溶融アルミニウムを衣浦工場に納入販売することにより,利益を得ているのであるから,その溶融アルミニウムの納入販売による利益と,加圧式取鍋である被告製品の使用との間には,相当因果関係があるというべきである。このような取引関係の実情からすれば,本件各特許発明1及び5の実施料を決めるにあたっては,被告が被告製品を使用して衣浦工場に納入した溶湯アルミニウムの売上げ(具体的には納入価格)を基準に,これを決するのが相当である。
ア証拠(甲28)によれば,被告は,平成15年5月12日ころから現在に至るまで,被告製品による溶融アルミニウムのトヨタ自動車の衣浦工場への納入を行っており,平成15年は8000トン,平成16年は1万4610トン,平成17年は1万3960トンの納入をしたこと,溶融アルミニウムの納入価格は,1キログラム当たり,@平成15年5月から同年12月までが平均187円(1円未満の端数は切捨て。以下同じ,A。)平成16年1月から同年12月までが平均200円,B平成17年1月から同年12月までが平均206円であることが認められる。
したがって,溶融アルミニウムの納入価格は,次のとおり認められる。
平成15年5月から同年12月14億9600万円(平均187円)平成16年1月から同年12月29億2200万円(平均200円)平成17年1月から同年12月28億7576万円(平均206円)合計72億9376万円イ被告製品による納入は,納入先であるトヨタ自動車の承認を必要とするものであり,被告は,溶湯アルミニウムを同社の衣浦工場に納入するに当たり,本件各特許発明1及び同5を実施した被告製品を使用して納入する必要があること,すなわち,本件各特許発明1は,ハッチに内圧調整用の貫通孔を設けたことを特徴とする発明であり,本件各特許発明5も,焼結金属等を用いた気体のみを通過させる規制部材に関する発明であって,容器内の過度の圧力の上昇を防止するものであり,いずれの発明も衣浦工場に対し,溶湯アルミニウムを納入するための加圧式取鍋に必要な構成であること,一方,本件各特許発明1及び5は,加圧運搬式取鍋の全体的な構成に関する発明ではなく,部分的な改良発明であること,さらに,原告と被告は競業関係にあり,被告が溶湯アルミニウムを納入することができない事情があれば,原告が溶湯アルミニウムを納入することが可能な状況であること等の取引関係の実情及び本件各特許発明1及び5の内容に照らせば,本件各特許発明1及び5の相当な実施料は,本件各特許発明1及び同5をすべてあわせて,溶融アルミニウムの納入価格の0.7%であると認めるのが相当である(その内訳は,本件特許発明1-1は,0.2%,同.,., ., 1-2は0 1% 同1-3は0 1% 本件特許発明5-1は0 2%同5-8は0.1%である。。), , ( ) 本件意匠権侵害についても 被告意匠を用いた被告製品を使用しなければ2被告は,トヨタ自動車の衣浦工場に溶湯アルミニウムを納入することができなかったことは本件各特許1及び5と同様であるから,被告の衣浦工場に対する溶融アルミニウムの納入価格を基準とするのが相当であり,本件意匠が,, 加圧式取鍋全体に係る意匠であること等を考慮すれば 本件意匠の実施料は溶融アルミニウムの納入価格の0.3%であると認めるのが相当である。
( ) したがって,原告は,被告に対し,溶融アルミニウムの納入価格の合計額3である72億9376万円の1%である7293万7600円を損害賠償として請求することができる。
16結論以上によれば,原告の被告に対する請求は,本件特許1及び5に係る特許権及び本件意匠権に基づく,被告製品の使用,譲渡,貸渡し,又は,その譲渡若しくは貸渡しの申出の中止,及び,被告製品の廃棄,並びに,7293万7600円及び内金1000万円につき,不法行為の後の日であることが明らかな平成16年12月1日から,内金6293万7600円につき不法行為の後の日であることが明らかな平成18年5月26日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるのでこれを認容し,その余は理由がないので,これを棄却する。なお,仮執行については,主文3項についてのみ認めることとし,その余は相当ではないのでこれを却下する。
追加
設樂隆一裁判長裁判官古河謙一裁判官吉川泉裁判官別紙被告製品目録1製品の種類溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋2製品名「ポットリーベ」の名称を有する別紙被告製品説明書記載の上記溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋別紙被告製品説明書第1被告製品の概要被告製品「ポットリーベ」は「溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋」で、
ある。その外観は、被告製品立体図(図1)のとおりである。
「溶融アルミニウム合金搬送用加圧式取鍋(以下「加圧式取鍋」という)」。
は、摂氏約700度に加熱されて溶融状態にあるアルミニウム合金(以下「溶融アルミニウム」という)を収容する容器である。溶融アルミニウムは、例え。
ば、自動車部品などのアルミニウムの部材を射出成形するために使用される。
加圧式取鍋は、その内部に収容された溶融アルミニウムを溶融状態に維持したままトラックなどに積載し、アルミニウムの部材を射出成形する自動車工場などに安全に搬送することを可能にする。
、、加圧式取鍋は溶融アルミニウムに適した加圧機構を備えておりそれにより搬送先の工場などにおいて、安全かつ効率的に溶融アルミニウムを供給することができる。
第2図面の説明1図面の趣旨図1被告製品立体図図2被告製品正面図図3被告製品正面断面図図4被告製品平面図図5加圧用配管部6の正面図、平面図及び左右側面図図6加圧用配管部6及び安全装置7の右側面断面図図7補足図面(本件特許発明3-1に関するもの)2符号の説明1取鍋本体11開口部111開口部内径112開口部外径113フランジ12側面部13底部131内底部14溶融アルミニウム貯留部15耐火層16断熱層(A)17断熱層(B)18金属製フレーム2大蓋21上面部22下面部221フランジ23小開口部3小蓋31上面部311加圧用配管部取付口32下面部321フランジ322加圧気体噴出口4突き出し部41上面部411フランジ42側面部43隔壁部44溶融アルミニウム供給流路441同上面部開口442同内底部開口45配管46耐火層47断熱層(A)48金属製フレーム5溶融アルミニウム供給用配管部51パイプ(A)511フランジ52パイプ(B)53パイプ(C)531溶融アルミニウム供給口6加圧用配管部61取付部材62配管63配管継手631プラグ632開閉バルブ633レバー634カバー635開放通路636連結部材7安全装置71ソケット711気体流通通路72栓721焼結ベント第3被告製品の全体構造被告製品の全体構造は、被告製品立体図(図1)及び同側面図(図2)に示すとおりである。
すなわち、@溶融アルミニウムを貯留するための円筒状の「取鍋本体1、A」取鍋本体開口部11全体を覆うように設けられた円盤状の「大蓋2、B大蓋2」の中央に設けられた円盤状の「小蓋3、C取鍋本体1の一部ではあるが、取鍋」本体1の円筒状の部分よりも外側にせり出している「突き出し部4、D突き出」し部4の上面部41に取り付けられた「溶融アルミニウム供給用配管部5、及」び、E小蓋3の中央に設けられた「加圧用配管部6、F加圧用配管部6に設け」られた「安全装置7」から構成されている。
第4取鍋本体1の構造1取鍋本体1の形状取鍋本体1は、被告製品正面図(図2)及び同正面断面図(図3)に示すとおり、円筒状の筐体である。
取鍋本体1は、@「開口部11(同内径111が直径約815ミリメート」ル、A「側面部12」及びB「底部13」により囲まれた「溶融アルミニウ)ム貯留部14」を有している。
開口部11には、大蓋2を固定するためのフランジ113が設けられている。
側面部12には、下部から上部に向かうに従い徐々に外側にせり出した突き出し部4が形成されているが、その形状等は後述するとおりである。
2取鍋本体1の部材取鍋本体1の溶融アルミニウム貯留部14の溶融アルミニウムに直接に接する部分は「耐火層15(図3中、青色に着色した部分「キャスト」と呼ば、」。
れる通常アルミナ等を多く含む高密度のセラミック系の素材からなる)から。
なる。
その耐火層15の外周を「耐熱層(A)16(図3中、黄色に着色した部」分。繊維状又は多孔性等のセラミック系の素材からなる)が囲んでいる。。
さらに、耐火層15の底部及び耐熱層(A)16の外周を「耐熱層(B)17(図3中、赤色に着色した部分。繊維状又は多孔性等のセラミック系の」素材からなる)が囲んでいる。。
、()、「」。そして耐熱層B17は金属製フレーム18により覆われている金属製フレーム18は、全体として容器状の形状をしている。
第5大蓋2及び小蓋3の構造取鍋本体1の開口部11は、大蓋2及び小蓋3によりフランジを介して密封することができる。
大蓋2の下面部には、取鍋本体1に固定するための「フランジ221」が設けられている。そして、大蓋2の中央部には「小開口部23(直径300ミリ」メートル)が設けられている。
小蓋3の「上面部31」の中央には、加圧用配管部6を取り付ける「加圧用配管部取付口311」が設けられており、加圧用配管部6からの加圧気体を取鍋本体1の貯留部14に供給することができる。
小蓋3の「下面部32」には、大蓋2に固定するための「フランジ321」が設けられている。そして、小蓋3の下面部32の中央には、加圧用配管取付口311から供給される加圧気体を取鍋本体の貯留部14に導入する「加圧気体噴出口322」が設けられている。
第6突き出し部4の構造1突き出し部4の形状取鍋本体1の側面部12の一部には、底部13から上方に向けて外側にせり出す円筒状の突き出し部4が備えられている。
突き出し部4の「上面部41」には、溶融アルミニウム供給用配管部5が取り付けられる「フランジ411」が備えられている。
突き出し部4と溶融アルミニウム貯留部14との間には「隔壁部43」が、
設けられている。
突き出し部4内には「配管45(内径80ミリメートル)により「溶融、」、
アルミニウム供給流路44」が形成されている。この溶融アルミニウム供給流路44は、上面部41の中央に「上面部開口441」を有し、また取鍋本「」。体1の内底部131と接する部分付近に内底部開口442を有している溶融アルミニウム供給流路44は、取鍋本体1の内底部開口442から、
突き出し部の上面部開口441まで連通している。
配管45は、取鍋本体1の内底部開口442から突き出し部4の上面部41より少し低い位置まで伸びている。
2突き出し部4の部材突き出し部4の溶融アルミニウム供給流路44を形成する配管45は「耐、
火層46(取鍋本体1の耐火層15の一部であり、素材及び熱伝導率は耐火」層15と同一である)により囲まれている。。
耐火層46は「断熱層(A)47(取鍋本体1の断熱層(A)16の一、」部であり、素材は断熱層16と同一である)により囲まれている。。
断熱層(A)47は「金属製フレーム48(取鍋本体1の金属製フレー、」ム18の一部である)で覆われている。金属製フレーム48は、金属製フレ。
ーム18の開口、すなわち、取鍋本体1の開口部外径112とは別に、突き出し部の上面部41において開口している。
第7溶融アルミニウム供給用配管部5の構造、「()溶融アルミニウム供給用配管部5はフランジにより接合されたパイプA51「パイプ(B)52」及び「パイプ(C)53」からなる。」、
溶融アルミニウム供給用配管部5は、パイプ(A)51に設けられた「フランジ511」により、取鍋本体1の突き出し部4の上面部41に取り付けられる。なお、同配管部5は、平面図(図4)にあるように、回転させて、折りたたんだような位置において固定することも可能である。
溶融アルミニウム供給用配管部5には、小蓋3の加圧気体導入口322から気密状態に維持されている溶融アルミニウム貯留部14に加圧された気体が導入されることにより、溶融アルミニウム供給流路44を介して、溶融アルミニウム貯留部14から溶融アルミニウムが流通し、溶融アルミニウム供給口531から外部へ供給される。
溶融アルミニウム供給用配管部5は、突き出し部4の上面部からみて、先ず上方に向い、次にパイプ(A)51の中間からパイプ(B)52の中間まで下方へ緩やかに傾斜し、さらに、パイプ(B)52の端部付近からパイプ(C)53の「溶融アルミニウム供給口531」まで下方に向けて急傾斜している。
第8加圧用の配管部6の構造、「」、「」「」、同配管部6は取付部材61配管62及び配管継手63からなり取付部材61により、小蓋3の加圧用配管部取付口311に取り付けられている。
同配管部6は、小蓋3の加圧用配管部取付口311に取り付けられた状態においては、同取付口311からみて、先ず、取付部材61が上方に伸び、そこから同部材61に接続された配管62が水平方向に伸びている。配管62の先端には、配管継手63が取り付けられている。
配管継手63の先端には「プラグ631」が取り付けられている。溶融アルミニウムを供給する際には、プラグ631にエアーホースが取り付けられ、加圧気体が、配管部6を経て、同取付口311を介して、加圧気体導入口322から、溶融アルミニウム貯留部14に導入される。加圧式取鍋を搬送する場合には、配管継手63のプラグ631には、エアーホースに代えて、安全装置7が取り付けられる。
配管継手63には、さらに「開閉バルブ632「レバー633」及び「カ、」、
バー634」が取り付けられており、レバー633は「連結部材636」によ、
り「カバー634」と繋げられている。
通常は、レバー633が引き下げられ、それに伴い開閉バルブ632は閉じて加圧気体が開閉バルブ632から洩れないようにすると共に、カバー634はプラグ631付近を覆い、プラグ631にエアーホース又は安全装置7が取り外せないようにされている。
プラグ631に取り付けられたエアーホース又は安全装置7を取り外す際には、レバー633が引き上げられ、それに伴い開閉バルブ632が開いて「開、
放通路635」と外部との間で空気が流通するようになると共に、カバー634はプラグ631付近を覆わなくなり、プラグ631にエアーホース又は安全装置7を取り外すことができるようになる。
第9安全装置7の構造安全装置7は「ソケット71」と「栓72」とからなり、ソケット71によ、
り加圧用配管部6のプラグ631に取り付けられる。
ソケット71の内部には、プラグ631から栓72まで繋がる「気体流通通路711」がある。
栓72は、その中心に「焼結ベント721」が充填されている。焼結ベント721は、気体は流通させるが、溶融アルミニウムのようなものは流通させない性質を有する部材である。
※図1〜図7(省略)別紙本件意匠及び被告意匠正面図(省略)別紙被告意匠構成態様目録1被告意匠の基本的構成態様被告意匠は、被告意匠正面図及び背面図のとおり、有底円筒形状の取鍋本体@と、取鍋本体@を覆う円形の大蓋Aと、大蓋Aの中心に重ねるように設けられた円形の小蓋Bと、取鍋本体@の右側面側に設けられ、その取鍋本体@の外周底部付近から上方に向けて徐々に外側に突き出した形状の突き出し部Cと、その突き出し部Cの上端に取り付けられ、先端部が下方に屈曲した配管Dとで構成され、
全体として一体化した態様を備えている。
2被告意匠の具体的構成(1)取鍋本体@の上部の外縁には、一定の肉厚を有し、取鍋本体@よりやや径の大きい輪状の薄い肉厚のフランジ@aが設けられている。
(2)取鍋本体@の底部には、平行に2列にわたり直方体状のチャネル@bが設けられている。
(3)大蓋Aは、取鍋本体@の上方に向かって同径で、その7/100程度の高さで設けられ、その大蓋Aの下部の外縁の取鍋本体@と接する部分には、前記フランジ@aが設けられ、また、大蓋Aの外縁部から、その中心部の小蓋Bに向かい、8枚の長方形の板状の部材Aaが設けられている。
(4)小蓋Bは、大蓋Aの中心部に、大蓋Aの径の2分の1相当の径で、大蓋Aに重ねあわされて設けられている。
(5)小蓋Bには、正面図からみて、逆U字状の把手Baが左側手前の小蓋3の円周に近い部分に垂直に立てられている。
(6)突き出し部Cは、正面図からみて、取鍋本体@の右側外縁に接して二等辺三角形状に設けられた部分と、やや外側に傾いた上面部の上に設けられたパイプ状の部材Caからなり、パイプ状の部材Caは、突き出し部Cの二等辺三角形状の部分の外側の斜線と平行になるように突き出しており、その上面は、パイプ状の部材Caの斜線と垂直になるように、水平面より外側に傾いており、その上面部の外縁部には、輪状で薄い肉厚のフランジCbが設けられている。
(7)配管Dは、突き出し部CのフランジCbに、突き出し部Cのパイプ状の部材Caと同じ傾きで取り付けられている。
(8)配管Dは、突き出し部Cのパイプ状の部材Caと同じ傾きで小蓋Bと同じくらいの高さまで伸び、直角方向にやや下向きに屈曲し、さらに、大蓋Aの径の2分の1ほどの長さ相当分、外側に突き出した後、大きく下向きに垂直に近くなるまで屈曲し、取鍋本体@の高さの2分の1ほど下方に伸びた後、
開口している。そして、上記配管Dには、2箇所にわたり、フランジDa及びDbが設けられている。
※被告意匠正面図及び背面図(省略)別紙被告作成本件意匠正面図(省略)別紙公知意匠図面(省略)別紙被告作成被告意匠図面(省略)別紙損害算定目録1〜4(省略)別紙被告取鍋費用明細(省略)(別紙特許公報等-省略)
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